1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月九日(金曜日)
午前十時八分開議
出席委員
委員長 小川 平二君
理事 黒金 泰美君 理事 細田 義安君
理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君
理事 有馬 輝武君 理事 平岡忠次郎君
理事 堀 昌雄君
足立 篤郎君 伊藤 五郎君
大久保武雄君 岡田 修一君
金子 一平君 正示啓次郎君
田澤 吉郎君 高見 三郎君
濱田 幸雄君 藤井 勝志君
古川 丈吉君 吉田 重延君
久保田鶴松君 佐藤觀次郎君
田原 春次君 広瀬 秀吉君
武藤 山治君 横山 利秋君
春日 一幸君
出席政府委員
大蔵政務次官 天野 公義君
委員外の出席者
大蔵事務官
(大臣官房財務
調査官) 有吉 正君
大蔵事務官
(大臣官房財務
調査官) 佐竹 浩君
参 考 人
(日本銀行総
裁) 山際 正道君
専 門 員 抜井 光三君
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二月七日
国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第六八号)
昭和三十七年度における旧令による共済組合等
からの年金受給者のための特別措置法等の規定
による年金の額の改定に関する法律案(内閣提
出第七〇号)
二月八日
国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
産業投資特別会計法の一部を改正する法律案(
内閣提出第五七号)財政法の一部を改正する法
律案(内閣提出第六三号)
国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第六八号)
昭和三十七年度における旧令による共済組合等
からの年金受給者のための特別措置法等の規定
による年金の額の改定に関する法律案(内閣提
出第七〇号)
国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七五号)
金融に関する件について参考人より意見聴取
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/0
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001・小川平二
○小川委員長 これより会議を開きます。
金融に関する件について調査を進めます。
本日は、山際日本銀行総裁が参考人として出席しておられます。参考人には御多用中のところ御出席をいただきありがとうございます。
まず当面の金融政策上の諸問題について山際総裁から御意見を述べていただき、その後に質疑を行なうことといたします。
では山際総裁にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/1
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002・山際正道
○山際参考人 昨年の十月に私はこの委員会に出頭いたしまして、当時までにおける大体の金融情勢等について御説明を申し上げたわけでございましたが、すでに年も改まりまして、この際、前年を振り返っていろいろ問題点を考えますことも非常に重要であろうと考えますので、重複はいたしますけれども、簡単にその点にも触れてみたいと思います。
全体として考えますと、昨年の経済は私はやはり前年に引き続きまして、かなりのテンポで経済拡大を進め得たと考えております。その程度がどの程度であるかということは、目下各方面において計数を集められておることでありますから、いわゆる何%の成長ということで申し上げるわけには参りませんけれども、これは相当の拡大を遂げたのだろうと思うのであります。しかしながら、その推移のあとをつぶさに顧みますと、昨年はまことに問題の多い年であったと思うのであります。むろん根本的には日本経済になお活力がありまして、その活力を大いに発揮いたしまして、おそらくは諸外国にもその例の少ないような拡大を遂げたんだろうと思います。しかしながら、いわば何と申しまするか、まだ若年の経済でありまして、ときにその活力があふれ過ぎまして、その程度を逸するということはまま起こり得ることでありまして、ややそういう懸念はあったようであります。昨年度におけるいわゆる日本経済の行き過ぎという点も、これらの点を中心として起こったのではないかと思うのであります。基本となりましたのは、年初は割合に平穏に経過いたしておりましたが、いわゆる設備投資の意欲が各企業において非常に旺盛になりまして、それが各方面にいろいろの現象を生じた。これは何と申しましても、その以前の両三年の問に経済活況が続きまして、その勢いに乗じてさらにその成長の道を急いだという背景があったことは、疑い得ないと思うのであります。しかしながら、短期的に考えますると、その間に今申し上げましたような行き過ぎやその他の弊害が出まして、これを常時調整する役割にありまするわれわれといたしましては、なかなかいろいろな点において配慮せねばならぬ一年であったと思うのであります。何と申しましても、今日の経済の安定は通貨の価値の安定のもとに動いて参るのでありますから、その任に当たります者といたしましては、自然いろいろな点において配意をいたさねばならぬ年であったと思うのであります。長期の成長が進みつつあるといたしましても、短期の調整ということを忘れてはならぬというのがわれわれの任務であろうと思うのであります。その行き過ぎの結果は御承知の通り、わが国の経済事情の構造からいたしまして、国際収支の逆調という面に一番強く現われて参ったのであります。そこで、どういたしましても、これを中心といたしまして、いかにすればこの逆調趨勢を回復することができるか、しかして通貨価値の安定を維持することができるかということを中心に施策を考えて参ったのであります。それは要するに、一言で言われるいわゆる金融引き締め政策でございました。これは昨年春から、すでに本行といたしましては、その施策に着手いたしたのでございます。
まず四月にいわゆる窓口規制を強化いたしたのを初めといたしまして、自来、その趨勢に応じながら、七月にも九月にも公定歩合を引き上げまして、金融引き締めの施策をとったのでございます。その間に、むろん事の起こりが今申しましたような成長を急ぐあまりの設備投資が非常な勢いで伸びたということでありまするので、あるいは設備投資の一割削減を要求するとか、あるいは国際収支改善のために輸出の優遇について非常に意を払うとか、いろいろなことがございましたが、要するに国際収支を改善しまして、設備投資の行き過ぎを押えていくという意味においての引き締め政策に終わったわけでございます。
しかしいま少しくこまかく考えますと、なかなか昨年は、同じ引き締め政策をいたしまするにつきましても、考えねばならぬ要素が非常に多かったように思うのでございます。その第一は、むろん国際収支の改善が中心でありまするけれども、大きく将来日本がその経済的発展を遂げていきまするためには、いわゆる自由化政策に伴いまして、国際経済社会にうまくその地位を占めていくということが眼目でなければならぬわけであります。時たまたま、いわゆる技術革新が各産業方面におきまして起こりまして、これに適応するところの態勢を整備していくことがまた一つの急務とされたのであります。あるいはまた自由化に備えて激しくなる競争場裏に勝利をおさめるために、いわゆる合理化の要求もなかなか強いわけであります。一面においては、また経済構造上の変化、たとえばエネルギー対策というようなものが起こりまして、この変化に基づく、一方では伸ばし、一方ではあと始末をしなければならぬというような意味の問題も起こったのであります。さらにまた行き過ぎた部門におきましては、ややもすれば生産過剰傾向を生ずるという懸念もありますので、その調整もいたさねばならぬということがあったのであります。総じて申しますと、同じ態勢としては引き締め政策で当初の行き過ぎを是正するということから出発いたしましても、内容的には今のようないろいろな問題が含まれておりますので、俗にいわゆるきめのこまかい配慮のもとに、それぞれの必要に応じての対策を講じていかねばならぬというような、まことに複雑な経過をたどったわけでございます。
すでに申し上げましたように、昨年の四月以来、日本銀行といたしましては金融引き締め政策に着手いたしておるのであります。自来もうすでに十カ月、公定歩合を引き上げましてからすでに数カ月を経過いたしております。もうこの辺でそろそろ金融引き締めの効果も上がってこなければならぬ時期に参っておると思うのでありますが、幸いにいたしまして、昨今における情勢は、私はこの金融引き締めの効果が、漸次ではありますが、各方面に浸透をいたして参ったのではないかと実は見ておるのでございます。当初は、両三年来の好況につれまして、各企業における経済力が非常に充実をいたしておりますが、その方向転換を策しましても、これはみずからの力において相当実行できる範囲がありますから、必ずしもその向きが直ちにはそろわぬのであります。また、これだけ大きな経済となりますと、そう短時日に方向を転換するということはなかなかむずかしいので、ある程度の時を要することはやむを得ぬわけでありますが、幸いにいたしまして、今申し上げましたように、相当期間を経過いたしました今日から見ますと、漸次引き締めの効果が浸透し始めておるように思うのであります。すなわち、まず最初は流通段階におきまして、あるいはその在庫の関係であるとか、あるいは商品市況の状況であるとか、あるいは物価の関係であるとかという方面において、この趣旨が漸次現われて参っておるように思うのであります。やがてはその勢いがさらに生産の調整に向かい、さらにそれが発展いたしまして、設備投資の調整というところまで浸透いたしますならば、ここに本格的な引き締め政策の目的を達成するわけでありますが、この点につきましては、なおまだしばらく時間を要するのではないかと思うのであります。
それは、国際収支の点からいたしましても、最近の先行諸指標を見ますと、やや将来が明るくなって参っておるかのごとき指標が現われて参っております。たとえば輸入信用状が非常に低い、あるいは輸出も、漸次ではありますけれども、増大しそうな形勢になってきておるというような問題もあるし、あるいは内需の方面においては、機械の受註の状況でありますとか、あるいは百貨店の売り上げの数でありますとか、いわゆる最終需要の動きについても、何がしかの変化がうかがえるように相なったと思うのであります。これらの変化を生じるに至りましたことは、相当長期間続けております引き締め政策が漸次その効果をあげて参ったことによると思っておるのでありますが、さればと申しまして、しからば、今日の状況がすでに本格的にいわゆる景気調整の軌道に乗ってしまったかどうかという点につきましては、私ども日本銀行の者といたしましては、まだそこまで安定的には乗ったとは言えない。いましばらく深甚なる注視を要するという態度をとっておるのであります。たとえば最終需要の根強さは依然として鎮静しておりませんから、あるいは生産と在庫の関係において、生産の数量の割合には原材料輸入が低過ぎる。それはいわゆる原材料ですでに輸入いたしましたものを食いつぶしておる段階であるというように見ることができる。もし今後も依然として生産、なかんずく内需が衰えませんと、再び輸入原材料については輸入をしてそれを補てんしなければならぬという事態がくるわけであります。今ちょうどそのかね合いであります。むろん輸出の振興が成功いたしまして、輸出の方面において大いに資材が必要となり、そのために輸入がふえるという状況でありますならばこれは心配ないわけでありますが、内需の鎮静が十分でありませんで、単に食いつぶしているということでありますと、将来の再輸入という情勢がまた来たらぬとも限らぬと考えられるのでありまして、ちょうど今がその境目ということでございまして、この境目はいましばらく経過を見ないとはっきり方向を発見することができない。今日すでに事成れりと即断するのは早いというのが大体のわれわれの考え方でございます。いずれにしても、その結果は、大体において今後もいわゆる引き締め政策は全体としてしばらく継続する必要があるという考えでおりますので、この点については従前通りの態度をとっていきたいという考え方でおるのでございます。幸いにいたしまして、昨今御承知の通り、これは借款でありますが、借款の形式によりまして、外貨の手当は相当進んでおります。あるいは日本銀行がアメリカの三銀行から二億十万ドルの借入金をする、あるいはアメリカの輸出入銀行から一億二千五百万ドルの借款の契約をする、あるいは本日の新聞にもございます通り約二千万ドルドイツにおいて借款が成立した、さらに進んでは国際通貨基金からクレジットを三億五百万ドルでありましたか、約束することができたということで、外貨手当は大体順調に伸張いたしておるということが言えると思うのでありますけれども、遺憾ながらこの外貨手当の相当部分につきましては期間が短期でありまして、たとえば甘木銀行が借りております金二億ドルは、使いましてから一年以内に返還することに相なっております。またアメリカの輸出入銀行から借ります一億二千五百万ドルも、使用後一年以内に返済するということでありますから、国際収支の計画といたしましては、ただ単に国際収支の均衡を回復するということばかりでなく、やがては再び短期の債務を返還して参らなければならぬという義務がついております。これらを総合して考えますと、今申し上げました通り国際収支の面からいたしましても、まだまだ前途に対して楽観をしてよろしいという段階まではなかなか参っておらぬと思う。これはいま少しく時の経過を見、相変わらずの努力を続けまして、さような認識をなし得るところまで変わらざる態度をもって臨みたいと考えております。むろん前段にも申し上げました通り、金融引き締めの政策は漸次経済の深い部分にまで浸透して参っているように思うのでありますが、しかし短期的に金融の調整をするということは、これは現実の経済界を円滑に運営いたします上においては必要な措置であります。さしあたり第四・四半期の問題といたしましては、政府の資金の引き揚げが非常に多く固まっております見込みでありますので、これに対処いたしますために、しかるべき方法において金融界の回転を順便にするための資金量というものは供給をしなければならぬということで、御承知の通り二月にはすでに七百億円の、季節的調節作用として、債券の買い上げによる資金を放出いたしました。またおそらく三月においてもある程度は同様の方法をとって、貸し出し形式のみに依存しないで、資金を放出するという措置をとらざるを得ないのではないかと考えております。この点につきましては、目下しきりに各種資料に基づきまして検討いたしている次第であります。
そのほか特に今回引き締め政策で配慮いたしました点は、過去において幾たびか繰り返しました場合と同じように、ややともすれば中小企業に対する引き締めのしわが寄りやすいという傾向がありますので、過去の経験に顧みまして、当初からこの点に対してできるだけの配慮をいたします。不当に、中小企業なるがゆえに、その方面にこのしわが寄っていくということをできるだけ防止するために、これはむろん政府においても各種の資金対策を講じておられますけれども、本行といたしましても、かねがね各種金融機関に対して十分な配慮を促して、その実績を見守っているわけでございます。
以上申し上げました通りの次第でありまして、本年の経済も昨年のきびしい事態を経過いたしましたからとは申しながら、依然として相当きびしい試練に当面することを覚悟しつつなお進まなければならぬというふうに実は考えているのであります。これはただに金融界ばかりでなしに、各産業界、すべての経済界が十分に過去の経験を反省いたしまして、行き過ぎをよく排除いたしまして、適当な方法でそれぞれさようなことのないように気をつけると同時に、日本銀行といたしましても、常時十分にこれを注目いたしまして、なるべく早くさような事態に対してはしかるべき方法を講じて、さような短期的な調整を円滑に進めることに配慮すべきものと実は考えているのでございます。なぜに一体かような波乱を、たとえば昭和三十二年にも経験したし、昭和二十八年にも経験したし、今度で俗に三回目と言われておりますが、経験しなければならぬかということにつきましては、私どもも深く反省をいたしておりますし、また経済各界とも反省しなければならぬ点だと実は思うわけであります。
いろいろ研究をいたしますと、むろん人によっていろいろな説明をされるだろうと考えますが、私の考えておりますことは、日本経済全体がいろいろな条件において高度に成長を続け得る可能性を持っているといたしましても、やはり自由経済主義のうちに経済を進めて参るからには、ある程度は景気の循環ということについて配慮をする必要があると思うのであります。生産の行き過ぎ、あるいは供給の行き過ぎ、あるいは需要の行き過ぎということは、これは結果的にそうであったかということでみんながわかるのでありまして、あらかじめ計画されてそれが計画経済的に進んでおるわけじゃございませんから、景気の循環による経済界の変動ということに対して、常に相当敏感でなければならぬということが一つの教訓であろうかと考えます。同作にまた、経済の仕組み自体にまだ十分合理的でない点もございます。あるいは過当競争であるとか、あるいは流通面における各種の改正を行なわれない部分があるということで、このひずみをより大きくするという点もまだ残っておるだろうと思います。これは全体といたしまして、それぞれの上において十分反省をし、研究をいたしまして、非常に高い月謝を払ったわけでありますが、その結果再びかかることの繰り返されないように、十分にこれは熟考研究いたすべき点と考えておるわけであります。
一応昨年中の経過並びにそれによりましてわれわれの考えておりますところを概略申し上げた次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/2
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003・小川平二
○小川委員長 続いて質疑を行ないます。佐藤觀次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/3
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004・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 山際さんは二度総裁をおやりになったのでありますが、前には日銀の総裁で法王にまでなった人がありますが、どうも一萬田さんのように法王という声を聞かないのは、やはりおとなしくて大蔵省の言う通りになっておられるのじゃないかという気がするのであります。中央銀行というのは、私も数年前にロンドンにも行きましたし、それからベルリンの中央銀行の総裁にも会って話を聞いたのでありますが、本格的中央銀行のあり方として、いろいろ問題がありました。この委員会でも実は中央銀行の中立論という問題が出まして——問題がいろいろあったときにも、山際さんにも来てもらっていろいろ御意見を承ったこともありますが、今度は二度目でありますから、そろそろ山際さんらしい日本銀行の総裁としての仕事をやってもらうことを国民は期待しておるわけであります。
そこで、まず最初に、一体中央銀行のあり方としてどういう御意見を持っておられるのか。もう長い経験済みでございます。しかし山際さんの意見については、まだ聞かない点もありますので、その点について中火銀行のあり方としてどんな御意見を持っておいでになるのか、簡単でよろしゅうございますから、御意見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/4
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005・山際正道
○山際参考人 私は中央銀行の本来の使命、特に日本につきましては日本銀行法の定むるところによりまして分担をいたしておりまする使命は、一口で申しますと、通貨価値の安定ということであろうと思います。これはむろん対外的にも通貨価値を安定させると同時に、対内的にも通貨価値の安定をはかる。そのために必要な調節その他の施策を講ずるというのが日本銀行の使命であろうと思うのでございます。むろん経済の実態面について、いろいろ政府その他関係の方面において計画をお立てになることは、それは本来の使命に基づいてなされるのでありましょうけれども、事いやしくも通貨価値の安定という点については、日本銀行が法律によって与えられました最高の使命だと考えております。従ってこの点に関する限りは、私は与えられた権能を十分にふるいまして、その職責を尽くすに遺憾なきを期したいと考えます。その至上命令以外の点につきましては、日本経済全体を——それぞれのしかるべき権威を持った、また合法的な方法において立てられました政策に対しては、援助、協力を惜しまないというのが中央銀行のあり方としてしかるべきものだと思うのであります。独立性ということが決して独善性ということであってはならぬと思うのであります。今申しましたような考え方でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/5
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006・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 日本銀行が政府と独立だということはわれわれも考えておりませんけれども、しかし昨年の九月に引き上げがあったのですが、その前に日銀の方から、前々からそういう経済界の状態を憂えて、相当そういうことについていろいろ日銀側の意見があり、また実施の問題で非常にもめたことは御承知の通りでございます。そのために一体だれが不幸になったかというと、やはり中小企業がそのしわ寄せを一番食って、たくさんの倒産が出ております。現に私は愛知県でありますが、去年の秋ごろから——現在もそうでありますけれども、相当の痛手を受けた中小企業がたくさんあるわけであります。こういう点について、一体日銀が日本経済の安定をおはかりになる、通貨価値の安定をはかると言われておるけれども、今まで経済成長するんだ、成長するんだと言っておって、急に歯どめをする。そのあおりを政府や日銀が食えばいいけれども、そのあおりを大体中小企業が食うというような結果が出ておると思うのですが、昨年の経過を少しここで率直に、大蔵省に遠慮せずに承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/6
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007・山際正道
○山際参考人 今申しました中央銀行としての使命を達成いたしますることは、法律によって認められた最高の使命でありまするから、この遂行にあたって他を顧慮する必要は毛頭ないわけでございます。御指摘のような点は、おそらくこういうことに基づくと思うのでありますが、それは先ほどもちょっと触れましたが、なるべく多くの人々の共感を得て、そうしてほんとうにその線に沿って足並みをそろえていくことができれば、これが一番効果の上がる策であろうと実は思うのでありまして、従ってあるいは産業界ともあるいは政府とも、その他の方面とも意見の調整はできるだけ手を尽くすということは、実は私が考えて参った点でございます。それはひたすら、その行ないまする効果は最大限度に上がるようにということに留意いたしておるわけでございます。あるいは御批評としては、そのために時期が少しおくれてその結果が他に迷惑をかけたということにもお考えかと思いますが、私どもといたしましては、間に合います最大限度において、できるだけ各方面の意見を調整して、しかるべくその政策の効果を発揮するということに実は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/7
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008・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 総裁は大体遠慮がちでおられるので、そういう問題は、総裁が遠慮がちなために迷惑を受ける中小企業があるということをお考えになれば、やはり遠慮をしないでやってほしいということが一つであります。
そこで、今もお触れになりましたけれども、現在輸入原材料の在庫の問題で、山際さんは大体三月一ぱいころには輸入原材料が終わりになると言われておりますが、強気の池田総理大臣は八、九月までは大丈夫だろうと言われております。これはその間に半年か五カ月の差がありまして、日本の経済が国際的に赤字になるかならぬかという問題とからんで、そのいきさついかんによっては、経済の見通しについて非常にいろいろな結果が出ることだろうと思うのであります。そこで私はお伺いしたいのでありますが、日銀は日本の輸入原材料の在庫が大体三月一ぱいでなくなるという根拠を発表されておりますが、一昨日も新聞記者会見でそういうお話をされておりますけれども、その的確な材料なり、また総裁が自信を持って発表されたことでありますから、間違いないと思いますけれども、あなたの過日の御意見が確実であれば、これは大蔵省に対しても政府に対しても、われわれもとっちめることでありますけれども、その点の見通しについて、ここではっきりとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/8
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009・山際正道
○山際参考人 在庫の数量に関しまする統計は、実は非常に精密ということにはなっておりません。この点は非常に将来の経済の趨勢を卜する上において、精密であることを要しまするから、企画庁におかれては、在庫数量の調査というものについていかなる改善をほどこすべきか、目下鋭意検討されておると思います。これはしばしば在来の景気の変動におきましても、あとから考えますと、もう少しあったはずだ、あるいはあとから考えればそうではなかったのだというふうなことで言われておりますけれども、実は今日までのところは、水かけ論に終わっておるのであります。私どももさような次第で、これは主として企画庁その他の材料を中心に検討いたしておりますが、私も何も四月一日からどうなるということを申したわけではございませんが、大体第一・四半期はもうそろそろ在庫補てんという気が起こるために、あるいはもし生産が、先ほど申しましたような趨勢をたどるなら、つまり内需に相当の部分を費やした生産が高水準で続きますならば、国際収支に影響を及ぼすような在庫補充の問題が起こるということを申し上げておる程度なんであります。これを科学的に現存はどの品目についてはどの程度の在庫があって、それが輸出用であるかあるいは内需用であるかという点を、数量的に申し上げる材料まで日本の現状は進んでおりません。これは数十万の各メーカー、商社等から詳細にこれをとるというととは、なかなか実行上もむずかしい点も多いと思いまするから、相当の誤差が起こり得るということを十分考えた上で、御承知の通り日本銀行はどちらかといいますと、固く踏む方でございますので、その辺から気をつけていかなければいかぬということを申しておるのでございまして、十分に御質問のお答えにならぬかと思いますが、数量的に今これだけあって、これを調整して食いつぶしていけば、何月からこうだということをお答えできないのは残念でございますが、これは過去の経験による一種の勘と申しますか、考え方を申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/9
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010・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 これは重大な問題で、私は、四月一日から在庫がなくなるというような、そういう厳密な問題ではありませんけれども、少なくとも三、四月ころまで、一カ月ぐらいの違いはいいけれども、政府の発表とは半年近く違っておるわけでございます。あなたの厳密な数字で、考え方で、八月か九月ぐらいまで持つというだけの自信がおありであるかどうか、一言伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/10
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011・山際正道
○山際参考人 私は今申しました通り、在来の生産の数字から申しますと、やはり内需をもう少し押えていく方が安全だと考えております。なぜかと申しまするならば、引き締め政策を依然として堅持するということに相なるわけでございます。反面におきましては、なるべく輸出を増進する政策を推進する、また一面においては、いわゆる国民貯蓄、資本の蓄積に力を入れまして、そうしてそれがいわゆる内需の最終需要として現われて参るところをなるべく押えていくという方策を続けていくことによりまして、なるべくこの在庫補充のために再び輸入が増大するという危険を避けていきたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/11
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012・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 その次は、先日も御発表になりましたけれども、金融と証券に関する関係でありますが、これは非常に大きな問題でありまして、一萬田さんのときには、証券は企業の一環として考えられて、いろいろな手を打たれたようでありますが、山際さんのときには、そういう問題が固まってきましても、別段そういうはっきりした政策を打たれなかったというところにいろいろ問題があるわけでございます。こういう点について、山際さんは今問題になっております証券の金融のことについてどのようなお考えを持っておられますか。そういう点あらためて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/12
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013・山際正道
○山際参考人 私は、経済界の推移はなるべく他からの力というよりも、自立的に、自由経済界における経済事情によって動いていくという勢いを助長したいと考えております。従って、そういう経済の自然の動きを支配する原理が妨げられるようなものは取り除くことに努力いたさなければなりませんけれども、直接取引活動に関与するということは、日本銀行としては避くべき点であろうと実は考えております。今お尋ねの証券の問題も、むろんこれは金融と非常に深い関係がございます。昨年の暮れに、御承知の通り、株価が暴落をいたしました。そのときに証券界その他からもいろいろ、たとえば日本銀行から資金を出して株価をささえるからという人もございましたけれども、私といたしましては、日本銀行の職分は秩序を維持することである、株価自身が高いか安いかという問題ではないという考え方をとりまして、たとえば非常に証券界が混乱を来たした結果、証券という形式における蓄積形態を国民がいとうというようなことになりますと、将来の経済発展上非常に重大なことでありますから、さような秩序が乱れる段階が起きますならば、これは日本銀行としてもしかるべきことを考えなければならないけれども、そこに至らざる限りは、単に市価が低落しておる、単に市価が上がったということだけで、それに外部からいろいろな手を打つことはいかがであろうかという考え方で、ひたすら信用、秩序が維持されるかどうかという点を目安といたしまして推移を見ておったのであります。幸いにいたしまして、昨年の暮れは、その点については事なく経過することができましたために、日本銀行といたしましても、何らの措置をとりませんでした。考え方はさような基本的考え方に基づくものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/13
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014・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 今そういう言葉の中でありますが、先ほど二月には七百億の債券の買い上げをやり、三月にもやるというお話でございまして、どれくらいの額をやられるのか、どういう考え方でもっておやりになるのか、その点についてもう少し具体的にお話を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/14
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015・山際正道
○山際参考人 御承知の通り、毎年これは日本の経済財政の仕組みからくるのでありますが、毎年度の第四・四半期におきましては、政府の財政上の引き上げが非常に多いので、そのために民間の資金の方面に窮屈を感じまして、その結果として、取引の円滑を欠きあるいは不当の金利を払わなければならぬというような問題が生じがちでありますので、その調整をいたします意味において実は考えておるのでございます。二月にも相当税金その他の引き上げがございまして、むろん政府の引き上げの全部をカバーする必要はないと思いますけれども、相当の分についてはやはり金融の平準と申しますか、平穏なる推移をはかりますために、日本銀行が調節をしなければならぬ、こういう考え方で実はやっております。今御指摘の通り、二月には七百億金融機関の保有する債券の買い上げという方式でもって資金を放出いたします。おそらく政府の引き揚げ超過は、三月においても相当量に達するものと見込まれますので、同程度の措置は同趣旨において三月にも実施しなければならぬものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/15
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016・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 一昨々日、堀同僚議員からもコールの問題で大蔵省に質問がございました。そこで御承知のように、今大証券は市中銀行からコールをとって、そして盛んにやっておるわけでありますが、中小の証券は御承知のように日証金だけから資金を受けるより仕方がない状態になっております。こういう点で、日証金というものは御承知のように大蔵省や日銀のいろいろな制約がありますが、大証券はそういう制約がないので、非常に不公平だというような意見があるのですが、こういう点について、総裁はどのようにお考えになっておるのですか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/16
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017・山際正道
○山際参考人 いかなる証券会社はいかなる方面から資金の調達が可能であり、いかなる証券会社はその資金の調達をする方面が限られておるというようなことは、事実として存在するわけであります。概して申しますならば、大証券の方がより多くのソースから資金を調達する可能性がございます。比較的に中小の証券については、日証金を中心とした、限られた方面から資金が供給されておる傾向のありますことは事実だと思います。これはやはり経済社会における活動の大小、あるいは取引の多角化、あるいはまた信用の度合いというようなことが相重なりまして、おのずから銀行取引も開始されるし、また他のソースからも資金が集まってくるという問題でありまして、これを画一的に、ある程度の規模のものはここからのみ資金を受ける、ある程度のものはこれ以外から資金を受けてよろしいというふうにすることは、実はいかがかと思います。要はやはり中小といえどもおのずからその信用度を高め、取引の手法というものに信頼を得まして、なるべくその取引の自然に従って信用を受けられる側から信用を受けてくるということは、別に妨げないことだと実は考えておりますので、そういうふうに伸びていくことを希望いたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/17
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018・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 コールの問題ですが、最近日歩三銭八厘から四銭くらいのコールで証券業者が借りているという話が出ております。これはわれわれ専門家でありませんから詳しいことはわかりませんけれども、とにかくこういう不自然な状態が続くということは、私たちはあまり感心したことじゃないと思いますが、そういう点について、総裁はどのようなお考えを持っておられますか。おそらく御存じだろうと思いますが、そういう点について何らかの処置をとられるのじゃないかといわれております。こういう点についてどういうお考えを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/18
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019・山際正道
○山際参考人 御指摘の点は、私も日本の金融市場ないし金融制度のうちにおいて、コール市場、コール取引というものがまだ十分な秩序が確立されていないという点については、まことに同感に存じます。今後はこの方面において秩序を立て、いかにも不当と思われるようなコール取引が行なわれませんように、おのずからその環境を作って参らねばならぬと思います。ただ根本は、要するに資金の需給関係が合わないというところからこの問題が発生しております。一方において不当な需要に対してはその抑制をはかると同時に、供給に
ついてはできるだけこれをふやしまして、おのずからそこに資金のバランスをとらせるということでありますならば、予期せざる突然の変異が起こらぬ限りは、コール市場といえどもある程度の範囲において——これは取引でありますから、ときに多少の高低があることはむろんでありまするけれども、大体において穏当な推移をするものだろうと思います。金融機関についてはいろいろ政府の統制なども及んでおりまするけれども、コール市場は全く自由に放任されている唯一の市場でございます。さればといって無秩序であっていいわけはございません。これはそういう環境の整備を促進いたしまして、おのずからあるべきところへ持っていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/19
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020・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 最後に一つ伺っておきたいのですが、昨年も一昨年も、日銀法改正問題がいろいろ世間で問題になりまして、金融の市場が複雑多岐にわたっていろいろな問題があることは御承知の通りであります。しかし日銀法の改正という問題も含んでおりますので、こういう点について、総裁自身が自分でこういうことをやってくれというのは言いにくいだろうけれども、日銀法改正ということが一昨年あたりから相当問題になっておりますので、こういう点についてどんな所見を持っておりますか。その点を伺わせていただいて、同僚議員がたくさんおりますから、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/20
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021・山際正道
○山際参考人 日本銀行法の改正の問題は、数年来金融制度調査会を中心といたしまして、いろいろ審査が進められておりますことは御承知の通りでありますが、この調査会の調査におきましても、なかなか一致した意見がまとまって参りませんゆえんのものは、結局において、日本経済ないし少なくとも日本の金融界全体がやはり一種の方向を持つということにきまってきませんと、日本銀行だけをいじってみてもかえって金融の疎通を害するというような懸念から、しばらく問題を他に移して、目下御承知の通り、銀行一般のあり方ということをしきりに問題にされて研究されておるわけでありますが、これが各方面一わたり済みまして、大体において方向づけがきまって参りますと、おのずから中央銀行につきましても、そのあるべき姿がはっきりして参ると思います。先般の調査会で一番問題になりましたのは、第一に御指摘のありました中央銀行の中立性の問題で、それはどういうふうであるべきか、どの範囲であるべきか等の問題であったのであります。これらは今申しましたような他の金融界ないし経済界の秩序が、いま少しく検討せられ安定してきますにつれまして、最も望ましい形はおのずからそこに結論づけられてくるであろうと思います。しばらくは、これは他の問題も扱いました上での検討にいたした方がよろしかろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/21
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022・小川平二
○小川委員長 平岡忠次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/22
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023・平岡忠次郎
○平岡委員 先ほどの日銀総裁の論述の中にもありましたが、私どもも国際収支の危機克服が昭和三十七年の日本経済の中心課題であると確信しておるのであります。そこで冒頭にこの課題をめぐってお尋ねをいたしたいと思います。
池田首相は、国際収支の均衡を本年秋ごろまでに達成する目標で、改善対策遺漏なき旨の御託宣を発しておりますが、まことに神がかりでありまして、いうならば、首相は目の子でものを言っているきらいなしとしないのであります。きょうは幸い神様でない人間山際さんがおいで下さいましたので、あなたがこの課題に対してどんな御所見を持っておるかをお伺いしたいと思うのであります。新聞紙上等を通じましての御発言から見まして、国際収支の見通しは必ずしも楽観を許さないというような表現を用いて、きわめて慎重な態度をとっておられますが、かような発言のある以上、目の子と違って根拠あってのことと存ずる次第であります。よって、抽象的なお話ではなしに、具体的に事を分けての御所見を承りたいのであります。
実は先ほど同僚の佐藤君も触れられましたが、たとえば池田首相は、輸入原材料の在庫食いつぶしの時期を九月、十月と見ておられますのに対しまして、日銀は今年度末、つまり三月末と判断せられておる。今の輸入低水準の続き得べき日限についても、これだけの差があるわけであります。そこでさっき聞き耳を立ててあなたの明快な御回答があることと思っておりましたが、これも神がかりではないが、多年の勘によるというようなことで、私としては意に満たざる思いであります。こうした点もさらに具体的に御解明の上で総裁の御所見をお述べいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/23
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024・山際正道
○山際参考人 先ほど申し上げました通り、在庫論争につきましては、これは実際問題として統計的資料が整備されておりません。従いまして、統計上はそうなっておっても、現実からいうとそうではなかろうという勘も働きます。世上行なわれております多くの議論は、やはりそれぞれの勘もありまして、多年経験いたしました勘によりまして、いや、そうでもなかろう、いや、まだ少しあるというようなことでありまして、現在一応の数字は出ておりますけれども、数字のとり方に無理があるのではなかろうか。実は私も過般経済閣僚懇談会に出ておりますときに、総理大臣はその点を指摘されまして、もう少し厳密な在庫の数字、統計が出ぬか、これについて企画庁では再検討すべしということで命令されたことを聞いておりますので、これはまことに必要なことだろうと私は思います。ただ現状においてはそういうことでありますから、なかなかこれを数字的に、的確に表現いたすということは困難であるということは、先ほど申し上げました通りであります。ただ、大体国際収支が本年の最大の課題として、その均衡を策されねばならぬということは、これは私も全く同感でございます。いつごろ均衡するかという問題につきまして、私は実は均衡自体ならば大体においてやはりことしの秋ごろ、この点については前回、昨年十月かにこちらに伺いましたときにも同じようなことを申しておったかと思いますけれども、ただ私の考えますのは、いかにも短期の債務が多いものでありまするから、単に毎月の国際収支が均衡したということだけでは、国際収支の基礎が確実になったとは言い得ない。であるからして、それにプラス合理的な基礎において漸次短期債務を償還し得るというところまで持っていかなければほんとうの安心にはならぬという意味において心配をいたしております。おそらく表面の均衡だけ申しまするならば、政府が考えておられるところと大差はなかろうと実は思います。さらにその次に控えておる債務を返すという問題まで考えまするときに、今日の場合なかなか気を許せる段階ではない。やはりその結果といたしましては、私どもがなし得るところは引き締め政策を私どもの望むような状態に持っていくために堅持しなければならぬというふうに考えておる、その点が違うわけだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/24
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025・平岡忠次郎
○平岡委員 池田さんにお気がねしているわけではないでしょうが、政府と同様にこの秋ごろ均衡するかもしれぬとのお言葉でありますが、ただ秋といっても九月から十一月まである。九月ごろちょっと均衡するかもしれないが、晩秋からが問題であろうと私どもは考えます。従いまして、今年中に間際収支が均衡しない公算の方が私はむしろ多いのではないかと思うのであります。
ちょっと考えてみただけでも均衡達成を妨げる大きな要因が日本経済の行く手に立ちふさがっておるように思えるわけであります。まずその第一としましては、EECの発展によって世界経済の構造が変化して、日本にとって国際環境が一そうきびしくなること、そうした情勢のもとで貿易の自由化を予定通り進めながら国際収支を改善していくことは容易ではないと思います。具体的な困難な見通しとしましては、九〇%の自由化を秋に控えておりまして、そしてむしろ関税について、一部品目につきましては引き上げ交渉さえ必要なわが国の事情に対しまして、世界情勢は一律引き下げ方式によるところの関税の大幅引き下げがEEC、米国等によって推進されてくる気配を示しております。世界貿易拡大のための関税障壁を本格的に撤廃すべしというヌーベル・バーグが、日本の準備整わざるうちに今年秋のガット総会を起点として強力に進められてくるであろうことが想像されるわけであります。こういうことになりますと、盆と正月が一緒にくるならよろしいのですが、これは自由化と関税引き下げが一度に押し寄せてくる、そこに問題があると思うのであります。このことはわが国国際収支に対する一大痛棒となることがほほ明瞭であると私どもは考えておるのであります。右は輸入の増高による国際収支の危機の問題ですが、今度は逆に国際収支のしの一つのファクターである輸出それ自身の伸びを阻害する要因もまた伏在いたしておると思っております。これもまたEECが一つの脅威であると考えます。ブロック内の整備を終わって、EECは余勢をかってアジア市場に出てくるのはもはや間近に迫っておると思います。いないな、先行きの話ではなく、硫安の例に見るがごとく、日本はもののみごとに中国市場で、EECにすでに完敗を食らっている状況であります。
それからまた第三には、先ほどあなたもそれに触れましたが、十一月末から米国市中銀行への、五千万ドル当ての返済が始まり、四カ月で一億ドルが流出していきます。そういう面を考えて見ただけでも、国際収支の均衡が期待されるような事態ではないと思っております。私がお尋ねしたいのは、九月ごろちょっとバランスがとれるであろうということではなしに、かなり長期の展望に立って、この年末から三十八年度にかけて相当、国際収支の上に暗雲が襲いかかる、かぶさりかかると思いますが、この点につきましての総裁のお見通しを聞かしてほしいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/25
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026・山際正道
○山際参考人 私も仰せの通り、日本の貿易に対する国際的環境はことしは甘くないと考えております。輸出につきましては御指摘のありましたEECの問題もございますし、あるいはドル防衛の問題もございましょうし、後進語国の経済発展必ずしも十分ではない状況で進んでおります。また輸入につきましても、お話のございました自由化の問題も控えております。あるいは関税の問題もいろいろございます。全体といたしまして日本を取り巻く国際環境は安易なものではないと考えております。そのゆえにこそ私は内需をもっぱら抑えまして、そうして金融引き締めの万策を続けざるを得ない。同時にまた、御承知の通り昨年経験いたしましたのは、経済界のいろいろブームに伴いましての消費の性向ということもございます。この消費をいかにして抑制するか。国民貯蓄を一そう優遇して資本の蓄積に努めさせる、あるいはその他の形態においても、法人企業等においても資本の蓄積ということに一そうの力を加えるというような諸般の方策が必要だろうと思います。その目的を抱きまして金融引き締めをいたしましてから、先ほど申しましたように、私どもの方といたしましてはすでに十カ月を経過いたしております。さらにこの秋までいろいろとそういうプランを繰り返していくといたしますと、相当これは長期にわたることに相なります。そうなって参りますと、非常にこれは事態を困難にならしめるおそれがありますので、どうしてもこの秋までには均衡を回復するところまでは少なくとも持っていかなければならぬ。それを目標として実は努力をいたしております。私の申します均衡は、単なるそういう当面の均衡のみならず、進んでは日本の持っておりますかなりの短期債務がございます。短期債務の方をなるべく合理的な運用に持って参りまして、これを当てに国際収支を楽観視、悲観視するということのないように、そこまで整理を進め得るかどうかというところが、今後なお一そう努力を続けねばならぬという根拠になりますので、とかく私どもの申しますことは悲観に過ぎるようにも思われておりますけれども、私はその程度用心してかかってちょうどいいのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/26
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027・平岡忠次郎
○平岡委員 国際収支まさに楽観を許さず。そのお言葉は、お言葉だけ聞きますとそれ自体けっこうと思うのです。しかし何かやはり池田さんの言うように、本年秋が貿易収支が均衡するというような、そうした池田さんの土俵でものを言っているような感がやはりあるように思うのです。あなたは長期展望で、引き締めというものはまだ必要だということをおっしゃいました。しかしその反面に、短期的な弾力政策は、これは事態が複雑であるし微妙であるから、なおそうしたきめのこまかい方策が必要だというようなことで、多少その辺にゆるみを見せているように思うのです。私は日本の経済の置かれた現状は、そんななまやさしいものではないと思うので、ただし書きつきも要らぬというふうに実は考えておるわけなのです。そういう点で政府が現状程度の甘い態度で進み、かてて加えて金融引き締め政策の手綱を握っている日本銀行が、いやしくも政府に追随してしり抜けの政策に堕するならば、今年じゅうに国際収支を均衡状態に戻すことはまず困難ではないか。いないな、そればかりでなしに、このままでは国際収支の改善の問題を三十八年度以降に持ち越す公算の方がよほど多いと思う。そういう点に対しまして、業界はもとよりのことでありまするが、その金融引き締め政策の頂点に立つ日銀は、牢固として一つ腹をきめなければならぬ、私はかように考えるのですが、どうでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/27
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028・山際正道
○山際参考人 国際収支の問題その他を中心としまして、今日の日本の経済社会に相当強く政策的効果を生み得るものは、やはり金融政策がその中心になろうかと考えております。この点につきましては、十分私どももそのつもりでおります。ぜひとも、お述べになりましたように国際収支が均衡されるような状態にまでこの金融政策は進めていきたい、かように考えております。ただそれが、ただいまも申し上げました通り、どの程度までを均衡と言うのかというようなこまかい議論になりますと、いろいろ議論は分かれようと思いますが、私は大体において、むろん債務を全部返すというわけには参りません。国際通貨基金からも三億万百万ドルのクレジットの設定に成功されております。万一の備えはできておりますけれども、願わくは、ああいうクレジットは最後の非常のリザーヴでありまして、ああいうものは当てにしないで国際収支が均衡されていくようにということを実は考えておるわけでございます。しかし、金融引き締め政策でありますとか、非常にきびしい政策というものは、そう何年も続け得る政策ではないと私は考える。これはやはり年限がたちますと、おのずからそれになれて、また他の好ましからざる問題が発生するだろうと思いますので、大体年内は、一つそういうつもりでいくということは、この際覚悟しておく必要があるだろうというつもりでやっておるわけであります。きめのこまかい考え方が必要だと申し上げましたのは、やはりその他の問題におきまして、貿易上の自由化の問題であるとか、あるいは中小企業の関係の問題であるとか、生産の需給関係あるいは需給アンバランスという問題も、商品によりましてはいろいろ出ております。そういう際にもなるべく犠牲、倒産等を少なくするためには、こまかい配慮をしながらも大筋は進めていこう、こういうことを実は申し上げましたつもりでございまして、これはやはりそこまでこまかい配慮をしながら大きな筋を立てていくということで進めていかなければならぬと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/28
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029・平岡忠次郎
○平岡委員 時間の制約がございますので、次の質問に移りたいと思うのです。
証券買いオペについて御見解をただしたいと思うのです。今までのやりとりにありましたように、日本経済はシビアな環境にございます。日銀総裁も御同感であられるように、金融引き締めは現時点における至上命令であるべきだと思うのですが、二月当初の賢いオペ、引き続き三月に行なわるべき買いオペ自体は、金融引き締めという大手術を行なう以上、血どめをするという意味でも必要であるし、中小企業の擁護等を配慮すれば、これは当然のことであると思います。そういうことですから、揚超のタイミングに合わしてこのことが考慮されることに対しては一つの異存もございません。ただ問題は、証券賢いオペを含めるかどうかが今、大まじめに論議されていることがおかしいのではないか。この件につきましては、株価の上がっている今日、株価対策ではなく公社債の流動化促進だと言ってみたり、あるいはもっと上品に公社債流通市場の育成策だと説明されたりしていますが、いろいろ節回しは違っても、明らかにこれは株価対策であり、証券市場救済対策であると私は思うのであります。証券買いオペないし日証金を通ずる公社債損保金融の制度化のねらいは、池田首相のための兜町スポンサー対策だということを世間は考えております。十目の見るところ、十指の指さすところ、まさにこれは図星であると私は考えるのであります。日銀総裁は、こういう極端なことをここでしかりというようなことは言えないであろうとは思いますけれども、一昨日の記者会児の談話では、私はあなたの見解は結局筋が通らぬと思っておるのであります。新聞の記事の示す限りあなたの所見は、大蔵省理財局が検討している日証券を通ずる公社債担保金融については、その制度化を日銀としては考えない、もともと日銀からの金融によって公社債の流動化をはかろうという構想は筋が通らないと言っており、そこまでの必要はないとおっしゃる。しかしその反面におきまして、三月買いオペの対象に投信組み入れの政府保証債を含める場合は、証券会社側に売り戻しに備えて自己資金調達計画をさしておく必要があるといって、証券買いオペの実施をほのめかしているように思えるのであります。公社債流通市場育成という池田首相の証券対策の押しつけを応諾されて、三月買いオペの中に証券買いオペを含め第一段階としてこれを取り行なわんとするのかどうか、あらためてお伺いいたします。また第二段として、将来日証金を通ずる公社債担保金融制度にまで踏み切るかどうか、言いかえますならば必ずしもこの制度化を否定しないというのであるかどうか、さらに言いかえますと、今そこまでやる必要はない、ただし将来のことはわからぬというのかどうか、この辺のところをこの委員会を通じまして、あなたの見解としてはっきり示していただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/29
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030・山際正道
○山際参考人 お尋ねの各種の点につきまして、ただいま私どもの考えておりますのは、季節的な金融調節の一環として考えております。御承知のように、金融情勢も昨年の暮れあたりから考えますと、よほど緩和されて参っております。これはたとえば割合に外資関係の揚げが減った、あるいは税金がどうなりますか、これははっきり申し上げかねますけれども、好況、不況の関係において多少見込みが減ったということもあるんじゃないかと思いますが、財政の揚げによる圧力はよほど緩和されて参っております関係上、大体において金融市場は、一ころに比べますと相当平静な状態に維持されておるのでございます。しかし大きく考えますと、やはり季節的対策として諸般の決済が三月に集中し、また政府の揚げも三月に多いということを考えますと、単に貸し出し方策という形式ばかりでなしに、証券買い上げ方策で資金を供給するということは、やはり三月も必要であろうと実は考えておるのであります。そのうちに今御指摘ございました証券会社の持つボント・オーブンによって集められた公社債、こういうものも資金化するかどうか、資金化と申しましてもむろん一時の金融をつけるものでありまして、これは当然買い戻してもらうべきだと私は思っておるのであります、という問題は、目下政策委員会において実情に基づいて調査いたしております。その実情の調査の要点は、要するに証券界における金融梗塞の状況はどの程度であるか、そのために非常に商いコール・レートを出して、それがやがて金融界全般に悪い影響を及ぼしているかどうか、それがどう移り変わりつつあるか、またいわゆる投資信託の設定自身も、ボンド・オープンについては解約の方がむしろ新規設定よりも多いという状況が依然大きく続いておるのかどうか、あるいは全般を通じて証券界に流れている資金量というものは、非常に窮屈な状態を続けておるかどうかというような客観的なデータを中心に、今年度の第四・四半期の季節的調整上の対策としてのみ考えておるのでありまして、今御指摘のございました流通市場の問題とか株価維持というような問題については、全然考えておらないのでございます。その点は、ぜひ世間では誤解されないようにわれわれは望んでおるのでございます。
起債市場の問題がしばしばいわれておりますが、私は、これは将来の方策といたしましては、日本にまさしく発達すべき市場だろうと思います。この問題は、やはり市場原理と申しますか、そこで公正な価格が決定されるという仕組みになし得る場合に初めてできることであるのであります。ただ御承知の通り、ただいまの日本の金融界は、金利については、コール以外は、先ほどちょっと御指摘がごさいましたが、半ば規制されたような状況に置かれておりますので、従って、金融上の利回りを中心といたします公社債市場の健全な育成というものは、その大きなワクがとれません限りは、欧米におけるがごとき起債市場はできないわけでございます。そのためには、資金全体の需給のバランスがとれまして、常に買手一方とか売手一方というアンバランスを脱しまして、おのずからそこに、ある限度における高低はあるけれども、相場が立つという事態までいきませんと、なかなか現状を変更することはむずかしい。現状を変更すれば、かえって波乱を生ずるというおそれがあるわけであります。従いまして、この問題は、証券取引審議会におきましても、いかにすればそういう客観情勢を作って、その上で望ましい起債市場の育成ができるかということを検討いたしております。少なくとも私どもが考えております三月のオペレーションの問題といたしましては、さような考えは考えに入れておりません。単なる客観的事実に基づいて、季節調整をどうしたらいいかということのみ考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/30
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031・平岡忠次郎
○平岡委員 まだあなたの見解はすっきりしないと思うのです。日証金を通ずる公社債担保金融の制度化は考えていない、しかしそれに向かう第一段階として、これはあなたがおっしゃったのではないとおっしゃられるかもしれませんが、買いオペはやるというのでしょう。その点を一つ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/31
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032・山際正道
○山際参考人 私は、今申し上げました通り、これは担保金融制度の前提として考えておるのではございませんで、従って第一歩でも何でもないのであります。それはおのずから別の問題で、別の機関で今検討させておるということを申し上げておるわけでございます。ただこの三月のオペレーションに何がしかでもそれを加えるかどうかということは、日本の今の金融梗塞状態がどこで起こっておるか、どういうところをはずせば一番有効に平準化できるかという、この際の単なる季節的問題として今私どもの政策委員会で検討されておる問題でございます。その範囲は非常に狭いのであります。さように御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/32
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033・平岡忠次郎
○平岡委員 ボンド・オープンがここに打開の道が講ぜられないほどになりましたことは、むしろ証券業界の自業自得ではないのですか。実は昨年の一月に例の、銀行よさようなら、証券よ今日は、というキャッチ・フレーズをもちまして証券業界は公社債投資信託等の設定に狂奔し出したわけであります。その結果は、一月には四百六十億、二月には三百四十億、三月には三百一億、四月には二百七億円と漸減し、十月以降は百億を切っております。現在、一月では六十四億円に下がって、しかも解約はたしか百六十億ですか、そのようになっておるわけなんですね。しかしこれはみずから招いたことなのであって、日銀がこの救済のために、どういう名目であろうとも、私は踏み出すということ自身がおかしいと思うのです。金融引き締めという一つの大命題のもとに弾力的に、短期的な考慮が、いうならば緩和策が加えられなければならぬということは、中小企業とかその他必要課題に関連して当然あってしかるべしと思うのです。そのことは私とあなたとの争点にはなっておらぬのであります。今まで前例もなかった証券買いオペが問題であります。よってもって生じてきた経過から見て、日本銀行がこれにてこ入れする理由は一つもないと思う。昨年の当初、たしかボンド・オープン設定が鳴りもの入りで発足した当時であったと思うのですが、野村証券の奥村会長が、あなたに向かって、将来公社債買いオペの道を開いてくれと要望した事実があります。そのときにあなたの回答は、それはできない、もともと日銀からの金融によって公社債の流動化をはかろうなどという構想が筋が通らないのだということをお答えになった。あなたのお答えの意味は、公社債担保金融は日銀はやらないということであるのだから、もしそうなら、このいわば本技をいけないとする以上、前技ともいうべき——これはあなた方の御異論があろうと思うけれども、公社債買いオペも、とんでもないことだということになると思うのです。そうではないのですか。公社債担保金融を予想しつつ、ここで証券買いオペに踏み切るとすれば、明らかに食言であろうと私は思います。変節であるとまで言っていいかどうか知りませんけれども、私はそう思います。総裁に解明の余地がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/33
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034・山際正道
○山際参考人 私は今お示しになりましたボンド・オープン自体のあり方の問題につきましては、考えが変わっておりません。ただ客観的な事実問題として、この一−三月の揚超対策の一面において、最も有効に平準化されるためには、すでに起こってしまったものを、そういう事実がある以上は、それをどうするかという問題はおのずから問題の性質が違うので、必ず来年やるとか、必ず今後やるとは私は思っておりません。あるいは一般的な金融界をそれによって相当ならすことによって、おのずから問題は解消するかも知れません。あるいはその一般的な金融界の緩和によっては解消し得ざる程度にまでいっているかもしれません。それは今申しました通り、具体的事実に基づいて検討しておる客観的資料なんでございます。政策委員会は何ら結論を出しておりません。鋭意その点を究明いたしておりますが、制度としてはおっしゃるように、それを前提としたボンド・オープンというものを進めるという考えは毛頭持っておりません。そうじゃなしに、一−三月の季節的調節をどうやるのが一番有効であるかという観点からもっぱら考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/34
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035・平岡忠次郎
○平岡委員 それでは結論的に、買いオペもやらぬという公算もあるわけですね。買いオペはやらぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/35
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036・山際正道
○山際参考人 さような点は政策委員会が決定する事項でございまして、ただいま客観的な事情によって鋭意検討されている。まあ私どもの予想では、一般的に申し、揚超の結果の金詰まりが相当影響を持ち出すのは、やはり三月の末近いころだろうと存じます。まだ時間的余裕もありますので、鋭意さような資料を取りまとめて考えておりますが、ここで大事なことは昨年来の推移であります。だんだん緩和する方向に向かっておるのか、依然としてそのしこりは解けないのか、ないしはもっとひどくなりつつあるのであろうか、そういう見通しが大事であろうと思います。いずれにいたしましても今年の一−三月の対策として考えておるのでありまして、恒久的と申しますか、あるいは再び繰り返される措置として考えるという立場ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/36
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037・平岡忠次郎
○平岡委員 お断わりしておきますが、私は山際総裁に私怨を抱く者でも何でもない。しかし公人山際日銀総裁にはものを申さなければならぬという立場から申し上げておるのであります。あなたが今のように煮え切らない発言をなさいますので、日銀は、大蔵省銀行局の日銀課とまで極言されるに至っておるのであります。この委員会を通じて、あなたの明確な答弁を私は聞きたかったのでありますが、ともあれ私どもがひそかに憂えていることは、将来大蔵省銀行局日銀課証券係長山際さんに成り下がっては困る。これはずいぶん無礼な言い方かもしれませんが・・。たしか一昨々年でしたと思うのですが、西独のブンデス・バンクの元総裁のウィルヘルム・ホッケをあなたは招致せられたわけであります。ウィルヘルム・ホッケは、財政、金融はおのずから別個の使命をになうものという所信に立って、マルクの価値維持をして、西独の経済の復興と発展に寄与した人であります。これは理屈でなく彼の実績なのです。彼の場合、時としては——時としてではなしに、非常にひんぱんに、アデナウアーに対して、反対意見に立ったわけです。そのときは、やはりドイツの閣僚には偉い人がおる。エアハルト等はウィルヘルム・ホッケの側に回ることがしばしばあった。あなたがウィルヘルム・ホッケのような人を日本に招かれたという理由には、私なりに同感する気持であったのであります。私はこういう意味からも、山際さんを尊敬しておったわけです。今日、日本経済の最大危機に際して、正を踏んで晩節を尽くしてもらいたい。晩節を尽くしてもらいたいということが、失礼を省みず暴言にわたった理由であるわけであります。妄言に対しては御寛如願わなければならぬですが、しかし公人山際さんには、私はやはりそのことを言わぬといかぬと思う。池田さんは苦言をきらうワンマンらしいです。あなたは今の場合きらってはならないはずです。首相官邸から兜町にわたりまして妖気もうもうと立ち込めてくると、あなたの金融政策も金利政策もその切れ味が急に鈍ってくるという、そういうことであっては、私は日銀総裁のこけんにかかわると思う。公定歩合の引き下げには強いけれども、どうも引き上げには弱いというような悪口が出ないためにも、きぜんたる態度をとりてもらいたいのです。日本経済の国際収支の危機は、あなたにこの気魄を要求しているわけであります。今にも増してあなたにこの気魄を要するときはないと私どもは考えておるわけであります。あなたが所信に邁進せられるにおきましては、与党にも良識がたくさんおります。いわんや野党は健全でございます。ことごとく健全でございます。たよりになるかどうかはわかりませんけれども、大いにたよりになるべきことを申し上げて、私はあなたの猛反省を促したいのであります。今申し上げたことにつきまして御所信を承ることができますならば、私は幸いと思うものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/37
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038・山際正道
○山際参考人 種々の点につきまして御忠言をいただきまして、まことにありがとうございます。私は事を行なうにあたりまして、一身の毀誉褒貶は顧慮いたしておりません。あるいは何とか言う人もあるかもしれません。それだからどうということは考えません。ただひたすらに、日本銀行の機能を公正に実行することによって、国民経済の発展を祈念いたしております。それが私に対する報いだと思っております。よく御趣皆を承っておきますが、ただ申し上げました通り、政策委員会でせっかく検討中であります。委員会は合議制でありまして、委員の意思を無視するわけにも参りません。十分に一つ御趣旨を体しまして検討を続けるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/38
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039・平岡忠次郎
○平岡委員 山際さん、日本銀行の総裁と池田首相の意見が違う方がいいのですよ。その方が健全なんです。全部、草木もなびいてしまっては、日本経済は持たぬのです。そのことを肝に銘じていただいて、一つあなたの今後の御奮闘をお祈りいたします。私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/39
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040・小川平二
○小川委員長 武藤山治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/40
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041・武藤山治
○武藤委員 私はまだ新米議員でございますから、日銀総裁というと大へん頭の緻密な、しかも確信にあふれた、日本の金融界を担当する大物のつもりで質問をいたしますので、一つ具体的に、わかりやすく御説明願いたいと存じます。
今、総裁の最初のお話を承ったり、同僚の質問を聞いておりますと、どうも全体的に非常に確信がない、総裁自身が全く行き当たりばったりの答弁をしておるという感じを受けるのです。たとえば金融の問題の法律できめられた権能だけは、日銀としてどこからも束縛を受けずにやるが、常に政府や財界、経済界などとも相談をして日本の金融を担当していくんだ、こういうようなことを言っておりますが、そういう観点からいきますならば、今日の内需が非常に旺盛である、これを押えなければならぬという一つの観点を見ても、三十七年度の財政規模などということも、総裁としては十分政府に注文をつけなければならぬと、私はひそかに思うのです。あなたは、そういう点、注文をつけたでしょうか。というのは、三十七年度予算は、景気調整対策としての予算的性格を十分盛るべきはずであった。ところが予算規模は、三十六年度当初予算と比較して、一般会計で二四%の増、財政投融資で一七・八%増という大幅な膨張であります。この膨張の程度は、所得倍増計画初年度の予算の膨張率に匹敵するものであって、国民総生産に対する比率は一八・六%となっております。これでは三十六年度の一六%よりもし回る予算規模であります。こういうような予算規模で、一体日銀が考えるような内需の旺盛を押えたり——財政面ですよ。そういう調査という考慮が非常に薄いと私は思う。時間がありませんから、具体的な内容にはわたりませんが、こういう財政が国内の需要を過熱せしめ、金融操作を非常にやりにくくさせる効果というか要因があると思う。そこで、こういうような予算の結果、次のような三つの点が心配になるような気がしますが、そういう心配は杞憂であるかどうかという点をお尋ねします。
一つは、景気調整の完了をいたずらに遅延させるという予算ではないだろうか。第二は、だらだら不況を現象せしめて、金詰まり下の国際収支の慢性化を招くのではないか。第三には、こういう国際収支の慢性的赤字というものを克服するために、必要以上に金融引き締めが強化され、長期化して、中小企業に多大の迷惑を与えるという性格の予算ではないか、こういう悪影響が全く起こらないと断定できるかどうか、その辺の、金融と財政の相関関係の問題として、一つ総裁のはっきりした御意見を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/41
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042・山際正道
○山際参考人 予算のあり方と金融との問題に相当関連のあることは、御指摘の通りだと私は考えます。ただ来年度の予算は、目下国会において、それぞれの詳細なる御審議をお進めになっておられる。私どもの方といたしましては、その御審議の際における各種の論点について十分傾聴をいたしまして、それに基づいてわれわれはどうあるべきかということを考えていきたい。ただ望むところは、なるほどおっしゃる通り大きな予算でありますから、使用については、現実に支出される方法については、いろいろ運用について御配慮を願いまして、そのしわが金融に寄って、金融の方でまた好ましからざる態勢をとらざるを得ぬというところに追い込まれることのないように、それは私どもの念願するところでありますが、事柄が目下国会で審議されております点でありますから、十分にその御意見を拝聴いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/42
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043・武藤山治
○武藤委員 国会の審議を傾聴しておるという、結果を追いかけるのでなくて、やはり、あなたは昨年早いうちから金融引き締めということを打ち出し、公定歩合の引き上げをやる、あるいは担保率の引き上げなどもやって、これは日本の経済は大へんなことになるぞということをすでにあなたは知っておったわけですから、そういう金融の大御所が、国の財政を編成する前に、具体的にあなたの、日本の経済はこう切り盛らなければ大へんですよという意見などを、財政当局に強く訴えましたか、それとも財政は財政で別だ、金融は金融で勝手にやるんだといったばらばらな態勢で、日本経済をほんとうに建て直そうという努力をあなたはしてないんじゃないですか。そういう点どうですか、今までにやったことはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/43
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044・山際正道
○山際参考人 私は前にも日本の財政というものに対して、その公的立場において発言すべき立場でもなかろうと考えておったのであります。しかし、時に触れて希望するところを、一個のそういう民間の地位にある者としての希望を申し上げることは間々ございます。予算編成に現われております通り、御指摘のようなことが起こらないようにというつもりでこの予算は編成されておるものと私は考えております。今後のいろいろな御審議によりまして、その点がはたしてどうなりますか、おのずから明らかになることを実は期待いたしておりますので、願わくは御指摘のような結果にならぬように、それを念願しておることにとどまらざるを得ない立場にあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/44
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045・武藤山治
○武藤委員 そうしますと、総裁の内需の抑制という観点は、金融操作だけの面、こういう受け取り方をして先ほどの御答弁を聞いておってよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/45
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046・山際正道
○山際参考人 私どもが法律上認められた手段といたしましては、御指摘の通り民間の金融によって行なわれるサイドにおける引き締め、消費の抑制という範囲にとどめられておるのでありまして、他は特に触れて思いついたことを、政策委員にも御承知の通り大蔵省の人は常時出てきておりますが、財政に関与することではございません。金融との関係において感想を申し上げるという程度にとどまっておることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/46
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047・武藤山治
○武藤委員 日銀が金融操作において大衆需要をできるだけ押えようとか、あるいは内需を押えようという気持が幾らありましても、財政当局が国民に対する姿勢を、非常に予算規模を大きくしたり、景気は心配ないんだという形のかまえを見せることによって、大衆個人々々、企業家個人々々の心理状態というものは、私は大へんな影響があると思うのです。そういう面から、やはり両々相待っていかないと、金融だけに非常な負担がかかって、そのためのしわ寄せが、ごく一部の企業家に非常に過大な犠牲がおおいかぶさるという結果になるのです。ですから、やはり国の財政というもののあり方についても、ひざをまじえて十分懇談をしておかないと、こういう調整期における財政というものは逆の方向に走っておるという感じを持つのであります。そういう点まことに不満であります。特に政府の五・四%の成長率というものの中身を静かに検討していくと、私はまた大へんなことになると思うのです。というのは、五・四%の成長率という計算でいきますと、ことしの国民所得の伸びは九千億円にしかすぎない。わずか九千億円しか前年度と比較して伸びない。ところがこれは下村理論を引用しても、あるいはケインズの理論を引用しても、投資の年々行なわれた場合の産出効果というものはどのくらい現われるかということが大きな問題になると思う。下村さんによると、産出効果というのは翌々年になって投資金額にややひとしいだけの生産能力が出てくるのだというようなことを言っているようでありますが、予算委員会における政府の正式の答弁では、六割ないし六割五分という答弁を企画庁も総理大臣もしております。そうなりますと、一昨年三兆四百億円の投資があったわけでありますから、その六割が三十七年度に生産力化されてくるということになると、これは大へんな金額になるわけです。一兆五千億円からの成長にならなければならぬわけです。ところが政府は本年度のバランスは九千億しか伸びを見てない。そういたしますと、生産力化された工場なり機械というものが生産をしないという状態を想定する以外に五・四という数字をわれわれは認識することはできない。そうすると失業者がここに一ぱい出てくる。それに対する対策なども出てこなければならない。そういう点で去年、おととし二カ年間続けて行なわれた過大な設備投資というものが、三十七年度の産出効果になってどのくらい現われてくるだろうか。そういう点、日銀当局で経済全体を検討した場合には、どのような見通しをお立てになったか、ちょっとその点を参考にお尋ねしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/47
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048・山際正道
○山際参考人 私は、お尋ねの点について計数上詳細にまだ検討を行なっておりません。ただ従来の理論が、少し経済家の評論の中には生産効果を大きく見過ぎるのもありはしないかと実は見ておるのであります。御承知のように、最近の大きな事業は、そもそも海を埋め立てて造地するところから始まっております。これらを見ますと、投資したものがいつ生産力となって回転するかということについても、少しずつ年限が延びているのではないかと私は思っております。しかしそれも抽象論でありまして、具体的に本年度の予算がその問題にどれだけ影響を持つかという点はいろいろ研究しておりますけれども、特にこの際申し上げるほどの報告を私は聞いておりません。ただ感想だけを申し上げておきたいと思います。願わくは、御心配のような好ましからざる結果がこれによってもたらされざらんことを希望しておるにとどまっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/48
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049・武藤山治
○武藤委員 財政の問題はほんとうは総裁にお尋ねするのは失礼のようなささやきも聞こえますので、この点はやめまして次に進みたいと思います。
先ほどの総裁のお話の中で、内需が衰えていない、従って輸入が再度増大されるという危険もあるという境目に今あると言えるのだ、こういうお話でございますが、そこで内需を抑える具体的な対策——単なる窓口規制あるいは公定歩合の二回にわたる引き上げ、そういう今までの手当だけでこのまま推移していっても心配がないとお考えなのか、それとも、もっと積極的に貯蓄増強ということをやらなければならぬのか。その貯蓄増強をやるために単なる国民運動やかけ声だけでなくて、金融面から考えた預金利子の引き上げというものを私はやはりこの際やるべきだと思います。これは昨年十月、同僚の堀委員からも非常に詳細に金利の引き上げの妥当性なり、金融面から見た当時の趨勢から見て当然やらなければならないという論拠はすでに総裁に申されております。当時総裁は、この引き締め状態が長期に続くならば預金金利の引き上げということを考えるという答弁をしておりました。長期とは一体どのくらいかということを堀さんが大へん強く追及しておりましたが、総裁は長期ということの追及に対して、なかなか明らかにせず逃げておったわけでありますが、去年の四月から引き締めをやって三十八年度にまでおそらく続くだろうという予想が立つ、こういう期間は長期ではないのでしょうか。短期とお考えでしょうか。その点から先にお尋ねをして、預金の問題をさらに進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/49
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050・山際正道
○山際参考人 この際貯蓄増強の非常に必要であることは御指摘の通りだと思います。それを有効に集める一つの手段として、金利問題を取り上げることも大事なことだと私は思います。ただ御承知の通り、金利機構は今のところ十分整備されておりません。ある部分の金利については国会の承認を経なければ動かせない金利もございますし、また金利を変更するについては政府の発動に待たざるを得ない種類の金利もございます。これらは一に客観情勢が熟すればおのずから各方面ともその意見に一致すると考えますが、今は自由化その他問題も控えて、産業資金コストの問題も一方において論議されておる際、思想必ずしも各界を通じて統一されている段階とも考えられませんので、これは一つ機を見て逸せず、この問題に必要ありとすればやる。そしてまた申し上げましたように、政府、国会もそういうようなお気持になるならば、その際に同一の行動をとって参りたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/50
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051・武藤山治
○武藤委員 総裁すでに御存じのように、今、昨年一カ年間の消費物価の値上がりというものを見ましても、過般の予算委員会で企画庁から答弁した上昇率だけでも一〇・二%十二月分の消費物価というものは騰貴しております。そうなりますと、郵便貯金をしておる零細な大衆にしても、あるいはへそ繰りをためるわずかな預金者の立場から見ても、預金をしておいても物価が一割も上がったのでは、とてももうけはないじゃないか、預金するのはあほらしいという気持になるのは当然です。しかし郵便貯金は伸びております。伸びておりますからそう心配はないと反論されるかもしれませんが、しかしそういう物価上昇のときに預金金利を郵便貯金のように極度に下げっぱなしでおくということも、公平な立場から考えて、公平という理論から考えた場合に、私はどうも納得できない。特にこの問題については、三十六年中の全国銀行の預金実勢を見ましても、一兆一千七百二十九億円となって、前年より八%も全国の実勢では預金が下がっておるわけです。都市銀行は預金が二四%下回った。こういう点から考えても、この辺でそろそろ預金の金利というものは上げてもいいのじゃないか。私はそう思う。ところが一月二十九日の予算委員会で、総理大臣が低金利政策というものは守っていくのだ、こういうことを発表したために、日銀の方では何か大へんちゅうちょしておるような報道がなされております。たとえば日銀と大蔵省、市銀の懇談会の席上で、市銀の代表が預金金利の引き上げをしてほしい、そういう要求をしたと思いますが、総裁もまだお忘れになっておらぬと思います。そのときに総裁は、時間をかければ実現の可能性はある、こういう含みのある答弁をしておるようであります。時間をかければ実現の可能性があるという含みのある発言は、本質的には引き上げてもいいのだが、別に何か大きな障害があって、じゃまものがあって、やりたいのだができないのだという気持が含まれておるような気がするのです。というのは、その後総裁は、平野地方銀行協会長に対して、政府の方がむずかしいのだ、今は無理だ、金融界の努力で世論を喚起してほしい、こういう苦衷を訴えたという報道があります。このことは結局池田総理が低金利政策をぶち出して、政府は高度経済成長政策を実現し、所得を倍増にするのだという昨年初めの政府の言質というものにあまりにも気を使い過ぎて、先ほどの平岡先輩の話じゃありませんが、草木もなびく方式で、総理に気がねをし、とうとうこういう預金金利の引き上げということにふん切れない、そういう印象を私どもは持つのであります。
そこで一つ、金融の正常化なり、あるいは原則的な立場からも金利はこの際上げてやるべきだ、こういう考えは金融論として間違いでありましょうか。私はその辺の総裁の見解を一つはっきり承っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/51
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052・山際正道
○山際参考人 御承知の通りと思いますが、現在金利は、銀行その他の金融機関の預金金利に関する限りは、臨時金利調整法というものによりまして政府の統制下にあります。政府が発動しない限り、これは変更できないということになっております。また郵便貯金の金利は法律を改正しなければこれを動かせないということにもなっております。そのほか、金利現象といたしましては、債券の金利、その他影響するところは非常に広範囲であります。そこで、大体みんなの意見が一致しませんと実際にはなかなかその実現ができないというのが今の金利制度になっておるわけでございます。そこで私どもの望みますところは、だれが考えてもそれがいいのだということになってくるときが一番適したときだと私は思いますので、一面において、どうも日本は金利が高い、これから自由化になって競争するのに、金利の点で負けるとしきりに申しておりますが、これは彼此権衡の問題でありまして、世論的に結論が大体固まって参りますと、その機会において変更し得るかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/52
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053・武藤山治
○武藤委員 経済が非常にノーマルな状態で、短期的に国際収支の逆調を改善しようという命題のないときならば、あなたの今の御意見に賛成です。しかし今はできるだけ早い機会に国際収支の逆調を変えよう、しかも債務までもできるだけ早い機会に、一年間で返そう、そういうような制約の中で今の金利を考えなければならない、あるいは国内需要の抑制を考えなければならない、そういう観点から考えた場合に、世論が熟して、もう預金金利を上げてもいいだろうという情勢を待っておったのでは、先ほど私が申し上げましたような、景気調整をいたずらに遅延をするかもしれない。逆にそういう優柔不断な態度が慢性的赤字を非常に長期化する、こういう心配があるわけであります。今までも金融政策としては大体そういう傾向があったのであります。たとえば去年の一月に預金金利を引き下げて、低金利政策だとやっておいて、七月には公定歩合を引き上げた、九月にも引きしげた、こういうあとを追いかけるような手を打っておるから私は心配するのです。世論が熟するまで待っておるというような、ゆうちょうなことを言わず、率直に金融担当者としてはこう考える、短期決戦でこれを片づけたいのだ、それにはこれ以外に強力な方法はないのだ、そういうことを率直に打ちあけて財政当局と相談をするなら、今国会は開会中ですし、この前の十月のときですら臨時国会の開会中ですから、やろうと思えばできるのです。やる方がいいのか、やらない方がいいのかというあなたの見解を伺いたいと思います。他はどうでもいいから、あなたの見解を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/53
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054・山際正道
○山際参考人 その問題は、今申し上げました通り私は権限は持っておりませんけれども、金融施策の観点からいたしましてどちらが望ましいかという問題、これは金利変更の及ぼす影響の程度を今ちょうど私どもの方で研究をいたしております。そう軽率に政府に対して要請する——要請しても聞かれるか聞かれないかわかりませんけれども、そういう状況にある実情であります。御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/54
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055・武藤山治
○武藤委員 肝心なところはみな抜けてしまいますから、尋ねるわけにいきませんが、一つ端的に、金融引き締めの今の状態で、はっきり言ってことしの十一月までで一応国際収支の改善が行なわれて、来年の初めころからはやや金融正常化の方向に進んでいけるのだ、そういう受け取り方をしていいか、それとも平岡さんがさっき質問をしたときにお答えになったように、アメリカから借りた両方で約三億ドル程度は、一年間で返済をしたいのだ、十一月ごろから五千万くらいずつ返したいのだ、そういうことになりますと、国際収支が完全に安定するのは、来年の四、五月過ぎないとはっきりした安定という線が出ないような気がするのです。そういう予想が立つのでありますが、総裁としてはっきり、金融引き締めは大体いつごろまでやれば国際収支の改善というものは安定しそうだ、そういう見通しについてはどうでしょうか、はっきりした期間を一つお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/55
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056・山際正道
○山際参考人 はっきり見通しを申せとおっしゃるのでありますが、これはまあ非常にむずかしい。私どもやっております者の意気込みと申しますか、気持といたしましては、先ほど申します通りその問題はことしで解決をつけたいという意気込みでやっておるのです。ただその通りいくかどうか、極力いかせたいと思いますけれども、今ここでその通りなるのだと申し上げても、何と申しますか、それだけの権威を持っておるわけでもございませんから、心がまえとしてはそのつもりでやっていきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/56
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057・武藤山治
○武藤委員 それはなってみた結果で、またあとを追いかけてしまって、とうとう日銀総裁の判断は間違ったという結果になるかもしれませんが、これは論争しても仕方がありませんが、たとえば具体的に企画庁あたりであるいは通産省あたりで考えておる見通しというものは、見ると非常にちぐはぐですね。総理大臣の答弁と総裁の見通しなどと比較して非常にちぐはぐです。たとえば通産省がこの間IMFに出された資料によると、エネルギー部門と化学部門をこの十一月に一〇〇%自由化いたしたとすると、おそらく輸入がこの部門だけでも現在の十億ドルふえそうだ、失業者は二十万人出そうだ、こういう書類を日本の政府から正式にIMFに出してあるわけですね。そういうような点から見ると、この件数は全くうそで、金を借りるためにうそを書いたのだとおっしゃるならそれきりですよ。しかしほんとうに役人が——自由化を一〇〇%した場合に十億ドルの輸入がどうしても呼び戻されるのだ、こういうような状態もあるとすれば、日本の国際収支の改善ということは大へんなことなんです。それを本年の十一月ころまでには収支均衡するような努力をする熱意を持ってやる、それだけではやはり私は国民がなかなか安心せぬと思うのです。長期にかかるなら長期にかかるということでやはりふんどしを締めてかかるような姿勢を国民の前に示さないと、ずるずると赤字慢性化というものが続くような気がします。そういう点に対して非常に不統一のような気がしますが、あなたはそうお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/57
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058・山際正道
○山際参考人 何分にもかような膨大な経済、しかもそれが内外の情勢の変化に非常に深い関係をもっておりまする際に、おそらく何人といえども的確に経済の前途を予想することはできないだろうと思います。まあできるだけ詳細に材料を集めまして誤差の少ない見通しを作ることに努力はいたすべきでありまするけれども、今日の場合においてある程度の見解の相違があるということは、これは現実問題といたしましてやむを得ざるところだと考えます。しかしあまりにも見解が違いまする場合は、その違う点をはっきりいたしまして、何がゆえにさように違うかという点をはっきりいたしまして、それについてお互いに留意し合うということは必要なことだと思います。その点は常時心がけておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/58
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059・武藤山治
○武藤委員 心がけておると言われれば、それでは具体的にどういう点で話し合っておるかとか、どういう目標を一致させておるかとか、いろいろ問題はありますが、そういう点は失礼でございますからやめますが、次に、やはりこれは財政と非常に関係が深いのでありますが、三十七年度予算の財政投資融面の中で公募債借入金一千四百八十二億円というものが予算に計上されております。この公募債借入金一千四百八十二億円を明年度金融情勢の見通しの上に立って考えた場合に、どこが引き受けるのか、これを市中銀行にある程度引き受けさせることになりますると、他の一般の起債というものを非常に圧迫をする。金融引き締めに加えて、さらに公募債借入金の圧迫を受けて業者は大へん困ると思うのです。そこでこの公募債借入金の消化の仕方というのは大体どんな方法でやる考えでおるのか、金融面から一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/59
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060・山際正道
○山際参考人 その問題は具体的に何月にどうする、一月はどうだ、二月はどうだというふうに政府から御相談を受けておるわけでもございませんし、金融機関の方でもさようなことを織り込んで資金計画というのはまだできないと私は思う。これはやはり情勢の推移とともに無理のない消化に努力するという方針でもっていくより仕方がない。そのためには御承知の通り金融機関等資金運用審議会という会がございます。常時金融機関と政府方面と相談の上で無理のない限度で進めていく、極力蓄積をふやしまして、なるべく多くのものが消化できるようには望みまするけれども、具体的にはそのつどの情勢に応じてきめていくという建前になっておると承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/60
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061・武藤山治
○武藤委員 さしつかえないような消化の仕方をすると申しますが、私が聞きたいのは、これを一般市中銀行に買い受けさせますと、金融引き締めで、それでなくとも需要にとても間に合わない資金量なんですから、そういうときにさらに政府のそういう買い受けをするということになりますと、一般の業者の資金量はそれだけ圧迫されるわけですね。そこでそういう市中銀行に引き受けさせない方法があるのかどうか。そういう方法を考えられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/61
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062・山際正道
○山際参考人 その応募の方法は別に強制的ではございません。金融機関側の資金繰り、資金計画等に基づきまして、この際はさような多額は引き受けられぬということであるならば、それはそれで通ることだと考えますし、それでさしつかえないと思っております。要はできるだけの協力をいたしましょうけれども、無理は通せないということだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/62
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063・武藤山治
○武藤委員 どうもさっぱり要領を得ないのでありますが、結局公債を発行するというようなことは、いろいろな面で、各面に相当の影響があるわけですが、これを全部日銀が引き受けておくということもできるわけですね。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/63
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064・山際正道
○山際参考人 詳細の規定は私は存じませんけれども、当初から日銀引き受けを予定するような公債の発行の仕方は財政法の辞さぬところだろうと私は思う。またそれは政策としてよくないことだと思いますから、さようなことは私どもとしてはお断わりするより仕方がない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/64
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065・武藤山治
○武藤委員 そうしますと、やはり市中銀行にそのしわ寄せがいって、一般業者はかなり苦しくなるという判断をする以外にないと思うのでありますが、それはお答えを求めないでおきます。
もう時間も大へんおそくなっておりますから簡単に尋ねておきますが、経済成長五・四%の達成をするという場合に、この成長に見合った適正量の通貨の供給というその適正量の通貨の供給額というのは、大体どのくらいが妥当なんでしょうか。その辺の見込みはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/65
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066・山際正道
○山際参考人 この問題は実はもう多年にわたりまして、いかにして適正通貨量というものを決定するかということは鋭意研究いたしておりますが、いろいろな理論上また情勢の変化があまりにも激しいというような点がございまして、いまだにその結論を得ておりません。要するに今やっておりますことは、ある一定の短い期間ごとに、これは行き過ぎておる、これは押えねばならぬ、あるいはまた供給しても大丈夫だという判断でそのつど進めておりますけれども、今のような問題は今後なお研究を継続すべき問題だとは考えておりますが、現状は今申しました通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/66
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067・武藤山治
○武藤委員 それでは日銀券は明年度どのくらいの増発になるという見込みもまだ全く予想は立ちませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/67
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068・山際正道
○山際参考人 その問題はまだ計算はいたしておりません。予算規模もまだ確定したものとも——貿易関係もどの程度の見通しを立てるか、また貯蓄の増強等もどの程度に予想し得るかという各般の要素がございますので、いまだ決定いたしておりません。従来の例から申しまして相当程度の膨張は——おそらく必要最小限度の金額になるだろうと考えております。つまり経済の膨張に伴いまして、それを決済する通貨というものはやはり増大せざるを得ないという見通しであることを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/68
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069・武藤山治
○武藤委員 いろいろお尋ねしようと思いましたが、まだ検討してない点やあるいは財政とあまり密接な関係がないという形で答弁を避けられておりますので、この辺でやめますが、山際さんも、「金融」という雑誌の一月号に、「本年の経済界の展望」という題でいろいろ書いております。その認識を読みますと、この前の二十九年、三十二年の経済危機との相違点を非常に明らかに浮き彫りに指摘しております。国際収支逆調の背景が全然この前とは違う、あるいは物価騰貴という問題が、この前と今度とでは大へん違う、海外市況も本年下期から停滞するであろう、こういう非常に悪条件を並べて警告を発しておるわけです。ところが、ここで答弁しておるあなたの認識というものは、ここに書かれておるものよりは非常に甘い。これは政治的な配慮、対外的な配慮からそういう答弁をしておると思うのでありますが、私は、山際さんがこの「金融」という雑誌に書いたような認識で、ほんとうに強い態度で政府や財政当局などにも、自分たちの主張を強く訴えて、全体としての調和ある調整策というものを考えていかないと、この国際収支の逆調や自由化後における輸入の再増加というようなことが必ず起こるのではないか、こういう点を非常に心配するものであります。どうかそういう意味で、草木もなびくというような弱い態度でなくて、勇気を持って、日本の経済を担当するというプライドを持ってやっていただきたいということを要望しまして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/69
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070・小川平二
○小川委員長 堀委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/70
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071・堀昌雄
○堀委員 今までのお答えの中で、ちょっと二点ほどだけお伺いをしておきたいと思います。
第一点は、公社債のオペレーションの問題であります。先ほど伺ったところでは、総裁は、これは証券対策や公社債の流通対策ではない、こういうふうにお答えになりましたように伺いましたが、その点をもう一回確認させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/71
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072・山際正道
○山際参考人 その点はお尋ねの通りでございまして、そういう見地からではなしに、一−三月の季節的な金融の調節を、どういう面で、どういう方法でやるのが一番有効であるかという見地から、もっぱら研究をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/72
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073・堀昌雄
○堀委員 金融の調整をどういうふうにやるかということの具体的な結果としての現われは、何でごらんになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/73
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074・山際正道
○山際参考人 たとえば異常な金融引き締めの状態が起こって、事の起こりは、御承知のように、一−三月に政府の揚超が非常に多いということ、そのために非常な金利高を生じたり、また、そのために商取引その他が円滑にいかぬというような状態を避けなければならぬと思うからであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/74
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075・堀昌雄
○堀委員 異常な金利商は、先ほどから総裁もお話しになっておりますように、現在自由に動くのはコールだけでございますから、コールの異常高騰ということと第一点は理解をいたしたいと思います。第二点は、黒字倒産、不渡り手形等が出てくるということに理解をいたしたいと思いますが、それでよろしいでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/75
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076・山際正道
○山際参考人 おもな事象としては、大体御指摘の通りだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/76
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077・堀昌雄
○堀委員 そういたしますと、私は、実は前回からこの問題を大蔵委員会でやっておりまして、本日一つ明らかになりましたことは、大蔵省側の見解は、流通市場を育成するために公社債のオペレーションをやるということを、実ははっきりおっしゃっておるわけです。私は、公社債オペレーションは流通市場の育成などというものとは無縁であるということを強く主張しておりましたけれども、大蔵省側はそれを固執しておる。オペレーションは、本来的には日銀の方がおやりになるものでありますから、私は総裁のお考え方が正しい、私掛身もさように考えておったわけでありますが、その点が一つ非常に明らかになったことは喜ばしいと思います。
そこで、問題になりますのは、現在世上で伝えられておりますところでは、政府保証債あるいはその他のものが含まれるかわかりませんが、百億ないし百五十億の公社債オペレーションが期待されておる、こういうふうに伝えられておるわけであります。これがもし行なわれたとした後に、コールがはたしてどういうふうに変わるか、要するに、銀行一本でオペレーションを行なった場合と、そういうものをあわせて行なった場合と、現状の段階では私はあまり相違がないのではないかという感じがするわけでありますから、私どもは、そういうかまえからするならば、当面現在の株価の動き等を見ておりましても、公社債オペレーションを、そのようなコール市場における金利の調整のために行なう必要はないという判断の上に立っておるわけであります。そこで、もしおやりになるとするならば、そのあとには明らかにコールの変化が出てこなければならないわけでありますから、その点についての確固たる見通しがあってでなければ、もちろん先ほどから政策委員会の決定だとはお話しになっておりますけれども、その政策委員会に日銀当局としての意向を反映される方向としては、そういう確固たる見通しがある場合に限られるかどうか、その点を一つはっきりお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/77
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078・山際正道
○山際参考人 私は、コールのあり方自体を決定するのは、要するに、全資金需要と全資金供給量とのバランスだと思っております。その間において、今証券に向かっておる公社債がどれだけのウェートを持っておるか、あるいはまた、今度考えておりますのは、繰り返して申し上げます通り季節的な対策でございますから、いれず買い戻しの条件をつける考え方で進んでおります。従って、全体のコール市場の将来というものが、それによってどの程度影響されるかという問題につきましては、これはそこまでの読みはなかなか読み切れないと思います。海外の事情もいろいろ重なって参りまして、それがどういうふうに金融市場へ影響するか、あるいは短期の資金がもっと入ってくるのか入ってこないのか、いろいろな条件がございますから判断いたしかねますが、今度の対策として考えておりますのは、申し上げました通り、どこまでも、一−三月の揚超に対して、ほおっておいたらより異常になるだろうと思うところを、そう異常にしないで済まそうという程度のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/78
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079・堀昌雄
○堀委員 今のように、単純に財政の揚げ下げの面だけからお話しになるならば、私はもう公社債オペレーション、必要ないと思います。なぜかというならば、ともかく七百億おやりになる中で、百億それにやったからどうという問題ではございませんし、今おっしゃるように、ただいまは短期資金が相当流入しておるような傾向がございます。ですから、緻密なその時点における財政の揚超、散超の状態というものは、必ずしもどういうふうになるか、もちろん見通しは立たないと思いますが、お話しになった条件が二つであって、その一つがやはりコールに関係するということになるならば、現在のコール高を招来しておりますものが、確かに証券のコールの取り方にあるということは事実私ども考えられるわけでありますから、その点が証券にそれを出した場合にはっきり下がるという見通しがもしなければ、これはやる必要は私はないと思うのでありまして、その点は日銀の政策委員会の方に、日銀当局としても国会の意思として一つお伝えを願いたいと思うわけであります。
第二点は、もう一つ申し上げておきたいのは、先ほどからいろいろ議論がございましたけれども、さっき武藤委員あるいは平岡委員も触れましたけれども、本年度の予算とそれから今後の金融の関係の問題でございます。実は本年度予算は、先ほどから五・四%の成長になっておりますが、この成長の寄与率を基本的に調べてみますと、例年と著しく異なっておりまして、昨年度は大体個人消費が四三・二%で、設備投資が二七%——大きなものだけを申し上げます。政府の支出は一九・八%、こういう格好になっておりますのが、今年は個人消費が八二・二%で、政府支出は五一・一%、その寄与率はあげて個人消費と政府の支出にかかっておるというのが本年度の実態でございます。ここで、皆さんの方でいろいろお書きになったものを読んでみましても、最近の日銀のいろいろな問題は、政府の経済政策のしりぬぐいをさせられておるというふうに感じられるわけであります。設備投資も減りまして六・七%、在庫に至っては六一%も、寄与率の中では逆のマイナス効果になるような経済見通しなり予算の組み方がこれからされようという段階で、はたして金融だけによってこれらのことがコントロールできるのかどうか、皆さんの方は自信があるのかどうか、これをちょっと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/79
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080・山際正道
○山際参考人 財政の金融に及ぼす比重が非常に高くなって参っておることは、御指摘の通りだと私は思います。その意味から申しますと、幾ら金融の方でがんばりましても、そこにはおのずから限界がありまして、それだけでは、御指摘の通り目的を達することは十分でないと私は考えます。おっしゃる通り、場合によっては事後的に処理をしなければならぬ、ある事態が起こっておって、その事態をうまく処理するために、あとから手を加えなければならぬというものも相当多いということは否定できない点があります。これは国全体の経済のあり方の問題といたしまして望ましくはありませんけれども、やむを得ざる結果でもあろうかと思います。いかにそれを全体として調和をとりながら、あまり弊害が片寄らずに過ごし得るかというところに私どもの苦心があるわけでございまして、予算も私どもは別に審議するわけでもございませんので、ただ予算編成方針に信頼をいたしまして、そういうことのないように一つお願いをしたい、実はかように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/80
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081・堀昌雄
○堀委員 最後に、今の池田さんがとっておられる高度成長政策というものは、この前の委員会でも申し上げましたけれども、私は、いろいろな面で自由主義経済に対する制肘がやや強過ぎる、こういう判断をしているわけであります。今は資本主義の社会でございますから、われわれはその制度自体、全体の問題としては異論がありますけれども、少なくとも現状が資本主義の社会として動いているならば、ある程度自然な、自由な経済的な動きがお互いに現われることが、チェック・アンド・バランスしながら発展をさせるというのが資本主義経済の本来の姿ではないかと思いますけれども、遺憾ながら人為的な政策的操作が多過ぎるために、いろいろなものにひずみがだんだん重なってきておるというのが、私は日本の経済の現状ではないかと思う。そのしりぬぐいを、あえて量的な引き締めだけで日銀がやらされておるというような国は、資本主義の諸国家においても日本以外他に比がないと思うのであります。
そこで、もう一つ伺いたいことは、かねてすべての問題に優先して金融正常化という問題が常に論じられてくるのでありますが、私は今のような人為的、政策的、統制的といいますか、そういう池田さんのような政治のあり方の中では、金融正常化などということはおぼつかない、だめだと思います。これを正常化していくためには、おそらく皆さんにその意欲がなければなりません。一体どういう形で、この政策の中で金融正常化をやっていかれるのか、それに対するお考えを少し具体的に、どこから手をつければ金融正常化ということが、高度成長政策なりこの政策の中で行ない得るか、もう行なえないものかどうか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/81
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082・山際正道
○山際参考人 一つの目標なりめどなりとして発展の想像図を持つということは、私は一つの尺度になろうかと思います。これに対応する関係者が、一ぺん示されたものは必ず達成すべきものなりと考える考え方自身がいかぬと思うのです。御承知のように、日本経済の置かれた現状から申しますと、敗戦の結果でもございましょうが、経済界は大へんな競争でございます。いわゆるシェアと申しておりますけれども、自分らの領域を保持しようというために、無用とは知りながらも、やむを得ず競争しているという場合が非常に多い。これは単に金融界ばかりではございません。産業界またしかり。これらの考え方を基本的に修正いたしまして、おっしゃられる通り、自己の責任においてどこまでも、何と申しますか、確信のある景気の循環過程なりあるいは自分の力の限度なりを知りまして、経済的、合理的に活動するという気風が一般的に支配しない限り、なかなかその是正はむずかしいと考えております。今ちょうど金融制度調査会で金融正常化問題を討議しつつございますけれども、いつも堂々めぐりに終わりますのは、そういう国民性であるとは申しませんけれども、そういう状態をどうして直すかというところに議論が帰着するのでありまして、すべてのものを合理的に、かつ資本主義らしく自己の責任においてやっていくというような精神に徹せしめるのにはどうしたらいいか、こういうことの方がもはや先決問題になりつつあるかのごとく考えております。少しでも努力を続けまして、そうして正常の方向に持っていきたいとわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/82
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083・堀昌雄
○堀委員 今シェアの拡大の問題が出ましたから、最後にもう一ぺん、くどいようでありますが、昨年の公社債投信の経緯は、四大証券がシェアの拡大のための競争をしまして、さっきお触れになったような格好が出て、それのしりぬぐいを今公社債オペレーションに持ってきているというのが現実だと私は思っているのでございます。こういう点を含めまして、やはりおきゅうを一回すえないと、ともかくもやった跡始末は、困ったら何とかしてくれるなんというような安易なあり方では、今言った通りシェアの拡大を不当にやろうとする者に対してチェックはできないと思いますので、一つ日銀総裁としては、現実の姿の中でそういう今の御方針の上で問題を処理していただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/83
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084・小川平二
○小川委員長 これにて山際日銀総裁に対する質疑は終了いたします。
山際日銀総裁には、御多用中のところ長時間にわたって御出席をいただき、ありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/84
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085・小川平二
○小川委員長 産業投資特別会計法の一部を改正する法律案、財政法の一部を改正する法律案、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案、昭和三十七年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律案及び国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案の五案を一括して議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/85
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086・小川平二
○小川委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。天野大蔵政務次官発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/86
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087・天野公義
○天野政府委員 ただいま議題となりました産業投資特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
本法律案は、次の二点につき所要の改正を行なうことを内容とするものでございます。
第一に、政府はいわゆるガリオア、エロア等の戦後の対日経済援助の最終的処理をはかるため、今国会に日本国に対する戦後の経済援助の処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定を提出し、その御承認を求めております。この協定に基づいて政府が合衆国政府に対して負うこととなる債務は、米国対日援助見返資金特別会計廃止の際その資産を承継した産業投資特別会計の負担とし、この会計から元利金の支払いを行なうことが最も適当であると考えられます。
従いまして、本法律案におきましては、産業投資特別会計法に所要の改正を加え、この協定に基づく債務は、この会計の負担とするとともに、この債務の元金四億九千万ドルに相当する円の金額千七百六十四億円を資本から債務に振りかえる等の措置を行ない、また、この債務の元利金の支払いをこの会計の歳出といたしております。
第二に、昭和三十七年度の産業投資特別会計予算におきましては、同年度の日本輸出入銀行、農林漁業金融公庫、日本住宅公団、住宅金融公庫等に対する投資需要を充足するために、総額五百三十二億円の投資を行なうことといたしておりますが、この投資の確保をはかりますためには、その財源の一部を一般会計から補充する必要があります。よって昭和三十七年度において、この会計の投資の財源の一部に充てるため、二百三十億円を限り、一般会計からこの会計に繰り入れることができるよう所要の改正を加えることといたしております。
以上がこの法律案を提出いたしました理由でございます。
次に、財政法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
この法律案は、国の財政の合理的な運営に資するため、財政法第二十九条の規定による追加予算及び予算の修正に関する制度を整備するとともに、財政制度審議会の構成について所要の改正を行なうことをおもな内容とするものであります。
以下、その改正の要点につきまして御説明申し上げます。
まず、財政法第二十九条の規定につきましては、御承知の通り、補正予算による産業投資特別会計資金への繰り入れに関し、かつて再度にわたって論議が生じました事実にかんがみ、財政制度審議会の慎重な審議を経まして、今後このような論議が起こらないように、当該年度においては国庫の外に払い出されないような後年度の支出財源に充てるための繰り入れも予算の追加の対象となり得る旨を注意的に明示する等規定の整備を行なっております。
また、現行第二十九条は、第一項が「追加予算」の規定、第二項が「予算の修正」の規定となっておりますが、その運営の実際におきましては、この両君が一体となって補正予算として編成されております。この実際の取り扱いは、財政の運営上合理的な方法であると考えられますので、実情に適合するよう「補正予算」という名称に統一することとし、さらに、現行規定上追加予算は「予算作成後」、予算の修正は「予算成立後」に生じた事由に基づくものであることを要件としていますが、このように両者につき異なった取り扱いをすることは、運用上支障を生ずるおそれも考えられますので、追加以外の予算の変更につきましても「予算作成後」の事由によることに統一する等所要の改正を行なっております。
なお、これに伴いまして、政府関係機関として、その予算について国会の議決を要することとなっております公社、公庫等の追加予算及び予算の修正に関する規定につきましても、財政法の改正に準じて整備をはかる必要がありますので、附則におきまして関係法律の一部を改正することといたしております。
次に、財政制度審議会につきまして、同審議会が国の予算、決算及び会計の制度に関する重要な事項を調査審議するものであることにかんがみまして、今後各般の問題を検討するにあたり、広く有識者の参加を得ることができるよう、会長を大蔵大臣とするとともに、特別の事項の調査審議にあたる臨時委員を置くことができることといたしました。
以上が、との法律案を提案いたしました理由であります。
次に、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
最近における職員の旅行の実情等にかんがみ、内国旅行における日当、宿泊料、移転料等の定額を実費弁償の建前に即して改定するとともに、あわせて所要の規定の整備を行なうこととし、この法律案を提出いたしました次第であります。
次に、改正の要点を御説明申し上げます。
日当、宿泊料、食卓料等につきましては、最近における宿泊料金の実態等を考慮し、法律の別表を改正して、その定額を平均二割程度引き上げるとともに、その際現行の職務の等級一等級から八等級までの旅費支給区分七段階を四階段に整理し、等級別の支給定額の格差の縮小に努めることにいたしました。
また、移転料につきましては、職員の赴任の実態等を考慮して、現行定額を約五割弱引き上げることといたしました。
以上が、この法律案の提案の理由及びその概要であります。
次に、昭和三十七年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
この法律案は、まず、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法の規定により現に支給されております年金を、このたび別途、本国会に提案いたしました恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定措置に準じて改定いたそうとするものであります。
以下、その概要を申し上げます。
第一に、退職年金、遺族年金等につきましては、その額を恩給法による同種の恩給の改定措置に準じて改定いたすこととしております。
第二に、公務に基づく傷病または死亡を給付事由とする年金につきましては、恩給法及び戦傷病者戦没者遺族等援護法による同種の給付の改定措置等を考慮して、年金額の改定及び最低保障額の引き上げの措置を講ずることとしております。
第三に、以上の年金額改定のほか、若年者に対する増額分の支給停止、高齢者に対する繰り上げ支給その他につきましても、恩給に準じて所要の措置を講ずることといたしております。
次に、旧国家公務員共済組合法の規定により現に支給されております年金につきましても、以上申し述べました旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法の規定による年金の改定に準じて所要の改正を行なうことといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由とその概要であります。
最後に、国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
国民貯蓄組合法は、国民の健全を貯蓄を奨励する目的で、昭和十六年に制定施行されたものでありまして、戦後におきましても、経済の再建と安定成長のための貯蓄の推進に大きな役割を果たして参ったのであります。特に、最近の経済情勢において、貯蓄の増強がますます重要となって参ったことにかんがみまして、今般、税制面における貯蓄の優遇措置を講ずるとともに、国民貯蓄組合の一層の活用により貯蓄の推進に資するため、組合のあっせんによる貯蓄の利子等にかかる所得税の非課税限度額の引き上げを行なうこととし、また、この際、あわせて国民貯蓄組合のより適正な運営を期するため、所要の措置を講じようとするものであります。
以下、改正の内容について、簡単に御説明申し上げます。
まず、国民貯蓄組合のあっせんによる貯蓄の利子等にかかる所得税の非課税限度額につきましては、昭和三十二年の改正以来、一種類の貯蓄につき三十万円となっておりましたが、近年における国民所得の増大とこれに伴う国民一人当たりの貯蓄の増加に即応し、この際、これを五十万円に引き上げようとするものであります。
なお、貯蓄の増強のため国民貯蓄組合のあっせんの対象とし得る有価証券について、新たな種類を追加する必要が生じてくることも考え、命令によって所要の措置をとれることにしようとするものであります。
一方、国民貯蓄組合制度のより適正な運営をはかるため、非課税扱いとし得る貯蓄の種類が従前多様でありましたのを三種類に分類し、同一の組合員はそのうち二種類を選択し得ることとするとともに、非課税扱いを受けようとする貯蓄については、貯蓄を受け入れる機関に対し非課税貯蓄申込書の提出を要することとしようとするものであります。
さらに、いわゆる窓口組合については、その組合長に対し、組合に加入ししようとする者の資格の調査を行なうため必要な証明を求める権限を与えようとするものであります。
なお、国民貯蓄組合のあっせんによる貯蓄でこの法律の施行の際現に存するものにつき、昭和三十七年九月三十日までは、なお従前の例による等、制度の切りかえが円滑に進行するための必要な措置を定めようとするものであります。
以上、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案外四法律案につきまして提案の理由を御説明申し上げました。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/87
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088・小川平二
○小川委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
次会は来たる十三日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X00819620209/88
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