1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月十四日(水曜日)
午前十時十五分開議
出席委員
委員長 小川 平二君
理事 黒金 泰美君 理事 細田 義安君
理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君
理事 有馬 輝武君 理事 平岡忠次郎君
理事 堀 昌雄君
足立 篤郎君 大久保武雄君
岡田 修一君 正示啓次郎君
田澤 吉郎君 高見 三郎君
津雲 國利君 濱田 幸雄君
藤井 勝志君 古川 丈吉君
坊 秀男君 吉田 重延君
久保田鶴松君 佐藤觀次郎君
田原 春次君 広瀬 秀吉君
武藤 山治君 横山 利秋君
出席政府委員
大蔵政務次官 天野 公義君
大蔵事務官
(主税局長) 村山 達雄君
国税庁長官 原 純夫君
委員外の出席者
専 門 員 抜井 光三君
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二月十三日
国民金融公庫職員の増員に関する請願(安倍晋
太郎君紹介)(第八六二号)
同(倉石忠雄君紹介)(第八六三号)
同(有馬英治君紹介)(第八六四号)
同(宇野宗佑君紹介)(第八六五号)
同(上村千一郎君紹介)(第八六六号)
同(小川平二君紹介)(第八六七号)
同(小澤太郎君紹介)(第八六八号)
同(小沢辰男君紹介)(第八六九号)
同(大倉三郎君紹介)(第八七〇号)
同(大竹作摩君紹介)(第八七一号)
同(大野伴睦君紹介)(第八七二号)
同(大平正芳君紹介)(第八七三号)
同(菅太郎君紹介)(第八七四号)
同(木村俊夫君紹介)(第八七五号)
同(木村守江君紹介)(第八七六号)
同(藏内修治君紹介)(第八七七号)
同(佐々木秀世君紹介)(第八七八号)
同(坂田道太君紹介)(第八七九号)
同(島村一郎君紹介)(第八八〇号)
同(關谷勝利君紹介)(第八八一号)
同(園田直君紹介)(第八八二号)
同(田澤吉郎君紹介)(第八八三号)
同(田中龍夫君紹介)(第八八四号)
同(高橋清一郎君紹介)(第八八五号)
同(高橋等君紹介)(第八八六号)
同(津島文治君紹介)(第八八七号)
同(中村三之丞君紹介)(第八八八号)
同(野田武夫君紹介)(第八八九号)
同(八田貞義君紹介)(第八九〇号)
同(花村四郎君紹介)(第八九一号)
同(濱地文平君紹介)(第八九二号)
同(保科善四郎君紹介)(第八九三号)
同(坊秀男君紹介)(第八九四号)
同(毛利松平君紹介)(第八九五号)
同(吉田重延君紹介)(第八九六号)
同(山手滿男君紹介)(第一〇二八号)
清涼飲料、嗜好飲料の物品税改廃に関する請願
(小沢辰男君紹介)(第八九七号)
同外八件(坂田道太君紹介)(第八九八号)
同外八件(福田赳夫君紹介)(第八九九号)
同外五件(松本一郎君紹介)(第一〇九六号)
嗜好飲料、清涼飲料の物品税撤廃に関する請願
(小沢辰男君紹介)(第九〇〇号)
同外七件(坂田道太君紹介)(第九〇一号)
同外六件(福田赳夫君紹介)(第九〇二号)
同(小川平二君紹介)(第九五四号)
同(森下國雄君紹介)(第一〇二七号)
同外五件(松本一郎君紹介)(第一〇九七号)
漆器、漆塗卓子の物品税撤廃に関する請願(藤
本捨助君紹介)(第九〇三号)
葉たばこの収納価格引上げ等に関する請願(羽
田武嗣郎君紹介)(第九七一号)
同(唐澤俊樹君紹介)(第一〇三六号)
同(中島巖君紹介)(第一一〇九号)
政府関係金融機関の資金増額に関する請願(羽
田武嗣郎君紹介)(第九七二号)
同(唐澤俊樹君紹介)(第一〇三七号)
同(中島巖君紹介)(第一一一〇号)
写真機、フィルム等の物品税軽減に関する請願
(鈴木仙八君紹介)(第九九二号)
貸金業法の制定に関する請願(椎熊三郎君紹
介)(第一一三七号)
陶磁器の物品税撤廃に関する請願外三件(島村
一郎君紹介)(第一一三八号)
在外財産補償に関する請願(齊藤憲三君紹介)
(第一一三九号)
同(宇田國榮君紹介)(第一二一一号)
同(椎熊三郎君紹介)(第一二一二号)
予約米減税措置廃止反対に関する請願(田中彰
治君紹介)(第一一五〇号)
しよう脳裏業転廃業者の補償に関する請願(楢
崎弥之助君紹介)(第一一八五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件所得税法の一部を改正
する法律案(内閣提出第五一号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
五二号)
通行税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一二号)
相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一三号)
印紙税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一四号)
酒税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
八二号)
入場税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
八三号)
トランプ類税法の一部を改正する法律案(内閣
提出第八四号)
国民貯蓄組合法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/0
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001・小川平二
○小川委員長 これより会議を開きます。
本日の日程に掲載いたしました所得税法の一部を改正する法律案外七税制改正法律案及び国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/1
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002・横山利秋
○横山委員 主税局長は、この間中山参考人が言われたことや質疑応答をお聞きになったことと思いますが、それに関連して二、三お伺いをしたいと思うのです。
来年度の自然増収は四千八百億、私どもはこれについて疑念を持ち、中山さんも実際問題としてはそれよりももっと多いのではないかという感じを持たれたわけであります。私どもが数字をあげましたのは、本年がどうころんでも三千五百億以上の自然増収があるから、来年度四千八百億とすると、千三百億くらいの純増しかないということはいかがなものであろうか。三月の決算は前の所得を背中に負って行なわれ、九月の決算は法人が不況の影響を受ける。そうだとしても、それは少し客観的に見て過小に過ぎるのではないかという判断をしておるのですが、四千八百億の自然増収はいつ現在の想定をもって考えられたものであるか、今田の情勢からいって、それに多少の修正を加える考え方があるのではないか、まずこれからお伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/2
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003・村山達雄
○村山政府委員 三十七年度の租税及び印紙収入の収入を見積るに当たりまして、前年度の当初予算に比べまして四千八百七億の増加を見込んだことは御指摘の通りでございます。ただこれは、実は今年度の決算見込みベース、これを基礎にして見込んであるわけでございまして、一つには、その決算見込みベースを、ただいま横山先生は三千五百億はかたかろうというお話ですが、実はわれわれはそこまでは見込んでおりません。当初予算に対して、三千三百億程度出るであろうというところをスタートにして見ております。
それから、いつ現在で見込んだかという御質問でございますが、これは一月十六日の閣議決定でもってきめられました政府の来年度の経済の見通し、この諸指標を大体基準にいたしまして、そういうベースの上で、各税ごとにこまかく積み上げて計算した答えが、今のような数字になっております。従いまして、四千八百億でございますから、大体千五百十億くらい決算見込みに対しては増加するものと、こういう見込み方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/3
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004・横山利秋
○横山委員 毎年々々の自然増収が非常に多くて、そして剰余財源が非常に多いということを、この間論争をしたのですけれども、自然増収を推計するにあたって、その自然増収を少しは残すという考え方が、実際問題として伝統的にあるのではないかという考えが、各方面に非常に強い。これは中山さんもおっしゃるように、多過ぎてあっても少な過ぎてあっても、それは同興であるというお話があったのですが、安易に流れて、自然増収というものをなるべく過小評価をして、そしてそれを予算編成のときに有利な財源にしようという考え方が、あなたの方に潜在意識としていつもあるのではないか。これが強いのでありますが、ここでその自然増収の細目にわたっての計算方式を聞こうとは思わないのですけれども、あなた自身はそういう考えが自分たちの脳裏にいつも潜在意識としてあるということをお考えにならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/4
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005・村山達雄
○村山政府委員 今御指摘のような、故意に控え目に少なく見るというようなことはいたしておりません。ただ、毎年々々自然増収が出て参りますのは、今までの経過は、確かに当初に比べまして決算は非常にふえておる。これの一番大きな原因といたしましては、編成当時見通されました経済諸指標が非常に大きく動いておるわけでございます。つまり経済活動がそれだけ非常にふえてきたことが勢い自然増収を来たしたものと思っておるわけでございます。今までのところを見ますと、実は当初予算当時に比べてどれだけ経済指標が伸びたかというのを見ますと、三十年来、三十年度におきましては九・九%伸びております。三十一年が一一%、三十二年は〇・六%、三十三年一・一%、三十四年一五・九%、それから三十五年では一三・六%、それから三十六年の現在の見通しでは、これはまだ実績は出ておりませんが、現在の見通しは一〇九・八が一一四・四に伸びると思います。これらの経済の、これは生産物価から見たGNPの伸び方を見ておるわけでございますが、この大きな誤差はやはり自然増収となって現われてくる。それ以外に、見積もりの問題でございますから、もちろんこまかいところはいろいろあるかと思いますが、大部分の原因は、当初予算当時に見込まれた経済諸指標が大きく動いてきたというところにあると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/5
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006・横山利秋
○横山委員 この間中山先生から伺った意見について、政府側としての意見をお伺いしたいのですが、大臣や政務次官でなくて、主税局長として、今後の税制改正の方向で——今の話はあとでもう一ぺん聞きますからいいです。今後の税制改正の方向として、あなたの忌憚のない意見が聞かしてもらえるのは、そう言っては失礼でありますが、今だと思うのです。この今の税制改正が一応答申が済んで、内閣委員会へ新しい税制調査会の法案がかかるのですが、この今の瞬間なら、あなたも自由にものが言えると思うので、率直に聞きたいのですけれども、たとえば中山先生は歯どめ理論を婉曲ではありますけれども、かなりウェートを置いて、どうしても何かの歯どめがなくてはならぬということを言いました。あなたは今まで歯どめ理論をなるべく軽く扱おう、二〇%をのがれんがために非常に軽く扱おうという感じがいたしましたけれども、この歯どめの問題。それから第二番目には、調査会の構成について中山さんは意見を言いました。その構成については。私どももちょっと意見があるのでありますけれども、いわゆる学識者をふやしてもらいたいという意見が一般論としてあって、私どもとしてはたとえば通則法のようなものは経験者をもっと出さなければいかぬという意見も言ったのですが、この調査会の構成に関する問題、それから今後の方向として企業課税でありましたか、直接税、間接税の比較論等について説明があり、あるいはまた国税と地方税との問題については十分ではなかったけれどもという意見があり、最後に、私どもの質問に答えて、公平論についていろいろな角度から説明がありました。今日までの税制改正の進み方というものについて、私どもも非常にいろいろな不満を持っています。今後の税制改正については、ぜひとも、法案審議のついでということではなくて、政府側としても国会の審議を通じての各委員の意見というものを取り入れる方法を考える必要がないか。さらに一歩進むならば、国会議員の参加ということを考える必要がないかということもかねがね言っておるのでありますが、これら中山さんの意見を含めて、自由濶達に、今後あるべき税制改正の方向並びにその運営、構成等について、私どもとしてはあなたの率直な意見を一ぺん伺っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/6
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007・村山達雄
○村山政府委員 率直に申しまして昨年とことしの税制改正、この両年度の私個人の感触といたしましては、大体直接税、間接税あるいは間接税相互間におけるバランスは一応とれておる。だいぶでこぼこがなくなって、非常に荒削りでございますが、その作業は一段落したというような感じはあります。ただ全般といたしまして、日本の租税負担は、その所得の大きさに比べては相対的にはなお重いのだ。その意味では機会あるごとに減税が望まれねばならぬという感じがいたします。将来の問題として何から手をつけるかというような問題がございますが、これは一応の体系としていろいろな点は残ってございますが、とにかくさしあたり目に立つものについては荒削りの作業は一段落したのではないか、今後はもっときめのこまかい改正が、もっと深く掘り下げることが必要であろうかと思うわけでございます。先ほどお触れになりました直接税、間接税の問題でございますが、われわれが今度の三年間の討議にあたりまして、中山会長も触れておられましたように、一番わからない問題が、間接税のいわゆる転嫁という問題が一体どういうことになるのか、それと市場の価格形成との関係が一体どういうことになってくるのか、はたして完全に転嫁するのかどうか、この辺の問題、そこまで申しますと、いわゆる面接税といわれる固定資産税のようなもの、あるいは場合によりましては事業税のようなものでありましても、何らかの意味で製造原価なりあるいは総原価の中に含まれる経費項目に当たるものは、これは実際の転嫁の関係というものはどういうものであろうか、納税義務者が直接負担するに至るものであるか、あるいは価格形成の過程においてそれがどういうふうに転嫁していくのであろうか、市場価格は大体一本だとしますと、そのときに一体経済的、社会的にどんな影響を及ぼすのか、ここの突っ込んだ検討がございませんと、なかなか直接税、間接税のバランスと申しましても、あるいはそれを通じまして景気調整の問題と申しましても、そこのところの突っ込みはもう一歩われわれ自身が勉強不足ではなかったか、また三年間の審議ではとうていそこまで突っ込めなかったのではないか、それらの問題をまず十分できるだけ勉強いたしまして、その上で直接税、間接税あるいは個々の税目の選択というような問題も、そういう基礎の上に立ってあらためて考えるべきであるが、しかし、まあ全体として租税負担が所得に比べて重いということだけはいえるように思います。
それに関連いたしまして、先ほどの歯どめ理論の問題でございます。これも確かにある種の歯どめというものが必要であろうかと思うのでございます。率直に申しまして、中山会長も御指摘になりましたように、あの際二
〇%ということを言うことは、その意味で非常な意味があったと思うわけでございますが、今後も二〇%ということがその歯どめ理論として適切なめどであるかどうかという問題については、もう少し掘り下げて考えてみる必要があるのじゃないか。そのときどきの所得の大きさが変わって参りますし、それから歳出需要も変わって参ります。一番大きく変わりますのは景気の問題でございまして、収入がどういうふうになってくるか。ちょうど二
〇%を打ち出したころは、中山会長もおっしゃったように非常にまだ重いときで、しかも経済が毎年々々伸びて参りまして、自然増収が年々出てきたときでございまして、相当なる公共支出あるいは社会保障をやりながらも、同時にまた減税もやって、それで二〇%を結果的に得られた。ちょうどそういう時期であったわけでございます。その意味で、二〇%というものは、歯どめの一つのめどといたしましてもかなり重要な役割を果たし、またそれだけ実効性のあるめどであったと思うのでございます。今後日本の経済がいろいろ違った形でまた動くであろうし、現在の負担の状況もまた若干変わって参っておりますし、今後の財政の歳出の方の問題もございましょうし、そういったところを広く見まして、新しい意味の歯どめのような一種の目途を置くということは適切であろうかと思います。
それからもう一つお話しになりました調査会の委員の構成について、学識者か経験者か、それから国会議員の方に加わっていただいたらどうか、こういうお話でございますが、率直に申しまして、今後の税制の問題が、先ほど申しました意味におきましてかなりむずかしい問題でございます。税制というよりも、むしろ今言ったような税というものの結局の機能、その帰着の形、こういうものを中心にして今後は検討が進められていくと思いますので、その意味ではむしろ先生のおっしゃったように学識者が中心になった方がいいという感じは同感でございます。もちろん経験者を全然入れないという意味ではございませんが、もっと学識者の方のウエートを強くした方が今後の税制調査会は適当であろうというふうに考えられます。国会議員の問題につきましては、これは率直に申しまして、国会議員の方はやはり国会において議論していただいた方がいいので、調査会というものは、またそれはそれとして、ほんとうに学識者なら学識者が集まって、その角度ででき上がったものをまた国会において十分別の角度から練り直していただくという方が、結果においてりっぱなものができ上がるだろうというふうに私は率直に感ずるわけでございます。
公平論の問題も、先ほど申しました問題、ほんとうを言いますと、突き詰めてみないとなかなかわからないというのがほんとうでございます。ただ、一般的に直接税は累進的であり、間接税は逆進的であるということがいわれまして、その限りにおいてはそうだろうと思うわけでございます。この場合、間接税は完全転嫁が行なわれている、こういう前提に立って実は計算が行なわれているわけでございます。実際には価格の中にそれが含まれて溶け込んでおるわけでございまして、その価格形成がどういう限界要素、どんな利潤のもとに形成されるか。その場合に、やはり競争でございますので、税負担も含めてそれが一つの競争要素になっているわけでございますので、ある線で価格が形成されますと、あるものにとっては、ただ理論的に考えますと十分なる転嫁の行なわれない場合も考えられる。あるいはそこまででなくとも、普通の差益が得られない。得られる差益が非常に少なくて、それが程度をこしますと税にまで及んで、税の一部転嫁はできないという問題もあるわけでございます。そういうところを十分吟味していかなければ技術的にも公平論はなかなかむずかしいのでございますが、概して言うと間接税は転嫁されているでしょうから、そういう意味ではこの直接税、間接税のバランスというものは適当なところになければならぬ。われわれの現在得た認識の範囲内では、今程度のところは決して悪いとは言えないのだというような、これは感じでございますが、そういう感じを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/7
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008・横山利秋
○横山委員 今お話しになった中で、いろいろ問題がありますがそれを全部一々列挙するのもなんですが、一つの意見として、間接税の転嫁が帰着するところがどうもなかなかはっきりしないから今後にわたって検討したいという点については、私も同感であります。ただ、理論的にはそうでありますが、現実の問題として、今政治的な課題になっておりますことについて意見を伺いたいのですが、それはことし、来年度は、間接税中心主義で、本委員会の決定をもって附帯決議となって実践に移り、間接税の大幅引き下げが行なわれる。それは本来消費者のもとに還元すべきであるというオーソドックスの意見をもって私どもも主張し、政府側としても、減税分は消費者の利益にということで努力をしておるという話を聞いておるわけであります。しかしどうも、努力をしておるということが、実際問題としてどこまでおやりになるのであろうか、この点について一まつの疑惑なしと私どもしていないのであります。通行税から、物品税から、あるいは酒税に至るまで広範な大減税を、一体どういうふうに恩恵を消費者のもとへ渡そうとするのか。通行税については、これはもう問答無用でありまして、そのままでいくのですね。それから酒税については、あなたの方として資料を出されておりますから、それの是非論は私どもは割合に判断ができるわけであります。ところが、入場税と物品税についてはしかく容易ではない。一体政府はどこまでそれをやろうとしているのか。今お話しを伺った純粋な理論的な問題としては、あなたは、間接税の転嫁についてはなかなかむずかしいという率直な御意見を放ったのであるけれども、これが現実問題としての入場税なり物品税について——しかし、さはさりながら、政府の考えておるように、消費者にこの際は恩恵を全部やってもらうのだというような政治的な配慮でやっておられるのであるか、また結論はどうなんであるか。その担当は一体どなたがやっていらっしゃるか知りませんけれども、政府部内の担当を明らかにしてもらいたい。一説によりますると、いや、それはまあきまる前に、今のうちに単価を上げておいて、そうしてそれを下げるとか、あるいはかつてありましたように、六カ月くらいまあまあやっていけば、あとまた上げればいいのだとかいうふうないろいろな憶測が行なわれて、政府は、かけ声としては消費者に恩恵を与えるのだ、全部与えるのだと言いながら、その行方がきわめて疑問視されているのでありますから、この間の経緯を一つ具体的に明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/8
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009・村山達雄
○村山政府委員 今年度は、御指摘のように、昨年度のこの委員会におきます決議の趣旨等を十分参酌いたしまして、間接税がむしろ中心になっておるのでございます。大体六割は間接税の減税に充てられておるわけでございます。間接税の減税は、ただいま御指摘のように消費者の負担を軽減するというところにそのねらいがあるわけでございますので、われわれは減税によってその分だけ現実に値下げという形で現われることをもちろん期待しているわけでございます。そのようになるように今も努力しておりますし、今後とも具体的にこの問題を詰めて参りたいと思っておるわけであります。
物品税で申しますと、三十四年に減税しております。そのときの値下げのあとの経過が出ておりますので、それを調べてみますと、大部分は減税額相当額くらい下げております。ものによりましては減税額以上下がっているものもございます。と申しますのは、大体税は製造段階にかかっております。普通はマージンは率できまっておりますので、その税込みの製造者価格に対するマージンで卸がきまり、またそれに対して小売のマージンがきまってくる、それが下がりますので、そのマージン部分もおそらく引き続いて下がった結果であろうかと思いますが、そういうことになっております。最近におきます物品税の課税対象を見てみますと、相当今は業界において競争が激しい品物でございます。むしろ買手市場のものが多いようでございますので、環境はこの前よりもさらに悪いことはなかろうと、達観してそういうふうに見ているわけでございます。ただ問題は、その間技術的にいろいろむずかしい問題があることは、これは容易に御想像できると思いますが、われわれ気がついている一つの問題は、すでに下がるということを予定するものですから、買い控えが行なわれるわけであります。そういたしますと、メーカーの方ではストックをかかえてはたまりませんので、実施前に下げていく気配のものによっては相当あるわけでございます。特にその季節製品、夏場を中心にねらっている製品につきましては、場合によりますと、その以前に値下げをしていかなければストックをかかえて金繰りに困る、こういう問題があると思います。その場合一体どういう下げ方をするのか、この問題が一つあります。これは言ってみますと、減税前に下げることになりますから、それだけメーカーの方はマージンを切るわけでございます。
もう一つの問題は、物品税につきましては、もとより四月一日前に移出しまして、四月一日当時市場にまだあり、消費者には渡らないものについては、製造場に戻せば戻税の制度があるわけでございます。確かにこれは課税になって出たということで、消費者の手に渡っていないということをはっきりさせる意味で、製造場に戻せばそれは新旧税額の差額は戻税することになりますが、実際問題としまして、各物品を集めてその戻税手続をとるということになりますと、運送その他の関係で物理的にできないものもあると思うのです。そういたしますと、その分だけがまたメーカーの負担になってくる。それは負担してもいいという議論もございますが、それは減税以上の負担である。本来四月一日から減税するというそれ以上のことになって、結局メーカーのマージンを吐き出すということに帰着するだろうと思います。それに対して、とてもそれでは経営が成り立たぬから、その分についてはあとでどうしてほしいとか、こうしてほしいとかいういろいろな問題はあると思います。そういうこまかい問題を一々詰めて参りまして、最終的にはねらっておる減税が的確に消費者の利益になるようにということで、ねらいにしてここにきめて参りたいと思っておるわけでありますが、この実際の指導に当たりましては、われわれも法案、制度の改正について責任を持っておりますので、われわれの方、それから執行面の方の国税庁と緊密な連絡をとりましてこの指導をやるのはもちろんですが、同時に、メーカーの方の主管官庁は主として通産省でございます。入場税等につきましては、これは厚生省の許可になっておりますので、それぞれ関係官庁と緊密な連絡をとって、今後とも具体的の指導に当たって参りたいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/9
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010・横山利秋
○横山委員 本委員会は、実は、よかれあしかれ、先般の決議の中でこういうことを決議しておることに留意しなければならぬ責任があるのです。それは、私の申しますのは少し矛盾があるのでありますけれども、そう言っては失礼でございますが、今の物価値上げの責任は池田内閣にあると私どもは主張しており、その意味において全消費者にこれの恩恵を与えるべきだということを、政治的な最高理論として私も優先をして考えておるのです。しかし、本委員会の決議の中に、たとえば入場税等において、私の記憶するところに間違いがなければ、映画あるいは演劇等はテレビに非常に圧力を受けておるというような文句があったかに私は考えておるわけであります。これが本委員会の決議の内容としてよかったかどうかについては議論があります。ありますが、そういうような原因もまた一部になかったとは言えないと思います。私が今政府側にお伺いをしておりますのは、物品税にしろ、入場税にしろ、この際は消費者優先で、消費者に全部還元をするというお気持で徹底をされるおつもりであるか、あるいはそれぞれのケース・バイ・ケースに多少のウエートをもって臨んでおられるのか、その点を一ぺんはっきりお聞きをしたい、こういう考えでお伺いをしたのであります。もう一度その点について隔意のない意見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/10
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011・村山達雄
○村山政府委員 基本的には、おっしゃる通り今度の減税は消費者の負担を軽減するというところにありますので、それだけ現実に値下げという形で実現させたいということで進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/11
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012・横山利秋
○横山委員 基本的には、という意味はどういう意味なんですか。私どもも、物価引き下げ運動を徹底的にやるべきだ、多少の問題があってもこの際そうすることが今日の経済情勢上必要なんだという気持でおるのです。しかし、政府側もそういうようなお気持のようであるけれども、どうもいろいろ各方面の意向を聞いてみると、まあ言うは言うけれども、実際問題としてはなかなかできないだろうというような意見が各所にあって、それで今日の物価引き下げ運動に骨が入らないという感じがしておるわけです。一番最初は政府の減税問題は、一体どこまで徹底をなさるおつもりであるか。本委員会が附帯決議をした責任も多少感じてはおるのでありますけれども、しかしながら、今日の政府の考えというものは一体どこまで徹底されるのであるか。基本的にはとおっしゃるが、それでは、基本的は基本的であるけれども、状況いかんによっては、業界の今日の疲弊なり何なりについて考えるというお気持を含んでおるのか、この点を一つ明確にしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/12
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013・原純夫
○原政府委員 私、横合いから飛び出すようでございますけれども、ただいまの物品税その他の減税に伴う末端価格がどういうふうになるか、どういうふうにするかという問題になりますと、現場に足を持っております私どもが相当働かなければならぬという角度もございますので、先般来私どもの方で相当努力をいたしております。また関係各省にもずいぶん努力をしていただいております。その辺のところを若干申し上げて、ただいまのお尋ねに御参考までにお答えしたいと思います。
主税局長からお話がありました通り、今回の減税の大義名分、つまり大衆負担の軽減ということを貫徹するということは、これは私ども今回の減税について、政府側の人間としても最高の要請として貫くべき点だと思いまして、すでに昨年暮れ以来私どもとしては機運を醸成するというのに努力して参っております。新聞紙等でごらんの通り相当この関係は、ムードは強く出てきていると思います。これには新聞等に対するいろいろなPR、説明もいたしましたが、関係の各業界また各官庁とは密接に打ち合わせております。大体物価問題でありますから、当面の第一次的な責任官庁はただいま申しました通産省、運輸省、厚生省というようなあたりが表面に出るわけでありますが、私どもも税務行政をあずかるという意味で、やはり減税があれば、減税分が消費者に及ぶというような角度から配慮するという意味で、各省と御連絡をとっているわけであります。それらの若干の感触を申し上げます。
まず、酒税についてはあまり御疑問のないようなお話で、これは私どももかなり戻税制度、戻し入れ制度というようなものの活用によって、四月一日から、若干ビール等についてダッシュのつく点はありますけれども、ほとんど完全に減税分が消費者に渡るということにできると思います。
物品税系統では、私どもの部課が話をしておる団体も、当然この団体に連絡をとっておりまするし、また関係各省はそれぞれ所管の業界について、団体のあるものは団体を通じて御指導になっておるようであります。この面につきまして四月一日からの値下げを確実にしたいという気持から、未納税で出すということを認めることを二月一日から始めております。これはつまり高い税率でいったものが四月一日にたなおろしであるということであれば、それを安く売りなさいということでは困るというか、苦しいだろうということから、二月の初めから出すものについては、そうして四月一日以後に売ることになるであろうと思われるものについては未納税で出させる。そして卸売なりあるいは蔵置場なりというようなところに置いておいて四月一日減税になりました、さあといってそこから引き取ってもらうときに新しい税率でいくというような制度にいたしております。これが四月一日にきちんと値下げをすることに相当大きな役に立つであろうというふうに思っております。ただこれは完全にその間のタイミングが一致するようにいくためには、何十万あるかわからない小売業者の店舗にまで未納税で出させるということにしないといかないのですが、これは率直に申しましてとうてい行政の任において引き受けかねるというので、やはり卸売場あるいはまとまった何らかのところというようなことになりますから、どうしても四月一日に小売の店にある品物がちょうど新しい低税率の適用のあった最初のものであるというふうにはなかなかいきかねると思います。その意味で業界に苦しいとか、従って若干時期をどうとかあるいは値下げの程度をどうとかいうような議論は出ておらないではございません、出ております。私どもといたしましてはそれに対して極力四月一日にそろえて完全に値下げをするようにという態度で臨んでおりますが、そのうち四月一日にぴしゃっとそろえてということは論理的にいうと必ずしも貫徹し得ない面があると思うのです。その辺をどういうふうにこなすかというあたりが、関係各省の一番苦心の存するところでありますが、極力この全体のムードを盛り上げて、それによってやって参る。しかし私どもも不当に業者のムードに圧倒されて、非常に損が出るというようなことは、必ずしも理屈に合うかどうかという点になりますので、その辺は品物によっても違うと思います。ある程度のものでありますならば思い切ってやりなさい。こまかい話になりますが、値下げが百円、税率が下がった、小売価格百円だけ下げるのでは足らぬという議論もあり得るわけです。マージン率ということを考えますれば、マージン率をかけただけ上乗せして下げろという議論も出るわけで、そこは問わぬということが一つの話題になりまして、そこは問わぬかわりに、若干苦しい点があっても思い切ってやりなさいという議論をしているのが現状であります。通行税あたりはおそらくといいますか、これは完全にできる筋合いのものであります。入場税が一番——これは御案内かと思いますが、私ども話をしておってもめているというところで、興行関係の人たちは必ずしもただいまのところ全額値下げをするということはしてくれておりません。半分程度というようなお話で、あとは座飯の設備あるいはテレビに押されるからいい映画を作ってもらう、いいものを作ってもらうという意味で製作会社に戻すというような意見を言うておられますが、これについてはただいま政府側としては、何と申しますか、対峙の状態でもっと詰めて議論をしたいというふうに思っております。率直な感じが、これから改善するのだ、だから減税の一部を業者のふところにおさめるというのは私としてはとりたくないと思います。やはり改善は改善、減税は減税、ただ先ほど来議論のあります転嫁の関係で転嫁ができないで非常に食い込んでいるというような場合があると、若干議論が複雑になると思いますが、それがあるかどうかというあたりが勝負だろうという気持で応待いたしております。大体私どもが第一次の責任各省と一緒にこの問題についてやっております事柄の経緯、中身は大体以上の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/13
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014・横山利秋
○横山委員 こまかいことですが、入場税の話が出ましたので、ちょっと意見を言いながら、あなたの方の御回答をいただきたいと思いますが、入場税の免税点については、政府案としては何か三十円というところで与党との間で話し合いがついているそうでありますが、この点については私は実は党案としてはもっと大幅な免税点を持って政府側に申し入れをしておったのでありますが、これが十分なところでありませんでしたので、いずれ法案そのものについては入場税法のところで十分審議をいたすのでありますが、免税点というものを一律にお考えになっておやりになったような気がしてならぬのであります。と言いますのは、今いろいろと興行がある中でプロレスのようなものかあるいは村の芝居に至るまでいろんな問題があって、従来も入場税のたびごとに議論が出て、一律に扱うようなことはいかがなものであろうかと言っておりました。
特に私が今日例に出したいと思いますのは、児童演劇であります。子供のために、プークとかいろんな子供のための演劇を現在細々ながらやっておるのでありますが、これが今回の政府案によって免税点も税率も全部一律になっているという点について、私はどうも政府側の深慮が足らないのではないか、あれこれ重なり合って木を見て森を見ないというような感じがあるのではないか。子供の演劇に親子ともども行って、親も子供の楽しむのを見て一緒に子供の気持になって遊んでいる児童演劇については、これは法律を待たずとも政令でできると思うのでありますが、免税点三十円というようなことで一律にやっているということについては、少しその配慮が足らないのではないか。もとより今児童演劇と言いましてもそんなにたくさんあるわけでございませんし、入場税も全く過小だと思うのであります。いろいろ政令をお作りになるときに、このような児童演劇、子供のための演劇からおとなのためのあらゆるものについてまで三十円の免税点というようなことについては一考を要するのではないか、こう思われるのでありますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/14
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015・村山達雄
○村山政府委員 実は児童演劇のお話しは今初めて伺ったわけでございますが、これは主催者がだれであるかということによりまして、現行税法でも場合によれば免税の道は開けているわけでございます。ただ通常の株式会社なら株式会社あるいは普通の人がやっておる、別に社会事業としてやるわけでもないというようなことでございますと、お話しの通り免税点は同じ三十円なら三十円で切られるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/15
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016・横山利秋
○横山委員 主催者がだれであるかということよりも、見る人がだれであるかということに入場税としては力点を置いてもらいたい。子供がプークを見たり私もこの間つくづく考えたのでありますが、親子そろってテレビを見ておると、テレビの中に実にいかがわしいものやくだらないものが一ぱいある。テレビでもラジオでも、子供の健全な思想を発達させるためのものが必要であると思っております。しかしそれがなかなか成長をせずに、浮かび上がっては消え、また消えては浮かび上がるような今の児童演劇の状況なんです。あなたは今お話しになったように、児童演劇についてあまり深い知識をお持ちにならぬようですけれども、これは一つ村山さんも、そういう児童演劇を見るような子供さんはもういらっしゃらないかもしれませんが、一回これはぜひ検討をして、おとなも子供も三十円の免税点だ、今どき三十円で健全な子供の見るものができるだろうかどうか。子供に見せるということは、本質的に採算、常業を度外視してかかりませんといいものができないんですから、本質的に児童演劇なり児童映画なりというものは、採算をまず捨ててかからなければならぬのです。そういう点を考慮すべき必要があると思うのでありますが、重ねてあなたの御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/16
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017・村山達雄
○村山政府委員 現在の入場税法は御案内の通り演劇、映画等についてはすべて第一種でやっておるわけでございます。従来は料金区分はございましたが、今度の改正案では料金区分はなくて一律になっておるわけでございます。税率を一0%に引き下げるということでございます。先ほど見る方の側で考慮する点はどうか、これも一つの考え方であろうと思いますが、現行の入場税法の立て方は、その辺は何分にも間接税でございますものですから、かなり一率的な取り扱いをいたしまして、ただその主催者が営利のためではなくて、それでやりまして上がりました剰余金を公益のために使う、こういう条件のもとにすべて免税しているわけでございます。おっしゃいます児童演劇がどんな形で、また内容がどの程度のものか、またどれくらいの子供たちを集めてやっているかというような点を十分検討いたしました上で、慎重に検討すべき問題だと思いますので、ここで中身も知らないでお答えするのはもう少し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/17
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018・横山利秋
○横山委員 けっこうでございます。一ぺん十分に児童演劇の状況を調べていただきまして、政府側として善処をせられるよう要望しておきたいと思います。
方向が全然変わるのでありますけれども、本委員会は、過般二年ばかり前に、税理士法について決定をいたし、そして附帯決議をつけました。その税理士法を審議するに際しまして、一つには税理士会が、私どもの言い方をもってすれば弁護士会的な方向に独自性を持ってもらいたいことと、それから各県に一つでありますかに統合してもらいたいこと、そしてあらゆる税理士は税理士会に強制加入という重い問題を、われわれもそういう条件において了承をしたわけです。ところが今日全国の税理士会を見てみますと、東京は三つですか、名古屋、東海におきましても二つ等々、全国の税理士会がわれわれが法律を通してやったにもかかわらず、努力があるかどうかそれは知りませんが、結論的にはいささかも改善をされていないと私どもは思うのであります。それはお答えは努力をしたとおっしゃるかもしれませんけれども、こういう状況について、そんなことならばわれわれがいろいろな議論の末やる必要はなかったのじゃないか、こうとすら思われるわけであります。かてて加えて最近におきまして国税通則法の小委員長の八田東京税理士会の会長は、まあ表向きは一身上の御都合でか知らぬけれども、私どもの見るところでは、通則法の問題に関連をいたしまして税理士会が反対の決議をしたという状況になっておやめになったと伺っておるわけであります。それは多少余談ではございますが、税理士会について私はもう一ぺん、一つてこ入れをする必要があるのではないか、法律の実施要項だけはすったもんだやってきめて、ようやくその実施の移管をされたそうでありますけれども、そういう権限だけは移管をする、しかしながら法律の組織上の要請に対して実行をしていないという点、どういう行政指導をなさっておられるのか、その点はいささか私はふに落ちない点も発見するのでありますが、その間の経緯を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/18
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019・村山達雄
○村山政府委員 ただいまのお話は、三十六年のその前の改正、たしか三十年か三十一年の改正だと思います。それで、その当時いろいろ品位を失墜する税理士の問題がありまして、これに対して会が自主的にだんだん品位を高めるという方向が望まれまして、そのためには会に入れた方がよろしいということになって、そこへ入らなければ業務ができないという、いわゆる間接強制の形でできました。その際、御指摘のように原則として各国税局一つ、しかし暫定的にただいま御指摘になりましたように五つあるところもありますし、三つあるところもありますということで、当分の間は現状のままでよろしいわけでございます。その後われわれは実際名古屋なり大阪の国税局長をした経験で申しますと、実際には統合の機運も相当あったのでございます。最後はなかなかむずかしい問題でございまして、すでに基本財産などはできております。それぞれそれをどうやるかという問題、それからあとは役員等の問題もありまして、機運が出ては消え機運が出ては消えておるというのが実情でございます。何しろ人事問題、財産問題でございますので、当時われわれ一線の国税局長といたしましては、強行するというところまでには至りませんでしたが、できるだけ法の精神に従って運用されるべきものであろうというふうに考えております。将来の問題といたしましては、実は昨年の国会で税理士法の改正を審議していただきました際に、今後税理士の試験制度を含めて、あるいは業務のあり方、それらについて全面的に再検討の上、今の税理士制度について必要な改正を加えて、早い機会に本国会に出す、こういう予定を申し上げておるわけでございます。おそらくこの国会が済みましたあたりからこの問題に本格的に取りかかりまして、三十九年度の通常国会までには成案を得て提出いたしたい。その際に今の会の問題等についても十分検討を加えたいと思います。先ほど通則法の問題に関連しましてちょっと東京の会の問題が出ましたが、私は本人から直接通則法その他の関係で伺ったところによりますと、実は通則法の問題ではございませんで、何でも会の会則の問題だそうでございます。それらの問題で、会長としては長くなったし、どうも会長として、自分で正当と思われる意見も通らないというようなことで責任を引き受けかねるということでおやめになったように聞いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/19
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020・横山利秋
○横山委員 だれが国税通則法で失敗しましたから私はやめますとあなたに言う人がありますか。しかし、世間はあなたのおっしゃるように見ておらないのです。この点は十分、村山さんも、あの会長をやめさせた直接の動機というものをどう世間が見ておるかということは、お考えにならなければならぬと私は思うのでございます。それはまあいずれ機会をあらためますが、各県に一つというのは、法律事項でしたか、原則として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/20
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021・村山達雄
○村山政府委員 各県ではございません。各国税局の単位ごとに一つという法律でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/21
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022・横山利秋
○横山委員 それじゃ、あなたの言い分ともってすれば、法律事項できめたことが実は問題があるんじゃないですか。あなたのおっしゃるように、財産があり、役員問題でなかなかできそうもない。浮いたり消えたりして、まだ強制的にやらせるわけにいかぬから見通しがつかぬ、こういうことは法律をきめるときから大体わかっておることじゃないですか。一体法律が実際にでき上がるのはいつごろとあなたは確信を持っておられるのですか。私は別にあなたに強制的に税理士会にそれを押しつけろというわけじゃありません。しかし、法律はそういうことを想定をしてきめたわけであります。あなたの方から提案されたわけであります。税理士会も納得したわけであります。それが、法律にはきめて、法律のいいところだけ享受をして、そして自分たちのむずかしいことは実行しない。結果的に言えばそうなんですよ。実行しないということは、税理士会に対して大いに責むべきことではないのか。財産や役員の問題があってできないということで放置さるべき問題ではない。そんなら法律は無視されておるのだから、法律を変えて複数制にした方が、現状に合っていると思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/22
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023・村山達雄
○村山政府委員 実は、本国会におきましても、その困難性は十分実際問題としてあるということが認められまして、法律の附則におきまして、現在あるものは当分の間そのままでよろしい——期限を定めることができないものですから。当分の間がついておるかどうかは今確かめますが、付則で、やはり困難性を認めてそのことは書いてあるわけです。しかし本法に書いてありますから、法の精神とするところはやはり国税局一つというところにあるだろうと思いますが、困難性はやはり当時からあったわけであります。そのように法律の付則できめられておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/23
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024・横山利秋
○横山委員 もう数年もたって、今のあなたの考えでいけば、当分の間は永久というふうに解せざるを得ない。私はこの点について厳重に政府の怠慢を責めておきたい。
同じような問題で、過般も私どもが指摘しておいたのですが、青色申告会と大阪の納税協力会というものは一体どういうふうに理解をしたらいいのか。青色申告会というものはわれわれは公的に考えて扱っておるのでありますが、ひとり大阪の納税協力会というものが異色ある存在として各界の人を何か役員にしてやっておられることについて、いつか指摘をしたことがある。国税庁側としては、あれはあのままになさっておくつもりなのかどうか、全国の青色申告会の一つの内容として将来持っていかれるのであるか。こまかいことを言うのはきょうは避けたいと思うのでありますが、とかくの話がどうも大阪の納税協力会の辺から私は聞こえてくるような気がしてならないのであります。あの扱いについて、あれはあれというふうに国税庁側としてはお考えでおつき合いをなさるおつもりであります。この点を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/24
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025・原純夫
○原政府委員 税務行政をやります場合に、納税者側の協力と申しますか、協力というよりも、税務というものは納税者のやることと税務官吏のやることと両方が一体になって税務関係はできるわけでありますので、納税者側にいろいろやっていただかなければならぬ。これにつきまして、納税者個々ではなかなか専門的な知識もないし、税についてのいろいろの扱い、段取りというものもわかりにくい面が多いというので、税務官吏自体が納税相談的な立場でいろいろ努力するように努めさせておりますが、それだけではどうしても不十分であるということから、いろいろな会、団体が自然発生的に、あるいはまた私どもの側でもこれを応援するというか、そういうようなことがあってできて参っております。お話の青色申告会でありますが、法人会と並んで非常に有力な、ただいま申しましたような団体の一翼をになっております。ただしこれはお話しの公的なというのではなくて、青色申告の制度は公的でありますが、青色申告会は自然発生的ないわば官民の協力の一つの形としてできておるものであります。大阪局管内ではずっと昔から納税協力会というものがございます。本質的には、税について納税者が何か専門的な問題について、あるいは税のいろいろの手続について助けを借りたい、相談したいというような媒体としてそういう団体があるということでありますので、納税協力会をつぶして青色申告会を作るというのがよろしいかどうか、必ずしもそう一がいに言えないのではないかというような態度で、今までも大阪の管内には従来の納税協力会が働き、それが今も大いに活動してくれております。私といたしましては、これを他の各局と一律に青色申告会というので置きかえるという気持は今のところ持っておりません。ただこういう団体につきましては、ただいま申しましたようないい面が解けあって不明朗な面が出ぬとも限りません。つまりいわゆるボス的な存在と申しますか、それができてくるということになりますとよろしくないので、これは青色申告会につきましても法人会につきましても同様であります。そういうようなことのないようにということは私ども戒めておるつもりでございますが、そういうような態度で参りますならば、大阪における納税協力会も、他の地域における青色申告会あるいは法人会と同様りっぱな機能を果たせるのではないかというような考えで対処しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/25
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026・横山利秋
○横山委員 こういうことは、私は私どもの責任として何日言うてもいいと思っておるのでありますが、国税庁とそれから国税庁に関係いたします外郭団体との関係におきましては、常に公正明朗な協力関係というものをいつもいつも長官としては配慮をしてもらわなければならないと私は思っておるわであります。納税貯蓄組合との関係にいたしましてもあるいはそのほかの青色申告会、法人会あらゆる関係におきましては厳に協力が明朗に行なわれる、そして不当な便宜供与が行なわれないつまた不当な干渉が行なわれないそれは先ほど言及いたしました税理士会についても同様でありますが自主的な運営が行なわれて補助金を出すなら出すで、正々堂々とこれが行なわれていかなければ、何か水がたまったときにはそこでボウフラがわくということが、私は今は申しませんけれども、私の手元に二、三の問題が来ておるわけであります。こういうことが放置されましたのではますますそこから不正なあるいは腐敗した事実が発生をするわけであります。あなたが最近職員の非行問題を取り上げておられるのでありますけれども、それは少し——まあ長官のことですからまず職員のというふうに言った方が穏当である意味においておっしゃっておるかもしれませんが、敵は本能寺である、そういう外郭団体の方にあなたやあなたの部下がまあまあという気持を持っておりましたならば、これは私は決して問題の解決にならぬと思います。承りますと、あなたは年末ですか通牒をお出しになりまして、年末の忘年会やなんかに、職員は業界のそういうものに出席してはならぬとう通牒をお出しになったそうで、私は非常にけっこうなものをお出しになりましたというて感心をいたしました。現に私の知る人も招かれたのでありますけれども、こういう通牒が出ておりますからと言って断わったというのでありまして、近来の快事だと私は思っておるわけであります。ただそういうことが単に形の上でなくして、もう一歩奥深く進んで、あなたの言いづらい、聞きづらいことも十分に一つ聞いてもらって、単に職員を目当てにやるばかりでなくて、全体の零囲気をつかんでおやりにならぬといかぬと思いますが、この点いかがでありましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/26
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027・原純夫
○原政府委員 全然お話しの趣旨に同感でございます。ただいまお話しの具体的な事案というようなものは、この席でない方が実は私には都合がいいのですが、伺うことはぜひ伺わしていただきたい。私みたいなポジションの者にはなかなかなまのそういうまことに困る面が映ってこないおそれがあると思っております。そういう意味で常々いろいろな方からいろいろな面からそういうことを伺いたいと思っております。私は大へん情けない話でありますが、そういうようなことがいろいろあるのではないかと心配いたしております。暮れの通達も考えようによっては行き過ぎではないかという非難もあるかと思いましたが、ただいま御賛同をいただいて私は大へん心強くありがたく思います。一そうそういう気持で今後部内を戒めてやって参りたいと思いますので、よろしくお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/27
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028・横山利秋
○横山委員 その次の問題としては、明年度の国税庁の運営に関する問題であります。私どもが一昨年以来税務行政の民主化と言っておったことに対しまして、あなたは、親しみやすい税務署、以下三項目ですか、おあげになりました。しかし、一般納税者が感じておりますことは、今度の国税通則法案の発足を境にいたしまして、どうしてもやはり中から以下、特にその中の中小企業に風当たりが一そう強くなるし。それから人格なき社団の大衆団体に対して一番苛烈な徴税の波が来るということが、これはもう疑いを入れない雰囲気となっておるわけであります。過般本委員会で、私どもは大法人に対してもう少し強い措置をもって臨むべきであると言いましたら、最初あなたは、いや、大法人は帳面もしっかりしており、内部牽制制度もしっかりしておるからという態度をもって臨まれたのでありますが、その後大法人関係の調査官を充実をせられた、先般も昨年の御報告によれば、一件において数億円のものを調査中である、さらにこれを進めたいというお話がございました。もしそれ、私どものかねての主張を、あなたの方で御採用になったとすれば、まことにけっこうなことでございますが、しかし、それとしても本年定員の若干の増がありましただけで全般をおおって余りあるものは、いわゆる国税通則法攻勢と申しますか、そういう雰囲気がどうしても抜け切らぬような気がして仕方がないのです。この点について、私は先般中山参考人にもし中山さんのおっしゃるような利子税を下げて、不服申し立て機構の拡充をするということ、だけであるならば、これはもう出直した方がよろしい。それは現行法を改正することによって実行ができるのであるから、この際一つそういう印象、雰囲気を不必要に出すことを避けた方がよろしい、こう言いましたら、中山参考人は、自分は実は一番この通則法には弱いのだ、知らないのだ、だから御意見として伺っておくということでありました。私は実は言葉を返さなかったわけでありますが、中山さんがこれほど納税者に大影響をもたらしておる国税通則法が一番私は弱い部面で知らないのだとおっしゃったことについて非常な失望を受けたわけであります。しかしそれは中山さんの話であり、今満天下の納税者が一番通則法のムードに対して心配しておることは、通則法がかりにどうなろうと、それが国税庁一般の雰囲気であると考えておりますことは、もし、そうでなかったならば、あなたの方としてもよほど考えていただかなければならぬことだと思う。歴年私は徴税行政の民主化と言い、あなたはあなたの立場としてやり方は違うけれども、徴税行政を民主化したいというておられるならば、さらに百尺竿頭一歩を進めてやっていただかなければならぬのですがその意味において、あなたに聞くのはおかしいかもしれませんけれども、今度提案されるような国税通則法であるならば、あれは基本法ではないのでありますから、ああいう案であるならば、現行法を改正した方が私はよろしい。これが納税者の誤解を解く大きな要素だと思うし、これが第一であります。
第二番目としては、大法人に対する調査がさらに徹底をしてしかるべきである。このためにかねて推進をされております法人関係の特別調査官なり、あるいは職員の都市集中なりというところに一そうの努力をして、大体この職員のバランスもまだ不十分だと私は思うわけであります。不十分な中でアンバランスがありますからこそ非常に無理がかかってくるわけであります。予算の中で定員がきまってしまった今日言うのはいささか時期を失しておる感じはありますけれども、いま少し繁忙で足りないところへ職員の増加をお考えになったらどうであろうか、こう考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/28
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029・原純夫
○原政府委員 第一の国税通則法に関するお話でございますが、これは主税局長の方からお答えするのがなにかもしれませんが、私の感じといたしましては、お話の通りの角度、つまり納税制に不利ではないかというような問題点が、議論の過程においてはいろいろ議論されたのでありますけれども、最終案として提出されましたものにおきましては、そういう議論の多いものについてはなお議論を重ねようという態度で引っ込められて、税制全般を統一的に見るために必要な規定、また納税者のためにいろんな不服の申し立て等について、従来よりもより進んだ立場を与えようという種類の規定を中心としまして、お話しの、これが全体に徴税攻勢を強化するということになると言われるのは、私はわかりません。従ってどういうような項目でおっしゃるのか、これは少し主税局長の方でありますが、私にお尋ねでありますので、私はそういうようなそしりはほとんどないのではないかというふうに思いますので、十分そのポイント、ポイントについて検討を重ねていただきたいということをこの際お願いいたしたいと思います。
後段の、中小のものに対してきつくするよりも、大企業に対して、また都市的なところに対して力を注ぐようにというお話でありますが、これは全然同感であります。全般といたしまして、五万の職員をどういう仕事にどう配置するかというのは非常に重大問題でありまして、私は、一昨年長官を拝命いたしましてすぐに案を立てることを命令して、そして昨年の初めごろを頂点としてその案をまとめまして、ただいま定員の再配分、これはもうすでに決定して実行しておるわけでありますが、住宅その他の関係で、まだ完全にはいっておりませんが、大体五、六割のところまではもう済みました。なお引き続いて諸般の条件、環境条件を整えてやって参りたい。この再配分の趣旨は、やはり法人が多くなる、かつ法人における問題が多いというようなことから、概して申しまして、所得税関係並びに徴収関係から、法人を主とし資産税を従として、そっちの方に人を回すということをやっております。この思想は、やはり中小的なものよりもより大きなものという考え方でありまして、税務行政全般についても、ただいまお話しになりました三本柱の第一として、近づきやすい税務署になれということを私申しております。これは、率直に言って、私が申しましたからといって、全職員に徹底するのはなかなかむずかしいと思っておりますが、これはもう何としてでも、何代かかっても徹底さしてもらいたいというつもりでやっており、まあじりじりとそういうふうにはなってくるものと思ってやっておりますので、せっかく御応援も願いたいと思う次第でございます。
大法人に関しましての特別調査官の制度は、昭和三十工年度にスタートいたしまして、当初三人、昭和三十六年度にさらに三名増加になりました。三十七年度さらに同数程度の増加を予算で認められましたので、相当な陣容が整う。一人の特別調査官に六名程度の部下がつきますので、合計いたしますと五、六十名の人数がこの仕事に携わるように相なるということになります。この事績につきましては、先般、あれは三月終わりでありましたか、四月ごろ、昭和三十五年度分の大体の成果を申し上げて、たしか増差がそれによって非常に大きく五十億程度出たということを申し上げたいと思います。その後も特別調査官は増員されたべースで一生懸命働いてくれております。何分大法人は経理も非常に広範でむずかしいので、調査官の仕事も大へん困難が多いのでありますが、よくがんばって、ただいませっかくこの面における税務行政の進度を大にするということを努力しておるところであります。本日はその用意をいたしておりませんので、またしかるべき時期にこの中間的な御報告はいたしたいと思いますが、第二に言われました角度、つまり大きなものには今までよりもより力を入れるということは、まさにそういう態勢でおり、それは定員の再配分においても、また特別調査官の活動においても、また全般の、たとえば法人の調査割合または調査日数の配分におきましても、漸次大きな法人により多くの口数をかけ、より多くの割合で調査をするということにいたしてきておるというところにも、その具体的な適用を見出し得るというふうに思っております。以上の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/29
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030・横山利秋
○横山委員 先ほど一つ間接税の点で御質問するのを忘れておりましたが、私の意見を含めて伺いたいのです。たとえば物品税、多くの品種の中で定価販売をされていない品物がたくさんあるのであります。これは物品税のつかないものでもそうでありますが、今日の乱売合戦で——物品税は定価に対してかかるけれども、それが末端においてはどんどん定価を割って課税される。どうしてそういうことになるのかは別といたしまして、どうせそういうふうに乱売がされるものならば、もう少しその辺を業界と政府とよく懇談をしてもらって定価を下げさせて、それを定価販売させて、それに基づいて課税をするという指導ができないものであろうかということをかねがね考えておるわけであります。これはしかく簡単なことではございません。しかし商業道徳があるいはまた秩序が守られ得るならば、私は適正な課税、実質上安い物品税の納入というものも可能であろう、こういうふうにかねがね考えておるわけでありますが、そういう点について手をつけられておるのであるかどうか。つけてないとするならば、なぜそれがうまくできないのであるか、この点について御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/30
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031・村山達雄
○村山政府委員 価格の問題なものですからあまり詳しくございませんが、われわれが聞いている範囲では——物品税を通じての知識でございますが、御案内のように現在メーカーが定価を定めておるものがございます。小売の末端価格を定めておるものにつきましては、現在は小売価案から一定の経費率を引いてそれを課税標準にとっておるわけでございます。しかし物品税の課税については、そういうものもありますが、小売の定価の定めのないもの、メーカーがきめていないというものがございます。従って、その意味で小売屋が別にきめてないという両方の種類があるわけであります。お話しになるのはその再販売維持契約とか、そういった関係で、メーカーが自分の商業政策上小売価格を一定している場合のお話だと思います。最近聞いたところによりますと、特に電気製品の関係でございますが、だいぶ競争が激しくなりまして、定価を指示しておるのですが、小売屋さん自身の非常な競争が出てきまして、定価を割って売ってあとでリベートを求めてくる。そのリべートに応じなくちゃならぬ。メーカーの方も非常に競争が激しいのでそういう事態が起きておって、なかなか手元は苦しいです、というようなことを、われわれはメーカー側から聞いているわけでございます。そういう意味で今の値引きしている値段が一定のところまで落ちつきますと、あるいはおっしゃるように、それをもって定価ということではっきりきめることができるのかもしれませんが、まだ何分にも市場が不安定と申しますか、こう流動しておりますと、経過的には、定価を定めておるものについても、今言ったような現象が出てくるのではないか、こう思っておるわけであります。ですから、そういう場合の値段の押え方というようなものを、どういうふうにして励行さしていくか、またそれを納税者がはっきりつかみとるためにはどうしたらいいかという、確かにこれは減税が行なわれたということをどうしたらいいかというような問題があると思います。そういう具体的な問題については今後詰めて参りたいというふうにわれわれは今考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/31
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032・横山利秋
○横山委員 この問題はもう少し私も検討を深めたいと思いますが、きょうは時間がございませんから、これだけにしておきます。
それから、もう一つ所見を伺っておきたいのは、私も今検討しておるのでありますが、資産税関係であります。今日のように土地の売買が至るところで行なわれ、普通の売買でなくて、土地の売買によって差額を得るという観点で売買が行なわれておるのでありますけれども、一般的にいって、これがすべての問題にといっていいほど問題があるような気がいたします。これは十分におわかりのことだと思うのでありますが、国税庁としても資産税関係、譲与税等について少しPRが足らぬのではないか。起きてしまってから、あなたは幾らで買ったか、証拠があるのかないのかという紛争を常にあらゆる件数ごとに続けておる現状については、何か事前に考うべき点があるのではないか。このためには、資産の譲渡が行なわれたり譲与がされた場合においては、当然こうなるのだというPRを国民に徹底をさせることが今となっては一番重要不可欠なことではないか。もう国民の納税者にとって、資産の譲渡をするときには、常識のようにいろいろなことが考えられるという今日の現状については、私も相談を受ければいろいろなことは言いますけれども、これが一つの常識になっておる現状について、何か根本的に工夫をすべきではないか。何とかしてもらいたいという要請を受けて、私どもも公正に答えておるのではありますけれども、普遍的にこういうムードが起こっておるときには、私どもとしてもなかなかいわく言いがたいことがあるわけであります。評価の方法——前から議論があるのでありますが、国と県と市との間に評価の方法も違うということも問題であろうし、それから、このように各所で売買あるいは譲渡が行なわれておるときにおいては、国税庁内部でその担当者が非常に不足をして十分な調査もできかねるという点も大きな欠陥の一つでありますが、しかしかりに人数をふやしたところで、今もう無尽蔵といっていいほど行なわれておるときに、氷山の一角を掘りくずすようなものである。この問題については、最近のような資産の譲与が多いときには、何か一つ抜本的に、公大なムードができる、そのためには、もう十分なPRができて、みんながそのつもりになってやるような方法が考えられなくては——一カ所のところをどんどん追及して、その人が他に比べて非常な犠牲を負う。それは犠牲でないとおっしゃるかもしれぬが、均衡論としては非常に犠牲を負うという点については考うべき点があるのではないか、こう思われるのでありますが、抽象的でおわかりにならなかったかもしれませんけれども、何かそういう問題についてどういう角度で検討せられ、進められておるか。単に行政上ばかりでなくて、一般論として一つ御意見を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/32
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033・原純夫
○原政府委員 お話の角度、御趣旨は私も全然同感でございます。お話の土地の譲渡による所得が非常に問題であるというので、近年資産税関係の係員はこれに非常に忙殺されております。同時に、納税者の側も、お話のようなPRが足らないということから、まあ考えてみればそれは必然納めるべきかもしれぬが、よくわからぬ、知らなかったというようなこともあると思います。そこで、私、PRにつきましては今部内に命令してこういうことを用意させております。やはり何といっても多くの人が登記所を行った場合に、土地を売るあるいは家屋を売ると税はこうなりますというようなリーフレット、こういうようなものを置いておいて、渡していただくというようなことが一番よくはないか。もちろん、そういうものができれば単に登記所だけでなくて、署にも置きますし、またいろいろな協力団体にも回したいと思いますが、これを先般来言いつけてやらせておりますので、あるいはもっとほかに、いろいろなラジオであるとかあるいは講演会その他文書で流すというようなことも必要かと思いますが、これは確かに、この譲渡による所得のような、その人にとっては何年に一回あるいは一生に何回というようなものでありますからどうしてもなじみが薄い。それには格別、そういう場合の税のやり方、規定というようなものをPRする必要があるというふうに思って、準備を進めております。おくれておるのはまことに申訳ないと思います。私、帰りまして、きわめて早くこれをやり上げて徹底させたいと思います。
なお、担当者につきましても、先ほど申し上げました通り、定員の再配分でも資産税は法人税ほどのなんではありませんが、割合にすれば相当多くつぎ込んでおりますし、また今後もここに力を入れなければならぬという気持でやっておりますので、世の中で土地の譲渡関係の経済現象が非常に大きくふくれ上がっているということに対するかまえが、おっしゃる通りおくれおくれであったという点はまことに申訳ないと思いますが、気がついてせっかく努力しておりますので、なお十分ごらんになっていろいろお教え願いたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/33
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034・横山利秋
○横山委員 私どもの党では、株だとか土地による所得については、本人にとっては非生産的な不労所得であるという考え方をすでに持っておるわけであります。でありますから、株の配当についてはあまりいい条件を備えようということについては賛成しませんし、土地の売買所得について特に軽減をしようというような気持もございません。また、最近の過当広告といいますか。テレビの広告や銀座の辺にあるネオンの広告なんかに税金が一文もついていないという、そんなばかげたことはあろうはずがないという考え方を持っておるわけであります。その基盤に立ってのなおかつ今のお話の三税につきましては、もう少しやっぱり全般の納税状況、国税官署と、それからこれは県でも市でもそうでありますが、納税者の関係がもう少し明朗に紛争が解消するような方法が考えられなくては、いつまでたっても常識的に問題が起こる。常識的にすべての件について問題が起こる今日の状況については、すみやかに何かの方法をもって改善をすべきである、こう考えておるわけです。そのことは単に国税庁の問題でなくして主税局の問題である部面も非常に多いと私は思っているわけです。それは土地の売買というものをやればもうかるという。もうかるということが一つの問題で、それなるがゆえに住宅、宅地を確保することが困難であるということにも通じますし、何かそれについて行政上のPRでも私はやっていただきたいといっているのですけれども、PRや広告だけでは解決ができないし、大蔵省だけでも解決がなかなか困難である。その点では建設省なり他の所管省とこれらの問題について善処すべきであると考えておるわけでありますが、主税局長の御見解を伺って私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/34
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035・村山達雄
○村山政府委員 今の土地の値上がり問題でございますが、これを税制で何らか防止する方法はないのかということは、実は税制調査会で一昨年問題になりまして検討したことがございます。その際にいろいろ論議がかわされましたが、そのうち土地がいわば利用の目的でなくて、投資物、投資の目的として買われる、あるいは極端に言いますと、投機の目的として買われ、それによる値上がり、これは何としても防止すべきものである。最近の実情を見ますと、それによる部分が相当あるというふうに思います。もちろん実質的には利用価値は上がっている。ビルを建てるから坪当たりの面積の利用効率は上がってきたとか、あるいは全体の需要がふえたとか、こういう事情はありますが、今のそれに投資物あるいは投機物としての値上がりする部分について何らか打つ手はないものかといろいろ検討されて、御案内のように、そのときにもうけた者に所得税をかけるということで、そっちの方から打つ手もあるし、それからそういうことは困難にするように、取得する方の側から見ますと、これは不動産取得税の操作で何とかいかないか、あるいは投資、投機で持ったものはある期間持つであろうから、空閑地を持っているようなものについては、これは空閑地利用税というようなものはどんなものであろうか、あるいは譲渡所得の課税についても、その所有期間の長短によって区別することはどんなものであろうか、短いものは比較的売買の目的で初めから取得したものと見て重い税金をかけていく、その方法はいろいろ論議されたわけでございます。その際一番むづかしかった問題は、土地が実質的に上がっている部分と、それから今の投機、投資で上がる部分、この二つの要素があるわけですが、先に税が先行しますと、将来実質価値の値上がりによって上がるのであろう将来の価格を早く形成してしまう、逆に言いますと、かけると将来上がったであろう値上がりが早く来てしまう、こういう要素があったら大へんだ、だからその問題はなるほど理論としては考えられるが、実効問題として税だけがそれらの方法で先行した場合には非常な危険なしとしない、そういう意味ではこの問題は単に税だけの問題でなくて、本質的に土地全体の供給の問題であるとか、宅地をふやすというような努力とか、あるいはそういう需給関係の調整等からまず手をつけて、その一環としてそれらに既応した一部として適当な税制上の措置をとった方が安全であろう、こういうような見解で実はそのままになったわけでございます。われわれ今日におきましても同じような考えを持っております。ただ伺うところによりますと、政府もだんだん総合政策——建設省あたりを中心にいたしまして、この対策について総合対策を立てるやに聞いておりますが、その際にはわれわれもできるだけの参加をして、おっしゃったような所期の成果を上げるような措置を考えてみたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/35
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036・小川平二
○小川委員長 次会は来たる十六日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することにし、本日はこれにて散会します。
午前十一時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01019620214/36
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