1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月二十三日(金曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 小川 平二君
理事 鴨田 宗一君 理事 細田 義安君
理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君
理事 有馬 輝武君 理事 堀 昌雄君
足立 篤郎君 宇都宮徳馬君
金子 一平君 久保田藤麿君
藏内 修治君 首藤 新八君
正示啓次郎君 高見 三郎君
津雲 國利君 永田 亮一君
濱田 幸雄君 藤井 勝志君
坊 秀男君 吉田 重延君
岡 良一君 久保田鶴松君
佐藤觀次郎君 田原 春次君
芳賀 貢君 広瀬 秀吉君
藤原豊次郎君 武藤 山治君
横山 利秋君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
出席政府委員
総理府技官
(科学技術庁振
興局長) 前田 陽吉君
大蔵政務次官 天野 公義君
大蔵事務官
(大臣官房日本
専売公社監理
官) 谷川 宏君
大蔵事務官
(主計局次長) 谷村 裕君
大蔵事務官
(為替局長) 福田 久男君
委員外の出席者
外務事務官
(経済局次長) 中山 賀博君
外務事務官
(移住局外務参
事官) 鶴我 七蔵君
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 平井 迪郎君
大蔵事務官
(主計局主計
官) 田代 一正君
日本専売公社総
裁 坂田 泰二君
専 門 員 拔井 光三君
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二月二十二日
委員吉田重延君辞任につき、その補欠として濱
田正信君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員濱田正信君辞任につき、その補欠として吉
田重延君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十三日
委員宇都宮徳馬君辞任につき、その補欠として
首藤新八君が議長の指名で委員に選任された
同日
委員首藤新八君辞任につき、その補欠として宇
都宮徳馬君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
しよう脳専売法を廃止する法律案(内閣提出第
六五号)
国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第六八号)
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、
税関支署及び財務部出張所の設置に関し承認を
求めるの件(内閣提出、承認第一号)
金融に関する件
外国為替に関する件
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001・小川平二
○小川委員長 これより会議を開きます。
しよう脳専売法を廃止する法律案を議題といたします。質疑の通告があります。これを許します。首藤新八君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/1
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002・首藤新八
○首藤委員 私に与えられた時間が十分間ですから、ごく簡略に大臣にお尋ねいたします。
しよう脳の専売制度は、御承知の通り六十年の歴史を持っておるのであります。この制度を今回廃止する、これはいろいろ事情はあろうかと思いまするが、私はその事情について、あれこれ申し上げようとは思いませんが、とにかく六十年の間専売制度によって、再製業者あるいは流通業者はそれぞれの責任を果たしてきた、ところが今回それを廃止するにあたりまして、ただ廃止という通告だけで、あとは何らの処置をしない、これは一体どうか。聞くところによりますと、その間山元の生産者に対しては、合理化あるいは転廃業の基金として五億六千万円の助成金が支払われるということでありますが、一方の責任を分担しておるところの再製業者あるいは流通業者に対しては、何らの対策を講じてない。率直に言えば、お前らは勝手にやれと野放しにしておる。これでいいかどうか、一体大蔵省はどういう考え方を持っておるのか、この点についてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/2
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003・水田三喜男
○水田国務大臣 その点につきましては、過般通産省の方からもいろいろ御要望に接しておりますし、私どもとしましては、通産省に対して、それらの対策について、金融のあっせん努力ということについては異議がないという返事をいたしてございますが、実際にこの法が施行されて、そういう買い取り機関が発足するというまでにはまだ相当ひまがある問題でございますので、その間十分対策を立てまして、融資の問題については御趣旨に沿うようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/3
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004・首藤新八
○首藤委員 融資の面その他について、非公式には監理官から業者にお話があるらしいのであります。しかしあくまでもそれは非公式であって、正式に、具体的にどういう方法をとろうとしておるのか、こういう点の御答弁を願いたい。
もう一つは、金融だけではこの業界は成り立たない。これは膨大な倉庫を持っておるのであります。この六十年の専売制度によって厳格な監督を受けた業者でありますから、特に社内の保留であるとかあるいは積立金であるとかいうような余裕が、この業界は全然ないのであります。そこで、ここで専売業法を撤廃されて野放しにされるということになりますれば、しよう脳全体を不要なものだとして廃止するというのなら何をか言わんやでありますが、やはりしよう脳というものは必要である。特に輸出の面において、ほとんど輸出に向けられておる現状から考えて、やはり育成しなければならないと思うのであります。その育成の上において、金融の問題あるいは倉庫の問題等とからんでくるわけでありますが、そういう問題について一つ具体的に、業者が安心するような説明をしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/4
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005・谷川宏
○谷川政府委員 お答え申し上げます。先ほど大蔵大臣からお答え申し上げた通りでございますが、さらに詳細に御説明申し上げたいと思います。
しよう脳の利用加工業界の方々とけ、私、昨年の八月以来十数回にわたりましてお目にかかり、また樟脳協会の会長でいらっしゃいます濱田先生にも、内々いろいろ御相談をいたしまして、いろいろ御尽力いただいたわけでございますが、最近利用加工業界の大きな会社の社長さん方もお見えになりまして、大蔵省の努力されていることは十分よくわかったということが、大まかな経過の推移でございますが、具体的に申し上げますと、現在の専売制度のもとにおきまして、利用加工業界は、直接専売公社の法律的な規制のもとにあるわけではないということが生産者の立場と根本的に違うわけでございます。しかし、法律的にはそうでございましても、六十年来続いて参りました専売事業が自由企業になった場合に、しよう脳の利用加工業界が影響を二受けることは当然でございますので、経過的にも、それから将来にわたりましても、利用加工業界が十分立っていくような配慮を、私どもは真剣に講じておるわけでございます。
その第一は、日本専売公社がしよう脳の買い取り、販売をやめる場合におきまして、しよう脳の集荷機構が必要になるわけでございますが、その集荷機構の設立につきまして、利用加工業界を中心にいたしまして熱心に検討が続けられておりますが、それらの方々の御要望は、その集荷機構ができた場合の資本金につきましては心配要らないけれども、運転資金につきまして、何とか金融のあっせんの措置を講じてほしいということでございました。それに対しまして、大蔵省内部でいろいろ検討を加え、さらに中小企業庁長官にお目にかかりいろいろ御相談申し上げ、また直接の担当部局であります通産省の軽工業局長とも十分打ち合わせを遂げまして、将来そういう集荷機構ができました場合には、できる限り関係官庁といたしましても努力をするということになっております。問題は、集荷機構の形式の問題でございますが、当初は会社組織にしたいという業界の御要望でございましたけれども、公正取引委員会等と相談をいたしますと、独占禁止法の関係で、むしろ協同組合組織にした方がよろしいということでございましたので、協同組合組織にした場合のあり方、それからどういう金融機関から金融をしたらいいかというようなことを寄り寄り相談しております。
それから次に、今お話しになりました倉庫施設の問題でございますが、これも業界のご要望はもっともでございますので、専売公社に話をしまして、専売公社の財産であります神戸のしよう脳の倉庫その他の施設を、できるだけ御要望に沿うような形式、方法で売り払いをするということになっております。
これらの点につきまして、十分業界の方に御説明をして今日に至っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/5
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006・首藤新八
○首藤委員 大体了解できますが、少なくとも運転資金は、専売制度がしかれておった今日までは、専売局は、ピークのときにはおおよそ八億円くらいの資金が用意されておったくらいでありまして、今度は数壁が減りますから、おそらくそんな金額は不要と思いますが、それにしても四億円ないし五億円は、運転資金として準備する必要があるんじゃないか、こういわれておるのでありますが、大蔵省が中小企業庁あるいは通産省に折衝する際において、具体的にこういう金額を示されておるかどうか、この点が一点。
それからもう一つは施設の問題でありますが、当面の間はこれらを利用させるという了解ができておると考えますが、将来これを払い下げるとかなんとかするような方向に業者が希望するならば、これに応じて払い下げることが可能であるかどうかという点も何っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/6
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007・水田三喜男
○水田国務大臣 その金額の点も示していろいろ研究しております。協同組合として組織するという方向に行きますならば、金融機関は商工中金、そういうようなことにするのが適当じゃないか、そういう線で考えたいと思っております。
それから倉庫の払い下げの問題は、これは専売公社総裁の権限でございますので、私の方は極力今の線に沿うようにお話をして、努力いたすつもりでございますが、大体公正な価格できまれば、そういうような御要望に沿えるのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/7
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008・首藤新八
○首藤委員 今の施設の問題で念を押しておきたいと思いますのは、あるいは第三者から業者の供する値段よりも相当高い値段で払い下げを申請しないとも限らないと思うのです。そうすると、これによって営業しております業者にとりましては、まことに致命的な打撃を受けることは申すまでもないことであります。そういうこともとくと考慮されて、そうして他の方には払い下げをしない、払い下げをする場合には業者に払い下げをするということをはっきりと専売公社の方で善処していただくということを、私は特にお願いいたしておきたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/8
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009・小川平二
○小川委員長 金融及び外国為替に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。田原春治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/9
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010・田原春次
○田原委員 御承知のように、北鮮との貿易については、長い間その必要性を双方で認めておったにもかかわらず、日本の政府側の弱腰のために今まで延びておった。昨年の四月一日以来朝鮮側との貿易が始まっております。過去一年間の実績を見ますと、総計約五百万。ボンド、輸出が三十五億円見当、輸入が十五億円見当になっておりますが、支払い等に関する決済が非常に不便な状態にありますので、この点について主として大蔵大臣にお尋ねをしておきたいと思うのです。
それは、直接支払い、個別契約等ができないままになっておりますので、御承知のように品物は日本の船で清津なり、奥歯なり、あるいは鎮南浦へ送り、二晩くらいで着くわけです。それから今度輸入する物資を積もうとしましても、LCが到着していない、だんだん調べてみると、フランスに対して日本は一応支払いをし、フランスの銀行から朝鮮の銀行に通知をするということで、少なくとも二週掛はかかるということであります。従って、から船で帰ってくるということで、またあらためて引き取りに行かなければならぬといういろいろな不便が残されておるわけです。でありますから、すでに貿易を認めた以上は、当然これに伴う決済方法についても、もう少し実情に即したようにやるべきものであると思いますが、どうして今日大蔵省は逡巡しておるのか、それをまずお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/10
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011・水田三喜男
○水田国務大臣 御承知のように、昨年直接費易をすることについてもなかなかいろいろな事情でむずかしい問題がございましたが、関係各省相談の上、そこまでの踏み切りをいたしましたが、この決済についての問題も、そこまでいった以上はいろいろな緩和策を講ずべきであるという点もございまして、関係竹内でずっと慎重に検討しておりますが、まだ関係当局内の意見が一致しないという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/11
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012・田原春次
○田原委員 関係各省間の意見が一致しないというのは、アメリカの御意向をじっと心配しているのじゃないでしょうか。そのほかに特に一年もかけて結論に到達しないような決済方法の不一致はあり得ないと思いますが、一体どこに踏み切れない点があるのか、たとえば日韓会談があるから云々と言いますけれども、すでに二つの国があるのですから、また貿易に踏み切った以上は決済のことを伴わないというととはおかしい。日韓会談と関係なしに朝鮮貿易のすみやかな手続上の簡素化、当然支払うべきLCの発行等、もっと簡素にやっていいと思う。その延びておる理由はどこにあるのですか、これを明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/12
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013・水田三喜男
○水田国務大臣 聞くところによりますと、関係省の間でも諸般の情勢によりということだそうでありまして、なかなか微妙な問題もございまして、まだ踏み切りをつけるというところまで意見が一致しておりませんが、いずれにしろ、これは重要なことでございますので、十分慎重に検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/13
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014・田原春次
○田原委員 次は人事往来の件でございますが、昨年一年間の経験で見ますと、たとえば放送局の設置についても、NHK型のいろいろな放送施設の購入を申し込んできているし、日本の業者はそれをメーカーに回して作っておる。ところがそれを動かす技術屋を連れてきて、日本から積み出す前に練習なり修理等必要な知識、技術を授けなければならぬのは当然のことです。これはひとり朝鮮だからというのじゃなくて、インドやその他に重要なプラントの輸出契約をした場合に、向こうから技術者が来て、製造工程から見る者もあるし、それからでき上がった機械数を十分オペレートする、練習をしてそれから機械を持って帰るというのが普通なんですね。たとえばブラジルから船舶の注文がきた場合、約二年間にわたってブラジルの船舶技師が日本に滞在しておりまして、十分のみ込んで帰った例も数年前にある。ところが朝鮮に関しては注文はきておるし、メーカーに注文をして支払いをしているが、まだ倉庫に入れたままで、第一それを扱う朝鮮側の技術者の入国を認めていない、こういうばかげたことが貿易上二体あり得ることか。これは外務省にも聞いておきたいと思うのです。諸般の事情、諸般の事情と言うけれども、何かアメリカあたりからにらまれて、品物は売ったけれども引き取りの技術者を呼ぶのに朝鮮側の入港は困るといったような、一般論からきている気の弱さじゃないかと思う。何ゆえに朝鮮側の機械引取人を入国させることを拒否しておるか。そんならそれで機械を売らなければいい。機械は売ったが、それをオペレートする者を入れることを断わるということは、私どもには了解できない。外務省の見るもあわせてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/14
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015・中山賀博
○中山説明員 お答えいたします。今、田原先生が御指摘になった具体的なケースについては、われわれもよく存じております。また政府部内におきましても何度も会議をいたしまして、このことは議しておりました。そしていまだにその結論に到達をしないというのも実情でございます。今仰せの、特にアメリカからいろいろ指令があったということは私承知しておりませんけれども、またそういうことはないものと思いますが、ただむしろ、いろいろ諸般の外交的な事情、ことに日韓関係等を顧慮いたしまして、韓国等の関係もありまして差し控えておるのか現状でございます。人の往来につき伏しては、すでに数年来、ことに北鮮この間にはとまっておりますが、これについてもいろいろ政府部内で研究いたしておりますが、外交的な関係からいまだに結論を出すことができない現状にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/15
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016・横山利秋
○横山委員 ちょっと関連して。大臣、予算委員会で私があなたに御質問したことはいろいろありましたが、これもその一つだったのです。大臣はその際事精は深く存じなかったかもしれないけれども、標準決済規則の改正と、向こうから技術者を入れるという問題について考えてみようというお話を承ったので、私はあそこで質問を打ち切ったのですが、今お話のように、川島さんが外務大臣の兼務をやっていらっしゃったときにはいいということになったのです。それから通産大臣の佐藤さんも、その輸出を承認された立場から、よろしいということになったのです。ところがどういうものでしょうか。今のお話のように、もう数カ月になんなんとして、なおかつたなざらしになって、もし技術者を持ってきてそしてそれが御心配のようなら入国についてのいろいろな条件をつけてもよろしいという話まで行って、川島さんも佐藤さんもそれはもっともだということになったのですけれども、それがうまくいかない。これは予算委員会で大臣も御好意をもった御答弁でございましたから、ぜひこの標準決済規則と技術者の研修のための入国という二点については、あなたに一つお骨折りを願いたいと私も思っております。あわせて御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/16
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017・水田三喜男
○水田国務大臣 御承知のように、そういう問題は政府の所管としては外務省の所管事項になっておりますので、私どもも外務省はいろいろな情勢を検討してもらって、その判断に今までは従っていることでございますが、今言われるようにいろいろな問題があるので、外務省側でも今検討しているようでございますから、それを待って善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/17
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018・田原春次
○田原委員 その諸般の事情ということを言うけれども、それはどういう意味ですか。私は外務省のやり方を見ていると、外交でなくて渉外事務程度にとどまっているのではないかと思うのです。ほかがうるさいからやめておこうというのは。外交というのは、困難なことをやるのが外交なのです。たとえばおそらく米ソ、そのどちらかの問題が問題の中にあるのではないかと思うけれども、アラブ連合共和国がやっておる例は御承知と思います。あるときはアメリカから発電の機械を入れる、そのときはアメリカの技師を入れる、また近くのアスワン・ハイ・ダムの場合には今度はソ連からも機械を入れる、ソ連からも技師を入れる、そんなことに——ソ連の方を入れた場合にアメリカ側に気がねするとか、アメリカの方を入れた場合にソ連に気がねするということは少しもないのです。自分の国本位に考えている。これはビルマでも同様です。ソ連からも入れるがアメリカからも入れる。こういうふうに、自分の国のためになることならば何も方々の顔色を見なくてもいいわけなんで、ある意味においては先頭を切ってせっかく朝鮮貿易を再開しておきながら、支払いだけを諸般の事情、諸般の事情というて、しかもそれは大蔵省でなくて外務省に原因があるような大蔵大臣の答えなのですが、外務省は事なかれ主義で、やりそこなったら自分が首になるからやめておこうということでは困る。不可能なことを可能にするのが外交なんですから。現に注文をとって機械を作っている。従って、輸出業者はメーカーに支払いをし、そうして倉庫へ入れておる。しかし引取人を呼ぶのに外務省の方が諸般の事情で困るということで待たしておく。いつまで諸般の事情が続くのか、ちっともそういうことを明らかにしない。これでは表面は商売をやっているように見えるが、実際は為替関係の大蔵省、それから入国者の関係の外務省でとめているような格好ですね。それこそ諸般の事情であって、これは外務省と大蔵省が踏み切って、そこまで通産省がやったならばやらせる。その困難はこういうふうな形で除去する、今同僚横山委員が言ったように、入国についての一定の条件、居住なり滞在期間について条件をつけることはいいでしょう、あるいは入国コースの条件をつけることもいいでしょう。要するに早く機械を持っていかなければならぬ。去年は五十億程度であったが、これが例になって種々なる機械を注文したいらしい。私は数回北鮮に行っておりますが、行ってみますと、フランス、スエーデン、イギリス、イタリア、こういうところがかどんどん機械が来ておる。むろん東ヨーロッパの関係からもたくさんきております。たとえばハンガリーあたりから大型バスなどがきてやっております。あの遠いハンガリーから船で二カ月もかかって運んできてバスを走らせておる。日本からならば二晩ぐらいでいくのに、日本からはまだバスを出していない。それは外務省や大蔵省のネックがあるからではないか、こういうふうにしか業者は考えませんので、やるならば徹底してやる。それから一面日韓会談等に対する態度は態度で、私どもはこれには反対で、何もこれは急いでやる必要はないと思いますが、かりに会談をやるならやるで、そんなことに朝鮮貿易を何もじゃまされることはないし、じゃまをされたならばそれを排除するのが外交でありまして、普通のきまり切ったことをやっておるならば、外交は必要ないと思います。だから外務省はもっと腹をきめて、特に経済局は省内で強く発言して、ここまでやった以上はあれもこれも片づけなければいけない、こういう気持を持っていただかなければならないと思うのですが、そういうことができない点が私は非常に不可解なんだ。諸般の事情というものを二つか三つか明らかにしてもらいたい。だれが反対しておるのか、どこの省が反対しておるのか、そういう点も明らかにしてもらいたい。そうしてそれを解決していくのが外務省の仕事だと思う。外務省が自然に片づくまで待っておるというのではこれは外交ではないと思います。今の朝鮮貿易の問題に限っての外務省の考えを聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/18
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019・中山賀博
○中山説明員 お答え申し上げます。政府の中にも、いろいろ議論してみますと議論が分かれる点もございますけれども、しかしとにかくわれわれといたしましてはいろいろな角度から、たとえば今御指摘になった日韓関係もその一つではございますが、いろいろな角度から慎重に考えさしていただきたいと思います。また同時に、しかし国際関係は流動いたしますから、そういうことにつれてもわれわれとしても内部で議を進めて、何らかの結論に早く到達するように努力いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/19
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020・田原春次
○田原委員 ここまできたのでありますから、この機会に進んで朝鮮との間の貿易協定を結んで、各種の懸案を協定の上で解決する。決済の方法もあるし、船舶の関係もあるし、人の往来もありますから、貿易協定は結ぶべきものと思うが、これに対してはどういう見解を持っておられるか、これもついでに明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/20
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021・中山賀博
○中山説明員 北鮮との貿易協定につきましては、政府の承認その他の問題がからみますので、慎重に研究をしなければならぬことと存じております。他方将来とも民間ベースの貿易が進んで参りますならば、これに対処するような、また民間のベースの取りきめというか約束というようなものが出てくるであろうし、そういうものはまたある段階におきましては非常によき効果を与えるのではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/21
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022・田原春次
○田原委員 北鮮との貿易を再開するに際して、去年の四月一日に外務省できめたことは、北鮮を強制バーター地域に繰り入れてしまっておる。つまり貿易は再開させるががんじがらめに縛っておくというようなやり方をとっておる。約半年後に中国その他の共産圏に対しては強制バーターが解かれております。北鮮だけを依然として強制バーターの中に新たに組み入れたということはどういう意味からですか。これを承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/22
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023・中山賀博
○中山説明員 仰せのような事実はございます。ただ北鮮との問題につきましては、韓国との関係もございまして、やはり慎重にゆっくり、ただし堅実に進みたいと考えておりますので、先生仰せの点もよく今後とも研究さしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/23
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024・田原春次
○田原委員 中国問題については、台湾と中国と貿易の量や内容は多少違いますけれども、どちらも日本はやっておる。ひとり朝鮮半島に関して韓国側の意向を気がねをして朝鮮側との貿易をためらっておる。決済さえも不利不便になっているということは、国民としては了解できない。それは朝鮮半島における朝鮮民族の間の問題でありまして、日本側としては、先方のほしいものを送り、当方のほしいものを買えばいいのです。かえってそのことが朝鮮の統一のためによくなる。あちらに気がねをし、こちらに気がねをするということは毛頭ないと思う。従って、外務省は諸般の事情を明らかにして、それをすみやかに解決して、そして強制バーターの繰り入れの取り消し、貿易協定の締結、支払い決済法についての簡素便利化ということをどんどん進めていくべきものだと思いますが、この三点については、外務省はどうお考えになっておりますか、これもこの機会に明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/24
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025・中山賀博
○中山説明員 今申し上げましたように、韓国との関係がなかなか微妙であり、またそれが一つの原因になって北鮮との関係が若干ゆっくり——しかし貿易は進んでおることはおるのでございます。そこで、今仰せの諸点につきましてはやはりもう少し、たとえば事態が進みますれば、あるいは北鮮との関係ももっと正常な基盤、基礎において事態を再検討することができるんじゃないか、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/25
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026・田原春次
○田原委員 この朝鮮貿易で別に共産主義を輸入するわけじゃないのですね、商品の取引なんです。従って、お隣の韓国がいろいろ文句を言うことは、これは韓国の連中の勝手な言い分なんですから、それに一々引きずり回されることは毛頭ないと思う。貿易を再開しながら、決済方式についても、たとえば標準決済方式の別表第四の朝鮮の項を削れば簡単なのに、これを残しておく、これがどうしても私はおかしいと思うのです。でありますから、きょうはその程度にしておきまして、後日また大蔵委員会あるいは外務委員会等で、もう少し掘り下げた質問をいたしますが、朝鮮問題を国民の考えているように、両方公平に扱って、お互いに貿易を盛んにする、特に必要なことは、阻害しておるものを次々と除去するという決意を持ってやっていただきたい。
次は、南米の問題について大蔵大臣にお尋ねしたい。また関連して外務省にもお尋ねしたいと思います。御承知のようにドミニカの移民問題が発生をしまして以来、ようやく出先の各省機関の不統一あるいは責任のなさ、こういう点が国民の前に明らかになりました。これについて、引き揚げた者に対する問題、その更生上の種々なる問題については、これまた国民の同情と、政府側で、何らかの処置をしなければならぬと思いますが、この機会に、ドミニカ以外の中南米各国におる日本の各省の出先及びその代行機関、あるいは下請機関のごときもののやり方を、われわれはこの際反省してみる必要があると思う。一言にして言えば、外務省、農林省、大蔵省、建設省等がばらばらに移住地における行政をやっております。横の連絡は少しもありません。これは日本国内においても、いつも論じられることでありまして、各省併立あるいはなわ張り争いというものが日本でもしじゅう問題になりますが、まあ日本では、新聞その他の批評機関もありますけれども、遠く南米へ行ってしまいますと、まるっきり何もないものですから、迷惑をこうむっているのは在留日本人及び日本から行っております事業家でございます。そこで、今の金融措置について、たとえば日本海外移住振興株式会社というものが特殊法人としてできておる。ところが、これがまた結成前後からの特殊な事情もありまして、外務省、大蔵省、問題によって農林省がそれぞれ介入しなければ最終の決定ができない。それが在留民に非常な迷惑をかけておる。たとえば移住振興株式会社の金融部門は、向こうへ素っ裸で行った農民が独立自営農になる場合の最小限度の資金を貸すことになっておりますけれども、それが現地でごく少額の、五十万円以下くらいは現地の支店長がやれるのでありまして、それ以上になりますると、全部日本にお伺いを立てなければならぬ。まず書類が非常に煩瑣なものを作らせる。お役所に借りに行きますと、十四通も同じ書類を作らせて、出先の事務官がこれを受け取る。代書人も何もいないところですから、お役所に二晩も三晩も泊まってそういう書類を作る。それが外務省に届けられる。これがまた字句の修正とか、ああでもない、こうでもないと大へんな時間をとる、それが大蔵省にいく、大臣は知らないかもしれないけれども、主計局と為替局と、管財局と銀行局の四局にいく、大蔵省という名前は一つでありますけれども、実際は四局の係官が丁寧に書類に目を通して、かれこれ半年過ぎたころにその金は貸さぬというような通知が、またそれらの役所を逆に戻って現地に届くのであります。お百姓としては、あそこに適当な土地がある、自分も手持ちの金はある、しかし足りぬから政府の金を借りよう、それがそういうふうに八カ月もかかって、しまいに貸さぬということになりますと、また新規に別のところを見つけなければならぬ、あるいはかりに借りても、八カ月も十カ月もかかりますと、値段が変わってきている、条件が悪くなっているという場合がしばしばあるのです。これは昨年の外務委員会等でもわれわれは論議をしたのでありますが、在留日本人のサービスをするというつもりで作った金融機関であるし、ちょうどたとえて言えば、日本の国民金融公庫、農林金融公庫の性格を当然持たすべき移住振興株式会社の金融部門が、実際は貸し出しをはばむ結果になって、このままでいきますと、せっかく政府の厚意でできたそういう機関も現地では当てにしなくなってくる。これは何とか改善改良すべきものだと思うのでありますが、大蔵省側は一体これをどういうふうに見ておるか、これを聞かせてもらいたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/26
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027・福田久男
○福田(久)政府委員 私は為替局の者でございますが、海外移住振興会社の関係は、お話のように一般海外移住事業という観点から主計局が関与しておると思います。また相半多額の政府出資、現在二十八億円の資本金のうち二十七億以上というものが政府出資になっておりますので、その関係で管財局が関与しておると思います。それから私どもの方の関係では、為替の関係で海外に移住した方に金を貸すとか、あるいはその移住した方に関係した事業を営んでおるものにこの振興会社から融資をするとかいう場合に、外国為替管理法に関係して参りますので、その観点から関係があるわけであります。これは移住振興株式会社に限りませず、一般的に海外に投資するとか、あるいは海外に対して債権を持つというような場合に為替管理法の手続が必なわけであります。
そこでお話のような事務が停滞しないようにという観点から、為替関係に限って申し上げますと、この移住会社の行ないます移住者に対する融資の基準とか、そういうある一つの基準を相談いたしまして、その基準に合致する基準の範囲内のものにつきましては、特別の事情のない限りきわめて円滑に手続を進めるように事務処理をいたしております。従って、為替関係では非常に順調に進んでいるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/27
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028・田原春次
○田原委員 為替局長は残念ながら実情を御存じないようです。書類の上では非常に簡素化した、あるいはある種の権限を現地に与えたということになっておりますが、実情はなかなかそういっていないのです。二十八億を巨額と言いますけれども、それは毎年五億円くらいずつ政府が出資したものの合計が二十八億なんです。言いかえれば、日本の四十倍もあるところに散らばっております約六十万の日本人に対して、一面においては海外移住を奨励しながら、実は一年間に五億円程度を出しておるだけなんです。しかるに国内において、たとえば生活保護者は約七十万おりますが、これには年間五百三十億円くらいの国費を出しております。国内から、せっかく財産を処理し、先祖伝来の地と別れて海外に行った者たちに対して、ほんの申しわけ程度に年間五億円程度を出しておる。そしてやかましく規則で縛っている。為替局長は二十八億は巨額だと言うけれども、在外同胞が年間に働いた余力をもって、郷里の学校にピアノを寄付するとか、あるいは鳥居の修築費を出すとか、あるいはじいちゃん、ばあちゃんの生活費を送るるとか——これは為替局で調べればわかりますが、私の推測では百二十億から百七十億程度海外各国の日本人は日本に送っております。これは貿易外の収入であります。貿易でそれだけもうけるには、それの百倍といたしましても、巨額の取引をしなければ百二、三十億円の金は入ってきません。日本に金が入るからどうというわけではないけれども、少なくとも同額くらいの金を海外に融資する、あるいは産投からでもいいのでありますが、何かそういうことにして、さらにどしどし現地において経済活動が十分できるようにしていただきたい。いたずら為替管理法だけをたてにとって、まるで高利貸しみたいにすぐ引き揚げてしまうということではいけない。二重、三重の不便の中に海外で歯を食いしばってやっておるのでありますから、この辺で大蔵省の方針をもっと前向きに変えていくべきではないか、こういうふうに考えるのですが、それには、国内の為替管理法の規定ということだけでなく、海外在留同胞に対して長期低利の融資をする。たとえばブラジルにたしか数千億円の貿易未決済の金が残っております。アルゼンチンもそうじゃないかと思います。それらを見返りにしてブラジルの銀行から借りる方法もあると思います。政府関係の方で少し努力をすれば借り得るのです。それを何もしていない。凍結は凍結、それは本省の局が違うのだ、そういうことで別々になっておりますので、在留日本人としては、日本政府というのは一体どこに中心があるのか、疑問と不満を持っておるのです。現在は四局に行かなければ相談できぬようなことになっていますが、この機会に大蔵省の方針を一本にして、外務省もあるいは農林省もこれに協力して一本化した方針を立てて、せっかく海外に出すなら出した者に対して融資なり、その他の便宜をもっと強力にする必要があると思うのです。これは大臣どうお考えになりますか、大臣としての答弁を聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/28
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029・水田三喜男
○水田国務大臣 大蔵省に関する限りは、そういう事務の迅速化について十分気をつけるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/29
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030・田原春次
○田原委員 そうなりますと、今度のドミニカの経験からわかることでありますが、今のように各省ばらばらでありますと、人件費からしてもよけいかかるし、肝心かなめの在留日本人に対する融資その他がかえっておろそかになりますので、各省で虚心たんかいに相談をして、たとえば大蔵省の監督を受ける日本海外移住振興株式会社、それから農林省の予算をもってやっております日本海外協会連合会、それから同じく農林省の監督と援護のもとにあります全国拓殖協同組合連合会——全拓連、そういうばらばらの現地における仕事を一本化して、言うならば、海外移住事業団のようなものにして、そうして必要な資金は産投会計からでも融資させてやるというような時期がきておるのではないか。このことについて大蔵省及び外務省、それから関係他省の方が来ておりますれば、そういう方々の御意見をこの機会に明らかにしておいていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/30
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031・田代一正
○田代説明員 外務省担当の移住関係の一般会計の予算という角度から、それに関連するという資格で移住振興株式会社を見ておるわけであります。ただいま先生からいろいろ御指摘がございましたが、御承知のように、現在移住のやり方、道具立てと申しますか、それは非常に多岐にわたっております。外務省が中心になりますが、外務省のほかに農林省、建設省とか、あるいは通産省とか、労働省とか、それからさらにまた財務関係でございますと、大蔵省に関係があるということでございます。そういうこと女非常に複雑多岐なことであります。また団体にいたしましても、海外協会連合会、これは主務大臣は外務大臣であります。それから全拓連、これは農林大臣の指揮下にある団体であります。それから御案内のように、海外移住振興株式会社、大体大きくいってこの三つの機関がそこで動いておるということでございます。こういった非常に複雑多岐なことで、どうも移住がうまくいかぬのではないか、効率的でないのではないかという御批判はあるかと思います。かねがねそういうことにつきましては、各方面からも意見はあったかと思います。ただ、国内の各省の権限配分になると思いますが、農林省のサイドで申しますと、国内の農業問題との関連において移住を考えるという立場もございましょう。また外務省は外務省の立場で、現在、移住は一種の海外経済の国際協力という角度で取り上げておりますから、そういった角度から考えるということも必要でありましょう。そういうことで、そこをどういうようにするかということは、なかなかむずかしい問題があるかと思います。それにいたしましても、やはりあまり複雑多岐な道県立てをしておるということは、移住者にとってどうかという面もございます。今後ともこういうことにつきましては、なるべく簡素な手続でやっていくということは研究しなければならぬという気持ではおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/31
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032・田原春次
○田原委員 簡素だけじゃだめなんです。簡素強力あるいは簡素拡大ということにしなければならぬと思います。今の田代さんのお話の中に、日本海外協会連合会は外務省が主管だということがありましたが、人件費その他は農林省、従って、農林省の御意向でやはり動いておるわけです。それから海外移住振興株式会社も表面の主管は外務省になっておる。しかし、実際は金融面等については、どうしても大蔵省の主計局、為替局、管財局、銀行局、四局の係官の御丁寧な長時日にわたるあれを要するので、何にもできないわけです。従って、私どもが一番切望するのは、今度この国会でドミニカ問題をうやむやにしてしまいますと、依然として中南米の移住政策は二本立て、三本立てでくるわけです。主計局の立場から見たって、むだな人件費その他を使って、一々みんな出張する。主計局も毎年一人は行っておるようでありますが、帰ってきてまたほかの局に行ってしまう。移住船の監督も外務省は品切れになって、近ごろは外務省の人事課とか会計の者が行っておるわけです。それはそのまま帰ってきて、何か移住行政に関与しているかというと、慰労休暇みたいなことで、スペイン語もわからなければ船内の当直も何もできない者がある。そういうものを見のがしているのはいかぬと思う。このドミニカの人々の問題から急速に前向きで、金融血においても、移住地におけるあっせん業務においてもできることですから、困難なようでありますが、ほんとうに主計局も、大蔵省がその気になればできることなんですから、大幅な権限を与えた事業団のごときものも、もし大蔵省が一町監督したいなら、証人を東京に呼ぶのじゃなくて、現地に監理官でも置いて、適時適切な処置をしてやることによって、在留日本人の活動というものが一段と発揮できると思うのです。このことは西ドイツの南米における移民、あるいはイタリアの南米における移民、あるいはスペインの移民等はそれぞれ緊密にやっております。たとえばイタリアからも年間十数万の移民が行っておるのです。先住移民の中には大銀行家もあり、大地主もありまして、それぞれ協力し、政府はむしろそれを助長していくというような態度をとっておる。ひとり日本だけが、役所がたくさんあって、出先では何の横の連絡もない、そうして迷惑をこうむるのは在留同胞団であるというのであるから、とうてい今度のドミニカ問題解決としての前進の姿にならない。だから急速に、この点は主計局が中心でもよろしい、あるいは農林省が中心でもよろしい、あるいは外務省が中心でもよろしい、あるいは関係三省が至急に寄り合って形を整えていかなければならぬ。聞くところによりますと、海外移住に関して関係各省の連絡協議会が設けられておりますけれども、開いたことがないのですね。そういうことではいかぬと思う。この五月の初めには、中南米各国から代表者格の日本人が五百人ばかり集まります。第三回海外日系人大会というのが予定されております。さだめし、そういう方々から体験からくる貴重な話もあると思いますが、もう少し熱意と同情を持って、そうしてみんなの満足するような——どうせ使う金はきまっておるのですから、それらの金が有効に動くような方法を講ずべきだと思うのです。この機会に私は自分の希望を申し上げて、総括的に海外移民に関する今後の発展衆について、大蔵大臣からもう一度聞いて、私はこの質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/32
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033・水田三喜男
○水田国務大臣 お話はもう全く同感でございまして、実は私ども予算の編成期には、今主計局から申しましたように、その権限の問題、主管の問題、機構のいろいろ複雑になっている問題には、手を焼いているといっては語弊があるかもしれませんが、何とかこれをもっと簡素化して、強力に移住行政ができるようにしなければならぬというのは、私ども予算編成で困難をしておる役所の者の方がむしろこのことを一番希望しているような現状でございまして、この点につきまして、関係各省の間でこれを円満に協議する努力は、ここ三、四年続けられておりますが、なかなか各省の管轄の問題になりますとむずかしい問題がございまして、困難はしておりますが、しかし、だんだんに外務省がやはり責任を持ってこの移住行政を厳重に監督し遂行すべきだという方向には、この一、二年ずっと向かってきましたので、やはりその方向で国内の連絡とは別に、この移住行政の責任者というものが外務省になって遂行される方向が一番好ましいんじゃないかと私どもは考えております。国内の連絡と海外における事業執行の責任というものを、ここではっきり区別してかかれば、これはりっぱに調整とれてもっと行政が強化できるんじゃないかと考えておりますので、その方向に努力したいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/33
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034・田原春次
○田原委員 外務省はどういう見解を持っておるか、たまたま外務省が見えておるからお伺いしたい。それは現在のままの移住地におけるやり方で満足しておるのか、あるいはかりに私は名前をつけたけれども、一本化するのに移住公社か、あるいは海外移住事業団か、あるいはそれにかわるべき他の名称か知りませんが、実質的には十分やっていけるような一本化した方角に進むべき時期が来ていると思いますが、これに対して外務省はどう考えておるか、現状のままでいいかどうかお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/34
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035・鶴我七蔵
○鶴我説明員 ただいま田原先生から御指摘がありました移住事業は、現在外務省が主務官庁としまして、補助金ベースの仕事を海外協会連合会が、また投融資関係の仕事を移住振興会社が分担して、海外事業を進めておるわけでございますが、私どもといたしましても、現状が満足すべき状態で仕事が進んでおるというふうには考えておりません。幾多の欠陥もあるということは私ども感じておることでございますが、具体的にこれをどういうふうに一本化して、またすっきりした形に持っていくかということになりますと、いろいろ問題があるのでございまして、特に移住事業というものの本質からきます公共性、同時にまたこれが必要とする採算性というような相矛盾する二つの要素がこの事業の中にございますので、なかなか理念的にも実際的にもこれをすっきりした形にどういうふうな方法で持っていくかということは、なかなかむずかしい状態でございます。しかしながら、ただいま先生のお話もございましたし、私どもとしましてはよく研究しまして、移住者自身の福祉を将来どうしたらより増進できるかという観点から、さらに研究を続けたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/35
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036・小川平二
○小川委員長 岡良一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/36
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037・岡良一
○岡委員 私は外資法、昭和二十五年に公布された外資に関する法律、これについて若干お尋ねをいたしたいと思います。
あらかじめ私の立場を申し上げておきたいのですが、私は現存における国際的な経済競争は製品の競争というよりも新しい技術と技術の角逐である、こういう見地から外資法の運営についてお尋ねいたしたいと思います。
まず大蔵大臣にお尋ねいたしたいのは、いよいよ貿易の自由化も目前に迫りました。そこでこの外資法を現状のままで存続されるのかどうか、あるいはまた改正を加えられるのか、この点の御構想あるいは御所信をまず承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/37
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038・水田三喜男
○水田国務大臣 これまで為替由化の問題と関連して外資法のワク内でずっと運営してくる、運用の改善をはかるという形でやってきましたが、しかし外資法の改正を検討する時期に私は来ておると思います。問題は、日本が自由化を行なっても、御承知のように通常貿易の自由化が行なわれても、外資導入のような資本取引の問題については、IMF協定の趣旨から見ましても、また欧州諸国の例から見ましても、経常取引の自由化が行なわれた後でも、最小限必要な外資に対する規制というものは存置することが必要でございますので、その一点はございますが、現行法のワク内運営でうまくいくかどうかという問題は現在出ておりますので、この改正については、私はもう検討する時期に来ておると思いまして、部内においても、この検討はただいま始めておる現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/38
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039・岡良一
○岡委員 そういたしますと、貿易の自由化、為替の自由化を控えて、政府としては外資法を改正するという方向において検討中である、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/39
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040・水田三喜男
○水田国務大臣 これは為替管理制度全般の改正問題ともからみますので、なかなかすぐにこれをこう改正するという結論は出ておりませんが、そこらの問題とからみ合わせて、ただいま検討しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/40
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041・岡良一
○岡委員 改正をする方向で検討中ということでございますと、私は、昭和二十五年から今日までの外資法の運営の功罪というものを検討する必要があろうと思います。
まず第一にお伺いいたしたいことは、政府の統計で見ましても、昭和二十先年から昭和三十五年までの間に、外国から導入した技術の対価として支払ったものが一千億をこえております。ところが、わが方の輸出した技術の受取勘定というものは十四億程度かと存じます。非常なアンバランスである。一体こういうアンバランスは、はたして正常なものであるのかどうか。外資法には、わが国の経済の由仁ということが第一条にうたってございますが、こういうアンバランスのままで、わが国の経済の自立というものがはたして達成できるのであろうかということを私は懸念するわけでございますが、このアンバランスを正常と思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/41
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042・水田三喜男
○水田国務大臣 それがアンバランスであるかどうかということ自身が、私は非常に問題じゃないかと思います。技術導入をしなかった場合のことを考えましたら、日本の国内経済がそれだけ外国からの輸入に負わなければならぬという問題もございましょうし、それらを計算しなければ、技術導入の対価と、反対に日本が向こうへ輸出したものとの単純比較はできない問題だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/42
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043・岡良一
○岡委員 私は、外資法を通じて、外国のすぐれた技術が日本に入ったことのプラス面を否定するものではないのです。決して否定するものではございませんが、しかし、それにしても支払い勘定が一千億をこえている。受取勘定が十数億しかない。やはり政府の統計を見ますと、英国では受取りのパーセンテージは支払いの大体二四%、いくさに負けたイタリアでも二〇%、西ドイツでも二九%、フランスが四〇%、アメリカなんかでは外国への技術輸出のための受取勘定の方がはるかに多い。これは論外といたしましても、いくさに食けたイタリアや、西ドイツが、自国の経済復興のために外国の技術を導入しておるが、しかし、それにしても比率は二〇%、二五%というものです。日本では一%そこそこです。こういうことで、外資法には経済の自立ということが第一条にうたわれておって、はたしてそれができるのかどうか。これはいろいろな総合的な判断も必要でございましょうが、この事をもってしても、一体今日までの外資審議会、これはあなたが会長をして運営をしておられるが、妥当な運営であったかどうか、十分に公正な御判断を願ってしかるべきだと思うし、御判断があると思うのですが、今の大臣のお話では総合的に判断されるとおっしゃいますが、どういうふうに具体的に御判断なさるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/43
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044・水田三喜男
○水田国務大臣 もし、日本がこの技術導入をやらなかった場合の日本経済の現状というものを考えたら、これは今の様相とは全く違ったものになっているだろうと思います。ここ四、五年日本は技術革命が行なわれたといわれておるくらいに、日本の技術は躍進をして参りましたし、それに伴って、その技術を土台にしたいろいろな日本の生産品が海外に輸出されて、この三、四年の輸出傾向そのほかを見まして、それがまた日本経済の規模を大きくすることにどれだけ役に立っているかというようなことを考えましたら、そういうことに役立てるためにこそ技術導入をしているのでございますから、この技術導入の目的というものがそういうところにあるのでございますから、これが相当大きい対価を払うことであっても、日本経済がこれによってマイナスになっているというような事実は、現実にはないのじゃないかと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/44
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045・岡良一
○岡委員 さっきも申しましたように、この外国のすぐれた技術を導入することは私は否定するわけではないのです。ただ、しかし、それにしても支払い勘定と日本の技術輸出の受取勘定とがあまりにも激しく懸隔があり過ぎる。これでもって日本の経済自立ができるのかということをお尋ね申し上げておるのです。
それでは、具体的に一体何を輸入しておるのか。結論を申しますと、この外国技術導入要覧という書物を見ますと、昭和二十五年から三十五年までの外国技術の導入のリストがございますが、あらゆる産業において心臓部は全部と言っていいくらいに外来技術です。だから、今花形産業と言われておるようなものにつきましても、電気産業で見れば、詳しいことはまた別な機会に別な委員会で申しますが、もうほとんど、私が調べた範囲内では外来技術でございます。三菱電機はウエスティングハウス・エレクトリック、東芝はゼネラル・エレクトリック、富士通機はシーメンス、日電はインターナショナル・スタンダード・エレクトリック、電気産業といったって、これは包括契約でもって弱電も軽電も全部技術導入をやっている。松下電器はオランダのフィリップスやRCA、こういうような形で、電気産業はそういう状態です。それから自動車産業にしてみたところで、やはり日野はルノーと、ヒルマンはいすずと、オースチンは日産というようなところで、ほとんど包括契約でもってやっている。コンビナートということがこのごろ言われておりますが、コンビナートというものは全部外国の技術です。一例をあげますと、会社の名前は省略いたしますが、コンビナートというものは要するに原油からナフサを作る、そのナフサからエチレン、ポリエチレン、ブチレンを作る、これは全部もう外国の技術導入でやっている。しかも、ポリエチレンなら。ポリエチレンだけについて見てみても、七つの会社が七つの別々な外国会社から同じ技術導入をやっておるのです。ポリプロピレンなんかは、御存じの通り、三井、三菱、住友がモンティカティニ参りをやって技術導入の合戦をやっておったというようなことが新聞に出ておる。こういう形で今日までの外資審議会の運営というものは、全く外国技術——私は外資審議会というものには政治はなかったのじゃないか、あったのはただメーカーの要求があっただけだ、こういうことで日本の経済の自立というものができるのか。初めにも申しましたように、今日の経済の自立というものは、技術というものが基礎である。どんな新製品を作ったって五年が寿命だ、すぐにまた新技術が開発されて、これによって新製品ができる。だから、もっと国産の技術の開発をやらなければならないのに、こういう形で、いわゆる花形産業というようなものでも、片っぱしから外来技術の導入に依存しておる、こういうような行き方で一体いいのだろうかと私は懸念するのです。この点もう少し具体的にお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/45
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046・水田三喜男
○水田国務大臣 今、技術提携のいろいろな申請の中に見られる現象は、日本の中における競争会社が、一方がこういう技術を入れているから自分の方も対抗的にこういう技術を、他社の技術を入れたいというような、そういう競争的なことから技術導入をしたいという希望はございますが、これはまた私どもは別の角度から、すでにその程度の技術水準のものが日本に導入されておるのなら、別の技術導入はしなくてもいいというふうな観点から、ずいぶん最近はそういう問題についての審査は厳重にやっております。しかし、これまでのことを見ましたら、戦争中日本はほとんどこういうものの技術がおくれてしまっている。戦後も長い間混乱状態を呈しておりましたから、外国の技術水準から比べたら、日本はもう十年、二十年のおくれを、ほとんど全部門にわたってとっておるというのが最近までの現状でございまして、たとえばガラス繊維の問題を見ましても、あのラムネの玉みたいなものを作り、そこから繊維を引き出すのですが、日本もずいぶん国産研究で金をかけましたが、どうかけても、もう十年のおくれは取り戻せない。アメリカあたりでは、その玉一つの研究に一社で一年に三百億円も研究費を使っているという状態ですから、日本がやっても、向こうがさらに進んでしまうというのが各部門に見られる技術の実情でございますので、日本が先進工業国になるというためには、国産の研究ではもうほとんど間に合わない。一応世界水準並みの技術を取り入れて、そこまでの水準に日本を持ってきてから、それから初めて日本の技術水準というものは上がっていって、新しい技術が出てくるときにも日本は追いついていけるという技術水準の基礎を急速に高めるということをしなかったら、これは自立経済も何も問題にならぬというのが実情だったと思いますので、私どもは、日本の技術水準を国際水準まで一応持ってくるというためには、外国技術の導入というものは、むしろここでやらすべきものだというくらいの積極的な考えを持っておりましたので、今日まで千六百件以上の技術導入をやっておると思いますが、これは私は方針として間違いもなかったし、これを審査した審議会の行き方というものも私は間違いなかったと思います。これで自立できるかと言われるのですが、自立経済を作るためにこそ技術導入を急いだというのが今日までの日本産業の実情だと思っております。それから、今申しましたように、同じ程度の水準のものを、会社がただ競争のために導入したいというものを次々に許可していくかどうかということは問題でございますので、そういう点の注意は十分いたしておりますが、これまでのところはまだまだ十分と言えない部面もたくさんございますし、私はこの方針は間違いだったとは、今考えていません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/46
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047・岡良一
○岡委員 技術導入に関して政府の方も専門家の方針を聞かれる機会があったと思います。実は、そういうことに関係しておられる専門家の方が私に漏らされたことがある。もう一年か一年半しんぼうして研究してくれれば外国から買わなくても国産の技術でやれる、それを国内の企業が非常に急ぎ過ぎるのだということを漏らされたこともあります。ですから、今では戦後ではないという声もございますが、今後外資法を改正の方向で検討されると思いますが、日本におけるメーカーが同じ技術を別々の外国の会社から導入をする、そしてそのために不必要な過当競争をやっておるという弊害は除去して、国産技術を育てていこうという腹づもりでこの外資審議会を運営する、そういう方向でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/47
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048・水田三喜男
○水田国務大臣 そうしたいと思います。一応この水準が高まっておるときでございますから、今後は従来導入した技術に基づいて国産の研究も進むはずでございますし、現に今おっしゃられたような、もうちょっと待てば技術がそこまでいくと見通されるものも最近になって初めて出かかってきておるときでありますから、そういう点は十分御趣旨に沿ったような運営をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/48
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049・岡良一
○岡委員 国産技術の育成開発ということは科学技術庁のお仕事になるわけでもありますが、科学技術庁としてはこの外資審議会に対して、あるいはまた今後に対してどういう考え方を持っておられますか。振興局長がおられますから承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/49
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050・前田陽吉
○前田(陽)政府委員 お答えいたします。科学技術庁といたしましては、外資審議会の場を通じまして、国産技術で十分可能のようなものはもちろん排除しなければなりませんし、また近く国産技術が企業化されるという見通し確実なものにつきましては、これを、こういうことによりまして国産技術の芽がつまれないようにというような意見を十分外資審議会を通じまして申し上げておりますし、また今後もそのようにいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/50
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051・岡良一
○岡委員 なおこの機会にお尋ね申し上げたいのですが、これからの国際的な経済の競争はむしろ技術と技術の太刀打ちと申しますか、新製品といっても五年くらいの寿命しかない。おそらく今強靱でつやがあって世紀の最後のポリプロピレンといっても、いつまで続くかわからない。アルミよりも軽く鉄よりも強いデルリンといっても、また新技術が開発されればどこかでかわるものが出てくる。大蔵大臣もよく認識していただきたいのは、こういう技術革新時代における新技術というものは、深い、しかも非常に広い底辺を持った基礎研究の上に初めて出てくるわけです。だから外国から技術を導入するというのは、アメリカならアメリカというお花畑からその花を切り花をして、日本の床の間に置くだけなんです。だからこれは枯れればそれだけなんです。新しい技術が出てそれに基づく新製品が外国で出てくれば、それで日本は新しい次の技術を導入しなければやっていけない。だから切り花ではなくて、自分の国に芽ばえて花を開いて実を結ぶ、これがまたその土壌で新しい芽を芽ばえていく、花を開く、そして実を結ぶ、こういう形で現在の新しい技術革新というものが進められていく。先ほど申しましたように、今の技術はただ外国から技術を導入すればそれで日本の経済の自立ができるとか、輸出が振興できるなどというような、こういう古い観念の技術というようなものではない。切り花を持ってきたって一時床の間はにぎやかになるかもしれないが、それでは決して実を結ばない。ここに技術革新時代における技術というものの本質があるということを私はほんとうに認識してもらいたいと思う。そういう角度から国産技術を育て、日本の経済の大きな支柱を国産技術で支えていく、こういう政策というものをぜひ一つ強く私はやっていただかなければならぬと思います。これが私は今日までの外資審議会の運営における一つの大きなマイナスだったと思うのです。この点はぜひ大蔵大臣もおっしゃいましたから、今後のお手並みを私は刮目をして期待をいたしたいと思います。
その次には、この外資審議会の運営、先ほど申しましたように、とにかく安上がりにつくというのでどんどん外国から技術を導入した、その結果日本の国に一体どういう矛盾が起こってきたか。日本の産業構造に一体どういう矛盾が起こってきたかという問題、今格差解消ということが盛んに言われております。そしてまたおそらく一切の政策の中心の課題でもあろうかと思いますが、私は大経営と中小経営との格差、生産と所得における格差、それは結局技術の格差だと私は思う。技術とそれに基づく設備、それを持つものと持たないものと格差が、日本経済の二重構造の根本の原因だと思う。そういう意味でなかなか中小企業では効果がある。特に最近はプラント一つでも非常に巨額を必要とするようになっておるだけに、手が出せないということから、こういう現状ではますますもって格差というものは広まっても埋まらないと思う。だから外資法というものの運営において今後検討する、あるいはまたその改正に検討を加えられるというならば、そういう観点からも検討を加えていただかなければならぬし、同時にまたそれに即応したあるいは法制的なりあるいは予算的なりの措置の裏づけを私はしていただかなくては、この二重構造の解消というようなものはとうていできないと私は思います。こういう点について、大蔵大臣として御所信があったら承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/51
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052・水田三喜男
○水田国務大臣 その御質問の意味でございますが、技術導入すると大企業と中小企業の規模の格差ができてくるという問題でございましょうか。それとも今この問題で始終問題になりますが、たとえば紙やすりといったような問題、こういうものに外国技術を入れるというようなことは、日本の中小企業に大きい影響があって、日本の技術でももう一、二年いけばそこまでいくということが目に見えておるような問題もございますので、こういう問題の技術導入はやめろというようなことに関連した問題かどうか、ちょっとはっきりくみ取れませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/52
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053・岡良一
○岡委員 私が申し上げましたのは、前段の点でございます。というのは、なかなか外国の技術導入と申しましても、特に最近は巨額の資金が要るわけであります。そうすると中小企業はとても手が出せないということから、外国の技術というものは大企業に集中するということになります。そうなればやはり大企業と中小経営との技術の格差というものが、ますます激しくなって深まってくる。そうなれば日本の経済構造の二重性というものはとうてい解消できないのではないか、だからこういう点についてやはり政策的に、予算的に、特に予算的に大蔵大臣として考慮をしていただかなければならぬ。だから外資法を改正して国産技術の養成という方向に向かわれるならば、あわせてこういう点にどういう顧慮をしていただけるものであろうか、この点をお伺いしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/53
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054・福田久男
○福田(久)政府委員 実情をちょっと御説明申し上げておきたいと思いますが、外国技術の導入がおのずから大企業に多いということは、傾向としてはお話の通りでありますが、最近におきましては、大企業の方がそういう技術を導入いたしますと、それに関連した部品等の製造につきましても、やはりそれと相呼応したような技術水準のものにならないと、完成品としてマッチしないという事態もございまして、中小企業におきましても、従って今までの技術の水準を高度化し、その企業を専門工場化するというような傾向が漸次最近強まってきました。中小企業についての技術導入というものも出てきつつあるのでございまして、これらにつきましては、外資審議会なり幹事会なりの運営といたしましては、それら中小企業の外資導入については、できるだけ好意的に審査していこうという方向で取り運んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/54
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055・岡良一
○岡委員 ぜひ一つそういう方向で進めていただきたいと思うのです。これは御参考までに申し上げるのですが、ちょうど昨年の十二月に私はドイツのフォード工場を見たことがあります。大体年産四十万台というのですが、私はそこの社長に、下請は一体どれだけあるのだと聞いたら、下請という言葉がわからない。供給会社ならば七百ある。観工場ではプレスと組み立てとエンジンだけやっておって、その他の計器数とかキャブレターとかいうようなものは全部下請供給会社でやる。そこで資金の援助とかあっせんをするのかと聞くとノーと答える。それじゃ技術指導をするのかと言うと、ノーだと言う。支払いはどうか、支払いはゾーフォルトだ、すぐ払うと言うのです。彼らは資金の援助や技術指導などということを自分の方から言い出すのはおこがましいと考えている。それほどに彼ら自身の自主的な技術を持っておる専門工場だということを申しておりました。今日本の産業がそこまでいくということはこれはなかなか大へんなことだとは思うが、しかしやはりそうありたいものだとしみじみそのとき思いました。だからやはりそういう方向に政策を進めてもらわなければならぬ。なるほど設備近代化資金は一昨年が三十億弱ですが、昨年が四十五億、今年度は百億弱かと思いますが、しかしそれでは一体あの設備近代化資金が今お答えになった親工場が優秀な技術を入れ、それに従って系列工場も設備の近代化をはからなければならぬというような、まあ調べてみると三割、四割はやはり中古のグラインダーなりあるいはフライス盤なりミーリングを買っておるようです。だからいつまでたったってああいう程度ではこの技術の格差というものは私は埋まらないと思う。だからもっと積極的に、外資法が外来技術導入に対しては国産技術を守るという立場から規制を加えると同時に、一方日本の中小企業の技術と設備の向上に対して、本格的な努力をぜひ払っていただきたい、こういう気持で申し上げておるのであります。大蔵大臣の御所信をこの機会に承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/55
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056・水田三喜男
○水田国務大臣 大企業の技術導入と関係して、中小企業もこれに対応した措置をとるという今為替局長から説明がありましたが、実際を見ますと、独自の自己の金融によって工場の合理化をやるというものよりも、最近の傾向はやはり大企業の系列化ということによって、部品の製造においても、その親工場の技術に対応する部品でなければなりませんので、そういう点においては、機械その他設備を親工場からめんどうを見てもらって、その改造をやるとか、技術者を派遣してもらって、その指導を受けるというような形で中小企業の近代化が進んでいくという部面も、実際には私相当に多いように考えておりますが、それでなくて、中小企業全般の合理化促進というようなものについては、今御要望のございました方向で私ども努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/56
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057・岡良一
○岡委員 実際問題として、私ともが大手筋のたとえばテレビ工場を見学する。そうすると白い帽子をかぶって、白いユニホームを着た娘さんたちが喜々として仕事をしておる。流れ作業のベルトの前で組み立てをやっております。じゃ今度真空管なら真空管の下請に行く。もうこれはその工場の条件とは違って非常に悪い。しかもさらにその下に家内労働がある。ニクロム線か何か知らないが、線を入れたりするのに、一日でもわれわれがやればそれこそもう目が見えなくなるのではないかと思うような微細な仕事で、家内じゅうが何らの労働法規によっても守られない家内労働をやっておる。ところが系列々々とおっしゃいますが、系列の下の方の家内労働は大企業のクッションになっております。日本の景気の浮き沈みがあれば、この頂上におる大手筋はまあ大体日の当たるところにおる、下がクッションになっておる、ここの労働者にしわ寄せがくるというような状態、こういう状態をやはり改善するためにも、もう少し中小企業における技術と設備の近代化というものを本気でぜひ一つ取り組んでもらいたい。こういうことについて十分努力はしたいとおっしゃいますが、具体的にぜひ一つこの際やっていただきたいということを心からお願い申し上げます。
いま一つは、この外資法の中に、国際収支の改善というようなことが書いてございます。認可、指定等の基準ということで直接または間接に国際収支の改善に寄与すること、日本経済の復興に悪影響を及ぼすものは認めないというような基準があるわけですが、今問題となっておる日本の国際収支の赤字の問題でございます。これがやはり従来の外資審議会の放漫なというよりも、無計画的な運営がこの非常に大きな原因になっているのではないかと私は率直に思うのですが、大蔵大臣はいかが考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/57
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058・福田久男
○福田(久)政府委員 一番最初に先生の御指摘になりました事柄と関連しているように思いますが、技術を外国から輸入する金額は、昭和二十五年以来三億ドル以上になっているのではないか、日本からの技術輸出はきわめて少額にとどまっているのではないか、それで技術援助の収支が非常にアンバランスであるという御指摘なのでございます。それと関連するかと思うのですが、大臣からもお答え申し上げたように、この技術の輸入と技術の輸出と対比することに、ちょっと日本の実情から見ると合わぬ点があるのではなかろうか、そういう見方もございますけれども、というのは先生も御指摘になりましたが、海外の先進工業国と日本との技術水準の差異ということからくるのであって、技術援助を受け入れます場合の国際収支の考え方は、その技術援助を受け入れた結果、輸出が増大するか輸入が減少するかということと関連するわけでございます。もしもその技術を受け入れなかったならば輸入はふえるかもしれぬし、あるいは輸出はふえないかもしれぬという問題がございますので、それらの観点から、外資審議会で審査するにあたりましては、この技術を入れることによって国際収支上どういう影響を及ぼすか、言いかえますと、輸出がはたしてどの程度伸びる見込みであるか、あるいは今まで輸入しておりましたものが国産で間に合うようになるのがどの程度あるであろうか、これは見込みでございますので、なかなか正確ではないかと思いますけれども、一応それらの点を審査の一つの重要なアイテムと心得ているわけであります。そういう意味合いにおきまして、それに寄与しないようなものは認めにくいという方向に向かうわけでございます。そういう意味で大臣からもしばしばお答え申し上げたように、輸出の増進なりあるいは輸入の防止なりにかなり役立っているであろうというふうには考えております。ただ具体的にその金額が幾らであったかということについてはトレースしておりませんので、はっきり申し上げられませんが、先ほど御指摘のありました国際収支との関連というものは、技術援助につきましては、今申し上げたような観点で、その影響あるいはその効果というものを判断の重要な資料と考えて処理いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/58
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059・岡良一
○岡委員 なるほどその御趣旨は私は別に否定するわけではないのです。ただ今後に外資法改正の方向で一つ検討するということでございますから、過去のあり方についてはこれをどう切りかえていくべきかという角度から私は申し上げているわけであります。
それからいま一つは、特にあなた方は大蔵省としての立場から考えられ、通産省は産業行政という立場から考えられますが、しかし繰り返し申しますように、今後の競争というものは、これはもう製品の競争じゃない、技術の競争だ、いつまでも外国のまねをしておったのでは、いつまでも外国を拝していくより仕方がない。しかも御存じのように、相当なイニシアルを払っている、ロイアルティも、多いものは八%からのロイアルティを払っている、そして輸出市場の制限を受けている、これに加えるにミニマム・ペイメントという悪条件を甘受している。ここまでひざを屈して外国技術の導入を急ぐという手はないじゃないか。ただ私は、国際収支においてそういうやり方が今日における赤字の一つの大きな要因になっているのではないか、ということを申しましたのは、先般もこの委員会で同僚の堀委員が申しておられた、それについて同調しておられる参考人もあった、要するに設備投資が設備投資を呼んでいるのだという表現でそれは言われておった。しかし設備投資が設備投資を呼んでいるということは、さらに具体的に言えばポリプロピレンがポリプロピレンを呼んでいる、鉄が鉄を呼んでおる。こういう形で、その間に間に日本のメーカーが別々な海外商社と提携をする、あるいは同じ商社に向かって殺到して競合する。こういうようなことで技術を入れれば、何といったってやはり機械の輸入もせざるを得ない。機械を運転するには原料も要るでしょう。そういう形で結局日本の国際収支の赤字の大きな要因になってきておる。
もう一つ、私ども申し上げたいし、また皆さんに目を開いてもらいたいと思うのは、日本人の科学的な能力というものは決して外国に劣らないと思う。これをものまねの中に押し込んではいかぬ。やはり持っておる。ポテンシャルを生かして、それを引き伸ばしていくことが今日における大きな政治のめどでなければならないと思う。ところがただものまね、ものまねで安易につくという状態をやっていっていたのではいけない。それが事実上、結果としては今申しましたような国際収支の赤字になる。設備投資が設備投資を呼ぶ、これは結局、技術が技術を呼ぶという形において、無計画な海外技術の導入が日本の赤字の根本的な要因になると考えます。こういう点からも外資法の改正、あるいは今後の運営において十分戒心をしていただきたい。この点について大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/59
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060・水田三喜男
○水田国務大臣 結局、小手先の小さい問題の発明とかなんとかの奨励段階ではない、日本はここで、外国技術を入れている間に、それと並行して基礎科学の技術の研究を強化するということが一番大切な問題だと思いますので、予算の編成におきましても、特に今度はそういう点に気をつけた予算編成になっておると思いますが、それによって今おっしゃられるような問題を根本的に解決していく以外には方法はないだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/60
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061・岡良一
○岡委員 たとえばことしの科学技術関係の予算は昨年に比べて一〇%余りの伸び、総予算は二〇%余りの伸びと聞いておるのですが、そうすれば相対的には減っておると思います。政府は科学技術の振興をいつでもそのつど重点政策の中に加えられておるけれども、予算的には決して重点として取り扱われておらない。これはもう少し大蔵大臣としてがんばってもらわなければならぬ。大蔵省としてもっと理解を持ってもらいたい。もはやこれが経済の主柱であるということをもっともっと認識をしていただきたいと思うわけです。
もう一つは、この委員会でも問題になっておりましたが、いわゆるオーバー・ローン、オーバー・ボローイングの問題です。設備投資が設備投資を呼び、ポリエチレンがポリエチレンを呼び、あるいは鉄が鉄を呼びポリプロピレンがポリプロピレンを呼ぶというこの無計画な過当競争をこのままに放任しておるから、都市銀行のオーバー・ローンが起こる。会社においてはただやみくもに急ぐからオーバー・ボローイングが起こってくる。日銀がそのしりぬぐいをしなければならぬ。これまでのような海外技術の導入の扱い方では、日本の金融そのものの不安定が解消しないと思う。そういう角度からもこの外国技術の導入について、やはりよほどちゃんとした筋の通った識見を持って臨んでいただかなければなるまいと思う。この点について大蔵大臣の御所信を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/61
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062・福田久男
○福田(久)政府委員 外国技術を導入するにあたっては、優良技術を導入するということに大きな主眼を置いておるのでございますが、もちろん先ほど来御指摘のありました国産技術で間に合うようなもの、あるいは国産の技術が近くできるであろうというようなものは、科学技術庁からお答え申し上げたように、そういうものは入れないようにしていく。それから設備投資との関連でございますが、過剰投資に陥ることのないように、また当該設備投資なるものが、たとえば通産省における産業合理化審議会等において審査されましたそういう実態に含まれておるものであるかどうか、そういうようなことを検討いたしまして、いわゆる行き過ぎ投資、過剰投資を防止するような配慮もいたしております。また同時に、昨年あたりから非常に機械輸入が増加しておりますので、国産機械で極力間に合わせるようにというような配慮もし、輸入機械に依存するのは必要最小限度にとどめたいというような配慮もいたしておりまして、現在運営上御指摘のような点について、十分そういう方向で進むように注意して運営して参っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/62
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063・岡良一
○岡委員 ぜひそういう点は大蔵大臣としてもほんとうに御考慮を願いたいと思う。それでそういうこれまでのあり方が非常に悪いくせを馴致しておる。それは結局民間企業の研究投資というものが非常に少ない。これはもう何かといえば、外国で発明された新技術を入れれば安上がりだという考え方、これも政府の調査報告だが、こういうパーセンテージは全く問題になりません。一々数字は申しませんが、総売上高に対する研究投資のパーセンテージを見れば二%で、三%のものは一つもない。これは例にはならぬと思いますが、この書物ではデュポンの研究投資が書いてあるが、総売上為の三〇%研究投資に使っておる。日本のメーカーも最近は中央研究所のようなものをあちこちで作り出してきておる。しかし、おそらくたかだか外国から導入した技術の改良が研究の両点ではなかろうかと私は想像しておる。これでは自己のものが生まれてこない。そういう意味でアメリカは、デュポンはもちろん論外ですが、研究投資に非常にはり込んでおる。ソ連はソ連で国家の権力で技術なり資金なり人なりを動員をして、一つの目標にかり立てておる。ちょうどこの谷間にある日本はどうすればいいか。技術開発、その点は、私どもは別の委員会で十分また政府の所信をただしたいのであるが、特に大蔵大臣として考慮願いたいのは、もう日本とすれば研究の共同化しかない。いろいろな問題がありまするが、研究の共同化ということが今後の国産技術開発の一つの大きなめどになってきておる。研究組合が昨年国会を通って、税金は免除しようというような措置が行なわれておる。非常にけっこうなことではございまするが、しかし、これに対してやはり政府が補助するというところまで積極的に援助してやってもらいたい。もちろん研究組合の組織も最近二、三できておるようですが、この研究組合も英国やフランスのように、すべて関連業者も含むというようなものではなくて、ただ一部の有志の企業者の組合という、これではいけない、すべての業者が、そしてそのお互いの持っておる研究所は研究所として、全体の組合の持つこの組合センターを作る。これにはやはり政府が補助金を出し、援助してやる、税金だけでもというところまで積極的に——英国なんか現にそれをやって相当の実績を上げておるようだが、やっていただきたい。金の力、権力の力、足りない日本としては、乏しい資金、少ない人、そして悪い設備、この悪い条件を克服していくのには、これは共同しかないのです。この共同研究というものの推進と、それに対する国としての予算的な援助、これはぜひ一つできるだけ早い機会に大蔵省としてやってもらいたい。大蔵大臣の御所信を私はお聞きするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/63
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064・水田三喜男
○水田国務大臣 民間研究をもっとどんどん盛んにするということは、これは当然必要でございますので、これに対しては御承知のように税制上のいろいろな措置を私どもはとることにいたしております。
それから民間における共同研究というような、共同の研究が強化されることはもちろん望ましいことでございますが、民間の研究はどうしてもそれぞれ特殊部門の研究というものになろうかと思いますが、その前提としての科学の基礎研究というものがやはりもとになるものでございますから、これはもっぱらやはり国の研究機関、国の大学その他の研究機関が担当しなければならないものだろうと思いますので、そういう面の予算強化は今度確かにいたしております。さっきパーセントの問題が出ましたが、比率で比べられるのが私ども一番困ることでございまして、たとえば去年はこういう事情があって二十五億円の設備が必要だったというので、去年金を盛る。ことしはその設備が完成したから、普通なら二十五億円の金額が落ちるはずですが、予算の編成になりますと、この比率にみなこだわりますから、その落ちる分を埋めて、さらに何%か伸びたという形の査定になってきますので、実際の内容を見ましたら、内容的には相当大きい強化になっている、これをごらんになればおわかりと思いますが、そういうことになっておりまして、政府と民間との両方の研究費を見ますと、最初経済成長政策十年間で見た総研究費と、このくらいの研究費は投入さるべきであるといういろいろな計画もございました。それから見ますと、当時とても大へんな金額と思われたのが、そうではございませんで、この一、二年の研究費総額というものは相当大きくなって、もう昨年度あたりはおそらく二千億円以上をこしておる数字になると思います。そういう傾向になって参りましたので、私どももますますその傾向を助長するというための税制の措置、金融の措置といろいろなことは講じて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/64
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065・岡良一
○岡委員 最後に希望を申し上げたいのですが、科学技術会議が昨年答申を出して、その中で国民総所得の二%程度はやはり科学技術関係の予算としてさくべきだ、ところが事実上、苦手ではございましょうが、相対的には数字が落ちてきておる。そこでこれはやはり大蔵省の頭の考え方を少し変えていただきたいのは、科学技術、科学技術というと何か一つの手段のような、副次的なもののような考え方がある。私はただこれに偏執して申し上げるのではないが、今日の技術革新の時代になったら、これがもうその国の経済を支えておるのだという認識を持ってもらいたい。しかもこの自然界に存在をしておるいろんな原則を探究して、この原則を生活の向上なり経済の繁栄に役立てるというのが新しい技術なのだ。従って大きな一つの投資活動だ。そういう観点をわきまえていただいて、ぜひ一つまた今後の御努力を願いたい。こういうことを申し上げて私の質問はこれで終えたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/65
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066・小川平二
○小川委員長 しよう脳専売法を廃止する法律案、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び財務部出張所の設置に関し承認を求めるの件の各件を一括して議題といたします。
質疑の通告がありますのでこれを許します。有馬輝武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/66
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067・有馬輝武
○有馬(輝)委員 しよう脳専売法の問題について、最初に谷川さんにお伺いいたします。
この前私が質問いたしましたときにも、また武藤委員から質問がありました際にも、法律上今度の廃止に伴う補償について本年度分でなければ困難だ、その法律の形としての御説明はあったのですけれども、実態につきましては私がこの前申し上げましたように、本年廃止するものも、あるいは昨年、一昨年のものも状態は同じだと思います。ただ形式的に法律上無理だという御説明ではまだ納得がいきかねますので、その点についての再度の御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/67
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068・谷川宏
○谷川政府委員 お答え申し上げます。しよう脳専売法を廃止する法律案の第六条におきまして、公社は、昭和三十七年度において、三十六年度中に粗製しょう脳等を製造した者、以下略しますが、その者に対して交付金を交付することができる。三十六年度中に粗製しょう脳等を製造した者と規定いたしました理由は、今回しよう脳専売法を廃止する、これは附則の第一条で三十七年四月一日から廃止することになりますので、廃止時現在、廃止の日の前日、すなわち三十六年度の末日において、しよう脳の製造を行なっていた者に対しまして、この法律で交付金の交付ができるように規定をしているわけでございますが、それはしよう脳専売法を廃止することによって直接経済的な損失を受ける君はだれかということを考えますと、しよう脳専売法を廃止するときにおいて、しよう脳の製造に従事した者が該当すると考えるわけでございます。それで、この前の委員会で御説明申し上げましたように、専売法を廃止することによっては、法律上相手の方々に新しい義務を課したり、あるいは権利を剥奪することにはならないのでございまして、従来、専売法のもとにおいて恩恵を受け、保護されておったその恩恵なり保護がなくなるわけでございますから、専売法を廃止したことによって、従来専売法のもとにおいてしよう脳の生産を続けておった方々に対しまして、補償措置を法律上当然に講ずる筋合いではないのでございますが、長い間、専売法のもとにおいて、しよう脳生産に従事してこられたこれらの業者の実態が非常に零細な企業であり、また設備等も非常に貧弱な状態でございますので、将来しよう脳の生産を続けていく、しよう脳産業をますます発達させていくためには、この際、自由企業になる場合において、自由競争に耐え得るような設備の合理化、近代化をはかる必要もございましょうし、また専売がなくなった場合においては、将来生産をやめたいという方々も出て参りますので、そういう方々に対して、転廃業資金等を政策的に考えるべきではなかろうかということからいたしまして、この法律の第一六条による交付金の交付ということを定めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/68
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069・有馬輝武
○有馬(輝)委員 僕がお伺いしておるのはこの前から一貫しておるのですよ。昨年三十六年度に専売法を廃止する法律を出せば、この前の人たちも救われたわけです。それをことしに出しておいて、それは前の連中はああなんだというのでは話がわからぬから、そこのところを説明してくれというわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/69
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070・谷川宏
○谷川政府委員 法律的に申しますと先ほど御説明した通りでございますが、それでは、なぜしよう脳専売法を廃止する法律を今出し、昨年出さなかったかということでございますが、三十五年の三月に専売制度調査会が答申を出しまして以来、その答申の線に沿って、しよう脳専売法を廃止するかどうか、慎重に検討し、また業界の方々とも接触を保って参ったわけでございます。そこで、今回提案することになったわけでございますが、その間、三十五年度において、業界の方々の自発的ないろいろなやり方によりまして、しよう脳生産を廃業された方が相当多数おるわけでございます。そこで、これらの方々は三十四年度以前にしよう脳専売事業を廃止した人たちとは、いきさつが若干異なるのじゃなかろうかという御意見等もございまして、三十五年度中に廃業された方々に対しましては、この法律とは別に、三十七年度の予算が成立いたしました場合においては、三十七年度の専売公社の予算の中で適当な措置を講じて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/70
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071・有馬輝武
○有馬(輝)委員 繰り返して言って非常に恐縮なんですけれども、条件は全く同じなんですから。今、大蔵省、専売公社の御配慮によりまして、最後の手を考えるという点については、私たちも敬意を表しているのです。ただ問題は、その条件は同じなのに、たまたま政府が三十六年度に出さなくて三十七年度に出した、それだけによって、その手当というもの——額の問題じゃないのです。その取り上げ方に差があり過ぎるので私は問題にしておるわけです。しかし、これはせっかくの与党の理事の諸君、また皆さん方の御努力の経緯もありますので、私はこれ以上申し上げませんけれども、やっぱり時期を選ぶ、この点については、ただ大蔵省なり専売公社の都合によってということではなくて、この専売事業に長年従事してきた諸君の立場に立ってものを考えるということが、国の政治の眼目でなければならないと私は思う。そういう意味で、今度はいささか配慮が足りなかったのではなかろうか、このように考えるわけであります。
次に、総裁に、これは質問というよりも要望でありますが、二、三点申し上げまして、もし所感があるならばお答えをいただきたいと思います。
この点につきましては、この法律の通過によりまして、雑然労働条件にもいろいろな影響が出てくることはこの前武藤委員からも指摘された通りであります。こういった問題につきましては、やはり仕事に従事しておる諸君と事前にある程度の輪郭について話し合う、こういう慣行が非常に必要なのではなかろうか。あとに塩なりあるいはたばこが残っておるわけでありますが、とにかく専売公社できめてしまって法律を作って、あなた方はこれによって配転をやるのだ、どうするのだというのでは、スムーズな労使慣行というものは打ち立てられないので、そういう点について今後やはり留意していただきたい。
それから、これも武藤委員からこの前話があったわけでございますが、職場の保障の問題、それから配転のきかない現場の諸君の生活保障の問題、こういう点について今後組合と十二分に話し合いを進めていただきたいと思うのでありますが、その際には、この委員会で論議された趣旨に従ってといいますか、委員会の論議の意図を十分にくんでいただいて、話し合いを続けていただきたい。
第三点といたしまして、こういった問題が契機になりまして、塩あるいはたばこというふうに発展をするのではなかろうか——まさかたばこまではいかないと思いますけれども、そういう懸念が非常にあるわけです。ばかなと言って笑って済まされればそれまでのことですけれども、そういった点について、この際、関連させないのだという点をはっきり言明しておいていただきたい。この三つであります。総裁から御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/71
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072・坂田泰二
○坂田説明員 ただいまお尋ねの点でございますが、労務関係につきましては、お話のように、今回のしよう脳専売法の廃止によりまして、しよう脳関係の担当職員は仕事がなくなるわけでございますが、公社の実情といたしましては、たばこその他関係の事業の伸張によりまして毎年多数の人をむしろ必要とするといったような状態になっておりますので、大体におきまして、現在のしよう脳関係従業員は配転という形になりますが、それによりまして、整理ということがなく、配転できるというふうに考えております。場所等の関係から新しい仕事を見つけることは非常にむずかしくなってくるといったような向きも、ごく少数でありますが、あるかと思いますが、できるだけ努力いたしまして、そういう者につきましても不都合なことがないようにやって参りたい、かように考えております。そこで、今回のしよう脳専売法の廃止の話がありまして、法案が提出されるという運びになりましたので、そういう事情だけは労働組合の方にも事前にお話ししてございます。なお、この法案が通過いたしまして、残務整理等も終わりまして具体的に配転という問題が生じます。そういう段階におきましては、もちろん、具体的に労働組合とも十分に話し合いをして措置をとって参りたい、かように考えておるわけでございます。
なお、塩、たばこ、その他専売関係につきまして、今度のしよう脳専売法の廃止に関連してどう考えておるかというお尋ねと思いますが、これにつきましては、公社としては塩、たばこ、その他の専売を廃止する、あるいは範囲を縮小するといったような考え方は、現在全く持っておりませんので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/72
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073・有馬輝武
○有馬(輝)委員 配転のきかない者についても努力するというのではなくて、はっきりと生活保障だけは専売公社で責任を持って考えていくということで、これは御答弁要りませんが、ぜひ御努力いただきたいと思います。
それから谷川さん、どなたでもけっこうですが、町村と造林の契約をしておるものは全国でどのくらいありますか。それからその措置についてどのように考えておるか、それをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/73
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074・谷川宏
○谷川政府委員 公社が市町村と分収造林契約をやっておるものでございますが、この市町村以外全体で面積が約四千町歩、林地の数が五百三十八でございますが、その三分の一程度が市町村を相手に契約をしている分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/74
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075・有馬輝武
○有馬(輝)委員 その町村の契約は今後はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/75
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076・谷川宏
○谷川政府委員 日本専売公社と市町村当局との間のクスノキの分収契約でございますが、しよう脳専売が廃止になりますと、日本専売公社がその契約を引き続き履行するということは適当でないと考えられますので、契約の相手方と十分御相談をいたしまして、その御了解を得て、たとえば鹿児島県のような場合におきましては、県当局が非常に熱意を持っておいでになりますので、与党の先生方のお力もございまして、県当局が専売公社の肩がわりをしていただくということでございます。またその他の県につきましても、できるだけ県当局あるいはその市町村が分収の半分の持ち分も買い取っていただくというようなことでよく話し合いを続けていきたいと思います。その理由は将来しよう脳産業が地域的な産業として発展すべきものだと考えられますので、地域的な産業を育成、発展させるためには、県当局あるいは市町村がますます力を入れてやっていただく方が適当ではなかろうかという観点に立ちまして、以上のようなことで話し合いを進めて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/76
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077・有馬輝武
○有馬(輝)委員 約束の時間申しわけないのですが、二法律案を十分間というのは無理なので、一時までかんべんさせていただきたいと思いますが、ただ今市町村とよく話し合ってということでありますが、買い取ってもらうなんということで最後までけつの毛まで抜いてしまうという意見がいけないのですよ。やはりそこら辺についてはそれこそ市町村の意向を重点に置いて十分話し合いをしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/77
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078・谷川宏
○谷川政府委員 これは専売公社総裁が契約の当事者でございますので、大蔵省といたしましても、十分公社と御相談をいたしましてやるつもりでございますが、できるだけ肩がわりをする相手方の立場も十分考えると同時に、国の財産権であるという立場につきましても、公平また合理的にできるだけ納得がいく線ですべて話し合いを続けていくように公社にも御相談申し上げたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/78
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079・有馬輝武
○有馬(輝)委員 しよう脳はそれで終わります。
次に旅費について大蔵省にお伺いしたいのですが、今度大臣、政務次官、大蔵当局にえらい御努力をいただいて、旅費についての改正案を出していただいたわけですが、私最初にお伺いしたいのは、形式的に引き上げたのか、実態に即応するように引き上げたのか、この点が非常にわからぬので、その点について大蔵省の考え方をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/79
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080・谷村裕
○谷村政府委員 御質問は、形式的に引き上げたが、実質的にどうかということでございますが、もとより中身もよくなるようにいたしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/80
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081・有馬輝武
○有馬(輝)委員 あなた方は一等旅費をもらって出かけていくからわからぬだろうと思うのだけれども、交通公社の国の指定旅館の標準料金というのですが、あれが交通公社から出しているあれのうしろに載っておりますね。あれに及ばぬのがほとんど全部です。出張させておいて、自分で金を出して泊まらなければならない、こんなばかな旅行というものはありはしない。なぜ実態に即応するように引き上げなかったのですか、せっかく引き上げたといって……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/81
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082・谷村裕
○谷村政府委員 実態がどの程度であるかということについてはいろいろな資料があるかと存じます。御指摘のような状況も最近において見られるようになりましたので、そういう状況をなくすようにしたい、これは程度をどの程度にするかということについてはいろいろございますが、お気持に沿うように直したつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/82
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083・有馬輝武
○有馬(輝)委員 だから私は言っているのですよ。気持に沿うように直っていないから質問しているのです。あなた交通公社の時間表を見たことはありますか。気持に沿うようになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/83
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084・谷村裕
○谷村政府委員 全国のいろいろな旅館の宿泊料金等を調べました上で、それはいいところをとればきりがない話でございますが、といってまたあまり下の方をとるのも考えものでございまして、どの辺が適当であるかという点については、時間表の裏についておりますあの標準料金がいいかどうかということは、これは一つの参考にもなりますが、その他の資料も参考にして調べたところでああいうふうにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/84
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085・有馬輝武
○有馬(輝)委員 一つの参考というよりも最もプロパーな参考なんです。そうしてあそこに掲げてあるのは最低料金であって、あんな部屋は一つか二つしがなくて、大がいもっと高くとられてしまう。女中部屋にでも入り込まなければ、規定のこの旅費ではとても足りやせぬですよ。そうでしょう。それと今度八等級、八段階あったものを五段階に縮めたが、ここは各等級によって出すものが違うわけではない、サービス料金が違うわけではない。本来ならばこういった機会を通じて最小限にこの等級差というものは縮めなければならないのに、あえてまだ五段階残したその理由についてお伺いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/85
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086・谷村裕
○谷村政府委員 確かにどの程度に日当あるいは宿泊料などにつきまして差を設けたらいいか、いっそこういう世の中だから差がない方がいいではないかというふうな御議論もございましょう。常識的に考えまして、従来ありましたように、一等級から八等級までそれぞれについてこまかく分けるのは、これはいささかこまか過ぎる、といってこの際に全部べたにするのもどうであろうか、まあ適当にこの程度にしておくというところで御指摘のように五つかにしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/86
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087・有馬輝武
○有馬(輝)委員 簡単にお伺いしたいと思うのですが、一般旅費と赴任旅費ですね、段階が違うのはどういう理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/87
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088・谷村裕
○谷村政府委員 赴任旅費の方につきましてはやはり実態に即しまして、多少その点を考えたわけでございまして、一般的なものと区別をつけましたのは、種々その辺の状況を考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/88
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089・有馬輝武
○有馬(輝)委員 女中部屋を出したからと言っていいかげんな答弁をしなさるな。実態に即応して何で一般旅費と赴任旅費と違うのです。いま一度御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/89
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090・平井迪郎
○平井説明員 お答え申し上げます。
一般の旅費の場合でございますと、確かに御指摘のように八等級が全部ばらばらであっていいというほどのものでもございません。ある程度一般の民間会社の例から見ましても、重役クラスあるいは部長クラス、課長クラス、役付クラス、平クラスというような程度の差になっております。そういった点を勘案いたしまして、今回大臣クラスを加えまして五階級、一般には四階級になっておるわけでございます。ところが赴任旅費の問題になりますと、実の問題といたしまして、そういう旅行の場合のように、一回限りあるいは一日、二日というような生活の問題ではございません。それまでに積み重ねられました生活内容、それが世帯道具なりその他に反映いたして参っておるわけでございまして、やはり長年の経験の差、家族構成の差等によりまして、実態の差がおのずからできておるということでございます。またそういった点を私ども財務局なりあるいは民間の調査等を通じて検討したわけでございますが、やはり赴任旅費については各等級について差を設けるのが妥当であるという結論に達したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/90
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091・有馬輝武
○有馬(輝)委員 あなた方の考えは、やはり国家公務員に対して職階制度というものを強引に押しつける、そういった前提意識があってものを考えておる。やはりそういったことは根本的に考え直さなければならない時期に来ておるのです。だからこの赴任旅費なんかにそれが歴然として現われてくるので、赴任旅費の実績をどの程度見られましたか。私の調べたところでは、現在の分よりも九〇%ぐらい引き上げなければ赤字を出す、そういった統計ができておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/91
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092・平井迪郎
○平井説明員 赴任旅費の移転料の内容につきましては、具体的に各人別に考えます場合には、かなり世帯の内容その他により構成が違っておりまして、必ずしも一律に何%程度の不足があるということは論断できないことは御指摘の通りでございます。ただキロ程別あるいは等級別にわれわれ約七百例につきまして実態調査をいたしました結果といたしましては、大体こちらで提案いたしました程度に等級別の差をつけて出すのが適当であろうかというふうに感じた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/92
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093・有馬輝武
○有馬(輝)委員 お約束の時間が参りましたので一言申し上げて終わりますが、大臣に——これは御答弁要りません。今申し上げましたように、やはり等級によって格づけしていこうという意識が先に立って、実態に即応しないような旅費法というものが現在まだこのようにして残っておる。この点については、私は何もべらぼうに引き上げろということを申し上げておるのじゃなくて、実態に即応するように——これは日当についても同じですが、宿泊料についても、赴任旅費についても、そういった基本的な考え方をぜひ来年度の予算編成のときには考慮に入れていただきたい、このことを特に要望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/93
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094・小川平二
○小川委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/94
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095・小川平二
○小川委員長 これより順次討論、採決に入ります。
まず、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案について、討論に入ります。通告があります。これを許します。有馬輝武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/95
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096・有馬輝武
○有馬(輝)委員 ただいま申し上げましたように、今回の旅費法の改正については、等級区分を減らす、あるいは一般旅費におきまして、宿泊料、日当等においてある程度の値上げが考慮されておりますけれども、その実態は決して実情に沿ったものとは言えません。国家公務員の業務努力を引き上げる意味におきましても、これはきわめて早い機会に実情に即するように改訂してしかるべきものでありますし、また今申し上げましたように、等級区分、これはもう一日も早くなくしていく、こういうことに御努力をいただきたいと思うのであります。さらにまた日当におきましても、改正案では三百円になっておりますけれども、こういったことでは、現在の物価高の情勢下におきまして、決して日当の名に値いするものではありませんし、そういう意味におきまして、この日当につきましても早急に考慮すべきである、こういう点から、今度の旅費法改正は、ただ単に改正をやったという形式に終わって、実情にそぐわないものでありますし、抜本的な改正を他日に期待する、こういう意味におきまして、今度の改正案につきましては、私どもとしてとうてい賛成しがたい分野だけでありますので、以上申し上げました点を強く要望いたしまして、私の反対の討論を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/96
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097・小川平二
○小川委員長 これにて討論は終局いたしました。
続いて採決に入ります。
採決いたします。
本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/97
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098・小川平二
○小川委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
なお、他の二件につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。
まず、しよう脳専売法を廃止する法律案について採決いたします。
お諮りいたします。本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/98
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099・小川平二
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び財務部出張所の設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。
お諮りいたします。本件を承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/99
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100・小川平二
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、本件は承認すべきものと決しました。
なお、ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/100
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101・小川平二
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/101
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102・小川平二
○小川委員長 堀委員より発言を求められております。これを許します。堀発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/102
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103・堀昌雄
○堀委員 大蔵省側に資料の要求をお願いいたします。
現在政府が委嘱をしております各委員会の委員に出しております報酬、あるいは日当、あるいは実費弁償等について、全部の委員会と現在の支給の状態を一覧表にして出していただきたい、これが第一点。
それから、当国会に参考人として御出席を願う人たちのやはり同様の、日当であるか交通費であるか何かわかりませんが、差し上げておるもの、要するに公務員以外で政府がそういう形で支払っておるもののすべてについて、一つ資料として要求をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/103
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104・小川平二
○小川委員長 次会は来たる二十七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一瞬九分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01419620223/104
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