1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月二十四日(火曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長 小川 平二君
理事 鴨田 宗一君 理事 細田 義安君
理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君
理事 有馬 輝武君 理事 平岡忠次郎君
理事 堀 昌雄君
伊藤 五郎君 岡田 修一君
金子 一平君 久保田藤麿君
正示啓次郎君 田澤 吉郎君
濱田 幸雄君 藤井 勝志君
吉田 重延君 岡 良一君
佐藤觀次郎君 広瀬 秀吉君
出席政府委員
大蔵政務次官 天野 公義君
大蔵事務官
(大臣官房財務
調査官) 松井 直行君
委員外の出席者
専 門 員 抜井 光三君
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四月二十三日
国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に
伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出第一〇〇号)(参議院送付)
外国人等の国際運輸業に係る所得に対する相互
主義による所得税等の非課税に関する法律案(
内閣提出第一二八号)(参議院送付)
本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
外国人等の国際運輸業に係る所得に対する相互
主義による所得税等の非課税に関する法律案(
内閣提出第一二八号)(参議院送付)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/0
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001・小川平二
○小川委員長 これより会議を開きます。
外国人等の国際運輸業に係る所得に対する相互主義による所得税等の非課税に関する法律案を議題といたします。
質疑の通告があります。これを許します。堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/1
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002・堀昌雄
○堀委員 今度問題になっておりますこの法律案につきましては、外国船舶の問題は、これまでは船籍等の関係で問題が処理されておったのであろうと思いますが、今度は相手国にある企業が運航する船舶にかかる所得について非課税とする、こういうことに何か改められているようであります。
そこでお伺いをいたしますけれども、現在日本の船で船籍が外国に置かれている船がどうも相当あるように思います。たとえば日本の企業が実際に持っている船で、課税上か何かの関係で、船籍をギリシャであるとかその他の外国に船籍を置いてある、これの実情を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/2
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003・松井直行
○松井政府委員 運輸省海運局から、今の御質問に関する詳しい資料はとっておりませんですが、われわれが承知いたしておりますところによりますと、日本企業の所有で外国船籍というものは日本にはなくて、外国船籍の船をチャーターしておる例は相当ある、こういうふうに聞いております。日本企業の所有でその船籍が外国にあるというものはないというふうに私聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/3
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004・堀昌雄
○堀委員 実はこの間横浜税関をわれわれ視察に参りましたときに、その沖につながれております船について、税関の方から、これは船籍はどこかよそになっておりますが、たしか日本鋼管の船であるとかなんとかいうような御説明があったように思います。そこで、日本の場合にはそういうことはない、これは企業の持ち船という表現がいいのかどうかわかりませんけれども、この点を運輸省の海運局からだれかお答えのできる方に出席をしていたただきたいと思います。
そこで、それはあとで伺うといたしまして、船籍のいかんを問わず「相手国にある企業が運航する船舶にかかる所得について非課税とする」——これまでは船籍がその国にあり、その企業の運航するということが条件であったのではないかと思いますが、現在と過去との相違はどういうことになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/4
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005・松井直行
○松井政府委員 お答え申し上げます。法文上は従来船籍で区分しておったわけでございますが、実際のわれわれの扱い方といいますか、国際間の慣行といたしましては、船籍がその国にあると同時に、その船の所有者といいますか、企業体もやはりその国にあるということを条件としておる国が非常に多くございまして、船籍主義、フラッグ・システムといいますか、昔から船につきましては人間の国籍と同じように船難というものを非常に重んじておった関係上、そういう習慣がございましたが、実際にはやはり企業体もその国にあるということが条件になっておりまして、企業体もその国、船籍もその国というのが大部分でございますが、日本と外国の間に船舶の所得の相互免除に関する法律によりまして、依然として船籍主義をとっておるという国はアメリカとデンマークという二国のみでございまして、そのほかの英国、カナダ、フランス、ノルウェー、オランダ、ドイツ、アルゼンチン、この法律によりまして交換公文を取りかわすことによって相互に免除をいたしております国は、いずれも実質上はもう企業体主義に変わっておるということが言い得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/5
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006・堀昌雄
○堀委員 そううするとアメリカとデンマークは船籍主義をとり、その他の国が企業体主義をとっている理由は一体どこにあるのか。なぜそういう二通りのものが現状として残っておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/6
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007・松井直行
○松井政府委員 お答え申し上げます。従来船籍主義をとって参りました理由は、今申し上げました通り、一つは伝統的に、船につきましても個人における国籍と同様に、船籍を非常に重視するという傾向が強かったということと、それからもう一つは、船籍主義を採用いたしますと、たとえば日本とアメリカとの間で、この法律に基づきまして交換公文の形式で相互免除をしようというときには、日本は、アメリカの企業でしかもアメリカの船籍の船だけではなしに、第三国の船籍の船、その第三国が日本とかアメリカの船籍を持っている船につきまして免除しておるという場合には、そういう第三国の船籍の所得を日本でも免税する、こういう関係がございまして、アメリカは第三国に対して日本の船籍の船舶の所得を免税するように、こういうように働きかける誘因があるのじゃないか。そういう船籍主義をとることによって、相互免除の関係を結ぶ国がどんどんふえていくのじゃないかということが期待されておったことが第二点でございます。
しかしながら、実際の課税上のいろいろな扱い方をながめてみますと、同一の企業でございまして、その運航する船の船籍によってその所得を区分するということが非常に困難であるということが一点。それから従来船籍主義はとっておると申しますものの、今申し上げました通りアメリカとかデンマーク以外におきましては、やはり相手国の企業が運航する船舶というふうに条件を狭く使う、船籍主義よりもむしろ企業体主義に変えてきておるというのが一般的な国際的な慣例になってきておるということでございまして、こうした一般的な国際的な傾向と実際の課税上の要請に基づきまして、古い船籍主義から新しい企業体正義に変えるということが国際的な動向になったゆえんであろう、こう考えまして、こういう措置をとったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/7
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008・堀昌雄
○堀委員 そうすると、ちょっと私ここでよくわからないことがあるのですけれども、これまではわれわれの方は日本の船籍があって日本の企業が運航する船、そしてアメリカも、アメリカに船籍があってアメリカの企業が運航する船の相互間は所得を落とす、こういうことになっていたのですね。ところが現状でわれわれの方は多角的によその船籍のものでもよろしい、要するにアメリカの企業の運航する船の所得であるならば船籍はどこでもよろしいということになって、わが方はアメリカに対しては、たとえばギリシャの船籍の船をアメリカがチャーターしてもそれは認めましょう、ところがアメリカの側は今の船籍運航主義というか、古い方の立場に立っていれば、こっちがそうやったって向こうは、われわれがギリシャの船をチャーターして日本でやる場合にそういうのは認めないという逆の誤差が出てこないのですか。アメリカはそうで日本は広げたというようなその間の差はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/8
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009・松井直行
○松井政府委員 相互免除方式によってやるわけでございまして、今、堀委員がおっしゃいます通り、一方の国が一方にとって非常に不利になる、あるいは相互免除の恩典といいますか、相互的なそうした恩典を分かち合うのに不適当だという条件のときには、これはやる値打ちはないというのはおっしゃる通りでございまして、日本が企業体主義をとるときには相手国にも企業体主義をとってもらうというふうに、今それと違うことになっておりますればそういうふうに変えるという手続が必要であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/9
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010・堀昌雄
○堀委員 それでこちら側としてはそういう受け入れ態勢を作ります、だから今度の改正によりて、おそらくアメリカ、デンマーク以外とは同じベースに立つわけだから、これは相互にいくと思うのですね。アメリカとデンマークは、われわれはこれまでの通りやるのだということになると、特に日本とアメリカというのは、経済関係においてきわめて密接な条件にあるわけですから、輸入貨物についてもその三分の一以上等はアメリカから輸入をしておる状態にありますから、アメリカとの関係は非常に私は重大じゃないか。アメリカの方は、さっきのお話では依然としてこれまでの船籍主義をとっておる、こういうことになると、アメリカとの関係におけるこの問題は、それじゃ一体どうなるのかということですね。アメリカがやはりわれわれのような形に変わるのならいい。変わらなかったときは一体これはどうなるかということをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/10
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011・松井直行
○松井政府委員 すでにアメリカの国内法自身が、企業体主義に最近変わっております。ですからわれわれが企業体主義に変えますときには、当然合意ができる状態のそういう機が熟しておるものとわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/11
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012・堀昌雄
○堀委員 そうすると、さっき船籍主義はアメリカだとおっしゃったけれども、現状では必ずしも船籍主義になっていないという御答弁に後段はなるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/12
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013・松井直行
○松井政府委員 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/13
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014・堀昌雄
○堀委員 それでは前段の方がやや不正確であった、こういうことでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/14
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015・松井直行
○松井政府委員 現在の、大正十三年の現行の法律に基づきます交換公文、これがアメリカとの間では大正十五年でございますか、非常に古い交換公文がございますが、それでそのまま今きておるわけです。それでどうなっておるかということをお話し申し上げたわけでございまして、現存はもう世界各国とも、国際的な慣行として企業体主義に変わりつつあるということを新しい情勢として申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/15
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016・堀昌雄
○堀委員 非常に古いことのようでありまして、私もちょっと詳しく調べておりませんから、今後は同じベースで問題が処理をされるというならよろしいと思います。
その次に、地方税についてこれまでは課税がされておったのを、今度は非課税にする、こういうふうになっておりますが、事業税についてはすでに処理はされておったようでありますけれども、「道府県民税及び市町村民税をも含めて相互主義により非課税とすることができることを明らかにいたしております。」これは片方は「国税の免除に応じて免除されていたのでありますが、」とありますから、現在も免除されていたのだろうと思うのです。国税を相互主義で免税にして、そうするとその国税が免税になったから地方税も免税になる、こういう仕組みであったのを、今度は何か府県民税及び市町村民税を含めて相互主義により非課税とすることができることを明らかにしたというのは、一体これは実質的にはどういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/16
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017・松井直行
○松井政府委員 実は航空機と船舶につきましての相互免除といいますのは、少し詳しく申し上げますと、自国の船が相手国に寄港いたしますときに、相手国の領内で源泉のある所得を発生する。外国の船も日本へ寄港する、そこで荷物を積むことによって、日本の国内源泉のインカムを発生する。これをお互いに外国発生の源泉は源泉地の国、政府が課税をいたします前に相互に免除いたしまして、日本にある企業、船会社は、アメリカで稼得したインカムをアメリカで免税されますが、全部本国において全世界の所得をここで合算して課税しよう、お互いにそうしよう、こういうことに今相なっておるわけでございますが、この相互免除につきまして、この法律に基づきまして飛行機と船について交換公文等の方式で合意に達して免除する方式と、それから租税条約、これは御存じのように資本の移動、技術の移動、それから人間の移動その他万般の課税関係が発生します事案につきまして、二重課税の防止をするという目的をもって租税条約を結んでおります。租税条約の中にも航空機と船につきましては相互免除の条文をうたう慣例になっております。今この現行法は船舶しかございませんが、それに飛行機をつけ加えるということになっていますが、租税条約形式によりますときには船と飛行機と両方入っております。ただし租税条約によりますときには、地方税まで合わせて条約を結んでおる慣例は今まではございませんでした。新しく結びますときには地方税まで含めて相互免除ということで租税条約を結ぶ習慣が最近起こって参りましたが、古いものは所得税と法人税だけでございます。しかしながら、この相互免除の目的といいますか、基本的な趣旨は、この企業があげますインカムにかかる税金を、国税であろうが、地方税であろうが、あるいは住民税であろうが、相互に免除しましょうというととが主体でございまして、ただしそのときに日本の負ける地方税とアメリカの負ける地方税が一体対応するものがあるかどうか。日本でこれを負けるなら向こうもこれを負けてくれなければ困るという対応関係につきましては、それぞれの国内法をよく検討いたしまして、十分諸条件を詰めた上で合意に達しませんと、簡単には地方税まで含めて全部免除するのだというわけには参らぬと思いますが、およそインカムにかかる税金につきましては相互免除しようというのがこの趣旨でございますので、この際住民税まで含めてやろう、どういうふうに相なったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/17
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018・堀昌雄
○堀委員 きわめて技術的な問題でございますからよくわかりませんけれども、どうもその相互に落とすという場合に、税制が私各国いろいろと違うだろうと思いますから、少なくともそれが金額等が同額というようなことになるのか、為替ベースの関係とかいろいろな問題があって、その国際的な問題を相互に見るときの見方というものはなかなか複雑な問題があるのではないかと思います。その点については皆さんの方に手抜かりはないと思いますけれども、十分一つわが方が不利にならないように、特にアメリカが今シップ・アメリカン等によって自国船の問題については非常に強い主張をしておるわけでありますから、諸般の面において、アメリカには非常に便利がいいけれども日本の方はどうもあまりうまくないというようなことにならないような配慮を十分に一つ、今後の取りきめに関してはお願いをしておきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/18
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019・松井直行
○松井政府委員 今おっしゃいましたことはまことに当然のことでございまして、相互主義によりまして相互免除できる相手国と条件を作りますときには、日本が受けます恩典あるいはその相手国が受けます恩典等十分分析いたしまして、相互免除の実をあげ得るかどうかということにつきまして十分検討していきたいと思います。
今おっしゃったことは特に航空機に関係する問題だろうと思います。船は戦後、相当滅失いたしましたが、その後の回復が非常に強い状態でございます。今この条約なりあるいは相互免除に関する法律に基づきます交換公文によって免除しておる以外の国で、日本の船舶が外国に払っております税金が、三十四年度ベースで大体五億ぐらいになっております。ところが日本へ参ります船は、アメリカは相互免除で免除していますが、それ以外の船はほとんど日本と同じような状態でございまして、どうも船舶会社は赤字の国が多いようでございまして、日本が失うものはゼロ、今まで払っておる五億のうちから、相互免除の条件の熟するものについて相互免除をやっていこうというわけで、今払っている五億のうち幾分でも還元してもらおうという関係にありますので、船は日本は強い。従って相互免除上有利な立場にあり得る。
飛行機でございますが、国際線は今、日本は日航しか持っておりません。諸外国の飛行機、ヨーロッパでも大体十何カ国の飛行機が日本に参っておりますし、それからアメリカ航空会社も相当な飛行機が日本に参っております。日本源泉の所得が非常に多いわけでございますが、御存じのように日航は、アメリカへは、東京を出ましてシアトルへ行く貨物線が一本と、それからホノルル経由サンフランシスコ、ホノルル経由ロスアンゼルス、これしかございません。それからヨーロッパは、東京を出ましてアンカレッジ−コベンハーゲン−ロンドン−パリ、それから南回りでは東京−香港−バンコック−シンガポール、東京−台北−香港、これくらいしかございませんが、これも運輸省の航空局でいろいろ資料を得て参りますと、なるほど現在は日本の進出といいますか、海外線は非常に少ないのですが、近々南回りのヨーロッパ行きでございますバンコック−シンガポールを通ってカルカッタ−カラチそれからローマ−パリへ参ります航空路を開こうとしておることが一つと、それからアメリカが、航空協定が必要なんですが、アメリカ大陸への乗り入れ、ニューヨークからさらに大西洋を越えてヨーロッパ、ぐるっと地球を一周するということも考えておるようでありますが、あとのアメリカ大陸への乗り入れ、これは交渉が難航しておるようですが、日航といたしましても、あるいは日本政府といたしましても、非常に力を入れて今交渉しておるわけでございまして、現状ではどうも日本の航空機の国際航路が非常に少ないような感じを受けるかと思いますけれども、将来どんどん発展してもらわなければならぬ運命にありますし、発展するに間違いないと思っておりますことが一つと、それからいろいろな条約を結びますときにやはり国際慣行になっておる点、しかも船と航空機については相互免除しようという非常に古い慣行がございますので、日本だけがあまりに狭いことを言うわけにいかないという事情もございますので、今おっしゃいます御趣旨をよく体しまして、各国と交換公文なりあるいは条約を結ぶときに十分注意して参りたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/19
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020・岡田修一
○岡田(修)委員 関連して。ただいまの説明の中に、日本船舶が外国に払う税金が約五億ある、これは大体どこの国かわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/20
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021・松井直行
○松井政府委員 これは船主協会で調べたものでございまして、御満足のいく資料かどうか、少しどうかと存じますが、三十四年度でアジア諸国に払いました税金が三億一千六百万、大洋州諸国に払いました税金が一億一千九百万、それから中南米に対しまして六千三百万、アフリカに対しまして一千九百万、合計五億一千七百万という数字があがっておりますが、この中で課税実績の多い国をながめてみますと、台湾が四千二百万、フィリピンが二億二千五百万、ビルマが二千四百万、ニュージーランドが三千万、オーストラリアが八千八百万、メキシコが二千九百万というところが大口のところのようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/21
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022・岡田修一
○岡田(修)委員 今度の相互免除条約で免除になる国が、このうちどれだけありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/22
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023・松井直行
○松井政府委員 この法律ができましても、すぐに全世界と免税になるわけではないのでございまして、その国々と相互免除の措置をとることが適当かどうかという国につきまして、これから交渉をいたしまして、それで交換公文の形で新たなる取りきめができて発効するということに相なるわけでございますが、今申し上げました通り、どうも東南アジア方面、これは航空機も私同様だろうと思いますが、これから乗り入れが多い、それから多額の税金を払っておる国がまず先着手になるんじゃないか、こう存じております。今具体的にどことすぐ始めるという用意はいたしておりませんが、この法律が通りますときには、全世界の慣例をもう一ぺん洗い直しまして、どこから先にやるのが緊要かということを考えまして、外交交渉に入る手はずになるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/23
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024・岡田修一
○岡田(修)委員 外国における課税の問題で一番トラブルが起こるのはフィリピンなんですね。フィリピンがいつも突如として高額の課税を日本船舶に課そうとして問題が起こるのですね。このフィリピンに対する今後の交渉ですね、どういう心がまえでおるか、その点一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/24
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025・松井直行
○松井政府委員 今おっしゃいました通り、私が述べました数字をながめてみましても、フィリピンが非常に重いといいますか、額の多い課税をやっておる国ということに相なりますので、当然この国なんかは第一着手の交渉相手になるだろうと存じております。ただ向こうで課税しております課税の内容が、インカム・タックスならいいのですが、外形標準といいますか、たとえば運賃収入の何%というような課税法がございますと、これがはたして日本の国税なり地方税のどれと見合って相互免除すべき税金の性質のものかどうかということにつきまして、よほどわれわれの方でも検討いたし、向こうの国内法並びに国内事情もよく検討いたしてみませんと、にわかにいずれの税を相互免除というわけにはなかなかすぐには参らないと存じますが、一番問題の多い国だと存じますので、今おっしゃいました線に沿いまして、第一着手といたしましてお互いに検討し合うべきだと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/25
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026・小川平二
○小川委員長 有馬輝武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/26
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027・有馬輝武
○有馬(輝)委員 先ほどもお尋ねがございましたが、今大体何カ国くらいと結んでおられるのか、この点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/27
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028・松井直行
○松井政府委員 現在、大正十三年の現行の外国人等の国際運輸業にかかる相互主義による免税の法律によりまして、船舶につきまして所得税、法人税、事業税でございますが、その税の範囲内で免除をいたしております国、これは交換公文でやっておるのでございますが、アメリカ、デンマーク、連合王国——これはイギリスでごさいますが、カナダ、フランス本国、ノルウエー、オランダ、ドイツ、アルゼンチン、九カ国に相なっております。このほかに先ほどちょっと申し上げました通り、今後は租税条約——所得税も法人税も全部含めまして、二重課税排除の目的で相互に租税条約を結んで、その租税条約の一部として、この中にこれは船舶と航空機も含んでおりますが、租税条約によって船舶、航空機の相互免除をいたしております国が、アメリカ、スエーデン、パキスタン、ノルウエー、デンマーク、インド、シンガポール、オーストリア、これだけになっております。この違いは先ほど申し上げました通り、租税条約によるものは飛行機は入っておるが地方税は入っていない、今度この法律に基づくものに飛行機も入れまして、そうして地方税も一緒に加えるということに相なるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/28
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029・有馬輝武
○有馬(輝)委員 このあれでは所得の生ずる場所と、それから企業の主体がある国との間の相互的な関係ですが、そういった場合、その恩典に浴しない、相手国がまだ条約を結んでないような場合、たとえばモナコに船籍を移し、そしてその間にこういった条約を結ぶような場合にはこういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/29
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030・松井直行
○松井政府委員 相手国とは条約はないが、仮定の問題として、モナコと日本の間にある場合、相手国の企業が中に持っておる船をモナコに移す、すると、モナコと日本の間に船籍主義による相互免除の協定がある場合、これは仮定の問題として、現在の船籍主義によりますと、船籍の船の上げた外国源泉のインカムについては相互免除の対象になるかと思いますが、われわれは、先ほどお話しいたしましたように、船籍主義によらず、企業体主義によりまして、日本でいいますと、その企業の本店の所在する国との間に条約を結びまして、その国に本店を持っている企業のものについて相互免除をやろうということに、今後全部統一されることに相なろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/30
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031・有馬輝武
○有馬(輝)委員 そうすると、今の船籍主義はだんだん変わっていくというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/31
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032・松井直行
○松井政府委員 おっしゃる通りでございます。現在すでに船籍主義による協定という形をとっておりましても、その国の船籍であり、かつその国に本店のある企業の持っている船ということで、はっきり企業体の条件をも加味いたしております国が、イギリス、カナダ、フランス、ノルウエー、オランダ、ドイツ、アルゼンチン——大部分の国が船籍主義とは言い条、もう企業体主義をとっているというのが現在の実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/32
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033・有馬輝武
○有馬(輝)委員 それから第二条でいう、外国において生ずる所得で、地方税、都道府県民税なりあるいは市町村民税に相当するようなもので、具体的にはどのようなものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/33
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034・松井直行
○松井政府委員 日本航空が外国で税金を払っております資料に基づきまして、アメリカに例をとって申し上げますと、アメリカの地方税といたしましては、先ほど申し上げましたシスコ、ロス、シアトルですか、それからホノルル、こういうところで税法上は課税になる地方税があるわけでございますが、サンフランシスコで例をとってみますと、まず一番目にステート・フランチャイズ・タックスがございます。これは州税でございます。それから同じくサンフランシスコでサウマテオ・カウンティー・プロパティー・タックス、これは郡税でございます固定資産税だろうと思います。それからロスへ参りますと、ロスアンゼルス・カウンティー・プロパティー・タックスといいますか、これも郡税たる固定資産税だろうと存じます。それからホノルルではステート・インカム・タックス、これは州税でとっております所得税でございます。それからニューヨークでは、ステート・フランチャイズ・タックス、大体こういうような種類の地方税がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/34
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035・有馬輝武
○有馬(輝)委員 今伺いますと、たとえば日本航空の向こうにおける施設に対する州税なりなんなりという形での課税ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/35
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036・松井直行
○松井政府委員 なかなかむずかしい問題でごございますが、日本航空が外国へ進出いたしまして、それぞれの国のエア・ポートに寄港いたします。一体外国で発生した所得というのは何か、どうしてそのまま置くのか、同時に、外国の船なり飛行機なりが日本へ参りましたときに、お互いに負けようといっております日本源泉の所得というのは一体どうして算定するのか、こういうお問いだろうと思います。非常にむずかしい問題でございまして、これは各国それぞれいろいろな方式をとっておりまして、パン・アメリカンが日本で上げますインカムを一体どうしてはじくのかということに相なろうかと思いますが、今回の国内法で、所得税法、法人税法を改正いたしました機会に、政令等によりまして、従来日本がほかの国と条約をいろいろ結んで参りました経験に徴しまして、この種の問題について従来ありました考え方をある程度割り切り、法文に書いてみました。そこで、船につましてはこういう考え方を持っております。これは、お客さんを乗せ、荷物を積んで、その運賃を取ったその積込地で所得が発生をする。これは諸外国も同じような考え方をとっておるようでございます。飛行機につきましては、非常に厄介なんですが、政令に従ってお話しいたしますと、日本航空のアメリカとかロンドン等で上げますインカムは、一体どうして計算するのかという問題でありますが、それぞれの国で上げました収入金額、それから必要な経費、これらの業務の用に供する固定資産の価格、その他そういう運送の業務にかかる所得の発生に寄与した程度を推測するに足る要因をそれぞれ基準として、国内所得、外国所得の按分をするということでございまして、今おっしゃいました固定資産もその中に入っております。それぞれの国に持っております事務所、そこで何人使って、その給料を幾ら払ったか、それからその地その地で上げました運賃収入——たとえばカリフォルニア方式とかあるいはカルカッタ方式とかいいまして、各国ともそれぞれの外国源泉といいますか、その地で飛行機会社が上げるインカムをどうしてはじくかということにつきましては、いろいろな方式をとっておるわけでございまして、今私が申し上げました日本の考え方は、大体カリフォルニア方式に近いわけでございまして、全世界の所得のうち、その地その地で上げました収入金額、そこで持っております固定資産、それからそれぞれの地で必要といたします必要経費、こういう三つの基準によって、国際線で上げました所得をそれぞれ按分して出すという方式をとっております。国によりまして、これ以外の変わった方式をとっておる国もございますが、船と飛行機につきましては、今私が申し上げましたことが大体全世界に通用するものの考え方じゃないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/36
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037・有馬輝武
○有馬(輝)委員 そういたしますと、結局推定にすぎないという形になるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/37
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038・松井直行
○松井政府委員 一国の飛行機がA、B、C、Dという外国航路を持っておりまして、そのA、B、C、Dそれぞれの国で上げたインカムは幾らかということでございますが、全体の所得はわかるわけでございます。あとそれぞれの国の源泉の所得を算定いたします一種のインカムの配分でございます。配分方式につきましては、今私が申し上げましたように、いろいろな基準、推測するに足る合理的な基準に従って配分する以外にない。そういう意味におきましては、配分方法につきまして推定課税でやるより方法がないということになろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/38
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039・小川平二
○小川委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/39
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040・小川平二
○小川委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。
お諮りいたします。本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/40
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041・小川平二
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案の通り可決されました。
なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/41
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042・小川平二
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次会は明後二十六日午前十時より理事会、十時二十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十二介散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X03519620424/42
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