1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月一日(木曜日)
午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 園田 直君
理事 纐纈 彌三君 理事 高田 富與君
理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君
理事 太田 一夫君 理事 川村 継義君
理事 阪上安太郎君
伊藤 幟君 宇野 宗佑君
小澤 太郎君 亀岡 高夫君
田川 誠一君 津島 文治君
前田 義雄君 山崎 巖君
安宅 常彦君 二宮 武夫君
松井 誠君 門司 亮君
出席国務大臣
国 務 大 臣 安井 謙君
出席政府委員
警察庁長官 柏村 信雄君
警 視 監
(警察庁長官官 宮地 直邦君
房長)
自治政務次官 大上 司君
自治事務官
(大臣官房長) 柴田 護君
自治事務官
(税務局長) 後藤田正晴君
委員外の出席者
専 門 員 圓地与四松君
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一月三十一日
警察法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一九号)
二月一日
地方税法の一部を改正する法律案
(内閣提出第四九号)
一月三十一日
大規模償却資産に対する固定資産税
課税の改正に関する請願(小山長規
君紹介)(第三九三号)
ガス税の撤廃に関する請願(小笠公
韶君紹介)(第四〇七号)
同(菅太郎君紹介)(第四〇八号)
同(鴨田宗一君紹介)(第四〇九号)
同(佐伯宗義君紹介)(第四一〇号)
同(田中正巳君紹介)(第四一一号)
同(高橋等君紹介)(第四一二号)
同(原田憲君紹介)(第四一三号)
同(安倍晋太郎君紹介)(第四四三
号)
同外一件(遠藤三郎君紹介)(第四四
四号)
同(大村清一君紹介)(第四四五号)
同(賀屋興宣君紹介)(第四四六号)
同(竹内俊吉君外二名紹介)(第四四
七号)
同(野田武夫君紹介)(第四四八号)
同(佐々木義武君紹介)(第四六〇
号)
同(三浦一雄君紹介)(第四六一号)
同(加藤高藏君紹介)(第五二〇号)
同(北澤直吉君紹介)(第五二一号)
同(小金義照君紹介)(第五二二号)
同(齋藤邦吉君紹介)(第五二三号)
同(正力松太郎君紹介)(第五二四
号)
同(野原正勝君紹介)(第五二五号)
同(羽田武嗣郎君紹介)(第五二六
号)
同外一件(渡邊良夫君紹介)(第五二
七号)
同(田中角榮君外一名紹介)(第五五
一号)
同(伊藤宗一郎君紹介)(第五五二
号)
同(池田正之輔君紹介)(第五五三
号)
同(上村千一郎君紹介)(第五五四
号)
同外一件(田中角榮君紹介)(第五五
五号)
同外一件(野田卯一君紹介)(第五七
一号)
同(伊藤幟君紹介)(第六二六号)
同(浦野幸男君紹介)(第六二七号)
同(大高康君紹介)(第六二八号)
同(大竹作摩君紹介)(第六二九号)
同(笹本一雄君紹介)(第六三〇号)
同外十二件(坂田道太君紹介)(第六
三一号)
同(竹下登君紹介)(第六三二号)
同(高見三郎君紹介)(第六三三号)
同(津雲國利君紹介)(第六三四号)
同(中村幸八君紹介)(第六三五号)
同(長谷川四郎君紹介)(第六三六
号)
同(橋本龍伍君紹介)(第六三七号)
同(星島二郎君紹介)(第六三八号)
同外二件(堀内一雄君紹介)(第六三
九号)
同(安井吉典君紹介)(第六四〇号)
同(保科善四郎君紹介)(第六四九
号)
同(平岡忠次郎君紹介)(第六七五
号)
同外一件(松山千惠子君紹介)(第六
七六号)
同(横路節雄君紹介)(第六七七号)
電気税の撤廃に関する請願(岡田修
一君紹介)(第四一四号)
同(佐々木良作君紹介)(第四一五
号)
同(矢尾喜三郎君紹介)(第四六二
号)
同(石橋湛山君紹介)(第六四八号)
同(久保田豊君紹介)(第六七四号)
地方公務員及び地方議会議員の退職
年金に関する請願(山手滿男君紹介)
(第四二六号)
同(池田清志君紹介)(第四九九号)
国庫補助事業の促進に関する請願
(吉村吉雄君紹介)(第四三五号)
電気・ガス税の撤廃に関する請願
(内田常雄君紹介)(第五五六号)
同(長谷川四郎君紹介)(第五五七
号)
国有提供施設等所在市町村助成交付
金に関する請願(三浦一雄君紹介)
(第六〇三号)
市町村道路譲与税の創設に関する請
願(中澤茂一君紹介)(第七七五号)
同(原茂君紹介)(第七七六号)
同(松平忠久君紹介)(第七七七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会申入れに関する件
警察法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一九号)
地方税法の一部を改正する法律案
(内閣提出第四九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X00519620201/0
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001・園田直
○園田委員長 これより会議を開きます。
昨一月三十一日に付託になりました内閣提出の警察法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X00519620201/1
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002・園田直
○園田委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。安井国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X00519620201/2
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003・安井謙
○安井国務大臣 ただいま議題となりました警察法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明いたします。
この法律案は、警察庁の内部部局として新たに交通局を設置すること及び警察庁の職員の定員を改めることをその内容としております。
まず、警察庁に交通局を設置することについて御説明申し上げます。
現在、警察庁においては、交通警察に関する事務は、保安局がその所掌事務の一部として運営しており、現下の交通事情に対処し得る組織体制とは申せない状況であります。すなわち、保安局は、交通警察に関する事務のほかに、一般防犯、青少年問題、麻薬事案、危険物の規制、警衛、警護、外勤制度等の事務を所掌しておりますが、これらは、いずれも現在の社会の情勢に照らし、治安上ゆるがせにできない問題ばかりであります。一つの部局において、これらの事務のほかに交通警察の事務をあわせて処理することは、非常に困難となっているのであります。
御承知のように、わが国における最近の道路交通事情は、きわめて困難かつ複雑な様相を呈しております。交通事故及びそれに基づく死傷者は、増加の一途をたどっており、また、特に大都市においては、車両等による交通の渋滞は、日々その度を加えているのでありまして、これらの問題について適正な対策を樹立することは、目下の急務であります。もちろん、道路交通の問題はひとり警察のみの問題にとどまらず、関係各省その他の機関と関連することが多いのでありまして、これら各機関と協力して、総合的かつ強力な対策を樹立し、その推進をはからなければなりませんが、この問題については、警察が担当している交通取り締まり及び交通規制が大きな役割を果たすものであることにかんがみ、この際、警察庁に交通警察を専門に所掌する交通局を設け、交通警察事務の能率的な運営をはかり、もって交通問題の解決に一そうの努力を傾けたいと考えるのであります。
次に、警察庁の職員の定員の改正でありますが、これは、警察庁における諸般の事務の増加に対処するために、新たに十九人を増員しようとするものであります。すなわち、交通関係事務処理の充実をはかるため六人、地方公務員共済組合年金事務を処理するため三人、法医、化学等鑑識関係事務の充実のため三人、警察通信運営のため七人の増員を行ない、これらの事務の適正かつ能率的な運営をはかりたいと考える次第であります。以上が、この法律案の内容であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X00519620201/3
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004・園田直
○園田委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。
なお、本案についての質疑は後日に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X00519620201/4
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005・園田直
○園田委員長 次に、ただいま付託になりました内閣提出の地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X00519620201/5
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006・園田直
○園田委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。安井自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X00519620201/6
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007・安井謙
○安井国務大臣 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案について、その提案理由と要旨を御説明申し上げます。
地方税制につきましては、戦後累次にわたる改正により、住民の税負担の軽減合理化を行なって参ったのでありますか、最近の経済発展に伴い、国民所得の水準も向上し、地方税においても自然増収が相当見込まれることとなったことにもかんがみ、さらにその軽減合理化をはかることが適当であると存ずるのであります。
ただ、地方財政は、経済の好況と財政健全化措置と相待って、逐次好転して参ってはおりますものの、地方の行政水準はなお低く、すみやかにこれを引き上げていく必要も大きいのであります。従いまして、地方税制については、このような地方財政の実態を考慮しながら、次に述べるような方針に基づいて、住民負担の軽減合理化を実現するとともに、地方財政の自主性、健全性をさらに進めるために、国、地方団体間の税源配分の適正化をはかり、地方独立財源の充実をはかるために、所要の改正を行なうこととしたのであります。
今回の改正による減税規模は、平年度四百二十二億円、初年度二百七十三億円でありますが、あわせて国と地方団体との間に税源配分の適正化措置を講じることとしたので、地方独立財源が充実し、平年度百五億円、初年度八十二億円の増収となり、差引平年度において減収額二百十七億円、初年度において減収額百九十一億円であります。
改正方針の第一は、大衆負担、中小企業者の負担の軽減合理化のため地方税の減税を行なうことであります。そのために、個人の市町村民税の所得割について低額所得者に対する税率の緩和、中小企業者に対する事業税の税率の引き下げ、料理飲食等消費税の負担の軽減、電気ガス税の税率の引き下げ等所要の改正を行なうことといたしております。
方針の第二は、税源配分及び税源帰属の適正化をはかることでありまして、所得税との総合負担を軽減する方向で、別途、所得税の一部を都道府県に移譲し、道府県民税の所得割の税率を改正することと相待って、たばこ消費税の税率の引き上げ及びその課税標準の合理化をはかるとともに、入場税の地方譲与の制度を廃止することといたしております。
方針の第三は、税負担の均衡化の推進等税制の合理化をはかることでありまして、住民税、不動産取得税、娯楽施設利用税、自動車税、固定資産税、電気ガス税、国民健康保険税等の税率の引き下げ、非課税の範囲及び課税標準の特例の合理化等を行なうことといたしております。
方針の第四は、固定資産の評価制度の改正の実施に伴う準備措置を行なうことでありまして、そのために、中央及び地方に固定資産評価審議会を設置する等所要の改正を行なうことといたしております。
以下その内容の概略を御説明申し上げます。
第一は、住民税に関する事項であります。
その一は、市町村民税所得割についてであります。
低額所得者に適用される市町村民税所得割の税率の緩和をはかるため、準拠税率における課税所得七十万円以下の段階区分の改正を行なうとともに、本文方式採用市町村とただし書き方式採用市町村との間における市町村民税負担の不均衡をできる限り是正するため、ただし書き方式採用市町村における扶養親族の数に応ずる税額控除について、六百円の標準額を法定することといたしております。
なお、税率の緩和の改正については、昭和三十八年度分の個人の市町村民税から適用することとしております。
その二は、個人の住民税についてであります。
現在障害者、未成年者・老年者及び寡婦については、前年中の所得が十五万円以下である場合に限り非課税としておりますのを、十八万円に引き上げるとともに、障害者、老年者、寡婦及び勤労学生に対する道府県民税の税額控除の額を現行四百円から千円に引き上げ、その負担の軽減をはかることにしております。
なお、個人の住民税における配当控除の制度につきましては、国税における配当課税の取り扱いについての根本的検討の結論が出されるまでの間、さしあたり、国税における配当控除の率に対応して配当控除を行なうこととしたのであります。
第二は、事業税に関する事項であります。
その一は、個人事業税についてであります。
個人事業税の税率につきまして、第一種事業にあっては五%に、第二種事業にあっては四%に、第三種事業にあっては五%または三%に、それぞれ引き下げて負担の軽減をはかることといたしております。なお、新たに事業用資産の譲渡による損失についての控除の制度を設け、個人事業税における所得の計算の合理化をはかることとしております。
その二は、法人事業税についてであります。
法人事業税の税率につきましては、普通法人の所得のうち年百万円以下の金額について六%に、百万円超二百万円以下の金額について九%に、それぞれ引き下げて、中小法人の税負担の軽減をはかるとともに、段階税率の整理簡素化を行なうことといたしております。
特別法人につきましても、その税率を所得のうち年百万円以下の金額について六%、百万円をこえる金額について八%に引き下げることにいたしました。なお、現在三以上の都道府県に事務所または事業所を有する法人で、資本または出資の金額が五百万円以上のものに対しては、軽減税率を適用しないこととしておりますが、その資本または出資の金額による区分を千万円以上に改め、千万円未満の中小法人に対しても軽減税率を適用することとし、負担の均衡化をはかっております。
また、税源帰属の適正化をはかる措置の一環として、製造業を行なう分割法人で、資本または出資の金額が一億円以上であるものの分割基準である従業者の数につき、その本社の従業者の数を二分の一として算定するように改めております。
第三は、不動産取得税についてであります。
税負担の均衡化を推進する等のために、非課税の範囲、課税標準の特例について合理化をはかったのでありまして、学校法人が設置する寄宿舎並びに民法法人、宗教法人及び社会福祉法人が設置する幼稚園の用に供する不動産の取得、中小企業工場集団化のための事業協同組合等による不動産の取得等に対しては、不動産取得税を課さないこととするとともに、農林漁業及び中小企業経営の近代化または合理化のための農林漁業協同組合及び中小企業協同組合の特定の共同施設で、国の助成にかかるものの取得については、課税標準の特例により負担の軽減を行なうこととしております。
第四は、娯楽施設利用税についてであります。
娯楽施設利用税につきましては、入場税の税率との均衡上、舞踏場等で利用料金を課税標準とするものの標準税率を百分の十五から百分の十に引き下げることといたしております。
第五は、たばこ消費税についてであります。
国と地方団体及び地方団体相互の間における税源配分の適正化をはかる措置の一環として地方の独立財源の充実をはかるため、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税の税率をそれぞれ一%引き上げるとともに、その課税標準を、公社が小売人に対して売り渡した製造たばこの数量に全国平均小売価格を乗じた額に改め、その合理化を行なっております。
第六は料理飲食等消費税についてであります。
料理飲食等消費税の負担の軽減と課税の合理化を行なうことを目途として、その税率につき現行の場所による税率適用区分を廃止し、一人一回の消費金額が三千円をこえる場合には一五%、それ以下の場合には一〇%とするとともに、旅館における課税標準の特例の額を、現行五百円から八百円に引き上げることといたしております。
なお、旅館における宿泊の料金の税率については、消費金額による区分を行なうことなく一律一〇%といたしております。
第七は自動車税についてであります。
小型自動車の税率について、総排気量により三つに区分し、総排気量の少ないものについて負担の軽減合理化を行なうことといたしております。
第八は、固定資産税についてであります。
地方鉄道または軌道の都心乗り入れのためのトンネル、公共危害の防止のために設置する火薬類取締法による土堤、防爆壁等及び地方鉄道または軌道の踏切保安施設等、学校法人が設置する寄宿舎並びに民法法人、宗教法人または社会福祉法人が設置する幼稚園の用に供する固定資産については、固定資産税を課さないものとするとともに、鉱工業技術研究組合の試験研究用の機械装置、国内路線を運航する航空機、立体交差化施設並びに農林漁業及び中小企業の近代化または合理化のため、共同利用の用に供する機械設備等について課税標準の特例を設け、負担の軽減合理化を行なうことといたしております。また、新設大規模償却資産に対して課する固定資産税の課税限度額の増額措置につきまして、その適用年度を一年度延長することといたしております。
次に、固定資産税の課税の基礎となる固定資産の評価の適正均衡化をはかるため、さきに行なわれた固定資産評価制度調査会の答申の趣旨にのっとり、固定資産の評価制度改正の実施態勢を整えるため、道府県知事または市町村長は、自治大臣が定めた固定資産評価基準によって固定資産の価格を決定しなければならないものとし、また、自治省に中央固定資産評価審議会を、各道府県に道府県固定資産評価審議会を置くことといたしております。
固定資産評価制度の改正は、各資産間及び市町村間における評価の不均衡を改善是正するために行なおうとするものでありまして、もとよりこれによって増税をはかろうとするものではありません。従って、改正評価制度の実施に伴い、税率の引き下げ、課税標準の特例等の措置を講じ、税負担の変動の調整を行なうべきものと考えておりますが、その具体的な方法は、改正評価制度による実際評価額の変動状況等を勘案する必要があり、その実施前適当な機会に国会の御審議を願う所存であります。
第九は、電気ガス税についてであります。
まず、大衆負担の軽減をはかるため、電気ガス税の税率を一割引き下げて百分の九としたのであります。
なお、非課税の範囲の整理合理化を行なうこととし、非課税品目として新たにパルプ等十六品目を追加し、塩化ビニリデン系繊維等二品目を削除し、新規重要産業にかかるプロピレンオキサイド等十品目について三年間の期限を付することとするとともに、電気供給規程における料金割引の適用を受ける公衆街路灯に使用する電気及び農山漁村電気導入促進法による農林漁業団体が供給する電気に対しては、電気ガス税を課さないものといたしております。
第十は、鉱産税についてであります。
中小鉱業者の負担軽減をはかるため、鉱産税に軽減税率として百分の〇・七の率を設け、一定の金額以下のものについて適用することといたしております。
第十一は、国民健康保険税についてであります。
国民健康保険事業に対する国庫負担金の負担割合が引き上げられたことに伴い、国民健康保険税の標準課税総額を療養の給付及び療養費の総額から一部負担金の額を控除した額の百分の八十に引き下げることといたしております。
以上申し上げました諸事項のほか、税制の合理化その他規定の整備を行なうことといたしております。
以上が、地方税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X00519620201/7
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008・園田直
○園田委員長 次に、補足説明を求めます。後藤田税務局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X00519620201/8
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009・後藤田正晴
○後藤田政府委員 お手元に御配付申し上げました地方税法の一部を改正する法律案の要項に従いまして、補足説明をいたします。
今回の地方税法の改正の重点は、ただいまの提案理由の説明にもありましたように、次の四点でございます。
その第一が、地方税負担の現状にかえりみ、地方財政の実情を勘案しつつ、大衆負担、中小企業者の負担の軽減、合理化を行なうこと、第二、別途所得税との総合負担を軽減する方向で、所得税法の一部改正法において、所得税の一部の委譲に伴う道府県民税の所得割の税率の改正を行なうこと並行して、国、地方団体間の税源配分の適正化措置の一環として、入場税の地方譲与制度の廃止、たばこ消費税の税率の引き上げ、及びその課税標準の合理化、並びに法人事業税における分割基準の合理化をはかること、第三、その他税負担の均衡化の推進等税制の合理化をはかること、第四、固定資産の評価制度の改正の実施に伴う準備措置を行なうために、中央及び地方に固定資産評価審議会を設置する等、所要の改正を行なうこと等、四点をおもなる改正内容といたしております。以下要綱の順を追って内容について補足説明をいたしたいと思います。
まず第一が住民税でございます。
そのうち個人の市町村民税から御説明申し上げます。
第一が、税率の緩和でございます。市町村民税の税率は、地方税法に規定いたしておりますいわゆる準拠税率に準拠してそれぞれ条例で定めることといたしておりますが、現在の準拠税率は、市町村民税の自主性確保の見地から、三十六年度における所得税法の税率の改正の際も、所得税との関連を遮断いたしまして、昭和三十五年に適用された所得税の税率の二〇%といたしております。
しかしながら、最近の社会経済情勢から見ますと、市町村民税におきましても負担の軽減合理化をはかる必要があると考えております。
すなわち、わが国の所得分布は圧倒的に百万円以下の中小所得者に片寄っており、これらの中小所得者の負担は戦前よりかなり重くなっていることから、所得税においては軽減措置を講ずることとしております。市町村民税についても、税率は所得税に比較してかなり低いという事情はあるにいたしましても、現状では百万円以下の中小所得者の負担については、同様に所得割負担の軽減措置をはかることが適当であると考えられますが、負担分任を基調とする市町村民税の性格からすれば、課税最低限の引き上げよりも、むしろ税率の引き下げによりこれらの中小所得者の負担の軽減措置をはかることが適当であると考えます。このような趣旨から、昨年の所得税の改正に対応して、年所得七十万円以下の所得階層について、要綱の中にございますような、それぞれ税率の引き下げを行なうことといたしました。
なお、前年所得に対して課税するという市町村民税の建前から、改正措置は昭和三十八年度から適用することといたしております。
次が、扶養親族の税額控除の標準額の法定の問題でございます。現行ただし書き方式におきましては、課税所得金額の算定上扶養控除を行なわないで、市町村の実態に応じて、条例の定めるところによって、扶養親族の数に応ずる税額控除を行なうことにいたしております。従って、扶養税額控除は本文方式における扶養控除に対応するものでございますが、その税額控除の実態は市町村ごとにきわめてまちまちでございます。大多数の市町村においては、おおむね扶養親族一人について三百円から四百円前後の税額控除を行なっており、全国平均では一人当たり三百二十円程度に相なっておりまして、本文方式における扶養控除と比較いたします場合はきわめて低額であると言わざるを得ません。
ただし書き方式においてこのような税額控除の方式を認めましたのは、ただし書き採用市町村の財政の実態からやむを得ないものと認めたからにほかなりませんが、その結果、本文方式とただし書き方式との間に負担の著しい不均衡を生じ、また、ただし書き方式採用市町村間においても較差を生じている実情にございますので、これらの不均衡をできるだけ是正するため、ただし書き方式における扶養税額控除について昭和三十七年度から標準控除額を六百円とすることに法定することが適当であると考えたのでございます。この額は本文方式における二人目以下の扶養控除額、すなわち三万円に対比して、少なくともその七割程度の扶養控除を行なったにひとしい結果となるのでございます。
また、これに伴って家業専従者についても、その税額控除の額は扶養控除税額をこえなければならないこととされておりまするので、あわせて家業専従者に対する税額控除も引き上げられることになります。
次は、個人の住民税でありますが、一は障害者等の非課税範囲の拡張でございます。障害者、未成年者、老年者または寡婦については、これらの者の社会的立場を考慮して、住民税においては一定の所得以下の者は非課税としており、昨年の改正においても、生活扶助費の基準額等を勘案して十三万円から十五万円に非課税範囲を拡張いたしております。しかしながら、その後一級地における生活扶助費の基準額が引き上げられたこと等を勘案いたしまして、この際、昭和三十七年度から非課税の範囲を十八万円に拡充したものでございます。
次が、税額の控除の引き上げでございます。障害者、老年者、寡婦または勤労学生に対しては、道府県民税においては、現在四百円の税額控除をすることとしておりますが、市町村民税における税額控除の額と一致させて、税額控除の結果、市町村民税の所得割の納税義務のなくなる者については、道府県民税の所得割の納税義務もなくなるようにしようとするものでございます。
次は、配当控除の問題でございます。
住民税における配当控除は、従来道府県と第一課税方式採用市町村のみが行なっておりましたが、昨年の地方税法改正においては、国税における配当控除についても最終的結論が出されなかったことから、この問題は保留された形になっておりましたが、さしあたって、明年度以降の住民税において、現状のままに配当控除を行なわないこととして放置しておきますことは、従来配当控除を行なっていた地方団体の住民負担に変動を生ずることとなりますので、昭和三十七年度においては、とりあえず道府県及び本文方式採用市町村においては従来通りの配当控除を行なうこととし、道府県民税にあってはその配当所得の金額の百分の一・六、本文方式の市町村民税にあっては百分の四に相当する金額を配当控除として控除することにいたしました。
なお、昭和三十八年度以降は、国税において配当軽課に伴い、配当控除の割合にも二〇%から一五%に縮小されたので、同様の割合で住民税の配当控除についても控除率の縮小を行なうこととし、道府県民税にあっては配当所得の百分の一・二、本文方式の市町村民税にあっては百分の三に相当する額を控除することといたしました。
次が、事業税でございます。
その一が個人事業税でございます。
税率。
法人事業税とあわせまして、中小企業者の税負担の軽減をはかるために税率を引き下げようとするものでございまして、その引き下げの割合は、要綱記載の通りでございます。
次に、譲渡損失の控除の問題でございますが、個人事業者が事業用資産、たとえば三輪の小型自動車等を他に譲渡した場合の損失につきましては、所得税においては事業所得の計算としてではなく、譲渡所得の計算上考慮されることとなり、個人事業税の所得計算は原則として所得税の計算の例によることとされているために、現行法においては、個人事業税の所得計算上考慮されない結果となっております。しかし、事業経営と密接な関係がございますので、特に今回事業の所得の計算上控除することとしようとするものでございます。
次が、法人事業税でございます。
まず税率。中小企業者の税負担の軽減をはかるために、中小法人に適用される軽減税率の引き下げを行ないますとともに、現行の段階税率はやや複雑に過ぎますので、所得百万円以下、百万円超、二百万円超の三段階税率に整理をしてその簡素化をはかろうとするものでございます。
なお、税率の軽減、簡素化は要綱記載の通りでございます。
特別法人についても同じでございます。
次に、三以上の都道府県にわたって事務所や事業所を設けて事業を行なう分割法人で、資本または出資の金額が五百万円以上のものにつきましては、軽減税率を適用しないで、一律一二%の税率を適用しておりますが、中小法人の負担軽減のため、今回これを資本または出資の金額千万円以上のものに限ることとし、五百万円以上千万円未満の法人に対しても軽減税率を適用しようとするものでございます。
次が、分割基準でございますが、分割法人の課税標準を分割するための分割基準は、本来分割法人の各都道府県における事業活動の規模をよく表現するものであるとともに、納税者、徴税機関双方にとって客観的かつ簡易なものであることが必要とせられ、現在一般の法人にありましては事務所、事業所の従業者のなまの数を採用しておりますが、近時企業経営の近代化、合理化に伴い、その改善について検討を続けてきたところでございます。今回納税者が申告する際の事務的負担等も考慮して、最近の事業活動のあり方に即応するよう、資本金一億円以上の製造業を行なう法人に限って、その本社の従業者の数をその二分の一として計算するように改め、税源帰属の適正化をはかろうとするものでございます。
次が、外国法人等の課税等についての規定の整備でございます。
まず外国法人または外国人で事業を行なうものの範囲については、従来は事務所または事業所を有するものとしてきたのでございますが、最近のわが国と諸外国との間に締結されました租税条約その他の国際慣行にのっとって、国税においてその範囲を明確化するのに対応し、地方税においても国際慣行上用いられる恒久的施設を政令で定め、外国法人または外国人の事務所、事業所の範囲を明確にしようとするものでございます。
次が、個人または法人が外国において納付した所得税または法人税及び住民税に相当する額のうち、所得税額または法人税額から控除することができなかった額がありますときは、政令で定める手続によって、外国に源泉のある所得の住民税の所得割額または法人税割額に相当する額を限度として、住民税の所得割の額または法人税割額から控除しようとするものでございます。なお、この控除は、まず道府県民税の所得割額または法人税割額において控除し、なお控除し切れない場合は、ついで市町村民税の所得割額または法人税割額について控除することとなるのでございます。
次が、不動産取得税でございます。
まず用途による非課税、学校法人が設置する寄宿舎並びに民法法人、宗教法人、社会福祉法人の設置する幼稚園は、教育上の重要性にかんがみて、今回非課税にしようとするものでございます。
次が、中小企業集団化のための不動産の取得に対する納税義務の免除でございますが、中小企業の工場を集団化することによって、中小企業経営の合理化をはかろうとする国の政策に税制の面から協力をするために、事業協同組合等が集団化の目的で国の助成にかかる不動産を取得して、当該取得の日から二年以内に組合員に譲渡した場合は、二重課税されることのないように、組合による不動産の取得に対して納税義務を免除しようとするものでございます。
次が、過剰入植のための離農跡地の取得に対する非課税、開拓地における農業経営を振興することを目的とする過剰入植地対策によって離村した農家の跡地の取得につきましては、過剰入植地対策が終了する昭和三十九年三月三十一日までの間に取得したときに限り非課税としようとするものでございます。
次が、公共土地収用等に対する特例でございます。
現在公共事業に不動産を収用されまたは譲渡した後、一年以内に当該不動産にかわる不動産を取得した場合は、課税の際、取得した不動産の価格から被収用不動産等の価格を控除する特例を認めておりますが、あらかじめ不動産を取得しておき、後に公共事業に収用または譲渡する場合であっても、事情が全く違いませんので、同様の軽減措置を講じようとするものでございます。
次が、課税標準の特例でございます。
農林漁業及び中小企業の近代化または合理化のため、農林漁業協同組合及び中小企業協同組合等の共同生産加工施設等で国の助成にかかるものの取得については、農林漁業及び中小企業経営の近代化または合理化をはかる国の政策に協力する見地から、これらの課税にあたっては、取得した共同施設の価格から、国の助成にかかる貸付金額または国の補助金額を控除することによって軽減をしようとするものでございます。
次に、農業委員会のあっせんによる農地の交換分合にかかる農地の取得につきましては、租税特別措置法による登録税の軽減措置に準じて、昭和三十九年三月三十一日までに取得したときに限って、交換分合によって取得した農地の価格から交換分合によって失った農地の価格を控除しようとするものでございます。
次が、その他規定の整備でございます。
まず公共事業のために任意に譲渡した不動産と同種の代替不動産を取得した場合においても、現在収用の場合について行なわれていると同様に軽減措置を講じますとともに、現行の収用不動産の代替取得に対する軽減措置の適用の範囲を、収用または譲渡後二年以内——現在は一年以内でございます。二年以内に拡大しようとするものでございます。
次が、家屋に、家屋と一体となって効用を果たす冷暖房設備等を取りつけた場合には、たとい家屋自体の価格が著しく増加するような場合でも、現行法においては課税されないこととなっております。しかし一方において、家屋を新築するときに、同時に冷暖房設備等を取りつけたときは、その価格は当然家屋に含めて課税されることになっております。これを比較しますとき、新築と同時に付設するときと、あとからつけ加えるときとの間に税負担の均衡を欠きまするので、付帯設備の取りかえまたは取りつけの場合も、改築に含めて課税しようとするものであります。ただし一般家庭に用いられるような簡易なルーム・クーラーまでを課税することを考えているわけではございません。
次が、たばこ消費税の問題でございます。
第一が、課税標準でございますが、たばこ消費税の地方税としての性格を変えることなく、税源帰属の適正化をはかり、かつ毎年のたばこの消費構成の傾向も織り込むことができるように、たばこ消費税の課税標準を、公社が小売人に対して売り渡した製造たばこの数量に全国平均小売価格を乗じた額、現在はそれぞれの製造たばこの数量に小売価格を乗じた額になっておりますが、そのように全国平均価格に改め、この場合における全国平均価格は、公社が当該年度の前年中に売り渡した製造たばこの小売価格の総額を、当該売り渡した製造たばこの総本数で除して得た額とし、毎年の平均単価が自動的に改定されるようにしようとするものでございます。
第二が、税率でございますが、国、地方団体間の税源配分の一環として地方独立税源を充実するために、税率を道府県、市町村、それぞれ一%ずつ引き上げようとするものでございます。
次が納期限でございますが、納期限を翌月末日に改めるものでございます。
第六が、娯楽施設利用税でございます。
入場税の改正との均衡等も考慮いたしまして、舞踏場等で利用料金を課税標準とするものの税率を、この際百分の十五から百分の十に均衡上引き下げようとするものでございます。
第七が、料理飲食等消費税でございます。
まず税率の適用区分について、現行の場所による適用区分を廃止して、遊興飲食等の消費金額によって税率を適用することとし、一人一回の遊興飲食等の消費金額が三千円をこえるものに対しては一五%、それ以下のものに対しては一〇%と改めるものでございます。
次が、旅館の税でございますが、旅館における宿泊料金、これは一泊につき二食までの料金を含めております。その宿泊料金については、現行の税負担を考慮して、現行通り一〇%といたしております。つまり旅館の宿泊代は、三千円をこしても従来通り一〇%という意味でございます。
次が、旅館における課税標準の特例でございますが、旅館における課税標準の特例としての基礎控除を、諸物価の高騰等の反映による宿泊料の値上がり等の事由もございますので、現行五百円を八百円に引き上げようとするものでございます。
納期限でございますが、納期限を翌月末日に改めております。現在では条例で定める期日となっておりまして、おおむね翌月十五日でございますが、売掛金の回収等の状況等も見て、翌月末日に法定をするものでございます。
第八が、自動車税でございます。最近の小型乗用車の発展に伴い、価格、性能等について著しく差の認められるものが増加して参りましたので、総排気量の区分によって車種間の均衡をはかるようにするために、小型乗用車の税率について三段階の区分を設けて、同時に千五百CC以下のものについての軽減をはかろうとするものでございます。税率は要綱記載の通りでございます。
次が、固定資産税でございます。
まず非課税の範囲ですが、次に申し上げるような固定資産に対しては新たに固定資産税を課さないようにいたしました。
まず、最近における路面交通の混雑のために、地方鉄軌道の都心部乗り入れに際して、都市計画上の要請から、地下トンネルによることを余儀なくされているという実情にかんがみ、地方鉄道業者または軌道経営者が、都市計画区域のうち政令で定める市街地の区域において直接その事業の用に供するトンネルで、昭和三十五年一月二日以後に建設されたものを、帝都高速度交通営団のトンネルと同様に非課税とすることにいたしました。
次が、火薬類の製造業者、販売業者または火薬庫の設置者が、公共の危害防止のために火薬類取締法の規定による許可の条件として設置が義務づけられている土堤、簡易土堤及び防爆壁について、最近の住宅地域の膨脹、爆発事故の実情等から、これらの施設基準が厳格化されてきておりますが、これら公共の危害防止のために設けられる土堤、簡易土堤及び防爆壁等については、この際非課税とすることが適当と思われますので、かようの措置をとることにいたしました。
次が、道路の交通量の増大によって、地方鉄軌道における踏切道及び踏切保安装置の整備が著しく要請せられますとともに、それが果たす役割がますます重要となっておる状況でございますので、地方鉄道業者または軌道経営者が公共の危害防止のために設置する踏切道及び踏切保安装置を非課税とすることにいたしました。
次が、学生生徒の遠隔地からの就学に便宜を与え、あわせて教育の場としての寄宿舎の重要性を考慮して、学校法人がその設置する寄宿舎の用に供する固定資産を非課税といたしますとともに、また学校法人の設置する幼稚園についてだけ認められている非課税措置を、幼稚園の性格上、民法法人、宗教法人または社会福祉法人が設置するものについても同様な取り扱いをすることにいたしました。
次が、課税標準の特例でございます。
まず、鉱工業技術研究組合法第十四条の承認を受けました試験研究用の機械装置は、その性格において企業合理化促進法第四条の試験研究用機械設備と同様でございまして、国税においても特別償却がとられておりますので、すでに規定されている企業合理化促進法の機械設備と同様に、これらの機械装置に対して、新たに固定資産税が課されることとなった年度から三年度分の固定資産税に限って、その課税標準は、その価格の二分の一の額とすることにいたしました。
次に、国内路線を運航する航空機に対して課する固定資産税の課税標準でございますが、航空運送事業の開始当初における経営の困難性等を考慮して特別措置が講ぜられておるのでございますが、最近における航空機の進歩、これに伴う価格の上昇、機数増加の要請等の実情を考慮し、地方鉄軌道、船舶等の特例措置との均衡をとりつつ、航空機に対して固定資産税が課されることとなった年度から最初の三年度分の固定資産税については、その価格の三分の一の額、その後の三年度分の固定資産税については、その価格の三分の二の額とし、昭和三十二年一月一日以後に固定資産課税台帳に登録されたものについて、昭和三十七年度分の固定資産税から適用するものといたしております。
次が、路面交通の渋滞を改善するため、踏切道改良促進法第四条の立体交差化計画に基づいて新たに建設された立体交差施設は、本来道路管理者の負担すべき部分と、地方鉄軌道業者の負担すべき部分とがあるわけでございますが、その施設が地方鉄軌道業者の所有となるものである限り、その建設費全額が課税標準となるのでございますが、これらの立体交差施設の持つ公共性にかんがみ、立体交差施設のうち線路設備、停車場設備及び電路設備に対して課する固定資産税の課税標準は、当該線路設備等の価格から、当該立体交差施設の建設費用中に占める道路管理者の負担した額の割合に相当する額を控除した額としようとするものでございます。
次が、農業近代化資金助成法、農林漁業金融公庫法もしくは開拓者資金融通法による資金の貸付または国の計画に基づく政府の補助を受けて、農業協同組合、漁業協同組合等が、農林漁業経営の近代化、合理化のために新設した農林漁業者の共同利用の用に供する機械その他の設備は、いわば企業合理化促進法の機械設備等と同様の性格を持つものと考えられますので、国税において、すでに租税特別措置法の規定によって、特別償却の認められております共同利用施設の用に供する機械設備の範囲内において、それらの機械設備等に対して課する固定資産税の課税標準は、当該機械設備等に対して新たに固定資産税が課されることとなった年度から三年度分の固定資産税に限り、その価格の二分の一の額とし、昭和三十六年一月二日以後において新設されたものから適用することといたしたのでございます。
これと同趣旨で、中小企業振興資金等助成法による資金の貸付を受けて、中小企業等協同組合等が、中小企業経営の近代化または合理化のため新設した組合員の共同利用の用に供する機械設備等についても同様に措置することといたしております。
次が、新設大規模償却資産に対して課する固定資産税についてでございますが、工場等の誘致に伴う市町村の財政支出の増高等を考慮して、在来の大規模償却資産に比し、新設の当初五年間に限って、その課税限度額を相当引き上げる措置を現在とっておるのでございますが、これらの市町村における財政需要の現状にかんがみまして、特例期間を一年間延長し、新設後六年間特例措置をとることとしようとするものでございます。
次が、改正評価制度の実施準備でございますが、固定資産の評価において各種の資産間の評価の不均衡及び市町村間の評価の不均衡がございますとともに、国税、地方税間においても不均衡がございますので、これらを是正するために評価制度全般にわたって固定資産評価制度調査会を設けて、審議をわずらわしていたのでございますが、先般答申があり、これにのっとって、三十九年度を目途として評価方式を改善し、適正な評価を実施して不均衡是正の措置をとる方針のもとに、さしあたり昭和三十七年度におきましては、改正評価制度の実施準備のため、自治大臣は固定資産の評価基準を定めるものとし、知事または市町村長は、当該固定資産評価基準によって固定資産の価格を決定しなければならない旨の規定を設けますとともに、改正評価制度の実施にあたり、評価基準の内容またはその実施の細目について、自治大臣または道府県知事の諮問に応ずるために、昭和三十七年度から、自治省に中央固定資産評価審議会を、道府県に道府県固定資産評価審議会を置くものといたしたい改正でございます。
なお評価の実施に伴いまして、評価額の上昇がある資産があるわけでございますが、その負担の調整につきましては、評価実施後の結果を待って、税率の引き下げまたは課税標準の特例を置く等の措置を十分検討をいたしていくことといたしたいと存じておるのでございます。
次が、電気ガス税でございますが、まず非課税の範囲、税制調査会の答申にのっとりまして、非課税品目の整理合理化を行なって、新たにパルプ、レーヨン等十六品目を追加をいたしますとともに、現行の非課税品目のうち塩化ビニリデン系繊維及び塩化ビニリデン・塩化ビニール共重合物の二品目を削除いたしました。この場合において新たに追加せられた上記十六品目のうちアクリル酸エステル以下の八品目並びに現行非課税品目のうちの弗素樹脂及び高純度シリコンの二品目、計十品目は、新規重要産業にかかわるものとして、三年間の期限を付することと改めたのでございます。
次が、道路、公園等の照明、交通標識等の電灯は、犯罪の防止その他公共の安全をはかるためのものであって、電気料金自体においても逐次割引制度がとられている機運もございますので、電気供給規程における料金割引の適用を受ける公衆街路灯に使用する電気に対しては、電気ガス税は課さないことといたしたのでございます。
次が離島、僻地等未点灯地域においては、電力会社のコストの関係から配電計画には乗りがたく、そのため農山漁村電気導入促進法第二条第一項の、農林漁業団体が、国庫の補助を受けて一定の部落等に配電をすることといたしておりますが、この場合は電力会社からこれらの団体が一括受電をして、団体から組合員に供給することにいたしております。そのためそのコストがきわめて高く、組合員は電力会社の料金に比して二倍程度以上の負担となっておるものも少なくないのでございますが、このような事情を考慮いたしまして、これらの農林漁業団体が使用する電気のうち、当該農林漁業団体が当該団体を組織するものに供給するものに対しては、電気ガス税は課さないことにしようとするものでございます。
次に、上記の非課税に関する規定は、非課税範囲の確認等に若干の時間を要しますので、昭和三十七年六月一日以後の分から適用することにいたしております。
次が、税率でございますが、税率は税制調査会の答申にのっとって、大衆負担の軽減をはかるため、電気ガス税の負担の軽減をはかるものとして、その税率を百分の九に引き下げることにいたしております。
なお税率の引き下げにつきましては、四月行為分から適用することとなるように、昭和三十七年五月一日以後検針の分から適用することにいたしております。
次が、鉱産税でございます。事業税におきましてはこれまでも数度にわたって低所得者に対する減税が行なわれてきているのでございますが、鉱産税は鉱業に対する事業税であって、事業税の負担軽減措置との均衡において、中小鉱業者の負担軽減をはかるものとして、鉱物の掘採の作業場において、一カ月に掘採される鉱物の価格が、当該作業場所在市町村ごとに一カ月二百万円以下である場合において、課される鉱産税の標準税率を百分の一から百分の〇・七、また制限税率を百分の一・二から百分の〇・九に引き下げようとするものでございます。
次が、木材引取税でございますが、素材の引き取り場所が市町村によって区々になっておりますために、駅土場価格によるものあるいは山元土場価格によるものとがあって、市町村間においては必ずしも負担の均衡が保持されていないうらみがございますので、この際木材引取税の課税標準となるべき価格は山元土場の価格ということに法定をしようとするものでございます。
次が、経由引取税でございますが、軽油引取税の納期限を翌月末日と法定をいたしました。現行法においては納期限は大体翌月十五日でございますが、石油製品販売業の取引の実態及び揮発油税の納期限が翌月末日とされておりますこと等にかんがみて、これを延長することにしたのでございます。
次が、農業または林業を営むものが農耕用の機械等に使用する軽油につきましては、現在免税措置がとられていることにかんがみまして、これらのものに類する農地の造成を営むもの、たとえば農地開発機械公団等についても免税をしようとするものでございます。
次が、国民健康保険税でございます。国民健康保険事業に対する住民負担の現状にかんがみまして、昭和三十七年度においてその療養給付費に対する国庫補助金の額が七十九億円予算措置がとられておるのでございます。つまり五%引き上げられたわけでございます。このことに伴いまして、標準課税総額を、療養の給付及び療養費の総額から一部負担金の額を控除した額の現行百分の九十とありますのを、百分の八十に改めようとするものでございます。
次が、その他の項目でございますが、その他所得税、法人税等における税制の整備に対応いたしまして、所要の規定の整備、合理化を行なう等、規定の整備、合理化をはかることといたしております。
次が、施行期日でございますが、以上の改正は原則として昭和三十七年度から実施することとし、ただ市町民税所得割における税率の緩和は、昭和三十八年度から実価することといたしておりますことは、すでに御説明申し上げた通りでございます。
最後が、入場譲与税でございますが、所得税の収入の一部を道府県民税の収入として委譲を受け、別途所得税法の一部を改正する法律において、道府県民税所得割税率の改正を行なうことといたしております。これによる道府県の自主独立財源が充実されるのに対応して、入場譲与税制度を昭和三十六年度限り廃止をしようとするものでございます。
それから次が、道府県民税の改正の関係でございますが、これにつきましては別途所得税法の一部改正法において道府県民税の税率を改正することといたしておりますので、参考としてお手元にお配りいたしました所得税法の一部を改正する法律案要綱に従って、そのうちの道府県民税の部分について補足説明をいたしておきたいと思います。
今回、国、地方団体間の税源配分の適正化をはかるために、昭和三十七年度において所得税の収入の一部を道府県民税として委譲を受け、そのために所得税の改正において課税所得のうち十万以下の金額に対して適用される税率を、通常の一〇%から特に八%に引き下げますとともに、四千五百万をこえる金額について税率の引き上げをはかる措置をとることに対応いたしまして、道府県民税所得割の税率を改正することといたしております。このために、国税における昭和三十七年度税制改正による事項別減収額におきましては、所得税独自の減税額のほかに、道府県民税所得割に委譲するための減収順を別ワクにして、所得税の減税額からはずしておるということを申し上げておきたいと思います。
まず税率でございますが、現行課税所得十万円以下の金額に対して課する〇・八%から、五千万円に対する五・六%までの十三段階の超過累進税率を、課税所得百五十万以下の金額二%、それをこす金額四%の二段階の標準税率に改めようとするものでありますが、これは住民税のあり方からいって、国の所得税に見られるような高度の累進税率を適用することは適当でなく、地方住民が相寄って応分の負担に任ずるという趣旨から申しますと、比例税率かもしくは比例税率に近い軽い累進税率が適当である。また現行の超過累進税率によりますと、その収入において地域的な所得水準の差以上の強い地域的な格差を税収に生ずる、また所得水準の変動以上の度合いで変動する傾向があるのに比しまして、より普遍的安定的であるという理由に基づくものでございます。
以上、所得税及び道府県民税所得割の税率の改正によりまして、所得税と道府県民税所得割との総合負担におきましては、必ず負担軽減となって、その軽減度合いは低所得者ほど高いという結果に相なっておるのでございます。
なお昭和三十七年度における所得税と道府県民税所得割の総合負担を保証するという意味から、以上の改正税率は、昭和三十七年度に限りまして一定税率とすることにいたしております。
次が、負担の調整措置でございますが、まず税額控除の特例でございます。道府県民税所得割につきましては、昨年の改正によって国税の影響を遮断をして、基礎控除、扶養控除等の所得控除額についてもそれぞれ独自に規定をしたのでございますが、そのために昭和三十六年の所得税の課税所得金額との間に差異を生ずることになっております。その相違分は、いわば道府県民税所得割独自の税源であって、従って今回の所得税からの委譲の対象外でありますので、この部分に対して改正税率を適用したままでおきますと、所得税の税率調整による完全相殺が行なわれがたいということになるのでございます。そこで、道府県民税所得割における所得控除額が、昭和三十六年度所得税の所得控除額と同一の額に達するまで、当分の間税負担の増大を来たさないよう、次のような特別の税額控除を行なうことにしておるのでございます。
まず、配偶者である扶養親族につきましては、二百四十円、配偶者を除く十五才以上の扶養親族については二百四十円、事業専従者については、青色の場合が四百八十円、白色の場合が二百四十円、前年の所得金額が五万円をこえる配偶者があって、かつ扶養親族のすべてが十五才未満の者であるとき、その扶養親族のうちの一人について二百四十円、こういう税額控除額を定めておるのでございます。
これは所得税と道府県民税との間における扶養控除額に次のような差異がございまして、その額にそれぞれ改正税率二%と現行の最低の税率〇・八%との差一・二%を乗じた額に相当するものでございます。つまり配偶者につきましては、所得税と道府県民税では現在二万円の控除の差がございます。十五才以上の扶養親族についても同様二万円、事業専従者については、青色の場合に四万円、白色の場合に二万円でございます、また前年の所得金額が五万円をこえる配偶者があって、かつ扶養親族のすべてが十五才未満の者であるときのその扶養親族のうちの一人についてはやはり二万円、これらの差がございまするので、その控除額の差に一・二%を乗じた額を税額控除する、こういうことにいたして、完全な調整措置を講ずることにしたのでございます。
次が、昭和三十七年度分の道府県民税の所得割の特例でございます。
昭和三十七年度の道府県民税所得割は、昭和三十七年の所得税との総合負担において調整され、軽減されることは先ほど申し上げた通りでございますが、昭和三十七年度の道府県民税の所得割の納税義務者で、昭和三十七年の所得税が失格となったものは、昭和三十七年の所得税の減税を受けないで、かつその者が低所得者層に属する者であることにかんがみまして、特に昭和三十七年度に限って、現行の道府県民税負担をこえないように、改正による増額分を減額をすることによって負担の調整をはかることにいたしております。
次が、その他の問題でございますが、賦課徴収につきましては、現在は市町村に委任をいたしておりますが、今回の改正におきましても従前通り賦課徴収は市町村に委任をすることにいたしております。そこで今回の道府県民税の改正に伴って、市町村の事務の増加を来たすわけでございますが、それらにつきましては徴収取り扱い費を思い切って増額をいたしますとともに、人員の増、事務の機械化等に必要な経費等もそれぞれ措置をいたすことによりまして、市町村に財政上の負担をかけないという措置を講ずることにいたしているのでございます。
以上で補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X00519620201/9
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010・園田直
○園田委員長 以上で提案理由の説明及び補足説明は終わりました。
本案についての質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X00519620201/10
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011・園田直
○園田委員長 連合審査会開会申し入れの件についてお諮りいたします。
御承知の通り、昨年末当委員会におきましては、岩手県における学力調査阻止事件に関連する地方公務員法違反事件に関する調査のため、現地に委員を派遣いたしたのであります。また文教委員会におきましても、岩手県における学力調査に関する実情を調査するため、現地に委員を派遣いたしており、現地におきましては両委員会の派遣委員は合同して調査に当たった実情でございますので、この岩手県における学力調査に関する問題につきましては、文教委員会と連合審査会を開いて調査を行なうことにいたしたいと思います。つきましては、この際文教委員会に連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X00519620201/11
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012・園田直
○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
なお開会の日時等につきましては、追って文教委員長と協議いたします。
次会は、明二日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X00519620201/12
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