1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十七年二月十五日(木曜日)委員
会において、次の通り小委員及び小委
員長を選任した。
地方税法の一部を改正する法律案審
査小委員
伊藤 幟君 大沢 雄一君
大竹 作摩君 高田 富與君
津島 文治君 前田 義雄君
太田 一夫君 川村 継義君
二宮 武夫君 山口 鶴男君
門司 亮君
地方税法の一部を改正する法律案審
査小委員長
高田 富與君
—————————————————————
昭和三十七年二月十五日(木曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長 園田 直君
理事 金子 岩三君 理事 高田 富與君
理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君
理事 太田 一夫君 理事 阪上安太郎君
伊藤 幟君 小澤 太郎君
大竹 作摩君 亀岡 高夫君
久保田円次君 津島 文治君
山崎 巖君 山口 鶴男君
門司 亮君
出席国務大臣
自 治 大 臣 安井 謙君
出席政府委員
自治事務官
(税務局長) 後藤田正晴君
委員外の出席者
自治事務官
(大臣官房参事
官) 大村 襄治君
自治事務官
(財政局財政課 松島 五郎君
長)
自治事務官
(税務局府県税
課長) 降矢 敬義君
自治事務官
(税務局市町
村税課長) 佐々木喜久治君
専 門 員 圓地與四松君
—————————————
二月十四日
委員亀岡高夫君及び門司亮君辞任に
つき、その補欠として寺島隆太郎君
及び西尾末廣君が議長の指名で委員
に選任された。
同日
寺島隆太郎君辞任につき、その補欠
として亀岡高夫君が議長の指名で委
員に選任された。
同月十五日
委員西尾末廣君辞任につき、その補
欠として門司亮君が議長の指名で委
員に選任された。
—————————————
二月十三日
ガス税の撤廃に関する請願(藤本捨
助君紹介)(第八五八号)
同(木村公平君紹介)(第九九〇号)
同(古井喜實君紹介)(第一〇二一
号)
同(増田甲子七君紹介)(第一〇二二
号)
同(勝間田清一君紹介)(第一〇九二
号)
同(鈴木善幸君紹介)(第一一八一
号)
電気・ガス税の撤廃に関する請願外
一件(尾関義一君紹介)(第九五一
号)
同(宇都宮徳馬君紹介)(第一〇五七
号)
市町村道路譲与税の創設に関する請
願(羽田武嗣郎君紹介)(第九七〇
号)
同(唐澤俊樹君紹介)(第一〇三五
号)
同(中島巖君紹介)(第一一〇八号)
国有提供施設等所在市町村助成交付
金に関する請願(三浦一雄君紹介)
(第一〇二三号)
地方財政関係法の抜本的改正に関す
る請願外一件(細田義安君紹介)(第
一〇七三号)
同(門司亮君紹介)(第一一三四号)
同(山花秀雄君紹介)(第一一八二
号)
電気税の撤廃に関する請願(河本敏
夫君紹介)(第一〇七四号)
同(仮谷忠男君紹介)(第一一三三
号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
小委員会設置並びに小委員及び小委
員長選任に関する件
地方税法の一部を改正する法律案
(内閣提出第四九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/0
-
001・園田直
○園田委員長 これより会議を開きます。
地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。前会に引き続き質疑を行ないます。阪上安太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/1
-
002・阪上安太郎
○阪上委員 料理飲食等消費税につきまして、一つだけ大臣に伺っておきたいと思います。
それは、今問題になっております、外人に対するところの料理飲食等消費税の非課税問題なんです。この件につきましては、わが党の太田一夫君が先般本会議において質問いたしまして、この点につきまして大臣からしごくわけのわからぬ答弁があったようであります。仰せのようにいたしておりますという答弁です。なるほど、現在の税法改正法を見ますると、仰せのようにしているということになるのです。実は承るところによりますと、自民党の方では、何か外客誘致臨時措置法とかいうものを準備いたして、それで外人に対するところの非課税を、さらに実質上講じていこうという空気があるように承っておるのであります。これは前国会においてもこの前の税制改正のときにも問題になったのでありますが、この際思い切って、そういう非課税措置というものは廃止すべきである。しかしいろいろともたもたいたしまして、その結果一年延期になったというような経過を持っている。今回はそれを一応税制改正では思い切って非課税を廃止してしまったのでありますけれども、それがまた別の法案の形で生き返ってくるという空気が非常に濃厚でありますので、政府として、これに対してどう対処されるか、はっきりこの際言明してもらいたいと思うのですが、この点、一つ大臣からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/2
-
003・安井謙
○安井国務大臣 自治省といたしましては、地方税法につきましては、今回提出しております案の通りでございまして、従って外人旅客に対する課税についても、非課税にするという新しい項目が昨年度から設けられたままになっておることは御承知の通りであろうと思います。今承りましたように、自民党で、目下、観光誘致と申しますか、あるいは外貨獲得と申しますか、そういった政策的な観点から、何か特別立法のようなものを考えておられるよしを、ほのかに承っております。しかし私、まだこの内容を十分正式に伺ってもおりませんし、今これに対してあれこれという返事のいたしようもないのであります。これはその法案が正式になりましたときに、その法案に対する判断もいたしたいと思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/3
-
004・阪上安太郎
○阪上委員 ただいま大臣から、ほのかに聞いている、こういう御答弁がございました。あるいはそうかもしれないと思います。そのことについては、これはほのかにしか聞いておられないからやむを得ないと思いますが、ただいま承りますと、ほのかに聞いておるのでよく承知していないが、もしそういう法案が出たならば、そのときに一つ考える。そうしますと、その法案が出たときに考えるということは、政府の案としては出さないということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/4
-
005・安井謙
○安井国務大臣 私まだ正式にこの法案を相談を受けてもおりませんし、どういうふうな形でこれを出すとか、あるいはどういう形で固まっておるという点について、まだ十分の承知をいたしておりません。何かそういうようなものを、党でいろいろ御検討いただいておるという話だけはちょっと聞いておりますが、そこで、政府として出すとか出さぬとか、どうするという話は、私自身まだ判断をいたしかねておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/5
-
006・阪上安太郎
○阪上委員 そこでお伺いいたしますが、とにもかくにも、今税制改正の法案が出ておるわけです。従って、今の時点において、これ以上あなたの方でこの法案をさわるという考え方はおそらくないだろうと私は思う。それともまた、われわれの提案に対して、修正に応じられるような意図があるならば、これは別といたしまして、これ以上この料理飲食等消費税というものについてさわろうという考え方は、おそらくないのじゃないか。あなたがほのかに聞いておられるところの分につきましては、私もまたほのかに聞いておるのですが、その内容等を仄聞するところによりますると、これは料理飲食等消費税の一部改正と全く同じものである。現在出ているところのこの税法の中に改正案がなくて、この税法を通してから、あとで地方税法の一部改正と全く同じものをそこに盛り込んでくるような内容のものであるということであるならば、そういうものであるならば、自治省大臣としては、そういう内容を盛った法案に対して、あなたは賛成することができないのじゃないかと私は思うのです。この点、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/6
-
007・安井謙
○安井国務大臣 地方税法の改正そのものにつきましては、御承知の通り、これは自治省の仕事でございますから、私ども独自の見解でただいま税法改正を御提案申し上げておる通りでございます。ただ、今お話しのように、全体的な観光という角度から、一つの新しい政策を立法される、それがどういうふうにわれわれの方へ影響してきますか、これは成案を見た上で、この全体的な判断をいたしたいと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/7
-
008・阪上安太郎
○阪上委員 それでは、今までほのかに聞いておられるその内容について、ほのかな範囲でいいから、外客誘致の特別措置法を御承知の範囲内で、一つわれわれに知らしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/8
-
009・安井謙
○安井国務大臣 これはどうもほのかなものでありますから、速記をつけた委員会の私の責任ある答弁としてはいかがかと思われるのでありますが、私がほのかに聞いております点は、外貨事情もかなり悪い、そういうような意味から、外貨誘致も兼ね、さらに観光の誘致も兼ね、さらに今後オリンピックに備えて、外国人に対する日本の認識を、できるだけ深めるのに便利な法案を提案したいということが、党から起こっておるように聞いております。従ってその中には、外人客が日本に来訪いたしました場合に、これが一定の旅行者であるという場合に、何らかの形で特典を与えたいというようなことも含んでおるやに聞いておりますが、まだ私はその実態について、正直のところ十分に承知いたしておりませんので、これはその案を見ました上で判断いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/9
-
010・阪上安太郎
○阪上委員 外客誘致のために、あるいはホテルの料金等を軽減するとか、あるいはまたツーリストに対するところの特別円などというもの、特別の為替交換レートをやっていくとかいう措置は、諸外国にあると私は思います。しかしながら料理飲食等の税の面において優遇措置を与えるというような例は、諸外国ではほとんどないだろう、私はこういうように思うのであります。従って、外客誘致にしても、そういう他の面におけるところの措置というものは、十分に考えられていいと私は思うのですが、事税に関しては、私は納得できない。ところが、そればかりじゃなく、今すでに地方税を論議されておる審議の段階にあるわけです。このときに、その内容の中に地方税の減免に関するようなものを織り込むということであるならば、われわれとしては地方税を正直に今審議を続けるわけにはいかない。現に地方税法の改正案を審議しておるこの段階において、しかもこの税法改正と関係のあるようなものが、外客誘致の特別措置の中に入ってきておるということであるならば、全く人を小ばかにした話であって、われわれとしては地方税法をこのままの状態で審議するわけにはいかない。ことに先ほど大臣は、そういう法案が出てくれば、全く別個のものとしてわれわれはその際考えるんだ、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、内容にそういった地方税の一部改正があるというならば、全くけしからぬことである。そういうことを大臣は承知の上で、出てきたときには特別に考える、こういうふうにおっしゃっておるのか、もう一ぺんその点をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/10
-
011・安井謙
○安井国務大臣 先ほども申し上げましたように、地方税の改正につきましては、私ども今お手元へ提案しております案のような考え方をいたしておるわけであります。ただ、別の観点から新しい法律案が総合的にできる、あるいはできようということが具体的にきまる際には、私どもそれを見た上で全体の判断をしたいと思っておるのでありまして、それは今ちょっとこの段階でこれ以上御答弁のしようがあるまいかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/11
-
012・阪上安太郎
○阪上委員 そういう政治的な答弁もありますけれども、、ざっくばらんにいって、今承るところによると、自民党の一部の方は、血道を上げてこの問題に取り組んでおる。そして三役のところまで持っていっている、こういうような状態であります。その中にわれわれのほのかに聞くところによると——ほのかどころじゃない、これはもうはっきりしている。はっきりと税法の改正があるわけなんです。今この税法を出しておって審議中に、別の法案の中にまたそういうものをすりかえて持ってくる。ほんとうのところ、そういうことであるなら、私はこんな税法なんかまじめに審議できない。知りませんよ。そこでこれは仮定の上に立ってのお話とこう言わればそれまでですが、じゃ仮定の上に立って、もしその中に地方税法の改正のようなものがあるならば、絶対に政府としてはこれを受け付けぬという態度がはっきりできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/12
-
013・安井謙
○安井国務大臣 政党政治でございますから、党の方針というものを政府がまたどういうふうに扱うかということは、党の方針もきまり、あるいはきまる過程で、政府が正式に関与した上でこれはきめるべきものだろうと思っておりますが、今の問題につきましては、まだ党内で意見が固まっていないように私どもは聞いておりますので、それに対しましては、あくまでわれわれは、この地方税法の建前をとっておるということを明確にしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/13
-
014・阪上安太郎
○阪上委員 しつこいようですが、大臣の言葉の中には税法が一応通ってしまったあとで、そういう形のものが出てきて、その中に多少税法の改正があったとしても、政府としてはそういうようなものについては、その場合に考えていくのだというような態度ですが、もう少し積極的に、今実は税法を改正しているじゃないか。この段階においてそういうようなものが与党の中にあるのです。それは政府と与党とは違うとおっしゃったって、やはり議院内閣制の責任政治である以上は、私はそのくらいな話し合いはできるのじゃないかというふうに思う。政府はそういう税法改正という、そんなものがあろうがなかろうが、これ以上ことしはなさらないですか。もしなさるとすれば、今ここに出てこなければおかしいのですから、出てないとすれば、ことしはもう突発的な事故がない限りやらぬでしょう。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/14
-
015・安井謙
○安井国務大臣 今後全然税法改正について、この国会中に手を触れることはないかというお尋ねにつきましては、これはまた一がいにそう言えない面もあろうかと思います。
それから今の外人課税の問題につきましては、いろいろこまかいお尋ねでございますので、私の方で今までとって参りました実情をはっきり申し上げますと、これは政府部内にも、党の相当強い要請としても、地方税の面からそういった外人課税を取り上げるべき時期でないという、非常に強い要望があることは事実でございます。そういう議論自身にも、相当傾聴に値するものがあるということを私自身は考えております。考えておりますが、これを地方税の体系をくずすという形でそのまま取り上げるということは、妥当であるまいという考えから、これを私どもの責任として取り上げないで今日まで参っておるわけでございます。しかしそれを別個の立場でいろいろ議論される、そして全体の観光誘致というようなものが起こってくるというようなことに相なりますれば、その案がある程度固まったときには、私自身の判断もその案をもとにもう一ぺん加えてみたい、こういうふうに考えております。ここでいかんとも御返事のしようがないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/15
-
016・阪上安太郎
○阪上委員 もう少しお伺いしたいのですが、大臣としては、二つの意見のどちらの方に賛成されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/16
-
017・安井謙
○安井国務大臣 何度も申し上げましたように、私は地方税法の体系を、そのことによってだけ動かすべきものじゃないということで、この法案をお手元へ出しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/17
-
018・園田直
○園田委員長 山口鶴男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/18
-
019・山口鶴男
○山口(鶴)委員 引き続きまして、地方税の問題について幾つかお尋ねをいたしたいと思います。
今回入場譲与税が廃止になるわけでございますが、この点につきましては、過日も、門司委員から、入場税というものは、本来、地方の税金である、それを今回たばこ消費税の二%引き上げと所得税の道府県税への移譲、この二つの措置によって廃止をするということは全く筋が通らない、こういう御指摘があったわけでございます。その際、政府といたしましては、いや、この入場税というものは、これは斜陽税であって、将来伸びが乏しいのだ、これに対して所得税ないしたばこ消費税は、これは成長的な傾向があるのであって、かえってその方をとった方が得だ、こういうような御答弁があったやに記憶をいたしておるのであります。そこでお尋ねをいたしたいのでありますが、今回の税制調査会の議論の過程におきましては、酒税とともにこのたばこの専売益金というものが高過ぎるのではないか、諸外国に比べて一がいに高いとは言えないけれども、間接税を軽減していくことは税本来の建前を堅持することになるから、このたばこの税については軽減すべきだ、こういう意見が非常に強かったと私ども伺っておるのであります。それから過般も、大蔵委員会におきまして、中山税制調査会長が出席をいたしまして、そうして次の機会におきましては、必ずたばこの減税を行なう、ぜひこのたばこの減税は次の機会には取り上げたいということを明確に答弁をせられておるようであります。そういたしますと、この入場税は斜陽であって、たばこは成長だというようなことは言えぬと思います。われわれとしては、間接税を軽減するという方向でたばこの減税をすることは大いに賛成であります。しかもまた税制調査会の方向もそういうふうに向いておるとすれば、今回たばこ消費税について、従価税から従量税にしたとはいうものの、このたばこの減税が行なわれれば、平均価格は下がってくるわけでありますから、そうなれば、当然たばこの消費税も下がってくる。こういうことは理論的におのずから明らかだと思う。そうした場合に、先刻政府が言いましたように、片方は成長であって、片方は斜陽だというようなことは通らない。そうした場合に、入場譲与税を代替に廃止するということは、地方の独立財源を確保するという意味から、非常に遺憾な措置だと言わざるを得ないと思います。この点について、大臣の方から、なぜ入場譲与税を廃止して、片方をとった方がいいという判断をしたのか、お聞かせをいただくと同時に、当然このたばこ消費税というものは下がり得る運命にある。そうした場合に、政府としてはどういう対処をいたしますか、お知らせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/19
-
020・安井謙
○安井国務大臣 御指摘のように、今回は、たばこの消費税の割前を地方税に移すことによりまして、入場譲与税の制度は廃止したわけであります。入場譲与税につきましては、これは明らかに、今の斜陽という言葉が当たるかどうか別といたしまして、全体に非常に税額の減少しつつある税種であることは間違いございませんし、また税率自身につきましても、大衆課税であるという面からも、これも相当大幅な減税が今後も試みられるであろうということも間違いない見通しであろうかと思います。たばこも同様でございまして、たばこについても、将来できるだけこれは減税をはかっていきたいということは、われわれも同様に考えております。しかしたばこに対する需要といいますか、総額の税額の売り上げといったものは、これはちょっと入場税の比ではなかろうと思います。税率を下げることによって税額が非常に極端に落ちていくといったような性格のものには、将来もなるまいというふうに考えております。入場譲与税は、御承知の、固有の地方の財源でもございませんし、またそういう運命をたどっております。一方、社会的な需要からだんだん税率も下げ、税額も減っていくというふうな不安な税源をかかえておるよりは、多少将来減税をいたすにいたしましても、安定した税率のあるたばこの割前といいますか、歩合にその財源を求めておいた方が、より地方税としては安定であるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/20
-
021・山口鶴男
○山口(鶴)委員 大臣は、入場税は地方の固有の税金でないというふうに言われましたが、この点は認識が違うんじゃないですか。入場税というのは、本来地方の税金である。ただ徴収の仕方等にいろいろ問題がある、従って徴収の手続は一応国に移すけれども、その徴収いたしました額は人口等に応じて地方に全部還元をするんだ、こういうことで、徴収の手続は国に移ったけれども、税の性格自体は地方独自の財源であるということだけははっきりしていると思うのです。そういうことがはっきりしておるのに、入場税は地方特有の財源ではないのだから、この際やってもいい、こういうお考えは、私は自治大臣としては、まことに遺憾な点だと思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/21
-
022・安井謙
○安井国務大臣 御承知の通り、入場税は元来は文字通り地方特有の、固有の財源であったわけであります。これが何年前でありましたか、国に移管をされまして、そうして譲与税という形で、今度は国税を分けてもらっておる、財源全体からいえば、国からいただいておるという税に変わったわけでございます。いわゆる税種としては移管が正式に行なわれたわけであります。ただ財源的には、これはそういったもので、従来のいきさつから、地方へこれが配分される。しかしその配分のされ方にもいろいろ制限もございますし、そういう意味から私はこれは地方が直接持っておる固有の、純粋の税源というものとは若干趣を異にすると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/22
-
023・山口鶴男
○山口(鶴)委員 どうもその点の大臣の考えに同意をするわけにいきません。私どもとすれば、徴税手続はどうあれ、やはり地方の固有の財源としてこれがあったわけですから、やはりそういう意味で、軽々に手離すという態度は誤りだというふうに指摘を申し上げておきたいと思うのです。
そこでたばこの消費税ですけれども、将来減税を行なわれることは必至だと思うのです。われわれは、現在においてもたばこ消費税は三〇%程度に引き上げるべきである。そうして地方の自主財源を強化すべきであるという主張をいたしておるわけでありますが、当然将来価格が下がり、その価格が下がっただけ税自体が下がるかどうかということは、消費の関係もありますから、議論のあるところだろうと思いますけれども、一応価格も下がる。そうした場合に、当然消費税においても、自治省としてはやはり断固たる態度をもって、税率を上げていくという態度をとるべきだと思うのですが、そういう考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/23
-
024・安井謙
○安井国務大臣 地方の財源あるいは税源といったようなもの全体を勘案いたしまして、こういったものはそれぞれの分野できめられるのだろうと思います。このたばこだけを例にとりまして、税率が上がれば配分を自動的に上げるというふうに直接結びつけて、そのまま実現できるかどうかはむずかしい問題であろうと思います。しかしお考え方としては、われわれはできれはそういうふうな方向で考えていきたい、こういうふうには考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/24
-
025・山口鶴男
○山口(鶴)委員 では、他の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。市町村の税金の中に木材引取税という税金がございます。本年度の収入見込額は十八億一千五百万円であったようでございますが、この木材引取税は一体どのくらいの徴税歩合といいますか、どのくらいまで税金が徴収してあるというふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/25
-
026・後藤田正晴
○後藤田政府委員 御質問の木材引取税は、なかなか把握が困難な税であることは間違いございません。そういう関係で調定額そのものをどの程度にきめるかということによって、徴収率そのものは変わって参るわけであります。従って調定額そのものが、はたして木材の現実の取引の額そのものを完全に把握しているかどうか、実はそこに問題があろうかと思います。徴収率そのものは、従って他の税と変わらない程度の徴収率を示しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/26
-
027・山口鶴男
○山口(鶴)委員 どのくらいと把握しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/27
-
028・後藤田正晴
○後藤田政府委員 この点については、私ども正確な資料をただいま持っておりません。正確な資料を調査の上お答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/28
-
029・山口鶴男
○山口(鶴)委員 とにかくこの税額からいけば、徴収見込みからいえば、全国の木材の素材の取引額が、九百億円程度だということになるでしょう。そんなばかなことがありますか。こういう税を設定している以上、全国の素材の取引高は一体何石くらいであり、価格についてはどのくらいかという資料は、当然自治省として持っているはずだと思うのです。それをお示しいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/29
-
030・後藤田正晴
○後藤田政府委員 調査の上、書面でお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/30
-
031・山口鶴男
○山口(鶴)委員 しかし少なくとも地方の重要な税としてあるわけですから、しかも税の収入見込みも出しておるのですから、出しておる以上は素材の取引がどのくらいあるのかということくらいは、ちゃんとそこの書類の中に入っていなければおかしいだろうと思うのです。そういうことについては、全然考えなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/31
-
032・後藤田正晴
○後藤田政府委員 現在のものに対応するものは当然あるわけでございますが、現実の取引高の押え方がどの程度になっているかという点についての詳細な資料をただいま持っておりませんので、役所としてはもちろんございますから、調査の上書面でお答えいたしたい、かように申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/32
-
033・山口鶴男
○山口(鶴)委員 私が質問をしている間に問い合わせて調べて、あとであれしていただきたいと思います。
では、ほかの問題に移ります。
大臣にお尋ねしたいと思うのですが、国税でいえば、租税特別措置が問題になります。地方税における租税特別措置と同じような種類の減免税が何ほど、幾らくらいございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/33
-
034・安井謙
○安井国務大臣 地方税における減免措置の実態でございますか。約八百億くらいだと存じますが、詳しいことは政府委員からでもお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/34
-
035・後藤田正晴
○後藤田政府委員 現在の非課税特別措置は八百五十億見当になっております。国税が大体千五百億、合計二千三、四百億程度が、租税全体の特別措置の金額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/35
-
036・山口鶴男
○山口(鶴)委員 この地方税における税の減免ということになりますと、主として固定資産税並びに電気ガス税であろうと思いますが、特に電気ガス税について、大企業に対して税の減免をやっているという趣旨はいろいろあろうかと思うのですが、しかし特に現在池田内閣の高度成長政策が失敗をした、それでドルの準備が非常に不足をした、その原因は何かといえば、設備投資の行き過ぎであるということは、政府も認め、また各経済界の一致した見解であることは明らかだと思うのです。この際、では設備投資を大企業が大いにやった、過熱するほど設備投資が行なわれた。その場合の資金は一体どこから出ているかということになれば、もちろん銀行その他から借り入れた部分もありましょうが、現在の企業状態からいって、企業内部で調達をした資金もこれまた相当な額に上っているということは明らかです。その資金の源は一体何かといえば、これは租税特別措置であり、そしてまたこの地方税における減免措置だということは、明らかなところだろうと私は思うのですけれども、現在の政府が、昭和三十七年度においては設備投資の行き過ぎを押え、成長率を五・四%に押える、こういった方針を打ち出しておられる。そうした場合に、このような多額の税の減免措置をやっておるということに対しては、私は明らかに政府の政策の矛盾だろうと思うのですが、そういう点については政府としてはどうお考えでありますか。矛盾ではないと思いますか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/36
-
037・安井謙
○安井国務大臣 この設備投資の資金の一部に、そういった税の減免が充てられているであろうということ、これはものの見方でございましょうけれども、資金全体はその企業全体から出てくる資金でございまして、その中からそういった設備投資に回る部分もできてくるということは、これは言えると思います。しかし同時に税の減免、ことに固定資産税の減免をやりますについては、それぞれの部門にそれぞれの固有の理由がございます。そういった事情からこれは減免に値する、あるいはすべきものであるというような決定からこれをいたしておるのでありますから、私はこれは設備投資の過剰そのものと直接結びつけて、矛盾するとかしないとかいう問題ではなかろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/37
-
038・山口鶴男
○山口(鶴)委員 予算委員会等でも議論をされたと思うのでありますが、日本は国民所得の割合に対して、それが個人消費に一体幾ら使われているかということになりますと、約五〇%だというのですね。世界各国ではこれが六〇%をこえておる、特にヨーロッパ各国においてはですね。それで国民所得のうち個人消費が五〇%程度だというのは戦時経済だといわれているわけです。それだけ国民所得の全体のうちに、個人の消費の部分というのが非常に少な過ぎて、そしていわゆる大企業の設備投資というような形で金が使われるということは、これは少なくとも日本の経済が、他のヨーロッパ各国の経済事情に比べて、非常にへんぱな姿をとっているのだ、こういうふうにいわれています。だから日本ではむしろこの個人消費をもっと高める必要がある。とすれば租税特別措置のような、設備投資に回る金は切って、そして個人消費をふやすための措置、具体的に言うならば住民税なり道府県民税なり、そういった個人にかかる税の減税を大幅にやっていくということが、現在経済の二重構造といわれている日本のへんぱな経済構造を改めていく道ではないかというふうに思うのですけれども、政府としては、そういう考え方をおとりにならぬのですか。あくまでも設備投資行き過ぎの原因になっておる租税特別措置は守って、そして大衆減税はあまりやらぬ、こういう方向をとろうとするのですか。私としてはどうしても納得できないのですけれども、政府の考え方を一つお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/38
-
039・安井謙
○安井国務大臣 日本の経済の総生産力といいますか総生産額に対しまして、まだ個人消費の率が高くないという御指摘は、あるいはその通りであろうと思います。私今専門的な数字を持っておりません。しかしその割合は日本の経済が発展するとともにだんだん向上しておることも事実であります。また今の日本経済の力からいえば、ある部面ではむしろ消費過大の面もないことはないと思うのです。その点は一応別にいたしまして、固定資産税あるいは税を減免すれば個人消費がふえるということにつきましては、これは若干問題が別問題じゃなかろうかと思います。税の減免によって浮いてくる利潤部分というものは、企業全体による利潤部分の幅を大きくしているだけでありまして、それによって固定資産税の減免をやれば、結局その部分は会社の経理上の利潤の部分が大きくなってくるということで、今の御説からいえばむしろ消費を刺激するし、消費に有利になっていることもこれは事実だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/39
-
040・山口鶴男
○山口(鶴)委員 そういう大臣の考え方はあまり通らぬと思うのです。学界の通説は、個人消費を高めるためには、やはり大衆減税をやっていく、それだけ国民の受け取り分がふえるわけですから、それはもう明らかだと思うのです。そういう意味で私どもとしては、とにかく日本の企業が世界各国の企業に比べて、非常に弱体過ぎるというのならば、一応こういった措置をとることも理屈があるいは通ろうかと思うのですけれども、しかし今や日本の大企業というものは、国際的に見て中小企業だなんていう理屈は決して通りませんよ。アメリカを除いた全世界の大企業の序列からいっても、もう日立なんかは世界の十七番です。八幡にしたって二十数番目でしょう。そういうときになぜ、たとえば電気ガス税——税法の四百八十九条で、鉄鋼については電気ガス税を全部減免しているでしょう。全世界の二十何番目の大企業に対して、それほどの恩恵を与えることがなぜ必要なんでしょうか。こういう点はどうしても私は理解しがたいのです。富士製鉄にしたってそうでしょう。やはりアメリカを除いた世界で三十番目くらいな大企業です。そういうものに対してなぜ電気ガス税を全部まけてやる必要があるのですか。そういうことについて、われわれの納得できる御説明をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/40
-
041・安井謙
○安井国務大臣 一般の減税をすることによって、その人の所得の負担が軽くなるから、これは消費を刺激するという点は御説の通りだと思います。しかし固定資産税といえども、これは企業内の利潤をふやす、あるいは大きくする一つの要素になっているので、これがやはりそういったような御指摘のように、消費に使われるのがいいか、生産投資に回るのがいいかの議論はこれは別だと思いますが、要素になっているのはこれも事実だと思います。
それからなお、鉄鋼部門のようなりっぱなしっかり根のはえた企業に対して、なぜ電気ガス税の撤廃をやるか、こういうお尋ねでございます。これは御承知の通りに、電気ガス税につきましては、企業コストに対する一定割合を持った重要産業というものについては、電気ガス税を免除するという規定の尺度に合わせてこれを施行しておるものでありますから、これもそれに入ってくる、こういうことであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/41
-
042・山口鶴男
○山口(鶴)委員 そんなことはちょっと理解できないのです。それならば現在の日本の企業の中で、何が一番生産性が低いかといえば、これは農業だということははっきりしているのですね。その生産手段である田畑に対する固定資産税なんかは、きちっと取っているでしょう。まず農業電力に対する電気ガス税、これはきちっと徴収しておられるでしょう。片方の、一番収益性の低い農業に対しては、税金をきちっとお取りになっている。ところが世界の二十番目、三十番目というような、まさに超大企業、それに対して税金を減免しておる、免除しておる、こういうことでどう理屈が通りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/42
-
043・安井謙
○安井国務大臣 これもやはり、固定資産税なら固定資産税だけを取り上げて議論されるわけにもいくまいと思いまして、農業部門につきましては、その他所得税あるいは事業税、法人税といったような税は、非常な特別な扱いになっていることは、御承知の通りでございます。そういったような特別扱いをいたしております。固定資産税にいたしましても、いわゆる時価相場とは比べものにならない低率の評価になっていることも御承知の通りであろうと思います。一方日本の全体の産業、ことに基幹産業、重要産業を進めていきます上から、一定の期間、一定のコストの中に、相当率を含むこの電気ガスの税金については、特別扱いをやるという建前をとって、こういった重要産業については特別な扱いをやっておるわけであります。これはまたほかの面では、それぞれの措置が、法人税やその他でもとられておるわけでございますから、私は固定資産税だけそういった扱いをしておるから全体的にけしからぬというふうには考えにくいのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/43
-
044・山口鶴男
○山口(鶴)委員 固定資産税と大臣は言われますが、固定資産税でもやるし、電気ガス税でもやっているでしょう。それからまた法人税についても同じく適用をやっているじゃないですか。そういう全体の面から見て大きな恩恵を受けておるということは、明らかだと思うのです。ところが日本で一番成長率が低いと言われる農業、特に過般本会議においても、グリーン・レポートなりグリーン・プランなりが報告をせられまして議論になりましたような、あのような実態にある農業、それに対してはほかの方で税がいろいろ云々と言われますけれども、別に所得税あるいは固定資産税、あるいは電気ガス税、そういうもので、具体的に恩恵はないでしょう。そういうことが結びついて——どうも私どもには理解できぬ、もうちょっと私どもにわかるような御説明をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/44
-
045・安井謙
○安井国務大臣 全体の日本の税体系から見まして、農家に対する課税の水準というものは、非常に特別に扱われておるというふうに私ども考えております。もっともこれで十分であるかどうかというような点につきましては、これはまたいろいろ議論の分かれるところであろうと思います。ことに電気ガス税につきましては、実は私どもはもっと免税点の引き上げをすべきものであるといういうふうに考えておりますし、またどなたもそういう御議論に異論はなかろうと思うのでありますが、今日の地方財政の特殊情勢から申し上げまして、これが特に町村の財政への響き方を考えまして、今急激に減免というわけに参らない。漸次電気ガス税についてはこれを減していく、そして将来はゼロにするという方向に進みたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/45
-
046・山口鶴男
○山口(鶴)委員 それでは、角度を変えてお尋ねしたいと思うのですが、とにかく租税特別措置で、電気ガス税について大企業に減免をしているというというようなことは、いいことじゃないと思うのです。政府としても前々から、こういうものについてはできるだけ整理統合していくのだ、こういう方針を持っておられましたね。ところが今回の税制改正を見ますと、新たにビスコース人絹とか銅アンモニア人絹とか、そういったレーヨン関係のものについて、整理するどころか加えているのは一体どういうことなのですか。こういったビスコース人絹とか銅アンモニア人絹なんというのは、これは新しい企業ではないでしょう。新たに開発された新技術ではないですよ。新しい企業であれば、あるいは外国から特許を買った、ロイアルティを払わなければならぬ、あるいは創業当時においてはいろいろな障害があるだろうということで、いろいろな減免をするということもあるだろうと思うのですが、今まで減免措置をやっていなかった。しかもこれは二十年、三十年という長い歴史を持った企業でしょう。そういうものについて、ここであらためて整理統合するどころか、加えていくというのは、全く筋が通らないと思うのですが、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/46
-
047・後藤田正晴
○後藤田政府委員 電気ガス税の非課税の扱いは、従来から、重要基幹産業及び新規重要産業、この二種類のものにつきまして非課税の措置をいたしておるのでございます。重要基幹産業の方は、これはいわゆる国民経済的な観点から見て、重要基礎資材を生産する産業で、当該原価中に占める電気の使用割合が高いというものにつきましては、それが製品原価の中にはね返っていく、そうすることによって、それが重要な基礎資材の生産産業であるという関係から、個々の国民の生活に至大な影響を及ぼしていく、こういう意味合いから非課税にいたしておるのでございます。また新規重要産業の方は、これは新技術の開発によって生産せられる重要な原材料を作る産業につきましては、新規産業の国民経済的な意味合いからの保護を加える必要がある、こういう意味で非課税にいたしておるのでございます。ところがお説のように、この非課税の扱いはどうも既得権化してしまう、そして必要がなくなったにかかわらず整理ができない、こういううらみがあったわけでございます。そこで政府の税制調査会におきましては、やはりそういったものについては一定の尺度を設け洗いがえをする必要がある、ことに新規産業保護の観点から取り扱う非課税については、これは新規産業である以上一定の年限を置くべし、こういう基本方針でいわゆる洗いがえの方式をとったのでございます。それが昨年は政府部内の意見が一致しないためにできないということでございましたが、今年はこの基本原則によって洗いがえをやったのでございます。その結果、なるほどおっしゃるように十一億ばかりの非課税の金額がふえておることは事実でございますが、これはこの尺度によって洗いがえの結果できたものでございまして、私どもとしてはやむを得ないと考えております。またレーヨンは一体数十年の歴史があるではないか、こういうお説でございまして、いかにもごもっともでございますけれども、これはいわゆる重要基幹産業ということで、織物の重要な原料である、こういう意味合いからレーヨンの追加を認めたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/47
-
048・山口鶴男
○山口(鶴)委員 パルプが今度追加になったのじゃないですか。パルプなどは昔から三日といって一番もうかった企業ですね。最近はどうか知りませんよ。しかしこれまた相当長い歴史を持った企業であることは間違いがないでしょう。洗いがえをしたというといかにもわかるような気もするのですが、現にレーヨンは今まで入っていない、パルプも入っていない、それが加わる、金額全体もふえているというのでは、整理統合するという意味での洗いがえにならないのじゃないですか。ふやすための洗いがえということにならざるを得ないでしょう。どうしてそういう逆なことになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/48
-
049・後藤田正晴
○後藤田政府委員 おっしゃるようにパルプも入ったのでございますが、パルプも紙とレーヨンの基礎原料である基礎資材、こういうことからこれが加わったのでございます。整理統合と言いながらふえたじゃないか、こうおっしゃることはごもっともですが、こういったルールを確立をして洗いがえ、また必要がなくなったものは落とすという基本原則を立てることによって、この非課税規定が合理化せられるし、同時にまたむやみな増加というものも押えられる、こういう意味合いから、今回のこの新しいルールというものが非常な役割を果たすものである、こういうふうに私は考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/49
-
050・山口鶴男
○山口(鶴)委員 大臣にお尋ねいたしますが、そういうお話であれば、私は来年は相当減るはずだと思うのですがね。そういう今税務局長が言われたような方針で、洗いがえをしていくということになれば——ことしはいろいろな関係でふえたのがある、形は妙だけれども。そういう方針でいけば、来年またふえていったというのでは、これは全く筋が通らないわけですね。それでは来年は必ず減らしますか。大臣にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/50
-
051・安井謙
○安井国務大臣 来年減りますかどうですか。三年たったら洗いがえをして整理をするという方針はきめておりますし、またこれが来年当然ふえるというようにも考えておりませんが、実際の扱い方につきましては局長の方から説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/51
-
052・後藤田正晴
○後藤田政府委員 重要基礎産業の方は、本年洗いがえをいたしたのであります。これは無期限であります。従って、この中から落ちるものは、現行の品目のうち重要基礎産業じゃなくなるという経済界の実態がありますならば、これは当然落ちて参ります。従って、私はこの一年の間に、それがそう変わるものというようには実は考えておりません。新規重要産業の方は、これは三年の期限を付しましたので、三年後に洗いがえをする、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/52
-
053・山口鶴男
○山口(鶴)委員 それじゃあれですか、こういう措置は、今のようなお話を聞けば減らす方向ではなくて、重要産業がふえていけばどんどんふやすのだ、いろいろ社会党の方から反対はしても、政府としてはこういう租税特別措置に類するものは、どんどんふやすのだ、こういう方針だと理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/53
-
054・後藤田正晴
○後藤田政府委員 この種の非課税措置は、どんどんふやすのだという意味合いでは毛頭ございません。私どもはふやすべきものはふやす、落とすべきものは落とす、こういうルールを確立いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/54
-
055・山口鶴男
○山口(鶴)委員 どうも大へん不満でありますが、また、どれが重要基幹産業であるか、どれが新規重要産業であるかというようなことを、この委員会で一々議論をいたしておりますと、時間がかかりますから、それは小委員会でいたすことにいたしまして、とにかく現実にはそういうふやしていくというような政府の方針については、きわめて遺憾だ、こういうことを申し上げてほかに移りたいと思います。
木材引取税の関係の資料は参りましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/55
-
056・後藤田正晴
○後藤田政府委員 木材引取税は三十四年が国の場合八六・四、民有林の場合は四四%、こういう捕捉率で、民有林の方の捕捉率が非常に悪い、こういう実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/56
-
057・山口鶴男
○山口(鶴)委員 捕捉率が民間の場合で四四%、国有林のこときは——国有林も一〇〇%でないと非常におかしいと思っておるのですが、そうしますと、木材引取税で五百六十一条によりますと、「木材引取税に係る脱税に関する罪」というのがございまして、納付金を納めなかったり、あるいは詐欺その他不正の行為によってこれをのがれたりするという場合は、三年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金というのがありますが、これを適用した例は相当あるということになろうと思います、政府は四四%ということをお認めなんですから。こういう事例はうんと適用されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/57
-
058・後藤田正晴
○後藤田政府委員 具体的に、そういう罰則規定を働かしたという実例は、私は聞いておりません。先ほど申しましたように、国有林の方はこういう税で捕捉率が八六・四ということであれば、私は相当高い捕捉率だと思います。ただ民有林の方はいかにも低過ぎる。ここに実はこの税の賦課徴収といいますか、そういう困難な面が残っておるわけです私ども実はこれを完全に押えようとすれば、県庁等には各種の統計が全部あるわけでございますが、これはまたこの方の法律で、税には使ってはいかぬという規定等もありまして、なかなか現実ににあちらの山、こちらの山で切るものを漏れなくとらえていくということは、実は非常に困難だという実情もあるわけでございます。そういったこともありまして、現実には罰則規定を働かすといったような実例は承知をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/58
-
059・山口鶴男
○山口(鶴)委員 そうすると政府の方でも、民有林については捕捉率が非常に悪いということを認めておられる。それではこれは完全に捕捉するように政府は指導しておるのですか。ところが一方で徴収見込額を見ると、依然として昭和三十五年の実績をもとにして見込みをお立てになっている。結局はそれを基準財政収入額で見ることになるわけでしょう。そうすれば、市町村でこいつはこのくらいに取っておけばいいのだということになるのじゃないですか。完全にこれを捕捉していこうというような熱意を自治体に抱かせることはできないでしょう。しかも三十二年の収入額が二十二億だった。三十三年が十八億七千万、三十五年が十九億六千万だ。しかも材木の値段が上がっておると言われておる今日、逆に十八億一千五百万と下がっておるというのは、私非常におかしいと思うのです。自治省としてはこれはもう適当に取っておけばいい、こういうつもりでおるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/59
-
060・後藤田正晴
○後藤田政府委員 私どもといたしましては、この木材引取税の合理的な運営を期する、完全な捕捉に努めていただくという指導は従来からもいたしておりますし、今回また引き取りの行なわれる場所について駅土場でやったり、あるいは山元土場でやったりというような、いろいろな不便もありましたので、これを山元土場に改めると同時に、適正な課税ということについて強力な指導を加えていきたい、こういう考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/60
-
061・山口鶴男
○山口(鶴)委員 しかし、そんなことも筋が通らぬでしょう。今まで駅土場相場でかけたところを、今度山元土場相場にすれば減税になるじゃないですか、現実には。捕捉率が悪いということを認めておる、しかも実質的に減税をする、私は全くおかしいと思うのです。私もいろいろなところから聞きまして、昭和三十六年のがなければ三十五年でもいいから、とにかく最近の国内における素材の取引額が一体幾らかということを調べてみました。それによると、四千八百二十八万立米、これは用材だけですよ。そしてこれによる価格が大体三千六百五十四億円に少な目に見てもいっているじゃないか、こういうのです。林野庁の調査課の資料です。そうすると、一方で自治省が十八億しか徴収しないという収入見込みを持っておるとすれば、これは税率で引き直してみていただけばわかりますが、国内の素材の取引額が九百億円しかないというふうに自治省は見ておるという格好になるのですよ。民有林が四四%だと自治省は言われましたが、実際には四分の一ですよ。国有林、県有林、市町村有林、それから民有林を含めて全体の四分の一しか捕捉していない、こういう実態になるのじゃないですか。二五%ですよ。それを四四%くらいを捕捉しておるというふうに見ること自体がすでに誤りです。この問題についてはもっと国内の木材の需給関係、取引関係を調べて、そして改めて、今までの三十三年を基準にするとか三十五年を基準にするというような、ありきたりの収入見込みではなくて、完全捕捉していく、もちろん一〇〇%というようなことは不可能でありまして、二割五分という実態から見れば、七割でも八割でも私はけっこうだと思う。そういうものに高めていく努力をする決意はございますか。あるとすれば、具体的にどういう措置をおとりになりますか。この点を一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/61
-
062・後藤田正晴
○後藤田政府委員 今回の改正は、これは従来の課税が、土場が違うということによって、一方は運賃に課税をしておるということになり、一方は運賃に課税をしてないという結果にもなるということで、合理化を期したい、こういう趣旨で山元土場価格ということに改めたのでございます。私どもといたしましては、これを機会に林野庁とも十分打ち合わせを遂げまして、価格の面、また取引石数の面、こういう点について十分な資料をもって第一線の指導に当たりたい、こういう決意を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/62
-
063・山口鶴男
○山口(鶴)委員 それは決意だけでなく、とにかく四分の一しか捕捉してないというような、こんなべらぼうな税目はほかにないだろうと私は思う。どこの町村へ行きましても、木材引取税くらい適当にされている税というものはないというふうに、これは常識化しております。しかもこれが木材引取税ばかりではなく、その他の所得税あるいは道府県民税、市町村民税に直接やはり関係をいたしておるわけでありますから、そういう意味での捕捉率を非常に落としているということも、これまた事実だと思うのですね。しかも山林を持っておる人たちということになれば、これは山村へ行けば富裕階級、そういう人たちに対しては、税金が適当にされておってこれはかまわないのだ、こういう風潮では、幾ら地方税が応能原則ではなくて応益原則だといっても、これははなはたし過ぎると思うのです。こういう点は一つ決意だけでなく、具体的に把握をして、きちっとした指導をやはりやっていただきたい。それからまた収入見込みも、こんな適当な収入見込みでなく、きちっとした収入見込みを出す。それを基準財政収入額として見ていく。こういうことによって、税の公平というものを貫いていただくように一つお願いをいたしたいと思います。大臣においてもそのつもりでやっていただきますように、一つ御決意をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/63
-
064・安井謙
○安井国務大臣 木材引取税につきましては、御指摘のような面もなきにしもあらずと考えております。従来の慣習やその他技術的な面から、いろいろめんどうな面もありましょうが、御趣旨をできるだけ実現するように努めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/64
-
065・山口鶴男
○山口(鶴)委員 最後に、一つだけお尋ねして終わりたいと思いますが、現在国税通則法が国税においては問題になっております。これと地方税の徴税手続といいますか、それとの関係はどういうふうにいたすつもりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/65
-
066・後藤田正晴
○後藤田政府委員 通則法の改正関係につきましては、国税と私の方とはできるだけ歩調を合わしたいということで、今国会にも、できますれば私どもとしては、通則法関係は別途改正をお願いいたしたい、こういうふうに考えております。ただ、私どもの事務がおくれておりますのは、これは国税通則法とのはずを合わせねばならぬという点が一点と、法制局の審議が物理的に、他の法案で一ぱいになっておりまして、今の予定でいきましても二十四日以降にならないと法制局の手があかない、こういうような関係で、通則法の関係がおくれておるのでございます。それで私どもが考えておりますのは、大体かりに今回改正をするにいたしましても、主たる事項は納税者にとって有利になるというような点はぜひ改正を加えたい、そういうことを考えております。ただそれ以外の点についてはいろいろ第一線の希望等もございまするので、それらともにらみ合わせて改正に織り込むかどうかという点は検討を加えていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/66
-
067・山口鶴男
○山口(鶴)委員 国税通則法につきましては、われわれといたしましては、たとえば人格なき社団に対して課税をしていくとか、あるいは税務吏員の任意調査権というようなものを強めていくとか、いろいろな点で問題があると思っております。従いまして私どもとしては、国税通則法自体に反対でありますと同時に、同じようなものを地方税の場合に持ち込むということについても、やはりこれは遺憾であるというふうに考えておるわけでございますが、この点はまたあらためて議論いたしたい。一応その政府の考え方だけ承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/67
-
068・園田直
○園田委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/68
-
069・門司亮
○門司委員 ちょっと大臣のおいでになる間、一つ二つお伺いしておきたい。
今の質問でございました例の木引税ですが、これは非常に悪いことはわかっているんですね。みな承知なんですよ。それからこの木引税がとれないということもわかっているのです。最近では建設業者たちが自家用の山林として買い込んで、それを伐採しますから、結局は税のとりょうがないのです。だから今のように四分の一くらいしか捕捉ができないという結論が出てくる。こういう税はやめたらどうです。そしてむしろ森林に対しては適齢伐採期のきておるものについて、立木課税をした方が私ははるかに公平だと思うんですよ。同時にこれは、税の負担の均衡からいっても正しいと思う。山林の固定資産税というのは、きわめてわずかでしょう。固定資産税がきわめて低いところに置かれておって、そうして伐採したものに税金をかけても、四分の一しか捕捉ができないという、こういう税のあり方は私はないと思う。この税金を正しくしようとするには、どうしても適齢伐採期に達した山林に対して課税する方式が最も私は合理的であって、正しい税金だ、こういうふうに考えるのだが、これはしばしば問題になるのですが、自治省は一向に踏み切らないのですけれども、山林地主の圧力にでも押されてあなた方はおやりにならないのですか。これは私はおかしいと思うのだ。この点大臣から一つお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/69
-
070・安井謙
○安井国務大臣 木材引取税をやめて、むしろ立木課税式のものにかえてはどうかという御質問でございますが、私もこれは非常にごもっともなお話だと思っております。実は昨年地方税を修正いたします際にも、立案に際してはこの問題を提起しまして、一度よく検討してもらうようにというので事務当局も種々検討いたしたわけでございます。立木課税自体に対する技術的な問題もかなりございまして、まだ今度の改正ではこれは踏み切ることはできなかったというようなことでございまして、今後も十分そういう線を検討いたしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/70
-
071・門司亮
○門司委員 その次にもう一つ二つ聞いておきたいと思いますことは、消防施設税の問題であります。御承知のように火事が非常に多いのですが、消防施設は非常に足りない。これは東京都の例を見てみましても、東京都は非常にたくさんの消防費を組んでおるようでありますが、その中の七〇%は人件費が食っている。三〇%くらいがわずかに器材費に回っている、こういう状態、東京都にしてそういうことでありますから、日本全国の都市を調べていただければすぐわかると思いますが、おそらく消防費というものは大体人件費に回されておって、そうして施設費はきわめてわずかであると考えられる。こういうふうに火事が非常に多い時期に、どうしても設備の充足をはかっていこうとするには、今のような税制であってはなかなか困難ではないか。従って私どもは二つの方法を考えておる。
一つの方法は、市町村で火災共済がやれるような仕組みをとっている。これは何も税法を改正しなくても、あるいは保険業法の改正をしなくても、場合によっては自治法の改正でもやれる。市町村共済組合の中に火災共済を入れておりますから、あの式で地方自治法の一部を改正すれば私はやれると考えております。そうむずかしい問題ではないと考えております。そうして地方の自治体の住民の負担を軽くする必要がございます。現在名古屋、大阪あるいは横浜、神戸というような大都市においては、大体火災共済を行なっているようでございますが、むろんこの共済掛金の制度、保険料の制度には制限がございます。これは一般の私企業を侵すわけに参りませんから、当然そこには制限が加えられてしかるべきだと考える。制限がありましても、その中の保険料を考えて参りますと、一般の私の保険料よりも半分ないし三分の一くらいの安い保険料で済んでおる。そうすると、住民負担が非常に安くなるのと、これからくる利潤によってかなり大きな設備に使う金が出てきやしないかということが考えられる。従って、どうしても、今日の段階では消防をこのままほうっておくわけに参りません。従って、消防に対する一つの目的税としても、一つの方法は今申し上げましたような火災共済をこしらえるという方法と、もう一つの方法は、いわゆる損保に対してその徴収額あるいは保険契約額の一定額を税金として納めさせるという、二つの方法が考えられる。ことに損保に対しては、地方の自治体が非常に金をかけて消防施設を充実すればするほど、損保はもうかるのであります。地方住民の税金によって、消防設備を完備すれば完備するだけ、損保はもうかるのである。こういうことを考えますと、私は損保に対して課税することが決して不合理ではないと考える。こういうことが考えられるかどうかということであります。新税は悪税だといいますけれども、やはり理論の立った課税はすべきである。そうして住民負担を軽くするということが一つの政治のあり方だと考える。こういう考え方で、一つは火災共済を都道府県あるいは市町村で行なうことができるということに自治省が踏み切られるか、そうでなければ消防施設税というような税金を定められるか、どちらかおとりになられることが必要だと考えるのですが、その点に対する大臣の御見解を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/71
-
072・安井謙
○安井国務大臣 目的税として消防施設税を何かの形で徴収するようにしてはどうかという御提案でございますが、私どもこの点は今後十分研究をしていきたいと思っております。ただ保険会社という企業があります上に、さらにどういう形のものができるか、あるいは自治体にそういうものを直接やらせることがいいかどうかには、相当問題もあろうと思います。しかし、いずれにしろ、この問題はもっと検討を進めるべきものだと思いますので、御趣旨もよく伺いまして、さらに検討していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/72
-
073・門司亮
○門司委員 私は、大臣はおざなりな答弁では困ると思います。この問題は、もう十年ぐらい前から議論になっている問題なんですね。そうして市町村有の建物、いわゆる公共建築物に対する火災共済の制度を、自治法の改正によって設けましてから今日まで、大体三分の一くらいの掛金で、地方の市町村は今約三十億ぐらい、あるいはそれ以上の利潤を持っておると私は思います。これはやれるはずなんです。そういう形になると私は思う。同時に、私がなぜそういうことを言うかと申しますと、火災自身については精神的な影響も考えなければならない。みんなの力で、そうして火災を少なくすることが、みんなのためであって、みんなの財産を守るのだということになれば、こうした一つの火災に対する特別の配慮が行なわれるということが、精神的にも火災を少なくする非常に大きな効果的のねらいがありはしないかと私は考えられる。火災がどんなにあっても、その費用は全部一般の私費から出されるんだというばく然としたものの考え方ではなくて、私は精神的にもそういうことが必要ではないかと考える。おざなりでなくて、古い問題なんです。阪上君などは市長をしていた時代から盛んに言っていた問題であって、おそらく大臣は御承知だと思う。だから、いいかげんでなく、一つ政府も腰をあげて、何も損保協会に遠慮する必要は毛頭なかろうと思います。踏み切ってもらいたい。
その次に聞いておきたいと思いますことは、電気ガス税の免税ですが、なるほど三百円の免税点、いわゆる従価税をとられております。それから一〇%税金を下げたという処置がとられております。しかし、かつて池田総理大臣がここで話された言葉の中に、この電気ガス税については、少なくとも炊飯用に使っておるものについては大体免税にしよう、御飯をたくにも税金を納めなければ御飯がたけないようなことでは困るというので、大体お勝手に使う電気ガスについては免税にしようということを、池田さん自身が言明された。これは会議録を見てもはっきり書いてある。そうすると、これは総理大臣の意思からお考えになっても、今度の電気ガス税の免税その他については、もう少し配慮があって私はしかるべきものと考える。総理大臣が食言するようなことがいいか悪いか知りませんが、これはどうしてこういうごくわずかなものになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/73
-
074・安井謙
○安井国務大臣 御指摘の通り、池田総理もこの電気ガス税につきましては、特に炊飯用の程度は免税にすべきであるという強い御主張を持っておられますことは、私もよく存じております。私どもも、できればそういうふうにいたしたいということで種々苦慮いたしたわけでありますが、今回の税制改正に際しましては、いろいろな財源から、あるいは財源の配分がまだ十分行き渡りませんために、特に地方の市町村の財政に影響するところが非常に多いということから、これの画期的な減税に踏み切ることができませんで、一割程度の減税ということでとどまっておりました。この点、私自身もかなり遺憾に存じておりますが、これは順次、順を追ってそういったものに今後も改正を進めていきたいと思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/74
-
075・門司亮
○門司委員 大体いつごろ、そういうものに踏み切られますか。これは電気ガス税だけじゃありません。今申し上げましたようなことは、長い間の懸案なんですから、一つ大臣の方でお考えを願っておきたいと思います。
大臣、非常にお忙しければ、あとの問題は事務当局でもよろしいかと思いますが、時間ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/75
-
076・安井謙
○安井国務大臣 ちょっと私、向こうの方で呼ばれておりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/76
-
077・門司亮
○門司委員 それじゃ、あとは今まで議論されておることでありますから、事務当局でよろしゅうございます。
あと、事務当局に聞いておきたいと思うのは、料飲税が、従来場所で指定されておったものが、今度金高で指定されて一本になっております。これはどういう理由ですか。こういうことにしたという理論的根拠というと非常にむずかしい言葉を使うようだけれども、どういういきさつでこういうことになったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/77
-
078・後藤田正晴
○後藤田政府委員 従来のようないわゆる場所区分の課税でございますと、最近の遊興といいますか、そういった行為の態様が、非常に複雑で多岐にわたってきたということから、場所区分そのものの区分けが非常にむずかしい、そこで適用の税率が違ってきて、勢い税の税務行政の上から見れば不都合な面が多々生じてきた、こういうようなことから、むしろそれよりは税率の適用区分を金額で引いて、一定金額以上の利用行為は、奢侈か奢侈でないかという点で切った方が税務執行上適正な課税ができる、こういう意味合いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/78
-
079・門司亮
○門司委員 今の答弁の中にありました問題の、奢侈であるかないかということですね。遊興か大衆飲食かという、この区別ですね。従来、国民的の観念からいえば、おのずからその区別は私はあったと思うんですね。奢侈か奢侈でないかというものの考え方と、大衆か遊興かというものの考え方の上には、私は多少隔たりがあると思う。隔たりがあるかないかということは、そのときの社会情勢もかなり大きく作用はすると思いますが、これは三千円という数字をここに入れておりますけれども、おそらくおすし屋や一ぱい飲み屋で、一人三千円の消費をする人は私はなかろうと思います。だからこれは大衆であるからということで、それ以上の消費は困難だと思うんです。考えていただかなければならぬのは、遊興と考えられるキャバレーやあるいは高級飲食店は、一人三千円以上の消費をすることが可能な場所なんです。これは一つ考えてもらいたい。一般の料理屋、一般の大道に面しておるような小さな大衆飲食店で、一人三千円なんという遊興は考えられない。これは場所が支配するのです。だから今の奢侈か奢侈でないかという考え方にも、その点の配慮が足りないんじゃないかと思うんです。片一方は、やればやれる場所なんです。キャバレーへ行って一人三千円の消費をするなんて何でもない。しかしそれ以下でも、やろうと思えばやれる。高級料理店に行って、三千円以下の消費でやめようとすればとどめられると思う。しかしここは、三千円以上の遊興をする可能性がある場所なんです。ところが、さっきから申し上げておりますように、すし屋、うどん屋、そば屋で一人三千円以上の遊興をしようとしてもできますか。芸者を入れるわけにはいきませんし、そんなにおそばを食べるわけにいかないでしょう。どんなに高いものでも三千円以上食べるわけにいかぬと思う。これは奢侈と言っておりますが、金高で区切る場合には、そういう一つの弊害が出てくると思う。少なくとも社会通念で考えられておる大衆飲食と遊興というものを、区別してものを考えるならば、この税法の改正は非常に大きな誤りであり、改悪だと考える。しかも三千円を限度としておりますから、三千円以上使う可能性のある場所は、五%税金が下がっているということですね。そうしてその三千円以上消費しようといっても、消費することのできないような大衆の飲食店については、大体税率は、昔と同じだという形である。言いかえるならば、遊興飲食税は明らかにあなた方のお考えになっておる奢侈の行為を行なう者にとっては減税だ。一般の大衆については何ら恩恵にならない。これは政府の考え方が誤りじゃないのですか。私はどうしてもそういう可能性のあるところについては、たとえ三千円で区切っても、可能性がありますから、ここには脱税が行なわれます。一人で三千円をこえれば税金を取られるということになると、何とか考えて頭数を倍にするとか、三人にするとか、いわば脱税の行為が行なわれる。一方においては脱税が行なわれることになり、一方においてはそれ以上の遊興をすることの可能な場所ということになって参りますと、これは今度の税法改正で最も改悪だと考える。奢侈という言葉をお使いになるならば、奢侈のでき得る場所というものを、やはり私どもは従来通り指定して、遊興と大衆飲食とをはっきり分ける、それが妥当で、三千円以上使う可能性のあるところについては、一律に、今まで通り一五%の税率をかけていくということが、税の負担分任からいけば正しいやり方ではないかと考えるのでありますが、そういうふうにあなた方はお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/79
-
080・後藤田正晴
○後藤田政府委員 門司先生の御意見まことに私もごもっともな点が多いと思います。遊興の場所を三千円以上使う可能性のある場所ということで考えれば、今回の改正はかえって混乱するじゃないか、こういう御意見のようでございますが、私ども、実は、こういう改正を考えましたのは、従来の場所区分でございますと、遊興を伴う場所かしからざる場所かということで、いわゆる料理屋というものが全部一五%の対象になっておったわけです。そういたしますとそのうちいわゆる大衆が入るような料理屋、これも文句なしに一五%ということになるわけでございます。そこで、それではいわゆる高級の飲食店、たとえば東京で申しますれば三笠会館、こういったところでの飲食と、いわゆる一ぱい屋といいますか、小料理屋といいますか、普通のサラリーマンなりあるいは労働者なりがちょっと寄って、一日の勤労の疲れをいやすというようなところもあるわけでございます。そこの方は逆に一五%、こういうことになって、それをどう解決したらいいのだというようなことから、むしろこれはやはり金額で切った方がよくはないか。そうして金額で切るならば、いわゆる普通のサラリーマンなり一般の労働者が飲み食いをする場所は、いずれにせよ一五%の適用はすべきでない、これは全部一〇%になるのだということで、金額で切った方がよかろう、こういうことで踏み切ったわけでございます。ただ御説のように、そういうようにいたしますというと、三千円以上の遊興をなし得るような場所において、一人の金額を二人に切ってしまって、三千円以下にするいわゆる脱税行為、これはおっしゃるように、私は今回の制度の中では一番の弱点だと思います。そういう点は私もあり得る、こう思いますが、ただ、それにつきましては、実はこういった税の対象となるそれぞれの料理店なり飲食店等については、すべて過去の実績がございます。従って、過去の実績によって、一人一回の飲食の代金というものは、その店はどの程度だということは、おおよそ税務当局としてはつかんでおりますので、そうそうむちゃな脱税行為というものは行なわれないだろう、こういうふうに私は考えます。そういたしますと、従来の場所課税と金額課税というものを考えてみますというと、今回のような、金額で奢侈か奢侈にあらざるかという区別をした方が、むしろ合理的にいくのではないか。これは一本の税率にすれば一番簡単でございますが、とても現在の庶民感情がこれを許さないということは、間違いない事実でございますので、やはり二本税率ということになれば、今回のような制度の方が私はいいのではないか、こういうふうに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/80
-
081・門司亮
○門司委員 そういう考え方の中に誤りがあると私は思います。今の言葉じりをつかまえて言うわけじゃありませんが、たとえば従来の実績があるからと言われますけれども、この税金はだれが納めるのです。行為者が納めるのでしょう。行為者が脱税しますよ。一人なら三千円をこえるので、ちょっと来てくれぬかといって電話をかけて一人呼んでも、二人になります。その本人がどれだけ消費しようとしまいと、頭数がふえることはきまっている。この税金はだれが納めるのですか。料理屋が納めるのなら、あなた方の考えでよろしい。そうじゃない、行為者が納める税金で、行為者が脱税する。料理屋がこれを押えることはできますか。いや、今のは一人分だというような勘定を料理屋がやることはできますか。頭が二人来れば、二人になるにきまっている。従って、役人がそういう甘いものの考え方でいたのではどうにもならぬ。もし役人が、そういう甘いものの考え方で、過去の実績で税金を取ろうとすれば、非常に苛酷な見込み課税がそこに当然行なわれる。実質課税でなくなってくる。税の負担行為を行なう者にあらざる者にこれは税金を徴収させるのですから、できるだけいわゆる負担行為を行なう本来の税金を納める人が納められる姿に戻さなければ、正しい徴収はできない。税金を一切がっさい見込み課税で、お前のところは今までこれだけ税金を納めていたから、今度もこれだけ、税法が変わろうと変わるまいと、これだけ税金を取っていくのだという考え方は、役人としてやめてもらいたい。またそういうことであってはならない。私は今のような答弁でこの問題をよろしいというわけにいかぬと思う。どうしても脱税行為が行なわれて、当然金持ちの、遊興をすることのできる人たちが三千円以上の遊興のできる場所に行って、税金を納めないで遊興するということが完全にあり得ると私は思う。だから、もし大衆と遊興とを分けようとするならば、場所で分けることが最も正しいのである。またそうしなければほんとうの意味をなさないのであるということを、もう一つ私は実例を申し上げておきます。
たとえば赤坂のプリンス・ホテルがある。この最高だと言われているようなプリンス・ホテルに出かけていっても、三千円以下で帰ってこようと思えば、何らかの処置で帰ってこられます。コーヒーを飲む程度、あるいはちょっとした御飯を食べる程度なら、それでよろしいと思います。ところが、こういうかまえのホテルに、一般の労働者が行けますか。あれが大衆化しますか。私はなかなか大衆化されないと思う。これはほとんど役人の言いわけであって、大衆にとってはきわめて迷惑である。私はやはり、少なくとも日本の現状においては、場所で区分をして、そうして遊興をなし得るところには、遊興としての取り扱いをすることが当然だと考える。芸者がはべって遊興のなし得るところには、やはり税率を高くかけていくということが当然だと考える。遊興をそれ以上しようにもしようのないところがある。これはやはり大衆のものとして見るべきであります。むしろ私どもの考え方からいけば、うどん屋やそこらのそば屋についての飲食は、たとい現行法の範囲を越えても、そういう場所においての飲食は場所によって全部免税するということの方が私は正しいと思う。そうして場所によって課税することの方が私は正しいと思う。この税金の本質はそういう性格を持っているのである。一つの行為ですから、行為をなし得るところと行為をなし得ざるところ、二つの区分があるはずです。だから今の答弁で私ども満足するわけに参りませんが、しかしこれ以上追及しても、なかなか今のお考えを今ここで変えてくれと言ったって、あなた方変えられないでしょう。だとすれば一応この程度にしておきます。
それから次に問題になって参りますのは、さっき阪上君からもちょっと聞かれましたが、外人課税の問題です。これは大臣はいろいろ答弁されておりましたが、事務当局としてはどうなんですか。一体外国でこういう取り扱いをしているところはございますか。もしあるとするならば、その内容を一つ示しておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/81
-
082・後藤田正晴
○後藤田政府委員 料理飲食等消費税と同じような税種が外国にあるかないかといったような問題もございますが、これは国によって税制が違いますけれども、相当多数の国で同種の税はとっております。しかしおよそ税の理論の上で考えますと、内国消費税、つまり国内において消費せられるものについて、内、外人の区別をするという実例は、どこの国にもございません。これは税制上当然のことだと思います。ただ、たとえば物品税等について、国外持ち出しの場合にトラベラーズ・チェック等で、外国で割引をいたします。しかしこれは各国とも輸出奨励ということで、国外に持ち出す場合に非課税、従って当該国内において使う場合にはこれは課税をするというのが、どこの国の税でも建前でございます。従ってこういう種類の税については、本来治外法権を持っている外交官等についても、特例扱いは認めない、つまり内国消費税については対人関係は考慮しないというのが税制の筋でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/82
-
083・門司亮
○門司委員 そうだとすれば、今どこかで考えられているという考え方は私は少しおかしいと思うのです。大臣もほのかに聞いておるというが、われわれはあまりほのかでなくて、かなり確実に聞いているわけです。そういう税法は一つやめてもらいたい。そうしてやはり日本は日本としての独立国であり、税についてはきぜんとした態度をとるということが私は正しいのではないかと思う。これはほかの行為と違いますから、別に三人のところを四人乗せてあげようというような、料金によってきめられるものではございません。料金に対しての割引その他については、あるいは考えられるかもしれない、しかし税については私どもはきぜんとした態度をとるべきだと思う。こういうお考えがあるならば、一つやめておいてもらいたいと思います。
ちょうど予定の時間になりましたから、これ以上はきょうは聞くことはやめます。いずれまた財政関係その他で、お聞きする場合もあろうかと思いますが、先ほども申し上げております新しい税種目、それから電気ガス税の問題、さらに料飲税の問題等については、もう少し私は政府の考慮を求めたいと考えておるということを申し添えて、きょうの質問は終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/83
-
084・園田直
○園田委員長 太田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/84
-
085・太田一夫
○太田委員 一、二点お尋ねしますが、最初に後藤田さん、国民所得と地方住民税の伸び率との関係、どんな関係になっていますか。これについてあなたの方で地方住民税を策定されるについて、何か関連性をお考えになった点があるかどうか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/85
-
086・後藤田正晴
○後藤田政府委員 国民所得に対します税負担の割合というものは、国税、地方税を通じまして、今回の税制改正でも十分頭に置いて考えたつもりでございます。ただ御質問の住民税の関係という点については、私どもはそれはやはり租税全体の中の一環としてはもちろん考えておりますが、住民税だけを取り出して国民所得に対する割合という点は、特別に考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/86
-
087・太田一夫
○太田委員 その点を考えないというのはちょっとわからないような気がする。国民所得の伸びというものと、地方住民税の伸びというものとは相関関係がなくてはならぬと思う。全体の税の負担割合が二〇%がいいか二二%がいいかということは、これは議論のあるところで、政府当局は二二%の現状をもって妥当としておる。経済成長下における国民の税負担は、それくらいでいいじゃないか、これは現状肯定論ですね。私どもは税制調査会が申しました二〇%を少なくとも当局堅持すべきだという考え方に立っておりましたけれども、政府はそういうお考えです。しかし国民所得の伸びというものと地方税における住民税の伸びというものは、これは何か負担分任というような精神もありますけれども、説明するには何か相関関係が、こういう関係で国民所得の伸びもあるのだから、地方住民税が少々苛酷でもしんぼうして下さいという説明が要るのですね。その伸びと伸びとの率で何かお考えになったことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/87
-
088・後藤田正晴
○後藤田政府委員 所得課税の方はもともといわゆる累進税で従来はやっておりますので、所得の伸び率、これはいろいろな資料にもよりましょうけれども、たとえば一・六伸びるとか一・七伸びるとか、いろいろなことがあるわけでございます。そういうことは頭の中にございます。ただ今回の府県住民税の改正の場合には、これは国民負担の関係においては、国の負担率の方がそれだけ減じて地方の方に移す、つまり税源配分でございますので、この点はプラス、マイナスゼロである、こういう考え方で実は府県民税の方は考えたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/88
-
089・太田一夫
○太田委員 それじゃ県民税と市町村民税の関係についてあなたの方の基本的な態度を伺いますが、県民税の方は常に非常に伸びがよろしい、ところが市町村民税の方は常に伸びが鈍化しておる、総体的に悪い。今回におきましては三十六年度の予定決算額に比較して三十七年度の県民税の伸びというものは非常に大きいでしょう、二割三分ぐらいになっておる。ところが市町村民税においては逆に下がっておる、マイナスになっておるのです。三十六年度の決算見込額は千六百六十億、三十七年度千五百九十八億ということになれば六十二億の減収、そういう数字が出ておる。これは当初予算に比べればふえるということになっておるが、決算予定の数字と比べれば減っておるじゃありませんか。こういう点で、市町村民税というものは同じ住民税でもまま子扱いにされておるという感じを受けますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/89
-
090・後藤田正晴
○後藤田政府委員 私その資料を今ちょっと持っておりませんが、府県民税の方は伸びがよくて、市町村民税の方が伸びが悪いということは絶対にございません。これは現在の税制では、少なくとも所得段階区分ごとの超過累進の税率が同じ刻みでございますので、所得の伸びに対しては同じ伸びを示すはずでございます。ただ府県民税でなしに、府県税と市町村税との関係、税全体ということになれば、これは府県税の方が非常に伸びがいい、そうして市町村税の方が非常に伸びが悪い。これは税の内容が違いますので、御承知の通り市町村税の方は、四六%というような、割に安定はあるがいわゆる弾力性に乏しい固定資産税が中心になっておるという関係で伸びが悪い。ところが府県税の方は府県税収の五四%を占めております事業税というものが、これは実質は所得課税でございますので、この方の伸びが非常にいいという関係で、最近の実態は、府県税の方が市町村税よりは伸びがいい、こういう結果になっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/90
-
091・太田一夫
○太田委員 その議論はそれでいいんでしょうね。ただ私の申し上げるのは、県民税の方に所得税の減税分を振りかえるということによって、県民税というのは非常に厚く処遇されたと思うのです。県民税という名前によって県民税をよけいとって、そして県財政という方面にそれをつぎ込む。その県民税というのは、昨年よりは本年三十七年度の見込みがうんとふえておる。大体において二三%ほど昨年よりもふえる見通しが今の当初予算にある。けれども、町村民税の方は逆に減るという見通しになっておるから、市町村民税というものに対する考え方が、関心が非常に薄いんじゃないか、それを言うのです。市町村民税は減税でしょう、減るということなんです。従って市町村民税は減るが、県民税がふえる。どういうことか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/91
-
092・後藤田正晴
○後藤田政府委員 御質問の点は、県民税の方がふえておりますのは、いわゆる税源配分ということで、国の所得税から百九十八億ばかりを県民税の方に移したという関係でふえておるのでございます。ただその際に、先ほど問題になりました入場譲与税というものが独立税ではないというような筋合いから、全体の財源計算の上でこれを廃止するということで、その分は県の方は減っておるわけでございます。市町村民税の方は、これは低所得者層に対する減税を実施をするということと、本文方式とただし書き方式の間における負担の不均衡の是正をするその際に、減税の姿をとりながら是正をする、こういうことをいたしておりますので減収の影響があるわけでございます。
なお御質問の点の数字につきまして、ただいま参事官の方からちょっとお答えを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/92
-
093・大村襄治
○大村説明員 市町村民税の見通しの数字について説明を補足さしていただきたいと思います。
お手元に差し上げております三十七年度の地方税の収入見込み説明の三ページをお開き願いますと、市町村民税といたしまして三十六年度当初見込額は千二百三十四億円、当初見込額に対する自然増収の見込額が四百二十五億円、現行法による収入見込額は千六百六十億円で、税制改正による減収額六十一億円を差し引きまして、改正法による収入見込額千五百九十八億円と見込んでおります。これを三十六年度の当初の見込額に対比いたしますと、三百六十四億円の増でございまして、三割程度の増が市町村民税につきましても見込まれておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/93
-
094・太田一夫
○太田委員 大村さんにお尋ねしますが、今おっしゃった数字は書いてある数字ですね。当初見込額と決算の数字とを比べてみると、市町村民税は六十二億の減収になる。これは減税だということでけっこうなことだと思うが、当初予算におきまして県民税は百七十六億の増であって、それが二三%もふえておるならば、自然増収は常に大きいのだから、さらにそれ以上補正をされるものが出てくるでありましょう。そうしてみると、市町村民税もやはり二〇何%の千七百億幾らというような金額になって大きく上回り、県民税に至っては四〇何%の増にまたなるんじゃないかという気がする。その際においても県民税の方にウエートがかかっていて、市町村民税の方にウエートがかかっておらないということではありませんかとお尋ねしておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/94
-
095・大村襄治
○大村説明員 三十六年度の決算見込額はその表には記入してございませんが、私どもの試算によりますと、大体千四百億円程度になるのではないかというふうに推定しております。そういたしますと、改正後の三十七年度の収入見込額約千六百億円ということと対比いたしましても、その間に若干の増収が期待されるということに相なろうかと思います。なお今申し上げましたのは市町村民税全体を通じての見通しでございまして、個々に所得割、法人割等に分けてみますと、個人の所得割につきましては、御承知の通り前年所得が基礎になりますので、三十五年から三十六年にかけまして、相当個人所得の増が見込まれますので、その関係が三十七年の税収に引き続いて増収となって反映して参るというふうな基礎的な関係がございます。法人税割の方は御承知のような状況で当年課税でございますので、三十六年の決算見込みに対しまして三十七年度の収入見込みは、それほどふやして見込むことはできない。場合によっては若干低くなる要素もあるというふうなことで、個々に見ますと相違はありますが、通じては今申し上げましたような見通しであるということを御了承願いたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/95
-
096・太田一夫
○太田委員 それは決算が出てからまた論じましょう。ふえることは事実だと思います。ただ私はふえ方が、市町村民税というものに対して何か対策が抜けておるような気がするのです。
そこで市町村民税と県民税と、地方税全体にわたって局長さんにお尋ねしますが、標準税率というものを使ったものと、ただ税率としておるのとはどんな割合になっていますか。各税項目ごとに、たとえば自動車税というのは標準税でしょう。固定資産税も一・四であり、最高二・一までであるけれどもこれも標準税率であります。たばこ消費税というのはこれは一定税率でしょう。標準税率じゃありませんね。そういうふうに分けて地方税の中でどんな色分けになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/96
-
097・後藤田正晴
○後藤田政府委員 御承知の通りに地方税の中には、一定税率と標準税率と準拠税率とこの三本でございます。税目で申しますと道府県民税の関係、これは標準税率、事業税も標準税率、不動産取得税も同様でございます。たばこ消費税は一定税率、つまり全国的な流通の関係を考慮した税については、別の観点からは若干問題がございますが一定税率、鉱区税、狩猟者税が一定税率、こういうことでございます。娯楽施設利用税が標準税率、料飲税が標準税率、自動車税、すべてそういう関係で標準税率であります。市町村の関係について申しますと、市町村民税は全部準拠税率ということに相なっております。固定資産税は標準税率、軽自動車税が標準税率、たばこ消費税は一定税率、電気ガス税は一定税率、鉱産税、木引税、こういったものは標準税率、こういうことになっております。要するに一定税率にいたしておりますのは、先ほどちょっと申しましたように、何といいますか、全国的な経済の流通関係に影響があるといったようなものについては一定税率、それから標準税率、これが地方税の税率としては一番の基本的な考え方でございますが、要するに財政上特別な必要のない限りはこれによってやってもらいたい、こういう意味合いの税率でございます。従って準拠税率よりは拘束力が強い、こういうことでございます。準拠税率の方は地方で税をかける場合にはおよその目安を示すという程度の縛り方のものが準拠税率、これは市町村民税の関係で、さような税率をとっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/97
-
098・太田一夫
○太田委員 そこで私は県民税は標準税率、市町村民税は準拠税率、何でこの二つをまた分けたかということです。それがずっと決算や何かいろいろの数字を見ると、そういうものが幾多現象面に現われてきていると思うのですけれども、準拠税率というのは一番拘束力が弱いということは、市町村は勝手に条例を作ってもよろしいということです。そこに相違点があるから、今度の場合県民税のようなバック・アップをせずに、市町村民税の方は野放しにして減らすということにしてあるが、実は適当にさじかげんをしなさい、そんな感じがするんです。なぜ一本にならないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/98
-
099・後藤田正晴
○後藤田政府委員 決して片方は野放しにしているといったような意味合いのものではございません。私は地方税としては本来は税率は条例にまかせるのが建前だと思います。そうしてそれを一定の制限の率だけをきめていく、あとはその範囲内で市町村の条例なり府県の条例で定めさせるというのが私は一番適しておるのだ、こう考えますが、ただ現在の地方の財政実態でございますので、住民負担という面から考えますと、それほど野放しにもできないんじゃないか、こういうような意味合いから国の法律でやかましい税率を縛ってあると思います。
そこで御質問の住民税についての縛り方でございますが、県もなるほど相当な格差がございます。しかしながらその数は四十幾つで、格差ありとは申しますものの、市町村の格差ほどの開きはないというような関係で、これはやはり住民負担という面から見て標準税率に一応しておくのが、現在の段階では適当であろうということで採用いたしておるわけでございます。ところが市町村の方は三千数百の市町村の実態が、大は二百数十万の人口を持つ大都市から、五千、一万という小さな貧弱な市町村まで、同じ法律で書く場合には税率を同じに書かねばならぬということになりますと、あまりにも格差が開き過ぎる。そこでこれはやはりそれぞれの市町村の財政の実態、住民の負担能力というような面から見て、標準税率というのでなしに準拠税率ということで、税率を条例で定める幅を認めた方が実態に合うのではないかということで、準拠税率にいたしているわけでございます。しかしながら、もちろんこれらについても財政上の措置が十分に行き渡るというようなことになりますれば、これは標準税率にしてもいい、場合によれば、さらに財政が十分だということになれば、これは本来の理想である最高税率だけを縛って、あとは条例にまかせるというところまで持っていくのが私は筋であろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/99
-
100・太田一夫
○太田委員 日本は連邦国家ではないのです。地方自治といったって、連邦国家じゃありませんよ。それが今の市町村は、まるでよその国というような感じを与える御説明ですね。そんなに格差が開いておるなら、格差の開いておる一番弱いところというのは、おそらく経済力も高まっておらないし、産業も発展しておらぬでしょう。そういうところに対しては、住民税でカバーしよう、準拠税率だから天井知らずだよといってみたって、それは発展しませんよ。ますます人間は越境して、他国にのがれ出ることになるじゃありませんか。どうしてアンバランスをさらに助長するような税制を作っておるか。そういうことがいけない。なぜその他の財政計画の重点をそういう後進地方に置いてバック・アップしてやらないか。交付税にいたしましても、もっともっと見てやるということはできないのか。住民税でとるというのはけしからぬと思うのだが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/100
-
101・後藤田正晴
○後藤田政府委員 これは過去の沿革を御承知の通りに、もともと地方税は一定の最高の税率を押えただけで、あとは野放しということであったわけですけれども、これは私は理想だと思います。連邦国家じゃございませんけれども、地方にはそれぞれの住民代表がそれぞれの議会を構成しているわけですから、その承認を得て税の率をきめるということは、私は正しいやり方だと思います。しかしながら、それでは現在の財政力にあまりにも格差があるんだということで、三十二年でございましたが、準拠税率というものを初めて設けたわけでございます。これは納税者の立場を考えてのきめ方でございまして、率という観点からは、きめなくて済むものならきめない方がよかったと私は思いますけれども、これはやはり財政状態から、そういうふうにした方がよろしいということで、三十二年に準拠税率を設けた。その準拠税率の現在の採用状況でございますが、完全に準拠税率通りやっているのは三十数%でございます。あと三十数%は、準拠税率を設けられたことによって、それぞれの市町村で議会の承認を得て税率を引き下げて、準拠税率に近づける努力をいたしておる、こういうようなことでございます。そういうような意味合いがございますので、やはり理想からいえば、最高をきめて市町村議会にまかせるというのが建前でしょうけれども、そこは現在の実情に合わせて準拠税率ということをきめてある、こういうような実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/101
-
102・太田一夫
○太田委員 これは連邦国家ではないと御否定になりましたが、三〇%しか完全に準拠率を使っておらないということは残念だと思うのです。なるべくこれは標準税率、さらに一定税率というところまでいかなければ、地方住民の福祉向上には相ならぬ。気の毒な人がますます気の毒になると思います。これは意見ですからあとにいたしますが、最後に一つだけお尋ねしたいことは、県民税に所得税を移譲して、本年度は標準税率じゃないから、一定税率の二%並びに四%である、だから本年度はここに比較してあるように、増税になる県民税と減税になる所得税を減らせば、差引全部減税になると、こういう御説明ができますが、来年度以降の保証のないのはいかなるわけか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/102
-
103・後藤田正晴
○後藤田政府委員 本年度付則で一定の税率にきめましたのは、御承知のように所得税から県民税に一部移譲を受ける際に、所得税と府県住民税との間で完全な調整をせねばならぬ、これは納税者に対して絶対に保証を与えねばならぬという意味合いから設けたものでございます。ただ本則でこれを標準税率にいたしてございますのは、これは本来の自治の基本の考えである、こういうつもりでございます。つまり従来から府県住民税は標準税率である、そしてその間に一定の制限の率をきめて、それは当該府県の議会の意思に諮らせるというのが自治の建前の税としてのきめ方だということで、本来の姿に返したにすぎません。それでは三十八年度以降は納税者としては保証がないではないか、こういう御質問もございましたが、その点は理論的にはそういうことが考えられます。これは私は府県議会の意思いかんによるべきだ、こう思いますけれども、それでは現実にあるかと申しますと、現在府県で所得割について、そういった超過課税ということをいたしておるところはないのでございます。従って私は三十八年度以降も府県についてはこの税率が一定税率と同じ働きをするであろう、こういうように考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/103
-
104・太田一夫
○太田委員 三十八年以降も一定税率で働くだろう、こうおっしゃいましたが、働くといたしまして、かりに三万円年間収入が来年度上がったといたしますと、所得税においては八%として二百四十円の増税に相なる。それから地方税におきましては、今まで〇・八が二・〇になれば、差引一・二%の引き上げになっておりますから、これは三万円に対して三百六十円、これが固定いたしまして県民税として当然上がることになる。それで所得税としては二百四十円のアップになる。これは二百四十円アップになったのが、そのまま来年度据え置かれるとは思いません。必ずそこからことしと同じように、あるいは数年来の傾向と同じように所得税の減税が出てくると思う。そうすると、県民税に移譲された今度の新しい二段階比例税率ができることによって、上がった人は、来年度以降一定税率になっても、この三百六十円上がるというものが、ことしのような特別の措置を講じておらない限りは、まるまる上がる人が出てくるわけですね。二百四十円所得税が上がった、片方県民税は三百六十円上がった、この関係ですよ。具体的に課税収入が三万円上がった人は所得税が八%、県民税は一・二%、今までよりは三百六十円ふえる、それに対しては、今度の場合ことしだけはいろいろな意味において税額控除だとかなんだとかという報告があったが、来年はそれはない。そうするとその人たちは県民税が三百六十円はとにかく最低損をするということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/104
-
105・後藤田正晴
○後藤田政府委員 御質問の意味がよくわかりませんが、三万円上がれば所得税の方の減税は本来一〇%であったものが八%になりまして二%下がりますので六百円下がるわけでございます。府県住民税の方は三万円に今回上がるのは一・二%でございますから三百六十円上がる、差引二百四十円の減税、これは変わりありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/105
-
106・太田一夫
○太田委員 来年度そうなるかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/106
-
107・後藤田正晴
○後藤田政府委員 同じ条件で比較いたしますれば同じように結果はなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/107
-
108・太田一夫
○太田委員 来年度考えるときには八%でしょう。今一〇%が八%になったとおっしゃるが、これはことしのことであって、来年度はまた変わってくるでしょう。所得税の減税の方法と関係なしに住民税の方は三百六十円増というのは固定化してしまうんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/108
-
109・後藤田正晴
○後藤田政府委員 所得税の方も一〇%が八%に固定になり、地方税の方は〇・八%が二%に固定になる。勢いその差引の〇・八%は減、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/109
-
110・太田一夫
○太田委員 来年度のことですよ。ことし八%ならば来年度が一〇%になることはないでしょう。八%かそれ以下でしょう、所得税も場合によっては。ところが県民税の方は一・二%上がったのが固定されて一定の税率とされたとしても、一・二%上がったことだけは動かない。このことだけは絶対に動かない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/110
-
111・後藤田正晴
○後藤田政府委員 御質問の趣旨がよくわかりませんが、住民税の方が固定になったと仮定して〇・八が二になる、つまり一・二%上がる、これは間違いございません。ところが所得税の方も一〇%が八%に下がる、これは二%減、差引〇・八%はこれは固定するのだという前提なら、文字通り〇・八%が減税になる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/111
-
112・太田一夫
○太田委員 私はそう言うんじゃないんですよ。差引減税にならぬということを言っているんですよ、来年度になると。所得税というのが来年度さらに八%から何%か下がるというふうに考えてごらんなさいよ。そのときに地方住民税は何ら影響はないじゃないですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/112
-
113・後藤田正晴
○後藤田政府委員 所得税が八%下がる、次の年に七%になれば一%さらに減税という結果でございます。住民税の方はそのまま置いておきますが、別段その点は私は変わらぬのじゃないか、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/113
-
114・太田一夫
○太田委員 今までの所得がずっと率が同じなら、所得がふえた者に対して、現在の生活の条件からいって、県民税が〇・八%となっている以上は、三万円上がった人は二百四十円のアップである、こう予算が出たのですよ。それが所得税が減ったから今度こちらの県民税はそれだけふやします、所得税が減った分の一部をこちらの方でふやします。こういうことだったでしょう。それで一・二%というパーセントを加えた。ですから、ことしはそれでいいというのです。来年度一・二%上がると、それはいわゆる三百六十円分だけよけい出さねばならぬから、来年度県民税は片方に減税がなければまるまる損だし、幾ら所得税の方で減らす保証があるか、それは今はわからぬでしょう。来年度のことはわからぬでしょう。だから来年度所得税が減ったならば、それをまた町村の方で取るとかいうならばいいが、来年度減らないかもしれないのに町村の方は上がりっぱなしになっていくということになるのは、理論的に矛盾するじゃないかということ、来年度以降の対策というのは、あなたの方はどう考えていらっしゃるか、所得税の関連を切ってしまうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/114
-
115・後藤田正晴
○後藤田政府委員 来年度以降の所得税は、私は、八%であれば完全な減税になっておりますし、それ以上に所得税が上がれば別です、所得税を来年度以降増税すれば別ですけれども、所得税を減税すれば多々ますます弁ず、こういうことになって、私はちっとも御質問の点は関係ないように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/115
-
116・太田一夫
○太田委員 その数字の話はややこしいからやめて、しかしあなたの方は減税をする幾多の特例措置を、アンバランスにならぬように定めておるでしょう。その特例措置というのはことしだけでしょう。来年以降もそういうような精神というのがずっとつながっていくんじゃないでしょう。何か住民税というものと所得税というものの関連は非常にきめこまかく、ことしは少くとも双方合わせて腹算用よりは減税になるということを、あなたの方は証明していらっしゃるが、来年度も今までの制度の腹算用よりは必ず減税になるという見通しを持っていらっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/116
-
117・後藤田正晴
○後藤田政府委員 その点でございますが、これは税の構造上の差に基づきます分については、当分の間税額控除をするということにいたしております。当分の間というのは、三十六年度の所得税の所得控除の金額まで、将来地方税の所得控除の金額が近づいていくという、その措置が完全にとられるまでということでございます。従って、税制上の構造の差に基づく開きというものは、税額控除として完全な調整措置を講じてある。従って、所得が同じであるということでございますれば、その人は当然今回の措置では減税措置が十分講ぜられている、こういうことでございます。三十七年度の問題は、これはいわば政策的な意味合いから、初年度である、しかもその人が所得税の控除適格者であるというようなことを考えて、一年限りの還付の措置ということをいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/117
-
118・太田一夫
○太田委員 どうも地方住民が誤解をするおそれがあるから、これはむずかしい数字の話だというとわからない点がちょっと出てくるけれども、地方住民の方は、減税々々で今度の税法ができたんだというあなたの方の説明だけれども、私の方は、ことしは一応総体的に減税になるということは基本として認めているけれども、来年度以降は減税にならぬということを私どもは言っておるわけです。それはおわかりにならぬかもしれないけれども、たとえばさっきの三万円の例でも、とにかく地方住民税のふえた率と所得税の減った率とが違っておるでしょう。片方の地方住民税が一・二%ふえたということは、片方の所得税の減税の率とは関係なしにきておるのだ。関係ないじゃありませんか。所得税はかりに二%、一〇%が八%に今度減るんだから……。そうすると来年度はその人が、三万円の人ならば六百円、減るんだから片方で三百六十円ふえてもよかろう、大ざっぱにいえばそういうことでしょう。けれどもその人は、そうしたら来年度以降は全然その人の考え方、腹づもりというのは八%というのは既定のものとして考えるでしょう。住民税はことしは減らない、所得税を減らして住民税に移したから住民税がふえたという言い方で説明するから、住民の方はどこかが減らなければ片方がふえるということは承認できぬと言いますよ。それはそうなんだ。ことしだけじゃありません。二%、四%というものをそのままやっていく以上は、来年度以降にもずっとつながる。その辺の説明というものを、必ずそれは来年度以降も損はさせぬということを言い切れますかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/118
-
119・後藤田正晴
○後藤田政府委員 御質問の点は、所得税の方は一〇%から八%つまり二%下げたんだ、それとの見合いで地方税の方は〇・八が二になったんだ、つまり一・二ふえたんだ、差引〇・八減なんだ。しかしながらその場合に所得税の〇・八は住民は既得権なりと考えておる。従って次年度以降はちっともおれらは恩典を受けておらぬ。ところが片方の府県民税の方は、改正のあるまで永久にこれは増になったんだ、こういう印象を受けはせぬか、こういう御質問だと理解するのですか、もしそうであれば、それはちょっと考え方の方がおかしいのじゃないか。これは要するに所得税の方も一〇から八になった、これは税制の改正のない限りは永久にそうだ、こう考えざるを得ないので、それとの見合いですから、やはりその点はもらった方は既得権で、あとの方の増になった方はこれはけしからぬ、こういうのは、私は税制改正の財源調整方法の理解の仕方において問題がありはせぬか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/119
-
120・太田一夫
○太田委員 それはこういうことなんですよ。今まで毎年所得税は減ってきておるのでしょう。ことしだけ減るのじゃないのですよ。だから今度の減り方だけがいわゆる特別な減らし方だというふうな説明をしてみたところで、それは通じぬのじゃないですか、毎年減っているんだから。所得税というものは減るべきものなんですよ。減税政策を続けていく限り、自然増収がある限り、国民所得に対する徴税率というものがある程度不変である限りにおいては、これは減税されていくんですよ。それをとにかく市町村民税だけは減るとしても大幅に県民税をふやして、ふやしたものはそのまま、当分の間一定税率になることを望むとおっしゃるけれども、これは来年からは標準税率になるのですから、大体税率を上げるというような逆行したことをやっておいて、地方住民の方にあなたたちは総体的に減りましたということは、ことしは説明できても、来年説明できぬと私は思うのですが、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/120
-
121・後藤田正晴
○後藤田政府委員 私はどうもその関係がよく理解できないのですが、一〇%が八%に下がったというのは、これは住民税との調整の関係で下げたものであります。本来いえば、ことしの所得税の減税は、税源配分さえなければ何も一〇%を八%に下げる必要は全然ない。その点は所得税の減税の規模を見ていただければおわかりになりますが、税源配分の分は別になっているわけですね。特に税源配分という関係で一〇%を八%にして、完全な調整をはかっているわけです。そこで来年度以降所得税が減税になるときには、その調整をはかった八をベースにしてまた下がるわけですから、将来ともずっと今度の調整措置というものは残っていくのであるということに私はなると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/121
-
122・太田一夫
○太田委員 この議論はこれでやめますが、とにかく税率を上げるなんということはあまりいいことじゃない。特に県民税などを上げるなんということはいいことじゃないと思う。ところがそれは所得税から移譲するという名目で上げたのですから、所得税の減税というものは今度はなかった、こうわれわれは理解をしてもいいのです。ところがそうじゃないのです。所得税は減税をされたと思っている。県民税はふえたと思っている。そうじゃないですか。そんなことは税法にも書いてありませんよ。税法には何条の税率を次のごとく改めると書いて、刻みが変わっているだけです。説明にそうあるだけの話で、国税の方におきましては、所得税を減税したのだ。移譲するというのは説明の手練手管であって、減税をした。大幅であったか、小幅であったか、そんな程度では決して大幅じゃありませんよ。片方では大幅に増税をした。それは事実じゃないですか。それを減税々々といったって、減税じゃない、ふえるのじゃないですか。そんなことをしたために来年度以降ずっとまたふえていく。ことしはいいが、また来年はふえていってしまう。これは毎年々々ずっとふえていくのでしょう。一・二%というものでも未来永劫に続くのじゃありませんか。それは減税は傾向だ、国としての義務だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/122
-
123・後藤田正晴
○後藤田政府委員 納税者の感情といいますか、あるいは政治論といいますか、そういう議論が出るのは、これは私どもも百も承知をいたしております。この点については、私どもとしては、県並びに市町村なりを通じて納税者の皆さんにそういう趣旨でないのだ、およそ税源の配分、つまり地方自治体の基礎を強固にするというために住民に負担増を来たさないやり方で、独立の税を地方に移すという以上は、こういう措置をとらざるを得ないのだ、税源配分をすれば、いずれにしろ納税者に迷惑をかけないということにすれば、国の方を減らして、地方の方をふやしていく、あるいは国の方の税を廃止して、地方の方の税を起こすという方法をどんなにしてもとらざるを得ぬ。それを税源配分ということをあきらめて、つまり地方の独立税というものをふやすことをあきらめるということであれば別ですけれども、いずれにしても、そういう措置をとらざるを得ないのだ、そこでこういう措置をとったのだが、その結果、納税者には増税の結果は来たしてはいないのだというPRの重要性というものは、私どもは十分承知をしておりますので、そういう誤解のないように努力をいたしたい、こう考えております。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/123
-
124・園田直
○園田委員長 この際小委員会設置の件についてお諮りいたします。
すなわち地方税法の一部を改正する法律案を審査するため、本委員会に小委員十一名よりなる地方税法の一部を改正する法律案審査小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/124
-
125・園田直
○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
なお小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/125
-
126・園田直
○園田委員長 御異議なしと認めます。よって、小委員に伊藤幟君、大沢雄一君、大竹作摩君、高田富與君、津島文治君、前田義雄君、太田一夫君、川村継義君、二宮武夫君、山口鶴男君及び門司亮君を、また小委員長に高田富與君を指名いたします。
なおお諮りいたします。今後における小委員の辞任の許可及び小委員に欠員を生じました場合の補欠選任につきましても委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/126
-
127・園田直
○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01019620215/127
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。