1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月八日(木曜日)
午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 園田 直君
理事 金子 岩三君 理事 纐纈 彌三君
理事 高田 富與君 理事 渡海元三郎君
理事 丹羽喬四郎君 理事 太田 一夫君
伊藤 幟君 宇野 宗佑君
小澤 太郎君 亀岡 高夫君
久保田円次君 田川 誠一君
津島 文治君 安宅 常彦君
山崎 巖君 川村 継義君
二宮 武夫君 北山 愛郎君
山口 鶴男君
出席政府委員
建設事務官 鬼丸 勝之君
自治政務次官
(大臣官房長) 大上 司君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
自治事務官
(財政局長) 奥野 誠亮君
委員外の出席者
自治事務官
(財政局財政課
長) 松島 五郎君
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三月八日
委員渡辺惣蔵君辞任につき、その補欠として北
山愛郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員北山愛郎君辞任につき、その補欠として渡
辺惣蔵君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
地方交付税法の一部を改正する等の法律案(内
閣提出第九七号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/0
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001・園田直
○園田委員長 これより会議を開きます。
地方交付税法の一部を改正する等の法律案を議題とし審査を進めます。質疑を行ないます。通告がありますので順次これを許します。田川誠一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/1
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002・田川誠一
○田川委員 私は地方財政計画に関連して、自治団体の財産管理のことについて少しお伺いしたいと思います。と申しますのは、最近公用地それから海浜地に個人の住宅、別荘であるとか週末の住宅、こういった個人の住宅を、どんどん建てるという傾向が非常にひどくなってきておる。中には、無断使用をしておるというようなことがあるわけですが、そのうちで県知事がこれを認可しておるような状態もあるわけです。最初に、そうした公有地に個人の住宅を建てる許可権が、知事に一体あるのかどうかということにつきまして、自治省にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/2
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003・佐久間彊
○佐久間政府委員 お尋ねの海浜地でございますが、これは普通海岸敷と申しておりまして、海岸敷は国有財産になっております。大体、国有財産の行政財産になっておると思いますが、国有財産法の九条に規定がございまして、国有財産に関する事務を、地方公共団体またはその吏員に取り扱わせることができるという規定がございます。それに基づきまして、通常知事に取り扱わせることになっておるようでございますので、知事が、お話しのような権限を持っているものという、ふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/3
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004・田川誠一
○田川委員 そうすると、それは国からまかされて知事が許可をしている、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/4
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005・佐久間彊
○佐久間政府委員 さように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/5
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006・田川誠一
○田川委員 その場合に、公のものについて、都道府県知事が使用料、手数料、こういうものを徴収することができますかどうか。それからできるとしたならば、その徴収した使用料、手数料は、国庫に納付しなければならないのであるかどうか、この点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/6
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007・佐久間彊
○佐久間政府委員 海岸敷につきましては、国有財産ではございますが、建設省が第一次的に管理の責任を持っておるように思いますので、お尋ねの点は、私どもとしては可能であろうと思いますが、なお詳しくは建設省にお尋ねいただきましたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/7
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008・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 ただいまお尋ねの、海浜地の使用を民間の手に認めた場合におきます使用料は、地方財政法の規定によりまして、地方公共団体が条例を制定しておる場合には、当該地方団体に入りますけれども、この場合は国庫に入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/8
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009・田川誠一
○田川委員 そこで、海浜地のことについてちょっと建設省にお伺いいたしますが、海岸法に規定されておる海岸保全区域に指定されております海岸以外の一般の海岸、このいわゆる一般の海岸は、国有財産としてみなしていいか、それから国有財産としてみなされる場合には、行政財産であるか普通財産であるか、そのどちらであるかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/9
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010・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 海浜地の所管につきましては、これは海岸法あるいは港湾法あるいは漁港法、こういう法律の適用を受けておりまする区域は、それぞれの法律によりまして所管大臣がきまっております。従いまして、そういう法律の適用を受けないその他の海浜地につきましては、法律上、必ずしも所管がはっきりいたしておるとは申されませんが、これは従来からの取り扱い上、建設大臣の所管ということになっておりまして、この場合――もちろん国有財産だけでございますが、この場合、国有財産である海浜地は、いわゆる公共用財産というふうに解せられるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/10
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011・田川誠一
○田川委員 そうすると今のお話で、財産法に言う行政財産である、そして行政財産のうちの公共用財産ということですね。その所管が、法律の適用以外の一般の海浜地は、建設省の所管であるというお話ですが、その根拠をちょっと教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/11
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012・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、実定法の適用を受けておる以外の海浜地につきまして、法律上必ずしも所管がはっきりはしてないという点がございますが、ただこれは終戦後建設省ができました当時、従来の内務省の所管事項がこの部分――その他若干ございますが、そのまま引き継がれたという点から、建設省では、設置法上多少疑問がございますけれども、いろいろ、建設省所管にかかる公共物の維持とか保存とか取得の業務を設置法上所掌事務としておりますので、そういう関係と、旧内務省からの引き継ぎで取り扱っておる、こういうように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/12
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013・田川誠一
○田川委員 そうすると、法律的にははっきりした根拠がない、こういうことが言えるわけですね。私が今ここでこの問題を取り上げましたのは、こうした海浜地を、週末住宅と称して無断に使用をしたり、あるいは都道府県知事の許可を受けて海岸を占有しておる傾向が、最近著しく目立ってきたということであります。これについては、あとでもう少しお聞きいたしますが、神奈川県の三浦三崎の付近であります三浦市三戸浜というところ、それから小網代湾、こういうところに昭和二十七年から最近まで十三軒の個人住宅、いわゆる別荘ができ始めた。そうしてなおあとこれについて六件も七件も県の方に申請が出されておる。しかも公共用地にどんどん家ができておって、しかもこの使用料が非常に安いのであります。年間坪四十九円五十銭、こういうような使用料を県がとっておる。個人のレジャーに供せられる住宅が、公共用の土地にこうしてどんどんできるというのは、非常におかしいじゃなかろうかと思うわけですが、これに対して建設省はどういうお考えをお持ちになっておるか。私はこうしたことは、法律に違反したことじゃないかと思うのでありますけれども、建設省はこれに対してどういうふうにお考えですか、お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/13
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014・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 ただいま御指摘の、神奈川県の事例につきましては、私どももある程度調査をいたしまして承知いたしておりますが、これは国有財産である海浜地の用途を妨げておるものとは考えられません。従いまし、国有財産法上違法な処分を県がいたしたとは考えられないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/14
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015・田川誠一
○田川委員 今のお話ですと、海浜地に個人の週末住宅のようなものを建てても別に害はないということでありますから、日本の周囲を取り巻く海岸、法律の適用を受けない一般の海岸については、自由に個人の住宅を建てることができるわけですか。それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/15
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016・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 国有財産法におきましては、行政財産の処分等につきまして、この法律の第十八条に「行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度において使用又は収益をさせる場合を除く外、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、若しくは出資の目的とし、又はこれに私権を設定することができない。」というふうに規定されておりまして、要するに、行政財産としての用途なり目的を妨げない限度においては、使用させることができるということになっておりますので、この規定に基づきまして、適正な使用料を徴収いたしまして許可をいたしますれば支障はないというふうに考えられるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/16
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017・田川誠一
○田川委員 そこで知事が許可する権限のことについて、もう一度お伺いしたいと思いますが、先ほどのお話でありますと、法的な根拠がはっきりしない、戦前からの慣習で建設省が所管を持っておって、そうして知事に許可権を委任しておる、こういうお話でありますけれども、そうしたはっきり根拠のない委任では、はたして知事のやった許可が正当な許可であるということは言えないと思います。もう少し何か根拠があるような気がしますけれども、もしありましたらお知らせしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/17
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018・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 先ほど私申し上げましたのは、海浜地の所管につきまして、建設大臣の所管になっておる点は旧内務省からの引き継ぎによりまして慣行的にそうなっておるということを申し上げたのでありますが、そこで、それを前提にいたしまして、国有財産法の第九条の規定に基づきまして、建設大臣が知事に海浜地の管理を委任いたしております。第九条は御承知かと思いますが、「各省各庁の長は、その所管に属する国有財産に関する事務の一部を、部局等の長に分掌させることができる。」ということになっておりまして、この第一項の規定によりまして、建設大臣が建設省所管国有財産取扱規則という訓令を制定いたしておりますが、これによりまして運用いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/18
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019・田川誠一
○田川委員 その規則のどこに当てはまるか教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/19
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020・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 建設省所管国有財産取扱規則の第三条に該当するのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/20
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021・田川誠一
○田川委員 第三条は事務の分掌ですね。第三条の事務分掌の中で、「大臣官房会計課、河川局、道路局、営繕局、国土地理院、」とずっと、いろいろ書いてありますが、その中で都道府県所属の国有財産の管理及び処分に関する事務は、当該部局の長において処理するものとする。」こういうことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/21
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022・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 おっしゃる通りでございます。この規定で、都道府県所属の国有財産の管理及び処分に関する事務、つまりその都道府県の区域に属しておるというものを処理させるものとするというふうになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/22
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023・田川誠一
○田川委員 そこで自治省の行政局長にお伺いしたいのですが、国が都道府県に国有地の管理を委任する場合に、これは機関委任と解釈するかどうか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/23
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024・佐久間彊
○佐久間政府委員 若干問題がないわけではございませんが、私どもは機関委任事務というふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/24
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025・田川誠一
○田川委員 機関委任の場合に、今、建設省の方で言われました建設省所管国有財産取扱規則、これでもって委任をさせることが、法律的に妥当かどうかということになりますが、これについて自治省の方のお考えをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/25
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026・佐久間彊
○佐久間政府委員 ただいま御指摘の建設省所管国有財産取扱規則そのものは省令でございますが、そのもとは国有財産法第九条で「国は、国有財産に関する事務を、」「地方公共団体又はその吏員に取り扱わせることができる。」という規定がございますので差しつかえない、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/26
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027・田川誠一
○田川委員 これは少し疑義があると私は思いますけれども、それはさておきまして、建設省にもう少しお聞きしたいことは、この取扱規則の第二十一条にこういうことが書かれております。「部局長は、」これは都道府県知事を含めた意味でしょうが、「部局長は、次の各号に掲げる場合のほか、当該部局所属の行政財産を国以外の者に使用させ、又は収益させてはならない。」一が「直接又は間接に部局の便宜となる事業又は施設の用に供するとき。」それから二番目として「公共団体において、公用、公共用又は公益事業の用に供するとき。」三番目として「前各号に掲げる場合のほか、部局長が特に必要やむを得ないと認めるとき。」という規定がありますが、これから言いますと、どうも個人の週末住宅に都道府県知事がどんどん許可していくということは、ちょっとおかしいような気がいたしますけれども、これについて建設省の考えをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/27
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028・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 ただいまお話しのような御意見、あるいは御批判もあるかと思いまするが、御指摘の神奈川県の事例につきましては、この第二十一条の第三号の規定に該当させて使用を許可したものと考えております。ただその場合に、「特に必要やむを得ない」というふうに、非常に厳格にしぼった表現になっておりまするから、お話しのように、レジャー用の民間の建物の敷地に供することを認めることはどうかという御批判はあるかと思いまするけれども、まあ私どもといたしましては、結局その海浜地が、公用または公共用の用途なり目的にじゃまにならない、支障を生じないという、まあ実情は、私ども聞いたところでは、ほとんど道路もないし、人が普通では住まないし、あるいは船だまりとか海水浴場といったような、一般公衆の用に供する施設にもならないという場所柄であるとも聞いております。ただ、しいて言えば、あの辺一帯の景観を保持する必要はあるのじゃないかというような話も聞いております。ですから景観を保持する上に妨げにならなければ まあ差しつかえないのではないかというふうに考えられて、県当局も使用を許可したものと思われるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/28
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029・田川誠一
○田川委員 「特に必要やむを得ないと認めるとき。」ということを、週に一回の別荘に適用するということは、どうもこれは常識で言って非常におかしいことだと思うのですが、それはさておきまして、私は神奈川県の場合だけを言っておるわけじゃございませんで、神奈川県の三浦三崎のことを一例にあげたわけです。こうした例が全国に相当あると思うのです。海岸を持っておる静岡県、千葉県、茨城県、たくさんあると思いますが、その国有海浜地が、こうして半ば野放し状態で乱用されておるということは、非常に残念なことだと思いますが、こうした国有海浜地を、今建設省が言われたよう大ざっぱなことでなく、もう少し何か規制するというようなことをしなければいけないんじゃないかと思いますが、この点について官房長のお考えをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/29
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030・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 国有海岸あるいは国有海浜地全体の問題といたしまして、行政上のあるいは立法上の措置が、ややおくれておると申しまするか、歴史的に見ましても、比較的最近、だんだん行政上諸般の措置が整備されてきておるというふうに考えられます。特に港湾、漁港の区域につきましては、かなり前から法律上の規制なり措置も講じられ、予算上の措置も講じてきておりますけれども、その他の海岸につきましては、御承知のように海岸法が昭和三十一年にようやくできた程度でありまして、これは災害対策上、災害防止上、海岸法が制定されて、それも特に保全区域というものを限定して、その区域を整備するというふうになっておるわけでございます。ですから海岸線の延長から申しますると、その他の海岸、そのまた大部分が国有海浜地でである、こういう実情で、実は公益的な目的あるいは公共目的という点から申しますると、その他の延長としては、非常に長い海浜地海岸は、そこまで十分、他の海岸と同様にまで諸般の措置を講じて参る必要があるかどうかという問題があると思うのです。つまり開発されておる、あるいは近く開発されるであろう海岸地、あるいは災害対策上施設をしなければならない海岸地以外のものにつきましては、十分まだ手が回ってない、また手を回して措置をする必要があるかどうかという点も検討しなければならぬ問題であると思いますけれども、ただいまの段階では、おっしゃるように半ば野放しのような状況になっておる。ただ、国有財産法上の管理につきましては、これはもう少し管理を適正にいたしまするように行政上の指導なりあるいは省令、訓令等の規定におきましても、もう少し検討いたしまして改正等考えなければならぬということは、私どもも痛感しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/30
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031・田川誠一
○田川委員 一般の海浜地は、全然整備されていないと言っていいのじゃないかと思います。おそらく一般の海浜地のいわゆる公共財産の台帳というものは全然できてないと思うのです。そうした台帳を整備するように一つお願いをしたい。
それからもう一つは、規制の処置をなるべく早く考えていただきたい。これについてもう一度お考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/31
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032・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 一般の国有海浜地につきまして、精密な調査をして台帳を整備するということは、これは相当の経費を要することでもございますし、先ほど申し上げましたように、一般の海浜地は公共用財産になっておりますけれども、実際には公共用あるいは公用という機能をほとんど持ってないところが大部分でございます。そこでこれらにつきまして、直ちに台帳を整備する必要があるかどうか、私どもどちらかと申しますると、この点は消極的に考えておりますし、現在、国有財産法上も、台帳を整備する必要がないというむしろ適用除外の対象になっておりますので、この点はせっかくのお話でありますが、そのように御了承いただきたいと思います。ただ、現在の国有財産法上の規定に基づく管理を、もう少し適正に行なうということにつきましては、私どもさっそく検討いたしまして、善処さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/32
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033・田川誠一
○田川委員 これは法律で処置をしていただかなければいけない問題じゃないかと思うのです。あまり神奈川県のことばかり取り上げて恐縮でありますけれども、私が例にあげたこの神奈川県の三浦三崎の一帯、ここを占用しておるいわゆる各家主、別荘の持ち主は、このうちで四人が外人です。そしてあとはみな東京の経済界の一流の人たちでありますが、これが売ったり、買ったりしているわけです。そしてわずかにただ同様の年坪四十九円という地代で土地を借りて、そしてその家が何百万円、何千万円で売買されるということになりますと、一つの利権になるわけです。このままにしておいたならば、こうしたことは今後もひんぱんに行なわれると思います。すでに六件の申請も出ております。あの小網代湾は非常に狭い、小さな湾であります。風光も非常に明媚なところであります。そういうような海岸で、今官房長が言われたように、今まであまり利用されてないということですけれども、これはあなたは行ってごらんにならないからわからないと思います。そんなものじゃありません。日曜になりますと、ハイキングのお客さんが、冬でさえも大ぜいあそこへ来て楽しんでおる。ボートを借りて楽しむ。それが個人のために独占されるということであっては、これは公共用地としての意味がなくなると思うのですが、こうしたことにつきましては、ぜひ一つ法律の規制を適用してもらいたい、しなければいけないと思います。それから、今申しましたこの神奈川県の状態を、今までのお話ですと、このままでいいというお話のように聞こえますけれども、そんなことじゃどうも私どもは納得できないと思います。少し乱用し過ぎるのじゃないかというような勧告ぐらいをして反省を求めなければ、弊害がどんどんできてくると思います。この点についてもう少しあなたにお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/33
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034・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 ただいまのお話のうち、転売をするというようなことは、厳に戒めなければならぬ点だと思っております。名義者は変わりませんでも、実際はほかの人にあるいは権利金をとって売っているというようなことがございますれば、この点は十分に警告もいたして取りやめさしたいと思っておりますし、先生御承知のように、この使用許可は一年で更新することになっておりますので、実際上は当初許可したと同じ条件、状態におきまして使用する以上は、この更新は繰り返しておりますけれども、実態が御指摘のように変わる、権利がついたり、他人に使用さしておるというような実態があれば、これは更新の際許可を取り消すようにというような指導も指示もいたしたいと考えております。なお、使用料につきましては、これは海岸地だけでございませんけれども、国有財産の土地の等級を通常きめまして、その等級ごとに使用料の額を知事がきめておるのでありますが、神奈川県の場合は一等から四等まで等級がございまして、御指摘の海岸地は二等地になっております。横浜市内とかその他の市街地あるいはそれに近い便利なところは一等地になっておる。一等地が一平米当たり二十円でございまして、二等地は十五円でございますから五円の開きでございますけれども、まあまあこれは適正な使用料の額であると考えられるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/34
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035・田川誠一
○田川委員 法的な規制をやるかどうかということを、もう一度お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/35
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036・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 法的な規制をさらに強化するかどうかという点につきましては、これは建設大臣所管の国有海浜地だけの問題ではないと思いますので、大蔵省初め関係各省とも十分今後相談いたしまして、検討さしていただきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/36
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037・田川誠一
○田川委員 今お話しの土地の使用の期間が一年だというお話でありますけれども、この神奈川県の場合、その土地に建てられた家が本建築なんです。掘立小屋じゃないのです。一年更新の土地の使用に対して、こうした本建築の家を堂々と建てておるのです。そういう点からも、私が指摘したこの海浜地の使用は少しおかしいのです。しかもこれはみんな固定資産税も払っておるわけであります。これは一年の短期間しか貸せないという意味の規定だろうと思うのですが、そうしたところに本建築を建てるということ自体も少しおかしいのじゃないかと思うのです。この法的な規制は一つぜひ推進していただきたいと思います。
それからもう一つついでにお伺いしたいのは、あの付近にはアメリカの横須賀海軍基地司令部があって、終戦直後からアメリカ人が非常にたくさんおりました。私が今申しました家の中にも、またそれ以外にも、アメリカ人が終戦直後不法に、黙ってあの付近一帯を占拠して、個人の住宅に使っておるというところも二、三あるようでありますが、こうした終戦のどさくさにまぎれて占拠してしまった土地、家というものに対しても一つ検討していただきたいと思いますが、この点はいかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/37
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038・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 外国人の不法占拠の件につきましては、実はこの国有海浜地の方に今四軒建っておりますけれども、そのうちどれでございましたか、当初不法占拠の形で家を建てた者があるようでございますので、その後県当局が注意いたしまして、正式に占用の使用許可をとらせまして、現在はその使用料を徴収しておる、こういう状況だと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/38
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039・田川誠一
○田川委員 これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/39
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040・園田直
○園田委員長 北山愛郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/40
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041・北山愛郎
○北山委員 大へん貴重な時間を拝借して恐縮ですが、地方財政関係のきわめてばかげたというか、あるケースについてのお考えを聞きたいのであります。
問題は空港整備法による第三種空港でございますが、最近経済の高度成長とか地方の経済の開発というようなことで、道路交通の公共施設を整備拡充しようという空気が非常に地方自治体に強いわけであります。その結果として、財政力を越えた地元負担というものが非常に多くなってきておる。これは全国的なケースであると思うのですが、その一つの例として、岩手県の花巻の空港問題があります。これは空港整備法による第三種空港でありますから、県が市と協議をして、そして県が設置をし管理をするということで、去年から工事が始まっているわけであります。その費用の一部を国が負担しあるいは補助するということになっておるわけであります。ところが県と市の費用の負担区分でありますが、これは国が補助する分は除いて、工事費等については県が持つということになっておる。用地の補償費については大部分を地元の市で持つことになっておるわけであります。ところがその後事情が変わったといいますか、飛行場の滑走路の末端に小学校と中学校があって、それが進入路にかかっておるものですから、当然、小学校は移転をしなければならぬ、その隣の中学校も移転をしなければ、地元民としては承知をしないということになっておる。ところがその二つの学校を移転しますと、それだけで二億円かかる。数千万円という用地費を市が負担し、さらにその小学校、中学校の移転費まで市が負担するということになれば、二億数千万円の費用を市が負担をしなければならぬ、こういうような状況になっておるわけであります。ところが空港というのは、これを設置する地元の市としては、直接にはあまり利益がない上に、用地を取られるので、むしろマイナスの面が多いわけです。利益を受けるのはいわば非常に広い区域の住民が利益を受けるということになるだろうと思うのです。だからこういう施設は少なくとも県単位くらいで考えなければならぬだろうと思うのですが、このように、県の負担する分よりも、ずっと多く地元の市が学校の移転費までも負担をしなければならないような空港の設置ということは、だれから考えても変じゃないかということであります。法律的にはいろいろ問題があろうと思いますが、地方財政法の二十七条によりますと、県がやる建設事業については関係の市町村は受益の限度において負担するというような格好になっておる。この規定が直ちに今度の空港の場合に当てはまるかどうかは問題があろうかと思いますが、しかし精神としては私はこの二十七条が地方財政の県、市町村等の財政的な負担関係を規律する原則だろうというふうに考えるわけであります。そこで実はきょうは運輸省航空局の関係者にもおいでを願って、詳細に事態を明らかにしてお伺いをすればいいのでありますが、そちらの方を呼んでおりませんので、一応一般的なそういう事態についての自治省としての考え方をお伺いして、そうして一つこの問題を十分に調査をして、適切な指導をしてもらいたい、こういうふうに考えるわけであります。要するに空港というような問題について、しかも直接には県が設置をし管理をするという施設について、地元の市町村が学校の移転までして何億という金を負担する、それが地方財政あるいは地方自治の適正な運営かどうかという問題であります。ですから、それについての一般的な御見解をまず自治省から伺って、そしてなお十分調査をして措置をしていただきたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/41
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042・松島五郎
○松島説明員 ただいまお尋ねのございました空港の問題でございますが、第三種空港は御承知の通り国が二分の一、地方団体が二分の一を負担をすることになっているわけでございます。管理者ないしは設置者であります地方団体がどこになるべきかということは、現在の空港整備法ではその飛行場所在の関係都道府県あるいは関係市町村というようなものが、協議してきめるということになっておるわけでございます。ただいまお尋ねのございました花巻市の飛行場は、県営で設置をするということになっておるようでございますので、設置者は県ということになるわけでございます。その場合、県が百分の五十の負担をするのが当然でございますが、ただ他の法令と異なりまして、たとえば今申し上げましたように設置管理者をきめますにも飛行場所在の市町村と飛行場所在の都道府県、あるいはその飛行場に利害関係を有する関係地方団体が協議して定めるというような形になっておりまして――もちろんそうなっておるからと言って、これが共同設置という法律上のものではないと思いますけれども、どちらかといえばそれに近いようなニュアンスを持っておりますので、その経費負担も、国道について県が負担すべき分を市町村に転嫁するとか、あるいは河川費について県が負担すべきものを市町村に転嫁するというようなものとは、ちょっと性質が違うのではなかろうかと考えられます。しかしお尋ねのように何億という金を市町村が出せるはずのものでももちろんございませんし、また一つの仕事をやります場合に、どれだけ全体として金がかかり、それをどういうふうに負担していくか、あるいは財政的に負担できるかできないかということをまず考えて仕事を進めるべきものでございまして、飛行場さえ作れば、あとの問題はすべて市町村の負担でもって片づけてもらうのだというような考え方で仕事を進めるべきものではないと考えますので、ただいまお尋ねのございました具体的問題につきましては、なお実情を調査の上で、しかるべく善処をいたすようにして参りたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/42
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043・北山愛郎
○北山委員 このケーについて私非常に不思議に思うのは、国も半分は負担する、あるいは経費の一部は補助するということなっておるわけです。ところが空港を設置するという経費は、用地費あるいは関係補償費、そういうものも含んで、全体としてこれは空港の経費だと思うのであります。従って、その空港を設置するに要する経費というものの範囲をきめるといいますか、そういうものをきめて、それに従って国なりあるいは県なりが負担する、あるいは市なりが負担するということにならなければならぬ。ところが、順序から見るとそうではなくて、国は国で自分の補助する範囲をきめて、あるいは県は一定のワク以上は出せないということで、その学校の移転についても、実は市の方が自分でしょい込んで、四苦八苦しているというような事態なわけです。ですから、少なくとも私はその国の補助は、法律の、いわゆる予算の範囲という問題があるでしょうが、設置者としての県は、これは学校の経費あるいは用地補償費、その後生じてくるような一切のものについて責任を持つ、そういう建前でなければならぬ、こう思うのですが、その点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/43
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044・松島五郎
○松島説明員 法律上は、「滑走路、着陸帯、誘導路又はエプロンの新設又は改良の工事を施行する場合には、その工事に要する費用は、」云々、こう書いてあるわけでございます。法律の解釈問題として考える場合に、学校の移転が入るか入らないかということは多少疑問のあるところであろうと思いますが、しかし問題は、ただいま御指摘の通り、学校を移転しなければ飛行場として用をなさないということは、移転をすること自体が飛行場を作る一つの条件になるわけであります。そうならば、その金の出どこころをどういう、ふうに処理するかという問題は、同時に、いかなる形であるとしても考えた上で仕事を進めるべきことが当然でございまして、その分について関係市町村が負担できないならば一飛行場の建設というものを取りやめるような方向にいくのか、あるいはそれを取りやめられないならば、学校の移転が市町村として可能なような財源的な手配をするか、いずれにしてもそういう配慮が、法律の規定はともかくといたしまして、実際問題として必要であろうと思います。そういう点の配慮が、今のお話でございますと欠けていたのではないかと思われますが、私実情を十分承知いたしておりませんので、実情を調査の上でまたお答えをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/44
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045・北山愛郎
○北山委員 大体、自治省の考え方はわかりましたが、花巻市というのは、基準税収が二億くらいなものであります。そういう財政力しかない団体が、空港というものについて、しかも空港というものは、現状では一般大衆がこれを利用するものではなくて、やはり余裕のあるクラス、少数の者が利用するという実態において、そういう貧弱な財政の中から何億という金を空港に出すというような事態は、やはりほうっておけないのではないかと思うのです。また市当局としても、こういうようなプランを作って進めるということは、非常識きわまると私自身思っておるのです。それ以外の学校経費等についても、老朽校舎があって、非常に危険な校舎があるために、ほかの小学校へ通学ということで、父兄が通学を拒否しようじゃないかというというような、いろいろ教育施設についても不十分な点があるという際に、空港のために学校を二つも移転するようなむだなやり方をやっているということ自体は好ましくないと思うのですけれども、それはそれとして、やはり自治省としても、単に今の地方自治法上は、直接の監督という意味じゃございませんけれども、県と市町村との調整の問題でもあり、あるいは市の財政、行政の運営の問題でもありますので、一つ十分実態を御調査の上で、適切な指導をしていただきたい。問題は運輸省関係にもありますので、いずれまたいろいろ調査の上で、機会を見てその結論についてお伺いをしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/45
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046・松島五郎
○松島説明員 実情につきましては、ただいま申し上げました通り、また先生からお話がございましたので、十分調査をいたしまして、私どもといたしましても、一つの方向を見出した上でまたお答えをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/46
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047・園田直
○園田委員長 太田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/47
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048・太田一夫
○太田委員 局長がいらっしゃいませんから、財政課長にちょっとお尋ねをいたしますが、地方の市庁舎あるいは町村の事務所というのは、その作る費用はだれが出すのが本来の姿になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/48
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049・松島五郎
○松島説明員 市町村なり県なりの施設は、これは特別なものを除き、ことに庁舎のような場合は基本的な施設でございますので、当該地域の住民の負担において建てられるべきものである、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/49
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050・太田一夫
○太田委員 そこで、行政局長にちょっとお尋ねをいたします。地方自治法の十条によりますと、住民は「その属する普通地方公共団体の財産及び営造物を共用する権利を有し、」その次に「その負担を分任する義務を負う。」とありますから、今財政課長のおっしゃったように、庁舎、事務所等の建物を作る費用、これを維持する費用について分任をする負担分任の原則で、住民がこれを負担するのは別に間違いじゃない、こういうことであります。だが、それは出す方は義務であります。ところがその上の方には、「営造物を共用する権利を有し、」とあるのですが、さてその営造物を共用する権利というのの中には、市庁舎とか町村の庁舎というのは入らないとお考えになりますか、それはもちろん入るのだとお考えになりますか、行政局長としての見解をお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/50
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051・佐久間彊
○佐久間政府委員 市庁舎は営造物には入らないのじゃないかと思っております。財産ではございますが、営造物には入らない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/51
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052・太田一夫
○太田委員 そうしますと、従って市庁舎の費用というものについては、負担分任の義務はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/52
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053・佐久間彊
○佐久間政府委員 営造物には入りませんけれども、財産には入ると思います。しかしこの「負担を分任する義務」とここで申しておりますのは、その地方団体の財産の中でも、一般の住民の公共の用に、利用に供しているような財産を言うておるわけでございますから、市庁舎につきましては、当然住民が「負担を分任する義務を負う、」とここで言っている条項には該当しないのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/53
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054・太田一夫
○太田委員 ここに言っておる条項の中には、財産というのがありますね。あなたは財産だとおっしゃるのならば、財産を共用する権利も住民にあるはずだと思いますが、それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/54
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055・佐久間彊
○佐久間政府委員 ここで「財産及び営造物」と申しておりますが、それは、いずれも住民の公共の用に供する目的で作られておる財産、営造物を言うておるものというふうに解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/55
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056・太田一夫
○太田委員 そうすると、だんだんここに書いてありますことの意味が狭くなりますが、それならば地方自治法の四条に移ってみましょう。第二条の十二項「地方公共団体は」「住民の福祉の増進に努めるとともに」、住民の福祉の増進に努めなければならないというのがここにある。もう一つ、第四条二項には、事務所は「住民の利用に最も便利であるように」、という規定もある。こういう地方自治法の精神、もう一つさかのぼれば、憲法には、基本的な団体行動の権利であるとか、いろいろ、国民の自由権というものも三十一条にある。そういう中で、今あなたの方の行政局の御指導の中では、何か庁舎というものは治外法権であって、その中にむやみに住民が入るのは困るという指導をすることは正しいのだというような意見があるやに承っておりますが、そういうことは事実でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/56
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057・佐久間彊
○佐久間政府委員 市庁舎は、当然住民の利用に便利であるように考えなければならないわけでございますが、先ほどの財産、営造物の共用とここで申しておりますのは、学校とか公会堂とか、そういうような、もっぱら住民にサービスを供するような、そういう利用のものをさしておるわけでございまして、十条の二項には、私は庁舎は入らないのじゃないか、こう申し上げたわけでございますが、しかし、庁舎はもともと四条二項に書いてありますように、住民の利用に便であるようにもちろん考慮を払わなければならないわけでございまして、その庁舎は、お話のような治外法権で、住民が入ってはいかぬのだというような考えは、私どもとしてはもちろん持っておりませんし、そのような指導はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/57
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058・太田一夫
○太田委員 最近何か秋田県の方におきまして、県の総務部長名によりまして、県内の各市町村に対しまして、庁舎管理規則なるものを作りなさい――その管理規則というものの内容は、住民がいろいろ請願をしたり、あるいは労働者の団結した団体が団体行動などをするような場所になっては困るから、そういうものを取り締まりなさいというような内容を持った庁舎管理規則を作りなさいという指導をしておるという話を聞きましたが、あなたは御承知でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/58
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059・佐久間彊
○佐久間政府委員 秋田県でそのような指導をしておるということは、まだ聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/59
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060・太田一夫
○太田委員 私の方にはそういう情報が入っておるのでありますが、最近各地においてそういう問題で非常に争いが起きておる。たとえば松本市におきまして、職員組合との間に、あるいは地区の勤労者の団体との間に紛争が起きておる。あるいはそのような、同じような規則ができて問題になったところが、小倉、八幡、門司、和歌山、田辺、八王子というような、数市にわたっておる、このようなことも聞いておりますが、それがだんだん大きくなってきて、秋田県におきまして、全市町村に対して、このサンプルによるような規則を作れというような指導がもし県の方でなされたとしたならば、ゆゆしき大事だと思う。これは、内容を見まするとまことに問題になる点があるのでありまして、庁舎はいわゆる治外法権的な立場をとろうとしている意図が非常に顕著なんです。たとえば小倉市の庁舎取締規則なんというものがあるのですが、これは目的を見ますと、いいのですね。目的には「この規則は、市役所庁舎及び市役所構内における施設及び設備の保全管理に万全を期することにより、公務の正常な運営を確保することを目的とする。」とありまして、施設や設備の保全管理だ。施設、設備、いわゆる財産管理ということならば、別段問題があるわけではない。ところが内容に入ってみますと、そういうことではなくて、「秩序の維持」というようなことから、たとえば市長の許可を必要とするものというのが九つくらい列挙されておりますけれども、市長の許可を必要とするものの中には、印刷物の掲示とか、あるいは広告物の設置とか持ち込みということがある。あるいは第六条などには、「庁舎等に入ることの制限、禁止及び違反行為に対する処置」というようなはなはだ内容重大なことが書いてある。その中には「正当な理由がなくて兇器又は人の身体に危害をおよぼし若しくは庁舎を破損する物品を所持する者」その次には、「粗暴若しくは乱雑な言動で他人に迷惑をおよぼし又は庁舎等の施設若しくは設備を破損するおそれがある者」「面会を強要する者」「閉門時間が過ぎてもなお庁舎等に長居している者」等が書いてある。だから、ここをなにすると、文字にはっきり現われておるのが何かしら一般住民の請願行動を押える、あるいは各種団体の陳情行動を押える、こういうふうに考えられるのですが、小倉市ではすでにこれができているのですが、これは御承知ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/60
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061・佐久間彊
○佐久間政府委員 小倉市のも私聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/61
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062・太田一夫
○太田委員 今甲し上げたようなことを内容に規定する庁舎管理規則というものの妥当性については、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/62
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063・佐久間彊
○佐久間政府委員 地方公共団体の長が、庁舎の管理上必要な規則を作ります権限は、地方自治法でも与えられております。ただ問題は、この内容にあろうかと思いますが、御指摘のございましたように、その施設の保全管理上の必要なもの、あるいはその庁舎の本来の目的である、そこで公務をとるその公務の正常な運営と申しますか、先ほど申されましたような、そういう目的で必要な限度において規制をいたしますことは、これは合法的と見なし得ると思いますし、妥当であろうと思います。ただそれが、その範囲を逸脱いたしまして、住民の正常な請願行為を制限するとか、あるいはお話しのような労働運動を抑圧するとかいったような趣旨の内容になりますと、これは妥当ではないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/63
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064・太田一夫
○太田委員 なかなかいいお話でありまして、労働運動とかあるいはまた大衆的請願運動というようなものを抑圧したり、それを忌避するような思想があるとするなら不穏当だとおっしゃったのは、全く同感でありまして、そういうふうにならない、単なる正常な事務の運営だとかあるいは建物の設備の保全管理ということならば、別段問題があるわけではない。ところがそれを使って、請願してくる者が乱雑な言動を使ったから退去せしめるの、入っちゃいけないの、おそれがあるから入れちゃならないのというのは、非常な行き過ぎだと思うのです。乱雑な言動で他人に迷惑を及ぼすおそれがある者なんていうのは、おそれなんて非常にむずかしいのであって、たとえばその人が、いかにも労働者らしい格好をしておるから、貧乏人らしい格好をしておるから、よう上品な言葉は使わないであろう、おいお前と言うであろう、おいお前というような乱雑な言葉を使うような者は、この庁舎に入ることを許さずとするならば、大へん行き過ぎです。そういう見解で一般市民層を近づけない、これでは庁舎はお城になりますよ。昔の封建時代の殿様のお城になる。お城というようなことになっては困る。大手門のところに門番が立っておって、どんどんたたくので、どうれとあけてみた、あけてみたら、まことにもってけしからぬ粗雑な風体をした者がおる、無礼者下がれというようなことになっては大へんです。この内容はそういうことになりかねない。そういうことについてはあなたのおっしゃる通りで、行き過ぎがあっては大へんだと思いますけれども、これを御存じないということは残念なんですが、こういうものを一つあなたの方としては、何か方針をお出しになって、御指導なさるお気持はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/64
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065・佐久間彊
○佐久間政府委員 これはよく実情を調査いたしまして、もし御指摘のように、先ほど申し上げましたような、本来の趣旨から非常に逸脱しているような内容のものがあれば、適当な指導をするように研究してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/65
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066・太田一夫
○太田委員 そこで私は、委員長にお願いするのですが、秋田県が出した通達というものを、資料として本委員会に出していただきますようにお願いしたいと思うのです。
局長は非常にいいことをおっしゃって、局長の良識に待ちます限り、私は心配ないと思いますけれども、地方には、地方自治の名においてときたま行き過ぎがある。あるいは何かしら地方の実情という名に隠れて、いろんな、とんでもない問題が起きている。これは、これに限らず幾多あるのです。公安条例の問題もありますが、庁舎取締規則なるものによって、そういう一般市民の自由権を剥奪する、請願陳情を抑圧するというようなことになりましたら大へんでありますので、単にそれは労働組合運動の弾圧だけだとは私は申しませんが、目的するのは、労働組合を中心とする一般市民の市政に反対する人たちの出入りは、まことに好ましくないという為政者の独善的な意識がこういうものを作らせておると思うのでありますから、一つ十分内容を御横討の上、適切な指導をされるように御希望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/66
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067・園田直
○園田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01719620308/67
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