1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月九日(金曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 園田 直君
理事 金子 岩三君 理事 纐纈 彌三君
理事 渡海元三郎君 理事 太田 一夫君
理事 阪上安太郎君
宇野 宗佑君 小澤 太郎君
久保田円次君 田川 誠一君
津島 文治君 永田 亮一君
前田 義雄君 山崎 巖君
川村 継義君 二宮 武夫君
横山 利秋君
出席国務大臣
自 治 大 臣 安井 謙君
出席政府委員
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
自治事務官
(財政局長) 奥野 誠亮君
委員外の出席者
厚生事務官
(大臣官房国立
公園部長) 木村 又雄君
自治事務官
(行政局行政課
長) 岸 昌君
自治事務官
(財政局財政課
長) 松島 五郎君
自治事務官
(財政局交付税
課長) 山本 悟君
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三月九日
委員和田博雄君辞任につき、その補
欠として横山利秋君が議長の指名で
委員に選任された。
同日
委員横山利秋君辞任につき、その補
欠として和田博雄君が議長の指名で
委員に選任された。
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三月八日
辺地に係る公共的施設の総合整備の
ための財政上の特別措置等に関する
法律案(内閣提出第一二三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
辺地に係る公共的施設の総合整備の
ための財政上の特別措置等に関する
法律案(内閣提出第一二三号)
地方交付税法の一部を改正する等の
法律案(内閣提出第九七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/0
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001・渡海元三郎
○渡海委員長代理 これより会議を開きます。
委員長所用のため、委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。
地方交付税法の一部を改正する等の法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/1
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002・横山利秋
○横山委員 私が本日御質問をしようといたしますのは、特別な一つの例ではございますけれども、そのよってきたる問題には、各地方自治体の財産処分という問題について、いろいろ勘案すべきことを含んでおると思いますから、その点をよく御勘案の上、御答弁を願いたいと思うのであります。
まず、一つの事実を申し上げたいと思います。愛知県の県会に、今一つの条例案が出ておるのであります。その条例案で、相当地元としては紛糾をいたしておるそうでありますが、その内容と申しますのは、武豊町付近にあります県の山林を約十七万坪ばかり払い下げる、そうしてそのうちの九万坪は武豊町に払い下げる、そのうちの八万坪は愛知農園の小杉仁造という人に払い下げる、これは株式会社であります。そういうことが表の問題でありますが、裏面におきましては、公式に愛知農園の小杉仁造氏は武豊町長の榊原孫太郎氏にあてて、その県有林が払い下げられたら、すみやかに自分に再払い下げをしてもらいたい、こういう申請が出ておるのであります。そうすると、それが終わったあとどういう格好になるかと申しますと、ちょうどこの灰皿に例をとると非常におもしろいのでありますが、この灰皿の周囲三分の二は、今すでに小杉なる愛知農園の人が持っておる土地であります。残る周囲三分の一が武豊町に払い下げられる。そうすると武豊町からまた小杉のところへいく。小杉は新たにまん中の八万坪の払い下げを単独で申請しておるのでありますから、全部これが愛知農園の小杉のものになる。そうして計画は、この周囲をゴルフ場にし、まん中へ果樹園を作る、こういう考えだそうであります。
一体、私が考えますのに、国の財産——私も大蔵委員をやっておって、国の財産を扱っておるのでありますが、国の財産を払い下げます場合におきましては、いろいろと制限がございます。国有財産特別措置法あるいは財政法、会計法でいろいろと制限があるのでありますけれども、地方自治体の財産の払い下げについて、いかなる規制というものがあるのか、またかりに規制がなくとも、それによって国の法律に基づいた一つの準拠すべき方向があろうかと思うのでありますが、それらの点について、まず事案の内容は別にして、地方自治体が財産払い下げをなす場合における規制のあり方、また規制がなくとも政治的に、常識的にもかくあるべしというような準拠についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/2
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003・佐久間彊
○佐久間政府委員 地方自治関係の法規で、地方公共団体の財産の処分、管理につきまして、どういうことになっておるかというお尋ねでございますが、地方自治法の第二百十三条で「普通地方公共団体は、法律又はこれに基く政令に特別の定があるものを除く外、財産の取得、管理及び処分並びに営造物の設置及び管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない。」ということで、財産の取得、管理、処分に関する一般的な規定は、条例できめることになっております。それから次に第九十六条でございます。これは権限でございますが、その第一項第七号で「条例で定める重要な財産の取得又は処分及び営造物の設置又は処分をすること。」これは議会の議決を経なければならない、こういうことに相なっております。重要な財産として、条例できめられましたもの以外のものにつきましては、地方公共団体の長が議会の議決を経ないで、先ほど申しました条例の定めに従って処理ができる、こういうことに相なっております。なお地方財政法の第八条で「地方公共団体の財産は、条例又は議会の議決による場合を除く外、これを交換しその他支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けてはならない。」という規定がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/3
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004・横山利秋
○横山委員 私の申し上げるのは、もちろんそういう形式的な処分のあり方もさることではありますが、内容的にいかなる規制が法律上ないしは政治的といいますか、常識的にあるべきかという点であります。重ねて申しますが、このような事案は、たとえば愛知農園の小杉氏が持っております二十四万坪も、実は最初は国のものであったものが多い、あるいは町のものであったものが多い、ないしは県から市に移ったものがある。それがだんだん市民に払い下げられていって、その市民から十年がかりで買い集めたものである。いわゆる十年がかりで逐次買い集めていって、今度はその仕上げに武豊町に九万坪払い下げしておいて、すぐにそれを自分に再払い下げしてもらいたいということ。要するにこれは県と町とそれから小杉氏の暗に結んだ話し合いの軌道をたどっておる、こう見られてもどうしようもない話でありますが、かかる表面的に合法的な立場をとったといたしましても、こういうトンネル式に国及び地方財産が払い下げられていって、そして一つの目的に集約をされる、こういうことが許されるであろうかどうか、あなたの見解をもってして、財産を払い下げます場合の使用目的にどんな規制があるのか、またあるべきか、御見解をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/4
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005・佐久間彊
○佐久間政府委員 地方公共団体の所有いたしております財産でございますから、その財産が払い下げられます場合には、地方公共団体の公共の利益と払い下げを受けました後のそのものの使用の目的、あるいは将来の状況等も勘案をいたしまして、払い下げた方がいいかどうか、その地方公共団体で判断すべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/5
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006・横山利秋
○横山委員 それなら簡単に尋ねますが、私がこれを農園にしたいと言うて行った。ああそうかといって払い下げた。それがあくる日ゴルフ場になるということが認められますか、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/6
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007・佐久間彊
○佐久間政府委員 農園にするということで払い下げを受けて、あくる日それをゴルフ場にするというようなことは、これは適当なことじゃないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/7
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008・横山利秋
○横山委員 そうだったら、今度それがゴルフ場になることがわかっておりながら、県が町に払い下げる。町がまたそれを特定の会社にすぐに払い下げる、こういうことも適当であると思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/8
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009・佐久間彊
○佐久間政府委員 これは具体の状況について、いろいろ地方公共団体の長なり議会が判断をさるべきことだと思いますが、その払い下げの意思決定をいたします当時、その払い下げてから後のその財産の使途について、それを考慮に入れて払い下げたものでございますれば、あるいはそれが条件という形になっておりますか、どういう形になっておりますか。それは別といたしまして、払い下げの当時、そのことをも考慮の中に入れて決定されたものでございますれば、払い下げた直後の使用の目的とその後の目的が変わりましても、法律的には差しつかえないというふうに考えられるのでございますが、それが、払い下げ当時そういう事情を全然考慮いたしておらない、むしろそういう使用目的にすることであれば、地方公共団体として払い下げを決定しなかったであろうというような状況でありますれば、それは適当な形ではなかったのじゃなかろうか、こんなふうに考えられるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/9
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010・横山利秋
○横山委員 回りくどいことをおっしゃらずに、たとえば町に払い下げる、しかしそのときには町はさらに特定の会社なり個人に払い下げることがわかっておる。わかっておるならば最終目的を地方自治体は判断をしておくべきであろう。何でまん中に一つトンネルをくぐらさなければならぬのかということが、どうしても私には合点がいかぬのであります。もしも最終目的のために払い下げるのであるならば、トンネルをくぐる必要はない。そういう目的であれば直接に需要者に対して交渉をすべきであって、トンネルをやる必要はない。しかも直接の需要者は、まん中は別に売り払ってもらいたい、こちらの外側は武豊町なら武豊町に払い下げてもらいたい、そうして私はそれをまた再払い下げをお願いする、こういうことに、きわめて不愉快な、何か暗い影を私どもは考えるのであります。その点についてのあなたの見解を伺っておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/10
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011・佐久間彊
○佐久間政府委員 具体の事情を存じませんので、具体の事情についての見解を申し上げるわけには参りませんが、お話のように、初めからわかり切っておって、わざわざトンネルの形をとるということは、これは一般的に申しまして、何か適当ではない問題があるのじゃなかろうかというような感じはいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/11
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012・横山利秋
○横山委員 そこで、確かに適当でない、暗い感じがするというわけで問題になったのです。問題になったら、今度は、ここに愛知農園から武豊町長にあてた県有林払い下げの申請書があるわけですが、それを直ちに撤回して、これはなかりしものにしてもらいたい、こういう話になったのです。それなら一体何のために出し、何のためにそういうことが行なわれたか。条例は今県に出ておる。問題になっておる。そうしたら、この公式文書を——これは郵便局の配達証明付の公式文書です。その公式文書を直ちに撤回するという、また一そう疑いを増すような次第になったわけであります。そこであなたにお伺いをしたいのは、なるほど重要なこの十七万坪、昔からのものを合計いたしますと約四十万坪になんなんとする土地であります。
〔渡海委員長代理退席、委員長着
席〕
その県の財産を払い下げるにあたって、もちろん観光施設というものが全く不必要であるとは思わないけれども、この土地は小杉仁造氏も言っておりますが、まん中を果樹園にしたいと言っているほど、一応名目は山林ではありますけれども、農地に転用ができる、どういうような土地なんであります。愛知用水の受益地がすぐそばを通っているわけであります。そういうようなところを、地方自治体が財産を払い下げるにあたって、条例でやりさえすれば、地方自治体の議決さえすれば、どんなものに地方自治体が財産を払い下げてもよろしいという解釈が、法規的にも、あるいは国有財産の精神を順守しても、常識的にも一体妥当であろうか、適当であろうかという点について、あなたの御判断を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/12
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013・佐久間彊
○佐久間政府委員 どうも大へん複雑したような事実の状況のようでございまするので、ただいまお話をお聞きいたしましただけで、その事件について適当かどうかということは申し上げかねるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、地方公共団体の重要な財産を処分いたしますにあたりましては、その地方公共団体の公共の利益というようなこと、払い下げ後の使用の目的等も十分議会なり長なりが考慮した上で、慎重に判断すべきものだというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/13
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014・横山利秋
○横山委員 あなたのおっしゃる通りに、公共の福祉というものが考えられなければならぬ。県が、あの広大なゴルフ場を武豊の付近に作ってどうして収益をはかるか、私は疑問に思うのでありますけれども、かりに収益をはかるということであったならば、収益をはかるために、ただ地方税の徴収ができやすいために、それのみによって地方自治体が財産を払い下げるというようなことは、今日の情勢としては、万々一適法でありても、適当ではないと私は思っているのであります。現に農地がどんどん転用されて宅地になり、あるいは工場用地になっていく。それに対して河野農林大臣は、できる限りそれを制限するという考えで、最近においては認可をなかなかなさらない。これは農地ではない。しかし農地に転用ができるような状況のもとにあるところである。その周囲は愛知用水が貫通をして受益地が広範に広がっておる地域である。だとすれば、これはその県が全般のために、公共の福祉のために、本来の目的に転用ができるところである。それを、広大な土地をゴルフ場のために払い下げるということは、どうも常識的ならざるものがある。一説によりますと、その小杉さんという人は、県の副知事をしておった森さんのきわめてじっこんの人だそうであります。こういうことが関係があったかどうかについては、私は憶測をたくましくすることは避けたいと思うのでありますが、こういうような問題や、それから武豊町をくぐるトンネルの問題や、それから十年間にわたって県から市ないしは町、それから農民、それから小杉さんというふろに順繰りに土地が集結していって、それが最後に広大無辺なゴルフ場になって現われていくという事態については、これは全く考えなければならぬ点があるのではなかろうか。これは私は単に愛知県の例をとったのでありますが、こういうようないかにも適法らしいカムフラージュをしながら、地方自治体の財産があちらこちらへ流れていくということについては、自治省としても考うべき点があるのではなかろうか。国有財産に数年来非常に厳格に監査の目が集中し、そうして違法、適切ならざる国有財産の処分につきまして、私ども厳重な取り締まりをしておるのでありますが、地方自治体の財産についての指導のあり方については、自治省としてはどういうふうなお考えで今日までやっておられ、また今後どういうふうになさろうとするのか、御見解を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/14
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015・佐久間彊
○佐久間政府委員 地方公共団体の財産の管理につきまして、国有財産の管理と比べて、なおルーズな点があるようだという御指摘でございますが、私ども聞いておりますところでも、一部の地方公共団体で、財産の管理が、違法ではないといたしましても、財産管理としては必ずしも適当でないというようなものが間々あるように思います。そこで、自治省といたしましては、地方公共団体の財産の管理につきましては、ただ違法でなければそれでいいということではありませんで、その財産をより効率的に、より公共の福祉に資するように、その管理について配慮をして参らなければならないということは、従来から指導いたしておりますし、今後そういう点については、省内においても一そう研究をいたしまして指導をして参りたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/15
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016・横山利秋
○横山委員 私は、今回の愛知県の県民の非常に話題となっておりますこの問題について、あなた方が事情を知らないのではないかという考え方を持ちますし、この問題が各地方自治体におきましてもあり得ることだ、看過すべきことではないと思うがゆえに、自治省としては、今回のこの問題について調査をされるように要望いたしたいのでありますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/16
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017・佐久間彊
○佐久間政府委員 御指摘の点は、適当な方法で調査をいたしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/17
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018・横山利秋
○横山委員 国土調査法という法律が、御存じのように経済企画庁の所管でございます。地方自治体の自治権というものがあって、国の機関ではございませんから、自治省が必ずしも完璧な調査が行き届く、ないしは指示が行き届く、命令が行き届くということではないと思いますが、たとえば、この土地をいかなる方途に使用をしたら最も地方自治体の財産として適当であろうかという点については、それは場合によっては当事者である県あるいは農民、一般の県民の見解の相違もあることだと思うのであります。もしそういうようなことがありといたしますならば、客観的な立場から、このような広大な土地をどういうふうに使用をしたら最も適当であろうかという点については、国土調査法によって、申請があればその土地はどのように使用すべきかという点について、経済企画庁がこれを調査することになっておる。調査の結果につきましては、しかるべき国の援助もあるはずであります。従いまして、国の土地であるならば問題はございませんが、地方自治体の土地について県民の間に紛糾があるならば、自治省としてはこの国土調査法を援用して、一回、県民が納得するような調査を、国の機関ですることにしたらどうかというふうにおすすめなさったらどうか、こう思うが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/18
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019・佐久間彊
○佐久間政府委員 地方公共団体の財産につきましては、いろいろ事情も異なっておると思いますし、地方々々で従来の沿革その他の状況も千差万別であろうかと思います。そこで財産の処分につきましては、冒頭に申し上げましたように、地方自治法の中でも、相当いろいろな法律上の規制も設けておりまして、それらのワクの中ではやはり地方の議会、あるいは長、あるいは住民に、それぞれどうしたら他方の公共の福祉のためにいいかということを自主的に判断をさせる、またその長、議会のやり方が悪ければ、住民がこれに批判を加える、こういうような道も認めておるわけでございますので、国の機関といたしまして、あまり差し出がましく容喙をいたしますことにつきましては、いかがなものであろうかというふうに考えるのでございますが、お話しのような、非常に地方でそのことのために紛糾をしているような問題がありといたしますれば、自治省といたしましても、その実情を調査をいたしまして、地方の自治権の侵害にならぬ限度において、適当な指導をしていくということは考えてしかるべきことかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/19
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020・横山利秋
○横山委員 先ほどにちょっと戻りますけれども、地方自治体が、たとえばこういうふうにして土地をまず長なりだれかに払い下げる。それがすぐに転売されて、他の人に払い下げられる。ここで二つの問題が私は出てくると思うのでございます。
転売する以上は、そこにもうけがある。まん中のトンネルの人なりあるいは会社にもうけがある。もうけがあるとするならば、地方自治体は適当な価額で売り払ったのではないという理屈がそこに一つ立つのであります。わざわざトンネルにもうけさして、売り払わしたという点が一つ成り立つわけであります。それからもう一つは、たとえば農地法なんかそうでありますが、農地法七十一条、七十二条の規定でいけば、使用目的というものがきちんと条件としてあって、そうしてある年限たってその使用目的通りに使用をしていなければこれは取り返す、そういう制限規定があるわけです。しかし、これは農地法の問題でありますが、そういう規定がかりになくても、まん中でもうけるということがあるから転用されるのでありますが、どういうことが行なわれてよいものではない。また使用目的というものを付して、その使用目的の通りにやっていなければ、私は、転売すること自身が使用目的に反したことだと思うのでありますが、そういうことが許されるのであろうか。あなたの御見解は、どうも規定がないからというふうな感じに先ほどちょっと受け取れたのでありますが、常識的に考えられないことだと思うのであります。この転売させるということによって、みすみす中間利益を地方自治体が許すということの是非。それから転売することによって使用目的に反した結果になるということの是非。第三番目は、くどくお伺いして恐縮でありますが、その使用目的が何でもいい、ゴルフ場であろうがパチンコ屋であろうが何でもいいということに一体なるのかならぬのかという点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/20
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021・佐久間彊
○佐久間政府委員 お尋ねの点でございますが、通常、払い下げをいたします場合には、国の場合におきましても、地方公共団体の場合におきましても、お話しのように使用目的を明らかにいたした上で払い下げる。なお、その使用目的が、ある一定期間の間に使用目的に供されないというような場合には、契約を解除するというような条項をつけてあるのが通常ではないかと思います。従いまして、払い下げた直後、当初の使用目的になっていないことに転売されるということになりますれば、その当初の契約条項からいたしまして、そこに何らかの制裁があるのじゃなかろうかというように考えられるのであります。もっとも使用目的が、今お話しの一体パチンコ屋でもゴルフ場でも何でもいいのかということでありますが、今日地方公共団体の行政の範囲は、御承知のように非常に広範でございますので、それに農地は必ずしもつぶしてはいかぬというわけにも参らぬと思いますし、観光というととも県の行政の中の重要な分野にもなっておりますから、それはパチンコ屋に払い下げるということは常識からいってもどうかと思いますが、ゴルフ場なんかの場合には、状況によってはいいというとともあるのじゃなかろうかというふうに考えられるのでございます。
それから第二番目の、中間利益という点でございますが、これがもし非常に非常識なものであるといたしますれば、適正な対価で払い下げたのじゃないということになりまして、一番最初申し上げました地方財政法の規定の趣旨からいっても適当でないのじゃないか。さらにまた、ほんとうに適正でない中間利益があるということになれば、これは常識からいってもおかしいのじゃないか、こんなふうに考えられるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/21
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022・横山利秋
○横山委員 それでは質疑応答を通じて、あなたの方で一回調査をしてみよう、それから自治権を侵害しない程度で、私が申し上げた国土調査法なり、いろいろな問題について必要であれば一つ進めてみよう、こういうお話でございますから、その結果を待ってまた御意見を伺いたいと思うのであります。
もう一つの問題がございます。これも例を愛知県にとるわけでありますが、私が調査いたしましたところによると、全国的な問題であります。
まず事例を申しましょう。やはり愛知県でありますが、幡豆郡幡豆町に国民宿舎が厚生年金の融資で設立をされました。三ケ根荘というものができて、それが県下の青少年に対して非常に好感を与え、青少年ならずとも、国の施設として非常に喜ばれたのであります。この種のものは全国方々にあるわけであります。ところがその隣にホテルが一つ建った。これを三ケ根ホテル、三ケ根だけは一緒だけれども、表から見ると、それが別々の、片方は国民宿舎であり、片方は温泉旅館、そう下俗なものではございますまいけれども、いわゆる温泉客、関西方面から来る人の収容のところである。そこまではよかったが、まん中へ廊下を作って廊下でつないでしまった。そうすると、ホテルに入って行く人は、ホテルへ泊まりながらおふろはあちら、ロビーはあちらというわけで、廊下を伝わって国民宿舎の方へのこのこ出かけていって、いかにもそれが当然にホテルの方の設備のように利用される。国民宿舎の方は申すまでもなくきわめて安い、たしか六百円くらいでありましたか、ホテルの方は二千円以上ということになっておると思うのであります。こういうことが、私が聞いてみたら、何、横山君、それは君、幡豆郡の国民宿舎だけのことじゃないよと言うのであります。あちらでもこちらでもこういう話があるそうでありまして、そんなばかげたことは私は絶対に許されないと思うのであります。何のためにわれわれが超党派で、厚生年金で若い人たちのためにあるいは中小企業のためにといって作っておるのか、しかもこの国民宿舎の管理、運営については、地方自治体が責任を持ってやらなければならぬのです。それを、単にホテルを作って、ホテルと国民宿舎の間に廊下を作らして、廊下をたどって温泉客がとことこ国民宿舎の施設を利用するがごときは言語道断であると私は思います。どうして一体こういうことになるのかということについては、またあとで意見を申し上げますが、この点について、一体地方自治体の指導監督をせられる立場、あるいは厚生省の立場から、ともども御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/22
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023・木村又雄
○木村説明員 ただいま横山先生からお話がございました。例といたしまして、愛知県幡豆郡幡豆町の国民宿舎につきまして、最近そばにホテルができまして、それとの間に廊下をつないで、それぞれ共用しているというふうなお話でございました。なおそれに関連いたしまして、こういう例は本件ばかりじゃなしに、全国的にも多数あるというお話でございますが、私の現在手元で持っておりますところによりますと、全国で現在国民宿舎がすでに建設済みのものが四十四カ所ございまして、建設中のものが三十九カ所ございますが、それらを通じて見ましても、これに相当するような例は現在のところ私どもの資料では聞いておらないのでございます。ただ、この幡豆郡幡豆町の国民宿舎につきましては、私どもの考え方といたしましては、一応、建前は国民宿舎とホテルは別個のものになっておりまして、国民宿舎は町の経営にかかるものでございまして、ホテルは何か別の半官半民の会社のようなものの経営によるものであるというふうに聞いておりますけれども、これを連結することは、建前としては非常に適当じゃないじゃないかというふうに考えるのでございますが、しいて推測いたしますと、それぞれの施設に足らないところがあるとすれば、共用させることが両方の利用者のために利便になるのじゃないかというふうな趣旨もあったのじゃないかと思いますけれども、やはり国民宿舎は国民宿舎として、独立に経営してもらわなければ私どもは適当じゃない、困るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/23
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024・横山利秋
○横山委員 あなたは両方に都合がいいから、それも方法であるけれども、適当ではないという前段をなぜおつけになるのか、私どもにはちょっとわからぬのですけれども、国民宿舎は安くそして青少年向けに作ってある。明るい健康的なところが片方にはある。片方の高級観光旅館は豪華なものであるから、健康的なところに来た青少年が、その豪華なところに行くとなれば喜ぶかもしれない、こういう意味ですか。そういう意味で前段をおつけになったのですか、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/24
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025・木村又雄
○木村説明員 そういう意味ではありませんので、私どもの方の立場から言うと、全然別個のものというふうに考えるべきことでございますし、またその通りしてもらわなければならないのでございますけれども、その間の事情についてしいて推測いたしますれば、たとえばホテルの方には、聞いてみると、ロビーがないので、国民宿舎の方のロビーを使わしてもらっている、それから国民宿舎の大広間につきまして、両方にあるわけでございますが、それが満員のときには、国民宿舎の利用者の方でこの大広間がすでに使われているというふうな場合に、廊下を伝ってたまたまあいているホテルの大広間を使わしてもらうというふうなこともあるいはあるから、そういうふうにしているのじゃないか。これはしいて私どもの方はそういうふうなことを強調するわけでございませんので、理解に苦しみますので、それを推測すればあるいはそんなことかなあというふうに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/25
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026・横山利秋
○横山委員 それならいいですけれども、あなたがそういう理解に苦しみながら推測をして、暗にそれを容認をしたかのような印象を与えるから、私は聞くのでありますが、まさかあなたは容認をしていらっしゃらないでようね。それは適当でもなく適法でもないというふうに、はっきりなさっているのでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/26
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027・木村又雄
○木村説明員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/27
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028・横山利秋
○横山委員 わかりました。それでいろいろお聞きしたいととがあるのですが、どういう設備は、何も厚生省ばかりではなくて、運輸省にも関係ありますね。私が申し上げたのは、この幡豆郡の問題ばかりではなくて、方々にあるという意味で、運輸省関係にも多いということを申し上げておるのであって、その点は、ほかはどこもありませんよと言っても、私は私としての証拠を持っておりますので、その点は御理解願いたいと思います
それで、国民宿舎の方が、高級観光旅館の方の施設を利用したくなるという原因は、もしあなたの推測のようにありとせば、一つには、国民宿舎という観点は非常にいいのだけれども、予算なりあるいは設営について不十分なところがあって、なかなか独算性がうまくいかない、それに対して地方自治体の援助が非常に乏しいというところに問題があると私は思うのでありますが、この国民宿舎の運営状況はどうなっておりますか。特に、ここの運営状況はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/28
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029・木村又雄
○木村説明員 国民宿舎の制度は三十一年に発足いたしまして、先ほど申し上げましたように、今日まで四十四カ所ばかりが経営、運営を行なって、国民のレクリエーションのために資しておりますが、全体的に見ますと、これが利用状況は、三十三年度におきましては早々の間でもございましたので、約三九%の利用率を持っております。この利用が、三十四年度は新設等もありまして、さらに若干下がりまして三七%、それから三十五年度におきましては四八%ということで、大幅に利用が増加して参っておるわけでありまして、今日客観的なレジャー・ブームというような影響で、さらにこれが利用がふえ、また国民宿舎設置の要望が非常に多くなっておるわけであります。
本件について申しますと、私どもの方は大体毎年これが決算なり利用状況につきましての報告をとりまして、これが指導監督を行なっておりますが、本件は三十五年の八月十六日に落成、営業開始が行なわれたのでございます。三十五年度の状況について見ますと、宿泊の利用者が大体六千八百人でございまして、休憩利用が二万二千四百人というような状況で、大体勘案いたしますと、宿泊の利用数が四二%ということでございまして、大体全国平均の宿泊利用数に近い、その程度はいっているのじゃないかというふうに考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/29
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030・横山利秋
○横山委員 その四二%という水準は、全国平均かもしれないけれども、あとの五八%の相当数のパーセンテージは、隣の高級旅館が廊下を伝って使っておる、こういうばかげたことがあるのですね。せっかくでございますから、大臣がいらっしゃいましたので、事の経緯はおわかりになったと思いますが、この問題について、そんなばかげたことが放置さるべきではないと思うのであります。何らかの措置がなさるべきだ。これは大体大臣が命令されることでもありますまいけれども、しかしながら私が前段に申しました県有林の払い下げについては、局長からお伺いされて、御措置をお願いしたいのでありますが、あとのこの問題についても、直ちに何らかの措置をなさるべきだと思うのでありますが、御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/30
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031・安井謙
○安井国務大臣 御説のように、国民宿舎といったようなものと、民間のそういった資金でやっておる経営体を、混合してやっていくということは好もしくないと思います。事情をよく調べまして、適切なる措置をとりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/31
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032・横山利秋
○横山委員 私がきょう具体的な例を二つ引いてお願いをいたしましたことは、重ねて申しますが、一つは県有財産の払い下げ、一つは厚生年金融資で青少年のために作ったものの利用状況の二つでありますが、ともども地方自治体がこれに関連をいたしまして、そこに好ましからざる状況が出ておるわけであります。この幡豆郡の問題につきましても、どうも、私の承知いたしたところによりますと、支配人は県会議員の弟さんなのであります。山林の方もやっぱりそういう傾向があるということを先ほど申しました。公職者として、自分に関係がないことではございますけれども、梨下に冠をとらずという例もございまして、人からあまり疑われることをしてはならぬと私は思うのでありますが、それ以前に、地方自治体としてあるべき姿というものについては、十分に考えてもらわなければいかぬ。地方自治体の自治権を侵すということは、慎しむべきことでございますけれども、自治省としてよく地方自治体の状況を一つ把握しておっていただいて、違法の疑いがあるもの、適当でないと考えられるものについては、事前に一つ内面的な調査、指導がなさるべきだというふうに考えるわけであります。時間がございませんから、大臣に先ほどの十七万坪にわたる県有林の払い下げ問題については、再度御説明をいたしますのは省略をいたしますから、あとで十分局長に聞いていただきまして、善処されんことを要望して私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/32
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033・園田直
○園田委員長 二宮武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/33
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034・二宮武夫
○二宮委員 県有財産払い下げの問題がただいま出ましたので、関連をしてお聞きしておきたいのですが、国有財産の払い下げの問題で、たとえば昭和二十七年に緊急開拓の計画を立てましたものが——これはガリオア、エロア等を受け入れるために一応計画を立てた。ところがそれは開墾適地ではない。従ってこれが五年か七年かたちますと、これに手をつけない場合には、これを再度もとの所有者に払い下げなければならない。これは政令で通知してあると思うのです。ところがその前に町村合併が行なわれまして、その合併をしました前の当局者がその所有者である。ABCという三つの村が一緒になって一つのEという村を作ったとして、その場合に従来の財産の所有者はAという村であった。ところが町村合併においてAという村はすでに解消してしまっておる。この場合に政府買い上げの土地を払い下げようと思ってもAという村はすでにないのだ、それは新しいEという村に合併をされてしまっておる。こういう場合に開拓地を払い下げるという政令は出たけれども、払い下げの相手がないという実態になっておるのが現状でございます。これは大臣御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/34
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035・安井謙
○安井国務大臣 私まだよく存じませんが、至急調べます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/35
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036・二宮武夫
○二宮委員 では行政局長、これは農林省と関係のある問題ですけれども、実は町村合併促進法なり新市町村建設促進法なりというものの中に、従来の市町村が持っておった債権債務、権利義務が継承するのだということははっきりしておるけれども、この開拓の土地についてはその点が明確を欠いておる、宙に迷っているというのが今の実情なのです。そういう実情を御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/36
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037・佐久間彊
○佐久間政府委員 御指摘の問題は、私どもの方も事実を伺っておるのでございます。私どもの方といたしましては、新しい町村が従来の権利義務を当然承継をしておるのだという解釈をとっておりますが、お話のように、農林省はこの点について若干疑義を持っておるようでございますので、農林省の方にも申し入れをいたしておりますので、なおよく農林省と相談をしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/37
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038・二宮武夫
○二宮委員 そういう点がいわゆるお役所のセクショナリズムと申しますか、セクト主義といいますか、農林省に言わせると、当時の自治庁があわててそういう法律を作ったからこういうことになったのだと言って、責任をあなたの方になすりつけている。あなたの方では、その権利義務は継承するのだから、当然そういうことになるべきだという解釈をしている。ところが一番困るのは、そういう問題をかかえている当該市町村です。それは全くの休閑地であって、明らかに、今から観光施設に使いたいという計画をしても、所有者が明瞭でなくて、国のものになってしまっているので、それに対していろいろな施設をしたり、あるいは観光のプランを作ろうと思っても、これが実地に実現をされない、こういう実況にあるわけなのです。そういう点を、ただ農林省といろいろ打ち合わせて善処するというようなことでなくて、お役所のセクト主義というものを破っていかないと、一番迷惑するのは国民です。これについては大臣にも、どのようにして早急にこれをやるのか、行政局長は相談をしてやるというのですけれども、法改正をやってやるのか、あるいは現在の法規でもって解消ができるとお考えになっておるのか、おざなりの答弁でなくて、すでに目の前に困っている問題なのですから、具体的に所信のほどを一つ御表明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/38
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039・安井謙
○安井国務大臣 私事実を詳しくといいますか、よく聞いておりませんので、断定的なことは申し上げられませんが、今、局長の申しましたように、この権利は継承できる筋のものであろうと思いますので、法律改正というようなことでなくて、直接話を早急に進めてみたい、その上で検討して、どうしても改正が要るということになれば、その場でまた考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/39
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040・二宮武夫
○二宮委員 ほかのものが具体的に羅列をして、権利義務あるいは債権債務を継承するようになっているのだけれども、この問題だけが除外をされているのです。従ってあなた方の方でこういう開墾に未着手のところは、元の所有者に払い下げるという政令を出してみたところで、これは法的に根拠がない問題だと私は考えるのです。従って、これは今大臣の所信表明のように、十分に調査をして、それぞれのお役所のセクトというものを排除して、問題が早急に解決のできるような方向に進めていただきたい、このように希望をいたしておきます。
これは地方交付税、地方財政計画の問題が中心の問題になるわけですが、奥野財政局長にお伺いをいたします。三十五年対三十六年の交付税の伸びと、三十六年対三十七年の交付税の伸びというものを、どのように把握されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/40
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041・奥野誠亮
○奥野政府委員 大体大同小異ではなかろうか、こう思っております。三十五年から三十六年へかけまして九百億円程度伸びております。そのうち二百億円程度は前年度の分を繰り越したものでございます。三十六年度から三十七年度へかけましては八百億円程度伸びて、そのうち百億円程度は三十六年度の分を繰り越したものでございます。従いまして伸び率としては大同小異ではなかろうか、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/41
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042・二宮武夫
○二宮委員 私が調査してみたところでは、昨年は総額において大体二四%伸びています。ことしは残念ながら、国の予算は二四・幾%か代びておるのですけれども、財政局長は今金額でお答えになりましたけれども、パーセンテージで申しますと昨年対ことしの交付税の伸びというのはわずかに一九・五%しか伸びておらないというのが実態であろうかというふうに考えるわけです。それは御確認できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/42
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043・奥野誠亮
○奥野政府委員 今おっしゃっていますのは、地方財政計画の規模のことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/43
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044・二宮武夫
○二宮委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/44
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045・奥野誠亮
○奥野政府委員 地方財政計画の規模と国の予算の規模との伸び方は、三十六年度は国と大同小異であり、三十七年度は国の方が若干多いということは事実でございます。ただ、国の予算の立て方と地方財政計画の立て方とが違いますので、若干そこにズレが出てくると思うのであります。地方財政計画の方は常に単年度収支がどうなるかという姿で見ておりまして、三十五年度に繰越金がございましても、それを三十七年度へ受け入れるというような措置はいたしません。しかし、国の予算の場合には、前年度の繰越金をかなり予算に計上しているわけでございます。この分を差し引きますと、今おっしゃいました二四・何%かの伸び率がたしか二〇・五%くらいになるのではないかと思うのであります。地方財政計画の伸びは一九・四、五%でございますから、それでもなお一%程度のズレがあるわけでございますけれども、地方財政計画の方でさらに問題がございますのは、今申し上げましたように、交付税において三十六年度は二百億円繰り越し、三十七年度は百億円繰り越しのものを受け入れている、こういう違いが一点ございます。
さらにまた、地方公務員の退職年金制度の改正が行なわれるものですから、そういう意味で、今まで公務員から年金の関係の納付金を受け入れておった、その受け入れがなくなるわけでございまして、公務員から直接共済組合の方へ払い込まれることになるわけでございます。従いまして、歳入の面においてもその意味のものがなくなって参りまして、自然、歳出におきましても、共済組合から年金が払われることになるわけでありますから、歳出の方の分も落ちてくるわけでございます。そういうふうなことが重なっておるからでございまして、私たちは、大体国の予算の伸びと、地方財政計画の伸びとは、大同小異であろう、こう思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/45
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046・二宮武夫
○二宮委員 私が先ほど申し上げました地方交付税の伸びというのは、そうでなくて、地方財政計画の伸びでございますので訂正をいたします。その訂正の上に立って今財政局長の御答弁があったわけなんですが、今申されたような諸理由があろうかとも思います。しかし私が一番案じております問題は、自治大臣少しこのごろ大蔵大臣的な答弁をするようになって、せっかく自治省に昇格したのが、意味がなくなっているのではないかという感じがするのですが、やはり国の予算になりますと、いろいろな方面から圧力が加わってきて、そら、それを増せ、それを増せというので、だんだんふやしていくことになる。ところが、地方の財政については、いろいろな地方からの陳情やそのほかはございますけれども、地方財政の伸びが国の財政の伸びと比較をして均衡を失しておるということは、これは自治省としては、地方財政の水準の向上とか、あるいは自主財源の確保とか、いろいろな面で、財政的な面から申しますと、これは私はちょっとさびしい問題だと思うのです。今、財政局長が言われたような、受け入れ金がなくなったとか、いろいろの例をあげて申されましたけれども、そういうものが主原因で、全部であって、そうしてこういうふうに伸びが落ちているのだということであれば、それは一応納得はできる。というのは、今まで入るべきものが入らなくなったから、パーセンテージが落ちたということになりますけれども、そうでなくて、私はこれは政治的な問題が背後にあるのではないかという感じがするわけなんです。
そこで国の予算はいろいろな面から突き上げられて膨大になって、二四・三%までふえたが、しかし地方財政計画というのは、残念ながら局長の言われるようないろいろな原因が、A、B、Cぐらいあるかもしらぬけれども、実際の問題は、やはり地方財政を押える結果が、こういうトータルになって出てきているのではないか、こういうことを私は心配をいたします。それが全然ないということを断言することは、これは大臣でもむずかしいのじゃないかと思うのですけれども、私がお尋ねしたいのは、そのような政治的圧力によって国の財政が伸びるが、地方財政の計画というものはそれほどまで伸びないという実態は、十分一つ大臣も把握していただいて、そうして三千数百の自治体のために、この財政の確保というものを考えてもらわなければならぬというように考えるわけですが、これは一つ、大臣の所信の御表明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/46
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047・安井謙
○安井国務大臣 伸び率が大体地方が二〇%、国が二四%といったような差が形の上で出てきておることは、お話の通りでございます。その内容等につきまして、今財政局長が説明いたしましたように、相当入り繰りの関係がございまして、実質上はそんなに違わない、ほとんど同じようなものであるというふうに思っておりますが、決して私は地方財政が伸びておるからというので、楽観論を手放しでやっておるわけではありません。地方財政計画を閣議で説明いたしました際も、地方は一九・五%、国は二四・三%で、まだ格差があるという点は、大いに強調をいたしておったような次第でございます。ただ実質上は、今の説明にもありましたように、相当近寄ったもので、あまり実質上の格差はないということは承知いたしておりますが、決して楽観はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/47
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048・二宮武夫
○二宮委員 これは歳出の面で、それぞれ各省関係の方に寄っていただいて、内容を一つ一つ指摘して考えていけば、大体、地方財政計画の伸びが悪かったという原因が究明されようかと思うのです。特に文教関係の施設その他については、非常に伸び率がよくないのです。これはここにおらない文部省の方を悪く言うのは不本意でございますけれども、これは一つずつずっと数えていきますと、この積算をしたものはやはり総トータルになって、その結果がそう出てくるのです。従ってこれは後に残すといたしまして、そういう国の財政の伸びに比較をして、地方財政計画の伸びがよくない、単に三十五年度の決算を見て、これで地方の財政はよくなったから、赤字団体が減ってきたから、再建団体が減ってきたから、従って地方の財政はよくなったのだということを、もしそういうことをお考えになっておるということになるとこれは大へんな問題で、今の行政水準を一歩も上げようというような意欲がないような、そういう考え方が財政計画になってくるのであって、私はとらないところでございます。
そこで財政局長にお尋ねいたしますが、地方交付税の二八・九というものが率として改定をされて、臨時特別交付税というものがなくなったということなんですが、いろいろ伝えられるところによりますと、臨時特別交付税の〇・三%をこれに入れて二八・八にして、そうしてあとの〇・一というのは新しく提案をされるところの地方公務員の共済年金の財源を、国から何らかの形で——この前大蔵大臣が見えたときに何らかの形で国としても財源的に少しめんどうを見てあげたい、こういうように考えた金額が〇・一、すなわち十五億円である、こういうように巷間伝えられておるわけですが、それによって二八・九という交付税率というものは一応決定をしたのだ、私どもはこういうような説明を——これは説明の仕方はいろいろあるでしょう、そういうひもはつけませんよという答弁を、おそらくあなたの方はなさるだろうと思うのですけれども、大体、逆にいって、そういう結果が二八・九という交付税率の決定になってきたのだというふうに、この率については報道関係を初め、ほとんどの人が大体肯定をしておるところだと思うのですけれども、この二八・九%が妥当なりと考えられたところの基礎を一つ御説明いた
だきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/48
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049・奥野誠亮
○奥野政府委員 先年所得税の減税が行なわれました際に、住民税も自動的に減税になるので、その減収を補てんしてもらいたい、そういうことをめぐりまして政府内にも対立があり、その政治的な解決として〇・三%分が臨時特別交付金として地方財源に与えられた、この経緯は御承知の通りであります。その際におきましても自治省といたしましては、地方交付税の繰入率を引き上げたい、恒久的な財源として確保したい、こういうことが強い希望であったわけであります。大蔵省側としては、むしろ地方債資金の増額で片づけたい、これが熱心な主張であったわけでございます。政治的な解決として、臨時地方特別交付金の形でやられておったわけであります。自来大蔵省側としては、早くこれをやめてしまいたいという希望がございますし、自治省側としては安定した姿のものにしたいという希望を持っておったわけでございます。たまたま地方公務員共済制度を作るについて、社会保障制度の一環だから国において相当の負担をすべきだ、この負担金をめぐりまして三年越しの問題になったわけであります。私たちとしましては、国庫負担金が出る、出ないにしても何らかの形において、国から財源を出してもらいたい。地方財政の状況あるいはこの制度によって、地方団体の負担がふえる、そういうことをあわせ考えて参りますと、何らか恒久的な財源を確保したい、こういう希望を持っておったわけでございます。その際に、国庫負担金の制度を、大蔵省側としてどうしてもとれないという場合には、私たちの考えとしては地方交付税の繰り入れ率を引き上げる、第二次的にはそういう考え以外にはないと考えるわけでございまして、そういう話をいたしました際に、私たちとしては少なくとも〇・二%くらいは出されないものかと思っていたわけでありますが、実際計算して〇・二%にならないじゃないかという話が過程に出て参りました。そこで十月から地方公務員共済制度を実施する、そして地方交付税の繰入率の引き上げで解決をするとすれば、交付団体だけの地方財源を所要財源と見合って繰入率を上げることになるわけであります。自治省の従来言っておった線で計算をいたしまして、十月実施で交付団体のみとしますと十五億になるわけでございます。それが〇・一なんでございます。しかし同時に自治省としては、多年言っておりました〇・三%を安定した財源として確保したい。〇・一%にするかわりに、〇・三%を恒久的な繰入率に引き入れてもらいたい、これがそういう話し合いの過程としてはあった問題でございます。そこで〇・一%、そのかおり臨時地方特別交付金を恒久財源にする、そこでこの二九・八%という率が生まれてきた。これが率直な話し合いの経過でございます。しかしこういう問題も、窮極的に大臣折衝でお話をいただいたわけでございますけれども、数字を固めるについてはこういう話し合いがあったことも事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/49
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050・二宮武夫
○二宮委員 そこで法律的にはいろいろむずかしいことを言いますと、また問題があろうかと思うのですけれども、〇・一%、十月からの実施、十五億円というものが、地方交付税の性格上、これが公務員の共済年金の財源として国から見るべきもの、そういうひもつき的な財源になること自体は、これは地方交付税の税の性格上おかしいんじゃないかということが一つ考えられるのですけれども、こういうようなひもつき財源というものを、交付税の中に考えるという思想が出てくること自体が、これは大へん今後に問題を引いてくる問題ではなかろうかというように考えますので、この辺についてのすっきりした御答弁を一つお願いしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/50
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051・奥野誠亮
○奥野政府委員 交付税の中に、ひもつき財源が生まれてくるということは、穏当ではないじゃないかというお説、ちょっと私にのみ込めにくいのでございます。地方公務員の共済制度に国庫負担金制度をとることは、これはまさに国からひもつきの金を与えるわけであります。
〔委員長退席、渡海委員長代理着
席〕
だから従いまして、また一部の論者の中には、百数十万人の職員について、一々国からひもつきの金を出させることによって、地方公務員の給与の実態について国の干渉を増大させることになりはしないか、そういうものについて、国から負担金を出させるような考え方というものは、今後の地方財政の運営上からいって好ましくないという強い意見を持っておられた方々も、地方財政の関係者にもあったわけであります。高いの低いのと従来からも国の関与はずいぶんある。それをさらに増大させるじゃないか。同時にまた、ひもつきの金を国の方から出しまして、一々地方財政の運用に干渉させるような機会を、自治省自身が増大させることはいかがなものであろうか。補助金整理を言っておる自治省自身が、こういう百数十万人に上る人たちの給与の一々について、国から金を出せというようなことを主張することは、いかがなものであろうかということを、非常に強く主張されておった方があるのであります。現に、地方財政審議会としては、反対の考え方を強く持っておられたわけであります。しかしながら地方交付税の繰入率を引き上げるということは、これは何ら関与することではありません。また国と地方団体との間で、財源を分け合っていく、地方税と国税とで分け合っていくわけでございますけれども、それでは片づかない面を、私は地方交付税の繰入率の中で分け合っていると考えるのであります。財源の総量を分け合う基礎として、こういういきさつがあっただけのことでございまして、これを国から地方団体に配分する場合におきましても、また、地方団体が交付財源を使います場合におきましても、何らひもつきにはなっておらないのであります。ただ個々の団体の財政運用に支障がありませんように、基準財政の算定において、地方財政の負担においてするものを的確に算定していく。地方団体自身が国庫負担をしてもらいたいと言っておった分、つまり、出すことを期待しておった分も、合わせて基準算定額に算入していく、これは必要なことでございます。しかしこれは決してひもつきじゃございませんし、〇・三%と〇・一%、合わせて〇・四%の繰入率の引き上げを行なった、これもひもつきじゃございませんで、全く国と地方団体との間で、財源を分け合う計算上の問題にすぎない、この御理解をいただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/51
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052・二宮武夫
○二宮委員 これはやがて共済年金制度に対する法律案が出ました際に、そういう財源の問題なりあるいは資金の運用の問題なり、それからそういう制度の運営そのものについての質疑は、それに譲って参りたいと思うのです。今言われたような面の心配があると同時に、またそれが一つの財源であるぞということを言わないと困る面も、地方団体としてはあると思うのですよ。これは何も一ぺんに一緒にもらったのだから、何に使おうと勝手だぞといわれたのでは困る面もあるわけですから、その辺は非常に裏表のある問題ですけれども、ただ今申し上げたのは、交付税というものの性格上、今言ったようなことがあまり表面に明瞭になってきますと、これは交付税の性格上おかしくなるのではないかということをちょっと懸念いたしましたので、御質疑申し上げたわけでございます。
これはすでに説明をされたと思うのですけれども、大体説明書をよく読めばわかると思うのですが、参考人を呼んだときの質疑などから考えまして、税外負担は大体内輪に見積もっても三百五十数億というものが国民の肩にかかってくる、こういう御指摘があったわけですが、本年度はそれの税外負担を解消する意味から、第一歩として百億円を計上して、これを少しでも解消していこうという方向に踏み切りたい、こういう御説明に私は聞いておるわけなんですが、これは財政運営上の問題としては、具体的にどういう方向になるわけなんですか。まず市町村、そのほかにいろいろな人口別積算基礎を持って、単位費用の問題から積み上げていってそれをやっていくというように考えるのですが、その財政運用の問題、それから市町村に対する税外負担の解消という一つの行政指導の問題、この点は、具体的には末端に参りますと、なかなかむずかしい問題が起こってくるのではなかろうかという心配もされるわけですが、そういう点を、一つ財政局長の方から御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/52
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053・奥野誠亮
○奥野政府委員 おっしゃったことは私もよくわかるのであります。税外負担の実態を調べて参りましたところ、やはり教育関係が一番多いのであります。そうなって参りますと、教育関係の財源を充実することが、税外負担の解消を言っている私たちの主張に合った財政運営をしてもらうということになるのじゃないか、かように考えておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、小中学校費等を中心に、単位費用を引き上げるという措置を、今回とったわけでございます。その財源は、私たちが税外負担の解消ということに求めております百億円を使っておるわけであります。地方財政計画なりあるいは地方交付税法の改正なりにおいて、税外負担の解消を明確にしますと同時に、今お話しになりましたように、行政指導をさらに徹底していきたい、こういう気持を持っておるわけでございます。
なお、あわせまして、府県から市町村への負担の転嫁も、あとう限り排除していかなければなりません。これも税外負担の解消をはかっていきます場合には、重要な問題だろうと思っております。
なお、三百数十億円あるのに百億円では足りないじゃないかというお話もありました。私たちは、かりに三百数十億円の税外負担がある、そこで三百数十億円の税外負担を地方財政計画に計上すれば、それで問題は解消するという性格のものではないと思っておりまして、今後も時期を見まして、しばしばこういう問題を取り上げるなり啓蒙を強めていきたい、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/53
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054・二宮武夫
○二宮委員 私もその点は同感でございまして、財源的に百億盛った、そしてまた地方税法そのほかで地方の固有の財源というものを確立していって、そうして市町村が見るべきもの、県が見るべきものについて、これを税以外に負担をさせないという方向に行く、こういう指導をやることはよくわかるし、そうやらなければならないと思うのです。従って問題はあなたのおっしゃるように、基本的にはこういうことを国も考えておるし、法律にも保障されておるし、従って寄付やそのほかの筋の通らないものは、やるべきでないという行政指導なり慣行なりというものを、やはりここで改革をして、いかなければ、この問題は財政だけの問題では片づかない問題だというふうに考えるわけです。これはやはり自治省の今後の行政指導の大きな眼目として推進をしていただきたいというように考えます。これは市町村長の、あるいはそのほかの団体の、当然自治体が見るべきだと思うものを担当しているような団体などが、そういう啓蒙というものを進めないと、どうしても、そんなめんどうくさいものよりお金を寄付してもらえという格好になるので、この実情というものは、地方税法の中にも、自治大臣は、地方財政の実態を把握しという言葉がありますが、そういう点を十分小さいところまで把握していただいて、行政指導を進めていただきたいというふうに考えるわけです。ただ、今の説明で心配になりますことは、ことしは税外負担というものは主として教育費が多いのだ、従って小中学校の頭割りに対して積算をやって、単位費用を一応上げて、それで税外負担を解消する方向にいこう、こういう目標のように今の説明では受け取れたわけなんです。これを小中学校のみに限っていくことはおかしいじゃないか、そういういき方では、行政指導も私はへんぱになろうかと思うのです。そういうような考え方でなくて、全般的に、財政にそれだけの赤字解消の財源を見てやったのだということから、行政指導と同時に、慣行を一つ新しく打ち立てる意味から、小中学校に限って限ってと言っては悪いのですが、あなたの説明はそのように受け取れたから、再度質問するのですけれども、そういうふうに受け取りますと、税外負担の解消というものはなかなか困難ではないかと思うので、そういうような見方ではなくて、ただ技術的に百億の積算をどのようにやるかという場合に、小中学校の頭数に割って、一応それを市町村に配分するのだとか、あるいは県に配分するのだとかいうことを言われるのであれば理解ができるのですけれども、税外負担は、教育費のウエートは相当あろうと思いますけれども、教育費のみが税外負担を背負っているという状態ではなかろうというように考えますので、大体心と心は通じておるようですけれども、その辺を一応御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/54
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055・奥野誠亮
○奥野政府委員 おっしゃった点全く同感でございます。小中学校だけではなしに、消防費にも若干の経費を算入しているわけであります。高等学校費にも若干の財源を算入しているわけでございます。将来全般的にそういう傾向を是正するという方向で努力していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/55
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056・二宮武夫
○二宮委員 もう時間があまりたくさんないようですから、最後に一つ大臣にお聞きしておきたいのです。これは昨年も問題になりましたし、本年度も起債のワクについては相当に融通を見るということで増額を見ておるわけですが、ぜひお聞きしておきたいのは、起債のワクが制限されます関係上、あるいは地方自治体におきまして、公社、公団という組織を持って、表面的には役員構成は地方公務員がやりながら、実は別途会計を持って、市中から資金繰りをやってみたり、いろいろな問題をやっているという実情があるわけなんです。むしろこれは、国が少し指導奨励したのではないかという気持がするわけなんです。国が公団組織やそのほかを、非常にたくさん作っております関係上、これに見ならって、地方の自治体としては、たとえば陸地造成をやるという場合に、県自体がやらずに、別に開発公団というものを作って、そうしてそれにわずかばかりの補助金をやって、普通の資金は市中銀行から借りるとか、そういう傾向が非常にふえてきておる実情にあると思うのです。もちろんこれは起債のワクの対象が、非常に狭められたという原因もあろうけれども、そうでなくて、時宜に適して商売をうまくやろうというような、営利目的も中には入ってきておるのではないかという感じもするのです。これは今後相当ふえてくる傾向になるのではないかというような心配をするわけですが、いい面も確かにあると思います。しかし、これがあまりに野放しになるということは、最後的に債務の負担を地方自治体がやらなければならぬというような定款でももしできますと——そういうものも大体作っているところもあるわけなんですけれども、そういうことになると、地方自治体が、形を変えた非常に大きな財政的負担を背負わなければならないという結果を招来するおそれもございます。従って、これらの地方自治体における公社、公団組織によるいろいろな事業推進に対する自治省としての指導方針といいますか、指導計画と申しますか、そういうものについて一つこの際承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/56
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057・安井謙
○安井国務大臣 公社等の乱立につきましては、自治省は、これがあまり乱立するというようなこと、あるいはそういうものへ仕事が走るということについては、実は従来あまり賛意を表してなかったというのが実態なんでございます。従いまして、国の方で公団等を作ります際にも、必ずしも大へんけっこうだからというふうな態度じゃなかった。しかし一方、実際から考えますと、国にしましても自治体にしましても、それぞれ議会の制約を受け、非常に厳重な一定の規格のもとに仕事を始める。これは当然でございます。同時に、今御指摘のありましたような、商売のうまみというと語弊がありますが、やはり時宜に適した手を打つということが、今後のいろんな都市や地方団体の発展のためにも必要な場合も起こってくると思います。そういうような場合に、比較的によく目が届きながらも、不当にならない範囲で弾力的な運営ができるという趣旨なら、私は公団でも公社でも、ある程度あってしかるべきものではないかというふうにも考えておるわけです。しかし御指摘のようにそれが非常に乱立になったり、また弊害を伴うようなことであってはこれはなりませんので、この点については従来以上に一つ監督等も厳重にしていきたい。また、経営上の監査あるいは経営上の報告等も、十分できるようにしていきたいという考えでございまして、今度も地方自治法の一部改正には、そのことを織り込んで御審議を願おうと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/57
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058・二宮武夫
○二宮委員 これは税外負担の問題に関係いたしますけれども、大体自治省が本国会に一つの法案として提案をしようとするたとえば県立高校の負担金額を市町村に負担させてはならない。こういう意味の法律が準備されておるというふうなことも聞いたし、それからそれに対して知事会などから猛烈な反対があって、そういうものを出されたのでは地方の運営は全くいかないのだというような声もあって、なかなか難産をしておるというようなことも聞いておるわけなんですが、これは法案が出て見なければわかりませんけれども、これに対してはどうですか。そういう実態はございますか。お出しになるというような決意がありますか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/58
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059・安井謙
○安井国務大臣 今の高校の地元負担の問題、この問題につきましては、今お話のように、全体的に地元の負担をなくするという方向でやっておりまして、今後も、ことに都市等がいろいろ、実態では、文部省と地方自治体との間で問題になっているようでありますが、これは私どもはいわゆる地元負担に走らせない、十分これからも行政指導していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/59
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060・二宮武夫
○二宮委員 そういう、県立高校の負担金を、市町村に持たせてはならないというような法律を、出すような方向でありますか。あるいはそういう準備はできておりますか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/60
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061・安井謙
○安井国務大臣 県立高校の場合につきましても、そういった弊害があると思いまして、いろいろ検討しておりますが、これはまだちょっと一片の法律で——県と市町村団体との間の関係でございますが、今すぐ出すということではなくて、目下検討いたして、順次そういうような弊害をなくするようにしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/61
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062・二宮武夫
○二宮委員 最後に、高校生急増対策の問題については、これは文部省に来てもらわなければならぬと思うのですが、九十一億交付税の中で積算で単位費用の引き上げで見ておるようでございまして、本会議で荒木さんが大へん悲壮な御発言をなさいましたけれども、その後交付税の中に織り込むことによって、一応高校生急増対策の目下の問題は解消したというふうにお考えになっておるようですけれども、この高校生急増対策の問題は、そういうような一つのワクだけで、九十一億に持っていかれるというような格好になることによりて、他の部門に圧迫を加えるおそれも出てくるのではなかろうかというふうに考えますが、これは質問でなくて、文部省の高校生急増対策に対する今後のしっかりした態度というものを聞いた上で、それに関連して自治省に財政関係としてお尋ねをしたいというふうに考えておりますので、以上で私の質問は終わります。
〔渡海委員長代理退席、委員長着
席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/62
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063・太田一夫
○太田委員 関連して。奥野局長さん先ほどおっしゃった地方公務員の退職年金の関係の財源につきまして、〇・一%の交付税、いわゆる十五億円がふえたというのは、これは所要財源に見合う数字であって、従って〇・一%は妥当な率であり、また合わせてそれは国庫負担という精神であるからしごく妥当なものだ、こんなようなことで〇・一%の御説明があったように承りますけれども、それは別な言葉で言いますと、来年度は、従って〇・二%にならざるを得ないから、来年度の地方交付税の率は、ことしよりもそれだけ〇・一%ふえて、二九・〇%になるのだということをおっしゃったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/63
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064・奥野誠亮
○奥野政府委員 本年度の自治省の従来の主張を交付税計算で置きかえてみれば〇・一になるということでございます。二八・五%を二八・九%に引き上げた根拠はどうか、こういう御趣旨でございますので、〇・一%はそういうことで引き上げた。しかしながら今年度は十月からの施行で、来年度は御指摘のように、年間フルに財源が必要になって参ります。またこまかいことを言いますと、今後給与がどう伸びていくかとか、あるいは交付税がどう伸びていくかとか、その伸びと伸びとの間にどういう違いがあるかといういろいろ議論はございましょう。しかしながらこれは補助、負担金ではございませんので、国と地方団体の財源の割り振りをどうきめるかということでございますので、一応そういうことで〇・一%とった。しかし来年度以降の関係もあり、地方財政としては臨時特別交付税というような不安定な格好で、廃止だとか、存続だとかいうような論争もあるわけでございますから、今のようなことも考えてそれを本俸に繰り入れてしまう、安定した姿にしてしまう。そうして国と地方団体との間の財源の分を、二八・九%に引き上げることによって解決をするというのが今回の措置でございます。従いまして来年になれば、また国と地方の負担しております部分を再計算をする。そうして二八・九%をもう一ぺん改定するという考え方は持っておらないわけであります。国と地方の財源使用額は、来年になりますといろいろな面においてまた変わってくるだろうと思います。地方公務員の退職年金制度だけをとれば、どうのこうのという議論はできましょうけれども、それ以外に主要財源がいろいろ変わってくるわけでございましょうが、変わってきた姿に応じて、この交付税率を改定するという話し合いはいたしておりませんし、そういう考え方はございません。一応二八・九%でこの問題は解決になったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/64
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065・太田一夫
○太田委員 今の点、今年は四月から実施することになれば二九%になったはずだ。十月からですから、六カ月だから〇・一%の十五億でいいのだ。十月からなんですから、十月からだと十五億でいいのだ、国庫負担金に見合う分として。それを四月一日からやっておったら、これは新たに四月から〇・一%ふえて、二九%に交付税がなったはずです。そうではないですか。それを十月にしておいて二八・九%にしたというのは、臨時交付税をこれは恒久性のものにしたという利点はありますけれども、十五億円という半年分の負担金に見合う分が繰り入れられておるのだから、一年間分にすれば倍になるでしょう。二九%になるというのは当然の筋道ではありませんか。そういうことがどっかになければ、〇・一%は地方公務員の十五億円に見合うものではないということをおっしゃっておらなければ困るではないか、違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/65
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066・安井謙
○安井国務大臣 これは御承知のように、共済制度については一割国庫負担をすべしという自治省も主張しておったわけであります。しかし大蔵省としては、こういうものはすべきでないという、まるきり正反対の議論のために、三年越しになっていた問題なんであります。しかしこれはどうしてもやらなければならぬということで、しかし実現しようと思っても、まずその補助金を絶対に主張する限りは三十七年度もできないという状況でありますので、これではいかぬ、何とかやっていかなければならぬが、しかし同時に財政的な措置というものは全体として考えるべきものであろう、そうなればそこでたまたま今の〇・一%というものは十五億で今年については見合ったという結果は出たわけでありますが、それのためにきちんと〇・一%が出たということではないのでありまして、これは御承知のように〇・三%のあの臨時交付税、臨時措置の分につきましても、年じゅうぶらぶらしておりまして、昨年、三十六年度の予算さえ、また三十七年度の予算さえも、大蔵省は機あらばこれを切り捨てよう、こういう非常に強い態度にも出ておったわけで、それを一つ今度はとりあえず安定的なものにする。ちょうど〇・一%ふえれば今年のかつかつの財源にはそれが当たる、そういったようないろいろな状況をも含めまして、ああいった措置できめたわけでございまして、また来年以降のことにつきましては、全体の税収入の増減のこともありましょうし、またそのほかの問題もからみ合わせて、いずれそういったものはきまるだろうと思いますので、これが半年が一年になれば直ちに〇・二になるのだ、来年からそうなるのだ、こういうようには参らないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/66
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067・太田一夫
○太田委員 それは大臣、二月の二十二日の木曜の日に水田大蔵大臣の御出席をいただいて、この委員会におきまして財政計画の質問をやりましたね。そのときに地方共済年金に国庫負担一割をなぜ出さないか。いや〇・一%出しておると大蔵大臣はおっしゃるのです。また今奥野局長さんも十五億円という数字はその〇・一%であり、その十五億円は半年分だとおっしゃる。十、十一、十二、一、二、三、どう考えたって半年分でしょう。だからそういう考えからいきますと、来年度の行政水準は低下していいというわけじゃないから、あるいは主税が飛躍的に増大をするとも思えないから、そうすると来年度は何か手当をしなければ、国庫負担一割に見合う財源というものは出てこない。だからどうしてもどこかに——今おっしゃれないということは、今あなたたちのおっしゃれない事情もわかるような気がするけれども、二九%は来年度の交付税の率は最低だけれども、あらかじめ予告編としておっしゃっていただいてもいいような気がするのですが、どうだろうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/67
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068・安井謙
○安井国務大臣 一つ来年度の予算に対しましては、そういう気がまえで大いにやりたいと思っております。ただしかし、現実の問題としては、いろいろな条件が重なりあうわけでございまするから、今、必ず機械的に、これを〇・一ふやすんだというお約束はできませんが、大いに、交付税率は順を追ってふえた方がいいことでございますし、切りもいいことになろうかと思いますので、できるだけそういう意気込みではやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/68
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069・園田直
○園田委員長 渡海元三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/69
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070・渡海元三郎
○渡海委員 ただ一点だけお聞きしたいのでございますが、本日閣議で物価安定の総合対策というものが諮られた。その中には伝え聞くところによりますと、公共料金の値上げ抑制措置というものも含まれておるということでございますが、地方の団体の行なう公企業はおのずから私企業と異なりまして、結局現在の経営を改善し、指導していって、できるだけ値を下げていくということは、当然自治省が行なわなければならない指導方針であると思いますが、現実の問題として、それだけでまかない得るかどうか、現在の公企業は相当赤字の出ておるものもございますが、この赤字は、税金として取るかあるいは使用者の料金として取るか、いずれをとるのを正しいとするかということによって、おのずからその値段もきまってくるというふうな性格のものでありますので、おのずから異なるものがあるのじゃないかと思いますが、この際一ぺんこれらの公企業が行ないますところの公共料金に対しまして、政府の方針といたしましていかに処置されますか、御見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/70
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071・安井謙
○安井国務大臣 公共料金の問題は、非常に複雑で大事な問題だと思っております。今政府は、この消費物価の値下げ対策を、あらゆる面から強力に打っていくという面だけからいいますならば、公共料金といえども、一銭一厘といえども上げられない。これは一つの考え方だと思いますが、私どもは、公営企業体というものを作っております趣旨からいうと、やはり合理的な水準の上に立った採算というものを考えるのが本筋だと思っております。従って、あらゆる角度からむだを節約して、合理的な運営をやって、なおかついかぬという場合に、これを一般会計から補給するか、料金の是正でやるかという、どちらかになると思いますが、税金で補てんするかあるいは直接利用者による料金でこれを調整するということも、非常に大事な問題だと思いますので、そのケースを十分検討しました上で、最も妥当と思われる方法をとりたい。原則的には税金で補給していって、いわゆる一般会計から補給して、赤字さえなくなればいいんだという性質のものではなかろうと思います。しかし物価抑制という問題もありますので、十分慎重に検討して、弾力的に考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/71
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072・渡海元三郎
○渡海委員 大体了解いたしましたが、ただいまの二宮君の質問に関連をいたしまして、ただ一点、奥野さんに聞いておきたいのですが、今、国の予算規模の伸びと、それから地方財政の規模と差があるのじゃないか。地方はそれだけおくれたんじゃないかという御質問に対しまして、いろいろの要素があると言われた中に、国は繰越金を持っておる、地方は単年度決算でやっておるから違うけれども、伸びは一緒だ、こういうふうにおっしゃいましたが、国は予算を組まないと支出することはできない。しかしながら地方の場合は、むしろ年度内に出たところの繰越金に回るべき金額を、簡単に予算化することができるものですから、むしろ予算化して使ってしまっておるという現況が非常に多いんじゃないかと思います。しかも地方財政計画は、年度当初きめただけではきまらないというところから、今言われたような繰越金が非常に少なくて、しかも使われたというようなことは、昨年度の規模が伸びておって、財政計画で示すような実際の伸び率で昨年の規模が伸びておるから、むしろ少ないというふうな点から、ことしはある程度実際の自治体の運営は、非常に困難になるんじゃなかろうかというふうなことも懸念されるんじゃないかと思いますが、この点、自治体に対する御指導をいかにされておりますか。これらの実情等に対して、自治省に各自治体の大体の方向のあらましをどうつかんでおられるか、一ぺんお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/72
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073・奥野誠亮
○奥野政府委員 二宮さんのお話しの際に、正確な数字を申し上げませんでしたので、重ねて申し上げますと、前年度剰余金は、国の予算の場合にはふえて参っております。そのふえた部分を予算の規模で割り返して参りますと三・八%になるわけであります。国の予算の伸びが二四・三%でありますから、二四・三%からこの剰余金の増に伴う伸び三・八%を控除しますと、ちょうど二〇・五%になるわけであります。地方財政計画の伸びが一九・五%ですから、その間にちょうど一%ございます。そのほか地方財政の場合には、先ほどちょっと申し上げましたが、地方交付税の繰り越しの関係も違ってきておる等の問題がございますので、そういう点を考えると全く同じだ、こう考えていただいてよろしいのじゃないかというふうに申し上げたわけであります。なお今渡海さんの御指摘になりました点もあろうかと思うのであります。ただ私たちといたしましては、三十六年度で地方税が千億円をこえる伸びがあると思っております。このものは三十六年度基準財政収入額には算入していないわけであります。三十七年度はこれは算入するわけでございますので、三十六年度の自然増収を将来経常的に支出がふえてくるというようなものに使ってしまいますと、三十七年度は新しい事業について増収分を地方財政計画では当てにしておるわけでございますので、地方団体としては、三十七年度以降ではその増収分が基準財政収入額に見込まれてしまいますので、新しい事業に当てられることを期待しておった地方財政計画上の新しい仕事の財源が、なくなってしまうわけであります。従いまして、そういう運営にならないように注意を繰り返しております。要するに基準財政収入額で計算された以上にふえた部分は、後年度においても支出増を伴うような事業に充てては困る。単年度だけならよろしいわけでございます。さらにそれ以上に、将来にわたる財政の健全化に利用するように留意してもらいたいという希望を述べて参ってきておるわけであります。地方団体の方も、堅実な財政運営に努めてくれていると思いますけれども、御指摘になったような面も相当にあろうかと思います。行政水準の低いものもございますので、どんどんそういう方面の解決にこれを使っていく、そのことがまた割合地方財政を円滑ならしめてきている。地方財政計画で考えている以上にこの数年相当の増収があります。そのことが、非常に低い行政水準で問題があるにかかわらず、割合に円滑に地方財政が推移してきている大きな力になってきているんじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/73
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074・二宮武夫
○二宮委員 私の質問が終わったあとからそういうことを言われても困るのですが、私は国と地方の問題はそれでわかります。ところが地方だけで考えたときに、三十五対三十六の年度の対比は二四先、それが三十六対三十七年度のパーセンテージは一九・五%なんだ。ですから、そういう地方自治体の実態からいって伸びが悪いのです。あなたのおっしゃるように国と地方とのあれは三・八%のはね返りがあるといえば、計算の帳じりは合うだろうけれども、地方自治体の伸びは年度ごとに違うのであって、その際は成り立たない。やはり伸びが悪いのです。その点は答弁だけこの場ですればいいというのではなくて、地方自治体をかわいがってやらなければならない立場の人ですから、そういう自治体の財政規模の経緯というものを見てもらわなければおかしいと思うのです。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/74
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075・園田直
○園田委員長 次に、昨八日付託になりました辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律案を議題といたします。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/75
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076・園田直
○園田委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。安井自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/76
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077・安井謙
○安井国務大臣 ただいま議題となりました辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律案の提案理由とその要旨を御説明いたします。
最近におけるわが国の経済の発展には、まことに見るべきものがありますが、山間地、離島などのへんぴな地域においては、いまだに石油ランプを用い、天水を飲み、医者の手当すらも満足に受けることができない等の、きわめて低い生活文化水準に置かれている住民が少なくないのであります。
もちろん、これらの地域にかかる公共的施設につきましては、現在各省庁の補助行政により、その整備のための努力が続けられており、かなりの実績をあげておりますが、より一そうの成果を期するためには、総合的見地に立って計画的にこれを整備する必要があると考えられるのであります。
しかしながら、辺地を包括する市町村は、おおむね財政的に貧弱でありますので、現状のままでは、総合整備計画を立ててこれを遂行するだけの力が十分ではありません。このような実情にかんがみまして、辺地の公共的施設の総合的かつ計画的な整備の促進をはかるため、これら市町村に必要な地方債資金を提供し、その将来の元利の負担を軽減するための財政上の特別措置等を講じ、辺地に居住する住民の生活施設を整備する必要があるのであります。
以上が本法律案の提案の理由であります。
次に、本法律案の内容の要旨につきまして御説明いたします。
第一は、適用市町村の範囲であります。
交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない山間地、離島その他のへんぴな地域のうち、公共的施設が欠けているため、他の地域に比較して住民の生活文化水準が著しく低く、公共的施設の整備をすることが緊要であると認められる地域であって、政令で定める要件に該当しているものを包含している市町村が、公共的施設の総合整備計画を策定した場合に本法を適用することといたしたのであります。
第二は、公共的施設の範囲であります。
この法律の対象とする施設は、辺地とその他の地域との間における住民の生活文化水準の著しい格差の是正をはかるために最低限度必要な施設を考えております。すなわち、未点灯地域を解消するための電灯施設、辺地の内外を連絡するために必要な道路、渡船施設、辺地に居住する児童、生徒の通学を容易にするために必要な通学バス、通学船及び寄宿舎、診療所等の診療施設、飲用水供給施設等であります。
第三は、総合整備計画を策定させることであります。
辺地について公共的施設の整備をしようとする市町村は、都道府県知事と十分に協議して当該辺地にかかる公共的施設の総合的な整備に関する計画を策定し、自治大臣に提出することとし、自治大臣は、その旨を関係各省各庁の長に通知し、その意見を聞き、また所要の協力を得て合理的な計画となるように指導いたしたいと考えております。
第四は、財政上の特別措置であります。
総合整備計画を提出した市町村は、電気導入事業のような現行の地方財政法の規定によったのでは起債を起こすことのできないものについても、特別措置を講じて起債を財源とすることができるようにいたしております。
また、総合整備計画に基づいて許可された辺地対策事業債の元利償還に要する経費については、その五七パーセントを地方交付税の基準財政需要額に算入することとしております。
以上が、辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/77
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078・園田直
○園田委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。
なお、本案についての質疑は後日に譲ることといたします。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X01819620309/78
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