1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月十五日(木曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長 園田 直君
理事 金子 岩三君 理事 纐纈 彌三君
理事 高田 富與君 理事 渡海元三郎君
理事 丹羽喬四郎君 理事 太田 一夫君
理事 野口 忠夫君
小澤 太郎君 亀岡 高夫君
久保田円次君 田川 誠一君
津島 文治君 中川 俊思君
前田 義雄君 山崎 巖君
川村 継義君 山口 鶴男君
渡辺 惣蔵君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 斎藤 昇君
国 務 大 臣 安井 謙君
出席政府委員
総理府総務長官 小平 久雄君
警察庁長官 柏村 信雄君
警 視 監
(警察庁保安局
長) 木村 行藏君
検 事
(刑事局長) 竹内 壽平君
運輸事務官
(自動車局長) 木村 睦男君
自治政務次官 大上 司君
自治事務官
(財政局長) 奧野 誠亮君
委員外の出席者
労働基準監督官
(労働基準局監
督課長) 小鴨 光男君
建設事務官
(道路局次長) 高田 賢造君
自治事務官
(財政局財政課
長) 松島 五郎君
自治事務官
(財政局交付税
課長) 山本 悟君
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三月十五日
委員大沢雄一君辞任につき、その補欠として中
川俊思君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員中川俊思君辞任につき、その補欠として大
沢雄一君が議長の指名で委員に選任された。
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三月十三日
地方公務員共済組合法案(内閣提出第一二〇
号)(予)
同月十四日
銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律
案(内閣提出第四二号)(参議院送付)
質屋営業法及び古物営業法の一部を改正する法
律案(内閣提出第一〇五号)(参議院送付)
同日
大衆飲食に対する料理飲食等消費税軽減に関す
る請願(門司亮君紹介)(第二二八四号)
同(金子岩三君紹介)(第二四八一号)
同(大野市郎君紹介)(第二五一六号)
同(宇野宗佑君紹介)(第二六八七号)
同(園田直君紹介)(第二六八八号)
農耕用軽自動車税の免税に関する請願外二十四
件(湯山勇君紹介)(第二三三五号)
消火せん設置費国庫負担に関する請願(二階堂
進君紹介)(第二四九五号)
水道事業に対する起債対象範囲拡大に関する請
願(二階堂進君紹介)(第二四九六号)
行政事務改善費国庫補助等に関する請願(二階
堂進君紹介)(第二四九七号)
地方財務会計制度調査会の小委員会案反対に関
する請願外一件(島本虎三君紹介)(第二六五
七号)
東京都内のトラック昼間通行禁止反対に関する
請願(濱野清吾君紹介)(第二六七六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地方交付税法の一部を改正する等の法律案(内
閣提出第九七号)
銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律
案(内閣提出第四二号)(参議院送付)
質屋営業法及び古物営業法の一部を改正する法
律案(内閣提出第一〇五号)(参議院送付)
警察に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/0
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001・園田直
○園田委員長 これより会議を開きます。
警察に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。中川俊思君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/1
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002・中川俊思
○中川委員 近時交通事故が頻発いたしまして、当局においてはそれぞれの対策を樹立しておられるやに拝聴するのでありますが、先般来閣僚懇談会等において取り上げられておる問題は、主として都市の交通に対する取り締まりの問題ではないかと思いますので、私はこの際路線トラックの問題についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。
産業の発展に伴って、物資の輸送が非常に迅速に行なわれるようになりつつあるわけでございますが、これに伴ってトラックの大型化、スピード化等によって、事故が急激にふえておるわけであります。この問題について、運輸大臣並びに警察庁当局、その他法務省、労働省、建設省等にお尋ねをいたしたいと思いますので、お答えを願いたいと思うのであります。
まず、運輸大臣並びに警察庁両当局に確認しておきたいと思うことがございますので、これよりその点についてお尋ねいたします。道路運送並びに交通の安全を保持するということは、産業上きわめて重要な問題でありますが、しかし、一たびこれを誤りますと、事、人命に関係するという人道上ゆゆしき問題があることは、十分認識して施政に当たっておられるかどうか、まず、この点を確認いたしておきたいと思うのであります。運輸大臣と警察庁長官にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/2
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003・斎藤昇
○斎藤国務大臣 おっしゃいますように、最近の経済の伸長に伴いまして、非常に自動車の数がふえて参りました。ことに、トラック輸送が激増をいたして参ってきているわけでございます。運輸省といたしましては、路線営業あるいは地域営業、このトラックによる運送事業をやっておりますものに
ついて、今まで監督指導をいたして参ったわけでございますが、この間におきまして、今おっしゃいますように、交通の事故を起こさせないようにという配慮は、十分加えて参ってきておるつもりでございます。特に、業者に管理責任を負わせまして、そうして業者の管理不行き届きに基づく事故につきましては、行政処分もいたすようにいたしておるわけでございます。後刻警察庁の方から、統計等もお示しになろうと思いますが、今日の事故は、なるほどトラックによる事故が多いのであります。しかしながら、非常に多いのは、いわゆる自家用車が多いわけであります。自家用車に関しまする規制は今日ないわけでございまして、もっぱら交通取り締まりとしてやってもらっておるということになっております。自家用トラックを、交通取り締まりの面からだけで放置しておいていいかどうか、今日の交通の混雑という面と両方考えまして一つの問題点であろう、かように考えておるわけでありますが、今検討をいたしておるという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/3
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004・柏村信雄
○柏村政府委員 ただいまお述べになりましたように、交通事故が非常に激増の一途をたどっておりますので、まことに残念に存じますが、警察の事務といたしましては、まず何よりも人の生命、身体、財産の保護ということにあるわけでございまして、特に交通問題につきましては、そういう観点から交通の安全、さらにまたつけ加えまして、円滑化ということに力を注いでおるわけでございます。一昨年の暮れに道路交通法を改正いたしまして、いろいろ取り締まり面等につきましても注意を喚起し、また一般の事故防止の風潮も醸成するように努めて参ったわけでございますが、昨年の事故並びに死者数というものは一昨年よりもさらにふえておる。ただしかしながら、これは道交法の改正だけが理由ではございませんけれども、一昨年までの過去三カ年の年々の増加率というものは二〇%をこえておったわけでありますが、昨年、一昨年にかけての増加率は、大体事件数におきまして九%ちょっと、それから死者数について六・六%ということで、上昇カーブは幾分鈍くなっておる。しかし、ともかくも昨年は今まで通り死者数を出し、事故数を出しておるわけでございます。従いまして、今後警察といたしましても、十分にこの交通の規制、取り締まり、また一般の交通安全思想の普及ということに力をいたしまして、事故あるいは死傷者の実質的な減少ということになるように力を注いで参りたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/4
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005・中川俊思
○中川委員 その点を運輸大臣並びに警察庁長官に確認をいたしましたので、私は次の質問に移りたいと思います。
まず、運輸大臣にお尋ねしたい。ただいま確認いたしましたような観点に立って、去る三十四国会でしたか、今、警察庁長官のお述べになりましたように、道交法並びに道路運送法が改正されたわけだと思うのです。その改正の趣旨についてお尋ねいたします。
まず改正の第一点は、運行管理者制度を確立して、輸送の安全が確保されいおそれがある場合においては、自動車運送事業者に対して是正命令を行ない得るものとしたこと。その改正の第二点は、道路運送法違反による使用停止処分の実効性を確保するための措置をきめて、違反者に対する罰則を強化して、間接強制による違反の防止をはかるとともに、道路運送の総合的な発達をはかるために特に必要な場合には、自家用自動車の使用者の事業場にも立ち入ることができることとして、自家用車の使用の適正化のための行政指導を行ない得ることとしたこと。さらに第三点は、道路運送の実態調査について、実情を的確に把握するための体制の確立をはかること、この三点だと思うのでありますが、これを簡潔に申し上げますと、自動車運送事業による輸送の安全度を向上せしめるため、秩序を確立し、調査体制を拡充するとともに、行政指導を強力に行ない得ることとした点にあると考えますが、これで間違いないかどうか、運輸大臣にお尋ねしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/5
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006・斎藤昇
○斎藤国務大臣 道路運送法の改正の要点は今おっしゃいます通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/6
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007・中川俊思
○中川委員 誤りがないとするならば、この改正を行なって以来、その趣旨の徹底を期するため、どのような行政指導をし、また行政措置をとられてきたか。またこの改正の趣旨を徹底順守するためには、どのような問題点があるか、これは非常に問題でございまして、改正の趣旨が厳重に守られておるならば、今日の交通事犯はある程度防止し得られたと思うのですが、先ほど警察庁長官のおっしゃるように、昨年度は非常に事故がふえた、もちろん車の数が二〇%も激増をしておりますので、この点もあわせ考えはいたしますが、しかしそれにいたしましても、事故があまりふえておると思うのでありますが、どういうふうな措置をとっておられますか、具体的にお示しを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/7
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008・斎藤昇
○斎藤国務大臣 その趣旨に従いまして、道路運送自動車事業をやっておるものにつきましては、運行管理責任者を定めまして、そしてまず労務者の管理、特に保安の点からの管理を強化いたしております。従って、この管理を怠っておるものには警告を与え、場合によりましては事業の停止等の行政処分もいたしておるわけでございます。先ほども申しますように、道路運送事業者に所属をするトラックによる事故数は、車の数の増加に比較いたしまして、私はさようにふえてはいない、かように考えております。トラックの数の大部分は自家用車でありまして、従って事故の点から見ますならば、道路運送事業によっておりますものの事故というものは比較的減退の方に向かっておる、かように考えております。ことに路線トラック等におきましては、非常に注意深くいたしておるわけでありますが、それでも事故が皆無でないことは申しわけないと思います。今日事故が非常に多くなっております原因は、自動車の、いわゆる営業車による事故というものが多いというようには私は考えておらぬのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/8
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009・中川俊思
○中川委員 それならば大臣にお尋ねしますが、昨年度における道路運送業、つまり業者とそれから今あなたのおっしゃる自家用車との事故の比率、自家用車はどの程度事故を起こしておるか、あるいは営業車はどの程度事故を起こしておるか、その比率等詳細にお示しを願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/9
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010・斎藤昇
○斎藤国務大臣 これは事故の方をもっぱらやってもらっております警察庁から答弁をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/10
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011・柏村信雄
○柏村政府委員 三十五年の上半期と三十六年の上半期の比較でございますが、自家用車につきましては大型乗用車が一〇・一%の増、普通乗用車が二〇・三%増、自家用貨物が二〇%増、三輪車におきましては一一・九%減、また営業用につきましては大型乗用車が二〇%増、普通乗用車が八・一%増、貨物が三一・三%増、三輪車におきましては同じく一二・二%減ということに相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/11
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012・中川俊思
○中川委員 それじゃ大臣、今の答えでいえば営業車が少なくないじゃないですか。どうなんです。必ずしも営業車が少なくない。今、長官の御説明を聞きましても、たとえば大型のもので営業車が二〇%、自家用車は一〇%幾らでしょう。そうすると大型では営業車の方が多い。その点はあとで資料で御提出願いたい。
それから警察庁当局に同じようにお聞きしたいのでありますが、ちょっとこれとダブるかと思うのですが、三十四国会で新しい道路交通法が制定されました。この法律の立法趣旨の一つに、交通の円滑化をはかり、危険を防止するための措置を強化するとともに、最近の交通事故や交通法令違反の原因には単に運転手の責めに帰すべきでない点がある点にかんがみまして、運転手を雇用する者、あるいは車両の運行管理者を対象として、運行管理者に対して、運転手とともに、交通秩序の確立、保全に責任のあることを明らかにした条項があると思うのですが、これは誤りないかどうか、お示し願いたい。もしそうだとするならば、警察当局はどのような指導、取り締まりの措置をとってきたか。また同法の運行管理者の取り締まり面でどのような点が問題になっておるか、これをお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/12
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013・柏村信雄
○柏村政府委員 改正の趣旨はお述べになりました通りでございます。そういう点からいたしまして、運転手だけの責任を論ずるということでなしに、これを使用する者の責任ということを十分に自覚させ、また悪質な者についてはこれを追及するということを考えておるわけでございますが、一例といたしまして、数府県にまたがります長距離トラックにつきまして、五十台以上そういうものを持っている会社約百社について、その交通事故件数、あるいはそれによる死者数等を調査いたしまして、非常に事故の多い会社につきましては、その代表者等に対して警告を発しておるわけでございます。また道交法七十五条に規定いたしまする雇用者等の違反につきましては、三十六年の上半期において百六十二件を検挙するということにいたしておるわけでございます。十分自覚を促していくと同時に、悪質な者に対しての取り締まりを徹底して、またその予防効果を期待いたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/13
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014・中川俊思
○中川委員 労働省から見えていますか。——労働省に対してちょっとお尋ねしたいのですが、労働省は直接道路交通法並びに道路運送法の施行には関係がないものといたしましても、不当な雇用条件並びに労働条件を監督する立場にある主務官庁として、特に自動車運送業に対してどういう見解を持っているのか、また、どういう労務管理の行政指導をしておるのかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/14
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015・小鴨光男
○小鴨説明員 私どもの方では、貨物運送事業として基準法の適用をやっておるわけでございますけれども、特に三十三年は、当時問題になりましたハイヤー業について重点的に監督を実施いたしましたが、最近になりまして、路線トラックその他の貨物運送についての事故が、非常に多うございますので、昨年の四月と十二月にわたりまして、全国の基準局長に対しまして、これらの部分の運転手の労働条件の確保、これがための基準法の監督を重点的に実施するように通牒をいたしております。その監督実施いたしました結果、いわゆる違反のうちで主要なものにつきましては、特に労働時間が非常に長きにわたっておる、休日が付与されておらない、長距離トラックの場合におきまするところの運転手の休養施設並びに健康診断が十分でないという点を指摘いたしまして、これらについて関係業種、業界を集めまして、これらの早急なる是正について指示したところでございます。なお、最近に至りまして相当悪質な業者がございますので、特に近辺におきましては、四件ばかり司法処分に付したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/15
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016・中川俊思
○中川委員 司法処分というのは、具体的にどういう処分ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/16
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017・小鴨光男
○小鴨説明員 神奈川県下におきまして、最近三百事業場ばかり警察庁とタイアップいたしまして、検問所において速度違反、そういうもののあとに運転手から労働事情を聞きまして、それに基づきまして悪質な者に対しての監督を実施しております。特にこれは砂利トラックが多いのであります。それらのうちから非常に悪質な者を四件ばかり送検いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/17
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018・中川俊思
○中川委員 それでは事務ベースでいいかもしれませんが、この営業用路線トラックの免許についてお尋ねをしたいのであります。営業用路線トラックの免許については、運輸当局は非常に厳重な審査の末厳選して免許を与えているやに聞き及ぶのでありますが、一体免許の基準はどういうところに主眼を置いておられるのか、具体的にお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/18
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019・木村睦男
○木村(睦)政府委員 お答え申し上げます。
営業用のトラックの免許につきましては、道路運送法の第六条によります免許基準によってやっておりまして、これはすべて営業自動車事業全般にわたってやっております。ただ業態がいろいろ違いますので、この基準の適用にあたりましては、それぞれの業態の特殊性等を考慮いたしまして適用しておるわけであります。そこで、お話しになります路線事業者につきましての免許でございますが、この免許にも内容からいたしますと二つありまして、全然今までトラック事業をやっていないような者が、初めて路線事業をやりたいというのも免許でございます。それからすでに路線事業の免許をとって事業をやっております者が、路線を延長しようというのも、これも免許の対象となります。新たにトラック事業、路線事業をやろうといういわば新規の免許の申請でございますが、これにつきましては一般道路運送事業すべて新規にやる者と同様に、免許基準の適用について、これに該当するかいなかということを、厳重に審査をいたして処分しておるわけであります。それからすでに免許をもらっております路線業者が、新しくあるところへ路線を延長するという場合には、特にその路線におきまして交通事情あるいは道路事情、そういうものがどうかということで、それぞれ道路管理者あるいは公安委員会の意見を聞きまして、特に交通安全という方面にも重点を置いて免許をいたしておるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/19
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020・中川俊思
○中川委員 今、自動車局長のおっしゃるように、必ずしもうまくいっていないのじゃないか、ということは、そういう免許の審査の際に、十分にいろいろな角度から検討されて免許されておれば、そうめちゃくちゃな事故も起こらない。ところが、どうもそういうふうにうまくなっていないのじゃないかという感じがするので、実は今お尋ねしたのです。今あなたのおっしゃる点は、道路運送法の第六条で免許の基準はわかっているわけですが、ところが、今申しますように、必ずしもそういうふうにうまくいっておるかどうか。それから行政指導をどういうふうにやっておられるか。ただ免許さえしてしまえば、あとはもうおっぽり出しておられるのか。どうもそういう点に非常に不満がある。私は前の運輸委員会でも——自動車局長はあなたではなかった、国友君だった。そのときに一つの具体的な事例をあげてお尋ねしたのです。ここにそのときの速記録がありますが、具体的な事例をあげて私がお尋ねしたときに、その問題は重大な問題であるから、直ちに調査をして処分を決定するという確約を運輸委員会の席上受けておる。速記録に載っておる。ごらんに入れましょうか。だけれども、それが何も行なわれていない。そのままだ。やりっ放しにしておられるから、ますます問題が多くなっていくのじゃないかと思う。これはこの間の新聞です。三十七年二月六日。これは警察庁長官よく御存じと思うのですが、東海道全域にわたって交通の特別監督をやられたときの記事で、こういうことがある。「検問所過ぎれば……検問所で摘発を受けた下り便の後を追って車を走らせてみると、」これは新聞記者が走らせてみた。検問所で摘発されて、それがどうも相済みませんというので、きっとそこを出たあとを新聞社が車で追っかけてみると、「検問所を出て、ものの二分とたたないうちにスピードをあげた。「今後気をつけます」先ほどの殊勝な言葉もどこへやら、無法運転おかまいなしだ。」こう書いてある。この通りだと私も思う。だから業者も悪い点もある。運転手も悪いけれども、運転手は相当なノルマをしいられて、やむを得ない危険を冒してスピードを出しておるという点もあるだろうと思うのです。また管理者も、無理やりにこの仕事を何日までにやれとか何時間でやれとかというノルマをしいて、運転手を酷使しておる面もあると思う。同時に監督官庁である運輸省の怠慢ということもあるのじゃないかと私は思う。あなたは御存じない、これは国友君がそういう約束をしたので、おれは知らぬとおっしゃるかもしらぬが、この前の国会の運輸委員会で、警察庁長官御存じですが、具体的な問題を私は取り上げて言って、処分を決定して、十分に監査の結果の上で処分する。これはけしからぬから処分する。そのときに国友君は僕に、その問題はあとから御連絡しますと言ったけれども、もう一年以上たったけれども、その後連絡してくれない。どういう処分をされたか。事例を言いましょうか。広島県の福山通運の問題です。あなたはきょう出席される以上は、そういう点を十分お聞きになって出席されたと思うが、その後どういう処分をしたか聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/20
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021・木村睦男
○木村(睦)政府委員 まず免許をしたあと、十分に監督していないのではないかという御質問でございますが、お話のように免許をいたしまして、いよいよ事業を開始いたしますその後の事業者の事業の運営の仕方、これにつきましては、いろいろと当局といたしましても出先の機関を通じまして指導監督を厳重にいたしておりますが、遺憾ながら事故は減っていないということは事実でございます。たとえば、運行管理制度を強化いたします。あるいは事故を起こした場合の制裁も強化いたしております。さらに労務管理の問題、それから車両の整備管理の問題、それぞれ責任者等も置きまして、日常の運営に、事故防止のみならず、運送事業者としての健全な経営ができるように指導はいたしておりますが、これが現在理想的にいっておるというところまでいかないことを非常に遺憾に思っておりますが、今後さらに努力いたしたいと思います。
それから御指摘の具体的な事案の件でございますが、私も前任者からお話を聞いております。その後管轄の陸運局を通じまして、三回にわたりまして改善勧告をいたしたわけであります。その後どういうふうになっておるかということを申し上げますと、当該会社は東京まで路線を持っておるのであります。あの会社が路線に使っておる車が約百七十両ほどございます。路線事業は基地を離れて遠距離に参るものでございますので、運転手が車を一つ持って走るという形でございます。運行管理者なりあるいは事業主が、そばについておるということもできないような実情でございます。そこで最近、御承知と思いますけれども、自動運行記録装置、略称タコグラフと申しておるのですが、運転手の意思にあるいは運転手の自由によらないで、刻々の運行の状態が記録される機械ができております。私の方といたしましては、昨年の春以来、全事業者にわたりましてこれをつけるように強力な指導をいたしております。特に長距離を走ります路線トラック事業あるいは貸し切りの事業者で、遠距離に行くような場合には、特に強くこの装置の据付を行政指導しておるわけでございます。運行記録簿というものをつけることを規則で命令しておりますが、この装置をつければ、それをもって運行記録簿にかえるという便法も講じてやっております。この会社は当局の再三にわたります改善勧告に基づきまして、現在では全車両にわたりましてこの運行記録簿をつけて路線事業をやっております。なお各地に基地を設けまして、あの会社の持っております路線につきましては。パトロール制をしいております。東京、大阪それから神戸、岡山、広島、それぞれに人を置きまして、その間の路線に車をもってパトロールする。もって、自分の会社の車の運行状況、あるいは事故防止等に努力をいたしておるということでございます。それから会社の中に懲罰委員会を設けまして、一たびあやまって事故を起こした場合に、その責任を深く掘り下げまして、今後の事故再発の防止に備えるように鋭意努力をしておるという報告を受けております。また、事故を起こしました場合の被害者等の損害の補てん等につきましても、敏速にして、被害者の満足のいく処理をするように、強く指導いたしておりますが、最近の報告によりますと、最近では、この事後処理につきましても相当改められておるようであります。これではまだわれわれとしても十分だとは決して申し上ません。今後さらに監督を強化していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/21
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022・中川俊思
○中川委員 局長は、非常に監督を厳重にしてやっておられるようなことを言われるのだが、昨年来、すでにその会社に対しては、三回にわたって改善勧告をしておる。しかもその会社のためにパトロール制をしいており、懲罰委員会を会社の中に設置さしておる。運輸省が直接こういう指導というか、こういうことをやっておられる会社が、路線トラックの中で全国に一体どのくらいあるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/22
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023・木村睦男
○木村(睦)政府委員 今申し上げましたのは、運輸省がパトロールをしておるのではございませんので、会社自体の改善措置として会社自体がやっておるのでございます。パトロール制は、たとえば山陽線におきましては、山陽線に路線を持って走っております事業者が連盟を作っておりまして、その連盟でそういったパトロール制をしいております。また東海道路線につきましても、東海道を走っております路線事業者で路線連盟を結成しておりますが、これが連盟としていろいろそういった方法を講じて、事故防止に努力しておるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/23
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024・中川俊思
○中川委員 そうですか。会社がやっておる。早くいえばどろぼうがどろぼうを監督しておるということだ。運輸省はそういう監督をしていないのですか。
それから、私の先ほどの質問に答えてもらいたいのですが。昨年の運輸委員会で、前の国友君が約束したことに対して、一体どういう処置をとったかというその質問にお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/24
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025・木村睦男
○木村(睦)政府委員 ただいま申し上げましたように、管轄は広島の陸運局でございますが、広島陸運局長から、三回にわたって改善の勧告をいたしております。それに基づきましてただいま申し上げましたような会社自体として改善案を、いろいろ考えておりますのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/25
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026・中川俊思
○中川委員 一カ年間に三回も四回も勧告をするようなトラック業者というものは、全国にどの程度あるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/26
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027・木村睦男
○木村(睦)政府委員 詳細につきましては全般的に調べておりませんが、二、三回の勧告を年間にします会社は、かなりあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/27
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028・中川俊思
○中川委員 それではこの際、自動車局長にお願いしておきますが、三十六年度における事故の統計表を資料で出してもらいたい。そうしてそれに対してとった処置、その事故の統計表はできるだけ詳細を出していただきたい。広島陸運局から私の手元に来ておりますように、たとえば転覆、転落、火災、踏切、衝突、死傷というような点について、全国の百台以上トラックを持っておる路線貨物事業者別の重大事故発生件数、これは警察と違う場合があるのですが、一体事故の収集をどういう形式でやっておるのか、一つ警察の方からも出していただきたいと思うのでございます。三十六年における一カ年間の統計を出していただきたい。運輸省からこの前出していただいたのですが、これはただ事故件数幾らというだけです。その内容をお示し願いたい。
そこで運輸大臣にお尋ねしたいのですが、今、局長からお聞きの通り、三回くらい勧告しているのはざららしいのです。そういうことを当たりまえのように考えておられるのかどうか。勧告をする以上は、かなり問題がなければ運輸当局は勧告なさらないじゃないかと思うのです。たとえば特別監査をやったり何かした場合の勧告は、かなりな問題がなければ、相当悪質な業者でなければされないじゃないかと思うのです。そういうことは運輸大臣十分御存じでございますか。局長は二、三回ぐらいは平気だと言う。しかもパトロール制をしておる。これは私は警察がやっておるのか、あるいは運輸省が直接にやっておるのかと思ったら、業者自体でやっておるというのだが、これがはたしてどれだけの効果があるかということは非常に疑わしい。
それからここに一つの問題があるので、私は特に運輸大臣にお考えいただきたいと思うのです。これは私は去年も指摘したのですけれども、運輸省をやめた局長とか課長とかという連中が、かなり一般営業用会社の重役や事故係に入っている。しかもこれらは事故が起きますと、事故もみ消し屋のような任務を受け持ってやっておる者が、かなりおるのじゃないかと思う。これは私の調査いたしましたところだけでも五、六人おる。これは運輸省からも去年出していただいたが、かなり大きな会社です。先ほど来私ちょっと局長に申し上げましたが、福山通運にも、前の自動車局長、あのときは自動車局長と言わなかったのでしょうが、陸運管理局長とかいった現在の自動車局長に該当する郷野君が取締役で入っておる。しかも広島の陸運局の貨物課長とかそういうのをやっておったのがそこへ入って事故屋をやっておる。私は郷里が広島でございますが、あそこは国道ですから、営業用とか自家用車など非常にたくさん通る。聞きますと、この運輸省の方から出していただいた表の中にもございますけれども、九州から東京の間を通る中で事故の多いのは山佐運輸とかあるいは久留米、それから福山通運、岡山県貨物です。しかも私が、昨年も運輸委員会で質問いたしましたときの、福山通運というものの事故は非常に多い。あの辺を通っている一般の自動車会社に聞きますと、福山通運のトラックだけはいきなり乗用車をぱっと通り越す。急スピードで通り越したら最後、あとの乗用車がこれを追い越そうと思っても、ぐるぐるじゃまをして追い越させない、非常に悪質だということを、私は一人、二人からでなく聞いておる。そういう実情を私は知っておりますから、昨年これは大へんだと思って運輸委員会で質問したところが、国友君は、あの会社は割合にいい会社だと思いますとこう言う。そこでだんだん調べてみると、先輩の郷野君が取締役で入っておる。さらに広島県の陸運局の貨物課長をしておった何がしが事故屋として入っておる。だからこれは先輩に対する仁義としても、あれは悪い会社だとは言えなかったかもしれませんが、大臣、この点をよくお考えをいただきたいと思う幾ら大臣が先ほどおっしゃるように誠意をもって監督に当たられ、また警察庁が——警察なんか気の毒なような気がいたします。交通整理をやっておって、バス、トラックにひっかかって死ぬ警察官もかなりあるのでございますから、非常にお気の毒に思うのでございますが、そういう悪質な業者がある。
私は局長にお願いしておきますが、運輸省の役人を過去においてしておられた方で、そういう自家用車とかあるいは営業用のそういうトラック会社とか、あるいはそういう関係に現在入っておられる人の人名をお示し願いたい、資料として御提出を願いたいのであります。
それから私は、運輸大臣並びに警察庁長官にお願いをしておきたいのですが、こういうような事故が非常に頻発いたしておりますので、これに対して今の道路交通法並びに道路運送法を改正するだけで一体この事故の防止ができるとお考えになっているのかどうか、この点を重ねてお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/28
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029・斎藤昇
○斎藤国務大臣 ただいま中川さんからいろいろ御指摘のありました点は、運輸省といたしましても十分戒心して参らなければならぬ点だと考えております。ただ運輸省といたしましては、直接たとえばスピード違反あるいは事故等の、路上における取り締まりをする権限もありませんし、また能力も持っておらぬわけであります。従いましてこれらはもっぱら警察にお願いをしなければならぬわけでありまして、私も警察当局に対しまして、できるだけ厳重にやってもらいたい、そうして悪質なものはどしどしこちらに知らしてもらいたい、もし運輸の出先のなまぬるいものがあれば、直接私のところに知らしてもらいたいというように申しておるわけでございまして、やはり外からの強い取り締まりとそれに対する警告というものを待ちまして、それにもかかわらず出先が十分な処置をしていないということであれば、われわれといたしまして、それらの役人に対しましては、適当な処置を考えなければなるまい、かように考えております。さようにして参りませんければ、いくら法律を作りましても、これは法律が実施されないわけでありますから、法律実施の面を担当されております警察に私は強く要望いたしておるわけであります。そうして運輸省の出先が、はたしてやるべきことをやっておるかどうかということを、そういう面から十分監督をして参りたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/29
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030・中川俊思
○中川委員 法務省にちょっとお尋ねしたいのですが、先ほど来お聞きのように、交通事故が非常に頻発して、そこらじゅう、走る凶器と申しますか、寝ておるうちヘトラックが飛び込んで二人も三人も即死さしたり、あるいは寝ているところへ飛び込むくらいですから、歩いておる者なんかひっかけて殺したりすることは日常茶飯事です。毎日東京都内の方々へ書き出されておるものだけを見ましても、東京都の死傷者の数だろうと思いますけれども、三人、五人と出ておる。全国の路線トラックではやはり相当おびただしい数だと思う。私のところに報告がきておる広島管内だけを見ましても、一ヵ月にかなりの死者があるわけでございます。そういうのは過失致死罪とかいうのだろうと思うのだが、刑法というものは、ここで見ますと明治四十年四月二十四日ですか、そのときに制定された法律のように考えておる。しかも刑法を見ると、罰金が五十円だとかあるいは三百円とか、現代に非常にふさわしくない刑法ではないかというふうにも私は考えるのであります。承るところによると、法務省でもそういう点には十分にすでにお気づきになって、刑法の改正に着手しておられるやに聞き及んだのでございますが、その点について、もし改正をされるとするならば、どういうふうに改正をされんとしておるのか。あるいは現在の刑法の問題については、どういう見解を持っておられるのか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/30
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031・竹内壽平
○竹内政府委員 御指摘のように、現行刑法の規定は、過失によって人をひき殺した場合におきましても、最高の刑が三年の禁固または罰金、こういうことになっております。御案内のように、刑法におきましては、罪を犯す意のない行為、つまり故意でない行為は罰しない、こういう建前をとっておるわけでありまして、例外として過失犯を罰する。しかも過失というものは、故意に比べまして刑罰を受ける責任という点において非常に開きがあるというので、これは非常に軽い刑になっておるのでございます。殺人について申しますならば、死刑から三年までございますが、その一番低い三年というところと、業務上過失の一番上の三年の禁固とが合う、こういうような刑の隔たりを大体きめておるのでございます。これに対しまして、その考え方は刑法の考え方として動かすことはできないと思うのでございますけれども、しかし現在の社会の複雑なメカニズムの中におきまして、過失がそのような隔たりをもって軽く扱われていいだろうかということの疑問は、これは日本ばかりでなく、近代の刑法を考える各国におきまして問題になっておるのでございます。アメリカなどにおきましても、重大な過失で人を死なしたというような場合には、殺人とみなす、故意とみなすというような考え方も裁判の上で現われておりますし、一九三五年でございましたか、三九年でございましたか、ある州におきまして、過失的な殺人というような規定を設けまして、刑罰を重くするというような立法措置も講じておるのでございます。
私どもの方におきましても、御指摘のように、明治四十一年から施行されて、もう本年は五十三、四年になる刑法でございまして、国内の諸般の事情も違ってきておりますし、憲法も新しくなっておりますし、その他判例、学説も非常に進歩してきておりますので、それらの点を考えまして、今、新しい改正草案を作って発表いたして、各方面の意見を聞いておるのでございます。その中で、特に過失犯につきまして申し上げますと、やはり過失犯を重く処罰すべきであるという意見が、草案におきましても圧倒的に採用されておるのでありまして、ちょうど現行法の二百十一条に相当いたします業務上過失致死傷でございますが、この点につきましては、草案においては二百八十四条で規定いたしておりますが、刑を三年というのを五年というふうに引き上げまして、禁固だけでなく、懲役または禁固、そして罰金も三十万円以下というふうに引き上げておりまして、業務上でなくとも重大な過失によって人を死傷さした者もまたそれと同じように扱う、こういう形になっておるのでございます。現行法におきましては、五十円だ、百円だ、あるいは千円だという罰金がございますが、これは取り扱いとしましては罰金等の臨時措置法というので、刑法の罰金は大体その五十倍ということに法律ができておりまして、現行法でいいますならば千円以下の罰金となっておりますが、千円の五十倍で計算をして処置する、こういうことに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/31
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032・中川俊思
○中川委員 先ほど運輸大臣は、取り締まりの権限が直接ないので、警察と連絡をとってやっておる、こういうことなんですが、斎藤さん、あなたは警察庁の長官もしておられた。権限がないからというので、そのままにしておられることは、非常に困るのですね。そのままにしておられるわけではないが、私は運輸省としてとるべき方法があるのではないか。今法務省からお話のような、罰金の千円とか一万円とか五万円とかいうような問題は、路線トラック業者なんというものは積み立てておって、そんなものは問題にしていないのです。運転手に、事故をやって弔いい、罰金は会社で出すのだから心配ないのだという指示をしておるのですから、罰金が少々かかったところで、運転手は直接自分のふところが痛むわけではないのですから、そんなことには驚かないのですよ。
そこで私は実に名案があるので、お示しをいたしますから、ぜひ実行をしてもらいたい。これは私は、前の木暮運輸大臣のときも言ったのです。木暮さんも賛成だと言われた。それは中川さん一つ考えましょうということであったのだが、考えるといううちにやめちゃった。それで今日に至るも実行になっていないのです。小平長官も見えておるし、警察庁長官もおられますから、これは閣議の席にでもはかっていただいて、こういうことをやることによって、私は都市の交通も改善されるし、路線トラックも改善されるという自信を持っておる。それは何かといいますと、率直に言えば、三日でも一週でも営業を停止する。運転手の免許証も取り上げたって、そんなことはだめなんです。これは運輸大臣、あなたの方でできるのです。そうでしょう。運輸省でできる。これをやったら、罰金の百万円や三百万円は問題じゃないのです。会社自体を営業停止をする。一罰百戒で、これをやったら、ほかの業者はふるえ上がってしまうのです。なぜ運輸省はそこに気がつかないか。運輸大臣は先ほど、おれの方では取り締まりの権限がないから、警察にやらしておるのだというようなのんきなことを言っておるけれども、権限がないことはない。道路運送法は運輸省の所管でございますから、これを十分に熟読して適用面をお考えになれば、私はできる手だと思うのです。悪質な業者に対してはこれをやっていただきたい。これをやることによって、一罰百戒で、ほかの業者は事故に一番注意しますよ。どうですか、この点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/32
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033・斎藤昇
○斎藤国務大臣 私が先ほど申し上げましたのは、取り締まりは警察におまかせをしておると申し上げたのではございませんので、警察の方で取り締まりをしていただいて、それについてこの会社はこういう悪質なことがあるというようなことをお知らせをいただきたい。そうすればそれによって私の方は厳重な処置をいたします。処置をやらない出先があれば、官吏としての行政処分をしてまた善処いたしますとこう申し上げておりますので、従いまして、ただいまおっしゃいますような悪質な指示をしておるということがわかれば、これは断固として、今申し上げますような営業の停止あるいは免許の取り消しということをやるのにやぶさかではございません。そういう意味で、私は警察庁の方にお願いをいたしておるのでありまして、私の方からお願いをいたしますことは、私の方でやりたいと思ってもやれない部分があって困るから、そういう点を十分こちらに知らしていただきたい。交通違反をやった、スピード違反をやったという運転手、これを警察の方でつかまえられる、その場合に事情を聞かれる、こういうことになっております。うちの社風はこういうことでこういう命令を受けておりますということがはっきりいたしますれば、断固としていたしたいと私は思っておるのです。今後ともそういう意味から、あるいは中川先生等からもいろいろ情報をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/33
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034・中川俊思
○中川委員 局長にお尋ねしますが、今私が言うたような点について営業停止を三十六年度にやられた事例があるかどうか。罰金だとか、運転手に対して一万円だとか五千円だとかというような罰金は、そんなことはそれをやっちゃったというだけのことで、何ら効果がない。だから効果のあるようなことをやられたかどうか。もちろん私といえども何でもかんでも厳重にやって、もう片っ端からやっつけろというのじゃない。きわめて悪質なもの、これは警察あたりで調査されればよくおわかりなんだから、きわめて悪質なものに対しては、他の業者に対しての戒めのためにも、いわゆる一罰百戒の意味からいっても、断固としてやられることが必要じゃないかと思うんだが、そういうことをやられた事例があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/34
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035・木村睦男
○木村(睦)政府委員 ただいま大臣が申し上げましたが、道路運送法によりますと、かりに交通事故を起こしました場合に、その原因の責任が、運転手個人だけの問題であるか、あるいは会社側の労務管理、あるいは運行管理、そういうところに遠因があるのではないか、いろいろ調査するわけであります。それで会社側にそういう原因の一部があるということになりますと、現在の道路運送法におきましても、両罰規定と申しておりますが、運転手個人に対する制裁と同時に、会社側に対する制裁を行なうということになっております。この会社側に対します制裁の方法はやはり法違反に対する行政上のではありますが、処分でございますので、まず改善の命令を出します。勧告をいたします。それから事柄の性質によりまして、安全確保の命令あるいは事業の改善命令あるいは車の整備命令、こういう命令を出します。この命令に従って、どういうふうな改善措置を講じたかということの報告を受けまして、はたしてその通りやっておるかどうか監査するわけであります。それでもなお徹底が期せられない場合には、車両の使用停止を行ないます。使用停止を行ないましてもなお改善されない場合、あるいは事態そのものが非常に大きな問題であるというような場合には、事業の一部停止たとえば一つの会社が数個の営業所を持って営業をしておりますような場合には、そのうちの事犯に対します関係の深い営業所の全面的な事業停止を命じます。さらに一番大きい制裁といたしましては、今お話のような、会社に対する全面的な免許の取り消しでございます。こういう処分をやることになっております。
それで、ただいま手元に実は三十六年の集計がございません。三十五年の集計がございますので、これを申し上げまして御了承いただきたいと思うのでありますが、これらの処分を、全体といたしまして道路運送事業者でございますが、約四千六百件のそういった勧告命令あるいは処分をいたしております。今申しました車両の使用停止、これは約四百五十件ばかりこういう処分をいたしております。それから免許の取り消しも六件ございます。これが三十五年におきます状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/35
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036・中川俊思
○中川委員 その免許の取り消しは、運転手ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/36
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037・木村睦男
○木村(睦)政府委員 そうじゃありません。事業免許です。これは三十五年の実情でありますが、そのうち三十六年のもまとまると思いますので、そのときに御報告いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/37
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038・中川俊思
○中川委員 今いろいろ承りましたけれども、要するになかなかあなたがお考えのようにうまくいっていないのですよ、あなたは、いろいろ言うけれども。だから実際に今たとえば私が指摘した問題なんかでもそのままになっている、その後何もやっていないでしょう。だから、どうせやるのだったら、徹底的にやっていただかなければだめだということです。前の局長が委員会で公約したことも、今日、一カ年経過してもそのままに放任してあるという状態ですから。ですからただ勧告なんかしたって、そんなことで業者は何の痛痒も感じないですから、会社全体の営業停止をやるくらいな考えでもって、きわめて悪質なものに対してはそのくらいな考えで行政指導をおやりにならなければ、この問題はますますひどくなっていくということ。小平長官がちょうどおいでになりましたから、私は長官にお願いしておきたいと思うのですが、私は先ほど来、路線トラックの問題について話している、先般来閣僚懇談会等におきましては、都市の交通問題が取り上げられているようでございます。都市の交通もさることながら、路線トラックの大きな——全国至るところで毎日々々人殺しが行なわれている、これに対して運輸省並びに警察庁としてもいろいろ対策をやっておられますけれども、しかしなかなか事故が絶えないということは、先ほど来お聞きの通り、徹底した行政処分が行なわれていないのではないかということを非常に心痛しているわけであります。現に私は前の国会でも運輸委員会で、藤枝君が総務長官の時代でございましたが、藤枝君にも要望しておいたのですけれども、徹底した行政処分を、きわめて悪質なものに対してはこれをやることによって、一罰百戒で業者は非常に反省する、事故がないようにするならそういうことをやってもらいたいということを要望したら、運輸大臣もそれはけっこうでございます。そういう悪質なものに対しては、それはぜひやらなければなりませんという話であった。けれども、それもそのままになっている。こうして委員会で言うときだけです。実際は、だからこれは重大な問題ですから、人命に関する問題ですから、ことにあなたは交通対策本部長とかいうものをやっておられる、これは都市交通だけでないように私は伺っております。そのついでに要望しておくのですが、交通行政があまり乱脈ですよ。道路運送法は運輸省でしょう、道路交通法は警察庁、道路法は建設省、それからこれに労務管理というもので労働省が入っている。だから交通行政というものを一元化して、交通省というものを作るのがいいかどうか、これは大きな問題でございますから、にわかに即断するわけには参らないでしょうが、とにかく交通行政が一元化して、そして日本の交通事故に対処しないと、御承知の通りもう自動車はぐんぐん急ピッチでふえていってしまう。警察官がなんぼさか立ちしても、警察官の数に倍加して自動車がふえていっているからできません。警察庁になんぼやれやれと——運輸大臣が先ほど警察庁と連絡をとって、ああやるこうやるとおっしゃっても、それはおっしゃるだけで、警察官といえどもなかなかそれは思うようにできない。それから建設省の方で一生懸命道路を作っても、道路の幅員には一切関係なしに、運輸省は道路運送法に上って、どんどん路線トラックを許可していっているのですから。むろん許可するときには、運輸省と建設省は連絡しているでしょう、連絡しておるけれども、道路をよくする前に、どんどん先へ運送業というものを許可していっておるのですから、道路の方が追っつかない。これは建設省もその点はよく認めておる。そういう状態で、交通行政というものは全く支離滅裂なんですよ。だから小平さん、あなたもそういう交通対策本部長をやっておられるのだから、一つあなたのやっておられる間に、交通行政を一元化するようなことをぜひ考えてもらいたい。そうして警察庁、運輸省にお願いしておきたいことは、私は重ねてお願い申し上げますけれども、勧告をやったり改善命令をやったりしたところで、それはだめなんです。あなたの方は、それでやっちゃった、行政指導をやったというふうな顔を自動車局長はしておられるけれども、それでもって決してこの交通地獄を解決するわけにはいかない。ですから、私の言う一罰百戒の、あまり悪質なものに対しては営業停止を一週間でも十日でもやってごらんなさい、それによってこの問題は非常な解決の方向に向かいますから。この点を一つ十分に考えて善処していただきたいと思います。
私の質問はこれで終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/38
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039・園田直
○園田委員長 地方交付税法の一部を改正する等の法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑を行ないます。通告がありますのでこれを許します。川村継義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/39
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040・川村継義
○川村(継)委員 私は、きょうは地方交付税の改正議案と地方財政計画等についてお尋ねをしておきたいと存じます。ただし、時間がたくさんございませんから、幾つかの問題に縮めてお尋ねしなければならないことになるかと思いますけれども、これまで同僚委員からあるいは財政計画の基本的な考え方について、策定方針について、あるいは交付税の改正要点等については、それぞれ質疑がなされたと存じますから、私はなるたけ重複を避ける意味でお尋ねしておきたいと思います。
まず、交付税の問題を直接お尋ねをいたしますが、三十七年度の交付税の改定の算定方法につきまして、道府県分について、あるいは市町村分について、あるいは市町村、道府県共通事項について、それぞれの要点を説明してありまして、大体了解がつくわけであります。しかし、おそらくこれまでにも問題になったと存じますけれども、地方公務員の共済退職年金に伴う交付税の算入の問題、高校急増対策の交付税算入の問題等々には、いろいろと異論も批判も出ておることだろうと思います。特に、これらの幾つかの問題の中で、これまで強く要望されて参りました市町村の税外負担の解消という問題は、強く要求されておるのでありまして、ことしは大体百億程度の考え方を盛り込んでおると承っております。その税外負担の解消を進めるために、小学校、中学校、高等学校の関係の費用の基準財政需要額を増額した、それらの費目にかかわる単位費用を引き上げた、こういうふうに示しておられます。そこで私は、きょうはいろいろ基本的な問題についてお聞きする時間もないようでありますから、その中身について少しお尋ねをしておきたいと思います。
まず、私の方にいただいております各行政項目別単位費用算定基礎のこの資料であります。三十三ページに市町村教育費の事項が取り上げられてありますけれども、小学校費単位費用算定基礎の上から三行目、三十七年度の標準施設の経費総額の学校数が二十六万四千四百三十五円と出ておる、これは課長、数字の間違いでしょうね。まずそれをちょっと初めに聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/40
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041・山本悟
○山本説明員 ただいま調べまして、後ほど御返事申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/41
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042・川村継義
○川村(継)委員 こんな大きな誤りをしておいて、はっきりわからぬとはおかしいじゃありませんか。総額から国庫支出金を引いてごらんなさいよ。二十六万から二万八千余り引いて三万三千なんて出ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/42
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043・山本悟
○山本説明員 御指摘の通りでありまして、二十六万四千は三十六万四千四百三十五円の誤りでございます。ミスプリントでございます。どうも失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/43
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044・川村継義
○川村(継)委員 これは改定表にも出ていないし、私非常に不思議に思ったのです。これは上から下の方の増減額を考えてみても間違いですね。こういう大きな誤りは一つ犯さないようにしていただきたい。
そこで私は、これから中身について二、三点お聞きしますが、この前三十六年度の補正予算を組まれたときに、今日市町村のいろいろの経費がかさむから、その積算の基礎においても、単価のとり方等は十分配慮してもらわなければ、ただ形式的にやっても、十分財政の需要を見ることにならぬのじゃないかということを強く要望しておきましたが、そのまず第一は、単位費用の積算に求められておる統一単価の問題であります。これは地方交付税関係資料の九ページに、給与費の統一単価として、一般職員の道府県分、市町村分と分けて、道府県分の部長クラス、課長クラス、甲吏員、乙吏員、こういうふうに並べてありますが、この給与の単価は幾分改定はされていると思います。三十六年度の当初交付税の算定に用いられた統一単価は、幾分改定されていると思いますけれども、その後給与の引き上げ等によって実施された改定分の統一給与単価に見合ってみると、十分でないのじゃないかという気がしますから、その点を一つ御説明いただきたい。つまり三十七年度は、甲吏員の場合三万六千一百円、こうなっておる。前回の改定分も同じく三万六千一百円であった。今度の改定単価も同じ。これはどうしたわけか、それが一つ。乙吏員の場合二万八千円、これは前回の改定分より千二百円だけ上がっている。これは千二百円の統一単価の引き上げで十分なのかどうか。これは昇給とかその他の要素がありますから、その点を考慮しなくてもいいのかどうかというような問題であります。丙吏員は、今回は二万一千六百円、前回の改定が二万五百円。これは一千百円上がっている。これも一千百円で十分なのかどうなのか。さらには乙の雇用人は一万二千三百円である。前回の改定分も一万二千三百円で、同じである。これはなぜ同額なのか。それらについてまず説明をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/44
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045・奧野誠亮
○奥野政府委員 給与改定が行なわれますとそれぞれ、国家公務員の給料表のどの号俸にはまるものをとっていくかということで、この単価を使っておりますので、改定が行なわれますと、自然その号の改定額を使っておるわけでございます。昨年の臨時国会の改定による号俸を選んだわけでございます。今回はそれに昇給財源をプラスしたい、これが改正の主眼点であるわけであります。一応一般職員には四・二%の昇給財源を見込むわけでございます。その場合におきましても、なるべく国家公務員の給料表のどれかの号俸に当てはまるようにしたい、こういう考え方でそれぞれの昇給をきめるわけでございますが、全体として四・二%になるようにこの号俸のいじり方を変えるわけでございますので、あるものについては全然動かさない、他のものについては一つ上の号俸を用いるというようなことにいたしますので、御指摘のような問題が起こるわけでございます。給与改定の場合には、国家公務員の給料表の改定になりましたものを、そのまま使うわけでございますけれども、昇給財源を織り込みます場合には、四・二%という端数でございますし、なるべくなら給料表のどれかの号俸の額を使いたいということでございますので、総体で四・二%の昇給財源を確保できるようにそれぞれの単価を動かす。従いまして、また、あるものは上がるし、あるものは上がらないというふうな問題が出てくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/45
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046・川村継義
○川村(継)委員 わかりましたが、たとえば甲吏員の場合、乙雇用人の場合には、前回の改定分と同じ統一単価が使われておる。そうなりますと、積算をする場合そこにいわゆる誤差というものが出はしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/46
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047・奧野誠亮
○奥野政府委員 基準財政需要額に入っております甲吏員の員数なり乙吏員の員数なりがわかっておるものでございますので、加重平均をして昇給の程度をきめて参るわけでございます。要するに全体として四・二%の昇給財源を確保する。そのためには、単価をどれをどのように上げればよろしいかということできめるわけでございます。上げる場合におきましては、先ほど申しましたように、もちろん国家公務員の給料表がどれかの号俸を使うという方式をとって参っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/47
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048・川村継義
○川村(継)委員 その次に、扶養手当の項でありますが、扶養手当が、昨年使われた統一単価と今年使われた統一単価と、同じ単価を使っているのと違った単価を使っているのがある。その理由をもう一ぺん聞かしてもらいたい。たとえば道府県の一般吏員の扶養手当の統一単価は、昭和三十六年度と同じ。雇用人の統一単価も同じ。小学校の統一単価が十六円上がっておる。中学校の統一単価が十九円上がっておる。高等学校の統一単価は同じ。盲聾学校の統一単価同じ。警察官の統一単価同じ。扶養手当について、義務制側はちょっぴり、十何円というものが上がっておる。ところが、ほかの一般公務員は、全部昨年と同じ単価を使ってある。これは扶養手当であるから、給与のごとき大きな問題は起こらないと思うけれども、その理由をまず聞かしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/48
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049・奧野誠亮
○奥野政府委員 扶養手当を計算いたしますにつきましては、従来の実績から、一般職員でありますと、職員一人当たり幾らになっているかという数字があるわけであります。何人の扶養親族をかかえているか、こういう数字があるわけでございます。従いまして、それに基づいてこの手当額を算定しているわけでございます。三十七年度の地方財政計画を作るにあたりまして、義務教育関係の部分につきましては、義務教育費国庫負担金を基礎にして財政計画を立てるようにしておるわけでございます。義務教育の職員の全体におきまして、若干扶養親族の員数が、誤差程度のものでございますが上がってきておりますので、それにあわせて数字を作ったわけでございます。その関係で、全体的には動いていないけれども、義務教育関係のものだけが動いているということになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/49
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050・川村継義
○川村(継)委員 第二点としてお聞きしておくことは、当初お尋ねしました学校の教育費の単位費用の積算基礎についてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。ことしは小学校、中学校ともに、あるいは学校数において、児童数、学級数等の費目において相当の引き上げがなされておりますが、多分これらは説明にもありましたように、各種の消費的経費の事業にかかわるような費目、そのほか建物維持、建物修繕、そういうような単位費用を見込まれて増額されたと思うのでありますけれども、ちょっとそのワクを聞かせていただきたいと思う。その第一は、この算出をなさる場合の、つまり学校数において経費総額は先ほど訂正がありましたように、三十六万四千四百三十五円と出ておる。この中身は、学校経費の消費的経費の部分と投資的経費の部分とが含まれておると思います。その三十六万四千四百三十五円の中に、学校経費の積算において、消費的経費は幾らと見ておられるか、それを聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/50
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051・奧野誠亮
○奥野政府委員 先ほど御指摘になりましたように、ミスプリントがあって大変恐縮に存じます。今お話のあります税外負担解消ということで考えて参りました小中学校の経費の増額分、これは七十七億円になっておるわけでございますが、中身で申し上げますと、小学校関係では四十九億円で、全部いわゆる消費的経費でございます。一番大きいのは建物修繕費の増額で、二十七億余りになっております。その次が物件費の増額で、これが約十億円になっております。それから建物維持費の増額が七億足らず、それから給食婦の給与単価の是正で六億円足らず、合わせまして四十九億円くらいになっております。中学校の場合には、建物修繕の増額が十八億円、それから物件費の増額、建物維持費の増額がともに五億円程度でございます。合わせまして約二十八億円こういう数字になっております。そのほか消防費、高等学校費を若干動かしておりますが、小中学校におきましては、そういう経費で増額をはかっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/51
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052・川村継義
○川村(継)委員 私がお聞きしたいのは、積算されました中身について、たとえば昨年度、学校数の単位費用が二十八万一千八百五円と出ておる。この二十八万一千八百五円の中には、学校経費にかかわるものの、いわゆる消費的経費といわれる部分と投資的経費といわれる部分のそれが含まって、二十八万一千八百五円と出ているはずです。同様に、今年単位費用が三十三万六千二百十円と出ておりますけれども、そのうちの消費的経費というものが幾らに積算されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/52
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053・山本悟
○山本説明員 本年度分の数字をちょっと手元に持っておりませんので、後ほど答えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/53
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054・川村継義
○川村(継)委員 積算の内容について、もう少し詳しく聞かせていただかなければ、私たちはPTAの負担軽減であるとか、あるいは準要保護児童経費を増額したとか言われましても、納得できないところもありますから、私が申し上げておきますから、この次ぜひその土台になる数字を知らせていただきたい。
その一つは、今申し上げますように、学校数の単位費用が三十三万六千二百十円と出ておる。これは昨年よりも相当のプラスであります。そのうちに、いわゆる学校経費にかかわる積算の消費的経費の部分について幾ら見ておられるか。三十六年度はこの経費を二十万四千四百十円と見ておられるはずです。ことしはこれを一体幾らに見ておられるのですか。そうなりますと、この中身であるところの給与費の問題、あるいは事業費と見られるところの通信運搬費の皆さん方の見方ですけれども、それがはっきりうかがえると思うのです。
それから第二の調べていただく問題は、学級児童経費、これが消費的経費の部分として幾ら積算しておられるか。三十六年度は百三十六万二千九百八十円と積算されておるはずです。それがことしは幾ら見ておられるか。そうしますと皆さん方がその積算をなさったときに、いわゆる消費的経費というものがどのくらいなのか。それから賃金、消耗品費、燃料費、印刷製本費、光熱費等々をどういう単価で積算されておるか。それを実際実情に合うように把握しておられるかどうかうかがえると思うのです。
第三の問題は、投資的経費にかかわる部分を一体幾らに見ておられるか。昨年は百二万八千九百五十四円見ておられるはずです。本年はそれを幾らに見ておられるか。
第四の問題は、学級児童経費にかかわる消費的経費の国庫支出金を幾らに積算しておられるか。ことしは教材費の変動やあるいは準要保護児童の教科書の単価の変動等がありますから、それらを正しく計算して下さっておるかどうか、それをお聞きしなければなりません。それからいわゆる投資的経費にかかわる分の国庫支出金の積算の問題、これが第四点。これだけをお示しいただくならば、中学校の部分についてもお答えが出ると思います。よろしゅうございますね。
それからもう一つ、その次に、これもお聞きしておきますけれども、これも一つぜひ調べておいていただきたいと思いますが、この前の給与改定に伴いまして、単位費用の改定が臨時国会においてなされた。そのときに皆さんがわれわれに渡されましたその改定の一つの資料として、市町村分の戸籍住民登録の単位費用改定があります。その中にその事業費というものが、内容が省略してある。ところがその事業費のいわゆる旅費やら、賃金やら、消耗品費やら、これが全く改定されておらなかった、もちろんあのときには給与改定だけでありましたけれども、それが改定されておらないので、こういう安い単価で実際やれるかどうかというようなことを意見として申し上げたはずであります。そこで一つの例として、この今の戸籍登録の単位費用を積算された場合に、事業費として中身が消耗品費あるいは印刷製本費、通信運搬費、そういうものをどういうふうにして、どういう単価で積等されたか。たくさん、全費目あるわけですが、これを一つお聞きすると、大体ほかの方は推測できると思います。それを一つ調べておいていただきたい。
それから、その次にお伺いしておきたいことは、これはおわかりいただけると思いますから、ちょっと財政局長の方で答えていただきたいと思いますが、今度の交付税の需要額の増加見込みを調べられて単位費用に関する問題を処理なさった。その単位費用の調べを見ますと、都道府県分の教育費の高等学校の生徒数の分において大きく減額をしてある。それは一体どういう理由なのか。これは推測してみると、高等学校生徒急増対策費として別途単位費用を求めてあるから、それと相殺をして、高等学校の生徒数にかかる単位費用というものはこんなに大きく減額をされたのか。同様に市町村分についても、同じような問題が考えられるのですが、その点ちょっと今ここでお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/54
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055・奧野誠亮
○奥野政府委員 数字に関します問題につきましては、あすの委員会までにむしろ資料で提出さしていただいた方がはっきりすると思います。なおその際に、御指摘のありました国庫支出金等につきましては、全部三十七年度の国の予算案の数字を使っておりますので、従いまして、教材費等につきましても、単位費用の基礎も引き上げておるわけでございます。また戸籍住民登録費を基礎にして、事業費がどうなっておるかというお話がございましたが、これも資料として提出しております中で、人当庁費をどういう計算でやっておるかということを資料の十三ページにお示ししているわけでございますが、一人当たり市町村分は、光熱水費、印刷製本費等合わせまして八千円と書いてございます。この八千円が、従来の統一単価では三千九百円程度であったわけでありまして、大体二倍程度に上げてあるわけであります。それらの点につきましても資料として提出いたしたいと思います。
なお、高等学校の生徒数を測定単位とする部分の単位費用が大幅に引き下がっているではないかという御指摘でございます。これはその通りでございます。その通りでございますが、従来高等学校の経費は、教職員の給与費も全部生徒数で測定しておったわけでございます。ところが、昨年、高等学校の設置それから適正配置及び教職員定数の標準に関する法律でございますが、この法律ができ上がりまして、高等学校の教職員の定数の標準も立法化されたわけでございますので、従いまして地方団体の高等学校の経費の中で、教職員の給与に関します部分は、この法律からはじき出されます定数、これを基礎として測定するように変更したわけでございます。従いまして、高等学校の経費につきましては、測定単位が、従来は生徒数一本でありましたのを、二つにしたわけでございます。教職員の定数と生徒数、二本で計算する。従って大部分のものは、教職員の定数で計算されるようになったわけであります。生徒数で計算されますのは物件費等でありまして、従って基準財政額全体はいささかも減額いたしておりません。ただ、今申し上げますように、二本立で計算するようになりましたので、生徒数の部分が自動的に減額になってくるわけでございます。いささかも減額しないのみならず、物件費の方で、建物の修繕費等を上げたわけでありますから、高等学校の従来の経費の部分につきましても十七億円程度増額になっておるわけであります。給与費はもちろんそれ以上の増額になっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/55
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056・川村継義
○川村(継)委員 今、事業経費等のうちの、いわゆる人当庁費の問題についてちょっとあなたはおっしゃったのですが、たとえば今度の単位費用を見てみると、市町村の道路費の面積にかかわる単位費用は、昨年の十円二十七銭から十円六十二銭に上がっている。ただし都道府県分については大幅に上がっているが、市町村分については十円六十二銭、これは三十何銭かの増額にしかなっていない。そうすると今あなたのおっしゃったように、人当庁費八千円ということになれば、これくらいの単位費用の積算では不都合を来たすのではないかと思います。
そこでお尋ねしておきたいことは、市町村の八千円という人当庁費は、これは一人当たりの年額でありますが、これは八千円まるまる一人当たりと見込んでいくのですか、あるいは費目によっては食糧費を落としたり、光熱水費を落としたり、そういうこともあって積算しますか、積算する場合には全部八千円と見て積算しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/56
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057・奧野誠亮
○奥野政府委員 職員費につきましては、全部この統一単価を使っておるわけであります。年々一定の職員数をその単位費用の基礎の中に予定しておるにかかわらず、適宜改定するものがあったり改定しないものがあったりするようなことはいたしておりません。全部一定の方式でやっております。
道路につきましては、国の道路整備五ヵ年計画、これの年次割に並行して基準財政額を増額していくという考え方をとっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/57
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058・川村継義
○川村(継)委員 そうしますと、この人当庁費の市町村八千円、あるいは都道府県の一万七千四百円全額見て、それを単位費用の中に積算をしていくということになりますと、昨年の積算の場合にもずいぶん疑問なところがあった。今年もその疑問が解消されていないと思いますから、このことはさらにあらためて聞くことにいたしますが、市町村の道路費は国の道路計画に従ってとおっしゃるのですけれども、あなたたちは、県のいわゆる道路費についての面積であるとか、延長であるとか、これについてはそのような考え方で十分単位費用を考えられたと思いますけれども、市町村については非常に軽視しておるように思うのですが、そういうことになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/58
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059・奧野誠亮
○奥野政府委員 国の道路整備計画そのものが一級国道に重点を置き、その次が二級国道、その次は主要地方道というようなことになってくることは事実でございます。その意味では、市町村の方は軽視されているということになります。やはり幹線道路を整備していくということになることは事実であります。従って基準財政需要額の算定にあたりましても、そういう方向で作業を進めてきておるということになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/59
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060・川村継義
○川村(継)委員 大臣、ちょっとお聞きしておきたいのですが、私たちが地方の自治行政を見るときには、やはり今、奥野さんが言われたように、国の道路整備計画に基づいて、あるいは国道とか主要地方道というものに重点的に国の力が及んでいくから、それをバック・アップするために、都道府県の道路費用の考え方というものを持っていくようにあなた方がいかれようとしていることはわかります。しかし一般の市町村の住民からいいますと、市町村の道路というようなものは、特にいなかのおくれたところでは大きな負担がかかりながら、これは大へんなことですよ。道路のめちゃめちゃなこと、そうして町村道を少し手をつけようとすると、その地元の住民に大きな負担を役場からぶっかけてくる。そういうことを考えますと、住民のしあわせ等々をいろいろ配慮していきますと、私は、もう少しあなたは、町村道の整備というものをやはりもっと強く考えられる必要があると思う。そういう意味からいうと、今度の道路費にかかわるこの単位費用の改定、面積の部分を見ても、市町村道の延長の単位の部分を見ても、微々たる単位費用の改定しかない。その多くは府県の単位費用の部分に非常に力が入っておる。一体、それでいいのかどうか、こういう問題が私は出てくる思うのです。これは一つ大臣から聞かせておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/60
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061・安井謙
○安井国務大臣 御承知の通りに、道路五ヵ年計画をやります際に、どうしても国、県道が中心になるという傾向は免れないかと思います。しかし五ヵ年計画そのものの中には、町村分の単独事業計画になる計画も入っておるわけでありますが、これの見方がアンバランスであるという今の御指摘も、これはそういうような傾向も確かにあろうかと思っております。今後その計画を見ていきます場合、十分そういった町村の単独事業に類するものに対する計画上の、五ヵ年計画の見方及び交付税の見方というものについても、配慮していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/61
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062・川村継義
○川村(継)委員 私はきょうは基本的ないろいろの御質問をあと回しにして、まずその土台となっております積算基礎等についての質疑を初めにいたしまして、お聞きしておきたいと思いましたけれども、お聞きの通りに自治省の方で手元に資料が十分ございません。後日に質問を譲らせていただきたいと思います。本日は提案理由の説明も行なわれるそうでありますからこれで打ち切りまして、保留させていただきたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/62
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063・園田直
○園田委員長 昨十四日参議院より送付されました銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/63
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064・園田直
○園田委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。安井国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/64
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065・安井謙
○安井国務大臣 ただいま議題となりました銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
銃砲刀剣類等は、その性質上人を殺傷する機能があり、往々にして犯罪の用に供される危険性がありますので、過去におきましても、危害防止の観点から、銃砲刀剣類等について、事態に即して必要な法的規制が講ぜられて参ったのであります。
ところが、遺憾ながら、最近において、銃砲刀剣類または危険な刃物を用いて暴力犯罪を犯す傾向が高まって参り、社会不安を引き起こしていると見受けられるのであります。
政府におきましても、暴力犯罪の根絶のため、総合的な施策を推進してきているところでありますが、その施策の一環として、銃砲刀剣類等の所持や携帯の規制に関する現行規定を整備しますとともに、警察官が銃砲刀剣類等の取り締まりをする場合の権限等につきまして現行法の中に明確な規定を設けることといたしたのであります。また、オリンピック競技大会の東京における開催を控えてこれに対処するため射撃競技用拳銃について一定の要件のもとにその所持を認めることとし、あわせて射撃場の指定に関する規定を整備する等の必要を認めましたので、この法律案を提出いたした次第であります。
次に、本法案の内容について御説明いたします。
その第一は、飛び出しナイフについて、これまで所持の禁止をしていなかった刃渡りが五・五センチメートル以下のものにつきましても、比較的危険性の少ない形状のものを除いて、その所持を禁止することといたしたのであります。
第二は、これまで拳銃は、法令に基づいて職務のため所持する者等のほかはその所持が認められなかったのでありますが、オリンピック競技大会等の国際的な規模で開催される運動競技会の拳銃射撃競技に用いられるものについては、それらの運動競技会を主催する社会教育関係団体から選手またはその候補者として適当であるとして推薦された者に限り、その所持を許可することとし、あわせて所持許可に関する手続及び許可を受けた拳銃の保管について規定をいたしたのであります。
第三は、銃砲刀剣類の所持許可の年令に関する基準を十四歳から原則として十八歳に引き上げるとともに、銃砲刀剣類の所持許可の申請がありました場合、申請者の同居の親族に、他人の生命、財産または公共の安全を害するおそれがある者がいて、その者がその銃砲刀剣類を使用して他人の生命、財産または公共の安全を害するおそれがあると認められるときは、許可をしないことができるようにし、また、一たん許可をした後にこのような事情が生じて参りました場合にも、許可の取り消しができるようにいたしたのであります。
第四は、所持の許可を受けた銃砲を発射することができる指定射撃場についての規定を整備したのであります。すなわち、射撃場の位置、構造設備、管理方法等の基準を定め、その基準に適合するものを都道府県公安委員会が指定射撃場として指定することとし、基準に適合しなくなった場合には指定を解除することができるようにいたすほか、射撃場の指定に伴う必要な規定を設けたのであります。
第五は、武器製造事業者等銃砲刀剣類を製造し、または販売することを業とする者は、譲受人がその銃砲刀剣類を適法に所持することができる者であることを確認した場合または所持許可証を提示した場合でなければ譲り渡してはならないことといたしたのであります。
第六は、従来、業務その他正当な理由がある場合を除いて携帯することを禁止されていましたのは、あいくち類似の刃物となっておりましたが、今回このあいくち類似の刃物にかえて、原則として刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物とし、携帯禁止の対象となる刃物の範囲を広めるとともに、その概念を明確にすることといたしたのであります。
第七は、警察官は、銃砲刀剣類等を携帯し、または運搬している疑いのある者が他人に危害を及ぼすおそれがあると認められるときは、銃砲刀剣類等と疑われる物を提示させ、またはそれが隠されていると疑われる物を開示させて調べることができることとし、また、現に銃砲刀剣類等を携帯し、または運搬している者が他人に危害を及ぼすおそれがある場合に、その危害を防止するため必要があるときは、それを提出させて一時保管することができることとし、あわせてその一時保管の手続について規定いたしたのであります。
以上が、改正法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/65
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066・園田直
○園田委員長 以上提案理由の説明は終わりました。
なお、本案についての質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/66
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067・園田直
○園田委員長 次に、同じく昨十四日参議院より送付されました質屋営業法及び古物営業法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/67
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068・園田直
○園田委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。安井国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/68
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069・安井謙
○安井国務大臣 ただいま議題となりました質屋営業法及び古物営業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
現行質屋営業法は昭和二十五年五月に、古物営業法は昭和二十四年五月に、制定されたものでありまして、いずれも、営業における物品の取り扱いを公正にして、盗品の流れを阻止するとともに、その発見を容易し、もって利用者、被害者等の保護をはかり、同時に、犯罪の防止を効果的ならしめることを目的としているものであります。以来、今日まで十数年を経過したのでありますが、御承知のように、これら営業法制定当時における社会的経済的諸事情と今日におけるそれとの間には相当の隔たりが認められ、しかも、それらの事情の変動は、質屋及び古物商の営業の実態面にも少なからぬ影響をもたらしつつあるところであります。政府におきましても、この間の事情を慎重に検討いたしました結果、最近におけるこれらの営業の実態に即応するよう営業に関する規制の合理化をはかる必要を認めましたので、この法律案を提出した次第であります。
次に、本法案の内容について御説明いたします。
最初に、質屋営業法の改正点について申し上げます。
第一に、盗品または遺失物の回復について定めた質屋営業法第二十二条の規定は、質物たる有価証券についても形式的にはその適用が及ぶことになっているのでありますが、法第二十二条の基本となる民法の関係規定は、有価証券をその対象としておりませんので、それとの均衡をはかるため、この改正案におきましては、民法第百九十四条の特例である法第二十二条の規定の対象から有価証券を除外することといたしたのであります。
第二に、従来、質屋営業の許可証は、交付を受けたときから三年ごとに更新を受けなければならないとされていたのでありますが、質屋は、営業の実態から見ても営業内容の変更が比較的少ない業態でありまして、今後、なお、この制度を存続させなければならないとする実質的理由は乏しいと認められますので、この制度を廃止することといたしたのであります。
第三に、従来、流質期限は、一律に三月未満の期間をもって定めてはならないこととされていたのでありますが、この改正案では、質置主が物品を取り扱う営業者であり、かつ、その質に入れようとする物品がその取り扱っている物品であるような場合に限り、流質期限を一カ月まで短縮することといたしたのであります。一般的に申しまして、これらの者と質屋とは、その経済的地位において特に差異があるわけではなく、流質期限の短縮を認めましても、質置主の保護に欠けるおそれも少なく、また、一面におきましては、そうすることかかえって質置主の利便をはかることになるとも考えられるからであります。
第四に、従来、質屋は、質置主または質物の受け取りについて正当な権限を有することを証するに足りる資料を呈示した者以外の者に、質物を返還してはならないこととなっていたのでありますが、相手方が質物の受け取りについて正当な権限を有する者であるかどうかを確かめるための方法及び質屋が質物の返還について負うべき責任の範囲に関する規定がありませんので、質置主及び質屋のそれぞれの立場を考慮いたしまして、この改正案におきましては、質屋は、総理府令で定める方法により、相手方が質物の受け取りについて正当な権限を有する者であることを確認した場合でなければ、質物を返還してはならないこととするとともに、質屋がこの義務を履行して質物を返還した場合には、原則として、正当な返還をしたものとみなすことといたしたのであります。
次に、古物営業法の改正点について申し上げます。
従来、古物商、市場主、行商、露店またはせり売りの許可証は、交付のときから三年ごとに更新を受けなければならないとされていたのでありますが、営業内容の変更が比較的少ない古物商及び市場主の許可証については、質屋の場合と同様に、この更新に関する規定を削除することといたしたのであります。
また、せり売りは、元来そのつど許可を受けるのが建前でありますから、許可証を更新する制度は適当でないと考えまして、せり売りの許可証の更新の建前についても、あわせてこれを廃止することといたしたのであります。
以上が、改正法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/69
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070・園田直
○園田委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。
なお、本案についての質疑は後日に譲ることとといたします。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02019620315/70
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