1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月二十三日(金曜日)
午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 園田 直君
理事 金子 岩三君 理事 渡海元三郎君
理事 丹羽喬四郎君 理事 太田 一夫君
理事 阪上安太郎君
伊藤 幟君 宇野 宗佑君
小澤 太郎君 亀岡 高夫君
久保田円次君 田川 誠一君
津島 文治君 山崎 巖君
川村 継義君 二宮 武夫君
松井 誠君 山口 鶴男君
門司 亮君
出席政府委員
警察庁長官 柏村 信雄君
警 視 監
(警察庁刑事局
長) 新井 裕君
警 視 監
(警察庁保安局
長) 木村 行藏君
委員外の出席者
警 視 長
(警察庁刑事局
参事官) 町田 充君
警 視 長
(警察庁保安局
保安課長) 小野澤知雄君
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三月二十二日
農耕用軽自動車税の免税に関する請
願)(八木徹雄君紹介)(第二七一七
号)
国民健康保険団体連合会職員の地方
公務員共済制度加入に関する請願
(島本虎三君紹介)(第三〇〇七号)
大衆飲食に対する料理飲食等消費税
軽減に関する請願(西村力弥君紹介)
(第三〇〇八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改
正する法律案(内閣提出第四二号)
(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/0
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001・園田直
○園田委員長 これより会議を開きます。
銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を行ないます。通告がありますので、これを許します。二宮武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/1
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002・二宮武夫
○二宮委員 今回の法律の案文を見て参りますと、非常に小さな凶器と申しますか、わずか五・五センチ程度の飛び出しナイフというようなものの所持を禁止する、こういうようなことで、非常にこまかいところに配慮が行なわれておるように思うわけでありますが、この際私は現在社会的に起こっております犯罪の中で、非常に小さい方向に法律というものの案文が進んでおりますけれども、実際いま少し凶悪な事犯というものが多いのじゃないか、こういうふうに感ずるわけなんです。
そこで、刑事局長がお見えでございますからお聞きしたいのですが、近ごろ警察官の持っておるピストルに対して非常に魅力を感じて、警察官を襲ってピストルを奪おうとする事件というものが非常に多発しておるというような状況があると思うのですが、昨年度中にそういう事件がどの程度ございましたか、あなたの方で統計がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/2
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003・木村行藏
○木村(行)政府委員 警察官の所持いたしております拳銃の盗難、紛失状況についてお答え申し上げたいと思います。
昭和二十九年の七月一日から昭和三十六年の十二月末日までの約八年間の状況でありますが、それによりますと奪取されました数が三十六丁でございます。それから窃取されたものが三十九丁でございます。それから消失、紛失あるいは遺失したものが六十八丁でありまして、全体で百四十三丁ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/3
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004・二宮武夫
○二宮委員 昨日もちょっと質問したのですけれども、別府で起こりました現職警官が勤務中に何者かに拉致されたというこの問題について、当初警察当局はピストルがほしいからやったのであろう、こういうような観測を立てて、捜査の方針をそういう方向に置いて捜査開始をやったわけです。しかしながら途中において——現在とのような方向に展開しておるかということは、私どもあまりよく承知しておりませんけれども、今、保安局長の御答弁になりましたととろのピストルの数というのは、いわゆる国の装備の中から警察官が持っておるピストルが奪われたものの数であります。ところがその現職警官が拉致されて扼殺されたという事件について、ピストルがほしいのに人一人を殺すほどのこともないじゃないかという問題が、途中で大体捜査の人間の中から起こって参ったのであります。と申しますのは、現職警官が持っておるピストルを奪うということも一つであるけれども、ピストルというものはいま少したやすく手に入る。人の命を奪わずとも、やみでもって相当安い値段で入るじゃないか、人の命を犠牲にするほどのこともないじゃないが、一丁ぐらいのピストルを取るのに、こういうような世論が出てきておる状況でございます。
そこで私どもとしては、わずかに五・五センチの飛び出しナイフというものが問題になるほど、この法案はやや神経質になっているような法案でございますけれども、ピストルというものがどのような方面から、どのような経路で入手されてくるのか。現職警官の持っておるのは、今木村保安局長の説明でわかりますけれども、それよりほかに、非常に凶悪犯罪を誘発するところのピストルというものは、国内に相当数結局やみルートでもってあるのじゃないか、こういう気持がするわけなんです。これらの情勢について関係責任者の御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/4
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005・木村行藏
○木村(行)政府委員 お答え申し上げます。
念のために、御理解いただくために先ほどの点で若干補足申し上げたいと思いますが、先ほど約八年間の百四十三丁、奪取、窃取あるいは消失等の総数を申し上げましたが、そのうちで、その後いろいろ捜査その他の関係で回収し得ましたのが百十五丁ございますので、従って差引、未回収というのが二十八丁でございます。未回収のものの内訳を申し上げますと、消失が大部分でありまして、消失が十八丁、それから紛失、遺失が九丁、いわゆる奪取、強奪されたというのが一丁でございます。
それから、ただいまの御質問にお答え申し上げますが、警察におきましては特に拳銃の不法所持事犯の取り締まりに非常に重点を置いておりまして、あらゆる場合に拳銃の隠れておるのを顕在化して、その所在をはっきりするということに非常に努めておるわけでありますが、特に拳銃の顕在化いたして参りましたものにつきましては、必ずその出所をとことんまで究明して参りたいということで、出所の究明に非常に力を入れております。
その状況を申し上げますと、三十五年中におきますところの犯罪検挙に伴いまして押収いたしました拳銃が三百八十九丁ございます。約三百九十丁でございますが、その内訳を申し上げますと、自己所持というのが七十八丁でございます。自己所持と申しますのは、戦前から所持が許可されておりました民間人の終戦当時の自己所持というのが基盤になっておりますが、これが七十八丁でありまして全体の二〇%、それから駐留軍関係からの流れて参りましたのが七十一丁でありまして、これが一八%、それから旧軍人関係では四十五丁でありまして一二%、それから手製すなわち本人がみずから作った手製というものが三十五丁でありまして九%、それから拾得発見、これが十三丁で一二%、それから輸入ということで参りましたのが二丁、これは一%、その他百四十五丁でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/5
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006・二宮武夫
○二宮委員 刑事局長お忙しいのにおいででございますので……。昨日ちょっと答弁をお願いしました現職警官がパトロール中に何者かに拉致されて、その持っておる装備そのものが奪われた、しかもいまだに夫検挙である、こういう状況なのでございますが、それは当然そのピストルをもって他の犯罪を犯すおそれがあるということを非常に懸念をしておるわけなんです。これについてのその後の捜査の実況というのは、一体どのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/6
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007・新井裕
○新井政府委員 先月の十一日の日に、別府の後藤巡査がお言葉のようにおびき出されまして、十七日に死体になって発見されたときには、ピストルのほか制服その他ほとんど装備のすべてをとられておったという事例でございますが、先ほどのお言葉の通り、ピストル一丁ほしいのに人を殺すというのはあまりにも手段と目的が権衡を失しているじゃないかという想像も一応なされるのでありますけれども、今までこういうおびき出されまして拳銃をとられそうになりました事例は、私の記憶しておるものでも数件ございますけれども、いずれも不成功に終わっておるわけであります。そのほかは、成功したのは警視庁の管内で、十年ほど前に練馬でやはりおびき出されまして、これは拳銃を奪われたわけであります。それ以外はあまりそういう例がないわけであります。しかしそのほかにも、たとえば同じく警視庁の管内で、万世橋の署の交番に地理を尋ねるような顔をして来た少年が、やにわに巡査を刺しまして拳銃を奪おうとした例がございますので、必ずしもそういう想像を全部捨て去るということはできない、やはり拳銃ほしさということも一つの想定において実は捜査をいたしておるわけであります。もう一カ月余もたちまして、いろいろ新聞にも真犯人がつかまったとか自供したとかいうようなことが報道されましたが、いずれも残念ながらうその自供でございまして、今まで調べましたものは全部白になって参りました。大へん残念なことではありますけれども、今ちょうど中盤の難所みたいなところにとりかかっておりまして、基礎捜査が依然として続いておる状況でございます。ただ比較的、大分の県民も非常な関心を持っておりまして、投書、申告等が非常にございまして、大体巡査がおびき出される前後の状況、それから自動車に乗せられて運ばれたと思われる状況、これらについて一応の筋書きは想像できる程度にはなっておりますけれども、全然見当はまだつかないという状況でございます。それから拳銃のみならず装備一切を取ったというところに、何か個人的な怨恨でもあったのではないかということも一応想像されるのでありますけれども、この巡査は結核で相当長く休んでおりましたし、体が弱いということであり、また大体拝命以来外勤ばかりやっておりまして、特に仕事の上で恨まれるということは考えられない、また私生活の上でもそういう点は考えられないというので、個人的な怨恨というものは今のところはほとんど考えられないのでありますけれども、それも捜査の一つの線として考えておるわけであります。いずれにいたしましても、そういうことで手段と目的の権衡を失していやしないかという先ほどの御指摘でありますけれども、私どもは、一応は拳銃がほしくてやって、裸にして死体を処分して置けば、発見が非常におくれるであろうということを犯人が考えたというふうにも想像されますので、やはり中心はそういう装備のほしさということに捜査の線は置いておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/7
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008・二宮武夫
○二宮委員 長官にお尋ねいたしますが、今のような、一カ月余り費やして、なお一体どのような状態で行なわれたのか、その犯罪の実態さえもとらえられないという状態ですが、現実には巡査そのものは死んでおる。そうして家族は主人を失っておるわけです。ところがこういうものに対しては、一体これが連れ出された者と共謀で何らかの問題をやったのか、あるいは非常に暴力をもって連れ出したのに対して、抵抗しながら殺されたのか、そういう判定が非常にむずかしいというと、この死んだ巡査に対するところの援護の措置というのは、どれを一体適用していいのかという問題について非常に困るじゃないか。具体的にはすでに家庭が、非常に県民の皆さんからはあたたかい同情があるにもかかわらず、一体これに対して、警察官としての職務上どのように援護していいのかということの問題については、明快な態度が打ち出せないという今の実態なのでございます。これに対しては一体どのようにお取り扱いになるようなお考えですか、その点一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/8
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009・柏村信雄
○柏村政府委員 ああいう状態になりまして殺害されておるということがまことに気の毒なことは事実でございますが、これに対してやはり公的な援護をするということになりますると、事態を十分に解明したあとでなければ、軽率にはできない問題だと存じます。従いまして、今、刑事局長から申し上げましたように、鋭意事態の解明に当たっておるということでございまして、それまではやはり公的な援護という問題については、直ちにこれを実施するということはできないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/9
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010・二宮武夫
○二宮委員 これはできるだけ早く問題を解決することをわれわれも期待をしておるわけでありますけれども、しかしながら、問題はなかなか困難をきわめておる捜査状況のように承っております。そうしますと、この問題については、たとえばその後一年なり未解決のままで進むという問題も考えられるわけでございますが、これは私も法文を十分読んでいないのですけれども、そういうふうに事態がずっと遷延をしていったという場合に、公的援助ができないということになりますというと、そういうところに対する措置はどのような措置をとるようになるわけなんですか。これはおそらく法文には明瞭になっておるだろうと思うのですけれども、ちょっとお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/10
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011・新井裕
○新井政府委員 私からお答えするのはちょっと筋違いでございますけれども、事件が事件でございますのでお答え申し上げますが、先年石川県でやはり巡査がおびき出されまして殺されました。ピストルは無事だったのですけれども、結局犯人をつかまえてみたら、ピストルほしさにやったという事例がございましたけれども、これは半年かかりまして、捜査が成功いたしまして、犯人を検挙した事例がございますので、私どもは、一カ月たちましたけれども、全く放棄せずに、依然として熱意をもってやっておりますので、遠からず何とか解決したいという意気込みでございます。その間の公的な援助という御質問でございますけれども、これは共済組合法に基づくもの、あるいは恩給法に基づくもの、これらはそういうことと何ら関係なく支給はされるのでございます。問題は、おそらく御指摘のものは、賞恤金あるいは功績賞というような問題だろうと思うのでありますけれども、この石川県の場合、私ちょうど人事課長をしておりまして、今二宮委員の御指摘のように、かわいそうじゃないか、こういうのでありますけれども、死んだ状況がわからないままでは何ともできない、やはり死者の霊を慰める第一のことは、犯人を検挙することだということで、大へん心を鬼にしたようなことを申しまして、半年後に状況もわかり、功績賞も贈り、賞恤金も贈ったという例がございます。功績賞、賞恤金の問題は、おっしゃいますように、どうも状況が明らかになるまでは何ともいたしかねるのでございますけれども、そのほかの給与として当然受けるべきものは受けておるわけであります。また、おそらく生活問題につきましては、署長以下心配してやっておるものと想像をいたしておりますけれども、せっかくお言葉もございましたので、よく現地にもその事情を聞いて、遺族の困らないようにさせたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/11
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012・二宮武夫
○二宮委員 ピストルほしさの事件であるということも一つの線として考えるということなのですが、問題は、別府という特別の社会事情というものが一つの犯罪を生む情勢にあるのではないか。これは御承知のように、以前にも暴力団のなぐり込み事件があったところなのです。同時に、関西方面の暴力団というのは、やはり福岡を根拠にするということが非常な一つの魅力でございます。まず福岡を乗っ取れというのが関西における暴力団の合言葉になっておるような状況でございます。別府で少々警察の手入れが始まりますというと、それらは全部博多に流れ込んでいく、こういう事態になるわけであります。これらのものと別府との結びつきは、やはり十分に考えなければならぬ線であろうと考えるわけでありますが、戦後、別府における石井組であるとか、あるいは福岡の東中洲における殺人事件とか、結びつけるにあまりおかしくないような問題が非常に起こってきておる状況でございます。そこでこれは、その点についてこのように非常に小さく暴力の犯罪を阻止しようという気持がある法律案でございますから、関連してお尋ねいたしますが、博多における暴力団の一つのグループといいますか、これらの問題をどのように把握をしておるかということが、私は治安維持の上から非常に重大問題ではないかというように考えるわけですが、こういう事態、こういう大きな問題を取り除いて、わずか五・五センチに目をつけるということよりも、それも必要であろうけれども、なお社会情勢の動きなりあるいは暴力団の動きというものについて、十分に御注意を払っていただいておると思いまするけれども、それらの問題を把握しなくては、今起こっている問題についての解明もなかなか困難ではないか、あるいはこういう法律を作りましても、なかなか実施上実効を上げ得ないのではないかというような気がするわけなんですけれども、このいわゆる博多を乗っ取れという合言葉の福岡における暴力団の実態というものを、どのように把握しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/12
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013・新井裕
○新井政府委員 福岡県だけをとった資料というのはちょっと持ち合わせておりませんので、大ざっぱなことしか申し上げられませんけれども、御指摘のように、全国的に暴力団の状況を見ますと、西の方が経済的あるいは社会的な基盤が強固でございまして、東よりはよほどそういう点ではわれわれの今後の取り締まりの手を伸ばす面が多いと思います。ただ、全般的に申しますと、年々暴力団を把握する数はふえて参りまして、現在警察で、全国では約十六万名の者がわれわれの把握しておる対象になっておるわけでありますが、そのうち九州——私はむしろ九州というよりも瀬戸内海沿岸というものに社会的な意味があるような感じがするのでありますけれども、瀬戸内海沿岸の暴力団というものは相当強力でございます。社会的にも相当強い力を持っております。これらのものにつきまして十分な取り締まりをしていかなければならないと思っておりますが、御指摘のように、福岡に神戸から進出した例がございまして、これがけんか、出入りを起こしまして、その復讐のために二月の初めに、情報によりますと二百名から三百名の者が兵庫県から乗り込んだということでございます。これが兵庫県からの通報でわかりまして、二月八日に約百名の者を逮捕いたしたわけでありますが、これはわれわれの今までの努力が一つ実を結んだ例だと思っております。従いましてこの後藤巡査のこととの関連を地元でもずいぶん心配しておるようでありますけれども、二月八日にそういうことで芽をつみ取ってしまいまして、御指摘の石井組の組長も指名手配をして、その後つかまえております。八日の日には、ともかくそういうことで完全な取り締まりを実施したあとでございますから、十一日の事件がこれと関連しているというふうにはちょっと考えられないのであります。しかし暴力団が全然それに関係していないかということになりますと、この線はやはり捨てがたい線として、依然として捜査を続けている状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/13
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014・亀岡高夫
○亀岡委員 関連して。新井刑事局長お急ぎのようでございますので、一点だけお伺いをしておきたいと思います。
十四才以上、十八才以下も、現行法では空気銃、あるいは散弾銃を持つことを許可されているわけですが、その事故の状況ですね、最近の総数と事故の年次別の、どういうふうに起こっておるかということを、一つ御説明願いたいと思います。もし手元になければ、あとで資料として出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/14
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015・木村行藏
○木村(行)政府委員 資料がございますので、後刻資料として差し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/15
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016・門司亮
○門司委員 ちょっと関連してこの機会に聞いておきたいと思いますが、今ピストルの問題が出ましたが、警察官が不要なものを持っておるから、ピストルをほしさにいろいろな危害を加えられる実例がときどき出てくるわけです。従ってその警察官の持っておるピストルについては、考える必要がありはしないか、全部の警察官が、常時ピストルを持っていなければならないという必要はないのではないか、あのピストルの使用を許しておる範囲というのは、凶悪犯罪であって、そうして警察官自身の生命に危害を加えられるというような場合にのみ使用されるのであって、今日ではおそらく威嚇発射も禁じておるはずであります。そうなってきますと、ピストルというのは一体何のために四六時中ぶら下げて歩いておるかということであって、この問題は少し警察は考えたらどうかと思う。ただピストルをぶら下げて歩いておるということだけで民衆を威嚇するというなら別でありますが、しかし今日の警察は威嚇警察であってはならない、やはり民衆に親しまれる警察であるとするならば、イギリスの警察官のように警棒だけで事は足りるのではないか、この点を警察側としてどうお考えになっておるか、もしお考えがあるなら、一つこの際聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/16
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017・柏村信雄
○柏村政府委員 警察官に拳銃を持たせるようになりましたのは、たしか昭和二十四年からであったと思います。今お話のように、全警察官に常時拳銃を持たせることが適当であるかどうかということは、確かに検討に値する問題であると思いまするけれども、最近のような社会情勢からしまして、いつ何どき、どういう事態に対処しても、よくその責務を行ない得るというためには、やはり警察官として原則的には拳銃を持たせておくのが至当であろうというふうに、私は考えておるわけでございます。しかしながら、今お話のございましたように、それではすべての警察官にそういうととが必要であるかということになりますと、必ずしもそうではないのではないかということで、しかもただいまお話のございましたように、いろいろ事故も起こっておるわけでございますので、一つには不必要な場合に拳銃を持たせないようにするということを考えなければいかぬ。それで、たとえば交通警察とかあるいは出勤、退庁の通勤時、それから内勤の場合あるいは会議出席というような場合には、できるだけ拳銃を持たせないようにする。それからまた拳銃の保管につきましても、できるだけ集団保管と申しますか、そういうようなことを考えまして、これは拳銃を持っておることは、警察官自体にもやはり非常な負担でございます。そういう意味から警察官の負担を軽くするという意味においても、集団保管というようなことを考えておるわけでございます。ただ原則的には、やはりいついかなることにも対処し得るような態勢というものが、やはり警察官になくてはならないということで、原則的にはやはり拳銃を持たせるという態勢で今後もいきたいと思います。ただ将来の問題としまして、拳銃がいいのかあるいは別な道具がいいのかというような問題については、さらに検討する余地はもちろんあると思いまするけれども、今のところは、原則的には拳銃を持たせるという方針をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/17
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018・門司亮
○門司委員 今聞いていますのは、ピストルを持っているということで、さっき話しましたように、警察官の使用の範囲から言えば制限を受けておって、実際には大して使わない。そのことのために警察官が災難にあう、殺されるというようなことは、これは少し考える必要がありはしないかと思うのです。常時大して必要ではない、また持たなければならないほどのものではない。しかしそれを持っていることによって命を奪われる、あるいは傷害を受ける、そうして相手方の手に渡ればそれが凶器になる。考え方によっては警察官が持っていなければ、そんなことはないのではないか、警察官も災難を受けることもなければ、凶器が凶悪犯罪人の手に渡ることもないのではないかという議論が一つ出てくると思います。この点は真剣に考えてもらいたいと思います。そうして警察が威嚇の立場を捨てて、ほんとうに親しみのある警察になることのためにも、これは検討することが必要だと思う。それから
もう一つの問題は、現行の警察官の持っておるピストルに二種類あると思います。コルトとそれからSWというのですか、八ミリ口径のものを持っておるはずでありますが、この大きい方の拳銃は人を殺すに十分な性能を持っておる。私は警察官の持っておるピストルというものは人を殺すための十分な性能を持っておるものでなくてもいいのではないか。小さい方で間に合うのではないか。何も犯人を射殺しなければならないというような大きな事件というものは、ほとんどないと思う。やはり警察の立場とすれば、あくまでも相手の行動力をある程度そいでこれを逮捕するというのが、私は警察の仕事だと思う。これは戦争じゃないのですから、兵隊さんじゃないのですから、人を殺さなければならぬという理屈はどこにもないはずです。戦争だって何も人を殺さなければならぬというととはどこにもないと思う、相手方の戦闘力だけをそげばいい。そういうことから考えるならば、今の警察官の持っておりまする多くの拳銃につきましては、その辺も一つ警察は考えたらどうかと思うのです。そうすれば、警察官の持っているピストルをねらうというような人間も少なくなるのではないか。またこれが実際に奪われて、それが犯行をかりに犯すとしても、殺人まではいかないのではないか。どうも私自身は、警察官の持っているピストルを見ると、何だか非常に危険があるものというような感じがするのですが、今二通りのピストルを警察官が持っているが、その大きい方のピストルについてはやめたらどうかと思うのです。小さい方ならそう大して目にもつきませんし、かりに持っておったとしても、そんなに大きな魅力を相手方に与えないと私は思う。こういう点にもしお考えがあるならお聞かせ願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/18
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019・柏村信雄
○柏村政府委員 第一の御質問、御意見と申しますか、ねらわれることが多くてあまり使う機会がないのではないかということにつきましては、確かに使う機会は非常に少ないのでございますが、世間で問題になりますあるいは新聞に出ます問題は、ねらわれたとか取られたとかいうことが問題になるのでありまして、拳銃を持っていることによって与えておる影響と申しますか、かりに拳銃を持っていなければ別な襲撃というものが加わる場合もありましょう。そういうことで、拳銃による効用という問題は、使った場合だけでなしに、やはり私はあると思うのであります。そういう意味から、単に拳銃がねらわれるマイナス面だけを考えていくことは、必ずしも妥当でないのではないかというふうに私は考えるわけでございます。
それからまた拳銃の大型のものか適当でない、これは確かにもっと軽く軽便なものが私はよかろうと思います。しかしこれは二十四年に使ったときには、実はアメリカから貸与されたもので、それが基盤になっております。そういうようなことで、財政上の問題もございまして、大きいものをかなり使っておるわけでございます。大体拳銃というものは、ほんとうに使えば人を殺し得るものでございまして、小型であるから殺人にならないというような性質のものではないわけでございます。ただその技術の練度におきまして、これの使い方によって人を殺す場合もあり、あるいは行動を制約するということでいき得る場合もあるわけでございまして、必ずしも拳銃の大小によってその効果が非常に違うというものではないと思いますが、でき得れば大型のものは逐次やめていって、できるだけ小型のもの、これはそれを帯びる警察官の負担が楽になるわけでございますし、はたの見る目もまたよくなるわけでございますので、できるだけそういう方向に持っていきたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/19
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020・門司亮
○門司委員 ピストルの話が出たからもう一言聞いておきますが、さっきの統計の話をずっと聞いてみますと、ピストルが横に流れておる、あるいは検挙された数字の中でいろいろある。しかし問題になりますのは一番大型が七十幾つかあると言われた自家用のものですね、一体これは認可されているものかどうかということです。やみで持っておるのですか、どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/20
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021・木村行藏
○木村(行)政府委員 これは現行制度以前にかつて戦時中に認可されて合法的に持っておったものが大部分でありますが、しかし今日においてはやはり不法所持でありますので、違反になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/21
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022・門司亮
○門司委員 そうすると、これは自分で持っておると言っても、不法所持だという考え方でよろしいわけですね。ただ出所がどこから流れてきたかということだけであって、不法所持であったということに間違いない、そう解釈してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/22
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023・木村行藏
○木村(行)政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/23
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024・門司亮
○門司委員 それで、その場合に一番問題なのは、駐留軍から流れてきたものだと思います。これについてこの前国会に出たときも、あるいはずっと何年か前にもこういう質問をした記憶があるのでありますが、ことに私の住んでいる横浜などは、そういううわさがたびたび伝えられている。駐留軍が引き揚げるときに、金にかえていく、そして何かと取りかえるというような傾向が非常に多い。だからどんなに片一方を取り締まろうとも、そういうところから流れてくる。従って、これについて駐留軍関係に、何か日本の政府としては話をされたことがあるかどうか、あるいは置いていくな、必ず持って帰れ、横流しされては日本は迷惑だ、こういうようなことについて交渉された経過があったら一つ御報告願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/24
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025・木村行藏
○木村(行)政府委員 確かにそういう事情にありましたので、昭和三十三年の六月に警察庁長官から在日米軍司令官にあてまして、公文書で武器管理の厳正化と、それから不法所持の防止について厳重な申し入れをいたしました。それに応じまして、在日米軍内部におきましては、いろいろな手を打っているわけであります。また盗難その他ありました場合に、それが駐留軍関係から出ている、駐留軍関係から盗んだというような場合には、そのつど関係の県警及び警察署から厳重な連絡をいたしまして、いろいろな改善方を要望いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/25
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026・門司亮
○門司委員 もう一つピストルのことについて聞いておきますが、今のお話ですが、私は駐留軍にはもう少し厳重に交渉されて、そして駐留軍から横流しのないようにしてもらいたい。あとの問題は国内である程度私はこういう不法所持者に対してもあるいは横流れについても監視ができると思いますけれども、相手は常時持つことのできる身分にある連中ですから、これはやみで流すことはしごく簡単なんですね。そして彼らは流したからといって罰則はないですね、自分の所持品である限りにおいては。軍から借りているものなら別の話です。おそらく軍から借りている公給品じゃないと思います。彼らの所持しているものは私の品だと思います。そういうものを流しても罰則はない。こういうところに供給源がある、供給源と言うと少し言い過ぎかもしれません。従って、日本の規則で及ばないところに供給源というか、穴があいているということ、このあいている穴をどうしても何らかの方法で押えないと、この法律をこさえても実効があがらないと思います。従ってそういう点等についても、もう少し厳重に駐留軍等について一つ話してもらいたい。そして常時彼らの注意を喚起してもらいたい、そうでなければ、こんな法律をこさえても大した効果はな、というふうに思います。
それからついででありますから、もう一つ聞いておきますが、この前この法律が出ましたときに、非常に矛盾のあった、要するに狩猟免許関係との違いは今度は大体十八才ということに一応これを上げて、そして調整がとられたのでございます。しかしこれらの問題を万全を期していこうとするのには、一方においては文化財の問題が出てくる。文化財の所持者というものが必ずしもこれを横に流したり——これらの届けをしなければならないことに規則はできておりますけれども、あるいはそれが凶悪犯罪などに使われないとも限らない。ところがこれはこの法律の制限は受けない。文化財に指定されたものは、文部省関係の法律で委員会の承認を得れば、これは所持ができることになっておる。これらのかみ合わせというのはこの法律でどうなります。たとい文化財であっても、公安委員会にさらに届け出を要するとか一これはむろん届け出を要すると私は思います。文化財であっても刀剣であることには間違いないのですから、刀剣所持について届け出を要するのは当然だと考える。その辺の法的処置はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/26
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027・木村行藏
○木村(行)政府委員 ただいまお述べになりましたように、確かに登録刀剣は美術品としての価値があるということで、その価値判断のもとにおいて、それを公証するというような意味合いの登録でありますので、直接的な対人的な規制はなされておりません。しかし、やはりその登録刀剣を用いての傷害なり事件があり得るわけでありますので、従いまして現在の法的な建前におきましても、その登録刀剣がどこに所在しているか、こういう所在の確認をはっきりできる仕組みの現行法になっております。たとえば現行法の第十七条で、登録刀剣を譲り受けた、あるいは相続をした、あるいは貸付を受けた、あるいは保管の委託を受けたという場合に、それを文化財保護委員会に届け出をすることになっております。文化財保護委員会から都道府県公安委員会に通知をしていただきまして、そのつど動きに応じて所在が確認されていることになっているわけであります。しかし、それだけでも必ずしも十分でありませんで、数年前やはり登録刀剣を犯罪に悪用しているという実態がありましたので、昭和三十三年の法律改正で二十一条を設けまして、その二十一条で、第十条を準用いたしまして、この登録刀剣を携帯、運搬する場合には正当の理由がなくてはならないということで、正当の理由がない限りは運搬あるいは携帯あるいは使用の禁止ということをいたしておりまして、一歩前進いたしたわけであります。それからまた、その運搬や携帯する場合には、登録証を必ず携帯しなければいかぬという法的義務を課せられております。また今回の法律改正案で、二十四条の二ということで、調査権あるいは一時保管という規定を明確にいたしたわけであります。従いまして、この規定にはまるような場合には、やはりその規制を受けまして、調査の対象になり、あるいは一時保管の対象になるわけであります。
それから、先ほどお話しになりました米軍への厳重な勧告といいますか、注意喚起ということについては、従来も十分いたしておりますけれども、お話によりましてさらに十分これは繰り返して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/27
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028・門司亮
○門司委員 今のお話ですが、文化財の問題は、五条との関係はどうなります。登録されたもの、それから保管場所はわかっておる。それはそれで私はよろしいと思います。また当然そうでなければならぬと思います。文化財でありますから、どこにあってもよろしい。片方、許可制をとっている限りは届け出をする義務がある。ところが五条の方では、同居の親族その他で怪しい者があればこれを持たせない、こういう規定があるが、文化財だけは五条の規定から野放しにする、こういうことですか。そういうことであってはならないと私は思うのだが、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/28
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029・木村行藏
○木村(行)政府委員 五条との関係におきましては、五条は御案内の通り、許可の対象になりますところの刀剣類につきまして、その欠格条項をうたっておるわけであります。従いまして、直接には登録刀剣とは関係いたしません。そういうことでございますが、ただ現在の登録刀剣七十四万丁くらいでございますけれども、その中で犯罪に使ったというのが九十何丁でございまして、比較的少のうございますので、現在の段階においては、ただいま申し上げたような規制で十分であろうかと思います。また先ほど申し上げましたように、登録刀剣は財宝としての価値あるいは美術品としての価値というようなことで、文化的意義に重点を置いておりますので、そういう仕組みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/29
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030・二宮武夫
○二宮委員 先ほどの拳銃の問題ですが、木村局長の御答弁は、昭和三十五年度の犯罪捜査に関連をして潜在しているものが明瞭になった丁数でございますが、私はもう少し御答弁いただきたいのは、ガン・ブームといいますか、ピストルに対する一般の魅力といいますか、そういうものの動向を知りたいのです。三十五年という年度一年に限っての御答弁では、その後一体どうなっておるのか、もちろん民間所持者が届出制を進めてそれで届け出ましたところの二四%ですか二〇%、こういうものが順次少なくなるだろうと思うのですけれども、そのほかの動きとして、先ほど門司さんから質問がありました駐留軍の横流しの問題あるいは密輸入の数量、これらが大体事件に関係があることなんですから、ほかの統計とは違って、あなた方の方では三十六年の十二月なら十二月現在できちっと数というものは一応わかるだろうと思うのですが、三十五年だけに区切らずに、その動向としての三十六年度に関連した数量というものはわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/30
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031・小野澤知雄
○小野澤説明員 手元には、実は拳銃としての区別でないのでございますけれども、銃砲ということで資料があるわけでございます。これはやはりおもに拳銃が中心になるのでございまして、今のお尋ねに完全な答えになるかどうかちょっと疑問でございますけれども、三十一年から銃砲によりまして犯罪が行なわれました状況が出ておるのでございます。これはお手元にお配りしてございまする資料の六十一ページをごらんいただきますと出ております。これの第三表でございますが、それの銃砲の欄をごらんいただきますと、昭和三十一年からずっと出ておりまして、昭和三十一年には二百十七件でございます。その指数を一〇〇といたしますと、三十二年には二百十八件の指数が一〇一、三十三年には二百三十四件でございまして、指数一〇八、三十四年には二百三十七件の指数が一
○九、三十五年には二百四十二件の一一二という指数になってきておりまして、やはりふえておるということが申せるのではなかろうかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/31
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032・二宮武夫
○二宮委員 その資料は六十一ページで今説明のようによくわかりますが、私のお聞きしているのは、三十五年を分析しましたように、民間所有のものあるいは駐留軍から横流ししたものあるいは手製のものあるいは輸入したもの、こういうような部類で三十六年度分がわかりませんかという質問なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/32
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033・小野澤知雄
○小野澤説明員 三十六年は、まだ犯罪統計の完全に到達する時期でないのでございまして、ないのでございますけれども、三十五年から以前のものはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/33
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034・二宮武夫
○二宮委員 銃砲等の犯罪に使用したものという増加率を見て参りまして、大体こういう状況で三十六年度も増加する状況にあるということの見通しは、見通しとして正しいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/34
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035・小野澤知雄
○小野澤説明員 ちょっと結果が出てみませんとわかりませんが、やはりこの傾向では、昭和三十一年の指数一〇〇に比べまして、三十五年は一一二にふえておりますので、三十六年が急に減るというようなことはちょっと期待できないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/35
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036・二宮武夫
○二宮委員 会計年度のように明確に五月末日に出納閉鎖をやって三月三十一日で決算を見る、こういうようなことでなくて、これは少なくとも犯罪に関係があってそれに使用した銃砲ということになっているのですから、これは今でなくてもいいんです。今でなくてもいいんですから、三十六年の状況、三十五年から三十六年に動いていった状況というものを一つ知りたい。それは特に門司先生が指摘されたような駐留軍の横流しは、一体どの程度ふえておるのか。一八%というものが保持されているのかどうか。あるいはそれ以上に率が上がってきているのかどうか。あるいは手製のもの、密輸入のもの、そういう部類分けにしたものをできればお示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/36
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037・木村行藏
○木村(行)政府委員 ただいまお述べになりました資料について、できるだけ早くまとめまして提出いたしたいと思います。ただ若干関連して申し上げたいことは、先ほど申し上げました駐留軍関係からの流れてきた数について三十三年、一二十四年、三十五年と三年間の状況がわかっておりますので、申し上げたいと思います。三十三年は駐留軍関係で流れてきましたのが九十九丁であります。これは全体の三百五十六丁のうちの二八%。三十四年は八十八丁でございまして、押収した丁数全体の三百三十九丁に対しまして二六%。それから三十五年は七十一丁でございまして、全体の三百八十九丁に対しまして一八%。従いまして駐留軍関係から流れてきました数は逐年減っております。
先ほど門司委員から御指摘のありましたことにお答えいたしました際の内容といたしまして、警察庁長官から厳重に文書で申し入れいたしましたのが三十三年六月でありますので、そういう面の効果が相当現われているのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/37
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038・二宮武夫
○二宮委員 大体駐留軍に関してはダウンの傾向にあるという統計のようですけれども、そうしますと、全体数がふえて参りますし、想像いたしますと、民間に持っているところの届け出数というものも、これもそうたくさんふえるとも思われません。従ってどこかにウエートのかかった増加の率があるのではないか。そこにやはり犯罪捜査や今後の治安維持の問題の面で、目を向けなければならない問題があるのではなかろうかとも考えるわけなんです。従って、先ほどお願いしました三十六年度内におけるわかりましたそれぞれの内容のパーセンテージというものを、一つ資料として御提出をいただきたいと思います。
それから大体どの程度民間に、どの程度国内にピストルなんというものが——これは顕在したものなんです。潜在している数量というものは、一体どれくらいあるのだろうというあなた方の見通しなのか。全然見当つきませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/38
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039・木村行藏
○木村(行)政府委員 実際潜在いたしておりますととろの民間における拳銃の持数ということについては、正直のところはっきり申し上げかねます。ただこういう状況は申せると思うのですが、現行法の二十三条で、たとえば土蔵あるいはたんすその他物置に置き忘れた、たまたま大掃除その他のときに発見したという場合に、それをなるべく顕在化していくという趣旨から、拾得、発見した者が届出をすることになっております。その数が昭和三十三年で拳銃が六百五十七丁、三十四年が千三百四十四丁、三十五年が七百五丁でありまして、この制度及びこの運動は十年前からやっておりますけれども、特に力を入れましたのは昭和三十三年からでありますので、従いまして結果において三十四年が一番たくさん出て参りました。その後若干この関係における顕在化の数は減っおりますので、あるいは拳銃の実際の民間の潜在の数は減っておるのではないかというふうにも考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/39
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040・園田直
○園田委員長 松井誠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/40
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041・松井誠
○松井(誠)委員 先ほどの門司委員の御質問にも多少関連があると思うのですけれども、警察官が常時武器を携帯しておる。ところが国民はいわば武装解除されておる。権力を持った人が武器を常時持っておって、権力を持たない国民は武装解除されておる。こういう状態は考えてみれば疑問がないわけではないと私は思う。資料の外国の立法令というところを拝見しますと、イギリスやアメリカの立法令が書いてありますけれども、世界の中で国民に対して武装解除を要求してないというような国は一体あるのかないのか、そういうことを参考までに一つお伺いしておきたいのですが、大体のことでけっこうでございますけれども、おわかりでありましたならば一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/41
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042・木村行藏
○木村(行)政府委員 大体先進国といいますか、文明国は一般の民間に持たせないということであります。ただアメリカの各州によっては、ごくわずかの州においては例外があるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/42
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043・松井誠
○松井(誠)委員 国民の側と対照して警察官の常時武器の携帯という点については、外国の方ではどういうように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/43
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044・木村行藏
○木村(行)政府委員 アメリカを初め、各国が警察官がピストルを持っておる国が多いようであります。ただイギリスはその例外のようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/44
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045・松井誠
○松井(誠)委員 この法律の二十四条の問題についてもう少し実はお尋ねをいたしたいと思うのですが、二十四条の二ですけれども、この一項ないし二項に書いてある一時保管なり調査なりの条件と、それから警職法の二条の職務質問の条件とは、規定の仕方も多少違って、いわば職務質問をし得る条件というものの方が、より言葉の上ではしぼられておるように思うのです、従って一時保管や調査については、職務質問をなし得る場合よりも、もっとゆるい条件のもとになし得るというように読まれるわけなんですけれども、それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/45
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046・木村行藏
○木村(行)政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/46
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047・松井誠
○松井(誠)委員 それだけに、職務質問するものが非常に乱用されておるという現状から考えてみまして、職務質問の場合よりも要件がゆるやかになっている、調査並びに一時保管、この一時保管の場合にはともかく目の前に銃砲刀剣というものが出ている場合でありますから、従ってそういう場合の乱用というものは、あるいはあまりないかもしれないと思うのです。しかしそういう銃砲刀剣というものが、まだ目の前に出てない、あるのかないのかわからない、そういう調査という場合がやはり一番問題になり得ると思うのです。そこで、この二十四条の二の一項をなぜ設けたかという提案理由の説明によりますと、警察官の権限について、現行法では明確でないところがある、従って、それを明確にするという意味なんだということを申されておるわけですけれども、これは、具体的にはどういう点が明確でなかったのか、今度の法律でどういう意味で明確になったというように考えるべきものなのか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/47
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048・柏村信雄
○柏村政府委員 明確でなかったものを明確にしたという理由につきまして御説明申し上げますが、大体、相手方の任意な意思によって警察官が行動をするということにつきましては、警察法二条の警察の責務ということから、強制にわたらないことは、常識的に行ない得る範囲においてやって差しつかえないという見解を私どもはとっておるわけでございます。また、そういうことが法的解釈として妥当であろうと思うわけであります。そういう観点からいたしますれば、とこに二十四条の二に規定いたしますような事柄は、規定がなくてもできないことではない。しかしどの程度のことであれば警察官が行ない得るし、また行なうべきである、警察官の権限と同時に、そういう場合にはそうすべきであるという義務を規定するということがこの規定の内容でございまして、またそれに対しまして、国民としては、この程度のことで警察官の調査を受ける場合においては、それに対して受忍する義務があると申しますか、受忍すべきであるということが反射的に出てくる。そういうことをはっきりさせて、警察官の行なう権限の限度というものを明確にし、また国民が受けるべき、何と申しますか、受忍の限度をはっきりさせよう、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/48
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049・松井誠
○松井(誠)委員 今の御答弁で、私はなおわからなくのなったですけれども、警察官——これは議論のあるところで、任意の処分ならば、元来法律上の明文がなくてもできるのだという意見もございますけれども、しかしそういうものは、やはり法律に具体的な根拠がなければできないんだという意見もあるわけです。しかし今、長官の言われたような見解をとるとすると、元来ならば、この二十四条の二というものはなくてもやれるのだ、しかしこれを作ることによって、いわば警察官の、こういう場合には進んでやらなければならぬという義務を認めるという意味もあるというお話ですけれども、まずその点について、この規定の書き方そのものからいっても、何々することができるということを書いてあるだけで、いわば警察官が権限としてそういうことをし得るんだということを書いてあるだけで、職務上の義務としてこういうことを行なわねばならない、そういう規定の仕方ではないわけです。それから警察官のそういう権限の問題と対応して国民に受忍の、最初は義務と言われましたけれども、さすがに義務というわけにはいかないということで、受忍の何と言いましたか、違う言葉をお使いになりましたけれども、受忍をしなければならない、受忍というのは、忍ぶ、がまんをするということだと思いますけれども、そういうことがこの規定から出てくるということになると、これは国民の任意に基づく職務執行だということは言えなくなってくるのじゃないか、国民に受忍をしいる——しいるという言葉がこれも適当かどうかわかりませんけれども、かりにそういうことだといたしますと、いわば新しく国民にそういう受忍の限度を認めるということになりますと、それは相対的には警察官の権限の拡大であり、従って、単なる任意という、元来なくともやり得るのだという形の任意というものからはみ出るということをやはり前提にしていなければ、そういう長官のような御議論は出ないのではないかと思うのです。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/49
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050・柏村信雄
○柏村政府委員 私が受忍と申しましたのは、提出する義務があるというような意味の受忍ではないのであって、警察官が出しなさいということを、けしからぬ、警察官の仕事ではないというふうに受け取ることはいけない、こういう意味の受忍でございます。従って、提出するとか開示するとかいうことは任意である。今、お話しになりましたように、いろいろ学説があるということでございますけれども、たとえば犯罪捜査について聞き込みをするというようなことは、警察官の権限としてどこにも規定がないわけであります。たとえばバーに行っていろいろと聞くとかいうことも、警察官は捜査上するわけでございますが、そういうことは何も規定はないわけであります。しかし、そういうことは警察官は当然しなければ犯罪捜査ができない。
それから、私は警察官の義務であるということを申しましたが、これは官吏服務上の義務的なものであるということであって、法律違反だから刑罰に処せられるというような意味ではございませんけれども、たとえば警職法の二条にいう職務質問でも、そういう怪しい人間が通ったときに、それを見過ごすということは職務怠慢でございます。警察官としては当然そういう者には職務質問すべきであるということになるわけであります。しかし法律の形としては、することができる、こう書いておるわけであります。することができるということから、警察官としてはできるものを見過ごしてはならないということが同時に出てくるわけでございます。その点はあらためて申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/50
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051・松井誠
○松井(誠)委員 そうしますと、逆に言うならば、こういう規定がなければ、それは警察官の義務として認められない、あるいはまたこういう規定がなければ、国民の側では、それは警察官の権限外だという主張をしてもよろしいんだ、ところがこういう規定を設けることによって、初めて警察官に職務上の義務を負わせる、それに違反することは、こういうことを見過ごすのは職務怠慢だ、そういうことになり、そしてこういう規定があって初めて国民は、その警察官の権限というものを承認しなければならない、こういうものがなければそういう権限そのものを否定してもいいのだというように受け取ってよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/51
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052・柏村信雄
○柏村政府委員 その点につきましては、私はそうは考えないのであります。規定がなくても、警察法二条の警察の責務ということから当然警察がやってよろしいこと、またやるべきことが、社会通念的にきまるべきものであろうと思うのであります。従って、との規定がなくても警察官はこういうことはやるべきであるし、一般の国民はそれに対してやはり受忍すべきであるということは、社会通念上当然であろうと思うのでありますが、その社会通念上当然であるという問題を、法律によって明確にするということが、やはり親切なやり方じゃないかと考えるのであります。そうすれば、よく皆さんから言われます警察官の行き過ぎとかあるいは行き足らないというような問題も、こういう明確化することによって、単なる部内の教養ということでなしに、理解を深めることになるし、一般の人々もまたそういう気持になるということで、法律というものはそういう効果をねらうということも一つあるのではないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/52
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053・松井誠
○松井(誠)委員 そうしますと社会通念上いわば明確であるけれども、法律の規定の上では明確ではない、従ってこれを明文化する必要があるのだという意味なのか、あるいはもっと考えれば、長官自身としては明確なんだけれども、必ずしもそれが世間一般に明確とは言えない、だからこれを明確にするのだというようにとるべきものなのか、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/53
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054・柏村信雄
○柏村政府委員 どうも、私自身が明確で、ほかの者が明確でないというふうには私は考えませんが、社会通念的にこの程度のことはすべきであるということを国会できめていただきたいということでございます。私は今でも警察官は、この程度のことはやるべきであるというふうに考えておることは事実でございますけれども、お話の趣旨とちょっと違うかもしれませんが、そういうことをやはり国会において明確にして、国民一般に周知徹底させるというととが、警察官の職務執行の面から見ても、またそれを受ける国民の側から見ても、非常に民主的であろうという考え方に立って立案したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/54
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055・松井誠
○松井(誠)委員 私が最初お尋ねしたのは、二十四条の二の一項についてであったわけでありますけれども、今の議論は二項についても全く同じような形で適用して差しつかえございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/55
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056・柏村信雄
○柏村政府委員 二項については私は違うと思います。というこは、財産的価値を持っているものの占有を移すというような問題については、やはり明確な規定がなければ行ない得ないと思います。この子供はこういうものを持っております、親が何ぼ言っても聞いてくれませんから、どうぞ警察で保管して下さいと言って親から頼まれる場合はともかくといたしまして、ほんとうの純粋な任意と申しますか、そういうようなものにおいて警察が保管することが不当であるというふうには考えませんけれども、説得して保管するというようなことについては、やはり明確な規定が必要であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/56
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057・松井誠
○松井(誠)委員 この前の国会で出された提案理由説明では、この第二項については何か警察官に新たな権限を与えるかのような文句があったわけです。「危害を未然に防止するための権限を警察官に与えようとするものであります。」というように書いてあったわけですけれども、今度の提案の理由にはその点がわざわざ変えられておりまして、「危害の発生をできる限り事前に防止する措置を講じようとするものであります。」というように、一項と二項との違いがあるのかないのかはっきりしない形に変えられておる。これは今、長官の言われたような具体的な考え方からいうと、むしろ前国会の提案理由の方がまだしもはっきりしておったと思うのですが、これはどういうわけでこういうように変更されたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/57
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058・柏村信雄
○柏村政府委員 提案理由は、趣旨において前回と全く変えたつもりはございません。私はこの前も、第一項については明確にする、第二項については新たにそういう権限を付与するという趣旨で答弁もいたしておりまするし、今度の提案理由説明におきましても、別に意識的にそれをごまかそうとかなんとかいう考えは持っておりませんで、その点は一項と二項についての考え方は前回と全く変わりございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/58
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059・松井誠
○松井(誠)委員 これは具体的にどなたが執筆をされたのか知りませんけれども、少なくとも第一項の提案理由は前回と全く同じです。全文を私比べてみたわけではもちろんございませんが、ほとんど前回と——変わった改正点はもちろん別ですけれども、ほかは大体同じであります。ところがこの点については権限という言葉を意識的に避けて——そうかといって明確にするのが目的だというようにも必ずしも書いてない。きわめてあいまいな表現をとっておるわけであります。これはやはり何か具体的な考えがないと、このようにはならないだろうと思いますけれども、長官の御答弁、御意見とは別に、この提案理由の説明そのものからは、今度の場合、ことに一項と二項との違いというものは、警察官の権限が具体的に変わるか変わらないのかという点については、きわめてはっきりしない形になっておることは間違いないと思う。これはどういう経緯でそういうことになったのか、再度お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/59
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060・柏村信雄
○柏村政府委員 この点は先ほど申し上げましたように、前回と全く考え方は同じでございまして、前回には「それを提出させて一時保管することができるものとし、危害を未然に防止するための権限を警察官に与えようとするものであります。」というところを、「警察官は、それを提出させて一時保管することができるものとし、これらの危険な物件による人身に対する危害の発生をできる限り事前に防止する措置を講じようとするものであります。」というふうに、どっちかといいますと、少し親切にと申しますか、事を分けて書いたというだけでございまして、何ら他意はないわけでございますから、その点は御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/60
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061・松井誠
○松井(誠)委員 その点はまたあとでお伺いをすることにしまして、この二十四条の二を設けた趣旨は、たとえば第一項については、常識的にわかっておるものを明確にするのだというだけではなくて、この任意による処分というものが、文字通り任意ではなくて、いわば常識的に明確であるという程度の任意ではなくて、ここへ書くことによってそれが明確になるということでなくて、むしろその任意から強制の方へ移っていく、つまり任意という建前だけれども強制に近寄っていく、そういうことを意図したのではないのか。そういうことを考えなければ、どうも先ほど来の答弁からでもそうなんですけれども、一体なぜ二十四条の二が必要なのかという存在理由がわからない。そこでこの警察の処分については、いわば任意と強制の中間の性質を持っておるのだというような議論もあるようでありますので、あるいは警察当局が何かそういうものを理論的におとりになって、それでこういう規定を設けることによって、いわば常識的に明確になっておる任意というものから一歩を進めた形でここへ出してくる、そういう意味では、警官に新たな権限を与えるといってもいいという考え方がむしろおありじゃないかということを考えるものですから、お聞きをしておるわけなんですけれども、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/61
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062・柏村信雄
○柏村政府委員 この第一項、第二項はあくまでも任意でございまして、きわめて明確なものを法文ではっきりさせるということ、そこまでは言っていない。あるものには明確であり、また当然そう考えるべきことであるけれども、必ずしも明確でないというものを明確にするというのがこの規定の趣意でございます。たとえばこれは事例をあげてはたして適切かどうかわかりませんが、横浜で怪しい者を見つけて、そして自動車に乗せて、任意出頭ですか、同行を求める。同行を求めるという規定があるから車に乗せて同行させた。しかしその荷物の取り調べをするというようなことを怠っておって、拳銃が発射されたという事案がございました。そういうようなときに怪しいと思えば、やはり持ち物についても注意するというようなことは、警察官として当然しなければいかぬ。ここに規定されているような場合において警察官がこれを見過ごすというようなことは、むしろ国民に対しての責任回避だろうと私は思うのです。そういうものについて、警察官としては当然責務を尽くすべきである。そういうことを法律に明確にするということは非常にいいことではないか。ただしそれに応ずるか応じないかということは任意だ、従って任意と強制の間であるというような、人によってそういう説をなす者もありますけれども、任意と強制の間なんという問題ではなくて、強制なら徹底的に強制できるものであるし、任意であればやはりあくまでも相手の意思に従わなければならぬということでありまして、私は任意と強制の中間的なものというような考え方をとってこの規定を作っておるわけではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/62
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063・松井誠
○松井(誠)委員 そうすると一項につきましては文字通りあくまでも任意である。しかしそれを書くというのは、むしろ警察官の職務というか、そういうものを明確にするという建前、つまり警察官の側が問題であって、国民の側としては何ら新たな問題はないのだ、このように理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/63
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064・柏村信雄
○柏村政府委員 事実はそうでございますが、国民の中にはそういうことも、今のままでありますればどこにそういう規定があるか、その規定がなければ警察官は何ら行動できないという見解に立つ者からいたしますと、反撃する余地があったものが反撃できないということになろうかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/64
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065・松井誠
○松井(誠)委員 その文字通り任意ということ自体が実は非常に問題で、職務質問の場合に、これも文字通り任意だという建前になっておると思うのですけれども、しかしそれこそ百メートルも追いかけていってつかまえて質問をするということも、いわば任意による職務質問だというようになりますと、これは任意と強制の中間ということよりも、まさに強制そのものだと言わなければならないと思うのです。しかし今のようなお答えで、あくまでもこれが任意だということになって、そして国民にそういう任意以上のものを求めないんだという御意向であるならば、これはこれからの運用の問題でございましょうけれども、しかし先ほどのお話のようにこの第二項については、これは新たな権限を付与するものであるというお話なんですが、提案理由から必ずしもはっきりいたしませんけれども、なぜこれが新たな権限を付与するのか。これは国民が喜んで、文字通りいわばこれこそ任意でやる場合にはこういうものは要らないけれども、しかしそうではない場合にこういうものが要るんだ、そういう意味で警察に新しい権限を与えるんだということになりますと、この二項の一時保管のための提出というのは、文字通り任意ということではなくて、この前の御説明では、繰り返し繰り返し説得をするんだということを言いましたけれども、つまり繰り返し繰り返し説得をして一種の心理的な強制、心理的な圧迫を加える、そういうことによって財産権を一時奪うんだから、これはこういう規定がなければできない、こういう御趣旨ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/65
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066・柏村信雄
○柏村政府委員 その任意か強制かという問題は、今お話しの心理的圧迫——圧迫というのは適当かどうかわかりませんが、少なくとも物理的な作用を加えるか加えないかということが、任意か強制かということ——十分納得させるように説得するということによって、説得に応じて提出する、あるいは保管に応ずるというようなことは、これは任意であろう。それをひったくって調べるとか、あるいは持って帰るというような権限を与えれば強制になるというふうな考え方であります。
それから第二項の点につきましては、先ほど申し上げましたが、やはり財産的価値のあるものを警察が保管するということは、これは遺失物法とか、すべて法律に規定されておるものについてやることでありまして、そういうものについては、やはり法的根拠というものが必要であろうという考え方で、あくまでも保管に応ずるか応じないかということは、これは任意な行為である。任意であっても警察がそういう財産的価値のある人のものを保管するということは、法的にやはり規定すべきものである、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/66
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067・松井誠
○松井(誠)委員 そうすると、一項も二項もいわゆる任意性の度合いというものについては同じだ。ただしかし財産権に関係をするという形で、一項と二項との違い、警察官のこの規定の必要性といいますか、そういうものについての違いがあるというような御答弁になると思いますけれども、そのように理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/67
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068・柏村信雄
○柏村政府委員 御説の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/68
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069・松井誠
○松井(誠)委員 しかしその任意性の度合いというのは、今のお話では、物理的な強制にわたらない限りはよろしい。そうすると逆に今度物理的な強制にわたる限りはいけないということになるわけですけれども、たとえばこの一項の場合、任意でありますけれども、この間ポケットに外からさわるのはかまわない、中へ手を突っ込むのはいけないというようなお話があったと思いますが、ポケットの外からさわるということは、これは物理的な強制じゃないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/69
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070・柏村信雄
○柏村政府委員 私の申しますのは、提示させる、開示させるということの強制でございますから、従って自分でそのものをひったくって取るとか、ふろしき包みを自分であけるというようなことが物理的な作用ということで、ポケットの上からちょっとさわって、これは何だい出してみろということは強制でないというふうに理解をいたしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/70
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071・松井誠
○松井(誠)委員 そうすると、問題は、警職法の職務質問のことになりますけれども、今のような開示とか提示とかということ自体に物理的な強制を加えるのはいけない。そうしますと、職務質問の場合に、その理屈を応用しますと、答弁をさせることについて物理的な強制をするのはいけない。しかししゃべるかしゃべらないかは、御本人が口をあけるかどうかということでありますから、口をあけさせるということについての物理的な強制というのはほとんどできないと思うのです。ところが逃げていく者をつかまえて、そして質問を続けようとすること自体は、これはどうなんでしょう。長官のお考えでは、質問のための物理的な強制ということになるのかならないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/71
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072・柏村信雄
○柏村政府委員 質問に答えることについての物理的強制ということは私はなかろうと思います。ただ容疑と申しますか、この規定されておりますような事態についての容疑の濃度に応じて、やはり社会通念的に限界というものが起こってくるのじゃないか、非常におかしいというようなものについては相当しつこくやるということ、そういうことは当然行なわれることであります。これは強制とか何とかいうものではなくて、警察官が職務質問という自分の責務に応じて行なうことであって、その事態に応じてやはり度合いは違うと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/72
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073・松井誠
○松井(誠)委員 そういうお考えは、警察官の立場から言えば非常に便利ですけれども、しかしそういうものを受ける国民の立場からいえば非常に不安定だ。警察官の権限というものは一体どこまでなのだろう、自分の容疑の深さによって警察官の権限が大きくもなり小さくもなる、そういうことでは、何というかそういうわれわれの生活の安定性、罪刑法廷主義で現わされておるような安定性というものは、さっぱりなくなってきはしないかということを心配するのですが、きょうは警職法の質問ではございませんので、任意性の問題につきましては、その程度にいたしておきたいと思うのですが、ただ一つその刑事訴訟法の任意の提出による領置というのがございますが、この場合の任意の提出による領置というものと、この第二項のいわば任意の提出というその任意性の度合い、これは一方はそういう犯罪捜査であり、一方は直接にこれに関する限りは犯罪の容疑ということではございませんけれども、しかし任意性の度合いというものは同じように考えていいものなのかどうなのか、その点お聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/73
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074・木村行藏
○木村(行)政府委員 任意性の度合いについては同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/74
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075・松井誠
○松井(誠)委員 実際の場合この二十四条の二というのはこれが行なわれる場合にはほとんど警職法上の職務質問が行なわれるだろうし、そしてその場合またたとえばこの銃砲刀剣の不法所持だ、そういうことで犯罪の容疑があるということになれば、それはやはり刑事訴訟法上の任意の領置というものが行なわれ得る根拠があるわけです。そういう意味でこの三つというものはばらばらになっておりますけれども、実際は一緒に運用をされるのじゃないか。ところが何べんも申しますけれども、職務質問そのものの実際の運用と、いうものは非常に拡大されておる。そうすると当然の結果として、この二十四条の二というものもおそらくは長官の言うように、物理的な強制はもう任意でないのだという、そういうワクを通り越した形で運用されていく、実際の可能性としてそういうものがあるのじゃないか、この点についての御見解を一つ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/75
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076・小野澤知雄
○小野澤説明員 今のお話で、警職法の提出させるということは、ある場合には逃げる自転車に手をかけてとめる、これも妥当であるというふうに解釈されておりますから、今度のような規定もそのように拡張解釈されるのじゃないかという御心配でございますけれども、これは全然別であろうと思うのです。というのは、この警職法の今の逃げる自転車に手をかけてとめたということを是認されたのは、質問をさせるためではなしに、停止させてというための、停止ということの結果、そのような力も相手の疑惑の黒い場合にはやむを得ないのだということになったわけでございますけれども、今回問題になっておるのは、あくまでも提示させ、あるいは提出させという本人の自発的な作用に基礎を置くわけでございますから、いわば警職法の、先ほど長官のお答えがございましたように、返答することについて口を開かせるというような強制力は用いられないという言葉の本来の性質から提示させ、あるいは提出させるということが、物理的な力を用いて提出させるような強い力を用いることを是認されるのだという御心配はないのじゃないかと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/76
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077・松井誠
○松井(誠)委員 その点についてもう一度長官にお伺いしたいのですが、さっき私が職務質問の場合には物理的強制と言いましたけれども、そういうことでなくて、今のお話しで気がつきましたけれども、これは提出というものに対する物理的強制、提出させるということも実は任意であるべきはずなんですけれども、まさに提出させるということについて物理的な強制を加えた、ところが裁判所はそれでよろしいのだということになった。そうすると先ほどの長官のお話しになったように、開示させるということは任意なんだから、開示させるということそのものに物理的な強制を加えてはいけないという議論でいきますと、提示をさせるということも任意なんだから、従って提示させるということ自体に物理的な強制を加えて、まあ待てよといってとめることはできない。長官が最高裁判所の判事だったら、やはり職務質問、そういう職務の執行は公務の執行ではないのだという御判断になろうかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/77
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078・柏村信雄
○柏村政府委員 その停止させるということは動いておるものをとめるということですから、能動をやめさせるということですから、そこに若干手がかかる。しかし今度の提示させ、開示させるというのは、動いていないものを動かせることですから、これはやはり度合いは違うというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/78
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079・松井誠
○松井(誠)委員 禅問答みたいになりましたらこの点は一応終わりにしたいと思いますけれども、もう一つ二十四条の二でちょっと疑問になりますのは、きのうもちょっとお尋ねをしましたけれども、二十四条の二の七項の返還をしないという処分、これの性格がどうも私はよくわからないのですが、ともかく最初は任意に提示させて一時保管をした、一時保管をしたところがその提出者が不法の所持者であるということがわかるともう返還をしないということにする、返還をしないということにすること自体が私は別に問題はないと思うのですけれども、返還をしないという意思決定というものを一体いつ行なわれるのかということがちっともはっきりしない。いつの間にか任意の一時保管というものがこういう一種の行政力を持った処分にいつの間にか変わっていく、こういう不明確なものでいいのかどうかという点、これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/79
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080・木村行藏
○木村(行)政府委員 これは相手が不法所持になるという場合に返還し得ないのでありますから、不法所持という事態がはっきりするという場合ならばいつでもできるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/80
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081・松井誠
○松井(誠)委員 理屈はそうですけれども、しかし不法所持だということを認定して返還をしないという、そういう意思決定が要るわけだと思う。そうでなくて、不法所持だということがわかれば自動的に返還をしないということに、特別の処分をしなくてなるのかどうか、あるいは本人の方から返還をして下さいと言って、いやお前にはやらないのだという、そこで初めて返還をしないという具体的処分に落ちつくのかどうか、これは行政処分にも関連をするのです。つまりそういう返還をしないという処分が行なわれるのか、あるいはそういう処分はなくて、自動的にそういうように移行するのか、その点どうもはっきりしないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/81
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082・小野澤知雄
○小野澤説明員 これは普通の他の行政処分と同じように、やはり警察署長がそういうものの性質を確認いたしまして、そしてその意思に基づきまして相手にその旨を言い、意思を到達させる、相手が受け取ったときにこの効果を発生するというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/82
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083・松井誠
○松井(誠)委員 そうしますと、お前のは不法所持だから、もう返還しないのだぞということを、文書か世かでやるという行政措置というものが必要じゃないかと思うのですけれども、何か具体的なお考えはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/83
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084・小野澤知雄
○小野澤説明員 これは当然文書で、はっきり相手に交付いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/84
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085・松井誠
○松井(誠)委員 この際ちょっとついでにお聞きしておきたいのですが、この返還という言葉について、この前の国会に提案をされた法律案では、十一条の問題ですけれども、これは立法上の用語の問題でよくわからないのでお聞きをしたいのですけれども、十一条の四項に——現行法では「返還することができる。」と書いてある。この前の改正案では、やはりその点は「返還することができる。」という同じ文句であったわけですけれども、今度は十一条の五項で「返還するものとする。」「返還しなければならない。」というのと「返還することができる。」というのと「返還するものとする。」というのと三通りあるわけですが、「返還することができる。」というのは、事実上は警察に返還の義務を負わせるということになるのかどうか。従って、「返還しなければならない。」というのと同じものなのか、あるいは「返還するものとする。」というのは、具体的にはどういう意味なのか、お教えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/85
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086・小野澤知雄
○小野澤説明員 「返還することができる。」といいますのは、それを返してもかまわぬという場合には返してもいいのだということでございますけれども、「返還するものとする。」ということになりますと、もうそういう情状酌量の余地なく返さなければならないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/86
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087・松井誠
○松井(誠)委員 そうしますと、今度の提案で、現行法の十一条の四項が、「返還することができる。」と書いてあって、従って返還をするとしないとは任意であったのが、いわば今度は返還することが義務づけられたのだというような御答弁であったけれども、この同じ改正案の十一条の八項には「返還しなければならない。」といえ、表現の仕方をしてあるのですが、同じ現行法の十一条の七項にも「返還しなければならない。」と書いてある。「返還しなければならない。」と「返還するものとする。」というのとはどういう違いがあるのかないのか、お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/87
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088・小野澤知雄
○小野澤説明員 これまでの実際の運用が、旧法のように「返還することができる。」ということじゃなしに、もう「返還するものとする。」という情状酌量の余地なく解しておったということでございますので、この方がやはり国民のためになるのではないかということで、このように変えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/88
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089・松井誠
○松井(誠)委員 私がお尋ねするのは、「返還しなければならない。」というのと違いがあるのかないのかということです。具体的に言いますと、返還を求めた場合に返還しなかったならば、それは違法になるのかならないのか。「返還するものとする。」というのは、「返還しなければならない。」というのと義務の度合いにおいて同じものならば、なぜこう違う表現の仕方をするのかわからぬのですけれども、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/89
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090・木村行藏
○木村(行)政府委員 実体的には同じでございまして、その点に変わりはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/90
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091・松井誠
○松井(誠)委員 変わりがなければなぜ同じに書いてくれないのか。これはどういう御都合でこういうことになるのかわれわれはわかりませんけれども、たとえば返還を請求しようとする者にとっては、「返還しなければならない。」と書いてあるならばきわめて簡単明瞭です。「返還するものとする。」という書き方では必ずしもはっきりしない。同じものならばなぜこういう違う言い回し方をするのか。これは何か立法上の慣例ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/91
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092・小野澤知雄
○小野澤説明員 これは実は最近の立法例が、こういう返すとか返さないとかいうことを情状酌量しないで、もう事実がそのようになっておれば返すものだということが立法例であるということで、非常に軽い意味で直したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/92
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093・松井誠
○松井(誠)委員 「返還しなければならない。」と書いてあるのは、返還の請求がなくても返還をしなければならない、「返還するものとする。」というのは、何か返還請求がなければほうっておいてもいいのだ、そういう実際の取り扱い上の差異というものがあるのかないのか、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/93
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094・町田充
○町田説明員 お答えいたします。第五項の場合は、許可を取り消された者以外の第三者が譲り受けをしたり、あるいは贈与を受けたりいたしました者が請求をいたしますので、返還そのもの——元来持っていたものではありませんので、そういう者に返還する場合のことですから、「返還するものとする。」と、こうやわらかく表現したのです。ところが第八項の場合は、自分が許可を受けておって、その許可を取り消されなかった、そういうものをもともと許可を受けておった者に返還する場合ですから、当然それは「返還しなければならない。」と多少強い語調で表現したのです。第五項の場合は、もともと自分が許可を受けておったものではない、許可を取り消された者から譲り受けをした、あるいは贈与を受けた場合、こういういわば第三者的なものでございますから、そういう者に返す場合というのは、「返還しなければならない。」という強い表現を用いないで、「返還するものとする。」と、建前上当然返還するのだけれども、ただ表現の仕方として多少やわらかくした、こういうことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/94
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095・松井誠
○松井(誠)委員 そうしますと、具体的な行政上の手続としてはどちらでも変わりないわけですね。ただ義務の度合いというか、法律的には違わないけれども、その義務の度合いが多少ニュアンスが違うんだという意味のような御答弁なんですが、そうしますと、どっちにしてもこの五項も八項も返還請求という手続を経なくても、当然返還すべきものなんでしょうか、あるいは返還手続としてはそういう請求でもさせるわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/95
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096・小野澤知雄
○小野澤説明員 五項の方はここに書いてございますように「所持の許可を受けた者が総理府令で定める手続により返還の申請をしたときは、」、やはり「返還の申請」というものがあるわけでございます。ところが八項の方はこれはないのでございまして、これは当然許可が取り消されなかったのですから、その所持を一時的にも警察が取り上げたという状態は、やはり返還の請求なしにもとへ戻してやらなくてはならないということになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/96
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097・園田直
○園田委員長 太田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/97
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098・太田一夫
○太田委員 二、三点お尋ねします。
まず、昨年、一年ほど前に同じ法案が出されまして、非常に業界を混乱させたのです。また従って、それによって犯罪の方に対する心理的影響もあったと思うのですが、この一年間に凶器、銃砲刀剣を原因とした犯罪というのは、何か心理的にあるいは事実的に変化はあったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/98
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099・木村行藏
○木村(行)政府委員 一番関係の深かった飛び出しナイフの五・五センチ以下の規制もやるということで、その後業界においては御想像の通り生産がほとんどなされておりませんし、残り品もほとんど処分されておる。それから飛び出しナイフの犯罪に供用している状況は、昨年の状況を見ますと一昨年に比較して大体七%ばかり減っておりますので、やはりそういう意味合いにおいて、立法の過程でありましたけれども、影響が鋭敏に響いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/99
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100・太田一夫
○太田委員 飛び出しナイフを実際上作らせない、売らせないということになって、現実にこれが施行されたと同じような効果が出たが、七%しか減らぬというのはおかしいじゃないですかね。そうすると今度再提案をされるときに、例外というのがありますね。こんな例外などをつけておかれぬ方がいいのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/100
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101・木村行藏
○木村(行)政府委員 失礼いたしました。正確にお答えしなくて申しわけないと思いますが、七%でありませんで一七%であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/101
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102・太田一夫
○太田委員 もっと顕著に減ってもいいと思うのですね。肥後守の制限あるいは刃体あるいは刃渡りという制限ができて、飛び出しナイフというのはほとんどないと私は見ておるのです。たとえば関市などにおいてはその鋳型をつぶしてしまったし、先が飛び出さない飛び出しナイフなんというのは意味をなさないというので、もう作ってないですよ。してみれば一七%ほど減ったなんというのはおかしいので、まだ古いものを持っているから減らないのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/102
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103・木村行藏
○木村(行)政府委員 その通りでございまして、すでに民間の手に渡っていわゆる潜在しているといいますか、そういう毛のが保有されているものが百万丁近くありますので、その点が全体として解消しない限りは、やはり十数%くらいの減り方というのも影響としては相当あったのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/103
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104・太田一夫
○太田委員 柏村長官、どうですか。今の木村局長のお話のように飛び出しナイフを禁止して業界に三千万円くらいの大きな損害を与えたわけなんです。それに政府の方では補償があったか存じませんけれども、当時炭竈さんという関市の代表の人が来て、ここで早く言うと大へん泣いた話があったのです。しかし今のお話で飛び出しナイフは売れなくなったけれども、一向に、犯罪はそんなに減らないということであるならば、業者が泣くようなことをそう急にやらぬでもよかったのじゃないか、こんな気もするのですが、そういう点、産業界と犯罪の予防という関係は、今日この法案をお出しになるときの心境というのはどうですか。やはりいいことだったと思っていらっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/104
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105・柏村信雄
○柏村政府委員 こういう飛び出しナイフ等によりまする犯罪というもの、これは一朝になくすということは非常に困難だろうと思うのでありまして、やはり社会一般の風潮をそこに持っていくということが必要であって、やはり長い目で見て明るい社会を作っていくということに努力していかなければならぬと思うのであります。そういう意味からいたしまして、業界もある程度の犠牲を払っていただき、また一般の社会の人々もそういう気風を盛り上げていただくということと、この法律の施行ということが両々相待って、効果をだんだん現わしていくものじゃないか、法律が出たからすぐに効果がある、ああいう文句があったからすぐに効果が出るという筋のものではなくて、やはりそれは一時的な効果ももちろんありましょうけれども、やはり長い目で見てそういう風潮を養っていくということが必要であろう、そういう観点に立ちますると、やはり依然として昨年出された法案をまた今回提出いたしておるわけでございますが、私はやはり必要な法律改正であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/105
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106・太田一夫
○太田委員 肥後守も製造禁止になったというので、当時自殺者が一人出たという話だったのですが、刃体八センチ以下のものが、これは政令によって認められるということになってしまって、実は肥後守そのものは規制の対象にならなくなってしまったと理解してもいいのですが、肥後守というのはその後ずっと製造され、同じように世間に愛用されているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/106
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107・木村行藏
○木村(行)政府委員 刃体の長さ八センチ以下の肥後守については、規制の対象になっておりません。従いまして、大体文房具その他日用品に使われている肥後守は規制になりません。その後の状況を見ますと、生産状況は減少しているということは全然聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/107
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108・太田一夫
○太田委員 肥後守は生産が減っていないというのですが、肥後守によるところの犯罪というのは、従って、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/108
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109・木村行藏
○木村(行)政府委員 肥後守を使いましての犯罪事件は、きわめて少ない数でありまして、あまり悪用されているような例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/109
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110・太田一夫
○太田委員 肥後守の犯罪が少ないということになれば、それは肥後守自身の規制はそうやらぬでもいいというととですから、それはいいと思うのですが、切り出しナイフなどは刃体七センチをもって規制しておりますが、これはもとが固定しておりますからかなりの殺傷力を持っていますね。これの方が今度は犯罪がふえてくるような気がしますね。七センチを今度の政令として認めるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/110
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111・小野澤知雄
○小野澤説明員 切り出しは、刃体の長さ七センチ以下を認めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/111
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112・太田一夫
○太田委員 認めるということは、殺傷力が強いんだから、肥後守の方はもとはすぐに固定されておりませんから、従って殺傷力が少ない。だから犯罪が少ないということはおっしゃってもわかるのですが、切り出しナイフなどは七センチ以下のものであっても実は固定されておるのでしょう。これはかなりな力を持っていますね。あぶないですね。それを七センチから上を規制する、以下は自由だということで、そういうことは、何かあなたの方の考え方に疎漏な点がありはしないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/112
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113・小野澤知雄
○小野澤説明員 私どもはできるだけ太田先生おっしゃるように、業者に対する圧迫を少なくしようということがやはり眼目でございまして、今の肥後守と切り出しナイフを比べますと、把後守はおっしゃる通り曲がるものでございますから、突けば折れ曲がる、切り出しはあいくちのように曲がらない、そこでこれはやはり差があるのだろうと思いまして、肥後守の方は刃体の長さが八センチ以下でなくちゃならぬ、しかし切り出しは八センチ以下じゃ足りないので、七センチ以下でなければならぬ。そこで一センチの違いがどれだけ出てくるかということになりますと、これは少しむずかしいのでございますけれども、切り出しも、大体七センチ以下の切り出しというのは、ほんとうに日常鉛筆を削ることに使っておりまして、割合に先が短かいというようなことから、大体折れ曲がる、折れ曲がらないということで比べまして、一センチくらいの厳重さを、シビアに切り出しに考えたら、大体がとんとんにいくのじゃなかろうかというようなことで、したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/113
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114・太田一夫
○太田委員 それは業者保護とおっしゃるけれども、この法案については推敲が不足しておると思うのです。きょうは政令の内容が明らかになっておりませんから、前の御説明になった政令の内容と同じものかと思ってお尋ねしているわけですけれども、大体同じように聞きますが、切り出しナイフなどはそういう業者保護だと言いながら、登山刀なんというのは非常に制限したのでしょう。登山刀は登山以外に携帯してはならないことになっていますね。従ってその登山刀の製造はどうなったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/114
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115・小野澤知雄
○小野澤説明員 登山刀は元来、これまでも肥後守とか切り出しナイフと比べまして、作られる量も少なうございますし、また非常に使われる用途も限定されております。そういうことで、かつまた切り出しナイフとか肥後守に比べまして、登山刀というのはやはり長いものが多うございまして、いわゆるあいくち類似のものにこれまで入ってきておったというようなこともございまして、そういうふうに登山刀につきましては業者に与える影響も割に少ない、それからまた登山刀は非常に危険であるというようなことから、肥後守とか切り出しナイフに比べまして、シビアに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/115
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116・太田一夫
○太田委員 登山刀が危険なら、さしみぼうちょうはどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/116
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117・小野澤知雄
○小野澤説明員 さしみぼうちょうは、当然業務その他正当な理由がなければ持ち歩けないということで、これは登山ナイフあるいはそれ以上に危険なものとして扱っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/117
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118・太田一夫
○太田委員 危険なものとして扱っておると言っても、この前の政令その他御説明によりますと、必要あるという場合に持ち歩くことについては、業者なら差しつかえないことと、それから幾ら買っても家庭に置いておく分には差しつかえないことと、そういう料理店の板場に置いておくのは差しつかえないということだった。だから目の前に幾らでもあるわけなんで、しかも百貨店、刃物屋さんなどから買って帰る分については、それを規制の対象にしないとおっしゃったから、いわゆる包み紙に包んであればいいということになる。そういうことでしょう。だからあなたの方の今度取り締まろうとすることも、実はその辺に大きな盲点があるわけです。ある程度注意さえしておけば、何を持っていたっていいということになってしまうのではないか。登山刀だって、今、百貨店から買ってきましたと言ったら、それでいいということだ。そうすると、そとでこの目的をあげようとすると、ずいぶん取り調べか何かで、その方面に力点を置きませんと、君の挙動が怪しいというだけのことで、とやかくできないでしょうから、ずいぶん突っ込んだ捜査をし、取り調べをしなければならぬことになるのでしょうね。どうなんですか。百鬼夜行、自由に通るときに、あなたは、その中で、これだけは危険だということがわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/118
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119・小野澤知雄
○小野澤説明員 これはちょっと説明申し上げ方が足りなかったと思うのでございますけれども、大体登山刀とかあるいはさしみぼうちょうとか、出刃ぼうちょうというようなものも、それから肥後守も、いわゆる刃体の長さが八センチをこえておるものは、全部やはり一応危険なものでございまして、そういうものも、これは業務その他正当な理由がある場合は格別、そういう正当な理由がない場合に持ち歩くということは、これはいけないということで、早く言いましたら、登山刀も肥後守もあるいは切り出しも、あらゆる刃物というものは、一応これは持ち歩く場合に、業務とかあるいはその他正当な理由があるのかどうかということを、問擬されるわけでございますけれども、そのうらで、その前に今の政令で定めた刃体六センチ以下の刃物というものは、これはもうその形とかあるいは厚みとか形状に関係なく、無条件に、そういうこまかな刃物を持ち歩くこと自体、これは日常生活に非常に使われるものでございますので、そういうこと自体がおかしいではないかということで、この原則を刃体六センチ以下の刃物はオミットする、フリーパスだ。それと同じような性質の、刃体の長さが八センチ以下の肥後守あるいは刃体の長さ七センチ以下の切り出しも、そういう何で持って歩くかというととも問擬しないで通してやるというのがこの関係法でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/119
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120・太田一夫
○太田委員 私はざる法だと思っておるのですがね。このざる法だと思っておるやつを、ざる法でなしに運用しようとすると無理が生ずるという点を心配しておるだけなのです。ざる法だという理由は、たとえばはさみなどは相当変形のはさみがたくさんありますね。そのはさみの中には、まるで昔のあいくちのような、よろい通しのようなものもあるのです。自動車の運転手さんたちはタイヤの修繕をするためには、相当によく切れる刃渡りの長いやつを持たなければいかぬわけでしょう。そういうものなどは自動車に積んで自由に持っておるわけです。そういうようなことから、あなたたちは規制するとおっしゃるが、実際はあまり規制にならぬ。精神的の効果が多い。しかしその中から、先ほども松井さんからおっしゃったように、取り調べの方で効果をあげようとすると無理が起きるような心配もしますので、私はいっそのこと、産業の保護という点にも配慮があるならば、そういうできる限り人の殺傷になるようなものの携帯についての態様の方で規制をしていったら
いいじゃないか、そう思っておるのですが、なかなかむずかしいのでこういうことになったのだと思いますけれども、一体あなたの方の今まで刃物を持たぬ運動というやつは、あれは刃物を買わない運動に即切りかえられてしまいまして、刃物業者の圧迫ということが非常に強くて、それが先回の国会で指摘されて、刃物業者の方から陳情、苦情があった。今度は今のお話で言うと、取り締まりの方はあまりきつくやらぬから、刃物の方は製造販売自体あまり警察の方が先になって規制的の運動はしないということをおっしゃったと思う。業界の被害を最小限度にするためにというような言葉がありますからね。そうすると製造販売の方については、刃物を持たない、刃物を売らない、刃物を作らない運動というものを絶対におやりになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/120
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121・木村行藏
○木村(行)政府委員 御指摘のように規制の仕方はいろいろあるわけでありまして、たとえばあいくちとか飛び出しナイフというようなものは、所持の全般の禁止ということでいけば一番いいわけでありますけれども、ただ日常に使われる社会的効用の多いようなナイフとかあるいはその他の刃物につきましては、その面とのかね合いを考えまして、やはり何とか妥結を考えませんと、一応の社会的効用を圧殺することになりますので、そのかね合いを考えますと、当然一般的な所持禁止でなしに、携帯する場合に禁止する。しかもそれは不当不要の、悪用される目的で携帯するというような場合を制限すればいいのでありまして、正当な社会的な必要に基づいて持ち歩く、あるいは携帯するということは、やはり当然認めなければならぬと思います。また今御質問の刃物を持たない運動ということについては、やはり所持の規制をいろいろ改善しまして、所持の面における規制の効果をあげていきますけれども、それと同時にある程度やはり見合った意味において刃物を持たない運動ということも継続していく必要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/121
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122・太田一夫
○太田委員 おやりになるなら業者の転業資金ないしは品種転換の指導、その援助ということをやらなければならぬ。きょうは中小企業庁の方は来ていらっしゃいませんけれども、警察庁としてはそちらの方とも連絡をとって、そういうことをおやりになる以上は刃物業者、刃物販売業者が泣かないように、転業資金ないしは品種転換資金というようなものを十分にやるという用意は先回あるという話であったが、今回もさらにそれ以上の決意はおありですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/122
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123・木村行藏
○木村(行)政府委員 前回にもお答えをいたしましたように通産省その他と連絡いたしまして、特に一番影響のありました飛び出しナイフの五・五センチ以下の問題につきまして、融資のあっせん、融資の道を開くというような面について通産省とも打ち合わせまして、あの当時中小企業金融公庫その他から一千万ばかりの融資が出たわけであります。今回、この問題についても、今後そういう業界のいろいろな影響もある程度考えなければいけませんが、それらについてももちろん十分に検討して、関係省とも連絡いたしますが、飛び出しナイフの五・五センチ以下の場合ほどの大きな影響は考えられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/123
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124・太田一夫
○太田委員 そこまでお考えになっていらっしゃったら——、先回のこういうかけ声ができたときに業者が困りまして、いろいろと鋳型を変えたり、あるいは地方から返品がどんどんきた、こういう損害に対する問題は補償されたのか、それともそれは減税によって何か措置されたのか、何かそれは見られたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/124
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125・木村行藏
○木村(行)政府委員 これは法の改正によって、そういう影響を受けたことについての損害賠償ということには出てこないと思いますけれども、ある程度の、打撃を受けたことについての融資の面において、いろいろ折衝いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/125
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126・太田一夫
○太田委員 柏村長官、これは民生を圧迫すること大なるものがあったと思います。三千万くらいたしか返品があったということを私はこの前のときに聞いたのですが、そうするとそれが非常な損害になってしまうわけですね。この損害というものに対して税制上ないしは法によるところのいろいろな被害ですから、何かしらの援助というか、補償といいますか、そういうものは国家として見なければならぬと思う。政府としてそういうような配慮というものはないということになりますと、ちょっとまずいような気がしますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/126
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127・柏村信雄
○柏村政府委員 法律の改正によりまして受ける損害について賠償ないし補償をするということは原則的にはしておらぬわけでございます。何か聞くところによりますと、返品八百万円ほどだそうでございますが、先ほど木村局長から申し上げましたように、いろいろと転換するための資金、いわゆる融資というようなことは考慮いたしたわけでございますが、賠償、賠償というようなことは考えなかった。ただ達観してみますと、こういうものはいずれやはり文化社会と申しますか、そういうものからは影をひそめていくものであるとすれば、できるだけ早く転換ということの機会をねらって、将来見込みのある事業に動いていくということの方が、業者としてもやはり賢明な策じゃなかろうかというふうに私は思います。賠償の問題は、個々に考えますると、確かにお話のように気の毒な面もあるかと思いますけれども、この法律に限らず法律の改正によって起こる損害について、一々国家的に補償していくというととはやっておらない建前でございますので、今回その点についてはわれわれとしても考慮をしなかったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/127
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128・太田一夫
○太田委員 一々補償したら大へんでしょうが、先回のお約束は、そういう場合のいろいろな苦境に対してはめんどうを見るという大ざっぱな約束、公約があったと思うのですね。ですから突き放すということでなくして、おそらく中小企業庁だけでは融資ということしかやりようがない。ところが自治省には、何かそういう場合の地方税における減税の配慮が出てくる、大蔵省においてもその配慮が出てくるような気がするのですが、これは貸し倒れ準備金というようなものの貸し倒れというわけじゃないでしょうし、何かそういう大きな損害に対しては、法的にはっきり損害として見て、今まで事業税をかけていたのをかけないとか、あるいは法人税を減らすとか、所得税を減額するとかいう方途は、あってしかるべきだと思うのです。その方のことは、今あなたの方に、具体的に答えてくれと言ってもちょっと御困難でしょうから、これはまた後日関係の方面に、長官なり局長からお話しいただいて、これは実施するとなると、さらに規制が強くなるならば、被害があるなら、前回の公約を具体化する意味において、現行法制上も可能な処置というものは、それぞれの人たち、それぞれの利益を守って上げますという立場において一つ考えてもらいたいと思うのです。御連絡して、あなたの意思をそれぞれのところに通じて、浸透してもらいたいと思うのです。それについて長官、ちょっと返事して下さい、そういうことをしますということを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/128
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129・柏村信雄
○柏村政府委員 今、大へん御懇篤なお話がありまして、昨年ここで御審議を願いまして、おそらくその後業者というものは、大体去年で一応転換の方向というものはとっておると思いますけれども、せっかくのお話でもございまするし、私どももできるだけ業者に迷惑をかけないということは、気持としても十分持っておりますので、関係方面へも十分連絡して善処方を要望したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/129
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130・太田一夫
○太田委員 それからこれは木村局長にお尋ねしたいのですが、例の国宝等の刀剣、美術的な刀剣類ですね。これを持っていらっしゃる方の不安というのはいまだに消えないのです。かりに仮領置されようとも、あるいは保管をされようとも、その場合にそれをむやみに抜いてみたりながめてみたり、さわってみたり、においをかいでみたりということになりますと、これは非常に貴重な国宝に類する、その人にとっては命よりも大事な刀剣というものが、すぐにさびがきたり曇りがきたり価値を失うのです。さあ五日がきたからお返ししますといっても、何回もとぎをかけても元へ戻らないというようになっては大へんだと思いますが、そういう場合のあなた方のお取り扱いはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/130
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131・木村行藏
○木村(行)政府委員 まことにごもっともなことでありまして、この法律改正後、運用につきましては十分教養を徹底いたしまして、また運用の適正をはかるために万全を期したいと思います。今の点については、文部省の方からも御要望がありますので、十分それは浸透して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/131
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132・太田一夫
○太田委員 その点は、全警察官の教養を高めるということは、常に要望されておる点でありますけれども、文化性がないなんということがないように、文化性も十分身につけるようにしていただいて、そうして大事な国宝的なものの値打を少なくするようなことがあっては大へんだと思う。法律によるところの損害だから、弁償しないなどと言ってさびた刀を返してもらっては困ると思うから、そのようなことの絶対ないように配慮はされるべきだと思います。その点は長官大丈夫でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/132
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133・柏村信雄
○柏村政府委員 木村局長から申し上げたように、十分指導徹底したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/133
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134・園田直
○園田委員長 ほかに質疑はありませんか。——なければ本案についての質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/134
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135・園田直
○園田委員長 御異議なしと認め、本案についての質疑はこれにて終了いたしました。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X02419620323/135
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