1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月十七日(火曜日)
午前十時二十九分開議
出席委員
委員長 園田 直君
理事 金子 岩三君 理事 高田 富與君
理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君
理事 太田 一夫君 理事 野口 忠夫君
伊藤 幟君 小澤 太郎君
久保田円次君 津島 文治君
前田 義雄君 山崎 巖君
安宅 常彦君 川村 継義君
二宮 武夫君 門司 亮君
出席政府委員
警察庁長官 柏村 信雄君
警 視 監
(警察庁長官官
房長) 宮地 直邦君
警 視 監
(警察庁交通局
長) 富永 誠美君
委員外の出席者
専 門 員 曾根 隆君
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四月十七日
委員谷垣專一君辞任につき、その補
欠として亀岡高夫君が議長の指名で
委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
道路交通法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一四六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/0
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001・園田直
○園田委員長 これより会議を開きます。
道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑を行ないます。通告がありますのでこれを許します。小澤太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/1
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002・小澤太郎
○小澤(太)委員 今回の運転者の資格要件等についての規制をいたしますその対象になっております大型自動車、これを道路交通法並びに総理府令によるところの現在の分け方、五トン以上の自動車、こういうことについては議論もあるようでございますし、またその後、総理府令ができました後になりましても、社会、経済の情勢その他によりまして、その分け方等についてはさらにもう少し合理的に実態に合うように検討する必要があると思います。そういう点につきまして、今後どのようにお考えになるか、この点を一応伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/2
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003・柏村信雄
○柏村政府委員 前会にも若干ただいま御質問の点についてお答えをいたしたわけでございますが、お話しのように、大型車をどう見るかということについては総理府令で定めることになっておりまして、現在は総重量八トン以上または最大積載量五トン以上、さらにバスにつきましては乗車定員三十人以上ということに定められておるわけでございます。自動車の製造されて参ります趨勢といたしましては、次第に大きいものが多くなってくる状況でございまするし、だんだん技術等が進歩いたしますれば、大型車につきましても現在のきめ方がいいかどうかという問題が検討されなければならぬと思うのでございます。今回の改正は、さしあたって現在の交通事情によりまする事故防止という観点から、とりあえず大型車についての年令の引き上げ、経験年数二年以上ということを規定いたすわけでございまするが、免許制度そのものにつきましても将来十分に検討をいたさなければなりませんし、ただいまお話しのような車の種別というような点についても、さらに検討させていただきまして、事故防止と同時に、また社会、経済の実情に即するという調和点を求めて参らなければならぬかと思っておるわけでございます。この点は将来において十分検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/3
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004・小澤太郎
○小澤(太)委員 この前の本委員会におきまして、最初に私から御質問申し上げた点でございますが、運転免許を与える場合におきまして、その免許の試験を受ける資格並びに免許を与えることができるできないというような規定の中に、この間御指摘申し上げましたように身体の障害の程度が比較的軽いもの、一時的な理由によって免許の取り消し並びに停止が行なわれた場合に、取り消してから後一年以内または六カ月以内の停止期間中においても試験を受けることができ、またその結果によっては交付することができるという制度になっております。そういうことも運転者の立場を考えまするならばしかるべき措置かと思いますが、とかく行政処分を行ないました場合におきまして、最近いろいろ伺ってみますと、悪質と申しますか、同じ人が何回も繰り返して事故を起こしている。その場合、取り消しがあって、再教育を受ければまたすぐ免許ができるような格好で、たびたび繰り返し事犯が起こっておりますので、この点については少しきつい、しっかりした態度でもって、そのような傾向にある者、また十分に交通安全運転をするというほんとうにまじめにやるつもりでない者につきましては、今後行政処分につきましても、むしろはっきりと厳格な態度で臨んでいただきたい。個人の立場を尊重することはもちろん大事でございますけれども、それによって受けるところの一般大衆の危険というものは、さらにより大事にしなければならない問題であります。これはどうぞそういう方向において今後やっていただくことを希望いたします。御答弁は必要でございません。
次にお伺いいたしたいのは、今度の法律改正によりまして大型車の運転の資格を十八才から二十一才に引き上げた。その二十一才にするという理由がどこにあるのか、何ゆえに二十一才をもって適当とするか、こういう点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/4
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005・柏村信雄
○柏村政府委員 何ゆえに年令を二十一才に引き上げるかという御質問でございますが、わが国の大型車によります交通事故の状況を見ますると、いわゆる運転者数に比較して事故率の高いのは十八才が一番多く、十九才がそれに次ぎ、二十才がさらにそれに次ぐ。二十一才になると、それよりも低くなって、二十一才より上の方は大体横ばいという状況でございますので、二十一才というところを制限にすることが適当ではないかという経験的な問題と、さらに諸外国においても、大型車の運転につきましては二十一才というところが多いわけでありますし、国連の勧告におきましても、非常に大きな車については二十一才以上にすべきであるという勧告もあるような次第でありますので、国際的に見、またわが国の現状という点から見て、二十一才が妥当であろうと、こう考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/5
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006・小澤太郎
○小澤(太)委員 二十一才にしますと、二種免許の場合が二十一才にたしかなっております。大体大型車の免許の場合には、二種免許と同じように、人を乗せて運送すると同じような扱いをすることになるわけでございます。これについては、いただきました資料等によりましても、二十一才から明らかに事故の件数が減っているというようなことから、しごく適当だと思うのでございますが、今おっしゃいました国連における勧告というのは、おそらくILOの内陸運輸委員会の報告書に、長距離旅客運輸及び重量貨物運輸に従事する運転手は最低年令二十一才未満であるべきでない、こういうのが出ているようでございますが、それをさしておられるのだろうと思うのでございます。そのほか諸外国の例と言われましたが、大体アメリカとか、ドイツとか、フランス、イタリア等も、やはりそういうような年令になっておるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/6
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007・富永誠美
○富永政府委員 国連経済社会理事会、それから運輸委員会の自動車運転者の免許に関する専門委員会、これは一九五二年でございますが、この勧告で、非常に大型の自動車の運転のための免許証は二十一才未満の者に発行されない方が望ましいという勧告が出ておるわけでございます。それから今御指摘のILOの覚書にもございますが、諸外国の状況を見ますと、二十一才になっておりますのがイギリス、西ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ、それからアメリカのは統一車両法典でございます。アメリカは御承知のように州によって事情が違いますものですから、それの基準を統一法典に規定しているわけでございますが、アメリカの統一車両法典、その他の国々含めまして十四カ国が二十一才になっておりまして、二十一才のものが非常に多いということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/7
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008・小澤太郎
○小澤(太)委員 道路交通の安全につきましては、国連におきましても、これを世界共通の大きな問題として取り上げておるわけでございまして、従いまして、そのような点において、あるいは自動車の大きさ、運転免許の年令等について共通的な基準に合わせるということが、国際的に共通な大きな問題としてのこの問題解決についての一つの行き方である、私もそのようにあるべきだと考えるわけであります。そういたしますと、話がまたさかのぼりますが、大型車の基準についてはどのような国際的なきめ方があるわけでございましょうか。ただいま私が申し上げました国連関係でも大型自動車とあるだけでありまして、どれくらいの基準になっているか、参考までに伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/8
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009・富永誠美
○富永政府委員 大型自動車というふうにございまして、何が大型自動車かということはそれぞれ各国の事情を見なければなりませんが、若干異なっておるのではないかと思います。今西独の資料がございますが、西独の場合は総重量が七トン半が大型になっております。日本の場合は総重量八トンでございますので、日本より少しきびしいわけでございます。そういった基準がございます。その他各国によってみな事情が違っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/9
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010・小澤太郎
○小澤(太)委員 次に、二カ年の経験年数を必要とするということになっておりますが、二種免許の場合は三年ということになっております。今回それを二年にいたしました理由を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/10
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011・柏村信雄
○柏村政府委員 第二種免許におきまして三年というきびしい経験年数を取り入れておるわけでございますが、今回年令の面におきましては第二種免許と同じように二十一才、この理由につきましては先ほど申し上げた通りでございますが、やはり旅客輸送と同様にきびしくするというのは、これからの運転免許を受ける者についてあまり酷ではないか、しかし経験を問わず直ちに免許するということでは適当でない、少なくとも二年くらいの経験年数が必要であろうということで、第二種免許よりはやや緩和し、従来の免許、いわゆる第一種の免許制度よりはきびしくするというわけでございまして、二年ということに非常な科学的根拠を求めたわけではないのでございますが、第二種免許との振り合いを考えまして二年ということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/11
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012・小澤太郎
○小澤(太)委員 警察庁からいただきました資料を見ましても、各年令層を通じて二年未満の経験年数者の事故というのが、二年以上の経験年数者の事故に比べて非常に多い数字を示しておるという意味におきまして、この二年という数字は実際的に現実的に妥当なものであろうかと思いますが、三年未満の者がどうであるかというようなお調べはございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/12
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013・柏村信雄
○柏村政府委員 ただいま私の科学的根拠がないということに対しまして、むしろ小澤委員の方から科学性を解説していただいたような形になりましたが、今三年未満の者についてちょっと資料を持ち合わせませんが、われわれの調べでは、やはり一年未満が非常に多い、それから二年未満がそれに次ぎ、三年未満がそれに次ぐという状況であったように記憶いたしておるわけでございます。しかし三年未満、四年未満ということになってきて、だんだん事故の減る率というものも緩慢になる。従って、そこで二年未満と二年以上と比べますと非常な開きになるわけでございますが、特に一年未満というような者に事故が多いという実情でございます。従いまして、二年程度で区切って事故防止に資したい、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/13
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014・富永誠美
○富永政府委員 これは大型だけではございませんが、全般についてちょっと申し上げてみますと、経験年数で言いますと、これは昭和三十五年の統計でございますが、全体を一〇〇%としますと、一年未満の方の交通事故といいますのが二五・三%になります。一年から二年の間の交通事故が一六・八%、二年から三年、今お尋ねの該当が一三・二%、それから三年から四年が八・七%、四年から五年が八・〇%というふうになっておりまして、二年未満で合計四二・一%でございますが、二年から三年が一三・二%で、やはりその次に地位を占めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/14
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015・小澤太郎
○小澤(太)委員 そのように十八才から現在は大型のトラックの運転ができる。今後二十一才以上にならなければならぬし、しかも二カ年の経験年数を必要とするという制度に改められるという、そのこと自体は私はきわめて適切だと思いますが、現在でも二種免許にはなかなかむずかしい制限があるために、大型トラック等が、十八才でも試験を通りさえすれば、すぐもう採用しておるという事情があるわけでございます。そのような今回の制限をいたしますと、そういうトラックを使用する業者が運転手を手に入れること、雇用することに非常にむずかしい事情が起こってくる。なかなか雇用が十分にできないという事態が考えられるわけでございますが、これはつきましてどのような対策と申しますか、お考えを持っておられるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/15
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016・柏村信雄
○柏村政府委員 確かに御指摘のように、将来の問題として雇用のいわゆる給源というものに若干問題が出てくると思います。今回の改正によりましては、とりあえずは現在免許を持っている者は既得権としてこれを認めるということのために、直ちに急激な影響というものは考えられないわけでございまするが、将来に向かいましては、やはり自動車運転手の養成機関等を充足して、できるだけ社会、経済の実情に沿うように、いわゆる支障のないような方途を各方面から講じていかなければならぬものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/16
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017・小澤太郎
○小澤(太)委員 そのような場合におきまして、十八才で普通免許をとっておる、そうして二カ年間の経験をして、二十一才に達した場合に大型の免許をとれる。こういうことになるわけでございますが、その場合に、ただいままでは大型免許をとるために特別の教育訓練を受けることができたわけでございます。そういうふうな民間の施設などもございまして受けておりますが、今後におきましては、おそらくそういうことなしに、二カ年間の経験年数が大きな比重を持ってきて、特に大型車についての教育訓練というものがなくとも免許をとり得る状態になるのじゃないかと思うのですが、どうでございましょうか。やはり大型車、特に危険な事故の起こる可能性の強い大型車でございますから、その場合においては、何らかの方法で大型車運転のための特別の教養訓練というようなことができるように御配慮になる必要があるようにも思いますが、その点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/17
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018・柏村信雄
○柏村政府委員 確かに経験年数というのが入りますので、まず普通免許をとって、そのあとで大型免許をとるということになって参ると思います。従いまして、従来と同様に大型車の訓練ということが各訓練機関において行なわれるということではなくて、その経験を経た者が今度自信を持って大型車の免許を受けるということになる面も相当出てくると思いまするけれども、やはり大型車につきましては、それだけ技術の高度さを必要とするわけでございますので、全然こういうものの訓練が行なわれないということにはならぬと思います。ただ現在の自動車教習所等の実情を見ますると、訓練を受ける者が非常に殺到しておる。特に大都市周辺におきましてはそういう状況でございまして、むしろ普通免許の訓練に重点が置かれるということに現在ももうなりつつあるわけであります。地方によっていろいろ事情は異なりまするけれども……。そういうことで訓練施設そのものが、今までの態様が非常に変わるために困るという問題は、個々にはございましょうけれども、全体的にはさほどのことはないのじゃないか。しかし、先ほど申し上げましたように、繰り返しまするが、大型車については高度な技術を要するという点から、やはりそうした訓練の施設というようなものも将来とも考えていかなければならぬのじゃないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/18
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019・小澤太郎
○小澤(太)委員 このように年令と経験年数の制限をいたします関係上、自衛隊の隊員につきましては、現在御承知のように十八才から自衛隊の隊員になっておりまして、これが訓練の意味におきまして大型トラックその他大型の特殊な車を運転いたしておりますが、これにつきまして現在提案されておりまする法律によりますと、自衛隊の隊員もまたその制限を受けて、二十一才にならなければ大型自動車の運転ができない。こういうことになるわけでございまして、それが現状に適合しないと思いますが、どういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/19
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020・柏村信雄
○柏村政府委員 確かに御指摘のように、自衛隊につきましては、今回の改正によっては、このままでありますれば非常な打撃を受けるということは事実でございます。今回の改正は、一般世間においてあまりにも大型車による事故が多い、これを急速に防止する方策を講じていかなければならない、将来に向かって防止する方策を講じなければならないということから、とりあえず一般的な法制といたしまして今回の改正を企図いたしたわけでございますが、御指摘のように、自衛隊は、隊員として十八才から採用いたしまして、現在の制度でございますれば、十八才で大型の免許をとって自衛隊の車を運転している者が多いわけでございます。従いまして、とりあえずこの法律案におきましては、先ほども申し上げましたように、現在資格を持っている者は既得権としてそれを認めるということでございますので、直ちに自衛隊に支障を来たすということではございませんけれども、自衛隊の隊員の構成の実情という点、それからまた自衛隊におきましては、特別に仕事の割り振りにおきましても、自動車運転に向く者の適性検査というものもいたし、隊内においても試験をするというようなことをいたしておりまするし、さらにまた大部分が自衛隊の車を運転する場合におきましては、指揮者がついて、そうして規律統制のもとに行なわれるわけでございますので、何らか自衛隊の運営に支障のないような方途を講じなければならぬというふうに考えておるわけでございまして、そういう特性も考慮いたしまして、自衛隊の車を動かすいわゆる部隊行動として運転する場合においては、特別にこれを考慮する制度が必要ではなかろうか。しかしながら、一面また自衛隊の隊員が除隊する、あるいは自衛隊員であっても、自衛隊の車以外のものを私的に運転するというような場合におきまして、直ちに自衛隊員であるからという特権を認めるということは、これは適当でないというふうに考えておるわけでございまして、この点は防衛庁とも十分話し合って、自衛隊員なるがゆえの特権というものを考えずに、しかし自衛隊の運営に支障のないような方途について早急に結論を出すべきであるということで検討をいたしておるわけでございます。そういう意味で、決してこの制度の改正によってほかに迷惑がかかると申しますか、現在円滑に運営されているものにまでじゃまになるようなことはないようにできるだけ措置をしなければならぬ、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/20
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021・小澤太郎
○小澤(太)委員 ただいまのお話を伺いますと、自衛隊の自衛官が大型車を運転する場合におきまして、この改正法を施行いたしましても、経過的には現在免許を持っておる者はそのままできるわけでございますが、将来にわたってやはり二十一才未満の者が大型車の運転をすることができるかできぬか、自衛隊だけに特別のそういう年令の点において優遇措置をするというようなことが、将来できるかできぬかという問題もあるかと思いますが、一面におきまして自衛隊の訓練の面からいたしまして、十八才で入隊して、二十一才までそのような運転の訓練を受けられぬということも現実に反するわけでございまして、おそらく私どもは、そういう意味におきましては、自衛隊の自衛官が公務に従事して自衛隊の車を運転する限りにおいては、このような制限を解除する方法が適当であろうかと思いますが、それにつきましても、現在自衛隊の大型車を運転しております状況、つまり交通法規違反をどの程度やっているか、あるいはまた交通事故をどの程度やっているか、これは一般の場合とどのような差異があるかというようなことにつきましてお調べがあると思いますので、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/21
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022・柏村信雄
○柏村政府委員 数字についてはあとで局長からお答えいたしますが、自衛隊につきましては、先ほど申し上げましたように、非常に厳正な規律、監督のもとに行なわれておるということ、また指揮者がついて指導するというようなことからいたしまして、むしろ年令の低い者において事故件数が少ないという状況でございます。従って、自衛隊の公務として車を運転するというような場合におきましては、この二十一才というような年令にこだわる必要はないのではないかというふうな考えを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/22
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023・富永誠美
○富永政府委員 自衛隊の状況を申し上げますと、自衛隊の免許の所有者が、やはり十八才で入って参りますし、従っ二十一才未満の方々が非常に多いわけでございます。全体の八〇%が二十一才未満のような状況でございます。
それから事故の状況でございますが、免許証を持った方と事故との比率を見ますと、一般よりもはるかに低いという数字を示しております。数字で申し上げますと、かりに十八才だけをとってみますと、十八才の場合に、一般の大型自動車による交通事故の件数で見ますと、一〇〇に対して七・八一という数字でございますが、自衛隊の場合におきましてはそれが〇・一三、それから死傷者数で申し上げますと、大型自動車の十八才の場合が、運転者総数に対しての死傷者数が三・九六に対して、自衛隊の方が〇・〇七というわけで、非常に低いのは、やはり内部において教育、訓練をやっている、いわゆる一種の二重免許と申しますか、免許のほかに規律的な訓練をやっているということと同時に、団体行動が多い、指揮者がついているというふうなことの現われであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/23
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024・小澤太郎
○小澤(太)委員 ただいまの数字で見ますと、一般に比べて非常に少ない、格段の差があるわけでございますが、これは部隊行動をとっておるという関係からですか、あるいは単独で運転するような場合もあり得ると思いますが、そういう場合においても少ないかどうか。部隊行動の場合が多いから、従ってその事故の件数も少ないし、比率も少ない。しかし、単独でやった場合にどの程度のことか、それはわかっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/24
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025・富永誠美
○富永政府委員 事故の少ない理由の概略を申し上げましたが、これは最初に申し上げました内部的な訓練あるいは教育をやっておりますことが非常に大きいのじゃないかと思います。それから今申し上げました行動は、全部が全部部隊行動ばかりではなしに、一台の車で動く場合もございますが、その団体行動をとった場合とそうでない場合との区別は、私どもの方にはちょっと手元にございませんが、全体を合わせましても非常に低いという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/25
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026・小澤太郎
○小澤(太)委員 自衛隊につきましては大体わかりましたが、しからば、そのような自衛隊についての特別の措置を必要とするという現状にありながら、この法案にはそのことに全然触れずに出しておられる。これは政府の御見解としては、この程度の改正で、つまり自衛隊は一般の市民と同じように十八才ではいけない、二十一才以上、二カ年の経験を要するという、この法令を自衛隊に適用してもさしあたりは支障はないからというような意味からでございましょうか。あるいはまた政府の各省庁間の協議等の関係からそこまで至らなかったというようなお考えであるか。この点を一つお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/26
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027・柏村信雄
○柏村政府委員 先ほども申し上げましたように、今回の改正は、さしあたって一般の事故を防止する手だてとして考えたわけでございますが、これを考えるにあたりましては、当然自衛隊の問題が起こってきておるわけでございます。従いまして、自衛隊の運営に支障のない方法をいかにして講ずるかという問題は、当然近い将来に解決をしなければならぬという考慮はあったわけでございますが、さしあたっては既得権がありますから、できるだけすみやかに方途を講ずる。その方途を講ずるやり方も、法律改正によりまして、自衛隊内における公務の自衛隊の車の運転ということについて特例を認める、しかし一般社会に出る場合または社会人と同じような運転をする場合においては、普通人と何ら変わらない規制をするというような方法が一つありますし、また先ほどお話のございました大型免許の規定の仕方というようなことである程度の緩和策を講ずるということもできはしないかと、いろいろ検討をする問題が残りまして、今回の改正案にそれを直ちに盛り込むというには、少なくともこれを提案する際におきましては、その結論を出すまでに至らなかったという実情でございまして、少なくとも、次の国会等におきましては、はっきりした改正をすべきものというふうに考えておったことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/27
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028・小澤太郎
○小澤(太)委員 それでは、政府とされましては、自衛官につきましても一般国民と同じようにこの法律の規制を受けるべきである、ただし、自衛隊の特殊な任務等から考えまして、自衛官が公務に従い、しかもその自衛隊の自動車を運転する限りにおいては特別な措置を例外的に考える。原則としては、自衛官なるがゆえに一般国民よりもこの点において緩和した取り扱いをするという考えではない。こういうふうなお考えのように承るわけでございますが、そうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/28
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029・柏村信雄
○柏村政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/29
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030・小澤太郎
○小澤(太)委員 これで大体私の疑問としました点についての御回答がありましたので、質問を終わりたいと思いますが、免許制度につきましては、道路交通対策小委員会におきましてもいろいろと検討を加えたわけでございまして、この年令の引き上げ並びに経験年数の問題以外に、いろいろまだ問題があるわけでございます。今回、道交法の改正として、ただこの一点だけを取り上げられましたことにつきましては、われわれとしては、まだ十分にこれで満足すべきものではないという感が深いわけでございます。従いまして、今後におきまして早急に免許制度全体について、さらに道路交通法の全体について十分な検討をされまして、私ども小委員会において検討し、この委員会で御報告いたしましたような線に沿うて政府においても措置を進めていただきたい、このことを希望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/30
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031・園田直
○園田委員長 太田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/31
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032・太田一夫
○太田委員 最初に柏村長官にお尋ねをいたしますが、この法案を御提出なさった動機ですね、先ほど来の小澤委員の質問を承っておりますと、二十一才以上がいわば事故が少ないから、二十一才以上は適格であろう、こういうふうに考えたと御答弁になりました。二十一才以上が少ないというのは統計です。統計はその通りであることは事実でありますけれども、二十一才が事故が少なくなった理由というのがある。なぜ二十一才は少ないか、その科学的な理由をあなたはどういうふうに考えていらっしゃるか。ただ統計学的にそうだ——科学的にこうだという科学的な説明というのが抜けておるような気がしますので、それを一つ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/32
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033・柏村信雄
○柏村政府委員 どうも、科学的にはっきりと二十一才が適格であるというだけの根拠は、私も持たぬのでございますが、経験的な問題とあわせまして、国際的なきめ方におきましても、二十一才というのが非常に多い。これはやはり経験もある程度積み、また思慮分別というようなものも育っていっておるという結果であろうと思うわけでございまして、現在第二種免許についても二十一才というものを採用している。そういういろいろのかね合いからいたしまして、このあたりが適当でなかろうかというふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/33
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034・太田一夫
○太田委員 長官、長官は今度の最高責任者ですから、長官のお考えというのがいわば一番基本になるし、それが一番権威があると思って僕はお尋ねしたのですが、たまたま第二種免許をとっているハイヤーあるいはバスの運転手が二十一才だから思慮分別が備わっているというようなことでは、一つの類推だけにすぎないと思う。類推でなくして、二十一才が、あなたの御議論の中で一番無事故の要素だと見られる点は、経験を積んでいるという例が一つありましたね。経験を積んだというのは、二十一才で初めて運転手になったのじゃないという一つの前提があります。二十一で免許をとったのじゃない、許可になったのじゃない。経験を積んだという前提の期間がある。その前提の期間をあなたは今除外してお考えになりましたが、二十一才までの経験というものをのけて、二十一才で、免許になったときには、同じ条件がそこに出てきますか。二十一才のグラフのところは平均の以下になっておりますね。事故の件数というのは平均水準以下であるけれども、これは経験なしで二十一才で入った場合に、水準以下にとどまるというふうにあなたはお考えになるか、その点を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/34
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035・柏村信雄
○柏村政府委員 経験があるということも、事実、事故を減らしている大きい原因になっていると思います。ただ経験の点だけでなしに、やはり二十一才ということになりますれば、肉体的、精神的にも成熟をして参ってきておる年齢でございますので、やはり未成年の十八、十九あるいは成年に達した早々の二十才という者よりは、思慮分別も備わってきておる。さらにその上経験を積むということも加わって、私は事故が減っておるものと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/35
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036・太田一夫
○太田委員 富永さん、専門家のあなたにお尋ねします。二十一が思慮分別が十分だというその科学的根拠、あるいは肉体的、精神的にそのときが一番成熟しているという何かそのデータがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/36
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037・富永誠美
○富永政府委員 大型自動車がほかの自動車と比べまして危険性が非常に高い。それから運転の操作においても非常に困難があるという意味で、普通の自動車とは違ったものであると思うのでございます。この自動車を運転するためには、しからばどうすればよいかという点が問題になるわけでございまして、そういう意味から見まするならば、そういった大型自動車を操作するには、第一、精神的に安定しておること、肉体的にも十分な成長を遂げているという両面が要るのじゃなかろうかと思います。しからば二十一才が完全にそうであって、十八才がそうでないという点でございますが、最近は、なるほどからだつきだけ見ますと、非常に身体の成長がたくましいのでございまして、十八がどうだ、二十一がどうだとは申し上げませんが、やはりこれは一般的につかまえなければなりません。一般の大よその経験則から見ますならば、やはり十八才ではまだ思慮分別が十分ではない。従って、慎重な運転を行なう安定性に欠ける者も、二十一才未満では多いのじゃなかろうかという点が出まして、二十一才というふうに上げたい。こういうふうに考えておるわけでございまして、今お尋ねの、それならば生理学的に、あるいは精神学的に二十一か、十八かというふうなことになりますと、具体的にすぐお答えができる——それならこうだというふうには出てきませんが、今までの一般経験則、特に大型自動車を運転しておる現在の状況というものを見ますと、そういう感を深くいたすわけでございますし、かつは、先ほどの御質問にありましたように、国連経済社会理事会、運輸委員会自動車運転者の免許に関する専門委員会の勧告でも、二十一才未満ではやらない方が望ましい。それから第五回のILO内陸運輸委員会の報告書、一九五四年でございますが、これも二十一才だ、こういうふうに言っておりますのも、そういう点に根拠があるのじゃなかろうかと思うのでございますし、国際的に見ましても、やはり大型自動車は二十一才という国が非常に多いということも、そういったことを言っておるのじゃなかろうかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/37
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038・太田一夫
○太田委員 国際的に多いとおっしゃったけれども、先ほどの例は西ドイツの例をとっていらっしゃったと思うのです。その他、二十一才をとっておるのが国際的に多いという、その多い国名を列挙してもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/38
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039・富永誠美
○富永政府委員 二十一才をとっておりますのが、イギリス、西ドイツ、アメリカの統一法典、ベルギー、キューバ、デンマーク、エジプト、フィンランド、ギリシャ、ルクセンブルグ、オランダ、ペルー、南アフリカ、イタリア、十四国でございます。それからあと二十が一国、十九が一国、十八がアルゼンチン、ブラジル、ハンガリー、メキシコ、トルコ、スイスとかいう国がございますが、しかもこれは若干古いのでございますから、その後上げておる国が相当あるのじゃないかというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/39
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040・太田一夫
○太田委員 十四国ばかりじゃ少ないじゃありませんか。過半数にならぬじゃないですか。多数ということは過半数をもって多数というのです。世界の国、幾つあるのです。二十五や六しかないと考えておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/40
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041・富永誠美
○富永政府委員 百何カ国全部とったわけじゃございませんで、一応はっきりわかっておりますのが、二十四カ国のうち、今申し上げました二十一才というのが十四カ国でございまして、十八才が八カ国、十九才が一カ国、二十才が一カ国ということでございます。つまり二十四カ国のうちに十四カ国は少なくとも二十一才であるということで、これは全体の数字を申し上げないのは悪かったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/41
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042・太田一夫
○太田委員 富永さん、あなたのおっしゃる大型車というものの概念が、わが国で取り上げていう五トン車というふうに制限してあるという条件をそろえてのお答えでもないわけですね。およそ大型車なるものを制限しておる、二十一才以上としておるのは、たとえばアメリカやイタリア、イギリスも入るとおっしゃったが、二十一才と制限したのは、先ほど西ドイツの例をおとりになったんだから、西ドイツが詳しいとあなたはおっしゃったが、大型車というのは、日本の国の箱型の五トン車を含んでおるという例は、文明開化の国において、産業の進んでいる国において、どこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/42
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043・富永誠美
○富永政府委員 大型車というのは、各国で若干違いがあると思います。それから文明開化の国では、先ほど申し上げましたように、西ドイツの最近の資料を読みますと、日本よりもちょっときびしい。日本でいえば四トン半ぐらいから大型車になっている。つまり総重量の方でいいますと、日本は八トン車以上が大型車になっておりますが、西ドイツは七トン半というふうに出ておりますので、西ドイツは文明開化の国だと思っておりますが、お答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/43
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044・太田一夫
○太田委員 四トン半を大型車なんというと、そうなると、リヤカーも大型車に属する国があるわけです。それは一つの概念があって、今あなたのおっしゃるように、七トン車くらいのところから大型車だと見るのが世間の常識だと私は思っています。第一、あなたは、トラックのタイヤのサイズを御存じですか。五トン車のタイヤ、どれだけの大きさです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/44
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045・富永誠美
○富永政府委員 調べればわかるのですが、あとで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/45
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046・太田一夫
○太田委員 僕は、二十一に制限するということは、統計学的にいえば、それが一応の理屈であるということは認めますよ。二十一は確かに低くなっているんだから。これは小澤先生もおっしゃったが、それにちょっと疑問を持っていらっしゃったが、統計学的には、二十一から減ったというのは事実だ。だから二十一にしようというのも、一つの着想としては、私は認めるにやぶさかではありませんけれども、日本の国の今の道路事情、日本の国の産業経済の今の状況並びに運転者に対する需要供給の関係というものを考えてみましたときに、五トン以上大型車と現行総理府令できめて、しかもなお本法において二十一才以上、経験二年たたなければいけないと規制されることが、日本の国の産業経済を麻痺させたり、社会生活に非常な不便を与えたり、現実に即しない独断的な統計になる心配があるのではないかということを私はおそれるのです。長官どうですか。その辺のところを一ぺん勘考するとおっしゃると、私どもは質問を長くせぬでもいいのですが、どうですか。あなたからその辺をもう少し何かお答えありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/46
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047・柏村信雄
○柏村政府委員 確かにお話しのように、日本の経済事情、経済の発展というようなことについて非常な支障を来たすような規制ということは、これは差し控えなければならぬと考えるわけでございます。ただ、あまりにも現在の交通事情は事故が頻発する、しかも大型車による事故が多いということから、さしあたって年令の引き上げ、経験年数を取り入れるというような制度を考えて参ったわけでございますけれども、先ほども小澤委員の御質問にお答えいたしましたように、文明の進歩に伴いまして大体車は大きくなって参ります。従いまして、現在大きいというものも、将来においては必ずしも大型として規定すべきものでないというようなことにもなろうかと思いますし、特に今回このような大きい制限を加えるということになりますと、大型車についても、またさらに免許制度全般についても、現在の交通事情あるいは経済の発展に即するような問題というものも十分に勘案いたしまして、この制度が十分に生きていくというような方途を考えて参りたいと思います。将来の問題といたしまして、できるだけすみやかに検討の上、解決に資して参りたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/47
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048・二宮武夫
○二宮委員 柏村長官にちょっと関連してお尋ねいたしますが、民法の第三条では、二十才をもって成年とするという法律があるわけですね。それから憲法の方から参りますと、これは二十二条、それから十一条ですか、それぞれ職業の選択の自由あるいは個人的な基本的な人権というものは尊重されなければならない、こういう問題が法文として明確にあるわけなんです。そういうようなすでにできておる基本的な法文と、今あなた方が提案しておるところの二十一才という年令とを比較いたして参りますと、その根本になるべき法律に違反しておるのではないか。ということは、私は、基本的に事故をなくするために年令を引き上げようという考え方自体には賛成です。何とかしてこういう殺人的な大型車を規制しなければならぬということについては賛成するのですが、しかし、法体系そのものからいって、そうした基本的な法に違反するようなものを、単なる統計から出てきたり、あるいは諸外国の例というようなものから出てきたりして、日本の独自の立場に立った基本的な法律、基本的な憲法から逸脱した法を作るということ自体に対する考え方ですね、これをはっきりしておかないと、これは法体系そのものに大へんな問題を起こすのではないかという心配があるわけなんです。二十一才というのが大へん問題になっておりますけれども、二十一才自体は、先ほどから富永交通局長の話を聞きましても、柏村長官の話を聞きましても、どうも少し暗算が多いような感じがする。現実の問題は現実の問題としてわかるのですけれども、法律として作るという段階になりますと、そういう基本的な法律というものをやはり逸脱してはならないと思うのですが、それに対するお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/48
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049・柏村信雄
○柏村政府委員 お話のように満二十年をもって成年といたしておること、これは私も承知いたしております。これは一般的な権利義務関係についての基本であると思うのでありまして、特別の事情のある免許制度であるとか、許可制度であるとかいうようなものにつきまして、年令的にあるいはこれを引き下げても許可をするとか、あるいはさらにこれを加重してと申しますか、引き上げて初めて権限を与えるということも、これは特別の法令においては認められておるところでありまして、現にこの道交法におきましても、第二種免許につきましては二十一才という制限をとっておるわけでございます。従いまして、法体系としては、私、これで支障はないものと思うわけでございまして、われわれがこの制度をとりましたのは、そういう点と、さらに経験的に考えまして、二十一才が適当であろうという先ほど来の御説明から結論を得たわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/49
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050・二宮武夫
○二宮委員 現在二種免許を二十一才をもってやっているものも含めて私は質問しているのですが、それも私の考え方から申しますと、やはり法体系の面で、そういうものがすでにあるからいいのだということにはならないと思うのです。先ほどからの説明を聞いていると、二十一才の根拠というのが非常に不明確なんですね。ほんとうに国民に、大型の免許をとろうという人々に説明をして納得をさせるという科学的な根拠というものがどうしても足りない。そうなってきますと、やはり既存の基本的な法律、基本的な憲法、こういうものがやはり中心になって考えられなければならないと思うのです。そこで、その点がやはり十分に納得のできるような御説明をいただかないと、ここに出てきておる第六表による統計、これは三十六年度の下半期だけの統計なんですが、これだけはよくわかります。何とかして規制して交通事故を少なくしたいという考え方はあなた方の考え方と同じなんですけれども、二十一というものについて、ほんとうに国民に納得させ得るものという、その考え方の根拠がいま少し明確にならないというと、私はおかしいんじゃないかと思うのですが、これは関連ですから、簡単に質問して、あと太田さんがやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/50
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051・太田一夫
○太田委員 今二宮さんが言われましたように、科学的な根拠が二十一才説というものに非常に薄弱だという点を私ども痛感するのです。それで、これを現実に適用した後にはずいぶん社会的な混乱を巻き起こすだろうということをおそれます。特に私が心配するのは、十八、十九、二十という今まで一番よく自動車の運転手の免許状をとった年令の人が、大型のトラックの免許がとれないといたしますと、小型車の免許をとるわけですね。そうしますと、かりにそれが自家用車なり乗用車の運転手にでもなりましたら、将来二十一、二十二になったときに大型免許をとってトラックの方にかわっていくか、同じ一種にしましても、トラックの方へかわるかというと、そんなよごれた服を着て、力を出して、ノルマが相当激しいような、そういうトラック業界に転身するというような勇気のある者は非常に少なくなってくる、こう思うのですよ。二十一に引き上げることは、今のトラックの運転手の足らぬのにますます拍車をかけるということにしか意義がない、こう思うのですが、それは専門家の富永局長、どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/51
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052・富永誠美
○富永政府委員 大型の自動車の場合は二十一才でございます。それ以下の年令の場合につきましては、今太田委員の御指摘のように、あるいは普通免許にいったり、軽免許でいろいろやると思います。ですから、それは乗用車の場合もありましょうし、それから普通のトラックの場合もあるわけであります。従って、それがかりに十八、十九、二十のときにそういった職場におって、二十一になって、今度は今お話しのような職場にいけるかどうかという点でございますが、トラックの場合には、おそらく一つの会社でも、大型と、そうでないものと持っておるところもありましょうし、私どもの方の統計で見ますと、これは昭和三十五年の労働省の調査部の資料でございますが、かりに職場で十人から九十九人までのいわば中小企業と申しますか、そこあたりの状況を見ましても、大体運転免許を持っておって、実際に自動車を操縦されておる方が一万八千六百八十四人のうち、二十才未満が二百七十人というふうな状況でございますし、これは非常に少ない率でございますが、企業全体をとりましても、二十才未満が約一%というような数字を示しておりますのを見ましても、まあ少ないのではなかろうか。それから現に今とっておられる人は、これは既得権があるわけでございますので、その人はよろしいわけでございますから、今後はそういった場合におきましては、やはりそれぞれの職場で養成していただく、しかもまたそういった該当する運転手が来られるような環境を作り上げていただくこと、これはよけいなことかも存じませんが、こういったことも必要ではなかろうかと思いますし、直ちにすぐどうなるというふうには、私どもとしては考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/52
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053・太田一夫
○太田委員 それが考えの間違いのもとの一つじゃありませんか。あなた方が考えておられるとおっしゃっている世間の人情というものは、そんなものじゃありません。この法律が施行されて、二十一にならなければ、いわゆる大型のトラックの運転免許はとれないとなれば、十八、十九の人間が、今大型のトラックの免許をとって、そしてそちらの方に行って、まず第一種をやる、しかる後に第二種をとっていこうというような気持ががらっと変わってくるのです。いわゆる運転手の精神革命がくるのだから、それをあなたの方は、二十一の働く職場は多いとか少ないとかおっしゃいますけれども、それは先になってからで、今の特殊な例をおっしゃったって、十八、十九、二十で勉強した者がどんなに熟練度を高くしておるかということは、想像に余りあるほど大きなものです。十八、十九でとった、そして二十一ごろになってくると、もう堂々たる運転手で、いわゆる名人芸になるから事故率が減ってくる。それを二十一になってから初めて大型車をやれば、小型車と大型車は違いますよ、がらっと違うのだから、小型のつもりで大型をやられてはたまらぬですよ、小回りがきかないのだから。そういうことから考えると、二十一からまた逆に事故をふやすようなことをあなた方が今計画されるのは、日本の経済社会情勢から考えても、運転手さんの需要供給のアンバランスから考えても、これは非常に不適当だ。どこかでだれがふと思いついたのか、けしからぬと思う。ミキサー車とか砂利トラックを制限するというのはだれも賛成しますよ。それから定期トラック路線において七トン、八トン、今では九トン、十トンというような非常に大型車ができてきた。これを制限するのはいい。少なくともタイヤが千以上のものを制限するというのなら、それはわかります。それを三けた台のタイヤを持っているのを大型車だというのは、あまりにもみみっちい話じゃないかと思うのです。だから今の二十一の説というのは、私はどうも納得することができないのだが、十八、十九、二十という一番勉強しやすいときに——これは十八に引き上げられたときも、私は十八はやむを得ないと思いましたけれども、なるべく早くから操縦技術というものは習わせるべきなんですね。これは長官、銃砲刀剣のときに話がはずれて恐縮ですが、空気銃などを撃つのに、二十や二十一以下、あるいはあれは年令幾つでしたか、そんな年をとってからやらしたら、もう運動神経がにぶくなってしまってだめだ。名人芸はできないですよ。百発百中飛ぶ鳥を落とすということはできない。だから子供のときからやらせる。あなたたちは、神から与えられた人間の肉体の性能を百パーセント活用するという方法を考えていらっしゃらない。単に富永さんは統計学的にこれを説明していらっしゃるが、だれかに押しつけられてあなたはそんなことを言っていらっしゃる。押しつけた人の名前を教えて下さい。私はその人のところに行って説得します。非科学的ですよ。とにかく若くして習ったものはうまいです。このことはあなただって認めるでしょう。私もそれはうそとは言いません。二十や二十一になってから、大きなずうたいになってから大型車を習った方が、大型車の事故を少なく操縦ができる可能性がさらに大きく生まれるなんて、そんなことはだれも言いません。若いとき習った方が、必ず熟練度が向上して名人芸に到達するということはだれでも認めることですが、それに対して富永さん、どうですか、認められますか、認めませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/53
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054・富永誠美
○富永政府委員 太田委員の卓抜な御意見には敬服いたすわけでありますが、自動車の運転は空気銃と違いまして、名人芸は、はなはだ失礼でありますが、あまりやってもらうとちょっと困るので、安全確実でやっていただく。日本のドライバーは車と車の間を縫っていく、名人芸という御質問はそういう意味の御質問じゃないと思います、違うと思いますが、そういうわけで、結局若いときからやることはいけないというわけじゃなしに、普通の自動車でもやれるわけでございます。ただ大型を運転する場合には、それにふさわしい普通の自動車以上の責任といいますか、こういったものを感ずるだけの思慮のある年令とされる方がよいのじゃないかということで、上げるというふうに提案がいたされておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/54
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055・太田一夫
○太田委員 大事に運転するからといって、交通事情は無事故にならないですよ。これはある国会議員が自動車の普通免許をとりまして、ブルーバードを運転して都内で走っておる。ところがその人は四十代ですから、非常に注意深いのです。注意深いから、制限速度一ぱい走らないのです。普通の車とスピードが違ってきちゃって、アンバランス。そこで交通巡査がピッピーとやって、自動車をとめて何と言ったか。そんなにおそく走っちゃいけません、ほかの車と同じに走りなさいと言った。そのときにその方は、いや、私は事故をなくするために無事故であるべく気をつけて運転しておるのに、あの車のように走れと言われれば事故が起きますが、あなた責任を持ちますかと言ったら、そんなことは困ると言われた。この問題は、この間現実にあったのです。だから第二種免許をとる大型トラック、大型バスなどにおいても、四十過ぎて四十五くらいまでは何とかものの役に立ちますが、四十五過ぎた人はあぶなくてしようがないです。そうでしょう。社長さんでも、あの高い外車を運転させる自家用の運転手さんは、長年実直に勤めていた五十、六十の運転手さんでは、人情では運転させたいけれども、あぶなくてしようがない。そろそろ老眼がかかってきますし、とっさの機転ができません。だから、もしそろそろ運転するのだったら、二十一才なんて言わないで、四十以上にすればいい。そうじゃないでしょう。社会の需要にこたえて、いわゆる適正なスピードによって、これからハイウェーができれば、百キロ以上のスピードでも走らせるという能力が必要であるのです。十八、、十九ぐらいのとき、それはティーンエージャーと言われて、さげすまれておるようなことを言われますけれども、あのときの運動能力というものは実にすごいものです。なぜそのときに完全な練習をさせて、そして能力を早く持たせて、その能力によるところの適正な運転、安全運転を二十才後に期待しないか、この指導性があなたの方にないのを私は残念に思うのです。長官、この二十一才は再考すべきだと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/55
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056・柏村信雄
○柏村政府委員 できるだけ若いうちから訓練をする、なれさせるということは、私は自動車におきましても、猟銃等におきましても、また各種の運動についても、まさにお話しの通りだろうと思います。今回の改正は、あまりに事故防止に走り過ぎたというふうな印象をお受けになっておるかと思いまするけれども、多分に事故防止という当面の問題に関心を持って提案されておるわけでございます。ただ、大型自動車についてのみこういうことをいたすわけでございますので、若い年令のうちに普通免許を十分習熟し、あるいはトラック等においても、現状におきましては五トン以上が大型ということになりますと、四トン半以下というようなものについて十分の経験を積み、技術を練るということによって、大型に移って安全的確に運転できるということになれば、決して十八才のときから大型をやるということでなくても、社会の需要には応じ得るのではないかというふうに考えるわけでございます。単に大型車の習熟という点から申せば、若いときから大型車を練習して、これになれていった方が、二十才以上になって上手に運転できるということ、これはそれだけをとればまさにお話しの通りと思いまするけれども、やはり現在の事故の状況とか、いろいろそういう点を考えまして、まず大型車についてはできるだけ慎重にする。しかし、その前に普通免許等による経験を重ねるということを期待いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/56
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057・川村継義
○川村(継)委員 関連いたしまして、一つお聞きしたいのでございます。先ほどの小澤委員の質問の中にも、今の太田委員の質問の中にも、いろいろ議論をされておるわけでありますが、提案されておりまする道交法の一部改正は、今日の交通事故が五十万件にも上っておる、死者の数が一万三千にもなる、これは実に大へんな状況でありますが、事故の発生を防止したいということで、その施策にはいろいろありましょうし、また考えなければならぬ問題が多いと思いますが、その中で一つ、大型車の年令引き上げというのが、今度の焦点として提案されたわけです。その提案の理由には、いろいろ述べておられますけれども、結局長官の答弁にありましたように、事故件数の統計の上から、あるいは経験の上から、二十一才というように持っていったというお話であります。ところが、それについては、いわゆる運転者の供給関係等の問題から、及ぼす影響は小さくないのじゃないかという議論が展開されておるわけであります。
そこで、せっかくこうして提案されたものの中に、私は皆さん方の提案に、ひどく物足らないと申しますか、落度と言っては語弊がありますけれども、せっかくの配慮が十分でないのじゃないかと思われる点があるわけです。その点について二つだけお尋ねいたしますが、この資料を拝見いたしますと、十四ページに昭和三十六年中の自動車別交通事故というのが載っております。この交通事故の大型自動車の自動車台数が三十二万五千五百六十台、こういうことになっておりまして、その事故の件数、死者、負傷者等の統計が現われておるわけでありますが、大型自動車の三十二万五千五百六十台の中に、六トン以下の大型車というものが何台あるのか、あるいはそれ以上の大型車が何台なのか。六トン以下の大型車による事故数というものがどう出てくるのか、六トン以上の大型車による事故というものがどう出てきておるのか。その辺の分析というものがやはりこの際十分なされてこの提案がないということになると、今までのようないろいろの疑問を持った論議が出てくると思うのです。こ点は統計上明らかでございますか。この点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/57
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058・柏村信雄
○柏村政府委員 数字につきましてあとで局長から申し上げますが、現在わが国にありまする大型車は、やはり大部分が六トン以下でございます。従いまして、事故の件数等も六トン以下に非常に多いわけでございます。数字については局長から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/58
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059・富永誠美
○富永政府委員 車両のトン数別の数量の状況でございますが、全国全部を区分けするのがちょっとむずかしくなっておるのでございます。それで東京とか、こういった局部のものを一〇〇%で分析しまして、それを推定して参りますると、五トン未満といいますのが約八八・九%でございます。それから、五トンから七トンの間、これは五トンがあり、五・五トンがあり、六トンがあり、六・五トン、七トンがございますが、これが九・七%、それから七・五トン以上が一・四%というふうになっております。今五トンから七トンまでが九・七%と申し上げましたが、そのうちでやはり何と申しましても一等多いのが五トン車でございまして、五トンから七トンのうちのほとんど半分以上が五トン車でございます。その次に六トンが多くて、七トン、それから五・五トンと、数字から申し上げますとそういうふうになっております。
なお、こういうふうにトン数が非常にこまかく分かれておりますので、その五トンなら五トン、あるいは五・五トンなら五・五トンによる事故がどうだというふうになりますと、これはちょっとなかなかむずかしい状況でございます。大略はわかりますが、きめこまかくして参りましての交通事故というのは、ちょっと正確には出しにくいような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/59
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060・川村継義
○川村(継)委員 先ほどから太田委員の議論にもたくさん出ており、小澤委員のお話にも出ておりますように、また、免許を与えるという側の立場から考えても、免許を取るという労働者の側から考えても、今日のトラック輸送その他の経済活動に必要な労働者を確保するという面から考えても、これは重要な各種の問題がやはり含まってくるわけです。そうなると、今お話のようなばくとした資料では、なかなかこれは明確なものがつかめない。やはり今日だんだん六トン以上の大型車がたくさんできておるときでありますから、五トン以上が大型車と一応規定してありますが、六トン以下なら六トン以下の、五トンあるいは五トン半の、それらによった事故というものが一体どうなのか、あるいはそれを運転している運転者の年令というものがどうなのか、あるいは六トン以上七トン、八トンというような大型な大型車の起こしたところの事故というものがどうなのかというようなものが、やはり科学的に統計的に分析されることが必要だと私は思う。そうすると、自然考えられるのは、大型車というものは今五トン以上と一律に規定してありますけれども、この大型車の分類を二つに分けて、免許する年令の引き上げあるいはその妥当性というものが引けてくるのではないかと思うのです。そうすると、心配なような経済活動に支障を及ぼさないということも考えられる。その辺のことをやはり十分配慮しなくて、またこの起こってきた事故の科学的な調査というものが十分でなくて、こういうような措置をとろうとするところに、いろいろな問題が出てくると私は思います。やはり、そういう点を十分考えていただかなければならぬと思うわけであります。関連でございますから、いろいろ余分な言葉を申し上げませんが、ぜひ一つ検討を願わねばならぬと思います。
それからいま一つ、せっかくこういう法案をお出しなさるときに、これと同様に重要な問題であろうと思っておるのになぜ出てこなかったかという一つの疑問もございますのでお尋ねいたしますが、今日いろいろ大型車等による事故というものは、提案理由にありますように運転操作が比較的困難である、こういうようなただ単なる抽象的なことではないと私は考えております。もちろん若い人には思慮不十分とか、経験年数が足らぬとか、こういう指摘はできましょうけれども、太田委員も指摘いたしておりますように、かえって若い者に技術の上達ということもあるわけでございまして、これを否定するわけに参りません。そういう点から考えて参りますと、今日の大型トラック等のいわゆる交通事故というものは、この前の新道路交通法ができるときにいろいろ審議したときに、これは皆さんも指摘され、実際現地を視察した委員の者もそう受け取ったのですが、それは何かというと、いわゆる五トンなら五トン、六トンなら六トンの車にそれ以上の積載量を積むということです。従って五トンのものに七トン積んでみたり、六トン車にそれ以上のものを積んでみたり、積載量というものが非常に運転操作を困難にしてくる。これがいわゆるスピードとか停止とか発進とかいろいろの状況に大きな影響を与えて、交通事故の大きな原因になっているということが指摘されておる。ところが本法を見ると、積載量を超過してやった場合には、その運転者は罰せられることになっておる、これは罰を食うことになっておる。ところが今日、こういうトラックとかそういうもので積載量をこえて運搬をしておるような車がないかというと、私は、おこがましいことですけれども、ほとんど大部分が積載量をこえている。というのは、新聞社の人たちが実際現地にこういう人たちと話をしているいろいろな談話を聞いても、積載量を積んでおったら商売にならぬ、こういうのが彼らの言葉だそうであります。また、これは実際われわれが目撃するところでもあります。そうなると、この積載量というものに大きなメスを加えなければならぬという問題があると思う。積載量にメスを加えるとなりますと、単に運転手を罰するというこれだけでは私はいけないと思う。そうなると、いわゆるその業者あるいは雇用者というものに対して、私はもっときびしい制限をすべきだと考えます。ところが道交法には、七十四条に、ただ抽象的に訓示的に雇用者の義務規定として、そういうことをやらせてならぬというような抽象的な規定があるだけであって、積載量をこえて積ませたところの業者、あるいはその雇用者というものに対するところのきびしい制限がない、そういうところから一つの大きな事故が出てくるということを、皆さん方は見落としておるのじゃないか。道交法の審議のときにも、これはやかましく論議したわけでありますけれども、雇用者に罰を食わせるというのはどうも行き過ぎじゃないかなどというようなお話で、これが単なる訓示規定になってしまっている。雇用者の義務規定には、ただ最高速度違反の罰則があるだけであります。積載量をこえて運転した場合には、運転者には罰を食わせるけれども、雇用者や業者に対しては罰を食わせない、こういうような規定だからこそ、今日大っぴらに積載量をこえてやっておる、これが大きな事故の原因になる、こう私は見ておるのですが、この点そう考えて間違いないか、一つお答えいただくと同時に、ほんとうに大型車の事故をなくしていこうとするならば、なぜ、単なる運転手をねらったところの年令引き上げでなくて、こういうところに配慮をしたところの法案を考えなかったか、この二点を一つぜひお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/60
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061・柏村信雄
○柏村政府委員 事故防止の方策といたしましては、確かに今回の運転免許の年令引き上げ、あるいは経験の加味ということだけで終わるべき問題ではございません。御指摘のように、積載量についての取り締まりであるとか、あるいはさらに経済に即応した運転者の待遇の問題であるとか、あるいは社会風潮の問題であるとか、そういういろいろの点が十分検討されなければならない問題であろうと思うのであります。従いまして、今回の改正が、事故防止の万全の策などとは私どもも毛頭考えておりません。また免許制度につきましても、先ほど来申し上げておりますように、さらに十分検討をいたして、実情に合うように、改正をできるだけすみやかにして参りたいというふうに考えておるわけでございます。ただいま御指摘の雇用者の義務等についても、いろいろ法律の適用においてむずかしい問題などもあるかと思いますけれども、この前も若干それを追加と申しますか、つけ加えて改正をいたしておりまするが、さらにただいまお話のような点も検討いたして参りたいと思うわけでございます。ただ、現在いかにも大型車による事故が多い、しかもそれが普通の自動車と比較して、比率の上においても比較にならぬほど多いというようなことから、とりあえず今後の運転者についてはある程度の規制をして万全を期して参りたい、しかしこれはとりあえずの方策としてやる問題でございまして、これにつけ加えてさらに大幅な運転免許の改正、あるいは免許制度の検討、あるいは道交法全般についての検討ということを、われわれも怠ることなくやって参りたいと思うわけでございます。しかし今回の改正は、やはりそういう意味においてもぜひともすみやかに実施をして参りたい、そしてこれが円滑に運営され、交通事情に合い、経済の実態にも即するような方途であるというものを、さらにただいま御指摘のような各種の資料を検討した上において成案を得て参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/61
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062・太田一夫
○太田委員 今度何かまた駐車場車庫設置義務づけの法律が出るそうですね。そうすると道交法をまた改正しますか。これは長官に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/62
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063・柏村信雄
○柏村政府委員 ただいま検討いたしておりまして、近く御審議を願うことに相なると思いますものは、道交法の改正ではございませんで、単独法として、自動車の保管場所の確保に関する法律というような題だったと思いますが、そういうことで単行法で出します。実質上道交法の改正に近い規定もその中に加わるわけでございますけれども、とりあえずこれは単行法といたしまして、すべて自動車を持つ者は保管場所を確保しなければならぬ、それから自動車の登録をする場合においては、保管場所が確保されていることを証拠立てて登録の申請をする、また道路を保管場所に使ってはならないというような規定が中心でございまして、さらに、道交法で定めております三点、駐車禁止の場所につきまして、相当広い道路においても駐車を禁止するような区域を定めるとか、あるいは時間制限というものについても、少し道交法よりも広く考えるというような規定でございます。いずれこれは近く御審議を願うことに相なろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/63
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064・太田一夫
○太田委員 そういうことになれば、道交法四十五条というようなものがこれに関連して変更されるものという筋道になると思うのです。道交法を改正せずに単独法でおやりになっても、道交法と抵触する部面が、あるいは重複する部面が出てくるわけで、道交法そのものも考え直してみなければならぬことになろうと思うのです。たとえばそちらの方で公安委員会が適当に指定できるというようなこともいかがなものかと思いますけれども、何だか二元的な立法と考えられまして、それもいいことはいいのだが、一つの思いつきだ。総合性が少し欠けているような気がするのです。そこで、こちらでこういう車庫を作れという、そちらの方では道路にいろいろなものを置いてはいけないというようなものがあるということになってきたり、建物をどうするこうするというような、建設省の関係のいろんな政令や規則もある。私は、もう少し一元的にやらなければいかぬと思う。事故を防ぐなら事故を防ぐという立場から、当委員会にも小澤さんが小委員長で道路交通対策小委員会があるのですが、小委員会の安全施設なんというのもこの際取り入れてもいいのじゃないか。飛び出すから子供がよくけがをするので、飛び出さなかったらまず問題はないのだから、なぜ街衢においては全部歩道と車道との間にさくを設置するようなことにしないかというような、いろいろな意見が出てくると思うのです。
そこで二十一才という問題ですけれども、富永さん、自動車教習所はどうしますか。二十一才にしましたら、この教習所に対する指導方針は、どういう指導方針でなさるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/64
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065・富永誠美
○富永政府委員 自動車教習所に対しましては、私は次のような考えを持っているわけでございます。運転免許そのものに根本的に今後検討しなければならない面があるという点は、長官からも御説明があったわけでございますし、それに関連しまして、自動車教習所のあり方ということもやはり検討いたさなければならぬのじゃなかろうかと思っているわけでございます。運転免許の試験につきましては、いろいろ皆さん方から御意見があるわけでございますし、私どももかくありたいというふうなことも実は考えておるわけでございますが、何しろ数多い受験生を短い時間でやらなければならないということでございますので、なかなかかゆいところに手が届くような面が、自分たちから見ましても行き届かない点がかなりあるわけでございます。これは率直に認めます。従って、一人のドライバーを紳士的に育てるには、やはり自動車教習所でほんとうに教育をやっていただく、そういうところにあり方があるんじゃなかろうか。ですから自動車教習所が、世間にあります大学の試験のための予備校的な存在であってはならないと私は考えておるわけでございますので、今後とも自動車教習所がこうありたい、またこう運営したいという面の指導につきましては、十分力を用いていきたいというふうに考えております。
それからお尋ねの二十一才の問題ですが、きまりましたら、またこの面での了解といいますか、あるいは指導、こういった面に力を入れていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/65
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066・太田一夫
○太田委員 教習所の教習機能、教習機関の持つ使命というものをあわせて考えていかなければ対策としては手抜かりだと思うのです。今のかゆいところに手が届かぬという点ですけれども、やはり法律はある程度きめこまかくないと、今日のこの事態においてまずいじゃないですか。唯我独尊で進んでいったら私は大へんだと思う。あなたは教習所はたくさんの方を養成すると言うけれども、それは軽自動車免許ないしは普通自動車免許の生徒は多いけれども、大型免許を受けに来ている生徒なんてたくさんはおりませんよ。かねや太鼓をたたかなければ今でもそうたくさん来ないでしょう。今度二十一才になったらどうなると思っていらっしゃるのですか、見通しとして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/66
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067・富永誠美
○富永政府委員 自動車教習所の中にはいろいろあると思います。大型自動車の教習をやっておられるところもありますし、そうでないところもございます。御質問は、今までは十八才で直ちに小型自動車がやれました。今度提案されております内容によりますと、二十一才、それにかつ経験二年が加わるわけでございますが、おそらく経験二年をほかの普通自動車とかいうあたりでやっておりますので、教習所に来られる数が少なくなるんじゃないかというふうな御懸念だろうと思います。これは実際なってみなければわからないと思うのですが、多少その面があるのじゃないかとは思います、直ちにどの程度影響が来ますか、そういった経験年という面の影響は若干あるんじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/67
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068・太田一夫
○太田委員 若干ではなくして、若干残るだけです、教習所は。教習所が二十一才以上の大型車の運転手を養成するという意味は、若干影響するのじゃなくて、もう若干しか残らない。われわれは今まで教習所は正規なる課程を経た比較的安全度の高い運転手を養成するというふうに見て、いろいろと教習所というものに対する制度を前から検討してきましたけれども、二十一才になったとたんに大型車の免許を与えるというのでは、運転手を養成するという意味はなくなってしまう。小型で免許を取って二年、三年やっていて、その間に二年の経験があるから、その技術をもって何とか運転免許を取ろうということになって、あまり教習所へ入ろうというのはなくなります。そういうことをお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/68
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069・柏村信雄
○柏村政府委員 先ほど小澤委員の御質問にもお答えしたのでございますが、お話のように、確かにそういう訓練を受ける者が経験年数が入ることによって減ってくるということは考えられるわけであります。しかしながら、やはり大型免許の高度な技術を要するという点から、これは決して無意味になるという筋のものではないし、そういう点はやはり存続いたすべきものと思います。ただ、教習所の実態といたしましては、現状におきましても、地方的に事情はいろいろ異なりますけれども、大部分のところは普通免許の運転を習うという者がむしろ殺到している状況でありますので、そうした機能を残すという点は将来も考えなければなりませんけれども、経営自体として全体に非常に大きく響くという問題ではなかろうと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/69
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070・太田一夫
○太田委員 長官、それは大へんなことですよ。減るということは想像していらっしゃるが、大して減ることはないだろうと憶測をしていらっしゃるけれども、この制度だって、二年の経験を持った者から大型免許をとらせるということになれば、教習所の使命が減ることは事実であるし、教習所へ行って免許を取って、本格的に商売のかてにしようと志す人はなくなってしまう。二十一才になって思い出しても、二年の経験がないからどうしても小型を取るということです。小型を取れば大型免許ということはやさしくなりますよ。こういうことでしょう。半分の条件は小型免許でできる。ところが、うば車の運転が幾らうまくできても、トラックの運転はできませんよ。四輪ではあるけれども、小型と大型はどえらい違いです。あなた方トヨエースを長くやっているからトラックなんかすぐやれるでしょう、と言うと、絶対自信がないと言う。大型は大型にふさわしい勘を養っていかなければならぬ。小型の勘と大型の勘は違いますよ。小が大を兼ねるということは昔からないじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/70
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071・柏村信雄
○柏村政府委員 確かに大型と小型の感覚は違うと思いますけれども、小型でも、大型に近い小型と申しますか、普通免許によっても大型に近いのもあるわけでございます。これはどこで切るかという問題と関連をいたすわけでございますけれども、普通免許をやっておったところはかえってまずいということにもならないじゃないか。また、そういうことで、経験年数を経ていわゆる県の試験を受けるということではとうてい感覚が養なわれないということになれば、むしろ教習所等で十分課程を終えるだけの教習を受けるということにもなるかと思うのであります。その点は別といたしましても、普通免許の運転をやることがじゃまになるということは一般的にないじゃなかろうかというふうに思うわけでございます。ただ、先ほどお話のように、若いときから大型なら大型で十分訓練をする、しかも、社会事情が今のようでなくて安全な教養ができる、また、社会においても安全に運転ができるような実情でございますれば、そういう特殊技能の養成ということも考えなければならぬかと思いますが、遺憾ながら日本の現状はやはり漸進的にいく筋のものではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/71
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072・太田一夫
○太田委員 それでは長官、車の大きさというのはどういう制限になっておるのですか。あなたは、五トンの大型車というものは、長さ、幅、高さがどのくらいのものだと考えていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/72
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073・富永誠美
○富永政府委員 長さで申しますと、五トン車は普通、まちまちでございますが、六・三八メートルくらいから七・〇八メートルくらい、その間にちらばっておるようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/73
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074・太田一夫
○太田委員 富永さん、あなたは中央官庁におけるところの最高責任者の局長さんだから、それくらいでいいんでしょう。あと課長さんなり係長なり、あるいは陸運事務所の方にまかしておけばいいんでしょうけれども、道路交通法だけでなく、車両法まで一つあなたも一緒に目を通してもらわなければいかぬと思うんです。これは運輸省の所管ですけれども、運輸省の所管だから僕はあまり詳しくないということでもいかぬから、その点をちょっと考えてもらわなければいかぬと思う。今の運輸省の持っておりますところの道路運送車両法を見ますと、これは小型自動車というものだけは制限してあるでしょう。小型自動車の制限はありますけれども、それ以上は、それ以上ということによって野放しになっておるでしょう。かりにあなたが今の原案通り大型車に関しまして五トンというものを制限されたとする。そうすると、四トン半で五トンと同じか、ないしは六トンに近いくらいの長さの車を、業者は必要があれば作りますよ。長さが大きくなれば積載量がふえるというわけじゃないですよ。そういうものでしょう。そういうのを作りますよ。その点どうです。考えられたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/74
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075・富永誠美
○富永政府委員 道路運送車両法の車と若干基準が同じベースでいってない点があるわけでございますが、今御指摘の通りに、道路運送車両法では小型自動車というのは長さ四・七〇メートル以下、幅一・七〇メートル以下、高さが二・〇〇メートル以下でございます。あとは普通自動車であります。この普通自動車というのが大体私どもの大型自動車になるわけなんで、極端に言いますと、四メートル七〇でございますので、まあ四トン近い、四トンくらいのものが道路運送車両法にいう普通自動車に当たる場合もありまして、われわれからいう大型自動車に当たる場合が多いわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/75
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076・太田一夫
○太田委員 それは富永さん、四トン半の積載量で五トンのトラックと同じ長さのトラックを作るということを今の法規では妨げない。そうじゃありませんか。僕がお尋ねしているのはそれなんです。だから業者は、四トン半ならこれは普通免許で乗れるということになれば、四トン半で五トンと同じトラックを作りますよ。五トンと制限してみたところで同じことじゃありませんか。長さというものが曲がり角やいろいろなところで一番いろいろなことを起こすもとであるし、大曲がりするのがあちらこちらにぶち当たったり、いろいろなことをするもとです。型が大きいということ、長さということが非常に問題でしょう。それはどうです。これを規制しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/76
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077・柏村信雄
○柏村政府委員 現在道交法系統では、総重量とそれから最大積載量で規定をいたしておるわけでございますけれども、さらに先ほど申し上げましたような検討を要する問題の一つとして、大きさと申しますか、長さ、幅というような点でまた考えていくという問題が一つ残るんではないかと思います。こういう面も今後十分に検討して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/77
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078・太田一夫
○太田委員 私はそういうようにぶった切っていただきたいということを長官に言っているわけじゃないんですよ。今でも現実にその辺のオート三輪車の長さの非常に長いのがあるでしょう。あれはマツダですかどこですか、ずいぶん長いのがあるでしょう。積載量は少ないけれども、長さは実に長いのがある。それにまた赤いきれをつけて長いものを載せるでしょう。これが堂々と市中を横行しています。この法の盲点というよりは、通産行政上ないしは自動車工業技術上それが必要なもの、妥当なものだということになれば、需要があれば作りますよ。作ったってかまわぬじゃありませんか。
そこで、あなたの方が大型車を制限するのは、単に形式的な制限ではなく、実質的な制限をやらなければならぬということになると、三輪車の長さなども規制してみる必要があるかどうかという問題も出てくる。けれども、あれを制限したってしようがないです。みんな小さなうば車にエンジンをつけたようなものに制限してみたところで、そういう小回りのきくものにしたら、経済までも小回りにしちゃうんですから、そんなことにしたら大へんだと私は思う。だからそうせずに、今の法律上いろいろのことができるようになっておるし、現実に規制対象外になっておるものにも大きなものがあって、あぶなくないものもあるのだから、現状は五トンが大型になっておるから、しいて五トンを固執されるというあなた方の考え方も、一ぺん考え直されてもいいんじゃないかということ。五トンだったら家鳴り震動は起こしませんよ。家鳴り震動を起こしたり、道路を掘っていくのは、おもに路線トラックなどに使われている七トン以上のトラックがそれであり、あるいは五トン車でも砂利トラ、ミキサー、ダンプカーなどは大型に属するものでしょう。そういうものを規制することは私は何らやぶさかでない。けれども、箱型の五トン、六トンという、馬力も小さければ重量も少ないというのは、今日の経済では普通の車だと思うから、これが規制の対象にされると、産業界、経済界が非常に混乱を起こすからまずいのじゃないか。同時に、先ほど自動車教習所のことをお尋ねしましたが、あまり御検討なさっていらっしゃらないようだが、もしその条件に当てはめて生徒が入るということになれば、現実に今の希望者の一割以下になる。これはある特定のところを調べたデータですからそう間違いない。こういうことを考えると、そんなわずかの人なら、自動車学校をやってもちょっとそろばんに合いませんからやめですよ。勝手にその辺の天下の公道を使って運転しなさい。そうすると二年もやればそのうち要領よくなるから、法規の方は十分知っているから、その要領のいいところで技術試験を受けてしまいなさいということになるんですよ。なったら、もう一つ道路交通法というもの、あるいはあなたの方のいろいろな総理府令などにも改正を加えて、教習所の任務というものを、さらに協力させるように再検討する必要も出てくるでしょう。長官この前のときにはどうです。あれは内海さんが課長であったときに、教習所には自治権を与える。自治権というとおかしいですが、今まで官庁が持っていた学科試験あるいは実地試験の可否の認定権を教習所に与えます。だからこれくらいの教習所を作りなさいという話があった。さてやってみたらどうですか。何かあなたの方がまだ持っておるようです。半分しか与えていないでしょう。教習所には実地試験だけは免除するが、学科試験はいまだにあなたの方が握っていらっしゃる、こういうことになっておる。こういう点もこの際すぱっと、教習所に交通安全のためにいかなる使命を負わせるべきかということを、割り切っていただかなければならぬと思うんです。その検討が不十分だと思うんです。だから、この二十一才の点に対しては、私はその点において皆さんに再考していただく必要がある、あるいは大型車というものの規制においても非科学的だということを御指摘申したわけです。長官、何か感想がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/78
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079・柏村信雄
○柏村政府委員 自動車が経済の進歩に応じていろいろの種類のものができてくるということ、これは私どももちろんこれについて何らとやかく申すわけではございません。道交法の建前としましては、いわゆる安全性を確保し得るという保障を得るために、どういうものを大型車とし、どういうものを普通免許の対象とするということでやるわけでございまして、先ほど形のことも申し上げたのは、何もだんだん規制を強くしようという趣旨で申し上げたわけではなくて、検討する一つの要素となるのではないかということで、これは先ほど来申し上げておりますように、十分交通の事情等も考えまして検討させていただきたいと思います。教習所につきましてもお話しの次第もございます。十分に研究して参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/79
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080・太田一夫
○太田委員 最後ですけれども、長官、道交法の六十六条と七十五条、この運転手の義務と経営者の義務というのは、別に改正を要する問題ではない。ところが死んでおるわけです。死んでおるからトラックの事故、大型車の事故というのがふえるのです。自家用というより、特に業者につかえている運転手が多いのですよ。過労運転を禁止させる、不当なノルマに対するチェックをするということもやらなければ、大型車以外にそんな規制をして、二十一だと言ってみたところで、こんなものはせん気筋で王手じゃないですよ。おそらくそれをやったって事故なんか同じことだと思うのです。その辺も一つ十分考えていただきたい。
関連があるそうですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/80
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081・二宮武夫
○二宮委員 先ほど関連質問したのですが、局長のいわゆる統計に基づいての提案というものの中に、ILO運輸委員会から一応二十一才というものが勧告をされておる。これは一九五四年にいわれたようで、ずいぶん昔の話ですけれども、あるいは国際的な運輸に関係するような協議会で二十一がいいのだというような話があった。そういうことを強調されます場合には、私はやはり資料として、それらに対する給与であるとか賃金であるとかいうものが裏づけされたものを出さなければいかぬと思うのです。あなた方はいつも自分に都合のいいものだけは国際的にこういうことがあったのだと言うけれども、賃金というものがそれに裏づけされておらなければならぬと思うのです。そういうものを出してもらわないと、それがいかにも妥当なものであるというような国際的なトータルを持ってきて、二十一才を導き出すということは、私はよくないと思うのです。これは今後一つ改めてもらわなければいかぬと思う。
それから民法を引いて私が長官にお尋ねしたのに対して、二十一才にして思慮分別が整うから、それで二十一才が適当だという答弁が先ほどございました。それは民法の二十才をもって成年とするという思想と相反する。そういう言い方をすると、これは基本的な法律との矛盾が起こってくると思う。私は関連でしたから、あまり深くは追及しませんでしたけれども、そういうことで二十一才が妥当であるというような言い方をすることは、基本的な法律に違反をする方向にいくのじゃないかというように私は考えますので、一つ御注意を申し上げておきたいと思います。
同時に、これは委員長を通して、大型なり小型なりの運転が制限をされますと、今言いましたような給与であるとか賃金であるとかいうようなものが、一応問題になろうかと思うのであります。生活権の問題自体基本的な人権としてどうなるかという問題がありますから、これで制限をすることによって給与の問題が一体どのようになるのかというトータルがもしございましたら、きょうでなくてもけっこうですが、後ほどお出しいただいて、審議の参考資料にさせていただきたいというように考えます。
最後に一つだけお尋ねしておきますが、先ほど小澤委員からの質問で、自衛隊法に基づく防衛庁に特別の配慮はしないのだ、こういうことを柏村長官は明確に御答弁になったのですが、そのように確認してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/81
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082・柏村信雄
○柏村政府委員 自衛隊員が除隊と申しますか、自衛隊から去って普通の者になったとき、あるいは自衛隊員であっても、自衛隊の車以外のものを運転するというようなことについて、自衛隊員に特別の特権というものを認めることはしない、やはり俗な言葉でいうしゃばでは、これは平等でなければならぬ、ただ自衛隊の中の公務については、運営に支障のないようにはかりたい、どういう意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/82
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083・二宮武夫
○二宮委員 そこで統計の中から、十八才における事故の件数は、一般が七・八一%である場合に、自衛隊の十八才では〇・一三%しかない、事故は非常に少ない、これは団体行動をとっておるからであるというようなお話がございましたけれども、自衛隊が何十台とかいう団体行動をとる場合には、一般国民は道のわきによけておって、ほとんど事故の起こらないように道を譲っておる。それがために事故件数は少ないのです。そういう国民が迷惑をしておることをもとにしたトータルでは、いかにも事故件数が少ないのです。一般社会の者と比較して自衛隊が事故件数が少ないのだ、従って自衛隊に対して十八才でも許していいじゃないか、団体行動をとるから事故件数が少ないのではないかという議論は、実態にそぐわないものがあると思います。そこで今、柏村長官は、一般社会の中において自衛隊の人が大型車を運転する場合には特例を設けないと言うが、しかし、それでは一般国道を自衛隊の人が大型車を運転した場合には、特例を設けるのかどうか、こういう裏書きに今の答弁はなろうかと思います。そういうことになると、あなたは先ほど自衛隊には今直ちに直接影響はないのだという御答弁をなさいましたけれども、私はそのいかんによっては直ちに影響があると思う。現在持っておるものはそのまま既得権として認めるけれども、これから募集する場合には、自衛隊に入っても十八才の者は大型車についての免許は与えませんよという、自衛隊に対する特別の募集の内容を含むのか、あるいは従来通りに、ほかの者は受けられぬが、自衛隊に入れば十八才でも、過去二年の経験さえあれば大型車の試験は受けられるのだ、こういうふうにして募集するかということによっては——非常に妙な格好をして自衛隊の募集をしていた人があったそうですけれども、今後自衛隊の募集内容について非常に影響があろうと思います。そこでその間の防衛庁との間の話し合いが相当はっきりしてこないと、この法律が今回の国会を通ったとして、その次の問題として自衛隊に特殊の例を認めるということになると、その法律はやがてまた出てくるであろう。そうなるとその間におけるアンバランスは非常に大きな問題になるのではないか。これは庁内を車を飛ばしたり、あるいは防衛道路を飛ばしたりすることならかまわぬが、一般国道、一般県道、普通国民の通るところを通って事故を起こすという場合に、防衛庁の隊員であるから特殊の例を認めるということは、さっき言ったようなトータルをもとにして事故件数が少ないからということを立案の根拠にするならば、多少の問題があるのではないか。この点は非常に困難な問題があろうかと思います。従ってこういう問題を十分に検討しないと、ただ単にここで一般人の二十一才引き上げだけを法律として出すということだけでは、なかなか国民は納得しないというように私は考えるのです。それは自衛隊の立場としても苦しい問題があろうかと思います。それをどう調整をしてどのように話し合いをつけるかということは、やはりこの法律の大事な問題ではないかというように私は考えるのです。その点一つ御意見をお聞きしておきたいと思う。
もう一つは、十八才、十九才、二十才という自衛隊の諸君が事故を起こしておる件数の資料を、一般人と比較したものを出していただいて、そういうものと比較検討して一つ審議の資料にさせてもらうというように進めていただきたいと思うのです。今の自衛隊に対する特種の防衛庁との交渉経過なり、現段階における防衛庁に対するこの二十一才引き上げの問題は、どのようになっておるかということを一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/83
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084・柏村信雄
○柏村政府委員 自衛隊の運転において事故が少ないということは、規律なりあるいは指導者がついておるというようなことも非常に大きい原因でありますが、同時にまた自衛隊の車は今のように部隊行動をとっておる、それは人がよけるのがいいか悪いかは別といたしまして、とにかく道路交通法の建前からして安全性が確保されているという実情は、別にそれが技術が上手であるからとか、同じような状況下において運転した場合にどうであるかという問題ではなしに、従来自衛隊の車による事故が少ないという事実から、先ほど統計を申し上げたわけでございます。またそういう実情に即しまして自衛隊の運営に支障なからしめるような方策を講じたいということは先ほど申し上げた通りであります。しゃばに出た場合において不均衡な取り扱いはしないということを私が申し上げましたけれども、自衛隊が従来公務として行動しておったようなことについては支障なからしめたい。従って演習場とか自衛隊舎内のみならず、県道とか国道とかそういう公道におきましても、今までのような運営と変わって行なわれるわけでないのでありますから、そういうものについては運転し得ることにしたい。しかしながら自衛隊の車を公務によって運転するのでない限りは、二十一才、また経験年数二年を持たなければならないという制約で、そこで一般の運転者と歩調を合わせたいというふうに考えておるわけでございます。
試験につきましては、やはり自衛隊の自主的なものにまかせきらずに、やはり一般人と同じように警察の方でやるということにいたしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/84
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085・小澤太郎
○小澤(太)委員 関連して。私の質問の終わったあとでまたいたしますのはまことに恐縮でございますが、実はどなたかから御質問があると思ってあえて申し上げなかった問題で、ただいま二宮委員からちょっとそれに関連したお話がございましたので、実は質問をいたしたいと思っておるわけでございます。と申しますのは、年令の二十一才の制限の問題、これはILOの路面運輸における雇用条件に関する覚書第五十一条、これでこの長距離旅客運輸及び重量貨物運輸に従事する運転手は二十一才未満であってはならないとありますのは、道路交通の安全というよりも、むしろ勤労者の、若年労働者の勤労条件を改善する、その保護の建前から出ている考え方であろうかと思います。従いまして、この二十一才を今まで伺いますと、交通の安全ということだけから見ておるわけでございますが、それでなしに、小委員会におきましても問題になりましたのは、この交通労働者の勤務条件の改善、こういう点から強く要望もございましたその一連の事柄として、このようなことをお考えになっておるというふうに私は理解しておったわけでございます。政府においてもそのようなお考えであろうかと思いますが、そうなりますると、単に道路交通法の問題だけでなしに、これは長官にお尋ねするのは無理かと思いますが、政府として、さらに労働省の所管にもなると思いますけれども、こういう若年労働者が大型トラックを運転するということは、非常に困難な、また非常に過重な労働をしいることになりますので、そういう面においての考慮も必要かと存じまして、私はこの年令の引き上げは、そういう意味においても大きな意義を持つ。そして国際的に、二十一才というものが各国で、ただいま伺いますと十四カ国ということでございますが、それも交通安全というだけでなしに、おそらく日本のような交通地獄、交通戦争と言われておらない国々においても、そのことを採用しておることを考えますと、さらにこの点についてはもっとそういう視野からも御検討いただく必要があろうと存じます。それに関連いたしまして、この前の委員会における松岡参考人の御意見でございますが、これはダンプカーの運転手でございまして、自分の経験に徴して非常に切実な訴えをされたのでございます。私どもほんとうにそのことにつきましては、何とか保護しなければならぬという気持に打たれたわけでございますが、やはり大きなノルマが課されておる。若年の者であり、しかも免許をとるとすぐにも運転させられる、そしてそれが大きなノルマ——ノルマと申しますか非常な勤労をしいられておる、そういう状態でございまして、そういう面からも、この年令の引き上げと同時に、何とかそのような方向についての政府全体としての考え方とか、これらの施策をお進めになる必要があろうかと存じますので、これは政府における労働省の所管と存じますけれども、その面とも十分な御連絡をいただきたい。そしてあわせて総合的な交通対策、労働者の労働条件の改善、また一般大衆の交通の危険からの解除、こういう方向から一つさらに総合的なお考えをお願いしたい。これが私の要望でございますが、質問いたしますのは、その二十一才に引き上げられたところには、ただ交通安全ということだけでなしに、このILO精神を生かしていく、こういうような気持があるかどうかということを伺いたいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/85
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086・柏村信雄
○柏村政府委員 今回私どもが提案いたしました直接の動機と申しますか理由は、先ほど来申し上げましたように、道路交通の安全を確保するための一方途として考えたわけでございますけれども、ただいま御指摘のように、国際的に考えられております問題としても、労働条件についての改善と申しますか、未成年者、若い人の過重労働を避けるというような趣旨の人道的な意味も十分に加味されている点は、今回の改正の裏に十分そういう点があるものと私も考えるわけでございます。なお、こういうふうな規制と申しますか条件がつくことによりまして、やはり従来よりはその待遇の改善というような問題についても配慮がなされるべきものというふうに考えます。直接的に道路の安全の問題とは関連しないかもしれませんけれども、それだけむずかしい試験と資格ということになれば、それに相応した条件の改善ということが、当然その方面においてはかられるべきものであろうというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/86
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087・川村継義
○川村(継)委員 時間がたって恐縮ですが、私、最後に法文の解釈についてちょっとお聞きしておきたいと思います。
九十六条の改正がなされておりますが、実はこれは小澤委員から先般来お話がありまして、そのときはなるほどと了解したのでございますけれども、ちょっと疑問になりましたので、簡単でございますがお聞きしておきたいと思います。それは九十六条の改正、それからなお八十八条の第五項の改正の問題でございますが、これは百三条の二項一号のこの該当者は九十六条の一項の場合も、新設の二項の場合も、条項が変わっておりますけれども改正案の三項の場合も、試験を受けられるという意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/87
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088・柏村信雄
○柏村政府委員 この百三条の二項の一号でございますが、これは「身体の傷害で自動車等の運転に支障を及ぼすおそれのあるものが生じたとき。」ということでございますので、これはもちろん医師の診断とか何かで停止期間とか、あるいは取り消さなければならぬという状況で取り消すわけでございます。しかしながらそれが奇跡的に非常に早くなおったとかというような場合、その場合はほとんど少ないのだろうと思いますが、そういうような場合に、その二号、三号のごとき悪質と申しますか、そういうような事情によらないものでございますので、そういうものには免許を受ける機会をやはり与えておいていいのではないか、こういう趣旨で、一号を除いて二項二号、三号、こういたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/88
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089・川村継義
○川村(継)委員 今のお話の点はわかりますが、百三条の二項の一号は、これは政令で取り消す場合と停止する場合があると思う。その取り消されておる者に試験を受ける権利を認めるということは妥当なのかどうなのか。特に今度の九十六条の新しい改正案の三項の一号には、「当該免許の効力が停止されている場合を除く。」となっておりまして、その停止されている場合を、もとは百三条の第二項となっておったのを、今度は改正で「第二項第二号又は第三号」とゆるめたのですね。現行法では、九十六条の第二種免許の場合の免許を受ける者の資格については、第一号で第百三条の第二項となっておる。ところがそれが第二項の第二号、第三号となって、第百号をはずしてある。ということはゆるめたという考え方が成り立ちますね。そこで身体障害者の八十八条の第一項第三号に該当するに至らない身体障害者、この中には取り消された部分もある、停止された部分もある。両方ひっくるめてゆるめたということは、これははたして妥当であろうか、この疑問が出てくるわけなんです。私は、こういう身体障害者の八十八条の第一項第三号によって停止された者あるいは取り消された者——停止されておる者に試験を受ける資格を認めるということならややわかる。取り消されておる者までも認めたということについては疑問が出てくる。なるだけ事故防止をしていきたいという考え方に立ってそういう点を配慮していくならば、はたして妥当であろうかどうかという疑問が起こるのですが、今度は現行法よりも非常にゆるめてきておる。そのゆるめてとられた考え方、それは一体妥当であるかどうか。長官が言うように奇跡的によくなった、なるほどそれは人情的にわかります。しかし事故防止という法文の上からはたしてどうか、こう思うのです。いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/89
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090・柏村信雄
○柏村政府委員 確かにこの点は芸がこまかい問題でございまして、すらっとしますと、この一号なども取り消したり停止したりすれば、二号、三号と同等に扱って大体間違いないということに相なろうかと思います。しかし二号、三号は、これはそのものの性格と申しますか実際の行為によって悪質性があって取り消した、そういうものをたやすく認めるべきでないというわけでございますが、一号は身体の障害でございますので、これが正確に見通しがつけば、取り消した者は試験が受けられない、停止された者は停止期間はできないということがもちろん当然でございましょうけれども、先ほどもちょっと申しましたが、きわめてまれな例であろうけれども、十分に性格もいい、しかも運転も十分できるようになった、こう認めるようなものがかりにあったとすると、それに試験を受ける機会を与えないということは酷ではないか。これは私は取り消す際の慎重を欠くとか何とかということがなければ、きわめて例外的なものであろうと思いますけれども、法律的にはそういう議論が成り立ちますので、そこで何も事故防止のために改正をしたということでなくて、この前の整理の間違いを整理し直して、一項を二項とした場合に、やはり二項も精密に考えると二項の一号は除くべきではなかろうかという結論になりましたものですから、こういう改正をお願いいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/90
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091・川村継義
○川村(継)委員 ちょっと何かはっきりしないのですがね。長官がおっしゃるような考え方に立てば、百三条の三項に一つの救済みたいな規定が出てきますから、この百三条の三項における規定を何か今お話しのような趣旨に合うような方法によって救済すべきである。現在免許が取り消されておるあるいは停止されておる者に受けるという権利をこの条件だけにおいて認めるということは、私はどうも法の考え方からきわめて妥当ではないのではないか。人情的にはわかりますよ。そういうふうに思うのです。長官がおっしゃるような考え方に立てば、百三条の三項において一つの救済規定みたいなものがありますから、これにお話のような点を何か救済措置でも考えてやるというような条文を起こすべきであって、今お話しのようなところではちょっと問題が残るのではないか、妥当性を欠くのではないか、私はこう指摘したいのでございますが、そうなりますと、新しい道交法が施行されましてからお話のようにそういう何か不都合な事例があったのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/91
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092・柏村信雄
○柏村政府委員 先ほどから申し上げておりますように、この一号は全く観念的に、どういうものに受けさせないことは酷であろう、二号と三号とは区別すべきであるということで除いたわけでございます。三項はちょっと趣旨が違いまするので、ちょっと三項で救済するというわけに参らないかと思います。
それから実際にそういう困った例があるかというお尋ねでございまするけれども、一昨年道交法改正をしたあとにおいてそういう困った事例は聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/92
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093・川村継義
○川村(継)委員 事例がないということですから、おそらく何かちょっとした規定整備で思いついたような格好になってくるわけですけれども、私は百三条の三項で救済しろとは言いません。三項にそういう趣旨の法改正といいますか、手心を加えたような規定を整備して救うべきではなかったか、こういうことを私は言っているわけです。お話でございますけれども、そうなりますと、八十八条の条文で、次のような者には免許を与えないと書いてあって一、二、三、四、五号とあるのですが、五号の中にも第一項がはずれてくるわけですね。この第一項の中には免許を取り消された者もおる、停止された者もおる。そうなると、八十八条の第五号を考える場合には、一体第一項というものはそのまま不問に付しておいていいのか。現在取り消されておる、あるいは停止されておる。ところが五号で「第百三条第二項第二号又は第三号の規定により免許を取り消された日から起算して一年を経過していない者又は免許の効力が停止されている者」こうなっているが、第一項は一体どういう関係になって、どういう位置になってくるのか、それも私は疑問になるのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/93
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094・富永誠美
○富永政府委員 第百三条の第二項の第一号は、軽い身体の障害の場合を意味しているわけでございます。つまり八十八条の第一項第三号の程度に至らない者。それで八十八条第一項第五号は、先ほど申し上げましたように若干ミスがあったわけでございますが、つまりこれの趣旨は、免許を取り消された場合にはその日から起算して一年たたなければ免許を与えないわけでございますから、一年間だめなわけです。かりに試験を受けましても免許を保留するわけです。同時にまた効力が停止されている場合には免許を与えないということになっておるわけでございます。第百三条の第一項は相当ひどい場合でございますので、これは当然取り消さなければならない。これは期間なんかは問題でないのじゃないかというふうに考えるわけです。ほんとに受ける場合におきましては、これは試験を受けてもようございますが、ともかく与えることはできない。与えないわけであります。ただし百三条の場合の第二項第一号の場合になりますと、それよりは身体の障害が非常に軽い場合でございますので、それがかりに取り消された場合におきましては、それがまた一年たたなければだめだということになりますと、先ほど長官のお話にもありましたように、軽い身体の障害でございますので、奇跡的になおった場合においては、それが一年間受けられぬというのは少し酷じゃないか。しからば停止中はどうかという問題になりますが、そこが一番お話があると思いますが、事実上そういう形になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/94
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095・川村継義
○川村(継)委員 無理をおっしゃっては困ります。私が言うまでもなく、あなたは百三条の二項の一号はごく軽微なという言葉づかいをしておりますけれども、もちろん前に身体障害者等に全然免許を与えない場合等の規定ができておりましょう、百三条は。ところが百三条の二項の一号の場合でも政令でちゃんと免許を取り消す場合があるのですね。しかもこの免許を取り消す場合には、自動車の運転に支障を及ぼすおそれのあるものの生じたとき、こういう場合には取り消されるのですから、ただ軽微々々という言葉で濁せない問題が二項の一号には含まっている。そうなると、私がさっき指摘したような問題が出てくるから、今のお話のような、何かお逃げになるような言葉づかいでなくて、やはり百三条二項の一号については、もう少し厳密に法の上から適用を規定すべきである、こういうふうに申し上げたい。もしも長官が先ほど言われましたような、ほんとうに軽微なものであって、百三条二項の一号によって停止されたような人たちが、奇跡的によくなったというような場合の救済については、公安委員会がどうだこうだというようなことでなくて、百三条の三項の規定の整備によって救済すべき道を開くべきであって、現在取り消されておる人、停止されておる者に、すべての試験が受けられるというような資格を与えることは、法の上から少し解釈上妥当性を欠くじゃないか。人情としてはわかるけれども問題だ、こう言いたいのでございます。
時間もございませんから、この点を一つ十分に御検討願いたいと思います。長官よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/95
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096・安宅常彦
○安宅委員 関連で。先ほど小澤さんからお話があったのですが、あとから来て申しわけないですが、その話を聞いてみたら、いろいろ小委員会なんかで討論し結論を出したことを逐次法律案として内閣が出してくるんだ、こういうお話でありますから、それを期待はいたしますが、先ほどILOの話が出まして、二十一才という話が出たことについて、小澤さんの方から、これは勤労者の労働条件について考えられて出したのだろうな、それで小委員会としては、特に私の発言なんかもありまして、そういうことが非常に重要だという答申をしたわけだろう、こういう質問があったのであります。ところが、内容をちょっと申し上げますと、私はまず第一番目にダンプカーの運転手の方が参考人として来たときに言った言葉を思い出すのでありますが、年令引き上げをやってもだめだ、免許はとらせても見習い期間を一、二年置いてやるという方式が一番いいだろう、こういうことをはっきり言っておる。それからもう一つ重要なことは、労働条件が悪いからだ、これが二番目の主張でした。たとえば具体的に言うと、緑のおばさんが来ておりました。その緑のおばさんの給料が九千円くらいである。ダンプカーの運転手は、十五年たって一万七千円くらいでありますが、初任給はやはり九千円です。こう言っておりました。こういう九千円のダンプカーの若い運転手が、ノルマをかせぐためにぶっ飛ばさなきゃならぬということが非常に大きな条件だということになって、道路交通対策小委員会ではその問題が話になり、ここにおられる交通局長も、その当時は参事官という立場で、一番大きな問題はそこにあるということを答弁されておる。それから運輸省の方もそういう答弁をされておる。小委員会の空気としては、それは当然だという空気になり、私は、ここに最低賃金の制度をしかなければ運転してはならないということくらいぴちっとやったらどうかという話をさきにしたが、これでは非常に話が大き過ぎると思いましたので、現行最低賃金法の第十六条を生かして何とかやる方法はないか、このことについて労働省と必ず打ち合わせをしてもらいたい、こういう話をしたわけです。ところがただいまの長官の答弁によりますと、せっかく小澤さんの発言に対しまして、そういうことは裏では含まれておるのだと思うのであります。初めは労働条件が一番大切だということだ、だからこんなことは取り締まっても容易じゃないんだということを認めておいて、それが答申のときには、私は委員長に表現を一任いたします、そういう表現を一任した形で小澤さんがきょう質問されておるのであります。ところがあなたの答弁によりますと、陰で考えておることと思います程度でこの問題をすうっとやられたのでは——ほんとうに新道交法施行以来、運転手の仲間の皆さんからは、もう蛇蝎のごとくきらわれているのがこの新道交法であります。こういうものを取り締まるところばかり一生懸命やって、そういう重要な問題を置き去りにしておくようなことがあってはならないと思うので、まず第一に質問したいことは、労働省とどんな打ち合わせを大体したのか、その結論についてどういう措置を——将来一つ一つぽろぽろ出してくるんだそうでありますが、そのぽろぽろの中にどういう形で出てくるのか、一つこの際はっきり伺っておかないと、悔いを千載に残すような気がいたしますから、これだけ質問しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/96
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097・富永誠美
○富永政府委員 第一の問題で、運転免許を与えても仮免許みたいな形で、今御指摘の見習期間を設けたらどうかというふうな御意見は、私どもも非常に考えなければならないというふうに思っておりまして、将来の運転免許の改正の場合にも、貴重な御意見として十分検討さしていただきたいと思います。
それから今度の運転免許年令の引き上げの場合に関します労働省との打ち合わせはやっております。それでいろいろな労働問題とかあるいは大型自動車の運転者につきましての労働省の考え方なりの大体のところは、向こうもそんな気持は持っておって、何らか向こうも指導したいというふうな考えもありますので、十分打ち合わせをやっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/97
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098・安宅常彦
○安宅委員 どんなことをやりたいみたいなお話でありましたか。そこは何も結局まだ言わないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/98
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099・富永誠美
○富永政府委員 たとえていいますと、大型自動車といいますと、いろいろ内容もたくさんありますので、長距離トラックあたりはどうするとか、あるいは砂利ダンプカーの問題は、昨年の八月に内閣でもいろいろきめておりますので、これは推進したいとか、あるいは実際の労働条件と、それから年令何才のときには今どのくらいの待遇だろうというふうなことも、資料もいただいておりますし、個々的に質問をやりたいというふうなことを言っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/99
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100・園田直
○園田委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/100
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101・門司亮
○門司委員 時間もおそくなっておりますから、きょうはあまり質問をしない方がいいのではないかとも考えますが、さしあたり資料だけを一つ要求しておきたいと思います。
資料の一つとして頼みたいと思いますことは、自動車事故の人的原因と整備による原因、二つの原因がある。もう一つの原因は道路交通の問題があります。三つの要素があると思うが、それのおのおのを分析した表があったらこの際出していただきたいと思います。それからその次にお願いをしておきたいと思いますことは、従ってその中から出てくる自動車の整備不良による事故との比較を、今の資料の中に一つ明確にしておいていただきたい。それから同時に同じ資料の中で明確にしておいていただきたいと思うのですが、車両別の事故数も、一つ各一万台当たりについて出していただきたい。ここに資料があります。あなたの方から出ておる資料の中に一応書いてあります。しかしこれは大型車と、それから三つくらいしか区分しておりませんので、今問題になっておりますのは、五トンにするかあるいは六トンにするか、どこで大型車の制限をきめるかということが問題になっておりますので、その資料として一応五トンと六トンとの間の数字を、その資料の中に一つ入れておいていただきたいと思います。
それから次に資料として出していただきたいと思いますことは、自動車の車種別増加の現状であります。これも一応この資料の中にございます。ございますが、私がなぜそういうことを聞くかといいますと、政府の出しておりますいわゆる池田さんの所得倍増計画に関する資料の中から、自動車増産について見てみますと、政府の計画では十年後の乗用車を大体百四万台にするということであります。三十五年度実績は、この台数は二十万台であったはずであります。従って、二十万台の生産数を百四万台に上げるという政府の計画の——もちろんこの中には輸出向けもあろうかと思います。それから小型トラックの生産は、大体五十七万四千台にするという計画であります。これも三十五年度の実績を見てみますと、二十六万四千台しかなかったはずであります。そうするとこれは約二倍強になっております。普通トラックが大体二十万台をなにするという形であります。そうしてこれは三十五年は御承知のように九万台しかなかったはずであります。これも約二倍に増加されていく。この自動車の車種別増加と運転手の養成問題というのは切り離すことのできない産業上の問題だと私どもは考えざるを得ないのであります。従って、車がそういう形で——今申し上げましたのは政府の増産計画であります。しかし現実に伸びておることは、この資料で見て参りましても、車の数は非常に伸びておる。昭和二十三年を一〇〇として、三十六年には一八三七という数字になっております。こういう形で車はどんどんふえていく。一方においては、何といっても運転手の養成はこれで制限されることに間違いはございません。十八才が二十一才になれば、その間にどうしてもギャップができることも間違いない。同時に大型を受ける資格が二年になれば、これまた当面はあるだけの台数の運転手がおりますから差しつかえないかもしれませんが、ある時期になってくれば運転手が足りなくなる時期がすぐこようかと思います。こういう規制で運転手が足りなくなる形が出てくる。一方では車の増産が、政府の計画は今申し上げた通りだと思います。これは政府から出た資料にそう書いてあるからそうだと思います。一体そういうことのギャップをどういうように埋めようとするのか。これは産業経済にきわめて大きな影響を持っておるのでありまして、従って運転手の年令の引き上げ、あるいは資格条件の改正等にあたっては、少なくともそれを考慮しないでただ取り締まり面だけから取り締まればそれでいいのだということでは、日本の産業、日本の経済は全く無視されていくだろうと思う。従って、その辺の問題を一つ資料として出していただきたい。ここで一つ一つ御答弁を伺えばいいが、これは聞いておると非常に長くなると思いますので、そういう関係を資料としてお出し願いたい。
それからその次に聞いておきたいと思いますことは、自衛隊の関係でありますが、自衛隊の年令を十八才でよろしいということについては先ほどから
いろいろ答弁がございました。しかしこの場合、私資料として出していただきたいと思いますのは、自衛隊の総員の中で十八才——要するに二十一才で制限をしようとするならば、二十一才以下の諸君で運転のできる人が何人おいでになるのか、あるいは二十一才以上で運転のできる人が何人おいでになるのか、その辺の数字を一つ明らかにしておいていただきたい。と申しますのは、なるほど自動車は運行いたしておりますが、一つの隊をなして運行しておるからよろしいというようなことでなく、私は、二十一才に制限したからといって自衛隊に大した影響はないと思う。なぜかといいますと、それより以上の諸君で運転する人があれば運転すればよろしいのでありますから、自衛隊は必ずしも一人で歩きませんから、お巡りさんと同じで、大体車に、二人乗りか三人乗りか、ある場合にはたくさん乗っておる。一人で歩かない性質を持っておりますから、地方に出た場合には、やはり一般と同じように二十一才以上の免許を持っておる方に運転させても私は隊の行動には大して差しつかえないと思う。これは日本人の悪い癖で、一本でも筋が多く一つでも星が多いと、星の少ない人にやらせる。労力はそっちにまかせて自分は涼しい顔をしているというような悪い癖があるのです。アメリカをほめるわけではありませんが、アメリカの場合は同じように、司令官と副官が来ても、来るときに副官かあるいはそれについておる者が運転してくれば、帰りは司令官でも自分で運転してさっさと帰ってしまう、その点はきわめてスムーズにいっておる。私は何も司令官が運転したからといったってちっとも差しつかえないと思う。そういうことを考えて参りますと、自衛隊の場合にも、どうしても十八才でなければならないという理論は成り立たないと思う。やはり一般の公道を歩く場合には、一般と同じような態度をとるということが正しいのではないか、そうしてそれは可能ではないか、従って、その辺を一つ資料で出していただきたいと思います。
それから、さらに資料をもう少しお願いをしておきたいと思います。先ほど申し上げました整備との関係でありますが、これについて私は手元にまだ十分な資料がありませんので、そちらで一つぜひ出してもらいたいと思いますことは、問題になりますのは、先ほど冒頭に申し上げましたように、人的なことによる被害なのか、あるいは車の整備が悪かったためにより以上の被害が起こったのかということを、一つ数字で出してもらいたい。同時に全国の自動車数と、それから分解整備いたします事業者の数が一体どのくらいあるのかということと、同時に自動車の整備に対しましては、自動車整備士としての技能検定を国家試験として受けなければならないことになっておるはずであります。あれには一級、二級とあろうかと考えますが、これらの合格者が一体どのくらいあるかということであります。私の資料は少し古いのでありますから、新しい資料を出してもらいたい。私の資料では、全国の自動車の台数は三百六十万台で、分解整備事業者と目されるものが二万三千くらいあるはずであります。同時に自動車整備士としての技能国家検定に合格した諸君は約三十万くらいになっておりはしないか、こう思うのですが、これらはいろいろな形で受けておりますから、実際実務についておられるかどうかということは別でありますけれども、かなり多いのではないかと考えます。しかしこれは動いている人の延べ三十万でありますから、実数はわかりません。私のこの資料は、さっき申し上げましたようにあまり新しい資料ではありません。たしか三十五年か、あるいは三十一年の資料だと思いますので、現在の状態を一つ教えていただきたい。
それからもう一つの問題は、自動車の検査義務であります。これは一つここで答弁をしていただきたいと思いますが、バスやタクシー等の営業用の旅客車は、大体九カ月で一回の車両検査が行なわれております。それからその他のトラック、ある場合には営業用の自家用車というものは大体一年でやっておる。その他の小さな自動車等は大体二年ごとに整備の検査をいたしておりますが、この検査がはたして適正であるかどうかということが、私はかなり大きな疑問になろうかと思います。従ってこれについてどういうふうにお考えになっておるか。これは運輸省の管轄でおれの方の管轄じゃないのだ、おれの方は取り締まればいいのだということになるかと思いますが、どういうふうにお考えになりますか。私はこの整備の関係からくる事故件数を書いたのもありますが、これも資料が少し古いので、ここで申し上げることはいかがかと思いますので申し上げません。どうも整備が不十分であって、ついブレーキがきかなかった、ブレーキが十分であればこういう事故は起こらなかったのじゃないか、あるいはクラッチが十分であれば、そういう曲がり方をしなかったのじゃないかというような点がかなり私はあろうかと思いますので、そういう点と、今申し上げました整備の規定との関連について、もし御意見があったら一つこの際承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/101
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102・柏村信雄
○柏村政府委員 いろいろ御要求のものはできるだけすみやかに整理をいたしまして、お手元に差し上げたいと思います。
ただいまの車体検査の点でございますが、これはお話のように運輸省系統で車体検査をいたしておるわけでございます。運輸省も相当人手不足をかこちながらやっておるわけでございますが、率直に申しまして完璧な検査というわけには参っておらぬように思います。と申しますのは、路上における検査、どうもおかしいというようなものの街頭における検査は警察でやって、やはり整備不良車というものを時々つかまえておるわけでございますので、そういう意味でも完璧ということには参りませんが、今回運輸省におきましても、従来の整備業者のうち、特に業態の確実なものを選んで、これを指定整備業者といいますか、そういうふうな制度を作りまして、責任を持ってこれを監督指導し、責任ある整備をさせるようにして、それを公的に検査するというような制度を今国会で、たしか法律の改正をいたしておるわけでございまして、運輸省の方も熱心にそういう面に力を注いでおるわけであります。われわれとしても、また気のついた点は運輸省の方に要望いたしまして、ともどもに車体の整備不良ということのないように努めて参りたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/102
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103・門司亮
○門司委員 その次に、この機会に聞いておきたいと思いますことは、自動車の事故を防止するといいましても、ただ取り締まりだけをすれば事故が減るというものではありません。従いまして総合的の施策が考えられなければならない。そこで政府も、閣僚懇談会のようなものができて御検討になっていると思いますが、警察側から見た率直な意見として聞いておきたいと思いますことは、先ほどからも労働条件がいろいろ問題になっております。今かりにここで労働条件その他を調べてみますと、かなり無理があるようでございます。これらの点について先ほど労働省と話し合っているというようなことでございますが、実態からいいますと、この事態は非常にむずかしい。交通事情が非常に混雑しておりますし、ことに重たい物で値段の安いものを考えれば、砂利などはその一つの例だと思いますが、従来三往復できたものが交通が非常に麻痺しているために二往復しかできない。従ってコストが高くなる、コストが高くなるから、結局どこかでそれを押えていかなければならないというところにやはり非常に大きな無理があるのではないか、これはやはり交通全体が緩和されなければ解決しない問題であります。しかし実際にはそういうことになっていはしないかと考えられる。そこで問題になって参りますのは、これは私の資料ではありませんで、運輸省から出してきた資料を見て参りますと、勤務時間というものが非常に長くて、休養施設というものがほとんど整備されておらない。大体拘束時間が八時間から十四時間の営業所というものが八四%もると書いてある。それから乗務時間につきましても、大体五時間三十分というのが最も多いのであって、そして一カ月の平均日数からいいますと、大体二十九日の日勤率というのが約一五%ないし二〇%くらいある、こういう形では、とても運転手の休養もとれなければ、かなり大きな無理があるかと考えられる。同時に今申し上げましたようなダンプカーであるとかいうようなものについては、やはりできるだけ安い賃金の労働者を雇うということは、これは常識でありますから——常識だというとおこられるかもしれませんが、これは雇う者の側から見れば常識であります。従って非常に無理がある。従って、どうしても事件をなくしようとすれば、その辺に配慮をしなければ、かなり取り締まりの実を上げましたところで、これはほんとうに直らないんじゃないか。あなたの方で出された国家公安委員会でいただきました資料にも、年令別にずっと書いてありますが、このグラフを見ましても、グラフの内容はいろいろ問題がありまして、御承知のように十八才から経験の非常に少ないときの事故と、それからやや経験を積んできて、運転にやや慢心をしてきた時代の三年目から五年目くらいのところでやはり事故がふえておるのであります。だから、必ずしも年令が若いから事故があるとは考えられない。やはり事故全体にいろいろの要素があると思う。そういう総合的のものについて取り締まり当局としてどう考えられておりますか。さっき申し上げましたように、あなた方の方からただ取り締まりさえすればそれでいいのだということではこの問題の解決はつかぬと思う。それをどういう形で各省との間で折衝されているのか、この機会に一つ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/103
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104・柏村信雄
○柏村政府委員 お話しのように、交通事故の防止という問題は、警察の取り締まりのみでこれを期待することはとうていできないと思います。もちろん取り締まりもその重要な一つの要件ではございますけれども、まず道路の整備あるいは道路の安全施設の整備というような点から、ただいまお話しのいろいろ雇用の条件、労働条件、必要な休養をとらせるというようなこと、待遇を十分考えるというような面が兼ね合わさりまして、初めて運転する者の気持も安全ということに十分の留意が行き届くということにも相なろうかと思うのであります。そういう面で政府といたしましても関係閣僚の懇談会、また交通安全のための対策本部というようなものを作って、十分に連絡をとるように努めておりますし、事務的にも各省とそういう意味において話し合いをしておるわけであります。何分にも非常に広範な問題でございますので、早急に総合的な対策というものを一挙に打ち出すということは困難かと思いますけれども、せいぜい目下努力をいたしておるわけでございまして、そのうち結論を得たものから逐次実施して参る、しかも総合的観点に立ったその中の一つの方策として考えていくという態度で臨んでおるわけであります。われわれといたしまして、立場上取り締まりという面を考えるわけでございますけれども、取り締まりだけに走らず、その他の指導あるいは他の行政機関の協力、総合的な対策というものがなければならぬということはまさに御指摘の通りであると考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/104
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105・門司亮
○門司委員 きょうはおそいからこれだけしか聞きませんが、一つ抽象的なことを聞いておきます。自動車の事故が非常に多いから何とかしなければならぬということはだれでもわかっておることであります。自動車の事故は今も申し上げましたように、使用者側に責任のある部面がかなり大きいと思う。この面については、先ほど川村君からの質疑もございましたように、取り締まりがきわめて緩慢になっておる。自動車の運転手自身の手によって、年令等に関連して事故が多いかどうかということについては、これをすぐ十八才がけしからぬというようなことでやるにはもう少し考える余地がありはしないか。そうして法律をこしらえるにいたしましてもその辺を考えて法律をこしらえる必要がありはしないか。ということは、今申し上げましたように、一つは事業主にかけられた責任というものが明確になっていない。その次が道路の関係でございます。御承知のように四車線の道路が日本に一体どれだけあるかということであります。総体の七%かそこらしかないのじゃないかと考えられる。その中の半分くらい、五八%くらいはまだ舗装されていないのじゃないかと考えられる。都会においては舗装ができておりますが、少しいなかにいけばほとんど舗装されていない。こういう状態の中で車は無制限に出てくる、車種はこれまた無制限というと怒られるかもしれませんが、無制限に大きくなっていく。その中でたまたま事故があるからといって、中から引き出したものが一つの現象として年令はどうだろうというふうなものの考え方が出てくる、あるいは免許を受けるについてもさらに年令を引き上げたらどうだろうというので引き上げていく。また車種にいたしましても、このくらいからが大型でなければならぬという考え方が出てくる。いわゆる末梢的な現象だけをとらえてこうやくばりの処置をしようというのが私は今度の法律だと考えておる。それ以外に考えようがないのであります。今日の交通事故は、あげて交通労働者の責任であるというような考え方で、取り締まりだけを重点に処置をしたのでは問題の解決はできません。少なくとも今申し上げましたような車種別にいたしましても、大型化しているというのは事実であります。現在の段階において五トンを含むものが一番多い、八八%あるからということを言われておりますが、これはだんだん大型化していくことは事実であります。そうすれば現在の次元においてこれでよろしいのだという議論は当てはまらぬのじゃないか。一体日本の将来の運輸関係というものがどういう姿になっていくかということを十分考慮して法律を改正することをしなければならないのに、その辺の配慮がちっとも払われておらない。ただ現象だけをとらえて取り締まりをする。何のことはない、この法律を見てごらんなさい、今日の交通事故はあげて交通労働者の責任である、従って交通労働者の年令の引き上げをやるあるいは免許資格を厳重にしている、こういう形だけでしょう。ほかに何かありますか。何も書いてない。私はこういう政府の見方自身ではいつまでたったところで交通事故はなくならない、そういうふうに考えて参りますと、この法律はもう少し何か考えようがあったのじゃないか、あまりにも思いつき過ぎはしないか。そして今こういうことだから、世間がうるさいから、こういう法律を出してお茶を濁しておこうというようなことで、将来の日本の産業あるいは経済の基本になります運輸関係に非常に大きな支障を来たすということがあるとするならば、当局はもう一歩考えなければならぬと私は考えるのですが、それもまた資料が出てから質問いたしたいと思います。
ごく大ざっぱな抽象的な議論でありましたが、私どもの考えに対する長官の御意見を一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/105
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106・柏村信雄
○柏村政府委員 今回の改正は先ほど来申し上げておりますように、これが全部という考えは毛頭持っておりません。しかしながらやはり取り急いでなすべき一つの施策であるというふうに考えておるわけでございまして、ただいまお話しのようにその他総合的な諸対策というものも鋭意検討いたしまして、できるだけすみやかに各面からの検討を遂げまして、成案を得次第制度化して参るように努めて参りたい、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/106
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107・園田直
○園田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03019620417/107
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