1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月二十七日(金曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 園田 直君
理事 纐纈 彌三君 理事 高田 富與君
理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君
理事 太田 一夫君 理事 阪上安太郎君
伊藤 幟君 小澤 太郎君
亀岡 高夫君 久保田円次君
前田 義雄君 山崎 巖君
安宅 常彦君 川村 継義君
滝井 義高君 二宮 武夫君
山口 鶴男君 門司 亮君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
自 治 大 臣 安井 謙君
出席政府委員
大蔵政務次官 天野 公義君
大蔵事務官
(主計局次長) 谷村 裕君
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 平井 廸郎君
文部事務官
(管理局長) 杉江 清君
自治政務次官 大上 司君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
委員外の出席者
警 視 長
(警察庁警務局
厚生課長) 前田 利明君
大蔵事務官
(主計官) 高柳 忠夫君
大蔵事務官
(主計監査官) 宮田 貞夫君
文部事務官
(管理局福利課
長) 清水 成之君
自治事務官
(行政局公務員
課長) 松浦 功君
自治事務官
(財政局財政課
長) 松島 五郎君
自治事務官 堀込惣次郎君
専 門 員 曾根 隆君
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四月二十七日
委員和田博雄君辞任につき、その補欠として滝
井義高君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
地方公務員共済組合法案(内閣提出第一二〇号
)(参議院送付)
地方公務員共済組合法の長期給付に関する施行
法案(内閣提出第一三六号)(参議院送付)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/0
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001・園田直
○園田委員長 これより会議を開きます。
地方公務員共済組合法案及び地方公務員共済組合法の長期給付に関する施行法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。
質疑を行ないます。通告がありますので、これを許します。
質疑の前に一言委員長から申し上げます。
昨日来各委員から要求されました資料につきましては、政府各関係者は、本法律案審議のために必要なる最低の資料だけは早急に準備、提出するよう、厳に委員長から要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/1
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002・佐久間彊
○佐久間政府委員 ただいま委員長から仰せになりました点は、できるだけ努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/2
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003・園田直
○園田委員長 伊藤幟君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/3
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004・伊藤幟
○伊藤(幟)委員 大蔵政務次官に質問をいたしますが、昨日大蔵省側は参議院の都合で高柳主計官が参っておりまして、答弁があったのでありますが、非常に不十分のためにおいで願ったのでありますけれども、私の請求しておるのは大蔵大臣でありまして、午後大蔵大臣が来ましたら、私はまた質問することを保留しておくことを前もって委員長に申し上げておきます。
〔委員長退席、渡海委員長代理着
席〕
まず、昨日も質問したのでありますが、今回の地方公務員共済組合法の二案につきまして、今まで各団体ばらばらになっておったものを一つに制度化したということは、一段の進歩ではあると思いますが、大蔵省側は社会保障制度の一端としてこれをお認めになって考えておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/4
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005・天野公義
○天野政府委員 社会保険の一端として考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/5
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006・伊藤幟
○伊藤(幟)委員 ちょっとわからぬですが、一端として認めるというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/6
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007・天野公義
○天野政府委員 社会保険として認めておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/7
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008・伊藤幟
○伊藤(幟)委員 社会保険すなわち社会保障制度でしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/8
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009・天野公義
○天野政府委員 社会保険でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/9
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010・伊藤幟
○伊藤(幟)委員 ちょっと伺いますが、社会保障と社会保険とは定義的にどこが違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/10
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011・天野公義
○天野政府委員 もちろん社会保険は社会保障の一環でございますが、社会保険は社会保険であるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/11
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012・伊藤幟
○伊藤(幟)委員 今答弁がありましたように、社会保険というのは社会保障でありましょう。さように相なりますれば、私はこの制度を確立するために、国が直接この組合運営のために負担をするのが原則であると思うのであります。ところが今度の制度は交付税によって、雇用者が負担をする建前になっておるということは筋が通らない。民主主義政治は、折り目正しく筋の通った政治行政でなければならぬと思うのでありますが、この点についてなぜこういうふうな交付税にしてしまったのか。大蔵政務次官も御承知でしょうが、この地方公務員の共済制度につきましては、自治省を中心として、過去三年の歴史がありまして、各団体の陳情を受け、また内談をして、私もその関係者の一人として、これは必ず国家公務員と同様な、国の直接の助成負担をとらせるというような建前で期待をさせておきましたところが、昨年の年末におきまして期待が非常にはずれてしまった。自治省が大蔵省と土俵で相撲をとって、押し切られてしまったのではないかということは、私ばかりでなくこれは関係者の世論であります。そうして日本の保険制度あるいは社会保障の一端を、折り目を正さなかったということは、私ははなはだ遺憾でありますが、この点についての次官のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/12
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013・天野公義
○天野政府委員 おっしゃられるような御議論は前々から承っておるところでございます。おそらく事務当局もここで大蔵省の見解を申し上げたと思っておるのでございますが、いろいろな組合等の実例とか筋等を考えまして、この際この問題につきましては、地方公共団体がおもにやることにいたしまして、国の方ではこれに負担をしない。しかしながらその反面、交付税を引き上げることによりまして、その中にいろいろと算定をして、そうしてこの問題の運営に支障がないようにしたい、こういう考え方で措置をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/13
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014・伊藤幟
○伊藤(幟)委員 一つの例を申し上げますれば、町村吏員の恩給組合というものは、昭和十八年四月に内務次官通牒で申し合わせで出発をいたしておるのでございまして、終戦後二十六年まで、二十七年にこの恩給組合が法制化をいたすまでは、国及び県が百分の六の負担、町村の負担は百分の四、吏員当人等に百分の二、こういうようなわけで参っておるのを、二十七年から法制化して、十ぱ一からげの地方の財政、交付税でやられたということは、過ぎたことではございますが、私の納得しないところであります。こういうふうな、昔の内務官僚といわれる人が非常な親切心を出して、そうして法律の委任命令でやっておる事務が、きのうも申し上げましたが、日本の基準町村が二万七千人で、その役場に百三十九人の吏員がいるのでありますが、そのうち、パーセンテージから申しますと、三二・七%国務の代行を法律命令でやっておるのです。時間をかけて差しつかえなかったならば、全部私が調査したのを読んでもいいのでありますが、国民年金、児童措置費、民生委員関係のもの、教育費あるいは農業委員会関係、それから保健衛生費、主食集荷その他農林行政関係、委託統計費、戸籍関係あるいは人権擁護委員関係、外人登録関係、自衛隊関係、選挙関係でありまして、そのうち町村の負担をしないで済むものは、戸籍関係と外人登録と自衛隊の関係だけです。大小にかかわらず、それ以外は自己負担をしております。ところが基準財政から見ますと、これはおそらく交付税で算定をしているとおっしゃるでありましょうが、これだけの事務をしているのに対して、国家はただ交付税に算定している。私は財政の金勘定、そろばんだけではこれはちょっといただけないのではないかと思う。御承知のように、国家公務員の方はむろんでありますが、このほか厚生年金法、私立学校職員共済組合法、それから農林漁業団体職員共済組合法等の団体では、直接国がその一部を負担いたしている、これが事実であります。でありますからして、この関係から申し上げましても——憲法の第八章において地方自治が保障されている。この地方公共団体の職員の共済制度を一本化して、制度化するときに、特別に国が法律できまった団体は補助をしながら、地方自治団体に国が直接助成ができないということは、私は納得がいかない。戦争前には、昭和二十六年までは国が負担をしておる。これをただ財政のかげんでやる。きのうの主計官の答弁では、今地方の財源は豊かだからやったのだ、豊かでなくなったらまた考える、こういうふうな答弁では、この身元保障に対する方法としては、国としては確立していない、こういうふうな私は解釈をしてもいい、確立をしていない、保障制度というものはないのでありますから、この交付税から引きさいて、特に自治省の案のように、国家が直接一部負担をして、他の農林団体と同等の扱いをする。農林団体の共済組合の方が、あるいは私立学校の団体の共済組合の方が、農林省から、あるいは文部省からかえってもらっておりまして、憲法の条章に保障されている地方自治というものに対して、国家が直接出せない、旧憲法の時代には直接出しておった、こういう実績があって、昔の内務官僚よりも、今の時代の大蔵省あるいは自治省の考えが非常に民主的でないという感じがするのであります。こういうことに対して大蔵省はこれを改めて考え直すというお考えはないのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/14
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015・天野公義
○天野政府委員 先生よく御承知のように、市町村共済組合とか地方職員共済組合、公共企業体共済組合等は国の負担が行なわれておらないということは御承知の通りであります。しかしながら私学共済組合とか船員保険とかこういうものは、その沿革からいたしましても、またいろいろな関係からして、国の方で負担をしているということ、これはせざるを得ない状況でございます。今度のこの地方公務員の共済年金制度の実施にあたりましては、地方公共団体の職員のために設けるということでございますから、地方団体がその負担をし、その責任をはっきりさせるということは当然の筋合いではないかと思うわけであります。地方団体は課税権を持っておりますし、自主財源も持っているわけであります。そのほかに国の方といたしましては、先ほど申し上げましたように、交付税の税率を上げる措置もいたしましたし、今度はまた別途地方財源の増強という目的をもちまして、いわゆるボロ株と成長株と入れかえる措置をやっていることは御承知の通りでございます。従いまして、今までの筋合いからいたしましても、財政の面から見ましても、御審議願っている案で十分やっていけるのだ、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/15
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016・伊藤幟
○伊藤(幟)委員 今答弁がありましたが、自治省の立案したものはきのう答弁があったのでありますが、大蔵省側に請求した最初の案は、一部事務費の十八億である、給付金を一〇%国が負担すれば五十七億、合計七十五億を請求しておったという答弁をしておるのであります。それに対して今御答弁がありました交付税をふやしたというのは、臨時処置の交付税は〇・三%でありまして、それを四にしてやった。三というものは今まで自治体側の一つの権利といっては語弊がありますが、財政計画に入っておるものでありますから、今度は〇・一ふやした。〇・一というのは十五億です。ですからきのうの答弁のように、今度は地方の財政は税収入がよくなるから、これは十五億でもそろばんが合うんだ、悪くなったときは処置するんだ、こういうふうなあやふやな答弁をしているために次官においで願ったのでありますが、この点はまことにそろばんが合わぬ。結局地方の財政を圧迫する。幾分でも県、市町村が自己資金ができまして、いろいろの施設をしようと思っても、こういうような圧迫があってますますできない、こういうふうなことが如実に私ども見えるのであります。それを〇・一をふやしたからこれでまかないができるとおっしゃることは、ちょっと道理に合わぬ。もしこれが道理があって、まかないできたとしましても、これでは先ほど申し上げましたように、制度としての確立化ができない。それは当然でありましょう。それは一方は金を持っているから、一方で払うのが当然だというふうに申し上げることは、社会保障——次官のおっしゃるように保険である、こういうことで考えましても、これは折り目正しく、よその団体にも出しておるのでありますから、これは国費を必ず出して、日本の国が続く限り永久に地方公共団体があるのでありますから、地方公共団体の職員の身元を保障するということを確立するのが一番よい制度である、私はかようにできてこそ、民主主義の地方自治の基礎であり、地方自治を確立させるところの土台であると思う。その意味においても、今回どうしても大蔵省がもっと大きく考えて、この事業の基礎を、今度は地方の税が逆に減った場合には交付税をふやすというような味わいを、私はきのうちょっと答弁で感じたのであります。そういうふうに金がなければくれるぞ、金があればお前がやれ、こういうものは保険制度ではないと私は思う。当人も今度は二二・五%のよけいな負担をするのでありますし、町村の団体が五五、一方が四五やるのですから、このうら国費が相当額給付でいくことがやはり当然の次第であると思う。そうすることによって地方自治の筋を通して、折り目正しい民主主義の基礎ができる、こう私はかたく信じておるのでありますが、次官のお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/16
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017・天野公義
○天野政府委員 先ほど申し上げた通りでございますが、交付税は三税のはね返りで入ってくる分を勘定いたしますと、〇・四の引き上げであるとかなんとかいう、ただ単にそういうことだけで財源の算定はできないと思うわけでございます。もとがふえれば、こちらの方の財源も十分ふえるわけでございます。
それから筋の問題でございますが、地方公務員の共済制度というのは、地方自治体とその職員でやっていくのがやはり筋であって、そしてそれに対する財源措置等につきましては、国の方が、いろいろと交付税なり何なりそういう面でめんどうを見ていくということでやっていく方が、かえってすっきりして筋が立つのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/17
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018・伊藤幟
○伊藤(幟)委員 答弁を聞きますと、政務次官の考え、思想と私は正反対で、国が当然出すべきものである。あなたは、国が出さないで地方の公共団体の財政でやるべきである、足りないところは基準財政で補う、こうおっしゃるようでありまして、これではのれんにすね押しで、何回やっても私は同じだと思う。かたく申し入れしますが、ぜひお考えを直して、そして私のような考えにおなりになって、近い将来に——よその団体に直接経費を出しておるのでありますから、国の委任事務が法律、命令で三分の一以上ある、これをやらせておいて、身元保障に一文も出さないということは、これは何としても常識では通らない。遺憾もはなはだしいものだ。それをどこまでものれんにすね押し式の答弁を聞くことは残念だ。こういうことをやっておれば、しまいに——私は自治省ができてから、町村合併という話を私はよく耳にしますが、この町村合併の法律を作って、無理にやるということは、私は今でも反対の思想であります。自然発生的なものにしなければならぬ。これをやって、自治省に統制して——昔私は町長をやって、全国の会長もやったのでありますが、今の人を悪く言うようでありますが、犬をならしたようにならしましたから、今度は市町村側は何でも自治省の言うままになっておる、自治省のおっしゃることは何でもやってくる。こういうことでは昔の内務省のようになる。昔の戦争前の町村になる、市になるというおそれがあると思います。この点から申しましても、今度のこれは職員の保障ではありますけれども、こういうところから、はっきり折り目を正されなかったならば、私は十年たったならば内務省の復活じゃないかと心配しておる。統制国家の基礎は、やはり今までの実績から申しますと、各市町村にあった。今は憲法の保障があるのでありますから、これは法律の許す範囲内で自由にやらせる。ただ残念ながらこの日本の財政が、地方の財政が豊かでありませんから、やむを得ず交付税の制度を持って参った。これに足をかけて、基準財政でまかなうから、これはその方が筋が通るというふうなことを次官がおっしゃることは、まことに残念であります。私は地方自治を考えるために、これをかたく問うのであります。お考えおきを願えませんか、どうですか、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/18
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019・天野公義
○天野政府委員 よく研究はさしていただきますけれども、私どもの見解に基づきました案といたしましては、御審議を願っておる案を一番いい案である、かように考えまして、お願いをしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/19
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020・伊藤幟
○伊藤(幟)委員 これでは私は何回やっても、次官があまり答弁上手で逃げてしまうから、次官とはやりません。また大臣が来たらやります。保留しておきますが、非常に遺憾であったということを申し上げて、またこのために努力をするというお言葉がないようでありますが、ぜひこれが解決するように努力をしてもらいたいということを私は強く要望を申し上げまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/20
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021・太田一夫
○太田委員 関連して一つお尋ねいたしますが、今の御答弁は、伊藤先生の正論に対してどうもそっけない御答弁をなさっていらっしゃるようですが、いかなる御理念から出ておるのか、私は非常に不思議に思うのです。昨日御配付いただいた「地方公務員の退職年金制度に関係のある各種審議会の答申」、この二十六ページには費用負担という項がありまして、その中には——この費用負担というのは、地方公務員の退職年金制度改正の方針についての地方制度調査会の答申でございます。この「負担割合」というところを拝見いたしますと、「社会保険制度に対する国の責任を明確にするため、給付に要する費用の一定部分を国が負担すべきである。国家公務員共済組合の場合は十パーセント、厚生年金保険の場合は十五パーセント、船員保険の場合は二十パーセントを国が負担しているが、地方公務員の場合には、国家公務員の場合に準ずべきである。」一〇%ということで、国家公務員の場合に準ぜよという答申が出ておる。元来調査会とか審議会を作って、その答申を出させて、それを踏みにじるのが最近の政府の常套手段でございます。そういう悪いくせができておりますけれども、そうかといって、この場合でも一〇%というのを国庫が負担する。いわゆる一割国庫負担というのは考えられない、〇・一%の交付税だけあげておけばよろしい、十五億でよろしい、こういうことをおっしゃっていらっしゃるのですが、なぜ、この一割の国庫負担をすべきが妥当だという費用負担の答申について、あなたの方は今のような御答弁になったのですか。その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/21
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022・天野公義
○天野政府委員 そういう答申のあったことも存じております。そしていろいろと研究もし、数字の問題も考えまして、そしてその結論として御審議願う法案を作成するようになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/22
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023・太田一夫
○太田委員 次官、最近飛ぶ鳥を落とす勢いのいい官庁というのはどこだと思っていらっしゃいますか。あなたは遠慮して御答弁になっていらっしゃるのですが、常日ごろ何ごとでも大蔵省の権威というのはすばらしきものでありまして、文部省も頭を下げるし、自治省も頭を下げるし、厚生省も頭を下げれば内閣総理大臣も頭を下げるというようなことで、大蔵省に対しては何とも頭が上がらない。何を持っているか、金を持っているのだから、金を持っているものが一番強いというのは世俗のことわざでありますけれども、それをあなたの方は如実に実践している。しかし金を生かして使うためには、理論をそれに並行してもらわなければならない。諸般の事情を考えるというと、一割国庫負担よりは〇・一%の交付税によってやった方がいいと考える、国家負担も地方自治団体の負担も同じ言葉であるというようなことをおっしゃっていらっしゃっては、これは説明にならぬわけです。十五億の交付税と一割の国家負担とは金額が違うのでしょう。幾ら違うのですか。同じでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/23
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024・高柳忠夫
○高柳説明員 数字を御説明申し上げますが、〇・一%の三十七年度の試算では十五億でございますが、一割国庫負担のうち事務費の算定につきましては、きのう自治省からお答えしました十八億という数字がございますが、これは一人当たりの単価が相当多額に計上されております。従いまして国家共済の単価及び従来市町村共済組合に交付税上で見ている単価等を勘案してみますと、大体四億程度でございます。そういたしますと合わせまして七十五億ときのう御答弁しているかと思いますが、それに対しまして大体六十億弱になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/24
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025・太田一夫
○太田委員 六十億弱というのは五十七億という数字でしょう。五十七億と十五億とは——七十五億は事務費を入れて七十五億で、十八億というものが事務費だとおっしゃったから、それを除いても五十七億というのが残る、これは算術ですよ。だから五十七億程度のものが一割国庫負担の金額に見合うとするならば、十五億と五十七億とはイコールということになる。十五億と五十七億とがイコールであるというのが大蔵省の算術であるならば、われわれは今後納税をするときにそういう理論を適用いたします。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/25
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026・高柳忠夫
○高柳説明員 御指摘の、十五億と五十七億とはイコールではございませんことはむろんのことでございまして、大蔵省の御説明といたしましては、〇・一が今回の地方共済年金の発足に対する所要財源の措置だ、こういうふうに申し上げてはおらないのでございまして、きのうも申し上げましたように、交付税というものは三税とリンクいたしておりまして、交付税も年々伸びております。従いまして、交付税全体の額と地方の所要財源とのバランスを見て処置いたしたわけでございまして、当然に地方共済年金の五十数億と〇・一の十五億とは、財源措置の相互連関関係の数字だとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/26
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027・太田一夫
○太田委員 それでは、あなたの一割国庫負担に見合う財源、〇・一%の交付税いわゆる十五億円とその他は、どこから吸い上げる、どういう名前の収入をもって充てたらいいとお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/27
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028・高柳忠夫
○高柳説明員 かりに給付費の一割の五十数億を国庫負担いたしましても、残余の九割近いものはやはり地方が負担をしなければならないのでございまして、これの所要財源というものをどう措置するかという問題は、かりに国庫負担を一割いたしましても残るわけでございます。従いまして、大蔵省の考えとして、一割を国庫負担しない場合には、その九割の部分と一割の部分と合わせまして、地方の新たに必要とされる所要財源に対して、どう財源措置をしたらいいかというふうな観点から、地方財政計画なり交付税なりの措置を考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/28
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029・太田一夫
○太田委員 その点についてやりますと時間が少し長くなると思います。従って、今のお話では満足もできませんし、絶対わからない。そんなはずがないのです。答弁の食い違いばかりです。自治省においては安井自治大臣が四月五日参議院において、必ずしも一割の補助を出したくないということではないが、それを言っている限り解決ができないから、そういう事情があった、大蔵省の抵抗があったからやむを得ずそうしたのだと言っておる。あなたも科学的な説明をやってくれなければ、哲学みたいなことを言って、あとへいったら悟れというような、そんなわけにはいきませんよ。これは数学ですから、その数学と政治の方向でございましょう。だから、そういうお答えはわれわれ満足することができませんが、関連質問ですから、以上で一応とめておいて、あとまたあらためてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/29
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030・渡海元三郎
○渡海委員長代理 滝井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/30
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031・滝井義高
○滝井委員 地方公務員共済組合法について、他の制度と関連をしながら、二、三の重要な点について質問をしてみたいと思います。
まず第一に、わが国の公的年金制度は、厚生年金や国民年金のほかに、各種共済組合の長期給付等があるわけです。地方公務員共済組合というものはその一つとして加わることになるわけですが、このような制度というものは一体どういう理由によって別建ての制度として設けられるのかということですね、これをまず第一にお聞かせ願いたいと思うのです。
実は委員長、これは大臣を呼んでいただかないと、こういう重要法案は次官では困るのです。根本論に入りますから、大臣に来てもらわぬと工合悪いですよ。百八十万から二百万の公務員のいわゆる老後を保障する重要な問題ですから、ぜひ大臣に出てもらいたい。それから大蔵大臣も一つ来てもらわなければいかぬ。これは当然のことですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/31
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032・渡海元三郎
○渡海委員長代理 滝井君に申し上げます。御要望ごもっともと思いますが、ただいま大臣は、やむを得ず他の委員会に出席中でございますので、あき次第、出席することでございますので、御了承を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/32
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033・佐久間彊
○佐久間政府委員 各種の年金がそれぞれ違った制度で立てられておりますことは御指摘の通りでございますが、地方公務員を対象といたします退職年金の制度につきましては、従来から国の、国家公務員につきましての恩給に準じた制度を大体もとにして行なわれておったわけでございます。公務員につきまして、国の場合におきまして厚生年金や国民年金とは別に、共済組合による制度がしかれたわけでございますので、他の地方公務員につきましても国家公務員の例にならいまして、別建の共済組合方式による退職年金の制度を立案いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/33
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034・滝井義高
○滝井委員 今まででも恩給系統のものと共済組合系統のものとあるわけです。これだって本質的に大して違わないわけです。本人がこの制度よりか掛金を少なく出しておったということで、あとは大して変わりはないわけです。そうすると一体国民年金なり厚生年金というものがあるのに、特に別建にしなければならぬという明白な理論的な根拠というものは、ただ国家公務員があったから地方公務員もそうやるんだ、こうおっしゃるならば、国家公務員の共済制度ほどシビアにまねをしておるかというと、そうではないのです。今問題になっておるのは、あとに問題にしますが、ああいう問題についても一割の国庫負担等の問題については別な形をとっておるわけです。国家公務員に地方公務員が準ずるんだ、こうなっておるんだ、共済制度も従ってそれと同じにしました、だからこれは厚生年金なり国民年金と別建にするのです、これはこれなりで筋が通っているかもしれません、右へならえならば。一貫した理念を貫くならば、これはこれからやるところについても同じようなことに議論が集中していかないと論理のつじつまが合わなくなるのです。
〔渡海委員長代理退席、高田(富與)
委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/34
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035・佐久間彊
○佐久間政府委員 基本の建前といたしましては、地方公務員法の規定いたしておりますところでございますが、地方公務員の退職年金制度については、国家公務員の退職年金制度にならって制度を作るという考え方をいたしておるわけでございます。ただ地方公務員につきましては、国家公務員と若干異なった実態もございますので、それらにつきましては地方公務員の実態に合うように、特例と申しますか、若干の手直しはいたしておりますが、基本の大筋は国家公務員の制度に準じて立案をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/35
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036・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、一体共済制度というものの本質は何なんだというのです。制度というものが、たとえば今あなたのおっしゃるように国家公務員が共済制度をとっているんだ、だから地方公務員も共済制度にならったんだ、こういうことになれば、なぜ厚生年金なり国民年金に入れないかということに対する答えにはなるかもしれません。それならば公務員だけが共済制度にみんないくものなのか。そうじゃないでしょう。たとえば私立学校の共済組合があるのです。それから農林漁業団体職員の共済組合もあるのです。これは同じような制度です。そうすると公務員だけじゃないのです。そうすると、いかなる理由で特殊な人だけに共済制度をとらなければならないのか、この理論的な確立がなければいかないのです、そうでしょう。これを僕はいろいろ勉強してみたけれどもわからないのです。公務員だけがこういう制度を——公務員は国際的にも特殊のものだといわれております、これは一つの通説です。公務員はそういう特殊なものなんだ。しかも国家公務員がそういう制度をとっておるから、同じような特殊性を持っている地方公務員も共済制度をとるのです、公務員特有のものなんだ、こういう形のものならばわかるのだけれども、そうでもない。私立学校にもありますよ、農林漁業団体にもありますよ、こうなれば、共済制度とはどういうものか。どういう人たちにこれを当てはめたら、こういう人々の老後とか病気とかいうようなものを保障するに一番適切な制度なんだという理論づけが展開されなければならぬと思う。それが、僕は勉強したけれども寡聞にして、書いてある本もなくてわからないのです。これを根本論から説明してもらいたい。従って、これは大臣でなければどうも工合が悪いのです。これは国家公務員に右へならえをした制度をお立てになるのなら、どういう理由でこういうものをやらなければならないか、こういうことなのです。今までそれぞれの実態の特殊性とかアンバランスがあったものを、一本の統一的なものにどういう理論的な根拠からしなければならぬか、こういうことが知りたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/36
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037・佐久間彊
○佐久間政府委員 私も保険年金制度全体につきまして専門的に研究をいたしておりますものではございませんので、満足な御答弁をいたしかねますことは大へん申しわけないことだと思いますが、共済組合による方式は、公務員だけ当てはめる方式というわけではもちろんないと思います。退職年金をやって参りますやり方の一つの型、方式であるかと思うのでありますが、それが国家公務員の場合におきましてそういう方式がいいということでとられたわけでございますので、同じ公務員でございまするならば、国家公務員につきましても、地方公務員につきましても、同様な取り扱いをすることが、現在の公務員制度の建前でもございまするので、私どもといたしましては、それにならって共済方式による退職年金制度を立案いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/37
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038・滝井義高
○滝井委員 そうすると、別に本質的な、理論的な検討をやったわけではない。国家公務員共済組合制度がすでに先行しておるから、地方公務員は身分その他が類似しておる。従って、自治省としては右へならえしたにすぎない、こういうこと、これはわかりました。
そうしますと、自治省と大蔵省に一緒に尋ねますが、この国家公務員の共済制度と地方公務員の共済制度は、社会保険ですか社会保障ですか。どちらです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/38
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039・佐久間彊
○佐久間委員 社会保険、社会保障という言葉の定義が必ずしも統一されておらないように存じますが、常識的に普通使われております意味におきましては、これは社会保険の一環としての制度である。さらにまた、この社会保険は広い意味では社会保障制度の一つである、このように理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/39
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040・滝井義高
○滝井委員 社会保険でもあるし社会保障でもある。実は厚生年金法の第一条をごらんになると、「この法律は、労働者の老齢、廃疾、死亡又は脱退について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」、こうなっておるわけで、これは明らかに「保険給付」と書いてあります。ところが国家公務員にしても地方公務員にしても、その共済組合法の第一条を見てみると、保険給付という言葉は出ていないのです。それから同じく老後を保障する国民年金法の第一条を見てもらいたい。これは厚生年金のニュアンスがちょっと違うのです。第一条には「国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き」となっておる。これは明らかに社会保障的なニュアンスがにじみ出てきておるわけです。これは第一条に顕著にそういう形が現われてきている。国家公務員なり地方公務員の共済組合法を見ると「適切な給付を行うため、」、こうなっておるのだが、保険とも書いていなければ憲法二十五条とも書いていないのです。これは明らかに条文を見比べても相当違っている、ニュアンスが違っている。従って、この共済制度というのはどういうものなんだという、こういう疑問も出てくる。性格がない。今あなたのおっしゃるように、これは社会保障でもありますし、社会保険でもあります。二足のわらじをはいているような状態が見えるのです。あるいは三足ぐらいはいているのかもしれません。そういう感じがする。何か性格があいまいもこたるものだ。だからこれは今後のいろいろな掛金や給付の問題、国の負担を論議するときの非常に重要なポイントになってくるわけです。これは大蔵省が国家公務員の共済組合法をお作りになるときに、どういう観点からお作りになったかということです。自治省は右へならえしておるのですから、まずそのもとからただしていく必要がある。これはもとは大蔵省です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/40
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041・高柳忠夫
○高柳説明員 ちょっとお断わり申し上げておきますが、これの担当の課長は給与課長でございますが、ただいまほかの委員会に出ておりまして、代理の者も来ておりますが、私関係しておりますので、私の考えられるところをお答えいたしますが、国家公務員共済を制定するにあたっての一つの基本的な考え方といたしましては、現行の国家公務員法の百七条に退職年金制度に関する規定がございます。そうして当時の恩給制度にかわって、将来は国家公務員の職員が相当年限忠実に勤務した場合には、退職後の種々の年金について新しい制度を作りなさい。そうしてそれを作る場合には健全な保険数理を基礎として認められなければならない、こういうふうな公務員法の規定がございまして、恩給制度を改正するにあたってとるべき制度としては、こういった社会保険的な保険数理に基づいた共済年金制度ができたかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/41
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042・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、この共済制度というものは、健全な運営をやるために確実な保険数理に基づいてできておる。従ってこれは社会保険的なものなんだ、こういうことになりますか。——わかりました。ではそういう意味から論議を進めていきますから忘れないように……。
そうしますと、国家公務員の共済組合法並びに地方公務員の共済組合法においても、その第一条というものはほとんど同じです。いわばまる写しです。ただ違うのは、地方公務員と書いているのを国家公務員の方は国家公務員と書いてあるだけです。あとは同じです。そうしてこの地方議会議員の年金制度のところが、国家公務員にはないだけです。あとは大体全部同じです。
そこで、その中で他の公的年金にないところはどこかというと、「公務の能率的運営に資する」というところがあるのです。これは郵政省の青谷さんですか、共済組合の本なんかをお書きになって、国家公務員のこの方面におけるなかなかのベテランらしいですが、おそらくあの方は、日本のこういう方面のこういう事務をやる人に指導する本なんか出しているくらいだから、代表的な権威だろうと思います、りっぱな本をお出しになっているから。そういう人たちの書いたものを見てみても、この共済組合というものが、ここに書いている公務の能率的運営に資するという、いわばこれは別な言葉で言えば、労務管理的な色彩を持っているということを意味するわけです。あるいは人事管理的な色彩を持っているということを意味するわけです。こういう面があるから、共済組合の制度というものは、厚生年金よりか高い水準の給付をやるのだ、これが共済制度が他の老後を保障する厚生年金等々と、ちょっと違うところなんだということの理由としているわけです。これについてはあなた方の見解はどうですか、これは自治省、大蔵省どちらでもけっこうです。これに対するあなた方の御見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/42
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043・佐久間彊
○佐久間政府委員 私どもも同様に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/43
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044・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、国家公務員なり地方公務員の共済組合制度というものは、数理を基礎に置く社会保険的な性格を濃厚に持っているのだ、一方においては労務管理的、人事管理的な面を持っている、こういうことも理解して差しつかえないわけです。そうしますと、そういう労務管理的な、人事管理的な面を持っているものが、今度は一方においては相互救済を目的としているのですね。そして相互救済ということは、これはそういうものが出てこないことを意味するわけです。たとえば健康保険にしかないのです。相互救済というようなことは、これはそれぞれの中小企業、農民の皆さんが集まって、そしてお互いに掛金をかけて、足らない分は社会保障的なあるいは社会保険的なもの、あなたの方の言葉でいうものかもしれませんが、国から出してもらう、そしてこう運営していっているわけです。そうしますと、労務管理的な社会保険的なニュアンスが強いものに、今度相互扶助的なものが入ってきた、従って、この制度においては国も百分の五十五出しますよ、あなたたちも百分の四十五出しなさいよ。いわばほとんど負担の折半に近い形をとっているわけです。そこがおそらく相互救済ということになったのだと思うのです。そうしますと、何か労務管理的なものと相互救済的なものとが矛盾をする感じがするのですがね。これは一体どう解明をしていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/44
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045・佐久間彊
○佐久間政府委員 御指摘のように、相互救済を目的とする社会保険的な制度だというのが主たる建前であると思うのでございますが、それにあわせて、公務の能率的運営に資するという意味において、公務員制度の一環としての意味を加味している、かように私どもは理解いたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/45
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046・滝井義高
○滝井委員 そうすると、自分で、君たちも金を出せ、こう言っておって、今度その制度を使って人事管理、労務管理をやるということは、ちょっとおかしいような感じがしますがね。近代における社会保険立法なり、社会保障立法においては、おかしくなる。いいですか。金はお前たちが出すのだぞ、そして事務の能率をうんと上げてもらうのだ、しかしこの制度は、能率を上げてもらうが労務管理なんだ、こういうこと、そして一方では相互救済だ、だからこの共済組合法案の性格というものは、実に何が何だかわからないのです。今私が指摘したように、社会保障的でもあるし、社会保険的でもあるし、相互救済的でもあるし、労務管理的でもある。これはもう雑然としている。一貫した性格は何もない。だから、こういうあいまいなものを作るから大蔵省からやられてしまうのです。こんなものはあいまいじゃないか、国が金を出せるか、こうなるのです。こういうあいまいなものは、この二十世紀後半の憲法二十五条が健在な日本においては作るべきでないのです。もうちょっと割り切れなければいかぬ。だから、こういうあいまいなことが出るから、以下いろいろなあいまいなものが雑然と出てくるのです。何らその中に統一的な、体系的なものがない、そういう形になるのですよ。
そこで、あまり専門的にやると長くなりますから、少し典型的なところだけを浮き彫りをしてみますが、まず、今回出ておるこの地方公務員共済組合法の制度では、給付額の算定の基礎として、退職前三カ年の給与の平均した額を用いることにしておるわけでしょう。そうしますと、まず第一に、こういう方法をとったときに、どんどんベース・アップが行なわれていきますね、そうすると、当然その整理財源を必要とするわけです。ベース・アップをしたときには、それに見合って百分の五十五とか四十五をかけるから、その分については何とかつじつまが合っていきます。何とか、幾分つじつまが合うでしょうけれども、しかし、なお相当の前の分がありますからね。そのときには、それで、それから以後の分もいいが、その上がった前の——今度の分というものは三年をとる場合に、前の分はだめになるわけですから、低いわけですから、従って、ここに整理財源が一つ必要となってくるわけです。この整理財源について、あなた方は一体どういう方法で処理をしようとするのかということ。これはこの制度がすぐに切りかわったときも相当の整理財源が要りますよ。すぐに今までの制度からこの新しい制度に切りかわったときは、これはあなたのところだけじゃない。他の国家公務員についても同じです。これはあとでいろいろまた尋ねます。それから同時に、今後ベース・アップがどんどん行なわれる。これは今言ったように、人事院の勧告によって相当程度の、千五百円とか二千円のベース・アップが行なわれれば、莫大な整理財源が要ることになる。一体この整理財源というものはどの程度財源が要るのか、これを一つ、今までの分と今後の見通しですね、これを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/46
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047・佐久間彊
○佐久間政府委員 今までの過去の整理財源と申しますか、この法律案では追加費用と申しておりますが、追加費用は、私どもの推算では約八千億ちょっとになるかと思っております。これらにつきましては、それぞれこの法律の適用を受けます国家公務員については国、地方公務員については地方公共団体が負担するということに規定をいたしております。
それからもう一つ先生のお尋ねの、今後のベース・アップに伴う分の、あるいはスライドするかという趣旨のお尋ねだったかと思いますが、これは非常に大きな問題でございますので、国の制度との関連もございまするし、今後よく検討をして参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/47
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048・滝井義高
○滝井委員 私は、おそらくそう言うだろうと思って、前に大蔵省に聞いておるわけです。なぜならば、この制度というものは健全な保険数理に基づいてできております、社会保険的な性格を有する制度でございます、こういう御答弁があった。保険数理というものはこれは五年に一回ずつやりかえるのが常識です。厚生年金だって、これだってそうです。しかし、五年に一回やりかえるけれども、見通しというものは十年、二十年のものをつけているのです。みんなこれはつけておるわけです。これは当然つけなければならぬことになるわけですね。ところがそれを今あなたは追加費用、私の言う整理財源ですが、八千億円要ります、こう言った。そうすると、過去の制度から現在の制度に移るについて八千億円でしょう。それから今後のベース・アップの分があるわけですから、これはまだ八千億プラス大きなアルファがつくわけです。そうすると、一体今までの分について、公務員一人当たりどの程度自治体は負担することになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/48
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049・佐久間彊
○佐久間政府委員 約四十五万程度かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/49
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050・滝井義高
○滝井委員 過去の分については四十五万だそうですが、そうしますと、この制度では二十年で共済の給付が受けられることになるわけですね。まず最低二十年の見通しはあなた方お立てになっていると思うのです。一体二十年でどの程度の整理財源が必要になってくるかということ、過去については八千億です。今後これから二十年、ベース・アップその他——大体池田さんは経済成長というものはこれから三年間は九%ぐらいだ、これは池田内閣の所得倍増政策で明らかに国民に公約をしているわけです。そして十カ年には経済を二倍にしますということを約束しているわけです。従ってまず二十年と言わなくても、十カ年において給与は二倍になるということが一応常識的に考えられるわけです。二倍にならなくてもいいです。二倍にならなくて、過去の今までの状態から、一体給与のアップというものはどの程度にあるかという保険数理の日本経済の伸び、国民所得の増加、民間の賃金の増高の状態、国家公務員の給与の増高の状態、こういうものを全部勘案をすれば、そして平均寿命その他余命率を見れば、およその計算はできてくるわけですね。これは少なくともあなたの方は、二十年は無理ならば十年でもけっこうです。池田内閣の所得倍増政策は経済で出したのですから、経済で出したからには人間の老後を保障することもこれでできないはずはないのです。日本では池田さんの出した統計は全部間違ったんです。合ったものは一つで、日本の人口の増加の推計だけは合った。従って、その人口を構成する、この中の一局部である地方公務員なり国家公務員のこれから十カ年間のベース・アップその他を入れた整理財源が、どの程度必要かというのを、この法案のときに出さなければ意味がないですよ。一番大事なところです。だからこれがないとこの法案を審議するわけにいかない。これはいろはですよ。厚生省あたりは国民年金で全部出しているのですからね。そういう点についてはどの程度今後必要になりますか。たとえば国民年金はこれから四十年の掛金を二十才から五十九才までかけて、そして五年の据え置きを置きます、これで三千五百円になります、ところが、その三千五百円をしからば十年にして三千五百円やるというようにしたら、今の百円なり百五十円の保険料は幾らになるか、大体三倍程度に保険料を上げなければいけません、こういうような計算ができております。従って、あなたの方だってこれは今電子計算機みたいなものができて、専門家がやるわけですから、その見通しはなければならない。これは一つぜひやっていただきたいのですが、御説明を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/50
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051・佐久間彊
○佐久間政府委員 私どもは先ほど先生の御指摘のように、現在の給料をもとといたしまして、十年、二十年先の整理資源、先ほど約八千億というふうに計算をいたしたわけでございますが、今後のベース・アップに伴う分、あるいは経済の発展に伴う分というものにつきましては、これまでのところ、計算はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/51
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052・滝井義高
○滝井委員 公務員の給与が昭和三十七年の四月一日なら一日ときちっとくぎづけをして静止をした状態で一応計算をする。そしてその静止をしたときの前の分については八千億要ります。しかしこれから動く未来については何もないです。老後は未来ですよ。未来を保障する。過去を保障するものでないのだから、その保障される未来について皆目わからぬというのでは、これはやみの中に引っぱられていくようなものじゃないですか。池田内閣が所得倍増計画というもので経済の方をお出しになった。ところが人間の老後について、一体十年の後にはどの程度に整理財源を必要としますということを出さないというのは、これは何かおかしいですがね。経済の十カ年計画をお出しになったでしょう。倍にしますとお出しになった。しかもここ数年というのは経済は九・二%ずつ成長するとお出しになった。ことしは九・二%よりよけい上がっているのですよ。ことしだって上がるし、三十六年だって経済の成長はよけいに上がっていっておるでしょう。三十六年の国民経済、生産は十七兆三千億ないし四千億で、当初の見通しは十六兆七千七百億だったのですから、経済の成長は非常に上回っておるわけです。だからベース・アップだって——少なくとも経済がぐんぐん上がっていく。従って、物価も上がれば給与も上がらなければならぬ。しかしそこは私は言いません。池田さんのお立てになった所得倍増計画の中における十カ年ぐらいの見通しというものは、その中における整理財源がどの程度要りますということは、これは必要になってくるわけです。今後長期の地方財政計画をお立てになろうと思うときには、当然これは必要になってくる。厚生省だって社会保障の長期構想というのを出している。十年したら年金は大体二・三倍くらいにして上げますよ、こう言っている。だからあなたの方だって、十年したら、今の国家公務員の三十六年十一月の平均年金額は十四万五十六円です、私立学校の職員共済組合が三十六年十一月十三万二千五百二十七円です、こうなっておるわけです。そうすると、この年金額というものも当然これは上がっていくことになるわけです。ベース・アップがあるから当然上がる。そうすると、そのときに一体どの程度の追加財源を必要とするか、整理財源を必要とするかということをある程度見積もってもらわなければ、これは先のことを、老後を保障する未来の問題を論議しておるときに、過去のことは言うてくれるけれども未来のことは何も言わないというのでは、これは審議のしようがなくなってしまう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/52
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053・佐久間彊
○佐久間政府委員 将来のことについてできるだけ見通しを立てていかなければならぬということは、先生の御指摘の通りでございまするが、経済の変動もどのようになって参りますか、またそれに伴いまして公務員のベース・アップもどうなりますか、これもいろいろと変動する要素が多いわけでございますので、私どももまだ試算をいたしていないわけでございます。ただ、この法律案によりますと、五年ごとに再計算することになっておりまするので、その際に、おっしゃったようないろいろな要素を検討をして参る、かようにいたす考えでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/53
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054・川村継義
○川村(継)委員 局長、あなたたちが三十六年度末では追加費用を八千億必要とする、それを大体推計した基礎表はあるでしょう。それからなおこの後四十年なり五十年なりの追加費用を現段階のベースにおいて見たときにどのくらいのものになるかということと、追加費用を見ないときにはどういう結果になっていくかということ、そういうのを大体概算したのはあるのじゃありませんか。そういうものを一応提示されて、ベース・アップの問題についてはあるいは試算をしてないかもしれぬけれども、そういう持っておるものを示されたらどうです。そんなものありませんか。あるはずでしょう。八千億というものを推計した一つの基礎表、それから将来の四十年なり五十年なりを現段階において見たときに、追加費用を幾ら見ていけばこうなっていくというもの、見ない場合にはこうなっていくという、そういう資料はありはしませんか。あったらそういうものを委員会に示すべきですよ。委員長、その点確かめていただいて、一つ善処願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/54
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055・佐久間彊
○佐久間政府委員 過去の分につきましての追加費用の約八千億というものにつきましては、それを出しました資料はございます。ただ今後の、先ほどお話のございましたような変動を織り込んでのものというものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/55
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056・滝井義高
○滝井委員 とにかく将来の見通しは全くないわけです。こういう見通しがないから、社会保障制度審議会、専門家の、日本で一番権威のある審議会が、こういう制度を現段階でお作りになるのは時期尚早なんだ、保険数理もちっともできていない、だめなんだ、こういう結論を下しているでしょう。ところがその審議会の意向を無視して自治省はお出しになった。一体内閣は、内閣でお作りになっている審議会を無視して、公然と自分で作っているのをおやりになるという、こういうことはいいことなんですか。これは政務次官どうですか。こういうように計算の基礎が何にもない、五里霧中のものを、平気で、最高の審議会が時期尚早なんだとおっしゃるのにお出しになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/56
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057・大上司
○大上政府委員 いわゆる審議会なるものについての問題はまず二つあると思います。第一段階は、審議会の答申を政府が法制化せしめるおりあるいは御審議願うおりに、その趣旨が違っておるではないか、なお第二段階においては、ただいま御審議願っておる地方共済年金制度についても審議会の案と違うではないか、こう二つに分かれると思います。
まず第一点につきましては、お説の通り、当然答申それ自体を法文化せしめて国会で御審議願うというのが建前でございますが、その中にいろいろといわゆる立法の実情であるとか、あるいは法制上これをどういうふうに言葉で表わしていくとかいう、文句と法文とのかね合い等に非常に難点があるところもあります。これがよって答申に沿わないというような点も出てくるかと思いますが、これは最小限度万やむを得ぬと思います。
次いで、本問題になっておりまする点につきましては、ただいま先生の御質問と事務当局との答弁等において、資料の作成あるいはこれのよってきたところのいわゆる立法理念と申しますか、そういう点を私も勉強させていただきましたが、ただこの答申がこういうふうに出ておるのにこれを出したという点については、地方制度審議会等々の意見等もありまして、慎重に審議の結果出して御審議を願っておるような次第であると考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/57
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058・滝井義高
○滝井委員 とにかく政府は、審議会を作って都合のいいときには利用するけれども、都合の悪いときにはすべてこれを無視していくということは、自治省は常習犯です。選挙法でもやっているし、ここでもやっている。こういう常習犯はやめなければいかぬですよ。これは安井さんが来たらもう一ぺんおきゅうをすえなければならぬ。
そこで大蔵省——どっかへ行きましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/58
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059・高田富與
○高田(富與)委員長代理 宮田主計監査官がおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/59
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060・滝井義高
○滝井委員 いらっしゃいますね。先のことを言うと貝がふたを閉じたようにしてちっとも物を言わないですから、今度は得意の過去を少し聞いてみます。
そうしますと、大蔵省にお尋ねしますが、非現業の組合では、掛金率が俸給の千分の四十四と非常に高くなったので、こういう高い掛金率は不当であるといって、今訴訟が起こっておるのがありはせぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/60
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061・宮田貞夫
○宮田説明員 訴訟につきましては、ただいま通産省から最高裁判所の方に訴訟中のものが一件ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/61
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062・滝井義高
○滝井委員 それだけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/62
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063・宮田貞夫
○宮田説明員 厚生第二でありましたが、これはすでにもう向こうで取り下げましたので、廃棄といたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/63
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064・滝井義高
○滝井委員 国家公務員共済組合法ができて三年になりますね。どうですか、組合がそれぞれ掛金についての定款を作りますね、その定款を作るというか、変更しなければならぬわけです。これは一体各組合の定款の変更がきちっとうまくいっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/64
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065・宮田貞夫
○宮田説明員 長期の関係につきましては、先生御指摘の通り千分の四十四でございますが、これは連合会の方の定款でやっておりまして、各省の定款におきましては、まだ全部解決していないところがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/65
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066・滝井義高
○滝井委員 その通りです。とにかく訴訟が起こっているし、それから組合の定款はまだできないのですよ。半分ぐらいできてないはずだ。それはどうしてかというと、不平があるからです。自治省の方はこれよりかもっと激しいのですよ。今まで、いい年で十五、六くらいは、掛金を納めなくてやっておったところもあるわけですからね。あるいはずっと低い率でやっているのですから。だからこういう法案で、掘り下げの未熟な、制度審議会さえもがまだこれは時期尚早だと言っておるものを、強引にお出しになって、そして力ずくでお通しになるということになれば、これはますます——国家公務員なんか、三年かかってまだ定款さえできないところがある。これはただ給与で源泉徴収をするから、金だけは取れておるのですよ。しかしこれは納得しない、この制度は。もしそういう力ずくでやるということになれば、これは社会保障でもなければ社会保険でもない。相互扶助的なものではない。全く高圧的な、人事管理的な、労務政策的なものでこれをやろうということになってしまう。こういうことについては十分行政局長は大蔵省の意向というか、大蔵省の現状をお調べになったことないでしょう。こういう状態が国家公務員の中に起こっていることをお調べになったことはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/66
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067・佐久間彊
○佐久間政府委員 大体のことは伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/67
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068・滝井義高
○滝井委員 組合員が納得しないのに、無理やりに今給料から天引きしてやっているわけです。これが相互救済制度と言えますか。社会保障と言えますか。相手がいやだというものを、無理やりに水辺に引っぱっていって水を飲ませることと同じだ。これが相互救済ならば、お互いに和気あいあいのうちに作って運営するということが、こういう制度の建前なんですよ。だから社会保障的な制度にはいろいろな罰則がたくさんありますが、しかしその罰則は発動したことはないのです。社会保障的な立法というものは、よほどの場合でなければ罰則は発動しない建前になっているのです、過去の実例をわれわれが調べてみても。相互救済というにしきの御旗を掲げておって、相手がいやだというものを無理に取るのですから、こういうやり方というものはないですよ。そのくせ労働組合のチェック・オフなんかまかりならぬと、自民党はおっしゃる。自分の方の都合のいいものは金を集めて、自分の方の大蔵省が運用するためには、組合がいやだといったって、しゃにむに金を集めて巻き上げていく。こういう都合のいいやり方をするのが自民党政府のやり方です。それに社会保障という衣を着せ、オブラートをかぶせていく。
それで、前にさかのぼりますが、そういう実態がすでにあるということです。そこでこれは大蔵省に尋ねることですが、これからだんだん自治省に関連を持っていきますから……。
非現業組合に対して一つ一つ、——まず国家公務員共済組合の非現業組合について聞いてみます。国家公務員共済組合では、三十四年十月以前の整理資源というものは、毎年予算の範囲で国が負担することになっていますね。ちょっと三十五年、三十六年、三十七年ぐらいの、入れた額を言ってみてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/68
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069・宮田貞夫
○宮田説明員 三十五年度におきましては十億、三十六年度におきましては十五億、三十七年度におきましては二十億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/69
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070・滝井義高
○滝井委員 三十五年が十億、三十六年が十五億、三十七年が二十億ですね、これは一体どういう数理的な根拠からお入れになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/70
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071・宮田貞夫
○宮田説明員 国家公務員共済組合の連合会加入組合におきましては、目下前歴調査を完了することに全力をあげておりまして、それは大体本年度中には完了する見込みでございます。従いまして、その結果を待ちまして、追加費用も、正確なものが確定するのでございます。今、先生御指摘がありました追加費用の、どうしてその額を入れたかという点でございますが、追加費用の負担方法につきましては、修正付加方式あるいは付加方式と、いろいろございまして、その前歴調査の確定を待ちましで追加費用の額が確定いたしましたならば、いかなる方式でこれを負担いたしますかは、今後慎重に検討いたしたいと思います。それでその方式が定まった暁には一応それでやるのでございますが、いろいろな条件を勘案いたしまして、現在申し上げました額を入れておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/71
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072・滝井義高
○滝井委員 そうしますと十億、十五億、二十億というのは、これはつかみ金ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/72
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073・宮田貞夫
○宮田説明員 一応先ほど申し上げましたように、追加費用の負担方式につきましてはいろいろございますので、これにつきまして慎重に検討をいたしましてその方式を定めまして、その定まるものにつきましては、いろいろ財政上の事情等も勘案いたしまして、二十億円入れた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/73
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074・滝井義高
○滝井委員 従って、まあこのくらいだろうというつかみ金であるということは今の答弁でわかりました。なかなかお苦しい答弁でございますけれども、狭心症でも起こしたらいかぬですから、それ以上言いません。これは根拠がないのです。だんだん聞いていきますが、今のは、三十五年に十億入れて、三十六年に十五億入れて、三十七年に二十億入れましたけれども、今調査中でございます、このくらい入れておったらよかろうということで入れました、こういう答弁だったのです。これは十億とか十五億とか、つかみ金だから、これはこれでいい。これはこれ以上追及しません。
そうしますと、現業共済組合はどういうことになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/74
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075・宮田貞夫
○宮田説明員 申し上げます。
郵政省につきましては、千分の十八、印刷局につきましては千分の四十三、造幣局につきましては千分の四十二、林野庁につきましては千分の九、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/75
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076・滝井義高
○滝井委員 今、郵政については千分の十八、印刷四十三、造幣四十二、林野九、こう御説明がございましたね。これは、私が特にお聞きしたいのは、前は十億とか十五億とか、つかみ金みたいなものだったのですよ。今度は千分の十八でございますというようにきわめて具体的になってきたわけですよ。これはやはりこのくらいの数字が出ると、何かはっきりしたものがなければならぬわけですね。この計算の基礎はわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/76
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077・宮田貞夫
○宮田説明員 現業につきましては、この整理資源の額でございますが、これは過去の整理資源の額を確保するためにこういう比率になった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/77
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078・滝井義高
○滝井委員 だから、従って三十三年以前の雇員に適用されておった整理資源の相当率でこれはおやりになったというだけのことでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/78
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079・宮田貞夫
○宮田説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/79
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080・滝井義高
○滝井委員 従って、それ以降に当然これは非現業と同じような問題があるわけですよ。やはりこれもやりかえなければならぬわけでしょう、三十三年のときのを据え置いてやっているのですから。ずっと情勢が変わってきているのですから。だからこれもやりかえなければいかぬのでしょう。こういう正確なものが出ておるけれども、暫定的に三十三年のときの率をもってやっただけであって、これはやりかえなければいかぬのでしょう。そこをはっきりしておいて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/80
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081・宮田貞夫
○宮田説明員 これにつきましても、やはり今後慎重に検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/81
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082・滝井義高
○滝井委員 そうすると、今の国家公務員で尋ねますと、今後ベース・アップをやりますね。過去のことも何が何だかわからぬ、もう一ぺん計算をやりかえなければだめです、こういうことはわかったのですよ。そうしますと、今度ベース・アップがあった場合に、その増加をした分の整理資源というものは、追加費用というものは、公務員と国とが折半してやっていくのですか。ここらあたりはどういう負担の状態になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/82
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083・宮田貞夫
○宮田説明員 現行法におきましては、国と組合員との折半負担ということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/83
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084・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、地方公務員の共済組合もそういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/84
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085・佐久間彊
○佐久間政府委員 結論的にはそういうことになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/85
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086・滝井義高
○滝井委員 なろうと思います——法律にそうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/86
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087・佐久間彊
○佐久間政府委員 五十五と四十五の割合が法律に規定されておりますので、その割合で負担をするということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/87
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088・滝井義高
○滝井委員 そうすると、過去のものは全部国なり自治体が負担することは間違いないですね。これをもう一ぺん念を押しておきます。過去のもの、あなたの言う八千億というところ、それから前にとりあえず十億とか十五億のつかみ金を入れている、それが計算をしてずっとふくれてくれば、それについては国が全部負担することは間違いないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/88
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089・佐久間彊
○佐久間政府委員 地方公務員の場合には、国または地方公共団体が負担するということを法案に明記をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/89
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090・滝井義高
○滝井委員 そうすると、これは公企業体職員のことについても大蔵省でやれますね。やれましょう。大蔵省でだいぶ監督しておるから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/90
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091・宮田貞夫
○宮田説明員 公企体につきましては、それぞれ運輸省、郵政省それから大蔵省の監理官の方で直接監督しておりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/91
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092・滝井義高
○滝井委員 予算を認めるときは大蔵省が関知するから、大蔵省の主計局はわかるわけでしょう。わからなければおかしいですよ。運輸大臣を通じて大蔵省と協議をするでしょう。掛金率その他がある場合は必ず共済組合は——たとえば共済組合の病院を建てるという場合には、これはその病院を共済組合が利用しますから、大蔵省の許可なくして勝手にやることはできないのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/92
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093・宮田貞夫
○宮田説明員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/93
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094・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、三十六年四月以前の公共企業体職員共済組合の整理資源というものは、公共企業体が全部負担することになっていますね。なっておるのです。これは一体どの程度の額になるのですか。そうしてそれは今一体どの程度の率にずっとなってきているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/94
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095・宮田貞夫
○宮田説明員 申し上げます。
国鉄につきましては、三十五年度は千分の三十六、三十六年度は千分の四十一、三十七年度は千分の四十六。電電につきましては、三十五年度は千分の十六、三十六年度は千分の二十一、三十七年度は千分の二十六。専売につきましては、三十五年度は千分の二十八、三十六年度は千分の三十三、三十七年度は千分の三十八でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/95
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096・滝井義高
○滝井委員 そうなりますと、千分の三十六、四十一、四十六、こうなりますから、五ずつ上がっていますね。これは、毎年五ずつ上げたら数理計算がうまくいくということなんですか。それとも、まあまあ五ずつぐらい上げておけばいいというような、別に数字の根拠がなくて、およその腰だめ的なものでやっていらっしゃるのですか。この制度だけがきちんと五ずつ上がっていっているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/96
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097・宮田貞夫
○宮田説明員 これにつきましても、やはり修正付加方式でやっておるのでございますが、三十七年度におきましては負担方式を明確にいたしまして、これも確定いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/97
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098・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、公企業体職員等の共済組合についても、まだ整理資源は明白でないわけですね。これはペンディングされておる。大体ずっと見ていくと、そういう工合に何か過去のものもよくわからないのですよ。ばらばらですよ。みんな大して原則がないのです。つかみ金をやるところもあるし、五ずつぐらい上げていくところもあるし、といって、千分の十八とか四十三とかいうそれぞれの状態で、何か腰だめ的にやっている。こういう実態ですよ。だから将来がわからないばかりでなくて、過去についても、五里霧中と言ってはおかしいのだが、ほのぼのとしているのです。そういう状態です。これは困ったことなんです。そうしますと、まあ私学共済、それから農林漁業団体がありますが、市町村職員共済組合はどうなっておるのですか。三十一年に市町村職員共済組合という法律ができましたね。そうするとそれ以前の整理財源があるわけです。三十一年ですよ。だから足かけ六年以上経過している。そうすると、三十一年以前の市町村職員共済組合のやり方というものは、これは自治体ですから、八千億の過去の整理資源を処理するやり方にやはり一つの重要な参考になると思うのです。これはどうおやりになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/98
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099・佐久間彊
○佐久間政府委員 毎年千分の十八ずつ計上いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/99
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100・滝井義高
○滝井委員 十六じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/100
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101・佐久間彊
○佐久間政府委員 十八でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/101
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102・滝井義高
○滝井委員 そうすると、その十八というのは何かきちっとした計算の基礎があるのですか。まあこれくらい入れておいたらいいだろうという、やはり国家公務員やなにかと同じことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/102
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103・堀込惣次郎
○堀込説明員 市町村共済の整理資源のただいまのお話に出ました俸給の千分の十八というのは、三十一年の市町村共済組合法が施行になりますときに職員の調査をいたしまして、その出発当時の責任準備金を、過去の期間を通算するための責任準備金を出しまして、それの利息相当額を俸給に直した率でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/103
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104・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、元本は入れずに利息だけ入れておるということでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/104
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105・堀込惣次郎
○堀込説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/105
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106・滝井義高
○滝井委員 そうすると元本はどうするつもりですか。三十一年にできた制度で、すでに足かけ七年経過した、そしてその利子だけは入れておった、元本は入れておらぬ。その制度は今度この時点でまた大飛躍をするのですからね。そうすると一体毎年元本を入れていない、それで制度が大飛躍した場合に、一体これはどうなるのですか。過去のことはわかるかと思って聞いたら、これまたさっぱりわからぬじゃないですか。一体どうなるのです。これは、過去のことは、八千億でございますと、こう数字が出てきた。八千億と出てきて、今千分の十八ずつの利息は入れております。しかし元本はもとのままほうってあるのです。こうなったらこの共済組合は不健全じゃないですか。ただたまたま、今どっと一挙にお金を払わぬからいいけれども、もし一挙にお金を払うと仮定したならば、これはから手形をやらなければならぬことになるでしょう。こんなものは健全な老後を保障する制度とは言えない。だから元本を入れてなければこれはからです。制度はあるけれどもからです。そういうと、そのからのままで、そうして今度はここでまた大飛躍をやって統合していくのですからね。それからね。それなら統合する前に、まず三十一年の先から片づけてもらわなければいかぬ。三十一年の利息と元本を入れてもらう。そして今度はここで大飛躍をするときには利息と元本を入れてもらう。こういうことにならなければならない。ところがそのことをおやりになっていなくて、また大飛躍をやろうとするのですからね。将来のことはわかりませんと言うから、将来のことは尋ねぬけれども、一体過去のことはどうなるのだと聞いたら、過去もまたやっぱりはっきりしない、元本を入れておらぬと言うのです。一体、元本はどうして入れるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/106
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107・佐久間彊
○佐久間政府委員 市町村職員共済組合の権利義務は、全部この法律によりまして新しくできます市町村職員共済組合に承継をいたすことになっております。そこでこの過去の分の追加費用につきましても、この新しい地方公務員共済組合法の規定による組合の処理の方式に従って解決をいたして参りたい。この新しい法案によります解決の方法といたしましては、国の公務員の場合の例を参考にいたしまして、この法案が成立いたしましたならば、そのうちに前歴調査をいたしまして、その上で決定をいたしていきたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/107
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108・滝井義高
○滝井委員 過去においても、市町村職員共済組合について三十一年に法律を制定するときは、やはり同じような答弁をしているのです。あなたたちは、いや、この法律ができましたなら、そのときに利子と元本はちゃんと処理いたします、こう言っておる。そして利子だけ入れて元本は入れていない。この法律ができたならば、過去の元本と利子はやります、こうおっしゃっている。それでは八千億の元本は一体どうして入れていきますか。一人が四十五万円ですよ、今この八千億の金を地方自治体からおとりになってごらんなさい。交付税は一文もやらずに、同時にまた自治体の税収の中から吸い上げてこなければ、これは動かないですよ、そうなるわけでしょう。そうすると、一体あなた方は、将来のことはとにかく——これにまた将来の問題が加わるのですからね、ベース・アップの問題が。だから過去の八千億の整理財源というものを具体的にいかなる方法でやっていくのか、また利子だけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/108
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109・佐久間彊
○佐久間政府委員 その点については先ほど御答弁申し上げましたように、法律が施行になりましてから前歴調査をいたしまして、その結果を待ちまして決定をいたして参りたい。その際、国家公務員共済組合においておとりになる方式というものを参考にして参りたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/109
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110・滝井義高
○滝井委員 国家公務員の方式というのはきまっていないのです。国家公務員も今鋭意計算中だとおっしゃる。何もない、つかみ金でしょう。そうすると、あなたの方は将来のことはよろしい、過去のことはわかっておる、こうおっしゃるから、過去のことを聞いてみたけれども、過去のこともこれから計算するのだと言うのだから、将来とちっとも変わらない、今の時点だけはわかっておる、今の時点がわかっておるというのはどういうことかというと、負担がふえるということだけがわかっておるということなんです。そうでしょう、すなわちこの組合員になる地方公務員の負担はふえるということだけはわかっておる。先のことは幾ら金をもらえるか、やりますと言ったって、その金は二十年後にならなければもらえる金ではない。昭和十七年に厚生年金ができたときに、この厚生年金制度ができたならば老後は保障しますよと言って、労働者はみんな強制加入をさせられた。ところが、その金は全部戦争に使っちゃって、残ったものはインフレで一年にたった百円もらうことになった、何にも役に立たなかった、われわれは老後の保障制度についてはこういう苦い経験を持っている。従って、ここで少なくとも将来のことをわかりたいのだが、将来がわからなければ百歩譲って、過去の始末だけはここでしておいて下さいよと言うのは当然でしょう。ところが、過去においては千分の十八だけの利子は入れました。しかし元本の方はそのままほうっておりますが、これについてはまだ海のものとも山のものともつきません。国家公務員共済の方で何とかやるから、それについて参ります、こういう自主性のないことでは困る。地方自治体というのは地方分権ですよ、日本の憲法では。国に隷属しているのではないのですよ、これはいろはですよ、あなたがぼくに教えなければならないのです。ところがそれを今度は地方公務員が自主的に運営しなければならない、地方自治体が自主的に運営しなければならない制度を、すべて国家公務員の寄らば大樹のもとでいくというなら、何もないということです。それならば国家公務員が過去の整理資源についてきちっと整理ができるまでお待ちなさい、こう言わざるを得ない。待っていてもおそくない、それまで待ってゆっくり一つ確実に老後が保障される、確実に過去の整理資源が入れられるという見通しが大蔵省におありになったときに、今度は自治省は動いたらいい。それでおそくないです。今老後を保障する制度が全然ないならば、何か急いで作らなければならぬが、曲がりなりにもあるのですから、そうあわてる必要はない。今は整理資源だけちょっと尋ねてみましたけれども、どうも全部答弁が、百点満点として二十点くらいしかやれぬです。
次に、今度は積立金の運用です。将来ベース・アップその他で相当の整理資源を持たなければならぬということになってくると、当然この積立金の活用というものがやはり重要になってくるわけですね。これは常識です。できるだけかせがなければならぬということになってくるのでしょう。そうすると積立金の高度の有利な運用をやるという配慮を頭に置きながら、一体基本的にはどういう方針で積立金を運用をしようとするかということです。これは自治省は大蔵省に右へならえだそうですから、あなたの方はあとで尋ねることにして、まず大蔵省、国家公務員共済組合その他の積立金運用の基本方針いかん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/110
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111・宮田貞夫
○宮田説明員 積立金の運用につきましては、国家公務員共済組合法の施行規則の十三条の二に規定してございまして、まず第一に支払い資金としまして、「現金又は短期の預金、貯金若しくは金銭信託」を十分の二でございます。次に「資金運用部に対する預託、長期の預金及び貯金並びに金銭信託又は有価証券」で十分の四、次に「不動産」でございますが、これが十分の一、次に「組合の行う事業のうち、不動産の取得を目的とする貸付金」でございますが、これが十分の一、五としまして「組合の行う事業に対する前号以外の貸付金」、これはいわゆる組合員の貸付金でございますが、それに十分の二でございます。これは原則でございますが、この二にあります「資金運用部に対する預託」、これは最終的に積立金の十分の三になるのでございますが、その期間におきまして、この十分の三に達するまでは、四と五のいわゆる組合に対する福祉還元の方に持っていくことができるようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/111
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112・滝井義高
○滝井委員 一つ国家公務員共済組合連合会あたりの例で説明してみてくれませんか。どういう形になっておるのか。今のような基本方針にのっとって、実態は国家公務員共済組合連合会で——これは決算報告が出ておりますからね。今三十七年ですから、一番新しいのは三十五年ですね。三十五年の決算報告で国家公務員共済組合の長期経理の資産の内容と申しますか、それを説明してもらえば、大体今のような運用の配分が具体的にどういうふうに数字の上で載っておるか、わかるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/112
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113・宮田貞夫
○宮田説明員 連合会の三十五年度の長期経理の内容でございますが、現金及び預金につきましては、百二億三千三百万、貯金につきましては千七百万、金銭信託につきましては三十一億四千六百万、有価証券につきましては九億一千万、それから未収金でございますが、三億九千万、貸付信託が四億、それから証券投資信託が一億八千百万、長期貸付金が百三十億三千百万、預託が二十億四千七百万、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/113
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114・滝井義高
○滝井委員 総額は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/114
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115・宮田貞夫
○宮田説明員 総額で三百三億五千六百万であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/115
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116・滝井義高
○滝井委員 そうすると、さいぜんの基本方針で支払い資金とか金銭信託、その他は二割だったですね。これが百二億というと三百億のうちの百億ですから、三割ちょっとになるわけですね。公企業体を見ますと、たとえば不動産投資が非常に多いのですよ、国家公務員には一つもなかったわけです。これは九百三十億のうち二百二十八億ぐらい不動産投資をしておるのです。各共済組合をずっと見てみますと、みんな重点が違うのですよ。何か今言ったような基本方針があるような、ないような、みんなばらばらなんです。
そこで市町村共済組合ですね、一つこれの三十五年の決算をお示し願いたい。——それじゃあとでいいです。実は運用の問題は少し突っ込んでいろいろ聞かなければならないことが多いのですが、時間がきょうは一時までにやめなければならぬから、運用の問題はあと回しにしましょう。
そこで次になるべくやさしい方から先に行きましょう。今度の制度を見ますと、公務員が公務ではなくて在職中に死亡した場合には、遺族年金というのは在職期間が十年以上の場合の死亡でなければ支給がされないことになっているわけです。これは社会保障的な性格というものをこの共済制度が持っておると言うならば、十年以上勤めなければその御主人がなくなってもあとの御遺族に対して遺族年金が行かぬなんということは、これは社会保障じゃないですよ。現在の他の制度をあなた方はお読みになったことがあるかどうか、僕は非常に疑わしいと思う。他のものを読んで勉強しておるのかと疑わなければならぬ。というのは厚生年金は六カ月でしょう、国民年金だって修正して三カ年になっています。ところがかつてはあなた方が好んで使われたように陛下の官吏であった、こう言っておだてていたのだが、今度これを社会保障だというのに、十年以上勤めなければ遺族に対して金をやらぬのだ、こういう冷酷な制度というものはないですよ。これは一体どういう理論的な根拠からですか。これは国家公務員がそうだから地方公務員もその通りまねました、こう言われれば大蔵省から先に聞かなければならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/116
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117・佐久間彊
○佐久間政府委員 御指摘のように国家公務員の内容にならったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/117
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118・滝井義高
○滝井委員 大蔵省は。——時間が惜しいですから、黙っておるところを見ると沈黙は承諾した意味であるから、これは修正するらしい。
次はさいぜん私が質問する前に、太田さんがいろいろ関連質問で御質問になっておりました国庫負担についてでございます。これも役人の皆さんにお尋ねするのではどうも気がひけるのですが、基本方針だからほんとうは大蔵大臣なりに来ていただかなければいかぬところなんですが、時間がございませんから涙をのんで質問をします。一体こういう制度に対する国庫負担の池田内閣の基本方針というものはどういうものなんですか。こういう制度に対する国庫負担の基本的な方針というものは、何かルールをお持ちだと思うのです。その方針は一体どういうことでおやりになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/118
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119・大上司
○大上政府委員 主管大臣、いわゆる大蔵大臣または該当の政務次官がおりませんのですが、私の心得ておる範囲内におきましては、この負担原則というものは地方公務員並びに国家公務員等は公経済と申しますか、いわゆる国家の行政組織の事務分担をする、そういう建前から負担すべきである。従いまして、その負担の率のぜひという問題はこれは論外ですが、方針としてはそのような方針で進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/119
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120・滝井義高
○滝井委員 公経済だから国が持つということですが、そうしますと国家公務員の共済組合は一割の国庫負担をおやりになっておるわけですね。それから厚生年金は一割五分です。それから国民年金は保険料の半分、給付の三分の一です。そうすると今度のこの地方公務員共済制度というものは、国庫負担が入っていないのだが、これは一体どういう理論的な根拠から入らなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/120
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121・佐久間彊
○佐久間政府委員 地方公務員の場合におきましては、やはり百分の十はちょうど国家公務員共済組合の場合の国庫負担に相当する分でございまして、これを地方公共団体が負担をする、こういうことになっておるわけでございます。その理由といたしましてはただいま政務次官が申されておられましたように、国と申しましてもあるいは地方公共団体と申しましてもひとしく公経済の主体であるので、要するに社会保険についての国の責任というのは公経済が負担をすればいいのじゃないか、こういうような理由から地方公共団体がその百分の十に相当するものを負担をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/121
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122・滝井義高
○滝井委員 そうしますと何かこれと同じような制度で、国が一文も出さずにこういう制度をやっておる制度が日本でありますか。事務費も出さないし、社会保険的であるといわれるこういうようなものに国が一文も出さぬ、公経済だといわれるもので一体こういうものがありますか。とにかくこれは例外ですからね。例外を何か一つ、僕は思い出さないのであげてみて下さい。事務費も出さないで、国庫負担も出さないで、老後を保障する制度が何かあるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/122
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123・佐久間彊
○佐久間政府委員 公共企業体の共済組合がそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/123
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124・滝井義高
○滝井委員 公共企業体は一応国とはいっておるけれども、少し違います。まあ広い意味の公経済にはなると思うのです、国家機関ですから。けれどもあれは今度は別な形をとっておる。どういう形をとっておるかというと、事業主病院というものを作るのです。国鉄のように。そしてそれをカバーするわけです。大体そのほかにはないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/124
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125・佐久間彊
○佐久間政府委員 現行の市町村職員共済組合もやはり同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/125
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126・滝井義高
○滝井委員 それは古い制度だから今度は新しく変えよう、こういうわけでしょう。近代的な、二十世紀後半の社会保障的、社会保険的なものに今度は変えていかなければならぬというわけでこうやった。古い昔の制度をもってくればそうですよ。古い昔の封建的な慈恵政策的な、いわゆるおめぐみでやるというわけではないですよ。今度はお互いが相互に救済しましょう、社会保険的に、社会保障的に前進しましょう、こういうわけなんですから、事務費も出さぬというばかなことはないですよ。なるほど自治体は公経済かもしれないけれども、自治体は上に国というものがあるのですからね。これが社会保障ならば、民間の厚生年金や国民年金に金を出すのですよ。国家公務員に準じて、国家公務員と同じように給与の体系を作ろう、そして国家公務員と同じように公の仕事をやるのだ、しかもそれは国際的に見ても特殊の身分を持っているのだ、こういうことを盛んにお唱えになったわけですよ。その同じものに今度は国が金を出さぬというはずはないです。自分の子供には金を出すけれども、自分の子供の子供には金を出さぬというばかなことはないでしょう。社会保障ならば当然出さなければならぬ。それが何か安井さんの政治力が弱くて、大蔵大臣から押し切られたなんというばかなことは許されぬと思うのです。もしそういうことを安井さんがしておるなら、辞表を出さなければいかぬですよ。いわばこういう問題は日本の社会保障の根本をゆるがす問題でしょう。それをのこのこと安井さんがこういうものをのんでくれば、大蔵省は金を出すのがいやなんだから、今度は他のものに影響してきますよ。どこに影響するかと言ったら、やがて今度はことしの通常国会で改正しなければならぬ厚生年金に影響してくるのです。だからこれは大事なんです。あるいは大蔵省は逆に考えておるかもしれません。もしこんなものに金を出しておったら、今度は国家公務員にもっとよけい金を出さなければならぬと思っているかもしれぬけれども、しかしこれは社会保障なんだから出すことが当然なんです。そうしますと^あなたの方はこれで、交付税で満足されたわけでしょう。ところが交付税は富裕団体にはいかないですよ。そこで私は住民の立場、国民の立場からこれを見てみますとどういうことになるかという、富裕団体の住民も税金を納めておるのです。納めた税金から交付税がいくのです。ところがたまたま東京の住民は交付税が来ないために、今度は自分の税金をまた出して公務員の千分の五十五の負担をやることになる。だから富裕団体の住民は二重負担になるわけです。これはガリオア・エロアの二重払いと同じです。交付税も一つの税金です。今度は自分の地区の公務員に千分の五十五の負担を地方税で出す。国税でまかなった、そしてやった金は自分のところには来なくて、その財源に自分の金をまた出すのですから、二重に出すのです。そうでしょう。そういう形になるのです。そういう税金の二重取りは困るのです。こういう制度というものは平等でなければいかぬですよ。理論的に言ったら住民の二重出しになるでしょう。あなた方役人はものを詰めていくのが非常にお好きでしょうが。どこから突かれたって体をかわせるようにきちんとお詰めになる。これは当然行政局長の方でお詰めになったときに、東京の住民はこれについては二重払いになるはずです。そういうことは許されぬと思うのです。だからこの点は一体どう解明するのか。しかもそれは交付税に入れば一般財源なんですから、当然住民の福祉にいかなければならぬ、あるいは他の政策にいかなければならぬものがほかにいくのです。その分だけその自治体は一般財源が減ることになる。だから、そういう意味でもまた税金を出さなければならぬことになるから、貧しい交付税を受けておるところだって問題が出てくる。こういう点の解明をして、一体どうわれわれ国民を納得させてくれるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/126
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127・佐久間彊
○佐久間政府委員 御指摘のような考え方も十分わかるわけでございますが、富裕団体の場合におきましても、その団体の基準財政需要額の中に退職年金の給付に要するものは十分織り込んで、全体として地方財政計画の中で財政措置をいたしておるわけでございます。たまたま現実にその分の金がその団体に来ないからという点の問題でございますが、理論上はそういうことで基準財政需要額に織り込んである。従って、それを織り込んだために不交付団体になるものがございますれば、そこに必要な額が交付される、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/127
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128・阪上安太郎
○阪上委員 関連して。政務次官にちょっとお伺いしておきます。先ほど来、これは公経済だからこういう方針をとって差しつかえないのだ、こういうようにあなたは答弁されているのです。しかも公経済だから国から出そうと地方自治体から出そうとこれはかまわない、そこで地方自治体から出さなければならぬという方向に持っていきたいという理由は一体何ですか。この点をはっきりしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/128
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129・大上司
○大上政府委員 建前といたしましては、その所属する共済組合の仕事と申しますか、作業といいますか、これが地方の関係もある。従って、国もまたは地方も負担すべきであるという仕事の性質上から、当然生まれてくる問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/129
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130・阪上安太郎
○阪上委員 それならお伺いいたしますが、地方交付税制度というものは一体どういう制度なんですか。これは財源調整の制度じゃないですか。それを混同してしまって、当然国が負担すべきものをこの中に織り込んでしまったという考え方ですね。交付税なんというものは、そんなことをやられてはみんなつぶれてしまう。高校生急増対策についても、当然国がやるべきものであるという建前に立ってものが考えられているときに、大蔵省から押し切られてどうにもこうにもしようがなくなってくれば、何でもかんでも交付税の中にぶち込んでくる。こういうことをやっておったら、一体交付税制度というものがつぶれてしまうじゃないですか。交付税をほんとうに主管しているところの自治省が、この制度に対してそういう安易な考え方に立っているということは、これは大へんな問題だと思う。財政調整の手段としてあるのが交付税制度じゃないですか。それをこういったところの、国が当然負担すべきものを、公経済の原則だとかなんだとか言って、調整財源をもってそこへぶっかけてくるなんという考え方は、とんでもない考え方です。これは自治省として、もし今後ともそういう考え方で交付税というものを運用していくということになれば、これはあなた方は全く法の精神を無視したところの考え方に立っているのじゃないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/130
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131・大上司
○大上政府委員 交付税の性格はおっしゃる通りでございます。従いまして、今日御審議願っている法案につきましても、決してわれわれとしては安易な考え方で交付税に全部ぶっかぶせるという建前はとっておりませんが、ただ現実の面といたしまして、こういう傾向はお説の通りでございます。そこで政府といたしましては、これを法案で御審議願う以上は、たとえば組合それ自体の運営で将来赤字が出たと仮定いたしますれば、そういう場合には当然国が補助すべきであり、国が財源を捻出するのだということで、最終的の大きな網と言えば語弊がありますが、それで防波堤は作っております。ただ政府内部の意見をまとめるというような過程を経ましてこのような結果でいっておりますが、これが決して先生のおっしゃるような金科玉条でもございません。将来これは検討すべきであるということを私たちは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/131
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132・阪上安太郎
○阪上委員 これは大きな目から見ますと、交付税の伸び率が年々歳々伸びていくとは限らない。もしこれが逆調になったときにどうするかという問題なんです。地方公務員は百年も千年も続いていく制度なんです、国が存する限り。ところが交付税は現在のところ伸び率が多少ありますけれども、もしこれが逆調になったときにこの運営を一体どうするか、こういう問題も出てくるのです。そうなればこそ当然国というところにおいて保障していくべきものだ、こういうふうに建前としてはなるべきはずのものなんです。いやしくも地方の財源であるところの地方交付税にそういう負担を一切がっさいかぶせてくる、これは何と言ってもわれわれ許しがたいところの問題点じゃないか、こういうふうに思うのです。これは金科玉条にしないと言っていたって、そんなことを言っていながらも既成事実をどんどん作って、最近では何でもかんでも交付税に持ち込んでくる、そういうことにあなた方が賛成するからいけないのです。こんなにばかげたことに妥協したなんというのは大へんなことですよ、それとも地方財源で一切まかなっていけ、こういうことであるならば一切がっさい地方にまかせなさい、この法律は。国がとやこう干渉する必要はないですよ。またいずれ言う機会があると思いますけれども、ちょっと今筋が通らない、そんな考え方じゃ困る。自治省としては調整財源としての交付税をまじめに運用していかなければならない。将来どうなっていくかというと、妙なことになってくるから、こういうことは全く納得できないというところで、関連ですからここで打ち切っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/132
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133・大上司
○大上政府委員 御趣旨はよくわかりました。従いまして、自治省それ自体の考えは、もちろん私は責任者の一人としてこれを御審議願うまでには、私の全知、全能をあげていろいろと研究さしていただいて提案をしたのですが、そこでただ、私個人としての釈明じゃございませんが、政務次官といえども限りある力でございまして、いろいろたくさんの法案がある。ただ審議の過程において各委員の皆様方から新しい資料なり新しい御意見なりあるいはこれに対する政府当局あるいは説明員の説明等について、非常なごりっぱなといいますか、御意見をちょうだいし、非常に勉強さしていただくということ、これを一つ特に皆さん方に御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/133
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134・滝井義高
○滝井委員 地方交付税でやったことについては、私は、これは二重払いだ、こういうことを言っておるわけです。そうしますと、あなたの方ではいや交付税は財源調整をやるのだから、富裕団体には当然その分の金があるということでやる必要はない、こうおっしゃるのですが、交付税が御存じの通り二八・九%で、不足財源を全部これがまかなうものならいいけれども、二八・九%のワク内の操作なんですね。だからこれはある限界内でしか処理ができないことになる。そのワクをこえたものはもう泣き寝入りです。自治体で自分がやるか、自分が支出するか、その経費を削減する以外に方法はない、こういう形なんです。従って、八千億の金が要るわけなんですから——ここが大事なところなんです。一億や二億の金ならこんなにわれわれは目くじらを立てないです。しかし一人四十五万で八千億の金が要る。しかも将来のベースアップその他を加えたら八千億どころか、天文学的な数字になる。一年の交付税を全部つぎ込んだって、なお足らないという実態があるのですから、これを一体どうまかなっていくかということは、これは住民にとったら大へんなことですよ。自治体は公経済だから自治体が出します、こういったって自治体にくるわずかな交付税の中から、そんなものを一般財源の中からまかなっていくのは限度があるから、これは利子だけで、元本は未来永劫なかなか入らないということになる。だから七年間もたったけれども、前の三十一年のときに改正した法律でさえもが利子しか入れないという実態がここにあるのです。そんなものを払う余裕は地方自治体にはないでしょう。八千億を払うだけの余裕がないというのが今の自治体の現状です。そうすると、これは一般財源からそういう過去のものを出すならとにかくだけれども、これからのものをそれから出すということは私は納得いかない。だから過去のものを出すためにこの交付税で、それは、だんだんなしくずしにしてまかなっていきますよということならまあまあ幾分妥協もできる。ところが今後のやつをわずかに十五億ばかりもらって、そうして太田さんの質問でも御指摘になったように、事務費を入れたら七十五億の金が要るということをやるのですから、五分の一程度のものをもらって、そうしてわがこと成れりと思うほど、自治省というものは謙譲の美徳があるなと思ってびっくりします。だからその点は注意をしてもらわなければいかぬですよ。これは住民の負担になってくるのですから、ますます二重払いなんです。それから公企業体ももらってない。これは私は問題だと思う。だから自治省が今度は国庫負担を一割なら一割、国家公務員と同じようにもらうことは公企業体がもらうことを意味する。公企業体は何でまかなっておるかというと、税金と運賃でまかなっておる。だからやはり住民の負担です。だからこういう公企業体が少なくともあなたの方と同じように一割もらってない。もらってないのは、わが方と公企業体だというならば、両方力を合わせて大蔵省から一割とらなければいけない。そうすると、住民の二重負担が解消され、運賃による負担を免れることになるわけですから、こういう点をぜひ考慮してもらわなければならぬと思います。
時間がきましたから、あと大事な点を二点ばかり申し上げます。これは私の知恵を貸すことになるのですが、一つは、これは知恵にはならぬですが、処分者です。今、たとえば汽車をとめた、そうすると、国鉄の幹部がぱっと首になっておる。首になると、相互扶助だというので自分でかけておった共済組合の金をもらえないのです。あなたの方の今度の百十一条一項もそうなっておるのです。処分を受けた者はもらえないことがある。こんなばかな話はない。自分の金を給料の中からかけたんですから、しかも国かあるいは地方自治体が千分の五十五を出したときには、とたんにその金は、いわば労働者のものになっておるのですよ。もう帰属は労働者のものにはっきりしておるのです。この金を国はよそへ動かす権利はない。この共済組合法によってその金はきちっと確定されたわけです。ただしかしこれが何年先にその者になるかという所有の時期が未確定なだけです。しかるにその者がたまたま処分を受けたからといって、その金をやらぬという理屈はどこからも出てこない、それが社会保障である限り、自分のお金である限りにおいては。これは一体あなた方はどういう運用をしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/134
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135・佐久間彊
○佐久間政府委員 御指摘になりました点につきましては、法律でその処分を受けておりました組合員期間にかかる分については、一部行なわないことがあるということになっておりますが、これは全部支給しないということではございませんで、ごく一部でございまして、なおその場合におきましても、地方公共団体が負担をしております分のうちの一部に相当する額を差しとめるという、そういう考え方で運用をして参るつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/135
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136・滝井義高
○滝井委員 そうしますと制限をする分は、地方公共団体が負担をした分だけは差しとめたい、本人の負担をしたものと、それに対する運用の利子とは、本人に当然差し上げなければならぬ、どんなことがあったって。それは最小限当然の権利なんです。それは、その通りなんですね。そういうことなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/136
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137・佐久間彊
○佐久間政府委員 地方公共団体の負担する全部ではございませんで、地方公共団体の負担する分のそのまた一部でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/137
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138・滝井義高
○滝井委員 そのまた一部という基準は政令か何かお作りになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/138
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139・佐久間彊
○佐久間政府委員 政令で定めるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/139
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140・滝井義高
○滝井委員 それから次にもう一つ、これで終わります。それは最近御存じの通り企業年金というのができてき始めたのです。現在雇用労働者というのは、厚生年金に約千五百万入っている。その人たちが大きな会社に勤めている場合、その会社では退職一時金を今度は有期の年金に切りかえてき始めた。最近法人税法を改正して無期の年金にしようとしたけれども、われわれが反対して、有期の年金にとどめさせたのです。これは付加給付になる。こういう制度ができ始めたわけです。今度のあなた方の制度を見てみますと、国は一文も出していないのですね。事務費についても給付についても出していない。交付税で出したと国は言うかもしれないけれども、それは一般財源であるという見地に立つ限りにおいては、自治体が全部出しておるということになる。従ってこのことは使用者と労働者との関係に立てば、民間の使用者と労働者との関係と本質的に何ら変わるところがないわけです。最近の民間の情勢というものは、日本の最近のこういう老後を保障する政策というものは——最近日本の企業には老人が非常にふえてきた。日本の人口は老齢人口が多くなってきた。富士山型、ピラミッド型の人口構造からつぼ型の人口構造になってきた。すなわち若年人口が少なくて、生産年齢人口が多く、総体的に老人人口が多い、こういう形ですね。従って老後の問題というのが非常に重要になってきたわけです。そこで企業年金というものを作って、低い厚生年金にプラスをしようという制度が出てきたわけです。あなた方のこの制度は、いわば地方公務員関係を統一的にやろうという制度です。今までの制度から言うとどうでしょう。三十六年三月における市町村職員共済組合の平均年金額は三万三千二百七十五円です。非常に低い。これが今度の制度になるとどのくらいになるか知りませんけれども、相当の額になるでしょう。掛金が二倍にもなるから、給付は二倍まではいかなくとも一倍半かそれ以上いくかもしれません。それにしても老後を保障するものとしては、額はあまり多くないわけです。今まででもこれより相当いいところの制度を持っている人々もおる。民間でもすでに付加給付の制度がぐんぐんできつつある。もうすでに法人税法が改正をされて、現在大蔵省にそれをやりたいというのが五百社くらい出てきた。ウナギ登りに企業年金はふえつつある。こういうことになりますと、国家公務員の共済組合が三十六年十一月で十四万程度ですから、相当これにくっついたものになっていかなければならぬと思うのですよ。これ以上のいいところも相当あるということになりますと、それぞれの自治体において、ちょうど民間が厚生年金をやり、一方においては財源の余裕があれば企業年金をやるように、それぞれの自治体というものは独立の自治体ですから、付加給付的なものを条例でやる自由があるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/140
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141・佐久間彊
○佐久間政府委員 今度の法律案によりますと、御指摘になりました市町村職員共済組合よりもずっと給付の内容は改善されるわけでございます。さらにその改善されました額よりも、現在の条例による年金の給付の方が若干上回っているというところが、全国で九市ぐらいでございますか、あるわけでございますが、それらにつきまして、経過規定といたしましてその差額を地方公共団体が付加して給付することができる、これはもちろん特殊な一つの給付になるわけでございますが、そういう規定は設けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/141
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142・滝井義高
○滝井委員 それはわかっているわけです。特殊な場合はわかりますけれども、そうじゃなくて、だんだんインフレ的な傾向もあるのだし、やはり老後をきちっとしておきたいということで、自治体が、自分は自主財源を持っているのだ、交付税なんかもらわなくてもいいのだ、この共済組合の掛金はきちっと払います。われわれはそのほかに自主的に条例でやる自由はありますかというのです。そういうものをやるというときに、自治省はそんなものはやってはいけないということは言わないでしょうねということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/142
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143・佐久間彊
○佐久間政府委員 この点につきましては、この法律案によりまして統一的な年金制度を作りまして、給付の内容も統一をいたし、また相互に通算もできる建前にいたしたわけでございますから、先ほど申し上げた特殊なもの以外に条例で付加的な給付を行なうということは認めない考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/143
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144・滝井義高
○滝井委員 そうしますと自治体に余裕その他があっても、自治省としてはそれは認めない、こういうことですか。——わかりました。まだありますが、一応これで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/144
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145・高田富與
○高田(富與)委員長代理 本会議散会後まで休憩いたします。
午後一時六分休憩
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午後三時三十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/145
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146・渡海元三郎
○渡海委員長代理 これより再開いたします。
休憩前の質疑を続けます。太田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/146
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147・太田一夫
○太田委員 それでは地方公務員共済組合法案につきまして、それぞれ関係の向きにお尋ねをいたします。
まず第一にお尋ねいたしたいのは自治省でありますが、どなたでもけっこうです。まず、掛金の問題にからみます将来の運営の基準でありますが、掛金を千分の四十四とした一番基本的な理由を簡明にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/147
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148・佐久間彊
○佐久間政府委員 これはすでに御答弁申し上げたかと思いますが、資料に基づきまして調査をいたしまして、それに基づきまして財源率を算出いたしました結果、お手元に差し上げてございますような掛金率が出て参りましたので、これをさしあたり自治大臣が告示する率として採用するということにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/148
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149・太田一夫
○太田委員 千分の四十四というのは今の掛金から比べると、局長はそういうことをおっしゃるけれども格段に高い。その点参議院でも非常に問題になったと思うのだが、現状において掛金ゼロのところ、それから〇・五のところ、あるいは一、一・二、一・五、一・七、一・八、二%、こういうようにそれぞれの実情によって相当低い掛金のところがたくさんあるということを、私聞いていますが、あなたの方はその実態をつかんでいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/149
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150・佐久間彊
○佐久間政府委員 大体把握をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/150
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151・太田一夫
○太田委員 だからどれくらいだということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/151
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152・松浦功
○松浦説明員 無拠出からそれぞれ段階がございますことは御指摘の通りでございます。私どもの方で調査をいたしましたものについて申し上げますならば、吏員等、いわゆる恩給に相当する制度としての無拠出段階が十四、〇・五が六、百五十分の一が一つ、百分の一が二十八、百分の一・二が一つ、百分の一・五が一つ、あとは二百八という大部分が百分の二、極端なところでやや高く百分の三・八というところが一つ、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/152
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153・太田一夫
○太田委員 安いですね。それは非常に安い。そういうところが一挙に四・四%ということになると、月にどれくらい掛金がふえるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/153
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154・松浦功
○松浦説明員 無拠出の者の例をとりまして、平均俸給が二万五千円とかりにいたしますと、千円余増加することになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/154
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155・太田一夫
○太田委員 月に千円ふえる、一年に一万二千円、ずいぶんベース・ダウンになるような感じがするのですが、それによって何か長期給付において特段にふえる点は出てくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/155
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156・佐久間彊
○佐久間政府委員 長期給付の内容が改善されますことと、退職手当が増額されますることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/156
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157・太田一夫
○太田委員 それを具体的に説明して下さい。どれくらい得かということを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/157
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158・佐久間彊
○佐久間政府委員 お手元にお配りしてございます資料の中で、新旧制度における退職年金及び退職手当の支給額の比較表という一枚紙の資料をお渡ししてございます。そこに書いてございますが、在職二十年で例をとりますと、現在の制度では御承知のように団体によってまちまちではございますが、大体国の旧法、言いかえますと、恩給法に定めてございます率によっておりますところが多うございますので、それによりますと、在職年数二十年でこれまでは三五・三%でございましたのが、新法によりますと四〇%になりまして、倍率にいたしますと一・一三倍になっております。それから三十年のところをとってみますと、現行法では月額の四二%でございましたが、新法によりますと五五%になりまして、約一・三倍ということになります。四十年になりますと、現行法では四八・七%でございますが、新法によりますと七〇%に相なっております。
なお退職手当につきましては、これも自己都合による退職あるいは勧奨退職、整理退職、それぞれ事由によりまして率は違って参りますが、自己の都合による退職の場合でございますと、在職二十年の場合が一・六八倍になります。在職三十年の場合が二・一一倍、四十年の場合が二・〇九五倍というふうに相当内容が改善されておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/158
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159・太田一夫
○太田委員 退職手当が二五%くらい上がっているということはそうでしょうね。けれども二五%上がっても国家公務員のそれよりは上になるということはないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/159
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160・佐久間彊
○佐久間政府委員 国家公務員のベースになるわけでございます。なお二五%と申しますのは、財政計画上財源措置をいたしました額でございますが、実際は在職年数によりまして、先ほど申し上げましたように、年数によりますとそれ以上はるかにいい倍率になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/160
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161・太田一夫
○太田委員 非常にいいというお話ですけれども、私ども思うのに、掛け金は月に千円もふえるは、その上十七年で支給を受けていた年金は二十年になるは、そういうことではとても本能的にのみ込むことができぬと思うのです。どこかごまかされておるという感じをみな持っておるのでありまして、あなたの方の考えで言いますと、この制度はいわば進歩的な案だということになっていくのでしょうけれども、掛金のない人が、かりに幾らいただいていたにしても、その金額が幾らであったということは別にしましても、少なくともマイナスの金じゃないのだから、その人が今度掛金を年に千円ずつよけい出すことによって、幾らかふえたといったところで、ありがたいといった気持が起きそうなはずがない、掛金なしでもらっていたのだから。そういう場合にあなたの方はその気持にどうこたえるつもりだったのですか。その気持に対してはどういう御説明をなさるおつもりでいらっしゃったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/161
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162・佐久間彊
○佐久間政府委員 掛金が上がりますことは御指摘の通りでございますが、従来の恩給方式を保険数理による共済方式に改めました結果、当然掛金がある程度上がるということはやむを得ないことだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/162
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163・太田一夫
○太田委員 いわゆる既得権というものに対するものと新制度との調整の問題ですね。あなたたちは、ゼロの掛金であったけれども、今度は四・四%いただきますよ。それはのみ込めないかもしれませんけれども、こういうわけだからあなたたちしんぼうして下さいという説得力のある言葉がなければ、その人たちは新しい社会保険制度はできたけれども、それはちっともいいことじゃないという感じになりますね。説得力のあるあなたたちの理論、そういう人たちを対象にして、あなたたちは何かもっとよくわかる言葉で説明しなければならぬと思うのです。どういうふうに説明なさるか、今の言葉では私はわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/163
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164・佐久間彊
○佐久間政府委員 従来の方式のように恩給の場合でございますと、百分の二だけ納付金を納めまして、あとはそれぞれ必要な額をそのときの予算に計上いたしまして支出をするという方式でやって参りますと、今後年金の受給権者が飛躍的に増加をいたします。それに支給する金額も多くなって参るわけでございますから、現在は、なるほど安い掛金で給付ができる状況にあります地方公共団体におきましても、将来財政負担に耐え切れなくなる、あるいはまたその結果職員の方もある程度負担をするというようなことになりまして、その負担がまた相当耐えられないような額にもなるということも予想されるわけでございますので、この機会に当座は経過的に若干負担が多くなるような感じを持つことは、これはごもっともだと思いますが、そういうふうな仕組みを切りかえまして、結局、長い目で見てその方が安定した年金の制度が確立されるわけでございます。かつまた先ほど申しましたように、給付の内容もよほど改善されるわけでございますから、その辺のことを十分お考えいただいて、御納得をいただくようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/164
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165・太田一夫
○太田委員 そうすると、掛金ゼロや二%のところは、財政の困難という原因によって将来破産をするという予想をされたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/165
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166・佐久間彊
○佐久間政府委員 破産と申しますと少し言葉が強過ぎるかと思いますが、長い目で見た場合に相当財政的に苦しくなる、かえって制度が動揺するような事態も予想されるというふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/166
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167・太田一夫
○太田委員 大上政務次官、大臣にかわってあなた言って下さい。これは大へんな問題であって、掛金のゼロないしは二%というような非常に低いところが、先ほどのお話でも約三百近く、二百何十という数字におっしゃったのですから、そんなにたくさんあるのです。ところが今のお話ですと、どうもそういうものは先があぶないし、理屈にあっておらぬとか、いわば非常にまま子扱いのような冷淡な批評をされるわけですけれども、こういうことでいいのでしょうか。地方の自主性というものによって条例できめている、地方地方の特殊性によってそういう掛金ゼロとか掛金の二%という、そういうものを生み出した、これは尊重されてしかるべきだと思う、相当尊重されなければいけないと思うが、それはどうでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/167
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168・大上司
○大上政府委員 お説の通り、各団体においてそれぞれの条例で取りきめております。ところがこの制度それ自体の発足は、こういうものの凹凸を統一的なもので発足したい、このような理念に基づいて御審議を願っておるようなことでございます。従いまして、なお細部にわたるところの方法等につきましては、いずれ後刻大臣がお見えになって御答弁申し上げますが、われわれはそういう、これを統一するという建前から発足したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/168
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169・太田一夫
○太田委員 掛金の問題ですから、みなにわかるように話してもらわなければいかぬと思う。佐久間局長が御説明できなければほかの人でもよろしいですが、この際一番よくわかる人からよくわかるように話してもらいたいと思うのだ。佐久間局長は四月の五日参議院において、掛金が恩給よりも上がるが、恩給方式から保険数理に基づく共済方式に切りかえた、建前が変わったためであります。やむを得ない、こうおっしゃった、やむを得ないのでありますか。やむを得ないというのはあなたのほんとうの感想でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/169
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170・佐久間彊
○佐久間政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/170
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171・太田一夫
○太田委員 さようでございますと言って、長い話をするとしっぽをつかまれるということがあるのかもしれませんが、話が長いからしっぽをつかむということはないでしょう。しっぽが長ければつかまれる。しっぽのない話なんかつかめませんよ。だから、掛金が恩給よりも上がるのは、何ですか、保険数理に基づく共済方式に切りかえた、共済方式になると上がるんだよ、こういうことなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/171
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172・佐久間彊
○佐久間政府委員 これは長期にわたりまして負担が平準化いたしますことを趣旨といたしますので、それだけの平均を積み立てていかなければなりません。従来の恩給納付金では積み立てということは考慮いたしておりませんでしたので、その分だけ掛金が上がることになることは、これはやむを得ない、こういうふうな意味で申し上げたわけでございます。しかし、ただその方式を切りかえるためだけに上がるわけではございませんので、先刻申し上げましたように、まず給付の内容を改善をする、そのためにそれだけ掛金も多くなるということが実は大きな理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/172
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173・太田一夫
○太田委員 共済方式に変わるというと高くなるというなら、共済方式はよっぽどいいものでなければいただけないですね。ところが恩給よりも悪い点だけが目について、いい点というのはあまり目につかないではありませんか。
先ほど最後に滝井さんが御質問なさっていらっしゃったことですけれども、たとえば罰則があるでしょう。百十一条ですね。この罰則などを見ると、政令でその一部を支給しないことがあるというようにやるんだという先ほどの御答弁でありましたけれども、今の恩給方式ならば、いわゆるお下がりものだ、いただくものなら夏でも小袖で、いただくものはありがたくちょうだいいたします、お前はけしからぬから差し上げないといえばそうでしょうが、自分たちの相当高い掛金を出してやる共済方式に恩給方式から切りかえたものならば、さっきあなたがおっしゃった思想、共済方式に切りかえた、建前を異にしたものだから掛金は高くなります、もしそれが貫き得られるものならば、百十一条の罰則なんというのは私は出てくる道理がないと思うのです。なぜそんなことになるのでしょう。あなたのおっしゃる、共済方式に切りかえたから掛金が高くなったのではないでしょう。共済方式というものは掛金が高いものだ、この理論というものは、罰則の問題とからみ合わしてみるとちょっと変わりはしませんか、佐久間さんどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/173
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174・佐久間彊
○佐久間政府委員 この罰則の百十一条の点でございますが、これにつきましてはあるいはいろいろ御意見もあろうかと思います。この制度は相互救済を主眼とする制度ではございますが、あわせて公務員制度の一環として、人事管理上の考慮も若干加味いたした制度でございますので、ここにあげておりますような事由のありました場合には多少の減額が行なわれる。しかし、それも地方公共団体が負担いたします分のうちの一部を停止をするということで、そう過酷にわたらないような配慮はなされておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/174
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175・太田一夫
○太田委員 佐久間さん、私は掛金が高いということをほんとうに痛切に感じておるのですが、その割には非常に冷淡なところがあるということを言うのですよ。共済方式なら共済方式という精神で、お互いに出し合っていくんだ、こういうわけなんだから、お互い同士の間なら、こちらが五出したらお前も五出しなさい。あなたは五・五出しなさい、こちらは四・五出しますということで出していくなら出したらいい。義務として出したら、けしからぬことをしたから何割か減らしますよというようなことを言える道理のものじゃないと思うのです。例の百十一条は禁錮以上の刑に処せられたときは長期給付の「全部又は一部」を行なわないことがある、「全部」というのもあるでしょう。「全部」というのはこれは違うですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/175
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176・松浦功
○松浦説明員 法律では「全部又は一部」という規定を置いておりますが、実際には政令でその規定をきめておるわけであります。この法律の場合におきましても、国家公務員共済組合法で定めておるものを例として運用して参りたいと思っておりますが、現在の段階では禁錮以上の刑に処せられた場合におきましては、年金額の百分の二十を減じたい。さらに懲戒処分によって退職した場合には、その処分を受けました地方団体、と申し上げていいと思いますが、その勤続年数に相当する部分の百分の二十を減じたもの、さらに懲戒処分によりまする分限によります停職あるいはこれに相当した処分につきましては、停職の期間に相当する年金の一割を減ずるという格好を考えております。従いまして、額といたしましては受けるべき年金の百分の二十が最高でございます。停職の場合にはほとんどパーセンテージで一%にも満たないような数字になる場合が大部分であろうかと思います。なぜこのような考え方をとったかと申しますと、午前中の御質問に、滝井委員からの御発言もございましたように、この法律の精神自体が公務の能率的な運営に資する。言いかえますと、地方公務員制度というものの一環であるという考え方から、やはりその程度のものはとめた方がいいんではないかという考え方から出発をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/176
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177・太田一夫
○太田委員 その仕事を能率的にやるとか任務を完遂させるために作ったということは、別の言葉でいえば労務管理ということですか。労務管理政策として作った、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/177
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178・松浦功
○松浦説明員 退職手当の中にもございます考え方でございまして、もちろん共済制度と退職手当が直ちに一緒であるとは考えませんが、できるだけ長い期間公務員としてお勤めを願う、勤められた方に年金をあげる、いわゆる老齢保障の思想から出発しておるものでございます。従って、いわゆる公務員制度の中において問題があったという方について、若干こういう措置を講ずることによって、そのようなことがないようにしていくということを考えたい、こう存じたからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/178
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179・太田一夫
○太田委員 局長さん、共済組合法の精神に徹するなら私は罰則を取ってもらいたいと思う。今お話がありますけれども、これは取った方が一番筋が通るのですよ。たとえば自動車を道の上に置いておくでしょう。道の上に置いておいたら、自治省の関係の国家公安委員会の関係することにひっかかって、何だ、この道路の上に自動車を置いておくわけにはいかぬじゃないかということになれば、退職年金はどうなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/179
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180・佐久間彊
○佐久間政府委員 御指摘のように、これは相互救済を目的とする制度であることがあくまでも本体でございまして、公務員制度上あるいは人事管理上の配慮がそれに若干加味して考えられておるということでございます。そういう配慮を全然なくしてしまった方がよいかどうかということは、立法論として理由はあろうかと思いますが、この規定によりましても、禁錮以上の刑、あるいは懲戒処分でございましても、減給とか戒告とか、軽い処分は除かれておるわけでございますから、国家公務員の例もあることでございまするし、この程度のことはよろしいのではなかろうかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/180
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181・太田一夫
○太田委員 だから、国家公務員の共済組合法にあるからこちらにもあるんだという。単にこれはその引き写しだ、引き写しならいっそのこと引き写しでもいいと思う。そのかわり給料だって何だって準ずるということを言わず、それ以上に引き上げるということを保障して下さい。号俸も通し号俸にしようとすれば、国家公務員はそんなものじゃないからだめだ。国家公務員と同じようにしなさいと足を引っぱるでしょう。給料の方を上げるときも国家公務員のそれに準じなさいと悪い方に一生懸命引っぱりながら、仕事の方は、地方は非常に重い仕事、大きな仕事を仰せつかっておる。実際上地方公務員はよく働いております。国家公務員が働かぬわけじゃありませんけれども、それ以上働いておる。これからまた共済組合法を作っても、悪い点は、国家公務員法にあるからそれと同じでございますよと、悪い点だけいつでも国家公務員と地方公務員が一緒にされておる。それならいい点は、地方の特殊性があるならば、その地方の実情を認めていくということにしなければならない。こう思うのですよ。今あなたは労務管理上のことをちょっぴりおっしゃったが、労務管理ということがあると変なことになると思います。道の上に自動車を置いても今度は懲役に処せられる。この間ここで法律を審議した。自動車の保管場所の確保等に関する法律です。合同審査をやりました。それの第八条には罰則がありますけれども、自動車を道の上に置いておいても三月以下の懲役がっく。そのためにこちらの方でせっかく一生懸命四・四%かけた退職金がふいになるとしたら、こんなばかなことはありませんですよ。それは国家の公務員であるから、あるいは地方公務員もそういうことであるから、体面上、面目とか名誉を重んずるために、名誉を傷つけた行為をした場合においては国家の体面を傷つけたことになるとして、恩給あるいは退職年金の給付は部分的にしか出せません、あるいは全部停止します。それならわかるが、それなら掛金をとらなければいい。掛金をとって共済組合方式にかえたのは、恩給とは建前をかえたから少々高くなります、仕方がない、こういうわけ。それならその精神で徹底して、禁錮以上の刑に処せられたら全部または一部停止するというようなことはやめたらいい。そこに矛盾がある。どうですか、自動車に乗っていて、道のそばに置いていたら、いかぬところであった、それで懲役三カ月になったら、これはなくなるのですか。四十五年も勤めてせっかくの退職年金はなくなっちゃうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/181
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182・佐久間彊
○佐久間政府委員 この規定から参りますと、どういう事由で禁錮以上の刑に処せられた場合におきましても適用があることになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/182
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183・渡海元三郎
○渡海委員長代理 太田君。大蔵大臣がやむを得ぬ所用のために、三十分程度で退席やむない状態でございますので、できるだけ集中して御質問願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/183
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184・太田一夫
○太田委員 大蔵大臣に対する質問がありますから、それを申し上げて、あとの方も大蔵大臣に対する質問がおありになると思いますからやっていただきます。
大臣、一つお尋ねしますが、あなたは一割の国庫負担金をお断わりになった理由を参議院で御説明になったときに、公経済の公共団体が主体になっているから、その主体として地方が費用を分担すべきであります。従って、その建前をくずす必要はどこにもない。こういう理由によって一割の国庫負担は考え直す必要は、どこにもないのであって、公経済として地方団体が負担すればいいのだ、こういうことを参議院でお答えになっていらっしゃるのですが、このお考えというのは、何か非常に誤解があるような気がするのです。私にもよくわからないのですけれども、どういうお気持でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/184
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185・水田三喜男
○水田国務大臣 前にこの委員会でもお答えしていると思いますが、今、社会保険制度による費用負担というものは、御承知のように、一つの建前ができております。公経済の主体としての負担分と、それから事業主すなわち使用者、組合員という関係における費用の折半というような一つの建前を統一して現在執行されておりますので、国における建前も地方における建前も、私は建前は同じでいいというふうに考えて申しただけでございまして、三公社におきましても、別に国は負担しているのじゃなくて、主体としての三公社が持ち、使用者としての分担、被使用者としての分担、折半で持つという建前になっておりますし、どこの制度もそうなっております。ただ船員保険というようなものにつきましては、これは広く一般の船員が対象でございますから、特定のこれを推進する主体というものがございませんので、こういうものに限って国が負担するという建前はとっておりますが、そのほかは全部この方式で貫かれておりますので、これは公経済の主体としての地方が一割持つというのが建前上当然である。ただし、それについての財政的ないろいろな問題については国が別個の援助をする、いろいろのことをするということは別でございますが、私の言っているのは建前論でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/185
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186・太田一夫
○太田委員 大臣、それでは地方自治団体の財政的な基礎というのは、国庫補助がなくても、これはやっていけるのだ、今の地方財政というのは、それだけの力があるのだ、こういうふうに認識していらっしゃるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/186
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187・水田三喜男
○水田国務大臣 御承知のように、地方財政というのは、一時のようなむずかしいときから脱して、年々収入もふえているときでございますので、地方財政が今著しく好転しているということは言えようと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/187
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188・太田一夫
○太田委員 しからば、きょう通りました新産業都市建設促進法、これをお出しになったときに、新産業都市に指定されるところは、大体において富裕自治団体が多いと思いますが、そこでさえも、公共投資については相当に国の費用をもって促進をする、援助をする。なお、その対象は道路、港湾、交通施設、水道その他でありますけれども、そういうふうに地方の団体に——地方の相当な力のあるところに新産業都市ができるについても、相当な国庫補助というのが財政的に措置されておるわけですが、それがなかったらこれはできない。だから、そういう実情からいきましたならば、後進地域などにおいては、ますます財政的に逼迫して、新産業都市の建設なんてできっこない。そういう実情がありながら、そういうところで新産業都市を作るためには国庫補助をいたします、公務員の共済組合法を作るためには自分の金でやりなさい、ちょっと何だか人間というものに対して非常に冷淡な感じがしますね。そんなことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/188
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189・水田三喜男
○水田国務大臣 私は、今、建前の話をしておりますので、地方団体には財政力の相違があって、これは非常な不均衡になっておりますので、この不均衡を合理化するためには、一面地方交付金というものによってこの調整をはかるという建前になっておりますし、また国の負担金とか国の補助というものをもって直接これを援助する、しかも援助の仕方に、財政力に応じた援助の仕方をするというような、独立財源以外に、今、別に交付金と負担金と補助金でそういう援助をして、三つの財源で地方行政の推進をはかるという建前になっておりますので、まず建前上固有に地方が負担すべきものはすべきものとして見る、それから地方開発の問題でございますとか、地方行政水準をそろえるというために必要な問題は必要な問題で、別の対処の仕方を持っておる、こういう建前になっておりますから、私はそれで差しつかえないのじゃないかと思います。後進県で財政需要が多くて財政収入のないというところについては、またそれに対応したいろいろな方法をとっておるときでございますから、建前としては一応そういう建前が貫かれていいのじゃないかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/189
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190・太田一夫
○太田委員 昭和三十四年のときの大蔵大臣は佐藤さんです。佐藤大蔵大臣は、国家公務員の共済組合法案を作るに際しまして、将来地方公務員の共済組合法案もできるだろうということを想像されて、国会においておっしゃったことは、今後地方公務員の共済組合法案ができますときは、国家公務員の共済組合の場合に準じて、一割の国庫負担をやりますと、こういうことをおっしゃっていらっしゃるのであります。その当時の大蔵大臣はそうおっしゃっておる。昭和三十四年です。従って、今日三年かちょっとたちまして、あなたの代になると、いやそれはそういうことではないのだ、公経済であるから、一割を、〇・一%の交付税、この程度のものでよかろうという思想にお変わりになっていらっしゃる。これはあなたの代は御家流でそういうことかもしれませんけれども、次の代にはどうなるかこれはわからない。考え方というものはそういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/190
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191・水田三喜男
○水田国務大臣 佐藤大臣のときに、そういう御答弁をしたかどうか、私よく存じませんが、おそらくあのときも、この問題で、この建前論で非常に議論が分れたということを聞いておりますので、そういう答弁をしていないのじゃないかと私は思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/191
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192・渡海元三郎
○渡海委員長代理 川村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/192
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193・川村継義
○川村(継)委員 大蔵大臣、大へんお忙しいようですから、ちょっとお聞きしますが、今の問題ですがね。国家公務員は国で給付の一割負担をしよう、事務費の全額負担をしよう、地方公務員については、これは地方公共団体でやれ、その考え方は、大蔵大臣のいわゆる公経済の理論からお立てになっておる。これはあなたの本会議における答弁から考えても、実はもうたびたびお聞きしておるわけであります。きのうからきょうに至りますこの委員会における同僚諸君の質問に対して、あなたの方の主計官の方も、自治省も、そのような考え方を今ここに出してきている。ところが、自治省の問題につきましてはあとでお聞きしたいと思いますけれども、この点でぜひ一つ私も今の太田委員に関連してお尋ねしておきたいと存じますことは、大蔵大臣、このお考えはかりにそうでありましても、政府が、あなたの方がお作りになっておられるところの各種の委員会、いわゆる審議会であるとか制度調査会であるとか、そういうところの諸君があなたの方に答申したことはよく御存じだと思いますが、私から言わしめると、どうもあなたの方はその答申の考え方を無視しておられると思うのですが、これについて大蔵大臣は、今どういうお考えを持っておられますか、まず、それからちょっと聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/193
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194・水田三喜男
○水田国務大臣 答申の出ていることは承知していますが、大体答申というものは、政府はせっかく委嘱した委員会の答申でございますから、尊重するのを建前としておりますが、これはその答申を十分政府が検討して、最後に政府の施策にするわけでございますので、やはりのめない答申はのめないということになりまして、この点については私どもはこの答申がどうしてものめないという立場で、今のような案を提出しているわけでございますが、これは委員会の答申が少し建前が違っているのではないかと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/194
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195・川村継義
○川村(継)委員 もう一ぺんあらためて思い起こしていただきたいと思うのです。国家公務員退職年金制度に関する人事院の勧告で「給付に要する費用の二五%は、公務員の掛金及びその積立金から生ずる利子をもって充て、その費用の七五%は、国庫負担金をもって充てることを原則とする。」、それでちょっとただし書きがついておりますけれども、「公務員は、掛金として、毎月俸給月額の三%を負担する。」、これが実は今の国家公務員退職年金制度に関する人事院勧告でありますが、国家公務員の場合も、これは全く無視されておる。それから公務員制度の改革に関する公務員制度調査会の答申を見ましても、同じようにそのような精神から公務員の費用の一部は国が負担をせよということをちゃんと答申に書いてある。さらに地方公務員の退職年金制度の改正に関する地方制度調査会の答申によりましても、その費用の点に関して、その方針の中に次のように書いてございます。「退職年金の給付に要する費用にあてるため、健全な保険数理を基礎とした積立金の制度を設ける必要がある。この場合、社会保険制度に対する国の責任を明確にするため、」、この言葉をぜひ一つ思い起こしていただきます。「給付に要する費用の一定部分を国が負担すべきである。国家公務員共済組合の場合は十パーセント、厚生年金保険の場合は十五パーセント、船員保険の場合は二十パーセントを国が負担しているが、地方公務員の場合には、国家公務員の場合に準ずべきである。」、これが地方制度調査会の答申の費用の負担割合の項であります。さらに今度の二月に出されました社会保障制度審議会の答申を見て参りましても、そのおもなる問題の一つに、「長期給付については直接国庫負担を行なわず地方交付税の増加によって賄われるが、これは、本来の目的に沿った配分は困難であり、不合理な結果を生ずる。年金に対する国庫負担はすべて社会保障の見地から各制度を通じて一定の原則によって考えらるべきである。」、これは今度社会保障制度審議会が二月末答申をしたところの一つの項であります。
大臣、私今四つばかりの答申の問題となるところを申しましたが、社会保険の建前から考えても、社会保障の点から問題を掘り下げて考えていっても、国が負担すべきであるということは、どの答申にもはっきりしておるのですね。これをあなたの方では無視して、先ほどから議論を展開されております公経済理論一本でこれを今度認められなかったということになると、どうしても納得していけないわけです。どうですか、お考え直しいただく意思はございませんか。これは私が今いろいろ申し上げた問題等について、ここで今大蔵大臣と論議をする時間がないと思いますけれども、私が申し上げておる考え方はおくみ取りいただけると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/195
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196・水田三喜男
○水田国務大臣 地方公共団体は特に国の事務の一部もやっておりますので、国が負担するという場合の理屈をつける場合には一番つけいい団体であることは私も承知しています。しかし公共的な事務を分担しているということになりますと、地方だけではなくて、まだたくさんあることは御承知の通りでございまして、電電公社等においてもどこにおいても、そういう国家的な事務をとっておるというようなことでしたら、みな一様に言える問題でございますが、こういうものも全部国庫負担しない建前に今統一されている。国、地方公共団体両方とも公租権を持ったりっぱな経済の主体となっておりますので、社会保険制度をそういう建前での主体が一定部分を持ちそれから使用者、組合員という立場において折半するという建前で、日本の社会保険制度の費用分担というものが貫かれて今まできておるのですから、やはり地方公共団体の、この年金制度もその建前によるということが一番建前をくずさないでいいことではないかと思っております。それでもこのいろいろの答申におきましては、当時の地方団体の財政需要というものが悪いときでございましたので、これを一応頭に入れてありますので、そういう点も考慮された議論が多かったと思いますが、御承知のように地方財政に寄与する国の金と申しますと、今、補助金とかあるいは負担金、交付税で一兆億円以上になっておりますので、この地方財政をまかなっていくために、こういう建前がいいのかどうかということも今後当然問題になろうと思いますので、この補助金というようなものについては、ここでその性格、こういうところにこういうふうに出すべきだとか、これはどうこうというような合理化のいろいろな審議をこれから私どもはやりたいと思っていますが、同時に国と地方の事務配分の合理化、税制における中央、地方を通ずる配分、この三つをかみ合わせて、最後に合理的な地方財政のあり方というものをきめることが、今私どもは必要だと思っています。従って、どういう制度ができましても、地方財政が困るのをそのままほうっておくということはできませんので、今後この三つの組み合わせをどう合理化するかということがこれからの仕事だと思いますが、さしあたりそういう事情もございますので、交付税率を若干上げるというような措置もとりましたが、今後そういう問題の合理化というものを政府は十分に、これは政府だけではなくて、国会にも考えていただくことになるわけでございますが、それをやる建前でございますので、とりあえず社会保険制度の建前をここで今財政とからんでくずしておくという必要は私はないと思います。これは別に考えてやるべきものだと思っておりますので、今までの答申とか何とかは財政需要というものを相当加味した、混同したいろいろな議論が多く行なわれていたことは事実でございますが、制度の問題としては一応分けて考えるべきだと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/196
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197・川村継義
○川村(継)委員 大臣がそのようにおっしゃいますと、またものを政策的に申し上げねばならなくなりますけれども、公企体等の、電々等の問題とこれとをイコールとしてお考えいただくことは納得いかない部面が出てくるのです。そのようにおっしゃると農業団体であるとか、私立学校であるとか、みなあなたの方で出しておるじゃありませんか。地方公務員と申しますと、これは単に、私が申し上げるまでもなく、地方の単独の事務だけをやっておる職員じゃない。国の大きな施策、国からやらせるところの仕事を大部分しょい込んで仕事をしておるわけですから、あなたのように地方公務員はよそ者だ、そういうような考え方に立った考え方というものは、大臣少し飛躍するのじゃありませんか。一つの建前として、あなたがそのようにお考えなさることは私は妨げません。しかし、私が申し上げることもまた一応聞いてもらわなければならぬ。地方公務員はまるっ切り国の仕事とは関係のない職員だ、そういう部類だ、電々や国鉄の職員と同じ性格のものだ、あなたがそう考えておられるとなれば、大きな問題があると思う。特にわれわれが心配しておるのは、今度この制度が発足しますと、国家公務員においてもそうでございましょう。きょう午前中の答弁でも明らかになったようにまだ全部掛金が納まっていない、改正されてから三年にもなりますけれども。それは今掛金率について争いが起こったり、またいろいろな問題があるから、お金は全部集まっておっても定款がまだ改正変更になっていないという事情等もあるわけでしょう。今度の地方公務員の場合もそういうようなことを一つは心配するし、はたして千分の四十四というのが妥当であるかどうか、いろいろ考えて参りますと、今までの過去の追加費用を八千億も考えなければならぬ。将来の経理をずっと見通してみても、追加費用を考えていかなければ三十年、四十年の後には赤字が出るのじゃありませんか。こういうことを考えると、地方団体で勝手にやれ、そういうお考えは、私は大蔵大臣としてはあまりにも、何かしらん公経済々々々とおっしゃるが、理論にとらわれ過ぎておられる結果じゃないかと思うのです。そこで、私はただ地方の税金が多くなったとか、財政がちょっとよくなった、少なくなったという問題でなくて、将来こういう制度ができたらうまく運営されていきますように考えるならば、国が当然あるいは事務費あるいは要求されておるところの給付の一割、それくらいのめんどうは責任を持って見てやるということは当然じゃございませんか。そういう考え方が成り立つわけでございましょう。それをあなたが頭からどうもがんとして受け付けられておらないわけでありますけれども、そこで、実はきのうの答弁であなたの方の主計官の話でも、将来困るようになったら何とかめんどうを見なければならぬという意味の御発言もあった。もしも大臣、そのようになりましたらどうしてくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/197
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198・水田三喜男
○水田国務大臣 もともと、地方行政を推進するためには、地方がほんとうの独立税で実施税源を持って実施できることが一番いいことだと思いますが、御承知のように、財源偏在のときにそういう方法をもって地方行政にに対処するということは事実上できませんので、一たん国が税を取って、それを逆に交付して、地方財政需要に応ずるというやり方を現在しておりますので、このやり方の運営によって、事実上地方で困る費用というものは見られる仕組みになっておるということが一つと、同時に最近福祉事業を中心にしまして、特に地方の経費負担というものが国と同じように多くなってきておりますので、これに対処するためには国が補助金、負担金を出すという形でやっておりますが、交付金よりもこの方が、もう六千二百億ですか、はるかに多くなっておるということでございますので、さっき申しましたような今後のあり方というものは、やはりここで基本的に研究すべきときにきていると思います。従って、あなたのおっしゃられるようなことを言われるのでしたら、私はたとえば国の事務を一部地方は取っておるのだから、地方の事務費について国はこれだけ、これは交付税とかなんとかというものによらないで、その財政需要のこういう部分はむしろ国が補助金を出すという、補助金という形でやるべき性質のものじゃないか。そうなるとすると、それに対応して、同じ公経済の主体においても考え方が変わってくるとかというふうに、制度でございますから、一連の筋のついたやり方を私はすべきだと思います。ところが今、現実はそうなっておりませんので、どの部分を国が補助金あるいは負担金という形式で出すのが合理的か、そういうものは一切出さないで、交付金というものの活用でそれを多くして、ほかの方を整理して運用する方が合理的かというような基本問題が残っておりますので、私どもはこれからそういう問題の検討に入ろうとしておるときでございますから、将来もしほかの考え方が合理的であったとすれば、私もそれはかたくなに考えるわけではありませんが、現行の建前におきます限りは、社会保険制度の費用分担という建前はくずさずにやるのが正しいというふうに考えるものでありまして、この問題については、まだまだ国の金の出し方について筋を通す今後のいろいろな問題というものは十分残っておると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/198
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199・川村継義
○川村(継)委員 これで終わりますが、大蔵大臣、交付税で見てやったじゃないか、そういう意味の御発言がよくあります。今度の問題について実は交付税で見てやった、〇・一%引き上げたということですが、それで見ておるじゃないかとよく言われるのでありますけれども、そういう見方が、交付税というものの性格、その制度のあり方からして、これについて見てやったというその考え方がどうもわれわれには納得いかない、こう実は考えておるわけです。あなたの方は先ほどおっしゃったような補助金等のお考えもお出しいただいたわけですけれども、私は、この問題について交付税で処置してやったじゃないか、こういうような考え方に立っておられることがどうもふに落ちない、こういう点もあるわけです。その点は一つ申し上げておきたいと思いますが、そういうようないろいろな問題についてはあとで自治省当局の考え方を私は聞いてみたいと思います。大蔵大臣、時間をいただいたのですけれども、この程度に——非常に雑駁なあれで何ですけれども、またひまがありましたらぜひ来て下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/199
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200・渡海元三郎
○渡海委員長代理 阪上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/200
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201・阪上安太郎
○阪上委員 この会期中大蔵大臣に会えないと思いますので、一つだけ質問をしておきたいと思います。
大蔵大臣は、昭和三十二年三月十二日の衆議院大蔵委員会におけるところの国家公務員共済組合法が通過する際の附帯決議は御存じないのじゃないかと思うのですが、そのときにこういうことを言われておるのです。附帯決議の中に、「地方公務員の退職年金制度については、地方自治体における制度の沿革及びその特殊性を考慮し、別途の措置によりその自主性を可及的尊重すること」こういう附帯決議がついております。そこで、大蔵大臣は先ほどこの制度は国家公務員に準ずべきである、準ずべきであると言いながら、一方において国家公務員に準じないで、負担金を出さない。出さないとか出すという問題についてはいろいろ論議がありますが、そういうことになっておる。その点はさておきまして、どうでしょうか、この附帯決議の趣旨というものは当然その当時政府当局も一つ努力いたします、こう言うために違いないと私は思う。この場合、こういうふうな明確な附帯決議がついておるのです。地方自治体の制度の沿革及びその特殊性を考慮しということがうたわれているわけなんであります。この点について、この地方公務員共済組合法案というものは国家公務員に準じて行なわれなければならぬ、こういうふうに依然としてお考えになりましょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/201
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202・水田三喜男
○水田国務大臣 さっきから言っております通り、建前から見てこうするのが終始一貫しておることじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/202
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203・渡海元三郎
○渡海委員長代理 二宮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/203
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204・二宮武夫
○二宮委員 答申案、そのほかいろいろの問題についてものめないものはのめないんだというような大へんお強い御意見のようですが、参議院をこの法案が通過するときの附帯決議の中で、事務費、給付費そのほかについて国が今後において財源を見てやるという決議がついております、これは大蔵大臣、御存じでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/204
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205・高柳忠夫
○高柳説明員 附帯決議の際に、主管大臣であります自治大臣からお答えしております。その趣旨をわれわれは了承しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/205
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206・二宮武夫
○二宮委員 今、大蔵大臣は、調査会であるとか諮問機関に対して、非常に強い態度で、のめないものはのめないんだという言い方ですけれども、大体国会においても、附帯決議というものをつけるのは、ほんとうに法案を通すときのアクセサリーみたいに考え過ぎて、その時期を過ぎるとその趣旨が尊重されないという傾向を私は非常に強く感ずる。今大蔵大臣自身が、これは将来国の費用をもって見るべきだという参議院の附帯決議があるにもかかわらず、それを御承知ない。こういうことで、これはあなたはさっき、今後筋を通して見るべきものは見たいのだと、川村委員の質問に対してお答えになったように思うのですが、同時に、今からわれわれがこれを審議して参ります際に、地方公務員共済組合法をやりますときに一番問題になりますのは、国家公務員の共済組合法がすでに制定をされている。自治省の方々やそのほかの人々も、全部これがあるからこれにならうのだという考え方が出てくるのです。
そこで私は大臣に一つお尋ねしておきたいと思うのですが、たとえば五十五才までは若年停止という形をとっていって、一年ごとに四%ずつ減率をしていく。五十五才になってももとに返さないという地方公務員の退職年金のやり方ですね、これは国家公務員がこうなっているから、従って、地方公務員もこれにならってこうするのだ、こういう考え方になると、この委員会で地方公務員の共済組合法の、こういう一人々々にとっては大へん問題になるような問題を審議しましても、国家公務員に対する共済年金の問題が動かないということになると、審議したって意味がないのです。従って、そのような問題は、これは国家公務員と地方公務員を比較いたしました際に、その被害額——被害ということはおかしいけれども、実際非常に影響を受けるものは地方公務員の方に多いのです。従ってこれを何とか是正をしなければならないという意見が出ましても、国家公務員がこうなっておるからこれにならうのだというような考え方であれば、これは審議できません。従って、私はここで大臣のお答えをぜひお願いしたいのは、やはりそういうようなすっきりした姿で、ほんとうに社会保障、社会保険という立場に立ってこの法案を審議するという段階になれば、それは国家公務員の場合も一つ考え直してもいいのだ、こういうような意見がなければ、これは今から審議したって意味がないのです。右にならえで全部やってしまう、そういう考え方だったら話にならぬ。そこでそういうようなすっきりした筋の通った意見が出てきて、これは非常におもしろくない点もあるのだというようなことで、特に国家公務員の共済年金を作るときには問題にならなかったが、地方公務員の共済年金の場合には非常にこれが問題になるということが起こって、皆さんの意見が午前中にもいろいろ出たのですが、起こりました際には、国家公務員の共済組合法に対して再度検討をして、それに対するバランスをとっていく、こういうような決意があるかどうかということをはっきりお伺いしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/206
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207・水田三喜男
○水田国務大臣 今の問題、私よくわかりませんが、問題は保険計算に基づいた社会保障制度でございますので、そう細工をする余地のないものだと思います。たとえば国民年金でもその問題が出ましたが、何才のときから支給するといったら、大体保険数理の計算で、そのとぎの給付金というものは出て参りますし、これを短くして、もっと若いときに支給しようとしたら、おのずからそのときの計算というものは出てきて、要するに保険計算において、ただ無制限に計算外の資金の補給をしないという立場から成り立っている制度でございますから、そこでそう勝手に手直しのできない性質のものを持っております。従って、一つ制度ができますと、大体それに準じたところへ落ちつくので、一つを特に直すという計算ができない、そう簡単に自由裁量のきかない問題だと私は思っております。そこで全く同じでなければならぬかという問題はあろうと思いますが、大体において給付額というものは計算に縛られて決定される問題ですから、同じような制度をとる場合には、おのずから同じようなところに落ちつくという性質のものだろうと考えております。特に地方公務員だけそこをかたくなに考えているということは、私はないだろうと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/207
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208・二宮武夫
○二宮委員 私の尋ねておるのはそうでなくて、一つの制度ができたらもう全くコンクリートになってしまって、新しい問題が派生をして、それを正しい方向に是正をしようというときに、前にできておる制度があるからこれはもうだめなんだという行き方では、国会の審議というものの権威はないし、あなた方がやっておる行政そのものにも私は潤いがないと思うのです。従って、国家公務員に対する共済年金の地方公務員と関連をする問題の中で、地方公務員ではこういう点が非常に問題になるから、ここを直した方がよろしいという意見が出た場合には、それは国家公務員の共済年金がやってきたから、もうこれに右へならえだというような、そういうかたくなな考えをされずに、やはりその辺をやわらかい考えで是正をしていくという態度があるかどうか、こういうことをお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/208
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209・水田三喜男
○水田国務大臣 これは保険制度によっているものでございますから、どうにでも今言ったように動かせると思います。給付金を多くしたいというのでしたら、年金の掛金率をどうすればいいか、これは当然計算で出て参りますし、従って、この制度それ自身の建前をくずさないということでございましたら、国家公務員の共済年金制度と地方公務員の共済年金制度が違っていいので、計算がくずれない限りにおいて画一でなければならぬということは考えなくていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/209
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210・太田一夫
○太田委員 今の問題に関連して水田さんにお尋ねします。
運用金利は五分五厘と聞いていますが、実際に五分五厘というのは一つの標準でありまして、実効利回りというのはそれ以上に高いと思うのですが、五分五厘でなければこの計算は成り立ちませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/210
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211・水田三喜男
○水田国務大臣 計算が成り立たないのじゃなくて、五分五厘というものを前提とした計算で掛金も給付金もきめられておるということですから、これを六分に直せば、また掛金が違ってきますし、支給額が違ってくるというだけの問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/211
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212・太田一夫
○太田委員 というだけの問題じゃなくて、大臣、そこが大事なんですよ。それが下がってきたらありがたいじゃないですか。考えて下さいよ。五分五厘の利回りが六分になれば、掛金も下がる、若年停止も下がる。大へんありがたいのです。だけじゃなくて、ぜひ五分五厘を六分にしていただきたいと思うのです。あなたは軽く、しようがないじゃないかと言われる。あなたのおっしゃることは正しいのだが、いいですね、それをやっていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/212
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213・水田三喜男
○水田国務大臣 そういう建前のものでございますから、動かせぬというものではないのですが、問題は、これは長期の制度でございますので、金利の変化というようなものの相当先の見通しというものも考えてきめられている問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/213
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214・太田一夫
○太田委員 実際では六分から七分というのがもう実効利回りとしていわれているのでしょう。これは松浦さんもそう御答弁をなさっていらっしゃるのですよ。それを五分五厘という利回りによって計算するということは、不当に掛金を高くするということになる。四・四%の掛金をとるために、逆算して金利を出しておる。逆算して五分五厘、そんな安い金利で今実際上運用なんかやっていらっしゃるはずがありませんよ。どうですか、最低六分になるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/214
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215・平井廸郎
○平井政府委員 ただいまの点。ちょっと技術的な点がございますので、御説明申し上げたいと思いますが、御承知の通り現在の五分五厘という予定利回りは、単に国家公務員共済組合のみでなく、いわば国の社会保険の全体系において採用しておる利回りでございます。この予定利回りが五分五厘が妥当であるかあるいは六分が妥当であるか、さらに上げていいものか、この点は確かに御議論の存するところでございますが、これは単に現在の運用状況が実際上六分五厘なり七分に短期的に回っておるという事態だけで論議されるわけにはいかない問題でございまして、保険計算といたしましては少なくとも三十年、遺族に対する給付等を考えれば五十年ないし七十年という長期的な観点でものを考えていかなければならぬわけでございます。そういった観点からいたしますと、現在の五分五厘という金利水準が、まあまあ現段階においては長期的に見て妥当ではなかろうかということで、社会保障全般を通じて五分五厘と定められているような経緯でございます。現にたとえば国債金利等をとりましても、現在におきましては借りかえ債は六分三厘四毛という利回りになっておりますが、昭和の初期におきましては五分四厘八毛であるとか、あるいは一番低いころ、これは戦時中でありますからちょっと特例かもしれませんが、三分六厘九毛という時代もありまして、そういった段階におきましては五分五厘すら確保できないような場合もあるわけでございまして、長期的な観点でわれわれとしては五分五厘が妥当ではないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/215
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216・太田一夫
○太田委員 私は大臣にちょっと御答弁をいただきたいと思っている。事務の方はどうでもいいですよ。いつでも聞けます。五分五厘が妥当だなんということを信用する人は一人もない。今日に至るまで、五分五厘なんというものは、これはいい金利だ、それがほんとうだろう、それこそ国家百年の大計だと言った人は一人もない。今から五年ごとに計算し直すというシステムでしょう。今の池田内閣の所得倍増政策から言っても、五分五厘がアメリカやイギリス並みに三分になってしまうだろうなんて、そんな見通しはないのでしょう。してみれば、六分から七分というものに実際上運用されておるならば、三厘上がれば若年停止が実現できる。五厘上がれば百分の四まで掛金が下がるのだから、ある程度利回りを考えるということは当然じゃありませんか。どんな金だって運用金利を考えないで金を扱うというのはどうなんですか。世の中にたくさんありましたか。金利を考えないで金を使うという人は日本の国にたくさんないでしょう。大蔵大臣とその他二、三じゃありませんか。そういうところを逃げるから、一番大事な掛金と若年停止という問題が未解決になるのです。大臣がいらっしゃいませんから事務当局から答えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/216
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217・平井廸郎
○平井政府委員 五年ごとに再計算するという御議論はごもっともでございますが、事柄の性格によりまして、再計算の変動要素になるものと、比較的変動率の低いものというのがございます。従いまして、実態的には変動率の高いものが大きな影響を持ってくるわけでございます。金利等につきましては、われわれ伺っている範囲ではかなり長期的な観点で決定さるべきものだというふうに伺っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/217
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218・太田一夫
○太田委員 五分五厘なんかにこだわっていて、先になって実際は五分五厘ということにすると、なるべくただの金を貸してやらなくちゃならないとか、それから地方債なんかにあまり回せないとか——これの運用には長期資金、短期資金、組合員の貸付、不動産投資あるいはその他地方債の購入というようなことを考えていらっしゃるのでしょう。そういうことを考えていらっしゃるとすると、そんな五分五厘に金利を押えようとするとよほど苦労が要りますよ。いかにして安い金を貸さなくちゃならないか。お前ら安い金を貸すから借りてくれ、どういうわけだ、実は普通の金利で貸すと地方共済組合の決算が黒字になって困る、昭和三十七年の四月二十七日の衆議院の委員会で答弁して、五分五厘が一番妥当だ、これ以上高くなるようなことはないと言ったのだから、ただの金を借りてくれということで、不当なる支出ばかりがふえるのじゃないか。金を使うのにそのときの金利というものを頭に置かないで、ただの金を貸しましょうというようなことは、そもそも汚職と涜職、よからぬことの起きるもとだと思いますが、いかがです、平井さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/218
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219・平井廸郎
○平井政府委員 事柄の性格によりまして、短期的な運用により短期的な収支をはかるものについてはお説の通りであると思います。ただこれらの資金というのはきわめて長期的にものを考えなければならぬ性格のものでございますので、現在の段階で若干の実効金利が予定利回りを上回っているとしても、それをもって直ちに五分五厘が不当であるということにはならないと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/219
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220・太田一夫
○太田委員 主計局次長にちょっとお尋ねしますが、資金運用を考えるということは、運用とは何です。消費じゃないですよ。運用というのは少なくともこれをいかに活用するか、生かして使うという意味があるのです。生かす以上は、金利を五分五厘なんということは考えられない。いつ日本に低金利時代が来るのです。アメリカ、イギリスと同じように三分の時代が来るのは来年、再来年だということをここで確言して下さるならば私は五分五厘説に同調しましょう。確言できますか、谷村さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/220
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221・谷村裕
○谷村政府委員 ただいまのお話を承っておりますと、要するに五分五厘というもので、こういった長い目で見た年金計算の財源率を計算していくのが妥当かどうかという点でございます。そうしてまたその五分五厘ということが近い将来に見通せるかということでございますが、直ちにそういう時代が来るということをここで断言せいと言われましても、これは無理でございますけれども、全体の今後の方向といたしましては、日本の今の金利水準がそのままでとどまっているであろうということをはっきり断言するよりは、傾向としては金利水準は下がっていく方向にあるというふうに申し上げる方が妥当であろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/221
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222・太田一夫
○太田委員 国家公務員の共済組合の運用金利は、実績幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/222
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223・平井廸郎
○平井政府委員 年度によってかなり差がございますし、また組合によりましても若干の差がございますが、大体六分から七分の間というふうに了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/223
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224・太田一夫
○太田委員 そうでしょう。六分から七分というなら七分なんということでやれと言わない。三厘上がれば、五分五厘を五分八厘にすれば若年停止が実現できる。五厘上げて六分にすれば掛金が四・四%が四%になる。こういうことであるならばなぜその六分ぐらいの金利を計算の中にお入れにならなかったか。これは少なくとも組合員のためを考えて予定金利をお考えになったのじゃない。何かしら腹に一もつ、どこかに二もつあるのじゃありませんか。高柳主計官、あなたはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/224
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225・高柳忠夫
○高柳説明員 私の担当でございませんので、先ほど申し上げました谷村次長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/225
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226・谷村裕
○谷村政府委員 ただいま腹に一もつ二もつとおっしゃった意味は、できるだけそういった積立金を安く運用してやろう、さっきおっしゃったような意味で、地方債や何かを安くして、それでうまくやってやろうという考え方があってやったのではないかというふうに承るのでありますが、物事は、さように考えておるわけではもちろんございません。やはり長期に見ましたところ、社会保障全体としての年金計算の基礎になる金利は五分五厘として計算するのが妥当であろうという考え方から見ているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/226
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227・太田一夫
○太田委員 社会保険としては五分五厘が妥当だというその科学的根拠は出されておるわけですか。先を見越して過去の実例か、どこを出しておるのですか。みんなにわかるように説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/227
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228・谷村裕
○谷村政府委員 すべてそれは経済の、しかも将来にわたる問題でございますから、科学的な根拠と言われましても、なかなかそれを御説明申し上げることはむずかしいと思います。しかしながら現実に今ある金利よりは少し下がったところ、たとえば、ちょっと私記憶がはっきりしておりませんが、生命保険等の計算におきましても、運用の金利をどの程度に見るかということは、かなり低く見ておるようでございます。しかしそれを生命保険で見ておるような金利あたりまでは低く見ないでも、しかし今見ている金利よりは、それはもう少し先を考えて低いところというような程度でございますが、それを科学的にぴっちり五分五厘という数式を出して計算してみろということになりますと、そこはそうははっきり申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/228
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229・太田一夫
○太田委員 そうでしょう。保険会社はもうけているんだからね。保険会社は金利を低く見て、そうして保険の給付額というものをはじき出して保険契約を結んでいるのだから。それには膨大なビルを作る費用もそこから出さなければならないし、従業員を養っていかなくちゃならない。そういう意味では保険会社が金利が安いから、あなたの方もそれにさや寄せせにゃならぬという理由は、次長さん、ないじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/229
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230・谷村裕
○谷村政府委員 ちょっと口が下手でございまして、お聞きづらかったと思いますが、保険会社が見ておるような低い金利にまではしない、そんなにしたら少しあるいは行き過ぎかもしれないが、かといって現実の金利のままで見てしまうのではあぶないということで、大体五分五厘という考え方をとっておるのが、ずっと今までの社会保険等における基礎になっていると私どもは聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/230
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231・太田一夫
○太田委員 国鉄の場合は終戦後ずっと共済組合方式をやっているのですが、国鉄の金利の趨勢はどうだったのですか。次長さん、実際の趨勢はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/231
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232・谷村裕
○谷村政府委員 資料にわたりますので、ただいますぐ資料を見てお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/232
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233・平井廸郎
○平井政府委員 予定運用利率は五分五厘でございますが、三十一、二年度におきましては六分七厘九毛、六分七厘二毛となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/233
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234・太田一夫
○太田委員 三十二年度で六分七厘二毛とかいうのじゃなくて、ずっと前の、十年間くらい前から言って下さいよ。二分か三分の小さな金利から上がったのですか。どんな傾向です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/234
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235・平井廸郎
○平井政府委員 それでは終戦後から申し上げますが、昭和二十一年は二分八厘五毛でございます。昭和二十二年は二分五厘二毛、二十三年は四分二厘二毛、二十四年は六分七厘、二十五年は四分四厘五毛、二十六年は六分八厘二毛、二十七年は五分三厘八毛、二十八年は七分七厘四毛、二十九年は七分七毛、三十年は六分九厘五毛、三十一年は六分七厘九毛、三十二年は六分七厘二毛というような経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/235
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236・太田一夫
○太田委員 だからその傾向を見ても、今から十五年の昔に今急に返るようなことになったとしたならば、日本の国の経済はひっくり返ってしまいますよ。傾向から見たってそうでしょう。急にそんなことはできないでしょう。してみれば、あなたたちが計算される場合に、今一般的に国家公務員の共済組合法の運用資金の金利でも六分以上だということになれば、それは五分五厘なんということは、ただ掛金をたくさんとって、そうして容易に運用しようとする以外の何ものでもない、こういうふうに私は思います。
それはそれとして、さっきの話に少し戻して、国庫負担のないのもけしからぬし、資金の運用もけしからぬし、やる気があるのかないのかさっぱりわからぬと私は言っておったのですが、これは自治省の行政局長さん、掛金を一挙にふやさずに、少しずつふやして、現在二・二%までのものもたくさんあるのだから、二・〇というところをベースにしまして、とりあえずそれより一割なり二割ふやしていって、一段、二段、三段と上がっていくという逓増方式をお考えになったことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/236
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237・佐久間彊
○佐久間政府委員 そういう方式は考えたことはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/237
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238・太田一夫
○太田委員 そういう制度は実際上制定することは不可能なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/238
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239・佐久間彊
○佐久間政府委員 保険数理に基づきまして計算をいたすわけでございますから、何年間は何分、またあと何年間は何分ということになりますと、長期的な計算ができないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/239
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240・太田一夫
○太田委員 それでは局長さん、あなたの今の金利の問題でも、僕の意見と大蔵省の意見と違う。五分五厘というべらぼうな安い金利で運用する以上は、ある程度効率をよくすることはわかるが、六分以上に上がるにきまっている。上がったらどうするかというところに給付の内容の問題が出てくるから、組合会というのは組合員の意思を十分反映するような組織にしなければならぬという点がある。それを片方は、三共済は審議会方式だ、それに片方は組合会だというのも、年来組合会方式を主張していらっしゃったのだから、組合会方式を正しいと思っていらっしゃったが、どこかの圧力で、これは大蔵省の圧力だろうと思うが、そういうところで審議会方式に変えて、早く言うと組合員の意思というのはあまりよく反映しない方式をおとりになったということは、将来もあまり制度を改善することにならぬと思うが、その点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/240
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241・佐久間彊
○佐久間政府委員 組合会方式がいいか、運営審議会方式がいいかにつきましては、私どもも立案の過程におきましていろいろと検討をいたした問題でございます。検討の結果、ただいま御審議をいただいておりますような三共済につきましては、これまでの沿革もございまするし、それらを考慮いたしまして運営審議会方式をとるということにいたしたわけでございます。ただ、その運用にあたりましては、御指摘のように、組合員の意思がなるべくよく反映できるようにという配慮は十分持っていくべきものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/241
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242・太田一夫
○太田委員 従って、組合会の運営ないし審議会の運営とか組織についてはうまく反映するということになるなら、十分組合員の考え方も聞いてやるということだろうと思うのですが、私はそういうことを本制度の上に反映をしておいていただきたかったと思うのです。特に先ほどの罰則によるところの支給の停止なんかはまことにけしからぬ話であって、禁錮以上の刑に処せられたから——これは一ぺんあなたの方の答弁を統一しておいて下さい。自動車の置き場所を、道路の上に置いておったばかりに懲役刑を食った、これは三月以下の懲役になっていますよ。自動車を道路の上に置いていたばかりに、ふいになってしまったというようなことをあなたたち考えておりますか。恩給としてやるならば、昔太政官布告というのがありまして、これは明治十七年一月四日付の太政官達第一號、
第十八条 恩給ヲ受クル者公權ヲ剥奪セラレタルトキハ全ク之ヲ止メ又左ノ各項ニ該ルトキハ其ノ時間ノミ之ヲ停ム
一 公權ヲ停止セラレタル時
二 再ヒ官二就キ俸給ヲ受クル時
三 事故アリテ日本人タルノ分限ヲ失フ時
四 政府ノ許可ナクシテ日本國外ニ出タル時
第十九条 扶助料ヲ受クル者禁錮以上ノ刑二處セラルルトキ又ハ第十八条ノ第三項若クハ第四項ニ該ルトキハ之ヲ止ム
というようになっておりまして、この思想が今日までずっときておるのですよ。それを一番近代的な科学的な、最も合理的な共済組合法の精神というものに受け継がれていくなんということは、全くもって不可解千万だ。こういう点はあなたも十分計算されて、勘定に入れていらっしゃるかどうかという点は、今すぐ御答弁をいただかなくていいから、またあらためて御答弁をいただきたいと思う。これは大へんなことですよ。そんなことをしたら掛金は高い、給付は悪い、若年停止もやめる、組合員の方も、お前たちあまり参与しないで、おれの方で勝手にやる、その金利は世の中の金利よりも安い五分五厘で計算する、そんなばかなことをやっておってはだれも納得できない。その上何か道の上に自動車を置いておったばかりに、恩給は二割も三割も減ったり、停止されたりしたら大へんなことです。一つはこれは十分考え直していただきたいのです。
時間が過ぎておりますが、禁錮以上の刑に処せられた場合の罰則の問題、百十一条というのは、どうもあなたたちの最初の、掛金の説明をなさったときの精神と違うような気がしてしようがない。もう一回御説明していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/242
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243・佐久間彊
○佐久間政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、もちろん相互共済という精神が主眼でできた制度ではございますが、やはり公務員制度の一環として、人事管理上の考慮も若干は加味するということが適当であろうと考えるわけでございまして、禁錮以上の刑に処せられるというようなことは、これは公務員といたしましてまことに希有な例でございます。その場合に、その率もごくわずかでございまして、地方公共団体が負担する分の一部を停止するという運用に考えておるわけでございます。
なおまた執行猶予を受けたような場合には、その執行猶予期間が過ぎました場合には元に戻るように政令で措置もいたすように考えておりまするので、これの運用につきましては過酷にわたらないように十分配慮はいたしますが、制度そのものとしてはこの程度のことは適当なことであろう、かように存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/243
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244・太田一夫
○太田委員 だから、執行停止期間中はやはり年金が支給停止されるということなども、それは何ですか、罰でしょう。その罰をかりに刑事犯罪にしても何犯罪にしても、それは裁判所の判決によりまして罰を食ったら、それで解決しておるじゃありませんか。なぜこちらの方でもう一回そんなに二重に罰を食わせなければならないのですか。それは局長さんどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/244
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245・佐久間彊
○佐久間政府委員 繰り返し申し上げますが、公務員制度の一環として人事管理上の配慮も若干いたしておるわけでございまして、そういう刑に処せられるような行為のあった公務員については、ある程度の制裁を加えるということが公務員秩序を維持して参ります上に必要ではなかろうか。しかしその場合におきましても、先ほど申しましたように、これは本人の掛金の方に影響をもたらしてはいけないので、地方公共団体の出す分についてのごく一部を停止をするというところで、その間の配慮を調整いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/245
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246・太田一夫
○太田委員 だから、そういうふうならばもっと低くしておいて、せめて二%くらいにしておいて、そうして今までの前例もありますから、二%くらいの掛金によって、早く言うならば相当恩恵的なものがあるならば、労務管理、人事管理上の作用が出てきたところで、それを受ける方はある程度うなずけますよ。しかし対等の立場のように感ぜられるような掛金を取っておいて、そうして片方は罰にしても、いかなる罪刑にしても、きちっと判決があったらそれで片づいておるのを、また職場に持ってきて、君はどうでこうで、その金はやることはできないなんて、そんなことは二重罰、三重罰ということになるような気がするのですよ。だから人事管理なんかにこれを使うなんてとんでもないことだ。共済組合法案を人事管理の道具にするなんということは——それならばえさじゃないですか。えさならば恩給に戻しなさいよ。松浦さん、どうですか。人間にとってのえさだということなら、そんなものは出す方が買って出すのがあたりまえでしょう。自分が買ったものはえさとはいわぬでしょう。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/246
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247・松浦功
○松浦説明員 局長から繰り返し御答弁申し上げておりますように、この制度は相互共済の制度を主たる内容にいたしております。さらに付随いたしまして、公務員制度の一環としての建て前も盛り込んでおりますので、このようにすることが適当であるというふうに申し上げざるを得ないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/247
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248・太田一夫
○太田委員 共済制度というのは形をかえるならば、健康保険もそうですね。健康保険だって共済制度ですよ。お互いが出し合って助け合っていく、それにはそんな罰はないのでしょう、ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/248
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249・松浦功
○松浦説明員 短期の医療給付あるいは災害給付、そういった問題については、新制度におきましてもそういう関係の制裁は一切考えられておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/249
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250・太田一夫
○太田委員 従って、短期の給付には及ばない、長期給付だけでございますね。だから、短期給付だって長期給付だって給付に間違いないじゃないですか。民間でありましょうとも、どういう労務管理のやかましい会社でも、あなたは禁錮以上の刑に処せられた、どうされたからということで、かりに今病気で入院していても、その入院費は払いませんよということはないわけですね。そういう考え方は私は恩給時代のなごりであるから、その恩給時代のなごりを共済組合法に持ち込むということはとんでもない間違いだ、恩給なら恩給でやってはどうですか。今まで通りにしておけばいいですよ。何もわざわざ保険数理に基づく共済制度という建前に変わったのだからと言って、大きなことを言ってみたところで、ありがたいところは何もない、ありがたいところがないというのが本制度の一番の致命傷だと思う。
そこでありがたくないことの一つですが、今まで掛金が零であるとか二%とかであったものが、今度本制度になるとやはり四・四%出すのでしょう。いわゆる既得権は尊重されぬことになりますね。これはどうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/250
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251・佐久間彊
○佐久間政府委員 掛金につきましては、御指摘のように今度は統一した率に改めるわけでございます。従来も、建前といたしましては、旧恩給法の率で恩給納付金を取っていくという基準で実は指導をして参っておったわけでございます。しかし、先ほど御指摘のように、若干の都市等におきましてそれよりもずっと低い率、あるいは全然掛金を取らないで給付をしておりましたところもあったわけでございますが、これは非常に例外的なところでございますので、今回統一的な制度を作ります際においては、掛金は統一をしていくことが適当であろう、かような考え方をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/251
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252・太田一夫
○太田委員 では具体的に聞きますが、二%が四・四%になった場合に、地方条例によって二・二%は地方自治体が負担をする、こういう条例を設けた場合にはこれは違反ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/252
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253・佐久間彊
○佐久間政府委員 この法律が成立をいたしますと、それはこの法律に抵触をすることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/253
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254・太田一夫
○太田委員 そうするともういいことはこれでみなとまるのですね。掛金も今まで二%しか出しておらないのに四・四%になったから、そこのところは気の毒だから二・二%は当分の間地方自治体が出しましょう、そういう負担に関する条例が出たとすれば、それは本法違反だからだめだ、やりたくてもやってはいけない。あるいは十七年で恩給をもらっておったところが十七年でこれを支給しようとしてもそれはできない、それはだめだ、全部これに直さなければいけないということになれば、これが施行されますといいことはみなとまるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/254
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255・佐久間彊
○佐久間政府委員 この施行法におきまして既得権、期待権と申しますか、これはできるだけ尊重をして参るという建前で、相当詳細に経過措置を規定いたしております。ただいま御指摘のございました支給の開始の年限で必要とされる受給年限の期間でございますとか、あるいはその支給される額でございますとか、支給開始をする年令でございますとか、そういうものにつきましては、できるだけ既得権を尊重する方針で経過措置をいたしておるわけでございます。ただ、掛金の点につきましては制度の組み立て方が変わるわけでございますので、これにつきましては既得権の保障というような考え方はとらなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/255
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256・太田一夫
○太田委員 まことに驚き入った内容でございまして、本本案はタヌキかキツネか、まことにもって逆賭すべからざる法案であると存じます。従って、私はもう少々考えてお尋ねをいたしたいと思いますので、一応これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/256
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257・渡海元三郎
○渡海委員長代理 川村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/257
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258・川村継義
○川村(継)委員 きのうの伊藤委員の質問、山口委員の質問、きょうの滝井委員の質問、太田委員の質問、私、初めからいろいろ聞いて参ったのでありますけれども、皆さん方のお考えわからぬでもありませんが、どうもこの地方公務員の共済制度をお作りになったわれわれが納得のいく根拠というものが、まだ非常に私はつかめないのであります。こういういろいろな計数的な面について、私自身も暗いのでよくわからぬのかと思いますけれども、なるたけ前の質問者の問題に重複しないようにお尋ねしていきたいと思いますけれども、あるいは重複するところがあるかもしれませんが、お聞かせおきいただきたいと思うのです。実はこの法律案の各章を見て参りますと、それぞれの条章についていろいろの疑問点がないでもありませんが、まず私は先ほど大蔵大臣にお尋ねしました点について、大へんくどいようですけれども、自治省当局にお尋ねをしておきたい。
国家公務員についての共済組合ができてから、もうすでに三年ばかりになっております。皆さん方もそれにならって、地方公務員の統一された共済組合を作ろうと計画なさって、このような法案が作られたということについて、私は実は敬意を表しております。今日のように、給付内容についても、あるいはその他ばらばらな形がいいかどうか、私も疑問でございますから、でき得べくんば公務員に対する給与の引き上げということも考えながら、いわゆる社会保障の精神を生かしながら、こういう形で作られるということについては、あえて私は異論を差しはさむものではありません。しかし、各委員の皆さん方が質問申し上げましたように、やはり、だんだん疑問が疑問を生んでいるわけでありまして、聞いておってもなかなか納得がいかないのでございます。そこで自治省当局が三年前にこのような準備をなさって、今日まで提出がおくれてきた、その理由は、私たちが聞いておる通りに、一つは非常に複雑なものを統一していくのだから、事務的に法案作成の過程において困難なこともおそらく多かったろうと思います。しかし、最も大きな理由は、毎年度自治省当局が大蔵省に対して、給付の一割負担、事務費の全額負担というようなことで予算折衝されて、それが全部はねつけられてきた。そこで地方財政の観点から、やはりどうしてもこれを国会に提出するに踏み切り得なかった、私はこの点もまた一つの大きな理由であったと思うが、これはそう理解しておいてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/258
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259・佐久間彊
○佐久間政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/259
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260・川村継義
○川村(継)委員 そうしますと、皆さん方がどうしても給付の一割は国に負担してもらわなければいかぬ、事務費は一つ全額負担してもらいたい——三十七年度の予算を要求なさるときにも、合計七十五億ですか要求されたようでありますが、皆さん方が大蔵省に対して予算を要求された、その考え方というものは一体どこにあったのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/260
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261・佐久間彊
○佐久間政府委員 これは、先ほど先生がいろいろおあげになっておりましたようなところに現われておりましたように、社会保険に対する国の責任を明らかにいたしますために、一割の国庫負担をすべきである、こういうような主張をいたしておったわけでございます。しかし、大蔵省の方の公経済論、国も地方公共団体もひとしく公経済の主体である、社会保険についての国の責任というのは、広い意味で、地方公共団体もひっくるめた公経済の主体にあるという意味に解していいじゃないかというような御主張があって、いろいろ考えました結果、最後におきましてはその見解がよかろうということで、私どもも承知をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/261
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262・川村継義
○川村(継)委員 そうしますと、皆さん方が三年も大蔵省に主張してこられましたその理論というものは、間違っておったということに皆さんの方で納得されたわけですか。そうではなくて、大蔵省の言うところの公経済理論に道を譲らねばならない、こういうことで納得なさったわけですか、どちらでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/262
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263・大上司
○大上政府委員 問題が大きゅうございますので、私からかわって答弁いたします。
まず第一に、両三年間大蔵省と折衝を続けて参ったことは事実であり、予算の要求の七十五億も先生の御指摘なさった通りでございます。そこでこれが、大蔵省の理論にわれわれ自治省の方が負けたという言葉は妙かもしれませんが、いわゆる理論的、政策的に、また政府の内部の意見調整で百歩譲ったかという点でございます。われわれは現在の法案を提出して、御審議の過程においてはそういうことは一応認めざるを得ぬと思いますが、ただ、それほどしたものをなぜ提出したかという点でございます。ただいま先生のお話もございましたように、この退職手当それ自体が地方公共団体に対して非常に煩雑であり、これを統一したいのと同時に、いわゆる国家公務員の共済年金制度が発足して以来、同じ公務員という建前から、この発足に準じて成立と同時にやりたい。
もう一つ根幹的に流れている案は、現行法のままでいきますと、これは累年各公共団体に非常に財政的な圧迫がくるのではないか。これを統一して共済年金制度を打ち立てていくことによって、幾分かでも地方財政の面において、あるいは国家全体から考えてもいいのじゃないかという段階で踏み切りましたので、従いまして明年度予算につきましても、諸般の事情から見まして、これでわれわれが明年度全然打ち切っていくという建前じゃございません。さらに大蔵省とも折衝を促進し、この財政の建て方等については十分検討の上、政府内部においても、われわれとしては意見のあるところを十分折衝する予定でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/263
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264・川村継義
○川村(継)委員 今、次官からお答えいただきましたが、結局皆さんが三年間この法案を出すべく用意をして、財政負担の面で大蔵省に強く要求してきた。ところが、その要求してきたところの理論的な考え方というものは決して引っ込めているわけではない、諸般の事情で百歩下がって、大蔵省の公経済というあの理論の前に一応道を譲ったんだ、このように率直に理解しておいて差しつかえございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/264
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265・大上司
○大上政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/265
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266・川村継義
○川村(継)委員 そうしますと次官、率直に私は、これはお願いになってしまいますけれども、わずか二、三人の委員の皆さん方がきのうからいろいろ質疑をしてこられた。ところが千分の四十四の掛金の率の出し方というものが、地方公務員のいろいろの実態からして、どうも根拠がはっきりしない。それから追加費用の問題からしましても、また三十年、四十年、五十年先の保険経理の面から考えていっても、はたしてどうかという心配が出てくる。またきのういろいろ山口委員からも申しておりましたが、文部省あるいは警察庁関係の皆さん方が出しておられます資料についても、いろいろと疑問がたくさん残っておる。もちろん私はこのような根本的な重要な資料が今すぐ完全なものができ上がるとは考えませんけれども、その資料のとり方があまりにもおざなりじゃないか、この印象はぬぐい切れないわけです。三年前に皆さん方がこの法案を出そうとして、そのときにお作りになったような資料がどうもそのまま生きているような格好で、その資料というものが十分でない。そうなりますと、国家公務員が千分の四十四だから、まあそれにならえということで、準ずるということで、無条件に千分の四十四ということをはじき出されることについては、われわれとしては納得いかないわけです。そのほかにもいろいろ問題点はありますけれども、今申し上げました一つ、二つの点から考えても、この際、今度はわれわれの意見を、百歩譲って聞いていただいて、もう一ぺんそれらについて十分検討を加えて、委員会に審議させてもらう、こういうように踏み切っていただけませんか。これは次官いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/266
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267・大上司
○大上政府委員 お説の通り、千分の四十四のよってきたところの根本的な諸条件といいますか、あるいは追加費用に対するところの八千億円云々という問題等、なお、さらにこれに付随して当委員会に法案の御審議を願うための資料の提出という点は、全力を上げて関係各省に督励をさせて、この委員会に間に合うように提出させておりますが、まだ今日も出て参っておりません。そういうことから、審議に支障があれば十分納得もできないというような建前から、いま一度考え直せないかという御質問ですが、これは非常に事が重大でありますが、われわれは全力を上げて皆様方の御審議におこたえをし、そして御了解を願って、何とか今国会においてこれを実施に移したい、このように終始一貫しておりますので、できるだけの政府としての資料の提出なり、あるいは答弁等は、全力を上げていたしますので、審議を御継続の上、今後、お認め願えるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/267
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268・川村継義
○川村(継)委員 給与課長さん。私先ほど大臣に答申のことでお尋ねしたわけですけれども、なかなか大臣考え方がはっきりしておられまして、大蔵大臣としてさすがと思ったのですが、今、自治省の方にお聞きしますと——きのうからだんだんお話も聞いておるわけですが、きょう大蔵大臣からあらためて聞いたわけですけれども、大蔵省の、国庫負担をしないという考え方については、地方財政をあずかる立場から、自治省の方は、理論の上から考えても必ずしも納得しておられるわけじゃない。今お聞きの通りです。そこで、私が重ねてお尋ねすると、大蔵大臣の答弁の通りに御答弁なさると思いますが、先ほど私がちょっと申し上げました各種の答申について、やはりもう少し大臣と論議すべきだったと思いますけれども、給与課長さん一つ責任を持ってお答えいただきたいと思いますが、私が先ほど読み上げたような幾つかの答申にも、国が地方団体に負担をする必要がないと全然書いてない。そういうことを言った審議会は一つもない。審議会はどうもそういう連中の集まりだと大蔵大臣は言っていますけれども、これは暴言ですよ。課長、どうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/268
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269・平井廸郎
○平井政府委員 大蔵大臣も御答弁申し上げたと思いますが、審議会の御答申については、事柄の性質によりまして、できるだけこれを尊重して参ることは、基本的には大臣のお考えの通りでございますが、ただ問題の性質によりまして、やはりすべての点について審議会の御意見をそのままお受けするわけにはいかないこともあるというふうに了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/269
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270・川村継義
○川村(継)委員 答申はいろいろ述べておりますけれども、年限を二十年にしろとか、折半にしろとか、そういうような都合のいいところは遠慮なくりっぱにとっておる。そうでしょう、ところが、人事院の勧告を見ても、公務員制度の答申を見ても、地方制度の答申を見ても、社会保障審議会の答申を見ても、これは全部、国が相当部分——数字で言うならば、給与費の一割、事務費等は全額国が負担すべきであると書いてある。それを全然踏みにじるというのは、大蔵省としてあまりひどいと私は思う、これは公経済の問題とは別にですよ。答申はもっと尊重さるべきではありませんか。私はそう思うのです。つい二月の末、先ほど私がちょっと指摘しましたように、社会保障制度審議会の答申にもこういうことを書いておるでしょう。もう一ぺん読みます。「長期給付については直接国庫負担を行なわず地方交付税の増加によって賄われるが、これは、本来の目的に沿った配分は困難であり、不合理な結果を生ずる。年金に対する国庫負担はすべて社会保障の見地から各制度を通じて一定の原則によって考えらるべきである。」と述べておる。大蔵省の考え方は、いわゆるそろばんずくと申しますか、もちろんこの共済組合は保険制度の建前に立っております。ところが、国家公務員や地方公務員のこのような制度は、生命保険会社のような、ただ保険制度とか保険経理とか、そういうものだけで律するべきものではないでございましょう。やはり公務員という特殊な立場に立ったところの社会保障というものを考えてやらなければならぬ。私はそう思う。私の考え方が間違っておったら指摘して下さい。そういう点やら、先ほど大臣にも申したような考え方からいうと、皆さん方大蔵省は、これらのすべての答申を尊重して国庫負担を考えるべきであると思う。交付税に出ているからいいじゃないか、それは言わぬで下さい、考え方が別だ。私はそう思う。これはいかがでございますか。
それといま一つ、この社会保障制度審議会の言っておる「地方交付税の増加によって賄われるが、これは、本来の目的に沿った配分は困難であり、不合理な結果を生ずる。」と言っておる。給与課長、あなたはこの言葉をどう解釈しておるか、これを一つ聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/270
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271・平井廸郎
○平井政府委員 必ずしも私どもの所管事項ばかりの問題ではございませんので、あるいは当を得ていないところがあろうかと思いますが、国庫負担の問題につきましては、大蔵省といたしましては、いろいろな答申などを拝見いたしながら慎重に検討いたした結果、現在の結論に到達いたしたものと了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/271
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272・川村継義
○川村(継)委員 これは、行政局長、ちょっと聞かせておいて下さい。今私が申し上げましたが、もっと前から読みますと、「長期給付については直接国庫負担を行なわず地方交付税の増加によって賄われるが、これは、本来の目的に沿った配分は困難であり、不合理な結果を生ずる。」、これはどのように皆さんは解釈をしておられますか。一つ詳しく説明をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/272
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273・佐久間彊
○佐久間政府委員 この答申の御趣旨は、前段は先ほど先生のおっしゃっておられた通りでございますが、この「本来の目的に沿った配分は困難であり、」という表現は、必ずしも明確ではないようでございますが、たとえば交付税にいたしました場合には、不交付団体に、それと指摘した、このための経費だというはっきりしたひものついた配分ができないというようなことも、ここでお考えになっておるのではなかろうか、かように推測をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/273
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274・川村継義
○川村(継)委員 いろいろ角度を変えて解釈すると、これは審議会の皆さん方に聞いてみなければほんとうの意図するところはわからぬのでありますけれども、われわれが地方財政の立場から考えると、今、課長の言われたように、やはりこの問題を交付税によって処置しようという考え方は不合理だ、私はこれを指摘していると思うのです。きょう午前中でございましたか、滝井委員も何か二重払いだというような理論を言っておったようでありますけれども、二重払いであるか、あるいは過剰な払いであるか、それは別といたしまして、皆さん方が交付団体の必要経費として考えておられたのは、今度財政計画の中に入ってきた十五億、これでなくて、大体の計算は三十六億くらい考えておられたのじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/274
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275・佐久間彊
○佐久間政府委員 大体は例の七十五億というものを予算要求をいたしておりましたが、そのうち十八億は事務費でございまして、それを差し引きますと五十七億程度になります。そのうちで二十六億程度は義務教育職員の関係でございますから、これは国庫負担になるわけでございますから、それを差し引きますと、先生のおっしゃったように、大体三十億程度ということになろうと思います。ただしこれは一年分として要求いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/275
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276・川村継義
○川村(継)委員 おそらくその数字の根拠は今お話の通りだと思いますけれども、交付税でやるということになりますと、これはまたちょっと蒸し返しになりますけれども、不交付団体は金を持っておるからといって、そういうような手当というか、そういう措置は財政計画上は出てくるかもしれぬけれども、今お話のような基礎計算から考えていったらば、恩典と言ったらおかしいかもしれぬけれども、そういう財源はもらわないということになるわけですね。それらの点が地方公務員を相手に考えていく社会保障制度としての共済組合のあり方にやはり問題があるということじゃないか。それが社会保障制度審議会のこの言葉に現われてきていると私は思うのです。そのように考えて差しつかえございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/276
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277・佐久間彊
○佐久間政府委員 御答申の趣旨は、審議会の先生方によくお伺いしてみないとわからないと思いますが、私もおそらく先生が今おっしゃったような意味で書かれておるものであろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/277
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278・川村継義
○川村(継)委員 そこでまた初めの言葉に返りますが、私は率直に申し上げてこういう制度ができることに決して反対ではありません。ところが問題の中身を考えて参りますと、これを是が非でも早急に成立させ実施させる必要というものが、まだどうしても私には浮んでこないのでありますから、その点は一つはっきり申し上げておきたいと思います。
それから、次の問題でございますが、きのうの論議にも出ておりますけれども、この千分の四十四という考えは、これはただ単に国家公務員がそう出ているからというので右へならえなさったのですか。あるいは何か地方公務員についての基礎的な調査の上に立ってなさったのか、その点をもう少し聞かせてもらいたいと思うのです。たとえばいろいろ公務員の実態を調べて計算が出てきたのか。その他のいろいろの根拠によってお出しなさったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/278
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279・佐久間彊
○佐久間政府委員 地方職員共済組合につきましては、言いかえますれば、道府県の職員につきましては、三十年から三十二年までの三カ年間にわたる時期をとらえまして、全職員の一割の抽出の実態調査をいたしました。その調査の方法は、国家公務員共済組合を作ります際に国家公務員についてとられた方法と同じ要領によって調査いたしたわけでございます。公立学校職員共済組合の対象になる公立学校の職員につきましては、昭和三十二年、三十三年の時期をとらえまして、やはり同様な方法によって調査をいたしたわけでございます。警察職員につきましては、国家公務員共済組合法のときにいたしました調査の資料をそのまま使っておるわけでありますが、以上申しましたように、それぞれ実態の調査をいたしたものによって計算をいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/279
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280・川村継義
○川村(継)委員 都道府県については三十二年度末の公務員の一割の抽出調査をやって調べた。その方法は国家公務員にやったと同じ方法でやった。そのほか同様に準じて幾つかの実態調査をやった。そうしたらくしくも国家公務員と同じように千分の四十四というのがはじき出されているが、千分の四十四というのが出て参りました計算根拠というのはどこにあるのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/280
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281・松浦功
○松浦説明員 今局長からお話し申し上げましたような一割の抽出調査によりますデーターをもとにいたしまして、脱退残存率あるいは給料指数その他保険計算にのっとりまして算定をいたしました。それを法律に定めてあります百分の四十五、百分の五十五の割合に按分をいたしました結果、組合員の負担分が千分の四十四、団体の負担分が千分の五十五、こういうふうに算定をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/281
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282・川村継義
○川村(継)委員 今のやり方でやって、この制度を実施するについて、大体本俸のどれくらいのものが必要だ、こういう計算が出てきたわけでしょう。それは一体どのくらいなんですか。それをおそらく今おっしゃったように折半するとかどうするとかいう形ではじいておられると思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/282
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283・松浦功
○松浦説明員 地方公務員共済につきましては、ただいま申し上げましたような算定の方法によりまして、本俸に対する割合として千分の九十九・四七、公立学校共済につきましては千分の九十九・六四、それから警察の一般につきましては千分の九十九・一〇、そういう計算をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/283
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284・川村継義
○川村(継)委員 わかりました。それらの計算は三十二年のいわゆる実態調査に基づいておる。そうなりますと、非常にむずかしい調査でありましょうが、しかも都道府県の一割の抽出調査をやった。これは抽出の調査そのものに疑問が一つ出てきますけれども、これはおそらく全部の公務員をやるわけには参りませんから、まあそれはそれといたしまして、私たちがきのうから問題にしておるのは、それらの実態調査をされたのは三十二年度のものである。三十三年、三十四年、三十五年と——三十六年のをやれと言っても無理かもしれませんから、その辺のものがどうもはっきりしないと、経理の見通し、そういうものがうまく出てこないんじゃないかというのが、きのう山口委員が指摘した点であったと思うのであります。そうしますと、この点から、私、また最初の言葉に帰るわけですけれども、もう一ぺんなるたけ新しい資料で、三十四年なら三十四年、三十五年なら三十五年、はじきなおしていただいて、それらの計数整理をなさることがいいのじゃないか。私がこう申しますと、それは先生大へんだ、あるいはうっかりすると千分の四十八になるかもしれないとおっしゃるかもしれない。私はなってもいい。あるいは千分の四十でとまるかもしれない。そういうようなものを何かやっていただかなければ、このまま千分の四十四で納得しろ、このままのめ、こう言われてもどうもぴんとこない気持がいたします。それが一つ。
もう一つは、きのうからも論議になっておりますところのいわゆる費用の問題ですね。整理金と言われるようなあの問題で、これをやはり考えて参りまして——財政課長、八千億なら八千億というものがまるまるここにりっぱにあったとする。そうしてその後本年を初年度として毎年々々それらの費用が、いわゆる利子分だけでも繰り込まれて積み立てられていくということになりますならば、これは経理運営は非常に楽になるのでございましょう。これはそう言えますね。これはしろうとの言い分ですから、一つその点はっきりお示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/284
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285・佐久間彊
○佐久間政府委員 第一のお尋ねの点でございますが、なるほど調査をいたしました時期が少し古いわけでございますが、三年間かかって準備をいたしておりましたので、その準備を始めた当時のものを用いたわけでございます。その後の数年間にいろいろな計算の基礎になりました数字がかなり異同もあるであろうということも予想をいたしております。しかし、何分この調査は大へんめんどうな調査でございまして、これをいたしますのに相当年月も要するわけでございますので、私どもの考え方といたしましては、この際は三十二年度の当時のデータによりまして出しましたもので自治大臣が告示をいたしまして、一応それで出発をいたしまして、さっそく綿密な前歴調査等をもう一度実施いたしまして、その結果によって修正すべきであれば修正をして参る、かような方法をとって参りたいと考えておるわけでございます。
それから第二の追加費用の点でございますが、この追加費用をどういうふうに毎年々々予算的に措置をしていくかというやり方につきましては、いろいろな方法を検討していかなければならないと思うのでございまして、先生のおっしゃいましたように、毎年々々利子の分だけを繰り込んでいくということも一つの考え方であろうかと思うのでございます。しかし、これらの点につきましては、国家公務員の場合にもまだ結論を出しておらないのでございますので、その結論が出ますのを待って、それも参考にいたしまして、地方公務員共済組合の場合もきめて参りたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/285
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286・川村継義
○川村(継)委員 追加費用の本年度の繰り入れは十五億でしたか、三十億でしたか、きのうお答えがあったようですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/286
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287・佐久間彊
○佐久間政府委員 国は二十億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/287
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288・川村継義
○川村(継)委員 地方公務員共済制度と国家公務員共済制度では該当の人員が相当違いますね。これは数字をあえて言わなくてもいいと思う。その場合に、国が本年度二十億、そうすると、地方公務員共済の方にまた同じように二十億、同額入れるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/288
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289・佐久間彊
○佐久間政府委員 国家公務員の場合、本年二十億でございますが、地方公務員の場合には、お話しのように全体の対象になる組合員の数が多うございますから、その数の割合も考えまして、地方公務員の場合に措置する額はきめて参りたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、本年度は十月一日から発足の予定にいたしておりますので、本年度は措置をいたしませんで、明年度から措置するようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/289
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290・川村継義
○川村(継)委員 きのうの山口委員の質問でしたか、伊藤委員の質問でしたかよく存じませんが、初年度二十億、次に二十五億、三十億と段階的にお示しになった。地方公務員の方も大体同じような形で考えられておる。私は、その点について自治省当局は何か不合理を感じられておるのじゃないかと思うのです。地方公務員は膨大な、国家公務員をはるかに上回る組合員がおるわけですから、やはりそれに合った金額を考えるのか至当じゃありませんか。その考え方は間違いではないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/290
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291・佐久間彊
○佐久間政府委員 その点はそのように考えておりまして、国家公務員が二十億なら、地方公務員の場合には、それに相当する全体の組合員の数なり、給付の全体の総額なりの割合で算出をして参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/291
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292・川村継義
○川村(継)委員 くどくは申しませんが、そういう問題を実は解決しておいてもらいたいですね。今すぐ解決しろと言っても、またあなたたちは、むずかしい、計算がどうだ、前歴を調べなければどうだというふうにおっしゃるに違いありませんけれども、そういうものこそ三十五年なら三十五年——三十五年と言うとまた変になりますけれども、三十六年なら三十六年の実態に基づいて本年は何億、これだけ入れたいのだけれどもこれだけしか入れられない、五十億なら五十億、百億なら百億入れる、そういうものを大蔵省と自治省とよく話をされて、そしてちゃんとつかんで、それが今度計数の上に出てくる。そうすると、そういうものが合わさって年々先伸んでいった場合にどういう状態になっていくか、こういうことを考えていただきたいと思う。
そこで、時間が参りましたから、まだ小さいことはあるのですが、これでやめますけれども、それらを検討してから、そして公務員の諸君が安心をしてやっていける状態にして発足をさせるということがいいのじゃありませんか。私は一つ、二つの例を申し上げましたけれども、こういう状態で無理をして、それは無理をしてやっても来年、再来年くらい何もごたつくことはおそらくないとは思いますけれども、それはやはり責任ある者としてはどうもやるべき態度ではない、こう思っておるわけです。しかも、ついでに申し上げて終わりますが、この法律案の中身を見て参りますと、地方公務員については負担分をちゃんと書いておるけれども、今度一緒になって参ります地方議員の年金問題についての負担分は、ただ政令にまかせると書いてあったり、それから市長等のいわゆる特例というものの見方、こういう点等にもやはり問題がすっきりしない。これは指摘しておきますから、あなた、いずれお答えいただきたいと思いますが、今私が申し上げました百六十七条、共済年金の給付に要する費用は、議員のほか地方公共団体が負担するとして、その率は自治省令で定めると書いてある。ところが一般職員の場合、これは百十三条ですか、一般職員の場合にはちゃんと負担率が書いてある。そうなりますと、その辺の理由も聞かなければならないし、そういったことを法文の上に、ただ自治省令でやる、それでいいのかどうか、何のために地方議員のものも統一したのか、いろいろ問題が出てくるわけです。これで終わりますから、お考えをちょっと聞かして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/292
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293・佐久間彊
○佐久間政府委員 地方議会議員の今お尋ねの点でございますが、掛金は百六十六条第二項で月額の百分の五というふうに法定をいたしております。それから百六十七条の地方公共団体の負担する分でありますが、その地方議会議員の年金の建前は、現在の互助年金法の建前を大体踏襲いたしておりますので、原則としてはこの百分の五の掛金でまかなって参りまして、不足する場合に地方公共団体が負担をする、こういう考え方をいたしておりますので、掛金の方だけ率を書きまして、地方公共団体の負担する分は自治省令に譲るようにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/293
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294・渡海元三郎
○渡海委員長代理 二宮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/294
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295・二宮武夫
○二宮委員 大臣も政務次官もおらない委員会ですから大して質問もできぬと思いますけれども、時間も大体六時までという約束でありますから、一応資料だけお願いしておきます。
平井給与課長おりますか。——国家公務員の退職の平均年令数、これを男女別に分けて資料として御提出をいただきたい。どこかにありますか。われわれがもらっておるところにあるなら、何ページにあるということを指摘して下さい。
それから警察庁の関係おりますか、前田さん。警察関係の、三十五年くらいの、大体一番近く計数のとれるところでいいのですが、退職の年令別、これは婦人警官で五十までやるような人はないでしょうから問題にはなるまいが、国家公務員になる人もあろうと思いますから、それらも含めて——警察関係の給与というものは僕はちょっと強くない、弱いのです。いろいろ階級によってまた給与ベースが変わるだろうと思いますが、大体の退職の年次におけるそれぞれの階級別の給与というもの、ここに出ておるあなたの方からもらった資料を見たけれども、大へんむずかしい資料でちょっとわかりかねる点があるので、それを一つお願いしたいと思います。
それから委員長を通して頼んでおきますが、文部省関係の義務教育職員、これの男女別の退職平均年令数、これは小、中、高というふうに分けてお出しいただきたい。ほかのもう触れた問題に触れないその資料を文部省に提出をさせていただきたいと思います。
それから、自治省には県庁職員あるいは市町村職員、議員というものは入っても問題にならぬと思いますから、ここにいろいろな組合、連合体を作る組織の別に分けてあるグループがありますから、それらの大体退職の年令平均というものを一つお出しいただきたいと思います。それありますか。ここに出ておりますか。今どこかにあれば、私がそれを見ますからお示し下さってもいいです。なければ、あとで出していただいたもので検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/295
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296・渡海元三郎
○渡海委員長代理 二宮委員に申し上げます。ただいま私に対する御要望もありましたので、順次当局の方からかわって答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/296
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297・平井廸郎
○平井政府委員 三十六年度の調査におきまして、年次別、年令別脱退率と申しますか、退職率はわかります。ただ、男女に分けたというものがございませんので、これを全部やることになりますと、一度再計算をいたさなければならぬので、ちょっと時間がかかると思います。とりあえず、もしよろしければ男女一本で出させていただければけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/297
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298・二宮武夫
○二宮委員 私は先ほど質問したように、地方公務員のこの制度を考える際に、若年停止で特に被害の大きい女子職員というものがありますから、国家公務員の共済年金を作るときにはこの問題はおそらく問題にならなかっただろうと思いますが、しかしながら、今度はこの問題が非常に大きくクローズ・アップされる。そこで、それを一つ国家公務員と地方公務員との比較をしてみたいという資料にほしいわけなんです。それで男女別というものがないと意味がないのです。国家公務員の中には、退職年金に該当するようなものを支給されるような女子職員というものはおそらく少ないのじゃないかとも思うのですけれども、それを比較してみたい資料として御提出を願いたいということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/298
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299・杉江清
○杉江政府委員 文部省に対する資料の御要望については承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/299
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300・松浦功
○松浦説明員 県庁、市町村別の男女の退職年齢という御要求でございますが、御承知のように一般地方公務員関係につきましては、共済制度のような統一的な制度が行なわれておりませんので、どの年齢層がどの程度やめておるかということについての資料を持ち合わせておらないわけでありまして、まことに申しわけなく存じまするが、県庁、市町村につきましては、年齢別の在職者数の資料だけ持ち合わせております。これをもって御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/300
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301・二宮武夫
○二宮委員 できれば一部でもいいですから、比較検討してみたいという資料がほしいのですから、ないというのじゃちょっと話にならないのです。町村別に、どこかの町村を抽出するとかいう格好でもいいですが、そうなればあまり信憑性はないと思いますけれども……。しかしながらこれは法の恩典を受けるバランスという問題から考えると、やはり比較をしてみなければならぬ面があろうかと思うのです。大して大きな問題でないけれども、できればそういう資料というものを提出してほしい。できなければ今言ったような一部分のものでもいいと思うのです。それをぜひ一つお願いしておきたいと思います。それは資料として、平井課長さんきょうでなくてもいいのです。あとでお出し願えればいいですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/301
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302・平井廸郎
○平井政府委員 全体の脱退率は先ほど申し上げましたように資料として御提出できると思いますが、男女別につきましては、実は原票から全部やりませんと正確なものが出ません。大体十万近い原票がございますので、簡単には数字がないと思います。従って大ざっぱな推定でよろしければ、大体の率は計算できようかと思いますので、それで御了解願えれば比較的早く出せると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/302
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303・二宮武夫
○二宮委員 私がほしいと言った趣旨は御承知いただけたと思います。しかし非常に困難なものであれば、できるだけ信憑性の置けるものをお出しいただければ、それをかげんしてこっちは見ていくということにしたいと思います。
それから文部省にもう一つ頼んでおきたいと思います。教員の需給関係、教職員の養成学校の募集人員、卒業人員と、それから実際の小、中校における教員の採用数、所要数ですね。荒木さんは、女の先生だけで行ったら、五十五までは若年停止だから五十五までやめぬでもいいだろうということを言ったようですが、そうしたら卒業した先生はどこに行ったらいいか。これは文部大臣に聞かなければならぬと思いますが、そんなばかな話はでまかせに口にすべきことではない。地方には非常に深刻な採用難があるのです。それは文部省なりそのほかの教員の養成関係と需要関係のバランスがとれないからそういうことになっておる。従って、そういうことがもしわかれば、一つお出し願いたいと思うのです。
それから、大臣お見えになりましたから、時間がありませんのでちょっとお尋ねしておきますが、大体きょうの午前中からの質問をいろいろ聞いておりますと、先ほども大蔵大臣にちょっとお尋ねしたのですが、どうも国家公務員の共済年金の方があるものだから、非常に種々雑多なものがある市町村の組織なりあるいは恩給制度なりを一本にするという困難な問題をやる際に、どうも国家公務員に準拠してやろうという安易な方法を少し取り過ぎておる。国家公務員に対する共済年金制度で悪いところがあれば、この際、それを乗り越えて、是正していくというような態度と気魄はなかったのかどうかというようなことを、私は皆さんが質問している間に感じたのです。あなたも自治大臣になられて、自治庁から自治省になられたということで、地方の自治団体に対する財政の確立なり、それらに入って仕事をしている人々の身分確保なり、こういう共済制度なりというものについては、責任を持ってやらなければならぬ立場にあろう、こう思うのです。先ほど大上さんは、残念ながら荒木文部大臣と同じように大蔵省に敗れましたというようなことを言うておられたが、そういうことでは自治省というものの値打ちはないと私は思う。先ほどもちょっとヤジったのですが、自治庁に格下げしなければならぬと思うのですが、どうもそういう熱意が足りないのではないか。国家公務員共済年金制度にあまりにたより過ぎている。これを乗り越えてはならぬのではないかというような考え方で、非常に既得権を持ち、期待権を持っておるいろいろの種類のものを一本にまとめて、それに右へ習えしてしまっておる。どうも答弁を聞いておると、国家公務員がこうですからこうやりましたというような答弁が非常に多いのです。そういうようなことについてこの際自治大臣の、この問題を提案するまでに至る気魄のほどを示しておいてもらいたい。かぶとをぬぐ大臣ばかり多いのでは実際困るのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/303
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304・安井謙
○安井国務大臣 御承知のように、この法案は初めての統一的な整理をする法案でございます。また将来を予測して現在の計算時点に立ってやるものでありますから、御検討いただいておるうちにいろいろ問題もあろうかと思います。しかしいろいろな複雑な団体をまとめて統一した制度をしくという建前、それから長い将来の保険会計の見通しをつけるという仕事、これはかなり正確さを期すると申しましても、おのずから限度があろうと思います。そこでそういうような点、できる限りの調査をいたしました上で、この共済制度というもののあり方から見て、その基本的な骨組みの考え方は、国のものと同一でやることが望ましい、こういうふうに判断をいたしておるわけであります。そしてまたいろいろ将来にわたって若干修正を必要とするような点もあるいは出るかもしれません。これはしかし三年なり五年なりやっておりまして、その過程においてできる限り今後必要なる修正を加えていくのがよろしいのではないか。しかもその間におきましては、できるだけ経過措置を設けまして、従来の既得権についてはこれを侵さないようにというふうな、できる限りの配慮をいたしておるわけでありまして、従って、ある程度の仮定の数字の上に立った長い将来の見通しというものにつきましては、いろいろ御疑念もあろうかと思いますが、この点はやらせていただいた上で、そしてまたさらに再計算もしてみたい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/304
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305・二宮武夫
○二宮委員 自治大臣、この制度についてはやはり地方公務員は、知事さんも含めてあなたを母とも思ってたよっておるわけです。ところが、出てきたものはあまり芳しくない。この制度は、制度の上から言ってりっぱなものではない、こういうような感じがするのです。そういう点については三年か四年やってみてそうやろうということではなくて、実際問題は出発するところからりっぱなもので出発しなければならない。あなたはそういうことでその場のがれのようなことを言うかもしれないが、あなたがいつまでも自治大臣をやっておるわけでもないだろうし、前の大蔵大臣が言うたことを今の大蔵大臣は忘れておるということだし、そのようなその場のがれのことではなくて——これを多数で押し切って発足してみたところで、皆さんに喜ばれない制度になってくる。それから三、四年たって後に、経験を積んでやってみよう、こういう態度というのは私はとるべきではないと思う。それよりも、むしろ国家公務員と地方公務員の調整を加えながら、やはり大蔵省との交渉を十分にやりながら、りっぱなものができてから提案してくるという態度をとらなければならぬ。それを去年、その前から待っておったわけです。ところが出てきたものは——今日午前中あなたはいらっしゃらないので、公職選挙法で、何をやっておったかわからぬでしょうけれども、出てきた案についての皆さんのいろいろの質疑を通しては、大そうりっぱなほめらるべき案ではないというような印象を私は受けておるわけです。具体的にはいろいろ問題が出て参りますけれども、それに対してその場のがれの三年なり四年なり、発足してから修正いたしますということでは、私は承服できないのです。この制度は現に十月一日から実施すれば、来年からやめる人には適用されるわけです。適用者には利害得失が直ちについてくる問題なんですから、そういうような問題を、発足するときからよりよきものにしていくという努力がなければいけない、私はこういうように考えておりますが、時間が来ましたから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/305
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306・安井謙
○安井国務大臣 私の申しましたことが誤解があるといけませんので、私は不備だらけのものを初めから承知して出して、これを直していけばいいと考えておるものではないのでありまして、この時点におきましては、われわれできるだけの努力をいたしまして、検討し、調査をして、最上と思われるものを出したつもりであります。しかし長い将来を見通した保険会計の上に立ちますから、やった上でまたさらに必要なものがあれば、これをまた検討して修正するのにやぶさかではありません。
また国家公務員との関連におきましても、これは基本的にはやはり公務員の共済制度でありますから、基本的なものはできるだけ国の制度と同じような仕組みにするのがよろしかろうというふうに私ども考えておるわけであります。しかし地方の特性をできるだけ生かすという意味におきまして、資金の運用の面とか、あるいは審議会とか組合会等の運用の面につきましては、何も国と同じようなことを考えておるのではないのでありまして、相当地方の特徴も生かすように、われわれとしては相当な努力も払ってきておる、こういう点もお認めを願いたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/306
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307・川村継義
○川村(継)委員 時間が大へん過ぎたのですが、大臣がおいでになったので、実はさっき大臣がおられましたら私お尋ねをしたいと思ったのですが、もうお尋ねすることはやめます。
大臣は、今、二宮委員の質問に答えて、お気持を述べられたわけです。きのうから自民党の伊藤委員、それから私の方の山口委員、滝井委員、太田委員、続いて二日ほど質問をいたしましたが、これらの質疑を通じてあらゆる問題を考えてみても、どうも納得できるものがまだ出てこないのですよ。これではやはり地方公務員の諸君も喜んで参加をするというものが生まれないのじゃないか、こういうふうに私は考えております。大臣、何でお忙しいか知りませんけれども、残念ながらこの大事な地方公務員の共済組合法の審議にほとんどお顔を出していただけない。これらの質疑の内容についてはお聞きになっていない。そこであなたは、今あなたのお考えだけでお述べになったわけですけれども、あとで事務当局からでも、一つ委員が質疑いたしました点等をぜひお聞き取り願いたい。同時に、私が読むのはどうも失礼かと思いますので読みませんが、御存じの通りに、本年の二月二十七日にあなたの方から社会保障制度審議会に意見を求められた、それについての答申が出ておる。いろいろの意見が出ておりますけれども、その中で、あなたの方からいただいた資料に重要と思われる数項目が抜いて書いてある。その第一は、先ほど私質疑の途中で読んだのですが、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八と、大臣、お忙しいでしょうけれども、これをぜひもう一ぺん読んで下さい。第一は、先ほど私、読みましたが、次に「財源関係の基本である保険数理計算は多くの地方公共団体を包含する関係上最も慎重であるべきなのに、その準備は不十分であり、将来に大きな問題となるおそれがある。」ということが、社会保障制度審議会の答申の第三番に書いてある。また「在職期間通算のための責任準備金の移換方法について極めて安易な考え方をしているが、その実行には懸念がもたれる。」これはきのう私ちょっとお尋ねした問題でありますが、こういうようなことが幾つか書いてある。そうして最後に意見を付して、「したがって本審議会としては本案を実施することが適当であるとの結論には達しなかった。」という答申が二月二十七日に出ておる。詳しいことは読みませんから、大臣、お忙しいでしょうけれども、ぜひ一つこれを読んでおいていただきたい。また後日時間をいただいて、いろいろお考えを聞きたいと思います。これをお願いをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/307
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308・安井謙
○安井国務大臣 承知いたしました。御答申につきましてもいろいろ御意見のあることも承っております。ただ、地方制度調査会等では、早急にやれという御答申もある際でございますので、そういった社会保障制度審議会の御答申のいろいろな御指摘の点につきましては、今後もできるだけ勉強して、そういった懸念の、欠陥のないようにはかっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/308
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309・二宮武夫
○二宮委員 先ほど調査を依頼した問題がございますので、その調査が出ましてからそれに基づいてまた質疑をいたしたいと思います。きょうは時間がありませんから、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/309
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310・太田一夫
○太田委員 関連。安井自治大臣にお尋ねしますが、先ほど来あなたの方の局長さんや課長さんにお尋ねしていたのですが、なかなかいい答弁をいただかなかったのですよ。それは特に既得権の問題などにあるのですが、特に既得権の問題に非常に不安を感ずる点があるのです。いい制度をとっていたところが今度の共済組合法で悪くなった。たとえば掛金がゼロであった、二%であったというところがたくさんありますが、それが四・四%に統一される。それからその他の給付でございますが、給付もこれからは全部新法によって統一して、今までの特別いいところ、たとえば十五年で年金がついていたとか、十七年でつくようになっていたとかいうところなども、それはほとんど画餅に帰してしまって、新しい人は全部二十年になるということです。若年停止のことを言っておるのではありません。そういう地方自治体の特例というものを、条例によって付加給付の形で定めて、今までのいいところと今度の足らないところを埋めるということはあってもいいではないかということをお尋ねしたのですが、どうしてもそれをあなたの方の局長、課長は、腹を合わせてできないできないとおっしゃる。こういうところが私はどうも不満でしようがないが、大臣、あなたの先ほどのお考えから、一つずばりとその自主性は尊重してもいいではないかということをおっしゃっていただきたいと思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/310
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311・安井謙
○安井国務大臣 種々御指摘になりました、たとえば掛率の四十四というものにつきましては、いろいろ御見解、御議論もあろうかと思います。これは新しい制度が発足する際、国の基準になぞらえて取り上げていくという考え方であります。しかしこれもほんとうに実績上の保険計算が明確になってくれば、何も四十四に絶対こだわらなければならない性格のものではなかろうと私ども思っております。
なお既得権につきまして、年限その他のものにつきましては、できるだけ既得権の部分についてはこれを尊重するという建前をとっておりまして、経過措置でいろいろ処置をいたしておることは御承知の通りであろうと思います。ただ二十年になるということも、これは国の公務員、地方の公務員が同じようなシステムになるという建前から、二十年というものが将来通則になることは、これはもうやむを得まいかと思います。しかしそれにかわってこの給付自体もよくなってくるということも言えると思いますので、一つ御了承を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/311
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312・太田一夫
○太田委員 年金率のいい団体というのがありますね。横浜、京都、大阪、守口、伊丹、松戸、八戸、仙台、東京、この退職年金率のいいところの団体に対する経過措置ないし特例は認めるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/312
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313・佐久間彊
○佐久間政府委員 今御指摘になりました非常に率のよいところで、この新しい法律によります給付よりも上回った給付が従来なされておったというところにつきましては、施行法の経過規定によりまして、法施行の際在職しておった者につきましては、その差額を保障するということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/313
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314・太田一夫
○太田委員 それは佐久間さん、これからそこの組合員になる人も、ことし入った人も、十年、二十年、三十年という人もみんなそれによってやれる条例を作るのですね、そういうことじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/314
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315・佐久間彊
○佐久間政府委員 これは法施行の際、現に在職しております者についての既得権の保障という趣旨でございますから、これから新たに入りました者につきましては適用がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/315
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316・太田一夫
○太田委員 そうすると、やはり既得権というのは、現在おる人が経過年に応じて認められるだけなんですね。いる人は全部その率になるのですね、時がくれば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/316
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317・佐久間彊
○佐久間政府委員 現に在職しております者につきましては全部でございます。結局、その人がこれから先何年たってやめますか知りませんが、その退職をいたしました際に、退職年金の額を計算をいたします場合に、この新しい法案によって計算をいたしました額よりも、従来の条例の規定によって計算いたしました額の方が上回っている場合には、この差額だけをその地方公共団体が特殊な給付として支給ができる、こういう規定を設けたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/317
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318・太田一夫
○太田委員 そうすると、昭和三十七年四月一日に就職した、大学ないしは高校を出た人も、五十一才なら五十一才、五十五才なら五十五才で退職するときに、現行の年金率によって計算をする、そういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/318
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319・佐久間彊
○佐久間政府委員 昭和三十七年の四月一日に入った者は、この法施行の際在職する者でございますから、先ほど申し上げました規定の適用の対象になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/319
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320・太田一夫
○太田委員 その制度がやられるものならば、その他の給付の特別いい条件をとっているところの人たちに対して、もう少し幅広い付加条例を認めてもいいじゃないかということになりませんか。今まであなたは、十年なら十年いたから、それを今一年を二年に換算して、二十年に換算するとかなんとかというような、過去の実績だけに特例を認めるということでなくて、現在そこにいた人はそういう特例を認めるという制度があるならば、掛率二%のところに現在いた人は、二%ずっと認めてもよさそうなものですね、それはどうして認めないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/320
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321・佐久間彊
○佐久間政府委員 掛金の点につきましては、先ほども申し上げましたように、従来の方式を保険数理による新しい方式に切りかえました、建前を変えました関係でございますから、これは新しい方式に全部統一をする。従来掛金の点で若干有利な点がありましても、それは既得権として保障はしない、こういう方針をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/321
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322・太田一夫
○太田委員 そこで大臣、今の局長さんのお話のように、年金率というのは、現在在籍する人がやめるまで今までの割のいいものを適用する。今までの掛金とか、あるいはその他の最低年限というようなものがありますね、そういうものは認めない。何かこれは不均衡でありまして、同じように認めたらどうか、この方が筋が通るじゃないか、筋の通るようにした方がいいじゃないかと思いますが、大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/322
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323・安井謙
○安井国務大臣 それは掛率の方のお話でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/323
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324・太田一夫
○太田委員 ええ、掛金、それから年限です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/324
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325・安井謙
○安井国務大臣 掛率の方につきましては、やはり一つの基準になるべき四四というものを、新しい制度のもとでありますから、これは採用せざるを得ないと思っております。年限につきましては、今も局長が御答弁申し上げましたように、その既得権の部分についてはそれぞれ経過措置でもって認めていく、こういうふうなことにいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/325
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326・太田一夫
○太田委員 だから大臣、そういうことなら、いっそのことこれは除外した方がいいのじゃないかと私は思うのですよ。
年限の方ですが、かりに十七年として——十七年が非常に多いのですが、十一年以上在籍すればということで、十一年ということに一つのポイントを置いて、十七年に換算し、十七年で認める。五年から十一年までの間は十八年で、五年以下の者は十九年に入るなら、その程度なら歩み寄ろう、こういうようなことにたしかなっているのですね。そうでしょう。だったら、年金率だけは今在籍する者に全部認めようとするなら、最短年限が十七年なら、十七年そこに在籍したら、全部同じように認めたらいいじゃないか、えこひいきがある、片手落ちがあるから、それを何とかしたらいいじゃないかと、私は痛切に感じるのです。それは何かあなた方の説明の違いじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/326
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327・佐久間彊
○佐久間政府委員 給付の内容の問題と、掛金の率の問題とは、性質が違うと思うのでございます。掛金の率の方は、従来の恩給方式をとるか、あるいは保険数理に基づいた積み立て方式をとるかということによって、掛金の率が違ってくるわけでございますから、これは制度の立て方が違ったので、新しいものに全部統一をしてもらう、ただ給付の内容につきましては、既得権をできるだけ保障をしていこう、こういう考え方をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/327
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328・太田一夫
○太田委員 だから除外することはできませんか。大臣、どうですか。適用除外は認めませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/328
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329・安井謙
○安井国務大臣 これはいろいろ技術的な御議論もあろうかと思いますが、統一的な制度を作るという建前でありますので、今、局長が申しましたような、率は一定の基準、そうして年限について給付の額をそれぞれかげんをしていって、既得権を認めていくということが、現在一番好ましかろうと私どもは思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/329
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330・渡海元三郎
○渡海委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
午後六時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004720X03519620427/330
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