1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月六日(火曜日)
午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 中島 茂喜君
理事 伊能繁次郎君 理事 内田 常雄君
理事 草野一郎平君 理事 堀内 一雄君
理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君
理事 山内 広君
井村 重雄君 内海 安吉君
大森 玉木君 金子 一平君
高橋 等君 辻 寛一君
前田 正男君 飛鳥田一雄君
緒方 孝男君 田口 誠治君
西村 関一君 受田 新吉君
出席国務大臣
外 務 大 臣 小坂善太郎君
国 務 大 臣 三木 武夫君
出席政府委員
科学技術政務次
官 山本 利壽君
外務政務次官 川村善八郎君
外務事務官
(大臣官房長) 湯川 盛夫君
外務事務官
(欧亜局長) 法眼 晋作君
外務事務官
(経済局経済協
力部長) 甲斐文比古君
外務事務官
(移住局長) 高木 廣一君
委員外の出席者
外務事務官
(大臣官房総務
参事官) 安川 壯君
外務事務官
(大臣官房人事
課長) 魚本藤吉郎君
外務事務官
(大臣官房文書
課長) 高瀬 直智君
外務事務官
(欧亜局中近東
課長) 原 榮吉君
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二月六日
委員石田博英君辞任につき、その補欠として井
村重雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員井村重雄君辞任につき、その補欠として石
田博英君が議長の指名で委員に選任された。
同日
理事飛鳥田一雄君同月六日理事辞任につき、そ
の補欠として山内広君が理事に当選した。
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二月五日
行政不服審査法案(内閣提出第五八号)
科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第六〇号)
は本委員会に付託された。
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二月五日
解放農地補償に関する陳情書外十三件
(第二二号)
同(第二
八七号)
恩給、年金等受給者の処遇改善に関する陳情書
(第一五七号)
同
(第三二二号)
旧軍人既裁定者の恩給不支給分補償に関する陳
情書
(第一五八号)
栃木県内全市の寒冷地指定等に関する陳情書
(第一五九号)
米海軍上瀬谷通信保安隊周辺の建築制限に関す
る陳情書
(第二二
六号)
旧軍人恩給の増額に関する陳情書
(第三一六号)
金鵄勲章年金復活に関する陳情書外二件
(第三一七号)
同(第三一八号)
建国記念日制定に関する陳情書外一件
(第三
一九号)
同(第三二
〇号)
同(第三二
一号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任の件
科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第六〇号)
在外公館の名称及び位置を定める法律の一部を
改正する法律案(内閣提出第二〇号)
在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四五
号)
外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第五〇号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/0
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001・中島茂喜
○中島委員長 これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
理事飛鳥田一雄君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/1
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002・中島茂喜
○中島委員長 御異議なしと認めます。そのように決します。
次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/2
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003・中島茂喜
○中島委員長 御異議なしと認め、理事に山内広君を指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/3
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004・中島茂喜
○中島委員長 まず、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。科学技術庁長官三木武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/4
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005・三木武夫
○三木国務大臣 ただいま議題となりました科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。
近年における科学技術の進歩はまことに目ざましいものがありますが、これに伴いまして、科学技術は、その専門分野がますます細分化いたします反面、その総合的推進を要求される状況にありますので、科学技術庁の総合調整機能をさらに強化する必要があります。科学技術庁は、設置されて以来五年有半にわたり、科学技術に関する総合的企画調整官庁として、科学技術の振興をはかり、国民経済の発展に寄与するため、諸般の施策を講じて参ったのでありますが、現在の機構にあっては、科学技術に関する基本的政策の企画、立案及び推進並びに関係行政機関の科学技術に関する事務の総合調整の面において、必ずしも万全であるとは考えられませんので、新たに研究調整局を設置し、各局の所掌事務を合理的に再配分することにより、前に申し述べた要請にこたえるとともに、科学技術に関する政府の諸施策の遂行をなお一そう円滑かつ強力に推進しようとするものであります。
また、昨秋以来外国における核爆発実験の再開を契機といたしまして、放射性降下物による障害の防止対策が恒久化いたします現状にかんがみ、その総合調整事務を科学技術庁の権限に加えますとともに、これを原子力局に所掌せしめることといたしたいと考えております。
以上によりまして、科学技術庁設置法の一部を改正する必要がありますので、本法案を提案する次第であります。
次に、本法案の概要を御説明いたします。
第一に、研究調整局を新設することであります。現在の機構にありましては、関係行政機関の科学技術に関する事務の総合調整は、振興局において技術導入審査、留学生の派遣、発明奨励、技術士法の施行等いわゆる現業的事務とあわせて行なっておりますために、総合調整機能が機構的にやや弱体であることはいなめない現状にありますので、研究調整局を新設し、関係行政機関の科学技術に関する事務の総合調整、関係行政機関の科学技術振興費予算の見積り方針の調整及び総合的、基礎的試験研究の助成に専念せしむることとし、特に防災科学技術、宇宙科学技術、環境科学技術等重要総合研究につきましては、積極的に調整を行なわせたい考えであります。従いまして、計画局は、その所掌事務から宇宙科学技術に関する事務を研究調整局に移し、科学技術に関する総合的、共通的事項につきまして基本的政策の企画、立案及び推進並びに総合調整を強力に行なわせるとともに、振興局は、いわゆる現業的事務をもっぱら行なわせようとするものであります。
第二に、放射性降下物による障害の防止に関し関係行政機関が講ずる対策の総合調整を科学技術庁の権限に加えますとともに、これを原子力局に所掌せしむることであります。昨秋以来諸外国における核爆発実験の再開を契機といたしまして、放射性降下物による障害の防止に関する関係行政機関の業務が恒久的に行なわれる状況でありませすので、これらを総合調整する体制を科学技術庁に整備する必要がありますが、現在、科学技術庁は原子力の利用に関する業務しか行ない程ないので、科学技術庁の権限及び原子力局の所掌事務にそれぞれ放射性降下物による障害の防止に関し関係行政機関が講ずる対策の総合調整を加えようとするものであります。
第三に、科学審議官の定数を二名減少することであります。科学審議官は、科学技術に関する基本的な政策を審議いたしますほか、科学技術庁の所掌事務に関する重要な方針の決定について長官を補佐しておりますが、研究調整局の新設により内部機構を充実するにあたりまして、行政組織の簡素化の要請もあり、科学審議官の業務量を勘案して、この際二名を減少し、そのうち一名を局長に振りかえることといたしたいと考えます。
なお、科学技術庁の事務の増加に伴いまして、職員の定員を増加する必要がありますので、所要の改正を行なうことといたします。
以上、本法案の提案理由及び内容に関する概要を申し上げました。科学技術振興の重要性に対する皆様の深い御理解によりまして、慎重なる御審議の上、すみやかに御賛同あらんことを切望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/5
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006・中島茂喜
○中島委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/6
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007・中島茂喜
○中島委員長 外務省設置法の一部を改正する法律案、在外公館の名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。西村関一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/7
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008・西村関一
○西村(関)委員 ただいま議題となっておりまする外務省に関係のある三案につきまして、若干質問をいたしたいと思います。
まず第一に、経済協力局を設けるということでありますが、外務省におきましては、低開発国に対する開発援助、世界経済の拡大と世界平和の維持という見地から、さまざまな活動を行なっているのでございますが、現在どのような事業が世界各国において行なわれておりますか、この新設されようといたしておりまする経済協力局の所管事項の中における活動の概況を聞かしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/8
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009・小坂善太郎
○小坂国務大臣 経済協力の重要性については申し上げるまでもないことでございますが、ことにわが国が位置いたしておりまするアジアにおきまして、東南アジア諸国はもちろん、中近東においても、独立した国の新興の意気に燃ゆる非常な気魄、すなわち、その独立の基礎条件でありまする経済基盤を強化し、国民生活水準を上げていくという熾烈な要望がございまして、これにこたえて、いろいろわが国としても関連をしているわけでございます。また、最近アフリカにおいて独立した諸国においても同断でございますが、わが国として、主として国際機関の関係で関連いたしておりますのは、OECDのうちの開発援助委員会、DACという委員会でございます。これに関連いたして、いわゆるドーナー・カントリーとしてのそれぞれの企画を話し合って、さらに有効な協力をしていこうじゃないかということで関連をいたしております。また、コロンボ・プラン地域におきまして、わが国はやはりドーナー・カントリーズの一つとして活躍いたしております。この地区には現在までに三百六十四名の技術者が出ております。現在おりますのが八十名くらいでございます。ことしは予算を一億八千五百万円いただいておりますので、これを百名くらい送りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。わが国の技術関係は、ことに農業技術におきまして非常に評判がよろしいのでございます。米作国も多いわけですし、わが国の米作技術というものは、非常に高く評価されております。また一方、中小企業の関係におきましても、これもなかなか評判がよろしいので、いわゆる農業技術センターとか中小企業のセンターとか、そういうものを作っております。御承知と存じますが、タイに電気通信の技術センターがございますし、セイロンにも水産のセンターがございます。それから今後考えておりますのは、タイにもビールスの研究センターを作る、あるいはインドに農業のセンターあるいは水産加工のセンター、パキスタンにもすでに農業技術センターがございまするけれども、今後ビルマにも作っていきたい、こんなふうでいろいろ話を進めております。
長くなって恐縮でございますが、御質問が、経済協力の関係している機関名についても触れておるようでございますから、これを若干申し上げますと、まず国連関係で、アジア極東経済委員会、エカフェと申しておりますが、この関係で、通常技術援助計画、拡大技術援助計画、特別基金、児童基金、それから中近東におけるパレスタイン難民のための国連救済済事業機関、それから国連の専門機関として国際復興開発銀行、それから国際金融公社、国際開発公社、その他開発援助委員会、先ほど申し上げたものとコロンボ計画、それから最近できました、APOと言っておりますアジア生産性機構、これらに加盟いたしまして、それぞれできるだけの活躍をしたいと考えております。
〔委員長退席、草野委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/9
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010・西村関一
○西村(関)委員 ただいま外務大臣があげられました国連関係の各機構を通じまして、アジア並びにアフリカ諸国に対して、大体何カ所ぐらいセンターのようなものを設けておられるのですか。どの国にどういうセンターを設けているかということを、後ほど資料として提出をしていただきたいと思います。それにつきまして、それぞれの諸国が要求しておりまする技術提携、技術協力という点につきまして、わが国の農業、工業その他の技術陣がこれらの国々に進出をいたしまして、経済開発のために、また、世界平和の維持のために貢献をいたしますことは、最も願わしいことであると思うのでございますが、これに対する現在の人員の配置、あるいはその技術センターの設備、また技術者に対する待遇というものが、必ずしも十全でないと思うのであります。私も、昨年の暮れ、東南アジアの諸国を回りまして、若干のセンターを見たのでありますが、かなり現地においては苦労をいたしておるようであります。これらの点につきまして外務大臣のお考えを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/10
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011・小坂善太郎
○小坂国務大臣 センター設置の数その他につきましては、後ほど資料として御提出いたします。
後段にお述べになりました点でございますが、お言葉のように、どうも十全とは言いがたいものがあると存じます。ただ、行っている人が非常にまじめでございまして、ほんとに献身的にやって下さるものでありますので、また、仕事の性格も、東南アジア向きと申しますか、たとえば農業にしても、寒冷地農業のソ連の農業というものは東南アジアにはなかなか参考になりませんし、大農業法のアメリカの農業というものもとれまた参考にならぬ。そうすると、やはり日本の農業の方式というものが非常に参考になるということで、非常に高く買われておるのでございます。私どもとしては、この待遇をできるだけ改善いたしまして、十分な活躍ができまするように、いろいろ予算上の措置等についても、毎年これを改善いたすようにいたしておる次第でございまして、今後ともできる限りこれを改善して参りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/11
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012・西村関一
○西村(関)委員 その低開発国に対する開発援助ということでありますが、それぞれ東南アジア並びにアフリカ諸国におきましては、かなり新興の意気に燃えておるのでありまして、何か他国から援助を受けるというようなことに対して、国民感情と申しますか、そういうものが、むしろ援助じゃなくて、協力、技術協力あるいは合弁というような考え方がだいぶ出てきているようでございますが、そういう点につきましても十分の配慮がなされているはずだと思うのです。現に、カルカッタの農業機械センターでありますか、外務大臣もおいでになったと思いますが、あそこなども、インドの国家の予算と日本の経済的な援助とがマッチいたしまして、一つの事業が興されて、そうして、それがインドの中小企業、また、その機械化等に対して貢献をしておるというようなわけであります。そういうようなとらまえ方で、ただ後進国、低開発国を開発するという考え方でなくて、むしろ提携して、ともに人類の共通の資源であるところの資源を開発していく、こういう考え方に立ってやらなければならないことは言うまでもないことだと思うのですが、そういう点に対して外務大臣はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/12
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013・小坂善太郎
○小坂国務大臣 仰せの通りでございまして、さように考えておる次第でございます。言葉も、低開発国という言葉はなるたけ使いませんで、国際的な場合におきましては、アンダー・デベロプト・カントリーということを言いませんので、デベロピング・カントリース、開発されつつある国、こういうふうに言うように、これは私が言い始めてからなったというくらいに言ってよいと思うのでありますが、さように気を使っておる次第であります。全体的に合弁事業を進めていく、ことにインドやパキスタンにつきましては、これは一国から借りるということもどうかということで、コンソーシァムというものができておりまして、日本もこれに寄与していることは御承知の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/13
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014・西村関一
○西村(関)委員 私も、外務大臣のお考えはそうだと思っているのでありますが、この提案理由の説明書に、低開発国という言葉を使ってありますから、私はあえてお伺いしたので、外務大臣の御趣旨に沿わない、言葉が入っておりますから、この点は今後御注意になりまして、外務省から出る文書には、なるべくこういう昔葉をお使いにならぬように願いたいと存じます。その問題はそれでけっこうであります。
次は、在外公館の名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案についてでありますが、これによりますと、大使館の新設が四、公使館から大使館に昇格が十、総領事館から大使館に昇格が一、領事館から総領事館へ昇格が一というふうになっております。それぞれ理由があり、事情の変化によりまして当然そうせなければならないものであるというふうに心得るのでございますが、ただ、これをお伺いいたしたいと思いますことは、名称が公使館から大使館になったということだけではあまり意義がないと私は思うのでありまして、いわゆる、名実ともに日本国を代表するところの公館として、各国が大使を交換するという傾向に従って日本も大使を交換するということは、私は必要なことであると思うのでございますが、しかし、名実ともに日本国を代表する公館としての機能をどれだけ発揮し得られるかということが、むしろ問題であると思うのであります。
そういうことと関連いたしまして、もう一つ、在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案が議題になっておりますが、在外公館に勤務する外務公務員の給与を引き上げる、やはり内地に勤務するよりは、外国に勤務する方が、いろいろな点においてハンディキャップがあることは言うまでもありませんし、出費も多いことは申すまでもありません。そういう点につきまして今回のこの法律の改正は、私も認めるにやぶさかではないのでございますが、はたして外務大臣が——これは大蔵省の関係等もあって十分だとは考えておられないと思いますが、私も再々外国を旅行いたしまして、どうもその点で、まあ、これは一がいに言えませんが、わが国と比較し得られるような国々と比較いたしまして、給与の面あるいは待遇の面、施設の内容におきまして、非常に見劣りがするように思うのであります。これでは日本国を代表する公館並びに外務公務員としての体面とその機能を発揮することができないと思うのでありますが、ここで若干の国々と比較いたしまして、わが国の外務公務員の待遇がどのようなランクにあるかということをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/14
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015・小坂善太郎
○小坂国務大臣 大へん御理解のあるお言葉をいただきまして感謝いたしますが、どうも私も非力で、なかなか十分な予算の獲得もできませんので、その点は逐年改善さしていただきたいと思っております。本年は、十年間据え置かれておりましたいわゆる在勤俸をようやく——これは私どもの希望から見ればだいぶ下のものでございましたけれども、それにしても修正することができるようになりまして、非常にありがたく思っておる次第でございます。在外公務員の士気も、大いにこれによって上がることかと存じております。
御質問の点は、事務的に詳細に申し上げた方がいいと思いますので、官房長から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/15
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016・湯川盛夫
○湯川政府委員 各国の公館の給与というのは、国によりまして必ずしも公表しておらない国もございますので、全部はわからないのでございますが、いろいろな点で比較的日本と似通っておりますドイツ、イタリア、それからアメリカといったような国と大体比較をいたしますと、一つの例をとりまして、パリに在勤しておりますそういった国の外交官の給与は、現在の在勤俸によりますと、大使の場合、日本を一〇〇としますと、アメリカが一二九、ドイツが一九八、イタリアが二四八ということになります。参事官クラス、これは一号俸ということに在勤俸でなっておりますが、それを日本を一〇〇としますと、アメリカの場合一三八、ドイツ一五二、イタリア一五四、それから三等書記官クラスになりますと、日本一〇〇、アメリカ一三〇、ドイツ一六五、イタリア一八七、それから外交官補、これは九号俸というわけでございますが、日本を一〇〇としまして、アメリカ三〇九、ドイツ一二六、イタリア三一三というふうになります。このようにこういった国と比較して相当な格差があるわけでございまして、アメリカの場合は比較的低いのでございますが、別にまたアメリカン・スクールの教育施設とか、あるいはPXの利用とか、いろいろな点で便宜があるようでございます。今度の改正でこれがどのくらいになるかと申しますと、ただいま出しております改定案が通りますと、大使の場合、日本を一〇〇とした場合、アメリカ一二二、ドイツ一九五、イタリア二三五、参事官の場合、日本一〇〇、アメリカ一一五、ドイツ一二七、イタリア一二九、一等書記官の場合、日本一〇〇、アメリカ一六五、ドイツ一一五、イタリア一五二、二等書記官の場合、日本一〇〇、アメリカ一四四、ドイツ一一九、イタリア一四五、三等書記官の場合、日本一〇〇、アメリカ一一六、ドイツ一四七、イタリア一六七、外交官補の場合、日本一〇〇、アメリカ一五二、ドイツ一六五、イタリア二二九、こういった工合にだいぶ改善されることになります。なお、ワシントンに駐在しております分を比較したもの、あるいはロンドン駐在の分、ローマ、あるいはまたアジアの方でインドのニューデリーにおける各国との比較、こういったものを用意してございますので、資料にして差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/16
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017・西村関一
○西村(関)委員 ただいま政府委員の方から御答弁がありましたような事例から見ましても、この改正案が通ってもなお相当低い、特に下級の外務公務員の場合が非常に低いと思うのであります。下級ということはどうかと思いますけれども、大使、公使、参事官以下の比較が非常に低いように思うのであります。また、今御説明がありましたように、俸給以外のいろいろな手当が外国の場合におきましては相当ついておるのに対して、わが国の場合におきましては、それが非常に薄いというふうに考えられますが、これらの点につきまして外務大臣はもちろん十分に配慮をしておられると思いますが、特に私は外国を回りまして、外国にある公館の人たちに接しまして、諸外国と比較いたしまして、非常に不自由をしておるということを痛切に感じますから、ここにこの法律案が出されましたこの機会に、このような質問をいたしまして、外務大臣の今後のこれに対するお考えをただしておきたい、かように思う次第であります。
なお、今も若干触れられました在外公館に勤務する公務員の子弟の教育の問題、これまた非常な悩みの種になっておるのであります。今御説明のありましたように、外国の場合におきましては、それぞれ子弟の教育機関を設けてやっている場合もあるのでありまして、この点につきまして、在外公館に勤務する公務員の子弟の教育問題等につきましては、現在どのような配慮がなされておるか、また、将来に対してどのようなお考えを持っておられるか、それらの点もあわせて外務大臣のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/17
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018・小坂善太郎
○小坂国務大臣 現在、在外公館のみならず、邦人が一番多い場所はタイでございますが、千人ばかりの邦人がおります。ここでは学校を作っております。しかし、その学校を出まして日本へ帰ってきた場合に、どうも継続性がないということで問題点がございましたのですが、この点は今度の予算で解消いたしたと考えております。しかし、全般的には今おっしゃる通りでございまして、子弟の教育の問題は非常に大きな悩みになっております。この点についてもいろいろ財政的に制約がございまして、今回はどうにもなりませんでした。これも先ほど申し上げましたように、在外公館に勤務する職員の待遇改善とあわせて、今後に引き続いて努力したい、こう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/18
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019・西村関一
○西村(関)委員 さらに、在外公館の設備の問題でありますが、これまた諸外国の公館に比べて非常に見劣りがするのであります。たとえばニューデリーの大使館の場合でも、新しい建物ができましたけれども、非常に貧弱であります。ニューデリーにあるところの諸外国の大使館等に比べまして、非常に貧弱であります。大使の公館の方がむしろ大使館ではないかと間違えられるような建物であって、事務をとっている大使館自体は非常に貧弱な建物である。これは一例でありますけれども、諸外国に比べて非常に見劣りがするのであります。これは予算等の関係がありまして、なかなか外務大臣の思うようにはならないと思いますが、敷地の点につきましても狭隘であるし、また、建物自体も貧弱であるし、中の設備に至ってはまことに十分とは言いがたいという状態であります。特に暑いところで勤務する場合におきましては、全部の部屋に冷房装置をしなければならぬと思うのであります。そうでなければ仕事はできないと思う。ところが、必ずしも全部冷房が入っていないようでありますが、こういう点についても十分な予算的な措置を講ぜられる。責任があると思う。それらの点につきましてどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/19
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020・小坂善太郎
○小坂国務大臣 これは予算の一つの組み方でありますけれども、全体で五割増しなら五割増し、こう押えて、それ以上の予算要求は受け付けないという線を引かれます。そこで、新しく国が独立して、そこへ公館を作らなくてはならぬということになりますと、ゼロから出発してそれだけの費用が要るわけでございますので、前年度の予算の何割増しということになると、その規格に入らないわけです。しかし、われわれそういう理屈を盛んに言うのでありまするが、微力のため、どうも受け入れられるところとなりませんので、全体に総予算が二割四分ふえるところで、とてもその平均までもいかないというような状態で、なかなかどうも、私は西村さんと同じような気持を持ちながら、これが実行できませんことを、非常に残念に思っておる次第でございます。ことに土地なとは、これは日本だけが土地が上がるわけではございませんで、ほかの土地も上がっておりますので、早く買えばそれだけ得なのであります。しかし、そういう費用をつけるわけにはいかぬ、こういうことで、細々ながらだんだん買いまして、建て増していくという状況を続けておるので、やはりもっと抜本的な考えで、最初の予算要求のときから、これは特例だと認めてくれるような環境ができませんと、なかなか困難じゃないか、私は非常に率直な話を申し上げますが、さように思っておるわけでございます。しかし、その中におきまして、外務省の予算も逐年改善されておりますので、ただいまお話しのような暑いところに勤務するような人たちに対しましては、今度の在勤俸改正でも、いわゆる地域差をかなり是正して参りました。その反面、器具等につきましても、費用の許す限り冷房装置等についてはこれを供給するように、今回の予算では措置する考えでございまして、逐次改善されつつあるというふうに申し上げるほかないと思います。しかし、全体としては、私の力の不足を嘆く点がかなり多いということを率直に申し上げざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/20
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021・西村関一
○西村(関)委員 特に暑いところに勤務する公館においては、冷房装置等は断然つけないと仕事の能率が上がらぬと思うのです。もちろん、予算の関係がありましょうけれども、ほかはさておいても、それだけのことはやっぱりやらなくちゃいけないと思う。だんだんそういうふうになっていくんだということではありましょうけれども、これは格段の御配慮を願いたいと思います。
それからもう一つ、これに関連をいたしまして、前国会においても私はお尋ねをしたのでありますが、どうも外国を回りまして感じますことは、日本の公館に掲げられておるところの国旗が非常に貧弱だということです。あるところは色があせておるし、あるところはちぎれておるし、非常に貧弱な国旗が掲げられておる。諸外国の場合は、真新しいりっぱな国旗がどの公館にもへんぽんと翻っている。わが国の公館においては、日の丸の国旗が非常に貧弱だという感を私はしばしば持ったのであります。そのつど、私は、それぞれの公館の責任者なりその代理の人に、これは新しいのと取りかえなさいということを御注意申し上げた。御注意を申し上げると、実はお説の通りだけれども、予算がないと言うのです。国旗を取りかえるくらいの予算がないはずがないじゃないかと言うけれども、やはりそれは予算がない。月に一つかえてみたところで、一年に十二回かえればいいのです。そのくらいの予算がないということは、私はそういうことに対する考え方がないからだと思うのでありますけれども、そういうことを私は前国会においても申し上げたのでありますが、昨年の暮れ回ってみまして、まだそれが改まってない。まだ非常に貧弱な国旗が、日の丸の赤の色があせた国旗が掲げられておる。こういうようなことでは、私は、その一つのことだけでも、日本国を代表するところの外国の公館にある公務員としての心がまえが十分じゃないと思うのであります。そういう点につきまして、外務大臣、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/21
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022・小坂善太郎
○小坂国務大臣 私も全く同感でございまして、実は昨年全部新しいのを各公館に配ったと承知しておるのであります。これは品質は麻の非常に上等な国旗を配ったはずなんであります。しかし、昨年の暮れお回りになってそういうことがあったといたしますれば、これは公館の名前をおっしゃっていただいて、私の方から厳重に注意をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/22
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023・西村関一
○西村(関)委員 これは小さなことのようですけれども、一昨々年に私はヨーロッパを回りましたときに、ボンの大使館は国旗を出さない。ペンキで塗ってあるのです。これはペンキで塗っておけばはげないですから、だいぶ長いこと持つでしょうけれども、これでは私は工合が悪いと思うのです。やはりそういう便法ではいけないと思うのです。現在はボンの大使館にはそういうことでなくて、国旗が翻っておればけっこうですけれども、麻の国旗を送ったと言われますが、これは一度や二度ではいかぬ、やはりしょっちゅうかえられるように外務省に一おいては配慮をして、そうして、国旗だけはいつも真新しいのがへんぽんと翻っておるというようにしていただきたいと思うのです。これはやはりその公館に勤務する公務員の心がまえが問題だと思う。それを見るところの在留同胞たちが、それによって日本国民であるという自覚に立って、その任務に精励することができるのであります。小さなことのようでありますけれども、私は、そういう点にも非常に外務省の考え方の欠陥が端的に現われているというふうに思うのでありまして、この点はさらに格段の留意を願いたい。そして、そういうことのないように一つ厳重に注意をしていただきたいということを特にお願いをいたしておきます。
それから、在外公館に勤務する公務員の心がまえについてでありますが、りっぱな方々もたくさんおられますが、中には、奉仕者としての立場を忘れてしまって、何か一種の特権意識でもって外国にある在留同胞に臨むというような向きがないではないということを感ずるのであります。これがやっぱりいけない。あくまで奉仕者としての立場、また、日本国を代表してそれぞれの国に対する日本国の責任も全うしていくという立場に立って、一面威厳を保ちながら、一面やはり奉仕者としての謙遜な態度を失わないということが必要であると思うのですが、外務大臣は、在外公館に勤務する公務員に対してどのような態度で臨んでおられますか、あるいはどういう服務規定と申しますか、あるいは服務に対する心がまえと申しますか、そういう点に対して、一応外務大臣の考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/23
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024・小坂善太郎
○小坂国務大臣 私も、今西村さんのお話がございましたと同様な気持を持っております。そうでなければならぬと思います。在外公館に勤務する者は国を代表しておりまして、外務省所掌事務を処理する者でございますから、主要な任務といたしましては、もとより、外国政府及び官憲との交渉、あるいは条約その他の国際約束の締結及び実施、通商航海に関する利益の保護増進、商取引のあっせん、海外における邦人の生命、財産並びに権益の保護等、複雑多岐な用務を持っておるわけでございます。自分が国を代表してこうした崇高な任務に携わっておる者であるという自覚のもとに、しかも、わが国からそれぞれの地に行かれました方に対しては、できるだけ親切にその方々の使命の達成に協力するということは、もとより当然なことでございまして、さような心がまえを特にふるい立たせるように日常心がけておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/24
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025・西村関一
○西村(関)委員 それに関連をいたしまして、最近問題になっておりますところのドミニカ移民についてであります。これはいずれ外務委員会におきまして詳細お尋ねをいたしたいと思いますが、ただいま外務大臣がお答えになりました、在外公館に勤務する者の心がまえに対する外務大臣のお考えに関連をいたしまして、ドミニカ移民の問題について、若干私お伺いしたいと思うのであります。
全般につきましては、外務委員会における質問に譲りたいと思うのでありますけれども、ドミニカ国のハラバコア地区から外務大臣あてに送られました嘆願書があるのであります。これは外務大臣もごらんになったと思う。一九六〇年十月一日付、ハラバコア日本人会の会長吉田清という人の名前で、外務大臣あての嘆願書が出ているのであります。これを見ますると、ドミニカ移民の全般の問題につきましては、今ここで触れないことにして後日に譲りたいと思いますが、ここに、ドミニカ国の駐在大使の発言内容について照会というのがあるのであります。これをここで読み上げますが、これに対して外務大臣は親切にお答えになったでありましょうか。もしお答えになっていないならば、この委員会の席上でお答えをいただきたいのであります。これはさらに、ハラバコア日本人会の移民の方々だけの問題ではなくて、在外公館に勤務する公務員の心がまえの問題にやはり関連をいたしますから、外務大臣の責任ある御答弁を承りたいと思うのであります。
一九六〇年十月一日、在ドミニカ国駐在特命全権大使小長谷純正は、我々日本人移住者を当コロニア管理官事務所に集合せしめて、種々質疑応答を行ったが、左記事項については一同了解に苦しむと共に回答が将来に於ける約束にまで言及しているので、外務大臣としての明解な説明を得たく照会致します。
追って説明書は、個々について箇条書にして戴きたくお願い致します。
記
(一) 大使は開口一番「私は天皇の親任に依って日本国を代表した特命全権大使で、天皇の御名代である」と申されたが、我々の考えでは、大使は日本政府の代表者であり、日本政府は日本全国民の代表であると信ずる。あくまでも主権は国民の上にあり、天皇は国民の象徴に過さぬと考えるが如何。
(二) 「本国への陳情其の他は大使を経由しなければ受理されない」と申されたが、事実であるか。事実ならばその様な事で政府は与論を聴取し得ると考えられるか。
(三) 「移住者が本国政府に対し、正当な陳情をする場合でも、それがドミニカ国政府に感知された場合不利益を蒙ることになる」と申されたが、一国の政治に参与する者が正当な陳情であるものに対して感情的に処理することがあってよいものか、仮にあったとしても正当な陳情であるならば、あくまで陳情して差支えないと考えるが如何。
(四) 移住者全員が、現在問題として居る自営農であるかコロノであるかについて、大使の答弁は「あくまでも自営農である」と明言しながら他の応答の中に於いては、「皆さんは芸妓に例えるならば一人前の芸妓でなく半玉である」と申されて居るが一国の代表者がこの様に言を左右してよいものか。又自営農とは如何なる経営形態のものを自営農と称するか。更に「ドミニカ」第十一号(発行人横田一太郎氏十月十五日発行)の第二面に、ドミニカ国全コロニアの八月分収穫発表(ド国農商務省発表)が掲載されており、それには国営農耕開拓地八月分収穫発表となって居るが、この国営農耕開拓地で働く我々が自営農と云えるか。
(五) 移住者の土地所有権問題については「十年後には確実に所有権が渡る。又農務大臣の許可を得れば例外として融資の担保にもなり他人へ譲渡することも出来る」と申されたが、十年後に所有権を渡すことに日本外務省が責任を持つか。譲渡権のない、担保価値のない所有権が存在するか。一国の大臣は国法をまげて例外をもうけ得るか。
(六) 募集要綱に基く土地面積に対しては「現在の五〇タレア(三町歩)に更に約束の五〇タレアの土地を貸与させる可く農務省に交渉し必ずこれは実現するから今暫く待て」と云われたが、我々は早く渡った者で四ケ年、遅い者で二ケ年待ったが、今後もこの様に待つ場合は日本外務省に於いて責任を持たれるか。
(七) 海協連支部の高橋氏は、募集要項の内容について「募集要項の内容はド国コロニア法の抜萃であり募集要項と入植後の現状は何等問題として取上げる可き点は全然ない」
監督官庁としての外務省の見解は、このような海協連支部の言明に対してどのように考えておられるかということを、文書でもって外務大臣に照会をして参っているはずであります。
特に私が問題といたしたいのは、この第一項の「私は天皇の親任に依って日本国を代表した特命全権大使で、天皇の御名代である」ということに対する考え方であります。もう一つは、この移住民の人たちに対して、最初の募集要項と違った、いわばだまされたというような状態で、非常な苦しい営農をやっております現地の移住民に対して、お前たちは芸者にたとえるならば、一人前でない半玉だ、こういう言辞を弄したということは、もしそれが事実であるとするならば、こういう心がまえで現地の移住民に対して大使が臨むということは、これは私はもってのほかだと思うのであります。これに対して外務大臣は、との文書をごらんになりましたか。ごらんになったならば、回答をせられましたかどうか。もしごらんになっていないならば、今私が読み上げましたこれらの条項に対して、どのようなお考えを持っておられるか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/25
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026・小坂善太郎
○小坂国務大臣 ドミニカの移住者諸君におかれての実情は、かねて本院でも問題になりまして、私どもとしましては、せっかく志を立ててドミニカへ行きながら、非常に事志と違って帰ってこられた方々に対しては、できるだけあたたかくこれをお迎えいたしまして、将来の計画を立てるにわれわれとしてもできるだけ協力したいという前向きの姿勢で、この問題を扱おうということで、国援法の適用をいたし、また、郷里へ帰っていただき、郷里の方でも、それぞれの出身県と連絡をいたしまして、こういう方々の御希望に沿うような努力をしていただくということにいたしておるのであります。ただいまのお話につきましては、どうもそういうことは言わないようなふうでありますけれども、かりに言ったとすればどう思うかということでございますが、言ったとすれば、はなはだ間違っておると思います。憲法七条の第五号に、天皇は内閣の助言と承認によって大公使の信任状を認証され、あるいは外国から来られた大使、公使を接受されるわけでありますけれども、そのことが御名代云々ということでないことは、もう言うまでもないことであります。半玉云々も、これは言わないことだと言っておりますが、言ったとすればどうかということであれば、はなはだけしからぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/26
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027・西村関一
○西村(関)委員 こういう考え方の大使は、やはりやめさせなければいかぬと思うのです。こういう考え方では移住民の世話はできないと思うのです。これはこういう文書にして出しているのですし、おそらく、いずれ外務委員会もしくは決算委員会その他の委員会におきまして、証人として喚問をして黒白を明らかにしなければならない問題だと思うのでありますが、こういうような考え方をかりそめにも持っているという者があなたの部下に一人でもおるならば、これは厳重にやはり戒告をしていただかなければ業務は勤まらぬと思うのです。
それからドミニカ移民については、ただいま国援法によって引き揚げをさしておるということでありますが、まだ現地には千数百名残っておる。しかも、国援法によって引き揚げてきたのは、今まで日本の移民史上かつてないことでしょう。これは満蒙開拓移民が終戦によって帰ってきたということを除いては、ほかにないことでしょう。なぜこういうことが起こったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/27
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028・小坂善太郎
○小坂国務大臣 ドミニカには二百七十家族くらい移住しまして、それが三百家族くらいになっているのです。そのうちの約半数が今度帰ってき、あるいは南米へ転住する、こういう格好になっているわけです。
なぜ起きたかということでございますが、主としてカリブ海をめぐる情勢の変化、例のトルヒーヨ独裁ということに反対しての国内のいろいろな政情の不安、あるいはトルヒーヨ政権に対する中南米諸国の経済断交、そういうようなものが非常にドミニカの経済事情を悪くした、これが一番大きな原因だろうと思います。
なお、具体的の点もございますから、移住局長から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/28
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029・高木廣一
○高木政府委員 ドミニカの移住につきまして、ただいま大臣からも御説明がございましたが、ドミニカ移住の話がありましたのは、昭和二十九年からでございまして、実際行きましたのは昭和三十一年からでございます。そして三十四年までに約三百家族、千四百名余りが行ったわけでございます。そしてその後、昭和三十四年の六月でございますか、キューバにカストロ政権ができまして以来、六月にキューバからドミニカへの侵入部隊が入ったのでございます。特に飛行機が、日本人が入っておりますコンスタンサの移住地の近くにおりたということが最初でございまして、それから三十四年の十一月には、キューバとベネズエラが、ドミニカに寄った船は自分のところへ寄港せしめないということで、ドミニカには船が寄らなくなりまして、それからそういうような争いが高じまして、昭和三十五年の八月にベネズエラのベタンコウルト大統領暗殺未遂事件というのがございまして、これにドミニカのトルヒーヨ大統領一派が関係しているということがいわれて、その結果、汎米諸国が全部ドミニカと国交を断絶いたしました。それと同時に、ドミニカに対して汎米諸国が全部経済断交いたしました。その関係で、従来入っておりました移住者が経済的な困難に直面するようになった。まず第一には、ドミニカの移住は、先生も御承知の通り、面積が非常に限定されております。最初から十六町歩がマキシマムであるという条件で入っているのですが、ネイバのごときは、日本人が入るので公示されているのは五十タレア、三町歩である。最初は三町歩である。しかし、これが耕されるに従ってふやしていくのだということで、灌漑その他の施設を拡大計画していたのでありますが、それがなかなかはかどらない。これは真剣に計画はしておりましたが、あるところでは、一人五十タレアというのですが、三町歩程度でございますが、それを増すことがなかなかはかどらない。そこへ持ってきて、経済断交がありましてからは——ドミニカに欧米から避暑客がどんどん来ておりまして、あすこの豪華なホテルは満員であり、アメリカのドルが非常にやすやすと落ちていたのでございますが、それがすっかりなくなってしまった。そこで、移住者が作っております野菜とかあるいはくだものが国内で売れない。そこへ持ってきて、ドミニカの向かい側のすぐ目と鼻の先にございますポートリコ島にも輸出していたのですが、それもストップになるということで、内外ともに非常に困ってしまった。それから農耕地をもっとふやして生産コストを低下すればいいわけですが、それがなかなか思うようにいかない。最後の頼みは、ドミニカ政府が生活補給金を月六十ドルから百二十ドル程度出していたのですが、これが昭和三十五年の八月以来一部はストップになり、一部は二割の減額になったということが原因でございます。このカリブ海の国際情勢は、われわれとしては予見ができなかったし、ある意味においては不可抗力であったと思います。しかし、移住者にとっては不可抗力といって済まされない問題でございます。われわれといたしましては、この経済封鎖下においては、三百家族というものはどう見ても過剰入植のきらいがあって、まず半分くらいにしなければむずかしいのではないかというふうに思いました。従来、ネイバ地区では集団帰国したいと言っておられたわけであります。その他の地域については、南米転住あるいはやむを得ない場合には内地に行かれるのを国援法で援助するより仕方がないということで、帰国の措置を講じた次第です。つい最近参りました小長谷大使からの新しい電報によりますと、一月十八日に最後にできましたドミニカ政府は、大体汎米諸国が妥当な政府として認めて、国交断絶、経済封鎖も解除になり、アメリカからの援助も来ることになったということで、ドミニカの空気も非常に安定しつつある。それから移住地としては、ハラバコアというのは、日本人が一部引き揚げということで相当問題があり、小長谷大使がドミニカ政府に申し入れて、軍隊まで出動してこの治安を守っていたのですが、それも必要がなくなって引き揚げるようになったし、従来帰国したいと言っておられた人も、定着することに変わる申し出が出てきつつあるというような状態でございます。
それから最後にお尋ねになりました、小長谷大使が移住者を芸者にたとえられたということでございますが、この手紙はわれわれの方にも大臣あてにきております。この点につきましては、小長谷大使に電報いたしまして、移住者の苦情その他について、十分移住者の希望を聞くようにということを申しまして、三十五年の十二月に、小長谷大使は移住地を全部こまかくお回りになりまして、そしてその報告をしておられます。われわれが受け取っております大使からの電報では、一同と十分懇談して、誤解を解いて説得をしたというのが来ております。大体この程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/29
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030・西村関一
○西村(関)委員 今高木移住局長の言われたことは、最後のことは別として、私も大体承知していることですし、また、政変等は不可抗力であった、予測しがたいことであったということも、もちろんよくわかります。しかし、それが主たる原因で今度の事態が起こったということは言えないと思います。もっと大きな原因は調査の不備だったと思うのです。調査の不備がやはりこういう事態を招いたと思うのであります。私は現地へ参っておりませんけれども、現地から引き揚げて参りました諸君の話を聞き、また、写真等を見まして、ずいぶんひどい石ころの、営農ができないような地方に入植させられたというような点、それからまた、水利の点につきましても、最初の約束とは違って、非常に限定された水しか供給されないといったような点、それからまた、自営農ではなくて、一種の国営農の労務者というような資格で入植をさせられておるといったような点、これは最初の募集計画とは全然違っておる。こういうことなども、十分に現地の事情を入植を希望するところの人たちに徹底させておらなかったという責任は、これはやはり政府にあると思うのです。調査は農林省がやって、現地指導は外務省がやるのだということでなしに、国全体としてのそういう調査の不備から来る入植者の困惑というようなことは、これはおおうことはできないと思うのです。むしろ、そういうところにドミニカ移民の失敗の大きな原因があったと思う。それにかてて加えて、ドミニカ国の政変があり、中南米の国際情勢の変化等が加わって、こういうますます不幸な事態を引き起こしたと思うのであります。こういう大量の引き揚げをしなければならないという事態を引き起こしたことは、これは日本の移民史上いまだかつてないことです。そうでしょう。ほかにそういう例はあったですか、なかったと思う。そういうことにつきまして、調査の責任は農林省にあるのだというのじゃなくして、むしろ、外務省が指導しているところの現地の海協連の支部がやはり調査をしておりまして、それに農林省の事務官が行って、技術者が行って、さらに調査をしておる。そういうことに基づいて募集計画が立てられて、移住者が送られておる、こういうことなんでありますが、どうも聞かされておることと現地へ行ってみたこととが非常に食い違っておる、これはおおうことができない事実だと思うのです。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/30
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031・高木廣一
○高木政府委員 今度のように集団で帰る例は最初であって、今までなかったという点については、西村先生も戦前の日本の移住史は御存じであると思いますが、昔の移住は、それこそどういうことが起こっても日本へは帰れなかった。たとえばサンパウロのようなところでは、当時はマラリアで村が全滅するということで大騒動したこともございます。しかし、日本に帰することはとてもできなかったわけでございます。そういう意味において、戦前の移住政策というものは、棄民政策であったと言われてもいたしかたがないと思うのであります。戦後の移住に関する限り、われわれは、そういう意味において、今のような——今度のドミニカ移住につきましては、われわれは戦前のようにほうりっぱなしにするというようなことはとうていできないわけでございますから、思い切って現在の政策をとったわけでございます。
それから、これが募集要項と非常に違うのだというお話、これはコロノであって、自営開拓でないというお話でございますが、募集要項にもこの点は書いてございまして、国有地に入ること、それから地権は八年ないし十年で向こうの法律に従って得られるのだということが、募集要項には書いてございます。それから、最初から地権がないから、これは自営開拓でないというお話でございますが、この点は、現在南米でコロノと言っておりますのは、全く自分の責任でやらない、いわゆる雇われ農業のものでございます。ドミニカの場合は、国有地において営農をしております。従って、その点で、その国有地から勝手に出ていくというような問題は、全然これは先方も考えておりませんので、できませんけれども、しかしながら、自営開拓者として自分の発意でやることが認められており、そうして、さきに申しました八年ないし十年で地権がもらえるということになっております。地権がもらえなければ困るじゃないかということでありますが、たとえばボリビアも国有地を日本人移住者に与えておりまして、これは二年たてば地権がもらえるということで、従来入りましたのは、昨年の初めですから、全部地権がもらえました。この二年たってもらえるまでの問は地権がなかったわけでございます。その他、営農につきましても、最初先方から向こうの指定するものについては種子をもらえるというようなこともございましたが、その他は全部自分の計画、自分の責任でやっておるのでありまして、契約募集要項と違うということは言えないのじゃないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/31
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032・西村関一
○西村(関)委員 募集要項と違わないというふうに高木局長は言われるのですが、その点、入植をした諸君が違うという見解を持っておるのでありまして、そこの食い違い、それが一つの外務大臣に対する嘆願書となって出てきたのだと思う。これは外務大臣の手元までいかないで、移住局長のところで処理せられたのではないかと思いますが、これに対してどういう答弁をせられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/32
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033・高木廣一
○高木政府委員 小長谷大使の方に訓令いたしまして、移住者に誤解があるから、十分よく連絡をするようにということを電報で言ってやっております。それがために、さきに申しましたように、小長谷大使は移住地を全部お回りになって、移住者と懇談をして、移住者の誤解を解いたという電報がきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/33
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034・西村関一
○西村(関)委員 現地の小長谷大使が話をして納得ができておるならば、こういう嘆願書は起こらないと思うのです。やはり大使に話しても、お前らは半玉だからしようがないじゃないか、一人前になるまでは文句を言うな、黙っておれ、おれは天皇陛下の名代であるから、おれの言うことを聞かないと、お前たちは不利になるぞ、こういうようなことを大使が言うから、やむを得ず外務大臣あてに嘆願書を出す。これは現地の諸君としては当然なことだと思う。それがまた電報を打って、現地でしかるべくやれというようなことは、民意をじゅうりんしていると思うのです。そうじゃないですか、外務大臣、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/34
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035・小坂善太郎
○小坂国務大臣 これは御承知のように、先方からどうしても帰りたいという諸君と、自分らは残るという諸君と、二つ考え方があるわけです。帰ってこられた方も、いろいろおっしゃいますし、そういう点についても私どもは調べます。調べた結果は、今高木移住局長から申し上げた通りでございまするが、問題は、やはり帰ってこられた方を、どういうふうにしたらできるだけ日本においてそれぞれのなりわいを安定させることができるかということについてやるべきことであると思っておる次第でございます。私ども、そのようなことを帰ってこられた方の代表にも申し上げました。私、自分でお目にかかりまして、そういうことも申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/35
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036・受田新吉
○受田委員 関連して……。
ただいま西村委員の発言に関連して、ほんのわずかの質問をしたいと思います。大臣だけでけっこうです。事務当局にはあらためてお伺いいたします。
今、大、公使は天皇の名においてやるということでございますが、そのことに関連して、特命全権の特命はどういうことか、法律上の根拠をお示し願いたいと思います。これは大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/36
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037・小坂善太郎
○小坂国務大臣 これは非常に長くから使われておる世界的な慣用語で、エクストラオーディナリー、そういう言葉を使って、特命全権大使というのは、そういう外交上の慣用語というふうに理解しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/37
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038・受田新吉
○受田委員 慣用語として片づけるわけにはいかない。特命は何による特命であるか、天皇の名による特命か、政府の特命か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/38
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039・小坂善太郎
○小坂国務大臣 これは今申し上げたように慣用語で、エクストラオーディナリー・アンド・プレニポテンシャリーという言葉を使っているわけでございます。何に対してかというと、やはり新憲法下におきましては、政府の特命によって国を代表する、こういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/39
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040・受田新吉
○受田委員 大臣、これは大事な国際的関係の問題につながることですが、日本国が、外国の元首あるいは大統領その他総理などを、国賓として迎えることがある。国賓というものは、日本は何を基準に国賓とされておるか、それを一つお答え願いたい。
〔草野委員長代理限席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/40
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041・小坂善太郎
○小坂国務大臣 これは国賓としてどういう方々をするかという規定がございまして、主として外国の元首は国賓として迎える、こういうふうにいたしております。それを決定するのは内閣でございまして、内閣の閣議においてさような決定をいたす、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/41
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042・受田新吉
○受田委員 国賓を決定する規定をもう一ぺん言って下さい。どの規定に基づいておるのですか、明瞭にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/42
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043・小坂善太郎
○小坂国務大臣 法律的な特別の規定というのはないのであります。内閣の閣議でさような決定をして、国賓として待遇する、こういうふうにきめるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/43
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044・受田新吉
○受田委員 皇太子が今あちらへ行っておられますが、これはそれぞれの国の国賓として迎えられておるのですか、あるいはほかに何かの名前がついておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/44
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045・小坂善太郎
○小坂国務大臣 国賓であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/45
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046・受田新吉
○受田委員 そうしますと、国賓という言葉は、政治的な責任者でなくてもいいということになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/46
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047・小坂善太郎
○小坂国務大臣 それはそれぞれ受け入れる国が決定することでございまして、外国へ皇太子が行かれるという場合には、皇太子様は国賓として受け入れるのが適当だろうというふうに先方が決定するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/47
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048・受田新吉
○受田委員 その国賓をどうして受け入れるかという基準についても、閣議で思いつきでやられるということは、非常に不公平を来たすおそれがあると思うのです。国賓というものは、どういう形のものを国賓とするのかというような厳格な規定をある程度設けておく必要がある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/48
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049・小坂善太郎
○小坂国務大臣 外国の元首または総理大臣、それ以外のものは国賓としておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/49
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050・受田新吉
○受田委員 先般英国の王女が来られたわけですが、これは国賓でなかったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/50
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051・小坂善太郎
○小坂国務大臣 あれは日本皇室の賓客ということで来られたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/51
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052・受田新吉
○受田委員 大臣お急ぎでございますから、公館の問題、給与の問題は後ほど事務当局にお聞きしますが、あなたにもう一言、こういう国際的な問題でぜひ関心を持っていただかなければならぬのは、この間、西イリアンヘオランダの制服でない文官服を着た兵隊を送ったですね。これはどういう根拠に基づいてここへ寄港されたのか。アメリカはすでにそれに対して、この西イリアンへ行く兵隊を送ることをお断わりしている。こういう事態が発生しているわけでございますが、西イリアンに飛ぶオランダの軍人を羽田に寄港させたことの法律的根拠、あるいは国際的規定、そういうもの、及び今後はこれをどうするかについての答弁をお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/52
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053・小坂善太郎
○小坂国務大臣 それはちょっと話が違うと思います。われわれは、このKLMのチャーターをして、そして先方が軍人を送るということでありましたから、これはICAO条約に従ってわが方の許可を得る必要があるわけであります。わが方はこれを許可いたしませんでした。断わったのです。それからアメリカはこれを許可して——日本を通過しないルートがあるわけでございます。ハワイから直行するのですか、アリューシャンからハワイへ出ていくというような航路なんですが、これを許可したというふうに聞いておりますけれども、その後のことはよく存じません。まだ許可したままになっておる、それに対してインドネシア側から反対があったということを聞き及んでおりますが、新聞情報でもその先のことは私も存じません。それから今御質問の点は、私服を着た軍人が行った、こういうのでしょう。その問題は、KLMの航路があるわけでございます。その定期航路に沿って、通常旅客として私服の軍人が行った、こういうことであります。これは通常の旅客でございますから、通過を許さざるを得ないわけでございます。しかし、これははなはだ趣味が悪い。日本が断わったことを知っておって、そのあとそういうことをされたらはなはだ悪趣味であるからということは、先方に申し入れております。今後どうするかはこれからまだ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/53
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054・受田新吉
○受田委員 インドネシアでは、学生の暴動の原因の中に、そのことがうたわれておる。日本の場合は私服を着て羽田へおろしたのではないかという抗議が含まれておると私は聞いておる。そういうととは重大な国際問題である。それは新聞報道が誤っておるなら誤っておると御指摘を願って、私服を着てごまかして入るのは約束が違うといっていいかげんに片づけるわけにいかないという外交上の問題がある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/54
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055・小坂善太郎
○小坂国務大臣 チャーターをしていきます場合は、これはわが方の許可を必要とするわけです。従って、わが方としては、こういうビアク島へ行くということは、国際紛争にこちらから入っていくことになり、巻き添いになる場合が考えられるから、お断わりすると断わったわけです。KLMの定期便に乗って一般旅客が行くことを許可するのは、通常の旅券を持って通過していくのは、どうしようもないわけであります。それから抗議云々というのは、私はまだ聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/55
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056・受田新吉
○受田委員 それは次の機会に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/56
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057・中島茂喜
○中島委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる八日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X00419620206/57
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