1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月二十二日(木曜日)
午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 中島 茂喜君
理事 伊能繁次郎君 理事 内田 常雄君
理事 草野一郎平君 理事 宮澤 胤勇君
理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君
理事 山内 広君
内海 安吉君 島村 一郎君
辻 寛一君 藤原 節夫君
保科善四郎君 田口 誠治君
西村 関一君 受田 新吉君
出席政府委員
内閣審議官
(内閣官房内閣
審議室長兼内閣
総理大臣官房審
議室長) 江守堅太郎君
法制局次長 高辻 正巳君
法制局事務官
(長官総務室主
幹) 關 道雄君
総理府総務長官 小平 久雄君
総 理 府 総
務 副 長 官 佐藤 朝生君
総理府事務官
(中央青少年問
題協議会事務局
長) 深見吉之助君
宮内庁次長 瓜生 順良君
文部事務官
(社会教育局
長) 齋藤 正君
農林事務官
(振興局長) 齋藤 誠君
運 輸 技 官
(港湾局長) 坂本 信雄君
委員外の出席者
検 事
(刑事局青少年
課長) 荻野かく一郎君
法務事務官
(矯正局教育課
長) 副島 和穗君
法務事務官
(矯正局参事
官) 福井 徹君
法務事務官
(保護局観察課
長) 吉田 次郎君
運輸事務官
(自動車局参事
官) 増川 遼三君
労働事務官
(婦人少年局年
少労働課長) 渡邊 孟君
労働事務官
(職業安定局調
整課長) 北川 俊夫君
専 門 員 加藤 重喜君
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本日の会議に付した案件
総理府設置法等の一部を改正する法律案(内閣
提出第八〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/0
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001・中島茂喜
○中島委員長 これより会議を開きます。
総理府設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、これを許します。西村関一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/1
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002・西村関一
○西村(関)委員 ただいま議題となっておりまする総理府設置法等の一部を改正する法律案につきまして、主として提案理由説明の中の第二条、青少年問題協議会設置法の一部改正につきまして、質疑を行ないたいと思います。なお、全部にわたりましては多くの問題を持っておりますので、それは、青少年問題協議会設置法一部改正に関する質問のあとで続いて質疑を行ないたいと思いますが、あるいはきょうの日程で全部質問できるかどうかはわかりませんが、できるだけ問題の要点をお尋ねいたしまして、政府当局の御答弁をお願いいたしたいと思う次第であります。
〔委員長退席、草野委員長代理着席〕
本日の朝日新聞を見ますると、児童の健全育成について、灘尾厚生大臣が二十二日に開かれる中央児童福祉審議会の総会に諮問をするというようなことで、児童の健全育成対策というものが厚生省から提示せられておるのであります。ただいま議題となっております青少年問題協議会は、厚生省はもちろん、文部省、労働省、農林省、各省に関係を持つ協議会でありますから、ただ厚生省所管の児童福祉審議会の問題だけではないのでございますけれども、関連する問題点が出ておりますから、質問の冒頭にこのことをもう一度注意を喚起いたしまして、政府の御答弁を願いたいと思う点に触れて参りたいと思うのであります。
この厚生省の考え方によりますと、児童の健全な育成を妨げている障害を明らかにするとともに、それに対するところの対策、少なくなって参ります幼少人口の質を高める方策、ただ単に従来の施設にある特殊児童を対象として対策を進めるだけではなくて、広く一般の児童の健全育成対策を取り上げるということが強調せられております。特に青少年の非行行為が年ごとに重大な社会問題となってきておる。ことに最近はローティーンの犯罪が目立
ってきておる。このために全般的な児童対策が必要である。第二には、青少年の事故死、自殺が急激に増加してきておる。三十五年中には交通事故、水難、感電などの事故死は、一才から十九才まで約一万二千三百人にも上っているし、この年令層の死亡順位の第一位となっている。自殺も、三十五年には、二十才から二十四才までで約四千二百人になって、死亡順位の第一位である。十五才から十九才まで二千二百人からの自殺少年が出ている。こういうようなことがきょうの朝日新聞に提示せられているのでありまして、非常に私どもの心を痛める問題であると思うのであります。
義務教育を終えましてから成年になりますまでの間における青少年の社会人としての人格の形成、あるいは学術、技能の修得、練磨というような点につきまして、国は重大な責任を持たなければならぬと思うのであります。児童憲章が発布せられまして、児童の基本的な権利が守られなければならないということがうたい上げられておりますけれども、実際におきましては、児童憲章はただ単なる飾りものにしかすぎないというような状態であることを、はなはだ遺憾に思うものでございまして、もちろん、これがために中央、地方の青少年問題協議会が設けられて、各省、各機関連絡のもとに、これが対策を講じていこうということに相なっていると思うのであります。青少年の非行の現状を考えますときに、ただいまのような事故死、自殺の増加ばかりでなく、そういう事態ばかりでなく、青少年の非行は年を追いまして集団化し、凶悪化し、また、低年令層化しているという現状であります。青少年問題協議会が十分な成果をあげ得なかったからこういう現状が起こっているのだということではないと思いますけれども、こういう現状に対しまして政府はどのようにお考えになっておられるか。今度の設置法の一部改正におきましては、地方の青少年問題協議会に対して、都道府県の青少年問題協議会に対して、予算の許される範囲における補助ができるとなっているのを、五大都市にもこれを行なわしめようという点にあるようでございますが、これは青少年の都市集中化の傾向にかんがみまして、当然の措置であると思うのでありますが、それ自体については何ら異論を差しはさむ余地はないと思うのでございますけれども、それに先立ちまして、こういう青少年の非行の現状等に対して、健全な育成をはかって参りまするために、政府はどのような根本的な青少年問題に対する考え方を持って臨んでおられるか。ただ予算をやりくりする、都道府県の青少年問題協議会だけに補助金を出しておったのを、五大都市にも出すようにするということだけでは、問題の解決にならないと思うのであります。この機会に、私は、政府が青少年問題協議会のあり方についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、青少年問題の対策に対してどのような基本的な対策を打ち出そうとしておいでになるか、その点について長官にお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/2
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003・小平久雄
○小平政府委員 ただいま先生からお示しのような記事を私も見ました。青少年問題がきわめて重要な課題でありますことは、あらためて申し上げるまでもないわけでございまして、ただ、いわゆる青少年問題の解決につきまして、御承知の通り、政府としましても、中央青少協あるいは地方青少協、これらを通じて各般にわたる施策の総合調整を行ない、あるいは方針の調整を行ないまして、それぞれ担当省で具体的な施策を進めておることは、御承知の通りでございます。青少年問題と申しますと、一面におきましては、確かにいわゆる非行青少年の問題があると存じます。それに対しまして各般の施策を打ち出さなければならないことは当然でございますが、さらに、私の考えとしましては、あまり——あまりと言うと語弊があるかもしれませんが、非行青少年問題にばかり目を配っておって、一般の善良なる青少年を健全に育成するという積極面をかりにもおろそかにするようなことがあっては、政治なり行政のあり方として、むしろ誤っておるのではなかろうか、逆ではなかろうかという考えを私は持っております。そういう考え方に立ちまして、私は、就任以来、むしろ後者に力を入れて、よい影響を漸次悪い青少年の方に及ぼすことによってやることが本筋ではなかろうか、私はそういう考えを持っておるということを、中央青少協の会等に臨みましても始終申し述べておるのであります。そういう見地から、さきに中央青少協におきましても、十二項目にわたりまして政府施策の大綱を調整をいたして、それぞれの関係当局にこれを示しまして、その線に沿うて各般の施策を遂行してもらうということに努力をいたしておる次第でございますが、なお、その十二項目の詳細につきましては、事務局長が参っておりますので、事務局長から詳しく説明を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/3
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004・西村関一
○西村(関)委員 小平長官の、ただ非行青少年あるいは保護を要する児童といったものだけを対象にしないで、一般の青少年の健全育成をはかっていくことが、非行青少年の問題を解決する重要なポイントである、こういうお考えに対しまして、私もその御意見には大体賛成でございます。しかし、そうは申しますものの、そのことは、なかなか簡単にはできるものではないと思うのでございます。具体的に健全育成ということは、どういうことを目途にしてお考えになっていらっしゃるか。十二項目にわたって中央青少協にお出しになりました政府のお考え方につきましても、この機会にちょっとお示しをいただいた方がいいんじゃないか。担当の政府委員からお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/4
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005・深見吉之助
○深見政府委員 お答えを申し上げます。
青少年対策は、社会全般がこれに協力していただきまして、家庭教育、学校教育、社会教育全体を通じての盛り上がりが大切であると考えておりますが、これらを考えまして、昨年の暮れに、青少協におきまして、十二の当面の重要事項を定めていただきました。
第一といたしまして、青少年の倫理確立。これは青少年の倫理意識あるいは順法精神、暴力排除等を含めました、広い意味の青少年の倫理を青少年みずからの手によって高めていく運動を推進いたしたい、こういう趣旨でございます。
第二番目に、青少年団体の育成。健全育成の基盤といたしまして、青少年自体が自己研修の場としての集団活動がきわめて必要である、かような観点から、青少年団体の育成に関係行政機関も大いに協力をし、その指導者の養成にも適当な配意をする、こういう意味でございます。
第三番目に、勤労青少年の保護育成と教育機会の充実。御承知の通り、都市に青少年が集中いたしますと、特に中小企業に従事する青少年の福祉の増進という問題、教育の向上、余暇の善用等が、健全育成並びに非行防止にきわめて重要な役割を演じますことにかんがみまして、この問題を取り上げたわけでございます。
第四番目は、健全育成施設の充実整備。青少年が自己研修をいたしますために、野外活動、集団活動あるいはレクリエーション等の拠点として、青年の家とか、勤労青少年ホームとか、ユースホステルとか、児童のための諸施設、あるいは体育施設といったようなものを整備充実いたしたい、こういうことでございます。
第五番目に、スポーツの振興をはかりたい。
第六番目に、農家の後継者養成。御承知の通り、都市に青少年が出ます傾向から、農家の後継者としての農村の青少年の残留がきわめて少なくなっておる現状にかんがみ、これらの青少年に高度な農業的な技術を得さし、農村にいつかしめる一つの運動を起こしたい、かような意味合いで、農家の後継者養成というのを取り上げた。
第七番として、家庭における青少年教育の振興。今日青少年問題がいろいろ申されますが、根本は家庭教育の充実にあると考えます。特に幼少期における家庭のしつけが、とかく戦後薄れがちでございますので、これらの点に重点を置いて、幼少期、少年期を通ずる家庭教育の充実をはかってもらいたい、こういうことでございます。
第八番目に、マスコミの健全化。マスコミが青少年の育成のために果たす役割はきわめて大きなものでございますが、一面において、不健全なマスコミの青少年に与える悪い影響というものも見のがすことができませんので、関係業者その他の御協力を得る方法をもってこの健全化をはかってもらいたい、こういう趣旨でございます。
第九番目に、非行防止のための地区活動の強化。非行をいたしました子供がとかく地区から白眼視され、あるいは地区から除外されるために、ますます悪くなっていくので、よくなってくる機会を与えることが大いに必要であろう、こういうわけで、地区活動強化のために、婦人会その他関係地区の民間の方々の協力を得て、これの補導のための組織整備をはかってもらいたい、かような意味でございます。
第十番目といたしまして、非行青少年対策の充実強化。これは主として矯正機関の施設その他を充実していきまして、いろいろ教護育成、保護矯正といった面を充実したい、こういうことでございます。
第十一番目といたしまして、精神薄弱児、身体不自由児に対する保護の徹底をはかりたい。
また、最後に、青少年が、視野を広げて世界の状況を知り、その上に立って日本人のあり方を考えていくことがきわめて必要であるということから、青年の国際的交流ということを考える。
この十二の項目を当面の重要対策として決定し、これを内閣、関係行政機関におかれてそれぞれ担当部門で協調し、重点的に強力に推進してもらいたい、こういうことを申しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/5
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006・西村関一
○西村(関)委員 ただいまの十二項目は、いずれも大切な問題であり、適切な御指示であったと思うのでございますが、問題は、それらの項目にうたわれております点を、具体的にどのように成果を上げるかというところにあると思うのです。これを受けて各省はどのような対策を打ち出しておいでになりますか。まず、労働省関係にお伺いをいたしたいと思うのでありますが、勤労青少年の保護育成、特に中小企業に従事する青少年の保護、教育、指導、余暇の善用といったような点が打ち出されております。労働省といたしましては、婦人少年局もあっていろいろ対策を出しておられると思いますが、具体的にこの中央青少年問題協議会が政府に出されました答申に対しまして、どのように受けとめておいでになりますか、どのように対策を出そうとしておいでになりますか、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/6
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007・渡邊孟
○渡邊説明員 お答えいたします。
労働省といたしまして取り上げております問題を申し上げますと、勤労青少年の健全な発達を阻害しております低位な労働条件、有害な労働環境、こういうものを排除いたしますとともに、働く生活に喜びと希望を持つように配慮することが根本であろう、このように考えるわけでございます。従いまして、労働省といたしましては、労働基準行政の重点といたしまして、年少労働者に対する監督指導という点に重点を置いて推進いたしております。この結果、適正な労働条件の確保と労働環境の整備に努めておる次第でございます。また、最近の産業界の進展に伴いまして、必要な中堅労働者としてこれを養成いたしますためにも、職業訓練というものに重点を置いておるわけでございます。さらに、都市地域におきまする中小企業の年少労働者の問題につきましては、特別な配慮も必要でございまして、このためには、先ほどから申し上げておりますような、勤労青少年ホームというような福祉施設の整備促進に努めておりますと同時に、事業主団体に、年少労働者の生活相談なり余暇の善用指導を行うための年少労働者福祉員というものを設置されますよう、奨励いたしまして、その活動の充実化、活発化によりまして、年少労働者の健全な育成に努めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/7
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008・西村関一
○西村(関)委員 大企業に働く勤労青少年につきましては、ただいま言われましたような政府の施策の恩恵にあずかる面があると思いますけれども、中小企業に働く年少労働者につきましては、社外工とか臨時工とかいうような立場にある者が多いと思われるのでございます。従ってまた、余暇などはほとんど持ち得ない。働きながら夜学に行って勉学するという志を持っておっても、なかなか労働過重のために勉学もできない。まして、余暇を善用して人格の形成をはかろう、あるいはまたお互い若い者同士の友好的な交わりを深めていこうというようなことも、ほとんどできない。ただ過重な労働に追いまくられるという状態が大部分ではないかと思うのであります。そういう中小企業に働く勤労青少年に対しまして、はたして今言われましたような点がどのように活用され得るとお考えになっているか、そういう勤労青少年に対してどういう施策を持って労働省は臨んでいったらいいというふうにお考えになっているか、その点を一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/8
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009・渡邊孟
○渡邊説明員 先ほど申し上げましたのは、主として中小企業を対象として私どもいたしておるわけでございます。たとえて申し上げますと、一斉週休の問題なり一斉閉店の問題、これらは労働時間の短縮なり休日確保という観点から実施いたしておるのでありますが、三十三年の十二月に実施いたしました一斎週休制の問題について申し上げますと、三十三年にこれを実施いたしましたのは四千九百三十三団体でございまして、実施事業場の数が三十七万二千四百五十三、労働者の数が八十七万二千人でございましたが、三十五年の末には、実施団体が三倍にもなります一万三千四百二十五、実施事業場の数が七十六万五千、対象労働者数も百九十七万一千、こういうようになっておるわけでございます。
それから一斉閉店でございますが、一斉閉店と申しますのは、一定の時刻を切りまして、集団的にその地域の商店等が店を締める、こういうことでございまして、これも現在すでに対象事業場が二十一万四千三百、労働者数四十六万人、こういうようになっておるわけでございます。
それから、福祉の増進につきましての問題でございますが、私どもが今中小企業の年少労働者福祉員制度というものをやっておりまするが、これは、中小企業の団体の方に、その団体におりまする事業場に働いておる年少労働者の生活相談であるとか、余暇の利用のための援助であるとか、こういう仕事をしてもらうわけでございます。こういう方々が全国に八千人現在おりまして、この人たちの活動によりまして、中小企業に働く年少労働者の福祉の増進をはかっていく、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/9
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010・西村関一
○西村(関)委員 次に文部省関係にお伺いいたしますが、健全育成・施設を充実していくということ、あるいはスポーツの振興をはかって参る、余暇の善用をしていくということ、いずれもけっこうなことだと思うのでありますが、同時に、やはり暗い面について目をおおうことはできないと思うのであります、つい数日前の新聞には、某中学校の卒業式に、生徒が校長に暴行を加えるおそれがあるから、校長はパトロール付で登校しなければならぬ、こういう記事が出ております。こういう事態が起こるのは一体どういうところに原因があるか。これは氷山の一角にすぎないと思うのでありますが、今日中学、高校に学ぶところの生徒、学生の中には、そういう一種の機運と言いますか、そういうものが起こっておる。それは一体どういうところに原因があるか。やはり教師と生徒、学生との間における人格的交流が欠けているのじゃないかと思うのであります。青少協の方から出されましたこの十二項目のうちの文部省関係の健全育成施設の充実というようなことも、青年の家をふやして参るといったようなことも大事でございますが、恒常的に教育の場において、教師と生徒とが接触するという点につきまして、ただ単に学科を教えるというだけでなしに、教師と生徒との人格的交流というようなものを通して、そこに青少年の人格形成期におけるところの大事な役割が果たされていくと思うのでありますが、そういう点につきまして文部省はどういうようにお考えになっていらっしゃるか、こういう具体的な事象に対して、どういうふうにこれを処理していこうとお考えになっておられますか、文部省当局のお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/10
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011・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 御指摘のように、最近青少年の犯罪、非行という問題に関連いたしまして、義務教育の段階にあります中学生の非行の率が増大してきたということにつきましては、御指摘のように非常に問題であります。文部省といたしましては、学校教育の面で、基本的に教育課程の改善でありますとか、あるいは一人の教師が受け持つ学級の編成を適正にするとか、あるいは施設の充実とかいうような基本的なことは、数年来計画的に進めておるのでありまして、御指摘のような事象が出て参っておりますので、やはり基本的には、今おっしゃいましたように、先生の生徒に対する指導力の向上ということが必要であろうと思います。その点につきましては、先生の生活指導に対する熱意、その能力というものをますます充実していかなければならないと思うのでございます。なお、一面、非常に特異な例として、学力におきましてもあるいはその後の性格といたしましても、先生だけでは間に合わない部面もございまするが、その面につきましては、PTAでありますとか、あるいはいろいろな他の行政機関との連絡を緊密にいたしまして、非行の芽が現われるという場合には、関係者がよく協力して、できるだけ万全な指導をいたすように努めて参りたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/11
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012・西村関一
○西村(関)委員 外部の協力によって悪の芽をつんでいきたいということでありますが、PTAに例をとりましても、PTAが今日学校に対する寄付団体のような傾向も出ておる。本来のPTAの役割の、教師と両親とのほんとうの協力というものが、学校教育、家庭教育の場において、あるいは社会教育の場において、十分なされていないというふうに私は感ずるのであります。ただ単に学校の予算が足りないのをPTAで寄付を集めてこれをまかなっていく、こういうような働きしかしていないようなところも多いように思うのであります。社会教育局長として、PTAに対してもただ今までのおざなりの指導ではいけない、むしろ間違った傾向にあるものは、国が責任を持たなければならぬものは、国が思い切って予算をふやしていく、PTAにはそういう経済的な負担をかけないというような配慮をしながら、本来のPTAの使命を果たしていくように指導なされなければならないと思うのであります。また同時に、家庭教育の点があげられておりますが、家庭のしつけの問題にいたしましても、これは学校と家庭との緊密な連絡というものが今まで必ずしも十分でなかったというふうにも思われます。また、家庭と申しましても、しつけができないような、両親が共かせぎをしておるといったような家庭も相当あります。そういうような家建に対するしつけ、あるいは片親のいない子供の家庭のしつけといったような点についても、これは社会全体が連帯共同の責任を持って、そういう家庭の子供に対する配慮をしていかなければならぬと思うのであります。そういうような点について、ただ単に家庭のしつけをよくしていくのだということだけでは、問題は解決できないと思うのであります。そういう点に対して社会教育局長はどういうふうにお考になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/12
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013・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 戦後の学校教育の実態といたしまして、御指摘にありましたように、PTAがややもすれば学校の財政的援助に追われるという傾向があったのでございますが、だんだんに公費で負担すべき学校の経費につきましては、それぞれの地方団体あるいは国の補助でまかなっていって、それを解消する方向にあるわけであります。私たちといたしましては、PTAに対する指導といたしまして、PTAの本来の任務でありますところの、お互いが子供の教育あるいは自分たちの資質の向上ということを学ぶ成人教育の団体として、本来の活動を活発にしていただくような指導をいたしておりますし、また、最近は特にその傾向は顕著でございまして、いろいろ全国的に行なわれますPTAの活動におきましても、たとえば昨年行われました、特に青少年に対するお互いの愛護、保護の実践につきまして研究集会を行なう、あるいは本年特別にまた成人教育に関する研究集会を行ないますとか、そういうことが顕著になって参りまして、それにつきましては、私どもも、事務的にもあるいは財政的にも若干の援助をして、こういうPTA本来の活動が末端にしみ渡るように、今後も努めて参りたいと思っておるわけであります。
なお、家庭教育につきましては、やはり青少年の育成というものを考えます場合に、学校教育と家庭教育、あるいは社会における青少年の教育、この三つがそれぞれの任務を果たしまして初めてりっぱな青少年ができるわけでございますが、戦後ややもすれば、家庭教育というものについてことさらに回避するという一般の風潮もないわけではなかったのでございますので、本年度、文部省といたしましては、家庭教青に関しまして基本的な事項あるいはいろいろな事例等につきまして、専門家を集めまして一つの参考資料を作りまして、それをPTAでございますとか、あるいはいろいろ行なわれております婦人学級でありますとかいうような研修の材料にしていただいて、そういう社会教育のいろいろな団体の勉強の場に家庭教育の重要性ということを浸透するようにしていきたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/13
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014・西村関一
○西村(関)委員 家庭教青の問題は、非常に重要でございまして、私は、戦前の家父長制家族制度の復活というものを目ざしての家庭教青であってはならないと思います。あくまでも家庭におけるところの児童の人格を尊重するという気風のもとに、自己の責任と義務を明確に自覚していくような家庭や社会における指導、青少年の自分自身の義務と責任、また、将来に対するところの希望というようなものを抱かしめていくことができるような、そういう人格中心主義の、真の民主主義に立った家庭教育でなければならないと思うのであります。いたずらに戦前の家父長制家族制度を復活せしめるような家庭教育であってはならない。その点につきましていろいろ御検討しておいでになると思いますけれども、この機会に局長の御見解を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/14
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015・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 家庭教育の問題につきましては非常に重要でありますが、一面また、文部省が指令を出します場合には、かなり慎重に検討しなければならない問題がございますので、現在、社会教育審議会の中に家庭教育に関する小委員会を設けまして、専門の方に御検討もいただき、さらにそのほかにも、明年度になりますれば専門の方々のお集まりをいただいて具体的なものを練りたいと思いますが、御指摘の通り、ただいたずらに子供を抑圧するというようなことだけでは、ほんとうの子供の人格形成に役立ちません。ただ、一面、戦後の風潮といたしまして、親がほんとうの意味の権威を持って指導すべき事柄につきましても、いたずらに遅疑逡巡をいたしまして、そのために子弟が放縦に流れる。親が責任をもって指導すべき場合にも指導しないというような傾向が、ややもすればそれが民主的だというふうにもまた思われがちの点もありますので、それらの点は、十分専門家の委員会を設置いたしまして検討していただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/15
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016・西村関一
○西村(関)委員 私は時間がありませんので、社会教育の問題についてなお多くのことをお伺いしたいのですけれども、次の機会に譲りたいと思いますが、ただ、家庭教育の場におきまして、親の権威という点が高調せられまする前に、両親教育の伸長ということが先行しなければならぬ。両親が無自覚で、時代の意識に目ざめず、また人格尊重の民主主義の精神に徹しないで、権力を振り回したのでは、非行少年を作るもとになると思うのです。両親教育の振興という点を社会教育の面において十分に取り上げていただかなければならぬと思うのであります。社会教育が、学校教育とともに、重要な教育の面であるということは申すまでもないことでございまして、特に今日の時代におきましては、その点が高調されなければならぬと考えますから、この点につきましては、またの機会に社会教育のあり方について私はお伺いをいたしたいと思いますから、きょうは一応社会教育の問題につきましては、これ以上お伺いをいたしません。一応局長の御答弁を了承させていただきたいと思います。
次に、それでは、国際交流の問題につきましてお話がございましたが、これは、今日まで青少年が世界的な視野に立って、図際的な交流をはかっていくというお考えのもとに、すでに国費を使って相当な青少年が海外に出ておると思いますが、どのくらい出て参りましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/16
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017・小平久雄
○小平政府委員 従来三カ年にわたって行ないまして、正確なところ、三百十九名派遣しておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/17
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018・西村関一
○西村(関)委員 その三百十九名はただ行きっぱなしじゃなくて、帰りましてから、郷土においてどういうような働き、役割を演じておりますか、また、将来選に入って海外に交流して参ります者等に対して、よき示唆と影響を与えておりますか、どうですか。この点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/18
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019・深見吉之助
○深見政府委員 今まで派遣されました青年は、御承知の通りに、地方において郷土にあって将来活動するということ、また、現にしかるべきグループ・ワークをいたしておる者、こういうことが条件になっておりまして、帰って参りましてからは、それぞれ自分の所属いたしております団体において、自分の体験、実績等を発表いたしておりますことはもちろんでございますが、その他、都道府県の計画いたしました報告会等に出席して報告をする、また、その他各種団体から招かれまして、それらにおいて報告活動をいたしております。私の方で毎年その結果を調べておるのでございますが、数十回にわたって報告会を開いた者もたくさんおりまして、大体自後の活動といたしましては、相当の成果を上げておる。一、二帰ってきてあまり活動しないという事例もないとは申し上げられませんが、おおむねきわめてよい活動をしておる。それから昨年第二回の派遣を終わりました際に、青年たちの自発的な申し出によりまして、同窓会的な組織をいたしまして、将来ともに国内においての活動をし、お互いにその会を通じて自己研修、海外知識の吸収といったようなこともいたしたい、こういうことで、相当に活動を継続いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/19
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020・西村関一
○西村(関)委員 海外派遣の青年の選考の基準はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/20
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021・深見吉之助
○深見政府委員 対象といたしまして、「派遣団員は、優秀な大衆青年で、海外における視察研究の結果を帰国後積極的に生かし、将来郷土または職域にあって指導的役割を果たしうると認められる者とする。」こういうことでございまして、年令は二十才から二十六才までの男女、大体百人として募集いたしますが、百人のうち、女子が二十人、男子が八十人程度、男子の中には指導者、団長等を含んでおるのでございますが、そういうことにいたしまして、身体の健康である者、それから長期の旅行の集団的な行動に耐え得る堅実、明朗な性格を有する者、語学力といたしましては、「中学校卒業程度以上の外国語の基本的能力を有すること。」と要綱にはしてございますが、ただいままでのところ、約半数程度が日常自己の用を足すといった程度の青年でございまして、半数あるいは三分の一程度はほとんど会話もできないといったような青年をまぜておりまして、それらの組み合わせによりまして団体行動を十分にやっていく。それから団長が英語ができるといったようなことで構成をして参る。それは大衆青年を送りまして大学卒業生といったようなことが目的になりませんので、やむを得ないことでございます。それから望ましいものといたしまして、先ほど申しましたような、青少年団体または職域等においてグループ活動をしておる者、そうしてこれらから推薦された者、また、名称だけで、これらに属しておると言われても、何の活動もしておらない者もあるやに思われますので、各種団体または職域等の代表として、過去において講習会とか大会とかに出席した経験がある者、こういうふうにして、その裏づけのような意味でそういう条件もつけております。また、望ましくないものといたしまして、過去において自力で外国に行ったことのある者、現に大学に在学中の者——大学生はとらないことにいたしております。それから都道府県会議員、市町村会議員の職にある者、会社員等で将来渡航の可能性のある者、現在の地位、経験、資産等より見て、大衆青年層にあると認めがたい者、それから自己の職業等に関する個人的理由によって参加しようとする者、こういう者は排除する、こういうような趣旨で、都道府県の推薦を待って選考いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/21
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022・西村関一
○西村(関)委員 私はこの青少年の海外交流の問題に関心を持っておりますので、ただいまの点につきまして、過去三年間にどういう地域から、あるいは職業青少年あるいは高等学校の学生、男女別、それからその教育程度、それから帰ってからの成果、そういったような点について、今後のあり方に対する反省をも含めて、資料として、文書で後ほど御提出をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/22
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023・小平久雄
○小平政府委員 資料を提出いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/23
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024・西村関一
○西村(関)委員 それでは、ただいま斎藤振興局長がお見えになりましたから、農林省関係についての御質問をいたします。
先ほど青少年問題協議会から出されました十二項目の中に、農家の後継者の養成、農村に後継者がいなくなってくるということに対して、特別な農業技術を修得さして農家の後継者を養成していくという項目が出されております。また、郷土建設青年隊の構想も、青少年問題協議会から出されまして、過去において農林省が中心になって、農村の次三男対策としてこれが行なわれて参ったのであります。しかし、最近におきましては、農村の次三男問題は、第二次、第三次産業の進展に伴いまして、ほとんどむしろ農村に残る者がいなくなった。長男までも農村から出ていく。青少年の都市集中化という傾向が進んで参っております。こういうような状態の中におきまして、後継者の養成ということは、非常に大事なことであると思うのであります。また同時に、建設青年隊のあり方等につきましても、今日の事態とかんがみまして、どのような対策をおとりになっておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/24
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025・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 ただいま先生から御指摘になりましたように、最近におきましては、農村の青少年、特に農業の後継者となるべき青少年が、非常に減少しつつあるという傾向が顕著に見られるわけでございます。農林省といたしましても、二、三年前におきましては、いわば次三男対策としてこの問題を取り上げておったわけでございますが、今や現在におきましては、後継者たるべき青少年につきましての確保、またはそれに必要な知識、技術の研修ということに重点を置いて、いろいろな施策を進めておるわけでございます。大体の考え方といたしましては、一つには、青少年の団体活動を育成するというような方向によりまして、農業についてとどまろうとする青年、あるいは農業についての技術研修を行ないたいという者に対しまして、団体活動の強化という方向でいろいろな施策を進める、これが一つでございます。他の施策といたしましては、施設を中心といたしました農村青少年対策、これには、たとえば経営伝習農場の施設を活用して実施する、あるいは経営伝習農場のほかに、農村に青年研修館というものを設けておりますが、これらの施設を中心に研修を行なうというように、団体活動の促進と、それから施設を中心とした研修と、大きく分けまして、農林省といたしまして現在とっている施策でございます。
今御質問になりました青年建設隊の今後のあり方をどうするのかということでございますが、青年建設隊は、当初におきましては、府県を中心にいたしまして、隊組織によりまして集団的な研修を一年行なう、また同時に、集団研修を受けた後におきましては、さらに地方の派遣研修を行ないまして、実学をもかねた研修をするということで、当初は出発したわけでございます。その当時におきましては、いわば次三男対策ということが中心であったわけでございますが、昨年度あたりからその態勢を切りかえまして、もっぱら後継者の教育ということに重点を置くというふうに、研修内容も切りかえて参ったわけでございます。三十七年度におきましては、この建設隊の今後の運営として、一応私たちは次のような考え方でいったらどうだろうかというふうに思っておるわけでございます。
すなわち、最近におきまする農村労力の不足というような面もありますけれども、青年自身、機械化に対する非常な大きな関心が高まっておるわけでございます。そういう意味で、建設青年隊は、従来はいわば集団研修、さらにそれを受けての地方派遣研修ということを中心に行なって、農業一般についての知識、経験を修得させるという点に主眼点を置いておったのでございますが、特に青少年の一番関心のあり、また今後大いに推進するであろうと思われる農業の機械化につきまして、これに興味のある青少年、後継者を中心にして研修を行なって参りたい。これは従来の青年隊の一般的な研修に対して、特に青少年の中から、むしろそういう特殊な技術を身につけたいというような希望がありましたこととも相兼ねまして、そういう方向に研修内容を切りかえていきたい。
それから第二点は、やはり最近の高度な成長農産物といわれておりまする畜産であるとか、あるいは果樹であるとか、そういうものに対する関心も非常に高まって参りましたので、そういうものを中心とした経営研修を実行して参りたいということで、大体三十日くらいを単位といたしまして、県の経営伝習農場等におきまして研修をさせるということにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/25
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026・西村関一
○西村(関)委員 いろいろ各般の面にわたって問題が関連がございますから、この機会にいろいろお伺いをいたしておきたいと思います。
先ほど小平長官の御見解にもありましたように、ただ単に現象面に現われているところの非行青少年、あるいは施設に入れられて保護せられておるところの青少年だけを対象にしない、広く一般の青少年の健全育成をはかっていく、こういうことでありますが、同時に、非行青少年対策の充実強化というので、十項目におきましては、施設その他教護施設、保護施設等の充実をはかっていくということがあげられております。私は、非行青少年の対策のために、そのことも非常に大事であると思うのでございますが、今日の非行青少年の対策を目的といたします施設は、私が今さら申すまでもなく、厚生省関係の教護院、教護施設がございます。また、法務省関係の少年刑務所等もございます。あるいは矯正保護院等もございます。そういったような施設に収容いたしまして、そこで教護をはかっていくということに相なると思うのでございますが、これは本国会の予算委員会の分科会におきましても、私は主として教護院対策について厚生省当局に質問をいたしましたが、これは、教護院に収容せられまする対象青少年の数はごく一部分に限られておる。多くのものは野放しにされておる。児童相談所の門をくぐっていろいろな処置を受ける対象青少年の多くが野放しにされておるということが、今日、青少年の非行の問題が非常に深刻な状態になってきている一つの原因であろうかと思うのでありまして、総理府の青少年問題協議会といたしましては、各省に緊密な連絡をとって施設の充実をはかっていくというのでありますが、教護院一つを取り上げてみましても、きょうは厚生省当局はお見えになっておらぬと思いますが、非常に貧弱であります。その充実をはかるということも容易ではないと思うのであります。また、少年院の問題にいたしましても、私は多年保護司をいたしておりますし、また同時に、宗教教戒師をいたしておりますから、施設にもよく参りますから、実情をよく知っております。施設の長はいずれもりっぱな人であって、非常に献身的な働きをしておられますが、職員等につきましては、必ずしも十分であるとは言えない。職員の素質等におきましては、十分であるとは言えないと思うのであります。また、施設の中の設備あるいは処遇、収容児の処遇等につきましては、国の予算等の関係がありまして、はなはだ貧弱であると言わなければならぬと思います。こういうような点につきまして、きょうは法務省当局にお伺いいたしますが、非行少年の取り扱い、特に教育関係方面との緊密な連絡提携、これは文部省との関係もありましょうし、厚生省との関係もありましょうし、労働省との関係もございましょうし、そういう各関係方面との緊密な連絡提携のもとに、非行青少年に対して法務省としてはどういう考えを持っておいでになりますか。同時に、第二点は、法務省関係の施設の現状並びに将来のこれが充実に対する対策という点について、御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/26
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027・福井徹
○福井説明員 少年関係につきまして、各省との関係をどのように持っておるかというような第一の問題点について御説明申し上げます。少年院に収容されております少年は、もちろん収容以前におきましては、家庭裁判所の綿密な調査を受けまして、同時に、少年鑑別所におきましてその資質等の鑑別をいたしました結果に基づいて、少年院送致という処分を受けたものでございますが、私たち法務省において収容いたしました少年院の対象者は、少年院におきまして、いわゆる矯正教育と一言で申しておりまして、いろいろな処遇をいたして、これが教化遷善をはかって、健全な社会人として復帰させるような対策を講じておるのでありますが、その間におきまして関係各省との関連を持ちます諸点は、まず第一に、義務教育の未終了者に対する教育の問題がございます。これにつきましては、少年院法の第五条におきまして、少年院の長が、自己の施設において収容少年に教育をいたしましたその成果に基づいて、それぞれの学年の、あるいは学校の修了あるいは卒業の資格を与える権限が付与されておるのでございます。それにつきましては、文部省の十分な御指導と御連絡とを受けまして、それぞれの必要な科目を履修いたしまして、そして中学何年終了あるいは中学何年卒業というふうな資格を与える道が開かれております。これらにつきましては、主として文部省と緊密な連絡をとりまして、それぞれの施設でその資格が与えられるような措置が講じられておるのであります。
第二点は、収容少年に対して、義務教育を終了したような少年に対しましては職業補導教育を施すことにしておるのでございますが、職業の補導につきましては、従来はただ単に施設内だけで適当なと思われる種目につきまして職業の補導をやっておったのでございますが、さきに職業訓練法ができましたのに対応いたしまして、少年院の対象者に対しましても、その職業訓練法に基づく資格を与えるような職業訓練を施しまして、そうしてそこを卒業した場合には、職業訓練法に定める訓練所を出たと同一の質格、あるいはそれに対応する資格を与え得るような道を開きたいということで、最近少年院の中におきまして、そうした職業訓練法に基づく訓練体系を整えつつあるのでございます。もちろんまだ十全ではございませんが、年次計画に従いまして、それらの充実を目下はかっておるのでございます。これにつきましては、職業訓練法に定めまするそれぞれの所要訓練時間それから訓練の指導者、それから訓練の種目というようなものが一定されておりますので、それらの訓練につきましては、それぞれ関係方面と密接な連絡をとりまして、逐次その整備充実をはかっておるような現状でございます。
また、少年院で成績が良好であります場合に、これが仮退院あるいは一般退院——満期退院と言っておりますが、退院というようなものがなされます場合には、それぞれ退院後の職業あっせん等につきましては、職業安定所その他の機関に密接な連絡をとりますと同時に、保護委員会或いは保護会等の協力を得まして、退院後の就職の道が完璧に達成されますような連絡も十分とっておるつもりでございます。
なお、第二の質問に、施設の状況あるいは職員の状況等の御指摘がございましたが、この点は、まことに御指摘の通りでございまして、必ずしも私たちも現在十分な態勢であるとは申し上げかねるのでございます。施設の面で見ますと、現在少年院の収容人員に対します収容定員と申しますか、この振り合いは、全国的に見ますと、九九%くらいで大体まかなっておるのでございます。しかし、これを地域的に見ますと、必ずしも十分な程度にいっていないのでございまして、これは先般矯正局長からも説明がなされましたように、昭和二十四年の少年法の改正に伴いまして、急激に対象少年がふえるために、それに対応いたしますための応急の処置といたしまして、当時の少年保護団体あるいは旧軍施設等を転用いたしまして、現在の少年院を作った歴史がございますが、その施設が必ずしも少年院の目的に沿って作られていないために、いろいろな点で不備な点がございます。たとえば教室が必ずしも十分でない、あるいは職業補導のための実習工場が十分でない、あるいは施設が老朽いたしておりますために、それを補修し、また新築改善するために相当な費用を加えなければならないというふうな諸条件が蓄積いたしておりますために、現在でもなおそうした老朽施設が完全に一掃されていない現状でございます。それからまた、そうした必要によって少年院に転換いたしました関係もございまして、全国的な配置を見ました場合に、必ずしも適正な配置になっていない。ある地域におきましては少年院が相当たくさんあるのに、ある地域においては非常に少ない施設しかないために困っておるというふうな実情でございます。私たちも、ここ数年間それらの是正をはかりますために、少年院の整理統合、あるいは必要な個所における新設というふうな問題を重点的に取り上げまして、新年度におきましては、青森の少年施設、あるいは北海道の新しい少年施設というふうなものの建設のための予算を一応獲得したわけでございます。これらは一挙にして達成することができませんので、年次計画に基づきまして、逐次これらの改善策を講じておる実情でございます。
また、職員関係でございますが、職員関係におきましても、御指摘のような諸点がございまして、必ずしも、少年院の教官は、技術も備え、また、指導者としての学歴を十分に備えたという人ばかりではございませんが、それでも現在の少年院の実情を見ますと、全国の少年院の職員二千五百九十五名に対しまして、大学卒業者は五百二十二名、短大卒の者は四百十八名、高校卒が千百五十九名、中学卒が四百九十六名というふうな程度にまで向上いたしてきたのでございます。もう一つは、職員の数の問題がございまして、この点につきましても、必ずしも万全ではございませんが、私たちの理想とするところにはまだ近づいてはおりませんけれども、三十三年以降現在までに、約二百名くらいの教官の増員を認めていただいたのでございます。昭和三十七年度におきましても、少年院の教官が三十名の増員を見たのでございますが、これらの増員によりまして、できれば、少年院の教官の現在やっております隔日勤務というふうな実情、あるいは非番であるにもかかわらず、なお居残りをして勤務しなければならないというふうな、非常につらい勤務を要求されておる現状にかんがみまして、今後とも努力いたしまして、少なくとも当直に当たります職員は三部制によってまかなえるように、そして非番、居残りは絶対になさないようにというふうな計画も立っておりまして、逐次これが改善のための予算増員をやっておるのでございますが、国家予算の事情もありまして、一挙にこれを充足することができないという点は、私たちの努力の足りなさも痛感しておるのでございますけれども、今後ますます努力を重ねまして、職員の数、質ともに遺憾のないところまで十分充足していきたい、かように考えております。
〔草野委員長代理退席、中島委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/27
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028・西村関一
○西村(関)委員 法務省当局の御苦心のあるところはよくわかりますが、やはり優秀な人材を矯正施設に送り込むためには、それに応じた待遇をしなければいけないと思うのであります。この種の仕事は目に見えない、いわば日の当たらない場所において非常な労苦を払いつつ、心身を消粍してその職責に当たられるのであります。場合によりましては、二十四時間勤務といったような状態が出ておるのであります。これをなくするためには、三部制にするとかいろいろ配慮しておられるようでありますが、特に待遇等の点につきましては、ほかの公務員の給与の関係もありまして、簡単にはできないと思いますけれども、法務省当局としては、やはり人材を集めるには、特にこういう日の当たらない場所で隠れた働きをしておる人たちに対しては、格段の配慮をしてもらわなければならぬと思うのであります。その点を私は強く要望をいたしておきたいと思います。
さらに、ただいま御答弁の中にありました少年院の中に収容されておる少年の義務教育の問題であります。これは義務教育を終えたもの、中学三年を修了したものと見なすというような計らいを文部省と話し合ってやっておるということでありますが、これは、地方教育委員会の関係において、文部省からそういう指令が出て何らかの計らいをなされておると思うのでありますが、それは当該所在地の中学校の校長の卒業証書が授与されるのであるか、あるいは施設の長がそういう証明書のようなものを出すのであるか、どちらでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/28
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029・福井徹
○福井説明員 ただいま私の説明しました、少年院長が資格を与えることができるという根拠を与えております条文は、少年院法の第五条でございますが、第二項に「少年院の長は、前条各号に掲げる教科を修了した者に対し、修了の事実を証する証明書を発行することができる。」この規定に基づきまして、権限としては、少年院長が卒業の資格証書を与えることができることになっております。ただしかしながら、現実といたしましては、少年院を出ました子供が、少年院長からの卒業証明書をもらいましても、対外的にこれを利用することをなかなかちゅうちょする、そういう点を考慮いたしまして、最近では私たち当局におきましては、施設の長に連絡いたしまして、できるだけ教育委員会あるいは出身地の中学校に連絡をさせまして、どちらかの、たとえば隣接の中学校の分校のような形で出す道を開くか、あるいは出身校の学校の証明書をもらうか、そのいずれかを選ばせるようにして、証明書をとるように指導しておるのでございます。現実は出身校に連絡いたしまして、そして出身校が証書を与えるというふうな道が、最近非常に活発に取り行なわれるようになったのであります。ただ例外的に隣接の学校の資格を与えるようにしております例としては、松本の少年刑務所におきまして、あそこにあります中学の分校として、刑務所内に中学の分校を設けまして、そこを卒業した場合には、これは旭町中学校でございますが、旭町中学校の校長の卒業証書をもらうというような道が開かれておりますが、これは刑務所におきますただ一つの例であります。あとは少年院におきましては、ただいま申しましたように、出身校の卒業証書を、少年院の行ないました学校教育に対して卒業証書を出しておるというふうな道が開かれて、その方が活用されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/29
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030・西村関一
○西村(関)委員 それはまことにけっこうなことだと思うのであります。私はその点を心配いたしております。ただ少年院長の証明では役に立ちません。出所をいたしました少年はこれを使いません。むしろ、それをどこかにしまい込んでしまうか、破ってしまうかで、何にもならぬと思うのであります。そういう計らいがすでになされておるということであれば、私はまことにありがたいことだと思うのであります。実は御承知の通り、養護施設、精薄施設でありますとか、あるいは肢体不自由児施設でありますとかいうような施設に入っております子供の義務教育終了の証書は、近接小学校の校長がその施設の教育を認めて出すということに、文部省との間に話ができておりますが、教護院に収容されている子供にはそれができていないのです。そのことのために、教護院から出ていく少年は非常に苦しんでおります。私は、同じようなことが、少年院に収容されている青少年に対してもあるんじゃないかということを心配いたしておりましたが、ただいま伺いますと、一施設は完全にできておるし、他は出身校から出されておるというような御答弁でありましたから、そういうようなことが法務省関係の施設において行なわれておるとするならば、厚生省関係の教護院の教育に対しても、文部省は当然同じような取り扱いをすべきだと思うのでありますが、文部省の社会教育課長並びに大臣はきょうはおられないようでありますから、私は小平長官に特にお願いをいたしておきたいと思うのでありますが、青少年問題協議会のことが出ております際に、ただいま私の指摘いたしましたような点につきまして、特に閣議その他の場におきましても、こういう不公平な取り扱いが行なわれておるということをお覚えいただきまして、政府のしかるべき善処方をお願いいたしたい。教護院に収容されておるところの児童、施設内の教育が義務教育の過程を終えたものとして認められるような、つまり、法務省関係の施設の青少年に対してなされておると同じような取と扱いが、文部省において行なわれますように、特にその点長官にお願いをいたしておきたいと思います。
次に、私は、冒頭に提示いたしました中央児童福祉審議会に対して、厚生大臣から諮問をする条項等について、本日の朝日新聞の記事を例にとって申し上げたのでありますが、中央児童福祉審議会、中央青少年問題協議会、あるいは各都道府県の児童福祉審議会と青少年問題協議会というもののあり方、この点が重複する面もあり、また、青少年問題協議会設置法の建前から申しましたならば、これはおのずからやはりはみ出ていく分野があって、当然青少年問題協議会の特殊な役割というものがあることは言うまでもありませんけれども、現実の運営の面におきましては、かなり問題があるのではないかと思う。特に地方の青少年問題協議会が、ほとんど地方の児童福祉審議会の裏と表のような関係になっている。あるところでは、厚生課の中に事務所が置かれておって、厚生課の課員が青少年問題協議会の仕事をしている。婦人児童課に置かれているところもある。これでは青少年問題協議会としての本来の任務、役割というものが十分に果たされているとは言えないと思うのであります。またさらに、市町村青少年問題協議会に至りましては、ほとんど名前だけ、看板だけで、働きをしていないという実情じゃないかと思う。看板をあげているところはまだいいので、看板さえあげていない、組織さえできていないというところが非常に多いと思います。こういう点につきましてどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/30
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031・深見吉之助
○深見政府委員 御指摘の第一段の児童福祉審議会とこの青少年問題協議会の関係でありますが、御指摘のような、若干重複をした点もございますが、児童福祉審議会は児童福祉法に定めました児童及び妊婦の福祉に関する指導、調査、審議をするため置かれたものでございまして、これにはおのずからその使命もございます。実は児童福祉審議会の会長が私の方の委員をされておりまして、常に内部的にも密接な連絡がとられ、仕事の重複あるいは競合等を避けることを心がけているわけでございます。
次に、地方におきます青少年問題協議会が婦人児童課にあるために、その任務がややともすると十分行なわれないのではないかという御指摘でございますが、この点はわれわれも当初来いろいろ考えておりまして、でき得るならば知事部局等にあって、強力に知事の政策としてこれが推進されることが必要なんじゃないかというようなことも考えましたが、しかしながら、これは設置の当初におきまして、中央青少年問題協議会は、昭和二十四年設置当時、非行対策を中心にして発足をいたし、また特に、当時の児童福祉の問題と非行対策が重点であった関係から、婦人児童課に置かれたような経緯もございまして、まだそのままの状態で進んでおります。しかしながら、現在まで知事部局総務課あるいは企画課等に置かれました県が数県ございまして、その成績を実は期待して見ておったのでございますが、知事の部局に置くことは、理論的には非常にいいように思いましたが、さて置いてみますと、その担当の人が非常に熱心な、当初の初代の課長のときには、非常に成績が上がっておりますが、かわりますと、逆に常駐の出先と申しますか、市町村等に出先機関を持たない弱点がややともすると暴露するといったようなことで、必ずしも知事部局にあるがために成績が上がると言い切れない点が出て参りまして、また、これを現在静岡県が教育委員会に置いてございまして、社会教育課が青少年問題協議会の事務を行なうことに昨年からなったのでございますが、その際には、もし社会教育課が行ないました場合に、他の部局と連絡を十分にとらなくても、青少年問題は従来の社会教育プロパーの仕事としても成り立ってはないか、であるから、十分にその点を考慮してくれということを申しまして、現在様子を見ておるわけなんであります。私たちは、婦人児童課にあるということは、やや弱いような感じはいたしますけれども、婦人児童課にあるために、どうしてもその他の部局と連絡をしなければ青少協の仕事ができがたいという点が出て参りますので、かえってそういう意味において、婦人児童課にあることも、現在までの状況で必ずしも不適当とも考えないというような感じを持っておりまして、これらの指導面におきまして十分に留意をしてもらいまして、その効果の上がるようにいたしたいと考えておるわけであります。ただ、市町村の場合には、御承知の通り、機構も小さいことでございますし、それぞれの仕事をやっております者が重複して同じ仕事をしておるというような点も出て参りますし、現在のところ、市町村の設置率は約半数の設置率を見ておる程度でございまして、市は半数以上でございますが、町村はまだ四〇%くらいしかございません。そういう関係で、仕事が非常に単純であるということから、ごらんになりますと、割合仕事が行なわれてないという印象をお受けになる場合が多いと思います。われわれも多少さような点は感じておりますが、しかし、最近いろいろの勧奨をいたしまして、市町村の青少協も活発に活動をするような空気がだんだん醸成され、また、世論的にもその必要が高まってきておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/31
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032・西村関一
○西村(関)委員 事務局長はそういう御答弁をなさいますが、私の見るとろは若干違うのでございまして、地方におきましては、同じ人が児童福祉審議会のメンバーでもあり、青少年問題協議会のメンバーでもあり、社会福祉審議会のメンバーでもある。市町村までおりていきますと、同じ人がみんな違った役を兼ねておるという実情でありまして、事実組織が動かないのです。それでまた、組織率の点においても四〇%、約半数だと言われましたけれども、それは福祉事務所単位のものを含めてでございますから、実際の市町村にまでおりていきますと、未組織のところがそれ以上あるというふうに私は心得ておる。なぜできないかというと、屋上屋ではありませんが、もちろん青少年問題協議会設置法の建前に立ってやるのですから、児童福祉審議会等は違った領域があることは、法律の上でははっきりしておりますけれども、実際の運営の面におきましては、事実そういう悩みがある。これは私は卒直に認めていいと思うのです。そういう悩みをどう解決するかということは、あなたの方でもお考えになるし、われわれの方でも考えていかなければならないと思う点なんです。府県の段階におきましても、名前はあっても、事実会議を十分に開かない。毎月開くのが建前であるにかかわらず、毎月開いておるところがはたしてどれだけあるかということです。そういう現状を私どもはやはり卒直に認めて、青少年問題協議会をどう意義づけるかというような取組み方をしなければならぬと思うのでありまして、そういうような点につきまして、神奈川県、その他富山県ですか、特殊な動きも出てきておる。私の申しますのは、どの部局に担当者を置くかということよりは、各地方の青少年問題協議会が独自な事務局を持つ、そして、そこで専心その問題に当たるところの、少なくとも青少年問題協議会だけのことをやる専門の職員を持つだけの予算的な措置、また、そういう人材の養成をはからなければ、機構だけ整備されましても、これは働きを全うするゆえんではないと思うのでありまして、やはりそういう青少年問題協議会に専心できるような人材を養成していくと同時に、そのような人たちを少なくとも府県段階においては一人必ず常駐させるというようなかまえを青少年問題協議会としてはなさらなければならないと思うのであります。その点いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/32
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033・深見吉之助
○深見政府委員 御説の点、まことにわれわれもごもっともと存じます。そのような意味合いにおいて、日ごろ努力をいたしておるわけでありますが、必ずしもまだ十分に参っておらない点もまた認めなければならぬと思います。ただいま御指摘の、専任の職員を置いて強化するということは最も必要と存じますので、われわれも、その点につきましては、都道府県とも十分に相談をいたしまして、努力を続けております。だんだんよくなっておるということだけはお認めを願いたいと思うのであります。なお、本年から、市町村の職員に青少協のあり方、また、その指導面を十分に体得してもらうために、地方におきまして研修の費用をとりまして、ブロック別等において、数回の、できれば全設置職員の研修をいたして参りたい、この仕事は今後とも続けて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/33
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034・西村関一
○西村(関)委員 私は、決して青少年問題協議会が後退しておるとは思っておりません。やはり前進しておると思っております。当局の御努力も十分に認めておるものであります。
最後に、長官にお伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。以上、私が質問いたしまして、また、お答えをいただきました点によって明らかでございますように、青少年の問題は非常に各般にわたっており、また、非常に重要な内容を持っておるのであります。青少年問題協議会の法の建前による任務の重要さというものは、ますますその度を加えて参っておると思うのであります。従いまして、設置法の一部を改正する法案によってうかがえますように、都市に重点をおいてやろう、青少年の都市集中という傾向にかんがみて、五大市にも補助金が出せるようにしよう、こういうお考えのようでありますが、このこと自体に対しては私は反対をいたしません。しかし、同時に、地方の問題も、今質疑応答の中においてもよくわかりましたように、長官よく御存じの点でありますが、非常に大事な問題が含まれておると思うのであります。青少年の将来は、やはり国の将来を卜する問題でございます。これは現象面に現われておるところの非行少年、あるいは肢体不自由児、精神薄弱児の問題等を含めて、やはり非常に大事な問題です。これは一般の青少年の健全化ということを考えて参ります中におきまして、こういうハンディキャップを持っておるところの青少年の問題は、特に国の責任において解決していく施策、政治的配慮は、どれだけ重くなされましても重過ぎるとは言えないと思うのであります。この点は十分にお考え願いたい。同時に、一般青少年の健全育成という点につきましては、各関係方面と緊密な連絡のもとに、国の将来をになう青少年の健全な育成という点につきましては、青少年問題協議会の運営の面を通じまして、格段の御配慮を願いたい。われわれも協力するにやぶさかではありませんが、その点、最後に長官の御決意のほどを伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/34
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035・小平久雄
○小平政府委員 先生のだんだんのお話、よく承りました。いずれも、現在の中央青少協あるいは地方青少協の運営につきまして、最も核心に触れた御意見を拝聴したわけであります。私ども十分これを尊重しながら、ただいまお示しのような方針に従いまして、今後とも努力をいたしたいと存じております。実は、今回の法改正におきましては、とりあえず五大市に、運営費をわずかではありますが補助できるようにいたそうということであります。もちろん、われわれだけの考えからいたしますならば、少なくとも全市くらいに及ぼしたい、こういう考えでございましたが、予算の関係上、とりあえず本年は五大市ということになりました。行く行くはこれを全国的にも及ぼしまして、お示しの通り、国家の将来にとりまして最も重大な問題でございますから、われわれは、全国的に青少年に対する問題が、各方面の円滑な協調のもとに施策が遂行されるという方向に向かいまして、今後とも大いに努力をして参りたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/35
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036・西村関一
○西村(関)委員 最初に申し上げましたように、私は青少年問題協議会に対る質問はこれで終わりますが、その他、訴願制度調査会あるいは税制調査会、港湾審議会、補助金等合理化審議会、輸出会議あるいは同和問題の実態調査、法制局設置法の一部改正といったような内容が残されております。これらの問題につきましては、私はきょう時間がございませんから質問ができません。委員長、これは次会に保留させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/36
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037・中島茂喜
○中島委員長 田口誠治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/37
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038・田口誠治
○田口(誠)委員 重複せる分は省きまして、私から御質問を申し上げたいと思いますことは、今度の総理府設置法の一部を改正する法律案の提案の中には、幾つかの審議会、調査会を新設または延長をする改正があるわけでございますので、まず、この法案をお出しになった経緯と基本的なお考え方をお聞きして、そのあとで、港湾労働等対策審議会と交通基本問題調査会の関係はぜひ質問をしたいと思っておりますので、時間の関係上、なるべく私の方からも簡明に質問をいたしたいと思いまするので、お答えの方も一つそのようにお願いをいたしたいと思います。
まず第一に、この幾つかの審議会なり調査会の新設または延長の法案が出されておるのですが、この内容を見ますると、相当広範囲にわたるものであり、また、各省にわたる内容のものであるわけなんです。それで、この法案をお出しになるまでには、関係各省との折衝とか、そういうような点はどのようになされてお出しになったのか、まず、その経緯をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/38
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039・小平久雄
○小平政府委員 御質問の、今回の法案を提案に至りますまでの各省との折衝の経過ということでございますが、今回新たに設置いたそうといたしますものは、港湾労働等対策審議会、交通基本問題調査会、補助金等合理化審議会、輸出会議、税制調査会、これは従来もあったものでございますが、今回切りかえて新たに設けようとするものでございます。これらでございますが、それぞれにつきまして、これらのどの問題をとらえましても、いずれも一つの省だけでは処理いたしかねるというような問題ばかりでございます。そういう関係から申しまして、申すまでもなく、関係の各省、直接行政を担当いたします各省及び行政管理庁等とも十分話し合いをいたしまして、それぞれの省におきましても、この設置が必要である、こういう結論に達しまして、今回御提案を申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/39
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040・田口誠治
○田口(誠)委員 経緯については、抽象的でございますので、それぞれ各省においでを願ってお聞きをしなければならないので、この点は次に譲ります。
とにかく審議会なり調査会なりというものは、現在二百五十幾つかあると思うのです。従って、なおこれがふやされていっておるというのが実態であるわけなんです。従って、私は、この審議会というもの、また調査会というものを設置する目的、趣旨、これはどういうような趣旨、目的に基づいて設置されるのか、まず、この基本的な面からお伺いをしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/40
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041・小平久雄
○小平政府委員 調査会、審議会等は、お話の通り、現在相当多数に及んでおります。昨年十月の調べによりましても、全部で二百六十七からに及んでおるわけであります。そこで、政府といたしましては、調査会、審議会等は極力これを抑制をいたしていこう、使命の終わったものあるいは活動のあまり盛んでないもの等につきましては、これはもちろん整理をいたしていこうという方針をとっておるわけでございます。その一端として、今回も、先ほど申しました新たに設けようというもののほかに、一面におきましては、総理府関係でも廃止もいたしておるわけであります。そこで、先ほど申します通り、今回設置をお願いしておりますものは、もちろん、その必要性が十分あるというところからお願いをいたしておることは言うまでもございませんが、審議会の性格ということになりますと、おのずからその構成メンバー等によっても若干の相違があるかと思います。審議会の中には、役所の関係の者が入っておるものもあります。民間だけのものもあります。そういう関係で、特に民間の意向あるいは専門家の意向等を広く承って、施策の方向等についてお示しをいただこう、それを総理大臣なりあるいは関係各省大臣なりに、あるいは諮問に応じ、あるいは積極的に建議をしていただこう、こういう建前に相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/41
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042・田口誠治
○田口(誠)委員 総理大臣が直接諮問するという審議会もございますが、審議会を設置する目的、趣旨というものは、これは官界に欠けておる専門知識を民間から補給するというのが目的の一つであり、二つ目の目的としては、民意を行政の上に反映をするということ、それから三番目には、行政の公正、慎重を期するのだということが目的、趣旨だろうと思うのです。従って、この目的、趣旨に沿って現在作られておる審議会が、それぞれ効果を上げられておるかといえば、必ずしもそうでないわけです。実際的に効果を上げておられる審議会なり調査会はございますけれども、多くの審議会なり調査会なるものがこの目的に沿っておられぬと思うのです。この点については、昭和三十年ごろから、各新聞が論説でこの審議会なり調査会を批判をしておりまするが、総理府といたしましては、こういうような新聞等の論説でも批判をされておる、この審議会に対する認識把握というものが、十分になされておらぬのじゃないか、こういうように考えられるわけなんですが、そういう点の調査なり把握というものを、どのような経路をたどって掌握されておられるのか、まず、これをお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/42
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043・小平久雄
○小平政府委員 私の見るところでは、少なくとも総理府に置かれております調査会あるいは審議会というものは、それぞれの設置されました目的に従いまして、十分とは言いかねるかどおか、これは見ようによると思いますが、少なくとも本来の目的に沿ってそれぞれ御活躍をいただいておる、かように私は見ております。ただ、総理府の性格上、他省と比べますと、私のところにあるのが一番数が多いのでございます。いわゆる総合的な関係において審議をしていただくという関係もございまして、私どもの方が一番多いのでございますが、その他の各省庁に置いております調査会等については、これは私の所管ではございませんから、これがどういう成績になっておるか、よく存じません。存じませんが、役所の機構から申しますならば、おそらく行政管理庁の方において、全般的に御検討いただいておることと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/43
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044・田口誠治
○田口(誠)委員 行政管理庁の設置法の改正のときにも、この点をなお明確にお尋ねをいたしたいと思いますが、昭和三十年ころから新聞論説で非常に批判をいたしておる。その内容を拾ってみますると、官界の責任のがれにこの審議会を作っておるのじゃないか、こういうような批判もなされております。それからもう一つは、審議会、調査会なるものが、一つの圧力団体式になっておるのじゃないか、こういう点も指摘されておるわけでございます。こういうような指摘の内容を私どもが考えてみますると、これはやはり相当当たっておる面が多くあるのじゃないか。それから、せっかく審議会を作って答申をしてもらっても、政府は、気に入らぬものは、その答申を行政の上に移していかないという悪い癖があるわけです。そういうことからいきまして、世論の批判を浴びておるということは、ゆがめられない事実であろうと思うわけですが、こういう批判があるということから、総理府の方では、それに対してどのように調査をされて、そして、そういうような実態がないのだということ、あるいはまたそういう事実のなきようにするためにいろいろ手を尽くされておられると思うので、そうした経緯も、この際回答をかねて一つ御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/44
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045・小平久雄
○小平政府委員 ただいまお示しのような各種の批判が、審議会あるいは調査会等に出ておるという事実は、私も承知をいたしております。従って、政府としましては、それらの批判にも十分耳をかしながら、それぞれの審議会等を運営し、あるいはその答申等にも対処して参りたい、かように考えております。
今お示しの、批判の第一である、いわば行政の隠れみのに使っているのじゃないか、こういう点でございますが、この点は、先ほども先生がお示しの通り、問題によりましては、専門家の意見等あるいは一般国民の声を聞く、こういった意味において、この審議会、調査会等が設けられている場合が多いわけでありますので、片方の側だけから見れば、あるいは隠れみの的になっておるという御批判もあるかと思いますが、一面行政の公正を期するために、あるいは行政がこのごろきわめて専門的になりつつありますから、そういう点で識者の意見を尊重してやっていくという点から申しまして、その本来の趣旨に合うように、委員等の選任にも、やはり十分意を用いて参りたいと考えております。
第二の御批判である、圧力団体化されつつあるのじゃないかという御批判でございますが、この点につきましても、今申す通り、審議会、調査会等はどこまでも公正なものでなければならぬことは言うまでもありませんから、その委員の選任等にも十分意を配って、このような御批判の出ないように、私どもとしては意を用いて参りたいと思います。
第三の、答申の尊重の問題でございますが、これは政府といたしましては、もともと審議会というものを置きます以上は、その答申に対して尊重して参ることは当然であると思います。ただ、そうだからと申しまして、答申を全部が全部、また時期的にも一挙にこれを全部採用いたしていくということが、各般の事情からいたしてできない場合もあり得るわけであります。しかし、そういう関係を別にいたしますならば、基本的な考え方といたしましては、どこまでもやはり尊重いたしていく、こういう方針で臨みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/45
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046・田口誠治
○田口(誠)委員 審議会なり調査会なりは、独自の立場に立って調査をしたり、審議したりして、一つの立案をし、答申をしなければならないわけでございますが、現在相当数の審議会は、官庁側の一つのおぜん立てに乗って、そして審議をしている。それから、予備的な検討をしてこないために、思いつきな発言をして、それでオーケーということになっている審議会が相当あるわけです。こういうようなものは、あっても何も用をなさないと私は思うわけでございますので、こういうような審議会に対して、あなたの方ではどの程度把握されておられるか、その把握の程度をお伺いしたいと思います。そういうことは事実あり得るのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/46
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047・小平久雄
○小平政府委員 先ほど申します通り、総理府に置いてあるものにつきましては、私は、それぞれ設置された目的に従って御活動をいただいている、少なくともさように思っておるわけであります。ただ、全般の問題につきましては、これも先ほど申しました通り、全体の審議会なり調査会につきましては、それがどういう活動をしているかは、行政管理庁の方でおそらく御検討いただいていることと思いますので、あるいは後の機会にでも、行政管理庁からお伺い願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/47
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048・田口誠治
○田口(誠)委員 それは後日に譲りまして、総理府の方で現在作っておられる審議会なり、これから作ろうとされる審議会の委員の構成ですが、これは兼務ということはあり得るのですか、その点をお伺いしたいのです。それと申しますのは、私の方で調査をした結果からいきますと、一番多く兼務をしている委員は、十六から委員会、審議会を兼務しておる。それから五つから六つの審議会を兼務しておるというのは、非常にたくさんあるわけなんです。幾ら能力がある方であっても、各種いろいろな行政に対するところの専門知識を官界に補給しようといたしますれば、とてもそんなに兼務しておっては反映できるものではないと思うのです。従って、既往のものと今後作られるものの委員の構成について、お考えを承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/48
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049・小平久雄
○小平政府委員 各種審議会、調査会あるいは委員会、名称はさまざまでございますが、それらの委員の兼務の問題も、ここ一、二年来非常に論議されておる問題であることも承知いたしております。そこで、政府といたしましても、この委員の兼務の問題は、一人の方がそう多くの委員を兼務されるというようなことはなるべく避けて参りたい、こういう方針のもとに、従来におきましても、かりに新しい審議会なり調査会ができる場合に、どうしてもその方に御就任願う方がむしろ適任であるというような場合におきましては、従来の委員の方をあまり兼職が多くなる場合におきましてはおやめ願って、あまり兼職が多くならぬように、こういう配意のもとにすでに実行に移しつつあるわけであります。今後ももちろんそういう方針で参りたいと存じますが、そうかと申しまして、兼務は絶対いかぬ、そういうわけにも参りかねますので、努めて兼務が少ないように私どもとしては今後やって参る所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/49
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050・田口誠治
○田口(誠)委員 総理府関係は相当工合ようやっておるというお答えなんですが、数字は若干実際と相違があるかもわかりませんけれども、私の調査した資料からいきますると、総理府関係は五十六あると思うのです。それから委員の定数も千三百六十五名ということになっております。それから、これは全体的なことでございまするが、十六から二十を兼務しておる人が三名、それから十一から十五兼務しておる人が九名、それから六から十兼務しておる人が四十九名、それから五つ以下の人が二千三百六十四名というような数字が出ております。委員会数も総理府には相当あるのだから、先ほど長官の方からお答えになった、総理府のなわ張りの範囲内においては完全にやっておると言われますけれども、私は一つ一つ指摘をしませんけれども、完全でないわけなんです。従って、そういう点をどう把握されておられるか。把握もされておらずに次の審議会を設置するということになりますると、問題がありますので、そういう把握の程度を、これは長官でなくても、他の局長さんなり課長さんに補佐していただいてもけっこうでございますけれども、やはり把握をされておる範囲を明確に一つお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/50
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051・小平久雄
○小平政府委員 先ほど来申しておりますのは、私のところにある調査会も十分ではないかもしれぬが、それぞれの設置の目的に従って御活躍願っておるというふうに申したのでありまして、完全だとか、そういううぬぼれた認識は決して持っておりません。
なお、調査会の活動の把握という御質問でございますが、一つ一つについて御説明申し上げるのでございましたならば、審議室長等にやっていただきますが、恐縮でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/51
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052・田口誠治
○田口(誠)委員 一つ一つ説明していただけば時間がかかりますので、その点はよろしいですが、とにかく十分ではないけれども、大体工合ようやっておるというのが、お答えの内容だったと思うのです。ところが、今申しましたところの五十六という審議会の中には、私どもの調査の範囲内においては、十分ではないというような表現の程度のものでなくして、非常に悪いものがあるということなんです。不十分なものがあるということなんです。だから、今ここにテーマとして出しておりまする兼務の問題ですが、あなたの方の関係の審議会の委員は、兼務されておられるのは最高幾つくらい兼務していただいてあるのか、まず、これから伺っていきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/52
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053・小平久雄
○小平政府委員 ただいまその資料を持ってきておらぬようでありますから、後刻資料として提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/53
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054・田口誠治
○田口(誠)委員 そういう詳細なことは次の委員会でお伺いいたすといたしまして、今度新設されるところの委員会、審議会の委員の構成の構想、これはどういうような構想を持っておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/54
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055・小平久雄
○小平政府委員 それぞれの審議会あるいは調査会等の性格にもよります。全般的に申しますならば、それぞれの審議会、調査会の目的に従いまして、それらに専門の知識を有せられるいわゆる学識経験者と申しますか、そういう方々、あるいは問題によりましては、その問題と密接な関係のある方々あるいは一般国民と申しますか、一般の方を代表される方、そういった委員が大部分を占めることと存じます。もちろん、その間、総理府に設置されまするこの種の調査会、審議会は、申し上げるまでもなく、行政の面から申しますと、各省にわたるものだけでございます。そういう性格を帯びておるわけです。そういう関係から、関係の各省等の意見も十分尊重しながら、公平に委員を選定いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/55
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056・田口誠治
○田口(誠)委員 僕は、提案される以上、たとえば税制調査会にいたしましても、提案される以上は、官界から何名とるとか、民間から何名とるとか、それとも国会議員から何名入れるとか、こういうような一つの構想なくして、ばく然と調査会なり審議会を作って、法案が通ったらそれから委員の構成を考えてみようというようなことでは、これはやはり完全な目的に沿おうとするところの審議会のように考えられないから、時間がございませんので、今日は一つでもいいですが、あなたの方で答えられる委員会、税制調会にしても、港湾労働等対策審議会にしても、交通基本問題調査会にしても、どれでもいいですが、答えられる委員会の構成の構想というものをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/56
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057・小平久雄
○小平政府委員 それぞれの審議会、調査会につきまして、委員はどういう関係者から選ぶというようなことは、大体の範疇が書いてあるわけでございます。ただ、それを具体的に、おそらく御質問もどういう人をという意味ではないと思いますが、もちろんそこまではいっておりません。先ほども申しておりますように、この法に示されておる大体の選出方法によりまして、適任者を選ぶということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/57
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058・田口誠治
○田口(誠)委員 人名とか、そういうものはわからないと思いますけれども、少なくともこのそれぞれの委員会には、官界出の人を何名とか、民間のそれぞれの通の人を入れるとか、あるいは専門の国会議員の人を加えるとか、それぞれの委員会の構成の仕方があるわけなんです。それで、ここへ提案されておる審議会なり調査会は何名で構成するとか、構成する人員はどういう方面から採りたいということくらいはもうお考えがなければ、こういう提案はできないと思うのです。ただ単に学識経験者ということは、どこの審議会の要綱を見ましても学識経験者とありますが、学識というのはどこまでが学識になるかといえば、地方へ行きますと、高等小学校を卒業した学歴の者も学識経験者の中へ入るわけなんです。そういうことですから、ただ単に学識経験者の中からそれぞれの通の方を採用したいと言われても、今までの審議会が全く有名無実であるという新聞なんかの論調で指摘されておることは、払拭することはできないのじゃないかと思うのです。だから、私は委員会を作るなら委員会を作ってもよろしいと思いますし、審議会で審議することが必要なら審議会で審議することも必要だろうと思いますけれども、今日既存のものにつきましては、具体的に言えば、私は卒直な批判のできる材料を持っておるわけなんです。私はそういう点は差し控えたいと思いますが、ただ、ここへ提案されておるものの人数とか構成とか、その範囲くらいはおわかりになろうと思います。もし長官の方でおわかりがなかったら、他の方でいいと思いますが、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/58
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059・江守堅太郎
○江守政府委員 今の問題についてお答え申し上げます。
交通基本問題調査会は、委員を二十名で行なうことになっております。その人選につきましては、交通事業の関係、それから道路、住宅等の建設の関係業者、あるいは自動車製造業者、それから経済界、金融界の代表、交通安全運動に御関係のある方、それから交通問題につきまして学識経験のある、特にそういう問題を研究されておられる方、そのほか、新聞界あるいは評論界の代表者、さらには、一般的に交通機関の利用者を代表される方を何らかの形で委員にお選びしたい、こういうふうに考えております。
それから港湾労働等対策審議会につきましては、学識経験者と関係行政機関の職員と合わせて二十五人の委員で運営することを予定いたしておりますが、学識経験者といたしましては、港湾労働に関係のある方々、これは主としては労働者の御出身の方ということになっております。それから港湾事業に関係のある港湾業者、さらに港湾利用に関係のある船主等の方々から委員を選ぶ、そしてまた、港湾管理者であるところの都道府県の代表の方々を加えまして、大体二十五人で運営をしてもらう、かように考えておる次第でございます。
補助金等合理化審議会でございますが、これにつきましては、実はまだ最終的にどういう方々をお選びするかというこまかい方針はきまっておりません。問題が問題でございますので、学識経験者の方々、地方財政、国家財政について特に御理解のある方々からお選びしなければならないと思っております。
輸出会議の方は、構成が今までとはだいぶ違っておりまして、これは最高輸出会議と、その下部の輸出会議、このようになっておりますが、最高輸出会議の方は、内閣総理大臣を議長といたしまして、通産大臣を副議長、外務、大蔵、農林、運輸の各大臣のほか、経済企画庁長官と日銀総裁を議員として最高輸出会議を構成する。その下部機構でありますところの産業別の輸出会議につきましては、それぞれ個別的なその産業の輸出に関しまして深い識見を有する方々、並びに関係官庁の局長クラスをもって構成をするということを予定いたしております。
それから税制調査会につきましては、三十七年三月三十一日に税制調査会が終了いたしますが、その最終の御答申におきまして、さらに存続を希望するというようなこともございましたので、これを存続いたしますので、この委員は、またその際新たな見地から多少の入れかえがあるかと思いますが、大体今までの委員の方々のような構成で参ることといたしております。
以上であります。田口(誠)委員 時間が一時までということでございますので、次に保留していきたいと思いますが、また次にお聞きするときに御回答に手間取っていただくと工合が悪いので、ここでちょっと申し上げておきます。一つの例を引きますると、社会保障制度審議会があるにもかかわらず、恩給法の審議会があるとか、関連の委員会があるわけなのです。ただいま二十名なり二十五名なりで構成するということを言われると、このものはおそらく専門的な小委員会式のものができるのじゃないかと思うのです。考え方によっては、社会保障制度審議会があれば恩給法の改正の場合には、やはり恩給関係の通の人が小委員会を作って結論を出して、そうしてその審議会にかけて承認を求めるというような格好で、こうした組織的な運営を行なうのが一番能率的にもいきまするし、相互間の連携もよくとれて、運営がうまくいくと思うので、こういうような点も次のときには掘り下げてお聞きをいたしたいと思いまするので、そういう点の御研究を一つしておいていただきたいと思います。時間がありませんので、きょうはこの辺で終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/59
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060・中島茂喜
○中島委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/60
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061・受田新吉
○受田委員 今度の総理府設置法の改正で、今委員の諸君から指摘されて、それぞれの審議会の内部構成等にも一応触れていただいたのでありますが、それよりももっと根本的な国家行政組織上の問題として、各行政機関に付属機関とかその他の機関を置くことができるという規定があるわけです。その規定そのもののお尋ねをしてみたいと思うのです。総務長官の支配下にある機関として学術会議があるわけですが、これは付属機関とどういう相違を持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/61
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062・高辻正巳
○高辻政府委員 私からお答えさせていただきます。
御指摘のように、総理府設置法には、付属機関とそれから機関というものがございます。これはそのもとをたどりますれば、国家行政組織法の第八条、これは見出しにはいわゆる「附属機関その他の機関」となっておりますが、そこから出てくるわけでございます。そこで、なぜ学術会議が付属機関でなくて単に機関となっておるかということを御説明申し上げればいいのかと思いますが、日本学術会議の方は、その法律の定めるところによりまして、わが国の科学関係の学界を代表する機関として置かれる、それからまた、日本学術会議はその所掌する職務につきまして、「独立して左の職務を行う」というようなことが書いてございます。そこで、そのような日本学術会議というものは、いわゆる八条の機関でありましても、付属機関というのにはどうもなじみがたいのではないかというような性質上の区別に応じまして、単に機関として総理府設置法に掲げてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/62
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063・受田新吉
○受田委員 すでに科学技術会議というものもできているわけです。これもこの法律が根拠になっているわけですが、これと学術会議とそう相違する点はないと私は思います。こういう点におきまして「附属機関その他の機関」として別のものがあるという形でなくして、性格が大体同じようなものであるならば、これをあなたの方で統一されたらいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/63
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064・高辻正巳
○高辻政府委員 ただいま申し上げましたように、それぞれの機関につきましては、率直に申し上げまして、根本的な性質の相違をきわめがたいものもあると思います。しかし、日本学術会議のほかに、たとえば日本学士院とかいうようなものもございますが、こういう日本学士院なんかにつきましては、文部省設置法におきましては機関として、付属機関という中に入れておりません。もっとも文部省設置法では、これは例を引いているだけのことでございますが、「国立の学校その他の機関」という中に学士院を入れておるというようなわけでございまして、やはり学術会議と申しますのは、先ほども触れたことでございますが、日本学術会議法を見ますと、きわめて明瞭でありますように、「日本学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関として、」云々、それから「日本学術会議は、独立して左の職務を行う。」「科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。」というような、わが国の対外的な代表機関たる性格を持っておりまして、「内閣総理大臣の所轄とする。」というような言葉からも推定ができますように、他の付属機関とやはり相当な性質上の区別があるというふうに考えまして、区別が立っておるわけでございます。しかし、お話しのように、他のそれぞれの機関についても相似たものもあるではないか、その辺になりますと、やはりニュアンスの相違ということになるかと思いますが、御指摘の点につきましては、なお今後とも十分に留意して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/64
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065・受田新吉
○受田委員 その国家行政組織法の第八条に規定されている審議会とか協議会というもの、また試験所、研究所、医療施設、こういうものとははっきり区別している。学術会議などというものは、研究所でもなければ、試験所でもないのです。これはりっぱな一つの審議をする機関であり、協議をする機関であるという性格からいえば、当然付属機関として、科学技術会議などと同じ立場で取り上ぐべき性質のものではないかと私は思うのです。これは性質が違いますからね。今のおしまいの「その他の機関」という、試験所でもなければ、研究所とかそういう独特の使命を持って、小じんまりしたワクを持っているものとは違って、少なくとも学術に関係した広い研究をする機関でございますから、こういうものが一方の機関にある、科学技術会議の方は付属機関にある、こういうようなことは、はなはだ統制がとれていない印象を与えるわけなんです。今、何らか問題もひそんでおると思うので、十分検討の要があると高辻次長が言われました。総務長官、高辻次長の説に賛成ですか。——これはあなたの所管ですからね。よその所管じゃない。高辻さん、学術会議は内閣の機関じゃないのですよ。総理府の機関です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/65
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066・高辻正巳
○高辻政府委員 これは申すまでもなく総理府の機関でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/66
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067・受田新吉
○受田委員 だから、総務長官の所管です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/67
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068・高辻正巳
○高辻政府委員 まさに総務長官の御所管ではございますが、一般的な問題でございますので、本来なら、あるいは直接には行管の問題かと思いますけれども、たまたま法制局設置法の関係で出ております関係もございまして、私どもの方の審査の対象でもございますので、私からお答えさしていただきますが、先ほど来申し上げておりますように、科学技術会議もそれの設置法によって設けられておりますし、日本学術会議もその設置法によって設けられておる。そういう形式的な面は同様でございますが、中身におきましては、やはり日本学術会議というようなものは、この法律の中身をごらんいただきますればややおわかり願えると思いますが、「わが国の科学者の内外に対する代表機関」であって、国の所掌事務を分掌しているというような面が皆無とは言えないかもしれませんが、それ自体が代表機関としての独立の目的を持っておる。それからまた、独立して職務を行なうというようなこともございまして、それぞれのニュアンスの相違といえば、実は明確な区別を置きがたい部分もあるかと思いますけれども、やはり相対的にながめてみますと、日本学術会議は、付属機関というふうに言うのは必ずしも適切ではないのじゃないかというような関係から申しまして、国家行政組織法をながめてみましても、「附属機関その他の機関」というような言葉を使っておりますので、日本学術会議につきましては、別個に機関といたしたわけでございます。
なお、お尋ねの中に、それぞれの機関の区分に関連して、その辺の留意をするようにというようなお話もございました。私どもは、そういう点は職掌上当然のことでございますので、御指摘のありました点につきましては、今後も十分な留意をして参りたいと思います。ただいま申し上げた日本学術会議の区別については、ただいまの御説明で御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/68
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069・受田新吉
○受田委員 私も学術会議の設置法を知っておりますが、中身をあなたが今指摘されましたけれども、大体科学技術会議などと大同小異です。これは性格的に研究所あるいは試験所に入れるべき性質のものじゃないですからね。これは法律ができる前後の関係で、今までの行きがかりにとらわれている傾向があるのじゃないか。新しい法律ができるときには、前の法律も整理して、それをまとめていくというような努力をされなければならない。すでに官名なども変わっているのが、そのままに残っておるのがある。人事院の法制局というのは、人事院に前にあったわけですね。それが廃止されておるにかかわらず生きておる。それはこの前指摘した通りです。内閣としても、総理府としても、よほどこの問題は真剣に取っ組んで、あまり法律的に皆さん御存じないからというので、いいかげんにこれを片づけないように、こまかいところにも気をつけて、少なくとも国の最高の行政機関ですから、そこまで万遺漏なき措置をとっておかれることは大事なことだと思うのです。
もう一つ、内閣に憲法調査会というのがあるわけですが、これはどうですか。今の学術会議をそれほど重く見られるならば、内閣の方の機関にされたらいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/69
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070・高辻正巳
○高辻政府委員 これもまた私からお答えさしていただきます。
その前に、日本学術会議と科学技術会議が同じようなものではないかというお話でございます。私は日本学術会議の方から御説明申し上げて、そこは若干の相違があるということを申し上げたわけでございますが、もう少しそれを敷衍して申し上げますれば、科学技術会議設置法によりますと、技術会議のやりますことは、内閣総理大臣が特定の事項についてこの会議に諮問をする、そしてそれに対して答申をするということで、特別な設置法はございますけれども、普通の審議会的な所掌事項になっておるわけでございます。ところが、日本学術会議の方になりますと、先ほども申しましたように、わが国の科学者の内外に対する代表機関として、まず独特の使命を持って置かれたものである、また、科学に関する重要事項を審議し、その実現をはかるということにあると思いますが、それは日本学術会議法の第三条では「独立して左の職務を行なう。」というふうなことが書いてあるわけでございます。そのような点から、性格上の相違を認めることができるのではないかというふうに考えるわけでございます。
それからただいまのお尋ねでございますが、憲法調査会、これは御承知かと思いますが、内閣に置かれている機関でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/70
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071・受田新吉
○受田委員 私がお尋ねしたことにお答えがない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/71
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072・高辻正巳
○高辻政府委員 私のお答えが足りなかったと思いますが、大体行政機構の建前といたしまして、それぞれ各行政大臣が置かれておりまして、所掌事務を分担管理するという建前に相なっておることは御承知の通りであります。従って、いろいろな審議会等を置きますにつきましても、それぞれ各大臣が分担管理する、これは、そういう意味では内閣総理大臣も含めまして申し上げるわけでございますが、そういうような行政を分担する大臣のもとに、それぞれの機構を置くというのが原則でございます。ところが、憲法調査会のようなものになりますと、これを特定の大臣の行政のもとに置くというには、はなはだ適しない問題でございます。問題自体が国の基本法をどうするかということでありまして、きわめて内閣レベルの問題といってもいいような問題かと思いますので、そういうような関係とのかね合いにおいて、内閣に置かれているわけでございます。従って憲法調査会が内閣に置かれていることから、いろいろな審議会を内閣に置くのがいいということには必ずしもならない、やはりそれぞれの審議会なり調査会の内容に応じて、そこの区別は立てるべきではないかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/72
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073・受田新吉
○受田委員 今の次長のお話によると総務長官、あなたは官房長官と比べて、全体的に問題を担当する点においてはだいぶウエートが低いように見えられておりますが、この点はやはりあなたとしてもがんばってもらわなければいかぬと思う。もし憲法調査会が国全体の問題だということになると、総務長官も内閣総理大臣の事務を担当されておるわけですから。憲法調査会を置くとき、われわれは大いに反対をしてきたのです。こういうものが内閣に置かれることは問題だったのです。しかし、事務的な問題としても、総務長官の属する総理府と、それから内閣の番頭の官房長官との比重の相違、つまり、大きな問題は内閣の方、こまかい問題は総務長官の総理府、こういうことで片づけられたのでは機構上問題がある。それはあなたを国務大臣として立てることができる。総務長官の経歴を持った者は大てい大臣になれる。実際なっておる。おそらくあなたも近くなれると思うが、そういう意味で、機構上の問題として、少し取り扱いが軽視をせられておるというような印象を受けるのですが、あなたはそう思われませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/73
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074・小平久雄
○小平政府委員 私の心得ておるところでは、内閣の首班としての総理、あるいは内閣全体のお世話をすると申しますか、その関係は官房でおやりになるし、行政長官としての総理大臣のお仕事を総務長官は管掌をすると申しますか、そういう立場であると心得ておりますから、別段、どっちが重くてどっちが低いとか、そういう立場とは違うのじゃないかと私は心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/74
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075・受田新吉
○受田委員 あなたがいわゆる総理大臣の事務次官で、官房長官が政府次官だというような印象を与えておると了解していいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/75
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076・小平久雄
○小平政府委員 事務次官と政府次官、そういうことじゃなかろうと私は考えておりますが、これは御解釈で、私はさようには別段考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/76
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077・受田新吉
○受田委員 もう一つ、根本的な問題で、これは高辻さんの方に属する役所の問題ですが、内閣法制局という名前にすると、衆議院、参議院の法制局とまぎらわしいのが解決する、ただそれだけの理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/77
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078・高辻正巳
○高辻政府委員 お答え申し上げます。
法制局と申しますのは、これは、御承知の通りはなはだ古い役所でございまして、明治十八年にできましてから、ずっと法制局ということで通って参っております。従って、私どもは、一面には、法制局という名前をそう軽々に変えるべきではないというふうにも確かに考えております。しかし、衆議院なり参議院に法制局が戦後できましてから、非常に名前の上でまぎらわしいということは全く事実でございます。私のみならず、ほかの方におきましても、私どもは何かというと内閣法制局というのが現在の通称でございます。そこで、なぜそうなったかと申しますと、やはり衆議院、参議院に法制局ができてから後のことでありますので、まぎらわしいことが唯一のあれかとおっしゃられれば、やはりその根本の原因はそこにある。やはり衆参両院に法制局がありますから、内閣にあるのをただ法制局というよりは、実際の便宜の問題からいいまして、すでに内閣法制局と一般に通称されております名前をやはり正式の名前とした方がいいのではないかと考えまして、この際、改正につきまして御提案をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/78
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079・受田新吉
○受田委員 そのまぎらわしいという以外に理由は全然ないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/79
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080・高辻正巳
○高辻政府委員 全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/80
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081・受田新吉
○受田委員 そこに問題がある。もう法制局といえば、内閣でもかつて久しく国民に親しまれておる名称です。それを、わざわざ内閣法制局と今ごろになって突然持ち出さなければならないほど、法制局が権威がないものかどうか、ここに一つ問題がある。衆議院にあるから、参議院にあるからというが、衆議院、参議院は衆議院法制局、参議院法制局となっているのです。それに、行政府の機関としての法制局の長官は、すでにずっと法制局長官なんで、何も長ったらしいことを言わなくても一般の人にはわかっておる。こちらの方は長官とは言わぬ。衆議院法制局長官とは言いません。あなたにしても、次長、長官という名称は今日まで親しまれておるのですよ。ただそういう名称の便宜のためにのみということで、軽々しく名称を変えるということは、私は問題があると思うわけです。今、だいぶ検討されたということを承ったのですが、どうしてもこうしなければならないものかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/81
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082・高辻正巳
○高辻政府委員 法制局の名前につきまして、非常に御理解あるお話でございまして、ありがたく感ずるわけでございますが、確かに法制局というのは、先ほども触れましたように、明治十八年からの官制上の名称になっておりまして、今さらこれを変えることについては、若干気にならない点もないではないわけでございますが、しかし、これも、内閣法制局という名称だけを特に変えることを御提案すると申しますよりも、やはりこの際衆参両院の法制局と同じように、やっとのことで同じ四部ということになる機会でもございますので、今まで申し上げましたように、実際の称呼といたしましては、内閣法制局と言われておるようなことでもございますので、この機会に一部名前も改めていこう、これが全くの本旨でございまして、そのほかの何もないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/82
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083・受田新吉
○受田委員 これは政治的な問題ですけれども、閣議において、総務長官及び法制局長官は採決には加わっておりませんか、その発言の地位というものはどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/83
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084・高辻正巳
○高辻政府委員 これは理論上の問題でございますが、閣議は、ただいまお話がございましたように、国務大臣で構成されておりますので、国務大臣以外の人は、たとい閣議に列席することが許されましても、その閣議の構成員でないことは当然でございます。従って、閣議においてその決議に加わるとか、そういうような内閣としての意思決定に加わることがないことは当然でございます。しかし、これも御承知のように、現在内閣官房長官、総理府総務長官、それから内閣法制局長官、副長官もほかにおられるようでございますが、そういう方々が、閣議における審議をスムーズにするといいますか、そこにおける質問とか、いろいろな問題につきましての説明の衝に当たるというようなこともございます。そういうような実際上の必要性から、これに列席をされておるわけでございますが、それはあくまでも閣議の構成員ではないわけでございます。従って、閣議でいろいろなことを議していく上の補佐的な事務をとるにいたしましても、その決定的な事項に、みずから意思決定に加わることはないというような形でございます。きわめて簡単なことでございまして、あるいは御質問のお答えになっていないかもしれませんが、もしそうでしたら、あらためて御質問願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/84
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085・受田新吉
○受田委員 そこで、法制局長官の閣議における発言ですが、これは補佐官として質問があったら答える、それで、法制局というものが、すでに内閣の御用局ということに事実問題としてなっておって、いかに政府の法律解釈などを裏づけするかということで、政府の側に立ってこびへつらう結論を出す。こういうことにきゅうきゅうとしておったのでは、やはり私は法制局の権威はないと思う。由来、御用長官と称せられる傾向が法制局にあったわけですが、これは、閣議において発言の機会などが与えられるために、自然に純理論的な法律論じゃなくして、政治的な配慮で法律を曲げ、曲学阿世な結論を出す、こういうことにならざるを得ないものかどうか、あなたの方では純理論で、法律論で筋を通すことができるのかどうか、どちらですか。そういう場合も、純理論でいける立場が守れるかどうか、これは大事なことですから、あなたは当事者として一つ…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/85
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086・高辻正巳
○高辻政府委員 確かに大事な問題だと思います。しかし、ただいま受田先生は、法制局長官はもっぱら政府の弁護に立っておって、必ずしも筋を通さぬとはおっしゃいませんが、何かその辺に御疑問があるようにおっしゃられたように思いますけれども、私どもが見る限りでは、法制局で審議されましたものが、やはり閣議にいくわけでございまして、その段階に至るまでにいろいろな問題がございます。これは、私どもしょっちゅう当面している問題でございますが、やはり筋を通す上からいって必ずしも適当でない、きわめて典型的に申しますれば、憲法上の問題とかいうようなことになりますと、われわれが自信のないものは、それはやはり通さぬことにしております。従いまして、法制局長官が閣議において、法制局の審議、立案を受けたものについてお話になる場合は、われわれもやはり共同責任の上に立っているわけでございまして、私どもは閣議の議に付されるものが、筋の立たぬものがそこに到達することはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/86
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087・受田新吉
○受田委員 時間が過ぎましたからやめますが、私は法制局というのは、やはり法律を守る立場の役所でなければならないと思います。それが法律を曲げてでも、時の政府に阿附迎合するという行き方は、内閣がかわるごとに法律的解釈がどんどん変わるというようなことでは、問題があると思います。やはり法制局としては、権威を持ってもらわなければならない。そうでなくて、一部をふやして四部にして人員を強化して、そして今の政府の御用的な解釈をするのであるなら、われわれとしては賛成できない。それなら与党の諸君も賛成できないだろうと思う。一応法律解釈としてはやはり筋を通す立場に立って、内閣の曲がった考え方を、今あなたがちょっと触れられた、法制局としてはある程度がんばることがあるようにおっしゃたが、そういう権威を持って法制局はやってもらわなければならない。法律案を出して、人間もふやし部もふやすというこの機会に、そういう決意ができますか。御用機関がふえるということじゃ問題です。われわれは御用機関のふえることに賛成することはできない場合もありますからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/87
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088・高辻正巳
○高辻政府委員 今回の一部増設のことでございますが、これは一つそれなりにごらんいただきたいと思います。実際問題として、御承知だと思いますが、国会に提出する法律案だけを見ましても、非常に数が多うございます。そのほかに政令がございますし、条約の審議、これは国会の御承認を得なければなりませんが、そういうものについて見ますと、ただいままでに大体六百件前後の法律案、政令案、条約というものがございます。そのほかに、法律問題についての意見というものがわれわれの所掌事務に入っておりますが、そういうものが、現在の法制局の機構で申しますと、第一部がそれに当たっております。今申し上げた六百件というのは、二部と三部という二つの部でやっておるわけでございます。国会議員の御提出になる法律案につきましては、衆参両院ではそれぞれ四部が当たっておられるわけでございます。そこで、ただいままで実際上その二部において処理をして参ったのでございますが、しかし、理想的な運営といたしましては、それぞれの参事官が合議をしてやられるような状況が一番理想的な姿で、昔はそれでやっておったわけでございますが、ただいま申し上げましたような事情で、近ごろは担当の参事官が事務官を相手にしてやっておるということでありまして、実際の事務処理上支障がありますので、この際一部を増設していただきますれば、自然部長も一人ふえるわけでございますが、そういうことによって、少なくも部長は、各参事官の審議にそれぞれ目を通す十分の機会が得られるようにしていただこう、そういう意味で、きわめて事務的なお願いでございます。
それはそうといたしまして、ただいまお話がございましたように、法制局のあり方ということについて、非常にごもっともな御注文がございました。私どもといたしましては、従前もそうでございますが、むろん、今後も、事法律を扱っているところでございますから、従前と同様にと申し上げると足りないとおっしゃられるかもしれませんが、私どもの気持といたしましては、そこに何ら一ひたすらやはり法律の世界でのいろいろな問題につきまして筋を通していくということが、われわれの仕事の基本であるということは申すまでもないことでございまして、その点はしっかり今後ともやっていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/88
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089・受田新吉
○受田委員 法制局の職員の採用のときに、非常に公平な人が採用されなければならぬ。参事官、部長にしても、御用的な感覚を持った人があまり就任になると、とんでもないことになる、そういうことも考えられておりますね。——そうですね。
それともう一つ、総理府の関係の付属機関の委員と今度の委員の待遇は全部同じ待遇にしておりますか。委員手当はばらばらじゃございませんね。今度出された港湾の問題、交通の問題、これはみんな委員の待遇は全く同じかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/89
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090・小平久雄
○小平政府委員 委員の手当の問題も一両年来盛んに問題になっておりますことは私も承知いたしております。そこで、これを全般的に統一をはかるべきではないか、こういうことでよりより協議はいたしておりますが、まだ結論には至っておりません。今回設置をお願いいたしております各種の審議会、調査会等については、予算上では大体同じになっております。ですから、大体同じでいくつもりでございますが、全体としての問題もございますので、はっきり完全に全部同じだとも今のところは申し上げかねるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/90
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091・受田新吉
○受田委員 それで、資料をお願いして申しわけないですが、総理府だけでけっこうですから、今改善されている最近の委員の手当の一覧表を、これは簡単にできると思いますから、それと、今度作られる新しい審議会関係の委員構成のお尋ねが今あったのですが、たとえば港湾の場合に、港湾労働者の中からも適任者を学識経験者として採用したい、こういうようなことでしたが、そういうそれぞれ学識経験者として採用される予定の、今御説明されたものよりもっと、この配分等も何%がこういう方面ということも含めて、資料をお出しいただければなおけっこうだと思いますので、委員会構成、政令で出される基準になる事項をお願いしたいと思います。これはできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/91
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092・小平久雄
○小平政府委員 御趣旨に沿うような資料は提出いたしたいと思います。ただ、先ほど審議室長から御回答申し上げました通り、中には、まだ具体的にどの方面から何人というところまで突き詰めてないものもございますので、その辺は一つ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/92
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093・受田新吉
○受田委員 質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/93
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094・中島茂喜
○中島委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、明二十三日十時理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後一時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X01919620322/94
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