1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月二十日(金曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 中島 茂喜君
理事 伊能繁次郎君 理事 内田 常雄君
理事 草野一郎平君 理事 堀内 一雄君
理事 宮澤 胤勇君 理事 石橋 政嗣君
理事 石山 權作君 理事 山内 広君
小笠 公韶君 小川 半次君
大森 玉木君 金子 一平君
木村 公平君 倉成 正君
島村 一郎君 辻 寛一君
藤原 節夫君 保科善四郎君
田澤 吉郎君 前田 正男君
緒方 孝男君 田口 誠治君
滝井 義高君 受田 新吉君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君
出席政府委員
大蔵事務官
(主計局次長) 谷村 裕君
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 平井 廸郎君
厚生政務次官 森田重次郎君
厚生事務官
(大臣官房長) 山本 正淑君
厚生事務官
(保険局長) 高田 浩運君
厚生事務官
(年金局長) 小山進次郎君
委員外の出席者
議 員 石橋 政嗣君
議 員 松平 忠久君
大蔵事務官
(主計官) 岩尾 一君
厚生事務官
(大臣官房人事
課長) 実本 博次君
厚生事務官
(大臣官房総務
課長) 大崎 康君
厚生事務官
(医務局総務課
長) 渥美 節夫君
厚生事務官
(保険局次長) 熊崎 正夫君
厚生事務官
(保険局庶務課
長) 戸沢 政方君
厚生事務官
(年金局庶務課
長) 坂元貞一郎君
専 門 員 加藤 重喜君
四月二十日
委員倉成正君、保科善四郎君及び柳田秀一君辞
任につき、その補欠として木村公平君、田澤吉
郎君及び滝井義高君が議長の指名で委員に選任
された。
同日
委員木村公平君、田澤吉郎君及び滝井義高君辞
任につき、その補欠として倉成正君、保科善四
郎君及び柳田秀一君が議長の指名で委員に選任
された。
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四月二十日
駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す
る法律案(石橋政嗣君外二十一名提出、衆法第
四四号)本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第七一号)中小企業省設置法案(松平忠久君
外二十六名提出、衆法第二六号)
駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す
る法律案(石橋政嗣君外二十一名提出、衆法第
四四号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/0
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001・中島茂喜
○中島委員長 これより会議を開きます。
中小企業省設置法案を議題とし、提出者より提
案理由の説明を聴取いたします。松平忠久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/1
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002・松平忠久
○松平議員 ただいま議題となりました中小企業省設置法案の提案理由を御説明いたします。
本法律案もまた、中小企業基本法案と密接不可分の関連法として、本院に提出いたしておるのであります。
中小企業省を設置し、中小企業大臣のもとに、抜本的、強力な政策の実施されることは、全国中小企業者が、長年にわたり切実に待望して参ったところであります。
現在の中小企業庁は、その機構がきわめて貧弱であるばかりでなく、大企業の代弁機関と化しておる通商産業省に完全に隷属しておるのであります。このために、従来、中小企業庁が、中小企業者の輿望をになって、せっかくりっぱな施策を立案し、あるいは適切妥当な予算を要求いたしましても、大企業の立場から、あるいは通産省全体のワク内において、事前に葬られてきたのであります。
これでは、中小企業者の意見、要望を真に反映し、その利益を擁護する機関は、現在の政府にはないといっても過言ではないのであります。今日農民に農林省があり、労働者に労働省があり、大企業者のためには通産省もあり、ひとり中小企業者のみが、日の当たらないところに置かれており、これに相応する政府機関が欠けているのであります。中小企業者に中小企業省を、そして通産省と対等の立場で、中小企業政策なり中小企業予算について、国政の最高の執行機関である閣議の場において討議されるべきは当然のことであります。
ここに中小企業省を早急に設置し、機構を整備して、中小企業基本法にうたうところの諸政策を最も効果的に実施し、もって中小企業経営の安定と発展に寄与して参りたいと存ずる次第であります。これが本法律案を提出する理由であります。次に、その内容の概要を御説明いたします。
まず第一に、本法律案は、中小企業省の所掌事務の範囲、権限を明確にし、あわせてその組織を定めるものであります。
次に、第二として、中小企業省の任務といたしましては、中小企業者の組織、経営の近代化、振興及び助成に関する行政事務や、基本政策の樹立に関する事務等を一体的に遂行する責任を負うものであります。
第三に、中小企業省の具体的な権限といたしましては、収入、支出に関する事務、職員の人事管理等、通常の所掌事務の遂行に必要な権限のほか、中小企業基本法の施行に必要な権限、たとえば事業分野の確保、設備近代化の助成、組織化の指導助成等があります。さらにまた、中小企業関係機関に関し必要な権限を有することといたしておるのであります。このため、たとえば、従来中小企業庁の所管の外にありました中小企業退職金共済事業や国民金融公庫に関することも、中小企業省の権限事項と相なるわけであります。
第四は、中小企業省の機構についてであります。まず本省には、中小企業大臣のもとに、大臣官房及び振興、組合、経営指導、商業の四局を設置し、大臣官房には調査統計部を設けることといたしておるのであります。
次に、地方にも、支分部局として、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の八カ所に中小企業局を設置し、それぞれのブロックを担当して、本省の所掌事務の一部を分掌せしめることにいたしておるのであります。
さらに、外局として、中小企業基本法に規定する中小企業者と大規模事業者等との間における紛争を調整せしめる機関として、中小企業調整委員会を設置しているのであります。
以上が本法律案の提案理由並びに内容の概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを切望いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/2
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003・中島茂喜
○中島委員長 次に、駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。石橋政嗣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/3
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004・石橋政嗣
○石橋(政)議員 私は、日本社会党を代表いたしまして、駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案についての提案理由と法律案の趣旨を御説明いたします。
周知のように、米国軍隊はすでに日本に駐留して十七年を経過いたしております。外国軍隊がわが国土に駐屯するということは、きわめて不自然なことでありまして、このような不自然な状態は、早晩解決されなくてはならないと考えるのであります。さらに、米国軍隊が駐留いたします結果は、多くの基地労働力を必要とするのでありまして、わが国の場合、日本政府の責任において、危険かつ不安定なる基地労働力の提供を行なってきておるのであります。しかしながら、駐留米国軍の戦略上の変更は直接に駐留軍関係労働者に影響を及ぼすのでありまして、朝鮮動乱当時に二十八万人を数えました駐留軍関係労働者は、今日では約六万五千人に減少しているのであります。駐留軍の戦略のきわめて一方的な変更は、基地内労働の雇用に直接影響を及ぼし、常にその不安がまつわりついているのであります。
しかるに一方、駐留軍関係労働者については、その雇用主が調達庁長官であり、かつ、その職場が危険かつ不安定であるにもかかわらず、その離職後の措置については、何らの積極的な対策もとられておらず、単に駐留軍関係離職者臨時措置法が存するにとどまっているのであります。しかも、この法律による対策すらもきわめて不十分と言わざるを得ないのであります。社会党といたしましては、このような現状にかんがみまして、現行法の一部改正を行なうことによって今までの置き去りにされてきたこれら駐留軍関係離職者の雇用の安定と生活条件の向上をはかることが必要と考えるのでありますが、これが本法律案を提出する第一の理由であります。
次に、駐留軍関係離職者に対する特別給付金の支給は、現在の法律では、去る昭和三十二年の岸・アイク声明による大量解雇以前の労働者のみを対象としているのであります。従いまして、昭和三十二年六月二十二日以降の雇用にかかる駐留軍関係労働者に対しましては、何ら適用が考えられておらず、これらの労働者についてはきわめて不公平な扱いがなされているということであります。これが本法律案を提出する第二の理由であります。
さらに、現在の法律は時限立法でありまして、昭和三十八年五月十七日をもって失効することになっております。しかしながら、現行法が失効いたしますと、昭和三十八年五月十七日以降には、今日でも不十分とされている駐留軍関係の離職者対策すらなくなるのでありまして、これらの職場に就労する労働者にとってはきわめて不安を与えているのが現実であります。このような現状にかんがみまして、本法の期間延長をはかるのが本法律案を提出する第三の理由であります。
次に、この法律案の概要について説明を申し上げます。
まず、第一に、現行法の有効期間を五年間延長いたしまして、昭和四十三年五月十七日まで効力を有することといたしました。
第二に、特別給付金の支給についての現行法の制限条項を撤廃いたしまして、昭和三十二年六月二十二日以降の雇用にかかる労働者につきましても、支給が適用されるように改正いたしました。第三には、駐留軍関係離職者が公共職業訓練所において公共職業訓練を受ける場合には、現在支給されている費用のほかに、別居手当、技能修得手当をもあわせ支給することといたしました。さらに、当該労働者を公共職業安定所の紹介によって雇用する事業主に対しては、炭鉱離職者並みの雇用奨励金を支給することといたしました。
以上が、本法律案の概略でありますが、顧みますれば、駐留軍関係離職者及びその労働者に対する施策は、その雇用責任が政府自身にあるにもかかわらず、きわめて貧しいものであったということであります。この際、政府といたしましてはその非を省みて、これら労働者の不安定の雇用状態を根本的に是正して、健全な職場への計画的な再雇用を促進して、これら労働者の生活の保障を行なうことが肝要かと存ずるのであります。
何とぞ慎重審議の上、本法律案に御賛同下されんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/4
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005・中島茂喜
○中島委員長 以上で両案の提案理由の説明は終わりました。
両案に対する質疑は後日に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/5
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006・中島茂喜
○中島委員長 厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前会に引き続き、質疑を継続いたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/6
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007・滝井義高
○滝井委員 厚生省設置法の一部を改正する法律案について御質問をいたしたいのですが、大蔵省の主計局長を一つ適当な機会にお呼び願いたいと思います。
まず第一に、今回の厚生省設置法の一部を改正する法律案の重要な問題は、社会保険において経営と監督とを分離するということが主たることになっておるようでありますが、運営と監督を分離するというその具体的な目的は一体どこにあるのかということなんですが、これをまず御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/7
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008・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 厚生省の組織の現状から見まして、現在、御承知のように、医療保険につきましては、大体保険局でこれを取り扱っておるわけでございます。また、国民年金につきましては、年金局がつかさどっておるわけでございますが、このいずれをとって考えましても、今後さらに改善をし、向上をさしていかなければならない問題がたくさんあるように思うのでございます。同時にまた、現業の部面におきましても、行政能率の向上でありますとか、サービスの改善でありますとか、改善を要する点も多々あると思うのでございますが、現在の組織機構におきましては、いわゆる監督あるいは企画という仕事と現業の仕事が同じ部局で行なわれておりますので、今かかえております幾多の問題を解決して前進して参ります上におきましては、非常に不都合を感じておるような次第でございますので、この際経営と監督の分離と申しますか、いわゆる現業部門と監督、企画の部門を分けまして、それぞれその仕事について一そうの成績を上げて参りますようにいたしたいと存じまして、この法案を提出いたしたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/8
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009・滝井義高
○滝井委員 医療保険は保険局で、年金は年金局でと言うが、医療保険ばかりでなくて、年金も保険局でやっておるわけです。これは大臣、間違いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/9
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010・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/10
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011・滝井義高
○滝井委員 従って、監督と企画、現業の仕事を同じ部門でやっているので、前進上なかなか不都合が多い——一体社会保険の前進上どういう不都合が生じておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/11
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012・高田浩運
○高田政府委員 保険局の分野について申し上げます。御承知のように、疾病保険の部門につきましても、あるいはまた現在管掌しております長期保険の分野につきましても、非常にたくさんの問題をかかえております。一方また、保険料の徴収、保障、給付といった面の現業も管掌しております。実際問題として、いわば一つの頭を二つにも三つにも使っておる。俗っぽく言えば、そういう状態になっておりまして、制度の面においていろいろ考えなければならない面があるにもかかわらず、その方も十分のエネルギーが注げない格好になっております。また、現業部門、これは一般の国民と非常に関係の深い部門でありますが、この方面においても十分目が届かないというような現状でありまして、この際、そういった制度の部門と実際の現業の部門を切り離すことが、仕事を進める上からいって非常に緊切なことと考えるのでございます。
次に、医療保障の問題でございますが、現在は、一つの保険局において、医療担当者に対する指定、あるいは指導監督事務も行なっておりますし、一方において政府管掌の健康保険を初めとして、各種の政府管掌の保険をつかさどっているわけでございます。すなわち、それらの保険における収支のバランスをにらんでおるわけでございます。その関係からいたしまして、医療費の改定というものが、そういった政府管掌の、政府の現業として行なっております各種の保険の財政状況等に引っぱられまして、というような誤解も生じやすい状態にあるんじゃないかと思います。これらはやはり総合的な立場で、医療費の改定、あるいは決定等も行なえる態勢にする、そういった現業のバランスと切り離した立場で行なえるような状態にすることが、やはり今後社会保険を円滑に進めていく上からいって非常に必要なことだ、かような考え方に立脚をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/12
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013・滝井義高
○滝井委員 今の答弁はちっとも理由にならぬですよ。いいですか、医療の面で指導、監督、指定、政府管掌健康保険の各種の収支のバランス、こういうものはみんな保険局がやるんですよ。今度分離した現業がやるんじゃないんです。みんなあなたの保険局がやる。それから医療費の改定の問題というものは、何も現業がついておったって、今度調査会ができるんですから、ちっとも関係ない。それだったら調査会は要らない。臨時医療報酬調査会をお作りになるでしょう。だから、これも理由にならない。それから制度の部門と現業の部門の分離が仕事を進める上に必要だ、こうおっしゃる。一つの頭を二つ、三つに使うとなかなか頭が回りかねるというようなこと、こんなことはちっとも分離する理由にならぬですよ。もしあなた方がほんとうに疾病部門、あるいは長期保険に非常にたくさんの問題をかかえている、保険料の調定、それから徴収、給付、ここに一つの問題があるとすれば、保険料の調定やら、それから徴収やら給付、これは現業がやるところです。しかし、今まで保険料の徴収やら調定、給付に問題の起こったことはないんです。保険料の徴収というものは、現実に九十何%とずんずん上がってきている。そうすると、まず第一の疾病部門、長期部門に非常にたくさんの問題をかかえておるということは、何も現業と分離したって大して関係ありゃしない。これはすでに、あなた方の頭を使うばかりじゃなくて、社会保障制度審議会があるし、医療制度調査会があるし、それぞれ外の頭をかりてそれで判断していく、こういう制度ができているんですからね。そのために汗牛充棟もただならざる委員会が二百有余もできているんですよ。厚生省だけでもずいぶんできている。だから二つ、三つ頭を使わぬでもいいんです。一つの頭できちっと料理をしていく政治力と腹がないところに問題がある。池田内閣の社会保障政策がきちっとしないところに問題があるのであって、現業と監督を分離しなければ日本の社会保険は動かぬという問題はないですよ。今の説明では理由にならぬですよ。しろうとじゃないのですから、理論的に納得のいくようなことを言わぬと、簡単に通らぬですよ。こちらもきちっと勉強してきているんですから、高田さんももう少しきちっと納得のいくように説明しなければ、今の理論では、一体何のために経営と監督を分離をしなければならぬのか、差し迫った医療費の総合調整その他の大きな問題があるときに、一体何であわてて分けなければならぬのかという理由がちっとも出てこない。きのうも大石君が指摘をしておったが、医療法の改正を出すと、医療制度調査会でやっておるのだからしばらく待ってくれ、こういうことでしょう。総合調整を早くやれと言えば、総合調整は今社会保障制度審議会に頼んでいるからちょっと待ってくれ、こういうことです。総合調整の見通しがつかぬうちに、こんなちゃちな分離をしたって意味がないですよ。だから、もう少し私に納得のいくようなことを言わないと、私、二時間でも三時間でも食い下がりますよ。今のような理由ではだめです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/13
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014・高田浩運
○高田政府委員 一つ誤解があるのではないかと思います。政府管掌の健康保険の収支のバランスにつきましては、これは保険庁の、外局の方の責任となるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/14
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015・滝井義高
○滝井委員 それを今度きちっと監督して見定めるというのは、やはり保険局がやることですよ。保険局がやらなければいかぬ。外局にまかせっきりでほったらかすというわけにはいかぬ。やはりあなたの頭を使うのですよ。赤字が出ても何が出てもほったらかすというわけにいかない。厚生保険特別会計の経理は、なるほど今度できます外局にいきますよ。しかし、今度経理の方の予算をとったり何かするのは、あなたの方の頭なんです。だから、その点は今までとちっとも変わらないのです。あとでもう少し具体的に入りますが、ちっとも変わらない。これは全部下部まできちっと公社的なものにすればまた別です。外局なんというものは、世間の常識を聞いてごらんなさい、やはり厚生省のものだとしかみな思いはしない。今の説明では納得がいかないですよ。大臣、もう少し一つしろうとにもわかり、そして私にも納得のいくような経営と監督を分離する理論的な根拠を明らかにしてもらわなければいかぬですよ。こんなものは理論的根拠にならぬですよ。
〔委員長退席、草野委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/15
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016・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 滝井委員のおっしゃる理論的という問題が、実は私にはよくわからないのであります。私は、現在の厚生省の組織でこのまま続けて参りますよりも、こういうふうな外局を設けていただいて、そうして政府の管掌しておる健康保険、いわゆる現業部門をここで専管をしてもらう、こういう形をとることの方が、厚生省の行政を進めていく上におきまして一そうその成績を上げることができる、かように考えまして、この案の御審議をお願いいたしておるわけでございます。ただ、現在の機構で絶対にやれないとかいう問題ではもちろんございません。ございませんが、こういうふうにしていただけますならば、現業部門の方におきましても、また監督ないし企画部門におきましても、今以上の仕事ができるのじゃないか。つまり、厚生省の現状に即しまして、この機構の改革をお願い申し上げたい、かように考えておる次第でございます。
理論ということでございますが、私は、理論ももちろん大事でございますけれども、実際問題として、このような組織の方がよりいい結果か得られるのではないか、かような考えのもとにこの法案を提出いたしたようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/16
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017・滝井義高
○滝井委員 厚生行政を進める上においてこれが非常によい、こういうことです。従って、厚生行政を進める上によいということは、大臣が行政を運営する上においてもこれが能率的である、きわめて前進的であるということが一つ。それから、そこに従事するいわゆる職員にとっても、きわめて事務が簡素化され、合理的に能率の上がる行政ができるということが一つ。それから同時に、今度はこの社会保険の制度の恩恵を受ける国民なり、あるいはこの制度の中で働く療養担当者にとっても、保険者にとっても、事務が簡素化され、能率的に前進をする、こういう形がそろったときに、初めて今の大臣の厚生省の行政の前進によいという、こういうものさしになるのです。そこで、そういうものさしになるかどうか、私今から一つ一つ、今の三つの点について大臣とやり合ってみて、大臣がわれわれに納得のいくような形で、なるほどこれで大臣の行政も前進する、そこに働く職員もきわめて便利がよくなって、簡素化されて能率が上がる、それから国民も療養担当者も、保険者にとってもいい、こういう結論が出れば、この法案を通していいわけです。そこで、それを一つ一つやります。
まず第一に、今回の保険庁の設置、この現業の状態を見ると、政府管掌の部門だけに集中されている。保険というものは、政府管掌のものだけじゃないです。組合管掌もあれば、共済組合もあるわけです。それらのものは全然触れていない。並立しているのです。一体、こういうことで、社会保険の前進と能率が上がりますか。こういうことで、療養担当者も保険者もみんな便利になってうまくいきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/17
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018・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 御指摘の通りに、今度の機構改革によりまして社会保険庁で担当する部面は、政府の関係する保険に限られておるわけでございます。私は、それだけでも厚生省の行政を進める上におきまして効果があるものと存じまして、この案を出しましたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/18
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019・滝井義高
○滝井委員 では、そうやった場合、今までのあれとどこが違いますか。今まで頭が一つであったものが、今度二つになるのですよ。一つの方がいいじゃないですか。能率が上がるじゃないですか。頭が二つになるんですからね。保険庁ができて、今度は頭が保険局と年金局と、いわば三つになるわけです。今まで二つでよかったものが、今度は三つになるわけです。下部は三つの監督を受ける。いろいろな面で三つに手続その他をしなければならぬことになる。なぜならば、今まで小山さんのところは国民年金だけだけれども、今度は被用者の方の厚生年金も小山さんの方に入るのですから、今度は小山さんの方にも関係ができる。健康保険がありますから、高田さんの方にも関係ができるのです。今度こっちの保険庁もあるのですよ。ところが、保険庁は、それならば二つになればいいのだが、保険庁は一つです。保険庁は今度は年金も保険も一緒にやってしまうのです。なぜ厚生省の年金と保険と一本にして社会保険局としないのですか。現業と監督を分離されるというならば、事務の簡素化をし——きょうの朝日新聞を見てごらんなさい。佐藤喜一郎さんのところに全国の国民から投書がきて、それを発表しておる。何と書いてあるかというと、機構の簡素化、事務の簡素化、責任体制の明確化、これをぜひ一つやって下さいと書いてある。今度の厚生省のやった機構を見ると、事務の簡素化もなければ、合理化もないし、事務の能率化も何にもできていない。頭がただ二つに分かれただけでしょう。足はもとのままですから、一本です。これで厚生省の能率が上がるということはどうしても受け取れない。納得いかないです。今大臣の言うように、これは政府管掌だけだ。組合管掌や国家公務員共済組合は今まで通りですからね。今まで通りでしょう。共済組合は別として、組合管掌は現業には何にも関係ない。そうでしょう。そうすると、組合管掌の被保険者は幾らおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/19
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020・山本正淑
○山本(正)政府委員 今滝井先生のおっしゃられました、現在の社会保険についていろいろ制度がたくさんあるという点でございますが、その点につきましては、御指摘のように、政府管掌のほかに国民健康保険もあれば、また健康保険組合その他の制度があるわけでございまして、それをどういうふうにして総合調整していくかということが当面の課題になっておるわけでございます。そこで、この総合調整は、先ほども御指摘がありましたように、各種の審議会等で御審議願っておるわけでございますが、厚生省といたしましても、それぞれこの総合調整について十分に検討を進め、研究を進めなければいかぬ面があるわけでございまして、それを今度政府管掌の健康保険を管掌すると同時に、そういう制度的な企画立案をやっております保険局なり年金局の機構を、現業とそういう企画部門と分離いたしまして、そうして企画に専念することによって各般の問題を速急に解決していくのが、今大臣の御説明申し上げました趣旨でございまして、その点敷衍して申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/20
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021・滝井義高
○滝井委員 しろうとならごまかされるが、僕はごまかされないのだ。総合調整の問題は、社会保障制度審議会があって、事務局まで置いておりますよ。あなたはかって事務局をおやりになったことがあるでしょう。それから官房に企画室があるのですよ。これをわざわざ作って、ここで総合調整をおやりになっておるわけです。そして、そのうしろの総務課長も室長になったことがある。みんな経験者じゃないですか。小山さんだって官房をおやりになったことがある。それから医療制度調査会の事務局もやはりあるのですよ。何も保険局だけが頭を二つも三つも使わなくったって、保険局は出てきたものをじっくり見てやったらいい。何も高田さんの頭を一つ悩まさなくたって、今度は優秀な、熊崎さんですか、次長がいらっしゃるのだから。これは二つも三つも頭を使わぬでも、一つが頭を使い、別の一つがまた頭を使い、それから企画室が頭を使ったらいい。ここが総合調整をやるのですから、何も保険局で総合調整まで頭を使う必要はない。最後になってから、大臣と一緒になって断を下す頭を使ったらいい。そんなものは、下で幾らも部下がやってくれるのが厚生省にあるのだから。あなた方は何でもかんでも機構をよけい作ったらものができると思うけれども、よけい作ってものができたためしは一つもないじゃないですか。一体、私が代議士になって十年になるが、何が総合調整で厚生省で前進しましたか、何も前進しない。現業と監督を分離したら前進するなんという錯覚を与えることは大間違い。そんなものとは無関係です。それは、結局池田内閣の社会保障制度の政策が、きちっとした一貫性がないことです。歴代の厚生大臣が、あくまで自分の首をかけてもやろうという政治的な熱意がないから、こういうことになるのです。自分たちの政治責任と熱意を放置して、機構が悪いから前進しないなんという、そういうケチな根性を出してはいかぬですよ。これは灘尾さんも反省してもらわなければいかぬ。こんなことであなた方の厚生行政が進むと思ったら大間違いです。一体今の総合調整は、企画室その他でおやりになるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/21
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022・山本正淑
○山本(正)政府委員 先生も御承知のように、総合調整と申しましても、内容的には非常に大きな制度的な問題もございますれば、また、こまかい問題で、しかも、国民の利益に非常に深い関係のある問題もあるわけでございまして、たとえば保険料のそれぞれの保険についての負担の問題といったような問題は、数字的な統計その他によります詳細な資料に基づいて、実情に基づいて討検しなければいかぬ問題等、そういう問題がたくさんあるわけでございます。標準報酬にいたしましても、所得のつかまえ方にいたしましてもあるわけでございまして、そういうような問題については、それぞれの局において数字なりその他を検討して進めなければいかぬ点でございまして、従いまして、保険局なり年金局においてやっていくというのが適当である、かように信ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/22
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023・滝井義高
○滝井委員 その見解は間違いですよ。保険局が保険局という小さな視野でものを見てやっておったから、問題が起こってきたわけです。なぜならば、組合もあれば共済組合もあるのですよ。保険局は政府管掌の健康保険をもっぱら専管をしておるわけでしょう。もちろん、組合管掌もやっております。しかし、そのほかに共済組合もあるのです。従って、総合的な視野に立たなければいかぬというので、あなた方は官房に企画室をお作りになった。そして、ここで総合調整その他をやりましょう、保険局でやると、医務局との関係があって、突っぱり合ってなかなか問題が多い、こういう説明をあなた方はわれわれにした。ところが、今になったら、保険局の方が計数が明るくてなんだから、ここで総合調整をやる、そのときそのときの出たとこ勝負ではだめですよ。それでは企画室は一体何をしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/23
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024・山本正淑
○山本(正)政府委員 先生の御指摘でございますが、私先ほど例を上げましたような事項、すなわち、保険局あるいは年金局それぞれの分野におきまして主管している事項につきましては、それぞれの局がいろいろの計画をし、また案も練るというのが適当なわけでございます。ただ、厚生省といたしましては、医務局、公衆衛生局等との関連事項もあるわけでございまして、それは各行政についてあるわけでございますが、関連する事項につきましては、官房で両方の意見を聞いて適当な調整をしていくのが適当なわけでございますから、そういう方式をやっておりますし、また、厚生省とほかの省との関係につきまして、共済組合その他の問題というようなものにつきましては、厚生省官房が窓口になりまして、そうして各省との関係の連絡に当たる、かような格好になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/24
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025・滝井義高
○滝井委員 それはその通りです。だから、今企画室は何をやっておりますかと言うのです。そういうことをやって、厚生行政の長期計画なんか企画室が作ったのでしょう。あの中を見てごらんなさい。総合調整ということはみんな書いてある。社会保障制度審議会がやるのと同じようなことをやっております。そういうことを保険局は保険局の部面でものを考えていく、福祉そのものの考え方は、井蛙の見、井戸の中からカエルが天をのぞくような見解だといっては語弊があるけれども、それは何といっても見解が狭くなるおそれがある。それから医務局との関係もある。それから保険者、被保険者、療養担当者の突っぱりの関係もある。そうなると、やはり総合的な問題は、どこか別の社会保障制度審議会か企画室あたりでやる方が適当だろうという説明を、あなた方はわれわれに何回もしています。ところが、きょうになったら、経営と管理を分離して、そうして総合調整の問題、これは何も保険だけというのではなくて、「関係諸制度の総合調整」と提案理由にも書いてある。そこまで保険局がやっていると、頭を三つ四つも使わなければならぬ。それは無理ですよと私は言う。そこまで保険局も考えなければならぬから、それを専心にやることは無理ですから、それは官房なり制度審議会にまかせなさい、私はこういうことを今言っている。それはほんとうです。今まであなた方はそれに賛成してきた。きょうになったら、にわかに保険局でみんなやれるようなことを言うけれども、それをやっておれば、その案というものはまたもめます。保険局は独断だ、官僚的だと、療養担当者の団体なりが言わなければ、必ず今度は保険者団体が言う、あるいは共済組合なりが言いますよ。だからその点は、総合調整をやらなければならぬから分離しなければならぬというのは、主たる理由にならない。まあ、いいです。
そこで、そこまでいきますと、少し問題をあとに戻しまして、今度の保険庁というものは、政府管掌の部面だけであって、共済組合、健康保険組合というものはらち外にあるわけです。これはもうちょっとあなた方は考えたはずだと思うのです。いろいろ新聞にも出ておりましたが、この際頭だけを二つに割ったのでは、やはり行政機構というものは、人体と同じように一つの有機的な関係があるわけです。保険局と年金局を、頭をぽっと二つに割って保険庁を作り、年金局と保険局、そして保険局にあった厚生年金を小山さんの年金局に持っていった。今度のやつは、これだけの改革ですよ。だから、頭をぼっと二つに割って、右の耳を左に、耳を二つつけた。小山さんの方に持ってきた。それだけの改革なんですよ。そうすると、首から下は分かれていないのです。今まで通りです。こういう分け方を世に外局というのですよ。そうすると、そういう外局にすぎないものは、これは常識からいったら官庁の一部なんですよ。世の中の常識は、厚生省の一部になっちゃう。あなた方はこれをもって、経営と管理を分離したと高らかに旗を掲げておるけれども、そんな旗は旗にならぬですよ。それならば、なぜ思い切ってずっと下まで二つに分けなかったかということです。末端までどうしてやらなかったかということです。末端までやれなかった理由は一体どこにありますか。ほんとうに名実ともに現業と監督とをきちっとどうして分離できなかったのですか。首から上だけを二つに分けたのでは、これは機能が働かぬですよ。大脳が半分になってくる、働かぬ。しかも、厚生省の中から保険庁の首脳部を供出していくのでしょう。これが通れば、今度は高田さんのところの次長がなくなりますね。一つで足らないと言っていたものを、頭を割って、今度はそれをなくするのですから、なお足らなくなっちゃう。こういう矛盾を平気でおやりになっておる。それから今度総合調整をやるといって、企画室に置いておった優秀な頭脳の審議官をぽんと外へ出しちゃった。それから引揚の方からやはり一人出したのでしょう。頭脳的には保険局が弱体化され、総合企画をやるところの企画室は頭脳がなくなった、こういう実態でしょう。それならば、あなた方が言うように、今後総合調整をやろう、医療内容の改善をやろうというならば、高田さんのところの次長は残しておかなければならぬ。この二点です。
一体、なぜずっと末端まで分離ができなかったかということ。それから優秀な頭脳が今後必要だから、手足まといの現業は外に置いて、頭脳的な強化をやるのだと言ったのだが、知恵袋が一人抜けたら、高田さんは知恵がなくなっちゃう。やはり事務に追われてしまう。保険局の次長というのは、私は知恵袋だと思っておる。そこに並んでおる優秀な人ばかりが歴代の次長をやっておるわけです。そうすると、高田さんは、やはり今までと同じように国会に出てきて、事務的なことに追われて、総合調整だとか、改善だとかいう——あとから企画のことも尋ねますが、企画なんというものは何もできやしない。だから、こういう何かうまいことを言っておるけれども、しりが抜けてしまっておるのです。これをしり抜けというのです。これをざる法というのです。その二点を一つ説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/25
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026・山本正淑
○山本(正)政府委員 ただいま御指摘の点が二点あるわけでございますが、第一点は、御趣旨のところは、地方庁も含めて外局の系統で一本にすっきりされなかったかというような御趣旨だと存じます。御承知のように、政府管掌の各保険の第一線は、各府県あるいは社会保険出張所というような形で、その身分は、国家公務員たる地方事務官ということで運営されておるわけでございます。これにつきましては、いきさつが従来からあるわけでございまして、地方の第一線の地方事務官といった形の職員をはっきりさせたらどうかというような御趣旨の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/26
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027・滝井義高
○滝井委員 そんなことを尋ねておらぬですよ。なぜ下まで割れなかったかということを言っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/27
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028・山本正淑
○山本(正)政府委員 失礼しました。地方の方を含めてと申しますと、現在の、たとえば社会保険出張所というものは、現業事務だけを担当しておるわけでございまして、従いまして、現業を分離いたしますれば、社会保険庁の下部組織ということに実質的にはなるわけでございます。
それから第二点の、この機構を改革するに際しまして、省内の各種のポストをやりくりしたという点でございますが、それぞれ各局内のポストというものは存在意義があるわけでございます。機構改革に際して特にそのための人員の増ということはやらないという観点に立ちまして、機構改革をやる際においては、その省内においてどういうやり繰りをやった方がよりベターであるかという観点、厚生行政を進める上においてよりよいかという観点に立ちまして、踏み切ったというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/28
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029・滝井義高
○滝井委員 下部をどうしてきちっと分けないかというと、社会保険出張所は現業のことしかやっておらぬからと言うけれども、社会保険出張所だけじゃない。県庁だってあるでしょう。どうも答弁にならない。それから人の問題は、どこをどういう工合にしたらベターであるかということで、保険局の次長を回した。そうすると、保険局長のととろは、さいぜんの保険局長の答弁じゃないけれども、事務がもう汗牛充棟ただならざる状態にある。たくさん事務があります。とても一つの頭を二つ、三つ使えぬ、こういうことでしょう。それなのに、その頭を一つとるのですからね。そして、これでベターと言うのだから……。ベターにならぬじゃないですか。高田さん、これで自信がありますか。今後あなたの頭一つで総合調整、内容の改善、それからその各種のものをどんどんやっていく御自信がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/29
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030・高田浩運
○高田政府委員 滝井さんは保険行政は非常にお詳しいのですから、行政の仕事の方も御造詣が深いと思いますが、現在御承知のように、現業部門につきましても、相当私の方としては精力をさかざるを得ない状況にございます。これを第一に外局の方にはずす。それから長期保険と短期保険を一緒にやっておりますけれども、厚生年金を年金の方に移すということで、それからそれに伴いまして、第一線の社会保険出張所等についてのいろいろな問題というのは、これは外局の方に移っていくということで、内局の方の、保険局の仕事というものは、非常にすっきりした形になると私は思います。その意味において、今までよりも非常に合理的になると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/30
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031・滝井義高
○滝井委員 合理的になるかどうか知らぬけれども、あなたが一人でこれから八面六臂の活躍をして、次長がおったよりかさらに能率を上げるということなんですがね、答弁は。そう受け取っておきましょう。そうしますと、今の末端までの保険局のやっている行政の形態を一つ言うてみて下さい。どういう形態がありますか、ずっと市町村の末端までの保険局なり年金局の扱う行政の形を一つ言うてみて下さい、どういう形がありますか。これは一つの型じゃないでしょう。二つも三つも型がありますよ。言ってみて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/31
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032・小山進次郎
○小山政府委員 まず年金部門について申し上げることにいたします。年金部門については、国民年金のうち、拠出制の年金事務や、これの企画関係の仕事、これは年金局でやっております。それから拠出年金の実施のうち、適用、徴収等の第一次的な締めくくりに関する仕事は、都道府県の国民年金課において処理をしております。それからそれの実際の徴収の実務、適用の統括というような仕事は、社会保険出張所において処理をしております。さらに適用の実務と徴収の大部分等は市町村によって行なっております。大へんごてごて申し上げましたが、拠出年金は市町村、社会保険出張所、都道府県国民年金課、年金局、こういう系列でございます。
それから福祉年金は、逆に申し上げて恐縮ですが、市町村において第一次的な事務を行ない、都道府県の国民年金課において、福祉年金に関する決定、支払い、それから各種の指導を行ない、厚生省年金局において、その総合的な企画と指導を行なっている、こういう振り分けでございます。
〔草野委員長代理退席、堀内委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/32
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033・滝井義高
○滝井委員 一つの形態ができてきたのですね。年金局、それから都道府県、社会保険出張所、市町村、こういう形態ですね。
それから今度は高田さんの方、やっている事務は言わなくていいから、どういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/33
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034・高田浩運
○高田政府委員 第一に、健康保険の政府管掌の部門について申し上げますと、これは第一線の社会保険出張所ないし現業を取り扱っております県の保険課、そういったところで資格の得喪の問題、それから保険料の調定、徴収、給付の問題を取り扱っております。その総合的な監督を厚生省でいたしております。そのほかの日雇健康保険、あるいは厚生年金保険等、いわゆる政府管掌のものについては大体同じでございます。
それから国民健康保険につきましては、現実の事務は市町村で行なっております。その監督を第一次的には、都道府県の保険課ないし国民健康保険課で行なっておりますし、その総合的な監督ないし補助事務等を厚生省の本省で行なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/34
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035・滝井義高
○滝井委員 そうすると、結局三つの形態が出てきたわけですね。小山さんの方は、ずっと末端まで貫いていますよ。それから高田さんの方の政府管掌の健康保険は、社会保険出張所までで、市町村はないのです。ところが、今度は国保になりますと、そうはいかぬでしょう。局、県、そして社会保険出張所をぽんと飛んで市町村です。こういう三つの形態になっている。こういう三形態で少なくとも保険局と年金局がやられているわけですね。この現業と監督を分離するということですから、これがすっきりしないと、現業と監督を分離したことにならぬのですよ。それをあなた方は、県以下の、この首から以下は今のままにしておいて、そして上だけやるのですから、従って、末端にいくと三つになってくるわけです。三頭政治です。頭をひねりおるけれども、これはそうなるのですよ。ソビエトの好きなトロイカ方式というやつですね。これは末端にいったらトロイカ方式でやられてしまう。だから、これで一つ証明ができたわけです。小山さんのところは二つに分けた、高田さんのところはトロイカ方式でやっていく。これで行政が簡素化されて能率化するかということです。形式的に見ると、なるほど能率化されているけれども、末端における国民と療養担当者と保険者と——これは保険庁自身が保険者になるのだから、まあいいでしょうが、都道府県に働く職員なんかは、これは大へんですよ。こういうことが今の御答弁ではっきりしてきたのですが、もうちょっと下までどうしてやらなかったのですか。たとえば公社組織なんというのは、国鉄がその例を持っている。あるいは国税庁のような方式だってあるわけです。おやりになろうとするならば、そういうところまで一体どうして踏み切れないのかということです。大臣にお聞きしますが、私はここが一番大事なところだと思うのです。私たちがこの制度改革を認めるか認めないかということは、将来、頭の二つ分離したものが一体発展性をはらんでおるかどうかということなんです、最小限度譲歩してこれを認めるか認めぬかというものさしになってくれば。こういうもののままで発展のないものだとすれば、これはだめです。しかし近い将来公社とか国税庁的なものにやっていって、名実ともに現業と監督を分離するんだという確信があなた方におありになるというならば、これまた少し私も考えを変えなければならぬ。しかし、世の中がうるさくて、経営と監督を分離せい、分離せいといっておるから、うるさいやつをちょっと片づけておけとお考えになったならば、おやめになった方がいい。今度はどうせ厚生年金を一生懸命やらなければならぬのですから、高田さんのところに次長を一名やって、できれば次長を二人くらいにしてあげる。むしろ、この際この法案を撤回してもらって、次の臨時国会に、これは法律を出さなくてもできるのかもしれませんが、次長二名くらいにしてもらって、そうしておやりになるのが、これよりベターであるというのです。あるいは引揚援護の方のそのポストを持ってくる。そして、小山さんの方の年金事務がこれから複雑化するならば、企画室にあった審議官を小山さんの方の次長にする、こういうことにする方が能率が上がる。そしてそのものを専心やらせる。そして総合調整の問題が出たら、そのときに根本的にやりかえろ、こういう考え方の方がよりベターです。私はきのうきょう考えたんじゃない、半年くらい考えたんです。だから、大臣、あなたはどういう形で将来これを前進せしめようとする意図があるのか。ここ一、二年の間に公社とか国税庁方式に踏み切られる意思があるのかどうかということです。発展性のないものならば、たったこれだけのものならば、やめた方がいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/35
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036・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 今度の機構の改正につきまして、地方をどうするかということは、確かに一つの問題点であったわけでございます。いろいろ検討もいたしましたが、現段階におきまして、地方の組織を変えるという結論にまで到達いたさなかったわけでございます。問題は、いろいろ日本の社会保険におきまして沿革もございますし、地方の実情もございますので、現在のような形になってきておると思うのでございます。これをこの際どういうふうに持って行ったらよろしいかということにつきまして、結論を得るに至らなかったわけでございます。これは将来の検討問題として残しておりますが、ただ、こういうことは考えられるだろうと思うのでございます。つまり、現在各種の保険が並立いたしておるわけであります。この保険の総合調整ということが年来問題になってきておるわけでございまするが、この保険の形態が今後変わって参りますれば、また地方の問題にも影響を生じてくるかと思うのであります。現状のもとにおきましては、今直ちに地方の機構を変えるということもいかがであろうか、こういう観点から結論に到達いたさなかったわけでございます。
なおまた、現業と監督、企画等の分離ということをすっきりさせるためには、公社という考え方も確かにあり得ると思うのでございますが、日本の政府の管掌いたしております健康保険の事務につきまして、公社制を採用するということにつきましては、いろいろ検討もいたして参りましたが、まだそこまで私どもといたしましては踏み切るに至っておらないのでありまして、また、公社制必ずしも政府の管掌する健康保険といたしまして適当な形態でもない、そういうふうな結論で、今日のところといたしましては、中央の組織を変えるにとどめておるわけでございます。地方の問題等につきましては、なお今後よく検討をいたしてみたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/36
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037・滝井義高
○滝井委員 公社方式でやった場合にどこに隘路がありますか。頭だけをやるより、公社方式でやった方がすっきりすると思うのであります。一つの隘路としては、なるほど厚生省に兵隊がいなくなる。兵隊といっては語弊があるが、下部末端の役所を持っておることは、その役所はなかなか強いことを意味しますからね。役所のセクショナリズムはよく知っておるから、やぼなことは言いたくないですが、しかし、そういうこともあるでしょう。各省各局でなかなかやりにくいことはある。しかし、この際思い切って日本の社会保障を前進せしめ、ほんとうに経営、監督を分離しようというのならば、公社方式か悪いならば国税庁方式——主税局があり国税庁がある、こういう形の方がもっとすっきりしていますよ。そうすると、公社方式でやったならば一体どこに隘路があるか、国税庁方式でやったならばどこに隘路があるか。それを検討しておるはずです。指摘してみて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/37
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038・山本正淑
○山本(正)政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、各種の案を検討したわけでございます。そこで、今御指摘の公社方式でどうかという点でございますが、公社と通称いわれておりすのは三公社でございますか、どちらかと申しますと、いわゆる公共企業体といわれておるものをさしておるわけでございます。それは大体その事業の企業性に着目いたしまして、その実態に即して能率的な、あるいは民主的な運用をしていこうということで起こったものと思いますが、その主体は公共サービスとしての、どちらかといいますと、権力的でない事業というところに特徴があるかと思います。また一つの特徴といたしましては、独立採算制がとられておると思うのでございます。滝井先生も御承知のように、社会保険につきましては、公権的な機能が非常に強いわけでございます。国の責任において運営いたしておりまして、そうして保険料の徴収につきましても、国税徴収法が準用されておるというような公権的な機能を多分に持っておるのでございます。かつまた、独立採算制というような形にも相なっておらないのであります。そういうような各般の点を検討いたしまして、公社組織というものはとりにくいというふうに今日の段階においては判断をしたわけでございます。
〔堀内委員長代理退席、委員長着席〕
それから、もう一つ国税庁方式という御指摘があったわけでございますが、すべての社会保険が、国が直接経営するというふうな段階に今日なっておらないわけでございまして、この健康保険を例にとって申し上げますれば、健康保険は各種の健康保険組合によって行なわれておる。政府で管掌しておるのは、健康保険、日雇保険、厚生年金といったようなものがあるわけでありまして、今日の段階においては、従来の政府で管掌いたしておりまする各種保険の中央から地方を通じての機構を活用していく。そうして、政府管掌の健康保険につきまして現業分離の形はとるが、末端については一応活用していくというのが、今日の段階として適当であるんじゃないかというふうなことに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/38
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039・滝井義高
○滝井委員 前段の公社方式をとる場合に、その公社が公権的な機能を、逆にいえば持っておらない。従って、社会保険は公権的な機能を発揮しなければならぬから適用しにくい。それから適用しにくい問題は、独立採算制の問題と二点です。これは乗り越えるのにそうむずかしくないような感じがするけれども、一応二点の隘路を反論として出しましたから、それを認めましょう。
そうすると、後段の国税庁方式の場合は、各種の保険があって、健康保険のみだから、どうも工合が悪い。あなた方は将来総合調整をおやりになるのでしょう。総合調整をおやりになるならば、この国税庁方式だってちっとも悪くない。国税庁方式ならば、外局の形態はとっておっても、相当違うわけでしょう。今のような頭だけ二つに分けた、まるっきり厚生省と一体のような——われわれから見れば一体ですよ。特に首脳部を供出していくなんということになると、ますます一体的な感じがする。それならば、国税庁方式に割り切ればいい。これは、あなたと私と個人的に議論したことがあるが、国税庁方式をとった場合に、隘路は一体どこにあるか、結局給与をみな上げなければならぬということだけなんですよ。今都道府県の、地方自治法附則八条の、当分の間国の官吏——当分の間なんですよ、占領軍がやってきて。もう今ごろこれを置いてはいかぬ。自分たちの都合のいい警察だけは、附則七条にあった警察だけはさっさと国のものにして国家警察にしてしまった。そうしてサービス的な、あまり公権を用いていかぬ、国がうんと金を出さなければならぬ、こういうものは、地方自治体に置いておって、身分だけは——給料も出しておりますが、当分の間国の官吏だ、こういう形をおとりになっているわけでしょう。だから、国税庁方式だったら、給料を全国的に一律にしなければならぬ。ところが、今アンバランスだから、どうも困る。大臣、隘路はここだけですよ。そのほかに、国税庁方式をとる場合の大きな隘路というものはないですよ。そうしますと、これはむしろ将来の——私は、今これはおやりなさいとは申しません。幾ら私が無理を言うといっても、大きな声を出してそういう無理までは言いたくない。しかし将来は、公社がいかないならば、何か国税庁方式のようなもので、やはり必ず経営と監督を名実ともに末端まで分離をする。そうして厚生省は、主税局と同じように、企画立案というものに専心をしていく、監督に当たっていく、こういう形態の方がすっきりしてくるのですよ。あなた方が、踏み切るということをここできちっと言えるということになれば、僕らは妥協してもいいと思うのです。ところが、そうでなくて、何か将来もうやむやでわからぬ、今のままだ、とにかく今うるさいからお茶を濁しておけ、経営と監督を分離せい、分離せいと言うから、分離だけはしておかなければという、その声にこたえた、当面を糊塗していく、当面をごまかしていくための提案だったら、私は反対せざるを得ない。これは通してはいかぬ。これをがんばったら、もう通らぬですからね。僕がきょうやるのは、十二時まで、六、七時間分どころじゃない、二十時間分くらい用意しておるから、あしたの朝まで、僕は強いですから、へばりはせぬですから、やりますよ。まあ、大臣の方がおそらく参るだろうと思うんだけれども。そこらあたりは、あなたの方が、必ず近い将来にはやりますという言明をもらわなければ、それをあなたができなければ、やはり総理も一ぺんここに来てもらわなければならぬ。総理に来てもらって、とことんまでやらなければならぬ。今これは日本における池田内閣の四本柱の一つですからね。社会保障というのは、池田内閣が、公共投資、減税、社会保障、文教政策という四本柱を立てているんだから、四本柱の一つですよ。その四本柱の一つがぐらついて、何が何かわからぬ。しかも、その四本柱を運営しささえていく機構なんですから。人間は機構を動かす、同時に機構は人間を動かすという弁証法的な見方をすれば、これは実に重要なところなんです。従って、これは大臣が政治責任を持って、大臣がやめられても、次の大臣にはこれは必ず申し送るという前提のもとに立って、必ず経営と監督をきちっと分離をする方法を、こういうちゃちなものでなくてやるという言明がいただけるかどうかということです。これは五年も十年も先では、私は命がなくなりますから、やはり相当早い機会にきちっとやるということでないと、話にならないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/39
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040・高田浩運
○高田政府委員 まず事務的な問題について、私の方からお話し申し上げたいと思います。
お話しのように、国税庁方式をとるということを考えてみますと、社会保険の場合につきましては、おそらく第一線に税務署に相応する社会保険出張所を国の機関として置き、その上に、それの監督機構としての国税局に相応する何らかの機構を作る、そのほかに、一般の社会保険の事務を扱わせるものを別働隊として別個の機関に置く、そういうような格好になると思います。そうなりますと、やはり相当の規模において増員をしなければならない、こういうことになるだろうと思います。先ほどお話のありました給与の不均衡という点でございますが、これは現在地方事務官という、いわゆる国の職員でございますから、御心配のような不均衡はないと私どもは考えております。そこで、人を相当増員し、機構を相当拡充して、現実そういうような大きな改革をやるかどうかという判断に立つわけでございますが、現在保険のいろいろな問題について問題のありますのは、むしろ中央の問題が主でございまして、地方における実施につきましては、中央の指令に基づいてやっておるわけでございますから、私は、中央ほど地方にそういうふうな大変革を加えなければならない必要性というものは、現実にはそう生じてないんじゃなかろうか、こういうような感じがいたします。従って、中央について改革を加え、地方については、現在決定的な支障が生じてない現状においては、これを一応このままの姿において見守って、将来は保険の今後の行き方等と関連して考究していく、そういうことが現実とるべき手段としては妥当ではないだろうか、事務的にはかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/40
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041・滝井義高
○滝井委員 国税庁方式をとると、結局今の御説明では、給与は国家公務員だからよろしい、隘路は増員をしなければならぬという点だけになってしまった。ここが高田さんと私との感覚の違うところです。国税庁方式にすると、すぐ増員しなければならぬ。われわれは、事務を簡素化し、能率化していくということが前提に出てくるんだから、そんなものは必要ない。なぜならば、さいぜん三つの形式があると言った。その三つの形式の中には、みんな人間が働いているのですから。社会保険出張所でやっていないのは国民健康保険だけなんです。そのかわり、国民健康保険は、末端の市町村にそれだけの事務費を出してやっておるのです。だから、配置転換だってできるのです。事務を簡素化すればもっと簡単になっていく。それから分離した場合に、地方の国税局みたいなものをすぐに末端まで置かなければならぬかどうかという問題は、検討の余地のあるところです。必ずしもそう置かなくてもいいかもしれない。これは知恵のしぼりどころでしょう。社会保険出張所かありますから、末端には全国的にずっと官庁が配置されているのです。そうすると、小山さんの方の方式のような、事務的なことは市町村にやらせるということも可能なんです。たとえば今社会保険出張所のやっているような徴収その他は、企業が源泉徴収して市町村に納めればいいという形態もあり得る。そこらの末端の機構の工夫はできると思う。ただ問題は、現業と監督をどうすっきりとした分離をするかということで、これはすぐ人員の増加につながらぬ。これは現実にその人員でやっているのですから、千人なら千人、四万人なら四万人の人間でやっているのですから、ここはあなたと私の感覚の違うところです。そして現業と監督を分離すれば、当然必然的につながってくるものは、あなたのところのものに書いてある「社会保険現業業務につきその能率的かつ適正な処理を確保する」能率的かつ適正なということになれば、事務その他も簡素化されなければならぬ。そうすると、必ずしも人員の増員にはつながらないのです。だから、私は国税庁方式はいいとは断定はしていません。それも一つです。大体二つくらいしか考えられないのですから、一つに公権力や独立採算制という点について隘路があるならば、もう一つの制度はどうですか。もう一つの制度は、結局人員の増加だけが隘路になった。もう一つ何か言いたいというなら言ってみて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/41
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042・高田浩運
○高田政府委員 国税庁方式に切りかえて、全部国の機関として外に取り出した場合に、結局知事のもとを離れて別個の国の機関を作る、こういうことになるわけでございます。そういたしました場合に、たとえば市町村を使う年金の事務、あるいはそれと関連して保険の関係、こういうものを円滑に行なっていく上において、それが妥当かどうかという問題が一つ残る問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/42
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043・滝井義高
○滝井委員 それは同じでしょう。これは私はあとで出そうと思ったのだけれども、あなたから言ったから……。今知事のもとで保険の事務が非常に円滑にいっておるかというと、行政管理庁の報告その他、あるいは警察庁の報告その他を見てごらんなさい。社会保険関係で一番汚職その他が起こるのはどこかというと、県段階ですよ。これはかって東京都に林天皇といって、都知事の自由にならない保険部長か課長がおったでしょう。そのために、あなたの前の前の局長は責任をとったでしょう。それは県の段階にはあるけれども、県知事は監査ができますか、県議会は保険課、年金課の監査ができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/43
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044・高田浩運
○高田政府委員 仕事の上においてば、これは知事が監督いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/44
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045・滝井義高
○滝井委員 いや、監査ができるかというのだ。できないでしょう。これは保険局長は知らない。できないですよ。こういう形になっておるのですよ。県でいえば外様です。だから、形式的には知事の監督下にあるけれども、身分はみな国家公務員ですから、監査はできないですよ。一番汚職が起こるのはあそこなんですよ。あなたの所管の保険局の中で、一番汚職の起こるのはあそこなんですよ。保険料の徴収その他で一番汚職の起こるのはあそこですよ。これは決算委員会その他の検査報告、行政管理庁の監察を見てごらんなさい。みなあそこですよ。だから、こういう点があるので、今度身分の問題をどうするかということが出てくるのだ。名実ともに知事が監督をする。そうすると、国税庁方式もいかぬ、それから公社方式もいかぬというならば、知事に責任体制を持たせるという身分移管の問題がやはり出てくる。当分の間、附則八条で国の官吏とするということが問題なんです。また、それはあとで入るところだけれども、あなたがうまくいくというから、私は逆に指摘しておるわけです。そして、保険課というのは、治外法権になってしまっておる。だから、治外法権になっておるとするならば、経営と監督をきちっと分離をして、あなたの方が監督を直接にやる。あなた一人では監督が行き届かぬので、今度保険庁の長官を作って、現業の末端まで握ってきちっと監督するわけです。今は知事に監督されるがごとく、保険局長が監督をするがごとくせざるがごとく、年金局長がするがごとくせざるがごとき形になっておる。だから汚職も起こる。治外法権ですよ。あなたがそういうことは認識されておらぬから、ますます起こることになるのだろうが、こういう実態ですからね。どうも僕の方が勝ちですよ。こういう点からいって勝ちです。勝負あったのです。(「それではもうおしまいか」と呼ぶ者あり)今そもそも序論に入ったのです。そこで、高田さん、そういう形になっておりますから、今のように、あなたたちが国税庁方式のことを検討されたと言うけれども、検討未熟です。そこで、これは今大臣に答弁を求めたら、あなたが立ったから、あなたに言いたいのは、この法案をお通しになりたいというのならば、現業と監督ときちっと末端まで分離する。その形式はいろいろあります。そこまでは、われわれは、どうして下さい、こうして下さいという注文はつけません。しかし、現業と監督とを必ず近い将来分離します、そしてすっきりした形でやるのだ。この現業というものは、簡単に言えば、保険者ですから、健康保険組合と同じ形になるのです。健康保険組合連合会、国民健康保険組合連合会と同じ形態をとる。しかし、これは官庁的なものだから、連合会というわけにいかぬから、庁とかなんとかいうのでしょう。公社というか、庁というか、何かしらぬけれども、そういうとにかく役所になるのですから、そういうものになるという言明——今のいろいろ質疑応答を通じても、大臣に御言明できなければ、総理にでも来てもらって、総理に言わなければならぬ、これは四本柱ですから。さいぜん四本柱のことを言っておるのに、局長が答弁したのだけれども、だめなんだから、灘尾さんあたりから明白な御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/45
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046・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 政府委員のお答え申し上げたことと別に変わりはないのでございますが、私が先ほど申し上げました通りに、今後の地方機構をいかにすべきやという問題については、これは検討すべき問題だと考えておるわけであります。公社方式あるいは国税庁方式というようなお話もございましたが、いずれもそれぞれ検討の価値のある問題とは存じておりますけれども、この問題については、今回の場合におきましては、まだそこに到達していないということを先ほど申し上げましたわけでございます。将来の保険の形態とも関連して参ると思いますけれども、そちらの方も進めて参らなければなりませんし、同時にまた、地方の現在の機構は、御指摘のような点も確かに私はあると存じます。あると存じますが、しからば、一挙に地方事務官というものを国家公務員といたしまして——国家公務員には違いないのですが、別のものといたしまして、独立の官署として保険を担当する部局を設けるかどうかということになりますと、現段階においては、少なくともなお検討を要する問題じゃないかと私は思うのでございまして、将来の問題といたしたいと思うのでございます。
これはよけいなことを申し上げるようでございますけれども、まあ、今とは時勢も違いますし、形も違ってはおるのでございますが、御承知のように、健康保険出発当時は、県庁を離れた役所を作ったのであります。現業の保険署という役所を作ってやりましたが、これがずいぶん問題を起こしまして、その当時せっかく独立したものを県庁の傘下に入れてしまうというような処置をとったわけでございますが、これは、今とはもちろん自治体の機構も変わっておりますので、同じようなことを私は申し上げるつもりもございませんけれども、小さな独立した官署として存在させることが今の場合として適当であるかどうか、やはり県庁とか、あるいは市町村というふうな方面との関係もうまく参るような役所にしなければなるまい、かようにも考えますので、この問題につきましては、私は決して逃げ口上ばかり申し上げておるわけではございませんけれども、現段階においてまだ結論が出ない、従って、今後なお検討させていただきたい。こういう問題として御了解をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/46
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047・滝井義高
○滝井委員 理解がいかないのです。それならば、将来の問題として検討するならば、これも将来の問題として待ってもらってもいいのです。それで、待ってもらう理由をもう少しだんだん詰めていきます。だから、八方を一つふさいでしまいます。
そこで、まず頭の中の問題としては、現業と企画部門とを分離したという点については、末端までずっと一つおやりなさいというのだから、分離したというその点については、進歩的であり、前進なんです。私はこれは認めるのです。ただしかし、やり方がちゃちだから悪い、こういう点を指摘しておるわけですから、そこで、今あなた方のやった範囲内でもう少し質問をしていきますと、一体企画とは何ですか。保険庁は政府管掌の健康保険、年金部門だけをおやりになるわけでしょう。この場合、一体企画というのはどういうことを意味するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/47
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048・山本正淑
○山本(正)政府委員 企画とは何かという御質問でございますが、平たく申しまして、いろいろ計画をし、かつ新しい構想を作る、こういうふうに通俗的に解せられるわけでございます。そこで、設置法によりますと、いわゆる内局たる保険局あるいは年金局において企画立案を行なうということに相なっておるわけでございますが、制度的な諸問題というものがたくさんあるわけでございます。この制度的な諸問題について研究をし、また、案を立てていく、かようなことが実態に相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/48
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049・滝井義高
○滝井委員 そこで、政府管掌の保険を保険庁に移していった、そして、ここでも企画をやります。条文を見ると、保険庁でもいろいろと企画をやることになっておる。それから年金局、保険局でも企画をおやりになるわけです。そうすると、年金局なり保険局でおやりになる企画というものは、今あなたのおっしゃったような制度的な問題の企画をやる、こういうことですね。そうすると、制度的な問題の企画というのは、さいぜん冒頭に指摘をしました共済組合制度、組合管掌の制度、こういうものもひっくるめて、あるいはもっとわれわれの主張から言えば失業保険制度、労災保険制度——社会保険庁なんですから、こういう社会保険というのは、これが将来発展的なものになろうとするならば、相当広くなくちゃならぬ。政府管掌部面だけの企画立案というならば、頭が二つ三つあって足らぬという必要はない。そうじゃないと思う。この企画というのは、やっぱり医療保険なり年金保険なりの全部の総合的なものの企画をここでもおやりになるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/49
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050・山本正淑
○山本(正)政府委員 社会保険庁におきましては、健康保険、年金保険、国民年金等の政府の管掌いたします保険を運営するわけでございまして、その保険の政府管掌の事業の運営面における企画というものがあるわけでございます。そこで、内局たる保険局におきましては、健康保険、旦雇健康保険、船員保険、国民保険と、厚生省の主管いたしております保険についての制度的な企画立案ということをやるわけでございまして、従いまして、他の省にまたがった事項について企画をやるというようなことはいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/50
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051・滝井義高
○滝井委員 今の考えは間違っておる。それだと、これは非常に範囲が狭くなってきてしまいますよ。提案理由と違う、あなたの今の御答弁では。私は社会保険庁についてはそうだと思う。政府管掌部面のいろいろな運営上の企画をやると思うのです。しかし、小山さんの方の年金局のいろいろな企画事務と高田さんの企画事務というものは、提案理由を読むと「また、医療保険及び年金制度が整備されるに伴い、近年これら各制度の給付内容の改善及び関係諸制度の総合調整に関する企画事務を推進することがきわめて重要な課題となり、」こうなっておる。こういうこともおやりになるのでしょう。これは大事なところなのです。政府管掌分だけの企画、立案とこう限っていいのですね。そうすると、提案理由を変えなければいけない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/51
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052・小山進次郎
○小山政府委員 問題をやや具体的に申し上げた方が論議が詰まると思いますので、年金部門についてまず申し上げることにいたします。
社会保険庁で行なう年金部門の企画は、たとえば厚生年金や国民年金の実際の支払い事務をどうしていくか、たまたま厚生年金については、現在まだ老齢年金が本格化しておりませんので、支払いは非常に少のうございますが、これが激増して参りますと、この支払い事務をどういうふうにしていくかということが、一つ技術的に大きい問題でございます。国民年金についても、現在は三百万をこえる福祉年金は、郵便局を通じてやっておりますが、拠出年金についてはどうするかという問題が当然あり得るわけであります。こういう問題とか、あるいは記録の事務をどういうふうにしていくかというような、実施に関連した企画が、社会保険庁における年金部門の企画になるわけであります。
それから内局としての年金局における企画は、およその考え方は先生と同じになるわけでございます。まず、厚生年金と国民年金を中心にして、これらの制度をどういうふうに発展さしていくかということを中心にしていろいろと企画をするわけでありますが、その場合の次の段階の一番大きい問題は、財政の問題をどういうふうにするかという問題になると思います。現在積み立て方式をとっておりますけれども、これは先生方かねがね御主張になっているように、もっと大胆に賦課方式を取り入れてもいいじゃないかという議論が非常に有力になっております。こういう問題をどういうふうに解決していくかというようなことを、これは実に容易ならぬ問題でありますけれども、それを一つどうしても企画事務の中に取り込んでいかなくちゃいけない。それから各種年金制度の間にアンバランスが相当ございます。そういうアンバランスについて、どういう姿にすることがいいかということの議論を詰めて、厚生省の所管に属する年金部門については厚生省で結論をきちんと出す、それから共済その他の他省の所管に属する年金制度については、いろいろと注文を出したり、あるいは勧告をしたりして、全体の年金制度として望ましいものになっていくようにしていく、こういう役割をしようというわけであります。ただその場合、そういうことはお前たちの局でやるようなことじゃなくて、社会保障制度審議会なり、あるいは内閣の審議室でやるべきことじゃないかという議論が一応あり得るわけでありますけれども、これは先生御存じのように、年金部門については、相当技術的な解決と数理的な根拠を持った提案でないと問題が進まないわけであります。それにはやはり社会保障制度審議会や内閣の審議室では適当でないので、どこかの省でこれを担当する。ちょうど通算制度について現在で考えられる一応の解決まで持って参ったのでありますが、これはやはりそういうやり方でやったわけであります。その意味において、厚生省所管の年金部門だけでなく、ほかのものにも及び得るわけでありますが、これはあくまで働きかけるとか、あるいは相互の間の連絡の取り持ちをするとかいう役割をする、こういう企画の仕方になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/52
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053・滝井義高
○滝井委員 その通りだと思うのです。そうすると、私と同じです。私はやはりそういうものだと思う。少なくとも日本の各種の短期、長期の保険制度を推進する推進力というか、原動力というものは、私は厚生省の保険局なり年金局だと思うのですよ。従って、あなた方のところで土性骨ががちっとすわったならば、その土性骨のすわった力で他の省を引っぱっていくという形ができなければうそだと思う。それが今ないのです。なぜないかというと、さいぜん言ったように、大臣の腹がきちっときまらぬということです。それから、あなた方は事務に忙殺されてしまって、本格的の企画、立案の頭脳的な働きができないというところに問題があるわけでしょう。そういうものができる形をやはり作らなければならぬ。官房長の今の答弁は、小山さんの弁答とだいぶ違うのですね。あなたは政府管掌の小さいところの企画と言うけれども、この企画というものは、中心は政府管掌のものです。しかし、今や問題は総合調整ですからね。この総合調整をやる場合に、一体どこが一番総合調整のもとだということをお考えになってごらんなさいよ。今われわれが日本の社会保障の中で、短期保険で問題にするのは国民健康保険ですよ。これがやはり総合調整をやる場合に一番のガンですよ。これがポイントなんだから、これを一体どうするかということは、他の制度とにらみ合わして推進していく場合には、これは高田さんの方の頭がぴんと働かなければいかぬ。その次にやはり問題になるのは、長期の保険では国民年金と厚生年金でしょう。国民年金と厚生年金さえもアンバランスがあるんだから、まず内部的な腹を一体どう固めてどう調整するか、これが固まったら、他の恩給とか共済組合をどう調整するか、こういうことになるわけでしょう。そうすると、原動力というものは保険局であり、年金局なんです。ここの点をあなた方はやはり腹を固めておかなければいかぬですよ。私はそれを言いたい。そうすると、あなたの言うように、わが陣営だけを企画、立案すれば、他の方は野となれ山となれというならば、あなたの方はみなおくれてしまう。そこで、私が今言うのは、これは総合調整というものが今後重要になってくるということになると、要るべき人間を外に出して外局を作ること急なるあまりに、みずからの身を削ったのですから、豆を煮るに豆がらをもってする、何ぞその急ならるというのと同じですよ。昔の漢文にちゃんと教えてくれているじゃないですか。高田さんの方から知能を削って、そうして外の経営と監督を分離しなさいというのは、これはまるで豆を煮るに豆がらをもってすると同じ形になるんですよ、私の春秋の筆法をもってすれば。だから、もう少しここらあたりを——今のような重要な問題点があるのですから。企画とは何ぞや、ここですよ。それをおやりにならなければいけない。そうすると、やはり足手まといのものをのけるという、この基本線については、私は賛成です。賛成だけれども、今度は出ていったところで、下部の関係、内局に残ったものと下部との関係が今度は非常に複雑になって、その調整に頭を費やすようなことがあっては、あとでまた触れてきますけれども、大へんなことになりますよ。こういうことを言うわけです。そういたしますと、厚生省の内局に残る分は年金局と保険局になって、そして小山さんの方に、年金局に年金という形で統合しましたね。そうすると、その年金という形で統合した相手方、対象を見ると、これは自営業者と被用者とが一本に今度は入ってきたわけです。しかし、内局から見ると、年金と保険とを引き裂いたわけです。今まで高田さんのところでは、被用者は一本に握っておったわけですが、今度は交錯したわけです。高田さんと小山さんと交錯した形が出てきたわけですね。下部にいくと交錯してくるのです。小山さんの方からもくれば、高田さんの方からもくる。今度は被用者は、年金の場合には、いろいろな問題が小山さんからきます。短期の場合は、高田さんの方からくる。ちょうど交錯した形が被保険者ではあるわけです。ところが、今度は現業の方になると、これは保険庁一本ですよ。それは保険部と年金部が分かれておりますけれども、保険庁という形になると一本になってきているわけです。私はこれをトロイカと言っている。三頭の頭が出てきているということを言っているのです。この一頭からは、外局にできた保険庁からいえば、一本でくるわけです。これは理論的にどうしてこう違えたのですか。だから、現業を分離するということになれば、私は冒頭に指摘したように、あなたの方が保険と年金をお残しになって、そうして年金は年金、保険は保険とお分けになったならば、外局も年金部門は年金部門、保険部門は保険部門、こうお分けになった方が、わかりやすいし、事務も簡単になってくるという感じがするんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/53
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054・小山進次郎
○小山政府委員 先ほどの内局部門の続きでございますから申し上げますと、私ども大体そういうふうになっていると感じているのでございます。本省で医療保険を中心にして保険局、年金保険を中心にして年金局、社会保険庁においての実施事務はこれが全部一本化されて、中において医療保険部と年金保険部に分かれ、人事、会計その他は官房において一本に取り扱われる。従って、考え方としては、大体そういうことで実情に即した整理が行なわれている。それからなお、根本論として、先生にはこういうお考えがあると思うのですが、これはずいぶん論議をしてみたわけであります。対象からいうならば、国民年金と国民健康保険がほぼ同じ対象なんだから、この結びつきが一つ。それから被用者保険は被用者保険ということで、対象を中心にして分けて見るという考え方を一つとってみてはどうか、そうすれば、実施部門においては非常にものが運びやすくなる、こういう意見は、ずいぶんいろ
いろの方面にもあるわけでありまして、先生のお考えにももちろんそういうことが一つおありだと思うのでありますが、これは先ほど来申し上げたように、結局現在の日本で解決していかなければならぬ問題はどっちの問題かということについて、いろいろ論議し合った結果、これがいいということになったわけであります。というのは、これから五年ないし十年は、年金部門についても医療部門についても、特に年金部門については、もう制度的に解決しなければならぬ問題が山積しておって、まだまだ制度そのものが安定した状態に入っていない。そういう状態で実施を中心にした部局の組み方をすると、豊かな構想というものが発展しない。それでは日本の年金制度が進んでいかぬ。ぜひわれわれは、まとめるならば年金部門は年金部門でまとめてほしい。これは私自身が過去三年間国民年金をやっておりまして、痛感したことなんであります。何一つするにしても、すべての問題が関連してくる。どうせやるならば、それは名実ともに責任を持ってやれるような体制が与えられないと、年金の企画を発展しようがない。これは痛感しておるところであります。医療問題については同様の問題がある。こういうことでありますから、私は、この問題も、大体先生が仰せになった通り、われわれの現に御審議願っておる案はそうなっている、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/54
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055・滝井義高
○滝井委員 だから、そうなると、外局は保険庁の長官が一人おって、下に年金部と保険部をお分けになったわけでしょう。それならば、内局もわかりやすいように、ずっと並行していくように、年金局長、社会保険局長、そうして年金部、保険部とお分けになったらいいじゃないか、並行するわけです。そうすると、トロイカにならないわけです。すきっとするのですね。私が言いたいのはそこなんです、すきっとする。ところが、トロイカになっておるというのは、下部に行くと、小山さんの方からもくれば、高田さんの方からもくるわけです。そうして小山さんの方は、今度は被用者は被用者、自営業者は自営業者、こうするのも一つの方法だとあなたはおっしゃったが、全部交錯してくるのです。上からくるのは、私が労働者とすれば、あなたの方の厚生年金もきますよ。高田さんの健康保険もきますよ。あなたの方は、今度は被用者と自営業者と二つ持っておるわけですから。それならば、外も一本なんだから、頭を一本にして保険庁長官、内局は社会保険局長あるいは年金保険局長——保険年金局長でもいいです。そうして次長を二人置いたらいい。保険部、年金部。そうして三人で企画をやっていく。そうすれば、今あなた方二人おるのですから、一人ふえてくる。三人寄れば文殊の知恵です。ここのところが、また役人のいわゆるなわ張り争いになっていると思うのです。外に出るのは一人でいい、またもう一人といえば出さなければならぬ、しかし、うちは今まで通りの既得権はとっておかなければならぬというひそひそ話がおそらくあったと推定されるんです。大臣、こういうところこそほんとうに割り切らなければいかぬ。それが事務の簡素化であり、能率を増進させることになる。私がどうしてこう言うかというと、この点はこの前私が指摘したように、独立自営業者である農民なり中小企業者の長期、短期の保険、すなわち、国民年金と国民健康保険をどう前進させるかということは、今や日本の医療保障の一番の中核の問題です。それを二人に振り分けるのですから、同じ滝井義高という農民に高田さんからも保険の監督が来る、小山さんからも国民年金の監督が来る。これを一本にして、一人の者が年金と保険とを——現業の方はやらせるんですから、企画と立案がどうしてこれができないのかということです。それだったらなお忙しくなって頭が足りなくなるというなら、それじゃ二人の次長を置きましょう、これでいいんです、今まで次長がおるんですから。こういう点だけはもとのまま温存をしているわけでしょう。だから、どうしてもこれは理論の筋が通らない。交錯してしまっている。交錯するから、問題がむずかしくなる。すきっと一人の者が握っていくんです。両頭で行けば——二頭立ての馬車に乗ってごらんなさい。なかなかむずかしい。それをさらにむずかしくなる三頭立てでやろうというんですから……。分けるならばすっと二つに分ける。外局と内局、社会保険局長——社会保険庁長官、主税局長——国税庁長官、こういう形の方がいいんです。あの膨大な日本の財政をまかなう関税というものはそれでやっていっているんですから、それよりか少ない社会保険がやれぬというはずはないんです。こういう点についても、現業と監督を分離するということについては、内局はうまく温存をしているけれども、外局はしぼっているということになる。これは人間の関係だと思いますけれども、だから、外局を一本にする方が能率的なら、内局も一本にする方が能率的です。そうでしょう。企画、立案だけは二本でなければできない、現業の方は一本でいいんだという理論はどこからも出てこないですよ。そういう点は、一つにすると、高田さんか小山さんか、どっちかはどこかに行かなければならぬから気の毒だけれども、しかし、これは個人の問題ではない。池田内閣の四本の柱の一つをいかに太らせ、前進をさせるかという問題につながってきているのですから、これは個人の問題じゃないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/55
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056・小山進次郎
○小山政府委員 滝井先生のおっしゃった考え方も、われわれいろいろな角度から検討いたしました。それで、これはほんとうに滝井先生にすなおに受け取っていただきたいと思うのでありますが、実施部門を一本化することは非常に実益が多いのであります。それから企画部門については、実際問題として、医療保険と年金について一人の頭でおさめて考えていくということができないという、これは先ほど来大臣がほかの場合に申し上げましたように、実際論であります。とてもできるものではありません。下に部下を使えばいいじゃないかという御意見もあるのでありますけれども、現在の年金制度なり、あるいは医療保険における問題というのは、下の者に問題意識を持ってもらって、発想をしてもらって、その上に乗っかっていろいろ意見を言ってまとめていけるというような性質ではないのであります。局長自身がどこに問題があり、どういうふうにしていかなければならぬかということを考えながら、下の人にいろいろ部分作業をさしていくということをしないと、仕事ができぬという実情であります。そういう実情から、これはどうしても医療保険についての責任者、年金保険についての責任者というものが要る、こういうことになったわけでありまして、これはもう私どもが過去においていろいろ体験しました結論で、これ以外にない、こういうことでこういう案になったという事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/56
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057・滝井義高
○滝井委員 昔からわが田に水を引くという言葉がございますから、理論は対立してもけっこうだと思うのです。小山理論は二つが最高だ。私は、国民にわかりやすく、事務を簡素化して、できるだけ税金を有効に使うというのならば、両翼をきちっと置いてやることだ。そんなことを言えば、総理大臣はできない、灘尾厚生大臣はできないということになっちゃう。やはり局長が一人おって、部下に全部やらして、左せんか右せんかというときに、局長がぐっときめたらいいのです。そんなものを局長がピンからキリまでそろばんをはじいてやるわけじゃない。企画、立案は小山さんが一人でやるわけじゃない。そのためにたくさんの部下を税金をもってわれわれはあなたの下につけているんです。それを二人でやらなければならぬということになったら、二人でやらなければできないというのならば、それじゃ二人でもできないのじゃないかと疑いますよ。そうすると、もう一人国民年金局長を、それから厚生年金局長を作らなければならぬのじゃないかと疑われますよ、そんなことを言うと。頭を振っているけれども、対象が違うのです。そこらまではお互いに議論は並行しているのです。答弁はどうですかと求めていないんだから……。
次は、今回の改正によって、やはり機構のあり方というものが、将来の制度のあり方というものに相当な影響を及ぼしてくるわけです。これはもう御存じの通りです。そうすると、現業と監督を分離したということは、考え方によれば、いわば一つの大きな保険省を作ったと同じようになるのです。このことは、同時に、将来の日本の社会保険のあり方にも相当の影響を及ぼすと思いますが、一体こういう現業と監督を分離した形の将来の社会保険のあり方というものは、あなた方はどうお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/57
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058・高田浩運
○高田政府委員 機構の問題は、なるほど制度の問題と密接な関連がございますけれども、将来の社会保険制度をどうするかということでこれは検討するわけでありまして、これによって将来ずっとこのままの形でいくということをここで確定する意味でないことは、十分御承知の通りでございます。しからば、今後の社会保険全体をどう持っていくかということは、一方においては、社会保障制度審議会において総合調整の問題として御検討をいただいておりますし、それから事務的には、厚生省の方としてそれに即応して検討を進め、さらにこれは非常に重要な、かつ大きな問題でございますから、専門の内局たる保険局において、これらの問題に専念できるような態勢にする、そういうことでございまして、その後において新しい社会保険の体系なり制度というものが立ちました場合においては、それに応じて機構を変える必要があれば変えるということになると思うのであります。現在当面の問題として、どういうふうに機構を持っていった方が一番よろしいかという観点に立って、こういう案を提出いたしておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/58
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059・滝井義高
○滝井委員 総合調整の問題は、社会保障制度審議会でおやりになっておりますと、こう他人ごとのようなことを言うけれども、今度は、できたら、さいぜんるる議論をしたように、あなたが牽引力になる、原動力になる、震源地になるということなんですよ。それを他人のやるようなことを言って、社会保障制度審議会で総合調整をやっておりますから、それができるまでは……こんなことでは、あなたのところから外局を分離して、あなたに自由に企画、立案できるようにさしてあげる意味がないじゃないですか。少なくともあなた方がこういう法案をお出しになろうとするならば、将来は日本の社会保障は、内局と外局を分離したならば、こういう形へ持っていくのだというくらいの構想は持たなきゃいかぬ。経営と管理を分離するというのは、きのうきょうの問題ではないのです。もう七人委員会のときから言われておる。あれから何年になりますか。あなたはあのころ薬務局長をしておった。薬務局も例外でない、薬務行政も社会保険の重要な一翼をになうわけですから。今になってこういう案を出しておるけれども、将来のことは何も私の方はわかりません、社会保障制度審議会にかかってからあれしますというのでは、またこれを作る意味がない。今までやっておったけれども、さらにますます元気を出してやられる形を作ろうというのがこれでしょう。今までのことは、社会保障制度審議会がおやりになりますから、私の方としてはまだ何もわかりませんでは、それは何のために今までやっておったのか、さっぱりわからぬことになってしまう。あげ足をとるわけじゃない。これはほんとうですよ。どうも最近は二百有余の審議会ができて、政府は都合が悪くなると審議会だ。そして、その審議会が、選挙制度のようにいい案を出し、自由民主党の方は、自分の都合が悪くなると修正をしてしまう。政府もまた、その通りお出しにならぬということなのです。これでは私は困ると思う。だから、やはりこういう機構がおできになったならば、厚生省は独立の官庁だから、自主性、独自性というものがある。自主性がなかったら話にならぬ。審議会はあくまでも諮問機関でしょう。審議会の通りに、調査会の通りに何もかにもうのみにするというのなら別だけれども、都合の悪い場合はうのみにしない場合があるわけだから、それならうのみにしないものさしを持っておらなければならぬ。そのものさしが制約的に動いたんでは困る。だから私は、こういう保険庁ができたならば、将来一体どういう構想でわれわれはやるんだという、少なくとも何ぼかの青写真くらいなければ、今まで何のために総合調整をやったか。総合調整を言い始めたのはきのうきょうの問題ではないのです。やがて七月、八月くらいまでには総合調整の答申が出ますよ。社会保障制度審議会は、昭和三十四年以来総合調整をやっているのです。足かけ四年です。もう生まれた子供がものを言えるくらいになるのです。それにまだ高田さんがものを言えぬなんというばかなことはない。そうでしょう、大臣。頼るといったってほどがあるのですよ。これからは独立の官庁ですから……。そして、あなたのところから出ていらっしゃる事務局長に、ほとんどすべてのことをこのごろ聞かしてもらいましたよ。実に精密な多岐にわたる検討をやっていますよ。向こうがそれだけおやりになっておるならば、あなたの方だっておやりになっておらなければならぬ、しかも、これからますます精力的におやりになろうとする機構を作るというのだったら。今まで何もしてなかったんだということでしょう。頭を縦に振るようだから、何かおやりになっておるはずだ。それならば、どういう総合調整の青写真をおやりになろうとしておるか。向こう様の方にたたき台ができるならば、こちら様の方に何かたたき台が出てきて、何かものをはかるものさしくらいを作っておかなければ、判断さえもできないことになる。どろなわでそのときそのときやったら、また問題になる。もう一ぺん提案理由のところを読みますと、「各制度の給付内容の改善及び関係諸制度の総合調整に関する企画事務を推進すること」と書いてある。企画事務を推進しようとするならば、みずからも何ぼか案を持たなければ推進も何もできない。そういうばかなことはないと思う。それは高田さんの方でできなければ、官房の企画室でおやりになっておるはずです。このごろ、十カ年計画を発表したけれども、どうもあれは工合が悪いといって、五カ年計画なんかもおやりになったでしょう。私は、大臣がかわるたびごとに、厚生行政の長期計画をお出しなさいと何回言ったかわかりません。出します出しますとどの大臣もみな約束するのです。全部約束する。だから、出たからそいつを押してみると、いや、あれはまだ省議で決定しておるものではありません、ほんとうに素案の素案で、とても国会に出せるしろものじゃございませんと、うしろの総務課長がおっしゃる。そうすると、厚生省は新聞だけには十カ年計画、五カ年計画を発表するんだけれども、質問をすると、いやあの五カ年計画も、私たちが知らぬうちにだれか新聞発表したんだと言う。そうなると、何もないということになる。それでは、提案理由に幾ら総合調整に関する企画事務を推進するといっても、うそになる。うそならば、これは作る必要がない、こうなる。これもやはり作る必要のない理由になってきた。大臣、あなたもこのごろ何か五カ年の発表をされた。あなたが大臣になってから、灘尾厚生大臣談話で出ておった。今新聞の切り抜きがないですが、総合調整ができたならばこういう方向に推進すると書いておられる。普通推進するといえば、何か押さなければならぬ、押すものは形がなければ押せないのです。空を押しても推進にならぬのですから、何か押すものをここで明白にしておいていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/59
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060・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 だんだんとお話を伺ったわけですが、私が今回この法案を提出いたしまして御審議をわずらわします気持と、滝井さんがおっしゃる気持と、あまり相違はないように思うのであります。仰せまでもなく、厚生省が社会保険とか年金とか、いわゆる社会保障制度について政府部内における原動力となり、推進力とならなくちゃならぬものと私は思うのであります。もちろん権威ある方々に対して諮問をし、その貴重な意見を拝聴することは、当然なすべきことだと思いますけれども、厚生省自体がやはり勉強いたしまして、そういう方向に向かって始終努力しなければならぬ立場の役所であろう、また、そうしなければならぬというふうに私も考えておるわけであります。その観点に立ちまして厚生省の現状を見ました場合に、私は少なくともこの程度の改革はぜひお願いしたい、こういう心持でこの法案を出しましたわけであります。従来といえども、厚生省の者がさような問題について無関心であるとか、放任しておるとかいうことではもちろんございません。厚生省としては、あくまでも社会保障制度等の推進力となり、原動力となっていくという自覚は、それぞれ持っておると思いますけれども、なかなか思うように仕事が運ばないというところに悩みがあるわけでございます。その悩みをこの改革によりまして幾らかでも解消していただきたい、かような心持で考えを申し上げておる次第でございますので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/60
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061・滝井義高
○滝井委員 そのお願いの次第はよくわかるのです。問題は、総合調整について何も厚生省にはないのですか。さいぜん言うように、すでに三十四年以来社会保障制度審議会はたたき台をお作りになっておる。僕らも今検討しておる項目を聞きました。厚生省は、こういう方向で総合調整をやりたいというものを何もお持ちにならぬということになれば、大へんなことですよ。これは三十四年に総理大臣が諮問しておるのですからね。それを正直に言ってもらえばいいのです。今までは医師会と保険者のけんかで、その仲裁に立って振り回されて、何もありません、こういう答弁があれば、それならわかりましたと下がります。黙っていられるところを見ると、何かおありになるだろう、聞かしてもらいたい、こう辞を低うして言っているわけです。だから何かあるなら言って下さいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/61
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062・山本正淑
○山本(正)政府委員 滝井先生、百も御承知だと思いますが、医療保険につきまして例をとって申し上げましても、大きな方向といたしましては、一つは、給付が各保険を通じて非常にアンバランスである、そして国民の福祉のために給付のバランスをとらなければいけない、こういう方向が一つあるわけでございます。そうしてまた、それをやっていくために負担の問題があるわけで、負担の公平といいますか、それをどういう方法で実現していくか、こういうような大きな柱が立つわけでございます。これから先は御承知の通り、たとえば給付の改善といいますか、バランスといいましても、非常に低い保険、先ほど御指摘の通り、国民健康保険をどうするかということがまず問題に出てくるわけでございまして、その際に、負担能力を考えながら改善していく。そういたしますと、それに方法論がたくさんつくわけでございまして、その方法論につきましては、また意見の分かれるところでございます。どういうような方法論によって負担の公平を期し、給付の改善をしていくかということになりますと、いろいろの方法論が出てくるわけでございます。そしてその方法論については、みんなが納得するような方向をとらなければならないということであるわけでございまして、そういうようなこまかい方法論、これが非常に大事でございますが、これは各界の意見も十分聞いて立案といいますか、案を具体的に固めていかなければならぬわけでございまして、そういう意味におきまして、従来もやっておりますが、具体的に公表できる、この案でいくというような段階には至っていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/62
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063・滝井義高
○滝井委員 どうもはなはだしく自信がないので、三十四年に社会保障制度審議会に内閣総理大臣が総合調整の問題を諮問をしたということになると、その問題はさいぜんも御指摘したように、七人委員会以来討議をされている問題です。ところが、今なお厚生省では、こういう方向で問題の処理方策をとったら処理ができるだろうということさえもない、社会保障制度審議会の答申が出てきても、それは七月かそこらに出るというのに、何にもないじゃどうにもならぬですね。たとえば、もうどうしても今の段階で負担能力が、農民なり中小企業は経済成長に追いつかないのだからいけない、それだから国なら国が負担を増さざるを得ないという結論は、一つか二つしか私は出てこないと思うのです。しかも、あなた方は専門家なんで、しろうとじゃないわけですから、その専門家がやはり方向は出さなければいかぬでしょう。その方向も何も出さぬで、年金はこれから五年したら二・三倍にします、給付は七割にしますというようなアドバルーンだけは出すけれども、この前言ったように、アドバルーンは糸がついていなければ舞い上がってしまうのですよ。根のあるものをきちっと出していただかなければならぬと思うのです。せっかくりっぱな灘尾大臣がすわっておるからには、補佐する皆さんが、何かそこらあたり自信のある案を二つ三つあげて、大臣、一つ優秀な頭脳で、この三つのうちでどれがいいか御判断をいただきたい、こういうのが事務当局の補佐だと思うのです。ところが、そもそも補佐をするあなた方が、まだ海のものとも山のものともつかぬのだ、こういうことでは、大臣は糸の切れたタコみたいな状態で、どこに行っていいか、保険者の方に行こうか、療養担当者の方に行こうか、被保険者の方に行こうか、ふらふらする以外には方法がないという形になるのです。やはり春秋の筆法をもってすれば、今の灘尾大臣を苦しい状態に追い込んだのは、事務当局の勉強不足です。事務当局の腹がまえができていなかったところにあると言わざるを得ない。これは私は言い過ぎだと思うけれども、言わなければ直らぬから、言うのですけれども、かわいい子には旅をさせよ、ほんとうですよ。だから歴代厚生大臣がずっとかわるけれども、何一つ前進しない。法律は作っても法律が動かぬという状態じゃ困るのです。総合調整の問題はないということでしょう。
次は、今度の改正で、年金福祉事業団、いわゆる還元融資の問題に関連するわけですが、この還元融資の財源、いわゆる厚生年金なり国民年金の積立金の問題というものは、今までは国民年金は小山さんの方で、厚生年金は高田保険局長さんの方、こう分かれておったわけです。ところが、今度は、年金福祉事業団を一例にとってみると、これは保険庁に行かずに小山さんの方の所管に残るわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/63
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064・小山進次郎
○小山政府委員 年金福祉事業団に対する監督事務は年金局でやる、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/64
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065・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、今まで年金の積立金というものは、被保険者の福祉のために使わなければいかぬ、こういうので、岸総理から二割五分もらうことを約束を取りつけましたね。そうすると、その二割五分に当たるところの主管局というのは、大体小山さんのところになるわけですね。そうしますと、いわば還元融資は一元化されることになる。この場合の融資制度に対する態度ですね。これはどういう方向で今後運営するお考えですか。やっぱり今まで通りにおやりになるということなのですか。それとも、一つここらあたりで還元融資の問題を一元化されたから、だんだん現業その他の手数も要らぬようになったから、もうちょっと検討するというような考えがあるのですか。ここらあたりはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/65
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066・小山進次郎
○小山政府委員 端的に申し上げまして、二割五分の還元融資に当たる部分は、今までのままを大体踏襲して参るということでいいと思います。問題は、むしろ残り七割五分の使途について、大まかな意味において一通りの調整はできておりますけれども、まだかなり手の十分に伸びていない部分の積立金の運用の問題をどうするかということが、新しい年金局における資金運用問題の中心問題になるものと考えております。これについては、先生もかねがね強く推進しておられますが、資金運用部に年金特別勘定というものを作ってやるという案をかつて私の省でまとめ、また審議会からも答申を得て、これの推進に努力をしておるわけでありますが、こういうようなものの推進ということをやって参るようにいたしたい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/66
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067・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、七割五分については古井さん当時の構想を推進していきたい、こういうことなんですかね。年金特別勘定というものをどうしても作ってもらわなければいかぬ。今度は二元でなくて、あなたのところに一元化されたのだから、一つ厚生省の力を結集して、あなたが先頭に立ってやる、これはわかります。そうすると、問題は二割五分のところです。その二割五分の、ことしは四百三十億の厚生年金還元融資及び国民年金特別融資のお金があるわけでしょう。そうすると、とのお金の計画的な使い方というものを、今までは保険局とあなたの方がお分けになっておったのですね。何か比較的弱い町村は小山さんの方がおやりになる、それから割合力の強いところは、厚生年金の還元融資で高田さんの方がおやりになる、こういうふうにお分けになっておったんですね。国民年金と厚生年金だから、小山さんの方の運営もやはり今まで通りのことでおやりになるという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/67
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068・小山進次郎
○小山政府委員 厚生年金の還元融資と、それから国民年金の還元融資でまかなっていかなければならぬものがいろいろあるわけでありますが、それで、振り分ける場合に、先ほど先生が仰せになったような方法で振り分けをして参ったわけでございます。やり方は今のところ大体これでいいように思っておりますが、なお、将来資金がさらにふえて参りますので、実情に応じて必要な調整は加えて参るということは当然いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/68
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069・滝井義高
○滝井委員 この厚生年金の資金計画三百三十億と、それから国民年金の資金計画百億、ことしは四百三十億ですね。昨年以来これが行なわれることになって、その状態を見ると、どうもこういう計画というものは、二、三年していると、今くらいの範囲の事業だったら、やる事業がなくなるんじゃないかという感じがするんです。と申しますのは、実は失業保険も千億をこえる金が残ってき始めたわけです。それから、労災保険も同じように残ってき始めたわけですね。失業保険も同じことをやります。労災保険も病院もやりますから、同じようなことをやるわけです。そうすると厚生年金なり国民年金の還元融資の資金計画も、やはり病院か養老院か——住宅はあまり大々的にやると建設省が文句を言うので、控え目にやり、まあ事業主に住宅資金を貸す程度になると思うんですね。そうしますと、この事業というものは、資金が、御存じの通り、十年、十五年するときには、五千億とか一兆円となってくるわけでしょう。そうすると、そのたまった金の中から二割五分ずつ入ってくるんですから、相当のものが入ってくることになるわけです。そうすると、こういう特別融資の資金の使用計画というようなものをよほど長期の展望に立って考えておかぬといかぬということになってくるわけです。一方、さいぜん申しましたように、国民年金なり国民健康保険というものは、非常に劣悪な状態で放置される。そうして、そのしぼり上げられた金というものはどこか別のところに行って使われてしまっているという形、これはいろいろなところにありますが、とにかく七割五分が別なところに行くわけです。二割五分だって全部そこに返ってくるとは限らぬわけです。事業主その他が使う部分が多いんですから。ここらあたりの矛盾を、今後企画をおやりになるについては、相当考えてもらわなければならぬと私は思うんです。幸い小山さんの方に一元化されたのですから、もうお二人で相談をするという時間は要らなくなった。もう頭を涼しくして企画に専心されることができる。ほかの事務もあるから、一〇〇%専心はできぬが、まあ五〇%くらいはやれるという形になってきているわけですね。こういう構想を何かお持ちなんですか。そこらまでまだ検討はいっておらぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/69
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070・小山進次郎
○小山政府委員 ただいまの点は、滝井先生がすでに二年くらい前から御指摘になっている点でありまして、目先厚生年金なりあるいは国民年金についての融資の需要は非常に多いように見えるけれども、これはいずれそう長続きしない性質のものだとすればどうするかという御議論は、絶えず私ども拝聴しているわけでありますが、私どもも問題としてはそういうことを常に考えております。それで、今までやって参った結果、医療施設の資金需要は将来そう飛躍的に伸びないし、また、これは需要があったからといって単純に応ずるという考え方は、必ずしもとらないことにいたしたい。これは十分各般の考慮を加えて参りたいという気持になるわけであります。そうしますと、問題は、住宅と厚生福祉関係の施設、社会福祉関係の施設、こういうことになるわけであります。住宅関係はこれをふやすと建設省が云々という御懸念を先生お持ちでございましたけれども、労働者に対する住宅の需要に応ずる限りにおいてこれをふやすことは、別にそう異論はないわけであります。やり方さえ気をつけてくれるならば一つどんどんつぎ込んでくれ、こういう考え方でありまして、私どもはそれは当然そうあるべきだと思っておるわけでございます。
それから、厚生福祉関係の施設の需要は今急激にふえて参っております。ちょうど一種の勃興期みたいな形になっておりまして、これは当分続くと思っております。特に、最近非常に望ましい傾向だと思っておりますのは、中小企業の従業員に対する厚生福祉施設、給食施設なども現われて参っておりましたが、これが非常に実際化して参りまして、ぐんぐんこれを計画するところが広がって参っております。
それから、社会福祉関係の施設は、私ども意識的にこれを引き上げたいということで、相当資金をつぎ込む用意をしておりまするが、端的に申し上げまして、どうも用意しただけの金がなかなか地方の方で需要されないということがありますけれども、ようやくことしあたりからそれに対する需要がふえて参っております。
そういうようなことで、少なくともここ三、五年のところは激増して参る需要に応ずることで手一ぱいだとは思っておりますけれども、仰せのように、資金運用の問題は、単に三年、五年の問題ではなくて、長期にわたって考えなければいけぬ問題でありますので御注意のような点を念頭に置きまして、今後研究を進めて参るようにするつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/70
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071・滝井義高
○滝井委員 大蔵省が来られたそうですから、そちらにだんだん入っていきます。ちょうどこれに関連が出てきましたから。
この還元融資の四百三十億の中で、今いろいろと新しい中小企業の給食施設なり出てきた。社会福祉関係は、金を借りても、収入が少ないものだから、なかなか払えないということで伸びないわけですね。大事な年金の金で、老後を保障する金ですから、返してくれないところに貸すわけにいかぬという、この矛盾がある。それから、利子をうんと下げればいいのだが、五分五厘くらいで貸すというわけにはいかぬ。やはり六分五厘とか八分とかいうことで貸さざるを得ない。それから、医療金融公庫なんか、どうせあとでこの医療金融公庫の決算も出してもらわなければならぬわけです、この前宿題を出しておいたわけですから。この医療金融公庫の問題が出てくる。そうすると、病院、診療所に厚生年金、国民年金で百十二億、それから医療金融公庫に三十四億行っておりますね。一般地方債その他で行っておるのかもしれませんが、これは相当地方債で行っておるのだろうと思うのです。そうすると、百四、五十億の金はこれから出ていっておるわけです。三分の一くらいは病院に行くわけです。この還元融資を借りて病院を建てる場合には、当然医療機関整備計画の規制に従わなければならぬわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/71
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072・高田浩運
○高田政府委員 福祉事業団の病院に対する融資につきましては、病院の増床ないし新設につきましては、医療機関の整備計画にのっとりまして、よく関係の部局の意見も聞いた上で融資を実現する、かように考えております。
それから、いわゆる起債の部門についても、同様な考え方でやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/72
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073・滝井義高
○滝井委員 そこで、谷村さんが来たから、今お聞きの通り、年金のお金がたまって、還元融資になると、これを病院、診療所に貸す場合には、医療機関の整備計画にのっとってイエス、ノーをきめていく、こうなったわけです。今度厚生省設置法の一部を改正する法律案で、社会保険庁という、一つ大きな保険者ができる可能性が出てきた。保険者というものは、このほかに、健康保険組合という保険者があり、共済組合という保険者があるわけです。それで、保険者である保険庁や健康保険組合や共済組合が病院を建てる場合は、これは何のことはないわけでしょう。金さえあれば自由に建て得るわけでしょう。医療機関整備計画にひっかからぬわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/73
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074・高田浩運
○高田政府委員 政府が直接政府の関係の資金を供給したり、あるいはまた事業団、金融公庫等を通じまして貸したというような場合においては、当然厚生省の考えております一定の線に従って規制をする、そういう一定の条件のものにそういう特別の便宜を供与するというふうな考え方にいたしております。それ以外のものについては還元いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/74
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075・滝井義高
○滝井委員 従って、医療金融公庫からお金を借りる場合にはひっかかりますけれども、その他は何でもないということですね。そうしますと、国家公務員の共済組合はずいぶんお金がたまっていますね。短期と長期の積立金はどの程度たまっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/75
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076・平井廸郎
○平井政府委員 短期と長期の積立金というお話がございましたが、短期の方は、毎年掛金をもって当該年度の経費をまかなっていく建前でございますので、大きな積立金はございません。ただ、長期につきましては、三十四年度の法律改正によりまして、毎年相当巨額の金額が増加いたしております。その金額は、今ちょっと手元に資料を持っておりませんので、正確を欠くかと思いますが、ここ一、二年度の増加状況は、国家公務員共済組合連合会をとりました場合、百億前後になろうかというふうに考えております。残高は、三十六年度末におきましてたしか二百七十億程度じゃなかったかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/76
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077・滝井義高
○滝井委員 長期の方は一、二年の間に百億くらいずつたまるということですね。これは相当なたまり方です。短期の方はそのときそのときとおっしゃるけれども、一定の保険料をおとりになって、そこに余りが出てくるわけです。たとえば、政府管掌の健康保険のような財政力の貧弱なものでも、ことしで二百六十億をこえておるでしょう。高田さん、現在幾ら積立金が出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/77
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078・高田浩運
○高田政府委員 約二百七十億あります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/78
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079・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、はるかに給与のよい国家公務員の方だったらもっとたまっておるのじゃないかと思いますが、大よそのところでいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/79
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080・平井廸郎
○平井政府委員 ちょっと私の説明が不十分でございましたが、共済組合の短期につきましては、各省ごとの単位組合でそれぞれ経理をいたすことになっておりまして、その限りにおきまして、個々の組合にとりましては必ずしも大きな金額ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/80
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081・滝井義高
○滝井委員 私がきょう国家公務員を問題にするのは、これはいわば保険者ですから、保険者が病院を経営するということがあり得るわけです。そうすると、今度保険庁というものができて、これも病院を経営するわけです。それは健康保険病院をお持ちになっておるわけですね。その場合に均衡論が出てくるわけです。まず三公社を見ると、国鉄は、公企体の共済組合で病院を作ってなくて、国鉄当局が鉄道病院をお持ちですね。そうしますと、非現業の国家公務員に対して国は一体病院を作っておるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/81
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082・平井廸郎
○平井政府委員 非現業の国家公務員の場合におきましては、国自体が病院を作っておるということはございません。ただ、共済組合に対する補助金の内訳といたしまして、これらの非現業共済組合連合会が作る病院の建設費の償却部分並びに利息相当部分を補助金として見るという形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/82
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083・滝井義高
○滝井委員 三公社等はいわば国と同じ国家機関であって、病院をお作りになりますが、他の官庁ではお作りにならぬ。大蔵省はなかなか均衡論がお好きですから、私今均衡論を言うわけですが、不均衡じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/83
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084・谷村裕
○谷村政府委員 何が均衡であり、どの点が不均衡であるか、いろいろ見方があるかと存じますが、御承知のように、三公社あるいはそれ以外のわれわれの言う現業部門でございますが、これは、やはり沿革的に、一つの現業体として、それぞれの職場にかなり多くの人が集まりますし、また、病気あるいは事故の発生等もあった沿革がございまして、それぞれかつて国の施設としてそういう病院を持ったものと理解いたします。たとえば、大蔵省所管におきましても、造幣、印刷等におきましては、それぞれ病院を持っておるわけでございます。しかしながら、一般の公務員につきましては、御承知のように、まとまって勤務しておるという例も、現業ほどにさように、大きくございませんし、いわば一般市井の人としての生活の姿の方が多いわけでございまして、職場においては、いわば診療所的なもの、レントゲンあるいは歯科・技工、内科等々、ときには産婦人科までございますが、さようなものも用意はしておりますが、病院という形において用意いたしませんでしたのも、これは一つの歴史的な沿革であろうと存じます。権衡の問題から考えまして、御指摘のように、なぜ一方は共済組合でやらないのか、なぜ一方は共済組合でやっておるのか、あるいは国が見ておる程度はそのような程度でいいのか、いろいろ御疑点があろうかと思いますが、やはり、企業体関係でありますと、特別会計あるいは企業体として動いておるその範囲での職員の厚生施設としての限度は、その辺までいってもよかろう、一般会計職員については、そこまでいかないでも、共済組合において見て、それをいわば一回り回ったところで一般会計が見ていくというやり方でよかろう、やはり歴史的なものも多少ございまして、そういう現状になっておると思います。私は、そこでそれほど均衡がとれてないとも思わない、むしろ実態に即しておる姿ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/84
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085・滝井義高
○滝井委員 厚生大臣にお尋ねするわけでありますが、健康保険法なり共済組合法で保険施設を作るということは、当然法律的に規定されておるわけです。将来、ある一定限度に行ったらふえなくなりますが、人口もだんだんふえてくる、役所の機構も複雑になって事務も多くなるので、だんだん役人もふえる、そうなりますと、それぞれみな病院を持ちたがるわけです。これは人情です。従って、共済組合に今仰せのように長期のお金がたまってくるわけです。たまった金をじっとしておくのはもったいないから、従って、小山さんの方でもおやりになるように、これで福祉施設、病院なり老人ホームなり保養所を作ることになるわけです。これは当然です。一体、こういうことが、医療行政なり保険庁の経営と監督を分離するという理論から見てどうなるかということです。私がだんだん先までこれを持っていく萌芽がなければいかぬと言うのはここなんです。そういう形になってきたときに、一体医療行政というのはどうなるのかということ。力の強いところは持ちますよ。今言ったように、国家公務員、健康保険組合、それから還元融資の借りられるところはどんどん持ちます。しかし、持てないところが出てくる。持てる力のあるところは、今差額だけはお金をどんどん国が出すのですから、利子、それから減価償却のお金は国が出してくれるのですから、そうすると、こういう形でいくと、病院の配置その他はうまくいかないですね。各省ばらばらですね。こういう形で一体いいのかどうかということです。これから、頭を涼しくして、現業と企画を分離して、監督を分離して、そして厚生省は厚生行政推進の原動力になろうとするのですよ。そうすると、お隣の大蔵省では、共済組合が病院を作った場合には、減価償却をしてやって、そして利子も補給しましょう、こういうことです。これはそこの職員にとってはいいことだと思うが、もっと高い見地の日本全体の医療の問題から見た場合に、一体厚生省はこういう形に責任を持てるのかどうかということです。これをまず大臣に先にお尋ねして、次の質問に移ります。大蔵省ですから、役所の元締めです。元締めがこういうことをおやりになっておるのだから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/85
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086・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 ただいまお尋ねになりました問題が、やはり現在の医療に関する大きな問題だと私は思うのであります。従って、皆さん方もこの問題について非常に関心をお持ちになっていらっしゃる。また、厚生省の方でもこの問題に関心を払っているわけでございます。各種の企業体なり役所あたりで、従業員の福祉のために病院を作っていくという考えも、一がいに否定すべきものじゃないと私は考えます。同時に、厚生省として考えます場合に、日本全体の医療機関というものがそうむやみやたらに乱立するのもいかがであろうか。また、私立の病院があり、公立の病院があり、こういう形でございますけれども、これがお互いに食い合っているというふうな姿も望ましい姿じゃないと私は思うのであります。そこに、医療機関全体にわたりまして、適正な配置と申しますか、分布と申しますか、そういうふうな姿がぜひ望ましいものじゃないか、厚生省としてはさような考え方をいたしておるわけであります。この問題につきましては、もうすでに滝井さんも御承知のように、厚生省としましては、医療制度の問題の一つとして検討をいたしておるところでございます。われわれといたしましては、二重、三重にやたらにむだな投資をすることも避けなくちゃなりませんし、同時にまた、新しいりっぱな医療というものについて国民がひとしくこれを受けられるような方向に持って参らなければなりませんし、その間にいろいろ調節をとっていかなければならぬ面が多々あるように思っております。その意味におきまして、厚生省といたしましても、この問題について検討を重ねておる、かように御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/86
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087・滝井義高
○滝井委員 なかなか、検討中ばかりで、日暮れて道が遠くなりますが、厚生省は検討中だそうでございます。これは予算を査定する大蔵省ですから、今度もう少し具体的に入っていきますが、国家公務員の共済組合に病院を建てさした方が、国家公務員のあり方、すなわち印刷や造幣あるいは国鉄等と違って、集中的に集まっておるわけではない、分散的だ、従って、そこに国が建てるというよりか、減価償却分を補助をし、あるいはその建設の利子を補助をしてやっておった方が合理的ですということで、これはわかりました。合理的だから、それを了承します。そうすると、その場合に、共済組合が病院を建てる地域というものはどういう基準で選定をするのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/87
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088・岩尾一
○岩尾説明員 便宜私からお答えいたします。
医療機関につきまして、先ほどから御質問のございましたように、現在、各三公社五現業等においてその企業体自体が建てる問題、あるいは非現業の病院につきまして国が補助金を出しておる問題、こういう問題とは別に、実際に建てる場合に、その建てる場所、設置基準等につきまして、厚生省の方で医療行政全体の立場からの規制といいますか、あるいは検討といいますか、そういうものが必要ではないかという御質問のように解釈するわけでございます。(滝井委員「そうじゃない。共済組合だけの基準です」と呼ぶ)大きな議論はそういうところじゃないかと思うのでありますが、共済組合だけについて申し上げますと、先ほど保険局長の方から、共済組合につきましては現在全然規制はないというお話でございましたけれども、現実には、やはり医療機関を設立するわけでございますので、具体的に行政上の問題として、医務局の方に病院の設置について共済については相談をいたしております。そして、実際上厚生省の医務局において御了承いただけなければ私ども作らないということでやっておりますし、また、予算を作ります場合、先ほど申しましたように、補助金を出します場合に、どこに作るかということがきまるわけでございますから、その補助金を出します場合にも、厚生省の方と御連絡をいたしまして、医務局の方でこういったものについてこれだけのベッドがこの地区にふえることについては差しつかえないかということを、主計局の方としては連絡検討いたしまして、その上で、差しつかえないということであればその点について補助金をつける、こういう建前で予算編成をやっておるわけであります。厚生省全体の医療行政というものに決してマイナスにならないように共済組合病院についても設立をいたしたいということで、行政上の配慮はいたしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/88
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089・滝井義高
○滝井委員 それ間違いないでしょうね、厚生大臣。医務局長にちょっと来てもらえますか。今のは重要な発言ですから。厚生大臣、今までそういうやり方でやっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/89
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090・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 個々の問題につきまして、私直接御相談を受けることはございませんけれども、事務当局の間においてはさような相談はおそらくあるものと承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/90
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091・滝井義高
○滝井委員 ちょうど総務課長が来ました。今お聞きになっておったでしょう。現実には、厚生省の医療機関の整備の計画に沿った行政上の問題だから、共済組合その他が病院を建てる場合には、相談をして、医務局の了承を得た上で作っている、補助金を出す場合も厚生省が差しつかえないと言ったときにやっているのだ、それに間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/91
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092・渥美節夫
○渥美説明員 厚生省以外の各省並びに三公社等が医療機関を設置されるという場合には、当然医療法に基づきます協議、承認というふうな法律上の手続がありますが、その前段階におきまして、建設予定の地域におきますところの医療事業機関というふうな面につきましては、最近におきましては、あらかじめ今の国家公務員共済組合等につきましては事実上の御相談を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/92
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093・滝井義高
○滝井委員 御相談を受けても、たとえば、年金福祉事業団とか医療金融公庫から金を借ります場合には、金を貸しませんよと言ったら、金がないのですから建てられないことになってしまう。ところが、相手は金を持っているのですから、あなたの方がだめと言ったってお建てになれるわけですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/93
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094・渥美節夫
○渥美説明員 法律上は、医療法に基づきます場合には、構造設備が医療法の基準に該当しておれば許可せざるを得ないわけでございますが、最近におきまして、そういった医療事業等につきまして十分御相談の上大蔵省等においてもやっていただくように、私どもとしては相互に十分協議をするような体制ができておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/94
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095・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、議員立法で共済組合その他を今のような方向できちっと整備をしても、現実にそうやっているんだ、こういうことですから、さしつかえないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/95
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096・岩尾一
○岩尾説明員 具体的な問題といたしましては、今総務課長のお答えされたようなことでございます。従いまして、実際上、われわれの方といたしましても、非現業の共済病院を建てる場合によく連絡してやっておるわけでございますが、非現業の問題だけではなくて、医療行政全体として、実際国民の需要を満たし、稠密なところにはできるだけ避けていくという医療行政全体の上から見た配分について、どういうふうにしたらいいかということにつきましては、現在医療制度調査会において種々御検討を願っておる段階でございますので、われわれといたしましては、その調査会の方でしっかりした結論が出ましたときに、その線に沿って処置をしていただきたい、こういう気持でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/96
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097・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、今まではやっておるけれども、今議員立法その他でやってもらったら困る、調査会の結論を待ってくれ、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/97
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098・岩尾一
○岩尾説明員 端的に申しますと、そういうことになるわけでございますが、これは、私の方の非現業だけの問題じゃなくて、かなり大きな問題でもございますし、調査会の方も、最初は一年というふうにお願いをいたしましたが、一年じゃなかなかできない、もう少しやらなければだめだろうというようなほどの大きな問題で、あるいは現在国で持っております国立病院あるいは療養所をどうするかという問題にも響く問題でございますので、そういった意味で、十分な検討をした上で配慮をいたしたい、こういう気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/98
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099・滝井義高
○滝井委員 このごろ調査会が中間答申を出したのをお読みになったはずです。あれは何と書いてありますか、ちょっと言ってみて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/99
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100・渥美節夫
○渥美説明員 このごろという先生のお話でございますが、それは三月二十九日に医療制度調査会の会長から厚生大臣あてに出されました医療制度調査会の審議状況についての報告というふうなことに理解いたしますが、ただ、この審議状況についての内容でございますが、これは、昨年の十二月十六日に同じく医療制度調査会の会長から厚生大臣あてに出しました中間報告のあとを受けまして、三十七年に入りましてから、この医療制度調査会に二つの部会がございますが、その部会において七回ないし八回ばかり審議をいたしました報告を医療制度調査会において聞いた上で、今度は大臣あてにこういう審議状況になっておるという報告を会としてされたという意味の内容でございます。ただいま御質問の「医療施設の適正配置について」という項目が第二部会において取り上げられましたが、それを読んでみますと、この項目は第五の項目となっております。第五の項目の標題が「医療施設の適正配置について」となっておりまして、読んでみますと、「現状では、受療の機会に恵まれない無医地区、あるいは病床の不足している地区が存在しているが、他方病床が充足していると見られる地区に医療施設が新設増設されている状況にある。特に、一部大都市等において医療施設が、当該地域の医療需要と関係なく設置されるものが見受けられる。私的医療施設についても、なお、今後検討を加える必要があるが、さしあたり、公的性格を有する団体が出資、開設、または経営する医療施設については、その適正な配置が行なわれるための措置を考慮する必要があると考えられる。」、こういうふうになっております。
〔委員長退席、堀内委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/100
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101・滝井義高
○滝井委員 大体結論が出ておりますね。だから、この結論は変わらぬと思うのですよ。もう調査会がなくなっている。この法律が通らなかったらできないのですから、三月三十一日で命は切れているのですよ。死んだのですよ。今度新しくてきれば、公布の日からになるのですから、この法律が参議院を通って公布の日といったらおそらく五月を過ぎます。だから、一カ月間は死んでなくなったということですから、今の段階でわれわれが問題を処理しようとすれば、それ以外にない。結論が出ている。そうすると、今岩尾さんが言ったことはちゃんと証明済みですね。そうしますと、灘尾さんは現実においては相談をしてやっておるということだから、一つ厚生大臣、よく肝に銘じておいて下さい。それから医務局も忘れぬように。僕は一ぺん聞いたら忘れませんからね。
そこで、今度は共済組合で病院を建てる。今建てているところはどういうところに建てているかというと、比較的公務員の多いところに建てているわけですね。まず典型的なところ、東京ですと虎の門病院ですね。一体虎の門病院は公務員はどの程度利用しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/101
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102・谷村裕
○谷村政府委員 ちょっと担当の給与課長が参議院の内閣委員会の方へ呼ばれて参りましたので、失礼いたします。一時半という約束で私も呼ばれたのでございますが、給与課長を行かせましたので、失礼いたします。
私、正確に覚えておりませんが、必ずしも公務員の利用率が非常に高いということではなくて、かなり一般の方々の利用が高いように聞いております。どのくらいであったか、六、四、その割合はちょっと正確に記憶しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/102
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103・滝井義高
○滝井委員 その通りですね。六、四。医務局よく覚えておいて下さい。そうすると、こういう病院は、国家公務員共済組合として国家公務員の掛金と国が事業主として出したお金でお建てになった。それの減価償却、利子は国があとでだんだん入れていく、こういう形になっているのですね。そうすると、国家公務員は四しか利用していなくて、他の一般の人が六利用している、こういうことになるわけですね。これは一体どういうことになるのですか。国家公務員の共済組合法の中に員外利用という規定がありますか。健康保険法には二十三条の二にきちんとあるのです。これは国のお金で従業員の福祉のためにお建てになっているのですから、監督官庁はしっかりしなきゃいけませんよ。医務局も監督官庁ですし、それから保険局もそうです。保険医療機関になっているでしょう。ここらあたりしっかりやらぬといかぬですよ。それだったら一般病院と同じになる。一般病院と認定していいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/103
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104・岩尾一
○岩尾説明員 虎の門共済病院の利用率でございますが、六、四と申されましたけれども、私の記憶では、時期によって違いますが、大体五二%ぐらい公務員の利用があったかと思います。
そこで、こういう状態がどうであるかというお話でございますが、もちろん、設立の際におきましては、公務員のためということで作ったわけでございます。それから、共済組合法には、特に公務員だけしか使ってはいけないとか、あるいはほかの者に使わしてもよいというような規定はなかったように思います。これは共済組合の福祉施設でございますから、福祉施設の運用の問題として考えます場合に、公務員が利用してなお余地がある場合に、一般の方の利用に供することは差しつかえない、こういうことで運営をしておるはずでございます。これにつきましては、もちろん、今先生のおっしゃいますように、一般の者が利用しておるじゃないかという主張はございますが、同じように、今度は公務員につきましては、公務員として実際上虎の門共済だけを利用するわけではないのでございまして、現在の共済あるいは保険の建前は国民皆保険という建前でございますから、どこの病院へ行ってもよいということでございますので、ほかの病院も公務員に利用さしておる、こういう状況でございます。それで、実際上、共済病院を作ります場合には、その地の非現業職員の数、利用度というものを勘案して作るわけでございますけれども、作った上で利用する場合に、余地があれば、十分一般の人にも利用してもらってけっこうではないか、こういう建前でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/104
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105・滝井義高
○滝井委員 なかなか割り切った御答弁をいただいたのです。社会党の医療政策というのは、閉鎖的な病院を廃止して開放的にしよう、こういう主張なんです。これは社会党の大綱にちゃんと書いてある。その通りなんです。ところが、これが公務員の積立金という特殊なもので、もっぱら公務員の福祉をやるためにお作りになっておるわけです。そして、法律には員外利用はないですよ。健康保険にはある。そうすると、これは一体どういうことなんだということです。健康保険法にはわざわざ二十三条の二に保険施設の員外利用という条文があるが、同じような共済組合にはなぜ入れなかったかということです。法治国家ですから、これは法律違反をおやりになっておる。だから、力の強い大蔵省がやる場合は、これはだれも指摘し切れぬですよ。変に指摘すると、江戸のかたきを長崎で討たれるから。だから、これはあなたの方は法文には何も書いておらぬから勝手だと言うのなら、法文に書いてないものをやっていいなら、何でもやっていいことになるんですよ。実は私は共済組合の連合会に尋ねてもらったのです。そうしたら、どういう答えが出たかというと、私の方の病院は独立採算制でございます、だから公務員だけではどうにも成り立ちません、だから一般の方をやるのは当然だ、これでもうけなければならぬということです。なるほどそうですよ、四割の公務員はすみっこにやられて、本来天下泰平に利用しなければならぬ公務員がすみっこに追いやられて、他の者が大っぴらに利用しているという、本来の目的とは違った形が出てきたのです。四、六という数の上で違った形が出てきた。だから、公務員の諸君の中に非常に不満が出てきた。虎の門病院に行ってごらんなさい。私行ったことがないけれども、ずっと上のお金のよけいにかかる、差額徴収を取られるような病室に公務員が一体何人入っておるか、岩尾さん行って調べてみたらいい。これでは私はいけないと思う。まず第一が公務員の福祉ですから、公務員を優先して、そして余ったら貸そう、こういうのでしょう。今の時代ではそれが逆になっている。第一、四、六ということ自体から逆ですよ。そして、ベッドが足らぬようになって、さらに拡大しなければならぬというので、神奈川県の川崎に建てようとしてもめて、私が中に入った。これはここだけではない、ほかでもやろうとしておる。これはほかでもやらなければならぬ理由を今から述べていきますが、これを一体あなた方は是正する意思があるかどうかということです。これを是正をすれば病院は赤字になりますよという前提があります。赤字の病院はもうみんな、日赤なんかもやめなければならないことになる。奈良県も山形県の東根もみな赤字です。こんなのは独立採算制だからやってはいけない、やめざるを得ない。だから、大蔵省の所管下にある共済組合の国家公務員の病院も、国家公務員をすみに押しのけて、一般の者を取らなければ、独立採算ですからやっていけなくなってしまうのです。そうすると、法律の規定に員外利用というものがないにもかかわらず、員外利用が中心にならなければならぬという、法律違反の状態が出てきておるわけです。これは法律違反でないといえばないでかまいません。かまいませんけれども、法律には書いてない。健康保険法には書いてあるが、共済組合法には書いてない。こういう問題があるので、そこで、さいぜん私が言ったように、監督と経営を分離して、そうして保険庁というものをお作りになったときには、健康保険病院についても共済組合病院についても十分配慮をしておかないと、保険行政というものはだめになりますというのはここなんです。だから、あなた方は、自分たちのところだけをうまく分離したならばあとはもううまくいくとお考えになっておるが、それは大へんな誤まりだということです。私は、典型的なものとして、予算の関係で大蔵省を持ってきた方が一番物わかりが早いと思ったから、お気の毒だったけれども、きょう大蔵省にも来てもらったのですが、そういう実態です。私も調べてみたが、四、六です。それで、四、六ではいかぬわけじゃないかと言ったら、独立採算制ですからやむを得ません、こう言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/105
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106・岩尾一
○岩尾説明員 独立採算制であるからやむを得ないというのはちょっと……。もしそういうことを申したとすれば、非常に不穏当な発言だと思います。われわれといたしましては、先ほど申しましたように、法律にはございませんけれども、福祉施設としての病院を実際上公務員が利用してなお余地のある場合に、そのものをあけておく必要があるかどうか、これは一般の方の御利用に供していいのじゃないかという建前で運営をしてもらっておるわけであります。一部、先生の言われましたように、現実の問題といたしましては、先ほど私の申したような実情がございますので、公務員が必ずしも共済病院に行かなくてもほかの病院に行けるということがあって、実際の公務員の利用率が低いという状況になっております。しかしながら、それは公務員の利用をはばんでおるわけではないので、結果としてそうなったわけであります。現実にも、共済病院におきましては、たとえば外来等につきましては、一般の方が非常に待っておる場合でも、公務員が参りますと公務員の方は先に見なさいということで、公務員の方を先に見る、共済組合員の方を先に見るというような運用の仕方をやっていただいておるわけであります。むしろ、六、四と申すのは結果でございまして、方針といたしましてはそういうことでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/106
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107・滝井義高
○滝井委員 独立採算と言うのはけしからぬと言うけれども、ここに共済組合連合会長の今井さんから私のところに来ているのです。「共済組合及び同連合会の事業である以上、医療機関の経営について独立採算制が要求されるのは当然のことであり、かつ、公的医療機関としての性格上、一般患者に対してもある程度門戸を開放すべきであることもこれまた当然の措置と言わなければならない」と書いてある。だから、結局独立採算制です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/107
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108・岩尾一
○岩尾説明員 その通りでございます。従って、決して独立採算を否定しているわけではございません。しかしながら、公務員の利用をはばんでまで一般の者に使うのだということではないので、まず、やはり、その後段に書いてありますように、一般公務員の者に使って、余地があれば一般の人にも使っていただく、こういうことを今井先生はおっしゃっておるのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/108
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109・滝井義高
○滝井委員 すなわち、独立採算制というのは当然だということですか。今独立採算制というのは取り消すと言ったが、今度はそれが当然だというのはおかしいですよ。問題はこれから発展するのだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/109
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110・岩尾一
○岩尾説明員 独立採算制というのは、先生のおっしゃいましたように、共済の責任の人が、私の方は独立採算制だから一般公務員を引き受けぬのだということを強くおっしゃったのなら、それは不穏当ではないか。そうではないので、建前は、やはり、一般公務員と申しますか、共済組合といいますか、それが利用するのが本筋であって、そうして医療機関としてはやはり独立採算制でいくべきであるけれども、その場合に、もし一般公務員の利用が結果的に見て少なくて余地があるなら、それを一般の人に開放することによって収益も上がっていくというのなら、それは差しつかえないのではないか、こういうことをおっしゃっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/110
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111・滝井義高
○滝井委員 これは公務員だけなら赤字になってしまうのです。これから本論になるわけです。そうしますと、虎の門病院は公務員に対して、普通のいわゆる健康保険医の保険医療機関ですから、点数単価できちっと普通の通りやっておるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/111
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112・谷村裕
○谷村政府委員 今岩尾主計官から申しました通り、病院の独立採算制ということは当然考えられるべきことだと思います。その場合に、もし公務員だけをとってみたら赤字になるような事態があるかどうかという点でございますが、それは滝井委員が今おっしゃったように、それでは点数で割引をしている実態があるかどうかということでございましょう。私、正確に記憶いたしておりませんが、共済組合経営の病院は、公務員に対してたしか点数を若干低くしておるのが実態であると思います。それにつきまして、そこまでしなければならぬかどうかという点が再び再検討の問題に相なるかもしれませんが、現実の問題としては、先生のおっしゃるように、点数を引いておると記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/112
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113・滝井義高
○滝井委員 いわば事業主病院に類するもので、共済組合が自分の金で建てているのですから、公務員は安くすることは当然です。安くしてもちっともおかしくない。しかし、安くしますと、病院自体というものは、独立採算制の建前をとると赤字になります。なぜならば、現実に多くの公的医療機関は、今の十円の単価と点数でさえもが、従業員に低賃金でやらなければうまくやっていけぬという状態で、もうどんどん閉鎖が始まっておるのですからね。ストライキが起こっているのです。それを今度割引をしていっているのですから、割引をしたものをどこかでより大きな形で補わなければならぬという問題が出てくるわけです。こういう問題が一つ出てきます。そうすると、その分については当然これは国がカバーをしてやるという責任があるが、それをやるのかどうかということが一つ。
それからもう一つは、今度は均衡論として、なるほど虎の門病院という共済病院のある地区の公務員は、低い医療で受けられるわけですから、よろしいです。一体鹿児島や宮崎の、ないところの公務員はどうしてくれますか。私はこれを言いたい。たとえば一点単価を、共済組合の虎の門病院なりその他の共済組合の病院が、十円のものを七円にしておった。そうすると、三円だけは負けてくれておるわけですね。安くしてくれておるわけです。これは自分の病院ですから当然のことです。そうすると、鹿児島や宮崎の公務員が、病院がないがゆえに、保険証を持って国立の病院なり、労災病院なり、厚生年金病院なり、私的医療機関に行くと、普通のお金を取られるわけです。そこに一点について三円だけの不公平が出てくるわけです。同じ共済組合員で、一方はたまたま病院があったから恩典を受けたが、たまたまないから不公平だというなら、その不公平の分を何かで補ってやる必要がある。その補ってくれるのは国がやってくれますかというのが、第二の問題として出てくる。虎の門病院はおそらく国がやっておる。やっておるとすれば、やはりこれは価格差補給金を出してもらわなければなりませんよ、こういうことなんです。ここまでいかないと、これは全国に病院を建てて下さいという要求が出てくるわけです。それは東京の公務員だけがうまい目にあって、われわれいなかに行った者はだめですか、こうなるわけですからね。全国的に病院を建てようということがなかなか無理だということになれば、当然そこらの問題を解決してもらわなければならぬ。これを一体どう解決するかという問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/113
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114・谷村裕
○谷村政府委員 問題は二点ございまして、両方相関連するわけでございますが、私が先ほど申しました、医療単価の点数を公務員に対してあるいは共済組合員に対して割り引いておるということが、滝井委員は当然であるというふうにおっしゃいましたが、私は、これはまだどうも政府委員の立場としてはっきりと断定して申し上げていいかどうかということでありますけれども、内部でいろいろ議論しておりますところを率直に申しますと、私は若干疑問に思っております。と申しますことは、およそ国の職員に対していろいろと施設をし、また、医療厚生のことを企業主の立場、事業主の立場として考えます場合に、先ほどちょっと触れましたように、それぞれの事業所——われわれで申せば大蔵省の診療所でありますとか、厚生省の診療所でありますとか、そういったところにおいて行なわれますものについて、国がある程度めんどうを事業所の立場において見ることは考えられますけれども、共済組合の施設するああいった大きな病院において、はたしてそういう特別のことをする、価格差補給をするということが、事業所の立場として必要であるかどうか、私は率直に申しまして、若干それを疑問に思っております。ということは、第二に滝井委員が御指摘になったように、そういうことをしておったら、日本国じゅう全部に公務員の利用できるものを作らなければならぬことになるのではないか、それはどうもおかしいじゃないか。むしろ、どっちかといえば、非常に率直に申しますと、滝井委員がおっしゃっているような疑問を実は私も抱きました結果、今内心再検討しているところでございまして、さような意味合いからいたしましても、本年度の予算査定の際に、実は共済組合員の建てます病院のあり方というものについて、いささか従来とは違った意味で再検討を加え、ブレーキをかけなければならぬのではないかというような気持を持ったわけでございます。滝井委員の御指摘のように、一体それは事業所の立場において補給するつもりがあるかどうかという点でございますけれども、これは施設と経常経費と二つに分かれるわけでございますが、通常の職場におきまする診療所においての問題ではない、広く地域的に存在するような、たとえば虎の門病院みたいなところにおいてまで、さようなことをして国が補給をするということは、どうも私は疑問のように思っておるということをちょっと申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/114
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115・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、前段の論理と違ってくるわけです。だから私は、国鉄等の病院は経営者みずから建てます、そうすると、非現業の組合員のところはどうして国がお建てになりませんか、こう申しましたら、それは業態からいって、印刷や造幣や国鉄はよろしいけれども、これはやはりちょっと工合が悪いので、共済組合に建てさして、そして私の方としては減価償却なり利子をやっております、こういう御答弁があったわけです。従って、国が建てないけれども、共済組合にやらせるということは、減価償却と利子で全部まかなってくれるのだ、こうなっておる。そうすると、国が建てたのと結果は同じだということになるならば、これは事業主病院です。事業主病院だったら、全国どこだってみな低医療費でいっているのです。それで不足分は補っていく、こういう形でしょう。それが今度あなたが考えてみたらどうもおかしいからといったって、今言ったように、虎の門病院だけを差別扱いにして、他の事業主病院はみなやっているのだからそうはいかぬ。やはり現状は平均する必要があります。私はそう言っている。そうすると、虎の門病院だけは低単価でやるのはおかしいから、価格差補給金というものが当然出てくる。そう言われると、あなたの方は金を出すのがおそろしいから前の方にさかのぼるというのでは、一番初めからの論理が今度逆転してしまったことになるのです。そこで、この問題は現実にあるのです。国家公務員の皆さん方が言ってきているのです。医療法で病院を建てることを制限されるのは、大蔵省は、必ず建てぬというと、おそらく今のような検討をしておるから言うのだろうと思いますけれども、医療法を出す出さぬにかかわらず検討しておる、ことしの予算編成のときから検討をしておると言われますが、医療法が二年前に衆議院を通った——安保のときに流れたのですが、当時の大臣は、渡邊さんが厚生大臣のときに出して、衆議院は通っておるのです。そうしますと、今の論理でいきますと、当然何らかの処理をしなければならぬ。する方法は二つある。もし虎の門病院が十円のものを七円にして、三円だけを国が出しておるとするならば、当然いなかのものについても価格差は国が出してやらなければならぬ。それは共済組合の保険経理に出してやったらいい。そうすると、今度共済組合が三円分だけを本人に渡したらいい。こういう関係になるわけです。だから、これは共済組合に国が出すという形は、ちょうど減価償却を国が出して病院経理をまかなってやるのと同じ形になるわけです。こういうことは考えられなければならぬことになります。そうしますと、共済組合が直接病院を建てなくても、公務員は安心をしてやっていけることになる。当然そうなるわけです。当然そうならなければいかぬ。これは差別をしてはいかぬ。たまたま谷村さんは大蔵省におるけれども、今度広島の国税局長か何かになって行ってごらんなさい。おれはどうも東京におったときは、虎の門病院にかかれて医療費が安かったけれども、広島に来たら医療費が非常に高いということになって、奥さんに怒られる。だから、奥さんを怒らして夫婦げんかが起こらないように、今からやはりやっておく必要がある。これは、やはり今日他人に施すことは、あすはまた自分が施されることになるのだから、それを忘れてはいかぬですよ。だから、あなた方は均衡論、公平論というようなのはお得意の巻なんですが、ぜひこれは——きょう私は答弁は要求しませんから、十分一つ御検討になって、今までの既得権を滝井が言ったから奪うということは許されません。だけれども、前進の形で、社会保障ですから、まず共済組合からでも、全部でなければ、とりあえず三分の一とか半分でも補給しましょう、しばらくいなかは待って下さい、全面的に医療制度調査会の答申が出て、病院がずっと全国にできるまではやむを得ません、こういう形になるわけですよ。これはきょう、まだあとありますけれども、大蔵省に対して、そういう問題があるということだけを一つ頭にとめておいて、わかっているらしいから、御検討を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/115
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116・谷村裕
○谷村政府委員 問題があることはわかっておりますが、滝井委員がどう考えておられるかよくわかりませんけれども、どうも滝井委員のおっしゃるような方向において解決するのは、私はいささかまだ抵抗を感じます。それだけを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/116
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117・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、現在これは非常に不均衡であるということはお認めになるでしょう。そうすると、不均衡であったからといって、既得権を剥奪してしまうというわけにはいかぬですよ、これは既得権ですからね。虎の門病院が低医療費でやっているということは、これは虎の門病院だけではなくて、事業主がおやりになっている病院はみなそうです。そうでなければ事業主病院の意義はない。しかも、それが事業主病院になると、保険医療機関でないわけですから、従って、保険医療機関であるところに問題があるので、虎の門病院はまず保険医療機関でない事業主病院にやると、あそこはゆとりができてくるわけです。そして公務員はゆったりやれる、こういうことになる。そうすると、今度は地方にやらなければならぬ、こういう形になる。そこで、員外利用をできるだけ少なくすれば、国の方が出す金が多くなるのですから、保険医療機関にして、できるだけ一般からもかせぐ。そして公務員については、事業主病院だから低くする。そうすると、そこで余剰が黒字になる。それを今度いなかに回してもいいのです。やり方はいろいろあると思うのです。全部あなた方の一般会計から自腹を切らなくても、やり方はいろいろあると思うのですよ。これは頭の働かせ方ですよ。だから、これは問題があるということだけを——しかし、既得権を剥奪するということについては、これは断固として反対です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/117
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118・堀内一雄
○堀内委員長代理 本会議散会後直ちに再開することといたしまして、この際暫時休憩いたします。
午後二時四分休憩
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午後三時四十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/118
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119・堀内一雄
○堀内委員長代理 休憩前に引き続き、会議を開きます。
中島委員長が所用のため、理事の私が委員長の指名により委員長の職務を行ないます。
厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。
質疑を許します。滝井義高君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/119
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120・滝井義高
○滝井委員 午前中に引き続いて質問を続けますが、今回社会保険庁長官のもとに長官官房ができるわけですが、その官房の所掌事務の中に、厚生保険特別会計等の経理の問題があるわけでございます。
実は厚生保険特別会計については、今までは保険局長のもとに管理されておったわけですが、今回はこの会計は保険庁長官のもとに移ることになるわけです。そうしますと、これから再々現業を担当する長官に国会に来ていただくというわけには参らぬので、懸案の問題をこの際一つ解決してもらわなければならぬと思うのです。と申しますのは、厚生保険特別会計に国は毎年十億ずつ金を入れることになっておったわけでございます。その十億ずつ金を入れるのについては、昭和三十四年までは法律をもって十億ずつ金を六カ年間にわたって入れることを延期してきたわけです。毎年延期してきました。これは社会労働委員会で大臣に御検討をお願いをしておいたわけでございますが、いよいよ保険庁が誕生をするということになれば、この跡始末は、一つこの際しておいてもらわなければならぬと思います。これも大蔵省の法律違反ですが、一体どうするつもりなのか。この前から一つ御検討をお願いしておったわけですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/120
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121・高田浩運
○高田政府委員 今の点は、以前に社会労働委員会で御質問がございまして、大蔵省の方から、しいて言えば、法律違反ではないという考え方を申し述べた次第でございます。法律問題としては、純粋に考えれば、これはさように考えざるを得ないと思いますが、一方、この特別会計がその後収支の関係が好転いたしました関係上、三十四年以来繰り入れを行なわないで今日に至っている次第でございます。滝井先生のお話によれば、四十億もらうべきだということでございます。これも一つの考え方だと思いますけれども、今日までそういうようなことで推移をして参りました現在といたしましては、今後の問題は別として、従前にさかのぼってどうこうということは、現在のところは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/121
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122・滝井義高
○滝井委員 法律違反でないということを勝手におっしゃっておるけれども、それならば、何のために二年にも三年にもわたって十億円の特別会計の繰り入れを延期する法律を出してきたかということです。これは実績があるわけです。たまたま安保条約で流れたのです。その後出して、一回は十億延ばすことにしたわけでしょう。その後また、われわれの抵抗でこれはいつの間にか流れたのです。そして、その後出すのをお忘れになった。この前の答弁では、いや今度の国会にも出しておりますという答弁があったのです。だからこれは、出しておりますという答弁は、やはり出なければいかぬということが頭のすみにどこかにあるから、それが反対に出てきておるわけですから、これは語るに落ちたと思うです。今になって、いやわが方は非常にお金ができましたから、それは返してしまいましたと言うけれども、返すことと、一般会計から繰り入れますという法律上の規定を約束をしたこととは、別個の問題なんです。お返しになるのはかまわない。しかし、もらうのはもらわなければいかぬ。だから、これは大臣にこの前払お願いをしておいたのです。もう局長段階ではない。こうなったら、これは大蔵大臣と直接やってもらわなければいかぬ、こういうことです。だから四十億、総計六十億、とにかく三十四、三十五、三十六、三十七年——三十四が入るかどうか、ちょっと記憶がはっきりしませんが、入るとすれば四十億、入らなければ三十億、これを入れてもらわなければならぬ。今度の補正予算をお組みになるときに、これは必ず入れておいてもらわぬと、もう保険局で起こった問題は、今度は保険庁に行ってしまうのですからね。だから跡始末だけは、立つ鳥跡を濁さずでしておかなければいかぬですよ。それをこの前からお願いをしているわけです。これは今度厚生保険特別会計は出てしまうのですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/122
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123・岩尾一
○岩尾説明員 厚生保険特別会計に対します繰り入れの問題でございますので、便宜私からお答えをいたしたいと思います。
本件は、実質の問題と、それから法律上の問題と、それから現状の問題と、三つに分けてお考えいただきたいと思うのでございます。
まず、実態の問題でございますが、おそらく御指摘いただいたと思いますが、昭和三十年に六十億という赤字が厚生保険について考えられたわけでございます。そこで、こういった赤字を処理するために、厚生保険特別会計法の改正が行なわれまして、七十億のうち十億は政府で入れる、六十億については資金運用部の方から借り入れて、その分については政府の方から毎年十億ずつ入れようではないか、こういう改正を行なったわけでございます。ところが、その後昭和三十一年におきましても、保険会計の収支というものは依然として非常に悪いであろうというような情勢になりましたので、いま少し前向きの、健保勘定の実態をよくするために健康保険法の改正が行なわれまして、政府は健康保険の積極的な収支の改善のために国庫負担ができるという規定を置いたわけでございます。これに従いまして、三十一年度、三十二年度につきまして三十億ずつの金を入れたわけであります。従って、これは今申し上げました特別会計法に基づく金ではないわけであります。その後の経過につきましては、御承知の通り、三十三年、三十四年十億ずつ、三十五年五億、三十六年八億、三十七年五億という経過できておるわけであります。ところが、今申しました実際上の七十億の借金と申しますか、その当時の赤字は、その後どうなったかと申しますと、具体的に三十一年度、三十二年度に三十億を入れました効果もありまして、その後収支は非常に好転をいたしまして、現在におきましては、三十四年度におきまして六十億の借入金は全部決済をいたしまして、なおかつ積立金はふえて参りました。三十六年度末で約二百六十億の積立金を有している、こういう状況でございます。従って、実態的に申しまして、三十年度において想定された赤字の問題というものは、現状においてはなくなっておる、こういうことが言えるかと思います。
それから次に、法律上の問題でございますが、今申しましたような経緯に従いまして、三十一年度に、政府は歳入不足を補てんするために昭和三十一年度以降六カ年間にわたって繰り入れることができる、こういうような規定を置いたわけでございます。ところが、先ほど申しましたように、三十二年において積極的に財政を強化するために三十億を入れましたので、その際に、今申しましたような歳入不足のために十億を入れるというような規定を適用する必要はないので、むしろ積極的に三十億を入れることによって財政を強化していこうじゃないか、それには規定上は今申しましたような規定がありますので、三十一年以降の毎年入れていくという規定を、その年だけについては延ばしていこうという改正をやろうではないか、こういうことで、毎年々々一年ずつ繰り延べていくという改正案を提出して、かつ御賛成を得てきているわけであります。ところが、三十四年以降におきまして、その改正案について、もちろん十億というものを入れたいというようなお気持からの御意見もございますけれども、いずれにいたしましても、そういった改正案は通らないままに過ぎてきているわけでございます。そこで現在の厚生年金保険の健保勘定についての特別会計法の規定そのものは、三十四年度以降三十九年度までは繰り入れることができるという規定だけが残っている。しかし、三十四年、三十五年、三十六年、まあ三十七年も十億は入っていないという状態が現出したわけでございます。それを法律的に解釈いたしますと、法律にありますように、歳入不足を補てんするため十億を入れるのだということでできておることについて、歳入不足という事態が起こらなかったから、繰り入れる必要がなかったので、三十四年、三十五年、三十六年は入っていない、こういう解釈をせざるを得ない。そこで三十七年度におきましても、そういう意味において、さらにそういうような実態ができた以上は、三十七年度以降あるいは三十八年度以降というふうに延ばしていく法案を出す必要はないのではないか、こう判断をしたわけでございます。
それから第三点といたしまして、現実の問題として、現在では今申しましたように、たしか三十四年以降三十九年までの規定が現にあるわけでございます。われわれといたしましては、もちろん、その間において、三十八年、三十九年において実際上歳入不足を補てんする必要が生じた場合には、十分検討をいたしたいと思います。さらに一番最初に法案ができましたときの六十億というものを基本にできてきた考え方について、三十九年の年限というものを延ばしていくかどうかという判断については、三十九年において検討をいたしたい、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/123
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124・滝井義高
○滝井委員 第一点の実施上の問題についてでございます。実施上の問題については、私は、第一点の、積極的に入れなかったということについては、これは私は法律違反と断定をしているわけです。
それから第二点の、三十億を入れた、その後これがだんだん十五億になり、八億くらいになって、今年はまた五億になっておるわけですね。そうしますと、この三十億を入れることがまた公約だったわけです。この三十億は、厚生保険特別会計が赤字になろうと黒字になろうと、これは池田勇人の目の黒い間は、あるいは一萬田の目の黒い間は必ず入れますという、現にそこでみんな大臣が胸をたたいて約束をしているのですよ。今のあなたの言葉だと、三十億入れたから十億入れぬでいいなんということはない。当時、だから予算抗衝のときに、小山さんもおりますが、この私にした答弁をみんな金科玉条に書いて、大蔵省と予算折衝をやったのです。あなたの前任者は何といいましたか、小熊さんですか、やっているわけです。だからそういう経緯があるわけですから、三十億を入れることは当然なんだ。ところが、これも厚生省は、大蔵省と相撲を取ったら、大蔵省が強いから寄り切られる。当然法律で入れなければならぬものも、寄り切られてしまっているわけです。だからこれは、今あなたは、三十億を入れたから十億は入れぬでいいと言うけれども、三十億は当然のものとして、総理、大蔵大臣、みんな約束をしたのです。当時の速記をごらんになるとわかるのです。あなたのあれとは違うわけです。それからその当時においては、十億は当然入れなければならぬが、延期をしたわけです。しかし、今あなたの御説明になったように、七十億だったのに、十億だけはその前の年の三十年ですかに入れたのです。だからこれは、二つとも公約違反をしてきたわけです。三十億入れなければならぬというのを破って、五億になってきたし、だから私は、これを何回か予算委員会でもやるし、社会労働委員会で文句を言ってきたのですが、泣く子と地頭には勝てぬものだから、だんだん私の言うのが回数が少なくなっているのですけれども、そういう二つともそうです。そうすると、今法律上の問題としては、私は、もうこれは当然だということなんです。
それからその現状ですが、現状に一体二百六十億の黒字が出たというのは、健康保険法を改正して、そうして一部負担というものを付加をして、入院までとるようになったのです。そうすると、保険会計がそういうように黒字に転化をしたならば、当然毎年十億ずつこれから六カ年間三十九年まではもらって、そうしてその金で、六十億あるのですから、これはそういう入院の一部負担が必要であるというならば、今三十円だから、十円くらいにして二十円削るとか、何かこういう前進をした形をとらなければならない。前進した政策をとらずに、後退した政策をとっておって、そのままで黒字が出たからといって、前の借りは返して、そしてもらうべきものももらわぬというような厚生行政はないと思うのです。これはどっちからいっても——もう僕は岩尾さんより前からよく知っているから、だから三十億というものは、池田さんをここに、呼んでもいいのです、胸をたたいてやったのですよ。池田勇人の目の黒い間は滝井君大丈夫だ、心配するなと言った。一萬田さんはもちろんです。従って、これは事務当局の段階ではなくて、約束をしておるのですから、厚生大臣、当然これは大蔵大臣から六十億をいただかなければいかぬのですよ。そうすると、これは、積立金が二百六十億から三百二十億になるのですから、ゆとりができるから、今度は給付内容の改善という方向に持っていける。これは六十億をじっと置いてあったら、利子も何もつかぬけれども、こちらへ持ってきてすれば、これは子を生みますからね。利子がつくのですから、六十億は七十億、八十億の価値が出てくるんですよ。当然いただかなければいかぬものなんですよ。こういう大事なところが、どうも抜けておる。こういうことも、これは現業と監督が分離してなかったから落度があったのだろうと、善意に今度は解釈しますが、現業と監督が分離するのですから、少なくとも今度の補正予算では、六十億はもらわなくても、過去の四カ年分を四十億はいただく、こういうことにならなければいかぬと思うのですが、どうでしょうか。厚生大臣、補佐の二人が、片手があくのですから、ぜひ一つとってもらわなければならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/124
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125・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 なかなかむずかしい御質問でございます。先ほど来厚生省並びに大蔵省の事務当局からお答えをいたしておるところでございますが、法律の文句の解釈論ということになりますれば、私は政府側の言うことにも一理ある、かように考えるのでありますが、ただ、当時のいきさつは、滝井さん一番よく御承知かもしれません。従って、当時のいきさつから言えば、あるいは滝井さんのおっしゃるようなことがあったのではないかというふうにも思うのでございますが、いずれにしましても、当時保険財政が非常に苦しいというところから出発して、かような特別な助成措置が生まれ、法律が生まれたというふうに私ども思うのであります。おかげさまで、健康保険の財政状況も近来やや好転して参っておるような状況でございますので、今日ただいますぐに、かつてそういうふうな状態のもとにお話し合いのありました問題を実行する必要があるのかないのかという点も、一つの検討問題ではなかろうかと思うのであります。もちろん、保険財政が窮屈になって参りますれば、今の法律は死んでおるわけではございません、この法律が動いてくるということも当然考えられることではありますし、かりにそうでなくても、政府として、保険財政に対しまして従前もとりましたごとく、何らかの措置をとって参らなくてはならぬということも考えるわけでございますけれども、現在の状況のもとにおきまして、今すぐにその当時の話をもって整理をつけなければならぬかどうかということについては、これは検討を要する問題ではなかろうかと思うのであります。せっかくのお話でございます。私、明年度の予算のときまでに十分一つ考えまして、結論を出したいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/125
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126・滝井義高
○滝井委員 これは毎年政府が延長してきた実績があるということは、はっきりしておるわけです。そうして安保のときに出したものは流れたのですからね。当然それはそのとき入れなければならぬ。しかし、たまたま私、何かはかのことに気を使っておったために、これを主張しなかっただけなのです。その前までは私は毎年やったのです。森永さんに聞いてみたらいい。今の中小企業金融公庫の総裁ですか、森永さんに聞くといい。彼が局長のときにやった。予算委員会で虚をつかれてみなびっくりしたのですよ。これをやっているのですから、これはぜひはっきりしてもらわなければならぬと思うんですよ。来年度予算編成と言いますけれども、もし補正予算でも出るようになれば、そのときは、やはり私はもらう必要があると思う。法律があるのですから、そうしていただいて——いただいたって、これはめちゃくちゃに使うものではないので、国民の福祉の前進に使うのですから、これは岩尾さんの方だって出しても何も害にはならぬもの、益になるものです。それで、今度は給付の改善をやるとか——政府管掌の健康保険というのは、約一千万に及ぶ零細な中小企業の従業員の保険なのだから、従って、当然これは出すべきだと思うんですよ。まあ、大臣は、検討すると——この前も検討すると言っておるのですが、今度は来年度の予算のときまでにはということですから、これはよく覚えておきますから……。僕は一ぺん聞いたことはまた必ずやりますから、国会議員である間は、片がつくまでは何回でもやりますから……。
それから、これもこの前からやっている。さいぜんちょっと、質問もしないうちに、山本官房長から出ましたが、地方自治法の附則八条の関係ですね。この都道府県における社会保険の関係を担当する職員というのは、当分の間なおこれを官吏とするということで、地方の事務官になっておるわけです。こういうものを一体このままで長く厚生省に置いておくつもりかどうかということです。現業と内局という二つの形になったからには、おそかれ早かれ長期の展望に立つならば、何らかの形でこの問題を処理しなければならぬと思う。今のような形では、さいぜん御指摘を申し上げましたように、知事の監査も保険行政についてはできない。だから、どこに行っても、保険課長というのは、治外法権的な状態になっておるわけです。だから、何らかの形で一体処置をする意向があるかどうかということです。こういうままの身分に置いておってはいかぬ。やはり今後事務の簡素化をやり、能率を上げていただくためには、きちっとした形で、ほんとに国の官吏ならば官吏らしく、地方の公務員に移すならば移す、こういう割り切り方をしないと、附則八条というようなものではいかぬということです。
それからもう一つは、社会保険出張所というものは、国家行政組織法にはないのですよ。そういうようなものを置いておくということは、そこに働く職員の権威と言ってはおかしいですけれども、プライドから言っても問題があると思うのです。だから、こういう点、もう少し法律上の体系をきちっとお整えになる必要があると思うのです。どうですか。この点はどう一体処理をするおつもりなのか。構想がなければ、何か検討してでも速急にどちらか片をつける必要があると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/126
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127・山本正淑
○山本(正)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、地方事務官の制度というものが、地方自治法の附則によりまして、昭和二十四年でございましたか、できました当時から、当分の間というような言葉で表現されておるわけでありますが、確かに御指摘もありましたように、この性格がすっきりしてないという面はあるわけでございます。社会保険は御承知のように国が直接管理して行なう、管掌する保険につきましては、やはり国の事務でございまして、そこに画一性と申しますか、それを保持していかなければいかぬという要素があると同時に、また医療保険を例にとってみましても、地方府県の行政との関連という点において、あるいはその他の理由におきまして、府県の組織としてある方が便利といいますか、都合がいい面もあって、今日までに至っておるわけでございます。この制度は、現在は厚生省の保険の関係と労働省、それから運輸省でございますか、その省にわたっての業務について残っておる次第でございますが、いずれこの制度をどうするかという点につきましては、関係各省とも十分協議をして検討をしなければいかぬということだと存ずるのでございます。今日直ちにいつからどうするかというような段階に至っておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/127
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128・滝井義高
○滝井委員 山本さんが御指摘のように、昭和二十二年五月三日にこういう制度ができて、しかも、その八条の前の七条は、これは警察ですが、二十三年三月七日から国家地方警察と自治体警察に切り変わってしまっておるわけでしょう。これはなくなったのです。今仰せのように、労働省関係と運輸関係の陸運事務所がある。それから奄美大島の支所なんかが、今度新しく国民年金が加わってきたわけです。こういう非常に国民のサービスをやらなければならぬ仕事の職員の身分が、何かヌエ的なものであることは許されぬと思うのですよ。きちっとやらなければ、一括して何か形をつける。私たちは、今社会党としては地方自治法の一部を改正する法律として、特に社会保険庁というものができるわけですから、その分だけについては、身分を思い切って地方に移そう、都道府県の職員にしてしまおうということで、地方行政委員会でも付託をしてもらっていますよ。だから、保険庁もできない、公社もちょっとむずかしい、身分がもとのままで、頭だけ二つに分けるということであるならば、この際、身分は一つきちんと県知事のもとに移そう、そしてその知事ががっちり握って、監督その他もできる態勢を作るということも、汚職その他を除く一つの方法だと思う。これでいいか悪いかということは、なおいろいろ検討の余地があろうと思いますが、これも一つの考え方なんで、あなたたちの今度のようなものよりは前進しておりますよ。少なくとも身分のことについてはきちっと前進してきたわけです。あなた方、頭だけ割ったことが前進だとおっしゃるから、私も、その点については幾分能率が上がるだろうと思いますが、さいぜん指摘したように、いろいろ問題点がある。だから、こういう地方の問題についても、真剣に検討して、そしてもう戦後でない、こうおっしゃるのだから、戦後アメリカが来てからできたような制度を長く——これはあなた方の部下ですよ。部下の身分を置いておくことはよくない。一将功なり万卒枯れるようなことはしてもらいたくないということですよ。下の者が働ける姿をすみやかに作ってもらいたい。その形が保険庁になるか、国税庁方式になるか、公社になるか、今言ったように身分だけを移管するか、これはいろいろ議論があると思いますから、なお真剣に検討してやってもらいたいと思いますが、大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/128
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129・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 午前中にもお答え申し上げましたところでございますが、この地方の機構なり組織をどうするかという問題は、今回のこの提案には含まれておらない。いろいろ検討をいたしましたが、結論を得ることができなくて、今回はこれが見送られている形でございます。私ども今の姿が最もいい姿というふうには考えません。しかし、同時にまた、これを地方公務員というような身分に移すということも一つの考えではあろうと思いますけれども、事の性質上から申しまして、地方公務員という身分の者に仕事を扱わせることがいいか悪いかという問題が残るわけであります。はなはだはっきりと国家公務員として県庁から離していくということになりますれば、そこにまた、実際問題として行政を進めていく上においていろいろ難点があるようにもうかがえるのでありまして、容易に結論が得がたい問題でございますけれども、この問題につきましては、私どもとしましては、このままに、ただいつまでも暫定的な事務官という制度で残していいものというふうな結論を持っているわけじゃございません。十分検討して参りたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/129
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130・滝井義高
○滝井委員 労働省や運輸省の陸運事務所と、社会保険と、ちょっと性格は違うのですよ。幸い今度は現業と監督を分離するわけですから、やはりこれは一つの、他省とは関係なく、独自の立場で検討する機会ですよ。ぜひ一つ検討していただきたいと思います。
時間を端折るために、簡単に二、三重要な条文上の質問をいたしますが、厚生省設置法の一部を改正する法律案参考資料の三十ページの六十二、「政府の管掌する健康保険又は日雇労働者健康保険、厚生年金保険若しくは船員保険の保険料を徴収すること。」今まではこうなっておったわけですね。ところが、今度の改正条文を見ますと、保険料を徴収することのほかに「保険給付を受ける権利を裁定し、保険給付の決定を行ない、及び保険料を徴収すること。」こう変わったわけですね。どういう理由でこういうことに変わったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/130
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131・大崎康
○大崎説明員 ただいま御指摘のように、従来の条文は「政府の管掌する健康保険又は日雇労働者健康保険、厚生年金保険若しくは船員保険の保険料を徴収すること。」こういうふうな規定があったわけでございます。それをこの際保険給付を受ける権利を裁定し、保険給付の決定をも行なうことも、権限として補足することにいたしたのでありますが、その理由は、これらの権限は、社会保険庁の権限として後の条文に引用しているわけでございます。広い意味の厚生省の権限でありますとともに、これがまた社会保険庁の権限ともなるわけでございます。なお、同条の六十二号の三というところには、国民年金法に関しまして同種の規定があるわけでございまして、その条文のところには、「国民年金法の定めるところにより、年金給付を受ける権利を裁定し、及び保険料を徴収すること。」という規定が現在ございます。その規定とも平仄を合わせた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/131
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132・滝井義高
○滝井委員 これで被保険者は両方からやられるということなんですね。私はそれを実は言いたかったのです。今までは保険局だったのだが、今度は外局ができるとトロイカになりますよ、なかなか事務的に複雑になってきますよということなんです。だから私は、保険者、それから被保険者、療養担当者といろいろ並べたのですけれども、やはりこれは本人そのものに来なくても、下の職員その他は、保険庁からも同じようなことを、いろいろ書類を出せと言われるし、保険局からも年金局からも言われるわけです。だから書類だけでも繁文縟礼になるということですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/132
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133・大崎康
○大崎説明員 ただいま私がお答え申し上げましたことにさらに、若干補足さしていただきたいと思いますが、これは社会保険庁の権限でございます。社会保険庁というものは、広い意味で厚生省の中に入るわけでございますから、社会保険庁の権限は、同時に厚生省の権限にも法律技術上書いておかなければならないわけでございます。これらの規定の仕方は、滝井先生からけさほど来いろいろお話がありました国税庁、すなわち、大蔵省設置法においても、同種の建前で規定をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/133
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134・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、こういうことば保険局は全然関知しないで、保険庁が全部やるということですね。そう理解して差しつかえないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/134
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135・大崎康
○大崎説明員 そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/135
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136・滝井義高
○滝井委員 次は、この六条の内部部局、援護局に未帰還調査部があったのを削除しまして、そして保険庁の方に一名幹部職を出したですね。そうすると、未帰還調査部というのは、もう仕事がなくなってしまったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/136
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137・山本正淑
○山本(正)政府委員 未帰還調査部は、最近業務の方はずっと縮小して参っておるわけでありますが、仕事がなくなったわけではございません。まだ未帰還業務というのは残っておりまして、職員もいるわけでございますが、今日の段階におきましては、どうしても未帰還調査部長で統括する必要があるという段階は過ぎておる、かように判断いたしまして、未帰還調査部は廃止するということになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/137
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138・滝井義高
○滝井委員 そうすると、事務は少し残っておるけれども、ずっと少なくなったから、部長なんという重い職は要らぬ、簡単に言うと、こういうことなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/138
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139・山本正淑
○山本(正)政府委員 援護局には現在次長制がございまして、そのほかに未帰還調査部長というような役職があったわけでございますが、なお今後も次長制はとってやっていくわけでございまして、未帰還調査部長は要らない、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/139
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140・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、次は三十二ページ、十四条関係の保険局の事務です。一番問題はここにあるようです。そこで、まず、「保険局においては、次の事務をつかさどる。」その十四条の一項二号「医療保険制度の調整を図ること。」とあるわけですね。今まで保険局は医療保険制度とは言わなかったですよ。社会保険制度と言っておったわけです。これを「医療保険制度の調整を図ること。」というように、社会保険というのをどうして医療保険というように変えなければならぬのか。その場合、社会保険という場合と医療保険という場合とは、何か用語上の違いがあるからこうしたのか。どうも医療というと、今度は医務局との関係もあるように思うのだが、医務局との関係はどうなるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/140
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141・山本正淑
○山本(正)政府委員 従来は保険局におきまして厚生年金保険も所管いたしておったわけでございまして、厚生年金に医療保険を含めまして社会保険制度の調整をはかることというふうな字句の表現になっておりまして、今回は厚生年金保険が年金局に移りますので「医療保険制度の調整を図ること。」ということに改めたわけでございます。
医療保険とはどういうことかという点は、通俗的に理解いたしております解釈によるわけでございまして、医務局の所管と重複するとかなんとかいうような点はないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/141
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142・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、今までは厚生年金があったから、社会保険制度と言っておった。これはなかなか新学説で初耳です。われわれは、今までは医療保険でも社会保険と言っておったのですが、そう言われれば、なるほど、医療関係だけしか保険局は扱わぬのだから、それで医療保険制度にして、社会保険というと年金があって広いからだ、こういう用語の使い方になったわけですね。わかりました。それは新学説で、一つえらくなったですよ。
〔堀内委員長代理退席、委員長着席〕
それで、医務局との関係は、次の三号をごらんになると、「医療保険制度の向上に関し、調査研究を行なうこと。」「医療保険制度の調整を図ること。」、こう合わして見ると、これは相当医務局との関係が出てくると思うわけです。ここらの調整の問題は一体どういうことになるのか。と申しますのは、社会保険制度と医療保険制度と違っただけで、今までと条文は同じですけれども、やはり医務局、保険局というものの相互の密接な連関が今までないところに、保険行政がやはり一つの大きな問題点をかもし出しておったと思うのです。特に医療保険制度と改めて新学説を打ち立てるためには、やはり医務局との調整という関係を将来相当考えておかなければならないのじゃないか。どうしてかというと、今度は現業に病院の経営があるわけです。厚生省の所管の中に社会保険庁というのがあるわけですから、これは厚生省がやるのと同じです。一方、医務局にも国立病院というものがあるわけです。そしてここでやられるのは何かというと、社会保険の診療がやられるわけです。それから外局の保険庁の病院でも社会保険の診療をやられる。同じ保険医療機関です。保険局の立場からするならば、これを監督ができるのです。保険医療機関という点ついては指導監督ができる。そうすると、将来、一体医療保険制度の調整なり向上をはかっていくという場合に、これはお金を支払う権限を持っている方がだんだん強くなるのです。何にも金銭の支払い関係のない医務局よりか、ぐんと力が強くなってくるわけですね。今までは年金というのがあったから、幾分希釈されておったのです。今度は高田さんの方は医療保険一本やりでいくわけでしょう。そうすると、これは相当医務局的な仕事が出てくることになる。この調整というものを相当考えておかないと、今の日本の医療の現状からいって、医務局は必要なくなる。今でさえもが、われわれよく言うように、厚生省保険局医務課の状態になっているのが医務局だ、こう私たち言っている。今度は高田さんの方が専心医療保険一本でいくことになるわけですから、手がすいてくるわけですから、そうすると、やはりそこらあたりの問題というものを相当考えておかぬと問題になる。なぜならば、現在医務局所管にある医療制度調査会でおやりになっておることは、相当な部分が高田さんの分野のことなのです。私はこんなことをやりよると時間が長くなるからやりませんが、分野が多いわけです。相当ある。これは列記してあるのをごらんになると、高田さんの関係するところが相当多いのです。これは灘尾大臣ぜひ一つ考えてもらっておかなければならぬ点だと思います。一つ大臣の見解をここでお聞かせを願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/142
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143・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 医務局の仕事と保険局の仕事、この間に非常に密接な関係があるということは、御指摘の通りだろうと思うのであります。従いまして、その間の連絡を始終気をつけますと同時に、お互いにむだな努力はしないように、厚生省としまして内部的によく調節をとりつつ進んでいかなければならぬと思います。お話のような点は、確かに気をつけて参らなければならない事項と私も考えますので、今後ともによく注意して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/143
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144・滝井義高
○滝井委員 次は、今まで保険局の事務の中になかったものが、私の見るところでは多分三つ、十四条に出てくるわけです。それは四号の「社会保険診療報酬に関する事務を行なうこと。」これが今まで保険局の事務の中にはなかったわけですね。あるいは広義の「政府の管掌する健康保険事業を行うこと。」の中に入れれば入れられないことはないわけです。しかし、特に社会保険診療報酬に関する事務を行なうこと。」というニュー・フェースが出てきたわけです。ニュー・フェース・ナンバー・ワンです。
ニュー・フェース・ナンバー・ツーは五号で、「医療保険の医療に関する指導及び監督に関すること。」これは中央社会保険医療協議会——江戸のかたきを長崎で討ったところです。中央社会保険医療協議会から医師会の抵抗で排除された。そこで、あなた方は、地方医療協議会に入れてあった。ところが、今度灘尾さんが出てそれを排除した。保険者が怒った。そこで、今度は江戸のかたきを長崎で討って、厚生省設置法の中にこっそり入れてきた。こういう、かんぐればかんぐれる条文です。これがニュー・フェース二号。
ニュー・フェース三号は、十四条の一項の七号の「社会保険審議会及び中央社会保険医療協議会に関すること。」です。これも今までなかったのです。この今までなかったものが、権限が縮小をしたはずの保険局の中にニュー・フェースとして出てきたのは、一体どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/144
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145・山本正淑
○山本(正)政府委員 第一点の、「社会保険診療報酬に関する事務を行なうこと。」こういう字句が出てきたわけでございますが、従来はその五号同様に保険局における所掌事務の中に明記してなかったわけでございます。ただ、今回内局と外局に分かれますに際しましては、こういう業務をどこで扱うかということを明確にしておく必要があるわけでありまして、この業務は、いわゆる行政庁の処理すべき事務で、現業部門の仕事でない、内局たる保険局において所掌するということを明確にする意味におきまして、入れたわけであります。
五号の「医療保険の医療に関する指導及び監督に関すること。」といいますのは、御承知のように、療養担当規則に関する事項とか、あるいは医療機関の指定へ取り消しとかいったような事項をいうわけでございまして、これは行政庁としての行なうべき事務でありますので、内局たる保険局において所掌する、いわゆる外局が扱わないということを明確にするために、明記したわけでございます。
それから第七号の「社会保険審議会及び中央社会保険医療協議会に関すること。」ということは、従来の条文におきましては、六号の「厚生省所管の社会保険全般に関し、」「各種審議会を維持すること。」この「各種審議会」の中に明記してなかっただけでございまして、それを明記したという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/145
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146・滝井義高
○滝井委員 七号だけはよく理解がいきました。しかし、四と五については、社会保険庁が保険者であるならば、当然診療報酬に関することや指導監督に関することは、厚生省の保険局がやるのが当然のことなんでしょう。これは常識です。今まで健康保険組合が——これは保険者ですよ。健康保険組合が指導監督やら診療報酬のことをやったことは、歴史的に見てないですよ。だから、こんなものを書かなくてもいい。いいですか。私が言いたいのは、毛を吹いて傷を求めなさんなということです。指導監督という問題が、保険者と療養担当者でちゃんばらやられておるときに、今度またわざわざ頭をたたかれるためにこんなものを出したようなものです。当然指導監督というものは厚生省でできるのだから。それから今新しくできたところの中央医療協議会に保険者側が入るためには、地方に指導監督を加えなさい、こう条件として強引に言っているわけです。三条件あったですね。日病を入れること、臨時医療報酬調査会を発足させなさい、それから地方医療協議会に指導監督を加える、こういう三条件を持ち出している。その一つをわざわざ今度ここに入れて、これは保険者をなだめることにはなるかもしれぬけれども、一つなだめれば、一つは今度怒ります。こんなものは入れなくてもできるのです。当然できる。だから、わざわざそうしなくてもいいのではないか。まあ入れてもいいですよ。私はちっとも何だけれども、客観情勢から見て、いろいろけんかがあるときに、わざわざ厚生省がまた棒を持って出ていく必要はない。棒を持っていけば、その棒を取り上げられて、頭をたたかれますよということを私は御忠告申し上げているのです。それくらいの政治感覚がなかったらだめですよ、厚生省というものはやはり四面楚歌なんだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/146
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147・高田浩運
○高田政府委員 今のお話の点は、多少誤解があるんじゃないかと思います。行政庁が保険医療機関に対しまして指導監督を行なうということは、これは従来も今日も変わらないわけなんです。問題は、地方の医療協議会の所掌権限として、これをいわゆる諮問する対象として入れるか入れないかということについての問題でございまして、この点については、確かにいわゆる支払い側の立場からして、地方医療協議会の所掌事項からこの指導監督に関する事項がなくなるということについての不満はございます。しかし、この点はすでに行政庁が強力にこれを実施をするということを私どもの方針としてとっておりますし、一応これを了として、いわば解決をした格好になっております。御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/147
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148・滝井義高
○滝井委員 それから三十九ページの十九条の二号です。医薬部外品というのは、今までは国立予防衛生研究所の十九条の二号にはなかったですね。これはどうして今度加えなければならぬ必要が生じたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/148
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149・大崎康
○大崎説明員 旧薬事法におきましては、医薬品のうちに含まれておったわけでございますが、三十六年二月一日から施行されました新薬事法におきましては、医薬品のほかに医薬部外品なる範疇を定めたわけでございます。本条の改正は、実を申しますと、この法改正によって整備さるべき条文でございましたが、整備漏れがございまして、まことに恐縮でございましたが、この際整備をさしていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/149
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150・滝井義高
○滝井委員 正直でよろしいです。
それから五十四ページの附則。その前の五十三ページの健康保険法第九条からごらんいただきたいと思います。九条をごらんになると、今までは厚生大臣だけでよかったのですが、今度は「厚生大臣、社会保険庁長官又ハ都道府県知事ハ被保険者ノ異動及報酬、保険給付並ニ保険料ニ関シ必要アリト認ムルトキハ事業主ニ対シ文書其ノ他ノ物件ノ提出若ハ提示ヲ命ジ又ハ当該職員ヲシテ関係者ニ対シ質問ヲ為シ若ハ事業所ニ就キ帳簿書類其ノ他ノ物件ノ検査ヲ為サシムルコトヲ得」こういう文書の提出や立ち入り検査ができることになっているわけです。これが今までは厚生大臣なり知事だったのだが、また今度は社会保険庁長官がやることになるわけです。実は現業と監督と分離されたならば、一切こういうことは、少なくとも、被保険者なり事業主に関することは、保険者なのですから、保険者におまかせになってしまった方がいい。健康保険組合等についてもこれと同じことが行なわれることになるわけです。ここらあたりは、保険庁の長官というのは、外局で大臣が信頼しているわけです、御任命になるのですから。だから、今度はそこらまで保険局長なり年金局長が出ていかなくてもいいのじゃないかという感じがするわけです。ところが、これはやはり三者になるわけですね。これは監督が厳重になればなるほど、給付やなんかはいいですよ。だけれども、こういう点が、やはりどうも権限というものは、離したがごとく離さざるがごとく、また離さざるがごとく離したがごとく、こうなってしまうのですね。そのことが一つ。
それから次は、二十四条ノ二です。社会保険審議会に対する諮問というのをごらんになると、今までは、厚生大臣は政府管掌の健康保険事業の運営に関する事項で、企画、立法、または実施の大綱に関するものは、あらかじめ社会保険審議会に諮問をすることになっていた。ところが、今度は社会保険庁長官も同じように、「健康保険事業ノ運営ニ関スル事項ニシテ、企画、立法又ハ実施ノ大綱ニ関スルモノハ予メ社会保険審議会ニ諮問スルモノトス」こうなっているわけです。だから、同じ健康保険事業の運営に関することについては厚生大臣または社会保険庁長官となると、両方一緒にやることもあり得るわけです。また、一緒にやってもいいことになるわけです。こういうところにも、今度審議会は両者からくるから、事務は繁雑になり、それだけ用が多くなる、こうなるわけですね。これはやむを得ないといえばそうかもしれないけれども、やはり権限を保険庁長官に与えているのであるけれども、どうもあまりみんな与えてしまうと心配だというような気持がおありになるような感じがするのです。そういう事項は違うのだというけれども、この条文を見れば、全然違わないですね。同じです。条文は、今までのも今度の改正条文も同じです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/150
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151・大崎康
○大崎説明員 お答えいたします。
第一点の九条の問題でございますが、これは従来ございませんでした社会保険庁長官に対しても、一定の権限を持たせたわけでございます。その理由はどういうことかといいますと、社会保険庁長官は政府管掌のいわゆるいろいろな保険につきましての責任者でございます。いわゆる行政官庁でございますから、それは当然被保険者の異動、報酬あるいは保険給付というようなことにつきましていろいろな権限、物件の提出、提示等の権限を持たせる必要があるわけでございます。それと同時に、厚生大臣といいますのは、この場合に内局の保険局をさすわけでございますが、保険局におきましては、健康保険組合に関する監督の事務を所掌いたしておるわけでございます。従いまして、内局でありまして、形におきまして、これは厚生大臣ということで法律的には表現せざるを得ないわけでございますが、健康保険組合に関して同じような権限を持たせる必要があるわけでございます。
それから第二点でございますが、第二点は、第二十四条ノ二に、従来厚生大臣のみの権限としておりました「政府ノ管掌スル健康保険事業ノ運営ニ関スル事項ニシテ、企画、立法又ハ実施ノ大綱ニ関スルモノハ予メ社会保険審議会ニ諮問スル」ということでございましたが、これを社会保険庁長官もこれをでき得るようにいたしたわけでございます。これは社会保険庁長官は、政府管掌健康保険事業の運営、実施ということを所掌いたすわけでございまして、その範囲において諮問をいたさなければならないわけでございます。それから厚生大臣は、言うまでもなく、保険局におけるところのいわゆる企画、立法事務がございまして、その関係で大部分諮問をいたさなければならぬわけでございます。特に社会保険庁長官にかかる権限を与えましたゆえんのものは、社会保険庁長官の独立性といいますか、言いかえますると、現業と企画の分離ということを明確にさしたからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/151
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152・滝井義高
○滝井委員 いいですか、健康保険の現業的な部面に当たる健組保険組合については、その一切の権限というものを厚生大臣が依然として握ってしまっておるわけですね。そうして政府管掌分だけを保険庁長官にお与えになる。そうしてみれば、実質的には、保険局というものは、やはり今までと同じように約一千万人——これからだんだん大企業はふえてきますから、政府管掌の健康保険の被保険者というものはすぐ一千万くらいになってしまう。そうして、組合の数も企業が大きくなり、コンビナート方式でだんだん膨大になってきますから、この事務というものはだんだん多くなると、現業と監督を分離したと思っておったところが、政府管掌の健康保険の被保険者がだんだん組合を作って——組合を作った方が金も自由になるし、その方がいいのですから。だんだん組合方式が多くなって、高田さんの仕事というものは、元のもくあみになってしまうおそれが出てくるのです。だからこうなりますと、冒頭に私が言ったように、健康保険組合についても、この際思い切って保険庁に全部そういう事務は移していった方がいいということになる。共済組合まではまだまだいかぬにしても、こういう矛盾がここに出てきたわけです。それから今いろいろ諮問事項を分けてしましたけれども、やはり一々説明をしなければ、条文を読んでわからぬようなことでは実際は困るのです。そうすると、権限の強い厚生大臣の方が保険庁長官に、それはお前する必要がない、おれが全部やると、こうなってしまう。保険庁長官は今独立だから、こうおっしゃるけれども、独立でなくなる、自主的な人格というのはだんだん希薄になる。だから、結論的に言うと、外局なんというのは厚生省の一つにすぎない、依然として厚生省は二足のわらじをはいているのだといわれてしまうのです。今あなたは首を横に振っているけれども、朝日新聞の江幡さんなんかそう書いておる。こんなことでは厚生省は依然として二足のわらじをはいておるということをぬぐうことはできないと書いておる。
それからもう一つ大きな欠陥がある。それは七十一条ノ四、これは五十六ページです。社会保険庁長官は、この保険料を決定するときには社会保険審議会の意見を聞いて、千分の五十五から千分の六十五の範囲内において保険料率を変更することができるわけです。これは保険庁長官の権限になっておるわけです。ところが、ここにも一つ矛盾点が出てくるのです。これは条文としては、当然保険者ですからこういうことをしなければならぬだろうと思いますけれども、実際にはこれは法律でやるのだから、健康保険組合だって同じことになるわけです。率は違っておっても、結果は同じになると思う。どういう点で同じになるかというと、診療報酬の決定権というものは社会保険庁長官にはない。厚生大臣にしかない。そうすると、診療報酬を幾ら上げ下げするかによって、保険料というものはきまってくるわけです。権限は与えられておるけれども、その権限というものは、これは厚生大臣の自由自在——自由自在とはいかぬですが、動かすにつれて右往左往しなければならぬということになる、自主性はないのです。これは与えられておるけれども、自主性はない。そうでしょう。すなわち、保険料というものは、診療報酬によって左右されるのだから。そうすると、科学的に検討をして保険料を厚生大臣が御決定になったら——むしろ逆説的な言い方だけれども、この保険料の上げ下げの権限は厚生大臣がお持ちになっておった方がいい。どうしていいかというと、さいぜんの六十億の金みたように、保険庁長官が、これは大蔵省なんかに交渉したってだめなんですからね。だから、この上げ下げの権限を見るのは、小さな政府管掌の被保険者だけを見ておったのでは誤るのです。広く日本全部の医療保険の大勢を見ておかなければいかぬ。あるいは健康保険組合あるいは共済組合の大勢を見て、医療費を幾ら上げるか、その場合に、政府管掌の健康保険の負担力は、客観的に見てこのくらいしかない、そうするとその分は国が入れなければならぬから、千分の六十は据え置きでよろしいとか、六十を六十二に上げなければいかぬということになるわけです。これくらい政治的なものはないでしょう。その一番政治的なところは保険庁長官にまかしておるのです。しかし、これはまかしておるという形をとるだけで、実質的には厚生大臣がやることになっておるわけです。保険局長がやることになっておるのです。理論的に言ったらそうでしょう。ただ、これは虚器をもらっただけでしょう。うつろの権限をもらっただけでしょう。だから、もう少しこういう権限は厚生大臣がお持ちになる、お持ちになっておけば、厚生大臣が千分の六十五だと決定すれば、六十五で不足するときは、不足した分は厚生大臣が大蔵大臣に要求して出さざるを得ないことになる、追い込いまれるわけです。ところが、それは保険庁長官にしておると、保険庁長官はどういうことを今度いわれるかというと、それは君のところの被保険者の保険料を上げたらいいだろう、もっと上げなさい、法律の改正も何なら審議会に諮問して出せ、こう厚生大臣は保険庁長官に——診療報酬は自分で勝手に上げたけれども、保険料はおれは知らぬ、お前の権限だからお前がやれ、こうなりかねないのです。それでは困るのです。だから、ここらのところは、むしろ私に言わせてみれば、厚生大臣がお持ちになった方がいいのです。これは非常にお金持の組合ならばいいのですよ。ところが、貧しい、零細な、平均したら二十二、三人しか一事業場にいない人が作っている政府管掌なんですからね。この中に一千万をこえる人もいらっしゃるのだから、これは社会保障として推進しようとするならば、厚生大臣が医療費を決定したならば、保険料も決定する、不足分も国が出す、こういう形、システムをとっておく方がいいのじゃないか。どうせ今は徹底した分離じゃないんだから、実際は二足のわらじをはいた形になっているんだから、その方がいいんじゃないかという、これは私の意見です。あなた方はそれでいいとお考えになっておるけれども、私は今から予言をしておきますが、必ずそういう問題が、もうおそらく一年かそこらには、医療費の引き上げの問題が出てくるんだから、そうすると、これは保険庁長官責任が重いですよ。こういう場合には、当然厚生大臣は不足分については堂々と国に要求をして、その不足分をカバーをするという政策、これはおとりになると思うのです。当然それはそうなるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/152
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153・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 保険給付等、保険者としての仕事をやります上において、建前は、保険料をもってまかなうという建前であります。従って、その事業の状況によりましては、保険料を上げ下げするという問題が起こってくるわけであります。その保険料の上げ下げの権限は、私は、今度の建前から申しますれば、社会保険庁の長官にまかしてよろしいと思います。ただ、そういったような場合に、一体厚生大臣がどういう態度をとるかという問題でございますけれども、厚生大臣といたしましては、政府の管掌する保険につきましても、健康保険組合の管掌する保険につきましても、保険の内容が充実し、向上するために、全体的に考えて進めていかなくちゃならぬのであります。政府の管掌する保険の財政状況から見まして、あるいは被保険者の負担能力から見まして、無理がある、これはどうしても国が持たなければならぬというふうな判断をいたしますれば、もちろん大蔵省とも交渉いたすということにもなりましょう。これは厚生大臣の仕事でございます。できるだけの努力はいたして参るつもりでございますが、常にそこは政府の方でまかなう、その交渉をするだろうとおっしゃっても、そう簡単に返事をするわけには参らぬと思うのであります。建前は私が今申し上げましたようなことであろうと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/153
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154・滝井義高
○滝井委員 これで終わります。いろいろ三時間半ばかり質問をさしていただきましたけれども、厚生省設置法の一部を改正する法律というものは、現業と監督と分離をすることによって、給付の内容の改善、各関係諸制度の総合調整、こういうものが非常に前進をし、しかも、同時に社会保険の現業業務のついては、能率的かつ適正な処理が行なわれるという提案理由の趣旨、一言でこれを求めれば、厚生行政はこれによって大いなる前進ができるという答弁は、どうも引き出せなかったようでございます。従って、結論的には私は賛成はいたしかねるということをつけ加えて、私の質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/154
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155・中島茂喜
○中島委員長 田口誠治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/155
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156・田口誠治
○田口委員 時間の面を勘案して、なるべく簡単に質問いたしたいと思います。
それは昨日の質問の継続でございますが、私の質問の継続は、今度の保険庁設置の問題については、昨日大筋を質問さしていただきまして、厚生年金の関係に入って今日になったわけですが、そこで、ただいま滝井先生の方から詳細にわたって質問をしていただいたわけなんですが、その中で、この年金と健康保険の関係で国と県と市町村が行なっておるところの実務、それから責任、こういうようなものを明らかにしてもらいたいというので、局長の方からそれぞれ明らかにされたわけでございますが、その中で一つ落ちておるものがあるわけなんです。そして、その落ちておるものが、全国の都道府県から陳情の来ておるものがありますので、この際、この点を明確にしておきたいと思いますが、その落ちておると申しますのは、国民健康保険団体の連合会の職員の待遇の関係でございます。この点につきましては私が申し上げるまでもない。市町村段階に行きましては、この診療報酬の審査支払いというような面に対して努力していただいておるのでございますが、ただ、地方公務員でもなければ国家公務員でもないということから結局、地方公務員の受けられるところの処遇が全部受けられておらないということ、これは昨日もちょっと申し上げたわけなんでございますが、たとえば地方公務員の共済年金に加入する関係、こういうような問題もあるわけなんです。従って、こういう問題については、各市町村では同じ職場で同じ仕事をやっており、そして人事の交流もときによってはやりたいと思っておるけれども、そういう関係から非常に困っておるのだ、こういうことから、国民健康保険法の第八十三条によってこれは設置されておる公の法人でありますから、何とかここに勤めている人たちの待遇を地方公務員と同等に取り扱ってもらうような方法をとってもらいたい、こういう陳情が来ておるわけなんです。それで、この点については、地方公務員にするか、それとも特に地方公務員の共済年金との関係がありますので、幸いに今地方公務員の共済年金の法案が参議院で審議の段階でありますから、その中へ連合会の職員も含めるのだというような一項でも入れていただけば、地方自治体から要請のある者が消化されると思うのですが、この点についてどちらかやっていただかなくてはならぬと思うのですが、何か腹案がございますれば明確にしていただきたいと思います。これは単なる私の思いつきのことではなくして、全国の四十六の都道府県から、議長なりあるいは連合会の会長なりが連名で陳情をしてきておるものでありますから、厚生省としても、これにはやはり真剣に取り組んで解決していただかなくてはならないと思うのですが、大体私が考えますのは、その二つの方法があると思いますが、お考えを発表していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/156
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157・高田浩運
○高田政府委員 お話しの問題点は、私どももよく承知をいたしております。御承知のように、地方公務員共済組合法は、これはやはり地方公務員に関する共済組合を統一をして新たな法律を制定するということでございまして、地方公務員に関する共済組合の法律でございます。今お話しの国民健康保険の連合会の職員は地方公務員ではないわけであります。従って、これは現在健康保険法なり、あるいは厚生年金というものの適用を受ける職員になっておるわけであります。しからば、そういったたとえば国について考えてみますと、やはり国においても、これは国家公務員ではなくして、保険の審査その他の事務に従事しておる者もいるわけです。これらの者は国家公務員の共済組合に入っている者ではなくして、国民健康保険の連合会なり、厚生年金の被保険者になっておるわけであります。これらの保険の体系としては、そういうふうな区切り方をすることが適当なことではないだろうか、私はかように考えております。ただ問題は、一つは、厚生年金の給付の内容を引き上げるという問題、これは私どもぜひやりたいと考えております。それから国民健康保険組合の連合会の職員の各位は非常に重要な仕事をいたしておりますので、年々国からもそれらの連合会に対しては相当額の補助をいたししておるという状況であります。それらにつきましてはさらに改善をはかっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/157
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158・田口誠治
○田口(誠)委員 最後に御回答のありました言葉の中で、私は消化できるものが一つあると思いますことは、地方公務員の共済年金の中に入れてほしいということは、現在の厚生年金の給付率があまりにも低いということから、それで、同じ職場に働いているのだから、同じ待遇をしていただきたいというのが陳情の内容であるわけでございますから、私は、地方公務員にもできない、また、法律的にも地方公務員の共済年金の中に加入させることもできないということになりますれば、当然これは厚生年金の給付の引き上げを行なって、こういう問題を解決していただかなくてはならないと思うので、この点があると思いますので、この点は十分心配をしていただいておるところと思いますので、こういうような問題もありますから、私の申し上げておる厚生年金の給付の引上げを強く要望をいたしておくような次第です。それで、昨日の質問で申し上げましたように、厚生年金の改正については、これは厚生年金、船員保険、国家公務員の共済、それから公共企業体の共済、私学共済、農林漁業共済、まあ幾つかありますけれども、給付金額というものを見ますと、厚生年金の方は約半分、半額なんです。こういうような不利な給付率になっておるわけでございますので、それで、これの引き上げを実現していただきたいということなんです。
そこで、昨日も申し上げましたが、現在各事業場におきましては、言いかえれば、資本家においては、従来とってきたところの退職年金、この制度を何かの形でなしくずしにしてなくしようという考え方の上に立っております。従って、そういうことから、日経連の一つの考え方として、今度の厚生年金を改正するときに、この私的年金と公約年金をミックスしたものとして発足させようという考え方が決定になっており、おそらく厚生省の方にもそういうような点の圧力なり陳情なりが来ておると思うのです。それで、この問題につきましては、昨日の質問では、いまだそういうことは聞いてもおらないし、また、今度厚生省の審議会にかける案についても全然考えておらぬ、こういうように御回答になりましたので、これ以上これについて申し上げても同じことだろうと思うので、私は回答は回答としてお聞きはいたしておきまするけれども、実際的には厚生省のどこかで、日経連から出されておるところの問題が、今度の厚生年金の改正にミックスして出されようといろいろと検討されておると思います。これは事実されておると思います。そういうことから特に申し上げたいと思いまするが、こんなに時間が切迫してからなお昨日に引き続いて質問申し上げまするのは、この国会が終わりますと、参議院選挙になる。それが終わって七月になりますると、来年の通常国会に改正案を出そうとしますれば、予算措置の関係もありまするし、社会保険審議会あるいは制度委員会にかけるには、七月あたりにかければ作業はできぬのではないか、こういうふうに思いますので、個人的に局長にそういう点を聞いてみましたら、七月にかけなくても作業ができるというお話でございましたが、その話は、政府も現在国庫負担をしておるが、負担金、補助金を引き上げない場合にはできるであろうと思いますけれども、これを引き上げようとする場合には、大蔵省との折衝もありまするので、相当日時をとらなくてはならないと思うので、国庫負担を引き上げることを含めて検討をなされても、七月に社会保険審議会、制度審議会をお開きにならなくともできるかどうかということを確かめておきたいと思うのですが、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/158
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159・高田浩運
○高田政府委員 確かに三十八年度の予算編成にかかりますのは六月、七月ということでございます。そのときに最終的に決定できればこれにこしたことはないのでございますけれども、今お話の問題は、非常に大きな問題でございまして、慎重に考えなければならない、普通の事務とは違う問題だと考えておるわけでございます。そういう意味において、いつも予算の最終決定は十二月でございます。十二月に直接というわけには参らぬと思いますけれども、六月、七月でなければ間に合わないとは考えていないわけでございます。なるべく早くいたさなければなりませんけれども、十分慎重に検討いたしたい。なお、国庫負担の増額ということを含めて検討いたさなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/159
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160・田口誠治
○田口(誠)委員 二十分までに終われという理事の方から催促がありましたので、一方的ですが、私の方の案を提示しまするので、それも参考に検討していただいて、来年の通常国会にはりっぱな改正案を出していただきたいと思うのです。
厚生年金の給付額の最低限度は、生活を行なうことのできる額でなければならないということは、今日の憲法下においては言を待たないことでございまして、従って、賃金とか生計費、こういうものが著しく変動をしたような場合には、これに対応するところの改定をしなければならないということなんです。すなわち、生活費の上がる場合にはスライドをしていかなくてはならない、こういうような基本的な考え方の上に立って、次のことを要求しておきます。
現在は、厚生年金の場合には、二十年かけて、給付を受けるときは、老齢年金の場合には約四万円になるわけでございまするが、これは低額給付額が月に二千円になっておりますので、これを六千円に引き上げてもらいたいということ。
それから障害年金は、障害による労働不能の程度に応じてそれぞれ相当額を引き上げる必要が、現行からいきますると見当たるわけでございます。従って、この点については再検討をしていただいて、そうした人たちに対する給付額の引き上げを研究し、提案をしていただきたいということ。それから、給付額を大幅に引き上げることになりますると、原資の不足ということが出てくると思うのです。こういう場合には、不足分は国庫負担でやってもらいたいということ。現在の場合には給付額の一割五分だと思いまするけれども、この点は少なくともこの三倍くらいにはしていただかなくては、他の年金とのつり合いがとれませんので、三倍くらい、四割五分から五割というような引き上げをしていただきたいと思います。
それから、この案を検討していただきますると、場合によりましては、標準報酬の等級が現在一級三千円から二十級三万六千円でございまするから、これを幅を広げる場合があるかもしれません。
それから、掛金の率を引き上げるというような検討をされる場合があるかもわかりませんが、やはり給付を念頭に置いてやっていただくのでございまするから、万が一そういうような場合に立ち至ったような場合には、労働者の負担をこれ以上上げないようにしてもらいたい。三十四年に相当掛金の率が上がりましたので、もうこれ以上上げないようにしてもらいたいということ。
それから保険料の給付の算定基礎は、標準報酬方式をとっておりまするが、この二十年ということは、現行の他の年金と比較いたしますると、ちょっと長過ぎるので、やはり十五年にしてもらいたいということ。従って、六十才というのは、五十五才にしてもらいたいということ。
それから女子の場合は、どこの年金でも別な取り扱いがなされており、また、なされようといたしておるわけでございますが、女子の場合は、少なくとも四十ないし四十五才で給付の受けられるような特例措置をとっていただきたい。
それから資金の運用につきましては、労働者が結局掛金をし、経営者も切半でかけておりまするけれども、その運用の面が、私どもの意に反した方向へ多くが使われておりますので、やはりこうした資金の運用については、労働者の住宅とか、あるいは福利厚生の関係、こういうような面に重点的に使っていただくような方途を考えていただきたいと思うわけでございます。
そこで、きょう恩給法の改正が本会議で決定になりました。恩給法も千五百円ベースの基準年額を基礎として算出されておったものが、二万四千円ということになったわけでございますので、そういうようなことからいきまして、この各種年金もやはりそれに右へならえという形をとることが妥当であろうと思いますので、そういうような面から、今度は一つ思い切った引き上げをしていただきたいと思うわけでございます。
特に私はここで強調しておきたいと思いますことは、戦争中、あの真珠湾の攻撃の当時に、戦争を遂行する一つの目的のために、相当預金を奨励いたしましたけれども、預金そのものについては限度がありましたので、そのときに考え出しましたのは、そのときは厚生年金とはいっておりませんで、労働者年金といっておりましたが、五人以上の事業所の従業員は強制的に加入をして、そして賃金の中から差し引かれるということから、この戦争協力という面で発足をいたしておるようなわけでございます。そういうようなことから発足をいたしておるのでございますから、形の面においては違いますけれども、実際的には戦争協力という一つの賜わり金というような要素も、この労働者の厚生年金の中には含まってきておる。この事実を十分に認識をしていただきまして、今度の改正をしていただきたい、かように考えておるようなわけでございます。
この程度のことで、改正の内容、こちらの要望は、大かた自民党の委員さんもおわかりになって、御賛成のような声が出ておりますので、自民党さんも今度は改正案には賛成していただけるものと思います。私どもが今危惧しておるところの、退職年金をこの厚生年金にミックスさせる、私的年金と公的年金とを混同させるというような、こういう案は、絶対に厚生省としては現段階においては作っていただいては困るということでございますから、その点を十分に留意していただいて、来年は労働者が要望しておるところの厚生年金の改正をし、給付の増額をしていただくことを強く要望を申し上げたいと思うわけでございます。
時間がありますれば、こまかい点についても指摘をし、御回答もいただきたいと思いますけれども、二十分の約束はぴったりきましたので、私はこれでやめますが、議事進行にも協力しておりますので、自民党さんの方もよろしく一つ御協力をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/160
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161・中島茂喜
○中島委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/161
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162・受田新吉
○受田委員 私は、党を代表して質問を申し上げます。
大体、この厚生省設置法案については、原則として賛成をしたいと思っておるわけなんです。
問題の一つ、すなわち、現業部門と企画、立案及び監督業務とを分離するというやり方は、行政体系を基本的に変える改正案という性質を持っているものです。そうした体系を改正される場合には、その間の調整を十分はかっておかれないと、監督関係などでごたごたが起こる危険もある。滝井君からずいぶんいろいろと討議されておったようでございますから、十分御注意されておると思いますが、もう一つ問題は、せっかくできた機構を厚生省は十分生かしていない。昨年の臨時国会で、社会保険医療協議会というものを十一月十六日に通した。法律は公布されておる。ところが、もう五カ月以上たっている今日、まだその委員すら任命されておらぬというこのだらしなさは、どういうところに原因があるのか。法律ができて公布されておるのを、半年もほうっておくような厚生省では、どうもわれわれは法律を作っても安心できないと思うのですが、どういうわけで法律ができて半年も委員の任命ができないのでありますか、御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/162
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163・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 ただいまお尋ねの点は、私といたしましては、最も痛いところでございます。また、ただ痛いというだけではない。国会で御審議をいただきまして、国会を通過した法律でございますから、これを施行するのは私どもの責任でございます。その責任を果たすために、いろいろ努力しておるのでありますが、関係の最も深い、離れては相ならぬ関係の方々の御協力をいまだに得られない状態が続いておるわけであります。私といたしましては、まことに残念なことと存じております。いかような理由があるにせよ、国会を通りました法律が御協力を得られないということは、きわめて残念なことと思いますので、極力お願いをいたしまして、協力していただきたい、かような努力を継続しておるわけであります。決して放置したり放任したりという無責任な心持ちではありません。むしろ、相済まぬことと思いまして、いろいろ苦慮いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/163
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164・受田新吉
○受田委員 法律を作る過程であればいざ知らず、一たび法律ができてしまって、それが半年もほってあるということについての行政責任は、きわめて重大だと思う。もし十分この法律の実施ができないとなれば、法律を改正されて実施できるような形に切りかえられるならばいいのである。でき上がった法律が施行できないというような事態は、これは行政運営上の大失態だと思いますが、もしこれが思うようにできないとなれば、法律を改正される御用意があるか、ないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/164
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165・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 私といたしましては、なお手を尽くしまして協力を得たいと存じております。それから先の問題は、またそのときに考えなければならぬ、かように考える次第であります。この法律に対して、どう手を尽くしましても、絶対に御協力が得られないということでありまするならば、それでもって考えなければならぬと思いますけれども、ただいまのところは、国会をせっかく通していただいた法律でありますので、何とかその線に沿って組織しようということで努力いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/165
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166・受田新吉
○受田委員 努力の過程であるとおっしゃいますけれども、半年たってもこれが実を結ばないのは、努力にも限界がきておる。かかる上は、法律を改めて、施行できやすいように変えていくという努力をされる段階にきたのではないかと思うのです。そうしてもう一つは、この中で、公益委員は国会の承認を得るという規定が一つ入っておりますから、そういう問題をも含めてこの実施に非常な支障が起こるとなれば、面子にとらわれることなく、法改正に踏み切られるべきだと思う。半年たっても解決できないということでは、おおむね限界がきておる問題だと私は思うが、大臣、思い切ってこの際法案をお出しになって、これを一応打ち切られてはどうですか。半年以上たっては厚生省の面子もある。ただし、一、二カ月のうちに解決するめどがあれば、めどを御答弁いただければ、あえて追及を申し上げないことを紳士的にお約束します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/166
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167・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 先ほどお答え申し上げた通り、私は、なおわれわれが手を尽くす余地ありと考えまして、せっかく努力をいたしておるところでございます。いつまでたちましても解決がつかぬということになりますれば、これは厚生大臣としましてはほんとうに相済まぬことでございます。そのときには、政府といたしましては、その考えをきめなければならぬということにもなりましょう。しかし、今の場合といたしましては、私は決して自分の面子にこだわってどうとかいうのじゃございません。自分の責任を果たすためにせっかく努力いたしておるところでございますから、さように御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/167
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168・受田新吉
○受田委員 私は、あまりこれがだらだらしたら、かえって厚生省は面目がつぶれると思うんです。だから、ある期間を目標に置いて、それでいけないというときは切りかえをする。これはやはり改むるにはばかるなかれという立場をおとりになっていく方がいいと思うんです。めどを一体どのくらいに置いておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/168
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169・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 めどをどのくらいに置いておるかという御質問でございますが、あと何カ月というふうなことを申し上げるわけにも参らぬと思います。なるべく早くめどをつけるようにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/169
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170・受田新吉
○受田委員 せっかく厚生省のこうした基本的な行政体系を変革する法案をお出しになった機会に、しかも、この中央社会保険医療協議会というものは、重要な機関として今度の新しい制度に残っておるのです。そのものが仕事のできないような、麻痺された、生まれたけれども、息が切れておるのです。結局できていないのですから、死産と同じような形になっているというときに、これは大へんな責任が起こると思うので、大臣としては、こうした基本的な法体系をお作りになる機会に、めどのつかないような法律は、あるいは機関は、適当に切りかえをされるといういい時期がきていると思うんです。——御納得のようでございますから、それではいま一つおしまいに、時間の関係がありますから……。
今度、年金局及び保険局、さらに現場と、体系を分けられるのでございますけれども、あらゆる社会保険関係の給付条件というようなものは、いろいろ違っておる。これをできるだけ統制するための年金制度の基本的改革をはかろうとする機関は、一体どこがやっておるのか。そして、これは、たとえば要件として、退職年金、遺族年金、療養給付あるいは分べん、出産等にわたるまで、できるだけ、厚生年金保険も、健康保険の政府管掌も、組合管掌も、船員保険も、できればあらゆる共済組合も、大体においてバランスのとれた形に切りかえる時期が私はきておると思うんです。この切りかえをすることによって、いろいろの問題が決着を見ると思うのでございますが、基本的な年金制度の根本的改定をはかろうとする立案、企画は、一体どこがやっておられるか。そしてそこは、どういうめどを持って今調査、検討されておられるか。御答弁を仰いで、その答弁のいかんによって質問をすぐ終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/170
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171・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 いわゆる社会保障というふうな意味におきます年金制度につきましては、これは関係省も多いことでございますけれども、政府といたしましては、少なくとも厚生省といたしましては、各種の年金制度の改善、充実、ないしはアンバランスの是正という問題につきまして、その原動力となり、また推進力となりたいものと考えまして、せっかく勉強いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/171
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172・受田新吉
○受田委員 それはどこの機関——厚生省の年金局がやっておるのか、保険局がやっておるのか、あるいは官房がやっておるのか、また、どういう目標で今やっておるのか。事務当局でもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/172
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173・小山進次郎
○小山政府委員 現在の段階では、まだ先生仰せのような一元的な責任を持ってやる機関はできていないわけであります。ただ、厚生省の年金局におきまして、国民年金制度を実施いたしますとともに、これはいわば国民皆年金の最後の締めくくりをするこいう意味で実施をしておるという関係上、各種年金制度に関するいろいろな問題を事実上研究し、関係方面にいろいろ相談をもちかけたり、あるいはこうしようじゃないかというようなことは、実際上年金局がやっております。先ほども申し上げましたが、それの一つの具現が通算制度の完成であったわけであります。今度新たに調整された年金局を作っていただきますならば、おそらくそういう役割は十分に果たしていけることと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/173
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174・受田新吉
○受田委員 大臣、あなたは閣僚の有力な方として、一つこの年金制度の根本的改定というものについて、積極的に乗り出していただきたい。公的年金、私的年金のアンバランス是正という問題もありますし、厚生省の内部においても、今申し上げたような、幾つかの厚生省で片づく年金があるのです。これは厚生省内部だけでまず整理されて——国民年金だけではない、ほかの厚生年金、船員保険、健康保険、こういうあなたの御所管の分だけでも、そういう給付条件というものは統一する、退職年金の五十五才、六十才、ばらばらを一本にしていく、こういうふうにしていかれる努力が要ると思うのです。大臣、厚生省部内の統一をまずおはかりになるということ、そして願わくは、他の省にまたがる共済組合などの調整をはかっていくという、国民年金を含めた年金制度の総合体系樹立という基本構想を実施に移すという決意を御表明願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/174
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175・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 きわめて重要な問題でございます。厚生省としましては、現在ばらばらになっております各種の年金制度の間のつり合いをとって参りまして、あるいは内容の向上をはかって参りまして、こういう問題につきまして総合的に検討いたしたいと存じております。ことに厚生省の所管いたしておりますものについては申すまでもないことでありますが、できるだけ勉強いたしまして、御期待に沿いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/175
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176・受田新吉
○受田委員 そのことについて何か機関をお設けになる必要があると思うのです。そういう年金制度調査会というような、これは仮称ですが、そういう形のもので、この問題を調節していく機関をお設けになる方が効果を上げると思うのでございますが、大臣は、今の構想について、具体的にできればそういう機関でも設けることの御意思があるかないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/176
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177・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 今回のこの機構の改革も、さような問題に事務当局がもっと力を入れることができるようにということで、企画とか監督という仕事と現業を分離したわけでございます。そのつもりで今後しっかり勉強してもらいたいと存じております。なおまた、お話になりましたような事柄につきましては、国民年金審議会でありますとか、あるいは社会保障制度の審議会でありますとか、こういう機関がございまして、せっかくその方でも御勉強をいただいておるわけでございます。お話になりましたような、またさらに別の年金審議会というものを作るかどうか、それは今後の問題として研究さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/177
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178・受田新吉
○受田委員 質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/178
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179・中島茂喜
○中島委員長 これにて質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/179
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180・中島茂喜
○中島委員長 本案に対し、伊能繁次郎君外四名より修正案が提出されております。
—————————————
厚生省設置法の一部を改正する
法律案に対する修正案
厚生省設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
附則第一項中「、附則第四項の改正規定及び附則第十四項の規定は、公布の日から施行する。」を「及び附則第四項の改正規定並びに附則第二項及び第十五項の規定は、公布の日から施行し、附則第十五項の規定は、昭和三十七年四月一日から適用する。」に改める。
附則第十四項中「昭和三十七年三月三十一日までの間は、四万八千九百八十七人とし、昭和三十七年四月一日から同年五月十五日」を「昭和三十七年五月十五日」に改め、同項を附則第十五項とし、附則第四項から第十三項までを一項ずつ繰り下げ、附則第三項中「この法律の施行」の下に「(附則第一項本文の規定による施行をいう。以下同じ。)」を加え、同項を附則第四項とし、附則第二項を附則第三項とし、附則第一項の次に次の一項を加える。
(医療制度調査会に係る規定の効力)
2 厚生省設置法第二十九条第一項の規定中医療制度調査会に係る部分は、この法律の施行(前項ただし書の規定による施行をいう。)の日にあらたにその効力を生ずるものとする。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/180
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181・中島茂喜
○中島委員長 この際、提出者より本修正案の趣旨説明を求めます。伊能繁次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/181
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182・伊能繁次郎
○伊能委員 ただいま議題となっております厚生省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案について、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略させていただき、修正案の要旨を申し上げますと、第一に、原案では、定員増加を四月一日から実施する建前の改正規定になっておるのでありますが、すでにその日は経過しておりますので、この改正規定の適用を四月一日とすることに改め、第二に、原案では、医療制度調査会の存続期間を本年四月一日から一カ年間延長しようとしておるのでありますが、本年四月一日がすでに経過をしており、同調査会はその効力を失っておるものと解せられますので、この法律施行の日に新たにその効力を生ずることといたした次第であります。何とぞ御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/182
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183・中島茂喜
○中島委員長 本修正案について質疑はありませんか。——御質疑もないようでありますので、原案及び修正案を一括して討論に入ります。
別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
厚生省設置法の一部を改正する法律案について採択いたします。
まず、修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/183
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184・中島茂喜
○中島委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/184
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185・中島茂喜
○中島委員長 起立多数。よって、修正部分を除いては、原案の通り可決いたしました。
これにて厚生省設置法の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決しました。
なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/185
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186・中島茂喜
○中島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次会は、来たる二十四日火曜日十時理事会、十時半委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004889X03019620420/186
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