1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月六日(火曜日)
午前十一時十一分開議
出席委員
委員長 野原 正勝君
理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君
理事 丹羽 兵助君 理事 山中 貞則君
理事 是鹿 雄君 理事 石田 宥全君
理事 片島 港君
安倍晋太郎君 飯塚 定輔君
稻葉 修君 草野一郎平君
小枝 一雄君 坂田 英一君
田邊 國男君 谷垣 專一君
寺島隆太郎君 内藤 隆君
中山 榮一君 福永 一臣君
藤田 義光君 本名 武君
東海林 稔君 中澤 茂一君
楢崎弥之助君 西宮 弘君
山田 長司君 湯山 勇君
稲富 稜人君 玉置 一徳君
出席国務大臣
農 林 大 臣 河野 一郎君
出席政府委員
農林政務次官 中馬 辰猪君
農林事務官
(大臣官房長) 昌谷 孝君
農林事務官
(農林経済局
長) 坂村 吉正君
農林事務官
(農地局長) 庄野五一郎君
農林事務官
(振興局長) 齋藤 誠君
農林事務官
(畜産局長) 森 茂雄君
農林事務官
(蚕糸局長) 立川 宗保君
農林事務官
(農林水産技術
会議事務局長) 増田 盛君
食糧庁長官 大澤 融君
林野庁長官 吉村 清英君
水産庁次長 村田 豊三君
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二月三日
委員倉成正君辞任につき、その補欠として稻葉
修君が議長の指名で委員に選任された。
同月五日
委員玉置一徳君辞任につき、その補欠として西
村榮一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員西村榮一君辞任につき、その補欠として玉
置一徳君が議長の指名で委員に選任された。
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二月一日
農地開発機械公団法の一部を改正する法律案(
内閣提出第五三号)
同月三日
南九州防災営農振興法案(川村継義君外二十一
名提出、衆法第二号)
南九州防災営農公団法案(川村継義君外二十一
名提出、衆法第三号)
同月五日
土地改良区の財政の再建に関する特別措置法案
(石田宥全君外十四名提出、衆法第五号)
は本委員会に付託された。
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二月五日
農業災害補償制度の改正に関する陳情書
(第一七九号)
同
(第三六
一号)
同
(第三六二号)
食糧管理制度の存続に関する陳情書
(第一八〇号)
同(
第三六四号)
食糧管理制度の存続等に関する陳情書
(第一八一号)
同
(第一八二号)
同(
第三六五号)
同
(第三六六号)
養鶏資金の融資に関する陳情書
(第一八三
号)
急傾斜地帯農業振興対策事業の推進に関する陳
情書
(第一
八四号)
農業近代化資金融資に関する陳情書
(第一八五号)
昭和三十七年度農林予算増額等に関する陳情書
(第二一六号)
農業災害補償法に基づく家畜共済病傷掛金の二
分の一国庫補助等に関する陳情書
(第二二〇
号)
日ソ漁業委員会の早期開催に関する陳情書
(第二六三号)
農業振興対策確立等に関する陳情書
(第二
六四号)
蚕糸業振興対策確立に関する陳情書
(第二
九九号)
黄萎病対策確立に関する陳情書
(第三〇〇
号)
こうもりが防除対策確立に関する陳情書
(
第三〇一号)
畜産振興対策確立に関する陳情書
(第三〇三号)
食糧管理制度に関する陳情書
(第三六三号)
漁業法の一部改正に関する陳情書
(第三六七号)
同
(第三六八号)
臨時肥料需給安定法等の廃止反対に関する陳情
書
(第三六九号)
同
(第三七〇号)
同
(第三七一号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
農地開発機械公団法の一部を改正する法律案(
内閣提出第五三号)
農林水産業の振興に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/0
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001・野原正勝
○野原委員長 これより会議を開きます。
農地開発機械公団法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。中馬農林政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/1
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002・中馬辰猪
○中馬政府委員 ただいま議題となりました農地開発機械公団法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
農地開発機械公団は、国際復興開発銀行等から資金の融資を受けて、高能率の機械を保有し、主として北海道根釧地区、青森県上北地区等の大規模開墾作業を初めとして農地の造成改良または農地の災害復旧事業を機械力で早期に完成することを目途として昭和三十年設立され、これらの事業を国・地方公共団体等から委託を受けて実施し、またその保有する機械をこれらの事業に貸し付ける業務を行なって参りました。
今後農業基本法に基づく新農政の方向として、農業構造改善のための農用地の開発、大圃場の造成等の土地条件の整備が必須事業となり、その事業量の増大とこれに伴う農地開発用機械の需要の増大が予想されております。
これらの動向に対処いたしまして、農林省の保有する農地開発用機械等を同公団に現物出資して、これらの機械と同公団の保有する機械とを一元的に管理運営して効率的に使用するとともに、公団の運営の円滑、健全化をはかるため新たに政府から出資を行なうことにより同公団を整備強化し、これによって農地開発改良事業の効率的推進を期するものであります。
以下、本法案の内容につきまして簡単に御説明いたします。
第一に、昭和三十七年度におきまして、同公団に対し、政府から一億五千万円を出資するとともに、政府は必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、公団に追加して出資することができることといたしております。
第二に、現在農林省において農地の開発改良事業の用に供している国有機械の一部と、これらの機械の整備または修理の業務の用に供している諸施設を公団に現物出資することができるようにいたしたのであります。
第三に、公団で保有いたします機械等の整備または修理の用に供する施設の効果的な運用をはかるために、公団の業務に支障がない限り、この施設により、委託を受けて機械等の整備または修理の事業を公団が行なうことができることといたしております。
第四に、公団の余裕金の運用につきまして、信託業務を営む銀行または信託会社への金銭信託の方法によることができることを追加しております。
なお、このほか、公団の役員並びに財務及び会計に関して関連規定を整備いたすこととしております。
以上がこの法律案を提出する理由及び法案の概要であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/2
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003・野原正勝
○野原委員長 次に、農林水産業の振興に関する件につきまして調査を進めます。
発言の申し出がありますので、順次これを許します。丹羽兵助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/3
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004・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 先回農林大臣から農政に関する御演説を承り、続いて政務次官から予算に関する御説明をいただきまして、私ども三十七年度の新しいいわゆる河野農政といわれるものの予算づけ、これに対する大臣の御苦心のほど、また実力のほどを十分うかがい知ったのでございまするが、これにつきまして二、三点まず予算の関係から承らしていただき、また大臣の農政に対する諸般の御抱負を一つできるだけ簡単にお聞かせをいただきたいと思ったのであります。なお、私も与党でございまするからして、その大臣のお答えに対して異論を差しはさみ討論する意思はございません。ただお教えいただく、またお考えをこの委員会を通じて国民に知らしていただくということを中心として尋ねて参りたいと思ったのであります。(「八百長じゃないか」と呼ぶ者あり)絶対に八百長ではありません。
懸案の農業基本法が成立いたしまして、昨年末には、きょうも話が出ておりましたが、同法第六条に基づく農業の動向に関する年次報告が国会に提出され、また、去る一月二十六日には同法七条の規定に基づきこの動向を考慮して政府が昭和三十七年度において講じようとする農業施策を国会に提出なさいました。ところで、この政府が講じようとする施策の具体的な裏づけとなるものが、さきに私の申し上げた大臣御苦心の三十七年度農林予算と関係があるわけであります。この三十七年度農林予算の編成に対し、農民は農業基本法制定後第一年目の農林予算として多大の期待を寄せておりました。しかして結果的に三十七年度農林関係一般会計予算の総額は、先回詳しく御説明のありましたように総理府、大蔵省、文部省、労働省及び建設省その他所管の農林関係予算を含めて二千四百五十九億円と示されております。これを三十六年度の補正後の予算の二千二百十八億円に比較すると二百四十一億円の増加となり、その対前年度比率は一一一%となっておると承知しております。これを三十六年度当初予算の千八百七十二億円に比較すると、五百八十七億円の増加となって、対前年比は一三一%となっております。また、これを国全体の明年度の総予算に占める比率について見ますると一〇・一%、こういうことになっております。総体的に見まして、俗に申しますまあまあということで、ございますが、しかしながら前にも私が述べましたように、農業の動向に対する年次報告も一応明らかにされております通り、最近の農業の動向を振り返って見ると、三十五年度においては、農業生産と農業所得は堅実な伸長を示し、農業経営をめぐる価格関係も有利に推移し、農外所得の著しい増加等もあって農家所得の伸びは目ざましい。農業従事者の生活水準は上昇したが、それにもかかわらず農業と他産業との生産性の開差は非常に広まっておる。また農業従事者と他産業従事者との生活水準の開きも決して縮まっていない。これは現実であります。これは総理大臣も言われるように、また農林大臣の先回の御演説の中にも言っていらっしゃいますように、他産業の成長があまりにも急速であったため農業がそれに歩調を合わせられなかったことによるものでありますが、同時に生産性の不均等発展の背景には、農業資本装備の相対的低下、農業と他産業間の労働力移動の不円滑、農産物需要の高度化に対する農業生産の適応体制がおくれたという諸現象がうかがわれるのであると、これまた政府自身が認められているのであります。ところで、このような経済の不均衡の是正をはかりながら、長期にわたってわが国の経済に均衡のとれた発展をさせることが肝要となるわけでありますが、常々実力者河野農林大臣は、量よりも、高よりも、要するにその使い方だ、こういうことを私どもに言われております。金額が多い少ないという問題じゃなくてその使い方だ。おれの使う政治的手腕を見ておれ——これは極端な言い方かもしれませんが、私どもはそういうことを聞いておるし、それは大臣の御持論でもあります。長々としゃべりましたけれども、そういう面から考えまして、大臣として三十七年度の予算は、今までの、政府も認め、私も申し上げたような不均衡是正をはかっていくに——御苦労いただいた大臣は十分だとおっしゃるでございましょうが、私どもとしては、大臣の御手腕を見る前に、まずいわゆる金の額を考えるわけでございます。その点、おれの手腕でやれば大丈夫だという御自信があるかどうか。予算に対する考え方をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/4
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005・河野一郎
○河野国務大臣 御指摘のように私はこの三十七年度予算を十分とは考えておりません。農村の現状にかんがみまして、急速に、飛躍的に構造の改善もしくは施策の拡充をして参らなければ、非常に急激な変化を見ようとしております国際情勢に対応していくことは困難であると考えます。予算編成後におきまして——ただいまもお話かありました通りに農業基本法が昨年の六月成立いたしましてからわずかに半歳でございます。従って基本法を基盤にして、明年度予算を編成したとは申しながら、今何分各方面まだ準備その他が不十分であります。またいくべき方向等につきましても明確なる方向を把握しておったわけでもございません。従ってこれからはまず基礎的なものを整備いたしまして、その準備が一応完了いたしましたならば、急激に膨張して参るべき性質のものであろうと考えるのでございまして、今ここに三十七年度予算につきましていろいろお話がございましたが、ほんとうに基盤になるべきものを考慮し、青写真を書いている段階で、ございますので、三十八年度以降におきましては、農業基本法の精神を真に充足した飛躍的・画期的な予算を編成して参らなければならぬだろう、こう考えております。常に御指摘になります。たとえば構造改善にしても一応十カ年という目安を立てて準備をいたしております。この準備が完了いたしまして軌道に乗ることができれば、私は財政の許す範囲においてもしくは財政を少々強く財務当局に要請してでも、早急に改善を行ない、さらに改善につきましても、現在われわれが考えております。今ここに提案いたしておりますものよりも、さらに充足・拡充した施策をして参らなければならぬだろう。具体的に申し上げますれば、一町村おおむね一億程度の計画では不十分だ、もっとこれを十分に、各町村の真に構造改善のできるような施策に変えていくのでなければ、たとえば、あとからお話が出ると思いますが、欧州共同体、さらに今当面問題になっております日本と東南アジアの農業との関係というような、襲いかかってくる世界農業の日本農業との関連性を考慮した場合に、私は日本農業に大きな不安を来たすのではなかろうかと思いますので、できるだけ各方面の了解を得つつ、一方内面的に充実して参る必要がある、こう考えているのであります。成長部門の畜産につきましても、その他果樹園芸にいたしましても、これがこれからの成長部門であるというだけでございまして、どういうふうにして成長していくか、どういう安定性を持たせるかというような施策がみなちぐはぐになっております。従って、これらをいずれも整備して、これならよろしいということを待ってやるのではおくれるものでございますから、それが時に行き過ぎ、時に準備不十分だということで多少御迷惑をかけることもあると思うのでございますけれども、政府としてはこれらについてできるだけの施策を講じまして、そうして農民諸君の理解ある御協力を得ていくのでなければならぬ、こう考えております。従いまして予算につきましても、ただ従来のものに多少農業基本法のあるべき姿等を基礎的に考慮してこれを入れたという程度でございまして、この程度で満足しているわけでもなければ、この程度である程度やれるだろうと思っているわけでもないのでありまして、今取り急ぎ基本法の方向等について基盤的に考慮しているものを作った。これはこの一年間に十分勉強いたしまして、そうして三十八年度の予算からはある程度本格的にいけるようにすべきものではなかろうか、こう思っているのでございます。
なお、つけ加えて申し上げますが、私といたしましては、従来とかく予算の施行がおくれがちになっております。それが年度がわりの四月一日になりまして幸いにしてこの予算の成立を見ることができるならば、なるべく早い機会にこの金を使い始め、一刻も早く遅滞なく金を使って仕事を始めるということにして参りたい、こう考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/5
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006・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 ただいま大臣からの御答弁で、いわゆる農業基本法の第一年度の精神に沿った考え方、そうしてそのものに新しいものを出すものは出してやった、しかし、予算の面においては満足なものではないが、この予算を三十八年度も考え、またこれを十分生かして農業基本法の精神を示すようにしていく、それはけっこうなことでございますが、そのうちで、ちょうど私がお尋ねしようと思っておったのを大臣からお言葉が出たのですけれども、この農業基本法の体制のもとにおける農政の重要な柱として三十七年度から全国三千百でございますか、このうち工業化予定地を除く全市町村でこの事業を行なおうとしておいでになるというただいまお話がございました。これは河野大臣の河野農政といいますか、河野農政の重要な政策となっておる構造改善の問題であります。もちろんこれをやっていただかなかったならば、農業近代化、農業の所得を上げることはできないのであります。まことにけっこうなことでございますが、この事業は、ますます拡大する所得格差の圧迫を受けておる農業者にとって非常に期待されておる、これはやってほしいぞと非常に期待と希望をもって注目されております。これに関連して、大へん大臣も御熱心のようであり、また私どもも強く要望し期待しておりますから、この点について、こまかいことでありまするが、一、二点お尋ねさせていただきたいと思います。
この近代化農業というのは新しい農政のいわゆる基礎ともなる仕事かと思いますので、お尋ねしたいと思いますが、一町村当たり今お話のありましたように、総事業量は当初大臣は一億二千万円程度だ、こういうことを言っておられましたが、現在の予算は一億一千万円、こういうことに減額されたわけです。今、大臣御自身も、一億一千万円程度のものでは少ない、もっと考えていかなくちゃならぬという御意見でございましたが、せっかく大臣がこんな柱ともなる大華な仕事で当初一億二千万円を最小限考えておいでになったのが、どうして一億一千万円に減額されて農民の期待を裏切ったか、期待ではないかもしれませんが、失望させたか、この経緯を一つお聞かせ願えたらけっこうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/6
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007・河野一郎
○河野国務大臣 御承知の通り、この一億一千万円という数字は、平均の水準の数字でございまして、全部どこの村どこにもいくというわけではございません。たまたま数字を大蔵省と計数的に詰めて参ったらば、この辺ということになって一応了承したのでありますが、実施の段階におきましては、その規模、その仕事の性質等によりましてはいかようにも運用して参れる数字でございまして、それが一億二千万といいましても、一億といいましても、たとえば農林省所管の予算の中で、その地方に集中できるものについてどの程度に集中度を高めるか低めるかというようなこともございましょうし、基礎になるべき九千万については大体その方向でいこうということにしておるわけでございます。
それからまたお話でございますが、私は一応予算を編成いたしまして、その後、たとえば欧州共同体の内部における農村関係の問題が意外に早くまとまった。これは各国非常な互譲の精神によってまとまっておる。のみならず、私は、見方によれば、農業が他の産業の実は多少犠牲になってまでもまとめられたのではないかとも思うのでございます。そういう事態が日本に起こってくることを私は非常に懸念いたします。日本の場合には農業の力というものが政治上非常に強うございますから、そこで私は、国内においてそれが分裂するというようなことがあれば、非常に憂慮すべきことでございますから、なるべく事前に、そういう事態が起こらないように、農業方面において各方面の積極的な理解を得て、そうしてその協力を得て準備を整えておくことが必要である、そういうことにいたしますと、年限においても当然もっと短縮しなければならぬと同時に、もう少し投下する資本、貸付金、設備等についても、大規模のものでなければいかぬのじゃなかろうかという気持がいたしまして、せっかく今あらためて考え直さなければならぬ段階にあるのではないかという気持がいたしておるのでございます。これは今東南アジアとの関係をどうするかということが皆様方初めわれわれの問題になっておるところでございますが、これが東南アジアの農業と日本農業との関係において日本農業を整備するとすれば、どの程度のものが必要であるかということも当然考えなければならぬわけでございます。今はあらかじめ想定して考えておりましても、順次私は具体的にいろいろの問題が起こってくる、その具体的に起こってきた問題に対処するために、具体的に拡大したものがここに生まれてくるということが、明年度の場合じゃなかろうかと思っておりますので、初めてのことでございますからなかなかうまくいきにくい点もありますかもしれませんが、将来のことも勘案しつつ当面の問題に細心の注意を払って処理して参りたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/7
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008・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 そういたしますると、一億二千万円の当初考えられた規模というものが一億一千万円になったというのは、金額は少ないにいたしましても大臣のものの考え方が変わったのではなくして、お話にありましたように予算上の都合でそういうふうに幾らか減った、その進め方というものはお話のような考え方でいかれる、こう解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/8
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009・河野一郎
○河野国務大臣 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/9
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010・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 それでは次に入らせていただきまするが、これはまことにこまかいことでございまするけれども、山林地帯では大へん心配しておるようであります。この河野農政のせっかくの構造改善において、山林地帯としてはどうなるだろうというようなことの考えから心配しておるのでお尋ねしたいのですが、対象市町村三千百、これはいつも聞いております。予定されておる工業化予定地は除外されるのは別として、指定基準として林野率等も勘案すると伝えられておりまするが、林野率が勘案されると林野地帯は除外されるおそれがないか、こういうことを盛んに言っておるのでありますが、その点一つ明らかにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/10
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011・河野一郎
○河野国務大臣 林野についての除外は、これをやめることにいたします。全部入れることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/11
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012・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 次に、この改善の推進が農基法の大きな柱になっておることは私どもも何べんも言っておることで、ございますが、真の構造改善ともいうべき経営規模の拡大や共同化の推進が置き去りにされておるようにも一私ども見受けるのです。その証左というか、その証拠にはなることではございませんけれども、基本法の制定当時に考えられていた国有林の合理的な解放、いわゆる牧草地、牧野を広くするというようなことから国有林の合理的な解放とか、あるいは県有林もそれをまた進めてもいいという当時の大臣の御説明があったと記憶しております。私の聞き違いかもしれませんが……。特に国有林を強調されました。それから相続の場合の農業経営の細分化、農地法の関係で細分化の防止について言われたのですが、今国会に何らそういう関係の法律案が出るとも聞いておりませんし、伺っておりませんけれども、経営規模の拡大とか近代構造改善だとか、機械化、こういうことをやっていこうとしまするならば、盛んに農基法を審査したとき大臣強調しておいでになったのですが、それが全然今まだ出ておりませんけれども、お考えがあれば承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/12
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013・河野一郎
○河野国務大臣 今御指摘の点は非常に重要な点でございまして、私もできるだけ山、原野等の開墾、土地造成を強力に進めて参らなければならぬというつもりで、現に農地の造成にあたりましても、従来の方向、特に原野というものの開墾を考慮するようにということでその方の計画を大きく取り上げておるわけでございます。とりわけ私は従来の林政のあり方につきまして多少疑問を持っておるものでございまして、ただ単に国有林の経営というような消極的な考え、もしくは植林を進めることによって収益を得て参るというようなことよりも、非常に利回りの低いものでございますから、積極的にこれを開墾し、草地を造成して畜産の振興にこたえるべきである。ばかなような言い方でございますが、林野庁に対して、お前さんのところは林は扱っているけれども、野原の野の字の方は扱ってないのだから、これはよろしく林野庁の仕事の中から外へ出したらどうか、そして別の所管にかえたらどうか、よろしくわが国の山の再検討をいたしまして、そして山の中でどの程度までが農地として使える山だ、そしてこれから上はどうしても植林に充てるべきものだということの再検討を必要とするということで、本年度じゆうにこれの検討をするということで、林野庁に命令をいたしまして、目下検討中でございます。いずれ来年の国会のころまでには山林政策の基本的なものを得て御審議を願う段階に参ることができるだろう。その準備を目下急がせているわけでございまして、お話のように山の利用、平地林の利用、これらにつきましては積極的に施策をして参る。そして私は耕地の増大ということが農業基盤の確立に最重要な分であるという点については決して人後に落ちる者ではございません。それがどうしても不可能な場合に、申し上げますようにやむを得ず他の施策をするのであって、それが第一前提になるという点については決して私は皆さんと考えが違うものでないことを明瞭にいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/13
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014・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 ただいまの国有林野等に関するお考えをちょうだいできましたけれども、そのうち私のお尋ねいたしました点で一点、いわゆる相続による農地の細分化防止のための——私は聞き漏らしたかもしれませんが、お答えがなかったように思います。これは大臣、せっかく農業規模を大きくしていこう、近代化していくにはそれでなくちゃいかぬ。片一方では農地法の改正までお考えいただいておるのに、親が死んで兄弟が財産を分け、農地を分割していくなんていうことになると、しかも都会へ嫁さんにいった者が親の死んだあとの身上分け、財産分けに手を出してくるというようなことで、これは現代農業の行き方とはだいぶ違ったことになるのですが、その点一つ承らしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/14
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015・河野一郎
○河野国務大臣 事務当局といたしましてはただいま御指摘の農家の相続の実態を今調査をいたしております。これはどうしたらいいか、検討をいたしておるということでございます。いずれその検討が結論を得次第、何らかの処置を講ずる必要があれば遅滞なくやるつもりでございますが、まだその結論に達していないというところでございます。よろしく御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/15
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016・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 ただいま私がお尋ねしておるのは、大臣にお尋ねしなくても事務当局にお尋ねすればいい程度の質問でございますが、せっかく農業基本法まで作っていただいて政府が新しい農業政策を国民とともに推し進めていこう。特に今の大臣が実力者でもあって、何とかこの農村を作ってくれるだろう。そのうちの柱の一つとして強く構造改善というものを打ち出されておるのですね。だからいなかへ参りますると、新しい村作り、新しい農村作りというものは、構造改善においてどうやられるのか、われわれ以上に非常に関心を抱いておるわけでありまするから、こんなつまらぬような小さなことをお尋ねするわけでありますが、まことに恐縮でございますけれどももうあと一、二点。この事業が全国の町村にくまなく行き渡って完成されるには、それはもちろんいろいろ予定地もあるでしょうが、全体的に十年かかる、こういうことですけれども、私どもが農村へ参りましてこの大事な農業構造改善が、十年かからぬことには、大臣おっしゃったように全国的に完成できない。そうすると、片一方ではどんどん進んでいく、農村の方はおくれておるところは十年かかる、こういうことでは今日の経済情勢ではおそ過ぎる。努力すると言っておいでになりまするが、この点もう少しお聞かせを願いたい。それと同時に、なるほど予算上で事業規模に応じて一億一千万円——九千万については変えないが、一億一千万円、これが固定したものではない。また将来考えていくと言われますけれども、だんだん変わって参りますると、一億一千万円というものは現在では巨額なように思いまするけれども、これまた新しい農村を作るには、実際少ないじゃないか、こういう感を抱くのであります。
それからもう一つついでにお尋ねいたしておきたいのですが、そのために特に私ども一は、またあとでもお尋ねしますけれども、肝心の基盤整備——大臣の御説明にもありまするが、基盤整備がどうも軽く見られている内容のように思う。そうして農業構造改善をなされて人間が余る。労力が余る。この余った労力をどう変えていくか。いわゆる就業構造の変化について、労力の流れというものがあまり見通しが示されていない、こういう点をお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/16
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017・河野一郎
○河野国務大臣 ただいまの十年は長過ぎるじゃないか、私も長過ぎると思うのであります。ところが初めてのことでございますから、手をつけまして、たとえて申し上げますると、明年度の希望町村を今全国に各府県を通じて申し入れをしていただいておりますが、これとても非常に多い県もあれば少ない県もあるというようなことで、その趣旨徹底がすこぶる不十分でございます。従って自分のところではこういう準備でこういうことをやっていったらどうだろうという地方の意欲の盛り上がりというものにつきましては、実に私はまだまだの感を持つのでございます。従いまして初年度において二百なり三百なりの村をやるといいましても、なかなかこれが行き届かない点が出てくるのではなかろうかというようなことでございまして、これが一年スタートを切って、さてなかなかうまくいっているぞ、いくぞということになれば、全国から皆様を通じて、おれのところ、おれのところというように非常においでになるだろうと思います。ところが今は代議士さんもおれのところ、おれのところとおっしゃらぬほどに、地方にまだまだ意欲がなかなか浸透しておらぬ、こう私は思うのであります。従って、地方が全部ぜひおれのところをというような声があれば、おのずから私は予算の措置を講じて、十年はおろか五年が六年にでも短縮させることは当然だと思うのでございまして、私は何分そういうことを申しましても、地方からの意欲も今申し上げるような次第でありますから、これは長いじゃないか、それではだめじゃないかと、御意見はごもっともに承りまするが、地方との関連におきまして、一応この程度の予算を作っておきまして、今後の地方の意欲にこたえまして予算はふやしていくべきものではないか、その方が完全に一体的にりっぱなものができるのではなかろうかと考えておるのであります。十年といったら十年は絶対変えないのだというつもりはないのでございます。御了承いただきたいと思います。
それから一体構造改善したら、それからまたいろいろ機械化されたら労力が余る、将来の農村人口、農村労力についてはどういう目安を持っておるのだ、こういう御質疑、ごもっともな御質疑と私は思いますけれども、これにつきましても、一応は私は、日本農業の将来のあり方はどうすべきかということが前提に立つ、たとえば比較的労力を要する農業でやっていくことも考えられます。また労力の少ない農業でやっていくことも考えようによってはあり得るだろう、こう思うのであります。それはたとえば、先ほども申し上げましたように、東南アジアの農業等との、もしくはアメリカの農業等との組み合わせ、そういうものを勘案いたします際に、特に日本農業のあるべきあり方というものは、現状において考えられる米麦を中心にし、それが機械化されたときの農業ということになりますれば、相当に労力は出て参ります。これをさらに前進いたしまして、それに家畜を取り入れ、養鶏を取り入れ、また果樹園芸、蔬菜、それらの非常に高度化したものを取り入れて参るということになりますれば、狭い面積のところに相当の農業労力が吸収できるようになると思うのでございます。従ってこれからの農業がどういう方向になっていくべきものかということが第一に前提となって現われてくる。従って構造改善いたします場合につきましても、今は一応日本の動物蛋白をどの程度の需要量で押えて、そして畜産の集団化いたします場合に、その集団化もしくは家畜を中心にする農業を全国で百何カ村にするとか、果樹園芸それぞれについて、ミカンならばどの程度のところを指定するとか——指定でなしに合議して、そうして形成して参るようにしていくというようなことを考えておりますけれども、これは順次変わって参るだろうということでございまして、その間に、都市の労力の需要と農村との間に関連性を持ってこれが将来に進んでいくだろう。従って今いたずらに、将来の農村は農業人口において今の三分の一あればいいのだ、あとの三分の二は都市へ行くべきものだというような断定をするのは非常な間違いでございまして、私は必ずしもそういうふうに考えておりません。資本を投入し、こまかく労力を吸収できるような高度の農業経営によって農村の労力を吸収して参るような、農民のためになるような農業を樹立すべきものである、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/17
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018・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 これは決して大臣と議論しようとは思っておりませんが、大臣のお考えによる、いわゆる農業基本法にのっとった構造改善がだんだん進められていく、そうして農村が機械化されていくということになると、当然人間が余る。また、少人数で拡大された規模の農業をやらなかったら、これはどんな方法を考えたところで、そうめっぽうに農産物の価格を上げるわけにはいかない。どうしても一戸当たり、個人当たりの残る所得というものをふやそうとするならば、機械化し、少人数でやらなくてはならぬ、当然こういうことになる。今後どういう工合に農村を指導していただけるか知りませんが、現在の農民を減らすといいましても——農村により以上労力を必要とするような農業形態を作るということは私はきわめて困難ではないか、こう思うのです。これは大臣、広いところを見ておいでになりますから、私は農林省で大へんお世話になりました愛知用水に一つの例をとって話してもいいと思う。あるいは名古屋周辺の例を申し上げてもいいと思うのですが、せっかく愛知用水というものを農業用水として予算をとっていただいてやった。ところが、できると、その近所がそのために値上がりいたしまして、結果は、一反で四万や五万の所得を上げておるよりも、そういう農業をやっておるよりも、ほかにこの土地を使った方がいいという考え方と、もう一つは耕作農民が、片っ方でどんどんと近代的な、機械的な作業ができるようにいたしましても、若い方々はみんな、町へ働きに行った方が農業所得よりうんといいんですから、もう行ってしまいます。残るのは年寄りと女だけだ。女と年寄りが、せっかく水も出るようになったから、百姓をやらなければならない。しかも、それには、昔のような骨の折れる、労力のかかる百姓はやれませんから、小さい規模の中に相当の投資をしておる。共同作業をやらずに幾らやっておりましても——共同作業はやっておりますが、完全なものはやらない。だから、百姓をやるということは表面非常に楽になった。農業というものは楽にはなって参りました。昔のように難儀はいたしませんか、しかしその楽な農業をやるために、俗にいう近代化ですね、合理化じゃなくて、近代農業だ、機械農業だというので、無謀な投資、過剰投資を農民はいたしまして、そうして暮らしには大へん難儀しておる、こういうような結果になっておる。だからこれは、今大臣のおっしゃいましたように、将来東南アジアあるいはアメリカの農業様式等と勘案していけば、農民を減すのかふやすのかそう心配ないというようなお話がありますが、私はだんだんと酪農農業をやらしていただき、近代的な農業をやらしていただきたい。そうして近代化された大規模な農業をやろうということになると——それ以外に農民の暮らしはよくならないと思う。どんな——畜産だってそうたと思う。そうなったときに余った人間はどうするか。農業基本法等の考えでは、追い出すのではなく、自然に流れる格好ですが、こういう流れる人の形と今後の農業構造改善というものの進め方との間において、人の移動、人間の流れというものがあまり研究されておりませんが、その点をもう一ぺんお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/18
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019・河野一郎
○河野国務大臣 丹羽さんは愛知の周辺のお話をなさいまして、昔ながらの農業に労力の近代化をするために、合理化をするために機械を入れて、そこに労力の過剰を来たしておるということを例にとっておっしゃいました。私はそういうふうな農業を想定するのでなくて、一方において機械を入れて労力が出てくる。出てくる労力を、そこに何を付加していくか。成長農業たるとともに、そこに畜産を坂り入れるとか、果樹園芸、蔬菜等を取り入れるとか——一面には蔬菜が非常に不足いたしております。現に果物にいたしましても、台風があったとはいいながら、ミカンにつきましても、御承知の通り輸出ミカンが例年四百万箱くらい出るのが、原料不足のためにことしは三千箱くらいしかできない、価格は非常に高いというような事実があるわけであります。従って急にはできませんけれども、当然私は、今、丹羽さんの御指摘になった地域ではミカンというものを——適地であるわけでありますから、そういったようなものが——ミカンとは限りませんけれども、そういう果物類が当然取り上げられる。果物にしますれば、御承知の通り外国の果物は、労力不足のために、なっておる果物を、どうしてこれをカン詰にするか。カン詰は安いが、労力が高いということでカン詰ができないというような外国の事実に比べてみましても、日本の労力がその方に回れば相当なものがここに生まれてくるだろう。そこで新しい成長部門としての果物類の耕作、カン詰の製造というようなものが農村に加わってくるだろう。果物類についてもそういったようなものが考えられるだろう。そういった新しいものが加わって、そうして集約的に狭いところで相当の労力を使って収入を上げるもの、規模の大きいところに機械を使って集約するものが合わさって農業経営の中に織り込まれていくべきものだ、こういうふうに思うのです。くだらぬことを申し上げて恐縮でありますが、たとえて申しますと、オランダにおいでになればすぐおわかりでございますが、あの五町歩、十町歩の牧草の中でホルスタインの酪農をやっておるかと思うと、その隣には千坪くらいの温室農業をやりまして、そしてりっぱに非常な多額の収入を上げておるというのがあるわけであります。私は、およそ日本農業等は、こうしたきめのこまかい農業が取り入れられなければならぬものじゃなかろうか、面積の広い、労力が多いという面から考えられる農業というものがあるべき姿じゃなかろうか。従って私は、余った労力をどうするかという問題に入る前に、農業のあるべき姿、日本農業の世界の中で受け持つべき分野というものがまず第一にきめられるべきものじゃなかろうか、こう思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/19
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020・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 大臣の御説明で、農村労力というものをどう処理していくかというお考えはよくわかります。ごもっともだと思いますが、なおまた大臣の御演説、ことしの初めのあれにもよくその点は書いてありますので承知しておりますけれども、今のお話を聞いてよく理解できました。ただ問題は、大臣の考え方は十年先を見てやっておっていただける——あるいはその先かもしれませんけれども、現在の農民というものはきょうのところに立ちどまっておる。そして構造改善だ、近代化ということだけを推し進めて、そうした方面に、今お話のあったようなきめのこまかい、農産物加工工場を作るとか、あるいは畜産加工工場を作るというような、生産農業じゃなくて加工農業の方へもいくんだというようなことがあまりない。はっきり現われていません。予算の面においても現われていませんので、私は大臣がそこらあたりどういうようなお考えを持ってこの労力の利用度を見られるかということをお尋ねしたわけであります。そして、ついでというわけではありませんが、今もたびたび出ておりますように、機械化するとか集団化していくんだというようなお話がありました。
そこで、私は次に、農地、農協法の改正案が出て継続審議になっておる、これについて一つお尋ねしたいのですが、これは農業基本法の関連法案と申しますか、農業基本法を進めていくための中心になる法案のようでありますが、未成立のままに現在継続審議中であります。ちょうどこれは農業基本法の体制からいえば農業構造改善をやる業務は進んでいるということですが、機関車だけ走ってあとは全然ついていかない、こういうようなふうにも、皮肉って言うなら言えるわけでありますが、われわれ農業基本法を推進した者は、一日も早くこの法案の成立を期待しております。両法案に対しては農業団体、特に農協だとか農業会議所は別段強い反対もなければ異論もございませんし、農民も一日も早く成立さして、近代農業のできるようにといっております。社会党さんの方は、おしかりを受けるかもしれませんが、私の考えでは社会党の農業生産組合法案という——前に出ておりましたが、ああいうものと見ても本質的には大へんな違いはないというように思うのですが、しかし先般大臣が、農地法、農協法を改正して、そうして法人に農地の所有権を与えるとともに、所有面積の制限を緩和させたり、農地信託制度を創設して不在地主を容認させる以上、農地改革によって所有地を解放された旧地主に対し、当然——当然とまではいきませんが、この場合、こういうときであるから補償すべきであるとまでは言っておいでになりませんが、旧地主に対する国の措置について再検討すべきであるというような意味の御発言があった。そういうことで世間では非常に世論を喚起し、農地、農協法審議の実はじゃまになっておるというのが——大臣に失礼な言い方でありますけれども、ちょっと歯どめになっておるわけであります。農地、農協法の改正は農地法の基本精神を何ら失っているわけでもなく、旧地主補償と関連するような発言をされては実は困るわけであります。その後世論の反対で、大臣は言葉が足りなかったということで発言の内容をお変えになっておると聞いておるのですが、さきに私が申し上げましたように、農地、農協法を改正して、法人に農地の所有権を与えるとともに、所有西横の制限を緩和させたり、農地信託制度を創設して不在地主というものを容認させる以上は、農地改革によって所有地を解放された旧地主に対して何とかしなければならぬというような言葉では言っておられないにしても、それらしいことを言われたということで、これに対してまた旧地主に対する補償を検討しなければならぬのではないかというように世間はとって、社会党さんの方にしても私どもの方にしてもこの二つの法案の審議に大へんちゅうちょしているというか、十分大臣のお考えを聞いておきたい。——もちろん大臣はそうではないということを言っておいでになるようなことを聞いておりまするが、この場合これは今後二つの法案を審議するに大へん重要な関係を持つと思いますので、この際一つ大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/20
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021・河野一郎
○河野国務大臣 ただいま丹羽さんのお述べになりました点につきましては、多少新聞等に主観がありまして私の真意と違った表現が出ておったことも事実でございます。しかし私は、終始一貫少しも私の考え方は変えていないのであります。どう変えていないかと申しますると、今提案されておりまする二つの法案は少なくとも農地解放当時のあり方と違ったものが出てきておる。たとえばそれが一反歩であろうが三反歩であろうが、出征とか都市に在勤するとかいうようなことであっても不在地主として所有を認められなかったものが、今度はその道を開くようになった。時勢の変化とはいいながら現実はその通りである。従ってこれをどう扱うかということは政治的に一応考慮の段階にあると私は考えます。ただしそれは補償すべきものか補償すべからざるものか、これをそのままにしていくべきものか何らかの処置を講ずるかということは、わが与党並びに政府によって基本的なものが決定さるべきものである。その決定に従って私は善処いたします。こう私は述べております。その考えは今も変わっておりません。ところがこれに対しては昨年末予算編成にあたって明瞭にわが党は結論を出しております。従って私はその結論に従ってすみやかに本法について御審議をちょうだいいたし、私の考えも明瞭に委員会に述べ、審議を願いたい、こう考えております。つまり補償はいたさない、ただし生産資金等において困窮しておられる旧地主には資金の貸付をするということでわが党はいくということに結論が出ておりますから、その方針にのっとって私は農政を振興いたすという所存でございます。どうかただいまの丹羽さんのいろいろお述べになりました点については、ただいまの私が申し上げた点について御了承いただきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/21
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022・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 大臣の御説明で十分了解いたしました。そこで今もお話がありましたように、本年度三十七年度予算に国民金融公庫を通じて旧地主の生業資金を貸し付けるため二十億円を計上されでおります。それから大臣自身も言われましたように、自民党、与党のうちでは——これは大臣の言葉ではありません、私どもの想像なんですが、与党の一部では、その生業資金は将来旧地主への交付金に振りかえられることを望んでおる節もある、そういう人もあると思うのですが、私はそれはそれとして、政府は、今大臣のお話のありましたように、従来より、旧地主に対しては補償は行なわないが、生活に困っておる旧地主に、社会保障的見地に立って、何らかの措置を考えたらよかろう、こういうような表現をしておいでになる。それで先日新聞で発表になったのですが、大蔵省案の旧地主融資の要領を見るとそうでもない。旧地主のうちの生活困窮者を救おうという当初の願いからかなり離れたようなものが、新聞に出ておる大蔵省の試案というのですか、ああいう案として出ておる。これは大臣お読みになったか、まだ目を通しておられないか知りませんが、もし目を通しておいでになったら、あの大蔵省の案なるものは、大蔵省がただ考えておるああいう生業資金貸付の方法というものは、さきに大臣がお話をいただいたのとはちょっと違うような性格が出てきておるのですか、もう一ぺんそれをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/22
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023・河野一郎
○河野国務大臣 実は本日の閣議におきましても、予算関係法案は本日をもって全部国会に提案する運びになったのでございますが、ただいまの国民金融公庫を通じて貸付をするこの法案だけがおくれたわけでございます。おくれた理由は、今もお話がありました通り、党の一部の諸君から御要望があり、その調整がつかないままに多少おくれておるということでございまして、その程度の御相談を私は受けておる程度で、内容についてはまだ大蔵大臣から説明を聞いておりません。大蔵大臣から説明を承る際には、ただいまお答えを申し上げた通り——ただ丹羽さんの今のお話の、困っておる人にやるというようなニュアンスよりも、生産資金として貸付をするということが表現としてはいいのじゃないかと私は思っております。困っておるからこれをやるのだというのじゃない。農業生産資金として、困っておる人にやる、もしくは、農業だけではないかもしれませんが、一般の新しく仕事をする上に資金に困っていらっしゃる人に貸付をする。従って国民金融公庫を通じてこの貸付を行なう、こういうふうに受け取っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/23
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024・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 次に、もうたびたび他の委員会でも、大臣も特に農民の立場を考えてはっきりしたお答えをいただいておりますが、この委員会でも一つ聞いておきたいと思っております。それは農産物の、先ほどお話のありました輸入の関係であります。貿易自由化についての関連であります。池田内閣が高度成長を謳歌した日本経済は、昨年あたりから国際収支の悪化によりその成長の調整を必要とするに至っており、三十七年度における日本経済は、国際収支の均衡、改善が至上命令と言われております。三十九億ドルの輸出達成がそのかぎとなっておることは、私どももよく聞かされて承知しておる点であります。この点農林関係としてこの至上命令達成のため、不要の農産物の輸入が強制されるのではないか。不要とはちょっと言い過ぎかもしれませんが、農産物の輸入が強制されるのではないかということが懸念されます。それはわが国の貿易上で大きなウエートを占めておる対米輸出が、アメリカ自体のドル防衛の強化によりまして大きな期待がかけられないようになり、実情においてわれわれは勢い販路を東南アジアに求めなければならなくなるでありましょう。その場合、これらの地区から見返りとしての輸入品はおのずから制約されて参ります。その制約されるものがすなわち米であり小麦等、農産物に限定せられなければならなくなることを考えなくちゃなりませんが、そうなると不要不急の農産物を輸入することをしいられないとも限らない。そうなれば農民が高度成長政策のしわ寄せをこうむるわけでありまして、これは心配ない、こういうことをたびたび聞いておりますけれども、また、今も大臣からお話がありましたが、今後また日韓問題あるいはまた台湾との関係の推移いかんによっても米の輸入が強くしいられるかもしれない。大輝は国内食糧の供給力の緩和を大きな理由として、先日来食管制度改革の必要性を強調なされておられますが、どういう理由があるにせよ、農産物の輸入については必要最小限度にとどめていただかなくてはならないし、そうでないと国民はもちろん納得もいたしません。またそうするのが農政の担当者として当然のことかと考えられまするが、米麦は今日の農民にはあまり大きなウエートはないとは考えられないのでありまするから、特に食糧の輸入についてお聞かせを願いたい。また貿易自由化の趨勢に対処して、農林大臣は、農林水産物の自由貿易についてどのように考えていらっしゃるか。食糧はもちろんのこと、農産物の輸入についても貿易自由化についてどういうふうな考えを持っておいでになるか。この場合お聞かせ願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/24
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025・河野一郎
○河野国務大臣 貿易自由化と農産物ということになりますと、各国とも、農産物については貿易の自由ということからある程度除外してものを考えることが良識となっておりますことは御承知の通りであります。従ってわが国の場合におきましても、米はもちろんのこと、麦その他の雑穀に至るまで、貿易自由化の犠牲という言葉がいいかどうか知りませんけれども、そういうことのおつき合いでこれが自由になるということは私は考えておりません。ただし今お話しになりましたように、必要最小限度のものは輸入を自由にするということは、当然あり得べき話で、わが国の農産物、農業経営に支障のない限り私は自由におつき合いをしてしかるべきものだと思う。ただしこれは、農業経営に支障のありますものは絶対に自由化のおつき合いをする意思はございません。また私のその考えは必然いれられるものと考えております。
念のため申し上げておきますが、朝鮮米、台湾米——朝鮮米も今ほっほっ問題になってきておりますが、これとても今の段階において直ちに手放しで朝鮮米を輸入するというようなわけには私は参りにくいと思います。台湾米についても同様でございます。しかしいずれにしても、これら以外の国から輸入いたしまする米は、工業用の米をごく少量入れる程度でございます。その他はタイ、ビルマ等からごく少量のものを必要によって入れる場合がございます。台湾、朝鮮の場合におきましても、万一入れる場合がありましても、その数量は非常にわづかなもので、たかだか両方合わせて五、六十万石のもの、だと私は考えます。これとてもそうにわかにその輸入に同意して輸入をしようという考えを持っておりません。従って米の場合におきましてはわが国の米作に支障を来たすような数字のものを入れるというような考えはございませんし、入れる必要も実はないわけでございます。麦につきましては御承知の通り事情も違う、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/25
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026・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 大臣は貿易の自由化ということに関係して、農民保護のあたたかいお考えを持っていただけることを、また成長させるための基礎的な考え方を持っていらっしゃることを承りまして一応安心したのですか、これは先ほど来聞いておりますので私にはわかりますけれども、世間でだいぶ誤解があるようでありますから承っておきたいのですが、大臣がどこでございましたか、わが国はこの際広い意味の国際工業に踏み切るべきであって、農業については、わが国農業は宿命的な零細経営のため、国際的には太刀打ちができないであろうから、従来の農本主義を捨てて資本農業の確立を急がねばならないと思われる、それがために内閣に調査会を設けて検討すべきであろうという趣旨のお話があったということでありますが、私どもが今の話をずっと承り、今まで大臣の説明等、またとってきておっていただける政策等を考えてみますると、これをうのみにするわけにはいかない、そういう考えではないと思うし、またこれには大きな大臣の将来のお考えがあろうと思いますが、そういう調査会を設けて、日本農業を、世界的に、国際的に太刀打ちできないような農業にそういう保護政策という金をかけることはやめて、資本農業的な行き方にした方がいいじゃないか、こういう経済合理主義の原則にのっとっての農政を進めようとする考えではないかということが農協などや農業団体などでちょいちょい聞くのですけれども、これはこの場合一つには誤解があるようでありますからお聞かせを願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/26
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027・河野一郎
○河野国務大臣 大へんいい機会をお与えいただきましたので、恐縮でございますが、一言説明をさせていただきたいと思います。
今お話しのように、誤ってそういうふうに誤解して伝わることは非常に遺憾でございます。私は去る閣議におきまして確かに今の半分のことを雷いました。といいますことは、貿易の自由化というものは先ほど申し上げますように、農産物に関する限り国際通念において決してその範疇に入る必要はない。これは世界各国どこでもそうでございますから、現にその国の農業を保護する立場に立って除外例を求めることはできる。ただし最近の欧州の共同体等の経緯から考えまして、またアメリカと欧州共同体との関連性、さらにそのアメリカが日本、カナダ等にこれから万一打ってくるだろうと思われる想定、さらにアジアと日本との関係、こういった国際情勢の変化が起こった際に日本農業はどうあるべきかということを考えておく必要がある。つまりそういう場合には欧州においても一部農業が犠牲に置かれて、そうして共同体の内部が妥協したことは事実でございます。ところがわが国の場合にはそういうことは困難でございます。先ほど申し上げましたように国内にあるところの半数の農業勢力、農民諸君の立場等を考えたときに、いかに国際情勢が変化して参ったとは申しながら、直ちにこれに順応して国策を遂行することは絶対不可能である。そういう不可能な事態が起こったときに日本の立場はどうなるだろうかということを考えたならば、あらかじめ日本農業はどうあるべきか、いかなる施策を今にしてこれに講じておく必要があるかということを大規模に調査し、大規模にこれが施策を講ずる必要があると自分は考える。決して、私はそうなったときに日本農業はどうなってしまうのだ、そういうことではない。むしろ逆に、最初から申し上げておりますように、明年度以降におきましては飛躍的な大きな予算を農村に投じて、そうして日本農業をほんとうに世界農業の中に強固な基盤を持った農業に改編する必要がある。その前提として閣僚諸君にそういうことを私は述べたのでございます。そうして閣僚諸君を初め、大方の日本の各勢力の諸君にこれに対しての御検討をいただき、今にして日本農業に対して世界の変遷に対する用意をする必要がある。用意するためにはどれだけの施策を必要とするかということについての御検討をいただき、その御検討の結果どういうものが生まれてくるか。それを農林大臣としては忠実に実行する。今や私の力をもってして、そういう問題が起こったときに処するような施策を大方の御了解を得てやることはなかなかむずかしいというふうに考えますので、実は私の所見のほんの一部を閣議において述べたことがあるのでございます。それが今のように誤り伝わっておるとすれば非常に心外でございます。どうか今私の申し上げましたことを一つ御了承いただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/27
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028・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 ほかの大臣のおっしゃることだとそう大して気にもしませんが、何といっても河野大臣のおっしゃることですから、世間では大へん脅威をなし、おそれをなしております。それだけに信じておりまするから、どうか一つ農民のよくなるために一そうの御配意を願っておきたいと思います。
それから次にお尋ねしたいのですが、農民とともに農民と同じように第一次産業の中で低い生活水準にありまするのは、何と申しましても沿岸の漁業者であります。前の国会以来法制をとるとか政府から言明をされて参りましたが、現在までに、われわれはちよいちょいは聞いておりますけれども、何ら制定の運びに至っていないようでありますが、一日も早く漁業基本法とも称すべき沿岸漁業振興法を制定すべきである。そして沿岸漁民の生活水準を上げていくべきであると私も思ってもおります。底辺にあえぐ沿岸漁業者の振興をそれによって考えていくべきであると思いまするが、大臣はこういう沿岸漁業の振興法といいまするか、そういうものについての情熱と熱意のほどをお聞かせいただいて、そうしてまたこの基本法がもしかりに制定されたならば、漁業法、水産業協同組合法の改正もちょいちょい聞いておりますけれども、そういう関係の改正が出てくる、こういうふうに私どもは見ておるのでありますが、基本法をお出しになるのか、それとともに漁業法及び協同組合法の改正をやろうとしておいでになるのか。そういうことの見通しについてお話しいただけたら漁民はこれにふるい立つ向きもあろうかと思いますので、この場合お聞かせ願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/28
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029・河野一郎
○河野国務大臣 御承知の通り沿岸漁民諸君の振興ということは長年の問題でございますが、現状において漁撈が進歩をいたしまするし、まただんだんに漁獲量が増して参ります。しかも一面国内陸地からの汚水の流出等漁場はだんだん荒れることはあっても、漁獲量が増すという方向にいっておりません。しいて申せば略奪漁業であって、決して経営漁業ではないわけでありますから、そういう関係で一面において沿岸漁業の振興法の必要なことも十分了承いたしておりますので、これが準備を今いたして、できればこの国会に提案いたしたいと考えております反面、この予算の中にもありますように、大規模なつきいそ等を沼津にしていきますと同時に、瀬戸内等には稚魚を育てて放流するというような、積極的に魚をふやしていこうというような施策も実はいたしておるわけであります。むろん十分じゃございませんが、今後だんだんそういう方向でやって参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/29
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030・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 次に私は畜産の関係について簡単に二、三の点で伺っておきたいと思います。
三十七年度の畜産振興対策は、畜産等成長農産物の生産の選択的拡大を促進することを基本施策の最重点の事項に掲げておられまして、先日の御演説でも承っております。このため第一に、家畜の改良増殖と畜産経営の確立向上に力を注ぎ、具体的には草地造成改良事業の拡充、飼料自給基盤の確立、多頭羽飼養経営の育成、畜産生産地の形成等を強力に推進することとしておられます。第二に、生産性の向上をはかるため、試験研究の重点を畜産、園芸、加工部門及び多頭羽飼養に履き、また生産基盤である草地の造成改良を大幅に増大すると言っておられます。それから第三番目に、農産物の価格安定及び農業所得の確保をはかるため、畜産物等の価格変動の大きいものに対して、畜産振興事業団への追加出資等による業務の強化、生乳の生産、出荷の自主調整、共販態勢の強化、取引の改善等流通の合理化をはかるための体制を整備すると説明されております。この政策を推進する三十七年度の予算は、私、ここに書いてありますけれども、長くなりますので省略させていただきまして、まことに大きな予算で感謝にたえないのでございますが、このように畜産予算の大幅増額は、畜産に深い御造詣を持っておられる河野農相の絶大なる力に負うところが多いと私は思っております。しかしながら積極的な畜産施策の推進並びにこれに伴う三十七年度畜産予算の大型化にかかわらず、現下の畜産のうちには問題点が少なくない。
第一に、きのうもまた出ておりましたが、毎日の新聞に出ておりますように、畜産物の価格安定であります。前国会において畜産物の価格安定等に関する法律が国会を通過成立し、この法律によって畜産振興事業団が設立され、事業団が畜産物の価格安定の事業を行なうことになっております。昨年十一月に発足した事業団は、事業の執行体制が整わずにまだおるわけでございます。何か計画が出されたということも聞いておりますが、当面豚肉価格の不安定が騒がれておる際、農林当局がせっかくああいう事業団をこしらえて価格の安定をやっていこう、こういうことで政府の発議によって事業団ができたのにかかわらず、こういうことはまことに遺憾であると私は考えられますが、豚肉はもうすでに去年ごろから今年の三月ごろを境にして大暴落を予想されておりました。価格安定法の成立が急がれたのもそういうわけでありまして、最近に至りまして、予想に反して、こんなに早く下がって参りました。農民自体は非常に苦しんでおるようなわけである。当然事業団で売買操作が行なわれるべきでありましょうが、それにもかかわらず、安定基準価格をきめる審議会の方も、ほかはきまったようでありまして、国会の関係でも審議会メンバーの推薦者もきまったようでありますけれども、まだ大事な仕事をする中心になるべき審議会が発足していない。そうして農林省は一月の二十四日でありましたか、畜産団体等の代表者を招いて出荷の調整なんということの指導もなさったようでございまするが、生産者農民のせっかくああいうものができたのにという不満の声は押えることができない。新聞では生産者は下がったけれども、小売価格の方は一向下がらないじゃないか、こういう声と相待って、畜産事業団の事業を始めてくれ、なぜ政府はそのように積極的にてこ入れをしていないのかということに思っておるようであります。価格安定審議会の委員は、ただいま私が申し上げましたように、その他のところがきまって、国会関係の人が内定はしておるけれども、きまっていないので発足していない、こういうことでありますが、できるだけ早くこの審議会を発足していただいて、安定基準価格等も決定していただくようにしていただきたい、こういうことを特に望んでおるわけであります。そこで安定基準価格というものは、審議会でやられるでしょうが、生産費及び所得補償方式的な格好でおきめになると思いますけれども、そういう点、私どもはそう信じておりますが、基準価格をおきめになるときの方式を一つ承らしていただきたいと思うのであります。
それから次に、農林大臣は豚肉の学校給食を事務当局に御指示になって、目下それを検討しておいでになる、こういうことでありまするが、それは私どもまことにけっこうなことで、学童の、将来の国民の体位の向上とか、小さいときからの食改善、こういうところから歓迎いたしておりますけれども、それは一体ほんとうに進んでいくのか、また大臣は熟慮を持ってこれをなさっていかれるか、その点も聞かしていただきたいと思っております。
最後にもう一つでございますが、畜産関係でありますが、三十七年度に畜産事業団の行なう助成事業の財源に充てるために十億円の出資金の交付を計上しております。これは競馬益金を畜産振興に充てるための競馬法の改正が出されなくちゃなりません。その趣旨はまことにけっこうであります。私自身は賛意を表するものであります。そこで競馬法改正の御提案の見通しについて、大臣のしっかりした御決意のほどを聞かしていただきたいと思いますが、先回、昨年の暮れでありましたか、赤坂で、全国畜産大会に大臣御出席になって、そうして演説をなさいました。そばで私ども拝聴したのですが、非常に畜産振興のために熱意を入れられた御演説であり、しかも財源として競馬法の改正もやるのだという御演説で、意を強うしたわけであります。ところが先日の新聞を見ますと、閣議の中で、自治省がどうだとか、だれがどうだとかいって、せっかく大臣が言い出されたけれども、地方財源がどうだこうだということで、ごてごてと閣議の決定が得られないとかいう話で、もちやもちやしておるようでありますが、どうか一つ日本の畜産振興のため、ひいてはこの事業をなすための事業団というか、事業団の事業が完全になし遂げられるためには、それは大臣あれだけの演説をなさったのですから、これをやめたらみんな失望いたしますので、どうぞ実力者大臣である河野大臣は、ただ一人や二人のその立場の大臣の反対もありましょうが、国民の多数を占める農民のため、また畜産事業の育成のためにこれはやってほしいと思う。しかしいろいろの御都合もありましょうから大臣どうおっしゃるか存じませんが……。私は何度も言いますけれども、これだけの情熱を示され、これだけの熱意を持っておいでになる大臣でありますから、やってはいただけると思うのですが、一つどんな経緯になっているか承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/30
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031・河野一郎
○河野国務大臣 だんだん畜産について有益なお話を承りましたが、実は豚肉につきましては、御心配をいただきまして、ようやくきのうきょう産地からの出荷も幾らか出回りが細くなって参りまして、芝浦屠場あたりでも幾らか平常に復して、これ以上の値下がりはない、幾らか強まってきておるようであります。それからまた市内の小売価格は、もうすでに先般指示いたしましてから相当の値下がりを見ているようでございます。従ってこれでよろしいという考えはむろんございませんが、先般新聞に私が発表いたしましてから、所期の要請にこたえて、農家の諸君には待っておれば下がることはないというような安心感を持たれて、小貫物を出荷してくるという傾向は幾らかとまっているように見受けられます。私はけっこうだと思う半面、ぜひこの期待にこたえて一日も早く標準価格を決定していただきまして、それによって無制限に買い上げをするという決意はきつく実行していかなければならぬ、こう考えておりますので、豚肉については一応の安定を見ることができる、こう考えております。
そのほか、なおこの委員会で乳価についても考えなければならぬ点がございます。乳製品の価格について御審議をいただくことにいたしておりますので、この御決定を委員会からちょうだいいたし、それを参考として政府が決定する運びになりますれば、乳価についても安定をして参ることができるのではなかろうかと考えております。しかしこれらはいずれもなかなかむずかしいことでございますが、遅帯なくやらせるようにしたいと思います。
今お話しの学童に豚肉をという話は、今申し上げましたように標準価格以下になりますれば、無制限に買うわけでございます。以下に下がらなければ実は買い出動をいたしませんから、買い出動しなかったときには、残念ながら学童諸君に差し上げるものはないということになるわけでございますが、もし値下がりがあるというようなことであれば、その指示いたしました価格で無制限に買わせます。その場合には相当の頭数を買い上げまして、新聞にもすでに一部出ております通りに、その中の相当の頭数を学童向けに流す。それだけ欠損が生まれる。これらにつきましては必要な事務手続は実は終わっておりまして、いつでもそういうふうに豚肉が下がれば買う、買ったものはこれは学童に回すということに準備をいたしておるわけでございますから、そういう事態があれば御期待通りにいたすというつもりでございます。
最後に、競馬法に関する問題でございます。これは実は本日の閣議で決定いたす段階にあらましいっておったのですが、自治省のお役人さんに一人かぜを引かれた人がありまして、その方面の打ち合わせがまだ多少残った点がございまして、来週の火曜日の閣議で決定をして国会に提案するということに相なっておるのでございます。その改正の要旨につきましては大体新聞に出ておる通り、中央の改正は大したことはございませんが、地方の競馬についてはこれを開催する人を府県知事にする。都道府県にのみ開催権を与える。ただし市町村の場合には災害の起こった場合に、その災害の匡救をなすために自治大臣が必要と認めた場合には農林大臣と合議の上その開催を認めることがあるということにいたしたのでございます。
それからこれは蛇足でございますが、一部府県で競馬の開催をしていらっしゃらない府県がございます。この場合にはその府県知事は府県にかわって競馬の開催を必要な市町村に開催させることができるという点もつけ加えるつもりでございます。
それから経過規定は、私は来年の三月三十一日でよろしいのではなかろうかと考えましたけれども、各方面から非常に強い御要望がございますので、四十年の三月三十一日まで経過規定を置こうということにいたしまして、四十年三月三十一日までは現行で開催していらっしゃる人の財政等の事情も勘案いたしましてこれを残すということにして、大体の結論を得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/31
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032・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 お話しいただきました最後の競馬法ですが、改正法案の内容等はまた出て参りましてから承らしていただくことにいたしまして、とにかく大へん畜産関係の方々はこの法案の出されることを期待しておりますので、一つ御答弁のあったように閣議でそれを実現するよう最善の御努力を願えればけっこうだと思います。
そこで次にお尋ねしたいのですが、今もちょっと出ましたが、余剰牛乳を学校給食に振り向けてきた。そして牛乳の消費増大に伴い、これを打ち切れとの財政当局の強い意向があったのですが、とにかく農林大臣と大蔵大臣の交渉で、事業団の扱う十億円の中からこれを出す、こういうことになったと聞いておりますけれども、ここで私のお尋ねしておきたいのは、牛乳の学校給食の補助金は六億円で十五万石を見込んでいる。農林省が補助金を地方公共団体に交付するのは当然でありましょうが、県というような地方公共団体は中央官庁と普通見られているのに、政府から事業団へいって、その政府の出資機関である事業団が中央官庁と同じような立場にある府県へ金を補助金の格好で交付するということは、これは今度考えられております共済制度の事業団の性格とはちょっと違うわけなんですが、今秋の問題にしている事業団、畜産振興事業団が政府から出資を受けて、しかも県というようなりっぱな公共団体に補助金を出すことが一体妥当かどうか、これに私は疑問を抱くものであります。一つお答えを願っておきたいと思います。
それから牛乳の学校給食は畜産奨励の意味からして大切なことでございますから、社会保障的な性格の上からも、もっと今後重視していただきたい、こういうことを考えておるわけであります。と同時に、畜産事業団の運用益金と十億円の金の使い方についていろいろとこまかく説明されておりますけれども、事業団自身の事業計画がまだできていない。だから豚肉のような問題も起きて参りますし、こういう点で事業団の事業計画を早く御決定願ってお出しになっていただきたいと思いますか、大臣のお考えを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/32
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033・河野一郎
○河野国務大臣 今の、牛乳の学童に与える分につきましては、御承知の通り、昨年の秋以来牛乳の需給の見通しが相当に窮屈に感ぜられましたのでやめておりますが、将来乳価が非常に下がりまして需要が非常に多くなりますれば、もちろん復活してやりますことは当然でございます。
今御指摘の、事業団が町村に補助金を出して云々ということは、事業の委託をいたすのでございまして、決して補助金という性格で出しておるわけではないのでございます。府県知事の企画に基づいて事業団が自分でやることをそれぞれの町村に委託をしてやっていただくという形式をとって参る所存でございます。
それから事業団の事業でございますが、何分発足早々でもあり、またどういう仕事をしていったらよろしいかということについてもいろいろ検討の必要がございます。むやみに手を出してやるわけには参りませんし、むろん審議会等で標準の価格の御決定も願わなければなりませんしいたしまして、いろいろな事情を勘案してやらなければならないのでございますから、せっかく勉強はしておると思っておりますが、また政府の方に認可の申請が出ておりませんので、まだその運びに至っておりません。また認可の申請が出る出ないは別といたしまして、十分に気をつけて指導して参りたい、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/33
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034・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 所見をごたごた述べておりますと時間がかかりますから、問題たけを出して、御答弁を願いたいと思いますが、この畜産、飼料というのは一体のものでございます。そうした事業団を作って畜産の振興をしよう、こう考えられておりますときに、飼料問題を大いに考えていただかなくてはなりませんので、予算等も非常に考えていただいておりますか、今後畜産振興対策の一つとして、飼料の特別会計の方法でも考えていただく御意思はないかどうか、こういうことを聞いておきたいと思います。そのわけは、申し上げておりますと長くなりますから申しませんが、今後畜産振興対策の一つとして、飼料の特別会計制度というものを設けられる御意思はないか。今までのように、飼料の暴騰、配給がごちゃごちゃしたり、需給計画がずさんであったり、不手ぎわがあったとかなかったとかいっておりますが、そういうようなことをなくするために特別会計制度を設けられる御意思はないか、承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/34
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035・河野一郎
○河野国務大臣 御承知の通り、わが国の畜産が急激に発展いたします関係から、飼料に対する需給計算が非常にむずかしい。そのために時に手違いを来たして急激に暴騰する場合があるのでございますが、総じて申しますれば、他の農業資材に比べて、飼料関係は、輸入を十分に大幅に認めておりまする関係から、比較的安定した中に増強して参っておるのではなかろうか。しかも最近は特に製造工場が急激にふえて参りましたので、これらによって一般畜産の振興に寄与し、稗益しておる点が非常に多いのではないか。たとえばこれらのえさの会社が持っております試験場等は非常に進んでおりまして、そこらで飼料、畜産等の勉強をし、稗益する点が非常に多いことを見のかすわけには参らぬと思うのであります。そういう関係がありますので、私は、政府が特別な、たとえばふすま等の特別な飼料に対する施策において間違わずに遅滞なくやって参りさえすれば割合に飼料対策はやりやすいのではないか、こう考えております。従って、今、これに特別会計を設けて云々というようなお話でございましたが、食管会計でも整理するとか、食管会計について特別な施策を講ずるという必要が起こって参りましたときには、むろんそのときに飼料に関するものと食糧に関するものを分けて特別会計の二本立ということも考えられないことはございませんけれども、せっかく今一本に扱っておりますので、しかもそれによって私ば支障を来たしておるというような事実は少しも考えられないので、これでいいのじゃなかろうか、こう考えております。御意見があれば承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/35
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036・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 その点については大臣のお考えを承りましてわかったわけでございますが、次に、先ほど畜産の奨励という立場でお話しいただいたときに御答弁いただいたのですけれども、ちょっと聞き漏らしましたので、ついでにこの機会に聞いておきたいと思います。
畜産物の価格の安定。畜産物の価格の安定をはかって農家所得を安定していく、不安をなからしむる、少しでも軽減するというやり方、これについては十分了解しましたが、これと相待ちまして一緒に考えられるのは、青果物でございます。これも大臣、非常に御熱心で、市場等も御視察いただいて、市場法の改正等もやっておっていただいております。また市場の設備改善等もやっておる。タマネギも今度は価格安定の一つの方法も考えていただきました。それほどまでに情熱を抱いておるわけであります。しかし、市場法を改正したり、市場の設備をよくしたり、またタマネギたけをやるくらいでは、農家所得に大へんなウエートを持っております野菜なんかは始末が悪くなってしまっておるのです。普通でもそうでございますが、大臣の方の役所からいただいた資料によると、詳しいことを申し上げるといいのですか、時間の関係で中しませんが、たとえていうと、一割足らないがために、今の中央市場の方法でもそうですが、せり売りをやりますと、二割も三割も五割も高いものになる。そのときは農家も大へんいいし、市場も手数料がよく入る。売る方は今言ったように非常に高くなるが、一割もものが足らぬために、五割も相場が上がるから、高いものを買わねばならぬ。それから今度逆に一割よけいできたときにはどうなるかというと、一割よけいできたために、一割下がるのではなくて、今度はたたかれるから、非常に安い農産物になってしまって、農家は全然計画が立たないということになる。だから、生産増強ということも大半でありましょうし、これは一番の問題でしょうが、生産増強よりももっと流通ということを、タマネギのように広く研究を進めて、全部の野菜に及ぼしていくような方法を将来とっていただくことができたら、私は農家は大へんなしあわせだと思うのです。そういう点、タマネギにやっていただいた結果に待つのか。そういう流通ということを非常に私は真剣に考えておりますが、野菜の流通対策について大臣の御所信を伺いたい。これは生産者ばかりではない。消費者も、米や麦は政府がやっておるのですから、非常にやかましくいうが、野菜なんかは非常に商いものを買っておってもあまりやかましくいわないということは、いかにも農民にいいようでありますけれども、少しよけいとれたときにはたたかれるおそれがあって——二、三年前にありましたが、そういうことになりますから、消費者にもいいし生産者にもいいようなタマネギのような方法を、自由主義経済の中で野菜なんかについて広く考えて、流通対策を将来考えていただけないものか、大臣の御所信を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/36
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037・河野一郎
○河野国務大臣 私も生鮮食料品、時に野菜、くだものにつきましては、今御指摘のような点があることを深く遺憾に考えておるものでございます。またこれが対策につきましては、全く御同感でございまして、流通機構の改善に十分力を入れなければならぬというような意味合いから、実は昨年の十月でございましたか、これが徹底的な調査をいたそうということで、農林省内に専門の調査員の制度を作りまして、今せっかく生産地から消費者の台所までということで調査をいたしております。この調査も数九月を出ずして、三月までには私は報告するようにという内命を下して調査中でございます。その調査の結果を見まして、そしてどこに改善をする必要があるか、どこを直せばどうなるかということを勉強いたしまして、その上で一つ考えていきたい。今お話しでございますけれども、実はもっとおかしなことがございまして、今の神田市場あたりの例によりますと、入荷が多くて値が高くなっておる日もあるのでございます。入荷が少なくて値が下がっておる日もあるのでございます。ちっともその入荷の量、需給の関係だけで動かない。そこらに私は取引所の機構について考えなければならぬ点があるのじゃなかろうかと思われる点が、現に過去の数字を拾ってみますとそういうものが出てくるというのでございます。従って今の取引所のあり方があれでいいかどうか、今の制度自体がいいか、さらにまた出荷の関係がこれでいいか、消費者との中間がこれでいいかというようなこと等につきまして、実は専門に今調査をしておるのでございます。その結果を見まして、一つ皆さんによく御相談申し上げまして、何とか一つ手が打てれば打ちたいものだと考えておるのでございまして、いずれこれはその機会には資料を整えて御相談申し上げたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/37
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038・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 まだたくさんお尋ねしたいのですけれども、御注意もありますので、もう一点だけお許しをいただきます。
ただいま大臣、きわめて懇切丁寧に御説明いただきまして、消費者の側から立っても、生産者の側から立ちましても、これは蔬菜なんというものは、畜産と同じように国民生活に表面には出ておりませんが大へん重きをなすものでございますから、こうしたものの流通がきわめて円滑にいくよう、そして国民ができるだけ安い野菜を入れ、またそれでうんと所得のあるように、どこかの間違いを広い意味から御勘案、御調査いただき、またお考えいただいて、将来においての問題として十分御配慮願っておきたい。考えていただくように大臣も言っておられまするが、特にお願いしておきたいのであります。
最後に、またの機会をいただくことにいたしましてもう一点だけきょうお尋ねさしていただきたいのですが、それは行政組織の整備である。これは大臣も演説の中に言っておられますが、大臣は、昭和三十七年度の重点施策の一つとして農林省の行政組織、機構の変革に着手されようとしており、園芸局を新設するとともに、全国七ブロックに地方農林局を設置して、霞ケ関行政を大幅に地方行政へ移行されようと、思い切った河野さんならではできないところの改革をはかろうとしておる。これは農業基本法の第二十三条の趣旨を体したもので、農業基本法の成立を推進してきたわれわれの意に沿うところであります。ただ単に組織を作りかえて、予算の配分等を行なうことになったのでは、かえってこれは複雑になって、二重行政の弊害を招くことになりかねないのでありますが、地方農林局に対し大幅な権限を移譲すると言っておられますが、移譲するとともにりっぱな行政官を配置されまして初めて大臣のお考え通りの十分な成果が期待できるものと私は信ずるのであります。この点について大臣の構想を明らかにしていただきたい。次の点について一つ構想を明らかにしていただきたいのであります。
地方農林局に対して今考えていらっしゃる——もうすでに設置法改正が委員会にかかっておりますが、これは内閣委員会でお尋ねすればいいと思うけれども、内輪のことでありますのでこの委員会で聞いておきたいが、地方農林局に対しどの程度の権限を大臣は移譲なさるのか、それを一つ聞いて、そうして農林本省との仕事の関係ですね。せっかく大きな権限を移譲されて、そうして地方のものはそこでやらしていただけると思っておっても、一々本省にまた同じようなことになってもこれはだめなのですが、農林本省との仕事の関連はどういう工合にいくか。
それから他方局には、先回大臣のお話であったと思いますが、違えば私は訂正さしていただきますけれども、地方農林局の局長には従来の農林本省の局長クラスの人を配置する、こういうようなことを聞いております。やはり人と機構、これがなかったなら、の構想のような実をあげる、また期待することはできませんので、第一点、地方局にはどの程度の権限を御移譲になるのか。第二点は、やはり大臣のかわりに行く局長が少なくとも相当な力を持っておる人でないと本省との関係が悪くなってしまうから、これは地方局の人事の問題でありますから尋ねることが間違いかもしれませんけれども、本省の局長クラスの人を地方にも出す。そして実質、地方農林省を作るのだ、こう聞いておりますが、その点を一つ明らかにというか、お話をいただきたいと思います。
そうして三番目に、地方の営林局——きょうも営林局、林野庁全体のお話が出ましたが、地方の営林局あるいは地方にあります食糧事務所、こういうものは一体今後——これはまた食糧庁があり林野庁がある段階においてはむずかしいかもしれませんが、将来どう考えていらっしゃるか、これを一つ聞かしていただきたい、こう思っております。
それから大臣は先ほどちょっと国有林野行政について現在の特別会計にお触れになったのですが、これに検討を加え、行政と業務の分離をはかろうというようなふうにもとられますが、そういうふうにとっていいかどうかということも、ついでに一つ。
最後の最後に聞いておきたいのは、農林省における人事が一これは私どもの言うことではありませんが、役所の人が言うのですから私は率直にこの委員会で言うんですよ。農林省の人事は法律専門の事務官がばかに優遇される。みんな優遇されて、いわゆる技術屋関係の技官がどうも冷遇されておって張り合いがない、こういうことを言うのです。だから一つ、今後新しい局もお作りになる、あるいは地方にも地方局なんか設置なさいますので、こういういい機会でありますから、大臣のお考えとして、今までのように法律専門の事務官もけっこうでありますが、冷遇されておりますところの技官のこういう方々の抜擢ですか、重きを置くという御方針はあるかないか。特に新設の園芸局なんかは専門的のことでありますし、こういう点を一つ承らせていただいて質問を終わらしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/38
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039・河野一郎
○河野国務大臣 行政機構を改革いたしますことについていろいろお尋ねでございますが、まだ実はどの程度の権限を移譲してどうするかという最終的なものになっておりません。おりませんが、要はただいま御期待いただきましたことにこたえて、必ず私はその迫りに実行いたしたい。たとえば二重の組織にならないようにという御注意がございます。そうならないように必ずやる。それから人事につきましても、だれをどことは申しかねますけれども、本省と地方の出先の局長との間に甲乙つけないという人事をやりたいという所存でございます。各省が出先の機関を持っております。これらを十分参考にいたしまして、そして私がそもそもこの地方農林局を設置いたしますゆえんのものは、地域農業の確立、達成という所存に出発いたしているものでございます。従って少なくとも九州は九州の農政の中心的指導機関になり得るだけのものを持った農林局にいたしたいというつもりでございますから、いろいろ御注意いただいてぜひその目的達成に努力いたしたいと考えておる次第であります。
最後に、技術者に対して優遇措置をという御意見でございますが、私は全く同感でございます。全く同感で、常に農林省の幹部諸君もしくは若手の連中の集まる機会におきまして、大学に入るときから、一方は農村問題を研究し、農林省の中心的、中核的存在になる勉強をしてきた人である。事務官の方は大学を出てたまたま農林省に入ってきたのであって、熱意の点においても違うはずだ。であるから、技術官が事務官の上に立ってしかるべきものである。にもかかわらず実際はそうでない。ということは、技術者の奮発が足らないということである。端的に申します。従って技術者の諸君が今日以上に奮発されて、そして農林省の主体性は農林技術の向上によって初めて日本農村は改善されるのであるという考えでやっていただくようにならなきゃいかぬと私は考えておりますので、そうありたいと思いますが、まだまだ私は技術者の諸君の奮発が足らないということを遺憾ながらここに申し上げざるを得ないのであります。この点は各試験研究所におられる技術者の諸君、本省で行政をやっておられる技術者の諸君の一段の御奮発を私は期待いたすものでございます。
さらに食糧事務所、営林局等についてもお話が出ましたが、これらの現業をつかさどる者はそのままにいたすつもりでおります。営林局の中でも民有林その他林政を扱いますものは今の営林局から分けまして地方農林局に移管いたします。そして現在あります営林局は国有林の経営専門のものにいたしたいというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/39
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040・野原正勝
○野原委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X00419620206/40
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