1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十七年三月二十二日(木曜日)
午前十時十八分開議
出席委員
委員長 野原 正勝君
理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君
理事 田口長治郎君 理事 丹羽 兵助君
理事 山中 貞則君 理事 足鹿 覺君
理事 石田 宥全君 理事 片島 港君
安倍晋太郎君 飯塚 定輔君
大野 市郎君 金子 岩三君
仮谷 忠男君 草野一郎平君
倉成 正君 小枝 一雄君
坂田 英一君 田邉 國男君
綱島 正興君 寺島隆太郎君
内藤 隆君 中山 榮一君
福永 一臣君 藤田 義光君
本名 武君 松浦 東介君
角屋堅次郎君 川俣 清音君
栗林 三郎君 東海林 稔君
楢崎弥之助君 西宮 弘君
芳賀 貢君 安井 吉典君
山田 長司君 湯山 勇君
稲富 稜人君
出席国務大臣
農 林 大 臣 河野 一郎君
出席政府委員
文部事務官
(体育局長) 前田 充明君
農林政務次官 中馬 辰猪君
農林事務官
(畜産局長) 森 茂雄君
委員外の出席者
農林事務官
(農林経済局統
計調査部長) 久我 通武君
農林事務官
(畜産局経済課
長) 森 整治君
—————————————
三月二十二日
委員栗林三郎君及び中澤茂一君辞任につき、そ
の補欠として川俣清音君及び芳賀貢君が議長の
指名で委員に選任された。
同日
委員川俣清音君及び芳賀貢君辞任につき、その
補欠として栗林三郎君及び中澤茂一君が議長の
指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第九三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/0
-
001・野原正勝
○野原委員長 これより会議を開きます。
畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/1
-
002・足鹿覺
○足鹿委員 一昨日来、畜安法による肉豚の価格の問題を中心にいろいろと御質疑があったわけでありますが、基本的な問題につきましては、大臣がおいでになりましてから若干お伺いをいたしたいと考えておりますので、初めに事務当局に、先般の質問となるべく重複しないように伺ってみたいと思います。
いろいろと先日来の御答弁を静かに聞いて参りましたが、どうも私どもの納得のいかないのは、法第三条による安定価格はその再生産を確保することを旨とするということが、三十六年度の豚肉安定基準価格にどういうふうに取り入れられたかということが明確でありません。多言を要するまでもなく、この点を来たるべき基準価格の決定に際しては十分検討をされて、再生産を確保する基準価格とは、一体具体的にどういういうものであるかということを明確にしてもらいたいと思いますが、その点についてどのような作業が進められておりますか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/2
-
003・森茂雄
○森(茂)政府委員 足鹿委員も御存じのように、法提案に至った先回の臨時国会におきましても御説明申し上げました通り、安定価格の考え方は、畜産物の価格をその安定の幅といいますか、そういうふうな一定の幅の中へおさめて、激変を防ぐということで、事務的にいろいろ作業を続けて参ったわけであります。その後、法も修正になりまして、お話のように、安定価格をきめる場合に、「これらの再生産を確保することを旨とし、」ということが末尾についたわけであります。そういう意味におきまして、立法当時の一つの幅の中におさめるというおさめ方も、再生産を確保することを旨とするということでおさめろということになったわけでございます。しからば、それじゃ、「再生産を確保することを旨とし、」というのを、どういうふうに具体的に価格を算出していく場合に取り入れるかという問題でございますが、これにつきましては、先般の価格審議会でも、中心価格について考えるとか、あるいは生産費所得補償方式をとるとか、いろいろ推定するにしてもそういう方法をとれとか、いろいろ論議があったわけでございます。今後われわれといたしましては、中心価格等を中心として、事務当局側といたしましては検討したらどうかということでございますが、今後開かれる価格審議会においても、十分慎重に、法の精神に沿いまして、算出方法について御意見も承りたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/3
-
004・足鹿覺
○足鹿委員 大臣もおいでになったようでありますので、あらためてこの問題について伺いますが、今大臣がおいでになるまでに、肉豚の買い入れ価格の問題で伺っておったのであります。これは同僚議員から一昨日来きわめて真摯な質疑が行なわれまして、事務当局のまじめな答弁もございますが、やはり国会修正条項に基づく——安定価格はその再生産を確保することを旨とするという条項が、当委員会の満場一致の修正によって追加議決をされておる。ところが、当初においてはこういう条項はなかった。委員会の意思として、つまり国会の意志としてこれが入って参りました。従ってその間に、当初農林当局が考えておったことと若干あるいは大きく変化を生じておる。それで、過般来から行なわれております買い入れ価格は二百四十五円ということになっておるのでありますが、上下のふれが三二%もある。先日来の質問によって、大体その中心価格というのですか、局長はそういう言葉をもって答弁されておりますが、この肉豚の安定基準中心価格といいますか、その算定に、再生産を確保することを旨とするためにはどういうふうにその算定方式に取り入れて、再生産を可能ならしめるかということが、論議の中心になっておるわけであります。それで、法が修正されました以上は、少なくともこれを忠実に実行運用していただかなければならぬと思うのであります。私どもが不思議に思いますことは、肉豚、原料乳に生産費主義を採用しないで、製品の場合は生産費、特に製造費であります、のみならず、利潤までも計上して、生産費が中心になって価格が決定されておるのであります。ところが、先日の審議会におきまして、統計の不備を理由に、肉豚生産費について農林省の調査はどうもそれをそのまま信用するわけに参らぬ、そういう意味の御発言があったことも私ども聞いておるのであります。統計調査部長も御出席を願って、いろいろとお尋ねをいたしたいと思っておりますが、そうしてこの生産費指数なるものを算出しておられるのであります。一方においては、肉豚の生産費はどうも信用ができないと言いながら、今度は生産費指数なるものを算出しておる。その生産費指数は、統計調査部の調査資料に基づいて出さなければほかにないわけであります。としますと、まことに矛盾したことをおやりになっておるのではないかと思うわけでありますが、この間の問題に対しましては、やはり大臣が断を下されていくべきものだと私どもは考えるのであります。従いまして、大臣の出席を先日来たびたび要求をし、ようやく本日御出席を願ったわけでありますが、この点について大臣の御所信のほどを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/4
-
005・河野一郎
○河野国務大臣 私の考え方がもし適切でなかったらいろいろ御意見をお聞かせ願って修正することにやぶさかでございませんが、私は——最近各種の農産物について再生産の費用を補償するという言葉がよく使われます。はたしてそういう言葉がどういうふうにこれを解釈してよろしいのか、それはきまっている、再生産を保障するのだとおっしゃればそれまででございますけれども、日本の農産物の生産費は一体どうしてとるか、ことに養豚の場合のように条件が非常に複雑でございます。こんなことは釈迦に説法でございますから、今さら申し上げるまでもないと思いますが、一体コロを幾らで入れるのだ、おそらくこれも値段はあってないようなものじゃないかと思うのであります。ないということは言い過ぎでございましょが、たとえば安いのはずいぶん下値から始まって、ずいぶん高いところまで買って飼育をなさる。えさにしても各地各様でございまして、残菜から始まって完全な購入飼料まで及んでおる。またその処理する場合におきましても、運賃等の左が出てくるというような点を考えますと、一体どこにすることが適当なのか、これを一本値できめることがはたして可能であるかどうかというような点にまで議論いたしましたならば、私は、そこに世間がいろいろ議論されますけれども、われわれの良識の価格で御了承願うより仕方がないのじゃなかろうか、なるべく各方面の御意見を拝聴した上で良識的な適当な価格をとって、従って、ときにはこれは再生産を保障しない場合も出てくるだろう、また相当に利潤が上回る場合も出てくるだろうというようなことが出てくることはやむを得ぬのじゃなかろうか、こう思うのでございます。従ってこれを理詰めに、北海道のどこではどうだ、鹿児島のどこではどうだ、長崎ではどうだと言うて、理詰めに詰めていらっしゃって、しかもそれを処分する場合においても、どこでどういうふうに屠殺してどうやったらどういう値が出てきたということになりますと、いうていこれは一つの方式に当てはめてその中に結論を得るということは困難じゃなかろうかと私は思うのであります。従って一面に、当委員会におきましても、再生産を保障する価格でやれ、あわせて審議会の意見を聞いてやれということが強く打ち出されておるということと私は了承するのでございます。そういう意味において十分に各方面の委員諸君の御意見を拝聴して、そうしてこれらの意見を取り入れて、大臣において今申し上げたように決定することが妥当じゃないか、こう思うのでございます。従ってこれを係数的に詰めて議論して参りますと、その議論が一体どこにどういうふうに当てはまっていくのかというと、今足鹿先生のお話の通りに矛盾があるじゃないか、おかしいじゃないかということが、どこにきめても出てくるだろうと私は思うのです。だからそういう意味において、先般も二百四十円という審議会の答申に対して少し安くはないだろうかという気持がいたしましたので、二百四十五円ということに最終決定をいたしたようなわけでございまして、むろん今後におきましても慎重に審議会の議を経て妥当な価格と判断できるところにきめていくことがいいのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/5
-
006・足鹿覺
○足鹿委員 現在の二百四十五円の買い入れ価格ということについても、答申より五円考慮したということであります。これは数字の示すところで、私どもよく存じております。このたびの買い入れ価格というものは、あくまでも暫定買い入れ価格、いわゆる下位安定価格のように私どもは思うのです。三十七年度の価格算定の場合には、先ほども申し上げましたようにやはり中心安定価格とでも申しますか、そういうものが出てくると思うのです。上下三二%も開くわけでありますから、これはあまりにも大き過ぎると思うのです。従って、中心的なものがどうしても必要になってくる。これは理屈ではないのですね。いわゆる再生産問題を機械的に押しつけるということではなくして、今のは、下がり過ぎた、これ以上下げないというための暫定買い入れ価格だ、これはもう前々からしばしば論議になっており、そのような御答弁になっておるところでありますからこれはしばらくあとの問題といたしましても、どうしても一つの中心安定価格が出てくる、それはやらねばならぬ、審議会の意見を聞いてきめる、こういう大臣の御答弁でありますが、もしそれが出た場合に、それに近づけていくということは、いわゆる計画生産、計画出荷、そしてこの市場が大きく価格変動を起こさないように、生産者にも大きな責任があり、また団体としてもそういう裏づけをする行動が必要になってくるでありましょう。そしてその中心的な価格の確保、実現ということにならなければならぬと思うのであります。その場合、それのみでは達成できない、算定されて、ある一つの基準価格ができた、そういう場合に、この畜安法というのは価格調整の立法の趣旨で当局は立てた、立案をし、これに国会修正でもって再生産を確保するという新しい性格が加わってきておるのでありますが、とするならば、やはりその中心価格の実現確保のためにどのような対策なり施策を政府が講ずるかということが新しく一つの大きな問題として出てくるわけであります。これは私見でありますが、その場合にやはり生産費を中心に利潤をも加えた一つの基準価格というものが出てくるといたしますか、ところが市況はなかなかそれに到達しない、この場合に、それはただ単に生産者の責任だけに帰せられていいのかどうかということなんです。私は、そのようなものができた場合には、それはもう最低線だというものが出た場合においては、米麦の場合におきましても、バルク・ライン方式というものによって——それを六五にとるか八〇にとるか、あるいは八五にとるか九〇にとるかというので、米価の場合でもずいぶん議論があるところでありますが、とにかくバルク・ライン方式によって、かりに八〇といたしますか、八〇%になった場合に、それ以下のものはみなペイする、それ以上の生産費をかけておるものは、生産者なりその他政府の責任において、そのバルク・ライン以内で生産が上がるような積極果敢な施策が伴って、そこに初めて合理化が行なわれ、養豚事業が近代的な畜産事業として本格的な基礎を固めていくことができるのではないかと思うのです。そのためにはその中心価格というものをまず固定的なものを出し、それに達しない場合の措置というものが問題になってくると思うのです。イギリスの場合は、なるべく国内農産物価を押えて、差額補給という形をとっておる。大臣はしばしばオランダの例をおとりになりますが、オランダのごときは農産物の生産費研究所が非常な権威を持って存在いたしております。そしてそのものが基礎となりまして、国内農産物の生産費を権威を持って調査をし、国もまた生産者団体、生産者もそれに即応して問題の処理が行なわれておることは御案内の通りであります。といたしますと、イギリス的な方向をもって、その中心価格との差額を国が補っていくという考え方に立たれるのか、あるいは他に何らかの方法をおとりになるのか、この点を——ただそれは審議会に諮ってそういうものを算定し、示しただけでは、私はこの立法の趣旨に、特に国会修正条項の趣旨に沿う結果がもたらされるとは考えられないのであります。その辺にどうしても当初農林省が考えておったものと法の性格が変わってきておるわけでありますから、これについては大臣も忠実にその趣旨に沿ってもらわなければ困ると思います。その中心価格というものが出た場合どうなるのですか。現在のものが低過ぎるという意見が先日からもいろいろな角度から検討されましたが、一歩を進めた場合に一体どうなるのですか。どのように処置をされようとするのか。この点を特に大臣から御所信をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/6
-
007・河野一郎
○河野国務大臣 養豚を初めとして生鮮食料品につきましては、米麦等と非常に違いのあることは申すまでもございません。ことに米麦におきましては作付反別、大よその生産量がある程度予見できます。農家の諸君におかれましても、当然そこにそういうものを耕作されることは必然なことでございます。でありますから、施策の上におきましても、予定し、予見してやることができます。ところがこれら生鮮食料品につきましては、御承知の通り、たとえばこれを冷蔵してたな上げするにいたしましても、需給の関係がどういうふうになるか、生産の状態がどういうふうに変わっていくかということにつきましては、予見することが困難でございます。計画生産をするといたしましても、そこには何らの法的な裏づけがございません。従って、今お話しになりましたある程度の利潤を加えた中心の価格をきめる、きめたにいたしましも、先ほど申し上げましたように、生産条件がそのときそのときによって違う、生産費が違うというようなことになりますから、ここに一定の生産者の補償方式の価格をとりましても、その後えさが上がった下がったということもございましょう。でありますから、私といたしましては、これらのものにつきましては政治として可能な限り努力をするということ以上には困難であろう、こう思うのでございます。単にこれは生産者の責任であるとか、だれのどうであるとかいうようなものではないのでございまして、これがひどく上がったから生産者が悪いのだと言って非難される必要もないでございましょう。これはみんなで国全体、社会全体を維持構成して参ります上においてお互いの努力でいくべきものであって、私は政府をおあずかりいたしておるものといたしましては、法の示すところによりまして最善の努力を払う、そして国民諸君の御理解と御協力を願うということ以上にはいきにくいものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/7
-
008・足鹿覺
○足鹿委員 どうもはっきりしないのでありますが、一つ具体的な問題について御見解を承りたいのです。
大臣は技術革新ということに対して非常な熱意を持っておられる。しばしばその方針を国会においても明らかにされ、農村その他に向かっても力説、強調しておられます。技術会議も長い歴史を持ってできており、特にその充実化が進められておることはけっこうでありますが、戦前、戦中、戦後を通じて農地問題、米麦価問題、食糧増産対策問題の段階を経て現段階に至りますと、問題は中心が価格問題にきておると思うのです。この裏づけなしにはいかような技術革新が行なわれ、いかような善政が行なわれましても、このくぎが一本抜けておることによっては問題が解決しないと思うのです。ですから市場価格が変動を来たし、あるいはそのときの生産条件が刻々変わることは、お言葉までもなく私どももよく存じておるのでありますが、六千円も七千円もするような子豚を買って養豚を開始するようなブームを起こしたということは、自分たちが作っても政府が農業基本法で守ってくれるだろう、こういう大きな期待を農村に与えたことは事実であります。それが現在においてはその期待が満たされておらない。そこに大きな政治不信も起きざるを得ない結果になってきておるのであります。これはせんじ詰めていきますと価格問題に対する国の施策のウエートがきわめて軽い。この点は政府としてはもっと農業政策の面における価格問題というものを重視して、そしてこの問題を確立していくためのいろいろな具体的な措置を伴った根本策を樹立される必要があるのではないか、こういうふうに私は理解するのであります。
そこで先ほどもちょっと触れましたように、今度は技術革新に伴う農業機械化の問題その他も御提案になっておるようでありますが、価格問題に対してたとえばオランダの生産費研究所、あるいは貿易自由化との関連においてイギリス方式をどのように日本の実情に即して取り入れてくるか、そういった新しい価格問題に対する政策の基礎を確立していく必要があると思うのです。現在統計調査事務所が統計法の示すところによってやっておりますものでは私どもも十分な期待をかけることができません。でありますからもっと権威あるものを必要とするのではないか。たとえば肉豚の生産費につきましても、局長は先旧来子豚が高い、子豚が商いと言われるし、大臣はまた飼料が高くなったらどうするかとおっしゃいますが、飼料についても不当不法な価格が出ないように飼料需給安定法の運用よろしきを得なければならないのであります。もっと下がるべきものが下がらないのが現状なのであります。時間があればその問題にも触れますが、でありますからその生産条件等につきましてはそれぞれの理由があるにいたしましても、そのような無理な養豚の推進のないように、少なくとも中心安定価格というものを示し、それにはこういう施策をやっておるからこれでやるならばべらぼうな利益もないが、不安もない、一応健全な安定経営ができるのだということをあなたたちが示し、それに対して、少しは農民に対しても、行き過ぎについては、政治の力をもっていろいろとこれを抑制していく、そうして健全な畜産の振興というものをはかっていかなければならぬと思うのです。ところが、それが現実欠けておるのではないですか。いわゆる技術会議に匹敵するような、もっと充実した生産費研究についての具体的な対策を大臣は持っておりますかどうか。これを真剣にお考え願って、そして、もし私どもが考えておるようなこの構想についても、もっと充実した——すべてとは言いません。米麦にいたしましても、畜産物にいたしましても、あるいは果樹の問題がまた起こってくるでありましょう。そうした問題に対して、いつもこの委員会で長い時間をかけて、のれんに腕押しのような議論をやることは、私どもほんとうに遺憾千万に思います。それはやるべき基礎が確立しない上に立って、そしてこのしんしゃく状況、経済事情、あるいは生産費、需要の状況、そういうものでいつも問題を処理していこうというところに非常に大きな欠陥があるとお考えになりませんか。この点について確たる御所信があれば承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/8
-
009・河野一郎
○河野国務大臣 私は、足鹿さんのおっしゃることは一々ごもっともですが、一つ欠けておる点がありゃせぬかと思うのです。それはどういうことかと申しますと、御承知の通り、たとえば豚を初めとして、動物蛋白の国民の需要量の推算にいたしましても、この経済事情の変遷に即して係数を入れることは困難でございます。過去の趨勢から見て、統計がいいの、統計が悪いの、そんなものではだめとおっしゃいますけれども、私も統計がいいの悪いのとかいうことを越えて、将来の見通しを立てることは非常にむずかしい。おそらく私は、今年にしても昨年にしても、一昨年にしても、比較的簡単な卵の需要量にしても、これを読み切った人はほとんどないのじゃなかろうかと思います。そういうふうに、この春闘の結果、四月のベース・アップが一体どうなるか、そのベース・アップの傾向のいかんによっては、直ちにそれが動物蛋白の需要量にまで私は影響してくると思います。そういうことでございますから、他に要因があって、それが影響してくるものをあらかじめ読みとって、そこに需給の計画を立てておけとおっしゃっても、これは無理だと思うのでございます。需給の計画が明確に立ちませんところに価格の安定を求めても無理だと私は思うのであります。無理だ無理だといって遊んでいていいのかということになりますと、先ほどから申しておりますように、最善の努力はいたさなければならぬ、努力すべきだと思いますけれども、今申し上げる通り、需給の計算一つ、需要量の推計一つ、なかなかこれを確定することはむずかしい。それを一面において五千円、八千円の小豚を買って、これを売るときに幾らになっちゃったじゃないかとお責めになっても、 これは私は農家自身にも、そういう豚を飼っていいか悪いかという判断力がなければならぬのじゃないかと思います。従って、だれがいいとかだれが悪いとかいうことを越えて、この過渡期におきまして、すべてのものが安定していこうとしても、なかなかむずかしい。ここ数年は、たとえば何で一体畜産が成長農業になったのか。私が申し上げるまでもなく、御承知の通りの要因でこれが成長農業になっております。従って、これには相当の飛躍が加わっておりますので、飛躍の過程におきましては、安定する飛躍の過程におきましては、いろんな点において問題の起こることは当然でございます。従って私は、当然起こり得る問題であるから、そこに皆さんの御協議によって、価格についてもこういう審議会でよく相談していけよ、また豚の買い入れもやめよ、何もせいよというような施策がこれについておることは、そのゆえんであると思うのでございます。もしそれがすべてうまくいくならば、実際もうそんなものは要らなくなっちゃうということだと思うのであります。価格政策が大事なことは当然でございます。私も、価格安定の上に農民諸君の希望をつないで増産意欲を注ぐということはあたりまえだと思います。しかしさればといって、その増産意欲を英国流にやるか、どこ流にやるかとおっしゃっても、それは農業の性質が、国の状態が違います。従って、日本は日本独得のものを考えていかなければならぬのであります。それをアメリカ流の、アメリカのまねをしたらとんでもないことになる。他の国の事情の違ったものを直ちに日本に取り入れたらばどういう問題が起こるかということも研究しなければなるまいと思うのでございまして、これはやはり日本は日本独得のものを考えて進んでいかなければならぬと思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/9
-
010・足鹿覺
○足鹿委員 私の言わんとしておるところに、対して、十分に理解されないようですが、私は、価格政策を基礎づける具体的な措置はないのかということを聞いておるのです。いきなりアメリカを持ってこい、オランダのやり方をとってこいと言っておるのではないのであります。が、しかし、あなたがいつも示しておられるような、技術革新により、より大きいスケールあるいは内容を持ったこの価格問題の裏づけをする、基礎をお作りになる意思はないのかということを伺っておる。そのことを聞いておるのですよ。それは日本に独得の方法でもってやることはもちろんでありましょう。別に外国のものをそのまま持ってこいと私は申し上げておるのではないのであります。その点を伺っておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/10
-
011・河野一郎
○河野国務大臣 その点は、この前申し上げましたように、第一は需給のバランスを合わせることだと私は思います。需給のバランスを合わせることが先決問題であって、需給の平衡がなければ価格の安定はないと私は思います。従ってそのためにわれわれとしては、計画経済はとりませんが、主産地を形成して、おおむねその需要に合うような生産の奨励をいたしていくということを原則にして参るということでございます。その理想は何かといえば、先ほどから申し上げるように、この法律の示す通りに、再生産を保障できるような価格を理想として、そこにいくにはどういうふうな需給の調整をしていき、バランスを合わせるようにしていくかということでやって参る、行政指導でやって参るということを目途といたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/11
-
012・足鹿覺
○足鹿委員 大臣は、需給問題のみを言われるが、再生産を確保するということなんです。今までの法律にはほとんどこの言葉が出ておると思うのです。ところが事実においては、それが適確に守られておらない。つまり法律はあっても、それを実現する熱意が政府にないのか、またそれを実現していくための基礎的な対策が欠けておると私は思うのでありますが、そういう点について、需給一本やりで、あなたが再生産を確保するということについては、審議会の意見を聞いて行政指導でやっていくということでは済まされぬではありませんか。だったら、法律はあってなきがごときものではありませんか。少なくともその法律を具体的に実行して、成果あらしめて——農民は高いほどけっこうだと思っておりましょう。しかしそれはものには限界があると思うのです。ですから、いたずらなる高きを欲せずして、長期にわたって安定した、しかも需給との関係において安定した中心価格というものが今度できたら、それをどう裏づけるかということをやらなければできないでしょう。そのことを私は言っておるのですよ。需給々々とおっしゃるけれども、需給に中心を置くことももちろんけっこうです。今日の畜産ブームは需給問題、特に需要が拡大したことから問題は発生しておるのでありましょう。そうして、政府の農業基本法は、何とか農民を守ってくれるという、農民の安心と期待からこういう事態が起きておるのです。なるほど七千円も六千円もするような子豚を買ったことは悪い、私どもそれはいいとは思いません。それで採算が合うなどというようなことは考えておりませんが、少なくともそういうブームが起きたということは事実でありましょう。ですから、それが正常化した場合において、肉豚の中心安定価格は一体何か。そのものがどうして算出されるか、それには統計調査その他が不十分である、この不十分なものをどう充実して、いわゆる基礎づけていって、そうして少なくとも納得のいくものが需給との関係において打ち立てられていかなければ、安定した畜産振興ということにはならぬではありませんか。私は無理なことを言っているはずはないと思うのでありますが、よくおわかりにならないようですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/12
-
013・河野一郎
○河野国務大臣 もし間違っておりましたらもう一ぺん御訂正願いますが、伺っておりますと大体二つのようでございます。第一は生産者の再生産を保障する価格をまず十分に勉強して出せ、これが一点。それが出たならばその価格を維持するようにどうして努力をするか、これが第二点、この二つのようでございます。これは先ほどからお答えいたしておりますように、再生産を保障する価格を出せと申しましても、ただ単に係数統計だけでやりましたところが、過去の統計が将来の需給の示唆になることに、今の場合は非常に縁遠いものである。従ってこの成長発展段階にあります畜産について、これにあまり重きを置くことも危険がある。その意味において審議会、調査会の御意見を十分参酌してきめることが一番安全である。また全国的にこれだけ生産費の違うものであるから、バルク・ラインとおっしゃいますが、バルク・ラインは相当下にとらなければならないということになるであろうということになりますから、再生産を保障するという言葉がおかしくなってくるというような点もございまして、これだけ生産条件の違う豚について考えてみますと、ただ単に一本の理論だけでは踏み切りかねるものがある。でございますから、それらの点を考慮して、子豚は一体どのくらいでやったならば安全ですよ、えさはどのくらいまでのえさを使わなければ危険でございますよというような生産の指導奨励、技術革新等も大いに考慮しつつ、農家の再生産を保障するという費用と相待っていくのでなければならぬだろうと思うのでございます。そういうふうにして一応価格を出しましたならば、その価格は今回の法律を基盤にいたしまして、余った場合、下がった場合には買うということになっておりますから、幸いこの法律の運用によって農家の諸君に御迷惑をかけないようにして参ることでいいのじゃないか。しかしそうは申しましても、値段ができたものについてはこの法律でやらなければならぬのでございましょうけれども、その根幹をなすものは、需給の計算を明確にして生産指導、行政上の処置等によってやっていくことが大本であると考えておると私はお答え申し上げておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/13
-
014・足鹿覺
○足鹿委員 私の申し上げておることがわかっておって具体的に御答弁にならないようであります。あまりこの問題に時間を費やしますと先へ進めませんからこれ以上申し上げませんが、乳製品等の場合はやはり製造費中心、これに利潤というものが工場生産でありますから出てくるのです。農村の場合、特に肉豚の場合などは今は乱調子、今出てくるものは非常に高い子豚を買ってくる、高い飼料を買って生産費が高くついておる。将来これ以上を確保せい、こういう意見もありましょうが、私はその異常なものを基礎としていくということについては、慎重に検討する必要があろうかと思っておる。そういうむちゃなことを私は申し上げるつもりはございません。だが製品については、工場生産を行なうものについてはやはり利潤を含めた生産費というものがちゃんと出るのです。ですから生産費主義なんです。大臣は、農業の場合は非常にむずかしいと言われるが、バルク・ラインは低いものをとらざるを得ない、こういう趣旨の御発言がありました。どの辺のことを低いと考えておられるのかどうか。あとでまた事務当局等を通じていろいろ質疑の中で明らかにしていきたいと思いますが、それはそれといたしまして、とにかく生産費主義、特に利潤を加えないで価格算定というものは私はあり得ないと思う。農業が近代化してきて、反当あるいは一事業に対する投下労働量が減ってくれば生産費所得補償方式による農家手取りは減ってくるのですよ。従って適正利潤というものがその中に含まれない限りは、どのように口の上でりっぱなことを言いましても、いわゆる安定した農産物価というものは形成できないと思います。事ほどさように、いわゆる農地の問題あるいは食糧増産問題から大きく情勢が進んできております。従ってバルク・ラインはどこにすべきものかということは別にいたしましても、的確にその生産費の大体の見当がつく、政府にはそれをつかむ対策が必要になるではありませんか。それも否定になるのでありますか。これについても現在の法律で審議会の意見一点張りで進んでいかれる考えでありますか。審議会の意見を聞かれること決して悪いとは私は言いません。法律に示されたことによってお聞きになることはけっこうでありますが、今の畜安法に基づく審議会のメンバーは一体どういうことでありましょう。中央畜産会の専務理事をしておられます神尾さんあたりは、審議会で二百三十円が生産費などということをぬけぬけと言っておる。これでは一体中央畜産会というものの性格すらも私は疑念を持たざるを得ない。そういうものではないと思うのです。これは異常の場合と正常の場合とありましょう。ありましょうが、そういうものではないと思う。ですからやはり工場生産のような的確な生産費主義というものは農業の持つ宿命的なものから困難でありましょう。困難だからといって、審議会に依存をしていくということでは問題は解決しない。その生産費をできる限り的確に把握するために政府がどのような施策を講ずるかということが今後の具体的な対策の大きな一つだと思うのです。それを先ほどから申上げておるのです。それなしにみんなが一つの市場価格から逆算をして、そして生産費にこれを腰だめで合わせてみたり、工場生産の分は利潤を含めた生産費で計算をしておきながら、農家の場合は全く架空に近いというと語弊がありますが、正確度の薄い算式を権威づけて、そしてこれが再生産を確保する価格だ、こういうことではいわゆる所得の格左の解消、池田内閣の一枚看板である都市と農村との所得格左の解消、農業と他産業との所得格左の解消というものは解決つかぬではありませんか。ですから私は需給問題については、これは農協法の審議の際等において農業団体が今後いかにあるかということについていろいろと政府の所信もただしたいし、われわれの考え方も申し上げますが、少なくとも今言っておるのは、現実に問題になっておる肉豚価格の中心の安定価格というものを算出していく、その算出していく基礎が至って薄弱なんです。これではとてもじゃないが、うまくいかないですよ。これに対して具体的などういう手を打つかということをこの際はっきりしてもらいたい。はっきりできなければ、政府にその対策がないということにして、もうこれ以上申し上げません。先に進みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/14
-
015・河野一郎
○河野国務大臣 足鹿さんもよくおわかりなっていらっしゃって議論しておるのではないかと私は思うのです。対策があるとかないとかおっしゃったところで、鹿児島から北海道までこれだけ条件が違っておるのです。大都市の周辺、残菜によるもの、非常に違うじゃありませんか。また同時に消費地まで持ってくる運賃諸掛りでも違うじゃありませんか。それを一本の値できめるというところに無理がある。それを再生産を保障しておる、おらないといったところで、それは保障するところまで持っていったならば、非常にめんどうになってくるということはどなたでも私はおわかりだと思うのです。従ってこれをむやみに計数の基礎が不確定であるとおっしゃったところで、だからこの数字はきめることになかなか困難があるから、そこで審議会の議を経てやるということになる。審議会、各方面の権威ある方々にお集まりを願って、そしていろいろ良識的に判断を願って、そして決定せよということになっておりますから、われわれとしては審議会の議を経てきめるということでございまして、これよりほかに私はやりようがないと思います。これをあえて議論して、これでいけないとおっしゃるならば、それじゃ何か別の方法を考えるかということになるのでございましょうが、私はこれで政府としては責任をとって行政ができる、こう考えておるものでございます。今ここである程度の、工場と違って、利潤々々ということでございますが、私たちも主産地を形成して、そして主産地における養豚の生産費調査をやるということに将来はするつもりでございます。そういうことになって参りますれば、正確なものが出て参ります。そこではたしてそれでよろしいかというものも出て参りましょう。しかし今のように個々ばらばらに養豚をやって、全国やっておりますものについて、これをどういうふうにそろばんを入れるかとおっしゃったところで、なかなかむずかしい、こう私は思うのでございます。だからその暫定期間として、今あげた数字があり、さらに明年度の肉豚価格はどのくらいにいたしますよ、農家の方々もこれを基準にして、そして養豚をおやりになることが適当でございますよということをあらかじめ示して、それでやるということであれば、これでいけるのではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/15
-
016・足鹿覺
○足鹿委員 もうこの問題はやめます。大臣がどうしても具体的に資料の不足を肯定なさらない、審議会の運営通じてやるということのようでありますから、これ以上申し上げません、私は審議会にお諮りになっておきめになること自体に異議を差しはさんだり、疑念を持っているのではないのです。審議会の構成も私どもの目から見ますと、まことに妥当を失しておる。またあなたが最近発表されております米価審議会を秘密会にし、あるいは生産者団体を少なくし、消費者あるいは中小企業を入れるということについても、十数年の実績を持っているこの審議会に対して、あなたが打たれようとしている点についても、一連の流れがあるように思います。ですから、審議会が政府のいわゆる御用機関化したり、その条件を満たすそんな人によって構成されていくということでは、審議会が審議会の意味をなさないと思います。議論になりますから申し上げませんが、いまだに国会関係の二名の畜安法に基づく審議会の委員の未決定のものもあります。これは当時のこの法案を通すときの審議の実情から言いましても、当然国会からもう二名出さるべき性質のものだと私どもは理解しておりますが、審議会を非常に重視しておられるようでありますから、この二名はどうされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/16
-
017・河野一郎
○河野国務大臣 そういう御意見が足鹿さんから出るとは考えません。これはあなた方の幹部とわが党の幹部と相談の上、数はこれこれでよろしいというので、私どもの方は一切両党の幹部に御相談の上きめた委員でございます。私の方で独断でやったのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/17
-
018・足鹿覺
○足鹿委員 そんなはずはないですよ。それはあなたが何か思い違いしておられるのです。そんなことはないと思う。二名は国会関係を含めて、私どもはあの審議の際にこの委員会においてきめておるのです。ただそれをあなた方は、この間の審議を通じて見ますと、何か国会関係以外のものを、卵関係ですか、畜産局長の話によりますと、そういうものを考えておられるようなお話がありましたから、私は不思議に思ってきょうは大臣の見解を正式に伺っておきたいと思っておったのですが、ではどういうものを入れられようとしておるのですか。そのまま欠員のままですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/18
-
019・河野一郎
○河野国務大臣 今、養豚価格の関係をやっておりますから、一応あとは他の畜産物を考えておりますけれども、今のお話は誤解があるといけませんから申しておきますが、私の方で決してどなたを委員にお願いするということは従来の慣例からいってもそういうことをしたことはないのです。従って両党に委員の推薦方をお願い申し上げております。従って再見から御納得の上で委員は御推薦を願ったのでありまして、その数等についてももちろん私の方で社会党何名、どこ何名ということを勝手にきめてやるべき筋のものではありません。法律に何人の委員ということはきまっておるのですから、これは御相談の上やったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/19
-
020・足鹿覺
○足鹿委員 あれは学識経験者ということになっておりまして、法律そのものには参議院何人、衆議院何人とはなっておらないのであります。それを話し合いによって五人の場合は三対二、三人の場合は二対一、こういうことで当時の理解は五へという理解であったのですよ。どうもその辺おかしいじゃないですか。法律には書いてないのですよ。理解はそういう理解です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/20
-
021・河野一郎
○河野国務大臣 私の方からどうこう申したのではないのでございまして、もし追加の必要があって、両党から追加されればいつでもこれを追加することにやぶさかでございません。私の方では決してこれ以上あっては困るということを言った覚えはありませんし、この委員の推薦は両党にお願いしてあるのですから、両党の推薦があるならば、私ども勝手にふやすようなことはいたしません。従って二名はあいておる。あいておるならなぜ補充せぬかということなら他の畜産物を入れていただいてけっこうだ、こういうつもりでおるわけであります。決して私どもは勝手に消した覚えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/21
-
022・足鹿覺
○足鹿委員 それでは、大体わかりましたから、両党間で話し合いをして、審議会も近いわけですから至急に追加をいたしましょう。
こまかいことはあとで事務局に伺いますので、大臣に対する質問だけを申し上げます。先日この委員会で取り上げられた学校給食の問題でありますが、芳賀委員から牛乳の学校給食の問題が取り上げられました。今問題になっておるのは、肉豚の買い上げが次々と行なわれておりますので、その事業団が買い入れました肉豚を大臣は制度として学校給食に回していかれる御決意がありますか。聞くところによりますると、二千トン、その特売価格はキロ当たり百円安、こういうことを聞いておりまして、その対象地区は六大都市及び札幌、仙台、大宮等の中小養護学校等に主として回されるということでありますが、それを制度化していかれるのでありますか。暫定的に養護学校に、六大都市ほか三都市を中心におやりになるのでありますか。そういうことになりますと買い上げの市場所在地とその近辺の都市における中小養護学校というものが恩恵に浴するわけでありますが、他地域にあっては恩恵に遠ざかる。これをどうなさる御所存でありますか。牛乳問題は先日論議がありましたので、この態度を至急はっきりしていただきたい。制度として豚肉の学校給食をおやりになるつもりなのか。とするならばその内容はどういうふうにお考えになっておられるのか。文部当局やその他とどのように協議をし、進めていこうとしておられますか、これは大きな問題であります。解決がつかないというと、潜在供給力があって、これはいつまでも残って、やはりこれは市場を圧迫する、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/22
-
023・河野一郎
○河野国務大臣 私、今足鹿さんのおっしゃった通りに一時に出回って参りましたものをそのまま全量を保管いたしますことは、将来の価格の圧迫になって適当でないと考えましたので、何らか適当な方法でこの一部を処理する必要があるというふうに考えまして、これを学校給食に回したらどうだろうというのでせっかく研究中でございます。制度化々々々という言葉をお使いになりますけれども、制度化ということは私は考えておりません。順次適切な処置を講じて参ることが行政だろうと考えております。必要なところに必要な行政を行なって参る。ただし法律上の規定があれば別でございますが、ない以上は適切な処置を講じて参るということでいいのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/23
-
024・足鹿覺
○足鹿委員 牛乳にしろ豚肉にいたしましても、残ったものを学校へ回すという考え方では、先日も湯山委員から、学校教育の上からいってもあまりよろしくない、やはり恒久的そして長期にわたって制度的に続けられるべき性格のものである——これは農林省のみを責めるわけではありません。文部当局自体も積極的な立場に立って、学童の体位の向上、栄養の改善、食生活を通じて学童の知的、身体上の向上を期していくという点で、これとタイ・アップしてあなた方が処置されなければならぬことだと思います。余ったときにそれぞれやるのだということでありますが、学校給食といっても、私が今申し上げましたように、養護学校も学校給食であるし、小学校に出すのも学校給食でありましょうし、それ以上の学校に出すのも学校給食でありましょうが、もう少しその構想を検討と言わないで、もうこの際買い上げは始まっておるわけですし、また最近芝浦は下げで、二百二十円ということであり、現在加工業者の関係もありまして一番安い時期だそうであります。ですからそれをすべてあなた方の責任だと私は申し上げておるわけではありません。需要が一番弱い時期だそうでありますので、また先になって今度は需要が拡大するころには不足してくるという事態があっても困りますが、とにかく現在あなた方がせっかく買い上げても成果が十分上がらない、こういう事態でありますから、学校給食の内容を大臣が——これは当国会の当初においてグリーン・レポートの質問の際にも大臣は私の質問に対してお答えになった。相当あれからも時間がたっておりますが、学校給食をどういう形で、どういう内容でおやりになろうとしておりますか、この際明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/24
-
025・河野一郎
○河野国務大臣 足鹿さんは非常によくいろいろなものを広範に勉強していらっしゃるから、御質問も微に入り細をうがちますが、私は、学校給食ということを農林大臣がきめれば、それをどういうふうに受け入れてどういうふうにやるかということは、文部大臣の方でやっていただけばよろしいと考えております。それ以上は農林大臣として考慮しない。適当でなかったら、文部大臣からやめるとおっしゃったらまた別のことを考えるということであって、小学校にやるか中学にやるかということを農林大臣が考えておったんでは、農林大臣何人あったって足りやせぬと思いますので、そこまでは私は考えておりません。またそんなことをやろうとも思いません。豚がたくさんあるから学校給食にお使いになりませんかといって文部大臣に御考慮を願う。文部大臣が適切な方法で、余ったものを食わして悪いなら向こうから断わられるだろうし、いろいろな考えがあるでしょうが、私は私の行政の範囲内において文部大臣に考慮していただく。それが適当でなかったらば他にまた道を考えるということだろうと私は思うのでございまして、それ以上のことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/25
-
026・足鹿覺
○足鹿委員 農林大臣は先ほど需給の問題ということを盛んに言われた。いわゆる需要の増大の一環としても、これは当然あなたの立場に立っても考えるべきことじゃないですか。どうもあなたのお話も——私はまじめな、少しきつい表現を使すが、きわめて真摯に、まじめにお尋ねしているのです。私は知識の浅い者でありますが、少なくとも真摯な御質問を申し上げておる所存でございます。それを皮肉たっぷりにはぐらかすということは一体どういうことですか。文部大臣の責任ならば文部大臣の御出席を求めてここで審議をいたしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/26
-
027・河野一郎
○河野国務大臣 文部大臣を呼んで審議をいたそう——私はまだ文部大臣に、こういうものが余っているから使ってくれ、考えてくれという段階に至っておりません。これから大蔵大臣と交渉して、そうしてどの程度まで値を下げて処分してよろしいかということの交渉をして、その処分がきまった上で文部大臣の方に話をする、こういう順序でおります。
また、今足鹿さんのお話のように、まじめに議論しておるのに、私が何か不適当な用語を使ったというようなことでございますが、これはもしそうであったら深くおわびを申し上げます。足鹿さんが非常にまじめに議論していらっしゃることは、その通り私は受け取っております。
そこで今の消費の拡大の上からいっても考えるべきことじゃないかということでございますが、私は乳牛の場合とは考えが違います。これは小学校もしくは中学に学童給食をして、豚肉の消費の面を拡大いたそうというところまではまだ考えておりません。これはそこまで参りますと話がまた別になりますが、私は、需要の増大は、国民所得の増加が需要の増大を呼ぶのであって、国民所得の増加と見合って動物蛋白の需要は増していくべきものだろうと考えております。でございますから、そこまでは考えておりません。また、今後の養豚の生産計画等につきましても、もう少し確固たるものを持った上であらためて考える場合があるかもしれませんが、今は非常に生産が過剰になっておりまするものを、先ほどもお話しの通りこのまま退蔵いたすことは、将来に悪影響があると考えますから、その一部分を処分いたしたいと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/27
-
028・足鹿覺
○足鹿委員 それならそれでよろしいです、あなたがそういう段階ならば。だから豚肉の学校給食などをあまり大きな宣伝をなさることは——これはよほど前からおやりになっておる。しかしまだこれから検討するというような程度では、私はいささかがっかりいたしました。少なくともあなたは、力ある大臣として、学校給食問題については非常な熱意を持っておられるし、要の増大あるいは国民体位の向上というような面から、文部当局ともっと具体的に相談をしておやりになっておるものだと思い詰めておりました。実に遺憾に思いますが、それが現段階であるといたしますならば、これはいたし方がない。少なくとも当委員会としては文部大臣の御出席を願いまして——委員長、この問題は大きな問題であります。先日来からも結論が出ておらぬのであります。ようやく大臣から今の御構想が発表になりましたので、文部大臣の御出席を、別な機会でもけっこうであります、本日ならばなおけっこうでありますが、御考慮願いたいと思いますけれども、いかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/28
-
029・野原正勝
○野原委員長 文部省からは学校給食課長を呼んで、その点は十分この間論議を尽くしたわけですが、その必要があれば、後刻理事会を開いてきめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/29
-
030・足鹿覺
○足鹿委員 十分一つ御検討を願って御善処願います。
第三に、大臣だけの問題として、事業団の運営の問題の一つにもなろうと思いますので、輸入差益金の問題と羊肉の輸入問題、肉類の輸入問題についてお尋ねをいたします。
三十七年度の上半期は、牛乳、乳製品の逼迫が予想されるということであります。そこで三十六年度の事業団の事業計画では、三十六年度に脱脂粉乳、バターの緊急輸入が計画されておると聞いておりますが、これは事実でありましょうか。なお、足りないというとすぐに輸入ということになる。これは足りないものを補うのでありますから、一面消費者の立場からいうと、やむを得ない措置とも考えられる面もありますが、そのことが国内の価格を圧迫する。非常にデリケートな不可分の関係にありまして、その方向がだんだん進んで参りますと、いわゆる国内産を圧迫して、輸入依存の線が強くなってくる。いわんや貿易自由化の問題が目睫に迫っており、農産物の輸入も、果実類等は十月を期して行なわれるということになりますと、非常に大きな問題になると思うのでありますが、この点について国内産の緊急措置と輸入の問題について大臣の構想なり、今私が申し上げた具体的な問題についてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/30
-
031・河野一郎
○河野国務大臣 需要期を控えまして生乳の不足も計算上考えられますので、臨時に酪農製品について輸入の措置をとりたいと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/31
-
032・足鹿覺
○足鹿委員 この緊急輸入の問題に関連をいたしまして、特に私の立場から緊急な問題を一つ伺っておきたい。
それは去る二月二十八日に、政府の賓客としてマーシャルニュージーランド副首相がおいでになりました。そのときに池田総理とお会いになりまして、マーシャル副首相が御提案になったことがあると聞いております。それはニュージーランド産の羊肉についての問題でありまして、日本の関税率を一〇%引き上げないことを約束してほしい、この受け入れについては政府は了承をし、秘密の約束書簡を交換したと伝えられております。これは事実でありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/32
-
033・河野一郎
○河野国務大臣 私は存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/33
-
034・足鹿覺
○足鹿委員 大臣がお知りにならないということでありますが、これは重要な問題であります。右の秘密取りきめについては、どうも農林省が交換されたような格好のように伝えられておるのです。大臣がお知りにならないということは、私ちょっとふに落ちませんが、今豚肉の値下がりで農民の苦悩がさらに大きく増大しようというときに、ニュージーランドの羊肉はすでにAA品目になっておりまして、自由輸入品目であります。これを加工してハム原料にすることは、従来からも行なわれておる。この豚肉と一番競合する羊の肉を、こともあろうに今どき輸入をする、しかも関税率を一〇%も下げるなどというようなことについて、外務省がニュージーランドとの間に秘密文書の交換を行なったことを、大臣がお知りにならないということであれば、これは外務大臣の出席を求め、大蔵省の関税局長等の出席を求めたい。私どもが真摯に、この肉豚の値下がり対策に畜安法をどう効果あらしめるかということで連日審議を行ない、審議会においても夜を徹して審議が行なわれておるときに、このようなことが行なわれることはもってのほかだと思います。特に秘密取りきめにつきましては、国会と政府との関係からいいましても問題があります。関税法では、緊急の場合には、関税の引き下げ、引き上げの問題については国会にその権利を付与しておる。しかるに国会にも断わらないで、このような取りきめが行なわれるということにつきましては、私どもとして納得が参りません。事務当局は全然ノータッチでありますか。まだこれが正式なものになっておるかどうかも、外務大臣を呼んで調査をしてみなければわかりませんが、全然事務当局もお知りにならないのでありますか。新聞紙によりますと、それらしいことが市場の開拓問題等で出ておるのです。それを農林当局が知らないということは大へんな問題だと思います。大臣に対する補佐も足らないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/34
-
035・森茂雄
○森(茂)政府委員 そういうことが秘密に取りきめになったということは全然知りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/35
-
036・足鹿覺
○足鹿委員 大蔵委員会のお話によると、明らかになっておるそうであります。大臣はこの問題をどう対処されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/36
-
037・河野一郎
○河野国務大臣 御意見でございますから、さっそく次の閣議でよく意見を聞いて参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/37
-
038・足鹿覺
○足鹿委員 その内容については、具体的に大蔵委員会における審議の経過等も調べ、そして外務大臣の出席を求めまして、本日の午後でも取り上げてやりたいと思いますが、委員長、お手配をいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/38
-
039・野原正勝
○野原委員長 この問題も含めて後刻理事会を開きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/39
-
040・足鹿覺
○足鹿委員 十分の御善処をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/40
-
041・河野一郎
○河野国務大臣 今の足鹿さんのニュージーランドの羊肉についてのお話は、輸入税を一〇%上げないでくれということ、その約束をしないかというのですか。上げるということならよく聞いて、参りますが今のお話は、こういう際に下げるのはけしからぬ、上げなければいけないという御意見ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/41
-
042・足鹿覺
○足鹿委員 いやいや、その間のいきさつは私どもわかりませんが、ニュージーランドのマーシャル氏からの提案は、ニュージーランド産の羊肉についての日本の関税率を一〇%引き上げないことを約束してほしい、つまり現状維持です。何かそこに引き上げをどうだという話があったのじゃないですか。ですからその点についてマーシャル氏から話があって秘密文書の交換が行なわれたのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/42
-
043・河野一郎
○河野国務大臣 それは上げるとか下げるとかいうことならば、むろん所管大臣に相談なしに上げるとか下げるとかいうことはやらないでしょう。現状維持ならば、なぜおれに相談しないのかと言うこともできないし、相談のしょうがないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/43
-
044・足鹿覺
○足鹿委員 いや、私の申し上げておるのは、やはり豚肉の値下がりで今非常に農民が苦しんでおる。この対策に政府もやっきになっておる。われわれも一生懸命やっておる。そういう時期に、いわゆるこの羊肉の輸入問題を農林当局にも相談せずに、それをきめること自体に問題があると私は思います。と同時に、その関税率の問題について、その話し合いの内容がよくわからないのです。どういう話し合いであったか、とにかく輸入についての話の取りきめが行なわれたことは事実のようであります。ですからその関税率を、われわれの聞くところによると、関税率一〇%を引き上げようという意見があったのじゃないですか。従ってそれを上げないでくれ、了承した、こういうことのようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/44
-
045・河野一郎
○河野国務大臣 私の方から関税一〇%を上げてくれという申し入れを大蔵省にやったことはないのです。私の方は今関税率を上げてくれ、下げてくれという申し入れを大蔵省にはしておらない。おらないときに、それを向こうが私の方に相談なしにいじるはずがない。それほど私もあれじゃないと思います。ところが現状でおくということならば、なぜ相談しないのかと怒るわけにも参らぬと思います。(「そんな取りきめなんかする必要はない」と呼ぶ者あり)現状維持ならば、取りきめないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/45
-
046・足鹿覺
○足鹿委員 おそらくわれわれの理解は、豚肉が非常に問題になっておる、それでなくとも値下がりが日に日に著しい、これの手当をしておる最中だから、とにかく羊肉の輸入などということは待ってくれ、こういう話があったと仮定いたしましょう。そうやるべきなのでしょうか。当然あなた方がお知りになったら、けっこうですということになるでしょうか。ならないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/46
-
047・河野一郎
○河野国務大臣 御承知の通り、わが国の肉資源は、いずれにしても今豚肉が過剰で下がっておりますけれども、最近肉資源は不足でございます。従って、これがAA制にもなったゆえんも私はそこにあると思います。そういうことでございまして、今一時的に肉琢が非常に下がっておりますけれども、この肉豚の下落も先ほどもお話しの通り、一体いつまでこういう状態が続くかということについても、やはり将来上がる場合も考えて、貯蔵も一部はしておかなければならぬのじゃなかろうかと思うようなほどでございますから、刺激的ににわかに輸入するとか関税を下げるということはこれはもってのほかでございます、そんなことは断じてあってはならぬことでありますが、さればといって、長期にわたって絶対輸入しては困る、関税を上げなければならぬというものでもなかろうと思うのでございます。そういうものでございますから、まず現状維持でいくことが適当であろうというので、今のお話でもどういうことであろうかと思っておったのでありますけれども、私の考えとしてはさしあたって関税を下げるということはむろん困りますけれども、さればといって長期にわたっての考えとしてはまた別のことも考えなければならぬのではなかろうか、こういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/47
-
048・足鹿覺
○足鹿委員 理事会等で関係当局を招致して、この問題を掘り下げることに委員長で御善処をいただくそうでありますから、この問題についてはあとの課題にいたしましょう。
本論に戻りまして輸入差益金の問題でありますが、三十五年、三十六年において、四億三千六百十四万円の差益をあげて、このうち輸入団体の税金引き当て等が二億三千九百二十万円と言われておりますから、これを差し引きますと、一億九千六百九十四万円の差益残があると伝えられておりますが、事実でありますか。事実とするならば、その使途はどういうふうになるのでありますか。これは事業団への出資金に振り当てるとか、よほど前でありますが、私が差益金問題をお伺いいたしました際に、二億円ばかりのものが乳製品関係である、これは一体どうするか、畜産局から待てというので、私どもは留保しております、こういうことであります。これは歳入面におきましては大蔵省へ入ってくるわけでありますから金にしるしがつきません。しかしこの使途は少なくとも畜産の振興に充てるべき筋合いのものだとわれわれは理解しておるわけであります。ちょうどこの間の競馬の益金の畜産振興への繰り入れの問題と、問題は違いますが、よく性格は似てくると思うのです。現在どういうふうになっておりますか。大臣のこの問題に対する考え方なり構想を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/48
-
049・森茂雄
○森(茂)政府委員 大臣御就任前から粉乳、バター等を輸入いたしまして、相当市場価格との差がございましたので、輸入して使う全酪連、あるいは乳製品の中小メーカー等でその差額をそのまま利得せずに、自分自身の処分利益にせずに積み立てたものが三十五年度では二億円あったわけでございます。その販売利益として、販売になっておるものですから、それは半分が税に納められたわけでございます。従いまして三十五年の差引一億円というものは、主として扱いました全国酪農農業協同組合連合会が自分の配下の乳製品工場のメーカーの自分の出資分といたしまして振興事業団に五千万円、その一部を出資したわけでございます。そういう意味におきましてその出資は事業団設備拡充あるいは運転資金の場合の債務保証のもとになるわけでございます。その他の分につきましては、団体等で積み立てまして保留しておりまして、酪農振興に充てるということで畜産局長の指示を待っておるのであります。三十六年度についても約同額上がるわけでございます。三十七年度以降は今回緊急輸入した分につきましては振興事業団で買い入れ、売り渡しをやりますので、振興事業団の運用益になるわけでございまして、税金も事業団でございますのでとられないということになるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/49
-
050・河野一郎
○河野国務大臣 今の局長から御説明申し上げました金につきましては、すみやかに適正な処置を講じたいと私は考えます。むろん振興団に入れる場合にはどういうふうに入れるか、その他入れるとするならばどういうふうにするかということをすみやかに決定して善処いたしますから、その場合にはむろん御意見も聞かせていただきたいと思いますので御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/50
-
051・足鹿覺
○足鹿委員 まだ大臣に対する質疑が残っておるのですが、角屋委員からも質問をしたいということでありますし、大臣の御都合があるようであります。私は十二時二十分ごろまで大臣がおいでになるものだと委員長から承っておりましたので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/51
-
052・野原正勝
○野原委員長 十二時十分前……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/52
-
053・足鹿覺
○足鹿委員 そうしますと時間もありませんが、十二時二十分と僕は理解したいのですが、私の聞き違いといたしましょう。
それではこの程度で、次の機会に大臣質問を留保いたしておきます。もちろん事務当局に対する残余の質疑は留保いたしてきょうは終りにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/53
-
054・野原正勝
○野原委員長 暫時休憩いたします。
午前十一時四十七分休憩
————◇—————
午後零時三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/54
-
055・野原正勝
○野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
先ほど足鹿委員の質問の際に問題となっておりました羊肉の輸入関税率に関するニュージーランドのマーシャル副首相と小坂外務大臣との間にいろいろと文書の交換等があったという問題につきましては、本日午後外務大臣の出席を求めたいと思います。なお外務委員会その他の都合で外務大臣の出席がどうしてもできないときには、事情を承知しておる局長の出席を求めることにいたします。
牛乳及び豚肉の学校給食の問題に関しまして荒木文部大臣の出席を求めたいと思います。さっそくこのように手配をいたしたいと思います。
本会議散会後直ちに再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。
午後零時五分休憩
————◇—————
午後三時十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/55
-
056・野原正勝
○野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審議を進めます。足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/56
-
057・足鹿覺
○足鹿委員 午前中の質疑の際には主として大臣にお尋ねを申し上げたのでありますが、保留いたしております事務局に対する質疑を若干申し上げます。
豚肉の買い入れ価格の問題につきまして、先日開かれた審議会において、畜産局は農林省の肉豚生産費調査というものに対して信用できないという意味の発言をいたされておるのであります。三十五年の肉豚生産費調査について伺いたいのでありますが、統計調査部としては、また経済局としては政策にならないような統計をおやりになっておるのでありますか。不備なら不備ということならわかりますが、信用問題ということになりますならば、これは重大な問題であります。しかも今後選択的拡大の推進によって、米麦に次ぐような大きな農畜産物になろうとしておるものに、そのような内部で不信を受けるような調査だということになりますと、これは問題であります。現在よるべき基礎は、あなた方がおやりになっておる調査がまず公的機関における唯一のものだと私どもは考えておるのでありますが、はたして統計調査部長としてはどのようにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/57
-
058・久我通武
○久我説明員 ただいま御指摘のございました畜産物の生産費の調査につきましては、実は米麦の生産費調査のように一応使えるという段階までまだ十分に至っていないということは率直に認めざるを得ないところであると存じます。それの一番の原因は戸数が非常に足らないということにあるかと存じます。御承知のように畜産物の中でも牛乳の価格に関係いたします牛乳の生産費を出します諸調査は、これは足らないと言いながら約八百戸足らずの戸数を持っておりますので、これらにつきましては戸数が非常に足らないということはあるいはないかと存じますが、豚の生産費、特に肉豚の生産費の調査になりますと、三十五年に試験的にまだ始めたばかりでございまして、これが戸数も六十六戸しかやっていないような状態でございます。そこでわれわれといたしましては、この畜産物の価格安定のために何としても第一にこの戸数をある程度ふやすということが大切かと存じておりますが、実は前回の国会におきましても御決議がございましたので、われわれといたしましては三十八年度からでき得るだけこの調査も米麦と同様にやりたいと考えております。ただしそれでは間に合いませんので、来年度は御承知のように農家経済調査を一万五千戸にふやしますので、その経済調査をいたしますから、そのうちで畜産並びに園芸作物をやっておりますものを特に、ただいまのところでは約三千戸が三千五百戸になろうか、それを抜きまして、畜産の方がやや多いわけでございますが、全体で二千戸程度になろうかと思いますけれども、そのものにつきまして、そこで使用しております家畜の生産費を部門別に計算をするという調査を、この四月一日から経済調査の中で始めることを企画いたしております。そこで、ただしこれは従来の米だけの価格を決定するような意味でとりました生産費調査というものから見ますと、なおかつ不十分のそしりを免れない。たとえば豚の生産費というようなものになりますと、まだ片寄りも出てくる心配はあると思いますので、そこでただいま約二、三千の経済調査につきましては標本を残しておきまして、一定の家畜及び果樹園芸をやっております農家を特に抜いて、それを足りなくならないように補正して調査をいたすということで目下進めておりますが、ただいま先生のお話のございましたように、ただいまございます調査は、われわれが将来生産費調査をやろうということで準備をいたしましたものしかございませんので、おそらく行政的に不十分である、こういうお話が出たのではないかと存じております。
なお豚につきましては、実は非常にむずかしいのは、ごくわずかの頭数の豚を飼っておる農家の生産費でございます。これも農政上はなくていいというものではないと思うわけでございますが、一年のある時期に飼ったりやめたりいたしておりますというようなものが、しかも少頭数であるということになりますと、生産費をどのように形成しておるかということを計算して出す技術がまだ十分に確立していない。たとえば建物の償却費というのをどう持たせるかというようなことが、年間続けて相当期間安定してあるものと違いますために、また年に二回も三回も始めるものがあったりそうでないものがあるというようなことのために、同じ二、三頭の飼育といいましても、非常に違った生産費を形成するわけであります。そういうことから技術的に非常に困難性がございますので、実はわれわれはこの一年間これらの点の整理をやって参りまして、この四月からただいま申し上げたように、不十分ではございますが、経済調査の中で始めますれば、おそらく行政上もお使いいただけるようになるのじゃないか、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/58
-
059・足鹿覺
○足鹿委員 森畜産局長にお尋ねいたしますが、審議会における先ほど私が指摘したような発言はまことに不穏当だと思うのです。ほかにないのは、これはだれの責任でもなくて、これは政府自体の責めに帰せなければならぬ問題だと思うのです。今統計調査部長から約三千戸程度のものを今後行なうのだということでありますが、それは現在の段階としては一応満足すべきものとして、今後の生産費を基礎とした再生産確保の資料として価値あるものと考えておるのか、価値あるものとして考えないとするならば、私が先刻来大臣にしばしば質疑を通じて申し上げたように、もっと権威のあるしっかりしたものをこの際考える必要があるのではないか。とにかくいずれにいたしましても、今のようなことでは生産費主義ということにはならないと思うのです。六ヵ年間の平均価格に生産費指数をかけるというようなことではまことに困る。一方においては役に立たぬと言いながら、一方においてはまた生産費指数でこれを利用する。また上下一六・三%の偏差の場合におきましても、過去九カ年の平均偏差をとっておるといいますが、物価修正をやっておるのですか。そういったようにまことに不備であります。この際画期的にその生産費調査の裏づけを十二分にして、そうして政策の基礎ともなり、また人々が納得をするような——基礎なくして政府の恣意性によって腰だめ的にすべてが解決されるというようなことでは困るのです。その辺についてお尋ねをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/59
-
060・森茂雄
○森(茂)政府委員 足鹿先生のおっしゃる御質問の意味は私もよくわかるのです。その意味において今回厳然としてありまする価格安定法第三条の四項につきましてぜひ確立した、かりに各因子が非常に固まっておらないにいたしましても、いろいろな方法で推定する方法もあるわけでございます。そういう意味におきまして、第三条の第四項の価格決定の方法というものは一定のルールで確立さるべきものだと考えるわけであります。過般の価格審議会における私の発言が適当でないという御注意が今ございましたが、各点においてもまだ整備すべき点があるわけであります。私どもといたしましてはできるだけ価格安定法の第三条の第四項につきまして確立した基準をきめて参る、そのときの単なる経済扇情できめるということじゃなしに確立して参りたいと思います。特に農業政策一般についての根本的な基礎になります農業基本法の各条文の明文に照らしてもそういうことでありますので、私どもといたしましては、できるだけ参考資料等を整えまして、審議会の御意見も伺いまして、早急に決定方式を確立したいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/60
-
061・足鹿覺
○足鹿委員 もう少ししっかりおやりになってもよろしいと思うのです。もう時間もありませんし、何回質疑をやっても同じようなことでありますから、とにかく政策の基礎となる統計資料を充実するという御意思のようでありますので、これ以上申し上げません。あまり恣意性にわたるようなことはお慎しみになる方がよろしい。資料がないということはだれの責任でもないわけですから、政府自体がよく御反省になる必要があろうと思います。特に統計調査部長にお願いしておきたいのは、今問題になっておる豚肉の買い入れの問題に使う資料がまことに不十分だというところからやはりいろいろと問題が発生してきておるわけでありますので、ただいま構想を御発表になりましたが、それで一応責任の持てるりっぱなものができるということであるならば、それをさらに先実を期していただきたいということを特に申し上げておきたいと思います。
先刻文部大臣の出席を求めましたが、体育局長がおいでになっているそうでありますので、学校給食の問題を一、二伺っておきたい。あなた、大臣にかわって責任ある御答弁をいただけるわけですね。
私はこまかいことは申し上げませんが、先ほどは農林大臣の御出席を求めて学校給食の問題、特に先日来は牛乳の学校給食の問題が、当委員会で議論をされました。給食課長もおいでになりましたが、本日は、目下買い上げが進んでおります事業団の豚肉の処分の問題であります。これは政府の責任において買い上げた豚肉は学校給食にするのだということをしばしば言われたにもかかわらず、農林大臣としては、それは文部省がやることだ、自分たちは買い上げるのだ、しかし学校給食をこうするのだというきわめて無責任な今までの言葉とは似ても似つかないような冷淡なお言葉がありました。従って買い上げた豚肉を学校給食にどう活用していくか、そしてこれを制度的にどう裏づけていくかということは政府全体の責任であるが、特に文部大臣の責任において、文部当局の責任と努力において解決されるものだと私どもは期待しておりますが、さよう解釈してよろしいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/61
-
062・前田充明
○前田(充)政府委員 お話しの問題でございますが、豚肉の買い入れということにつきましては、農林省と文部省との間の事務的な折衝の段階でございまして、最終的に国の政策としてどういうふうにするかというところまでは今日では至っておりません。数量等の問題もございますし、また価格の問題もございます。その辺の問題はまだ十分に討議をいたしておりませんことと、それからもう一つ、学校給食といたしましては、現在パンと牛乳については文部省がみずから、配給という言葉は当たらないかもしれませんが割当等をいたしております。豚肉に関しましてはそういうことをいたしません。そういうことをいたすといたしますれば、その方法等についても十分な検討をいたさなくてはならないというように考えております。従いまして数量、それから将来の計画的な配給と申しますか分配と申しますか、そういうことがきちっといき、そして学校の希望等も十分に調査ができ上がって参りますれば、方法として考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/62
-
063・足鹿覺
○足鹿委員 まだ政策として本格的な結論を得ておらぬ、しかし事務的に打ち合わせをしておるということのようでありますが、だから文部大臣の御出席を私は必要と認めたわけなんです。政策として学校給食に取り入れるという御決意でおやりになっておるわけですね。ただ現在買い上げた豚肉がある、これをどこかに緊急に配給する、それについての価格の問題とかいろいろな点で打ち合わせをしておるということでは、先ほどの農林大臣の答弁とはいささか違うわけなんです。従って文部大臣の御出席を得なければどうも結論に達しないかのようにもとれますが、十分文部大臣とお打ち合わせの上御出席になったものと私は理解しておるのですけれども、現在制度としてこれを持っていくということではないのですね。これはいい悪いということよりも、この質疑を通じて明らかにしていきたいと思っております。何もあなた方を追及するという趣旨で行なっておるわけではありません。事実を事実として明らかにしていけばいい。そういう点からお話をしていただきたいのですが、私どもが聞いておるところによりますと、いかにも世間に向かっては学校給食をやるんだ、しかもそれは早急にやられるように伺ったことが、これは文部省がやるんだ、こういったようなことではまことに困るのです。現在真偽はわかりませんが、具体的におきしましょう。伝えられるところによりますと、二千トンを特売する。キロ当たり百円安で配給をしよう、その対象となる地区は、六大都市と札幌、仙台、大宮というところの中小の養護学校ということを聞いておるのでありますが、もしそうだといたしますならば、その内容を明らかにしてほしいのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/63
-
064・前田充明
○前田(充)政府委員 六大都市並びにその他の地方の中小都市の養護学校という話は私は存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/64
-
065・足鹿覺
○足鹿委員 畜産局長、事務的に折衝中だと言うんですが、やっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/65
-
066・森茂雄
○森(茂)政府委員 私どもの方といたしましては、豚肉を不幸にして基準価格で買い入れざるを得ない事態になったわけでございます。現在までに約九千八百頭前後買い入れておりますが、これは枝肉の量にいたしますと五百五十トン程度でございます。私どもといたしましてはこれを貯蔵保管して品いたみを来たし、あるいは保管料、金利等を負担していくよりも、むしろこれを需要の外に除いていくという意味におきましても、市場圧迫にならない意味におきましても消費していただきたい、こういうわけでその意向を文部省に申し入れてあるわけであります。ただ技術的に見ますと、それぞれ適宜学校の方でいろいろ御希望もありましょうし、それから加工品で求めるかあるいはそのまま枝肉を調理していくかというような技術的な点もございますので、あらかじめ文部省の方へ御研究を願うように申し入れてあるわけであります。私どもといたしましては、配給する場合の価格、数量等を、今後不幸にして買い入れの事態が続く、相場が復活しないということになりますと、相当量枝肉をかかえることになりますので、相当まとまりますれば文部省へ具体的な問題として話を持ち込む、それまでは文部省の方でそういう事例につきまして、そういう措置につきまして学校側の調理その他受け入れ態勢等についてのお見込みを御検討願っておく程度で連絡しておるわけであります。従いまして価格等につきましては、これは財政当局等の意見も伺いましてわれわれとしては最も能率的に処理したいと存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/66
-
067・足鹿覺
○足鹿委員 そうしますと、文部当局は養護学校を中心に配給するということは、現在別に知らぬということですが、私が指摘したのはこれは全くうそですか。農林省でもやっておらぬ、文部省でもそういうことは関知しない、どういうつもりで事務的にあなた方は学校給食を具体化しようとしておられるのでございますか。もし私が指摘したことがまだそこまで至っておらぬなら、それはそれでよろしいのです。どういうことで具体的に詰めておろうとしておるのでありますか。もし難色があるとするならば、どこに難点があるのですか。大蔵省方面に難点があるのですか。どうなんですか。しかも今度は事業団が新しくこういうことをやるのですよ。そこに一つの政策としても裏づけられたものがないとよろしくないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/67
-
068・森茂雄
○森(茂)政府委員 学校給食の対象学校ということになりますと、常識的にいって、小学校、中等学校、養護学校というような、現在まで給食の対象とされておるところがそうではないか、こういうことでわれわれとして内案を練っておるわけであります。そういう意味におきまして、どういう地方におけるどういう種類の学校だということには私どももきめておりませんし、おそらく文部省の方でもまたそういうことで各学校等の意向なり都合なりということを今聞いておる段階だと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/68
-
069・前田充明
○前田(充)政府委員 ただいま農林省からのお答えと同じでございまして、小中学校、養護学校ももちろんあるわけでありますが、学校給食をやっております全体にわたって、もしやるとすれば、考慮いたしたいと思いますし、それから都市は、これは特別な都市だけということもいかがかと思うのでございます。先ほど農林省からのお答えもございましたように、加工する場合等においては山間部等でもできます。ことに私どもといたしましては、できるだけ蛋白質給源をやるということは非常に必要な問題となっているのでございます、豚肉を学校給食に使うことは非常にいいことなんでございます。ただ問題は、価格の点と、それからなまの場合でございますとそれの配給の仕方というよな問題、そういうような技術的な問題が相当ございます。そういう点について相当に考慮いたさなければならないと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/69
-
070・足鹿覺
○足鹿委員 大体現段階のあなた方の検討事項、内容が一応わかりました。この程度のことで学校給食をやるやると大向こうに宣伝、放送されることは、いささか恥ずかしい段階ではないかと思うのです。少なくとも、先刻大臣が言っておられましたが、需給関係によって価格は一番影響を受ける。一にも需給だということを言っておられましたが、消費拡大、しかも恒常的に消費を拡大していくということについては、学校給食等は一番安定した、長期にわたって消費が持続する、非常にけっこうなことではないかと私は思います。ただいまの体育局長のお話によりますと、養護学校ももちろんだが、一部にこれが片寄らないように、もっと広く考えるということでありますので、ぜひさように御検討いただきたいと思います。六大都市あるいは一、二の都市の周辺だけでは公平を欠くと思いますし、といって今の段階ではこれを強制するというわけにも参りますまい。やはり施設も必要であるし、経済問題も伴いましょうし、いろいろ事情もあると思いますが、少なくとも申し込みによるもの、あるいは特にこうい地帯においては政府自体が奨励をしてやらなければならない地帯とか、いろいろあると思います。そういう点について、もっと具体的にすみやかに御検討になりまして、少なくともこれが制度的に一つの政策として、あるいはそれに近いものとして、余ったからそのときはかすということではなしに、制度的に御検討願い、すみやかに具体化をはかっていただきたいと思います。すみやかに、この法案の審議中というわけにも参りますまいが、適当な機会に当委員会を通じてその内容が明らかになるように期待をいたしますので、御協力を願いたいと思います。
それから、これは畜産局長に伺いたいのでありますが、食品衛生法との関係で消費拡大の問題が一つあるのです。これはもうお気づきだろうと思うのですが、豚肉の地場消費ということが、このごろ全国的に非常に盛んになっております。心ある農協組織、畜産団体、そういうところにおきましては十分その熱意を持って具体的にもう実施しておる。東京近郊におきましては、茨城県のごときは八十単協が予約によって毎月二回、百頭分の豚肉をポリエチレンの包装によって百グラム二十五円、こういう価格で地場消費を拡大しております。門前市をなすというような盛況だと私ども聞いております。これは一例にすぎませんが、ことほどさように全国的に地場消費が盛んになっておる。ところが食品衛生法によってとにかくやかましいことを言う、窮屈なことを言う。たとえば固定式の冷蔵庫を設置しなければならぬというようなことを言う。確かに食品衛生法の第二十条において「都道府県知事は、飲食店営業その他公衆衛生に与える影響が著しい営業であって、政令で定めるものの施設につき、業種別に、公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない。」となっておる。その基準を、施行令第五条において「法第二十条の規定により都道府県知事が施設についての基準を定めるべき営業は、次のとおりとする。」とあって、その九の「食肉販売業」という、これの解釈と運営で相当窮屈な県と、やや考えておる知事さんのいる県とある。いずれにいたしましても、あまりやかましく言い過ぎるのではないですか。要するに固定式冷蔵庫を各単協で施設するなどということは、三十万も四十万もすることでありますから、やる意思はあっても、またそれが阻害条項になる。従って現在の冷蔵庫程度でいいと私は思うのです。何も三十万円もするような固定式の冷蔵庫の施設なんか必要ないと思うのです。もうすでにその親工場においてちゃんとポリエチレンの包装にして配っていくのです。それはアイス・ボックスでも事足りるのじゃないかと思うのです。にもかかわらず、こういう食品衛生法関係の規定に基づいて窮屈千万なことをやる。それは業界その他からも若干異論はあるかは知りませんが、別に衛生上著しく不適当な貯蔵管理をするわけでない限りは、こういうものは農村の食生活の改善の上からいっても、栄養の改善の面からいっても大いに奨励をする、その奨励に阻害になるような条項は、積極的に、国会で取り上げるまでもなしに、関係方面と熱意を持って折衝されて問題を解決される責任があると思うのです。私は、きょうは厚生省をお呼びしようと思いましたが、あなた方がどう考えておられるかということがはっきりしない限り——当局の熱意によって関係省というものはやはりまたその気になるのです。それなしにいきなり厚生省をいろいろ追及することは当を得てないと考えるのでございまして、あなた方はこういう事実についてどういう具体的措置をとろうとしておられるかということについて伺った上で、折衝はしたけれども頑迷なことを言うとか、あるいはどうしても進まぬということでありますならば、これは厚生当局に来てもらいまして、責任者から問題の対策なり考え方を明らかにして——とにかくあまりにも窮屈千万なことをやっておるから消費拡大がうまくいかない、農村は高い運賃や手数料を払って市場へ出さなければならぬ、こういうことでは農業団体がいかように活動をしようとしても活動できないような結果になるのです。いかがですか、その点について対策を講じておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/70
-
071・森茂雄
○森(茂)政府委員 私どもの方ばかりじゃなしに、地方においてもそういうことでいろいろ御意見があるわけであります。私どもといたしましては、現在の段階で厚生省と話をしておりますのは、販売ということになりますと、少なくとも全国最低基準というのがございますので、やり方といたしましては、都会は肉屋、農村は農協という方向が望ましいと考えるわけであります。そういうことで、販売ということではなくて、農協が注文をとって配るという形ならできるということでございますので、そういうことで極力やって参りたいと思います。いろいろ最低基準の衛生関係につきましては守っていかざるを得ないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/71
-
072・足鹿覺
○足鹿委員 ちょっとよくわからなかったのですが、今一例をあげましたけれども、厚生省と打ち合わせをして簡易、迅速に地場消費が増大するような必要な対策を講じておられるのですか。ちょっと今同僚委員と打ち合わせ中でしたので、御答がよく聞けなかったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/72
-
073・森茂雄
○森(茂)政府委員 お話のように、やはり食品衛生法によりまして、食肉の処理施設というものを最低限度設けるということになっておりますので、単協などに冷蔵庫を置いて、直ちに食べられる肉を地元消費するようにしたい、こういう場合におきまして、販売ということではなく農協が注文をとって配る、こういうことであれば、現在の法律からいっても厚生省ではできるということでございますので、最低基準は守りまして、販売ということではなくて——販売業者ということになりますと一定の処理施設を設けるということが、事故が起きた場合に食品衛生の方の立場からどうしてもそういう点は重要視しておりますので、最少限度の施設によって、販売ということではなくて、農協などが注文をとって配るという形で実行さして参りたいと思います。そういう点等につきまして厚生省との了解を得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/73
-
074・足鹿覺
○足鹿委員 その了解事項というのは、私が先ほど指摘しましたような固定式の大型の冷蔵庫というようなものを各単協に施設せしめなくても、電気冷蔵庫等でやり得るというように、具体的な例をあげて聞いてるのですから、そういった点についても具体的に一つ御答弁願いたいのです。どうも局長の御答弁は、非常に勉強された跡は見えますけれども、抽象的なんじゃないですか。私が頭が悪いせいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/74
-
075・森茂雄
○森(茂)政府委員 経済課長から説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/75
-
076・森整治
○森説明員 ちょっと御説明申し上げます。富山県の食肉銀行ということが有名で、よく言われ、例にあげられておりますが、これは単協に普通の家庭の電気冷蔵庫、そこへ包装した肉を、農家の注文をとって置いておく。そこへ農家がとりにいく。これは一種の販売ではありますが、むしろ農家の注文をとって、その肉を農家が消費するということで、直接食肉販売業としての許可は要らないわけでございます。そういう形になっておることを、今局長が申し上げたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/76
-
077・足鹿覺
○足鹿委員 もちろん、販売の場合は食品衛生法、あるいは都市に農協が進出をして販売をする場合は、環境衛生法の適用もあわせ受けるわけでございましょう。ですが、その問題は先般来も議論がありましたから省略するとしまして、農村の地場消費ということにおきましても支障となるような、必要以上の形式にとらわれないで、簡易、迅速に事が進むように、十分御善処願いたいと思います。大体電気冷蔵庫で、注文をとったものをそこへ保管をしておいて配給するということになっておるようでございますし、厚生省もそれに異存はないですね。了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/77
-
078・野原正勝
○野原委員長 この際、河野農林大臣より発言を求められておりますので、これを許します。河野農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/78
-
079・河野一郎
○河野国務大臣 先ほど足鹿さんからニュージーランドの問題についてお尋ねがございましたが、秘密協定というようなことでございましたので、私はそういうことがあるとは思わぬということを申しましたが、新聞に発表になっております程度のものはあるわけでございまして、これは、政府はすでに閣議で決定して発表しておるのでございます。もしこれを御指摘であったならば、私の答弁が間違っておりますから、これを訂正いたしますが、今申し上げた通りでございまして、なおまた、これに関連して羊肉の輸入について御心配でございましたが、これは先方がわが国の肉の需給を乱すようなことがあった場合には、先方において自主的に調整をなすという約束をいたしておりますし、またそれを越えて入るようでありますれば、緊急処置は当方でとるようにいたしておりますので、御注意の点につきましては十分留意をいたして、支障のないようにする所存でありますから、この点訂正をかねて弁明をさせていただく次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/79
-
080・足鹿覺
○足鹿委員 その問題なんであります。ただ発端を私が申し上げたわけでありますが、これは、聞くところによりますと、先般の関税定率法の改正の場合に、緊急関税などは、国会は政府に授権して、必要な場合には緊急引き上げ権を付与しておるということを聞いておるのであります。それが通っておるということであります。従って、一〇%の引き上げをしないでくれ、こういうニュージーランドのマーシャル代表からの提案をおのみになり、閣議でおきめになったことなんですか。輸入につきましては、数量とか取引の条件とか、そういったことはすでにAA制になっておることでありますから、別に秘密なことでもありますまいし、もし大臣が御存じになるならば、要するに、せっかく国会が政府に緊急引き上げ権を付与しておるのに、それを一〇%引き上げないで、AA制によって取引を進めていく、こういうことを内容として閣議決定をし、話し合いをせられたのでありますか。その話し合いの内容等も明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/80
-
081・河野一郎
○河野国務大臣 発表でもおわかりの通りに、実はガット三十五条の問題が主でございます。これを先方において適用をしないということをするためには、両国の間に現に行なわれております関税定率等については、追って相談するまで現状に据え置こうということでございますので、今申し上げました通りに緊急なる処置、すなわち先方からたくさん入ってきて、そしてそれがわが国の豚肉に影響するというような場合においては、先方において自発的に自粛するという約束をいたして、そしてそういう処置をとっておるということでございます。ただし、先方がその約束を守らなければ、わが方も当然必要な処置をとる、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/81
-
082・安井吉典
○安井委員 ちょっと関連して、念のためにお尋ねをしたいわけでありますが、つまり関税定率法の第九条の二の緊急関税の規定でございますね。先ほどの大臣の御答弁の中では、関税を上げたり下げたりするのじゃなしに、現状維持なんだから、そんなのはいいと思っていたんだというふうな御答弁があったわけです。しかし、実は緊急関税の規定があるわけです。だから外国からのフラッドがあった場合、たくさん入ってきた場合に、これは去年国会の議決があって、私どもはこれを引き上げろという主張をしたわけですが、しかし原案通り政府限りで緊急関税の設定ができるということにきまりました。例のガット第十九条のエスケープ・クローズ、それに基づいて国会で緊急関税をきめているわけですから、先ほどの大田のお話では、閣議でおきめになる場合に、将来は一切関税を上げないのだということを向こうにお約束されたということは、この緊急関税条項という権利までも放棄した形で約束をされたのかどうか、その点もう一度念を押してお聞きしたいと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/82
-
083・河野一郎
○河野国務大臣 その点につきましては、先方におきまして自粛して、そしてこちらの産業に支障のないように、自分の方で自粛いたしますから、両国の理解を深める意味において、こちらの方で上げるという処置をとらないということにしてほしい。ただし、向こうが自粛ができずに、それがこちらに影響すれば、当然緊急の処置をとる、こういう所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/83
-
084・安井吉典
○安井委員 つまり、それは双務的なものであって、先方が自粛をするというのが前提で、もしそれがなければ、緊急関税条項を発動するということは、はっきり保留されてあるわけですね。その点一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/84
-
085・河野一郎
○河野国務大臣 そういう約束をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/85
-
086・足鹿覺
○足鹿委員 その閣議決定なり取引の内客の具体的なものを、当委員会に資料として御提示いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/86
-
087・河野一郎
○河野国務大臣 共同コミュニケが出ておりますから、共同コミュニケはさっそく提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/87
-
088・足鹿覺
○足鹿委員 それでは、肉類そのものが十分国内でまかない切れないというために取引をされることについては、これはやむを得ないと思うのですが、国内の豚価が暴落をして、国費をたくさん使うのみならず、日夜皆さんが心配をしているときに、その阻害となり、さらに農家を突き落とすようなことは万なかろうとは思いますが、このようなことは慎重を期していただきたいと思います。私どもは、政府がいかように豚価の暴落対策等とにらみ合わせて、今後の運営をどう処理されるか見守っていきたいと思いますが、十分御留意あらんことを布望いたします。
最後に、事務的な質問であると同時に、大臣もおいでになりますので、一点だけ伺いまして、私の質疑を一応終わりたいと思います。
今度酪農会議というものを中央でお作りになるという話がありますが、事実であるかどうか。酪農会議を中央並びに都道府県に作られる、これは農基法関係だというふうに聞いておりますが、現在中央には全国農協中央会、都道府県には都道府県中央会があってむしろそういった事業の中心になっておる。そうして系統化は十分行なわれておるにもかかわらず、酪農会議を設置して、いろいろ出荷の調整あるいはその他必要なことについて協議をするということでありますが、これには農協も参加をする、畜産団体も参加をする、いろいろなことが考えられておるようでありますが、やたらに機構ばかり作っていくことがいいのでありましょうか。現在ある機構を十分に活用することも一面において考える必要があるのではないか。この現在の機構でその機能が十分発揮できないと考えられておるのでありましょうか。私どもの考えておることのみならず、農協法七十三条の九によりますと、中央会の目的と専業についてちゃんと規定しておる。従って、これを十二分に果たすように指導していけば、また団体そのものも活動してゆけば、十分必要な活動はなし得るのではないかというふうに考えられるのでありますが、酪農会議を作られるのか、作られないのか、要綱等もすでにお配りになっておるようでありますので、どうもその気のようではなかろうかと思うのですが、そういった点はいま少し慎重を期して対処される必要がありはしないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/88
-
089・森茂雄
○森(茂)政府委員 今回予算に組まれておりまする酪農会議は、牛乳の生産者の団体が酪農会議というものを組織しまして、一団となって乳価あるいはメーカーとの取引条件について交渉していただく、こういうことであります。現在非常に欠陥となっておりますのは、市乳対策についていかにしてこれを処理するかという問題でございます。出荷の状況によりましては、A地区からB地区へ出荷する、B地方からまたA地方のメーカーへ出荷するという錯綜輸送、それからいざということになりますると、個々のメーカーと団体といいますか、個々の団体との取引になってしまいます。裏に奨励金とか個々の地元等で結びついてしまって、問題が裏に隠れてしまう、そうしてただ乳価が安いという場合だけに大会に集まってくる、こういう関係になるものですから、われわれとしては、原料乳等につきましては、事業団の機関がありまして、下値をささえ得る、上値も押え得る、こういうことでございますが、原料乳と市乳とは著しく生産条件が変わっております。そういう意味におきましてだんだん生産者団体が酪農会議ということで酪農関係は一堂に集まりまして、そうして各県内におけるメーカー団体とも統一して話し合う。できれば農協、生産軒団体、牛乳の生産者が協同組合等も十分組織しまして、そうしてやはり共販体制でメーカーに納めていただくということで、現在の市乳対策を表に出して、はっきりと個々の裏道の結びつきというものを表に出して、そうしてどれだけ生産費が足らぬかということも論議していただいて、そうして酪農会議の結集の上は、都道府県も入りまして、円滑なメーカーと生産者側の話し合いを結論的に導いていく、こういうことであります。そういう意味におきまして団体が集まる場合の協議会等について編成したわけであります。ただ地方々々によりまして特殊農協それぞれ一般農協等の生産者団体の関係がございますので、十分団体同志の話し合いで酪農会議を作っていただいて、そうして市乳対策に万全を期したい、こういうのでございますので、押えつけて会議を組織するということではなくて、一同が自主的に集まってそういう会議を作ろうということで、われわれは指導して参りますが、あくまでも押えつけてこういう会合の中のワクで必ずこうしろということでなしに、自主的な活動を望んでおるわけであります。特に生産者団体の団結促進、共販体制の促進、こういうことで、市乳対策も各地方によって非常に状況が違っておりますので、だんだんと、むしろ生産者の堂々たる活動を望んでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/89
-
090・足鹿覺
○足鹿委員 私の質疑を以上で終わりますが、その点は十分まだ検討される余地が私はあると思うのです。その程度のことならば、あるいは全中なら全中、府中なら県中が関係者を呼んで、打ち合わせをして、そうして活動していけば、私は別に大した支障はないと思のですが、事新しく酪農会議を作らられるということについて、その程度の御答弁では私ども納得が参りませんが、大臣への残余の質疑がまだ同僚議員から残っておるそうでありますから、また別な機会においてこの問題についてはお伺いをいたしますが、この程度で、私の質疑を終わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/90
-
091・野原正勝
○野原委員長 角屋堅次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/91
-
092・角屋堅次郎
○角屋委員 畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案の審議が数日来行なわれておりまして、特に大臣の出席を求めて午前来足鹿委員の質問が行なわれておったわけですが、きょうは大臣の御用で大体手持ち時間三十分ということでありますので、十分なことを本日終わるわけにいかないと思いますが、時間の範固内においてお聞きいたしたいと思います。
申し上げるまでもなく、畜産の振興の問題は、今後の日本農業の発展の上で非常に大きな比重を持つ問題でありまするし、また現実に今そういう成長財といわれる畜産関係において内外ともに多くの問題をかかえておる現状にあります。農林大臣は畜産関係についてはきわめて造詣が深いわけでありますが、しかし今度出されて参りました法律案にいたしましても、ずいぶん私は問題を持っておると思います。まず大臣にお伺いをしたいのでありますけれども、いわゆる貿易自由化問題、これが農林水産関係に与える影響というふうな問題については、かねてから本委員会でもいろいろ論じられておるわけですけれども、今度貿易の自由化を十月までに九〇%達成をするという場合に、すでに出されましたグリーン・レポートあるいはグリーン・プランにおいても、特に畜産関係における食肉あるいは乳製品等々については、これは当面の貿易の自由化からははずすという形に相なっておるわけでありますが、国際比価の関係あるいは国内における今後の畜産の伸展状況というふうなものから見て、特に畜産業に造詣の深い農林大臣としては、国際競争にたえる日本の畜産業というものは大体いつごろまでにできるだろう、こういう雄大な抱負を持っておられるか。今後日本の畜産業が伸展して国際競争に相当にたえ得る条件を持ってくるめどを一体どこに置いておられるか、承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/92
-
093・河野一郎
○河野国務大臣 御承知の通りに、わが国の農地の過小、特に草地の拡大の困難性等からいたしまして、畜産の自由化ということは非常に困難ががありますことは申し上げるまでもないことと考えます。しかし、これらにつきましては、今後の施策によりまして十分なる資本の投入が必要であると私は考えます。従って、政府施策をどういうふうに進めることができるか、また技術の革新がどういうふうにできるかということ等と関連いたす問題でございますので、今にわかにここで今後何年計画でこの自由化ができるということは、なかなか予見することが困難だと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/93
-
094・角屋堅次郎
○角屋委員 これは今後の日本農業の成長産業といわれる畜産の場合もそうでありますが、同時に、たとえば果樹園芸の場合も同様であります。本日は畜産が焦点でありますが、畜産局関係においては、少なくとも今後の十年間なら十年間を展望して、国内における畜産の振興の面におけるところの生産基盤問題、あるいは飼料の自給化の問題、あるいは経営の構造の改善の問題、各般の問題について十分国際競争にたえ得る雄大な計画、と言っては語弊がありますけれども、そういうものを持って、そういう前提に立って三十七年度はどういうふうに実施をしていくか、こういうことでいかないと、現実に成長産業だ、成長産業だということで、政府の農政の方針に協力をしようとする畜産関係の生産者の方では、協力をする中で多くの問題にぶつかり、前途に対して明ると展望を持ち得ない、こういうところに今日追い込まれておるのだろうと私は思う。そういう点では大へんむずかしい問題でありますけれども、単なるプラン・メーカーに終わってはいけないと思います。しかし、少なくとも十年間を展望した国内の畜産振興の計画的なものを持つということが、やはり重要な問題の一つだと思う。たとえば、午前来、生産費なら生産費という調査の問題を取り上げて、この問題については統計調査部長からもお話がありましたけれども、現実の畜産関係の生産調査というのは、対象農家もまだ十分じゃないし、十分審議会の要請にこたえるような態勢にまでいかない、これは速念に態勢を整備しなければならぬ、こういうふうなお話しもありました。たとえば、生産費調査なら生産費調査を一つとらまえましても、いわゆる国際比価において非常に低位にある諸外国の生産費というふうな内野でどうなっているのか。日本の場合には、そういう先進国と比べてどこをどう改善していくべきなのか。こういう諸般の問題を国際的な視野からやはり十分分析検討するということが必要であって、現実に日本の現実の姿の中で生産費が幾らかという問題ばかりでなしに、先進諸国におけるそういう生産費の実態、そういうものにいかにして行政あるいは財政面の各般の施策を講じて近づけるかという意欲が私は非常に必要じゃないかと思いますが、そういう今後の考え方の問題についてはどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/94
-
095・河野一郎
○河野国務大臣 はなはだ御無礼な申し分かもしれませんが、ここでやりとりをしておりますやりとりと、わが国の酪農を初めにして畜産の現実との間には相当の開きがあるではないかと私は思います。たとえて申しますれば、草地の造成にいたしましても、畜産の基盤でございますから、これが重要であることは申すまでもございません。ございませんが、しからばわが国にこの適格の草地は求めた場合にどこにどの程度のものがあるかということになりますと、私は寒心にたえないものがあるではなかろうかと思うのであります。今そこから始めて入っていこうとする段階ではないかというのでありまして、今までは、何と申しましても私企業的な畜産もしくはごく一部の専門家的な畜産という程度であったことは事実だと思うのであります。それが急激に変わってきた。消費がふえてきたというのにこたえて今急にバラック作りをやろうというようなことであって、これを恒久性あるわが国の農業基盤として育成されたときのことを考えても、なかなかそうはいかないではないか。従って、今価格の決定一ついたすにいたしましても、午前中から足鹿さんからいろいろ御注意がありましたが、まだ何といってもこれについて十分なお答えができないというのが現実だと私は思うのであります。われわれといたしましては、適第な規模のものを求めて主産地を形成して、そこに初めて打ち立てられたものを基盤にして計画の決定をして、それを諸外国のものに比べて、どういうものが生まれてくるかということだと思うのであります。何にいたしましても、わが国の畜産を諸外国と同じレベルへ育成して参るというには先天的に土地の狭いということが悪条件でございます。この悪条件をどうして克服するかということになりますと、その問題だけでも私は相当の年月を要すると思います。従って、諸外国にありますような草地を持たないでそこにどういう畜産の形成をするかということが——最近特別に酪農等においてわが国において行なわれております集約的なもの等ある程度成功しているものも実は私聞かされております。そういった独得のものもまた一方において生まれようといたしているのでありますから、今後における畜産の発達の過程はいろいろの方向に変わっていくだろうと思うのでありまして、まだ固定してこの方向へこういうふうに持っていくべきだというものはないのじゃないか、こう思うのでございます。従って、当分の間、技術の進歩刷新、それに政府の施策によって資本を導入する、こういうものと相待って、日本的な畜産をここに創造して参るということが行くべき姿ではなかろうかと実は思っているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/95
-
096・角屋堅次郎
○角屋委員 今の大臣の答弁をお伺いして参りますと、とにかく現時点における日本の畜産の状態は、経済基盤、生産基盤、いろいろな面から見てまだ脆弱性を持っている。従って、国際競争に十分たえ得るところにいつ行くかの見通しは困難である、こういうふうに言われているわけであります。そうであれば、貿易の自由化、あるいは貿易の自由化がなくても、現実にそういう経済基盤の弱い条件下にある畜産の進展途上の問題としては、外国から安い食肉あるいは乳製品が入ってくることの影響がきわめて大きい。質問でも明らかなように、またいただきました事業団の資料の中でも、乳製品の関係で、脱脂粉乳三千トン、バター四百トンの買い入れが四、五月を目途に計画されているわけであります。これは本法の四十条及び四十一条に基づいて行なわれるわけでありますけれども、かつて本法審議の際、こういう外国からの食肉あるいは乳製品の輸入については国内に及ぼす影響等から慎重を期さなければならぬと同時に、これが買い上げについては事業団が直接外貨の割当を受けて実施をするという方向を中心にして考うべきであるという衆参両院とも関係委員会の附帯決議が付されておるわけでありますが、今後こういう外国からの食肉、乳製品の輸入という問題については、いわゆる輸入業者等を指定をいたしまして、そしてやるという方法と、事業団が直接買っていくという方法の二様のうち、どちらにウエートを置いてやっていくという方針で臨まれるわけですか。午前中からの畜産局長の答弁によりますと、今度の輸入の場合においては事業団が直接やる予定であって、従って税金その他の問題はかからないのだ、こういうお話でありましたが、昭和三十六年度の事業計画を見ますと、四ページのところにあるように、指定乳製品の買い上げのために「本事業年度中に輸入乳製品の保管倉庫の指定、輸入業者の指定、輸入業者からの指定乳製品の買入れについての入札及びこれらの業務遂行に必要な調査等を実施する」ということであって、午前中の事業団が直接買い上げをやる問題とこの事業計画の間に矛盾があるような感じも抱いたわけですが、その点は畜産局長からあとで補足をして説明をしてもらうとして、外国からの食肉、乳製品の輸入問題について、事業団を主体としていくという方法でいかれるわけですか、その辺の方針はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/96
-
097・河野一郎
○河野国務大臣 事業団が輸入をいたしますが、輸入の業務は、それぞれの専門の業者を指定してこれに代行せしめるということは、みなやる方法じゃないでしょうか。それが一番合理的に安くいく方法じゃないでしょうか。従って、今そこに書いてありますことは、私は、矛盾があるのじゃないのであって、主体は事業団で、その事業団が主体性を持ってそれぞれの指定業者に事務を扱わせるということで業務を遂行するということではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/97
-
098・森茂雄
○森(茂)政府委員 食糧庁におきましても、小麦を輸入する場合にも、一番能率的で一番安い価格で取引ができる、そういうことで業者を使って食糧庁の特別会計の所有物となるわけでございます。事業団についても、同様に事業団が買う実務方法としてここに詳しく書いてあるわけでございます。事業団が輸入すれば、事業団の所有物として倉庫に入れ、事業団の所有物としてかかえるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/98
-
099・角屋堅次郎
○角屋委員 今の説明は必ずしも十分に理解しませんでしたが、時間の関係もありますので次に入りまして、あとまた局長に質問の際にさらにお伺いをすることにいたしたいと思います。
最近の畜産振興上の一つの大きな問題は、えさの問題が非常に大きいわけでありますが、過般三月十七日の日に三番町で飼料需給関係の審議会が開かれまして、そこで昭和三十七年の飼料需給計画というものが審議されたわけでありますが、あいにく大臣が予算か何かの関係で出席されなくて、四月にあらためて開かれる、こういうように承っております。この昭和三十六年度の実績を見てもそうでありますし、昭和三十七年度の新しい飼料需給計画を見てもそうでありますけれども、外国からのえさの輸入の比重が非常に増大をして参っておるわけであります。しかもこの外国からの輸入の関係ではアメリカが大体四五%ぐらいを占めておるのじゃないか。それに次いでカナダあるいはアルゼンチン等がそれぞれ一〇%台であって、あと南アの関係、あるいはタイ、カンボジアの関係、その他各国それぞれ比重を占めておると思うのですが、たとえばアメリカの関係等では、欧州共同市場への接近の問題、こういうふうなこともありましょうし、カナダ等では買付についてやはりいろいろ交渉に苦労があるということも承っておりますし、またタイ、カンボジア等についてもいろいろやはり政情その他の問題があると思いますが、今後の飼料の需給計画の中では、何といっても国際市場からの買い入れの問題もありますけれども、国際市場からの買い入れの問題では、たとえば昭和三十五年度の場合でも十一億四千六百万円、あるいは三十六年度の場合には二十億一千五百万円、三十七年度には約二十九億円の輸入売買損失というものが予定をされておるわけであります。これは農産物の安定勘定で処理することに相なりますけれども、そういうふうな面から見ても、やはり国内における草地造成、あるいは水田酪農、また青刈りその他のいわゆる飼料の自給体制の整備ということに金を惜しんではならないのであります。こういうふうにも思うわけでありますが、外国の飼料のこれからの輸入の見通しないしは今後の重点の指向方向、あるいはまた国内における飼料自給体制の充実の面についてどういう方針で望まれるか、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/99
-
100・河野一郎
○河野国務大臣 ただいま飼料の中で特に麦類等についてお話があったのでございます。しかし私は、国内における草地の造成につきましては、先ほども申し上げました通り、これは可能な範囲においてなるべく努力をして草地の造成をやっていかなければならぬことは、畜産の不可欠の問題であると思います。とは申しましても条件に非常に恵まれていない。従って、どうしてもわが国の畜産が独特に発達して参りますためには、輸入飼料にある程度のものを持たなければならない、こう思うのであります。そういう意味からいたしまして、麦はもちろんのこと、トウモロコシ、コーリャンというようなもの、これは国際価格で入手いたしまして、これを畜産の発達に寄与せしめるということが非常に重大であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/100
-
101・角屋堅次郎
○角屋委員 外国産の飼料の輸入の問題については、政府みずから取り扱う部門と輸入業者が取り扱う部門と双方あるわけですけれども、私ども最近ニュースとして聞いておるところでは、マニトバの飼料輸入問題についてはたくさん輸入業者の希望があったわけでありますが、日本飼料に一手にマニトバの輸入問題のひとり占めをさせたというふうなニュースが伝えられているわけでありますけれども、そういうことは事実でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/101
-
102・河野一郎
○河野国務大臣 そういうことを聞いておりません。全然そんなことがあるとは想像もできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/102
-
103・角屋堅次郎
○角屋委員 この点は私も精査していないのですけれども、同僚の議員から話に承っています。さらに私の方でも十分精査をいたしまして、別の機会にまたお聞きをいたしたいと思います。
なおまた、今度の飼料需給安定の審議会の関係で、これはおそらく全中の荷見さんの場合には二年の任期がきておるということもあるかもしれませんが、これがやめて伊藤忠の系統の者がメンバーに加わったというふうなことも伝えられるわけですけれども、最近、これは私自身の印象かもしれませんが、各種公団、事業団の人事問題、あるいは各種委員の人選、こういうような問題について何かいわゆる河野さんの色彩というか、河野さんの考え方でやられるという。そういうことがこういう審議会のメンバーの変更等にも出てきていはせぬかということを印象として感ずるわけです。これは畜産の実際の推進に当たらなければならぬ農業団体の全中関係からの荷見さんが任期がきておるということであれば、重任をするか、あるいは全中関係で他の人が出られるか、そういうふうにされるのがやはり全体のバランスから見ても重要じゃないかと思うのですが、その辺のところは、そういうふうに事実としてなっておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/103
-
104・河野一郎
○河野国務大臣 それは非常な、あえてする誤解だと私は思います。荷見君のかわりに伊藤忠を入れたという事実はございません。三菱がやめたから伊藤忠がかわったというだけでありまして、荷見さんにやめてもらったのは人間が少し古い、古いから引退を願った。それよりもう少しえさの専門家を入れる必要があるだろうということで、このごろは技術が専門化しておりますので、その専門家、技術者を委員に任命したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/104
-
105・角屋堅次郎
○角屋委員 説明はいかようにもつくと思うのですが、ただ、荷見さんの辞任によって、全中関係からのメンバーがはずれること自身が問題ではないかと思うわけです。この点も大臣の見解がそうであるならば、あえてここでそのことについてさらに議論しようとは思いませんが、ただ最近の公団、団、いろいろな関係の人事等を見ておりますと、ややもすればそういう印象で見るような感じを、率直に言って受けるわけであります。
そこで本論に入りまして、今度の改正の中では、事業団に追加業務として、たとえば一昨日来議論をしております学校給食の問題、あるいはまた畜産の経営技術の指導の問題、その他これは第三十八条第一項第六号で書かれておる内容になるわけですが、そういうことで、いわゆる指定助成対象事業というものを新しく規定いたしまして、それに基づいて事業団が補助をすることができる、あるいはまたきめられた事業に対して出資することができる、こういう追加業務が指定をされておりまして、しかも第四十六条のところに参りますと、業務の委託といたしまして、第一項の第三号のところに「第三十八条第一項第六号の業務(補助金の交付及び出資の決定を除く。)については、都道府県その他農林大臣の指定する者」こういう者に業務の委託を行なうことができる、つまり学校給食等の場合に醜業団が県に対して補助助成の形をとる——国が県に対して補助助成をするというのは従来からの建前でありますけれども、政府から出資を受けておる事業団が、行政官庁である県に対して補助助成というふうな非常に特典な形をとられる、こういうことで、今度の畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案の中で事業団の追加業務が出て参ったわけでありますけれども、こういう特異なケースをとって、事業団が補助あるいは出資をするというふうにいたしました本来の真意はどこにあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/105
-
106・河野一郎
○河野国務大臣 先日もお答えしたと思うのでございますが、御承知の通り、今回事業団の出資を増しましたのは——今後引き続き毎年私は増していくことになると思います。といいますのは、競馬の益金の中から一部を繰り入れております。これによって畜産の全国的な振興を期待いたしたい、こういうつもりでございます。所期の事業をいたしまして、金が余ったら——平たく申せば、やるだけの仕事を価格安定についてやって、金が余ったならば全国の畜産団体に補助金を出してやろう、こういうつもりでおります。それは御承知の通りに、今一番畜産振興上欠けておりますのは技術者の欠除ということだと思います。民間畜産団体に技術者がないわけです。そこで政府は、民間畜産団体に技術者の補助を予算で組んでおります。しかし、それを補助いたします分につきまして、全部やるわけに参りませんし、民間の団体にそういう技術者を長きにわたって置くことができるようにしていきたい、こういうような意味合いをかねて、今例外として地方の府県にという場合がありますが、それはごくまれであって、受け入れるに足る畜産団体のない県においては、やむを得ずその処置をとる場合もあるかもしれませんが、原則としては民間の、府県の団体に補助をして、畜産の振興をはかっていくという所存でそういうふうに書いてあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/106
-
107・角屋堅次郎
○角屋委員 こういう特異な形をとって事業団が補助あるいは出資を行なう。しかもこの場合には第五十六条の二でもって補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の準用を行なう。こういうことで、この準用の中で、第二十三条の立ち入り検査等というところだけが適用から除かれまして、他のところは準用することになっておるわけですが、これは事業団でありますから、立ち入り検査等というのは性格上実際に問題になる点だと思いますけれども、しかしいずれにしても、補助金が適正に行なわれておるかどうかということについては、二十三条の報告の問題あるいは立ち入りの問題、あるいはまた検査の問題、あるいは質問の問題等、こういう補助が現実に適正に行なわれておるかどうかという実地調査というものを伴わなければ、この種間接的な事業団から、さらに他のものに補助が行なわれたり、あるいは出資が行なわれたりする場合に、はたして適正が期せられるかどうかという点が大へん心配になるところであります。そういう点でこれらの適正を期するために、農林省として法律的にもいろいろ規制していますが、具体的にはどういうふうに誤りなきを期する方針をとられる予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/107
-
108・森茂雄
○森(茂)政府委員 事業団自身は公権力を有しておりませんので、そういうことになったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/108
-
109・角屋堅次郎
○角屋委員 あとの、具体的に誤りなきを期するということは…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/109
-
110・森茂雄
○森(茂)政府委員 農林省といたしましては、この補助金の交付、使い方等について厳に指導して参るつもりであります。事業団に対する監督の関係…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/110
-
111・角屋堅次郎
○角屋委員 今度の法を改正する一部に、国の当然行なうべき行政指導というものを、事業団に肩がわりしてやらせる、何か第二畜産局的な性格になるのじゃないかという批判も現実に出ておるわけであります。問題は、新しい改正を通じて行なう補助、助成と出資の問題と、本来の畜産局がいわゆる畜産指導を行なっていく場合の競合関係、そういうものの調整を一体どこでやろうとするのか。この辺のところが省令その他のところで、たとえば指定助成対象事業についても、具体的に今考えておるプランというものを明らかにしてもらえないというと、法案としてどういうふうなものについてこういうものを具体的に適用していこうというのか、私ども明らかでありませんので、その辺のところは法案の審議の際に一つ明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/111
-
112・河野一郎
○河野国務大臣 明確にお答えいたします。御承知の通り、事業団としては、どの程度の事業をするかということは、たとえば豚が急に下がった、この豚をどの程度買って、これでどの程度欠損が出て来るかわかりません。所要の経費として十億持っておる。十億全部使ってよろしいのであります。全部使ってしまえば、今お話しの補助、助成の仕事は一文も使う金がありません。従って不確定財源でございます。でございますから、余った際にはこうやる道を開いてあるだけでございまして、初めから余ることを予定してやっておるのではない。これは十分使って、事業団の振興の目的を達成することが所期の目的でございます。でございますから、今申し上げるように、あとで補助金に使うのが大事だからなるべく金を惜しんで、価格の維持をすることを怠るというようなことはいたしたくないというつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/112
-
113・角屋堅次郎
○角屋委員 今大臣からお答えになりましたが、たとえば法改正のとき、附則の欄で昭和三十七年度においては五千万円を限度として補助、助成等の額に充当する、こういうふうになっておると思うのですが、新年度の場合にはそういうものを予定をして、これがはたしてどういう積算基礎で出ておるのか、あるいはこれが現実に運営してみて、オーバーするとか不足するという場合には一体どうするのかというふうな、今後の運営上の問題も出てこようかと思いますが、その辺のところは一体どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/113
-
114・河野一郎
○河野国務大臣 出した金を預けておくと六千万円くらい利息がつくそうです。その六千万円くらいの利息の分はこれを補助金に使おうという計画になっておるそうであります。少なくともでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/114
-
115・森茂雄
○森(茂)政府委員 先ほど大臣からお話のあったように、この金を運用しておりますと、最小限度でも六千万円出るわけであります。初めから使うという場合も想定されますし、年度一ぱい回せばそれは一億何千万円になりますけれども、学校給食とかいろいろ補助の場合もありますので、安全を見まして少なくとも五千万円は使える、こういうことで規定したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/115
-
116・角屋堅次郎
○角屋委員 この事業団の資本金構成の中で、御承知の民間出資の問題があるわけですが、民間出資については、本法の附則第九条で乳業者等から出資する部分が五億円、これが現在、といいましても三十六年一月で、御承知のように二億三千七百万円ということに数字上なっておるわけですが、三十八年の三月三十一日までに五億円以上になるような措置をする規定の問題が明記されておるわけですけれども、現実に乳業者等から出資が予定通り集まるというふうにお考えなのか、それともこれが集まらないというふうな見通し等があって、それについてはどうする、こういう考えがあるのか、その辺のところを一つ明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/116
-
117・森茂雄
○森(茂)政府委員 事業団は、事業団になる前は酪農振興基金で、お話のように債務保証の団体だったわけです。債務保証を受けるものが出資をいたしまして、出資の一定以上の運転資金なり設備資金を借り受ける、こういうふうになっておったわけでございます。そういう意味におきまして民間側に出資も慫慂いたしまして、現在まで二億七千万円になっておるわけであります。三十八年の三月三十一日までに規定の五億になるかどうかということでございますが、これは民間の方の都合もありますので、なかなか達成は困難なことでございますが、これはわれわれとしては訓示規定と解釈いたしております。相手方のあることですから、強制で出資さすというわけには参りません。出資団体が運転資金や設備資金を使う場合に、出資して、そうしてその出資した乳業者が運転資金や設備資金に使う保証機関としての債務保証勘定につきましては、現在のところおっしゃる通り二億七千万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/117
-
118・角屋堅次郎
○角屋委員 今債務保証の問題が出たわけですが、昭和三十六年度計画では、設備資金関係四億三千六百万円、運転資金関係十六億ということで、二十億三千六百万円の債務保証の問題があるわけですけれども、この問題について、債務保証を現実に行なっている乳業者あるいはその金額の問題、代位弁済の額、あるいは延滞金等の実情、これは一つ法案審議の過程で資料として出していただきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/118
-
119・森茂雄
○森(茂)政府委員 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/119
-
120・角屋堅次郎
○角屋委員 結局これは見解の相違ということに最終的にはなるのかもしれませんけれども、大臣の方で、今度の法改正で、第三十八条第一項第六号で補助あるいは出資の新しい事業を追加し、今後交付金の関係、競馬益金の関係からこの資金については確保していく方針だということを言われたわけでありますけれども、事業団の今後の大きな目的としては、やはり価格安定を中心にした事業の推進ということが中心だろうと思うのですが、今後の運営のいかんによっては第三十八条第一項第六号の方に比重が移っていく、こういう危険性はないのですか、あるいはそういう方向を今後強化していきたいという考え方があるわけですか、その点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/120
-
121・河野一郎
○河野国務大臣 これはそんなふうに考えておりません。幸いにして畜産物の所期の安定を期することができますれば、結果から見てそういうふうになる場合もあるかもしれませんが、そうなることはむしろ望ましい事態だと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/121
-
122・角屋堅次郎
○角屋委員 大臣は予定の時間があるそうでありますから、最後に一問だけお聞きしておきたいと思います。
これは流通関係の問題でありますが、畜産局からの資料もいただいておりますけれども、たとえば食肉価格の推移として、牛肉の場合、三十五年にとれば、産地価格キロ当たり百七十二円が、卸売価格では二百八十八円、小売価格では五百五十円、豚肉の場合でいえば、同じく三十五年の場合に、産地価格二百四円、卸売価格三百四十五円、小売価格六百三十九円、こういうようなことで、鶏卵についてもあるいはその他の飼料についても、いろいろ産地価格、卸売価格あるいは小売価格というような形の関係から見て、いわゆる生産者農家の手取り率というものを考えてみると、きわめて低位にあるわけでありますが、この点ではかねてから大臣も流通機構の整備ということで非常な熱意を持っておられるわけでありますけれども、たとえば家畜市場の問題一つをとらまえましても、昭和三十七年の二月一日現在で、資料によりますと千四百六十三の市場が現実に存在しておる。これが法改正に伴っていわゆる産地家畜市場から地域家畜市場へというふうな形で再建整備をやっていくのだというようなところから、適当な機会までにこれを大体八百六十七市場くらいに再建整備をしたいという問題が提示されておると思います。これも一つの例でありますけれども、最近話題を呼びました東京とか大阪の市場の国営問題、こういうふうなこと等も出ておりますが、必ずしも畜産に限定をするわけにいかぬと思いますけれども、今日の場合は畜産問題でありますが、流通機構の整備という問題について今後の考え方、重点というものをこの機会にお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/122
-
123・河野一郎
○河野国務大臣 適正な価格で取引されるということが一番重要なことでございますことは申すまでもございません。そこではたして現在適正な価格で取引されておるかどうかということが問題になります。それにはただいまお話のありました通りに、卸売市場もしくは中央市場というようなものが非常に乱雑でございまして、これらが必ずしも適正に取引されておるというわけには参らぬと思うのであります。そういう意味からだんだん考えて突き詰めて参りますと、とにかく東日本、西日本に価格形成の場があるということに私は着想いたすのでございます。そういう意味からいたしまして、国営ということが誤解を招くようであります。私は決して国で売ったり買ったりしようというような考えは毛頭持っておりません。国営で公正に取引する場を作って、そして直接に指導監督する方がいいのじゃないか。今の一府県に限定してそしてその指導監督してやっておりまするのは、何か知らぬが実際貴重なる生産品を指導監督上遺憾な点がある現実に徴して、改善の余地があると考えまして、なるべく早く一つ東西両いわゆる中央市場を国において設営いたしまして、その中で適正な卸売価格の決定をいたすように指導いたしたい、こう考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/123
-
124・角屋堅次郎
○角屋委員 大臣の御都合もあるようでございますので、残余の質問は保留いたしまして、本日はこれで終わりといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/124
-
125・野原正勝
○野原委員長 次会は明二十二日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X02219620322/125
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。