1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月十七日(火曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長 野原 正勝君
理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君
理事 田口長治郎君 理事 丹羽 兵助君
理事 山中 貞則君 理事 石田 宥全君
理事 片島 港君
安倍普太郎君 飯塚 定輔君
大野 市郎君 金子 岩三君
亀岡 高夫君 仮谷 忠男君
草野一郎平君 倉成 正君
小枝 一雄君 坂田 英一君
田邊 國男君 谷垣 專一君
綱島 正興君 寺島隆太郎君
内藤 隆君 中山 榮一君
福永 一臣君 藤田 義光君
本名 武君 松浦 東介君
米山 恒治君 角屋堅次郎君
東海林 稔君 中澤 茂一君
楢崎弥之助君 西宮 弘君
芳賀 貢君 安井 吉典君
湯山 勇君 稲富 稜人君
玉置 一徳君
出席国務大臣
農 林 大 臣 河野 一郎君
出席政府委員
農林政務次官 中馬 辰猪君
農林事務官
(農林経済局
長) 坂村 吉正君
農林事務官
(農地局長) 庄野五一郎君
委員外の出席者
議 員 角屋堅次郎君
農林事務官
(農林経済局農
業協同組合部農
業協同組合課
長) 大河原太一郎君
農林事務官
(農地局管理部
長) 丹羽雅次郎君
農林事務官
(農地局管理部
農地課長) 山路 修君
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四月十七日
委員亀岡高夫君及び栗林三郎君辞任につき、そ
の補欠として谷垣專一君及び芳賀貢君が議長の
指名で委員に選任された。
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四月十四日
水産業協同組合法の一部を改正する法律案(角
屋堅次郎君外十一名提出、衆法第四一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
農地法の一部を改正する法律案(内閣提出、第
三十九回国会閣法第六六号)
農業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣
提出、第三十九回国会閣法第六七号)
漁業法の一部を改正する法律案(角屋堅次郎君
外十一名提出、衆法第三八号)
水産業協同組合法の一部を改正する法律案(角
屋堅次郎君外十一名提出、衆法第四一号)
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001・野原正勝
○野原委員長 これより会議を開きます。
参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案の審査の参考に資するため、両案について明十八日午後一時より参考人の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/1
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002・野原正勝
○野原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/2
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003・野原正勝
○野原委員長 御異議ないものと認めます。よって、さように取り計らいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/3
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004・野原正勝
○野原委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前十時四十六分休憩
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午前十時四十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/4
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005・野原正勝
○野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
角屋堅次郎外外十一名提出にかかる漁業法の一部を改正する法律案及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取することといたします。角屋堅次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/5
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006・角屋堅次郎
○角屋議員 この際皆さんのお許しを得て、私どもの党の提案によりまする漁業法の一部を改正する法律案並びに水産業協同組合法の一部を改正する法律案の提案理由の説明を申し上げたいと思います。
まず、漁業法の一部を改正する法律案の提案理由の御説明を申し上げたいと思います。
わが国の水産業は、一方で資本制漁業の目ざましい伸長が見られるにもかかわらず、他方では沿岸の膨大な零細漁民の極度の窮乏が見られるなど、幾多の不健全な姿を露呈しております。
このようなわが国水産業のあり方を改め、これを確固たる基礎に据えるため、日本社会党は今次国会に漁業基本法を提案いたしましたが、この法律案の中に集大成いたしております基本政策を制度的に裏づけるため、関連法案としての漁業法の改正を期し、各方面の意見を求めつつこれを法律案として取りまとめました。他方、政府においても漁業法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしましたが、政府の改正案は、現行法の不備を補い、事態の進展に適応させるためといいながら、実際には水産関係団体との妥協の産物として生まれた感が深く、しかも、零細漁民を大量に漁業から追放することを大きなねらいとして持っております。従って、日本漁業の健全な発展を期し、働く漁民の権利を守るためには、政府案は、このままの形では成立せしめてはならないものと考えます。
これが、この法律案を提出するに至った理由であります。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一は、漁業権制度に関する改正であります。まず第一点といたしまして、漁業権の分類について整理を行ない、一万平方メートル以上の海面を区切って営む養殖事業を、従来の区画漁業権から分離して新たに海面養殖漁業権として設けることにいたしました。これは、将来性を持つ海面養魚事業を漁協の自営事業として発達させ、漁利をあまねく均霑させるようにするためであります。
第二点といたしまして、漁民の利益を守るため、いわゆる組合管理漁業権における各自漁業を営む権利をあくまで存置することにするとともに、これを漁業生産組合にまで拡大いたしました。
第三点といたしまして、真珠養殖事業を内容とする区画漁業権を除き、漁業権を漁業協同組合に免許することとし、免許を受ける漁業協同組合の適格性について規定いたしました。
第四点といたしまして、真珠養殖事業を内容とする区画漁業権の免許は、従来の経営者免許の原則を修正し、漁業協同組合にも免許ができることといたしました。
第五点といたしまして、漁業権の移転、抵当権の設定及び貸付に関する規定を整備し、抵当権、企業担保権、先取特権の設定を禁ずるとともに、漁業協同組合の合併による場合を除き、漁業権を移転することはできないことといたしました。
第六点といたしまして、漁業権者たる漁業協同組合またはその連合会は、当該漁業権にかかる漁場における水産動植物繁殖保護に努めねばならないとの規定を設けることによって、沿岸漁場の豊度を高める措置を講じました。
第七点といたしまして、漁業権の存続期間及び更新制度に関する規定を整備し、海面養殖漁業権の存続期間を共同漁業権と同様十年とするほか、区画漁業権についての更新制度は存置するものとし、海面養魚漁業権についても更新制度を認めることといたしました。
第二は、許可漁業に関する改正であります。まず第一点といたしまして、大臣許可漁業の根拠を統一するとともに、漁業種類を法定いたしました。
第二点といたしまして、大臣許可漁業は船舶ごとに許可を受けるのでなければ営んではならないものといたしました。ただし、母船式漁業にあっては、別に定める法律によって国の監督のもとに置かれる母船式漁業公社に対して行なうものとするが、その態勢が整うまでの当分の間は、母船または独航船ごとに行なうものといたしました。
第三点といたしまして、農林大臣は大臣許可漁業について、あらかじめ水産動植物の繁殖保護または漁業調整その他公益に支障を及ぼさない範囲内において、その許可または起業の認可をすべき船舶の総トン数別の隻数などを定めてこれを公示し、適格性を備え、かつ、申請期間内に申請したものに対しては、原則としてそれを許可または認可せねばならないことといたしました。なお、申請の隻数が公示隻数をこえる場合は、上述の規定にかかわらず、労働条件、経験の程度などを勘案して許可すべきものと規定いたしました。
第四点といたしまして、農林大臣は許可または認可を行なうにあたっては、あらかじめ中央漁業調整審議会の意見を聞かねばならないものといたしました。
第五点といたしまして、許可の権利化に伴う弊害を除去するため、代船建造、沈没代船、相続、合併による場合のほかは、継続許可または承継はこれを認めないものといたしました。
第六点といたしまして、漁業許可の期間は、原則として五カ年とし、同一の許可漁業については同一の期日に満了するようにしなければならないものといたしました。
第三は、沿岸漁業の保護区域の指定に関する規定を新しく設けたことであります。すなわち、沿岸漁業のためにその漁場を確保する必要があると認めるときは、農林大臣は、一定の漁場の区域を沿岸漁業保護区域として指定することができるものとし、保護海域においては、何人も、総トン数十トン以上の漁船を使用して漁業を営んではならないことといたしました。
第四は、漁業調整制度に関する改正であります。まず第一点といたしまして、漁場計画の作成に関する規定を整備し、都道府県知事は、漁業権漁業に基づく漁場計画のほか、知事許可漁業に対しても漁場計画を策定しなければならないものといたしました。
第二点といたしまして、海区漁業調整審議会及び中央漁業調整審議会の機能を強化するため、委員の定数をそれぞれ二十人及び三十人に増員するとともに、漁業経営者及び漁業従事者委員の比重を嵩め、かつ、その選出方法についても、階層別に選挙または選出することといたしました。また、委員会にはそれぞれ強力な事務局を置き、任務の円滑な遂行を期しております。
第四は、内水面漁業に関する規定を改めたことであります。すなわち、第一種共同漁業権、第二種共同漁業権及び第三種共同漁業権についても、水産動植物の増殖を行なう場合に限り免許するものといたしました。
以上が、この法律を制定するに至った理由及びそのおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。
次に、水産業協同組合法の一部を改正する法律案の提案理由について御説明申し上げます。
わが国漁業の振興は、漁業協同組合の強化に待つところが多いといっても過言ではありません。しかるに、わが国の漁業協同組合の中には、規模が小さく効果的な経済活動が行なえないか、あるいは役員にその人を得ず組合の運営よろしきを得ないなどによって、協同組合本来の機能を十分発掘していないものが少なくないことはまことに遺憾であります。
このような欠陥を除去し、漁業協同組合があわせ備えている漁業権の保有管理及び経済事業団体としての側面をそれぞれ十分に発揮させ、わが国漁業振興の真のにない手となるようこれを強化するためには、水産業協同組合の組合員の資格を適正にするとともに、その規模を拡大し、また、専門審議会を設けて運営を民主化するなど諸般の措置を講ずる必要があります。これが、この法律案を提出するに至った理由であります。
次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
第一は、漁業協同組合の組合員資格についての改正であります。その第一点といたしまして、個人経営が次第に法人化される傾向が見られるのにかんがみ、その常時使用する従事者の数が百人以下であり、かつ、その使用する漁船の合計総トン数が二百トン以下である小法人及び漁業生産組合を従来の準組合員から正組合員に改めることといたしました。
第二点といたしまして、漁業協同組合(内水面組合を除く)は、定款の定むるところにより、正組合員の資格を、漁業を営みまたは従事する者であって、その日数が九十日から百二十日までの間で定める日数をこえるものに限ることができるとの例外規定を置いたことであります。しかし、これは、政府の改正案が、漁業法改正案と相待って、組合員資格を引き上げることによって、漁業から零細漁民を大量に追い出そうとねらっているのと異なり、あくまでこれら零細漁民の利益を擁護しつつ、条件を備え、しかも漁民がそれを希望する場合に限って、組合員資格の引き上げを認めようというものであります。
第二は、組合の管理及び運営の改善をはかったことであります。その第一点といたしまして、理事の義務及び責任を明示することによって、組合が一部の悪質な理事者によって不当に支配されることのないようにしたことであります。
第二点といたしまして、組合に理事の諮問機関として、組合の業務の運営に関する重要事項を調査審議させるため、それぞれの事項ごとに専門審議会を置くものとすることによって、組合運営の改善とその民主化を促進する措置を講じたことであります。
第三点といたしまして、漁業協同組合の設立に関する規定を改め、発起人の数を現行の二十人から五十人にふやすとともに、設立の認可の申請があった場合、その組合が事業を行なうために必要な経済的基礎を欠くなど、設立の目的を達成することが著しく困難であると認めたときは、行政庁は、認可しないことができるとの規定を設けることによって、弱小組合の乱立を防ぎ、組合の規模を拡大するための措置を講じたことであります。
以上が、この法律案提案の理由及びそのおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/6
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007・野原正勝
○野原委員長 午後零時四十分から再開することとし、この際休憩いたします。
午前十一時休憩
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午後一時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/7
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008・野原正勝
○野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行ないます。石田宥全君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/8
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009・石田宥全
○石田(宥)委員 農地法並びに農協法の一部改正について御質問を申し上げたいと思うのでありますが、昨年の春、第三十八国会におきまして、政府与党は、農業基本法に対して、当時の現状分析等については必ずしもその認識を異にするものではなかったのでありますけれども、ついに大きな主張の相違点をそのままにして強行採決をいたしたのであります。たとえば、社会党は食糧の自給度を高むべきであるという主張を強くいたしたのでありますが、政府与党はついにこれを退けて法案の中に入れるに至らなかった次第であります。また、選択的拡大を主張いたしまして、この基本法と同時に提案をされました大麦、裸麦に対する作付転換のごときは、これは法案に先だちまして、行政指導で転換を強行いたしました。それがために十五万町歩もの大裸麦の作付転換が行なわれ、五万町歩に及ぶ耕作放棄を見るに至ったのでありますが、これに対しては、予算措置が行なわれておりながら、法律が成立しなかったからといって作付を転換しあるいは耕作を放棄した者に対して今日なお奨励金の交付をしないというような実情であります。また、同じく選択的拡大に関係いたしまして畜産の奨励、果樹の奨励等をいたしましたが、畜産を奨励することによって鶏の多数羽飼育、豚の多頭飼育というようなものが盛んになりました。ところが、われわれが基本法審議の最中指摘いたしましたように——飼料の対策を怠ってそのまま畜産を奨励するというようなことになるならば、農民は飼料会社の食いものになるのではないかと指摘いたしたのでありますが、今日はまさにその通りの姿になって、肉豚は暴落をする、飼料は値上がりをするというような結果になりました。このことは、社会党が主張して参りました畜産物価格安定法による価格の面でありますが、重要な農産物には、社会党といたしましては、生産費及び所得補償方式の一貫したものを持たなければならないということを主張したにもかかわらず、政府与党は需給均衡価格を主張いたしました。需給均衡価格ということを主張いたしますならば、これは国内における需給均衡ということで価格が定まるというならばまだ話がわかるのでありますけれども、貿易との関係がございまして、たとえば畜産物のごときはよき例でありますが、豚肉は暴落したが政府はなかなか適正な価格での買い上げ保証をいたしません。ところが、夏場になって牛乳が相当不足を来たすであろう、こういう見通しに立ちまして、今度はその値上がりをおそれまして、外国から大幅な乳製品、粉乳あるいはバター、チーズ等の輸入の対策をする。こういうことになると、需給均衡価格というものは、国際的な見地から議論をされなければならないことになるのであります。
こういうふうに見て参りますと、三十八国会で成立いたしました農業基本法に基づいて行なわれる施策というものが、当初から私ども指摘した通りに、農民切り捨て政策そのものずばりで出て参っておる、こう言わざるを得ないのであります。本日は、時間の都合もございますので、私はごく総論的に御質問を申し上げたいのであります。そこで、今申しましたように、三十八国会に成立いたしました農業基本法に基づく政策を進めて参るにあたって、農地法の一部改正と農協法の一部改正というものは、さらにその誤てる政策を急速に確立しようとする以外の何ものでもない、こう判断せざるを得ないのであります。
以下私は順を追って、きわめて具体的な問題について簡潔に質問を申し上げたいと思いまするから、大臣からもその点は一つ要点だけを御答弁を願うことがよろしいのではないかと考えるのであります。
まず第一の問題でありますが、この農地法の一部改正というものによって不在地主を認めるということになる、これはいろいろな制約がありまするから、昔のような地主制度が直ちに復活するとはわれわれは考えないのでありますけれども、最近起こっておりますところの旧地主の補償の問題というものがいよいよ具体化して参りました。こういう問題が具体化して参りますると、さらにもう一つは農地信託制度、これは農地法、農協法と関連する問題でありますが、それとの関連においてやはり完全な地主制度というものがここに復活する、こういうふうに考えざるを得ないのであります。私は日本の農村の歴史から考えて、地主制度というものがいかに大きな弊害があったかということを考えるときに、前の農地改革の際に在村地主といえども、地主的な存在を認めたということがやはり間違いではなかったか、そういうものを残したために、今日また再び今申し上げたような問題が起こる素地を残したものではないか。原則的に言って地主制度というものが農業の発展を阻害する要素にこそなれ、何ら益するところのないものではないかと考えるのでありますが、大臣の所見を伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/9
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010・河野一郎
○河野国務大臣 私はいささか所見を異にするものでございまして、もし農業経営の事情がいつまでもいつまでも同一条件で固定して参るものであるならば、石田さんのお示しのようなことが言えるかもしれぬと思いますけれども、わが国の農村経営の実情は必ずしも経営条件が長きにわたって固定し、安定しておるものじゃないと思います。常に動揺しておるものでございまして、従ってこれを、今はこの程度の耕作をしておるが、また耕作をしておる者は、経営を縮めようという者もできましょうし、またそれを拡大しようという者もできましょうし、そこに私は、一つの何と申しますが、需給を満たすようなものがもし当時あったならば非常によかったのじゃなかろうか。たまたま一部のものを残してこれを持っておるというようなことが、ここに耕作権の問題についてうまく話がつくならば、これが円満のうちに移動して参るということであるならば、今回われわれが自立農家をすみやかに達成するというような際に、経営の拡大をする際におきましては相当に裨益する面があるのじゃなかろうか、こう思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/10
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011・石田宥全
○石田(宥)委員 政府はすでに国民金融公庫法の一部改正を国会に提案をいたしました。旧地主に対する二十億の融資をするということであります。ところが、きのう、きょうの新聞を見ておりますと、さらに一歩前進いたしまして、旧地主に対する交付金交付法案の準備が進められております。これは私は、与党の党の決定ということになると、やはり時間の問題で、提案されるであろうと見なければならないと思うのでありますが、農林大臣はかつては旧地主に対する補償に対しては反対の明確な態度をとってこられました。私はまことに頼もしい限りだと考えておったのでありますが、ところが昨年の十月予算閣議のあとで、新聞記者会見の談話で、必要とあれば三十七年度予算に農地改革の犠牲者に対して補償の用意がある、予算に織り込むことも研究中である、こういうことを指摘され、その中ではかなり詳しく意見を述べておられます。今度の国会に農地法と農協法の改正法案を出しているが、これは不在地主を認めたり、農地保有制限をゆるめたりしようとしている。従って、農地改革当時の厳密な自作農主義が、時の流れとともに変わろうとしておる。このため農地制度について一貫した考え方を農林大臣としてとるようにするには、農地改革当時に自作農主義の犠牲になった旧地主の補償問題を考えなければならないという談話を発表しておる。先般農林委員会で大臣は、私の意見は私の意見として、党の決定だからやむを得ないとこう言っておられるけれども、私は、党が、前段申しましたように、交付金交付法案のようなものを固めるに至った原因、また旧地主団体が非常な自信を持ってこの運動をするに至ったその大きな原動力というものは、農林大臣のこういう発言にあったと考えるのです。この点私はその農林大臣の責任きわめて重大であると考えるのでありますが、いろいろ党内には事情はあったようでありますけれども、農林大臣のこの点に関する責任を免れることはできない。今日ようやく、きのうも小委員会でまとまったといわれますところの最高限度五百万円に押えて、国債は四分利二十年、こういうことで法案が今まとまりつつあるようでありますが、これに対する大臣の所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/11
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012・河野一郎
○河野国務大臣 党の方でそういう案を御検討中と聞いております。それについて内閣の方も意見を求められておるわけでございますが、内閣としてはこれに対してどういう意見で臨むかまだ決定いたしておりません。いずれよく内閣に相談いたしました上でお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/12
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013・石田宥全
○石田(宥)委員 これは内閣と党の間の調整の問題がありましょうけれども、もう今日までの経緯から見れば、これはやはり結局は閣議でものまざるを得ないのではないかと私は考える。それで交付金交付法案についてはまあまだ固まっておりませんから、これ以上私は追及しようと思いませんが、少なくとも、しかし国民金融公庫法の改正による融資はすでに法案となって閣議決定を見ておるわけでありますから、そこでその融資の点から考えてもそうでありますけれども、一体これをされるにあたって、海外引揚者の在外資産の補償の問題であるとか、あるいは戦傷病者の対策など、実はもう緊急を要する問題が相当ある。ゆうべもちょっとテレビを見ておりますと、戦傷病者のみじめな姿が出ておりましたが、そういう者に対する対策を怠って、そうして旧地主に対する融資をまず行なう、次いで今度は交付金を交付するというような態度は、私はどうしても納得がいかない。もしそれをやるというならば、いつかの機会にも申し上げたのでありますけれども、強制疎開であるとか、沈没船舶だとか、あるいは各種年金などという、これに旧地主が払ったと同じような性格の犠牲者がたくさんあるわけでありますが、それと一体どう区別をされるお考えなのか承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/13
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014・河野一郎
○河野国務大臣 ただいまもお答え申し上げました通りに、旧地主に対する報償の問題につきましては、ただいま申し上げた通りであります。これと今、後段、戦争によって生じた各般の問題について関係はどうかということでございますが、これはどういうふうに党が取り扱われるか、またそれぞれ所管の大臣がどういうふうにこれを考えて扱うか、それぞれ所管大臣があるわけでありまして、まだ閣議では、それぞれの所管大臣から意見を聞いておりませんので、私の意見をここで申し上げる段階になっていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/14
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015・石田宥全
○石田(宥)委員 これは閣議等でもまだ聞いておらないということでありますけれども、私は、事農業経営あるいは農民の生活に及ぼす影響が大きいから、やはり農林大臣の立場からはっきりした考え方を承らなければならないと考えるのであって、そういう見地からの御意見を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/15
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016・河野一郎
○河野国務大臣 これはいずれもそれぞれ所管大臣があるのでございますし、まず所管大臣の意見を伺った上で私はお答え申し上げるのが適当であろうと考えます。もし石田さんがどうしてもその必要があれば、所管大臣をお呼びいただいてお聞き願うことが適当であろう、私から申し上げることは差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/16
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017・石田宥全
○石田(宥)委員 それでは一つ委員長に要望いたしますが、次に機会を見て関係大臣の出席を求めて質問したいと思います。農業、農民に及ぼす影響が甚大でございますから、この点は保留をいたしておきます。
なお、農地被買収者問題調査会の調査の結果を見ましても明らかなように、少なくとも全般的に見て被買収者世帯が買い受け世帯よりも生活の悪いものが多いとはいえない。買い受け世帯では戦前よりよくなっているが、被買収者世帯よりも低いものが多いということはちゃんと指摘しておる。私はここでいろいろ調査会の調査結果のパンフレットをもらって、こまかな数字を抜き出しておりますけれども、時間の関係でこれには触れませんが、少なくとも旧地主の生活は旧小作人よりははるかに程度が高い。これはいろいろな数字が調査会の調査結果に出ております。ですから、私はこれを申し上げると同時に、さっき申し上げたように、地主制度というようなものがあらゆる角度からてこ入れをされて復活するということの及ぼす影響が甚大だから、さらに申し上げたわけであります。
そこで次に、地主制度というものが確立されますると、どうしてもここで起こってくる問題は、小作料の引き上げの問題です。これは避けられない情勢だと思います。日本のかつての小作料がきわめて高率であって、現物制であったことは御承知の通りであって、あの高率小作料の収奪というものが、日本農業の構造改善を阻害したりあるいは生産性を抑圧したり、農民を貧困に陥れ、農村文化の著しい低位性をもたらした重大な原因であったと思うのでありますが、この点についての大臣のお考えを率直に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/17
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018・河野一郎
○河野国務大臣 信託制度が行なわれましても、小作料がそれによって引き上がるというようなことは、われわれとしては全然考えていないわけであります。戦前にさかのぼって、当時の小作制度がどうであったというようなことについては、別の機会にまた私個人の意見を申し上げますが、当面の法律に関係いたしましては、これによって小作料が上がるとは考えていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/18
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019・石田宥全
○石田(宥)委員 大臣はこの点はおわかりにならないのじゃないかと思うのでありますが、政府の農業基本法体制が進むに従いまして、昨年からことしの春にかけて著しい現象が起こっておるのであります。それは形はいろいろ変わっております。たとえば刈り分け小作であるとか、あるいは委託栽培であるとか、あるいは物納小作料としての小作契約であるとか、こういうものが非常に驚くべき数字に上っておるのであります。従来の小作料というものは金納制に限られており、しかもその額がかなり低く押えられておったのでありますが、ほとんどこれは行なわれておらない。ところが今度の農地移動を円滑ならしめるという政府与党の農業基本法に基づいて、農民が農村から逃げ出したりいろいろやっておりますが、その際に起こる現象として今指摘したような問題が起こっておるのでありますけれども、これは一体どの程度に政府は把握しておられるか、大臣がおわかりにならなければ、局長でも部長でもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/19
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020・庄野五一郎
○庄野政府委員 われわれといたしましては、農地法の励行ということにつきましては、かねがね都道府県知事等を通じまして、また励行通達を出して指導して参った次第でございますし、また一面におきまして、農民側に対しましても、農地法の趣旨徹底ということを農地解放以来かねてからやってきておるわけでございまして、こういう面から、いわゆる農地法をくぐるやみ小作とか、あるいは脱法的な行為を、われわれとしてはできるだけ指導的に、また農民の自覚によって防遏する、こういうふうに考えております。御承知のように土地取り上げ等、香川県等でも問題が非常に集団的に起こったわけでございまして、そういう面についても、県を通じての指導監督ということと、農民の自覚によって問題を解くことに努力して、不当な小作料の抑圧という点にわれわれとしては努める。やみ小作等については、これはなかなか把握しにくい次第でございますが、一応農業会を通じての数字はございます。これについて御要望があれば、後ほどお示しいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/20
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021・石田宥全
○石田(宥)委員 農業会等を通じて若干のものはあるということでございますけれども、実はこれは私ども地方の部落へ入ってみて驚くわけでありますが、なかなか表面に出てこないと思うのです。ことに刈り分けであるとか、物納小作料とか、あるいは委託小作というようなものは、名前だけであるというような場合がどうも多いのでありまして、そうなりますと、昔の小作料時代の再現ということをわれわれは考えるのです。日本の小作料が国際的に見ていかに高いものであったかということは、農地被買収者問題調査会の調査の結果にも明らかなのでありまして、旧地主の諸君が農地の強制的な売り渡しを余儀なくされたために生活が困窮しておる、こういうことを強く指摘しております。ところが数字を見ると、一町歩未満の地主というのが八二%あるのです。一町歩未満のものが八二%あるが、一町歩の土地を貸し付けて、それによって一家の生活を立てるという事実もまたあったわけであります。ということであるならば、いかに小作料が高率であったかということはおそるべきものがある。私はこの間汽車の中でエジプトの革命の歴史をちょっと読んでおって実は痛感したのでありますが、エジプトのナセル大統領がああいう革命を断行する前の農村の姿が書いてあるのですが、非常に高率な小作料であった、奴隷のような状態であったということが書いてあるのですけれども、それでも小作料は二分の一または三分の二だということが書いてある。日本のかつての物納小作料というものは、これは五分の三または五分の四までとっておった事実があるんですね。だからいかに今日本の農民がこういうふうな状態に置かれておることが高率の物納小作料にあったかということを知らなければならない。ところが今農業基本法に基づいて農地の移動を円滑にするという政策があらゆる面から行なわれておるわけです。これはあとで指摘いたしますが、構造改善事業なんかにもそれがずっと出てくる、信託制度が出てくる、みな関連して農地移動を急速に行なわせようとする、この農地移動を急速に行なわせようとする段階において今言ったような形の事実上の物納小作料、非常に過酷な高率小作料の姿が再現している、こういうふうに考えてくると、今度の農地法の改正というものは私どもは簡単にこれは許しがたいものだ、こう思うのですが、大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/21
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022・河野一郎
○河野国務大臣 御承知の通り最近の農地の価格の騰貴が非常なものでございますので、ここにわれわれとしても土地問題をどう今後前進していくべきものかということについて非常な難問に逢着いたしておるわけでございます。今お話しのような点が絶無とは私は申し上げるわけにいかぬと思いますけれども、特異な例でございまして、全国を見た場合に必ずしも今石田さんのおっしゃるようなものが非常に多い、そういうものが大多数であって、むしろ私たちの考えておる方が例外だというわけにはいかなかろうと思うのでございます。従って今後どこまで、この農地問題をどういうふうに自立農業の達成、経営構造改善とにらみ合わせて持っていくかということが非常にむずかしい問題があるということだけは覚悟いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/22
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023・石田宥全
○石田(宥)委員 ただいま農地局長は、農地法を厳正に実施するために努力をしておるという御答弁があったわけでありますが、実はこの点は最近の農地法の適用というものはまことに驚くべくルーズに行なわれておる。せんだって新聞に出ていたのでございますが、北海道では大学の演習林を小作に出しておる、これは大きく取り上げられておりますが、小作に出しておるということも行政管理庁から指摘されておるし、それはその通りでありますけれども、私はこの中で、小作条件の中で、北大はこの小作人を労働力確保のための便法として昭和の初年から使用してきたということ、そうしてまたその演習林長は労働力を確保するためにぜひこういう方法が必要だという点を強調している点から、これはやはり農民を拘束する、学校やあるいはその他のものが小作農民というものを約束をして、昔からの悪い慣習がいまだに抜け切っておらないこれは一つの例だと思うのです。それでなお、その適用の厳正な実施のために努力をされておると言われますが、一体都市周辺における農地の転用にあたって、これは部会は、もう東京などは全面的に、大阪も名古屋もそうでありますけれども、農業委員会が中に入って農地を転用した場合の売却代金の一割から三割もピンはねをして旧地主に支払っておるという事実がある。こういう事実はほとんど行なわれておる。知っていらっしゃるのか知っていらっしゃらないのか、一部の農業委員会の諸君に言わせると、農林省が暗に指導をしておるのではないか、こう言っておるんですね。一体農林省がはたして指導しておるかどうか私は存じませんが、少なくとも都市周辺における農地の転用では全面的にそういうピンはねが行なわれておるという事実、これは一体どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/23
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024・庄野五一郎
○庄野政府委員 農地転用にあたりまして農業委員会がピンはねをしておる、そういう事実は私承知いたしておりません。ただ一部旧地主といいますか解放した地主とそれを解放を受けた農家との間で、何らかそういう金銭授受があるということは聞き及んでおりますけれども、それは個人間の問題でございまして、それに農業委員会が関与してどうしている、そういうふうには、われわれは承知してない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/24
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025・石田宥全
○石田(宥)委員 これは私もある程度調べてみたのでありますが、これはもう全面的に行なわれている。それをやっていないところはまれだとこういうのです。そうなると、いかに厳正実施を口にされましても、そういうふうな事態がおわかりになっていないというようなことでは、これはとても厳正実施どころではないと思うのでありますけれども、これは庄野さん法律の専門家でいらっしゃるのですが、そういう事態を法律的にはどうお考えになるか。私はこれは違法の行為だと考えるのでございますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/25
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026・庄野五一郎
○庄野政府委員 私が申し上げました農地法の厳正励行、こう申しますことは、御承知の通りに農地法は農地改革の成果の維持発展をはかる、こういう意味におきまして農地につきましての権利の移動の公正、その他公定小作料の問題あるいは耕作権の保護につきまして土地の取り上げの問題等につきまして、いろいろと規定を設け統制しておる次第でございまして、そういう面におきまするいわゆる違反的なあるいは脱法的な行為を、われわれとしましてはそういうことが起こらないように都道府県を通じて励行する、こう申し上げた次第でございます。今申されますように、転用に際しまして、転用をする農民が旧地主との間で何らかの金銭的授受があるということにつきましては、これは個人の問題であろうかと存じまして、特に農地法上の違法とか不法とか、こういう問題ではなかろう、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/26
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027・石田宥全
○石田(宥)委員 これは大臣に伺いますが、そういうところから農地法というものが悪い意味にくずれてくるんですね。ですから、そういう事実についてはやはりもっとよく調査されて、そういう好ましからざる行為というものがないように指導すべきであろうと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/27
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028・河野一郎
○河野国務大臣 私は東京からあまり離れて遠くないところに生家を持っておるわけでございますが、少なくとも神奈川県の私の近所ではそういうことは絶対ございません。しかし東京の周辺にあるかもしれませんが、あるといたしましても、今農地局長からお答え申し上げました通りに相対でそういう話し合いが円満に行なわれておるならば、一体そこに介入してそれを絶対に禁止するというところまで出るのがいいか悪いかということは、なお研究の余地がある問題だと思います。十分研究いたしまして善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/28
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029・石田宥全
○石田(宥)委員 農業基本法の十八条によりまして、農地の移動を円滑ならしめるために信託制度を設ける、しかし農地の移動を円滑にするに一番大きな障害をなしているものは、今日小作料だといわれておる。小作料が低過ぎるために、あまり安い小作料ではなかなか人に貸せない。これは大きな障害になっている。こういうことはだれしも考えられる。しかし借りて農業を経営する者から見れば、高くなるとなかなか農業経営はやっていけない。ところが政府は農業基本法に忠実なるあまり、どうも今日の法定された低い小作料では農地の移動が円滑にいかないということから、小作料の値上げをやろうとしているのではないか。また物納制も認めようとしているのではないか。そういう意図がうかがえる。これは私は将来のことを考えると、非常に大きな問題だと思うので、公定小作料の引き上げの問題、さらにさっきも指摘いたしましたが、現に物納が行なわれておるのですね。これはそう広くとは言いませんけれども、行なわれておるが、物納制を認めたり、引き上げをするというようなお考えがあるのかないのか。今度の農地法改正に伴って第二次的にこれは連鎖反応として起こり得るものであると考えられるのだが、この点ははっきりした御答弁を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/29
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030・河野一郎
○河野国務大臣 私は、この改正と関連して第二次的に小作料云々ということについては考えておりません。それは全然別の問題だと思うのでございます。また現に今それについての調査等はいたしておりません。しかしお話のように時代の変化もしくは世の中の変化等によりまして、非常に現実の小作料もしくは小作制度が適当でないというような事態が起こりますれば、そのときの問題だろうと思うのでございまして、今現にこの法律と関係し、もしくは現に農林省において調査をしておるというようなことはございません。私もまた考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/30
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031・石田宥全
○石田(宥)委員 次には農地の転用の問題でありますが、かつて、これは河野さんのあとだったと思うのでありますけれども、農地転用基準というものを作って、農用地をみだりに転用してはならないという一つの基準を作りました。ところがこれは実は最近は死文化してしまって、これまた農業委員会等がいろいろな面について無視するような傾向が強くなって参りました。これも一つの問題でありますけれども、特に大臣から意見を明らかにしていただかなければならないことは、最近首都圏整備に関する工場や宅地を作るにあたって、逆に農地を簡単に転用できるような法律ができておる。これは特に重要な問題だと思うのでありますが、これに対して農林大臣としては一体どうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/31
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032・河野一郎
○河野国務大臣 世界情勢並びにわが国内情勢から判断いたしまして、わが国では農業以外の産業においてその国の経済を維持し発展して参ることが必要であることは御承知の通りでございます。そういう立場に置かれておりますわが国といたしまして、農地を砥用して、これを工場用地等に使うということはやむを得ないことではなかろうかと私は考えております。同時に、これを工場等にして、一部農業労力はその方面に転換をしていき、より高度の所得を得ることができるというようになりますならば、これも私は決して農業の立場から拒否すべきことではないと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/32
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033・石田宥全
○石田(宥)委員 これは大臣、大へんなことを承ったのです。そういう答弁を聞きますと、農林大臣は、日本の農業を守ったり、農業の発展、繁栄を考えていないという答弁ですね。どうも去年の農業基本法の審議の中でもそういう意向が実はあったから、われわれは心配をしておったのです。昨年は公共用地の取得に関する特別措置法というものができた。その際にも公共用地取得ということには鉄道、軌道とかあるいは発電とかいうようなきわめて限られた公共性のあるもの以外にはこれは適用しなかった。また今日土地収用法というものがありますが、土地収用法というようなものも私益追求のためにみだりにこれを許さないのです。ところが今の農林大臣の答弁によりますと、個人が宅地を作るにも工場敷地を作るにも、農地なんというものは、工場を建てるために住宅を建てるためにつぶしてしまってもいいのだ、こういう答弁です。これはやはりあの農業基本法の論議の中で議論した、われわれが一番心配しておったことを農林大臣はずばりはっきり答弁しておられる。そうすると、これはますますわれわれは今の政府与党の考え方とは徹底的に戦わなければならない。農林大臣はそういう意見でなければ、私が今申しましたように工場敷地や宅地にするのに簡単に土地収用法などを許すというようなことに同意されるはずがない。私は、河野農林大臣という人は、まさかそれほどは農業を軽視し、農地を軽視する大臣でないと考えておった。この点はもう一度はっきり一つ答弁を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/33
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034・河野一郎
○河野国務大臣 私は、ただいま一お答え申し上げましたことで、そんなに石田さんからお小言を受けるとは考えておりません。私は申し上げますように、わが国家の伸展のために、わが国が国際的に置かれておりまする地位から考えて、工業もしくは他産業の繁栄を意図するということは当然だと思っておるのであります。そうするために必要な工場やもしくは住宅等必要なものがあるとするならば、これに農地を転用するということもやむを得ぬことであると考えております。ただ行き過ぎる過剰の投資もしくは行き過ぎたる工場敷地等については十分監督する必要がある。この点につきまして私は厳重に監督いたしておりますが、必要やむを得ざるものにつきましては、工場用地として農地を転用する、もしくは宅地として転用する場合は、これはやむを得ないことではなかろうか、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/34
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035・石田宥全
○石田(宥)委員 まあその農地を転用するという場合にもやむを得ない場合もありましょう。ただ私が指摘したいのは、今参議院で予備審査をやっております首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案の中で工場団地造成事業に対し土地収用法を認める、こういう法律なんですよ。そういうものに農林大臣が賛成をされたということは、先ほど御答弁になったところと一致するので、それならばはっきりわかりましたということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/35
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036・河野一郎
○河野国務大臣 お答えを申し上げますが、今お答えを申し上げましたのは総括的なお答えでございまして、次にお尋ねになりました首都圏の整備のため衛星都市等を形成いたしますのに必要な工場もしくは住宅の団地、都市計画等に必要な場合を規定いたしておるのでございますが、当然この場合には事前に農林省に合議があるはずでございます。その合議がありました際に、私たちといたしましては、それが農地を転用するに足るものであるかどうかということについて十分に意を用いまして、これに同意するということにいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/36
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037・石田宥全
○石田(宥)委員 首都圏整備についての全体のアウトラインがきまる。これについてはもちろん御意見を出すのはけっこうでございます。しかし私は、そういう住宅団地とかあるいは工場団地を造成するにあたって私益追求のための業者が農地をつぶそうとするときに、これは農地として守らなければならないという農民の主張に対して土地収用法を適用するという法律に農林大臣が賛成されたということは、はなはだわれわれとしては遺憾だということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/37
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038・河野一郎
○河野国務大臣 前提が私益追求ということでございますが、ただいま御質問になっておりまする点は、東京のような都市が工場を分散するもしくは大学を分散するというような意味におきまして、政府が東京近郊に衛星都市の都市計画をするという場合にそういう問題が起こるのでございますから、前提が私益追求ということではないと私は思うのでございます。
第二は、それに対しました農林大臣として十分発議をする機会があるわけでございますから、これは先ほどから基本的に総括的に御答弁申し上げておるような意味合いの私は意見を述べる、こういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/38
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039・石田宥全
○石田(宥)委員 首都圏というのがきわめてわずかなものであればあまり問題がないのです。すでに決定を見ておるのが十六地区あるわけですね。これは相当な農村地区まで包含されるわけです。ですから、それは大臣が言われるように、首都圏整備法に基づいて一定地域を定めてやるということは、これは考えようで私どもも全面的に否定しようとは思わないが、しかしそれには前提がなければならない。私どもは社会党の農業基本法でも主張いたしておりますように、今国土調査法という法律があるけれども、ほとんど行なわれておらない。やはり国土調査法によって国土というものの完全な調査の上に立って、そして西ドイツあたりが現にやっておるような土地利用区分というものをちゃんと作ってしまう。そして一定地域というものはこれは農用地として、ここ十年なら十年、二十年なら二十年これは農用団地だ、それからここは首都圏整備でやるのだ、こういうふうな区分ができて、その上に立ってある程度強制的な措置もやむを得ないと思うけれども、それが行なわれないで、ただ一方的に工場団地だ、住宅団地だでどんどん農地がつぶされるということは、少なくとも農林大臣の立場からこれはやはり慎重を期してもらわなければならないのではないか。私はやはりそういう前提の上に立っているならばこれは認めることはできるけれども、今日全く農用地というものはどこからも全然守られていない。農地転用基準というものにわれわれは非常に期待をいたしましたけれども、今日全く空文化してしまっている。これはやはりもっともう一歩以前の状態、すなわち農地利用区分というものを確立する。このことはやはり最近の都会における野菜不足というようなものもそういうところからきておると思うので、これはいろいろな面から重要だと思うのであります。そういう前提についてもっと真剣な取り組み方が農林大臣としては必要なのではあるまいかということを考えるのでありますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/39
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040・河野一郎
○河野国務大臣 御指摘になりましたようなのは非常に望ましい姿でございます。望ましい姿ではございますけれども、何を申しましても東京都のこの膨張の現実というものは、おそらく何人も想像できないような膨張の姿であると私は思うのでございます。さればと申して、これを規制する道は私はなかなか困難だろうと思います。してみれば、やはりそこに政府といたしましては衛星都市を準備して、そしてそこに工場の分散をし、もしくは国としてのあるべき姿、経済的な立地条件等を整えたものをやっていく。これがお話のように、計画が先であとから順次その膨張がついてくるということであれば非常にけっこうでございますけれども、何分日本の戦後の状態をごらんいただけばおわかりの通りに、われわれがやろうとするときには現実が先にどんどんすべてのものが進んでいくというようなことで、はなはだ遺憾の点が多いのでございます。従って、すべてのものをやります場合にあとから許可の際にこれを十分監督するというようなことにならざるを得ない姿でございます。従って御指摘の点につきましては十分意を用いまして、いやしくもみだりに農地が壊廃することのないように注意をして参らなければならないということは、私も深く考慮いたしておる次第でありまして、昨年来農地の転用を十分に取り締まっておるということも、実はその現われの一つと御了承いただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/40
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041・石田宥全
○石田(宥)委員 どうも時間が参ったようでございますから、保留いたしまして、本会議後に若干私の質問を続行したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/41
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042・野原正勝
○野原委員長 本会議散会後再開することとし、この際休憩いたします。
午後一時五十七分休憩
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午後四時五十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/42
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043・野原正勝
○野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案を一括議題として、質疑を続行いたします。石田宥全君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/43
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044・石田宥全
○石田(宥)委員 休憩前に問題になりました点については、問題はいろいろございますけれども、これは大臣の良識に待って善処してもらいたいと考えるのであります。
次にお尋ねしておきたいことは、何と申しましても最近の農地価格の問題でありますが、これが天井知らずというような状況であります。地域によりましては、御承知のように他に転用の不可能な地域については若干値下がり傾向すら出ておるわけでありますけれども、最近のように価格が投機的に扱われておりますことは農業経営を困難にすることは言うまでもないのでありまして、やはり何か一定の標準で安定をはかることが必要ではないかと考えるのであります。むずかしい問題ではありますけれども、これについて大臣の所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/44
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045・河野一郎
○河野国務大臣 私も、田畑の価格が非常に高騰いたしまして、農業経営の基盤を危殆にと申しては少し言い過ぎかもしれませんが、今後の生産が困難になる、また一部にはお話の通り投機の対象にしておるやに思えるような傾向もある。そこで最近の農地局長会議で、私は特に、すでに農地転用の許可をいたしましたものにつきましても、その後の使用についてどういうことになっておるかということを再調査するように命令いたしまして、もしこれが許可申請いたしました当時と違ったようなことがあれば取り消しをするというような処置に出る必要もあるのじゃないかということで、一応厳重に調査するように指示をしておるわけでございます。また今後におきましても、ただいたずらに広範な工場敷地を申請するものにつきましては特に厳重にいたすと同時に、住宅地等につきましても考慮いたさなければならないと思うのでございます。また住宅の適地につきましては、新たに住宅用の団地の造成については特に建設大臣にも意見を申達いたしまして、農地を転用することのないようにということを要請いたしておるわけでございます。ただいまお話しの適当な価格でこれを考慮することはできぬだろうかということでございますが、御承知の通り農地の価格について、これを一定の基準に安定させるということは、非常に困難なことと考えますので、今まだ別に私といたしましてこれについて施策をいたしたことはないのでございますが、よく研究をいたし、措置いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/45
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046・石田宥全
○石田(宥)委員 これは大臣も今御答弁になった通りでありますが、農業経営の困難な大きな原因の一つが農地価格が高過ぎるということで、自立経営農家を育成すると申しましても、今のような農地価格では全く不可能に近い。きのう実は農政調査委員会からパンフレットが送られて参りました。これをちょっと読んでみたのでありますが、立教大学教授の大川一司先生が、農地価格について管理的な方策を樹立すべきであるということを指摘しております。これはもう非常に困難であることはわかるけれども、将来の日本農業を考えるとやはり何らかの対策が必要であろうと思いますので、これはぜひ一つ本腰で取り組んでいただきたい。
それから次に伺いたいことは、実は時間があれば構造改善事業との関連でいろいろ伺いたいと思ったのでありますが、あと同僚議員が質疑を行なわれる予定でございますので、一、二大きな問題だけを申し上げたいと思いますが、農業基本法の第十六条で、経営細分化防止のために共同相続人の一人が引き継ぐように措置をするというふうに指摘しておるのであります。これはやはり大へん重要な問題でありまして、今後構造改善事業を進める過程においても、資金の関係その他で小さな農民がついていけないような仕組みになっておるわけです。そうすると相続関係で細分化していく。経済力がない。近代化資金なども中流農家以上のものでなければ貸さない、年間四十万円以上の所得のある者でなければ貸さないというような標準がある。そうすると細分化された上に、さらに今度はついていけないということで脱落していくという結果になると思うのです。こういう点で、農業基本法の第十六条に指摘してある、その相続関係に対する対策というものをどのようにお考えになっておるか、どの程度に立法措置その他についての準備が進められておるか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/46
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047・河野一郎
○河野国務大臣 それらの点につきましては、法制局との間でいろいろ検討をいたしましたが、まだ期待すべき結論が出るというところまでいっておりません。はなはだ遺憾に考えます。しかし私は、デンマーク等でやっておりますように農業をそのまま移転して、それに対して協同組合もしくは企業組合等の低利長期の資金を運用するというようなところまで日本においても考えなければ、とうてい所期の目的の達成はできぬだろう、そこまで農村金融の道を講ずることにするのでなければ、安定した農業経営というものはいかないだろうというふうに考えるものでございます。それらの点を勘案いたしまして、どうしても農業に関する長期不動産金融という道を開くのでなければ、所期の目的の達成は困難ではなかろうかというふうに考えて、何とか来たるべき機会、来年の国会までには特殊の長期不動産金融の農業銀行の設立をするところまで、各方面の御検討を願っていきたいものだと思って、せっかく勉強することを当局に指示しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/47
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048・石田宥全
○石田(宥)委員 ただいまの大臣の発言でありますが、私もその点が非常に大事な問題だと思うのです。それは今私どもの考えとは違うけれども、基本法では、特に池田総理は、農業を企業としてということを強調されておる。企業ということになると、結局は資金の規模がものをいうことになるのです。まだ構造改善事業についてのこまかなものはおきめになっておらないようでありますけれども、モデル的な構想についての標準が示されております。これはいずれを見まして毛、たとえば水田地域にしても、畑地域にしても、田畑地域にしても、結論的には企業的経営を確立することを指摘されておる。企業的な経営に持っていくという方向をとる限りにおいては、農業というものが企業となるという考え方に立てば、資金の規模によって左右される。その資金というものがどこでどうまかなわれるか。今大臣の指摘されたように、一つの大きな農業をそのまま借入金によって買い取って、企業として成り立ち得るような形態にできるとするならば、これはまことにけっこうな話です。私どもの考えとしても、将来の展望としてはそこに立ってよろしいと思うのでありますけれども、今のような政府の考え方で、小さな農民はどんどん首切って、追い出していって、そうしてふるいにかけて落としていって、今直ちに企業的なものにする、資金も与えないで企業的なものに育成していこう、こういう考えでは、私は非常に無理があると思うので、それらの点については、展望においては私は必ずしも大臣の意見と異なるものではないけれども、今申しました施策においては非常に違いがあるということを指摘して、それについて今直ちにやるべき施策についての考え方をはっきりしてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/48
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049・河野一郎
○河野国務大臣 私これまでたびたびお話を申し上げました通りに、これからわれわれの考える農業は土地と資金とそれに技術と農業労力というものが、総合して形成されるべきものだと考えておるのでありまして、なるべく国内各方面の御理解を得て、現在私自身が企画いたしております構造改善事業が、さらに大規模に国家の施設を大きくして、ほんとうに日本の農業が確実に充実したものに——第二次農業構造改善事業というようなものが第一次が前進すると同時に、次に第二次としてまたこれに向かって構造改善をさらに強化していくというようなことにいきたいものだというのでせっかく努力をするつもりでありますが、何分政府といたしましても各方面の事業が一度にということになると、予算に限度があるものでございますから、それには一部やむを得ませんから、土地等の担保によって資金をみずからつなぐという道も持たなければなるまいと思っております。お説の通り十分な資金を導入するということは、どうしてもこれからの前進した農業には必要ではないかと考えておるのであります。その道をすみやかに開くように努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/49
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050・石田宥全
○石田(宥)委員 もう一点だけ伺いたいのでありますが、今御答弁にありましたように、農業基本法ができて、農地法、農協法ができて、それで今度は構造改善事業で政府の考えているいわゆる基本法体制ができ上がる。こういう順序になろうと思うのでありますが、その場合に、今計画をされております。パイロット地区や、一般構造改善事業の樹立をするにあたって、各地方に県庁の職員やあるいは農林省の諸君が説明に回っているのでありますが、農民が計画を立てるにあたって、一番疑問を持ち、踏み切りのつかない大きな問題は、今申し上げたように零細農というものがどんどん切り捨てられるという事態が起こってくるのが一点。もう一つは、将来の展望に立って計画を立てるにあたって、農産物の価格について何らの保障がない。さっきちょっと指摘したように、私どもの主張するように、その農産物というものに生産費及び所得補償というこの柱が確立しておれば、将来といえども一定の水準で保てるという見通しが立つのでありますけれども、それが立たない。政府の農業基本法による需給均衡価格ということになると、国内だけの需給均衡価格ならまだ考え方はあるのでありますけれども、国際的な規模で需給均衡価格ということで、国内で品不足になって値段が上がりそうだったら酪農製品のように外国からどんどん入れて値段を押えんとする、こういう需給均衡価格になると、将来の農業計画というものは全く立たないということになるわけですね。それらの点について、やはり将来の展望の上に立って確信を持って計画を樹立し、その中で希望を持って農業に従事できるというような点についてのポインドがみんなはずされている。政府与党の考えてきた今日までの農業基本法体制というものは、肝心なところがみんなはずされている。これは私は少なくとも河野さんの手で再検討をしていただかなければならないと思うのであります。その再検討なしに構造改善事業に取り組むわけにはいかないのではないかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/50
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051・河野一郎
○河野国務大臣 御説の点ごもっともと考えますが、実は構造改善をいたします際に、一応は需給の関係を考慮しつつ主産地の形成、その他生産の奨励計画を立てる。その次に、第二段といたしましては、ただいまもお話がございましたが、たとえば酪農製品につきましても、一応国内の有識者、経験者によりまして酪農の生産費を保障する価格はどの辺にあるだろうか、また経営を継続して参るにはどの辺の価格を維持するのが必要であろうかという基準価格を一応御検討いただこうと思います。これを基盤にいたしまして、輸入の道をとるとらぬということの目安にしてやって参ることでございますから、その点は私は消極的ではございますけれども、一応はこれでいいのではないか、こう思います。もちろん今後景気不景気等によりまして、需要が急に減ってくる場合もございますし、また生産が一時に向上いたしまして、豚のような場合も起こって参るというようなこともございますから、将来にわたりましては、これらの点についてさらに各方面から検討の結果、施設をプラスして参らなければならぬ点が多々あろうと思います。しかし何を申しましても、各国でもやっておりますように、よほどの大規模な資金もしくは機関を持ちませんと、農産物の価格支持はなかなか困難であります。従って第一次的には需給の関係を十分に勘案しつつやって参ることに基盤を置く、そして可能な範囲において今申し上げるような点をつけ加えて参るということでやって参りたいと考えております。今後農業関係の団体の整備等も加わりまして、これらの自主調整等も十分御活躍願わなければならぬのじゃなかろうか、諸般総合して目的の達成に努力いたしたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/51
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052・石田宥全
○石田(宥)委員 いろいろ農地信託の問題その他ありますけれども、同僚委員がそれぞれ準備しておられまするから、私の総括的な質問は以上で終わりますが、ただ大臣に希望したいことは、きょう御答弁になりましたような非常に重要な問題が幾つかあるわけでありまして、それを単なるおざなりの答弁ということでなしに、これはぜひ本腰で一つ準備をしていただきたい、これを要望申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/52
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053・野原正勝
○野原委員長 安井吉典君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/53
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054・安井吉典
○安井委員 石田委員に引き続きまして、上程されております二法案についてお尋ねを続けたいと思うのでありますが、今度の特に農地法の改正につきまして、農林大臣の提案理由の説明その他いろいろお聞きをいたしているわけでございますが、基本的に今日まで築かれた農地改革をゆるめる方向に進もうとするおつもりが、今度の改正の中の中心になっているのではないか、そのような印象を受けるわけでありますが、農林大臣、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/54
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055・河野一郎
○河野国務大臣 どういうふうに申し上げたらよろしいか、御承知のように、前回農地法を実施いたしました当時と今日と異なります点は、自立農家を育成するという意味合いにおきまして、前回は、長年にわたって適正規模の農家もしくは自作農創設という目標に立って指導して参りました、その現実を基盤にして農地改革が行なわれたわけでございます。その農地改革の行なわれた精神はどこまでもゆるめる気持はございません。ただ今後のわが日本の農業経営の上におきまして、自立農家を育成する意味合いから、経営の規模を拡大する必要が起こってきておる。そこで経営規模を拡大する意味合いにおきまして、農地を多少集散分合をする必要が起こっておるという意味合いから、もしそういう誤解があればそれは誤解でございまして、農地法の精神をやわらげるとかゆるめるとかいうようなことは毛頭考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/55
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056・安井吉典
○安井委員 ただいま農林大臣の御答弁がございましたが、その御答弁が、いろいろな方向から私、反論できるような気がするわけであります。その一つとして、いささか旧聞になりますけれども、昨年の秋の農林大臣の談話の中に、旧地主補償に関連いたしまして、今度農地法の改正案も国会に出されて審議されている段階だから、地主補償の問題についても考え直す余地ができたのだというふうな意味の御発言を私も新聞で見、今ここにも切り抜きがあるわけでございますが、その点当時のお考えと今も変わりなく大臣はお考えになっておられましょうか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/56
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057・河野一郎
○河野国務大臣 そこでただいまの御答弁を申し上げたわけでございます。たとえば前回でございますれば、御承知の通り信託という道は開いてなかった。それを今回は信託という道を開くようになったという点等において、多少違いが起こってきておるという点を私は指摘いたして、申し上げておったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/57
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058・安井吉典
○安井委員 この記事を読みますと、当時の御発言は、今度の農地法の改正案では、農地信託制度を創設することになっており、それによると、法人の農地所有を認める、一方信託制度を通せば、不在地主もできることになっている、従って、農地改革を実施した当時は不在地主を一切認めず、その上に立って現在の農地制度を作ったところから見ても、農地制度の考え方は非常に変わってくるわけである、こういう言い方をなさっているわけであります。今おっしゃった意味もそこに通ずるものだと思うのでありますが、この非常に変わっているという言い方、不在地主も認めるのでないかという言い方、これはもう背の農地制度の基本的な柱の幾つかを根本的にくつがえすものじゃないでしょうか。そういう考え方が今度の改正の中に中心的にあるのではないかと、私はそう思うのです。従来の考え方の基本は変わらないという御答弁をさっきなされたわけでありますが、この非常に変わっているということは、これはもう根本的に変わったということをここではっきりおっしゃっていると思うわけでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/58
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059・河野一郎
○河野国務大臣 最初御答弁申し上げました通りに、農地法の精神、農地改革を実施いたしましたその精神においては変わりはない。ただ現実に、具体的に申し上げれば、今申し上げたように小さなものが、信託をして一時農業を離れることを認めるという点が変わっておる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/59
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060・安井吉典
○安井委員 変わってないとおっしゃいますけれども、しかし現実のこの法案の中に、あるいはまた今の御答弁の中に、明らかに変わっているということを私どもは理解せざるを得ないわけであります。そういうところに、今度の農地法の改正に対する私どもの基本的な反対態度があるわけであります。
そこで、これもそのころの新聞記事から一つお聞きをいたしたいわけでありますが、今度の改正によりましてもなお現行の農地制度に矛盾があるので、今度の改正にとどまらず、さらに根本的な再検討をするように農地局に指示をした、そういうことで農地局ではさらに進んだ根本的な改革についての検討を始めている、こういうようなことも伝えられているわけでありますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/60
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061・河野一郎
○河野国務大臣 これは私が申し上げませんでも、先ほどもいろいろ石田委員から具体的に農村の実情について御指摘があって、いろいろ御質問がございました。農村における実情というものは、いろいろな必要もしくは現実から、いろいろな事態が起こっておりますことは御承知の通りであります。従いまして、この農地の問題について根本的に、具体的に一体どうしたらいいか、精神は、われわれは農地改革の精神を保持するということは間違いございません。しかしそれを具現して参るのにこれでいいか悪いか、直すとすればどういう点を直さなければいかぬかという点について根本的に調査、検討を命じてありますことは間違いございません。今検討中であります。検討はいたしております。しかしその結論はまだ出ておりません。私は、精神はその精神を生かしていくべきである、しかし、それを具現して参るためにどれが一番最良の行政か、手段、方法かということについての勉強は続いてやることがいいのではないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/61
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062・安井吉典
○安井委員 私は、今度の改正だけでも、旧来の農地制度の相当ひどい骨抜きでないかというふうな印象を受けるわけでありますが、ただいまの御答弁からすれば、さらに進んだ根本的な改正についての検討を今進めておられるということでございます。そういったようなことで、今後引き続いて農地法の改正を国会にお出しになるというお気持のように伺うわけでありますが、そういうお気持がおありなのか、あるいはまたそれはいつごろなのか、それを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/62
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063・河野一郎
○河野国務大臣 ただいま申し上げました通りに、検討はいたしておりますが、結論は出ておりません。結論が出ておりませんので、いつどうするか、やるかやらぬかということは、ここでお答え申し上げる段階に至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/63
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064・安井吉典
○安井委員 次に、具体的ないろいろな問題につきましてお尋ねを進めたいと思います。まず初めに、農地等の権利取得の最高制限の緩和が今度はかられているということにつきましてお尋ねをしたいわけでありますが、現在行なわれております規定によりましても、相当程度広がった保有が行なわれているのではないかというふうな気がするわけであります。これは農地局長にお答えをいただきたいわけでありますが、現在全国的に最高保有は現実にはどれくらいになっているか、これは政令で例外規定があるわけでありますから、相当高いところまでいく可能性があると思うわけでありますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/64
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065・庄野五一郎
○庄野政府委員 現在農地法におきましては、三町歩をこえる農地保有の権利移動の場合におきましては、自家労力によって経営が適正に営まれる場合に限って許可をする、こういうことに相なっております。改正法におきましては、最近におきまする農業の事情で、経営規模の拡大ということが非常に大きくなっておりましょうし、また農業労働事情も、最近におきまする労働力の移動その他によりまして非常に変わってきておりまして、従来自家労力のみによって経営を行なっていくという事情が、最近におきましては、やはり主として自家労力によって経営を営みますれば、これは自作農ということに相なろうかと存ずるわけでございまして、そういう場合におきまする経営規模の拡大に資するように、主として自家労力によって経営が行なわれる場合に限りまして三町歩をこしていい、こういうことにいたしたわけでありまして、従来と考え方が根本的に変わるということはないわけでございます。
なお、現実に三町歩以上の経営規模につきましては、三町から五町までの経営の比率が大体戸数にいたしまして一・五%、五町以上が一・〇%、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/65
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066・安井吉典
○安井委員 それは北海道は入っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/66
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067・庄野五一郎
○庄野政府委員 これは北海道を含んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/67
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068・安井吉典
○安井委員 その点、さらに後ほど各都道府県別の資料を別にいただきたいと思います。
今の自家労力で経営できる面積という規定でありますけれども、その規定で今度間に合わなくなって、それを改正して、その制限面積をもっと広げなくてはならないという理由はどういうところにあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/68
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069・庄野五一郎
○庄野政府委員 これは内地が三町、北海道は十二町になっておるわけでございます。従来は、自家労力だけでやる、こういうことで限っておったわけでございましたが、今後の農業事情は、労力不足もありましょうし、また機械化技術の伸展に伴いまして、同じ労力に上りましても、機械の導入によりまして経営規模の拡大が適正に可能になってくる、こういうような最近の情勢等から、やはり経営規模拡大のためには機械力を入れてやっていく場合、その場合にやはりみずから機械を持つ場合もありましょうし、あるいは賃耕等の形によって機械を入れる場合もある、賃耕等によってやる場合も自家労力でない雇用労力になるわけであります。そういう場合におきましても経営規模を拡大できるという従来の考え方、そういう点を実際に適するように改めた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/69
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070・安井吉典
○安井委員 経営規模の拡大、特に機械化という面を強調されるわけでありますが、しかし、自家労力でできる面積を広げるという考え方でありましても、機械が入ってくれば、当然これは広がるわけですね。ですから、現在の規定であっても機械を導入してくれば当然今の実質的な国全体の統計上に現われてくる農家保有面積を引き上げてもいいはずです、今の法律でありましても。そういうふうに農地局長はどんどん農業委員会を御指導になっていいはずであります。だから今の法律であっても保有面積を現実にふやしてあげるという可能性は十分にあると思うわけですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/70
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071・庄野五一郎
○庄野政府委員 現行法におきましても御指摘の通り自家労力によって適正な経営ができる場合は許可しておるわけでありますが、先ほどから申しますように、機械力等が入ってくる、あるいは最近におきまする農村労働の不足といったような形で、自家労力のみによって経営しなくても、主として自家労力によって経営している場合、多少の雇用を入れてもそれは自作農と認められる範囲においては経営規模の拡大を三町歩以上にわたって認めるのが適当ではないか、こういうように考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/71
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072・安井吉典
○安井委員 主として自家労力とはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/72
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073・庄野五一郎
○庄野政府委員 必要労働力の過半数以上が自家労力である、こういう考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/73
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074・安井吉典
○安井委員 そういうふうな御答弁でありますと、私はやはり現在の保有は、特定の個人について相当ひどく上がっていく可能性があるということが考えられるわけでございます。しかも、これは大臣にお答えをいただきたいわけでありますが、農地を拡大できる可能性のある人というのは、農民の中でもごく少数の富農層に限られるわけであります。ですから、私は今度のこの最高制限の緩和措置によりまして、しかもこれは現在の法律規定であっても——あとで資料をいただきますけれども、相当広い保有が行なわれているという現状があります。だからこの過半数までというふうな、主として自家労力というこのゆるめ方によって、ここが乱用されることによって土地の富農層への集中が進んで、同じ農村の中での農民の上下の格差が非常に広がってしまう、そういう役割しか果たさないのではないか、かように考えるわけでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/74
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075・河野一郎
○河野国務大臣 先ほども石田委員から御指摘がございましたが、農村の現実から考えまして、こういう田畑の価格の騰貴しておりますときに、これを取りまとめてそれが投資の対象になるとかもしくはこれを買い集めて地主になるというような現実でございましょうか。私はそういう現実は今の農村にはちょっと距離があるのではなかろうかと思うのであります。そうではなくて私たちはむしろ土地がいかにして分散されるのを防ぐかということが急務であります。そして経営規模を拡大して、その経営規模が安定の上に成長をしていくようにしていかなければならないということで、いかにしてこれに低利の資金を供給するかということが一番これからの農村問題として考えなければならぬ点であるというふうに思うのでございまして、富裕農家が自分の作らない地所を買って、これが投資の対象になって金がもうかるとかもうからぬとかいうことにはならぬのじゃないか、現実にそうではないのではないかと私は考えるのでありまして、そうじゃない、むしろいかにして低利の資金を農村に、ほんとうに農業をやる者に供給して、そうしてそこに自立安定農家を育てていくというためには、その規模は三町歩程度まで持っていって、そうしてそれはそれぞれの農業技術においては一時的に労力の必要なものもございましょう。たとえば果樹のごときは一時的に相当の労力が要ります。こういうふうなものをやります場合にも、三町歩くらいのものまではやれるようにしてやらなければいかぬのではないかというふうに考えて農地局長は御説明申し上げたと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/75
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076・安井吉典
○安井委員 この法律には三町歩とも二町五反とも五町歩とも書いてないのであります。天井は青天井なんですね。主として自家労力でというその制約だけで、三町歩でも五町歩でも十町歩でも二十町歩でも幾らでも差しつかえないわけです。しかもその制限がないことと同時に、今大臣は当面の昭和三十七年か八年くらいの事態の中だけで物事を判断なすっていらっしゃるようでありますが、今度改正すればこれからもずっと先その方式で進むわけであります。そのように先々まで考慮に入れれば——法律というものはできるときはここでいろいろな論議をして作りますけれども、一たん国会というところを通ってしまえばあとはもうどんどん拡張解釈や乱用等が行なわれるというような事態があるわけであります。だからそういう意味で今無制限にしてしかも将来ずっとこういうものでいけるかどうかということ、そういうような事態の中から先ほど申し上げましたような弊害が出てきはしないか、そういうことを私は申し上げているわけであります。その点だいぶ見解が違うようでございます。
次に農地の価格の問題につきまして今大臣は言及をされたわけでございますが、とにかく現在の農地価格の全体的な騰貴というものは、先ほど来石田委員との質疑応答の中でも大臣がお答えになっておられるように、大へん問題だと思います。大体適正価格といいますか、そういうものをどういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/76
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077・庄野五一郎
○庄野政府委員 農地価格につきましては、一般の農民同士の間で農地法の許可を受けまして移動する場合の農地価格というものと、それから農地法によりまして不在地主あるいは在村小作地の保有制限以上のものができた場合に政府が買い取りまする価格というものと二つあるわけでございます。政府が今買い取っております価格は自作収益還元価格でございまして、それをもって大体また農民に売り渡す、こういうシステムをとっているわけでございますが、一般に農村におきまして農民間におきまして流通しているという価格は、それをオーバーした価格で取引されているという現状でございます。これは農地法を制定いたします際に、価格の統制をその当時の事情等もありまして廃止する、こういうことに相なった次第でございます。われわれといたしましては政府が買収する場合にはそうする、農民が農民同士で取引するときには流通価格、これはやはり農民が自己の経営企業としての採算を考えながら相対で売買されるわけです。おのずからそこには限度ができるので、全国的には十七、八万円から二十万円程度の平均価格になっておりますが、これをもって一反歩ごとの細片を買い足していくといったような場合には、十分企業的に採算が合うようになっていると存じております。
なお、価格が非常に暴騰しているという話でございますが、最近における農地価格の情勢は非常に停滞気味になっておりまして、県によりましてはむしろ田畑の価格が低下した県も起こっておるという状況で、総体的には以前のような暴騰というようなことは大体停滞気味に推移している、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/77
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078・安井吉典
○安井委員 土地に対する投資は農業経営の中でできるだけ少ない方が有利なわけであります。特に農地価格が上がるということは、農業の近代化や合理化をそこなうことになることは先ほど来言われている通りであります。しかし農地の転用における際の価格がべらぼうに上がるということが、その地帯における農業経営に充てられるべき農地の価格を引き上げているという事実も当然あると思うのです。しかしずっと奥の方のいわゆる農業基本法の農民切り捨て政策のおかげで、百姓じゃ食えないから出ていくといったようなところではあるいは下がっているという数字も出ているかもしれません。その点私は一がいに言えないのではないかと思うわけであります。特に自立農家を大きく拡大するといっても、今局長が言われましたように、狭い面積を買い足すというような場合にはあるいは今の十七万から二十万くらいで採算に合うかもしれません。しかし大臣がさっき三町ということを不用意に漏らされましたけれども、今ある平均面積を三町までに引き上げるなんということになりますと、十七、八万というそんなものでは全く間に合わないことは当然であります。ですから私は、これも先ほど石田さんも主張されていたように思うわけでありますけれども、何か今後の共同化を推し進めるという上においても農地についての基準的な価格といいますか、そういうものを打ち出して一応の安定線を見出していく、こういうふうな努力がきわめて必要ではないかと思うわけであります。そこで一部には農地の移動を円滑にするために、二重価格制をとったらどうかというような意見があるというふうにも聞くわけでありますが、そういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/78
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079・河野一郎
○河野国務大臣 私は今農地の二重価格制ということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/79
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080・安井吉典
○安井委員 局長、今そういうような意見が出ているというふうな話を聞きましたが、そういうのは農林省には伝わっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/80
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081・庄野五一郎
○庄野政府委員 農地価格の問題につきましては、御指摘のように都市周辺のいわゆる転用によって、あるいは宅地化する価格の影響を受けて、都市周辺等においては非常に価格が高騰している面もございますし、また一面そういう可能性のないところにおいては、停滞あるいは低下している、こういうことは御指摘の通りでございまして、この農地価格の高騰ということが、経営規模の拡大の面から見て、取得する方から見ますと非常に障害になりましょう。またしかし農地を手放していこうという面から見て、これは高い方がいいという面もございます。そういう、われわれといたしましてはどこまでもやはり将来の農業経営に基盤をなす農地の問題として、価格の問題は検討はいたしております。しかしただいま大臣からお答えになりましたように、二重価格制をとるといったような意見もそれはあるわけでございますが、財政負担等の問題等もあって、そう簡単にこれが行なわれるものではございません。ただいま大臣がお答えになったように、今の段階においては考えられない、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/81
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082・安井吉典
○安井委員 農地の移動に関しまして、資金源の問題も先ほども論議があったわけでありますが、将来に何か根本的な検討をしたいというふうな大臣の御答弁でございますけれども、現実には取得資金というふうな形で出るのはどういうような種類のものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/82
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083・庄野五一郎
○庄野政府委員 農地の取得資金としてただいま低利の融資をいたしておりますものは、自作農創設維持資金の中の取得資金ということに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/83
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084・安井吉典
○安井委員 自創資金だけでありますと、その額は知れているわけですね。たしか取得資金だけということでありますれば百三十億円かそこらでなかったかと思います。百三十億円ぐらいの取得資金でありますれば、全国で例の農業構造改善の計画がある市町村の数だけでも三千幾らあるはずでありますから、それで計算したら一市町村当たり四百五十万ですか、四百四、五十万円くらいにしかならないのです。先ほどの御答弁の中で、十七万から二十万円くらいというふうな、そのような反当たりの売買価格が出ているといたしますと、四百五十万で十七、八万円くらいですと、一市町村当たり二町四、五反くらいの農地を買ったらもうそれで終わりというふうなのが今の自創資金の土地取得資金のワクだというようなことになるのではないかと思うわけであります。どんどん自立農家を作るのだとか、あるいはまた農地の流動をもっと盛んにするんだとか、そういうようなことを言われましても、現実の資金ワクというものはたったそれくらいしかないはずですね。自創資金のこういったような問題につきまして、今後どういうふうなお考えを持っておられますか。これは大臣ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/84
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085・河野一郎
○河野国務大臣 今の計算も、それを全国の三千数百の市町村で割っておしまいになればその通りになりますけれども、たとえば構造改善をやらぬところにはこの資金はやらぬとは申しませんが、構造改善をなさらぬ、あと回しになっておるところにもいきますことはいきますけれども、構造改善をやる地区で申しますれば三百カ町村でございます。毎年今、自作農創設維持資金も百五十億から二百億の需要になりますけれども、資金が出ております。むろんこれは自作農創設維持の資金でございまして、前からあるものでございますから、それにまた別途いろいろな資金を使えれば使ってやっていらっしゃる人もあると思います。私は、そういうことではむろん足りませんから、所期の目的の達成はできませんから、そこで先ほども申しましたように構造改善をして、そうして自立農家を育成して参りますためには、現に今までが一町五反前後の耕地でやっておられたものを少なくとも二町五反くらいまではしなければいかぬ場合が起こってくるだろう。そういう農地につきましては、それに所要な不動産金融というような道も開かなければいかぬのではなかろうかというような観点から、現にありまする協同組合の信用関係の資金関係のものをこの際根本的に考え直してみたい。そうして来たるべき国会までに何とか案を作って一つ皆さんに御協力をいただくようにいたしたい。せっかくの点について第一に私はこの次に農政上の問題についてやるべき仕事といえば資金の点だろうと考えて努力をいたそうといたしておりますとお答え申し上げたのでございまして、これがもし実現することになれば相当大幅な資金を農村に低利融資することができるようになるのではなかろうかと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/85
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086・安井吉典
○安井委員 そうしますと今のお答えでは、次の国会までに農業協同組合の資金をもっと土地取得等の経営改善の方向に向けられるように低利化して提供する方向を作りたいというお考えでありますが、それは今の農業近代化資金と別に、さらにまたああいうものを低利な形にしたような形でお出しになる、そういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/86
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087・河野一郎
○河野国務大臣 今申し上げましたようにこれから研究をして具体的に成案を得るのでございますから、今ここで私がこうであるという御説明をするまでには至っておりませんけれども、何にしても現にありまする三段階の中金から信連から単位組合にまで至っております、いわゆる協同組合の信用部に関する仕事、これと農林金庫に関する仕事、これらの一連の農林、農村金融に関するものを、できることならば取りまとめいたしまして、そうして不動産金融までできるところの農民銀行とか農業銀行とかいうものにいたすことが不可能だろうかどうだろうか。何にしても今の三段階をこのままにしておくことは適当でない。抜本的に今申すように一つの組織にすることができるかどうか。できないとすればどの程度まで改善できるかということを議会終了後に研究いたしまして、次の国会までに準備をいたしたいと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/87
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088・安井吉典
○安井委員 私は今の農地の移動をはばんでいる理由の一つに、先ほど言われました小作料の問題、さらにまた農地価格の問題があり、さらにまた金融の問題がある、こういうふうに考えているわけでありますが、それについては大臣も全く同意見のようであります。特に今農地の金融の問題について新しい構想をお出しになりましたが、この間私ある必要から、河野農林大臣がいろいろ思いつきを発表されている数を勘定したわけでありますが、これはずいぶんたくさんあるわけです。その思いつきの中には非常にいいものもあるし、そんなものをやられたら困ると思うものもたくさんあるわけであります。しかし実った構想というものはあまりないようでありますが、この金融の問題につきましても、今御検討が進んでいるそうでありますが、一つその御検討の結果に待ってさらに私どもの考えを申し上げたいと思うわけであります。農地の信託は農地の流動化を促進するという建前でお作りになったというふうにお聞きするわけでありますが、信託の運用の基本的な考え方はどういうことでありますか、その点を一つ伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/88
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089・庄野五一郎
○庄野政府委員 基本法の第十八条によりまして「農地についての権利の設定又は移転の円滑化」という基本方針がきまっておるわけでありまして、その方針に従いまして農地の信託を総合農協をして当たらしめる、こういうことにいたしております。それでその信託の内容は、貸付の目的のための信託と売り渡しの目的のための信託、こういうものを農民が自己の所属する総合農協に信託する、こういうことになりますと総合農協におきましては管内の構造改善の意欲のある農民に対しまして、その信託されました農地が構造改善の経営規模の拡大あるいは経営の近代化に役立つようにという観点から、一般区域内の組合に対しまして農地の貸付あるいは売り渡しを行なう、こういうふうに相なるわけであります。そういう方針で運用して参りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/89
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090・安井吉典
○安井委員 今の御答弁ですと、いわゆる近代化経営、そういうところに目標を置いて信託制度を運用したいというふうなお考えのようでありますが、しかし信託法の規定によりますと、必ずしもそういうような趣旨で信託法というものが作られているわけではないと思うわけであります。信託法の基本的な考え方と今この法律の中に信託制度を置かれた考え方と若干の矛盾がありはしないかと思うわけでありますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/90
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091・庄野五一郎
○庄野政府委員 農協法をこの際改正いたしまして御審議願っておるわけでありますが、十条の八という信託に関します条章を追加したわけでございます。その中におきます第十条の八によりまして、この運営に当たります信託を受けました売り渡しあるいは貸付目的の農地につきましては、農協は、「信託の本旨に従うほか、組合員又は信託規程で定めるその他の者の農業経営の改善に資することとなるように配意してしなければならない。」という規定を農協法の中に入れまして、そしてただいま私が御説明いたしましたように、構造改善あるいは農業の経営の拡大というものに資するように運営して参る、こういうことに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/91
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092・安井吉典
○安井委員 信託の仕組みというのは——委託をする人の立場は自分の財産の運用をできるだけ有利にしてやってもらいたい、おっしゃる通り運用もいたしましょう。これは信託の仕組みだと思うわけであります。ですから信託法第二十条の規定によれば、「受託者ハ信託ノ本旨二従ヒ善良ナル管理者ノ注意ヲ以テ信託事務ヲ処理スルコトヲ要ス」こういうふうな表現がなされているわけであります。善良なる管理者の義務を農協側は要請されるわけです。しかし一方今度の改正の規定の中では、委託した人の気持よりも公益的な方向、それを農民にどういうふうに有利に売り渡すか、あるいはどういうふうにその貸付をされる農家の有利な方向に運用されるか、そういうような趣旨だけが強く出てきている。ですから一方の信託法の考え方とそういうところで矛盾しはしないですか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/92
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093・庄野五一郎
○庄野政府委員 もちろん信託法による信託でございますので、ただいまお述べになりました信託を受けまする農協としましては、善良なる管理者の注意義務ということはこれは当然適用されるわけでございます。御指摘のようにそういう条文は適用されるわけでございますが、第十条の先ほど申し上げました条文におきましては「信託の本旨に従うほか、」ということに相なりまして、そしてそのほか貸付目的の信託、あるいは売り渡し目的の信託を受けました農地については組合員の「農業経営の改善に資することとなるように配意してしなければならない。」こういう規定が農協本来の信託として一般の信託法のほかにさらに追加規定されている、こういうことに相なるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/93
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094・安井吉典
○安井委員 そういたしますと、信託の本旨に従うもののほかということになっておりますと、やはり信託の方の原則というものは優先して、公益主義的な考え方というものは従になるというふうに、その表現から私は印象を受けるわけであります。その点どうです。たとえば土地なら土地を売りたい人、あるいは貸したい人ができるだけ有利に自分の農地を処理したいというふうな意思を持っている。一方の法律では、できるだけ借手や買手の農民の近代化、合理化の方向にそれをやれという趣旨である。しかし今の基調からいえば、信託の精神が本旨だとすれば、こちら側の方の気持が勝って、こちら側が従だというような印象を受けるわけでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/94
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095・庄野五一郎
○庄野政府委員 信託法はもちろん、それから農協法の十条の八による両方の規定を充足するような運営をしていくべきだろうと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/95
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096・安井吉典
○安井委員 それでは貸付信託の場合でありますが、信託の期間が終わりましてから、その貸付ですから返還をしなければいけないわけですね。その返還に際しましては、借りた方の農民に対する保護というものはどういうふうになされるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/96
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097・庄野五一郎
○庄野政府委員 貸付目的の信託の場合には最短大体六年程度とわれわれは考えているわけでありますが、いよいよ運営に当たりましてあまり短いものは貸付目的によりまする新しく農協から借ります借り受け耕作者の不利を招くようになることもございまして、最短六年以上の貸付信託の範囲において大体普通の賃貸は五年程度で今契約の更新をしているわけです。五年以内という程度で運営をいたしますれば、借り受けました農民の地位を特にそこなうということはない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/97
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098・安井吉典
○安井委員 普通の賃貸借あるいは小作契約等の場合でありますと、その運用の仕方は、借りた人の側に立ってその紛争が起きたときに処理するというふうなかまえがあったと思うわけでありますが、しかしこの信託の場合についてはそうではなしに、貸した方の立場を主として考えた方式でいくのではないか、私ども、法文の読み違えかも知りませんが、どうですか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/98
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099・庄野五一郎
○庄野政府委員 この農地につきましてのいわゆる権利移動の円滑化をはかる、こういうことになりまして、やはり耕作規模を大きくしたいという願望のある農民に対しまして、従来の信託によらない賃貸ではなかなか農地の経営の拡大のチャンスが一方においてはない。片方においてはやはり信託によりまして農地を農協の方に出すということについては、出す方も安心してこれを農協に預けることができるということに相なるわけであります。また従来、先ほど申しましたようになかなか借り受けのチャンスがない人が信託によって出ました農地を耕作する機会が出る、こういうことに相なるわけでございますが、この信託の行為が大体契約で六年以上ということにいたしたいと思っておりますけれども、その範囲において耕作を希望する農民に農協としてはこれを賃貸ししていく、こういうことに相なるわけでございます。先ほどからお話しのように、特に耕作者の地位の不安を招くということはない、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/99
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100・安井吉典
○安井委員 私はもう結論を伺っているわけでありますが、普通の賃貸借、小作契約等においての契約解除に際しては、際してよりも、信託による契約解除の方が不利な扱いになる、なるかならないか、そのイエスかノーかということを伺っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/100
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101・庄野五一郎
○庄野政府委員 貸付信託によります分は、農協から組合員に貸し付けます場合に、これは信託による農地の貸付だ、こういう初めからの約束で耕作農民に貸すわけでございまして、それを承知の上で農民は耕作する、こういうことに相なるわけであります。そういう意味もありまして、できるだけ信託によりまする期間は六年以上にしたい、こういうふうに考えているわけであります。あまり短いとかえって借り受け耕作農民に不安を来たすということになります。初めからの約束でございますが、六年以上にして、できるだけその範囲において地位の安定をはかっていく、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/101
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102・安井吉典
○安井委員 ですから私がお聞きしているのは、信託による最後の賃貸借の期限切れについては農地法の保護がないんですね。その点を伺っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/102
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103・庄野五一郎
○庄野政府委員 信託によりまする分につきましては、信託規定を初めから行政官庁の認可事項にいたしております。その範囲におきます分については二十条の解約等の許可は要らない、こういうことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/103
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104・安井吉典
○安井委員 やっと今現実のお答えが出たわけでありますけれども、信託というものの仕組みと農地法の精神とは、今のお話し合いの中からもおわかりになるように矛盾しているわけです。だから農地法の精神と信託という一つの仕組み、こういうものは矛盾が必ず出てくると私は思うわけであります。
そこでさらに伺いたいのは、委託者である農民が離村した場合は、これは一応不在地主を認めたということになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/104
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105・庄野五一郎
○庄野政府委員 貸付目的におきまする農地信託におきまして、前の所有者が離村するという場合も考えられるわけでございます。この場合におきまする当面の農地の所有権は農協に移っておるわけでございまして、法形式的には信託行為を受託いたしました農協が土地の所有者である、そうしてその信託行為の範囲内において新しい組合員に土地を貸していく、こういうことに相なろうかと思います。
それから信託行為によりまして六年以上ということになりまして、また村に帰ってきて自分で耕作するということになりますれば、信託行為の範囲においてもとの地位に返る、こういう建前をとっておるわけであります。農地法で言ういわゆる農地改革当時もっぱら努めました旧地主的なものがこれによって発生するとわれわれは全然考えていないわけであります。いわゆる不在地主的なものが反射的、結果的には出る場合もあろうかと存じますが、農地法で言ういわゆる旧地主がこれによって発生するということは全然考えられないとわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/105
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106・安井吉典
○安井委員 農地局長はきわめて農地改革制度の基礎を守ろうとというお考えが旺盛なものですから、不在地主だとか、農地法に反するとかという言葉をずいぶんおきらいになるものですから御答弁が大へん長くなるわけでありますが、しかし今のお話の中からもはっきりうかがえますことは、やはり期間を切った不在地主というものをはっきり法律で認めるということになるわけであります。この点は明らかであります。
さらにまたこの運用の問題でありますけれども、この売り渡し信託というふうな方法がどれくらい利用されるかということであります。これは自分の土地を自由に処分することができないような人が農協に頼みに来るのであろうと思うわけでありますけれども、一体この制度が売り渡し信託あるいは貸付信託、どちらもそうでありますけれども、どれくらい利用されるであろうかということを予想されておられますか、それを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/106
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107・庄野五一郎
○庄野政府委員 新しい制度でございますので、これについての見通しはなかなか立たない状態でございます。ただわれわれが考えますのは、まず特に海外に移住するとかあるいはもう全然農業をやめて都会に出る、そういったはっきりした面については売り渡し信託を利用されていく、こう思うわけでございまして、そういうものがどの程度出るか、これは今後の農村における労働市場の状況によるかと思います。
なお貸付信託というものから徐々に売り渡し信託の方にもまた発展する可能性もあろうかと思います。数量的にこれを把握するということは、現在の段階においてはなかなか困難じゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/107
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108・安井吉典
○安井委員 私は現実にはこういうケースが当面現われてこないのではないかというふうな気がいたします。と
いうのは、売り渡しにいたしましても、自分で勝手にもっと有利に売れるというふうな道が開かれてある以上、農地価格は自由なんですから、しかも売買は自作地であれば自由なんですから、そういうような道がある以上は、あまりそういうふうなケースが現われてこないのではないかというふうな気がするわけであります。しかしこれは予想ですからまだ何とも言えないわけでありますが、ただ考えられますのは、現実に今ある問題でありますけれども、農業協同組合が農家に融資をしている場合があります。ところがその借金が雪だるま式にたまりまして、にっちもさっちもいかなくなる、そういうような場合に借金のカタは農地をとってもらう、そういうケースが現実にあります。ですからそういう場合は今でも違法なのかもしれませんが、農協は何らかの形で農地を担保に実際はやっているのではないかと思います。やっているというふうな例があるようです。それが今度の信託の制度ができれば全くしっくりしたような仕組みになって、結局借金のカタに農地をとるのにきわめて都合がいい仕組みができた、そういうようなことになるのではないかというふうな気がするわけであります。これも現実問題としていろいろ考えなければならない面もありますけれども、むしろそんなようなケースが多くて、実際のところはこれがそう善用をされるという道が割合にないのじゃないかというふうな気がいたします。
そこで今私は農協の借金のカタにとるというふうな問題にちょっと言及したわけでありますけれども、その農協自体は、この法律の中では受託者として現われてくるわけです。ところが、信託法の第九条の規定だと思いますが、受託者の利益享受の禁止の規定があります。「受託者ハ共同受益者ノ一人タル場合ヲ除クノ外何人ノ名義ヲ以テスルヲ問ハス信託ノ利益ヲ享受スルコトヲ得ス」という規定があります。これに関連いたしまして、今の農協が自分の借金整理のためにこういったような処理をする、こういうような仕組みについて、この規定とどういうふうに考え合わせられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/108
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109・庄野五一郎
○庄野政府委員 農地の信託につきましては、農協は受託者といたしまして信託契約に定められた方法、これは売り渡し信託があるいは貸付信託、それ以外にはこの農地信託については農協はやれない仕組みになっております。それで売り渡し信託におきましては、これは売り渡しを目的に信託を受けるわけでございますので、先ほど安井先生が御指摘になりましたように、受託者としては善良なる管理者の注意義務をもちまして組合員にこれを売って、その取得価格から手数料、不動産の登録料その他の必要経費を引いたものを委託者に渡す、こういうことに相なるわけであります。これについて、いわゆる必要経費、手数料だけをとる、こういうことに相なるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/109
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110・安井吉典
○安井委員 大臣、いかがでしょう。今の信託の仕組みについて、私はこれが出てくる必然性は全くないとは言いませんけれども、しかしながら信託法というふうな一つの法律をかりに借り着してきまして、その借り着によっていわゆる農地の異動を促進しようという苦肉の策だと私は思うのです。ところが、一たん借り着してきた信託法の規定の方が積極的に動いて、農地改革の本旨というようなものをその借り着の信託法の気持によって動かされてしまって、結局制度の基本を失うようなおそれがある、私はそう思うのですが、大臣はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/110
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111・河野一郎
○河野国務大臣 私は農村の構造を改善し経営規模を拡大して参ります必要性は、今日どなたも非常に強く要望していらっしゃると思います。その際に、いかにして農地を集団化していくか、これを結集していくかという道を考えましたときに、一方においては土地に対する愛情、愛着というものは非常に強い、必要以上に強いから、そこに必要以上のケースを越えての農地価格が出てくるということだと思うのであります。これをいかにして合理的にそのケースを乗り越えて参るかといえば、これは一つの手段だろう、こう考えるのでございます。これより他に適当な道があれば、それもやったらよろしい。これ一つに限ったものではありません。あらゆる方法をもって、農業の近代化、新しい農業というものを充実して参ります手段に使うということは、一向差しつかえないのじゃないか。今お話を承っておりますと、農地法をこれによって混淆するようなことがあったら大へんだということに非常に御心配のようでありますが、農地法の精神はあくまでも守ります。しかし、農地法の精神を守ることが農村の幸福を唯一のものだとは私は考えません。農村の経営を安定し、農村の幸福を守る唯一の道は、自立農家の育成であり、強化であり、ここに最終目標を置くべきである、この農地法の精神を守ることはその一つの手段である、こう私は考えておりまして、いろいろな面からこれを加えて施策して参ることが適当ではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/111
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112・安井吉典
○安井委員 大臣がおっしゃるその目的は、私どもよくわかります。あくまでも農地の拡大によりまして経営を安定させていこうという、そのお気持はわかります。その公益的な目標は、これはわかるわけでありますけれども、しかしながら実際のところは先ほどの農地局長の御答弁でも明らかなように、不在地主が認められたり、あるいはまた一般の賃貸借であれば農民保護が強いのに、土地取り上げを可能にしたり、こういうような点から私どもは目標は正しいかもしれないけれども、借りものの着物の仕組みの方に災いをされて、数々の問題を提起するのではないか、そういうふうな印象を今の御答弁でもぬぐうことができないわけであります。
次に開拓不用地の処理の規定があるようでありますが、これをさらに今後は旧所有者優先で払い下げをしていく、さらにまたそれを一般承継人にまで拡大をしていく、こういうようなお考え方がここで示されているわけであります。ただ私は、これは大臣にお尋ねをしたいのでありますが、開拓については今後の新たな取得をやめて、土地取得を広げていくという方向ではいけないというふうなお考え方をかつてお示しになっておられたわけでありますけれども、そういうようなお考え方が今度の農地法の改正の中にも現われてきたものだと私どもは理解せざるを得ないわけであります。しかしながら零細経営を克服しなければいけない、そのための耕地面積の拡大に期待しなければいけない、こういうようなお考え方が先ほど来強く示されたわけであります。そういたしますと、今まで取得されております開拓財産を戻してしまう。その戻し方にももちろん問題はあると私は思うのでありますけれども、戻してしまうという考え方では、耕地拡大を期待する農民の気持に反するのではないか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/112
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113・庄野五一郎
○庄野政府委員 開拓財産として買い取りました未墾地あるいは農地、旧自創法時代に買収されまして保有いたしております農地、そういうものはそれぞれ農地につきましては自作農創設の目的を持って、それから未墾地につきましてもこれを開墾しまして自作農を創設安定する目的を持って、買収されているわけであります。これが自作農創設の目的上不用となりました場合は従来通り八十条で旧所有者に返したわけであります。それが旧所有者につきましては、その一代限り、こういうことに相なっていた次第でございます。この市町村有等のものにつきましても、市町村合併等が再々行なわれまして、いわゆる吸収合併等なされました場合に、旧所有者であります市町村にこれが返せないといったような面に非常に不都合があるわけであります。不用地を返します場合のその範囲をただ一般承継人にまで拡大したにすぎないわけでありまして、特に不用地の範囲を拡大して払い下げる、そういう意味のものではございません。一代限りだったものを一般承継人にまでただ範囲を広げていくというのが公平の原則に合う、こういうふうに考えて処理いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/113
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114・安井吉典
○安井委員 そこで大臣にお尋ねをしたいわけでありますが、今の御答弁では、私はどうも不満なわけであります。何か開拓不用地を旧地主に返すというふうなことから、例の旧地主補償の何か足がかりをこの規定の中から作ろうとなすっているのではないか、こういうようなこれは邪推かもしれませんが、そう思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/114
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115・河野一郎
○河野国務大臣 そういう考えは毛頭持っておりません。むしろ積極的に、私は今まで申し述べておりますように原野をいかにして開墾し、いかにしてこれを農地に拡大をし、これを利用して自立農家を達成するかという方向に積極的に前進して参ろうと考えておるのでございまして、今お話のようなことは全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/115
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116・安井吉典
○安井委員 そこでちょっと関連して伺いたいのでありますが、農業構造改善事業の中でも、そういうような林野を開放して、もっと、たとえば草地を造成していこうというようなお考え方があるということも伺うわけであります。ただ農業構造改善事業の場合は特定の一地域、具体的には市町村を単位としてお考えになっておられるようでありますが、そういう草地の造成、開拓で、すでに国有地となっているものやその他林野だとかそういうものを払い下げて、畜産のための大きな基礎を築こうというふうなお仕事は主産地形成という表現をしても差しつかえございませんが、そういうものは一つの市町村だけでなしに、もっと大きく県単位とか郡単位とか、そういう広い範囲でお進めになる、そういうふうなお気持はないか。ですから農業改善事業は何か小さなワクがはまって一つ一ついっているようでありますが、そうでなしに、その上に重ねて、大きな改善地域といいますか、そういうものを形成していくというところに、こういう財産を処分をしていく、こういうお気持はないかということをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/116
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117・河野一郎
○河野国務大臣 むろん適当な酪農事業の経営ということになりますれば、これまでよりももう少し大規模にしていかなければいかぬだろうと考えます。従ってこれは適地がございますれば大規模のものをどんどん扱うということに指導して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/117
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118・安井吉典
○安井委員 そのお考え方は、農業構造改善事業のワク内で今のようなそれをなさろうとするのか、それとも別なワクでなさろうとするのか、お考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/118
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119・河野一郎
○河野国務大臣 今年度の予算にもすでにお認めいただきましたように、予算としては二億程度のものでございますけれども、構造改善の中にこれを入れて利用するという場合もございますし、ワクの外で適当のものがあればどんどんかかっていくというふうな一応建前にして、農業改善のワクの外で適地の開墾を奨励して参るというつもりであります。明年度におきましてはもう少し大規模にしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/119
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120・安井吉典
○安井委員 明日は大臣がおられないそうでありますので、もう一つだけ伺ってあとの質問は明日に譲りたいと思います。
今度の農地法あるいは農協法の改正の中で農事組合法人の規定に法文の相当部分がさかれているわけであります。法人化あるいは共同化の問題についてそれを進めることには私どもも賛成でありますが、ただこの規定を見ますと、設立だとか解散だとかそういう問題が非常にむぞうさに扱われているような気がするわけです。社団法人の例にならってごく簡単な姿でこの登記その他ができるように、いわゆる届出主義といいますか、そういうようなことができるようにというような配慮がなされているというように聞きます。しかしながらその反面に法人に対する保護なり助成なりというふうな積極的なお気持というものがこの法案の中にないわけです。ですから私どもは今度の農業生産法人をいろいろお考えになってはいるけれども、とにかく格好だけはつけておくのだ、しごく簡単に投げやりにしておいて、積極的にこれを保護、助成していくというお気持は——だからあまりしっかりした基礎がないものですから、保護、助成の方は投げやりにしていくのだというようなお気持があるのではないかというような気がするのでありますが、その法人に対する今後のお気持、お考え、そういうものを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/120
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121・坂村吉正
○坂村政府委員 かわりましてお答え申し上げますが、農業生産法人は、御指摘のように設立を非常に簡素化いたしまして、戦争前の農事実行組合と同じような姿で登記をすればいいということ、それから行政官庁に届出をするというふうに非常に簡素化にしたわけでありまするが、今のところいろいろ農業近代化資金であるとかそういった金融の面におきましては、もちろんそういうようなものが末端では一つのまとまりになりまして、融資の対象等にはなろうと思うのでありますけれども、特にこれに対しては補助をどうこうということはまだ別に考えてはおりません。しかし一面におきましては、農業経営を行なうような者については農業協同組合の正会員にする、こういうようなことで全体としての活動が動いて参りますように、そういう配慮をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/121
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122・安井吉典
○安井委員 大臣、大体問題点はおわかりになったと思うわけでありますが、その農業生産法人に対して今後どういうふうなお気持でやっていかれるのか。特にこれは自立農家の問題と並んでくると思うわけであります。どちらに力を置いてお進めになるか、それを一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/122
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123・河野一郎
○河野国務大臣 御承知のように、まず基盤を自立農家に置きますけれども、農業はあくまでも単位をなるべく大きくしていく必要があると思うのであります。共同化が必要でございます。その意味におきまして、なかなか共同と申しましても今日地方の実情でこれは困難な場合が非常に多いわけであります。そういう場合に法人格を与えましてそれを一つの単位にしてなるべく皆さん集まって協業をして参るように指導して参りたいというように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/123
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124・安井吉典
○安井委員 その自立農家と共同化とどちらに重点を置いていかれるか、それを最後に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/124
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125・河野一郎
○河野国務大臣 自立農家が集まって法人を作りまして、そうしてなるべく協業し、これが農村の基盤になっていくようにいたしたい。なるべくみんなに共同の精神を育成して参るためにも基盤を強化して参るようにこういうものを取り上げたらいいだろう、こういうことで奨励いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/125
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126・安井吉典
○安井委員 どうも僕らの理解と違うようであります。農業基本法の中にはいわゆる「自立農家」と「協業」と書いてありますが、その二つを別々なものとして出しておられるようです。そこで私はどちらにウエートを置かれるおつもりか、こういうことをお聞きしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/126
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127・河野一郎
○河野国務大臣 自立農家と申しましても、仕事はなるべく一緒にやった方がいい。単位は、経済は、仕事はなるべく協業にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/127
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128・安井吉典
○安井委員 よくわかりませんけれども、とにかく農業生産法人の問題を非常にお力を入れていかれるという大臣のお気持、自立農家の上にさらにまたその共同化を進めたいという積極的なお気持だと一応理解いたしまして、きょうのところは終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/128
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129・野原正勝
○野原委員長 明日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005007X03219620417/129
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