1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月六日(火曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長 櫻内 義雄君
理事 臼井 莊一君 理事 竹下 登君
理事 八木 徹雄君 理事 米田 吉盛君
理事 山中 吾郎君 理事 村山 喜一君
伊藤 郷一君 上村千一郎君
小澤佐重喜君 田川 誠一君
中村庸一郎君 濱野 清吾君
松永 東君 松山千惠子君
高津 正道君 杉山元治郎君
三木 喜夫君 鈴木 義男君
出席国務大臣
文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
出席政府委員
文部政務次官 長谷川 峻君
文部事務官
(大臣官房長) 宮地 茂君
文部事務官
(大臣官房会計
課長) 安嶋 彌君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 福田 繁君
文部事務官
(体育局長) 前田 充明君
文部事務官
(管理局長) 杉江 清君
委員外の出席者
文部事務官
(大臣官房総務
課長) 木田 宏君
文部事務官
(初等中等教育
局財務課長) 岩間英太郎君
文部事務官
(体育局学校給
食課長) 臼井 亨一君
専 門 員 石井 勗君
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昭和三十六年十二月二十三日
委員加藤勘十君辞任につき、その補欠として谷
口善太郎君が議長の指名で委員に選任された。
昭和三十七年一月十七日
委員濱地文平君辞任につき、その補欠として池
田正之輔君が議長の指名で委員に選任された。
二月五日
委員松山千惠子君辞任につき、その補欠として、
中曽根康弘君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員中曽根康弘君辞任につき、その補欠として
松山千惠子君が議長の指名で委員に選任された。
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一月二十二日
盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校への就学
奨励に関する法律の一部を改正する法律案(内
閣提出第七号)
市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する
法律案(内閣提出第八号)
同月二十三日
国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一五号)
同月十八日
高等学校増設等に関する請願(山中吾郎君紹
介)(第四一号)
公立高等学校増設に関する請願外十一件(賀屋
興宣君紹介)(第九〇号)
同外三十五件(賀屋興宣君外二名紹介)(第二
九三号)
公立小、中学校に事務職員及び養護教諭必置に
関する請願(前田義雄君紹介)(第一三四号)
高等学校生徒急増対策に関する請願(大高康君
紹介)(第一三五号)
図案家の著作権確立に関する請願(小川半次君
紹介)(第一三七号)
総合制高等学校増設等に関する請願(谷口善太
郎君紹介)(第一三八号)
同外一件(岡本隆一君紹介)(第二九二号)
小、中学校の教科書無償配布に関する請願外二
十六件(牧野寛索君紹介)(第一三九号)
滋賀大学附属小、中学校校舎及び土地払下げに
関する請願(草野一郎平君紹介)(第一四〇
号)
滋賀県に国立工業高等専門学校設置に関する請
願(草野一郎平君紹介)(第一四一号)
高等学校生徒急増対策に関する請願外一外(岡
本隆一君紹介)(第二九一号)
同月三十一日
平市に国立工業高等専門学校設置に関する請願
(木村守江君紹介)(第四〇〇号)
総合制高等学校増設等に関する請願(柳田秀一
君紹介)(第四二九号)
同(山中吾郎君紹介)(第四六七号)
同外二十一件(戸叶里子君紹介)(第五一三号)
同(中村三之丞君紹介)(第五一四号)
同(小川半次君紹介)(第五四六号)
同外二件(八木徹雄君紹介)(第六五五号)
同外二件(原田憲君紹介)(第六五六号)
同外三件(伊藤郷一君紹介)(第七一九号)
同(加藤勘十君紹介)(第七二〇号)
同外二件(杉山元治郎君紹介)(第七二一号)
同(田中伊三次君紹介)(第七二二号)
同外二件(高津正道君紹介)(第七二三号)
同外二件(前田榮之助君紹介)(第七二四号)
同外七件(三木喜夫君紹介)(第七二五号)
同外一件(山中吾郎君紹介)(第七二六号)
高等学校生徒急増対策に関する請願(賀屋興宣
君紹介)(第四三〇号)
同(田口誠治君紹介)(第六〇九号)
同外一件(原田憲君紹介)(第六五三号)
同外二件(八木徹雄君紹介)(第六五四号)
同外一件(伊藤郷一君紹介)(第七一二号)
同(加藤勘十君紹介)(第七一三号)
同外一件(杉山元治郎君紹介)(第七一四号)
同外一件(高津正道君紹介)(第七一五号)
同外一件(前田榮之助君紹介)(第七一六号)
同外一件(三木喜夫君紹介)(第七一七号)
同外一件(山中吾郎君紹介)(第七一八号)
同(中澤茂一君紹介)(第七九三号)
同(原茂君紹介)(第七九四号)
同(松平忠久君紹介)(第七九五号)
学校建築費国庫補助単価の引上げに関する請願
(吉村吉雄君紹介)(第四三一号)
小、中学校の教科書無償配付に関する請願外三
件(牧野寛索君紹介)(第四六六号)
同外三件(牧野寛索君紹介)(第五七九号)
同外三件(牧野寛索君紹介)(第六一一号)
同外一件(牧野寛索君紹介)(第六五二号)
公立高等学校の増設等に関する請願(山中吾郎
君紹介)(第四六八号)
公立高等学校増設に関する請願外二十二件(本
島百合子君外二名紹介)(第四七三号)
同外四件(本島百合子君外二名紹介)(第五八
〇号)
同外十二件(鈴木茂三郎君紹介)(第八二一
号)
高等学校増設等に関する請願(櫻内義雄君紹
介)(第五一二号)
学校給食用小麦粉の国庫補助継続に関する請願
(江崎真澄君紹介)(第五四五号)
高等学校生徒急増対策及び公立義務教育諸学校
の施設整備等に関する請願(大村清一君紹介)
(第五七八号)
長野市に国立工業高等専門学校設置に関する請
願(中澤茂一君紹介)(第七九〇号)
同(原茂君紹介)(第七九一号)
同(松平忠久君紹介)(第七九二号)
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数
の標準に関する法律の改正に関する請願(中澤
茂一君紹介)(第七九六号)
同(原茂君紹介)(第七九七号)
同(松平忠久君紹介)(第七九八号)
は本委員会に付託された。
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一月十九日
義務教育費国庫負担増額に関する陳情書
(第五号)
公立義務教育諸学校建築に係る算定基準坪数の
改正等に関する陳情書
(
第六号)
義務教育施設の整備充実に関する陳情書
(第
七号)
同
(第八号)
日本学校安全会の国庫補助増額に関する陳情書
(第三九号)
私学振興助成措置に関する陳情書
(第五七号)
義務教育施設の整備費全額国庫負担に関する陳
情書(第
五八号)
日本学校安全会の人件費全額国庫負担に関する
陳情書
(第五九号)
宮城県に国立ろう幼稚園設置に関する陳情書
(第六〇号)
宮城県に国立高等専門学校設置に関する陳情書
(第六一号)
小麦粉補助を含む学校給食予算確保に関する陳
情書外十七件
(第一
二三号)
学校給食義務制の早期実現等に関する陳情書
(第一二四号)
同(第一二五
号)
同外三件
(第一
二六号)
へき地学校のスクールヘルスバス配置費国庫
補助等に関する陳情書
(第一二七号)
日本学校安全会の人件費全額国庫負担等に関す
る陳情書
(第一二八号)
公立図書館の国庫補助増額に関する陳情書
(第一二九号)
高等学校生徒急増対策確立に関する陳情書
(第一三〇号)
同(第一三一号)
宇部市に国立工業高等専門学校設置に関する陳
情書(第一三二
号)
同(第一三三号)
中学校における産業教育促進に関する陳情書
(第一三四号)
二月五日
へき地教育振興に関する陳情書
(第一六八号)
特殊教育振興に関する陳情書
(第一六九号)
公立小中学校建築標準単価の引上げに関する陳
情書
(
第一七〇号)
高等学校普通科の家庭科設備費国庫補助増額等
に関する陳情書
(第一
七一号)
茨城県教育委員会に関する陳情書
(第二〇九号)
公立高等学校生徒急増対策確立に関する陳情書
(第二一四号)
同(第三四五号)
同(第三四六
号)
同(第三四七号)
日本学校安全会の人件費全額国庫負担等に関す
る陳情書外十八件
(第二二五号)
義務教育教科用図書の無償配布等に関する陳情
書
(第二四六号)
同(第三四三号)
義務教育施設整備費国庫補助増額等に関する陳
情書
(第二四七号)
養護学校の設置促進等に関する陳情書
(第二四八号)
学校給食用小麦粉の国庫補助継続に関する陳情
書
(第二四九号)
町村教育長給与の国庫補助率引上げに関する陳
情書
(第二八九号)
公立学校教職員の新年金制度実施に関する陳情
書
(第二九〇号)
高等学校の定時制教育及び通信制教育の振興に
関する陳情書
(
第二九一号)
高等学校の定時制教育及び通信制教育の予算に
関する陳情書
(第二九二号)
義務教育施設の整備拡充に関する陳情書
(
第二九三号)
小麦粉補助を含む学校給食予算確保に関する陳
情書
(第二九四号)
同
(第二九五号)
公立文教施設整備新三箇年計画の樹立に関する
陳情書
(第二九六号)
公立文教施設の国庫補助増額に関する陳情書
(第三〇九号)
学校給食の完全実施に関する陳情書
(第三四四号)
スポーツ振興法施行に伴う初年度予算の確保に
関する陳情書(
第三四八号)
スポーツ振興法関係予算の確保に関する陳情書
(第三四九号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会に関する件
盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校への就学
奨励に関する法律の一部を改正する法律案(内
閣提出第七号)
市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する
法律案(内閣提出第八号)
国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一五号)
昭和三十七年度文部省関係予算について説明聴取
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/0
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001・櫻内義雄
○櫻内委員長 これより会議を開きます。
この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。
本委員会で調査中の学校教育に関する件、特に岩手県における学力調査に関する問題について、地方行政委員会より連合審査会開会の申し入れがございました。つきましては、本委員会といたしましては、地方行政委員会と連合審査会を開会することといたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/1
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002・櫻内義雄
○櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、連合審査会開会の日時は、地方行政委員長と協議の上、来たる二月九日金曜日、午前十時より開会することといたしましたので、御了承願います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/2
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003・櫻内義雄
○櫻内委員長 文教行政に関し、調査を進めます。
この際、文教行政に関し、荒木文部大臣より発言をを求められておりますので、これを許します。荒木文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/3
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004・荒木萬壽夫
○荒木国務大臣 昭和三十七年度の文部省所管の予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
昭和三十七年度文部省所管の予算額は、二千八百九十五億九千九百六十三万円でありまして、一般会計総予算の約一二%を占めております。
これを補正後の前年度予算に比較いたしますと、三百八十六億五千九百五十五万三千円の増額であり、その増額分の内訳としては、義務教育費国庫負担金百二十九億円、国立学校運営費百十八億円、国立文教施設整備費六十億円等がおもなものであります。
以下、明年度予算案において特に重点として取り上げた施策について申し上げます。
まず第一は、初等中等教育の改善充実でありますが、この点につきましては、前年度に引き続き、義務教育諸学校における教職員の充足と学校施設の整備を推進することを重点といたしましたほか、新たに昭和三十八年度小学校第一学年に入学する児童に対する教科群を無償とするために必要な経費を計上いたしております。
義務教育に従事する教職員の定数につきましては、小学校児童数の減、中学校生徒数の増、並びに学級編制基準の改善に対応した増員を見込んでおりますほか、充て指導主事の増員、昇給、給与改定の実施、諸手当及び教材費の増額、共済年金制度の実施等に要する経費を含め、義務教育費国庫負担金千五百四十二億円余を計上いたしました。
次に学校施設につきましては、引き続きその整備を推進することとし、小、中学校校舎の整備、危険校舎の改築、屋内運動場、学校統合に伴う校舎等の整備、工業高等学校の一般校舎の整備等のため、公立文教施設整備費百一億七千万円余を計上いたしましたが、小、中学校における特別教室の整備、構造比率の改訂等は、特に配意した点であります。
次に、義務教育教科書を無償とすることは、憲法に規定する義務教育無償の理念を一段と推進しようとする趣旨でありまして、その実施に関する基本的諸事項につきましては、別途調査会を設けて調査審議することとしたい考えであります。
第二は科学技術教育の振興であります。
科学技術に関する教育研究の拡充強化をはかることは、わが国経済の発展の基礎をつちかうものであり、また国民所得倍増計画の達成を期する上においても緊要な事柄であります。
このことにつきましては、かねて努力を続けて参ったのでありますが、三十七年度予算案におきましてもさらに力を注ぐこととし、初等中等教育、大学教育及び学術研究の各面にわたって所要経費を増額計上いたしております。
まず、初等中等教育につきましては、理科教育及び産業教育関係の補助金を大幅に増額し、施設設備の改善充実をはかっておりますが、特に高等学校工業課程の拡充をはかるため、前に述べました一般校舎の整備のほか実験実習の施設設備の整備についても国庫補助を増額し、中堅技術者の不足に対処することといたしたのであります。
次に大学教育につきましては、専門技術者養成のため、国立の大学及び短期大学において理工系学生を千三百四十人増募することとし、このために、必要な学科の新設、改組を行なうほか、新たに、国立高等専門学校十二校を創設し、また原子力、基礎電子工学、防災科学、宇宙科学等に関する教育及び基礎的研究を推進するため、講座及び研究部門の増設を行ない、さらに海洋研究所及び経済研究所を創設することといたしました。
以上のほか、国立文教施設整備費の画期的増額を行ない、所要額百三十一億円余を計上し、また教育研究の充実向上をはかるため、国立学校における教官研究費、教官研究旅費、学生経費並びに科学研究費交付金等の増額を行なっております。
第三は教育の機会均等の確保と人材の開発であります。
優秀な学徒で経済的に困窮している者に対して国がこれを援助し、その向学の志を全うさせることは、きわめて重要なことであります。このため三十七年度予算案におきましては、特別奨学生の増員等既定計画を推進することによって引き続き育英奨学制度の拡充をはかることといたしましたほか、大学教官の養成確保の見地から、大学院博士課程にかかる奨学金単価を引き上げることとし、六十三億円余を計上いたしております。なお、沖繩在住の高等学校生徒に対しましては、前年度に引き続き、特別奨学制度を実施するため、所要の資金援助を行なうことといたしております。
次に要保護、準要保護児童生徒対策、僻地教育、特殊教育等、恵まれない事情にある児童生徒に対する援助並びに教育につきましては、教育の機会均等の趣旨にのっとり、従来からも特に留意して参ったのでありますが、明年度におきましては、一段とこれが充実をはかることといたしました。すなわち、要保護、準要保護児童生徒対策につきましては、準要保護児童生徒の比率の引き上げをはかるとともに、新たに寄宿舎居住費についても援助を行なうことといたしました。
次に、僻地教育につきましては、僻地の小、中学校のテレビ受像機、スクール・バス、ボートの設置並びに僻地教員住宅の建築等に必要な経費を計上いたしましたほか、新たに寄宿舎の整備について補助を行なうことといたしております。また特殊教育については養護学校及び特殊学級の普及並びに就学奨励費の拡充について、所要経費を増額計上いたしております。
第四は勤労青少年教育、社会教育及び体育の振興普及であります。
国家社会の発展は、健全な青少年の育成に待つところ多大であり、働きつつ学ぶ青少年の教育問題は、学校教育及び社会教育の両面にわたって深く考慮を払うべきところであります。
明年度予算案におきましては、定時制高等学校の設備の整備、定時制及び通信教育手当の支給等に必要な経費を計上いたしますとともに、夜間定時制高等学校につきましては、夜食費補助金を増額計上し、また社会教育の面におきましては、青年学級の充実振興、社会通信教育振興等に要する経費を計上いたしております。
次に、社会教育につきましては、成人教育及び婦人教育の振興、社会教育関係団体の助成等につきまして所要経費を計上いたしましたほか、公民館、図書館等の施設設備の整備については特に配慮し、予算の増額をはかっているのであります。
次に体育は、国民の健康を維持増進し、その生活を明るくする上に重要な意義を持つものでありますが、オリンピック東京大会を二年後に控え、その意義を高めるためにもこれが普及振興に努めることは、きわめて、重要であります。
まず、オリンピック東京大会の準備につきましては、必要な施設の建設、整備に一段と力を注ぐことといたしました。すなわち、国立競技場の拡充整備、屋内総合競技場建設、戸田漕艇場の改修、朝霞射撃場の整備並びに競技技術の向上をはかる等、関係予算の大幅な増額を行なっております。
また、スポーツ振興法制定の趣旨に従い国民一般に対する体育の普及奨励をはかるため体育館、プール等の体育施設の整備、スポーツ活動の振興助成等のため必要な経費を増額計上いたしたのであります。
なお、学校給食につきましては、小麦についての従来の補助を継続いたしますとともに、施設設備の整備の促進、給食内容の改善充実に関し所要の経費を計上しております。
第五は私立学校教育の振興助成であります。
私立学校教育の重要性については、あらためて申し上げるまでもないところでありますが、明年度予算案におきましては、本年度に引き続き関係経費を増額し、合計三十二億千万円余を計上いたしております。そのおもなものとしては、私立学校振興会出資金として十二億円を計上いたしますとともに、私立大学等理科特別助成費に十二億円余、私立大学研究設備助成費に六億八千万円余を計上し、科学技術教育振興の趣旨にも沿うこととしたのであります。
以上のほか、教職員の研修のための教育会館の建設、小、中学校生徒の全国学力調査、国際文化の交流、沖繩に対する協力援助、ユネスコ事業、文化財保存事業等についてもそれぞれ所要経費を計上いたしたのであります。
以上、文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/4
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005・櫻内義雄
○櫻内委員長 次に、昭和三十七年度文教関係予算の詳細について政府より説明を聴取いたします。安嶋会計課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/5
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006・安嶋彌
○安嶋政府委員 お手元にお配り申し上げました事項別表の順に従いまして予算の概要説明を申し上げたいと思います。
第一は、初等中等教育の改善充実でありまして、その(1)は義務教育費国庫負担金でございます。総額におきまして千五百四十二億円余でございまして、文部省所管予算全体の五三%強を占めております。そのうち一番金額的に大きいのは、言うまでもなく給与費でございまして、それが千四百九十三億円余となっております。これは、義務教育費国庫負担法に基づきまして、国が、都道府県が負担する給与費の二分の一を負担するに必要な経費でございます。明年度は、小学校におきまして児童が約七十五万人減少いたします。逆に、中学校におきまして生徒が約三十八万人増加いたします。中学校の生徒数は、三十七年度が従いましてピークになるわけでございます。これに伴いまして教職員数の増減があるわけでございますが、そのほかに学級規模の適正化を進めることといたしておりまして、小学校の学級編制の算定基準は、三十六年度におきましてはこれが五十六人ということになっておりますが、三十七年度におきましては五十四人と二人引き下げることにいたしております。中学校におきましては、同じように五十四人となっておるものを五十二人に引き下げることにいたしております。総生徒数の自然増減とただいま申し上げました学級規模の適正化、この二つの要素、それから特殊学級の増設、その要因によりまして、小学校におきまして教員の数が約一万一千人減少いたします。中学校におきましては逆に約一万二千人の増加となるわけでございますが、差引千三百人の教員の増を見込んでおります。
以上は教員定数の増減でございますが、次の二ページに参りまして、次は給与費の内容の積算でございます。金額的に一番大きな額を占めておりますのは、二ページのまん中にございます給与改定による増の百三十六億円余でございます。これは昨年の十月から実施されております給与改定の平年度化に伴う給与費の増額分でございます。その次は昇給による増でございますが、昇給原資といたしましては二%の二十四億円余を計上いたしております。次は旅費の増でございまして、備考にございます四千四百円を四千八百円に引き上げております。次は宿日直手当の増でございますが、いずれも備考に書いてあるような増額を行なったわけでございます。その次は多学年学級担当手当の増でございまして、従来は月額にいたしまして九百円と千二百円の二本建であったものを千二百五十円、千五百円、二千円の三本建にいたしますとともに、それぞれ単価を引き上げておるのであります。
従前とあまり変化のない点は省略をさせていただきまして、次は教材費でございますが、教材費はその単価を約二割増額をいたしております。備考に書いてありますこの単価は、いずれも児童生徒一人当たりの単価でございまして、それに各学校の規模に応じました補正を行なった上で、この負担金の配付が行なわれておるわけでございます。
三べージの下から二行目でございますが、共済組合負担金約二十七億円余が新規に計上されております。これは公立学校教職員共済組合の発足に伴いまして、長期給付の都道府県負担分の二分の一を国庫において負担するための経費でございまして、実施は十月一日以降ということで予算を積算しております。
次は公立養護学校教育費国庫負担金の関係でございますが、既設五十四校のほか新設十七校の増設を見込みまして、これらに伴いまして教職員数百二十一人の増加を見込んでいます。その他の積算につきましては、義務教育国庫負担金とほぼ同様でございまして、特に説明申し上げる点はございません。
四ページに参りまして、義務教育教科書費といたしまして、七億百九十万円を計上いたしております。このうち七億円は、義務教育、昭和三十八年度小学校の第一学年に入学する児童の教科書を無償とするために必要な経費でございまして、他の百九十万円は本省におきます調査会の経費その他の事務費でございます。
次は公立文教施設の整備でございまして百一億円余の計上いたしております。この金額は三十六年度の当初予算の額とほぼ同様でございますが、御承知の通り三十六年度の予算の中には中学校の普通教室の前向き整備分約四十億が含まれておったわけでございます。従いまして前年度額と比較いたします際には、前年度の百億から前向き整備分の約四十億を差し引いた額と比較することが適当かと思います。
次は各事項の内容でございますが、備考にもございますように、かつ大臣から御説明申し上げました通り、義務制諸学校におきましては、三十七年度より新規に特別教室の整備に必要な経費を計上いたしております。その分といたしましては約十四億円余が予定されておる次第でございます。
次は五ページに参りまして僻地集会室でございますが、この中に僻地の中学校の寄宿舎の整備に要する経費の補助といたしまして約一千万円余が新規として計上されておます。その次は学校統合に伴います校舎等の整備でございまして、金額的には前年度に比較いたしまして約八億円の増額となっております。従前の計画におきまてましては、三十二年度における基礎定数をその積算の根拠といたしておりますが、明年度におきましては最近の、つまり三十五年度の基礎定数を積算の根拠にいたしております。次は危険建物の改築でございますが、これも大体従来と同じような考え方で積算をいたしておるわけでございますが、金額的には前年度に比べて約八億六千万円余の増額となっております。次は特殊教育の建物でございますが、従来積算しておらなかった高等部の校舎を新たに積算をいたしたという点が従前と異なる点でございます。
次は非義務制諸学校の建物の整備でございますが、もちろん金額的に大きいものは危険校舎の改築でございますが、ほかに従来に引き続きまして工業高等学校の一般校舎の整備費に三億九千三百万円余を計上いたしております。この内容につきましては後ほどさらに産業教育振興費の説明を申し上げるところで触れたいと思います。なお、構造比率でございますが、小、中学校の一般校舎につきましては、従来は耐火造が五〇%、その他が五〇%でございましたが、耐火造を一〇%引き上げて六〇%いたしております。なお、学校統合、危険校舎の改築、高等学校の一般校舎におきましては、従来の耐火造六〇%を七〇%に引き上げております。全体といたしまして構造比率は約一〇%がた引き上げたということになっております。なお単価でございますが、大体は第一次補正におきまして積算いたしました単価を採用いたしておりますが、鉄筋等につきましてはごくわずかでございますが、さらに若干の引き上げを行なっております。
次は六ページでございますが、市町村教育長の給与費の補助につきましては、従前と同じ考え方で予算の積算をいたしておりますが、給与改定に伴う所要額を若干増額計上いたしております。
公立高等学校の普通課程、家庭科の教育設備費補助につきましては前年同額を計上いたしました。
次は教育会館の建設でございまして、三十六年度予算におきまして五億円の国庫債務負担行為がついておったわけでございますが、三十七年度におきましては総体で五億九千万円のいわゆる研修のための予算を計上したわけでございます。
次は科学技術教育の振興でございまして、理科教育振興法に基づき補助金を十億八千万円余計上いたしております。
次に理科教育センターでございますが、これは補助個所を従来の五ヵ所から八ヵ所に増加いたしております。
次は産業教育負担金補助金でございますが、七ページのまん中にございます。新設課程に対する補助が金額的には増加した部分でございまして、備考にもございますように三十五年、三十六年に新設いたしました課程の分のほかに三十七年度新設課程といたしまして百五十八課程、三十八年度の前向き整備分として八課程、全部で百六十六課程の新設を予定いたしまして、これに伴って必要な設備費を計上いたしております。
なお、この新設課程に伴いまして必要な実験実習室などにつきましては、八ページの備考の上から二つ目にございます新設課程の施設といたしまして約六億四千六百万円余を計上いたしておるわけでございます。新設課程の内容でございますが、これは機械課程、電気課程、工業化学課程、土木、建築の課程がその内容でございます。それから次に八ページの備考のまん中からやや下の部分でございますが、高等学校の農業教育近代化促進費、約一億円余が新規に計上されております。これは高等学校の農業教育の内容を畜産、園芸、あるいは農産加工、農業土木、そういった方面に転換をする、ないしは現在ありますものの内容の改善充実をはかるという趣旨の補助金でございます。これが新規に計上されたわけでございます。次に中学校の設備の補助でございますが、ほぼ前年同額の五億八千万円余を計上いたしております。中学校の技術家庭科の国の補助はこれをもって一応完了ということになるわけでございます。
それから次は国立学校の理工学科の新設等に伴う予算でございますが、まず原子力関係の単科の新設といたしましては東北大学と大阪大学に原子核工学科及び原子力工学科を増設いたしております。次は一般の理工系の学科の新設対策でございまして、先ほど御説明申し上げましたように、大学におきまして千二百二十名、短期大学におきまして百二十名の増募を行なうことといたしております。
十ページに参りまして、以上のほか三十七年度から創設をいたします高等専門学校十二校におきまして千二百名の増募を行なうことといたしておりますが、ほかに長岡工業高等専門学校と宇部の工業高等専門学校におきまして二百八十人の増募を見込んでおります。従いまして工業専門学校全体といたしましては千四百八十名の増ということになるわけでございます。以上合計をいたしまして三十七年度におきまする国立学校における科学技術者の計画養成数の総体は二千五百四十人ということになるわけでございます。その数字は十ページの半ばごろに書いてございます。
次は私立大学の研究設備の助成でございますが、これは前年度に比べまして若干の増額を行なっておりますが、考え方等は特に変わっておる点はございません。
次は私立大学等の理科特別助成でございますが、これは私立学校における理科系学生の増募に見合いまして必要な補助金を計上いたしておる次第でございます。
次に十一ページに参りまして科学研究の振興でありますが、その中で金額的に科学研究費交付金二十一億二千万円余が一番大きな数字でありますが、教官研究費等と歩調を合わせまして前年度の一五%増と相なっております。
次は民間学術団体の補助でございますが、まず民間学術研究機関に対する補助五千四百万円が計上されております。昨年度は二十一団体に補助をいたしておりますが、明年度は十九団体を補助対象として取り上げております。これは国庫補助金に依存する度合いの少ない、逆に申しますと経営内容の良好な研究法人を補助対象から除いたということでございます。日本学術振興会及び東洋文庫に対する補助金といたしましては、これは前年とほぼ同額を計上いたしております。
次は南極観測事業に伴う経費でございまして、南極観測事業は御承知の通りただいま観測隊が南極に行っておるわけでございますが、これが帰りますとそれで打ち切りということに相なっております。従いまして来年度の八千七百万円の予算は、宗谷の修繕費その他その事後処理費でございます。
次は国立学校の拡充整備でございますが、十二ページをごらんいただきたいと思います。学生経費につきまして二〇%の増額を行なっております。教官研究費は一五%の増額となっております。それから設備費でございますが、設備更新の年次の短縮をはかる等の措置によりまして、前年度に比べまして約五億円の増額といたしております。それから新規事項といたしましては、原子力の研究に伴う学科の新設その他理工系の学科の新設、拡充改組があるわけでございますが、これは先ほど申し上げた通りでございます。
次に大学付属病院でございますが、この点につきましては医療費といたしまして四十八億円を計上いたしております。これは前年度額の約一割増しの金額でございます。
それから大学の付置研究所でございますが、共通的な事項は省略をいたしまして、新規の事項といたしましては、十四ページにございますように研究所を二つ創設いたしております。その一つは東京大学の海洋研究所でございまして、これは海洋に関する基礎的な研究を行なうことを目的とする研究所でありますが、共同利用の研究所として創設いたすことになっております。なお備考にもございますように、二百五十トンの小型の研究船を建造するため国庫債務負担行為を別途お願いをしておるのでございます。それから研究所創設の第二といたしましては、京都大学に経済研究所を創設することといたしております。これは産業構造の基礎的な研究をはかるということをその目的といたしております。
次は国立文教施設の整備でございまして、前年度七十一億円余が百三十一億円余となっております。増加の幅といたしましては著しい増加であると考えます。内容といたしましては、科学技術教育の振興に伴う分が六十三億、それから一般の整備が三十一億円余、病院等の関係が十六億円、特定財源に伴うものが十七億円、学生会館が二億円と相なっております。この特定財源に伴う整備でございますが、これは東京学芸大学、名古屋大学等の財産を売却いたしまして、その収入を見返り財源といたしまして大学の整備をはかろうとするものでございます。学生会館でございますが、これは従来五千万円の予算を計上しておったわけでございますが、明年度はこれを二億円に増額いたします。
次は在外研究員の派遣でございますが、これは全く前年同額を計上しております。
次は教育の機会均等と人材開発でございますが、まず育英につきましては、備考にもございますように、育英会の補助金を約七千万円増加いたしております。その内容といたしましては、一般の事業庁費の増のほか、東京に育英会の支所を設けまして、関東甲信越地区の貸付金の回収事務を行なわせる、それから名古屋に支所を設けまして、東海、北陸地区の返還金の回収事務を行なわせるという計画を立てております。
次は育英会の貸付金でございまして、十六ページ以下にございますように、事業の内容といたしましては、ほぼ前年度の内容を踏襲いたしておりますが、新規といたしましては、工業教員養成所に新たなワクが設けられたという点、それから十七ページにございますように、芸術専攻科について新規のワクが設けられたという点が、事項としては新規でございます。なお金額の問題といたしましては、十六ページにございます大学院の学生に対する貸付の金額でございますが、博士課程に在学する者に対しましては、従来の月額八千円、一万二千円の貸付単価をいずれも一万五千円に引き上げることといたしております。次に特別奨学生でございますが、これは高等学校三万人、大学一万六千人分を計上いたしております。これは既定計画に伴う学年進行分でございます。
それから次は学徒援護会の補助でございますが、これは会館の移転に伴う臨時費を見積もっておる点が従来と違う点でございます。
次は準要保護児童生徒対策でございます。十八ページ以下に各事項を掲げてございますが、事項的な新規といたしましては、十八ページの一番下にございます寄宿舎居住費補助でございます。これは小中学校の寄宿舎に入舎しておる児童生徒に対しまして、市町村が準要保護児童として認定をいたしましたその者の寄宿舎費を市町村が免除いたしました場合に、国がその免除した額の二分の一を市町村に対して補助するという補助金でございます。その他の準要保護児童生徒関係の各費目につきましては、昨年と大体考え方は同じでございますが、準要保護児童の対象率を四%から五%に引き上げたということ、その他単価を実情に即して改善をしたという点が前年度と異なる点でございます。
次は二十ページに参りまして、僻地教育の関係でございますが、これもほぼ前年の方針に従った予算計上を行なっておりますが、金額的に増加いたしておりますものは僻地教員宿舎建築費の補助でございまして、戸数を四百戸から四百九十戸に増加いたしますとともに、建築単価を若干引き上げております。そういう点が従前と違う点でございます。
それから次は特殊教育の関係でございますが、その内容といたしましては、二十一ページの下の方にございますように、就学奨励費に新たに高等部の修学旅行費を計上したという点が従前と異なる点でございまして、その他の各費目につきましては、小中学校の場合に準じまして実情に即した単価の改訂を行なうことといたしております。
次は二十二ページに参りまして、全国一斉学力テストでございますが、三十六年度は中学校の国語、社会等の五教科について全国一斉学力テストを実施したわけでございますが、三十七年度におきましてはさらに小学校の五、六学年につきまして、国語、算数の二教科について全国一斉学力テストを実施したい考えでございまして、それに伴い必要な予算を計上いたしております。
次は勤労青少年教育の振興でございまして、この事項におきまして従前と特に異なっております点は、夜間定時制高等学校に対する給食費でございます。内容的には、従来はミルク給食だけを行なってきたわけでございますが、三十七年度からはさらにパンとその添加物を補助対象として計上をいたしております。その他の点は、おおむね従前の方針に従った予算積算となっております。
それから二十四ページでございますが、社会通信教育の振興、これが金額的には昨年度に比べてかなりな増額になっております。内容といたしましては、通信教育の教材基準の作成、修了者の表彰、共同学習班の助成、こういったものがこの予算の内容になっております。
次は社会教育の振興でございまして、成人教育、婦人教育、団体補助等につきましてほぼ前年の構想に従った予算を計上いたしております。
次は二十六ページに参りまして社会教育施設の整備でございますが、この点につきましては、前年度の約二割増しの予算を計上いたしております。三千四百万円の増と相なっておりますが、内容的には公民館に対する補助が主としてふえておるわけであります。図書館につきましては、農村モデル図書館の一館分が施設、設備のそれぞれにつきまして新規に計上されております。
青少年団体の活動の促進、社会教育指導者の養成、二十八ページに参りまして視聴覚教育の振興、芸術の振興につきましては、これまた従前の施策をさらに推進するに必要な経費を計上いたしておるのでございます。
二十八ページの一番下でございますが、体育の振興でございます。オリンピック東京大会の実施に必要な経費といたしまして十六億円余を計上いたしております。まず国立競技場の拡充整備費でございますが、これは本年度十億円の国庫債務負担行為をいただいております分の現金化の分約九億円を計上しております。次は屋内総合競技場の建設二億円の予算を計上いたしておりますが、これはワシントン・ハイツに建設を予定されているものの分でございます。なおこの二億円を含めまして国庫債務負担行為として二十億円を別途お願いすることにいたしております。それから戸田の漕艇場改修設計及び改修工事費は、これは拡幅、浚渫、護岸等に必要な経費でございます。それから朝霞の射撃場の建設費の一億円は、これはライフル射撃のためのものでございまして、予算の執行上は防衛庁に移しかえになるものでございます。
次は国民体育施設の整備でございますが、三十ページの備考にございますように、体育館、プール、運動場につきまして所要の補助金を計上いたしております。
それからアジア競技大会に対する選手団派遣費の補助でございますが、これはことしの八月ジャカルタで行なわれますところの、いわゆるアジア・オリンピックに対する選手団派遣の費用でございます。
三十一ページに参りまして、学校給食費の助成でございますが、説明の便宜上三十二ページから申し上げたいと思います。三十二ページの備考の上から二行目に、食糧管理特別会計への繰り入れ十四億円余というものが記載されておりますが、これは前年度十七億円余であったものを今年度は十四億円計上しておるわけでございます。約三億円減少いたしましたのは、小中学校における給食のパンを小さくいたしまして、そのために小麦の消費量が減ったことに伴う減でございます。従いまして、小麦百グラムについて一円という単位当たりの国の負担は従前と全く変わっていないのでございます。食管への繰り入れば、ただいま申し上げましたように、約三億円近く減少しておるわけでございますが、学校給食の助成に充当される予算全体といたしましては、昨年度の二十六億円余が二十七億円余になっており、約一億五千万円余の増額になっておりますが、その内容は、先ほど申し上げました準要保護児童生徒に対する給食費の補助の増額、それから給食の施設整備に対する補助金の増額、それから夜間定時制高等学校の夜食費の補助の内容の充実、そういった関係に大幅な増額を見込んだ結果、約一億五千万円の増と相なったわけでございます。
次は学校安全会の助成でございますが、これは安全会の事務費の補助のほかに要保護、準要保護児童生徒に対する国の補助金の分を計上いたしております。
次は私学振興でございまして、振興会の出資金を十二億円計上いたしております。これをもちまして振興会の出資金の総額は約九十四億円となったわけでございます。
それから私立大学研究設備の助成、それから私立大学等理科特別助成につきましては、先ほど私から申し上げた通りでございます。
次の私立学校教職員共済組合に対する補助金でございますが、これは組合員の増加、それから給与費の単価増に伴う増を計上したのでございまして、考え方といたしまして、従前とほとんど変わる点はございません。
次は国際文化交流といたしまして、まず外国人留学生の招致でございますが、備考にもございますように、外国人留学生給与月額を二万円から二万五千円に引き上げております。それから従前は東南アジア、中近東関係の留学生につきましては、来日旅費だけを計上いたしておりましたが、三十七年度におきましては新たに帰国旅費を計上することにいたしております。そういった点が従前と違う点でございます。
それから三十四ページに参りまして、沖繩の教育に対する援助でございますが、備考のまん中あたりにございます沖繩の現職教員再教育講習に対する沖繩教育向上のための指導委員の派遣、この分が計上されております。これは三十六年度予算には計上されておりませんでしたが、三十五年度予算には計上されておった分がここに復活したわけでございます。その他の点につきましては大体従来の施策を推進いたしております。
次は文化財保存事業に対する予算でございますが、前年度五億七千万円余を約七億円といたしております。従来の事業をさらに推進したいというために必要な経費でございます。なお事項的な増額の注目すべき点といたしましては、国定重要文化財等の買い上げ費が五千万円から八千万円に増額になっております。
次は国立劇場の建設関係の経費でございまして、懸賞募集を行なうまでの必要経費が計上されております。
次は京都国立博物館の新常費といたしまして、八千九百万円が計上されております。
以上概要御説明を申し上げました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/6
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007・櫻内義雄
○櫻内委員長 引き続き、盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正・する法律案及び国立学校設置法の一部を改正する法律案の三案を一括議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/7
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008・櫻内義雄
○櫻内委員長 荒木文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/8
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009・荒木萬壽夫
○荒木国務大臣 今回、政府から提出いたしました盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校への就学奨励に関する法律が昭和二十九年に制定されまして以来、これらの学校への就学の奨励はきわめて大きな効果をおさめてきておりますが、さらに就学の普及奨励をはかるため、今回この法律の一部を改正し、高等部の生徒にかかる修学旅行費を新たに就学奨励費の対象に加えることといたしたのであります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。
次に、このたび政府から提出いたしました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
現在、科学技術に関する専門的知識を必要とし、かつ採用による欠員の補充が困難と認められる職に新たに採用された職員に対し、初任給調整手当が支給されており、高等学校の工業の教科を担当する教諭がその対象となっておりますが、一般職の職員の給与に関する法律の改正により明年度から初任給調整手当の支給対象が拡大されることとなり、専門的知識を必要とし、かつ、採用による欠員の補充について特別の事情があると認められる職に新たに採用される職員に対しても初任給調整手当が支給されることとなりました。
この法律案は、右の改正に伴い、今後市町村立の小学校、中学校、盲学校、ろう学校または養護学校の職員に支給されることとなる初任給調整手当についても、その他の給与と同様に都道府県の負担とする旨の規定を設けるとともに、所要の規定を整備することといたしたものであります。
以上がこの法律案の提案の理由及びその内容であります。
次に、このたび政府から提出いたしました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、昭和三十七年度における国立大学附置の研究施設及び国立高等専門学校の新設等について規定したものであります。
まず、国立大学附置の研究施設の新設につきましては、東京大学に海洋研究所を、また京都大学に経済研究所をそれぞれ附置することとしたものであります。海洋研究所は、海洋に関する基礎的研究をその目的とするもので、大学関係者等の共同利用に供する研究施設として設置することといたしたものであり、経済研究所は、産業経済に関する総合研究を行なうことをその目的とするものであります。
なお、東京大学附置の生産技術研究所は、千葉県千葉市の現在地から東京都港区へ昭和三十五年以来順次移転を行なって参り、本年度中に移転を完了することとなっておりますので、これが位置の変更を規定するものであります。
第二は、国立大学の学部の名称変更についてでありまして、東京農工大学は、昭和三十四年度以来繊維学部に工学系の学科を順次増設して参り、このたび既設の繊維工学関係の学科とあわせて一応工学部としての組織が整うこととなりますので、これを工学部に改めることといたしたのであります。
第三は、国立大学に包括される旧制大学の廃止についてでありまして、これにより、昭和二十四年以来経過的に存続しておりました旧制の国立大学は、すべて廃止されることとなるわけであります。
第四は、国立高等専門学校の新設についてであります。昭和三十六年六月十七日に公布施行された学校教育法の一部を改正する法律により、新たに高等専門学校の制度が創設されたのでありますが、昭和三十七年においては、函館、旭川、平、群馬、長岡、沼津、鈴鹿、明石、宇部、高松、新居浜、佐世保の計十二校の国立工業高等専門学校を設置し、科学技術振興の一環として、中堅技術者の養成をはかろうとするものであります。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、以上三案に対しまして、十分御審議の上、御賛成下さるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/9
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010・櫻内義雄
○櫻内委員長 質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/10
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011・櫻内義雄
○櫻内委員長 文教行政に関し質疑の通告がありますので、この際これを許します。山中吾郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/11
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012・山中吾郎
○山中(吾)委員 大臣の三十七年度の予算についての御説明をお聞きしたわけでありますが、疑問の点はたくさんございます。しかし、これは後日に譲ることにして、お聞きしたいことは、昨年の通常国会及び臨時国会において、この委員会において全員一致で附帯決議をしたものが数件ございます。これについて、来年度以後の文教方針あるいは予算編成について、十分考慮をされたと思いますが、その点について文部大臣は、この予算が編成されるについて国会の意思を尊重して、数件の附帯決議について十分考慮されたかどうか、先にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/12
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013・荒木萬壽夫
○荒木国務大臣 法案の御審議等に関連いたしましての附帯決議が国会の御意思であることは御指摘の通りであって、その附帯決議の趣旨は、当然行政府として尊重すべきことは論を待たないと存じまして、そういう心がまえで対処いたしたつもりでございます。あるものは予算の中に、十分とは申せないかしれませんが、考慮いたしておるつもりでございます。また他のものは、法律ではございませんが、政令以下の法的措置によって、御趣旨を体して実現したいと目下関係省とも協議中のものもございます。一部附帯決議の御趣旨に沿いかねたものもございますが、それは当面やむを得ないと考えられたことと私どもは一応思っておるわけでありますが、具体的にはちょっと私も記憶いたしておりませんので、必要ならば政府委員からお答えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/13
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014・山中吾郎
○山中(吾)委員 国会の意思として附帯決議をしたので、形式的にしたのではない。ほかのことはお知りなくとも、附帯決議事項だけは、文部大臣は直接知っていなければならぬと私は思うのですが、数件あるのですが、御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/14
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015・荒木萬壽夫
○荒木国務大臣 それは知っておりますが、全部暗記しておりませんから、時間の節約上政府委員からお答えさせていただくことをお許ししていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/15
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016・山中吾郎
○山中(吾)委員 ほんとうでしょうね——それじゃお聞きしますが、養護教諭等の充実に関する件ですね。第三十八回国会の附帯決議は、大臣も責任をもって努力するとここでお答え願っておるわけですが、これは「児童、生徒の保健の完璧を期し、学校運営に支障なからしめるため、政府は、次の措置を講ずべきである。一、小、中、高等学校における養護教諭の近い将来において必置制を期し、その年次計画的充実をはかること。二、へき地学校における数校兼務の養護教諭を解消するよう努めること。」これについて予算面にわれわれの附帯決議がどういうふうに現われているのか。もし実現できなかったとすればどういう事情であるか。この点をお聞きしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/16
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017・福田繁
○福田政府委員 この問題につきましては、御承知のように将来小中学校の定数問題も再検討の必要があると考えておりますが、昭和三十八年以降におきまして現行の標準法をいろいろ検討しなければならないという問題と関連いたしまして、十分研究いたしたいと考えております。ただ三十七年度予算におきましては、五大学に養護教員の養成所を、一年過程でありますが設けまして、毎年百五十人ずつ計画的に養成するという措置を講じて、できる限り附帯決議の趣旨に沿うように努めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/17
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018・山中吾郎
○山中(吾)委員 その次の「へき地学校における数校兼務の養護教諭を解消すること」については……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/18
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019・福田繁
○福田政府委員 この問題も定数の問題と関連いたして、十分将来研究したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/19
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020・山中吾郎
○山中(吾)委員 将来という言葉を言われれば何年たっても将来なので忘れないように……。大臣もこの養護教諭については御認識があると思いますけれども、これはPTAの世論を見るとほとんど全国民的な切実な要望だと思います。健康教育から、僻地の場合についてはむしろ無医村の医者の代理をしたり、産婆さんの代理をしたりする、そういう社会教育的なものも含んで、そして学校教育の中から地域の、村全体の全村教育的な意味を持っているのですから、これは一つ将来定数に関係してとか、そういう一般論でなしに、頭に入れて努力していただきたい、そういう切実なものを含んで決議しているので、形式的にしているのではないわけです。五大学の養護教諭がちょっぴり頭を出した、何年計画でいけるか、わからぬけれども、その努力をされたことには敬意を表しますけれども、このままでいくと何年たっても各学校に一名置くというようなことができないので、さらに三十八年度もそういう率でなしに努力するように、今度新しく福田局長が担当局長になられたのですが、頭の中に入れておいてもらいたい。
それから次の「学校運営の支障なからしめるため事務職員の充実を期すること」これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/20
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021・福田繁
○福田政府委員 この点も定数問題と関係いたしておりますので、十分研究いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/21
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022・山中吾郎
○山中(吾)委員 予算面に全然出ていないので、この点は努力する余地がなかったように見えますけれども、附帯決議ということは、とにかく与野党一致したものなんですから、事務職員を充実するということも軽視をしないようにしていただかないと困る。事務職員については、ほんとうは何らの努力もしていないように私に見ておるのだが、きょうは責任追及はいたしません。
その次に、義務教育諸学校の施設費等に関する件、「地方財政と父兄の負担とを考慮して、政府はすみやかに、義務教育諸学校の施設費について、国庫の負担率を引き上げ、教材費についても単価の引き上げをはかるとともに、敷地に関する経費をも国庫負担の対象とする等の措置を講ずべきである。」その点について予算面には出ていない。出ていないについて、たとえば敷地の経費については、これはみなPTAその他の実質上強制的寄付という格好で新制中学が建っておるわけですから、PTAの負担を軽減する、義務教育無償の関係からいって、これは切実な超党派的に努力すべき事項だと思うので、おそらく予算折衝の中では努力はされたに違いないと思うのですが、これは大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/22
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023・荒木萬壽夫
○荒木国務大臣 御指摘の点は、国の予算には計上してないと思いますが、交付税等で考えてもらうように、自治省と相談をしつつあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/23
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024・山中吾郎
○山中(吾)委員 敷地ですか。それは間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/24
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025・福田繁
○福田政府委員 ちょっと補足させていただきます。御決議の趣旨に従いまして、私どもも父兄負担の軽減をはかるということについては努力したつもりでございます。この義務教育諸学校の施設の面につきましては、負担率を現行よりも引き上げるということは実現いたしませんでした。と申しますのは、小学校三分の一、中学校二分の一は現行通りでございます。そのかわり構造比率をおおむね一〇%引き上げるとか、単価を実情に即して引き上げるというような措措を講じまして、できる限り負担の軽減をはかっていきたい、こういうことを措置したわけでございます。それから土地につきましては、三十七年度の地方債の中で、これは施設を含めた総額は約百五十五億ですが、その中で校地の取得についても、これを見るようにいたしております。そういう点で土地について補助金は組んではおりませんが、地方債で見るという建前をとっております。
それから先ほど教材費につきましては、単価アッブ二〇%ということは会計課長から御説明申し上げた通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/25
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026・山中吾郎
○山中(吾)委員 大臣は交付金で見ている、向こうは見ていないというのですが、だから附帯決議を大臣もう少し見てもらわなければ困る。でたらめを言われては困る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/26
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027・荒木萬壽夫
○荒木国務大臣 交付金と地方債との間違いでございまして、自治省と相談するようにしましたことは事実です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/27
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028・山中吾郎
○山中(吾)委員 それから夜間の高等学校生徒の保健に関する件、「勤労しつつ夜間の高等学校に通学する生徒の保健問題の重要性にかんがみ、政府はすみやかに、次の措置を講ずべきである。一、給食、休憩、診療等に必要な施設、設備の整備、二、給食費に対する国庫補助率の大幅引き上げ」、この点について要望しておるわけですが、予算面については、夜間高等学校の部面に一部改善はされておるのでありますが、この中に診療施設だとか、休憩施設、いわゆる給食関係の関連施設費をわれわれは要望してあるのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/28
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029・前田充明
○前田(充)政府委員 関係の休憩、診療等に必要な施設の整備ということでございますが、これはやはり地方交付税の単位費用の改定に関連しておりまして、今後とも努力をいたしたいと思っております。現在でも一校当たり設備に十万円、施設に三十万円が出資されておるような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/29
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030・山中吾郎
○山中(吾)委員 抽象的で、診療、休憩施設についての説明がないのですが、おそらくそこまでいかなかったのだろうと思いますが、これも勤労青年の重要なものなんで忘れないように、附帯決議はいつも形式的に決議して、あとの始末をしていないので、新しく決議したものは必ず始末するようにして、文教行政の振興のために今わざわざ取り上げているのですから、一つ聞きのがさないようにして下さい。今読み上げた事項は、前の与党の濱野文教委員長あたりが中心になって何とかしたいというので努力されたので、われわれが先に言ったのではないのです。それをどっかに忘れられておる。文教委員会のわれわれの附帯決議は、そんなふまじめな、そして簡単にちょっとした思いつきでやっておるのではないので、これも忘れないようにしてもらいたい。
それから私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議として、「現在私立学校教職員共済組合法の適用外にある私立学校の教職賃並びに私学振興を目的とする関係団体職員に対し、政府はすみやかに同法適用の途を開くよう、所要の措置を講ずべきものと認める。」ということを決議しておるのですが、これについて行政的にどういう努力をされたかをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/30
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031・杉江清
○杉江政府委員 ただいまの点は、社会保障制度の各面に関連する面が多いのでございまして、その意味からただいま政府から社会保障制度審議会に社会保障制度の総合調整に関する基本方策を諮問してございます。この諮問の答申を待ちまして、その線に沿って措置したいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/31
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032・山中吾郎
○山中(吾)委員 局長は新しい局長ばかりだから十分研究されていないと思うのですが、私立学校教職員共済組合法の適用外の私立学校の教職員を成立した法律に適用するように奨励、助言することは、これは調査会も何も要らないでしょう。入っていないものを入るようにするのですから、その後どれだけ入ってどういう努力をしたかということを聞きたいわけですが、杉江局長は初めてで適当に言ったのだろうと思うので、あとで教えていただきたいと思います。
それから日本育英会法の一部を改正する法律案に対する附帯決議として、「大学及び大学院において学資の貸与をうけた後、学校教育法第一条に掲げる学校の教育職に就いたすべての者に対し、政府は貸与金の返還を免除できるよう今後検討を加えること。」ということがあるのですが、これはおそらく昨年法律が出たばかりで一年後直ちにというのは無理だと思うのですが、大学院を出た者で中学校の先生になったものは免除して、小学校の先生になったものは免除しないという法律はまことに不合理である。同じ義務教育で、しかも教育学とか心理学を担当したものが小学校に逆に先生になった場合には、普通に高等学校の方が上だ、そういう虚栄心も含んだ一般の教育心理からいっても、非常にりっぱな人がなるのであって、わざわざそれをなぜ免除したかということが、われわれにとって非常に疑問である。これは当然改正すべきだというので、これはわれわれの合理的な、それから教員の実態から要望したわけなんです。これについては何とかしましたか。これはどこの担当ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/32
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033・宮地茂
○宮地(茂)政府委員 今の点でございますが、大学院の研究科で勉強いたしますものは、非常に専門的な事項でございます。ところで一方小学校の先生は全教科にわたって教育をやる。そういった観点で、できることなれば、大学院の卒業生は、少なくとも研究科目を中心に教授できるような学校に就職してもらいたいという気持もございます。従いまして先生のおっしゃる御趣旨の一面はよくわかるのでございますが、大学院の研究の問題、それから小学校の先生のあり方、こういった点から検討を続けておりますが、今にわかに先生の御趣旨に沿うような結論には至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/33
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034・山中吾郎
○山中(吾)委員 早急に結論を出してみて下さい。そのときまた議論したいと思う。
それから次に、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律案に対する附帯決議、いわゆる定数法が通ったときにずいぶんとこれは論議をして、そしてこの附帯決議でおさまったわけでありますが、この法律が施行されることから、県によって非常に努力をしてその定数法より以上に配置をしておる実績のある県があった場合には、現状を下回らないように配慮するということを要望したわけなんです。この点について、実際に定数法よりも多く配置した、実習助手であるとか、その他たくさんあるわけですが、大阪付近にあると聞いておりますが、調査した結果と——そうしてこれから三十七年度予算を施行するについてその実質よりも下げないように指導通牒を出し、そうして知事が教育委員会に圧迫を加えて、定数法よりは多いのだから予算を削るというふうなことをやらさないように措置さるべきだと思うのですが、今までどういうふうに措置をして、これからどうするか、それをお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/34
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035・福田繁
○福田政府委員 公立高等学校の定数法関係につきましては、まだ決定していない面がたくさんございますが、全般的に、以下の各項目につきましては、地方財政計画並びに地方交付税の単位費用の算定の改訂につきまして、自治省当局といろいろ相談をいたしておるわけでございまして、この附帯決議の趣旨に沿いまして、私どもは話し合いを進めておるわけでございます。ただいまお尋ねがございました上回っている若干の県につきましては、個別に担当者と相談をいたしまして、実情に即していけるように指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/35
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036・山中吾郎
○山中(吾)委員 おそらく県では、県の教育委員会が知事と折衝するときには、こういう法律ができて、実数が法律の基準より多い場合には削ってこようとずることは明らかなんですから、やはり政治的に指導をする必要がある。これは大臣が次官通牒か何かで、そういう場合には削らないように何かの形で指導しないと、私はできぬと思うのです。それを一つ附帯決議の線に沿ってぜひやってもらわなければ、あとで問題が起こると思うのです。それをぜひ省内で検討して何らかの形で助言指導されることを要望したいと思うのです。いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/36
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037・福田繁
○福田政府委員 これは大阪だけの問題でございますので、特に通達等は出す必要はなかろうということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/37
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038・山中吾郎
○山中(吾)委員 その辺がどうも自治省に遠慮しているのですか。実績に応じて二分の一を支給するという負担法の建前が、定員をきめて、定員によって二分の一を負担するという法の建前でないので、実績に対する二分の一を補助するという明文があるわけですから、その点を遠慮なしに文部大臣がさるべきだと思う。法律の建前は、実績に応じて二分の一を補助することになっておるわけです。そういうのだから、遠慮する必要はないのですよ。附帯決議でわさわざ、そういう心配があるので、要望して、教育水準を下げないように、そして定数法の提案理由の説明の中に、教育水準の維持向上という、向上の方向で書いてあるのですから、下げる心配があるというなら指導さるべきだと思う。今の局長の答弁ではちょっと附帯決議を無視しているようで満足できぬのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/38
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039・福田繁
○福田政府委員 少し言葉が足りませんでございましたが、これは高等学校でございますので、具体的にはその当該県が措置すればいいわけです。従って個別にそういう該当県と相談をいたしておりますので、今問題になっておりますものは大阪であろうと思いますが、そういうところは、大体この趣旨に沿っていけるという見通しを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/39
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040・山中吾郎
○山中(吾)委員 義務教育の負担と間違ったので、高等学校ですから、これは私取り消しておきます。附帯決議の線でとにかく下がらないように措置をしないと、その地域の方から、この法案を通すときに、一応の約束がわれわれの方にあるものですから、そういう信頼感を文部省がなくさないようにしてもらいたい。
それからさらに、「将来高等学校設置基準甲号を指向して努力すること。」という附帯もありますから、あの定数法で満足だというふうな行政感覚に陥らないように努力してもらいたい。
最後に、「本法施行に伴って、私立高等学校との間における格差是正のため、適当な対策を考慮すること。」これはまことにむずかしい問題ではあるけれども、これも、法案ができるときに、与野党の中で、私学との格差が出るといけない。公立高等学校だけの定数が上がると、私学関係が見劣りするので、また教育程度も下がるので、私学振興の趣旨に反するから、そういう場合には私学についても手当をするというもっともな要望があったので、この附帯決議が出ておるわけなんですが、これについてはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/40
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041・福田繁
○福田政府委員 この点につきましては、私ども一番苦慮した点でございますが、要するに、私立高等学校と公立高等学校との格差是正という方向については、いろいろの方法が考えられると思いますけれども、特に国の助成といたしましては、三十七年度に、私学振興会の融資を、高校急増もございますので、ある程度重点的にこれに充てるというようなことで融資の増額をはかっております。そのほかに、私立高等学校に対しましては、当該都道府県が従来から助成をして参っておりますので、高等学校の教員定数あるいは経常費増というようなものに対しまして、都道府県が助成をさらに拡大し得るように、交付税の中でその財源措置を見るというような方向で自治省と大体話を進めております。この点は従来の交付税の単位費用の積算を大幅にふやすというような方向で、目下検討いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/41
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042・山中吾郎
○山中(吾)委員 それは施設の関係で、今申し上げたのは、いわゆる公立学校の定数基準が上がるので、私学では、定数基準を上げるには、教員をまた何名か採用しなければならぬから措置をしてくれということですから、そういう人件費を含めて経常費の措置が内容なわけですから、今局長が言われたようなことでは、おそらくこれに関連をして特に私学関係の保護をするということにはならないので、むずかしいことだと思うけれども、私学振興全体の問題なので、この内容は経常費も補助対象として考える努力をしないと、この要望にこたえたものにならぬと思うのです。そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/42
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043・福田繁
○福田政府委員 私が交付税の積算の基礎を拡大すると申し上げたのは、経常費を含めてでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/43
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044・山中吾郎
○山中(吾)委員 以上、一年間にわれわれが附帯決議したもので、これは与党、野党一致したものですから、文教委員全体を代表して私は質疑をしたつもりなので、その点について国会軽視にならないように特に要望したいと思うのです。
あと少し一、二点だけ簡単にお聞きしておきたいのですが、盲ろう関係の教育で、今、手振り身振りで話をしないで、口の格好で会話をするという技術が、盲ろう教育の中心になっている。ところが、二才、三才の時分からそういう教育をすると、小学校に入る時分には、盲ろう学校に入れなくても、小学校の普通の児童、生徒と同じように話ができて、普通の教育ができるということを、盲ろう関係の教育の実践家が主張しておって、盲ろう学校を作るよりは、むしろ二才、三才、四才の小さいときにそういう教育をすれば、小学校、中学校は普通にできるから、そういうふうにしてもらいたいという要望があります。文部省の方についてはそういう考えがないので、盲ろう教育については、文部省はどうも古いというふうに批判もしておるわけなんですが、それが事実ならば、私は、盲ろう幼稚園などを作って、小学校に入るまでには、口で自由に話ができるようになって、普通教育をしてやった方が、盲ろう教育上もいいし、あるいは教育財政上も非常にいいのじゃないかと思うので、この点について、担当局長でなくても、一番よく御存じの方から、意見だけお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/44
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045・福田繁
○福田政府委員 私、新米でございまして、よく存じませんが、私の知っております範囲では、ただいまおっしゃいましたような口話法というものを採用していると考えております。従って、盲ろうの学校の、特に小さいときからそういう訓練をするということが非常に大事な点でございますので、文部省としては、大体幼稚部の設備費として新しく、約百万円程度でございますが、三十七年度では予算を計上して、できる限りそういう下の方を振興していきたい、こういうような考えでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/45
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046・山中吾郎
○山中(吾)委員 僕が今お聞きしているのは、そういう幼稚部というものを置くというのでなしに、二才、三才、四才ごろに、そういう口話法というのですか、教育を徹底すれば、もう小学校、中学校は普通の学校へ入れて、十分話ができるようになるというのですから、そういう幼稚部じゃなくて、盲ろう幼稚園という独立の学校を作って、小さいときにちゃんとして、普通教育に入れさせるということが正しいと思うのです。そういうことについて文部省の考えがないのかどうか。そうすると、盲ろう学校は要らなくなるから非常にいいと思うので、そういういい着想が、教育の実践家がもう確信を持って言うならば、直ちに予算化して持っていくくらいの大胆さがあっていいのじゃないかと私は思う。そういう話はどこもないのですか。これは大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/46
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047・荒木萬壽夫
○荒木国務大臣 今山中さんのお話は、私も就任早々に聞かされたことがございまして、しろうとながら非常に関心は持っております。そこで、私立で、幼児教育からやることが基本的に非常に必要だという見地に立って、世田谷にも一校あるようでございますが、それを一ぺん見せてもらいました。さらに千葉県で、この点に特に千葉市で関心を持ってやっておられる話も聞きまして、臼井委員の御案内を受けて、そこも見せてもらいに行きました。むろん私が見たからどうなるものじゃございませんけれども、実際近代的な電気装置等を活用して、非常に効果的にやっているであろうことは、しろうとながらわかったような気がいたします。その成果等につきましても聞かされまして、なるほど今の山中さんのお説のように、新しい角度から、盲はどうか知りませんけれども、少なくともろう児は、もっと幼児教育からやることが、本人のより幸福をもたらすであろうという気持が、私も切実にいたしたわけであります。そこで、御指摘のような、盲ろう学校全般を、全国的な視野から、幼児教育から始めてやるような考えでやったらどうだという御示唆かと思いますけれども、そのお尋ねに応ずるような構想は、残念ながら今具体的には文部省にはございません。当該組当局課では、もっと建設的に考えておるかとも思いますけれども、私の記憶、判断では、組織的にいつからどうしようという具体性まではまだ持っていないと思いまして恐縮ですが、しかしまさしく、お話しのような角度からとらえての建設的な検討が必要であり、その値打があるだろう、こう思います。差し向きは、限定されたところに何がしかの補助金をつけることで、そこでモデル幼児教育的なものを見せてもらって、それを見本にして、漸次全国に及ぼすというほかになかろうかと、私だけはちょっと思いつきながら思っておりますが、いずれにしましても、組織的な、もっと専門的な検討の上に立った施策が必要かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/47
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048・山中吾郎
○山中(吾)委員 盲ろう幼稚園という独立の学校、そしてもしそれが事実小学校あたりで普通教育ができるなら、その分だけは義務制にするくらいの構想で一つ検討されて、中間報告でも何でもいいが、この通常国会の間に一度大臣から、検討した結果こういう方向ということを報告してもらえたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/48
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049・荒木萬壽夫
○荒木国務大臣 その御注文はタイミングとして御無理かと思いますが、私のみならず文部省の組織的な検討をし始めることだけはお約束を申し上げてよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/49
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050・山中吾郎
○山中(吾)委員 御期待いたしておきます。
その次に、学校安全会、学校給食会の補助の中で、実は人件費の補助というのがない。あっても非常にわずかである。ところが、実際は二、三名採用しておる。それが補助がないので、学校給食の場合は給食費、学校安全の場合は、そういう事故者に、支給すべき金を人件費に上前をはねておるという事実があるわけです。ほかの場合の補助と違って、子供に対して、障害を受けた者に対して支給する費用であるとか、あるいは給食に充てるべき費用を、そういう人件費に充てるということは、まことに遺憾な教育行政だと思うので、他の補助と違って、こういう学校給食会とか学校安全会という一つの実施団体を作って、一定の最小限必要な人件費については、他の補助を削ってもやるべきである。そうして実際の子供たちに与えるべきものを上前をはねるというような弊害をなくすべきだと私は思うのです。これはあちらこちらからおそらく文教委員の人にも陳情があるんじゃないか、文部省にもあると思うのですが、こういうことは大した金でないと思うので速急に実現すべきだと思うのです。大蔵省との折衝過程に、その着想を持っておれば、また来年努力されると思うのですが、今度の最初の要求案にあったのかどうか、それをお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/50
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051・前田充明
○前田(充)政府委員 要求はいたしました。大蔵省への要求には入っておりますが、ただいまの御趣旨は、まことにごもっともでございますので、今後ともそのような努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/51
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052・山中吾郎
○山中(吾)委員 要求をされたそうですから、文部省としてのお考えはわかるので、一度いつか大蔵省の担当者を呼んでここで啓蒙したいと思うから、一つこの次に委員長考えておいて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/52
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053・櫻内義雄
○櫻内委員長 はい、承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/53
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054・山中吾郎
○山中(吾)委員 それから、最後にお聞きしたいのですが、文化財保護の予算が同じように説明されておるのです。そうして文化財のことについてはどうも責任というか、われわれは国会という場合にはいつも話相手がわけがわからなくなってしまう。前に文部大臣は、文化財保護については私は全然責任はないし関係はございませんという答弁をされた。予算説明は、文部大臣が責任を持ってするということの中に、どうもはっきりしないので、何らかの責任は文部大臣にありそうに思うのですが、その辺ははっきりしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/54
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055・荒木萬壽夫
○荒木国務大臣 この委員会で今おっしゃったような御質問にお答えしましたときにも、言葉がちょっと不足しまして、おしかりを受けましたが、直接関係しないのだと申し上げた意味は、あのときも申し上げましたように、文化財保護の保護行政それ自体は文部省の本来の組織とは別個に文化財保護委員が独立してその職権を行なうという意味合いのことを申し上げたことであったのですが、しかし文化財保護行政を通じて対外的にだれが責任を負うかという政治的な意味も含めてのお話でございますと、むろん文部大臣が責任を負う立場にある。そう心得ております。従いまして、文化財保護委員会が、たとえば予算について申し上げれば、大蔵省に要求する予算案は文化財保護委員会で起案いたしますが、文部省を通じて一括して要求する。また折衝過程におきましても、保護委員会の事務当局で手に負えませんものは、委員長がみずから出かける、さらに文部大臣も、最後的には文化財保護委員会の予算につきましても折衝する、そういう建前では動いております。その意味ではむろん責任ある立場は文部大臣である。ただし、行政それ自体は、委員会が、委員の独立して行なう範囲については、文部大臣は関係できない、そういう意味合いと御理解いただければありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/55
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056・山中吾郎
○山中(吾)委員 文化行政に文部大臣が無関係だということ自体が、やはり教育文化の総合的ないわゆる行政ですから、矛盾を感ずるのでお聞きしたわけなんです。それで、予算の折衝その他予算編成は、文部大臣であれば、私は重要な関係があると思うんです。文化省でもできるなら別ですが、文化財保護委員会の委員長を国務大臣が兼ねるというならば、こういう予算の出し方とむしろぴったりするんですが、何か機構に欠点があるのじゃないか。それで大臣は間違って何も関係ないというようなことを勝手に言って、われわれが質疑する相手がどれだかわけがわからないような答弁をされた記憶が頭に残っているので、いっそ文化財保護委員会の委員長は文部大臣が兼務するようにしたらどうですか、御意見を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/56
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057・荒木萬壽夫
○荒木国務大臣 お話のようなことは考えたことはございませんが、立法論としてはいろいろ議論はあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/57
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058・山中吾郎
○山中(吾)委員 それはいろいろと御検討願う問題だと思って、ただつけ加えて言っただけなんですが、いろいろお聞きしたいことがたくさんありますけれども、きょうは時間がないし、あと村山委員の質問もあるそうですのでこれで終わりたいと思います。
一つ希望を申し上げたいのですが、先ほど説明の民間学術研究機関が十九あるというんですけれども、あとで局長の方からその一覧表をもらいたいと思います。
それから教育会館はすでに七億も計上しておるのですが、前の通常国会で、その性格が不明でまだきまっていない。直営にするのか、あるいは何か財団法人にするのか不明のままで、私は予算の提案の仕方が非常に不明朗であるという感じがしておるのですが、少なくともこの通常国会のうちに、教育会館がすでに国費七億の計上という大きい問題なんで、性格を明確に大臣の方からお答え願いたい、これは要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/58
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059・櫻内義雄
○櫻内委員長 村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/59
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060・村山喜一
○村山委員 大臣にこの際二、三質問を申し上げてみたいと思います。
第一点は、高等学校の生徒の急増対策、これは本会議においても質問に答えて、大臣が、大蔵省との折衝の中でわれわれが負けたんだ、こういうような意味の発言をなさったようであります。そこで二十六日の閣議で決定をいたしましたのを見てみますと、補助金が十三億円、それに起債が五十億円、それでは足らないので、九十一億円を当面地方交付税の中の基準財政需要額の積算基礎に入れることを閣議で了承をした、こういうようなことで一応終わっているようでございます。そこで文部省も、この急増期におけるところの全体計画は五百五十億あれば足りる、こういうような計算をいたしているようでありますが、一方都道府県の知事会の案によりますと、一千五百億の財源を必要とする、こういうような内容のものを発表いたしているわけです。そこで、三十六年度予算の中で、工業高校の新設分設備費の助成金が二億円ございました。それが、五十八校の各府県の工業高校の新設の希望があった。それに対して補助はたしか三十五校だったと思いますが、一校当たり五、六百万円くらいしか補助金がいってない。そういうことになりますと、今度工業高校の新設分として十三億円が決定をされたけれども、それはいわゆる三十六年度の分に回されてしまって、新規に回すところのワクは全然なくなる、こういうような主張を都道府県側はいたしているわけです。そういうような計画からいいますと、三十六年度において打ち出されたものが三十七年度に事業計画が延びている、こういう結果になってくるとするならば、文部省が打ち出しております五百五十億の経費というものは足らないのではないか。そうしてまた、地方交付税の中に、基準財政需要額として積算基礎の中には入れましても、それが交付税でございますから、当然地方自治団体の主たる自主的な財源としてこれがほかのところに使われていく。そうなって参りますと、今、大臣も御承知だと思いますが、基準財政需要領に示す割合をどれだけ教育費に回しているかという地方の実態を見た場合には、これはちょっと資料が古いわけですが、おおむね八〇%程度くらいしか使っていないというのが、都道府県の場合は別でありますけれども、市村町の場合はそういう事情が出ておる。こういうようなのに対して、文部大臣は、今後どういうような急増対策の計画を持っておられるのか。これは大蔵省の主計官でも呼んでその方に迫及をした方がむしろいいかもしれませんが、今後のいわゆる対策をどういうふうに進めていかれるかということを承りたいわけです。
もう一つは、生徒増が昭和三十八年から四十年までの間に百二十万人、そのうち公立関係で取り扱うのが八十万人、残りの四十万人は私立で扱ってもらいたいということなんです。ところが、私立学校に対する助成金は今年七億円ふえました。そして、話を聞くところによりますと、地方交付税の中で基準財政需要額として二十億円程度を含ませていこうではないかということで、今自治省と話し合いをされているということを聞いている。そうしますと、四十万人の生徒を私立学校に頼みますと、こういうような格好でやっていった場合において、七億円の補助金並びに基準財政需要額で二十億円、こういうようなことをやりましても、今日私立学校に対する各都道府県の補助の割合実績を調べてみますと、全部が全部そういうふうにやっていない。これはさもありますけれども、相当低い線で補助をしているというのが都道府県側の実態であります。そういうところから、この急増対策は、計画にもう大へんな狂いがきて、三十八年から先になりますと、生徒の入学難は、いわゆる入試地獄という状態を引き起こしていくのではないか、こういうことが心配をされているわけで、文部省が昭和四十、五年に七二%という進学率を決定をして十カ年計画を立てておるわけでありますが、この急増期間において六〇%を下らないようにできるような、そんな措置が文部大臣にはできるのかどうか、この点について大胆の決意を一つ承りたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/60
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061・荒木萬壽夫
○荒木国務大臣 結論から先に申し上げますと、できると思っております。四十五年の七二%の進学率は、私の承知しておりますところでは、各都道府県で、十ヵ年計画で急増分も含めて考えた場合にどうなるかという相談をしましたその計画数だと承知しておりまして、都道府県と文部省との間には概念的にはそごはその点ではございません。所要経費は都道府県知事側は相当の金額を要望しておることは私も聞いて知っておりますが、いろいろな角度からずっと詰めて参りまして、大体急増期間中の経費は総計五百五十億円余りでやっていけるであろうという推定を立てておるのであります。そこで、急増期間は御承知の通り三十八年、九年、四十年でございますから、昨年度何がしか対策を立てまし——公立だけでいけば約五十億であったと記憶しますが、五十億円の措置をしたことと、三十七年度に、今私が答弁しました、あるいは閣議決定の線が報道されたことをあげてお話しになりました数字からいきますと、三十七年度百五十四億円と一応考えられる。それはあくまでも三十八年度から急増するであろう者に対する前向き姿勢の対策でございまして、それプラス三十八年度予算において、国の予算も地方財政におきましても、プラス・アルファが当然予想されますが、それに多くを期待しているわけじゃむろんなしに、三十八年度の学年初頭において一応大へんなことにならぬで済むという自信は持っております。進学率は、三十八年度において六〇%と推定し、四十一年度に六三%まで伸びるという推定のもとに対策を立てましたのが、金額において五百五十億円余りということに相なるわけでございます。従って、生徒がふえましても、進学率がそれだけ維持されるということは、言いかえれば御指摘のような大へんな入学難で大騒ぎになることを意味しないと心得ます。そういう目標を立てまして、できることならば、毎度申し上げておりましたように、国も一半の責任を持つべきだ、責任を負うべきやり方として国が三分の一の補助をするということが適当であろうという考え方であったことは御指摘の通りであります。国の責任を持つ方法はほかに絶無かと言えば、予算折衝で負けた後の話ではございますけれども、もし国の措置と県自体の措置で、合わせて財政面だけを一応申し上げて、その手当ができるならば、補助金の形をとろうともあるいは交付税プラス起債ということでいきましょうとも、所要財政需要額というものはまかなえる。言いかえれば、校舎は必要なものが建つはずですから、そのことが予定通り行なわれることを三十七年度としましてはあらゆる努力をして確保したいというのが現在の私の立場であると心得ております。従って、今まで折衝をして二十六日に閣議決定をいたしました内容は、御指摘のごとく産振及び工業高校の一般校舎に対する国の補助合わせて十三億円、それにプラス財政投融資を引き当てにする起債ワク五十億円、それにプラスしますことが百五十四億円の差額九十一億円を交付税でまかなうことにしよう。もし交付税の関係で従来通りのままに放置しますれば、今村山さん御指摘のように、都道府県の他の財政需要に食われるおそれがある、そういうことでは計算は合っていても実際が違ってくるというおそれなしとしない。だからその点をどういうやり方で抑えるかということが問題でありますが、申すまでもなく従来高等学校の設置義務者は都道府県という制度になっておるものですから、それに対して補助金を出すということは、制度上は異例に属するところに抵抗があったわけであります。その抵抗を乗り越え得なかったことが負けたということですが、さてしかし交付税のことを考えます場合、従来だと当てにならない要素を含むこと今申し上げた通りですが、それを確保できる方法としては、従来の例を破りまして、自治省ないしは都道府県、特に自治省は地方財政のことを包括的に考える立場にはありましても、教育プロパーの立場に立って高校急増対策を考える第一義的な責任者ではないわけであります。しかしながら地方自治体を統括する立場にある自治省としては、都道府県が当面自己の責任において施設するべき制度上の責任を果たすために苦慮しておる生徒急増という三、四年間のピークが訪れる。それに対する財政上の苦慮があるならば、自治省としても考えるべき当然の対象であることには間違いない。ただそれを教育的な立場において考えるについては、責任がある計画というものは立たない道理でございますから、政府部内におきましては文部省と自治省とよく相談をして、そのピーク時を乗り越えるために百二十万ちょっと上回るくらいと推定される生徒急増を、いかなる計画を立て、年次計画をもって地方自治体が困らないようにするか、その手当をするかということについて総合的な相談をいたしたのであります。そうして総生徒増加数の推定及びそれに応ずる施設整備の面の事業量につきましても、自治省と十分話し合いをして、それを包括的にとらえまして年次割で整備しようという話になり、その第一年次の昭和三十七年度の地方財政に対する国の立場からする措置は、繰り返し申し上げるようでございますが、補助金のほかには五十億の特別のワクを定めた起債プラス交付税を、特に交付税法の改正をいたしまして、高校急増分としての特別の費目を設けて、横流れしないようにという抑え方をして、自治省もその内容を十分に承知しながら財政計画を立てていくというやり方でやっていこう。さらにそのほかに現実問題といたしましては、新設高校が相当予定されるわけでございますが、そういう場合に、御案内のごとく校舎建築の敷地の問題が近来非常に悩みの種になっておることも事実でございますから、それも対象として起債のワクをそれに引き当てたい。どれだけ引き当てるかについては、まだ具体的数字は出ておりませんけれども、坪数だけは約百八十万坪新設高校のために必要だと推定されるので、その坪数だけは閣議決定をいたしまして、それをまかないます方法は交付税ではなくて起債引き当てでやろう、ただし財政投融資のワクは五十億でございますから、次の機会に投融資のワクの修正をしませんことには、五十億と同じ条件にならないのはやむを得ません。ある程度不利な条件で起債せざるを得ませんけれども、その一々の起債認可を大小となくいたします自治省が今申し上げた急増対策の全貌を把握し、教育的に国が協力すべき国家的立場も具体的に念頭に置いて、百八十万坪ということも閣議決定の線で意見は疎通しておるわけでございますから、それに対する用地引き当て分の起債の認可はする。その財源は何だということは、当面千億以上にふえました起債ワクがございますから、そのワク内でやるということで不安定な要素は少しはございますが、必ず認可する、ただしなるべく近い将来にもっと低利長期の有利な、できれば五十億のワクと同じ条件の起債に切りかえをする、借りかえをするというその含みを持って用地の対策も講じる、その内容が自治省との間にまとまりました三十七年度の対策でございます。従って補助金という形では確保できませんでしたことは努力の不足を考えざるを得ませんけれども、しかし生徒急増に対する子供の親たちの心配というものは、形は違いましても確保できるものだ、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/61
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062・村山喜一
○村山委員 総体計画が五百五十億という閣議で了承をされましたその中には、私立学校の四十万名分についてはこれは当然入っていないのだ、こういうふうに見なくちゃならぬと思うのです。そういたしますと八十万人分は国あるいは地方公共団体の責任として大臣が地方交付税法に定める大臣の所管事項についての勧告権等を用いてそれぞれ権限に基づいた措置もとられるでありましょうし、自治大臣の方でもそういうような線で協力をするでありましょうが、私立学校で引き受ける四十万人のその急増時における対策というものは、先ほども申し上げましたように、昨年度よりも予算額において七億円だけしかふえてない、そして起債その他についても考えられていない、ただ交付税の中で二十億程度が今折衝の段階にある、こういうふうになって参りますと、それに対するところの対策は今後の問題として検討をされるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/62
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063・荒木萬壽夫
○荒木国務大臣 私学につきましては大体三十七年度推計四十億ぐらいの財源が提供され得ると考えておるのであります。それは私学振興会に対する国の予算の支出の増加、これはむろん大した金額ではございませんけれども、私学振興会みずからが回収しました資金とを合わせまして約十六億円を私学における高校急増対策分として充てておるのであります。そのほか三十億円ちょっとに上りますものは、今御指摘のような交付税でもって自治省とよく相談をして具体的な措置を講じたいというので、最終的結論はまだ出ていない段階かと思いますが、できるならば二十億見当——完全に二十億円というまとまった金額としては最終的には到達しておりませんけれども、ほぼそれに近いところまでは現在きておると私は承知しておりますが、それと都道府県の自己資金を引き当てにして四十億円は少なくともまかなえる、そういうやり方で私学に対しては対処していく、そうすれば四十三万人分の三十七年度の前向き態勢としては一応十分ではなかろうか、こう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/63
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064・村山喜一
○村山委員 この問題については、大臣のお話を聞きますと、私立学校については、これはもう人のふんどしで相撲をとるような格好の説明なんですよ。それが不交付団体である府県や、あるいは交付団体の場合は、基準財政需要額の中で算定をされてひもつきのような格好で交付税法が改正されればよろしいわけですが、そうでないところの団体との関係もありますので、その地方からの高校急増の計画書と、それから文部省の全体計画書とをあとで表にしてお示しを願いたいと思っておりますので、この問題についてはまた後日に譲りたいと思います。
それからその次にお尋ねしたいのは、小学校、中学校の生徒数がだんだん減りまして、私がここに持ってきているのは長野県の例ですが、現在の学級編制基準でいきますと昭和四十一年になりますと二千百五十名というものが減少していくというような統計的な数字が出されているわけです。これは小学校、中学校の全体計画の上からいった場合四十名編制にしなければならない。そうした場合には大体五ヵ年計画で、現在昭和三十六年度に比べて大体横ばいの状態になるというような表が作られております。これをずっと調べて参りますと、同じようなことが、各府県にも言えるわけですが、すでに文部省が出された「わが国の教育水準」という木の中にもございますように、欧米諸国に比べて日本の学級編制基準はきわめて多数の児童、生徒を収容をしている、これはすみやかに国際水準に近づけていかなければならない、こういうような意味のことが「わが国の教育水準」にも書いてあるわけです。これはもちろん荒木文部大臣の前任者の方が出された文部省発行の本でありますが、そういうようなところから考えましても、今度の予算の中で、小学校、中学校の学力テストの経費だけはちゃんと計上されておるが、学力を向上さしていくところの条件整備というものについてはほとんどなされていない。特に五十六名の小学校を五十四名に編制がえをした、あるいは五十四名を五十二名にされたその結果は出ておりますが、この場合についても、その算出の方法において非常にごまかしがあるようです。それらはきょうは時間がありませんのでまた後ほど申し上げますが、大臣にここでお伺いをいたしたいのは、新しい教育課程をあなた方は法制的なものとして作られた。その中には道徳教育の週一時間の時間数も規正をされ、さらに時間表には示されていないけれども、特別教育活動というものもやるように示されている。そういうようにして一人の教師の受け持ち時数というものは漸次上がっているわけです。そういうふうに文部省で最低基準としてこれだけ以上は確保しなければならぬということを示しながら、そういうような時間数に応じたところの、勤務量に応じたところの定員の配置という問題については、今まで文部省の方は何ら検討されておらぬ。国立教育研究所に尋ねてみてもあるいは都立あたりの教育研究所に尋ねてみても、そういうようなことは全然研究をしていないわけです。そこに非常に問題があると私は思うわけですが、学級編制基準やあるいは教師の勤務量に合わせた教職員の配置基準というようなものについて、大臣としては現状のまま認められるのか、また今後年次計画でも作っておやりになる計画があるのか、そこら辺について大臣の考えておいでになることを説明を願いたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/64
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065・荒木萬壽夫
○荒木国務大臣 端的に申し上げて、当面中学と高校の急増対策に追われており、その必然的な結果として、高等学校の教員数にしましても中学の教員数にしましても、あるいは学級編制にしましても異常な状態にあると思います。これはいくいくは当然、四十四名だ、四十二名だというのは四十名、でき得るならば三十名台に持っていく努力をすべきものと本質的には心得ております。高等学校につきましても、この前の国会で決定していただきました定数法にも、あまり格好よくございませんでしたが、一割のすし詰めを法律上までも予定するという異常の状態だと認識いたしますので、高等学校についても、今申し上げたような、当面急場を切り抜けるのに手一ぱいである。ただし四十一、四十二、四十三とだんだんと下降をいたしまして、四十五年ごろからは横ばい的な姿になるかと思いますが、漸次その四十五年を見当にいたしまして、言いかえれば、急増対策分は、言葉が適当じゃありませんけれども、過剰施設的に危ぶむ人もございます。それは学級編制の改善、あるいは特別教室に充てるなどの措置を講ずると同時に、ピーク時に定数法で増加いたしました教職員は一人も首を切らないで、内容改善の要員として、必ず温存するという見当のもとに、具体的な計画を立てて、年次計画に従って、その目標に到達するようにいたしたい、とかように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/65
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066・村山喜一
○村山委員 大臣の決意はけっこうであると思います。私の方でも、この標準定数の問題について今度法律案を出しまして、御審議を願い、そして御協力を願いたいと思って準備を進めております。いろいろ検討いたしてみますと、非常に大きな問題がございますので、これの問題については後日またお聞きいたして参りたいと思います。
最後に、これは文部省設置法の定めるところによりまして、いわゆる予算の範囲内で所管事務の遂行に必要な支出負担行為ができるようになっておるわけですが、今度の予算書の中に出て参りました沖繩の教育に対する協力援助、これはどういうような形においてなされるかということを承りたいわけです。というのは、文部省の方が直接支出をしていくような形になるのか、それとも沖繩の政府に対して委託をして、沖繩政府がこれを支出するという格好をとられるのか。そうした場合において、いわゆる補助金適正化法という法律がありますが、そういうような、補助金が適正に使われているかどうかということについて調べていく場合において、あすこはわが国の主権が完全に及ばない、法律的に見た場合には一応潜在主権は認めらているけれども、外国政府であります、そういうような政府に対し、会計法上なりあるいは財政法上から見た場合に、不都合なことは生じないかどうか。こういうような問題についてお尋ねをしたいのであります。そして、沖繩の教育向上のための指導員派遣三十名分が予算に計上されておりますが、これは三十五年度はあった、昨年はなかった、ことしまたそれが新しく復活したものだ、こういうような説明であります、ところがそれに対して、昨年はなぜ予算が計上されずに、ことし計上されたか。そうした場合において、沖繩の政府は、もちろんわが国の教育水準に比較して劣らないように教育をやりたいということで歓迎をするでありましょうが、沖繩を占領いたしておりますアメリカ軍が、こういうようなものに対して昨年は反対をしたがゆえにこういうようなものが計上されずに、ことしその見込みがあるということで計上されたのではないか、こういうようなふうにも考えられるわけですが、日本の潜在主権があるといわれている、しかもアメリカに占領されております沖繩の教育を援助していくところの法律的な根拠、こういうようなものについて、どのようなふうになされているのかを承っておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/66
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067・荒木萬壽夫
○荒木国務大臣 沖繩に対します日本政府の予算をどういう形で執行するかというような点について、実は今直ちに法律的にもあらゆることを考えました責任あるお答えがちょっといたしかねますけれども、育英奨学の関係でやりました前例は、日本政府から沖繩政府に贈与するという形をとっております。今御指摘の場合にも同じような形でいけるかどうかについて法律的な解釈を明快に申し上げ得ませんけれども、もし可能であるならば、そういう形をとった方がこの際としては便宜じゃなかろうかと一応思うだけでございます。他日に譲らしていただきます。
それから、三十五年度に指導員派遣の経費があって、六年度になかった、今度はまた三十七年度に計上した、どういういきさつかというお尋ねであります。アメリカは沖繩を不法占領しているとは思いません。条約に基づいて存在しておる。北の方の話と違うことと心得ております。三十五年度は、大使館を通じて現地の軍政府との話もどうやらついたということでスタートをしたと承知いたしておりますが、三十六年度も当然それでいけるという考えでおりましたところ、現地から、どうもあらかじめよく話をしておかないとあとでもつれるおそれがあるから、むしろ予算に計上しないで、話がついたら予備費支弁で同じようなことを続けるというふうなことにしたらどうだろうという大蔵省側の意向を尊重しまして、計上しなかったわけであります。実質的には当然やれるものと考えておったのでありますが、なかなか大使館を通じましても思うように話が進展しないままにだんだんと時が流れてしまいまして、事実上実行不能になりましたのが実際でございます。そこで、今度三十七年度に計上しましたのは、そういう関係が現実問題として起こりました。というのは、大田首席等も何回もやってきまして、大使館を通じて話をしたのかどうかまではつまびらかではございませんけれども、どうやら今度は大丈夫だということになりまして、二十五年と同一趣旨によって中断しましたものを復活したということでございます。そのほかの特別の意味はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/67
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068・安嶋彌
○安嶋政府委員 沖繩関係の予算の執行でございますが、これはもちろん文部本省の経費でございまして、所管の局長が支出負担行為担当官でございます。支出官は会計課長でございます。従いまして、教職員の内地研修につきましては、これは個々の教職員に滞在費を支給するというような形をとっておりますし、それから留学生につきましても同様に、個々の留学生に諸経費を給与するというような扱いにいたしております。若干扱いを異にいたしておりますのは、ただいま大臣からお話がございました育英のための贈与金でございまして、これは大学局長が支出負担行為担当官、会計課長を支出官といたしまして沖繩琉球政府に対しまして二千万円を贈与するという扱いをいたしております。
なお、その贈与金に関係いたします補助金の適正化法等の扱いでございますが、この点につきましては、ここで思いつきを申し上げてもかえって適当でないかと思うのでございますが、実際上の扱いといたしましては、琉球政府の文教局あるいは琉球育英会等と密接な連絡をとって如上の執行に当たっておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/68
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069・村山喜一
○村山委員 これは文部省の所管だけでなくて、今度大東島に気象観測所を作る、こういうようなことで予算が出されております。それとの関連性がこれはあるわけです。というのは、贈与という形でいった場合には、日本の法律が現実に適用されていないところにそういうようなものが出された場合における会計法上の処理事項ということになって参りますと、非常に問題が多いんじゃないか。これは共同分担金というような一つの形になってしまうおそれがありますし、その取り扱いについてはいろいろ国際的な問題も入って参りますので、大臣に要望申し上げておきたいと思いますが、いずれそういうような大東島における気象観測所の設置をめぐる日本の行政監察なり、あるいは会計監査なりがどのような形で及び、どういうふうにその適正な執行がし得られるかということについてのいわゆる査察権といいますか、こういうものとの関係が他省との間に関連がありますので、統一的な見解をあとで報告をお願い申し上げておきたいと思います。
きょうは、ほかの委員の方もありますので、他日にまた譲りまして、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/69
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070・櫻内義雄
○櫻内委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は二月九日金曜日午前十時より地方行政委員会との連合審査会、十四日水曜日午前十時より文教委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後一時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00319620206/70
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