1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月二日(金曜日)
午前十時五十九分開議
出席委員
委員長 櫻内 義雄君
理事 臼井 莊一君 理事 八木 徹雄君
理事 米田 吉盛君 理事 小林 信一君
理事 村山 喜一君 理事 山中 吾郎君
伊藤 郷一君 小澤佐重喜君
田川 誠一君 高橋 英吉君
中村庸一郎君 濱野 清吾君
原田 憲君 松永 東君
松山千惠子君 杉山元治郎君
谷口善太郎君
出席政府委員
文部政務次官 長谷川 峻君
文部事務官
(大臣官房長) 宮地 茂君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 福田 繁君
文部事務官
(調査局長) 天城 勳君
委員外の出席者
文部事務官
(初等中等教育
局財務課長) 岩間英太郎君
専 門 員 石井 勗君
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三月二日
委員鈴木義男君辞任につき、その補欠として片
山哲君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員片山哲君辞任につき、その補欠として鈴木
義男君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する
法律案(内閣提出第八号)
学校教育に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/0
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001・櫻内義雄
○櫻内委員長 これより会議を開きます。
市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案を議題とします。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/1
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002・村山喜一
○村山委員 今回政府が提案をいたしました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案要綱を見ますると、「市町村立の小学校、中学校、盲学校、聾学校および養護学校の職員の初任給調整手当を、都道府県の負担とすること。」になっているわけでございます。一般職の職員の給与に関する法律の十条の三によりまして、初任給調整手当を支給することができるようになっているわけでございますが、その中で第二号といたしまして、「専門的知識を必要とし、かつ、採用による欠員の補充について特別の事情があると認められるもので人事院規則で定めるもの」に月額千円、二年目には五百円という初任給調整手当を支給して、三年目からゼロということになるわけでございます。そこで今回の予算に計上されました市町村立の学校職員のそういう初任給調整手当に必要と認められる予算額はどれだけ計上をされているのかという点がまず第一点でございます。
第二点は、今文部省と人事院でいろいろとその内容について交渉をされている過程であると伺うのでありますが、いかなる職種の教諭についてどういうふうに措置をするかという話し合いはどこまで進んでいるのか、大体いつごろまでに人事院との打ち合わせが終わるのか、その経過と見通しについてまず御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/2
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003・福田繁
○福田(繁)政府委員 ただいまの御質問でございますが、今回の初任給調整手当として予算に計上いたしております分につきましては、小中学校関係におきまして国庫負担金一億円でございます。それから高等学校関係におきましては、これは地方財政計画の中に織り込むわけでございますが、年間三千万円を地方財政計画の中に措置をいたしております。なお、範囲の問題でございますが、小、中、高等学校の教諭、特に高等学校は、昭和三十六年四月からのいわゆる科学技術関係の初任給調整手当をもらっております工業関係の教員を除きまして、教諭の職にある者についてこれを支給するという建前で交渉をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/3
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004・村山喜一
○村山委員 今福田初中局長からお伺いをいたしましたのは、高等学校の場合の範囲は、三十六年度においては、御承知のように工業科の教諭に初任給調整手当がついておって、その他につきましては初任給調整手当がついておりませんので、それをこの際、どの教科に属している人についても初任給調整手当を支給しよう、こういう考えであるというふうにお伺いをいたしたわけですが、小学校、中学校の場合は一体どういうふうに考えられて措置されようとしているのか、人事院規則の制定の関係がありますから、人事院との交渉の段階においてどういうふうに相なっておるのかという説明がまだなされていないわけです。それをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/4
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005・福田繁
○福田(繁)政府委員 小中学校につきましても、大学卒の教諭に就職する者につきまして初任給調整手当を支給するという建前で交渉いたしておりますが、大体今月の中旬ごろまでには決定するのではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/5
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006・村山喜一
○村山委員 そういたしますと、この初任給調整手当というものは教科のいかんにかかわらず、工業科の教員と同じようにやっていくということになって参りますと、教諭だけが適用されていく、こういうようなことに相なるだろうと思うのであります。そうなって参りますと、中学校の教諭の免許状は持っておる、あるいは逆に小学校の教諭の免許状は持っているが、その免許状を持たない学校、たとえば小学校の教諭の免許状を持ちながら中学校に配属をされる、こういうような事例があるわけです。今、中学校の方が漸次生徒数がふえて参りましたので、有資格の助教というものが割合少なくなって参っておりますけれども、中学校の教諭の免許状を持っておるけれども、どうしても職員の配置の上からそれを小学校に配属しなければならない、こういうような事例が過去においてたくさんございました。そのために二等級の給与の適用を受けられないで、有資格の助教であるということで三等級の給与の適用を受ける、そういうようなために小学校におるけれども、早く中学校の方にかわりたい、こういうような希望を持っておる人たちが、私の知る限りにおきましてもたくさんあったわけであります。最近においては、中学校の方がふえて参っておりますので、漸次そういうようなものは解消されつつあるということは伺っているわけでありますが、まだ、そういうように高等学校、中学校の教諭の免許を持ちながら、小学校において助教として採用されておる、そういうような場合には本俸の上においても、同じ学校を出て中学校に配属をされた人よりも待遇が悪い、昇給の度合いもそういうような人は非常に不遇な立場にある、こういうふうになっております際において、初任給調整手当もこれまた教諭でなければならないということになって参りますと、そういうような有資格の助教はますます差をつけられていく、こういうことになってくるかと思うのであります。そういうような場合の有資格者助教に対する対策をお考えになっているのかどうか、こういうものについてどの程度文部省としては調査をされておるのかということについて承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/6
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007・福田繁
○福田(繁)政府委員 ただいまのお話のような有資格の者があることはもちろん事実でございます。初任給調整手当をつけましたそもそもの趣旨が、昨年は、科学技術関係の高い専門的な知識を有して、しかもその採用等になかなか困難なものを優遇するという意味において実施したのでございますが、今回の場合におきましても、科学技術関係の専門職ではございませんが、一般の専門的知識を有してしかも採用等による欠員の補充について困難な職というような建前をとっております関係上、お気持は非常によくわかるのでございますけれども、やはりそういう教諭の職というように今回の措置は限定せざるを得ないと思っております。将来の問題としては、なお研究の余地はあると考えておりますので、これは研究問題にいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/7
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008・村山喜一
○村山委員 初任給調整手当の十条の三によりますると、第一項に該当する者は二千五百円の初任給調整手当があるわけです。そうなりますと、科学技術に関する専門的知識を必要とするということになりますと、教科の面においては工業科あるいは理数科、こういうようなものがあるかと思うのであります。今まで初任給調整手当が支給されて参りました工業科の教員、特に高等学校の場合ですが、これはこの二千五百円に該当いたすわけですが、小学校の技術・家庭科の教諭も非常に払底いたしておりまして、なかなかそういうような人材を吸収しにくいということで非常に困っておるわけです。こういうようなのは、やはり科学振興に関するところの専門的な知識が必要になってくるというようなことで、小学校、特に中学校のそういう技術科の教師、こういうようなものには、この第一号が適用されるのか、第二号が適用されるのか。さらにまた最近理数科の系統の教職員が払底をいたしておりまして、高等学校のみならず中学校等においてもそういうような科学技術に関する専門的な知識を持つ教職員が必要になるわけでありますが、その人たちは二千五百円であるのか。その範囲は第一号に該当するものと第二号に該当するものの区別は、それぞれどういうふうにつけておいでになるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/8
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009・福田繁
○福田(繁)政府委員 ただいまの御質問でございますが、これは昨年実施いたしました高等学校関係の範囲でございますが、これは人事院規則できまっておりまして、高等学校の工業に関する学科、たとえば電気、機械、土木、建築、化学といったような、そういう割合に狭い範囲に限定されております。従って、これは昨年から実施の分でございますので、今回の小中学校の場合におきましては、今のお話のように、技術・家庭科の教育につきましては、やはり相当高い知識を必要とするということは私どもも認めるわけでございますが、この高等学校の今申しました工業関係とはやはり若干程度の差はあろうかと思います。従って小中学校の場合におきましては、今回の千五百円という初任給調整手当を支給する予定になっております。ただ高等学校の中でも、先ほどお述べになりました数学、理科、それから水産、農業というようなものにつきましては、これは工業でないということで、現在のところ初任給調整手当は昨年からの分はついておりません。この分につきましても将来これは私どもとしては同じような考え方で進みたいと思っておりますけれども、これはまだ直ちに昨年からの二千五百円の初任給調整手当をつけるというところまで至っておりません。従って今回の措置によりまして、高等学校の数学、理科、農業あるいは水産等といったような教科の担任の教員につきましては、小中学校の今回の千円、五百円という一般の初任給調整手当はつけられるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/9
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010・村山喜一
○村山委員 そうなって参りますと、たとえば実業関係の高等学校の場合には、産業教育手当といいますものが時間数によってついております。それから定時制の場合にはやはり定通手当がついておる。そしてまた科学技術者であるということで、定時制の高等学校の工業科の場合にはそういうような初任給調整手当がある、こういうような形で、本俸のほかに、定時制の工業学校の教諭を考えてみた場合には、三本の特別手当がつく、こういうような格好になると思うのでありますが、そういうような手当々々の関係で初任給というものを押えていく、そして初任給は低くして調整手当というようなものでカバーをしていく、こういうような考え方で今後も給与政策というものが進んでいけるものかどうか。この給与のあり方というものについてどうなければならないとお考えになっているか。最近の傾向を見てみますと、高等学校の場合には別な給料表を使う、小中学校の場合には高等学校よりも格の低い給料表を適用する、大学の場合には大学の給料表を適用するという、給料表においても三本建のそういうような制度が行なわれている。そしてまた今話に出ておりますように、学科によってあるいは学校の種別によってそういうような調整手当が一人で三本もつく人がおる。中には、同じ高等学校の先生でありながら、今度初めて初任給調整手当が千円しかつかない。いわゆる学校の内部におけるところのいろいろな勤務条件は同じような状態でありながら、そういうような調整手当によって明らかに差別がついていくというような給与に対するところの政策で今後も進めていかれるつもりなのか。それとも今回の給与についてはやはり限度はこの程度までであって、将来は初任給を引き上げて、そして全体の給与の上におけるところの合理的なものを打ち出していくのだ、こういうような含みがあるのか。こういうような積み重ねの形において初任給は低く押えていこうというような考え方で今後も終始していかれるのかどうか。そういうような給与に対するところの文部省の政策というものは、一体どういう方向を向いているかをこの際明らかにお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/10
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011・福田繁
○福田(繁)政府委員 お尋ねの点は非常に根本的な問題と思いますが、現在の給与制度を根本的にどうするかという問題は、単に地方公務員だけでなく、国家公務員と関連した問題であろうと思っております。お話しのようにいろいろ産振手当あるいは定通手当あるいは僻地手当といったような各種の手当が現在つけられておりますが、それによって今お話しのように、ある者は職務の内容あるいは学歴あるいは知識の程度というものによりまして、いろいろの配慮がなされておりますが、こうしたいろいろな各種の手当自体をつけるということも、これは給与制度自体からいきますといろいろ考慮すべき点があると思います。しかしながら、現在の初任給自体が国家公務員の初任給に準じてこれを制定されておりますので、従って端的に申し上げますと、それらの各種の手当が出て参りました事情なり理由というものが一々やはりあるわけであります。あるものは議員立法によって手当が支給されるようになったというような事情もございます。やはりそれぞれの理由があって、それに基づいてそういう手当ができたものと考えております。従って今直ちにこれをどうするということはお答えしにくいのでありますけれども、文部省といたしましては、将来の方向としては、漸次そういう手当を総合いたしまして、より合理的な制度が考えられるならば、より合理的なものにこれを改めていきたいという考え方はいたしておりまして、これを将来の問題として十分検討して参りたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/11
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012・村山喜一
○村山委員 初中局長の答弁は大むね妥当であると思うのです。大体学校、特に高等学校の場合は、私もいろいろ内部に入りまして、学校の先生や校長にお会いいたしましたが、こういうような特別手当がたくさんあるところに参りますと、学校の職員の融和といいますか、学校教育というものが一体的になされなければならないときに、産業教育手当を受ける先生は産業教育手当をもらう、あるいは定時制の場合には定通手当をもらう。さらにまた特殊の学科の場合には初任給調整手当をもらう。そういうような人がおるかと思うと、何にももらわないで、黙々としてクラブ活動やその他の自分の職能に応じた仕事をやっておる人もおる。そこで学校としては困り果てた末、そういうような場合には何らかの措置を講じなければならないということで、PTAの会費の中から、そういう手当のつかない先生に対しては手当をやる、こういうような方法を一つとっている。それからもう一つは、大学進学のためと称しまして、普通学科の先生たちは、一時間について百円ぐらいの聴講料というか、補習料というものを勝手に学校の方がとって、その中で、一時間の講師手当という形で百円ぐらいを出している。こういうような形において、学校の全体の職員の給与のバランスを辛うじて学校当局がとっている。しかもその財源は、公費的なものにたよるわけに参らないから、父兄の私費にたよっておらなければならない。こういうような格好になって参りますと、一体授業料を納めて学校に子供をやっている父兄——そういうことから考えますと、まことにおかしな格好になってきて、国の給与政策のアンバラの結果が学校現場にしわ寄せをされている。そういうような実態というものが生まれているんだということを十分認識をしていただきたいと思うし、その実情をあなた方は調査をされておるかどうか。その点はどうなんですか。調査されているのであれば、高等学校の校長会なりあるいは組合から、そういうものに対するところの不平なり不満というものが出てきていると思う。そういうものに対してどういうふうに今後解決していくんだというその方法を、今局長は合理的なものに今後切りかえていくように検討をいたしたい、こういうようなことをおっしゃっていますが、何らかの方向づけがすでに生まれつつあるかどうか、こういうことについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/12
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013・福田繁
○福田(繁)政府委員 その問題につきましては、正面の問題としては、先ほど私が申し上げましたように、合理的な給与制度というものが打ち立てられるまでは、いろいろそういう今お話しのような点が確かにあると思います。従って私どもといたしましては、将来この初任給の問題につきまして十分検討いたしたいという考えでおるわけでございます。
また他面、おっしゃいましたようなPTA負担の問題の一部とも考えられますが、PTAの負担になっておりますいろいろな教育関係の経費につきまして、いろいろ実態を調べておりますと、給食その他の関係の職員の経費をPTAで負担しているとか、あるいはまた当然公費で持つべき建物その他の関係の経費を従来持っておったとか、いろいろな要素があるわけでございます。今おっしゃいましたように、あるいは先住の手当にかわるべきもの、あるいはまた修学旅行等の際の旅行費の負担というようなものも、一部あるようでございます。従いまして方向といたしましては、やはり公費で持つべきものは公費で持つというような建前にいたしまして、それに相当する財源措置を講じなければならぬというような考え方で進んでおるわけでございます。従いまして、御承知と思いますが、従来文部省といたしましても、PTA負担の軽減をはかりますために、地方財政計画の中に年々財政措置を講じて参ったのでございますが、三十七年度におきましては、そういう税外負担の解消をよりはかる意味におきまして、約百億円の財源を計上いたしております。とにかくそういう方向で、PTA等の負担しております公費で出すべきものについて、財源をできる限り充実していくというような方策とあわせていきたいというような考え方でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/13
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014・村山喜一
○村山委員 一般論としましては、地方財政計画の中で百億円、父兄負担の解消をはかるための財政的な措置がされる、これはよくわかる。しかし、それは本来公費でまかなわなければならないようなものを、父兄負担の解消という部分から是正をするところの経費であって、そういうような点から、今後、給与に関するようなものをPTA会費の中から支払っているということは——本来給与については公費で持たなければならないものである。にもかかわらず補習手当とか、何とか手当というような形で調整をとらなければならないような状態に現在あるという事態、これはこの百億円では全然できません。百億円があれば、そういうような高等学校の補習料といいますか、給与のアンバラを是正するために学校自身がとっているような費用まで、あなた方は是正できるとお考えにはなっていらっしゃらないだろう、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/14
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015・福田繁
○福田(繁)政府委員 地方財政計画に計上いたしました百億円の税外負担の解消の経費をもって、高等学校の教員の給与の是正という面をカバーできるかどうかというお尋ねのようでございますが、それは私は本来そういう趣旨のものではないと考えております。これは別の問題と考えております。従って高等学校なりあるいは小中学校の先生方の給与自体をどうするかという問題はございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、一般の国家公務員の例に準じてきめていくという建前でございますので、この給与そのもの以外のものについて、学校の経費等においてPTAの負担となっているものを解消していこう、こういう趣旨でございます。従ってもしそれに似たようなもので何かPTAの負担になっているようなものがあれば、そういうものは一部含まれるかもしれませんが。建前から申しましても、全体をカバーするというようなものでないということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/15
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016・村山喜一
○村山委員 おっしゃるように、そういうような、本来公費でまかなわなければならない給与に類するようなものを、PTA会費でまかなうということは、これはPTAのあり方自体にとってもおかしなことであるし、給与政策の上から考えても、こういうようなことは絶対にあってはならないのです。また公務員法の上からいっても、ほかの仕事をやりながら勤務時間内において他の給与を受けるというようなおかしなことはあり得ないことなんです。あり得ないことが現実においては起こっている。こういうような問題をあなた方行政当局としてはお考えにならなければいけない段階にきている。それはやはり現在の給与制度そのものは、いろいろ理由があって法律が生まれたことは事実なんです。産業教育に携わる先生方の苦労を考えた場合には、そこに産業教育手当というものをやらなければならない、定時制の教育振興のためには定通手当というものも必要である、あるいは初任給調整手当というものも必要である、こういうようなことはそのときの事象によって当然の姿として生まれてきたことは、私も認めるのにやぶさかではございません。しかしながら今度は全体の給与政策の上から考えてみた場合に、今日どういうような現象が学校の現場において現われているか、こういうような上からわれわれの給与政策はこういうような政策でなければならないという一つの文部省の大きな方針というものがなければ、今後の日本の教育行政を進めていくことは不可能じゃないか、私はこういうふうに考えざるを得ないのであります。
そこで先ほどから局長からはいろいろと御答弁もいただいて参りましたが、長谷川政務次官がお見えになりましたので、そういうような政治的な判断というものは大臣なりあるいは政務次官から御答弁を願うのが、給与政策に対するところの文部省の態度というものであろうと思いますから、政務次官からお答えを願いたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/16
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017・長谷川峻
○長谷川政府委員 お答えいたします。今の給与体系が非常に複雑であることは同様に感じております。そこで今度の場合は、初任給手当などの問題についても、文部省としては格段の努力をしたつもりでありますが、全般的に複雑な問題についてはやはり検討を進めながら、私たちとしてはなるべく合理的な方向に持っていくように努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/17
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018・村山喜一
○村山委員 そこで私は、これは局長でもよろしいわけですが、教職員の給与というものはたしか昭和三十年まででしたか、教員だけの調整手当というものがあったように記憶をしているわけです。これは二号俸普通の公務員よりも高かった。それがだんだん時代の流れを経て二号俸高いものが一号俸高いようになり、そして最近においては、他の公務員との間において給与表自体が同じような状態に相なっていると考えるわけです。元来学校の教職員というのは超過勤務手当がない。その超過勤務手当に見合う分として、昭和二十五、六年ごろは二号俸の差があった。それがだんだんにおかしなことになって、今日においては差別がないように相なっているかと思います。そうなって参りますと、当然学校の教職員の勤務実態というものが一体どういうふうに相なっておるか、こういうふうな上から超勤をさせない方針というものが、一つの方針としては考えられるかもしれません。しかしながら現実に超過勤務をやった場合においては、それに対する超勤手当を支払うというのが当然の姿として現われてこなければならない。ところが文部省自体がお調べになった教職員の一週間の勤務時数というものを調べてみましても、たしか五十一時間余りの勤務時間数に相なっているが、法律によるところの教職員の勤務時数は四十四時間であります。その差額については当然超過勤務手当の支払いをしなければ、給与の形態の上から、他の公務員との比較の上において考えていった場合にはおかしなことになるのじゃないか、こういうことを考えておるわけでありますが、すでに千葉県の人事委員会でありますか、教職員に対しても超過勤務手当を支給すべきである、こういうような結論が出されているやに承るのであります。給与政策の上から教職員の勤務量というものを、あなた方がどういうふうに算出をされ、それにふさわしいところの給与体系というものはどうなければならないか。特に千葉県の人事委員会あたりでそういうようなものが出されまして、県知事等に勧告がなされた。そういうような現状からあなた方は、給与に対するところのあり方を、超勤の問題についてしぼって考えた場合に、どういうような態度をおとりになろうとしておられるのかを承りたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/18
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019・福田繁
○福田(繁)政府委員 先ほど御質問の中にありました調整手当というお言葉のようでございましたが、これは調整手当でなくて調整方法のことじゃなかったかと思います。これはかって教員につきましては一号ないし二号高いものを支給しておったわけでございますが、あの当時いろいろベース改定等の関係から、教員の給与の実態を考えて、それを引き下げないようにというようないろいろな要望もありまして、そういう調整方法を設けまして、給与の実情に合うような措置を講じたわけであります。それは今ございませんけれども、国家公務員と地方公務員の場合におきまして、教員の勤務の特殊性と申しますか、そういうものから考えまして、初任給におきましても、国家公務員の場合は二万四千二百円でございますが、教員の場合は大学卒上級甲と比較いたしまして約五百円高くなっております。従いましてそういう初任給の問題その他教員の実情に合うような俸給制度というものを現在とっているわけでございます。従ってできる限り教員全般について給与をよくしようという考え方は、従来とも変わりがないわけでございます。
それからただいま御質問のございました超勤の問題でございますが、これは教員の勤務の特殊性という点から、従来超勤という考え方はとっていないのでございます。しかしながら一週の勤務時間と給与の算定方式等から、最近超勤の問題につきましてもいろいろな論議があるということは御承知の通りでございます。私どもは、従来の教員の勤務の状態から考えまして、一般の公務員とは相当違った特殊性を持っているものだというように考えておりますので、従来の超勤制度をとらないこの給与制度というものにつきまして、現在もその通りに運営されているわけでございますが、将来の問題としてこれを検討する必要があるかどうかということになりますれば、いろいろな観点から検討して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/19
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020・村山喜一
○村山委員 私は起動手当を支給すべきであるという考え方をとらない方がいいのじゃないか、というのは、超勤をさせないような勤務条件というものを文部省としては作るべきではないか。その考え方が正しいのであって——超過勤務手当を支給さして、それによってカバーしていくという考え方をおとりになるわけですか。どちらの方向をあなた方は規定づけられておいでになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/20
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021・福田繁
○福田(繁)政府委員 現在は超勤手当を考えないということでできているわけでございます。従って私どもは現行制度のままでいいと考えておりますが、しかし先ほどのお話のような裁判所の見解等もございますので、そういう点については将来の問題として研究していきたい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/21
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022・村山喜一
○村山委員 そこで超勤はさせない方針、超勤という制度は方針としてとっていない。そうなりますと超過勤務をさせないような指導方針というものがなければならない。そういたしますと、文部省は教育課程の改正をおやりになる、その中で学校に配属するところの教職員の数は——教育課程の改正はやった、そして新たに道徳科というものを教科でない一つの形として作られたわけです。そして最低の授業時数、最低のそういうような基準制というものを新しく改定をしてお作りになる、その基準制に学校現場は拘束をされる、こういうことになって参っております。そして中学校の場合にも選択教科の時間数等をふやしまして、いろいろと教育内容を改善し、学力の水準を引き上げていくんだ、こういうようなことで方針はお作りになる。ところが一方それに合うところの職員の配置数はお変えになろうとしない。従って現場の教職員の配置数からいって参りますと、人数は変わらないのに、ますます学習指導要領の改定等によりまして、教職員の教育量、教科指導の時間はふえ、教科外指導の時間はふえ、あるいは学校行事その他のクラブ活動の時間数はふえている。しかもいろいろな事務の繁雑というものは、地方教育行政機関が生まれまして、各種の資料を作らなければならない、ますます繁雑をきわめているという格好になる。そして新しい時代に即応していく教育がなされなければならないというので、いろいろな研究集会等もひんぱんに開かれる。こういうような格好で教職員の勤務時数というものは飛躍的に増加の一途をたどるのみであります。それに対するところの対策は講じないでおって、あなた方の方では超勤制度というものは認めていないんだから、超勤をさせないような指導をするんだということをお考えにはなっておりながら、それと相反するような指導というものが現実においてはなされている。こういうことになって参りますと、一体文部省の教職員のいわゆる管理といいますか、教職員に対する勤務条件というようなものについては、あなた方の日教組の代表と団体交渉、団体交渉という言葉が悪ければ、会おうともせられないわけです。勤務条件の問題についてはそれは都道府県教育委員会がやることだ、こう言いながら一方においては国家権力の名においてそういうような指導要領等を改定をされて、そして勤務時間が上がるように持っていく、それに合うところの教職員の配置はやらない、こういうようなことでは超勤をせざるを得ない実態に追い込んでいって、超勤制度はないにもかかわらず、明らかに超過勤務命令は出ていないけれども、何らかの形において校長が超過勤務をさせなければ学校の機能はストップをする、こういうような実態が生まれてきている。そうなれば当然超過勤務した者については裁判所は超過勤務手当を支払いなさい、こういうような命令をせざるを得ない。こういう形になって参りますと、これはただ給与の一形態の考え方だけで律するのでなくて、この教職員の勤務時間なり勤務条件なり、そういうものとの関連性というものが当然学校指導要領等の制定にあたっては考えられなければならないわけです。そういうような総合的な立場に立って教職員の勤務というものに対する、あるいは給与というものに対するところの対策を、どういうふうにお考えになり、どういうふうにしようとしておいでになるのかを、この際承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/22
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023・福田繁
○福田(繁)政府委員 おっしゃいましたように教員の勤務時間、勤務量がいろいろふえてきつつあるということは、私どもも現実の問題として認識をいたしておるわけでございます。
そこでこの問題をいろいろ考える場合におきまして、根本的な問題として私どもが考えなければならない点は、やはり教員の定数の問題じゃないかというように考えるわけでございます。従って現在の教員の定数につきましては、これは御承知の通りに、小中学校あるいは高等学校につきましても、定数法によりまして一定の基準に基づいて算定された定数が配当されるわけでございます。小中学校の場合におきましては御承知のように昭和三十四年度からこのすし詰めの解消という点に重点を置きまして、そして教員の定数を充実していくというような考え方で、逐年小中学校の教員の増員をはかって参ったわけでございます。従いましてこのすし詰め解消も、三十八年におきまして小中学校はこれは今の計画から参りますと一応完了するわけでございます。従って定数の算定等につきまして今後定数法のやり方をどういう工合にするかという問題は、今村山委員のおっしゃいました問題と関連してくる問題であろうと私は考えております。そういう際に十分教員の勤務量等を勘案いたしまして、定数による措置等を考慮していきたい、こういう心組みでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/23
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024・村山喜一
○村山委員 そういうような考え方でそろそろ初中局あたりで検討をしておいでになるということは、私もお伺いしてまことに喜ぶべき傾向であるとは考えております。しかしながら現実においてあなた方はこれだけの基準が示すものを、どれだけの授業時数において、そしてほかの教科指導あるいは教科外指導の時間数というものはこれこれでなければならない、そういうふうな科学的なデータというものを、一つモデル的な意味においてどこどこの学校に実験をしてもらおうじゃないかとか、あるいは国立教育研究所あたりでそういう根本的な問題についてどういうふうな状態で解決をしたらいいかというような問題について、何かそういうようなものを積極的に解決をしようという一つの試みをなされた事実がありますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/24
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025・福田繁
○福田(繁)政府委員 定数の改定等に関連いたしまして、そういう実態の調査なりあるいは科学的なよるべき資料を私ども得たいと考えております。教育研究所で最近調査したものがあるかどうか、私は今ちょっと記憶いたしておりませんけれども、数年前に文部省の調査局におきまして、実態調査を一部分でございますけれどもいたしたことがございます。そういった資料はできる限り私どもの方でこれを利用させてもらって、実態に合うような考え方をとりたいという措置はして参ったのでございますが、しかしこれは数年たてばまた事情が非常に変わってくるということは、これはもう御承知の通りでございます。従って今後より正確な調査資料を求めまして、改定の際には十分それを活用したいという気持でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/25
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026・村山喜一
○村山委員 初任給調整手当を、高等学校のみならず小学校中学校まで一律に千円あるいは二年目には五百円、こういうような形で引き上げていくことについて努力をされましたことに対しましては、私も敬意を表したいと思う。しかしながら、この中でやはり考えなければならないのは、教員の給与というものが勤務に見合い、そしてその職能に見合うものでなければならないことはもちろんであります。それに生活の保障というものから成り立っていると考えるわけであります。そういうような立場に立って今日各組合が初任給の引き上げというような要求運動をいたしていることは御承知であろうかと思うのであります。特に公務員の場合には最低賃金として一万二千円というものを公務員共闘会議あたりにおいては要求いたしておる。そうしてほかの職種の場合の最低賃金は八千円というようなことで、年令別によるところの最低賃金制確立の要求と相待ちまして、公務員の給与はいかにあるべきかというようなことでそれぞれ要求をいたし、大幅な賃金引き上げ要求ということでたしか五千円の賃金引き上げ要求をいたしているかと思うのであります。それに対しまして、文部省は、今日の給与形態の上において、先ほども申し上げました、そして初中局長も御認識をいただいておりますように、今日の給与においては非常に不合理な面がたくさんあるので、これを合理的に検討しなければならない段階であるということになっておりますが、その場合において、この初任給の引き上げと相待って賃金を一カ月五千円引き上げていくという大幅な賃金引き上げの要求に対するところの文部省の考え方、それに対するところの政府の態度、こういうようなものがやはり今日の所得倍増政策、高度成長政策の中においては一つの政策として考えられなければならないし、またそれに対するところの文部省の見解というものもお持ちにならなければならないと思う。国家公務員に対する場合に内閣全体の問題であるから内閣委員会で対処していくのだ、こういうような考え方もありましょうけれども、教職員の生活の問題等を非常に心配をし考慮していかなければならない立場にある文部省としては、やはりそういうような教職員の職種の特殊性とかあるいは職能、それと同時に最低の生活を支えていく場合の給与はかくあるべし、こういうような一つの総合的な見解を政務次官等はお持ちになって、そしていろいろとお働きを願わなければならないかと思いますが、文部省の大臣なり政務次官は賃金引き上げ要求に対してどういうような見解をお持ちになっていらっしゃるかを、この際承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/26
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027・長谷川峻
○長谷川政府委員 だんだん御議論のありましたように、教員の給与は非常に手当等々が種類別になっておりまして複雑であります。これがだんだん合理的に向かうように努力をしたいという念願を持って、今度の場合でも初任給手当についてもいささかでありますけれども、努力した格好が御審議願っている理由であります。やはり学校の先生の給与というものは古き時代を見ましても割によかった。でありますから、質のいい先生が一ぱい出る意味におきましても、やはり学校の先生の給与というものは、その職業を聖なるものとわれわれが尊敬しているゆえんからいたしましても、大いに努力して、ほかの給与体系の中においても私たちの要求をいれさせて御期待に沿うように努力して参りたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/27
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028・村山喜一
○村山委員 ほかに賃金論といたしましてはまだたくさんの僻地手当の問題やその他の諸手当の問題もありますし、また現在の給与表の適用の問題、あるいは学校種別、学歴の段階に応ずるところの不合理是正の問題等たくさん内容的には論議すべきものがあるわけでございますが、ほかの方も質問をする用意がございますので、私は最後に要望だけを申し上げて質疑を一応終わりたいと思います。
それは今度の初任給調整手当の中で人事院との交渉の結果、大体の見通しが、三月の中旬ごろにおいて全部の先生に適用される、こういう見通しでございますので、その分だけは初任給が引き上がることになりますから、それ自体はいいことであります。しかしながら一年目は一千円引き上がる、二年目は五百円で終わる、三年目になるとそれがゼロになるという形の中では、当座の一年、二年間は何とかそういうふうにやっていけますが、三年、四年、五年とたつにつれてかえって普通の公務員よりも昇給の度合い等において——昇給率は同じでありますが、公務員の場合は職階制賃金体系をとっておる、そうなって参りますと教職員の場合は比較的に職階制賃金の体系が薄らいでおるわけです。同じ大学を出てほかの公務員のポストについていった場合と、教員という一貫した一つの勤務形態の中で進んでいった場合においては、十年後においては相当な実質上の給与の開きが生まれてくる。さらにまた大学を出て教員あるいは公務員にならないで民間に入った場合においてはさらに大きな格差が出てくる、こういう現実の事態があるわけです。従いまして優秀な教員を教壇に確保していくためには、現在のこういう当面の事態を何とかして押し切っていけば、一ぺん教員になればもう教員の生活が忘れられないから、あとはそのままいくだろうというような対症療法的な考え方ではなくて、もっと抜本的な給与に対する考え方というものをお立てにならなければ、今大学に入っているところの教育学部の学生の質あるいは学芸学部の学生の質等を考えてみますと、日本の教育を背負って立つ教師が、将来において非常に質の悪いものに低下していくのではないかという点を私は危惧の念を持っておりますので、そういう方向においてもっと勤務条件の内容改善をはかると同時に、給与の改善については積極的に施策を編み出していただいて、それを内閣の方に持ち寄っていただいて、あるいは人事院等にも働きかけていただいて、教育を振興するという立場から真剣に取り組んでいただきますように要望を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/28
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029・櫻内義雄
○櫻内委員長 山中吾郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/29
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030・山中吾郎
○山中(吾)委員 この法案について私も質問をいたしたいと思うのですが、今の給与に関するいろいろの手当は非常に多岐にわたって、ちょっと複雑で整理ができないわけです。ちょっと見ると、いわゆる労働手当というのですか、超勤のような労働過重に対する手当、それから研修のために必要な研修手当ですか、さらに校長の管理手当というのは、これは何が目的なのか、政治的手当といえば政治的手当だと思うが、そういうことを考えないで言ってみると責任手当というのですか、責任を目的とした手当なのか、それから教員の不足を補充するための教員誘致手当というのですか、そういう四つぐらいの目的があって、雑然と文部省では思いつきに手当を逐次出していったように思うのです。今村山委員も言ったように、手当の整理をする必要があるのじゃないか。今私が言ったいわゆる目的で種別をいたしますと四つぐらいになるのですが、その点について局長は手当に関する全体としてのあり方、教員管理の立場から今のような手当について何か根本的に改善するための準備を文部省の中でされておるのかどうか。そうでなければ私また要望しなければならぬと思うのですが、たとえば中教審にそういう諮問もしたことがあるのかどうか、中教審に諮問をしたときにどういう顔ぶれを、給与手当の原案を作成する委員として出しておるのか、そういうこともお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/30
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031・福田繁
○福田(繁)政府委員 お述べになりましたように定通手当、産振手当、僻地手当といろいろございまして、それらのものにつきましてはやはり給与の合理的な制度ができるまでというような考え方も一部にはあると思いますけれども、それぞれ目的、その必要性に応じてできたものと考えております。従ってこれを合理的なものにするにはやはり相当研究しなければならぬと思っておりますが、事務的には絶えずそういう問題について私ども検討は加えております。しかしお尋ねのような、最近中教審にこれを諮問したということはございません。また特別の委員会あるいは調査会を設けて、それを検討しているということも別にございませんがこれは今後私ども十分研究をして参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/31
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032・山中吾郎
○山中(吾)委員 次の委員会までに、現在支給している各手当の目的と額、その一覧表をいただきたいと思います。
私はこの暫定手当について実は根本的に反対なんです。学校管理の立場からいって、同じ学歴の者に学科の担当が違うために給与の差をつけるのでは、校長は管理はできないと思う。そして教員の不平不満というか、非常に気持を小さくして、いわゆるお互いの中に不平不満が出てきて、これは教育環境にとって私はマイナスだと思うのです。ただし教員の誘致を目的としてこういうことが現われておるのだと思うが、こういうやり方でなしに、もっといい方法がないものかどうか。これはもう少し根本的に検討してもらう必要があると同時に、同じ教員誘致のための手当には僻地手当があると思うのです。もしやろうとすれば、教員の住宅がない場合住宅手当を出すとか、僻地の教員を誘致する場合に僻地手当ぐらいじゃ非常に不合理なものがあるのじゃないか。一方で学科関係で教員不足のものに調整手当まで出してやるならば、僻地だって出したらどうか。しかも僻地手当についてだんだんと範囲を縮小してきておるのですね。バスができた、何ができたで給与を下げたりいろいろと下げてきておる。そして暫定手当ですか、属人手当、属地手当を三十七年の三月三十一日で切るということになっているのですが、この点、学科関係の教員を誘致するための調整手当を手厚くして、一方に僻地手当をだんだんに切っていくというのは私は反対なんです。僕の考えるこの目的が正しいとすれば、一方大都市では文化生活ができる、僻地の方はバスができても、こっちが便利になってもそっちの方はさらに便利になっているのだから、その文化岳活の格差は変わらないです。教員不足で教員を誘致するための手当であるならば、バスができた、少し郵便局が近くなったということですぐそれを減らしていくということは、私は僻地教育に対する理解がないと思う。どこに行っても山村においては、こちらがよくなっても県庁の所在地や他の都市はさらに条件がよくなっているわけですから、こういうものをだんだん削っていくという給与方針には私は反対なんです。宮城県出身の次官もその辺は実感を持って考えていると思うのですが、三十七年度の僻地の暫定手当を一方的に打ち切るということでなく、さらに引き延ばしていくという方針をここで明らかに示しておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/32
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033・福田繁
○福田(繁)政府委員 僻地手当のお尋ねでございますが、僻地の指定の問題はいろいろ各地の要望もありますので、私どもは極力僻地指定の問題につきましては根本的に実情に応ずるような指定をして参りたいと考えております。ところで、その手当の問題でございますが、今の省令によりますと、暫定一級地となっておりますものにつきましては三月三十一日でもって一応切れるわけであります。しかし今もらっている暫定一級地の手当をそれによって全部落とすということは適当でございませんので、関係省と相談をいたしまして、とりあえず三十七年度は据え置きまして、その後年次計画的に、少なくとも四年間ぐらいの間にこれを漸次一級地になるように解消していきたい、こういうような心組みでこの規則の改正を今行なおうとしておるところでございます。従ってこの三月三十一日で切ってしまうというような、いわば既得権打ち切りというような考え方は私どもとしてはいたしてないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/33
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034・山中吾郎
○山中(吾)委員 これは次官に聞いておきますが僻地手当は、先ほど言ったように、各手当の目的の中で教員の赴任を好まない地域によい教員を持っていくことを目的とした手当なんです。だから僻地というのは都市と比べて相対的概念だと思うのです。バスができたから僻地でなくなるというのでなくて、こういう教師政策の場合については、その地域の文化生活その他の格差が今までと同じならばやはりそのままそこに赴任せしめるための特別手当は必要なわけですね。今のような文部省の考え方では逐次そういうところを減らしていくということなので、実際の地方の教育行政から言ったら、バスができてもそこに赴任さすについての困難さは同じなんです。そこでこういうものは漸次減らしていくという考え方はいかぬと思うのです。その点、次官は行政感覚でなしに政治的感覚でお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/34
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035・長谷川峻
○長谷川政府委員 私も実は山中先生のように教壇には立ったことがありませんけれども、僻地の分校はここ八年間、毎年五十校ずつ歩いておる。でありますから、いささかは事情もしろうとながらわかるので、あなたがおっしゃったような地方の僻地と都市の設備の整った本校との違い、そこで教えている先生の苦労というものを多少了解して同情している一人であります。今、初中局長が答えましたように、暫定の問題については点数の足りないものは減らすということ、削るということ一これは局長がお答えしたようにそのままずっと置いておくようにはっきりきめております。
それともう一つは、僻地を先生がきらうこともあるわけです。非常に交通が不便でもあるし、わずか十名ぐらいの生徒で、電気もないところで食い物もないところで教えておる。私は地方を歩きながら、ああいう僻地で教える先生は三十人、四十人も先生がいる本校の先生より地域社会に対する責任もあるし、生徒を直接に指導するほかに個人的な影響力等いろいろな苦労が多いから、僻地を一ぺん経験したような先生方の異動の場合には、なるべく栄転できるように——昔の場合ですと、もう役に立たぬから僻地にやれという先生もあったように聞いております。しかしながら今からは、ああいう苦労をして教育をするそうした先生方が、教育界の中においてどんどん伸びていくという栄進の方法などもお考えいただくように、実はお願いもしているような格好でございます。そういう格好で、山梨なり宮城の方を取り上げるようにお願いしておるのでございまして、そうしたところの御指導をお願いできることによって、先生の地位の向上というものと合わせて経済的な問題にしても、あなたがおっしゃったようなことを加味しながら僻地教育の振興というものに当たっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/35
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036・山中吾郎
○山中(吾)委員 栄進したって経済的に苦しければだますことなんで、今は経済的な問題を限っての話なんです。だから僻地の場合については、バスができたりその他で、大蔵省の関係で僻地の指定についてどうしても説得ができないならば、住宅のない人には住宅手当という新しい手当を創設してやるとかいう考えを持たなければ、今のようにだんだん点数を減らしていく方向で一年延ばすというだけの行き方は私はだめだと思うのです。とにかく現実に地域の生活に格差がある限りは、そこに行く先生はいやがるわけです。旅費にしても岩手の僻地にある先生は、盆と正月に家に帰るだけで、そのときに俸給が飛んでしまうようなものです。だからそういうことを公務の出張として帰省手当を出せというふうなことまで——ずいぶん離れて、山から降りてくるのに東京に来るぐらいの時間がかかる。こういうふうなところからいって旅費のことでも考えてやらなければいかぬ。一方的に文部省が僻地手当を少し便利になったから減らしていくとか、暫定的にこの省令で一応何年度まででとどめるという考え方はよろしくない。そういう方向では教育の機会均等からいって、決してよい先生を持っていくことは不可能です。別な手当をまた出して、一方に僻地の関係については漸減しなければならぬならば、補うものを反対に考えなければいかぬ。そういうことを検討してもらいたいと思う。一つ次官からその点をお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/36
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037・長谷川峻
○長谷川政府委員 御趣旨のように考えていきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/37
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038・山中吾郎
○山中(吾)委員 それから旅費の関係ですが、これは手当関係だからついでに聞きたいのだが、一番肝心なことは旅費が少ないことです。本年度予算は四千八百円とまことに少ない。これは数年前には要求は七千円ぐらい出しておりましたが、そういう程度のものができてようやく趣旨に合うと思うのです。次官に認識してもらわなければならぬことは、教育公務員特例法の十九条に「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に務めなければならない。」その次に「教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない。」と、これは法律的義務があるわけです。そうすると先生一人あて四千円くらいといいますと、県庁の所在地へまず年に二日間、三百六十五日のうちで二日間泊まって研修するということになると、旅費として一万円はかかる。それを三、四千円くらい計上することは、理屈から言うと法律違反の計上だと私は思う。そういう理論を立てて大蔵省関係の旅費についての認識を変えさす必要があるのじゃないかと思うのです。現実に赤字でみな勉強に出て、一人分の旅費を二人で分ける。一人の者が旅費の受け取りの判を押して、二人で出ている。教員にそういう詐欺をやらさざるを得ないような旅費なんです。はなはだしいときには一人の旅費を四人に分けて一人が判を押しておる。これは正当旅費を受けなければいかぬのです。正当旅費を要求する権利がある、正当旅費を渡す義務があるが、正当旅費を受けても実際には赤字旅行をしなければいけない。一人の者が判を押して正当旅費をいただいて、三人で分けてそれで負担をしている。こういうことを公の席上で論議をしますと、判を押した先生たちも責めなければならぬような矛盾が出るわけなんです。こういう関係の改善をすれば、私は調整手当なんて、教員の職員室の空気を悪くするような姑息なことをしなくてもできると思うのです。その点本腰を入れて文部省で検討してもらいたい。大蔵省に対してもっと啓蒙しなければならぬと思うのです。役人の旅費は正当旅費で堂々と出ている、一般の教員は旅行する必要はない、それはその通りですが、会議の旅行でなくして研修の義務があるのですから、年に二回くらいは出すだけの正当旅費は計上すべきだ。これは財政上の問題を越えて私は要求すべきだと思うので、これも三十七年度において、根本的に改善するように政府は努力してもらわなければいけない。そこで次官の決意を一つお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/38
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039・長谷川峻
○長谷川政府委員 今山中委員のおっしゃったようなことを、私も地方を歩きながらよく聞くのです。あなたが学校の先生が詐欺をしなければならぬという話まで出された、その実情ですね。たとえばバスの定期ですと、補助金がくるから定期券を買って、あとは払い戻しして自転車で通わざるを得ないとか、PTAの方で今のような研修旅費の場合に負担しなければいけないとか、いろいろなやりくりをしている話も聞いております。ことしは局長から、お話があったかと思いますが、四百円ほどふやしてはおりますけれども(「汽車賃が上がった分だけだよ」と呼ぶ者あり)まあ実績程度を計上して、府県に対して研修旅費等の予算については増額するように指導もしていきたいと思いますし、そういう現場の実情をやはり文部省で実際に扱っている方々にフランクに御認識いただいて、その気持において努力、改善するように持っていかなければならぬ、こう思って、私もいささかそういう努力をいたしますことをここにお約束します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/39
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040・山中吾郎
○山中(吾)委員 次官の答弁では十分認識していないと思うのですよ。たまには大蔵大臣を呼んで——この辺は法律違反だと思う。原則として教員には少なくとも年に三泊四日の研修機会を与えるという法則を打ち立てれば、それに基づいた正当旅費は計上するということが当然だと思う。こういう三十九条の研修規定があるのだから、一種の義務支出としてやらなければならぬ。確固たる行政的信念で交渉しなければいかぬと思うのです。ことに僻地の場合については、研修する場所が県庁の所在地その他で遠いですね。そういうものがまた一番不利になっているわけです。だから一方に、僻地教育振興の面からその不便なところに教育センターを作って、少し指導主事か何かを駐在さして、そこで研修をやるというふうな論も出ておる。それも一つの方法であるが、研修の旅費が公平に使えて、勉強する機会を与えるということを私は考えなければならないと思う。長谷川次官の答弁は少しも実感が入っていませんよ。それでは私は実践的熱情がそこに裏づけられていないと思う。いま一度お答えをしてもらわないと言いっぱなしになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/40
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041・長谷川峻
○長谷川政府委員 実感が出てないと言われますが、これは━━━━━なものですから。あなた方のように━━から出ていれば実感が出るかもしれませんが……。私は地方を歩きながら、そういうことを聞きながら、そういうことについても一生懸命努力することをここでお答えしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/41
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042・山中吾郎
○山中(吾)委員 ━━とは何ですか。━━とは何ですか。国会議員として話しているんじゃないですか。変なことを言うんじゃないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/42
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043・長谷川峻
○長谷川政府委員 今の話は、今のうちに皆さんのお気にさわった点は取り消します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/43
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044・山中吾郎
○山中(吾)委員 ━━の代表としてこういう意見を述べておるんじゃないですからね。法律の規定からいって、今の旅費ほど非人道的なものはないのです。もっとまじめに答えなさい。
それから、この法案について矛盾を感ずるのは、一方都市においては暫定手当がある。物価手当ということになってくると、僻地に行けばさらに生活費が高まるわけですね。従って、僻地手当というのは、教員の誘致に困るから出す手当と、都市における物価手当に相当する二重の性格がある。そうすると、僻地指定関係の点数だけで減らすというようなことは不合理である。そこで、文部省では、この手当の目的は何と何だということを明確にして予算折衝をすべきだと思う。分校とかそういうところに行くと生活費が高まるわけです。その点についても十分検討してもらいたいと思います。
引き続いて、この手当の相互関係で、こういう法案全体として矛盾のない審議をしたいから聞いておるわけなんですが、現代の七、八件にわたる各種手当一覧表を次の機会に出してもらって、そのときにまた審議を進めたいと思うのであります。
これに関連してちょっとお聞きしておきたいと思って先ほど少し触れたのですが、中教審に三特別委員会があるのですが、そのうちの第二特別委員会で、二十八年十月十四日ですか、教員の定数及び給与の問題について審議したような記録があるのです。どういう内容ですか知らないのですが、諮問をしたことはないという局長の答弁ですから、多分そうでないと思うのですが、給与の地域差についての審議だとか、あるいは給与条例に関する問題とか、こういうのがあるのです。こういう手当の問題はやはり触れているではないですか。もしこういう給与問題を本格的に検討するなら、諮問案として出して検討してもらいたいと思う。その点局長からお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/44
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045・天城勳
○天城政府委員 私から御答弁申し上げます。御指摘の中央教育審議会の審議において給与問題が取り扱われたことがあるかという点でございますけれども、御指摘の通り、昭和二十九年の八月に義務教育学校教員給与に関する答申というのがございます。これは先ほど初中局長から御説明申し上げました通り、特に諮問をしたわけではございませんので、中教審が発足いたしました当初、戦後の教育全般、特に義務教育全般の改善についての包括的諮問を大臣からいたしましたことに関連いたしまして、約八本ほどの中教審の問題ごとの御答申がございまして、その中にこの問題が触れられているわけであります。ここで触れております問題は、すでに御存じだと思いますけれども、こまかい手当の問題等については必ずしもわたっておりませんで、主として給与体系の問題、地方財政の問題、教員の定数基準を明らかにすることによって給与の改善をはかるというような点が趣旨でございましたのが従来のいきさつでございます。なお、中教審で将来給与問題をどういうふうに考えるかというふうの問題もございましたけれども、現在大学問題を取り扱っておりまして、次にどういう点を諮問いたしますかこれはまだきまっておりませんが、必要な大事な問題につきましては中教審に諮問していくことになるわけでございまして、その際また検討さしていただきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/45
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046・山中吾郎
○山中(吾)委員 この給与の第三特別委員会の委員というか、主査を書いているが、八木沢善次、児玉九十、野口彰、こんな人では教員の給与の実態は私はわからぬと思うのです。全体としてこの中教審の顔触れを見ると、ほんとうに文教政策の実態を感じて、そうして合理的なものを答申するような顔触れではないわけです。まず給与の関係に関連をして聞きますけれども、この第二特別委員会、教員の給与などに関するもの、この三人の委員は給与についてそういうことがわかる人ですか。僻地の教育の実態についてですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/46
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047・天城勳
○天城政府委員 これは中教審の委員の中から特にこの関係について特に御研究願った委員の方々でございまして、当時八木沢先生は教育委員会の協議会の代表者、児玉先生は私学関係の中高連の代表者、野口先生はたしか中学校長としての立場で御参加になったと記憶いたしております。もちろんこれは関係の専門の人たちをたくさん呼んで御審議になったのでございまして、この先生方だけでこまかい仕事をなさったわけではございませんで、必要な場合には中教審は専門委員をあげることができるようになっておりまして、私どもも詳しく覚えておりませんが、こういう形でやられたのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/47
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048・山中吾郎
○山中(吾)委員 東京に住んでいる人が、こういう全国の非常に地域の格差があり——僻地におる教育こそ一番教育精神に燃えて、そして苦労をしている。子供の教育も下宿させてやらなければならぬ。大へんな苦労をしているわけなんですが、こういう顔ぶれで給与の審議をされることには私は反対なんです。
関連してお聞きするのですが、中教審の顔ぶれを見ますと、平均年令何才になるか知りませんが、天野貞祐先生以下大体七十ぐらいの人ばかりだろうと思うのですが、こういう人たちに学校制度の諮問をする。この諮問事項を見ますと、あらゆる諮問をしておると思いますけれども、こういうところから戦後の新しい教育制度の刷新案だとか、そういうものはできっこないと思うんです。この顔ぶれは、一種の権威を守る機関ならわかるが、実際の日本の文教政策を民主的に改善しようという顔ぶれとしては不適当である。こういうものに諮問をして、ここからの答申で日本の文教政策が進むという考え方は、私はどこかおかしいと思う。次官はこの顔ぶれを知っておりますか、感想はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/48
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049・長谷川峻
○長谷川政府委員 中教審の委員諸先生方は、山中委員のおっしゃるように確かに教育界の権威の方々であります。さよう了承しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/49
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050・山中吾郎
○山中(吾)委員 これによると、早稲田大学学長、広島大学、立教大学、各学長、総長、そして小中学校長もおるけれども、みな老人。私はこういう顔ぶれについて異議があるので、もしこれを改善するなら、むしろこれなら国会議員を少し入れた方がいいのです。平均七十代の明治時代の感覚しか持っていない人で何ができるのです。もしそうならば、若干国会議員を入れて——おそらくいなかの人を審議委員にすると、会議の旅費がかかるので、東京に住んでおる者を集めていると思う。それならずっといなかから来ておる国会議員を入れて、もっと活発な論議をしてやるというような諮問機関でないと、私は地方教育審議に関する限りにおいては何もできない。そして大臣が責任回避の場所にするだけだと思う。諮問をいたしまして、答申はこうなりました。——大臣はいないのですけれども、長谷川さん、一つこの辺くらいはある程度の再検討をしてメスを入れて、もっと新鮮なものに私はすべきだと思うので、その点は一つ党内でもどこでもいいですが、論議を沸かしてもらわなければいかぬと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/50
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051・櫻内義雄
○櫻内委員長 それでは次に学校教育に関する件等について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。山中吾郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/51
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052・山中吾郎
○山中(吾)委員 高校急増の対策の中で、県が高等学校の増設計画を立てる。その場合に、現在の予算については補助は工業高校だけであるわけですが、工業高校の設立計画は、文部省においてはどの程度にタッチをされるのか。あるいは地方の計画に沿うて補助金その他の措置をされるのか。設置については、何校以上はいけないとか、あの県は幾らだとか、あるいは場所はこの辺でなければならぬという指導を、限界はどこまでとお考えになっているのですか。これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/52
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053・福田繁
○福田(繁)政府委員 工業高校設置の場合におきまして、これは新設の場合でございますが、各県でそれぞれ地域の配置等を十分考えて計画を立てておられるようでございます。従って、大体各県の計画された通りに現在は文部省は予算措置を講ずる、こういうようにやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/53
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054・山中吾郎
○山中(吾)委員 校数ですね。たとえば岩手の場合には工業高校何校建てる、高等学校何校建てる、それはそのまま全面的に尊重されて補助の措置をされるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/54
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055・福田繁
○福田(繁)政府委員 産振の補助の場合と一般校舎の補助の場合と若干方針は違っておりますけれども、一般校舎の場合は、昨年は補助金も約二億程度で少のうございました。従って、二年前向きということで進んだ関係上、各県につきまして新設の補助の対象とすべきものは原則として一県一校という建前をとったわけでございます。産振の方は、補助はそういうことはございません。計画に従って補助を行ないます。
ところで三十七年度におきましては、今度は第二年目になりますので、その点は一県一校というような窮屈な考え方ではなく、県の計画を出していただきまして、それに従って査定するという建前をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/55
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056・山中吾郎
○山中(吾)委員 そうすると、具体的にお聞きするので、わからなければ次の機会でいいのですが、昨年は岩手は工業高校一校、大船渡ですか、これはたしか認められた。三十七年度はまたさらに一校認められる方針なわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/56
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057・福田繁
○福田(繁)政府委員 昨年はおっしゃるように大船渡一校だったと思います。三十七年度は何を申請してこられるか、まだ私具体的に伺っておりませんけれども、具体的な計画が出て参まりすれば十分検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/57
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058・山中吾郎
○山中(吾)委員 県南に一つ認められた。次に県北に一つというのが県の方針で大体県が動いておるようでありますから、その点はその方針に沿って文部省も認められるように希望いたしておきます。
それから、教育会館のことで一度聞かなければならぬと思っておったのですが、教育会館は今度の三十七年度の予算で数億の予算が出ておるわけです。昨年も一億ぐらいの予算が出ている。そういう予算を出すならば、教育会館の性格をわれわれに明らかにしなければ——性格を明らかにしないでこういう莫大な予算を請求されることは不適当ではないか。ことにことしはすでに昨年と合わせて七億ぐらいになるわけですから、財団法人にするのか、国立教育会館にするのか、その辺は文部省において性格をもう明示しなければ、私は予算の審議を国会に諮るべきでないと思うのです。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/58
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059・福田繁
○福田(繁)政府委員 これはあるいは御説明をすでに申し上げたかと思いますが、教職員の研修等に利用する会館として設置をするという考え方で進んでおるわけでございます。今のお尋ねは、その運営の方式をどうするかというお尋ねのように伺いましたが、その点につきましては、従来関係方面ともいろいろ相談をして参ったのでありますが、私どもの考え方といたしましては、これは特殊法人による経営を考えたいという希望を持っております。そういう方向でまだ最終的な決着は見ておりませんが、そういう考え方で現在進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/59
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060・山中吾郎
○山中(吾)委員 特殊法人というのは、どういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/60
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061・福田繁
○福田(繁)政府委員 これはたとえば日本育英会とか、あるいは私立学校振興会というような法律に基づいて会自体を運営する特別の法人を作るわけでございます。そういう性格のものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/61
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062・山中吾郎
○山中(吾)委員 そうすると何か教育会館設置法とかいう特別法を出される予定なわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/62
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063・福田繁
○福田(繁)政府委員 特殊法人になりますと、そういう特別法が要ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/63
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064・山中吾郎
○山中(吾)委員 そうすると去年とことしと合わせて、私今ここで予算の数字をはっきり知らないのですが、何億になっていますか。六億ですか、六億を申しておいて、そうしてそういう法人の場合に法案とかなんとかいうものを出すということが常識のように思うのですが、それはどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/64
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065・福田繁
○福田(繁)政府委員 建物自体を建設することはこれは三十七年度予算で完成したいと考えておりますが、具体的にそれが運営され、動き出す場合は三十八年度からと考えております。従って特殊法人で運営するということになりますと、次の通常国会におきまして法案を御審議願うということになろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/65
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066・山中吾郎
○山中(吾)委員 これは僕の常識論から言いますと、すでに六億計上しておる、来年何億計上されるか知らないが……。そうして予算を審議して可決をした。その作ったものがあとで法律ができて、教育会館設置法というものが出た場合には何か矛盾を感ずるのです。何を作るのかわからないで、六億とかいうような予算をわれわれが可決するということは矛盾を感ずるのです。おそらく政府の方では施設費だ、建てているのだ、各省のいわゆる建物の増築のようなつもりで建てているのだ、できたあと何にするかということは行政の内部できめて、あとで法律を出して法律を整備してもらうのだ、こういう理屈だろうと思うのですが、どうもおかしい。そんなものですかね。どうも理屈は私はわからぬのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/66
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067・福田繁
○福田(繁)政府委員 予算の御審議を願います際には、教育会館の大体の目的というものはあわせて御審議願っているわけでございますが、たとえば国立競技場を作る場合におきましても、施設そのものは特殊法人国立競技場という特別な法人を作る以前から工事にはかかっておるわけでございます。それはその前の予算から準備をいたしまして、施設ができてからその運営に当たる特別な法人に法人格を与えるような立法をお願いする、こういう従来の例から見ましてもなっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/67
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068・山中吾郎
○山中(吾)委員 それはつまり国立競技場の場合でしょう。これは国立じゃない。国立教育会館というなら私はわかるのです。そうでなくて特殊法人で、育英会とか、教育会館という何か独立に特殊法人というのでしょう。違うのじゃないですかね。運営の方式その他はいいですよ。僕らこれを審議するといったってそういう育英会と同じような教育会館を作るというのはまだわからないで、数億の審議をせいというのはおかしい。あるいはわれわれをだますということもできるのですからね。またそういう法案を出してもわれわれは否決することもできる。最初の予算書にはたしか教員の研修とかなんとか何か書いてありました。研修という目的でやる場合は国立教育研修所という想定がわれわれの頭に先にくる。そのつもりの予算のような錯覚を起こして今まできたと思うのです。この点については、次の機会にもう少し納得するように説明して下さい。そうでないと、この予算については私はまじめに考えて、簡単にああそうですかとしておさめることはいけないだろう、国会の審議のあり方としては、そういうように私は思うのです。これはお聞きになっていると思いますが、その点は一つ内部で統一してもらいたいと思うのです。一方において——これは私は言いませんよ、日教組の教育会館に対抗して、文部省が教員の研修をやるというて、何か子供のけんかのような——政治的意図もある、そういうことで、あなたは、━━かなんだ、変なことを言ってけしからぬと思いますよ。そういうようなことを含んでいる。しかしそれは今私はここで論議をいたしていないですよ。純粋に予算審議の立場において私は問題があると思う。こういうふうな立場からお聞きしている。そういう意味において、次の機会に責任のある回答を、これは局長じゃなしに最高責任者から聞くべきだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/68
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069・福田繁
○福田(繁)政府委員 ただいまの御質問の中にございました競技場は、国立という名前が入っているからというような御質問のようでございましたが、名前は別といたしまして、特殊法人という性格におきましては、国立競技場も日本育英会も、今後できるであろう教育会館の特殊法人も、それは全く法律的には同じものだと考えております。名称は別でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/69
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070・山中吾郎
○山中(吾)委員 競技場というのは物的施設ですね、営造物ですか、営造物だとすると、その職員も入るというわけですが、そこがわれわれは概念がはっきりしない。そうすると、育英会も何か国立育英会ということになるのですか。今育英会と同じような特殊法人を特別法で教育会館設置法なんというものを作るというふうな必要がある、そういうふうな特殊法人だというような説明をされたのでわからないわけですね。それを国立競技場といえば、国立教育育英会ですか、ということでもいいということですか、まだわからないのですよ、その御答弁では。だから次の機会にもう少ししろうとにわかるように説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/70
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071・櫻内義雄
○櫻内委員長 小林信一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/71
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072・小林信一
○小林(信)委員 私も続いてお伺いすることがあったのですが。それはやめまして、ちょっと今の次官の御発言、実感云々の問題ですが、それは言葉の問題ではないのですよ。やはりこの際宮城県の問題を出されて、山梨県云々ということがありました。山梨県も一つお話を申し上げて実感を少し高めていただきたいと思います。実感とかなんとかということでなくて、行政責任者の大きな責任問題なんですからね。と申しますのは、今局長の方から暫定一級ですか、これがここでもって打ち切られないというお話があったそうですね。私の県あたりは、こういう今措置をしているのですよ、僻地はもうみんなで先生方が責任をもって僻地を守るというふうな、そういう態勢をしいている。だから何年から何年までの勤務年数によって、僻地要員というものをきめるのですよ。そしてその人たちも自発的に自分たちが行って、そして僻地の教育を守っているわけです。これは先生方の方もそういう自覚を持ち、これを教育委員会の方からも要請して合意でもってやっているわけです。だからこういうような形をお考えになれば、当然いろいろな優遇策というものが考えられなければならない。ところが文部省が実感がないのか怠慢であるのか、無責任であるのか、あるいは大蔵省に金を要求するすべを知らないのかというふうなところから、私の県あたりでは、まず先生方同士で、そういう僻地へ要員としてみずから行った人たちには日用品を供給する相互的な計画をしているんですよ。現在のように野菜の高いとき、都会が高いと同じように僻地も高いのです。そういうところへはお互いが便宜をはかって野菜を送り込む。災害のようなときには非常な問題があるのですが、みんな教員相互の協力でやっているのです。それから僻地要員として中途から行きますから、どうしても家庭をそのまま置かなければならぬ。そうするとその先生は別居しなければならぬ。従って別居手当というものを出すように県に要求していますが、県なんかは出さない。こんな点は実際考えていただきたいのです。いかにして僻地の先生を確保するかという点で考えていけば、そういう相互的な対策を講じていく以外にないわけです。行くためには、中途で行くのですから、自分の家庭をそのまま移動するわけにいかぬから、奥さんや子供は原地へ置く。自分だけ出ていくから別居手当を支給してくれということになる。今の山中さんの旅費の問題、これは言外なんです。私の県で僻地から県の中心地甲府へ行くためには、東京の立川へ出て、そして中央線に乗らなければ県庁の所在地へ行けない、研修も受けられないところがあるんですよ。そんなところは旅費なんか問題外なんですよ。仕方がない僻地を守るためにはお互いが責任を持ってやる以外にない。従ってそのためには相互的にそういう問題を解決していこうということになっているのです。今の暫定一級の問題、このことでも、せめてこれくらいは切らないでくれ、これが僻地を守る人たちの何の足しにもなるものじゃないけれども、切らないでくれというのが切なる要望なんです。そういう点を考えれば、これは決して切るどころじゃない。もっと特別に考慮していかなければならない。それから住宅の問題も、さっきお話がありましたが、実に深刻なんです。そこで共済組合の方へ頼んで、従来のようなものでなくて、合同した住宅アパートみたいなものを僻地の近在に建てて、そういうところへお互いが住んで、そこから甲の村の人たちも乙の村の人たちもA、Bの村の人も通っていくようにしようじゃないかということで、共済組合の方にそういうことをお願いして住宅問題を解決するというふうに、文部省、教育行政機関に頼んではらちがあかないというふうなところまで現在きているのです。そういう場合に次官のようなああいう御発言をなさっておるのでは、ほんとうにこれは救いがないわけです。ぜひこういう点も考えてもらいたいと思うのですが、今の別居手当というような問題なんかはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/72
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073・福田繁
○福田(繁)政府委員 これは山中委員のお尋ねの中にも、僻地手当の中にいろんな要素が含まれているのであるというお話がございましたが、私もその通りだと思っております。ただし物価手当のような物価に関する要素を全面的に入れていくということは考えられないわけでございまして、従ってこの僻地手当の問題につきましては、いろいろなむずかしい算定の方式のありますことは御存じの通りだと思います。今別居手当というようなものを直ちに考えるということは私も考えておりません。しかし僻地の手当の中のいろいろ点数計算の場合におきまして、僻地の、一口に申しますと、文化性あるいは教育的な配慮が十分なされておらなければならぬわけでございます。僻地は今お話しのように住宅がございませんので、そういう住宅に非常に困る先生が多いということは私どもよく知っております。従ってその点数等の算定の際には、住居関係の経費等もある程度加算できるような制度になっておりまして、現行制度におきましてもそういうことで若干の配慮はいたしておりますが、別居手当というような式のものを今これに入れるかどうかは、これは一つ将来の問題として研究させていただきたいと思います。
ただ住宅の問題になりますと、現在文部省は僻地の先生方の住宅補助として三十七年度で約一億円程度の補助金を計上いたしております。来年度から公立学校教職員の新退職年金制度ができますと、その積立金の運用等によって私どもの計画としては相当大幅に教員の住宅問題を推進したい、こういうように考えているわけでございます。従ってこの年金制度ができますれば、そういう面も従来よりも非常にやりやすくなるということは事実でございます。お答えになるかどうかわかりませんが、以上のような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/73
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074・小林信一
○小林(信)委員 この問題は検討すれば幾らでも問題があるのですが、どういう法律があるからとか、どういう規定があるからといって問題を考えておったのでは僻地問題というのは解決できない。私が今申しましたように、私の県ではそういうふうにお互いの責任でもって一ぺん僻地に行って、そうして僻地の経験をするなんということではなくて、お互いが一ぺんは行って、そこのところを守ってこなければだめだということで、ある年令を切って、その年令の人は行っているわけです。卒業生をすぐ配置する、しろうとはすぐそう考えるようですが、今採用されない。従って新規の採用者を赴任させて僻地を充実するなんということはできないから、中途でもってどんどん交代をするという非常手段に訴えているわけです。従って優秀な教員が行きますよ。さっきの次官がおっしゃったような、僻地は成績の悪い人が行くとかなんとかいうことと逆なんです。普通の先生はそうなんです。ところが校長は成績の悪いのを送るのです。非常に矛盾しているのですよ。優秀な若手の教員が責任を持って僻地の教育を開拓しようというので僻地に出ていきますが、今度はその長になる校長というのは、もうやめろと言われてやめるのを、私はもう少しやっていなければ困るのだというふうに拒否した者が一つの懲罰として送られる。そういう校長さんと、今度は新進気鋭の先生たちとは意見が合わない。せっかく僻地にそういうふうに優秀な教員をお互いの責任というような自覚の上で送り込んでも、経営がうまくいかないというようなところに問題が出ていますが、これも解決していかなければならないというような情勢の中で、私は、何の規定があるから何の法律があるからというふうなことでもって問題を解決するには、もっと積極的な対策を講じなければほんとうの今の僻地の対策というものは出てこないと思うのですよ。そういうふうに、私は先ほどのお話を聞いて、お互い責任のがれなんかで措置する問題ではない、そこまで問題が発展し先生方も立ち上がっているのだというように考えていただきたいと思うのです。
住宅の問題なんかも、そういう僻地の町村財政というのは苦しいのですから、自分で多少支弁しなければならぬ教員住宅なんというのはとても建てられない。満足する状態にない。国の予算だってそんなにたくさん盛ってあるわけではないのですから、そうなればやはり相互の力でもって教員住宅を建てて、そうして条件というものを整備しなければならないというふうになってきているわけです。こういうような点をもっと具体的に検討していただいて、せっかくの僻地振興がなされようとするときに、もっと張り合いを持ってやれるように文部省はお考え願いたいと思うのです。ほんとうに今気がついた点を申し上げてきたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/74
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075・長谷川峻
○長谷川政府委員 私は日が浅うございますが日本の教育の中で僻地教育の振興と特殊教育というものは、ほかの教育もさることながら、たちおくれている面があるのではないかと思うので、これは懸命にやりたいと思っております。前の時代の教員の配置のときと違って、だんだん今の時代は小林さんのおっしゃったようなそうした僻地を守る、また学校出のいい先生が一ぺんは行く、あるいはそれに対して地方の教育出張所あたりからときどき野菜の差し入れをするというふうな実態を私自身も拝見するのでございます。そうしたこともやはり僻地教育を振興させるという全体の願いだろうと思う。それに文部省のいろんな法律的な手当が少しあたたかく加味されるように、文部省としても実際に即して考えるような方向に持っていく努力を私たちがすべきだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/75
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076・村山喜一
○村山委員 私鹿児島ですが、離島その他山間僻地が非常に多いわけですが、県の段階で研修手当というのを旅費の中で要求しまして、大体千円普通旅費のほかに計上されている。ところが、そういうふうにして参りますと、現在の制度の上において、市町村立学校職員給与負担法で旅費も当然都道府県が持つ、それに対しては義務教育費国庫負担法で実額の半額は持つようになっておるわけです。そこで問題になりますのは、その負担額以外の、千円である場合には五百円は一般財源の中から充当しなければならないということになる。そうなって参りますと、地方交付税の中におけるところの基準財政需要額の計算の基礎には入らない。だから勢い教育費が基準財政需要額に比べて超過負担、持ち出し分となって現われてくる。そこでこれはやはり交付税の中でいろいろ種別補正をやったりしておりますが、その測定単位の中には、教員数、学校数、学級数、人口というようなことによって処理されて、補正係数の中では、段階補正や密度補正、態容補正、それに寒冷地補正というようなものが補正係数としてあります。しかし、そういうようなものからやっていった場合においても、基準財政需要額の算出の計算の基礎の中において、離島であるとか、そういうような僻地であるところのその行政実態に基づく僻地補正というようなものが係数としてはないのですね。そういうようなことで、勢い、都道府県の超過負担もさることながら、僻地教育の振興をはかっていくためには、単に補助金をふやすだけではだめなんであって、そういうようないわゆる基準財政需要額の算定基礎の中にそのような僻地の補正率を織り込んでいかなければならないわけです。それに対しましてどういうような努力をされているのか私はお伺いいたしたいと思うのでありますが、文部省の方に資料の提出を要求いたしたいと思います。それは、現在都道府県が基準財政需要額に比べてどれだけの超過負担をしているのか。またその需要額の範囲内において教育費を充当しているかどうか。それの割合が三十五年度の分についてはおわかりになっていらっしゃると思いますので、その一覧表を一つ出していただきたいということが第一点であります。
第二点は、現実に私たちがそういうような離島へ参りますと、これは私の選挙区にある例なのですが、一つの島に
一つの中学校があり、そこに通ってくるのには、五百メートルぐらいの山の高さのところを朝な夕な、片道三時間以上かかるところを、道路がありませんので山の尾根を伝わって朝三時間ぐらいずうっと歩いて学校に通う。そうしてまた夕方になりますと三時間ぐらい歩いて自分の家に帰っていくという例があるのです。そこで、そこにおる先生たちやまた父兄の人たちがスクール・ボートを作ってもらいたいということでスクール・ボートの要望がありました。県の教育委員会もなるほどそれはいい考え方だというので文部省の方にお話をしました。文部省の方でもじゃ上げましょうということになって参りました。ところがそこの町長さんがそれはちょっと待ってくれ、それは非常にありがたいけれども、半額負担だ、そうなって参ると、建造費については自己負担分があるが、その分については何とかなりましょう。しかしながらあとの運営費という問題を考えた場合には、そういうような僻地ほど生活状態が悪いので、負担をたくさん負わせるわけには参らない、そうなって参ると運営費において赤字が出ることは明らかであって、そういうものをやっていくためには現在の財政規模の中においてはとうていやり得ない、こういう結論が出て参ったわけです。そこで私は文部省の担当者の方に、そういう僻地の財政状況というものをあなた方が解決をしなければ、この教育行為に燃えた人たちの気持を政治の上で実現をすることもできないし、また現実にそういう僻地の子供は救われないじゃないか。そうして相変わらず一日六時間も山道をとぼとぼと歩いて学校に通う。それで教育の効果を上げるなんということは全くナンセンスだ。だからもっとそういう僻地における教育財政を充実するところの方法を考えるべきだ、こういうことを申し上げたところが、文部省の係の人がこう言われるわけです。それは私たちも考えております。しかしながらそういうところの市町村からの要望がそこまで政治的な姿として大きくなっておりませんので、私たちはこういう方法はまだ早いと考えております。だから補助金さえ上げればよいという考え方で今やっているところです。こういう考え方なのです。こういう考え方では僻地の教育をりっぱなものに仕上げていくということは、口では言うても現実において財政が伴わなければできないという現実があるのです。そういう実例をお考えになった上でこの地方交付税の中における態容補正というか僻地補正というか、そういうものに対する措置を文部当局として地方財政計画を作るときにあたっては、あるいはまた地方交付税の算定のその配分にあたっては、どの程度主張をしておいでになるのか、私はそういうことを承っておきたいと思うのです。それらの資料がもしございましたら、われわれは地方財政計画の中には僻地教育振興の上でこのような内容のものを要求し、事態はこういうふうになったという経過の表を、この次にはお出しを願いたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/76
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077・岩間英太郎
○岩間説明員 ただいまの僻地に関する財源措置につきましては、まず僻地の底上げということでございますが、自治省の方では一種地から九種地までのものにつきましては一種地の方ができるだけ高くなるようにしまして、傾斜をもちまして十種地の方に近づけていくという財源措置をしているようでございまして、これはまた聞きでございますけれども、全体で百七十三億程度の財源措置をする計画でもって三十六年度から約四十三億程度の財源措置をしているように聞いております。
それから僻地のスクール・バス、ボートの件でございますけれども、来年度予算に自治省の方で約十億円の起債のワクをとりまして、たとえばスクール・バスとかボートでございましたら、半額は国庫補助あとの半額は起債でめんどうを見るというようなことでございます。なおスクール・バス、ボートの運営費につきましては私どもの方から自治省にお願いいたしまして、特別交付税でもって措置するようにただいま折衝しておりますので、そういう工合に本年度からなるのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/77
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078・山中吾郎
○山中(吾)委員 関連。僻地のことで、ついでに要望して、次の機会にお答えを願いたいと思いますが、僻地の分校は、山を越えて向こうにある。転任にならないのです。分校づきの先生になる場合は、荷車に全部荷物を積んで、つまり転任と同じ費用が要る。ところが、同じ学校だから、転任でも何でもないということで旅費の支給ができない、そういうふうな事例があるのですね。ところが、隣の駅へ汽車で赴任をし転任する方はほとんど変わらないで、同じ学校の分校に行くのが大へんな費用がかかる。こういうものは形式的に規定によると出せない、自腹でやるというような事例が今までもあるわけですね。そういうふうに、僻地というものは、形式論理では成り立たないものがたくさんある。そういう場合でも、分校も独立校とみなすとか、本校から分校に移る場合には転任に準ずるとか、そういうような、省令できめられるかどうか知らないのですが、そういうふうな措置も御検討願っておきたいと思うのです。そういうことができるか、できないか、これは次の機会にお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/78
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079・村山喜一
○村山委員 今財政課長からお伺いしたのですが、一種から九種までの僻地性の非常に強いところにおいては、傾斜配分によるところの重点的なそういうような交付税の還元方式をとっている、それは自治省がいわゆる僻地におけるところの公共投資の割合やあるいは僻地におけるところの財政的な状況と見合ってやっている措置であって、文部省が今打ち出されたのはスクール・バス、スクール・ボートを購入したところにおける運営費については、特別交付税の中で見てもらうように要望した、その点だけはなるほど過去におけるものよりも一歩進歩しております。しかしながら僻地教育というものをどういうふうに育てていくかという立場から、財政的にこれだけのものが必要なんだという要求を当然自治省なり大蔵省にあなた方が要求をされたものがあるはずです。今申し上げましたようにそういうような僻地をたくさんかかえておるところは、僻地研修旅費というものは必要なんです。そしてまた普通の旅費だって多く要るんだ、そういうような実態になっているのですから、いくら口でうまいことを言っても、絵に描いたもちは食べられぬわけです。それでそれだけの財源措置を講じてやる、文部省としてはこういうふうに折衝をしてやっているのだ、こういうような姿をやはり僻地教育に携わる人たちに見せてあげる必要がある、こういうようなものをあなた方はやっておいでになるに相違ないと思う。だからそれらのものを、こういうふうな要求をし、こういうふうに現在はこの段階になっているという、そういう資料をこの次にはお出しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/79
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080・櫻内義雄
○櫻内委員長 次会は来たる七日水曜日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X00919620302/80
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