1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月七日(水曜日)
午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 櫻内 義雄君
理事 上村千一郎君 理事 八木 徹雄君
理事 米田 吉盛君 理事 小林 信一君
理事 村山 喜一君 理事 山中 吾郎君
伊藤 郷一君 小澤佐重喜君
花村 四郎君 原田 憲君
松山千惠子君 淺沼 享子君
前田榮之助君 池田正之輔君
田川 誠一君 濱野 清吾君
松永 東君 南 好雄君
杉山元治郎君 鈴木 義男君
出席政府委員
文部政務次官 長谷川 峻君
文部事務官
(大臣官房長) 宮地 茂君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 福田 繁君
文部事務官
(文化財保護委
員会事務局長) 清水 康平君
委員外の出席者
文部事務官
(初等中等教育
局財務課長) 岩間英太郎君
文部事務官
(初等中等教育
局地方課長) 今村 武俊君
文部事務官
(大学学術局学
生課長) 笠木 三郎君
文部事務官
(文化財保護委
員会事務局記念
物課長) 滝本 邦彦君
専 門 員 石井 勗君
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三月三日
委員井伊誠一君辞任につき、その補欠として高
田富之君が議長の指名で委員に選任された。
同月六日
委員高田富之君及び前田榮之助君辞任につき、
その補欠として淺沼享子君及び山口シヅエ君が
議長の指名で委員に選任された。
同月七日
委員松前重義君辞任につき、その補欠として前
田榮之助君が議長の指名で委員に選任された。
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三月五日
小、中学校の教科書無償配布に関する請願外十
二件(牧野寛索君紹介)(第一七四一号)
同外四件(牧野寛索君紹介)(第一八四一号)
同外八件(牧野寛索君紹介)(第二〇四六号)
同外二十件(牧野寛索君紹介)(第二二四九
号)
高等学校の理科教育振興に関する請願(池田清
志君紹介)(第一八四二号)
教育委員公選制復活に関する請願外五件(山中
吾郎君紹介)(第一八六五号)
スポーツ振興法関係予算の確保に関する請願(
池田清志君紹介)(第一九〇五号)
学校教育法第二十八条の改正に関する請願(臼
井莊一君紹介)(第一九〇六号)
鳥取県関金町立山守小学校の体育館改築等に関
する請願(足鹿覺君紹介)(第二〇四四号)
鹿屋山に国立工業高等専門学校設置に関する請
願(山中貞則君紹介)(第二〇四七号)
は本委員会に付託された。
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三月二日
特殊教育振興に関する陳情書
(第四五七号)
高等学校生徒急増対策確立に関する陳情書
(第四六〇号)
同
(第四六一号)
同
(第五〇七号)
同(第五四
四号)
同(第五七七
号)
私立学校振興措置に関する陳情書
(第四六二号)
業務教育施設の整備拡充に関する陳情書
(第五〇六号)
へき地手当指定の期限延長に関する陳情書
(第五七六号)
学校給食の改善に関する陳情書
(第五七八号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する
法律案(内閣提出第八号)
文化財保護に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/0
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001・櫻内義雄
○櫻内委員長 これより会議を開きます。
市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、この際これを許します。山中吾郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/1
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002・山中吾郎
○山中(吾)委員 前の委員会の質問の継続として、この教員についての諸手当のことについてお聞きしたいのですが、教員に対する超過勤務手当というのは現在行なわれていないわけですが、その教員に対する超過勤務手当を支給せぬ理由を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/2
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003・福田繁
○福田(繁)政府委員 教員には御承知のように超過勤務戸当がないわけでございますが、これは御承知のように教員の勤務の特殊性に基づくものでございまして、一般の他の公務員と違った勤務の態様をなしておるということがその勤務手当をつけてない理由であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/3
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004・山中吾郎
○山中(吾)委員 教育活動ですから時間を区切ってやることができないということは、その点は根本的にはわかる。ところが現在非常に定員が少ない、実際の八時間労働を非常に大きく超過しておるというふうなことから、それにかわるべき、給与そのものにかわるべき体系がない限りにおいては、超過勤務は支給すべきだと思うのです。超過勤務そのものはいわゆる労働時間外が超過をしたときに支給する性格だと思うので、その意味においては現実に教員は現在の定員数からいって週に相当の超過勤務をしておる。そのままに放置するわけにいかないと思うのです。そこで、今の御説明は根本的な考え方の問題ですが、現実に超過勤務を支給しないならば、別な何かの手当をしなければならない、それがないと思う。その点について、明確な給与に対する具体的な方針とか現在どういうことをしているかということをお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/4
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005・福田繁
○福田(繁)政府委員 御承知のように、教員につきましては超過勤務手当が支給されておりませんのは、今申しましたように、教員の勤務の特殊性に基づくものでございます。しかしながら一般の公務員に比べまして、いろいろな点において教員に対する給与の差と申しますか、一般の公務員よりもその点におきまして給与を高くするような措置をとっておりますことは御承知の通りでございます。初任給におきましても一般の公務員よりも約五百円ぐらい高くなっております。それから、かつてこの教員につきまして調整方法を設けまして、一般の国家公務員よりも一号ないし二号高くするというような措置を講じて参りまして、それを現在の俸給等に十分取り入れまして教員の待遇の向上をはかっているわけでございます。そういった面で一般の国家公務員よりも教員について高くするということにおきまして、今おっしゃるような急味合いが出ていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/5
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006・山中吾郎
○山中(吾)委員 今の局長の御答弁は、最初の給与体系を作る初期においては事実に合っていると思う。ところが現在は地方公務員の教員給与も国家公務員に準ずる格好で、いろいろの点もほとんど変わらなくなってしまっている。初期の、そういう給与に対する超過勤務を支給しないかわり教員の給与を高くしたということは、事実上解消しておると思うのです。そうなると、私は超過勤務を出すべきだと思うので、そうでなければ調整手当なんというものをまた全教員に考えてやらなければならないと思う。現実に私は差がないと思うのですが、地方の実態をお調べになっておるのかどうか。岩手の場合にも二号停止されてもとに戻してしまっておるのです。その点非常に矛盾を感ずるわけです。千葉の教育委員会、人事委員会のこれについての判定も、超過勤務は支給すべきであるという判定が出ておる。そういうところから言いますと、私は教員に超過勤務手当を――少なくとも定数法を改正して十分の定員を確保する、あるいは今の一学級五十五名とか五十一名、五十三名という超過した学級編制を解消したあとならば、教員の性格からいって超過勤務を支給しないことについて私は究極には賛成しますけれども、現在は支給しなければいかぬのじゃないか、そういうように思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/6
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007・福田繁
○福田(繁)政府委員 ただいま仰せになりましたように、超過の問題はこれは教員の勤務の特殊性から出て参ります関係上、今のような制度になっておるわけでございますが、これは一つの考え方にもよるわけでございます。はたして教員に超過勤務をつけてそれが有利になるかどうかということは、やはり給与の考え方自体にいろいろ検討すべき問題があると思います。従って、私どもとしては現在の教員の勤務量あるいは勤務時間等につきましては今後十分考慮していかなければならぬと考えておりますけれども、それは御承知のように現在の定数法におきましては、小中学校の子併のふえたことに応じまして昭和三十八年までにすし詰めを解消したい、こういうような方針で定数をできる限りふやして、そうして正常な学級にこれを編制していきたいということに主眼を置いておりますので、今仰せのような時間の問題あるいはいろいろの勤務の内容につきましては、そういう定数等をあらためて考え合わせまして、三十八年以後においてそういう問題も十分一つ検討して参りたい、こういうように考えておりますので、現在のところ定数に重点を置きまして考えておりますような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/7
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008・山中吾郎
○山中(吾)委員 これは文部省の調査した資料ですが、教師一人当たり一日の労働時間が十一時間になっておるわけです。教科指導が四時間二十五分、教科外指導が五十三分、教材研究指導推進整備が二時間六分、学級運営事務が四十五分、学校管理事務が一時間四十二分、個人研究研修が一時間十六分、合わせて十一時間七分、こういう資料が文部省で調査した資料に出ておるわけです。この超過勤務手当は出ていない。そしてすし詰め学級である。教員の定員が非常に少ない。しかし職務の性格から超過勤務手当はやらないというのでは、やはり文教行政としては矛盾があり過ぎると思うので、その点、今局長が三十八年度から改善をするというのは、超過勤務手当を考慮するというのでなしに、定数を改善してその矛盾を解決したい、こういう意味ですか。こういう資料が出ておるものですからね、もう一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/8
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009・福田繁
○福田(繁)政府委員 私の申し上げましたのは、三十八年には正常な学級編制ができるであろうということで今計画を進めておるわけであります。従って三十八年以降の子供の減る時期におきまして教員の適正な定数というものをきめます。それは当然に今おっしゃいました勤務時間等に重要な影響を持つわけてございます。そういう点から三十八年度以降において勤務時間あるいは定数等、これを十分研究いたしまして正常なものにしたい、こういうことを申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/9
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010・山中吾郎
○山中(吾)委員 そうすると来年度の学級の生徒数を正常に戻すということは五十名にするということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/10
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011・福田繁
○福田(繁)政府委員 現在進めております計画は、一学級五十名にするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/11
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012・山中吾郎
○山中(吾)委員 小学校、中学校、どちらも五十名に、来年できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/12
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013・福田繁
○福田(繁)政府委員 三十八年に五十名にするという計画で進んでおるわけでございます。これは努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/13
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014・山中吾郎
○山中(吾)委員 いつも大蔵省に案を出したあと、また現状維持にされる、そしていつも後退をしておるから、三十八年度は責任を持って五十名にするということを局長が今答えたと理解をしていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/14
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015・福田繁
○福田(繁)政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/15
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016・山中吾郎
○山中(吾)委員 それで五十名にしてみても、この問題は矛盾が残ると思うのですね。この十一時間という労働時間は、生徒が少なくなれば教材研究あるいはテストの整理その他は少しは少なくなるけれども、おそらく一時間も労働時間は少なくなるとは言えないと思う。一時間少なくても十時間労働時間を持っておる、そういうことなので、そういう点を考えての何か手当を検討しないといけないのじゃないか。おそらく法律的にこういうものの判定を下せば、超過勤務は支給すべきであるということは必ず出てくるのじゃないか。千葉でそういう判定がでていると同じように。一つ来年度予算編成については現実の矛盾を解決する方向で努力をしてもらいたい、その成否は別にして。その点は次官からお聞きしておきますが、努力目標としてはお考え頼っておかないとこれは実現はむずかしいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/16
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017・長谷川峻
○長谷川政府委員 お答えいたします。今まで局長が申されたような経過でありましたし、また山中委員がおっしゃったような資料などもわかりますので、努力目標として検討を進めてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/17
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018・山中吾郎
○山中(吾)委員 次に関連して日宿直のことでお聞きしたいのですが、この日宿直についても一般の公務員の通りの日宿直の手当は支給されていない。先生の場合については割引をされておる。これを国家公務員と同じように、日宿直の手当を支給するということもこれは当然すべきだと思うのですが、この点についての見通しと文部省の方針をお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/18
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019・福田繁
○福田(繁)政府委員 三十七年度におきましては日直宿直の手当につきまして地方財政計画及び地方交付税の中に三百六十円の単価でもって計上いたしております。これは国家公務員と同じ額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/19
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020・山中吾郎
○山中(吾)委員 それは国家公務員と同じようにというのはどういう意味ですか。実際ば三百円と二百十円の支給ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/20
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021・福田繁
○福田(繁)政府委員 地方財政計画に従来組み方が少ないというお話もあったと思いますが、三十七年度においては今申しました単価で日直宿直の手当を組んでおるのであります。負担金の場合は、これは御承知のように過去の実績に基づいて出すわけでございます。従って負担金の場合の計算の仕方としては大体実績を基礎にいたしまして積算をいたすわけでございます。しかし終局におきましてこれは実績の二分の一負担でございますから、地方財政計画の三百六十円まで計上いたさなくても実質には何ら支障はない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/21
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022・山中吾郎
○山中(吾)委員 それは理屈でして、実際には三百六十円支給をして、文部省は半分負担をするということは事実しないので、地方はそういうのは出さないのですよ。それではっきりたとえばある県が三百六十円支給したときにはその負担部分の半分は必ず出すということをここで確言できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/22
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023・福田繁
○福田(繁)政府委員 文部省としましては、従来地方が出しましたものは実績に応じて負担いたしておりますので、それは差しつかえないと思いますが、来年度におきまして今申しましたように、三百六十円として上げましたので、地方は実際に負担しないではないかという御疑問もあるかと思いますが、これは今後の指導によりまして実際の支給をできる限り高めるように、予算まで高めるような指導をして参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/23
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024・山中吾郎
○山中(吾)委員 それも努力するという決意を今述べられたとしてお聞きしておきたいと思います。
それから基本的には日宿直制度というものは私は廃すべきではないかと思う。小中学校の営造物管理は市町村長の責任なので、教員が日宿直するのを廃止して、警備員というものを置いて、管理の責任を市町村長に明らかにしていくというふうに制度を切りかえたらどうか、こう思うのですが、この点についてまず当局の考え方をお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/24
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025・福田繁
○福田(繁)政府委員 御承知のように警備員を使っております学校もかなり最近はできておると思いますが、これはあくまで警備員でございまして、日直宿直の責任者としてはやはり従来のように教職員を充てるのが適当ではないかというように私ども考えております。ただいろいろな学校管理あるいは警備の点におきまして手が足りないという面において整備員をふやす、そういうことは考えられると思いますが、責任者としてはやはり今の建前でいいんではないかというように思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/25
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026・山中吾郎
○山中(吾)委員 その責任者といいますが、教員にはあそこの造営物の管理の責任も権利もないので、その点は少しお考えが違ってないですか、責任というのは、どこに根拠を持って言われているのですか。それはいつも地方で問題になるわけで、市町村長が管理する責任があって、そして慣行として校長が管理を委任されているんだ、その委任された校長のもとに教員が日宿直している。しかし法律上の責任がないので、自発的に日宿直をしているんだというふうなことで、いつも論華があるわけです。諸外国あたりを見ると、そういう日宿直は、先生はしていないようですね。そこで、教員の校舎に対する責任というものが法律的にないのじゃないかと思うので、その点を明らかにしてもらっておく必要があることと、それから鉄筋がだんだん進みますれば、火災その他のことの心配がないので、教員でないいわゆる警備員で、盗難予防ですか、そういうことだけでいいので、鉄筋の場合は日宿直の必要がなくなっているのじゃないかと思うし、そういう根本的な問題を明確にしておいてもらう必要があると私は思う。今、局長は責任という言葉を言われたので、法的根拠を明らかにできますか。できれば答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/26
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027・福田繁
○福田(繁)政府委員 ただいまお述べになりましたような、教育委員会の本来持っておる権限を校長に委任し、校長はさらに職員に再委任するというような関係にあると考えております。従って権限の関係を申しますと、そういうことで従来やっていると思いますが、実際の事務のやり方から考えまして、やはり教員は学校の中での職務を分担するという建前を従来とっておりますので、必ずしも日宿直は遠当でないという議論はできないのじゃないかというように私どもは考えているわけでございます。ただ今後学校建築が鉄筋化して参りました場合に、火災予防という点だけにおきましては、そればおっしゃるように木造建築よりも若干火災の心配はないので、そういった点からいきますと軽くなるというようなことも考えられるわけでございますけれども、ただ火災予防だけではなく、日宿直の建前としては、いろいろな校務と申しますか、学校の中でのいろいろな仕事というものがあるわけでございまして、こういった面につきまして、私どもは従来やって参った制度が、やはり当分そのままに続くべきではないかというように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/27
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028・山中吾郎
○山中(吾)委員 また法制局を呼んで法的解釈を聞くことになると、これはおそらく疑問がたくさん出てくるはずなので、これは文部省で法的根拠を研究して、いつか明確に回答して下さい。そしてそういう疑問があるがゆえに、この日宿直は、少なくとも実質上一般の公務員より少ない手当を出すのはさらにいけないというので、僕は申し上げているわけです。実際問題としては、おそらく法的に、明確に教員が日宿直の責任があるということはちょっと解明できないのじゃないか。そういう疑問があるのに、一方に教員の日宿直手当が、各地方で実額が少ない。二布に矛盾が出る。そういう意味において、少なくとも日宿直制度をそのまま継続するならば、予算措置も十分にして、どこでも国家公務員と同じような額が支給されるだけのことは、最小限文部大臣はやらなければならぬのじゃないか。私の常識からいうと、小中学校の営造物の管理責任者は市町村長ですからね、教員にはないです。どうしても長い行政上の慣行から――理屈を言えば、教材その他を保管をして、教育に支障のないようにするという教育上の道義的責任とか、あるいは――どこか、行政上の慣行として長い間の責任ができておるけれども、法律の理屈を言い出したならば、私は疑問が出るだろうと思うので、そういう点から正確に法律的根拠を、次の機会でもけっこうですから、説明をしておいていただきたい。
それから、日宿直については、必ず一般公務員と同じように支給する予算を事実上計上することを、これは相当強い意味において努力する決意を表明しておいていただく必要がある。それは政務次官の方からお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/28
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029・福田繁
○福田(繁)政府委員 今おっしゃいましたように、私ども、日直、宿直の仕事は非常に大事でございますので、地方財政計画の中にも、明年度は三百六十円の蕨算をしてもらったわけでございます。実際の支給にあたりましては、できる限り国家公務員と同じような歩調でいくように指達して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/29
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030・村山喜一
○村山委員 関連。日直、宿直の問題についてですが、私、予算委員会のときに――消防法の改正に関連いたしまして、施行規則が制定をされたその内容を見てみると、消防法の改正によって防火管理者というものを置かなけりゃならないということになった。防火管理者というのは、消防庁の定めるところの一定の講習を受けて資格を得なけりゃならないことに相なっておる。そこで東京都の場合は、その受講をする命令権というものは、市町村の教育委員会で制定をいたしました学校管理規定に基づいて、学校長が命令権を持っているんだという見解をとっている。それは消防庁のいうところの、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第二十六条に、市町村教育委員会の議決を経て教育長が委任を受けて、その委任に基づいて校長が再委任を受ける。その再委任に基づいて学校長が所属職員に防火管理者を指名する。そういうような形式をとるのが法律的に妥当ではないかという話をいたしたわけですが、それに対しましては、文部省の方もそういうような方式が必要であるということを認めた。そこで大臣との質疑の中で伺いましたように、その消防法の施行規則によりますと、防火管理者の任務というものが規定づけられた。ところがその内容を見てみますと、施設の整備あるいは定員の順守、こういうような内容がそこに規制がしてあるので、これは防火管理者として、たとえば校長以外の職員が任命をされたときには、その職員は防火上の施設の整備をする権限、能力というものを法律的に欠いている、そういうような者に対して責任を問うということは違法行為ではないか、こういうことを私は質疑をいたしたわけですが、それに対しまして大臣は、それは行き過ぎである、規則の内容についてこれを改定する必要があるということを言われたわけであります。それについて初中局長は、その消防法の施行規則の内容について検討した上で、そういうようなものに対するところの改善をする用意を進めておいでになるのかどうか、その点についてまず承りたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/30
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031・福田繁
○福田(繁)政府委員 この前予算の分科会におきまして御質問のありました点について、私がお答え申し上げましたことは、消防法の施行規則によっていろいろ防火責任者に仕事がはっきり規定され、そして責任が非常に多くなっておるというようなことで、いろいろ書いておる時項について、消防法の規定そのものから逸脱しておるのじゃなかろうかというような意味合いの御質問であったように記憶いたしております。そのとき私、消防庁の人にもいろいろ聞いてみたのでありますか、消防法施行規則の仕事の内容は、学校における消防計画と申し上ますが、防火管理の計画、あるいは資材の点検その他避難訓練、そういったような従来学校においてやっておりましたような防火管理の仕事を大体法文化したようなものである、特に多くの仕事を加えたものではない、従って今後そういう防火管理者の責任としては、一定の講習を受けてそういう職務に熟達する必要があるので、消防署、あるいはその他の適当な機関においてこれを実施するというような方針をとっておるようでございますが、聞いてみますと、大体一円ないし二日くらいの講習会で十分間に合うような内容のものであると聞いております。従って、特に消防法の第五条でございましたかに規定する、服務の内容を逸脱するものではないというようなことを消防庁自身も申しております。従って私は、もし消防法第五条の、法律に規定する職務以外のことを施行規則において付加しておれば、これは問題であるけれども、法律の範囲内であれば差しつかえないのではなかろうか、こういうことを申し上げたつもりでございます。もし御指摘のような点がございますれば、私どもとしては今後消防庁とも十分話し合いをいたして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/31
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032・村山喜一
○村山委員 営造物の管理権は学校に委任はされましても、営造物についての維持をしていく権限というものは、責任は市町村の教育委員会にある、設置者にある。その設置者が一学級の定員もきめ、あるいは防火施設についても、その防火上のいろいろな措置をとらなければならない。それに基づいて設置名は防火管理者の選定をしていかなければならないわけですが、その場合に権限能力のない、法律的に資格を欠くような者、そういうような期待をすることができない名を規則の上において制定をするということは、明らかに違法である、適当な行為ではない。だから、そういう上から、切火管理岩というものを所属職員に業務命令で校長がなした場合において、現実の上において、実際の上において、その責任を全うすることができないとするならば、所属職長に学校長は業務命令によって防火管理者を選任することが法律的にできますか。規則が間違っているとあれば、規則を制定して、現実に教職員が本来の職務内容であるところの教育をつかさどる、そういうような教育の仕事をやりながら、校務分掌という意味におけるところの防火管理者にはなり得るでありましょう。しかしそれはあくまでも教職員の本来の任務を逸脱させるものであってはならない。そういうような意味から、今の施行規則を見てみますと、なるほど防火についての点検はできます。けれども、その防火施設について維持ができますか。その維持ができる権限は防火管理者にはないですよ。だから、いわゆる管理上の責任を持っておる学校長みずからが防火管理責任者になって、そして市町村の教育委員会に内申あるいは要求をするところの権限があるわけですから、市町村の学校の管理については、学校長みずからが防火管理者になるべきである、こういうような結論を下すべきではないかと思うのですが、その行政指導は、あの神奈川県等の教育委員会、これは県教組と打ち合せをした上でそういうような通達を流しておりますね。ところがそうでない形式をとっておるところがたくさんある。業務命令だ、業務命令だということで、権力主義的な解釈によって、今でさえも勤務過剰、十一時間三分も一日に勤務を押しつけておる状態でありながら、さらにまた防火管理者の上からは、そういうような校務分掌ということになって参りますと、労働基準法上の問題が出て参ります。そういうようないわゆる人事管理の問題を通じて考えますと、給与の問題、労働時間の問題などが派生をしてくるわけです。従って、防火管理者は学校長が適任である、こういうような通達をお出しになって、所属職員に業務命令として出すことは適当な行為でない、こういう行政指導をあなた方の方はされなければならないと思うが、そういうような用意はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/32
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033・福田繁
○福田(繁)政府委員 その点につきましては、私どもは校長以外の職員でも、校長が業務命令あるいは防火管理者として指名することは差しつかえないと考えておりますので、別に校長でなければならないというような通達をただいまのところ出す考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/33
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034・村山喜一
○村山委員 改正の趣旨は、予防的な措置を講ずるために、あくまでも消防の施設を整備して、防火態勢というものを確立しなければならない、こういうようなところから消防法は改正されたわけです。だからその考え方に立って防火管理者の責任も権限も強化されるとなると、行政庁は当然そういうような施設の整備をはからなければならない責任がある。その物的な条件の整備を忘れて――物的な条件の整備というのは、やはり中央並びに地方の行財政の確立以外にはないのです。そういう貧弱な消防施設の状態をあくまでも人間の力によってカバーをしていこうというところに、消防法の隠れた盲点がある。そしてできもしない教職員に期待をする、またそういうようなことを要求することは通法にひとしい。そういうような内容のものにもかかわらず、あなたはあくまでも業務命令でやっていける、こういうような解釈をとられるのですか。その基本的な考え方について承りましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/34
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035・福田繁
○福田(繁)政府委員 おっしゃるように、学校の防火管理につきましては、従来ともにやっておることでございまして、特に消防法の改正によって、たとえば今おっしゃった資材あるいは建築物の構造の問題、いろいろ今後研究すべき問題はあると思います。しかしながら従来やっておりました職員による切火訓練の実施、そういういわゆる防火管理者としての責任の内容をなしておりますようなことは、従来ともに私はやっておったと思うのであります。これは先ほど申し上げましたように、教育委員会が本来持っておるべき管理上の仕事を、校長に教育委員会から委任をし、校長はさらに部下の職員に対してこれを指名してやってもらうという形になりますので、解釈上は村山委員のおっしゃる通りだと私ば考えております。従って従来の仕事自体を非常に過重するものであるかどうかということが一つの問題であると思いますが、消防庁等と連絡をいたしてみましても、現在の防火管理者の仕事の内容というものは、従来のこういった学校における防火管理の仕事とそれほど変わってはいないというのが結論でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/35
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036・村山喜一
○村山委員 従来に見られないように、いわゆる責任と権限が強化された防火管理者を選任しなければ、学校長は三カ月以下の懲役または三千円以下の罰金ということになっておるのですよ。防火管理者の選任を怠った君は。そういうようなことで、法建に従って防火管理者の選任をしようと思えば、これは所属職員に校務分掌というような形で押しつけられない。内容的に問題があるでしょう。そこの内容は、施行規則の防火管理者の任務のところに施設の整備というようなことが書いてあるのじゃないですか、定員の順守も書いてあるじゃないですか。従来のままではないんです。従来は、学校におけるところの消防態勢は教育が主体ですから、建物を守るよりも子供を危険なところから誘導をして、子供の生命を守ることが第一なんです。建物を守るためにそういうような消防庁の規則ができましても、それはおかしいんですよ。行政組織法のあり方から考えて参りましても、他の行政官庁が、文部省の所管する教職員に対して、そのような労働法上あるいは行政法上問題があり、そしてまた現実においてできないような内容のものまで規定づけて、それを守らせなければならないとするところの行為というものは、妥当な行為じゃないですよ。さらにまた私は労働面において労働強化が行なわれていくということになってくると思うんです。今局長は、従来と何ら変わっていないとおっしゃるが、従来と変わっているんです。変わっていない証拠はないですよ。施行規則をあなたがよく読んでみられたら、全く私が言う通りなんです。ほかの委員の方にはその施行規則の内容がおわかりになっておいでにならないので、あなたの方からプリントしてすぐ資料として出して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/36
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037・福田繁
○福田(繁)政府委員 お言葉を返すようでございますが、一定の規模の講習、あるいは学校のような生徒の集まるところにおきましては、公益上の必要からやはりそういう防火管理というものを厳重にするという趣旨で、消防法の改正が行なわれたことと思います。従って、従来のいろいろやっておりましたことを明確にするというのが一つの趣旨でもあったわけでございますが、お述べになりましたような施行規則の中に整備という言葉があるからといって、教員みずからがこれを整備するというような趣旨ではなくて、そういう資材の整備は教育委員会のやることでございますから、教育委員会にこれこれの品物が足りないとか、あるいはこういうものを整備する必要があるのだ、そういう整備に関する事柄を防火管理者としては扱っていくという趣旨であろうと思っております。教員みずからがこれを買ってきて整備するあるいは手に入れてきて整備するという趣旨のものではなかろうと私は考えております。そういう誤解がありますれば、そういう運用について、今後消防庁にも十分連絡をいたしまして、誤解のないようにしてもらいたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/37
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038・村山喜一
○村山委員 消防庁と運用について話し合いをするということば必要なことだと思います。ただあなた方が、この消防法の改正によって防火管理者を置かなければならないようになった。これはことしの四月一日からですね。正式にそういうような講習を受けた、資格を持った者を置かなければならないことになっている。そこで各都道府県においては、その消防法の改正をめぐっていろいろと問題が出ておる。現実に文部省が考えていないような、いわゆる学校管理規則に基づいて学校長が指揮命令をするという考え方をとっている東京都のような場合がある。あるいは先ほどあなた方がお話しになったように、これはやはり業務の委任を受けて、学校長が教育長から委任をされた権限に基づいて行なうところの行為である、こういうような見方もある。だから根拠に立つところの法律の解釈がまちまちなんです。そしてまたその運営をめぐって――私は一番いい運営の方法としては、市町村の教育委員会に予算の要求を面接行なう、そして校務分掌をいろいろと命ずるところの権限がある学校長、やはり学校の施設の防火態勢という上から考えたら、管理的な責任を持っているのは校長なんです。しかも、防火管理者の任務内容から考えて、一般の職員がこれを分掌できるようなものではないのです。そういうような内容の問題性から、直接的な管理の責任にある学校長が防火管理者になることが望ましいという、そういう統一的な解釈を文部省がして、校長は授業も持っていないのですから、そういうような講習に行ってもいいじゃないですか、授業を休ませて、所属職員にそういうような業務命令を行なう権限があるからといって学校長がやって、教育本来の仕事よりそういうような校務分掌の方が重大だという考え方で、学校の行政がやられた日にはかないませんよ。そういうような点から、文部省としては、そういう改正の施行の運用について何か指導的な方針をお出しになることが絶対に必要だと私は思う。それをお出しになりますか、なりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/38
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039・福田繁
○福田(繁)政府委員 この消防法の改正をめぐりまして、いろいろ問題があるように伺いましたが、十分実情を調べまして、必要であれば十分指導して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/39
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040・村山喜一
○村山委員 それは一つの逃げ口上なんです。必要であればということは、必要でなければ出さないということと同じなんだ。だから検討してやるということであって、それは答弁にならないのです。そういうような態度でおられる限りは、私たちは、この法案についても出任性の開脚から追究して参らなければならぬ。だから消防法の施行規則をプリントして配って下さい。その上であなた方の立場をはっきりさしておかないと、このまま引き下がるわけに参りません。私が言うのは、教職員の現在の勤務が、こういうようないわゆる他の行政官庁の所属範囲である仕事の内容が強化されることによって、労働量がふえてくる、そういうような点から、給与の上においても非常に大きな問題が出てくるのだということを言いたいのです。ですから、行き過ぎた施行規則は、大臣が言うように改めるべきなんです。今施行規則の内容についてこういうような点が問題であるということを私は二点ほど指摘しておるわけですから、それについて、改正をする、こういうことをはっきりおっしゃるか、改正をするように消防庁の方と打ち合わせをして努力をいたしますとおっしゃるか、あるいは今私が言うように、法律的には多少問題がありますけれども、直接的な管理の責任者である学校長が防火管理者になるのが運営上好ましいというような通知を出して指導されるか、どっちかお答えを願わぬことには、私はただ質問をしっぱなしで、あなたがそれは検討して必要があれば善処しますということでは引き下がるわけに参りませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/40
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041・福田繁
○福田(繁)政府委員 先ほど申し上げたわけでございますが、消防庁の方の施行規則につきましては、直接文部省の規則ではございませんので、十分向こうと話し合ってみたいと思います。
それから先ほどの点でございますが、通達を出すか出さないかは、これは一つ研究さしていただきたいと思います。各府県によりまして、いろいろ事情が違いますので、あるいは学校長がやっておるところがあるかもしれませんし、あるいは一般的には教頭がなっておるところも相当あるかもしれません。いろいろ事情が違いますので、これは事実上の指導によって善処して参りたい、こういう趣旨で申し上げたわけでありますから、誤解のないようにお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/41
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042・村山喜一
○村山委員 今の答弁で了承いたしますが、さらに宿直、日直手当の三百六十円は、地方財政計画あるいは地方交付税法による単位費用の積算単価として三百六十円にされたということは、国家公務員並みに教職員の場合も日直、宿直は同額にすべきだという文部省の思想だ、こういうふうに受け取っていいわけですね。だけれども、現在の給与負担は、実績の半額負担だから、実績は三百円と二百十円ですか、そういうふうになっているので、その実績分を計上したにすぎない。だから、この地方財政計画の改正の趣旨にかんがみて、今後地方がこういうふうにしてくるだろうということを期待しておる。それによって実額負担の半額負担ということになるのだから、そういうふうになれば当然補正でそのような措置をするのだ、こういうふうな考え方がこの中で出されているのだ、こういうふうに承っていいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/42
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043・福田繁
○福田(繁)政府委員 そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/43
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044・村山喜一
○村山委員 先ほど超過勤務手当の問題でいろいろ山中委員から質問がありましたが、前に京都で、たしか超過勤務手当は予算には計上されていなかった――今でも計上されていないわけですが、にもかかわらず、学校長が所属職員に、業務命令といいますか、その命令によって超過勤務をさせた、これをめぐって裁判が行なわれたことがありましたね。たしか京都の地裁における判決の内容は、私の記憶するところによりますと、学校長が下したところのその業務命令は違法な行為である、そういう権限が与えられていないにもかかわらず、所属職員に対して超過勤務を命じたことは明らかに違法である、違法であるけれども、その違法な命令のゆえになされた教職員の超過勤務という行為は実在をする、実在をするところのその超過勤務に対しては、当然設置者であるところの――当時の給与法の上からいって、あれは市だったと思いますが、京都市はそれに対して超過勤務手当を教職員に支払うべきであるという判決が下ったことがあります。たしかそれは、京都市の方は不眠であるということで高裁に持ち込んだと記憶いたしております。その後の判決がどういうような経過をたどってきているのか、まだ私はわからないのでありますが、おそらく途中で、政治的な圧力といいますか、裁判所が非常に忙しいということもありましようし、高裁までいったかいかないか、そこら辺ばはっきりいたしませんけれども、さきに千葉県の人事委員会が同じように超過勤務手当を支給すべきであるという意見書を出している。こういうようなことから考えますと、教職員の本来の任務、本来の職能の上からいって、超過勤務手当を支給すべきであるかどうかについては非常に疑問のあるところであると思います。しかしながら、現実において、文部省の方においても、勤務実態を見た場合には、こういう十一時間七分という勤務量を持っているようなものに対しては、ただ管理局長が、三十八年度にはすし詰め解消で五十名の学級編制にして、それによって教員の超過労働をカバーしていくのだ、それだけでは私はやはり解決をすることにならないと思う。その五十名にするだけでは教員の超過労働というものは解決できないと思いますが、やはりそこには、この前、高等学校の教師一週間の授業時数は十八時間以内というあの高等学校の標準定数の法律が制定をされましたときに、教職員の授業時数の規制が基本に考えられた。そういうようなところから、中学校も小学校も、現実において超過勤務の実態があるのだから、それをなくしていくところのいわゆる行政的な考え方、法律的な制定という方向に持っていかない限り、この問題の根本的な解決はできないと思う。それに対して、どういうような取り組み方をしていこうとお考えになっておるのか、私は、初中局の財務課でいろいろ検討されているということは聞くわけです。この問題については、そういうような方向において考えていかなければいけないのではないか、一つの政治的な方向性というものを政務次官なり大臣が行政出局に命ずるということ、また初中局長としてはそういうような人たちと連絡をとって、そういうような研究を促進をし、実施の準備を進めていくというような方向でなければ、これらに対する回答にはならないと思う。その点に対して、長谷川政務次官はどういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/44
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045・長谷川峻
○長谷川政府委員 日宿直の手当の問題から、ただいまの防火の問題まで、いろいろ議論が出まして、私たちは将来の問題としてこれは大いに検討して参りたい。もちろん、ことし、小中学校二名づつ生徒の定員を減らして、三十八年度からは五十名までいくというふうに努力をしておりますが、さらに、こうした根本的な問題については、前向きの姿において大いに検討してみたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/45
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046・村山喜一
○村山委員 私は、先ほど関連黄門で申し上げておりますので、また山中委員のあとで私の質問を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/46
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047・山中吾郎
○山中(吾)委員 手当相互間の矛盾、それから手当そのものについての不合理は、この一覧表を見てもあるものですから、この点については文部省は、諸手当を総合的に再検討して、最も合理的な教職員に対する手当を新しい角度から検討してもらいたいと思います。ことには教職員間の不均衡で、不平不満を作るような諸手当は決して教授能率が上がるものではないので、思いつきで諸手当の法案を出してはいかぬと思います。この法案の工業学科に関する教員だけに初任給調整手当を出すということは、教員の不足から、工業教員を誘致するためにやむを得ざる手当、ある意味からいえば、必要悪だと思うのです。そういうようなことについて、工業教員を誘致するという反面に、他の教員は学歴その他は同しですから、不平不満を作ることになることは明らかなんです。そういうようなことを考えますと、何か手当制度について根本的に検討すべきものがあると思うので、その点は特に――この法案は法案として審議をわれわれは進めるわけでありますけれども、全体としての検討はしてもらいたい。ことに、手当とば少し性格が違いますが、前のときにも私は申し上げたが、旅費については今のような四千円そこそこの旅費では、研修する義務がある、研修する機会を与えなければならぬという法の建前からいって、まことに遺憾であり、少なくとも一人の先生が一年間に三日くらいは研修するための旅費は計上すべきだ、少なくとも七、八千円は要ると思いますけれども、こういう旅費を含んで、諸手当を再検討することを確約してもらいたいと思います。超過勤務手当の問題、日宿直の問題、それからここに通勤手当もありますけれども、私は、通勤手当というようなものはむしろ不合理だ、それならば住宅手当を出すべきである、そういうふうなことも考えるので、再検討することを要望いたしたいと思います。その点についてこれは政務次官でも初中局長でもいいから、お答えをしてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/47
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048・福田繁
○福田(繁)政府委員 ただいまお述べになりましたように、各種の手当がいろいろついておりまして、同一場所に勤務する者であるいはついたり、あるいはつかなかったりするような場合におきまして、やはりいろいろ人事管理上の問題等もございますので、この前も申し上げましたように、給与制度全般の問題と関連しまして、合理的な解決策があれば合理的な制度に切りかえて参りたい、こういうような心組みで検討して参りたいと考えております。
それから旅費の問題につきましては、これは従来御承知のように、毎年少しずつ上げて参っております。今後も旅費の単価を上げまして、そして研修その他十分教員の実際に適合するようなものにして参りたいという努力は、今後も続けていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/48
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049・山中吾郎
○山中(吾)委員 それから校長、教頭の管理手当の問題ですが、校長、教頭はやはり教育者だから、行政官にしてはいかぬと私は思うのです。公務員試験を受けて公務員になるのじゃなくて、公務員というのは付随的な性格だ。教師はやはり教師として、私立学校の教員であろうが、公立の学校の教員であろうが、教員免許法に基づいた特殊のいわゆる教育者であると思う。そこで校長に管理手当をやることによって公務員的性格だけを強調して行政官化するということはいけない。そうすると戦前の、校長は自由任用で免許状を持たない者でも校長になることができるという制度に私はいってしまうと思う。従って管理手当というものは行政官化するというふうな意味を持ってはいけないと思うので、この点については、私は管理手当の性格を明確にしておく必要があると思う。これは局長でけっこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/49
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050・福田繁
○福田(繁)政府委員 これは学校の管理運営の面からいたしまして、校長あるいは教頭には一般の教員とは若干違った、いわばそういう管理的な機能があるわけでございます。従ってそういう特殊な管理職としての職務の内容に応じて手当をつけるという考え方できていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/50
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051・山中吾郎
○山中(吾)委員 むしろ端的に校長手当とか教頭手当というならば、私はわかるのですが、管理という言葉を教育の中に持ってくることはいかぬと思うのです。たとえば小さな、学校によっては五、六人の先生がおって、校長の管理手当、それにまた教頭の管理手当ということもおかしな話なので、これは便宜的にこういう着想をだれがしたか知りませんけれども、教育界というものの性格をまじめに考えて、そしてある人間を行政官的な性格に持っていくということはよろしくない。私はこれは絶対反対なんです。手当を支給するのはけっこうだ。しかし校長に管理職的な立場を強調することは、子供に対してみな平等な教師ですから、それを中で官庁のように組織化するような考え方はよろしくない。そのときには思いつきで何か政策的にうまくいくとしても、これは二十年、三十年の間に教育界というものを非常に官庁組織化するということでは、教育はできないと思うのです。その点はまじめにこういう問題は検討すべきじゃないか。ことに教頭という場合には、十名くらいの教員室でお互いに教育者としての自覚を持って子供に対して平等の立場でやっていこうとするときに、三段階もこういう手当制度を作っていくなんということはけしからぬことだ。そんなことで教育なんてできるものじゃない。そういう意味において、管理手当の性格については、一般の県庁の課長、そういうものに管理手当をやるというような性格のものではいけないので、もっと教育的な性格を定義づけるべきである。そういうことは私は正しい意見だと考えておるので、文部省においても普通に考える管理的性格を強調しないように、その手当を善用するようにしてもらいたい。それだけを要望いたしておきます。
私の質問は、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/51
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052・櫻内義雄
○櫻内委員長 村山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/52
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053・村山喜一
○村山委員 できるだけ簡潔にやりますが、初めにちょっと確認をしておきたいと思うのですが、僻地手当の暫定一級地の手当は、たしか大蔵省と話し合いがついて、三十七年度一ぱいは支給するようになったというふうにお答えになったと思いますが、そうでしたかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/53
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054・福田繁
○福田(繁)政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/54
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055・村山喜一
○村山委員 そこでその暫定一級地については、その努力に対しては多とするわけですが、問題は、ほかの、現在五級地まであります級地についての運用面についての是正といいますか、それはどの程度まで話し合いがなされておりますか。たとえば、郵便局があるということも一つの点になっておるわけですが、それが分室とかあるいは無集配局でも郵便局だ、こういうふうになされておりますと、非常に問題があるわけです。それは当然除くべきではないかという考え方を持っておるわけですが、そういうような面とか、あるいは学校から部落までの距離の上に――そういうような僻地手当を受けるようなところは、私のところも僻地が非常に多いわけですが、行ってみますと、道らしい道もないようなところが部落に至るまでの道路というようなところもあります。そういうようないわゆる悪路補正係数で点数を定める問題とか、あるいは要保護世帯のほかに準要保護世帯の割合というようなものも運用面において考えておく必要があるのじゃないか、あるいは電話があると言いましても、遠く離れたところに呼び出しの電話があって、学校から電話がかかってきたら、その電話を受け取るのに相当離れたところまで行くということになりますと、電話がそこにあるからといって――切りかえで、甲乙のナンバーで、乙ぐらいのところまではいいのですが、そういうようなものがないのは、これは電話がないということにすべきではないか。いろいろな問題があると思うのですが、そういうような運用面上の是正についてどの程度話し合いが進められておるのでありますか。その点が一つ。
それから指定基準の是正の問題で、医療機関というのがありますが、これは医療法によるところの総合病院というのがあればいいわけですけれども、あるいはそれと同程度の病院ということにならなければただ単に診療所があるからといって、そこへ医者が一週間に二回あるいは一回ぐらいやってきて、それがそこに一つの医療施設があるというふうにみなされると、これは非常に問題があると思うので、そういうようないわゆる指定基準の上においての問題、それからさらに市町村の教育委員会への教務打ち合わせとかいうようなものが割合に多いわけですが、そういうような市町村教育委員会までの距離の算定は、今はなされておりますけれども、もう一つ人事上の実質的な任命権を持っております県の教育委員会の各地区におけるところの出張所があります。そういうようなところとの、いわゆる教育事務所との間における補正係数といいますか、そういうようなものを新設する必要があるのじゃないか。それから現在において、陸上でありますと四キロ未満、海上であったら、本土からの距離が二十五キロ未満というのは、僻地指定の基準から切り落とされてゼロになっているわけです。ところが、陸上でありましても、かりに四キロ未満であるにしても、そういうような地域は、非常に交通の難等もございますし、当然この係数は入れるべきじゃないかというような意見を私は持っているわけですが、そういうような不合理というものについての是正、あるいは交通機関の回数等についての規定の仕方、あるいは非常に高いところに学校等がありますが、標高度等によるところの補正、こういうものが、私は現行の僻地の指定にあたっては、非常に問題がある点ではないかと思う。これは、指定基準の問題になってくると思う。従いまして、運用の問題と同時に、その指定基準の是正というものにつきましても、私は僻地教育振興の問題点から、それらの内容については、とくと文部省の方では研究をされて、大蔵省の方と打ち合わせを進めておられるだろうと思うのですが、そういうような内容がどういうふうに相なっているのか、その経過、あるいは今後の方向というものについて、承っておきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/55
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056・福田繁
○福田(繁)政府委員 ただいまのような点は、いろいろ私ども研究して参りたいと考えております。ただ、僻地のいろいろな指定なり、あるいは運用の基準の問題につきましては、自然的な条件、あるいは地理的な条件のみによらないで、文化的あるいは教育的な各種の条件があるわけでございます。従って、それらをいろいろ加味いたしまして、ある場合には補正係数を使って、妥当な僻地指定の運用をやっていきたいというような仕組みに、現在なっておるわけでございます。しかしながら、実際の運用にあたりましては、各地域の実情によりまして、それぞれやはりいろいろ意見が違っております。最近私ども各府県の実情なり希望をとってみておりますと、東北方面の県と鹿児島あるいは九州のその他の県との、僻地に対する考え方なり、希望というものはかなり食い違っております。相反するような希望が相当出ております。これでは、対外的にいろいろ進めます場合に、どうも困るのじゃないかというような気もいたすわけでございます。まず、各教育委員会の意見をもう少し調整いたしまして、運用について、さらに大蔵省その他と話し合っていくべきじゃなかろうか、こういうように考えておるわけでございます。今申しましたように、実情に応じたような運用をやりたいということは、私ども十分考えております。ある程度各府県にまかせておりますが、こちらとしては、全般的な立場から考えまして、どれが妥当かという場合に、相反する意見がいろいろ出て参りましては非常に困る場合があります。そういうことが今後も検討いたしまして、妥当な考え方がまとまってくれば、これをさらに是正するように、措置を講じたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/56
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057・村山喜一
○村山委員 意見が相反するのは、やはりそういうような離島をたくさんかかえているところと、山間僻地をかかえているところとは、若干違うかもしれません。そういうようなのば、やはり文部省で調整をしていただいて、都道府県の主管課長会議でも招集されて、これらの問題について打ち合わせをされた上で、僻地教育の振興は、長谷川政務次官がおられる閥にぜひ片づけていただきたい。特に、そういうような僻地の出身者であるそうでありますので、要望を申し上げておきたいと思います。
それと、初任給調整手当についてちょっとだけお尋ねいたします。これは新制大学の四年制の課程を卒業した君でなければだめだ、こういうことになっておりますが、現在は、新制四年制の大学卒業者で民間の方に、給与水準が民間の方がよろしいわけですから、どんどん流れていく、教育学部を出ても民間の会社に入る、こういうようなことで、教職員を確保しなければならないということはよくわかるわけです。それでこういうような措置がとられたものだと思うのでありますが、これは給与の上から考えますと、あくまで暫定的な措置であって、教職員の質をよくし、そして教育の効果を上げていくためには、教職員独自の給与というものが、そこには給与体制の上から確立されなければならないことだと思う。そうなって参りますと、いりまでもこういうようなものが、当面のカンフル注射的な措置によってごまかしていくということではなくて、性格的に本来の給与の姿に立ち返らなければならないものだと思う。
そこで、私がこの前も質問をいたしたのでありますが、四年制大学を出て、教諭の一級の免許状を持っている、中学校の免許状は持っているが、教職員の配置の上から、助教として小学校に配置をされなければならなかったというような者は、現在は三等級が適用されている。片一方うまい工合に中学校の免許状を持って、一級免許状を持って中学校に行った者は、二等級の給料表が適用されている。そしてまた初任給手当も支給される。片一方においては、同じような資格を持ちながら、不幸にして採用の条件が悪くて小学校に行ったそのために、助教諭になって給料表は三等級が適用される。だから昇給の期間も長いわけです。そういうようなのにかてて加えて、ここに初任給調整手当も支給されない。こういうような現実があるわけですが、それに対するところのいわゆる運用上の問題として、そこらは都道府県の教育委員会に指導して、ある程度そういうような弊害が出ないような措置ができるのではないか、私はこういうふうにも考えるわけですが、そこら辺はどういうような運用の指導をされようとお考えになっているのかということが一つ。
それから、四年制大学の卒業生だけそういうようなことをして、二年コースの二級免を持っているというような人には、こういうような措置をとらなかったその理由といいますか、それを一応お伺いしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/57
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058・福田繁
○福田(繁)政府委員 あとの方からの御質問にお答え申し上げますが、この建前が、やはり専門的な知識を持っておって、かつ欠員補充等の場合に、採用困難な状況の者に対して初任給調整手当をつけるという建前できております。これは国家公務員と同様の考え方でございます。従って、今回は今申しましたように、四年制大学の卒業者で、しかも教諭の資格を持つ、教諭として採用される者にこれをつけるという建前になっております。従って、今申しました二年と四年の違いがございますが、国家公務員も同様に、四年制のみに特に専門的な知識を必要とする職として現在は指定されておりますので、そういう考え方でつけるわけでございます。
それでは、先ほど御質問のように、第三番目の問題として、実際上小中校等に助教として行く場合にどうかという問題がございますが、これは、やはりこの建前からするとやむを得ないと思いますが、しかし実際上の採用のやり方によりまして、そういう問題はある程度防げるかと考えております。従って、この初任給調整手当が四月からつくということによりまして、都道府県も、せっかくつくならば、採用等においても十分考えていこうというようなことも、当然考慮されると思います。そういうことができれば、採用面におきましてあまり不利益にならないような措置が講ぜられるようにできる限りやっていきたいというつもりでおります。各府県で実直上そういうことをやっていただく方が望ましいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/58
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059・村山喜一
○村山委員 私は現場に参りましていろいろ調べてみたのですが、最近の教員の採用の試験の結果を見てみますと、ABCDというふうにいろいろランクして、試験の結果によって成績のいい者から採用をしていくという方式をどこの教育委員会でもとっているよう、こういうようなことでBクラス、Cクラスの方が逃げていく。そうなって参りますと、仕方がないので、都道府県の教育委員会は採用候補名簿の中から、今度はDあるいはEという成績の悪い者に、こういうような次第だから行ってくれないか、中学校の一級免許は持っているようだが小学校については免許状を持っていないから、一つ助教ということでやってもらいたいのだ、それでもよろしいかということで、それでもよろしいですというような人が小学校の助教としていく、そういうような現実が出ている。そうなって参りますと、教員の質がますます低下するという方向になると思うのです。だから、児童数の増減関係によって自分の希望する学校に行けなくても、取り扱いをする上から考えますと、やはり有資格者は教諭と同じように取り扱うべきが学校の管理の方から、教育行政の方からいいのではないか。それを中学校の免許状だけしか持っていない、小学校の免許状を持っていないから三等級に各づけをして、助教ということだから初任給手当もやらない、こういうことになって参りますと、今でさえも教職員になり手がない、優秀なのはほかの産業に入っていくという現象にあるときに、私が言うような運用の妙を発揮しまければ――質のいい者は質のいい者として学校に入りますが、悪い者が入ったあとにおいてそれを首切るわけには参らない、そういうようなことから、私は文部省としてはやはり行政指導をされるべきではないかと思うのですが、その点もう一回お尋ねをいたしたいと思います。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/59
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060・福田繁
○福田(繁)政府委員 やはり各府県でいろいろ定数等の問題もありますので、一般的に申しますと、先ほど申し上げたように採用面でそういう道が開かれればできる限り運用面で実施して参りたいと考えております。どうしても不可能な場合は、これはやはり助教として採用されたものに広げていけるということは現在はできませんので、それはいたし方ないと考えておりおす。運用面でできるものはできる限り指導して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/60
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061・村山喜一
○村山委員 時間がありませんのでもうしゃべりませんが、ある文部省の課長に話をしたら、そういう下手な人事行政をやるのは都道府県の教育委員会があまりにも融通がきかな過ぎるのだ、もっとそこはフェアな立場に立ってやったらいいじゃないかというような、個人的な忠告を受けたことがあるのです。そこで、あまり公言の場では言えないかもしれませんが、運用の妙を発揮するといいますか、そういうこちこちな考え方ではなくて、ほんとうによい先生を確保するにはどうしたらよいかということを主眼に置いて、そうして指導をされるように要望申し上げて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/61
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062・櫻内義雄
○櫻内委員長 他に質疑もないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/62
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063・櫻内義雄
○櫻内委員長 引き続き討論に入るのでありますが、別段討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/63
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064・櫻内義雄
○櫻内委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
ただいまの議決に伴う委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/64
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065・櫻内義雄
○櫻内委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/65
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066・櫻内義雄
○櫻内委員長 学校教育に関する件及び文化財保護に関する件等について調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。小林信一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/66
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067・小林信一
○小林(信)委員 最初に文化財の問題についてお尋ねいたします。
去年の十一月この文教教委員会は、民族の心のふるさととも称すべき奈良方面の文化財が最近危機に瀕しておるというようなことから、国政調査という名前で、委員長を中心としてわれわれも出向いたわけですが、確かにこのまま放置しておくことのできないような状態もあるし、埋蔵文化財を今まで割合軽視しておったのをこの際考え直さなければならぬのじゃないかというような幾つかの問題に最近出会ったわけでございます。さらに、現地の奈良市の貧困な状態、それから奈良県自体産業開発をしていこうという意向その他と関連して、この問題は国としても相当検討しなければならぬのじゃないか、というような意向を、私だけでなく、委員長初め各位が持ったわけでございます。ことにその際、私たちが現地でいろいろ発言したことが新聞に出されて、相当国民からも関心を持たれた点を、もう一度ここでわれわれ自体が確認しなければならぬと思うのですが、ことに櫻内委員長はその点では責任ある言明をなされておるわけなんです。従って、この問題については委員長みずから責任を感じて考えていただくことをお願いするものでございます。たとえば「援助で協力を惜しまぬ」というような見出しで、これは櫻内委員長が表明になっております。さらにある新聞には「平城官趾調査急げ」「早期解決へ努力する」というようなこと、これは国会へ帰っておそらく早期に取り上げて解決へ努力するということを言ったものと思います。それから「望まれる積極的施策」今までの消極的な文化財施策でなくて、もっと積極的なものをもっていくというふうなことを言明してあります。みんなこれは見出しでございますが、さらに「特別立法成立へ努力する」こういうふうなことがとにかく約束されておるわけであります。しかし、それ自体、この委員会で今まで問題にされなかったというようなことは、これはまことにわれわれとしても責任を感ずるわけなんですが、さらに、最近の平城宮跡のことについて、新聞等にいろいろとの問題が出ておるを考えれば、私は、この際私個人がこの問題をいろいろ究明していくのでなく、委員会並びに政府ともどもこの問題に対して、将来問題のないように善処しなければならぬという気持でこれからお尋ねをして参りたいと思うのです。
その前に、私は、おそらく私だけでなくて、当局の方も、あるいは同僚の方も、すべてこの点には深い関心を持っておられると思うのですが、ちょっと私の見ましたものの中にこういうことが書いてあります。これを見て私はがく然としたわけなんです。これはエジプトの小作っておりますダムによって水没しようとする文化財に対して、世界的に関心が持たれておるわけですが、中でもフランスのアンドレ・モーロア文化相が大演説をやっております。その中に、一番問題になっているのはアブ・シンバル神殿の問題でございますが、このような「文化財は世界人類全体の共有財産的性質のもので、その保護の責任は当事国のみならず、人類全体がこれを負うべきものであるという趣旨で、各国代表に異常な感銘を与えた模様である」おそらく埋没文化財としては、奈良の平城宮趾は単なる日本民旅だけの保有すべきものでなくて、これは世界的なものだと考えて、私は差しつかえないと思うのです。だから、その演説のあとに、フランスの文化相は「芳しカンボジアのアンコールや日本の奈良が壌滅の危機に瀕したら、世界中はやはり救済に立上るであろう」外国人が、もし奈良のあの文化財が危機に瀕するようなことがあれば、世界人類が立ち上がるだろう、こう言っておる。そういう問題を、最も責任を負う当局あるいは国会というふうなものが――今この新聞を見れば、保護委員会の見解としては、大したことはないというようなお考えですが、学者だとか、あるいは心ある国民は非常に憂慮して、何とかしてこれは避けてもらいたいというような切実な要望があるときに、国会がこれを知らぬ瀕をしておるというようなことは、この点からも、まことに申しわけないことだと思うし、ことに、つい先日、奈良に参りましてあの視察をして、かかる言明をしてきた委員会として、私は非常に責任があると思うのです。従って私は、先日の朝日新聞に出ましたところの、平城宮趾に近鉄が車庫を作るという問題、この問題について一応見たのですが、これについての文化財保護委員会としての経過を一応御説明願いたいと思います。そうしてそれからお話をさらに発展さして参りたいという考えでおりますが、これには、平城宮調査発掘特別委員会は、ここで近鉄の車庫なんか作ってもらいたくないというように言っておりますし、それから保護委員会の方でも、全然これは問題にならないところだとは言っていない。しかし、国の財政上許しがたいとか、あるいは私有地だけに手続がむずかしいというような稲葉で、ほしいにはほしいけれどもどうすることもできないのだというようなことで表明されておりますが、もう少しこの点を当局からはっきり御説明願いたいと思います。
〔委員長退席、山中(吾)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/67
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068・清水康平
○清水政府委員 御承知のごとく、平城宮趾は方八町と申しまして、坪数にいたしますと平城宮のあった跡は三十一万坪以上になっているわけです。そのうち十七万坪が特別史跡として指定されております。指定してありまする十七万坪の中には、平城宮跡として最も大切なものがあることは間違いございません。たとえば大極殿でありまするとか、小安殿でありまするとか、あるいは八省院でありまするとかいうようなものが指定地でありまする十七万坪の中に入っております。その中に、約四万坪弱のものでございますが、国有地がございまして、奈良県が管理団体としてこれを管理維持いたしておるわけてございます。先般ある新聞を見ますと、見出しでありまするが、文化財保護委員会は平城宮趾に車庫を作ることを許可したというような話がございましたが、許可ということになりますと、指定地内に現状変更をする場合は、文化財保護委員会は審査の上許可すべきものは許可し、不許可のものは不許可でございまするけれども、近鉄が車庫を作りたいという場所は指定地じゃありませんので指定地の外でございます。しかし、指定地の外とは申しますものの、ただいま申しました三十一万坪の中に入っている平城宮跡の一部であるには間違いございません。指定地外の問題でございまするから、許可、不許可の問題ではありませんけれども、近鉄側といたしましては、指定地外ではあるけれども平城宮跡のあったところであるというので届けて参ったわけでございます。指定地外につきましては、遺跡の発掘につきましては、御承知の通りに学術調査と同じように届出に相なっているわけでございます。しかしながら、文化財保護委員会は、必要ある場合におきましては指示をすることができるということになっておりまするので、許可、不許可は別問題でありまするが、やはり相当調査をしなければならぬ、相当審議をしなければならぬというので審議をいたしました。車庫を作ろうというのは、指定地外の三十一万坪の西南の方に寄ったところでございまして、そのところは、平城宮があった当時はまず建物はなかったのじゃないかとか、池かあるいは庭のようなものがあったかもしれぬということを言っている学者もあるくらいであります。それからもう一つは、もし車庫とはいっても、指定地外とはいっても、西側に――西側の境は御承知のごとく西一坊大路と申しますが、西一坊大路のところに、大体三つの門があったのじゃなかろうかと私どもは思っております。そこにもかかりませんので、まず指定地外でございますし、必要な指示を与えるとするならば、どういう工事をするのかということを照会いたしまして、非常に低いので盛り土はする。普通は一メートルから一メートル半、高いところは盛り土を二メートルくらいにいたしまして、そこに建物を建て、電信柱を建てるということだったのでございますので、私ども文化財保護委員会といたしましては、工事に際しまして特に慎重を期するとともに、その基礎工事が下の旧地盤、といいますと現在あります地盤よりも大体一メートル下くらいのところに眠っておるのでございますが、盛り土はしても基礎工事に際して慎重を期すると同時に、基礎工事が旧地盤にかかって、大部分は盛り土になっておりますけれども、もしその際遺構とか遺物というものが発見されたときには、その原状を変更することなく、直ちに工事をやめましてこちらへ報告してもらう、そしてわれわれの文化財保護委員会の指示を受けるように指示いたしたような次第でございます。
なお指定地の十七万坪、これは奈良県が管理団体として管理しておるのでございますが、御承知のごとく北の方は県道が通っております。南の方は指定地でありますが、現に近鉄が通っておるのでございます。
次に、先ほど平城宮跡発掘調査会から要望書云々の話がございましたが、今日までまだ要望書を受けてはおりません。特別史跡平城宮跡調査委員会というものが事実上の諮問機関として置かれております。それは文化財保護委員会ではなくて、これの発掘を年次計画で実際にやっております国立奈良文化財研究所の所長の諮問機関として、非常に発掘が専門的、技術的、学問的でありますので置かれております。諮問機関でありますから、あるいは奈良国立博物館長に何か要望書がきたかもしれませんが、もしそうだとしたならば、奈良文化財研究所長は判断を下しまして、必要があればこちらに申達してくるかと思いますが、いまだにそれは参っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/68
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069・小林信一
○小林(信)委員 今のお話を聞いていると問題にならないというように聞こえるのです。問題があるかないかということは専門家に検討してもらう以外にないわけなんですが、しろうと考えで私としての見解を申し上げるならば、局長の御答弁は、自分のとった態度をごまかすというような傾向があると私は見ておるわけです。というのは、もし文化財に突き当たったら報告をする。――去年イタリアへ行ってきて、イタリアの文化財行政のいろいろな実態を調査もし、いろいろ意見も聞いてきたのですが、業者が仕事をしてそういうものにぶつかって報告をするなどということをやったら、仕事ができないのだそうです。だから大体報告するなんということを真に受けて、保護委員会がこういうふうなことを許したら大へんなんです。できるだけそういうことは危険視してかかることが私は実際の文化財保護の態勢じゃないかと思う。それはそうでしょう。仕事をしていて、一つの重要な埋蔵文化財にぶつかったというようなときには、そこを工事してはならないというような形になるかもしれない。そうするとせっかくの計画がだめになるということになれば、事業をする者は中絶をして損をしなければならぬというふうなことがありますから、大がい隠してしまう。これがイタリアあたりでもって普通にいわれているところです。これは非常にむずかしいから、イタリアでは非常に厳重にやっているそうですが、そこが埋蔵文化財に対する施策の問題になるところだと思うのです。今までそういう点日本の文化財としてはきわめて無関心だったのじゃないか。ここでそういう点に国も一般国民も相当に関心を持つように教育をしなければならぬ、啓蒙をしなければならぬときだと思うのですよ。そのときに文化財の幹部がそういうふうな考えでもって取り扱ったら、日本の文化財というものはなくなってしまうわけです。そういうおそれもあるわけです。さらにさっきのフランスの文化相の言ったような、ああいう他国の人が奈良の文化財に対してあんなに関心を持っておる点を考えれば、来て報告するからいいというふうなことで当局がおったら、その人たちにも済まないと私は考えるわけなんです。
さらに盛り土をするからいい、これは私が説明するまでもなく、この奈良の都は唐の長安の都のまねをしたものだと私は聞いているわけです。ところが唐の時代のそれがすでに市街地になっている。市街地になっているから奈良の都と同じような千二百年前の姿を発掘することができないが、今奈良の平城宮趾は市街地になっておらないから、発掘すれば発掘することができるということになっているから、世界の三大埋没文化財として世間の人が尊重しているわけです。それを簡単に盛り土をするのだからいい、いつでも発掘できるのだからいいじゃないかというお考えだったら、これは私は非常に無責任で言いのがれにすぎない、そういうふうに考えるわけです。
それから今の諮問機関の問題ですが、平城宮の調査発掘特別委員会は文化財保護委員会に直属するものでなくて、奈良国立文化財研究所の諮問機関であるというようなことをおっしゃることは、やはり何か責任回避をするための御答弁と私にはとれるわけなんですよ。たといそれがどこの諮問機関であろうが、そこにどういう権威者がいるかということをお考えになったならば、保護委員会がこの決定について、それは認可じゃない。認可じゃない、こうさっきおっしゃっておりますが、そんなことにこだわる必要はない。そういうふうな人の意見を聞いて、そうしてこれは工事を進めてもいいかどうかというぐらいの考えを持たなければいかぬ。諮問機関はおれのところの諮問機関じゃないのだというような、さながら、そこが要望書を出そうが要望をしようが、そんなことは私のところの関知するところではないというふうな印象を受ける御答弁というものは、今後の文化財行政に対して私は非常に憂慮すべきものが感ぜられるわけなんです。
それから、さっきも許可じゃない。これはもう認可というのは、法律的な見解からすればというような点で、指定地であるものを変更する場合は認可が要るけれども、そうでない場合は認可じゃないのだ、こういうふうにおっしゃるけれども、やはり何らかの形でもって世間では許可である、許す、やってもいい、そういうふうにとっているわけですよ。新聞に許可と書いてあったが、それは法律的にどうのこうのじゃない、法律的に言えばどうのこうのじゃないというふうに言うかもしれませんが、やはり一般大衆の受けるものは、どういう形であっても文化財が許したのだ、許可したのだというふうにとられる。
〔山中(吾)委員長代理退席、委員長着席〕
それから要望書という問題を今おっしゃいました。要望書という書類が提出されようがされまいが、文化財というものは、これは一般政治もそうですけれども、声なき声を聞く、これが政治の民主主義の一番の原理です。だから要望書が出たから出ないからというようなことにこだわらずに、だれか権威ある者が、実に残念なことだ、何とか食いとめられないかというようなことであれば、これは要望があったというふうに国民の声を聞くという態度が、文財行政の一番の要諦ではないかと私は思うわけです。だから今の御答弁の点から考えても、諮問機関の問題といい、あるいは報告することが約束されているからとか、盛り土だとか、要望書が云々だとかいうようなことを言われると、私はますますこの問題については、文化財保護委員会の今度とられた処置に対して疑問を持たざるを得なくなってくるわけなんです。そこで、私もよく知らないのですが、平城宮跡調査委員会を組織する人たちの名前を一応ここでお伺いしたいと思うのです。
その前に、もう一つ重大な発言が今局長から言われてきている。平城宮趾の西南の方には建物はなかったのだというふうなお話なんですが、一体その根拠というものを局長は、保護委員会はどういうふうに確認しておるか、どこからそういう見解を出してきたかということが問題です。と同時にこの池という問題、池でもあったのだろうとおっしゃるのですが、あなたは私たちと一緒に同行されまして、あの行政道路のわきの発掘されておったところをごらんになり、あそこから発掘されたものが陳列されてあったものを私たちに説明してくれたはずなんです。私はあれを見て、実に保護委員会は苦労しておる、この苦労でこれだけのものが発掘されたということは、日本文化にとって非常な功績である、私は保護委員会の方たちの御苦労というものをあの発掘の状態から感謝をしたわけなんです。ただ発掘をする困難さでなくて、地元の人たちと土地の交渉をし、あるいは返還するために復旧工事をするその御努力というものはわれわれの想像することのできないものがある、私はこういうふうに思ったわけです。そうしてその発掘されたものは、ちょうど井戸側が発掘されて、その井戸側の中につぼだとか、くしだとかあるいは人形だとかいうふうなものが出てきて非常に喜んでおられる。私たちに局長自体が説明をされたことを私は覚えているのですが、日本の埋蔵文化というふうなものは、イタリアのようにヴェスヴィオ火山でもって埋没したものを発掘したああいうりっぱな建造物というものは日本には出てこない。出てこないだけに日本の埋蔵文化というものは非常にお互いが苦労をしなければならない問題であると思うのです。その中で最も顕著に残るものは、この井戸の中から発掘されたようなもので、今後埋蔵文化発掘に対してのおそらく学者諸君の一致した意見として、ここを忘れちゃならぬ、こう考えていると思うのです。してみれば、池を無視したということは、現に発掘したあの功績を保護委員会自体が忘れているのじゃないかと思うのです。池というものはその中に埋蔵される古代文化というものが最もあるところと考えていいと私は思う。池ぐらいのものだというこのあなたの御見解にまず私は非常な不満を感ずるわけなんです。そういう点をさらに今お尋ねしたこの特別委員会の組織とあわせて御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/69
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070・清水康平
○清水政府委員 いろいろ御注意をいただきましたが、文化財を保護して参ります当面の責任者といたしましては、今後ますますその方に努力して参りたいと思っております。
ただ私先ほど申し上げましたのは、決して未指定地のところが価値ないとかあるいはネグレクトしておるとか軽視しておるとかという気持はございません。ただ行政権の発動といたしましては一定の限度がございまして、未指定地で遺跡があると思われるところにつきましては、発掘する場合に大体二つあるわけでございます。一つは学術調査でございまして学術調査は三十日前にこれの届け出をするわけでございます。それに対しまして必要あると認めた場合には必要な指示を行なうことができるという規定があるわけでございます。そうして場合によっては必要なる指示のほかに発掘の中止も停止も禁止も行なうことができることに相なっておるわけでございます。ところが御承知のごとく土木工事によりまする発掘につきましては、やはり届け主義になっておりまして、それに対しては学術調査のように禁止とか停止とか中止とかできない。必要あると認めた場合には必要な指示を行なうことができるということしかないのでございます。学術調査の場合はそういう禁止、停止というものがついておりますが、もちろんこれも届け主義でございますけれども、それに対しては科罰規定もございます。ところが土木事業、学術調査以外のものにつきましては法律上何もないのでございまして、私個人としては――平城宮跡のうちではもちろん大切なところは指定してございますけれども、平城官跡の一部であることは間違いないのでございますから、これは何とかしたいという気持はありますけれども、行政権の限界としては、文化財保護をやっておりますわれわれの態度としましてはそうせざるを得ないということを申し上げた次第でございまして、その点は一つ御了承願うと同時に、文化財保護の責任を持っておる私といたしましては今後十分注意をして処理して参りたいと思っております。
それから、あとに特別史跡平城宮跡調査委員会の委員はだれだれであるかというお尋ねでありますが、これは石田茂作氏、梅原未治氏、大岡実氏、坂本太郎氏、未永雅雄氏、水野清一氏、原田淑人氏、服部勝吉氏、福山敏男氏、藤島亥治郎氏、村田次郎氏をもつて構成せられておるわけでございます。それでこの点も申し上げますが、こういう人たちには私個人的にもお目にかかり、いろいろなところでお目にかかっておりますが、現在指定されているところは何とか早く発掘したらどうかという強い要望がございましたが、それ以外のことにつきまして特にあそこはどうせいとかいうことはございません。ただ指定地外のことにつきまして指定をする、指定をしない限りはいかんとも手がつけられない、指定するということを考えたらどうだろうかというような個人的な御要望はございました。近鉄の問題につきまして、これは指定しなければならぬということは言われたかもしれませんが、近鉄の問題についてこれこれと具体的には聞いておりません。
それから先ほどの池という問題は、そういうふうに言っておられる学者も聞いておりますということをただつけ加えただけでございまして、特にどういうことではございませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/70
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071・小林信一
○小林(信)委員 結論を先に言われたような形になりましたが、もっとその内容をお互いに検討して、はたして今日の状態で進んでいいか、さらにもっと考慮をさせるべきかという問題で私は話を進めているわけなのです。まず池という問題で私はさっき見解を申し上げたのですが、局長は池に対してどういうお考えを持っていますか。さっきのあなたのお話によると、池ぐらいだから大したことないというように私は受け取ったのです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/71
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072・清水康平
○清水政府委員 私もその価値判断のことはむずかしい問題でございますけれどもそれは低くなって盛り土をしなければならなかったということは、多分そこに池があったために盛り土をしなければならなかったということだろうという意味で申し上げたわけでありまして、昔の平城宮趾の跡に池もあろうし、築土もあろうし、いろいろなものがあることは間違いないと思っております。それの価値判断、高低の問題につきましては、これは私としてどうということはありませんが、池は池としてのものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/72
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073・小林信一
○小林(信)委員 池は池と思うのではなくて、あの井戸側の発掘から考えて、池というものに対して重大な関心をお打ちにならないかどうかということを、私はお聞きしているのです。もしこの方面に池があったというようなことがあるならば、もう一ぺんここは再考慮しなければならぬのじゃないかと思うわけなんです。どうですか、その池という問題について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/73
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074・清水康平
○清水政府委員 ちょっと専門的になってなかなかむずかしい問題ですが、ただあの方面は非常に低かったから建物はなかったのじゃないだろうか、池はあったかもしれないという、そのために盛り土をしなければならぬだろう。私は最初、盛り土というのは――普通ですと、平らでありまして、大体一メートル下に遺構があるわけです。池の遺構がどういうふうにわかるか、私、わかりませんけれども、建物の遺構というものは大体一メートル下でございます。それで、そこに池というものは、やはり宮廷なら宮廷の必要要件でありますが、池というものは大切だと思っております。それから昨年文教委員長初め各文教委員が奈良を国政調査なさいました際に、私もお供いたしたのでありますが、小林先生もごらんになりましたいろいろな出土品、あるいは池というものは、指定地内のあの北側を掘っておりましたものから出たものでございまして、専門委員の人たちもわれわれも、将来指定をどうするかという問題はありますけれども、現在ある指定地の十七万坪をどういうふうにしていくかということについては、今度考えていかなければいかぬ。指定地の問題をどうするかという問題はもちろんあるわけでございますが、近鉄の問題は先ほど申しましたようなわけで、そういうような意味合いでせざるを得ないということを申し上げただけでございます。何も他意はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/74
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075・小林信一
○小林(信)委員 局長、非常に飛躍してしまうのですが、あなたがその問題にしておる、今国が指定しておるところですね、これはもちろん大事です。これはどんなものが出るか、国民の希望しておることなんです。今の東大寺だとか正倉院だとか、これもやはり大事でしょう。しかしあれを生んだ、あれを作ったその根拠地というのはここにあるわけなんです。そしてあなたがおっしゃるような重大な指定地のものを完全に生かすためには、おそらくこれはあなたもお考えになっておられるのですが、できるならば平城宮趾全体を指定地にして、そしてこの全体の発掘というものを考えていくということは、これはだれも要望するところだろうと思うのです。しかしそこに、それほどでもないという見解をもって今近鉄の工事が始まろうとするわけなんですが、もし再検討してこれが――この国有地十五ヘクタールですね、指定地は全部で五十五ヘクタールですか、これをほんとうに完全に牛かすためにも、あるいはその周辺というものは必要になる場合も出てくると思うんですよ。ほんとうに、その重大なところはここだけなんだという見解は、国が持っておるかもしれぬけれども、将来さらに考慮する必要がある。それは最近の世界の埋蔵文化財に対するところの関心からしても、日本でも考えていかなければならぬ問題だと思うのです。
そこで、あなたはどんどん飛躍してしまうのですが、池のような問題は、池があるとするなら、私はやはりここのところをもう一ぺん調査か何かして、そうして近鉄にほんとうに仕事を中止さしてしまう、あるいはしばらく待ったをかけて、そうして国の考えというものをもう一ぺん検討し直すという必要性を感ずるわけなんですが、さらに今あなたがおっしゃるように、あの行政道路の北の地域から井戸が出てきたわけなんです。それは私どもも見て知っておるわけです。だからそれから派生して考えて、池があるとするならばここは非常に重大なところだ、こう私は考えるわけなんです。あなたにもそういうふうに考えていただきたいわけなんです。その次に盛り土をするということ、これはもう池のあったところだから盛り土をしなければならぬだろうというような、そんな簡単なものではなくて、あそこは林になり田になり、いろいろな変遷があったでしょう。だから相当に埋まっていますね。従って池の中に埋没しておるものは、私は現存しておると思うんですよ。それを盛り土をするというだけのお話で言っておられますが、盛り土をするからあるいは将来発掘しようとすれば発掘できるんだというようなお考えがあるのですか、それはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/75
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076・清水康平
○清水政府委員 今おっしゃいました、あの指定地外ではあるけれども、近鉄が車庫を作ろうとする土地、それを工事をやめさせるとかあるいは調査するという意思がないかという意味のお話がございましたが、御承知のごとく文化財保護法上、学術調査で発掘する以外のものにつきましては必要な指示はできます。しかしその指示も、法律に書いてあります通り、禁止も停止も中止もできない届け制度でございますから、これは行政法上困難じゃないか。しかしながら今まで多くの学者が言っておられます、先ほど私が申しました西側の道路にあります門ですね、これは実は文化財保護委員会におきまして、国立奈良文化財研究所をして掘らしておりますが、その門の跡は、これは第二期計画あるいは第三期計画でもって、所有者はだれかわかりませんけれども、所有者と折衝いたしまして、門があったであろうという三カ所につきましては調査をしてみたい、こう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/76
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077・小林信一
○小林(信)委員 僕の質問と局長の御答弁とで非常に食い違いがあるということはわかりました。あなたは、もうすでにこれはだめだという御見解でもって話を進めておるわけですね、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/77
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078・清水康平
○清水政府委員 文化財保護法の五十七条の二の規定によって、指定地であれば許可、不許可の権限がありますからできますが、指定地外――「土木工事その他埋蔵文化財の調査以外の目的で、貝づか、古墳その他埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されていろ土地を発掘しようとする場合には、」三十日前に委員会に届ける。それに対しましては、同条の第二項に、「前項で準用する前条第一項の届出に係る発掘に関し必要な事項を指示することができる。こういうことしかないのでございます。そのことを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/78
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079・小林信一
○小林(信)委員 あなたはその規定に従って行動をとっておるだけだ、こういうようにおっしゃるのですが、もしこの重要性というものが認められてくるならば認められるようにして、そうして私は国が買い上げるとか、あるいはさらに指定をするとかいう方法がとれないものかどうかという、それまでに話を進めていきたいためにしているわけです。あなたはだめだ、だめだでもっておっしゃっているのですが、そこに私の保護委員会に対する最も不満があるわけなんですよ。私はそういう方向に、できるならばこの問題を――事実というものは検討しなければならぬのですが、事実を検討していって、そうしてもしこれがゆるがせにできないものである、軽々に処理できないという場合には、国が買い上げるか、あるいはこれを指定地にするか、これは保護委員会の権限あるいは責任としてしなければならぬことなんですから、そういう方向へ進むことができないかどうか。あなたのように五十七条をたてにとって、できない、こうおっしゃってしまえば話を進める必要はないのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/79
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080・清水康平
○清水政府委員 今の法の建前はこうなっておるのでどうするかという問題、これが大きな問題だろうと私は率直に思うのでございます。たとえば十七万坪を埋蔵文化財を包蔵する土地として指定しておるが、未指定のところを指定する意思があるかないかという問題に私は発展するだろうと思うのであります。その点につきましては、実はこれは平城官跡の一部であることは間違いないが、ただしだからといってすぐこれを指定できるかできないかと申しますのは、これが学術調査をいたしますのならば、中止とか禁止とかいうことができますから、その間もう少し検討してするかしないかということができますが、学術調査でないためにそういうことをしたわけでございますけれども、これがどうしても必要であるかないかという問題にぶつかるわけでございます。その場合私どもが感じますことは、現在の情勢におきまして、たとえば先ほど申しました西大寺の大きな門の跡であったとかいうようなところにつきましては可能でございますが、未指定地全部を今すぐ指定するということは、特別の遺構、遺跡が発見でもされない限りは困難ではないだろうか。それからまた条文のことを申し上げて恐縮でございますが、史跡に指定されている土地の中でいろいろな事業を行なうことがあります。その場合は現状はむろん許可を要しますが、その場合でも法律には特に関係者の所有権、財産権を尊重するとともに、土木事業その他の公益と調整をはからなければならぬという規定が、指定地内ですらあるわけでございます。いわんや指定地外の問題につきましてはなおさらのことじゃないかと思っておるわけでございまして、指定地史跡といっても、財産権を尊重するとともに、土木事業その他の公益との調整に留意しなければならぬという規定がありますから、折衝の上やらなければならぬ、そういう問題もあるくらいでございますので、特別の場所ならともかくも、全部今ここでもって指定するかしないかといわれても、今後なお検討を要するものではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/80
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081・小林信一
○小林(信)委員 そこまで行ってしまう前に保護委員会の仕事としては、これが重要なところであるかどうかということを検討することが大事だと思うのですよ。もちろんそれは指定してないところですから、人の所有地ですから、そこへ行って発掘するというようなことは困難かもしれないけれども、しかし法律にはちゃんと出ておるわけですね。そういう場合には保護委員会の権限として指定して、学術研究するために手続さえとれば発掘することができるようにはなっておるわけでしょう。そういう方法もあるわけなんだから、この問題は丹念に学者の倉見を聞くとか、あるいは実地調査をするとか、手ぬかりのないようにして、そうしてこれが重要な土地であるかないかを調べて、その上で今事業をする者あるいは土地を所有する人たちの権利、こういうふうなものを考えて可能かどうかということを検討するのが――局すぐそこへいってしまって、困難であ長はる、特別指定地であってもそれが国の所有地でなければ、その所有権あるいは公益権というものを認めなければならぬということでもって問題を処理されてしまったのでは、ほんとうに文化財を守る仕事にならぬと思うのですよ。それはやはり法律ですから、単に文化財だけを独占的に擁護するという形でなくて、あるいは公益の問題もあるいは土地の所有権の問題も認めていくのが法律の建前なんです。しかしまた一面において重要と認めればそれを指定地にしてあるいは買い上げをすることができるという法律もちゃんとあるわけなんだから、問題は、ここは重要なところであるかどうかという、その根拠を確立することが、あなたの仕事として最も大きな仕事である。それは困難だからということをきめたのじゃ困る。これは国民の声だと思うのですよ。どうもあなたは、困難だ、困難だということを先に立ててしまうのですが、もう少し、近鉄へ工事をさしてしまってもいいかどうか、心残りはないかどうかということを今お互いが検討しなければならぬ、私はこう考えているわけです。御見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/81
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082・清水康平
○清水政府委員 どうも弁解がましくなって恐縮でございますが、昨年委員長以下各委員が奈良に参りましたときに、初めて地元から土地を買い上げてもらいたい、それは指定地外の問題でなくて、指定地の中にある土地を買い上げてもらいたいという要望があったわけなんでございます。それまではどこからも、指定地内の民有地ですらも買い上げてもらいたいという要望はなかったのであります。それから指定地外の今の問題につきましても、どこからもこれを指定してもらいたいとか、あるいは買い上げてもらいたいというのは何もなかったのでございます。なくても私どもといたしましては、どのくらいの価値があるかということは絶えず調査研究をいたさなければならぬのでございますが、三十一万坪のうち十七万坪を指定する際に、平城官として一番大切なところはここであるからとして指定された経緯もあったのでございますために、現在未指定のところを、あと十何万坪ですか指定するというところまでは調査は進んでおらないということを申し上げることは、まことに申しわけなく、残念に思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/82
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083・小林信一
○小林(信)委員 それではもうはっきりお聞きしますが、近鉄からこういう話が持ち込まれたときに、学者の意見も聞き、実際に調査もして、そうして、問題ない、こういうふうに保護委員会では割り切っているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/83
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084・清水康平
○清水政府委員 それが平城宮跡の一部であることは文化財保護委員会もよく承知しており、それから学者の一部の中に、あそこはともかくいろんなところをまだ掘ってみたい、それには指定地外にも人らなければいかぬなということを聞いておりますが、かりに学者の人が指定をしてもらいたいというなら別でございますけれども、あそこを掘ってみたいから、届出主義なんだけれども許可してはいかぬぞといわれても、これは学術調査でない限りは、禁止も停止も中止もできないのではないか、かように思っておる次第でざいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/84
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085・小林信一
○小林(信)委員 何か人のせいにしているようですね。私は一般の人たちの関心というのは、埋蔵文化財に対しては非常におくれておる。しかし世界的には非常に問題になっておる。従って、そういう点も啓蒙する意味からしても、学者からそういう要望があったとかなかったとかいうことでなくて、保護委員会として、そういう要請が出てきた、要請が出てきたけれども、待てよ、世界の今の情勢から見ても、今まで日本でこの平城宮跡に対して指定地を作ったけれども、それはその当時の見解だ、もう一歩世界の情勢を見たり、実際日本の文化財に対する使命を考えてみて、近鉄がこういう工事をしてしまうとすると大へんだ、もう一ぺん検討しようじゃないかということば、学者が要求しようがしまいが、保護委員会がやるべきことであって、そういう要請が出たら再調査をするとかあるいは実地調査をするとか、学者の意見を聞くとかいうことを保護委員がすべきじゃないかということを言っているわけなんですよ。それをおやりになったかどうか、おやりになる必要がないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/85
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086・清水康平
○清水政府委員 近鉄があそこへこういうものを作るということは、会合の席で私の方でお話を申し上げたことは記憶しております。それで学者の人たちもこれはどうも残念だが、まずそれよりも指定地内をどうするかということが先決即題ではなかろうかという御意見が強かったように記憶いたしておるわけでございます。
それから近鉄があそこに作りたいという場合に、同じ作るにしてもあそこでなくて――また何ておしかりを受けるかもしれませんが、そこでなくて適当なところはないかというようなことは、何とか考えてみる方法はないものかというようなことは事務的に話はしたのでございますが、場所的に、それから民家がずっと西太寺方面に多くなって、それから将来京都との関係もあって、奈良にも近いからあそこにどうしてもおきたい、わきに持っていくわけには参らないというようなことを言っておりました。事務的には同じ作るにしても違う方に置けないのかということを折衝したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/86
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087・小林信一
○小林(信)委員 学者とその話をしたときに、そういう意向が出なかったという、まだこれでは私の要望しておるところに局長乗ってこないわけなんですが、保護委員会としては、もう一回お聞きしますが、未練がない、絶対にここからはかつての文化財は出てこない。またここをこういうふうにしてしまっても全体の大勢上から――これはあなたも御承知でしょうが、小学校の社会科の教科書にも、中学の教科書にも、あるいは高等学校の教科書にも、あの城貌の整然とした旧平城宮の図面というものはどこにも載っておるわけなんですけれども、その一角がなくなってしまう。その図面というものはおそらく今後永久に、永久ではない、相当に子併たちにも見せなければならぬ問題だと思うのですが、そういう点からしても、あそこに今度は車庫ができて一般事業のために使用されてしまう。今子併が見ておる教科書の問題から考えてみて問題だと思うのです。その場合にこれを将来、発掘することができないようにしてしまっても、いささかも心残りはないという確信に立っておいでになるかどうかということです。ただ学者があれに対して何ら意見を差しはさまなかった、それよりも指定地を発掘することが先決問題だというようなことは今問題にしておることとは何ら関連のないことだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/87
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088・清水康平
○清水政府委員 小林さんのおっしゃる趣旨は非常にわかるのでございますが、決して文化財保護委員会は、あそこは価値のないものと思っておるわけではございません。地元の公共団体である知事ともこれをいろいろ話し合いまして、知事としても、将来一体指定地を含めてこれをどういうつもりでおるのか、計画の実行を一つ聞かしてもらいたい、向こうに計画を立てましてまたこちらの方に参りまして折衝するということになっておりまして、今後各方面のお力によりまして、どうしても学問的にもあそこが大切だということなら刑でございます。その点私がここでもってどうということは、文化財保護委員会といたしまして、あそこは決して無価値なものであるということ毛頭思っておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/88
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089・小林信一
○小林(信)委員 しかしそれが重要なところであるというものであればそれを確保するということは、これはほかの人の力ではなくて、やはり文化財保護委員会の権限と責任でもってする以外にないわけでしょう、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/89
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090・清水康平
○清水政府委員 文化財保護委員会は文化財を守るために置かれておるのでございますから、その線に沿って微力ではありますが、今後努力して参るのでございますけれども、現実の問題として、あそこにできた場合に今性急にここでもって指定するといっても、学術調査のようにそれをすることはできませんし、そうかといって買い上げると言いましても、昨年の十一月出てきた問題でございます。しかしそれとして、将来どうするかという問題につきましては、私は大きい立場から文化都市奈良というものをどうするかということを、現行法を抜きにいたしまして、どうするかという問題につきましては、私は国民全体、特に地元の奈良の観光団体の意向を聞きまして、なすべきことはなして参らなければならないと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/90
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091・小林信一
○小林(信)委員 そういう御計画をお話しされると、何か問題がないような形になりますが、そうなっても将来地元の知事の要望があり、あるいは文化都市としてあそこに何か特別な措置が行なわれるようになったとしても、近鉄があそこに車庫を作ってしまえばそれはどうすることもできないわけでしょう、どうですか。作ってしまってもまたそういうふうな計画が出てくれば、それをまたはずして発掘することができるというような御見解ですか。とにかく私の聞こうとしているところは、もう委員会としてはあそこに対しては未練がないのかどうか、局長はあるようなことをおっしゃるわけですね。未練があるとするならば、これはあらゆる手段を尽くして何とかしてここが問題になるところか、ならないところかということをあなたの責仕として確認しなければならぬところだと思うのですよ。そういう措置をとっておるかどうかということが私は今疑問になっているところなんです。あとでもって知事の要望があったとか、あるいは何か特別な観光都市を建設するという段階になってまた考えればいいというようなことでは済まされないと思って私はお聞きしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/91
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092・清水康平
○清水政府委員 仰せのあの土地が平城宮跡の一部であり、やはり価値のあるものであることは間違いないことだと思います。将来かりに大きな法律を作って網をかぶせるとか、あるいは将来指定地とかりに指定するといった場合、あればどうなるかということになると、その補償の問題も出てくるかもしれません。これは将来の問題でございますが、文化財保護委員会としては決してあそこは価値がないとは毛頭思っておりませんが、ただ現行の法律上からいうと、それをただ不許可とか、停止とか、中止とかいうことができないために、そこに悩みがあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/92
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093・小林信一
○小林(信)委員 しかし今のまま進めば、近鉄は工事をするんでしょう。まだ相当余裕があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/93
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094・清水康平
○清水政府委員 三月から着工するという届出でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/94
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095・小林信一
○小林(信)委員 その着工してしまう前に、あそこも確かに平城宮跡だ、あるいはあそこに重要な文化財が山山てくるかもしれぬし、ただそこから文化財が出てくるだけでなくて、あとで指定地を発掘したときに、平城宮跡全貌というようなものを作りたい。見たいというようなときに、その一角がすでになくなってしまったというようなことになれば、せっかく指定地を発掘しても意味がない場合があるわけです。これはイタリアあたりでもポンペイの町を発掘しておりますが、相当長い間、百年も発掘しておるでしょう。しかもまだ発掘しておるわけです。そういう全貌というものを確保しようというのが埋蔵文化財に対する時間的な、世界的な行き方なんです。指定地だけをやれというような御見解では、日本のこれからの文化財に対するところの関心というものが高まってきた場合に、あのときの清水局長の見解というものがもう少し高度のものであったならば、完全な平城宮全貌を見ることができたけれども、残念ながらあのときに近鉄に許可ではないとおっしゃるかもしれませんが、あのときに最善の努力をしなかったために全貌を見ることができない、池というようなもので葬られてしまったというようなことになると、私は決して池は大切なものではないとは言わない。最も大事なものだと思っておりますが、そういうような全貌を保存する意味からいっても、全貌をつかむ意味からいっても、私は決しておろそかにできない問題であるし、あるいはその地域にまた地域独特のものが出てないことも限らない。あなたはおそらくそれと同じような考えで未練を持っておると思うのですよ。それが三月から着工されてしまったら、もうこれは永久的にここのところは着手することができない。だからここでもって何らかの方法を講じなければならぬと思うが、その必要はないという見解にしっかり立っておるのか、未練があるけれどもいかんともしがたいというのか、もう一ぺんそこのところをはっきりおっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/95
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096・清水康平
○清水政府委員 小林先生のおっしゃる御趣旨は全く私ども同感でございます。ただ現行法上それを押えたりすることができないだけでございまして、それをどういうふうにするかということは、現行法上ではこれはできないのでございます。それだけ申し上げただけのことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/96
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097・小林信一
○小林(信)委員 現行法でできない、そんなことで世間は許しますか。私の見解では、この法律の中の条項は私には指摘できませんが、必ず何らかの方法で、もしそういう未練があり、そういうふうな私が申し上げたような考えがあるならば、それを適用して、そうして少なくともここでもって実地調査くらいはして、それから後着工させるくらいの努力は払うべきだと思うのです。さらに一体全平城宮跡を買収するのにどれくらい予算がかかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/97
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098・清水康平
○清水政府委員 ちょっと書類を持って参りませんが、単価にもよりましようけれども、金額からいえば二十億から三十億くらいの間、二十四、五億くらいかかるのじゃないか、買い上げするとすれば。ちょっと横にそれますが、先ほど先生のおっしゃいました指定するかどうか、指定してありますと、こっちはできますが、そうでないと、まことに残念でございますけれどもできないということを申し上げておるので、決して私どもは価値ないと思っているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/98
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099・小林信一
○小林(信)委員 指定をするその前の段階をして、さっきからくどくど申しますが、少なくとも何らかの方法で――私は幾つかの条項、法文を見て、夕べ検討してしるしだけつけてきましたが、そんなことをあなたに申し上げる必要はないと思いますが、それは実地調査をしなければならぬ、そうして着工さしていいかどうかを検討しなければならぬというときには、私は法律の適用ができると思うのですよ。しかし、あなたのようにできないのだ、こういうふうに言われてしまえば、これはどうすることもできないわけですが、しかし今の世論というものはそんな簡単なことでもって済まされないと思うのです。
そこで、これはもう少し時間をいただいて、そうして衆知を集めて、私だけの見解でなくて、皆さんの意見を――どうも局長と私の話し合いは食い違ってしまって、どうしようもないのですが、あなたはだめだ、だめだと言ってしまう。しかしあなたがおっしゃる中に、私もここが平城宮趾の一角であることは認めるとか、あるいは実際調査したいのだというようなお考えを持っておられるようですが、それがただ法的な手続上できないのだということでもって葬られるとすれば、さっきのフランスの文化相じゃないですが、もしああいう見解を日本人全体が持つ、あるいはこの国会が持つとするならば、一つの大学に対しても井川立法をして、その大学を救おうということがこの国会でできるのですから、新しく法律を作ってでも、平城宮趾が少しでも問題があるとするならば、法律を新しく作っても守るということがきょうの時代に生きるわれらの責任だと思うのです。あるいは文化財保護委員会に働く人の責任だと私は思うのです。法律上の問題でもってこれが葬られてしまう、そういうことは私は許しがたい問題だと思うのです。
そこで文部省の方へお尋ねしますが、この前山中委員からでしたか、文化財問題で文部大臣にお尋ねをしたら、文部大臣が、私のところでは文部省の建物の一角を文化財に貸しておるだけで、私には来ら権限もなければ義務もないのだ、こういうふうに言ってまことに無関心な態度をお示しになっているのです。私はけしからぬ大臣の御見解だと思うのですが、この法律を見れば、必ずしも家を貸しておくだけじゃない、相当いろいろな点で関連があるわけなのですが、その一つとして、今回のような問題の場合に、こういう条項がありますね。第九十一条「左に掲げる場合には、関係各省庁の長は、あらかじめ、文部大臣を通じ委員会の同意を求めなければならない。」として、一項に「重要文化財又は史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保守に影響を及ぼす行為をしようとするとき。」そうすると近鉄が、所管の庁とすれば運輸省ですが、運輸省に申請をするわけですね。ここへこれだけのものを建てたいというふうな場合に、おそれがあるという条項をたてにとっても、運輸大臣は文部大臣を通じて本委員会になにか同意を求める手続をしなければならないわけです。その場合文部大臣を通るということは、これは建物を貸しておくからじゃないと思うのです。やはりこれは常識的、に言っても、教育とも相当な深い関係を持つものであるし、文化財というふうなことについては、ただ保護委員会だけの問題じゃないと思うのです。そういう意味でこういう条項が入っていると思うのですが、この問題については近鉄から運輸省を通して文部大臣のところへ何か来ているかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/99
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100・清水康平
○清水政府委員 運輸大臣からといって、平城だけの問題ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/100
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101・小林信一
○小林(信)委員 近鉄がそこへ工事をするのですから、運輸省に何か許可を求めるわけでしょう。その場合に運輸君としては、平城宮趾の一角ですから、影響があると認めなければしようがないわけですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/101
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102・清水康平
○清水政府委員 この条文は「重要文化財又は史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保守に影響」でございますから、こういうことを申し上げるのはおしかりを受けるかもしれませんが、これは史跡名勝天然記念物ではありませんから、もちろん運輸大臣に来ておりませんし、運輸大臣が自分から国有財産なら国有財産法上こういうものを作りたいというときに文部大臣を通じて文化財保護委員会の同意を求める。こういう条文でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/102
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103・小林信一
○小林(信)委員 これは私が拡大解釈をし過ぎるかもしらぬ。しかし指定地のそばにあって、そうして平城宮趾だということは歴然としているわけなんですよ。勝手に今近鉄が車庫を作るというような場合に、そういうことは影響を及ぼす行為になるというふうな見解を持つところに完全な文化財保証があると思うのです。これは見解が違えば仕方がないと思うのですが、もしそういうふうな良心的な運輸大臣であれば、それを取り上げて、はたしてこれは許可してもいいかどうかということを文部大臣を通じて本委員会の同意を求めるはずだと思うのですが、決してそれは文化財そのものに直接影響がなくとも、それに影響がある、こういうふうに解釈しても、今の現状では私は必要があると思うのです。とにかく大臣を通したか通さぬかということを僕は聞いているわけなんですから、大臣のところへ来ておらなければおらないでいいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/103
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104・清水康平
○清水政府委員 これは文部大臣を通す必要のないことでございます。というのは、運輸大臣が自分で史跡を現状変更し、自分で史跡に保存の影響を及ぼそうとするときのことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/104
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105・小林信一
○小林(信)委員 せっかく次官に残ってもらったのだから、その事務的な面ともう一つは教育的な面で、ぜひともこの際次官に御意見を聞きたい点があるわけです。この埋蔵文化財の問題では、教育と結びつけて非常に世間が考えておるわけです。こういうことをいっておる人があります。「日本は世界有数の文化財国であることに間違いはないが、それを収容し、展示する施設の少ないことでも世界有数の国であろう。今から三十二、三年前、日本考古学の父ともいうべき浜田青陵先生が、日本児童文庫の一冊として「博物館」という名著を書かれて、わが国には学校は大都会はもとよりいなかにもりっぱなものがたくさんあるが、「学校と同じ役目をする博物館は実に食弱であって、わずかに東京、京都、奈良の三カ所に美術博物館があるほか、これというものもないのははなはだ残念です。これは日本人がまだ学問をするには学校だけで十分であるというような間違った考えを持っていることから来たものでありましょう」」こういう一節と、さらにまた別の人の、これはたくさんありますが、一つの見解をあげれば、教科書検定や学習指導要領改訂をめぐる逆コースの台頭、紀元節復活の宣伝のさ中にある私たち、という考えで、こういう埋没文化財なんかに対してきわめて冷淡であるが、こういうものをもっと国が重視して、これを保存したり、あるいはこれを児童生徒に見せるというふうなことの方がほんとに民族意識とかいうようなものは養成されるんじゃないかというふうな主張もあります。さらにこれは最近新しくできた国あたりですが、民族意識というふうなものを強く打たせるために非常に文化財というものを重視しておる、しかしその中で埋没文化財というものは、従来非常に軽視しておったけれども、最近これを大へんに尊重し、これを保存したり、あるいは発掘することに努力しておる、教育的な意味からやっておる。というような点から考えて、今の平城宮跡の一角が、今の局長の御見解でもわかるような、これはもう決して問題のないものだという断定はせずに、何か法的なものからしてやむを得ないということで、今も三月から着工されて、将来ここはどうすることもできないような状態に陥るときに、教育行政を担当する再考責任者として、この問題をどういうふうにお考えになるか、この際お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/105
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106・長谷川峻
○長谷川政府委員 だんだんのお話の中に、民族文化としての、こうした埋蔵物文化の発掘、その重要性について御議論がありましたが、その点は同感であります。何と申しましても、われわれの先祖が築いた文化を見詰めながら、受け継いで次の時代にまたすばらしいものを残さなければならぬというの、がわれわれの務めであると思います。ことに小林委員が言われたように、アンドレ・モーロア文化相は日本にも来たことがありますし、その演説にもあるように、やはりカンボジアのアンコール・ワットあるいは最近問題になっておりますアスワン・ハイ・ダムの上流の文化発掘ということは世界的な問題にもなっておりますし、またそれだけに奈良の文化に対して彼が非常に関心を持ってもらったということは、見てもらっただけに、私は同感の意を表し、共鳴するものであります。
今度の平城宮の問題にいたしましても、今まで事務局長が御答弁されましたように、法規的には、事務的解釈としては考えられない。しかしながらこれが社会に大きく取り上げられたということをきっかけにいたしまして、お互いの文化をよりよく、広く守ろうじゃないかという気持がわくように至った機縁が、こうした委員会の討議においてさらに高揚されていく。日本に博物館が少ないというお話でありますが、これは今までの施設上少ないというお話もうなずかれます。われわれよその国に参りましても、やはり博物館に行ってその国の民族の姿、発展の姿を見ておりますし、最近においては博物館に学生諸君が大ぜい来て、今から伸びていく一つのよすがにしておるような実情もありますので、こうした実物教育というもの、さらにまたわれわれの祖先が苦心して築いた文化を大事に守り育てて、それを受け継いでいくという考えから、施設の充実なり、こういうものをよく見る風潮というものを盛んに興すことは、当然私たちの責任である。でありますから今度の平城官跡の問題にいたしましても、一つの営利会社である近鉄が現行法規上からそういう建物を建てるかもしれませんが、それをきっかけとして、われわれの民族文化というものを守ろうじゃないか、関心を持とうじゃないかという全体の姿の中に私たちの方も努力をして、ただいままで局長が現在の法律上苦しい立場を申されたこともわかりますが、それ以上前向きの姿勢でやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/106
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107・小林信一
○小林(信)委員 次官のおっしゃるその言葉を聞けば非常にうれしいのですが、しかし今までの実態というものはそうではないわけです。だから次官に特にお願いをしますが、この問題をこのままでほってしまわないように何らか文部省としててこ入れをしてもらいたいと思う。というのは、どうも事務局長は、文化財の保護委員会の中だけで予算要求したり、あるいはいろいろこういう場合に処置をするという点で、私は御苦労が過剰ではないかと思う。従ってできないというふうなことでどうしても結論を急ぎたいのだけれども、そんなことでは文化財保護というものは絶対できない。そういう意味でも、責任を回避せずに積極的に文部省でも乗り出すべきだと思う。あなたはそう言っておるけれども、この本の中にも埋没文化財が崩壌していくのがたくさんあげられております。こんなものを見たら日本人としても情なくなる。修身科の設定をやるよりも、こういう文化財を守るということを文部大臣の責任としてもやるべきだと思う。ああいうような機械も動いているでしょう。あの機械で工事は進められるわけですよ。土木事業は経済成長のブームに乗ってどんどん拡大されていくわけです。その土木事業を何でやるか。昔のようにつるはしでやるのじゃない。ブルドーザーでぐっとやれば、中に何があろうがそんなことは仕事をしておる君にわかりっこない。局長は最初、何かあったら報告するということを言って弁解されたけれども、今の工事のやり方からすれば、そんなことは絶対に考えられないことなんです。そうして埋め立てが盛んにされる、あるいは至るところの塚――土が必要だからその塚の土を持っていく、全部ブルドーザーでやってしまう。そういう工事め性格から見ても、なまはんかな態度で文部省が力を入れるなんてことはできないわけなんです。どうかほんとうに真剣に考えてもらいたいと思う。
それでこれも関係はないといえば関係ないかもしれないけれども、しかし委員の任命は文部大臣がやるのです。ユネスコの国内委員会でこの問題を取り上げたことがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/107
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108・宮地茂
○宮地(茂)政府委員 国内問題としては取り上げたことがございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/108
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109・小林信一
○小林(信)委員 昭和三十一年十二月五日にユネスコの総会でもって、考古学上の発掘を規制する国際的原則に関する勧告というのが日本にきているはずなんですが、その勧告の条文というものをちょっと説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/109
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110・宮地茂
○宮地(茂)政府委員 ただいまの御質問に要点だけお答えいたします。これはユネスコ憲章に基づきまして、ユネスコが考古学十の発掘に適用される国際的原則に関する勧告というものをいたしております。その要旨は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/110
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111・小林信一
○小林(信)委員 要旨でなく条項を言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/111
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112・宮地茂
○宮地(茂)政府委員 非常に長いのですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/112
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113・小林信一
○小林(信)委員 とにかく、こういう発掘というふうなことについて取り上げておらないとするならば、そういう内容をお聞きしても仕方がない。日本の国内委員会というものは実に怠慢だということになるわけです。これはいずれも資料としてわれわれに出してくれませんか。そういう国際的な責任からしても、日本がこういう埋蔵文化に対する責任を負っていかなければならぬと思うのです。ただフランスの文化相が奈良の問題を取り上げたということは、道義的な問題として、今のようなユネスコからそういう勧告を受け、それを受理している日本としては、これに対して何らかの規制をしなければならないことになっておるはずなんです。しかし会議を開いておらない、こういう問題に直面しても何らユネスコがこれに対して見解を持っておらぬというふうなことでは、これは有名無実になるわけなんです。これも文部大臣が責任がないといえばないのですが、そんなことではほんとうに行政ということはできないと思うのですが、この点は大臣がまた来たときにお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/113
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114・清水康平
○清水政府委員 今小林委員からユネスコの勧告のお話がございました。文化財保護委員会としては、勧告のあったときから承知いたしておるわけでございます。その内応は御承知と思いますが、考古学上重要な遺跡を保護するために、発掘を届出制から許可制にしたらどうかという勧告でございます。そうしますと、どうするかということになるわけでございますが、従来の発掘の事前届出制を許可制という強いことにしたらどうかという勧告でございまして、それについて、私どもは直ちに調査いたしたわけです。ところが、許可制にするためにはどこそこにどういう遺跡があるかないかということがわからなければだめなのでございます。道路を作っていて、突然何かが出てきたというときに許可制というわけにいきませんので、許可制をとるためには、全国にどういう遺跡がどういう構造で大体どうなっているかということがきまらなければ、たとえ許可制をするにしても、困難ではないだろうかというところから、三十五年度から三ヵ年間にわたりまして、全国的な遺跡の基本調査をいたしました。そして私どもといたしましては、そこに遺跡台帳というものを作りまして、周知の遺跡として全国的に明らかにしてもらう、それを学術調査なり土木事業その他でもってやる場合には、許可制にするということも一応考えられるわけでございます。もちろん各方面の学者の意向も聞いていかなければならないと思いますが、そういう意味合いで現在てはとにかく勧告もあり、遺跡台帳も作らなければいかぬということでもって、三十七年度て一応のものは終わるわけでございます。しかる後にどうするかということを考えて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/114
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115・小林信一
○小林(信)委員 今のお話を聞くと、ますます矛盾を感ずるのですよ。とにかくユネスコの勧告通りにするために、一体どこにそういうものがあるかということを調べなければならぬ、というお話しですが、現在あるかもしらぬという平城宮趾の問題すら、当局ば近鉄にこれから仕事をさして、もう発掘できないようにしようとしておるじゃないですか。あるかもしらぬというふうに予想されるところすら探知しない今の文化財保護委員会です。勧告に従ったとは私は言えないと思う。もっと良心的ならば、あるかもしらぬという平城宮趾の、今近鉄の敷地になろうとするところを、まずいち早く実地調査して、そしてないならない、あるならある、その上でそしてこれに対する判断というものをしっかり狩っていなければならぬ。あるかもしらぬけれども、法的に今いかんともしがたいからやむを得ないんだというふうなことでほうっておくということは、非常に無責任だと思うのです。
時間も参っておりますのでこの辺でもって終わっておきますが、一番最初の問題、あなたがしなかった池の問題です。もう一ぺんこれはあなたの頭の中に強く入れて、文部政務次官も入れていただきたい。あそこに調査に行ったときに、あの井戸側の中から出たものを非常に自慢してあなたはわれわれに見せたわけです。そしてあなたの努力に対してほんとうに敬意を払うのです。その井戸と同じ池なんです。この池があるかないかということについては、関野貞さんという人の出した研究物の中に、続日本紀の中に確かに書いてある、西南の方に池を作ってそして宴会が何かをやった、そういうふうな日本書紀に書いてあるものまでもあげられておるわけです。そういう点も考えるとますますこれは簡単に近鉄の敷地にさせることはできないと思うのです。従ってこういう点も一つ研究していただきたいと思うのです。そして先ほど申しましたように委員長もあそこを重大視されて、それが新聞にも出ておるわけなんです。従ってわれわれが納得できるように、学者の意見等も聞いてもらいたいと思うのです。さらに法律的な問題は何も法律学者を呼んでこなくたって、法制局にきてもらって、この条文解釈をやってもらっただけでもいいと思う。とにかく法律上の問題としてはいかんともしがたいということは、われわれ簡単にほうっておくことができない。買い上げの問題二十億ということを言われましたが、文化財を守る二十億というものをもし大蔵大臣が出し惜しむというならば、これはとんでもないことになる。大蔵大臣にも私はこういう問題を一つ聞いてもらいたいと思う。そういうふうな処置を委員長にもお願いをし、文化財保護委員会としてもさらに御検討願いたい。そして文部省としては今のような見地からこの問題に無関心てなく、積極的な考慮を一つお願いしたいと思います。次の委員会にこの問題をさらに継続さしてもらいたいということを要望いたしまして、一応質問を終わらしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/115
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116・櫻内義雄
○櫻内委員長 ただいまの小林君の御要望につきをしては、次回の理事会におきましてお諮りをし、善処をいたしたいと思います。山中吾郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/116
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117・山中吾郎
○山中(吾)委員 時間がないので、結論的に簡単に質疑をしたいと思います。
現在の考古学的な埋蔵文化財の保護については、日本の場合は危機に達しておる。平城宮ばかりでなしに、仁徳帝の周辺にあるイタスケ古墳、これも破壊されようとして、三笠宮がわざわざ、何とかしないかということでとめたとか、あるいは岡山市にも問題があるし、全国的にあると思うのです。これは都市化してしまえば処置がないので、この問題はこういう機会に再検討して取り上げねばならぬ、私はそういう認識でおるのです。
そこで、平城宮の場合についても、国際的な問題として考えなければならぬ、大東亜戦争でも、アメリカは、京都と奈良は爆撃会ないだけの文化的配慮があった、日本人自身が非常に認識中足である、そういうことを考えて、私は重要な問題として取り上げるべき時期にもう達してきているのじゃないか、こう思っております。
そこで、すでにアメリカに、戦争のときでも爆撃を回避しているというだけの認識があり、今小林委員からもいろいろ話があったが、ユネスコとしてこれを取り上げて、あるいはユネスコに対して、奈良、京都を、やはりアジアの古い文化形式のいろいろなものがあるわけですから、保存を要求するとか、提案をするとか、そうして今の勧告をもっとまじめに制度的に検討るすということがなければならない。その点について政府の御意見をお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/117
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118・宮地茂
○宮地(茂)政府委員 ただいまの山中先生のお話でございますが、ユネスコの方でこうした文化財を取り上げました事例の大きいものは、御承知のように、エジプト、スーダンのところのアスワン・ダム建設に伴いましてのヌビア遺跡、これをユネスコが取り上げたのが大きい問題であろうと思います。それと同じように、わが国の文化財につきましても、そういった形で取り上げてもらうということは、エジプト、スーダンとわが国と国情も異なりますし、その通りの扱いは相当検討すべき問題もあろうかと思います。ただ先ほど小林先生からのお話もございましたように、ユネスコといたしましても、特に考古学的な文化財につきましては、非常に関心も深いし、拘束力は別といたしまして勧告もございますので、わが国としてもそれを大いに尊重して、文化財行政の万全を期すべきであるというふうには考えております。しかしながら、今にわかにこの問題をユネスコで取り上げてもらうか、それよりも文化財保護委員会が、わが国の文化財保護行政につきまして、独立した機間といたしまして――もちろん文部大臣は国務大臣といたしまして行政しの責任もございますが、当面文化財保護委、各国に比しましても優秀なそういう国の機関もございますので、十分御趣旨に沿いまして検討をして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/118
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119・山中吾郎
○山中(吾)委員 文教委員として、正式に奈良の文化財を視察をしてきたわけです。正倉院の御物にしても、ペルシャその他のアジア全域にわたる最高の芸術品として残っておるわけなんです。そうしてあの地域については、あらゆる文化財が破壊されるような施設が、あとへあとへ出ておる。あの地域全体がやはり保護されるような政策をとらなければ、これは明らかに解決しない。そこで私は、国立文化財公園でも作ったらどうかという倉見をあのとき述べたのであるが、もっと重大な問題として認識してもらわなければならぬ。次官、この問題は重要なものだという考え方をまず持ってもらわなければいかぬと思う。今の局長や官房長の説明の仕方は認識がないのです。普通の事務的なものくらいにしか考えていない。もっと重要な問題としてこれを取り上げることを要望しておきます。
そこで、時間がないので質問は金曜日にしたいと思うのですが、とりあえず文化財保護委員会の方では、法律的にただ単純な解釈をしないで、助言指導する機会を期待したものが届出制度である。私学関係の学級編制、学級増その他も法律は届出制度になっておったが、文部大臣は私学の乱立は困るというので、事実上許可制にしてやっておった過去の業績があって、前の国会で論議になった。文化財保護の場合についても現在の届出制度というものを活出して、近鉄に対しても、そこにはそういうものを建てないようにという説得をする、そういう立場が届出制度の中に入っている。その点について、清水事務局長の答弁の中には何らそういう姿勢が出ていない。そこで怠慢だと言われるのです。少しは憎まれても、何言われても、やはり建てないでくれ、法律的には強制できないけれども、指導的にそれだけの熱意を示さないと文化財保護委員会の存在の価値がない、こういうことを僕は言いたいのです。それでとりあえず参考人でも呼んで実態というものを知って、そして日本の文化財保護行政の再認識をこの機会にしなければならぬと思うので、そういう結論が出るまでは着工は待ってくれというくらいのことを私は指導すべきだと思う。その指導の決意をここで披瀝すれば、私はこれで終わります。どうです。言えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/119
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120・清水康平
○清水政府委員 近鉄として自分の土地に作りたいと申し出た際に、文化財保護委員会それから現地の文化財研究所も、適当なところはないだろうかということを強く要望したことは事実でございます。しかし、向こうとしては届出制度でして参ったのでございまして今ここでもって近鉄に、工事が延期できるかどうかということは照合してみますけれども。行政的に延期とか中山とかいうことはできないことだけは御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/120
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121・山中吾郎
○山中(吾)委員 強制ではなしに、現在国会で問題になっているんだ、それで奈良県知事も来てもらって意見を聞くべきだと私は思う。それだけに慎重にして、あるいは考古学者の意見を聞いて、そして認識を深めながらこれは結論を出すべきだと思うのです。国会でも問題になっておるんだから、着工についてはしばらく見合わしてほしいというようなことは、これはできるじゃないですか。こんなことくらいできないで、文化財保護の熱情というものは文化財保護委員会の事務局長にはあるとは言えないですよ。言えるでしょう。向こうが聞く聞かぬはまた別だ。それだけの指導行政がなければいかぬと思う。言えるはずです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/121
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122・清水康平
○清水政府委員 法律に基づく停止、中止はできませんが、国会でそういう問題のあることは向こうに伝えて、向こうの意向を確かめたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/122
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123・小林信一
○小林(信)委員 その問題で、私も幾らでもできるというふうに解釈したのです。八十一条、「委員会は、史跡名勝天然記念物の保存のため必要があると認めるときは、地域を定めて一定の行為を制限し、若しくは禁止し、又は必要な施設をすることを命ずることができる。」これはこれに該当しませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/123
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124・清水康平
○清水政府委員 これは史跡名勝天然記念物ではないから、この条文そのものは発動できません。指定地じゃございませんから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/124
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125・小林信一
○小林(信)委員 それはもう議論していると時間がかかりますが、私たちの解釈で、「史跡名勝天然記念物の保存のため必要があると認めるときは、」それは埋没しているのだから、もう少しはっきり具体的に出ていなければこの法律は適用できないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/125
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126・清水康平
○清水政府委員 これは環境保全の問題でございまして、一定の行為を制限するとか、あるいは必要な施設を命ずることができますが、そこには現在ありまするものの認定の問題が残るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/126
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127・小林信一
○小林(信)委員 とにかくそういうこまかいことを話していると時間がかかりますけれども、そういうふうに法律解釈もできるという見解があるのですが、いずれ一つ機会を作って下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/127
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128・櫻内義雄
○櫻内委員長 次会は、来たる九日、金曜日、開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X01019620307/128
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