1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年五月七日(月曜日)
午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 櫻内 義雄君
理事 臼井 莊一君 理事 竹下 登君
理事 八木 徹雄君 理事 米田 吉盛君
理事 小林 信一君 理事 村山 喜一君
理事 山中 吾郎君
伊藤 郷一君 濱野 清吾君
原田 憲君 南 好雄君
井伊 誠一君 杉山元治郎君
高津 正道君 三木 喜夫君
谷口善太郎君
出席国務大臣
文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
出席政府委員
文部事務官
(大臣官房長) 宮地 茂君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 福田 繁君
文部事務官
(管理局長) 杉江 清君
委員外の出席者
文部事務官
(大臣官房総務
課長) 木田 宏君
文部事務官
(大学学術局教
職員養成課長) 安養寺重夫君
専 門 員 丸山 稲君
四月二十七日
委員松山千惠子君辞任につき、その補欠として
綱島正興君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員綱島正興君辞任につき、その補欠として松
山千惠子君が議長の指名で委員に選任された。
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五月一日
公立学校施設災害復旧費国庫負担法の一部を改
正する法律案(内閣提出第一五九号)
四月二十八日
学校給食法の一部改正に関する請願(増田甲子
七君紹介)(第五一三五号)
同(中澤茂一君紹介)(第五二四七号)
同(井出一太郎君紹介)(第五二四八号)
同(下平正一君紹介)(第五三三五号)
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数
の標準に関する法律の一部を改正する法律案成
立促進に関する請願外一件(臼井莊一君紹介)
(第五二一六号)
同(山手滿男君紹介)(第五二一七号)
同(小金義照君紹介)(第五二一八号)
同二件(竹下登君紹介)(第五二一九号)
同(千葉三郎君紹介)(第五二二〇号)
同外一件(津島文治君紹介)(第五二二一号)
同(福田篤泰君紹介)(第五二二二号)
同外一件(細田義安君紹介)(第五二二三号)
同(丹羽喬四郎君紹介)(第五二二四号)
同外一件(野田武夫君紹介)(第五二二五号)
同外一件(小輝太郎君紹介)(第五二八三号)
同外一件(金丸信君紹介)(第五二八四号)
同(小林信一君紹介)(第五二八五号)
同外五件(田邊誠君紹介)(第五二八六号)
同外一件(楯兼次郎君紹介)(第五二八七号)
同(西村力弥君紹介)(第五二八八号)
同外一件(村山喜一君紹介)(第五二八九号)
同(山本幸一君紹介)(第五二九〇号)
同(安藤覺君紹介)(第五三五六号)
同(田口誠治君紹介)(第五三五七号)
義務教育用教科書の現行供給機構維持に関する
請願外一件(田中武夫君紹介)(第五二九一
号)
義務教育費全額国庫負担等に関する請願外九件
(森本靖君紹介)(第五二九二号)
同月三十日
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数
の標準に関する法律の一部を改正する法律案成
立促進に関する請願外三件(小澤太郎君紹介)
(第五四一四号)
同外三件(海部俊樹君紹介)(第五四一五号)
同外一件(高橋清一郎君紹介)(第五四一六
号)
同外十四件(竹下登君紹介)(第五四一七号)
同(津雲國利君紹介)(第五四一八号)
同外五件(西村力弥君紹介)(第五四一九号)
同外八件(三木喜夫君紹介)(第五四二〇号)
同外九件(村山喜一君紹介)(第五四二一号)
同外五件(山中吾郎君紹介)(第五四二二号)
女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の
確保に関する法律の改正に関する請願(谷口善
太郎君紹介)(第五五一二号)
社会教育施設整備費国庫補助増額に関する請願
(伊藤幟君紹介)(第五五九一号)
義務教育施設整備費国庫補助増額に関する請願
(伊藤幟君紹介)(第五五九二号)
学校給食の完全実施に関する請願(伊藤幟君紹
介)(第五五九三号)
民主教育の確立に関する請願(川上貫一君紹
介)(第五六八九号)
教育予算に関する請願外十二件(坂本泰良君紹
介)(第五六九〇号)
学校給食法の一部改正に関する請願(松平忠久
君紹介)(第五七五七号)
五月一日
民主教育の確立に関する請願外一件(川上貫一
君紹介)(第五八〇〇号)
宗教法人立幼稚園の取扱い等に関する請願外百
九件(安藤覺君紹介)(第五九一八号)
同外七十五件(有馬英治君紹介)(第五九一九号)
同(江崎真澄君紹介)(第五九二〇号)
同外十八件(片山哲君紹介)(第六〇七四号)
同(纐纈彌三君紹介)(第六〇七五号)
同外二十三件(鈴木義男君紹介)(第六〇七六号)
同外六件(白浜仁吉君紹介)(第六〇七七号)
学校給食法の一部改正に関する請願(中島巖君
紹介)(第五九五二号)
平城宮跡等埋蔵文化財保護に関する請願(秋山
利恭君紹介)(第六〇六六号)
同(臼井莊一君紹介)(第六〇六七号)
同(小林信一君紹介)(第六〇六八号)
同(鈴木義男君紹介)(第六〇六九号)
同(竹下登君紹介)(第六〇七〇号)
同(松山千惠子君紹介)(第六〇七一号)
同(南好雄君紹介)(第六〇七二号)
同外四件(山中吾郎君紹介)(第六〇七三号
は本委員会に付託された。
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四月二十八日
高等学校生徒急増対策費増額に関する陳情書
(第八二四号)
義務教育費国庫負担法の一部改正等に関する
陳情書(第八六二
号)
高等学校生徒急増に伴う施設整備臨時措置法
の早期制定に関する陳情書
(第八六三号)
義務教育教科用図書の供給機構育成に関する
陳情書
(第九〇二号)
高等学校生徒急増対策確立に関する陳情書
(第九〇三号)
高等学校の施設整備等に関する陳情書
(第九〇四号)
平城宮跡保存に関する陳情書外十三件
(第九〇五号)
高等学校増改築に伴う町村負担金軽減に関する
陳情書
(第九二五号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
閉会中審査に関する件
公立学校施設災害復旧費国庫負担法の一部を改
正する法律案(内閣提出第一五九号)
学校教育に関する件
文化財保護に関する件
請 願
一 豪雪地帯小、中学校校舎の除雪費国庫負
担に関する請願(大野市郎君紹介)(第
四七四七号)
二 学習指導要領中の格技授業時間数増加に
関する請願(坂田道太君紹介)(第四八
四八号)
三 危険校舎改築費補助率引上げに関する請
願(池田清志君紹介)(第四九二一号)
四 義務教育施設等整備促進に関する請願(
池田清志君紹介)(第四九二二号)
五 義務教育用教科書の現行供給機構維持に
関する請願(愛知揆一君紹介)(第五〇
二〇号)
六 学校給食法の一部改正に関する請願(羽
田武嗣郎君紹介)(第五〇八六号)
七 同(増田甲子七君紹介)(第五二三五
号)
八 同(中澤茂一君紹介)(第五二四七号)
九 同(井出一太郎君紹介)(第五二四八
号)
一〇 同(下平正一君紹介)(第五三三五号)
一一 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職
員定数の標準に関する法律の一部を改正
する法律案成立促進に関する請願外一件
(臼井莊一君紹介)(第五二一六号)
一二 同(山手滿男君紹介)(第五二一七号)
一三 同(小金義照君紹介)(第五二一八号)
一四 同外二件(竹下登君紹介)(第五三一九
号)
一五 同(千葉三郎君紹介)(第五二二〇号)
一六 同外一件(津島文治君紹介)(第五二二
一号)
一七 同(蒲田篤泰君紹介)(第五二二二号)
一八 同外一件(和田義安君紹介)(第五二二
三号)
一九 同(丹羽喬四郎君紹介)(第五二二四
号)
二〇 同外一件(野田武夫君紹介)(第五二二
五号)
二一 同外一件(小澤太郎君紹介)(第五二八
三号)
二二 同外一件(金丸信君紹介)(第五二八四
号)
二三 同(小林信一君紹介)(第五二八五号)
二四 同外五件(田遜誠君紹介)(第五二八六
号)
二五 同外一件(楯兼次郎君紹介)(第五二八
七号)
二六 同(西村力弥君紹介)(第五二八八号)
二七 同外一件(村山喜一君紹介)(第五二八
九号)
二八 同(山本幸一君紹介)(第五二九〇号)
二九 同(安藤覺君紹介)(第五三五六号)
三〇 同(田口誠治君紹介)(第五三五七号)
二二 義務教育用教科書の現行供給機構維持に
関する請願外一件(田中武夫君紹介)(
第五二九一号)
三二 義務教育費全額国庫負担等に関する語順
外九件(森本靖君紹介)(第五二九二
号)
三三 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職
員定数の標準に関する法律の一部を改正
する法律案成立促進に関する請願外三件
(小澤太郎君紹介)(第五四一四号)
三四 同外三件(海部俊樹君紹介)(第五四一
五号)
三五 同外一件(高橋清一郎君紹介)(第五四
一六号)
三六 同外十四件(竹下登君紹介)(第五四一
七号)
三七 同(津雲國利君紹介)(第五四一八号)
三八 同外五件(四村力弥君紹介)(第五四一
九号)
三九 同外八件(三木善夫君紹介)(第五四二
〇号)
四〇 同外九件(村山善一君紹介)(第五四二
一号)
四一 同外五件(山中吾郎君紹介)(第五四二
二号)
四二 女子教育職員の出産に際しての補助教育
職員の確保に関する法律の改正に関する
請願(谷口善太郎君紹介)(第五五一二
号)
四三 社会教育施設整備費国庫補助増額に関す
る請願(伊藤幟君紹介)(第五五九一
号)
四四 義務教育施設整備費国庫補助増額に関す
る請願(伊藤幟君紹介)(第五五九三
号)
四五 学校給食の完全実施に関する請願(伊藤
幟君紹介)(第五五九三号)
四六 民主教育の確立に関する請願(川上貫一
君紹介)(第五六八九号)
四七 教育予算に関する請願外十三件(坂本泰
良君紹介)(第五六九〇号)
四八 学校給食法の一部改正に関する請願(松
平忠久君紹介)(第五七五七号)
四九 民主教育の確立に関する請願外一件(川
上貫一君紹介)(第五八〇〇号)
五〇 宗教法人立幼稚園の取扱い等に関する請
願外百九件(安藤覺君紹介)(第五九一
八号)
五一 同外七十五件(有馬英治君紹介)(第五
九一九号)
五二 同(江崎真澄君紹介)(第五九二〇号)
五三 同外十八件(片山哲君紹介)(第六〇七
四号)
五四 同(纐纈彌三者紹介)(第六〇七五号)
五五 同外二十二件(鈴木義男君紹介)(第六
〇七六号)
五六 同外六件(白浜仁吉君紹介)(第六〇七
七号)
五七 学校給食法の一部改正に関する請願(中
島巖君紹介)(第五九五二号)
五八 平城宮跡埋蔵文化財保護に関する請願(
秋山利恭君紹介)(第六〇六六号)
五九 同(臼井莊一君紹介)(第六〇六七号)
六〇 同(小林信一君紹介)(第六〇六八号)
六一 同(鈴木義男君紹介)(第六〇六九号)
六二 同(竹下登君紹介)(第六〇七〇号)
六三 同(松山千惠子君紹介)(第六〇七一
号)
六四 同(南好雄君紹介)(第六〇七二号)
六五 同外四件(山中吾郎君紹介)(第六〇七
三号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/0
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001・櫻内義雄
○櫻内委員長 これより会議を開きます。
公立学校施設災害復旧費国庫負担法一部を改正する法律案を議題とし、府より提案理由の説明を聴取いたします。荒木文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/1
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002・荒木萬壽夫
○荒木国務大臣 このたび政府から提出いたしました公立学校施設災害復旧費国庫負担法の一部を改正する法律案についてその提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
現在、公立学校の災害復旧につきましては、公立学校施設災復旧費国庫負担法により、国がその復旧に要する経費の一部を負担し、災害復旧の促進をはかっております。
現行の規定におきましては、国の負担の対象となる災害復旧に要する経費は、原則として原形に復旧するものとして算定することとなっていますが、例外として、原形に復旧することが不可能な場合または原形に復旧することが著しく困難または不適当な場合に限って当該施設を改良して復旧することを認めています。
しかしながら、学校建設は、その性格上、耐火耐震耐風の要請を満たす恒久建築が要求されると同時に、公共建築であることからする災害時の地域社会の避難、救助の中心となる性質をもあわせ持つため、近来特に学校建築の鉄筋、鉄骨化が要望されております。現行の改良復旧の規定のみではこの要望に十分に応ずることが困難であるので、従来、激甚災害の場合にはそのつどの特別措置法によって広く改良復旧の措置が認められて参りました。しかし、このことは激甚災害のみに限られるべき事柄ではありませんので今回、公立学校施設災害復旧国庫負担法に一般的にこの措置を取り入れることといたしたいと考えたのであります。
この改正により、今後、木造校舎を鉄筋、鉄骨造の校舎に改良して復旧することが一そう促進されることと期待しております。
以上、この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概略を申し上げました。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/2
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003・櫻内義雄
○櫻内委員長 閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。
先般申し出ることに決定いたしました閉会中審査案件に、公立学校施設災害復旧費国庫負担法の一部を改正する法律案及び公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案の両案を追加し、閉会中もなお審査いたしたい旨、議長に対し申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/3
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004・櫻内義雄
○櫻内委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/4
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005・櫻内義雄
○櫻内委員長 請願の審査に入ります。
本日の請願日程第一、豪雪地帯小、中学校校舎の除雪費国庫負担に関する請願より、日程第六五、平城宮跡等埋蔵文化財保護に関する清瀬外四件を一括して審査いたします。
各請願の趣旨は、すでに請願文書表により御承知のことと思いますので、委員会における紹介議員の説明並びに政府の所見聴取等を省略し、理事会の協議に従い、直ちにその採否を決したいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/5
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006・櫻内義雄
○櫻内委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
それでは、本日の請願日程中第五、第三一及び第四七の各請願につきましては、すでに採択の上内閣に送付すべきものと議決いたしました第四四二一号及び第二八〇〇号外七件の各請願と同趣旨のものでありますから、これと同一の議決をいたしたものとみなすことに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/6
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007・櫻内義雄
○櫻内委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
次に、本日の請願日程中第一、第三、第四、第六ないし第三〇、第三三ないし第四五、第四八及び第五七ないし第六五の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/7
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008・櫻内義雄
○櫻内委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
なお、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/8
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009・櫻内義雄
○櫻内委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/9
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010・櫻内義雄
○櫻内委員長 なお、本委員会に参考のため送付されました陳情書は、先般御報告申し上げましたほかに八件が送付され、全部で七十八件でございます。念のため御報告申し上げます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/10
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011・櫻内義雄
○櫻内委員長 学校教育に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。山中吾郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/11
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012・山中吾郎
○山中(吾)委員 盲、ろう学校教諭の免許状のことについて疑問があるので、お聞きいたしておきたいと思います。昨年の免許法一部改正の中で、法の別表第三の第三欄の中に、「学校の教員」の次に「(二級普通免許状の授与を受けようとする場合にあつては、これらに相当する盲学校、聾学校及び養護学校の各部の教員を含む。)」これを挿入した。従って、その結果、反対解釈として、盲、ろう関係の先生が一級の免許状を取ろうとした場合については、この在職年数は計算にならないことになったということを最近耳にしたわけであります。この法案の提案説明の中には一言も触れていないので、われわれが審議をするときについては、全然こういう改正を頭に置いて実は審議をしないできたわけなんでありますが、この点について、文部省の方において、どうして二級免許状を有する者が一級免許状を取る場合に盲、ろう関係の経験年数を無視しておるのか、そういう法改正をどうしてしたかということをお聞きしておきたいわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/12
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013・安養寺重夫
○安養寺説明員 ただいまのお尋ねでございますが、前回の法改正によりまして、お説のように、小学校の教諭の一級普通免許状授与を受けます者は、小学校の教諭の二級普通免許状を持っておりまして、小学校の教諭に五年間在職し、四十五単位の科目を修得すればそのような上進が認められる、こういうことになったわけでございます。かたわら盲学校、ろう学校、養護学校の二級普通免許状を持っております人は、それぞれの教諭としまして三年以上勤続いたしまして、六単位以上必要の単位を取りますれば、盲学校、ろう学校、養護学校の教諭の一級の普通免許状の授与を受けるという形に整えたわけでございます。この趣旨は、教諭の専門的な職能というような観点に立ちまして、学校種別ごとにそれぞれ各別の教諭免許状が設けられていいのではなかろうか、ただ二級の免許状を臨時免許状を有する者が取得する場合については、免許資格は各学校の在職を共通に見ていこうというようなことを考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/13
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014・山中吾郎
○山中(吾)委員 それは非常に形式的に、免許状の種別が違うから、それで在職年数をそれに応じた学校でないと計算をしないという筋のようですが、実際の問題から考えますと、これは非常にまずいのじゃないか。それは、たとえば短大を出た人が盲、ろう学校を希望して、先生になって、五年、六年在勤をしたけれども、何らその在職年数は計算をされない、そして普通の中学校あたりに移らないと、数年間の教諭経験というものが何らの恩典に浴さないということは不合理なんです。ことに盲、ろう学校の特殊教育における経験年数は、心理学的にもあるいは教養面においても苦心をするので、これこそプラスしてやらなければいかぬと思うのですが、これはどうも改悪じゃないか。こういう法案の場合には、私は、提案の中で特に課長、局長から、大臣が提案理由で触れなくても、説明をして、そうして間違いのないようにしていただかないといかぬのじゃないかと思うのです。たとえば具体的に、盲、ろう学校の先生と一般の小中学校の先生の人事交流というものを自由にしておかないと、教育行政は成り立ちません。さらに基礎免の関係から言いますと、一般の普通免許状を基礎免にして、特殊教育の免許状はプラス・アルファなんですから、そういう関係からいっても、小中学校の在職年数と盲、ろう関係の在職年数を同じように免許状の制度からも取り扱うべきじゃないか。そういう法構成になっているのじゃないか。その点は教職員課ではただ形式的に筋を考えられただけで、間違っておるのじゃないかと思う。安養寺課長は宮城県で地方の教育行政はちゃんと知っておられるはずなんですが、これは盲、ろう、養護の関係で別々の在職年数で、二級を一級の場合に全然計算してやらないということになると、私は非常に教育行政にマイナスになるのじゃないかと思うのですが、この点はもう一度よく地方の行政担当者の意見を聞いて改正さるべきである。あるいは行政において、そういう二級が一級になる場合に、盲ろう学校の在職年数を全然計算に入れないということは、私はすべきでないのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/14
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015・安養寺重夫
○安養寺説明員 先ほど申しましたように、教職の専門性ということを考えまして、臨時免許状から二級の普通免許状に上進します場合はともかくといたしまして、一級の普通免許状資格を得させる場合には、やはり各別の学校の教員としての実務経歴というものに限定した方が妥当ではなかろうかという考え方に立っておったわけでございます。ただ現在、実際問題といたしまして、そのあたりをいろいろと検討をいたしたいとは考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/15
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016・山中吾郎
○山中(吾)委員 今の理論はわかるのです。だから検討してもらわないと……。おそらく小中学校の在職経験と盲ろう学校の在職経験は重い軽いはないと思うのです。それから盲ろう学校の経験年数の方が教師としてとうとい経験でありまして、非常に教授方法とか子供の取り扱いに苦心をするので、私はそれを無視するような切りかえ方は間違いじゃないか、これは確かに実際の教育行政からいえば改悪じゃないか、そう思うので、検討してもらいたいと思うのです。おそらくそれの方が実際に合うし、また理屈を観念的にもっていけば今のような理論はわかるのですが、大体盲ろう関係と一般の教員の免許状は基礎免は一つなんです。盲ろうはプラス・アルファだけなんですから、私はその経験年数は同一取り扱いをするという理論も立つと思う。ことに現実問題としていけば、たとえば短大を出た人で、ああいう不幸な子供の方の教育を希望するというふうに行った人が、数年盲ろう学校に勤めておって、それは二級免許状所有者ですから、一級免許状をとるときに、七年も八年も盲ろう学校の経験がある者が、今度は一般の一級免許をとれないというふうなことは、やはり一般の地方行政の場合について人事交流を絶えずしなければならぬものでありますから、実際上困るので、これだけ申し上げて、今検討するというお話ですから、それを一応信頼して、私は質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/16
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017・櫻内義雄
○櫻内委員長 村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/17
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018・村山喜一
○村山委員 私は簡単に一点だけ質問をいたしておきたいと思いますが、充て指導主事というものは予算の上におきましても漸次拡張をされまして、現場の指導体制の上において効果を上げている点は認めるわけでありますが、充て管理主事というものは、職制の上におきましてもそういうような妙なものは認められるはずはないわけでありますし、現場にございます教職員でありながら、特に県の教育委員会が任命をしまして、そういうような人事業務に携わるということは、学校教育のあり方からいいましても非常におもしろくないわけでございますし、さらにまた補助金等の適正執行に関する法律から考えてみましても、きわめて不適正な執行であろうと思うのでありますが、そういうような事例が愛媛県の場合にはあるわけでございます。そこで、これは古い調査でありますけれども、昨年の十一月二十日に私愛媛に参りまして、その実情を調べて参りましたが、そういうような不当な人事行政といいますか、財政法に違反をするような行政が行なわれている事実を御承知になっておるかどうか。さらにまた、充て管理主事というものをそういうふうに野放しにやって参りますと、勢い学校に配置する教職員の数が非常に少なくなって参りまして、現に愛媛の場合には六学級以上は専科を置くようになっているのでありますが、これをへずりまして、一学級から九学級までは専科を置いておりません。そういうふうにして教育の現場の職員が非常に少なくなる。そして反面においては、一教育事務所当たりで四名ぐらいの管理主事がおりまして、管理主事が人事を担当しながらかつ指導面までタッチしている。こういうように、指導と人事とは切り離して行なうべきだという民主的な日本の教育制度が完全に乱されているわけでありますが、そういうような充て管理主事というものの存在について、どういうふうにお考えになるかを、一言お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/18
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019・福田繁
○福田(繁)政府委員 ただいま御指摘になりました具体的な事例を私は存じませんので、その点については一般的に申し上げるより仕方ないと思っておりますが、一般的に申し上げますと、教育委員会の事務局に置かれますところの事務職員あるいは技術職員等につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づきまして、これは教育委員会自体がきめ得る建前になっております。従って、それらに必要な職員を配置するということは、これは職名のいかんを問わず、委員会規則等におきましてこれをきめることができるわけでございますから、その点につきましては、一般的に申しまして、御指摘になりましたような管理主事というようなものを置いても、これは差しつかえないというように思うのでございます。しかし今御指摘になりました中に、充て主事ということでございますが、この充て主事につきましては、今も申しました法律の中に、指導主事については充て主事としてこれを置くこともできるというはっきりした明文がございますので、これはよろしいと思いますけれども、今おっしゃるようなことでございますと、管理主事についてこれを教職員をもって充てるということは望ましいことではないというように思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/19
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020・村山喜一
○村山委員 ただいまはっきり名前を申し上げておきますが、八幡浜教育事務所に参りまして、所長とも会おうと思って行ったのですが、所長はおりませんで、広瀬という主事と会いまして、いろいろ事情を聴取いたしました。その中で、指導主事は別に一名おるわけです。社会教育主事が一名おります。そのほかに、所長のほかに人事管理の主事が四名おりますが、三好という主事は充て主事であるということがはっきりわかった。こういうような充て主事は愛媛県の教育委員会にどれくらいおるのか、そこではっきりいたしませんでしたが、この充て主事はほかの管理主事と同じように、小中学校の教職員の人事、給与、免許、検定事務、学校の施設整備、こういうような事務を取り扱って、そこでこの管理主事が人事を行なうためと称しまして、指導面までタッチをしている事実があるわけですが、管理主事が一教育・事務所の中に所長を入れますと五名というような格好で、指導主事はわずかに一人しかいない。もちろん充て指導主事が二人おりましたが、その指導主事、あるいは充て指導主事は別といたしまして、管理主事が非常に多いために、地教委の自主性というものはほとんどございません。充て指導主事というのも県下に十一の市がありますが、そこには一人も配置されていない。全部で充て指導主事は独占をしているようであります。しかもそういうようなことで管理態勢を強化していく中で、私たちが特に注目をしなければならないのは、教職員の配置が非常に悪いということです。一学級から九学級までは専科は一人もおりません。小学校の場合文部省の基準では六学級以上に一名ずつ置くようになっているのでありますが、十学級から二十学級までの学校に対しては一名置いて、二十一学級以上の場合は二名ということで各府県に比べまして非常に悪いわけです。こういうようないわゆる教育の現場というところが非常に手薄で、無視されている。反面においては、一方そういう監督的な立場にある者がたくさんおりまして、特に充て管理主事というようなものを設けまして、そして愛媛県の教育を行なっている。これは私は考え方が逆じゃなかろうかと思うのですが、こういうような実態というものを特に学校の教職員の定数確保というような問題から考えて参りまして、きわめて不適当であると思う。それでこの実情を調査されまして、適切な行政指導を文部省としてはされるべきだと思うのですが、それに対して、そういうふうに調査の上適切な指導をされる意思があるかどうかを承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/20
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021・福田繁
○福田(繁)政府委員 御指摘のありましたような詳細なことを私どもは具体的に知りません。従って、県下にそういう管理主事なるものがどのくらいいますか、そういう点につきましては十分調査した上で善処したいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/21
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022・村山喜一
○村山委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/22
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023・櫻内義雄
○櫻内委員長 谷口善太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/23
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024・谷口善太郎
○谷口委員 私もわずかの時間で、高知県に行なわれましたこの瀞の定期異動について、若干のことをお尋ねしておきたいと思います。
まず、四月の十五日に高知県の南国市で池川市長の提案によって同市の国沢教育長が委員を罷免されるという同市議会の決議が行なわれた。これについて高知県の教育委員会は、南国市及び同市議会が地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第七条の適用を誤ったのではないかということで、文部省へ直接御意見を伺うため上京というような新聞報道があるのでありますが、こういうことがございましたか、それをまず伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/24
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025・福田繁
○福田(繁)政府委員 お尋ねのありました南国市の教育長の罷免問題につきましては、県の教育委員会から報告も参っております。事後になりますけれども、その経緯について一応の報告を受けまして、高知県からのいろいろな具体的な話というものは別にございません。それで、新聞に載っておりますことを私ども存じておりますが、その当時県の教育委員会から文部省に相談に来たということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/25
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026・谷口善太郎
○谷口委員 新聞記事程度しか御存じないとおっしゃるが、教育委員会から何も報告といいますか、話もお聞きじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/26
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027・福田繁
○福田(繁)政府委員 事後になりますけれども、四月の二十日に県の教育長からその問題についての御報告は承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/27
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028・谷口善太郎
○谷口委員 この南国市の問題は高知県に行なわれた不当人事の全体の一部分で、特にああいうストライキ、同脇休校なんかが行なわれたので大きな問題になったし、それからまた教育長の罷免というようなことが市の議会の決議として行なわれた。そういうことは例としてはそうたくさんはないのじゃないかと思いますが、しかもこの南国市のこういう問題の背景には、四月の定期異動で非常に非常識な異動が行なわれたというので、今先生方が人事委員会へ提訴中——苦情を申し込んでおるといいましょうか、そういう状況になっております。そこらの事情について詳しいことを御承知でしたら伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/28
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029・福田繁
○福田(繁)政府委員 南国市の問題は、今御指摘のありましたように高知県の定期異動に関連して起こった問題でございます。四月一日に高知県の教育委員会が教職員の人事異動を行ないました。これに不満を持ちました市の教組及び部落解放同盟が、南国市の二つの小、中学校におきまして四月七日から同盟休校をやったのでございます。そのために、南国市長は事態の解決をはかるために同盟側と交渉の結果、教育委員全輿の罷免を確約したというように聞いております。ところがその後の情勢判断に基づきまして、市長は今御指摘になりました地教行法第七条を適用しまして、議会の同意を得て教育長である国沢という教育委員のみを非行を理由にして罷免したということでございますが、それによって一応同盟休校は中止になりました。そして現在におきましては、教育長以外の残りました委員によって事態収拾をはかっておる。そして聞くところによりますと、その中から教育長もすでに任命されて、現在におきましては教育上の支障は何も起こっていないということでございますが、罷免されました国沢教育長は、罷免処分の取り消し請求訴訟を市長相手に提起する予定である一もうしたかもしれませんが、そういう予定であるということを伝え聞いております。これに関連しまして、高知県の市町村の教育委員会の連合協議会というものがございますが、これが四月十四日に声明を発しまして、この問題は教育行政の中立と自主性を失うおそれがあるので、関係者は慎重にこれを処理してもらいたい、できる限り円満にこれを解決してもらいたい、こういうような声明を発しました。これは南国市の問題だけでございますけれども、事関係するところは高知県全体の市町村の教育行政に関連する問題である、こういう見地からやったようでございます。それから高知県の教育委員会は、四月十七日、これはもう教育長が罷免された後でございますけれども、教育長の罷免について遺憾の声明を発表すると同時に、教育行政の自主性を著しくそこなうものである、市長の市会に対する提案理由は当を得ていない、こういうような声明を発表いたしております。しかしいろいろな事情を勘案しますと、県の教育委員会におきましても、そのこと自体についてはそういう発表をいたしておりますが、現在におきましては正常な状態に復帰いたしております。後任教育長の承認も行ない、事態は平静に帰した、こういうようなふうに報告を受けているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/29
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030・谷口善太郎
○谷口委員 この問題は高知で行なわれました定期異動の非常識な全体の一角なのでありまして、これ自体が一つの問題となりますが、この南国市の二つの学校、鳶ケ池中学校と長岡小学校、この二つの学校ではすでに部落解放同盟その他との間に——向こうは同和教育の中心地のようでありまして、その専門的な先生方がいられる。そういう点で、いわゆる同和教育の上では非常に居住民の父兄の方々はその先生方を信頼してうまくいっておるというようなことがあった。それを確保する上から、三十五年でしたか、市の教育委員会と解放同盟との間に、同和教育をなさっていられる先生方を異動するような場合には、軽々しくやっていただくと同和教育上支障を来たすので、そういう点から協力して、お互いに話し合ってやってもらいたい、そういうふうにしようというふうな約束ができておった。ところが国沢教育長になってから、この約束を一方的に無視して不当な異動をことしやったものだから問題になったというようなことが原因のようであります。もともと、高知の新聞を見ておりますと、国沢さんという教育長は前にも差別的言辞を弄して問題を起こした人間だそうでありますが、そういうこともからんで、同盟休校ということにまでいったのだろうと思うのであります。これについて文部省はどうなんですか。第七条に反するとか、あるいは適用を誤ったものだという考えをお持ちになりますか。その辺の御見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/30
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031・福田繁
○福田(繁)政府委員 これは非常にむつかしい問題でございますが、国沢教育長がいろいろこの問題につきまして適切な措置をとり得なかったという点は、いろいろあろうかと思います。しかし、私どもが聞いておりますところの、市長が市の議会に提案をいたしました理由として、地教行法の第七条の第一項の非行があったという理由でございますが、第七条の一項には「地方公共団体の長は、委員が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認める場合又は職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては」云々というように書いてございます。従って、非行があったということで罷免をされたようでございますが、その具体的な内容について、私ども事実を存じませんので、これについて適否を批判するのは妥当でない、こういうように考えております。
ただその問題と多少それますけれども、今御指摘になりました三十五年の、部落解放同盟との約束でございますが、これはその前の西村という教育長のときに行なわれた約束のようでございます。それを見ますと、そのときも何か人事異動で多少トラブルがあったようにうかがえるのでありますが、この同和教育関係教員の異動にあたっては、この同盟の意見を尊重し、話し合いを持ち、再びかかる問題の起こらないようにする、こういうような条項が一項入っているようでございます。私どもはその地域として同和教育といもうのが非常に盛んなところであるようにもうかがえますし、そういうように聞いておるわけでございますが、同和教育についていろいろ相談し、あるいは話し合うということは、これは当然のことでございますが、人事そのものについて話し合うというようなことが適当であろうかということを考えるのでございます。私どもは、やはり人事というものは教育委員会の独自の判断によってこれを行なうべきものである、このように考えますので、その点については私は必ずしも今御指摘のありましたようには考えないのでございます。
もう一ぺん繰り返して申し上げますと、その法律の解釈として、非行があったとして罷免される理由に該当するかどうかということは、これはやはり事実判断の問題でございますから、その点については私ども現在のところ意見を持ち合わせてないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/31
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032・谷口善太郎
○谷口委員 御意見をお持ち合わせないとすると話しにならないんですが、今おっしゃった部落解放同盟と教育委員会が三十五年に協定といいますか、約束を取りきめたその内容は、今お読みになったのだから御承知だろうと思います。その中で確かにこういう項目があるようであります。つまり、市教育委員会は、今後同和地区の振興に力を入れる、その他予算の使用などについては解放同盟と協議していろいろやってもらいたい、それから三十五年の四月に異動させた教師は同年の九月にもとへ戻す、あるいは三十六年の四月にもとへ戻す、それから今後教員の異動にあたってはこういう同和教育という大切な問題もあるから、それについては十分に両者話し合ってやってもらいたい、こういう項目があったようであります。このこと自体、教育委員会の人事権に介入することであって、よろしくないというふうに県教育委員会が言っておるようでありますけれども、しかし、このこと自体は、むしろ反対にそういうその土地において必要な教育が非常にうまくいっている、よいやりかたを行なっている。そこに調和するいい制度を持っておることでありまして、またそこの父兄の方々なり子供たちが、この先生というふうに非常に信頼しておる先生の配属があるのでありまして、この人を異動させる——異動さしてはならぬというわけではないのでありますが、異動させる場合には、そこは納得がいくようにやってもらうことが教育上非常にいいということを両者が認め合って約束しておると思うのです。これは、教育行政を担当する教育長としては、当然そのことを尊重し、配慮して異動する場合にはやるべきである。ところが今度はそうではなくて、こういう協定を認めることは正しくないという立場に立って、しかも問題が起きそうになると、教育委員会の会議場を南国市内で持たないで、秘密に周知かどこかに隠れて会議を持つというようなやり方をやった。そこで解放同盟その他のその地域の労働団体あるいは婦人団体などが一緒になって、これでは困るというので交渉に行っても会わなかった。特に差別的言辞を弄して会わなかったというような事実がある。教育行政の担当者としては、それは不適当だというふうに市長が判断されたのは私ども当然だと思うのです。しかし、文部省がそれについて見解を持たない、あるいは事実をもっと詳しく調べないことには言えぬということなら、これは仕方のないことでありますが、私どもは、この市長のとられた態度こそ非常に正しいと認める。正しかったからこそ父兄及び子供たちが納得して同盟休校などは今御指摘の通りにうまくおさまって、あときわめてうまくいっておるということだと思うのです。文部省はやはりこういう点でははっきりしておいてもらった方がいいように思うのですが、それはよく事情を調べた上で御意見をまた伺うときがあるだろうと思います。
ただ私は、さらにこの問題を進めたいのは、今度の異動は全県的に言語同断な非常識なものであったということです。その内容に入る前に、教員の定期異動というものは、何か原則といいますか、目的といいますか、あるいは慣例によれば何を目的に行なうのか。何のために異動するのですか。そこには積極的ないろいろな意味があるだろうと思うのですが、今までの大体原則あるいは慣例、そういう点お漏らし願いたいと思います。どういうところになぜ異動させるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/32
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033・福田繁
○福田(繁)政府委員 教員の異動につきましては、それぞれやはり各県の事情がございますので、これは一がいに全国的にこうだというきまりがあるわけではないと思います。しかし高知県の場合におきましては、やはり教員の異動については、これは今回だけではないと思いますが、従来から全県的な視野に立ちまして適材を適所に配置する、それと同時に人事の刷新をはかる、こういうようなことが主眼になりまして毎年教員の人事異動をやっている、そういうように私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/33
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034・谷口善太郎
○谷口委員 人事の刷新とかあるいは適材適所というようなことであれば私もそうだと思う。そうであるべきだと思うのです。ところが高知県の今度の場合は、−ただ高知県のみではなくて今度は全国的にそうであったようでありますが、特に高知県の県教委でやられた今度の定期異動というものを見ますと、そういうふうに人事の刷新とかあるいは適材適所というふうな面から考えれたのではない。何か報復的な、教育界ではあるまじき非常に非人道的な、非常識な異動が数多くある事実が指摘されるのであります。これは一々事実をあげますとちょっと時間がかかりますから一般的に申しますが、たとえば夫婦を別居させまして別々に遠くへ送る。すでにもう別居させておりましたものは、これは当然一緒にしてもらいたいという要求があり、人事委員会に提訴しているにもかかわらず、この別居をさらに拡大する。僻地から僻地へやっていくというような、そういう例がございます。それから新婚早々の教員の夫婦をわざわざ分けて、これも一日もバスに乗らなければならないような僻地へやってしまうというようなことをやる。あるいは親を養っていかなければならない先生を、その親から引き離してずっと僻地へ行かせるというようなことがあります。一々人の名前もここに書いてございますが、そういうだれが見ても非常に不当であり、だれが見ても非常識であるというやり方をやっている。しかもことしだけではなくて、三十五年当時からそういうことが行なわれております。御承知の通り教員の方では人事委員会に提訴してこういう問題を解決してもらうということになっているのでありますが、前からその要求を提訴しておりましても一向に取り上げないで、高知県では現にそういう苦情で未処理のままの案件が数百件残されておる。法律によりますと、こういう提訴があった場合には人事委員会は直ちに——直ちにですよ、直ちに処理しなければならないと書いてある。ところが数年間にわたって放置されたまま、その上さらにこういう不当な異動あるいは非常識な異動が行なわれておる。こういうことが事実なんであります。そういう点はもちろん御承知だと思いますが、こういう点につきましては文部省はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/34
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035・福田繁
○福田(繁)政府委員 高知県は御承知のように僻地が非常に多いところでございますので、教員の異動の際に、概して僻地の方へは行きたがらないというような傾向が強いので、そういった面におきましては若干無理が起こるのかもわかりません。しかし、私は具体的なことを存じませけれども、今御指摘になりましたような、たとえば夫婦を別居させるというようなことのみから判断いたしますと、これはやはり自然に反するわけでありますから、そういうのは適当でないと思います。しかしそれがどれくらい事例があるか私は具体的に存じておりませんので、全般的に批判することは避けたいと思います。しかしこの人事は御承知のように毎年々々定期的に大体やっておりますので、そういう無理な点があれば、一ぺんには是正ができなくても、だんだんに是正していくというようなことも当然これは行政を担当する者としては考えるべき問題であろうと思います。そういう点でもし無理があればだんだん是正していくというようなことも、当然考えるべきであろうと思います。私どももそうしてもらいたいとは思っております。しかし一、二の例をもって全般的な問題を批判をして結論づけるということは、これは困難だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/35
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036・谷口善太郎
○谷口委員 時間がございませんから大急ぎでやりますが、一、二の例じゃないのです。非常にたくさんの例がございます。一々申しますと御迷惑でありますし、私も時間がないから申さないだけでありますが、ここに私地図をもらっております。どういうふうな残酷な異動が非常にたくさんの人にわたってなされておるか、ここに的確に書いておる。これはどこの学校からどこへ行くというのが全県にわたっておるのでありますが、これは一、二の例じゃありません。たくさんあります。名前もわかっております。その状況もわかっておりますこういうやり方をやって異動させておるのでありまして、それも数年間続いてこういうことが繰り返されておる。従って、だれが見ても、適材適所というよりも、むしろ何か別な意図でやっているのではないかと思われるような状況でありますので、御本人たちはもちろんのこと、先生方の組合もこの問題を取り上げて提訴しておる。ところが、これが未処理のままに同じことが重ねられているというやり方、赤ちゃんを持った婦人の先生が、ちゃんと自分のお乳を与えることができないので、人工栄養をとっておる、その乳を溶く水なんかもない、それすら不自由する、そういう地へ一人でやるというようなやり方をやっているようであります。これはあなたはよく御存じなかったら十分に調べて、こういう非人道的なことがなされている点を一つ是正するような行政指導をやってもらいたい、こういうふうに私ども思います。ところがこのことにつきましていろいろ調べてみますと、高知県の教職員の諸君の今までの勤評反対運動、もしくは学力テスト反対運動などの戦いの中心にあった人々、あるいはそのときに活動をした人々、あるいは平和活動なんかやっている人々、こういう人々に対してこれが向けられているという事実がある。これも具体的にそれらが重なって、つまりそういう非人道的なことが行なわれているという事実も、私ここで申し上げることができるのであります。これも時間がありませんから申しませんが、そういう点で実はこういう非人道をあえて行なって人事異動をやっている底には、組合の活動家もしくは平和的な活動家を全部奥地へやってしまうという意図を持ってやっていることが歴然だ、こういうふうに報告されております。これは私がぜひ今度の国会の休会中に高知県へ行って調べてきょうと思っておりますが、そういうことをやっているようであります。労働組合なりあるいは日教組の運動に対して、文部大臣の荒木さんは初めから極端に敵視しておられるのでありますから、こういうことがなされることはむしろ喜んでいられるかもしれませんが、これは大へんよくないことだと私は思う。労働運動を分散させあるいは平和活動を分散するために、日教組の力をそぐために、あえて非人道的なことまでも行なって不当な異動をやる、しかもこれについて提訴しても全然これを取り上げないでほっておるというやり方はよくない。そこへいきますと、部落解放同盟などの力のあるところでは、こういうことは市会も市長も動かして、正しい教育行政が行なわれるように活動し、この不当な異動に関連して同盟休校などまでやりまして、教育長を罷免することまでやり正しい教育行政のあり方に向けて不法を正しているのであります。そういう点をやはり文部省として十分お調べ願って、こういうばかばかしいことが行なわれないように、特に教師の団結をくずすための、それを目的としてこういう非人道的なことをあえてやるという高知県の教育委員会のやり方に対して、相当強力な行政指導をやってもらいたいと思います。
時間がありませんので、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/36
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037・櫻内義雄
○櫻内委員長 小林信一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/37
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038・小林信一
○小林(信)委員 時間がございませんので、ほんとうに重要な問題を一、二大臣にお伺いしておきたいと思います。
それはきょうの新聞を見ますと、道徳教育について教科書をお出しになるというふうなことが出ておったのですが、教科書を出すということについてまたいろいろ問題も考えられるわけです。それに関連して何か日教組の云々というようなことで、文部省が出しておる指導要領にも従わずに教師が勝手な道徳教育をやっておる、これはけしからぬから教科書を出すのだ、そんな言葉が見えたのですが、これは真実はどうかわかりませんが、とかく大臣がすぐ日教組というふうなものに関連してこういうふうなことをするんだ、こういう意図を出されることは、教育のきょうのあり方あるいは教師たちのやっておることについて非常に不安動揺というものを生じさせるのではないか。もう少し大臣も真摯な気持でこういう問題には当たっていかなければならぬじゃないかというようなことを私はちょっと感じましたが、これを論議しておれば非常にまた時間がかかるわけで、私はそれに関連して、道徳教育というふうなものをそれほど重視されるならば、この国会で問題になりました歴史教育、民族文化を守るというようなことで平城宮趾の問題も取り上げられたのですが、ただ抽象的な道徳綱領を羅列してこれを子供に納得させるというようなことでなくて、かえってわれわれ民族の先輩が残したものを尊重させる、これから自分たちの先祖の歩んできた道を考えさせるというようなことは、私はまた道徳教育の非常に大きな面だと思うのです。こういう面につきまして大臣がどういうふうにお考えになっておるか、その根本的なものもお聞きしたいのですが、さしあたって平城宮趾の問題について、文化財保護委員会の仕事といえば仕事なのですが、教育の面からもこれは大臣として看過できない、無視できない問題だと思うので一つお聞きしたいのです。
一般の人たちの要望というものは、平城宮趾をできたら完全な姿で残してもらいたい。ことに近鉄が一部を買収して使うというふうなことが出てきたのですが、この前この問題を取り上げたときに、世界の中でも埋蔵文化財としては三つの一つに数えられるものであって、もしこれが危機に瀕するようなことがあれば、全人類の責任で守らなければならぬというふうなことまでいわれておるところでございますが、できたらこれを完全に残して、そして発掘して、しかもその地を民族文化という形でもって何らかの方法で残してもらいたいというような要望が今ほうはいとして起きてきておるわけなのです。しかも今これを研究する考古学界とか歴史学界とかいうところでは、その後どういうふうにこの問題は処理されつつあるか、政府はどういうふうな意向で臨んでおるかというふうなことで、私たちのところにいろいろ聞きにきておるわけなのです。大関もおそらくこの問題は相当御心配していただいておると思うのですが、何かこのことについて政府としてあるいは大臣としてお考えになっておいでになることがありましたら、この機会に一面だけでも述べていただきたいとお願いするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/38
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039・荒木萬壽夫
○荒木国務大臣 お話のように、われわれの祖先が残してくれておりますもろもろの文化を尊重し、理解させるということも教育上重要な課題の一つであることは小林さんと同感であります。その意味において平城官の跡のことを御心配でございますが、いつかのどなたかの御質問にもお答えしたと思いますが、文化財保護委員会としましては、平城宮の跡は、これからこれまでの区域であると一応埋蔵文化財のありそうなところと指定しておると承知いたしております。お話のような近鉄の工事のために掘りくり返えされておるというその場所は、指定区域外だということを承知いたしております。指定区域そのものの再検討もむろん必要だと考えるわけでございますが、そうでないにしましても、埋蔵物が発見されました場合には丁半を取りやめて文化財保護委員会に報告し、協議をするように相なっておるようでございまして、そういう立場から現実には平城宮跡のことには文化財保護委員会としても十分に関心を持って臨んでおると承知いたしております。すでに一再ならず御質問もございまして、文化財保護委員会の事務当局が現にいろいろと検討をし、次第によっては立法措置も現行法律の改正という形であらためて検討を要するんじゃないかという角度からも検討をいたしておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/39
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040・小林信一
○小林(信)委員 何か大臣のお話を聞いておると、指定しておるところは別にあるのだ、今近鉄が使おうとしているのは未指定地なんだ。従ってそういう形になったということは、近鉄の使用地域というのはあまり重要なところでない。だからそう大したことじゃない。まあしかし念のために発掘している途中何か問題になるようなものがあれば発掘を停止して云々。細心の注意をして工事はさせるというようなお話であります。これは論議して参りますと非常に長くなりますから省略しますが、文化財の問題を取り上げるときに、その未指定地という問題、あるいはこの未指定地の地域がはたして重要でないかどうかというようなことについて、非常に論議したのです。学者の諸君の言うところは、以前において土地を買収するとか指定をするとかいう、その困難さから未指定地として残されたのである。こいねがわくは全部を政府が指定地にするか、あるいは買い上げをするなりして、ぜひともこれだけは完全な姿で保存をし、発掘をしてもらいたい、こういう学界の要望であるわけなんです。やはりそういう専門家の意図を聞くと、できるだけこの際政府あるいは国民全体がこの問題に重大な関心を持って最善の方法を講じていくべきだと私たちは考えておるわけなんです。しかし今のような簡単なお考えでおいでになれば、せっかくのものもうやむやに終わるおそれがあるわけですが、そういうところに熱意を大臣に持ってもらうことが、これがほんとうに民族文化を守る、あるいは日本の文化の中からほんとうに道徳教育を実現さしていこうというふうなことがあるわけなので、もっと文部大臣が熱意を持ってもらわなければならぬと思うわけですが、私はここで一言申し上げますが、学界は非常に問題にしております。従って、おそらく近鉄がここに工事を施行する場合には、一応考古学者あたりに立ち会ってもらって発掘していくのでしょうが、その場合にだれが指定されるかわかりませんが、学界の方では一切お断わりをするというような態度にまで出てきている点を考えますと、あまり簡単にこの問題を処理できないのじゃないか、こう思っております。どうもこの審議の過程それからその後の経過を見て、問題を出したのは野党が出したのだ、しかし与党さえしっかりこの問題を近鉄側に結びつけておきさえすれば問題ないのだ、というふうにたかをくくった行き方が文化財保護委員会にあるように私には考えられるのですが、文化財保護委員会とすれば、相当な予算も用意しなければならぬし、指定するとか土地を買い上げるとかいうことになれば、今の文化財行政のあり方からして非常に困難だ、だからやりたいけれども、どうも仕事がむずかしいというふうなことで逃げておるような感じが私はするのです。そういう場合に、教育とこの問題と関連をして、政治力を持った文部大臣が買って出なければ、この問題は将来ほんとうに日本に悔いを残すということになると思うのです。そういう意味で私は大田のこれに対する決意を伺っておるわけなのですが、それ以上お聞きすることはできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/40
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041・荒木萬壽夫
○荒木国務大臣 野党側から主として話が出るから、たかをくくっているなどという気持は全然ございません。ことに文化財保護委員会という制度そのものが、事柄の性質上、政治的な前提においてものを考える対象じゃないという意味合いから、文部省の外周にもなっておると私は承知をいたします。かつまた文化財保護委員が、少なくとも今お話に出ておりますような事柄については、それぞれ何人にも制約されないで、独立してその職権を行なう最もその検討にふさわしい対象だろうと思うわけでございまして、文部省はもちろん、文化財保護委員会自身につきましても、たかをくくるような気持はないことをこの際申し上げておきたいと思います。ただ全般的に、文化財の保護について国民的関心が薄いということは指摘できるかと思います。もし近鉄ないしは近鉄の請負工事者が、人夫の一人に至るまで、文化財保護のいかに民族的な重大課題であるかを知っておりまするならば、現実問題としても、ずいぶん事態を収拾するのに適切な措置が遅滞なく構ぜられるという、安定性が期待できると思うわけでありますが、遺憾ながら、ただ、ある施設をして、金もうけをすることに急なるのあまり、御心配になるようなことが起こるおそれを私も感じないわけではございません。それに対処しますのには、教育の面から文化財保護の重要さを子供心にしみ込ませることから始めなければならぬことは御指摘の通りであります。現実問題としましては、現在の文化財保護法、またその趣旨にのっとりました現在の組織、機構、あるいは関連しまして予算措置等十分であるとは私は考えません。具体的に、どこがどうであるからこうせねばならないという具体案までは申し上げる段階にまで検討いたしておりませんけれども、少なくも、たとえば文化財の買上費用にいたしましても、ようやく年額八千万円にとどまり、前年度より三千万円増しの八千万円でお茶を濁しておる状態が必ずしもいいとはむろん思っておりませんで、努力不足を感じますが、そういう点にも一般的な感触としては何かしら文化財保護について気迫が欠けておるような気持がするのであります。人ごとのように申し上げて恐れ入れますが、そういう現実に立って、御指摘のような御意見は貴重な御意見だと承っております。もっと力を入れて、ひとり平城宮の問題のみならず、全般的に埋蔵文化財その他文化財一般保護政策に遺憾なきを期したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/41
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042・小林信一
○小林(信)委員 時間がありませんから、質問はもういいですが、言わして下さい。とにかく今の工事のやり方をごらんになれば、とても埋蔵文化財を保存するような工事などということはおそらくできないと思うんですよ。それから予算も、何手万円を何千万円にしたなどということでもってこの問題を処理するというようなお考えだったら、絶対にだめなんです。しかもこの問題を処理できなければ、今危機に瀕している全国の埋蔵文化財は保護できない。こういうことに大英断を下すような気持があるならば、ほんとうに道徳教育も可能であるけれども、抽象的な文句を羅列した道徳教育をやっていこうというようなお考えは非常に遺憾だと思う。この問題は、大きな見地でもって大英断を下して処理するかどうかということが今政府に要望されておることなんです。従って、今のようなお考えでいくならば、残念ながらこの問題は解決できないと私は思うのですが、それは大臣だけのことなので、国会としてはこのままでは済まされないと思うのですが、委員長も十分御存じで、小委員会まで設けられたのですから、なおこの問題については、委員長としても、小委員会にさらに問題をおろして、十分検討を続けていくようにお願いしておいて、私の質問を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/42
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043・櫻内義雄
○櫻内委員長 委員長として善処いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/43
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044・櫻内義雄
○櫻内委員長 この際、竹下登君より学校教育に関する件について決議をされたい旨の動議が提出されております。
提出者よりその趣旨の説明を求めます。竹下登君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/44
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045・竹下登
○竹下委員 私は、自由民主党、日本社会党を代表いたしまして、この際、学校教育に関る件につき動議を提出いたします。その動議の内容は、高校急増対策並びに幼稚園教育の振興について、以下申し上げる案文を本委員会の決議といたしたいことであります。
案文を朗読いたします。
学校教育に関する件(決議案)
一、高等学校急増対策については、その緊急性にかんがみ、昭和三十七年度以降その計画に齟齬をきたさざるよう充分な財政的措置を講ずること。
二、幼稚園教育は、人間の性格形成にとって重要なる段階であるので可及的すみやかに公私立幼稚園の内容の充実、教職員の待遇の改善等必要な措置を講ずること。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/45
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046・櫻内義雄
○櫻内委員長 採決いたします。
竹下登君の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/46
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047・櫻内義雄
○櫻内委員長 起立総員。よって、竹下登君の動議のごとく、学校教育に関する件は本委員会の決議とするに決しました。
なお、ただいまの決議につきましては、関係当局へ参考のため送付したいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/47
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048・櫻内義雄
○櫻内委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。なお、その手続等につきましては、委員長に御一任願います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/48
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049・櫻内義雄
○櫻内委員長 閉会中の審査について申し上げます。
明八日午前十時より及び六月一日午前十時より委員会を開会いたします。
本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
正午散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005077X02319620507/49
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