1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月八日(木曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 河本 敏夫君
理事 小島 徹三君 理事 田中伊三次君
理事 林 博君 理事 牧野 寛索君
理事 坪野 米男君
井村 重雄君 池田 清志君
上村千一郎君 小金 義照君
松本 一郎君 阿部 五郎君
赤松 勇君 猪俣 浩三君
田中幾三郎君
出席政府委員
法務政務次官 尾関 義一君
検 事
(大臣官房司法
法制調査部長) 津田 實君
検 事
(民事局長) 平賀 健太君
委員外の出席者
検 事
(民事局第二課
長) 阿川 清道君
判 事
(最高裁判所事
務総局総務局
長) 桑原 正憲君
判 事
(最高裁判所事
務総局民事局
長) 仁分百合人君
専 門 員 小木 貞一君
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三月六日
委員森山欽司君辞任につき、その補欠として一
萬田尚登君が議長の指名で委員に選任された。
同月八日
委員松本一郎君及び片山哲君辞任につき、その
補欠として椎名悦三郎君及び田中幾三郎君が議
長の指名で委員に選任された。
同日
委員田中幾三郎君辞任につき、その補欠として
佐々木良作君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員椎名悦三郎君及び佐々木良作君辞任につき
、その補欠として松本一郎君及び片山哲君が議
長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
民法の一部を改正するる法律案(内閣提出第九
四号)
建物の区分所有等に関する法律案(内閣提出第
九八号)
訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律
案(内閣提出第一一三号)
平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に
関する法律を廃止する法
律案(内閣提出第一一六号)(予)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/0
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001・河本敏夫
○河本委員長 これより会議を開きます。
まず、平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律を廃止する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を聴取いたします。尾関法務政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/1
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002・尾関義一
○尾関政府委員 平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律を廃止する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
すでに巣鴨刑務所仮出所中の者八十三名に対する昭和三十三年十二月二十九日付刑の軽減決定によりまして、それまでわが国が平和条約第十一条に基づいて取り扱ってきた戦争犯罪受刑者の刑の執行及び赦免または軽減の事務は終了し、かっ、過去における海外戦犯引取事務の処理状況から見て「平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律」を適用する可能性のある者が海外に存在するとも認められない次第でありますので、右法律を廃止いたさなければならないのであります。
次に、この法律の廃止に伴いまして、この刑の執行施設でありました巣鴨刑務所の存続も必要がなく、また、刑の執行及び赦免等に関する事務を法務省の所管事務として規定しておくことも必要がなくなったわけでありますので、記録の保存その他所要の事務以外の事務につきましては、法務省設置法の規定を整理いたしております。
以上が、平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律を廃止する法律案の趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/2
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003・河本敏夫
○河本委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/3
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004・河本敏夫
○河本委員長 民法の一部を改正する法律案、建物の区分所有等に関する法律案及び訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案の三案を一括議題として質疑を行ないます。質疑の通告がありますのでこれを許します。坪野米男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/4
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005・坪野米男
○坪野委員 最初に民法の一部改正の法案について若干質問をしたいと思うのであります。
改正案について、すでに上村委員なり阿部委員から大体質問がなされて疑義が解明されておるので、重複を避けて二、三疑問の点をお尋ねしたいと思います。
順序がどうなりますか、最初に八百四十五条の改正でありますが、後見人の解任の請求権者に、検察官の請求により、それから職権で、こういう二つの請求権者が追加されたわけでありますが、検察官の請求で後見人の解任の道を開くということは、家庭裁判所ができた現在の裁判制度のもとでは必要がないのではないか。家庭裁判所に相当大きな裁量権が与えられておって、職権で後見人の解任の道が開かれるということであれば、検察官に請求権を与えるという規定が民法にはほかにもございますけれども、家庭裁判所が職権でそういった解任権を行使できるということであれば、検察官による請求という制度はなるべくなくする方向にいくべきではないかという考えを持っておりますので、そういう点で親権喪失の宣言規定の中で検察官の請求によりという規定がある。これとの均衡をはかるためにこういう規定をつけ加えたのだということでありますが、むしろその親権喪失の宣言規定の方に職権でという言葉を入れ、検察官の請求によりをむしろ削除する、大改正ではございませんで部分改正でございますから、これとの均衡ということであれば、むしろ検察官の請求を削除して家庭裁判所の職権で解任ができるというふうにした方が実情に合うのじゃないか。こういう意見持っておるわけですが、立案当局として、どうしてもこの検察官の請求によりということを規定の均衡上必要であるというお考えかどうか、その点最初に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/5
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006・平賀健太
○平賀政府委員 検察官を後見人解任の請求権者といたしましたことにつきましては、ただいま仰せのような御意見も十分あり得ると思います。それからまた一応合理的だと私どもも考えないわけではないのでありますが、現行制度の建前といたしましては、御承知の通り人事訴訟手続法におきましても、検察官が各種の人事訴訟に関与する場合がございます。それから人事訴訟の当事者になる場合なんかもあるわけでございまして、やはり検察官は公益の代表者といたしまして、後見人の解任請求をすることができるとすることの方が適当ではないかと私どもとしては考えたのでございます。ことに検察官としましては、犯罪捜査の過程におきまして、たとえば後見人が被後見人を非常に虐待しておるとかあるいは被後見人の財産を横領しているというような、そういう事実がありました場合に、検察官としては、これをほっとくわけにいかないのではないか、そういう機会もあり得るわけでございますので、後見の任務の適正な遂行という見地から、検察官にもこの請求権を与えておくことが適当であろう、親権喪失の請求権に関する八百三十四条の規定から検察官を除いてしまうということよりも、むしろ後見人解任の請求権者に検察官を加えることの方がより適当ではないかというふうに考えまして、このような改正を考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/6
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007・坪野米男
○坪野委員 検察官が公益の代表者であるという立場から、こういった人事訴訟に関与する現行の制度を承知はいたしておるわけでありますけれども、家庭裁判所という制度ができて、でそのような行為ができるということであれば、検察官が、犯罪捜査の過程で、そのような非常に不当な後見人、けしからぬ後見人を発見して、これを解任する必要があると判断をした場合には、関係の親族なり、また家庭裁判所の方へ通告して解任する道はあるのではないかということで、私は、家庭裁判所のない戦前の訴訟制度では、検察官がこのような人事訴訟に関与することも一面の合理性は持っておったと思うのでありますが、家庭裁判所がある現行制度では、なるべくならば、検察官は公益の代表でありますから、公訴の維持あるいは犯罪捜査という方面に、むしろ検察官の精力を注ぐべきであって、こういう規定は望ましくない、好ましくない、私はそのように考えておるわけです。しかし立案者の方でそういう御見解であれば、一応そういうように伺っておいて、この程度に質問をとどめたいと思うわけであります。
それから十五才未満の養子の離縁の規定でありますが、八百十一条の第三項に、「前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。」この「養子の父母が離婚しているときは、」という言葉ですね、離婚の際に、すでに養子にやってある子供の離縁を予想して、離婚届けと同時に、離縁後の親権者となるべき者を定めて、これを戸籍に届け出をすることが許される趣旨なのか、あるいは離婚の際にはそういったことができずに、現実に離縁の必要が生じてきたその直前に、あらかじめ、夫婦わかれをしておる父母が協議をするという趣旨が、その両方含むのかどうか、その点の解釈を少し明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/7
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008・平賀健太
○平賀政府委員 この新しい八百十一条の三項の規定の趣旨は、離縁が問題になりましたときに協議をすればいいという趣旨でございます。すでに子供を養子にやりまして、父母が離婚をしようという場合には、すでに養子にやっております関係で、親権に服しておる子がいないわけでございますから、いずれを親権者と定めるという協議もできないことになりますので、ただいま仰せの後の場合だけを考えて規定したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/8
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009・坪野米男
○坪野委員 そうすると、逐条説明にあるあらかじめというのは、今の離縁の問題が生じた際にあらかじめ協議をする、そういう趣旨に解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/9
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010・平賀健太
○平賀政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/10
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011・坪野米男
○坪野委員 もう一つ、相続人が存在しない場合に、家庭裁判所の裁量で特別縁故者に相続財産の全部または一部を与える道が開かれたという規定でございますが、この規定は私もまことに時宜を得たけっこうなことだと賛意を表するわけでありますが、この規定の立法趣旨についてもう少し突っ込んでお尋ねしておきたいと思うわけであります。
いただいた資料によりますと、相続人不存在で国庫に帰属した財産というものは実に微々たるもののようでございます。一年に一、二件、せいぜい数件程度の、しかも財産価値としても、それほど見るべきでない。東京都内の場合は地価が高うございますから、若干、数十万円という程度の金額も出ておるようですけれども、非常に問題にならないものだろうと思うのです。しかも現行の相続法では相続人の範囲が非常に狭いために、交通事故あるいはガス中毒事故、そういった事故死で親族が同時に死亡するという場合が往々にしてあるわけでありまして、従って相続人を欠く場合が非常に多くなっておる。そういう場合に、相続人がなければその財産は国庫に帰属するという法の建前でありますけれども、今度新たに設けられた九百五十八条の三の規定の趣旨からすれば、なるべくは国庫に帰属せしめないで縁故者に相続財産を帰属せしめよう、そういう法の精神だというように伺ってよろしいでしょうか。どうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/11
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012・平賀健太
○平賀政府委員 これは必ずしもなるべく国属庫に帰属させないという趣旨でもございませんけれども、現実の問題として、前回御説明申し上げましたように、内縁の妻がいるとか、あるいは一親等の姻族、たとえば連れ子をしてきました継子がいるというような場合、事実上これは相続人と同じに考えていいような者、そういう者がおります場合に、相続財産の全部または一部をこれに与えることが適当ではなかろうかという趣旨なのでございまして、国庫に帰属させてしまうのはもったいないからというわけでは必ずしもございません。より保護すべき、相続人と同じように、それに準じて考えてやってしかるべき者がある場合にはそれにやる、そういう趣旨なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/12
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013・坪野米男
○坪野委員 前回の説明では、法人も含む、また複数人もも当然予想されておるんだというようなことで、特別の縁故者というものの裁判所の裁量の基準について幾らか解明があったわけでありますが、具体的に今言った内縁関係とかあるいは継子とか、いろいろ縁故者があると思うのですが、たとえば三親等内の親族の間に扶養の義務ということが民法で規定されておるわけでありますが、そのような親族で、将来養子にする予定であった者、まだ同居いたしておりませんが、将来自己の養子にする予定であったというような者はこの特別縁故者という規定の中に入れていいものかどうか。縁故者といえば縁故者でしょうが、特別の縁故という縛りがかかっているので、法の精神からいって、そういった親族で将来養子にしたいと思っていた自分より年若い三親等——三親等と限定する必要はないかと思いますが、少なくとも三親等なり四親等程度のそういった親族について特別縁故ということが認められる趣旨かどうか、もう少し具体性がなければ特別縁故者にならないのかどうか、その点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/13
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014・平賀健太
○平賀政府委員 この立案の趣旨といたしましては、ただ親族関係がある、たとえば相続人のおじさんとかおばさんとか、それだけの関係では、これは特別縁故者にはならぬと思うのでございます。たとえば事実上養子にするつもりで同居しておったというようなことになって参りますと、これは特別縁故者といってもいいのじゃなかろうか。相続人が、まだ正式には手続をしていないけれども、やがては跡を継いでもらうつもりで、事実上養子にもらって同居をしておるというような関係があれば、すでに手続を踏みました養子に準じて考えてもいいのじゃないか、そういう場合には特別縁故者と言っていいのじゃないかと思うのであります。単に血縁関係にある、あるいは姻族の関係にある、それだけではまだ特別の縁故とは言えない。この例示の場合からもそういう趣旨が読めるのじゃなかろうかというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/14
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015・坪野米男
○坪野委員 もちろん同居しておって、事実上の養子であれば、これは生計を同じくしておったということにもなるわけでありますが、今のお説ですと、割に制限的に狭く解釈しておられるようです。私は、この立法の趣旨は非常にけっこうだと言ったのですが、国庫に帰属せしめるということはなるべく最終段階にすべきであって、それまでにそういった縁故者等があれば、被相続人が死亡の際におそらく遺言その他で贈与したであろうと推定されるような関係者を含むのだというように、相当ゆるやかに裁判所の裁量で解釈する規定に理解すべきじゃないかと考えて、私は今お尋ねしたのですが、同居しておらないで、養子にするというような話があったという程度では特別縁故者ということにはならないと狭く解する趣旨かどうか、もう一度お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/15
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016・平賀健太
○平賀政府委員 ただいまの同居人と申し上げましたのは、必ずしも同居が絶対必要だというふうには私ども考えません。ただいま仰せのように、もし被相続人が生存しておったならば、財産を分けてやったであろうという関係があればいいわけでありまして、必ずしも同居していなければならぬというふうには、私どもとして考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/16
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017・坪野米男
○坪野委員 それでは次の質問に移ります。
附則第二項との関係でございますが、「改正後の民法は、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、従前の民法によって生じた効力を妨げない。」というこの規定との関連で、ただいまの九百五十八条の三の規定でございますが、現に係争中の事件で、まだ国庫に帰属しておらない段階で、この九百五十八条の三の第二項で三カ月以内に請求しなければならないというような規定があります。この請求期間が、裁判の係争中ではありますがすでに切れておるというような場合には、新法による救済は得られないということになるわけでありましょうか。それとも実体法的には裁判所の裁量で特別縁故者に贈与できるこの規定が、手続面の瑕疵のために新法の適用を受けられないということになるかと思いますが、そこの解釈はどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/17
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018・平賀健太
○平賀政府委員 この附則の二項の関係で、まだ国庫に帰属してない、国庫帰属の効果を生じてない財産につきましては、この新法は適用される可能性があるわけでございますが、実は九百五十八条で相続人捜索の公告をいたしまして、その六カ月を下ることを得ないことになっておりますが、その期間がすでに三カ年経過してしまっておりますと、これは新法の適用の余地がなくなるわけであります。もっとも、その場合におきましても、この相続人捜索の公告期間を一応家庭裁判所で定めまして、これを公告いたすわけでございますが、その期間は家庭裁判所の審判で延長する道もあろうかと思うのであります。それを変更いたしまして、たとえば六カ月と定めたのを一年と変更するというような可能性もなきにしもあらずでございまして、ほんとうに特別縁故者がおる、その者に与えるのが相当だと思われるような者がありましたならば、この審判でこの期間を変更することも不可能ではないというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/18
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019・坪野米男
○坪野委員 八百八十八条が削除になっております。現行法の八百八十八条の第二項に「胎児は、既に生まれたものとみなす。」 云々という規定がございますが、その八百八十八条が削除されておりますが、その趣旨は、他の規定から必要がないから削除した、このように理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/19
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020・平賀健太
○平賀政府委員 その通りでございます。胎児にももちろん相続権があるという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/20
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021・坪野米男
○坪野委員 次に、建物の区分所有等に関する法律案についてでありますが、これもほとんど他の同僚委員の質問で明らかになったかと思うわけでございます。むしろ、この法律の今後の運用の上でいろいろ疑義が出てき、あるいは問題が生じてくるかということも考えられるわけでありますが、一応現在のこの法案は、非常にけっこうな、今までの問題点を解決するに役立つ法律案として、私は賛意を表したいと思うわけであります。
最初にちょっとお尋ねしたいのは、この法案の立案に際して、やはり法制審議会の民法部会等で十分御討議になったのかどうか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/21
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022・平賀健太
○平賀政府委員 民法部会、それから法制審議会の総会におきましても十分検討いたしました案でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/22
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023・坪野米男
○坪野委員 第七条に区分所有権の売り渡し請求権を認めた規定がありまして、専有部分の収去請求権者のために売り渡し請求権が認めてあるわけでありますが、逆に、買い取り請求権は民法の規定で当然に許されておるという趣旨に理解していいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/23
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024・平賀健太
○平賀政府委員 お尋ねの場合は、借地法の適用がある場合かと思うのでありますが、借地法による買い取り請求権は、これはもちろん借地法の規定の適用があるという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/24
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025・坪野米男
○坪野委員 それからもう一つお尋ねしておきたいのですが、この建物区分所有権、この共有関係にある区分所有権の一部が強制執行等によって所有者が変わるという場合が当然あるわけですけれども、そういった場合でも結局、共有関係あるいは管理関係についてのこの本法における規定があれば、強制執行において所有者が変わったからといって、問題は利用関係だけでありまして、所有権の移転そのものは直接関係がないのじゃないかという気がするのですが、何か質問者の中には、強制執行をされた場合において問題が起こるということを心配しておられる向きもあるようですけれども、たとえば屋根の境界線がどうのこうのというようなことでありますけれども、これは強制執行によって所有権を得たからといって、勝手にその建物をつぶすわけにはいかないわけでありますから、執行関係は直接影響がないのではないかというように私は理解しているのですが、その点いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/25
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026・平賀健太
○平賀政府委員 仰せの通りでございまして、これは当事者間の契約でその区分所有権の移転がありました場合も、強制執行によりましてその区分所有権が移転いたしました場合も同じことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/26
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027・坪野米男
○坪野委員 建物区分所有に関する法律案の質問はこの程度で終わっておきます。
最後に、訴訟費用等一臨時措置法等の一部改正案について一点だけお尋ねをしたいと思います。民事訴訟法、刑事訴訟法を通ずるともに証人の日当の規定でありますが、三百円から千円以内というように増額されたということは非常にけっこうなことだと思うわけでありますが、民事訴訟費用法なり刑事訴訟費用法の中に、たとえば民事訴訟費用法の第九条ですかに「当事者及ヒ証人ノ日当ハ出頭又ハ取調一度ニ付キ」云々というこの「出頭又ハ取調一度ニ付キ」という意味は、証人として呼び出されて、そうして連日にわたって証人尋問が続けられる場合があるわけでありますが、そういう場合も、一つの裁判で一回の期日に、一回の期日と言いますか、その一つの審級で一度呼ばれて、証人尋問が完結するまでは一度の取り調べあるいは一度の出頭、そういうように解釈されているように思うわけでありますけれども、そうでなしに、二日間にわたって証人尋問が続けられたという場合には、取り調べが二度あったというような解釈がこの条文からできないものかどうか。そうすれば、三百円が千円になったからといってこれで十分とは決して申せないわけでありまして、遠方から来た証人が数日間——わずかな旅費をもらって、往復に数日を要する証人が参りまして、しかも重大な訴訟で数日間にわたって証人尋問が行なわれるという特別の場合もあり得るわけでありますが、そういった証人に日当が千円しか渡らないということは、非常に不合理でありかつ不当なことであろうかと思うわけであります。そういう場合に、この九条の「出頭又ハ取調一度二付キ」というこの解釈を、そのように広く解することができないものかどうか、そういう解釈が現に行なわれておらないようでありますけれども、そういう解釈ができないものかどうかということをちょっとお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/27
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028・津田實
○津田政府委員 ただいま御質疑の点は、民事訴訟費用法の九条におきまするところの「証人ノ日当ハ出頭又ハ取調一度」というのは、呼び出しがありまして、出頭いたしまして取り調べなり陳述をいたすといったことが一度という解釈でございまして、翌日にまた引き続き出頭を命ぜられた場合には、当然その出頭がさらに一度になるというふうに法務省としては解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/28
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029・坪野米男
○坪野委員 そうですか。そうすると、翌日または再度続いて呼び出しを受けるという場合には、二度の取り調べという解釈で、また実際にそのように運用されているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/29
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030・桑原正憲
○桑原最高裁判所長官代理者 裁判所の運用もそういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/30
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031・坪野米男
○坪野委員 それじゃその点はそれでけっこうですが、そうしますと、今の遠方から数日間かかって出てきて取り調べを受けるという場合、たとえば九州、北海道から汽車で一日、二日かかって出てくる、また調べが終わって自分の住所地に帰るというその往復の期間の日当は、これは計算に入らないということになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/31
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032・津田實
○津田政府委員 ただいまの点は御指摘の通りでございますが、これはまあ証人の損失補償という面については確かに欠ける点があると思われるのであります。古くからこういう制度になっておりますが、しかし、この点につきましては十分検討いたしまして将来改正したい、できればその日々についての損失補償を考慮した上の日当を考えたいというふうに思いまして、ただいま検討を遂げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/32
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033・坪野米男
○坪野委員 ただいま政府委員の答弁で、この九条の改正を今検討中であるということはまことにけっこうだと思いますが、早急に一つ検討を加えて改正をしていただいて、そのような遠方から来る証人の往復に要する期間の日当を、損失補償の意味でぜひ補償するように改めていただきたいということを要望しておいて、その他の点については特に問題になる点もないようでございますから、私の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/33
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034・河本敏夫
○河本委員長 上村千一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/34
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035・上村千一郎
○上村委員 訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案につきまして、少しくお尋ねをいたしたいと思います。
坪野委員からも御質問申し上げておりますので、重複しないように要点のみをお尋ねをいたしたいと思います。
この法案につきまして、第一条におきましては、民事訴訟費用法及び刑事訴訟費用法で規定しておりまする証人の日当を増額しようというものでございまして、これは昨年第三十八回の通常国会におきまして同趣旨の改正案が提出されました際に、当法務委員会におきまして、証人の日当二百三十円を三百円に増額する政府原案に対しまして、各党こぞってその低額に失する点を批判し、採決に際しましては、自民、社会、民社三党共同提案になる附帯決議がなされておるのでございます。そしてそれは次の国会にさらに大幅の増額措置をせよという趣旨の附帯決議でございますが、今回の証人の日当額を千円に増額しようとする本案につきましては、さきの当委員会の附帯決議の要旨にも沿うものであるという点におきまして、冒頭において賛意を表しておきたい、こう思うわけでございます。大体におきましては前の附帯決議に沿う線でございますので、前向きの改正であろうというふうに存ずるわけでございますが、二、三お尋ねをいたしておきたいと思うわけでございます。
本改正案の第二条において、執行吏の恩給の額を一般公務員の恩給法の改正の例に準じまして増額しようとしておられるようでございますが、現在執行吏の恩給受給者はどのくらいございましょうか、その点につきましてお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/35
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036・桑原正憲
○桑原最高裁判所長官代理者 執行吏として恩給を受給いたしております数は、合計七十七名になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/36
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037・上村千一郎
○上村委員 その受ける恩給額はすでに受けている者については、本案の附則に定める十二万八千円の俸給額により、今後新たに受ける者は現行政令の定める十五万六千円の俸給額によるものであるというふうに理解していいのか、お尋ねをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/37
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038・津田實
○津田政府委員 昭和三十五年三日三十一日までに受給事由が生じました者につきましては、ただいまこの法案で改正を盛られておりまする内容に従いまして、十二万八千円となるわけでございます。それから三十五年四月一日から同年九月三十日までは、その当時の国庫補助基準額の十三万円、それから三十五年十月以降は十四万二千円、なお昨年の十月一日以降は十五万六千円、こういうふうにそれぞれその当時に受給事由が生じた者については、その額によって算定されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/38
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039・上村千一郎
○上村委員 この執行吏になられる方は、裁判所の書記をやられた方とか、あるいは司法事務官などでなられる方が多いと思うのです。そういう方々はそれで恩給法による恩給を受けておる。今度は執行吏になられて、さらに執行吏をやめると執行吏の恩給を受けて、二重に恩給をもらうというようなことになるのかどうか、その点につきましてお尋ねをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/39
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040・津田實
○津田政府委員 二重に恩給を受けることになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/40
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041・上村千一郎
○上村委員 そういたしますと、他の公務員をしておられる執行吏になられたそういう方々も、結局、国から二重に恩給をもらうというふうに、理解していいわけですか。あらためてお尋ねをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/41
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042・津田實
○津田政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/42
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043・上村千一郎
○上村委員 執行吏の手数料の改正についてお尋ねをいたしておきたいと思います。
この問題について、昨年改正案が当委員会で審議されました際に、林委員からも詳細な質疑が当時行なわれたわけでございますが、その採決にあたりまして三党共同提案による附帯決議がございました。その第二項です。「政府は、最高裁判所と協議の上、執行制度を根本的に改善するとともに訴訟費用等臨時措置法第四条に定める執行吏の収受する手数料の額についても、速かに、実情に即した適正なる額に改定するよう要望する。」こういう決議がなされてあるわけです。今回の改正案には手数料については全然触れられておらないようでありますが、この点につきましてどういうわけで手数料関係については触れられなかったのか、あるいは今後どういうふうにお考えになっておられるのかという点につきまして、最高裁の方並びに法務省の方から御意見を賜わりたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/43
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044・仁分百合人
○仁分最高裁判所長官代理者 ただいまお言葉にもございましたように、昨年の国会で附帯決議がなされたのでございます。そこで私どもとしても、これは前々からの懸案の一つとして考えておったわけでございますが、その後法務省当局と緊密な協力をいたしまして、検討を進めて参りました。しかし、いろいろ困難な問題がございます関係で、現在の段階におきましては、まだ具体的な結論を得るに至っていない、今後も検討を続けていく。こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/44
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045・津田實
○津田政府委員 ただいま最高裁から説明されました通りでございまして、最高裁当局と緊密な連絡のもとに多くの回数にわたりましていろいろ研究会をやっておりますのですが、なお現在のところ、資料その他の問題でいろいろ困難な問題がございまして、まだ結論を得るに至っておりませんが、できるだけ早い機会に検討を遂げまして、何とか結論を得たいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/45
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046・上村千一郎
○上村委員 最後に、一点だけ御質問申し上げまして、私の質問を終わることにいたします。
臨時措置法の第四条第四項で、執行吏手数料規則第十七条の証人、鑑定人の日当については、昨年の改定で百二十円を二百円に、二百七十円を三百五十円にそれぞれ増額をされたわけでございます。今回の民事、刑事訴訟費用法の証人の日当増額に際しまして、これらの証人、鑑定人の日当の増額改正というものは検討されたのかどうか、またその必要の点につきまして、関係の方からお答えを賜われば幸いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/46
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047・津田實
○津田政府委員 ただいま御指摘の執行吏の実施する執行事件における証人につきましては、執行吏が執行行為を行なうに際しまして抵抗を受けるとき、または債務者の住居に行きまして執行を行なうに際しまして、債務者または成人に達した同居の親族または雇人等に出会わなかったときに立ち会わせるものでございまして、本来の裁判所における証人とは性質を非常に異にするわけであります。ことに立会時間は短時間である場合が多いわけでございますし、また出頭の強制もありませんし。あるいは宣誓というようなこともありません。そういう意味におきまして、結局、証人になるということについては特段の強制がない、任意になるような証人であるというような点。それから同じく鑑定人につきましては、やはり有体の動産を競売すべき物件に含んでおりました場合に、その有体動産の高価なものについての評価をさせるわけでございまして、この鑑定につきましても、やはり民事訴訟における鑑定人と非常に異なっておりまして、宣誓義務もなければ出頭の強制ということもないという性質の鑑定人。従いまして、本質的に民事訴訟における証人、鑑定人と違いますわけでありまするのみならず、いろいろな強制がないわけでありまして、任意になり得る性質のものでありますし、しかも時間的に非常に短いというような点を考慮いたしまして、今回はその額の引き上げは見合わせるということにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/47
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048・上村千一郎
○上村委員 本改正案は前向きの改正案でもございますし、きわめて妥当かと思うわけでございまして、賛意を表したいと思うわけでございます。なお、先ほど申し上げました附帯決議などもございますので、その決議に沿うような今後の努力を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/48
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049・河本敏夫
○河本委員長 この際お諮りいたします。
三案に対する質疑はこれにて終局いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/49
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050・河本敏夫
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、三案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/50
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051・河本敏夫
○河本委員長 これより討論に入る順序でありますが、別に討論の申し出もございませんので、三案について順次採決いたします。まず民法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/51
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052・河本敏夫
○河本委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決せられました。
次に、建物の区分所有等に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/52
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053・河本敏夫
○河本委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決せられました。
次に、訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/53
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054・河本敏夫
○河本委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決せられました。
お諮りいたします。
ただいま可決せられました三案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり」〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X01319620308/54
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055・河本敏夫
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次会は、明九日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十三分散会
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