1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月三日(火曜日)
午後一時三十六分開会
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委員の異動
三月三十日委員天埜良吉君辞任につ
き、その補欠として泉山三六君を議長
において指名した。
三月三十一日委員加賀山之雄君辞任に
つき、その補欠として常岡一郎君を議
長において指名した。
四月二日委員谷口慶吉君、鳥畠徳次郎
君、平島敏夫君、泉山三六君及び常岡
一郎君辞任につき、その補欠として田
中茂穂君、林屋亀次郎君、山本米治
君、天埜良吉君及び加賀山之雄君を議
長において指名した。
本日委員田中茂穂君、林屋亀次郎君及
び山本米治君辞任につぎ、その補欠と
して谷口慶吉君、鳥畠徳次郎君及び平
島敏夫君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 村松 久義君
理事
天埜 良吉君
金丸 冨夫君
谷口 慶吉君
大倉 精一君
委員
鳥畠徳次郎君
前田佳都男君
相澤 重明君
松浦 清一君
白大義一郎君
加賀山之雄君
国務大臣
大蔵大臣 水田三喜男君
運輸大臣 斎藤 昇君
政府委員
大蔵政務次官 堀本 宜実君
運輸政務次官 有馬 英治君
運輸大臣官房長 広瀬 真一君
運輸省海運局長 辻 章男君
運輸省船員局長 若狭 得治君
運輸省鉄道
監督局長 岡本 悟君
運輸省自
動車局長 木村 睦男君
事務局側
常任委員
会専門員 古谷 善亮君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○船舶職員法の一部を改正する法律案
(第三十九回国会内閣提出)(継続案
件)
○日本国有鉄道法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/0
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001・村松久義
○委員長(村松久義君) ただいまより委員会を開会いたします。
まず、委員の変更について御報告いたします。
去る三月三十日、三十一日並びに四月二日天埜良吉君、加賀山之雄君、鳥畠徳次郎君、平島敏夫君、及び谷口慶吉君がそれぞれ辞任され、泉山三六君、常岡一郎君、林屋亀次郎君、山本米治君及び田中茂穂君が選任されました。また四月二日常岡一郎君、泉山三六君が辞任され、加賀山之雄君、天埜良吉君が選任されました。さらに本日田中茂穂君、林屋亀次郎君、山本米治君が辞任され、谷口慶吉君、鳥畠徳次郎君、平島敏夫君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/1
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002・村松久義
○委員長(村松久義君) 次に委員の変更により欠員となりました理事の補欠互選を行ないたいと存じます。
互選は委員長において指名することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/2
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003・村松久義
○委員長(村松久義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします
それでは理事に天埜良吉君及び谷口慶吉君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/3
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004・村松久義
○委員長(村松久義君) 次に、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引き続き質疑を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/4
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005・大倉精一
○大倉精一君 この際、運輸大臣にお伺いいたしますけれども、この法律案はかつて第十六国会に提案をされ、その国会におきましては主として与党の委員諸君から激烈なる反論があって、遂にこの種の条項は削除されております。今回は与党の委員諸君も非常に熱心にこの成立に努力をされておりますけれども、前回の提案の趣旨と今度の提案の趣旨と同じであるか、あるいは違っておるか、この際、念のために伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/5
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006・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) この前提案されました御指摘の内容は日本専売公社につきまして投資の条項がございますが、日本専売公社法によりますと、第二十七条第二項の「公社は、大蔵大臣の認可を受けて、その業務に直接関連し、且つ、業務の運営に必要な事業に投資することができる。」、こういう割合広範囲の抽象的な条文になっておりますが、これにならいまして日本国有鉄道法を改正して投資能力を与えよう、こういう考えのもとに提案されたものと考えておりますが、今回の提案はもっと具体的な条文になっておりまして、条文でごらんのように輸送施設の「運営を行なう事業」、であるとか、あるいは「運送事業と直通運輸を行なう運送事業」といったような国有鉄道の運送事業と密接に関連する運輸関連事業に限定する。しかも具体的には政令で対象事業にしぼり、あるいは予算に計上される必要があり、また、ここに投資する場合には大臣の認可が要るというふうに、きわめて限定的であるという相違があるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/6
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007・大倉精一
○大倉精一君 投資能力を与えるという点については、これは前と同じだと思うのですけれども、ここで特定する業務とか、あるいはその他の表現は違っておりますけれども、主としては前回と同じだと思うのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/7
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008・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/8
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009・大倉精一
○大倉精一君 ここでこの前からの質疑応答を聞いておりますと、いわゆる密接に関連する事業とはどんなものであるか、こういう点について各委員から質問がありましたが、どうもその点についての答弁がはっきりいたしておりません。特にその際、前回におきましては、直接に関連するという「直接」という文字を使っておりましたが、今回は「密接」という文字を使っておる。この点の観念的な相違といいまするか、あなた方のお考えの違っておる点について御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/9
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010・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) この問題は、実は政府から提案いたします前に、法制局の審議を受けたのでございますが、その際に、今御指摘の点が実は問題になったのでございます、「直接」という表現がいいか、あるいは「密接」という表現がいいのか、一応論議いたしました結果、むしろ「密接」のほうがこの関連の度合いを表現する用語としては適当であろうということになりまして、御提案のような文句になったわけでございます。専売公社法は先ほども申し上げましたように、「その業務に直接関連し」とございますが、しからば「直接」と「密接」はどちらが広いか狭いかという問題になりますけれども、法制局の見解では、別に変わりはない、こういうことでございますが、しかし関連の度合いを表現する文句としては、先ほども申し上げましたように「密接」のほうがむしろ妥当である、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/10
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011・大倉精一
○大倉精一君 これは妥当であるかないか、それは法律には書いてありませんから、解釈のしようによっては「直接」というよりもむしろ「密接」のほうが幅が広い、そういう工合に私は受け取るわけです。この前の十六国会における非難の内容としては、いろいろありましたが、その中でも、どういう外郭団体とのつながりをつけることによっていろいろな弊害も起こる、むしろこの際は、外郭団体とのつながりを断って、国鉄の自粛と輸送力の増強に専念すべきじゃないかという意見、あるいは関連産業に投資することによって持ち株の保管あるいは市況の変動に応ずる操作、経営主体の異動、投資客体の盛衰、投資関係の監視監査、投資を受けた産業の利益の分配など、特に国鉄会計をこの上もなく混乱をする、あるいは国鉄本来の業務のためにたださえ不足する資金をほかに投資するというようなことは、これはおこがましいというような意見もあったようであります。さらに国家的見地から開発するものについて、政府がもっと積極的に援助すべきであって、国鉄の負担にすべきではない、こういう意見、あるいはまた直接に関連しておるか、あるいはまた間接に関連しておるかという判断が非常に困難である、あるいは国家的施設が利潤追求の具に供せられる危険がある、国家資本をもって民営圧迫をするおそれがある等々、いろいろそういう意見があったようでありまするが、やはり依然としてそういう心配がなされております。これは先般来の質疑応答からみても、そういう心配が私はあると思うのです。そこで、かつて衆議院のほうで關谷委員のほうから質問がありまして、国鉄に密接に関連するものの中で、こうこうこういうものがあるが、一々これに対する考え方を説明せよということで、第一項倉庫業から第十六項の観光事業、遊園地その他というところまで、十六項にわたって質問されておりますけれども、このいずれもが、ただいまは考えておりません、あるいは全然考えておりませんと、こういう答弁なのですけれども、私は逆にこの十六項目の中で、この法律によってできない事業はどれか、こういうことをお伺いしたいのですが、この法律でできない事業はこの十六項目のうちでどれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/11
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012・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 關谷委員の御質問の中には、たくさん例示があげられまして、私ずっと筆記しておりますが、あるいは漏れがあるかもしれません。大体観念的にはこの条文の解釈から出てくるものばかりであるかと存じます心ただ、意味がよくわかりませんものは、たとえば集約継送の事業とか、こういうふうな御発言もあったようでございますが、これなどちょっとどういうことをおっしゃっているのか、内容的に判然といたしませんもんですから、はっきりお答えできませんですけれども、大体は観念的にこの条文から引き出し得るものを例示されたのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/12
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013・大倉精一
○大倉精一君 まあ集約継送の事業というのも、私は關谷君から聞いておりませんからわかりませんが、大体貨物駅で集約に伴う継送事業だと思うのですけれども、要するに衆議院での答弁は、ただいまは考えておりません、全然考えておりませんという答弁でございましたが、そういうことは法律には書いてないのです。ですから、この法律案が通れば十六項目全部これはできる、こういうところに私は問題があると思うのですね。で、この十六国会におきましても、国鉄の、高田委員でありましたかの質問に対して、考えておりませんが、しかしこの法律ができて、その道を開いていただくならば、そういうことも契約してみたい、こういう答弁もありました。したがって、こういうもの全部はこの法律によってできる、こういう解釈ができるのですけれども、そこに一つの何かけじめのつかないものがあるというところに不安があるわけですね。ですから、ここで私はどれを今おやりになるかと聞いてもむだだと思う。今のところ考えておらぬというだけの答弁だろうと思う。こういうところに民営圧迫といわれる一つの大きな問題があると思うのですが、運輸大臣は、こういう非常に間口の広いものを、何を基準にしてこれをチェックしようとなさるのか、何を基準にして認可をしようとするのか、こういうことについて明確にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/13
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014・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 前回にも申し上げましたように、私は、国鉄といたしましては、国鉄本来の使命があるわけでありますから、したがって、国鉄の利益を追求するために投資をするとか、あるいはまた民業で十分やれるものに手を伸ばすとかいうことは、これは絶対に慎しむべきものだと、かように考えております。私はこの条文でよかろうと考えましたのは、先ほどおあげになりました専売公社や、その前につぶれたとおっしゃいますものとの書き方の違いでございますが、私は非常に狭くなっていると思っておるのでございます。それは今度入りました中で、ただいま「国有鉄道の運送事業と密接に関連する運輸に関する事業」とありますが、その上に「その他これらに準ずる」とあります。「これらに準ずる」ということは、前にありまする「日本国有鉄道の運送事業と直通運輸を行なう運送事業」、直通運輸、直通運輸とはいえないけれども、まあそれに準ずるということであって、直通ではないが、しかし、ほとんど直通といえるというようなものでなければならぬのでありますから、したがって、国有鉄道の運送事業と密接あるいは直接に関連するというだけの運輸事業ではこの法律ではやれない。さようでございまするので、私はこれは非常に狭く制限をしておると考えております。したがって、關谷さんの提示をされました条文の中でも、たとえば切符代売機関の系列化というような点、これなんかも国有鉄道の運送事業と直通運輸またはこれに準ずる運輸事業ということは私は言えない、したがってこんなものは入らないと、かように考えます。その他、關谷さんのあげられました例の意味はよくわかりませんが、そういうように考えて参りますると、これらの仕事も直通運輸という面に入れれば入れるものもありますが、しかし、十分民間でやり得るもの、民間と国鉄が密接に連絡さえすればやっていけるようなものに対しましては、私は投資すべきではないと、かように考えております。前よりもそういう意味で、条文を狭くしぼっておりますので、その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/14
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015・大倉精一
○大倉精一君 大臣の御答弁でございますけれどもそういうところに非常に不明確なところがあると思う。大臣はそうお考えになる。そうお考えになるのですけれども、この法律ができた場合においてはそれができることになる。たとえば倉庫業につきましても倉庫業界の反対が強かったために運輸省において一応ストップをかけた。かけましたけれども、この法律ができてしまえばこれはできます。でありますから、今岡本さんの言われたのは、法律でできる、こうなっているのですけれども、大臣は代売機関の系列化あたりはやるべきじゃないとおっしゃる。できるということとやるべきじゃないということは違うと思うのです。そうなって参りますと、これは投資をする客体を法律に列挙する。そうなければそれは明確にならぬのですが、それはどんなものでしょうか、大臣。おのおの人によって解釈が違うということになるなれば、非常に混乱も起こるしまた不安も起こるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/15
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016・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 私は先ほど申し上げたとおり考えておりますが、先般申し上げましたように、これを行ないますのには政令が必要ということになる。その政令なりまたそれによって認可をいたすというような場合に、私はたとえば警察の取締法とかなんとかというように法律ができれば、自然にまた違った形で動き出すというものとは違って、私は当委員会あるいは国会等で問題になるような仕事は、投資はこれはとうていできるものではない。必ずや当委員会あるいは国会全体においても問題がないというものでなければ私は投資ができない、かように考えておりまするので、できた以上は非常に幅広く歩き出すのじゃないかという御心配は、国会がある以上御心配がないのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/16
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017・大倉精一
○大倉精一君 国会があるから心配はないのじゃないかとおっしゃいますが、私は国会を何も信頼しないわけではない、ありませんけれども、現に、この法律案が、第十六国会におきましては与党の議員がこぞって猛烈な反対によってつぶした同じ趣旨の法律の内容が、この国会においてはきわめて熱心にこの成立に努力されておる、こういうような状態というものはこれは議会政治の中にあり得るのです。ですから、国会があるから心配がないという、そういう簡単なことではなかなかこの法律案に対するところの信頼というものが出てこないのじゃないか、こう思うのです。ですから、今言いましたように、大臣と事務当局との意見も食い違っておるようですから、そうなってくれば、この際、堂々とこれとこれとをやりたいがどうだ、国会審議をしてもらいたい、こうおっしゃっていただいたほうがはっきりするのじゃないか。今度は政令を出すときにあるいは予算で審議をするからいいじゃないか、こうおつしゃいますけれども、これは非常に弱いことになる。ですから、むしろ今度は京葉鉄道あるいは広島のバス・ターミナルとか項目をあげて、そのつど、これはどうだ、これやっていいのか悪いのかというのを、これを国会で論議をする、これが筋じゃないかと思う。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/17
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018・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) おっしゃる点もごもっともだと存じます。存じますが、たとえば京葉の臨海鉄道、こういったカテゴリーに属するものは御承認をいただけるものと思いますが、同時にそれと全く期を一にするような大阪港の臨海鉄道というようなものがあるいは次の法律改正までに必要が起こってくるかもしれません。したがって私も、個々の事業を政令で書くのもひとつの方法だと考えております。ただばく然と臨海鉄道と書かないで、まず最初は京葉臨海、その次必要なら大阪の臨海というようにするように、諸般の情勢を見てやっていくのが適当ではなかろうかと考えておるようなわけでございまして、これを一々国会に御審議をいただきますことは、私たちの労はいといませんが、しかし時間的にあるいはどうであろうかということも考えられまするから、その点はひとつ御信頼をいただきまして、大臣や当局だけでは信頼ができない、こうおっしゃいますけれども、皆さま方の御意思を無視するような事柄は、国会を無視するような事柄はとうていできません、かように申し上げておるわけでございます。先ほども申しますように、この前つぶれましたのは、国有鉄道の運輸事業と直接関連する運輸事業、これは相当広いわけでございまして、おそらく当時はしからば何を考えていたかというと、今も聞いてみますると、当時考えていたものは具体的にはなかったということでありましたから、私はそういうばくとしたものではいけないというのでつぶれたのであろうと、かように考えますので、このたびは今申しますように非常にしぼりまして、「国有鉄道の運送事業と密接に関連する運輸に関する事業」というだけでなしに、その上に「これらに準ずる」ということがあって、「これらに準ずる」というのは、「日本国有鉄道の運送事業と直通運輸を行なう」とか、あるいはまたその施設を共同で使うというような場合ということになっているわけでございまして、非常に限られていると、かように考えるわけでございます。何とぞひとつ御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/18
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019・大倉精一
○大倉精一君 非常に限られているということを盛んに初めから言われるのですけれども、これはもう私はすなおにこの法律案を読みますというと非常に限られておらぬのです。つまり、「密接に関連する運輸に関する事業」というように窓口を広げておいて、道を開いておいて、そのつど政令で定めていくとか、予算を組まなければならぬから、それは予算委員会で審議されるじゃないか、あるいは大臣を信頼してくれという、むろん大臣も信頼しますよ、議会も信頼しますよ、みんな信頼しますが、法律がそうなっておるということになると、それは問題なんです。今あなたはそう考えておらぬとおっしゃいますけれども、法律にそう書いてない以上は、今度はだれが大臣をおやりになるか、斎藤さんはもうおやりにならぬと思うのです、だれが大臣になるかわかりません。そうなってくるというと、やっぱり心配が残るわけです。
それじゃついでにお伺いしますけれども、「これらに準ずる」と言われる「日本国有鉄道の運送事業と直通運輸を行なう運送事業」というものはどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/19
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020・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 車両の直通運輸を行ないまして、いわゆる連絡運輸を、運送事業でございますから、一般的にゲージを国鉄と同一にする地方鉄道であるということは言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/20
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021・大倉精一
○大倉精一君 「これらに準ずる日本国有鉄道の運送事業と密接に関連」がある——これに準ずる事業じゃありませんよ。「これらに準ずる日本国有鉄道の運送事業と密接に関連する運輸」と言いますからして、つまり直通運輸に準ずる事業というならこれははっきりしますけれども、直通運輸に準ずる日本国有鉄道の運送事業と密接に関連する事業といえば、たとえば観光会館なり何なりという非常に幅の広いものになってくる。直接に関連するといえば直接に関連するのですけれども、密接に関連するということになると、密接の度合いが問題になってくる。そうなってくると、これは幅が非常に広くなってきますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/21
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022・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 「これらに準ずる」というのは、「日本国有鉄道の運送事業」にかかっているのではなくて、「日本国有鉄道の運送事業と密接に関連する運輸に関する事業」にかかっているわけであります。ということは、日本国有鉄道の運送事業と直通運輸を行なう、それに準ずるような日本国有鉄道の運送事業というのはないのであります。したがってこれは全体といいますか、国鉄の運送事業と密接に関連する運輸に関する事業ということでございます。そこで先般来からも問題のありました、たとえば駅頭倉庫というものがある、これらに準ずる運送事業が一体どうだと申しますると、駅頭倉庫といえども直通運輸を行なう、またはそれに準ずるというようなものでなければならないので、直接、運輸に準じないようなそういう倉庫事業はこれはやれないというわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/22
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023・大倉精一
○大倉精一君 まあわれわれ法律の専門家じゃありませんから、用語の解釈はいろいろあるでしょうが、政治的に見て一体どういう性格の事業に投資するのかということですね。どういう性格の事業に投資するのか、日本国有鉄道から見てどんな事業にやるんだ、種類じゃないですよ、いわゆる投資する客観的な一つの観念規定というものがありませんか、こういうものをやるんだという。あるいはこの十六項目あげられておりますけれども、もっと考えて拾えば、もっとあるかもしれません。しれませんが、項目というのは私は問題にしないのだが、どういう性格の、どういう性質の事業に投資するのかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/23
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024・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 他の運送事業者がともに使用する輸送施設の運営を行なう事業、これば現在はバス・ターミナル会社に投資しておるわけでございますが、この投資の性格を考えてみますと、バス・ターミナルというものは、本来国有鉄道が行なっております鉄道関連のバス事業に絶対必要な施設の一部であるというふうに観念することができると思います。たまたまそういう施設がむしろこの関係事業者と一体となって共同的に使われるということが、設備され使われるということが、利用者にとっては好ましいという場合に、共同出資でそれを作り上げるということになるわけですが、その場合に国鉄としてもこれに投資することができるということでないと、出資ができない、まあこういうことから出ておりますので、やはり営業施設の一部についてそういう形態が必要である場合には、やはり投資の道を開いておく必要がある、こういうことでございます。
それから第二は、「直通運輸を行なう運送事業」という表現で、地方鉄道事業というものを観念しておりますけれども、これは主として臨海工業地帯の臨港鉄道の整備についていろんな角度から考究した結果、そういう投資の道を開いて民間資金の導入をはかって、事実上国鉄がやるべき事業活動の範囲を拡大する、こういうことが第二点であろうかと思います。
それからしたがって、今申しました二点につきましては、性格論から申しますときわめて具体的な性格になりまして、必ずしも普遍的ではないと思いますが、そういったことと、それからもう一つは、やはり旅客あるいは荷主の便宜をはかるにつきましては、本来の運送事業と密接に関連する運輸に関する事業にも投資する必要のある場合が出て参りますので、そういう道を開こう、こういうような大まかに申しまして三つの性格になるかと存じますが、現在たとえば日本住宅公団法にやはり投資条項がございますが、これらを見てみますと、住宅公団はこれは文字どおり住宅を作る公団でございますけれども、ただ住宅を作っただけではいろいろ居生者の利便が必ずしも十全にはかり得ない場合がある、したがってそれに住むということについてはいろいろ居住者の必要がいろいろな方面に起こって参りますが、そういった居住者の利便に供する施設で必要なものは公団としては投資してよろしいということになっておりますが、そういうふうにやはり日本国有鉄道本来の運送事業、つまりリレールを敷いてレールの上を車両を走らせて旅客や貨物を運送するということだけでなしに、それに関連してもろもろのやはり利用者としてほしい施設なり、設備があると思うのでございます。そういうものに投資することが、やはり利用者の利便をはかるという見地から見て必要な場合が出てくる。こういうことにやはり主眼点が置かるべきだと思いますけれども、これはしばしば申し上げておりますように、国有鉄道法の第一条の使命、目的あるいは第三条のそういった事業の限定、そういうことから照らしてみて妥当な範囲に制限的に考えなければならぬ、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/24
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025・大倉精一
○大倉精一君 住宅公団の例を言われましたけれども、住宅公団と日本国有鉄道とは根本的に違います。今あなたのおっしゃるように、ただレールを敷いて汽車を通すばかりでなく、沿線における荷主さん等に便宜を与えるということでありましたら、そうなると、非常に広範なものになってくると思う。ですから際限がなくなってしまう。しまいには遊園地もあるいは旅館もホテルもそうなってくる。これはみな旅客に便利なものです。あるいはまた地方のバスもそうなってくる。鉄道の駅から一定地区への路線バスもそうです。そういうことになったら、非常に広範なものになってきて、いわゆる民間の営業の縄張りのところまで立ち至る、立ち至るというと語弊があるかもしれませんが、そういうところまで入っていくことになる。これは民間業者としてやっているなら私はいいと思う。民間業者は営利事業ですから、旅客なりあるいは荷主の便宜をはからなければ営業になっていきませんから、それはそれでやっていく使命がある。しかし国鉄には国鉄の使命がある。そこでただいまのような政府のあいまいな答弁よりむしろ十六国会における当時の鉄監局長の植田純一君の答弁のほうがはっきりしているので、参考のために申し上げますと、速記録にこのように書いてあります。業務に直接関連しかつ業務運営に必要な、という非常に限られたものになっている。財政的の理由が許すならば、国鉄みずからの経営で全部やってもしかるべきような施設を見ることを考えております。それを投資することによって民間事業を助けるようなことは毛頭ありません。したがってその範囲は国鉄が直接やるのにふさわしいものに限る。こういうような答弁をしております。これだというと、私はむしろどういうものに投資するかという投資客体の性格というものがはっきりすると思います。厳格にははっきりしませんけれども、よりはっきりしてくると思う。今おっしゃったように旅客の便宜をはかることもやるのだ、荷主の便宜をはかることもやるのだ、ちょうど住宅公団が住宅を建てれば、そこにいろいろなものを作らなければやはり工合が悪いから、そういうサービス事業をやる。それと同じようなことをやる。こうなってくると、これはどうも限界がはっきりしないと思う。これは十六画会におけるところのこういう意図と、今度の意図とはだいぶ違うように思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/25
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026・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) もちろん先ほど来大臣が御答弁申し上げておりますように、きわめて限定的に考えるべきでありまして、当然民間事業で間に合っておれば、これはあえて投資する必要はないわけであります。ですからこの法律によりまして密接に関連するものであるかどうかということをよく見きわめまして、しかも具体的に投資の必要があるかどうかということをよく検討いたしまして、かりに政令で対象事業として上げてありましても、そういう慎重な運営をしていきたい、かような考えでおります。もちろん政令として、政令で対象事業としてきめます際には、十分慎重にこれも考えるべきでありまして、まず第一関門ではそれで押えることができると、かように考えておるのでございまして、目下のところでは、現在やっておりますバス・ターミナル事業、それから今回新しくこれによって追加すべきものとしては、臨海工業地帯における臨港鉄道の整備、この二つを考えておるだけであると、こう申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/26
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027・大倉精一
○大倉精一君 それで先に、答弁が前に出ちゃったのですが、確かにこれは臨海工業地帯の開発に伴う鉄道建設、これなんかは本来国鉄の財政が許せば国鉄がやるべきものですね。財政が許さないから民間の資本を導入するというか、あるいはそこに国鉄の資本を投入するか、どっちが先かわかりませんが、そういうものに投資するんだということになると、割合はっきりするんです、この埴田君の答弁のように。本来国鉄でやるべきものを民間にやらせるのだ、こうなればいいんですけれども、密接に関連するかどうか十分調査してということになると、やや逆に、お客に対してサービスする、荷主に対してサービスする、民間で間に合っていればそのままやらせる——これもまたばく然としておる。私の今聞いておるのは、十六国会において出された趣旨と今度の趣旨と同じだという答弁がありましだが、これは十六国会においては植田純一君が、本来国鉄でやるべき事業に限るんだ、こういう答弁をしておられるから私もそのとおりと思っているんですが、前からの答弁によるというと、少し趣旨が変わっているように思うから、この点をお尋ねしておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/27
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028・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 私の解釈では、当時の局長の答弁は、やはり日本国有鉄道法の一条なり三条の範囲内の業務に限るんだ、こういう御説明であったと思うのです。そこで私も前から御説明申し上げておりますように、やはり密接に関連する面に関する事業につきまして、そういう見地から判断すべきだということを申し上げております。関連的にはもちろんいろいろ考えられるけれども、そういう見地から制約的に考えるべきものであるということを申し上げておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/28
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029・大倉精一
○大倉精一君 今の御答弁で若干近ずいたような気がするんですけれども、植田君の答弁の趣旨から言いますならば、投資の範囲は国有鉄道法第三条第五号「前各号に掲げる業務の外第一条の目的を達成するために必要な業務」、これは本来国鉄がやるべきものですけれども、財政事情その他の事情によって、こういう事業に投資することができる道を開いておったんですけれども、いわゆる投資能力というものは、この限りにおいて私は開かれているものだと、こう解釈したのです。そうでないと、これは国鉄の行なう業務は非常に今度広範になってくる。つまり極端に言いますならば、遊園地に投資する、遊園地も国鉄の業務の中に入るわけになる。ですから私はこの投資能力を開いても、投資の範囲というものは国鉄法にきちんときまっている。第三条の第五号、この事業で財政的な事由その他によってみずから行なえない場合に限って投資をする、こう解釈していいと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/29
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030・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 私はこれは第三条に掲げてある事業にすべて投資ができるというよりはもっと狭いと思っております。国鉄法の第三条に掲げてありまする事業に対して投資ができるというよりも狭くて、ここにありますように「国有鉄道及び他の運送事業者がともに使用する輸送施設の運営を行う事業」、今局長が説明しましたようにこれに限定し、次のやつは日本国有鉄道と直通運輸を行なう事業でなければならぬのであります。たとえばここにあります附帯事業であるとか、そういう種類の事業には投資できない。みずからやるなら格別、投資はできない。れそから密接に関連するといっても、直接、運輸と言えるほど、これに準ずるよらなそういう密接な事業でなければならぬということでありますから、私は前の改正よりも非常に狭いというふうに考えております。私は本来日本国有鉄道がみずからやれるそういう仕事にあるいは民間資金も導入するというよりも、投資をしてやるという考え方でよかろうと一応は考えているわけでありますが、しかしその場合にそれじゃ採炭あるいは発送電だとか、いろいろな付帯事業というようなものに見られるような事業は、みずからやるなら格別ですよ、投資をしてはまだこの条文ではやれない、私はそう解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/30
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031・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、第三条の第五号というものの意味は、みずからやるならともかく投資をするわけにはいかぬと、こういう工合に考えていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/31
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032・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 私はさように考えておします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/32
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033・大倉精一
○大倉精一君 私は五号に限定したのでありますけれども、本来ならば第三条全部ですね。そうしますと、今度の京葉鉄道というものは、あれは国鉄の目的、第一条に掲げる目的を達成するために必要な業務だと思うが、これに今度投資なさるというのですが、どういうことになるのですか、あれは国鉄みずから行なわなければならぬと思いますが……。大臣先ほど、この第三条の五号ですか、要するにここに書いてある事業はこれは国鉄みずから行なうべきものであって、こういうところには投資すべきではない、こういうお話があったのですけれども、千葉の臨港鉄道あたりは、これはもう法第一条の目的を達成するために必要な事業として国鉄みずから本来行なわなければならぬが、しかし財政理由なり何なりによって投資をするのだ、これはもう明確に提案理由にも書いてある、そうすると少し趣旨が変わってくるのじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/33
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034・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) この投資のできますものは、「国有鉄道及び他の運送事業者がともに使用する輸送施設の運営を行う事業」、これに限定しております。次のは、国有鉄道の運送事業と直通運輸を行なう運送事業であって、この附帯事業は入りません。運送事業であってということは、たとえばこの第三条の第三号というような、そういう附帯、これは附帯事業としてやれるのでありますが、採炭、発送電、電気通信というような事柄、これは輸送事業ではありませんから、できません。それから、その次の密接に関連する運輸事業で直通運輸を行なうと言える程度、これに準ずるような、そういう運輸に関する事業といいましたら、やはり石炭を掘ったり、あるいは発送電をやったりするようなことには投資ができません。これは運輸に関する事業とは言えぬわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/34
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035・大倉精一
○大倉精一君 どうも少しややこしくなってきたのでありますが、密接に関連する運輸に関する事業ですから、密接に関連する運輸事業でなくて、運輸全部に関連しておるのですね、電気がなければ汽車は動かぬ、石炭がなければ汽車は動かない、こういうことでしょう。全部に、運輸に関連しておると思うのですね。ですから、これは私は、第三条の第一号から第五号までありますけれども、要すれば、第五号——一番おしまいの「第一条の目的を達成するために必要な業務」で全部締めくくってしまえると思うのです。これは全部国鉄が本来やるものなんです。が、しかしながら今度投資の道を開いたということは、本来やるべき事業であるけれども、提案理由説明等にあったように、五カ年計画等によって財政事情なりその他の事情によって国鉄みずから行なうためには不足する部面もあるから民間の資本を導入する、動員する、そういう工合に私は承っておるのです。ですから、今大臣の御説明によるというと、少し提案の趣旨が違うように思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/35
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036・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 別段提案理由は私は違わないと考えております。国有鉄道の本来の事業というものはあるわけであって、それに対するいろいろな附帯事業というようなものについては、必要な限りにおいては第三条各号に明示しておりまする事柄はみずからできまするけれども、単に投資をして、そしてやるということはこの法律では予定をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/36
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037・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、第三条に規定する国鉄の業務以外に投資をするのだということになりますと、たとえばどういう業務がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/37
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038・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 第三条に規定しております事業の、その事業の中の一部分の事業について投資する。この事業の外じゃございません。国鉄がみずからやれる事業のうちで、それと同じ仕事についてすべて投資をやれるというのでなしに、そのうちの一部について投資ができる、こういうように私は解釈いたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/38
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039・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、わかりやすく言うと、投資の能力の及ぶ範囲は、第三条に規定する業務の範囲、これに限定されるのか、あるいは業務の外になるのか。今の御説明によると、第三条による一、二、三、四、五項目には、これは投資しない。それは国鉄みずからやるのだという説明があった。今はそうじゃなくて、この中の一部分に投資をするのだと、こうおっしゃいますから、あとの答弁をとりまするならば、国鉄の行なう業務の範囲内というふうに限定されると思うのです。それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/39
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040・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 業務の範囲内とお考えいただいて私は差しつかえなかろうと思っております。業務の範囲のうちの一部について投資をする、かようにお考えいただいてけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/40
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041・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、だんだんわかってくるような気がするのですけれども、もう一回確認しますというと、投資能力の及ぶ範囲は、国鉄本来の業務範囲と解釈して差しつかえありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/41
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042・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/42
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043・大倉精一
○大倉精一君 そういう本来の業務ということになりまするならば、それは国鉄みずから行なうべきものであって、むしろ政府は積極的にこれに対しては援助をするべきじゃないかと思いますが、ここで民間資本を投入するということは邪道だと思うのですが、国鉄のあり方について、大臣のお考えいかがですか。これは本来ならば、政府がみずからやるべきものであって、民間資本を投入するということは、私は邪道だと思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/43
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044・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 本来と申しまするのは、ここに掲げてある各種の事業の範囲内に限られると私は申し上げて、しかもこの範囲の中でも、投資のできないものがあると、かように申し上げているわけであります。
そこでそういうものならば、政府の資金で、あるいは国鉄の資金でやるのが当然じゃないかとおっしゃいますが、私は大体そのとおりだと思います。しかしたがら、先般も申し上げましたように、国鉄自身でやってもやれるわけであるけれども、しかし特定利用者等が、自分たちも資金を出すから早くやってほしいというようなものは、やはり投資をしてやったほうがいいんじゃないか、国鉄の資金によってやるべき仕事は非常にたくさんあるわけでございます。国鉄当局もやりたいと思っていることがたくさんあるわけでございまするから、民間の方も、自分たちも、大体利用者が、特定をされている人たちが非常に多い、そういう人たちが資金も出すから、国鉄と一緒になって、そして直通運輸の何をやってほしいということであれば、私はその要望にこたえてしかるべきであろう、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/44
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045・大倉精一
○大倉精一君 私はどうもそれに納得できないのですね。たとえば今度の千葉の臨海鉄道あたりは、これは地元の要望がなくても、国家的見地からこの開発のためには国鉄はレールを敷き、計画をし、建設をしなければならぬ。これを地方の要請がないから、あるいは地方の資金が集まらないからということでもって、国鉄はこれに対してレールを敷き、投資をやるということをやめるわけにはいかぬと思う。ですからこういう地方的な問題といいながら、ここに発着する貨物というものは、これは国家的なものですよ。これは当然国家がやるべきであって、民間資金を投入すべきでない。むしろ民間がやるならやるではっきりすべきだ。そういうところに私は非常に不明朗といいますか、不明確なものがあると思います。たとえば、この資金はどのくらい要りますか、十億か二十億か知りませんが、そのくらいのものは私は国家がやってしかるべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/45
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046・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 国鉄は新しく線を建設したいというところを非常にたくさん持っている、予算、資金の都合で制約をされておる現状でございまするから、したがって資金が集まるというところでは、私はこういう方法も一つの方法であろう、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/46
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047・大倉精一
○大倉精一君 そういうところに、国鉄の性格をだんだんあいまいにしていく私は原因があると思います。今度でも、鉄道建設審議会から相当な新線建設の答申が出ておりますけれども、これは相当の負担だと思う、私は。一体これはどうするつもりか、これもやはり、じゃあこういう方式でやりましょう、これが必要であるということでもって、国家的な要請であるならば、政府がどんどんこれに出すべきじゃないか。国鉄は、お前のほうは独立採算制だからまかなえまかなえと言っても無理ですよ。仕方がないから、国鉄は背に腹はかえられないから民間のほうに金を出せと言って、民間は権利が弱いから出さざるを得ない。今度臨海鉄道にいたしましても、かりに工場を作るから鉄道を敷いてくれという陳情があれば、これは陳情だけで敷かんならぬ、なくても敷かんならぬ。しかし、国鉄は金がないからお前出せと言えば、これは強制投資なんです、投資を強制することになる。こういう点について、私はどうも今度の法律のすっきりしない面があると思うのです。そういう点について、政府のほうで国鉄のあり方について検討されたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/47
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048・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 今後日本の都市と農村、山村との格差をなくしていく、あるいは日本の経済の伸張につれまして、さらに低開発地帯、離島の開発というようなことを考えますると、相当新線の建設が必要になってくると存じます。これらに対する財源措置は、これは早急に今までと異なった別途の考えを一つ打ち立てなければなるまいかと、かように今考えているわけであります。本問題、京葉の鉄道の問題は、緊急を要しまするし、先ほども申しましたように、またおっしゃいますように、国家的な仕事であるには違いございませんが、しかし、特定の会社が大部分利用するということであり、地元にそういった要望があれば、その要望を満たすということも、私は日本の国鉄の、何といいますか、新線建設をするのと同じ効果を見るわけでありますから、けっこうなことであろうと、かように考えております。ただ、今おっしゃいますように、今後の新線建設をこういう方針でやるかとおっしゃいますると、私は、そういう地方はごく限られたものであって、そう多くあるとは考えませんし、決して投資を強制するというような行き方は、これはとるべきではないと考えております。ことに一般にいわれておりまする新線は、これは不特定多数の人たちの便益に供するものであって、専用鉄道に近いようなそういうものは、ごく例外であります。まあ専用鉄道に近いようなものについて、こういう方式は私は一つの方式であろう、かように考えて審議をわずらわしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/48
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049・大倉精一
○大倉精一君 参考のためにお伺いしておくのですけれども、今度の建設審議会で答申をされた新線建設に対しては、どのくらいの費用が要るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/49
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050・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 今回の建設審議会で建設に相なりました追加予定線は——着工線でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/50
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051・大倉精一
○大倉精一君 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/51
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052・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 着工線は十一線でございまして、合計のキロ数は約四百九十キロばかりでございます。建設費の概算は約五百六十億ぐらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/52
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053・大倉精一
○大倉精一君 五百六十億という膨大な建設費を、政府はこれは何とかしなければなるまい、別途に考える、こうおっしゃっているのですけれども、であるならば、わずかな千葉の海岸線の建設費用ぐらいは、応急に政府がめんどうを見られないこともないと思うのです。で、これがいわゆる特定の工場という名のもとに、民間から資本を出してくれるならけっこうな話だと、こういう工合に民間のふところを当てにしているところに、けっこうな話だというところに、何かみみっちいところがあると思うのですね。これは何か鉄道をあそこへ敷くといったら県庁や工場が文句を言うのですか。喜ぶだろうと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/53
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054・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) そういうことはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/54
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055・大倉精一
○大倉精一君 そうでしょう。あそこはただ単に千葉の海岸の工場地帯の造成ばかりでなくて、国家的な、全国的な経済開発の見地からあそこの造成地、工場地帯に必要であり、かつ施設も必要である、こう思うのですけれども、そうすれば、国鉄がやはりやるのがあたりまえと思うのです。ああいう所に将来禍根を残すようなことをやってはいけないと思う、わずかなことでですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/55
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056・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) これは将来禍根を残すかどうかということは、まあ意見の相違であろうと思います。われわれは将来禍根を残さないと、かように信じているわけであります。この前も事務当局から御答弁をいたしましたように、共同の専用鉄道に近いようなものでございますから、したがって、こういう方式を開きますことは、今後、臨海工業、京葉臨海鉄道だけでなしに、二、三将来も起こってくるだろうと、こう考えております。わずか十億ばかりとおっしゃいますが、十億でも、他のほうで建設をしたいという所がたくさんあるわけです。そのほうも需要を満たしたいと考えますのは、国鉄も同じであり、また運輸省もさように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/56
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057・大倉精一
○大倉精一君 まあその今の御答弁でいきますと、いろいろほかに私は聞かなければならぬことがあるが、あとに出てくると思いますから省略します。たとえば、わずか十億とおっしゃったけれども、そういもうのがあればサービス面に使うとおっしゃるが、それならば、ほかの、かりにどういうものに投資するか知りませんけれども、そういうものに投資する金があったら、もっと二等車の車両を直すとかなんとかいうものがありそうだと思いますが、これはあとに譲りましょう。
そこで、臨海鉄道に十億投資なすって、あそこの運営に対する監督といいますか、そういうものは国鉄はどういう格好になるのですか、役員か何か置くんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/57
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058・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) これは地方鉄道法に基づきまして運輸大臣の免許を得なければなりません民間の事業でございます。したがいまして、投資するということは、要するに、国有鉄道と投資を受けた民間事業というものは、株主の関係になる、こう考えます。したがいまして、株主としてのいろんな権利を行使することができる、こういう関係に相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/58
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059・加賀山之雄
○加賀山之雄君 ちょっと関連して。さっきからの大倉委員の質問について聞いておりますと、これはどっちにウエートがあるかということで非常になにが違うと思うのですが、たとえば京葉鉄道を考えた場合、これは国鉄がやりたいのだが、資金が足りない、十分でない、したがって、民間の協力を得てやるというのか、あるいはこれはもともと民営でもいいわけです。幹線の輸送ではありませんから初めから民営の鉄道として作られて、それに国が協力して一翼をになう、こういうことなのか、どっちに重点をこの法律は考えておるか、そのニュアンスはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/59
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060・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) これもしばしば申し上げておりますように、やはり国有鉄道が資金的に十分の余力がございますれば本来やるべきだと存じます。そこで、むしろ国鉄の指導性と申しますか、それが強く現われる必要のあるということは当然われわれは考えております。と申しますのは、この臨港鉄道の整備は、鉄道そのものを作りましても、これと関連いたします既存の日本国有鉄道の持っております幹線であるとか、あるいは操車場、そういった整備に相当大きな資金を食うことは明らかでございまして、それと、臨港鉄道について、どういうふうにするのが今後の総合的な運営の見地から見て合理的であろうかといういろんな検討が要ると存じます。そういう面かつ見ましても、投資をいたしまして、密接な関係に立つということが必要であろうかと思うのでございます。そういう意味から申しまして、やはり指導性の強いものというふうに考えていただいたほうがよいかと存じます。つまり、ばく然と民間の一事業者が地方鉄道としての臨港鉄道を整備する場合に、国鉄もそれに協力するということではなくて、やはり指導性の強いものというふうに考えていただきたいというふうに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/60
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061・加賀山之雄
○加賀山之雄君 もう一つ。そうしますと、国鉄としてはそういう精神でいるならば、何といいますか、たとい採算の点からいうと不利であっても、こういう方式をとるということになると思うのですね。そういうことになりますね。それで、たとえば国鉄が作る場合は、今後全額いわゆる政府出資、利子の補給をつける。それから出資の場合は、この間からも、まあ局長の御答弁を聞いておると、今までのものは配当も受けていない。利益は何もないわけですね。そろばん勘定からいったら、やはり国鉄にとって有利、不利ということからいったら、こういう方式をとるのが有利か、国鉄みずからがやるのが有利かという点がおのずから出てくるわけですね、採算勘定からいって。ところが、今、岡本局長からの御答弁によると、そういうことは問題でないのだ。国鉄がぜひ作りたいのだ。また、作るべきものを民間の協力を得てやるのだということになると、そろばん勘定というものは、その場合考えないでいいと、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/61
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062・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) その点は衆議院の運輸委員会でも御質疑がございまして、私が御答弁申し上げましたのは、この臨海工業地帯における臨港鉄道を作ります場合には、ここに進出しております工場群というものが特定されておりまして、その生産計画も明らかでございますから、大体どのくらいの出荷数量があるか、どのくらいの鉄道輸送量が見込まれるかということは明らかでございます。収支計算はその上に立って比較的的確なものができ上がるわけでございます。したがいまして、当面の問題でございます京葉工業地帯の臨港鉄道は、大体採算がとれるという見通しでございます。で、国鉄全般としてこういった問題を考えてみますと、わずか二億程度の投費でもって十億程度の仕事ができる。しかも配当はないにいたしましても、かりにこれを直接国鉄がやりますというと、十億まるまる資金がかかるわけでございます。しかも、それに対しては利息も要りますし償却もしなければならない、こういうことになります。しかも、営業上これを考えてみますというと、御承知のように国有鉄道は運賃制度上遠距離逓減制をとっておりますから、かりにここに十億の投資をいたしましても、直通運輸を行ないまして、したがって、運賃ももちろん通算でございます、同じ国有鉄道でございますから……。そういう場合に、それと見合うだけの収入はほとんど上がらないということに相なるかと存じます。ですから、総合的な見地から考えてみますと、直接国有鉄道がみずからの資金でやるということは、投資した場合に比べまして相当大きなマイナスであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/62
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063・大倉精一
○大倉精一君 まあ今、加賀山さんのほうがら関連質問がありましたが、私も、一体、京葉鉄道というものは国鉄が主体となってやり、そこに民間に協力させるのかどうかということをお尋ねしたかったのですけれども、その点がはっきりしない。だんだん論議をしていくと、全く商売人になってしまう。十億投資すると損だ、損だ。私は国有鉄道というのはそんなものではないと思うのです。ですから、さっき申しましたように、国家的見地からあそこの鉄道は必要なのですから、これは国有鉄道としては主体性を持って建設し、あるいは経営すべきものです。ところが、今一株主としての資格で云々というお話ですが、経営の主体はどこですか。国鉄は何となく二億円出して、国鉄が向こうの民間の経営に協力するというここになっているのですか。これはどっちが主体なのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/63
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064・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) これは商法上の商事会社でございますから、経営の主体はそこにある、こういうことでございます。ただ、先ほど来、加賀山委員の御質疑にお答え申し上げましたように、指導性が強いというふうにお考えいただく筋合いのものではないかというふうなことを申し上げたわけでございますが、それは、この臨港鉄道の整備というものが、それだけでは済まなくて、日本国有鉄道の既存の輸送力を中心とした諸施設に甚大な影響を持つものである、そういうことから、きわめて緊密な関係を保ってその臨港鉄道の整備も行なわるべき筋合いにございますので、そういう表現を用いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/64
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065・大倉精一
○大倉精一君 ますますこれは質疑討論を続けると割り切れぬものが出てくる。この京葉鉄道というものが国鉄の既存の施設にきわめて重大なる影響のあるものだということになれば、これは単なる株式会社として一株主として入るべきものではないと思う。ただ、そうしたほうが得だ、こうなれば私は何をか言わんやですね。そこら辺にどうしても割り切れないものがある。そこで、さっき言ったように、この一角に何か将来妙なものを残しておくということは好ましくないから、五百億も六百億も政府がめんどうを見るなら、ここにも緊急措置として政府がめんどうを見たらどうか。これは必ず不明朗なものが出てきますよ。それで、つまり強い指導性があるという表現を使われましたけれども、これは支配意欲ですね。二億の投資をして、この鉄道はこれは実質的には鉄道支配——国鉄支配にならなければ意味がない。そうなってくれば、役員は送らぬとおっしゃいますけれども、あるいはどこかに例があるそうですけれども、無給の役員を送っている例もあるといいますし、十六国会におきましては、時の副総裁が、休職として役員を送るということも研究すると言っておられたと思うのですね。ですから、今の御答弁はきわめて京葉鉄道というものの性格をあいまいにするのですけれども、その辺はどうなんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/65
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066・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 新線建設に数百億を要すると申しましたのは、このたび建設線に指定を、指定というか、答申をもらったものだけについてそれだけ要るわけです。すでに建設線になっておって、まだ完成をしていないものがたくさんにございます。したがって、それらのものについて、今までのような年間七十五億程度の新線建設費では、とうてい日本の将来の計画にマッチをいたしませんから、抜本的な道を考えなければなるまい。それを今考究中でございますと申し上げているわけです。この京葉のほうに、本年のたとえば予算の七十五億の中からこれに投じるといたしますと、すでに予定をしておりまするところも削減をしなければなりません。十億は当面の京葉臨港鉄道の敷設費だということでありまするが、これも十億よりも相当また伸ばして参らなければならないと考えておるし、大阪とかあるいは名古屋という点を考えますると、先ほど申しまする大規模な財政的措置というものを考えましても、やはりそれにくらべればこの金額は少のうございますが、しかし当面の問題といたしましては、やはり御承知のように本年度も七十五億しか予算がついておりません。今直ちに実施をなるべく早急にいたしたいと、かように考えますると、これを一般の建設費からまかなうということは非常に他のほうに支障を来たすという現状を御了察いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/66
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067・大倉精一
○大倉精一君 念のために伺うのですけれども、臨時国会で国鉄に対する財政投融資というものは五%の云々と言っておられましたが、これは実施されますか。実施されるとするなら金額はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/67
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068・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) これは三十六年度予算について繰り延べ措置が、昨年の九月であったかと存じますが、行なわれましたことについての御質問でございましょうか。——全体で九十億でございますが、財政投融資の関係で申しますと四十五億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/68
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069・大倉精一
○大倉精一君 これは何の分か記憶がありませんが、確かにこの前、臨時国会で、私は、現在輸送力の逼迫しておる交通輸送関係について、総花的にこの部門においてもなおかつ財政投融資の繰り延べをやることはけしからぬのだ、こう言ったところが、官房長は、工事には一向差しつかえませんという御答弁でした。現実にこの金があれば京葉鉄道はできるでしょう、そういう矛盾した現実があるのですよ。これは大臣どうなんですか。そういう繰り延べという方針とどう違うのか。だいぶんこれは食い違っておるじゃありませんか。こういう投融資を繰り延べしておいて、その穴埋めを民間の金でやって、そうしてこの十億ならもうかるとかもうからぬとか、まことにどうもおかしな話だと思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/69
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070・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) これは資金的な繰り延べでございますので、工費そのものをカットしたわけではございません。したがいまして、時期に多少のズレが出て参るだけで、大局的にはそう変化はないと、こういう趣旨で申し上げたものと考えております。で、今お尋ねの、わずか十億ばかりのものを云々という仰せでございますけれども、先ほど来申し上げておりまするように、日本国有鉄道は御承知のように新五カ年計画を九千七百五十億円の予算規模でスタートしておるわけでございまして、しかもスタート早々、こういったスケールで日本経済の伸びに対応できるかどうかという批判も相当ございましたし、現にわれわれもその再検討の必要を痛感しておるわけでございます。そのほか、つまり再検討した場合には、当然この資金的なワクを考えなければなりませんし、おそらく早急にこれは再検討を迫られるものと思うのでございます。相当大きな資金的な追加が要るのじゃないかということを考えております。たいへん心配しておりますが、そういうことに加えてこの臨港鉄道の整備というものは、しばしばこれも申し上げておりまするように、既存のトランク・ラインとかあるいはヤードの整備に相当の金を食います。これは五カ年計画のワクの外になるだろうと思うのです。まだ詳しくは検討しておりませんが、概算、専門家のはじくところでは、二千億前後、全国的な臨港鉄道整備というものの経費が要るだろうというようなことを考えておりますが、そういうふうなことで、予想外の大きな資金を必要とする段階にある、そういう局面に逢着しておりますので、できるだけ資金の効率的な活用をはかる必要があるという観点から出発しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/70
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071・大倉精一
○大倉精一君 将来臨港鉄道というものは、大体こういう方式でおやりになるのかどうか、念のために伺っておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/71
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072・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 大体そういう考えでおります。しかし、とれも大臣からしばしば御答弁申し上げておりますように、やはり専用鉄道に近いような性格、つまり利用者がごく特定のものであるというふうな場合に限定すべきであろうかと考えます。そうでないと、大倉先生御指摘のような、まあ強制出資というふうなことにもなりかねませんので、そういう点は慎重に考えて、個々に検討していきたいと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/72
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073・大倉精一
○大倉精一君 これは考え方が違うかもしれませんが、むしろ民間のほうでそういうお金を出すという意欲があるならば、また、かりに建設してもらいたいという願望があるならば、あえて国鉄が出資しなくても私はいいと思うのです。それこそさっき運輸大臣が言われたように、そういう金があるなら、ほかへ使ったほうがいいと思う。ですから、むしろそういう特定な融資は、そういう金を出すという意思があるなら、むしろ民営としてやらせるように指導したほうがすっきりすると思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/73
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074・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 民営でできればそれもよろしいかと思います。ただ、先ほど来申し上げておりますように、既存の国有鉄道の施設といろいろ密接に関連いたしますので、純然たる民営鉄道の形式として、それこそ独自の立場で建設ないし運営されるということは、場合によっては国有鉄道側としても迷惑をこうむる場合もあるかと存じますが、しかし、そういった懸念がなければ、民営鉄道として臨港鉄道が整備されることはよろしいことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/74
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075・大倉精一
○大倉精一君 何回聞いてもあれだから、私はこれでやめますけれども、国有鉄道の既設の施設等に密接な関係があれば、これを民営にまかして置くということは不都合だというお話でありますが、そういう場合には、国鉄がやるべきですよ、何としたって。それでなければ筋が通りませんよ。ですから、これは何べん言っても同じことですが、そういう場合には国鉄がやるべきだと思います。さらにまた、赤字だ、これが損だ得だということをおっしゃいますが、国有鉄道は営利会社と違いますけれども、赤字線でも国家的見地から必要があれば建設しなければならない。赤字線を建設するなということは、私は一ぺんも言ったことはない。赤字線であっても、国有鉄道は産業開発なり社会文化のために必要があれば、国有鉄道の使命として建設しなければならぬ。これが公共企業ですよ。どうも赤字だ黒字だ、もうかる、もうからぬということをおっしゃいますけれども、これは国有鉄道を責めても仕方がない。独採制でもってほっぽらかして置くから仕方がない。ですから、この際これは抜本的に国有鉄道のあり方自体を検討しなければならぬ時期がきていると思います。でなければ経済の伸びと並行して、これは追いついて国有鉄道の輸送力を伸ばすには、国鉄の独採制だけではできません。これは大臣に考えてもらわないととんでもないことになりはしないかということを心配いたします。
そこで、もう一つ観点を変えてお伺いするのですけれども、先ほど、やや投資の範囲が明瞭になってきましたが、第三条の国鉄の業務の範囲内に限るというような答弁があったのですけれども、しからば、先ほど私が申し上げました衆議院における十六項目の中で、国鉄の第三条の範囲内に入る業務はどれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/75
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076・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 第三条の解釈は、附帯事業といたしまして相当広いものを見ております。したがいまして、どういうものが入るかどうかというのでありますが、日本の国有鉄道で本来やれるところ、「事業及びその附帯事業」としての仕事としてやれるというものが、相当解釈を広げれば広くなり得るわけであります。そこで、今度やれまするのは、附帯事業であっても、直接に直通運輸になるような運輸事業であるとか、それに準ずるような、密接に関連する運輸に関する事業ということでさらにしぼっているわけでありますから、したがって、私は掲げられた、御質問の十六項目ですか、これらは附帯事業として国鉄自身でやってしまえば、相当やれるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/76
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077・大倉精一
○大倉精一君 先ほどの大臣の答弁からいきますというと、十六国会で、当時の鉄監局長の植田君が答弁したのと同じ趣旨だと私は受け取ったわけですが、本来ならば国鉄のやるべき事業である、しかし財政上の理由でもって云云ということでございましたが、本来ならば国鉄がやるべき事業というのは、第三条にうたわれている業務だと思うのです。それ以外にないと私は思う。これは法律でもってきまっているのだから。第三条でやるべき業務というと、たとえば衆議院の關谷君が言いました十六項目については、どれがこれに該当するのか、あるいは該当しないほうが少なければ、どれどれが該当しないかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/77
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078・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 御承知のように、日本国有鉄道法の第三条は、日本国有鉄道が昭和二十四年に設立されました際に、前の官制を受けまして作られております。そこで、たとえば戦前あるいは戦後、しばらく行なっておりました倉庫事業であるとか、あるいはホテル事業であるとか、そういったようなものは、現行法の第三条の第五号で読むべきものとわれわれは解釈しております。つまり「前各号にに掲げる業務の外第一条の目的を達成するために必要な業務」としてやっておったものと解釈いたしておるのでございます。そういった解釈は、現在でもとり得るものと思います。で、仰せのように、いろんな項目があげられまして、これはどうだ、どうだと御指摘になったのでございますが、先ほど申し上げましたように、御指摘の事業の内容が、実ははっきりしないのでございます。したがって、現行法の第三条の第五号でこれが読めるかどうかということは、やはり当該事業の具体的な内容をはっきりさせました上で、これに該当するかどうかを検討する要があろう、かように考えますので、今ここで端的にお答え申すわけにはいかないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/78
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079・大倉精一
○大倉精一君 これは当初、鉄監局長の答弁でありますというと、この十六項目は、全部この法律から生まれてくるものだと、つまり法律によってこれは全部できるものだという答弁なんです。大臣は、本来国鉄で行なうべき事業をやるということで、少し食い違っておるのじゃないか、大臣のおっしゃるほうを私はとるのですけれども、そうしますと、かりに、これは倉庫業と書いてあるけれども、たとえば梅田のホームに付設して作られるところの倉庫、これはあるいは国鉄がみずから経営すべきものであるかどうか、すべきもののうちに入るかもしれませんが、大阪市内のまん中にあるものはそうじゃないと思う。だから単に倉庫業といってもいろいろあるでしょうが、しかし、そういうものがあるならば、そういうものも入るのだから、倉庫業の一部も入るのだという答弁のように聞こえるのです。でありますけれども、混載会社とかあるいはヘリポート事業とかいうようなもの、その他たくさんありますけれども、この中で国鉄が本来みずからやるべき事業というものはどんなものだと、こういう工合に私は尋ねておるのです。これが全部やれる事業であるならばそれでもいいんですけれども、当初これは、全部今の法律からやり得るものだという御答弁がありましたから、念のためにお伺いしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/79
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080・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 局長の答えましたのは、法律解釈としてやろうと思えばこの五号の付帯事業というものは相当広く読めますると、みずからやろうと思えば。たとえばここにあげてある、御質問にありましたヘリポートにしましても、あるいはモノレールとかあるいはヘリコプターとか水中翼船とか、ホテル事業も、附帯事業としてみずからやろうと思えば私はやれないことはない、法律違反にならないだろう、こう思うのです。しかしながら、投資をする場合には、附帯事業としてやれるものについても、非常にしぼられておりますということを申し上げておるわけです。今この第三条に掲げてあります事柄を非常に広く解釈をして、何でもやろう、こういう考えは、運営として持っておりません。やはり自動車運送の事業それ自体にいたしましても、なるべく民営を圧迫しないようにやっていかなければならない、かように考えております。かつてやっておって、すでにやめている仕事に再びまた国鉄みずからそれをやろうという気持は持っておりません。国鉄本来の運営の方針としましては、やはり鉄道事業というものに専念をしていく、そうして民業を圧迫していかないという方針でいくべきだと考えて、さような運営をいたしておるわけであります。先ほどのお尋ねは、国鉄みずからやろうとする場合に、今日の第三条というものは相当広くやれるようになっておりますけれども、そういうことはやっておりません。投資をいたす場合も、この第三条に掲げてあるよりもさらにしぼったことしかやれないようにし、また、運営もさようにやって参りたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/80
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081・大倉精一
○大倉精一君 念のために申しておきますけれども、私は民営圧迫という言葉は一ぺんも使ったことはありません。民営圧迫という言葉は、その言葉自体がばく然たるものであって、私はそう申してはおりませんが、ただ、国有鉄道としてやるべきことは何だということに私は重点を置いて言っているわけなんです。ですから、今ここであなたは第三条の範囲を拡張すれば非常に広いものだとおっしゃる。こうなってくると、三条みずからがこれは問題になってくる。なるほど非常に広いものであろうけれども、しかしながら、第一条からずっと読んで参りまして、一つの観念的なものというのは、大体もうきまっておる、日本国有鉄道が行なうべきものというのは。行なってもいいものと行なうべきものとは違う。これは行なうべきものです。でありますから、今あなたがおっしゃるように、解釈によっては非常に広いものだ、そういう御答弁であるとすると、一体どこからどこまでが国有鉄道が行なうべき仕事であるか、仕事自体がはっきりしない。だとすれば、なぜこの第三条というものは事業を規定したのだとこうなってくる。ですから、私はせっかくさっきから質問していって、あなたは、大体当初、できる範囲は、第三条の国鉄がみずから行なうべき事業に限るのだ、その中の一部に限るのだ、そういうふうに解釈したわけです。そうだとすれば、たとえば衆議院において、こういう十六項目にわたるところの質問が關谷委員からなされて、各項目について磯崎常務理事が答弁なさっておる。さらにまた、岡本鉄監局長が答弁されておるのです。でありますが、これもばく然としておる。目下のところ考えておりません、今は考えておりません、全然考えておりません、そういうことは気がつきませんでしたと、こういう答弁でした。考えておらぬということは、これは法律に関係がない、考える、考えないは自由です。法律には、考えるとか考えないとか、そんなことは書いてない、やっていかれるのかいかれないのかという問題です。先ほど聞いたところが、十六項目というものは、法律によってできるようになっております。できますというのです。そうしてだんだんあいまいになってきて、しからばこの十六項目のうちで、これは全部国有鉄道でやるべき仕事であるのかどうかということになってくるのですが、この点にどうも私は疑問を持つわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/81
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082・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 少し答弁がまずかったかもわかりませんが、今おっしゃいますように、今日国鉄が通常の観念として大体やるべきものというものがきまっているとおっしゃいました、そのとおりであります。で、投資をいたすのも、国鉄が本来やるべきものというようなものでなければ投資をいたしません。法律の解釈からいえばもっと広くやれる、みずからやる場合にはもっと広くやれると観念上なっておっても、そういうことはやっておりませんし、今後もやりません。今度の投資できる法律の解釈の範囲は、みずからやれるものよりもなお狭くなっておる。大体国鉄がこれはやるべきだという範疇を逸脱して投資をするということはございませんと、こう申し上げておるのでありますので、御意見のとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/82
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083・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、この十六項目のうちで、これこれは範疇外あるいはこれこれはやるべき仕事の中に入るというふうには、今答弁としては言えないわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/83
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084・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) やるべきとおっしゃるのは、国鉄みずからがやるべきかという考えか、あるいは投資の場合に投資をすると考えるかというお尋ねでございますか、どちらでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/84
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085・大倉精一
○大倉精一君 これは本来国鉄みずからやる事業ではないというふうにお考えになるのか、この十六項目は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/85
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086・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 今日の国鉄の運営の方針、また今後もそう変わるまいと思いますが、みずからやるべきものとしましては、非常に私は少ないと思っております。ここの質問の内容は非常に不明確でございまするけれども、これらの事業につきましては、たとえば倉庫業は、駅頭倉庫で国鉄がみずからこれはやるべきだという通常観念の範囲内においては、私はやり得る余地があると思っておりますが、一般の倉庫業というものは、これはやるべきものとは考えておりません。また、空間利用業、民衆駅、ガード下の貸ビルというようなことも、これは国鉄がやるべきものとは考えておりません。その次の東海道新幹線の荷役会社というものも、これは国鉄がみずから荷役会社のようなことをやるべきではないと考えております。ピギーバック会社、これも非常にわかりにくいのでありますが、これは国のやるべきものとは考えておりません。切符の代売機関、これは切符は国鉄みずから売っておりますから、みずからやるという中には入ります。しかし、投資をして、そういう別の会社を作らせるという考え方は持っておりません。以下たくさんございますが、大体今までのお答えで類推をしていただきたいと考えております。大体さよう御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/86
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087・大倉精一
○大倉精一君 まあこういうお考えを、斎藤運輸大臣はお持ちになっておりまするけれども、遺憾ながら法律にはそういうことは書いてない、こういうところに私は問題があると思うのです。それで、なぜこういう場合にお尋ねするかというと、これは十六国会以来、一体この法律で何をやろうとするかということが問題になっておるわけです。今までずっとお尋ねしたけれども、まだはっきりいたしません。ただ、この三条の範囲内に限るというのならば、本来国鉄みずから行なう事業に限る、こういう定義はわかりましたが、しからば本来国鉄が行なう事業は何ぞやといいますと、先ほどおっしゃいましたように、三条五項を解釈すれば非常に広くなる、こういう御答弁があって、どうもこれもだんだん怪しくなってくる。しかし、私は素直に、本来国鉄がみずから行なうべき事業に投資する、こういう範囲に解釈しております。そこで、これはもう私は本来ならば、先ほど申しましたように、それは国鉄がやるべきだ、これは観念的に違ってくるのです。それは国鉄がやるべきだ、ですから、ここでかりに国鉄が投資をするといったような場合に、先ほど加賀山委員がおっしゃったように、国鉄がやるから民間がこれに入ってこいというのか、民間がやるからこれに国鉄が入ってこいというのか、その辺も明らかになっておりません。そういう点についての考え方ですね、ここでもって今度それだけ投資して、それによって利潤を期待するか、利益を期待するか、それによって今度本体の輸送目的の増強のための貢献というものを期待するか、そういうものは期待できない、もし利潤的には期待できないとすれば、何の目的で投資するのか、ただ民間資本を動員するというだけか、民間資本を利用するということだけ、それ以外にないと思います。そこで今度は、できた会社の支配権を持とうという——支配権というときついかもわかりませんけれども、何らかの方法によってその会社の指導権を握ろうという、指導権を握らなければこれは私は意味ないと思います。そういうところに問題がありはしないか、そこで要するに、それがためには役員を送る、あるいは人間を送り人事権を握る、そういうことになってこないというと、運営の指導権を握るということにならぬと思います。そういう点についてはいかがですか、そういう格好になりはしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/87
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088・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 国鉄本来でやるべき事柄であって、そうして民間資金を動員するについてきわめて適切であって、そうして民間会社でやるよりも国鉄と一体運営が望ましい、一体運営ができるというようなものについて投資をさせたい、かように考えております。そこで、例にあげられました京葉臨港鉄道二億の投資を、一体国鉄と一体運営ができるか、商法上の点は先ほど局長がお答えいたしましたけれども、しかしながら、国鉄と直通運輸の形でやりますれば、たとえば十億のところを二億の投資をすれば大体運営が可能であろう、かように考えております。ただ、いろいろの事業が不明確であるとおっしゃいましたが、考えておりますのは、臨海の鉄道と、いま一つは、今申しますような駅頭倉庫の問題・であります。駅頭倉庫は国鉄みずからやろうとしてもやれるでしょうが、あるいは民間資金を動員してやった場合がいいかもわかりません。しかし、これは倉庫業界とのやはり密接な連繋をとっていかなければなりませんから、十分了解が得られて、どちらもなるほどそれが望ましいというのでなければ、無理にやる考えは持っておりません。原則としては倉庫業はやりませんと、かように申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/88
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089・村松久義
○委員長(村松久義君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/89
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090・村松久義
○委員長(村松久義君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/90
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091・大倉精一
○大倉精一君 どうも日鉄法改正は質疑応答を重ねるに従って、だんだんあいまいもこ、疑問が出てくる。今も運輸大臣の御答弁の中で、国鉄と一体になって運営するほうが望ましいという場合においてはという言葉がありましたが、私は前々からの質問答弁と少しまたニュアンスが変わってきたと思うのですね。本来ならば国鉄がやるのだ、しかし財政上これを許さない、やむを得ず民間資本を導入するのだというふうに承知をしておったのですが、一体になってやるのが望ましいという、こういう点について、ちょっと食い違いがあります。これはまた後ほどひとつお聞きしたいと思います。
そこで、大蔵大臣にせっかくの機会ですからお伺いしたいのですけれども、御承知のように日鉄法改正というのは、今もだんだん質疑によって明らかになって参りましたが、本来ならば国鉄がみずから行なうべき事業、これを資金の事情のために民間の資本を導入をして、一部、幾らかわかりませんけれども、国鉄もこれに出資をして、合弁会社を作る、こういうことです。これは私は従来からの国鉄に対する政府の施策というものを、この際再検討する必要があるのじゃないか、さらに、現在御承知のように鉄道建設審議会から新線建設の答申が出ております。これは五百何十億という資金が要るようであります。ところが、政府の方針によって、所得倍増計画によって日本の経済がどんどん成長する、その動脈が国鉄でありますから、動脈を通さなければこれは死物になってしまう、こういうことで、独算制のワクに縛られておる国鉄にこれをやれといったって、それは無理だと思う、そうなって参りますと、これはもう公共企業体としての国鉄の使命というものがだんだんぼやけてくる。そこで、私は大蔵大臣にお伺いしたいのは、この際、公共の必要のある国鉄の事業についての資金需要等については、特に政府において積極的にこの際援助すべきじゃないか、そうしないと日本の国有鉄道の使命というものが果たせない、こういう段階になってきておると思うのですけれども、大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/91
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092・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) これは前から私どもお答えしておりますように、国鉄の公共負担という問題、今の国鉄がこれは適正な国鉄としてこの程度の公共負担というものがあっていいんだという限度を越えるという問題については、国が相当な援助をしなければならないと思っております。それが現在のところは、当然国鉄が負担すべき限度のものであるかどうかというものについては、まだこれがはっきりしておりませんので、この問題は十分われわれも国鉄当局とも検討したいということを、昨年からの懸案にして、今そういう問題の研究をしておりますが、これが明らかに限度を越えているものの負担を国鉄に負わせるという問題については、国が当然援助すべきだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/92
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093・大倉精一
○大倉精一君 そこで大臣も政治的な御答弁で非常に幅のある御答弁ですけれども、一言ひとつ今問題になっている京葉鉄道について、大臣の御所見を伺ってみたいと思うのだが、ここに十一工場が新設されて、ここへ国家的な見地から鉄道を敷かなければならぬ。本来、これは国鉄がやるべきものだ。しかしながら財政事情これを許さず、国鉄はわずか二億円出資でもって、あとは民間の資金をここに導入して合弁会社を作ろうとする、ああいうようなものは、これは本来国鉄がみずから建設をし、みずから運営すべきものである、かようにわれわれ考えて、この委員会におきまして今審議を進めている最中なんです。こういう問題については、大蔵大臣は、やはり先ほどの御答弁からいって関心を持たれて、これくらいのものは国鉄がみずから運営すべきものである、財政事情が許せば、政府として積極的にこれに援助を与えるという工合にならなければいかぬと思いますが、もう一回ひとつ御答弁を願いたいと思います。
この問題について大蔵大臣詳しく御存じなければ、そういう問題があるということをひとつ頭に置いていただいて、こういう問題は国家が財政援助をもって、すっきりした形でもって運営することになる、こういう論を進めていくと思うのですけれども、これはひとつ大蔵大臣お考え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/93
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094・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 新線建設につきましては、御承知のように国が、そう多い金額じゃございませんが、利子補給を昨年からやることにしております。これももともと非常に問題でございまして、もし国鉄が基幹線だけの運営をやっておるというのでしたら、これはもうりっぱに採算取れるし、営業はいいのですが、こういう採算が取れないという線も一つの基幹線の培養線でございますし、そこから旅客がくることによって基幹線が黒字になるという問題もありますので、そういう意味からいいますと、この採算の取れない線もある程度国鉄の責任としてやらなければならぬという問題が起こると思います。しかし、そういうものをどの程度国鉄に押しつけることがいいかということになりますというと、ここに問題が出まして、私どもは、まあほかの企業との比較を国鉄に対してやっているのですが、一兆円以上の資本の企業体これに対しては税金を取らない、配当も国が一厘も取らない、これがもし民間企業であったなら、どれくらいの恩典になるかということを考えますと、その範囲における公共負担というものは、国鉄がある程度やっていいんじゃないか。まあよく問題になりますが、傷痍軍人を乗せるというようなことも、これは別に国鉄に対して特別の措置を要求するのだからといって、これも国が出しておりますが、私どもは、どうも国鉄がそれくらいのものを負担するということは、自分の責任の範囲内でありはせぬかという問題もありますが、まあ問題の起こるたびごとに、一つ一つそれは国で見てやる、これは国で見てやろうといって新線の建設の利子補給というところまできているのですが、実際にはどこまでを限度として、それ以内は国鉄に公共負担させ、それ以外は国が見てやるべきだという計算がついて限度が示されるならば、今度は非常に国鉄もやりいいでしょうし、国としてもいいんではないかと思っています。今度の、今言われた問題がその点と関連して、これを国鉄がやるべきものか、別にそう考えなくても別個の方式でやったって差しつかえないものか、あるいは問題になるのかどうか、私ども詳しいことは存じませんので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/94
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095・村松久義
○委員長(村松久義君) この程度にしましよう。本案に対する審査を一時中断いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/95
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096・村松久義
○委員長(村松久義君) 船舶職員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑を継続いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/96
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097・松浦清一
○松浦清一君 大蔵大臣、お病気でしたら、立って御答弁をいただかなくても、そのままで御答弁をいただいてもけっこうでございます。
海運問題についていろいろ御質問申し上げて、大臣の御見解を承っておきたいと思います。たくさんあるわけですが、先週の委員会で、大臣から御答弁をいただきました中で、はっきりしておらない点がございまするので、その部分だけに限定してきょうはお答えを願いたいと思います。
この問題を特に大蔵大臣の御出席をいただいて御質問申し上げておりますのは、今、船員法、船員法といっておられるが、船舶職員法の一部を改正する法律案という法律案で、さかのぼって考えると、二、三年前からの問題で、前国会から継続審議になってこの国会に持ち越されておる。この法案そのものの内容は、船舶通信士の定員を削減するということ。ところが、理由としてあげられているところ、ないし、またこれをしようと考えた意図は、今の日本の海運企業が非常に弱体であるから、この経営基盤を強化して国際競争力を強化していかなければならない、そういうことが、ほんとうをいえば大もとの提案の理由になっている。この法律案がもしも成立をするとすれば、船舶通信士が全体で、暫定期間中約一千名、その法がそのまま施行になりますと、千四百名ほどの船舶通信士が削減される、こういう内容の法律案です。そこで、この前御質問申し上げて途中になっておりました部分の点を申し上げますと、船舶通信士の定員削減をはかって国際競争力を強める、その部分的なことはわかるのだけれども、もう少しほかに、日本の海運の国際競争力を強めるという方法はないのか、こういうことが問題であります。それで、前の委員会で大蔵大臣と経済企画庁長官の御出席をいただいたのは、一昨年の暮れに経済企画庁で策定された所得倍増計画、これは政府の方針として出されたわけですが、それによりますと、昭和四十年までに日本の外航船腹を千三百三十五万トンにふやさなければいかぬ、そうして積み取り比率を——いろいろこまかいことがありますが——簡単にいえば六三%を日本船で積み取らなければ国際収支の均衡がとれないということを考えたわけですね。その千三百三十五万トンをどうして作るのだという議論に対しては、三十八回の通常国会の予算委員会で、あなたや前の経済企画庁の迫水長官にいろいろ御意見を承った。で、十年間に千三百三十五万トンになるということは、これから九百七十五万トンの船を作らなければいかぬ。そうすれば一年に九十七万トン作らなければいかぬということになるわけです。しかし、三十六年度から九十七万トン作るということはなかなか困難であるから、前期と後期に分けまして、最初に五年間に四百万トン作るという案が出てきたわけです。問題はその計画の上では四百万トン前期五カ年に作るという予定であるけれども、どうしたらその船が作れるかということが具体的な問題として上がってきたわけです。政治論争としてではなしに、具体的な問題として上がってきたわけです。昨年は御承知のとおり当初二十五万何ぼの計画をして、追加二十五万トンで五十万トンの計画をされて、追加分の二十五万トンについては開銀、市銀の融資上のいろいろ問題がございまして、結局海運会社のほうで一割程度の自己資金をよけい工面するというような内容で、市銀との話し合いがついて、追加二十五万トンを建造するということに決定をしたわけです。で、来年度も、今度の財政資金の関係で五十万トン作るということが計画されたわけですね。ところが、その五十万トン建造するということに並行して、このままの海運会社の経営状態では、資金操作の面からいっても、いろいろの点から五十万トン作るということは不可能である。ましてや政府のほうで何の措置も講じられないという状態のままでは、市中銀行も協力ができないということを言い出した。で、そういう状態では作れないし、作ってもしようがないから、その五十万トンの計画造船をやるということをお断わりしようということを船主協会が言い出したわけです。そこまでが今までの筋なんですよ。それで、私は今あなたに、その船を作れるようにするのには、また作って国際競争力を強めていく、そのようにするのには、一体どうしたらいいか、こういうことをお尋ねしたいので、
〔委員長退席、理事天埜良吉君着
席〕
この間、お二人に御出席を願ったわけです。で、あなたが御出席になるまでに、藤山長官にあの計画は変更はないかとお尋ねしたら、変更はないとおっしゃった。変更がなければ、計画を立てるのは経済企画庁であるし、それに対する財政措置を講ずるのは大蔵省である。あなたのお手元で財政措置を講じなければ、船が作れない、こういうことなんです。そういうことから、昨年の暮れの予算編成期に、いろいろの方面から今の海運企業の実態をながめまして、これから先のこともあるけれども、今までの未償却五百億、だいぶ古いためですから、もっとふえているでしょうが、借入金の元本の七百億がまだ延滞になっている。それを何とかけりをつけなければ、前向きに日本の海運は進まないのではないかということが問題になりまして、これは経団連も、日経連もたびたび態度をきめまして、市中銀行も態度をきめ、海運会社もちろんのこと、あらゆる方面からそれに対する意見を出したわけです。その意見の大要は、いろいろニュアンスの相違はあるけれども、今の開銀利子の若干部分をたな上げ措置、つまり支払猶予をしてもらう、で、利子の負担を軽くしていく、そうすれば市中銀行も年間二十億程度の協力をしましようということを予算編成の終わる前から言い出したのです。ですから、国のほうが、政府が何とかすれば、市中銀行もその程度の金を支払いをしようというふうに言い出したのに、結局予算の中にはそれらに対する措置というものは入れられなかった。あなたはよくその点については御存じでしょうが、暮れの二十五日の経済閣僚懇談会のとき、これは外から聞いたのですけれども、いろいろの大臣が意見を出されたことを聞いております。最終的にあなたと運輸大臣が——これは運輸大臣から別に聞いたわけではない、いろいろの新聞等の情報を総合して——取りきめられたことは、この間内閣委員会を通った運輸省設置法の一部改正で審議会を設けるということだけきまっておる、六十二万の予算で。その審議会を設けて一体何をするのかということが一つもわからぬ。審議会を設けて、その審議会が現在の日本の海運業の実態というものを審議をして、目的は海運業界からいろいろ整備計画なり何なり、計画というものを出させて、その審議会で審議をして、そうしてこれは利子の支払い猶予をしてやらなければならぬということがきまったならばそうしてやるべきだということが、審議会設置法の中に含まれておるわけです。具体的に審議会は何を審議するのやら、審議して海運会社に何を出させるやら、それが出てきて一体どうするのかというけじめがついていない。そこで審議会の設置を受けて、海運企業の基盤強化のための臨時措置法という法律を作らなければいかぬ。そうしなければ審議会が中ぶらりんになってしまうわけです。すでに今年の一月の初めごろに運輸省のほうでは要綱をきめまして、われわれも配付を受けたわけです。自来、大蔵省側と運輸当局と御折衝になっておられたようですけれども、主として大蔵省側に御異存がありまして、これを提案するに至っていないのです。その運輸省に設置される審議会が一体何をやるのか、審議をした結果どうなるのか、受けて立つべき法律案の提案ができない、そういう状況にあるのが現状なんです。この間あなたに対して、一体それをどうするかのかという御質問を申し上げたところが、いろいろ問題点がございましてまだ折衝中だということだった。あなたにお伺いする前に運輸大臣にお尋ねしましたときにも、大蔵省と折衝中で、まだ提案するに至らないということだった。私がきょうお聞きしたいのは、いろいろ問題点があるという、その問題点はどこかということなのです。それを一つ具体的にお考えを承りたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/97
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098・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 御承知のように日本の各企業のほうについて問題になっておるのは、肥料産業、石炭産業、海運業、この三つがそれぞれ特殊な理由から、何らかの対策を政府も考えてやらなければならぬという代表的な産業になっております。それについては、それぞれ今日まで十分関係当局間で研究いたしまして、昨年から肥料産業への対策を私ども立てまして、まだ完全ではないので、今後これについての対策の検討を迫られておる問題もございますが、一応の対策はしてありますし、今起こっておるのは石炭問題、これもこの二、三日は政府部内でやっているところでございますし、それともう一つは海運の対策でございますが、これは昨年からすでに審議会の答申も出ておりますし、答申に基づいた運輸省案というようなものも一応できておりますので、これを中心に関係省の間で十分な検討を行なって、そうして今国会中には法律案も出せる運びになるまでにひとつやろうという話し合いになっておりまして、大蔵省は大蔵省の内部においても、私は予算編成のときからこの案についていろいろ研究を指示してございますので、運輸省と十分相談の上の具体案を作りたいというふうに今考えてやっている最中でございます。で、問題は、海運には海運の特殊事情がありますので、その特殊事情に応じた対策を立てるべきだと思うのですが、今申しましたように、ほかにも同様な産業があり、また一般産業との関係がございますので、特殊性に応じた対策ならよろしゅうございますが、ただ、海運の競争力をつけるというために、対策のとり方いかんによっては他産業との関係も出てきてむずかしい問題になりますので、私は海運に対しては特殊事情等からこういう対策をとるのもやむを得ないと、りっぱに理屈のつく対策をするのが一番いいだろうというふうに考えますが、やはり幾つかの問題があろうと思います。で、うしろ向きの問題をある程度片づけないと、海運界というのは今後も今言ったような長期計画の線に沿って進行するということはむずかしいという問題がございますから、うしろ向きの対策はしなければならぬと思っておりますが、その場合に、利子のたな上げというところまで踏み切るというなら、一体普通の会社、一般産業であったら、減資をする、ここまできたら償却も何もできないというところにきたとすれば、まず株主が一部犠牲を受けて減資をすれば立ち直りが早いし、配当の復活もできるというようなことになる。一般会社なり産業界なりはそういう措置をとるが、それは海運界に無理かどうか。じゃそれはやらないで、利子のたな上げということ一つにしぼるためにその辺の問題をどういうふうに位置づけるかというような問題も、みんな一つ一つ問題としては出てきておりますので、そこのけじめをはっきりつけて、そうして法律に、こういう方向で政府は措置するというものを書こうということでございますから、すぐにたな上げを何割やってやるというふうに、そう簡単にもいかない問題がございますので、そこらを慎重に事務間で十分まとめてやろうということでやっておるのですから、もうそのうちに大体の具体案はまとまると思いますが、問題点はたくさんあろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/98
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099・松浦清一
○松浦清一君 石炭産業だとかその他のよそのものは私は言いませんが、この委員会でも私はほかのことは一切言わぬことにして、海運だけしか言わぬのだから、ほかのことはどうこう言いませんが、これは釈迦に説法ですけれども、日本の海運が国に対して何とかひとつ助成してもらいたい、こういうことを要請しているその原因は、ほかの産業に比べてちょっと特殊な事情があるのですね。と申しますのは何べんも私繰り返して言うのですけれども、戦争被害で一番大きいものは日本の海運です。そうして日本の経済政策を遂行するために最も必要なものも海運です。戦争被害が一番大きかった。そうして日本の経済政策遂行のために海運の負うべき経済効果というものは一番大きいわけですね。どんなに戦争の被害が大きかったかといえば、御承知のとおり戦争中は五トンの船から徴用されたんですね。陸上の重要産業もずいぶん徴用もされたし、しからざるものは廃業させられたところもありましたけれども……。そうしてほとんどの船が戦争のために人間と一緒に沈められたわけです。それは戦争の犠牲というものは海運だけじゃないという反論をたびたび私は受けておるわけであります。そのたびに私は説明をしてきたのは、陸上の産業であれば会社工場が焼かれ、つぶされても土地くらいは残った。しかし日本の船というものは何にも残らず根こそぎにやられてしまった。二十六億とか、七億とか当時の価格で言っておるのですけれども、時価に換算すれば七千億にもなろうかと思うのですが、それに対して一銭の補償もしてもらえないで素っ裸になってしまったわけです。全部他人資本で船を作り始めた。もしもそういう無理をして船を作らなかったならば、今の日本の出入貨物というものは、全部外国船に積み取られて、外貨々々といってみんな心配しているのに外貨はみんな持ち去られてしまっているんです。その外貨を日本に適当量保有していくという支えになっているのは、これは海運なんですね。おわかりのとおり貿易の振興、貿易の振興といったところで、無理に外国に品物を売りつけるおけにはいかない、買ってくれるだけのものしか売れないのです。それで原料は外国から仕入れなければならぬ、外貨はどんどん出ていく、その支えになっているものは貿易外収入としての海運収入なんです。これはあなたに言うのは釈迦に説法ですが、その海運を成り立たせるということは、日本の経済を強く育てていくという根幹なんです。非常に国家的な色彩が強いものです。あなたではないが、ほかの大臣のところに予算編成のときに行ったところ、君らがいけぬなら全部船は必要量を国で作る、海運会社がやらぬのならやらぬでもいいじゃないか、私の知っている造船会社で五はいや十ぱいの船なら作れるという、あほうみたいなことを言った大臣がおりましたけれども、そういう認識を日本海運に対して持っておられては困るんです。私は船のことばかり言っておるけれども、何々会社を助けようとか、そういうみみっちい考えでものを言っておるのではないのです。日本経済の支えの根幹としての海運というものをやって、そして流れていく外貨を何ぼかでも食いとめていくということに力をいたさなければならない、これは国策でなければならない。船会社が何かむちゃくちゃに金づかいが荒くて、ばかげたことをやっておって、こんなになったのかというと、そうではない。一銭も金なしで、全部他人資本で船を作ったから、借金もできるし、利子もかさんでくる、これが今日の状態です。外国ではイギリスでもアメリカでも船は喪失しなかった。一番船を喪失したドイツは無利子で船を作らせた、これもあなた御承知のとおりです。海運会社が外航船舶を建造するというときには、あるいは焼かれた家を建てるときには、それには法人が金を貸してやれば、それだけ所得から控除された、そういう措置を講じて、そして船を作ってきた。日本だけは戦争のために船を失ったけれども、全部人から金を借りて船を作ってきた、それだけの開きがある。大蔵省側でも減資をしたらどうだというようなことを言っておられる話はずいぶん前から聞いておりますけれども、一体それなら今の船会社が半額に減資をしたら、配当のできるような状態になるかというと、ならぬのですよ。そして今の経営担当者が、十六年間無配を続けてきた会社の経営を担当して、どういう顔をして株主に、減資をいたしますからなんて言えますか。お前ら勝手に困るなら困れというような顔をしておられないでしょう。全然国に貢献することなき産業であるならば別である。しかし日本の国の経済のために絶対必要な産業であるのに、そんなことは言えないですよね。それだからといって、私は何千億もロスにしてしまったその船会社に、それを半分でも返してやれとかそういう言い方をするのじゃない。どうにかやっていけるような態勢に置かなければ、船会社はこのままほおっておけばつぶれるでしょう、別に国から見ればへでもないかもしれないが、そのことが、日本経済それから所得倍増政策に及ぼす影響というものをおそれるから私は申し上げているのです。今あなたはなかなかできないと言う。もたもたしているのは大蔵省だけではないのですか。だれだって海運産業の国際競争力を強化しなければならぬということに反対している人はない。昨年の春ごろから、いよいよ日本の海運はいかぬ、何とかしなければいかぬというのが、天下の世論です。反対している人は知らないで反対している。その内容がわかれば反対のできない、そういう本質的な問題なのです。あなたから聞いたことじゃないけれども、新聞等で散見している大蔵官僚さんの船というものに対する考え方が根本的に間違っている。それはあなたのところはずいぶん頭のいい人ばかりそろえて、財政経済の日本の最もすぐれた人材をそろえておられるのですけれども、海運というものに対する見方というものは、ほかの国の経済に貢献しない産業と同じように見ておられる。これは私は遺憾に思う。あなたは病人ですから、言葉を少なくするため、私から言いますが、何か法案を出すとかいろいろやっておられると言うけれども、あなたが考えておられるうらに国会は終わりますよ。国会が終わったら、運輸省にある審議会というものは一体どんなことになるのですか、何もすることがなくて、開店休業ではないですか。考えているのではなしに、実行して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/99
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100・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) あなたの言うことはある程度わかりますが、やはり一つの産業に国費をもってこれを特別に助成するというようなことをやるとするからには、よほど他産業との関係、それから特殊性に応じてもっともであるということでやらなければ、私は間違うと考えている。現に私が与党の政調会長のときには、この海運については、ここで利子補給策を国が踏み切るべきだということはまとまらなかったのですが、私は政調会であの案を立案して、参議院における提案趣旨の説明は私がやりました。私は造船疑獄にはむろん引っかかりませんでしたが、この政策を踏み切ってあれをやったということで、ずいぶん当時非難を受けたり、いろいろなことがございましたが、私はあの政策ぐらいやるべきだ、やったことは今でも正しかったと思っておりますが、その後、あのときやったのを、一時停止というような措置までとられてしまって今日に来ているという問題もございますし、それから今申しましたように、減資案という結論は今出ておりません、しかし、やはり民間では、そういう場合にいったら減資案というものが当然出てくるのに、なぜ海運だけにそういうことをやらないで、国が一方的に船に援助するかという問題に対しても、われわれは答えなければいかぬ。海運はこうなのだから、減資という案をもって臨めないのだというはっきりした見当を立てていかなければならぬし、法案としていやしくも国が一つの産業の助成策を作るというときには、よほどわれわれとしては綿密なることが必要だ、筋が通っているというもので対処すべきだと考えております。政府資金によって援助されているあらゆる問題がございますからには——船が立ち行かないなら、これをどうする。しかし、自己資本で、政府の世話にならなくて自分で作った船に対しては何もしないで、片手落ちにならぬかというような問題、相当たくさんの問題がございますので——私どもはそれを一つ一つ検討して、妥当な線を引こうとしているわけでありまして、大蔵省の考えが根本的に間違っているとかなんとかいう私は問題だとは思っておりません。この問題と取り組んでいる私としては、相当慎重にこの問題は十分な検討をして、これで妥当だということで助成策をやるということでございまして、考え方が根本的に間違っているというふうには私どもは思っておりません。たとえば積み取り比率といったって、積み取り比率がこれだけなければ日本の産業がつぶれるかというと、そうじゃなくて、日本の積み取り比率は世界でも高い比率です。イギリスが一番大きいかもしれませんが、ドイツを見てもアメリカを見ても、船の積み取り比率が日本ほどやっているところはない。だから積み取り比率がこれだけなかったならば国はどうにもならないというのじゃなく、日本としてはこのくらいの積み取り比率にするのがベターで、将来のためにいいというわけでありますから、積み取り比率をここまでふやさなければ、日本の海運は大へんだから助成しろというのは、私は理屈にならぬと思いますし、そういう陳情の趣旨について、これは筋が違う、こういう意味から、われわれ援助するんだというものをもっとはっきり政府としてはして、堂々たる援助策をとりたいというのが私の考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/100
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101・松浦清一
○松浦清一君 利子補給とか、それから開銀利子のたな上げというようなことを、世間では何か船会社にくれてやるというようなことに考えている。それからわれわれも言葉が足らずに、そういう誤解を与えることがずいぶん多いんですが、利子補給だって返すのですから、やってしまうんじゃないんです。船会社が一定の利潤を上げて配当ができるようになれば支払い義務がある。それから今の開銀利子の支払い猶予だって、やっていけるような状態になれば返さなければならぬのですから、やるんじゃないんですから、結果的には、そうすれば立ち直るという情勢判断ができれば、そうしてやれば、いずれはこれは国へ返ってくるんですから、やってしまうわけじゃないでしょう。丸損になるわけじゃないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/101
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102・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) それはお説のとおりでして、利子補給もそういう意味でくれるわけではありませんが、しかしながら、合理化を叫ばれている日本の各産業が、利子補給をやるならば、われわれのほうはこの程度の長さでこれだけの薄い程度でいいから利子補給してくれということが各産業の要求になってきておりますので、そこまでいかないで、海運だけにはやむを得ずやるんだという線を引くためにも、相当私どもはこの産業の特殊性という問題についての分析をやって、これを、全部みんなおれのほうもやってくれやってくれというようなものに対しては、これはやるべきじゃないと、海運は現在、だからこの程度の範囲のものをやることは至当だというようなことで結論を出していくべきものであろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/102
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103・松浦清一
○松浦清一君 私はほかの産業をほおっておいても、海運だけに手厚い助成の措置を講ずべきだということは毛頭考えていないんです。結局国の立場から見た経済効果の必要度の問題なんです。国が財政資金を使うということは、その使った結果上げられる経済効果が高いか低いかというここによって判断しなければならぬ。それには、はっきりと申しますけれども、海運の運賃収入というものが手持ち外貨のことを心配しなければならぬような現状にある日本の産業経済の上から判断して、やはり貿易外収入が多ければ多いほどその経済効果というものは高いといえるんですよ、だから私の見解というものは、海運だけが得したらいいといったそういうことは毛頭考えていないんで、やはりその根幹をなす思想は、日本の経済の自立強化というところに根本的な問題がある、海運よりもっと重要なものがあれば、ひとつ教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/103
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104・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) おおよそわかっておりますが、私のほうでは、やるとすれば政府は全産業を持っているわけでございますから、海運にそういう措置をやるというからには、他との関連において、ほかができなくても海運にこういうことをするのは妥当だという、全体との関連を私どものほうとしてははっきりそこを区別をつけてやるのでなかったら、政府施策にはなりませんので、大体海運にそういうことをやるにしてもよそとのつり合いにおいてとの産業についてはこの程度のことをするのが至当だ、海運についてはこの程度のことをするのが至当だということで、幾つかの産業対策を今迫られておりますときでございますから、その間の均衡をとった施策をしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/104
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105・松浦清一
○松浦清一君 それじゃやはり海運というのはその必要度において、必要度が一番経済効果の上から考えて高いのだと、こういうことはお認めなさいますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/105
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106・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 海運政策の必要なことは十分認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/106
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107・松浦清一
○松浦清一君 それで、これは検討中だとおっしゃるのですけれども、いつごろまでにそれができ上がりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/107
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108・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) これは運輸省とはすぐにでもこの相談をすることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/108
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109・松浦清一
○松浦清一君 運輸省のほうじゃ一生懸命やっているつもりでいるのですけれども、なまけているんですかな。一生懸命やっているんだが、大蔵省ががんとしてきかないという印象を私は受けているのだけれども、そんなになまけているんですかね、運輸省は。これはどうです。大臣同志で相談なさったことがあるんですか、その具体的なことを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/109
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110・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 十分相談しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/110
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111・松浦清一
○松浦清一君 この間運輸大臣に何回相談したかと言ったら、返事しなかったですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/111
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112・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 海運会社は非常に数が多いものですから、したがってその個々の海運会社について事務的に検討すべき材料が非常に必要でありますので、運輸省もなまけているわけじゃございませんが、そういったものを今含めまして検討しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/112
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113・松浦清一
○松浦清一君 運輸大臣の発言があったから聞くのですけれども、新聞等で、もう運輸省あきらめたような情報がひんぴんとして流れているのですけれどもね、まだあきらめないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/113
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114・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) どういう新聞か存じませんが、決してあきらめてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/114
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115・松浦清一
○松浦清一君 これからどういうふうにして御措置なさいますか。もうちょっと積極的におやりにならぬと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/115
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116・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) これからいよいよ積極的に、大蔵大臣とも相談の段階に入る時期がもう参りつつあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/116
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117・松浦清一
○松浦清一君 大蔵大臣、早く病気なおられて、万一運輸大臣から折衝の話を受けたら、もう積極的にこれを進めてやってほしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/117
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118・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 今事務当局から聞きましたら、運輸省との話で、もう一つ将来の見通しの問題に対する重要な資料が残っておって、この相談で運輸省は今その資料を作っておる最中なんで、事務当局もその資料ができてからこの問題に入る、そこまでの段階に入っているのだ、今、あとから報告がありましたが、そういう情勢でございますから、資料が整い次第、具体的な相談に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/118
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119・松浦清一
○松浦清一君 相談じゃなしに、それが出たらやるのだとおっしゃっていただければ、はなはだけっこうだな。運輸省も一生懸命やっておられるだろうが、相談をする段階じゃおそい。もう国会は済んじゃう。もう去年の暮れの予算が終わったときから、大臣同士はお互いに国会のほうがお忙しかったでしょうから、事務当局の折衝というものは引き続いて行なわれていたものと私は理解していた。どうでしょう。その資料が運輸省側から出てきたら、また何かけちをつけて、これじゃ、あかんというようなことじゃ困るのですがね。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/119
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120・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) そういう方向にはなっていません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/120
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121・松浦清一
○松浦清一君 大蔵大臣、冗談じゃないですよ。それはほんとうに真剣に受けて立ってひとつやってもらいたい。
それから、これも新聞の記事だから、そういうことは関知せぬと言って、あなたは逃げられればおしまいですが、大蔵省の事務当局のほうから、つまり日本の外航船舶をそんなに増強しなくてもいいという考え方が、大蔵省内に一つの考え方として流れているわけですね。それはこういうことを言っているのだ。「邦船の積取比率を六三%に上げたいということだが、海運国の英国でさえ輸入は五一%で、日本は必ずしも劣っていない。船舶の経済的運航のためには積取比率には自ら限界がある。」こういう一つの見解を持っているわけです。私はこれとは全く対立する意見を持っている。イギリスだとか、ああいう国は手持ち外貨に不安はないわけですね。海運収入の何億ドルか、けちくさいことを言うなとおっしゃるかもしれませんけれども、それでも純粋に日本の手持ち外貨に影響をもたらすのが積み取り比率を高めるということです。だから、イギリスが五一%だから日本が六三%に上げる必要がないと、こう大蔵省側がおっしゃるのであれば、一昨年の所得倍増政策を立てられたときにその意見を出すべきだった。あの企画は経済企画庁でやったのでしょうけれども、閣議決定をして天下に声明をした所得倍増政策なんです。そのときに大蔵省側からの何らの意見も出されないで、あれを承認されておいて、そして今になってから、イギリスでさえ五一%だから、そう積み取り比率は問題でないとおっしゃることはおかしい。どうでしょう、大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/121
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122・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) これは大蔵省の見解として述べられている意見や何かではございません。ただ、この問題を検討している過程においては、これはあらゆる角度からの検討をやっておりますから、いろいろな意見が出てくることはございます。が、大蔵省の見解というまとまった見解ではございませんが、たとえば船における外貨の手取り率というのがどれくらいかとなりますと、船は外貨をかせぎますが、反対に相当外国に外貨を払う部分もありますので、この手取り率から見たら、早い話が、一切資材を外国に負わない国内の硫安なら硫安みたいなものをそっくり大じかけに外国へ売るというようなことをしたら、これは手取り率はもっと船よりはるかに多いものですし、そういうような手取り率というようなものから見たら、船はどの地位にあるか、産業間のどの地位にあるかというようなものも、全部われわれのところではやっておりますので、その過程において、そういう話が出るということは、これはあるかもしれませんが、大蔵省の見解じゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/122
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123・松浦清一
○松浦清一君 わかりました、「船舶の経済的運航のためには積取比率には自ら限界がある。」これは大蔵省の定説ではない。これはわかりました。
その次に問題にしておるのは、「国際収支改善が旗じるしだが、外航船舶一重量トンがかせぐ外貨は年間約七十二ドルに対し、燃料購入や港湾経費の支払いが大きいため、実質の手取はそのほぼ半分の三十七ドルとなる。百万重量トンの外航船舶の場合、年間三千七百万ドルの外貨をかせぐが、このためには約五百二十億円の建造費が必要で、鉄鋼原料の輸入で失う外貨の方が大きい。」これはもう少し計算をしてみなければ、私も自信が持てませんけれども、そういうことをいえば、一体鉄鋼産業にも影響を及ぼしてくるのですが、これは大蔵省側の正しい見解でございますか。つまり船を作ったって損をするから作らぬでもいいということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/123
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124・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 私がそういう計算にはならぬと思いますが、ただ、国際収支という問題の改善というと、これは長期対策の意味において船の重要性を認めますが、今年度なら今年度多く作るということは、今年度中にはかせがないものですし、しかし、要するに外貨計算をしましたら、ことし大きい造船計画をかりにやるとしましたら、今年度は、船を作ることは国際収支の赤字を増すということであって、問題は、海運対策というものは長期対策であるべきなんだから、さっき言われましたような十年計画を変更せずにやるが、年次計画というものは、国際収支の事情や、そういうものを考えて、年次計画を立てたらいいという議論は、仮定でございましたが、船を作ったらすぐ損だという計算は、大蔵省ではしておりません。長期計画としては、将来の対策としては、船は作らなければならぬという結論には間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/124
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125・松浦清一
○松浦清一君 私は、今年度のことを言っておるんじゃないですよ、今年度のことを限定して言えば、これは船ばかりでなしに、そんな、もう今設備投資をやった——船を作るということは設備投資だとは理解していないのですよ。考えないのですよ。大きな意味で設備投資であるかもしれぬけれども、工場を建てるという意味と、船を作るというのはちょっと意味が違うと思います。そういう私は理解の上に立っている。船を作るとすれば、これは半年あれば船はできますね。船ができればすぐに荷物を運びます。工場建設というのは、そう簡単には参らぬのじゃないですか。七兆六千億とか七千億とかいっておる一般産業の設備投資が、これはフルに回転を始めるのは、おそらくことしじゅうにフルに回転は始まらぬでしょう。しかし船はその年のうちにもう稼動を始めます。それだから、たとえばそれが、百歩譲って、設備投資であったにしても、その投資が経済効果を上げるのは、一般の産業よりも船のほうが早い。これはもう否定することはできない。そうすれば、今あなたのおっしゃったように、長期計画としての船舶の建造というものは認めるけれども、ことし船を作って、ことしその外貨をかせいで、経済効果が上がるものではないという判断は、それは残念ながら私はあなたの意見に同意することはできない。だからそれはよろしい、議論になりますから。長期計画としての外航船舶の増強ということについては、ここに書いてあるようなことは、あなたの御意見ではないと了承しておきます。
それからもう一つ問題があるのは、これは少し教えてもらいたいのですけれども、もしも開銀の利子の支払い猶予をした場合には、五十億になるか六十億になるか知りませんけれども、海運会社から利子として支払われるものが少なくなるから、それだけ開銀の納付金が少なくなり、ガリオア、エロアの支払いに支障が起こるから問題があるのだという説を大蔵省側から流されておる。これもうそだとおっしゃれば、そんなことないとおっしゃればしまいですけれども、この見解について、そんな影響があるかどうかひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/125
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126・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) それは今野党側か言っていることで、もしこういうことをやったとすれば、開銀の納付金が減る、減ったら今政府が計画しているガリオアの支払い計画に現実に響いてくるのじゃないか、計算は足りてもその金額が足りなくなって、一時どこかの会計から立てかえということが起こるだろう、いやしくも立てかえが起こるなら二重払いと言えるじゃないか、これをたてにとって、いろいろ二重払い論をやっているのは野党側でございますが、私は、そうじゃなくて、ガリオア・エロアの資金が今四千億円以上になっておって、全部払っても、その半分の二千億円で済むのだが、そのもとをくずさずに払いたい。ガリオア資金の運用利益、利子からりっぱに十五年間に払っていって、まだおつりがきて、元はそっくり残るのだから、計算の上において二重払いの問題は一切ないのだという説明をしておりますが、そのとおりであって、これはガリオア、エロアを国民の税金で払うという事態は一切ない。ただ、たまたま開発銀行の納付金が減るといっても、計算上は合っていることであって、それがかりに海運対策というものが新たにできて、そのために納付金が減って、減った分をほかの会計からそれを立てかえるとか、穴を埋めるために融通するとか、何年間融通するという事態が起こっても、これは別個の政策によって出てくるやりくりの問題になるのだから、ガリオアとは無関係だと私どもは言っているのですが、それを無関係にはならないのだ、そういうやり方がいいのか悪いのかという批判は、今むしろ野党側から出されている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/126
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127・松浦清一
○松浦清一君 私の考えは間違いかもしれぬが、間違いであればお教え願いたいのだが、確かに五十億か六十億か知らないけれども、利子の納付金が少なくなるという面はできるでしょう。そのかわり今開銀に約三百億の支払いの延滞額があるわけですね、五十三社で約三百億、数字は違うかもしれないけれども、その程度あるのです。そうしたら利子は五年間猶予してもらうけれども、借金の元本からそれ相当額が開銀に返ってくるわけです。利子を待ってもらってそのほかに使おうというのじゃない、つまり借金の元金を減らすために猶予してもらいたい、こう言っているんですから、元金からそれ相当額が開銀に返ってくるんですから、元金が返済されていくんですから、開銀の資金操作に何の差しつかえもない。とこにガリオア、エロアと言っているけれども、そこまで問題を広げていったら大きくなり過ぎるから、海運に限定した開銀の中の資金操作は、利子は支払いを猶予してもらうけれども、元金を返していくから、大体予定される金というものは開銀に返ってくるわけだ、かまわないのだと思うのですが、間違えておりますか、間違えておったら教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/127
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128・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) それは開銀の資産であっても収益ではございません。全然別問題で、その中から払うということはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/128
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129・松浦清一
○松浦清一君 ちょっとそれがわかりかねるのですが……。つまり、もしも利子の支払い猶予をすれば、その額だけ開銀に入っていくのが少なくなる、その金額だけが、利子を納めるべきものが猶予されるのだから、入っていかなくなる、だからガリオア・エロアは別にして、どこかほかへ向ける財政資金計画に支障が起こる、こういうのが理由であれば、われわれが言っておるのは、利子の支払い猶予された部分は元金を返していこうというのですから、早く借金を減らして経営基盤を強化するために返していこうというのだから、その開銀の資金操作の中で金が少なくなって困るという現象は起こらぬ、これはしろうと考えかもしれぬが、そういろ見方をするのは間違いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/129
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130・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 開銀自体の金繰りの問題とはそれは別でして、そういうものが開銀に返ってきても、開銀の納付金とは全然別問題ですから、ガリオア・エロアは納付金で払うという以上は、利子たな上げをすればその納付金が減る、収益の部分が減ることははっきりしておりますから、そこの差については生じてきますが、元金が返ることは全然別問題です。納付金とは無関係です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/130
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131・松浦清一
○松浦清一君 それではやはりガリオア・エロアの返済には支障が起こるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/131
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132・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 計算ははっきりしておりまして、切り捨てた金ではないから、あとから埋め合わせてくるから、計算では支障はございませんが、一定期間立てかえという問題はガリオア、エロアの面において出てくるということは言えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/132
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133・松浦清一
○松浦清一君 そうすると、できないことはないということですね、別段に国が財政措置を講じなくても、支払い猶予された部分だけ国の財政から開銀に振り込むと、そういうことをしなくとも、一時立てかえかなんかの形において操作はできると、できないことはないと、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/133
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134・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) できないことはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/134
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135・松浦清一
○松浦清一君 それならば、すみやかに法律を作られて基盤強化をやったらどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/135
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136・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) だから、私どもはこの問題は分けて、かりに海運対策のためにそういう事態ができても、別個の海運の政策のために政府の別個の政策のために与えたひずみであるから、それによってガリオアの返済計画の性格が変わったとかいうようなことはないんだと、区別して私どもは考えておりますから、この具体案ができたら立法するという考え方を持っておりますが、これに対しては、たださっき申しましたように、そういうことをやることは云々という批判は、事前にたくさん出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/136
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137・松浦清一
○松浦清一君 支払い猶予をした部分についての、たとえば開銀の中における資金操作の問題は別として、運輸省のほうから、先ほどあなたのおっしゃった、どういう資料か知りません、資料が出てくれば、検討してすみやかにこの法律案を出すと、こういうふうに了解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/137
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138・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) われわれ具体案ができれば法律にしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/138
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139・松浦清一
○松浦清一君 「できれば」って、そうお軽い御返事では困るのです。できればしようと思ったけれども、できなかったと逃げられるおそれがあるから、すると、どうしても運輸省側から出てくる資料というものを大蔵省が理解できないというのであれば別問題だけれども、また何だかんだどこからか言われはせぬかと考えて、ちゅうちょ逡巡しているような状態の節も見られるのです。そんなことはないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/139
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140・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) それはありませんが、今さっきの答弁、もう一ぺんはっきり申しますと、今あなたのおっしゃられたような、返済された元本は、今後その金を開銀がよそに貸す融資の原資にはなるんだ、開銀の利益にはならない、したがって、さっき私が言いましたように、産投への納付金にはこれはならない、そういう関係でございますので、今立てかえ云々と言ったのは、産投の納付金にならない、納付金が減ってくるために、産投が、もし約束どおり金を払わぬときには、そこへ立てかえ金がなければ払えないという事態になるということが起こり得る、だから海運のたな上げ措置というものを講すれば、はっきりわれわれ支払いの問題とからんでくるということは言えます。言えるが、これは政府の別個の政策によってからませられたことでございますので、産投本来の支払い計画がそれによってゆがめられることでも何でもないですから、これははっきり離して考えていいのだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/140
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141・松浦清一
○松浦清一君 くどいようですけれども、国が財政措置を講ずるか講じないかは別として、とにかく操作はできないことはないと、法律ができれば、その基盤強化に関する法律の目的と内容です、問題になるのは。その目的と内容が運輸省当局のほうから説明ができればいいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/141
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142・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 結局、目的と内容というものについての特に検討をやっていくということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/142
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143・松浦清一
○松浦清一君 どんなものが出てきても、大蔵側はそれを受け入れられないということではなくて、とにかくあなたのほうで得心のいくような資料が出てくれば、これはもう受ける。受けて法律案を出すと、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/143
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144・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) どんなものが出てきても受けるという意味ではなくて、最も合理的なものを今両省で相談し合って作ろうとしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/144
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145・松浦清一
○松浦清一君 だから、何が出ても受けてもらいたいとあなたをねじ伏せるような、そういうことを言っているのではなくて、やはりそれは国の財政のあなたは元締めだから、あなたが得心のできるようなものを持ってこなければだめでしょうけれども、だから得心のできるような材料をあなたに提供すればやると、何を持ってきてもやらなければならぬというのではなしに、得心ができるようなものを持ってくればやると、こういうことに理解をしてよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/145
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146・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) そのとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/146
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147・松浦清一
○松浦清一君 それでは、きょうは私はこれでやめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/147
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148・加賀山之雄
○加賀山之雄君 関連して。私はこの問題について、予算委員会でも総理並びに運輸大臣、それから大蔵大臣に質疑をしたわけなのですが、非常にこう公平の問題なり、それからまた非常に複雑な問題だから、深く検討しておられることはよくわかる。しかし私どもから見ると公平論というのは非常に一つのお役所の特徴になっておりますが、さっきから問答に出ていたように間違った公平論をやると、これはかえって不公平になるので、さっきお話に出た戦時補償の打ち切りというようなことは、ほかの産業とは非常に違うし、それから積み取り比率の問題で、はたしてここに積み込むのが、経済効果がどうこうという話があったことは、海運問題は経済効果も大きいし、また国として、国の経済の今後の発展並びに国力の外国に対する宣伝というとちょっと語弊があるのだが、そういう面から見て、非常に大きな意味があると思いますので、非常に私は他の産業と比較されることはいいが、そういう点を間違えずに、一つはこれも釈迦に説法になるわけだけれども、重大な御決意をもって、ひとつ大蔵大臣に善処を願いたいと思います。松浦委員の言われたことには私は全面的に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/148
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149・松浦清一
○松浦清一君 私、まだ、ちょっと尋ねたいことがあるのだけれども、大蔵大臣御無理をなすっているようだし、私も実は緊急中央執行委員会が招集されていますので、出なければなりませんから、きょうはこれで失礼することにしますが、もう少し、上期の外貨の予算がきめられたし、そういう問題を、今の大したことではないとおっしゃるけれども、海運収入との関連において、大蔵大臣の御見解を承りたいわけでございますが、これは、次の機会にひとつ申し述べることにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/149
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150・天埜良吉
○理事(天埜良吉君) それでは船舶職員法の一部を改正する法律案に関する本日の質疑は、この程度にいたしまして、次回に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/150
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151・天埜良吉
○理事(天埜良吉君) 続いて、先ほどの日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を引き続き質疑を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/151
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152・大倉精一
○大倉精一君 本案は、相当質疑も繰り返しておりまするので、これ以上の質疑はやめますけれども、最後に私の所見を述べ要望を申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。
どうも質疑の中から私は感じることは、国鉄の公共性というものを、もっと厳粛に認識をする必要があるのではないかと思います。特に民間の企業に対しまするところの投資については慎重を要しなければなりませんが、その範囲とその動機について、私はいまだ釈然としないものがある。これは今後におけるところの当局の運営に対しまして厳重な関心を持ちながらこの誤まりなきを期待することにして、特にやすきについてそれでみずからの使命をなおざりにするということのないように、特に厳重に注意してもらいたい。さらに私はきょうは民業圧迫という言葉を使いませんでしたけれども、巷間非常にこれを心配しておりますので、そういうような憂いがないように、特に格段の御注意を願いたいと思います。あとは採決の場合に発言をお願いして、これをもって質問を終結いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/152
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153・金丸冨夫
○金丸冨夫君 今、大倉委員が終局的にいろいろと述べられた点は、全く同感でありますので、ただ一つ、先ほど運輸大臣が大倉委員に対してお答えになっておりましたところに関しまして、まだどうも、法文自体に対する解釈が、私はそうではないという別の考えを持っているわけであります。と申しますのは、本法におけるこの条文につきまして、この国有鉄道法の三条の一項の一、二、三、四、五の間の状況を見ますというと、相当に本法においては制約されておる、こういう運輸大臣のお答えでありますけれども、これは国鉄が直接業務の運営にあたる国有鉄道法第三条の五号までの間を見ればわかりまするように、なるほど列記的に大きいものは書いてあります。しかしながら、最後に五号において、これに関連する「前各号に掲げる業務の外第一条の目的を達成するために必要な業務」、こういうことにあるわけですから、第一条の目的にかなうかどうかというのがきめ手になるわけで、それにかなう以上は、事実これに関連する一切の業務、事業に関しても、これは行なうことができるということに相なるでありましょうし、第四号には、「前三号に掲げる業務を行うのに必要な採炭、発送電及び電気通信」というようなことが明示してありますけれども、何もこの第三号は、制限規定であるものに対して、これを特に掲げたということではないのであって、これ以外のものも、第五号によれば事実上できるのであるから、現に、ホテルも昔はやっておった。今もやっておるかもしれませんが、それから採炭でもできるし、船舶でも連絡船と、こう言われましたけれども、何でも連絡船に限ったことはない。ほんとうに第一条の目的に達すればできるということになる。だから、これは結局、第一条のこの目的自体が問題であって、その範囲においては、私は国有鉄道は事実上できるということに相なると思います。翻ってそれを受けて投資の点については、これはまさに投資ということは掲げてないのですから、初めにおいて地下鉄に投資を認めた、あるいはこのバス・ターミナルにおいて例外を認めたというようなことは、これはまさに例外的にその限度に限って実行するという問題であろうと思う。
それを今回改正するというのであって、従来と違うことは、「日本国有鉄道の運送事業と直通運輸を行なう運送事業」というのが一つふえた。これは京葉地区の臨海鉄道あたりは、もうこれがあればほかは要らない。これがあればいいと思う。ところが、「その他これらに準ずる日本国有鉄道の運送事業と密接に関連する運輸に関する事業」というのを今度は入れるわけですが、なるほど「その他これらに準ずる日本国有鉄道の運送事業」ということになりますというと、この直通運輸と共同施設、共同使用の事業以外に準ずるものができる。しかしながら、これは国有鉄道の「これらに準ずる日本国有鉄道の運送事業」じゃなくて、この「密接に関連する」ということになりますから、また、これは範囲が非常に広くなる。そうしてしかも「関連する運輸」と、「運輸」ならばまだわかる、運輸以外のものは、これには含まないということもあるのですが、ところが、これに「に関する事業」というのが入っておる。したがって、「関する事業」でありまするから、もう大体国有鉄道法の三条の範囲においては、全面的に投資ができるということに解釈することはできると思います。ただ、書き方によって、いかにも制限しておるかのごとく見えるが、事実は「運輸に関する事業」ですから、運輸事業なら、もうそれでわかるのですけれども、「運輸に関する事業」ということであるならば、運輸に関して必要な事業ということで、今度は国有鉄道法の三条及び一条の関係を考えた場合において、やはりみなできるということになると思うのです。
これはそういうことではない、そういうことは解せられぬというならば、その点をひとつ承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/153
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154・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 私は当初、この改正をいたします際に、今おっしゃいますように、日本国有鉄道法の第三条に掲げておるそういった業務について投資することができるということに書いたらどうだと、私は実は言ったわけです。ところがそう書いてみますると、実際われわれが考えておるよりも非常に広くなりまして、これは広くなり過ぎる。もう少ししぼる必要がある、最小限度目的を達するようにというので、ここまでしぼった。そこで今おっしゃいますように、まず第三条には、「第一条の目的を達成するため」というしぼりがあるじゃないかと、こうおっしゃいますが、今度の第六条には、「その業務の運営に必要がある場合には」の「業務の運営に必要がある」ということは、第一条の日本国有鉄道の目的、「これを達成するため」というよりも非常に狭い。「第一条の目的を達成するため」ということは、この目的は、これは相当広いわけでございまして、これの能率的な運営によって公共の福祉を増進することを目的とする、そうしてこのために日本国有鉄道を設立する、この「目的を達成するため」ということになると、相当広いわけでありまして、そうしてその内容を五項目に掲げているわけで、したがってそういう意味から言うと、この「業務の運営に必要がある」ということのほうは、私は狭いと、こう考えておりますが、そうして最後に述べられました、なるほど「密接に関連する運輸に関する事業」とあって、運輸事業とは=い、こうおっしゃいますが、その「運輸に関する事業」が、国有鉄道の運送事業と関連の仕方は非常に密接であって、そうしてそれは前に二つあげてあるような事柄に準ずるような密接さでなければならぬということでありますから、これはそう、どんな運輸に関する仕事でもというわけじゃないので、共同投資をして、その事業場を一緒に使うというような場合とか、あるいは直通運輸に関係しているとかというようなことに準ずるような、それに似たような事柄の「運輸に関する事業」でなければならぬぞと、こうしぼっているので、御心配になることは私はないと、こう考えております。
さしあたっての問題につきましても、先ほどお答えいたしたとおりでありまして、決してこれは第三条の各号に掲げてあるものよりも、広いというようには私は読めないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/154
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155・金丸冨夫
○金丸冨夫君 私も第三条に掲げてある範囲より広いとは思いません。しかしながら三条自体の第五号というものが、これは非常に目的にかなうと認められる場合には、これができるのですから、ほとんど民間において関連してやり得るというような事業というものは、ほとんどやれるということになるのでありますから、なるほど持って行き方、あるいは運送を行なう事業とか、あるいは「直通運輸を行なう運送事業」という工合には、なるほど書いてありまするけれども、最後のところで「に関する事業」、こういうことに相なっておりまするし、この「関する」ということは、運輸事業じゃなくて、運輸に関連する事業ということになるわけで、ニュアンスが若干違うと言えば違うが、これは事実やる場合においては、一つも変わっていないとしかとれないのです。また事実、この字句があるなら、私が当局者だったら何でもやるかもしらぬ。これはもう、その株式会社の定款を変える場合でも、こういう方法は多く、とられている例はたくさん見えるわけであります。だから結局、私が今の運輸大臣がそういうお考えで、運送事業ということがあるから、したがって少なくとも国有鉄道法第三条の各号の範囲以外に出るものではない、それよりも若干狭いのだということをお述べになるならば、これはまあすなおに受け取って私はいいと思いまするが、この条文は、はなはだもって理解に苦しむ。もって回っているようだが、それは運輸大臣が先ほど言われるように、はっきりもうそのものをちゃんとお書きになれば迷うことはない。ただ、これをわれわれが今まで議論しましたように、国有鉄道に、なるほどふさわしい、あるいは最小限度のものである、あるいはいろいろの民間事業との間における調和というものをくずすような——混乱を生じないようにやるかどうかという問題が残ると思うのであります。でありまするから、私は、やはりこの三条と一条というものは、三条と、それから本法律案とは、決して非常に狭い、制限されたものであるということは私は思わない。少なくとも国有鉄道が三条の各号の範囲においてやられる事業、しかもそれはほんとうに目的にかなう、またふさわしい事業であるということについて御考慮になりまするようにお考え願い、政府も、それに対して政令でおきめになる場合も、そういうことを考えられるし、国有鉄道も、そういうことについては民間の、問題になっているようなことは、極力避けるというような方向で措置をお願いしたい、かように要望いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/155
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156・大倉精一
○大倉精一君 先ほど最後に私の要望意見として、国鉄は、公共性の使命に徹して、第一条の目的を達成するために専念すべきであるという意味のことを申し上げましたが、さらにつけ加えて、政府に対して、国鉄が第一条の目的を達成するために行なう行為に対して、もっと積極的に支援をすべきである、政府は財政的にも、あるいはその他の面についても、これを強く要望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/156
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157・天埜良吉
○理事(天埜良吉君) ほかに御質疑はございませんか。——御質疑もないようですから、質疑を終局しまして討論に入ります。
御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、附帯決議案等もありましたら、討論中にお述べを願います。速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/157
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158・天埜良吉
○理事(天埜良吉君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/158
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159・大倉精一
○大倉精一君 私はこの際、本法案を議決するにあたりまして、次の決議案を各党共同提案とすることに全会一致の御賛同を得まして、本法案に賛成するものであります。
決議案を朗読いたします。
日本国有鉄道法の一部を改正す
る法律案に対する附帯決議案
日本国有鉄道は、日本国有鉄道法に
規定されている本来の業務を急速に
実施し国民の期待に応えるべきであ
る。この場合国鉄が早期にかつ円滑
にこれを実施するため、その資金、
施設の能率的、効率的活用をはかる
方法として、この法律により他事業
に投資するにあたっては、民業圧迫
とならぬよう留意するとともに政府
は、本法第三条に規定する国鉄の使
命に照らし、その本来の業務の範囲
において真に巳むをえずと認められ
るものに限るよう適切なる配慮をな
すべきである。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/159
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160・天埜良吉
○理事(天埜良吉君) ほかに御発言もなければ、討論を終局し、採決を行ないます。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/160
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161・天埜良吉
○理事(天埜良吉君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
次に、附帯決議案について採決を行ないます。附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/161
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162・天埜良吉
○理事(天埜良吉君) 全会一致と認めます。よって附帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。
なお、報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
本日は、これをもって散会をいたします。
午後四時五十七分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01919620403/162
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