1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月十二日(木曜日)
午前十時四十四分開会
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委員の異動
四月十一日委員田中啓一君、徳永正利
君、野本品吉君、横山フク君及び田上
松衞君辞任につき、その補欠として大
野木秀次郎君、平島敏夫君、江藤智
君、鳥畠徳次郎君及び中村正雄君を議
長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 村松 久義君
理事
天埜 良吉君
金丸 冨夫君
谷口 慶吉君
大倉 精一君
委員
江藤 智君
大野木秀次郎君
重宗 雄三君
重盛 壽治君
中村 正雄君
国務大臣
運輸大臣 斎藤 昇君
政府委員
運輸大臣官房長 広瀬 真一君
運輸省船員局長 若狭 得治君
運輸省鉄道
監督局長 岡本 悟君
運輸省自
動車局長 木村 睦男君
事務局側
常任委員
会専門員 古谷 善亮君
説明員
運輸省観光
局業務課長 富田 竜彦君
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本日の会議に付した案件
○鉄道敷設法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○運輸事情等に関する調査
(民営鉄道に関する件)
(自動車行政等に関する件)
○船舶職員法の一部を改正する法律案
(第三十九回国会内閣提出)(継続案
件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/0
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001・村松久義
○委員長(村松久義君) ただいまより委員会を開会いたします。
まず、委員の変更について御報告いたします。
昨十一日、田中啓一君、徳永正利君、野本品吉君、横山フク君、田上松衞君が辞任され、大野木秀次郎君、平島敏夫君、江藤智君、鳥畠徳次郎君、中村正雄君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/1
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002・村松久義
○委員長(村松久義君) では鉄道敷設法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより本案について提案理由の説明を聴取いたします。斎藤運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/2
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003・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま議題となりました鉄道敷設法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
御承知のように鉄道敷設法は、日本国有鉄道の敷設すべき予定鉄道線路並びに日本国有鉄道に線路の敷設を許可する場合に必要な手続等を定めたものでありますが、この法律は、大正十一年に制定せられたものでありまして、この法律の別表、すなわち予定鉄道線路につきましては、経済事情の変化等に伴いまして、数次の改正を見て今日に至っております。
最近におけるわが国の産業経済の急激な発展の傾向にかんがみまして、鉄道建設審議会におきましても、新しい事情を勘案して御検討になりまして、本年三月二十九日の同審議会において、十二線路を鉄道敷設法別表に追加するを適当と認める旨の御建議をいただきました。
政府といたしましては、日本国有鉄道の鉄道網を整備することによって、産業資源の開発並びに経済交流を促進し、もってわが国の経済発展に貢献いたしたい所存でございますので、ここに改正法律案として、御審議を願うことにいたした次第でございます。
別表に追加する十二線路の内容につきましては、別に詳細に申し上げることといたしますが、この線路を新たに追加することが、この改正案の内容でございます。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/3
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004・村松久義
○委員長(村松久義君) 次に補足説明を聴取いたします。岡本鉄道監督局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/4
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005・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 今回、新たに追加する十二線路につきまして概要を御説明いたしますが、法律案に記載した順序で申し上げます。
まず、「三十三ノ二 栃木県上三依ヨリ西那須野ニ至ル鉄道」でございますが、この鉄道は、会津線の会津滝の原から今市に至ります予定線の途中上三依より分かれまして塩原を経て東北本線西那須野に至る約四十一キロの鉄道であります。
本鉄道は、会津地方を関東に短絡いたしまして、この地方の開発を促進するものでありますが、日光国立公園地帯を通りますので着工線となりました野岩線(会津滝の原−今市間)とともに観光回遊ルートとしても有望な線であります。線路は山岳地帯を通りますので比較的トンネルが多く工事量は相当多い見込みであります。
次は「三十九ノ二 茨城県鹿島ヨリ千葉県佐原ニ至ル鉄道」でありますが、この鉄道は現在調査線として継続調査いたしております予定線水戸−鹿島間をさらに延長いたしまして、成田線佐原に連絡する約十八キロの鉄道であります。
本鉄道は、常磐地区と千葉地区との短絡線を形成するものでありまして、茨城県において、最近計画しております鹿島臨海工業地帯造成計画の促進と京葉・鹿島両臨海工業地帯を直結する主要路線となり得る線路であります。
経過地はおおむね平坦地でありまして、利根川に相当大規模な架橋を必要としますがそのほかは、特別な構造物もなく工事は容易の見込みであります。
次は「四十九ノ二 千葉県船橋ヨリ小金に至ル鉄道」でありますが、この鉄道は総武本線船橋と常磐線北小金(松戸市小金)を短絡する延長約二十一キロの鉄道であります。
本鉄道は、今後相当大規模な輸送対策を必要とする京葉工業地帯に集散する貨物をこの線を介して現在着工線となっております武蔵野線によって、東北、信越、中央、常磐の各方面に輸送することができるようにするものであります。
そのほか、総武本線、常磐線の救済となり、ひいてはこの方面の通勤輸送緩和策の一つともなる線路であります。
経過地は平坦地で特別の構造物もなく工事は容易の見込みであります。
次は「五十五ノ三 新潟県直江津ヨリ松代附近ヲ経テ六日町二至ル鉄道及松代附近ヨリ分岐シテ湯沢ニ至ル鉄道」であります。
この鉄道は、信越線直江津より松代、十日町を経て上越線六日町に至ります延長約七十四キロの路線と途中松代附近から分かれまして上越線湯沢に至ります約三十九キロの鉄道であります。
本鉄道は、北陸地方と関東地方との距離を、現在の宮内経由に比較しまして著しく短縮することができるものでありまして、両経済圏を結ぶ幹線の増強として輸送経絡上の意義を有する鉄道であるとともに頸城地方に交通の便を与え、その開発に資するものであります。
経過地は一部錯雑した区間及び地すべり地区がありますが、工事はさほど困難ではない見込みであります。
次は「六十八ノ二 石川県飯田ヨリ蛸島ニ至ル鉄道」でありますが、この鉄道は、目下工事中の能登線(穴水−飯田間)の終端から約三・七キロ延長して蛸島に至る鉄道であります。
本鉄道は、能登半島の開発を主目的といたします能登線の終端をこの附近の唯一の港である蛸島まで延長することにより開発の効果をさらに高めるものであります。
経過地は平坦でありますのと、距離も短いので、工事は容易であります。次は「七十二ノ二 愛知県瀬戸ヨリ稲沢ニ至ル鉄道」でありますが、この鉄道は、着工線となっております岡多線(岡崎−多治見間)の途中瀬戸と東海道本線稲沢操車場を短絡いたします名古屋市北方外郭線でありまして、延長約三十二キロの鉄道であります。
本鉄道は、岡多線と合わせて大都市バイパス的役割を果たす路線として、都市中心部を通過する必要のない貨物列車等は、この線によって直接稲沢操車場に入れることができますので、都市交通の一助ともなります。また、外郭衛星都市育成を促進する効果も期待されます。
経過地は若干起伏がありますが、工事は容易の見込みであります。
次は「七十五ノ三 三重県津附近ヨリ松阪ヲ経テ伊勢ニ至ル鉄道」でありますが、この鉄道は、参宮線津付近から伊勢湾の沿岸に沿って伊勢市に至ります延長約三十六キロの鉄道であります。
本鉄道は、松阪及び伊勢市を中心とした伊勢湾沿岸の臨海工業地帯を縦走するものでありまして、伊勢線(四日市−津間)の鉄道建設計画と合わせますと、四日市及びその周辺における工業地帯と松阪及び伊勢市の工業地帯を相互に結んで一体をなす大工業地帯造成を助成するものであります、この地方には近畿日本鉄道が大体並行して営業しておりますが、最近広軌に統一したため、国鉄との貨車の受授が不可能となりまして、貨物営業を廃止いたしましたので、これら一連の工業地帯に出入する貨物に対する輸送対策として重要な路線となるものであります。
沿線は地形上相当量の架橋が必要かと考えますが、平坦地でありますので、工事は容易の見込みであります。
次は「七十五ノ四 三重県伊勢ヨリ長島ニ至ル鉄道」であります。この鉄道は、参宮線伊勢市から五ケ所を経て海岸に沿って紀勢線紀伊長島に至る延長約六十五キロの鉄道であります。
昭和三十四年七月紀勢線が全通いたしましてから紀南方面への旅客は激増しておりますが、大内山−紀伊長島間の連続する急勾配が大きな隘路の一つとなっている現状であります。紀南地方の開発として重要な唯一の幹線を、この鉄道を建設することにより改良することができるとともに、伊勢志摩国立公園地帯と吉野熊野国立公園地帯を結ぶ回遊ルートの形成としても期待される路線であります。
沿線の地形は起伏の多い海岸に沿っておりますので、若干トンネルが多く、延長も相当ありますので、工事量は比較的多い見込みであります。
次は「八十ノ二 京都府広野ヨリ大阪府長尾ニ至ル鉄道」であります。この鉄道は、奈良線新田(宇治市広野)と片町線長尾とを短絡する延長約八キロの鉄道であります。
本鉄道は、宇治地方と大阪方面とを短絡するものでありまして、現在線経由に比して通勤輸送時間を著しく短縮することができます。また宇治地方は、最近住宅、工場の建設計画等を有し相当の発展が期待されておりますので、これを助長するとともに、国鉄片町線の利用度を高めることができると考えられます。
経過地は木津川に架橋を必要といたしますが、おおむね平坦地でありますので、工事は容易の見込みであります。
次は「百十ノ四 福岡県田野浦附近ヨリ曾根ニ至ル鉄道」であります。この鉄道は、鹿児島本線門司港に連絡する国鉄貨物線の終端外浜(門司市田野浦)から周防灘の沿岸に沿って日豊本線下曾根(小倉市曾根町)に至ります延長約二十六キロの鉄道であります。
本鉄道は、裏門司臨海工業地帯の開発促進となるものでありまして、四大工業地帯として大きく発展して参りました北九州地区におきまして残された新工業地帯として、最近この裏門司地帯の立地条件が大きく注目され、すでに今年度から用地造成工事に着手いたしておりますので、近い将来においてこの地区の輸送設備整備上必要となる鉄道であります。
次に「百二十三ノ二 宮崎県恒久ヨリ内海附近ニ至ル鉄道」でありますが、この鉄道は、日豊本線南宮崎(宮崎市恒久)から日南海岸に沿って現在工事中の内海線(北郷−内海間)の終端内海附近に至ります延長約十七キロの鉄道であります。
本鉄道は、宮崎地方と日南地方の両経済圏を短絡するとともに、宮崎県南部の外郭環状線を形成するものでありまして、この地方の開発の促進が期待されます。なお、この区間には現在宮崎交通株式会社の鉄道か営業を行なっておりますが、この線路がはなはだ弱く、現状のままでは一貫輸送は事実上不可能な状態にありますことから、先般、鉄道建設審議会におきまして「日本国有鉄道において所要の措置を講じた上一貫輸送を可能ならしめることを適当と認める」旨の建議がなされております。
この措置を行なうにあたり、宮崎交通の施設を国鉄が譲り受けることにいたしておりますが、譲り受けた後なお相当の改良工事が必要でありますので、現在工事中の内海線の建設工事とともに、新線建設として一貫した工事を実施したいと考えておる次第であります。
次は「百四十二ノ四 落合ヨリ串内附近ニ至ル鉄道」でありますが、この鉄道は、根室本線落合と現在着工線となっております石狩、十勝連絡線の一部である狩勝線(新得−占冠間)の途中串内附近を短絡する延長約四・三キロの鉄道であります。
本鉄道は、狩勝線と合わせますと現在の根室本線の輸送力を大きく制限している狩勝峠の改良線として北海道の東西を結ぶ重要幹線を著しく増強することができるものであります。
石狩、十勝連絡線は長大路線でありますので、完成には相当長期間を要しますが、その間、先ずこの短絡線を利用して現在幹線の増強を行ないながら全体計画を進める計画であります。
沿線の地形は少々錯雑しておりますが、距離も短く、工事は容易であります。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/5
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006・村松久義
○委員長(村松久義君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
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007・村松久義
○委員長(村松久義君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題といたします。
質疑の通告がございますので、この際御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/7
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008・大倉精一
○大倉精一君 運輸大臣にお尋ねしますけれども、今非常に問題になっておる私鉄の争議の問題が未解決になっておりますが、聞くところによりますというと、十五、十六日の第二波のストライキが行なわれる、こういうような状態があると聞いておりますが、その後の私鉄のこの問題に対する経過はどういう工合になっているか。運輸省としてどういう工合に事情を把握されているのか、それに対する対策はいかにしておいでになるのか、これをまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/8
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009・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 労働争議はできるだけ当事者の間で解決をされることが望ましいと考えております。御承知のように私鉄の争議は、十日不幸な事態に相なりましたが、その前日、中労委におかれてもそれまであっせんの労をとってこられ、何とか調停をしたいという考えで臨んでおられたのでありますが、それがうまくいかない。そこで、当事者でひとつさらに交渉を持ってもらいたいということでおられたようであります。ところが、両方の言い分がなかなか開きがあって合わないという状態でストを迎えた。昨日も両者会談があったようでございますが、まだ妥結に至っていないということでありまして、労組の要求、経営者側のこれに対する考え方等、新聞等でも御承知であろうと思いますが、そんな状態で今日あるわけであります。十五日、六日の二日にわたるストライキの計画というものは、これは民衆の足を奪うわけでありまして、公共事業といたしましては、できるだけ公衆に迷惑をかけない方法で円満な妥結を見たい、かように考えております。
運輸省といたしましては、まだ具体的に何といいますか活動をいたしておりません。中労委とそれから両者の良識的な判断による最後の妥結点を一日も一早く見出してもらいたい、そうして大衆に迷惑のかからないようにお願いをしたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/9
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010・大倉精一
○大倉精一君 労働問題に対しましては、政府はみだりに介入すべきでないということは、これはもう論を待ちません。待ちませんが、公益事業のこういう事態に対しましては、やはり監督官庁としてその実態を十分に把握しなから、やはり適切な、何といいますか、対策を講じていかなければならぬこの対策は、むろん労働争議に介入するという、そういう意味じゃなくて、大衆の公器に対する政府としてのいろいろな対策なり措置なりというものを考えなければならぬと思うのですけれども、そういう点について、労働省との協議なり打ち合わせなりあるいは相談なりというものは、なすっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/10
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011・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 労働省も、御承知のように直接その争議には介入をしないという方針で今までおられるようであります。今度もそのようでございます。公共企業体の争議のために一般国民に非常な迷惑がかかるという事態になって参れば、あるいは政府の介入ということもあり得るわけでありますが、そういう事態にならないうちに解決をしてもらいたい。両者の動きにつきましては、労働省もまた私のほうも、労働省と密接に関係をとりながら事態の推移を見ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/11
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012・大倉精一
○大倉精一君 私は、きょうは、このことはあまり触れないつもりでおりますけれども、聞けば、私鉄のスト規制についての立法化を考えておられるということも新聞にでかでかと出ております。これはもうそういう非常識なことは私はない、こう考えておりますので、きょうはこの問題には触れません。触れませんが、どうすれば、政府のほうで法律を作って権力によってこういうものを押さえていくかというような、そういう考え方自体がきわめて危険な傾向にある。私は非常にこれを心配するものです。むしろこういうような事態になった原因というものを、政府というのは十分に考えなければだめじゃないかと思う。たとえば、私鉄運賃の問題等にいたしましても、新聞で私見ておりまするというと、一体、政府部内で意思統一がなされておるのかどうか、さっぱりこれは見当がつかない。去年の暮れからこちらに一転、二転、三転してきておる。われわれはむろん今日の物価情勢からいいまして、私鉄運賃は値上げすべきじゃないと思っておるのですけれども、どうも経企長官は、各会社の経理状態を調査して実態に即してというような発言があるかと思うと、今度は池田総理のほうで、物価政策上好ましくないからというふうなそういう発言がある。一体、私企業であるところの私鉄運賃に対するところの政府の考え方というものはどこにあるのですか。これはひとつ担当大臣の運輸大臣から伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/12
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013・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 私鉄の争議に対して、権力をもって臨むべきじゃないというお考えは、十分尊重いたしていきたいと思います。政府はすべて権力をもって物事が押えられていくと考えておりません。しかしながら、国民の中からそういうような声の起こらないような、そういう事態が望ましいと考えておるわけでございます。私鉄の運賃値上げにつきましては、たびたび申し上げておりまするように、運賃値上げと申しますか、私鉄のあり方というものに対しましては、やはり私鉄は健全な企業として成り立っていくということが必要である。これに対して運賃等も値上げしなきゃならぬ情勢であれば、事態であれば、また国がどの程度財政的な援助を与えることができるかというようなことによって、運賃値上げをやるかやらないかということが考えられると思います。池田総理と経済企画庁長官の考えが食い違っているような印象を受けたとおっしゃいますが、これは総理の言われるように、なるべく物価は上げないほうがいいわけで、そういう意味から、このために物価の値上がりムードを作らない、作っていかないようにという配慮は、政府として必要だと思います。同時に、先ほど申しましたように、自由主義経済をとっております以上は、その企業はやはり健全に経営していけるということでありませんと、その企業の健全な自由主義経済のあり方というものはこわれるわけでありまするから、そういう意味における経済企画庁長官のお説も、これは当然のことであります。両方当然のことを言っておられます。別に食い違っているわけじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/13
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014・大倉精一
○大倉精一君 その両方当然なことが食い違っておるわけなんですね。片一方は、まず物価政策を第一に考えて私鉄運賃の問題を考えるんだ、片一方はそうじゃなくて、経営の実態を調査して、その実情から考えるのだ、こういうことでありますから、これは完全に食い違っております。そこで私は物価政策から私鉄の運賃を考えるということに賛成なんです。しからば政府は、たとえば経営の実態に徴して物価政策上、現在は運賃を上げない、こう言った場合には、たとえば利子補給なりあるいはその他の方法によって私鉄の経営を助けるという、こういうことも必要じゃないかと思うんですね。そうでなければ、たとえば政策運賃でいった場合に、この政策上の重荷はだれがしようのかといえば、これは経営者がしょってもらわなければ、あるいは政府がしょってもらわなければ……。現在の実態は、それは政策運賃の重荷を労働者のほうに転稼するというふうな、こういう傾向が出ておる。これが現在の争議の実態の原因じゃないかと思うのですが、そういう点について、大臣の御認識はいかがですか。これはそういうところに原因があるから、この責任はそういう意味において私は政府に責任があると思う。これに対して……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/14
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015・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 物価政策も、企業の健全な経営ということを前提にしない物価政策はあり得ないわけでありますから、これは私は食い違っていないと思います。今回の私鉄の争議は、この運賃値上げと関係があるか、あるとおっしゃいますが、私は、やはり私鉄の従業員もその会社の経営状態というものとは無関係にあるべきではないと、かように考えております。したがって、私は労働者側も企業者側も、やはりその事業の経営がうまくいくということを考えながら、その利益をどう分け合っていくかというところに労働争議の主眼があるだろうと思っております。現在私鉄の問題として考えておりますのは、今日の交通混雑を緩和するために、さらに相当の投資をしなければならない、その資本の圧迫をどういうようにやっていくかというところが重点でありまして、いわゆる賃金の値上げを幾らやってもかまわないというような考え方で運賃を考えておるわけではないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/15
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016・大倉精一
○大倉精一君 どうも私鉄運賃ないしは私鉄の経営に対する認識というものが、私には納得のできないところがある。確かに今おっしゃったように、私鉄といたしましても相当多額の投資を必要とするというこういう事態にあることはこれは事実ですね。そこで、自由主義経済、自由競争の原則からいって、その原則のままにこの企業が活動しているならいざ知らず、その原則を政府によってチェックされている。いわゆる政策運賃によってチェックされている。チェックする以上、政府としてこれに責任を持たなければならない。私は、政策運賃として、今日の物価値上がりのおりに私鉄運賃は値上げすべきでないと固く信じている。同時に、それに対して政府として打つ手は打っていかないと、政府の責任というものは免れるわけにはいかないと思う。
そこで、今私鉄の労働者も企業の中にあるのだから、企業と運命の共同体というような御趣旨の発言があったのですが、運命共同体はけっこうなんですが、共同体であるところの私鉄の経営というものに対して、政府が政策的にこれをチェックしている。こうなれば、政府としてこれに対するところの利子補給なり何なりというこの対策を並行して立てなければ、政府の責任は免れないと思うのですが、そういう点についてはどういう対策がおありになるのか伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/16
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017・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 当面の問題といたしましては、先般から申し上げておりますように、ただいまいろいろ検討いたしております。しかしながら、この資本費の圧迫を全部国費でまかなうということは非常に困難な状態であるという程度にしかお答えできないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/17
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018・大倉精一
○大倉精一君 全部国費でまかなうのではなくて、いわゆる政府が、この物価政策上、運賃というものを据え置きにするというこの政策自体はけっこうなんですが、据え置きにしっぱなしにしておくということは、ひいては、いわゆる私鉄の設備に対する改良改善というものができなくて大衆に迷惑を及ぼす。ストライキばかりが大衆に対する迷惑ではない、そういう面からも大衆に迷惑を及ぼす。これは政府の責任で、全部国費で持つという表現でなくして、必要な部分に対して、政府は何らかの方法で私鉄の設備の改良に対する援助の手を差し伸べる、こういうことが必要ではないかと思うんですが、その点はいかかですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/18
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019・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) そういうことも含めて今いろいろ検討中だと申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/19
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020・大倉精一
○大倉精一君 何を検討しているんです。検討中という答弁は非常に便利な答弁でありまして、これは検討中であることにはだれも異議をはさむものじゃないが、いつまで検討しているか。検討している間に事態はどんどん進んでいくんです。ですから、検討はけっこうですけれども、一体、政府の私鉄に対する対策というもの、あるいは基本的な政策というものがおありにならなければならぬと思うのです。その政策なしに、ただ物価政策から運賃値上げを規制するというだけでは、これは天下の公器に対する政策ありとは言えないと思うのです。研究はけっこうですけれども、基本的な考え方としてどうなんです、運輸大臣としての考え方は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/20
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021・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 基本的な考え方といたしましては、やはり私鉄は私企業であるわけでありまするから、やはりその私鉄に要する適正な諸費用は、これは利用者負担というものが私は原則だと思っております。これを国費で——ものには例外というものはございまするけれども、原則はやはり利用者負担というものが原則である。しかしながら、除外例としてどの程度援助できるかという点を検討いたしておるわけであります。すでに、非常に費用のかかる地下の鉄道にやっていかなきゃならぬというような場合には、低利の長期融資も本質的にはやっているわけでございます。あるいは税制の面においてもすでに実現をいたしておるわけであります。これらを今後どの程度広げていくかという問題であると思っております。費用そのもの自体を国から補給をするという考え方は、まだ政府としてはとっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/21
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022・大倉精一
○大倉精一君 私鉄の場合にしても国鉄の場合にしても、利用者負担という原則、これはいいでしょう。いいでしょうが、利用者負担という原則をあなたのほうでチェックしたんじゃないですか。そうすれば、原則をチェックしておるんだから、それに対する当面の措置というものを変更しなければ、政府の責任は私は免れないと思う。研究中であったんでは、これは迷惑するのは大衆ですよ。どんどん今の交通難の緩和のために私鉄は車両の増加をしなければなるまいし、あるいは設備の改善をしなければなりますまい。これがいわゆる資金の事情からないがしろになるということになれば、迷惑するのは大衆なんです。ストライキばかりが大衆の迷惑じゃない。そういう点に対して政府は何らかの手を打ってやらなければ……。今検討中である、そんなことは検討しなくてもわかっているはずだ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/22
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023・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 政府がチェックをしたとおっしゃいましたが、まだチェックをしておらぬ。検討しておるわけでございます。その結果チェックだということになれは——チェックをしたというのはわかりませんが、今申しましたような方針で検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/23
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024・大倉精一
○大倉精一君 私は、再三言っておるように、現在の物価事情のもとにおいては私鉄運賃は値上げすべきではない。特に池田総理あたりの物価に対する認識なり最近の発言なりから見ると、非常に不穏当である。そういう中から、池田総理みずからが、私鉄運賃値上げは物価政策上好ましくない。けっこうな話だ。けっこうなお話ですけれども、これにかわる対策がない。そういう工合に、物価政策から政策運賃としてストップするという。先般、国鉄運賃値上げのときには、私は政策運賃でいくべきである、値上げをすべきじゃない。値上げすれば物価にかくかくの影響があるということを主張して反対をしたんですけれども、そのとおりになってきた。あれがきっかけになって、どんどん物価事情は変化してきた。そういうところからいっても、今度の私鉄運賃値上げというのは、これはストップするのは当然でありますけれども、それにかわるところの措置、対策がない、こういうところに今日の私鉄問題の深刻な事情ができておるのである、私はこう考えておる。どうも政府のほうでそういう認識が足りないのか、あるいは考え方がばらばらであるのか、どうもその点が私は閣内統一を欠いておるんじゃないかと思うんです。これは総理大臣の責任であるかもしれませんが、私は運輸大臣として確固たる信念を持ってこの問題に対処してもらわなければならぬと、こういう意味から私は大臣にお伺いしておる。私は今度の労働争議に対しまして、大臣がこの争議に介入しろとは申しませんけれども、そういう根本政策をこの際確立をしないというと、こういう問題というものは解決しない、私はかように考えております。もう一回伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/24
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025・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 今日の私鉄の賃上げ闘争は、政府の運賃対策等と関係があるとおっしゃいますが、しかし私は、毎年十何%という賃上げに供給し得るような、そういうような財政的なものは、私は運賃政策としてはとうていとりたくない。また政府の援助政策といたしましても、年間十何%というものを毎年々々というふうにこれをやっていくわけにも参らない。そこにはおのずから私は限度があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/25
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026・中村正雄
○中村正雄君 関連。ちょっと運輸大臣に今の問題に関連してお伺いいたしますが、従来毎年私鉄の賃金問題に関する争議があります。従来の争議の経過を見て参りますと、ほとんどの場合、経営者と労働組合との両方の自主的な交渉によって解決をいたしておるし、例外的に労働委員会によるあっせん案によって解決をしている場合もあります。しかし、いずれにいたしましても、労働組合が予定いたしておりまするストライキの前に解決するか、あるいはストライキに入りましても大体午前中で解決をしているのが従来の例年の私鉄の争議の実態です。ところが今回の争議は、十日にストライキに入って、しかもそれを過ぎても今なお自主的な解決の方向が見出せない。次は十五日に第二回目のストライキを予定している。これは今の場合解決の見通しがつかない。このように従来の争議と今回の争議は解決の見通しについて、あるいは争議の態様について相当違っているわけですが、従来の争議と違って、今回の争議がなぜこのように自主解決ができないような内容になっているか。これについて運輸大臣はどういうふうにお考えになっておるか。なぜ違っておるかという点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/26
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027・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) これはやはりそのときのいろいろの周囲の情勢で違ってくるだろうと思いますが、今までは大体三公社五現業、これらが先に片づいて、そうしてそのあとで、私鉄の団交が行なわれるという状態であったんです。賃金のその年の大体の値上げの様子がきまったあとで行なわれたわけです。このたびは御承知のように、鉄鋼が一応妥結いたしましたが、その他が妥結しない。いわゆる春闘相場がきまらないという一つの問題があるわけであります。春闘相場をあるいは私鉄がやることによって春闘相場がきまるというような状態も、私はこの争議の様相が今までと違っているところであろう。それに対して労働組合はどういうふうに考えておられるかということは、これは中村さんのほうがよく御承知であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/27
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028・中村正雄
○中村正雄君 僕は、監督官庁としての運輸大臣として、今度の労働争議の実態という面について、あまりにも認識が足りないという感じがするのです。今おっしゃいましたように、春闘相場がきまらないから解決がおくれておる、こういうふうにおっしゃいますが、過去十カ年間の例をとってみましても、私鉄の賃金の問題は、公務員なり公労協関係の賃金がきまるまでにほとんど解決いたしております。公務員なり公労協の賃金の問題がきまってから私鉄のほうもきまったというのは例外的にしかないわけなんです。そういう形式的な問題ではなくして、今まではほとんど労働委員会が介入する場合があっても、自主的に労使双方によって大体解決をつけておった。ところが、今回は自主的の解決ができない、今なお見通しがつかないということは、今までの労働争議と今度の私鉄の労働争議は非常に違う点があるからつかないのだろうと思うのです。どこが違ってこういうふうになったのかということを、運輸大臣としてもっと突き進んで考えなければ、僕は解決がつかないと思うのですが、何が根本的の原因でこのように争議が延びておるか、国民の足をとめるというような不測事態が生じておるか、これについての運輸大臣の認識を重ねてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/28
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029・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) おそらくこれは、私鉄の運賃問題を控えておるというところに相違点があるということを考えないかという御質問ではなかろうかと私は存じます。あるいはそういうふうにとられておる向きもあるかと思いますが、しかしながら運賃値上げは、これは私鉄経営の人件費の圧迫によって運賃値上げが行なわれるのだというようなことであってはならぬと私は考えております。したがいまして、議論としては関係がない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/29
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030・中村正雄
○中村正雄君 先般来新聞なんかの論評を見て参りましても、経営者のほうに自主的に解決する熱意がないということを盛んに書いておるわけなんです。その熱意のない原因というのは、運賃値上げがどうなるかということの考え方が、そういう熱意のない態度に現われておると思います。運賃値上げをするのがいいか悪いか、この議論は別にいたしまして、昨年の七月以降この問題が政府に取り上げられておって、今なおイエスかノーかの結論が出ておらない。これがやはり今度の争議の解決が長引いている根本の原因だと思うのです。と申しますのは、賃金の値上げのために運賃値上げする必要はない、また、すべきではない、このことはよくわかりますし、それは形式的には十分理論が立つと思います。しかし、私鉄の経営者にしても、やっぱり運輸収入自体が私鉄の収入の大きな部分です。これで賃金も支払わなければならないし、設備の拡張もしなくちゃいけないし、また改善もしなくちゃいけない、やはり経営の実体が運賃であります限りにおいては、運賃が上がるか上がらないか、どの程度上がり、いつから上がるか、これは経営者としては一番大きな関心でしょう。その見通しがつかない限りにおいて、賃金問題にイエスかノーかの積極的な態度を出そうにも不可能なわけなんです。したがって、私は今度の争議が延びております根本の原因は、やはり運賃値上げに対して、政府があいまいな態度をとっておる、これが根本の原因だと思うのです。したがって、監督官庁としてこの問題に対してやっぱりイエスかノーかの結論を早く出さなければならないというのが当面の問題じゃないかと僕は思いますのと、昨年の夏以降この問題が事実取り上げられておりながら今なお結論が出ないということは、これは僕は政府の怠慢だと思う。やはりこの結論が出ないことが争議の長引いている根本の原因になっている、こう思うのですが、運輸大臣どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/30
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031・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほども申しますように、この賃上げによるいわゆる原資を運賃値上げに求めなければならないというようなことでは私は困る——困るというか、そういうことであってはならぬ、かように考えているわけであります。政府が運賃の点を考えておりますのは、先ほど申しますように、交通混雑に対処するための設備投資、これに耐え得るということを考えているわけでありまして、それのイエス、ノーが出たならば、そこから得られる原資を、これをこの賃上げに使えるのだ、こういう考え方で私はまさか私鉄がいるとは考えません。したがって、経営者側が熱意がないとおっしゃいますが、私は決してそうではないと思っております。この際どの程度値上げをするのが適当であるかということを検討をしているわけでありまして、その点について労働者側とまだ意見が合うところにいかぬというのが現実であろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/31
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032・中村正雄
○中村正雄君 運賃の値上げをして、それによって得る収益によって賃金値上げをするのはいけない、それは経営者としても運賃値上げは賃金値上げのためにやると考えている経営者はいないと思う。やはり運賃を値上げすることによってやはり収入をはかり、それによって設備の拡張もやれば改善もやる。そういう経営の実態から見て、今後の運輸収入はどういうようになるかということの勘案の上に立って賃金問題に対する態度をきめると思うのです。したがって、運賃が値上げになるから賃金を上げるとか、運賃が値上げにならないから、賃金を上げられないとか、こういうようなことが題題にならないことは言うを待たないわけです。別な角度から僕は運輸大臣にお尋ねするのですが、一年以上もこの問題が政府の問題になっておって、今なお結論を出さないということは、これは運輸大臣としては怠慢だと思うのですが、どうお考えです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/32
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033・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 私鉄十四社の経営内容を個々に洗い、また設備の改善あるいは拡張に対するその計画を個々に洗い、それからさらにそれに対する政府の財政的な措置というものも考え、いたしておりますると、なかなか時間がかかりまして、運輸省だけの一存というわけにも参らず、いろいろ調査を、それから議論の調整をはかって参りますのに今日まで時間を費したというわけであります。できるだけ早く結論を出したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/33
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034・中村正雄
○中村正雄君 今までの例から考えましても、一つの私鉄の運賃問題が一年近くも議論されておった例はないと思うのです。したがって、今いろいろな面の検討のために延びておるとおっしゃいますが、事務的な調査の面でおくれているのか、政治的な結論の面においておくれているのか、いずれによっておくれているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/34
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035・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 事務的の調査、調整が非常にひまどりまして、しかし最近やっと事務的には調整がいよいよ整って参ったと言っていいような段階になって参りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/35
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036・中村正雄
○中村正雄君 鉄道監督局長にお尋ねしたいのですが、事務的な調査が非常に手間取って、昨今ようやく整ったとなりますと、なぜこのようにおくれたか、人が足らないのか、あるいは運輸省の役人がなまけておるのか、何が原因で半年も八カ月も事務的な調査に手間取ったわけですか、その理由をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/36
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037・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 運賃値上げにつきましては、今回に限って非常に作業が延びておるということを御指摘に相なったわけでございますが、今回だけではございませんで、前回も、昭和三十二年の四月に国有鉄道の運賃が改正されました際に、関係私鉄がやはり運賃改正を申請いたしておりますが、その申請に対する認可は三十三年の暮れから三十四年の初めにかけて行なわれております。つまり決定に相なりましたのに一年十カ月ばかり費しておるわけでございます。そういう例もございまして、今回だけが延びておるというわけではございませんが、今回の事務的な作業の経過を申し上げますと、やはり収支の見込みにつきまして経済企画庁といろいろ意見の相違がございまして、この調整にもずいぶんひまどりましたし、つまり新しい原価計算方式をとりまして、電気事業における原価計算方式とほぼ同じ方式をとりましたものでございますから、つまり二カ年にわたって原価計算を見まして、その平均をまあ一年間の原価ときめるわけでございますが、そういう作業につきまして相当意見の食い違いがございまして、その調整にずいぶんひまがかかったということもございますし、あるいは輸送力の増強計画の内容につきまして、個々に詳しく検討いたしまして、事業者の持って参りました輸送力増強計画を相当査定した。こういう査定の仕事もずいぶんひまがかかっておるわけでございます。また、はたしてそれだけの輸送力増強計画をやるのに資金的な裏づけはどうかというふうな資金計画の検討につきましてもずいぶん時間がかかった次第でございまして、従来やらなかったような新しい作業をつけ加えてやっております。つまり非常に慎重を期しまして、あらゆる角度から繰り返し繰り返し検討して参ったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/37
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038・中村正雄
○中村正雄君 そうしますと、私鉄の運賃問題等の今後の審議なり調査については、やはり一年近くかかるというだけのやっぱり時間を要する、調査なり事務的な折衝の面においてそのくらいの時間がかからなければ結論が出ない、こういうふうに今後は考えなければならないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/38
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039・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 今後のことを予測するということは非常に困難でございますけれども、一つの方式ができますと、特に運輸省の場合は、物価政策の担当官庁であります経済企画庁とめ意見の調整が必要でありますので、まあ経済企画庁の要求もございまして、いろいろ資料を提出したわけでございますが、その方式ができますと、次回からはそういった方式にのっとってあらかじめ資料を整えておく、こういうこともできるかと思いますので、今回のように長引くということはないのではないか、こういうふうにも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/39
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040・中村正雄
○中村正雄君 その方式といったって、前回とった方式と今回とった方式は違うわけですから、この次に問題になりますときは、今回の方式がそのまま当てはまるとも限らないわけでしょう。そのときどきのやっぱり経済情勢なり、そのときどきの見通し、内閣の方針等に従って方式は毎回お改めになるわけなんですから、今回とったと同じ方式でやられればそう時間はかからないけれども、方式を変えるとすればやはり今回なり前回なりと同じ程度のやっぱり実際上事務的な調整の段階に時間がかかる、こう解釈せざるを得なくなるわけです。私はやはり政府の方針がきまらないから事務的にも時間がかかっておる、こう解釈しておるわけですが、監督局長のお話では、事務的なそういう関係でおくれたとおっしゃるんであれば、今後もやっぱりこの程度の時間がかからなければ運賃問題の結論が出ない、こう解釈しなければいけないと思うのですが、その点についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/40
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041・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 原価計算方式は、そうしばしば変えるものではございません。電気事業法関係につきましても御承知のように原価計算方式は、通産省令でちゃんときめておりまして、毎年その方式で——毎年と申しますか、申請がありました際には、そのつどその原価計算方式にのっとって原価を計算しておるわけでございます。そこで運輸省といたしましても、私鉄関係につきましては、今後は大体この方式にのっとって計算していく、かように考えておりますし、また、それを変えなければならないことはここ当分の間出てこない、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/41
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042・中村正雄
○中村正雄君 運輸大臣にお尋ねしますが、運賃値上げができれば賃金問題も相当考えられる、運賃値上げができなければ考えられないというようなことのよしあしは別にして、今度の争議のやっぱり解決のおくれておる原因は、運賃値上げがどうなるかきまっておらない、これが一番大きな原因だと私は考えているんですが、運輸大臣はこの問題は無関係だとお考えになりますが、それともやはり関係があって延びておるとお考えになりますか、率直に僕は御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/42
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043・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 私はおっしゃいますようにあるいは両者とも心理的にはそういうような感じがあるのじゃないかと思っておりますけれども、この心理的な感じは誤りであるということをはっきり認識をしてこの賃金問題はきめてもらいたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/43
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044・中村正雄
○中村正雄君 十五日には一応予定されているわけです、次のストライキが。これによってやっぱり大衆の足はとまるわけで、監督官庁としては何らかの手を打たなければいけない。その前提条件は、争議がやっぱり解決するということにあるわけです。そういたしますると、この問題の解決を一日も早くするということは、やっぱり運輸大臣としても当然監督官庁として考えなくてはいけないと思う。したがって、今おっしゃいましたように、経営者側に対しまして、運賃の問題は別にして早期に解決をはかるということについて、運輸大臣として何らかの指示なり、やっぱり話をする意思があるかどうか。もう一つの問題は、この問題が十五日のストライキを回避するために、解決つけられるかどうかの見通しについてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/44
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045・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 私も十五日、六日のストはぜひ避けてもらいたいと思っております。この問題は、やはり中労委に調停を両方とも申し出ているわけでありますから、したがって中労委が、さじを投げてしまったというなら格別でありますけれども、まだ中労委も結論を出さないわけでありますから、中労委の結論を、もし両当事者でいけなければ、早く出してもらって、そうしてそれに両者が従ってもらうのが、私は今日の労働争議の解決方法であろうと、かように考えております。総理大臣が直接関与をするという道も最後には残されておりますが、最後のそういった宝刀は抜かないで進んで参りたい。そういう気持で私は使用者側に対しても、あるいは労働者側に対してもお願いをいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/45
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046・中村正雄
○中村正雄君 今の段階では、中労委も自主的に話をしろということを勧めて、双方で話し合いをしているという段階です。したがって運輸大臣のお話を聞けば、すべては中労委まかせ、こういうような感じを受けるわけなんですが、中労委が十五日までに解決の何らかの措置が打てなければ、十五日のストライキもこれはやむを得ない。何ら打つ手はないと、こういうふうなお考えになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/46
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047・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 打てなければという前提でお答えを申し上げますことは、非常に微妙な段階でございまするから、ひとつ答弁はお許しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/47
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048・中村正雄
○中村正雄君 そうしますと、十五日のストライキを回避することについて、運輸大臣はどういう方法をお考えになっているんです。中労委以外の手として運輸大臣としては何をお考えになっているか、所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/48
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049・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほど申し上げますとおり、これ以上申し上げますことは、そういう微妙な影響をもたらすと思いますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/49
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050・中村正雄
○中村正雄君 双方に何とか解決をしてもらいたいと希望している。中労委が何とか早く解決をやってもらいたいという希望をおっしゃっているだけであって、運輸大臣として何らかのやっぱり考え方を持たなければ、もし十五日にストライキに入れば、これは大衆の足がとまるから、監督官庁としてやっぱり責任上何らかの措置を講ずる必要があると思う。したがって、中労委に対してはやはりこういう手を打ちたいとか、労使双方に対してはこういうことの話をしたいとか、やはり打つ手をお考えになることは当然だと思うのです。これに対して何らお考えになっておらないというのであれば、運輸大臣として、監督官庁として、責任が僕は十分あると思うわけなんです。何らかの措置を考えておるが、この席上では微妙な段階だから言えないということであれば別ですが、具体的な考えがあるかないか、それだけお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/50
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051・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 私は私なりに考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/51
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052・大倉精一
○大倉精一君 それでは自動車局長にまずお伺いいたしますが、最近観光シーズンに向かって非常に不幸なできごとが頻発しております。それは、いわゆる観光バスの事故でありまするが、新聞の報ずるところによりますというと、ことしの一月から三月までに観光バスの事故は三十八件、死傷者は七百余人というまことにゆゆしき問題だと思う。この実態について、運輸省としてはどういう対策をお考えになっておるのか、このまま放任しておく手はないと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/52
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053・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 観光シーズンになりまして、観光バスの事故が起こって参りましたことにつきましては、まことに遺憾に思っております。今御指摘のようにシーズンに入りましてから、観光貸し切りバス方面から路線のバスもそうでございますが、事故がかなり出ております。ただいま御指摘の件数につきましては、大小問わず事故を入れますと、そのくらいになろうかと思いますが、その中で、私のほうでいわば重大事故ということで一々報告をとっておりますのが、転覆事故、転落事故、火災事故、踏切事故あるいは事故によって死者または重傷者の出た場合あるいは物的損害が五十万以上のもの、あるいは重要な車両整備の欠陥によるもの、こういったものを特に重要視いたしまして、重要事故としてあげておりますが、この重要事故として最近できたものを申し上げますと、一月以降につきまして乗り合いバスにつきましては六件ほどございます。それから貸し切り観光バスにつきましては七件ほどございます。事故の場所は全国いろいろの所でございますが、そういった状況でございます。その結果、死者が総計で五名、重傷者が三十九名、軽傷者が百十二名といったような損害になっております。この事故につきまして、われわれといたしましては毎年のことでございますが、多客期のシーズンを前にいたしまして、いろいろと事故防止につきまして指導をいたしております。まずこれらの事故の原因についていろいろ過去の例について調べてみますというと、特に貸し切りを含めましてバスの事故の原因としておもなものは、徐行違反それから追い越しが適当を欠いておる。それから右折ないしは左折する場合のその仕方が不適当である。
〔委員長退席、理事天埜良吉君着
席〕
それから運転者がわき見をして操縦をしておった誤り、それから観光貸し切りバスの数両連なって走ります場合に、すべて前の車をたよりにして走るために適当なる注意を怠って事故が起こる、あるいは道路が雨でぬれていたり、あるいはシーズンになりましても北の方で雪がある地帯ではスリップを起こしたり、こういったものがおも立った原因でございます。こういう事故の原因にもかんがみまして、常にこういったシーズン前になりますと、各陸運局を指導いたしまして、業界あるいは関係者に対しまして事故防止に関する適切な指示あるいは監督の強化をやっておるわけであります。特に運行管理の面につきまして、あるいは車両管理の面につきまして、こまかく注意すべきこと、あるいは事業者として乗務員の指導の上において注意すべきこと等こまかいことを、そのときの事故の実情にかんがみまして指示をいたしまして事業者みずから事前に事故の防止に努力するような指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/53
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054・大倉精一
○大倉精一君 この観光バスの事故の原因は、細分するといろいろあると思うのですけれども、乗務員に対する労働条件、勤務条件というようなものが非常にきびしい場合がたくさんあると見ておるのですけれども、そういう事情についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/54
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055・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 事故の原因の中に乗務員の労働時間が長過ぎるあるいは労働がひど過ぎるために疲労こんぱいしてつい注意心がそれるといったことが原因で起こしておる事故もございます。
〔理事天埜良吉君退席、委員長着
席〕
この点につきましても、陸運局といたしましても乗務員の特に過労防止の徹底につきまして、まず事業者が事業計画を立てます前に、十分に乗務員の勤務割りあるいは乗務時間等に意を用いまして運行計画あるいは乗務計画を作るように指導をいたしております。また、たとえば一般乗り合いバスで貸し切りの要請が強い場合に、乗り合いの予備車を貸し切りに流用することが認められておるのでございますが、そういう場合に、えてして勤務の不均等あるいは公休をなくして連続勤務とするというふうな場合が過去においてもそういう事実がありましたので、こういう点につきましても十分事業者としてそういうことのないように考慮を払うように指導いたしております。また、貸し切りバスは長距離あるいは深夜に及んで連続運行の場合が多いのでございまして、こういう場合には規定どおり交代の運転手を添乗させるあるいは行き先に先行さしておきまして、交代の場所あるいは交代の時刻等について、事業者が適切な計画のもとに指示を行なう。それで適切な交代運転が確実に行なわれるように指導しております。また特にこの春先の繁忙期につきましては、気候のせいで普通の勤務でございましても、どうしても体がなまになるといいますか、だるくなりまして、居眠り運転というような場合も起きやすいのでございまして、正常な勤務時間、正常な勤務体制のもとにおきましても、そういう状況下にあることに十分注意を用いて過労防止ということに十分気を配るように指導もいたしております。また、休養の施設設備、仮眠の環境等につきましても、一そう注意をするような指導もいたしております。それから勤務明けの休みに、うちに帰りまして、春先でもございますので、花見に行くとか、あるいは遊びに出るために、せっかくの休養が休養に終わらないままに次の勤務に出る。そのために、どうしても注意を怠って事故が起こるというふうな場合もございますので、そういった勤務明けの休養のときにつきましても、健康状態の管理、あるいは深酒、花見酒を飲み過ぎるというふうなことのないように、そういった休みのときにおいても十分注意をするように、各事業者に対して指導の徹底を期するような注意はいたしております。こういった注意をいたしましても、結局事業者が乗務員をいかに的確に把握し、いかに効果のある指導をするかというところに最後の点がかかるわけでございます。特にその点につきましては、事業者に徹底的な注意を喚起いたすように指導しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/55
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056・大倉精一
○大倉精一君 さらに、観光コースの問題なんですけれども、この観光コースについては、これはあなたのほうで監督をされておるのか、あるいは警視庁のほうでおやりになっておるのかわかりませんが、観光コースについての配慮というものは非常に大事だと思うのですね。無理な所を通って行く、これがために事故を起こすという場合が非常に多いのですけれども、観光コースに対する監督あるいは指導は、どういうふうになさっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/56
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057・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 貸し切りの観光の場合には、それぞれその目的によりまして、あらかじめ予期しないコースを通る場合が多いのでございまして、従来ともそういう場合におきましては、会社自体がその貸し切りの注文を受けましてから、実際この旅行が始まるまでに、ある程度日にちがあるのが普通でございますので、その間に、今までその会社として全然経験のない方面に行く場合には、路線の調査等をあらかじめ十分にやっておく、あるいは平素の自分の会社の行きつけのコース以外の遠隔の地等に行きます場合には、その遠隔の地付近のバス事業をやっておってその地の道路事情等も十分よく知っておる事業者に対しまして、バス協会なりそういった団体を通じまして、事前に道路状況等の情報を集める、そういうふうに指導いたさせております。なお、道路状況等によりまして、自分の会社の運転者では、新しい所へは無理であるというふうな場合には、その目的地の付近の会社と連絡をとりまして、その付近の運転に習熟したその会社の運転者を一時借りると、そういうふうな手配も講じております。
なお、一般に貸し切りバスは、乗り合いバスをやっております事業者が貸し切り事業をやっておるのでございますが、貸し切りの性格上、乗り合いバスと違いまして、新しい地方にも出かけますので、貸し切りに回す運転者につきましては、乗り合いバスの運転者よりも年令も高く、かつ経験年数も長い者を、つまり熟練者をできるだけこちらに回すような措置を講じまして、運転者自身の選択にも意を用いさす、こういうふうな方法を講じさせております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/57
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058・大倉精一
○大倉精一君 今、局長がずっと御答弁になったことが、そんなに運輸省の指導どおりにいっておれば、こういう事故があまり起こらぬと思うのですね。これは一片の通達だけでは私は安心ができないと思うのです。そこで、きょうは観光局長にもお伺いしたいと思っておりましたけれども、ともすれば観光誘致が輸送能力に関係なく、考慮なく観光誘致をする。こういうことからバスの事故が起こり、あるいは遊覧船の事故が起こる、あるいは電車の事故が起こる、不測の事態が発生するわけですけれども、観光誘致に対する当局の指導はどうなっているのですか。局長がおいでにならなければ、どなたか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/58
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059・富田竜彦
○説明員(富田竜彦君) 観光局の業務課長でございます。観光誘致につきましては、外人の場合につきましては政府の補助金をいただいております日本観光協会というのがございまして、それが海外に向けての宣伝その他一手に引き受けてやっておりますが、国内の方々の誘致につきましては、これは各都道府県並びに市町村というような団体、それに連盟がございます、府県単位とか市単位、そういう観光連盟の方が誘致をやっているわけでございます。細部につきましては、私のほうで、指導と申しますか、そういうこまかい点は、ただいまのところやっておりませんが、現実には、日本人に対する宣伝は、そういう団体が行なっているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/59
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060・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、国内における観光誘致なり、そういう活動というものは、ほとんど野放しの状態にあると私は思う。これは都道府県なり、あるいはこれに関係する団体がやるにしましても、やはりその地方の輸送機関と十分連絡をとらなければならないし、そこには、やはり政治的にも指導しなければならぬ問題が起こってくると思うのですけれども、そういう連絡ができていないように思うのです。ですから、この輸送力の供給能力を無視して、関係なく観光客が殺到する、そこに悲惨な事故が相次いで起こる、こういうようなことになると私は思うのですけれども、運輸大臣、どうでしょうか。こういう問題について、政治的にも調整する必要があると私は思うのですけれども、政府としてはどういう考えを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/60
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061・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 大倉さんの御意見ももっともだと存じます。できるだけそういうふうに指導して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/61
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062・大倉精一
○大倉精一君 もっともだと思うから指導する、まあそれだけの答弁ですけれども、きょうは観光局長もおいでになりませんから、深くお尋ねしませんが、資料をひとつ要求したいと思う。この観光客の輸送に関する事故を、原因別に調査願っているとすれば、ひとつ原因別に件数をお知らせ願いたいと思う。特に船、自動車あるいは電車、汽車、あらゆる交通機関について、資料をひとつお出しを願いたい。それによって、必要であれば、さらに後日質問をしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/62
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063・村松久義
○委員長(村松久義君) 運輸事情等に関する本日の質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/63
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064・村松久義
○委員長(村松久義君) 次に、船舶職員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより本案に対する質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/64
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065・大倉精一
○大倉精一君 まず最初にお尋ねをいたしますけれども、今回の船舶職員法の一部を改正する法律案、これは海上航行安全審議会の答申に基づいて、この法律案ができたと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/65
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066・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/66
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067・大倉精一
○大倉精一君 そこで、政府がこの審議会に諮問をした原案を知らしてもらいたいと思うのですが、どういう原案でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/67
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068・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 航行安全審議会に対する運輸大臣の諮問は、昭和三十六年の七月三十一日に発せられたわけでございますが、「船舶職員法の一部改正について、貴審議会の意見を求める。」という諮問でございます。それで、付属資料といたしまして、審議会における討議の材料といたしまして出しましたものには、「近海及び遠洋区域を航行区域とする旅客定員二百五十人以上の旅客船を除き船舶通信士の法定乗り組み数を一名とする。」「通信長の資格は原則として現行通りとするが、平水区域及び沿海区域を航行区域とする総トン数五百トン未満の貨物船の通信長の資格を丙通とする。」——丙種通信士とする。「改正法施行時現存する船舶については、一定期間経過規定を設け、外航貨物船等の法定乗り組み数は暫定的に二名と」する。そういう趣旨の資料を付しまして諮問いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/68
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069・大倉精一
○大倉精一君 そこで、七月三十一日に諮問して、九月の二十五日に答申が出ておりますけれども、この答申の内容と諮問をした内容と違っておる点はどの点ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/69
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070・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) このわれわれが原案の資料といたしましたものと、それから答申との相違点につきましては、先ほど申しました平水区域及び沿海区域を航行区域とする総トン数五百トン未満の貨物船の通信長の資格を丙種通信士とする、この点についての御答申が得られなかったという点が違うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/70
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071・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、答申の第二項が違うだけで、その他は諮問した参考資料といいますか、それと同じでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/71
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072・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 先ほど、丙種通信士の点が入っておらないと申しましたが、これは実は、郵政省といろいろ折衝いたしておりまして、この答申の出るまでには郵政省との間の結論は得られなかったわけでございますけれども、答申は、われわれの資料として付しましたものと同じものを出していただいたわけでございます。それから外航貨物船その他につきましての御答申は、最初運輸省におきまして資料として付したものと同様なものが出ているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/72
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073・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、答申の第一項に、こういう文句があるんですが、すなわち「電波法が一部改正せられ、船舶無線電信局の運用義務時間か国際水準なみに改められる場合には、これに対応して船舶通信士の資格及び員数を定める」と、こうなっておりますね。ですから、これはあなたのほうの原案にあったものでありまするから、したがって、船舶職員法の一部改正というのは、電波法が改正されなければ、これはもう順序としまして改正されない、こういうことになるわけですね。電波法の改正を受けて、この職員法は改正するんだ、こういう工合に答申はなっておりますね。そういう趣旨に間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/73
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074・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) この点につきましては、航行安全審議会でも議論になったところでありますけれども、昭和三十二年に航行安全審議会は、この問題について討議をいたしました、その結果附帯決議がついておるわけでございますが、「将来、電波法が改正される場合には、船舶通信士の資格及び員数については再検討することとする。」という附帯決議がついたわけでございます。これは航行安全審議会におきまして、無線通信士の定員の改定問題が論議されましたけれども、船舶職員法だけを改正すれば目的を達するものではないわけでございますので、電波法と同時に改正をするということでなければ目的を達しないという趣旨でございます。昨年の審議におきましても同様な問題がございまして、電波法が改正された後において船舶職員法を改正すべきであるという御議論もございましたけれども、同一の法律制度——同一のものを規定しております法律制度でございますので、法律の制定される趣旨は違いますけれども、対象は同じものでございますので、同時期に改正するのが最も望ましいというふうに、われわれは考えるわけでございます。
また、前の御答申の趣旨を見ましても、改正される場合ということは、改正された後において時間的に、経過的な期間を置いて後船舶職員法を改正するという趣旨ではないというふうにわれわれは考えております。また当時の航行安全審議会の委員の方々の意見を見ましても、そういう趣旨であるというわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/74
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075・大倉精一
○大倉精一君 私は航行安全審議会の審議の内容については、あるいは経過については、後ほどひとつ詳しくお伺いしたいと思っておりますから、それは省きます。その間いろいろな意見があったと思う。その意見があった締めくくりとして、この答申が出てきた。先ほどの御答弁のように、答申に基づいて本法案ができたということになっておりますので、この答申をすなおに読んでみれば、第一項は、「電波法が一部改正せられ、船舶無線電信局の運用義務時間が国際水準なみに改められる場合には、これに対応して」となっております。したがって、この答申の趣旨からいくならば、電波法の改正に先行をして、この船舶職員法の改正をするということは答申の趣旨ではないと私は思う。現在電波法につきましては、逓信委員会で審議中でありますが、これではたして改正の案どおり可決するものかせぬものかわかりません、わかりませんが、かりに可決されるとしましても、それに先行して、船舶職員法というものを可決すべきものではない、こういう趣旨と私は考えるのですね。
この答申は、それに間違いないと思うのですが、いかがですか。同時というのは、どこにも書いてないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/75
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076・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 電波法が一部改正せられるということは、そういう事実を言っておるわけでございまして、時期的な関係をこの答申の中に盛り込んだわけではないというふうに考えるわけでございます。われわれといたしましては、両方が同時に改正せられるということを前提として、この答申が出ているというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/76
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077・大倉精一
○大倉精一君 同時に改正せられるということは、どこに書いてありますか、答申のどこに書いてありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/77
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078・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) この問題については、審議会で十分この前後の問題につきましては審議されたわけでございますけれども、その結論として、こういう文章になっているわけでございますが、その審議の経過から見ましても、両法案が同時に改正せられるということを審議会としては期待している。われわれといたしましても、そういうことを希望するわけでございますけれども、法律制度の趣旨から見まして、両方が同時に改正せられるということを審議会としては期待しているというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/78
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079・大倉精一
○大倉精一君 と考えておるんじゃなくて、それはどこに書いてありますか。どこに出ておりますか。ものの考え方、解釈は、これは人によっていろいろあるでしょう。私はこの条文を見まして、これは電波法が改正されたときには、これに対応して船舶職員法が審議され、改正されるもんだと、こう私は解釈している。あなたは同時にというふうに解釈する。それはどこにも書いてない。同時にやるということはどこに書いてありますか。これは常識的に考えるならば、電波法が改正される、そうした暁において、電波法がこれこれに改正されたんだから、船舶職員法もこれこれにひとつ改正しようじゃないか、こうなってきますね。電波法がどのように改正されるかわからぬでしょう、今。でありまするから、あなたは同時にというふうに解釈される。私は電波法が改正される、その改正された内容を見て、船舶職員法というものの改正を審議し、きめるんだ、こう私は解釈するのですね、どうなんですか。同時にやるということはどこに書いてありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/79
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080・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) この文章の表面には書かれておりませんけれども、船舶職員法及び電波法の改正というものは、昨年の閣議において取り上げられました経緯からいたしましても、電波法が先に改正され、その後において職員法が改正されるということを想定しておるわけじゃございません。無線機器の発達の状況あるいは海運企業の現状というものから、この両方を早急に改正するということで、昨年の閣議決定以来進んで参りましたわけでございまして、この文章の表面だけをとりまして、改正された後において、たとえば航行安全の見地から、船舶職員法をさらに慎重に検討するということをこの答申案がいっているわけではないとわれわれは考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/80
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081・大倉精一
○大倉精一君 あなた一番初めの答弁に、船舶職員法というものは、この答申案に基づいて出てきたんだと、こういう工合におっしゃっているわけです。でありまするから、私はこの電波法との関係を聞いておるのですけれども、一応船舶職員法の原案もここに出ております、出ておることは。しかし電波法の原案が今逓信委員会にかかっておる。原案が無修正に通るということを前提にこの原案を運輸委員会に提案をされておると思うのです。電波法が無修正じゃなくて、修正されて向こうを通った場合に、これはどうなりますか。そうすると、こちらで同時にやるというなら、もう審議も何も要らぬじゃないですか。自然に船舶職員法が電波法を受けて、そのとおりに同時になるというのであれば、ここで審議しなくても、逓信委員会において電波法が改正される。改正の内容によって自動的に船舶職員法が改正される。こうなってくれば、ここで審議し、論議するということは無意味になるんじゃないですか。
私はそうじゃなくて、電波法が改正される。改正された内容を見て、船舶職員法をいかに改正するか。この原案どおりでいいのかどうか。向こうの逓信委員会における電波法が修正可決されたその場合に、船舶職員法の内容をいかに修正すべきか、こういう審議をしなきゃならぬと思うのです。あなたの今の答弁でいきますというと、その時間的余裕がないんじゃないですか。同時にやるということになると、こちらで審議する必要はないと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/81
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082・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 電波法は通信の疎通の円滑化ということを目的にした法律でございます。それから船舶職員法は航行の安全を目的とした法律でございます。したびいまして、具体的な通信士の定数の問題につきましては、電波法におきましては現在二十四時間の運用をきめておるわけであります。これが、たとえば御討議の結果いかなる改正になるかわかりませんけれども、船舶職員法自体といたしましては、航行の安全の面からみまして、現在法律案として出しておりますように、一名の定数でもって航行安全の面から支障がないかどうかという面についての御結論を得ることができれば、電波法の改正とは別個の問題として、同時に御審議いただくことができるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
したがいまして、われわれとしましては、同一の通信士ということについて、二つの法律が、それぞれの目的から規定しているわけでございますから、目的が違いますから、あるいは結論が違う場合があるかもしれませんけれども、そういうことにつきましては、国の制度といたしましては、同時にこれを解決していくというのが最も適当なやり方ではないかと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/82
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083・大倉精一
○大倉精一君 私の質問は、この答申案に限って質問をしておるのですけれども、なるほどあなたのおっしゃるように、電波法は電波の疎通、職員法は航行の安全、これは当然です。私は航行の安全についても、この改正案については、航行の安全にならぬと思う。不安全になると思う。これは議論を別にいたします。別にするけれども、答申案に基づいて、この法律案を作ったとおっしゃるから、であるとするならば、答申の第一項には、電波法が改正されて、そうして船舶無線電信局の運用義務時間が変更された場合には、これに応じて船舶通信士の資格及び員数を定めることと、こういう答申になっている。でありまするから航行安全云々といいましても、これは電波法を受けてくるものでありますから、電波法がどういう形でもって可決されてくるかわからない。今のここに出ている法律案というものは、電波法の一部改正案の原案が、そのまま通るという仮定のもとに、こういう改正案を出しておられると思う。ところが向こうでもって修正可決された場合には、当然これはこのとおりじゃいかぬわけでしょう。ですから、それを受けて——これが通った場合、そして船舶無線電信局の運用義務時間が原案と変わってきた場合に、それじゃそれを受けて船舶職員の資格及び員数をどうするか、こうなってくると思うのですね。これが答申だと思うのです。
そこら辺の関係がはっきりしない。あなたは、私はこう考える、私はこう考えると一こう考えるということは、ここに書いてないのです。ですから、やっぱりこの答申を受けて法律ができるということになれば、すなおにこの答申を読んで、この答申の日本語の意味するところに従って、われわれはこの法律案を取り扱っていかなければならない。審議じゃない、取り扱っていかなければならないと思う。その取り扱いの方法を私は聞いておるわけですね。ですから、これは電波法が通るその後において、その改正された結果を見て船舶職員法というものの審議を進めていく。これが当然の順序じゃないかと思うのですが、いかがでしょう。国務大臣(斎藤昇君) 局長が申しておりますように、本法案の提案は、航行安全審議会の答申を尊重して提案をいたしたわけでございます。答申には、なるほど電波法の改正が前提であるように書かれておりますが、しかしその精神は、電波法の何といいますか、今日の三人を最低の義務としているというのを、今度の改正案のように考えても、航行安全には支障がなかろうという見地から答申をされたものと私たちは考えております。政府といたしましては、電波法も同時に提案をいたしました。いたしましたが、このお扱いは、これは国会でおきめになることでございますから、政府のほうからお指図を申し上げるようなことはございませんが、今御質問として、どう考えるかというお尋ねであれば、局長がお答えをいたしておりますように、電波法の改正ができない、あるいは修正されたというような場合には、電波法の要求するところが、航行安全の見地から要求する船舶職員法の要求よりも強いという結果が残れば、強いほうでいかなければならぬわけでありますが、しかし法律といたしましては、それぞれ別個に改正が行なわれ、別個に成立をいたしましても、これは差しつかえないものだと、かようにお答えを局長もいたしております。私もさように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/83
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084・大倉精一
○大倉精一君 政府とされては、両方同時にそれぞれの所属の委員会に、国会に提案されるということは、これは差しつかえないと私は思う。がしかし、取り扱いとしまして、この答申案でいきまするならば、電波法の改正によって、この船舶無線電信局の運用義務時間が変更された場合においては、「これに対応して船舶通信士の資格及び員数を定めること」とある。であるから、これをそのまますなおに受ければ、電波法がどういう工合に改正されるか、これによって、船舶通信士の資格及び員数というものが変わってこなければならぬ。ですから、あなたのほうでは——政府のほうでは、電波法をこう変えるのだ、だから、こう変える場合には、船舶職員法もこう変えて、資格員数を変更するのだ、同時提案、これは私は当然と思うのですが、取り扱いの順序としましては、これはやはり電波法の審議の結果を見て、その結果において船舶職員の資格なり員数なりというものが決定しなければならぬ。決定するに若干の問題があるならば、航行安全に関して審議をしなければならぬ、こうなるわけです。
ですから私は、今は中身に入っておるのじゃなくて、取り扱いの方法について疑問があるから聞いておる。これは委員長、どうでしょう。取り扱いの方法として、委員長に質問するのもどうかと思うのですけれども、この答申案に基づいて法律案が出たのは当然だと思うのですけれども、そうだとすれば、同時にやるとも先行するとも、どこにも書いてありませんが、やはり取り扱いとしては、電波法が先に審議される、それに伴って、こちらのほうで船舶職員法というものを審議し議決する、こういう取り扱いにならなければならぬと思うのですが、いかがでしょう、それは理事会できめますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/84
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085・村松久義
○委員長(村松久義君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/85
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086・村松久義
○委員長(村松久義君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/86
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087・大倉精一
○大倉精一君 今速記をとめて委員長の意見を聞き、たとえば船舶職員法を先に提出して、今度は、これと違った趣旨、違った電波法の改正が行なわれた場合には、これで成立したものは無効になる、これは確かにそうだと思う。しかし、私はそういう権威のない審議の進め方というのは、国会としてはやるべきものじゃない、こう思う、私の考え方は。
でありまするから、私はやはり航行の安全のために、あるいはまた二十数年間実施をしてきたところの日本の船舶無線通信機構の変更ですから重大問題であります。これは一ぺんきめて無効になったら、もう一ぺんやり直すという、そういう権威のない審議の仕方、取り扱いの仕方はやるべきものじゃない。したがって、別に他意あるわけじゃございませんけれども、この答申通りに電波法の改正を見届けて、船舶職員法の改正は決定すべきである、こう私は考えるわけです。私はこれをあくまでも主張したいと思うのです。ですから、これは委員長のほうにおいても、そういう取り扱いをひとつお願いしたい、これを確認をしてから、私は中に入っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/87
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088・村松久義
○委員長(村松久義君) 速記をしないでのお話に対する速記を付しての御意見ですから、私も速記を付してお答えをしなければならぬようですが、内容については、これは私、あなたの意見と違った意見を持っております。また政府とも違った意見を持っております。したがって、議事の進行に関しては、これは後にひとつ協議をしたいということだけを今申し上げます。内容に関しては、これは議論になっても仕方ありませんから、したがってきょうは、これは申し上げません。ただ後に、ひとつその点については協議をしたい、理事会において決定をしたい。こういうふうに考えております。それだけお答えをいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/88
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089・大倉精一
○大倉精一君 理事会において協議をすることはけっこうなんですけれども、あくまでもこれは原則というものがある——原則の協議でないと思うのですから、この答申案というものに基づいてこの法律が出てきたという、この原則を確認をして、そうして理事会において御相談を申し上げてもいい。関連質問があったらどうぞ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/89
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090・村松久義
○委員長(村松久義君) 答申案に基づいたというのは、政府の話です。私はまた、政府と違った意見を持っておるわけです、一応こういうことを申し上げておきますから、その点は、後に協議をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/90
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091・大倉精一
○大倉精一君 これは政府の意見と違った意見を委員長お持ちになっても、これは自由だと思うのです。おのおの意見を持つのは自由でありますけれども、責任をもって出してきたところの政府側の答弁として、また法律を施行して実行していかなければならぬ責任のある政府の答弁として、この答申案に基づいてこの法律案が生まれてきたのだ、こういうことは、お互いの考えいかんにかかわらず、事実として、われわれはこの点は認めなければならぬと思うのです。くどく申しませんけれども、そういう原則に立っての御相談を申し上げたい、かように、念のために私は申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/91
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092・村松久義
○委員長(村松久義君) もう少し詳しく私の意見を申し上げますが、提案の理由を読んでみますと、船舶職員法の改正に対応して電波法の改正をすべきものだということを書いてあるのが、これは政府の提案理由です。したがって、これを尊重して、そういう結果になったのかどうかという点に関しては、これは今、内容の議論は私はしたくない、そういう意見にも、ちょっと違った意見を持っております。したがって、これは各方面の事情を調査した結果、今後議事をいかに進むべきかという点は、これは率直に話し合って、理事会で決定したい、こういう意見であることを申し上げておきたい。これでひとつ御了承願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/92
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093・大倉精一
○大倉精一君 あなたの意見はあなたの意見として、私の意見は意見として、この取り扱いについて理事会において御相談したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/93
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094・村松久義
○委員長(村松久義君) 了承しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/94
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095・中村正雄
○中村正雄君 案の取り扱いについては、これは議事運営の問題ですから、あとでまた相談するとして、船員局長にお尋ねしたいのですが、答申案に基づいて出されているわけですが、電波法との関連なんです。電波法が改正されない場合でも、職員法の改正はやるという御趣旨なんですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/95
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096・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 航行安全審議会の御答申によりますれば、電波法の改正ということを前提といたしまして、それとともに職員法も改正するのが適当であろうという御答申でありますけれども、もし電波法が改正されない場合にはどうかという問題につきましては、航行の安全の見地からいたしまして、最低の人員をきめるというのが職員法の建前でございます。したがいまして、もし航行の安全の面から見まして、たとえば現在提案いたしておりますように、一名という結論が出るということでございましたならば、それと電波法の関係につきましては、電波法は、たとえばもし現行どおりといたしますれば、二十四時間の運用でございます。しかしその資格につきましては、具体的なこの三名の個々の人間の資格につきましては、電波法では通信士の資格は規定しておりますけれども、他の者の資格は規定しておらないわけでございます。したがいまして、二十四時間運用のやり方につきましても、もし船舶職員法が改正になりますれば、具体的に乗り組む人間の、船員の資格が変わってくるという問題はあると思います。ただ、現実問題といたしましては、船舶職員法改正の大きな目的が達せられないということになるのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/96
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097・中村正雄
○中村正雄君 そうしますと、電波法の改正を前提にして職員法の改正が出されておるわけなんですから、電波法の改正ができなかった場合は、職員法の改正はしない、こういうふうに解釈していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/97
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098・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 局長は、法律的解釈をお答えしておりますが、それはそのとおりだと御承知をいただきたいのでありますが、これは運輸省としましては、船舶航行の安全確保という点から、最低限度一名にしても差しつかえないという考えを持っておるわけであります。そのためには、電波法の改正もしてもらうことが必要だと、かように考えております。
電波法の改正は電波法の改正としての考え方から御審議をいただいておることと思いますが、しかし論点は、やはり航行の安全という点が最も重要な事柄として論議をされておるように考えます。さように考えますると、航行の安全の見地からは支障がないんだということで、こちらのほうで先に御決定いただくことも、私は一つの方法であろう、ただいま両委員会を通じて一番問題になっております航行の安全という点は、当運輸委員会において御判断を先にいただくほうが、電波法を改正するについて、逓信委員会のほうに対しても、私は一つの決定権を与えてもらうことにもなる、かように考えます。したがってこの採決決定をどちらが先にしなければならぬかということは、当委員会においておきめいただくことでありますが、政府といたしまして、われわれの気持といたしましては、航行安全という点が最も両委員会を通じて重要な問題として取り上げられておりまする以上は、当委員会において先に意思を決定していただくことが、あるいは政府としてもしあわせである、かようにも考えまするが、その辺は、当委員会において御判断をいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/98
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099・中村正雄
○中村正雄君 いや当委員会でどうするかは、今後の問題で相談いたしますが、運輸省にお尋ねしているのは、電波法の改正がなくても、この職員法の改正ということはやる御意思があるのかないのか、それを聞いているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/99
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100・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 両方やってもらいたいと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/100
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101・中村正雄
○中村正雄君 両方やることは、当然両案出しているわけですから、もっともなわけですが、しかし、やはり二つの法律案が出て、可決される法律案もある、あるいは否決される法律案もあるわけなんで、通って見なけりゃわからないわけなんですが、したがって政府としては、あるいは運輸省としては、船舶職員法の改正をやはり出す場合は、前提として、答申案によれば電波法の改正が前提になっている答申になっているわけなんです。したがって、不幸にして電波法が改正可決される場合もあれば、否決される場合もあるわけなんです。そういうわけで、この委員会で運営について考えなければならないという点を聞いているわけなんです。電波法の改正いかんにかかわらず船舶職員法を改正しても、これはかまわないのかどうかということをお尋ねしているわけなんです、最悪の事態を考えて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/101
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102・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) そのことは、電波法についてもやはり同じ問題があるだろうと思います。電波法の改正をやっても、船舶職員法の改正が行なわれなくてもいいのかどうかということは、向こうのほうでも御意見があると存じます。政府といたしましては、並行してひとつ、政府の希望どおり決定をしていただきたい。どちらを先に、どちらが前提でどちらがあとだということは、政府としては考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/102
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103・中村正雄
○中村正雄君 私のお聞きしているのは、電波法は改正になっても、職員法は改正しなくても、電波法はそれでいい、何も関係ないわけだから。しかし職員法の場合は、電波法が改正にならなければ、職員法は改正できないのか、あるいは電波法の改正いかんにかかわらず、職員法だけ改正してもいいのか、これだけをお聞きしているわけです。
両方通してもらいたいというのは、希望はわかっているけれども、ただわれわれとして考えなければいけないのは、今後の運営についても非常に疑義の点があるから、監督官庁として、出されたやはり所管の省として、電波法の改正がなくても、職員法の改正だけでやれる可能性があるのかどうか、またやって差しつかえないのかどうか、この点を専門家の船員局長にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/103
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104・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 職員法の改正案が通りまして、電波法が現状のままであるという場合に、改正の効果があるかという御質問であると思いますけれども、先ほども申しましたように効果はございますけれども、それは具体的に申しますと、乗組員の資格の低下ということが考えられるという問題でございます。それからもう一点、船舶職員法には年令——船舶通信士としての乗組員の年令が現在二十才になっているわけでありますが、それを十八才に引き下げる問題があるわけであります。この二点で、たとえ電波法が現状のままでも船舶職員法を改正していただくということは、効果があると思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/104
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105・中村正雄
○中村正雄君 効果のあるなしにかかわらず、そうすると電波法が改正されなくても、職員法の改正に支障がない、こういうふうにお考えになるわけですか、効果云々でなくて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/105
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106・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 電波法が改正されなくても、職員法だけ改正すれば支障がないかどうかという御質問でございますけれども、現在の船舶職員法の改正の一番大きな眼目といたしておりますのは、国際競争力をふやすために、国際水準並みにこの定員を改めるという問題でございますので、もし電波法が改正されないということでございますれば、この大きな目的が達成されないわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、通信士の資格の問題と、それから年令の引き下げの問題、この二つを通していただくということになりますれば、その点で、現在の通信士の需給緩和には、相当役立つというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/106
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107・中村正雄
○中村正雄君 私は個々の内容についてお尋ねしているのじゃなくて、電波法は現行のままであっても、職員法の改正ということをやって運輸当局は差しつかえないのかどうか、イエスかノーかだけを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/107
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108・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) われわれといたしましては、電波法、職員法ともに改正されることが望ましいと考えておるわけでございまして、どちらか一方ということでは、その目的を達成されないわけでございます。先ほど電波法は、職員法がどうあろうと、電波法を改正しても目的を達成できるのじゃないかというようなお話がございましたけれども、これは電波法を改正いたしましても、職員法の規定が現状どおりでございますれば、現在の電波法改正というものは、船舶の通信士の問題だけについての改正でございますので、今次の改正は、その目的をやはり達成せられないわけであります。したがいまして、両法律を同時に改正していただくことが、われわれの希望するところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/108
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109・中村正雄
○中村正雄君 私は船員局長に希望を聞いているわけじゃないので、もし電波法の改正ができなかったら、職員法の改正は無意味だ、したがって、職員法の改正はしないほうがいいのだ、こういうようにお考えのように解釈していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/109
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110・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 先ほどから御説明申し上げておりますように、もし電波法が現状のままで改正されないという場合におきましても、年令の問題とそれから資格の問題については、現在の改正案がもし通るという場合には、相当今日の需給緩和に役立つというものであると考えるわけでございます。そういう意味におきまして万一、仮定の問題でございますけれども、電波法が改正されないという場合におきましても、船舶職員法は改正していただきたいと、われわれは考えるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/110
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111・中村正雄
○中村正雄君 そうすると運輸省としては、電波法の改正を前提にして職員法の改正、両方とも改正してほしいということから、これは全面的な希望はあるけれども、電波法が改正されなくても、職員法だけでも改正して参れば、今よりもよくなる、こう運輸省は考えておると、こういうふうに理解していいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/111
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112・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 需給緩和には役立つと思いますけれども、現在の改正の目的の非常に大きな部分が達成できなくなるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/112
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113・中村正雄
○中村正雄君 私のお聞きしているのは、最悪の事態の場合、どうお考えになっているか、内容の関係については、われわれはまだ十分検討いたしておらない点もございますので、判断つきかねておるからお聞きしておるわけで、電波法が改正されなければ、船舶職員法は改正しても無意味だと、全体からみて、そういうふうにお考えになっているのか、あるいはまた電波法は改正されぬで職員法を改正しても、法律的な面において、あるいは運用の面において何ら支障がない、こうお考えになっておるのか、これを聞いておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/113
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114・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 電波法が改正されない場合には、この目的が十分達成されないということは先ほど申し上げましたけれども、電波法を現状のままにおいては全く無意味であるかということになりますれば、免許年令の引き下げの問題、それから資格の問題というのはもちろんあるわけでございます。したがいまして、両法律とも全然改正されないというよりは、職員法だけでも改正されるという点については、われわれはそれだけの効果はあり得ると考えます。現在の需給の緩和に役立つと考えるわけでございます。しかしながら今日両法律を同時に出しております目的というのは、国際水準にするということでございますので、そういう方面からいたしまして、両法が同時に改正されなければ、この目的は達成されないというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/114
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115・中村正雄
○中村正雄君 それはわかっております。私のお聞きしておりますのは、運輸省は、片方が通らなくてもこの職員法は通してほしい、通すべきだと、こうお考えになっているのかどうか、最悪の事態の場合には、どう無断されるかというということを聞いておるわけです——希望を聞いておるわけじゃないのです。その場合の運輸省の態度を聞いておるわけです。
また法律的、技術的に支障がないかどうかということをお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/115
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116・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 法律的には支障はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/116
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117・中村正雄
○中村正雄君 じゃ態度はどうなんです。運輸省としては、その場合は、たとえば逓信委員会で電波法が否決になった場合には、どうなりますか、この取り扱いをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/117
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118・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) われわれの目的は十分達成せられませんけれども、先ほども申しましたように当面の需給緩和の一部には、免許年令の引き下げの問題というものは、相当役立つというふうに考えますので、船舶職員法だけでも通していただくという場合、やはりそれだけの効果があると考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/118
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119・中村正雄
○中村正雄君 そうしますと電波法が否決になっても、運輸省としては、この法律だけでも通すのだ、こういうお考えと解釈していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/119
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120・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) さようでございます。この両法律を同時に出しておる目的は達成せられないわけでございますけれども、この法律が通りましても、実際の法律の運用面におきまして、法律上支障がないというふうにわれわれは考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/120
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121・中村正雄
○中村正雄君 そうすると、航行安全の面についても支障ありませんか、どうですか。電波法が改正されずに、この法律が通った場合に、航行安全の直において支障ありませんですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/121
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122・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 電波法が改正されない場合には、当然二十四時間運用が継続されるわけでございます。したがって職員法がもし改正されましても、やはりこの二十四時間運用の義務は守らなければならないわけでございます。ただその資格については、多少の低下ということも考えられますし、また年令の問題については、十八歳まで引き下げるという問題があるわけでございます。したがいまして、もしそういうような事態になりましても、二十四時間運用の面について支障は、こざいませんし、それから航行安全の面からいたしましても、現在一名にいたしましても、われわれは支障はないと思っておるわけでございますので、電波法の要求を満たすということになりましても、もちろんその点から支障があるということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/122
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123・中村正雄
○中村正雄君 航行安全審議会の審議の経過等を私存じませんし、先ほど答申案の内容については、われわれが文書を見た上の解釈と、船員局長のお考えとは相当違っているわけです。したがって、一応関係者に来てもらって聞かなければわかりませんけれども、安全審議会のほうでも、電波法の改正がなくても職員法の改正をやってほしいというような議論がありましたかどうか、これを一ぺんお伺いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/123
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124・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 両法律を同時に改正していただきたいという御議論でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/124
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125・中村正雄
○中村正雄君 大体、内容について電波法と職員法との関連について、いろいろ御質問しまして、大体の見当がついたわけなんですが、答申案の問題については、やはり文書に表われている審議会のお考えと、船員局長の答弁とは相当食い違っていると思うので、どちらが正しいのか、どういうことを航行に関する安全審議会は考えておったのか等ということについて、もう一度お聞きしなければならないという必要を私は感じております。したがいまして、この点についての取り扱い方を委員長に善処願いたいと思います。
それから電波法との関連で、今後いつか、これの結論を出さなくちゃいけないわけですから、その運用について理事会でおやりになる、こういうふうな話でありますので、理事会で協議願ったらけっこうですが、私、理事ではありませんので——おそらく理事会の結論が出れば、委員会にかけて委員会の承認を得ることには当然なるとは思いますけれども、理事会に出られませんので意見だけ言っておきますが、私は、今の船員局長の答弁等を聞いて、やはり電波法が改正されなければ、職員法の改正やっても、これは無意味だし、また航行安全の面から見て、やっぱり問題が起きる、こういうふうに私は感じます。したがって、やはり電波法の改正というものができたという場合でなければ、この職員法の改正は無意味になるんだと私は答申どおり考えますので、したがって、理事会のときのいろいろの議事の進め方の際には、やはり電波法の成り行きをみる、その上で結論を出す、こういうふうにひとつお考え願いたいという希望だけ申し上げて質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/125
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126・大倉精一
○大倉精一君 中村委員の質問に対する答弁を聞いておりますと、だんだん当初の答弁と食い違ってきておる。こういうことがあるために、私は念のために、この答申案と運輸省が出したのと違うところはどこだということを聞いたんですよ。ところが第一項は、あなたのほうが出した原案と違っていなかったんです。その原案というのが電波法の改正云々ということで、提案理由の説明は、「船舶職員法の改正に対応いたしまして、船舶無線局の運用義務時間を国際水準の線に置くこととする電波法の一部を改正する法律案も本国会に」云々とありますけれども、これは答申案と逆なんですよ、順序が。ですから、この提案理由の説明自体が、これは大体がおかしいんです。私はもう答申案のとおりに政府がお出しになったという、この答弁に従ってお尋ねしておったんですけれども、どうもこれはおかしい。
それから、あなたがさっき中村君の質問に対して——私の質問の内容に誤解があるようです。電波法さえ通れば、職員法は通さぬでもいいというようなことの発言があったというお話がありましたが、そうじゃないんです。電波法が通れば、それに対応して、船舶職員法というものを改正しなければならぬのです。これは当然なんです。あるいは船舶職員法が、これが通って、電波法が通らなかったならば、一たん通った船舶職員法をもう一ぺん一部改正しなければならぬのです。そういうことはやるべきものじゃない。ですから、これは今やるといっても無理ですよ、あるいは最低だから、もっとふやしてもいいとおっしゃるかもしれませんけれども、業者はそんなことやりませんよ。
ですから、これは委員長、きょうの速記録を念のためひとつ整理してもらって、それを見た上において、その取り扱いを協議をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/126
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127・村松久義
○委員長(村松久義君) 取り扱いに関しては、理事会を持って決定をいたします。なおその際に、中村委員の御出席も、これはけっこうなことだと思います。御通知をしない場合においても、ひとつ探し出してでも来ていただきたいと存じます。速急にいたします。連絡はいたしましょう。
それから、内容に関する質疑をひとつ御継続を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/127
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128・大倉精一
○大倉精一君 内容に関する質疑は、これはこの電波法との関連というのを明確にしてから、私は、この審議会の経過なり、あるいは航行安全に関する点にしぼって質問したいと思いますけれども、まずもって理事会でもって、この取り扱いを協議をして、電波法との関係をはっきりいたしたいと思います。それから私は内容に対する御質問を申し上げたい。本日は、この程度でもって打ち切ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/128
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129・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 誤解があるといけませんから、私からはっきり申し上げておきます。船舶職員法の改正をいたしましたのは、政府の見解において出したわけであります。その出す前に、この航行安全審議会の答申は得ておる、その答申
はこうであるということでありまして、この答申が出てきたので、それでその答申どおりやろうとして出したというのではなくて、船舶職員法を改正をしたい、電波監理法も改正をしたい、それについて諮問をしておった、その諮問に対して、こういう答申がありましたということでございまして、この答申の案を、そのままに生き写しにして、そうして政府が出したというのではないのでございますから、その点の誤解のないようにひとつしていただきたいと思います。政府委員は答弁の間に、いろいろの用語等において、あるいは誤解を与えたところがあるかもわかりませんが、それは、そういう趣旨でありますから、この際、はっきりいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/129
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130・村松久義
○委員長(村松久義君) ただいまの斎藤運輸大臣の発言の内容を参考にし理事会をやりますから、この議論はこの程度で打ち切っていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/130
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131・中村正雄
○中村正雄君 では理事会で運営をおやりになる場合、ひとつ質問の続行という話もありましたが、大倉君の言うように、一応取り扱いをきめてから続行するという一つの手もありますし、それに関連して、先ほど申し上げました航行安全に関します審議会も、やはり審議の過程におきまする電波法との関連について、ちょっと私は政府の考えているのと、審議会の考えているのと、相当開きがあるんじゃないか、こう思いますので、審議会の会長さん、いるのかいないのか存じませんが、そういう人に一応来てもらって、次回の委員会の日でも、その間の事情を聞きたいと思いますので、これもひとつ理事会において御検討願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/131
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132・村松久義
○委員長(村松久義君) 理事会の検討の内容にいたしましょう。
では、本日はこの程度で、船舶職員法の一部を改正する法律案の質疑を終了いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後零時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02219620412/132
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