1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年五月四日(金曜日)
午前十一時十三分開会
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委員の異動
四月二十六日委員谷口慶吉君辞任につ
き、その補欠として柴田栄君を議長に
おいて指名した。
四月三十日委員平島敏夫君辞任につ
き、その補欠として大谷藤之助君を議
長において指名した。
五月一日委員大谷藤之助君辞任につ
き、その補欠として平島敏夫君を議長
において指名した。
五月二日委員柴田栄君辞任につき、そ
の補欠として石谷憲男君を議長におい
て指名した。
本日委員松浦清一君及び石谷憲男君辞
任につき、その補欠として田上松衞君
及び村上春藏君を議長において指名し
た。
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出席者は左の通り。
委員長 村松 久義君
理事
天埜 良吉君
金丸 冨夫君
大倉 精一君
委員
重宗 雄三君
鳥畠徳次郎君
平島 敏夫君
村上 春藏君
田上 松衞君
中村 正雄君
白木義一郎君
加賀山之雄君
国務大臣
運 輸 大 臣 斎藤 昇君
政府委員
警察庁交通局長 富永 誠美君
運輸政務次官 有馬 英治君
運輸大臣官房長 広瀬 真一君
運輸省船員局長 若狭 得治君
運輸省鉄道
監督局長 岡本 悟君
運輸省自
動車局長 木村 睦男君
事務局側
常任委員
会専門員 古谷 善亮君
説明員
日本国有鉄
道副総裁 吾孫子 豊君
日本国有鉄
道運転局長 音田 和夫君
日本国有鉄道船
舶局海務課長 荒木 善之君
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本日の会議に付した案件
○運輸事情等に関する調査
(常磐線三河島駅構内における列車
衝突事故に関する件)
○鉄道敷設法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○船員法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/0
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001・村松久義
○委員長(村松久義君) ただいまより
委員会を開会いたします。
この際、委員の変更について御報告
いたします。
去る四月二十六日、谷口慶吉君が辞
任され、柴田栄君が選任されました。ま
た五月二日、柴田栄君が辞任され、石
谷憲男君が選任されました。さらに本
日、石谷憲男君、松浦清一君が辞任さ
れ、村上春藏君、田上松衞君が選任さ
れました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/1
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002・村松久義
○委員長(村松久義君) 本日の委員長及び理事打合会における協議の結果、常磐線三河島駅付近における事故に関して、国鉄当局より報告を聴取することに決定いたしました。次いで法律案の審査に入ります。
それではこれより報告を願います。吾孫子副総裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/2
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003・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) このたび何とも申し上げようのない大事故を惹起いたしまして、何とも申しわけ次第もないことと恐縮いたしております。
実は、ただいま総裁は現地のほうへ参りまして、犠牲者の弔問、お見舞等に当たっておりまするので、私かわりまして御報告させていただく次第でございます。
事故が起こりましたのは昨五月三日の二十一時三十七分ころのことでございました。場所は常磐線の三河島駅の構内でございます。概況は、下りの二八七貨物列車というのが、田端の操車場を定時に発車をいたしまして、三河島の駅を通過するつもりで同駅に差しかかって参りましたところ、先に出発してしまっているはずの電車のほうが、常磐線の下りの電車の第二一一七H電車というのが遅延しておりましたために、臨時に三河島の駅に貨物列車のほうは停止をしなければならない状況に置かれたわけでございます。しかしながら、その際、ただいま詳細な原因は調査中でございまするが、どうもその貨物列車の機関士が信号を見誤まったのではなかろうかと推定されるのでございますけれども、その貨物列車が三河島の駅に停車いたしませんで、そのまま停止信号機を越えて前のほうに進んでいきまして、砂盛線がございます安全側線と申しておりますが、そこへ突っ込みまして、機関車及びあとに続いております貨車五両が脱線いたしまして、脱線と同時に機関車並びに後続の貨車が、電車の下り本線のほうの側に傾斜をいたしたわけでございます。脱線をして傾斜をしてとまったわけでございます。ちょうどそのころ、三河島の駅を三分ほどおくれて発車いたしました下りの第二一一七H電車というのがその場所に差しかかって参りまして、この貨物列車に接触をいたしまして、ちょうどこの電車の前から四両目までの電車が脱線いたしまして、それがまた今度さらに進行方向に向かって右側、つまり上り本線のほうに支障するような姿になって脱線をいたしました。そこへ、多分四分か五分くらいその間に時間があったかと思うのでございますが、さらに三河島の駅に二分ほどおくれて到着する予定で進行してきておりました上りの第二〇〇〇H電車が、上り本線に倒れかかっております下りの第二一一七H電車に接触をいたしまして、前から五両目までが脱線をいたし、そしてそのうちの四両が築堤の下に転落をするというような事故を発生いたしたような次第でございます。
このために双方の電車のお客様に多数の死傷者を出したわけでございまするが、ただいままでに判明いたしております死傷者の数は、おなくなりになった方が百二十六名、負傷者として手当を受けられた方が二百二十三名、合計三百四十九名ということになっております。
詳細な原因は、ただいまも申し上げましたように取り調べ中でございまするが、先ほども申し上げましたように、下りの第二八七貨物列車の機関車乗務員が、出発信号機の停止信号を誤認いたしたためと思われるのでございます。
事故の概要は大体そういうようなことでございまするが、実は昨三日の日は、早朝に、これは午前一時五分ころでございまするが、東北本線の古河の駅の構内で、これは下り第一三一列車というローカルの旅客列車に、後続の第一六一列車という貨物列車が追突をいたした事故が発生いたしておりました。この事故は、不幸中の幸いとでも申しましょうか、死亡者を出すというようなことにはなりません。しかし、それにいたしましても三十名をこえるけがをなさった方を出した事故が三日の早朝に発生いたしておりましたが、その原因は、やはり追突いたしました列車の機関士が、どうも信号を、これは仮眠しておりまして、全然見落としたということが原因であったようでございますので、その状況をさっそく現場各機関にも下達いたしまして、そのような事故を起こさないようにという注意を喚起しておりました矢先に、続けて昨晩九時過ぎに、ただいま申し上げましたような事故を起こした次第でございまして、この点は何とも申しわけ次第のないところでございます。まあ現在の段階におきましては、とにもかくにも、まずおけがをなさった方々に対するできるだけのお手当をいたすということと、不幸おなくなりになった方々の御遺族等に対してできるだけの処置をしなければならないのは当然でございますので、まずそのことに力を入れて、実は総裁もそのためにただいま現場のほうにおもむいておるような状況でございまするが、このことを処置いたしますと同時に、大事なまた本線の問題でございますので、復旧作業のほうも鋭意急がしておるような次第でございます。
ただいまの予定といたしましては、午後二時ごろに下り線は開通できるのではないかと思っておりまするし、上り線のほうも本日の二十時ごろまでには何とか開通することができるかと思っております。なお今回の事故で、最初に貨物列車が転覆いたしたことが原因で順々に線路を支障していったような次第でございますが、下りと上りの本線は、ただいま申し上げたような開通見込みでございますが、上りの一番線というもう一つの線路のほうは、これは明日以降にならざるを得ないかと思っておりまするが、とにかく線路の開通につきましては、これまたできる限りの努力をいたしておる次第でございます。
今後の対策その他につきましては、今回の事故の内容、原因等につきましてさらに詳細な調査を遂げまして、遺漏のないような善後措置を講じさしていただきたいと思っております。
今回の事故につきまして、重ね重ね皆様にも御心配をおかけし、御迷惑をおかけいたしましたことを心からおわび申し上げます。どうも申しわけございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/3
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004・村松久義
○委員長(村松久義君) 質疑のおありの方は順次御発言を願いますが、本事件が、時間のきわめて切迫したこの際のことであり、かつ本会議において緊急質問もあるようでございますので、他の法案との関係も考えまして、できるだけ簡潔にひとつ御質疑を願いたいと、これは私よりお願いいたしたい次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/4
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005・大倉精一
○大倉精一君 今、副総裁から御報告があった三河島の事故、古河の事故は申すに及ばず、最近相次いで発生いたしておりますところの国鉄の事故については、私は非常に重大なる関心を持ち、かつ、きわめて遺憾と存じております。と同時に、これらの事故によって犠牲になられた方々、並びに御遺族に対しまして衷心より哀悼の意を表す次第であります。
ただいま委員長も言われたように、時間も差し迫っており、かつ、本会議の緊急質問も行なわれますので、その原因等については、いずれ当委員会としても調査をするように提案をしたいと思っておりまするが、本日まず最初にお伺いしておきたいことは、この負傷者並びに犠牲者の方々の収容状況、処置の状況は現在どうなっておるか、これに対してはすみやかに遺憾のないようにしなければならぬと思うのでありますけれども、新聞、ラジオ等の報ずるところによりまするというと、必ずしも万全ではない。特に最近の水不足のために非常に困難を来たしておる、こういうこと本聞いておりますので、そういう点についての対策を、どういう対策を講じておられるか、これをまずお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/5
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006・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) ただいまおなくなりになった方々の御遺骸は、荒川区の浄正寺というお寺と観音寺というお寺にそれぞれとりあえずお祭りをいたすように収容いたしておりまするが、負傷なさった方々は、大体二十一カ所の病院に分散して入院その他の手当を受けておられるわけでございます。当座の処置といたしまして、事故発生と同時に、東京鉄道管理局の幹部は現場に急行いたしまして、三河島駅に現場対策本部を置きまして、急遽職員約二千七百名を動員いたしますとともに、警察や警視庁それから消防庁及び地元の関係の皆様のお助けを得まして、死傷者を付近の、ただいま申し上げました二十一の病院にそれぞれ収容、救護するように措置いたしたのでございまするが、一方、国鉄の本社におきましても対策本部を設けまして、鉄道病院等から救護班を編成して現地に派遣いたします等、自後の処置に少しでも遺憾なからしめるように、とりあえずの処置をとりましたし、また、なお現地に善後処置に遺憾のないようにいたさなければならないと思いまして、それぞれ手分けをいたしましてお見舞に伺いましたり御弔問に伺いましたり、また、いろいろ御都合がある方もおありになると思いますので、必要な方々には国鉄のバスの無賃乗車証を差し上げるよう当面の措置をとうておりますけれども、私ども今回の事故にかんがみまして、国鉄としてできる限りの処置をとらしていただきたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/6
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007・大倉精一
○大倉精一君 その問題については、差し迫っている問題でありまするから、さらに具体的に詳細に現情を把握されて、万遺憾のないようにお取り計らいを願いたいと特に要望いたしておきます。それから犠牲者の方に対する補償については、これはいつもながら万全を期さなければならぬと思いますけれども、特にこれは早く、当面十分なる補償を国鉄のほうからおやりになるように要望しますが、この点についての御方針はどういう工合になっておるか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/7
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008・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) とりあえずの措置といたしまして、実は従来の慣例によりますと、このような事故が発生いたしました際には、直ちにおなくなりになった方のところには、金額にいたしまして六万円、それからおけがをなさった方々には、けがの程度に応じまして、おおむね一万五千円を限度とした額の中でとりあえずお見舞を申し上げておるというふうに今まではしておったわけでございまするが、今回の事故のことを考えまして、とりあえずお見舞に持って伺います金額を、おなくなりになった方々に対しては十万円、またおけがをなさった方々に対しては三万円の範囲の中で、それぞれとりあえず御見舞を申し上げるというふうに処置もいたしております。
なお、今後のいわゆる損害の補償その他につきましては、従来の慣例等もございまするけれども、お言葉のように、できるだけ早く、かつ、幾ら賠償申し上げましてもとうていお許し願えることではないと思いまするが、できるだけの十分な処置を講じさしていただきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/8
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009・大倉精一
○大倉精一君 まあ犠牲になられた方々に対しましては、その問題は今お話のように金銭をもって償うということは不可能でありますけれども、せめてもの補償という面について、最大の誠意を示してもらうように、この際特に要望をいたしておきます。
続いて、事故の原因でございまするけれども、これは目下調査中であるということであり、私のほうも調査をしたいと思っております。ただ単に信号を見間違えたとか、あるいは不注意であったというだけでは、私は最近続発する国鉄の事故の原因の究明については、これはそれだけではいけないと思います。もっと深いものがある、こういうものを追及をしなければならぬと思います。特に戦後におきましては八高線の事故がありましたり、あるいは桜木町の事故もありました。ありましたが、その当時は終戦直後のことであり、設備等もきわめて不完全な要因がございましたが、今日では事情は変わっておると思います。その中で、なおかつこういう大きな事故が引き続いて起こるということは、何かそこに大きな原因がひそんでおるということを考えなければならぬと思っております。そういう点については、国鉄当局としても当面のさしあたっての事故の原因ばかりではなくて、深く掘り下げて、深く反省をしてこの根本原因を、この際徹底的に、かつ、みずから追及してもらうようにお願いをしたいと思います。
そこで、提案をいたしまするけれども、明日当委員会として現地を調査をしたいと思っておりますので、この点を提案いたしますから、お諮りを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/9
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010・村松久義
○委員長(村松久義君) 明日現地の調査を要求せられましたが、これは緊迫をいたしておりまする事情でありますだけ、できるだけひとつその機会を作りたいと思っております。それは理事諸君とも御相談の上に、さように決定をいたしたいという気持だけをひとつ申し上げまして、あとは理事会にひとつおまかせをいただきたいと思います。
それから視察をいたしまする場合には、できるだけひとつ全員参加という線でいきたいと、かように考えております。
では、御質疑ございますならば、先ほど申し上げましたように、ひとつできるだけ簡潔にお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/10
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011・中村正雄
○中村正雄君 いただきました資料を見ますと、簡単な配線でありますので、距離その他の関係はわかりませんが、ちょっと常識的に考えて非常に不思議な感じがするわけなんです。副総裁にひとつお尋ねしたいのは、これが駅と駅の中間の事故であれば別ですけれども、三河島の駅の構内で起きた事故ということになりまして、下り貨物列車が、信号の誤りその他の原因は別にして、安全側線に乗り上げて、下り本線を支障いたしておる。それから次の下り電車が三河島の駅を出発してそれに乗り上げておるわけですから、いわゆる貨物列車がそういうふうに転落して下り本線を支障しておるということが、三河島の駅を出発するときにわからないのかどうか、ちょっと常識上私たち不思議に思うのですが、これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/11
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012・音田和夫
○説明員(音田和夫君) ただいま御指摘のございました点の、貨物列車と下りの電車の関係でございますが、目下のところ調査中でございまして、ごく正確な時間は判明いたしておりませんが、大体ただいままでに調査いたしましたところでは、下りの貨物列車と下り電車との状態は、雁行に近い状態でございまして、下りの電車のほうが少しおくれておりましたような状態であったように思います。したがいまして、下り電車の運転士が、貨物列車がブレーキをかけておるような状態にあるのではないかというようなことを気がついたとたんにぶつかったというようなことも申しておりますので、ほとんど雁行で、少し下りの電車がおくれておったというような状態であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/12
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013・中村正雄
○中村正雄君 そうしますと、事故の概況で報告願っておるこの内容とは違うわけなんですね。貨物列車の脱線とそれから下り電車の追突というのは、大体同じような時刻であると、こういうふうに考えたらいいのでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/13
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014・音田和夫
○説明員(音田和夫君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/14
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015・中村正雄
○中村正雄君 それからもう一つ。これによりますと、一応貨物列車と下り電車が脱線して上り線を支障いたしておる。その事故から上り電車のくる間までには四分ないし五分の間隔があったように報告があるわけですが、そうしますと、この下り電車の運転士その他は、相当けがもしておると思いますけれども、前の車が脱線しておるわけですから、車掌はおそらく後尾に乗っておるだろうと思います。したがって、四分ないし五分あれば、上り本線が支障しておるということはすぐわかるから、反対側からくる電車について緊急措置がとれると思うのですが、ちょっと常識上考えても……。そういう点はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/15
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016・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) ただいまのお尋ねは、当然の御疑問と私どもも考える次第でございます。そういう点を、私どももそのときの状況がどうであったかということを、いろいろ調べたのでございまするが、ただいま判明しておりますところでは、隣接の南千住駅に対して、上り電車の防護措置について連絡はとった模様でございまするが、そのときにすでに上り電車のほうは出ておったというようなことで、実際には間に合わなかったということと、これは現地を視察いたしました者の報告によりますと、上り電車が下り電車に接触して脱線するそのときのショックというものは、やはり相当大きかった模様でございまして、幸いにこの電車の車掌のほうはけがはいたしておりませんけれども、当時の衝撃の状況から考えますというと、気を取り直して落ちついて連絡をとるというような状態になり得るのには若干時間もかかったんじゃないだろうかというふうに判断されるように申しております。これらの点につきましては、なお今後よく事情を取り調べてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/16
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017・中村正雄
○中村正雄君 内容については、十分事故の原因その他調査しなければわからないと思いますが、駅の中間の出来事なら別ですけれども、駅の構内で、ちょっと常識上、乗務員のそういう精神状態等から考えると、一応納得できる点もありますけれども、駅その他に何らかのこういう防護措置は、たとえ隣りの駅に連絡しても発車直後であるというのであれば、とり得る余地があったんじゃないかというように常識的に考えられるわけなんです。こういう点について、やはり遺憾な点があったんじゃないかというふうに考えられますので、この点は、今後のやはり問題もあると思いますし、ひとつ十分御調査、御検討願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/17
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018・鳥畠徳次郎
○鳥畠徳次郎君 私は昨晩の国鉄事故に対しましては、原因あるいはまたその責任の所在というものにつきましては、緊急の場合でありまして、本日はこれを質問する時間はないようでありますが、ただ、この戦後最大の不幸な問題でありまして、慎んでこれらの犠牲者に対しまして自由民主党を代表しまして哀悼の意を表するとともに、御家族の皆様方に、どうかひとつ最大の物心両面におきまして、できるだけ手厚い解決をしていただきたいということが一点。
もう一つは、けさのテレビあるいはラジオ、新聞の報道によりますと、何分夜中のことであり、病院あるいは医療の点また医者の点、いろいろそれらの問題について、どうも行き届かない点が多々あるように承知をいたしております。もうすでに今では各病院にも相当の完璧に近い手配が済んでおると思いますけれども、なくなられた方は別といたしまして、まだ負傷でほんとうに生死の境を坊律しておる方も何十人かおありであろうと思います。どうかひとつ、これはあらゆる医学の技術の最高を生かして、ほんとうに心からなる自分の親身も及ばない介抱といいますか、医術の最高を生かして一人でも多くの人を助けてもらいたい。けさテレビで聞いた死者は百四十二名と承っておりましたが、ただいまの発表では百二十六名であったように思います。もうすでにその後、けさの七時ころの発表の十六人の重傷者が死亡の中に入られたんじゃないか、かように考えられるのでありますが、その後、相当重傷者で、手厚い看護なりあるいは医術の施行によっては助かる人も相当あるんじゃないか、かように考えられますので、ただいまは、もう原因その他の議論の時間じゃないと思います。どうかひとつ運輸大臣並びに国鉄副総裁におかれましては、それこそ万全を期せられて、最低の犠牲に食いとめられるように、ただいまから活動を一段と密にとっていただくこと、また、いずれ一日も早くこの原因、またこれに対処するにはどういうような方法をもって今後再度かようなものを起きないようにするかというような問題につきましても、どうかひとつ一日も早く次回の運輸委員会くらいには詳細に原因、理由を発表せられまして、再度起こらない、ということは、こういうことをやるんだ、予算の面においてはこういうような予算の執行をやる、また人事の問題ではこういうふうにやるというように、ほんとうにそれこそ万全を期した、われわれの、また国民の納得できる施策なり新しい一つの日本国有鉄道のあり方についての御方針を明らかにしていただきたい、かように私はお願いをいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/18
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019・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 相次ぐ列車事故に対しまして、きわめて遺憾に存じます。ことにこのたびの三河島の駅の構内の事件は、大ぜいの方の命をなくし、また重傷の方々を出しましたことは、国鉄の監督者といたしましてもまことに申しわけのない次第と存じます。なくなられたお方に対しましては、心から敬弔の誠を捧げますると同時に、おけがをなすったお方の御回復の一日も早からんことをお祈りをいたしておるわけでありまして、今朝も国鉄総裁が事件の報告に来られまして、逐一報告を受けたのでありますが、その際に、まず善後措置といたしまして、なくなられた方に対するお見舞、また重軽傷者の方々に対するお見舞等に手抜かりのないように申しますと同時に、この事故の原因を十分究明をいたしまして、今後かかることのないように申し入れをいたしておきましたが、私自身といたしましても、さらにこの原因を十分究明いたしまして、どこかに欠陥があるのではなかろうかという気持が切にいたします。十分監督者の立場といたしまして原因を究明をし、抜本的に今後がようなことのないような措置を考えたい、かように存じております。ただいまも各委員の方々から御熱心な御質問、御希望がございました。各位の御協力によりまして再びこういうことを繰り返さない措置を講じて参りたい、かように存じます。一言申し上げておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/19
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020・村松久義
○委員長(村松久義君) 現地調査のお申し出もありますので、本委員会の散会後、理事会に諮って、できる、だけさような方向で決定をいたしたいと思いますので、その後さらに質疑を継続いたしたいと存じます。
本日はこの問題に対する質疑はこれで終了をいたしておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/20
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021・村松久義
○委員長(村松久義君) 次に、鉄道敷設法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き質疑を行ないます。順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/21
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022・大倉精一
○大倉精一君 先般の委員会で要求しておきました資料をちょうだいしましたが、この資料について若干御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/22
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023・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 先般の御質問は、現在手がけておりますところの新線の建設を完了するというめどは大体いつごろであるかというふうな御質疑であったように存じておりますが、お手元に差し上げましたのは、大体その見込みにつきまして資料として差し上げたものでございます。ただ、大へん大ざっぱなお答えで恐縮でございますけれども、大体いつごろ開業するかということは、一にかかって建設費の予算をどう見積もるか、予算がどれだけ支出できるかということにかかっているわけでございますので、非常に大ざっぱな見通ししかできないというのが実情でございます。現在着工線としてきめられておりますものは、御承知のように四十七線でございまして、概算約二千億円を要するわけでございますので、しばしば申し上げておりますように、現在の予算の計数で参りますれば、全部完成いたしますのにおおむね三十年近くを要する、こういうことを申し上げておりますが、もしこれが倍額になれば、また逆に完成期間は半分でよろしいということにもなるわけでございまして、たいへん恐縮だとは存じましたが、ごく大ざっぱな見込みにとどめさしていただいたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/23
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024・大倉精一
○大倉精一君 この表を見ますというと、昭和二十八年あるいは二十七年に着工されておるのが、全然開業の予定がついていないという表になっておるのですけれども、たとえば一例をいえば、宮内−右左府というのですか、一番上から四番目、この線あたりは二十八年十月に着工したのですけれども、どのくらいできておるのですか。現在は工事の進捗状況はどうなんですか。一例ですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/24
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025・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 上から四番目でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/25
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026・大倉精一
○大倉精一君 四番目。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/26
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027・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 四番目は辺富内線と申しまして、宮内−右左府間が三十七・五キロでございますが、二十八年十月に着工いたしまして、現在、宮内−振内間十二キロ六を三十三年の十一月に開業いたしておるのでございまして、あと振内−右左府間二十四キロ七を建設いたしますと全線が開業するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/27
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028・大倉精一
○大倉精一君 その他、たとえば二十八年、二十七年に着工したものの進捗状況は、何割というくらいでけっこうですけれども、おわかりになったらおっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/28
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029・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) ただいま詳細な資料を持ち合わせいたしておりませんが、後ほど差し上げることにさしていただければ好都合かと存じます。ただ、大ざっぱに申し上げますと、戦後建設を再開いたしましたのは、御承知のように昭和二十七年からでございまして、その当時の路線は、ほとんど全線開業ないしは部分開業をいたしておるのでございまして、全然着工していないというのはないように私記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/29
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030・大倉精一
○大倉精一君 この法案は、私は賛成して通すわけですけれども、この進捗状況を見ますと、これはもうほとんど建設審議会の答申——建議ですか、この建議を受け入れて、お義理に着工しているというようなにおいがするわけですね。運輸大臣、これはひとつ政府のほうでもって必要な路線であればもっと早く進捗するような何か方法がありませんか。政府のほうで何かお考えがありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/30
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031・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 前の委員会でも申し上げましたように、結局建設資金の問題でございますので、政府といたしまして早急に着工をし、完成をしなければならぬものにつきましては、必要な資金を十分獲得のできますように、新しい措置を少なくとも次の国会までには講じたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/31
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032・大倉精一
○大倉精一君 たとえばさっき御報告をいただきました富内−右左府間におきましても、三十七キロ半の路線が、あとまだ二十何キロ完成しなければならぬ、こういうことなんですね。大部分ができていないのですね。これは十年たってもこんな状態なんですね。こういうようなことでは、これはもう必要であるという鉄道の効用価値が、完成した時分には、ずいぶん違っておるのじゃないかと思うのですね。ですから、私は、政府に特に建議され、採用された線については、もっと工事を促進するように、資金等についてもめんどうを見てもらうように強く要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/32
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033・村松久義
○委員長(村松久義君) 他に御発言もなければ、これをもって質疑を終局いたします。
これより討論に入ります。御意見のある方は順次御発言を願います。——別に御発言もなければ、直ちに採決を行ないます。
鉄道敷設法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/33
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034・村松久義
○委員長(村松久義君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。暫時休憩いたします。
午前十一時五十七分休憩
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午後四時十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/34
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035・村松久義
○委員長(村松久義君) これより委員会を再開いたします。
船員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き質疑を行ないます。順次御発言を願います。(「委員長々々々」と呼ぶ者あり)質疑がないように了解をいたしておりますが、どうですか。——きわめて簡単にひとつお願いいたします。中村委員は質疑をせられないという了解で、すみやかにこれを採決することにいたしてありますから、さようお心得を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/35
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036・大倉精一
○大倉精一君 船員に対する労働基準法。新しいものですから、ものを言わぬわけにいきますまい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/36
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037・村松久義
○委員長(村松久義君) 前回十分に発言をなすっておられたのですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/37
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038・大倉精一
○大倉精一君 いやいや。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/38
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039・村松久義
○委員長(村松久義君) 簡単にという条件でひとつ質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/39
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040・大倉精一
○大倉精一君 なるべく簡単にするつもりでおりますが、一応お伺いすることだけ一とおりお伺いしたいと思います。ついては、きょうは時間もないようですから、法案の内容についてただしておきたいと思います。
その第一点は、この法案を見ますというと、政令の定めるところにより、あるいは大臣の命令するところによりという字句が至るところに出てくる。でありますから、読んでおると結局どういうことになるかわからぬというのがこの法案です。ですから政令の定めるところにより、あるいは大臣の命ずるところによりというのは、大体どういうものであるかということを御説明を願いたいと思います。逐条的に、簡単でいいですから御説明を願いたい。たとえば第一条の二項によりますというと、「総トン数三十トン未満の漁船(政令の定める総トン数二十トン以上の漁船及び政令の定めるまき網漁業に従事する漁船の附属漁船を除く。)」こうなっておりますが、この場合、除かれる政令で定めるものはどういうものをお定めになるのか、以下これに準じてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/40
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041・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 船員法は、御承知のとおり海上労働者の労働基準法でございます。この労働関係につきましては、ときどきの時代の変遷に応じまして、その行政の内容を変えていかなければならないという問題がございますので、基本的な問題についてはもちろん法律で規定していただきますけれども、その実施の詳細につきましては、そのときどきの情勢に応じ得るように、政令で定める場合が多いわけでございます。今御質問のございました、たとえば第一条の適用の範囲でございますけれども、適用の範囲につきましては、当然これは法律をもって明確に規定すべき問題でございますけれども、その点につきましても、なおいろいろ検討すべき問題がございまして、たとえば二十トン以上の漁船につきまして、われわれ提案当時におきましては、第二種の重量制限を有する漁船及び第三種の重量制限を有する漁船をこの政令事項をもって規定するということを考えておったわけでございます。しかしながら、衆議院の審議の過程におきまして、さらにその点について適用の範囲を拡張するように検討すべしという附帯決議をいただいております。したがいまして、今後そういう問題について検討をしていきたいと考えるわけでございます。
なお、各条に、たとえば適用の除外について命令で定める、あるいはその適用の詳細について命令で定めるというものが非常に多いわけでございます。多いわけでございますけれども、内容的には、今後の命令の施行にあたりましては、船員中央労働委員会に諮問をいたしまして、その決定を経てから省令なり政令なりを確定するという手続を踏む考えでございますので、決して運輸大臣が専決して、こういう問題について労使の意見その他について十分な調査をしないで命令を定めるというような問題は起こらないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/41
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042・大倉精一
○大倉精一君 私の聞いておるのは、ほとんど各条にわたって「命令の定めるところにより、」あるいは「命令の定める場合は、」ということが書いてあるわけですね。どういうふうになるのかということがわからぬわけです。たとえば、第八条におきましても、「船長は、命令の定めるところにより、発航前に船舶が航海に支障ないかどうか」云々、第十四条におきましては、遭難船舶の救助の問題でありますけれども、「命令の定める場合は、この限りでない。」という除外例がある。あるいは異常気象等の通報につきましても、第十四条の二には「命令の定める船舶の船長は、」どういう船舶であるか、その他、以下ずっとありますね。ほとんど各条にあります。これはどういうものかということを知りたいのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/42
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043・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) たとえば今御指摘になりました十四条等の問題につきまして、十四条の「命令」あるいは十四条の二の「命令」というようなものにつきましては、具体的に船舶を指定するわけでございますけれども、たとえば無線設備を備えた船舶であるとか、あるいはその船舶の特殊性に着目いたしまして、それを除外するという場合もございますので、そういう詳細につきましては、命令で詳細に規定を置いていこうという考えでございまして、この本条の精神というものは、当然一般的にこれを行なっていくという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/43
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044・大倉精一
○大倉精一君 それでは各条にわたっての説明も繁雑なようですから、重点的にひとつお聞きしたいと思うのですが、第八十二条の二号ですね、「主務大臣の指定する航路」というのはどういう航路ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/44
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045・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 本条で主務大臣が指定する航路は、医療の設備の非常に不十分な地域でございまして、たとえば西アフリカ航路あるいはペルシャ湾航路というような、特別に医療の面から見て非常に整っておらないという地帯に就航する船舶を指定することができるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/45
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046・大倉精一
○大倉精一君 そういう船舶は大体あれですか、個々の船舶について指定するわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/46
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047・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 特定の航路を指定するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/47
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048・大倉精一
○大倉精一君 特定の航路ですけれども、その航路のほかに船舶自体じゃないのですね、航路ですね、これは。わかりました。
それからもう一つお伺いしておきたいのは、七十二条の二ですが、ここでもやはり「主務大臣の指定する船舶」と書いてある。これはどういう船舶を言いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/48
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049・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 船員法の労働時間は、外洋の航海を対象としてきめておりますので、定期的に短距離の航路に就航する船舶につきましては、入出港が非常にひんぱんでございまして、したがいまして、労働の内容が断続労働になるということでございますので、外洋を航海する船舶の労働時間を対象としてできております船員法の労働時間を、そのまま適用するということについては適当でない面がございますので、除外例を設けたということでございます。したがいまして、短距離の航海を行なうもの、入出港がひんぱんであるものという考え方で、現在のところは日本国有鉄道の連絡船の勤務時間、またそれに類似する内海航路等の労働時間についても指定を考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/49
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050・大倉精一
○大倉精一君 たとえば国鉄の連絡船の場合におきましては、船員の労働時間、または休息時間について命令で定めをするということになっておるのですけれども、これはどういう定めをおやりになるお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/50
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051・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 労働時間の規定につきましては、七十二条の二のただし書きにおきまして「一日平均八時間以内」ということでございますけれども、この「平均八時間」というものの周期を何週間とするかという問題があるわけでございます。それともう一つ、休息時間をどのように取らせるかという点についての規定を行ないたいと考えておるわけでございます。具体的に申し上げますれば、労働基準法では、この周期は四週間というふうになっております。連続休息時間等につきましては四時間という規定がございますので、大体その基準によりながらも、海上労働の特殊性という点から見まして、われわれといたしましては五週間の平均の周期と、連続休息時間については一応四時間というふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/51
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052・大倉精一
○大倉精一君 現在、たとえば青函連絡船あたりの船員の勤務時間なり休養時間あるいは休日はどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/52
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053・荒木善之
○説明員(荒木善之君) 労働時間につきましては、二十四時間業務中に大体十六時間を船に乗っております。あとの余った八時間が自由休息時間になっております。それから休日につきましては、法定休暇が十八日でございますけれども、二十日与えております。そのほかに祝祭日が九日で、二十九日になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/53
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054・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、二十四時間中十六時間勤務で八時間休憩ですか。それで結局は拘束二十四時間ということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/54
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055・荒木善之
○説明員(荒木善之君) 拘束は二十四時間でございまして、十六時間の労働でございますので、平均八時間ということになっております。一昼夜交代でやっておりますので、平均八時間。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/55
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056・村松久義
○委員長(村松久義君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/56
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057・村松久義
○委員長(村松久義君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/57
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058・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、この例外規定といいますか、ここで当直する者が五十二時間ですか、五十二時間勤務ということになっているんですけれども、この五十二時間勤務というものについて国鉄の連絡船はどういうような割当になりますか。さっき五週間を一周期と言われましたね。もう少し具体的に説明してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/58
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059・荒木善之
○説明員(荒木善之君) 現在の青函の運航形態を申し上げますと、一日二往復船と二日に三往復船、これが基本の形態になっております。こういうものを混合して運用しておるわけであります。そうしますと、一周期が三十二日になってくるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/59
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060・大倉精一
○大倉精一君 これはしろうとでよくわかりませんが、さっきの五週間を一周期にしてそしてそれを五十六時間にする、平均五十六時間ですか、そういう意味ですか。そうしますと、平均ですから、お休みがないということになるんですか。五週間平均して一週間五十六時間になるんですか。そうすると、お休みというものはないということになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/60
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061・荒木善之
○説明員(荒木善之君) それは現在ダブル・ハンド・システムといいまして、一昼夜乗りましたならば一昼夜は自宅休養ということになっておりまして、今おっしゃるように、休日としてはございません、その場合においでは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/61
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062・大倉精一
○大倉精一君 その問題は、将来にわたって当局側と労働組合側と交渉して変更をするということができるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/62
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063・荒木善之
○説明員(荒木善之君) できます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/63
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064・大倉精一
○大倉精一君 たとえば一週間一日休日を与えるということはできるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/64
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065・荒木善之
○説明員(荒木善之君) 一週間一日になりますか、いわば広い意味の休日でございますね。休日を含めて時間短縮するという問題は、今後の検討の問題であろうと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/65
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066・大倉精一
○大倉精一君 私の聞いておるのは、二十四時間勤務をしてあと二十四時間休むということなんですけれども、これはほんとうの休みにはならぬと思うんですね。二十四時間勤務して、うちへ帰るのは今度昼ですからね。ほんとうの休養にはならぬと思いますね。ですから、実際の休養できる日は一週間に一日あるのがこれはもう普通だと思うんですね。ですから、一週間に一日休養するということと、二十四時間勤めて翌日一日休養するということは、だいぶ意味が違うと思いますよ。ですから、二十四時間勤務して翌日一日休養さしてやるからいいじゃないかというような、そういうことは、これはやっぱり相当ひどいんじゃないかと思うんですね。トラックの場合もそうだと思うんです。二十四時間ぶっ通して路線トラックをやって翌日休養するといいましても、これは休養にならぬですよ。それと同じだと思うんです。ですから、特に今度の列車の事件等につきましても、勤務時間なりあるいは就眼等の関係もあると思うんです、これはこれから調査をするんですけれども……。そういう関係で、これはやはり一週間に一日の休養を与えて四十八時間という方向に持っていくように努力しなければならぬと思うんですけれども、こういう点について当局のほうのお考えはどうなんですか。きょうは中村さん来ていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/66
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067・荒木善之
○説明員(荒木善之君) 今おっしゃいましたように一昼夜交代が疲労度が高いという問題につきましては、個人の体力差もありますし、職種によって異なるところもあると思います。したがいまして、一がいに疲労度が高いという認定はつきがたいと思います。まあ時代の趨勢といいますか、そういう点からは、休日を含めて休養時間という問題を検討すベきであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/67
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068・大倉精一
○大倉精一君 それは疲労度は一がいには言えないということは、医学的な実験をされたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/68
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069・荒木善之
○説明員(荒木善之君) 宇高航路で一回実施したことがございますが、はっきりした数字が出ませんでしたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/69
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070・大倉精一
○大倉精一君 それは一がいには言えぬとおっしゃるけれども、実際にあなたそういうことをおやりになったかどうかわかりませんけれども、科学的な一つのテストをして、そうして一つのデータが出て、それに基づいてそういうようなファクターならこれはわかると思うのですけれども、大体そうだろう、大体そうだろうという目分量で言っておられると思うのですけれども、私は、二十四時間やって、あと二十四時間勤務しろという状態は、正常な休養もできないと思われるのですね。これはここで議論してもしようがありませんが、要は、ここに大臣の命令する船がありますので、五十六時間というのは、これはいわゆる勤務の最高をきめるのですか。「五十六時間以内」ですからね。ですから、船員の勤務時間というものは、それはやはりもう少し合理的に短縮をしていくように努力をしなければならぬと思うのですが、当局はどういう意向を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/70
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071・荒木善之
○説明員(荒木善之君) 五十六時間の内訳を申し上げますと、当該運航に絶対に必要な当直時間と出入港時間及び整備作業の時間がございます。整備作業の時間を、整備作業の内容によりましては一部陸上転移ということも考えられる問題であろう、こういう考えでございますから、出入港の配置要員の検討、そういう点も考慮いたしますれば、まだ時間短縮は可能ではないか。ただし、保安度の関係がございますので、これを十分検討したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/71
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072・大倉精一
○大倉精一君 そういう点について、政府の指導方針はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/72
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073・有馬英治
○政府委員(有馬英治君) 現在は船に限りまして五十六時間を前提として、それに合わせた給与体系をとっておるわけでございますが、今後は実情に沿うような方向で企業合理化並びに給与のこともにらみ合わせて、暫時改正の方向に検討していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/73
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074・大倉精一
○大倉精一君 その問題については、当局と組合側と話し合いが進んでおるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/74
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075・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 国鉄連絡船の労働時間の問題につきましては、昭和三十二年ころから船員中央労働委員会におきまして特別の小委員会を設けてこれを検討いたしておったわけでございますけれども、その後、船員中央労働委員会の試案も提出いたしまして、労使双方に御検討いただいて、特別の委会員も労使間において作っていただいて、その結論を出していただくことを期待しておったわけでございます。しかしながら、約四年にわたるそういう経緯でございましたけれども、なお今日まで結論が出ておらないという状況でございます。ただ、この船員法の改正を契機といたしまして、われわれといたしましては、できるだけ早い機会にこの労使のお話し合いを取りまとめていただいて、そこで結論を出していただくということを期待しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/75
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076・大倉精一
○大倉精一君 時間がないようですから、最後に一点だけお伺いしておきたいのですけれども、六十条の、問題になっておる「一週間について五十六時間」、これは「当直をすべき職務を有するもの」の時間制限になっておるのですけれども、諸外国では、この船員の時間関係どうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/76
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077・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 外国の船員の労働時間につきましては、いろいろな形態があるわけでございまして、具体的に申し上げますと、一週四十時間あるいは四十四時間というような制度のものもあるようでございます。ただ、現実問題といたしましては船舶に乗り込んでおります以上、一週間の労働時間を五十六時間、一日平均八時間、七日間の労働時間の平均が最高限度が五十六時間というような考え方は、外洋を航海する船舶としては、現在のところやむを得ないことではないかというふうに考えるわけでございまして、これにつきましては国際条約におきましても五十六時間という制度をとっておるわけでございます。したがいまして、五十六時間自体をどうこうするということでなしに、たとえば有給休暇をどういうふうにとるか、あるいは下船後の休養、振りかえ休日をどうするかというような点に問題があるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/77
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078・大倉精一
○大倉精一君 現在海員組合が争議をやっておりますけれども、その要求目標の一つに労働時間の問題があると思うのです。労働者にとっては、労働時間というのはこれはもう厳粛なる一つの権利として主張すベきだと思うのですよ。ですから、労働時間についてはもっと当局者も慎重に、しかも厳粛に考えてやってもらわなければいかぬと思います。ことにILOの条約におきましても大体四十八時間制度をとっておりますが、五十六時間というのは国際的にいって長いですよ、これは。やはりもっと時間を短縮して、そしてやはり週休制も設ける。そういうような努力をやっぱりしていかなきゃいかぬと思いますね。もう少しこの労働時間については厳粛に考えてもらわなければならぬと思います。
これは次官に伺うのですがね、政府としても、船員に限りませんけれども、この労働時間というものをもっと厳粛に考えて——どうもこの法案によりまするというと、五十六時間を適用される範囲が拡大されている、逆行していますね。これじゃ非常にいかぬと思うのですよ。この点について、ひとつ政府の今後の指導についてお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/78
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079・有馬英治
○政府委員(有馬英治君) ただいままでは特別な場合でございますので、一般と違いまして五十六時間というものを前提として、そのかわり給与も努力しようというふうな考え方できていたのでありますが、世間の情勢もだんだん変わって参りましたし、したがいまして、御趣旨のように実情に沿うように今後努力する考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/79
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080・大倉精一
○大倉精一君 まあ時間がないようですから、だいぶお急ぎになっておるようですから、あとは討論で申し上げることにして、これによって一応質疑を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/80
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081・田上松衞
○田上松衞君 委員長……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/81
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082・村松久義
○委員長(村松久義君) 質疑はお許しいたしますけれども、先ほどお聞きのとおりの事情もありますので、ひとつ簡潔に願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/82
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083・田上松衞
○田上松衞君 船員法の一部を改正する法律案の提案理由を説明された政府の言葉の中にも、「船員法は、申すまでもなく、労働基準法と並んで海上労働者の労働基準に関する基本法としての性格を持つべきである、したがってその改正は慎重に行なわなければならない。」そして「古い船員法を昭和二十二年の新憲法の施行に伴ってこれを全面的に改正した、だがその後いろいろな経済情勢だとか労働情勢等も著しく不安定な時期にこれは制定されたのであって、現状には即さない、したがって、これを改正しなければならぬわけで、過去八年間にわたってこれこれの方法をとって慎重にやったのだ」と、こう言っておるわけなんです。まさにそのとおりでなければならぬはずです。ところが、質問に入る前提として委員長にお伺いしたいのですが、ことほど政府みずからがこういう工合に説明して、慎重に重大な問題として扱ってもらわなければならぬと言っているにもかかわらず、きょう委員会はこれを採決しようという段取りになっていると承知しているわけなんですが、こうした最終的な場合に臨んで、最高責任者である大臣が出席していないということは一体どういう理由なのか、問題の扱い方、取り上げ方が、政府が言っておる言葉と、やっておることとは食い違うんじゃないかという感じがするのです、委員長、この点について大臣が出てこれない理由を、納得できるようにひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/83
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084・村松久義
○委員長(村松久義君) 政務次官が釈明をするそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/84
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085・有馬英治
○政府委員(有馬英治君) まことに仰せのとおりでございまして、本日大臣が当然まかり出て御意見を拝聴してお答えを申し上げるべきでございますが、御承知のように昨夜おそく国鉄の珍事がございまして、その現場にただいま行っておりますので、そして、あとのことにつきましても善後措置を講じておる最中でございますので、まことに申しわけないのでございますが、席をはずさしていただいたわけでございまして、急なことでございましたので、何とか御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/85
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086・田上松衞
○田上松衞君 政務次官のお話では必ずしも納得できないわけですけれども、今日、この時点においてこういうことを論議しておっても始まらぬから、この点については、強く要望を申し上げておきたいと思うのです。とかくいろいろな法案を打ち出してくるけれども、一体言うこととなすことが常に食い違っておるところに、国民の非常な不安、ひいては不信というものをいたずらに生じてしまうということを非常におそれるわけです。こういうことを申し上げるのは、政府が言うまでもなく、全く日本におけるところの船員は、この船員法、この基本法一本で縛られておるわけでございまして、ほかの職場に働く人々とは全然事情を異にしておるわけです。これほど重大に考えておるわけなんです。しかも大倉委員がさっき触れられたように、現在、御承知のとおり四年ぶりで日本海員組合はゼネストを決行しておるというさなかであります。しかもこの改正案の中にやはり関係する事項が相当あるわけであります。こういうときにおいて最高責任者である大臣からいろいろ決意を聞いたり所信を伺ったりするということは、これは政治的な角度から見ても必要なことであり、まあできるだけ民主政治を達成しようとする今日の時代においては、これはもう当然なことといわなければならぬと思うのであります。したがって、今のような事情、必ずしも大臣その程度でもって出席不可能と、われわれは少なくとも船員諸君に対して納得させられない心配があるけれども、一応この時点ですからやむを得ないものとしておきますが、どうぞ今後こういうことのないように、もっと言われたとおりにこれを重視していくということを、大臣にも、特に政務次官のほうからも委員長のほうからも、将来の問題のためにひとつ注意をしておいてもらいたいということを要望申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/86
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087・村松久義
○委員長(村松久義君) 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/87
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088・田上松衞
○田上松衞君 そこで、質問に入るわけなんですが、今申し上げたような事情ですから、わずかな時間でということについても、これまた不服がありますけれども、これもある程度やむを得ないとしてお伺いするわけですが、政務次官かわってこられたわけですから、ある程度までは責任を持って、大臣がなし得ることについて、ひとつ御答弁が願えますか。——伺いますか、衆議院でこの法案を審議された期間は一体どのくらいだったのですか、そうして何回くらい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/88
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089・有馬英治
○政府委員(有馬英治君) 提案後約三カ月、その間十回以上、十一、二回くらいではないか、はっきりしたことは今わかりませんでございますが、あとでお知らせいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/89
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090・田上松衞
○田上松衞君 衆議院は最終的に原案をうのみにせずして、これに対する附帯決議を六項目についてつけられているわけですね。この場合、時間を尊重する意味において、一括して六項目のすべてについて、どういうような観点で附帯決議をつけ、これを受け取ったところの政府側は、どういう工合にこれに答えておいたかという経過をひとつお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/90
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091・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 衆議院の六項目にわたります附帯決議につきましては、衆議院の審議におきまして詳細に御検討、御審議願ったわけであります。
第一の国際海上労働条約の問題でございますけれども、これにつきましては現在船員の関係の国際労働条約は非常に多数に上っておりますけれども、早急に批准のでき得るものについては、国内体制を整備すると同時に、その批准を行なってもらいたいという御意見がございました。さしあたり漁業の三条約につきまして、われわれといたしましては早急に批准をいたしたいということで、関係各省と現在検討を進めております。できることならば、できるだけ早い機会に国会の御承認を求めるという手続をとりたいと考えているわけでございます。
それから第二の適用範囲の拡張でございますけれども、これにつきましては、先ほど御説明いたしましたように、第一種の従業制限を要する漁船につきましても適用範囲を拡張するようにという御意見がございました。これにつきましては、漁業事業者の負担の問題及び船員保険特別会計の財政の問題がございますが、われわれといたしましては、そういう方向に向かって努力をいたしますということで今日まで参っているわけでございます。
それから第三の国鉄連絡船の労働時間につきましては、先ほど政務次官からお答え申し上げたとおりで。ございまして、この点の審議につきましては、週四十八時間というものをはっきり法律に明記する必要がないかというような御意見もございましたけれども、具体的な措置をもって、今後国鉄の労使の間で合理化というものを進めながらも、そういう方向に向かって努力するということで、この問題の審議は終わったわけでございます。
それから第四の漁船、小型鋼船及び機帆船の労働時間及び休日の問題でございますけれども、これにつきましては、運輸省におきまして、農林省と連絡をとって、その給与について、具体的にはできるだけ歩合制の中の固定給分を増加するという方向に向かって今後努力する、また労働時間、休日等につきましても、今後努力するということで審議は終わったわけでございます。
それから船内の衛生管理の問題でございますけれども、船員法には先ほど大倉委員の御質問がございましたように、主務大臣の指定する航路以外の船舶については、現在の法律を改正いたしまして、医師の乗り組みを強制しないわけでございます。しかしながら、そういう場合には衛生管理者を乗り組ませて、船員の衛生管理に当たらせるということになっております。また現在五千トン以上の船舶には医師の乗り組みを強制しているわけでございますけれども、衛生管理といたしましては三千トンまでその適用を下げまして、衛生管理者を乗り組ませるという制度にいたしておりますので、今後衛生管理者の養成その他試験については、これは万全の措置を講じてもらいたいという御審議があったわけでございます。
それから行方不明手当につきましては、社会労働委員会におきましても御質疑がございましたけれども、運輸委員会におきましてもこれを保険化するようにという御審議がございました。われわれといたしましても漁船の遭難事故が非常に多い実情でございますし、また零細な事業者がいてそういう遭難を起こしておるというような事情から見まして、船舶が遭難する場合には、その企業にとっても重大な損失をこうむるわけでございますので、これをできるだけ保険化するように努力したいということを申し上げまして、厚生省のほうからもそういう趣旨に沿って検討するということでこの問題の審議が終わったという状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/91
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092・大倉精一
○大倉精一君 議事進行。
質問中ですけれども、御承知のように、きょう五時から議長の改選議員に対する送別の御好意がありますので、時間がきておりますので、質問中でありますけれども、一応中断して休憩をしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/92
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093・村松久義
○委員長(村松久義君) 時間の予定はどれくらいかかりますか。
ちょっと速記をとめて下さい。
〔午後五時五分速記中止〕
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〔午後五時三十一分速記開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/93
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094・村松久義
○委員長(村松久義君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/94
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095・田上松衞
○田上松衞君 先刻衆議院がつけたところの附帯決議の六項目について船員局長からその経過とおおよそのこれに対処する方向が説明されたわけですが、結論的に申しまして、私どもも衆議院がつけた附帯決議に対しては、大体において了承できるわけなんです。願われることならば、これは全会一致でもって若干のこれに修正を加えつつ、全部でもってこれを参議院の附帯決議としてもらいたいという希望すら持っておるわけなんです。ところが、せっかくこうやってつけられましても、船員局長の後段のどう対処するかの方法については、まことにたよりないものを感ずるわけです。たとえば第二項の問題、「原則として総トン数二十トン以上のすべての漁船に船員法を適用するよう努めること。」こういう工合に衆議院で附帯決議をつけておるけれども、局長のお話では、まあ努力するという考えだというようなことで、どのくらいの腹をきめておるかということについて、まことにたよりないものを感ずるわけなんです。ほとんど全部にわたって、これも努力する、あれも努力すると、私はこの場合、言いづらい話だけれども、いわゆる政治家というものは政治的字句を使いまして、努力する、考慮するなんという文句を使うけれども、少なくとも役人の場合においては、そんな政治的な言葉でなくして、率直にこういう問題についてはこうする決意であるとかいうようなことになってこなければならないはずだと私は思う。それを信じておるわけだけれども、つけられたのに説明されたのが、みんなそうなんです。国鉄連絡船の労働時間と休息時間に関する事柄についても、とにかく内容は、なるほど四十八時間にしていきたい、こういう考えだということを言われたが、やっぱりこれも努力したいというだけの話であり、漁船、小型鋼船、機帆船の問題についても、これはほとんど何の説明なしに、希望のとおり努力してみようという話だし、行方不明手当についても、当然なことであるけれども、これも努力してみましょうという程度のものなんです。わずかに内容については大体こういう措置であれは考えると。納得できた問題は五項目の船内の衛生管理の向上についての事柄だけなんです。しかも、その内容も必ずしも満足なものではないわけなんです。医師の乗っていない船については、これにかわるだけの衛生管理者を置いたらばという話だとか、あるいは今までの五千トン以上の船に医師を乗せていたものを三千トンまで下げたい、こう考えておると。内容に触れたのはそれだけなんです。非常にたよりない。もっとひどい点は第一項目の国際海上労働諸条約、あるいは結果的に日本に持ち込むところの批准の問題、これはたくさんあるわけなんです、いろいろ。——大臣がこられたから約束のとおり質問を省略いたしますが、船員局長だけにはこの一点だけ確かめておかなければなりませんが、たくさんの条約並びに勧告あるいは批准、国内の改めなければならぬ実施等の問題、これらについての問題がたくさんあるわけですが、答えられた点は、漁業に従事するものに対して考えてみたいという程度のことでありまして、これは第一項目に関する限りは全く九牛の一毛の程度のお考えしか持っておられないかのような響きがするのですが、どうなんですか、大臣こられたから、くどく申し上げませんが、ひっくるめてどういう程度の決意、どういう工合に附帯決議を尊重しようというあれであるかということを、まあこれはあとで大臣にお聞きすることは当然ですけれども、船員局長がせっかくさっき答弁されたのであるから、当該事務的責任者である船員局長から一応の考え方を的確に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/95
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096・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 国際労働条約につきましては、運輸省の中に委員会を設けて現在検討いたしておりますけれども、先ほど漁業三条約について、申し上げましたのは、早急に批准できるというふうにわれわれ考えておりまして、それをまず処理したいということで、現在手続を進めておるわけであります。その他のものにつきましても、なお批准できるものにつきましては今後検討していきたいと思いますけれども、それには国内体制の整備が前提でございますので、そういう面についての努力をしていきたいと考えておるわけです。
それから第二の適用範囲の考慮の問題につきましては、もちろんわれわれといたしましては附帯決議のとおり今後進む考えでございますけれども、運輸省の方針だけでこの問題は処理できるものではございませんので、われわれの考えだけではなしに、厚生省及び農林省とも十分連絡を密にして、附帯決議の御趣旨のとおりに今後やっていきたいと考えておるわけでございます。
それからそれ以外の問題につきましても、こういう問題につきましては具体的に、たとえば国鉄の連絡船の労働時間という問題につきましては、もちろん労使の間で検討さるべき問題でございますので、われわれはそういうような時間短縮というような方向に問題が処理され得るような、そういう法律体制を現在作っておるわけでございますので、今度の改正もそういうことを考えての改正でございますので、われわれとしてはそういう方向に進むということを前提にものを考えておるわけでございます。もちろん先ほど政務次官から申し上げましたように、合理化の問題、その他いろいろな問題はあると思いますけれども、そういう意見を勘案しながらも、この附帯決議の御趣旨のように進むということを考えておるわけでございます。その他の問題につきましてもこの趣旨に沿って進んでいくという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/96
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097・村松久義
○委員長(村松久義君) 他に御質疑はございませんか。——ないようでございますから、質疑を終局いたします。
これより討論に入ります。御意見のある方は順次御発言を願います。なお、附帯決議案も討論中にお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/97
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098・大倉精一
○大倉精一君 私は、船員諸君が非常に大きな関心を持っておりまするところのこの法律案に対しまして、本院の審議時間が非常に短かったことを遺憾に思います。まあしかしながら、本法律案についてただしたい点につきましては、おおむね衆議院においてただしておられると存じますので、この際、附帯決議を附して本案に賛成したいと思います。なお附帯決議は、衆議院において可決せられましたものに対して私も全然賛成でありますので、一部筆を加えてそのままのものを提案をしたいと思っております。したがって、この附帯決議案は衆参両院委員会において特に重大な関心を持っておることを、政府におきましては特に留意されまして、誠意ある具体的な所信の披瀝を求めるものであります。
決議案を朗読いたします。
船員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
政府は本法の運用にあたり左記事項に留意すべきである。
記
一 国際海上労働諸条約並びに勧告の検討を早急に進め、批准及び国内的実施に必要な国内体制の整備に努めること。
二 原則として総トン数二十トン以上のすべての漁船に船員法を適用するよう努めること。
三 国鉄連絡船の労働時間及び休息時間に関する命令の制定にあたつては、労使の意見を十分に聴取して万全を期するとともに、具体的な労働条件については、労使の協力により、休日付与の問題を含む労働時間の短縮その他の措置をとるよう善処すること。
四 漁船、小型鋼船及び機帆船の労働時間及び休日について適当な基準を設定するよう努力するとともに、これらの船舶の乗組員、特に国際漁業、長期漁業に従事する者の労働条件の改善についての指導を強化すること。
五 船内の衛生管理の向上について万全の措置をとること。
六 行方不明手当については、船員保険法の給付対象とするようその改正を図ること。
以上、附帯決議を提案しまするが、願わくは各派共同提案としてお取り扱いならんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/98
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099・中村正雄
○中村正雄君 ただいま大倉君が提案いたしました附帯決議をつけて、本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/99
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100・天埜良吉
○天埜良吉君 自由民主党を代表して、ただいまの法案に附帯決議を附して賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/100
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101・加賀山之雄
○加賀山之雄君 参議院同志会も、この附帯決議案を共同提案にすることに賛成いたします。
本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/101
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102・村松久義
○委員長(村松久義君) 他に御発言もなければ、これをもって討論を終局いたします。
これより採決を行ないます。船員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/102
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103・村松久義
○委員長(村松久義君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
次に、附帯決議案について採決いたします。附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/103
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104・村松久義
○委員長(村松久義君) 全会一致と認めます。よって附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
なお、ただいま可決いたしました船員法の一部を改正する法律案及び午前中に可決いたしました鉄道敷設法の一部を改正する法律案の審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願います。
決議案に対する意見を聴取します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/104
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105・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま各会派から共同御提案に相なって御可決になりました船員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議の各条項につきましては、まことにごもっともの次第と存じまするので、私といたしましては、できるだけ熱意をもって誠実にこの附帯決議の実現をいたしまするよう、十分努力をいたしたいと存じます。相当むずかしいいろいろの条件にもぶち当たることと存じまするが、これらにつきましては、各位の今後の一そうの御支援、御鞭撻をいただきたく、あわせてお願いを申し上げておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X02619620504/105
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106・村松久義
○委員長(村松久義君) 本日は、これにて散会いたします。
午後五時四十五分散会
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