1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月二十四日(火曜日)
午前十一時四分開会
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出席者は左の通り。
委員長 森 八三一君
理事
谷村 貞治君
横山 フク君
吉田 法晴君
牛田 寛君
委員
川上 為治君
谷口弥三郎君
村山 道雄君
小笠原二三男君
近藤 信一君
田畑 金光君
国務大臣
国 務 大 臣 三木 武夫君
政府委員
科学技術政務次
官 山本 利壽君
科学技術庁長官
官房長 島村 武久君
科学技術庁計画
局長 杉本 正雄君
科学技術庁振興
局長 前田 陽吉君
科学技術庁原子
力局長 杠 文吉君
気象庁長官 和達 清夫君
建設省河川局長 山内 一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
説明員
原子力委員会委
員 石川 一郎君
原子力委員会委
員 兼重寛九郎君
原子力委員会委
員 駒形 作次君
原子力委員会委
員 西村 熊雄君
科学技術庁資源
局長 黒沢 俊一君
文部省大学学術
局審議官 岡野 澄君
林野庁指導部長 松下久米男君
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本日の会議に付した案件
○原子力委員会設置法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○科学技術振興対策樹立に関する調査
(防災科学に関する件)
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001・森八三一
○委員長(森八三一君) ただいまより委員会を開会いたします。
原子力委員会設置法の一部を改正する法律案(閣法第一三四号)(衆議院送付)を議題といたします。
御質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/1
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002・吉田法晴
○吉田法晴君 同僚委員から御質疑も願っておりますし、大して残っておらぬのですが、ただ原子力委員会設置法の一部改正で、原子力委員会で放射能対策を実施する、あるいは調査されるということになりますと、他の機関との、同様の調査なり対策を講じているところとの関連が問題になりますが、内閣に設置されている放射能対策本部との関係はどうなるのか。
それから各省庁で放射能あるいは放射性物質の調査あるいは対策をやっておられる部分がありますが、それとの関連、あるいは総合調整ということをどういう工合にされるのか、その点だけを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/2
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003・杠文吉
○政府委員(杠文吉君) お答え申し上げます。
放射能対策本部が内閣に設けられましたのは、臨時にというふうに相なっておりまして、その臨時にというのは、いつまでの期間であるかということは明確にされておりません。しかるところ、この原子力委員会設置法の改正をただいま御審議願うということに相なりましたものでございますから、したがいまして、ただいまのところ申しましょうか、現在の段階におきましては、放射能対策本部は、臨時ということでございますけれども、そのままあり、また御審議願って原子力委員会設置法の一部改正が成り立ちました折におきましても、やはり同時的に存在するということはやむを得ないのではなかろうかと考えております。しかしながら、原子力委員会設置法の改正成立後におきましては、同時に原子力局の中に放射能課という一課を設けまして、これは内閣委員会のほうで御審議願いまして、すでに衆参両院の本会議も通過し、成立いたしております。科学技術庁設置法の改正でございますが、その改正によりまして、原子力局に新たに各省が講ずるところの対策の事務の総合調整をやる機能が与えられましたものですから、それに基づきまして、ただいま申し上げました放射能課を原子力局に設けまして、原子力委員会のお世話をすべて原子力局が従来やっておりましたが、この放射能関係につきましては、ことにこの放射能課が十分なお世話を申し上げるという態勢に相なるわけでございまして、そちらのほうの陣容を整備いたしますとともに、内閣に置かれる放射能対策本部は解消をされる。それは直ちに解消をして、直ちにその放射能課に事務を移し、また一部委員会の事務に機能を移すというようなことにおいては、多少の混乱もあろうかと考えられますので、ただいま申し上げているように、そちらのほうの陣容が整っていくにつれて、放射能対策本部は解消していく。その目安は大体この三十七年度か、あるいは暦年におけるところの三十七年末くらいのところを目安にして、そうして解消して、原子力委員会の、あるいは原子力局の機能の充実に待つという考え方でございます。
それからまた第二問の、各省が講じますところの諸般の調査、これにつきましては、従来とも原子力局が予算は一括計上いたしておりまして、それを配分して各省がいろいろの調査業務をやっておられるというようなことでございますから、それは相変わらず引き続くわけでございますが、ここに新たに放射能対策の業務というものがつけ加わったわけでございまして、その放射能の対策業務につきましては、原子力局が一括予算を計上するということはいたしませんで、各省それぞれが予算をとることに相なるわけでございますが、対策と申しましても、やはり恒常的なものと、臨時的なあるいは緊急的なものというふうに分けられようかと思うのでございます。恒常的な点におきましては、研究ということが主になろうかと思います。その研究につきましては、従来とも原子力局が一括計上しておりましたものですから、相変わらず原子力局において一括計上して、調整の事務をやるということに相なるわけでございますが、臨時的な対策、たとえば汚染されたところの魚類あるいは野菜等を廃棄するとかいうような措置につきましては、それぞれの行政庁が当たられる。それをそれじゃその当たられるのはそのままにしておくのかと申しますと、原子力委員会はその基本を立てる、どういうような水準の場合にはどういう措置を講じなくちゃならぬかという基本を立てる、それにつきまして、また原子力局におきましては、いろいろ事務の総合調整ということにおきまして調整していく、そういうような関係に相なろうかと思うわけでございます。以上、御質問の二間にお答えいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/3
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004・小笠原二三男
○小笠原二三男君 関連して。先般もこの点伺ったんですが、今のお話ですと、原子力放射能課が恒常的に働き出す。そういう建前になると、内閣にある本部は解消されるものと思われる。がしかし、それは臨時的なものとして、期限は切っていないのであるから、今のところはわらぬと、こういうことなんですが、原子力委員会は対策の基本、ほんとうにもう純粋な基本的な問題だけを決定するわけですね。で、具体的なそれに基づく対策を立て、あるいはこれを実施面に移すということになれば、原子力委員会のその決定を受けて、それを担当する事務当局としては放射能課であろうと思うんですが、しかしそれを各省にばらまいて、そしてしかも調整をとっていくんだというのには、原子力局そのものでさえも力の限界があろうと思われるのに、単に放射能課なんというようなものの言うことを各行政庁が聞くかどうかということは、われわれ疑問に思うんですね。そういう際にこそ、内閣にある本部が総合的な対策の承認なり、具体策の決定なりをしたという形で各省庁にこれをやらせる、相互に持ち寄って強力な施策を進めていく。何かそのほうが具体性があるようにも思われるんですがね。何ら法制的には関係は何にもないですけれども、何か放射能課というものだけで、あんな縄張りを争う、押えも何にもきかぬ各省に、原子力委員会の基本対策を実施させるということについては不安を感ずるんです。これは実際的にどう運用されるものか、やっぱり重ねて聞いておきたいところですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/4
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005・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 内閣に置きました放射能対策本部は、臨時的なものとして置いたわけでございます。そこで、原子力委員会というものが放射能の基本対策に対しても基本方針をきめることになりましたから、少し今までとやり方を変えていく。そこで基本的な方針はきめて、それを各省庁にどのようにして——それを実行に移す段階においては各省庁がやるわけでございますから、場合によれば連絡会のようなものが要るのではないかという感じを持っているわけでございます、その対策本部をなくしたときに。で、原子力委員会で基本的なものをきめて、それを行政に移せるように、関係各省庁の連絡会でも置こうかという考えを持っております。そのようにしてやるほうが円滑に放射能対策の実を上げるのではないかという考えを今持っております。小笠原委員の御指摘のような懸念もありますから、対策本部をなくした場合はこれを何とか補う方法を考えていくと、そういう考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/5
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006・小笠原二三男
○小笠原二三男君 まあそういう方法でもおとりになっていただかないと、事、国民の人命に関するような問題が、まず当面魚介類でも何でも起こってくるわけで、非常にジャーナリスティックに宣伝される問題ですから、ある学者は右と言い、原子力委員会の基本決定は左と言い、そして、実施をしました厚生省は何とか言い、農林省のほうは何とか言い出した、こういうばらばらなことになると、たいへんショックだと思うのですね。そういうことのないように、やはりどこが権威を持つ、どこの決定が真理としてこれは実施に移されるか、それに対してはどこが責任を持つのか、そういう点をやはり明確にして運用されることを望むのです。まあ意見ですから、この程度で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/6
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007・森八三一
○委員長(森八三一君) 他に御発言もなければ、これをもって質疑を終了し、討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/7
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008・吉田法晴
○吉田法晴君 私は日本社会党を代表して、原子力委員会設置法の一部改正法について賛成の討論をいたしたいと思うのであります。
今、原子力委員会の中に放射能対策に対します組織を作る、あるいは放射能対策をも原子力委員会で取り上げるということに相成りましたことと関連をいたしまして、内閣にあります放射能対策本部との関連、各省との関係も問題になりましたが、総合調整についても格段の努力工夫がなければならぬという点が指摘をされたのであります。国民の心配をいたします放射能で汚染をされた水、あるいは食品や、人体に及ぼす影響等の調査、並びに必要と認める場合における対策について、政府は万遺憾なきを期すべき態勢を整えられる必要が緊急にあると存じます。
それからまた、原爆の被害を受けました日本として、あるいはビキニの実験に伴って福竜丸等、被害を受けました国民として、放射能の問題について、あるいは放射能の原因となる実験、あるいは原子力の平和的、あるいは戦争への使用というものについては、多大の不安を持っておりますので、その放射能の源泉となるべき実験等についても、衆議院でも問題になりましたが、これは原子力委員会をこす問題かもしれませんけれども、政府において、この世界的な動向に対しても十分な関心とその阻止のために御努力を願わなければならぬことだと思うのであります。参議院では附帯決議をつけるということになりませんでしたけれども、その放射能なり、あるいは放射能の原因であります実験の阻止のために、軍縮会議に即応して、政府は管理方式を伴った云々といったような、アメリカ式な意見を述べられておられますけれども、そうでなしに、これは国の東西を問わず、核実験の停止については全力を上げらるべきだと思うのでありますが、放射能対策あるいは放射能の源泉になるべき実験の廃止のために努力せられることを要望いたしまして、原案に賛成の意を表したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/8
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009・森八三一
○委員長(森八三一君) 他に御発言もなければ、これより採決を行ないます。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/9
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010・森八三一
○委員長(森八三一君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
なお、報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/10
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011・森八三一
○委員長(森八三一君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
午後二時まで休憩いたします。
午前十一時二十分休憩
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午後二時二十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/11
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012・森八三一
○委員長(森八三一君) これより委員会を再会いたします。
科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
質疑の通告がありますので許可いたします。吉田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/12
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013・吉田法晴
○吉田法晴君 この委員会で、この国会中に防災科学の振興について調査をし、できるだけ結論を得ておきたい、こういうことで委員会の最初から、委員長、委員の諸氏の御要望で調査をして参ったわけであります。不十分ではございますけれども、関係各省、それから各省の中の局長、課長等、担当者にも御出席をいただきまして御質疑を申し上げ、調査を進めて参りました。国会が終わりに近づきましたので、総合的に、特に防災科学という点から、気象庁長官であり、学術会議の議長であります和達先生に来ていただいてお尋ねをいたしたい。それからなお関係の科学技術庁計画局長、文部省の大学学術局の担当課長なり審議官、それから建設省の河川局長、農林省林野庁の担当官にも来ていただきましたが、制度なりあるいは現在の防災科学の現状については、関係しますところを科学技術庁にお尋ねいたしたい、こういうことであとで大臣、次官に来ていただくわけでありますが、いわば総括的な質問をきょう申し上げたいと考えておるところであります。和達先生に総括的に御答弁を願って、関係しますところを各省の局長あるいは係りの方にお尋ねをしたいと、こう考えておるわけであります。
和達先生に、防災科学振興の緊急性にかんがみまして何を発展させなければならないか、あるいは防災科学の振興について支障になっている点、制度、予算、あるいは科学技術そのものに問題があるのか、あるいは支障を克服するためにはどういうことをなすべきか、あるいはどこからそれを手をつけていくか、こういう点等についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、問題にして参りました要点はお手元に差し上げましたが、こまかい点はそれぞれ担当者から聞いて参りましたから、総括的に御所見をお述べいただくとたいへん幸いでございますが、どうぞよろしくひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/13
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014・和達清夫
○政府委員(和達清夫君) わが国の防災につきまして、私の思うところを簡単に述べさしていただきます。
わが国は御承知のように大陸と大洋との間にある国で、地理的に複雑なる気象、特に台風、豪雨があるというような気象、また地震活動、火山活動の激しい地域である、それに四面海に囲まれた山の多い島国でありますので、豪雨とか高潮とか津波とかの災害が、地球上におきましては特別に多い地域に当たっております。これに加えて、狭い島に多くの人が住んでおること、また、そこに産業が急速に発展いたしたというような事情から、防災の対策も立てられ、その施設も着々行なわれているにかかわらず、災害は年々増大するような感じがいたすのであります。この災害を防ぐことは、わが国にとりまして言うまでもなく非常に大事なことでございます。ここにおきまして、防災におきましては、わが国は外国の先進国と同じくというよりも、わが国独得な、しかも外国よりも一段と高い防災対策と防災施設を要すると私は思うのであります。
防災は、大別しまして応急対策と恒久対策になります。恒久対策のほうから申し上げますが、もしも暴風とか豪雨とか、あるいは高潮、津波に対して十分なる備えのある恒久的施設がありまするならば、わが国は地理的条件が自然災害に対して非常に不利でありますけれども、その恒久対策によって災害は防ぐことができるのであります。ところが、実際におきましては、災害は意外に強い自然現象があります。また一方社会的情勢から、いろいろ災害を受ける対象も変わり、またふえております。また実際問題として、そういうような恒久対策を完備するということは理想でありますけれども、なかなかこれを完成するということがむずかしいのであります。したがって、一たん異常なる自然の現象が起こりますと、これに対して応急の対策が必要になります。この応急対策のために気象庁におきましては、暴風警報とか洪水警報とか津波警報というものを出し、また、刻々に台風情報とかいうようなものを出しまして、その災害防除の応急的処置が誤らず、しかも有効適切に行なわれるようにするわけであります。私は、わが国における防災対策は、その基礎から実際の施設に至るまで、戦時中はこれをなおざりにし、国土の荒廃した面もありますけれども、その後ある程度着々とやって参ったと信ずるものであります。たとえば、同じ強さの室戸台風が昭和九年と先年と二度ありました。そのときの犠牲者の数を比べられても格段の相違があるのでありまして、これらはわが国の恒久対策が非常にのろくて、世間ではいろいろ批判もありますけれども、実際において着々と行なわれておるということを示しておると思うのであります。
一方におきまして、応急対策のほうにいたしましても、昭和九年の室戸台風のおりには夜中に観測をし、その天気図を作るということを当時の気象台はいたしておらなかったわけであります。こういうことが契機になりまして、現在におきましては二十四時間、天気の推移を監視し、そしてあらゆる手段を使って迅速適切な予報、警報を出し、防災の応急対策に資するように日々努力いたしておる次第であります。私は先年、主として米国の防災対策を調査するために派遣されまして見たのでありますが、災害を防ぐという点におきましてはわが国のほうが関心も強く、努力いたしておる。もちろんわが国の自然条件と社会条件が災害を大きくしているということははなはだ残念でありますけれども、しかし、わが国は十分に努力し、それをやっておると思うのであります。しかし、もちろんそれは十分ではないとは思います。外国から学ぶ点は、第一に一般的にいって国民全体、特に関係者の認識と熱意、つまり災害は防がなければならぬ、防ぐだけのかいのある仕事であるという認識と、それをやり抜かねばならぬという熱意の点にかかっておると思うのであります。そして実際に災害を防ぐのは一般の合理主義といいますか、あるいは科学的といいますか、そういうところに根ざしたる防災科学の知識であると思うのであります。そういう基盤の上に、わが国におきましても、米国などが行なっておりますように十分なる計画をもって大規模な長期的計画を立てる、そしてそれをやり抜くということが大切であると思う次第であります。また一面、外国におきましては、防災科学の基礎研究というものを十分に推進しておりまして、基礎から応用研究につながり、実際に大きな模型を作って実験をするというようなことに十分なる予算と研究者をつぎ込んでおるのであります。
私の申し上げることは非常に常識的のことでございますけれども、結論といたしましては、わが国は相当に努力し、国民も関心を十分持っておるが、もっともっとそういう方面に努力して、それは十分やるべき仕事であり、やる価値のある仕事であるということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/14
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015・吉田法晴
○吉田法晴君 恒久対策、応急対策、それから特に基礎科学の点については外国に負けないだけのものがあるし、それから対策についても関心も強いだけに努力がなされておると、こういうふうな一般的のお話でございますが、調査をして参りまして、年間に、この点正確ではございませんが、二千億をこす。これはやっぱり自然災害が毎年繰り返されておる、そのことは一つは日本の地域とそれから地理的な条件もございますが、人口の稠密と申しますか、山の中に行っても人口がふえている、あるいは堤防の下にも人家が櫛比しておると、こういう点等もございましょう。そういう日本の特殊事情もございましょう。あるいはアジアの特殊事情と申しますか、そういうものがあって災害も大きくなっておる。しかし、たとえば台風の観測にいたしましても、定点観測やあるいはロボット観測、あるいは気象情報網の確立、これはマイクロウエーブとの関連もあると思いますが、なお強化をしなければならぬ面もある。あるいは台風それ自身を飛行機によって調査をする等のことについては今までアメリカの軍の協力を得ているということで、気象庁といいますか、あるいは気象研究所というか、日本自身の飛行機で、その形態については考慮すべきところがあるが、飛行機を持って自分でやっぱり観測するだけのあれをしたい、あるいは人工降雨の方法なり、今まで明らかになってきた方法を通じて台風の方向を変えることだけはできるんではなかろうか、こういうお話等もございまして、その辺に防災科学の伸展をはからなければならぬところもあるし、あるいは施設の強化についても予算を伴って拡大をしなければならぬ、こういうお話等もあったわけであります。
それからもう一つは、たとえば気象研究所の地位が、今のように気象庁と一緒に運輸省との関係が強い点は検討をしなければならぬのじゃなかろうか、まあこれは一般にも通ずる問題でありますが、現在の機構、その中で研究や開発をされておりますけれども、その総合の点についても改善をすべき余地はなかろうかというようなことが、調査の段階で気象研究所あるいは気象庁、あるいは科学技術庁の関係者の中から意見が出ているわけでありますが、そういう面についてはどういう工合にお考えになりますか、重ねて恐縮ですけれどもお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/15
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016・和達清夫
○政府委員(和達清夫君) 次に、主として気象庁の関係についての御質問に対してお答えいたしたいと思います。
気象庁におきましては、災害を防ぐということが一番大切な仕事であり、また一番重点を置いて全力をあげておることでございます。したがって、気象庁におきましては、気象業務整備五ヵ年計画というものを作っておりますが、ほとんどすべてが防災ということを中心に計画ができておる次第であります。飛行機につきましては、お話のとおりただいま米軍の観測資料を通報されることによって現在は支障なくいたしておりますが、もちろん自分の手で好きなときに好きな方法で行なうということは非常に大切でありますし、また、こういう大切なことは自分の手において行なうというようにいたしたいと存じております。まあしかし、この仕事は非常に費用も技術もそれに要する人もございますので、目下検討いたしておる次第であります。防災についての近代的な観測施設その他につきましては、レーダーにつきましても、山岳地方における自動雨量計にいたしましても、高潮のための遠隔自記検潮儀にいたしましても、また資料を集めて整理し、そこから将来の気象の推移を計算して出すという電子計算機の施設とか、そういうものを着々そろえて参りましたが、私どもの五ヵ年計画よりは実際は少しおくれておるという現状であります。また研究につきましても、気象業務というのは研究が基礎になっておるものでございますので、気象業務に直結する研究を基礎からいたしております。しかし、なかなかに台風そのものを変化させる、あるいは進路を変えるということは簡単にできることではございません。まあアメリカにおきましても相当に実験をいたしておりますけれども、台風の形を少し変え得たということが数回のうちに一回見られたというようなことを聞いております。日本におきましても、もちろん研究を進めるべきでありますけれども、そうここ数年のうちにそれだけの実効果の上がることは期待しがたいと思う次第であります。しかし、まあ私どもはそういうような大きいことを直接ねらうこともいたしますけれども、実際に現在の研究成果をいかに防災に適用するか、また今要望されておる防災の問題を科学的に解決するということに研究の重点を置いておる次第であります。なお、それらの研究は気象研究所で主としてやられておりますが、気象研究所はそういうように基礎から応用に至るまでいたしておりますが、これが日々の予報業務に密接に連関しておるものでありますので、私はこの気象研究所は気象庁に所属すべきものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/16
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017・吉田法晴
○吉田法晴君 この自然災害に関連しては、基礎研究と応用研究というのが直結をすると、こういう御説明が気象庁あるいは気象研究所あるいは科学技術庁からございましたが、台風あるいは地震、津波等自然災害の原因になります事象については、研究の点についてさっきまあ台風の何と申しますか、法則といいますか、あるいは進路を変えることについて、あるいは形を変えることについてまあ数回に一回といいますか、多少成果は国際的に上がっておるが云々というお話がございましたけれども、研究それ自身としては学問の水準が他国に比べてまさるとも劣らぬというような御意見でございましたが、研究自身については、ほとんど防災に関する限りにおいてはまあ研究を尽くされているといいますか、原理は明らかになっておるということでございましょうか。それからもう一つこれに関連をしまして、気象庁気象研究所の研究と、それから大学その他での学術研究との間には間隔、径庭はないものと考えますが、学界全体のこの研究と、それから気象庁、気象研究所の研究というものとは密接な連絡があって何ら問題はないということでございましょうか。その辺をひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/17
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018・和達清夫
○政府委員(和達清夫君) 研究につきましては、わが国は研究者の素質におきましても、その熱意におきましても、諸外国に遜色のないものと私は思っておりますが、研究施設が近代化されておらないことと、こういうような地球物理学的の研究に対しては、大がかりな、大規模な研究を行なわなければならないのに対し、十分なる予算とか定員とかいうものがないという点において、わが国は非常に残念な立場にあると思う次第であります。また気象の研究に対しましては、気象研究所というものが気象庁の日々の業務を助け、それに必要なる基礎から応用に至る研究をいたすのでありますが、一方大学には地球物理学の教室もあり、また気象の研究もいたしておる次第であります。大学におきましては、大学独自の学理の探求のためにいたしておりますが、その成果は十分に気象研究所あるいは気象庁等と連絡しまして、そして互いに協力し、助けてこの研究を発達させ、実際に応用されるように努力いたしておる現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/18
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019・吉田法晴
○吉田法晴君 研究施設あるいは研究の予算については必ずしも十分でもないし、他の国に比べて遜色がある点が感じられるというお話でございましたが、予算に関連をして南極観測のごときは一時中断をしなければならぬような実情でございますから、これらのものを含んで御所見もっともだと思うのでありますが、基礎研究に関連をいたしまして、大学と国立の研究所、あるいは気象庁との関係は今お述べをいただきましたが、他の部門を含んで、これはまあ気象庁の長官というよりも学術会議の議長として御所見を伺っておきたいと思うのでありますが、国立研究所の充実についてどういう点に不足があるか、あるいは研究機関が各省、各大学に分離されておりますが、そのあり方についてどういう改善を加えるべきことをお考えになるか、あるいは具体的には、まあさっき気象研究所のお話を伺いましたけれども、その他の点について、それから研究者の人員とそれからその成果でありますが、委員会ではございませんけれども、別にお尋ねをいたしました際に、気象研究所の研究員の方々が学問的には非常にすぐれた、世界的に第一流の人々ではあるけれども、自分で観測計をにぎったり、あるいは計算尺をとったりしなければならぬような実情で、研究陣容としてはきわめて不十分だというお話もございましたが、そういう研究についての何といいますか、人員あるいは予算、それから現状についてはどういう工合にお考えになりますか。現状についての改善に関しての御所見を承りたい。
それから設備についても老朽施設が多い、あるいは明治の終わり大正の初めからある設備がそのままあるという話も聞きました。あるいは観測の機械についても、全国に散らばっておりますので、多種多様、昔から設置したそのままであるというお話であります。それから研究の場所についても現状でいいのかどうか。基礎研究の連絡について改善をすべき点等があれば御所見を承りたいと思いますし、それから応用研究との連絡について現状において問題点はないか。それから各省の研究機関と民間の研究機関との連絡、総合調整等について御所見を承ることができれば幸いであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/19
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020・和達清夫
○政府委員(和達清夫君) ただいま研究機関につきましていろいろ御質問いただいたのでありますが、これらは現在のわが国の科学技術におきまして、非常に重要な問題であります。さきに科学技術会議は、「十年後を目標とする科学技術振興の基本方策について」というものに対する答申をいたしたのであります。この中にそのようなことが書かれておりまして、私はこの中に書いてあることにすべて賛成でございます。したがって、一々ここで申し上げることは差し控えたいと思うのです。
もう一つは、国立研究機関につきましては、現在科学技術会議が諮問を受けて答申案を作っておる。その中間答申案が近いうちに出るような運びになっております。私も科学技術会議の一員でありますので、ここで述べますことが、まあ私がここで考えることでございまして、その会議の答申をひとつごらんいただきたいと思う次第でございます。
今わが国の科学技術を時代の急速な進歩とともにどういうふうにすべきかということは、これは国として非常に重大な問題であります。私はこれが重大であるから十分に考えてそれを実行するのがよく、決して早急にすべきでないと私は考えておるのであります。国立研究機関と申せば、先ほどからお話のように、大学の研究機関、各省の研究機関等がございますし、その種類もいろいろでございます。それらにはそれぞれの存在の意義と今までの伝統を持っておる次第であります。また国情によってもそういうふうになっておるものでありまして、こういう問題は私自身でもよほど十分に考え、いろいろなところを調べないと、ちょっとお答えいたしかねるので、今日はお許し願いたいと思う次第であります。もちろんこの研究所の施設は、ほとんどすべてが外国の研究所に比べれば老朽化したものも多く、近代的施設が非常に少ないということや、研究者の待遇も十分でなく、特に若い研究者を確保するという点において非常に心配がある。何といっても研究というものは、その根幹は研究者であるということも、もう少しわが国でも強く打ち出されなければならない。またその研究というものは、とにかく基礎が大切である。基礎をしっかりしなければ、いつまでたっても日本の学問は独自の発展をしないというような点であるとか、またその基礎から出たいろいろな応用も、研究者がただ研究のところにとどまって、あとすぐ応用できるかといいますと、やはりそこには試作をするとか、応用へ移す段階がある。その点の面がわが国には欠けておると思います。まあいろいろございます。それらは今科学技術会議におきましても、国立研究所のために慎重審議を重ねて答申を出しておるところでございますので、この程度でお許し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/20
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021・吉田法晴
○吉田法晴君 科学技術会議の答申、それからこれから出されようとする答申に待ってくれというお話でございますと、まあ聞くことは何もなくなってしまうのですけれども、それに関連をします質問を進める前に、ちょっとあとへ返りますけれども、気象なりあるいは台風その他については、まあ設備とかあるいは予算とか、そういう問題については、これはまあ先ほど御指摘がございましたように改善すべき点等があるように承っておりますが、津波については特にまだ十分解明されてないところがあるかのように聞いて参ったのですが、地震と津波との関連性は、これは相当多いところがあると思いますが、その他の津波の原因については明らかになってないところもある。津波、地震等についての科学にはまだ日本としても相当問題があるのではないかというふうに今までの調査の中で伺ってきたのですが、これらの点について科学者として、あるいは学術会議の議長として、問題点はどういうところにあるのか、あるいはその発展のためにはどうしなければならぬか、大学の研究、それから地震研究所等研究機関との関連において、その総合発展をどういう工合にはかるべきとお考えになりますか。あとに返っておそれ入りますけれども、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/21
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022・和達清夫
○政府委員(和達清夫君) わが国は地震も多く、地震の災害も多く受けておる関係上、わが国の地震学というものは、世界でも非常に高く評価され、またその実力もあると私は信じておる次第であります。しかし、一たび地震学が現在どこまで発達しているかと申しますと、まあ地震の原因論一つをとりましても、まだまだ解明しなくてはいけない問題であります。わが国にとりましてはそういう基礎的の地震の研究に加えて、最も関心の深い地震予知という問題を完成しなくてはなりません。で、この方面につきましても地震学研究者は、今こそわが国が地震予知に進む研究をし、実際の実用化をはかるべきだということで、その計画を練っております。そういうようなわが国の状況に対して外国の地震学は、どちらかといえば地球の科学という立場から出ておるのでありまして、それはそれでまた非常にわが国が学ぶべき点があるのであります。特に近代的な機械設備、大がかりな調査研究をいたしておる点は、国際的にも十分協力してわが国の地震学を発展せしめるべきものだと思います。
なお、津波につきましては、津波という言葉は海底における大地震から起こる大きな波のことでございますが、その他にも火山の爆発とか、原因不明のそういうような大きな波までも津波という言葉で一応言っておりますが、主として大きな災害を起こすのは、海底における大地震によって起こされた波であります。この津波につきましては、わが国は古来たびたび悲惨な経験をいたしておるのでありまして、気象庁におきましても、津波警報を出すということを業務のうちに入れ、一意努力をいたして参ったのでありますが、先年のチリ地震津波の場合に、非常に遠いところの地震でありまして、私どもの警報が不十分であったということは、たいへん申しわけなかったと思っております。それ以後これにかんがみまして、津波の警報業務を組織化し強化しまして、一方国際的にもわが国が主唱者となって、その国際協力態勢を作ることに努力し、今着々できつつあり、実際的には津波警報業務には差しつかえないような取りきめもいたしておる次第であります。しかし、警報を出すにあたって、どういう地震が海底に起こればどの程度の津波が起こるかということは、非常にむずかしいことでありまして、現在では大きな地震が起これば大きい津波がくると過去の実例から大体きめまして、そうしてその可能性がある場合には警報を出すというために、もう一つ的確な津波警報が出せないということであり、特に太平洋のかなたに大地震が起こった場合に、はたしてチリ地震津波のように日本にあれだけの津波がくるかこないかということは、現在の地震学でもちょっとむずかしい点がございます。こういう点は、今世界の地震学の問題となって、それぞれの委員会がございまして努力いたしております。もちろん日本はその有力なるメンバーでございます。そういうようにいたしまして、災害を防ぐということにつきましては、科学的にこれを行なうように努力をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/22
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023・吉田法晴
○吉田法晴君 地震についても予知、予報が出し得るほど完全に研究がすべてについてなっていないというお話、それから津波は地震やあるいは火山の爆発が原因になっておるが、その警報の組織については努力をしておる云々というお話ですが、チリ津波の場合に、ハワイのこれは気象台ですか、ケーブルもあるいは連絡方法も、それからハワイ自身の中継をすべき気象台といいますか、観測所といいますかが、こわれたということもあった。それから日本において、北海道は漁民の警告から北海道だけは警報を出したけれども、中央には連絡をしたけれども、三陸についてその警報を伝達することができなかった。あるいはその伝達がなされなかった。そこにまあ三陸地方を中心にしました災害を大ならしめた一つの原因があったというお話ですから、この地震なりあるいは火山の動向、それを予知すること、それからそのあとの警報の組織についても今までのところではやはり間然するところがあるということになろうと思うのであります。これはまあこまかい話になりますけれども、北海道には警報ができたけれども、東北へは警報が出せなかった。これはまあ当日日曜であったというような特殊の事情もあるということです。先ほど気象について、休日、日曜についても天気図を書き得るようにその後したというお話ですが、全国的な組織としてはやはり問題があるのじゃないかと考えるのです。
そこで、その地震なりあるいは津波の原因についての科学の開発について、どこでやるべき問題か、大学なりあるいは気象研究所、地震研究所、総合してということになりましょうが、その点について問題はないか。あるいは警報についても具体的に欠陥がこれはまああとからの話でありますけれども、指摘をされておるわけでありますから、それについての改善方法について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/23
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024・和達清夫
○政府委員(和達清夫君) まず第一に、津波の警報を出す業務は気象庁でありまして、研究は大学あるいは地震研究所あるいは気象研究所などでやります。津波の警報につきましていろいろお話がございました。チリ津波の場合には、先ほども申し上げましたようにいろいろな原因がございまして、警報というものが不十分であったという点はまことに申しわけなかったと思っております。これにかんがみまして、第一に津波警報の態勢を強化し作り上げました。これが深夜でも日曜祭日でも、いつでも必ず監視する態勢になっておるということであります。その業務を完全にいたすのには、観測施設を整備すること、この観測施設によって海岸における海面の動向がいつでもしさいにわかるようにするということでございまして、これが結局先ほどの北海道とか三陸とかいうことのお話は、この施設をしっかりすれば、どこでも海面の動向はしっかり把握できる。したがって津波警報の情報というものはこれによって正確に出せるわけです。しかし津波警報というものは地震が起こったときに出すのでありまして、地震の大きさと、どこに起こり、これは津波を起こす可能性があるかどうかということを非常に短い時間の間で津波警報を中枢が判定して出すもので、日本近海に起こった場合には、私ども十分なる態勢もあり経験もあり、これを出しておりましたし、出すのでありますが、遠いところの地震になりますと、先ほどのチリ地震のように十分なる国際協力をしなければ完全でないというために、チリ地震以後国際協力に対して努力を重ね、現在におきましてはこの津波の警報を出すことにつきましては、一応の態勢が整っておるのでございます。ただその正確度を増すということが研究の課題でございます。その研究は、特に津波につきましては、研究者の間に津波研究委員会というものができまして、現在津波関係の研究者はそれにほとんどすべて入り、そうして国際的な津波の研究委員会にそれが直結しておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/24
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025・吉田法晴
○吉田法晴君 観測施設の問題、それからこの資料、情報の収集の問題、あるいは警報の全国的に出せる態勢、それから国際協力の問題、それからそれを総合すべき研究委員会等を作られたんですが、観測施設について気象台を含んでブロックごとにと申しますか、あるいは港湾については、これは東京、大阪あるいは伊勢湾、伊勢湾の範囲には狭義の伊勢湾だけでなくて、津だとかと申しますか、広義に解釈した港湾について観測施設を完備すべきであるという御意見等も承って参ったわけであります。その情報、資料を全国的に整備をするために、まあ河川やなんかにつきましては、山の上の定点観測所、あるいは学校その他もあるかと思いますが、観測所とそれから土木事務所といいますか、建設局等の連絡等についても承って参ったわけでありますが、専用線なりあるいは無線等を通じての収集と申しますか、全国一本で北海道からあるいは九州、奄美、あるいは観測点については小笠原その他南方についても拡大をする必要があるかと思いますが、そういうものの全国的な収集、それからそれを活用するために電子計算機等の設備その他についても意見を承って参ったわけでありますが、この研究委員会という点はこれは研究の総合ということであろうと思いますので、それらの施設の充実、それから資料の整備、保管、利用、それから警報も先ほど引例をしましたチリ津波の場合には、北海道から中央にはいったけれども、三陸海岸にはよく警報が伝達されたわけではなかった、こういう点からいって、改善をすべき点等があろうかと思います。それからまあ国際協力の問題について、国際協力の現状あるいは交流の機会等、あるいは情報の交換についてチリ津波の場合を考えてみても、あるいは気象の場合を考えてみても、もう少し協力を強化すべき問題点があるのではなかろうかと考えますので、多岐にわたりましたけれども重ねて御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/25
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026・和達清夫
○政府委員(和達清夫君) 施設につきましては、地震につきましても津波につきましても、気象同様最近三カ年計画あるいは五ヵ年計画というような計画を立てて年ごとに施設をいたして参っております。今お話にありました各湾におきましても、津波とか高潮とかいうものはそれぞれに大きな被害を与えるために、その湾内の状況を刻々正確に把握するような施設も次第につけて参っておる次第であります。そういうような観測の資料の保管や整備は、実はわが国において非常におくれておる部面でございまして、この点は気象庁におきましても、近代的の資料の保管整備、そしてそれが迅速に利用されるようにする道を考えなければいけないと思っております。
通信につきましては気象庁は専用線を持っております。これがこのような防災には非常に重要な役目をいたしておるのでございまして、年々改善に努めておる次第でございます。先ほど御指摘のようなものは、通信の改善に加えて、この通信をする組織、やり方というような面も防災に適合するように直していかなくてはいけないと思っておる次第であります。
なお国際的な情報の交換につきましては、その後外国とも折衝を重ねまして、現在間違いなくいけるような態勢になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/26
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027・吉田法晴
○吉田法晴君 資料の整備については相当改善をされておるというようなお話ですが、具体的に承ることができればなおけっこうです。それから専用線のお話がございましたが、各研究機関で整えました資料が総合的に利用せられておるという点については、間然するところはないのでしょうか、それから専用線だけというお話ですけれども、チリ津波のときには専用線も無電もきかなかったわけです。こわれていたように承っておりますけれども、専用線だけでは豪雨、地震、大災害の場合には、それだけではやはりこわれる心配もございますので、この無線あるいはマイクロウエーブ等の利用も含めて、もう少し万全を期すべきではないかと思うのです。資料の利用のために電子計算機を各湾ごと、あるいは各ブロックごとに整備をして、昔からの記録をとるだけのものは翌日になって集計をされるということでなしに、即日といいますか、即時といいますか、計算機を使って警報の連絡に直ちに利用できるようにすべきだと、こういう御意見等も出ておりましたし、資料の活用の設備あるいは情報資料の連絡方法は、警報の連絡についても直ちに関連をする問題であります。また専用線の強化、これは専用線を持っておるというだけでは不十分だと考えるのでありますが、それらの点について具体的に、あるいは補足をしていただいてけっこうですが、御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/27
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028・和達清夫
○政府委員(和達清夫君) 私が資料の保管、整備と申しましたのは、研究者が活用するためにこれをマイクロ・フィルムにするとか、パンチ・カードにするとか、その他近代的の資料の整備の仕方、そうしてまた活用の仕方ということであります。警報、予報に間に合わせる資料につきましては、何と申しましても通信が大切でございます。通信に専用線と申し上げましたのは、気象庁が専用する回線という意味で、マイクロウェーブその他無線全部を含んで気象庁が使っている線という意味でございまして、それらはもちろん現在十分とは申しかねますけれども、ともかくも毎日たくさんの気象の資料をこなしているわけでございます。これは外国から来るものもございまして、それらを一刻も早く集め、整備し、そうして活用するわけでございます。この面も現在は機械化が非常に入っておりまして、次第に取り入れられつつある次第でございます。
なお津波に対しましては、海岸にあるところの潮の高さをはかる機械から刻々に自動的にその状況が入るようになっておりますし、たとえば東京湾のごときは随時にこちらから状況を知りたければ、この東京湾を囲んでいる数地点においてその状況はわかるというようなことになっておりますが、こういうようなものを、本年度は伊勢湾を中心に作る計画をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/28
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029・吉田法晴
○吉田法晴君 豪雨それから津波等を中心にして伺って参ったんですけれども、従来委員会の内外でお話を聞きましたし、また調査をいたしました中で、山の上の定点観測、これが気象庁、それからそこの土地は林野庁、それから川の点になりますと建設省という工合に、今分かれておるわけでございますが、その連絡について、資料の交換あるいは情報、警報の連絡も含んで間然するところはないか。具体的に申しますと、あまり詳しく事例をあげることができないのですが、たとえばこれは数年前、和歌山県の災害の場合に、豪雨が降って大水が出た。で川の水位が上がったという点を下のほうへの連絡がおそくて——上でのとにかく雨の量、それからそれの河水の増水としての計算が、下流に伝わることがおそくて、いわば普通の速度で走ると考えられたから、下のほうの和歌山その他の災害が大きかったという事例を思い起こすのでありますが、そういう点について林野庁あるいは建設省、それからまた気象庁と申しますか、それらの連絡について問題点はないのでしょうか。これはまあ気象庁だけでなくて林野庁、建設省も来ていただいておりますので、現況と、これについて問題点、改善すべき点があれば承りたいと思います。
それからレーダーの増強計画について伺っておりますが、あるいは地震計、それから検潮儀等、あるいは降雨についても学校その他にも委嘱をされておる点もございますが、それらはその総合の方法だと思いますけれども、特に検潮儀のごときは東京湾以外については不十分だと承っておりますけれども、末端の、資料を整えるべき末端の調査といいますか、最初の素材をとるべき所について、これは降雨それから地震、それから高潮その他についての点にわたりますけれども、問題はないか。それぞれのところからひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/29
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030・和達清夫
○政府委員(和達清夫君) まず洪水警報につきましては、主要河川につきましては建設省と気象庁の共同による洪水警報の発表になっております。この件につきましては私は現状におきまして、建設省と気象庁が協力してやるという形が最善だと思っております。わが国の河川は多く急流で流域がそう長くないために、水源のほうで雨が降りましてから下流のほうに災害を起こすのに数時間または十数時間というものが相当あるのでありまして、その意味におきましてはわが国の洪水警報は豪雨の予想ということが非常に大切な要素になっていると思うのであります。こういう意味におきまして豪雨の予想がまず重要なることとして、何とか適切に行なうようにするとともにレーダーを活用いたしまして、その雨が降っておる時期をはかる。そしてできるだけ早く警報を出すということが必要であろうと思います。いろいろございましたが、検潮儀につきましては気象庁が所管しておる検潮儀は全国に約五十カ所ございます。そのうち、先ほども申しました遠い所から自動的に刻々その状態を送ってくるものは先年度で二カ所設置し、ことし二カ所計画され、これは全国で現在の計画では将来十八カ所ぐらい整備したいということになっておるのであります。これと別に自動応答式無線ロボット装置という、検潮儀だけではありませんけれども、高潮あるいは津波に備えた観測装置が東京湾に昨年度設置され、本年度伊勢湾に計画され、今後大阪湾その他重要な港湾に設置してゆく予定になっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/30
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031・吉田法晴
○吉田法晴君 ほかのところから——林野庁それから建設省から来ていただいておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/31
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032・山内一郎
○政府委員(山内一郎君) 洪水予報の点でございますが、わが国の河川の特徴上非常にむつかしい問題でございますが、毎年々々研究を重ねて改善に努力している、こういうことでございます。先ほども気象庁長官からお話がございましたが、全国の河川のうち重要な十数河川につきましてはある程度雨量計、水位計が整備をされまして、気象庁と密接な連絡をとりまして洪水予報を出している、こういう現状であります。なお水防警報につきましても建設省自体で全国で約八十カ所についてやはり雨量計、水位計をつけまして水防警報を出しているのでございますが、それ以外は都道府県の知事にまかせてある、こういう現状でございます。なかなかむつかしい問題でございますので、建設省としてもやっておりますが、なおやはり都道府県において不十分な点もあろうかと思います。先ほど有田川の御指摘がございましたが、詳細は存じませんので、どういうふうにおくれたか、どうかということは調査しないとわかりませんが、やはり雨量計とか、そういう観測設備がなお現在増強しつつある段階でございまして、そういうものを今後増強して、ますます改善に努力したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/32
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033・松下久米男
○説明員(松下久米男君) 以前は森林測候所のようなものがあったようでございますが、最近は私どものほうでこの気象の観測を行なっておるところはないわけでございます。ただ私どもの苗畑であるとか、あるいは事業地において山の植栽、その他の営林の目的でもって簡易な雨量計などを置いておったところがございますけれども、いわゆる気象観測というような形では私どもは行なっておらないわけでございます。ただし豪雨その他の場合に必要に応じては気象庁のほうに御連絡申し上げるということはあるわけでございますけれども、そういう目的の観測所という仕事はいたしておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/33
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034・吉田法晴
○吉田法晴君 建設省と林野庁から現状を承りましたが、今まで伺いましたところでは雨量計あるいは水位計等が重要河川については国でやっておる、他の河川については都道府県知事で見るというようなお話ですが、水位計についてもいわば何といいますか、棒の水位計等があって、たとえばダムのごときについてはダムを外から見たところで観測をなされておるが、それも常時、毎日ではない。そこで長くなりますと、ダムを作っておっても、これはダムの上といいますか、うちについても刻々の変化がございますし、正確な日々の情報がはたして得られておるかどうかという点は問題があるのではなかろうか、こういろお話等もございます。雨量の関係は気象庁でやっているわけで、それからあと川に流れてきてから河川局で水位をはかっておられる、こういうことのようですが、もう少し科学的に近代施設を利用して——人間が回っていかなければ、あるいは資料を収集して、それを計算して、翌日にならなければその結果が出ないと、こういう点が改善されるべき点ではないかと考えられますが、それについて電子計算機等の施設を含めて改善すべき点があるやに考えられるのでありますが、資料の整備についてあるいは警報については先ほど御説明がございましたけれども、これらの点についても問題は若干あるのではないか。少なくともこの水防施設というものは国、県で持っておるところ、それから水防団といいますか、末端に至りましては、これはいわば国、公共団体が直接責任を持たない部分が相当含まれておる。それだけに問題があるのじゃないかと思うのです。まず、この水位その他を含んで、資料の整備について欠陥が若干あるのじゃなかろうか、あるいはこれについて即日警報の基礎になるべき数値等が出てくる、結論が出てくる等の施設は整備すべきではないかと考えられますが、それらの点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/34
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035・山内一郎
○政府委員(山内一郎君) 水位計の観測並びに資料の収集の問題かと思いますが、だいぶん前までは今お話がございましたように、人が水位計のあるところまで行きまして、目で見て帳面にノートする、普通水位計というふうにわれわれ呼んでおりますが、そればかりでございましたが、その後いろいろ改善をされまして、それが機械的に自記する自記水位計に改善されつつある状況でございます。しかし、これもやはり人が一日あるいは一週間置きくらいに参りまして、機械の記録用紙を取りかえる、こういうような手数がございまして、やはりその現地へ行かなければ記録はわからないという不便さがあるわけでございます。そういう不便さを解決するために、現在では遠方でわかるようなテレメーターという機械がございますが、事務所におきましてある地点の水位がわかるような設備でございますが、そういう方向へ現在改善しつつある現状でございます。したがってテレメーターを重要な地点に設備すれば、ただいま御指摘がございましたように、事務所においてある地点のある時刻の水位がわかってくる、そういたしますと、水防警報等について非常に正確敏速という点が加わりまして、さらに改善されて参る、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/35
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036・吉田法晴
○吉田法晴君 そうしますと、自記水位計からテレメーターを通じてその資料が事務所に集計をされ、即日——即日と申しますか、即時と申しますか、結論警報に関連する資料が整備されるところまで整備をしたい、こういうお話、これは各重要河川についてでしょう。そうしますと、先ほど和歌山の例を申し上げましたが、有田川なら有田川のような事例は、そういう整備がなされれば、かつてのような上流での水位の増加が普通の速度でいくと、まあ半日以上もかかると思ったのが二、三時間で下流に到達した。こういうようなことはなくなる。こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/36
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037・山内一郎
○政府委員(山内一郎君) 先ほど申し上げましたのは、上流のある地点の記録を敏速につかむ方法についてお話を申し上げたわけでございますが、なお問題点は上流の水位が幾らになった場合に、下流のある地点におきまして何時にどういう水位になるか。こういう問題はやはり残されるわけでございます。これは非常に川の状況とか雨量の降り方によって変わって参りまして、そういう点の研究はなお残されるかと思います。それも今後努力をしないといけませんが、テレメーターとか、あるいは通報に無電設備を使うということによって従来よりは改善される。こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/37
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038・吉田法晴
○吉田法晴君 これは、そこの問題を和達先生にお伺いをしたいのですが、水位がどのくらい上がった、それからその川の実情からしてどのくらいの速度で下流に達するか、それが災害になるかどうかという点は河川の状況とも関連をいたしましょうが、その研究はそれぞれの河川について必ずしも十分でないというお話でありました。河川の状況でございますから、これは学問として大学なら大学で研究をすべき問題よりも少し具体的すぎるかと思うのですが、それの研究はどこでなされておるのでしょうか。あるいはなされるべきなんでしょうか。これはまあ河川局でおやりになる、あるいは建設省関係の研究所でおやりになるのかどうか。その辺まあ両方から伺いたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/38
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039・和達清夫
○政府委員(和達清夫君) 洪水警報の問題は、洪水でなくても水資源の利用の問題と関連いたしまして非常に研究されている部面でございます。で、第一にその河川の流域にどれだけ雨が降ったかということが基本になります。これに対しましては山岳地帯に、あまり人の行かない、あるいは住まないところにはロボット雨量計という、観測者がいなくても毎時間幾ら雨が降ったかということを無線で知らせてくる機械を据えてあるわけでありまして、これが全国に二百カ所ございます。このロボット雨量計はわが国が外国に例を見ない設備をいたしたのでありますが、しかしこの二百も決して日本の国全体として見ますれば多くない、むしろ非常に少ない数であると申さなくてはならない。そういうような刻々にわかる雨の降り方をもとにして、そして中流、下流のほうまで何時にどれだけの水位になるかという計算をいたすので、これは非常に基礎の数学の問題から、実際に河川をやっておられるほうの技術者がやる面まで、各所において、大学からあるいは研究所も、また気象庁の技術者も河川局の方も研究しておられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/39
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040・黒沢俊一
○説明員(黒沢俊一君) ただいまの和達先生のお話にちょっと補足して申し上げますが、科学技術庁の資源調査会におきまして——和達先生も委員の一人でございますが、資源調査会の治山治水特別委員会と水資源部会でそういう研究をいたしております。ただいま和達先生からもお話がありましたように、雨量計の数というものが非常に少ない。雨量計を見て、そこの面積、雨量から、どの水系に何億トン降ったかというようなことを計算するのにどうしたらいいか、それからもう一つ、川の状況というものは、これは河川に堤防ができますと流れ方が変わりますし、ショート・カットすれば変わりますし、ダムができれば変わりますので、そういうものが変わってきたときに、流れ方がどう変わるかということを過去の実例その他を調べまして、計算式として出るような方法はどうしたらいいのかというような、ごくじみな研究でございますが、そういうことにつきましてずっと研究をいたしております。たとえば筑後川におきましては、小国の雨量と水位から下流の久留米の瀬ノ下で何時間たったらどれくらいの水が来るだろうかというような実験式がございますが、最近その水の出方が非常に早くなってきまして、昔は十二時間かかったところが最近六時間で来るというように、川をいじれば変わるのだということだけはわかっているわけでございますが、どういじったらどう変わるかという計算が次第にできるようになりつつあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/40
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041・山内一郎
○政府委員(山内一郎君) これも非常にむずかしい問題でございますが、まず数学的とか、あるいはいろいろな文献からそういう数字を出す、こういう研究も必要だと思いますが、その後進みまして、あるいは河川の模型を作りましてやるのも一つの方法かと思われます。現在建設省でやっておりますのは、そういう面と併行いたしまして、従来の過去の記録というものは、やはり一番そういう予報についてうまく数字が合う——経験的といいますか、そういう経験的な数字を現在予報に使います計算式に当てはめまして、そういう計算式をもとにして上流の実際の観測の数値をそれに入れまして予報していく、こういう現状でございます。ただやはり川の状況によって相当違って参りますので、今後絶えずこれを研究を続け、なお実際と合わない点がございましたらそれを修正をしていく、こういうふうに現在努力をしている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/41
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042・吉田法晴
○吉田法晴君 これは、まあ筑後川についてはわかりましたけれども、直轄河川なり準用河川については、そういう調査あるいは計算式もこしらえておるでしょうが、見ておりますと、たとえば電源開発であるとか、多目的ダムであるとか、そういうあれは行なわれますが、この治水の計画、あるいは洪水の可能性というか、あるいは計算式等もあとからいわばついている——あとから追っかけているという感じが私はするわけです。これだけ人口が稠密し、それから洪水の可能性も、直轄河川あるいは準用河川、あるいは府県で管理をしております河川にかかわりなく、ふえているわけでありますから、府県が管理をしておるからそれは府県の問題だということでほうり出されると——有田川がそうであったかどうかは別問題にして、洪水の可能性は何も直轄河川に限るわけではありませんから、今のそれぞれの河川についての治水計画あるいは計算式等を確立することは、全部の河川についてほとんどあると思うのですが、予算も伴う問題でありますから何でありますが、それは予算をふやしても——それからこの調査の対象にしても、資源調査会でなされておる対象は今重要河川が中心になると思いますけれども、拡大しなければならぬ問題だと思います。それらの点について、なお拡大あるいはそれぞれについて治水計画を含めて計算式を立てられるについて、足らざるところといいますか、拡大をする計画については五ヵ年計画に入るところもありましょうが、なお、この防災の点について、それぞれここまでは五ヵ年計画で考えているけれども、なお、重要河川以外のものについて、こういう改善を加えなければならぬ、あるいは各河川について計算式を立てるところまでいかなければならぬという点があろうかと思いますその点をひとつ河川局長からお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/42
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043・山内一郎
○政府委員(山内一郎君) 水防警報等につきましては、毎年各県あるいは市町村において水防計画というものを作りまして、その中に、ただいま言われたような洪水予報あるいは水防警報、こういうものが織り込んであるわけでございます。したがって、普通の川には、やはりそういう一定の、どういう雨が降ったらどのくらいの水位になるであろうという予測されるものはございますが、やはり全国の重要河川よりは、精度はあるいは低いかとも思われます。今後そういう精度を高めるように努力して参りたいと思います。したがって、重要な河川についてもさらに精度を高め、それに伴って各地方の普通の河川についても精度を高めて参りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/43
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044・黒沢俊一
○説明員(黒沢俊一君) 資源調査会のほうにおきましても、計算のやり方をできるだけ簡略化して、比較的少ない数字で、精密な結果が出るような計算方式をどうしたらよいかというようなことにつきましては、ただいま研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/44
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045・吉田法晴
○吉田法晴君 その計算式に関連をして、連絡の方法については問題はないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/45
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046・黒沢俊一
○説明員(黒沢俊一君) これになりますと、実務になりますので、資源調査会が洪水予報組織ということについて話題を出しましたのは昭和二十三年の八月でございます。そのときに気象庁と、それから地方の建設局が中心となってやったらいいだろう、こまかいことはそちらでということにしてございますので、私のほうの資源局といたしましては、現状でそれぞれの主務のところ、つまり気象通報のほうは気象庁中心、水防計画は地連中心ということでよろしいかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/46
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047・吉田法晴
○吉田法晴君 先ほど話の中にちょっと出しましたけれども、あるいはダムが建設された、そのダムの現況あるいは欠陥といったような相互の、埋まったりあるいは増水の場合に非常に危険性がある云々といったような調査については、これは今の各河川ごとに計算式を云々ということでありますけれども、それに加わります条件としての変化等は十分考えられているんでしょうか。たとえば、林野庁の治山について、先ほど雨が降った云々という点はありますけれども、雨が降って、どういう工合に滲透しているか、あるいはそれが地すべりその他の危険性を持つかどうかという点は、これは調査も不十分だし、起こってからあとで対策を立てるといいますか、こういう現状のようでございますし、それから各河川のいわば変化をする、ダムの建設その他変化をするものに応じて、その変化の実態が絶えず十分調査され、あるいは資料になっているかということになりますと、若干問題があるような気がするのでありますが、これらの点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/47
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048・黒沢俊一
○説明員(黒沢俊一君) ただいまお話のように、まだダムというものが、大きなダムができ始めてからそれほど期間が立っておりませんので、資料の集積という点におきましては、まだ目下集まりつつあるという段階でございます。なおこの浸透量とか、あるいは土壌浸蝕の状況というようなものにつきましては、これは林野庁にもいろいろなデータはおありと思いますが、科学技術庁の資源局のほうでも専門委員の手を通じまして集まりつつある段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/48
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049・松下久米男
○説明員(松下久米男君) ただいまの問題に関連して一言申し上げます。
私のほうでも、今浸蝕とかその他の点について、まあ逐次調査を進めておるわけでございまして、なお先ほど跡始末というような、くずれたら工事をやるというようなお言葉があったわけでございます。大体そのようなことであとを追っかけていくというような、まことに遺憾なやり方だと思うわけでございますが、そういう点につきまして、林野庁の今後の進め方といたしましては、いわゆる予防医学というような観点から予防治山を、まあ言葉が適切かどうかしりませんけれども、くずれてからでなくて、その以前に危険なようなところについては、あらかじめ予防的な治山の工事をしていくというような方向に持って参りたいと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/49
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050・吉田法晴
○吉田法晴君 これは地すべり、山すべりだけでなくって、雨がどれだけ降った、それがどの程度のとにかく水になるか。その法則に従って下流にどれだけの影響を与えるか、その計算方式を確立すると、こういうことですか。伊勢湾台風のときでも、それから三陸地方を襲いましたチリ津波のときにしても、あるいは二十八年の災害のときにも、山の地すべりその他いわば一般的な科学といいますか、法則については相当進展を見つつあるように思うのでありますけれども、どこそこの、あるいは湾だとか、あるいは川だとか、あるいは山だとかの具体的な条件を調査して、災害になる、あるいは災害が拡大をする要因については、それぞれについて必ずしも十分ではないように思うのです。防災科学なら防災科学が、防災科学一般ということでなくって、やっぱり具体化しなければならぬと思うのですが、今山については予防治山というお話、あるいは河川については河川ごとの計算式云々というお話ですけれども、それに加わります具体的な条件の把握、それからこれは防災施設に関連して参ると思いますけれども、それぞれの具体的な湾、あるいは川、あるいは山あるいはダム等も含んで、具体的な条件を絶えず調査、管理をして、災害が大きくならないようにする点については、これはそれぞれの場所で、あるいはそれぞれの湾、それから川、あるいは山等について具体的に科学が具体化しなければならぬと思うのですが、それらの点について、あるいは各省にまたがるかと思うのですけれども、科学の具体化をはかる施策についてどういう工合に考えられておりますか、あるいは施策をしようとされるか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/50
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051・和達清夫
○政府委員(和達清夫君) ただいまは防災の実際問題に入るお尋ねと思います。たとえば海岸におきまして、津波、高潮の災害を防ぐという場合には建設省——その他防潮堤というものができております。それはどれだけの高さに対して盛るかというようなこと、あるいは部分的にはどういう条件にまだあるというような現状を把握されておるわけであります。また河川におきましても、警戒水位というようなものがありまして、それによって防災の計画を立てる。山地に行きまして、山くずれとか、上流あるいは支流等で地すべりとその他急に出る水に対しては、少しむずかしいところもありまして、また一方そういうような対策も十分でないために、この点は多少別になるかと思いますが、いわゆる防災設備のあるところに対しては、それぞれその現状というものは把握され、それに基づいて警報というものが出るわけであります。その警報を出すのは、先ほど来、雨に基因するならばまず雨の降り方を早く把握するということでありますし、また津波のようなものでありますれば、地震の起こった場所と地震の大きさ等を早く把握することである。高潮でありますれば、どこを台風がどのくらいの強さでどんなスピードで通るかということを予測し、それからそれに応じて起こる高潮を計算して、そして高潮警報を出すことになるのであります。したがって、一方実際に災害を守る恒久対策というところはもっともっと完全なものに持っていかなければならないということと、現在に適切なる予防や警報を応急対策のために出すということが、一方また大切なことと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/51
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052・吉田法晴
○吉田法晴君 この防災の施設、あるいは具体的な資料を整備するということに関連をして、山、川、海岸その他の動いておる具体的な実情を調査をし、それに対処する施策を講じなければならぬのではないか。いわば防災科学一般の——それぞれの海岸、あるいは湾、河川、あるいは山について特殊化しなければならぬのではなかろうか、こういうお尋ねをしたわけでありますが、それについてたとえば気象庁の出先としては測候所がございます。ところが川については建設省、それから山については営林署、営林局と、こういうことになるわけです。中央についてもこれは総合されなければならぬように、たとえば高潮と、それから洪水とはまあ結びついたりいたしますが、各出先についてもこれはいわば防災の総合的なそういう資料を収集し、中央の計算指令を待たないで出すべき施設を考えるべきではなかろうか。湾については少なくとも各湾に検潮儀なり何なりそろえ、そしてその湾で資料を集めよと、こういうことですが、河川、あるいはその他を含めますと、地方においてもそういう総合調整といいますか機関が必要なのではなかろうか、あるいはこれは連絡機関になるのかしれませんが、今のところ府県なら府県が中心になって警報を出す云々というあれになっておりますが、もう少し現実の特殊的な事情に即応する情報の収集云々という点になると、地方の機構といいますか、あるいは機関といいますか、そういうものが考えられるべきではないかという議論に対しては、気象庁だけでなくて、ほかの意見も承りたいのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/52
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053・和達清夫
○政府委員(和達清夫君) 申し上げます。気象庁は応急対策の一環をになうわけでございます。したがって、全国の雨について、たとえば一刻も早くこの状況を把握し、そして必要方面にこれを伝えるというようなことをいたすわけです。これは高潮につきましても、また津波につきましても同様でございます。そういうような応急対策は、たとえば洪水警報につきましては、重要河川につきましては建設省と共同でやりますのは、建設省が水位を主として観測されております。また河川の状況、護岸の状況というようなものをよく把握しておられますので、両方の資料を即刻集めまして、そうしてここに洪水警報ができるわけであります。そうして、それに従って水防活動につながるわけでございまして、こういう点に関しましては災害対策基本法というものが施行されますれば、中央にも地方にも防災協議会というものができまして、十分なる連絡がとれることになると存じております。なお、そういう応急対策以外の恒久対策のほうの資料というものにつきましては、これは各省がいろいろな観測をいたしております資料がございます。それらは関係のところで十分お互いに利用できるように連絡し合って、恒久対策をいたすことになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/53
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054・吉田法晴
○吉田法晴君 自然災害については大体お尋ねすべき点を不十分ではございますけれども、一とおりお尋ねをしたつもりなんですが、なお産業公害と申しますか、あるいは人為災害と申しますか、これも人口の稠密あるいは社会関係の複雑化、あるいは全国的な各種産業の発展に伴います災害、中の災害は一応おいて、産業発展等に伴います公害問題について問題が残っているわけでありますが、大臣も来られましたから、全部を含めてお尋ねをいたしたいと思います。この委員会でこの国会中、防災科学に重点をおいて調査を進め、何らかの結論に達したい、こういうことで今まで何とか調査を進めて参りました。そうしてその主要な項目について、気象庁長官でもあるが日本学術会議の議長でもあり、科学技術会議の議員でもあります和達先生に来ていただいて、自然災害については大体のお尋ねをしたわけであります。和達先生は科学技術会議の議員としてはきょうは答弁を遠慮をしたい、答申も出ておることだし、なお科学技術会議の今後の検討による方針もあるから、それは待ってもらいたい、こういうお話等もあったわけであります。今まで質疑をいたして参りました点からいいますと、豪雨による水害、あるいは地震、津波による災害、豪雨と高潮とが併合する場合等も多いのでありますが、その原因の把握、それからその後の河川に入っての流水、それから下流への影響、それからこれが高潮との結合による災害、地震なり津波についてはなお調査資料の整備についても、あるいは施設の整備についてもなお努力すべきところがあるし、あるいは台風、豪雨による被害についても資料収集のための設備について、ロボット観測あるいはレーダーの拡充、それから資料を収集して、電子計算機によって即時あるいは即日警報の資料として収集する体系、これらの点については計画もすべて拡充をしていかなければならぬが、気象の人工制御については米国等の経験も参酌しながら、観測自身についても飛行機をもって自分で観測をするようにしたい、今のところでは米軍の協力を得て云々というところでありますが、DC7でしたか、日航が従来使ってきた飛行機と同種のもので観測をすれば、台風の中に入って観測することができるし、そういう観測の設備についても拡充をしたい。あるいは人工制御の点についてもアメリカの経験等も参酌をしながら、その可能性について今後やって参りたい、こういうお話等があったわけでありますが、こまかい問題については今まで気象庁長官なりあるいは建設省、林野庁から伺って参りましたから、こまかいことをお尋ねしようとは考えませんが、これらの防災科学を担当しておられる科学技術会議あるいは学術会議あるいは各省庁、それから学術会議については各大学の教授の協力も得ているわけでありますが、全般の防災科学の伸展のために衆議院の特別委員会の意向によりますと、予算の一〇%以上を科学技術の振興費に充てて、科学技術の進歩をはからるべきではないか、こういう意見等もあるわけでありますが、私どもから考えましても、防災科学の発展のために産業あるいはこの重点施策として所得倍増云々のために力点を置いておられますけれども、国民の幸福をはかるという点からいえば、私は防災科学の進展に大きな力が尽されなければならぬのは当然だろうと考えるわけでありますが、これらの点について大臣の決意をひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/54
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055・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 御指摘のように、日本は天災あるいは人災というようなものが非常に多いのであります。これが国民の福祉という点に対して非常な重大な障害になっていることは御指摘のとおりであります。しかし、この防災科学という面についてはこれは非常におくれておる。まあ科学技術庁でもいろいろ防災に関する予算はとっておりますが、金額は非常に少ない。このごろは環境科学という新しい言葉を作って、あるいは水の汚濁であるとか、大気の汚染であるとか、騒音の防止であるとか、こういうものとも取り組もうとしておりますが、規模も小さい、あるいは気象研究所を、いろいろお話があったようですが、これを拡充強化したい、あるいは防災科学の研究所のようなものが要るのではないか、総合的に。そういう感じを持っておるわけでございます。したがって、これは国立研究機関の整備強化というような科学技術会議にも諮問が出ておりますし、そういうことともにらみ合わして、もう少し防災科学というものに対しては、本年は予算もきまっておりますからどうにもなりませんが、昭和三十八年度というものはこの問題について相当力を入れた施策を考えなければならぬというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/55
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056・吉田法晴
○吉田法晴君 防災科学研究所というのはどういう御構想でしょうか。今、天災、人災ということを言われましたが、気象研究所あるいは科学技術会議、あるいは学術会議等で災害に対する科学の発展を、あるいは制度の発展をはからなければならぬという、こういう御答申は主として自然災害に関連しておると思うのですが、自然災害に対する研究の強化と、それから人災に対する科学の研究を拡充しなければならぬ、こういう意味で今お話がございました防災科学研究所というものの御構想をされるのでございましょうか、もう少し具体的に承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/56
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057・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 単なる思いつきの域を脱しないのですが、こういう面における日本の今までの研究というものは相当おくれておる、災害の多い国にかかわらず。そういう意味で、何か天災あるいは人災というものを含めて、災害防止のための研究機関というようなものが要るのではないか。これは固まった案ではないのですが、何かそういうものでもないと、各省いろいろばらばらになっておりますのを、科学技術庁などにおいて総合調整などをやっておりますが、そういうことだけでは十分目的を達成できるかどうか、やはりそういうものを一つにまとめた研究所のようなものが要るのではないかという——だから具体的な内容という、そこまで固まったものではないのですが、何らかの方法を明年度においては考える必要がある課題だという感じを私は持っておる。まだ内容まで検討しておるわけではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/57
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058・吉田法晴
○吉田法晴君 自然災害についても、あるいは人災と申しますか、産業公害についても予算の飛躍的な拡大を伴って、研究施設に十分なひとつ考慮を、施策をしたい、こういう点は了承いたします。私どもも全面的に賛意を表したいと思いますが、ただ自然災害あるいは産業災害等を通じて調査をして参りまして感じますことは、いわば水にしても産業を中心にしてこれを利用する、こういうのが先に立って——いわば水あるいは自然にしても、産業といいますか、事業といいますか、それを育てることが先で、それが人間に及ぼす影響というものは、いわばあとから考えられているのではないか。いわば災害の起こる原因を先に作って、起こってきた災害というものにはあとからいわば填補するといいますか、産業公害でいえば、あとから賠償をする、あるいは填補をする、こういうように追っかけてあとから対策が立てられているのではないか。自然災害についていっても、先ほど林野庁から予防科学についてはこれからというようなお話でございましたが、どういう工合に水が浸透するか、そしてそれがどういう工合に災害になるか、それを予防するのはこれからだ、こういうお話です。ですから人間の幸福を先にすれば、科学というものは私は一番最初に申し上げたのですけれども、人間の幸福のために自然の法則を利用する、あるいは法則をコントロールする方法はないか、こういうことだと思うのです。そうすると科学それ自身が、防災科学というようなあとからの科学ではなしに、これは科学の進歩それ自身が人間の幸福のために直接的に役立つ、こういうことでなければならぬと考えますので、いわばあとから起こってくる災害を防止するのでなしに、利用の際に人間に対する被害というものは、これは当然に考えられて利用をされなければならぬのではなかろうか。いわば自然現象あるいは自然を利用する場合に、防災ということはこれは伴って発達させなければならぬ、事後でなしに。そうすると林野、河川等で言われたように、あとからの防災科学としてでなしに、予防的に自然の利用に伴って必然的に考えられなければならぬ。これから予算も大きくして云々という話ですけれども、国の予算の中で防災の問題が一〇%以上といいますか、科学について一〇%以上ということですけれども、もっと先行的に考えなければならぬ。結論は気象研究についても、あるいは自然研究についても、防災科学についても、もっと力をこれから入れなければならぬ、こういうことでありますけれども、飛躍的に今までの調査研究の結果で出ておるものについては、それが科学技術会議の答申であろうと、あるいは治水五ヵ年計画であろうと、あるいは気象の点についての長期的な計画であろうと、これは追っかけて不十分に援助されるのでなしに、防災科学を取り上げて参りました委員会の精神に御賛意をいただいた科学技術庁長官としては、直ちに全面的に協力と推進とを願わなければならぬと思うのであります。先ほどまあ一般的にお話がございましたけれども、防災問題を政治の中心として、必然的に施策とともにお進めいただかなければならぬのではなかろうかと考えておるのでありますが、これらの点御所信を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/58
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059・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 御指摘のとおり、これは日本全体の持っておる一つの欠陥だと思うのであります。いろんなそういう災害に関係する公共的な施設というものがあとからついていくような形になっておる——今度政府が新産業都市の育成に関する法案などを提出しておりますのも、やはりもう少し産業都市などもそういう公共的な施設と産業との間に均衡のとれた状態でなければならぬという必要を感じての提案であるわけであります。こういう点で、全体としてそういう公共施設がおくれてくればそれは災害の原因になり得るわけでありますから、今後の産業計画、都市計画というものにやはり災害をできるだけ最小限度に防ぐだけの計画性というものが要ると思います。それともう一つは、防災ということは、できてあとからそれの対策を講ずるということでは目的を十分に達成することはできない。医学においてもこのごろは予防医学ということが非常に大きな問題になっておる。病気にかかる前にかからぬようにすることが医学としては大事であるということ、これは防災についても同じことが言えるわけなんです。防災ということはやはりそれを防ぐということが——初めからそういうことが起こらないように、できるだけ未然に防ぐということが防災の前提になると思います。そういう点で、考え方として吉田委員の言われることは私も同感でございます。そういう線に沿って今後の防災ということを考えていかなければならぬ。大きくは一つの国土計画、またもう一つは、防災は災害が起こってからでなしに、未然に防ぐことが防災の前提である、こういう考えによって今後の施策を進めていかなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/59
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060・吉田法晴
○吉田法晴君 後半のお話は了承いたしますが、新産業都市のお話が出ましたが、私も新産業都市法ですか、について多少勉強もし質問もしたのですが、あの法律でも人間の幸福ということが出発点にならないで、あるいは中心にならないで、産業のためのとにかく社会投資——こういうものがおくれておるから、そこで産業の育成発展のための条件を作る、その社会投資をするための法律と、こういう工合に私ども批判をして参りました。そこでその新産業都市についてもですが、都市を作るのには産業を育成するためにその条件を備えるということでなしに、人間の幸福を中心にして、あるいは雇用だとか生活だとか、そういうものを第一中心のモチーフにしてやるべきじゃないか、こういう私ども感じを持っておるのであります。したがって精神はけっこうです、先ほど述べられたように。そこで災害が起こらないように、こういうことであるならば、科学技術会議なりあるいは学術会議なり、それから関係者でこの計画をされております整備計画についても、国土計画についても大臣として、あるいは政府として、惜しみなく予算は十分につけてその計画は実行させたい、あるいは裏づけたい、こういう御趣旨だと解してよろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/60
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061・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) そのとおりに私は考えております。日本のような災害の多い国では、やはり国土保全、なるべく災害というものが人間に与える被害を少なくするということが政治の基礎になると考えております。ただしかし、いろいろな公共施設というものが、産業を中心にしておるという分け方をされておりますが、それがまた人間の幸福にも関連を持つわけですから、今日のような複雑な社会構造のもとにおいて、人間のしあわせと公共施設を強化するということを、その目的は産業の発展のためだからというふうに、一がいにそれで線を引くわけにはいかないのではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/61
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062・吉田法晴
○吉田法晴君 災害の防止を、あとからでなく事前に予防するために、計画の、あるいは答申の結果については、それを十二分に予算の裏づけを伴って実現をしてもらいたいという、こういう決意を承りましたことはたいへんありがたいのでありますが、なお結論的に、あるいは科学技術会議の答申や、あるいはこれに関連をいたしまして衆議院の科学技術特別委員会等で論議されておる問題は、総括的に防災科学の振興のためにも論じなければならぬ問題だと思うのでありますが、予算の点については御言明がございましたから、それでけっこうであります。自然災害についてもあるいは人災と申しますか、産業公害と申しますか、産業の発展あるいは人口の稠密に伴います災害の頻発に対して対策を立てております場合に、科学それ自身において、あるいは制度それ自身についてきわめて多岐にわたっております。で、研究をされておりますところについても大学あるいは学術会議——科学技術庁がその事務局のような役割を果たしておられますけれども、科学技術会議、それから民間の研究施設等もございますが、それらの総合についていろいろ指摘がなされておりますが、この研究の総合、そして防災科学の飛躍的な発展のために、どういう点について施策をされようとするか承りたいと思うのであります。で、特にその中で、従来問題になりました科学技術庁で研究調査の結果を総合しようという問題と、それから大学の研究、特に大学に付置されております研究機関との問題についてはいろいろ論議がなされております。私もきのう、きょうの打ち合わせをいたします場合に、いろいろ先生にもお目にかかったりいたしましたが、大学における学問の自由あるいは学園の自治という点は、十分これは尊重されなければならぬし、総合の場合においても大学の研究所は、科学技術庁を中心にした研究機関の総合の場合には、これは十分考慮せられて——科学技術庁のもとに、包摂するというようなことは早計ではなかろうか。慎重にこれは考えなければならぬのではないか。学問の自由、学園の自治が保障される中で、研究の成果が総合調整されるということでなければならぬのではなかろうかと考えるのでありますが、これらの点について、科学技術庁長官の御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/62
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063・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、科学技術会議に、今、国立研究機関のあり方についてどうあるべきかということの諮問をいたしておるわけでございます。その場合に、これは大学の付置研究機関というものは除いてあるわけでありますが、当然にこれとにらみ合わせて考えなければならぬのであって、衆議院における科学技術基本問題の小委員会などにおいても、大学の付置研究機関に対しても何かの構想が出ておったのを新聞で見たわけでございますが、大学の付置研究機関というもの、これを科学技術庁に持ってくるという考え方は、私は持ってないのでございます。しかし、もう少し相互に研究機関同志の連絡というものはあっていいのではないか。これは、お互いに人類の幸福のために、科学を通じて奉仕することが研究所の目的でしょうから、共通の目的を持っておるのでありますから、そういう点で、お互いに研究機関が連絡し合って、もっと成果が上がるような工夫というものは当然やっていいんではないか、そういう工夫というものは何かないかということが考えられる点でありますが、大学の研究機関も科学技術庁に持ってくるという考えは持ってないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/63
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064・吉田法晴
○吉田法晴君 先ほど和達先生にお伺いしたところでは、その辺については、答弁を遠慮しておったと、こういうようなお話であります。
文部省の大学学術局の岡野審議官に来ていただいておりますので、御意見を承りたいと思うのですが、科学技術庁長官の答弁は、大学の研究所を制度的に、組織的に統合しようということは考えないが、研究の成果についての統合については何らか考えてもいいんじゃないかと、こういうようなお話でありました。衆議院の特別委員会におけるこれは結論でありますか、中間的なあれであるかわかりませんが、多少新聞等にも報ぜられておるところでありますが、これらの点について関連をいたしておるように思うのでありますけれども、文部省の、いわば大学側を代表するという観点で御出席をいただいておりますので、御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/64
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065・岡野澄
○説明員(岡野澄君) お話のございました衆議院の小委員会の御議論につきましては、われわれもまだ十分承知しておりませんので、ここで文部省の意見として申し上げるわけには参らぬわけでございますが、大学の付置研究所につきましては、これは大学の組織の一環でございますので、これを大学から切り離して管理運営をはかるということは適当ではないというふうに、われわれは考えております。ただ、先ほど長官がおっしゃったように、研究の連絡が十分できるというようなことは、国立の直轄研究所にとっても大学の研究所にとっても望ましいことは事実でありまして、このやり方が、現在では学会を通じて連絡されているわけでございますが、そこになお、さらに組織的な連絡ということが欠けているのじゃないかという御指摘もあるわけでございます。こういう点につきましては、なお改善の余地があるかないか、これから検討いたして参りたいと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/65
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066・吉田法晴
○吉田法晴君 私どもも防災科学を中心にしているわけでありますけれども、この研究の総合という点においては、各方面ともあまり異論はない。しかし国立の研究機関の連絡調整あるいは統合等についても、いろいろ考慮を払わなければならぬかもしれぬけれども、大学の研究所を統合するという点については、これは科学技術庁長官も考えておらぬ、あるいは文部省も考えておらぬ、こういうお話。ただ、研究の連絡あるいは総合等については何らか考えてもいいのではなかろうか、衆議院のあれでは研究共同運営委員会といったようなものを、これは国立研究機関についてでありますけれども、考えたりしているようであります。そこで問題は、その研究の総合調整の仕方ですが、学問の自由あるいは学園の自治といったような問題を確保しながら、そこで研究自身については総合連絡をする具体的な方策いかんと、こういうことになろうかと考えますが、今のお話では、教授は教授として協力ができるようなあり方を考える。あるいはお話にはございませんでしたけれども、科学者として云々というような、学術会議等を通じてといったような意味におっしゃったのかどうかしりませんが、その辺はいかがでしょうか。これは、科学技術会議の議員としてはともかくでありますが、学術会議の議長としては和達先生にも御意見を承ることができると思うのですが、原子力の問題については平和目的云々というような三原則が掲げられているわけであります。科学全般についても平和原則なりあるいは自主性といったものが、これは確保されなければ発展が期せられないと思う。問題が科学の総合ということになりますと、この問題はやはり重要なる問題として、ここで明らかにしなければならぬところであろうと思うでありますが、学問の自由、学園の自治を、大学だけでなくて、あるいは大学に付置されております研究機関だけでなくて、これは国の研究機関についても同様のことが言い得ると思うのでありますが、その学問の自由あるいは自主性を尊重しながら、総合する方策いかんという点について、先ほど来、防災科学を中心にしてお尋ねして参りましたけれども、学術会議議長としての御意見をお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/66
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067・和達清夫
○政府委員(和達清夫君) 明日から学術会議の総会がございまして、当然こういう問題が出ますので、おそれ入りますが、差し控えさしていただきたいと思います。もちろん、大学は、御存じのとおり大学という任務を持って教育をいたし、そうして研究をいたしている、教育と研究とは不可分のものと私は思っている。また大学は独自の研究の自主、自由というものを当然持っている。それらは十分に尊重されねばならぬと考えておることだけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/67
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068・吉田法晴
○吉田法晴君 科学技術庁長官に伺いますが、これは科学技術全般についてもあるいは防災科学についても、予算をたくさんつけてその研究開発の助成をしたい、それから総合調整をしたいということになりますと、予算をつける場合、政府の発言力というもので裏づけられるということになると、あるいは統制といいますか、政府の意向というものが出てくるのではなかろうか、こういう心配があるのはやはり当然だと思います。そこで、学問の自由なりあるいは研究の自主性というものを確保しながら総合しなければならない、あるいは助成しなければならないというような、これは微妙なむずかしい問題だと思うのです。大学付置研究所等を統合しようとは考えておらぬというお話ですが、この点については、予算を十二分に伴って助成をしてもらうについても十分考えておいていただかなければならぬ問題だと思います。これは先ほどの答弁もございましたけれども、十分尊重しながら統制だとかあるいは政府の意向が先に立って、学問の自由あるいは自主性というものがそこなわれる心配は万々ないように保障したいということであろうと思うのですが、重ねてお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/68
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069・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 私は率直に言って、日本の学界もそうですが、戦前の悪夢にとりつかれ過ぎておる、こう思っております。今の時代になって研究を統制したり、研究の自由を奪ったりすることはできるものではない、それだけの民主的基盤というものが日本にはできておる。それをを何かやろうとすると、すぐ研究の自由を奪うのではないか、研究を統制するのではないかという、これは戦前の時代ですね。これをあまり意識し過ぎているのではないか、こういう感じを率直に持っているわけであります。したがって、今後科学技術振興のために予算ももっとふやさなければならぬし、ある意味においては今後の国際競争というものの核心をなすものは科学技術の競争でありましょう、それにふさわしいだけの科学技術の水準を日本は持たなければならぬ。学界と言わず、民間と言わず、あるいは政府機関と言わず、それがやはり日本国民の福祉にも人類の幸福にも関連を持つわけでありますから、よほどみなお互いに提携し合って、今日では個人の研究というものより共同の研究の時代に入っておりますから、この研究機関だけで、小さいからに閉じこもってやるということでは目的を達成しない。みんなの大きなやはり共同研究という——個人的な色彩をもっておった研究時代から共同研究の時代に入ったのですから、そういう意味でみんなが協力をして科学技術の成果——それを人類に貢献できるような成果を上げなければならない。研究の自由を奪ったり、金をつけたからといって研究を統制したり、そういうことはできるものではないし、絶対にそういうことを毛頭も考えていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/69
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070・吉田法晴
○吉田法晴君 この民主的な精神が、これを奪うことができないほど確立をしている。こういう点については私どももそう思います。しかし憲法の少なくとも九条等について、これは所見を異にするところだと思いますけれども、九条があるにもかかわらず、自衛隊というものは戦前の戦力、機動力以上ほどのものになっている。したがって、たとえば宇宙開発だとかあるいはロケットの研究とかいうことになりますと、やっぱり軍事的な目的というものが助成の場合に影響をしてくるのではないかという心配をする面は必ずしもあなたが言われるように杞憂にすぎないとは言えぬのじゃなかろうか。あるいは民主主義の原則からいいますと、産業の維持助長をはかるだけでなくて、これは国際的に見て、それを自由主義とは言いながら人間の幸福が先に立って、産業といえどもあるいは科学といえども、人間の幸福のために奉仕をしようとする段階に達しておるだけに、さっきの新産業都市の問題にしても理解について多少違いがありますように、やはり維持助成という面で、科学技術の問題でも産学共同というようなことが出てきておりますけれども、産業ならば産業に奉仕する面で科学技術の振興をはかりたいという、これは学制にも関連して参ります、民主的な学制と、それから高等専門学校の問題とも関連をして参りますように、あなたが言われるような民主的な伝統が確立されたから、研究の助成についても全然心配がないのだというわけにはいかぬ実情が防災科学についても、あるいは科学技術一般の振興についても問題になってくるゆえんだと私は思うのです。したがって、その点心配ないと言われるだけでなくて、学問の自由とそれから研究の自主性を侵さないように十分な考慮を払いたいということで私はいいと思うのです。心配はない云々という点は具体的な問題になってくるとなかなかやっぱり問題になって参ります。それはよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/70
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071・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) よろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/71
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072・吉田法晴
○吉田法晴君 それから、この自然災害についても、それから産業公害についても、たとえば自然災害について気象庁、それから農林省あるいは建設省、あるいは水の問題等について、これは自然災害に直接間接ですけれども、厚生省等いろいろ関係がございます、産業公害に至ってはあまりに各省別に分かれ過ぎ、しかも、その対策というものが制度化され法制化されている点がきわめて不十分。そこでこの全般的予算については十二分に裏づけをして、その振興をはかりたいと言われても、なかなかやはり問題がある。そこで、その総合連絡の上における助成の方法についてもいろいろ問題点があろうと考えるのでありますが、先ほど抽象的にはお話しになりましたが、気象研究所のごときはあなたが来られる前にいろいろお話ししたのですけれども、学問的には国際的に一流の人々が自分で計算機を持ち、あるいはメーターを見ておられるというような実情、そこで、いわば気象庁との連絡、つまり気象庁に付置されております研究所としても予算あるいは定員、それから飛行機で台風を観測したりいたします施設費を含んで予算もふやすという点もありましょうけれども、そのそれぞれの研究機関の成果を総合調整する方法等についても一段の工夫が必要であろうかと考えますが、まあ先ほど和達長官は気象庁に付置されておるという現状でけっこうだと、別にこれを切り離して科学技術庁に移すというような問題を考えるべきではなかろうというようなお話でありましたが、国立の研究機関についての総合調整についてはどのようにお考えになりますか。先ほども抽象的には御答弁になりましたが、重ねて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/72
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073・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 先ほど私お答えいたしましたように、科学技術会議へこの問題について、国立研究機関の刷新強化策いかんという諮問を出しておるわけであります。この答申というものも参考にしたいと思っております。しかし、何もかも科学技術庁だからといって科学技術に関係する研究機関というようなものを全部科学技術庁に持ってこなければならぬとは私は考えていない。むしろ科学技術庁がこれからやらなければならぬのは、予算に対する調整的な機能を強化することである。今もやってはおるんですけれども、これは十分ではないんです。一応科学技術に関係する予算は予算編成期に科学技術庁で検討を加えまして、これに対して、これは特に必要だとかどうだとかいう意見を付しておるんですが、これは十分だとは思わない。やっぱり今後そういう研究機関を全部統合してどうというある研究機関はそれは必要でしょうが、そういうのでなくして、一括して科学技術の予算は科学技術庁で取るぐらいの——実際に取る取らぬは別として、それぐらいの心がまえで、全体の科学技術予算というものの内容に対して検討を加えて、そして総額もふやしていく、これだけの予算編成に対する熱意を科学技術庁が持つということが一番実際的で必要なことではないかという考え方を私は持っておるわけです。これには工夫を加えたい、今のでは十分でない、もう少し工夫を加えたいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/73
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074・吉田法晴
○吉田法晴君 あと二問ほどで御退席をいただくようにしたいと思うんですが、産業公害についてはきょう詳しくお尋ねをするところがなかった。委員会でお尋ねをしたり、あるいは委員会外で委員会の調査室の諸君と一緒に各関係省庁にお尋ねをするということでやって参りました。その結果は、これは委員長、理事の諸君に御了解を得たいと思いますが、文書にして報告をいたしたいと考えますが、それらを通じてこういうことを感じております。大気汚染、それから水質汚濁、あるいは騒音、こういう産業公害と申しますか、あるいは一般的に公害と申しますか、各省で研究をし、あるいはその対策が講ぜられておりますけれども、現在の研究制度あるいは予算では十分ではないと考えられます。特にばらばらで、しかもその程度が低い、あるいはまた各省の研究機関での研究成果と民間の研究の成果とは必ずしも結合をされてないのではないか、こういう感じがいたします。それから外国では各企業が費用の一割程度を産業公害防止措置に充てておるようですが、わが国ではそういう伝統も、あるいは対策と申しますか、講ぜられていないようです。それから、そういう点から言うと、各企業あるいは産業についても試験研究に対してある程度の資金を確保するためには税法上の優遇措置もとる必要があるんではないかと思われるんですが、これは科学技術庁の所管にもなるかと思いますが、そういう必要があるのではなかろうか、御所見を承りたい。
それから現在補助金が若干は出ておりますが、不十分だと思われますので、その補助金の出し方について、重点的に出すとすればどういうものがあろうか、御意見を承りたい。
それから産業公害全部を通じて、これは研究あるいは対策についてもそうですが、いわば産業企業の存立という点が大きな考慮の要素になって、科学とか、こういう人災の科学、公害の科学というものが発達をチェックされている。水俣の場合にいたしましてもあるいは本州製紙の場合にいたしましても、それから大気汚染の場合についてもですが、因果関係を徹底的に追究するのをはばむものが大きく働いている、社会的に。で、そのことは損害賠償の場合にもそうですけれども、その根源を除くにあたって、あるいは根源を究明するといいますか、原因の源を探究をし、そうしてそこで原因が起こってこないように除く、発生原因をなくすると、こういうところまで科学が及ぶのを防ぐものが大きくあるように私は考えております。具体的にたとえば本州製紙あるいは水俣病、あるいはこれは石炭鉱害等の場合についてもそうですけれども、調査研究をしておりますが、ある程度まで行くと、これがストップしてしまって、そうして問題を科学的に究明する、因果関係を最後まで追究するということをしないで、いわば妥協をする、政治的なとにかく解決ということが多く行なわれておるような感じがするわけであります。これは科学の発展をも阻止している大きな原因でありますが、これについて科学の発達を阻止するものあるいは対策をある程度で打ち切らせるもの、これを除かなければ、人災といいますか、あるいは産業公害について、抜本的な対策を立てるに至らないゆえんだとも思うのですが、細かい一々の点は申し上げませんけれども、これについて思い切った施策を講ぜられなければ、産業災害に関します科学のほんとうの発展をはかるわけにいかないのではないか、こう考えますが、その点についてどういう工合にお考えになりますか。大臣なりあるいは科学技術庁にお尋ねをしたいと思うのでありますが、局長も来ていただいておるのですから、御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/74
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075・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 具体的な問題は政府委員から補足をいたしますが、環境科学と申しますか、今御指摘になった大気汚染とか、水質汚濁とか、あるいは騒音の防止とか、あるいはまた産業の発展に伴う産業公害、こういうものに対しては非常に立ちおくれておる。水質汚濁の問題でも、数年前私が企画庁長官のときにあの法案がごく最近に出たような状態で、そういう点で、この点は今後特に、これは人間の生活に大きな影響を持つわけでありますから、今後この立ちおくれに対してよほど力を入れていかなければいけない問題であるというふうに考えておるわけでありまして、その認識については、私は全く同感であります。今後この点は特に重点的に政治が取り上げなければならぬ問題であって、そういう考え方を将来の施策、予算の上に表わしていきたいという私は決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/75
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076・前田陽吉
○政府委員(前田陽吉君) ただいまいろいろの問題について御質問があったわけでございますが、税法の問題につきましては、長官からもたびたび御発言いただいておりますけれども、今後この産業界の研究等につきましての税制の問題につきましては、画期的に十分な検討を加えたいという御発言がたびたび委員会でございましたのですが、そういう線につきまして十分今後努力して参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。まあ設備等の償却年数を少なくする点でありますとか、いろいろ具体的なものもございますけれども、画期的なものを何か考えていきたい、こういうふうな気持でございます。
それから補償の問題のお話も出ましたんですが、これも今の制度では、私まだあまり補償のことは検討しておりませんですけれども、まだ十分じゃないのじゃないかということは考えられます。まあ騒音の問題なんかは県の条例ぐらいしかないとふうに記憶いたしております。こういう点も、もう少し科学的な調査を加えていかなければならぬと考えております。
なお、公害の源がどういう点にあるかというふうなことの究明が十分でないというふうなお話もございましたんですが、今の大臣の御発言にもございましたように、公害についての調査もたいへんおくれておりますので、こういう点はもっと科学的な研究の成果を取り入れまして、もっと徹底的に調査するというふうなことが必要であろうと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/76
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077・吉田法晴
○吉田法晴君 その点は、先ほど防災研究所の構想等を述べられたのですが、そういう研究機関の拡充もですし、それから研究調査の総合についても、学術会議あるいは科学技術会議等にも取り上げていただいておりますが、これは主として自然災害等が中心じゃないかと思うのです。産業公害とでも申しますか、あるいは人災の点については、同様なやっぱりおくれを取り戻すための研究機関、あるいはこれを大学あるいは学術の研究所、あるいは民間の研究機関を含んでですね、因果関係を明らかにする、あるいは科学の発展をはかる、それを総合するという意味において、研究所だけでなくて、総合的ないわば取り上げるあれが必要だと思うのであります。その点は、学術会議の議長としても出ていただいております和達さんにもお願いをいたしておきたいと思うのです。そのネックになっております点が、先ほど申しますような産業、企業の存立という点が先になっているという点にあるように考えますので、その点は特に御留意をいただいて、産業公害科学と申しますか、それの発展に一そうのひとつ御努力と、それからその研究調査の態勢を整えていただくように希望をいたしましてその点を終わります。
なお最後に防災科学の知識の普及の問題、それから国際協力の問題は最初に秋山君等からもお話を申し上げましたからその点は省略をいたしますが、防災科学知識の普及のための必要な方策、それから今までとられてきた普及方策、それから諸外国における防災知識の普及の実例等から考えてみて、応急的な防災対策としては災害基本法等もございますけれども、研究の成果を制度機構の上だけでなくて国民的なものにするといいますか、普及をする点等についてはなお一段の御努力をいただくべきことと思いますし、大臣が来られるまでに具体的の事例を引いていろいろ御質問も申し上げたのでありますが、総合的な防災科学の普及の問題について御所信と方針とを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/77
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078・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) まあこの点も十分とは申されませんが、できる限り防災科学に対する普及は考えております。私も講演会などに出て話をしたこともございますが、しかし、非常に普及のためにわれわれは十分なことをしておるとは申し上げられない。この点にはよほど改良を加える余地があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/78
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079・吉田法晴
○吉田法晴君 時間がございませんから、まだお尋ねをする点が残っておりますけれども、それは後日に譲りたいと思います。特に民間の研究施設とそれから国の研究施設の関係等についてもお尋ねしたい点がございましたけれども、時間の関係で省略いたしたいと思うのです。
この委員会で委員長初め同僚委員の諸君の中から防災科学について調査をし、そうして結論を得たいと、こういうことで調査を続けて参りまして、やってみますと実際に時間が足らぬ感じが十分いたしました。特に委員会以外で調査をいたしましたものを委員会に正式に取り上げて、委員会の公の調査といたしたい点は、時間の関係もございまして必ずしも十分にできなかったことを残念に思いますが、それらの点を取りまとめまして報告にいたしたいと思います。
それから結論を委員会の決議ということで、この国会の最後までには取りまとめたいとも考えておるわけでありますが、その調査と結果につきましては、いわばまあ中間的なものになるかと思いますが、ぜひひとつ大臣においても、科学技術庁においても、あるいは関係機関においても尊重をして、その実現のために十分に御協力をいただきたいということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013913X00919620424/79
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080・森八三一
○委員長(森八三一君) ほかに御発言がなければ、本日はこれをもって散会いたします。
午後五時十八分散会
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