1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月二十九日(木曜日)
午前十時四十七分開会
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委員の異動
三月十三日委員笹森順造君辞任につ
き、その補欠として小幡治和君を議長
において指名した。
三月十九日委員小幡治和君辞任につ
き、その補欠として笹森順造君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
理事
青柳 秀夫君
木内 四郎君
大和 与一君
委員
笹森 順造君
杉原 荒太君
永野 護君
堀木 鎌三君
安井 謙君
加藤シヅエ君
佐多 忠隆君
羽生 三七君
森 元治郎君
政府委員
外務政務次官 川村善八郎君
外務省経済局経
済協力部長 甲斐文比古君
事務局側
常任委員会専門
員 結城司郎次君
説明員
外務省条約局外
務参事官 須之部量三君
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本日の会議に付した案件
○日本国とアルゼンティン共和国との
間の友好通商航海条約の締結につい
て承認を求めるの件(内閣送付、予
備審査)
○海外技術協力事業団法案(内閣送
付、予備審査)
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〔理事青柳秀夫君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013968X01019620329/0
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001・青柳秀夫
○理事(青柳秀夫君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
日本国とアルゼンティン共和国との問の友好通商航海条約の締結について承認を求めるの件、海外技術協力事業団法案、以上予備審査の両案件を便宜一括議題といたします。両案件につきましては、先般提案理由の説明を聴取いたしましたが、さらに補足説明を政府当局から聴取いたしたいと思います。まず、アルゼンティン共和国との間の友好通商航海条約について説明を承りたいと存じます。川村政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013968X01019620329/1
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002・川村善八郎
○政府委員(川村善八郎君) 本案に対する補足説明は事務当局から説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013968X01019620329/2
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003・須之部量三
○説明員(須之部量三君) 日本国とアルゼンティン共和国との間の友好通商航海条約につきまして、補足御説明申し上げます。
わが国とアルゼンティン国との間には明治三十一年三月にワシントンにおいて署名され、明治三十四年九月に発効いたしました修好通商航海条約が現在存在しております。この条約は第二次大戦当時、日本とアルゼンティンの両国が交戦関係に入りましたため、一時失効いたしましたが、戦後昭和二十八年七月八日の復活措置によりまして、その効力を存続しているのでございます。
この現行条約におきましては、人、貸物、海運等に関し、最恵国待遇ないしはそれぞれの国が欧米諸国に対して与える待遇と同等の待遇を許与することを相互に認めているのでありますが、国際通貨基金、ガレット等に関連する規定が欠けているのみでなく、現地における企業提携、漁業協力等、戦後の両国間の通商関係の拡大発展に伴って、諸般の待遇保障の拡充をはかる必要があるので、政府はかねてから新条約締結の希望を申し入れておりましたところ、昨年三月着任したアルゼンティンのオルフィラ駐日大使は、アルゼンティン政府としても、わが国との経済協力関係の強化の第一着手といたしまして、現行の修好通商航海条約を改正して、新たな友好通商航海条約の締結交渉を開始したい旨正式に申し入れ越したのであります。これに対しまして、日本側としましても、かねてから希望していたところでもございますので、新しい条約締結のため交渉することといたしまして、昨年四月から東京におきまして、本件条約締結の正式交渉が行なわれたわけでございます。その結果、昨年十二月フロンディシ大統領が訪日されました機会に、最終的に妥結いたしまして、同月三十日、本件条約並びに附属議定書の調印が行なわれたものであります。
この新らしい条約は、待遇保障の拡充を目的としております。滞在、居住、身体の保護、財産権の公用収用、裁判権及び課税の各事項につきましては、内国民待遇及び最恵国待遇を規定し、また、入国、事業活動及び自由職業の遂行、関税、為替管理につきましては、最恵国待遇といたしまして、さらに海運につきましては最恵国待遇及び部分的な内国民待遇を規定しておるのでございます。このように、本条約は、現在現存しております修好通商条約に比べまして、内国民待遇を広範に及ぼしておりますほか、国際通貨基金及びガレットとの関係、商事仲裁、技術交流等について新しく規定を設けております。
新しい条約は、現行条約に比較いたしまして非常に包括的でございますし、またでき得る限り内国民待遇を盛り込み、戦後わが国が新しく結びます通商航海条約の型に沿ったものでありまして、現在の条約の不十分な点が十分補われていると考えるのでございます。
ここで、日本とアルゼンティンとの間の貿易関係について若干申し述べますと昨年、一九六一年のわが国のアルゼンティンへの輸出は四千百三十七万ドル、輸入は六千五百八万ドルで、約二千四百万ドルの日本側の入超になっております。そして、ここ数年間は日本側の入超傾向が継続しております。しかし、昨年の下半期には、車両約四千万ドル、鉄鋼約千万ドル等の大きな延べ払いの商談が成立いたしましたので、今後わが国の同国向けプラント輸出が伸びますれば、わが国の入超傾向は改善されるものと考えられるのであります。しかし、最近アルゼンティンの工業化も大いに進んでおります上、南米に自由貿易連合が成立しましたこと等にかんがみまして、今後のわが国のアルゼンティン向け輸出は機械等のプラント輸出を中心に行なわれていくものと考えられるのでございます。なおアルゼンティンからのわが国の輸入は、トウモロコシ、羊毛、ふすま等がおもなものでございます。
以上のとおり、ラテン・アメリカ地域におきまして、アルゼンティンはブラジル、メキシコ等とともに、わが国にとって最も貿易関係の深い国でございます。現在アルゼンティンへ日本から企業進出いたしております例といたしましては、毛織物が一社、水産関係が三社、計三社がございます。このほか、わが国業者が同国に支店、駐在員事務所または現地法人を設けているものは三十社をこえておるのでございますが、本条約が発効いたしますと、これらのわが方業界のアルゼンティンにおける諸活動、並びに両国間の友好、通商及び海運関係は、さらに一そう安定した基礎の上に置かれるものと期待されるのでございます。
わが国といたしましてはラテン・アメリカの大国であるアルゼンティンと通商関係を安定した基礎の上に置き、もって経済外交を積極的に推進する必要があると考えられるのでありますが、このため、このたびの友好通商航海条約をなるべくすみやかに発効させることが必要であると考るえのであります。
本条約の批准でございますが、アルゼンティン側の議会の会期は五月一日から九月三十日まででありますので、アルゼンティンの審議終了を待つといたしますと、今国会に間に合わなくなるので、先にも申し述べました本件条約の重要性にもかんがみまして、今国会にお諮りいたした次第であります。
以上、補足御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013968X01019620329/3
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004・青柳秀夫
○理事(青柳秀夫君) 次に、海外技術協力事業団法案について説明を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013968X01019620329/4
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005・川村善八郎
○政府委員(川村善八郎君) 本案につきましても、事務当局から御説明を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013968X01019620329/5
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006・青柳秀夫
○理事(青柳秀夫君) 甲斐経済協力部長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013968X01019620329/6
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007・甲斐文比古
○政府委員(甲斐文比古君) 海外技術協力事業団法案につきまして補足説明をさせていただきます。
わが国の技術協力は、戦後、昭和二十七年におきまして国連の拡大技術援助計画に対して八万ドルの拠出を行ないましたのを手始めとして、二国間ベースの技術協力といたしましては、昭和二十九年の十月にわが国はコロンボ・プランに加盟いたしました。その年に千三百万円の予算をもって専門家の派遣、研修生の受け入れを行なうこととなりました次第でございます。その後昭和三十六年十二月三十一日までに、コロンボ・プランを初めといたしまして専門家として延べ四百五十七名を派遣しております。また、技術研修員を海外から三千五百七十二名受け入れて参りました。この専門家の派遣及び研修生の受け入れを業稍別に見ますと、いずれも農林水産関係が全体の三割ないし四割になっておりまして、次いで鉱工業関係、運輸、通信、福祉、厚生、土木建設という順序になっております。このほかに、実は技術協力といたしましては、これら諸国との間の二国間協定に基づきまして、農業、水産業、電気通信、中小企業等に関する技術訓練センターを現地に設置して、わが国から指導要員、機械設備を送って現地で技術研修を行なうという事業もやっております。これまでに十ヵ所の海外センターについてすでに協定の成立を見たのでありますが、そのうち二ヵ所、東パキスタンの農業センター、タイ国の電気通信センターがすでに活動を開始しております。あとの八ヵ所につきましても、目下具体的な設立準備段階にあるわけでございます。技術協力といたしましては、そのほかに実は公共的な開発計画に関する基礎調査事業ということもございまして、従来、国際建設技術協会、またメコン川総合開発調査会というものがこれを実施して参っております。メコン川調査は、さきごろエカフェの総会が東京で開かれましたときに、同時に並行してメコン川調査委員会も当地で会議を開いたのでございますが、昭和三十三年度から支流の調査を実施して参っております。三十六年度におきましては支流の予備調査及び一部本流の予備調査をも実施しております。また、国際建設協力会では、道路、橋梁、運河、港湾などの開発計画に関する基礎調査を実施しております。
わが政府といたしましては、東南アジアを初め中近東、アフリカ、中南米の開発途上にある諸国に対する技術協力を含んだ経済協力がこれら地域の各国に対する外交政策としてきわめて大きな意義を持つことはもちろん、技術協力を含む経済協力は全般的なわが国経済外交の中枢的役割を演ずることとなりつつある現状に照らしまして、今般特殊法人である海外技術協力事業団を設立することとしてその強化とはかることといたした次第でございます。従来は、この政府間ベースの技術協力は社団法人であるアジア協会が主体として政府の委託事業を実施して参っております。本来、技術協力という仕事は、いわゆる直接の受益者がない、また直接的な反対給付を相手国から期待し得ない性格のものでございまして、したがって、政府事業的な色彩が強いのでありまするが、これを特にこれまで民法法人に委託して実施して参りましたのは、実は戦後わが国が初めて技術協力を始めましたころは、いわゆる援助を受ける国の側におきまして、もし政府事業として政府みずからあるいは政府的色彩の強い公団などにやらせますと、また日本の経済侵略ではないかというな印象を与えるおそれもありましたので、昭和二十八年十二月に社団法人アジア協会というものを設立して、これにやらせて参ったのでございます。しかしながら、その後情勢が変わりまして、最近におきましては、積極的にこれら諸国は日本政府に対して技術援助の積極化を要請しておる情勢になりましたので、従来のごとく社団法人にまかせておきましたのでは、十分な技術協力はできない。まず第一に派遣専門家の身分保障も不十分である。現在の派遣専門家は、派遣中及び帰国後に何ら身分保障的な措置がなく、いわば専門家個人の危険負担において海外に渡航しておるという状況でございます。この事業の国家的性格から申しましても、個人にこのような大きな危険を負担させることはきわめて不合理であり、また専門家の身分的不安定ということは、結局優秀な人材を確保するということを困難にいたします。また相手国の要請が、長期の派遣を求めておるにもかかわらず、身分保障のない場合には長期に日本を離れることはできないというような障害にも当面しておるわけでございます。したがいまして、この際やはり公団的な性格のもので、身分保障をしてやる。また給与ベースも社団法人でありましては、どうしても給与ベースが低くて優秀な人材を吸収し得ないという難点があるわけでございます。なお、研修生に対する研修の質の問題につきましても、ただいま申しましたような、優秀な技術者を確保することができないために、研修の実施が十分成果をあげ得ないというようなことがございます。なお、資金的な面から申しましても、技術協力事業の性格から、民間の資金を集めるということにもおのずから限度がございます。また、建前上、民間にあまり大きな負担をかけるべきでもない。したがいまして、この際政府が当然ある程度金を出してやるべきであるというのが今回事業団を設立するに至りました理由でございます。事業団の目的は、法案第一条にございますように、「アジア地域その他の開発途上にある海外の地域に対する条約その他の国際約束に基づく技術協力の実施に必要な業務を効率的に行なうことを目的とする。」、「アジア地域、その他」といいますのは、わが国としては当然アジア地域に重点を注ぐべきでありますが、その他中近東、アフリカあるいは中南米等世界全体を見ますと、その他にもいわゆる開発途上にある地域がございますので、これらの地域に対して技術協力を行なう。なお「条約その他の国際約束に基づく」と申しますのは、実は技術協力は一部はすでに民間企業によって行なわれておる、民間ベースで行なわれておりますが、この事業団は主として政府で行なう。相手国政府から要請のあるものに対して、日本政府が予算的措置をもって行なうという意味でございます。
なお、従来、ただいま申し上げましたように、技術協力実施機関が、政府べースの技術協力実施機関が数団体に分かれてその間の調整も不十分でございましたし、また幾分効率的に運営ができなかった。それで今回はすべてこれを一本にいたしまして、業務を効率的に行なうということを目的としておるわけでございます。その事業団の資本金は二億円、政府がその全額を出資することになっております。なお政府は必要があると認めるときは、将来追加出資ができるということになっております。
なお、事業団には役員として会長一名、理事長一名、理事四名以内、監事二名以内置けることになっております。なお、そのほかに役員といたしまして非常勤理事四名以内を置けます。これは主として業界からの協力を確保するために非常勤理事という制度を特に設けた次第でございます。その他ずっと例文でございます。
なお、この事業団には運営審議会を置くことになっております。運営審議会は、会長の諮問に応じて業務の運営に関する重要事項を審議する。また事業団の運営について、会長に対して意見を述べることができる。その人数は十五名以内で組織する。その委員は、学識経験者の中から外務大臣の認可を受けて会長が任命するということになっておりますが、これはこのうち若干名は関係各省から適当なる役員が入ることになっております。
次に業務の範囲でございますが、まずこの事業団の行ないますおもな業務は、開発途上にあるアジア地域その他の海外地域から技術研修員を受け入れまして、これに必要な技術の研修を行なう。次に、これらの地域に対して専門家を派遣して技術協力を行なう。第三には、これらの地域に現地に技術協力センターを設置いたしまして、必要な人員の派遣、専門家の派遣、機械設備の調達などを行なう。またこの技術協力センターを運営すること。第三には、公共的な開発計画に関して基礎調査を行なう。これは一名投資前基礎調査と言われておるものでございます。なおこのほかに研修施設、宿泊施設を設置して運営する事業をやる。その他付帯事業、また第一条の目的を達成するために必要な業務を行なうことができるということになっております。なお、この事業団は外務大臣が監督することになっております。これは関係各省が多数に上りますので、これらと協議して外務大臣が監督して業務の円滑を期するということになっております。
その他は大体例文でございますので、御説明を省略いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013968X01019620329/7
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008・青柳秀夫
○理事(青柳秀夫君) ただいま説明を聴取いたしました両案件の質疑は、これを後日に譲りまして、本日はこれにて散会をいたします。
午前十一時九分散会
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