1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月二十二日(木曜日)
午前十時四十四分開会
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出席者は左の通り。
委員長 大河原一次君
理事
田中 清一君
徳永 正利君
村上 春藏君
武内 五郎君
委員
小沢久太郎君
三木與吉郎君
米田 正文君
内村 清次君
田中 一君
藤田 進君
田上 松衞君
小平 芳平君
国務大臣
建 設 大 臣 中村 梅吉君
政府委員
建設省都市局長 前田 光嘉君
建設省道路局長 河北 正治君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
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本日の会議に付した案件
○阪神高速道路公団法案(内閣送付、
予備審査)
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001・大河原一次
○委員長(大河原一次君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
本日は阪神高速道路公団法案(予備審査)を議題といたします。まず逐条的に補足説明を聴取いたします。前田都市局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/1
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002・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) ただいま議題になりました阪神高速道路公団法案につきまして逐条説明を申し上げます。
この法律案は本則八章五十二条と附則二十一条からなっております。
第一章は総則でありまして、法の目的、阪神高速道路公団の法人格、事務所、資本金等に関する事項について定めたものであります。
第一条は本公団を設立する目的を規定しております。
最近の大都市における自動車交通量の増加はまことに著しく、これに伴う交通の混雑に起因する人的、物的な損失ははかり知れないものがあり、ために東京を初め大都市における都市の機能を著しく低下させている現状であります。この傾向は大阪市及び神戸市を中心とする阪神地区においても特に著しく、この現状を打開するためには阪神地区における道路及び駐車場の整備を促進することはもちろんでありますが、さらに一般街路とは構造的に分離された自動車専用道路を建設し、円滑な自動車交通を確保することが最も適切な措置であることは諸外国の実例に徴しても明らかなところであります。このため阪神地区における自動車専用道路の建設及び管理に専念する事業体を設け、これに政府の資金のほか関係地方公共団体及び民間の資金を導入し、阪神地区における自動車専用道路の整備をはかることとし、これがため新たに阪神高速道路公団を設立することとしたのであります。
本公団の業務を行なう地域は、大阪市の区域及び神戸市の区域並びにそれらの区域の間及び周辺の地域と規定しておりますが、ここでそれらの区域の間の地域とは大阪、神戸両市の区域の間に存在する尼崎市、西宮市、芦屋市等の区域をいい、それらの区域の周辺の地域とは、大阪、神戸両市の区域に連接する市街地で、両市との関連において、一体的な都市機能の維持及び増進のため、自動車専用道路の建設を行なうことが必要と認められる地域をいうものと解しております。本条は、これらの地域において有料の自動車専用道路の建設及び管理等を総合的かつ効率的に行なうことにより、自動車専用道路の整備を促進して交通の円滑化をはかり、もって阪神地区の都市の機能の維持及び増進に資するために本公団を設立する旨を明らかにした規定であります。
第二条は公団の法人格に関する規定であります。
第三条は公団の事務所の設置について定めた規定であります。
第四条は公団の資本金に関する規定であります。
第一項は公団の資本金の額を定めております。公団の資本金は、二億円と、政令で定める地方公共団体が公団の設立に際し出資する額の合計額であります。政令で定める地方公共団体には、公団設立の際には大阪府及び大阪市並びに兵庫県及び神戸市を予定しております。
第二項は、政府に対し公団設立の際の二億円の出資義務を定めたものでありまして、別に審議されております昭和三十七年度予算の道路整備特別会計において同額の出資が計上されております。
第三項は公団の資本金の増加に関する規定でありまして、公団は、建設大臣の認可を受けて増資することができることにいたしております。
第四項は、政府及び政令で定める地方公共団体は、公団の増資にあたって出資することができる旨の規定であります。
第五条は公団の登記に関する規定であります。
第六条は、公団でない者は、阪神高速道路公団という名称を用いることを禁止する旨の規定で、取引の安全、公衆の保護をはかるための規定であります。
第七条は、法人の不法行為能力及び法人の住所に関する民法の規定を公団について準用する旨の規定であります。
第二章は、管理委員会の設置、その権限、委員等に関する事項について定めております。この公団は、第四条で御説明いたしましたように、政府と地方公共団体が共同して出資するものでありますが、その運営に関しましては、公団の業務の執行の基本的重要事項を公正に決定するため、公益を代表する委員と、出資者の意思を反映する委員と、公団の業務執行責任者である理事長をもって組織する管理委員会を設けることといたしております。これは日本住宅公団、首都高速道路公団等の例にならったものであります。
第八条は公団に管理委員会を設置する旨の規定であります。
第九条は委員会の権限を定めております。すなわち、予算、事業計画及び資金計画並びに決算という公団の業務運営に関する重要事項は、委員会の議決を経なければならないことにいたしております。
第十条は委員会の組織について定めております。委員会は委員七人及び理事長をもって組織し、委員会の会務を総理するため、委員の互選により選任する委員長一人を置くことにいたしました。なお、委員長に事故がある場合に備えて、委員会は、あらかじめ、委員のうちから委員長代理を定めておかなければならないことにいたしております。
第十一条は委員の任命に関する規定であります。委員は建設大臣が任命することにいたしておりますが、さきに申し上げましたように、委員会には公団に出資した地方公共団体の意思を反映する役割をも持たせることにいたしておりますので、委員のうち三人は、公団に出資した地方公共団体の長が推薦した者のうちから任命することにいたしております。
第十二条は委員の任期についての規定であります。
第十三条は委員の欠格事由に関する規定であります。すなわち、一、国会議員または地方公共団体の議会の議員、二、物品の製造、販売または工事の請負を業とする者であって、公団と取引上密接な利害関係を有するもの、またはこれらの者が法人であるときは、その役員並びにこれらの事業者の団体の役員、三、公団の役員及び職員は委員となることができないことといたしております。
第十四条は委員を解任する場合について定めたものであります。
第十五条は、委員の報酬について定めておりますが、委員は、非常勤であり、しかも、兼職を禁止していないので、報酬を受けないことにいたしたのであります。ただし旅費その他の実費弁償を受けることにいたしております。
第十六条は委員会における議決の方法を規定したものでありまして、委員会は、その構成員の半数、すなわち、四人以上の出席がなければ、会議を開き議決することができないことにいたしております。なお、四人の中には必ず委員長または委員長代理が含まれていることが必要であります。
次に、委員会の議事は、出席者の過半数をもって決することにし、可否同数のときは委員長が決することにいたしております。
第十七条は委員の公務員たる性質について定めた規定でありますが、委員の職務の公的性格から考えまして、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなし、涜職罪等の適用を受けることにいたしたものであります。
第三章は公団の役員及び職員に関する事項について定めております。
第十八条は公団に置く役員の数について定めております。公団の役員といたしましては理事長一人、副理事長一人、理事四人以内及び監事二人以内を置くことにいたしております。
第二十条は役員の任命に関する規定であります。理事長、副理事長及び監事は、建設大臣が任命することとし、理事は、建設大臣の認可を受けて理事長が任命することといたしております。
第二十一条は役員の任期について定めたものでありまして、役員の任期は四年といたしております。大体他の政府関係機関の役員の任期も四年程度となっております。なお、後ほど説明いたします附則第六条の規定におきまして、最初に任命される理事及び監事のうち半数の者につきましては任期を二年としております。
第二十二条は役員の欠格事由について規定してありますが、これは、管理委員会の委員の場合と同じ趣旨に基づいて、役員となることができない者を定めたいものでありまして、管理委員会の委員の欠格事由のほか、常勤の国家公務員または地方公務員であることを欠格事由に加えたのでありますが、これは、これらの者が職務専念の義務を有するからであります。
第二十三条は役員を解任する場合について定めたものであります。
第二十四条は役員の営利事業等についての兼職禁止の規定であります。
第二十五条は理事長及び副理事長の代表権に対する制限を設けた規定でありまして、公団と理事長または副理事長との利益が相反する事項については、これらの役員の代表権はないものとし、最も公平な立場にある監事が公団を代表することにいたしたのであります。
第二十六条は代理人の選任に関する規定であります。
理事長及び副理事長は、公団の業務に関し、代理人を必要とする場合が考えられますので、この規定を設けた次第であります。
第二十七条は公団の職員の任命に関する規定で、公団の職員は理事長が任命することにいたしております。
第二十八条は役員及び職員の公務員たる性質を定めた規定でありますが、これらの者の職務の公的性格から考えまして、管理委員会の委員と同様、刑法その他の罰則の適用については法令により公務に従事する職員とみなすことといたしております。
第四章は、公団の業務の範囲、基本計画及び業務方法書に関する事項について定めております。
第二十九条は公団の行なう業務の範囲を定めた規定であります。公団は第一条に規定してありますように、大阪市の区域及び神戸市の区域、並びにそれらの区域の間、及び周辺の地域における有料の自動車専用道路の建設及び管理を行なうために設立されるものでありますから、これらの地域において次に述べますような業務を行なうことにいたしております。
第一に、基本的業務として、都市計画として決定された有料の自動車専用道路の建設及び管理を行なうことになっております。このため、後ほど説明いたしますように、附則第十二条の規定によりまして、道路整備特別措置法の一部を改正し、有料の自動車専用道路の建設及び管理ができるようにいたしております。なお、この自動車専用道路とは、道路法第四十八条の二第一項又は第二項の規定による指定を受けた道路をいうものであります。
第二に、ただいま述べました自動車専用道路の災害復旧工事を行なうことになっております。
第三に、国又は地方公共団体の委託によりまして、自動車専用道路の工事と、工事施行上密接な関連のある都市計画として決定された道路、いわゆる関連街路の建設またはこの関連街路の建設に関連する市街地改造事業を行なうことになっております。
第四に、都市計画として決定された有料の路外駐車場の建設及び管理を行なうことになっております。
第五に、自動車専用道路及び路外駐車場の建設及び管理に附帯する業務を行なうことになっております。この附帯業務としてはガソリン・スタンド等が考えられます。
第六に受託業務があります。今まで説明いたしました業務の遂行の妨げとならない範囲で、国または地方公共団体の委託によって、道路に関する調査、測量、設計、試験及び研究を行なうことになっております。
その他、公団は建設大臣の認可を受けて、前に述べました自動車専用道路で、高架のものの建設と一体として、建設することが適当な事務所、店舗等の建設及び管理をし、又は委託によりこれらの事務所、店舗等を建設することができることになっております。この公団の建設する自動車専用道路の大部分は、都市計画街路または河川の上を高架で通過する計画でありますから、その高架下を事務所、店舗等に利用することは考えられませんが、一部については人家の密集している場所を通過する場合がありますので、この部分には高速道路の用地として買収される土地の関係者を収容するために、高架下に事務所、店舗等を建設する必要がある場合もありますのでこの規定を設けたのであります。この業務は政令で定める基準に従って行なわれなければならない旨を定めておりますが、公団本来の業務に支障のないよう、また、本来の業務を円滑に行ない得るよう適正な基準を定めたいと考えております。
第三十条は、公団の基本的な業務である有料の自動車専用道路の建設及び管理に関する基本計画について定めたものであります。
この公団が行なう阪神高速道路の建設は、関西における経済、文化の中心である阪神地区の都市の整備の根幹となるものであり、国の重大な関心事でありますので、その建設につきましては、建設大臣が、別に政令で定めるところによりその基本計画を定め、これを公団に指示することといたしております。この阪神高速道路の建設及び管理は、運輸行政との関係もあり、また道路管理の特例をなすものでありますので、建設大臣は、基本計画の策定にあたっては運輸大臣の同意を得、かつ道路管理者と協議すべきものとしております。この場合道路路管理者が協議に応じようとするときは、その議会の議決を経なければならないことといたしております。
第三十一条は公団の業務方法書に関する規定であります。業務方法書は、公団の業務執行の基準を定めるもので、公団は業務開始の際にこの業務方法書を定めて、建設大臣の認可を受けなければならないこととし、業務方法書に記載すべき事項は建設省令で定めることといたしております。
第五章は、公団の事業年度、予算、決算、財務諸表、借入金及び阪神高速道路債券、債務保証、補助金その他公団の財務及び会計について定めております。
第三十二条は公団の事業年度を定めております。
第三十三条は公団の予算等の認可に関する規定であります。公団は、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成して、建設大臣の認可を受けなければならないことといたしております。建設大臣の認可を受けるのは通常、事業年度の開始前でありますが、昭和三十七年度については附則第八条の規定において経過措置を設けまして、公団成立後、遅滞なく作成して建設大臣の認可を受けることにいたしております。これらの変更についても重要事項でありますので、建設大臣の認可を必要とすることにいたしております。
次に、建設大臣の認可を受けた予算等に関する書類を公団に出資した地方公共団体に提出すべきことを定めておりますが、これは公団が出資者に対し当然なすべきことを規定したものであります。
第三十四条は公団の経営の実態を把握するための財務諸表に関する規定であります。
公団は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書などの財務諸表を作成して、建設大臣の承認を受けることといたしております。第二項以下において、財務諸表提出の際、決算報告書を添付すべきこと、建設大臣の承認を受けたときの公告、建設大臣の承認を受けた財務諸表及び決算報告書を、公団に出資した地方公共団体に提出すべきこと等を規定しております。
第三十五条は公団の経営上の利益及び損失の処理の方法について定めた規定であります。
第三十六条は公団の借入金及び公団の発行する阪神高速道路債券に関する規定であります。公団は建設大臣の認可を受けて、長期または短期の借入金をし、あるいは阪神高速道路債券を発行することができることにいたしております。
第二項及び第三項は、短期借入金の借りかえに関する規定であります。第四項以下においては、阪神高速道路債券に関して、債権者の保護規定、発行事務の委託、政令への委任を定めております。
第三十七条は、公団に対しての政府による資金の貸付け及び阪神高速道路債券の引き受けに関する規定であります。
第三十八条は債務保証に関する規定であります。政府は、国会の議決を経た金額の範囲内において、公団の長期借入金または阪神高速道路債券にかかる債務について保証することができる旨を定めております。
第三十九条は公団の長期借入金及び阪神高速道路債券の償還計画に関する規定であります。この償還計画は公団の経営上重要でありますので、建設大臣の認可を受けなければならないことにいたしております。
第四十条は他の道路の新設又は改築に要する費用の負担に関する規定であります。自動車専用道路の新設または改築に伴って必要を生じた他の道路の新設または改築に要する費用については、公団がその費用の一部を負担しなければならないことにいたしておりまして、いわゆる原因者負担の思想に基づく規定であります。その負担割合につきましては、政令で定めることにいたしております。
第四十一条は公団に対する補助金について定めております。政府は、公団が管理する自動車専用道路にかかる災害復旧工事に要する経費の一部を補助することができることにいたしております。
次に、公団に出資する地方公共団体は、公団の管理する自動車専用道路の災害復旧工事のみならず、新設または改築に要する経費の一部についても補助することができることにいたしております。
第四十二条は公団の業務上の余裕金の運用に関する規定であります。公団の業務上の余裕金の運用は、その安全な運用を確保するため、国債その他建設大臣の指定する有価証券の取得、銀行への預金または郵便貯金の場合のみに限定いたしております。
第四十三条は、公団がその役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定め、または変更する場合には建設大臣の承認を受けるべきことを定めております。
第四十四条は、この法律及びこれに基づく政令に規定するもののほか、公団の財務及び会計に関し必要な事項は、建設省令にゆだねることにいしたたものであります。
第六章は公団に対する建設大臣の監督について規定しております。
第四十五条は、公団に対する建設大臣の監督及び監督上の命令権限について定めております。
第四十六条は、公団に対する建設大臣の報告請求及び検査の権限について規定しております。
第七章補則は、公団の解散、大蔵大臣との協議事項及び公団に関する不動産登記法等の準用について定めたものであります。
第四十七条は公団の解散についての規定であります。この公団が建設大臣の指示した基本計画に基づく自動車専用道路の建設を完了した後、通行料金によって建設費用を償還したときは、解散するのが適当であると考えられますが、公団の解散について必要なことは、その際、別に法律で定めることといたしております。
第四十八条は建設大臣と大蔵大臣との協議事項について定めております。すなわち、建設大臣は、次の場合には、あらかじめ、大蔵大臣と協議しなければならないことにいたしております。
(1) 公団が資本金を増加することの認可、業務方法書の認可、公団の毎事業年度の予算、事業計画及び資金計画の認可、公団が長期借入金、もしくは短期借入金をし、もしくは債券を発行することの認可、短期借入金の借換の認可、債券の発行事務の委託の認可または公団の毎事業年度の長期借入金及び債券の償還計画の認可をしようとするとき。
(2) 基本計画を定めようとするとき。
(3) 財務諸表の承認または役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準の承認をしようとするとき。
(4) 公団が業務上の余裕金を運用し得る有価証券を指定しようとするとき。
(5) 業務方法書または公団の財務及び会計に関し必要な事項を建設省令で定めようとするとき。
以上のように、国の財政と関係ある事項について、大蔵大臣と協議することといたしております。
第四十九条は、不動産登記法その他の法令について、公団を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用することとしたものであります。
第八章罰則の第五十条から第五十二条までの規定は、これらに規定する違反行為をした公団の役員及び職員その他の者に対して必要な罰則を定めたものであります。
次に附則について御説明いたします。
附則第一条は、この法律は、公布の日から施行することを定めたものであります。
附則第二条から第五条までは、公団の設立手続に関する規定であります。すなわち、建設大臣は、この法律施行の後、設立委員を任命し、公団の設立に関する事務を処理させることにいたしております。設立委員は、この法律案の本則第四条第一項の政令で定める地方公共団体に対して出資を募集し、建設大臣に設立の認可を申請し、その認可があったときは、政府及び出資の募集に応じた地方公共団体に対して出資金の払い込みを求め、その払い込みのあった日に、別に建設大臣により指名された理事長となるべき者に設立事務を引き継ぐものとしております。理事長となるべき者は、引き継ぎを受けた後、遅滞なく設立の登記をし、公団は設立の登記の日をもって成立することになります。
次に、附則第六条から第八条までは、公団の設立の際、最初に任命される理事及び監事のうち、それぞれその半数の者については、任期を二年とすることとし、その他最初の事業年度について特例を定めております。
次に、附則第九条は、この法律案の本則第六条の名称使用の制限に関する規定と関連する規定でありまして、この法律施行の際、現に阪神高速道路公団という名称を使用している者に、六月間の名称変更のための猶余期間を与える趣旨の規定であります。
第十条及び第十一条は、公務員とみなされる者に関する恩給の特例について定めたものでありまして、公団の設立の際、都道府県に在職しております恩給法第十九条に規定する公務員とみなされる者が、引き続いて公団の役員または職員となり、さらに引き続いて公務員とみなされる者、すなわち、都道府県の職員となったときは、その者が公団に在職しておりました年月数を、普通恩給の基礎となる在職年数の計算にあたって、通算することといたしたのであります。なお、国家公務員に関しましては、恩給は国家公務員共済組合法による給付に変わっており、組合員である国家公務員が引き続いて公団の職員となり、さらに引き続いて組合員となったときは、国家公務員共済組合法施行令の一部改正により、その者の公団在職期間を組合員期間とみなす措置がなされる予定でありますので、このような規定を設ける必要はないのであります。
次に、附則第十二条は道路整備特別措置法の一部改正に関する規定であります。
これは、阪神高速道路公団の設立に伴い、同公団が有料の自動車専用道路の建設及び管理を行なうことができるよう、現行の道路整備特別措置法について所要の改正を行なおうとするものでありまして、首都高速道路公団の場合とほとんど同様の規定であります。以下改正の内容についてその要点を御説明いたします。
すなわち、第七条の二の改正は、阪神高速道路公団が自動車専用道路を新設し、または改築して、料金を徴収することができることを定めたものであります。すなわち、この法律案の本則第三十条におきまして、建設大臣は、阪神高速道路公団の行なう有料の自動車専用道路の建設及び管理について基本計画を定め、これを同公団に指示することといたしておりますが、本条におきましては、阪神高速道路公団は、建設大臣から指示を受けた基本計画に従って、道路法第四十八条の二第一項または第二項の規定による自動車専用道路を新設し、または改築して、料金を徴収することができる旨を規定いたしたわけであります。
第七条の三の改正は工事実施計画書の認可に関するものであります。
これは、阪神高速道路公団が、前条の規定に基づいて、自動車専用道路、すなわち阪神高速道路の新設または改築を行なおうとする場合に、あらかじめ工事区間、工事方法等を記載した工事実施計画書を建設大臣に提出し、その認可を受けることにいたしたものであります。なお、この工事実施計画書の作成に際しては、道路管理者と協議し、またはその同意を得なければならないことといたしております。
第七条の四の改正は、料金及び料金の徴収期間の認可に関するものであります。
これは、阪神高速道路公団が料金を徴収しようとする場合には、料金及びその徴収期間について、運輸、建設両大臣の認可を要することといたしたものであります。なお、この認可を受けようとする際には、前条第二項の規定の準用により、道路管理者と協議し、またはその同意を得なければならないことといたしております。
次に、第七条の五の改正でありますが、これは、第七条の二の規定に基づいて新設または改築をした阪神高速道路については、料金の徴収期間内は、その維持、修繕及び災害復旧を阪神高速道路公団が行なう旨を定めたものであります。
第七条の六の改正は、道路管理者の権限の代行に関するものであります。
現行法第七条は、日本道路公団が有料の一級国道等の新設、改築等を行なう場合に、それに伴って必要となる道路管理者の一定の権限を同公団が代行する旨を定めたものでありますが、阪神高速道路公団についても同様の措置を講ずる必要がありますので、本条におきまして、阪神高速道路公団が阪神高速道路の新設、改築等を行なう場合について第七条を準用することといたしました。
第十一条の改正は料金の額の基準に関するものでありますが、阪神高速道路の料金の額については首都高速道路の場合と同様にいたしました。すなわち、阪神高速道路の料金の額は、阪神高速道路の新設、改築その他の管理に要する費用で政令で定めるものを償うものであり、かつ、公正妥当なものでなければならないものとし、その徴収期間の基準は政令で定めることといたしております。
第二十八条の改正は、阪神高速道路公団が取得する道路の敷地等の帰属その他について定めたものであります。
すなわち、阪神高速道路公団が道路の新設または改築のために取得した道路敷地等は、同公団に帰属する旨を明らかにするとともに、普通財産である国有財産を阪神高速道路公団が道路の用に供する場合には、無償で貸し付けることができることとしたものであります。
その他、第九条、第十条、第十二条から第二十七条まで、第二十九条及び第三十条について所要の改正をいたしております。
次に附則第十三条から第十七条までは、阪神高速道路公団に対する非課税についての登録税法等の一部改正であります。この場合、地方税については事業税に限って非課税となっております。
附則第十八条は地方財政再建特別措置法の一部改正でありまして、これにより、地方公共団体は、阪神高速道路公団に対して、寄附金、法律または政令の規定に基づかない負担金、その他これらに類するものを支出してはならないことになります。
附則第十九条は行政管理庁設置法の一部改正でありまして、これにより、行政管理庁が、公団の業務に関し必要な調査を行なうことができることになります。
附則第二十条は建設省設置法の一部改正でありまして、公団の業務の監督その他この法律の施行に関する事務を建設省の所掌事務及び権限に加えることとし、その事務を都市局において所掌することといたしております。なお、公団の使命の重要性にかんがみ、建設省にこれらの事務を行なう阪神高速道路公団監理官一人を置くことにいたしております。
附則第二十一条運諭省設置法の一部改正でありまして、さきに説明いたしました道路整備特別措置法の一部改正に伴い、阪神高速道路に関し、料金及び料金の徴収期間を認可することを運諭省の権限に加えることとし、その事務は自動車局において所掌することといたしております。
以上をもちまして阪神高速道路公団法案の逐条説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/2
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003・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 御苦労様でした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/3
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004・田中一
○田中一君 審議に入る前にちょっと委員長に伺っておきたいことがありますから、御答弁願います。
衆議院の本法案に対する審議の状況はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/4
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005・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 現在審議されております高速道路公団法案についての衆議院の審議状態は、二十七日にこの問題を審議されまして、引き続いて二十八日に参考人を呼びまして、この場合の参考人として大阪府土木部長、兵庫県土木部長、大阪市計画局長、神戸市建設局長という四人の方の参考人を呼んで意見の聴取をする、そういう状態になっておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/5
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006・田中一
○田中一君 私は三十四年に、首都高速道路公団の法律の審議にあたって非常に不本意な現象があったことを思い出すわけです。というのは今、阪神高速道路公団法の逐条説明の中に、前田局長から説明がありましたが、むろん原案、事業計画というものは、建設大臣の認可を受けなければ正式なものにならないのはあたりまえでありますけれども、首都高速道路公団の事業計画というものは、少なくとも都民は何ら知らずしてこれが計画になったということであります。再び同じような轍を踏むことは、この法律案をわれわれが審議をして、現状に即して一日も早く事業の完成を期待しておるという現状から見ると、そのような形で再び衆議院において参考人として呼ばれているところの諸君が行なっていると、事業の遂行というものは期しがたいのです。現に首都高速道路公団の事業というものは遅々として進みません。そこで、衆議院ではそのような形で審議の日程がきまっているそうですが、参考人の諸君がやはり計画立案をしていると存じますから、参議院としては、一応現地に行って詳細に向こうで事情を調査する、そうして単に計画をしている、原案を作成する側のみならず、両市の市民にもアッピールして、そうしてわれわれがこの法案の審議の促進をはからなければならぬと思うのです。その意味で、衆議院でそのようにそういう形で審議をしている中で、あまり急いでもしようがない。われわれは、おそらく大阪出身の方もおられるかも存じませんが、東京の場合には容易にわかるわけですが、これはわからぬわけです。法律の審議に入る前に事実を見る、調査する。ことに、ほかに法律案等もあまり忙しいものもないならば、一回皆さん行って、向こうで詳細にその事情というものを調べなければ同じような結果になると思うのです。でありますから、どうか衆議院の審議の段階並びに方法、おそらく衆議院の建設委員の中に大阪、阪神に在住してよく勉強している者がおるかもしれませんけれども、われわれは知らない。審議のしょうがありません。それで前回のように突如として計画案を出し、それを建設大臣が承認して都民に強制しているという現状はとるべきではないのです。ひとつ委員長の御意見と御配慮を願いたい。さもなければ、もうこれ以上、衆議院が審議しておりますから進める必要はないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/6
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007・大河原一次
○委員長(大河原一次君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔午前十一時十九分速記中止〕
〔午前十一時三十五分速記開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/7
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008・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/8
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009・田中一
○田中一君 それでは資料の要求をします。
第一の問題は、なぜかかる高速道路を作らなければならないかという過去十年間の、作らなければならないというその裏付けになる交通量、その他、どうしても作らなければならないという実際の資料で、十年間の程度のものを出していただきたい。
それから現在の都市計画法で行なっている事業のもう一つの鳥瞰図——数字でもよし、絵でもけっこうですから、それを出して下さい。
それから、この計画を行なおうとした、この公団を作ろうとしたときに描かれた第一次原案、第二次原案、第三次原案、第四次、第五次ぐらいのプランをお出し願いたい。できるならば、十案ぐらいほしいのだけれども、あるかないかわからない。しかし十案ぐらいは検討して初めてきまるものだろうと思う。それをお出し願いたい。これは数字並びに図面でお出し願いたい。それからその図面には、詳細に入口の密度とか、そういう点も十分に、その一つの案を作るには、このような予算措置それから土地の収用その他の問題等々あると思いますから、それも詳細に書き込んでいただきたい。
第三に、二億円程度のものでは、これはとても政府出資としては仕事にならないのであって、現在まで計画されている資金計画というもの、政府のこの公団を作るための資金計画というものをお出し願いたい。理事長、副理事長以下、理事の構成はどのような考え方で立てようとするか、お出し願いたい。したがって、管理委員会の人選の問題はどういうふうにするのか、出していただきたい。政令できめようという部分の原案を全部出してほしい。第二の要求した資料の中の道路だけでなくて、関連する事業、むろん駐車場並びに関連する事業の計画も出してほしい。
それから、それらの計画がもたらされたまでの市民との折衝の経過、あるいは公聴会でも開いたのかどうか、そうして町内会等にどういう働きかけをしているのかというような具体的な問題。阪神高速道路公団という名称を六カ月の間に名称変更させるという対象があるのかないのかという点を明らかにしてほしい。あるならば、それはどういう会社で、どういうものだということを示していただきたい。
きょうは、それだけひとつ要求しておきます。また次回に出るかもわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/9
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010・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) ただいま御要求のございました資料のうちで、たとえば過去十年間の交通量という問題でございますが、交通量の調査につきましては、五年間、毎年やってはいなかったのでございますから、その交通量の調査のあるものだけにお許しを願いたいと思います。人口とか車の台数の調査はございますけれども、交通量というものに関する調査につきましては、きちっとしたものを過去十年間そろえてなかったと思いますので、できるだけ努力いたしますから、御了承願いたいと思います。
それから現在までの計画案に至った経過における一次から五次程度までの案ということでございましたが、私の聞いております範囲では、それほどたくさんの案はないように聞いております。数回、案を改訂いたしましたけれども、それも現実に検討した案で御了承願いたいと思います。
その他につきましては、本日お配りいたしました資料にも相当程度入っておりますので、若干の補足を加えればいいかと思っておりますが、場合によっては、大阪及び神戸の地元に連絡する必要もございますので、しばらくの御猶予をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/10
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011・内村清次
○内村清次君 ただいま田中君の発言によって、これは理事会をお開きになるだろうと思うのです。その際に、私として特に要望しておきたいことは、先ほど村上氏から言われましたが、衆議院のスケジュールでは、大体この公団設立を希望しておる側の方々が、多く参考人になっておる。これではとても、田中君の要求とは違うし、また私たちといたしましても、現地の状況などをやはり十分調査をしたいという希望があります。また住民の気持も聞きたいという希望がありますし、その過程において、たとえば建設大臣に質問をして、そうして公団の設立に、何ゆえ大蔵省のほうで反対をしたのか、あるいはまた私たち委員といたしまして、その他の公団があるのに、なぜこういった公団を作らなくちゃならぬかというような点は、これは質問の過程でわかりますけれども、何としましても、やはり現地住民がどういう協力態勢を持っておるか、どういうふうに交通が繁雑であるかということも知りたい、聞きたいという関係で、ぜひひとつ、公聴会は現地において開催してもらいたい。参考人でここに呼ぶということだけでなく、あるいは議長が代理してくるということでなくて、やはり公聴会は、現地においてしていただく、その現地においてされる時期については、委員長は、何か旅費の関係で言っていらしったですけれども、その時期は四月以降になってもよろしいし、予算が通過してからでも、本年度の委員会の旅費ということもありますからして、その以前にも時期的に必要だという理事会のお考えがあれば、あと何かの方法で支出をしていただいて、とにかく現地において早急に公聴会を開いていただきたい。その公聴会の個所は、大阪と神戸と、それから尼崎と芦屋は、一つの地域にしてもけっこうですから、最低三カ所くらいのところで、引き続いて公聴会を開いて、多くその関係住民——道路にかかるところの関係住民の方々を多く招致するような、手続、これは公聴会を開くことには規定がありましょうからして、やはり住民に広く知らせて、そうしてそういった関係者をひとつ多く呼んでいただいて、公聴会を開くというような御計画を立てていたきたい、これだけは私も希望をいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/11
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012・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/12
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013・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/13
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014・田上松衞
○田上松衞君 田中委員から要求された資料に追加して、私も要求しておきたいと思います。
一つの問題は、公団が建設する自動車専用道路の中で人家の密集しておる場所を通過する場合にそこの部分に高速道路の用地として買収をされた土地の関係者を収容するために高架下に事務所、店舗等を建設するということになっておるわけですね。そこで今までしておる中で、すでにこれを建設しておる場所及びそれの高架面といいますか、そういうものをつけ加えてお願いしたい。これが一点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/14
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015・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 今までと言いますと、日本道路公団、首都高速道路公団……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/15
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016・田上松衞
○田上松衞君 両方ともあわせて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/16
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017・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 高架下の方につきましては、まだ具体的に計画したものがございません。計画しておるものはございますけれども、具体的に計画したものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/17
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018・田上松衞
○田上松衞君 あります。僕は知っておる。とにかくその資料を出して下さい。
それから、それに付随いたしまして、こういうことをやるが、この場合公団本来の業務に支障のないように、また本来の業務を円滑に行なうよう適正な基準を定めるとしていますが、もちろんこれは政令であります。田中委員がさっき言われた政令で出そうとするということですが、特にこの点についてどういうような適正な基準を定めようとしておるということについてこまかい資料を出していただきたい。
もう一つの問題は、必ずしも文書でなくてもいいですが、明らかにしてもらいたい点は、役員の任期を、大体定款期間のいろいろな役員の任期が四年程度になっているから、これを四年にしようという理想はよくわかるのですけれども、この場合特に最初に、半数は任期を二年とするということを定めておるわけですね。こうしなければならない理由、逆に言いますと、こうしなければ、どういうような弊害が起こるかというようなことを、これを文書でなくても次の機会でけっこうでございますからお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/18
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019・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 御要望の資料はできるだけ早く提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/19
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020・内村清次
○内村清次君 建設大臣、建設省の三十七年度予算の中に道路関係の予算といたしまして、今回約二千億近くの整備費が設けられたわけです。そこでこの前の委員会のときに、私、建設省のほうから資料を取りました。一体、三十七年度には、どの一級国道、どこの県の一級国道をどう改良し、どう舗装する、あるいは二級国道をどうするかという資料を取ったわけです。
ところがその全国地図を所管を色分けによりまして見てみますると、どうも裏日本の、たとえば秋田、山形、そして新潟それから富山は、大体順調に進んでおるようでございますけれども、石川それから鳥取、島根というような日本海沿岸の道路の舗装の状態あたりは、まだ十分でない。こういった地域格差というものは、もちろん産業の基盤でありますから、その県の産業自体に大きな関係がなされてくるからして、ぜひひとつ権衡のある道路整備計画をお立てになってはどうか、それには、何かやはりその基準があるはずだ、こういうことを申し上げたわけでございまけれども、当時、道路局長の御答弁では、その基準の点につきましての明確な御答弁がなかったわけです。それで建設省の道路行政としては、やはり全国民に対しまして、こういった権衡的な整備は必要だという、ひとつの目安を知らせる必要があるのじゃないか、こういうふうに考えておりまするから、何か基準があれば、その基準を明示していただいて、そしてその大臣のお考えをはっきりしていただきたい、かように考えておるわけです。その点の御説明をひとつお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/20
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021・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 交通量とか、いろいろな関係を見ながら逐次進めているわけでございますが、目標年度がきまっておりますので、地方的格差是正のお話もただいまございましたが、まあ、去年もそうでありましたが、三十七年度におきましても、今までおくれていたところに大幅に予算をつける方針で進めているわけです。
したがいまして、県によりまして五割増になり、あるいは十割増になるというところもありますが、ただ事業量との関係もございまして、それらを睨みながら進めておるわけでありますが、これにつきましては、今、道路局長が見えておりますから、道路局長から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/21
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022・河北正治
○政府委員(河北正治君) 前回、内村先生から、道路工事をきめて採択していくのに何らか基準があるだろうということで、私の説明が足りなくて申しわけございませんでした。五カ年計画を進めていく場合はもちろんでございますが、三十七年度においてももちろんでございまして、私どもといたしましては、一級国道、二級国道、地方道というものについて、全部が一ぺんにはできませんので、一応のものさしをもって着工順序をきめておりまして、一例を改良について申し上げますと、重要な都市を結ぶ路線、国際観光ルートで昭和四十年度の予想交通量が一日九百台以上になる区間、それから、自動車の交通不能の区間、それから、鉱工業地帯の整備等、特殊な目的を持つ路線につきましては、先ほどの四十年度の予想交通量が四百五十台以上であればよろしい。それから、他事業との関連でどうしてもやらなければならない事業とかそれから、二次改築につきましては、交通容量の一・五倍をこすような区間、これが私どもの一応持っております改良の採択基準でございます。
それから、舗装につきましては、四十年度の一日の交通量が九百台以上の区間、または、人家連檐、土質条件が悪くて、維持に非帯に困難を来たす場合には、四十年度の予想交通量が四百五十台以上であればよろしい、というような一応基準をもって工事の着工順序をきめております。
これを現計画で申し上げますと、ちょっとあれかと思いますが、これをしゃくし定木にやって参りますと、先ほど内村先生が御指摘のように、依然として、表が濃く、裏に薄いというような傾向がますます助長されていくのではないかと思います。
それで、先ほど大臣の御説明にもありましたように、さらに、その上を大きく、一級国道は四十年度までに全線改良してしまう。それから、二級国道は十カ年計画で改良を完成いたしたい。その五カ年分を今回二兆一千億の五カ年計画で計上していただきたい。それでもなお先生の御指摘になるような傾向があるいは補正しきれないと思います。したがいまして、それにつきましては、さらにまた、経済企画庁が目下検討されております全国総合開発計画地域配分というようなものがありますので、それらを参考にいたしまして、一国、二国、地方道と、総合的に配分計画を立てていって、御指摘のような傾向が薄くなるような工合に努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/22
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023・内村清次
○内村清次君 大体わかりましたが、ただその中で、積雪地帯が道路の損傷もひどいし、あるいはまた、道路の遮断される場合も相当起こって参りますが、これに対する予算計上というのは、その基準外に追加されて、やはりその道路の整備計画というものを、予算をふやした計画というものを立てておられるのかどうか、こういう点はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/23
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024・河北正治
○政府委員(河北正治君) 御指摘の点でございますが、これは積雪寒冷地帯に特に関係はございませんが、そのほかに、積雪寒冷地帯の交通確保に関する特別な法律がございまして、これはやはり二兆一千億のワク内ではございますが、それらはそれでまた別に私ただいまこまかい資料を持っておりませんが、一日交通量がたしか二百台以上だったかと思いますが、定期バス、定期貨物トラックが通っている区間につきましては、春先土壌が溶解するときに泥寧化するようなところには、土台の土の入れかえとか、それからなだれの起こるおそれのあるところは、なだれ防止法とか、そういったような特別な積雪寒冷地帯に対する五カ年計画を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/24
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025・内村清次
○内村清次君 大臣に要望しておきたいことは、従来、これは長い間でございましょうが、また政治的に物の見方をやって、地域的な勢力の強弱によって、道路の整備というものが進捗したところと進捗しないところがあるということでは、私はその住民の非常な幸、不幸というものが、あまりにはっきりしはしないだろうか。ただ、住民の福祉という問題から考えますると、何としても、やっぱりその県の産業の発達というものが第一になされなくちゃならぬ。それが、国の行政が一つの政治力によって非常に厚薄があるということは、これはひとつ、もう大臣は常々そういう点は気を使っておられるだろうとは私は思いますけれども、やはり均霑した道路計画と、その道路の整備というものが、やはりなされていかなければならぬ。
で、一応五カ年計画で四十年までに一級国道は整備してしまう、二級国道は十年計画でやるというのですけれども、四十年までの一級国道の、まあこれはあと三年ですか——の間、それから二級国道の整備のあと七年までの間、これが非常にまた地域格差を拡大するような傾向になってはいけませんから、大臣の最初言われましたように、一応そういった基準はあっても、やはりその陳情のいかんを問わず、裏日本の交通網というものは、ひとつ整備をしてやろうじゃないか、たとえ県の自力、財政が少なかっても、ひとつ国のほうで補助してやろうじゃないかという気がまえをひとつ特に持って、道路行政を円滑にしていただきたいということを希望いたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/25
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026・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 御指摘の点、同感でございますので、そういう趣旨に沿って努力していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/26
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027・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 本日は、これにて散会いたします。
午後零時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01019620222/27
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