1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月十五日(木曜日)
午前十時五十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 大河原一次君
理事 田中 清一君
徳永 正利君
村上 春藏君
武内 五郎君
委員 岩沢 忠恭君
小沢久太郎君
後藤 義隆君
三木與吉郎君
内村 清次君
木下 友敬君
田中 一君
田上 松衞君
小平 芳平君
村上 義一君
国務大臣
建 設 大 臣 中村 梅吉君
政府委員
建設省都市局長 前田 光嘉君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
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本日の会議に付した案件
○道路整備特別措置法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○阪神高速道路公団法案(内閣提出、
衆議院送付)
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001・大河原一次
○委員長(大河原一次君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
初めに、道路整備特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず提案理由の説明を願います。中村建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/1
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002・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) ただいま議題と相なりました道路整備特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
御承知のとおり、有料道路の建設管理を総合的かつ効率的に行なうことを目的として、日本道路公団及び首都高速道路公団が設立されておりまして、また同様の目的で阪神高速道路公団を設立いたしますために、別途阪神高速道路公団法案を提案いたしておるのでありますが、道路整備特別措置法につきまして、従来の有料道路の建設管理の実際にかんがみ、これをより効率的かつ円滑ならしめるため、三公団の道路管理者の権限の代行、不法に料金を免れた者から割増金を徴収する権限等に関しまして、所要の改正を加えることといたした次第であります。
まず第一に、高速自動車国道に関しまして、日本道路公団に、建設大臣の指定した特別沿道区域及び沿道区域内の制限に関し、必要な措置を命ずることができる権限等を代行させることといたしました。
第二に、高速自動車国道以外の有料道路に関しまして、三公団に、道路管理者の指定した沿道区域内の制限に関し、必要な措置をすることを命ずることができる権限を代行させることといたしました。
第三に、高速自動車国道以外の有料道路に関しましても、三公団に、占用許可権限等を代行させることといたし、その権限を三公団が代行するときは、道路管理者の意見を聞き、または同意を得ることといたしました。これに伴い占用料の徴収も三公団が行ない、その収入は三公団に帰属することといたしました。
第四に、三公団は、不法に料金の徴収を免れた者から所定の料金のほか、その二倍に相当する額の割増金を徴収することができることといたしましたのであります。
第五に、建設大臣は、三公団の管理する道路に関する道路の交通量、道路の構造その他道路に関し、必要な調査を三公団またはその命じた職員に行なわせることといたしたのであります。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいまするようお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/2
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003・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 本案の審査は本日はこの程度にとどめたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/3
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004・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 次に阪神高速道路公団法案を議題といたします。要求資料が提出されておりますので、まずこれらについて説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/4
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005・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 先般の委員会におきまして御要望のございました資料につきまして御説明申し上げます。
まず初めになぜこういう道路を作る必要があるか、それについて過去の十カ年の交通に関する調査資料を出せ、こういう御要望がございまましたので、お手元に1といたしまして「阪神地区の自動車交通に関する資料」というのを差し上げてございますが、これは先般参考資料として提出いたしました分にもほとんど大部分入っておりますが、さらに御要望に従いまして、現在収集し得る十年間のでき得る限りの資料を掲げたものであります。まず自動車の登録台数の大阪府及び兵庫県における十年間の実績を資料といたしまして、一ページ及び二ページに掲げてございます。その次に大阪及び神戸におきます主要な路線につきましてのわれわれが持っております交通量の調査を、資料にいたしまして出してございます。これは毎年実は調査をしておりませんので、現在ある資料はそこにございますように、二十八年の九月、三十年の九月、三十三年八月、三十五年、この資料しかございませんので、これによりましてごらん願いまして、おもな路線における交通量の状況をごらん願えれば幸いと存じます。同様の資料が神戸市につきましても作ってございます。それから同じく交通量の調査の資料といたしまして、交差点の交通量に関する調査の資料を出してございます。この分は先般説明いたしました参考資料の中におきまして特に説明いたしましたので、説明を省略させていただきます。
その次の交通停滞の資料も先般出しておきましたが、こういうふうな状況の資料によりまして、阪神地区における自動車交通の激増の状況及びそれに対する対策の必要性ということのために、この資料を掲げたわけでございます。
その次に御要望がございましたのは、現在この阪神地区において都市計画事業等でどういうふうな仕事をしておるかという点でざごいましたので、その関係の資料を「現在行っている阪神地区道路交通緩和対策関係事業」としてまとめたわけでございます。現在大阪市におきましてはその表の第一ページにございますように、国が直轄でおりますところの道路事業と、それから国が補助をいたしまして都市計画事業としてやっておる事業、及び大阪市の単独事業等がございます。直轄事業につきましては御案内のとおり第二阪神国道を目下やっておりますし、その他二十五号線をやっております。それから都市計画事業につきましては、築港深江線ほか二十路線につきまして全体計画百九十億ございますが、それを街路築造、橋梁整備、立体交差、舗装その他につきまして計画を持っておるわけでございます。単独事業につきましても二ページにありますように計画を立てまして仕事をいたしております。
そのほか道路築造に関連いたします事業といたしまして、都市改造事業、これは大阪地区における戦災復興事業でありますが、これとかあるいは港湾地帯の整備事業、あるいは東海道新幹線の新大阪駅付近の土地区画整理事業をやりまして、これによって街路を生み出しております。
それから都市計画事業でない一般の道路事業といたしまして、その二ページのCというところに道路橋梁整備事業というのがございます。これはやはり大阪地区におきまして、都市計画事業ではございませんけれども、国の補助によりまして大阪市が仕事をしておる道路事業でございます。その資料を三ページにわたりまして、橋梁それから舗装等につきましてまとめたわけでございます。
同じように神戸市につきましても国の直轄事業それから都市計画事業、道路事業というものを一覧表にいたしまして、現在実施をしておる事業の全体の計画を資料として掲げたのでございます。
その次に御要望のございましたのは、公団の計画、一応きまった五十八キロの計画が何回も変わってきたのじゃないか、その当初からの経過を示せ、こういう御要望がございました。それを図面で作ってみました。この大きな図面をごらん願いますと、ここに表示いたしましたように、当初関係者が阪神地区における高速道路を考えました一番当初の原案が黄色い部分でございます。原案と申しますか、一番初め関係者が考えついた案、これをさらに研究する意味におきまして、先ほど申しましたように、近畿地建を中心にいたしまして大阪、神戸市及び兵庫県の関係者が集まりまして協議会を作りまして、この協議会がまとめた案がこの青いブルーの点線でございます。これをさらにわれわれが阪神公団を立案するに際しまして、目下検討をいたしまして一応の結論を得ましたのが赤い線でございます。赤い線のうち実線のところは、先般御説明いたしましたように、当初の案といたしまして五十八キロ分の案でございます。点線のところは将来計画としてできれば引き続き実現をいたしたいと思いますけれども、まだ具体的な個所につきまして確実な成案を得ておりませんので、目下検討中のところでございます。こういうふうにいたしまして今のところ三回実は案を考え直しまして、それに従いまして目下検討いたしております。さらにその詳細につきましては、現在も大阪及び神戸におきまするところの都市計画審議会の技術小委員会におきまして、詳細についての検討をしておるわけでございます。あるいは若干の変更があるかと思いますが、大体この赤い線に従っていくのが妥当かと思っております。
その次に御要望がございましたのは、これらの事業を実施するについての資金計画はどうかという資料の御要求でございましたが、これにつきましては、この小さい半枚の紙で「阪神高速道路公団資金計画表」というものを作って参りました。これはごらんになりますように昭和三十七年の計画と、それから道路五カ年計画におきますところの昭和三十七年から四十年までの計画と、それからそれ以後一応五十八キロ全体の事業が完成する四十五年までを一覧にしておりますが、それまでの期間の計画と全体を通じての計画とに分けております。
まず昭和三十七年におきましては出資金といたしまして国が二億円、これは別途予算におきまして要求いたしております。それから地元の公共団体が出資を二億円する予定でございます。そのほか地元の公共団体から交付金といたしまして一億円、それから借入金を十億円、こういう収入で十五億円の資金計画を立てております。
それから、支出といたしましては、高速道路建設費十億円、それから調査費その他が四千万円、その他道路計画以外の費用といたしまして、管理費あるいは利息というもので四億六千万円、合計十五億円の資金計画でございます。
それから、五カ年計画におきましては、収入の部は出資金を合計二十億円、交付金を二十億円、借入金を百六十八億円、その他収入が十五億円、合計二百二十三億円を予定いたしております。その支出のほうは高速道路建設費が百八十八億円、そのほかに調査費その他が十二億円ございますので、五カ年計画では二百億円というふうに数字をあげております。計画外といたしまして利息その他の支出が二十三億円ございますので、実際上五カ年計画におきましては、資金として二百二十三億円の支出がある予定でございます。
さらに全体計画をやりますためにはそこにありますように、昭和四十一年から四十五年までの間におきまして九百十二億円の収入と、それからこれに伴いまして九百十二億円の支出というふうに考えておりますので、昭和三十七年から昭和四十五年までの総計をいたしますと、収入が全部で千百三十五億円、支出が千百三十五億円と、一応こういう計画で目下のところ考えております。
その次に御要望ございましたのでございますが、この法律に関連する政令その他を全部原案を持ってこい、こういうふうなお話がございましたので、一応目下考えておりますところの諸政令案を持って参りました。
まず一つは、阪神高速道路公団法の施行令案でございます。法律によりまして施行令にゆだねられている事項は、まず第一がこの二十九条第二項第一号に規定する施設でございますが、これは高速道路の下に設ける施設でございまして、その施設は、住宅、自動車駐車場その他これらの施設、事務所、店舗及び倉庫に類する施設というふうに考えております。
それからその事務所等を建設することができる基準でございますが、ここに書いてございますように、
阪神高速道路公団(以下「公団」という。)が、自ら又は委託に基づき事務所等を建設することができる場合は、自動車専用道路等の用に供する土地にある建築物の占有者(以下「関係者」という。)に事務所等を提供する必要がある場合又は自動車専用道路の建設及び管理等の業務に関連し必要な場合であって、当該事務所等の建設が当該自動車専用道路の存する地域の環境、土地の利用状況等に照らして適正かつ合理的であるときに限るものとすること。
それから事務所等の賃借人の決定及び賃貸料。第三 公団は、関係者及び公共の利益
となる事業を営む者で事務所等の賃
借りの申込みをしたもののうちか
ら、公正な基準及び方法で選考し
て、当該事務所等の賃借人を決定し
なければならないものとすること。2 事務所等の賃貸料は、当該事務所
等の建設費の償却額に修繕費、管理
事務費等を加えた額を下らないもの
とし、近傍類似の事務所等の賃貸料
を勘案して、公団が定めるものとす
ること。3 前項の償却額を算出する場合にお
ける償却方法及び同項の修繕費、管
理事務費等の算出方法は、建設大臣
の承認を得て、公団が定めるものと
すること。というふうな基準を政令できめようと思っております。
それから基本計画の決定する事項でございますが、これも首都公団の例にならっておりまして、基本計画の事項は、
一 路線名並びに建設及び管理の区間
二 車線数
三 設計速度
四 連結位置及び連結予定施設
五 新設に関する工事に要する費用の概算額
六 その他必要な基本的事項
というふうにあげております。
それから第五の、他の道路の新設または改築に要する費用の負担。これはいわゆる関連街路に対する公団の分担金でございますが、これは目下算定しておりますが、まだきまっておりませんので、きまり次第きめようと思っております。
それから他の法令の準用と、それから関係政令の改正。これらにつきましては、大体首都公団と同様でございます。
その次に、阪神高速道路公団法第四条第一項の地方公共団体を定める政令案要綱(案)。これは出資をする団体でございますが、当初はここに書いてございますように、大阪府、兵庫県、大阪市及び神戸市というふうにしたいと考えております。
その次に御要望ございました資料のうちで、この阪神公団を立案するについて関連の資料というお話でございましたので、ここには4、という数字の番号の入りました「高速道路を作るための検討資料」というのを持って参りました。これには阪神地区の交通状況その他を見る資料といたしまして、まず第一が「人口増加の推移」、これも実は先般の参考資料として御説明申し上げましたが、まとめてみました。阪神地区における人口の増加の最近の趨勢及び今後の見通しでございます。
その次には「昼間人口とトリップ」と書いてございますが、これは阪神地区における昼間人口のトリップと申しますのは、この交通の始まるまあ地点でございます。それがこの表でごらん願いますように、昼間人口の多いところがやはり交通の始まる起点と申しますか、交通の出発点が多いということで、その昼間人口の多い大阪の都心部においては交通量が多い。だから大阪の都心部において必要な道路の交通対策、特に高速道路が必要であるという結論を出すための基礎的資料でございます。
その次に各路線別の交通量の推定をいたしました。この数字につきましては、これも先般資料として御説明申し上げたわけでございます。その次の高速道路利用台数の予想も、先般別の参考資料におきまして御説明申し上げました。
以上で御要望のありましたうちの資料につきまして御説明申し上げましたが、その他御質問がありました点につきまして若干お答え申し上げたいと思いますが、一つは、阪神高速道路公団という名称を現在使っているものがあるかどうかという御質問でございますが、現在の調査ではまだありません。しかし、あるいはわれわれの調査が漏れておりまして、そういう名称が使われておることも考えられますので、一応首都高速道路公団の例によりまして、そういう名称を使用することを禁止し、六カ月間は猶予を与えるという法律をとったわけでございます。以上先般の御要望の資料等について御説明をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/5
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006・大河原一次
○委員長(大河原一次君) それではこれより前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/6
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007・内村清次
○内村清次君 先般私たちは委員会の要望に従いまして阪神地区の今回出しておりまする高速道路公団の建設予定地、または自動車の輻湊状態につきまして視察してきたわけでございます。特に重点を置きましたのは、利害関係者の意見を聞くということでございました。そこで、大阪におきましても神戸におきましても、関係者の意見を十分聴取したわけでございますが、その意見の中から総合いたしまして、その重点とされました点につきまして、私が感じましたことを代行しつつ御質問申し上げたいと思うわけでございます。
第一点といたしまして、これは各意見を公述せられました方々が異口同音に申されました御意見の中に、大阪及び神戸市を中心としたところの神阪地区の交通難を打開するためには、どうしてもこれは総合的な交通対策というものが必要である。そこで、本法案によるところの阪神高速道路の建設はもとよりであるけれども、それと並行して一般街路を整備してもらいたい、あるいはそのほかに駐車場並びに地下鉄網、高速鉄道網を整備して、そうして強力に推進する必要がある、こういう御意見が富永博士その他からも強く要望せられておったわけでございまするが、私たちはこの御意見に対しまして、今回の公団建設計画とあわせて、最も将来の交通難打開のためには必要ではないか、かように考えましたからして、この点につきましては建設大臣のほうでどういうふうな今後の対策を持っておられるのか、この点を十分ひとつ御意見をお聞きしたい、かように存じて、まず御質問申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/7
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008・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 一般街路の整備、駐車場、さらにまた人口が大阪も阪神地区も非常に集中しておる状態でありますから、地下鉄網等の整備を強力に推進するということはきわめて必要であると私どもも痛感いたしておるわけでございます。そこで一般街路につきましては、都市計画路線の計画がございまして、約三百六十数キロの計画がありまして、すでに五〇%近くが完成をいたしておりますが、残りの分につきましても極力予算の許す限りにおいて推進をいたしまして、早くこの街路事業の整備をいたしたいと思っておるわけでございます。かたがた駐車場につきましても、今回の駐車場法改正とにらみ合わせまして、われわれとしましては極力整備をいたしたいと思っておるのであります。地下鉄につきましては、運輸省と目下いろいろな新しい計画について協議中でございまして、これも当然のことでございますからできるだけ早く、東京のほうもやっておりますが、阪神地区につきましても同じように新しい計画も立てまして、その実施をはかっていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/8
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009・内村清次
○内村清次君 これにつきまして大臣の基本的のお考え方も今述べられたようでございますけれども、当時随行しました前田局長も、この切実な御要求に対しましての御意見は十分聞いておられたと思うのですが、この中にはやはり都市局だけの問題も含まれておりますけれども、特に道路局あるいはまたは大臣が言われた運輸省関係も含まれておるわけでございますが、建設省の部内だけでもその問題を総合して、この公団設立の法案を提案されるに際しまして、たとえば道路局と十分な密接な関係を持って、そうしてその計画の将来性をお考えになって立案をされたかどうか、この点についてひとつ補足的でもいいですから前田局長から御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/9
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010・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) ただいま大臣から説明いたしましたように、阪神地区が東京と並びまして全国で最も交通難の激しいところでございまして、道路計画全体といたしましては、単に都市計画事業にとどまらず、道路局関係の一般の道路整備も含めまして、総合的な観点から道路計画を立案して、その実施に努力しているわけでございます、現在許されました五カ年計画におきましても、特にこの地区には重点を置きまして、たとえば大阪市の御堂筋線あるいは神戸の中央幹線というところに重点を置きまして、一般の街路を整備し、また鉄道との立体交差あるいは橋梁、区画整理、市街地改造、こういうふうなあらゆる手段をもちまして事業を実施する予定でございます。一応昭和四十年までの五カ年計画におきましては、全体を合わせまして七百三十億円という規模の資金を投入いたしまして、緊急を要するこの地区の自動車交通難に措置したいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/10
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011・内村清次
○内村清次君 第二点といたしましては、大臣、この現在政府が考えておられるところの公団の建設計画、総延長五十八キロ程度の阪神高速道路の建設計画では規模が非常に小さいではないかと、だからしてこうやった小さい計画ではとても交通難を抜本的に打開することはできないと、こういうふうに考えるが、計画をさらに拡大する必要はないかどうかという点の所見があったわけでございまするけれども、これに対しましては大臣どういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/11
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012・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 先ほど総体の計画としては、資料説明の際に都市局長から御説明申し上げたとおりでございますが、実際今御指摘のように、現在の五カ年計画としましては一つのワクができておりまするので、大部分がまたさらに次の五カ年計画に織り込まざるを得ない現状に今日はございますが、われわれとしましては、道路については御承知のとおり特定財源の制度もございますので、特定財源の増収の推移というものもにらみ合わせ、また一般財源の国の財政事情というものも勘案をいたしまして、可能な時期をできるだけ早く迎えまして、こういった計画の増強をはかりたいというふうに考えておるわけでございます。
もう一つ、こういう阪神高速道路公団を設立することにしていただき、あるいは首都高速道路公団などの事業を進めて参りますのに、問題は公募債のワクというものがあるわけでございますが、これらを今の大蔵省の考え方からいいますと、二兆一千億の総ワクの中に入れられてしまいますので、かりに公募債の消化能力がありましても、そのワクで押さえられていきますから、非常に進め方が窮屈になっております。まあ私どもの考え方としましては、率直に申しますと地元で消化可能な金額であり、またそれが国の財政金融政策全般に何か至大な影響があれば別ですが、影響のない限度におきましては、こういったワクで押さえずに公募債を消化して、資金吸収をして事業の促進をはかるような方向にいたしたい、という実は熱意を持っておるわけでございます。しかしまあ大蔵当局としましては、国全体の財政金融政策との関係もあって、目下のところではこういったわれわれの考えが貫かれないでおるわけでありますが、今後こういう問題も重要な課題としてわれわれは検討をいたし、関係当局とも相談をいたしまして、現在のところは二兆一千億の道路整備五カ年計画というもののワクで制約を受けておりますが、可能な限りわれわれとしましてはいろいろな手段を考えまして促進をはかっていきたい、こう思っているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/12
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013・田上松衞
○田上松衞君 ちょっと関連して。どうも大臣の説明ではまだ納得しかねるのです。内村さんからさっきお話がありましたように、私もまたの現地へ行ってきたわけなんです。大体この案というのは昭和三十四年からで、この必要性は繰り返しても同じことなんですから、どうしても阪神地区の交通混雑を緩和する、解決する方法を考えなきゃならぬということで、昭和三十四年に阪神高速道路協議会というものを地方で作った。そうしてそのときにいろいろやったのは、大阪市内を中心とする交通混雑の解決の足踏みをして、少しでも緩和できるならばというので、いろいろな国家財政等のことも考えつつしぼりにしぼって、作り上げた最小の計画案というものが、規模において百四十キロ、事業費において千九百億円というものに仕上げたわけですが、それを建設省へ持ち込んでみた。ところが建設省はもちろん賛成しなければならないということで、五カ年計画の中にこれを取り入れるというので取り入れてくれたのはいいが、あくまでその五カ年計画のワク内でこれを押しつけようとしたところに、非常に無理があるんじゃないかと、その点が合然いかないのです。だんだん計画もさらにしぼらしてしまいまして、五十八キロの規模で九百十二億円でしたか、そういうものにまたいろいろ縮めさせていったんですが、これほど苦心してやったけれども、結果的には五十八キロの問題はいいとしても、とにかく五カ年計画の事業費のワクがあるから、あくまで二百億だというので、これをぶった切ってしまったわけですね。どうもこれでは非常に皆できないことをやらさせておるのだ。将来、今大臣の説明によりますと、今後に生まれるいろいろなものを見つつ、だんだん増していこうとする努力をしてみようというお話ですが、それよりももっと、地元があれほど熱意を持ってやっておるのであるから、内村さんからあとでいろいろ質疑があると思うが、まだここには非常な不安があるにもかかわらず、大きな問題として一刻も早くこれをやってもらわなければならない、ということには変わりはないわけです。そういう重要性を考えつつやっておるのに、そんなに二百億しか、そうしてその中で国の投資が二億円とか、地元がこれだとか、というようなことでは、やっておる間にどうもかなわんと、これでは困ったものだということになって、私は意欲を封殺させはしませんかというのです。そういうことをやっておっては問題が外へそれてしまって、いろいろな支障が工事の上に出てきはしないか。要は地元のほうでもそうであるが、国も全力を上げてこういうことをしようということで進むところに、この成果というものが期待できはしないかと思うのです。
結論的に申し上げますと、二百億という全体のワクを何とかもっとふやして、早く事業を停滞することなく、どんどん進めるような方法の御決意がおつきにならぬかどうか。これは地元の要望です。これは私ども真剣に取り上げているのです。私ども決して個人だけの考えではなくして、内村委員もそういう角度で言っておるわけですから、もん一ぺんこの点について事業費のワクの問題について御決意をお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/13
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014・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 全く感じといたしましては同感でございます。私どももほんとうに同じように考えるわけでございますが、ただ問題はこの二兆一千億のワクが少な過ぎるということに結果はなるわけでございますが、二兆一千億の五カ年計画というものを立てまして、これを全国的にどこも道路はおくれておりますし、肝心な一級国道、二級国道も非常におくれておりますので、これらを全国的に勘案をいたしまして、苦心の決果配分をいたしましたのがこういう数字になっておるわけでございます。そこで、この数字をいかにして増強するかということが問題点なわけでありまして、これを増強するのには今申し上げたように国費の投入につきましては、先ほども申し上げたように特定財源の伸びと、それから一般の国の財政状態というものと見合って、これは事情が許せばわれわれ五カ年計画を便々と待つことなしに増強をはかるべきである、こう思っておりますることは御同様でございます。
さらにかりに国の投入資金は限度があるにいたしましても、そのほかにもつと何か工夫がないかということを考えますと、どうしても地元はそれぞれ道路の必要性というものを、みんな産業界にせよ市民にせよ痛感しておるわけでございますから、これらの御協力をいただいて公募債の消化ができれば、本来はその公募債のワクをふやして資金の増強をはかるということが一面考えられるわけでございます。これにつきましても御承知のとおり五カ年計画としましては、われわれはそういうものは別ワクにしてもらいたいという実は念願を持っておるのでありますが、財政金融を担当しておられる大蔵省としては国全体の財政金融の面から、たとえ公募債で民間資金を吸収するにしても、それはやはりそういう方面でも影響するということで、やはり二兆一千億円のワク内に押さえておるわけですから、そういうことから起こってくる窮屈がありますわけで、この壁を何とかわれわれは今後努力をいたしましてひとつ打開をして、別ワクで、地元の熱意があり協力があるならば、もっと促進ができるんだぞという方向に持ち込めるものなら、何とか持ち込みたいという実は熱意を今日も持っておるようなわけでございます。まあそれらの方法が立ちましたら、私どもここに五カ年計画としては二百億の一応のワクはできておりましても、この増強の道が立つ限りにおいて増強の方法をはかっていきたい。こう思っておりますわけで、現在のところとしましては、一応五カ年計画でそういうことになっておるものですから、どうも御期待に沿うようなお答えを申しかねるので恐縮なんでありますが、まあとにかく方向としてはわれわれ全力を尽くして、ここに一応こういう目安で、きめはしましてもこれを促進する道は御同様講じて参りたい、こう思っておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/14
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015・田上松衞
○田上松衞君 お話一応わからないことはないのです。ただ不思議に思うことは、これはしろうと式に申し上げますると、大体この種のものは公共事業でやるべきものだと、こういうふうに考えるのです。国民の感じとしては何のために税金を納めているのかということなんですね。公共事業でやるべきことなんだけれども、いろいろな国の財政状態からしてそういうふうにもいかぬので、やむなくここに有料道路というようにしたわけなんでしょう。しかもこれは国が押しつけるのではなくて、さっき申し上げたように地元がもう交通の緩和だとか事故の防止だとか、そういうものを乗り越えるためにやることならば、これは地元が大部分を負担していっても、経済面においてそれは取り返しができるのだという気持も、言わずしてこれはわかっておるわけなんですから。ところがこういうなまじっかなことにされてしまうと、五カ年計画かけてみたって、これはほんの一部しかでき得ない。これをほんとうに目的を達成しようとすれば、あとの、後期五カ年にかからざるを得ない。こんなことになったら、将来どうなるのか、こんなことをいろいろ勘案していけば、国のお世話、といっては言い過ぎになるかもしれませんけれども、地元がやろうじゃないかというのに、なぜそれを、いや五カ年計画がこうだ、大蔵省がこう言うのだ…。それは全然わからないわけではないのですが、それを飛び越えた大きな緊急要望があるのですから、結論的に、大臣は、いろいろそういう問題も、別ワクの中で公募債の問題も考えながらひとつ努力してみようということにはなるのですけれども、一そうその気持は私は再認識されて、あらゆる方法でもってこの問題を早く解決してあげるということへ進むべきだと思うのです。もう今のところでは私ども行ってびっくりしたのですが、いつも東京の道路ばかりしか目についていなかったので、これは東京は困ったものだと思っていたところが、さっき資料を出されたのでもはっきりしているように、東京よりもっとひどくなっているという混雑状態です。これが経済的にもいろいろな、うっちゃらかしておくと麻痺状態を来たしてしまう、目の前に迫っている事情でありますから、これについては、人間がやることですから、そこにまた政治というものを考えてみるならば、何も知恵がしぼり出せぬということはあるまいと思うのですから、この点については十分ひとつ決意を持って対処していただきたいという希望を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/15
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016・内村清次
○内村清次君 この点は、私も次の質問として、今田上先生の言われましたような質問をしたかったわけです。五カ年計画でわずか二百億では足らぬじゃないか、こういうような声が、それはまあ学者の声もそうでございましたけれども、特に民主団体の中でもそういう気分が横溢しているのです。私はあそこを見学いたしました者としては、関係建設委員会の従来の道路計画その他を関知いたしております者として、どうしても政府が、東京もそうでございましたけれども、基本計画というものがどうも後手々々な対策ではないか、というような感じがするわけです。それでこういった交通難の問題に対しまして一番被害を受けるのは市民生活、経済の問題です。こういったこと、経済その他を通じまして、やはり市民、都民が迷惑をしているわけです。せっかくこういった計画をお立てになるとしたならば、なぜ思い切って、新計画あたりはひとつもう少し拡充した計画をお出しにならないのかということを、田上委員とともにやはり痛感してきたわけでございまするから、私もその点は十分ひとつ大臣のほうの今後の努力に当面待たざるを得ないわけでございますけれども、ぜひひとつその点は努力していただきたい。それにつきまして、どうも今回の公団の設立に対しまして、大蔵省その他の方面から、どういう事情か知らぬけれども、公団設立に対しては反対の態度を示されておったのだ、この点を大臣からひとつ聞いておきたいと思うのですけれども、また私たちも、一面その反対を大蔵省がやった、その理由の中に一つの筋としては、高速自動車国道の建設管理は、それから有料道路事業の一般を行なうには、日本道路公団というものがあるじゃないか、その公団に現在この阪神高速道路の建設をまかせたならばどうであるかというような声もあったと、こう聞いておるのですけれども、これはまた現地のほうの関係者におきましてもそういった希望、あるいはまたは希望と同時にやはり大蔵省の反対の理由を一応背に受けて、むしろ今から設立をして、そうしてその一番混雑をしておるところの自動車の交通の状態を、今から計画を立て、それから今から建設予定地あたりの利害者との関係の交渉を始めるというようなことをするよりも、むしろその道路公団に思い切ってまかせて、そうしてやったほうがいいんじゃないかというやはり議論も残っておるわけですよ。
それからいま一つは、田上先生が今言われましたように、やはりその道路というものは、国家がやるべき問題であるから、やはり国費をもってなぜ全部やらないのか、こういう議論も残っておるわけです。その間の事情につきまして大臣はよく御存じのはずと思いますから、これはもうはっきりこの委員会を通じてひとつ国民に、ものを申すというような形で説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/16
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017・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 御承知のとおり、日本道路公団は全国的な有料道路事業を担当いたしておるのが使命でございますので、なかなか東京を初め阪神地区のような地域に集中投資をするということは、全国的にどの地方とも要望が多いものですから、集中投資が非常に困難であるわけであります。そこでこういう特殊な地域公団を作りまして、政府の出資をいたしまする場合には、それと同額の地方の出資も求めまして地方資金も吸収をして、そうしてその地域の交通難打開に努めてもらうということが促進の方法として適当である、こういうように考えておりまするのが一つの基本でございます。
さらにつけ加えますならば、先ほど申し上げましたように、できることならば、緊急性を目に見、身に体験し、痛感をしておる地域の方に債券等も消化をしてもらって資金を集めていただく、これは今は総ワクの中に押さえられておりますが、私どもの理想の考え方としましては、できることならばこういった地方資金の吸収をして、その、吸収額は総体のワクの中に入れないで、別の扱いになんとか近き将来に進めていきたい、そうすることができるならば地方公団というものは非常に存在価値がありまして、効能も発揮できると思いますので、やはり地域の緊急性をはらんでおりまするところに別途公団を作ることが促進の方法としては適当なんじゃないか、かような考え方で本公団の設立を企画いたしましたような次第でございます。かたがた地元としましても、非常な熱意を傾けて御要望が強い点等も勘案をいたしまして、この計画を立てまして御審議を願うことにいたしたようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/17
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018・内村清次
○内村清次君 大臣のお考え方は、そういった三十四年からこういう計画ができているし、地方の要望も強いし、交通難も現実の問題として市民も困っているし、日本の経済の成長の上からも困っておるのだという見地から努力なさったことはよくわかります、これは所管の大臣として。私が先ほど聞いておったのは、大蔵省がやはり公団の設立に対して相当新聞面でも反対をしておった。しかし、その間に大臣も交通閣僚の懇談会を現地の大阪でもお聞きになったという経緯の際にも、地元の強い要望があったし、しかし、大蔵省のほうでは依然としてやはり難航の様相が新聞面にも出ておったんですからして、その間大蔵省としてはどういう点、どういう点に対して、これは公団の設立というものを差し控えたいというような考え方を持っておったのか、これはひとつここで率直に言って下さいということを私は言っているわけですけれども、これはまた将来の問題にもなりますから、私たちの考えといたしましては。
〔委員長退席、理事村上春藏君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/18
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019・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) この点については一般論として、大蔵省としては公団が次々とできることをできるだけ抑制したい、したがって、腹の中はどうであったか、案外仕上げ段階で簡単に大蔵省ものんでくれたという点からみれば、腹の中では阪神高速道路公団を設立することはやむを得ぬが、一般論として反対を一応しようというような空気が濃厚であったんで、強かったんじゃないか、私はこういうような感じを持っているわけであります。幸い大蔵省の理解も得まして、阪神高速道路公団設立の議が政府部内でまとまりましたわけで、感じといたしましては率直に申し上げますと、今申し上げたような感じでいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/19
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020・田上松衞
○田上松衞君 どうもね、この場では、ちょっと腹の中でも、こういうことをお聞きしていいかどうかということについて、若干苦しみながら申し上げます。私はこういうような緊急必要性からくる事業なんですから、さっきもちょっと出ましたように、公共事業でやるべきことなんだけれども、とにかく有料にせざるを得ない、それはそれでいいとして、そうするならば、すでに十分な経験を持ち、実績を持っておりますところの日本道路公団があるじゃないか、手っ取り早く事業そのものを遂行させ確実にさせるためには、道路公団をしてやらしたならばどんなものだろうか。道路公団ではまずい、阪神高速道路公団と称する別個のものを作らなければならぬ、あるいはそのほうが有利だという点について、どうも理解ができないんですよ。これは二重の手間を取らなければならぬ、悪い方面で曲げて考えるならば、一体私は、この法案というこの問題は、私どもの認識から言うならば、阪神地区自動車専用高速道路建設法案というようなものでなければならぬはずだったと思うんです。ところが案は道路公団を作るのだということに感じを受けるんです。公団法ですからね。こんなことになってくると、どうもそこに人から私ら聞かれても、こうこうだという説明ができない大きな悩みを持つんです。道路公団でやるならば、たとえばこの段階において必要とされる管理委員会でしたか、そういうようなものを通じて地元の意向が十分反映しないだろうからという点があるかもしれないけれども、それはやり方によってどうにでもできます。日本道路公団の阪神支所を設けて、その中の運営、その中に十分大阪、神戸を中心とするこれの周辺の関係都市との意向も反映させる方法は私はあるはずだと思う、そういうものは。問題はどうしたらその事業を早くやらせることができるかということからいうと、まず公団を作ってなんということでは主客転倒じゃないかと思うのですがね。日本道路公団をしてやらせることと別個の阪神高速道路公団を作ることとの此較において、後者が有利だという点が一体どこに出てくるか。これを一応聞かしておいてもらいたい。まあこれは大蔵省がこういう感覚であったろうというようなことは、私ども資料があるはずではございませんが、それを持ち合わせるわけでも何でもないのですが、どうもその点の理解を十分持ちたいと思うのですけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/20
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021・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 先ほども申し上げましたように、日本道路公団はかりに公団債を発行するにいたしましても、政府の財政資金で財政投融資をすることになりまして、まあ総括的に申しますと政府資金で事業をやるという公団でありますので、日本道路公団が全国の有料道路、有料橋等を担当しておる立場から、全国的に交通機関の不足から非常に強い要望がある現状から見ましても、日本道路公団が一局部に集中投資をするということが非常にむずかしい。こういう地方公団を作りますと、地方公団の資金は大体半分は関係府県市、あるいは地元消化の公団債というように、半分は今の建前でいきましても地元資金ということになりますから、その地区に事業を促進をするということが、まあほかの地方からそうやきもちをやかれなくても済むという事情等もありますから、やはりその地区の事情に精通した人たちが、役員構成等の上からも考えて、熱意を傾けて事業をするほうが効果的であろう、こういうような観点からも、私はやはり地方公団のほうが促進の方法としてはいいのじゃないかと思うのです。まあかような角度で、地元としてもおそらく日本道路公団にも従来要望してきたと思うのでありますが、市街地の高速道路の着工が今までも見られなかったので、そういうことから別途公団を作って促進をしてくれと、こういう強い要望がございましたので、この要望に沿う上からもまた適当ではないかというように実は考えて、われわれとしては極力熱意を傾けて、この実現を期しておるというような次第であるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/21
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022・田上松衞
○田上松衞君 この場で決して議論するわけでもないのですけれども、まだ完全に了解に達しません。と申しますことは、日本道路公団というものは日本国憲法のごとく、うっかりいじれないということであれば、それはお話のとおりで一部了解できる点もある。私はそうじゃなくして、こんなものは必要によって日本道路公団法の一部を改正するようなことは何でもないことだし、地域の事情というものをこういうような場合においては考慮することもできる、ということを日本道路公団法の中でやるならばいいのじゃないかと思うのですよ。お話のとおりの日本道路公団は国家事業を主体としてやっているのだ、地方の負担というようなものは、つけたりのものであって、そうでないんだということからいうと、日本道路公団というものに対する今度は考えが少し私どもは違ってくると思うのです。私は何でもともかくひとつやって、そのものが確実に国民の期待に沿うように、裏切らないでよく成績をあげて役に立つものならば、それをもっと伸ばすような行き方をして、問題は国民の負担を合わせるところのいろいろな経済的な要望、こういうものはこれはだれが考えても、二つの公団を作ればそこには二つの役員たちが要るし、むだなものが相当あり、その上に時間を費すということはわかり切った話なんですね。日本道路公団法の一部を改正することによってお話のような点が解消できることだと思うのだし、それよりかもっと大きい問題は、日本道路公団のやり方というものがどこかにまずい点があって、もう気がついておるのだ、これではいかぬのだ、罪を重ねさせないということならばこれは別ですけれども、今私どもが認識しておる点では、この機関ができて、とにかくきょうやきのうやったことじゃあるまいし、非常に優秀な技術、優秀な能力を持っておることであるから、こうしたことに対処するためには、もっけの私はいい技術を持っているような感じがするわけです。これをのけておいて別個にやると、さっき内村委員も言われたように、将来これだけにはとどまらない、必ず今度は名古屋地区なら名古屋地区の問題が出てくるに違いない、あるいは九州に、あるいは四国に。こういう場合今考えておかなければならぬことは、こんなものが次々地域ごとに一つの事業体が作り上げられるということになりますると、これはむだな費用というもの、むだな時間というものが考えられはしないか、こう思うのです。重ねて
〔理事村上春藏君退席、委員長着席〕
くどいようですが、私は、どうしても地域の公団を作ったほうがいいのだという御信念をもう一ぺん聞かしていただきたい。
それからつけ加えておきますけれども地元でそういう空気があった、そういう工合に要望してきたとおっしゃるけれども、なるほど向こうでも説明するときには、それは私どもこういう要望をしたというけれども、それは仕方なくということなんですよ、私の受け取った感じは。日本道路公団にお願いしたかったのだけれども、いろいろやってみるとしょうないから、説明の中では地元も建設省の意見に応じてこういうお願いをしたと、こうは言いますけれども、腹の中ではその点については十分な理解ができていないと私は見ている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/22
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023・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 実は別の角度からちょっと私の思っておりますことを率直に申し上げてみたいと思いますが、事業の主体としてはやはり適正規模という問題があるのじゃないかと思うのです。かねてこの首都高速道路公団ができますときには、道路公団発足間もなくのことでありまして、日本道路公団のほうではそういう地域公団は困る、といって相当反対があった事実があるわけです。まあそういう前例にかんがみまして、私ども地元の要望もあり、また先ほど申し上げたような角度から、阪神高速道路公団の設立をしたらどうかということで、その準備に着手をいたしますにあたって、日本道路公団に対しましても一応協議をいたしました。日本道路公団で手っとり早くやってくれるということならまたその方向の考え方もあるが、君らの感覚はどうかということを確かめてみましたところが、今度は首都高速道路公団を作るときとは全然違いまして、それはまことに賛成である、実は全国非常にわれわれのほうは要望が多くて消化し切れないで苦労しておる段階だから、阪神に高速道路公団を別途作って、そうして促進をしていただくということは賛成でありますと、こういうことで、私は実は幾らか抵抗して反対の意見でも出るかと思いましておりましたら、私どもの想像とは全然逆な御返事が出まして、そこでまあ私どももやはり察するに、ものには適正規模というものがあるんじゃないかというような角度から、阪神高速道路公団を地元の要望の線に沿い、また先ほど申し上げたような必要性から踏み切るべきであると、実は決心をしまして進めて参りましたような次第で、率直に申し上げますと、そういうこともあるんじゃないか、かように私ども実は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/23
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024・内村清次
○内村清次君 この点につきましては、私たちもまだ十分納得できない節もありますが、将来の問題といたしまして、大臣にこれは保留しておくという点をはっきりさせておきたいと思います。ただ、先ほど言いましたように、今回の計画自体が非常に小さ過ぎはしないか、資金関係においてもそういう感じがするということと同時に、この建設をいたします道路の幅員の問題からも、少し小さ過ぎはしないかという感じがするわけです。というのは一体ここに四車線で建設していこうというのですが、四車線でやりましたならば、現実の状態から三年後、五年後を見てみましても、直ちに飽和状態になりはしないかという心配があるのですが、この点の技術的な建設計画というものはどう判断されておられるのか、御質問申し上げたい。
それから西宮芦屋、尼崎の市長の間から特に声を大にしていわれました問題といたしましては、御承知のごとく西宮には名神国道、高速道路が入って参ります。それから現在の二号国道と、さらにまた阪神道路がまた入ってくる。こうやってきますると、第二期計画としての神戸の公団高速道路との連絡状態あたりは一体どういうふうな計画がなされているのか、むしろこの名神国道をいま少し高架で延ばしていく案をお考えでおるのか、あるいは第二阪神をさらに中間都市をまたがるような高架でやっていかれるような考え方を持っておるのかどうか、こういう点の総合的な建設計画というものがなされておるかどうかということについて、こういう中間都市の方々から非常に熱烈な御意見があったわけです。この点をひとつ明快に建設省の道路計画といたしまして、お答えを願いたいことが第二点です。
それから第三点といたしましては、この計画は中間都市に対しては第二期計画において関係があるから、今日までは、あまり地元の三市の市民代表者の方々を呼んだ協議会的な場も作っていない、県のほうからも示達その他についての連絡もない、あるいは神戸市その他の横の連絡もあまりないというような関係が見られておりますけれども、これはどういうふうなことでそういうふうな事態になっておったのか、この点ひとつまた政府のほうから御答弁をお願いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/24
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025・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) ただいま内村先生から御質問の第一点嘆阪神高速道路の計画につきまして、将来の交通量の増加についてどういう考慮をしているか、一応四車線であるけれども必要に応じてあるいはそれをさらに拡幅、あるいはさらにそれ以上にも使えるような方法を考慮したらいいじゃないかという御質問でありますが、全く同感でございまして、道路はやはり交通の量に即応したものでなければなならないと思います。ただ、現在のところ、一応の将来の交通量の推定をいたしまして、四車線にすることが一応妥当であろうと考えておりますけれども、もう一つは用地の取得の点もございまして、六車線あるいは八車線にいたします場合には相当広い敷地を要します。しかも、自動車専用道路でございますので、あらゆる道路と立体交差にする必要がある。と申しますと、高架にするかあるいは地下にする必要があります、そういたしますと。相当大幅な敷地を要します。現在人家の密集した地帯におきましては、なかなかその用地取得が困難でございますので、現在の計画におきましても、既存の道路あるいは拡幅した道路、または河川、運河の上を利用しておりますので、そういう地区を通ります場合には、技術的にも相当困難な点がございます。しかしながら交通の量に応じた道路を作る必要がありますので、今後この計画を実施いたします場合におきましては、場合によっては道路を二重、三重に使うとか、あるいは場所によりましてはさらに六車線にするとかいうような考慮をもちまして、具体的に計画を立てます場合には、ただいま御指摘の趣旨を十分尊重しまして、せっかく作る道路でございますので将来の交通量に十分見合ったものにしたい、と思、て計画を練っている段階でございます。
その次の御質問は、阪神間の特に尼崎、西宮、芦屋、こういう地区計画についての考え方、しかも現在名神高速道路及び第二阪神道路の仕事が進んでいるが、それとの関連においてどう考えるかということでございますが、もちろん、この阪神高速道路公団のやる阪神高速道路は、阪神間を一体として考えておりますので、この付近全体の地区について必要な道路計画を考えております。その場合には、当然今申し上げました中間の都市を通過する阪神高速道路の建設も必要でございますが目下のところは御承知のように、第二阪神高速道路が五十メートルという非常に広い幅員で近く完成をする予定になっております。また名神高速道路も近く完成をする予定になっておりまして、この地区につきましてはあと数年以内に相当大幅な交通処理対策が講ぜらますので、特に今回におきましては交道量の激しい大阪の都心部、それから神戸の都心部の、臨港部というところに重点をおいた計画を立てまして、引き続きまして阪神中間都市間の高速道路につきまして検討をしたいと思っております。いずれこの第二阪神国道及び名神高速道路の完成と並行いたしまして、あの付近における道路の実態及び交通の実態を慎重に検討いたしまして、そういう両方の線ともにらみわせ合わせながら、阪神高速道路の計画につきましても検討して参りたいと考えております。
その次に、ただいま申し上げました阪神の都市に対する阪神高速道路についての周知の方が十分ではないのじゃないかという御指摘でございましたが、これにつきましては先ほど申し上げましたように、とりあえず建設する場所が神戸市及び大阪市であったこと、及びこの区間につきましては兵庫県を中に入れまして、兵庫県及び大阪府といたしまして、府県全体の交通網計画という点から絶えず連絡をいたしておりまして、実は事務的には、関係者ともに技術的な問題につきまして、検討しておりましたので、正式の機関、正式の会合におきまして付議をするというようなことはいたしておりませんけれども、事実上はある程度、こういう計画のことにつきましても、話を進めておりまして、まだ具体的に阪神間におきまして、われわれのほうで各関係の公共団体に提示する程度の案が、まとまっておりませんので、正式な会合における連絡等はいたしておりませんでしたけれども、幸い先般の先生方の御視察の際にも、関係の市なり、関係者の方々の御了解を得ましたし、今後は、計画を立てます場合には、十分関係の市町村とも連絡いたしまして、阪神間が一体として必要な道路計画について、国の方針及び地元の要望というものを一丸いたしまして、必要な道路網の建設ということに努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/25
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026・内村清次
○内村清次君 今の第二の問題ですが、これは芦屋の市長あたりが、特に要望されておったわけですが、御承知のごとく大臣もあそこを視察されたかどうかわかりまんが、第二国道というのは、自動車の交通がひっきりなしなんですね。そこで横断をするのに、人の交通というものが非常に制約を受けておる。それで無理に横断するとすれば、事故が起こって、人命にも関するような事故が起こってくるという状態ですので、これは何とか高架にするか地下にするか、そういった道路の区間を短かくして、人が通るような道だけは早く作ってやらなければならないというように、私たちは感じてきたわけですが、たまたまこうやって名神国道が、あそこに西宮が終点になるし、第二阪神がまた、今建設中であるし、やはり地下道を作るには相当金がかかるとすれば、高架程度の道路は、人を渡す橋、それからまた自動車が走るところの高架道路というような連絡道を作らなくては、とうていあそこは、地形上とても道路敷地が多くあるところではございませんから、お考えにならなくちゃならないと思うんですが、その点に対しましては、大臣として、今都市局長が言いましたけれども、道路局との関連のこともありますし、大臣としての所見をひとつ、はっきり述べていただいておかないと、阪神の関係都市は非常に心配しておるのじゃないかと思いますが、その点についての御所見をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/26
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027・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 実は、交通事故防止対策の角度からも、非常に自動車交通量の多い横断歩道などを地下あるいは架橋にして、事故の防げるように、また多すぎる自動車交通がなめらかに流れるようにということの必要性をわれわれ痛感をいたしまして、目下東京初め各地の重要地点について、他の道路事業の一環といたしまして、目下抽出を検討いたしておるわけでございます。
確かにあの阪神間は、非常な自動車交通の多い場所でございますので、高速道路ができてしまえば、これはよほど緩和できると思いますが、これも現在の事業量との関係で、先ほどの図面にもございましたように、まだ点線の程度でございまので、われわれといたしましては、阪神の国道について、やはり同様に、そういうことを考えて、至急に処置をいたしたい、こう思っておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/27
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028・内村清次
○内村清次君 さらに、この高速道路の高架下、この使用の問題ですが、高速道路等の用地の被買収者等を収容するための民家、店舗それから事務所、民家は住宅を含むものですが、こういう点を充足するような高架下の利用というものを考えておられるかどうか。
さらに、駐車場その他の公共の用に供する必要がある場合のほかは、極力高架下はあけておくのだというような御方針であるのか、この点と、さらに阪神高速道路の通行料金ですね、これはどのように政府のほうで計画されておるのか、この点をひとつ明らかにしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/28
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029・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 高速道路の路下の利用のことでございますが、先般御視察をいただきましたように、この阪神高速道路は、できるだけ大部分の土地を河川の上を使う、あるいは道路の下を、道路を使うというふうにいたしておりまして、一般の宅地を利用することは極力避けております。道路を使う場合には、もちろん道路の高架の下の部分は、これは道路でございますので、そこは一般の通行に供する、あるいは場合によっては駐車施設を設けるかもしれませんが、一応これは道路として通行の用に供する必要がございます。また河川の上を通る場合には、これは河川も目立たない限り、河川でございますので、そこは柱を立てまして河川として現在の利用のままにまかしておこうかと思っております。しかし一部民家のところを通ります場合がございますが、そういうところにつきましては、できるだけ公共的な用途に使いたいと思っております。一番必要なのはやはり駐車場でございますので、できれば買収したその高速道路の路下は、公共駐車場ということにして利用していくのが最も適当かと思っております。しかしながら場所によりましては、その土地を買収したその相手の方々、こういう人々の生活の再建という見地から、その地区に適当な施設、あるいは事務所なり店舗なりを設けて、補償にかえる必要がある場合もございますので、そういう場合には、そういう道路につきまして、店舗というものにつきましての利用方法を認めていかざるを得ない、こういうふうに考えております。
それにつきましては、先ほど説明いたしました資料にもありましたように、政令で基準を設けまして、適正にかつ公正に運営していきたいと思って考えております。
その次に、阪神公団の料金につきましてお尋ねでございましたが、料金につきましては、これは阪神高速道路は一体として考えていくべき必要がありますので、全体としての単一の料金制度にしていくべきじゃないかと考えております。まだ実は料金につきまして、全体の建設費あるいはかかった費用その他の一般その付近における輸送に伴う負担、経費というものの算定を目下検討中でございますので、明確には言えませんけれども、大体、われわれ現在想定しておりますところの建設費あるいはその他の費用の点から考えてみますと、まあ大体、首都高速と同じように考えられておりまして、単一料金といたしまして、かかった費用を二十年間くらいで償却するという観点から考えますと、一回利用は七十円前後に落ちつくのじゃないかと考えております。この七十円という費用は、これは自動車が、その高速道路を通ります場合に節約して得た利益の額を計算いたしましても、大体まあその程度の計算になって参りますので、負担をお願いするという面から見ましても、あるいはかかった費用の償却という観点から見ましても、一応妥当な線だろうと考えておりますが、まだ実は、これにつきましては、今後の建設費総額、あるいは費用の総額、あるいはその年度の完成した時期における一般の運賃体系というような点を、まだ検討不足でございますので、目下検討の段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/29
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030・田上松衞
○田上松衞君 もう一つ強調しておきたいことは、PRの不完全なことなんですよ。これは実にあきれてしまったのです。私は、率直に申し上げますが、中島調査員のほうで、いろいろ御心配されて、意見聴取会の録音テープの中から、これを作られたもので、大臣もごらんになっただろうと思うのです。中島さんには、これはまことに済まぬけれども、ここには特に参考になると思われる供述の部分を抜粋してまとめたと断わってあります。中島さんの感覚では、非常に善意でもってやられたということだけれども、隠されておる点に、実は問題があるわけなんですよ。たとえば、一つの例をとってみますると、大阪における民主団体側の意見を聴取した場合、大阪地方の、もうはっきりしておりますけれども、代表者の場合は、これは前田さんも、あの席でお聞きになったとおり、むしろ呼ばれたのに応じて、政府及び府、市のまずさに対して、ひとつ文句を言いたい、言うなれば反対意見を述べたいために来たんだと、ここまで実は極言しているわけなんです。要約してみますと、今まで何も知らしておらぬじゃないかというようなことですね。特に庶民生活の上に、どういう影響があるかというようなこと等を隠してしまってやっておると。しかも、話を聞いてみると、こういうような、五年でできるのだと思っておったが、五年どころの騒ぎではない、われわれが希望するようなものは、十年先のものだということを知るに及んで、あぜんたらざるを得ない。帰って来て、民主団体というものへ行って、民主団体に報告するにも、結局このざまでは、何のことはないのだ、何にもならないのだと報告せざるを得ない心境にあるということまであの人は——私はちゃんととってありますから、そういうような、言葉づかいには若干の違いがあるにしても、そういう気持があるということなんです。
さらには、神戸に行ってみますと、これはここでは全部抹殺されておりますけれども、兵庫県の土木建築部長ですかの意見を聞いてみますると、なぜPRをしないんだというと、いや私のところは、いつになるかわからぬのだ、少なくとも大阪よりか一年おくれるのだ、そこで完全な計画内容というものを本ぎまりになっていないのを、なまじっか早手回しにやってしまったら、かえって紛議をかもすだけのことであるのだから、まだ、まあいわばうっかりPRなんかする時期でないと思っておったというような意味での、そういうことで来ておる。事ほど現地においては、先刻来申し上げましたように、全体の気分としては、この交通混雑の上にたって、何とかしてもらいたいという一つの大きな念願を持っておるから、早くやってもらいたいという気持はあるけれども、中身については、私今申し上げたような状態で、知らされていない。
さらにつけ加えておきますと、芦屋、西宮、それから尼崎、これらの市長、議長ですらも、内容について聞かされたのは初めてだと、きょう初めてだと。そうして、きょう出て来いというので、これを出されて、今見るようなわけで、十分な意見も述べられないというところまで言われている。全くつんぼさじきだと。言葉を裏からいいますならば、昔ながらの中央集権主義、官僚主義で、住民の意向というものは、全くなっちゃいないじゃないか、聞いていないじゃないかという、ふんまんを持ちながら、しかも、私どもに期待したのは、どうか今後いろいろなことに参画さして、協力できるような態勢へ持ち込んでもらいたいというのが、これら三市長、三議長の意向でもあった。前田さんから、いろいろ大臣は直接お聞きになったでしょうけれども、ことほどこれは不安全であった。これではいけない。これはやり方一つなんです。十分そういう周知、PRを完全にされて、ほんとうにみんなが大まかに考えている協力態勢を、十分成熟させてもらうようにしてもらわないといけない。あとでいろいろな支障があちらこちらと起こってくることを杞憂いたしまする場合に、特にこの感じがいたしまするので、これは十分ひとつ考えてもらいたい、こう考えるわけです。
このことも、向こうの、地元民の強い要望がありましたから、特に大臣の御所感をお聞かせもらったほうがいいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/30
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031・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) これは立案といいますか、草案段階では、行き届いてはいないかもしれませんが、阪神地区で協議会を作りまして、いろいろ議を練ってはこられましたが、これらも、どう処置すべきかということの議を練る協議会の段階でございまして、先ほど田上さんから、兵庫県の土木部長の話ですか、あまり出過ぎてもいけないからという話があったそうですが、多分関係者、みなそういうような考えで、まだ国会の議決を経て公団もできないのに、こうする、ああするというPRは、あまりどうも早過ぎるのではないかということで、控え目であったと思うのです。
その結果、住民の方々に、どういうものでやるのか、中身も全く知らないで、突然聞かされたという驚くべき状態にあったということで、こういう点からみれば、遺憾でございますが、問題は、国会の議決を経て公団ができてということが基本でございますから、われわれ、法律が幸い成立いたしまして、公団が発足するということになりましたら、できるだけ地域の指導者の方々はもちろん、市長、議長、議会の方々はもちろん、一般住民に対しましても、関係の地域については、できるだけ努めて事前に、十分なるPRをして、理解ある御協力を願えるような方策をとりたい、こう思っておりますから、公団ができることになりました場合に、われわれ行政上の指導としては、御指摘のように萬遺憾なく、ひとつやっていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/31
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032・田上松衞
○田上松衞君 私考えまするのに、さっきのいろいろな、全然寝耳に水だったということは、この計画自体の問題ではなくして、多くは公団法の中の問題が主だったかと考えるわけです。
そこで一体、その要点がどこにあるのかということをいろいろ考え、これにどう対処するかということを考えてみますると、やはり一番大きな問題は、管理委員会の点にあると思っているのです。そのことは、公団が勝手にやるのでなくて、管理委員会が、予算であるとか、あるいは事業計画であるとか、資金計画であるとか、あるいは決算、それら公団の事業の運営に関する重要事項は、これは管理委員会の議決を経なければならないということになるわけですが、そこで関心を持ちますのは、その管理委員会の中で発言できるようにしてもらいたいというのが強い意向でした。今、持っておられるこの案にあるのは、公益を代表する委員が四人で、出資者の意思を反映させる者が三人で、別に公団の業務執行責任者であるところの理事長を加え、合計八人ということになっているのですが、これを実際の運営の面から考えてみますると、大阪府、大阪市、兵庫県、神戸市、それからこの周辺の各都市ということになってくるのであって、この公団の理事長を除いたたった七人の委員の中に、どう食い入っていけるかということは非常に問題だと思うのです。ただ、このことはあなた方のお考えとしては、首都高速道路公団の例に、ただ乗ってやったということだけじゃないかと私は見ておるわけです。それとあそことは違うということですね。したがって、十分内容を周知徹底せしめて、そうして協力態勢を作っていくという上にも、この委員会こそ、やたらな費用がかかるわけでも何でもないのですから、早くこれをひとつ作って活用していくべきだ。したがって具体的に申し上げますと、この委員をもう少しふやしたらどうか。できることならば、たとえば民主団体というような意向も、さっきちょっと出ていましたけれども、こんなことじゃ何もできない、しようがありませんよと言ったのですけれども、何か話しておる間に、ありがとう、よくわかりました、これは考えを変えなければなりませんという態勢にまで持っていったわけですけれども、したがって、そういうほうからも大きな気持で取り入れるようにし、そうするならば、この委員のワクというものをもう少し広げて、そうかというて、やたらなことはできないけれども、この意見が活用でき、ほんとうに役立っていくのだということにすれば、いろんな、もろもろの問題が、これを通じて——一番これがキー・ポイントじゃないかとまで考えるわけです。これに対して動かすことのできないということであるかどうか、考慮されるか、その点だけをひとつ言明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/32
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033・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 実はこの公団の管理委員会というのは、大体出資団体が発言権を常に持っておる必要がありますから、そこで公団の管理委員会の組織は、大体、この出資団体から委員を出していただくというのが従来の建前で、首都高速道路公団、住宅公団——住宅公団は金融機関等も出資いたしておりますすので、こういう方面の方にも入っていただく。で住宅公団は五人、首都高速道路公団は五人でございますが、阪神高速道路公団のこの案を立てますときに考えられますことは、今御指摘がありましたように、非常に関係地域が広いわけでございます。そこで関係地域の府県及び市等の出資団体が数が多いわけですから、どうしても首都高速道路公団、住宅公団よりも、公団の規模は小さいにしても、管理委員の数はふやすべきであるという角度から検討をいたしまして、結局目下のところ七人ということに案をいたしておるわけでございます。
そこで将来の問題としては、先ほどお話に出ました尼崎でありますとか、芦屋でありますとか、事業区域の拡大によって関係地域が広まってくるわけでありすから、その関係地域から、また若干のその市の分に応じた出資を願うということになれば、これらの地域からも、管理委員を選べるようにしなければいかん。したがいまして、今のところは七人ということにしまして、将来事業地域の拡大に伴いまして増員をする必要があるかとも思っております。
これはわれわれは、どこまでもそういうふうに考えていきたいと思っておりますが、ただ、一般市民の方々の発言権でありますが、これはなかなかむずかしい問題でありますから、できるだけその府県及び地方公共団体が発言権があるわけですから、そこを通してやっていただくということが、まあ適当ではないかと思っております。ただ管理委員の中には、公益委員の方も、一人二人は入っていただく必要があると思いますので、こういう方の選任に当たりましては、努めて適任者を得るように善処する必要がある、こういうことを痛感しております。
したがって七人というのは、ほかの公団に此較して、そういう意味からふやして、関係当局の御了承も得たわけでございますから、今の段階でふやすということは、どうも私どももむずかしいと思うのです。将来の問題としましては、先ほど御指摘のありましたように、関係の市も、経過地の市もございますから、そういう方面の方々に御参加いただいて増員をする必要があるということは、今日でも実は予想いたしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/33
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034・田上松衞
○田上松衞君 くどいようですけれども、これは神戸市が一年おくれたといいましても、阪神高速道路公団ですから、兵庫県及び神戸市を入れぬというわけにもいかないわけです。それは来年になったら考えるというわけ合いのものではなく、発足当時から、具体的に考えていく。公益委員というのは、大阪府からも大阪市からも出さなければいかんでしょう。兵庫県からも神戸市からも抜かせんわけですよ。もうそれで四人になってしまうのです。そうすると、学識経験者あるいはそのほうは、出資者のほうで考えるというあんばいであるでしょうけれども、やはりこういう場合には、学識経験者というものが一、二は必要でしょう、一、二名は常識上。だから今のような首都高速道路公団であるとかいうようなものと——これでいいのだからというのとは、お話のように規模は小さくても地域が広いのだからと、その観点だけからじゃなくて、これは急速にやらなければならん。そうして今のような、さっきくどくど申し上げたような、非常にいいことではあるけれども、説きょうによって、計画が地元で考えているのと大きく違っている場合に、いろいろな不満が起こることであるから、やはりこれを納得させることは、府や県や、あるいは市を通じてということじゃ、これは無理だと思うのです。置くことが非常に支障があれば別です。私は支障がないと考えるのです。そうかいうて、やたらなものをあれするじゃない。大体、構想を申し上げると、今の八人というのを全部を加えて、わずか三人ふやすことによって十一名にこれをふやすならば、これは心配なくいけるという私案さえ持ちますが、この機会だから、これはやめておきます。だから、将来は着手するときに周辺都市、尼ケ崎であるとか、芦屋であるとか、西宮であるとかいうものに手をかけるときはと——そうじゃなしにやってもらいたい。
もう一つ言っておきたいことは、特に西宮になりますと、これは兵庫県なんですけれども、地元の人は大阪府だと考えている。大阪市内だと考えているほど、そんな状態にあるわけです。われわれが案内してもらった人でも、どこが境界だかわからん、こういう状態にあるので、手っ取り早くこの意向は聞かなければならん。これは実際上必要だ。こう思うので、動かすことができないということじゃ、どうもね。何とか、この問題については考慮してもらうということはできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/34
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035・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) これは先ほど申しましたように、いろいろな角度から検討いたしまして、他の公団の五人に対して七人、及び委員長を加えまして八人ということになりますが、結局八人にいたしましたということは、今御指摘のような点を考慮して、他の公団よりも人数をふくらましたようなわけでございますから、先ほど申し上げましたように、将来経過地等が増加いたしました場合に考慮するといたしまして、現段階では、この人数で人選のよろしきを得れば適当ではないかと、こう考えておりまするわけで、まあ御了承いただきたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/35
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036・田上松衞
○田上松衞君 じゃあ最後に、今の問題になっているのは、さっきの中島調査員から出されておるこの中にもありますように、三市とも、尼崎、芦屋、西宮三市長ともこぞって、私どももぜひその中に参画さしていただいて目的を達するようにしてもらいたいという強い——それはちゃんとこれにも書いてあるんですから、これをひとつ十分に、まじめにあとでごらんいただきたい。何かきっと、この問題はいろんなことについて、私は少数だということになるに違いないということに見通しておるので、まあ、もともとこれに対して賛成するという立場から聞いておりますることからしては、このことに関して、何か案を修正するようなことがあってもいかぬと考えておりますが、十分ひとつ、今後これについては御考慮をお願いしておきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/36
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037・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) その点は、十分今後の問題として考慮いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/37
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038・小平芳平
○小平芳平君 公団の問題について、先ほど来ずいぶんとお答えがありまして、私も一つ持っているわけでありますが、先ほどの御答弁以外のことは、ちょっとどうかと思いますので、この点はまた別の機会にいたしたいと思うわけです。
私が一点、お尋ねしたいと思いますことは、新道路整備五カ年計画を立てるときに、この阪神高速道路公団の阪神高速道路ということが、そのときの計画の予想の中へ入っておられたかどうか、この点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/38
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039・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 新五カ年計画におきましては、先ほど来申し上げましたように、二百億円の事業費で阪神高速道路を作るという計画は含まれておりました。しかし、これをどういう形にするか、道路公団という形にするか、あるいはまた別途の方法を考えるかということにつきましては、まだ案がまとまっておりませんので、その点はいずれにいたしましても、こういう形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/39
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040・小平芳平
○小平芳平君 で、その高速道路ができた場合に、接続点が非常に交通が詰まってくるんじゃないかということが予想されるんですが、大体、このどの部分が初めに営業が始められるか、それが何年ごろかというようなことはおわかりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/40
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041・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 今考えておりますのは、最も交通の激しいところを考えておりまして、大阪の都心部でございますので、これを大阪の駅から南のほうへ下がってきまして環状に通る路線、これをまず優先させようと考えております。それから、大阪の駅から西北のほうへ参ります尼崎のほうへ行く線、同時に伊丹空港のほうへも参る線でございますが、この線に重点を置いて実施をし、また神戸においては臨港区の線が最も込んでおりますので、まずそういうところから着手いたします。ただ、完成時期につきましては、先ほど来お話がございますように、この五カ年計画には、ごくその環状線の一部と尼崎、伊丹線のごく一部しか完成できませんので、あるいは場所によりましては、部分供与いたしますけれども、昭和四十五年ごろになりますと、全線につきまして供与ができるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/41
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042・小平芳平
○小平芳平君 その尼崎のほうへ行く尼崎−伊丹線にしましても、最初の五カ年計画では、もう新淀川ですか、新淀川を渡ったところで、すぐ切れてしまうわけです。むしろ今日の交通事情でも、相当この道が混雑している。その上に高速道路で相当能率を上げて、どんどんここへ車が殺到したら、どういうことになるか、そういう点は、十分お考えの上で立てられているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/42
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043・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 御指摘のとおりでございまして、この線も引き続きまして、阪神間の尼崎のほうへ向けて延長をする必要を考えておりますが、また一面、尼崎のほうへ渡りますにつきましては、第二阪神国道も近く完成をいたしますし、あるいはまた、別の路線も一般の街路事業を考えておりますので、とりあえずこちらのほうの計画を先に立てております。まず、それを完成さして、引き続き尼崎付近にありますあとの線につきまして、引き続いて計画を立てて実施をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/43
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044・小平芳平
○小平芳平君 私どもしろうとが見た場合に豊中、それから茨木ですか、そこに名神高速道路のインターチェンジができるのですが、どうしてそこへ最初に接続させないか。これは接続させる必要がないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/44
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045・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) お話のとおり、茨木インターチェンジには、高速道路を連結させるべきでございます。ただ、現在の交通量の実態からみまして、特に交通麻痺寸前にある都心部から工事をしたいと思いまして、第一の計画におきましては、そこまでいきませんけれども、引き続きまして茨木インターチェンジまでは、当然連結させる必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/45
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046・小平芳平
○小平芳平君 それは、市内の交通が麻痺寸前にある、あるいは麻痺しているかもしれませんが、そういうところへまっ先に高速道路を建設していかなければ、最初五年間で、できた道路が、次の五年間で、こちらのインターチェンジへ接続するまでは、機能が半分とか、三分の一とか著しく低下してしまいはしないかというような、しろうとらしい、そういう感じを持つのですが、そういう点は、十分検討の上で五カ年計画を策定されたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/46
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047・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 高速道路と申しましても、都市内の高速道路でございますので、この大阪の都市内における道路交通は、現在交差点が多く、しかも幅員が狭くって交通渋滞を起こしておりますので、そういう意味から、一つの都市計画、街路を全部立体交差にしたというふうな観点から考えられた道路でございます。したがいまして、末端におきましては、十分それらの高速道路を通ってきた道路も、この地点において、一般の街路なり道路に連結するようにしたいと思いますので、そういう点は末端における道路の整備あるいは都市計画の考え方から、十分間に合うように考えまして、目下のところは、一応、全体の事業と見合わせまして、この程度の計画にいたしました。
今後の拡充計画におきましては、それぞれさらに放射状に、さらに場合によっては、もう一つの環状線も設けまして、阪神地区全体が、一つの有機的な高速道路網に結ばれるようにすべきであると考えまして、引き続き計画を検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/47
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048・小平芳平
○小平芳平君 現に私ども、東京では高速道路の恩恵に浴していないわけですが、第一京浜国道、第二京浜国道にしても、これは東京都内の道路としては、相当スピードを出して走れる部類なわけですが、その第一京浜は、品川警察、区役所の辺から、もう青物横町、あの辺で猛烈に混雑して、せっかく早く走ってきても、たいへんにあそこでつかえてしまう。第二京浜は五反田でつかえてしまう。せっかく早く走っても五反田で五分も七分もガードを通過するのにがかったんでは、大体同じようなことになってしまうんではないか。現に東京は、そういう状態であるわけです。
で、結局この高速道路を作る場合に、新道路整備五カ年計画が、その高速道路にマッチして、道路の整備改良が全体として行なわれていかなければ意味がないと思うわけです。で、この二百億は、五カ年計画に入れて、その上で二兆一千億の整備計画ができ上がるということは、高速道路ができた場合に、現在の五反田や品川のような状態は起きないで、全体として計画的に道路整備が行なわれていく、このようにお考えでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/48
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049・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 高速道路をを作りました場合に、それがおりて一般道路に入りまする関連道路の整備ということは非常に重要でございますから、われわれ五カ年計画の一般道路事業を進める上におきましては、その点を十分考慮して、事業の実施をして参りたいと思っております。
ただ問題は、高速道路は、全面に非常に急速に仕上げられればけっこうなのでありますが、諸般の制約を受けまして、さしあたりは、目下非常に混雑をして麻痺状態にありまするところを通過している通過自動車を高速道路によって、平面道路から立体交差の高速道路に乗せる、それによって麻痺している下の平面道路の緩和をはかるということが先決問題でございますから、そういう点に重点を置いておりますが、いずれにしても、高速道路ができても、一般道路へおりて、下の混雑したところを通過していく車であります。ただ、高速道路ができますと、通過時間が早うございますから、ラッシュ等のときには、一斉にそこへおりるということになりますから、これを処理する対策は、一般道路事業として、どうしても、これは関連して必要なことでございますので、これはひとつ遺憾のないように、われわれ一般道路事業の促進にあたりまして配慮していきたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/49
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050・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 他に御質疑はございませんか——御質疑もないようでございますから、質疑は終了したものと認め、これより本案についての討論を行ないます。
御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/50
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051・内村清次
○内村清次君 私は日本社会党を代表しまして、本法案に附帯決議を付して賛成するものであります。
最近の新聞は、一日として交通事故による死傷を伝えない日とてはないのであります。それは大都市交通が、いかに混乱しているかの証拠でざごいます。阪神地区におきましても、車両激増による交通麻痺の状況は、都市計画をまさに破壊せんとする傾向すら見えておるのであります。
したがいまして、今日高速道路建設の急務は、何人も否定するものではないと思うのでございます。むしろその早期完成が痛感されるのであります。しかしながら都市交通の問題は、単に高速道路の建設をもって足れりとするものではなく、都市街路、高速、鉄道等総合的に施策されることが必要であり、かつ過大都市の防止という国土の総合開発計画の面から規制せられなければならない問題であると考えます。
さらに、今日の市街地の状況から見ますると、用地の取得がきわめて困難であり、本計画におきましても、将来の交通激化に備えて、設計、計画の有効適切な方法をとることが必要であろうと思うのであります。また、事業実施にあたりましては、市民の協力が第一であり、首都高速の場合に見られましたような轍を再び繰り返さないように十分PRを徹底さすべきであると考えます。
以上の観点から、次のごとき附帯決議を付したいと思います。その案を読み上げます。
以上の附帯決議を付しまして、本法案に賛成の意を表します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/51
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052・田上松衞
○田上松衞君 この際、民主社会党を代表いたしまして、本法案に対して賛成の意を表明し、重ねて今、内村委員から出されておりまするところの附帯決議案にも同様に賛成いたしたいと思います。
前段の問題については、質疑の中で十分意を述べましたように、阪神地区における交通混雑の状態というものは、先般私ども親しく現地を視察した結果、むしろ想像以上のものであったわけであります。したがって、阪神地区の自動車専用の高速道路を建設するということは、これは緊急必須のことであると痛感したわけであります。ただ問題は、この法案の名前自体からいたしまして、心配しますることは、公団法の設置の問題、こういう工合に一般には受け取られるのでありまするが、どうかひとつ、こういう名前にとらわれずに、実体を失わないように、主客転倒にならないように十分ひとつ、一そうの御考慮の上で間違いない実施をしていただきたいということを切望する次第であります。かような見地からいたしまして、今、内村委員から出されましたところの附帯決議案は、そのまま考えておりますることを言い現わすことにもなると考えますので、全面的に賛成いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/52
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053・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 他に御発言もないようでございますから、討論は終局したものと認め、これより直ちに本案について採決を行ないます。
阪神高速道路公団法案、全部を問題に供します。
本案を原案どおり可決することに、御賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/53
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054・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 全会一致であります。
よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
次に、討論中に述べられました内村君提出の附帯決議案を問題といたします。
内村君提出の本案についての附帯決議案を、本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/54
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055・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 全会一致であります。
よって、内村君提出の本案についての附帯決議案を、本委員会の決議とすることに決定いたしました。
それでは、ただいまの附帯決議につきまして、建設大臣の所信をお聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/55
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056・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) ただいまの附帯決議の御趣旨につきましては、われわれ十分意を体しまして、善処するよう努力を重ねたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/56
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057・大河原一次
○委員長(大河原一次君) それでは、本案の審査報告書につきましては、委員長に御一任を願います。
別に御発言もなければ、これにて、本日は散会いたします。
午後一時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X01519620315/57
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