1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月十日(火曜日)
午前十時四十四分開会
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委員の異動
三月三十日委員小山邦太郎君辞任につ
き、その補欠として山本利壽君を議長
において指名した。
三月三十一日委員相馬助治君辞任につ
き、その補欠として片岡文重君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 高野 一夫君
理事
鹿島 俊雄君
村山 道雄君
阿具根 登君
委員
勝俣 稔君
紅露 みつ君
佐藤 芳男君
山本 杉君
横山 フク君
永岡 光治君
村尾 重雄君
石田 次男君
国務大臣
厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君
政府委員
厚生大臣官
房会計課長 今村 讓君
厚生省医務局長 川上 六馬君
厚生省児童局長 黒木 利克君
厚生省年金局長 小山進次郎君
事務局側
常任委員
会専門員 増本 甲吉君
説明員
厚生省医務
局医事課長 曽根田郁夫君
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本日の会議に付した案件
○児童扶養手当法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○国民年金法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○社会保障制度に関する調査
(医業類似行為の現状に関する件)
(引揚医師特例受験資格に関する件)
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001・高野一夫
○委員長(高野一夫君) ただいまから本日の社会労働委員会を開会いたします。
この際、委員の異動について報告いたします。
三月三十日付をもって小山邦太郎君が辞任され、山本利壽君選任。三月三十一日付をもって相馬助治君が辞任され、片岡文重君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/1
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002・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 児童扶養手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府委員から細部説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/2
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003・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 児童扶養手当法の一部を改正する法律案の補足説明を申し上げます。
児童扶養手当法は本年一月一日から施行され、目下児童扶養手当の申請を受付中でありまして、三月に第一回分を支給することになっております。この制度の実施につきましては、都道府県の主管課長会議、事務担当者のブロック会議の開催、必要事項の通達等を行ない、適切な事務運営がはかられるよう措置いたしました。三月三十一日現在、九万件の申請書の受理をいたしております。
以上が児童扶養手当法につきましての補足説明の概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/3
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004・高野一夫
○委員長(高野一夫君) これから質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/4
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005・阿具根登
○阿具根登君 概要ですけれども、あまりに簡単な概要ですね。何を言ったのか、十万件であって、こうしたとかという詳細な説明をしませんか。書いたものを見て短いものを説明したところで、それは説明になりませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/5
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006・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 法律案の提案理由の説明で大臣が申されましたように、今回の改正の内容は、第一は、手当の月額が現行法では児童一人の場合八百円、二人の場合は千二百円、三人以上の場合は、三人以上の一人につき二百円を加算することになっておりますけれども、児童二人の場合は千四百円、三人以上の場合は、三人以上の一人につき四百円を加算することに改ためようとするものであります。
第二は、現行法では、受給資格者が前年において十三万円以上の所得がある場合には、手当が支給されないことになっておりますが、この所得による制限額を十五万円に支給制限を引き上げて、支給制限を緩和しようとするものであります。
以上が手当法の改正の内容でございますが、今までの事務処理の受理の状況は、先ほど申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/6
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007・阿具根登
○阿具根登君 これは予算書を持ってきておりませんが、予算をどのくらい要求されて、どのくらいとれていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/7
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008・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) まず、児童手当の支給事務に必要な経費でございますが、前年は一億一千七百六十六万二千円でございますが、本年度は九千二百七十五万円でございます。
次に、児童扶養手当の額でございますが、二億三千三十九万八千円でありましたものを、三十七年度の予算額では十四億一千二十七万六千円、総計前年度は二億四千二百十六万円でありましたものを、三十七年度の予算では十五億三千二万六千円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/8
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009・阿具根登
○阿具根登君 件数は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/9
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010・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 件数は、対象児童数が前年におきましては十二万八千七十四人でありましたものを、本年度におきましては二十三万一千六百十三人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/10
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011・阿具根登
○阿具根登君 そうすると、これは員数ですね。先ほど今日まで十万件とおっしゃったですね。十万件で、数は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/11
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012・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 三月三十一日現在における受付件数でございますが、総数が九万七千五百九十件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/12
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013・阿具根登
○阿具根登君 いや、一方を児童数でおっしゃるし、一方は件数でおっしゃるから、数をこちらではじくのに非常に都合が悪いのです。人数でいったら人数、件数でいったら件数で、一貫して説明してもらわぬと困るんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/13
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014・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 予算の積算の基礎からそういうことを申しましたが、件数で申しますと、前年度は件数は七万四千九百三十一件でございます。本年度の対象件数は十三万四千三百六十四件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/14
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015・阿具根登
○阿具根登君 そうすると、七万が十三万になった、その原因は、基礎額が十三万から十五万にふえたから範囲がそれだけ広くなった、こういうふうに解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/15
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016・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 前年度の対象件数については、いろいろな推定方法を用いたわけでございますが、たまたま昨年の十月に母子世帯の実態調査の新しい数字が出て参りましたので、それによって三十七年度はあらためて推計をし直したのであります。その結果、先ほど申し上げましたような数字になりました。そこで、実は前年度は古い母子世帯の実態調査に基づく計数を採用しました結果、七万四千件余になりまして、それに対して、昨年度の三月三十一日現在の受理件数は、先ほど申しましたように、九万七千件でございますが、前年度見積りは低過ぎたということがこれで実証されたわけでありますが、本年度におきましては十三万件の推定をいたしておりますが、現在のところは、三月三十一日現在で九万七千件でございますから、大体この十三万件に近いものがあるのではないかというふうに現在の段階では考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/16
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017・阿具根登
○阿具根登君 そうすると、基礎的な考え方が、十三万円の基礎額では低いから十五万円にされたのか、実際問題として、幅がこれでは狭過ぎる、だから上げられたのか、どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/17
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018・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) これで御承知のように、この児童扶養手当は、国民年金法のいわば補完的な制度でありまして、生別母子世帯につきましては、所得制限が十三万円が十五万円になるのに応じまして、私どものほうが、補完的な制度でございますから、国民年金法に従ったということでございます。これは寡婦に対する地方税のこれが免税点になっておりますが、これが地方税法によって十三万が十五万に上がりましたので、それに応じましてこういう改正をしようとするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/18
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019・阿具根登
○阿具根登君 大臣に質問しますが、池田さんの所得倍増で一般の国民生活は何パーセント向上しましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/19
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020・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいまの御質問、私、数字を記憶いたしておりませんので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/20
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021・阿具根登
○阿具根登君 池田さんの所得倍増でいけば、この二万円ぐらいの差ではないはずなんですね。そうすると、それでは、これも数字をお持ちでないかもしれぬので、大臣以外の方でもいいですが、物価はどのくらい上がりましたか。去年の今とことしの今でどのくらい物価は上がっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/21
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022・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) これは生計に関係のあることでございますから、消費者物価で申し上げます。それによりまして昭和三十四年をかりに一〇〇といたしますと、昭和三十六年が一一〇・七になっております。それから三十五年が一〇三・六でございますから、この差の大体七%程度上がったと、こういうことに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/22
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023・阿具根登
○阿具根登君 私はきょうは質問に入るわけじゃなかったので、資料をそろえていないので今質問しているんですがね。そうすると、十三万が十五万に上がったというのは、今説明された消費者物価だけでも平均七%上がっておる。ところが、実際問題として、これは電気税、ガス税、運賃、その他一般のものを上げれば、こういう七%や八%じゃない。もっと非常に多くの生活物資、一般に生活状態が上がっておる、こう思うわけです。そうすると、十三万を十五万に上げた意味というのは何もない、こういうことになるわけですね。たとえば一昨年十三万が最低であって、ことしが十五万だというのは、一昨年の十三万のほうが生活しよかったわけでしょう。そう思いませんか。そうしますと、十三万円を十五万円に上げた根拠というのは、一体何から持ってきたか。さっき説明されたような、ほかの法律案でこうきまったから、ああきまったからと、こうおっしゃるけれども、実際、児童の扶養に関する問題であるとするならば、厚生省としては、そういう問題をまず考えなければ私はならないと思うのです。ただ、ほかの法律がこうなったから、私のところも順次それにならいました、これじゃ私は通らないと思うのですが、どうですか。十三万と十五万というのは妥当な線と思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/23
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024・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 先ほども申しましたように、児童扶養手当で、国民年金法を無視しまして特別のこういう所得制限を緩和するという措置は適当でないと思うのでありますが、立法の当初、この所得の制限をどうするかでいろいろ御論議がありました結果、やはり地方税法を基礎に置くのが最も適当であろうというようなことでこういう結果になったのでありまして、確かにお説のように、手当の内容をよくしたり、あるいは所得制限を緩和するということが望ましいことでありますが、他の制度とのつり合い上こういうことに落ちついたということでございまして、国民年金法の所得制限の緩和との問題等にからんでこれは検討されてしかるべき問題だと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/24
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025・阿具根登
○阿具根登君 国民年金でこれと均衡をとったということをいわれておりますが、じゃ、この第一子の八百円というのは、これは国民年金と照らしてどこに該当しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/25
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026・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) この児童扶養手当が立案されました当時、第一子の手当の額をどうするかということで、いろいろ御論議が国会においてもあったわけでございますが、国民年金法では、母子の手当と母子の年金ということで、母もその対象になるわけでございます。したがって、児童手当法では児童だけを対象にいたしておりますから、その関係で、金額を年金法の母子年金よりも低くしてしかるべきであろうということと、もう一つは、公務員等の扶養手当の額が当時六百円でございましたが、それよりも少し高目がいいであろうということで、第一子は母子年金と公務員等の扶養手当の中間ということをめどにしてきめられたといういきさつがございます。しかし、第二子以後になりますと、できるだけ国民年金と母子年金に近づけたいという考慮から、第二子以後は歩調を合わせて同額にするというようなことで立案、御審議を経るという経過をたどっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/26
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027・阿具根登
○阿具根登君 それにしても、国民年金法の福祉年金額の千円と、何で第一子と同様にできないか、当然起こってくる疑問だと思うのです。それからもう一つ、これは大臣にお尋ねしたいのですがね、こういう問題が起こってくれば、国民年金との関係があるのですね、母子手当との関係があり、福祉年金との関係がある、こういうことで同じ家庭の中に同じ生活をしておる人を、一人の人は国民年金だ、一人は福祉年金だ、一人は母子手当だ、一人は児童扶養手当だ、こういうようなことをされるから、お互いがお互いの足を引っぱり、私は一本化できないと思う。役所の一番悪いところだと思うのですがね。同じ家庭の中で生活しておるのを、なぜ一本の体系にきめられないか、どういうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/27
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028・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) この児童扶養手当の制度は、先ほど政府委員も申しましたように、国民年金のうちの母子年金というものができましたわけでございますが、国民年金でいう母子年金というのは、御承知のように、夫と死別した母子というものを中心に制度ができておるわけでございますが、また、それ以外に、いわゆる何と申しますか、保険料権利義務の関係においてものをきめるのには、死別ははっきりいたしておるし、生別のほうはそういうわけにも参らないというようなことから、これははずされておるわけでございますが、しかしながら、実際から申しますというと、生別でありましても、子供のことを考えますれば放置すべきでないというので、補完的な意味でこの制度を作っている、こういうような建前にこの法律ができておりますので、いわゆる母子年金と児童扶養手当というものは、実質的には気持は同じであろうかと思いますけれども、制度上は分けざるを得ないというようなことで、これは分けておるものと私は考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/28
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029・阿具根登
○阿具根登君 いや、国民年金で母子手当があり、あるいは老人の手当があり、こうするならば、児童手当が国民年金からはずされておるのが私はおかしいと思うのですよ。当然児童扶養手当というのは国民年金の中に入ってくると私は思うのです。それも今までの惰性で、まあ今までの行きがかり上、これは児童扶養手当として別個に出すのだ、そういうことになるから幾つもの手数がわずらわされるし、そして、こうも幾つもの機構がもう複雑になり、ますます私は逆の方向にいっておると思うのです。今言われておるのは、すべて合理化でしょう。これは民間等の仕事は、ほとんど合理化で御承知のような問題が起こっているわけなのです。お役所だけは何でもかでも複雑化してきている。同じことを二度手間の要るようにしている。そして日本は役人の天下になっておるわけなんです。こういうものこそ、当然国民年金にしなければならぬと私は思うのですが、それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/29
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030・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 国民年金は、御承知のように、その年金を受ける資格において、かなり正確なと申しますか、はっきりした——言葉が適当であるかどうか存じませんけれども、はっきりした母子関係というものをつかまえておるわけでございます。それから、いわゆる拠出年金がほんとうに働いて参りますれば、福祉年金という制度は、国民年金のほうから申しますというと、自然に必要がなくなってくる制度でございます。したがって、ただいまのところは、国民年金中のいわゆる母子年金というものとこの児童扶養手当というものが見合うものとして御了承願いたいと思うのであります。児童扶養手当のほうを申しますというと、いわゆる生別という関係でございますが、死別した関係とは状態がだいぶ違うわけでございます。したがって、母子手当、児童扶養手当の支給といった性格につきましても、母子年金の場合とは私は違っているように思うのでございます。詳細につきましては、政府委員から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/30
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031・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 確かに先生のおっしゃるように、社会保障の法規が非常に乱立をしておりまして、能率を阻害していることは事実でございます。できるだけ統合化の方向が確かに進歩した方向でございます。しかし、この児童扶養手当は、ただいま大臣が申されましたように、生別等の母子所帯を中心にいたしておりますが、この生別——離婚ということが保険事故として考えられるかどうかという問題がございます。各国のいろいろ事例を研究しましても、離婚というものは、保険事故として取り扱われておる例はないのでございます。つまりこういう年金制度にはそぐわない制度で、どちらかというと、社会扶助的な制度として取り扱うというような各国の例がございますので、残念ながら国民年金に取り入れることができなくて、しかし、均衡上何とかしなければならないというのでこの児童扶養手当ができた、こういう経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/31
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032・阿具根登
○阿具根登君 そうすると何ですか、母子福祉年金と児童扶養手当を一緒にするお考えがあるようですね、この説明を聞いておりますと。そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/32
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033・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 確かに家族手当と申しますか、子供のみならず、母なり、あるいは直系尊族の年寄りなりというような勤労者が家族を持っておる場合、家族手当という制度は各国にございます。したがって、母子年金とこの児童扶養手当というものを統合して、将来家族給付といいますか、家族手当ということは、一案としては考えられるわけでございますが、ただ、現在の国民年金の建前では、御承知のように、無拠出年金の場合と、保険としての年金の場合とがございまして、保険としての年金は、この生別の母子所帯はそぐわないというようなことから、別個に切り離された制度としてスタートしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/33
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034・阿具根登
○阿具根登君 そうすると、厚生省の将来の見通しとしては、一体どういうようにお考えになっておるのか。たとえば諸外国の例ではこれはだめだ、あるいは生別、死別の問題についてだめだ、あるいは母子福祉年金と児童扶養手当は一緒にすべきである、国民年金とは一緒にすべきでない、いろいろそういうむずかしい問題だけを並べておられるとすれば、将来ちっとも前進する可能性はない、こういうふうに私たちは考えざるを得ないようになってくる。これではますます複雑になってくるし、ますます問題はこんがらがってくる。そういう問題は、一つの法律を作る場合にはいろいろあることはわかっておりますが、そういうものをどうならしていくかという問題が、私は、これを一本にしていく、統合していくという努力が要ると思うのですよ。今のままではそういうことは考えられぬ、いつまでたってもこういうことでは。しかし、実際問題としては、国民年金でこうきまっておるから、母子福祉もできませんとか、あるいは児童扶養手当もできませんとか、質問すれば一つのやはり柱になっているわけですね。別個になっている意味は何もなさないで、なぜ別個にといえば、死別だ、生別だということをおっしゃる。そうすると、ますますこれは統合することができないことになる。分離されているなら分離されておるだけに、たとい国民年金でどうきまろうと、これは児童を扶養している人は、特にこれは第一に十五万円くらいで、それが八百円、六百円というような手当ではとても食えない。だったら、それは国民年金はどうあろうとも、児童扶養手当はこうすべきだというようなことをみな出されるなら、私はそれでも一応了解しますよ。ところが、そういう実際問題はわかっておりながら、国民年金がこうだからこれはできませんよというならば、分離しておる意味は何もない。それだから、言いわけのために、こっちを聞けば、こちらがつながっておるからだめだと言うし、じゃ、一緒にせいと言えば、いや、これはこういう理由でされません。それじゃあなた何のために質問やってるか、さっぱりわからぬです。だから今後の見通し、厚生省の心がまえ、一体どういうふうにお考えになっておるか、その点をひとつお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/34
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035・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 先ほど来申しておりますように、国民年金の制度は、保険というとおかしいですが、国民年金に加入するかいなかというようなことは、これは義務づけられておる問題でございます。そういうようなことで、死別というものを一種の保険事故としてものを考える、そういう関係でただいまのような制度ができておるわけでございます。政府委員も申しましたように、生別ということになりますというと、死別の場合とはちょっと性格が違うというようなことで、少なくとも現在の国民年金の中に取り入れることは適当でない。しかし、子供そのもののことを考えた場合には、生別の場合といえども、子供の健全な育成ということについて考えなければならぬというところで、国民年金の一種の補完的なものとしてこれができておるわけでございますが、ただ、阿具根さんのお尋ねになります問題は、将来一体どうするかという点にむしろ主眼がおありになると思うのですが、いわばILO条約等にも申しておりますところの児童手当でありますとか、あるいは家族給付でありますとか、そういったふうのものについての考え方という点が御心配ではなかろうかと私は思うのでございます。このような問題については、われわれといたしましては、今後何と申しますか、児童手当という言葉で進むのがよろしいのか、あるいは家族給付というような内容で進むのがよろしいのか、これは問題であると存じますけれども、ともかくそういったふうの制度を検討いたしまして、実はこれを確立して参りたいという考え方は持っておるわけでございます。ただいま厚生省内におきましては、児童手当制度というような名前のもとにいろいろ検討をいたしておるところでございます。将来も、制度といたしまして、あるいは児童手当制度というものがよろしいのか、家族給付というふうな制度としてものを考えるのがよろしいのか、その辺にはいろいろ議論があろうと思いますが、ともかくそういう方向に向かって努力をいたしております。これはまあよけいなことを申し上げるようでございますけれども、いろんな角度からその必要性を感ずるわけでございます。現在の子供の出生率というふうな点から考えてみましても、健全な子供をできるだけ育成していくということに努めなくちゃならぬという、大きな人口問題的な意味もございましょうし、将来の労働力という意味からも大事な問題である。同時に、また、労働政策その他の関係から申しましても、家族給付ないし児童手当というようなものを考えなければならない段階にもうきておるものじゃなかろうか、かようにも考えられますもので、いろいろな角度からどういう趣旨のものを作っていくか、あるいはどういう内容のものを作っていくか、また、やるとすればどういう方法でやったらばよろしいか、かような基本的な問題については、実は今取り組んでおるわけでございますが、方法としましては、いわゆる児童手当制度、こういうふうなものを社会保障の一環として確立したい、この心持をもって検討いたしておるようなわけでございます。さようなものができ上がりますれば、現在、児童の保護というような見地から、いろいろなところにいろいろなものが行なわれておるわけでございます。今の母子年金もその一つでございまして、また、この児童扶養手当もその一つでございましょう。そのほか税制その他の点におきましても、こういうふうな趣旨をもっての税制も行なわれておる。いろいろな方面にそういうふうなものがございますが、かように関係するところが多いわけでございますけれども、これらをすべてひとつ引っくるめて集めてみましていろいろ検討をしまして、何かこの児童手当、あるいは家族給付といったふうのものをぜひ確立したいものだ、こういう考えで検討いたしておるわけでございますが、その間において、ただいまお話になりましたような問題につきましても、十分ひとつ検討して参ることにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/35
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036・阿具根登
○阿具根登君 私はこれでやめますが、次回に私も資料をそろえますが、厚生省のほうでも少し資料をそろえていただきたい。ただいま御答弁になりましたものの裏づけになる資料をそろえていただきたいと思います。各国で児童扶養手当は年金制の中に入っておないとか、あるいは母子扶養手当との差ですね、一緒になれない差、そういう各国の問題もあると思いますし、あるいは日本の経済の伸び、生活の上昇、それから一般勤労者の賃金の上昇、そういうものの資料を次にそろえていただきたいと思います。
で、私は最後に質問をしましたその目的というのは、私どもが聞いた範囲内においては、昭和四十年には一応児童手当の本格的なものを打ち出したいという意欲があるということを聞いておりましたので、少なくとも大臣から、昭和四十年にはこういうものを
一本化するように努力をしたいとか、あるいは児童手当については、これは母子年金等の考え方もにらみ合わせてどうなるかというような、何かお答えがあるかと思って期待しておりましたが、もちろんILOは当然のことでございまして、質問を私がする前にILO問題をお気づきになりましたが、それはまあそのとおりです。で、先ほど要求しました国際的な問題も、ILOを考えて私はまあ要求もしておるし、質問もしておった。これは大臣の指摘したとおりです。そういうことで質問いたしましたが、きょうは私も資料不足ですし、厚生省のほうにも、どういう質問をするか、通知もしておりませんでしたから、私の質問はこれで終わって、あとは資料をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/36
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037・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 児童局長、できるだけ次回に資料を整備して来て下さい。
ほかにどなたか御質疑ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/37
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038・永岡光治
○永岡光治君 改正の第一点であるこの一人当たりの単価、こちらに明示されております一人の場合八百円、二人の場合が、初め千二百円であったものが千四百円、三人以上になりますと、一人ふえるごとに従来の二百円が四百円になるのだ、こういうことでございましたが、この算出の根拠と申しましょうか、これが妥当だという根拠はどういうところからお出しになったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/38
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039・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 先ほど阿具根委員にお答えいたしましたように、第一子を除きましては、国民年金の母子年金にできるだけ近づけたい、同一にしたいという企図からでございます。したがいまして、この算出の根拠と申しますか、国民年金と同様でございますが、ただ、ここで問題は、一体第一子、第二子、第三子、こういうふうに差をつけたがいいかどうかという問題がございます。で、これも家族給付等で各国の事例を調べてみますと、非常にまちまちでございまして、たとえば外国の例では、イランという国がございますが、ここでは第三子からでございまして、第三子が最低賃金の八%、第四子が六%というふうに、これは逓減をしておる。同じような例がユーゴスラビア等にもございます。まあこれは日本がこの制度に近いものを採用したわけでありますが、ところが、児童数がだんだんふえるに従いまして逓増するというやり方がございまして、たとえば典型的にはソ連でございます。また、イギリスにおきましても、第三子以降になりますと増額になるというような事例、それから、一子も二子も三子も同額になるというような事例、まあいろいろございますが、実は、しかとした資料がないのでございまして、本年度児童養育費調査というものをやりまして、この調査によりまして、一体第一子、第二子、第三子、あるいは年令別、あるいは男女別等で一体養育費がどれくらい差があるものか、詳細なデーターを今求めるべく調査をいたそうという企画を立てておる最中でございます。ただ、既存の資料では、昭和二十七年に児童の生計費に関する調査というのを厚生省でやったのでございますが、まあそれによりますと、一応住居とか光熱とか、そういう共通の経費がございまして、収入階層における児童別の消費単位当たりの生計費というものを調べてみますと、だんだん生活費が逓減するという事例がございました。それで、とりあえずこの資料に基づきまして、まあこういう逓減をするという方式をとったわけであります。ただ、その逓減が六百円とか四百円というような逓減が適当かどうかは、額の問題については自信がないのでございますが、まあ一応腰だめとしてこういうような数字にしたという経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/39
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040・永岡光治
○永岡光治君 今その実態調査をしました既存の資料は、昭和二十六年のときので、それで共通のいろんな経費がかかるからこういうふうにしたんだ、一応実態はそれで認めたにしても、実態をそういうところで見るならば、共通経費の実態という、そういう実態に根拠を置くならば、おそらく千八百円では暮らしようが私はないと思うのですね。なぜもうちょっとそういう実態というものを考えないのかということを言いたいわけですね、ほんとうを言うならば。たとえば二人ならば千四百円、三人で千八百円ですか、一人当たり六百円ということになるわけですが、そのくらいでほんとうに補助をしたということになるのかどうか、今日の物価の状況からしますと。だから、同じ実態ということにあなた方が根拠を置くことを主張されるならば、生計費の実態にもうちょっと重点を置くべきじゃないか、もうちょっとというよりも、思い切った重点を置いて私は検討していただかなければいかぬじゃないかと、こう思うわけです。私は不勉強で申しわけないんですが、国民年金法との関連で、ほかの法律からこういう金額になったのだと、こういうふうにおっしゃるのだろうと思うのですが、そうすると、今度は国民年金法と同じおたくのほうの所管事項になりますから、そこまで入ってこの論議をしなければならぬということになるかと思うのであります。だから、児童の扶養手当法は、母子年金法、国民年金法のあれになったけれどもということでなしに、一体その前の、その基本になったそのことが正しいのかどうかということを、特に私は所管の大臣としての見解をこの際明確にしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/40
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041・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 国民年金で、御承知のように、老人に対する福祉年金、それから母子福祉年金、それから障害者に対する福祉年金で、それぞれ老人に対しては千円、障害者に対して千五百円とかいうものを今出しておるわけであります。この金額が多いか少ないかということは、これは議論になってくるわけでございますが、今日までの経過から申しますと、私も率直に申し上げまして、千円とか千五百円という数字、これで暮らしが立つものとは思っておりません。ただ、幾らかでもこれが暮らし向きの上においてお役に立つというふうな程度のものであろうかと考えるわけでございます。この福祉年金、あるいは今度の児童扶養手当そのものが、それによって毎日の生活が十分にやっていけるというだけのものでないことは、これは明らかであると私は思うのでございます。多少でもこういうものによって老人が幾らかでもしあわせになる、あるいは子供さんをかかえているお母さんが、学用品の一つも買ってやることができるというような意味においてお役に立つ、また、その範囲においては喜ばれていると思うのであります。この金額そのものにつきましては、もちろん問題があろうと存じます。ただ、従来やって参りましたことは、国民年金にいたしましても、いろいろ支給することについて、かなり条件があるわけであります。その条件を順次緩和して、支給の範囲を広くしようということに今日までの私どものほうの努力がなされておるわけであります。金額の問題につきましては、これが必ずしも未来永劫に固定するものではない、かようにも思いますが、今までの考えでは、支給の条件を広げ、対象の範囲を広げていくというほうに、どちらかと申しますれば、力を入れて参っておるのが現状でございます。金額そのものにつきましては、将来ともに、なお私どもも気をつけて検討いたしてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/41
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042・永岡光治
○永岡光治君 まあ大臣の考え方はわかりました。それを私たちは認めるわけに参りませんけれども、考え方として、少しでも足しになればという気持でやっているのだという、こういう大ざっぱに言えばそういう御説明ですが、それで、これも不勉強でたいへん申しわけないわけですが、変遷ですね、金額の変遷は最近どういうふうになっているのですか。国民年金がもとになっているんじゃないですか。たとえば今やっている改正は、この四月からやるということになるわけですが、今日の規定の改正はいつなったのか、それとも、もう改正はなっていないで、現状のままにずっときたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/42
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043・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 先ほど申しましたように、児童扶養手当法は本年一月一日から施行になっているわけであります。この施行の当時の金額が、児童一人の場合が六百円であったのでありますが、今度御審議を願いましてこの法案が成立をいたしましたならば、これが千円になり、それから第二子の場合には、二百円であったものが四百円にふえるというようなことで、始めたばかりでございまして、この法案の成立によりましてこういうふうな今回の改正がなされるというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/43
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044・永岡光治
○永岡光治君 これは大臣のほうにお願いしたいわけですが、私の前に阿具根委員からも触れられておりましたけれども、十三万円から十五万円に引き上げたということは、引き上げないよりはましなんですけれども、この十三万円というその考え方、そしてまた十五万円にしていったわけですが、たとえば近い将来こういうふうにしたいのだという、そういう何かお考えでもあれば……。ただ、いや、その場になってみなければわからぬという程度のものなのか、それとも、何か一つの展望をお持ちになって、それに向かって努力していこうとされているのか、この金額の点について、あるいはその内容について、何かあればひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/44
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045・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 十三万円とか、あるいは十五万円という数字をとりましたのは、これは先ほどもお答え申し上げたと存じますが、税制に関係を実はいたして、それを基準にしてやりましたようなわけでございます。それから、金額につきましては、実は国民年金にいたしましても、まだ施行早早でもございますから、児童扶養手当はことしの一月から実施したばかりでありますけれども、引き上げたい、こういうふうなことを考えておる次第でございます。決してこれでもって今後ともやっていこうというつもりではございませんけれども、ただいまお答えを申し上げることは、そういう問題につきましては、なおひとつ今後とも続けて検討さしていただきたい、こういう程度にとどめさしておいていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/45
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046・阿具根登
○阿具根登君 ちょっと関連して質問しておきますが、母一人、子三人の場合、生活保護をまるまる受けておる人は一体どのくらいの収入になるのか、これは地域にもよりますが。それから十五万円以下の収入の場合、これでいけば大体一万三千円ぐらいになりますね。そうすると、一切がっさいを含めると、月額はどのくらいになるか、それをちょっと知らせて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/46
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047・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 子供の年令の別がわかりませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/47
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048・阿具根登
○阿具根登君 これが適用されるものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/48
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049・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 義務教育終了前のものを対象にいたしておりますので、第一子が八百円、第二子が六百円、第三子が四百円でございますから、月千八百円になるわけでございます。生活保護費のほうはちょっと今資料がございませんが計算を後刻いたしまして御答弁申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/49
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050・阿具根登
○阿具根登君 生活保護費はない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/50
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051・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 実は今手元に保護基準の表を持っておりませんので、簡単に計算できないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/51
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052・阿具根登
○阿具根登君 いいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/52
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053・高野一夫
○委員長(高野一夫君) ほかに御発言ありませんか。——御発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度で終了したいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/53
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054・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 御異議ないと認めます。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/54
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055・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 速記を始めて。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/55
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056・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 次に、国民年金法の一部を改正する法律案を議題といたします。まず、政府委員から細部説明を願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/56
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057・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) お手元に差し上げました「国民年金法改正予定内容対比表」によって細部の説明を申し上げます。
拠出年金については、今回の改正点は、保険料の免除を受けた場合にも国庫負担をするということを基本にした改正でございます。この問題は、前国会におきましても、当委員会でも御決議がございまして、保険料の免除を受けた場合に、福祉年金だけを出すという仕組みを改めて、このものにも拠出年金が出るようにする、全期間の免除を受けるというような場合でも拠出の年金が受けられるようにすべきである、こういう御決議があったわけであります。そのためには、保険料の免除を受けて保険料を納めない場合でも、国が保険料の納付をしたものに相当する程度の国庫負担をするということが必要になるわけでございまして、それを今回やる、こういうことにいたしたわけであります。やり方といたしましては、前年度において免除を受けたものの納めるべきであった保険料の半分、これはまあ納めた人の国庫負担の場合もそうでありますが、それを次の年度に国の予算に計上して処置をしていく、こういうことに相なったわけであります。それで、さしあたり昭和三十六年におきましては、保険料の免除を受けましたものがおよそ百三十万程度と見込まれましたので、これは年間平均しての話でございますが、これに対応する所要額は九億五千五百二十万円を計上した、こういうことでございます。保険料の免除を受けましたものの数は、年間を平均いたしますと百三十万でございますが、これはその後逐次ふえております。現在では百六十五万程度になっております。おそらく今後もふえて参る思います。この点については、すでに衆議院のいろいろな御質疑の際におきましても政府側から態度を明瞭に示しておるのでございますけれども、これは一定の基準をきめてやっておりますので、その基準に合致する限りにおいては、人数がふえることは当然あり得る。むしろ見込みとして私どももう少しふえると思います。そういう予想で事に当たっていく、こういう考えでございます。そうして実際に免除を受けたものに相当するだけのものは、次年度で予算を計上する。これは法律上義務費でございますので、あらかじめ予算をきめておいて、この予算に合うように免除を押さえつけるというようなことは一切しないという内容になっております。これが基本でございます。この保険料の免除について国庫負担をすることになりました結果、2以下にあげておりまするようないろいろの積極的な施策が行なえることになったのであります。一つは老齢年金の受給資格期間が緩和されることになったのであります。現在の制度では、保険料の免除を受けた人の場合は、少なくとも十年以上の納付がないと老齢年金の支給が受けられない、こういうことになっておったのでありますが、今回免除に国庫負担がつくことになりました関係上、もはやそういう制限は省きまして、とにかく保険料を納付した期間か、あるいは納付した期間と免除を受けた期間の合計の期間か、あるいは免除の期間だけ、これが二十五年以上になりさえするならば老齢年金が受けられる、こういうことにしたわけでございます。したがって、先ほど申し上げましたように、全期間免除を受けるというような、これは実際上そういうことはほとんどないと思いますが、そういう場合でも受けられる、こういうことになったわけであります。
それから第二は、老齢年金の額の引き上げがこれによって行なわれることになったのであります。保険料の免除を受けました場合でも、それに一定の国庫負担がつけられて参りますので、今までは免除期間は、受給資格期間の面においては、ある程度積極的なプラスの作用をすることになっておったのでありますが、年金額をきめる上においては、これはいわばゼロとして計算しておるのを、今回この措置によって一年について三百五十円という基礎で計算をすることになったのであります。この三百五十円というのは、保険料を納付いたしました期間に応じてきめられている金額の三分の一でございます。これは先ほど申し上げましたように、国庫負担は、保険料の納付をした場合に、その半分だけつくということになりますので、それに対応する金額はつまり三分の一ということになるわけでございます。この点について、もっと上げられないかという御意見と、また、別に渋いほうの意見では、もう少し低目にしたらという意見と、一応意見としてはあったのでありますが、現在のように、いずれの人からも同じ額の保険料を納めるという仕組をとっております以上、この点はやはり三分の一という線をはずすわけにはいかぬ。これよりも少なくするということは、理屈が通らないだけでなく、これは問題にならぬ。同様に、多くすることも、やはり理屈の上からいって不可能だと、こういうことで、正確に三分の一ということにしたのでございます。
それから三番目に、ちょっとそこのところがプリントが悪うございまして、障害、母子、準母子、遺児年金の改正というのが表題でございまして、老齢年金の改正に伴い、受給資格要件及び年金額を調整するというのがその説明でございます。ただいま申し上げましたように、老齢年金の受給資格要件が改正されましたのに対応いたしまして、障害、母子、準母子、遺児年金というように、短い期間で年金が受けられるものも積極的に改正をしたいということで改正をしたのであります。現行の制度では、三年間の資格期間のうちで、半分だけ免除を受けておればよろしい、あと半分納付、こういう要件でありましたのを、この際、三年間については全部免除されてもよろしい、こういうことにすると同時に、年金額については、このような短期の、しかも、社会保障性の特に強い年金につきましては、納付した場合と同じにするという改正措置をしたのであります。したがって、三年間免除を受けました人が、不幸にして事故にあいました場合は、納付したと同じように、障害年金でありますれば一級二千五百円というものが受けられるというような改正にしようというねらいであります。
それから(4)、(5)は、以上の措置に対応いたしまして必要のなくなったもの、あるいは当然手直しをすべきものを手直しをするというような趣旨のものでございます。
それから福祉年金の改正点でございますが、第一が本人所得制限の緩和でございます。先ほど御論議になりましたように、今までは本人の所得が十三万円をこえておりますと支給停止をしておったのでありますが、これを十五万円に引き上げるということにしたのであります。この結果、対象人員が約二万人増加いたします。所要額が八カ月分として一億八千七百万円、こういうことになるわけであります。なお、この十三万、十五万というのは、先ほど来御論議になったような経緯できまったものでありまして、本来ならば、福祉年金は一応どなたにも差し上げたい。しかし、全額国庫負担だということもあるし、また、所得のある人に差し上げるよりは、それだけの財源でより乏しい人々の受けるべきものを充実したい、こういうようなことからして、この所得制限の基準がきまったわけでございます。
なお、今回地方税法がさらに改正されまして、この十五万というのが十八万というふうに改められましたので、これは厚生省当局としては、当然明年度からは国民年金、児童扶養手当を通じて、少なくともその程度までいくという腹がまえは持っているわけであります。ただ、先ほど来の御論議は、より積極的なことをするかどうかという点については、目下さらに厚生省部内でいろいろ可能性を検討している、こういう状態でございますので、一応のところは大体十八万円程度というものを目ざしていろいろの作業を進める、こういう段取りになろうと思います。
それから、次が母子福祉年金における加算額の引き上げでございます。これも先ほど御論議のありましたところでございますが、現在の仕組みは、子供一人、母親という場合は、基本額として一千円ということにきまっているのでございます。この額については、もちろんいろいろ御論議がありますけれども、経過を申しますと、内閣の社会保障制度審議会がこの答申をされるときに、当時の生活保護の基準というものを一応頭において、老齢年金については、福祉年金の額を千円というふうに出されたのであります。それに対応するものとして母子福祉年金は千円、こういうことにしたのであります。ただ、そのときには、子供の数にかかわらず、千円ということになっておったのでありますが、これを政府側が受けまして、幾ら何でも子供の数にかかわらず同じ額というのは、少しひど過ぎやしないかというので、全会一致の御答申ではありましたけれども、特にこの点については政府側において修正を加えまして、子供が二人以上の場合は、一人について二百円という加算額をつけることにしたのであります。しかし、この加算額については、初めであるから、芽を出す意味でしたのでありますが、何とか引き上げたい、こういうことが懸案になっておったのでありますが、今回これを普通の年金における加算額と同じ程度の四百円に引き上げたい、こういうことにいたそうというわけであります。それから、母子福祉年金と同様に、この措置は準母子福祉年金についても行なわれるわけでありまして、母子福祉年金においては、この加算の対象となるものが二十一万二千人、所要額は八カ月三億三千百万円でございます。準母子年金は一万四千人、所要額一千八百万円ということでございます。
なお、これも先ほど御論議になったことでありますが、一体この加算額というものを将来どうするかということは一つの大きい問題でございます。厚生年金でも国民年金でも、加算額を四百円ときめております。国家公務員等についてはきまっておりませんが、きめるとした場合、実は四百円というのは、先生おっしゃったように、まことにこれは中途半端な額でありまして、むしろ沿革的に家族手当がそうなっているという以外に、あまり説明のしようのない額になっているわけであります。これは今、内閣の社会保障制度審議会でいろいろ論議されておりまして、将来この問題は、もう少しひとつ本格的に考え直そうじゃないか、つけるとしたならば、もう少しつけなければはっきりした意味を持たぬ、こういうようなことと、もう一つは、先ほど来御論議になっているように、もし本格的な家族手当、児童手当というむのが発達して参りますならば、これは年金制度における子供の加算額というのは、少なくともそれに吸収されてしまってよろしいということになるわけであります。そういう問題を十分厚生省部内でも意識をして論議はしているわけでありますが、まだ結論を申し上げるところまで議論がこなれていない。内閣の社会保障制度審議会で目下そういう関連を御議論願っている。そういう関連を頭におきながら、現段階においてやるべきことだけやっていくというのが、国民年金制度なり、あるいは児童扶養手当制度における現在のやり方になっているわけでございます。
それから、三番目が公的年金と福祉年金との併給の問題でございます。現在の制度は、公的年金を受けております人々には、原則として福祉年金は御遠慮願うという仕組みをとっております。これもいろいろ論議のある問題でありますが、もともと国民年金という制度は、今まで年金の適用を受けていない人々に及ぼしたい、及ぼすべきだというところからスタートした制度であるためにそういうことになっているのであります。ところが、現実の問題として、受けている年金の額が月千円を下るという、ちょっとお考えになると想像しにくいような低い額の年金受給者というものが現実にあるのであります。そういう人々に福祉年金を全然出さぬというのも、どうもいかに何でもお気の毒だというので、現在はその一千円なり、あるいは障害福祉年金の場合は一千五百円と、その人々が受けている千円なり、あるいは千五百円以下の年金との差額を併給する、こういう仕組みをとっているのであります。それを今回さらに積極的に進めることといたしまして、月千円というのを二千円に引き上げる。もらっている年金が月二千円以下であるならば、もらっている年金と二千円との差額を福祉年金から出す。ただし、もちろん福祉年金の最高額である月千円なり千五百円というものを上回ることはない、こういうふうな改正をしようというわけであります。その結果、現在五万二千三百人ばかりの人が併給を受けているのでありますが、さらにこれによって三万八千人ばかりの人が新たに受けることになっております。こういう措置が第一点であります。
それから第二点は、同じく公的年金を受けている人々のうちでも、主として戦闘公務といったようなものに基づいた人々に対する特例措置を考えようということであります。たとえば戦争中応召で亡くなったという方々の遺族が現に公務扶助料をもらっておられます。この公務扶助料をもらっている人々に対して、一体どういうふうに考えるかということは非常に大きい問題でございまして、むしろ世間の感情からいいますならば、あれはお国のために息子が命をささげたことの代償として出ているものであって、社会保障の趣旨から出ているそれとは別だから、これは全部よこすように、こういう感情が非常に強いのであります。しかし、どうもあの公務扶助料というものの中に、それでは生活保障的な意味が全然ないかというと、これはなかなかやはりそういう議論も無理があるわけであります。問題は、結局あの中にどの程度が生活保障的なものであり、どの程度が精神をなぐさめるという慰謝料的なものであるかという振り分けがむずかしいということであります。この点については、国民年金審議会等において各界の学識経験者と御相談申し上げまして、いろいろ論議をいたしました結果、大まかに言って、現在の普通扶助料と公務扶助料との間における相関関係というものを頭において振り分けを考えたらよかろう、こういうことになったわけであります。御承知のとおり、公務扶助料は普通扶助料のほぼ三倍前後になっております。倍率は、多いのが三・五五、少ないのになると二・一二という程度になっております。階級の高いほうが少なく、階級の低いほうが倍率が高くなっておるわけであります。それを頭におきまして、年にして二万四千円というものを、三倍足らずというところに一つの線を引きまして、七万円を下る公務扶助料、その他これに準ずるものをもらっている人々には、それと七万円との差額を併給する、こういう措置をとることにしたわけであります。この点は数年来のいきさつがありますので、政府側におきましても、ずいぶんと入念に論議をし、社会保障制度審議会にもとくと御相談申し上げたのでありますが、従来軍人恩給の引き上げということに対して非常に批判的な立場をおとりになっておりました社会保障制度審議会も、全会一致で今回の措置は常識的に見ても妥当であろう、むしろ今後の問題としては、今回きめた普通扶助料と公務扶助料との間における倍率を頭においてきめたこの両者の関係というものをくずさぬということを将来とも考えるということが必要だというような点を特に強調されまして、全面的にこの措置を了承されたのでございます。それでこういうふうなことをやっていこうというわけでありますが、実はこれと並行して、当国会で恩給法の改正問題を御論議願うこととなったわけであります。その案によりますというと、ただいまいろいろ申し上げました公務扶助料系統のものについて申し上げますと、これはことしの十月から引き上げるもののうち、半分を引き上げ、残りを三十八年の十月に引き上げる、こういうことになったのであります。ややこまかい話になりますが、具体的な例で申しますと、一番低い公務扶助料は現在五万三千二百円でございます。これがことしの十月になりますと六万二千八百円になります。九千六百円引き上げであります。そうして来年の十月には、さらに九千六百円引き上げられて七万二千四百円になるわけであります。そうしますというと、ことしの十月から引き上げられた六万二千八百円であるならば、七万円との差額が何がしかあって、併給の対象になる。それから、来年の十月になると七万二千四百円になりますので、これは七万円をこえて支給停止を受ける、こういうことになるわけであります。そういうことになりました結果、こういうことになるわけであります。現在、この種の年金を受けている人が約六十二万人おりますけれども、このうち、普通の所得制限、それから、ことしの十月においてすでに七万円をこえるというような状態のために、福祉年金の併給の対象にならぬという人々が十八万人おりますので、残りの四十四万というものが今回の併給の対象になるのであります。そうしてこの四十四万人のうち、二十四万人の人が、来年の十月になりますと七万円をこえますので、これは併給の対象から消えていく。残る二十万だけが将来ともに併給の対象になるということになったのでございます。この二十万というのは、一柱の公務扶助料を老夫婦がお二人で受けているというような、実質的には非常にお気の毒な状態にある人々が将来とも併給の対象になる、こういうことになったわけであります。大へんくどうございますが、やや、ややこしいので申し上げたわけであります。
それで、今年度計上してあります予算は、こういう関係のうち、実際に支給できるものは、実は今年度はあまり多くないのであります。御承知のとおり、この軍人恩給関係の改定に要する恩給局系統の時間は非常に長くかかるのでありまして、向うが済んでからこちらが始まるということになりましたので、こちらの分としては、とりあえずこの六別程度のものを二十七万人と見込んで組んでおる、来年度この予算が全面的に出でくる、およそ年間三十億前後というふうになる見込みでございます。
それから、四番目は、公的年金配偶者の受給制限の撤廃でございますが、これは現在御夫婦のどちらかが公的年金を受けておりますというと、他方が一万二千円ではなくて、半分の六千円しか年金を受けられぬという仕組みになっております。これは御本人の公的年令についてさえも、今回のようなかなり積極的な改正をしようというときでありますので、全面的に撤廃をして、配偶者の間の、公的年金をもらっている、もらって、いないという関係は一切問わないで、もっぱら本人の所得及び世帯の所得だけを問題にしてこの支給停止問題を論議する、こういうことにしたわけであります。
以上が国民年金の大要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/57
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058・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 本案に対する質疑は次回以降に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/58
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059・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 御異議ないと認めます。
ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/59
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060・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 速記をつけて下さい。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/60
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061・高野一夫
○委員長(高野一夫君) それでは社会保障制度に関する調査の一環として、医療類似行為の現状に関する件を議題といたします。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/61
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062・阿具根登
○阿具根登君 大臣がおられないので、医務局長のほうから御答弁願いたいと思うのですが、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法に関連して質問いたします。
昭和三十五年の一月二十七日に最高裁の判決がございましたのは御承知のとおりです。その結論はどうなっておるか、御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/62
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063・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 医療類似行為で人の健康に害を及ぼさないものについては、処罰の対象にしないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/63
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064・阿具根登
○阿具根登君 そうすると、御承知のようだから、くどいことは申し上げませんで、結論的に申し上げておきますが、そうすると、現在たとえば電波関係の治療をやっている人、これは人体に無害であるということが最高裁に出ておる。そうするならば、自由に営業をやってもいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/64
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065・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 御承知のように、届出をしております者は合法的にやっておるわけでありますけれども、その他の者につきましては、一応それが人の健康に害を及ぼさないということになりませんと、禁止処罰の対象となるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/65
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066・阿具根登
○阿具根登君 人の身体に損害を与えない、そういうものは職業の自由の選択によって自由にやってよろしい、これが法の精神でしょう。憲法の精神でしょう。最高高裁で判決の出た精神がそうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/66
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067・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 判決の結果は、そういうものは処罰の対象にしないということでございますが、現在の法律の第十二条で、一応医療類似行為は、医師などは別といたしまして、行なってはならぬという建前になっておりますので、一応届け出ていない者が医療類似行為を行なうことは、一般的に禁止されています。しかし、それが、健康に害がなければ処罰の対象にならないということになっているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/67
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068・阿具根登
○阿具根登君 処罰の対象にならないということは、自由にやってよろしいということでしょう。やってもだれも処罰することはできないのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/68
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069・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 健康に害がある場合は、いつ処罰を受けるかもしれないという不安がその人たちに残るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/69
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070・阿具根登
○阿具根登君 私はそういう質問をしているのではないのです。最高裁において、これは身体に損害を与えないという結論が出ておるわけです。そういうものに対して法で禁止する権限があるかどうか、これは法律できめる場合に、憲法に抵触する場合はその法は無効なんです。憲法で職業選択の自由と、身体に損害を与えないということでは、自由に職業をやって、よろしいということがきまっているのです、そうでしょうが。そうだったら自由にやっていいかということを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/70
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071・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 裁判で電気光線等でこういうものは無害だというようなものはきめられておらぬと思いますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/71
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072・阿具根登
○阿具根登君 結局はあまり御承知じゃないようですから、課長さんどうですか、あなたから説明してくれたらどうですか、この局長はあまり御承知ないようだ。医事課長、あなた説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/72
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073・曽根田郁夫
○説明員(曽根田郁夫君) ただいま局長から御答弁申し上げたことで大体尽きると思うのでございますが、要するに、一般的に医療類似行為というものも禁止されているということには変わりないのでございまして、最高裁の判決は、たまたま当該事件になりますと、特定の業種について、それは必ずしも身体に積極的に害がないから処罰はできないということをいったまでであって、一般的に医療類似行為そのものが法律で禁止されているという考え方そのものには変わりない。たまたま特定の業態について違反事実が起きた場合に、それが具体的に健康に害があるかどうか、それがはっきりしない以上は処罰できないということだけを示しておると考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/73
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074・阿具根登
○阿具根登君 それが最高裁の判決によって、無害な医療行為はだれでも業とすることができるということにはっきりなっておるわけですよ。そうすると、まあそれは電波の問題、いろいろありましょうが、現在やっているものが人体に有害であるということは、全然これは判決も何もないわけなんですよ。無害になっておるわけです。そうすると、その人たちは自由にやれるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/74
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075・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 最高裁に訴えられた電気療法は無害だということになっているわけじゃないのでありまして、健康に害があるかないかを判示しないで、ただ十二条によって禁止処罰の対象とすることは、法の趣旨に反するという判決であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/75
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076・阿具根登
○阿具根登君 では、局長は有害と認めておる、それを有害だと認めていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/76
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077・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) それは調査研究に待たなければはっきりしたことはわかりませんが、一がいに無害だとはいえないと思います。施術の方法いかんによっては、患者の病気や症状によって有害の場合もあり得るかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/77
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078・阿具根登
○阿具根登君 そういう観念的な考え方でなくて、もしもあなたがそういう概念的に有害なんだ、無害と一がいにいえないというなら、どこまでが有害である、どういう医学的見地に立って、科学的見地に立ってどこまでが有害であり、どこまでが無害であるということをしなかったら、一般の病院なんかでやっているのは一体どうですか、あれは無害だからやらしているのでしょう。病院なんか電気治療やっているでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/78
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079・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) それは医者が診断をいたしまして、医者の指示のもとにやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/79
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080・阿具根登
○阿具根登君 もちろん、それは医者の指示のもとにやっているけれども、有害であるという証拠は、あなたが何かここに出さなければ有害と断定するわけにいかぬ。最高裁でさえも、適正な医療行為はだれでもできるということを出されているのだから、それなら、たとえばこの前も僕は質問したのですが、デパートでも電気治療器を売っている、五千円も一万円もするというのがありますよ。これは有害ですか、無害ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/80
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081・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) それは、ただ機械が有害であるとか無害であるということは一がいにいえないと思います。やはり施術の方法やその患者の症状等によりまして無害の場合もあるし、有害の場合もあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/81
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082・阿具根登
○阿具根登君 そういうはっきりわからないやつを法で規制するというのはおかしいのですね。あなた自体おかしいじゃないですか。それじゃデパートでなぜ売らせますか、そういう有害か無害がわからぬようなやつを。あれはだれでも買って使っていいのですよ。有害か無害かわからないなら、そんなものは許可することができない。あるいは有害かもしれないということになったら、それはやることはできない。しかし、この程度までは有害じゃないということで売っているわけなんですよ、そうでしょう。あなたの論法でいくなら、あんまであれ、医者のほうのも有害無害ということはいえない。あなた方が許可しているあんまでさえも、あるいは有害な人があるかもしれないし、有害な人があるかもしらぬですよ。それはあなた認めますか。あんまは一切無害だ、あるいは患者によっては、あんまだってできない人があるかもしれぬ。電気だってそのとおりだと思う。しかし、全般的に見て、これは無害だということで一切の業務を私は許可されたと思う。それをあなたみたいに、有害か無害かわからぬから許可しないといったら、一切のやつはストップしなきゃいけない。私はそう思うが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/82
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083・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) そういう点は、確かに判然といたさない点があるわけでございますけれども、現在届け出ておる療術行為にいたしましても、それが全部無害だ断定のもとにこれが許されておるわけではないわけであります。現在やっておるものの中でも、有害であることがわかれば、それを停止することになっています。従来療術行為については、相当調査研究をしてもらったのでありますが、何しろ何百種というほどたくさんございましてまだ体系的にまとめて、それがはっきりとこういうものは許可してもよいというような結論が出ていません。したがって、現在審議会を設けて、引続きこの問題を検討している段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/83
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084・阿具根登
○阿具根登君 あなたのそういうような煮え切らない態度が、今日三年から三年として、これは治療している人が生活の不安におののいているんですよ。あなたのそういう感覚でいくならば、またこれは三年延期になりますよ。そうすると、この人たちは生活のために全部業をやります、しろうとでもどんどん。そして、その人たちは、これは無害だ、この電波はどこでも使っている、あそこでも使っている、この病気にはこういうことをやっているとみな研究していますよ。それが全部看板をかけて業務を行なった場合、あなたがこれを告訴しても、最高裁で、無害でだめになりますよ。有害と知って業をなすような人は、それは処分の対象になります。それはできません。しかし、おそらくこういうことをやる人は、相当研究をして、これは病院でも使っておるし、あるいは今日までの経験上、これは非常にいいんだという確信を持ってやっておるわけです。その人たちがこれが業を行なった場合、その場合にあなた方は、これは無免許だからといって告訴するでしょう。告訴したら、この最高裁の裁判のように、無害だから自由ですという裁判が出ると思うんですよ。そうすると、これは野放図にやっていいということになりますよ、野放図に。だから私は心配して言っているわけなんです。有害か無害かわからぬから、だから許可をしないんだとか、だからどうだというようなことをやっておられるから、それじゃこれで生計を営んでおる人はあぶなくてどうしようもない。そうすれば、最高裁の判決までおれたちはやるということをやってみなさい。これは憲法の保障するところで、職業の選択の自由ですよ。そうすれば、何のために法があるのか、さっぱりわからないということになってくる。だから、有害なら——電波は強弱ありましょう、どの程度をどういう治療に使えばこれは有害だとか、あるいはこれは無害だとかいうのをはっきりさせんことにはできぬわけですよ。それをはっきりさせずに、有害かもしれぬ、無害かも知れぬというならば、すべての行為は有害でもあり、無害でもある。薬だってそうですよ。薬だって有害でもあり、無害でもある。あるいは飲み過ぎれば毒になるんですよ。そういう問題は、一応ちゃんとこの薬はこのくらい飲めばよろしいということを全部検定したりしてやっているでしょう。それならば、電気治療器をデパートなんかで売っているけれども、有害か無害かわからんものを売っているというのはおかしいのじゃないですか。これは一応無害だろうということで売っているんでしょう。有益だというところで売っているんでしょう。その場合、この前も明確な答弁がなかったが、たとえば一万円なら一万円の電気治療器をあそこで売っている。ところが、一般庶民は一万円の電気治療器を買うということは、これは無理です。ちょっとした肩がこるとか、あるいは神経痛で動かないとか、あるいは骨折のあとの何で動かないとか腰痛だとかという人が、一人々々一万円の電気治療器を買うわけにはいかぬ。それで、私なら私が買う。そうしてそういう人たちに、じゃ治療してあげましょうといってやる場合、これは違法になりますか違法になりませんか、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/84
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085・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) それは今言いましたように、その療術行為が有害であるということになりますと、これは処罰を受ける。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/85
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086・阿具根登
○阿具根登君 もちろんそうですよ。有害だったらもちろんそうですよ。無害だったらなんぼやってもいいんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/86
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087・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 無害だったら処罰の対象にならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/87
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088・阿具根登
○阿具根登君 ならないということは、なんぼやってもいいということでしょう。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/88
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089・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 今申しましたように、施術の方法や患者の病気や症状によって判断しなければなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/89
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090・阿具根登
○阿具根登君 あのね、たとえば胃潰瘍で、胃潰瘍を手術せにゃいかんというやつに、それは手術せんでいいですよ、電気治療でなおりますよというのはあるいは無理かもしれません。ところが、そうじゃない。まあ神経痛やいろいろなものがあるでしょう。マッサージやなんかいろいろやっている。あるいは指圧や電気治療をやっているでしょう。そういう売っている機械を持ってきて私なら私がやる場合に、一万円なら一万円の資本を出しておるのだから、私が一回それでやるたびに二百円なら二百円いただきますよ。本人も、いや、一万円かけてするより、一回二百円ならして下さいといってやった場合に、これが無害であった場合は処罰の対象にならないから、営業としてやっていいということになりますね。あなたできぬといっても、無害だったら最高裁だってやっていいという判決が出ているんだ、そうでしょう。やってもいいということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/90
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091・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 今の法律の建前は、一般的に今まで届け出た者以外は医療類似行為をやってはならないという建前になっております。ただ、それを訴えられたような場合におきまして、それが無害だというような場合には、それは処罰の対象にならないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/91
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092・阿具根登
○阿具根登君 そうすると、法はきまってあっても、なんぼやってもいいということになりますね、処罰の対象にならないのだから。最高裁はやってよろしいというのだから、やっても罰は受けませんというのだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/92
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093・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 最高裁は、先ほどいいましたように、それが健康に害があるかどうかということを全然判示をしないで、ただ十二条に違反したものだということで処罰をするということは、法の解釈を誤った違法であるか、理由不備の違法であるという判決をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/93
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094・高野一夫
○委員長(高野一夫君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/94
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095・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/95
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096・阿具根登
○阿具根登君 それじゃね、今の問題はそういうことでいいけれども、これは将来の問題で、今やっているのは現在の問題です。今実際それで職業をやっている人の生活権の問題なんですよ。だから、そういうふうに厚生省があいまいであるならば、最高裁の無害であるならばということを、みんな無害を信じている。今日までやってきて害があったことはない。害があったら罰金取らにゃいかぬ。それがない。だから自分はそれを信じてこれをやった場合は、これは処罰する方法はないわけですよ、ありますか。ないでしょう。ないと、それは既成事実となってくるわけです。これでよろしいということで、自分は電気治療なら電気治療を始めた。そうすると厚生省は、これは法律できめてないからだめですよと告発しますよ、どうぞ告発して下さい、告訴した場合に、この判例によって無罪になってくる。そうすると勝手にやっていいわけだ、どんどん、だれでも。処罰の方法がないのだから、憲法に違反していないのだから、処分の方法がないわけですよ。そうすると、これは収拾つかぬようになると僕は思うのですよ。大体電気治療なんという、こういうことをやったのは、実際もう技術も何も持たない、研究も何もしていない人が、私が言うように、ちょっとした機械を買ってきて、私は電気治療師だといって、どこでもここでも治療して回るということがたくさん多くなってきたからこれを規制したわけですよ。実際憲法論議からいうならば規制できないわけですよ。だから、ここでやはり今日問題になっているこの医療法を考えなければいかぬ、こういうことになってくるわけですよ。そうすると、業者のほうも、そういう無制限にやることは、これはだめだ、相当の国家の認定も受けて、そうしてやらねばならない、そうしなければそうなってくるというわけなんです。ところが、皆さんのほうは、一切がっさいだめだというような思想があるからこうなってくるわけですよ。だから、その点についてどうお考えになるか。あなた方がだめだとおっしゃるなら、それなら懲罰を受けぬのだからやりますよ、全部、私らもやりなさいといいますよ。これは無害だから。そのかわり、人間が死んだり悪くなったりするような電気は、それは使わないでしょう。そんなことはできないですよ。しかし、からだに無害だ、これは治療に役立つというものをやるようになってくれば、これは処罰の方法がないのです。だから、これをやるならこれをやるようにもう少し考えて、そうして認可制度なら認可制度をとっていく、こういうことにならなければいかぬわけですよ。ところが、あんまでも指圧でも指技でも一緒になってくるわけですよ。あんま免状とらぬなら指圧やっちゃだめだなんというのが今の法律なんです。それがその後になって三年延び三年延び、今日まできているわけですよ。そこに私は考え方の間違いがあると思うのです。実際、局長、あんまというのはどういうところからきているか知っていますか。あんまというのは日本古来のもので、そうして目の見えない人の特定のこれは職業なんです。今の考え方でいくならば、これは社会保障ですよ。本来ならば、目の見えない人には国が生活を全部みてやるべきなんです。それをみてやれない。また、目は見えないけれども、あとのからだが全然健康な人ならば、それに見合った仕事を与えるというのがあたりまえなんです。それがかえって愛情なんです。だから、日本の昔からのあんまというものは、目の見えない人の特定職業になっている。それをこれは医療類似行為だということで、職業だという認定のもとに、職業の自由の選択で、今度は目の見える人が出てきた、そうして今度は同じ目の見える人ならば、男よりも女のほうがいいということになって、今度は女のあんまの、ただもむのでは少ないから、もう少し先に進みましょうかいということで、パンマなどという言葉も出てきたわけです。わかりますか。だから、本来からいうなら、あんまというのは、目の見えない人に、社会保障的に特に保障された職業であるという考え方でしかるべきだ。そうしなければ、あなただって旅へ行ったら、宿屋でもどこでもあんまをとるときに、目の見えるあんまと目の見えないあんまと、どっちですかと言ったら、目の見えるあんまさんのほうがいいでしょう。こういうことを言うと、あんまの人たちに反対されるけれども、反対しているのは目あきのあんまが反対しておる。目あきの先生方が反対している。めくらさんをほんとうに守るならば、それは宿屋でも何でも、これは目の見えないあんまさんでなければできない、これは社会保障の一環だということになってくる。たとえば指圧なら指圧でもやるでしょう。指圧なんというのは一家かまえて、出かせぎではない、自分の家で治療するのですよ。こうしてくればきちっと業界が分かれてくるわけなんです。それをあなた方が、どういう圧力か知らぬけれども、あんまも指圧も電気も何も、みそくそ一緒にしてしまうからこういうことになってくるのです。一体あんまをどうして守るつもりですか、めくらのあんまさんを。目あきのあんまじゃないですよ。めくらのあんまをどうして守るのですか。局長にひとつお伺いしておこう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/96
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097・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 本委員会におきましても、盲人あんまに職域を優先させるように考えるべきだという附帯決議をいただいたわけであります。その後、法制局などとも打ち合わせをしておるわけでございますが、やはり衛生法規で、特に晴眼者に優先して盲人の職場を守るということはなかなかむずかしいように思います。したがって、盲人についてはその福祉の面で別に考えていくということのほうが適当であるという意見が有力です。この問題について、かねてからいろいろ御意見を承っておるわけでありますが、晴眼者のあんまの養成所はふやさない方針であります。それから身体障害者雇用促進法の趣旨に沿って盲人の職域をなるべく拡充して参りたいということ、それから無免許あんまの取り締まりを強化して参りたいと存じます。なお、最近あんま、はり、きゅうなどの中央審議会におきましても、この盲人の職域優先問題を取り上げて検討してもらっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/97
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098・阿具根登
○阿具根登君 だから、この法律がまた三年たとうとしているから私は言っておるわけなんですよ。あのときの附帯決議にもあるように、早急にこれはきめなさいということを言っておるわけなんです。何回の附帯決議もそうなんです。それで、あなたがそういうふうに煮え切らぬからこれはちっともきまらないわけなんです。私の言っているのは極端なら極端、あるいは少し過ぎているなら過ぎているということで、あなた方の考え方を出さねばいかぬと思うんです。そうしなければ、あんまの方々が誤解している。私が旅に出て、めくらのあんまさんを呼んだときに、私に説明するのは、全部そうしてくれというんです。しかも、そのあんまさんたちは、あんまをとるのにも一つのボス組合ができて、そうしてそのあんまさんが正しく目の見えない人がかせいだやつを、何割かぴんはねをしている、全部。そういうことによってやっている。めくらを使うところには、だれかボスがちゃんとできている。その人たちはまた宿屋なり何なりにいろいろな工作をして、自分のところにくるように工作する、それは商売だからやむを得ぬけれども、指圧でも、あんまでなければできぬということあなた方がきめたら、今度は指圧の人たちも目あきのあんまも皆入っていく。めくらのあんまさんは、自分の職場を取られることを知らずに反対だ、反対だといっているんです。あなた方の法律をあなた方がどんどんPRをやって、これが正しい正しいというからね。私はそうじゃなくて、あんまというのは、本来もう目の見えない不自由な方に優先的にこれは認めてきた職業であるから、これは目の見えない人に独占的にやるべきだと私は思うんですよ。そうして今度指圧なら指圧というものは、はっきり指圧あるいはカイロプラクティクですか、こういうようなものは、やはりそれぞれの検定を受けて、試験を受けてこれはやらせる。そうしなければ何もかも一緒になるので、めくらさんの職場というものはなくなってしまう。それを何か混同されている。だから、これは今のままでいったら、また三年延びますよ。それでは法の権威も何もあったものじゃない。それなら私の言うように、勝手にやりますよ。いわんや処罰する方法がないでしょう。電気でさえもそのとおりでしょう。あんまの免許さえとれば、あんまは一つも知らぬでも、指圧を知っておったらこれはできるわけですよ。あんまの免許をとって実は指圧だといったところで、その看板は掲げていいんですよ。こんなバカな法律はない、こんなことはあり得ぬですよ。だから、指圧は指圧としての治療方法は別個なんです。それはそれで認める、あんまはあんまで認めていく。あんまの中でも、目の見えない方を最優先的にしていく、そうしなければ、あんまというただ名称だけで、全然違う人もどんどん入れぬように間口を広げてしまったのが厚生省のこの法律なんですよ。だから、めくらのあんまさんはどんどん職場からのかされてしまっている。どうですか、改正する意思がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/98
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099・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 御承知のように、指圧は三十年でございましたか、一応あんまの中に、同じような種類の施術だという理由で含められたわけであります。先ほど申しましたように、各種の医療行為を将来どうするかということにつきましては、今ちょうど中央審議会で取り上げて検討してもらっているわけです。従来三年、三年と、こう延びてきたことは、これは私どもまことに申しわけないと思っております。指圧やマッサージの取り扱いについても取り上げて検討してもらっていますので、なるべく早く結論を出してもらいたいと思います。再び三年延びるようなことのないように、極力努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/99
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100・阿具根登
○阿具根登君 それは三年延ばさぬというなら、今度また延ばしてもらったらたいへんですよ。それは、私が言うように、もう法律なんかみんな信用しませんよ。勝手に自分でやりますよ。自分で治療をやりますよ。そうしたら治療してもらう人は自由に行きますよ。衆議院のほうは知りませんけれども、参議院の会館でも、あれは指圧ですよ。あんまじゃないですよ。衆議院のほうでも指圧ですよ。あんまじゃないですよ。なぜそれはあんまという名前をつけなければいかぬのですか。あなたはやってもらったことがありますか。僕はやってもらっておりますよ、しょっちゅう。あれは指圧ですよ。あれはあんまじゃないですよ。そういうことを議会の足元で、議員会館でやっておる。そこでやっておるのを、なぜあんまという名をつけなければならぬか。あんまだったら、なぜめくらのあんまさんを連れてこぬのですか。めくらのあんまさんが一番いい、両方の国会で。どういう圧力がかかっておるのか知らぬけれども、白を黒のようにしむけるからいつまでたっても法律は守れないのです。だから、あなたのほうで、厚生省としてはこういう考え方を持っておるが、一体どうだろう、あるいはこれはいつまでにきめなければならぬのだからどうだろうというのを諮問しなければ——これは諮問しておりますから、諮問しておりますからということじゃ困るのですよ。もう旧地主なんか、今度問題になっておるように、諮問も出ぬうちに補償金を二十万円も払うとか何とかということが出てきておるでしょう。生活にいよいよ脅威を与えられて、もうここまで何とかしてもらえるだろうと思ったけれども、できなかったからわしらは勝手にやりますということになったら、これは規制する措置はないのですよ。あなたが医務局長で何ぼやかましく言うても、ちっともこたえやしませんよ。勝手にやりますよ。人間ちっとも無害ですよ。あんまの名さえ出せば指圧でも何でもやっていいということで、無害だから許しておるのです。最高裁で処罰する方法はないですよ。だから業者がそういう無制限にならないように、指圧なら指圧、指技なら指技、カイロプラクティクはカイロプラクティクを含めて、指技なら指技でこれで一本だ、あんまはあんまで一本だ、電気は電気だということでこれは筋を通して、これにはどういう規格がありますよ、どういう試験がありますというようなことをせぬから業者は不安です。不安であるから勝手に自由行動をとるということになるのですよ。厚生省の話によってきまるのです。これははっきりしておるのですよ。厚生省があくまでもあんまと何は一緒だ、指圧は一緒だということになれば、それならあんまという名をつけぬでも、指圧という名をつけてもいいでしょう。ひっくり返せば指圧だという名をつけても、指圧の免許をとってあんまをやってよろしいということで、これはちっともおかしくない。こういうことができるのです。だから、そんなことで法律を無理やりに通すとか、あるいは守らせるとかいっても、ついてこぬのです。無理だったら必ずついてこぬのです。だから、はっきりこれをまあ今国会中にでもあなた方の考えのあるところをひとつ発表してもらいたいと思うのです。そうしなければ、私は逆に、どうせこれは無理な法律だから、これは憲法違反だから自由におやりなさい、法律を作ったわれわれの口からそう言わざるを得なくなってくる。そうしなければ、この人たちが、私たちはやりますと言った場合に、やることができぬということをどういうことで言えますか。どう考えますか。まだ幾つもありますけれども、きょうはやめますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/100
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101・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 本質問に対し一ましては、なお厚生省のほうで十分考えを練っておいていただいて、同時に、先ほど私から要求しました裁判の上告要旨、それから決議要旨、それをひとつガリ版に刷って御提出を願いたいと思います。
本件に対する本日の質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/101
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102・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/102
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103・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 次に、社会保障制度に関する調査の一環として、引揚医師特例受験資格に関する件を議題にいたします。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/103
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104・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 引揚医師の受験資格に関しまして、前国会において時限法で一時延長いたしたのでありますが、その後どのような状況になっておるか、まず医務局長からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/104
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105・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 御承知のように、いわゆる引揚医師につきましては、医師の免許や試験につきまして特例を設けていまして、特例試験は二十二年から三十五年まで毎年これを行なっております。それから、また選衡のほうも、やはり二十一年から三十五年まで毎年行なっておるわけでありまして、現在それらの試験や選衡を経まして合格しておる者は、医師が千八十九名、歯科医師が八百九十五名になっております。一昨年の三十五年度は、厚生省としましては最後の特例試験と考えまして、講習会などを後援しまして、特に便宜をはかったわけであります。そのためもありましたか、三十五年の秋の試験では、従来になくたくさんの合格者を出しまして、医師は六十六名試験を受けた中で、合格者は十六名であり、歯科医師は八名受けた中で三名合格しております。その後国会の御要望で、三十七年の終わりまでにもう一回特例試験を行なうことにいたしたのでありますが、受験希望者は、現在八十一名であると聞いています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/105
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106・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 今まで医務局がとられた措置は、適正に行なわれたと思います。しかし、ただいまの報告によりますと、八十一名のいまだに開業資格を取得するに至らない者がおる。これは一応社会的な問題だと思うのでございますが、これを何とかして処置を——処置と申しますと語弊がありますが、何とか特別の措置を講じて、開業に至るようなことにしてやれないものか。これにつきまして率直に局長から答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/106
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107・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 今度の受験者の多くは、従来の試験で不合格になった人で、成績の悪い者が大部分でありますので、われわれとしてはうんと勉強してもらって、最後の試験ですから、なるべく多数及第してもらいたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/107
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108・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 これらの引揚医師の立場は、かっては外地で開業試験に合格もし、医療に従事した人々であるのでありますから、したがって、単にいわゆる開業試験を行なって資格を付与するということでなくて特別の取り扱いとして、選衡の線で何とかできないものかということですね。これについては医療行政上いろいろ御都合があると思うのでありますが、この際、何とか選衡という線を生かしてこの八十一名の措置を講ぜられたらどうかという点を重ねてお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/108
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109・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 選衡の条件に該当する者につきましては、むろん選衡いたしますが、何か特別の取り計らいで全員救済してもらいたいという希望もあるようでございますけれども、何しろ人命をあずかる大事な職業でありますから、試験なしに、あるいはその試験にかわるような選衡なしにこれを医師にするということは、とうていできないことだと考えます。今度は最後の試験でありますから私どもとしましても、できるだけあたたかい気持でお世話を申し上げたいとは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/109
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110・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 ただいまの局長の御答弁もごもっともと思います。そこで、選衡の手段、方法としては、従来のような形で選衡するのじゃなくて、適当な講習を行なうとか、またはインターンの特別の期間を考えるとかして、あたたかい措置を講じてあげたらどうか、かように思うのであります。この点何か考える余地があるかどうか、もう一度お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/110
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111・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 従来経験年数を選衡の条件の一つにしているわけでありますが、ただ、講習会の期間、あるいはインターンのような実習期間を経験年数に勘定するということは、それはなかなかむずかしい問題でございます。外国の医師の免許を持ってその上、外地で経験年数が何年あるかということを条件にいたしておりますが、まだ医師の免状も持たない、学力のほどがわからない者を、そういう講習会を何カ月受けたからとか、インターンのよな修練をやったからといって、それですぐ選衡の対象にするというようなことはなかなかむずかしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/111
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112・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 そうすると、結論として、現状八十一名の引揚医師は、現在特例によって受験資格の期間を延ばしてありますが、それ以降においては何ら措置は講ぜられないということになると思うのですが、そういうことでいかれるのか、ただいまの御答弁の中で、あたたかい気持で措置をしたいという御答弁をされましたが、その点もう一度承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/112
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113・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 厚生省といたしましては、三十五年でもう最後、打ち切るという方針でやったのでありまするけれども、国会のほうで、もう一年試験を延長せよという御意見がございましたので、もう一度延長することにいたしたわけでございまして、これが私のほうとしても、もう最後の最後だというふうに考えておるわけでございます。先ほどあたたかい気持と申しましたのは、この最後の試験のときに、勉学なんかにつきまして、できるだけあたたかい気持でお世話を申し上げよう、こういうふうに考えておるのでございまして、これ以上延ばすという考えは全くございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/113
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114・阿具根登
○阿具根登君 現在八十一名残っているとおっしゃるが、合格されていらっしゃる方は何名ですか、試験を受けて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/114
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115・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 先ほどちょっと申したのでございますが、合格した者は今の特例試験、選衡予備試験なんか全部入れまして、医師は千八十九名、それから歯科医師は八百九十五名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/115
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116・阿具根登
○阿具根登君 そうすると、八十一名というのは、医師、歯科医師入れてですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/116
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117・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/117
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118・阿具根登
○阿具根登君 この問題については、私もずいぶん緩和な措置をとってもらいたいということで延期もしてもらったし、試験にも手かげんしてもらっているわけなんです。そうすると、二千名近くの人から八十一名残っているというわけです。私は八十一名の人を無条件に医師にするということは反対です、率直のところ、鹿島さんとは意見が違うかもしれませんが。それは人命をあずかるという場合は、先ほど言っているように、医師というものは何ものにもかえがたい人なんです。人の命をあずかる人なんです。だからといって、長い間経験のある人ならば、試験に通らなくても、技術者あるいはその他では相当な技術者もおられるだろう。そういう人たちはあたたかい私は処置をとってもらいたいと思うけれども、外国でちょっと医者をやったことがあるとか何とかいって、二千名の中から八十一名という、その中のまた何名かという人は、おそらく試験しても、経験もないというような人が私はおるのじゃなかろうかと思う、非常に少ないが。いわゆる現在の医学から見て、これは鹿島先生もお医者さんのグループですが、そういうお考えかどうか、これはなかなか私は微妙な問題があると思うのです。だから、やはり医者としての資格を与えて下さるならば、今のもまだ教育されているけれども、特定のまだ教育をするとか、あるいは医者ではなしに、何かそれに類似した仕事を世話してやるとか、あるいは教育をするとか、今すべて合理化されている、みなそうでしょう、そうしなければやっていけないのですよ。自分はやっておったからみな医者にせよという理論は私は通らないと思う。それでは患者がかわいそうだと思うのですよ。だから、今その人が、それだからといってほかに職業のない人であるならば、それに類似した仕事を十分ひとつお世話してやるとか、あるいはこの人は経験が豊富だからというような人は、筆記試験はどうであっても、この人は通してやるとか、とにかく良心的に、お医者さんとして国民の生命をあずかるのに、この人は大丈夫ですよというところまでの世話をしてもらいたい。無条件で全部医者にしてもらいたいというのは私は反対なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/118
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119・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 今、阿具根委員のおっしゃることはごもっともであって、もちろん私も、事、人命をあずかる聖職のことでありますから、その資格取得については慎重でなければならぬと思います。ただ、この引揚医師の場合は、御承知のとおり、かって外地で試験に合格をした人々でとあるというこが前提であって、医療の助手とか、あるいは関係業務に従事しておった者を特例によって医師にするわけではないのであります。したがって、そういった条件がある関係と、この際、講習その他で開業資格を取得せしめることが可能であるならば、格別な配慮の上、救ってあげたらどうか、かように考えるのです。しかしながら、あくまでも能力がはなはだ欠けるところがあると思われるような者を医師にするということについては反対であります。したがって、前述のとおり、かって外地で医師であった、歯科医師であったという前提に立った上の私の意見であります。厚生省において格別の措置がとれないかどうか、医務局長の見解によれば、すでに措置は極限にいっているのであって、かつ、今の御発言のように、数多くの中で八十一名だけが残ったのだといった現象から見る御議論はごもっともとは思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/119
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120・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 私からちょっと申し上げたいと思うのですが、学力、技能が日本の医師たるべく適しない者を無理に支持するというわけには、もうとてもここまできたらいかぬと思うので、先ほど来両委員からお話があったとおりに、労働省その他と相談をされて、できるような仕事のほうに転職するあっせんはひとつしてもらいたい、世話をしてあげる、そうして食っていける道を何らかの形で作っていただく、厚生省はそういう努力をひとつ試験に合格されなかった人たちにしてもらいたい、これを私は希望しておきます。そうして、もしもそういうような世話をしてできた結果があるならば、その結果を出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/120
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121・勝俣稔
○勝俣稔君 どうも委員長が結論を出してしまったから、これはもう委員長の発言はまとめだと思うし、委員長が自分で意見を出されたから、私はそれに対して反対しちゃいかぬし、大体において私は賛成だから、そのことだけを私も申し上げると同時に、この法律は、実は私は非常に責任があるのでございます。私が衛生局長か何かやっていたときに作った法律なんでございまして、満州、台湾、あちらの方面で開業しておった方々が引き揚げを命ぜられてこちらに来にゃならぬ。ところが、向こうでは医者あるいは歯科医師や薬剤師の資格を持っておったけれども、こちらに来たら資格がない人だから、一応何とかこれは強制的な引き揚げの人たちに対する措置としてこれを講じなくちゃならぬのじゃなかろうかというので、私はGHQのほうに行ってその話をして、そうしてこれはやったわけなんでございまして、その当時、医師会あたりから非常に感謝を私はされたのでございますが、しかし、今残っている八十一名の方々は、ずいぶんお年寄りの方であり、また、勉強する意欲ももう実際はないので、まあ試験もなしでとにかく何とかやってくれないかというような意向が非常に多いので、これは同情すべきであるけれども、しかし、やはり阿具根さんの言われたように、どうしても大切なお医者様の仕事でございますから、ただ単にあわれみだけで何とかしようというようなことは、日本の国民医療のためにも、これは許すべからざることじゃなかろうかと私は思うので、今委員長の言われたように、それに類似の方面にひとつ労働省あたりとお骨折りを厚生省はなさったらどうだろうか、私はそういう工合に思っておりますので、だから阿具根さんと委員長の意見に私は全く同感でありまして、ただ、いろいろ極端なことになるというと、さっきの類似行為の問題もございますが、学校を卒業してインターンをやって、国家試験を何回も受けておっこちる。五回ばかりやってもおっこちる、こういうやつに何で免状をくれないのか。何ら資格のない——何というか、ただ向こうのほうの外地で、拓殖地においてお医者様が応召されてしまって、もうしようがないからというので、あなたも満州にいらしたから御承知だろうけれども、そのときに多少の医療のあれがあるからというので、そこで臨時に骨を折って、いくさが終わってこちらへいらした。そのときに大ぜい帰ってこられたものだから、このときには仕方なしに、そういう人に何とか方法を講じなければならないというわけでやったけれども、今のように、残った人にまで何とかしなければならぬというならば、りっぱな学校を卒業してインターンをやって、試験を三回もおっこって、おやじに対して工合が悪いじゃないかというようなやつに何で免状をくれないのか、私はそういう問題が起きてくると思う。だから、理屈はとにかくとして、結論においてはこの辺で厚生省もずいぶん考えたのじゃなかろうか。あとは労働省とひとつ手を携えていろんな方面にやってもらったらどうだろうか。あるいは保健所のほうなり、保健の事務の問題なんかもごさいましょうし、八十一名くらいの者はどこかでさばけるのじゃなかろうかと、私はそう思うのです。どうしてもお医者様という看板をかけてやらなくちゃならぬというのはどうか。また、そのくらいのお年になっている方は、一日に患者を二十名もみたら、腰が曲がってしまって困ってしまうような人が大部分ではないかと私は思う。とにかくそれだけのことを御参考までに申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/121
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122・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 別に御発言ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/122
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123・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 両委員の御発言もよくわかります。また、委員長からお取りなしの御発言もありましたので、多くは申し上げませんが、最後に、先ほど申しましたとおり、これらの引揚医師は、かつて外地で医師の資格を持っておったという一つの前提に立っている。その点を何とか生かしてあげたらどうかということです。しかし、厚生省の格別の配慮にもかかわらず、今日まで試験に合格しないという現実は承認せざるを得ません。ここに残された八十一名の人々は適格者であるとは言い切れませんが。かつての立場を考慮の上、最後の試験においては、医務局長も格別なあたたかい気持をかけるという含みのある御発言でありますので、そういったことでひとつ最終の措置を講じてやっていただきたい。また、両委員の御発言のごとく、合格に至らなかった人々に対しましての措置等は、格別なあたたかい気持を持ってやっていただきたいと希望するものであります。
以上希望を申し上げて私の質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/123
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124・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 本件に関する本日の質疑は、これをもって終了いたしたいと思います。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/124
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125・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 御異議ないと認めます。以上をもって本日の審議は終了いたしました。次回は、明後日午前十時から開会いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後一時八分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01819620410/125
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