1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年五月四日(金曜日)
午後三時四十五分開会
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委員の異動
五月二日委員村山道雄君辞任につき、
その補欠として永野護君を議長におい
て指名した。
本日委員永野護君辞任にりき、その補
欠として村山道雄君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 高野 一夫君
理 事
鹿島 俊雄君
村山 道雄君
阿具根 登君
委 員
勝俣 稔君
佐藤 芳男君
竹中 恒夫君
谷口弥三郎君
徳永 正利君
山本 杉君
横山 フク君
久保 等君
相馬 助治君
村尾 重雄君
石田 次男君
国務大臣
厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君
政府委員
厚生政務次官 森田重次郎君
厚生省公衆衛生
局長 尾村 偉久君
厚生省保険局長 高田 浩運君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
参考人
日本医師会会長 武見 太郎君
日本歯科医師会
常務理事 辻本 春男君
国民健康保険中
央会専務理事 小島 徳雄君
健康保険組合連
合会会長 安田彦四郎君
慶応義塾大学
教授 園 乾治君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○栄養士法等の一部を改正する法律案
(石原幹市郎君外二十四名発議)
○栄養士法等の一部を改正する法律案
に関する件
○臨時医療報酬調査会設置法案(内閣
提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/0
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001・高野一夫
○委員長(高野一夫君) ただいまから本日の社会労働委員会を開会いたします。
この際、委員の異動について報告いたします。五月二日付をもって村山道雄君が辞任され、永野護君が選任。同じく四日付をもって永野護君が辞任され、村山道雄君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/1
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002・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 理事の補欠互選を行ないます。ただいま報告のとおり、村山理事が一時委員を辞任されましたために、理事に一名欠員を生じております。一この際、理事の補欠互選を行ないます。慣例に従いまして、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/2
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003・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 御異議ないと認めます。
村山道雄君の補欠として、村山道雄君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/3
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004・高野一夫
○委員長(高野一夫君) ただいま栄養士法等の一部を改正する法律案(参第一六号)について撤回の請求が発議者から参りました。本法案の撤回を許可することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/4
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005・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 御異議ないと認めます。よって撤回を許可することに決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/5
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006・高野一夫
○委員長(高野一夫君) ただいま委員長の手元に、栄養士法等の一部を改正する法律案につきまして、その草案が提出されております。本草案を議題といたします。
まず、提出者から草案の趣旨説明を求めます。村山道雄委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/6
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007・村山道雄
○村山道雄君 ただいま議題となりました栄養士法等の一部を改正する法律案草案について、その提案の理由を説明申し上げます。
本草案は、御承知のごとく、ただいま撤回が許可になりました同名の法律案(参第一六号)にかわりまして提案されたものでありまして、今回は参議院の各派共同提案ということになり、したがいまして、委員会提出法律案の形をとった次第であります。
内容は、ただいま撤回になりました参第一六号の法律案と全く同様でありますから省略させていただき、以上をもちまして提案理由の説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/7
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008・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 本草案は、予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三によりまして、内閣に対し、意見を述べる機会を与えなければなりません。よって、本草案に対する内閣からの意見を聴取いたします。灘尾厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/8
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009・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 本法律案につきましては、登録試験費用につきましては、後年度の負担を約束する点に予算関係法律案として問題がありますが、栄養士の資質向上の必要性にかんがみ、政府といたしましても、やむを得ないものと認めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/9
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010・高野一夫
○委員長(高野一夫君) ただいままでの審議によりまして草案が確定いたしました。よって本草案を、栄養士法等の一部を改正する法律案として、本委員会から提出することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/10
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011・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 御異議ないと認めて、さように決定いたします。
なお、ただいま決定いたしました委員会提出法律案につきましては、議院の会議における提案理由の説明の内容は、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/11
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012・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/12
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013・高野一夫
○委員長(高野一夫君) それでは、ただいまから臨時医療報酬調査会設置法案を議題といたします。
本日は、本件審査上の参考に資するために、参考人の各位に御出席をお願いいたしました。委員会を代表いたしまして、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。
当委員会が目下審議を続けておりまする臨時医療報酬調査会設置法案につきまして、参考人の方々から御意見を忌憚のないところを拝聴いたしまして、当委員会全員、参考にいたして審議を続けたいつもりでおります。御多忙のところ、まげて御出席願いまして、まことにありがとうございました。ことに二時半においでを願いながら、本会議の都合によりまして、たいへんお待たせいたしましたことを、心からお詫びをいたします。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/13
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014・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 速記をつけて。
各委員にお諮りいたしますが、まず、参考人の皆さんの御意見を聴取いたしました上で、あとで参考人の方々に対する質疑に移りたいと思います。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/14
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015・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 御異議ないと認めます。
それでは、これから順次参考人の方々の御意見を聴取いたします。健康保険組合連合会会長安田彦四郎さんにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/15
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016・安田彦四郎
○参考人(安田彦四郎君) 臨時医療報酬調査会法案の参考人としてお呼び出しを受けました健保連の会長の安田でございます。との調査会法案に関しまする私の意見を申し上げます前に、この医療費の問題が、一昨昨年以来、こんとんとしておりました状況等を一応御報告を申し上げまして、私の考えを申し上げたいと思います。
この医療費の問題は、常に社会的に大きな問題を起こしまするので、私どもといたしましては、ぜひ何とか、ことにお世話になっておる医師会の先生ともどもに話がしていけないものかと念願いたしておったのでありますが、過去二年間にわたりまして、診療担当者の諸先生が、旧来の中央医療協議会にお出ましになっていただけない、それで、どうもその運行ができない。で、話は飛びますが、昨年の二月に、政府におかれましては、そのこんとんとした状況を何とか打開したい、また、それまでの中央医療協議会には診療担当者がおいでになっていただけないので、何とか出るようにしたい、かようなことで、当時厚生大臣の古井大臣が、社会保障制度審議会に、適正な診療費を決定する方途についてという諮問をされたのであります。私は、当時社会保障制度審議会の末席を汚しておりましたので、委員会におきましては、かような問題をお取り扱いすることはお断わりしたらいいだろう、かような空気に相なっておったのでありまするが、たっての政府の、このこんとんとした状況を打開するのには、さようなところで何かいい方途を見出していただくほかない、また、その結論については、政府は、どうあろうともそれによってぜひそのとおりに従っていきたい、かような非常な熱心な申し出がございました。それを私どもも伺いまして、社会保障制度審議会におきましては、一カ月間にわたりまして、その方途を見出すべく努力いたしまして結論を出したのであります。それがただいま問題になっておりまするこの適正な診療報酬、医療費の適正報酬を作るルールを作ったのであります。で、診療担当者の出ていただけない中央医療協議会というものは、旧来四者構成であるものを三者構成にした、この二つの問題を不可分一体として三月二日に答申いたしたのであります。で、その答申をされました案を、政府におかれましては、過ぐる昨年の通常国会に提出されたのでありますが、まあどういうことでございましたか、審議未了で廃案といいますか、法律化されなかった。その後厚生大臣がおかわりになりまして、この法案を臨時議会に、いわゆる私どもは不可分一体だと思っておったのでありますが、それが臨時医療報酬調査会の法案いうのが出ませんで、四者構成を三者構成に改組いたしました法律だけが出されたのであります。また、私どもはよく存じなかったのでありますが、このとき問題になっていなかった地方の医療協議会の改組まで出たのであります。ここで私どもといたしましては、一応意見としてお聞きとり願いたいのでございますが、この臨時医療報酬調査会設置法案というものは、この中央の医療協議会を改組いたしまする二つの不可分一体の法律として社会保障制度審議会で答申されて、しかも、政府は約束されて、それを実行されないというところに、私どもは、よく世間あるいは皆様方から、おまえたちは医師会の先生とけんかしているといわれるが、決してそうではございません。政府が約束されたことをぜひ履行していただきたいということを申し上げておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この不可分一体でありまする臨時医療報酬調査会設置法案というものは、いわば社会保障制度審議会で各政党の諸先生も、社会党、自民党はもちろん、また、各団体の代表者、学識経験者、いわば国民的の代表が集まって、非常に苦心して結論が出た。当時私は、社会保険という制度でやっております今日の医療保障の一つの方法、この医療費を審議いたしますのには、当然お世話になっておりますところの診療担当者の先先たちと、少なくとも保険の運営でございますので、保険者とは当然お話をする、それに保険料を負担していただいておりますところの事業主なり被保険者、労働組合の方々も入る、学識経験者と、ともどもの四者構成というものは、今日においても、私は正しい保険の運営のあり方、審議する一つのりっぱな方式だと考えておりますが、しかし、それでは診療担当者が乗っていただけないので、今後何とかスムーズにいくのには、これを三者構成にしたほうがいいという社会保障制度審議会の大方の御意向であり、しかも、それには今後国民が困らない、また、医師会の先生が一斉休診であるとか総辞退であるとか、さようなことのない、また、とれが力と力との政治力によってこの医療費をうやむやのうちにきめるということのないように、さようなことを勘案されまして、不可分一体の法律としてこれがいいのだという大方の結論でございましたので、私どもも四者構成を三者構成にする必要はない、かように考えたものではありまするが、いわば国民的の代表の御決定でありまするので、私どもはこの臨時医療報酬調査会法案、この新しい中央の医療協議会の改組、かようなものに賛成して参った。ところが、その後、ただいま申し上げました一方だけお取り上げになったということで、私ども支払いの団体は、政府に、お約束が違うではないか、かようなことを申し上げておったのであります。また、私どもといたしましては、いま一つ切実な問題があるのでございますが、昨年の八月、いわゆる灘尾厚生大臣になりまして、医療懇談会というものができる。すでに古い医療協議会におきまして一二・五の医療費の値上がりがあったのでありますが、緊急是正という問題をお取り上げになりまして、二・三%、これは私どもから申しますると、医療費を約百億円から増加する。すでに七月に医療費の改訂がありまして、私どもは医業の経済実態等から、決して一文も上げてはならぬということを申すおけではありませんが、さような実績なしに、また、医師会の諸先生方の御不満のうちにきまった七月の医療費の増高でありますので、もう少しその結論を見るべきではないか、かようにお願いもいたしたのでございますが、とにかく十二月一日から医療費の二・三%を増高することになった。一年三回の増高でありますが、将来の医療問題というのは全部解決できるのだ。したがって、今問題になっているいわゆる社会保障制度審議会が答申した原案のまま、また、法律もりっぱに通していただけると思うし、また、診療担当者の方にも、ともどもに納得の上で将来スムーズにやっていける、また、自分はやって見せるという厚生大臣の私どもに対するお約束がありましたので、さようなことでともかくも不可分一体の法律を私どもは了承して、今日政府におかれましても、臨時国会において一方だけお取り上げになって、おそらくそれは社会保障制度審議会の答申なり、自分らが受けた答申と違うというような意味合い、あるいは不可分一体のものであるというような御理解のもとに、再びこの片手落ちになっておりまするところの調査会法案というものを提出された。私は、これがぜひ御審議を経て法律化されまするならば、今までのような、あの政治力によって医療費というものを解決しなければならぬという問題が少なくともなくなる、かようなことを念願いたしまして、将来はスムーズに医療費問題というのはお互いがお話合いができる、かような確信のもとに、この調査会法案をすみやかにお取り上げいただきまして、法律ができますることを念願いたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/16
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017・高野一夫
○委員長(高野一夫君) どうもありがとうございました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/17
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018・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 次に、日本歯科医師会常務理事辻本春男さんにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/18
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019・辻本春男
○参考人(辻本春男君) 日本歯科医師会の辻本でございます。本法案が国会に上程されまして、会期末のきょうを控え、私ども参考人として意見の一端を先生方にお聞き取り願う非常によい機会を持っていただきまして、感謝いたしておる次第でございます。
私は、この法案が国会において取り扱われますとき、もうすでに先生方の耳に入っておるだろうと思いますが、医療団体が強くこれに反対の意思表示をし、また、全国の医療担当者が、現在この法案をめぐって、置かれておる政府の態度、また、国会の態度に対しまして、非常に関心を持ち、また、その成り行きを注視しておる、こういう観点に立ちまして、日本歯科医師会の意見を述べるとともに、仲間の医療担当者として、全国三万の歯科医師の現在の考え、また、現在とっておる態度、こうしたものを訴えたいと思う次第でございます。
まず第一に、この会期末の迫ったきょう、そうした大きい反対の声があるところのこの法案を、一挙に万一成立になるというようなことがあれば、医療担当者は、これは今まで数年来抱いておりました感情に倍加する大きい不満を私は持つだろう、こういうように思う次第でございます。この点に関しまして、本日相当切迫した時期でございますので、十分に先生方の御考慮をわずらわしたい、かように考える次第でございます。
次に、本法案がこの国会に上程されたということと、三十八国会に上程された当時の意義は、私は全く違うものがあろうと思います。なぜかならば、この法案は、中医協の改組の問題とともに、なるほど社会保障制度審議会が答申せられた案でございますが、この昨年の三月二日という時点における社会保障制度審議会のこの意見、また、七月三十一日から八月を迎え、例の政府並びに自民党の最高幹部各位と私どもが十分に話し合いましたあの妥結の四項目なり、その後開かれたところの八日間にわたる医療懇談会の了解事項、こうしたものから成り立っておる。今日この法案を三十八国会上程当時と同じ意義をもってみることは、私はできないと思うのであります。医療問題につきましては、ずいぶん問題が山積しております。また、残念ながら、支払い側とわれわれ医療担当者側におきましては、大きい意見の食い違い毛あり、いろいろ先生方をわずらわしておる問題もあるわけでございますが、昨年八月一日を契機といたしまして、こうしたほんとうの国民の医療をどう解決していくかという問題については、なごやかに懇談のうちにその方途を見出そうということを政府もお考えになり、また、われわれもこの相談に乗ったわけでございます。八月一日を契機といたしまして、その後は私ども歯科医師会、医師会、薬剤師協会ともに、そうした話し合いの場に臨んで、そこで忌憚なく関係各位と話し合いをいたしまして、そこに方途を見出していきたい、こういうように考えた次第でございます。したがいまして、現在三万の歯科医師が持っておる希望は、ああした四つの原則、こうしたものと医療懇談会の四項目にわたるところの了解事項でございまして、その詳細は、本日、日本医師会のほうからの資料として、お手元に配付していただいたように聞いておりますので、すでに御了承を得たところだろうと思います。こういう意味におきまして、本法案の取り扱いに関しましては、私は慎重に扱っていただきたい、こういうことをお願いする次第でございます。
さらに、非常に失礼な言い方でございますが、本法案を、もし修正意見等をもってこれを律していこうというようなお考えがあるならば、これまた同じところの道じゃなかろうか、こういうように思います。もうすでに本法案が三十八国会に上程された当時の理由はやんでおります。こうした関係において、この法案に対する賛成は絶対にできないわけでございます。
また、中医協の改組の問題でございますが、私どもはかように考えております。これは制度審議会が、中医協の改組と医療報酬調査会の二つの機構、こうしたものをもって将来律していこうというお考え、これは過去の考え方であって、まだ今日としては、その前にやらなくちゃいけない事柄があるのじゃなかろうか、こう思うわけであります。中央医療協議会のこの構成の問題、人的構成の問題につきましては、数年来大きい不満を持って私ども訴えてきたわけでありますが、国民皆保険、強制医療保険の制度が実現した今日、任意医療保険時代とは全く違ったものがあると思います。任意保険制度のもとにおきましては、社会保険の主体はあるいは保険者にあったかもしれませんが、しかし、国民皆保険、しかも強制下においてとうした医療保険が実施されようというときにおきましては、こうした問題は、国民と、また、これがわずらいました患者の立場におかれるならば、医師と患者との人間的な接触、人間的な関係の上に医療というものが考えられなくてはいけないわけであります。したがいまして、医療保険、医療保障の問題は、過去の任意保険当時のような、いわゆる四者構成、四分の一だけの医療担当者の意見を聞こう、こういう機構それ自体がもう脱皮しなくちゃいけない時期にきておったおけであります。そうしたことで、前国会において、全会一致の御意見のもとにあのりっぱな中医協ができたわけであります。したがいまして、こうした皆保険下に即したところの、また、支払側と医療担当者と、さらに国会のアグレマンをとられたところの、承認を求められた中立委員、こうしたりっぱな構成において行なわれるこの場においてこそ、最もなごやかにほんとうに理解するところの線が出るべきはずでございます。そうした中医協の改組以前において必要と考えられた調査会の考え方は古いと思うわけでありまして、まず第一に、こうしたりっぱなところの、また、時代に即した、旧態のからを脱皮したところの中医協のすでに発効を見ている。こうした機関を動かし、その上において、もしいかなければ二の策を考えなければならぬと思います。今までそうした間違った機構の上に立って、こんとんとしておりましたもの、こうしたものを根拠にしまして将来を危惧するならば、これは大よそ間違いだ、こういうように考える次第であります。私は、そうした形において、まず今日の問題は、こうした調査会法案、また、調査会の設立、そうしたものじゃなしに、早く前国会において成立をみたこの改組された中医協、これの開催をやらなくてはいけないということを訴えたいわけでございます。平和的方途をもって医療の諸問題を解決しようという問題につきましては、先ほどから申し上げましたように、いわゆる七月三十一日の妥結事項、あるいはその後において具体的にプログラムの編成にかかった、また、灘尾厚生大臣を中心にいたしまして、二十名の委員が忌憚ない意見の吐露のもとに了解をみましたこの了解事項の誠実実施という問題が一番大きい問題だと思います。そこからスタートしなければ、日本の医療をめぐるところの山積した問題の解決の端緒は私はつかみ得ない、こういうように考える次第であります。
社会保険の医療が普遍化いたしますに従いまして、世論よく医は仁術だという。この仁術の仁術性、これが薄らいできておる。非常に皮肉った言葉かもしれませんが、医は仁術にあらずして算術だというようなことを言ったりしている意見がございます。しかし、医師と患者、この人間的接触、人間的な関係の上に成立する医の仁術性は、今日なお頽廃いたしておりません。確かにこれは私どもが日常の診療生活を通じまして、そこにぴったり結びついたところのものがあるわけであります。ただ一つ、それの診療報酬の支払いという形、こうした上に至る社会保険というところのとの制度、また、社会保険制度に律せられた支払い方式が入ってくる。これが人間関係をさこうとしておる。したがいまして、患者の枕頭を訪れた医師と患者との間、この中には、毛頭昔と変わらない医の仁術性は存在しておるわけであります。もしそうしたことを嘆くならば、この医の仁術性が、表面的にそういうような皮肉な言葉を受けるその根底となったものはどこにあるか、そうした基礎はどこにあるかというならば、ここにこうした社会保険の制度、あるいは社会保険診療の支払い方式、こうしたものが介在してくる。当てがいぶち的な診療報酬を押しつけて、また、患者と医師との両方が知らないうちにこうしたものにいろいろ制約を加えようというこの制度自体に私はあると考える次第でございまして、これを解決する道は法律ではないと思います。国家の機構じゃないと思います。なごやかにお互いの間の話し合いの中で解決点を見出さなくちゃいけない。これは非常にうれしい形として、去年の八月、このすべての問題を平和的に解決しようという窓口ができたにもかかわらず、無為にこの方向を誤らしめるような態度に出られたところの支払い側の二月十六日以降のあの申し入れ、こうしたものに対しましては、非常に大きい不満を医療担当者は持っている次第でございます。この調査会法案が原案どおり通過をみないときにおいては、この前国会において成立をみた中医協に委員を送らない、あるいは今まで問題になっているところの病院協会の代表をこれに加える、あるいは指導監督の面においてはこうである、いろいろとこうしたものに注文をつけて、前国会において成立をみたこの中医協の発足を妨害しておられるととに関しては、それぞれ意見がありましょうけれども、広く全国の医療担当者は大きい不満を持っております。私たちは、医療は国民とともに語りたい、また、患者と医師との間においてはっきりしたものを成立したい、こういう希望に燃えているわけでございまして、また、それこそが医療問題の円満な解決の方向であろうと思うわけでございます。こうした観点におきまして、現在この調査会を企図しておられるところのこのこと自体が、今日の時代にそぐわないものと思うわけでございます。
なお、この法案の中に盛られているところのものを、私たちしろうとながら吟味いたしまして、非常にあいまい模糊たるものを感じております。字句の上に出ておりますものを見ましても、これは制度審議会が出されたところのものとは、かなりに違ったものが出ていると思います。先日もある機会に聞いたわけでございますが、診療報酬に対する医療担当者の要求と支払者側の希望とがあまりに開いている。開いているものをお互いの場において論ずることは、これは無意味である。だからして何とか縮めたい、何とか縮めたものを草案として出して、それを土台にして話し合いをしていくのだ、そのための、中医協にかけるこれの案をこしらえるところの調査会の機関だ、こういうようなことを聞いております。もうすでにこうした医療の問題が、自由経済社会におきまして、私どもがほんとうに医学を守り、国民の医療を守っていくためかくあるべきだというもの、これを事前に制肘を加えて、それをもって中医協の場で論じさせようとするならば、中医協はサル芝居の舞台になろうと思う。そうしたところのものが、その片りんすら出ているならば、調査会のこうした考え方に対しましては、医療担当者は強い抵抗を示すわけでございます。およそ診療報酬算定のための基準をおのずから見出そう、こういうこともいわれておりますが、私は、制度審議会がいわれたところのルールの決定ということと、基準——何か一つの数値を求めようとするような、こういうところには大きい開きがあろうと思うわけでございます。その他にも幾多指摘したい点がございますが、時間がございませんので、割愛さしていただきたいと思います。
以上要約いたしますと、きょうのこの会期末を控えたところの今国会において、これが何か他のそうした働きかけをもって急拠上程され、会期末に十分意を尽くさないままに、さらには医療担当者の大きい不満を内蔵しながら、さらに過去のそうしたこんとんとした状況になお輪をかけるような、油を注ぐような形においてこれが終末をみるということは、はなはだ遺憾でございまして、そういう点から、この法案に対する慎重なる御審議をちょうだい願わなければいけないと思うわけでございます。
以上の観点に立ちまして、この法案に対する日本歯科医師会の反対の意思表示といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/19
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020・高野一夫
○委員長(高野一夫君) どうもありがとうございました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/20
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021・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 次に、国民健康保険中央会専務理事小島徳雄さんにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/21
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022・小島徳雄
○参考人(小島徳雄君) 国民健康保険中央会専務理事の小島でございます。ただいま御両所からそれぞれ御意見がございましたが、中央会としての考え方につきまして申し上げたいと思います。
先ほど安田さんから、社会保障制度審議会の委員としての審議の経過についてのお話がございました。私も社会保障制度審議会の委員といたしまして、古井前厚生大臣がこの問題につきまして、白紙で、中央社会保険医療協議会の最も理想的な形はいかなるものか、社会保険の診療報酬を適正にきめるにはいかなるプリンシプル、いかなるルールによるべきか、こういう問題につきまして、白紙で社会保障制度審議会に諮問されたそのいきさつにつきまして、安田さんの述べられたものに敷衍しまして申し上げまして、一応私どもの考えを述べたいと思います。
先ほど安田さんがお話になりましたように、この調査会法案というものは、われわれ支払い担当のものが立案したものでもございません。国会議員の方々から選ばれた社会保障の委員の十人の方々、学識経験者の十名の方々、団体代表十名の方々、その他官庁関係約四十名でございますが、ほとんど官庁を除きましては、全員出席の非常に慎重な審議をなされましてこの答申がなされたのであります。と申しまするのは、非常に当時の情勢は、総辞退という、きわめて重大な情勢でございます。しかも、古井厚生大臣は、この医療費の値上げの問題を、厚生省自身が案を作成することは、かえって政治的にもいろいろまずいのじゃないかというような考え方からでありましょうか、最も公正妥当と信ぜられる社会保障制度審議会が白紙で案を作っていただきたいということで社会保障制度審議会に臨まれたわけでございます。当時の審議会におきましては、ほとんど委員が全員出席されまして、各委員から全部意見を文書で御提出願いまして、その文書を取りまとめて、最大公約数で案をまとめまして、慎重に審議いたしましてあのような答申がなされたわけでございます。したがいまして、本日列席の国会議員の方々にも、委員として御出席をされ、御意見を吐かれた方もおいでだと思いますが、そういうような御慎重な審議の後に、最も公正な意見としましての中央医療協議会の改組、同時に、調査会法案というものが答申として提出されたわけでございます。一つの調査会法案というものが出ましたのは、当時の情勢におきましては、医師会の関係の委員が中央医療協議会になかなか入っていただけない、しかも、医療費の問題は医師会が入らないで解決することは好ましい情勢ではないという関係からいたしまして、できるだけ医師会も入らせるような情勢で案を作りたいというのが、当時の社会保障制度審議会全体の空気でございました。したがいまして、保険者側といたしましても、できるだけ譲歩すべきものは譲歩して、あるいは四者構成というものにつきましては、医師会のほうではそれでは困る、三者構成にしなければならぬ、しかも、厚生省は監督官庁、それから、同時に監督と経営の両方の資格において入っておる、こういうのもよろしくないというような、いろいろの当時の医師会代表の関係の委員から御発言がございまして、したがいまして、それらの点につきましても、できる限り医師会の関係の委員の要望を取り入れまして、当時の審議会といたしましては、案があのようにでき上がったわけでございます。同時に、医療費問題は、昭和二十六年以来、昭和二十六年の改正、あるいは昭和三十三年の改正、昨年の改正と、今日までいろいろ改正が行なわれてきておるのでございまするが、その改正のやり方が、まあ厚生省の出した資料というものは、医師会のほうでも保険者側でも、必ずしも十分に納得しない、医師会が出した資料は、厚生省としても保険者側においても十分に納得できない。したがって、データそのものにつきましても、日本においては医療費をきめる基本的な要素が欠けておる、こういうことで、今日皆保険の時代において、この大きな莫大な何千億と要する医療費の問題を、十年前の資料に基づきまして、それを補正して直すなんという非近代的なことは、今日の時代において、およそ医療費以外にあり得ないのではないか。ほかの社会においては、今日経済のこれほど成長し、医療がこれほど進歩しておる時代におきまして、十年前の資料に基づいてそれを新たに補正するというような、そういう医療費のルールのきめ方は、全く今日の時代にそぐわないのではないかという考え方が当時の審議会の一致した意見、したがって、いろいろ保険者側と医療担当者側におきまして、上げるの下げるの、上げ方の幅につきましていろいろ意見がありましたが、まず、そのものさしというものを一つ作って、その上でお互いに意見を戦おすということがまず第一に必要ではないか。まず基礎調査も、お互いの資料というものが不統一である、厚生省が出す資料、医師会の出す資料、保険者側の出す資料もそれぞれまちまちである、そういうことでお互いに論じ合っておっては、いつまでたってもこの問題は解決しないのではないか、フェアな解決は困難ではないかという考え方から、まず第一にそれらルールを、資料のとり方、権限、そういう調査方法につきまして、単なる厚生省だけではいけないのじゃないか、もっと学識経験者を入れたそういう権威ある調査会を作って、それらの人の意見を十二分に厚生省が取り入れて、そういうもので一つのルールを作って、その上で医療協議会でいろいろ医療費値上げの問題を検討するということになったほうが合理的ではないかというのが、当時の審議会全員一致の意見でございます。したがって、その当時におきまして、医師会の代表、歯科医師会の代表の委員の方も、委員として御列席でございましたけれども、当時の意見といたしましては、中央医療協議会の改組の案につきましては、いろいろ御意見がございましたけれども、この調査会法案につきましては、ルールという言葉を、厚生省の案におきましては基準という言葉に変えておるということが、調査会の考えている案と厚生省の案とは違うのじゃないかということについて批判的な意見はありましたけれども、その当時におきましては、小平総務長官が御列席になりまして、しかし、この法律の用語としては「基準」と書いてございますけれども、その意図するところは、この社会保障制度審議会が答申しているルール、ものさしを作るのだという考え方に何ら変わりはないのだということで当時の委員は納得されておるような状況であります。その後におきまして、いろいろ答申が出ました後におきまして、あとでいろいろ医師会方面からも御意見が出ておるようでございますけれども、当時におきまして、審議の過程におきましては、「基準」という言葉に関する問題につきまして、医師会代表、歯科医師会代表から、解釈の問題について意見が出ましたけれども、調査会を作るということにつきましては、それほど強い意見というものは、私は委員として列席しておりまして、なかったように私は拝承いたしました。また、ここの社会保障制度審議会が出している資料にも、それははっきりと出ておるのでございます。そういうような情勢から考えましても、決して調査会というものは保険者が作る団体でございません。中立的なものであって、厚生省がもう少しこういうふうな権威ある学者的なものを作って、そして科学的なそういうようなルールの立て方を、そういう権威あるものに医療費の調査を依頼して、それに基づいてやる。たとえて申しますと、昭和三十三年の八月に社会保険医療費の改訂がございまして、そのときに厚生省として、資料としまして、どうしてこれだけの医療費を上げるかという根拠を説明しようとしてあげておられます。個人立診療所、病院立診療所につきまして、それぞれに対しまして人件費がどうなっておるのか、看護婦の構成がどうなっておるか、それから衛生材料費がどうなっているか、それからその他の機械費、研究費、それから減価償却費、物件費、それぞれについて厚生省としては一応材料を出して、医療費の値上がりの理由を説明されておるのでありまするが、こういうものをもう少し——厚生省も専門家でございましょうが、もっと権威あるそれらの経済学者、財政学者というもので、権威ある調査会においてそういうものを確立して、その上でひとつ医療費の問題をやったほうが円滑にいくし、かつ、近代的に合理的にいくのじゃないかという考え方から、調査会というものを同時にやる必要があるということで審議会が答申された限り、私どもといたしましても、しごくもっともだということで、それについて納得いたしたわけです。かようなわけでございまして、一部にいわれておるように、調査会というものが保険者のための機関であるというような言葉は、これはもう非常な誤解でございます。そういう意味におきまして、これらの誤解を解いていただきまして、これらのものがせっかく衆議院を通過いたしまして、社会保険審議会でも前例がないことでございまするが、昨年の十月の二十六日ですか、満場一致で社会保障審議会が、与野党の国会議員、医療担当者、医療費支払い側、各団体を含めた特殊な構成となっておることにかんがみ、慎重な審議を遂げた。それにこたえて、臨時医療報酬調査会の設置を前提として、社会保険医療協議会の改組を答申した。この趣旨を体して、これをぜひ通してくれというようなことが、昨年十月、社会保険審議会からも出ておるようでございますが、そういうような自民党の国会議員、社会党の国会議員、それぞれ各党を代表された方々が非常に熱心に審議されまして、満場一致決定されたものでございまするこの法案が、この国会において原案どおり可決されんことを、われわれといたしまして、国民のために望む次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/22
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023・高野一夫
○委員長(高野一夫君) どうもありがとうございました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/23
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024・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 次に、日本医師会会長武見太郎さんにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/24
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025・武見太郎
○参考人(武見太郎君) この案を考えます場合に、基本的な態度といたしまして、民主主義の制度のもとにおきましては、個人の独立というものを認めるはずであると考えます。一つの業種におきましては、その業態の独立というものが認められなければ、民主主義の原則の第一は成り立たないと思います。
もう一つは、自由の問題でありますが、私は独立の問題から入りたいと思います。もしも労働者が労働賃金を要求いたします場合に、自分の労働に対してはこれだけの賃金が払わるべきだということを自分で要求できないというふうな制度は、私は、民主主義の社会では、ないだろうと思います。で、どういうふうに算定いたしましょうとも、その算定の仕方は、自分自分の独自な、最善の方法と考えるもので算定すべきだと考えます。これを認めなければ、労働者の基本的な人権さえも侵害すると私は思うのであります。医療におきましては、医師、歯科医師、薬剤師、また看護婦さんなどもみなプロフェッションといわれております。この専門のプロフェッションというものをどのように評価するかということが、これは一つの社会の文明の度合いをはかる方法であります。で、この法案は、その文明の度合いをはかる点から申しますると、全く殺人的にゼロであると私は考えます。で、専門業種の人々が、みずからの技能をみずから評価して世間に問うということが許されないということは、個人としても団体としても、非常に重大な事実であると思います。それで、このようなことでございまして、イギリスの王立委員会のまねをしたところがこの法律には非常に多いように私は思うのでありますが、王立委員会におきましても、イギリスは、御存じのように、国営をやっておりますので、公務員でございますが、専門の高い程度の技術については問題があるだろうからということで、仲裁裁定機関が設置されているほどの状態であります。それにもかかわらず、日本の場合は、算定の基準は総理府できめるということになりまして、それについて、数字さえいれれば中央医療協議会でよろしいというふうなことになりますと、まず専門職種の社会的な独立というものは全然ないことになります。このような考え方は、私は非常に一おそろしい、全体主義の前駆的な役割を果たす方向に向かっているように考えるのであります。はたして、先ほど来二人の参考人から、社会保障制度審議会をほめ上げた擁護の議論が出ましたが、私どもが最近手にいたしました「社会保障の総合調整に関する問題点その(一)」というものを見ますと、これはおそるべき内容を蔵しております。
お手元の資料の3にございますように、この問題点は、総合調整という名前を掲げておりますけれども、国民的な視野に立って真の社会保障の総合調整を取り上げんとするものでなくして、単に共済組合や健康保険組合のような、前時代的なものをいかにして温存、防衛するかに終始しているようであります。これらの前時代的な方式が、新しい世代の勤労大衆を究極において守り抜くものでないというふうに私たちは考えておりますが、その点については何ら言及してないのであります。
また、この社会保障制度審議会より出しておりますものは、医療保険制度と医療制度との関連が、はなはだ明確を欠いております。ただ批判、追及を受けました場合に、いかにして逃げるかという、逃げ道しか考えていないのであります。社会的な規模で推進しなければならない社会保障制度審議会の態度としては、このような考え方は納得ができないのであります。ここに書いてありますから、私は時間を費やすので、あまり詳しいことは申し上げませんが、この中で非常に驚くべきことは、医療保険のところで、十年後には国家管理を打ち出すことが困難であろうというふうな表現がされております。十年後には自由開業医制度を抹消する制度が、裏返して見ますならば、考えられるところであります。これは医療制度調査会の審議経過と全く違ったものでありまして、しろうとの方の集まりである社会保障制度審議会と、専門家の集まりでありますところの医療制度調査会の集まりとの間には、格段の差があるのであります。しろうとの集まりの社会保障制度審議会が善意でいいとおっしゃいましても、専門的な立場から見ますと、非常な欠陥を持っているということは、これでよくわかります。プロフェッションである医師の職能を国家管理するという思想は、国民の自由な医療に対する権利を阻害いたします。また、その自由を拘束するのみならず、生命尊重の至上主義を否定する場合が非常に多いと思います。私は、先ほど来、非常に美辞麗句をもって擁護されております社会保障制度審議会を流れている根本的な考え方が、国家管理という点にあるということが、審議会自体から出ました文書によって、きわめて明確になった点を基点といたしまして、その前段階としてこのような診療報酬調査会が出ていたということをあらためて考えますと、これは私どもは、日本の社会の前途にとって、非常なりつ然たる寒さを感ずるわけであります。この十年後の国家管理ということとこの医療報酬調査会と無関係であると断ずることはできないと思います。これは明らかに私は思想的に明確なつながりがあるというふうに考えたいのであります。臨時医療報酬調査会設置法案を見ますと、第一条に、「社会保険等の適正な診療報酬の決定に資するため、総理府に、附属機関として、臨時医療報酬調査会を置く。」と書いてあります。との「社会保険等の適正な診療報酬の決定」ということを入れておりますが、これは中央医療協議会法の十四条には「適正な診療報酬額」の決定という言葉が書いてあります。少なくとも中央医療協議会の法が国会を通りますまでは、あの「額」という字で全部が解決しておったわけであります。あれが出ましてから、今度は「診療報酬の決定に資するため、」と、この「額」の字をとって、あとこの中に何が含まれているかということを十分私は検討する必要があると思います。この「額」の字を抜いて、これは非常に私は大きな、あらゆることを将来法律権力を盾にとってやる可能性がこの第一条の中にあるということであります。また、第二条には、「調査会は、内閣総理大臣の諮問に応じ、適正な医療報酬の算定の基準に関する事項を調査審議する。」とあります。適正な医療報酬の算定ということになりますと、診療報酬という場合よりも、もっと医学の社会的適用の面が非常に広くなると考えます。この場合、保険以外の診療報酬までも、あらゆる国学の社会的な医師のサービス面というものを、全部ここで算定の基準に関する事項を調査するということになりますと、これは明らかに問題点として出ております十年後の国家管理ができるかできないかという問題とまっすぐ結んでいるのであります。これは非常に奥行の深い、昔の言葉で申しますならば、国体の変革をたくらんだという極論まで私はできるような思想的な流れが医療の面で行なわれているように思うのであります。医療報酬の算定の基準なんと申しますものが、まともな経済学者なら、これは算定できないということを知っているはずであります。で、専門の経済学者の意見を聞きますと、医学のような高度の科学技術に関するもののサービス料は、経済学的では算定のきまった方法というものが現在ないということは、これは経済学者の定説のようであります。ところが、ここでは法律できめるということであります。学問的に定説のないものを法律できめるというところに私は非常に問題があります。学問的に定説のできたものならば、法律でおきめ下さることが私は非常に妥当だと思いますが、法律のほうが先行してしまって、学問上の根拠のないものを法律できめて、それによってその結論に絶大な権威を持たせて国民を統治していくということになりますというと、これはたいへんな暴力政治だと私は断定していいと思います。で、この中で、また「調査審議する。」と書いてあります。この調査権の付与という問題につきましても、おそらく私どもも、医業経済実態調査で十分経験しておりますが、個人の秘密とする生活内容までも立ち入る場合がないとは限らないのであります。これは普通の場合には考えられないような生計費調査というものまでも入らなければならないとなりますと、これは個人の問題としては非常に重大なことになります。かつて厚生省と私どもとが、調査の方式に関しまして、専門学者をまじえて話し合ったことが昭和二十七年にございます。十数項目にわたる問題点を摘発いたしまして、これについて厚生省側の明確な答えを求めたのでありますが、厚生省はそれに対して一言半句の答えもなしに、それを実施の段階に踏み切ったわけであります。このようなことでありますから、今度ここで調査審議するとなりますと、これは勝手に役所が調査審議することでありますから、私どもとの話し合いとか自由な討議というものは、一切されないことになるわけであります。
もう一つたいへんなことは、私は、現在の国会で与野党が御賛成になってきました中央医療協議会が一本あれば、できないはずがないと思うのであります。私はその信念をさっき急に強めたのでありますが、安田健保連の会長が、医者とけんかする意思はないのだということを言っておられます。非常になごやかなムードで、私は非常にうれしく思ったのでありますが、安田先生は、医者がけんかするような調査会法には御賛成になって、医者が欲する中央医療協議会の改組には御協力にならないのでありますから、どうも私にはその間に矛盾撞着を感ずるわけなんでありますが、これはほんとうに仲よくやっていこうというのでありますならば、支払い団体としては支払い団体のルールをお持ち出しになって、こういうルールでおれのほうは勘定してやる、払いたい、それから診療担当者のほうは、自分たちはこういうルールでこういう調査をやりました、そしてこういう結論が出たからということで出ますならば、国会選任の強力な中立委員によりまして、最後には中立委員だけで話がきまっても、これは私は民主的な解決だと思うのであります。国会承認の中立委員ではだめなんで、官庁側が選んだ五人の学識経験者でなければだめだということは、明らかに官僚路線を完全に敷きつめるということでありまして、議会政治をこれくらい軽視した考え方は私はないだろうと思うのであります。これらの諸点から、私は、この考え方は非常に大きなあやまちだ、また、プロフェッションとしての独立を害する重大な問題を含んでいると考えます。また、過去の私どものいろいろの歴史的な事実から申しましても、今日の医療の混乱というものは、単なる診療報酬のルールをきめることがきまっていないから問題があったのじゃないのであります。これにつきましては、専門家としての学問上の自由というものが拘束されているという点が非常に大きな問題であります。これは当然保険に採用さるべき——ほんとうにガン患者が心の底から熱望しておるような薬も、日本で発明して外国の保険で採用しておるけれども、日本では使わせないというようなことがございます。患者の命を尊重することは、それを受け持っている医者以上の者はないはずであります。その良心をゆがめておりますところの現在の保険制度が、医療のトラブルを一番大きくもたらしておるのであり、同時に、また、医学教育を妨げている最大の原因であります。経済だけの問題で医療の混乱が回避できるというようなことは、医療の混乱に対する認識がきわめて浅薄であるということを私は指摘したいのであります。今日の医療と申しますものは日進月歩の進歩であり、また、国民の健康というものと真正面から取り組んでいく医学活動であります。病気になって、健康が破綻したときだけに医療の問題で医学活動が終始しているわけではないのであります。そういう点では社会的な規模で新しい医療制度が作られねばならぬ。で、医療制度調査会は、幸いにこの線で論議が進められておりますのに、その専門的な論議をはずして、今急いでこのようなものをこしらえて、将来の医療制度の方向を強く押えつけてしまうということは、私は組合温存主義の方針以外の何ものでもないと断定して差しつかえないと思うのであります。本来、私は、国民皆保険になります前に、組合管掌健康保険は解体さるべものであったと考えます。共済組合も当然そうであったと考えます。今日の組合管掌保険は、前時代的なものが新しい社会保障の中に非常に大きなウエートで残っております。内臓にガン細胞が充満したような形の今は社会保障の形になっているわけであります。被保険的な組合で、しかもその組合間のアンバランスと申しますものは、負担面におきましても給付面におきましてもばらばらでございます。このような無秩序なものが大きく社会保険の中で発言権を持っているという状態は、私は健全な状態でないと思うのであります。
また、私たちが指摘したいことは、健康保険組合が負債をしょって解散をいたしまして政府管掌に入ります場合に、その負債は零細な中小企業から集めた金で組合の跡始末がされておりまして、大企業の組合がつぶれた場合には、中小企業がそのあとしりぬぐいをやらなければならない、やらされているという格好は、私は組合管掌健康保険制度の現在存在している意義について大きく疑わなければならないのであります。はたして私は、このような制度でほんとうに勤労者の健康というものを組合制度で最後まで守り抜けるかどうかということについて、私は非常に限界がきているように思うのであります。で、これらの制度を温存しておきまして、その発言権が大きなウエートを持っている現段階において、それらの人々がこのようなルールを作って、相手の独立した人格を認めない制度を歓迎するのは、やはり前時代的な組合精神で、資本家的な立場が非常に強く出ている証拠だと思います。そういう点で、私は、この調査会法案にはまっこうから反対せざるを得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/25
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026・高野一夫
○委員長(高野一夫君) ありがとうございました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/26
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027・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 最後に、慶応義塾大学教授の園乾治さんにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/27
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028・園乾治
○参考人(園乾治君) 私は、この臨時医療報酬調査会の設置に関する法案を御審議になります際に、参考人として意見を述べさせていただきますことをたいへん光栄と存じます。
現在社会保障制度審議会の委員でもございませんし、また、かつて社会保険審議会の委員であったこともございません。いわば野にいる一人の社会保険の学究としまして現在いるわけでございますが、との臨時医療報酬調査会の設置に関しましては、ほかの参考人からすでにお話がございましたようないろいろないきさつがあることを、私もほのかに聞いておる次第でございますが、この調査会に関する法案は、御存じのように、条文がきわめて簡単で、その内容がどういうものであるかということを、私は私なりに推測をもって私の意見を申し述べ、結論を申し述べる次第であります。
まず、この法案は、適正な医療費を算定するための基準を決定するものだというようにいっておるのでありまして、そのために必要な調査をまた行なうというのでございまして、もちろん中立的な機関であり、総理大臣の諮問にこたえる機関であるということであります。また、この委員の構成は、学識経験者五名をもって構成するほかに、専門委員を十名でありますか、必要があれば置くというように規定されておるのであります。で、適正なる診療報酬もしくは適正な医療報酬というものがどういうものであるかということについては、立法者のほうにいろいろな御意見がおありかと思いますが、これを私なりに解釈いたしますると、結局医療費の構成を分析いたしまして、いろいろなものに関する費用、あるいは人に関する費用を計算をするということがまず第一に必要であると思います。これは場合によると、医療に直接必要な人件費あるいは物件費ということにもなりますが、直接でない、まだ、欠くべからざるいろいろないわば間接の費用、間接の人件費、物件費というものがここに加わることは言うまでもないのであります。そのうらには結局設備投資に対する償却の費用というようなものも加わるでございましょう。また、このほかに、医療に従事せられる方々の技術差、その評価という問題もございましょうし、あるいはまた医療に従事せられる方々の社会的な地位、ほかの職業との差というようなものも考えられなければならないと思いますし、また、医療が行なわれますところの診療所と病院との差というようなものも考慮しなければならぬのだと考えますが、いずれにいたしましても、あるいはそのほかの要素も加えまして、医療費の分析を行なうということが企てられるのだと考えます。そうして、その医療費が適正であるかどうかという問題の批判がなされなければならぬ。これは非常に困難な問題であろかと考えますが、この適正な医療費の構成あるいは決定がない限り、社会保険が普及いたしました今のいわゆる皆保険下においては、円満な社会保険医療が行なわれにくいということは、私が申すまでもないことであろうと思うのであります。しかし、ここでこの調査会が決定いたしますのは、そういうような適正な医療報酬の決定の基準を定めるのでありまして、金額そのものを決定するというのではございません。医療費の算定については、もちろん厚生大臣がこの調査会の結論に従って、あるいは算定方法に従って具体的には原案を作成するということになろうと思います。その作成せられました原案について、中央社会保険医療協議会がこの諮問にこたえて具体的な金額を決定することになろうと思います。この医療協議会の委員の構成が先般変わったということについても、各位も御承知のところだと存じますが、いずれにいたしましても、この調査会は、ルールあるいは基準というものを作成するのでありまして、その決定いたしましたルールあるいは基準というものがない限り、医療協議会において審議をする場がない、共通のものがないということになろうかと思うのであります。もちろん調査会で決定いたしました合理的な、あるいは適正な基準というものは、時により変更しなければならぬような情勢も起こると思います。それはそのときに変更すればよろしいのでありまして、純学究的に決定いたしました基準に従って具体的に診療報酬を決定するための基準というものは、今こしらえない限り、医療協議会において、つまりここでは中立の委員もおられますが、利益代表が多くあり、そこでのいろいろな審議の過程においては、なかなか共通のものが見出しにくいということになろうかと思うのでありまして、ぜひこの調査会というものの設置が必要であるということを痛感するものであります。
今まで私が仄聞いたしますところによっても、医療費の決定が、多くの場合、なかなか困難なことになっている。それで、あるいはいろいろな方からの意見が出て、容易に決定されないままに、つまり話し合いが進まないままに日を過ごしているというような状態であるのを、一日も早く解決するというためにこの調査会の設置の必要があるというように私は考えるのであります。ことに保険医療が非常に普及いたしまして、いわゆる国民皆保険下におきましては、こういう調査会による基準あるいはルールというものの設定がなければ、医学の進歩をすぐに保険医療に取り入れるということも困難になってくるのでありまして、国民全体が進歩した医学あるいは医術の恩恵を受けるという機会がそれだけ遅延する、あるいは不可能になるという状態になってくることを思いますと、この調査会というものの設置が急務中の急務であるということを私は感ずる次第であります。国会の会期は、余すところごくわずかだということであります。しかし、各位の熱心な御審議によって、これが今回の国会において成立いたしますことを、私は一人の野にいる学究として切望するものであります。
はなはだ簡単でございますが、以上私の調査会設置法案に対する卑見を申し述べた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/28
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029・高野一夫
○委員長(高野一夫君) ありがとうございました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/29
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030・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 以上をもって参考人各位の一応の御意見発表を終わりましたる
これから質疑に移ります。委員各位から参考人各位への御質疑がありますならば、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/30
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031・相馬助治
○相馬助治君 私は、安田参考人及び園参考人にお尋ねをします。
まず、安田参考人にお尋ねしたいことは、社会保障制度審議会の答申によって調査会法案は、さきの医療協法案と不可分一体の形として出されたのだという立場と認識とをとられておるようですが、この場合におきましても、社会保障制度審議会が独自の意見として出したのではなくて、当時の厚生大臣から答申を求められて、ただいま議題になっておる調査会法案のことについて触れておるのです。こうした経過から申しまして、私どもとしてぜひお伺いしなければならないことは、この臨時医療報酬調査会法ができるということが前提とならなければ、先般生まれた中央医療協に支払者側としては参加しがたいと、こういう立場をあくまでとられるのでありますか、この点を安田参考人に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/31
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032・安田彦四郎
○参考人(安田彦四郎君) 私は、前にも概略御説明しましたように、この調査会法案と、新しく改組されました中央医療協議会というものは、いわば不可分一体、かような形で答申されたと思うのです。と申しますのは、昨年の十月二十六日に臨時国会で、時の政府が一方だけをお取り上げになって、中央医療協議会の改組法案だけを出された。それに対しましては、この社会保障制度審議会は、文書どおりに私今御報告できないのでありまするが、社会保障制度審議会、過去十二年間の歴史において、かような自分の答申と違えたお取り扱いを受けたというのは初めてである。しかも、その不可分一体で、二つ出るべきはずのものが一つであって、その一つの内容は、非常に答申した内容と大幅に変わっておる。これは答申の趣旨を非常にゆがめたものであって、大いに反省してもらいたいということが社会保障制度審議会委員——私も委員の一名でございましたが、さような意味で政府に申し上げた。また、保険審議会においても、やはりさような意味から総会を招集されまして、これに善処するようにというあれが出ております。私どもはその後いろいろ時の政府、ことに灘尾厚生大臣との話を申しますると、ぜひ将来を円満にいくには、ただいま申し上げました二・三%の値上げとともに、私どもはこれがうまくいくことを念願いたしておりますので、今日お出しになったのは、おそらくさような意味から、やはり不可分一体でやるべきであるということを御了承になって、ぜひ円満に将来やってみせるというお話がありますので、この法案の御審議は最終の段階になっているわけでありますが、これによってぜひ私は新しい協議会にはべりまして、ともに将来の医療費の問題なり、医療制度の問題を審議していく。入るとか入らないとかということでなく、ぜひできるものと、これは厚生大臣の言葉を信じます。できることを念願いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/32
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033・相馬助治
○相馬助治君 私は立法府のものとして、国会議員の立場からお尋ねしているので、あなたが政府を非難されることはきわめて自由でありまして、ただ、私がお尋ねをしているのは、中央医療協議会法というものは、三党協同一致で国会を異議なく通過した法案です。それはどういう反省の上でかといえば、従来の中央医療協では問題が解決しなかった。医師会側がこの協議会をボイコットしたとかしないなぞということは別にして、この際、その機構なり内容を改組しなければ問題は解決しないという立場に立って、国会は、政府提案に対して、共同して修正を加えて、これを通した。こういたしますれば、当然この協議会に支払者側も御参加になることを国会は期待してこの法案を通したわけです。厚生大臣とどういう話し合いがあったかはそちらさまの問題である。したがって、私がお尋ねしているのは、臨時医療調査会法案が通らなければ、厚生大臣との話し合いと違うから、私らは協議会には出ないのだ、こういう態度でありますかということをお尋ねしているのです。あくまでもそうであるとするならば、国会が議決したこの法律の趣旨に全くこれは合致しない一つの御意見であって、国会軽視のそしりを免れ得ないのではないかというふうにも思うのですが、私は批判するのは避けまして、率直に安田さん個人のその点の御意見を端的に承っておきたいと思うのです。すなわち中央医療協に参加しますかしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/33
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034・安田彦四郎
○参考人(安田彦四郎君) 私は、新たにできました中央医療協議会に参画いたしたいために、一生懸命にこの法案を通していただくことをお願い申し上げているのでありまして、今それでこの法案が通らないからということは、私は、これは厚生大臣と私のお約束でありますから、先生にさようなことを申し上げることは、あるいはいけないかもしれませんが、出ないというようなことは考えておりませんが、しかし、私は、会というものがありますので、今これが通らないならば出ないとか出るということを、ここで私が申し上げるわけにはいきませんが、私は、少なくともこの不可分一体の法律ができますれば、この新しい中央医療協議会にはぜひ参画しまして、将来の医療報酬制度の確立に貢献いたしたい。また、ともに一番問題になっておりまするこの医療費の問題をスムーズに解決していただけるということに期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/34
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035・相馬助治
○相馬助治君 時間もありませんので、端的に私の聞いていることをお答え願いたいと思うのですが、今問題になっておる臨時医療報酬調査会法は、実は通すか通さないかは、全く国会側のわれわれの自由です。したがいまして、この法案が通れば、中央医療協に引きかえに入るのだということがわかっても、それだからといって、そういう意思をもって、それじゃあの人たちを入れるためにこれを通さなくちゃならぬという義理合いも筋合いもわれわれにはないのです。ここで問題なのは、厚生大臣とどういう話があったか、それは私は知りません。また知っていても問題にする必要はありません。ただ、この法律と引きかえでなければお入りにならないのですか、それとも、やはりそれはそれ、これはこれで入るというのですかということを端的に承っておるのです。したがって、これは端的にお答え願いたい。入るのだ、入らないのだ、これだけ言って下さればけっこうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/35
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036・安田彦四郎
○参考人(安田彦四郎君) ただいま明言できません。私は、会に諮ってからでないと申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/36
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037・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 時間があまりありませんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/37
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038・相馬助治
○相馬助治君 私は、園参考人に一点承りたいと思います。実は、私どもこの法律案を審議していて、その法律案の内容は何も書いてないのですが、調査会を設けて置くということしか書いてないのですね。ところが、園先生のお話を聞いて、それが厚生省あたりの御意見がもし入っているとすれば、調査会というものはそういうものなのかということがおぼろげながらわかってきた。これは園先生の御意見であるとすれば、かなり仮定の上に立っているので、そういう仮定がはたしてよろしいのかどうかを私はおそれるのです。と申しますのは、ここではルールをきめるのだ、ルールをきめて、そしてそのルール、基準をきめると、厚生大臣が原価計算のようなものをして値段をきめるのだ、そうすると中央医療協に諮って、そしてこれを決定するのだと、こういう民主的な段階をとるのだということを聞いたのですが、これは初めて聞かせられたことなのですが、はたしてそういうふうに厚生大臣がするかしないかも実は疑問なんです。中央医療協議会に諮る気がないから、また、中央医療協という機関ではこの基準をきめるのにはふさわしくないから調査会を作っているのだと私は実は了解し、了解というのは、そういうふうな意味を学びとって、どうもこれはどういうふうに化けてくるかわからぬから、こんな簡単な八条まであるじゃないかというが、八条はみな御承知のように、めんどうなことは政令できめるというのですから、内容は七条。この七条までのこの法律で一体何をやるのだろうということをおそれているのですが、園先生はいろいろな前提に立たれて、これを早く通せというのですが、その前提は先生御自身が設定されたものですか、それとも厚生省あたりとのお打ち合わせがあるものですか。それから、その前提がくずれた場合には、この法案には御賛成にならないのですか。そこがわからないものですから、園先生から御指導いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/38
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039・園乾治
○参考人(園乾治君) 私は、さっきも申し上げましたように、一人の野にいる社会保険学究としてとの条文をこういうふうに解釈する、その前提に立ってこれを推進すべきだというふうに思っております。ただし、この意見が厚生省のほかの御意見と食い違っているかどうか、その点は私保証の限りでございません。厚生省のだれとも打ち合わせていたわけではないのでございます。こういうふうに解釈して賛成という私は解釈を申し上げただけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/39
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040・高野一夫
○委員長(高野一夫君) ほかからも発言要求がありますから簡単に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/40
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041・相馬助治
○相馬助治君 お立場はよくわかりました。したがって、そういう前提ならば賛成だ、そういう前提がかりに立論できない場合には賛成か賛成でないかわかりませんが、これは考え直すということだろうと思うのです。園先生は学識経験者としておいでになっておられるので、一点だけ承りたい。そういうお言葉ならば、実は小島さんに承ろうと思っておったのですが、今までのような仕組みではだめだから、最高の権威でやるというのですが、この場合の最高の権威というのは、財政学、経済学上の最高の権威なのか、それとも、ほかのことを考えなければならぬのだという観点に立って最高の権威というのか。私どものように、医者にかかる立場、私は医者じゃないから、かかる立場で、いい診療をしてもらいたいという意味で、いい診療をするという角度から立って最高の権威でものを見るのか。私は、最高の権威と一口に言うけれども、現に出すほうともらうほうじゃ反対ですから、われわれはこの際どっちを考えるかというと、人間の生命に直接タッチする医療団体のものの考え方というものをさしあたって考えなくちゃならない。そういう意味で、最高の権威とか良識とかいうものは、この際どういうふうにお考えになるか。そうして、との委員はどういう人がいいか、はっきりしていることは、利害関係者は除くと言われる。そうすると、神主さんとか坊さん出の全く純粋の人を持ってくるのか、それとも経済的にきちっとした、しっかりした人を持ってきて、経済学的にこれを解決づけるのか、それとも、また、ほんとうに医学、薬学をきわめた、いわば人間の生命にひっついたそういう最高の権威を持ってくるのか、園先生にその点を一応承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/41
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042・園乾治
○参考人(園乾治君) こういう調査会ができた場合に、権威がなければいかぬということは申すまでもないと思いますが、権威というのは権力で押しつけるという意味じゃもちろんないだろうと思います。
それから、委員の任命でありますが、私はその衝におりませんので、腹案も何もございません。どういう人をしたらいいかというような案もありませんし、具体的にABCだれを選ぶかということも考えたことございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/42
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043・竹中恒夫
○竹中恒夫君 最初に安田先生にお尋ねいたします。
申すまでもなく、昨年の秋以来、医療懇談会ができまして、保険者、被保険者、医療担当者、非常になごやかな前向きの姿勢で懇談された。非常に好ましい状態であった。ところが、今日こういうふうにもめて参りましたことの原因が、実は今はっきりわかったのですが、先生は、いわゆる臨時医療報酬調査会と中医協とが不可分一体だ、こういう立場においてものを考えて議論しておられるように思う。これは私はきょう議論いたしません。ただお聞きするだけですが、そこでお聞きしたいことは、調査会は、御承知のように、答申にありますように、中立的な機関としてこういう答申を出された。社会保障制度審議会からの答申は、「そのために必要な調査を行う中立的な機関として診療報酬調査委員会を設け、」と、こういう答えをしてある。あくまでこれは中立的な性格ですね。中医協というのは、要するに三者構成である。従来四者構成でしたが、やや中立的な立場がありまするが、保険者、被保険者という立場と、医療担当者という利害関係者を含んでおるわけです。そうすると、全然委員会の性格がまるで違うと思う。これをなお不可分一体だとお考えになっておられるかどうか、その点を一点お聞きしたい。
それから、これは相馬委員から御質問がありましたので、もう重ねて申しませんが、そういう不可分一体の立場に立つと中医協の委員に推薦しにくいというおつもりでおるわけですか、不可分一体でなければ、これは当然別の角度からやはりお考え願わなければならぬ問題だろうと私は思うわけです。
それから、もう一点お聞きしたいことは、この答申がありましたのは三十六年三月一日、一年ばかり前です。その後、懇談会等がありまして、前向きの姿勢でいろいろ話をなさるし、ただいま日歯の辻本さんが言われましたように、四十国会において、今日の情勢の変化ということから考えあわせますというと、特にそういう感を深くするのでありますが、中医協というのは、すでに前国会で改組されたわけですね、御不満のようですが。同時には国会に上程されなかったが、一応中医協改組をみた今日、まずこれを実行するべきではなかろうかという感じがするのですが、これはやはり不可分一体の関係からして、そういうものに対して賛成できないとおっしゃるのですか、その点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/43
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044・安田彦四郎
○参考人(安田彦四郎君) 私は、社会保障制度審議会が、新しい中央医療協議会の改組、それはこの臨時医療報酬調査会の前提として新しい中央医療協議会に改組した、さような意味で不可分一体だと考えておりますし、今度の政府も、前国会におきましては、二者とも不可分一体の精神で出たのでありますが、その後どういうことで間違ったか知りませんが、その中央医療協議会だけの改正が出ました。いわば私どもが思っておりました不可分一体というようなものが実現しなかった。さような意味で、政府は、社会保障制度審議会に諮問をしたときのその言質といいますか、さような面からいっても、今回これを出さなければいけないのだと、かようなことでお出しになっておりますので、私は、これは新しい中央医療協議会の改組の前提条件が不可分一体だと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/44
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045・竹中恒夫
○竹中恒夫君 この答申書によりますと、前提条件というのは、中医協というものが前提条件でなくして、「単に、現行の健康保険や国民健康保険制度の診療報酬支払制度に見られる各種の欠陥を是正するだけでは十分でない。」、したがって、前提条件は、「基本的には、医療制度を近代化し、健康保険、共済組合、国民健康保険等各種医療保険制度の抜本的な改正がなされなければならない。」、それが前提条件でありまして、あなたのおっしゃる不可分一体というような思想は私には読みとれないのです。この答申の中には、あるいは論議の中にはそういうことがあったかもしれませんが、われわれ委員ではございませんので、論議の経過は知りませんが、このプリントされた答申によりますと、不可分一体であったという断定は少しく独断的でなかろうかと思うのです。その点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/45
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046・安田彦四郎
○参考人(安田彦四郎君) 私は、お答えになるかどうかわかりませんが、再度申し上げまするが、前提条件として中央医療協議会を改組する、旧中央医療協議会では診療担当者の方々に入っていただけませんので、また、いろいろなそこに争いがありまするので、ルールを確定して、ルールを見出すというような今の調査会法案というものを作って、新しい中央医療協議会を発足させれば、将来の医療費問題というものは解決するであろう、そういうことに、言葉の使い方はどうありましょうとも、解釈といたしまして不可分一体、私はさような気持で承っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/46
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047・竹中恒夫
○竹中恒夫君 時間がないので急ぎますが、小島さんにちょっとお伺いしたいと思います。
先ほどのお話の中で、社会保障制度審議会におきましては、いわゆる満場一致でもって答申がされたと、こういうようなお話でございましたが、これは私は、形式の上では、あるいは習慣上、ああいう審議会は満場一致という形式をとらざるを得ないと思うのでありまするが、少なくとも、医療担当者が心から満場一致のいわゆる賛成をしたと私は思えないのです。多数意見によって決定したと、かように考えるわけですが、こういう席上で、はっきりとそういう場合における状況をひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/47
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048・小島徳雄
○参考人(小島徳雄君) 最初に申し上げましたように、社会保障制度審議会でこの問題を審議する場合におきましては、大内会長は、きわめて慎重に、民主的にやられまして、この問題に関して、文書で全員から回答をとられました。そこでいろいろ意見が全部出ました。各委員からは、官庁を除きましては、ほとんど意見が出ました。そして意見がそれぞれ多少違うわけであります。そこで最大公約数で、だんだん三者構成がいいか四者構成がいいか、それから指導監査の問題は省いたらいいかどうかということは、これもみんな保険者としていろいろ意見があったのであります。最初われわれとしては非常に意見があったわけでございますが、最終の段階におきましては、譲るべきは譲らなければいかぬ、これは社会保障制度審議会の従来のいきさつからいっても、いろいろ意見がありましたけれども、最終的には満場一致の形でいくのが従来の原則でございまして、先ほど申し上げましたように、調査会の問題につきましては、基準という言葉が、ルールという社会保障制度審議会のあれと少し違うのではないかという御意見がありましたが、そのときには小事総務長官が御列席になりまして、この言葉は、社会保障制度審議会でいっているルールとものさしは同じということで了承されまして、満場一致形式的には決定したというふうに私は理解しておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/48
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049・阿具根登
○阿具根登君 時間がございませんので、簡単に武見会長に御質問申し上げます。中央医療協議会で、あるときには医師会がお出にならない、今度は保険組合のほうがお出にならない、そしてあるときには自民党と医師会の方々がお話しをされて話がきまる、あるときは政府と組合側が話をされて何かきまる。そうすると、国民と私ども国会議員がこういう問題について一番知らないような気がいたしますから、もちろんその知っておらない立場に立って御質問を申し上げたいと思います。
先ほど少し私中座いたしましたので、非常に失礼いたしましたが、武見会長のお話を聞いておりますと、こういうものができて、生活の内容まで立ち入るということはけしからぬ、もちろんそのとおりだと私は思います。しかし、それではこういう調査会なるものは不要であるかというと、そうでもないようにお聞きいたしました。私は、この大内兵衛先生の答申を持っておりますが、それで見ますと、厳正中立なる医療報酬調査会を設けて、その答申に基づいて厚生大臣は医療報酬の案をきめて、これを中央社会保険医療協議会に諮問すると、そこできまると、こういうことに答申がされておるわけです。ところが、これは御承知のように、古井さんの厚生大臣時代に社会保障制度審議会に答申を依頼された。そうしますと、この社会保障制度審議会のこの答申に対して御不満であるのか、反対であるのか、それが一点。
それから、この法案の内容が、調査会の委員なり専門委員なりを総理大臣が任命することになっている。これは官僚主義でいかぬ、もしもそれが国会承認であったらばよろしいのかどうか、この点が二点。
それから、いずれの場合でもこういうものはできぬというのか、これが三点です。
それからもう一つは、もしもこれができなかった場合に、中央社会保険医療協議会でこれをやるというようなお話がございましたが、これには十年前の資料しかないということをお聞きをいたしておる。そういたしますと、何かの下部機構を設けなければできない、こういうことになるのか、そういうことをお考えになっておるのかどうか。
それからもう一点、会長さんの書かれたものを再三読んだことがございますが、お聞きいたしたいと思いますのは、自由経済社会における診療報酬制度の確立と、こういうことでございます。これは非常に幅広いもので、私、不勉強でよくわかりませんが、自由経済社会の中において、今申し上げたようなものでなくて、なお別個なお考えがおありになるならば教えていただきたい。
以上の点について御質問申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/49
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050・武見太郎
○参考人(武見太郎君) 私は、この調査会が不要でないというふうなことは申し上げていないつもりでございまして、これは要らないということにはっきりと御訂正を願いたいと思います。
それから、社会保障制度審議会の答申に対しましては、日本医師会も日本歯科医師会も、両方の代表は全面的に反対をいたしました。これははっきり申し上げておきます。
それからもう一つの問題は、これは国会承認ならいいか悪いかという問題でございますが、もう少しその前に、私はさっき申し上げたように、独立したプロフェッションとしての社会的な人格をお認めになるならは、それらの団体が自由に自分たちがよいとするようなルールで、自分たちの社会的評価というものをみずからして世に問うことがいいはすだ、それが個人の独立あるいは団体の独立を認める方式である、それを認めないで、官製のルールで作ることに反対だというふうに私は申し上げているわけであります。これは労働者の場合でも、私は絶対に労働者が自己の労働に対する評価を自分でして、それに社会的な評価を求めるということが民主主義の基本原則だと考えておりますので、私どももその考えは変えていない方針であります。で、そういうことでございますから、これが国会の任命であるからどうかということではないのであります。このことにつきまして、私は例をあげて申し上げないとわからないと思いますが、昭和三十三年に、私どもは今米価審議会等で使っております平均費用曲線というもので、日本で初めて医療報酬の場合に算定をいたしました。この場合には専門の経済学者の協力を得まして、そして近代経済学を使って実態調査をいたしまして、合理的に算出をしたわけであります。で、この場合には、十八円四十六銭という値いが出たのでありますが、その後二年たって、米価審議会はこの平均費用曲線というものを使って、これは生活保障曲線という名前でお呼びになっておりますが、私どもは平均費用曲線ですが、生活保障曲線と称しても差しつかえないわけであります。今まで中央医療協議会の中で、ルールらしいルールというものが出ましたのは、この一回の案だけでございます。それ以外にはルールというものが出たことはないのであります。で、中央医療協議会の今までの医療費の算定の仕方を見ますと、物価にスライドするとか、いういうございますが、私は非常に不合理が多かったと思う。二十六年の単価引き上げのあと、昭和三十二年まで六年間一回も、あの朝鮮事変の大インフレの際に、一銭一厘の値上げもされていないわけであります。その間に、昭和二十五年には臨時診療報酬調査会ができております。二十七年には医療費の原価計算委員会ができております。とこうが、原価計算委員会も、これは用をなさないということで廃止になっております。それから、今度その次に臨時医療保険審議会ができまして、その臨時医療保険審議会を昭和三十二年に私どもは脱退いたしました。なぜ脱退をしたかと申しますと、医業におきましては拡大再生産を認めないという結論を強硬に出そうとしたためであります。今日非常に医療の混乱をもたらしたのは、医業には拡大再生産を認めないというような考え方で、保険者、役所のほうがそういう考え方できておりましたために、病院ストライキというような、非常に私は日本の社会にとって不祥事件も、その根本的な原因は、そういうふうなルールをお認めにならないで、拡大再生産は認めないというふうな強い態度で、朝鮮事変のインフレの間押えてきた。しかも、それに対していささかの反省もなかったということであります。で、そういうふうなことで、今日の医療の混乱は、私が率直に申しますならば、われわれの提案したルールに対して、保険者、支払い側が別のルールで、こういう考え方はどうかと御提示をいただくならば非常にありがたかったと思います。とこうが、保険者、支払い側からはそういうルールは一つもなく、ただ十八円四十六銭は天文学的数字だというお答えしか出ていないのであります。私どもはお互いに君子の争いをするならばいいと思うのですが、そうでない。で、われわれは学問上のルールに従って、これは実は指導者は中山伊知郎教授でありまして、高橋長太郎教授、板垣与一教授、山田勇教授とが検討いたしまして作ったものであります。そういうものに対しては一顧の価値も与えないで、そして、それでは医者がもうかり過ぎるという議論をこうむってしまった。そして今日の病院ストライキというような事態を生じたのであります。病院ストライキというのは、拡大再生産を認めておったならば、私は絶対に起こらなかった。日本の医療従業員というものは、古来からの仁術観で、不当に圧迫される困難にたえておりますから、ああしたことはなかったと思うのです。その点私は非常にあの態度を残念だと思っております。そういうことでございますので、これはどこで任命なさいましても、ある専門業種というものの社会的独立というものをお認めにならない限り、私どもは賛成いたしかねるというわけであります。それが第二点のお答えであります。
それから、何人がやってもいけないかとおっしゃるのは、私はそういうふうな考え方がきまるならばこれは問題ないと思うのです。ですから、イギリスの王立委員会でさえも仲裁裁定機関を設けまして、診療担当者の不平不満というものは受け取っているわけです。そこで、私は、今度は五人の最高の権威者で作るから安心だという議論に対しては、私はまっとうから反対しております。これは患者の診療に対していささかの責任もない人たちが作ったものが一番いいというのは、一番よさそうな観念を与えますけれども、私は一番無責任なんだ、ほんとうに患者の命とぶつかります人間が納得しないで、第三者がきめたものが一番いいという議論は私は成り立たないと思う。こういう点から考えましても、何人が五人に選ばれましても、これは診療担当者が納得するものでなければならないし、同時に、また別の考え方でもあっても、これは支払い側との話し合いが私は全然つかないものでないと思うのです。とこでそういうふうに作って、官製の一本の線しか認めないというようなことが医療という面には非常に大事だと、今、園先生のお話の中で私は慄然としたことがある。一体疾病の診療報酬と申しますものは、上手になおしたお医者さんがよけい収入を得るのが一番私はいいと思うのです。とこうが、病院、診療所の格差の問題をおっしゃいましたが、建物が大きくても病気が早くなおるわけではない。建物の大きさで診療報酬を考えるということになったら、これは病気がなおらないでたいへんなことになります。経済学の大先生の園先生でさえそういうことをおっしゃっているわけですから、それ以下の連中だったら、どんな暴案が出るかわからない。こういう点で私は非常な危険を感じます。それから原価計算という考え方がさっき園先生の中にありましたが、これはさっきの原価計算委員会で証明済みでございます。ここで出しましたのは、終戦末期の飛行機の原価計算方式と、軍需省で作りましたのと、てにをはまで同じだったのです、原価計算要綱というのは、厚生省で作ったのは。それでまっこうから反対いたしまして、それが軍需省と同じだと見つけたのは高橋長太郎教授で、照らし合わせて見ますと、みんなまことにてにをはまで合っている。人間の命と飛行機とを取りかえっこしたようなものでございます。園先生は厚生省と相談しないとおっしゃるが、古い記憶を懸命にたどられて、厚生官僚の路線を組み立てて私どもに示して下さったと思って、非常にありがたいのでありますが、あれはおそるべき結論が出ると思います。
それから、私が今申し上げたことで大体おわかりいただけると思いますが、今後の問題として非常に大事なことは、やはり私は医師と患者との人間関係というものを非常に強調しておかないと非常なあやまちが医療の面ではくる、これが基本にならなければいけないということだと思います。それから、さっき自由経済社会における診療報酬制度の確立というあの四カ条の約束がございますが、これは少なくとも自由経済社会におきましては、専門団体は、みずからの評価というものをみずからすることが許されなければならないと思うのです。話し合いがつくつかないということは別の話でありまして、これは私は必ず話し合いはつくことのないものは通せっこないのですし、国民負担力から申しましても、私は国民負担力の限度を考えながら医療の進展というものをはからなければならない。この調査会ができれば、新しい医療がどんどん取り上げられていくなんというのは、園教授の経済学は、全く医療には不適格だということがはっきりわかった。とてつもない経済学が私は今どき残っていると思うのですが、私は、近代経済学は、そんなやぼったらしいことは言っていないと思います。自由経済社会におきまして、私どもが、少なくとも専門の職種として最も権威を持たなければならないものが、第三者の無責任者のあてがい扶持で養われていくということになって、これを保険者団体が賛成いたしますことは、考えてみますと、われわれが飼っていくという考え方に通ずると思うのです。一切文句は言わさないという形ができることを、支払い団体はお望みでございましょうが、この形ぐらい医療の内容を低下させるものはないと思います。で、こういう点で、私のお答え申し上げたことがお答えになるかどうか知りませんが、もう一つの問題は、どうも自民党とやみ取引をしておまえたちはやるからけしからぬとおっしゃるようでありますが、私はやみの取引はしたことはないので、いつもテレビが追いかけますから、やみにはなっていないと確信をしておりますが、どうぞ政党政治の現実の面をお考えいただきまして、私は、議会政治の中でこういう問題がフェアに解決されることを極力希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/50
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051・阿具根登
○阿具根登君 そうしますと、もう一点質問いたしますが、医者の治療の問題について第三者がそれをきめるということは、これは当たっておらない、こういうことだと思います。確かに労働者は自分の労働賃金は自分でこれは要求いたしております。しかし、社会情勢から見て、これがいれられない場合には、第三者の裁定を待っておるのが現実でございます。そうした場合に、中央医療協議会ですね、これはもちろん今入っておられるから無視されておらないと思うのだが、これの裁定にはお従いになるのかどうかというのが第一点と、私は、今仰せられましたように、お医者さんの内容というものが一番むずかしいと思うのです。実際問題として、たとえば引揚者のお医者さんが、もう数回国会でも試験制度を延長し延長し延長してきても、まだ通っておらないお医者さんもおられます。ところが、もう大博士で、そうして非常な権威のある方々もおられて、非常に私は段階があると思うのですね。そうすると、これは第三者もきめ切れないが、これは当人のお医者さんもなかなかむずかしいのではなかろうかと思う。たとえば何年に学校を卒業して、何年になるからこれは幾らだということは、これはいかぬでしょうが、私どもが経験いたしましたのは、たとえば学校の先生の問題にいたしましても、非常にきめにくい。これは一体どういうことになるか、もちろんそれは第三者よりも、これは御当人の方々は専門家ですから、一番きめいいとは思いますが、そういう点についてのお考えがございましたならばお聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/51
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052・武見太郎
○参考人(武見太郎君) 第三者が出てくる場所の問題と順序の問題だろうと思います。私は、中央医療協議会一本でこれはできる話だと思っております。負担力のない国民から召し上げようというふうなことは、とうていできないことでございますから、これはもう現実に不可能ですから、これはもういかに医者が力んでみても不可能なことはわかっておりますから、そこまで非常識な要求はいたさないはずであります。それから、支払い団体も、これは非常にバラエティに富んでおりまして、一兆円のお金を持っておる支払い団体と、国民健康保険のような格差もございますから、その点も私どもは十分に考慮しなければならないと思っております。そういう点から考えまして、中医協だけでだめだという論拠は一つもないのでございまして、最初から無責任な第三者にルールをきめられてお下げ渡しをいただくのは、私はいさぎよしとしない。また、日本の医療を発展させるゆえんでもないし、民主主義の伸展でもないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/52
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053・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 安田さんに一言お伺いしておきたいと思います。
先刻来のお話によりますと、中央医療協議会が今度三者構成のもとに出てくる。これに対して、それ以外に、あるいはこのような臨時医療報酬調査会ができるということには賛成だとおっしゃられましたが、御承知のように、昨年暮れの臨時国会におきまして医療費の問題がやかましくなっておりますし、これまでの医療協議会がどうもうまくいかぬというので、あの場合には中央医療協議会と地方医療協議会の二種類ができたのでございます。したがって、中央医療協議会というのも、やはり聞くところによると、地方の保険者団体あたりからなかなか委員をお出しにならぬために、いつまででも地方医療協議会ができぬので、各地で非常に困っておった。そこで、私ども、何とかして地方のまず医療協議会を作ってもらって、それから中央医療協議会に進んでいけばいいと思いまして、地方医療協議会の設置に幾らかお世話をしたりしたのですが、幸いにしてこの二月十七日ごろから地方医療協議会はできているのです。そこで、地方医療協議会もできたのだから、ひとつ奮発して、そうしてあなた方のほうの医療支払担当者側も委員を出されて、まず中央医療協議会を大いに発展さして、中央医療協議会にいろいろの医療費問題なども検討してもらって、もしそれがどうしてもいかぬ場合には、先刻来話のあるような仲裁裁定委員会とか何とかというものを作って、そうしてやっていけばうまくいくんじゃなかろうか。それにわざわざ今ここに、まだそれも十分できておらぬところに臨時医療報酬調査会というものができたのは、私自身はこれは少し早過ぎる、こういうものは今作るべきときじゃなしに、もっと中央医療協議会をうまく発展させるように、お互いに話し合う機会を作ったらよくはないかと思っているので、あなたのほうには、その話はぜひ持っていかなければならぬでしょうと思っているのです。せっかく今いろいろお話を聞いたのですが、地方医療協議会を進めたようなふうに、中央医療協議会もひとつ出せる方法をお考え願うようなふうに進まぬものでしょうか、どうでしょうか。まず一応あなたからお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/53
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054・安田彦四郎
○参考人(安田彦四郎君) 地方医療協議会は、いろいろ改組されました方向というものが、私は改組される必要がないというつもりで参画しなかったのでありますが、その後やはり地方の、何と申しますか、お世話になっているお医者さん方などであるとか、被保険者が困るというような事実がございまするので、これはその内容をどうする、どう行政的に運用されるかということを厚生大臣に承りまして、その内容に納得することができましたので参画いたしたわけでございます。今回も、私は再三申し上げまするように、不可分一体のこの二法案というふうに私どもは解釈しておりますので、私どもも、将来医療費の問題を十分にスムーズに、ことに政治力というような問題で、力関係で解決するということのないように、さような意味でこの調査会法案というものを先生にお願いしまして、ぜひ通していただきまして、私たちも新しい医療協議会に参画して参りたい、かように思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/54
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055・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 それでは、いま一つつけ加えさしていただきますが、この中央医療協議会、地方医療協議会が一緒に二つできたものでございまして、必ずしも別々に作ったわけじゃないのです。それから、地方医療協議会ができたために、かなり医療費問題、ことに地方医療問題は、よほどうまくいきかかきっているところで、中央医療協議会にいま一つ奮発されて委員でもお出しいただいたら、もうこういうような法案は、これはどうも内容を見てみますと、あまり簡単過ぎて、それから中央医療協議会ができれば、ほとんど要らぬようになりはせぬかと思っておりますので、ぜひこの点でいま少し御考慮いただくわけにいかぬものかということをまず一応お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/55
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056・安田彦四郎
○参考人(安田彦四郎君) 私は、この四者構成の場合も三者構成の場合も、この臨時医療報酬調査会法案というような、一つのルールといいますか、方向といいますか、医療費を決定するものではありませんが、医療費を決定するにはかような方向でという一つのものさしができませんと、やはり同じような結論になるのではないか。前半には診療担当者の先生が出ていただけないで、二年間も空白になって、非常に委員もわれわれも困ったことがありますので、私どもはさような点におきましては、大いに、もしもそのようなことで医療費というものが、さしずめ医療制度というものに差しつかえができることにつきましては、これは早急にさようなものは排除していかなければならぬと思いますが、しかし、私は不可分一体のこの法律という考えを持っておりますので、これができないと新医療協議会の改組もできないという立場に立っておりますので、ひとつさような点でよろしくお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/56
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057・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 委員諸君にお諮りいたします。だいぶ長時間参考人の方々をお待たせした上で、さらに長時間お話しいただくのは相当に御迷惑であろうと思いますし、われわれも次の会合を控えておりますので、六時には終了いたしたいと思いますので、委員の御質問もきわめて簡潔にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/57
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058・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 まず園参考人にお伺いをいたします。
先ほど園先生は、この臨時医療調査会法につきましては、きわめて賛辞をもって推賞をされましたが、私は、内容につきましては、まだつまびらかでございませんので、あえてその具体的な点につきましては申し上げませんが、御承知のとおり、現在の社会保険医療報酬というものが、自由主義、資本主義経済の中において、社会主義的な統制的な形に置かれたきわめて矛盾の多い形となっております。これは御承知のことと思うのであります。こういった中で、医療担当者側におきましては、将来の診療費算定につきましては、その生活を考え、医業の経営を考えたときに、重大な関心を持つわけであります。したがって、これらの診療費算定の基準、ルールを決定するというような重要な調査会であるがために、医療団体におきましてそれぞれ議論があり、猛反対があるわけであります。したがって、こういうような中で調査会を作って基準を決定する。基準を決定することは、やがて診療費の決定につながるものでありますから、医療担当者等の十分な了解と承認の上できめられなくてはならないと思う。もし反対のまま診療費の基準ルールがきめられたという場合は、当然医療担当者側において納得協力が得られなく、かつ、大きな混乱を引き起こすおそれがあるわけです。さようなことをどのようにお考えになられるか。そこまでお考えになられて御意見を述べられておるのか。その真意をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/58
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059・園乾治
○参考人(園乾治君) 委員は五名でございますが、五名の者がすべての問題について十分な知識を持っていることはないかもしれませんので、専門委員にそれぞれの問題について調査をさせるとかいうように、衆知を集めることが必要だと存じますが、この法案ではそのようになっておると存じます。
それから、これは今お話のとおりに、ルールをきめる問題でございまして、診療報酬の額をこの調査会できめるのではないということを重ねて申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/59
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060・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 私は、参考人との間で議論することを望みませんけれども、ただいまのお話を聞いていますと、委員の構成——専門委員の構成によって、妥当な算定基準ができるというお話でありますが、その場合、専門委員は、やはり医療担当者、医療の内容を知悉する者から任命しなければなりません。しかし、今のところ、医療関係者におきましては、この調査会法には絶対反対ということであって、したがって、能力ある医療担当者委員の委嘱、協力というものは望めないと思います。したがって、こういう点も大きな問題だと思います。
それから、これは単にルールを決定するものであるとおっしゃいますが、しかし、ルールの決定というものは、やがて診療費の額の決定につながるものであります。額の決定に全然無関係のものではありません。したがって、私は、ただいまの御答弁では了解ができません。本日は時間もありませんので、私の意見として申し上げておく次第であります。
次に、辻本参考人にお伺いいたします。それは、先般社会保険診療に関する混乱の収拾のために医療懇談会が持たれ、話し合いが行なわれたわけですね。この場では非常に前向きの姿勢で各関係者が真摯に議論せられました。私どもも医療懇談会了解事項として、十数項目の事柄があげられておりますことを拝見いたしております。その後、この懇談会の了解事項の実施につきましてはどのような進展がなされておるか、またどのような措置がとられておるか、率直に参考に承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/60
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061・辻本春男
○参考人(辻本春男君) お答えいたします。私は、医療懇談会の日本歯科医師会の代表委員として出席をいたしまして、八日間にわたる審議には全般的に参加をさしていただいたわけでございます。いろいろそこにもあがっております了解事項の中にもございますが、特に診療報酬の適正化という問題につきましては、相当各委員から御意見が出たはずでございます。私どもその場で奇異に感じましたことは、診療報酬を適正化したいが、今まで医療の経営の実体について調査ができてない、そういうものに対する実態調査に医師会、歯科医師会の御協力をお願いしたが、これに協力をしてもらえないために、診療報酬も適正化をはかりたいのだが、これはできないのだ、こういうような御了解が出たわけでございます。そこでいろいろ了解事項は灘尾厚生大臣がお書きになり、みずからもお読み上げになって説明になったわけでございますが、そこでは、そうした医業の経営の実態の調査をやるというようなことだけで医療報酬というものはきまるものじゃないのだ、そういうようなことで、適正な診療報酬がどこにあるかということを見出すことはできないのだというようなことから、相当考慮の結果、一般国民の医療費負担の能力はどこにあるか、国民の負担力の問題、それから保険の財政の問題、こうしたものを十分に調査をしてやらなければいけない、それも関係者が相協議して、そうした三つの項目を十分に協議して、将来こうした適正診療報酬を見出そうじゃないかということにきているわけでございます。当然そうしたときに、この医療報酬の問題についてのこういうような調査会を設けなければいけないのだという意見がもしあるとするならば、その席上出るべきだと思うのですが、こうしたことにはどなたもお触れにならなかったわけでございます。ただ、了解事項にありますとおり、お互いが協議してこうした調査をやって、そこから何とか見つけ出そうじゃないか、こういうととは言われておるわけでございます。しかし、私は、この機会に付言いたしておきたいのでございますが、将来医療保険の向上をはかるならば、医療専門家を主軸とするところの審議会の必要を、これを私たちは要望する、日本医師会の佐々教授がこれを力説されたわけでございます。他の設置法におきましても、中央医療協議会は、例の社会保険審議会と同様に、一つの設置法でできておるわけですが、主として政府が現在管掌されるところの四つの保険において、こうしたものが皆保険下において、四つの保険の運営を扱うところの社会保険審議会に医療担当者の代表が一人も出ていない、また、特に経験者という何では一名お出になっておるようでありますが、少なくとも歯科診療のわかる人は一人もいない。こういうことで皆保険下における医療保険が運営されるかどうか、こういう点が大きい問題だと思います。したがって、このときにも私は力説したのでございますが、日本医師会のこういう要望、佐々教授が力説された医療専門家を主軸とするところの審議会を設けて、ここで医療保険の向上発展をはかろうじゃないかと言うておる御意見に対しては、まっこうから私は賛成しました。こういう立場に置かれて、これは全く昔の任意保険時代の、保険者が全く保険の主体性を一方に占めておるそういう時代における遺物だと考えております。したがいまして、どういう調査会よりも先にやらなくちゃいけない問題と、社会保険審議会も同様でございますし、との扱いも同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/61
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062・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 続いて一点だけ保険者団体の安田さん、あるいは小島さん、どちらでもけっこうですが、お伺いいたします。率直に申し上げますと、すでに国会におきまして、全会一致で決定を見た中央社会保険医療協議会の改組による新しい会につきましては、私どもは将来の社会保険診療問題の話し合いの場として、また、多年の混乱の雪解けの場だと信じ、大いに期待をかけておるわけであります。したがって、ここには何をさておいても参画していただきまして、そこでいろいろ御意見があれば言っていただくということが正しいのじゃないかと思います。かつては保険者側におきまして、医療担当者側の委員の不参加を非常に非難されたことがございます。したがって、そういった面からも、とにかく新しい会に協力をされ、その上で今回の調査会法案の審議なり、御意見を述べることが妥当と思うのでありますが、今のところ、調査会法の成立を条件としておられますが、これはどうも了解に苦しむところです。そうなりますと、これは仮定論で恐縮ですが、もしこの調査会法案が成立したとして、その際に、もし医療担当者側において、医療協議会に参加しないというような事態が、かりに起こったとしますならば、その立場、主張をどのようにお考えになるか、その立場をお認めになるのかどうか、ただいまの状態に関連がありますので、一言率直に承っておきたいと思います。どちらでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/62
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063・安田彦四郎
○参考人(安田彦四郎君) これは私の団体が気に入らないからという意味で参加しないということは、これは大いに反省しなければなりませんと思います。私は、この不可分一体と申し上げておりますのは、私のみが申し上げておるわけではございません。また、私どもの団体だけが申し上げておるのではない。これは国民的な代表の機関である社会保障制度審議会におきまして、各界の代表の方、ことに自民党、社会党、衆参両院の先生もお集まりになって結論が出ましたので、私どもは非常に内容的には、あの四者構成を三者構成に直すというようなことにつきましては、相当の不満も実は現在においても持っておりますが、さような意味におきまして、やはり国民世論としてきまったものには参画して参りたいということが不可分一体の議論でございますので、私の会だけの議論で、私のほうが入れば医師会の先生が入っていただけない、医師会の先生が入れば私のほうは入らない、これでは私は申しわけないと思いますので、さようなことは考えておりませんが、不可分一体ということは、私の会自体それのみが申し上げているというのではないのでございまして、相当がまんをいたしまして、やはり社会保障制度審議会、国民代表の機関の御決定の線に沿って参りたい、かような意思でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X02619620504/63
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064・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 参考人に対する質疑はまだいろいろおありになると思いますが、すでに六時も過ぎたことでありまするし、皆さん御迷惑であろうと思いますので、まことに不満足ながら、この程度で終了いたしたいと思います。
一言お礼を申し上げますが、参考人の皆さんは、先ほどおわび申し上げたとおり、長時間をお待ちを願い、また、当委員会において長時間審議に協力を賜わりまして、まことにありがとうございました。当委員会は、本案の審議に、皆さんのそれぞれの賛否の御意見を十分参考にいたしまして審議を継続することができると思います。どうもありがとうございました。
本日の審議はこれをもって終了いたしたいと思います。次回は明後日六日、本会議散会後開会いたします。
なお、委員会の内容につきましては、ただいま委員長理事打合会におきましてきめまして、公報で御連結いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後六時五分散会
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