1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月三十一日(土曜日)
午後二時二十四分開会
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委員の異動
本日委員高橋進太郎君辞任につき、そ
の補欠として小柳牧衞君を議長におい
て指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 武藤 常介君
理事
赤間 文三君
剱木 亨弘君
中田 吉雄君
牛田 寛君
委員
上原 正吉君
大泉 寛三君
川上 為治君
津田 幸雄君
小林 英三君
小柳 牧衞君
鈴木 万平君
吉武 恵市君
近藤 信一君
椿 繁夫君
吉田 法晴君
田畑 金光君
衆議院議員
発 議 者 石田 宥全君
発 議 者 大野 市郎君
発 議 者 鈴木 義男君
発 議 者 松澤 雄藏君
国務大臣
通商産業大臣 佐藤 榮作君
政府委員
通商産業政務次
官 大川 光三君
通商産業大臣官
房長 塚本 敏夫君
通商産業省企業
局長 佐橋 滋君
通商産業省重工
業局長 島田 喜仁君
中小企業庁長官 大堀 弘君
建設省住宅局長 斎藤 常勝君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
説明員
通商産業省企業
局工業用水課長 藤岡 大信君
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本日の会議に付した案件
○豪雪地帯対策特別措置法案(衆議院
提出)
○中小企業団体の組織に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出)
○工業用水法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○産業貿易及び経済計画等に関する調
査(油須原線問題に関する件)
○自転車競技法及び小型自動車競走法
の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/0
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001・武藤常介
○委員長(武藤常介君) これより商工委員会を開会いたします。
本日は、衆議院提出にかかる豪雪地帯対策特別措置法案、内閣提出にかかる中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案、工業用水法の一部を改正する法律案、自転車競技法及び小型自動車競争法の一部を改正する法律案、以上四案の審査を行ないます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/1
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002・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 委員の異動がありましたので、報告いたします。
今日高橋進太郎君が委員を辞任され、その補欠として小柳牧衞君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/2
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003・武藤常介
○委員長(武藤常介君) まず、豪雪地帯対策特別措置法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。衆議院議員大野市郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/3
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004・大野市郎
○衆議院議員(大野市郎君) 豪雪地帯対策特別措置法案の提案理由の説明を申し上げます。ただいま議題となりましたこの法案につきまして、その提案の理由を申し上げます。
近年来、わが国経済が著しい伸長発展を続け、国民生活もまた向上の一途をたどりつつありますことは、まことに御同慶にたえぬところでありますが、他面、その内実をつぶさにせんさくいたしますと、これら国民経済の向上がややもすればいわゆる既成大都市を中心として地域的に偏向し、全国的視野において見ますると、ますます地域格差を助長する傾向にありますことは、諸君のよく御認識のとおりでありまして、いわゆる日の当たる地域は急速に繁栄する一方、日の当たらぬ場所は何ら見るべき国家的施策の恩恵にあずかることなくして放置され、その後進性の度を強めているといって過言ではないのであります。
ことに、北海道、東北、北信越等に存在する豪雪地帯は、その最たるものでありまして、これら地域は、毎年、豪雪という自然災害のため、民生、産業等あらゆる分野にはかりしれない損害をこうむり、一年の約半分は冬眠を余儀なくせられ、ために民力は衰え、地場産業の発展が阻害されるなど、旧態依然としてその雪国的宿命にあえいでおる実情にあるのであります。
現在わが国の直面する至上命題は、経済の安定的伸長発展と地域格差の縮小であり、政府もこの目標達成に向かって施策の万全を期していることは申し上げるまでもありませんが、なかんずく、まず第一に、従来、わが国の最も日の当たらぬ場所としてみじめな生活を余儀なくされてきた豪雪地帯について、雪害を防除し、民生、産業等の振興条件を整備し、他の地域と同じベースに引き上げる措置を講ずることこそ必要なのであります。かかる施策なくしては、これら地域の福祉の向上はおろか、地域格差是正の国策遂行は望むべくもないのでありまして、さきの第三十九国会において、雪害対策促進に関する決議案が衆、参両院で満場一致採択されたゆえんのものも、実にここにあると信ずるものであります。
かくしてここに、地域住民の積年の念願にこたえ、豪雪地帯にスポットライトを当てて、その抜本的総合対策を確立し、これを強力に推進せんとする基本法として、本法案を提出した次第であります。
以上、本法案の提案の理由について申し上げましたが、次に、本法案の要旨について御説明申し上げます。
第一に、本法案の目的でありますが、前述いたしましたごとく、積雪が特にはなはだしいために、産業の発展が停滞的で、民生の安定向上が阻害されている地域について、雪害の防除その他産業等の基礎条件を改善する総合的対策を樹立し、かつその実施を推進して、民生、産業の向上、振興に寄与せんとするものであります。
第二に、本法案の適用地域となる豪雪地帯の指定についてでありますが、これは、内閣総理大臣が、積雪の度その他の事情を勘案して政令で定める基準に基づき、かつ豪雪地帯対策審議会の意見を聞いて、道府県の区域の全部または一部を豪雪地帯として指定することとしております。
第三に、豪雪地帯対策基本計画についてでありますが、内閣総理大臣は、関係行政機関の長に協議し、かつ、関係道府県知事及び豪雪地帯対策審議会の意見を聞き、さらに、最終的には閣議の決定を経て、基本計画を決定することとしております。
なお、この基本計画は、豪雪地帯における雪害の防除その他積雪により劣っている産業等の基礎条件の改善に関する施策の基本となるべきものとし、したがって、その内容は、交通、通信、教育、保健衛生、社会福祉、国土保全等の諸施設のほか、本法案の目的達成に必要重要事項で政令で定めるものをすべて含めることとしております。
第四に、総理府に、豪雪地帯対策審議会を設置することとし、その所掌事務、組織その他所要の事項について規定しております。特に、その所掌事務については、地域指定あるいは基本計画作成等のほか、産業の振興、民生、文化の向上等有形無形のあらゆる重要事項を網羅して調査審議の対象とするとともに、内閣総理大臣の諮問に答申したり、内閣総理大臣または関係行政機関の長に意見を申し出ることができることといたしております。なお、審議会の運営に伴う経費約百万円については、差し当たり既定予算の運用により処理することといたしております。
第五は、基本計画に基づく事業の実施及び調整についてでありますが、まず事業については、この法律に定めるもののほか、関連する法令の規定に従って、国、地方公共団体その他の者が実施するものとし、また、それぞれの事業の総合効率的実施を推進するため、経済企画庁長官、並びに北海道の区域内にあるものについては北海道開発庁長官が、毎年度、関係行政機関の長がその所管事項について作成した事業計画の調整を行なうこととしております。
第六に、本法の実施に当たって、関係行政機関の長等の協力義務を規定するとともに、政府は、基本計画の実施に、要する資金の確保をはかり、かつ、国の財政の許す範囲内において、その実施を促進することに努めなければならないことといたしました。
第七に、豪雪地帯の特殊事情にかんがみまして、国及び地方公共団体は、工事の早期着手等事業の効率的実施について特別の配慮を加えることとしております。
第八に、事業の円滑な実施を促進するため、当該事業に要する経費にかかる国の負担割合または補助率について、必要がある場合は、別に法律で定めるところによって特例を設けることができることといたしました。
以上、本法案の提案理由について御説明申し上げましたが、豪雪地帯対策の緊要性を御勘考いただきまして、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/4
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005・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/5
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006・小林英三
○小林英三君 これは、何ですか、法案の第二条に、内閣総理大臣は、「道府県の区域の全部又は一部を豪雪地帯として指定する」というのですが、そうすると、毎年これは違うこともあり得るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/6
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007・松澤雄藏
○衆議院議員(松澤雄藏君) お答え申し上げます。
毎年続くというわけには参らぬと思います。いわば統計をとりまして、現在御承知のように、寒冷地手当、あるいは薪炭手当等支給しておりますが、これらも五年ぐらいを基準にとりまして、そうして月等を指定して統計をとってやっておりますので、したがって年々変えるということにならずに、ある一定の統計に基づいて政府としては指定するということに一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/7
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008・吉田法晴
○吉田法晴君 二、三お尋ねをいたしておきます。法文によりますと、「積雪が特にはなはだしいため、産業の発展が停滞的で、かつ、住民の生活水準の向上が阻害されている地域」、これをいかにして指定するかという問題のお尋ねをいたしたいのです。基準をきめるということですが、基準はどういう基準が予想されておるのか。その基準によっておおよそどういう地帯が豪雪地帯として指定される見通しなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/8
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009・松澤雄藏
○衆議院議員(松澤雄藏君) お答え申し上げます。御承知のように、今までの法案としてこの雪に関する法案がございましたが、そのうちで一つ、一口に積寒道路——積雪寒冷特別地域の道路交通確保に関する法律というのがございますが、これは政令で同じように指定になっておりますが、その政令によりますると、一応積雪量にいたしまして〇・五メーター以上及び寒冷度におきましては零度以上、こういうふうに相なっておるわけでございます。ところが、この法案は特にしぼりまして、豪雪という名のとおりにまあ一応いたしたいというわけで、これから政府がいろいろと検討になって政令で定めていただくわけでございますが、われわれのほうでいろいろと討論し合った内容の部面から一応申し上げますると、一応積雪量といたしましては、〇・五メートル以上という従来のような状態でありますと、相当範囲も広がって参る。したがって特に雪がはなはだしい、こういう意味でございまして、そこに豪雪というふうな名もつけたわけでございますが、一応、一メートル以上ぐらいが妥当じゃなかろうか。また、温度としては零下十度もしくは十五度以上というようなところが基準として考えていかれたら、非常に極端にしぼられるわけでございますが、いわば、御承知のように皆さん方から討議、実施を願っておりまする離島振興法がございますが、あの離島振興法はほんとうの島それ自体をやっておるわけでありますが、いわば陸上における島——いわば離島振興法は、かりに暴風雨等になりましても、一週間もしくは十日、こういうようなことで内陸地方との連絡がとれますけれども、雪のほうはもう幾ら短かく見ましても三カ月もしくは四カ月、こういうふうなことに相なっておる現況でございますので、そういうふうな地域を指定されるような方向に政府としては考えて検討してもらいたいという意向を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/9
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010・吉田法晴
○吉田法晴君 そうしますと、北海道、東北、北陸地方の全部ではないかもしれぬと思いますが、その中から府県が選ばれるということになると思うのですが、地域開発法との関係はどういうことになるのでしょうか。それぞれ審議会を作って基本計画を作ることになっておりますが、その地域開発法と、それからそれに基づく措置と、この法案に基づく措置、あるいは重複をするのか。それから地域開発法はどういう分野を受け持ち、この法律はどういう分野をあれするか。こういう北海道開発法なり、あるいは東北開発法、北陸開発法と、それに基づくその計画と、この法律の関係はどういうことになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/10
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011・松澤雄藏
○衆議院議員(松澤雄藏君) 地方開発自体は、御承知のように、おもに資源の総合開発がねらいとして一応今日まで作られて参っておるものと私たちは一応考えているわけであります。その資源の開発に基づいて地方開発を促進していく、それらによって総合的な開発に持っていく、こういうふうなねらいのように今まで私たちは考えて参っております。この法案も、一応そういうふうな部面等において重なっている部面がないとは申しませんけれども、雪によって極端に劣っている基礎条件の改善をはかる、いわば雪害対策といいましょうか、雪害対策法といったような気持のもとにおいて、基本的に特に雪の多い地域を重点に置いて、雪害対策的な立場に立って、そうしてその地域の非常に劣っている点を特別に考えて持っていっていただきたい、こういうふうな趣旨のもとに一応考えたつもりでございます。
なるほど、内容等におきましては、必ずしも地方開発と重複しないということは言い得ない、かように思いますが、一例を申し上げますると、たとえば現在、国土総合開発法という法がございまして、その国土総合開発法と、しからば地方開発法とどういうふうな関係を持つかということになって参りますと、非常に大きな問題になりまして、ある部分が重複する点がございましょうし、ある部分がまたはずれていくというふうなことになりましょうけれども、一応私たちの考え方としては、地方開発の上に立って、今までの苦労というものをこの機会に取り除いてやる。また、地方開発だけの面でいいますと、先ほど申し上げましたように、かりに補助金等の問題が考えられましても、五十戸、六十戸の山奥、そこから三里も五里も子供たちが朝通学するといたしましても、通学できない現況である。しかも、そこに分校があるかと申しますと、分校がない。しかも、それが二カ月も三カ月も続く。それが地方開発においてどういうふうに取り上げられているかというと、普遍的に地方開発が考えられておりまして、その部面だけを取り上げているということは、残念ながら私たちの見方では考えられない。そういう点を重点的にやっていただけるように全国民の力を借りたいという意思のもとに、この法を作ったつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/11
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012・吉田法晴
○吉田法晴君 まあ、地方開発法で届かないところの雪害対策の意味で、それを整備していくこういうふうな御説明ですが、低開発地域工業開発促進法との関係をお伺いしたいのですが、低開発地域工業開発促進法では、指定地域の減税とか課税の特例等について規定が設けられておりますが、そういった規定が必要なのではないか。それらの点については、この法律の関係ではどういう工合に考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/12
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013・松澤雄藏
○衆議院議員(松澤雄藏君) その点におきましても、ただいまお答え申し上げましたと同じような趣旨になりますが、低開発地域における工業の開発といったような部面とは直接に結びつくというふうには一応考えていないのであります。ただ、税金関係につきましては、お手元にお配り申し上げましたこの条文の中で、第四条の「基本計画には、次の各号に掲げる事項」というものを掲げまして、一から五までとったつもりであります。その五の面に「前各号に掲げるもののほか、雪害の防除その他積雪により劣っている産業一等の基礎条件の改善に関する重要事項」ですが、これがいわば雪害によって非常に劣っている地域、それが産業等の基礎条件を非常に阻害をしているというふうな部面、または生活的な面においての安定を欠いているというような面、こういうふうな点を十分にこの中に織り込んである、こういうふうな気持で、第五号に税金等を含めたものとして考えたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/13
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014・吉田法晴
○吉田法晴君 十四条によると、国の負担割合、それから補助率について特例を設けるとありますが、その特例で、既存の法律でどういう関係法律、あるいはこの法律に基づいて使える法律があるのか。それから将来新たに作らなければならぬ関係法律は、どういうものが予想されているか、この点をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/14
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015・松澤雄藏
○衆議院議員(松澤雄藏君) 十四条の部面は、一応この法案は、ごらんのように各省から実施計画的な面なり、基礎計画的な面の計画が出て参りました場合においては、一応審議会にかけまして、そうして審議会において、いろいろと御検討になった上に立って、そうしたことから立法措置を考案すべきかどうか、あるいは行政的な措置でいくべきかどうかという、いわば基本的な精神がここに含まれているわけでございます。その審議会におきまして、あるいは各省から出てくる、あるいは民間側の御意見等もしんしゃくいたしまして、審議会が討論し合うというような場合に、ほとんどこういう地域は、御承知のように、ふところ工合が非常に悪いのでございますから、したがってこの地域に自己負担をもってやっていけといわれましても、ほとんどできないわけであります。また一般的な、通例な、今日行なわれておりまするところの補助率等だけでもやっていけない。そういう場合どうするかというようなことになりまするが、その場合は、この条文の第十四条を中心にして、考えていただきたいという、いわば審議会に対する一つの考え方の、一点の示唆をただ与えている、こういうふうに私どもは考えて、ここに載せたおけであります。
なお、第二点の御質問で、従来の補助率的な面との関係と、こう言いまするが、一般的なやつは今申しましたとおりでございますが、従来御承知のような地方再建整備法といういわば赤字財政県を救う、あるいは赤字市町村を救うのだといった法律がございましたが、これが今日昭和三十六年度の、本年はきょう現在でございますけれどもありましたが、昭和三十七年にはほとんど赤字県というやつは国民全体の御努力によって解消されまして、そして今日にきているわけでございまして、そのときの地方再建整備法において、そういうふうな赤字県に対しましては、地方開発法にのっとりまして、二割増を認める、こういうふうに従来なっております。ところが、今申し上げたように、地方再建整備法というものに基づいて赤字県に対して、しかも地方開発法にのっとって二割増でございますが、それがまたほとんど解消といったような県が、全体から見ますると、そういうような解消というような部面になって参りました。そうなって参りますると、県全体はかりにいいといたしましても、こういうようなところはとてもそのままではやっていけない。いわば全国平均的に生活レベルが上がったけれども、その地域々々が上がっていかないと同様に、県内においても同様な地域があるわけでございますので、そういう地域はこれによって救っていただく。それはもちろん審議会等を通じて、審議会の御意見等によって政府が考えていく。またわれわれのほうも皆さんと同様の立場に立って考えていきたい、こういう趣旨を持っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/15
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016・吉田法晴
○吉田法晴君 次は予算の関係ですが、この法律の所要経費として百万円とありますが、小さい金額ですけれども、三十七年度分の経費でしょうが、これは予備費から支出されるのか、それとも企画庁の予算の中から、支出されるのか。それから今後ともに百万円程度では問題にならぬと思うのですが、将来の予算についてはどういうように考えておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/16
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017・松澤雄藏
○衆議院議員(松澤雄藏君) 三十七年度分といたしましては、これがために、特に百万というふうな面の予算の計上が御承知のようになかったわけでございます。しかし当初われわれが、こういうふうなことがありがちだから、十分に御考慮を願いたいというふうなことを所管庁である企画庁並びに大蔵省にも申し出ておったわけでございます。それらに対して、まだ法もできないしといったような意味も加味しまして、この審議会に特に百万というものが、いわばひもつき的な予算の配分的なものがなかったのでございますが、一応百万程度でございますれば、率直に申し上げまして、政府のほうで十分に御考慮願えれば、どっかから集めていただいても百万ぐらい出てくるのではないだろうかというふうな気持もございまして、政府のほうでは、率直に申し上げまして、予算が伴うという意味で、当初この百万円をもって予算というふうな気持から、なかなかうんと言わないというふうなこともございましたが、今申し上げましたように、何千人、何万人という、ようやく雪というものを、国民全体の力によってながめてもらうという時期に入ったとき、その百万の予算がないというふうなだけではどうも立法府のわれわれの考え方としては納得できない、こういうわけで実は政府のほうに強く当たって参りました。そこで衆議院側におきましては、政府の国務大臣としての答弁は、本法律成立の上に立ってはそのとおりやっていきたい、こういうふうな答弁をいただいておりますので、この点は、いわば法に基づいて政府がしかるべく善処していただきたいという気持を持っておるわけでございます。
なお、将来というお話でございますが、これは今後皆さん方のお力等によりまして、何とかこの目的に沿わしめるよう政府をして鞭撻するというところに、やはり予算の基礎が生まれてくるのじゃなかろうか、かように考えておりますので、その点は今後の審議会の運営状況によってきめられていくものじゃなかろうか。しかしこの法案それ自体において、事業それ自体が生まれてくる、即時これによって実施される事業費というふうな点は、この法案では生まれてこないものと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/17
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018・吉田法晴
○吉田法晴君 最後に、今までどういうこの雪害地帯の対策が講ぜられてきたか。それから豪雪による被害の研究はどの程度に行なわれてきたか。今後豪雪対策あるいは豪雪地帯の対策を行なおうとすると、もっと研究調査が必要だろうと思うのですが、その研究のために特別の研究施設を設ける必要はないか。それらの点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/18
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019・松澤雄藏
○衆議院議員(松澤雄藏君) 雪害それ自体に対しましては、皆さん方が最も御記憶をお持ち願っておる部面から申し上げますると、昭和九年に全国的な冷害を伴いましたが、特に東北、北陸、北海道、この方面が非常な冷害が伴い、そしてしかもそういうふうな土地でございましたので、雪害的な面における冬期間の害が非常に大きかった、こういうふうなところに端を発しまして、昭和十一年やに記憶いたしておりまするが、山形県の新庄に農林省を主体とするところの雪害調査所というものが設置されました。それを中心にいたしまして、ここを本拠といたしまして、新潟県あるいは北海道、こういう方面にあらゆる資料を求めて、年間の気象的な面の調査を依頼した。そういうふうなことで今日までやって参ったのですが、どういうふうな意味でございましたか、そのものはその後解消されまして、現段階では新潟県に法人組織的な面のものが今現在やっておりますが、こういうふうな点で非常に大きい意味においての研究を今日までやってきております。この雪害的な面の御説明を申し上げますると、非常に時間的にも長くなりますので、省略させていただきたいと思いますが、どうも今日まで、残念にも地方住民的な面はあきらめておったといった気持すら持っておる悲惨な気持を私たちは想像して今日まで参っておりますが、この調査書類というものは膨大なものが実はあるわけでございます。で、まことに残念にも、雪害それ自体に対する調査は世界的に日本が一番進んでいるんじゃないか、こういうふうに言われて参ったのでございますが、これに対する対策というものは率直に申し上げまして国会を中心として生まれました二法というものが中心だと、あとは行政的な措置のもとにおいて、政令とかそういうもので、こまかいものがあるのは別にいたしまして、一つはさっき申し上げました積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法、これは道路交通を確保する法律でございまして、昭和三十一年の臨時国会で通過したやに記憶いたしております。あるいは三十二年の通常国会でございましたか、それが一つと、それから皆さん御承知のように、積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法という土地改良の法律が一つございます。この二つが今日までほとんど中心をなして、他は見るべきものはほとんどなかった、かように考えております。
これから考えていきたいと思うものは、今までのやつは雪害調査所でございまして、今度は今申し上げましたように、害はほとんど見きわめつきましたので、雪害対策総合研究所、対策の総合研究所、これだけはぜひ皆さん方の御同意によって、全国のわが日本の国土の十分の六を擁しておる雪国地帯でございますので、地域の発展はもちろんでございますが、日本の全体の発展のためにもその害だけでなくして、害に対する対策総合研究所をぜひ設置いたしたいものと、こういうふうに現在では一応考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/19
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020・吉田法晴
○吉田法晴君 まあ以上御説明を聞いておって、政府が雪害対策なり、あるいは豪雪地帯の対策について、もっと積極的に乗り出すべきものを、雪害対策等については調査をしてきたけれども、雪害調査所はその後まあ消えてなくなったみたいな状態、雪害調査は世界に誇り得るだけの調査ができているというお話ですけれども、対策はほとんどない。まあ道路だとか、あるいは単作地帯の農業改良関係はございますけれども、総合的な対策は不十分で、そこで議員立法ができたということのようですが、われわれも雪害あるいは豪雪の対策について、自然災害の一つとして十分対策を強化しなければならぬと思うのですが、御説明を通じても、従来の政府の消極的な態度が看取できるわけですが、雪害の調査、それから雪害地帯の研究所を作って参りたいという提案の御趣旨ですが、それらの点がもっと科学的に強化され、総合対策が立てられることを私どもも希望をいたします。
法律に関連をいたします疑問については大体尽しました。私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/20
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021・田畑金光
○田畑金光君 関連して一、二点だけ提案者にお伺いしておきたいと思いますが、きのうの新聞でしたか、藤山企画庁長官が閣議の席上で、予算を伴う議員立法が政府の知らないうちに院を通っておるというような事例があるので、今後与党と政府とが十分連絡をして慎重な取り扱いをしてもらいたい、こういうような何か閣議で希望意見が出されたというのです。まあその節あげられたのが実は豪雪地帯対策特別措置法案であるというようなことをいっておりますが、この法律については三党共同提案でありまするし、法律の重要性と、またおそきに失するぐらいその法律が必要であるということは、われわれも率直に認めますが、今政府との連絡について藤山さんからそういう話があったということ——われわれといたしましては、与党あるいは野党共同提案のこの法律案は、当然そのいきさつの中においては政府とも十分話し合いがなされて衆議院段階においても成立をみたものと、こう期待していたのですが、今申し上げたような閣議の中で話があったというのです。そのいきさつ、どういうふうな連絡のもとにこの法律が動いてきたのか、連絡したのか、しなかったのか等々参考までに聞かしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/21
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022・松澤雄藏
○衆議院議員(松澤雄藏君) 昨夜の夕刊並びにけさの朝刊の一部にとにかくおもしろおかしいというふうな意味のことが囲み記事で出ておりました。実はわれわれもこれを見てびっくりしたと申し上げてもいい過ぎではなかろうと思います。そこで、私どもは三党提案ではございますけれども、われわれは自由民主党所属でございまして与党でございます。したがいまして、率直に申し上げまして、われわれといたしましては慎重な討議を数回、というよりも三十回近いものをいたしておるわけでありまして、その間政府にも十分に連絡をいたして参ったのでございますから、各省とも連絡いたしました。特に所管省に当たられます企画庁に対しましては、党の政調の事務局を通し関連的にしょっちゅうやって参りました。大蔵省に対しましても、この法案に対しましては。いずれにいたしましても、そう大きい予算は伴わないにいたしましても、将来のことがございますので、特に日にちを設けましておいでを願って御説明を申し上げて、いろいろ御協議を願ったのでございましたが、必ずしもこの法案それ自体に対しまして全体的に政府の意見をまとめるという段階まで至らなかったために、万やむを得ずわれわれは議員立法という処置に出ざるを得なかったということでございますが、ただ残念なことには——けさほども大平官房長官にお会いいたしましたところ、あの閣議で話し合ったのは単にこの法案という意味ではなくして、いわば、今のお話の御趣旨のような意味で、予算を伴う法案については、議員立法といえども、政府と十分連絡してほしい、そういうようなまとめ役的な、連絡調整的な役目をとるのが大平官房長官であるという意味のことをいわれた。だがしかし、この問題は、閣議では、すでに衆議院で政府を代表した意味において佐藤国務大臣が答弁したとおりの、答弁のもとにいくということを閣議で決定したのだ、こういう回答をいただいて参りました。したがいまして、私どもといたしましては、ときによっては——率直に申し上げますが、事務当局がよくやるところのあれで、抵抗的なものを示したという気持で、どうも閣僚のほうの耳まで入らなかったのではないかというような懸念はいたしましたけれども、きょう聞いてみますと、意味はよくわかりました。こういうふうな意味でございましたので、政府のほうにも十分連絡はとれているものと、かように考えて今日まできております。したがいまして、わが党におきましても、先ほど申し上げましたように、半分以上雪国の議員であります。雪の降るところの方が国会議員には多いのであります、人数からいいまして。それらの方々がみんなお認め願い、そこには大蔵省の役人も来ておりますし、その他の役職員も来ておるのでありまして、政調会、総務会のほうは全会一致で通って、民主社会党のほうにおかれましても全会一致で通ったというふうなことでございまして、連絡は十分やっておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/22
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023・田畑金光
○田畑金光君 その辺の事情はよくわかりましたので、まあひとつ今後は政府が、この法律の成立した暁には、この法律に基づいて積雪地帯の特別措置をさらに強力に推進することをわれわれとしても強く希望するわけです。
そこで、もう一つお尋ねしたいことは、現在の法律のもとでは、現行法のもとでは、先ほど御答弁がありましたように、積雪地帯については積寒道路法と実は土地改良法の二つにすぎない、こういう現状で、まことに残念だったと思いますが、この法律が成立した暁には、結局これに基づいて特別審議会が設けられて、その審議会の中で基本計画を作成する。その基本計画に基づいて政府がさらに積極的な施策を推進する、こういうことになろうかと思いますが、当然三十八年度予算等々においてはこの法律に基づく具体的な措置がもっと推進されるのだと考えておりますが、そのように理解してよろしいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/23
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024・松澤雄藏
○衆議院議員(松澤雄藏君) 私たちはできるならば、——まあ各国をただ雪のためのみに視察に回った、私もその一員でございすが、各国一回ってみますと、わが国ほど法律的な面でやっている国はあまり他にないようであります。特に雪に関しましては、ほとんど世界的にこの法というものがない。ただ一つあったのが、デンマークに除雪法という法律がございました。しかしデンマークという国はほとんど雪の降らない国であります。また、聞くにアメリカの北部のほうに州としての立場においての法律がある、州法がある、こういうふうに聞いておりますが、願わくはわれわれは新しく次々に法律を作らないで、審議会の答申によって行政措置的にどんどんやっていただきたいという気持は持っております。しかしながら、どうしてもやり得ないということならば、これは皆さん方のお手をかりまして立法措置をやっていかなければならない、かようにも考えております。予算関係におきましては、審議会の進め方等にもよりますが、ある程度まではぜひひとつ来年度の、三十八年度予算に間に合うように審議会のほうでもひとつ御答申を願いたい、こういうふうに考えて、熱望しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/24
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025・田畑金光
○田畑金光君 もう一つお尋ねしたいのですが、総理大臣が基本計画を立てるにあたっては、まあ当然この法律に基づくと、豪雪地帯対策審議会の意見を聞いて立てるのだと思いますが、第三条を見ますと、内閣総理大臣は、関係行政機関の長に協議し、かつ、関係道府県知事及び豪雪地帯対策審議会の意見をきいて、豪雪地帯対策基本計画を決定すると、こうなっておりまして、第三条を読みますと、関係行政機関の長、あるいは関係道府県知事、豪雪地帯対策審議会というものは並列的に書かれておりまして、どうも三者それぞれの意見を聞かなければ基本計画は立てられないような条文のように読めるのですけれども、まあこの種機関の運営においては、やはり豪雪地帯対策審議会なら審議会の意見を聞いて総理大臣は基本計画を立てるということで、あくまでもこの審議会が中心的な諮問機関として、あるいは建議機関として重要な役割を果たすべきだとこう思うのです。また、審議会の構成を見ますと、その中には学識経験者も入っておりますし、国会の代表も入っておりますし、道府県知事も入っておるわけですから、あくまでも基本計画を立てるにあたってはこの審議会の意見を聞くということが中心だとこう思うのですけれども、これはそのような趣旨と解してよろしいのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/25
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026・松澤雄藏
○衆議院議員(松澤雄藏君) ごもっともな御意見でございまして、私たちはそのように考えております。ただ、これまたお互い議員各位でございますから率直に申し上げますと、現在における行政府は、おのおの各省ともに非常にセクショナリズムと申しますか、城壁を築いたような格好が非常に強いのであります。そういう点を、特に無理してみなまとめてといいましても、なかなかそういうふうに促進がはたしていくだろうか、今までの経験からいたしますと。そこで各省の方々に、自分たちがこれを考えた場合に、こういうものをこうしたいというものを出してもらったらどうか。そうして各省のものを一定の期限を切ってまとめる。そうして地方長——実際そこに住んでおる地域の長の意見を、農林省なら農林省からこういうものができたがどんなものだろうという意見を聞いて、そうしてそれを一本にまとめて審議会にかけていく。したがって、結論はあくまでも審議会というものを中心にもっていく。こういうようなものの考え方でいく。できるならば、初めから事務局でもって大きなものを持って、そうして審議会一本であらゆる調査をいたしまして、みずからすぐ計画ができるというふうにいきたいところでございますができるだけ現在までの長い経歴を持っておる各省の考え方というような面をも十分に生かす。したがって、セクショナリズム的なものでなく、それを集めたものを審議会において結合し合って案を作る。それを実施するというような方向に持っていく。こういうようなことを考えて実は出したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/26
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027・田畑金光
○田畑金光君 最後にもう一点だけお尋ねしておきます。雪国の場合は、特に、国の予算がきまって、それぞれ各省から予算を令達して府県に持っていく。府県からさらに市町村末端にいって、事業を始めるときには、すでに雪が降り始めるとか、雪が解けるとか、非常にそういう点で、予算の運用について、効率的な運用について特殊的な配慮をしなければならぬ問題を抱えておるわけです。そこで、関係府県等からあるいは市町村等から会計年度の改正について強い要請があることは御承知のとおりであります。しかし、会計年度の改正といいましても、これはなかなかむずかしい問題でございましょうが、さればといって、今のような予算の令達あるいは予算が実際に末端にいく時期の問題が現実問題として起きているわけですね。こういう問題等についてやはり十分これは行政運営なり指導なりの面で善処していくべきだと、こう考えておりますが、こういう点については、衆議院段階において提案者相互の間にいろいろ御検討なさったと思いますが、御意見を一つ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/27
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028・松澤雄藏
○衆議院議員(松澤雄藏君) ただいまの御意見非常にごもっともでございまして、会計年度等に関しましても、いろいろとお互いに調査をいたしておりますけれども、なかなか日本は御承知のように、いろいろ特殊事情等もございまして、あるいはまた小学校の子供たちが、豪雪地帯等から見ますると、現在は四月以降入学いたしますが、実はこれが会計年度と同じように合わせていくということになりますと、四月の吹雪のときに入学しなければならぬというような、ここにいろいろな議論がありまして、会計年度のほうは直ちにどうというふうに考えることは困難かと思います。自分たちもお互いに研究しておりますが、これらの点につきましては、今の御質問でございますが、これらの点に対しましては事実そのとおりでございまして、われわれも会計検査院等にもやかましくお願いいたしておりますし、政府のほうに対しましても予算の配付を一日もすみやかに、特にこの豪雪地帯といわれるような地域には、ぜひそういうふうにいたしてほしいと思っております。会計検査院等は、三十六年度の会計検査を何か五月の七日にすでに東北方面をやられるのだという話でございますが、東北は四月に雪があるわけでございます。十一月末から雪が降って、十二月、一、二、三、四と、こういうふうに約五カ月間ある場所もあるわけでございまして、そういうところにきまして、直ちに会計検査と言われましても、実際問題としてできないのが現況でございますが、それをつい無理しますと、いろいろな問題が起きてくる、こういうようなことになっております。そういう点を考慮いたしまして、お手元にお配りいたしましたこの条文の第十三条に「国及び地方公共団体は、豪雪地帯の特殊事情にかんがみ、早期に工事に着手することができるようにする等基本計画に基づく事業の効率的な実施について特別の配慮をするものとする。」、こういうようなことを書いたのも、以上のような意味でございまして、われわれも何とか今の御質問の趣旨のようなことにならぬように、いい方向に向いていかれるような方向に行政措置をも考えて参りたいという含みを含めて、ここに書いてある気持でございます。これらに対しましては非常に数十回の会合におきましても討論し合って、結論がこういうふうに集約された、かようなことに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/28
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029・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 他に御質疑はありませんか。——ほかに御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言がなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/29
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030・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 総員挙手と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出する報告書の作成等につきましては、慣例により委員長に御一任を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/30
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031・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 次に、中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/31
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032・近藤信一
○近藤信一君 この前の委員会で詳細に質問をいたしましたけれども、なお二、三の点について簡単に政府の意見をただしておきたいと思いますから、政府のほうも簡単明瞭にひとつ御答弁をお願いいたします。
その一つは、商工組合というのは、元来中小企業者が不況事態を克服するために作ったものでありまして、製品価格の暴落を防ぐとか、それからサービス過剰を制限するとか、そうしたことが目的とされていたのであります。したがって、価格の引き上げを来たし、それから消費者に若干の悪影響のあることは免れないのでありますけれども、今度法改正によって、合理化のためには不況でなくとも協定して、各種の制限ができることになってみると、やはりここでもまた価格がつり上げられやしないか、そういうような心配があるのは当然であります。そこで法律には、不当の影響を与えないようにと書いてありますが、政府は合理化カルテルが価格引き上げをやらぬようにどんな指導をおとりになるのか、もう一度この点を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/32
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033・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) ただいま御指摘の点につきましては、前回も申し上げたところでございますが、法律の規定においても十七条五号ただし書きの規定、合理化カルテルは「価格若しくは加工賃に不当に影響を与えるものを除く。」ということ、それから第十九条四号の主務大臣の認可の条件といたしまして、一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。」ということが法律上も規定いたしてございますので、私どもは合理化カルテルが本来技術の向上、品質の改善、原価の引き上げ、能率の増進のためにするカルテルでございますので、その趣旨によって設立の際はもちろんのこと、運用の面につきましても十分注意をいたすように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/33
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034・近藤信一
○近藤信一君 次に、商工組合が中小企業者のカルテルであるとすれば、消費者の利益を守るのは消費生活協同組合であります。消費生協は消費者の団体であり、また消費者そのものであります。ところが商工組合には、大臣の規制命令が発動されて、員外者をも規制できることになっているわけです。この員外者規制命令が消費者たる消費生協をも規制するとすれば、これは消費者の生活擁護に大きな影響を持つことになりますが、規制命令は生協までも規制するのかどうか、この点を明確にしてほしいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/34
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035・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 法律の規定の問題でございますから、私からお答え申し上げます。消費生活協同組合は団体法のいわゆる員外者規制命令の対象には入っておらないわけでございます。団体法の規定の第十一条に、組合員たる資格を有する者の範囲が規定してございますが、この第二号に団体が列挙してございますけれども、消費生活協同組合は除外されているわけでございます。したがいまして員外者規制命令の五十六条、これは不況カルテル。五十六条の二に、これは新しく入ります、合理化カルテルの規格に関する員外者規制命令、それから連合会に対する五十七条及び五十七条の二の規定、いずれも共通でございますが、この員外者規制命令を発動する対象として末尾のところに、組合員たる資格を有する者に対し「これに従うべきことを命ずることができる。」ということでございまして、組合員たる資格のない消費生活協同組合員は員外者規制命令の対象にならないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/35
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036・近藤信一
○近藤信一君 消費物価の値上がりについては商工組合に問題があるばかりでなく、協同組合にも問題があります。商工組合の協定事項は認可を受けてやりますが、協同組合は認可を受けないで協定事業を行なえる、したがって便乗的な値上げや何かは協同組合のほうが危険性が多いと、こういうふうに思われる。政府は協同組合の価格協定については事前届出制をするとか、また独禁法の監視を強化するとかと、この前も御答弁をしておられるわけなんです。その具体的な方法は一体どういうことをやろうとしているのか、いま一度この点を御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/36
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037・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 協同組合の価格につきましては、一昨年以来届出制をとっておりますが、最近価格協定に対する監督を強化する意味におきまして事前届出制にいたしました。二十日前に主務省のほうに届出をさせることにいたしております。主務省はこれを審査いたしまして、不当のものがあるかどうか内容を調査いたしますとともに、おかしいものがございますれば呼び出して、内容を聴取して、おかしなものは変更の勧告をして、これを改めるように行政指導をするということを先般通達いたしました。これによりまして今後さらに一そう消費者に対する影響については厳重に監督をして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/37
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038・近藤信一
○近藤信一君 最後に、組合というものは、元来民主的な機関であります。商工組合も当然に民主的に運営されるべきであるけれども、しばしば私どもは地方の有力者とか、業界の有力者が組合員の意向を無視して、独裁的な支配を行なうことがあるやに聞かされているのであります。組合が民主的に運営されないで、ボスの独裁専制になることは、この法律の考え方とは逆行するものでありますから、商工組合がボスの支配にならぬよう、多数組合員の意向を反映して、業界全体の発展のために尽くすよう政府は指導してほしいのであります。この点について、政府当局の心がまえいわゆる通産大臣の心がまえをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/38
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039・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの組合運営の基本、これはもう私が申し上げるまでもなく、御指摘のとおり民主的に運営されなければならないのでございます。組合をせっかく作りましても、これが民主的に運営されず、一部の実力者等によって左右されるというようなことがございましては、本来の目的を達することができないことになりますから、ただいまの御指摘がありました点は、私ども全然同感でございまするので、そういう点については一そう事務当局を督励して万全を期して参りたいと、考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/39
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040・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 他に御質疑ありませんか。——他に御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/40
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041・近藤信一
○近藤信一君 私は日本社会党を代表して、本法律案に賛成するものであります。
本法の内容については、すでに幾たびか質疑の過程で論議が尽くされているのでありますが、法文に申しますところの安定事業と合理化事業との区分が必ずしも明らかでない、経営の改善が安易なる価格引き上げによってなされる危険を完全に解消できるとも思えませんので、私どもは政府が今後十分な指導監督をしていただきたいのであります。本法によって商工組合が同業組合的な性格を持ち、また設立が容易になり、積極的に中小企業を合理化するところの組織になることは、私どもの賛成するゆえんでありますが、しかし組織が進むにつれて、ボスの支配、官僚統制、消費者圧迫というようなことが懸念されるのでありまして、この点について、政府においても十分に注意されるよう要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/41
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042・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 他に御発言がなければ、討論は終局いたしたものと認め、これより採決に入ります。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/42
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043・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 総員挙手と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により、議長に提出する報告書の作成等につきましては、慣例により委員長に御一任を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/43
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044・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 次に、工業用水法の一部を改正する法律案を議題といたします。まず、政府より提案理由の説明を聴取いたします。通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/44
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045・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 工業用水法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由および要旨を御説明申し上げます。
近年における工業生産の発展に伴い、大工業地帯における工業用地下水のくみ上げ量が増加し、それがその地帯の地盤の沈下等の種々の障害を誘発していることは、あらためて申し上げる必要もないことであります。地下水は、それ自体としては、良質、低温、低廉という好条件を備えたものであり、自然的に地下水脈に補給されている水量の限度内において適正に地下水を採取することは、地下水資源の有効利用という見地からは、むしろ奨励すべき事柄でありますが、工業の発展に伴い、ややもすれば地下水の過度くみ上げを招くこととなりやすいこともまた事実であります。
現に、東京、大阪等の大都市においては、工業用地下水及び建築物用地下水の過度くみ上げによって、異常な地盤沈下を招来しているのであります。
政府といたしましては、つとにかかる事態に対する対策の必要性を認め、昭和三十一年工業用水法を制定して地盤沈下地帯等における新規の工業川地下水のくみ上げを規制するとともに、既存の井戸についても工業用水道を重点的に整備することによって地下水から工業用水道への水源転換を促進してきたのであります。
しかしながら、昨年阪神地方を襲った第二室戸台風による甚大な被害の発生を契機として、建築物用地下水の採取の規制に関する立法措置と工業用水法による規制の強化を求める声が強く起こってきたのであります。
特に工業用水法については、既設井戸をそのまま存続することを許す現行法制は、地盤沈下の防止対策としては必ずしも万全ではないとの主張が広く唱えられるに至ったのであります。
国民の生命財産の保護のためには、地盤の沈下の防止を最重点にとりあげなければならないことはいうまでもありませんが、同時に井戸のくみ上げ規制の強化は、国民の権利に対する重大な制限となるのでありまして、政府といたしましては、この点に関し慎重な検討を続けて参ったのでありますが、地盤沈下の防止を一そう効果的ならしめるためには、現行工業用水法を一部改正する必要があるとの結論に達しましたので、このたび法律案を提案することといたしたのであります。
この法律案の主たる内容は、次のとおりであります。
第一に、現行工業用水法では地盤沈下の防止は、いわば副次的な目的とされているのでありますが、これを工業の健全な発達と並べて主目的として規定することとしたのであります。
第二に、許可を受けなければならない井戸の範囲を拡大したのであります。現行工業用水法では揚水機の吐出口の断面積が二十二平方センチメートル以下のものは規制の対象とならなかったのでありますが、吐出口の断面積が六平方センチメートルをこえるものは許可を受けなければ、新規に使用できないことといたしました。
第三に、既設の井戸に対する規制を強化し、一定期間経過後は、技術上の基準に適合しない既設の井戸は、その使用を原則として禁止することとしたのであります。この一定の期間すなわち既設井戸からの転換の時期は、代替水源としての工業用水道が給水を開始してから一年を経過した時とし、必要最小限の転換準備期間を置くことによって企業の活動を不当に圧迫しないよう配慮を加えております。
第四に、許可の技術上の基準が改正された結果、改正後の新しい許可基準に適合しなくなった井戸についても一定期間経過後は、原則としてその使用を禁止することといたしました。その一定の期間については、前項の既設井戸の転換の場合と同様であります。
第五に、許可を受けた井戸であっても、予測できなかった特別の事情が発生し、緊急の必要があると認める場合には、通商産業大臣は井戸の使用者に対し地下水の採取を制限することができることとしたのであります、
第六に、以上に述べた規制の強化措置とあわせて、工業用水道への転換促進の措置として、転換のため必要な施設の設置に対する資金のあっせん、技術士の助言等の援助に努めることとしたのであります。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上御賛同下さいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/45
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046・武藤常介
○委員長(武藤常介君) それではこれより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/46
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047・椿繁夫
○椿繁夫君 ちょっと速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/47
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048・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/48
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049・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/49
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050・椿繁夫
○椿繁夫君 この地下水の過度のくみ上げによって、新潟、東京の江東、川崎あるいは名古屋、四日市、大阪、尼崎、埼玉の川口もそうでございますが、こういうところが地盤が年々沈下いたしまして、何とかこの沈下を防止するための対策として、地下水のくみ上げ規制を早く法的に措置を講じてもらいたいということが熱心にこれは要望されておったのでありますが、それにこたえて政府が今回この工業用水法の一部改正、建物用の用水の採取規制等の法案を出されたことについて深く敬意を表します。
今度の改正によって、これまで工業用水法の副次的な目的であった地盤沈下の対策をこの法律の主目的の一つに並列された。これはもとより当然のことだと思うのでありますが、そこでお尋ねいたしたいのは、これまで二十一平方センチメートルの吐出口の断面積であったものを六平方センチメートルに抑える。それ以上の井戸を掘ろうとする場合には許可を要するということになっているわけでございますが、私どもは、六平方センチメートルをこえる井戸については全面的に禁止をする、こういうことでなければ、この主目的が達成できないと、こう思うのであります。と申しますのは、六平方センチメートルの吐出口でありましても、一日二十四時間ポンプを動かしますというと、日量五百トンのくみ上げができると、こう言われているのであります。それをこえた吐出口の大きいものも必要によっては認めるかのごとき印象がなおこの改正によって受け取られるのでありますが、この点について政府はどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/50
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051・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) ただいま先生の御質疑の中にありました六平方センチの吐出口で一日フルに動かしたら五百トン出ると言われましたが、これは五十トンの誤りではないかと思いますが、われわれの聞いておりますのは、日量フルに動かしまして大体五十トン。中小企業あるいは工業用に使います場合には、六平方センチから二十一平方センチという間の吐出口のものはほとんどないといっていいくらい少ないわけでございます。それで、六平方センチから二十一平方センチの間でも、何といいますか、非常に深部から取ります場合、ただいま大臣からの提案理由に説明がありましたように、いわゆる地下水に、何といいますか、流れ込む量に応じた取り方をすれば問題はないわけでありますので、そういう観点から六平方センチ以上のものを許可制にかけまして、地盤沈下に影響があると認められるものは許可をしない方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/51
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052・椿繁夫
○椿繁夫君 地下水をくみ上げてもなお雨水とか河川水がしみ込む程度のくみ上げであればいいじゃないか、地下水が枯渇するようなことはないじゃないかということなんでありますけれども、この復流水の流れ込む、何といいますか、深度というものは、私ども二十メーターどまりと、こう聞いておるのですが、これは私のきょう議論しようとするところではございません。ただ、今後この通産省令で技術的にいろいろお考えをいただいて、なお、そういう点については、沈下をもたらす原因とならないように万全を期していただくことを望んでおくにとどめます。
私、大阪の事情を一番よく知っておりますので、大阪のことが中心になってはなはだ恐縮でありますが、これはお許しをいただきたいと思いますが、現にこの工業用水法によって指定地域というものが定められることになっています。ところが、最近の大阪市内の沈下の状況を見ますと、指定地域を相当拡大をしなければ、現在の沈下を防止することができないと思われますので、すでに地方団体のほうから当局にも指定地域の拡大について要請があったと思うのです。こういうものは早急にひとつやっていただかなければならないと思いますが、その点について本省のほうの準備の状況はどうなっておりますか、これが一点。
それからいま一つは、現在沈下はしていないが、工業地帯がずっと広くなって参りまして、これまで工場のなかったところに相当に工場がふえている。しかもここで地下水のくみ上げが行なわれる。自然、地盤の沈下が数年後にはまた出てくるだろうということがこれは想定されるのでありますが、指定地域については、現在沈下をしておることが、データによって明らかな地域のみを指定地域とされるつもりでありましょうか。それとも、今後工場が地方分散、あるいは新たに工業都市ができるというようなところで、過度のまた地下水のくみ上げが起こり、それによって、沈下が予想されるというような地域にも、指定地域を拡大される準備がございますか、その必要があると私は思うのですが、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/52
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053・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) ただいまの御質疑の、大阪で問題になっておりまして、現在指定になっておりません地域の指定の問題でありますが、これは早急な機会に指定をいたしたいと考えております。
次に、現在これから新しく工業が集結をしてくる地域で、地盤沈下が現在は起きてないという場合でありましても、水位が低下するとか、あるいは塩水、汚水が混入するとかいうようなために、地盤沈下を来たすおそれのある場合も当然指定の対象になると、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/53
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054・椿繁夫
○椿繁夫君 ただいまのお答えでは、現に沈下を記録されていなくとも、新しい工業地帯であって、地下水の過度のくみ上げが行なわれることによって、地盤の沈下をもたらすだろうと予想される地域も指定地域とすることもある、こういうことですね。
重ねてお尋ねをいたしますが、今度政府から建物用の用水の規制の法律案が別途出ておるわけでありますが、これも指定地域が設けられることになっています。そこで工業用水法による指定地域は、建物用水のほうの指定地域にも当然なるであろうと思えるのです。建物用水の指定地域だからといって、工業用水法の指定地域にならないことはあっても、工業用水法による指定地域は建物用水の当然これは指定地域になるものだと、こういうふうに理解するのでございますが、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/54
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055・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) ただいま御質問の中の、建築物用地下水の採取の規制に関する法律で規制される場合と、工業用水法で指定される場合と重複する場合もありますし、重複しない場合もあり得ると思います。と申しますのは、まあ建築物が密集しておりまして、それが、たとえば商業地といいますか、そこへもう工場がいく可能性が全然ないというような場合には、あるいは重複しないこともあり得ると思いますが、大阪などのような場合には重複して指定になる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/55
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056・椿繁夫
○椿繁夫君 大臣、忙がしいのにあまり技術的なこまかいことを申し上げて恐縮なんですが、今度この法律ができて、そして許可基準というものを省令で定められるその際に、まあ機械によってくみ上げる、その吐出口の断面積というのは六平方センチと、こう法定されておりますが、現行の工業用水法の施行令によりますと、OPマイナス百七十メートルあるいは二百十メートルという深さの地下水であれば、くみ上げても差しつかえないというような許可基準が現在あるのであります。ところがその後の大阪市及び尼崎等における、深い層の地下水のくみ上げも、沈下に影響しておるということが明らかになってきておるのであります。したがって、沈下に影響のあることが明らかに証明されるような場合には、OPマイナス二百十メートル以深の地下水ならくみ上げてもいいというようなものも出ているとすれば、これはやはり許可基準をもっと厳格なものにして、沈下を防止するということに改めていくという御意見はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/56
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057・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) これは御意見のとおりでございます。全然同感でございます。今回の法律制定は、先ほどの提案理由にも詳細に御説明申し上げましたように、いわゆる地方の御要望と申しますか、いわゆる民主的な意見の採用によりましてこの法律ができた、かように私ども考えておりますので、これはむしろいわゆる政府が提案をいたしてはおりますが、国会内においての与、野党一致した御意見だろうと思います。その要望に沿ったつもりでございます。したがいまして、この法律ができましてこれの運用にあたりまして、ただいま御指摘になりますように、本来の目的を達成するように十分運用しろというお気持からの御意見のお述べだろうと思います。もうよく私どももその点は理解しておるつもりでございます。いわゆるむずかしい技術上の議論もあることだろうと思いますし、一面また憲法上の私権の擁護等の問題もございましょう。しかしながら、なおかつ、この種の制限を必要とするその本来の趣旨をよく理解したつもりでございますので、運用上におきましても万全を期するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/57
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058・椿繁夫
○椿繁夫君 ただいまの大臣からの御答弁で、その点については満足をいたしました。
そこで、第五条の二項についてちょっとお尋ねをいたしますが、「その井戸により採取する地下水をその用に供することがその工業の遂行上必要かつ適当であって、他の水源をもって代えることが著しく困難なときは、許可をすることができる。」、こういう条文がございますが、これまでは工業の冷却用水などには、この条項が拡大解釈されまして、工業の冷却用の地下水の水温というのは大体二十一度ぐらいを適当としておりますために、水温二十一度程度の地下水のくみ上げられる深さの水であれば、これは代替水がないという解釈をもって許可されてきておる事実が多くございます。工業用水道を今度布設することによって、夏分の工業用水道の水温は大体二十八度ぐらいになるやに聞いております。ですから、この二十一度の水温が冷却用には適当である、ところが工業用水道ができて給水ができても、これは二十八度程度しかならないから、実用に供するためには水温の低下をさせなければならぬ、それが他の水源をもってかえがたいという理由をもってこれを許可せられておる事実がございますが、そのように拡張解釈されることは、本法改正の目的を逸脱することになると思われますので、一体どういうことを「他の水源をもって代えることが著しく困難な」状態というふうにお考えになりますか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/58
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059・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) ただいまの御質疑でありますが、いわゆる低温の水と言われる、まあ製氷関係あたりで、要請される問題があると思いますが、現在までわれわれらが承知しておりますのは、いわゆる水源の合理的な利用に著しい支隊があるということで許可をしていないはずであります。今後の場合、いわゆる、先ほど先生の御指摘の中にありました非常に深度が深いので、従来までは地盤沈下に影響がないというような場合だけ許可をしておったと思いますが、それはただいま大臣の御答弁にもありましたように、今後の運用については現在の技術的基準というものをさらに強化をして参るつもりであります。ただいまの御指摘の、それが他の水源をもって代えることが著しく困難な場合ということでありますが、水温を二十八度から三十一度に低下させるということは、あるいはクーリング・タワーとか、冷却のその他の方法を用いることによりまして、温度を下げることは十分可能でありますので、ここでいう「他の水源をもって代えることが著しく困難なとき」ということには、該当しないように運用して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/59
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060・椿繁夫
○椿繁夫君 局長の御答弁によってただいまの点は明らかになりましたが、この五条二項でいっておりますところの「他の水源をもって代えることが著しく困難な」というこの業種は、どういうものを想定されておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/60
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061・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) われわれ考え得るというのは、今言いました中小企業あたりの製氷工場といったことしか考えられませんが、これはいわゆる地盤沈下を、何といいますか、招来しないという場合に限ってこの事項を運用して参りたい、ただいま先生の御指摘のような、大阪のような場合には、これは許可するつもりはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/61
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062・椿繁夫
○椿繁夫君 十四条についてでありますが、指定地域における地下水の水源の保全をはかるため緊急の必要があると認めるときには、使用者に対して相当期間を定めて許可井戸による地下水の採取を制限すべき旨を命ずることができると、こうあるのですが、緊急の必要があるに認める、緊急の必要時というのは、一体どういうことをお考えになっておるか、ひとつ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/62
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063・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) これはまさに予想することのできなかった特別の事態でございまして、われわれとしてもこれに該当する事項を的確に説明できないので、これは赤間先生からも当時おしかりを受けたのでありますが、まさに予測することのできない事態、われわれが考えておりますのは、地盤の沈下速度というものと見合いまして、いわゆる高潮対策のための防潮堤のかさ上げ等をやっておるわけであります。この場合に、われわれが予定しておりますよりも沈下速度が高いという場合には、非常に問題が起きますので、そのためには、元来ならば認可基準をさらに厳格にするということで、そういう事態の発生を防止すべきでありますが、そういう事態がかりに起きました場合には、認可基準の許可等に時間をとることも予想されますので、その場合には、使用者に対して認可基準とは別に採取の量の制限をしたいと、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/63
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064・椿繁夫
○椿繁夫君 二十五条の二、国及び地方公共団体は、施設の設置、改善をするための資金のあっせん、あるいは技術助言等を行なう、こう書いてあるのですが、この大阪市の場合を申しますと、昨年度は府、市各一億五千万、合わせて三億円資金設定をいたしまして、銀行で昨年度は十億、今年度は二十億程度、この特別の融資ワクというものを定めまして、すでにこの地下水くみ上げをやめて工業用水道、あるいはクーリング・タワーへの施設転換の資金として六億程度の貸し出しをすでにきめております。まあ大阪府、市とも、その金利の半額を負担いたしまして、この施設所有者の損害をできるだけ軽からしめて、そして、この沈下防止の専業に協力を求める助成策を実はとっておるのであります。「国及び地方公共団体は」と、こう、その資金のあっせんとか技術援助等について、義務ではございませんけれども、努めるように、こう書いてございますのですが、こういうその施設の転換に対して、国なり公共団体が何ほどかの助成をするということが、私はこの施設転換というものを短時間に容易ならしめる非常に有効な策であると思うのですが、政府に何かお考えがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/64
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065・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) われわれのほうは、中小企業者等ともこの点につきましては、よく連絡をとっておりまして、中小企業振興資金等助成法によりまして国の補助をこれにつけたい。あるいはまた、かように府県の無利子の貸し付けだとか、あるいは大企業につきましては、開発銀行でこれのために資金のワクを確保してあっせんをいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/65
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066・椿繁夫
○椿繁夫君 利子の補給であるとか、それから何ほどかの助成金をつけるというようなことについてはお考えございませんか。国として、そのぐらいの積極的な、地方団体でさえやっておるのですから、その程度の助成策を防災対策の一環として、私はお考えいただく必要があるのではないかと、こう思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/66
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067・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) 中小企業振興資金等助成法は無利子の金でありますので、ただいま椿先生の御指摘のような趣旨に合っておると、こういうふうに考えておりますが、できるだけ私のほうは、このワクを大きくして参りたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/67
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068・椿繁夫
○椿繁夫君 じゃあ、中小企業のほうは利子のつかない金で、大きいところは開発銀行の六分五厘の利息でということに、大体理解してよろしいのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/68
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069・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) 大企業の開銀の場合には、六分五厘という特定金利が適用できるかどうかは、これは疑問であまして、むしろ通常の金利になるかと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/69
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070・椿繁夫
○椿繁夫君 六分五厘の利息というのは、私は不用意に言ったつもりではございません。この機械工業振興臨時措置法の利息は去年まで六分五厘でございました。それで造船のほうについては六分五厘の利息は払いにくかろうから、国か一部助成して五分五厘に引き下げてやろうじゃないかという法律をこの間通したところであります。でありますから、防災対策の一環として、この問題を考えていけば、六分五厘の利息が安過ぎるということには私はならないと思います。しかし、これを即答をいただこうとは思いませんが、十分ひとつ、こういう点についてお考えを望んでおきます、
それから、これはわかりきったことのようですけれども、建設省のほうからもお見えになっておりますから伺いますが、法の二条によりますと、吐出口の断面積六平方センチメートル、これは二つ以上ある場合には合計の面積が六平方センチと、こう解すべきだと思うのですが、そのように理解してよろしゅうございますか、それが一点。それから同じ工場の中で、この基準に適合する井戸が幾つもできますというと、せっかく六平方センチメートルと押さえましても、押さえないときの大きな井戸が合計すれば出てくる心配なきにしもあらず、こういう点について二以上の合計の断面積が六平方センチメートルというふうに理解して、厳格な規定としてこれを解すべきだと思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/70
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071・斎藤常勝
○政府委員(斎藤常勝君) ただいまお尋ねの六平方センチの吐出口がある場合に、前のほうでお尋ねになりました点はおっしゃるとおりでございます。それから第二の点でございまして、同一地帯に幾つもポンプがある場合はどうするかという問題でございますけれども、これは私ども建物用の地下水を考えておりますので、建物には大体一つ——そうたくさんはないという考え方から、一応敷地で制限するというようなことが非常に技術的に困難でございまして、この点は考えておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/71
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072・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) 私のほうの工業用水法の吐出口の断面積は、吐出口が二つ以上あるときには断面積の合計ということになっておりますので、先生の御質疑の点はないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/72
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073・椿繁夫
○椿繁夫君 卑近な例でございますが、一つの工場において、六平方センチメートルの吐出口の断面積を持った井戸が二つ以上は考えられないと、こういう意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/73
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074・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) この小さい吐出口を掘る場合には被圧面地下水でありませんので、地盤沈下には影響がないというふうに、われわれは現在のところ解しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/74
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075・藤岡大信
○説明員(藤岡大信君) 六平方センチ以下の井戸と申しますと、大体一日にせいぜい五トン程度、ずっと動かしておりましても、五十トン程度の水しか出ませんので、大体家庭用以外には普通使えないような井戸でございます。そういうことと、今局長が申しました被圧面地下水をとるような井戸でございますと、大体最小限一インチないし三インチといったような井戸でございまして、普通のポンプには、そういうものがございません。そうして、そういう二インチ以上の井戸でございますと——二インチと申しますと、二十一平方センチでございますが——二インチで大体五百トン程度、まあ多いのは六百トンくらいくめる井戸もございますが、そういう井戸から比べますと、たとえ十本掘りましても、五百トンくらいにしかならないというようなことで、そういうことは実際上はできないのでございますけれども、そういう個所にたくさん掘っても、影響はそれほどないということで考えてあります。そうして現在の許可基準でいきますと、三インチ以下はよろしいというようなことを、一応ある深さ以下ではきめられてておるわけでございますから、そういう基準からしますと、はるかに小さい量でございまして、そういう地盤地下には非常に影響が少ない。もしあったにしても非常に少ない、まあネグリジブル・スモールという感じで、われわれはこの家庭用のものまで規制するということにならないような配慮をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/75
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076・椿繁夫
○椿繁夫君 現行法では、今お話のように吐出口の断面積三インチ程度のものまで、深ければ差しつかえないという許可基準があるということでございますが、この法改正案が成立いたしますと、そういうものは一切なくなる、やがてなくなるということに解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/76
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077・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) 現在の法施行当時には、相当深部であれば、地盤沈下にはそれほど影響がないというやや甘い考え方であったわけでありますが、今度の法改正を機会に、許可基準に再検討を加えまして、ただいま先生の御指摘のように非常に今後の許可基準というものは厳格になる、こういうふうに解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/77
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078・椿繁夫
○椿繁夫君 この法が施行されて結局、工業用水道を早期に作ることに、国の援助も得、地方団体も一生懸命になって、最も近い、短い期間の間に工業用水道を完成するということにならなければならぬと思います。そこでその工業用水道の給水が可能になった日から一年と、こう日を切ってその間は、せいぜいくみ上げてもよろしいという何か経過措置に、非常にゆるやかなところがあることがちょっと気に入らぬのでございます。これはもう少し、たとえば給水可能になれば六カ月以内に、その施設転換をやりなさいというような工合に、もっと積極的な態度を示してもらわぬと、工業用水道が、これからの計画ですから、何年かかるかわかりませんが、三年なら三年かかるとする、そうしてさらに給水可能になって、なお、年以内に施設の転換を考えればいいということに、この法律では相なるわけであります。ところがもう大阪でもひどい所は二十センチ下がっています、一年間に。それで少ないところで十センチ、御承知のあの市役所のございます中之島などで昭和三十五年に十四センチ下がっておるのです。それで有名な天神祭りも、大臣よく御存じの天神祭りも、あの橋が下がりまして、水面とのなにがないものですから、水の部のあの天神祭りの渡御の行事なんていうものは、数年前からできないことになっているのですよ。そこでこういうように、市の中心部の中之島にして年間十四センチ、十五センチ下がる。これは今の推定でいきますと、かりに給水可能になってから一年と限られますと、三年ないしは四年先になりますと、もう六十センチも今からさらに下がるというようなことに相なることをひとつお考えをいただいて、せっかく——これは一年と書いてありますけれども、私は、もうすぐに半年に直してもらいたいというふうなことは申しませんけれども、何とかそういうことを、それこそ行政指導でお考えいただけるのじゃないかという気がいたしますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/78
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079・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) ただいまの御指摘、一年という、給水可能になりましてから一年というのは、最高限をきめてありまして、一年たてば禁止をするのでありまして、そのための、一番長くかかって一年というほうの感じで最高限をきめているのであります。給水が一部でも可能になれば、あるいは水を受けるほうの側での施設をそれほど要しないという側では、すぐにでも切りかわるのでありまして、われわれのほうとしては、そういうふうに弾力的に運用いたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/79
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080・椿繁夫
○椿繁夫君 最後にお尋ねをいたしたいと思いますが、この法律がかりにできましても、工業用水道が早期に、しかも産業を圧迫しないように給水のできるように完成をしなければならぬわけでございますが、政府は自然増収が今年度も五千億も、六十億も予想される、こんな豊かな財布を持っておって、地盤沈下の原因を除去するための工業用水道に対する国庫補助金というものが、去年まで四分の一であったのを、ことしから五分の一になるのじゃないですか、これはもってのほかだと私は思うのですが、指定地域の指定を受けて、その地域内に工業用水道をしこうとする場合は、これまでのとおり国庫補助率は四分の一と私は理解しているのですが、間違いございますまいか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/80
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081・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) 三十六年と三十七年は全く同じでありまして、三十五年までの先生のお話だと思います。三十六年以降、いわゆる四大工業地帯に対しましては、国の補助率は五分の一になり、そのほかの地域については四分の一ということになっております。既設の工事、いわゆる継続工事は、これは従来の例によりまして四分の一のところは四分の一でやっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/81
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082・椿繁夫
○椿繁夫君 今のお話でございますが、水便が悪いために水道を遠くから引く、こういうのに対する国庫補助率と、水道を早く作らなければ地盤が下がる、そのために国土の保全が困難である、しかも国民の生命なり、財産なりに非常な損害を与える、そのために工業用水道の施設を、早急にこれはやらなければならぬという場合の国庫補助とを、同率に私は考えることの間違いを常々考えているのでございますが、通産大臣、これはいかがでしょうか、この地盤沈下と全然関係のないところの水道の補助金と、地盤沈下を防止するための、早期に計画を急がなければならぬ、年度を短縮しなければならぬという水道に対する補助率とを、同率と考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/82
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083・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろ御議論のあるところだと思います。しかして、この工業用水、まあ用水法ができたのが三十一年でございます。また新潟などの地盤沈下が非常にやかましく言われましたのも、つい最近のことでございます。そういう意味で、この点についての施設の整備は、ややおくれておると思います。ところが、いざこういうものに対する対策を立てようといたしますと、全国いたるところで、そういう問題に逢着しておる。まあ国の予算といたしましては、地方の協力を得るという建前で、できるだけ多数の個所に、そういう対策を及ぼしていく、こういうようなことを考えまして、ややその補助率が少なくなった。ただいま御指摘になりますように、三十六年の予算編成の際に、そういう変更をいたしたのでございます。
その後の経過を見まして、しからばそのために工業用水道の整備が非常におくれるか、かように考えると、むしろ逆に必要なものが整備されると、かように私は考えております。整備そのものから見ますと、限りある予算の使い方としてはやむを得なかったかと、かように思います。ただ問題は、工業用水はできるだけ安いことが望ましいのでございますから、そういう意味におきまして、将来の工業用水のトン当たりの価格は高くならないように、その意味からの計算も必要じゃないかと、かように思います。ただいま御指摘になりますように、都市に対するこの種の施設と、あるいは農村に対する施設と、やはり今日までの発達の経過が相違しております。そういうために、その二つを比較することは適当ではないのじゃないか。かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/83
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084・椿繁夫
○椿繁夫君 井戸の水を汲み上げて工業の用に供する場合のトン当たりの原価は、大体大阪で二円五十銭、それが今日、工業用水道で給水をして買わせます際の水の単価は五円五十銭。で、国庫補助が五分の一に減額されて、コストが幾らにつくかというと、六円八十銭ぐらいに、物価の騰貴等もございまして、考えられると言っておるのであります。今日、大阪府、市とも、一般会計からトンたり三円程度の補助を出しまして、そして工業用水道を使わせて、できるだけ地下水の汲み上げを押えることに努めておるわけですが、こういう地方団体のやくりをして、そしてこの地盤の沈下を守ろうとしておるところの工業用水道に対する補助率と、便利の悪いところに工場団地ができて、遠くから水を引いてくる工業用水道に対する補助率とが同一であるということは、どうしても私は理解ができないのです。
これはひとつ災害対策の一環として、これは大臣、おくれますと沈下いたしますから、せっかく防潮堤を作りましても、防潮堤がその用をなさなくなるのです。だから、この間のような四メートル二十からの高潮に対して、十分備えられるという防潮堤に国庫補助を出すことを思えば、工業用水道に対する補助率というものを増額されることのほうが、私は計算からいっても安くつくように思うのであります。一段のひとつ御努力を願って、決意のほどを最後に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/84
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085・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 災害対策として、この工業用水法の一部改正の法律も確かに役立つと思います。ところで、ただいままでの災害対策は、出てきた災害についての復旧、あるいはまた予防、その二つの建前をとっております。そういう建前から考えますと、この種の法律で役立つことと、ただいままで防潮堤その他で国が国費を出しておることと、どちらが有効かというような議論もあるかもわかりませんが、総合的に対策を立てなければならぬことは、これは確かであります。ただいま申し上げるように、使用制限をすることによって、確かに役立つだろう。ただ使用制限をやることが、あるいは工場誘致、産業立地というような面から、何かと不便を来たす、そういう意味で、あるいは地方自治体等も、産業は続けていきたいと、こういうところから、いろいろ補助もしておられると思います。また国の工業用水道を作る等によって、補助を進めていくわけでございます。
で、地方の場合だと、今申し上げますような特殊な補助をいたしまして地方産業を起こす、企業者自身の利益もさることでございますが、自治体自身の繁栄というところで、その結果はもたらされますので、まず金の出し方自体で議論することは、私はあまり適当じゃないと思いますが、椿さんたいへん巧妙な議論をされて、ただいまもう少し国も出さなければならないかなと、かように思うくらいでございますが、とにかく自治体の事業整備の計画、これは自治体自身といたしましても利害一致するものだろう、かように考えます。また国自身といたしまして、いわゆる災害に対しまする特別措置あるいは予防措置等は講じて参りますが、そのほうに主たる力が入れられ、この工業用水の地下水汲み上げについての制限などは、むしろ経営者の立場につきまして種々私どもも工夫していきたい。だから、そういう意味から申せば、最後の整備用の転換資金その他についての助成などを心がけるべきじゃないか、工業用水の高いということそれ同体については、国の責任と申すよりも、主として地方自治体のほうが、そういう点、十分自治体の利益関係があるという立場で、その援助をいただくことが望ましいのじゃないか、かように私ども考えております。
いずれにいたしましても、国だとか地方自治体だとか、それを区別して考える筋ではなく、とにかく国民の生活が安定すること、安全であること、また、安堵して企業を継続していくことが、私どもの政治の目標であることは当然でございますから、そういう観点に立ちまして、国、自治体一体となって、その産業が興隆していくように、また安全な生活が確保されるように、一そう努力して参りたい。かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/85
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086・近藤信一
○近藤信一君 椿委員の御質問に関連しまして、簡単に二、三の点について御質疑をいたします。
工業用水道事業に予算がついて、その工事が開始されて給水できるまでの期間と、その後猶予期間一年を入れた合算期間は、少なくとも一年以上、また数年間は、地下水汲み上げは現状とほとんど変わらないことになるから、その数年間今までと同じく地盤沈下が起こることは否定できないのじゃないかと思うのです。その間に処する高潮対策として、防潮堤のかさ上げに、ほとんど依存する結果になっておることも事実なんです。たとえば名古屋の問題を見ましても、河川の高潮対策ばかりに重点が置かれておるわけなんです。そうすると、また大阪における第二室戸台風と同じような被害が、少なくともここ数年間は避けることはできないのじゃないか、こういうふうに私は心配するわけなんですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/86
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087・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) 先ほどちょっと御説明しましたように、給水可能後の一年間というのは最高限でありますので、給水が可能になりますれば、すぐ転換できますように、企業に対しましても、事前に準備させておけば、いわゆる工場の中まで配管がされ、給水ができるようになれば、直ちに転換可能ということになりますので、われわれといたしましては、長い期間非常に住民自身が不安な状態になるということを避けるために、できるだけ早く転換をするように指導して参りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/87
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088・近藤信一
○近藤信一君 従来現行法が、いわゆるザル法といわれていた理由は、主として既設井戸に対する規制がなされていないのと、それから地下水の過度汲み上げに対する規制なるものが、指示だけの行政指導であって、それに従わない場合の強制力はなかったのです。むしろ私は現行法の第十四条の指示を、制限することを得ると、こう改正したほうが適切であるようにも考えるのです。それゆえに、本改正案では、予想することができなかった特別事情のある場合に限定して、地下水の採取の制限命令を例外的に緊急措置として認めることにした結果になっておるということは、現行法第十四条は削除されたにひとしいと解釈されるようにも考えるのですが、その結果を一体、どういうふうにあなたのほうでは今後カバーしていかれるお考えを持っておられるのか、従来とひとしく行政指導でやるというならば、従来の、現存のザル法という醜名を脱却できないことにならないかどうか、その点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/88
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089・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) ザル法だとは、私のほうはあまり考えておりませんで、十四条の規定は、われわれが考えておりましたのは、いわゆる給水が可能になりました場合に、地下水の汲み上げをやめて、この工業用水道に転換するように十四条で指示することを考えておったわけであります。ところで、この十四条の中で、いわゆる給水が可能になりました場合には、強制転換をするように六条の2及び六条の5を追加いたしまして、いわゆるこの点につきましては、先生の御指摘のようにザル法でなく、強制転換をするようにしたわけでございます。そういたしますと、十四条の実質上の運用をする場合が考えられなくなりましたので、削除いたしまして、そのかわりに十四条を緊急事態の条文ということに書きかえたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/89
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090・近藤信一
○近藤信一君 通産行政の重大な点は、産業の振興ということがあって、工場の拡張なんかも予定される、また新しい工場が付近に立ったり、また上流に新設されるというふうな関係もあるわけです。下流のほうの工場自体が地下水の使用を禁止または減少しても、地盤沈下している現状であるから、いかに現在の地盤沈下の大きい地域だけを指定しても、それは効果がほとんどないというような結果を招来している地区もあるわけなんですね。それゆえ、ぜひとも指定地域を広く指定して、そうして量水機等を使用して、各地区にわたって、たえず減水を測定して、適所適時に科学的な、また合理的な計画、こういうものを詳細にまた緻密に適切かつ妥当な対策措置、こういうものを講じなければならない、かように私は思うのであります。
そうした見地から、現行法の第十四条の指示というのを、制限することを得るとしたほうが、実際の行政現実に合致すると信ずるわけなんです。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/90
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091・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) 私のほうは、ただいま先生の御指摘のように、下流のほうで地盤沈下現象が起きておる、上のほうにはまだ起きていないという場合でありましても、地下構造上大いに関係があるという場合には、水位が低下したというようなことを常時観測いたしまして、そういった地盤沈下を今は来たしておらないけれども、十分来たすおそれのある場合には、その地域をもあわせて本法による指定地域にいたして参りたい。そこで指定地域にいたして、現在の法によりまして、強硬な採取規制をやろう、こういうふうに考えておりますので、十四条でやるというよりは、むしろそのほうがよりよいのではないか、こういうふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/91
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092・近藤信一
○近藤信一君 地盤沈下防止のために、必要かつ十二分に地下水くみ上げ規制を行なわんといたしますには、代替用水の供給、そういうことに要する工業用水道事業、こういう関係から予算計上というものがなされなければならないと思うのでございます。地方財政の、先ほど椿委員も言っておられましたように、地方財政の関係上、水道事業の計画を適正規模以下にして、そうして補助金を申請していく場合があるわけなんです。政府はこれらの問題を考慮の中に入れて、そうして善処するように積極的な指導というものを考えなければならないと私は思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/92
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093・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) 現在国の補助金でやっております場合と、単独地方債で、やっている場合とあるわけですが、地盤沈下地帯に対しましては、特に優先的にわれわれのほうとしては、補助金をつけるように考えておりまして、そういう地域におきましては、当該地方団体の専業遂行能力の限界に近いところまで、われわれのほうでは補助金をつけて参ろう、こういう趣旨で運営して参る方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/93
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094・近藤信一
○近藤信一君 大蔵省は地盤沈下したものについて、いわば事後的に工業用水道事業の補助金を認めている、これらの地盤沈下そのものの予防とはならない、私はこういうふうにも思うのです。
この見地から地盤沈下が発生して、この地区の国土保全が永久に害され、それから工業用水を供給するのは若干手おくれ——若干どころではない、だいぶ手おくれだというふうな感じがするのですが、それがために、地盤沈下が起こりやすい場合のある場合が多い、予防的にあらかじめ代替用水を供給するのが私は当然の処置であろうと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/94
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095・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) 現在三十七年度では、いわゆる国庫補助でやっております工業水道が二十四カ所、単独起債でやっておりますのが、大体三十カ所ぐらいになるかと思いますが、ただいま先生の御指摘のような現在指定されております七個地点につきましては、まさにあとからやっておるという感じでありますが、そのほかの地点につきましては、ただいま先生御指摘のように予防的に工業用水を敷設して地盤沈下を来たさないように地下水の採取にかわって工業用水道で工場が起きるようにということを考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/95
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096・近藤信一
○近藤信一君 最後に工業用水道事業に対しまして、従来国の補助が四分の一ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/96
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097・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) 四分の一と五分の一。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/97
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098・近藤信一
○近藤信一君 四分の一。それが昨年から四大都市について、これが五分の一になった。これはむしろ水道事業全体に対して逆じゃないかと私は思う。むしろこれは逆に三分の一の補助なりまた二分の一の補助をすべきじゃないか、そのほうが妥当じゃないかと私は思うのであります。ことに地方財政の困っているところに対しては、国として、私は十分考えてやらなければならぬ。国土保全の建前からいきましても、これはもう少し、政府のほうで十分なめんどうを見なきゃならぬと私は思うのですが、この点はひとつ大臣から御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/98
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099・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど椿委員からも同様なお尋ねがございました。そこでお答えをいたしたわけでございますが、これは国の補助が多ければたいへんけっこうだということでございますが、いろいろな振り合いもあることだと思います。最近三十六年以降、特別に補助率を下げましたのは、最近になりまして地盤沈下問題が起きたり、あるいは都市における工業の過度集中等ができたり、工業用水道を急速に整備しなければならないという状況になって参りました。そこでできるだけ限られた予算を全国で使用する、こういう意味から補助率をやむを得ず下げたというのが実情でございまして、先ほども申し上げたのでございますが、その結果が、工業用水の水の使用料が非常に高くなる、こういうふうなことはできるだけ避けなければならないと思いますので、起債その他で所要の資金を確保することについて、十分政府は心がけておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/99
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100・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 他に御質疑はございませんか。——他に御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。
御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/100
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101・椿繁夫
○椿繁夫君 私は日本社会党を代表して、この工業用水法一部改正法案に賛成いたします。
本法の施行にあたって特に御留意願いたい点を二、三つけ加えまして、賛成の討論といたしたいと思います。
先ほども明確にはお答えをいただけなかったのでありますが、大阪市のような場合を例にとって申しますと現在淀川を中心といたしまして両岸の区域、しかも東海道線の以西というふうに指定地域がごく一部に限られております。そこで本年度も指定地域を追加してもらいたいということを望んでおります。明年度もさらにこれは拡大していただかなければ、地域全体の沈下を防止することができない、こういうふうに考えられますので、どうか通産当局におかれましては、すみやかに地方団体の意向等も聴取されまして、指定地域の拡大、しかも、その指定をされる時期を急いでやられることを衷心から望んでおきたいと思います。
それから何と申しましても、本法の主目的の一つにあげられました地盤沈下の防止の実績をあげて参りますためには、大臣もしばしば熱心に御説明いただいておりますように、工業用水道の早期完成ということが、これは必要でございます。同時に工業用水が、地下水を汲み上げるのと同じような価格で、同じくならなくとも近い価格で給水ができるというようにしなければ実効をあげることができないと思います。そういうふうにいたしますためには、どうしても国庫補助をやはり増額していただくことが本改正案の実効をあげることに役立つと思いますので、そのことを強く要望いたしまして賛成の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/101
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102・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/102
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103・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 総員挙手と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出する報告書の作成等につきましては、慣例により委員長に御一任願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/103
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104・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 吉田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/104
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105・吉田法晴
○吉田法晴君 先般これは通産省、運輸省両大臣と次官ともこられて、政府を代表して油須原線の問題については年度末までに見通しをつけます。こういう約束をされたのですが、きょう年度末、それは首をひねられるけれども、速記録にちゃんと残っておる。年度末までに見通しをつけなければ、それは何といいますか、年末までに着工云々ということまで求めたわけじゃない、見通しをつけます。私は年度末までに解決して云々というたわけだけれども、年度末までには見通しをつけますという答弁があった。それを期待して待っておるところでありますが、その後いろいろ期待をして、心配してくる向きもございます。大臣の年度末における報告なり、それから自信のほどを御披瀝を願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/105
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106・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) きょうは三月二十一日でございますから、ただいまのようなお尋ねがあるだろうと思います。たいへんおくれていて申しわけのない次第でございますが、この御要望は承知いたしておりますので、関係当局の間で話しいを進めておる、かように考えておりますが、まだ正確な報告を実は聞いておりませんので、ただいまのようなお尋ねをいただきまして恐縮でございますが、さっそくまた事務当局から、よく実情を聴取するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/106
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107・吉田法晴
○吉田法晴君 これ以上追及をしてもしようがないのですが、その後の話の進行状況は、ある程度知っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/107
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108・武藤常介
○委員長(武藤常介君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/108
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109・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/109
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110・吉田法晴
○吉田法晴君 年度末までに見通しをつける、こういう言明があったのですから、残念だけれども、今日まで問題は片づきましたというところまで至りませんけれども、しかし、引き続いて努力をして、三十七年度になったら着工ができるように努力をいたします、これくらいの答弁はもらいたいのですが、ただ調べて返事しますだけじゃ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/110
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111・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 正確なことを申し上げたい——実情を十分知悉しておらぬものですから、ただいまのようなお答えをいたしました。私も考え方には在来と変りはございませんので、ぜひとも解決をして——まあ本日御返事のできなかったことは申しわけございませんが、新年度になれば、早々にでも話が片づくようにぜひしたい、かように思っております。御了承を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/111
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112・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 次に、自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案を議題とし、政府委員より内容の説明を聴取いたします。重工業局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/112
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113・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 自転車競技法及び小型自動車競走法の改正法案につきまして補足説明を申し上げます。両方の改正の要旨と、それに伴いまする両制度の改正の要点につきまして、その概要を御説明いたします。
まず競輪でございますが、昨年の七月二十五日に公営競技調査会から内閣総理大臣に提出されました答申の趣旨に沿いまして、競輪は少なくとも現状以上にこれを奨励しないことを基本的な態度といたしまして、その弊害をできるだけ除去しまして改善に努めるという基本方針のもとに、改正の要点は次の通りであります。
第一は、競輪施行についての施行者の適正化であり、第二は、競輪実施機関の整備強化であり、第三は、競輪の健全明朗化であり、第四は、売上金の一部を体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興に充当するための法制化であります。
改正の主要点の概略を御説明いたしますと、第一は、施行者の適正化であります。現在都道府県以外に競輪を実施しております市町村を、財政事情等を勘案して指定しておりますが、一部の市町村に固定することは均衡上好ましくありませんので、同時に指定市町村のうちには、運営能力に不十分なものがありますので、一つには施行者の交代を可能ならしむるよう、指定市町村について指定の理由がなくなったと認める場合は、指定を取り消しうるようにすること、第二には、施行者の競輪運営能力の向上等をはかるため、地方自治法の活用等によりまして、施行者について一部事務組合の結成を強力に指導する考えであります。
第二に実施機関の整備であります。
競輪実施に関する事務は、都道府県ごとに設立された社団法人自転車振興会が施行者からの委任を受けて行なっておりますが、現行の振興会は、社団組織による任意の民法法人でありますため、これに対する監督には一定の限度があるとともに、競輪実施に関する事務の委託の範囲も、施行者の自由裁量にゆだねられておりますので、振興会の業務も不安定となっております。そこで、実施機関として、もっと適切な組織を考慮いたしまして、十分な監督をなし得るようにする反面、施行者から委託を受けております事務を明記いたしまして、実施機関の業務の安定をはかるとともに、競輪実施の事務が責任をもって公正かつ円滑に行なわれるようにする必要がございますので、一つには、競輪施行者たる地方公共団体の長及び競輪の実施に関し知識経験を有する者を発起人とし、ブロックごとに、通商産業大臣の認可を受けて、競輪実施の事務を行なうことができる特殊法人を設立させる考えであります。二つには、特殊法人の業務として、競輪の審判等競技に関する事務、車券の発売等の事務、宣伝に関する事務、競輪場内の整理に関する事務を明記いたしまして、競輪施行者が、特殊法人に業務を委託するにあたっては、競技関係に関する業務は一括しなければならないことといたしまして、競技の公正かつ円滑な実施を期するとともに、責任の所在を明らかにしたのであります。三つには、監督については、従来の振興会と異なりまして、会長、副会長及び監事の任命、解任、業務の方法の認可、団体監督命令等の制度を取り入れ、監督の万全を期することといたしております。
第三は、競輪の健全化であります。競輪の健全化をはかるためには、環境の整備、過度な射倖心の抑制、選手の質の向上等についても、措置を講ずる必要がありますので、一つには、競輪場の環境を整備するため、競輪場の施設基準の引き上げを行なうとともに、競輪場の設置者が賃貸料収入中の一定金額——競輪場所有者についても相当する金額を、施設改修に充当するよう強力に指導をいたします。二つには、場内管理の強化のために、場内警備員を数競走場で共同採用して、常用職員化するように指導をいたします。三つには、射倖心の過熱を避ける見地から、できるだけ的中率を多くするための勝者投票法の種類及びその実施方法について規制をいたします。四つには、社会的弊害の除去の見地から、競輪開催日は、原則として、土、日曜日及び国の定める休日とする。五つには、不正レースの発生を防止し、競技内容の向上をはかるため、選手の再訓練等の措置を強化する。六つには、選手の欠格者を排除するための登録を抹消する法的根拠を明確にいたしますとともに、他面、選手の福利厚生の増進その他退職金を含めます選手の共済事業に対する助成強化のために必要な措置を講じたいと考えております。
第四は、体育事業等振興費の制度化であります。調査会の答申の趣旨もあるので、自転車等機械産業振興費にならって、体育事業の振興のための交付金制度を新設いたしまして、これを法制化することにいたしました。
その内容は、競輪施行の目的に、体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興を追加をいたしまして、競輪施行者は、売上げのうち一定の金額を体育事業の振興のための交付金として、日本自転車振興会に交付し、体育事業の振興のための事業の補助業務は、日本自転車振興会が通商産業大臣の認可を受けてなし得るものといたしまして、通商産業大臣は、認可にあたっては、車輪競技関係交付金運用審議会の意見を聞かなければならないことといたしたのであります。
以上で競輪の改正の要点を御説明いたしましたが、小型自動車競走法の改正につきましては、競輪制度改正の基本方針と同じでありまして、施行者関係を除き、競輪と全く同趣旨でございます。そこで、ただ、体育事業その他公益の増進を目的とする事業の振興費制度を新設いたすことに伴いまして、その取り扱い機関といたしまして、日本自転車振興会にならって日本小型自動車振興会を新設する、これだけが新しい制度の改正でございます。
非常に簡単でございますが、以上で補足説明を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/113
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114・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 法案の質疑は、都合により次回に譲ります。
本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十八分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X01719620331/114
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