1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月十九日(木曜日)
午後一時三十九分開会
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委員の異動
本日委員阿具根登君辞任につき、その
補欠として椿繁夫君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 武藤 常介君
理事
剱木 亨弘君
中田 吉雄君
委員
上原 正吉君
大泉 寛三君
川上 為治君
高橋進太郎君
阿部 竹松君
近藤 信一君
吉田 法晴君
田畑 金光君
国務大臣
通商産業大臣 佐藤 榮作君
政府委員
通商産業大臣官
房長 塚本 敏夫君
通商産業省石炭
局長 今井 博君
通商産業省鉱山
保安局長 八谷 芳裕君
運輸省鉄道監督
局長 岡本 悟君
労働政務次官 加藤 武徳君
労働省職業安定
局長 三治 重信君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
説明員
日本国有鉄道営
業局長 遠藤 鉄二君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
○産炭地域振興事業団法案(内閣提
出、衆議院送付)
○鉱山保安法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/0
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001・武藤常介
○委員長(武藤常介君) これより商工委員会を開会いたします。
本日は、参考人の出席要求に関しお諮りいたしました後、石炭関係三法案の審議を行ないます。
委員の異動がありましたので、この際御報告いたします。
本日、阿具根登君が辞任され、その補欠として椿繁夫君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/1
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002・武藤常介
○委員長(武藤常介君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
ただいま本委員会において審査中の石油業法案について、関係者を参考人として出席を求め、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/2
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003・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決しました。
なお、参考人の出席を求める日時及びその人選は、委員長及び理事に御一任を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/3
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004・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 次に、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、産炭地域振興事業団法案、鉱山保安法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括議題として質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/4
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005・田畑金光
○田畑金光君 昨日本委員会では、労使、あるいは地方団体の代表に来てもらって、石炭三法案についての意見をお聞きいたしたわけですが、その節、私、経営者の代表の方にお尋ねいたしました第一の点は、例の四月六日の閣議決定による新しい石炭政策について、これは経営者の皆さん方とも政府は話し合いをして発表したのかどうか、こういうことを尋ねたわけですが、これに対して日本石炭協会の萩原会長は、相談があったといえばあったような、なかったといえばなかったような、実際に正式の話し合いはなかった、しかし前からわれわれの考え方については政府に話をしてあるので、まあそういう意味からいうと、われわれの意向も入っておると思うのだというような話がございましたが、政府の提示された六つの案を見ますと、いずれの内容を見ても、これは単に労働組合だけの問題じゃなくして、経営者にとっても重要な問題であり、また経営者の協力なくしては処理されない問題もあるわけです。ことに中小企業の団体である中小炭鉱の鉱業連合会等にはほとんど話し合いもなかった、何の話し合いもなかったと、こういうわけなんですがね。これはどういう事情で政府はそのような片手落ちなことをとられたのか、これをまずひとつ承りたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/5
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006・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) これは政府、別に片手落ちしたわけではございません。あるいは組合側と事前に交渉したことも実はないわけでございますし、また政策転換闘争ということではございましたが、これは社会党と直接折衝すると、こういうことでもない、与党と直接話し合うという非常な緊密な連携をとったことでもございませんし、また民主社会党の方とも事前の話し合いというような形はとったわけではございません。また大平の経営者も、もちろん平素からいろいろの意見は聞いておりますけれども、また中小もそういう意味では、まあいずれも偏しないといいますか、いわゆる閣議決定をする、政府の方針を決定する、こういう態度は堅持したつもりであります。ただ事柄がただいま申しますように、経営者側にも影響があり、また組合側にも影響があり、あるいはまた国会内の三党にも多大な関心のある問題でありますから、閣議決定後においてこれが大体どういう方向へ行くのか、閣議決定前どういう方向に行くのか、大体政府の方針が決定されたそこで会見を申し込まれた。その会見を申し込まれたものについて順次話をつけて、そして御了承を得たということであります。
最後の中小炭鉱の方々は、非常に夜おそくなりまして、中小企業の関係者といたしましては、事務局の人がいるだけでございまして、政府がもう決定されたのでございますので、一応話をいたしますかと言ったんですが、関係者はもう夜おそくいない。政府が決定されたのであれば明日というか、明るくなってからお話を聞きましょう、こういうことで明るくなって実はお話を事務当局をして詳細にいたさせた、こういうことでございます。これは一に時間的な関係であったと、かように御了承をいただきたいと思います。また、これはいろいろのことが憶測されるだろうと思いますが、どこまでも政府の責任における閣議決定であって、この点を御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/6
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007・田畑金光
○田畑金光君 これは、世間では五日からの炭労の無期限ストを前にして、これを回避しようとする政府の政治的な解決だという見方をする人もいるわけです。また、示された六項目のそれぞれの内容を読んでみますと、今までの石炭基本政策を改めるような、あるいは変わりのないような、いずれが確実な方針、いずれが確かな方向なのかつかみにくい、こういう見方もあるわわけです。言うならば、当面の事態を回避するために政府が表面的にあるいは形式的に、糊塗する策としてこれを出したのだ、こういうきつい批判を下している面もあるわけです。私は、政府が今後の重要な石炭政策について、あの時期、あの段階、あの背景のもとで出されたことだから、相当これは積極的な面をお考えなされていると、善意にあるいは前向きの建前で解釈したい、こう考えているんですが、どういう点が特に通産大臣としては、今後の石炭政策において、これから新たに重点を置こうとするお考えであるのか、この点を率直に承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/7
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008・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今、田畑さんの御指摘になりますように、多分に五日以後のストライキ、これを回避する、そのための政府の方針の明示だ、こういう批判というか、そういう見方は当たっているだろうと思います。私ども、政府としては、やはり社会不安を除くあるいは経済不安を除く、これまた政治上の大きな責任の一つでもございます。そういう意味においては、これを避けることは、これは当然のことだと思います。しこうして、石炭対策というものは、昨年の臨時国会で両院の決議もございまして、政府はその決議を尊重して予算の要求もし、予算の審議もいただいて、もうすでに成立をしたという状況でございます。その観点から見ますると、その実施等についての成績を十分ひとつ見ていただく、これが望ましいことだと思います。ただ、私どもがあの閣議決定をいたしましたことは、非常に説明が不十分であるというか、政府の趣旨が徹底しないと申しますか、いわゆるその経営の合理化の線が非常に強く出ておる。そしていわゆる暗い面が予算等の措置では出ておる。あるいは離職者対策あるいは産炭地振興対策等々ですね、大体暗い面が非常に出ている。だけど政府は昨年来一貫して説明しておりますように、この石炭問題は、大事な国内エネルギーである。そういう意味において、これを基礎産業としてエネルギー産業、安定産業たらしめる、こういう基本線を出しておるわけであります。この安定産業たらしめるというその観点に立てば、国内の石炭についても将来性なり積極性というものを十分国民に訴えたつもりでございます。しかしながら、どうも雇用という問題の観点から、強く石炭産業の、石炭政策のあり方を批判して参りますと、いかにもその労働者の負担においてというか、犠牲が非常に忍びがたいという、そのほうが強く出ている。これはいろいろ誤解もあることだから、そういう意味では、もう少し積極的な面が閣議決定の面、方針決定の場合に打ち出されることが望ましいだろう、これが一つのポイントであったように思います。で、したがいまして、過去の昨年来の両院の決議、その御趣旨を尊重すれば、これは当然石炭産業の安定産業であるという、それを国民の理解を求めて、そういうふうにするというこの決議は十分透徹していたはずでございますけれども、組合側には十分その点は浸透していない。そこで問題になりますのがいわゆる五千五百万トン、千二百円下げというこの問題が議論の対象になっておる。だから政府は今までもこの基本線の五千五百万トン、千二百円下げという基本方針は変えませんということを強く主張して参りましたものの、どうもどんどん買い上げ、買いつぶしをしていくと、現在の五千五百万トン維持困難じゃないか、それは一体どうするのだ、こういうところに論議が集中されておる。私どもこの点で今までの説明が不十分であった、かように考えまして、前回も当委員会で申し上げましたように、五千五百万トンという数字、千二百円下げというこの金額を、値段を安くする、そればかりとらわれていると、どうも本体を見失うのじゃないか、大事なのは石炭の合理的経済性でございます。この合理的経済性というものが確立されるなら、五千五百万トンにとらわれるつもりはございません。ことにわざわざ外貨まで支払って、外国から一千万トン以上の炭を買うまでもなく、国内の石炭の開発をしたらいいだろう、この点をひとり取り上げよう、これがいわゆる原料炭の新炭田開発という、そういうものが出ておるわけでございます。どこまでも合理的経済性のある炭にする、その基本線は譲れません。それが達成できれば、別に私どもは五千五百万トンにこだわるものではございません。そういう意味においては、長期引取の態勢も整えましょう、これが一つの大きなポイントであったと思います。
それから第二の問題といたしましては、今の各山において、山元において労使双方が話し合って、そうしていわゆる石炭の合理化を進めて参りますが、そういう場合に、あるいは第二会社を設立するとか、あるいは採掘の点において組夫等の採用がある。そういう事柄が在来の労務関係に悪影響を及ぼしておる。そういう点を、政府の方針としては、そういう点について望ましいことではないが、労使双方で話し合いをして解決をしていただきたいということが一点、並びに組夫の問題については、これまた実情に即した雇用関係を打ち立てるような指導をしよう、こういうことを実は新たに付け加えたのでございます。その他の点につきましては、それぞれ内容を充実して、関係の方々が安心してその職場で働かれるようにやるつもりでございます。ただ、いま申し上げるような点が主要な点であります。
ただ、その基本方針を申し上げるだけでは、当面しておる、激化している労使の対立を解消するわけに参りませんので、そこでこの合理化振興の実情を炭田別にひとつ見て、合理化の遂行後の雇用の問題等の実態の調査をしよう。その実態を調査をする期間は、もちろんのこと、その報告を受けて、政府がそれに対する対策を決定するその時期までは、雇用の問題について労使双方は争うことをやめよう、そういうことを政府は期待する。もちろんこの事柄は、政府対経営者、政府対組合というか、そういう関係において規律されるべき筋合のものでございませんので、政府はこういうことで方針を決定するから、それまでは双方が実情についての理解のもとに、雇用の問題の紛争を起こさないようにひとつ願いたい、こういうことである。もちろんこの四月五日までにすでに交渉に入っておるもの、話し合いを続けておるものを、今回のこの閣議決定でとめるのではございません。四月五日以後、新たなる問題、これは暫く見合わそう、こういう方法で事態をひとつ収拾し、いわゆる社会不安をなくする、経済混乱を個たに生ぜしめない、こういうことを実はねらったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/8
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009・田畑金光
○田畑金光君 今の御答弁の中で、従来暗い面のみをともすれば取り扱っていた傾向もあるが、明るい面をもっと取り上げ、また伸ばせる点は伸ばしていこう、この点については全く同感でございますが、そこで今、通産大臣の御答弁を発展させて参りますと、一つは経済的な合理性がそこなわれない限り五千五百万トンの規模についても、将来はもちろん需給関係その他も考慮しているという前提でしょうが、伸ばしていってもよろしい、まあその一つの内容としては、原料炭等について五百万トン前後は、将来ふやしてもよろしい、こういう政府の御方針のようです。そこで経済合理性というもが貫かれる限りにおいては、原料炭については現在一千百万トン前後輸入しているわけで、外貨節約の面から見ても、もっとこれは国内で生産するように確保していくということは、われわれも理解できるのですが、それは経済的な合理性という建前から見ますならば、単に原料炭だけでなくて、これはやはり一般炭についても私は適用できるんじゃないかと思うのです。その意味においては、五千五百万トンというのは、一般炭、原料炭含めての話でございますけれども、将来出炭の規模を拡大するかしないかということは、経済合理性の原則に立つ限りにおいては、これは一般炭についても当然適用できるんじゃないか、こう考えておりますが、その点は政府としてどのようにお考えになっておられるのか、その点をちょっと御説明願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/9
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010・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) これは田畑さんの言われるとおりでございます。もちろんその経済的なものが出てくれば、そういうものは、ほうっておきましても、これは必ず出てくる問題です。政府はこれをとめる筋のものではございません。
もう一つ、言い落としましたが、今回の閣議決定で重要な点は、やはり総合エネルギー対策を立てる、そういう意味の委員会を設置する。それで、やはりエネルギー部門における石炭の位置づけをするということが一つの問題だと思います。これが将来の問題として大きく、また強く取り上げられなければならない。そういうことになりますと、今、原料炭に限るという筋のものでもないし、一般炭もちろんであります。また、原料炭の出るところ一般炭も同じ場所で出てくる、問題はそういうものを片方はずす手もございませんし、これは出然出てくるものだと、かように考えていいと思います。どこまでも合理性のあるものにしたい、かように実は思うわけでございますが、今までの経過等から見まして、千二百円下げがなかなか困難でございます。この千三百円下げを想定いたしました際の石油価格というもの、当時想定した石油価格よりも現在は非常に安くなっております。だから、その価格の面では千二百円下げをしたからといって、石炭と石油がバランスがとれるとは絶対に考えられません。しかし、千二百円下げを三十八年度末までにという考え方で進んでおる当初の合理化計画、これはひとつそのままで進んでいこう。だから時期的な問題として見れば、また価格の問題等から見ましても、石油と石炭を価格の面で競争さすという当初立案したときの考え方からいえば、政府は後退だといわれても、これは仕方ないと思います。しかし、これは国内の雇用の問題その他を考えますると、より以上の、千二百円をさらに進めて積極的に価格引き下げを政府が指示することは、この際適当でない、かように考えます。また、最近の運賃その他の物価騰貴に対処する面から見ましても、千二百円下げについての三十七年度、三十八年度、この区分はまだできておらないのでございますから、今後審議会の答申を経て、そうして残りの分の価格を引き下げる、これは三十七、三十八の両年にいかに割当てるか、これをひとつ今後の審議会できめていこう、こういう考え方でございます。この点の誤解がもし残っておりますと、これはもう石炭産業といたしまして、なかなかたえ得ることはございません。だからただいま申し上げる合理的経済性と、かような言葉を使い、経済の原則というものを表面には打ち立てておりますけれども、現状においては、すでにそのバランスはこわれている、そのこわれた姿におきましても、当初お示しした合理化計画は、少なくともひとつ遂行していこうじゃないかというのが、政府がただいま堅持している方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/10
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011・田畑金光
○田畑金光君 そこで、今のあとの価格の問題ば次の質問でまたお尋ねすることにしまして、とりあえず、五千五百万トンという出炭規模についても、経済合理性が保たれる限りは、政府としてば弾力的にこれを考えていこう、原料炭のみならず、一般炭についても。それはよくわかります。
そこで、所得倍増計画、昭和三十五年の十一月一日にできましたこのエネルギー小委員会で作りました所得倍増計画によれば、昭和四十五年度のわが国のエネルギーの総需見は三億二百万トンを見ているわけです。石炭換算七千カロリーでこれは組んでいるようですが、しかしまた、供給面から検討してみると、四十五年度は二億八千三百万トン前後であろうと想定しているようです。基準年次である、たとえば昭和三十四年度を見ますと、国内炭の総エネルギー供給の中に占める比率は三一・九%であるわけです。昭和三十四年というと、一九五九年ですが、この年、たとえばイギリス等においては七六%、西ドイツにおいても七六%、フランス等は四六%と記憶しておりますが、その程度、総エネルギーの中に占める国内石炭の消費というものを実績が示しているわけです。ところが、わが国の場合は、所得倍増計画によりますと、昭和四十五年度には国内炭が一八%、五十五年度にくると一一・一%と、非常に石炭の占める比率というものが低くなっていくわけです。そこで、私が率直にこの際聞いておきたいことは、このエネルギー小委員会で作りました所得倍増計画の将来のエネルギーの需給の見通し等についても、これは政府として再検討されようという用意があるのかどうか、あるいは、行く行くは、当然再検討しなければならぬと思いますが、こういう問題等についても、通産大臣としてはお考えになっているかどうか、この点をまず承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/11
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012・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま御指摘になりますような点は、いわゆる総合エネルギー対策の審議会ができる、この審議会で十分検討する、かように私は理解しておりますし、また、そうあるべきだと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/12
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013・田畑金光
○田畑金光君 当然これはエネルギー審議会等において再検討されてしかるべきだと思いますので、政府はそういう方向で行政指導なりあるいは行政をなされるように希望しておきます。
そこで、先ほど通産大臣の御答弁で、今後の合理化計画の価格面の考え方についてはよくわかりましたが、そうしますと、昭和三十七年度、三十八年度で結局残された千二百円のコスト引き下げを実現しなければならない。これは石炭界としては絶対の課題に取り組んでいるわけですが、石炭鉱業審議会の答申によって、三十七年度に幾ら値下げをする、三十八年度に幾ら値下げをするということは、石炭鉱業審議会の意見を聞いて決定するのだ、そういうことですが、もしその際、石炭鉱業審議会が、諸般の客観情勢によって無理だ、値下げはこれ以上は困難だ、できてもこの程度だ、しかし、千二百円までは値下げは困難たと、こういう結論が出ないとも限らぬと思うのですが、そういう場合にはどういう取り扱いをなさるおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/13
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014・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、三十七年度及び三十八年度の年次計画でございますから、おそらく、この石炭鉱業審議会といたしましても、年次計画終了年次、三十八年度末には、この合理化計画の完了というか、そういう意味の措置をするだろうと私は期待いたしております。だから、この三十七年度、ことしどうなるかということですね。これがことしの問題、また三十八年になりますと、時期的に少しおくれて参りますから、その間に、行政の推移等もございます。大事なのが三十七年度、また三十八年度は、その次といっちゃ何ですが、年次計画としては今回出すと思いますが、そういう結果で、ひとつ判断していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/14
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015・田畑金光
○田畑金光君 三十七年度の年度計画は、いずれ石炭鉱業審議会は出してくると思うのですが、おそらく、私は、今の情勢からいうと、これは三十八年度左でに千二百円のコスト引き下げということは容易なことでないと、こう思うのです。長期引取計画等の需見者側との約束からみますと、これは、石炭経営者としては、どうしても引き下げなくちゃならぬという気持だし、努力しているということはわれわれもわかりますけれども、実際問題としてできるかどうかと、こういうことだと思うのです。で、心配することは、もし三十七年度、三十八年度を通じてやってみても、千二百円のコストダウンは、これは無理だと、こう現実の問題として起きた場合は、一体、どういう取り扱いをされるのか。私は、そのとき、二つの方法があると思うのです。一つは、可能ならしめるように、政府は、金融その他の積極的な施策をなさることが一つ考えられるでしょう。第二の方法としては、三十八年度までには無理だとすれば、先ほど通産大臣がお話しのように、千二百円以上、業界に、あるいは石炭にコスト引き上げを要求するようなことは、もう無理だと、通産大臣自身もお認めになっているのですから、三十八年度以降、たとえば昭和四十二年度なら四十三年度までの計画の中で、千二百円のコスト引き下げということを考えざるを得ない、そういうようなことも私は予想されると思うのですが、その辺の考え方は、どのように政府としては処理されるか、承っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/15
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016・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん、いろいろの面が具体的には考えられると思いますが、あるいはまた時期的な狂いが非常な支障を来たす、フェータルな支障を来たすのかどうかと、そういう問題もあろうかと思います。一がいに、最近の物価が高くなったと、こういうわけのものでもございません。御承知のように、鉄鋼などは、今の公販価格より相当実勢を下回っております。これらは安くなったものもございます。他面、坑木代は、非常に高くなったといわれますが、最近の木材価格も安定傾向をたどっておる。政府が、また特別な処置をとることによりましても、この坑木等の資材を安くする方法もないわけではないだろうと思います。運賃については、ただいま一部保証による延納方法をとりておりまするが、こういう問題も、基本的には解決もしなければならぬと思います。また賃金は、ある程度上がって参っております。想定したよりも上回った率でございます。しかしこれは賃金相応の生産性を発揮していただけば、十分これまた吸収されるものだと思います。そういうことを考えてみますると、いわゆる困難たということは、克服できるかできないかという問題がある。今の賃金一つについて考えてみましても、賃金は上がった、生産性が低いといわれるわけです。それがもしも労働者の責任じゃなくて、設備あるいは機械化がおくれている結果、予期した生産が上がらない。能率が上がらない。こういう事態ならば、これは私どもがまた経営者に対して、特別金融措置による機械設備を整備する。そういうことによって、能率を上げさす方法もあるだろうと思います。こういうこまかな点について、鉱業審議会はあらゆるデータをそろえて、そうして結論を出してくるものだと思います。であるから非常に困難だ、全部が全部雇用の面、労働者の負担あるいは犠牲になるのだ、そうきめてかかることもないのじゃないかと思います。問題は、この石炭鉱業審議会において、あらゆる面からその適正な調査を進めて結論を出していただくことだ、かように実は考えるわけであります。私は必ずしもそう悲観もいたしておりません。もちろん楽観はできる問題ではございませんが、総体が、安定産業たらしめるという意気込みで、労使双方お互いにたえられるだけたえていくという決意をもって立ち上がっていけば必ずしも克服できないというものじゃないだろうと、かように思います。そういう意味で、ただいま、まずできなければどうするかという、こういうお尋ねでございますが、その仮定の議論よりも、やはり合理化をいかにして進めるかという、それに各界の全智をひとつしぼり出していただく、こういうことが第一の問題じゃないかと思います。私は、幸いにしてただいまの環境は、労使双方並びに需要者、政府等も、積極的な意図をもって真剣に取り組むという決意が示されているように思います。この決意を、ただ単なる決意に終わらさないで、具体化することが、私どもの責任でもあり、関係者一同の協力でもあると、かように実は思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/16
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017・田畑金光
○田畑金光君 ただいまの通産大臣の御答弁は、経済の動きですから、予想することもなかなか困難だし、また仮定の話をしても議論は平行しましょうが、ただお話の中にありましたけれども、坑木の値段が横ばいといっても、それはたとえば昨年の坑木の値上がりが、全国平均二割と見られておりますけれども、二割高で横ばいになっているわけですね。電力料金でもたとえば東京電力、九州電力の値上げがあって、それは石炭のコストにそのまま響いているわけで、今後電力料金の値上げがないとは保証できない、こう思うわけですね。また国鉄運賃をみましても、トン当たり五十円ないし六十円コストに高く響いている。こういうこともそのまま残ってくるわけで、私、大手十八社の資料を持って来ておりますが、三十六年度の物価上昇のコストに及ぼす影響、これは石炭原価あるいは販売量等の各項目を入れますと、販売に伴う費用とか、石炭の原価の中に入っているもろもろの要素を総合しますと、トン当たり三百八十五円というコスト高になっているわけですね。ですから、私は石炭鉱業審議会でいろいろな要素を、かれこれ検討してはじいてみても、結果においては、なかなか三十七年度、三十八年度千三百円のコストダウンということは、出て来ないじゃないか。これは、まあ心配するわけです。
まあそれはそれとしまして、そこで、先ほどの通産大臣の御答弁の中で、私は、石炭に対して千二百円のコストダウンはぜひこれは実現してもらわなくちゃならぬが、これ以上無理なことは考えない、こういうような趣旨の御答弁があったと思いますが、それはそう承ってよろしいのかどうか。と申しますのは、私はやはりそこが大事な点だと思うのです。石炭と、競合エネルギー特に重油との価格競争を可能ならしめるようなという考え方で、そもそも私は今までの石炭政策というものは生まれて来たんじゃないかと、こう思うんです。すなわち、五千五百万トンの出炭規模と千二百円のコストダウンということは、まあ昭和三十八年の重油の値段を、C重油の値段を八千四百円と想定して価格の面で競争できるんだ、させるんだ、こういう前提で私は政府の合理化政策というものはできて来ておると、こう思うのです。ところが、今日の実情では価格の面で競争させるということは、これはとうてい無理な話。さらに、今後、将来にわたって考えますと、重油と石炭との値段を価格の面で関連しながら考えるということは、もうこれは私はこの辺でやめたほうがいいんじゃないか、こう思うのです。価格の面からですよ。重油と石炭の問題を考えていくということは……。ですから、私はそういう意味において千二百円のコストダウンということはまあいろんな経緯があるから絶対にやらなきゃならぬ、やらさねばならぬが、しかしそれ以後の問題については、価格競争というものの考え方は、この際たな上げすべきだと、私はこう思うのですけれども、この点について通産大臣のお考え方を承っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/17
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018・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの千二百円下げ、これは現在もうすでに石油とは価格の面で競争ができない段階であります。しかも、それは石油の特殊事情から来ておるということを先ほど申し上げました。私どもがどうして千二百円下げに今こだわっているかということでございます。これは申すまでもなく、この石炭合理化計画を進め、石炭の長期引取契約を大口需要者に了承さして、そうして話を進めました際に、石炭は千二百円下げするんだ、そこで電力等はひとつ思い切って石炭を使って下さい——これは実は話を続けて参っておるのです。しかも、その長期引取の契約の期間は、四十二年度まで。非常に先があるのですね。期間を——価格下げについての約束を取りつけて、それでその消費者も了承して長期引取契約を立てておるわけであります。この点は、あまり訴えられておりませんから、あるいは見落としておられる方があろうかと思いますが、この石炭の合理化を進めた場合に、国内の炭だと申しましても、経済から見れば国外でも安いほうがいいじゃないかという議論はいつも立つわけであります。しかし、雇用の問題から見ても、あるいは外貨支払いの問題から見ても、国内産業のあり方等から見ても、これはたいへんな問題だから、国内産業はひとつ協力してくれ、それについてはこれだけの合理化を進めようということで一応了承されて、スタートしたものなんです。そういうことを考えますと、この千二百円下げというものはどうしても実現したいという、これは非常な意欲を持っておるわけであります。そうして、これが軌道に乗って来て、いわゆる採炭方法、あるいは中間の流通過程等における費用、その他がセーブされてくれば、あるいは数年後でございますから、また情勢が変わるだろうと思う。かように実は思うわけで、あります。で、ただいまから数年先のことを、今田畑さんが言われるように、自由民主党は本来自由経済の建前だから、もうその辺で手を引いたらどうかと言われても、私どもはそう簡単には実は結論を出さない。これはやはり本来立っておりますように国内産業の優位性というものをやはり確立していくことが、これは望ましいことなんです。だからそういう意味で、今日非常に困難なことではございます。ございますが、それをひとつ克服しよう、これはそんな偉そうな意気込みを政府が言ったからつてだめだよ、経済の原則には必ず頭を下げざるを得ないよ、こういう批判もあるかと思います。思いますが、私はここに一つの工夫が必要なんだ、その工夫を労使双方にもお願いするし、政府もそういう意味で積極的な施策、手を打っていこう、この考え方であります。将来の問題は今までも千二百円に対して、さらに追いかけての合理化を申しませんと言ったのは、ただいま申し上げたその計画年次について、その途中においてはこれを変えるということはしないということでございます。私はおそらく今申し上げた長期引取契約の期間が経過するまでには、石炭業界ももっと模様が変わってくるでございましょう、それから一般の経済情勢もどういう変遷をたどって参りますか、その辺もひとつ見きわめたらどうかと思います。ことに最近伝えるところでは、アメリカなどもたいへんな馬力のかけ方のようです。大体アメリカなどでは一日二十トンとかあるいは二十二トンの出炭量というような山はざらにあるようであります。またそれでなければならぬと言っている。わが国においてばそれが一カ月かかるということでは、あまりにも開きがひどい。それはいろいろな条件もございますよ、だから一律にアメリカで可能なことが日本ではなぜできないか、かようなことは申しませんけれども、さらにこれは工夫の余地が多分にあるのじゃないか、こういうことを考えるわけです。ただ非常に短期間の間に技術の導入もできることではございませんし、また政府が幾ら資金援助をいたしましても、設備の改善などが短期間にでき上がるものでもございません。だからそういう意味では、国内炭についてはしばらく時間をかしていただかないと、幾ら積極的だと申しましても、なかなか軌道に乗りかねるのじゃないか、こういうことを実は心配しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/18
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019・田畑金光
○田畑金光君 通産大臣の今のお答えの中で、私安心したような感じもしたのは、千二百円のコスト引き下げですね、この問題、これは私たち自身としても、三十八年度までには、この合理化基本計画は必ず実現をはかる、そのことは長期取引の需要者が、消費者団体との約束でもあるから、これは絶対にやらねばならぬことだと、こう思うのであります。問題は、私の心配していることは、それを実現するだけの、政府がいろいろな手をさらに積極的に打つかどうかという問題。それから今のお話の労使協力しなければならぬという問題はもちろんですが、そこで今の御答弁を聞いておりまして、私まあ新たな答弁だと思って聞いたことは、電力とか鉄鋼とかガス、セメント、この需要者団体との長期取引契約ですね、これは千二百円ダウンをすれば、昭和四十二年度までは、そのダウンされた値段で引き取る約束になっている意味の答弁ですから、私はまあそれでそうかなあと、こう感じたのですが、千二百円コストダウンだけで、四十二年度まてですよ——これらの需要者側、長期取り引きの相手方は、承知して契約に印鑑を押したのかどうかですね。あるいはまた昭和三十八年度までは千二百円コスダウンだが、三十九年度以降はさらに引き下げるのだということを約束して、四十二年度までの長期契約を結んだのかどうか。通灘大臣の御答弁は千二百円引き上げで昭和四十二年度までをやっていくんだ、こういう御答弁のようですから、そのとおりなのかどうか。その辺をひとつもう一度お聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/19
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020・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま申し上げましたのは電力関係についてであります。電力関係はこの三十八年まで千二百円下げ、こういうことで、それならばこの四十三年までの、長期引取契約をしよう、こういうことでごございます。
それから製鉄とガスは、御承知のように粘結炭ではございますから、原料炭でございますので、そういう意味では、これは今の外賃支払い等の問題もありますが、十分使ってくれる。今不安定な状況にありますのがセメント関係でありす。セメント関係は大口需要者ではございますけれども、これは明確に数量をきめる段階になっておりません。まあその他鉄道等もございますけれども、これも数量をきめるという段階ではございません。ただいままで、通産省が直接というものではございませんが、通産省があっせんしたという関係のものは、電力それから製鉄、並びにガスと、かように御了承いただきたいのであります。で、年限も、明確に申し上げておりますのは電力関係であります。誤解のないように。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/20
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021・田畑金光
○田畑金光君 今おあげになりました電力、鉄鋼、ガス、セメントが長期取引契約に基づいて引き取ってくれれば、三千七、八百万トンはそれである年数の需要の安定確保というものが保証されたわけですが、五千五百万トンの残余について、これはもちろん一般炭でございますけれども、今後のその他藤業の石炭に対する需要の推移というものは、これはどういうように判断しておりますか。石炭局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/21
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022・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今の政府の基本的な考え方は、五千五百万トン出炭するとして、その七割を確定といいますか、約束のできるようにしよう、三割は自由なものにしよう、こういうことでございまして、この中身を局長から詳細に説明さすことにいたしますが、御承知のように、五千五百万トンのうちには原料炭あるいは燃料炭あるいは無煙炭、こういうようなものがございますので、いわゆる雑炭は別にしまして、そういうことでお聞きとりをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/22
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023・今井博
○政府委員(今井博君) 五千五百万トンを非常に大ざっぱに分けまして、千五百万トンが原料炭、四千万トンが一般炭、こういう大体区分になるわけでございますが、この一般炭の四千万トンにつきましては、電力との四十二年までの長期契約によりまして、現在のところは二千万トンということになっておりましたところが、さらに三百万トンこれに追加しようということで、二千三百万トンを引き取ろう、こういう話になっております。したがって残りの千七百万トンにつきまして一体どうなるか、こういうお尋ねかと思いますが、この問題は、それぞれの産業によって事情が違いますが、一般的な傾向としては、一般炭は特に揚地においては毎年漸減の傾向にございますが、産炭地の需要と固定需要と、この二つの面を分析いたしますと、おおむね産炭地におきまして約一千万トン程度の需要というものは十分確保できるのじゃないか。それからそれ以外の揚地におきましても固定需要、たとえば鉄道関係とかあるいは暖房用炭とか、そういった固定需要が、これは現在でも一千万トン近くございますから、まあ若干それが減りましてもその千七百万トンというものについては一応のめどが実は立つのでございます。それから電力で二千三百万トンと申しましたのは、これは九電力だけの需要でございますので、その他いわゆる産炭地発電ということで常磐火力、あるいは電発の火力発電所、西日本の火力発電所というものは実は電力の二千三百万トンには入れておりません。それ以外のプラス・アルファという数字でございまして、これはいわゆる低品位炭でございますから、これが一体どの程度の精炭換算になるかという問題がございますので、一応その電力との契約の数字には入れておりませんので、そのプラス・アルファを考えますれば、この一般炭の長期の需給関係というものは、おおざっぱに見まして一応需給関係というものは十分確保できる。こういう実は見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/23
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024・田畑金光
○田畑金光君 そうしますと、大臣、まあ三十八年度までは五千五百万トンの出炭についても政府は責任を、持つ。こういうふうに理解してよろしいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/24
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025・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも責任という言葉を一々取り上げてまことに恐縮でございますが、大体五千五百万トンという数字の需給のバランスは取るように政府は指導あっぜんをしているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/25
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026・田畑金光
○田畑金光君 御承知のとおり、と重油の関係で、価格の面等においてもこれのバランスをはかろうというような立場から、あるいは石炭保護という意味もありましょうが、そういう立場から重油ボイラー規制法というものが現存するわけで、ほとんど今日これが有名無実にはなっておりますが、来年の十月にこれは期限がくるわけです。重油ボイラー規制法は三十八年度の十月末でなくなるわけですが、これは政府としては延長する意思があるのがないのか。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/26
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027・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のようにこれは三三年延ばして、そして今度期限がくるわけでございます。なかなか批判のきびしい法律でございますから、ただいま政府はこれを再延長すということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/27
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028・田畑金光
○田畑金光君 原油については、ことし予算の編成につれて、輸入関税を現行の暫定税率から、六%を一〇%に引き上げたのでしたね。キロリットル当たり三百二十円を五百三十円に引き上げたわけです。その引き上げにあたって大蔵、労働の両省は離職者対策費、石炭対策費をこれから生み出すのだという考え方に立たれたし、しかし最後まで一番大事な通産省はこの原油の関税引き上げについては、輸入関税引き上げについては、もたもたしていたということは、われわれは新聞でながめていたのですがね。もたもたする気持もわからぬでもないのですけれども、石油関税の引き上げの問題ですね。今原油は六%が一〇%になりましたが、今後この石油関税の引き上げとか、あるいは重油についての重油消費税を設けるとか、あるいは重油の輸入関税を引き上げるとか、こういう問題については、通産大臣としては石炭とのいろいろな関係を考えたときに、このあたりはひとつ考えてもらってもよさそうだとも思うのですが、どういうお考えですか。ひとつこの際聞かせてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/28
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029・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) まず石油関税の引き上げについて、通産省がもたもたした、もたもたしたことはわからいではないと言われましたが、実は、実際はあまりもたもたしておりません。もたもたしたというのはどう御理解いただけるか、これは別として、伺うつもりはございませんが、ただ私申し上げたいのは、一般的——一般的ですよ。これは誤解があっては困りますが、一般的、原則的に申して、このエネルギーが安ければいい、こういう考え方が一つあるわけでございます。この考え方は、今、わからないではないと言われる、その気持と合うものかと実は思いますが、とにかく安ければよろしいと考え方が至るところにあるわけでございます。そうして、どうも通産省のやっておることは、石油は、石油、石炭は石炭、水力は水力、こういうふうに各部門ずつで積み重ねをやっておる、その結果が問題なんだ、こういう批判を受けてきておるわけです。これに対して私どもは、今までのような総合的施策が立てられておらない際——一応は持っておりますよ。さっきおあげになりましたように、所得倍増計画による四十五年度総エネルギー量は幾らになる、こういうものは持っておりますが、その場合に、各分野を幾らにすることが望ましいか、そういうものがまだ明確でなかったと思うんですね。そういう段階のもとにおいて見ると、非常に抽象的な言い方ですが、安いものと高いものと併用して、あわして使って、そして適正なものができればそれでしんぼう願えないか、こういう、まあばくとした言い方があったと思います。そういう観点に立って見ますと、石油関税というものを引き上げることについての是非の議論が各界にあるわけでございます。しかし、通産省といたしましては、いろいろな対策費などが出て参りますし、必要でございますし、いわゆる総合的な計画らしい計画とまではいかないまでも、ばくとして、総合的に何か考えなければならないという気持はある。そういう意味から申すと、ある程度関税を引き上げ、その収入分をもって対策に回す、こういう考え方が望ましいだろう、こういうので、この石油関税を通常関税にしたというのが実情でございます。今回閣議決定にもありますように、今度は通産省の中に総合エネルギー審議会ができる。そうなれば、これは一そう今後明確になっていくだろう、この点を強く推進すべきだろう、かように思います。総合エネルギー審議会を通産省にまず置くという、この考え方についても、あるいはもっと積極的に、内閣に置いたらどうかという議論もあるわけでございます。しかし、御承知のように、原子力そのものは、科学技術庁が行政官庁としていろいろ指導はいたしておりますけれども、原子力発電となりますと、やはり通産省の関係になって参るわけでございます。そういうことを考えますと、全部が全部通産省所管の事業のように考えられる。そうすれば、通産省内に総合エネルギー審議会を置くこと、これは意味のないことじゃない、かように実は思っておるわけでございます。この審議会が活動することになれば、必ずやただいま心配なさるような将来のあり方、関係等のあり方につきましても、いろいろ御議論の出てくることじゃないか。これはよく審議会等の意見も聞きましてその結論を出していきたい、かように思います。いわゆる独善にならないような形、特に原則論的に申しました、冒頭に申しましたような考え方の方が非常に多いのでございます。そういう点の意見をよく調整する必要がある、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/29
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030・田畑金光
○田畑金光君 エネルギーの調査団を今度派遣される、あるいは総合エネルギー審議会を今度は通産省に置かれて、通産大臣の諮問機関として強力な機関を設けられる、これはよくわかりますけれども、通産大臣、今度の閣議決定の内容を見て一番感ずることは、何でも今度派遣する調査団に調査をしてもらって、その結果やるんだとか、今度は通産省に強力な総合エネルギー審議会を設けて、その意見を聞いてやるんだとか、何でも調査団とか、審議会で審議が尽くされて出た結論を実行すると、もうすぐでもあすから石炭は明るくなるような、こういう印象というものを強く与えられているのですね。私はどうもこれはあまりにも大きな責任を調査団や審議会に政府は預けるようなものじゃないかと、こう思うのです。あけてびっくりでね。調査団の調査結果を聞いてみて、あるいはまた審議会の答申を見て、さて政府がやる政策はあまりパッとしなかったということになってきますと、これはたいへんなことじゃないかと、こう思うのですよ。大体総合エネルギー審議会を設けられるというお話ですが、昨年八月ですよ、通産省には通産大臣の諮問機関として総合エネルギー懇談会というのが置かれていたんじゃないですか。そのエネルギー懇談会がいろんな意見を通産大臣に建議されて、それがことしの石炭政策その他になっていると思うのですがね。エネルギー懇談会というのが今まであったでしょう。総合エネルギー懇談会というのが今までありましたが、今度は総合エネルギー審議会と名前が変わっただけですがね。そういうものにそんな大きなものが期待できますか。私は、この際ひとつ通産大臣から、はっきりとした前向きの御答弁を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/30
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031・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、審議会をいろいろ設け、政府は責任を転嫁しておるじゃないか、あるいは審議会の答申があったら忠実にそのとおり実施するか、こういう二つの問題を提起されたと思います。ただいまの民主政治、民主主義政治のもとにおいて、私は審議会ができることは非常に望ましい方向だと思います。しこうして、この審議会は、やはり答申機関たったり、あるいは諮問機関だったりする、そうして順次この種の審議会のメンバーの方々も審議会を通じての協力体制というものが、当初とはよほど変わってきているのじゃないかと思います。いわゆる戦前の姿の調査会等でございますと、今田畑さんが指摘なすったような非難も当たるものも間々あったと思います。が、最近のこういう審議会に入っていろいろ活動していただく方々は、よくその事情を御存じのように思います。また、政府の足らない分を十分補っていただいておるように私は希えます。いわゆる政府が責任転嫁ということでなしに、政府の考え方をしてさらに万全ならしむる、こういう考え方に立ちますと、この種の審議会は絶対に必要じゃないかと思います。特に独善にならないことが今の政治体系のもとにおいては一番望ましい姿だと、かように考える次第でございます。だから、いわゆる皮肉な見方をされないで、政府は審議会にみんなたよっておる、こう言われないで、むしろ積極的に、各界の英知を集めて、そうして結論を出すという、その慎重さをひとつ買っていただきたいと思います。
第二の問題は、最近これは他の審議会あるいは調査会で問題が起きておりますように、調査会等の答申は尊重すると言っておるが、なかなか尊重していないというような批判がある。それから政府の都合の悪いときには審議会あるいは調査会に責任を持たし、また自分のほうに気に入らなければ自分のほうで勝手にそれを削るというような話も批判としてはございまするけれども、いわゆる答申を得た、あるいは調査の結果を得たら、これはよくその趣旨を尊重して実現に移すべきだと思います。ただ、私弁解がましいことを申すわけではございませんが、この調査会やあるいは審議会等がしばしば理想的な案を答申される場合もあります。これが政治遂行の立場から、一足飛びにその理想を実現することが困難だと見た場合、時期的にやや遠回りをするような施策が行なわれる。これを尊重しないと一言に言ってしまうのは、これはどうも言い過ぎじゃないか、こういうふうに思いますので、その辺が政府の調査会なりあるいは諮問機関の御意見を尊重すると申しましても、まあ政治遂行の責任上いろいろ工夫を要する面もまたあろうかと思います。その点は御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/31
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032・田畑金光
○田畑金光君 選挙制度審議会の答申が今度の公職選挙法になったような、あの前後の世論の集中攻撃なんか受けることにならぬように、あらかじめ十分注意をしておいて、ひとつ取り組んでもらいたいと思うのです。われわれとしては、調査団の調査報告、あるいは総合エネルギー審議会の答申については、ここまで世間を騒がせて、そして政府が中に立たれて新たな石炭政策の方向を打ち出されたわけですから、答申については十分尊重され、また実施をさるるものと期待しておりますので、その点はひとつ、今の大臣の答弁は速記によく載っておりますので、十分、おそらく臨時国会、通常国会等この次にはありましょうから、実施されるようにお願いしたいと、こう考えております。
それと私は関連して、先ほど石炭局長から、その他の一般炭についての今後の需給見通しについてお話ございましたが、やはり私は今後の石炭の需給安定の立場から言うならば、産炭地発電というものは、あるいは揚地発電等については、やはり検討してみる必要があろうと、こう考えているわけです。なるほど特に筑豊炭田から過剰になるであろうと予想される三百万トンの石炭について、九電力が責任を持って、それは私のほうで引き受けましょう、重油混焼率の緩和等によって引き受けましょう、あるいは火力発電所を作ってわれわれが引き受けましょうと、こうなっておりますけれどもね、やはり私は石炭の需給関係の安定という立場から申しますというと、どうしてもやっぱり私は揚地発電、産炭地発電ということは必要じゃないかと、こういう感じを持つわけです。ことに先ほどの御答弁にありましたように、ボイラー規制法がこの十月にもうなくなる、あるいはだんだんスクラップ・アンド・ビルドのビルドの念がだんだん充実されてきますと、和事私は石炭の出炭能力というものも潜在的に強くなってきょうと思うのです。石炭の生産能力がだんだん強くなってきますと、ある時期にくれば当然私はこれはやはり石炭の過剰ということも考えられやせぬかと思うのです。もう現に業界が自主的な調整、あるいは政府の行政指導がなければことしの六千万トンを生産はオーバーするのではなかろうかとも言われておるわけですね。まあこういうことを考えたとき、やはり私は経済合理性という立場を離れてはもちろん議論はいたしませんが、たとえその立場に立つにいたしましても、生産の過剰というものがだんだん考えられてきやせぬか、その際やっぱり需給安定という線から言うなら、私はやはりこの際産炭地発電、揚地発電というものをあらためて考慮する必要がないだろうか。ことに、今度政府が示された六原則の中には産炭地域振興事業団の強化ということをうたっておられますね。やはり私は、こういう事業団の一つの仕事の内容としては、発電ということを切り離しては考えられないのじゃなかろうか、こういう気持ちを強くするわけです。ことに昨年の末には産炭地域振興審議会あるいは石炭鉱業審議会、あるいはエネルギー懇談会等はいずれも発電ということを一番大事な柱に考えているわけです。私は、この際、通産大臣としても新たな構想でこの問題は考えていただきたい。もし、かりに今度現地に派遣される調査団がやはりいろいろな現地を向ってみた結果、この揚地発電あるいは産炭地発電が必要だというかりに答申が出た場合には、これはどうなさいますか、すぐ私が先ほど質問した問題に関連して参りますが、どういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/32
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033・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) これは調査団の調査を待つまでもなく、そういう需要を喚起すること、私どもも基本的には賛成でございます。具体的な問題になりますと、いろいろの立地条件なり、その他資金的な問題があったりあるいはそれを実施、実現に移す機関等の問題があったり、なかなか具体化がおくれている面もございますが、本筋から申せば、たいへんけっこうなことなんで、反対すべきことばないように思います。したがいまして、調査団からそういう調査が出てくれば、これもまたしごくけっこうなことだと、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/33
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034・田畑金光
○田畑金光君 いや、けっこうなことだと思われるだけじゃなくして、その際は新たな角度でまたこれは検討し直される、こういう決意ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/34
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035・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま申しましたとおりですね。たいへんけっこうなことでございますから、けっこうなことは実施に移すということもやはり決定すべきことだと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/35
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036・田畑金光
○田畑金光君 昨日、石炭協会の会長をやっておられる萩原さんは、政府の今回提案された六項目の中で、一番どれを重点に置いておるのか、業界としては期待しているのか、こう聞いたところが、第五項と言っておられました。すなわち「石炭鉱業の近代化、合理化を促進して、その安定を図るため、特段の金融措置を講ずるものとする。」、これだと言っておられましたが、おそらく合理化、近代化のためには、この五項というのが一番大事な内容になってきはせぬかと、こう思うんです。また、私が先ほど来いろいろお尋ねした千二百円コストダウンのそれを実現するかいなかということも、私はやはりこの第五項目が重要な一つの要素になってくると思っているんですが、この点通産大臣は五項目について、どのような考えでおられるのか、構想をこの際お聞きしておきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/36
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037・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 五項目に関する事柄は、ただいまもうすでに予算なりあるいは資金なりが政府としては決定をいたしております。今日すぐその点を直ちに改定するというわけには、実は参らぬと思います。しかし、今の一年間に計画されている金の使い方、これはひとつ繰り上げてこれを実施に移す、そうしてこの年度内にそういう金についての不足を生じた場合には、あとの補給をしていく、こういう方向でまかなってみたいと思っております。この考え方に立って、開銀の融資ワクの八十億というものをとりあえずその一部をこの四月中にでももうすでに出すと、そういう措置をとろうと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/37
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038・田畑金光
○田畑金光君 これも私大手十八社の資料しか手持ちがありませんが、借入金の残高というものをこれで見ますと、三十六年の上期でございますが、期末の残高で設備資金というのが五百四十八億、運転資金が四百二十一億、九百六十九億の借り入れをやっているわけですね。かれこれ一千億前後の借り入れをやっておるわけです。そこで開銀資金の八十億と申しますと、結局年間の利息相当額だ、こういうことになるわけです。さらにまた一千億の借り入れをやっておりますと、利息のほかに元金の償還ということも当然考えられるわけで、ここで私、衆議院の商工委員会で石炭鉱業連合会の中小の人方の、中小の代表の長岡専務理事の意見を読んで見ますと、十幾つかの点にわたって特に中小炭鉱としても金融措置ということを一番大事に考えておるので、政府に特段の措置をかねがね申請しておる、こういうことを言っておりますが、これは御存じでしょうか。政府のほうに今大手あるいは中小から金融の面については、どういう申し入れがあって、これに対して当局としてはどういう返事をなさっておられるのか、この辺をひとつ聞かしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/38
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039・今井博
○政府委員(今井博君) 大手炭鉱のみならず中小炭鉱側からも資金の確保については、非常に強い要望が出ております。したがって、これは大手炭鉱のみならず中小炭鉱に対しましても、資金の特別措置というものが必要だと考えまして、昨年度の暮れには石炭緊急融資というものを中小炭鉱を対象に行ないまして、これは金額は十五億となっておりますが、その後追加がございましたので、全体としては十七億程度に実績としてはなっておるものと推定されます。そのほか財政資金の割り振り等につきましても、まあ大手に偏重しておるのじゃないかということが非常に言われておりまするけれども、全体の資金の確保、資金全体の量に対しまして財政資金でめんどうを見ておりまする比率から申しますと、大手炭鉱と中小炭鉱との間に全体の量としては、現在においてはあまり差がなくなってきておりますので、これはもう大手中小のみならず、これはできるだけその資金の措置については実は努力をして参っておるつもりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/39
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040・田畑金光
○田畑金光君 大臣の御答弁、先ほどの御答弁承りまして、まあ要するに予算措置もできておるので結局まあ当面はこれを繰り上げ充当するというお話で、そうしますと今回の新政策の第五項に基づいて今後大手あるいは中小の資金手当に対する要望等についても、十分今後の予算補正その他において政府は考慮する、こういう方針だということでお聞きしてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/40
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041・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 将来の問題としてよく関係業界とも相談するという考えでございます。相談した上で措置をとるということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/41
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042・田畑金光
○田畑金光君 さらにこの中小炭鉱なんかの要望で、開銀資金の借入金について一部返済を、ひとつ猶予してくれぬか、あるいは現在開銀の資金は金利は六分五厘でしたね。この六分五厘を五分に引き下げてくれないかというような具体的な要望等もありますが、こういう個々の問題等について検討される用意がありますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/42
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043・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろんよく実情を伺うつもりでございます。しかし一般的なその今の金融難に対しての他の業界も努力しておるもの、これはあまり特別扱いはできるものだと思いません。やはり石炭の安定という方向という、そういう意味の前進する形において供給される資金、こういうことが第一に私どもが問題にするものでございます。この点をいわゆる便乗的な金融措置というものはなるべく避けたい、こういう気持でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/43
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044・田畑金光
○田畑金光君 一般の経済界の動きや金詰まりを見ましたときに、石炭だけに特別云々ということは確かにお話のとおりでありますけれども、私の申し上げるのは便乗的な云々という意味じゃなくして、ほんとうに炭鉱の近代化のために必要であるというようなことであるならば、政府としても十分誠意をもってこれにこたえてもらいたい、こういうことですから誤解のないようにひとつとっていただきたいとこう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/44
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045・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの田畑さんの言われるとおりに私も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/45
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046・田畑金光
○田畑金光君 さらに昨日、萩原石炭協会の会長のお話を聞いておりますと、ここまで石炭が追い込まれてくると、もっとひとつ、政府は従来の考え方のワクだけにとらわれないで、積極的に考えてもらうべきだ、その一つの考え方として、これは私はいい悪いは別ですよ、自由企業としてはもう限界にきたというお話ですね。しかし私は国有国営とか、あるいは国家管理とかという脅え方には組みしない、こういう石炭協会長の御意見です。イギリスの例も引かれて、イギリスは国有国営になっているが、非常に非能率だ、それで数千億の赤字を出しておる。それは結局財政資金からまかなわれておる、そのことを考えれば、現在の私企業の中において、この石炭経営を軌道に乗せていくためには、たとえば電力とかあるいは石油とか、そういう総合エネルギーとの関係において考えてみても、価格差補給金というような考え方でやっぱりこの際政府は石炭のめんどうをみるべきものだと思う、こういうこと有述べられておるわけです。萩原さんの立場としては、よく理解できる考え方だと思うのですが、これはやっぱり先ほど通産大臣も、あくまでも私企業として石炭企業を守っていくという前提で、お話をなさっておられるし、方針も立てておられるわけですが、やはり価格差補給金なんということも、ここまでくれば、これは考えてもいいのじゃないかということも、当然議論として出てきますが、どういうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/46
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047・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 議論としていろいろな御意見を出されることはけっこうですが、ただいま一番大事な点は、ここまでくれば、あるいはここまで追い込まれれば、その点が一番問題じゃないかと思います。だから今ここまでくればという事柄が簡単に片づけられては実は困るので、そういう点を十分検討しないと、次の結論を出すわけにいかない。一般的に申しますならば、いわゆる竹馬経済は本来から申しまして望ましい姿ではないのでございますが、だからそういう意味で、ここまでくればと簡単に片づけられたが、そこのところをもう少し掘り下げてみる必要があるというのが私どもの気持であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/47
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048・田畑金光
○田畑金光君 これはまた私は一般論的にお尋ねしますけれども、ここまでくれば、そこまできたらということに、かりにある時期にきて、そこまできたという場合に、いわゆる私企業をあくまでも経済運営の原則としてとっておられる政府においては、やっぱり今の石炭協会長の考え方のようなことも出てくると思うのですが、一般論としてどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/48
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049・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 一般論あるいは抽象論として申し上げますと、いわゆる経済的限界にきた、こういう場合に、これは経済的な立場からだけ結論を出すわけにいかない。その事業が置かれておる、その産業が占めておる地位などを考えて、やはり政治的な結論を出す場合もあり得る、かように御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/49
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050・田畑金光
○田畑金光君 これは四月十三日に御承知のように炭労の春闘における賃上げ闘争というのも、中労委の職権あっせんによって無事解決を見たわけです。ところが、経営者のほうでは一方五十五円、月千三百七十五円の賃上げは、トン当たり百三十三円あるいは百五十円のコストをプラスすることになって、なかなかどうも今の石炭経営では消化できない。こういうようなことで、たしか石炭経営者協議会の会長と松本専務とが政府をたずねられて、そのときは佐藤通産大臣、ニュースによると会っておられなかったようですが、大平官房長官が会われて、今度私のほうではこれだけ賃上げをすることになった、ところがなかなか金融措置が困難だ、政府において金融について考えてくれぬか、こういう申し入れがあったそうです。さらにまた藤林中労委会長は、このあっせんを提示されるにあたっては、当局の特に石炭に対する協力を求めるように、こういうことを念を抑されてあのあっせん案は出されておるわけです。ところが、この業界側の資金あっせんの要望に対しては、佐藤通産大臣は、四月十三日の閣議のあとの記者会見ではこういうようなことを言われておるわけですね。「中労委は労使双方の立場をもっと慎重に検討したうえ、実態に即したあっせんを行なうべきだった。中労委はあっせんにあたり経営者側に対し関係当局の協力を得ることを口頭説明し、経営者側もこれにもとづいて政府の助成を求められているようだが、政府としてはこのような要求には応じられない。経営者側があっせん案を受諾した立場はわかるが、政府としてこの賃上げに対して特別に融資措置をとる考えはない。」、こういうお答えをされておるわけです。通産大臣のこの発言は非常にこれは重要な発言で、すぐ一週間前には石炭新政策の六原則を発表されて、その直後にこの炭労の賃上げに伴う融資依頼に対してはこういう発言をなさっておる。どうも通産大臣の考え方というものが、閣議決定の場合は非常にこれは前向きで積極的でと思って期待したにもかかわらず、その直後においては、どうもそうでもない、これはどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/50
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051・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 大体その新聞に出ているのは私が話したこととあまり違いはないようでございます。私は、本来争議が、賃上げの問題というか、賃金争議の問題は労使双方で片づける筋のものだ、こういうことを強く私自身は感じております。それで、その労使双方のこの争議が、自分で責任が持てないような範囲の解決というのはおかしいのじゃないか、だから、経営者側でそういう案をのむなら、経営者はその処理を自分ですべきだと思います。だから、その本来の原則的なことを私は申し上げたつもりであります。いわゆる労使双方で責任を持つべき事柄について、その跡始末を政府に持ってくるということは、これはどうも筋道が違う、こういう考え方を実は私はしているのであります。だから、ただいまも申し上げるような言辞が出るわけです。ことに御承知だと思いますが、今回の賃上げは本来石炭合理化で考えております三・八%ですか、その賃上げをはるかに上回るものなんです。昨年も約七%近く上がったと思います。今回はまた六・八%ですか、それだけの上がり方でございます。しかもこれを了承することによって、一月にさかのぼるわけでございます。そういうことを考えますと、経営者側が責任が持てる立場において、そういうものについての責任のある回答をすべきだというのが私本来の考え方なんです。労使双方の問題に対して政府が積極的に関与、干渉することは、これは不都合だといえる。しかしながらその跡始末を政府がするということも同様な意味において理論的でない、これは実は私の主張であります。そういう意味でその新聞記事を御了承いただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/51
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052・田畑金光
○田畑金光君 今の答弁はどうも私納得いきませんが、たとえば四月六日の閣議決定、あの内容を見ても、さらにそれにさかのぼる四月四日から四月五日の朝がたにかけての政府が仲に立っていろいろ努力されたあの問題、あれ等も本来からいうと労使の問題として処理されるような問題も多々あるわけですね。そういうような問題について、やはり政府が労働政策の一環として社会不安を除去するという立場において関与されておるわけです。私、関与が間違っておるとか悪いとか言っているんじゃありませんよ。ところが今回のこの炭鉱の労使の賃上げの問題も、言うなればこの問題というのは石炭政策全般の中で考えるべき問題だと、こう思うのです。通産大臣はそうしますと三・八%という合理化計画の中に計上された範囲内の賃上げであるならば、これはしごく妥当だし、もしそれによって経営者が金融措置が困るならば考えてあげるが、三・八%を上回った六・八%の賃上げを認めたということは、これは認められないんだ、こういうお考えであるのかどうか。ことに私の通産大臣に考えてもらいたいのは、四月五日から炭労が政策転換で無期限ストをやると、もしかりに無期限ストに追い込んだときはどうなるか。これはそのことによって一番困るのは石炭業界自身じゃないか、私はこういう問題だと思うのです。それは私たちもそう思っております。あの段階において無期限ストライキに入った場合に一番だれが困るか、やっぱり私は石炭自身が一番困ると思う。そうして石炭の市場というものが、また重油によって、石油によって荒らされるということを考えたときに、あの無期限ストは避けなくてはならぬ、こういうことで私は政府も乗り出されたものだと、こう思っておるんです。今度のやっぱり十日以降の無期限ストに対して、中労委が仲に入ったというのも、中労委はやっぱり炭労が無期限ストに人って泥沼の争議、闘争をやるということは、結果においては、石炭が困るんだ、この際中労委という第三者機関、公共機関が仲に立って、早くこの争議をおさめることが石炭を救う道であるし、石炭業界に対して中労委の当然果たすべき役割だ。これは政府が四月五日以降の政策転換闘争に対して無期限ストを回避するためにとった措置と、私は中労委が四月十日以降の賃上げの無期限ストに対してとった措置というものは全く同じ考え方だと思うのです。公共機関という立場において全く同じだと思う。私はそういう立場から見るならば、佐藤通産大臣がこういう談話で問題を避けておられるということは卑怯なことだと、私はこう思うのです。これはやっぱり私は中労委の考え方は、政府の考え方とその点に関する限り同じ考え方だ。だから私も、政府も当然協力されるのがあたりまえだと、こう思うのです。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/52
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053・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今のお話で二つばかり誤解があるように思いました。その一つは、この閣議決定は労使双方に関係のある問題もあると、こういうことを言われましたが、これはどういう意味ですか、労使双方の争議を調停あるいは仲裁するような立場において、政府が閣議決定をしたのでは実はございません。そうでなくて、労使双方で取りきめるべき事柄については、政府は関与しないというか、干渉がましい態度はとらないというか、非常に慎んだつもりでございます。したがって、そういうことは避けられておると私は思います。だから、この閣議決定はそういう意味で純粋閣議決定としてできておる。それでこの閣議決定をいたしますまでの経緯については、せっかく、する以上その政府の案が各界から理解ができるようなことが望ましいということで、肝前にそれぞれの方々の御意見を聞いていることはもちろんでありますが、いわゆる交渉の過程としてこういうものができ上がったものでないことは、これは御了承願いたいと思います。
それから第二の点で私が申し上げたいのは、三・八%というものを政府は合理化できめたんだから、三・八%以内に決定するのなら文句がないのか、またそれできめたのなら、政府は、金がないといえば融資をするのか、こういうお尋ねでございますが、私はそういうことを申しておるわけじゃございません。政府の三・八%という合理化計画、もちろんそういう一応の基準は持っておりますが、中労委は中労委の本来の立場において、それは適正な賃金のあり方というものを決定するのですから、政府がきめた政策に従わなければならぬ、そんな乱暴な意見を申し上げたつもりは毛頭ございません。しかし私の申し上げたいのは、中労委自身が、ただいま田畑さんが御指摘になりますように、多分に政治的な意図が含まれてああいうあっせん、あるいは調停をなさるとしたら、これは本来の姿じゃないだろう、こういうように私は思うのでございます。だから、その政治的意図はなかったんだと、ただ、それからあとの政府に対する気持は気持として申したので、これは政治的意図はございませんと言われれば、それはそれまでで済みますけれども、同町にこれが政治的な意図があれば中労委本来の姿じゃないんじゃないか、こういう感じは実はします。だから、私どもはこの三・八%というものをきめた、これは相当合理的な基礎に基づいての賃金のあり方というものを考えたわけでございますから、そういう点も中労委とすれば、もちろん考慮した結果、六・八%上げられたんだと思う。ここに双方の主張の食い違いがあるはずなんです。経営者とすれば、当然、三・八%ならわれわれの計画どおりだから、そういう方向で進めていくんだ、しかし六・八%であると、これは在来の計画とはよほど違っているから、自分のほうの計画に非常にそごを来たす、そうすれば資金的にも困る。そういう問題に必ず嵐面するだろうと思う。それこそ労使双方できめることじゃございませんか。だから労使双方できめる事柄を今度のんだ、これはのまざるを得なかった、一応出た調停案だから、それがさらに改定されることば考えられぬからのんだというのが言い分だろうと思う。また田畑さんが先ほど、その新聞記事にある私の談話、これをのんだことはわかるがということをいっておるのは、そういう意味もあることを御了承いただきたいと思う。そうすると、やはり労使双方の間で解決すべき事柄だ、そうして金が足らないから政府に持ってこいと。他の場合においてそういう問題が起きたらどうなりますか。何々紡績会社が合繊と経営者とで話をした、そうして調停案が出る。経営者は今までのなにから見れば、どうしてもそれを引き受けるわけにいかない。政府において跡始末をして下さい、あるいは鉄鋼関係のストライキにおいてそういう問題がある、こういう事柄はこれは本来の筋じゃないんじゃなかろうかと私は思う。だから、私の申し上げているのは、先ほど来申し上げておりますように、純理で実は申し上げている。こういう事柄がやはり労使のよき慣行になるんじゃないかと私は思います。でき上がったものだから仕方がない、これはまあ跡始末しろという、あるいはそれは実際問題としてはそういう結果になるかわかりませんよ、なるかわかりませんが、それは一々政府がそういう結果を始末する筋のものじゃないと思う。また何も経営者も、中労委自身も、これは石炭産業として政策転換闘争までやって、政府は閣議決定したのだと、だから石炭産業については特別にめんどうを見るのだ、だからまあ組合側でこれだけ要求しておるのだから、これで一応話つけるというような、そういう安易な考え方で中労委本来の職能が達成されると思わない、こういう一部不満の意向もその新聞談話の中に入っておるのです。かように御了承いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/53
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054・田畑金光
○田畑金光君 まあ大臣の御答弁はたいへん苦しい御答弁だと思って私は聞いておりますけれどもね。これはやはり確かに中労委の裁定というものが見ようによっては、政治的な考慮を加えておるとそれは見えないでもないと思う。しかし私はそれでいいのだと思うのですね。公労委だっても、たとえば公共企業体の裁定を下すについては、やはりそれは諸般の経済の動きとか、いろいろな状況を見るので、その意味に関する限り政治的な考慮を払っておると私は思うのです。中労委においても私は同様、だと思うのですね。ことに私は今日のような石炭業界においては、いかなる機関が携わっても、やはり政治的な考慮というものを前提にせぬ限り私は物事は前に進まぬ、こう思うのです。ことに今お話のように、鉄鋼とか繊維産業とか、いろいろお話がありましたが、私は石炭のように、ここまで圧力を受けた産業なるがゆえに、これは申しておるのであって、その他の産業の場合同じようなことを申しておるのじゃないのです。ことに私はこれに関連して感じますことは、これは大臣よく考えてもらいたいと思うのですが、第六項目ですよ、新政策の第六項目に、「石炭鉱業の最低賃金に関する中央最低賃金審議会の中間答申を尊重し、同答申にうたわれておる専門会部を設置する。」、これなんかも私は、いろいろな理屈はあるかもしらぬが、思想は、要するに早く石炭業界にも、坑内労働者にも最低賃金というものをやはりきめて、石炭産業にも若い人方が働けるように雇用の安定をはかっていこうというのが私はこの第六項目だと思うのです。たとえばことしの国鉄の公労委の裁定は、あれは裁定の内容プラス定期昇給を加えました三千五百円前後だといわれております。ところが地下商業の労働者は一方五十五円というのは、別に定期昇給がそれに加わるのじゃございません。これは千三百七十五円です。国鉄の半分ですね。定期昇給も何もないのですから、地下産業の労働者がこの間からしばしばここで取り上げられておりますように、低い賃金に、今雇用の不安定の中にさらに苦しんでおるということを考えたとき、中労委がある程度の裁定をするのは、これはあたりまえの話だと、こう思うのですね。私がそういう立場からながめてみますると、通産大臣が責任をもって出された新政策の第六項目の中に、最低賃金について云々という実にりっぱなことがあるのです。これは石炭労働者についても、地下産業労働者についても、最低賃金を早くきめて、そして雇用の安定をはかり、労働者の生活を引き上げていこう、中労委の今度出した案というのも私は全く同じ思想、同じ考え方に立っておる、しかも石炭産業を背景にして考えておる。そういうことを考えたとき、私はいささかどうも通産大臣のこの談話というものは大政治家としては少しどうかと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/54
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055・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) まあだいぶ話が核心にきたような気がします。私は今まで中労委の裁定が間違っておるとか、いいとかいうお話はしなかったつもりでございます。ただ私は、これは社会党の吉田さんでしたか、どなたでしたか、お尋ねのときもそういうことを申し上げたと思いますが、ただそういうものは引き受ける、了承するというか、のむというか、やはり経営者の責任においてやるべきではないか、かように実は思っておるのでございます。ただいま田畑さんがお話になりましたが、当然政治的な考慮が払わるべきものだと、こういうことを言われましたが、私は組合の闘士であったこともございませんで、組合御出身の田畑さんにしちゃ珍しいことを言われる、もし政治的考慮が払われるということを是認されると、これは必ずしも労働者側にいつもいい結論ばかりも出てこないことになるんじゃないか。今まで私どもが関係した国鉄あたりの組合の場合には、とにかく公労委というものは公正な機関だ、それは唯一のたよりになるものだ、それが政治的考慮をしないんだと、これが本来の姿じゃないか、また、そうあるべきじゃないかと私は今なお実は思っておるんです。ただいま政治的考慮は当然だと言われるが、むしろその点は逆じゃないかしら。それよりも、やはり中労委の裁定の金額自身が適正なりやいなやという御判断、これは田畑さんの御経験からごらんになりまして、地下労働者としてはまことに安いとか、まずよくあそこまで出したものだとか、御批判なさるならいいですが、そうじゃないでしょう。それから最低賃金というものについては、私は最低賃金というものについて非常に積極的な気持を持っておりますので、昨年その案が出ました当初から、最低賃金は早く確立すべきだということを主張している一人でございます。したがいまして、これが今なお結論が出ていない、これは中間答申が出たというだけで、その後進んでいないので、さらに六項目に入れてこれを再確認したという形になっております。いろいろ御議論ございましたけれども、この点はまたの機会に、その点は本筋から少しはずれて参りましたから、なにしていただきますが、ただいまの経営者側があとの賃金支払い上の問題についてどういうように工夫し、また、その問題で、政府と折衝を持つか、その政府の折衝にひとつまかしていただきたい。私は先ほどもお断わり申し上げたように、原則的なお話をしているということを申し上げたのでございますが、具体的な問題についての処理は、今後経営者側の意向、意見などもよく聞いた上で、そうして適正な、適当な処理をするという考えでございますから、この点は誤解のないように願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/55
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056・田畑金光
○田畑金光君 私はもう間もなく終わりますけれども、最近の炭鉱労働者の年令の動きというか、平均年令、年令構成がどのように動いているか、これをちょっとひとつ教えてもらいたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/56
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057・今井博
○政府委員(今井博君) 最近は三十六才から三十七才程度に移りつつあると思います、平均がです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/57
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058・田畑金光
○田畑金光君 今のお話ですが、もうちょっと三十年ごろから三十五年あたりまで、まあ六年まで資料があればなおけっこうですが、三十年から三十六年までの年令構成の動きですね。さらにまた、現在の炭鉱の雇用の情勢について、資料があれば資料に基づいて御説明願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/58
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059・今井博
○政府委員(今井博君) 現在手元に常用労務者の年令別構成推移というものがございまして、これの平均年令がちょうど出ておりませんが、一番それのうちで多数を占めるたとえば二十五才から三十才まで、これが三十一年の十二月末には一九・八%でございましたが、三十三年には一八・七%、三十五年の末には一六・五%と、こういうふうにそのパーセンテージが減って参っております。それから三十才から三十五才まで、これが三十一年末が一七・六%でございましたが、三十三年末は一八・七%、三十五年の末は一九・六%と比率が上がって参っております。それから三十五才から四十才まで、これが三十一年末は一三・八%でございましたが、三十三年の末は一四・三%、三十五年の末は一六・四%というふうにパーセンテージが上がって参っておりまして、この三つの指標以外の数字はございますが、この三つの指標でもって年令構成が順次上がってきているということはうかがえると思います。なお、この表は差し上げてけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/59
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060・田畑金光
○田畑金光君 大臣も今お聞きのとおり、炭鉱労務者の人員の構成というものは、もうほとんど二十代から三十才前後の者はいなくなって、だんだん年とった者にのみ集中してきておる。これが一般の状況だと思うのです。私の知っている常磐炭田のある山等においては、平均年令が四十三才ないし四十四才ですね。そういう状況に来ておるわけで、これなんかはまあいろいろな要素から来ておるわけですけれども、すでにもう人員を整理しても労働力の質として非常に低下しておる。人だけ減らしても能率が上がるという時期はもう過ぎておるわけですね。だから、私は、ここらあたりでもっと問題を掘り下げて考えてみる必要があろうと思うんです。そういう意味におきまして、先ほど最低賃金の問題とか今回の中労委のあっせん案の内容とか、私がとり上げているのは、やはりこういう角度からも申し上げておるということをひとつ大臣もよく希えて善処してもらいたい、このことを強く私は要望しまして、時間も来ましたから、私の質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/60
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061・吉田法晴
○吉田法晴君 総合エネルギー対策の確立、その中における炭鉱労働者の生活の安定と雇用の安定のための施策について質問をすべきものがまたたくさん残っておりますけれども、時間がございませんので、審議しなかった合理化法それから産炭地域振興事業団法案に関連をして二、三お尋ねをいたしたいと思います。
合理化法の改正によって鉱業権を消滅をして、いわば買いつぶす、こういうことになりますと、賃金、鉱害、それからその他の債権についても、これは打ち切られる実態になるのではなかろうか。千百円平均、まあ千二百円平均であったものが百円下がるという点もありますが、千百円で制限をせられるそのいわば配分をどうするかという問題もあり、衆議院で公租公課等あるいは抵当権を設定した債権とそれから賃金、鉱害の順位がどうなるのか、こういう質問等もあったということを聞いておりますが、事実上打ち切られて、それから債権が残る。これは非常な不安の原因になりますが、その不安をなからしめるためにどういう施策を講ずべきか、こういうことをまずお尋ねいたしたいと思います。よく鉱害については、復旧をいたしますときに打ち切り補償契約をいたします。ところが今度の場合には千百円限度で、事実上賃金にしても、あるいは鉱害にしても、あるいは公租公課、関連商社の債権にしても打ち切られる、こういう実態が起こるのではないかと考えるんですが、それからこれに関連をする不安をなからしめる方策についてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/61
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062・今井博
○政府委員(今井博君) 今度の炭鉱の整理方式を考えました際に、今、吉田先生の御指摘になりました点については、私は十分配慮を実は加えたつもりでおりますが、その事情を申し上げますと、今日までいろいろ石炭山の買収をやりました実績を、特に筑豊地区の由につきまして実態調査々を行ないました。代表的な炭鉱約二十八につきまして、筑豊炭田の調査の結果は、今までの買収代金のうちで、鉱害関係に支払われたもの、これは既発生と未発生を入れまして、約三五%が鉱害関係に支払われております。それから貨金関係は一八%、その残りが、その他の抵当権とか、その他の債務に充当されておるというのが調査の結果でございまして、鉱害と賃金を両方合計いたしますと、三五と一八で約五三%という数学になるわけでございます。しかし、このたびは前の買収代金よりも若干——従来の平均が約千二百円から千三百円ということになっておりますが、今回は千百円という、一般の鉱業施設、機械等を買いませんので、そういう点もあわせ考えまして、この鉱害と賃金関係で一定の割合を留保しなきゃいかぬ、こう考えまして、今回は交付金の中で一定の割合をこえない範囲内において、ひとつ優先弁済を事業団が廃止事業者にかわってやる必要があるということで、三十五条の三に賃金債務と鉱害の賠償債務の弁済についての特例を設けたわけでございます。その一定の割合をどの程度にするかという問題でございまして、現在のところ、約七割を留保しようということを実は考えております。従来の実績によりますと約五三%ということになっておりますが、先ほど述べましたトン当たりの金額等をも考慮いたしまして、七割程度の金額を留保すれば大半の賃金債務、鉱害の賠償債務という点は確保できるんじゃないか、実はこう考えておるわけでございます。ただ、この場合におきまして、特に鉱害の関係等で従来の実績では鉱害のほうがはるかに実は買収代金よりも多いというような山が今までに約五炭鉱ほどございまして、こういう例がやはり今後も起こり得ると思いまして、そういうふうな山につきましては、これは事業団が交付する場合、どうせ山へ入りますから、これは今までの経験でこういう点は割合簡単につかめますので、そういう場合には一定の割合の七割というものを一〇〇%留保することを考える。そういう制度によりまして、ただいま御指摘になりましたような賃金と賠償の債務については、一応これは私は不安がないじゃないか、こう考えておるわけでございます。ただ御指摘になりました中で、将来の発生する、これからの不安定鉱害、まだ安定していない鉱害についてはどうなるかという問題が出てくると思いますが、この点につきましても、鉱害の関係につきましては、どうせ交付金をする場合には事業団が山を調査いたしますので、どういうふうに掘っているかということは、これはその掘っている結果によってこういう鉱害が起こるんじゃないかということは、従来の経験から見まして、容易に把握できる関係にございますので、直ちに起こるであろうような、割合確実につかめるような未発生鉱害というものは、これは当然この金額の留保金から債務の弁済に充てるべきであろう。そのことによって今御指摘になりましたような鉱害関係の債務についてはおおむね不安がないんじゃないか、実はこう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/62
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063・吉田法晴
○吉田法晴君 今までの合理化法で買い上げたものでも、五炭鉱だけは交付金をこすという実態があった、こういうお話でありますが、そういうのは事業団の全部の事業資金の中から出されたわけですか。そういう事態はおそらく今後についてもあり得るだろうと思う。七割の留保の金を一〇〇%にするということですが、その他の債権もございますし、一〇〇%こす場合には、従来ならば事業団の資金の中から出るかもしれませんが、今度の場合には、これは交付金の限度云々ということですから、そういうこともできにくいじゃないかと思うのですが、特定の炭鉱について調査をした鉱害なり、あるいは賃金なり、そういうものが、千二百円といいますか、具体的にその炭鉱においてきまるわけですけれども、交付金の計算にその点が入るのかどうかお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/63
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064・今井博
○政府委員(今井博君) 従来のこの買収の際には、今あげました五炭鉱のような例は実は買えないということでお断わりをしておるわけでございます。したがって、今回の場合にはもちろんこの千百円では、そういう場合にはもちろん資金としては不足するわけでございますから、そういうものは、やはり鉱害の原則——鉱害というのはやはり当事者の話し合いによって弁済をきめていくという原則に従ってそういう場合にはその不足資金については当然にその事業者が、その足らぬ分は負担していく、当然それは事業者が責任を負う、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/64
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065・吉田法晴
○吉田法晴君 従来も千二百円なり千二百円なり、その鉱量なり、あるいは残った財産の対価以しに鉱害その他債権がある場合には買わなかった、こういうことでございますから、千百円をこえるものについては、これは当事者といいますか、…鉱業権者が賠償の責任を負うと、こういう御答弁ですが、しかし、今までも実際に買い上げた炭鉱の鉱害、賃金あるいはその他の債権については、画業団が代位をすると、こういう建前になっております。今千百円平均の交付金でまかなえないということになると、その後の残された債権あるいは鉱害賠償責任について代位弁済といいますか、あるいは代位して支払うべき事業団が引き受けるという措置を講ずべきではないかと思うのですが、千百円の増額あるいは残った責任の事業団への引き継ぎというものは考えられないものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/65
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066・今井博
○政府委員(今井博君) この点は、事業団の買収の割合初期におきまして、調査がふなれであるということのために、あとで事業団が責任を負ったという事例が若干あったようでございますが、事業団としても、これはやはり納付金を原則といたしておりますの、で、やはり相当赤字が出るということになりますと、これは非常にあとで大問題になりますので、その後は、やはり事業団としては相当十分な調査をし、相当安全度をもって未発生鉱害等も調べまして、そういう明らかに鉱害のほうが買収代金より多かっとたいうふうなものは買わないというふうなことに漸次なってきております。したがって、今回の場合におきまして、そういうものを事業を廃止いたしまして交付金を交付する場合におきましては、鉱害がかりにさらに起きるというような場合におきましては、従来の例では事業者がみずから別途金を持ってきてそれを解決したという例も相当ございますので、今回は、やはりそういう場合には、ほかに別途金が捻出できるかどうかということを事業者にも十分当たりまして、そういうところの相当めどをつけて、まあこの事業の廃止をし、交付金を交付するというような指導を極力やりたいと思います。しかし、そうやってもなおかつ研業者としてはそれだけの力がないという場合におきましては、これはやはり鉱害復旧の原則に立ちかえりまして、これは臨鉱法のペースで無資力認定という制度に移して、国の資金でもってその鉱害の復旧をやる、これが私はやはり筋道かと思いますので、今後はまあそういう方式をひとつ活用したいと、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/66
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067・吉田法晴
○吉田法晴君 通産大臣に……。まあ石炭局長に答弁をまかされて、ほかのことを考えておられるようですけれども、この石炭政策について、国がある程度の、まああとで聞かなければわかりませんが、責任を持とう、こういうことになったことは、これは四月五日の閣議決定の線じゃないかと思うのですが、雇用の問題については、その働いておる炭鉱については最低賃金の問題も含んで、安定した職場になるように、炭鉱も安定した炭鉱になるようにというのが、あなたの言明でもあります。それからその非能率炭鉱保安の問題もそうですが、これは石炭産業の全体の利害、あるいは保安、これは人命に関連のある保安という点から、政策的に言えば買いつぶしをするわけですね。いわば石炭政策全体の中で買いつぶしもする、あるいは閉鎖をさせる、こういう実態、そうすると、よくいわれておりますけれども、炭鉱には、今、年寄りばかり残っておる、それから筑豊の今後については——筑豊のみならず産炭地についてあれですが——失業者と鉱害だけが残るという状態になろうとしておる。そうすると、残った失業者についても責任、これは労働行政の問題ですけれども、職業訓練なり、広域職業紹介なり、あるいは同じ会社の系統の中でもって消化をしようということと、これは行政指導をするにせよ、不安なからしめるために、やはり責任ある行政をすると。その鉱害なり何なりについても、それはおれの知ったこっちゃないというわけでもあるまいと思う。もちろん鉱害復旧法の中では無権者の鉱害については国の責任をもって地方公共団体の協力を得て復旧すると、こういうことになっておりますが、この保安法の場合は六百円とか四百円で買いつぶす。それから今までの合理化法だと千二百円平均、今度は千百円平均、これは鉱害と直接からまってくることですが、千百円で買い上げる、あるいは買いつぶす。そうすると、買ったほうはこれは国です。今度はまあ鉱業権を放棄してこい、こういうことになるわけですが、その結果起こってくる問題は、残された債権といえば債権ですけれども、それ自体については、これはやはり国が責任を持つという建前は、全面的な責任であるかどうかということになると、あなたもすぐあげ足をとられますけれども、これは国がやはり責任をとるのが本筋じゃないでしょうか、実際問題として。千二百円でとにかく打ち切ってしまうという実態が起こるのです。これに対しては法の建前の説明だけを石炭局長がなさいましたけれども、政府としても金額の増額にしても、あるいは予算の増額にしても、買いつぶした炭鉱に、あとに残ったものについては、失業者についても鉱害についても、あるいはその復旧の資にもなる賠償責任の点についても、もう少し施策をすべきではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/67
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068・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 政府が産業について育成助長、そういう意味から補助をする場合がございますね。これはひとり石炭産業ばかりじゃない、その他の弱小産業等しばしば見受けることですね。これは一般予算の面でめんどうを見たり、あるいは税制で見たり、あるいは低利資金で見たり、いろいろ保護助成、育成、こういう措置をとっておると思います。まず石炭産業についてもそういう観点に立って同じような考え方がされる。これがただいま政府が自由経済のもとでとられている方策ではないかと思います。しこうして、いわゆるこの石炭鉱業遂行上生じた鉱害、これの復旧について、もちろん経営者第一の責任をとること、これは当然でございますが、その鉱害復旧についての特別立法がすでになされ、そういう意味では国並びに自治体等、共同して鉱害復旧に乗り出しておると思います。だから、ただいまの問題も、私の理解しておるところでは、いわゆる無資力認定という場合において、そういうものがなされるのじゃないかというような感じがいたしますが、そういうことでなしに、もう鉱害復旧は最初から国または自治体において処置しようと、こういうお考えだと、ただいまそこまでの手厚いことは考えられない、やはり経営者自身が第一の責任者、こういうふうに私は理解しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/68
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069・吉田法晴
○吉田法晴君 きのう参考人との質疑の中で、萩原さんのごときは、自由主義だけの原則ではもうやっていけなくなったから、政策の面で、総合エネルギー政策も取り上げなきやならぬし、またあるいは流通機構やあるいは選炭やその他についても共同でやるというか、あるいは助成を得てやる、こういう段階に達しているということで、純然たる自由主義でないことは、これは私万人の認めるところだと思う。だから自由主義の建前で鉱業権者が鉱害の賠償の責任をとるという原則も、これはすでに変わりつつあると思うのです。今無権者鉱害の話をされましたが、それは鉱業権者がある場合に、鉱業権者が賠償なり復旧の責任を持つべき責任者だけれども、それがなくなってしまって、責任者のない場合に、国がそれにかわるということです。今度の場合には、これは国の政策で保安なりあるいは能率なり採算その他で、とにかく一定の基準に達しないものについてこれを買いつぶす、スクラップにする、いわゆる国の政策でやる。しかも従来は合理化事業団がやるということで国が買い上げた。今度はそれを国が鉱業権を消滅させる。これは保安臨時措置法による買い上げと買いつぶしと同じ建前になってきたわけですけれども、鉱業権を消滅さしてこい、そうしなければ買わぬと、こういうことです。買うことは買うけれども、それは坑内の炭なり何なり買うので、あとの地上の施設、施設と一緒に鉱害もこれは引き継がぬのだ、こういう建前になっておるけれども、産炭地における実態は、あとに残るのは失業者と鉱害だ。そして鉱業権者が最後になって掘り荒らしていったあとの死骸は地方の住民と市町村がとる。国については何ら従前以上のあれはしないんだ。その上に千百円で打ち切るということになれば、これはやっぱり政治問題としては看過できないような事態が起こって参ります。それだけに法文上の建前の現状の説明だけでなくって、石炭局長の説明は現状の説明だけですけれども、それ以上に政府としては千百円の買い上げ価格についてもですが、坑内の炭なり何なりは、これは引き継いだ、買い上げている。鉱業権を消滅させようというけれども、そうすると、あとに残った弊害の除去についても、これは国が何らかの責任を持つようにもう少し鉱害賠償責任その他の引き継ぎなり、予算の増額あるいは復旧の措置を講ずべきではないかという点を大臣にお尋ねをしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/69
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070・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま申し上げることと吉田さんの御意見、別に科そう食い違っておるとは思いませんが、ただいま鉱業権者なり租鉱権者なりが、それははっきりその人の責任において処理すべきだ。その始末のつかない場合に、やはり無資力認定という形において今度は発生した鉱害の処理をしていく。これが鉱害処理の特別立法じゃないかと思います。今現にそういうことがやられておる。これは別に当の本人がいないというだけではなくして、無資力の場合もそういう処置をするわけでございます。今回の法律改正によっては、いわゆる資力があるにかかわらずしないというようなものをなくする、こういう意味で法文を整えるというのがただいま御審議をいただいておるものでございまして、ただいま申し上げましたように、無資力あるいは責任者がいないという場合の処置の道はあるわけでございます。ただそれが現実の問題で、予算的に少ないとか言われるなら、これはそれに対する処置をとらなければならぬと思いますけれども、考え方の第一は、どこまでも権利者がその跡始末をする、そういう建前であるべきだ。その跡始末をするものがない場合に、国なり地方自治体なりがその始末をつける。こういうものの考え方だということを実は申し上げておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/70
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071・吉田法晴
○吉田法晴君 無権者の鉱害復旧についての予算、これはとにかく無権者ですから、もうすでになってしまってどこに行ったかわからぬ、加害者がわからぬ、それから現実にない。これについて付言しているわけですが、それは今までの建前で鉱業権者が第一次的に賠償なりあるいは国なり地方公共団体の協力を得て復旧をするという、その段階での援助の仕方ですから、今後の事態に対処することが不十分であることはもちろんです。それは予算の増額なり何なりしてもらわなければならぬと思いますけれども、買い上げ方式の変更に伴う鉱害賠償責任の打ち切り、千百円どまりでの打ち切りという問題に対しては、対策がなければならぬじゃないかということを申し上げた。これはむしろ賠償の原則が対価主義というか金銭賠償主義というか、いわば対象なら対象の価格の限度内においてということですから、残った鉱量なり財産なり、買い上げるべき財産の限度内でということである。しかし、残っている鉱害あるいは今後発生する鉱害は、その対価の限度をこえるにしても、それはやっぱりそこの地域住民の被害あるいは市町村で対処し得る問題ではないから、それは国として考えなければならぬじゃないか、その基礎になる整備としては、鉱業権が打ち切られた、千百円でとにかく打ち切られたということでなしに、千百円の交付金の問題についても、あるいは責任の引き継ぎについても、今までは明き継いでいる、今度は引き継がぬ。ところがそれじゃ問題は片づかぬから、完全賠償というか公共的な立場からする賠償復旧の責任の基礎となる責任の引き継ぎということも、事実上これは国が買いつぶすことに間違いないのですから、従来どおりに引き継げるような制度を考えるべきじゃないか、こういうことを申しているのですが、わかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/71
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072・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今、国が買い取った金、その限度において鉱害復旧もするわけでございますから、今のお話が、一応事業団に留保する率がきまっている、それで、それをオーバーする分ばどうなるかということでございますれば、今、留保するというパーセンテージは一応の目安でございますが、炭鉱令部が同一であるとは私は思わないのでございます。だからその範囲といいますか、国が現実に支払う、それをオーバーしてなおかつ鉱害の処理ができないという場合があれば、無資力認定にかけて、そうして一般の処理の方法でやるということになるわけでございます。お話の趣旨が私は今までの考え方と別に違わないのじゃないかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/72
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073・吉田法晴
○吉田法晴君 今までの場合についても交付金をこす場合があった。それから今後についてもこすものがあるだろう、それは変わらないのだ、こういうお話ですけれども、しかし買いつぶすという建前だけは変更がないものだから、千百円の限度というものを動かし得るものとして考えてもいいじゃないか、あるいは事業団なら事業団が、その超過する部分については事業団全部の予算の中で考えてもいいじゃないか、こういうことを申し上げておるわけですが、これは多少平行線になりますけれども、何らかの、交付金の限度をこす額については限度を引き上げるなり、特定的に研きしげるなり、あるいは事業団の総額の予算の中なり、買い上げた、買いつぶした責任を国が負うという措置を講じなければ、不安も除けないじゃないかということを申し上げた。その点は御考慮を願いたいと思うのです。それを指摘をいたしておきます。これは実際問題として考えなければ、失業者と鉱害だけが残るという実態を防ぐことができぬし、事態は何らか解決しなければならぬ事態になるだろうと思いますので、指摘をしておきます。
それから先ほど石炭局長から未確定鉱害、あるいは未発生鉱害の点がございました。この鉱害ば採掘をしてから早ければ六カ月、あるいはおそければ三年、五年もかかるわけです。これはだんだん下から崩落して上に及ぶわけですから。そうすると、実際には買い上げ直前の炭鉱は保安炭柱を取っ払えば、まあいわば掘り急ぎをするというか、どういう影響があるかということを考慮することなしに、残っておる炭というものは全部かき集めて、あとは売り渡すと、こういう採掘の方法がとられますから、買い上げの時点、買いつぶしの時点においても鉱害が発生をするという可能性というものは、過去の経験からして多いようです。そうしてそれは買いつぶしの時点、買い上げの時点で、まだ発生していない、しかし発生するかもしらぬ。この鉱害の限度は交付金の限度と、こういうことになりますと、それもとにかく無資力の鉱害として認定する以外にないわけです。そうすると、復旧以外の賠償責任というものも、これは買い上げ、買いつぶしによってやはり事実上打ち切られるわけです。それは困る、もっとも、鉱業権者に残るじゃないかと言われるけれども、それは三菱とか三井とか大きいところならば、あるいは別に炭鉱をやっておるところならばそれは鉱業権者に残ります。しかし一社一山のような小さい炭鉱、それから大部分の、とにかく対象は小山ですから、これはおそらく実質的に賠償なり、あるいは復旧のあれを納めるべき資力はない。ですから、こういうものに対してどうされるのか。
それからもう二つは、鉱害の認定機関が今のところ制度上ありませんから、鉱業法の改正に伴って考えるということですけれども、通産局には炭政課なりいろいろあるわけですけれども、法の改正に伴って考えられるような鉱害認定機関を直ちに発足させるのでなければ争いを解決するわけには参らぬと思うのですが、その点をどういう工合に考えられるかお伺いをいたしたい。
それからもう一つは、そういう争いのある、鉱害のある鉱業権についてはどうされるのか、いわば問題が解決をして、六カ月のとにかく猶予期間というものを取ってありますが、六カ月では実際には解決ができにくいでしょう。まあ片っぽうは買い上げ、買いつぶす。今までですと、買い上げを急いで、鉱害が潜在的にあろうとなかろうと、あるいは申請があろうと、異議の申し立てをするだけと……。通産局の場合には鉱害がないとして今まで売り渡しをすることが多かったわけですが、それを防ぐためには鉱害のある、争いのある鉱業権については買い上げの措置を講じない等の親切な取り扱いが必要だと思うのですが、これについてどういう工合にお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/73
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074・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) まあ本筋は大体全部先ほど来申し上げておりますように、本来の権利者をやはり追いかけて、それによって処理さすということが原則だと思います。ただ、非常な例外的な場合が起こる、そういう場合にどうするか。もちろんこれは実情に即した処理をしなければいかぬ、かように思います。それらの点について実際の扱い方を事務当局から詳細にお答えさせたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/74
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075・今井博
○政府委員(今井博君) 第一の未発生鉱害につきましては、先ほど申しました鉱害が、大体三五%という——筑豊地区の調査実績は、既安定、それから未発生鉱害を含めて、実は今までの実績は、賠償対象が三五%になっておる。これは今までの実績でございます。したがって、一応この鉱害の関係は、今度のこの改正では約五〇%鉱害には留保しよう。賃金の関係は約二〇%というふうになっておりますので、五〇%を留保すれば今まで買い上げました過去の実績、これは大体小山、しかも相当鉱害を持ったやつが多いわけですが、その例から見まして、一応まかない得るのじゃないかというふうに実は考えておるわけでございますが、ただ、今度の場合におきましても、事業団が、未発生鉱害につきましては、もちろん山に入りますから、坑道がどの辺を通っておるかということについては、相当今までの経験で慣熟いたしておりますから、既発生以外に未発化がこのくらい起こるのじゃないかということは、割合想像がつくわけであります。したがって、鉱害について五〇%、賃金合わせて七〇%でございますが、この程度の留保をすれば、今までの相当鉱害のひどい例を見ましても、大体いけるのじゃないか、こういうふうに実は考えておるわけでございますが、過去にもありました例から見ましても、三年三年たって鉱害が起こるというのはきわめてレア・ケースでございまして、約半年くらいの間を置けば、大体鉱害が起こるか起こらぬかということは想像がつくというのは、経験者が一致して言っておりますので、この点はさらに十分気をつけまして、未発生鉱害についてさらに相当危険があるというふうな場合には先ほど言いましたような留保の率をさらに嵩めるという処置を講じまするし、あるいは実際に交付金を渡す場合に、さらにその業者がほかから金を持ってきて十分それがやり得るような、ひとつ行政指導もするというふうなことを考えたいと思います。しかし、それでなおかつ資力がなくてできないという場合には、先ほど大田から申し上げましたような本筋で鉱害の問題を解決していくという考えでいって、大体私はそう不安がないというふうに確信を持っておる次第であります。
それから鉱害の紛争につきましては、鉱業法では鉱業委員会というものを通産局に設置いたしまして、この鉱業委員会が鉱害の認定をやるという方針になってございますので、鉱業法改正後はその方式で鉱害認定というものが現状よりスムーズにいくと、こう考えますが、それまでの間に紛争のある問題についてはどう処置するかという点は、これは実際に非常に紛争があって、なかなかめがつかないという場合には、先ほど申しました留保金というものを相当長く事業団が預かっておくということに結果としてはなるかと思いますが、しかし鉱業法の改正でも、そういうふうな委員会の設置の点がうたわれておりますので、これはまあ実際問題としては、通産局がやはり中に入って個々の問題を現状でも相当処理いたしておりますので、現在の通産局の紛争あっせん能力というものを極力活用するということよりいたし方ないのじゃないかと思いますが、この点はひとつ実際問題にあたりまして、そういうケースが起こるとも予想されますので、ひとつ従来以上にこの紛争の処理については出先機関を督励いたしたい、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/75
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076・吉田法晴
○吉田法晴君 鉱害の紛争というよりも鉱害の認定といいますかね、要するに認定機関というか、そういう問題、問題は因果関係をなかなか民間では論証がしにくいから、そこで通産局にたよる以外にないわけであります。ところが通産出局の出先、末端が、必ずしも公正に認定機関としての役割りを果たしてないのが実情です。まあ個々の事例はもう申し上げませんけれども。そこで、これは委員会を作る前ですね、委員会のような発足を、出先機関の石炭局の石炭部といいますか、あるいは炭政課というか、そういうものの拡充によってやる。予算も付けてやる、ボーリングをやる費用等を与える等、施策をする面はあると思うのです。その点をひとつ考えてくれないかということを申し上げておるわけです。それからもう一つは、この鉱業権の消滅ということによって売り渡してしまったほうは、おれはもう国へ売り渡したのだから、その後出てきている鉱害についてはおれは知らぬ、千百円平均の交付金の中でもらいなさい。それから事業団のほうへ行けば、これは鉱害賠償責任を引き継いでいないのだから、前のように連帯責任で引き継いでいないのだから、おれは出すことはない。これは公益委員へ行って言いなさい、こういうことで、これは言っていく先がなくなるという心配がある。それで、千百円なりあるいは残った鉱害についての賠償、復旧の制度を強化してもらいたいということを申し上げているわけですけれども、事業団が鉱害問題について言ってきた場合に、おれは知らぬということのないようにだけは、これはぜひ願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。その認定機関と、それから事業団が鉱害問題について、おれは知らぬという態度をとらぬように指導願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/76
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077・今井博
○政府委員(今井博君) 最初に認定の問題でございますが、確かに御指摘のように鉱害の紛争の問題は、ほとんどが鉱害であるかどうかという認定の問題、これの紛争でございます。したがって現在でも、現在はまあ調停員制度でもって、調停員というのは、鉱害の金額とか、そういうものを調停するのが主たる任務でございますが、実際は鉱害認定の仕事を実際はやらされておるというのが大半の例でございます。しかしこの調停員制度は非常に不十分であるということで、この鉱業委員会という法律による機関でもって権威あるひとつ、そういうさばきをやろうというのが、今度の改正のねらいでございますけれども、それまでの間に、実際上そういった委員会を組織してやるかどうかという御指摘でございますが、これはまあ現在の調停員制度をもう少し拡充するとかということによって委員会が発足した場合にうまくつながるような方式も考えられますし、別途まあわれわれのほうでは、昨年度の予算から、鉱害の科学認定制度というものを実施いたしまして、特に紛争ある鉱害現象については、これはまあほんとうに中立の先化方をお願いいたしまして、ボーリングを打ったり、そういった科学認定制度を実はやっておるわけであります。この結果、相当まあ好成績をあげておりますので、特にこの紛争のある大きな鉱害の問題については、この科学認定制度を極力活用するということもあわせ考える必要があるかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/77
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078・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま古田さんからいろいろ御注意がございましたこの鉱害の処理の問題、しかも残存しておる経営者の場合だと、これは有利でございますが、中小炭鉱の場合等、いろいろ問題があろうかと思います。ただいまの法律を整備し、そうして実施に移しましても、実際の問題では、なおいろいろ工夫を要する点があろうかと思います。特に鉱害の処理を迅速にするとい5、そういうことをしなければならない問題でありますだけに、この実施後の実情等を見まして、さらに工夫すべき点は、進んで工夫するということでないと、地方の被災地の要望になかなかこたえ得ないのではないかと思います。先ほど来御注意をいただきますのも、そういう意味合いのものが非常に多いかと思います。実施にあたりまして、十分その趣旨を徹底さして参りたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/78
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079・吉田法晴
○吉田法晴君 予算の問題で解決するならば、これは通産大臣の責任でできることですから、それからあるいは認定機関とか、それから鉱業委員会の名前はともかくとして、実体は直ちに発足したいところだと思いますので、その点は御言明を、ひとつ早急に実施するようにお願いをしたい。鉱害失業者が残って云々たという事態の起こらないように、賠償の原則についても、あるいは法改正に伴う弊害の起こらないように十分な措置を願いたいということを要望して、その問題については終わります。
あとは、きのうも参考人の口述の中から出ましたけれども、合理化なり買いつぶしなりが地元には結果が出てきてからしかわからぬ、こういうことで、しかもそのあとのいろいろな問題については、市町村が市町村民だということで、これはめんどうを見なければならぬので、具体的にいうと、あるいは調査団の報告に基づく結果の閣議決定、あるいは鉱業審議会の結論と申しますか、それから具体的にどういう山を買いつぶすという点については、これは市町村に連絡をしてもらいたい、こういう強い要望がございました。それから産炭地域振興については、産炭地域振興事業団との連絡を密にするために、委員の中にも少なくとも自治体の代表を四名ほど入れてもらいたい、こういう要望等もございましたが、こういう市町村との連絡についての要望には、どういう工合に対処されるかお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/79
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080・今井博
○政府委員(今井博君) かねがね市町村のほうから、山の整備にあたっては連絡をとってくれという要望がございます。この問題は、実は実際問題として山の整備を行なう場合に、最初から市町村に連絡をとるということは、山の現在の経営者の状況から見ますと、いろいろ販売関係とか金融関係とか、いろいろデリケートな関係がございまして、最初から連絡をとるということは、やはり逆にまた、非常にトラブルを起こす点もありますので、この点も相当慎重に考えなければいかぬと思いますが、しかしある程度見込みがたつ、これはもう、ある程度廃止業務について事業団のほうも調査が相当進んだという段階におきましては、市町村に極力ひとつ連絡をとるように、今後は指導したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/80
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081・吉田法晴
○吉田法晴君 次の問題は、一ぺん通産大臣に御質問申し上げて、通産大臣は関係各省と相談をして指導要領を作ろう、こういうお話でしたが、その後御回答もない、御答弁もないのですが、自治省等に問い合わせますと、自治省には、通産省から何の連絡もないということです。閉山をいたしましたあとの炭鉱に層住しております労働者の住宅、それから水道、それから浴場、電力等の問題でありますが、合理化の中で、買収した施設の保有だけでなくて整備と改めたらいいじゃないかというお話等もありますが、今度は買い上げないのでありますから、六カ月たつ前後から、住宅の問題あるいは電灯の問題がすぐ問題になって参ると思うのですが、これは従来事業団が買い上げてうまくいっているところは、県会議員や国会議員等が世話をいたしまして、事業団から市町村を通じて払い下げる等の措置が講じられておるわけでございますが、これが買い上げないということになりますと、事業団を通じないで直接市町村に売り渡し、市町村から居住者に払い下げる等の措置をしなければならぬでしょうし、あるいは電灯、水道あるいは浴場等についても、直接のあれは市町村がめんどうな、見ることになるかと思いますが、これからについては、あるいは起債の方法であるとか、あるいは交付金によってとかという裏打ちがないと、 みんなやっかいもの祝して、結局だれも世話をするものがない。そうすると生活保護を求める云々でこれは突き上げが行なわれて、特定の政党がひとり世話をする、こういうことにこれはなりかねぬ問題であります。買い上げ方式の変更に伴って、その事態はより深刻になるおそれがあるのですが、前に御質問申し上げた問題でありますけれども、その後どうなったか、あるいは自治省等の起債なり交付金等の裏づけをもって、住居その他について不安なからしめる措置をとられるのですか、承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/81
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082・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 炭住、それから同時にそこの電気、水道等の問題は、私ども現地を見まして、これが解決策に妙案がないかいろいろ苦心いたしましたが、今日残っている炭住そのもの、また住居のよってきたった理由その他等もございまして、なかなか複雑でございます。簡単に解決がつきかねております。
ただ、今後の問題といたしまして、炭鉱廃止等の際に、きちんと取りきめをすることが必要なんじゃないかということを実は痛切に感じます。ただいままでの扱い方等に経験を得て、今後廃止あるいは買い上げ等の場合に、定の期間を置いて、そうしてこれが扱い方を取りきめることが必要じゃないか、かように思います。そこで今日までの経過なり、そういう点について事務当局も、いろいろ工夫し努力しておりますので、それらの点は、一通りお聞き取りいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/82
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083・今井博
○政府委員(今井博君) 今までに事業団が買収いたしました炭住の処理の状況でございますが、炭鉱数にいたしまして処理完了いたしましたものは九、処理見込みが十三、処理困難のものが十一、全体で三十三、こういう数になっておるわけでございますが、この処理見込みは、大体居住者が貯金を積み立てまして、郵便貯金で積み立てて非常に安い値段でそれに譲渡する、こういうことで近く処理完了という見込みでございます。処理困難なやつは、これは敷地が住宅と所有権が別になっておりまして、この関係で、まだ非常に処理が解決がつかない、こういう状況でございます。これはいろいろ諸先生方のお世話等もございまして、最近では、だいぶ解決の見込みが出て参りまして、特にその解決するまでの間は、電灯料とか水道料金とか、こういうものにつきましては、全部事業団のほうでめんどう見ておる。それからいろいろ問題になりました住宅の修理につきましても、資材等提供いたしまして、実際に生活に支障がないようにいろいろ資材の提供を行なう……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/83
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084・吉田法晴
○吉田法晴君 途中ですけれども、今までの経過の報告はいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/84
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085・今井博
○政府委員(今井博君) そういうことであります。それで、今後こういう炭住を買わないという方式に置きかえた場合には、確かに御指摘のようなトラブルの起こるということが予想されますので、実際にその場合に問題になりますのは、やはり電灯と水道とそれからやはり住宅、この三つだろうと思いますが、実際に事業団が交付金を交付する場合には、この電灯については、やはり従来やっておるように、一般の電灯に切りかえさせるということを条件にするとかいうことで十分できるのではないかと思います。水道等になりますと、これはやはり市町村のほうでいろいろお世話を願わないと、実際問題としてはなかなか解決しないのではないかという感じがいたします。それから炭住の住宅の問題は廃止する事業者が、やはり一定の期間は、その炭住に住まわしてめんどうを見るようなやはり条件をつけて、そうでないと、やはり交付金が渡せない、そういう交付金を渡す場合に、そういった炭住に住んでおる人に不安を与えないような指導をさせる必要があるのではないか。この点は従来から事業団でもって、だいぶ経験をもっておりますので、十分にこの点はひとつ、そういう際に指導さしたいと思います。しかし根本的には、やはりこれはこの炭住に住んでおる方は、市町村の住民でございますので、これは石炭サイドだけで十分お世話できるということは非常に無理がある。したがって、これからのわれわれの努力でございますが、やはり厚生省とも十分連絡をとって、現地の市町村を中心に、 こういう場合の生活保護の問題とか、あるいは水道の問題とかいうものを、ここにひとつ解決していく、みんなの力をあわせて、この問題を解決していくということでないと、実際問題として事業団が全部お世話するということは困難かと思いますので、この点は、現地の通産局がひとつ窓口になって、そういったトラブルの起こりそうな炭住等につきましては、できるだけそういう方向の打政指導を行なう必要がある、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/85
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086・吉田法晴
○吉田法晴君 産炭地域振興事業団法に関連しては、一括して質問いたしますから、要点だけ簡単に御弁答願いたいと思うのですが、産炭地域振興法の指定区域で落ちているところがある。岡垣、玄海、佐世保、夕張を指摘をしてきのう参考人から口述がございましたが、地域指定の問題について、指摘をされているような地域について拡大する御用意があるかどうか。
それから、法の改正について、水資源、道路、発電事業それから住宅等について範囲を広げるように法の改正を望むというような話ですが、これは先般大臣から、関係大開と相談して云々ということですが、関係閣僚懇談会等でその点は十分実現をしていく、こういう約束ですか、どうですか。
それから、地元産業のための融資、それから産炭地振興のための予算の増額について、十億の融資ですか、これの増額について、どういう工合にお考えになるか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/86
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087・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 地域指定は実情に応じて、やらなければなりません。そういう意味で、落ちたからといって、別に永久に指定から除外するという意味ではございません。なお、事務的には第二次に相談しよう、こういうことを申しておりますので、今の必要な地域、これはもちろん指定したい、かように考えております。
それから、第二の問題といたしまして、石炭関係閣僚懇談会等でございますが、その事業内容等につきまして、やはり通産省が要求官庁として関係省に対して要求を持ち出し、その要求を貫徹するというか、協力を求めるという形で処理していくという、別にいわゆる懇談会方式によらないで、通産省自身が要求官庁として、それを処理して参りたい、かように考えます。
それから、第三の問題について、予算あるいは融資資金の問題等につきましては、もうすでに御承知のように、三十七年度予算が成立しておりますし、資金関係も確立いたしておりますから、これをまず繰り上げ使用をする、そうして資金に必要を生じましたら、次の機会に穴埋めをして増額する、こういう処置をとりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/87
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088・吉田法晴
○吉田法晴君 最後に、これは直接関係がこざいませんが、機会がございませんでしたからお尋ねをしたいのですが、鉱害復旧というものが、現地でなければ復旧ができないか、それとも、これは賠償と補償とは違うという意見もありますけれども、私は無過失責任ということになれば、行政行為であろうと、あるいは行政行為でなかろうと、その損害を補償するという点は同じだと思うのですが、電源開発その他補償の場合に、生活の復旧をするというのが、補償基準の精神を貫いておるものであります。臨鉱法による効用回復というのは、これは生活——ある生活手段の前の、生活に利用し得る程度に復旧をする精神だと思いますので、したがって、臨鉱法では、現地でなければ復旧できない、こういうことではなかろうと思うのです。問題は、田川の豊州炭鉱の水没あるいは陥落に伴う復旧の問題であります。大局論から立って、これは御研究を願いたい問題であります。水没をいたしまして、遺体を下に残しながら、その家族が、あるいは親族がその上に復旧をすることは、これは忍びぬと思います。それから、もう二つは、調査の結果には、若干の危険性は残っている、あるいはそれを防ぐために、水なりあるいはどろ水なり注入して云々という点がありますが、これは委員会の調査の結果に基づいても、やはり若干の不安は残っているわけです。それから現に何戸か、五軒か十軒ではありますが、多少移動をして復旧している。
そういう点からいって、その田川の豊州炭鉱の水没なり陥落に伴います復旧の場合に、その遺体の眠っている上でなしに、不安のないところで復旧をしてもらいたいということが、これはこまかい法律論をこして私は考え得る問題ではないかと思うのですが、通産大臣に政治的な配慮を含めての意味でお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/88
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089・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) いわゆる鉱害復旧の場合ですと、やはり何といっても原状回復というのが基本であるだろうと思います。そういう建前で鉱害復旧するのが本筋であります。また、国土保全その他の観点から見ましても、そうあるべきであろうと思います。豊川炭鉱の場合、これはいろいろ人情の問題等もありますので、いわゆる災害復旧、その工事ばかりではなく、そこらでうまく話し合いがつけば、十分被害遺族の気持が立つような方法ができればけっこうだと思います。ただ、法律的に云々すると、いろいろ議論があるだろうと思いますが、問題は、そういう法律論ではなしに、現実の問題として処理する方法があるわけではないだろうかという感じがします。
そういう意味で話し合いのつくことなら、私どもも進んでそういうあっせんをしたい、こういう気持がございますけれども、ただ、当然の権利云々だとか、法律論で申しますと、これはなかなかむずかしいのじゃないだろうかと、かように思います。何か事務当局も、だいぶ両者の間に入りまして、あっせんしたり工夫したりしたことがあるようであります。あるいは吉田さんのお耳には、もうすでに入っておろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/89
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090・吉田法晴
○吉田法晴君 あまり今の大臣の答弁を否定するような答弁なら、してもらわぬほうがいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/90
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091・今井博
○政府委員(今井博君) 否定するわけではございませんけれども、陥没地帯について、確かに被害者の気持といいますか、ここに親戚、血縁の者の死体が水没しているとかいうような点につきましては、われわれとしても、十分気持はわかるわけでございますけれども、いかんせん、現在の臨鉱法の建前が、非常にそこのところは地盤の復旧というふうに厳格に規定されている。家屋の点をつけ加えましたのは、実は非常に大議論の末、家屋の補修という問題に関連して地盤を復旧する場合には、その工事によって生じた家屋の補修、そういったものに限定して建物自体の、家屋の復旧を実は認められたわけでございまして、これは大議論の末に実は入ったわけでございます。したがって、その建物を全然別のところに移改築するということになりますと、その大議論の結果から見まして、これは明らかに臨鉱法の適用からはずれるわけでございますので、そうなりますと、実は補助対象になり得ないというのが、さんざん議論した結果の結論に現在なっているわけであります。
したがって、この点は鉱害対策審議会で、これもずいぶん議論しましたが、現在としては、そういう結論でございますので、陥没地帯については、これは相当専用家を集めて、実際やっても大丈夫かということを審査した結果、これは大丈夫だということになっております。もしも、それでさらに再陥没するということが、よもや発生しまいと思いますが、そういうことになりました場合には、さらにそれを引き揚げるということは、やるつもりでございますので、現在の建前としては、やはり現状の地区において、この移改築をやる以外に方法がないのじゃないかというのが、実はこれは法律にしばられた議論でございまするけれども、そういう結論になっております。
ただ、将来の問題としては、これは鉱害対策審議会の答申でも、家屋の復旧費をもっと積極的に補助対象にしたら、どうかという議論がございまして、それは将来の検討事項になっております。しかし家屋の復旧そのものは、これは一般の災害の場合におきましても、これは実は補助対象になっておらぬわけでございます。鉱害の場合に、特にこういうことで一部、そういう復旧することを認められておる特例でございまして、全体の法律のバランスからいいまして、災害の場合にも入っていないというものを、そこまで解釈できるかということは、さらに議論を尽くさなければいかぬと思いますが、ただ、今のおっしゃいましたような無資力認定のような場合には、やはり何か像かに救済手段がなければいかぬということは、今度の答申で非常にはっきりうたわれておりますので、将来の問題としては、これはわれわれとしては、十分取り上げてひとつ検討したいと思いますが、今日の状況では、ただいま御指摘になりました豊州炭鉱の例は、非常に残念でございますが、どうも仰せのような処理は、少し無理じゃないかというのがわれわれの見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/91
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092・吉田法晴
○吉田法晴君 大臣の答弁で、話し合いがつくものならば云々というお話でしたから、それで、それから先の説明は要らぬと言ったんですが、やはり要らぬ説明をされた。
そこで、さっきの大臣——これは大臣が答弁されたのだから、あとは別の機会に譲りますから、大臣から、さっきの大臣の答弁の線で解決をするように石炭局長にも、あとでひとつ申しおろしを願いたいということを要望して、質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/92
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093・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま吉田さんの言われますように、法律論ばかりにこだわっては政治にならないと思いますので、よく実情に合うように関係者の間をあっせんする余地があればあっせんさせたいと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/93
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094・阿部竹松
○阿部竹松君 私は法案の中身について、きのう通産大臣から十分承りましたから、ほかの委員各位の御要望があれば別ですが、私は大臣に御質問の用意ございませんから、もしあれであれば、ほかのお仕事をやっていただきたいと思います。
そこで、きのうお願いしておきました法案に関係して運輸省、国鉄の方のおいでを願っておるわけですが、ここに連絡がございました岡本さんと遠藤さんですね。岡本さんと遠藤さんにお伺いすることは、どちらの方が本件の担当か私わかりませんけれども、この石炭問題にからみまして、御承知のとおり、五千五百万トン、千二百円コスト・ダウンということを目安にして一昨年からやってきておるわけです。ところが一昨日の当委員会で、一千二百円というコスト・ダウンのあれをきめたときに、国鉄運賃の上がるのを承知であったかという質問をしましたときには、国鉄運賃の上がるのは計算に入っておりません、こういう答弁がなされたわけです。
そこで昨年国鉄運賃が上がる当時に、これは皆さん方の責任でないかもしれません。当時の木暮運輸大臣とわれわれが話したときに、この国鉄運賃がし弄した以後、石炭あるいは金属資源、こういうものの運賃について考慮してあげましょう、こういう約束があったわけです。ですから、これは法文でも何でもございませんけれども、そういういきさつがあったことと、コストがとにかく千二百円下げなければならぬというときに、想定をしておらなかった、国鉄運賃が上がったものですから、皆さん方のほうで、それぞれ処置をとっていただいたものと思う。しかしどういう処置をとられたか、金属資源と石炭の運賃、玉印間延長だとか、あるいは何をどうするとかいうような話し合いがなされて結着しておると思うのですが、その点をお尋ねしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/94
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095・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 確かに昨年の国有鉄道の運賃改正の際に、当商工委員会におきましても、いろいろな御希望が出まして、その後政府全体として、この石炭の問題を取り上げました際に、石炭の運賃についても何らかの措置をすべきであるということになりまして、御承知のように第一の手段として延納措置がとられたわけでございます。これはすでに実施に移しておりますから御承知のとおりであろうかと思います。それから引き続きまして、さらに延納措置以外にこの運賃の問題につきましては一段と方法を進めまして、私鉄と国有鉄道との間に御承知のように連絡運輸をいたして、おりますが、連絡運輸にかかわるものについても、やはり延納の措置を講ずべきだというふうな閣議決定、もう二つは、連絡運輸にかかわるものについて併算制という連賃制度をとっておりますが、これを油算制に切りかえて、そうすれば運賃負担のほうが軽減されるわけでございますから、そういうことにするようにできるだけすみやかに措置するというふうな閣議決定がございまして、この連絡運輸にかかわるものにつきましては、すでに実施に移しておりますが、ただ問題は通算制の実施という問題だけが現在残っております。これも御承知かと思いますが、通算制……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/95
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096・阿部竹松
○阿部竹松君 一つ一つ聞くから、質問した分だけ答弁して下さい。運賃値上がりの分だけ……。併算と通算の分は、あとでお尋ねしますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/96
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097・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 運賃の値上がり分については、でございますから延納措置ということで、一応けりをつける、こういうことに相なったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/97
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098・阿部竹松
○阿部竹松君 そこで、その延納の中身をお尋ねしたいわけです。どういうふうな方法で延納なさっておるのかという実態を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/98
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099・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) これは値上がりしたもにつきまして、——約六・五%値上がりしておりますが、値上がりした分の六・五%を三十九年度以降——三カ年間延納の措置を認めるということにいたしたわけでございます。
その保証の問題につきまして、つまり担保の問題につきまして、いろいろ通産省との間に打ち合わせを行なったのでございますが、結局人的保証ないしは石炭合理化事業団でございますか、この保証によって解決するということになりまして、ただいまその手続を実施して、すでに相当部分延納措置を行なっておるわけでございます。詳しくは営業局長から説剛させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/99
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100・遠藤鉄二
○説明員(遠藤鉄二君) ただいま運輸街から御説明のありましたとおりなんであります。ちょっと補足説明をさせていただきますと、昨年の運賃値上げは四月にございました。石炭の臨時の特別措置をやるという閣議の御決定が六月でございました。それに基づきまして国有鉄道は規則を作り延納の手続を進めるようにいたしたのでありますが、担保の件でいろいろ話がございまして実施が相当に延びましたのでありますが、昨年の暮れ以来事務が進捗いたしまして、三月末日では、大体予定のほとんど全部が契約が成立をいたしておりまして、この中身は、昨年の四月の遠賀値上げによります石炭の負担増が二十六億ぐらいございまして、この半分を延納にしようと、こういうことでございまして、国鉄の延納分は年間約十三億でございますが、そのほとんど全部につきまして、三月——この年度末で連絡社線との運賃分を含めまして延納措置が完了いたしました。ただいま六・五%という説明がありまして、それは値上がりました結果の新しい運賃に対して六・五%を延納するということが、値上がり分の半分の延納になるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/100
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101・阿部竹松
○阿部竹松君 運輸省の今の御説明によると、三十九年からという御説明なんです。ただいまの国鉄のお話と、鉄監局長からも、若干お聞きしたわけですが、つまり今年の分は三年後に払う。明年度の分は四年後に払う、こういうように聞いたのです。しかし、運輸省の話ですと、三十九年以降という御説明ですから、それはどちらがほんとうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/101
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102・遠藤鉄二
○説明員(遠藤鉄二君) 延納は三年後に支払っていただくということでございます。別に説明は運輸省の御説明どおりでございます。ことしの分は三年後に支払っていただくと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/102
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103・阿部竹松
○阿部竹松君 そうすると、運輸省の御説明の三十九年からということじゃなしに、結局ことしの分は三十九年に払うと、こういうことになるわけですね、三年後ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/103
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104・遠藤鉄二
○説明員(遠藤鉄二君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/104
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105・阿部竹松
○阿部竹松君 それからその次にお尋ねしますが、時間がおそくなってたいへん恐縮ですから、スピードを出してひとつお尋ねいたしますが、今まで、北海道に特に多いわけですが、社線をあちらこちらにまあ炭鉱会社が持っているわけです。Aという炭鉱会社の社線は、その社線の出発点から一キロ、二キロといって、国鉄につないだ場合には十キロあったら十一キロという計算をしている。それからBという会社の社線は、社線を、何キロであるかは別として、社線を一たん通過したところで打ち切って、国鉄の出発点から一キロ、こういうような計算をやっている。そういうような差が、今までもあったのですが、今でもある。どうして差が、同じ炭鉱会社でありながら、同じ炭鉱会社の私鉄でもって、片方は公共企業体の国鉄ですね、私鉄から私鉄に連絡するといったら商売ですから、君のほうは一円だ、君の方は九十六銭ということはありますけれども、国鉄は、僕はそういうことばないと思う。どういうわけで、そういう差をつけておったのですか。もし法的根拠があれば、こういう法律でやっておりましたと、それから施行令があったら、こういう施行令でやっておりましたと、それだけお示し願えればいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/105
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106・遠藤鉄二
○説明員(遠藤鉄二君) ただいま御指摘のとおり、いわゆる通算制と、いわゆる併算制と両者が現在行なわれておるわけでありますが、これは沿革に基づくものでございます。で、過去のいきさつを申し上げますと、国有鉄道は明治初年以来併算制でやっておるわけであります。社線と国鉄の運賃は、両方計算しまして、それを合わせる併算制でありまして、それが昭和十七年でありますが、大東亜戦争になって、その後でございまして、用員が足りない、人手が足りない、事務を簡素化しようということで、全面的に全社線とも通算にしたのです、このほうが事務が簡単ですから。しかし、戦後、戦争が終わりまして、何も簡単ということだけを尊ぶわけではございませんから、やはり運賃の建て方とか、そういうことの原則に戻る必要があるのでございまして、昭和二十三年の七月に併算制にまた戻ったわけです。明治初年の制度に戻ったわけです、昭和二十三年の七月に。そのときに夕張鉄道外六社が、会社の御希望によりまして通算のまま残ったのです。これは通算、併算という問題は、法律的な問題は何もございません。これは国鉄と社線との連絡運輸の契約によっているわけです。したがいまして、法律問題はないわけでございます。お互いに話し合いによってきまるわけなんでございます。夕張鉄道につきましては、戦争中の通算がそのまま残り、その他の鉄道につきましては、全部併算制になったわけなんでございます。その後また、昭和二十五年の四月に併算制の社線がややふえましたのですけれども、現在では国鉄と恥扱い貨物の連絡運輸をやっておりました百二十一会社のうち、七〇%に当たります八十三の会社は併算ということになっておるわけでございます。過去のいきさつでございまして、はっきりと理論立ったというような記録も別にないわけでございます。沿革的に、そういうような制度になっておりまして、理論的には私どもも、これはおかしな点があるようにも考えるのでございます。
何分これは沿革的にできておるわけでございますので、御説明になるかならぬか、なぜそういうのが両方あるのだということをお尋ねいただきますれば、結局、沿革的にそういうふうになっておるのだというようなことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/106
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107・阿部竹松
○阿部竹松君 それを、その沿革的だということでは、とても了承できませんよ。国鉄さんは、東海道を走る二等客車も北海道の二等も一キロ幾らで、われわれ乗ったら同じでしょう。しかし、箱を見ると、東海道の二等のほうが北海道を走る一等よりまだいい箱が走っていますよ。しかし、あなたのほうでは一キロ幾らですよといって、東海道といえども、いかなるローカル線といえども同じコストなんです。これは沿革も何も、あなたの沿革は、いにしえからのしきたりのことをおっしゃる沿革ではありませんか。それほどきびしいことをおっしゃる国鉄さんが、片や通算制、片や併算制、これは沿革ですよと言っても通るわけがないじゃないですか。おかしいでしょう。利もおかしいと思う。沿革です、そんなおかしい答弁はないですよ。この次に十河さんに来てもらって、十河さんに……。局長さんをつかまえて文句を言ったってしょうがないのですが、それはしかし、いつか一本にするというお気持はあるのですか、ないのですか、あなた方の計画として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/107
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108・遠藤鉄二
○説明員(遠藤鉄二君) 先ほど運輸省から、今回の石炭についての通算制の採用という点について研究しておるということを、たしかお話があったと思いますが、私どもも閣議決定をされまして、それを運輸大臣から指示を受けております。石炭についても当然考えなければなりませんし、石炭以外の全体の各社線とも、いずれの品目についても通算、併算という問題についても、何らかもっと合理的なものにすべきであるというふうには考えておりますのですが、この問題は非常にむずかしい問題でございまして、ただいまこうということを申し上げるまだ段取りになっていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/108
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109・川上為治
○川上為治君 この問題は、昨年のたしか十二月ごろに閣議決定で、石炭については併算制を通算制に持って行くようにするということになっておるはずです。私はそのあとの委員会において通産大臣に、その点を申し上げましたところが、まあ閣議の決定は、ようにするという努力をするというような書き方になっておるというお話になっておるのですけれども、私は少なくとも閣議決定された以上は、そういうふうに持って行く、すみやかにこれが実現について努力をする、こういう意味だろうと私は解釈していたのですが、もうすでに相当の日子がたって、なかなか話がつかないというのは、どうも私にはよくわからないのです。だから私は、これはいつこの問題が実現されるのか、それとも、いろいろ複雑な事情があってできないということであれば、どういう点に複雑な事情があってできないのか、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/109
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110・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) たしか先般商工委員会におきまして、この問題が論議になりましたときに、通産大臣からお答えがあったかと存じますが、端的に申し上げますと、通節制によりますと、運賃がまあ減収になるわけであります。私鉄につきましては、政府といたしましても、これを強制するわけには参りませんので、国鉄ならば、まあある程度減収になりましても、国の政策であるならば公共企業体という性格から協力してもらわなければならぬということで、いろいろその点、話し合っておるわけでございますが、まあ運輸省のみならず政府としましても、やはり国鉄の健全財政ということにも十分意を用いてやらなければなりませんし、また私鉄関係については、かりに通算制を実施するということになれば、減収を来たしてもいいのが、あるいは減収を来たすというような結果はごめんこうむるということになるのか、これは十分やはりみんな話し合ってやって参りませんと、ただ一方的に強行して命令するわけにも参らない性質のものじゃないかと、かように心得まして、まあ慎重に、なるべく閣議決定の線に沿って早くやるように、目下検討いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/110
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111・川上為治
○川上為治君 私は、いやしくも閣議決定をする場合には、そういうむずかしい問題があるけれども、それを乗り越えて石炭対策のために総合的な見地から、それを強力に早く進めるという意味において私は閣議決定というのはなされたものだろうと、でなければ、何もこういう問題は閣議決定する必要はないのだと、そういうふうに、非常にむずかしく、とうてい見込みのないというものであるならば、閣議決定するはずはないと、私はそう思うのですが、今日までもすでに四カ月ぐらいたっていて、ちっともこれは進んでいないというのは非常に私はおかしいと思うのですよ。
きょうは私はその詳細、今日まで何べん、そういう会議をやって、どれぐらい相談をされたのか、相談の内容というのは、いろいろ聞きたいのですが、まあ時間もございませんので、この程度で私は打ち切りますが、これはひとつすみやかに結論を出していただきたいということを特に私は、きょうはお願いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/111
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112・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) この問題は、あるいは事務当局がお答えする筋のものでないかわかりません。閣議決定をした当の私申し上げておきたいと思います。
もちろん、ただいま運輸省並びに国鉄の関係者から話をしておりますけれども、また過日もこの席で申し上げたと思いますが、これはやはり減収という問題に関連するわけでございます。しかしこれを片づけなければ、炭鉱によって幸、不幸がある、かように考えますがゆえに、閣議で特に取り上げたのでございまして、まあ最近になりますと、さらに一般物価、対策の面等からもみまして、本来安くなることでございますれば、そういう意味からも工夫していいことだと思います。ただ問題は、会社も収益が減るとか、こういう場合の処置の問題がございますので、関係省で十分相談しないと、まだ結論は出てこないと思います。私たびたび当委員会において皆様方から伺いますので、この石炭問題の政策遂行にあたりまして、さらに一般の問題もございますから、そういう機会に、とくとひとつ話し合ってみたいと、かように思います。たいへん今日まで実現しておらない点はお叱りを受けまして、ごもっともでございます。そういう意味で一そう努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/112
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113・阿部竹松
○阿部竹松君 通産大臣がこの場をつくろうために答弁しても、そればだめなんです。閣議で決定したものを、この人たちは守らぬのですからね、そうなんでしょう。あなたはたまたま欠席されておったが、通産省の次官が来て閣議決定と国鉄当局と、どちらの決定が上ですかという質問をして、次官の答弁はきわめてあいまいもこであったが、大体今の運輸省のお話を、承っても、国鉄のとにかく収入減だからと、確かにそうでしょう。全部一本にして、今度併算を全部通算にすると、しかしAという私鉄から国鉄へつなぐのと、Bという私鉄からつなぐのと、ばらばらになっているでしょう。片方には一キロ十円で切符を売って、片方は八円五十銭で売るような、同じ理屈ですよ。ですから、国鉄が収入減なんだったら総体的にやるべきであって、一つの社線は通算制、一つの社線は併算制と、こういうべらぼうなことを公共企業体の国鉄でやる、あるいは通産省がそれをぬけぬけと赤字になりますから、収入減ですから、なんというのは、僕は納得できないですね。皆さん方それを是とするか、それが正しいというのであれば承りましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/113
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114・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) これは先ほど国鉄のほうからお答え申し上げましたように、多分に沿革的なものでございまして、ある会社の例をとってみますと、ある場合には併算制を希望し、ある場合には通算制を希望するということで、両当事者の契約でございますので、まあ極端にいいますと、しょっちゅう変わっているというのが例なんでございます。
で、目下のところでは、したがいまして、ある場合には併算制、ある場合には通算制という状態になっております。第三者からごらんになりますと、非常にまあ何といいますか、どうして足並みが一本にそろっていないのかというふうにお考えになるのは無理はないかと存じますけれども、主としてこれは地方鉄道、いわゆる私鉄のほうからの経営上の事情、つまり対抗機関の関係から、ある場合には併算制を希望し、ある場合には通算制を希望するというふうなことになっておりまして、まあむしろその希望を国有鉄道のほうがいれてやりまして、そういったまちまちの格好になっておるのが実情であろうかと思うのでございます。たとえば、まあできればやはりとにかく併算制か通算制かどっちかへ統一すべきで、あることは当然だと思います。
しかし問題は、いずれの場合におきましても利用者の負担に関係がございますし、あるいは両当事者と申しますか、つまり鉄道事業者の財政にも関係いたしますので、なかなか沿革的なそういう不統一というものが統一できないというのが実情なんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/114
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115・阿部竹松
○阿部竹松君 今の話ですね、そのまちまちだということであれば、通算制を希望している会社は通算制でやっている、併算制を希望している会社は併算制をやっている、そういう事態ではないのでしょう、現在の事態は……。ですから、それは国鉄当局なり、運輸当局が、私鉄の各社と話し合うのはけっこうですよ、しかしけっこうであるけれども、そういう、国鉄当局が差をつけるのはおかしいではないかというのが僕の言い分なんですよ。どんなに話し合っても、一方の会社と一方の会社と差をつけておく、一方の社線と一方の社線と差をつけておくということが、どうも私は理解できぬですよ。赤字になるからと、それは赤字になるかもしれませんが、しかしそれば総体的に国鉄全体、運輸省、あるいは国としてどうするかということであって、一つのばらばらにした社線の収入によって国鉄の営業というものを行なっていこうなど、それはあまり話が違うのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/115
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116・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) これは先ほども申し上げましたように、やはり面当著者の契約によることでございますので、当聖者の話し合いが進みませんと、一方的にやるというわけにも参りません性格のものでございますので、やむを得ないかと存じます。ただ、運輸省としましては、かつて併算制に極力切りかえるようにという指導をしたことはございます。つまりそれぞれの企業体は併算という建前で運賃原価もはじいておりますので、そういう見地から、そういう指導をしたことはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/116
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117・川上為治
○川上為治君 関連して。どうも局長がそういう説明をされると、また僕は質問をしたくなるわけなんですよ。というのは、そういう沿革の問題とか、国鉄の予算の問題とか、いろんな問題で非常にむずかしい問題があるということは、閣議決定前の問題であって、いやしくも閣議決定して、そういう方向でこれを実現するようにということをきめたということは、そういう問題はあるけれども、これをやはり強力に実行するということが、石炭対策の上から見て、どうしてもやらなくちゃならぬ政策なんだということで、お宅の大臣も一緒になって、これはきめたと思うんですがね。それを今日まで、まだ沿革の問題とかいろんな問題で話を昔に持ち返して、そして議論をされておるというのは、どうしても私にはわからないんですよ。
だから、さっきも申し上げたように、ひとつ、ほんとうに真剣にこの問題を実現するように相談をして、早く実現に移してもらいたい、こういうことを私は申し上げておるんですよ。あなたがさっき言われておることは、これは閣議決定の前の問題を、またここでおっしゃっておるような気がするわけなんですがね。閣議においては、もうすでに、これを実現するようにするということになっておるんですからね。その方向で、私は、そういういろいろな問題はあっても努力すべきだと、そう思うんですがね。いかがですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/117
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118・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) そのことにつきましては、先ほどお答え申し上げたとおりでございまして、できるだけすみやかに措置するように目下努力をいたしております。ただ、一方で通算制という制度をとっており、また一方で併算というふうなことはどうかというふうなお尋ねでございましたものですから、つい沿革的なお話を申し上げたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/118
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119・川上為治
○川上為治君 もう私は、これ以上申し上げませんが、阿部さんが言っておることと私の申し上げておることとは、実際は同じことになると思うんですが、言っておること自体は少し違うかもしれませんが、少なくとも閣議で決定されたものは、すみやかにこれを実行するようにしなければ、何のため閣議で決定するかということになる、まあ私はそう思うんですよ。あなたがおっしゃるようなことだというと、これは閣議決定前の問題であって、そういう議論をして、なかなかまとまらぬと、そこでどうしても閣議において、これをきめて強力に進めなきゃならぬということによって閣議が決定されたものだと、こういうふうに私は了承しておるわけなんですよ。でありますから、一日も早くこれは実現するように、ひとつ真剣にやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/119
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120・阿部竹松
○阿部竹松君 温厚でものわかりの最もいい川上委員すら、お聞きするところ、本件について、要望なり意見を開陳されているんですから、われわれがとにかく、いかにこの問題については不愉快を感じているかということは、おわりだと思う。ですから、次回の二十四日ですか、商工委員会に、運輸大臣と国鉄総裁を呼んでいただきたい。このお二人の局長さんといかに論争しても、これ以上一歩も話が進まぬというように私は判断をしますので、本件は、これで打ち切ります。
その次に、もう時間がありませんから、石炭局長さんに三つ、三つお尋ねして最後といたしますが、最前古田委員の質問の中に、産炭地域指定云々とございましたが、おそらく産炭地域振興臨晴措置法の四条、五条に指定されなかった地域を古田先生がおっしゃったのではないかというように、私は横におって推測しておったんですが、大臣の御答弁は、それはやっぱり実情に応じて、一回で決定するわけじゃ、ないから、そのつど検討してやりますよという、軽くお答えになったんですが、実情は、大臣の御答弁どおりでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/120
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121・今井博
○政府委員(今井博君) 大臣の御答弁の趣旨でけっこうだと思いますが、やや具体的に申しますと、実は最初にいろんな事情を調べて第一回の指定をやりましたが、おそらく、こういうものをやりますと、指定漏れがあるだろうということもございますし、それから新産業都市の法律の関係とか、あるいは低開発地域の関係で、いろんな指定が行なわれることが予想されましたので、そういったものが指定になる時期に、おそらく重複するものも出ましょうし、あるいは指定漏れになって、これはやはりどの法律かで指定しなきやならん、その場合に、この都市はやはり産炭地域振興法でやった低うがいいのじゃないか、いろいろなことを関係各省で相談しまして、二次的に、そういうものの指定の補正をいたしたい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/121
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122・阿部竹松
○阿部竹松君 次に法文の十九条ですがね、事業団法の十九条に鉱工とございますが、農を入れていただくわけにはいきませんか。たとえばボ夕山に果実を栽培するとか、あるいは水田を作るとか、これは鉱工でいきますと、農が全然入らんわけですから、それをまあ国会も末期になって衆議院を通過してきたのですから、ちょっと時間的にどうかと思いますが、農を入れていただくというわけにはいきしなせんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/122
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123・今井博
○政府委員(今井博君) 表現は「鉱工業等」になっておりますので「等」の中には、もちろん御指摘のものは入るという解釈でございます。その点御安心願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/123
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124・阿部竹松
○阿部竹松君 それから、主たる事務所は東京都へ置くということになっていますが、九州とか、山口、福島あるいは北海道というように何とかいいますか、事業団支所といいますか、あるいは九州事務所ということになりますか、そういう事業団の業務内容として、どういう構成で、そういう各地たえに置くものが、一切東京から指示を出してやるものか、その構想をちょっとでもいいですから、もし大体きまっておればお知らせ願いたいわけですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/124
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125・今井博
○政府委員(今井博君) どこに支部を設けるか、出張所を設けるかという問題は、正式には事業団ができまして、これは理事長が決定することになると思いますが、したがって、現在、われわわれが一応予算をはじきました考え方からいいますと、一応これは九州が重点でございますので、九州には当然支部を置かなきゃならんというところまで実はきまっておるといいますか、これはどういう理事長がきても、ここだけは間違いない。その場合に、北海道についても、当然議論になろうかと思いますが、北海道については、まだ方針はきめておりませんが、少なくとも出張所程度のものは設ける必要があるのじゃないかというふうに実は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/125
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126・阿部竹松
○阿部竹松君 最後に、労働省の安定局長さんにお尋ねいたしますが、一昨日、通産当局から、この合理化臨時措置法のほうですね、臨時措置法の適用によって休廃山になる——まあ休はなくて、廃山になる山ですね、買い上げられる山、それから保安法の改正によってつぶれる山、こういう人とを合わせて、約三万七千名、これが整理される、こういう報告を受けたわけです。これについて労働省のお世話できる内容ですね、お聞きしておきたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/126
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127・三治重信
○政府委員(三治重信君) 広域職業紹介をやりまして、産業地へ転職していただく。そのために、今後発生する人たちはおもに高年令者が対象になるということから、御承知のように雇用奨励金制度を作っているわけでございます。雇用奨励金で来年度は二万人を広域職業紹介に、今年度二万人を広域職業紹介に乗せる予定でございます。それからさらに職業業訓練所に入っていただく方には、別居手事、技能習得手当も出しまして、従来の失業保険にプラスそれだけをして、職業訓練を受けやすくして、その職業訓練を受けることによって就職を容易にするというふうにしております。さらに、そういう線で乗っていただく方には移転資金、それから雇用をする事業主には住宅確保奨励金を支給していこうというふうにしております。そういうふうにしていきますというと、われわれのほうとしては、大体においてできると思っておりましたが、さらに、先般の炭労の政策転換闘争に関連しまして、労働省として考えましたのは、そういうふうに乗せるけれども、やはりなかなか乗りにくい人があるということで、失業多発地帯につきましては、失業保険の給付を一カ月さらに延ばす、それから終閉山以外で第二会社を作る場合には、これは中高年令層がおもになりますので、その方が、数年たって離職される場合に、失業保険の長期給付の恩典がなくなるということで、第二会社の場合には、第一会社に引き続いて同事業主に就職している者というふうに、法律を拡張解釈しまして、そういう同一事業主に雇われたというふうな線を出さしていくというふうにして、今後対処できるのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/127
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128・阿部竹松
○阿部竹松君 三治さん、その職業訓練所へ入れていただくまではいいんだけれども、職業訓練所は職業でありませんから、出てからどうなるからということが問題なわけです。ですから、訓練所へ入れる計画と、訓練する計画とおありのようですが、もし六ケ月なら六カ月で出た人は、大体、仕事にありつけるというお見通しはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/128
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129・三治重信
○政府委員(三治重信君) 職業訓練所に入れらた方の職は、われわれのほうでは全員、それ以上オーバーして、必ず提供しております。ただ、その間に家庭の粛清で、うちが移れないとか、また一旦そういうふうに職業訓練を受けたのだけれども、自分はまた方針転換したとかいうふうに、途中、事情の変化、個人の希望で行かれない方が若干ございます。しかし本人が希望される場合には——大多数の方がされるわけなんですが、それはもうわれわれのほうとしては、絶対的に十分就職のお世話はできる態勢にあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/129
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130・阿部竹松
○阿部竹松君 以上で、私は二法案の質問は終わらせていただきます。
最後に、保安局長さんにお尋ねしますが、次の委員会で、保安法の改正案をお尋ねすることになっているようですが、そのためにお尋ねしておきたいわけですがね。高碕さんが通産大臣当時、鉱業法の改正をやります、それに伴って鉱山保安法は姉妹法であるから、鉱業法の大改正を行なうのであるから保安法の大改正を行ないますということを、しばしば当委員会で御答弁なさったわけです。また鉱業法の改正——鉱業法はあなたのほうの関係でないかもしれませんけれども、保安法の改正ということも、あわせてそのとき十分お聞きしているわけです。ですから、今度のはほんの一部分の改正ですが、鉱業法は聞くところによれば、この次の通常国会に出されるやに承っているわけです。そのときに、保安法の改正をされる用意があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/130
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131・八谷芳裕
○政府委員(八谷芳裕君) 先般補足説明でも申し上げましたように、鉱山保安法を抜本的に改正するという問題は、鉱山保安協議会の中に保安法の改正委員会を設けまして、過去においては前後八回、抜本的な方法で検討してきたわけでございます。このやり方といたしましては、関係の、現在七団体から、いろいろ要望事項が出てきております。これをもとといたしまして、それと私どもの事務当局のほうからの希望、こういうものを皆あわせまして、そうして逐次改正を要するものを協議してやっているわけでございます。そうして現在六項目にわたりまする改正点をやったわけでございますが、今後におきましても、さらに継続いたしまして、委員会において検討をしていく、こういうふうになっているわけです。
それでまた鉱業法の改正に伴いまして保安法の改正を要する点もまた出てくるかと思います。これは、現在要望が出ておりますものと、別個の面で起こる可能性も出てくるわけです。そういうものをあわせまして、現在設けております改正委員会のほうで引き続き検討を加えていく、こういうやり方をとっておりますので、現在出ておりますものは、中間答申でございます。次の答申は、おそらくこの鉱業法が次の通常国会になりますれば、それにちょうどあわせた程度になっていくかと予想いたしております。これはいろいろ非常にむづかしい問題が出て参りまして、各委員の方々、関係者の方々の御意向が、どういうふうになるかということは、いろいろ今予測できませんが、たとえば教育の問題等については、これは予算措置の問題等もありますので至急に検討していただくようにお願いしているわけでございます。それからそのほかの問題、たとえば請負純夫の問題、こういう問題も、さしあたり今度の改正をやったわけでございます。さらに資料が出て、整った場合に、どういう次の改正をやるかということになりますと、資料の出工合、それから整い工合によりまして、必ずしもこの問題は次の通常国会というふうに——これは一つの例でございますが、次の通常国会に必ず間に合うかどうか、こういう点が若干残ると思います。それでまあ、今度が第一次改正、こういうふうに考えておるわけでございます。逐次委員会で抜本的に保安法を解きほどきまして、各方面から検討を加えていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/131
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132・阿部竹松
○阿部竹松君 私どもがここで約束してから、もう数年になるわけですが、いつもほんの小部分の改正しか出てこぬのです。聞くところによれば、今局長さんの御答弁の中にございました審議会は、審議阻害委員会というあだ名があるそうです。ちょっと口が悪いですが、そのくらい審議が遅々として進まぬということです。局長さんが変わったことですから、ひとつ、八月になると、また予算措置を講じなければならぬ、大臣も要求をしなければならぬということになりますので、あなたはあまり国会へ呼ばないことにわれわれも努力しますから、ここへは来ぬでも、ひとつ誠意をもって、しっかりと抜本的な改正をやっていただくことを希望します。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/132
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133・武藤常介
○委員長(武藤常介君) お諮りいたします。
ただいま議題となっております三案のうち、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案及び産炭地域振興事業団法案について、他に御質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/133
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134・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 他に御発言がなければ、両案に対する質疑は終局したも一のと認めて御異意議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/134
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135・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 御異議ないと認めます。よって、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、産炭地域振興事業団法案、以上二業の質疑は終局いたしました。
なお、両案の討論、採決は都合により、次回に譲ることといたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後五時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02419620419/135
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