1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月二十四日(火曜日)
午前十一時九分開会
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委員の異動
四月二十日委員田畑金光君辞任につ
き、その補欠として曽祢益君を議長に
おいて指名した。
四月二十三日委員曾祢益君辞任につ
き、その補欠として田畑金光君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 武藤 常介君
理事
赤間 文三君
剱木 亨弘君
中田 吉雄君
牛田 寛君
委員
上原 正吉君
大泉 寛三君
川上 為治君
岸田 幸雄君
小林 英三君
吉武 恵市君
阿部 竹松君
岡 三郎君
近藤 信一君
吉田 法晴君
田畑 金光君
国務大臣
通商産業大臣 佐藤 榮作君
運 輸 大 臣 斎藤 昇君
政府委員
公正取引委員会
事務局長 小沼 亨君
通商産業政務次
官 森 清君
通商産業大臣官
房長 塚本 敏夫君
通商産業省鉱山
局長 川出 千速君
通商産業省石炭
局長 今井 博君
通商産業省鉱山
保安局長 八谷 芳裕君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞壽君
説明員
通商産業省企業
局参事官 江上 龍彦君
日本国有鉄道常
務理事 磯崎 叡君
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本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調
査
(石炭運賃に関する件)
○鉱山保安法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
○産炭地域振興事業団法案(内閣提
出、衆議院送付)
○石油業法案(内閣提出、衆議院送
付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/0
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001・武藤常介
○委員長(武藤常介君) これより商工委員会を開会いたします。
本日は、石炭運賃問題及び鉱山保安法の一部を改正する法律案の質疑を行ないましたのち、石炭関係三法案の討論採決を行ない、次いで石油業法案の質疑を行ないます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/1
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002・武藤常介
○委員長(武藤常介君) この際、石油業法案の参考人について御報告いたします。
本件につきましては、前回の委員会において委員長及び理事に御一任を願ったのでございますが、協議の結果、石油鉱業連盟会長三村起一君、石油連盟副会長南部政二君、東京電力常務取締役笹森建三君、エネルギー懇談会委員徳永久次君の四君に御出席を願うことにいたしましたので、御了承を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/2
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003・武藤常介
○委員長(武藤常介君) それでは、まず、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、石炭運賃に関する件について調査を行ないます。
質疑のある方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/3
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004・阿部竹松
○阿部竹松君 お尋ねする前に、前回の委員会で委員長並びに各党の理事さんにお願いしておいたわけですが、運輸大臣はお見えになっていただいておるわけですが、国鉄総裁がお見えになっておらぬ、その理由はいかなる理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/4
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005・武藤常介
○委員長(武藤常介君) ちょっとお答えいたします。十河国鉄総裁は病気のため欠席になっておりまして、その代理として磯崎国鉄常務理事が御出席になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/5
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006・阿部竹松
○阿部竹松君 国鉄には、私はっきり記憶しておりませんけれども、副総裁という制度がございまして、総裁事故あるときには副総裁が代行しておいでになるのが当然かと思いますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/6
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007・武藤常介
○委員長(武藤常介君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/7
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008・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/8
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009・阿部竹松
○阿部竹松君 御病気であればやむを得ないわけで、これ以上お尋ねいたしません。常務理事さんがおいでになっておるわけですが、常務理事さんの答弁する範囲内はどの程度まで御答弁願えるのでしょうか。国鉄の代表として御答弁願えるわけですか、常務理事というお立場にある方は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/9
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010・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 日本国有鉄道法の第十三条によりまして、常務理事の職務権限がきまっております。第十三条の四項に「常務理事は、総裁の定めるところにより、日本国有鉄道の業務の執行について総裁及び副総裁を補佐し、総裁及び副総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときはその職務を行う。」、こういう規定がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/10
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011・阿部竹松
○阿部竹松君 それではわかりましたので、これから質問に入るわけですが、特に運輸大臣はあまり時間がないそうでございますので、端的にお尋ねいたします。
第一点は、前回当委員会で論議されました石炭に関係ある二法案の論議の際に、たまたま国鉄運賃の問題が出まして、現在御承知のとおり、石炭が三年前から千二百円のコストダウンと、それから五千五百万トンの出炭量、こういう幾つかの規制があるわけですが、その中で、千二百円コストダウンする計画を立てた当時は、昨年の国鉄運賃の上昇ということは全然考慮に入れておらなかった。しかし、そういう問題が出て、運賃の値上がりが決定いたしましたので、まあ幾つかの、国鉄あるいは業者、その上に閣僚会議の決定か何かよくわかりませんが、決定に基づいて一部運賃の延納というような幾つかの方法をとっているようでございますが、特に一昨日の委員会で論議したことは、運賃の私鉄から国鉄を通算する場合の通算制、運賃の精算の場合の通算制と併算制との二つの制度がとられているわけです。ですから、何のために通算制と併算制の二つの方法を国鉄当局ではおとりになっておるか、こういうことなんです。お尋ねの要旨は、私どもに言わせれば、国鉄は公共企業体であるから通算制がいいか悪いか、併算制がいいか悪いか別問題として、私鉄、国鉄の連携というものは、勘定の方法は一つの方法でなければいかぬ、何のために二様の方式をとっていなさるかという点をお尋ねしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/11
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012・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 通算制と併算制の両方存在しておることにつきましては、私の答弁不十分であれば、磯崎理事からお答えをすると思いますが、私は国鉄、私鉄両方の関係の立場にあって申し上げたいと思いますが、国鉄、私鉄それぞれ運賃制度を持ってやっているのであります。そこで、国鉄と私鉄、あるいは私鉄相互の間において一貫輸送に持っていく場合に、通算制をとるか、あるいは併算制をとるかということは、それぞれの企業体の話し合いによってやっていくというのが今日の現状でございます。これは企業体がそれぞれ違うわけでありますから、したがって、一貫輸送をやるということは、これは運輸の便を得るわけでありますから、運輸当局といたしましては、そういう可能性のあるところは、できるだけ一貫輸送に持っていけるようにいたしており、そういうことをとっておりますが、しかし、運賃精算の場合、通算制にするか併算制にするかということは、それぞれ企業体の考え方にあるわけで、いわゆる併算制によって荷物は非常にふえる、あるいは乗客がふえるような場合は併算制をとるでありましょうし、また通算制をとるでありましょうし、通算制をとってもそういう見込みがないようなところは、おそらく併算制でやっているんではなかろうか、私はさように思っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/12
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013・阿部竹松
○阿部竹松君 運輸大臣はお忙しいようですから、運輸大臣に集中してお尋ねして、そのあと国鉄の常務にお尋ねします。そうしますと、運輸大臣のお答えでわかりましたが、企業体と国鉄当局と話し合いで通算制なり併算制をやっているのですが、したがって、一つの企業体は併算制、一つの企業体は通算制ということはあり得るわけですが、しかし全部の企業が併算制にしてくれと言った場合には、そのとおりに国鉄当局でやってくれるわけですね。そういうことに御答弁を解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/13
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014・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 両方の意見が一致すればそのとおりになって参ると、こう了解いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/14
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015・阿部竹松
○阿部竹松君 両方の意見が一致すればということが納得いかぬのです。一つの私鉄はすでに併算制を施行しておるわけです。もう一つのほうは通算制をすでにやっているわけです。ですから、端的に申し上げると、通算制のほうは、併算制よりもこれは総体的に運賃が幾らか安くなるわけです。ですから全部通算制にしてくれんかというのが、たまたま北海道に私ども、自民党の川上委員も同行されておったわけですが、そのとき強い要望を受けた。ですから一カ所の私鉄がすでにやっているものであるから、もう一カ所やって下さいと言った場合には、あなたのほうではよろしいということになるのでしょうね、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/15
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016・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 一方の私鉄が通算制をやってくれということを国鉄に申し出た場合に、運輸省はどうかと、こういうお尋ねでございますか。その場合に、国鉄もそれに賛成すれば、通算制が実施できる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/16
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017・阿部竹松
○阿部竹松君 そうすると、運輸大臣の管轄でなくて国鉄の問題だと、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/17
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018・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/18
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019・阿部竹松
○阿部竹松君 それでは運輸大臣忙しいでしょうから、私お尋ねすることはよろしゅうございます。
次に、国鉄の常務の方にお尋ねいたしますが、今お尋ねしましたその件は、昨年閣議で決定を見ておるわけですね。それを何であなたのほうでは実行しないか。その理由を承りたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/19
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020・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) この件につきましては、過般の当委員会で営業局長から一応いきさつを御説明いたしたと思います。ただ事柄が多少事務的なことになって恐縮でございますが、いささか詳しく御説明申し上げます。
ただいま先生の御質問の、通算と併算の問題でございますが、これについてはいろいろ諸外国におきましても議論がございます。そうして日本の私鉄と国鉄におきましては原則として全部併算制でございます。極端に申しますれば、たとえば旅客運賃につきましては全部併算でございます。たとえば小田急の経堂から東京駅まで切符をお買いになれば、新宿までの小田急の運賃、新宿−東京間の国鉄の運賃それを合わしたものでございます。これがいわゆる併算でございます。
貨物運賃につきましても、明治何年以来ずっと併算でやっており、その後戦争中にたいへん事務が複雑になりましたので、それを通算制になおしたが、終戦後またもとの原則に戻そうということになったのでございます。その際に数社におきましては、併算にして自分のところの運賃収入はふえるが、しかしそれによって貨物が減る。貨物の減ることによる収入減のほうが大きいから通算のままに残しておこうじゃないか、こういう若干のあれがあったのでございます。たとえば三井の夕張などはそのときから通算になっております。すなわち戦争中の通算制をそのまま残したというのが数社ございます。その後御承知のとおりトラックが非常に進出して参りまして、私鉄の貨物と申しますのは、大体八〇%までが私鉄から国鉄に来る貨物であります。したがいまして、私鉄と国鉄と通算したほうが私鉄としては貨物が多くなるという意味で、現在約三十社が通算制、三十社が併算のままでございます。そういう現状でございまして、その後今日まで至っておるわけでございますが、ただいまお説のとおり、通算と併算のいずれにするかは、私鉄と私のほうの意思の合致によって、これをやるということになっております。当事者同士の物理的な車の直通は当然いたしておりますが、運賃計算につきましては、それと別な方法が考えられております。その後、昨年の運賃値上げの後に、御承知のとおり、先ほど先生のおっしゃったように、七月だったと記憶いたしますが、閣議決定がございまして、いわゆる石炭運賃の延納をすることになったわけでございまして、それについていろいろ具体的な問題もございましたが、延納いたしまして、すでに今日ではほとんど大部分のものは延納いたしております。その後、昨年の暮れになりまして、その延納についてのいろいろな事務的な問題、さらに同時に石炭運賃について今の併算というものを通算に措置するようにしろという閣議決定がございました。先ほどから申しましたように、通算と併算の問題はきわめて事務的にむずかしい問題でございまして、しかもこれによります私のほうの運賃の減収は、もし石炭運賃だけ通算いたしましても、約三億前後の減収がございます。で、私鉄と合わせますれば約四億の減収でございます。したがいまして、私どもといたしましては、その減収をどう補てんするかということは当然考えなければならない問題だと思いますし、一方、すでに私ども国鉄といたしましては、石炭運賃の延納問題によりまして、一応運賃値上げと先ほど先生のお話の石炭価格の問題との関係は済んだというふうに考えておりました。ところが十二月になってそういう問題が起こったわけでありまして、これは私のほうにとりましても財政上の問題でもございますので、そういった方面も検討し、また通産省御当局に対しましても、何らかの補てんと申しますか、何らかの国家において御負担を願いたいというお願いをいたしておったわけでございます。私どもといたしましては、当然十二月の初句に閣議決定がでございましたので、本国会中に予算措置あるいは法律措置等がとられるものと思っておりましたが、今日まで私寡聞にして伺っておりませんが、そういうことについて通産省御当局の、私鉄の問題は一応所管外、国鉄の問題について、国鉄の損失についてどう考えるかということについて、いろいろ通産省御当局の御意見も伺っております。
そういう問題と、事務的に、先ほど申しました延納の問題と、この通算、併算の問題とひとつからんでおります。すなわち延納事務と申しますのは、非常に複雑な問題でございまして、発駅におきまして延納事務をいたします場合には、それは政府からの命令によって延納いたしますが、私鉄は必ずしも延納する義務がございません。それが十二月になりまして、運輸省の行政指導がございまして、それでは私鉄も延納しようということになりまして、そうして——これはたいへんこまかいことで恐縮でございますが、貨車一車々々の、通知書と申しますが、通知書によりまして国鉄が幾ら、私鉄が幾ら、国鉄分の延納額が幾らというこまかい計算をいたします。それが全部現場の事務になりますので、そういったことの指導徹底について相当時間がかかります。いろいろの現場における複雑な業務がございますので、今日まで延引いたしまして、最近石炭の延納についての連絡運賃のとり方がやっときまったわけであります。今後、去る十二月の政府の閣議決定によりまして、私どもといたしましても、業界のおっしゃることも、政府のおっしゃることもわからないではございませんので、すでに通産省がこの問題に対してどういうようなお考えをお持ちになるかというようなことも、私どもの意見も申し上げ、また通産省の御意向も参酌いたしました上で、この事務を進めて参りたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/20
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021・阿部竹松
○阿部竹松君 ただいまの御答弁の弁解じみたことは、前回の委員会で、国鉄の営業局長にお出で願ってお尋ねしたわけです。ただいまの御答弁を聞いておりますと、閣議決定は、できないことをきめたということになりますね。そういうことになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/21
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022・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) できないこととおっしゃいますのは、どういう意味でございますかよくわかりませんが、不可能なという意味ではございません。しかし影響が非常に大きい。しかも数億というものであって、国鉄が数億減収いたします際に、数億減収いたしましても、私のほうの経費は減らないわけでございます。すなわち、まるまる運賃収入がそれだけ減るというふうに御了解願いたいと思います。すなわち普通ならば、たとえば輸送量が減って減収があれば、それだけ業務量が減るわけでございますが、これは業務量が減らないで、収入だけ減るわけでございます。たとえ三億でございましても、逆に三億分をかせぎ出そうといたしますれば、約十億ないし十五億の水揚げをしなければかせぎ出せない。したがいまして、国鉄におきましては、三億と申しましても、非常に重大な金でございます。したがいまして、財政上相当大きな影響があるわけです。
しかも私どもといたしましては、運賃理論から申しますれば、一昨年これは昭和三十二年から三十四年までにわたりまして、約三年間、これは前、三十二年の運賃改正のときに、国会等の御要望もあって、運賃制度調査会というものを作りまして、そうしていろいろ貨物運賃についても検討いたしました。その際にこの連絡運賃につきましてもいろいろ検討いたしました結果——会長は原安三郎氏でございます。そのメンバーはいろいろ各方面の学識経験者、もちろん農林、通産省も入っておられます。そういった方々で構成した運賃制度調査会におきましても、国鉄と私鉄との連絡運賃というものは併算が建前であり、併算とすべきものである、こういう御決定が出ているわけであります。そういう御決定が出ているにかかわらず、今後通算をふやせという問題でございますので、その調査会の決定との問題もいろいろございます。そういう理論上の問題もございまして、私どもといたしましては、そういう面を十分究明いたしまして、そうして一方現場における事務を進めていく、こういうことになると思います。したがって先生の御質問の、不可能であるかどうかということについての御答弁にならないかと思いますが、私どもとしましては、理論的におかしいというふうに申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/22
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023・阿部竹松
○阿部竹松君 そうすると、閣議決定は不可能なことをきめたのじゃないけれども、理論的におかしい、こうおっしゃるわけですね。しかしそういうことになってくると、ますます私はあなたのほうがおかしいと思う。国鉄一家とまあ俗に言われておりますがね、あなた、公共企業体と私企業と間違っておりませんですか。あなたのおっしゃった三井夕張という鉄道は私はどこにあるか知りません。そういうのは私はおそらく日本にないと思いますが、具体的に例をあげてみますと、たとえば三井芦別鉄道と、それから夕張あるいは美唄、こういう鉄道と全然違うわけなんです、計算方法がね。ですから一つのほうの会社は、若干コストの安い石炭を室蘭を通じて東京へ持って来る、一つの会社はそういう制度をとっておらぬために、やはり運賃コストの高いのを室蘭を通じて東京まで持ってこなければならない。あなたのほうは旅客ですね、東海道を走る流線型も北海道の稚内のぼろぼろ列車の運賃も同じ運賃を取るでしょう、一キロ幾らと。そういうことをやっておきながら、片方では三億の赤字だからといって、一つの制度をなくさぬで、そちらのほうはぬくぬくと幾らかコストの安い運賃でもって運んであげるということは、公共企業体としておかしいのじゃないですか。確かに三億円の赤字で、これは苦しいでしょう。しかし苦しくても一方ではみてやって、片方はみておらぬ。みてやらぬ理由としては、三億円の赤字になるのは不合理な話で、それは国鉄全体として処理すべき問題だと私は思うのです。そういうことを閣議は決定したわけです。同じレベルにしなさいということは閣議の決定です。その閣議の決定が理論的におかしいとはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/23
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024・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいま先生のおっしゃいましたことに関連いたしますが、たとえば私鉄と国鉄との運賃、ことに貨物輸送につきましては、私鉄だけの貨物輸送はほとんどございません。大体私鉄から出まして、出ました貨物の八割方国鉄に持って参ります。その際たとえば私鉄が十キロ、国鉄が五十キロ、こういう輸送をいたしたといたしますと、その際に私鉄は十キロ——物理的に距離が十キロあるというものが必ずしも同じ運賃ではございません。これはまず私鉄と申しますものは、貨物運賃につきましては、一種の擬制キロ、擬制と申しますのは、なぞらえるという意味です。たとえば十キロのものを十五キロに計算するあるいは場合によっては十キロのものを二十キロに計算する、こういうことが許されておるのです。これは地方鉄道法によって許されておるやり方です。したがいまして、たとえば同じ私鉄で、片方が、同じように十キロ私鉄に乗って国鉄に参りましても、運賃が違う場合があるわけです。したがいまして、ただいまおっしゃいましたような例につきましては、同じような私鉄で、同じような距離を利用しても、運賃の違う場合があるということは、現実の問題でございます。さらに旅客運賃ならば、私鉄運賃が違うので、当然旅客運賃は私鉄、国鉄同じ距離乗りましても、運賃が違う。さらに、もう一つ申し上げておきたいことは、先ほど閣議決定につきましては、これは石炭運賃の閣議決定でございます。私どもといたしましては、ただいま先生のおっしゃいましたように、公共企業体でございますので、まず運賃につきましては、国有鉄道運賃法の制約を受けるわけでございます。この国有鉄道運賃法の、これは昭和二十三年に法律になったものでございますが、これの第一条に、国有鉄道の運賃というものは、公正妥当でなければいかぬ、これは当時の、これは英文でございましたが、当時の訳といたしまして、これは利用者に平等でなければいかぬ、こういうふうに解釈されております。ただ貨物運賃につきまして、利用者に平等でなくていい場合は、運賃法に例外規定がございまして、運賃法七条に貨物運賃というものはこういうふうに取るのだ、その距離においては遠距離逓減制で取り、貨物の品質別に等級で取るのだという二種類の面からきた、貨物運賃は差別待遇が認められている、それ以外に、逆に申しますれば、それ以外のものは、貨物運賃というものは差別待遇をしてはいかぬということに解されるのですが、ところがこの閣議決定は石炭だけを通算しよう、こういう閣議決定でございますので、そういたしますと、それでは石炭と石炭以外の荷主、たとえば石炭が山元から室蘭に送ります石炭、私ども五級と申します五級の貨物運賃、逆に室蘭から山元へ送ります五級の貨物運賃が違うということは、これは理論的に私は非常におかしいと思います。すなわち石炭の場合だけ運賃が安くて、同じ等級で同じ距離を運んでも同じ鉄道を利用して運賃が違うということは、これは運賃法の原則に反すると、私はそういうふうに考えております。しかしこれはそうではないということについていろいろ議論があると思いますけれども、結局、私どもといたしましては、もし石炭だけを通算にいたしますれば、結局運賃法の建前から申して石炭以外についても通算すべきものだというふうに考えます。そうすると、先ほどの三億と申しましたものは、全私鉄の全通算ということにすれば約十億になります。したがいまして、私どもといたしましては決して怪々な金ではないし、そういった意味で、そこまでこの閣議決定は理論的にお詰めになってできたものかどうかということにつきましても、いろいろ伺っておりますけれども、石炭だけやるのか、石炭以外についてもやるのか、そういうことについても必ずしも明確ではない。またその場合に国鉄に対してどういうような、何と申しますか、御補償を願えるかということについても御検討ができていないというふうに伺っております。しかし通産省においてもいろいろ検討されておるようでありますので、今後十分御相談いたしまして、私どもといたしましては善処いたしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/24
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025・阿部竹松
○阿部竹松君 私がさいぜんから申し上げておることは、石炭関係二法案に基づいて問題が出発したですから、石炭に限定して閣議決定を云々言うているわけです。あなたのおっしゃる三十社は併算制で、三十社は通算制だという、国内全部のことから言っているわけではない。しかし今聞いてびっくりしたのは、閣議決定を少なくとも総裁、副総裁に次ぐ国鉄常務理事であるあなたが閣議決定を了承しておらぬということは、これは初めてわかったが、そういうことは石炭だけやるのか、全部やるのかどうかわからぬという今の御答弁ですね。そうであっては、とても私がここであなたにお尋ねしても閣議決定を知らないのですから、これは大へんな問題だと思うのですがね。六カ月もたって閣議決定を知らぬ、国鉄首脳部の——一課長とか部長ならいざ知らず、ほんとうに知らないわけですか、あなた。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/25
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026・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 三十六年十二月九日付の閣議決定をここに持っております。この閣議決定は運輸省から正式にいただいております。しかしそれはあくまでも件名が「石炭運賃の軽減対策について」という件名でございます。石炭運賃以外についてどういうふうな措置をしろということにこの閣議決定はきまっておりません。したがいまして、私は先生が閣議決定を知らぬとおっしゃいましたが、この閣議決定は手元に持っているので十分知っております。しかしながら、石炭運賃以外についてどうすべきかということについて閣議決定は指示がございませんという、そういう意味で申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/26
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027・阿部竹松
○阿部竹松君 速記録が出たら速記録を読んでごらんなさい。あなたの答弁はまちまちです。これはてんでんばらばらで、悪くてもよくても一本化した答弁でなければ困るのです。したがいまして、私は石炭に限定してさいぜんからお尋ねしているのだが、そこで当局としては一体どうするか、これを。延納の問題ができて、手続上なかなか複雑になってきたので仕事はふえた面もありましょう。しかし閣議決定してから、あなたのように理論的にこれはおかしいのだというお考えなら別問題ですが、しかし少なくとも閣議決定を守ってもらわなければならぬという立場に立つならば、何とか処置しなければならぬ。一方の鉄道の運賃は安くて、一方の鉄道の運賃が高いというようなことは、公共企業体としてとるべきではないのです。これはあなたもおわかりと思いますが、なんでしょう、そうすると、公共企業体であるからやはり公、平に取り扱わなければならぬ。国鉄が閣議決定までみているのだから、すでにそれが半年過ぎてしまったのですが、これを実施に移して参らなければならぬ、こういう点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/27
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028・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 同じことを繰り返して恐縮でございますが、公共企業体といたしましては、先ほど申しましたとおり、運賃法と国有鉄道法の制約下にあるわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、閣議決定がございましても、もちろんその閣議決定を法律の範囲内で実施するのが私どもの義務だと考えております。したがいまして、もし閣議決定を実施した際に、たとえば硫化鉱なら硫化鉱というものについて、これを通算しろというお話があった場合に、どうして石炭だけ通算して硫化鉱を通算しないのかというような問題、あるいは農林物資についても、リンゴならリンゴをどうしても通算しろというお話があった場合に、結局、石炭だけの問題にとどまらず、理論的にもそうであってはおかしいという私どもの意見でございます。私どもは意見を申し上げる自由は持ちませんが、そういう立場でございますので、私どもといたしましては、これがどこまで通算制を拡張しようかということが、今後広がっていくかということについて、政府のはっきりとお見通しをいただかなければ非常に困るというので、いろいろ通産省あるいは運輸省にお願いしておるわけです。大体そういうことについて、運輸省その他当局、石炭だけやるという御意見もございます。逆に、石炭以外について、こういうことが別問題だということがはっきりいたしますれば、これはそれとして、法律の解釈でございますので、私ども法律を解釈する自由を持ちません。したがって、法律解釈どおりということになると思います。したがいまして、私どもといたしましては、その理論的な問題と、現実に国鉄に対する、国鉄と申しますか、私鉄も含めて、鉄道の収入減の問題の補てんの対策、さらに現場にこの事務を徹底いたします事務的な問題、この三つの問題を控えて、最後の問題は私どもだけの問題でございますが、初めの二つの問題は、運輸省、通産省の御意向を伺わなければ、私どもだけでは措置できないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/28
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029・阿部竹松
○阿部竹松君 斎藤運輸大臣が、あなた聞かれておるとおりで、これは国鉄のきめることで運輸大臣関係ありませんと答弁している。あなたの答弁は、運輸省、通産省とも——大臣の答弁と食い違う。
それからもう一つ、あなたのお話を承っておると、閣議決定を守りますかという質問に対しては、法律の範囲内で守ります、こういうきわめて余韻のある言葉なんです。それからまた、御答弁を黙って承っておると、閣議の明確な指示がなければならぬということは初めははっきり申しておらぬわけですが、黙って聞いておりますと、つまり三億あるいは十億と称せられておる赤字を裏づけしてくれればというようにもとれる御答弁なんです。あなたのほうで閣議決定をやるかやらぬか、こういうことをお尋ねするのと、もう一つは、法律の範囲内ということですから、どこまでが法律の範囲内で、どこまでが閣議決定が法律の範囲外ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/29
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030・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 先ほど大臣がおっしゃいましたのは、通算制にするか併算制にするかにつきましては、両方の運送業者が意見が合致しなければできないという意味でおっしゃったわけであります。したがって、これは大臣の、何と申しますか、おきめになることでなしに、両方の運送業者の意見の合致があって、初めて通算制にするか併算制にするかということになるわけであります。そういう意味で、大臣の申し上げたことと私の申し上げたことと食い違っておらぬと思います。あるいは申し上げ方が不十分であったかもしれません。
それから、閣議決定と法律の問題、これは私どもしろうとが申し上げることでございませんが、あくまでも、たとえば運賃に関することは、私どもといたしましては、昭和二十三年の運賃法によってなさるべき、運賃というものはきめられるものであり、運賃法の範囲内において初めて閣議決定も有効である、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/30
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031・剱木亨弘
○剱木亨弘君 ちょっと、私承っておると、運賃は貨物の等級によって差別待遇してはいけない。そうするということに、石炭だけ通算制をするのは理論上おかしいという。しかし、同じ石炭の中で通算制と併算制をやっているところがあるという、現実に石炭にすでに差別待遇している、石炭だけについても。線路によって同じ国鉄で差別待遇しているという、すでに国鉄は法律違反をやっているということになるのじゃないですか。いま一つは、国鉄とそれから私鉄との間の契約によって通算制でも併算制でもできると、こうおっしゃったが、法律に差別待遇してはならぬという大前提があるなら、そういう自由裁量の権限がない。通算制にするか、併算制にするか、差別がつかないようなことを国鉄がとるように国鉄は法律で縛られておるのじゃないか。ある線については通算制をやって、ある線は併算制をやっているということになると、運賃そのものは同じもので、現に差別待遇が行なわれて法律違反をやっていることに私はどうもなるような御答弁のように承ったのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/31
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032・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) その点は私の御説明が不十分だったので、そういうふうにお聞きとりになったかもしれませんが、国鉄といたしましては、国鉄線内における輸送につきましては、貨物等級表並びに距離によりまして、これは差別待遇はできません。したがいまして、たとえば一級から十級までございますが、各等級にきめられました運賃以上の運賃をとることもできませんし、それ以下の運賃もとることができません。それから私鉄との連絡の場合、私鉄と国鉄の両方の意思の合致が必要でございます。したがって、この私鉄は通算制をとる、この私鉄は併算制をとるということは、両方の意思が合致した場合にできることでございます。これは運賃法第九条に、適用の細目については国鉄総裁がきめるということが書いてございます。したがいまして、たとえば、さっき例で申し上げましたように、同じ私鉄でも、たとえば私鉄が十キロで国鉄が十キロの場合にも運賃が違う場合がたくさんございます。すなわちその場合には、私鉄が十キロという、物理的にAからBまでの距離が十キロという場合に、営業キロと申しまして十五キロに計算し、二十キロに計算するということが許されております。それは、運輸大臣の認可があれば、貨物の営業キロを設定することができるということになっております。したがいましてそういう場合には、同じ私鉄十キロ、国鉄十キロでも、同じ距離で、しかも同じ等級で運賃が違うということが現実にあるわけでございます。それは法律の許容する範囲内でございます。しかしながら、同じ一つの私鉄と国鉄とまたがった場合につきましては、これは同じ運賃でございます。すなわち、石炭なるがゆえに安いとか、石炭なるがゆえに商いということでなしに、貨物等級表の第五級の運賃を距離によっていただくということになっておりまして、私鉄、国鉄双方比べて下さいますれば、当然違うこともあるのでございます。ある私鉄と国鉄という場合、これは同じ一本の運賃、一つの運賃制度のもとにやっておりますが、私鉄が違いますれば、運賃及び運賃制度が違うということは、これは、私鉄のほうは地方鉄道法によって許されておりますので、国鉄と私鉄の場合は当然運賃が違ってくる、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/32
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033・剱木亨弘
○剱木亨弘君 どうもそこらの説明がわからないのですが、同じ線路になっていて、その線路を走るときに、相手が違うと運賃が違ってもいい、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/33
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034・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) その点は国鉄の場合には、いわゆる距離比例制でなしに遠距離逓減制という運賃をとっております。したがいまして初めの十キロ、たとえば百キロ輸送の場合の運賃を例にとってみますと、初めの十キロと最後の十キロは運賃が全然違います。そういうことは許されておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/34
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035・剱木亨弘
○剱木亨弘君 僕はそういうことを言っているのじゃないので、同じ遠距離逓減の法則そのものが差別待遇しているじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/35
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036・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) それは全く差別待遇いたしておりません。遠距離逓減の法則は賃率表によって違っておるわけであります。その表をそのまま適用しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/36
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037・阿部竹松
○阿部竹松君 閣議決定が理論的におかしいという人とこれは議論しても始まりませんが、とにかく同じ北海道、これは例がたくさんあるのですが、芦別の鉄道は通算制、美唄の鉄道は併算制ということをあなたのほうでおやりになっているわけです。一方のほうは芦別のようにして下さいということで相当国鉄に陳情や要請をやっているようなんです。私ども参議院の当委員会の調査団として行ったとき十分話を承りました。なるほど私どもも、同じ石炭で、これを一方の私鉄は併算制、一方のとにかく鉄道は通算制ということで、これはおかしい。閣議の決定もあることであるから、これは中央に行って委員会に報告して、ひとつ努力いたしましょうという話は、いろいろと御意見を承る中でしてきたわけですが、あなたのように閣議決定が理論的におかしい、こういう人といくら話してもどうにもなりませんから、しかるべく委員会であるいはもっと責任ある方にお尋ねしてみたいので、国鉄の常務のお答えではとうてい満足できませんので、私は常務に対する質問は打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/37
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038・川上為治
○川上為治君 私はこの前国鉄あるいは運輸省に対しまして質問をしたのですが、きょうもう一ぺん御質問したいのですが、十二月の初めの閣議決定で、通算制の問題についてははっきり決定をみておるわけですね。先ほどからいろいろ答弁のあったそういう問題については、たとえばこれは法律的に見てあるいは理論的に見ておかしいかどうか、おかしくないかという問題とか、あるいはその国鉄の非常な損失が起きる補償の問題とか、そういうような問題については、これは十分討議した上で、私は閣議決定があったと思うのです。また閣議決定というのは、そういうことをやって初めて閣議決定されるべきものだと思うのです。ところがそれ以来、半年近くなって全然是正されていない、私はその点に非常におかしい点があるんじゃないかこう思うのです。いやしくも閣議決定ということは、それ以前に事務当局間なりでいろいろ検討して、それで話がなかなかまとまらぬ、理論的にどっちが正しいかということについてもまとまらぬ、そういうような場合において、閣議において最高の方針として決定を私は見るものだと思うのです。だからいやしくも閣議決定があったならば、その方針に従って国鉄当局はそれに対して実行するようにあらゆる努力をすべきだと思うのです。ところが今まで話を聞いてみますと、理論的にもおかしい。また損失補償の問題もある、こういう閣議決定以前のことをいろいろお話されておるのですが、その点が私はどうしても納得できない、非常におかしいのです。いやしくも閣議決定した、これは私は当然実行に移していくべきものだと思うのですが、あなたのおっしゃることは、閣議決定前の話をされておるのであって、あなたのようなそういう意見もあったと思うのです。あるいは別の意見もあったと思うのです。理論的にはおかしくない、法律上当然許容されているものだ、それから石炭対策として特別に、ほかのいろいろなやつを認めるのではなくて、石炭だけ認めるのだ、こういう議論があって、それでいろいろ話がまとまらぬものだから、じゃ、最高の閣議決定でこれはさめようということになって、運輸大臣も、あなた方の感服されている運輸大臣もちゃんと出て、そうして了承しているんじゃないかと思う。それを今ごろ、いや、理論的におかしい、あれは法律上おかしい、だから閣議決定は非常におかしいのだというようなことをおっしゃるということは、どうも非常に私はおかしなことだと思うのです。おかしなことだとあなたはお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/38
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039・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 私は先ほど阿部先生にお答えいたしましたように、この点については、硬論的な問題と国鉄の財政的な問題と、現場に対する事務の浸透の問題と、おおむね三つに分けて検討することができると思います。
第一の理論的な問題は、先ほど来、るる申し上げましたとおり、私としては長年運質をやっておりますが、理論的におかしいという議論を持っております。しかしながら、これは先ほど来申しましたとおり、法律の最終的解釈は私どもでございません。政府でございますので、政府が理論的にいい、しかもよその物資に波及させないからいいんだ、さらによその物資からそういう要請があってもかまわない、こういう法律的な解釈が現行の運賃法上できるならば、それはけっこうだと思います。第一の問題はこれは先ほど来申しましたとおり、法律問題は国鉄の関与できる問題ではございません。これは政府、国会の御解釈によるものが当然だと思います。
第二の問題につきましては、川上先生のおっしゃるとおり、閣議決定前の問題です。閣議決定前の問題としまして、この問題につきましては、七月の延納問題におきましても、非常に議論した点でございます。延納につきましては利息を付さないということを前提にいたしまして、とにかく三年間棚上げという、年間約十三億、合計、累積して約四十億の棚上げを約束いたしました。しかしながら、私どもといたしましては、その分は返していただきたいということでもって、返すことにつきましてずいぶん議論いたしました結果、まあ担保あるいは補償につきましても、相当何べんも論議いたし、そうして最後にさらに二度目の閣議決定として、初めて担保について確実な話ができたわけでありまして、御承知のとおりそれまではほとんど実施できなかったような段階でございます。そういうふうに財政上の問題につきましては、私どもとしましてもきわめて重大な問題でございまして、ただいま先生のおっしゃったとおり、閣議決定前に当然この問題は解決さるべきであり、また当然通産省としても国鉄に対して、こういうようなことをする方針だということを明示されてしかるべき問題であったと思います。不幸にして私どもはまだその話を承っておりません。私どもは十二月閣議決定になりましたので、当然先ほど申し上げましたように、今国会に法律的ないし予算的措置ができる、しかも法律的措置につきましては、延納についての合理化事業団の法律改正はたしか提案なすったというふうに承わっておりますが、それを片方の延納はすでに提案なすっている、そうして国鉄の損失については何らお話がない、あるいは将来のお話として考えられるのかもしれませんが、今のところ私どもといたしましても、通産省の事務当局に伺ってもあまり明確なお答えがいただけない。まさに先生のおっしゃいましたとおり、これは閣議決定前の問題でございます。私どもといたしましては、その問題全部について閣議決定はいかぬというのでは、第二の点について私は閣議決定を非難いたす理由を持ちませんが、当然通算制に改めるように措置するというふうに閣議決定になっております。私どもも措置する以上、閣議決定前の問題も当然何らかの形で私は解決されるべき問題だというふうに考えております。
さらに第三の問題につきましては、これは先ほど来申しましたとおり、私どもの現場も御承知のとおりの状況で、非常にごたごたいたしております。やっと延納についての問題だけが解決いたしまして、今後この通算をいたします場合に、いろいろ規程の改正その他をいたしますが、それについてはこれは先ほど来申しましたとおり国鉄だけの問題で、これはもしやるといたしますれば極力誠意をもってやりたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/39
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040・川上為治
○川上為治君 私は、もう閣議決定しているのですから、その方針を実行してそれで損失補償の問題が起きれば、それは別個の問題として閣議に要求するなり、政府に要求するなりして、そうして跡始末をつけるべきじゃないかと思うのですよ。すでに閣議はちゃんと実施するということになっているのですから、それを実施したのちに、そういうわけで問題が残っているのだったら、政府にあなたのほうから要求して、そうして補償措置をとってもらったらいいんじゃないかと思います。それをやらないで、そうして閣議決定の方針も実行しないというのは、しかも半年もたって、そうしてそのままほっちらかしてあるというようなことじゃ、これは何のために閣議決定をしたのか、何のために石炭対策を立てたのか、さっぱり私はわからぬということになってくると思う。そういうようなことをされるから石炭対策というものは円滑にいかないと私は思うのですね。でありますから、補償の問題があれば、その問題は実施したあと、今でも一生懸命政府と折衝して、そうしてきめてもらえばいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/40
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041・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) その点閣議決定の第二項、十二月九日の閣議決定の第二項に「石炭運賃に係る通算制の採用」というところに「改めるよう措置する。」と書いてございます。私はこれは国鉄が措置することと同時に、先ほど先生のおっしゃった閣議決定前の問題についても当然適当に措置せられるべき問題だというふうに了解しております。したがいまして、私どもが半年日を無にしたといっておしかりを受けましたが、やはり私どもといたしましては、その損失補てんについての何らかの見通しその他が当然立てられるべきだというふうに考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/41
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042・川上為治
○川上為治君 私もこれ以上聞きませんが、これはもう半年たっているのですね。その間何べん政府と折衝し、どういう相談が今までされているのか、私は詳しい話を聞きたいと思いますが、これはもうあえてきょうは聞きませんけれども、私はいやしくもその閣議決定の方針については、やっぱりこれは実行し、補償の問題が起きればあとで解決するということでいいんじゃないか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/42
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043・小林英三
○小林英三君 今の阿部君の御質問の経過、それから川上君の今おっしゃったことから考えましても、私は当然だと思うのですね。今の常務のおっしゃることは補償が云々とか、まだしてもらえないとか、運賃関係の延納が云々とかいう話もありますけれども、政府が閣議決定して、しかも運輸大臣が参加して、その前には次官会議があるのですよ。すべての問題を検討して、もし決定したならば、それは補償とか、そういう問題はどんなことが書いてありましても、必ずしも、やるやらぬの問題じゃない、閣議決定した以上は、すでに通算制にしなくちゃならない、いやしくも国鉄でしょう、国のものだ、その政府が決定したものはまずその体制に変更して行く、そうしてそのあなた方のほうの補償とか何とかいう問題は、政府に迫れば政府は実行するでしょう。それをやるまではこいつはやらぬぞというような格好を半年もするということは、これはどうも私ども常識では判断できないことだと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/43
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044・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) やるまではやらぬかというようなたいへんきついおしかりを受けましたが、私どもの考えでは、先ほど申しましたように、閣議決定されます前に、いろいろ事務的な折衝がございます。その事務的な折衝がそのまま閣議決定になったということについても少し問題がございます。これは先生がおっしゃったとおり、閣議決定されたことは事実でございます。しかしながら「通算制に改めるよう措置する。」というふうに書いてあることは、当然私はその補償の問題その他も含めて措置するというふうに考えるべきだ、国鉄が措置しろというふうに書いてございません。とにかく閣議決定として、政府全体として通算制に措置するというふうにお書きになった以上、やはり国鉄の赤字になっているこの何億の損失について、何らかの政府として考えを持っているということが、少なくとも方針的にも明示されてしかるべきだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/44
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045・小林英三
○小林英三君 おかしいですよ、常務のおっしゃることは。あなたの今おっしゃることは国鉄総裁も同じ意見ですか。そうけつをまくるような考え方は——それをはっきり具体的にやるまではこれはやらぬというその態度はけしからぬじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/45
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046・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) やるまではやらぬということよりも、通産省としてなかなか話が進まない、当然今度の国会で私どもとしては何らかの措置がしていただけると思っておった、その後全然そういう措置がないということになっては、私どもとしては非常に困っているわけです。したがって、先ほど申しましたとおり、第三の事務的な問題については、これは十二月九日の閣議決定は、先生御承知のとおり通算制だけの閣議決定ではございません。五項目——大きな項目が三項目ございます。その第一項目がうちの国鉄運賃自体の十三億の対策でございます。これはすでに全部完了いたしております。先ほど申しました私鉄との通算制、併算制の問題だけではなしに、ことに連絡運輸についての、ないし私鉄との運賃についての延納ということは、これは非常に事務的にむずかしい困難なことでございます。しかし、これもとにかくやらせました。そして先生のおっしゃったとおり、何もしていないということをおっしゃられますと、非常に私どもとしても心苦しいのでありますが、この閣議決定は、通算制、併算制だけの閣議決定ではございません。大部分が国鉄運賃の延納対策といたしまして(1)から(5)までございます。その次に石炭運賃の通算制ということに触れておりまして、この閣議決定を実施しなかったわけではございません。十分今までできるだけの能力を発揮いたしまして実施してきたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/46
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047・小林英三
○小林英三君 先ほど運輸大臣は、国鉄と私鉄との間に協議が合致すれば通算制にも併算制にもできるのだということを言っておりましたね。それから閣議決定では石炭運賃に関しては通算制にしろと、可及的すみやかに通算制にしろと、こういうことが項目にはっきりあるでしょう。しかも、それが直ちにやるとか、補償をやるとかやらぬとか——補償はやるということは言ってあるでしょう。そうしたら、まずその問題をあなたのほうで実行に移すべきではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/47
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048・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいま先生のおっしゃった補償をやるということは正確に承っておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/48
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049・小林英三
○小林英三君 それでは、補償をしてくれなければ、いつまでも何年でもこのままにしておくという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/49
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050・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 先ほど申しましたとおり、十二月九日の閣議決定は、この問題だけではございませんで、徐々に逐次やれるものはやっております。しかしこの通算制、併算制の問題は、やはり通産省に対しましても、補償の問題を何とかしてほしいということを私どもは強く要望し、閣議決定前から、もしこういうことをやるなら、まず私どもはこの補償をしてもらわなければ困るということをるる申し上げております。しかしながら、閣議決定前後におきまして、このことについてこういう方針でやってやろうというお話は、これは正式には何ら承っておりませんし、法律的にも措置がされなかったことも、すでに本国会でも事実でございます。しかしながら私どもといたしましては、極力通産省に対しまして早く具体的なやり方をきめてもらいたい、こういうふうに考えております。したがって、両天びんにかけるようなことでなしに、私どもはやれることはやる、しかし石炭当局もやるべきことはやってもらう、こういうふうにえております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/50
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051・小林英三
○小林英三君 どうも常務のおっしゃることを聞いているとおかしいですよ。それは補償の問題については、あなたのほうで通産省といろいろ折衝されていることも事実でしょう、また、通産省のほうでも考えているでしょう。しかし、それができないから、できるまでは、いわゆる通算制の問題はどこまでも実施しないということは、その態度はおかしいじゃないですか。国鉄と政府の関係からいって、閣議で決定している問題を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/51
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052・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 私は先ほどから実施しないということは一ぺんも申し上げておりません。現に先ほどから申し上げましたとおり、すでに今までいろいろな問題について相当具体的に実施いたしております。この膨大な閣議決定を即刻実施することはなかなか事務的にむずかしい問題です。したがって、やれるものからどんどんやっていくのです。先生は実施しないとおっしゃいますが、現に閣議決定の一項目から——(1)から(5)までごく最近実施済みでございます。したがいまして、私どもといたしましては、十二月九日の石炭対策について何ら国鉄はやってないではないかというおしかりを受けましたが、現に私どもといたしましては、今まで、きょうの時点においてはやるだけのことはやって参っております。今後残っているこの問題についてはできるだけ早くやる、しかし、同時に通産省としても、この問題については積極的な意図を持って考えてくれぬと困る、こういうことを申し上げているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/52
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053・小林英三
○小林英三君 そうすると、あなたのいろいろの答弁の中に考えられることもありますが、要するに五項目があった、それらの問題は国鉄としてはやっていると、しかし通算制にするという問題については、今日までひまがかかったけれども、いろいろなもろもろの解決をしておったからおくれたんだ、これからすぐやるんだ、こういうことなんですか。あるいは補償の問題がはっきりきまるまでいつまでもやらぬ、どっちなんですか、やらぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/53
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054・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、閣議決定には三つの問題が含んでいると申し上げましたが、第三の点の問題は、とにかくこれからやる問題はやる、しかしながら、同時に閣議決定を措置するということは、通産省においてもこの閣議決定にしばられるものだと考えます。この閣議決定によって、国鉄だけが実行しなければならぬのではなしに、通産省も措置する、その内容として、その問題を当然私は解決すべきものと考えます。したがって、先生のおっしゃったとおり、そちらがやらなければこちらはやれぬと、そういうふうに私は毛頭考えておりません。すでに何べんも申しますとおり、今までむずかしくても実施して参ったのです。今日まで、昨年の延納に端を発しまして、ごく最近、この間、閣議決定の第一項の第四号につきましても、最近やっと実施できたのです。決して実施しなかったわけではないのです。その点はっきり閣議決定をごらん下さって、国鉄が項目について何をやったかというお尋ねがあると全部お答え申し上げます。しかしながら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/54
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055・小林英三
○小林英三君 わかりました。あなたのおっしゃること。そういうことを聞いているのではないのです。私の聞いているのは、もろもろの問題をやってきたが、しかし通産省の補償の問題も具体的になっていませんから、この通算制の問題をやってないということであるが、これはそういうもろもろの問題を国鉄は解決してきたから、補償の問題は交渉中でありますが、いずれ政府がやってくれるでしょうから、通算制の問題は直ちにやります、こういうのか、あるいはその問題が具体化するまでやらぬのか、それを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/55
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056・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 通産省におきましても、いろいろやって下さっているように伺っておりますが、まだその話につきましては正式に聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/56
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057・小林英三
○小林英三君 やるかやらぬかと聞いている、通算制の問題は、通産省のほうで補償の問題が具体化するまでおれのほうはやらぬということなのか、それを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/57
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058・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 私のほうはできるだけ早くやりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/58
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059・小林英三
○小林英三君 やるかどうかを聞いているのです。それをはっきりして下さい。きまるまでやるかやらぬか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/59
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060・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 先ほど申しましたように、やらないということは申しておりません。最終的には運輸大臣が国鉄法の第五十四条の命令を出すとできるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/60
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061・小林英三
○小林英三君 それをはっきりして下さいと言っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/61
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062・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 国鉄法第五十四条にこういう条文がございます。「運輸大臣は、公共の福祉を増進するため特に必要があると認めるときは、日本国有鉄道に対し監督上必要な命令をすることができる。」と、こういう命令の条文がございます。したがいまして、私ども実施しない、もしどうしてもこれが、この問題が公共の福祉を増進するため特に必要があるとお認めになれば、日本国有鉄道法第五十四条によってこれが監督上命令を出すことは可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/62
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063・小林英三
○小林英三君 私が聞いているのは、そういうことを聞いているのではない、そういう命令は出せますけれども、あなたのほう国鉄としては——同僚議員諸君が御質問して、そのあなたの答弁を伺って、私質問しているわけですが、今の補償の問題が通産省との間の折衝におきまして解決するまではやらぬというのか、あるいは直ちにやるというのか、それを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/63
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064・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 先ほどから申し上げておりますとおり、通産省でやらなければやらないということを一言も申しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/64
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065・小林英三
○小林英三君 だからそれを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/65
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066・田畑金光
○田畑金光君 今の問題については大体質疑応答で問題の所在というものが理解できたと、こう思うのです。私はやはり閣議決定したとすれば、その影響するところはやはり国鉄にも影響があるということは当然承知の上で、運輸大臣並びに通産大臣あるいは閣議全体が処理されたものと、こう考えておるわけだが、聞いてみると、やはり国鉄は国鉄の立場においていろいろの問題があろうと、こう思うのです。そういう点は同時にやはりこれは運輸大臣においても通産大臣においても処理するなら処理する、そういうことがなければ、やはり国鉄は国鉄の立場においてかれこれ、独立採算その他の問題があろうし、そういう意味においては、私は今の常務の集中攻撃の中で自分の信念を主張しておるということは、むしろ見上げたものであって、私はそういう意味においてやはりこの問題については、政府としても問題の所在がわかったから、やはり国鉄のやるべきことは政府もやって、同時並行的に閣議決定の線を守って実行せしめる、これくらいのことがなければ、それは私は幾ら常務をここで責めてもこれは始まらぬという感じを受けておるわけです。
しかし私は常務にも特に希望することは、石炭問題というものが、御承知のように今の日本の産業政策の中において、一番重大な問題になっておるわけです。それで御承知のように四月の六日閣議決定という、新たに政府は石炭対策等も打ち出しておる時期で、そこで今あなたに質問しておる併算制、通算制の問題がこの商工委員会においてしばしば議論され、そこに一つの問題があるので、どうかそういう点において、あなたのほうでもひとつ十分善処願いたいと思うのです。
幸いに通産大臣が見えられましたので、通産大臣に私はこの際、併算制、通算制の問題で、今朝ほどから実に今の御出席されておる国鉄の常務に対して、いろいろ質疑がなされておるわけです。で、お話を聞いておりますと、国鉄の側から言うならば、閣議決定の措置については国鉄だけにやれというあれじゃなくして、国鉄の問題等についても、同時並行的にこれは通産省において考えてもらわなくちゃならぬ、こういうことを言っておるわけです。だから、この点については、やはり通産大臣としてもこれは十分ひとつ閣議決定が実行できるように、国鉄の問題についてもまた同時にやはりこれは閣議決定し、閣議で処理するよりないのですから、これはひとつやってもらわなくちゃならぬと、こう思うのですが、どうもこれは私が質問したことじゃないのだけれども、ひとつ今の点は、国鉄の常務さんもう一度あなたの先ほどのことをちょっと御答弁してくれませんか。問題はここにあるのだということを言ってくれませんか、この際ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/66
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067・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 通産大臣がお出になって、私はどういうふうに申し上げていいかわかりませんけれども、私といたしましては十二月の九日の閣議決定につきまして、先ほどから三つ問題があるということを申し上げましたのは、一つは理論的な問題で、これは政府がおきめになれば国鉄としては法律解釈の権能がございませんので、政府の御解釈に従う、こういう問題がございます。
第二番目には、川上先生が先ほどおっしゃった閣議決定前の問題として、国鉄がこれによって年間約三億——もし第一の問題の法律解釈がうまくいかずに、現実にたとえば硫化鉱だとか、あるいはリンゴだとか、通産、農林物資がいろいろもし通算しようということになりますれば、それをやりますれば結局十億近い損失になる、その十億は、経費は減らないということであって、実際問題としては二、三十億の水揚げに匹敵するわけで、財政上の負担を何とか政府でごめんどうを見ていただきたいというのが第二の問題でございます。これは私は当然こういう閣議でおきめになる前に、できれば事務的に検討済みであってほしいというふうにこいねがうものでございます。
第三番目の、現実に併算制を通算制にするかしないかという事務的な問題につきましては、これはもっぱら国鉄内部、また国鉄と関係私鉄の協議の問題でございます。
これは私どもといたしましては、第二の問題が解決すればするとかという両天びんのものでなしに、私どもといたしましても、十二月九日の閣議決定につきましては、できるだけ今まで実行してきております。先ほど申し上げましたとおり、第一項は五項目全部実施いたしております。ごく最近実施が済んだわけでございます。したがいまして、今後併算制、通算制の問題に取りかかるわけでございます。これを中心といたしまして関係私鉄と話し合いするわけでございますが、どうぞ、私どもといたしましては、政府におかれても第二の問題について十分善処していただきたい、こういうふうに申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/67
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068・田畑金光
○田畑金光君 今、通産大臣お聞きになったとおりでございますが、要するに石炭についての特別措置をはかれと国鉄等に要請されても、国鉄は国鉄の立場において石炭だけ扱っている問題でないのだ、その他の物資についても扱っている、波及するところが大きいのだ、そういうふうな点について財政面から政府はやはり国鉄の問題についての、国鉄の考慮を措置してもらわなくちゃ困る、こういうことを先ほど来国鉄の常務のほうは答えておられるわけです。そこはやはり問題があるようにわれわれも感じているわけですが、この点についてはどのように政府としては処理されてきているのか。やはり国鉄にもひとつの犠牲を払わせるのですから、また政府としては国鉄の犠牲に沿うような協力をやはり国鉄になさるべきだと思うのです。そうしてお互い、ひとつ喜んで政府の閣議決定に協力しようじゃないかというのが、これは国鉄としてもやはり国の、国鉄とは言いながら独立採算制その他の問題を抱えている以上、私は国鉄の言うこともやはり理解してあげなくちゃならぬ、こう思うのです。そういう面において、今言ったようなことについて、どのように政府としては処理されようとしておられるのか、それを伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/68
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069・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今までお話を申し上げておりますように、運賃の差額の最終の負担はだれになるかということはまだきまっておらない。で、閣議決定では一応三十八年までの延べ払いという措置をとるということでございまして、これはしばしば申し上げますように、最終的な結論ではない、こういうことが実は申し上げてございます。だから今も国鉄自身が申しております国鉄自身の運賃減に対しての穴埋めをどうしてくれるか、こういうことを検討しろと言われても、これはもうしばしば申し上げておりますように、将来の問題として私ども考えますということは実は申し上げているのでございます。この委員会でしばしば問題になっておりますのは、通算の問題、あるいは併算の問題、これがひとつ問題になっておりますので、運賃の最終負担をどうするかということとは別に、連帯運輸の形だけやはり一通り整えることが必要なんじゃないか、その点を今までお話なすっていらっしゃるのじゃないかと思います。これができますれば、閣議決定では通算制ができれば、全部のところに対しまして運賃の後払い契約というものをするようになるわけでございます。その後払い契約が、一体最後においてどういう形式で結末がつくか、こういうことをただいま政府は検討しているという段階でございます。これで御理解いただけるのじゃないかと思います。もちろんその点はやらないと実は申しているわけじゃございません。今、国鉄のお話を聞きましても、今までの後納扱い、後払い契約と言いますか、その補償などの問題はちゃんとできて、それぞれやれるようになった。ただ、今、今日まで御議論され、おそらく国鉄総裁もこの席に見えてお話になっているのは、通算制度、あるいは合算制度を一体どうしてくれるかというお話であったろうと思います。この点は磯崎常務理事が、これから社線と話し合いをして、その点を解決する方向にひとつ骨折ってみる、こういうことでございますから、それぞれの話はそれぞれの方向に向かってその解決をされる、かように私は理解していいんじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/69
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070・田畑金光
○田畑金光君 磯崎常務理事に今、通産大臣から責任あるお答えがなされたわけですが、今お答えなされたことで、国鉄としては了承なさって、先ほど来、いろいろ質問があなたに集中しておりましたが、今の政府の答弁で了承なされて、先ほど来、質問された事項等について、国鉄は積極的に閣議決定のあらゆる問題について協力していこう、こういうことになりますかどうか、私はこの際、率直にひとつ御意見を聞かしておいてもらいたいと思うのです。やはり国鉄は国鉄の立場において、いろいろ政府にもものを申したい点があるならば、こういう機会に遠慮なくものを申してもらいたいと思う。私は実は先ほど来、あなたの質疑応答を聞いていなかったのですが、あまり話がだんだん集中的にいろいろなことでなにされているから。しかしあなたの答えを聞いていると、やはり国鉄の立場において、あなたが言われることも、われわれ無理からぬような感じもするので、やはりこれは政府が大きな力でもって、国鉄だけいじめるというのは、これはいかぬと思う。やはり同時に政府のやるべきことはやって、そうして国鉄にもひとつ協力してくれというのがあたりまえの話だと思うのです。そういう面において、この際、磯崎常務理事も遠慮なく問題を提起しておいたらどうかと、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/70
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071・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいまここで佐藤大臣のお話を承ったばかりで、すぐあのお話でどうこうということ、ちょっと申し上げられませんが、ただ、私といたしましては、具体的な例を申し上げますれば、昭和三十年の法律百五十八号、これは厚生省が作った法律でございますが、傷痍軍人を日本国有鉄道に無賃乗車させるという法律でございますが、無賃乗車させた場合には、その金を政府が負担する、こういう法律でございます。これは昭和三十年に当時非常に問題になりました戦傷病者の問題、これは現に年間約七千万円くらい政府から現実にお金をいただいております。したがいまして、これは傷痍軍人の方も喜んでいただけますし、国鉄といたしましても、実は全額はいただいておりませんが、全額に近いものをいただいております。したがいまして、私どもとしても喜んで協力いたしたわけでございます。それからさらに先国会も今国会も、議員立法で日本国有鉄道の公共負担、いわゆる公共負担という言葉を使っておられますが、鉄道の公共負担の政府補償に関する件、ちょっと件名は不正確でございますが、こういう法律が議員提案で先国会におきましても、また今国会におきましても、三月に提案されております。私どもといたしましては、その趣旨によって、政府が何らかの形で、もちろん全部と言わないまでも、何らかの形で善処していただくということを望んでおりますので、今の大臣のお話がそういう趣旨でございますれば、私としては喜んでこのお話をお受けしたい、こういうように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/71
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072・吉田法晴
○吉田法晴君 ちょっと少し磯崎さんの最後の答弁、あいまいなものだから、先ほど来委員が口をそろえて、閣議決定は実行するのかせぬのか、これに対して、いわば政府の補償がなければいかぬ、あるいは通産省云々というお話がございましたけれども、あとの話はこれは通産大臣も、そのときの閣議決定の精神に従って、後払いあるいは補償の問題等は考えなければならぬとおっしゃっておる、あなたのほうとしては、国鉄としては、これだけ問題になった併算制、通算制の問題について閣議決定の精神に従って努力をしたい、実現するため努力をしたい、こういう答弁ならばいいのであって、先ほどから聞いていると、通産省が考えてくれなければと、いろいろな話がございますが、それはとにかく実施する上での問題、含みは通産大臣からお話になったのですから、実施するかどうか、その点が最後に聞かれたところですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/72
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073・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) その点につきましては、先ほどから小林先生からの御質問にお答えしましたとおり、私どもとしましても法律五十四条による命令があると思います。もし私どもが実施しなければ、公共の福祉を増進するため、特に必要があるというふうに運輸大臣がお認めになれば、行政命令をお出しになれるわけでございます。しかしながら、そこまでいかないで、国鉄側として何とか実施しないか、こういうお話でございますが、私どもといたしましても、この措置するということは、国鉄だけの問題でないというふうに考えておりますので、十分通産省、運輸省と御相談の上で、なるべく早く関係方面の御意向を参酌した上で考えていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/73
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074・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) はっきり申し上げますと、これは昨年の五月あるいは六月でしたか、閣議決定をした、その中では運賃の後納扱いですか、それをきめたということでございますが、これをただ納めないというだけでは問題は解決しないので、納めなかった場合の損失を国が負担するのか、あるいは公社が負担するのか、それははっきり明確にならないと、三十八年までの運賃を納められないままで処理されておるということでございますね、それでこの点について政府はどう考えるかといわれるが、これはもうかねてから申し上げておりますように、さらに関係省と話を詰めてその結論というか、最後の始末をつけるようにしようということを実は申し上げておるわけでございます。今それが政府が負担する、こういうことでなければ困るというのが公社の主張のようですけれども、いずれそういう主張が出るでございましょうが、またその際に公社が負担してもいいのじゃないかという議論も出るでしょう。いずれにいたしましても、未納になっている運賃を石炭業者が後になって払うのか、あるいは国庫で負担するのか、あるいは鉄道公社が負担するのか、こういう問題が残っているが、とにかく一応補償その他によって後払い扱いでとりあえず処理していこうというのが今の現状でございます。だから将来の解決の方法はどういう方法になるか、まだ結論は出ておりません。今の段階でこれは鉄道が負担しろ、あるいは国庫で負担しろとか、こう言い切ってしまうことは、この段階では早いというのが実情でございます。ところがもう一つの問題は会社線との関係において併算、通算の問題があるわけであります。その会社によっては通算のもの、あるいは併算のもの、別々になっている、その結果は運賃計算上も大へん負担が違う、こういうことでございますから、この際はとにかく通算制のほうが安いようだから通算制にみなしてくれというのが、皆さん方の御要望でもあり、また通産省自身としてもそういう気持をもって、また閣議決定もそういうことを実はきめているわけでございます。ところがこれは国有鉄道としては通算制度にしようと考えましても、相手会社があるものだから、会社のほうが納得しなければいかぬ、その会社との関係は通産省と会社というようなものでなくて、国鉄と会社の場合は同じ立場で話し合いをいたしますから、もう少し時間がかかるというのが、おそらく磯崎君の説明であったろうと思います。だから通算制に反対だと、かように必ずしも申しているわけではないだろうと私は思うのですが、もう少し時日がかかる。時日をかけないで、とにかく早くそういう方向に進めろ、こういう御要望がおそらく出ているのだろうと思います。その点は磯崎君も了承するつもりだろうと思いますが、その場合において、今度は現実に運賃が少し安くなりますね、その負担はどういうようにするかとか、また今の後納扱いの跡始末をどうするか、会社との関係の問題など、事務的な処理の問題は残っているわけです。おそらく私どもが閣議決定をいたしましたときの気持を率直に申せば、そういう費用負担の問題、それは解決をしないで形だけを整えるということを閣議決定をしておるというのが現状でございます。さように御了承いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/74
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075・吉田法晴
○吉田法晴君 関連ですからやめますがね。通産大臣の言われるとおりの閣議決定を実行する意思があるかどうかと聞いたところが、今あなたのを聞いておるというと、命令があるなら出しますけれども、しかし通産省からとにかく補償というのですか、あとのあれがなければというお話になるものだから、それでは閣議決定をとにかく実行するという意思はないのじゃないか、こういう疑問が実は磯崎理事に集中し、これだけ委員会で閣議決定の実行を迫っているのに、事務官じゃあるまいし、国鉄を代表して来た——総裁が呼ばれたけれども、総裁が支障があるということで、磯崎君がこられたわけで、国鉄を代表して、そうして閣議決定を実行することについて、通産省が出してくれなければ、あるいは命令を出してくれなければ——そういうことではないのじゃないか、そういう向きになっているのです。ですから、閣議決定は実行いたします、あとの連絡は連絡で各省にいたします、閣議決定の実行については各省にお願いをしたい、こういうお話が磯崎君の口から出るべきだ。そういう答弁がないから追及しているわけであります。磯崎さん、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/75
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076・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいまの先生のお話の中で一つ誤解を招いてはいけませんから、私の言葉が足りなかったと思うのですが、それは国鉄法第五十四条の命令があるというふうに申したわけではございません。この点ははっきり申したつもりでございますが、私どもが実施いたさなければ、もし運輸大臣がこの問題は公共の福祉に直接関係があるというふうにお認めになれば、最後には五十四条で命令をお出しになるのでしょう、こういうように申し上げたので、五十四条の命令がなければ実施いたしませんということではない。私の言葉が足りなければその点明確にもう一ぺん言い直させていただきたいのであります。ですから、私どものほうといたしましては、五十四条の命令がなければやれない、先生がおっしゃられたように、そういうふうに申し上げたのではない、その点御了解願いたいと思います。したがいまして、私どもは命令が出る前になんとかやりたいという気持は持っております。同時に、しかし、この閣議決定は、運輸省だけでなく、国鉄だけじゃなくて、政府自身としてもこういうことはやってやるのだというお気持が当然あったわけでありますから、それについての将来のはっきりとした御意向を承わりたい、こういうふうに申したわけでございまして、先ほど大臣のおっしゃったこと、私が先ほど例を引きました昭和三十年の法律、あるいはこの間議員立法になりました法律のような趣旨でありましたならば、私は喜んで了承いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/76
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077・田畑金光
○田畑金光君 それで、政府のほうも大いにやって下さい、促進してやって下さい、国鉄に対して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/77
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078・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 他に御質疑はありませんか。——他に御発言がなければ、本件の調査は本日はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/78
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079・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 次に、鉱山保安法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/79
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080・阿部竹松
○阿部竹松君 保安法のお尋ねをする前に、通産大臣はおそくこられて、やるかやらないかという国鉄常務に対する質問に対して、やれといえ、やれといえという耳打ちをなさっておって、通産大臣の命令一下答弁が相当曲がってきているわけです。私がいうのがうそであれば、速記録を熟読してみれば、答弁がどういうものであったか、質問がどういうものであったかということがはっきりわかる。そこで、石炭局長から——大へん恐縮ですが、あなたは劈頭から今までお聞きになっておったのでありますから、あげて半分以上は通産省に責任があるがごとき印象を与えるような今の国鉄当局の答弁ですね。しかし私の仄聞するところによれば、通産省の石炭局長さんが中心になって、この問題について相当御苦労なさっているように承わっておった。ですから、もう大臣から答弁があったあとで石炭局長にお尋ねするのは大へん恐縮ですが、通産省としては、全然国鉄のただいまの常務の答弁どおりに動いておらぬものか、これについて何ら心配しておらぬものか、そういうことについて、もし御答弁ができれば、お尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/80
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081・今井博
○政府委員(今井博君) 国鉄運賃の通算制の問題は、今磯崎理事が説明されたとおり、非常にむずかしい問題で、最後まで実はこれだけ残っておるわけであります。ただ閣議決定のときには、そういう補償の問題、そういうことは実はわれわれとしてはそう考えておりませんでした。その後運輸省を通じまして、そういう負担をどうしてくれるのだというお話は実はございました。この点は運輸省の責任の局長と私との間にこれの処理を一体どうしようかということで、実は相談をしておるところでありまして、今の処理方式につきましては、これはまあ予算もすべて決定したあとでございますから、将来の問題として運輸省と通産省との間で、まあ将来どういうふうなことをひとつ考えようかということを、今相談をしておる最中でございますので、私は磯崎理事がここで今いわれましたような傷痍軍人の運賃割引についての法律を出すとか、そういったことは全然まだ承っておりませんので、運輸省からはやはり将来こういう問題についての処理についての両者の協力という問題を中心に話しておりますので、いずれまあそれは近いうちに私は何とか話を取りきめて、この通算制の問題を円滑に、ひとつ急速に実施したいと実は今努力をしておる最中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/81
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082・武藤常介
○委員長(武藤常介君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/82
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083・武藤常介
○委員長(武藤常介君) じゃ速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/83
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084・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今の運賃の通算制の問題です。で、ここで問題になりますのは、石炭運賃、石炭運賃を通算する、非常に限られた範囲のように考えるのでございますが、連帯契約ではやはり通算をすると、全貨物、全旅客について実はやるわけでございます。それで今磯崎常務理事と話をいたしたところによりますと、石炭だけならばこれは別ですが、相当金額が多くなる。約十二、三億になるのじゃないかということを申しております。そうなりますと、そのやっぱり負担の問題がそういう際には必ず出てくると思いますので、それらの実情にもよく即した方法で、同時にまた、かねてから主張しておりますように、石炭の運賃を軽減することが一つの題目にもなっておりますので、そういう意味で、通産省と運輸省と、さらに国鉄、大蔵省とを交えて、その対策を十分ひとつ練ってみたいと、かように思います。だから、理論的に閣議決定を守らないというわけのものではないと思いますけれども、やはりその閣議決定をいたしまして、そうしてあの閣議決定もやや事務的な範囲になると思いましたので、書き方を少し変えたつもりでございますが、そういう実情にやっぱり当面しておりますから、実際的な問題として資金の目安がつかないと、やはり会社を納得させることが困難ではないかと、かように思うわけでございます。現実に減収をする。減収するその会社だけ、鉄道会社だけの負担だと、こういっちまうことがちょっとむずかしいようでございますから、この点はもう少し政府側が関係のところと懇談をするといいますか、結論を出すように努力をしたい、そのまあ時間を少しかしていただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/84
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085・阿部竹松
○阿部竹松君 ただ、大臣の御答弁でわからない点が一つあるわけですがね。全部併算制より通算制がよろしいということは当然のことでありまするし、望ましいことなんです。しかしほかの産業と違って、ほかの産業は中小企業から——大手を含めて——物価が上りませんと池田総理が幾らかねや太鼓で宣伝しても、物価が上界しておる。物価が上昇しているときに、それを下げなければならぬという状況です。ですから、ほかのもの全部が上がっていくときに、コストは下げなければならぬ石炭ですから、全部併算制から通算制になるということが望ましいことであるけれども、しかし全部できないということになれば、一番苦しい産業から重点的にやってくれなければならないということが私どもの考えなんです。ただ、吉田委員の質問に対して大臣の御答弁は、通算にしたらよろしいでしょうが、これは会社と——会社ということはむろん私鉄の会社ですが、会社と話し合ってみなければならぬという御答弁があった。ところが今まで私の承知しておる限りでは、一昨年千二百円のコストダウン当時からこれは併算をやっている線がたくさんあるのですから、石炭を通算にしてくれんかという政府に対する陳情、要請が相当なされておるわけです。大臣が今さら初めて知ったがごとく、これから話し合ってみなければならぬということになりますると、そういう声が大臣のお耳に入っておらなかったのじゃないかという感じがするのですが、私どもの知っておる限りでは、おそらくきょう全部通算ときめてもこれは各社が了解すると思うのです。特に北海道で当委員会から出張いたしまして現地視察をしたときにも強い要請等がなされておるわけですからね。その点は御承知なかったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/85
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086・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 昨年の六月の閣議決定ではそういう点では明確でございません。それで昨年の暮になりまして、六月の閣議決定、これを実施に移すことが第一じゃないか、これもやれてませんということは、一体何をしているのかということで、こういうことで重ねて取り上げて、そうして六月に決定したものを処理できるようにしたい。そのときにまず取り上げたものが国鉄自身を対象にしての後払い契約ですね。その補償も大手はすぐできたが、中小はできないというので、今回法律まで直して、そうして補償をできるように措置をとった。そうすると、その際に社線もあるじゃないか、社線というのは会社線ですが、社線の場合はどうするかということが、それが今度明確になったということでございます。ただいま言われましたように、千二百円下げるということが相対的な問題でございますから、在来の制度のものの上に打ち立てられていたと思います。だから、これは専門的な知識になるものでございますから、そういう意味では十分に注意がなされておらなかったと思います。本来の連帯運輸そのものは各会社々々でやっているわけでございます。こういうことになるのですね。会社線が五十キロなら五十キロ、鉄道のほうは長い距離を持っておりますね。そうすると、遠距離逓減をした場合に運賃が安くなる。安くなったのを国鉄と会社にやはり割賦していく、割り振りをするという建前でございます。だから、その割り振りを十分相談しないと、会社線が減収になるわけですね。だから、そこら辺に問題があるから、会社によってはごめんこうむるということも出てきておるわけであります。その点が国鉄の指導が、運輸省の指導というものが一つあって、利用者の便益という立場で処理されるべきだと思います。しかし、どうも会社の経理状態が非常に悪いと、ただいまのようなことが行なわれておらないという実情にあるわけであります。実情はそういう意味で御了承いただきたいし、また将来のあり方としては、かねてからこの席でしばしば御意見が出ているように、やはり通算の方向へ話を持っていく。そのほうで国鉄をして研究させ、会社線もその線に協力さす、そうしてあとの損失というか、減収に対する穴埋め方法は別途考える、こういうことが望ましいのじゃないか、かように思うわけでございます。ただ会社や国鉄の場合は、減収のあることが承知の上で、その閣議決定のままやった場合に、もう現実には行なっておる、あとの穴埋めはしてくれない、ということになると困るものですから、同時解決を主張しておるというのが、今までの質疑応答のポイントじゃないか、私は、おそく参りましたが、さように理解しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/86
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087・阿部竹松
○阿部竹松君 閣議決定云々、法律云々というへ理屈は並べませんけれども、一刻も早く同様な扱いをしていただくように、通産大臣の御努力を要請してその問題を打ち切ります。
次に、保安法の中身ですが、罰則等が相当重くなっておるようですが、一昨年の例を見ましても、豊州炭鉱あるいは上清炭鉱は六十名か七十名か一ぺんに犠牲者を出したが、あるいは大辻炭鉱で社長以下十七名も一瞬にして犠牲となって相当な問題を起こしているわけですが、あの三つの山を初め、それぞれの問題が起きた山の跡始末はどういうことになっているわけですか。あの三つの山だけに限定してもいいわけですが、そこで罰則を適用されたというような結論は出ておりましょうか。それとも罰則等適用されるような保安違反はなかったというような結論でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/87
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088・八谷芳裕
○政府委員(八谷芳裕君) 鉱山保安法によります罰則の適用でございますが、相当に結果が出るまでには時日がかかっておりまして、現在のところ判明いたしておりますものにつきまして御説明をいたしますと、昭和三十二年に私どもが違反としまして送致いたしましたものが九十二人おるわけでございますが、この中に五十一名が不起訴になっておりますして、起訴が三十三人、まだ未決定のものが八と、こういうふうになっておるわけでございます。しかし、全般的に見まして大部分が罰金刑でございまして、最近の例で申しますと、昭和三十四年にこれは送致人員が七十八名でございまして、不起訴が二十七名、起訴になりましたのが三十八人でございます。まだ未裁が十三人ございますが、この中で禁固になったのが一件ございます。それから昭和三十五年では七十五人送致いたしまして、現在までに起訴されましたのが十八名、こういうことになっております。三十六年では現在までに八十八人鉱山保安法に基づきまして送致いたしましたが、いま、確定いたしておりますのが、起訴になりましたのが二件、最近の五カ年間で、今ばらばらに申し上げましたが大体の状況を申し上げますと、五カ年間で送致いたしましたのが三百九十二人でございますが、その中に百十五人起訴をされた、こういうふうになっておるわけでございます。約三分の一程度が起訴をされた、こういうふうな状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/88
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089・阿部竹松
○阿部竹松君 そうしますと、今お尋ねした豊州炭鉱、それから上清、大辻、こういうところはどういうことになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/89
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090・八谷芳裕
○政府委員(八谷芳裕君) まだ私どもといたしまして結論を出していませんのが、大辻でございますが、これはただいま大学の大隈工学部長のほうに、コンプレッサー室のレシーバー付近から発火した坑内火災ということで、そのコンプレッサーのレシーバーその他につきましての実験をお願いいたしておりまして、いろいろ検査をやっていただいておるわけでございまして、これはまだ審査中ということになるわけでございます。上清につきましては、すでに三十六年の七月の十一日に送致いたしておりまして、これはそれぞれの関係者を送致をいたしたわけであります。それから豊州につきましては、鉱山保安法上の違反はないということで、私どもといたしましては処置をしていないわけでございまして、最近起きましたおもな災害のうち、三件のうち一件は送致をしない、一件は送致をする、一件はまだ未処置でございます。
以上のようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/90
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091・阿部竹松
○阿部竹松君 豊州炭鉱で一瞬に六十名も七十名も水没して、鉱山保安法の適用はないから保安法上の違反はなかった、こういうことですが、そうすると、あそこは一切不問に付すということで、ほかの刑事罰等もなかったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/91
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092・八谷芳裕
○政府委員(八谷芳裕君) これはまた業務上の過失につきましては、別途警察当局のほうで調査されておると思いますが、私ども鉱山保安法上の立場だけで、一応警察当局といろいろ話し合いをしました結果、これは送致しなくてもいい事件じゃないか、こういう結論に達しまして未送致にしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/92
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093・阿部竹松
○阿部竹松君 昨年一カ年の犠牲者は大体どのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/93
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094・八谷芳裕
○政府委員(八谷芳裕君) 昭和三十六年、一カ年間で石炭鉱山におきましては、死亡が六百四十二名になっております。それからさらに重傷が二万五千八百七十名、軽傷が三万五千七百二十四名、罹災者といたしまして六万二千二百三十六人、こういうふうになっております。三十四年、三十五年よりも若干の増加を示しておるような状態で、はなはだ遺憾に存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/94
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095・阿部竹松
○阿部竹松君 そうしますと、大体三人に一人ぐらいの死亡者、重軽傷者が出るということですが、これは膨大な数字ですが、諸外国では一体、お調べになっておらなければけっこうですが、こういう高い率の死亡者、重軽傷者が出る国はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/95
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096・八谷芳裕
○政府委員(八谷芳裕君) 今ちょっと詳細な資料を持って参っておりませんが、大体アメリカ、カナダを除きまして、日本よりもずっと少なくなっております。ただ非常に機械化されておると申しますか、アメリカそれからカナダ、こういったようなところは非常に日本よりも高い、こういうような情勢でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/96
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097・阿部竹松
○阿部竹松君 これは保安局でお調べになっておるかどうかわかりませんけれども、鉱業権者のやっておる山と、租鉱権でやっておる山との死亡、負傷の比率等をお調べになったことはございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/97
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098・八谷芳裕
○政府委員(八谷芳裕君) 租鉱権につきましては、これは他との比較でございますが、出炭百万トン当たりにいたしまして、大手の鉱業権では七・七、それから中小の鉱業権では一九・七、中小のほうが約三倍弱の死亡率を示しておるわけでございます。ところが租鉱権におきましては一九・〇、これは中小の鉱業権とほとんど似たような数字を示しております。しかし中小の租鉱権のうちでも二通りございまして、大手の租鉱権それから中小自体の租鉱権と申しますか、これを二つに分類してみますと、この一九・〇というのが、大手の租鉱権では九・五、中小の租鉱権では四一・六、で、租鉱権自体としましてはちょうど中小炭鉱の一般と同じ程度の死亡率を示しておるわけでございますが、そのうちでも特に親権者が中小炭鉱である、その租鉱権というのが非常に極端な数字を示しておりまして、その結果がちょうど中小の鉱業権と同じというような数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/98
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099・阿部竹松
○阿部竹松君 保安臨時措置法の改正によって買い取りということになる山があるわけですね。大体どのくらいで、人数はどのくらいになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/99
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100・八谷芳裕
○政府委員(八谷芳裕君) 保安臨時措置法は、昨年の十二月二十五日に施行になりまして、第一次、第二次の勧告を実施したわけでございます。第一次の勧告は十二炭鉱、出炭量で約二十万トン、それから労務者の人員が千人でございます。第一次は、二月の中旬にやったわけですが、それからさらに四月になりまして、第二次の勧告をやったわけでございます。これは六炭鉱でございます。年産にいたしまして出炭量は十万トンでございます。そして労働者は約六百人でございます。以上十八炭鉱につきまして廃止の勧告を行ないました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/100
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101・阿部竹松
○阿部竹松君 あとはないわけですか、臨時措置法に伴って買い取る山は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/101
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102・八谷芳裕
○政府委員(八谷芳裕君) ただいまは二月末までに総合調査をした分についてやったわけです。三月にさらに十炭鉱をやって、四月に調査しました分、二つを合わせまして、おそらく五月初めくらいになると思いますが、いろいろ検討をやっております。それで大体本年のところ、四十五万トン程度を予算としても立てておりましたが、今までの推移からいたしますと、これに近い程度の、また五月の調査が済んでおりませんので、明確には申し上げかねますが、おおむねそういう程度の数字になるのではないだろうかと一応想像されるわけでございますが、その後、資本能力もない、また技術的の能力もない、こういう炭鉱の総合調査をやっているわけでございますが、この保安法の臨時措置法以来、非常に勧告をされるということになって参りますと、金融面、その他につきまして相当な打撃を受けるということにもなりますので、相当にこういう炭鉱では、主として通気の問題、その他が大きな勧告の要件にもなっているわけでございますが、袋通気でガスをためておるというような式のところでございますが、こういう点につきましては、非常に改善が行なわれつつある、こういうふうに推察される次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/102
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103・阿部竹松
○阿部竹松君 九州の筑豊に参りますと、福岡通産局も知らない、また監督部も知らない、こういう炭鉱があるというように承っているのですが、今言われた第一次の十二炭鉱、第二次の六炭鉱はほんとうにやめているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/103
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104・八谷芳裕
○政府委員(八谷芳裕君) 実は十二炭鉱のうち九炭鉱は三月末までに採掘権または租鉱権を抹消いたしております。これはもう間違いなくやめております。それからあとの三炭鉱でございますが、三炭鉱の中の一炭鉱はもう五月の初めにはやめる段取りになっております。あと二炭鉱になりますけれども、この二炭鉱は一応勧告を聞かないでやっている山でございます。しかしそのうちの、これは九州と平でございますが、この二炭鉱のうち九州にあります炭鉱は現在改善の計画を立てまして、五月中ほどまでに改善を実施するから、まあそれによって、改善の勧告は受けたけれども、ひとつ、決して心配のないような炭鉱を作り上げるからやっていきたい、こういう希望でございます。それから一炭鉱につきましては、これは平地方でございますけれども、その後見ておりますと、勧告は聞き入れない、けれども、改善の実績は上がっておりません。ただいま鉱山保安法二十四条の手続を進めておるところでございますが、少なくとも現状のような状況でございますと、保安法の二十四条によって、採炭をとめて、連れ卸し等のない袋通気でございますので、掘進だけにかかってもらう、こういう方針を持っておるわけであります。またごく最近になりまして、その他についても、いろいろやってみると、なかなか資金繰りもつかぬ、もうこの辺でやめたい、こういう希望もあるやに現在聞いております。この辺は、この二十七日金曜日に、中央鉱山保安協議会を開きまして、この問題を少し検討してみたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/104
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105・阿部竹松
○阿部竹松君 まあ、その勧告も聞かぬというようなことは、平にもあるそうですが、筑豊に特にある、もと相撲の関脇だった相模川というようなごついのが暴力団みたいになってあばれ回るものだから、なかなか暴力炭鉱が減らぬ、今局長の配下の鉱山監督部のそれぞれの署員の皆さんもえらい苦労しておるわけですが、そこで三年くらい前だと記憶しているんですが、当時の池田さんと話をして、どうも監督員の待遇が悪いではないか、機械新設検定に行って一時間四円、坑内巡視が八円、火災現場に行っても一時間二十円しかつかぬ。東京の消防署でも一時間四百八十円つくじゃないか、こういう話をしたら、これはまことにお気の毒である、こういうことで、何とかしましょう。というわけで話したわけですが、その問題が解決ついておるかどうかという問題。それから旅費日当がないから、なかなか各山を監督員が回って歩くことはできない。特に北海道等は地域が広いので、ほんとうは一等汽車賃が出るけれども二等汽車賃でがまんして、監督員が一カ月に一ぺんしか回われないのを一カ月に二へん、二カ月に二へんを二カ月三べん、そういうきわめてつらい思いをしながら努力しておる。特に九州で上清炭鉱が爆発したとき、監督官が猟銃で自殺した事件があります。原因はわかりませんけれども、筑豊に行って、ああいう空気の中で、これは何かあったのではないかというような、たくましい想像かもしれませんけれども、起きてくるわけです。ですから、そういう問題の解決、あるいは監督員が数が少ない、何とか多くしてくれぬか、一人でとぼとぼ行ったのでは、くりからもんもんのあんちゃんが出て来て十分の監督ができないという話があった。ですから、一人で行けない、二人ずつ必ず監視に歩くようにという注文があって、それは当然な話であるという政府当局の答弁を承ったことがあるんですが、そういうもろもろの処置については、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/105
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106・八谷芳裕
○政府委員(八谷芳裕君) まず待遇改善関係でございますが、入坑手当は、先ほど先生の御指摘のとおり検査は四円、一番高いところで災害調査が一時間二十四円と、こういうふうになっておったわけでございますが、これは昨年の七月に改正をお願いいたしまして、ただいま約三倍程度に上がっております。ただしこれはちょっと計算の基礎が、今度は一日当たりになりましたので実感が出ないと思いますから、時間をかりに八時間といたしまして巡回の場合、今までは六十四円だったわけでございますが、八円ですから、八、八——六十四ですから、それを二百三十円、こういうふうにしたわけです。それから災害調査は、従来は一時間二十四円でございますので、八を掛けて百九十二円、これを六百九十円に上げたわけでございます。それから検査の四円は八時間で三十二円になるわけでございますが、これは百二十円、したがいまして三倍あるいは三倍半でございますが、こういう程度に現在は、巡回、災害、検査それぞれ坑内に下がります場合の監督官は、こういうふうに増額をしたわけでございます。
それから人員の問題でございますが、人員の問題は、昨年の七月に四十名増員をお願いいたしまして、それが認められた。全部監督官でございます。この監督官は、平、宇部にそれぞれ一名ずつ、残りの三十八名はすべて九北、それからさらに監督官の増員は本年度の予算、三十七年度で二十名の増員を認められております。これは全部九北でございます。したがいまして四十名と二十名とで六十名あの大災害後に増員が認められた。それもすべて炭田だけにこれを配置したわけでございます。しかもこの配置の仕方も、私ども派遣班と称しておりますが、九州、北海道、北海道では四カ所、夕張、岩見沢、滝川、釧路、九州は筑豊三カ所と佐賀、佐世保、全国で九カ所派遣班を、監督官のたまりと申しますか、ここに全部こういう人員増員分は配置をいたしました。従来いろいろ旅費が足りないとかいうような問題もございましたけれども、今度は単に旅費的な見方だけでなくて、災害等がありました場合には、札幌から一々釧路まで半日かかって出て行くというのも間尺に合わないような次第でございますので、すべて増員分は、この派遣班に配置をしまして、したがいまして旅費等も、ずっと従来よりは、一人当たりの平均的には節約ができるということにもなってきますが、ただいま御指摘がございましたように、日当を特別減らすとかいうようなことでなくて、現在従来の監督検査の倍回るという考えでやっておりまして、その分の予算はつけてもらっております。したがいまして、こういうふうな現地派遣班に重点的に配置することによりまして、効率的な監督もできるようになって参るわけでございます。
それからもう一つ、二人で、複数で検査に行ったらどうか、こういう問題があったわけでございます。この問題は、二つの面から当時議論をされておったわけでございます。一つは先生も御指摘ございましたように、いろいろ特定の地方では、暴力的な問題も起きている、これに対処するために坑内に一人で下がって行くというのは、いろいろと不安もつきまとうというような問題から、二人、ある場合には三人という複数で行く、それからもう一つの問題は、やはり相当複雑な坑内になってきますと、一人だけ見たのでは見落としもできる、そういう要望もあるわけでございまして、また二人で見まして、両者がそれぞれ坑内で、あるいは坑口において見たところを検討し合って適切な措置を行ない、命令を下す、こういう二つの面から、精密に見るということと、当時の暴力問題等から、二つの面から複数にしたい、こういう要望が強かったわけでございます。現在もこの二つの面に必要があると認められた場合には、二人やっております。特に精密なものを要するような場合には、前者の暴力問題じゃなくても三人あるいは四人、できるだけ一人でぼつぼつ行くというようなことでなく、なるべく複数にしまして全坑内を一斉に検査する、こういった方式も、やはり監督上は必要な場合が多々ありますので、ただいま二つの点に必要があるようなものにつきましては、複数制を現在とってこなしております。以上のようなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/106
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107・阿部竹松
○阿部竹松君 四円が三倍になって十二円、十倍になって四十円ですね。やはり個々の法律改正、法律をきめるのはけっこうですが、やはりこれを実施してもらわなきゃならないのですから、実施していただくためには、やはり強力なスタッフが必要なんで、その人たちに無償で働けといっても、これは無理ですよ。東京都内、神奈川も含めて、警視庁からおまわりさんが競輪のときに出動する。一年に三万数千人ですよ。警視庁のおまおりさんが一人一日必ず競輪場の監督、警備に行くことになっている。しかしこの人たちは、一時間八十円くらいもらう。坑内のあの暗いところに入る監督官が、これは通産大臣にお聞きとり願って、ぜひ実施していただかなきゃなりませんが、この競輪場に行く警官三万数千名がもらう金額の十分の一も一時間割にしてもらえないという、こういう諸君に、法律だけ改正して厳重にやれと言っても、これは私は言うほうが無理だと思いますので、格段のひとつ大臣のこの人たちの、第一線の監督員の待遇について御努力願いたいと思うわけです。
その次にお尋ねしたいわけですが、違反を知らせるということを、前局長さんといろいろ話した結果、きめてありまして、ということは、今まで監督員が現地へ行きますね、現地へ行って、どこが悪い、あすこが悪い、ここはガスであぶないですよというような注意を鉱山へ行って、そこの人に、管理者にしか伝達しなかったのが今までの例です。それを三年前から、そういうことじゃいかぬ、会社、労働組合双方に知らせて掲示をせよと、こういうことを話し合ってきめたことがあります。今それを実施しておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/107
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108・八谷芳裕
○政府委員(八谷芳裕君) この問題は、ただいま御審議をお願いいたしております鉱山保安法の一部改正の中にも、ただいまの点が一部入ってきておるわけでございますが、十二月の初めから前後八回にわたりまして開催をいたしました保安法改正の委員会においても、この点もまた問題になったわけであります。ただいまでも労働組合の方々が希望されるときには、皆一緒にいろいろ話もしておるわけでございまして、特に監督部長は組合の者とはよく話をして、組合の協力も得なければ、保安の完璧は期し得ないと、こういう趣旨で、監督官には訓示をしておるわけでございますが、ただ、監督官が見まして帰りましてから、監督部長あるいは監督局長並びに同僚課長、こういう人たちによく相談をしまして、そうしてその結果、これは重要なことは通達になっております。こういう通達事項等になりますと、これはもう一つも問題はないのでございますが、中には、いろいろ未熟な監督官等も、まだ訓練中で十分に機能を果たし得ないという者もおるわけでございます。なまにこれを全部掲示させるとか、いろいろな点につきましては、監督官に、あまり重責がかかり過ぎるというような点もいろいろ御相談をいたしまして、中間答申が出ましたときには、通産大臣または監督部長の命令等は、保安委員会に通知させる。これは命令等が出ますと、鉱業権者に参りますが、この鉱業権者に参りましたものは、保安委員会に、労使双方で開催されております保安委員会に通知義務を課しまして、ここで慎重に審議をしてもらう、こういうことで、今回の改正になったわけです。以上のような審議を経たわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/108
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109・阿部竹松
○阿部竹松君 中央に保安協議会というのがございますね。あれはさっぱり開かない協議会だというふうに承っておりますが、ときどき開いて、いろいろ論議なさっておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/109
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110・八谷芳裕
○政府委員(八谷芳裕君) 確かに片は開かれなかった年もあったようでございます。しかし、これはいろいろ、あるいは保安協議会に諮る議題も少なかったという点もあったのじゃないかと思いますけれども、それより以上に、これは保安の、災害の減少ということは、よほど皆さんの御協力を仰がなければならぬということで、今回もまた、この問題も非常に議論になりまして、これはまあ開催をするということになりますと、特に石炭関係におきましては、地方の委員が非常に多いものでございますから、石炭以外のところで、メタル関係ですと、この旅費その他の問題は起きませんけれども、まあ今後も再三開催をしたいと思っております。
そうしてこの保安法の改正の中でも、専門部会を置いたりするようにいたしておりますが、必要に応じて専門部会を、全部の協議会でなくて専門部会を再三開催しまして、いろいろ御審議をお願いしようと思っております。予算その他の制約もございますので、本年度は少し増額いたしておりますが、さらに来年度予算以降におきまして、再三、事実上開催し得るように予算措置もして参りたい。かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/110
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111・阿部竹松
○阿部竹松君 ただ、一年に一ぺんも開かなかったという、これは極端な発言かもしれませんが、そういうことを私聞いておる、いかに真剣でないかという……、もちろんほかにお仕事を持っておって、そうしてこの道のたんのう者であるがゆえに委嘱されたのでしょうから、これに専念せよというのは無理かもしれません。しかしやはり答申は責任を持っていただかなければ、さいぜん、局長のお話によると三万人近いとにかく死亡者、重軽傷者が出るのですから、これは皆無ということは理想かもしれませんけれども、やはり大いに努力をしていただかなければならぬことであって、そういう協議会はどんどん開いて、これは特に佐藤通商産業大臣のような実力者がおるときに、抜本的に改正していただかなければならぬと思います。
そこで私は、時間がありませんから、最後に一点だけお尋ねして質問を終わりますが、この「第二十四条の次に次の一条を加える」ということがございまして、二の二項ですか、「前項の規定による命令をしようとするときは、鉱山保安監督局長又は鉱山保安監督部長は、通商産業局長に協議しなければならない。」このとき意見の一致を見ない場合もありましょうし、意見の一致を見る場合もありましょう、ただしかし、協議をしなければならぬということですから、話を持ちかけて結論が出なくても話し合ったことになりますから、これで二項は終わりだ、こういうことになりますか、その点を明確にお尋ねしておかなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/111
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112・八谷芳裕
○政府委員(八谷芳裕君) この通産局長に協議といいますもとは、保案法の二十二条の中にもございますように、鉱業法の六十三条の施業案の規定でございますが、この施業案の保安に関する事項は、監督局長または監督部長がやる、こういうふうになっておりまして、また鉱業法の中でも、保安に関することは、監督部長と協議しなければならない、施薬案に関しましては、そういうふうに規定されているわけでございます。現在の二十五条でも、通産局長と協議をするというふうに、こういうふうに規定されております。特にこの二十四条の第二項を入れましたゆえんのものは、ただいま申しましたように、現行規定にも通産局長に対する協議ということがございますが、さらにこれは鉱業権の取り消し、こういうことにもつながるわけでございます。この協議をやっていくわけでございますが、これにつきまして、保安に関することを、通商産業局長において困るとかいろいろなことを、実質上今までも申した例もございませんし、ただいま御説明しましたような趣旨から出ているわけでございます。協議をすれば、十分これは話し合いもつきまして、保安上悪いところはどしどしこれはやっていく、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/112
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113・阿部竹松
○阿部竹松君 保安局長の関係したお仕事につながりがある法案には、協議ということがたくさんある。そこで私は、三年前にある地方の監督局長にお尋ねした。この施業案の、今御答弁の中にあった施業案です。そうしましたところが、施業案、あんたのところで保安監督部と、十分相談した結果やったんですか。相談することにはなっております、しかしながら所定の手続を経て提出されれば、保安監督部長が何と言おうと、私のほうでは許可しないわけにはいきません。こういう答弁であったわけです。それで所定の手続を正規にとられれば、保安監督部長が何と言おうと、私のほうはだめとは——保安監督部長がだめと言ってもだめとは言いません。こういう答弁があったわけです。それとこれと似ているもんですから。そういうことになりはしませんか、こういうことを聞いているのです。具体的な例ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/113
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114・八谷芳裕
○政府委員(八谷芳裕君) これは協議でございますので、もちろん法理論としては、ただいま先生のお話、どこでそういうことを申しましたか存じませんが、そういうことにもなるわけでございますけれども、協議をしようという趣旨から参りまして、たとえば施業案の場合に、明らかに保安上危い、こういうものを認可するということはおかしいわけで、そういうただ形が整っているから、これを認可していくというようなことは現在やっていないわけでございます。まあ理屈上は協議ですから、協議をすれば、たとえば、二十四条の二の2は、監督部長または監督局長がやり得るということになるわけでありますが、協議をしようという趣旨にかんがみなければならぬわけでございます。あとの鉱業権の取り消しにもつながりますし、さらにこの施業案、生産その他のいろいろな問題につながってくるわけでございますので、実際の運営におきまして、理屈を離れまして十分な協議をやって参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/114
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115・阿部竹松
○阿部竹松君 保安局長さん、この法律は損得、経済を無視した法律ですよ、無視といって、そういう発言は極端かもしれませんが、ですから、こういう条文ですと、私はちょっとあまり幅があり過ぎて、鉱山保安監督局長とか、あるいは保安監督部長独自でやれるというぐらいにしておいたほうが、これは通商産業局長にあれすると、政治的に幅が入ってきて、経済的にどうでも、採算ベースがどうでも建て直しというようなものとか、資金繰りがどうだという幅が入ってしまって、本来の保安ということから横道にそれぬかという心配があるわけです。
ですから、私はこれはもう監督局長、監督部長が独自の立場でやるというくらいにきめつけておいたほうがいいというふうに考えたわけですが、これも私の意見ですが、もしそういう点で御答弁があれば御答弁いただくことにいたしまして、私これで、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/115
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116・八谷芳裕
○政府委員(八谷芳裕君) これは、この二十四条の二の2は従来の二十四条と違いまして、法規違反と、しかも再三反復して、しかも態様が悪質なもの、こういうものに適用していくわけでございますので、通産局において監督局長または部長の意見が軟化して実際上災害を起こすということがあってはならないと思います。また、そのようなことがないように心がけたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/116
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117・吉田法晴
○吉田法晴君 時間がございませんから、簡単に一括して御質問申し上げますから、御答弁も簡単にしていただきたいと思います。保安機構の強化、あるいは法律の改正に伴って、事務折衝なり、あるいは保安法の改正を行なわれたわけでありますが、しかし、実際には、先ほど御答弁がありましたように、昨年一カ年で七百人近い殉職者があって、三万人をこす死傷者が出た、そこで、実態はあまり変わっていないわけです。臨時措置法の制定と保安法の改正で、いわば保安問題について政府のやるべきことは終わったような顔をしておられるとたいへん問題だと思うのです。四月五日の閣議決定は雇用問題を中心にしてではありますけれども、石炭問題について石炭政策の強化をしなければならぬ、こういう決定がなされたわけです。同じ精神は——保安の問題については、経営というよりも人間の生命を大事にして保安を強化しなければならぬという精神だと思うのですが、その施策について、今までのもので十分であるという結果は出てないわけです。
今後、閣議の精神に基づいて保安についてどのように臨もうとされるのか、これは保安局長なり通産大臣の所管問題だと思いますが、伺いたいと思います。特にその中で、従来は人よりも経費、あるいは切羽や坑道の改善をして災害をなからしむるよりは、出た災害について補償すればいいという精神が経営の中にありますために、この保安問題は、幾ら強化をしても——政府が考えられる保安監督の強化をしても、私は絶滅を期することができないという、これは基本的な問題であると思います。それらの点について、保安の万全を期するために、どのように処置されようとするか、それが一点。
それからもう一つは、今度は保安の臨時措置法の改正に伴いまして、買いつぶしが行なわれるのです。あと残りました労働者や、あるいは鉱害、あるいはその他の債券等についても、今までのような事業団を通じての世話等が行なわれるのかどうか、あとに残される炭住に住んでおります労働者、あるいは鉱害その他の債権等について、どういう対処をされるか承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/117
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118・八谷芳裕
○政府委員(八谷芳裕君) 私ども、ただいままで保安の確保につきましては、ただいまも少し触れましたけれども、保安監督の強化徹底というような問題、それから保安施設の整備、それから終閉山、いわゆる臨時措置法によりますきわめて保安不良な炭鉱に対する措置と、それからさらには、鉱山保安に関する法律、または省令の整備、こういうことをやって参りましたし、また今後も、こういうことを基本として強力に災害防止対策を進めて参りたいと、かように考えておる次第でございますが、吉田先生御質問の、ただいまこういうことで事足りるのかというような御趣旨の御指摘を受けたわけでございますが、私どもも現在までやりましたことで、さらに災害が、従前よりもずっと減っていくというふうな確信を持っているわけではございません。さらに、特に今後残された問題といたしましては、労働者あるいは係員の保安教育、こういう面をさらに強力に進めていくことを考えていかないと、単に法律の整備とか、あるいは監督官の増員というようなだけでは、十分な成果は期待し得ないのではないかと、かように考えておりますので、ただいま、今までに監督の強化とか徹底、あるいは保安法の一部の改正等もやって参りましたけれども、さらに地方鉱山保安協議会に諮りまして、保安法の改正、特に教育面とか、これははたして法律にどういうふうになじんでくるか、いろいろ問題もございますが、この点も十分に検討して参りたいと考えるわけでございます。
それから次に、保安臨時措置法によります労働者、廃山になった所の労働者でございますが、これにつきましては、特別に労働省とも緊密な連絡をとって、その後の失業対策につきまして、いろいろ労働省とも連絡をとりつつ、遺憾のないようにして参りたいと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/118
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119・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 保安問題は、まことに重大な問題でございます。御指摘のとおり人命の尊重なくして、また炭鉱内の保安が確保されなくて石炭産業などはあり得ないと、かように実は考えますので、今までもいろいろ努力して参りましたが、なお不十分な点も多々あろうと思います。たえず関係者を督励いたしまして、万全を期していくように、さらにさらに努力を積む決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/119
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120・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 他に御質疑はありませんか。——他に御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認めます。
それでは、これより鉱山保安法の一部を改正する法律案及び前回質疑を終了しました石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、産炭地域振興事業団法案、以上三案を一括して議題とし、順次討論採決を行ないます。
まず、鉱山保安法の一部を改正する法律案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/120
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121・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 総員挙手と認めます。
よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案について討論に入ります。
御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/121
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122・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 挙手多数と認めます。
よって本案は、多数をもって提案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、産炭地域振興事業団法案について討論に入ります。
御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/122
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123・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 総員挙手と認めます。
よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定しました。
吉田君より発言が求められましたので、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/123
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124・吉田法晴
○吉田法晴君 申し合わせによりまして、各党各派を代表して、石炭三法案に対する附帯決議案を提案をいたしたいと思います。
この国会におきましても、前国会に引き続きまして石炭問題、石炭政策の問題がきわめて重要な問題として院の内外において論議をせられました。委員会を通じて審議を継続をいたしましたが、その間に政府の閣議決定もございましたし、問題になりました総合エネルギー対策の樹立あるいは雇用安定施策あるいは最低賃金制度の要望等は、これは閣議決定をふまえて、すみやかに実施するという意味を含めて、以下附帯決議案を各党各派の了承を得て上程することになりましたので、何とぞ満場一致の御賛成をたまわりたいと思います。
案文を朗読いたします。
政府は、三法の実施に当り、次の諸点について積極的努力を傾注すベきある。
一、今後の石炭基本政策並びに炭鉱労働者の雇用安定については、四月六日の閣議決定を強力かつ速かに推進すること。
二、産炭地域振興の緊急性にかんがみ、産炭地振興のため水資源の確保、道路、住宅用地の開拓造成、運輸通信施設の整備、地元産業の育成等については、関係各省の協力並びに関係地方自治体との連絡を密にし、財政的、金融的援助の強化を図るとともに、前記の事業の円滑かつ能率的な実施のため、産炭地域振興事業団の業務については、現地の実情に応じて、その拡大につとめること。
三、流通経費の節減を図るため、石炭運賃通算制の実施、流通施設の共同化その他の整備改善策を推進すること。
四、石炭鉱業合理化事業団の炭鉱買上げに際しては、地方自治体との連絡を密にし、炭鉱に附属する労働者住宅、上水道、電気等の施設の維持、活用に適切なる措置を講ずること。
五、交付金方式による炭鉱整備の実施については、実情に応じ、交付金算定基準の引上げ、交付金枠の増大等の検討、無資力認定制度の円滑なる実施により、鉱害の処理に不安なからしめるよう適切なる措置を講ずること。
以上でございます。何とぞ皆さんの満場一致の御賛成をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/124
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125・武藤常介
○委員長(武藤常介君) ただいま提案されました附帯決議案について、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、これより採決に入ります。
附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/125
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126・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 総員挙手と認めます。
よって本附帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。
なお、ただいま議決いたしました三案について、議長に提出する報告書の作成につきましては、慣例により委員長に御一任を願います。
ただいまの附帯決議に対し、通産大臣から発言を求められましたので、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/126
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127・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま全会一致をもって附帯決議を見ましたが、政府におきましては、この附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、それぞれの項目について、最善を尽くして御要望に沿いたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/127
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128・武藤常介
○委員長(武藤常介君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/128
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129・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 速記をつけて。
午前中の審議はこの程度にとどめ、午後二時半まで休憩いたします。
午後一時四十分休憩
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午後二時四十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/129
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130・武藤常介
○委員長(武藤常介君) これより商工委員会を再開いたします。
石油業法案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/130
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131・阿部竹松
○阿部竹松君 この石油業法案は、本年十月に予定されておる油の貿易の自由化に対処して作ることになったと思うのですが、しかし今すでにありますボイラー規制法、あれは来年十月までやるはずなんですね、あれとの関係はどういうことになりましょうか、全然関係あるかないか、あったとすれば、どの点が問題かという点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/131
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132・川出千速
○政府委員(川出千速君) ただいまお話ございましたように、重油ボイラー規制法は数年前、たしか三十年ごろだったと思いますが、五年の期間で作られました石炭と石油の——石油と申しますか重油との調整をはかるのが眼目でありまして、その意味では、当時の総合的な政策であったかと思います。それを期限がきましたときに、さらに三年延長することになりまして、三十八年の十月が継続期限の終了でございまして、そのときに効力を失うということになっておるわけであります。石油業法のほうは、先ほどお話がございましたように、石油の自由化の問題を契機として出された法的措置でございます。これもいろいろ、今までにも質問がございましたけれども、供給計画という第三条の柱がございます。それで石炭との−石炭とは書いてございませんが、石油のほかのエネルギーとの調整をはかって、供給計画をきめるというととが規定をされておるわけでございます。その意味では、石油以外のエネルギーとの調整ということで、石油業法も石油だけの問題ではないというところが十分ではございませんけれども、規定に出ておるわけであります。先ほどの重油ボイラー規制法と直接の関連はありませんけれども、他のエネルギーと調整をはかるという意味では、実体的には、私は全然無関係のものではないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/132
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133・阿部竹松
○阿部竹松君 そこでお尋ねしたいことは、今エネルギーの話が出ましたが、私どもの考えでは、この法律を通読させていただいても、総体的には、わが国の総エネルギーの消費量がまず規制される、その中で石油、石炭、ガス、電気、こういうものの占めるウエートからして総合エネルギー対策の中で、あらゆる部門の法律を作って、一つ一つその対策を立てていくというのがほんとうだというように理解しております。ところが、この法案を作るにも、私どもの承知しておる限りでは、相当修正され、何度も再三再四にわたって、もみくちゃにされてぽつんとこの業法が一本出てきた。こういうことになれば、石油業法をきめて総合エネルギーを云々するのは、どうも本末転倒ではないかということで、大きな総合エネルギー対策を立てた中で、今申し上げますとおり、石油、石炭、ガス、電気、こういうような系列化した総合対策を立てるべきだ、このように判断するわけですが、これは逆じゃございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/133
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134・江上龍彦
○説明員(江上龍彦君) 石油業法は総合エネルギー対策の一環として立案せられるべきじゃないか、石油業法だけが、単独に出てきたのはおかしいじゃないかというような御趣旨かと思うのでございますが、政府としては、従来から石炭対策、石油対策と、それぞれ形の上では個別的に対策を打ち出してきたのでございますけれども、その根底には、国民所得倍増計画というものがございまして、そこでエネルギーの将来の一応の姿というものが描かれているわけでございます。それから各エネルギー相互間の関連ということも考えまして、政府としては総合的な見地を頭に持ちつつ、一つ一つの対策を打ち出してきたというふうに考えておるわけでございます。
所得倍増計画によりますと、石油のエネルギーにおいて占める地位が昭和四十五年度では約五〇%、それから昭和五十五年度では約六三%になるというふうになっております。その意味から申し上げましても、エネルギーの中で将来決定的に重要な地位を占めるのは石油である。で、石油政策としてはしたがって、このエネルギーにおける一番重要な石油というものを、低廉かつ安定的に供給する体制というものをぜひ推進していかなければならぬ、その一環として、この石油業法というものが出されてきたものである、こういうふうに考えておるわけでございます。
なお、全体としての総合エネルギー対策の姿というものは、引き続きまして審議機構を、今度、産業構造調査会総合エネルギー部会というものを発足させまして、その場において総合エネルギー対策というものの検討をやって参りたい、そしてその中における石油業の位置づけというものも、はっきりと国民の前に示したい、かように考え
ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/134
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135・阿部竹松
○阿部竹松君 所得倍増論に伴って頭に描きつつきめたということになりますと、所得倍増計画が失敗すれば、これはむだであるということになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/135
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136・江上龍彦
○説明員(江上龍彦君) 現在政府といたしましては、経済政策の基礎を、将来の姿というものを、一応所得倍増計画というものを基礎にして進めておるわけでございます。したがって、その所得倍増計画の中でのエネルギーに関する計画というものは、政府としては、大体において、それほど大きな狂いはない、もちろん現在の経済情勢、あるいは過去数年の伸びから見ますと、将来若干の修正を要することはあり得るとしましても、方向としてそう大きく狂うことはない、したがって、それに基づいて考えていくという線が、それほど現実の情勢と合わないという事態にはならないものというふうに考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/136
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137・阿部竹松
○阿部竹松君 あなた方、そう所得倍増計画は狂わぬと言っても、今、現在閣僚である経済企画庁長官が、赤信号でなくても、とにかくオレンジ色くらいの信号を出しているでしょう、あなたは、どうお考えになってあの人の説をお受け取りになっているかわからぬけれども、ただ、そういう架空の数字に立っておきめになったのであれば大問題です。
そこで、所得倍増論はさておきまして、この五〇%に重油が——油が到達した場合に、ほかの石炭その他の消費量は、何が何%、何が何%ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/137
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138・江上龍彦
○説明員(江上龍彦君) 所得倍増計画の一次エネルギーの供給の数字をちょっと申し上げますと、昭和四十五年度におきまして、総エネルギーの一次エネルギーの供給量が、七千カロリーの石炭に換算いたしまして、約二億八千三百万トンになる予定でございます。そのうち、先ほど申し上げましたように、石油が、これに石炭換算でございますが、一億四千万トン、それから石炭が、これは輸入炭も合わせまして八千百万トン、それから水力でございますが、水力が石炭換算にいたしまして五千五百万トン、そのほか、比率はわずかでございますが、天然ガスが二百三十万トン、薪炭等が三百六十万トン、比率にいたしますと、石油が四九・六%、石炭が二八・七%、水力が一九・五%、天然ガスが〇・八%、薪炭が一・三%、こういう数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/138
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139・阿部竹松
○阿部竹松君 さいぜんまで石炭に関係ある法案を論議しておりましたけれども、大臣もここに御出席願っておった、大臣のお話を承ると、石炭の場合は五千五百万トン以上は政府は責任を負いませんと、こうおっしゃっている、あるいは五千八百万トン、あるいは六千万トン出るかもしれません、そのときは、油よりコストが安い場合は使ってくれるでしょう、しかし、政府の責任の負えるものは五千五百万トンですよと言って、私どもはそれはいかぬ、何とかあれも使ってくれと言って、再三再四要請やらお話をしても、なかなかがんとして聞かぬ。ところがあなたの今の数字を承ると、八千一百万トン、同じ通産省で、たとえば石炭——通産大臣の話が全然なかったにしても、現在の大体五千五百万トンが、急激に数年の間に三千万トンも多く出るような能力があるかということです。同じ省で局が違ったら、こういうふうに結論が違う。まあ、所得倍増ですから、倍増々々で出炭率も倍増計画で、倍率で換算していったかもわからぬけれども、これは全然架空の数字ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/139
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140・江上龍彦
○説明員(江上龍彦君) 今申し上げたことは、あるいは誤解を招いたかと思ったのですが、八千一百万トンという数字は、輸入の石炭も含めた数字でございます。石炭のその内訳は、実数と七千カロリー換算で数字が違いますが、まず実数で申し上げますと、石炭については生産は五千五百万トン、輸入が二千九百万トン、合計いたしまして八千四百万トンでございますが、これは大体六千三百カロリーくらいのあれになっておりますから、少なくとも便宜上七千カロリーに計算いたしますと、これが生産と輸入と合わせまして八千一百万トンという、こういう数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/140
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141・阿部竹松
○阿部竹松君 ところで、これもおかしな話を承るが、通産大臣は、あなた方も知っておると思うのですが、輸入炭は、現在原料炭以外には入れませんと言っておる。そうするとあなたのお話でいくと、原料炭が二千万トン以上入ってくることになっておる。どうも僕は納得いかないのですね。原料炭以外入れませんということでわれわれに言明しておる。これは鉱山局長あるいは江上参事官も御存じかもしれない、あるいは御存じでないかもしれない。同じ省の方で、午前の話と午後の話とがそう違ったのではちょっと困る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/141
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142・江上龍彦
○説明員(江上龍彦君) 石炭の輸入数字は、大臣も言われましたとおり、ほとんど原料炭でございます。現在でも原料炭を一千一百万トンくらいですか輸入しておるわけでございます。これが四十五年になれば、この程度になるであろう、こういう数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/142
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143・阿部竹松
○阿部竹松君 まあなるであろうという話を幾ら確かめてみても始まりませんし、やがて大臣の出席のもとに委員会等も開かれることでしょうから、それはそのままにしておいて、さいぜんあなたにお尋ねした中で、どうもこの法律が再三再四案文作成の中で、くるくる、くるくると変わって出たやに僕は承知しておる。何のために、いろいろ横やりがあったとしても、最初の方針のとおり、何のためにいかなかったかということをお示し願えればお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/143
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144・川出千速
○政府委員(川出千速君) 政府の石油業法案は国会に提案いたしましたのが正式の案でございまして、その前に出ておりました案は、あるいは新聞等にも出ておりましたが、エネルギー懇談会に、事務局の試みの案というので出たのがございます。これは通産省全体としても、あるいは政府部内としても、意見の調整をはかった案ではなかったわけでございます。事務局のいわば鉱山局の試みの案でございますが、その後民間業界あるいは政府部内等とも意見を交換いたしまして、その意見をも参考にして、一番妥当であり、適切であるという案にまとめたのがお手元に差し上げてございます石油業法案でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/144
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145・阿部竹松
○阿部竹松君 次にお尋ねしますのは、わが国に、日本石油とか、あるいは三菱とか、大協とか、亜細亜とか、昭和とか、丸善とかといって、相当数の会社があるわけですが、大体どのくらいの会社があって、それから外資がどのくらい入っているのか、外資の入っておらぬ会社があるかどうか、おそらく外資が入っておれば、独禁法六条か、七条で届けなければならぬという規定があるように私は承知しているのですが、その点お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/145
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146・川出千速
○政府委員(川出千速君) 現在石油精製を行なっている会社は、全部でたしか十七社であったかと思います。そのうち外資が入っておりますというのは、株の形で入っている会社が、おもな会社が五社でございます。さらにまたその五社のうち子会社の形で、間接外資と言っておりますが、その会社が三社ございます。そのほかは、いわゆる民族系と申しますか、資本には外資が入っていないわけでございます。しかし資本としては外資は入っておりませんけれども、金を借りるということで、外国の石油会社なり、あるいは外国の金融機関から外資をローンしているところはございます。
それから独占禁止法のお話でございますが、これは通産省よりも公正取引委員会の所管ではないかと思いますが、独占禁止法第六条でございましたか、国際契約を結んでいる場合は、それを「公正取引委員会に届け出なければならない」ということになっているかと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/146
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147・阿部竹松
○阿部竹松君 「届け出なければならない。」その届け出たか、届け出ぬかということは、あなたのほうで承知しているはずなんです。その会社が、そういう経過を経てあなたのほうで認可をするということになっているわけです。あなたのほうは、それは公正取引委員会のほうだから、私のほうは何にも知りませんという筋合いのものではないように思いますが、これはいかがですか、関係ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/147
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148・川出千速
○政府委員(川出千速君) 石油精製業を所管しているわけでございますから、関係ないということは申し上げられないと思うのですけれども、法的裏づけによって、その届け出を処置するという、そういうことになっていないわけでございまして、事実上、聞いて見た場合に好意的に教えてくれればわかるという程度の問題でございます。行政的にその内容を知ろうということはできないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/148
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149・阿部竹松
○阿部竹松君 石油の自由化を十月からやるということになりますと、ソ連あたりは、いろいろな条件があったり、あるいはいろいろの中身があるようですが、アメリカから買おうと、中近東から持ってこようが、あるいは東南アジアから持ってこようが、ソ連から買おうが自由ですか、真の意味の自由になりますか。私はソ連から買いたい、ドルを割り当ててくれぬか、ああよろしゅうございますということになりますか、この貿易の自由化に伴って……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/149
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150・川出千速
○政府委員(川出千速君) 現在は外貨の割当制度——御承知のとおり外貨割当制度をやっておりまして、しかし現在でも、どこの国からどれだけ買うからという意味で外貨額の割当をやっていないわけでございます。外貨の割当をやった範囲では、どこの国からでも買ってよろしいという方式をとっております。グローバル予算と申しております。それは自由化になりました場合、十月から原油の自由化をやるという一応の方針になっておりますが、そういうことでございますので、現在でも自由化後でも、その意味では、そう大差はないのではないかというふうに考えられるわけでございます。現在でも、どこの国から買ってもいいわけでございます。その場合に、これも御承知のとおりでございますが、外資の提携をしている会社は、これは全部ではないと思いますけれども、大部分の外資の提携をしている、いわゆる外国資本系の会社は、全量に近いものを特定の提携先から購入するということになっておりますので、現在もそうなっております。自由化後も、そういうことではないだろうかというふうに推測をいたす次第でございます。
それから先ほど申し上げましたいわゆる民族系——外国資本の入っていない精製会社でございます。この精製会社も、これは商売の問題でございまして、原油は必ずこれは買わなければなりませんが、長期的に安定して買うほうが便利な場合が多うございます。そのかわりに外国から金を借りる、ちょうどギブ・アンドテイクのような格好になるわけでございますが、そういう長期購入契約をしておる会社は、現在でも外貨割当の範囲内で、特定のところから買っている会社もあるわけでございます。その点は、自由化前でありましても、自由化後でありましても、今のところ、そう大きな違いはないのではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/150
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151・阿部竹松
○阿部竹松君 現在でも、いずこの国から買おうと自由であり、将来も自由である。ただ現在は、ある規定された額のワクがある、こういうことですね。
そうしますと、今度は極端な例になりますが、私が通産省にドルの申請をしますと、幾らでも割り当てられる、そのドルをもって十万ドルでも二十万ドルでも油を買おう、よろしいと、こういうことになりますね。これはあまり端的な例ですが、お前はソ連から買うからいかぬとか、あるいはどうとか、一切のひもがつかぬ真の名実ともに自由化だ、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/151
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152・川出千速
○政府委員(川出千速君) 原油の購入は、これはコマーシャル・ベースの問題でございますので、政府はなるべくそういうことに干渉しないほうがよろしいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/152
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153・阿部竹松
○阿部竹松君 関与、——関与でなく、貿易の自由化というものは、どういうものかということでお尋ねしているのですから、ベースが安かったり高かったりするのは、わが国は、いつも池田さんの言うとおり自由な立場に立っての経済で、資本主義国家ですから、損しようがしまいが、それは個人々々が責任と負担を負えばいいことであって、ただドルの割り当てについて、端的な表現ですが、私がもし申請しても、何方ドルでも何十万ドルでも、どこから持ってこようと、それは御自由ですといって、ドルの割当が当たるわけですね。特定の会社へ、君のところはよろしい、君のところはいかぬというわけに参りませんね。
〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/153
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154・川出千速
○政府委員(川出千速君) 自由化後のお話かと思いますが、自由化後は、石油の輸入につきましては届出制をとっておりますが、石油製品については、当分の間自由化をしない方針でおります。したがって自由化されるのは原油であるわけです。届出をした人は、原油を輸入することは、これは自由になるわけでございまして、割当を受ける必要はないわけでございます。ただし、原油は精製をしなければ製品にはならないわけでございますから、何人が幾らでも原油を入れてみても、これは設備にかけて石油のいろいろな製品にしないと、商品とはならないわけでございます。したがって、石油設備を持っておるものが輸入をするわけでございます。石油業法案の中では、石油の精製業を営むことと、それから営むものが設備を新増設する場合には、政府の許可を受けなければならないということで、事業許可と設備許可制をとっておりますので、そこで大きく制約を受けることになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/154
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155・阿部竹松
○阿部竹松君 そうすると、これまた完全な自由ではないということですが、この十月に自由化をやった結果、どういう産業が利益を得て、どういう産業が自由化によって打撃をこうむるかというようなことがありましたならば、例をあげてひとつお話いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/155
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156・川出千速
○政府委員(川出千速君) 御承知のように、最近は原油は世界的に供給過剰にございます。それから国内の精製業は非常な過当競争をいたしております。自由化になりますと世界的な原油の供給過剰と石油精製業の性格である非常な過当競争をしておるということが結合いたしまして、これは非常な過度の競争が行なわれ、精製業の健全な安定的な発展に障害が将来起きてくるかと思います。過度の競争が行なわれると、これは力の強いものが市場を支配するおそれもございます。そうなりますと、これは関連産業なり、あるいはひいては消費者のためにもならないということが起きることも予測されるわけでございます。それから石油以外のエネルギーと申しますか、たとえば石炭もその一つであろうかと思いますが、国産の原油であるとか、あるいは海外の開発の原油の円滑なる消化の問題につきましても、何らの法的措置なくして自由化にいたしますと、相当の影響があるのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/156
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157・阿部竹松
○阿部竹松君 そうしますと、話が裏を返すことになりますが、そこまできめつけていいかどうか別として、一つのカルテルの法案、共同行為の法案ということになって、独禁法に反するということはございませんか、この法律は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/157
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158・川出千速
○政府委員(川出千速君) この法律の基本は、まず五カ年の供給計画を立てまして、これを法運用の柱にいたしております。この供給計画は、最も実際に近いように絶えず修正もし、毎年作るわけでございます。それに基づきまして事業許可と設備の許可制をとっているわけでございます。それから各事業許可を受けました精製会社から、毎年製品の生産計画を、これは届出でございますが、とることにいたしております。供給計画と生産計画の集合とを比較することになりますが、場合によりまして、需給に非常に混乱が生じて精製業のみならず、いろいろな関連産業というものに悪影響がある場合には、生産計画の変更の勧告をすることができるということになっております。これは政府の行政的な勧告でございます。もちろん拘束力もないわけでございます。そこに共同行為があるわけでもございません。これは政府から業界に対する勧告でございます。それに従わなければならない義務もないわけでございますから、独禁法の問題とは、法の対象が異なるのではないかというように解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/158
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159・阿部竹松
○阿部竹松君 ただいまの答弁のようですから、独禁法違反だとはきめつけないけれども、やる行為が独禁法違反と疑われるようなことになりませんかということをお尋ねしたのです。お尋ねというよりも、法案の趣旨からして、そういう点までやらなければ、この法律は仏作って魂入れずになるのですから、勧告であるから守っても守らなくてもいい、まあその点は局長のおっしゃるとおりだと思います。しかし、やって現われてくるものが、やや独禁法違反らしいものになってきませんか、したがって、そこのすれすれのところまでいかなければ、この法律は効力を発揮し得ないのじゃないかという心配があるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/159
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160・川出千速
○政府委員(川出千速君) この点は今後の法の運用に待って、よく実情を検討した上で考えなければならない残された問題だと思っております。
〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/160
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161・阿部竹松
○阿部竹松君 明日も委員会があるようでございますし、約束の時間が参りましたので、私ここで質問を本日は終わりますが、先般、有沢広巳さんを団長とするヨーロッパに石油事情を調査に参られた結論が出ておると思うのですが、お聞きになってなければお答えなくてもけっこうですが、もしこの調査団の結論をお聞きになっておった場合は、ヨーロッパの事情、あるいはアメリカ等において、重油から原油から、その他のいろいろな油に対する諸政策をとっておるやに私承ります。この点を最後にお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/161
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162・川出千速
○政府委員(川出千速君) 欧州調査団の報告最終的な取りまとめは、まだできておりませんが、中間的な報告が、簡単なものでございますが、報告されております。その中に、ヨーロッパの各国でとっておる石油に関する政策が、骨子が述べられておりますので、その要点を述べさしていただきます。
まず、イギリスでございますが、イギリスには石油業法も、その他の法的な措置もございません。しかしイギリスは三つの大きな石油会社によって成り立っております。その一つは、政府の資本が半分以上も入っておる国策会社でございます。もう一つは、これは有名なシェルでございます。あとエッソでございます。したがって、実際面では政府と一体的な運用をはかる素地ができておるわけでございます。必ずしも法的措置が必要なような条件になっていないわけでございます。それがイギリスでございます。
それから西ドイツでございますが、これは最も自由な形をとっておりまして、国内において石油業法の法的措置がございませんし、それから国策会社もないように聞いております。ただ国産原油の占める割合が相当のものでございますので、石油について非常な高関税を課しております。これは日本の関税の十倍以上だと聞いております。
それからフランス、イタリアでございますが、これはきわめて統制色の強い石油政策をとっております。フランスは一九二八年にすでに石油業法を作りまして、それ以来石油業法の運用で石油行政をやっております。これは、思想としては、本来石油の輸入その他の権能は国にあるのだというような哲学からスタートいたしまして、本来国にある仕事を民間に委託しておるのだというような法の精神でございます。事業許可、設備許可あるいは石油の値段の法定、公定価格、最高価格をきめるというような非常に統制色の強い石油業法を今もって運用をいたしております。石油業法だけではなくて、そのほかに政府の直接の機関が、国内の石油資源の探査をする、あるいは国策会社を、それも一つではなくて複数持っておりまして、国内のみならず海外で開発をするというような両方、国家機関並びに国家が資本を出しておる国策会社等によって石油の政策を遂行しておるのがフランスでございまして、ヨーロッパの中では一番統制色が強いという報告を聞いております。
それからイタリアでございますが、イタリアは一九三三年に、これも石油業法を作りまして現在に及んでおります。この石油業法も、表面は相当な統制色の強いものでございますが、調査団の報告によりますと、運用面においては、徐々に緩和をされておりまして、最近は非常にゆるやかな運用をしておるという報告でございます。その反面、エニーという有名な石油の国策会社がありまして、これは非常に強力なむしろコンツェルンに近い会社でございます。天然ガスについては掘採の独占的な権限を付与されております。石油の精製、販売あるいは石油化学、原子力までやっておるわけでございます。またエニーの子会社は海外に進出いたしまして、海外で石油の掘さくをやっておるというような非常に巨大な会社がございます。またソ連の石油については、エニーがほとんど独占的に非常に安い値段で輸入をしている、これをまた、競争する場合の有力な財源にしているということも報告がございました。
ヨーロッパ調査団はヨーロッパだけでございましたので、その四カ国を回ってきたわけでございますが、アメリカは調査団は行ったわけではございませんけれども、一九五九年以降石油の輸入について許可制を採用しております。これは安全保障と国内資源確保を理由にしているようでございます。
以上、簡単ですが御説明した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/162
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163・岡三郎
○岡三郎君 ちょっと一言、石油製品は、自由化しないと言いましたね。なぜ石油製品は自由化しないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/163
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164・川出千速
○政府委員(川出千速君) 戦後各国で取っております石油政策の一つの原則は、消費地精製主義でございまして、原油を現地でなくして消費地に持ってきて、そこで製品を、種々様々な製品を需要に見合うように作るという政策を取っております。わが国も、戦後そういう措置を取っているわけでございますが、それでも足りない分は輸入に仰いでいるというのが現状でございます。ところが、これを直ちに製品も一緒に自由化いたしますと、輸入される製品のほとんど大部分というものは実は重油でございまして、消費地精製主義の立場からも悪い影響があると同時に、関連エネルギーに非常な悪影響を現状では及ぼすのではないかという配慮の下に、石油製品については当分自由化を見送るということにしているわけでございます。
それからもう一つ、石油製品の関税と原油の関税は、それを相当の格差を設けているわけでございますけれども、日本の場合、原油の関税を今度基本関税まで戻しまして一キロ当たり五百三十円になったわけでございます。C重油の関税は五百七十円でございます。ほとんど差がないわけでございます。製品の自由化をする場合に、将来は関税の問題も合わせて検討しなければいけないのじゃないかと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/164
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165・岡三郎
○岡三郎君 自由化をするということをいっても、結局、国内の精製の設備のないところは手が出ないということですね。実際問題として精製する機能がないところは、原油持ってきたって、それを一般商品にするということがむずかしいわけですね。まあ、そうなるというと、これは一体精製設備会社のための自由化なのか、だから、もうちょっと総合的に考えれば、今関税を高くするという問題もかね合わせていいとしても、実質的に商売、取引が、精製設備を持っていないものは、ほとんど入っていけない、こういうことになっているわけなんだが、精製会社のために、そういうふうにしているのか、自由化ということによって国内で自由に製品というものを取り扱うことができるという立場からいうとおかしいのじゃないのかね、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/165
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166・川出千速
○政府委員(川出千速君) 現在製品を輸入しているわけでございますが、これは、日本ではできない極く少量の航空用のガソリンでございます。これは将来、日本でもできることになると思います。それとあとは、大部分は石炭と競合するC重油でございます。若干の事業用のA重油がございますが、これは減税措置を取っているわけでございまして、製品の自由化は当分しないと申しましても、必要なものは、これは現在の関税でむしろ安く入手できる建前を取るつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/166
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167・岡三郎
○岡三郎君 私が言うのは、逆にそういうふうな形の自由化というのは、自由化になるかどうか、阿部君が言った問題に返ってくるけれども、実質的に一般の人が扱えない、精製設備を持っているもの以外に、ちょっとタッチできないようなものが、これは自由化といえるのか。それならば、もっと端的に具体的にもう少し、そういうことは無理なんだ、ただ外から自由化せい、せいというから、九〇%自由化するという建前でやっている。そうして、あげくのはてに、生産設備のあれでチェックしなければならないとか、何かしら、国際的には自由化されたけれども、国内的には不自由化になってくるのじゃないか、こういう心配があるんだね。こういう点で、もうちょっと自由化というものを、根本的に伸ばすということの考え方との関連をちょっと聞きたいのですね。これは端的にいって、自由化になっていないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/167
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168・川出千速
○政府委員(川出千速君) 端的にいって自由化になっていないという御質問でございますが、これは量から申しますと、原油が圧倒的に多いわけでございまして、製品の現在の輸入量というものは、原油の金額、数量に比しまして、一部分を占めておるわけでございます。
それから、自由化の問題と国内規制の問題でございますが、各国も国内体制の問題と自由化の問題は、これは分けて考えておるわけでございます。たとえば、イタリアは石油業法を、先ほどから申し上げましたように、一九三三年に制定しておるわけでございますけれども、国内体制の固めができておりますから、十四年前に自由化をすでにやっておるわけであります。そういうふうに国内体制を固めるから、自由化しても自由化ではないのだということではないというふうに私は申し上げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/168
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169・岡三郎
○岡三郎君 もうちょっと常識的に考えて、自由化するならば、もう実際だれでも取り扱えるようにしなければいけないのですね。ところが、精製機能を持っていないところは、自由化だといっても、実際にそんなものを買ってきたってシャット・アウトを食って、お前の石油は精製してやらないぞ、こういわれればできない、実際に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/169
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170・川出千速
○政府委員(川出千速君) どうも私の説明がつたないものですから申しわけございませんですけれども、現在は外貨割当でございますから、原油の割当なり、石油製品の輸入についても割当をやっておりますが、その割当をされた範囲内でしか製品は作れない。いわば割当によって企業活動を拘束しておるわけでございます。これらは原油が自由化されますと、そういう拘束はなくなります。設備の範囲内で資金の手当てができれば、これはだれでもがというわけではございませんけれども、石油精製業を営んでおる事業者は、これは製品を販売できる限り輸入をして製品を作ってもいいわけでありますが、したがって自由化になれば、競争は業法がありましても相当激しいことは予想される、そういう状態……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/170
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171・岡三郎
○岡三郎君 だから、それをチェックしようというのでしょう、これで。それで工場の設備拡張をこれでチェックしようというのでしょう。そうするというと、どうしてそんなような痛しかゆしの問題で自由化するのかということになるわけでね。もうちょっと外貨の割当で、ぴしりとやっていったほうがいいんじゃないのかという気がするのですよ、実際問題として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/171
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172・川出千速
○政府委員(川出千速君) これは鉱山局長として答弁するのが適当かどうかというふうに思いますが、自由化全般の問題でございます。まあ九〇%本年の十月までに自由化をするというのが政府の方針でございますから、そうなりますと、石油は輸入の割合が非常に高うございます。どうしても入るということにならざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/172
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173・岡三郎
○岡三郎君 それはあなたに聞いてもしようがない。政務次官、どっかへ行っちゃったから、もうやめますが、そうなれば、砂糖なんかのほうを——あなたに言ったってしょうがないが、政務次官どこかへ行っちゃったから……。輸入の自由化をしないで……。あれも相当の額で、膨大なる数量だと思う。そういうふうな点で、まあ国際的な国内的な両方面から見て、自由化の品目自体についての検討自体というものも、何か御都合主義の印象を部分的には受けるわけです。だから、逆にいえば、砂糖を自由化すれば、石油だって、ある程度自由化しなくてもいいということになるのじゃないか、逆にいうと。これは外貨は石油のほうが多いけれども、これは政務次官いないから鉱山局長に聞いてもあれだけれども、そういうことじゃ無理で、自由化の態勢が十分できてないのに、自由化を十月までにせい、こういわれている建前から、こういうチェックするような法案の規制をしなければならぬと思うのだけれども、全般的にいって、どこから自由化しなければならぬかという問題がまだ私は、ここに横たわっているのじゃないかと思う。政策的に考えてないで、具体的に国民生活の上からいっても、もっと先にしなければならぬというものがあるのじゃないかと思うのだが、ずいぶん苦労して法案を提出されておると思うのだが、(「鉱山局長に言ったって仕方がない」と呼ぶ者あり)以上で、さらにこの話は続けて次にも聞きますがね。じゃ、やめましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02519620424/173
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174・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 他に御質疑はありませんか。——他に御発言がなければ、本案の質疑は、との程度にとどめます。
本日は、これにて散会いたします。
午後三時三十五分散会
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