1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年五月四日(金曜日)
午後三時五十四分開会
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委員の異動
四月三十日委員田畑金光君辞任につ
き、その補欠として曾祢益君を議長に
おいて指名した。
五月一日委員奥むめお君辞任につき、
その補欠として加藤正人君を議長にお
いて指名した。
五月二日委員吉武恵市君及び川上為治
君辞任につき、その補欠として笹森順
造君及び苫米地英俊君を議長において
指名した。
本日委員苫米地英俊君、吉田法晴君、
曾祢益君及び笹森順造君辞任につき、
その補欠として川上為治君、伊藤顕道
君、向井長年君及び吉武恵市君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 武藤 常介君
理事
赤間 文三君
剱木 亨弘君
中田 吉雄君
牛田 寛君
委員
大泉 寛三君
川上 為治君
小林 英三君
吉武 恵市君
岡 三郎君
近藤 信一君
委員以外の議員
発 議 者 永末 英一君
衆議院議員
発 議 者 首藤 新八君
発 議 者 板川 正吾君
政府委員
科学技術庁原子
力局長 杠 文吉君
通商産業大臣官
房長 塚本 敏夫君
中小企業庁長官 大堀 弘君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞壽君
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本日の会議に付した案件
○商店振興組合法案(衆議院提出)
○中小企業基本法案(衆議院送付予備
審査)
○中小企業基本法案(衆議院送付予備
審査)
○中小企業組織法案(衆議院送付予備
審査)
○中小企業基本法案(永末英一君発
議)
○産炭振興に関する請願(第一六二
号)
○産炭地振興措置に関する請願(第七
四六号)
○産炭地域振興に関する請願(第一〇
〇九号)
○産炭地振興措置に関する請願(第一
〇一〇号)
○産炭地振興対策に関する請願(第一
〇一一号)
○産炭地振興対策の早期確立に関する
請願(第一〇一二号)
○産炭地域振興対策予算に関する請願
(第一〇一三号)
○産炭地市町村の振興に関する請願
(第一〇一四号)
○産炭地域振興対策に関する請願(第
一四二八号)
○産炭地域振興に関する請願(第一六
四七号)
○産炭地域振興対策に関する請願(第
一六四八号)
○産炭地域振興事業団法案の一部修正
等に関する請願(第一六四九号)
(第一七七三号)
○産炭地振興対策確立等に関する請願
(第一六五一号)
○産炭地市町村振興対策確立等に関す
る請願(第一六五二号)
○産炭地域振興に伴う関係法律等整備
に関する請願(第一六五三号)(第
一七八五号)
○福岡県添田町に筑豊縫工場設置のた
めの融資に関する請願(第一六五四
号)
○福岡県嘉飯山地区の産炭振興事業推
進に関する請願(第一六五七号)
○産炭地域振興臨時措置法の一部改正
等に関する請願(第二四〇八号)
○石炭政策確立に関する請願(第二九
七号)
○石炭政策樹立に関する請願(第八八
六号)
○石炭対策に関する請願(第一六五〇
号)
○石炭政策転換に関する請願(第二〇
九二号)(第二〇九三号)
○石炭政策転換促進に関する請願(第
二九六二号)
○鉱害復旧事業団の融資機能強化等に
関する請願(第一〇一五号)
○福岡県山田市に合理化事業団所有の
硬山払下げに関する請願(第二〇二
九号)
○石炭産業の長期安定化に関する請願
(第二四一七号)(第二四一八号)
(第二四一九号)(第二四二〇号)
(第二四二一号)(第二四二二号)
(第二四二三号)(第二四二四号)
(第二四二五号)(第二四二六号)
(第二四二七号)(第二四二八号)
(第二四二九号)(第二四三〇号)
(第二四八〇号)(第二四八一号)
(第二五〇八号)
○石炭鉱業安定法等に関する請願(第
二八一五号)(第二八二三号)(第
二八二四号)(第二八二五号)
○天然ガス及び石油資源開発に関する
請願(第八二一号)
○石油輸入自由化対策に関する請願
(第二〇七〇号)
○石油鉱業総合政策確立に関する請願
(第二二〇〇号)(第二二七〇号)
(第二二七一号)
○石油輸入自由化対策に関する請願
(第二二六〇号)
○石油業法案反対に関する請願(第二
八四六号)
○金属鉱業保護政策確立に関する請願
(第二六〇二号)
○鉱業政策確立に関する請願(第二七
六八号)
○商工会等の経営改善普及員の身分保
障等に関する請願(第四六七号)
○小規模事業対策予算増額に関する請
願(第六二二号)(第六七五号)
○中小企業基本法制定推進等に関する
請願(第九九五号)
○中小企業基本法制定促進に関する請
願(第一三七三号)(第一三七八
号)(第一四四三号)(第一四四四
号)(第一五二九号)(第一五五二
号)(第一五九六号)(第一七五九
号)(第一八四一号)(第一八四二
号)(第一八五六号)(第一九一一
号)(第一九一二号)(第一九六一
号)(第二一八一号)(第二二六七
号)(第二二六八号)(第二二六九
号)(第二三〇四号)(第二三三六
号)(第二三七〇号)(第二三七八
号)(第二四一二号)(第二四五八
号)(第二五一二号)(第二五七九
号)(第二六〇九号)(第二六五五
号)(第二七六六号)(第二七六七
号)(第二八四五号)(第二九六一
号)(第二九九六号)(第三〇八二
号)(第三三〇八号)(第三四一八
号)(第三三一九号)(第三四三九
号)(第三四八〇号)(第三四八一
号)(第三六〇六号)
○商店街振興法制定促進に関する請願
(第一六二〇号)
○商店街振興法制定に関する請願(第
一六三三号)(第一九一〇号)(第
一九六二号)(第二一三〇号)(第
二一三七号)(第二一六二号)(第
二二一四号)(第二二一五号)(第
二二三二号)(第二二三三号)(第
二二五一号)(第二二六六号)(第
二二七三号)(第二三〇三号)(第
二三七一号)(第二四一一号)(第
二四三一号)(第二五一三号)(第
三三〇九号)
○商店街法制定促進に関する請願(第
三〇八三号)
○公共料金等引下げに関する請願(第
二〇三〇号)(第二〇三一号)(第
二〇三二号)(第二〇三三号)(第
二〇七一号)(第二〇七二号)(第
二〇七三号)(第二〇七四号)(第
二〇七五号)(第二〇七六号)(第
二〇七七号)(第二〇七八号)(第
二〇九五号)(第二〇九六号)(第
二〇九七号)(第二〇九八号)(第
二〇九九号)(第二一三八号)(第
二一三九号)(第二一四〇号)(第
二一四一号)(第二一四二号)(第
二二七二号)(第二三一六号)(第
二三一七号)(第二三一八号)(第
二三一九号)(第三三二〇号)(第
二三二一号)(第二三二二号)(第
二五三四号)(第二五五七号)(第
二五五八号)(第二五六七号)(第
二六〇一号)(第二六五六号)(第
二六五七号)(第二九四五号)(第
三一九五号)(第三二九三号)(第
三二九四号)(第三三二八号)(第
三三八一号)(第三三八二号)(第
三三八三号)(第三三九九号)(第
三四〇〇号)(第三四一九号)(第
三四七〇号)(第三四七一号)(第
三四七二号)(第三四七三号)(第
三四七四号)(第三四七五号)(第
三四七六号)(第三四八三号)(第
三四八四号)(第三四八五号)(第
三四九七号)(第三四九八号)(第
三五四九号)(第三五五〇号)
○物価値上げ反対等に関する請願(第
二〇九四号)(第二三二三号)(第
二五五九号)(第三〇一七号)(第
三二九五号)(第三四七七号)(第
三四七八号)(第三四七九号)(第
三五五一号)
○熊本県有明不知火地域の新産業都市
指定に関する請願(第一一〇一号)
○宮崎県都城地区を低開発地域工業開
発促進法に基づく開発地区に指定す
るの請願(第一五九四号)(第二六
一〇号)
○鹿児島県大隅中部地区を低開発地域
工業開発促進法に基づく開発地区に
指定するの請願(第一七六三号)
○競輪選手制度の改善等に関する請願
(第八二〇号)
○競輪制度改善に関する請願(第八三
四号)
○放射能対策に関する請願(第三七六
号)
○茨城県に放射線化学中央研究所設置
の請願(第七九五号)
○利根川上流に放射線化学中央研究所
設置反対に関する請願(第二八三四
号)
○茨城県に火力発電所誘致に関する請
願(第六五三号)
○北九州工業用水道第二次布設事業の
追加専業認可に関する請願(第一六
三号)
○水道事業用電力料金軽減に関する請
願(第一六一四号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/0
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001・武藤常介
○委員長(武藤常介君) これより商工委員会を開会いたします。
本日は、衆議院提出の商店街振興組合法案、及び自民、社会、民社各党から提出されました中小企業基本法案、及び関係法案を審査いたしました後、請願の審査を行ないます。
初めに委員の異動について報告いたします。
四月三十日に田畑金光君が辞任され、その補欠として曽祢益君が選任、五月一日、奥むめお君が辞任され、加藤正人君が選任されました。本日、吉田法晴君が辞任され、その補欠として伊藤顕道君が委員に選任されました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/1
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002・武藤常介
○委員長(武藤常介君) それでは商店街振興組合法案を議題といたします。
まず、発議者より提案理由の説明を聴取いたします。衆議院議員首藤新八君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/2
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003・首藤新八
○衆議院議員(首藤新八君) 商店街振興組合法案につきまして、私は自由民主党を代表いたしまして、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。
商業、サービス業等の店舗が多数集まっている地域には、消費者が大勢集まり、また、消費者が集まるところには、店舗が集まり、そこに、いわゆる商店街が形成されて参ります。商店街には、種々の業種の事業者が混在し、それぞれ自分の事業の繁栄をはかっておりますが、その地域内の事業者は、すべて、その地域全体の繁栄をはかることによって、自分たちの事業の繁栄がはかれるという共通の利害関係を有しております。そこに、その地域内のすべての事業者が協力して商店街の繁栄をはかろうとする動きが生じ、現に、全国各地において、商店街振興会等の名称で、商店街の振興をはかるための組織が自然発生的に出現し、大いに活躍しております。そしてこのような組織が、より活発な活動をするために、法律の規定に基づく法人としての地位を得たいと願うのは自然な成り行きであると申すべきであります。そこで現行の法制を見ますと、中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合が目につきますが、はたして事業協同組合はその要求を十分に満たすことができるでしょうか。商店街における組織は、商店街という商業地域で営業をする異なる業種の事業者が組織すべきものであるのに対し、事業協同組合は、原則として、同業種に属する事業者が共同の利益を増進するため共同経済事業を行なうことを目的とするものであります。また同法によるいわゆる商店街組合も地域内の異なれる業種の小規模事業者のみが集まってその事業の発展のために共同事業を行なうことが出来るのみで、いまだ不十分な点があるのであります。
商店街の繁栄をはかるためには、事業者の事業活動を主眼とした共同経済事業のみでなく、その事業を行なう場所すなわちその地域の環境整備事業を行なうことが必要となって参ります。ところが、この点については、事業協同組合は、全く予想していないところなのであります。また組合員資格につきましても、商店街における組織は、特に環境整備事業を行なう上には、その地域内の事業者は、百貨店も、銀行も、中小小売業者も含めてあらゆる業種の事業者が、さらに必要がある場合には、事業者でない個人までも、組合員となるのでなければ、その事業を遂行することはむずかしいのであります。
現在、商店街振興会等の名称で商店街における組織が多数出現しているにもかかわらず、事業協同組合として法人格を持つものは、そのうちのわずかの部分にすぎないという実情も、以上のような理由からであると考えられます。
そこで商店街における事業者等の組織として、新たに法人格を持った商店街振興組合を認め、商店街の振興のための活動主体としての地位を与えようとするのが、この法案を提案した理由であります。
次に、この法案の要旨を御説明いたします。
第一に、商店街振興組合は、その地区内において小売商業またはサービス業に属する事業その他の事業を営む者及び定款で定めたときはこれらの者を組合員として組織されます。
第二に、商店街振興組合は、小売商業またはサービス業に属する事業を営む者の三十人以上が近接してその事業を営む市(特別区を含む。)の区域に属する地域であって、その大部分に商店街が形成されているものを地、区とし、組合員資格を有する者の三分の二以上が組合員となり、かつ、総組合員の二分の一以上が小売商業またはサービス業に属する事業に属する事業を営む者であるものについて、設立を認めることにいたしました。
第三に、商店街振興組合は、商店街振興組合連合会を設立することができますが、連合会の会員資格者の二分の一以上が会員になるのでなければ、設立することができないことといたしました。
第四に、商店街振興組合の事業といたしましては、組合員の事業に関する共同施設、組合員のためにする商品券の発行、組合員に対する事業資金の貸付、組合員及びその従業員の福利厚生に関する施設等の共同経済事業のほか、街路灯、アーケード、駐車場、物品預り所、休憩所等組合員及び一般公衆の利便をはかるための施設、組合の地区内の土地の合理的利用に関する計画の設定及びその実施についての組合員に対する助言、組合員が建築協定を締結する場合におけるあっせん等の環境整備事業をもあわせ行なうことができることといたしております。
第五に、政府は、商店街振興組合の事業の維持発展をはかるため必要があるときは、予算の範囲内で、商店街振興組合に対して補助金を交付することができることとなっております。さらに、既存の中小企業の組織体である商工会等との間にできるだけ摩擦を生じないようにその地区その他について調整を加えたのであります。
以上がこの法案の提案の理由及び要旨であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/3
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004・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 本案の質疑は都合により次回に譲ります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/4
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005・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 次に、中小企業基本法案(衆第四二号)、中小企業基本法案(衆第二四号)、中小企業組織法案(衆第二五号)、中小企業基本法案(参第一〇号)、以上四案を便宜一括議題に供し、順次、提案理由の説明を聴取いたします。
まず、衆第四二号について説明を願います。衆議院議員首藤新八君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/5
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006・首藤新八
○衆議院議員(首藤新八君) 私は自由民主党を代表いたして、ただいま議題となりました中小企業基本法案につきまして、その提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
わが国の中小企業者が、鉱工業生産の拡大、商品流通の円滑化、海外市場の拡大等を通じ、国民経済の発展と国民生活の安定とに寄与してきた事情については、今ここにあらためて申し上げるまでもなくすでに各位の十二分に御承知のことと存じます。
私は、このような中小企業者が今後も自由にして公正な競争原理を前提とする近代自由経済の中にあって変わることなくその重要性を維持し、かつ施策のよろしきを得るときは、旧に倍する成長を記録することもさして難事ではないと確信するものであります。
しかるに、わが国の中小企業者の多くは、その成長過程において諸般の事情から資本蓄積は進まず、経営基盤は弱く、機械設備等の老朽化にもおおいがたいものがあります。このような中小企業者をこのままに放置するときは、中小企業者と大規模事業者との間の生産性と所得の格差は、今日以上に拡大するばかりでなく、わが国経済の高度成長計画にも多大の支障を来たすものと、深く憂慮いたしておる次第であります。いわゆる生産性格差の存在に代表される中小企業問題をこの際早急に解決することは、まさに公共の福祉を増進し、国民経済の健全な発展を招来するために、きわめて重要な課題であると信ずるゆえんであります。
このため、第一には、中小企業者の一そうの自覚と創意工夫を期待するとともに、中小企業者の経済的存立条件の不利を是正し、その事業の体質を改善して、その経済活動を促進すること。
第二には、自由にして公正な競争原理左確認するとともに、大規模事業者との間における経済活動を調整して公正な経済秩序の確立に努め、中小企業者の事業の安定と発展を期すること、この二つの課題を国民経済的立場に立って解決するための基本的方策を示めすものとして、ここに中小企業基本法案を提案した次第であります。
次に本基本法案の内容につきまして、その概略を申し上げます。
第一は、本法案の対象となる中小企業者の範囲な製造業等にあっては、資本金五千万円以下、または従業員数三百人以下、商業サービス業にあっては従業員数五十人以下としたことであります。
これは現行制度の多くが中小企業の定義を、製造業については、資本金は一千万以下、商業サービス業については従業員数を三十人以下としている点を、今日の実態に合致するよう改め、諸般の施策が一そう浸透するよう意図したものであります。
第二は、生産及び取引について大規模事業者との間に、事業分野の調整その他必要な調整措置を講ずるよう規定したことであります。これは現行憲法の許容する範囲内において、事業分野等の調整を行ない、中小企業者の事業の安定と振興をはかるよう意図したものであります。
第三は、中小企業者の卒業経営の近代化を推進し、生産性向上のための施策を講ずるよう規定したことであります。これは中小企業者にあっては、生産性の向上が格差是正の最捷径であり、このため設備の更新、経営の改善、技術の向上等、積極的に事業の体質改善を促進することが必要であるという趣旨に基づくものであります。
第四は、中小企業者の組織の拡充に必要な助成その他の措置を講ずるとともに、国の中小企業に関する施策も組織に関する施策を妨げるものであってはならないと規定したことであります。これは経済事業や調整事業における中小企業者による組織の重要性にかんがみ、その拡充をはかり、もって中小企業者の事業の安定と発展を招来するよう意図したものであります。
第五は、系列関係において中小企業者の自主性か失わしめず、下請関係においてその公正な利益を保護するため、必要な措置を講ずるよう規定したことであります。これは中小企業者の事業の多くが大規模事業者と系列ないしは下請関係に立って存在し、しかも親事業者の経済的優位性のゆえに、不当に従属的支配下に置かれており、このことが中小企業者の健全な発展を著しく阻害している実情にかんがみ、その適正な関係の確立をはかるよう意図したものであります。
第六は、特に小売商業について、大規模事業者等との間に事業調整を講ずる道を開いたことであります。これはわが国の中小企業者の中で最も数が多く、かつ零細である小売商業者の正常な事業活動が、往々にして、大規模事業者または協同組合等の進出によって阻害されている実情を矯正するための手段として特に規定したものであります。
第七は、官公需の発注につき、その一定割合を中小企業者に確保するよう必要な措置左講ずるよう規定したことであります。これは米国等の先例に範々とり、中小企業者に対する需要を拡大して、その事業活動を促進するための手段として規定したものであります。
第八は、金融の円滑化をはかるため、中小企業者のための専門の金融機関を育成強化すること、財政投融資の充実に努めること、中小企業者に対する貸付条件の適正化をはかること等の諸措置を講ずるよう規定したことであります。これは中小企業者の設備の更新、健全な商業活動等に必要とされる資金を潤沢に、かつ適正な貸付条件で確保するための手段として規定したものであります。
第九は、国税、地方税を通じて、中小企業者の税負担を適正にし、その税負担が大規模事業者等に比し、不均衡となることのないよう必要な施策を講ずるよう規定したことであります。これは資本蓄積の弱い中小企業者に対し、極力税負担を軽減し、その事業経常の合理化と安定をはかるという趣旨に基づくものであります。
第十は、中小企業者に対し、資本調達の円滑化をはかるため必要な施策を講ずるよう規定したことであります。これは中小企業者の資本の増額、社債の発行を容易ならしめる措置を講じ、所要資金の確保に資するとともに、その資本構成を是正して、中小企業者の事業の安定と成長をはかることを意図するものであります。
第十一は、小規模事業者に対しては、諸般の施策を講ずるに当たり、特別の考慮を払うよう規定したことであります。これは製造業等にあっては、従業員数二十人以下、商業サービス業にあっては五人以下程度の事業者については、一般の中小企業者と異なり、特に手厚い施策を必要とするのが多いことから、かような規定を置くこととしたものであります。
第十二は、経済事情の変化により存立の困難となった中小企業者の事業について、他の事業または職業への転換を容易にするため、必要な措置を講ずるよう規定したことであります。これは経済事情の変化等から他の業種または他の職業へ転換することを希望する中小企業者及びその従業員について助成の措置を講じようとの趣旨であります。
以上のほか、政府に対しては、中小企業者の実態を常時適確に把握するため、総合基本調査及び動態調査を実施し、また中小企業施策の効率的実施を確保するため、国会に対し、中小企業者の動向、施策の概要等に関する年次報告を実施するよう義務づける規定を設けた次第であります。
なお、中小企業に関する重要施策を審議し、かつ意見を具申するため、総理府に中小企業審議会を設置することにいたしました。
本案については、わが党は慎重に調査立案をいたしましたので、中小企業者現下の実情にかんがみ、取り急ぎ御審議御賛成下さいますよう、お願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/6
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007・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 次に、衆第二四号及び中小企業組織法案について御説明を願います。衆議院議員板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/7
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008・板川正吾
○衆議院議員(板川正吾君) ただいま議題となりました中小企業基本法案につきまして、日本社会党を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
今さら申し上げるまでもなく、今日、中小企業は、わが国経済の中で圧倒的多数を占めており、かつまた生産、流通等の面においてもきわめて重要な役割を果たしているのであります。にもかかわらず、中小企業と大企業との間に大きな格差が存在し、中小企業の経営は常に不安定な、困窮した状態にあります。景気が悪くなれば、まっさきにその被害を受け、景気がよくなっても、なかなか中小企業にその余波が届かない。これを言いかえますならば、大企業は中小企業を踏み台にし、景気調整のクッションに利用していると言っても過言ではないのであります。
この点が欧米の資本主義諸国と非常に趣きを異にしているところであります。欧米の資本主義諸国におきましては、わが国に見られるような大企業と中小企業との間の格差は、労働者の賃金あるいはまた付加価値額の面を見ましても、ほとんど存在しないのであります。したがいまして、わが国におけるがごとく、中小企業問題が社会問題にまで発展しているような事例はほとんど見当たりません。
こうした現状の中で、政府は依然として大企業に有利な財政金融政策を推進し、また独禁法か有名無実のものとして、不当な独占支配を黙認しているのであります。さらに、最近は、自由化を口実に、大企業による吸収合併並びに系列支配を容認し、中小企業を弱肉強食の冷酷な経済競争の中にはうり出したままであります。このように、政府の中小企業対策は、場当たりの措置に終始して、一時を糊塗してきたにすぎず、一貫した方針が今日に至るまで一度も示されたことがございません。このため、中小企業者は、今日、資金難、求人難等きわめて窮迫した経営に直面しているだけでなく、明日の経営、中小企業の将来に大きな不安を抱かざるを得ない状態に追いつめられているのであります。
そこで、中小企業をこのような窮状から救い出し、大企業との間の格差を是正して、安定した、将来に希望の持てる近代的な経営に引き上げるには、どうしてもこの際、抜本的な基本政策を打ち立てる必要があるのであります。そして一元化された強力な行政機関のもとで、かかる基本政策が推進されること、今日ほど緊急を要することはないのであります。これが本法律を提出する理由であります。
次に、そのおもなる内容を御説明いたします。
まず初めに、本案は、中小企業政策の基本となるべき方針について明確に提示しているのであります。すなわち、基本方針として、次の五つの目標をうたっております。
その一つは、いわゆる国民経済の二重構造々解消して、経済の民主化を実現すること。
その二つは、中小企業者の自主的な協同化を促推すること。
その三つは、個々の中小企業者についても、その維持発展のため、直接必要な指導助成を活発に行なうこと。
その四つは、中小企業とともにその労働者の所得増大をはかり、あわせて近代的な労使関係の確立に努めること。
最後に、中小企業者、労働者、農民相互間の調和をたえず考慮しつつ、中小企業政策を推進すること。
以上のような五つの基本方針に基づいて、以下具体的な政策、機構の内容に及んでいるのであります。
まず第一は、本案に規定される抜本的な総合政策を実施するには、従来の中小企業庁ではとうてい不可能でありますので、新たに中小企業省を設置し、強力に中小企業者の利益を擁護、推進していく考えであります。なお、中小企業省の詳細な規定については、本来本案と三位一体のものとして同時に提出しております中小企業省設置法案を参照していただきたいと存じます。
第二、中小企業者を定義するにあたって、特に零細な勤労事業者を分離し、政策の恩恵が勤労事業者にも十分に浸透するように考慮しているのであります。すなわち、前著については、常時使用する従業員の数が三百人以下であって、かつ資本の額または出資の総額が三千万円以下のもの、ただし商業、サービス業では三十人以下のものとし、勤労事業者については、おおむね十人以下かつ百万円以下、ただし商業、サービス業ではおおむね三人以下としているのであります。もっとも鉱業など特定業種については、別途法令で、中小企業の範囲か定め得ることとしております。
第三は、中小企業の組織についてであります。中小企業の経営を近代化し、発展させて、大企業と対等の地位に引き上げるには、協同化が必要であることは今さら言うまでもありません。
本案は、この協同化にあたって、自主的協同を原則として、あくまでも強制や統制の考えを排除しているのであります。すなわち、加入、脱退は自由で、組合員の権利があくまでも平等な協同組合を組織の基本としております。
そして協同組合の設立を簡易にし、これに国が積極的な援助を与えることによって、協同組合に入ったほうが中小企業者にとってより有利になるような条件を作り上げていくべきだとしているのであります。これまでのように、法律に基づいて組合を作っても、何ら見るべき助成がないために、魅力がなくなり、せっかく目ざめた協同精神を上からぶちこわしてしまうといったあり方を、この際根本的に是正してかからなければなりません。
さらに、中小企業者がその業種業態に応じて何らかの協同組合に組織され得るよう、組織の種類として、事業協同組合、勤労事業協同組合、下請協同組合、商店街協同組合、環境衛生協同組合、共済協同組合、信用協同組合、企業協同組合並びにそれらの組合の連合会の九つを考えております。
これらの協同組合は互いに協同して経済事業を営むほか、調整事業や、大企業との団体交渉もあわせ行なうことができるように規定しております。なお、従来の中小企業者の組織に関連する諸法律につきましては、この際、中小企業組織法案に一本化して、本案並びに中小企業省設置法案と三位一体のものとして本国会に同時に提案しておりますので、具体的な内容の説明につきましては、中小企業組織法案に譲りたいと存じます。
第四は、具体的な中小企業政策の内容についてであります。
まず、産業政策全般に及ぶものとしては、中小企業に適切な事業分野を確保していくことを考えております。今日、大企業が中小企業分野に進出して、中小企業の存立を脅かしている現状を是正するため、中小企業に適切と認められる事業分野に、大企業がむやみに進出することを規制しようというものであります。
また国、地方公共団体、公共企業体などが外部に発注する場合にも、現在の大企業偏重を改め、中小企業に一定割合以上を優先発注するよう義務づけることといたしておるのであります。
次に、経営近代化のための政策といたしまして、機械化の推進、経営の専門化、規模の適正化、設備の更新、共同施設の新増設、経営管理の改善、技能者訓練の徹底、試験研究機関の拡充などに努め、それらに必要な助成を積極的に行なう考えであります。中小企業の経営近代化のためには、同時にまた、直接中小企業者の相談に応じたり、診断、指導などの諸活動々積極的に行なうことが特に必要とされておりますので、そのための機関として中小企業センターを全国に配置する方針であります。
また、中小企業の貿易を振興するために、海外市場の調査、開拓の機関を整備し、かつ貿易金融の円滑化をはかり、さらには中小企業が海外において行なう技術協力その他経済協力活動に対しても、指導と援助の手を差し伸べて参る考えであります。
具体的な政策内容の第二といたしましては、産業別にきめのこまかい振興政策をとるべきことを提案しているのであります。
すなわち工業にあっては、大企業への従属性を脱却して公正対等な関係を打ち立て、特に下請中小企業者に対する大企業からの不当な圧迫を排除すべきことを強調しているのでありす。
鉱業につきましては、地下資源開発事業の特殊性にかんがみ、特に中小企業者の行なう探鉱、採鉱に対する助成の必要を認めているのであります。
商業については、商品の流通秩序の維持、一般小売商業者の利益擁護の立場から、大企業との間の取引条件の改善、メーカー、卸売業による直接小売行為の制限、百貨店業者の進出抑制をはかるとともに、他方一般小売商業者みずからの経営改善、近代化を促進し、また横のデパートとしての商店街の共同事業活動に積極的な援助を行なわんとするのであります。本案は、特に従来の政府の中小企業施策が工業に偏していた傾向を是正し、商業部門についても明確な政策を打ち出しているのであります。
第三は、零細な勤労事業者に対する政策についてであります。初めにも触れましたように、零細な勤労事業者に対する施策は、従来中小企業政策一般のかげに隠れて全く見すごされてきました。そこでこの際、勤労事業者に対する施策は、中小企業政策一般から切り離して、別ワクのものとして、十分な政策的配慮を払うべきであると考えるものであります。すなわち、本来の経済政策に社会政策を加味していくべきであります。このため、協同組織化への特別の援助、無担保融資の増大、勤労所得控除制並びに家族労働者の給与所得制の確立、改善、事業主負担分の軽減措置を伴う社会保険の強制適用、そのほか経理、技術の指導助成などを行なっていく方針であります。こうした政策によって初めて零細な勤労事業の体質改善が可能だと信ずるものであります。
第四は、金融、税制政策であります。まず、金融政策につきましては、金融機関の融資総額の一定割合以上を常に中小企業者に確保することとし、また金融機関が一企業に一定割合以上の集中融資を行なうことを禁止しているのであります。さらに信用補完制度を拡充強化するとともに、災害、景気変動等不慮の事態から中小企業者を守るために、中小企業緊急救済資金を設置することにいたしておるのであります。
次に、税制につきましては、協同組合に対する法人税の軽減税率の適用、設備近代化促進のための特別償却制、積立資金に対する税の特別措置などを実施する方針であります。なお、勤労事業者に対する税措置はさきに述べたとおりであります。
第五、労働福祉及び社会保障政策についてであります。
中小企業の前近代的な経営のあり方は、その労使関係に顕著に表われております。これを是正する一助としても、また最近の求人難を打開していくためにも、中小企業に働く労働者の福祉厚生を真剣に考慮して参らなけれげなりません。
このため、特に労働者の福祉に関する諸施設の建設並びに事業活動に対しまして、国及び地方公共団体に積極的な指導、助成の義務を課しているのであります。なお、社会保障政策につきましては、勤労事業者に対する施策のところで述べたとおりであります。
以上が中小企業政策の具体的な内容であります。
次は、中小企業と大企業等との間の紛争処理の問題についてであります。今日、中小企業は大企業による一方的な不公正な取引に対し、全く泣き寝入りの状態であります。これを改めて、正常な経済秩序を確立し、中小企業に公正な機会、平等な立場を保障していくには、どうしても中小企業と大企業との間の紛争を調整する機関の設置が必要であります。その意味におきまして、労働者に労働委員会があるように、中小企業にも中小企業調整委員会を中央並びに地方に新たに設けようというのであります。調整委員は、中小企業者、大企業者、労働者、消費者等をもって公正にあて、中小企業と大企業等との町に生ずる紛争についてあっせん、調停、裁定を行なうものであります。
最後に、実態に即した適切な中小企業政策を実施するため、政府に対し総合的な実施調査を行なわしめ、さらに中小企業政策に関する基本計画や実施計画並びにその実施状況について、国会に年次報告左させることといたしておるのであります。
また、総理府に中小企業審議会を設け、主としてこの法律の施行に関する重要事項を調査審議し、必要と認める事項について、内閣総理大臣または関係各大臣に建議し得ることとし、本法運用に万遺憾なきを期しておるのであります。
以上が本法律案提出の理由並びに内容の概要であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
次に、中小企業組織法案の提案現出を御説明いたします。
本法律案は、中小企業基本法案と密接不可分の関連法であり、中小企業省設置法案とあわせて、三位一体のものとして、本院に提出しているのであります。
中小企業に関する組織は、中小企業団体組織法、並びに中小企業協同組合法によるもの、環境衛生関係営業の適正化に関する法律によるものがあります。この団体組織法並びに協同組合法による組織の数は、中小企業庁の調べによりますと昭和三六年十二月末現在で二七、二三八ということであります。統計上、これらは一応休眠組合でないとされておりますが、私どもが現存する組合の実態を見ます場合、どれだけ活発に活動しているかはなはだ疑問な組合がきわめて多いのであります。統計の上では、中小企業者が一体どれだけこれらの法律に基づく組合に組織されているかは、不明でありますが、現在、未組織の中小企業者がいかに多いか、一応組織はされていても、これらの法律に基づく事業活動を現に実施している組合がいかに少ないかということは、およそ中小企業に関係するもののひとしく痛感するところであります。
この理由は一体にどこにあるのか。これは一つには、現行法律の規定が中小企業者の現状に適応しておらないというところからきておるのであります。二つには、一般に仏作って、魂入れずという言葉がありますように、法律は作っても、肝心の組織化促進の助成を積極的に行なわない、予算の裏づけがほとんどなされないということのためであります。
最近、中小企業者は組織化の必要、協同事業の必要について切実に目ざめつつあります。そして、現に何らかの組織、任意団体に参加するものが多くなって参りました。
ところが、一歩進んで、これらの法律に基づく組合を作ったり、それに加入したりすることには、きわめて消極的であります。むしろ、魅力がなく、かえってわずらわしいとさえ感じているのであります。
今日、技術革新に伴う経済情勢の著しい変化の中で、中小企業の経営を安定させ、その近代的な発展をはかるには、中小企業者の団結の強化、協同化の促進をはかることが最も急務とされているのであります。
しかるに、以上のように中小企業の当面する課題と現状とは、不幸にも相離反した姿を示しているのであります。そして、この離反をもたらした最大の原因が、政府の施策の不備、怠慢にあるということは、何としても遺憾きわまりないことであります。
わが党は、ここに中小企業基本法案の重要な一環として、中小企業組織法案を提出するゆえんも、実にこの現状を打開せんがためであります。そして中小企業者の協同化への切実な要望にこたえ、だれもが、みずからの自由意志に基づいて、その業種業態に適応した組合に簡易に参加でき、協同事業活動のもたらす恩恵に浴することができるよう、国に積極的な施策の実行を義務づけんとするものであります。さらにまた、これらの組織に強力な団結権、団体交渉権を保障することによって、従来の大企業からの不当な圧迫に対し、それに動じない中小企業者の強固な、安定した地位を確立して参らうとするものであります。
これが、今までの中小企業者の組織に関係する諸法律を一本化し、中小企業組織法案として提案する理由であります。
つぎに、本法律案の概要を御説明申上げます。まず、第一に、本法律案の定める中小企業の基本組織は協同組合であります。この協同組合は加入、脱退の自由、組合員の権利の平等を原則とし、設立の要件、手続を簡易にし、経済事業、調整事業、団体協約の締結をあわせ行ない得る組織として考えられておるのであります。これによって、組合設立を促進するとともに、組合の種類によって調整事業ができたり、できなかったりする従来の不便を解消して参るつもりであります。また、あくまで自主的な、中小企業者が喜んで入る組織を原則とし、強制加入はいかなる場合にもこれを認めていないのであります。
第二に、組合の種類としましては、事業協同組合、勤労事業協同組合、下請協同組合、商店街協同組合、環境衛生協同組合、共済協同組合、信用協同組合、企業協同組合、協同組合連合会を考えています。これによって従来の事業協同小組合を勤労事業協同組合に発展させ、また商工組合を廃止して、新たに下請並びに商店街の両協同組合を設けることといたしました。また今までの事業協同小組合、環境衛生同業組合、火薬共済協同組合、企業組合は、それぞれ勤労事業協同組合、環境衛生協同組合、共済協同組合、企業協同組合に組織がえすることといたしております。
勤労卒業協同組合は、地区内の勤労事業者すなわち、従業員おおむね十人以下にして、かつ資本金百万円以下のもの、ただし商業、サービス業にあってはおおむね三人以下のものによって、下請協同組合は、主として地区内の下請業者によって、商店街協同組合は、主として地区内の小売業またはサービス業者五十人以上によって、共済協同組合は、一または二以上の都道府県の区域の全部または全国の区域内の中小企業者によって組織され、他の組織は大体従前どおりであります。
第三に、その事業の内容につきましては、事業協同組合、勤労事業協同組合、下請協同組合、商店街協同組合、環境衛生協同組合の各組合は、経済事業、調整事業、団体協約の締結をあわせ行なうものであります。そして事業協同組合、下請協同組合、環境衛生協同組合が調整事業を行なう場合には、同一業種について地区の重複々認めないことといたしておるのであります。
また共済協同組合は、火災だけでなく、風水害、地震、盗難、交通事故、爆発等による損害をも共済事業の対象に加えております。信用協同組合、企業協同組合の事業については、従来のとおりであります。
第四は、調整事業に関する事項についてであります。すなわち、調整事業を行なう場合は、不当に差別的でないこと、一般消費者及び関連事業の利益を不当に害するおそれがないことを一般的な必要要件としております。
さらに、それに加えて、不況カルテルの場合は、不況要件を、合理化カルテルの場合は、価格等に不当な影響を及ぼさないことを要件といたしております。
また調整規程については、中小企業者のみが加入している組合の場合は届出制で足り、中小企業者以外のものが加入できる組合の場合は、認可制をとることにし、特に価格協定については公正取引委員会の同意を必要としたのであります。
なお、調整事業を効果あらしめるために、不況カルテルの場合について、アウトサイダー規制命令を出しうることとし、違反者には従来の罰金三十万円を五十万円に引上げて賦課することにいたしました。この場合、事業停止命令や加入命令は毛頭認めておりません。
第五は、団体協約についであります。協同組合は取引条件ならびに調整事業について団体協約を締結することができ、相手方はこの団体交渉に対し、応諾する義務があります。そして団体協約のうち、取引条件に関するもの、中小企業者のみが加入している組合の締結したものについては、届出制で足りることといたしました。なおまた、系列別の下請協同組合が、新事業者と間に取引条件に関して締結した団体協約については、その四分の三以上が適用をうける場合、その親事業者と取引関係のある組合員以外の下請業者に対し、一般的拘束力をもつことといたしておるのであります。
第六に、中央会の機構、運営につきまして、従来の天下り方式を改め、真に民主的な中小企業者の細微とするよう配慮いたしました。すなわち、中央会に正規の理事会をおき、理事会は業務の執行を決する、会長は理事会の定めるところに従って業務を行ない、会長事故あるときは理事がその職務を代理する、といたしたのであります。
第七といたしまして、とくに政府の助成義務を明記しておるのであります。これは初めに申上げましたように、せっかくの組織に関するりっぱな法律ができても、協同化を促進する政府の助成措置に欠けるところがあっては、法の効果的な運用を期すことができませんので、共同施設、福祉厚生施設に要する経費、組合の事務に要する経費について、国がその一部を補助することを義務づけたのであります。
また商店街など協同組合の設置する街灯の公共性を考え、その電気料金について特別の経減措置をとることといたしておるのであります。
その他、細目の規定につきましては、おおむね従来の法律の規定た準用しております。
以上が本法律案の提案理由と内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/8
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009・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/9
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010・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 速記をおこして。議事の都合により、民社党案の趣旨説明はあとに回して、ただいまから請願事項の審査を行ないます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/10
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011・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 次に、本委員会に付託されました請願二百七件を便宜一括して議題といたします。
本請願につきましては、従来の例にならい一昨二日理事会を開き慎重に検討いたしました。以下、便宜お手元に配付いたしました付託請願一覧表を基準とし検討の結果を報告いたします。なお、同一件名につきましては、号数及び件数を省略し、筆頭掛号のみを申し上げます。
まず、鉱業関係につきまして、一ページ目は中ごろにあります一六四九号を除く全請願、二ページ目の二四一七号八二一号、二〇七〇号、二二六〇号、二六〇二号、二七六八号、中小企業関係では、四六七号、六二二号、物価関係では、二〇三〇号、地域開発関係では、一五九四号、七六三号、その他の関係では、三七六号、六五三号、二八一四号、以上三十八件、総数で百十九件になりますが、いずれも請願の願意妥当と認め採択すべきものと意見が一致いたしました。
それからプリント四枚目にございますが、三〇九四号物価値上げ反対等に関する請願及びその他の部類にございます七九五号、二八三四号、いずれも放射線化学中央研究所関係の請願につきましては、採否について意見の一致をみるに至りませんでした。
なお、以上報告いたしましたもの以外の請願七十七件は、すでに議了をいたしました議案により措置済みとなりましたもの、現在審査中の議案に関するもの等でありまして、保留することに意見が一致いたしました。
以上のとおりでありますが、採択することに意見一致いたしました。百十九件の請願を理事会の決定どおり採択することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/11
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012・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 御異議ないものと認めます。よってさよう決定いたしました。
次に、意見の一致をみませんでした請願第七九五号茨城県に放射線化学中央研究所設置の請願、第二八三四号利根川上流に放射線化学中央研究所設置反対に関する請願を問題といたします。
両請願の要旨につきましては、お手元に配布いたしましたので、まず、本件につきまして、政府委員から意見を聴取することといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/12
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013・杠文吉
○政府委員(杠文吉君) 請願第七九五号の件につきましては、放射線化学中央研究所を日本原子力研究所の中に置くに当たりまして、その場所をぜひ茨城県のほうへ持ってきてもらいたいということでございますが、同じく次の利根川上流は放射線化学中央研究所設置反対に関する請願のところに書いてございますように、群馬県岡崎市岩鼻に設置してもらいたいという要望もございます。両方共願の形になっておりますので、目下原子力委員会におきまして慎重に検討を進めておるところでございまして、ただいまのところいずれを是とするというふうなことに相なっておりません。
次に、第二八三四号の請願、すなわち利根川上流に放射線化学中央研究所設置反対に関する請願でございますが、この件で害われておるところの、下流住民に対する廃水が非常な悪影響を及ぼすのではないかということでございますが、本件につきましては、原子炉は置かないという決定になっております。そこで原子炉を置かないということでございましたら、廃水という問題は起こらないと考えております。すなわち、一般にアイソトープを利用しておられる病院等における場合と同様でございまして、川へ流すというようなことはいたしません。これは放同協、すなわち放射線同位元素協会というのがございまして、そちらのほうで一括して処理する。すなわち、容器に入れまして、それを東海研究所の敷地内にありますところの放射線同位元素協会の所有になるところの廃棄施設でもって処理をするということに相なっております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/13
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014・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/14
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015・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 速記を起こして。
両請願を保留とすることに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/15
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016・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 御異議はないと認めます。よってさよう決定いたしました。
次に、第二〇九四号外八件の物価値上げ反対等に関する請願声問題といたします。
本請願の要旨につきましては、お手元に配布いたしました資料のとおりであります。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/16
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017・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 速記々起こして。
本請願を保留とすることに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/17
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018・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。
次に、理事会において保留とすることに意見の一致をみました七十七件についてお諮りいたします。七十七件の請願を理事会決定どおり処理することに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/18
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019・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
なお、ただいま議決いたしました請願について、議長に提出する報告書の作成等につきましては、先例により委員長に御一任を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/19
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020・武藤常介
○委員長(武藤常介君) それでは前に戻りまして、中小企業基本法案(参第一〇号)を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。永末英一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/20
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021・永末英一
○委員以外の議員(永末英一君) ただいま議題となりました中小企業基本法案について提案理由の説明を申し上げます。
中小企業基本法案がどうして必要かということは、すでに日本経済の構造上、中小企業に対するいろいろな不利益な問題が処理され、現在の経済の成長発展過程においても、ますますこれが拡大しつつあるということで、今回与野党三党ともに、それぞれ中小企業基本法案を掲げて、この国会に提出しております。事実、これによって何よりもこういう法案が必要であるということの緊要性並びに必要性を証明していると存じます。
わが国の中小企業は、雇用面では全労働者の約七割を占め、生産においては全生産額の約六割を生産し、輸出面では輸出総額の五割強を受け持っております。わが国経済において、中小企業が実際に果している役割の大きさは、なんびとといえども認めざるを得ないのであります。しかるに中小企業の置かれている実態をみますと、資本・労働・技術・経営のそれぞれの面で、まだまだ近代化が進んでおりません。大企業に比べて競争条件が著しく劣っているばかりか、企業の規模も、零細企業を底辺として、大きさに格差がありすぎます。現在の中小企業は、大企業対中小企業といういわゆる経済の二重構造の桎梏にしばられているばかりか、お互いの間で激しい過当競争を繰り返しているという二重、三重の不利な条件のもとに置かれております。このような条件にある中小企業をいかに振興育成し、その生産性を高め近代化をどうやってすすめていくか、その基本策を定め、それに基づいて具体策の体系的計画的推進をはからないかぎり、わが国経済から、二つの経営構造、二つの労働条件が存在するという根本欠陥を取り除くことはできません。
中小企業基本法こそは、中小企業者が自分の正しい創意を生かして企業の発展と従業員の労働条件の向上をはからんとする努力を生かされるよう保障していく中小企業のすすむべき大道を示すものでなくてはなりません。中小企業が日本経済において現実に果たしております重要度に相応した待遇を、国の施策の上において与えられるということが何よりも肝要であると私どもは考えます。このような観点に立ちまして、私どもは現行法令のすべてにわたりまして、現在の法律を改正して可なるものはこれを改正し、足らざるは新しい立法をする、こういうことでいろいろな手だてを尽くしましたが、その総決算といたしまして、これらのあらゆる考え方の根本になるべき基本法が必要であると、こういう観点から、このような提案をいたしました。
このようにして本法案は前文及び十二章二十八条より成っております。
前文におきましては本法の本質を明らかにいたすために、その最後にありますように「国の将来の理想像は、全国民の中産階級化と福祉国家の実現にあり、この目標にむかって、中小企業の安定と振興をはかるため、ここに新らたなる中小企業政策の基本原則を指向し、この法律を制定する」という点に、私どもの理想が集約されております。
本文の「第一章総則」におきましては、本法が目的としている中小企業政策の基本目標をまず明らかにし、この政策を実現する国、地方公共団体の責任を明らかにしました。特に私どもは、国の政策実施機関として中小企業省を設置すべきである旨を規定しました。なお、中小企業の定義につきましては、最近の経済発展の実態にかんがみまして、資本額は最高五千万円といたしました。また中小企業のうち、特に小規模事業の定義を明らかにして、小規模専業対策の確立に便ならしめました。
「第二章調査及び計画」は、国が政策実施するにあたり、調査、基本計画と実施計画の三案、さらに国会に対する報告義務等について規定しました。
「第三章中小企業者の協力組織」におきましては、今後の中小企業者の基本組織は、業種別地域別に自主的に組織され民主的に運営される同業組合である旨を規定しました。従来の協同組合はもちろん活発に活動していくわけでありますが、さまざまな産業分野を担当していく社会的責任体制を確立し、大企業に対抗していく実力を備え、かつお互いの過当競争を自主的に調整していくためには、同業組合の設立こそが、中小企業発展の土台となるべきであると考えます。なお、協同組合組織として商店街組合を新たに加えて、小売業者について、地域組織を確立することによって、利益を守り、あわせて、新しい町作りを行なうことにいたしました。
「第四章中小企業者の産業分野の確保」におきましては、今後のわが国の産業構造の中にあって、中小企業者による経営が経済的社会的適切であるとみられる業種を確保し、大企業をしてここに不当侵入せしめないような方向を明らかにしました。
「第五章中小企業者の事業活動の保護」におきましては、現在ならびに将来にわたって起こる中小企業と大企業との間の紛争を処理し、中小企業の事業活動をこの面から保護する基本規定であります。
「第六章中小企業者に対する官公需の確保」におきましては、政府ならびに政府関係機関としての公私企業体、公団、公庫及び地方公共団体などが、わが国における最も大きな購買力をもつ団体である事実にかんがみまして、これらの諸団体が、出来るだけ中小企業者より物資やサービスを購入するよう、その基本方針を規定しました。これによって、中小企業者に対する安定した発注先を確保せんとするものであります。
第七章から第十一章までは、「設備、技術及び経営の近代化施策」、「貿易上の施策」、「財政金融上の施策」、「税制上の施策」、「労務上の施策」の五つの面の基本施策を規定しまして、それぞれ中小企業発展のために不可欠な各般にわたる措置の方向づけを行ないました。
「第十二章中小企業政策審議会」におきましては、中小企業行政の民主化をはかる当然の措置として国が中小企業政策の立案、実施に当たりましては、民間から選ばれた総理府付属の本機関に諮問すべき旨を規定いたしました。
以上が本案の概要でございますが、私どもは先ほど申し上げました趣向にのっとり、本案の関連法規、関連政策として、すでに六十件をこえる法案や要綱案を立案しております。これらが整備されまして、初めて基本法に魂が入り、生命が吹き込まれるものであろうと思うのでございます。そのうち、すでに本国会に、会社更生法改正案、百貨店法改正案、下請代金支払遅延等防止法改正案、小売商業調整特別措置法改正案の四件につきましてはすでに提出済であり、また今後、商店街組合法案、中小企業者に対する資金の確保等に関する特別措置法案、官公需の中小企業に対する発注の確保に関する法律案、中小企業同業組合法案につきましては本国会に提出すべく手続中であります。
なにとぞ、本案につきまして慎重審議の上、御賛同あらんことを希望致します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/21
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022・武藤常介
○委員長(武藤常介君) 本日はこれにて散会いたします。次回は明後六日午前十時より開会いたします。
午後五時七分散会
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014461X02919620504/22
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