1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十七年四月十七日(火曜日)
午前十時二十分開会
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 棚橋 小虎君
理事
上林 忠次君
佐野 廣君
荒木正三郎君
永末 英一君
市川 房枝君
委員
青木 一男君
大谷 贇雄君
岡崎 真一君
木暮武太夫君
高橋 衛君
西川甚五郎君
堀 末治君
前田 久吉君
木村禧八郎君
野溝 勝君
原島 宏治君
須藤 五郎君
政府委員
大蔵政務次官 天野 公義君
大蔵省為替局長 福田 久男君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
参考人
横浜国立大学教
授 井手 文雄君
慶応義塾大学教
授 高木 寿一君
—————————————
本日の会議に付した案件
○財政法の一部を改正する法律案(内
閣送付、予備審査)
○国際通貨基金及び国際復興開発銀行
への加盟に伴う措置に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/0
-
001・棚橋小虎
○委員長(棚橋小虎君) ただいまから委員会を開きます。
財政法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、午前中、本法律案について参考人から御意見を拝聴することになっております。
参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。本日は、御多忙中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。
では、さっそく井手参考人から御意見をお述べ願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/1
-
002・井手文雄
○参考人(井手文雄君) 私は横浜国立大学の井手文雄と申します。ただいまから財政法の一部改正法律案に関しまして意見を申し述べさせていただきますが、初めに、この席で意見を開陳する機会を与えられましたことを、ここにお礼を申し上げます。
財政法の一部改正案のうち、特に第二十九条の改正につきまして申し上げたいと思います。
改正案のねらいは二つあると思います。第一点は、租税の自然増収等によりまして生じた年度中途の国庫余裕金の一部を産業投資特別会計に繰り入れることが可能であることを明確にすること、第二点は、追加予算の作成をより容易ならしめることであります。第二点につきまして補足説明をいたしますと、現行財政法におきましては、追加予算と予算の修正とについて別個に規定いたしておりまして、補正予算という名称は法文には見当たりません。もっとも、実際には両者を合わせたものを補正予算という名称で国会に提出いたしておりますことは周知のごとくであります。改正案では、予算の追加——追加予算という名称は改正案にはないのでありますが、予算の追加と予算の追加以外の変更——修正という言葉はございませんが、予算の追加以外の変更とを合わせたものを補正予算と称しております。そこで、現行法の追加予算作成の要件に相当するものは、改正案では補正予算の中の予算の追加の要件であります。
第一点につきましては、経費の支出が当該年度における国庫内の移しかえを含むことを明らかにいたしております。これはもともと財政法第二条第三項におきまして規定されているところでありまして、実質的改正ではなく、注意を喚起するためのものであります。この規定によりまして、国庫内の移しかえが支出の一部であることがはっきりすれば、国庫余裕金の産投会計への繰り入れば当該年度の収入をもって当該年度の支出を支弁することを意味し、会計年度独立の原則を侵すものでないことが明らかになるというのが改正案のねらいでございます。
しかし、この改正案は、その根底には、会計年度独立の原則の拘束からある程度脱却しようとする意図を持っているものでございます。一般会計は会計年度独立の原則に支配されておりますが、産業投資特別会計には、支出未済繰り越しとかあるいは支出残額繰り越し等の規定によりまして、年度独立の原則に拘束されることなく、弾力的に支出を行なう余地が残されております。そこで、改正案は、国庫余裕金の一部を一般会計から産投会計に移しかえることによりまして、形式的にはあくまでも会計年度独立の原則に従いながら、実質的にはその拘束をある程度脱却して弾力的な財政政策を実施しようとする意図を持つものということができるでありましよう。
第二点につきましては、追加予算作成の要件としまして、現行法が「予算作成後に生じた事由に基き必要避けることのできない経費……に不足を生じた場合に限り、」としておるのに対しまして、改正案では「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出……を行なうため」となっております。必要不可避ということも実際上は緊要性の高いということと同義に解すべきであるから、この改正は実態に即応せしめたものであると説明されているようでございます。しかし、二つの表現から受ける感じは必ずしも同じではありません。必要不可避という表現は、特に緊要という表現よりも、よりきびしく響くことをいなめません。
現行の財政法第二十九条は、単一予算主義の原則あるいは国庫統一の原則の例外規定でありまして、必要不可避の経費という表現をとったのは、単一予算主義の原則をできるだけ厳密に貫徹しようとする意図に出ずるものと解すべきであります。しかるに、これを改正案で「特に緊要となった経費」と表現を改めましたのは、単一予算主義の原則の拘束を、これまたある程度脱却して、より弾力的に財政政策を実施しようとする意図が根底にあるものと思われます。
第二点に関連しましては、さらに、「経費に不足を生じた場合」というのが、「経費の支出……を行なうため」と改められております。これは現行法の表現では、既定経費の不足に限るように解釈されることをおそれまして、予算科目に計上されているものといないとを問わず、広く経費不足の場合予算の追加が可能なることを示したものであります。すなわち、この場合でも、単一予算主義の原則の拘束からの若干の脱却が意図されているものと解されます。
第二の改正点における具体的なねらいは、第一点におけると同じく、産投会計繰り入れとも関係があります。すなわち、この改正によりまして、補正予算、つまり予算の追加の作成が容易となり、産投会計への繰り入れもまた容易となるわけであります。改正案のねらいは、産投会計への繰り入れの緊要性を、同会計の設資財源枯渇ということのほかに、財政資金の一会計年度をこえた弾力的支出による景気調整の必要性にも求めようとするものであります。かかる景気調整の必要性を予算追加の要件たらしめようとするものでございます。
以上によってわかりますように、財政法第二十九条の予算追加に関する改正案は、要するに、財政制度を支配する単一予算主義の原則及び会計年度独立の原則の拘束力を、形式的にはともかく、実質的に若干弱めまして、より弾力的な財政政策を実施しようとする意図を持つものと思います。そして、この観点から、私はこの改正案を一応妥当と認めます。ただし、これにはいろいろの希望条件がつくわけであります。以下賛成の理由及び付帯条件あるいは要望について申し上げたいと存じます。
財政制度を規制する原則には、前述の単一予算主義の原則や会計年度独立の原則のほかに、予算単年度制の原則、明確の原則、財政公開の原則、その他いろいろございますが、帰するところ、国民の予算協賛権の確立を目ざす議会主義の原則に基づくものであります。すなわち、立法府たる議会ないし国会の、行政府たる政府の財政活動に対する拘束力をできるだけ強化すること、換言すれば、政府の国民の意思に反した恣意的な財政活動をできるだけ阻止し、財政活動の非弾力化をはかろうとするものであります。現行財政法は、このような諸原則に支配された非弾力的財政制度の擁立を目ざしております。
国民経済の順調な遡行が自律的に行なわれ得た時代、いわば自由経済の時代には、このような諸原則によって確立された財政制度のもとに財政政策は合理的に実施され得たのでありますが、今日の段階におきましては、財政の国民経済に対する影響力がきわめて大となっておりまして、財政は国民経済の安定化要因、つまりバランシング・ファクターとしての役割を持つに至っております。すなわち、財政政策はフィスカル・ポリシーの段階に達しているのであります。このような財政政策は、景気の動向に即応して、財政収支のバランス状態を規制していかねばなりません。たとえば、経済の高度成長の結果、税の自然増収があれば、景気の過熱を押さえるためにその国庫余裕金をたな上げする必要が生じます。また、減税の必要があれば、減税財源に引き当てた残額のたな上げとなります。そして、そのたな上げ資金は、次の会計年度またはそれ以降の会計年度に景気の停滞が生じた場合に、適宜支出される必要があります。こうなりますと、会計年度独立の原則をあまり厳重に考えることが、かえって非合理的になるわけであります。国庫余裕金のたな上げが資金会計への繰り入れという形をとりますと、ここに補正予算の作成、予算の追加が必要になります。補正予算の作成は国民経済の動きに即応して行なう必要があり、単一予算主義の原則にあまり拘束されますと、フィスカル・ポリシーの合理的な実施が十分にはできにくくなるわけであります。
今回の改正案は、このような財政政策の新しい段階、機能に即応しまして、その合理的実施を可能ならしめるために財政制度の若干の弾力化をはかったものと理解いたします。そして、この観点からこの改正案に賛成いたすものであります。
新しい財政政策の要求に応ずるためには、財政法は他にもいろいろ改正すべき点があります。現行財政法は均衡予算主義、いわゆる健全予算主義をとっております。第四条及び第五条の公債発行の原則的否定ともいうべききびしい制限規定がこれを如実に示しております。均衡予算主義も、自由経済時代の財政のあり方としては合理的であります。財政法は、戦時公債——特に日銀引き受けの公債でありますが、戦時公債の乱発によって引き起こされました戦後の激しいインフレーションに直面しまして、特に公債否定主義に傾いております。しかし、フィスカル・ポリシーの観点からいえば、景気抑制のためには黒字予算、景気刺激のためには赤字予算が望ましく、いかなる景気局面におきましても均衡予算を堅持することは非合理的であります。かくて、第四条及び第五条、特に第四条は改めらるべきでありましょう。もっとも、第四条は公共事業費は公債をもって支弁してもよいとなしておりまして、ここに公債発行への抜け道がありますけれども、そもそも公債依存かいなかは政策の問題でありまして、法律をもって一定の政策を規定することは妥当ではないのではないかと存じます。
このように、新しい財政政策の観点から、財政法、したがって財政制度はいろいろの面において改正の必要がございます。特に財政制度のある程度の弾力化が要求されます。私は、財政制度の弾力化の必要性を認めるものでありますが、しかし、それだからといって、立法府の財政活動へのコントロールの放棄を是認するものではございません。この放棄は、民主政治の否定に通ずるものでございます。
ここに疑問が提起されるでありましょう。財政制度の弾力化は、立法府の拘束性の放棄、少なくともその弱化を意味する。財政制度の弾力化を是認しながら、立法府の拘束力を維持することは不可能ではないかという疑問であります。私は、財政制度の弾力化と立法府の拘束性とは矛盾しないと思います。しかし、これには立法府の拘束性の意義を考えてみる必要があろうかと存じます。旧来の意義における立法府の拘束性は、主として、財政政策の効果のコントロールではなくして、効果を生み出すための政府支出過程のコントロールをねらっておりました。これをかりに古典的拘束性と名づけます。この古典的拘束性は、フィスカル・ポリシーの阻害要因となって参りました。財政制度の弾力化は、このような拘束性をある程度弱めることは事実でありましょう。もちろん、古典的拘束性の弱化と申しましても程度の問題でありまして、これが行き過ぎますと行政部門の独断専行を許すことになりまして、瞥戒いたさねばなりません。
ところで、われわれは、ある意味においては、もっと重要な立法府の拘束性を見落としてはならないと存じます。それは財政政策の効果に対する拘束性であります。現行財政制度は、この財政の効果に対する立法府の拘束性を保証しておりません。この意義における立法府の拘束力を強化する必要があると存じます。
一例をあげますと、今日わが国では長期経済計画下にありまして、その一環としての年次経済計画が策定され、国家予算はそれと有機的な関連を持っております。ところが、国民あるいは議会は、このようなものとしての予算が適切な効果を持ち得るものかいなかを審議する能力を著しく阻害されております。このような審議能力を十分に持ち得るためには、年次経済計画またはその集中的表現でありますところの国民経済予算における政府部門の予算すべてを審議、議決の対象としなければなりません。ところで、国民経済予算における政府部門は、中央政府部門及び地方政府部門を含みますが、中央政府部門について申しますと、一般会計、諸特別会計、諸政府関係機関を包括しますが、そのほかに、特定の法人、すなわち一部政府出資を受けている法人及び単独法によって設定されている特殊法人の中の多くのものが含まれております。しかるに、国会が審議、議決の対象となし得ておりますのは、一般会計、特別会計及び政府関係機関のみであります。経済計画や国民経済予算における政府部門全領域にわたる審議能力を欠除いたしているのでございます。これら全領域を政府部門として、その予算の審議、議決することができるようにすることは、新しい意義における立法府の拘束性の強化にほかなりません。また、よくいわれておりますように、財政投融資資金計画に対する審議、議決の権利をも国会は持っておりません。この点も、新しい拘束力の強化のために制度を改むべきものと存じます。
このように新しい財政政策の展開は、予算の効果に対する国会の審議能力を著しく阻害しております。財政法の再検討にあたりましては、ぜひこの点に留意されまして、新しい次元における財政制度民主化の達成ということに努力していただきたいと存じます。
次に、財政政策の現段階は、財政を国民経済のバランシング・ファクターとしてとらえるところのフィスカル・ポリシーの段階だと申しましたけれども、しかし、私は現代財政政策がフィスカル・ポリシーそのものになってしまうことを肯定するものではございません。社会的需要の最適充足、すなわち資源の最適配賦、用役効果の最適創出、所得の最適分配、こういうことも、財政政策といたしまして忘れられてはなりません。フィスカル・ポリシーに即応する財政制度は、財政のこのような効果を立法府が審議、議決する能力を弱化せしめるおそれがあります。財政法の改正にあたりましては、この点も十分に考慮さるべきであると存じます。ここで思い出しますのは、昭和二十四年の財政法の改正でございます。すなわち、従来歳出予算は目的別予算でありますところの甲一号と組織別予算でありますところの甲二号から成り立っていたわけでございますけれども、これを改めまして、甲一号予算を廃止いたしまして、組織別予算の一本といたし、その組織別に区分された経費の内容といたしまして、目的別の区分を置くことにいたしました。そして現在に至っておるのであります。この改正は予算編成事務の簡素化が目的であったと思われますが、しかし、社会的需要の最適充足が財政政策の基本的目的の一つであることを考えますと、この改正はこの重要な財政政策の効果に関する国会の審議能力を減殺するものということができるかと存じます、このような点も、今後の財政法を再検討するにあたりましては、十分に考慮していただきたいと存じます。
要しますに、新しい財政政策の展開に即応いたしまして、それの合理的遂行を可能ならしめるように財政法の全面的再検討が必要でありますが、それとともに、新しい意義における国会の政府の財政活動に対する拘束力の強化をはかるという観点からの財政法の再検討が必要であると存じます。さらに、伝統的な財政政策の使命といいますか、目的といいますか、社会的需要の最適充足あるいは所得の最適配分、こういうような事柄の観点からの再検討も忘れらるべきではないと存じます。
このような観点から、今後財政法の全面的な再検討をお願いいたすわけでありますけれども、今回の第二十九条に関しまする改正は、この今回の改正案の限りにおきまして私は妥当であると存じます。
以上をもって終わります。御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/2
-
003・棚橋小虎
○委員長(棚橋小虎君) 次に、高木参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/3
-
004・高木寿一
○参考人(高木寿一君) 御指名をいただきました高木寿一でございます。今回、財政法改正案の問題から、それに関連いたします改正の問題について、私の所見を申し述べさせていただきます。
私は、かねてから現行法についての疑問を持っておりましたし、また、このたびの改正案につきましても同じく疑問を持っております。それは、改正案の第二十九条につきまして、現行法では「内閣は、予算作成後に生じた事由に基き必要避けることのできない経費若しくは」云々ということは、ただいま井手さんからお話がございましたが、私は「作成後に生じた事由」という点についてかねてから疑問を持っております。私は、結論から先に申し上げますれば、これは「予算提出後に生じた事由」と改めるべきだと思います。さようなことを申しますと、皆さんは同じじゃないかとお考えになると思いますが、私は違う場合があり得るし、過去の事実においてもあったと思います。
その例を申しますと、これをただいま過去の事実においてあったと申しました。それは現行の財政法が制定された昭和二十二年以後のことでございまして、現行財政法のもとにおいてあったことであります。それは昭和二十四年のことでございます。御承知のとおり、占領下でドッジ顧問がなかなか予算案を支持しないでたいへん政府も困ったときであります。御承知のとおり、時の大蔵大臣は池田さんであります。そのときに内閣が作成いたしました予算の大綱を説明いたし、そのときに資料を配付いたし、その内閣が作成した予算案の大綱として示しました資料と、国会に提出いたしました資料とは、幾つかの項目において違いがございました。もちろん、皆さん御記憶のことでいらっしゃると思いますが、それは大きな項目、目立った項目で申しますれば財政委員会の経費であります。これは数字が三けた違っております。それが一晩のうちに変えられまして国会に提出いたされました。そのときの事情は十分お察しいたしますけれども、時間に迫られていた。十分に調べていなかったと言ってはいい過ぎかもしれませんが、これはおそらくGHQのほうで十分調べていなかった、誤解していたということの結果でして、地方財政委員会の経費は、ただいま申しましたように三けた違っております。それが一晩で変わっております。それはどこへ行ったかというと、たとえば公務員の宿舎の建設費のほうへ一部は移り、一部は予備費のほうに移ったと思います。そのほか若干ほかに移ったものも記憶にございますが、おもなものは、地方財政委員会の経費が、政府が作成した予算案の大綱として説明された資料に載っておりますものの大部分が、ほかの項目、たとえば公務員宿舎の建設費、また一部は予備費のほうに回されたという実例がございます。この事実についてそんなことがあったのかというお疑いをお持ちでございましたら、どうか、この予算案の大綱——内閣が予算案を作ってその大綱を示したわけですが、そのときの資料と国会に提出された資料と、どうどこが違っているかをひとつごらんいただければ、御了解いただけると存じます。
これは現に過去の実際にあった、昭和二十四年度の予算についてあったことでありますが、また将来もあり得ないことでは、絶対にあり得ないことではないと思います。したがいまして、私は現行法二十九条を改正なさる、改正を御審議いただくときに、これは「予算作成後に生じた事由に基づいて」という改正案になっておりまするが、これを「国会提出後に生じた事由」とお改め願うほうが、長く財政法——一、二年のことではありません。どういう事態が起こり得るかもしれない、そういう事態でございますから、万全を期しまして、「国会提出後に生じた事由」と、この改正案の部分を改めていただきたいと私は考えます。
それで、また皆さんも、作成後といっても、提出後といっても同じじゃないか、同じなんだというお考えならば、その場合には万全を期しまして、提出後ということと同じとお考えになるならば、万全を期して、提出後にということにしていただきたいと思います。もし、違うというお考えならば、もちろんこれは「国会提出後に生じた事由」と改めていただくほうがよろしいかと存じます。これは昭和二十二年財政法制定以後今日まで来ておる、なぜ早く言わなかったのだとおっしゃる方もございましょう。私はこの国会で、財政法改正のこの問題について、この一部改正——第二十九条の改正案が出て、それについて意見を述べろというお指図を受けたのは本日初めてでございますから、今までなぜ言わなかったのだということは、言う機会が与えられなかったから申し上げられなかったのだと御了承をいただきたいと存じます。
それから、次には、この今回の財政法改正の問題が起こりました契機となったとも考えられまするが、三十五年度第二次補正予算の提出は財政法第二十九条の違反かという問題について、私の考えを申します。結論を申し上げますと、私は形式的には違反ではないと思います。形式的には違反ではないと思います。しかし、このようなことはやらないほうが、やらずに済めばやらないほうがいいんだと。そのことは当時、これは三十六年二月十六日の参議院予算委員会の速記録にも載っておることでありますが、二月十六日の当参議院予算委員会におきまして、水田大蔵大臣も、これはやらずに済むならばやらないほうがいいには違いありませんと言っておられます。私もそのとおりであると思います。そこで、やらないほうがいいことがわかっていながら、それをついやってしまうということ、これは国民の指導的立場に立つべき政府としては慎しまなければならぬことだと私は思います。われわれは法治国の国民でありますが、現実にはいろいろな法律の中に時代おくれのものが残っておる、これは現実の事実であろうと思います。それだからこそ、いろいろな法律の改正について皆さんの御苦心をいただいておるわけであります。欠点が全くない法律なんということは、制定されて以後、時が移ってもちっとも欠点がないということ、そういう法律は私は少ないと思います。そこで、いろいろな法律で、制定されたときはそれでいいと思っていたが、現在ではどうも欠点が現われてきている、そういう場合に、法律に違反しさえしなければ何をやってもよいのだということでは、国民に対してしめしがつかないと私は思います。先ごろの事件の後に、各方面におかれまして、政治の姿勢を正しくするということのお言業を聞きまして、これはまことにそう願いたいと私どもも思っておりましたが、この財政法第二十九条の違反かという問題につきましても、私は形式的には違反ではないと思いますが、これはやらずに済めばやらないほうがいいということなんでありまするから、これはまず国民の指導的立場にある政府といたしましては、私はそれは国民にしめしがつかないことになるというふうに、私はそういう感じを持ちます。
次の問題は、今後の改正につきましては、私は第六条の改正に重点を置くことを望んでおります。財政法第六条の改正は、もちろんこの決算剰余金の使途の制限のことでございますが、これは「当該余剰金のうち、二分の一を下らない金頭は、他の法律によるものの外、これを剰余金を生じた年度の翌翌年度までに、公債又は借入金の償還財源に充てなければならない。」、この規定でございますが、この規定を昭和二十二年に制定されたその当時の事情に対しては、この規定が重要な役割を持っていたということは認められるところでございますが、今日の事情、今日の財政政策の役割、これを実現していきますためには、これはすでに時代おくれな法律になっている一例であると思います。私はいろいろな機会に述べさしていただいておるのでありますが、この決算剰余金のうち「二分の一を下らない金額は、他の法律によるものの外……公債又は借入金の償還財源に充てなければならない。」という、そのところを改正していただきたいと思います。これを、私はことに重点を置きますことは、「減税の財源に充てなければならない。」と、これをそう改正していただきたいと思います。さらには、これに付随して、「景気調整資金の財源に充てなければならない。」ということが出て参ります。温税資金という問題と景気調整資金という問題、二つの構想に煮詰まってくると思うのでありますが、もしこれをいずれに優先順位を置くかということでございましたらば、私は減税のほうに重点を置きたいと考えております。
すでにこの「公債又は借入金」、これは公債のうちでも外国債は、これは国際信用の問題もございまするから、これはただいまの第六条にございまする「他の法律によるものの外」、そこへ含める規定を設けたらいいと存じます、償還期限その他の来ている場合。その他法文のしるし方はあると存じますが、これは立法技術に関することなのだと私は存じますが、それを「他の法律によるものの外」という中へ、外国債の償還ということをその中へ入れたらいいのじゃないかと、こういうふうに私は思います。
それ以外の内国債と、それから借入金の問題でございますが、昨年の十二月末の状態では、内国債は四千三百五十九億近くになっておりますし、借入金は約千四百億になっております。この内国債と借入金、この二つは、現在の日本の経済の規模におきましては、これは償還する必要はないと思います。昭和二十二年の財政法制定当時においては、デフレ政策を遂行しなければならないという必要から、これは償還することを法律に規定する必要があったと思います。それがまた当時の財政の役割を十分に満たすための必要な条件であったと思います。今日の日本の財政の規模におきまして、この内国債と、この程度の内国債と借入金ならば、償還をしなければならない、しかもそれを法律で概定するという理由はないと思います。また、今申しましたように、内国債をこれ以上償還いたしますれば、国内の金融操作の妨げにもなると思います。少なくとも益はないと思います。害あって益はないと思います。申し上げるまでもなく、国債所有者の分布状態を見ましても、現在の財政法の第六条の規定によりまして国債整理会計に繰り入れて、さらにこれを償還すると申しますれば、これは収縮作用を生ずるわけでごいざます。そこで、しかし、将来もし経済が、現在もややその傾向を示していることはもちろんでございますが、景気の上昇が鈍化したというそういう場合に、あるいは景気が横ばいになったというそういう場合に、この財政法第六条の規定はなお一そう景気を悪くする収縮作用を強める、こういうことになると思います。これは今後において、日本の経済の振動の幅は短期に大きいのでありますから、そこへ収縮作用を持つ規定は、必要のない上に収縮作用を持つ公債を償還する、現在の経済の規模では必要としない程度の内国債と借入金を償還して、しかもそれで経済の振動の幅を、下降の状態を促進する収縮作用を加えるという必要がどこにあるのかと私は考えます。これは害あって益なしだと思います。
さらに、私は、それならば、その国債または借入金の償還に充てるという、それをどうするのかというと、先ほど申しましたように、減税資金に充てることをまず第一に考えていただきたい、こういうふうに思います。すでにこの三月、きょうの状態から見ますると、さらにこの一週間のうちに出ます三月末の国税の実積、もう二十日前後に出ましょうが、それをごらんになれば、それから昨年の四月、五月の整理期間の税収等をお考え下されば、一般会計分の税収と、それから譲与税と、さらに専売益金、これを一応加えれば二兆二千百五十億円にはなると思います。おそらくこれはこえると思います。さらに、三十六年度の税収が九千億になる。これは確実であります。なるほど市町村税のほうはまだ発表がおくれていることはもちろんでありますが、県税の収入のほうは十二月末まではわかっておりますし、今日では一月末までもわかっているだろうし、それで計算してみれば、九千億になることはこれは確実であります。私は自治省のほうに伺ったことはございません。けれども、自治省だってこれはお認めになっているのであろうと私は推定いたしております。そういたしますと、国税、地方税合わせまして三兆一千百五十億にはなります。もちろん、それを少しこえましょう。そういたしますと、三十六年度の国民所得の推計額十三兆五千百億円に比べますれば、いわゆる租税負担率は二三%をこえることになります。したがいまして、三十七年度の予算案が提出され、その資料として提出されておりまするところの三十六年度の租税負担率は二二・八%としるされておりますが、これは約七%の相違になります。七%の相違と申しますことは、十三兆五千百億円の七%でありますから、約九千四百五十億円の税負担が多くなっていることを示すことになります。これはあまりにも大きな数字である。九千四百五十億円というものはどうだっていいという、国民から徴収する租税の額として九千四百五十億なんという金頭はどうでもいいと、こうは言えないと思います。直接税及び間接税の課税で負担して納税をしているものといたしましては、これはやはり国民それぞれの人の生活にとっては大事な問題であると思います。そういう次第でありまして、私は前々から税収の過小見積もりであるということを申して参って、方面によっては一部いやがられておるのでありますが、現実の事実は、三十六年度の租税負担率は二三%をこえている。決して二二・八%ではない。少なくとも七%の食い違いがある。十三兆五千百億円の七%は九千四百五十億円であるということになりますと、これはお考えを願いたいと存ずるのであります。
私は、決算剰余金の二分の一を下らない金額を減税に充てるということを希望する意見を述べておりますが、私の提案の意味を理解されない方がかなりあります。また、理解しても、君はそんなことを言うけれども、どうもまだ決心がつかないという方もあると思います。それは私の友人たちにもあります。私の提案の意味を理解しておられない方、または理解はしているが決心がつかない方もあると存じます。先ほども申しましたように、私は決して、三十六年度とか三十七年度とか、一年とか短いことを申しておるのではございません。法の改正でありますから、これは当然長い目で見なければなりません。長い目をもって見ますことが日本の経済の成長の過程を見るということになると思います。そうすると、日本の経済の成長は、先ほども申しましたように、振動の幅が大きい。財政法第六条の規定は今までどおりしておいて、そして二分の一を下らない金額は公債または借入金の償還に充てるということにしたので、収縮の過程ではなお収縮に追いかけをかける。収縮作用を大きくしてしまう。さらにまた、景気の上昇のほうはどうだということになりますと、これは今までも申したように、租税の負担が大きくなる。では、景気の上昇が鈍化したらどうか。その第一期は、やはり租税の負担が大きなままで続きます。なぜならば、経済の変動、国民所得の変動よりも、税収の変動のほうが、国税でいえば四カ月から五カ月のおくれがございましょうし、地方税ならばもっとおくれるでしょう。おくれるということは、地方税の場合には安定していると申す言葉で表わしておりますが、これはおくれが大きいということの意味であります。
そういうわけで、いずれの場合におきましても、現行法の第六条の規定の最後の部分は、「他の法律によるもの」の中に、先ほど申しましたように、外国債の償還の問題は、特に規定を設けて、「他の法律によるもの」の中に入れる措置をとって、内国債と借入金の償還をする部分は、これは減税の資金に充てる。今言ったように、日本の今のままであるならば、税収が予想外に大きいのですから、それを減税して国民の租税負担を軽減する。しかも、自動的に減税されるようになる措置を願いたい。「翌翌年度」でありますから、日本の経済成長の過程における振動の幅は大きいですから、その短い期間に振動の幅は大きいですから、翌々年度の減税の財源になるということになれば、そこで調節がつくわけです。国民所得の変動と、税収のときのおくれと、決算剰余金が翌々年度の減税財源になる、そこで時間的な調節がついて国民生活の負担緩和になると、こういうふうに考えております。さような次第で、私は第六条の規定の改正を切に希望しておるものであります。
私の申し上げることはこの程度にさしていただきます。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/4
-
005・棚橋小虎
○委員長(棚橋小虎君) 参考人の方に質疑のある方は、御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/5
-
006・木村禧八郎
○木村禧八郎君 井手先生にちょっと御質問申し上げたいのですが、井手先生の御意見は、大体修正案に原則的には賛成しておられるようであります。その御趣旨は、今の財政法は財政民主化の精神にのっとって規定されておるのだが、それは非常な古典的な自由主義経済をもとにして制定されたものであって、非常に非弾力的である。それでは最近の経済情勢にマッチしない、特に日本の最近の高度成長下の経済、財政、金融等のそういう政策とマッチしないのだと、こういうふうな御見解でございますが、それでフィスカル・ポリシーをかなり強調されておったのですが、私これに疑問があるのでございますが、一つは、フィスカル・ポリシーという立場から、景気調整的に財政を運用しようとしても、金融のほうでそれに歩調を合わせなければ全く意味がないのではないかと思うのです。
御承知のように、現状をごらんになりましても、たとえば三十六年度の予算、先ほど高木先生が言われましたように、非常に歳入超過があるわけです。大体千七百か二千億くらい私は歳入超過があると思うのです。それを三十八年度に持ち越す。こういう点について高木先生の御意見がありましたが、これは一つは、景気調整的な立場からこれを減税にもしなかった、年度内減税の財源にもなるのですが取り上げなかった。他の社会保障等の支出も補正予算で組まなかった、十分に。それは景気調整的な機能を果たしているかというと、果たしていないと思うのです。日銀が貸し出しをしているわけです。政府の歳入の超過面は、日銀の貸し出しによってカバーされているのです。また、貸し出し面でも、外為会計における歳入超過の場合の資金の圧迫ですね、これをまた日銀貸し出しでカバーしているわけです。現にまたそういう制度になっているのです。ですから、金融政策との関連で考えなければ、財政面だけで景気調整をやるといっても、私は困難ではないかと思うのです。それが一つだと。
じゃ、財政面で、たとえば景気調整基金みたいなものをもって景気調整に乗り出そうとするときには、もう時期は回復過程に来ているのじゃないかと思うのですね。タイミングがずれてしまう。それで、私は、最近非常にもうフィスカル・ポリシーというものが、財政運用のいわゆる近代化というのですか、非常にはやっておるようでありますが、これについては私は多分に疑問を持っておるわけです。財政はそういう機能をはたして十分に果たせるのかどうか。金融と一体になってやらなければできないので、景気調整というものを私は金融政策の面で主として見るべきじゃないか。財政政策にあまりウエートを置くということは、先ほど先生も言われましたそれ以外の面ですね、資源の最適配分とか、所得の最適の分配とか、そういう面がおろそかになる可能性も出て参りますし、どうも私はその点について疑問がある。この点が一つ。
それから、もう一つは、私は非常に考え方が古いのかもしれませんが、私はやはりテープ・ガヴァメントといと考え方は非常に大切だと思うのです。それで、アダム・スミスの時代のああいう財政政策の考え方は古いように考えますけれども、今私はテープ・ガヴァメントのああいう考え方、つまり納税者の立場に立った財政の考え方ということは、これは非常に古典的のように思いますが、最近はいわゆる近代経済学的な、何だか非常に近代的なそういう弾力的運用が非常にはやっておりますけれども、それが非常に乱用される危険も出てくると思うのです。ですから、ことに立法府にいる者としては、絶えずチープ・ガヴァメンの精神は失っちゃいけないのじゃないかと思うのですね。ですから、財政の運用については、われわれとしてはあまり弾力的に運用してはいけないという立場をやはり守らなければいけないので、非常に非弾力的なように見えても、これは政府の財政政策に対して、非常に拘束的であっていいと思うのですね。それがあまりに経済の発展に障害を与えればとにかく、そうでない、顕著に障害が出てこない以上は、やはり立法府にある者としては、やはりなるべく予算というものは、先生もお話がありましたが、効率的に使わなければなりませんし、また節約的に使わなければならないと思うのですね。どうも私は、今の財政法は非常に古典的である。自由主義経済もいわゆる初期の民主主義の精神に基づいて制定されたものであって、非弾力的であるということを言われましたが、私はその点についても少し疑問を持っておる。少し古いのかもしれませんが、その点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/6
-
007・井手文雄
○参考人(井手文雄君) 財政政策で景気を調整するということについて、これは私ももちろんそれを百パーセント信頼するものではございません。金融政策、あるいはまた財政政策の中でも特に税制、租税政策、それを中心として調節的な調整機能をやるべきである。財政政策で景気調整をやるべきかどうかについては、疑問を持つ向きもある。すなわち、景気調整は金融政策を中心として行なうべきだ、または財政政策の中でも租税政策に主として依存すべきだという説も出ている。ケネディは租税政策による景気調整に期待を持っている。そういうわけで、私はその点では十分にいろいろ考えております。金融政策と一体でなければ、財政だけじゃどうにもしようがない。これはもう当然私も考えております。いたずらに、財政は量気調整の有力な用具であるということで、行政部門が勝手気ままな活動をすべきであるということは決して考えておりません。
しかし、ただ、背の自由経済時代のテープ・ガヴァメント、私は賛成でございますが、あの時代と今日の財政と比べますというと、全く同じとは言えないわけでありますからして、その限りにおいて、古典的な財政制度というものにある程度の変改が加えられる、これはやはり時の歩みとともに当然必要ではないか。もちろん、さっきも言いましたように、行政部門のいわば、専制政治的になることは絶対に、先ほど申し上げましたように私は否定します。ただ、時の流れとともに、全く制度というものが動かないということはおかしい。だから、ある程度の、先ほども指摘しましたように程度の問題でありますが、ある程度の弾力化ということが必要だ。ただし、そのかわりに他面において、私申し上げましたように、予算効果の質的な——予算のエフェクトに関するコントロール、統制措置を強調したい。でありますからして、ある程度必要に応じた弾力性程度問題でありますが、ある程度の弾力性ということを、それが全く非合理的な政策を行政部門がとらないようにするためには、予算のエフェクトに関する審議といいますか、議決といいますか、審議能力といいますか、それを議会、国会というものが獲得しなければならぬ。ところが、今日は全くそういう面においては国会は無能力じゃないか。つまり、財政の資金というものは税金だと、ですからそれをむだに使ってはいけない。何か不正な支出がありはしないか、むだな支出がありはしないかと、これを中心に考えているのが従来の議会のコントロール。これはもちろん重要であります。私は納税者としてぜひやってもらいたいと思う。しかしながら、そこばかりに重点を置かれて、一体そういう資金がどういうふうに効率的に行なわれて、国民に真に返されていくか。ただ単に、むだづかいがなかった、不正な支出がなかったということだけで、たとえば堤防を作るにしましても、何ら、一銭一厘も不正な支出はなかったとしても、一回の洪水で決壊するような堤防を作っても、形式的には正しい支出になっている。税金がどう使われているかじゃなしに、その資金を使って実際に国民が要望したような用益効果といいますか、それが実現したかどうかという業績、成果に対するコントロールというものが全然なかった。それに対する財政制度の改革において、その点を全然反省されていない。アメリカにはパフォーマンス・バゼットがありますが、これはアメリカの地方財政において行なわれている場合もありますけれども、ああいうような考え方、パフォーマンス・バゼット、成果予算方式の考慮の余地があろう。こういうものもとられていない。もう少し新しい時点に立って立法府の行政府に対する拘束性というものを考えていかなければならない。そこが重要な点じゃないか。それがある程度うまくいけば、必要に応じた最小限度の弾力化というものがありましても、国民の福祉の観点から相反するような財政政策というものは行なわれない。むしろそのほうが効果的である。もちろん、この資金支出、財政支出の過程のコントロール、これは根本的に重要でありますけれども、今言ったような財政政策、予算のエフェクトのコントロール、それを審議する能力を何とか国会というものが獲得することが、新しい時点における拘束性というものの最も重要なことであって、それをあまりにだれも言っておられないということが非常に問題だと思うわけであります。
それから、チーブ・ガヴァメントは私も賛成でありまして、これは税金は安いほうがいい。第四条を私が改正したいと言いましたことは、決して放漫な財政規模の拡大を私が主張するわけじゃございません。ただ、言いたいことは、その政策を法律で規定するのはおかしいと思うわけでありまして、つまり公債をこれとこれだけの財源にしなければならぬ、貸付金とかそういうもの、それから公共事業費とかこういうもの、これだけに公債の財源を充てるべきである。これは一つの政策でありまして、政策を法律で規定するということはおかしいのじゃないかと思うわけであります。さっきの、予算のエフェクトをコントロールする能力を国会が持てば、その四条を緩和しましても、この予算規模の拡大、不当な租税負担というものにはなり得ないのじゃないか。決して第四条の改正を、私はテープ・ガヴァメントを否定する、何でも財政を万能力祝して行政府のいわば独断的な財政政策を強要するというのじゃありません。むしろ私の真意は逆でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/7
-
008・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その予算の効率的な使用、これについては非常に同感でございますし、非常に強調されまして、われわれとしても非常に参考になります。今後やはりわれわれもそういう立場、それから着眼を新たにしてやっていかなければならぬ。非常にありがとうございましたが、もう二つばかり簡単に伺いたいのでありますが、ほかの方の質問もあろうかと思いますので。それは実際問題として前に産投へ繰り入れたわけですね。ところが、先生のおっしゃるように使用が非常に効率的であれば、そういう運用ができるような行政なり政治なりがなっているなら、先生のおっしゃるとおりでやってもいいと思うのですよ。ところが、実際にこういう例があるのです。たとえば海外協力基金というもの、三十七年度にそこへ繰り入れたわけです。ところが、大体百六十何億、百七十億近いのですが、基金で貸しておるのは約十三億なんです。三十五年度で一萬田さんが景気調整という考え方からこの基金を作りまして、海外協力基金に五十六億繰り入れて、それから三十六年度も繰り入れた、三十七年度も繰り入れたのです、産投のほうから。ところが、十三億しか使っていない。こういうことになるから、われわれやはりきびしくしておかないと困るということになるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/8
-
009・井手文雄
○参考人(井手文雄君) ですから、そういう点が、そういうところが許されておるのは、実は国会の審議能力といいますか、それが非常に薄弱じゃないか。たとえば財政資金、財政投融資資金計画等も、もっと厳密に法律的に審議、議決の対象にすることによりまして、やはり国民の意思によってそういうことが行なわれるというふうな仕組みに持っていく必要があるのじゃないか。そういう事実はけしからぬわけでありますが、そういう事実がないようにするために、新しい事態に制度を若干適用させるということを拒否するよりも、ある程度事態に即応しながら、しかも、さっき言いましたように、より高い次元での拘束性というものを、今まで全くといっていいくらい欠除しているエフェクトの拘束性というものを実現することによって、そういうことがないようにしていくというところに制度の発展があるのじゃないかというふうにも考えるわけでございますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/9
-
010・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これは立場の違いになりますから、これはもう議論になると思うのですが、結局政治のあり方なり行政のあり方によって違ってくるわけですからね。ですから、制度的には、かりに社会党が政権をとってやるような場合、もっと弾力的に運用したほうがいいかもしれません、われわれとしては。しかし、今の政治なり行政を前提とした場合に、やはりどうもわれわれとしては改正しないほうがいいんじゃないかという感じがするのです。しかし、全体的に原則論としては、先生の御意見は十分にわかるわけなんです。あとは立場の違いになってくるわけでありますが、それから最後に一つだけ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/10
-
011・井手文雄
○参考人(井手文雄君) フィスカル・ポリシーという観点からだけの制度を考えているわけじゃないということは、さっきの目的別の区分ということを私は非常に重要視するわけでありまして、その点もお認めを願いたいと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/11
-
012・木村禧八郎
○木村禧八郎君 井手先生にもう一つだけ。今度の改正で、二十九条の改正で、二項のほうの改正ですが、改正によりますと、「予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合」、こういうように改正をしておりまして、改正前では「内閣は、前項の場合を除くの外、予算の成立後に生じた事由に基づいて、既に成立した予算に変更を加える必要があるときは、その修正を国会に提出することができる。」、いわゆる修正予算を規定しております。大蔵省のほうの方にも聞いたわけですが、私は、二十九条の二項はこれは非常に重要な規定で、民主財政の段階に入ってから新しく加えられた規定であって、これは国会の増額修正ができるような権限が与えられた結果として、昔のようにいわゆる実行予算を組むことができない、実行予算を実施できないという規定だと思うのです、これは。非常にそういう歴史的にも重要な意味を持ったこういう規定を、今度の改正では非常に、「予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合」、こういうように変えたわけです。しかし、こう変えても、実は修正予算の規定もこの中に含まれるというわけです。理屈からいえば含まれるわけですね。追加予算以外の変更——予算金額の減少とか、部局間あるいは所管間の予算金額が移しかえとか、予算総額の変更、予算目的の変更とか、あるいは国庫債務負担行為の条件の変更とか、いろいろあると思うのですが、この中で一番重要なのは実行予算というものを否定したことだと思うのです。この精神がここでははっきり出てこないと思うのです。せっかく前の法律では、いわゆる実行予算を否定したように、わかるようになっている。これなら理解できると思うのですがね。今度の改正では、どうもそこがぼやけてしまうような気がするのですがね。理屈としては、予算作成後に生じたことについては全部これに含むということになれば、それは修正予算を含むことは当然なんですけれども、しかし、どうもそこに私は実行予算を否定したあれを無視、軽視しておるような感じが出てくるのです。特に実際問題として、前に予算節約をやったわけですがね、景気調整として。それは予算修正をやらないでやっているのです。ですから、私はあれは実行予算的なものですから。ところが、みんな繰り越し開静でできるのだ、こういうので逃げちゃったりしているのですがね。そういう点、先生いかがでございましょう。御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/12
-
013・井手文雄
○参考人(井手文雄君) 意見の開陳の場合は、予算の追加のほうだけを重点に考えまして、予算の修正と申しますか、追加以外の予算の変更については触れませんでしたが、予算作成後の事由と予算作成後の事由、その問題でありますが、これは「成立後」としますと、成立以前にそういう変更があった場合は、一々予算全体を御破算、あらためて提出する必要がございますから、何か手続が非常に複雑であるというような解釈が行なわれ、それでいっそ「作成後」としても実質的にはむしろ簡素化をはかるという意味においての効果があるのじゃないかと説明をされておるようでありまして、確かにそういう説明にも妥当性があるし、といって、全く何ら実質的におっしゃったような重要な質的な変改の概念がないかといいますと、そこは確かに疑問でありまして、実は私もいろいろ両面のこの点に関する意見を考えながら、さてどういうことになるか、問題には確かにしておりましたけれども、はっきりそこまでいかなかったものですから、申し上げませんでした。確かにそういう質的な変更の概念があり得るという
ことは否定いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/13
-
014・木村禧八郎
○木村禧八郎君 馬木先生に一とおり伺いたいのですが、それは減税の問題で、減税について前から国会でもいろいろ貴重な御意見を述べていただいて、非常にわれわれ参考にさせていただいたわけですけれども、今度の税制改正ですね、税負担率の問題につきまして、税制調査会では大体、二〇・五%の負担率にはとらわれないけれども、国民所得がふえてくれば税負担率がふえていくということはこれはまあ当然であると。しかし、日本の今の税金負担は、戦前に比べても諸外国に比べても著しく商いから、当分の間はやはり二〇・五%程度でいくべきだという答申をしているわけですね。ところが、水田蔵相は、国民所得がふえれば税負担率もふえてくるのは当然であるというので、二〇%程度ということにはとらわれないというので、今度は大体二二・二%にしているわけです。この税制改正で一番重要なことは、先生御存じのとおり、まず税負担率ですね。税負担率をどのくらいにするかという目安がきまってから、いろいろな改正になる。一番基本的なところであいまいなのですよ。そころのところ、その点、先生はどういうふうにお考えになりますか。税負担率は同じでも、たとえば二〇%程度といいましても、成長率が高くなっていけば財源は多くなっていくのですからね、私はそんなに財源的には不足しないと思う。ところが、政府のほうは、前には二〇%を尊重すると言っておったのですが、最近ではそれにとらわれぬということを言い出してきた。その点について御意見をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/14
-
015・高木寿一
○参考人(高木寿一君) 今のお尋ねで、私たびたび申し上げているので、木村先生もうよく御了解ただい募ると思うのでございますが、私は、税制調査会が税制改正を行なう場合には基本的出発点として租税負担率の問題がある、これを確認したということはこれは正しいと思うのです。そこで、二〇%程度にここ当分の間抑えたいということは、当分の間二〇%に押えておいて、そこから先はもっと高くしよう、それを認めよう、そういう意味ではありません。すでに重いというのだが、今は当分の間二〇%程度でがまんしようということですから、当分の間として二〇%にしておいて、当分の間が過ぎたら二三%にしようという、そんな考えは毛頭ないのは当然でございます。しかし、その場合に、出発点の認識は正しかった、しかし事態の動きの測定を誤った、その測定を誤ったということの結果における一つの説明として、二〇%程度は今のところはやむを得なかろうということを私は言っているだけだと思います。おそらく、税制調査会の方々、答申案作成に参加した方々から見れば、私がそう申しまして、二十六年度には二三%にもなりますね、それはあらかじめ予知されていることですね、と言うと、たしかどなたも答えないで、にが笑いしていますな。それが実情ではないのでしょうか。
そんなことは木村さんも御承知のことで、私が今さら申し上げることではございませんが、しかし、そうすると、こういう説明が出て参りましたね。負担率はなるほど高くなっているが、負担率だけではなくて内容の問題だ、こういいますね。内容の問題を含めて二〇程度で押えたいというのが答申の出発点であった。ところが、ふえてくると内容だという。私は、内容を考えて二〇%だと言っているはずだと思っているのですがね。私は、この程度じゃはなはだおかしいと思っております。けれども、事態の動きの測定、これはだれでも誤まることはあり得るのですから、それは。私はこうなりますなと事実を指摘いたしましたが、それに対しての……。それは攻撃ではありません。私の申したことは事実を指摘することで、その事実をどういうふうに価値判断なさるかということは、それはそれぞれの方の、何といいますか、主観的な問題になる。われわれは客観的な効果判断として、その事実としてどういう効果が生まれてくるかということを申し上げておる次第でありまして、先ほど大村さんのお尋ねのことにぴったり合わないかもしれませんが……。
それからなお、委員長、先ほど申し落としたことがございますので、ちょっと一言させていただきたいと思います。
租税、国税と地方税の総額のことを申しまして、一般会計では第二次補正予算後に比べまして二千億の、一般会計の税収だけで二次補正予算の税収見込みより二千億は少なくともふえる。それ以外の税外収入の増を含めますれば、私は本年度の決算剰余金——本年度ではありません。三十六年度の決算剰余金は二千五百億をこえると思います。したがって、先ほど申しました財政法第六条の規定でやりますると、国債償還に充てられる部分が少なくとも千三百億にはなると思います。そうすると、内国債の現在高、それから借入金の現在高から考えまして、二千三百億を財政法第六条の規定によって償還することは、これは害あって益なしというのが私の考えです。三十六年度の税収のことだけを申しまして、したがって、負担率だけを申しまして、そして決算剰余額がどのくらいになるだろうということを申し上げませんでした。だもんですから、この機会に補足させていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/15
-
016・荒木正三郎
○荒木正三郎君 この現行の二十九条では、追加予算の場合と修正予算の場合を区別して規定いたしております。追加予算の場合は、予算作成後に生じた事由によって起こる。ところが、修正予算の場合は、現行法では予算の成立後の事由ということで修正予算が出せる、こう規定されておる。ところが、改正案ではそれを同一に規定する、こういうふうに変わってきておるのですが、そこでお尋ねいたしたい点は、現行法のその修正予算を提出する場合は、予算が成立した後でなければ修正予算が出せないと規定しておるのですね。これには何か特別な理由があるのかどうか、高大先生に御所見をお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/16
-
017・高木寿一
○参考人(高木寿一君) ただいまのお尋ね、これは私からお答えいたしますと、何か政府委員のお答えみたいにお聞き取りになるような結果になるかもしれませんが、その点は御容赦いただきたい。私は、先ほど申しましたように、「予算成立後」ということを「国会提出後」というべきだと存じますが、国会に提出してから、もし予算の審議期間が短ければいいのですが、ただいまお尋ねのように、こういう前のときは成立後だ、今度は作成後だという問題は、もし予算の審議期間が短ければ問題になりませんでしょうね、非常に短ければ。日が短いということは、十分審議していただくのですから、短いということはもちろん望むことではございませんが、しかし二カ月の間に何か災害等が起こった場合、あるいは災害の予測など考えて予算案を作成した、しかしその必要は全くなくなった。こういうことを計画していたのだが、これは急に必要がなくなったということが明らかになった、そういう場合も起こり得ます。それから、逆にいえば、追加をする必要が急に起こるかもしれません。したがって、この追加以外の変更、以外という中には修正も含んでおるわけです。したがって、この意味が、初めて出た表現になりますから、いろいろ解釈に疑義を持ちやすいことではございますが、こういう「予算作成後」、私がお願いしているのは、提出後に生ずることもあり得ると思うし、かつ、そういう規定があってもいいんじゃないかと私は考えます。したがいまして、私はこの問題には触れなかった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/17
-
018・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それから、高木先生は予算の作成ということはどの段階をおさしになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/18
-
019・高木寿一
○参考人(高木寿一君) 私は、木村先生御承知のように、法律の専門学者じゃないんで、私自身として疑問として申し上げて、これは憲法の第八十六条に関することですが、八十六条に「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」、ここに憲法の条文の表現の仕方でも、「作成し、国会に提出して」と書いてある。作成しても、まだ提出しない場合だってございます。このごろはせっぱ詰まって作成して、すぐ国会に提出するという段取りになります。提出書類を印刷する期間というようなことで、ぎりぎり一ぱいですね。しかし、そういう事態ばかりがあるとは限りません。戦前のように、十一月の末には予算ができている場合もございます。もちろん、印刷の能力の水準が違いますから、これは何ですけれども、「作成し」ということと「提出し」ということは、時間的にも違いが何週間かあり得ることだと思う、将来は。ですから、「作成し」ということと「提出し」ということは、憲法の規定の精神からいえば提出したほうに、「提出して」というところに重点を置くべきだ。決してこれは同じということにならないと思います。先ほど申し上げましたように、内閣が予算案の大綱を説明したその中に、いろいろな重要項目の経費の計数が上がっている。しかし、それが国会に提出された場合には違ったものが出てきた。そうしたら、内閣が作成したものと提出したものとは必ずしも常に同一ではないということだってあり得ます。しかし、この間に二つの時期、時点に隔たりがあった場合、「作成し」としておいたんではあまりにも……。「提出後」というほうが、これのほうが私は憲法の八十六条の精神にも合致するだろうと思うし、そのほうが間違いの起こることも少ないと思う。木村さんのお尋ねにお答えにならぬかもしれませんが、御了解いただけましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/19
-
020・木村禧八郎
○木村禧八郎君 実際問題としてどうでしょう、普通は予算作成ということですと、先生の言われた憲法八十六条を受けて、実際の作業段階では、概算閣議で決定した場合を作成と、こう呼んでいるわけですね。普通そうじゃないかと思います。そうしますと、概算閣議決定で一応作成の段階が終わる。その後いろいろな法律が出てきますね、予算を伴う法律がまた新しく出てきたり、災害が起こったり、国庫債務負担行為をいろいろ必要とするものが出てくる、そうした場合にどうでしょう、やはり作成の段階、概算閣議決定後においてすぐ国会に提出する。時期的の問題になりますけれどもね。実際問題としては作成後にしておいたほうがそれはいいんじゃないかと思うのですけれども、実際問題としてはその点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/20
-
021・高木寿一
○参考人(高木寿一君) 今木村さんのおっしゃったことは、従来そういう考えも含めて作成後ということになっておったのでございましょうね。しかし、それこそ、私法律学者じゃございませんが、予算を作成するということは行政行為じゃございませんか。国会に提出するということが立法行為じゃないでしょうか。立法行為という、何と申しますかな、その性質が違いやしませんかしら。国会に提出するということ、提出して国会がお受け取りになるその段階と、それ以前の段階とは法の性質が違いやしませんか。私、法律のしろうとでありながらさようなことを言うと、法律専門家は何とおっしゃるか、ちょっとお答えを私が予測することはできませんが、内閣が予算を作成するということと、提出して受け取るということは、違いやしませんか。そういう気もいたすのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/21
-
022・木村禧八郎
○木村禧八郎君 実際の運営の便、不便というところから見なければならないと思うのですね。
その問題はそれとして、さっき荒木委員が御質問しましたのは、同じ補正予算を出すにしても二つ性質の違うものが規定されて、一つは予算が成立しちゃった後、予算が成立した後と、それから作成後というのは、これは非常にその間に質的に違う問題を含んでいるのですね。予算が成立した後というのは、成立した後に予算に変更を加える場合、政府がたとえば景気調整のために一割予算を節約しなければならない、あるいは二割減額しなければならない、実行の面において。そういう場合に、旧憲法のもとでは実行予算というので、国会の承認を得なくてできたわけですよ。ところが、今度は修正予算を作成して国会の承認を得なければそういうことはできない建前になっているのです。繰り越し明許の規定以外にはね、できないのです。ところが、政府はどうもそれを乱用しているように思うのです。そういうことができないようにわざわざ二十九条に、予算成立後において変更を加える場合においては修正予算を作成して国会の承認を得なければならぬというように規定したと思うのですね。ところが、今度の改正ではそれが非常にぼやけてしまうのです。質的に違うものが同じ時点で規定されているので、「作成後に生じた」——それは国会での成立以前の問題と成立後における問題とは非常に違うと思うのですが、今お話しのように増額修正を認めているのですからね。旧憲法では認められていない。政府が今度はたとえば国会で増額修正した。そのときにそれが気に入らない。気に入らない場合には、勝手に政府が国会に承認を得ないで実行予算的に使わなかった場合に、国会の修正は何ら意味がなくなってしまう。ですから、増額修正を認めた以上は、今度それを実行予算で減らす場合には、国会の修正の承認を得なければならない、こういうふうにしてあるわけです。これは二十九条の二項の変更の規定だと思うのです。非常に重要な規定だと思うのです。ところが、今度の改正では、それがぼやけてしまっている。同じ時限で扱われている。そういう点で荒木君は御質問しているのじゃないかと思うのです。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/22
-
023・荒木正三郎
○荒木正三郎君 今、木村さんからお話がありましたので、もうちょっとつけ加えて私申し上げたいと思います。予算の作成権ですね、それから予算の提案権、これは内閣にあるわけです。国会に一たん提案されたら、その予算案を政府みずから修正できないというのが現行の建前なんです。これを修正するのは国会自身です。国会で修正するという場合しかないわけです。ところが、今度の改正では、政府自身がまた修正できる、国会審議中ですね、そういうふうに変わってきているわけなんです。そうすると、予算を作成する権限、それから予算を国会に提案する権限、これは政府だけしかないわけですね。その政府自身が、追加の場合は別ですよ、これは先ほどお話にありましたような災害とか、そういうことによって起こる追加予算というのは、これは現行法でもいつでもできるわけですから。私の言っているのは、修正の場合、国会に提案した政府自身が審議中に修正するというふうなことが、政府のいわゆる予算の作成権、提案権というものから考えて、これを審議中に自由に修正できるような権限を再び政府に与えるということは、どうも私、これは政府にとっては都合がいいかもしれませんけれども、しかし、国会の審議権からいえば、そこまで政府に自由を与える必要はないのじゃないかというようなことを考えておったもんですから、先ほどああいう質問をしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/23
-
024・高木寿一
○参考人(高木寿一君) 今、荒木さんのお尋ね、追加の場合はこれはあり得る、しかし、木村さんは追加の場合でもいけないというわけですね。それで、今お尋ねは、修正のことで予算作成後、これはどうも提出後と同じ意味……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/24
-
025・木村禧八郎
○木村禧八郎君 国会の承認を得なければいけないというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/25
-
026・高木寿一
○参考人(高木寿一君) 同じ意味で、追加以外という中に修正ということを——国会に作成して提出した、それからあとに、何か緊急予測しなかった事態が起こって、この経費は要らなくなりました、あるいは、何といいますか、急に経済状況が変わりまして、そして租税収入その他が追加でなくて減ってくるということが明らかになった、その事情を認めなければならぬと、そういうことが今後経済の変動が大きいときにあり得るかもしらない、こういう意図が含まれているのではないかとも考えますが、それからちょっと妙な連想でございましょうが、現行法の規定は、なるほど御指摘のとおり、木村先生も御指摘、荒木先生も御指摘のとおりに、非常に窮屈になっていると。そして前の法律には、御承知のとおり、緊急財政処分と申しましたか、あれがございましたね。予算が成立して、国会が何か閉会になった、まだ召集するには間があるというときに、何か事態が起こったときに、緊急財政処分をする、あの措置がございましたね。あれは現在の憲法では認められておりませんね。それで、御承知のとおりに、昭和二年の台湾銀行の場合に、国会が閉会になってしまってから、四月になって問題が起こりましたね。ああいう事態も若干連想して、急な事態の変動に対処したいと、こういう考えで、この法律の改正案ができておるのだと私は思いますが、もちろん修正——御指摘のように追加以外の中に修正が入っている。修正の理由はもちろん十分に国会で納得のいく説明がなくちゃならぬことは、これはもちろんのことであります。国会の審議を経なければならない。国会の審議を経るということになりますれば、この規定でもよろしいのではないかと私はただいま考えておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/26
-
027・荒木正三郎
○荒木正三郎君 失礼ですが、井手先生に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/27
-
028・井手文雄
○参考人(井手文雄君) 確かに実行予算は、従来の旧制度におきましては、政府が勝手に組んでやってよかったわけでありますけれども、それは新しい財政法のもとで、必ずそういう場合も国会の審議、議決を要するということになっておりまして、これは財政制度の民主化という面から非常に意義が大きいと思うわけであります。それがこの第二項において規定されておるわけでありますが、それがこの改正案でこういうふうになっておりまして、そこにこの実行予算について従来の拘束的な制度がくずれていくのではないかという疑問、これは私もちょっと申しましたように、一応考えましたけれども、ただいま高木先生も言われましたように、まあ作成後に修正をする場合も、国会のそれはやはり厳重な審議の対象に、議決の対象になるということもあり得る。当然、そうでありますからして、実質的には大きな差異、つまり実行予算の作成権といいますか、それを行政部門が獲得してしまう、この改正案においてそういうことにはならぬのではないかといろいろ考えて、そういういわば楽観的といいますか、そういう見解、これは絶対的——私も疑問を持っておるわけでありますけれども、一応楽観的な見解をとっておったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/28
-
029・棚橋小虎
○委員長(棚橋小虎君) 参考人の方々におかれましては、御多用中長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見を拝聴できましたことを、厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
一時まで休憩をいたします。
午後零時九分休憩
————・————
午後一時三十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/29
-
030・棚橋小虎
○委員長(棚橋小虎君) ただいまから委員会を再会いたします。
国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑のある方は御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/30
-
031・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今度IMFに対する出資金ですね、出資金に伴う法律改正について提案理由を見ますると、最近、世界主要国の通貨がほとんど交換性を回復するに至りました結果、短期資本の国際的移動は大幅に自由になって、それで主要国は短期資本の流出によって国際収支の安定を脅かされるという問題に当面している。それで、こういう短期資本のいわゆるホット・マネーの流出による国際収支の安定を脅かされる問題に当面しているから、こういう現状にかんがみて、国際通貨基金の資金的基礎を充実するというのが、この趣旨でありその目的であると提案理由では述べられているわけですね。ところで、その国際通貨基金は資本の移動に伴う国際収支の赤字、これを調整するために国際通貨基金を使うことはできない建前になっているのじゃないですか。これは国際通貨基金の規約の第何条に基づいてこういうことをやろうとしているのですか、その点をまずお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/31
-
032・福田久男
○政府委員(福田久男君) 今回のIMFの措置は、国際通貨基金協定の七条二項に基づきまして、七条二項では不足通貨の基金保有額を補充するための措置について規定されておりますが、その中で「基金は加盟国通貨の保有額を補充するため適当と認めるときは、次の措置の一方又は双方をとることができる。」、その中の(i)に「加盟国が基金と加盟国との間で協定した条件で基金に自国通貨を貸し付けること」というのがございますが、その規定の適用といたしまして今回の措置がとられることに理事会で決定されたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/32
-
033・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それはわかっているのですよ。しかし、この七条二項の(i)の規定によって出資をすることができるので、これに基づいて今度の出資をするわけでありますが、その出資金を運用する場合に、この出資の目的は何かといえば、提案理由にあるように、はっきり、短期資本の移動に伴って国際収支が不安定になって、それを調整するためにこの出資をするわけでしょう。ですから、運用の目的は、はっきりこれは通常の貿易による、いわゆる経常取引による国際収支の赤字、それを埋めるために運用されるのではないのですね。はっきりと、短期資本の移動に伴う国際収支の不安定、これを調整するためという目的になっている。ところが、この通貨基金の規定で、そういう資本移動に伴う国際収支の不均衡についてはこの基金を運用することができないことになっているんですよ。それなのに、どうして運用するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/33
-
034・福田久男
○政府委員(福田久男君) 言葉じりをとらえるわけでございませんが、これは出資ではないので、貸付でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/34
-
035・木村禧八郎
○木村禧八郎君 貸付についてもそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/35
-
036・福田久男
○政府委員(福田久男君) で、お話のように、国際通貨基金協定では、資本移動についてはどちらかというと第二次的な考え方をとり、主として経常勘定について重点的にやってきたことは御承知のとおりでございます。ところが、こういうふうに短期資本の移動が激しくなって参りまして、基金といたしましても、それらの協定との関係を、いろいろ御議論もあったようでございますが、十分検討いたしました結果、今回の措置は協定の建前に違反するものではないという法的解釈がとられておりまして、本来は、お話のように経常勘定に主として重点を置いてやるべき建前ではございますが、最近のそういった情勢に顧みまして、協定には違反しない、この措置をとることによって協定と矛盾することはないというふうに解釈されているわけでございます。特に、一年前から資本移動の問題が非常に大きな国際的な金融問題になりましたので、基金の当事者といたしましても、基金自身といたしましても、協定の解釈の点については十分考慮を払った上の措置でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/36
-
037・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その違反していないという根拠はどこにあるのですか。基金の何条によって資本移動について基金を運用できるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/37
-
038・福田久男
○政府委員(福田久男君) 具体的には、事例から申しますと、昨年英国に対しまして十五億ドルのドローイングを認めます際に、それらの問題についてもいろいろと議論があったようでございまして、協定の六条の一項によりますと、「加盟国は、巨額な又は持続的な資本の流出に応ずるために、統計して基金の資金を利用することとなってはならない。」という規定がございますが、「巨額な又は持続的な」というところから考えまして、英国の場合、そういうふうな巨額な又は持続的な資本流出に応ずるということにならのないのであるという解釈がされて、イギリスの場合の措置がとられたわけでございます。つまり、基金の資金量も増加することにもなりますれば、その金額の判定の考え方もおのずから変化してくるというふうに考えられておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/38
-
039・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは資本取引のために基金の運用を禁じているわけじゃないわけですね。六条の一項の(b)ですか、(b)の(i)の規定では、「輸出拡張のため又は貿易業、銀行業その他の事業の通常の経営において必要とされる相当の額の資本取引のために基金の資金をを利用することを妨げるものとみなしてはならない。」とありますから、必ずしもこの資本取引のために基金を運用してはならないというわけではないのですね。だけれども、この貸付ですね、貸付の目的は、具体的にいえば、これはアメリカが国際収支の赤字から全流出がある、またホット・マネーが移動する、これに備えるためなんですよ、具体的には。そうしますと、ホット・マネーの移動に対する手当ですよ、これは。はっきりしております。このホット・マネーというものは六条の(b)の(i)に規定している「輸出拡張のため又は貿易業、銀行業その他の事業の通常の経営において必要とされる相当の額の資本取引のために基金の資金を利用する」ということでないのです。どこから見たって、ホット・マネーにこの基金を運用していいという規定はどこにもないんですよ。どこにもないです。あったら教えていただきたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/39
-
040・福田久男
○政府委員(福田久男君) 逆に申しますと、たとえばイギリスの場合に、十五億ドルのドローイングを認めて参ったわけでありますが、あの場合に相当多くの部分がやはり資本移動に基づくものでございますが、金額ははっきり幾らというふうに申し上げられませんけれども、そういう実態であったわけでございます。その場合に、この六条との関係などもいろいろと議論がなされた模様でございますが、そういった短期資金の移動に伴う場合に絶対に利用してはならないということもございません。言いかえますと、それを禁止しているというわけではない。建前から申しますと、経常勘定というものを中心にIMFはすべて考える仕組みでございますけれども、資本取引、資本移動の場合におきましても、そういった六条の規定なりで、許される限りにおきましては、これに応ずることは差しつかえないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/40
-
041・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それでいいんですか。政府は、この国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律を制定したときに、基金の運用については、あなた、そういうふうに政府は解釈したのですか。必ずしもその通常取引による資金不足の手当だけでなく、資本移動についても運用していいというふうに解釈してこういう法律を作ったのですか、大蔵省は。それで国会に出して承認されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/41
-
042・福田久男
○政府委員(福田久男君) 先ほどもお答えいたしましたように、IMF協定の六条一項の(a)というところを見ますと、「巨額な又は持続的な資本の流出に応ずるために……基金の資金を利用することとなってはならない。」、(b)のほうは、これらのことを妨げるものではないというふうにしているのです。本質的には(a)のほうの規定の解釈だということになるわけです。
そこで、何が巨額または持続的な引き出しであるかということの解釈の問題になると思うのでありますが、基金の保有しております資金の保有状況等から考えまして、一般と申しますか、本来資本移動は、先ほど申し上げたように、第二次的と考えるべきだと思うのです。第一次的な一般の需要に応ずるのであって、その規定のある趣旨は、そういった一般の需要に応ずるためにじゃまにならないようにという配慮に基づておると考えるわけですが、本件によって六十億の資金が別途用意されることになりますし、また基金自身も相当資金をまだ持っておるわけでございまして、その障害に、それらの一般の需要に対して障害になるというようなこともないでありましょうし、また、かたがた最近の短期資本の移動の実情等から考えまして、国際的な金融の中枢機関であるIMFとしては、どうしてもこういう方面に対して応分の配慮をしなければならぬという、そういった実態的な考えも織り込みまして、今回の措置がとられたわけでございます。問題は、繰り返し申しますと、何が一体巨額または持続的な引き出しであるかということの判断に帰着するのではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/42
-
043・木村禧八郎
○木村禧八郎君 もう少し大蔵省としては問題を自主的に考える必要があると思うのです。実際問題として、やむを得ずそういう措置をとるのでは、実際通貨基金の規定からいって、本来の趣旨に反しているんだ。それなら政府はこれに修正案を出すとか、修正案を出してその規定をできるように変えるとか……。この規定からいったら、どっから見てもそういうあれは出てこない。私は今、くどいようですが、政府がこの法律案を最初に出してきたときに、ホット・マネーについてもこの基金を利用してもいいという解釈で法律案を出したのか、こう質問しているのです。これに対して「巨額な又は持続的な資本の流出」、「流出」ということは問題です。巨領でなく持続的でなければいいと、こう解釈して、これは違反していないと、そういう解釈に立って出したという御答弁ですね。かりに百歩譲って、巨額でなく持続的でなければ基金の資金を利用してもいいと、だから今度の貸付に応ずるということにした。今度の貸付はドル危機を救済するためであって、ホット・マネーが巨額で持続的に流出する場合の手当なんですよ。あなたの解釈からいくと、今度のような手当の仕方はこれに違反するということになるでしょう。もし持続的に巨額な流出が起こったときに、このホット・マネーについても適用しようということなんですよ、これは。それで、巨額な継続的な資本流出に対しても適用しようということなんですよ。それはこの規定に反するというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/43
-
044・福田久男
○政府委員(福田久男君) 具体的には、この規定の解釈に基づいてすでに基金が運営されているわけでございます。と申しますのは、先ほども御説明申し上げましたように、昨年イギリスが十五億ドルのドローイングをし、五億ドルのスタンドバイ取りきめをいたしました。あの措置はまさにこの規定の適用に、この六条一項に基づく部分もかなり含まれておるわけでございます。したがいまして、基金の解釈といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、具体的に申しますると、イギリスの昨年の引き出しの場合は、基金の業務範囲としてやれるのだという解釈をはっきりさせて、あのドローイングはイギリスで行なわれたわけで、したがって、今後におきまして、十カ国の中でどこがどういうふうなことで出て参りますかわかりませんけれども、基金としては、先ほど来申し上げておるような解釈に基づきまして、基金として判断して運営されるということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/44
-
045・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは解釈の問題はあとでまた聞きますが、はっきり答弁してもらいたいのです。政府はこの法律案を最初出したときには、そういう短期資本、ホット・マネーの移動によって外貨準備に不足を生じたときに基金を利用することができるのだと、こういう考え方でこの法律を作って出したのかどうかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/45
-
046・福田久男
○政府委員(福田久男君) 提案理由の説明にもありますように、主として短期資本の移動ということが近年かなり多くなって参りまして、それが国際収支の安定に対する一つの障害となるおそれもあるということで、必要な場合には所要の資金を調達する。あらかじめ用意しておく必要はないけれども、必要なときに基金としては六十億ドルを限度として所要資金を調達し得る道を開くということでこの措置がとられ、また私どももそれが適当であろうというふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/46
-
047・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうじゃないのです。改正案の質問じゃないのです。改正するもとの法律を出すときには、IMFの基金の運用として、そういう資本移動あるいは、ことにホット・マネーの移動に伴う外貨準備の不足、これを調整するために運用できるのだという解釈で、もとの法律、改正しようとしている今の法律を国会に出したのかどうか。それで、国会で承認されたときには、そういうホット・マネーの移動に伴う資金不足についても利用していいんだという前提でこの法律ができているのかどうかということを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/47
-
048・福田久男
○政府委員(福田久男君) このIMF、国際通貨基金協定は、国会で御審議いただいて、その当時国会を通過して、日本もそれに加盟したわけでございますが、その際六条の規定も当然その中に入っておったわけで、その規定の運用として、先ほど申し上げたように、具体的にはイギリスに対する昨年のドローイングも、この六条の規定によってもできるのだということで運営されたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/48
-
049・木村禧八郎
○木村禧八郎君 アメリカの議会でも、これがこの法律——最初、この基金発足にあたってアメリカの議会の承認を得るために、アメリカ議会でもこれが論議になったわけですね。当時アメリカ議会は、日本の議会あるいは政府の今言われたような趣旨に理解して、いないのですよ。アメリカでは、基金発足にあたって、議会の要求により基金は通常取引の赤字に対してだけ融資するものと理解するという前提で、協定を承認しているのです。アメリカの場合と理解が違うわけですよ。これは非常に重要な問題だと思うのです。アメリカでは、基金発足のときには、経常取引の赤字に対してだけ融資するものと理解する、こういう前提で協定を承認しておるのです。ですから、ホット・マネーの移動に伴う資金不足に対して基金を利用していいという考え方はないのですよ。それにもかかわらず、今度アメリカは、事情が違ってきてから、勝手にこれを拡大解釈しようとしているんです。日本の政府は、そんなアメリカの勝手な拡大解釈のしり馬に乗る必要ないですよ。やむを得ないというならやむを得ないでもいいです。しかし、筋としては、この貸付に対しては各国でも筋の通った議論をしているのですよ。日本の大蔵大臣は、どういう議論をしてきたのですか。ただアメリカが言うなりに、ホット・マネーについてもこれは運用できるのだというアメリカの非常なひどい勝手気ままな拡大解釈によって、この貸付が行なわれることになっているのですが、それについては、やはり批判的な立場をとるべきじゃないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/49
-
050・福田久男
○政府委員(福田久男君) 先ほど申し上げましたように、国際通貨基金の活動の第一の重点は、お話のように経常的な取引が対象になると思いますし、また従来それを中心に運営されて参ったわけでございますが、しかしながら、資本取引、資本移動のための基金の資金の利用ということは絶対にいけないというふうになっておるわけでもございませんことは、この第六条の規定でも明らかでございますが、また資本移動に伴うIMFの活動分野がそこまで及ぶ必要のあることは、最近の事例から見ても明らかでございますし、現に今回の措置につきまして、他の諸国におきましても、それぞれこういった措置が必要であるという立場から、国内的に所要の措置をとりつつある実情でございます。
で、たとえばイタリーは、すでに所要の国内的な措置を終わりまして、三月二十一日付でIMFに対して正式に参加の通告を行なったようでございますし、また西独では、特に立法手続を必要としないという建前に国内的な措置がなっておるようでございます。米国におきましても、下院で銀行通貨委員会で承認されたというふうに承知いたしておりますし、また、全部は終わっていないかもしれませんが、関係の委員会にそれぞれ付託され、近く通過する見込みであるというふうに承知いたしております。英国また同様に国内手続をやっておりますし、スエーデン、オランダ、フランス、カナダ、ベルギー等でも、それぞれ国内的な措置が行なわれつつあるように承知いたしております。と申しますのは、加盟各国が、先ほど来御説明申し上げましたような解釈なりあるいは趣旨なり、実態的な必要性なりというものをそれぞれ認めた上での国内的な措置の運び方だというふうに考えます。したがって、わが国といたしましても、それら先進工業国の一員といたしまして、この措置をなるべく早く終え、また国際協調の立場からも、ぜひともこれに参加するととが適当であろうというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/50
-
051・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これはよその国の措置を聞いているのじゃないですよ、私は。日本の政府として、また日本の国会としてのこれに対する見解は日本の国会できめるわけなんですから、よその国がそうしたからそうしなければならぬというものじゃないのですよ。また、かりにこれを承認するとしても、やはりはっきり筋は筋として通し、IMFの基金の利用について批判すべきところは批判する。そしてアメリカはあまり勝手過ぎますよ、これは。そういうことについても事態をはっきりさして、承認するなら承認する、反対するなら反対しなければいけないわけですよ、何といったって。最初アメリカの国会では、これは経常取引の赤字に対してだけ融資するという理解でこの協定を承認しておりながら、その後ケネディ大統領は教書で米国り引き出し権限行使を声明している。しかし、アメリカが引き出して権限行使を声明しておるが、これはホット・マネーについてのことですが、本来ならば、経常取引の赤字に対してだけ融資するという建前ならば、アメリカはこれを引き出すことはできないわけですよ。アメリカの国際収支は非常な黒字なのですから、本来ならアメリカは引き出すことができない。非常な黒字なんですからね。ところが、それではアメリカのホット・マネーの移動に伴うアメリカの外貨不足に対処できませんから、現行規約を拡大解釈して、そうしてこの六条ですか、六条の規定を拡大解釈して、それはできるのだ、こういうふうに解釈して、このホット・マネーの移動に伴う外貨資金の不足に対処しよう、こういう経過になっていると思うのですね。あるときは経常取引の赤字に対してだけ融資するのだ、自分が都合が悪くなると、今度は拡大解釈して、ホット・マネーの移動についてもこれは適用できるのだ。ほんとうならば、これははっきり規約を改正すべきだと思うのです、ほんとうは。拡大解釈です。アメリカはあまり勝手過ぎますよ。改正するなら、これははっきりしてきますけれども、そのくらいの意見は日本だって言っていいと思うのですよ。何かもう現実の事態に合うような説明ばかりしているでしょう。何ら批判的なことはないじゃありませんか。そんな態度でいいのですか。かりにこれを承認するとしましても、非常な矛盾があるのですよ。そういうものに対しても、日本の政府は十分そういう矛盾、アメリカの勝手気まま、そういうものに対しも、ちゃんと批判的な見解を持ちながらも、しかもやむを得ず、これはよその国でやむを得ず認めた国もあるのです、認めざるを得ないのだ、こういう御説明ならわかりますよ。何でもかんでもこの規約で全部ちゃんとできるのだというそういう説明は、それは私はおかしいと思うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/51
-
052・福田久男
○政府委員(福田久男君) お話のように、IMFの活動の発足以後のことを考えてみますと、やはり基本的には経常的な取引を対象にして、それを重点に置いて考えなければならぬ、またそういうふうに運営されてきたということは御承知のとおりであり、また御指摘のとおりだと思います。しかし、資本取引のための、資本移動のための基金の資金の利用という道も開かれておったことも、また協定に明らかなところでございます。したがって、IMFの活動の第一の主眼点である目的との関連を考えまして、そちらの本来の目的が阻害されるようなことではいけないと思うのですけれども、そちらのほうはそちらのほうで満たされ、同時に資本移動のための基金資金の利用をさせることも可能であるということでありますれば、それはあっても、そこまで基金の活動が及んでもしかるべきことではなかろうかというふうに思いますが、アメリカの議会の論議は私つまびらかにいたしておりませんが、協定第六条はもちろんございますし、それを含めてアメリカも加盟しておるわけで、協定六条が排除されておるというふうにはなっておらないと思います。
ただ、現実問題として、IMFがいつ、どの範囲に、どういうふうな資本移動についての基金資金の利用ということを行なうかという問題は、発足以後当面の間はそういうことはなかったわけでございますが、先ほど申し上げた特にイギリスのドローイングということが議題になりました際に、昨年の七月にIMFの理事会といたしましては、この六条一項の解釈として、イギリスに対する十五億ドルのドローイングを認めることは、第一項の解釈からも明確にあり得るのだという結論を下しておるのでございまして、ある意味においては、御指摘のように、多少六条一項の解釈がはっきりしなかった点があったと思いますが、昨年七月のIMFの理事会でその解釈をはっきりさせた。つまり、具体的にはイギリスの場合に十五億ドルのドローイングを認るにあたって、その点を明確にしたということが言い得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/52
-
053・木村禧八郎
○木村禧八郎君 六条一項の(b)の(i)において「資本取引のために基金の資金を利用することを妨げるもの」ではないとなっているわけですから、必ずしも資本取引のための基金の利用を禁止しているわけではない。そのことは私もさっき言ったわけですよ。しかし、それは「輸出拡張のため又は貿易業、銀行業その他の事業の通常の経営において必要とされる相当額の額の資本取引」だ、そう書いてあるんですよ。これをもってホット・マネーについて適用しようと思ったって無理なんですよ。これを拡張解釈するわけなんです。本来ならば、これはやはり改正すべきですよ。そういう本来の規定になっていないのですから、改正すべきだと思う。拡張解釈でいこうとしていると思うのです。そういうふうにはっきり説明されればわかるのですけれども、何か当然この規定からいけるのだという説明ばかりをしているのですよ。
それでは、今度の貸付については、各国の態度なんかについていろいろな情報がみなこっちに来ているわけです。それらを見ましても、各国で非常に重要な論議がかわされ、各国で、かりに承認するにしても、それぞれの自主的な意見をちゃんと述べているわけです。ただ日本の場合は、これをかりに承認するとして、あなたが言われたように、IMFの規定はこれは違反しないのです、この規定でやっていけるのです、そんなことでああそうですかと言っていいんですか。まだいろいろ問題があるわけなんですからぬ、そういう事態を明らかにしなければならぬと私は思うのです。そういう意味で私は質問しているのですがね。ですから、これはアメリカとしては少し勝手過ぎますよ。本来ならば、これを改正してやれば、その貸付の当否は別ですけれども、一応筋が通る。私はそう思います。
たとえばフランスのボームガルトネルというのですか、大蔵大臣、この人は前にヤーコブソンの提案に反対した人ですが、結局は認めておりますがね。しかし、認めるについてもこういうふうに述べているのです。これは私は非常に参考になると思うのです。「われわれがなすべき第一のことは、国内的に健全な貨幣的秩序を維持し、インフレの再現を阻止することである。国際収支の不均衡が生じたならば、まず第一に国内措置に訴えるべきであり、IMFもその他の相互援助も二次的性格しか持ち得ない。……問題は主として工業国通貨間のものであるから、それはIMFの外において解決すべきものである。この点についてIMFは、規約第六条の規定が資本移動についても適用されるという見解を明らかにした。われわれは結局これを認めたのであるが、しかし条文の意味はごつごう主義的にあまり勝手な解釈を加えるべきではない。資本移動を自動的に相殺しようとする仕組みは、広汎なインフレを招くおそれがある。フランスはヤーコブソン提案に賛成するが、それ以上のことを積極的に行なう意図はない。」、こういうように述べているわけですね。ですから、ここで述べられていることは、資本移動について基金の資金を利用して、これを調整するということはあまり安易にやる〜、これはインフレを招くおそれがあるんだ、だから、こういう基金の資金によって資本移動による外貨の不足を調整する前に、国内措置に訴えるべきだ。具体的にいえば、アメリカがああいうアメリカのドル危機というものはなぜ生じてくるかといえば、根本的にはアメリカの国内措置が悪いのですよ。それをアメリカが十分やらないでおって、よその国に出資を求めて、それによってアメリカの国内政策の矛盾から生じてくるドルの危機の問題を、よその国の犠牲にあるいは負担においてこれを解決しようというところに問題がある。もちろん、よその国の負担によることを必ずしも悪いとは言いませんが、その前に国内的措置をまず第一にやるべきだということを言っているわけなんですね。このフランスのボームガルトネル蔵相だけではないのです。その他の人たちもやはり、国内措置が非常に重要であり、優先すべきであるということをやはり強調しておるんですよ。国内でインフレ的な政策をとりながら、それで通貨不安を起こして、ホット・マネーがどんどん逃げていく場合に、これを国際通貨基金によって調整しようということは、これは私は本末転倒じゃないかと思うのです。そういう点について非常に警告が発せられているんです。オランダ銀行のホールトロップという総裁もそういうことを述べていますね。たとえば「現在の問題は、制度の改変によってではなく、政策の改変によって解決さるべきものである。すなわち、貨幣的訓練にしたがい、国内政策によって不均衡の是正をはかるべきである。債権国の過剰準備を国際流通に投ずることにより、債務国をして継続的に収支不足を賄わせ、これによって問題が解決されると考えるほど大きな誤りはない。それは永続的インフレの機構を作り出すだけである。」こういうふうにやはり言っておるわけですね。
こういう点については、日本の政府当局としてはどういうふうにこれをお考えになっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/53
-
054・福田久男
○政府委員(福田久男君) ボームガルトネルはフランスの大蔵大臣だったわけです。今御指摘になりました中で二、三の点についてですが、まず国際収支の危機というか、悪化に対して国内的な措置が必要であるということは、これは当然のことで、特に説明は要しないと思います。各国とも自主的にそういう配慮をいたさなければなりませんし、また、IMFからの資金の利用について、当然そういうことも話題になったわけでございます。
もう一つの問題点は、六条の「資本移動のための基金の資金の利用」というものが無制限に非常に広がっては困るじゃないかという点だと思いますが、それは先ほど来しばしば御説明申し上げておりますように、やはり経常勘定に基づく措置、経常勘定に基づく赤字に対処するための措置というのは、やはりIMFとしては中心的な目的でなければならないと思います。したがって、資本移動に伴う基金の資金の利用は第二次的だという趣旨で、六条もそういう立場からできていると思います。したがって全面的にそれを禁止するわけではございませんし、またそれの運用にあたりましては、本来の第一の目的を幽霊するようなことになってはならないということは、基金の当事者として十分配慮しなければならぬというふうに思います。
第三点は、機構の問題と申しますか、こういった問題は、先進工業国間のみの問題であり、通貨基金以外の場でやったらどうだという点だと思います。他面、考えてみますと、国際通貨基金が国際金融における中枢的役割を果たすという立場から見ますと、それらを包含してやるのが適当ではないかという考え方も同時にあろうと思う。そのあとのほうの考え方が、結局フランス等とほかの国、IMF当局との話し合いの結果、結局やはりあとのほうの考え方に同調されたということは御承知のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/54
-
055・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今度の出資は、その発端はやはりドルの不安とかドルの危機ということから来ているのですが、ドルの危機とかドルの不安というものの根本の原因はどういうふうに理解されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/55
-
056・福田久男
○政府委員(福田久男君) 結局はアメリカの国際収支の動向からいってどうかということになるかと思いますが、過去の推移から見ますと、一九六〇年が一番悪かった年で、経常勘定におきましては、それでも六十八億ドルの黒字を出しているわけでありますが、政府支出、民間の長期資本の流出というのがかなり多くて、八十億ドル近くになっているようでありますが、その結果、結局金の流出あるいはドル債務の変化というものを招来しているわけで、三十数億ドルの日本流に見ますと総合的な赤字ということになっておるわけであります。昨年、一九六一年ではかなりそれらの事情が改善されまして、三十数億ドルから二十数億ドルまで下がっておるようであります。で、今年度どういうふうになるか、なかなか見通しは日本でもむずかしいのですが、それぞれの国でも非常に見通しはむずかしいと思うのですけれども、アメリカの政府が公式に言っておりますところによりますと、今年度は六一年度よりは悪くなることはなかろうというふうに言っておりますので、結局問題は、やはり来年度に均衡の目標を置いて進んでいくというふうなことではなかろうかというふうに考えております。ただ、この国際収支は非常に各国とも見通しはむずかしいので、的確なことは申し上げられませんが、要するに六〇年を一番悪い年にいたしまして年々好転の方向へ向かうのではなかろうかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/56
-
057・木村禧八郎
○木村禧八郎君 国際収支の不均衡ということも、これも私は非常に重要な原因だと思うのですが、その不均衡の原因はどこにあるかということは、すでに明らかにされていると思うのですが、それは要するに、アメリカは軍事援助とか経済援助で非常にたくさんの援助を、年間七十億ドルぐらいやってきている。それを輸出の黒字で埋めるわけですが、その輸出がそれをカバーするだけ黒字にならない。そこで、赤字が生ずる。そういう点にあると思うのです。ですから、これについてアメリカの対ソ防衛のための軍事援助とか、あるいは経済援助、それからアメリカの再軍備費が歳出の中で非常に大きく響いておりますね。そういうことと関連いたしますが、そのことは一応あれとして、もう一つ、国際通貨制度に問題があるのではないか。
この際伺っておきたいのですが、私は必ずしもトリフィンの意見に賛成するものではありませんが、トリフィンの指摘している点にはかなり私は聞くべき点があるのじゃないか。それは金、外貨準備としての金に依存しておりますけれども、現在では金が不十分であるから、それに対して外貨準備としてはドルとかポンド、そういうものを外貨準備に加えているわけでしょう。ところが、トリフィンは、御承知のように、新産金が、年々七億ドルくらいの新産金があるとしても、その増加率は大体一・五%である。ところが、世界の貿易、ことに輸入の増加率は五、六%である。そうなると、金準備は追いつかない。そこで、ドルとかポンドを準備に加えるのであるが、ことにドルについては、アメリカは一応一オンス三十五ドルで金にかえるということで金木位という形をとっております、完全に金木位じゃないと思いますが。ところが、ドルの預金が、短期資金がたくさんアメリカへ集まってくる。そういうものが集まれば、たくさんアメリカへ入れば入るほど、金の準備というものが比率が少なくなるでしょう。そこで、そういう面から不安が生じておりますね。それから、一たん、何ですか、アメリカに入ってきて、ドル資金を全部金にこれをかえて引き出すことになれば、今のアメリカの金準備では足りませんね。すぐ破綻する。そういう非常に不安定な状態にあるのですね。そういうところにも問題が私はあると思うのです、ドル不安、ドル危機というものが。
ですから、問題は二つあると思う。アメリカの国際収支自体、これは基本的なものです。それから、今の国際通貨制度に基本的問題があるので、そこで国際通貨制度のいろいろ改革案というものが出てくるわけです。そういう点については、政府はどういうふうにこれを理解しているのか。現在ドルというものをどういうふうに……。これは今後日本としても非常に重要な問題ですよ。日本が外貨準備を持つ場合に、結局、ドルはほんとうは減価してきているんですね。にもかかわらず、今の金価格を引き上げないで、一オンス三十五ドルということで法定していますね。そこに一つのやはり矛盾があると思うのですがね。本来ならば、金価格を引き上げるということが正しいのでありますけれども、その金価格を引き上げないでやっていますから、ドルは減価しているわけです。そういうところに絶えずドル不安が起こる原因があると思うのですがね。そういう点ですね、一体ドルというものを金と考えているのかどうか。日本の政府はどういうふうに考えているのか、ドルというものに対して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/57
-
058・福田久男
○政府委員(福田久男君) いろいろ御質問の範囲が広範にわたっておるんで、あるいはお答えが漏れるかもしれませんが、まず第一点は、世界貿易の拡大と金その他の決済通貨との関係がアンバランスになるのではないかという点かと思いますが、お話のように、新産金だけで世界貿易の伸びをカバーすることは、それはむずかしいかと思います。ただ、各国とも通貨の交換性を回復して参りまして、マルクにいたしましても、あるいはフラン等にいたしましても、漸次交換性を回復し、それぞれの国が相応の外貨準備も持つようになり、それらの通貨も貿易決済通貨として漸次利用されるということになりますれば、遠い将来の問題になるとまたいろいろあるかもしれませんが、当面、そういった先進工業国の通貨自身も国際決済通貨として活用されることも考えられましょうし、またドル、ポンドにいたしましても、昔からの主要な通貨といたしまして決済に利用されるということによりまして、一応貿易の拡大に対処する決済の方法というものはスムーズにいくのじゃなかろうかというふうに思います。長い先の問題になりますと、いろいろまた議論もあろうかと思いますが、当面としてはさように考えます。
それから、金価格の問題ですが、これは学者の間ではいろいろ御議論のあることは御承知のとおりでありますが、一オンス三十五ドルという相場が一応維持されておりますし、そのためにドルの価値、あるいはポンドの価値、通貨価値全体が下落しているとかなんとかいうことでもないように私どもは考えておりますが、要するに一オンス三十五ドルの価格が現実に維持されておるというところから考えまして、ドルの価値なるものは、金との関連において価値は十分維持されておるというふうに見ていいんではないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/58
-
059・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ドルと金との問題については、いろいろの問題があると思います。私は何も必ずしも、トリフィンの金準備と新産金との、それから貿易量との不均衡とか、国際通貨制度の金について云々とか、そういう意味では私も考えておりませんが、必ずしも金準備の増加と貿易量の増加とが数字的にマッチしなければならないという、そういう機械的には私も考えるべきではないと思うのです。機械的には。しかし、それはいろいろな条件によって違いますから、それは簡単に言えませんが、現在の問題として、金準備の不足を外貨で、ドルとかポンドでみんな補っているわけですね。そこで、ドルというものがどうなるかということについては、ずいぶん大きな関心を持たれているわけですね。将来はドルは切り下げ、あるいは金価格が引き上げられるのではないか。また引き上げなければならないという意見もあるわけです。イギリスあたりなど、長らく産金を持っているようなところでは、そういう主張も大きいわけです。そこで、このドルというものと金というものの関係につきまして、さっきお話のあったように、これは一体のものではないと思うのです。ドルはもう減価している。ほんとうの意味の金本位ではないと私は思うのですが、その点はどうなのですか。非常な専門家でも、ドルの将来についてはいろいろな問題があるのです。このままずっと一オンス三十五ドルでドルの価値が維持されていくか。あなたは維持されていくと言っているけれども、ほんとうは金本位じゃないですよ。金の交換というものは制限されている。ことに非居住者の場合は、個人はできない。外国の中央銀行、政府、そういうものに限られております。それから、この通貨基金でも変動の幅が、これが規制されているわけですね。金の自由市場というものもないわけですね。そうなりますと、ドルは金だということは、すぐには言えないと思うのです。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/59
-
060・福田久男
○政府委員(福田久男君) ドルと金との関係でございますが、先ほど申し上げましたように、一オンス三十五ドルというもので、価格は大体その辺で維持されておりますし、今後もそういう維持は続けられるものというふうに考えますが、ただ、現実の問題といたしまして、いろいろと資金移動等の事情もございますので、ドルを金に交換するとか、あるいはポンドを金に交換するとか、いろいろな問題が付随的に起きる可能性も各国の交換性回復以後起こったわけでありますが、大体バーゼル協定が、ポンドの問題がありました際に、相当の効果を発揮いたしましたように、今後におきましては、そういった面における国際的な各国中央銀行間の協調態勢が漸次高まってくるものではないかというふうにも考えられます。したがって、各国の通貨価値の維持ないしは擁護という点についての主要工業諸国間におけるそういった配慮も高まって参りますれば、各国通貨の価値の維持という面にかなりの貢献をするのではないかというふうに思います。まあ端的に申しまして、金価格がどうか、どうするかという点は、これはまあ非常に大問題でもございますし、おそらく当面そういったことはないであろうというふうに私どもは考えております。長い将来になりますと、その間いろいろなことがあるかもしれませんけれども、一応そういうふうに考えておりますし、また国際通貨基金におきましても、相場についてその幅を一%という範囲内にとどめるようになっておりますし、またそれを維持するように、先ほど来申し上げたように、いろいろな協調態勢も高まってくるでありましょうし、結局それらを総合して考えてみますと、主要国通貨の価値の維持という点については、あらゆる面であらゆる努力が払われるものというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/60
-
061・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それでは、政府は今の国際通貨体制ですね、あるいは国際通貨制度、そういうものはこれでいいと思っているのか。御承知のように、現にいろいろな改革案が出ておりますね。今のIMFの運用によってそういう国際通貨のいろいろな不安を除去し、今後も支障なくやっていける、こういう考えと、それから根本的にやはりトリフィンみたいな非常に積極的な根本的な改正、いわゆる国際通貨というものを作るべきだという前のケインズのバンコールみたいな、ああいうものを作るような意見もあるわけですね。当然日本としても、そういういろいろな改革案が出てきているのですから、また今の国際通貨制度がこれよりいいとは言えないわけですね。非常に不安定な要素が出てきていますから、一応当面の手当としてこの出資という問題も起こってきていると思うのですね。その一つとして起きてくる。これで問題が根本的に解釈されるわけではありません。政府としても、現在の国際通貨体制に対する見方なり、今後どうあるべきかということについて一応研究をし調査をされると思われますので、その点、この際伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/61
-
062・福田久男
○政府委員(福田久男君) 主要工業国間で金をプールするとか、あるいはいわゆる国際通貨というものを考えるとか、いろいろ考え方はあろうかと思いますが、現実に実際問題としてやり得ることから一歩々々前進するという立場から、今回のIMFの資金調達についての措置も、そういう意味では決してこれですべて問題が解決するということではないわけですけれども、しかし、当面やり得ることで国際的な通貨問題についての目標に向かってのアプローチ、一歩前進と申しますか、数歩前進と申しますか、そういった立場でこの措置も御理解いただけるのではなかろうかと。ただ、先ほどの国際的な通貨あるいは金の世界的なプール制というような点については、いろいろ問題も多い、ことは御想像いただけると思うのでありますが、各国それぞれの実情もございましょうし、雰囲気としてそこまで、一挙にその論議に到達するところまでは全体の雰囲気がいっておらないだろうと思いますし、また現実にやるといたしましてもいろいろ問題が多いのではないかというふうに考えます。で、今お前たちはどう考えているかという御質問でございますが、そういったいろいろ複雑なむずかしい問題を含んでおりますので、にわかにちょっと結論が申し上げかねる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/62
-
063・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この問題は非常に、問題が国際的な通貨制度に関するものですから、問題が非常に大きいし、また問題が大きいということもあって、これが日本の経済なり日本の国民生活なりにすぐに結びついてピンピン影響してくるわけでないので、一般には何か非常に高い遠いところの問題のように理解されやすいのですけれども、しかし、これは現在、あるいは将来、特に長期的に見ますと、非常に日本の貿易なりあるいは外貨準備なりに大きな影響を持つ性質のものですから、絶えずこの動向については関心を持って、そしてやはり日本の自主的な見解なり立場たりというものを持つ必要があると思うのです。特にこのドル危機とかドル不安、こういうものについては、もっと基本的にその原因を究明する必要があると思うのです。アメリカ自身の政策の矛盾から来る不安、そういうものをよその国に押しつけられたのでは非常に迷惑なのですから、今度の出資などについてもそういう点が多分にあるのですから、今後そういう点について十分政府としても勉強される必要があると思うのです。当面の緊急の問題ではないとしても、十分この問題に対しては対処すべき見解を持っておられなければならぬと思うのです。本来なら、こんなに今国際的に論議されているものに対して、いろいろ複雑な事情もございますから今ちょっとわかりませんでは済まされないと思うのです。怠慢ですよ、大蔵省は。一応ある程度のこういう方向というものは持っていかなければならぬはずです。大蔵省というものは、今後の見通しについてもある程度の見通しをつけ、それに対処する方針というものを持っていなければならぬと思うのです。どうも複雑な事情があるからよくわかりませんでは、通らないと思います。これは私の意見ですから、御答弁は要りません。
そこで、次に伺いたいのは、今度は、この法律によって直接日本の外貨準備に及ぼす影響等について伺いたいのですが、この出資、円で九百億円ですね、ドルで二億五千万ドルですが、このスタンドバイ・クレジットは、日本の外貨準備との関係はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/63
-
064・福田久男
○政府委員(福田久男君) ドルに換算しまして二億五千万ドルでございますが、円によってIMFに貸付を行なうということに相なりますが、貸し付けられた円は、借り入れ希望国に対して現実に貸される場合には、借り入れ希望国が円をIMFから借りる。しかしながら、それは先ほどもいろいろとお話がありましたように、主として短期資金の移動に備えるためでございますので、必ずや外貨にかえられる。したがってその範囲内においては円に交換性を与えたと同じ結果になって、外貨がそれだけ使われるということになろうかと思います。
なお、念のために申し上げますが、国際収支がよくない場合には、この貸付に参加しないという道も開かれておりますことは、しばしば御説明したとおりでございます。
それから、先ほど御注意賜わりました、話は変わりますけれども、国際的な、そういう国際通貨等についての検討でございますが、今後とも十分情勢の推移などを勘案しながら、日本としてもいろいろと勉強して参りたいというふうに思っておる次第でございますので、つけ加えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/64
-
065・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、一応これだけの出資をした場合、当然これが使われるものという前提に立って出資しなければならぬと思います。そうなると、結局外貨が使われるという趣旨はいいんですけれども、結局ドルに交換されてそして使われるとするならば、日本の外貨準備としてはこれは一応リザーブしておかなければならぬでしょう。そういうことになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/65
-
066・福田久男
○政府委員(福田久男君) ちょっと言葉じりをとらえるようで恐縮ですが、先ほど来木村先生は出資々々という言葉を使っておられますが、実は貸付でございますので、念のため……。
現実にIMFに対して貸付を行ないますと、先ほど申し上げたように、借り入れ希望国のほうに回って、それが外貨に交換されて使われるということで、その使われる場合には外貨準備がそれだけ減ることになります。したがって、国際収支がよくない、外貨準備があまり豊かでないという際には、これに参加することを遠慮する道もあることは、先ほど申し上げたとおりで、したがって、この分だけ外貨準備を別ワクにしておくということではなく、外貨準備の状況をもにらみ合わせながら、その参加するかせぬかというときに考えるということにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/66
-
067・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それでいいのですかな。一応この出資した分については、緊急の事態が起こったような場合には、金額使われる場合もありましょうし、スタンドバイ・クレジットですから、すぐに全部が使われるわけじゃないでしょう。しかし、そういうことがあり得るということを、全部使われることがあり得るということを前提にしておかなければならぬ。そういう場合に、この日本の外貨準備の中で、そういうものは一応リザーブしておく必要があるのじゃないですか。それには手をつけられないということにしておかないと。じゃ、一応この貸付をやって、都合が悪くなったらその貸付というものはすぐやめてしまえるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/67
-
068・福田久男
○政府委員(福田久男君) 手続を若干敷衍倍して御説明したほうが御輿解いただけるかと思うのですが、まず一億五千万ドル、円にして九百億円ですが、九百億円までは貸し付ける、ある手続に従って貸付に応ずるということに今度の措置がなるわけですが、現実にそれが出されます場合には、特定のある借り入れ希望国が起こりまして、それがIMFの専務理事に対して申し入れて、それから専務理事と十カ国の相互間で相談をするわけです。その場合に総額を現実に幾ら貸すかという相談をいたしまして、その総額がきまる際に、国際収支の状況の悪い国は棄権をして、それから辞退するという道があるわけですが、まず現実に、総額を幾ら貸すかということをきめる。で、それをきめてから、今度は各国幾らずつ持つかということをきめて参りまして、いよいよ総額と各国の分担額とがきまりまして、そうして最終的に専務理事から分担額の払い込み、借り入れという手続になるわけです、具体的に。したがって、今抽象的に一億五千万ドル約束をいたしましても、直ちにいつでも引き出されるということではなくて、そういうプロセスを経て具体的にきまるということになるわけです。したがって、今二億五千万ドル別ワクで用意しておかなければならぬということではなくて、現実に必要が起こりました際に、そういった総額をきめ、各国の分掛額をきめる。その間、先ほど来申し上げておりますように、棄権をして参加しないようにするとか、あるいは分に応じた分担額に減額するとか、いろいろその間に具体的にきまるまでにはまだそういった手続を経ることになるわけです。
繰り返して申しますと、今二億五千万ドルと約束したから、一億五千万ドルだけは別ワクでいつでも貸せるように用意しておくというわけではないのであります。当面、今年度あたりでは、日本としては国際収支もこういう状況でございますので、おそらく具体的に今年度日本が貸付に応ずるということになることは万々ないのじゃないかというふうに考えておりますが、将来の問題として今回の取りきめに応じようというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/68
-
069・木村禧八郎
○木村禧八郎君 七条の二項の(i)の改正ですが、一億五千万ドル、これは加盟国が基金と加盟国の間で協定した条件で基金に自国の通貨を貸し付ける、こういう規定に基づいたものだと思うのですね、二億五千万ドルというのは。そうしますと、そのあとのほうに、基金に貸し付けをする義務を負わないということになっておりますね。義務を負わないということは、最初の二億五千万ドルの協定ですね、これに参加しなくてもいいということなのか、あるいは一応協定で二億五千万ドル貸し付けるという協定をしますね、協定をしてから都合によって二億五千万ドル貸さなくてもいいと、こういうことであるのか。一応二億五千万ドルは協定したでしょう。協定すれば、それはさっきお話しのように、これが実際に貸し出すときには専務理事に借りる国が申し出る、それによって協議をして割当がきまるでしょう。そのときに、二億五千万ドルは貸付の約束をしておるが、都合が悪ければ二億五千万ドルを貸さなくてもいいのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/69
-
070・福田久男
○政府委員(福田久男君) この協定に、理事会の決定に基づきまして日本がそれに参加いたしますれば、一応二億五千万ドルを限度として所定の手続並びに条件に従って貸すことを約束する。ただ、現実に、今申し上げたような十カ国のいずれの国からそういう借り入れ申し込みがありました場合に、国際収支の状況が悪い、あるいは外貸準備の状況からいって困難であるという場合には、総額をきめる場合に棄権をするということになります。あるいはゼロではないが分担額を少なくするとか、そういったことを各国の国際収支の状況なり外貨準備の状況なりをにらみ合わせて相談ずくできめていこう、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/70
-
071・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、この六十億ドルの貸付をすることになりましたが、この七条の二項の(i)の最後の規定ですね。基金にこの貸付をする義務を負わないということは、貸付限度の総額六十億ドルきめるときにこれに参加しなくてもいいということなのか、一応参加して、二億五千万ドルという日本が貸付の限度、これを承認する、国会が承認すれば承認することになるわけですが、承認した場合に、この二億五千万ドルにしても、日本の国際収支のいかんによって貸付を拒否することもできる、そういう義務を負わないでいいのかどうかという、こういうことなんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/71
-
072・福田久男
○政府委員(福田久男君) 実質的には、先ほど申し上げたように、国際収支の状況によっては棄権をして、個別の案件にあたって棄権をする、あるいは金額を減らすとか、あるいは一ぺん貸したあといつでも返済してもらう、そういうセーフガードはついておるわけでございます。形式的には、今度のに参加することによって一定のそういった手続を経る、そういうセーフガードのついた手続を経ることによって貸付に応じましょうという約束はするわけです。実際的には、先ほど申し上げたように、セーフガードはそういう各段階でついておるということになっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/72
-
073・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうすると、非常に拘束力というものが弱いわけですね。それじゃ、こういう何んですか、協定をしなくてもよさそうに思うのですが、実際問題としては、国際収支の状況いかんによっては一応貸付を承認した限度内においても貸付を拓否することができるというのだから、何もこういう協定を結ばなくてもよさそうなものです、そんなに拘束力がないものでしたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/73
-
074・福田久男
○政府委員(福田久男君) お話のように、ある意味では——ある意味ではと申しますか、実態的には義務づけようというか、義務のつけようが、セーフガードが各段階でありますので、弱いということになりますわけですが、しかし、一たんある場合に非常にこういう措置が必要になりました場合には、あらかじめそういうルールをきめておきまして、そのルールに従って話し合いを進めていくということが、何らそういった約束がなく新規の相談をするということに比べて、いかに早くかつ措置が的確に順調に行なわれるかという点は、御想像いただけばおわかりのとおりと思います。また同時に、そういった国際協調関係と申しますか、国際通貨基金でそういった仕組みができておるということが非常に関係国の間で、もちろん日本も含めての十カ国でございますが、十カ国いずれの場合におきましても、短期資本の移動についてこういった利用の道があるという安心もあるでありましょうし、また話は行ったり来たりいたしますが、短期資本が移動する場合に、Aの国がマイナスになりますと、大体主要工業国のいずれかの国にプラスになって入ってくる。どこかで引っ込みがありますと、どこかにプラスになる、そういう意味で、短期資本が入っておればその分に応じて相当多くの額が貸付に応じ得るという状態にもなるし、また逆にその国から減りますと、先ほど申しました期限前でも返済を求め得るということになるので、非常にその辺はうまく活用されることになるのじゃなかろうかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/74
-
075・木村禧八郎
○木村禧八郎君 まあ、それにも少し疑問がありますが、短期資本がどこかの国で減れば、よその国でふえるから、心配ないという。たとえばドル危機というのなんか、僕はよその国が一せいにやはりドル危機に対応すると思うのです。そんなに一国の短期資本が減ったから片方があとからそう都合がいいようにはいかないと思うのです。いざドルが危機になっというときには、この前言うように、世界のあるいは中央銀行が金にかえる、こういう事態になる可能性もあると思います。そういうこともやはり頭に置かなければならぬと思います。
それから、拘束力はないといっても、実際的には、こういう国際協定をやれば実際的にやはり、規定としては義務がないといっても、それは貸付せざるを得ないということになってしまうのじゃないですか、実際的には、こういう協定を結んでおけば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/75
-
076・福田久男
○政府委員(福田久男君) 第一点は、Aの国から短期資本が出てのB国に入るのじゃないか、そういったってその分は金にかえられるおそれはないかという点でございますが、そういう事態はもちろん過去においても見られたわけですけれども、各国間の協調関係、特に各国中央銀行間の協調関係が非常に進みつつあり、先ほど来申し上げておりますように、バーゼル協定でもすでに相当の効果をあげたことは経験済みでございますが、そういう方向で今後はそういった各国間の協調ということが高まるでありましょうし、それを高めるための、まあそれはあべこべに高めるためというと言い過ぎかもしれませんが、IMFのこういった措置がありますれば、そういうことをやりやすいという事態にもなるかと思うので、一がいに昔のように短期資金の移動が金に結びつく、金の移動に結びつくということになるとは言い切れないのじゃないか。むしろ、そういうことを漸次防止しながら各国通貨の擁護をはかっていこうという方向へ前進するものと考えております。
それから、もう一つの点は、現実にこういう約束ができるとして、実際問題が具体的に起こった場合に貸付に応ぜざるを得なくなるのではないかという点でございますが、これは先ほど来申し上げておりますように、各国の実情、国際収支なり外貨準備なりの実情を十分考慮して運営されることになっておりまして、いろいろな段階で一種のセーフガードがございますので、そ線に沿って運営されるととに十分話し合いはされておるわけでございます。もちろん、可能でありますれば、応分の協力をする必要があることは申すまでもないと思いますが、できにくい、協力しにくい場合には、セーフガードのそれらの規定によりまして、棄権をするとか、あるいは期限前の償還を受けるとか、そういうことでやって参りたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/76
-
077・木村禧八郎
○木村禧八郎君 しかし、実際問題として、そういう協定をしても貸さないというような場合に、七条の三項の希少通貨の規定がありますね。その場合、その希少通貨と公式に宣言されたときは、これら通貨による為替取引を制限することができる、こういうことになっていますね。ですから、そういう希少通貨として宣言されることをおそれるためにも、やはり協力せざるを得なくなるということはないですか。希少通貨として宣言されたら為替取引を制限することができる。だから、実際問題としては、こういうふうに協定をやりますと、その承認した限度内はやはり貸し付けられるものと一応見ておかなければいけないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/77
-
078・福田久男
○政府委員(福田久男君) 七条三項では、基金の保有いたしておりますある特定国の通貨が不足した場合には、基金としてはその通貨が取引対象として扱いにくくなるということでございますが、逆にいうと、そういったことのないようにするために保有通貨をふやすというのが今度の借り入れの措置でございます。つまり、ほうっておけば基金の活動がその通貨に関する限りやりにくくなる。借り入れをいたしますとふえるし、出資をいたしましてもふえるし、そういった事態にならないようにと申しますか、避けられる方法ではないか、借り入れをすることによって。そういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/78
-
079・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いや、ですから、七条三項の規定は、この希少通貨として宣言されることは困るわけでしょう。その場合には取引は制限されるのですね。為替取引は制限することができるということになっていますからね。そうならないように、やはり多少無理してもその約束した限度内においては貸付をする、そういうことにならざるを得なくなるのじゃないか。だから、こういう規定もありますから、結局は、九百億円、二億五千万ドル約束をいたしましたならば、この二億五千万ドルは一応使われるものと、それを前提としてそうして臨む必要があるんじゃないか。いつでも拒否できるのだから、拘束力がほとんどないのだから、心配はない、こういう考えではいけないのではないか、こういう質問です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/79
-
080・福田久男
○政府委員(福田久男君) いつでも断われるということ、つまりセーフガードがいろいろあるということと、それからこういう措置をあらかじめIMFが準備しておくということの関係については、先ほど申し上げたように、必要がある場合に円滑に軌道に乗った取り運び方ができるという事態になることが一つの大きな点ではないかというふうに思いますが、同時に、参加いたしました国といたしましては、事情の許す限り、つまり能力の許す場合におきましては、応分の貸付に応ずるということも同時に考えなければならぬというふうに思いますが、しかし、それが無理であるという場合には、無理のないように配慮をするというセーフガードでございます。したがって、たとえば外貨準備の状況がかなりいいという場合でありますと、やはり貸付に応ずることが必要になってくるというふうに思います。
それから、不足通貨の点でございますが、不足通貨でも、なお不足通貨と今の義務との関連ですが、実際問題といたしまして、不足通貨として基金がどうしてもその通貨がほしい、その通貨でなくちゃならぬというような立場から考えますと、直接御指摘の点は関係がないのじゃないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/80
-
081・木村禧八郎
○木村禧八郎君 要するに、私は、今度の貸付と日本の外貨準備との関係はない、日本の外貨準備はこういう協定をしても何ら影響を受けない、こういうふうに考えていいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/81
-
082・福田久男
○政府委員(福田久男君) 不足通貨という意味は基金が保有いたしております額でございますので、日本の外貨準備という意味ではなくて、基金が、たとえば円なら円を保有している額が非常に少なくなった、したがって基金としては円を貸付その他に運用することができないような状況になった場合という意味でございまして、先ほどのセーフガードと申しますか、日本が、日本の国際収支上の理由あるいは外貨準備上の理由から、基金に対する先ほどの借り入れ取りきめに基づく具体的な参加を棄権するというようなことが必要ならば、棄権することは差しつかえないというふうに思います。逆にいうと、かりに日本の円を持っております額が非常に少なくなって参りまして、円はもう基金としてよそに貸す余地が非常に少なくなる、したがっておのずから基金は基金の持っている日本の円をほかの国に貸してやるということが困難になりますけれども、日本自身の国際収支上の理由あるいは外貨準備の高が基金に新たに貸付をすることがむずかしい事情にある場合には、セーフガードを優先させて、日本としては貸付に応じがたいということはできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/82
-
083・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私はいろいろ質問したのですけれども、要するに、今日本の外貨準備が十分であるかないかは、これから具体的に質問したいのですけれどもね。こういうスタンドバイ・クレジットをやって、二億五千万ドルの貸付の協定をした場合に、日本の外貨準備というのはそれに対してリザーブしておく必要はない、全部はね。しかし、必要のある場合には使われるものと前提しておかなければならないから、一応日本の外貨準備の中からそれだけの分は、何も別勘定を設けるとかそういうことをしなくても、この分は使われる、いつかは使われる可能性があるのだというので、そういう意味での実際的な心がまえというのですか、そういう準備はしておく必要があるのじゃないですか、一応。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/83
-
084・福田久男
○政府委員(福田久男君) だんだん国際収支の状況もよくなり、外貨準備も相当増加いたして参りますと、もしそういう要請があったときに、そのときの状況で日本として可能な範囲内における貸付を承諾するということになるわけでございますから、そのときに判断するというふうに考えております。つまり、現実に問題になったときに判断する。もし貸せば、その分は外貨準備がそれだけ使われるという前提のもとに判断をするというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/84
-
085・木村禧八郎
○木村禧八郎君 日本の今の外貨準備は、なるべく最近のところでどのくらいか。それと、短期債務はどうなっているかですね。それと比較して、今の外貨準備というものは十分なのか、十分でないのか。もちろん、これは機械的に言えませんがね。今後の国際収支がずっとよくなっていくという見通しならば、少なくてもかまわないわけですね。それが非常に見通しが不安定な場合には、少しくらい持っていたって、これは不安でしょうがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/85
-
086・福田久男
○政府委員(福田久男君) ごく最近の三月末におきまする外貨準備は十五億六千百万ドルでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/86
-
087・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その内訳を言って下さい。金と外貨で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/87
-
088・福田久男
○政府委員(福田久男君) 金が二億八千七百万ドル、その他が十二億二千七百万ドル。それから、短期債務でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/88
-
089・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それから、その他の中の、外貨の中の証券と預金、ちょっと言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/89
-
090・福田久男
○政府委員(福田久男君) 今、数字が間違ったかもしれませんが、三月末のその他が十二億七千四百万ドルで、預金が七億五千七百万ドル。それから、短期債務でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/90
-
091・木村禧八郎
○木村禧八郎君 証券は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/91
-
092・福田久男
○政府委員(福田久男君) その残りでございますから、五億一千七百万ドルでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/92
-
093・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ちょっと待って下さい。もう少し、この際資料をもらうのもめんどうですから、おそれ入りますが、証券と預金の内訳を言って下さい。預金はドル預金あるいはポンド預金で幾らとか、それから証券は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/93
-
094・福田久男
○政府委員(福田久男君) 預金は大部分が定期性の預金でございますが、当座勘定は月々出入りがかなりあるわけですけれども、大体定期預金で、七億ドル程度がこの中で定期預金でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/94
-
095・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ドルとポンドと分けて言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/95
-
096・福田久男
○政府委員(福田久男君) 預金の全体の中で、大部分がドル頭金でございまして、ポンド預金はその中のほんの一部で、二千万ドル程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/96
-
097・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうすると、ドルが七億三千七百万ドル——数字があるんだから、言ったっていいじゃないですか、大体なんて言わないで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/97
-
098・福田久男
○政府委員(福田久男君) ドル換算で二千万ドル程度がポンド預金で、残りはドル拠金でございます。それから、証券のほうでございますが、証券のほうはポンドがドル換算で千二百万ドルで、残りがドル建でございます。それから短期の債務でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/98
-
099・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それから、ちょっと悪いですけれども、預金、それから証拳の利回りを言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/99
-
100・福田久男
○政府委員(福田久男君) 預金の金利でございますが、大体六カ月以上の定期預金は三分二厘五毛が実効レートでございます。それから、証券はときどき変動がありますが、たぶん二分七、八厘ぐらいだと思います。まあ三%弱ですから、二分七、八厘程度であろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/100
-
101・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ものは財務証券みた
いなものですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/101
-
102・福田久男
○政府委員(福田久男君) TBレート、財務省証券レートでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/102
-
103・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それから短期債務。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/103
-
104・福田久男
○政府委員(福田久男君) 短期債務でございますが、二月末について申し上げますと、ユーロ・ダラー、それから宮由円預金、その他通貨預金を合わせまして、いわゆる割合に浮動性の高いといわれるこれらの狭義の短期債務は、二月末で約五億ドルでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/104
-
105・木村禧八郎
○木村禧八郎君 二月末のものですか。二月末のは前にこの委員会に資料として出してもらったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/105
-
106・福田久男
○政府委員(福田久男君) 三月末は、暫定的な数字で、確定数字でございませんけれども、五億四千万ドル程度と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/106
-
107・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それとその内訳ですね。ドル預金、自由円ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/107
-
108・福田久男
○政府委員(福田久男君) ユーロ・ダラーが、三月末で申しますと二億五千九百万ドル、それから自由円預金が二億二千四百万ドル、その他預金が六千万ドルでございますが、数字は必ずしも確定的でなく、暫定的な数字でありますことを御了承いただきたいと思います。そのほか、やや安定度の商いと申しますか、為替銀行が外国の銀行から借り入れております金額が二億六千万ドルでございます。これを合わせますと約八億ドルくらいでございます。そのほかに輸入ユーザンスでございますが、これは三月の数字はよくわかりません。二月で申しますと、十一億八千万ドル見当でございます。これは輸入に伴いましてユーザンスとして信用供与を受けている額でございます。
これらの点と外貨準備との関連についての御質問でございますが、各為替銀行におきましては、たとえば現地におきまして輸出輸入等のために業務を行なっているわけで、それらの外貨資産というものがかなりあるわけでございますが、それらを勘案いたして考えてみますと、直ちに外貨準備と照らし合わせるというのは適当じゃないんじゃないか。その為替銀行のそういった外貨資産の額ですが、私の記憶では大体十億ドル以上はあるんじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/108
-
109・木村禧八郎
○木村禧八郎君 さっきの短期資金の中に、アメリカの銀行からの借り入れというのは入っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/109
-
110・福田久男
○政府委員(福田久男君) 二億六千万ドルと申し上げたのが多分それじゃないかと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/110
-
111・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうじゃないんじゃないですか。それは無担保の借入金じゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/111
-
112・福田久男
○政府委員(福田久男君) 三行からの借り入れは入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/112
-
113・木村禧八郎
○木村禧八郎君 さっきのは無担保借り入れで、為替銀行の借りている分は幾らです。特別借入金というやつです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/113
-
114・福田久男
○政府委員(福田久男君) 特別借り入れは、三行から二億ドル……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/114
-
115・木村禧八郎
○木村禧八郎君 三月末で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/115
-
116・福田久男
○政府委員(福田久男君) ええ。三行から二億ドル、それからエキヅム保証で農産物借款として三千三百万ドルでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/116
-
117・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、総計で幾らになりますか、短期債務は三月末で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/117
-
118・福田久男
○政府委員(福田久男君) 先ほどの狭義の短期債務と無担保借り入れを合わせまして約八億ドル、それに今の二億三千三百万ドルを足しますと、十億三、四千万ドルになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/118
-
119・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それにユーザンスが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/119
-
120・福田久男
○政府委員(福田久男君) ユーザンスが二月末で十一億八千万ドルでございますので、二十二億ドル程度かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/120
-
121・木村禧八郎
○木村禧八郎君 何か短期債務についてわれわれは話をするのが非常に進まないようなあれですが、そんなことないと思うのですけれどもね。大体短期債務が二十二億ドルでしょう。それに対して外貨準備が十五億六千百万ドルですか、こういう状況ですよね。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/121
-
122・福田久男
○政府委員(福田久男君) 資産面について申し上げますと、外貨準備が十五億六千百万ドル、それに為銀資産が、先ほど申し上げましたが、十億ドル程度あろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/122
-
123・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは為替銀行でしょう、十億ドルというのは。政府の勘定として外貨準備十五億六千百万ドル、三月末で短期債務が約二十二億程度、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/123
-
124・福田久男
○政府委員(福田久男君) ユーロ・ダラーと、いわゆる狭義の短期債務、それから無担保借り入れ、これらは政府の債務ではなくて、為替銀行の債務でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/124
-
125・木村禧八郎
○木村禧八郎君 無担保借り入れは、政府の債務でなく為替銀行の債務ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/125
-
126・福田久男
○政府委員(福田久男君) ユーロ・ダラーにいたしましても、自由円にいたしましても、あるいは無担保借り入れにいたしましても、為替銀行の債務でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/126
-
127・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ユーザンスもそうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/127
-
128・福田久男
○政府委員(福田久男君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/128
-
129・木村禧八郎
○木村禧八郎君 短期債務は三十二億ドルあるわけですね。それで、今後の外貨準備の見通しはどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/129
-
130・福田久男
○政府委員(福田久男君) 三十七年度におきます国際収支見通しでは、御承知のように、年間総合収支で一億ドルの赤字ということになっておりますが、そのうち上半期が一億一千万ドルの赤、下半期が一千万ドルの黒、上半期におきましては三千三百万ドル借り入れをいたしております。エキジム保証
の農産物借款の残りが約九千万ドルございますので、したがって、九月末における外貨準備の高は、三月末より二千万ドルばかり下回ったところというふうに予想いたしております。下半期は一千万ドルの黒字ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/130
-
131・木村禧八郎
○木村禧八郎君 何かぼつぼつ、いやいや説明しているようですけれども、三十七年度末には外貨準備は幾らになる、そういうふうにちゃんと親切に説明して下さいよ。何か最小限にぼつぼつ言うので、私もこまかく質問していかなければなりません。だから、今後の見通しとして三十八年三月三十一日現在においてどれだけの外貨保有となると思います、そういうふうにきちんと説明して下さい。何か非常にこちらで困るような答弁ばかりしている。総合的にきちんと説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/131
-
132・福田久男
○政府委員(福田久男君) 今年の三月末は、先ほど申し上げたように十五億六千百万ドル。それで、一億一千万ドルの上半期における赤字と予想いたしておりますが、農産物借款の残りの一億二千五百万ドルから三千三百万ドルすでに借りました分を引いて九千二百万ドルになりますから、一億一千万ドルから九千二百万ドルを引きました千八百万ドルを、三月末の十五億六千百万ドルから引いた分、十五億四千三百万ドルになります。これを九月末予想いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/132
-
133・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それはいつです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/133
-
134・福田久男
○政府委員(福田久男君) 今年の九月末です。一億一千万ドルから九千三百万ドルを引きました千八百万ドルを三月末の十五億六千戸万ドルから引いた分が、九月末、十五億四千三百万ドルというふうに考えておりますが、下半期におきましては一千万ドルの黒字を予想いたしておりますので、他の条件を考慮いたしませんければ、これに一千万ドルプラスしたところということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/134
-
135・木村禧八郎
○木村禧八郎君 十五億五千五百万ドルくらいということになるわけですね。そうですか。それを答えて下さいよ。十五億五千五百万ドルくらいになると。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/135
-
136・福田久男
○政府委員(福田久男君) 上半期末が先ほど申し上げたように十五億四千四百万ドル、下半期は一千万ドルの黒と見ておりますので、それを足しますと十五億五千四百万ドルということになりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/136
-
137・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この中にはあれが入るわけですね、借入金。どのくらい入っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/137
-
138・福田久男
○政府委員(福田久男君) 借入金は上半期におきまして九千三百万ドルを見込んでおりますが、下半期は借入金の関係は隙外して計算しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/138
-
139・木村禧八郎
○木村禧八郎君 下半期には、これは全部アメリカの三銀行から一億ドル借りていますね、それから輸出入銀行の保証でアメリカの市中銀行から一億二千五百万ドル借りる、これはみんな返すということになっていますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/139
-
140・福田久男
○政府委員(福田久男君) 下半期一千万ドルの黒字というのはそれを除外した計算でございます。したがいまして、その返済は今の私の御説明申し上げた数字には見込んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/140
-
141・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これは全然借入金は含んでいないんですね。全部含んでいない数字ですか。含んでいないで十五億五千四百万ドル、そんなになりますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/141
-
142・福田久男
○政府委員(福田久男君) その中から返しますれば、その分から二億三千三百万ドル引くと、IMFからその間借り入れスタンドバイの約束をいたしておりますが、どの程度借り入れどういうようにするかということはきまっておりませんので、計算には入れておりません。したがって、それをIMFからの借り入れを除外して考えますと、今の数字から下半期から二億三千三百万ドル返済金が払われるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/142
-
143・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それならわかりますが、何かみんな除外したような話でしたので。そうしますと、IMFのほうの借り入れはどうなるんですか。三億五百万ドル、一応借り入れの約束はしておるわけですね。それはアメリカ市中銀行の一億三千三百万ドルを返すときに、IMFから借りて返すことになる、こういうことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/143
-
144・福田久男
○政府委員(福田久男君) お話の、ように、IMFから三億五百万ドルの借り入れの予約はすでにできていますが、それをいつどういうふうに返すかということは、まだ方針がきまっておりません。したがいまして、先ほど申し上げましたように、二億三千三百万ドルを借りないで払うといたしますと、年度末には十三億二千万ドル前後になろうかと思いますが、その借り方いかんによりまして、三月末は幾らという予想はまた変わってくることになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/144
-
145・木村禧八郎
○木村禧八郎君 一応今の見通しでは、大体三十七年度末、アメリカ銀行からの借り入れを返すとして、十三億二千百万ドルになるというのですが、これで済むと思いますかね。今後の国際収支の見通しに関係があるのですけれども、これはあとで大蔵大臣にもまたこの点は聞かなければなりませんが、相当狂ってくると思いますね。もうすでにいろいろな情勢が狂っているわけですよ。第一、鉱工業生産が非常に狂っちゃったでしょう。政府の予定どおりにダウンしておりませんし、それによって非常に私は狂ってくると思うわけです。もっとも三菱銀行あたりでは、鉱工業生産も高くなるけれども、結局国際収支については政府の言うとおりに高い水準で一億ドルぐらいの赤字になるというふうに見ておりますがね。しかし、私はこれは輸出の問題もありましょうし、輸入はかなりふえてくるでしょうし、非常に政府が当初見通したものより狂ってきているわけです。ですから、国際収支についても非常に変化が出てくるでしょうし、外貨保有についても、さっきお話しのように、アメリカ三銀行の分を返した場合十三億二千百万ドルというふうに言っておりますけれども、これは必ずしもこうなるとは私は考えられない。もっと減るのではないか。そうなった場合、IMFの借り入れが問題になってくると思うのです。この点は一つ保留しておきます。あなたに質問してもいいが、これは経済企画庁、それから通産省ですね、大蔵大臣にも聞かなければならぬと思うのです。この国際収支の見通しは、今後の外貨保有に非常に重要な関係があります。それと関連して、IMFとの借り入れの問題が出てくると思うのです。
そこで、あなたにお伺いしたいのは、IMFからの借り入れの問題です。IMFから借金する場合の方法、条件というふうなものはどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/145
-
146・福田久男
○政府委員(福田久男君) IMFから借り入れする場合の方法、条件、非常に広範でございますが、たとえば今回の場合でございますと、スタンドバイ借り入れの予約を一月に行ないまして、あとは日本の必要とするときにIMFに申し入れることによって借り入れが行なわれ得るということになっております。
条件でございますが、手数料といたしまして、いろいろ段階がございまするが、日本が金で払い込んでおります一億二千五百万ドル分と、それからイギリスの昨年の引き出しの際に日本円をドローイングしてイギリスが利用したわけですが、それを五千万ドル、インドが同じくそういった方式で利用しました五百万ドル、合わせまして一億八千万ドル分につきましては、特に金利的な手数料は払わないでいいことになっております。したがいまして、残りの三億五百万ドルから一億八千万ドルを引きました一億二千五百万ドル分につきまして、金利的な手数料として三カ月未満の期間につきましてはぜロ、三カ月から一年半までにつきましては二%、一年半から二年の間は二・五%、二年から二年半までは三%、二年半から三年までは三・五%という金利的な意味の手数料を払うということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/146
-
147・木村禧八郎
○木村禧八郎君 払い込みの二五%ですね、金分ですかについては今のような借りるときの条件はゆるいわけですね。その次の二五%については条件が多少きつくなる、さらにそれを上回って借りる場合には非常に厳格な制限があると、こういうふうにいわれているのですが、そのとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/147
-
148・福田久男
○政府委員(福田久男君) IMFが、ドローイングを申し込みました際に、審査するにあたって、その国における経済の安定ないしは国際収支の改善に対する見通し、また同時にその国の目的に向かっての努力というものを審査し判断するわけで、したがって、借り入れる度合いが高まるに従いまして努力の度合いも通常の場合商いことが必要となりましょうし、また国際収支が回復する見通しをつけるにつきましても、そういった面からの判断がなされるわけで、そういう意味で、一般的に申しますると、借り入れの度合いが多いことは、そういった国際収支改善の努力の必要性なりあるいは改善に向かっての苦労の度合いが高まっていくというわけで、そういう観点から、IMFにおいては見通しをつける上にそういった判断を、−お話のような方向での判断がなされるというふうに思います。ただ、日本の場合は、一月にIMFの理事会で借り入れの予約がきまったわけですか、昨年の秋、特に秋以降、政府のとられました施策というものについて・IMFとしてもかなり評価いたしておる模様でございました。したがって、その線で今年度下期に国際収支均衡を期するために、昨年の秋以来そういう努力をしているということが日本の態度でもありましたし、IMFもそれを一応了としたというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/148
-
149・木村禧八郎
○木村禧八郎君 日本の場合、三億五百万ドル借りるという場合、さっきお話によりますと、一億八千万ドルについては、金払い込み分と、イギリスに貸した分、インドに貸した分、これは手数料を払わなくてもいい。この借り入れは非常に容易であるし、無条件的なものであると解釈していいと思うのですが、その次の一億二千五百万ドルですか、これは手数料を払う。この両方で三億五百万ドルになるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/149
-
150・福田久男
○政府委員(福田久男君) 金の払い込み分の一億二千五百万ドルと、それから英国及びインドに出資円を利用させました五千五百万ドルと、合わせて一億八千万ドルになります。その残りの一億二千五百万トルと——三億五百万トルから一億八千万ドルを引きますと一億二千五百万ドル残るわけですが、その一億二千五百万ドルに対して、先ほど申し上げましたように、金利的な意味の手数料を払うことになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/150
-
151・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これをこういうふうにするとこういう金額になりますか。IMFの融資政策として割当額の二五%、つまり金払い込み分ですね、それについては無条件貸し出しを認める。次の二五%分については比較的自由な貸し出し政策をとっていく。ところが、それ以上についてはかなり厳格であると、こういうふうにいわれているのですが、こういう規定に基づいてこの三億五百万ドルを借り入れる場合はどうなんですか。かなり厳格な条件が付されていると、こういうふうに見なければならないのかどうか。さっきお話しのように、大体三十七年度に国際収支の均衡をはかる、あるいは年度を通じては一億ドルの赤字にとどめると、そういう政府の三十七年度の経済見通しですね、政府がそういう見通しに近いような線で日本の国際収支を持っていくというような努力をするということが一応前提になって、三億五百万ドルの借り入れ予約が認められた、そう解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/151
-
152・福田久男
○政府委員(福田久男君) 今の出資との関連の見方でございますが、御承知のように、日本は五億ドル出資ということになっております。で、その五億ドルの外で五千五百万ドルは別ワクになるわけです。つまり、イギリスとインドとの五千五百万ドル、これを別ワクに申しますか、それと関係なく、日本が必要な場合には、六カ月以上経過しますれば、日本が返してもらえると申しますか、日本が利用できるという建前になっております。したがって、あと、それを引きますと、二億五千万ドル残るわけで、その二億五千万ドルの半分がゴールド・トランシェ、つまり金の払い込みに相当する、残りの半分がファースト・トランシェ。最初の二五%が金だとしますと、金の二五%、それから次の二五%というところまでで、二億五千万ドルになるわけでございます。そのほかに五千五百万ドル足しますと、三億五百万ドルになる。
そこで、今のIMFが理事会でいろいろ審査されるにあたりまして、やはりその国の経済の動向なり、あるいはその国における経済調整に対するまあ考え方なりなんなりというものは、もちろん判断されるわけですが、したがって、なかなか後進国等については、いろいろとそれらの点についてむずかしい議論もあったやに聞くのでありますが、日本の場合には、政府の昨年九月にとりました措置並びにその後の推移、あるいは三十七年度の経済運営についての政府の考え方というようなものを、一応その方向で日本は努力をするということを了承されたものと思うわけでありますが、現実にそういった具体的に条件とかなんとかいうような形ではなく、日本政府の考え方、あるいは施策上の配慮というようなものをまあアプリシェートしたというふうに考えております。したがいまして、こうこうこういう条件というようなことは、特にきつくどうこうということではなかったように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/152
-
153・木村禧八郎
○木村禧八郎君 一説によりますと、日本は本年十月までに九〇%の自由化をする、そういうことも条件になっているといわれておるんですね。それで、よく、自由化をまだ日本が十分に準備できていないから、もう少し時期を延ばしたらどうかという意見があるが、しかし、それはIMFから借り入れをする場合に、それが条件になっている。だから、自由化はどうしても十月までに九〇%行なわなければならないのだ、日本の都合によってこれを延ばすことができないのだ、こういうふうに伝えられているんだが、そういうようなことは条件にはなっていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/153
-
154・福田久男
○政府委員(福田久男君) 九〇%秋までに自由化という点でございますが、これは日本として昨年から昭和三十七年の十月までに九〇%の自由化をするという方針をきめて、それに向かって進んでおるわけでございますが、今回の一月に行なわれましたスタンドバイの借り入れの予約をきめるにあたりましても、日本としては引き続きその方向で九〇%の自由化を予定どおり進めていくということは、日本として自発的に言っておるわけでございますが、IMFから特にそれが条件であるとかなんとかというふうに、それを条件的にはっきりと明示、借り入れ契約の条件であるぞというようには明示されておりませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/154
-
155・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今、日本は十四条国ですね。八条国になるような勧告を受けるとか受けないとか言っておりましたが、その勧告を延ばしてもらうために、その条件として自由化の時期を一年早めた、こういわれておるのですが。それから、IMFの十四条国から八条国に移る問題ですね、その問題はどうなっているのか。これは一時勧告は延ばされましたけれども、そのままもう八条国の問題は起こらないのか、依然として日本は十四条国でいけるか、また政府はいくつもりなのか、この八条国への勧告の問題はその後どうなっているんですか。それと自由化の問題とは非常に密接に関係があると思うのです。それとまた、この借り入れの問題とは密接に関係があると思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/155
-
156・福田久男
○政府委員(福田久男君) 自由化の問題と八条国移行の問題とは、現実の問題としては非常に密接な関係があると考えますが、まあ大勢から考えまして、欧州——これは釈迦に説法で十分御承知のことと思いますが、欧州ではすでに一九五八年に通貨の交換性を回復しておるような状況であり、自由化も相当進んでおるわけで、先進工業国の中では日本が非常にその面ではおくれており、またアメリカも通商拡大法によって関税を下げ、それによって貿易の拡大をはかろうというふうな方向に進んでおるので、言いかえますと、日本のほうがまだ関税率引き下げによる通商の自由なり通商交流の拡大というところまでいかないで、その前の段階で自由化率を一生懸命上げて高めておる、なお、通貨の交換性回復も今後の問題として残されておるという状況で、そういう意味からいうと、数歩立場がおくれておるかとも言えるかと思うのであります。そういう意味から申しまして、やはりなるべく早い機会にそういった自由化率も高まり、通貸の交換性も回復して、そうして次の段階である第二段階としてのいろいろな措置を考えなきゃならぬ立場にあるというふうに思うわけですが、したがって、昨年来九〇%の自由化を目標として予定どおりに今年の秋には実現すべく政府としても努力していることは御承知のとおりでありますが、自由化は、したがって、秋までに九〇%というものは実現されることになろうと思いますが、通貨の交換性回復、これはまあ八条国移行とも関連が非常に深い問題ですが、その問題につきましては、今後、今年度のコンサルテーションもまだありませんが、いずれ行なわれることになるでありましょうし、いろいろ国内的な諸問題もあるかもしれませんし、それらを今後の国際収支の推移ともにらみ合わせまして検討さるべき問題であろうというふうに思います。したがって、今にわかに、今直ちにいつごろどういうふうになるだろうということは、八条国移行の問題なり、あるいは交換性回復の問題なりというのは、ちょっとお答えいたしにくい事情にあることを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/156
-
157・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これは、また大臣にも聞かなければならぬですね。答えにくいといいましても、これは非常に大きな影響を及ぼすのですから、交換性回復なり八条国移行は、大体あれですか、そういう近い将来向こうから勧告を受けるかもしれませんから、当然今年度あたりあるものと予定して、あるいは本年か、おくれても明年ですね、あるものと、そういう前提で作業を進めておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/157
-
158・福田久男
○政府委員(福田久男君) コンサルテーションの結果につきましては、まだコンサルテーションはございませんし、どういう判断を下しますか、ちょっと申し上げる段階でもないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/158
-
159・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いや、常識からいいましても、前に勧告が出されそうになったのでしょう。それで、自由化を一年早めて、それを待ってもらったんですけれども、そんなにいつまでもそのままでおれないと思うのです。そこで、もうかなり早い機会に勧告があるものと大体見なければならぬのではないですか。そういう前提で諸作業をしないと、これはずいぶん大きな影響があるのですから、交換性回復、あるいは今度八条国に移行する場合に、そういう準備というものはあらかじめなされなければならぬわけです。向こうから勧告を受けて、さあたいへんだというのでやるわけにいかぬでしょう。十分にそれに備えて準備しておかなければならぬ。それは全然考えていないですか。コンサルテーションがあってからあとで考えればいいと、こういう今態度でおられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/159
-
160・福田久男
○政府委員(福田久男君) IMFが勧告を出すという場合には、 コンサルテーションのあと、IMF理事会で討議がなされて、勧告するか、どういう勧告をするのか、あるいは勧告はやらないのか、あるいはやるとしてもどういう形でやるのか、というようなことがきめられるわけでございまして、自発的に八条国に移行するということもあり得るかとも思いますけれども、その場合に問題になりますのは、やはり自由化の進展度合い、それから将来に向かって輸入制限のような措置に訴える必要なく、つまり八条国に移行しても逆行するおそれはないという先行きの見通しというものも、やはり相当重要な判断の材料になるのではないかというふうに思うわけですが、これから日本としては、国際収支の改善にますます努力しながら、今後の動向というものについて、いっそういったコンサルテーションが行なわれるかはっきりいたしておりませんけれども、そのときに、先行きの見通しというものも十分考慮に入れて考えなければならぬというふうに考えるであろうというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、今の現状から申しますと、私ども国際収支の改善について非常に大きい関心を持っておるわけでございまして、しかしながら、基本的な問題として、先ほど来申し上げておるように、自由化の問題とか、あるいは八条国移行なり、あるいは交換性の回復の問題なりというものは、もちろん念頭に置いていろいろと考慮しなければならないと思います。したがって、両方の場合をあわせ考えながら、いろいろと勉強はいたしておるわけでございますが、それにいたしましても、やはりそれらの措置が実現するまでには、相当の時間的余裕も必要であろうというふうに思っております。だからといって勉強を怠っておるわけではございませんで、いろいろと勉強はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/160
-
161・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そのIMFから借りる場合に、最高限どのくらいまで借りられるのですか、最高限。日本の出資は五億ドルですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/161
-
162・福田久男
○政府委員(福田久男君) 制度の建前といたしましては、出資額の一二五%ということが一応の建前になっておるようでありますが、現実には、先ほど申し上げたように、二五%の場合、あるいは四分の三の場合、いろいろだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/162
-
163・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうすれば、日本の場合は一二五%というと五億幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/163
-
164・福田久男
○政府委員(福田久男君) 六億二千五百万ドルございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/164
-
165・木村禧八郎
○木村禧八郎君 六億二千五百万ドルまで借りられるというわけですか。その場合に、こういう限度まで借りるというようなことになれば、非常にきびしい条件がついてくるでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/165
-
166・福田久男
○政府委員(福田久男君) 今の一二五%というのは一応の限度でございますが、もちろん個々の実情に応じては、そういう条件についてのさらにまた免除という道も開かれております。したがって、まあ一応の限度だというふうに御理解いただきたいと思います。それから、そのいろいろな、どういう条件とかということでございますが、個個の場合々々によりまして、相手国の実情なり、その国の先き行きの見通しなり、とられております施策なりというものとの関連で判断されるわけで、まあ原則的にはだんだん率が上がるに従って回復もそれだけむずかしいだろうという場合も多いわけで、したがって、それを回復するためにはさらに追加的措置も必要だということになる結果だと思うわけであります。現にイギリスの場合、昨年七月、八月、九月にかけて十五億ドル、ドローしまして、五億ドルのスタンドバイ、合わせて二十億ドルですが、イギリスの出資はたしか二十億弱、十九億数千万ドルだったと思うのですが、その例から申しますと、イギリスはかなり高いところまで基金を利用しているということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/166
-
167・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今後三億五百万ドルは、それは借りていくのか借りないのか。借りるつもりなのか、借りないのか。一応予約しましたが、それはどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/167
-
168・福田久男
○政府委員(福田久男君) 必要があれば借りるということで予約をしたわけでございますが、現実に今いつどういうふうに借りるのかということはきまっておりませんが、今後の国際収支の動向等をにらみ合わせまして、具体的にはきめられることになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/168
-
169・木村禧八郎
○木村禧八郎君 先ほど、一応今までの見通しに基づいて、三十七年の年度末はアメリカ市中銀行の三銀行から借りた分を返すと十三億二千百万ドルですね、外貨準備が。外貨準備はこの程度でいいと思っているのが、もしこれが不足ならばやはり借りるわけですね。アメリカの市中銀行に返す分は、IMFのスタンドバイの借り入れ、それによって返すということになるわけですがね。大体今までの政府のやり方を見ていると、外貨の保有十三億ドル台というのでは、これはどうも不足のように考えているように思うのです。大体十五億ドルくらいは維持していきたいというふうに見えるわけですよね。今までの例を見ますと、大体十五億ドル台ぐらいで維持していますからね。ですから、十五億ドル台を割った場合には、そういう借り入れをするということになるのじゃないですか。そうでなければ、アメリカ市中銀行から一億ドル借りる必要もなかったはずですよね。なぜアメリカの市中銀行から二億ドル借りたか。それはやはり十五億ドルを割るからでしょう。十三億ドル台というのはどうも不足であるという、そういう感じから来ているのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/169
-
170・福田久男
○政府委員(福田久男君) 外貨準備の金額が幾らまでだったらいいのかという、これはなかなか具体的にはむずかしい問題だと思いますが、私の私見として申し上げますと、十三億ドルということから考えますと、やはりかりに国際収支の状況が見通しのとおりであり、三行借款等を返済いたすためには、やはりIMFからの資金の利用ということも考える必要が起こってくるのではなかろうかというふうに思います。ただ、現実に国際収支が今後どういうふうに推移いたしますか、その辺のことともにらみ合わせて具体的には考えられるわけでございますが、かりに見通しどおりであるとすれば、そういうことにしたほうがいいのじゃないか。これは私の私見でございますが、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/170
-
171・木村禧八郎
○木村禧八郎君 アメリカの市中銀行から一億ドルなぜ借りたんですかね。借りる必要があったのですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/171
-
172・福田久男
○政府委員(福田久男君) アメリカの市中銀行からの借款を行ないましたのも、やはり国際収支の動向などから考えまして、かなり赤字も出ておりましたので、資金繰り上必要だということで借り入れをすることに相なったわけでございますが、それは通り一ぺんのお答えで、そんなことなら知っておるというおしかりを受けるかもしれませんが、当時の状況といたしまして、いろいろ米国側の銀行でも非常に協調的でもございました事情もありまして、二億ドルの借款という話が持ち上がって取り結んだわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/172
-
173・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これは借り入れれば金利を払わなければならないのですからね。外貨準備に余裕があるとすれば、借りないで済ましたほうがいいでしょう。外貨準備は、その資金繰りの関係があるでしょうが、アメリカの銀行にもかなり預金しているのですからね。七億三千七百万ドルも預金しているのですからね。不足するはずがないのじゃないですか。それだのに、どうして借りるのか、わざわざ金利を払って。そこで、ある程度のやはり外貨準備を持たなければならぬ、大体この程度は持たなければならぬという目安を置いておるのだろうと思うのですよ。それで、機械的に幾らなければならぬということはもちろんないと思うのです。それは国際収支の今後の見通しなりその他によって変わってきますから、機械的には大体目安としては十五億ドル程度に置いておるのじゃないですか。そうでしょう。そうでないと、この意味がわからぬですよ。なぜ二億ドルわざわざ金利を払って借金しなければならないか。アメリカの銀行に七億ドル以上も預金しておるのじゃないですか。この預金を使えばいいわけでよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/173
-
174・福田久男
○政府委員(福田久男君) 幾らの外貨準備があったらいいかという点、これはいろいろ議論すれば議論のあるところでありましょうし、またなかなか何というか、一致した議論に到達しない議論ではないかというふうに思いますが、今までの経過から見ますと、最近のところ、十四億ドル台から十五億ドル台辺で推移いたしておることは御承知のとおりでございますが、やはり一国の対外信用という立場等もあわせ考えなければなりませんし、特に昨年の秋以降短期債務についてとかくのうわさも外国の新聞などに出たようなこともございまして、短期債務が大幅にふえますこともいろいろ問題もございますが、また大幅に一挙に減りますことも、いろいろこういう際でもございますので問題もありますので、そういった対外信用という面もあわせ考える必要があろうかと思うわけでございます。そういうこともございまして、一応二億ドルという借款をいたし、大体結果的には十四億ドル台から十五億ドル台へというところで推移して参った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/174
-
175・木村禧八郎
○木村禧八郎君 このアメリカ市中銀行からの借り入れば、どのくらいの金利なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/175
-
176・福田久男
○政府委員(福田久男君) 金利は年四・五%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/176
-
177・木村禧八郎
○木村禧八郎君 年四・五%ですね。それで、これは借り入れたときにすぐそれは使わないのでしょう。どういうふうに運用していくのですか。アメリカにやはりドル預金になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/177
-
178・福田久男
○政府委員(福田久男君) 昨年の十一月から今年の二月まで毎月五千万ドルずつ借りまして、四カ月にわたって借りたのでございます。で、当時先行きの見通しといたしまして、輸出入の動向等から考えまして、赤字が続いておりましたので、赤字幅は縮まるといたしましても、主としてその補てんの役割を果たしたということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/178
-
179・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ずいぶん私は割り切れないのですがね、外貨準備の運用において。証券においては二分七、八厘運用しているのですね。それから銀行預金としては三分二厘五毛ですね、そういう資金を持っているわけですね。ところが年四・五%、四分五厘で借りているのですね、こういう点になると、私はその資金繰りから来るのかもしれませんが、どういうわけでこういう無理をするかといえば、結局ある程度まで外貨準備を持っていなくちゃならないので、それを割っては困るという事情があるのじゃないかと思いますが、そうでなければ、私はこういう非常に不合理なことをしなくても済むのじゃないかと思うのですが、そこら辺を私たちは大体確かめておきたいのですよ。いろんな情勢を判断する場合、やはりこれは一つの大きなメルクマールになりますからね。政府はどの程度をやはり目安にしているか、これは言われてもいいんじゃないですか。そうじゃなければおかしいですよ。具体的に説明つかぬですよ。抽象論じゃなく、具体的にそういう点、ざっくばらんにひとつここで、実はこういうふうに考えている、そういうふうに話してもらいたいのです。そうでないと、何か普通の人は割り切れないでしょう。たくさん預金金を持っている、証券も持っている、そうして利回りを二分七、八厘あるいは三分二厘五毛、持っているのに、アメリカから四分五厘で金借りているということは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/179
-
180・福田久男
○政府委員(福田久男君) 先ほど来、一体どの程度の外貨準備があればいいのかという御質問、繰り返しございますが、率直に申し上げまして、非常に幾らならということも一がいに申し上げかねるのでありまして、まあたとえば、将来、先行きの一体国際収支の動向がどうあるか、相当黒字がたまる見通しなのか、あるいは逆の状況であるかということもございますし、また同時に、短期債務が先ほど御指摘のようにかなりの額に達しており、そういった債務の浮動性という問題もございまょうし、いろいろ考え合わせまして、経験的に判断する以外にはなかろうという工合に思うのでございます。あるいは輸入量の何カ月分とかという計算をされる方も、あるいはあるかもしれませんが、しかし、いずれにいたしましても、それらの与えられた諸条件を総合勘案して判断する以外にはなかろうかと、短期債務も昨年の秋以降はかなり減少いたした。ユーロ・ダラーなんかかなり減少いたしたのでございますが、ことしに入りまして幾分持ち直して参っております。あまりふえることは決して好ましいとは思っておりません。しかし、同時に、こういう国際収支なり外貨準備なりの状況の際に、急激に減ることも非常に困るし、また減る場合に、それに対する支払いの備えがないということでも困るということもございますので、最近における推移は、御承知のとおり、先ほど来大体十四億ドル台から十五億ドル台というところへ推移し、それであれば対外的な信用もそれほど悪くないのじゃなかろうかという経験も得られたような気もいたしますが、しかし、これが、じゃあ十三億ドル台になったら、これが危機であるかどうかということも、また同時に一がいにそうも言えないのかもしれませんし、なかなかその辺のところ、答弁にならないで申しわけございませんが、それらの事情を総合勘案して考えていくよりほかないのじゃなかろうかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/180
-
181・木村禧八郎
○木村禧八郎君 事務当局に対する質問はこの程度にします。そのほかの質問をしても、これは事務当局の御答弁では無理ですから……。事務的な質問をしたいわけですが、これはやはり国際収支の関連、外貨準備の問題、それと関連して日本の出資の問題、これはすぐに使えないとしましても、スタンドバイ・クレジットですから、それでも関係がないとは言えませんね。外貨準備ですから、一ぺん大蔵大臣に国際収支の見通し、外貨準備との関係を聞かなければなりませんから、事務当局に対する質問はこの程度でやめます、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/181
-
182・棚橋小虎
○委員長(棚橋小虎君) 速記をとめて。
〔午後四時十九分速記中止〕
〔午後四時三十分速記開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/182
-
183・棚橋小虎
○委員長(棚橋小虎君) 速記をつけて。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十一分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02619620417/183
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。