1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月八日(木曜日)
午前十時五十五分開会
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委員の異動
二月七日委員近藤鶴代君及び青柳秀夫
君辞任につき、その補欠として津島壽
一君及び西田隆男君を議長において指
名した。
本日委員小柳牧衞君辞任につき、その
補欠として天坊裕彦君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 小林 武治君
理事
館 哲二君
秋山 長造君
委員
西郷吉之助君
津島 壽一君
天坊 裕彦君
鍋島 直紹君
湯澤三千男君
松澤 兼人君
矢嶋 三義君
杉山 昌作君
国務大臣
文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
運 輸 大 臣 斎藤 昇君
自 治 大 臣 安井 謙君
国 務 大 臣 川島正次郎君
政府委員
内閣官房副長官 服部 安司君
総理府総務長官 小平 久雄君
警察庁保安局長 木村 行蔵君
行政管理庁行政
管理局長 山口 西君
行政管理庁行政
監察局長 原田 正君
法務省刑事局長 竹内 寿平君
法務省保護局長 武内 孝之君
文部省社会教育
局長 斎藤 正君
運輸省自動車局
長 木村 睦男君
自治省財政局長 奥野 誠亮君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改
正する法律案(内閣提出)
○昭和三十六年五月の風害若しくは水
害、同年六月及び十月の水害、同年
七月、八月及び九月の水害若しくは
風水害又は同年八月の北美濃地震に
よる災害を受けた地方公共団体の起
債の特例等に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○地方行政の改革に関する調査
(選挙に関する件)
(道路交通に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/0
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001・小林武治
○委員長(小林武治君) ただいまから委員会を開会いたします。
理事の補欠互選についてお諮りいたします。
過般、私が委員長に就任いたしましたため、理事一名が欠員となっておりますので、この際、その補欠を互選いたしたいと思いますが、便宜その指名を委員長に御一任願うこととして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/1
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002・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認め、館君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/2
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003・小林武治
○委員長(小林武治君) まず、銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。安井国務大臣発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/3
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004・安井謙
○国務大臣(安井謙君) ただいま議題となりました銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
銃砲刀剣類等は、その性質上人を殺傷する機能があり、往々にして犯罪の用に供される危険性がありますので、過去におきましても、危害防止の観点から、銃砲刀剣類等について、事態に即して必要な法的規制が講ぜられて参ったのであります。
ところが、遺憾ながら、最近において、銃砲刀剣類または危険な刃物を用いて暴力犯罪を犯す傾向が高まって参り、社会不安を引き起こしていると見受けられるのであります。
政府におきましても、暴力犯罪の根絶のため、総合的な施策を推進してきているところでありますが、その施策の一環として、銃砲刀剣類等の所持や携帯の規制に関する現行規定を整備しますとともに、警察官が銃砲刀剣類等の取り締まりをする場合の権限等につきまして、現行法の中に明確な規定を設けることといたしたのであります。また、オリンピック競技大会の東京における開催を控えて、これに対処するため射撃競技用拳銃について、一定の要件のもとにその所持を認めることとし、あわせて射撃場の指定に関する規定を整備する等の必要を認めましたので、この法律案を提出いたした次第であります。
次に、本法案の内容について御説明いたします。
その第一は、飛び出しナイフについて、これまで所持の禁止をしていなかった刃渡りが五・五センチメートル以下のものにつきましても、比較的危険性の少ない形状のものを除いて、その所持を禁止することといたしたのであります。
第二は、これまで拳銃は、法令に基づいて職務のため所持する者等のほかはその所持が認められていなかったのでありますが、オリンピック競技大会等の国際的な規模で開催される運動競技会の拳銃射撃競技に用いられるものについては、それらの運動競技会を主催する社会教育関係団体から、選手またはその候補者として適当であるとして推薦された者に限り、その所持を許可することとし、あわせて所持許可に関する手続及び許可を受けた拳銃の保管について規定いたしたのであります。
第三は、銃砲刀剣類の所持許可の年令に関する基準を十四才から原則として十八才に引き上げるとともに、銃砲刀剣類の所持許可の申請がありました場合、申請者の同居の親族に、他人の生命、財産または公共の安全を害するおそれがある者がいて、その者がその銃砲刀剣類を使用して他人の生命、財産または公共の安全を害するおそれがあると認められるときは、許可をしないことができるようにし、また、一たん許可をした後にこのような事情が生じて参りました場合にも、許可の取り消しができるようにいたしたのであります。
第四は、所持の許可を受けた銃砲を発射することができる指定射撃場についての規定を整備したのであります。すなわち、射撃場の位置、構造設備、管理方法等の基準を定め、その基準に適合するものを都道府県公安委員会が、指定射撃場として指定することとし、基準に適合しなくなった場合には、指定を解除することができるようにいたすほか、射撃場の指定に伴う必要な規定を設けたのであります。
第五は、武器製造事業者等銃砲刀剣類を製造し、または販売することを業とする者は、譲受人がその銃砲刀剣類を適法に所持することができる者であることを確認した場合または所持許可証を提示した場合でなければ譲り渡してはならないことといたしたのであります。
第六は、従来、業務その他正当な理由がある場合を除いて携帯することを禁止されていましたのは、あいくち類似の刃物となっておりましたが、今回このあいくち類似の刃物にかえて、原則として刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物とし、携帯禁止の対象となる刃物の範囲を広めるとともに、その概念を明確にすることといたしたのであります。
第七は、警察官は、銃砲刀剣類等を携帯し、または運搬している疑いのある者が他人に危害を及ぼすおそれがあると認められるときは、銃砲刀剣類等と疑われる物を提示させ、またはそれが隠されていると疑われる物を開示させて調べることができることとし、また、現に銃砲刀剣類等を携帯し、または運搬している者が他人に危害を及ぼすおそれがある場合に、その危害を防止するため必要があるときは、それを提出させて一時保管することができることとし、あわせてその一時保管の手続について規定いたしたのであります。
以上が、改正法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何にとぞ、慎重御審議の上え、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/4
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005・小林武治
○委員長(小林武治君) 本案の質疑は次回に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/5
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006・小林武治
○委員長(小林武治君) 次に、昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六月及び十月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた地方公共団体の起債の特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、前回の委員会における矢嶋君の質疑に対し、あらためて政府側の答弁を求めます。服部官房副長官。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/6
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007・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/7
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008・服部安司
○政府委員(服部安司君) それでは、災害対策特別委員会における決議に関し、政府の講じた措置について申し上げます。
政府といたしましては、昨年の災害の状況にかんがみ、災害対策基本法、各種の災害特例法等を制定するとともに、昭和三十六年十月三十一日、参議院災害対策特別委員会の決議にかかる事項に関しては、その趣旨に沿って次のような措置を講じ、災害対策の万全をはかっておる次第であります。
決議の一つで治山治水事業についてでございまするが、治山治水事業については、最近における風水害の状況にかんがみ、積極的にその推進をはかる所存であり、それに要する経費についても、とりあえず十カ年計画の繰り上げ投資を実施したい考えであります。このため、昭和三十七年度予算案には、前年度に対し二三%の増、三十七年度以降平均伸び率は、治山一〇・二%、治水七・二%を計上しておる次第であります。
なお、河川上流部の治山砂防事業については、中小河川の改修、低地地域排水対策、河川河口部の高潮対策等とともに、特にその推進をはかりたい。また、水源地帯の整備をはかるため、森林開発公団による水源林造成のため造林事業を実施するほか、公共事業による保安林改良事業を促進するとともに、森林法を改正して保安林の管理体制の整備をはかりたいと考えておる次第であります。
また、災害復旧事業については、その緊要性にかんがみ、できる限り早期完成をはかりたいと考えております。三十六年度災害についても、従来より復旧工事の進捗率を早め、その復旧の促進をはかることとしておる次第であります。
二の決議の大阪湾等高潮対策事業等の関係についてでございまするが、第二室戸台風により特に甚大な被害をこうむった大阪地区における高潮対策事業については、昭和三十七年度以降おおむね三カ年を目標とする緊急整備計画、建設省要求額は百六十六億円、運輸省要求額は百四十八億円、計三百十四億円を策定し、国庫補助率を十分の三から十分の四に引き上げて事業の格段の推進をはかることとしておる次第であります。これに基づき三十七年度予算には、事業費六十八億円、うち建設省四十一億円、運輸省二十七億円を計しておる次第であります。
なお、三十六年度においても、今年の台風期に対処して特に危険度の高い地域の工事を促進するため、当初予算の事業費二十五億五千万円のほか、予備費または第二次補正予算により二十六億九千万円の事業費の追加を行なっておる次第であります。
地盤沈下対策についてでございまするが、地下水くみ上げ規制の対策として大阪市の城東区、都島区等に規制区域を拡大するため、三十七年度から四十年度にわたり総事業費三十億円の計画をして、工業用水道の建設を推進することとしております。既設井戸の禁止については、工業用水道の完成した地区においてはすでに実施しており、その他の地区についても、工業用水道の完成を待って禁止措置を講ずることとしておる次第であります。
次に建築用水の規制に関する措置としては、冷房施設の転換については、大阪市を中心にその推進をはかっておるが、さらに政府といたしましては、建築物用地下水のくみ上げについても、工業用水と同様、規制立法を行なうこととし、その法案を今国会に提案をする予定でございます。
なお、用水のくみ上げ規制の強化とともに、これに伴う代替用水の補給については、水資源開発事業等の促進をはかりたいと考えておる次第でございます。
次に、第三の大阪泉州海岸等高潮対策事業関係についてでございますが、今回の災害による大阪泉州海岸等の復旧にあたっては、災害復旧事業費ばかりでなく、さらに改良を加えるための災害復旧助成事業または災害関連事業をあわせて実施することとしておる次第であります。その堤防高及び工法は、第二室戸台風の気象、海象等を対象として決定し、なおその際、従来の災害費と改良費の割合を一対一とする原則にこだわらないで事業費の決定をすることといたしておる次第でございます。第四の決議の、気象庁関係の施設の整備関係についてでございますが、災害の予防軽減に資するためには、気象観測の整備及び予報業務の強化をはかることが必要であります。政府といたしましても、鋭意努力を重ねている次第でありまするが、三十七年度予算には、気象庁関係予算として総額五百五十八億円を計上しており、これは前年度に比べ、約一四%の増であります。三十七年度予算では防災対策に重点を置いておりまするが、そのうち重要なものは次のとおりでございます。一、レーダー観測網の整備。札幌、仙台、一億五百万円。二は、沿岸防災気象業務の整備。伊勢湾地域六千九百万円。三は、水害気象業務の整備。胆振、日高、釧路三支庁管内、音更川、三峰川、六千三百万円。四で、農業気象業務の整備。青森県の半分、秋田県の半分、三千三百万円。五で、海洋気象観測船の新造。函館。三百五十トン級一そう、一億四千五百万円、気象現象の基礎研究についても、研究の強化のため六千五百万円を計上しており、集中豪雨豪雪等防災研究部門を中心に研究の強化をはかる方針であります。防災要員については、防災気象官を十一官署に対し二十二名の増強を初めとして、全部で七十一名の増員をはかろうとしておる次第であります。さらに職員に優秀な人材を採用できるように職員の研修機関である気象庁研修所を気象大学校と名称を変えて教科内容、施設を一そう充実させる方針でございます。
第五の決議の、果樹等被害関係についてでございますが、天災融資法に基づく融資については、第二室戸台風による果樹及び人畜の被害が激甚であることにかんがみ、その貸付限度額を、果樹については十五万円を、果樹の栽培またはタケノコの生産をおもな業務とする農業者については三十万円、果樹栽培を専業とするものについては五十万円に引き上げるとともに、その償還期限を五年から七年に延長する特別措置を講じた次第でございます。融資額については、第二室戸台風分として、果樹等を含め、農林漁業者に対し六十八億円、三十六年災害全体を通じて百二十四億円の融資ワクを設定しておる次第であります。また、凍上等の被害等を受けた果樹の改良あるいは補植に要する資金については、農林漁業金融公庫資金の果樹植栽資金を融資することとし、その利率については、従来の年七分七厘を据置期間中五分五厘、償還期間中六分五厘とする特別措置を講じた次第でございます。なお融資ワクについては、災害復旧の重要性にかんがみ、既定資金から融資することがなお資金の不足する場合は、実情に即し調整することとしている次第でございます。
以上、政府のとった措置を申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/8
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009・矢嶋三義
○矢嶋三義君 先般の委員会で御質疑をして、責任者が不在のために答弁が残っている部分が官房長官にする質問の今の答弁のところ、それから自治大臣と警察庁長官にもあったのです。部下からお伝えいただいて、それに対する答弁を次回の委員会で承ることになっておりましたので、副長官への質疑終了後それを伺いますから用意をしていただきたい。
ただいまの副長官の答弁は、その態度といい、内容といい、質問者の満足するところであります。おおむね満足します。どうしてここにお出まし願ったかというと、前国会では特別委員会がありまして、御承知のごとく、十四本一括付託されたわけです。そして最終段階で十月下旬の九州、四国、中国、近畿地方等に生じた災害に対しても、準じて処置すべきだという本院の決議がありまして、それに基づいてこのたび内閣から法案が提出されたわけでありますけれども、特別委員会が設置されなかったために、それぞれの当該委員会に付託されたことは御承知のとおりです。しかし、この法律案なるものは、前国会において審議可決された法律案と、形式的にも内容的にも関連がありますので、本院の決議に対しての内閣のその後とられた措置について一応承ったわけですよ。よくお調べいただいて御答弁いただきましたが、時間の制約がありますから二、三点だけで質問を終わりたいと思います。
第二項、第三項、第五項、これらの点については、おおむね私はけっこうだと思います。非常に内閣の誠意が認められます。ややもすると、国会の、立法府の決議が行政府で無視される傾向がありますので、あえて私は伺ったわけですが、決議のとおりにはなっておりませんけれども、それはやむを得ないと思います。誠意が認められますので満足いたしますが、この第一の項では、「災害復旧事業三カ年完成の制度を改善し、年限の短縮をはかるべきである。」、ここは多年度見られて参りました点で重点なんですね。三カ年計画の三・五・二では能率も上がらないし、現行の三・五・二の比率を変えたいということは、関係者からも、また国会でも論じられたところです。その点について、先ほど抽象的な答弁で終わっておりますが、この点については、さらに質疑の趣旨にのっとって今後善処していただきたいということを強く要望いたしておきます。
それに関連して、この法律と直接関係があるのですが、先般も政府委員にお伺いしたわけなんですが、現地を回ってみますとね、この災害復旧に対する小災害までめんどうを見ようという国の施策の方向が明確になって、そして臨時国会であれも決議し、予算措置もされるということが方向としては明確になっているにかかわらず、遅々として進んでいないという点、非常な私不思議に思うのですがね。これは一つには、僕は地方公共団体の行政能力の不十分というのですか——熱意は僕はあると思うのですがね、そういう点があると思う。都道府県段階における市町村自治体に対する助言指導も不十分なんじゃないですかね。さらには中央官庁の各地方自治体に対する助言指導もやっぱり不十分なところがあるのじゃないか。そのために、国の施策の方向が明確になっているにかかわらず、復旧は遅々として進まないで、そして住民に迷惑をかけている。これは、主権者の立場に立てば、非常に残念なことだと思うんですね。われわれが国会で法案なり、あるいは予算を審議して、その方向づけをして、そして災害復旧をしたいという悲願に燃えているだけに、非常に遺憾に思うんですが、その点に対する所見と今後のとられるべき措置について、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/9
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010・服部安司
○政府委員(服部安司君) お答えいたします。
災害復旧が遅々として進まないことについて、いろいろ隘路を御指摘ありましたが、御指摘のとおりと私もすなおに認めたいと存じます。そこで、今後は関係各省とも緊密な連携をとって、すみやかにこの復旧がはかれるように、政府のとったいわゆる法的根拠に基づいて助言指導をでき得るようにひとつやっていきたいと考えておりますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/10
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011・矢嶋三義
○矢嶋三義君 第二点は、この決議の第四項ですが、気象庁関係についての施設並びに定員について、るる御説明がありました。そういう点は、予算書を見ますと出ているようです。しかし、これは非常に不十分だということを私は指摘しておきたいと思う。私は例年、野党議員ですが、予算編成段階に、一次復活、二次復活、三次復活の段階で、あまり好ましい傾向じゃないけれども、この中にいつも入るのをならわしにしているのです、内閣の予算の編成権を侵犯しない程度において。そういう時期に圧力団体が全くないわけなんだな。圧力団体があることは好ましくない。しかし、現実の問題として、圧力団体がある場合、それによって日本の予算の性格が変わるということは、よしあしは別として、僕は悪いと思うんだけれども、現実にある。気象庁関係は、重要なる事柄にかかわらず、そういう関係がないから、もう過程を見ましても、内示から、一次、二次の復活段階から見ましても、結果から見ましても、不十分ですよ。さっき言ったように、努力と誠意の跡は見受けられます。しかし、日本の地理的条件とか気象の複雑な要素とか、あるいは年々再々災害に襲われるその気象業務の重要性というような、他国に例を見ないほど重要な日本の気象行政については、これは所管運輸大臣の責任も私はあると思うのです。決議の趣旨に沿った誠意は若干認められるが、不十分であるということを私は指摘しておきます。要請いたしておきます。これは、所管大臣にとくと運輸省の政府委員からお伝えおき願いたいと思います。
それから最後に、この件で副長官にお伺いいたしたい点は、この決議に基づいて十月下旬の災害対策として法律案を出されてきたことは、非常に適切でけっこうなことだと思います。臨時国会で出された法案は十四件あったわけですが、このたび分散付託されたものを見ますと、四件出ているようですね。これはなんですか、災害地からいろいろ陳情もあったでしょうが、その陳情を検討し、また災害の実情を調査した結果、臨時国会で処置した災害地域に準ずる措置としては、この四法律案と、その裏づけになる補正予算案で十分だと、こういう判断を内閣としては出された、かように了承してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/11
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012・服部安司
○政府委員(服部安司君) お答えいたします。
御承知のとおりに、災害の特別立法の事後に生じた問題の点だと心得ておるのですが、それでいいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/12
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013・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/13
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014・服部安司
○政府委員(服部安司君) 政府といたしましては、財政上できる限り鋭意努力をいたしまして、この立法後に起きた災害復旧を完全復旧するためにこういう措置を講じた次第でございます。十分であるかどうかという点でございまするが、先ほど申し上げましたとおりに、財政上許す限りの努力を払ったつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/14
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015・矢嶋三義
○矢嶋三義君 先日残っておりました本法律案に対する質疑はこれで終わります。
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016・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そこで、委員長のお許しがあれば、次の案件に移る前に、この前の委員会で緊急案件として質問し、答弁を保留にしてありました問題について、一問だけやらさしていただきたいと思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/16
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017・小林武治
○委員長(小林武治君) ごく簡単にひとつお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/17
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018・矢嶋三義
○矢嶋三義君 委員長のお許しをいただきましたから、次の案件に移る前に、自治大臣並びに警察庁長官に保留してある答弁を求めます。
それは緊急案件として先日の委員会で、あなた方の部下である政府委員のほうに質疑をしたわけです。大臣並びに長官がお見えになっていないから、この質問の趣旨をお伝えいただき、どういう御所見を持たれ、いかに対処されるかをお答えを願いたいと申し上げておいたわけです。その要点は、選挙に関する問題、選挙法の改正問題は、国民注視の間に進められている。御承知のごとく一昨年の腐敗選挙のあとに全国民の輿望のもとに超党的に選挙制度審議会というものが発足した。それらの経過その他については今さら申し上げるまでもないと思う。そうして結論として申し上げることは、その経過からいって、あの選挙制度審議会の答申内容というものは尊重しなければならぬ義務を課されておりまするが、尊重しなければならないということは、経過から明白だと私は思うのです。行政府においても立法府においても言えると思うのです。そうして、あの審議会の会長の野村さんは非常にまじめに精力的で、いまだかつてないほどの私は審議状況だったと思うのです。そうして、今国会に間に合うようにというので、とりあえず第一次答申をされた。私はその行政府のこれに対する取り扱い方を注視しておったわけたんですがね。ところが、二月五日になって、与党からちょっと水の入るような傾向が出てきた。それまでは二月九日には閣議決定をして提出する、そういう成文作業が進められておった。ところが、二月五日になって、与党から少し提出前に協議したいという要望があって、提出がおくれるであろうということが報ぜられている。さらにその以前の問題として、尊重するといっても尊重の仕方がある。その答申のおもなる部分を取り入れなければ尊重をしたことにならないと思うのです。量的にこれだけの幅があった場合に、量的に八割を採用してもそのウエートを置いてある部分が取り入れられなかったならば尊重したことにならないと思う。その最もウエートのあるところは、罰則強化とか高級公務員の立候補制限というものは、最もウエートを置いたものだと私は判断いたします。で、事務当局の作業段階で憲法関係とか、いろいろ持ち出してきてもたもたしている。それに加えて、最終段階になって与党側から意見が出て、この提出がおくれそうだということは、ゆゆしき問題だと思うのです。われわれ野党委員としては、たとえ法律案が出てきてとやかくなにしても、わが国の国会の審議実態からいって、おそきに失するおそれがあるので、緊急案件として先般お伺いをしたわけです。私は、ここではっきり大臣から答弁していただきたいのですが、あの答申の主要なる部分は、文字どおりに、内閣としては尊重して、これを法案成文化して、立法府の御審議を仰ぐのだ、この基本的態度、それから審議会が発足し、答申が行なわれた経過からいって、一日も早く国会に提出すべきである、この二点についての御見解、あなたの御決意をはっきりここで承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/18
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019・小林武治
○委員長(小林武治君) 委員長から申し上げますが、ただいまの矢嶋君の発言につきましては、委員長は災害関係の案件と誤解いたしておりましたので、この問題については、ひとつあと回しに願いたいと思います。答弁は後日に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/19
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020・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それならば、災害関係の終わったあとで答弁願いたい。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/20
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021・小林武治
○委員長(小林武治君) ただいまの災害案件につきまして、他に御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/21
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022・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/22
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023・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六月及び十月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた地方公共団体の起債の特例等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を衆議院送付案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/23
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024・小林武治
○委員長(小林武治君) 全会一致でございます、よって本案は、全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決しました。
なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ君あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/24
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025・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/25
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026・小林武治
○委員長(小林武治君) なお、特にただいまの矢嶋君の発言につきまして、ごく簡単に自治大臣の発言を求めます。安井自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/26
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027・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 選挙法の改正につきましては、矢嶋委員からの御質問二カ条、答申の趣旨を十分尊重するか、なるべく早く提案をするかどうか、こういう点、いずれもごもっともな御質問でございます。あるいは御承知のとおり、答申の趣旨は十分尊重すべし、こう書いてありますので、これを十分尊重して、今、法律案の作成を練っておるところであります。ただ答申そのものは、法律になるような文章じゃございませんし、法律技術上の問題あるいはその他の問題で、これが一言一句変わらぬということには、これは参らないと思いますが、十分これを尊重してやるつもりでございます。
なお、提出の時期につきましては、これはなるべく早いところをと思っておりますが、何分、相当広範にわたる答申でございまして、それぞれの関係当局とも十分技術上の問題の検討を用意をしております。まだそれが完全なところまで参っておりません。一、二まだ結論を得ておらぬところもございまして、これは早急にまとめたいと思っております。
なお、党との関係でいろいろあるやに聞くがというようなお話でございますが、この点は、政府といたしましては、法案を提出するに際しまして、与党に連絡協議することは、これは当然でございまして、その手続はとろうと思いますが、これは今の法案が成立し次第とるつもりでありまして、その手続もできるだけすみやかにやりまして、なるべく早く提案をしたい、目下鋭意努力をいたしている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/27
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028・矢嶋三義
○矢嶋三義君 委員長、もう一問……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/28
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029・小林武治
○委員長(小林武治君) 矢嶋君、簡単にひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/29
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030・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その答弁は、それで承っておきます。私は、内閣の法案成文作業を見守って参りますから、今の答弁の趣旨のとおりに進めてもらいたい。
もう一つお答えいただきたいということになっておった問題は、自治省並びに警察庁関係の予算説明を承ったわけなんですがね。その中に、今度の夏に行なわれる参議院選挙の取り締まり、公明選挙推進に関する予算が数億円計上されておるわけですね。ところが、私が指摘したことは、選挙が告示される前に選挙の勝負がきまってしまうのだ。今、ちまたを見渡せば、だれが見たってこれはけしからぬというような選挙運動が白昼堂々と行なわれている。供応なんかは、もう全く天下晴れて行なわれているのが実情だ。頭をかしげることはないですよ。自治大臣知っていますよ。——あなたはそういうときに公明選挙運動もやらないで、警察が取り締まりも、警告もしないで知らぬ顔をしておって、勝負がきまって、選挙が告示されるころになって、そうして国民の血税を使って公明選挙のたれ幕を下げてみたり、それからニュース・カーを出して公明選挙をしましょうなんかやることは、僕はナンセンスだと言うのですよ。今のこの段階にそういう予算を組んで、きれいな選挙をするという意思があるならば、行政府においては、その義務と権限の範囲内で警告すべきものは警告し、摘発すべきものは摘発し、指導すべき点は強力に指導するのでなければ、多額の予算を要求する内閣としては、おかしいと思う。それを指摘するとともに、今後いかように善処されるつもりかという御所見を承りたい。こういうことを質問しておったわけです。これで質問を終わりますが、自治大臣と警察庁長官から御所見と決意のほどを承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/30
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031・小林武治
○委員長(小林武治君) 警察庁長官はやむを得ぬ所用で退席しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/31
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032・小林武治
○委員長(小林武治君) なお、この際、委員の異動について報告いたします。
本日付をもって、委員小柳牧衞君が辞任され、その補欠として天坊裕彦君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/32
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033・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 警察庁長官に対する分は、国家公安委員長といたしまして、私からあわせて御答弁申し上げます。
御指摘のとおり、選挙を公明にやらなければいかぬということは、われわれも十分心得ておりまして、したがいまして、公明選挙のために要する費用も、三十六年度から増額をしまして、これはマスコミ、その他の力もかりまして、相当、今、民間の推進団体とタイアップして進めておるつもりでございますが、三十七年度にも、さらにより強い方針でこれを進めるつもりでございます。
また、現在の段階におきまして、もし目に余るようなことがありますれば、——目に余らなくても、そういう、ことに疑惑を招くような事態がありますれば、これはどしどし警察当局といたしましても警告を発するなり、その他の最も適当なる措置をとりたいと思っております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/33
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034・小林武治
○委員長(小林武治君) 次に、地方行政の改革に関する調査を議題とし、道路交通に関する件について質疑を行ないます。
御質疑の方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/34
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035・津島壽一
○津島壽一君 交通問題は、現在の、私は、大きい言葉でいえば最大の問題である、こういって過言でないと思います。しかし、その対策なり措置は非常に広範にわたっておると思うのです。したがいまして、これらの点については、同僚の委員の方々から、いずれ御質疑また意見の開陳があると思いますので、私は、主要の点四点ばかりについて、御当局に質疑を試みたいと思のであります。その前に、質疑でありませんが、ちょっと一応私の見ておるところを申し上げるほうが御答弁にも非常に関連があると思うものでございますから、一言それを申し上げたい。御承知のように、交通問題については、新道交法が実施されて、昨年は何とかこれでいけそうだという感じを持たした。横ばいになり、ある種の事故は減少というような傾向を見せた。これもほんのつかの間でありまして、約半年後、非常なまた急カーブで事故がある、こういう状態になった。それに徴しても、道交法の改正とか、そういったような事務的な問題ではこれは処置がつかぬということは、はっきり実験されたわけでございます。過日も一月二十二日でしたか、国民がこれに非常に重大な関心と、また、交通安全のための熱意を盛り込んで、各所で今国民運動が起こっているわけです。現に御列席の閣僚の方も大阪までお出かけになったという、東京では交通安全の国民運動の大会を開いた。その席上に池田総理大臣がお見えになって、非常に率直に所見を述べられたのです。私は、これはもう全国から集まった千五百人の会衆に非常な感銘と、また同時に、期待を持たしたのです。これはもうその内容を申し上げる必要もないかと思いますが、結局、総理は政府を代表されて、最後に、政府は総力をあげて交通難の打開と事故の絶滅に対する諸政策を講ずる、こういうことをはっきりおっしゃった、これに皆非常に感動をしたのです。池田総理が、決意を持ってやられる、政府の総力をあげる、こうまでもおっしゃったことは、同時に、大きな期待を持たざるを得ないというのが、私の見て受けた感想であります。したがいまして、今後いろいろ、一昨日の委員会においても御討議願いましたが、どうかこういったような方針が具体化せられるという意味において、この問題をひとつ御検討願い、また、国会としても対処すべきものだという私の所感をまず申し上げておきます。
そこで、質問の第一は、政府において、特に臨時都市関係閣僚懇談会を設けられまして、有力な関係閣僚を網羅して、この問題と取っ組まれていることも、これまた非常に国民から期待を持たれている。われわれ非常に力強いと思います。今日まであらゆる角度からこの問題を検討され、いろいろ新聞報道等を通じてもわれわれ承知している。これは全くけっこうなことだ、こういう気持になっているわけです。そこで、第一に、この閣僚懇談会で今日までいろいろ協議もされ、また、決定もされ、重要なる政策というか、施策というか、また、具体的な措置事項というものが相当あるようであります。そこで、これらの決定を見ました諸事項、施策というか、これらが現在どうなっているか、現状でございますね。また、現にもう実施に移したというものはこうだ、具体的の事項はこうだ、こういうことをこの機会にひとつ御説明というか、報告願えれば願い、新聞報道もいろいろ大きく取り扱い、書いていますが、この内容、経過をここでひとつ御報告願いたいと思う。それにつきまして、これも私の目が届かぬためであるかもわかりませんが、この委員会においても、また、各方面において最も重大化せられている問題の、いわゆる交通行政の総合化、統一化、一元化、こういった問題がどうなるかということについては、これらの報道を通じて見たところでは、はっきりと出ておらぬのですね。今まで報道を見まして、あるいは車両の制限をするとか、立体交差をするとか、あるいは阪神の国道の問題をどうするとかというような、いろいろ問題は項目としては非常に多いようですが、行政機構をどうするのだという問題は、はっきりとした線があるいは出ておらないのは、まあそういう重大な問題であるからという配慮があったかもわかりませんが、私は、この問題を含めてどういったような協議なり結論を出しておられ、また、すでに実施されたものもあると思いますが、今の過程においては、程度の差はございまするが、交通行政が、これは常識的に今日のような重大な時局に対しては、車両についてはあるいは運輸省とか、あるいは制限の関係からいけば運輸省の所管である車両制限法であるとか、道路の運送については運輸省がこの法律の所管の省であるとか、あるいは、こまかく言えばタクシーの免許は陸運局でやるのだとか、バスの営業、そんなものは認可は運輸省でやるとか、登録とかなんとかは陸運事務所でやるとか、そうして交通警察の所管は国家公安委員会とか、警察であるとか、非常にまちまちになっている。これはむしろ政府の方々が十分に御承知の点であります、しかし、何といっても今の事態に対処するこの重大な問題を処理していく上においては、臨時でもいいから、どうしても私は交通行政の強力な総合化、一元化という線でいかないと、私はこの事態に対処していくことは非常に支障が将来起こり得るという感じを持っているわけでございます。それで行政調査会委員が今度任命になりまして、行政組織とか機構の問題を根本的に検討される、こういう機構もありますけれども、これはこれとは別で、緊急の問題としては、どうしてもこの懇談会、また、政府等において直接にこれを処置すること、しかして、必要なる法律を今国会に出すという態勢が望ましいわけですね。そういった意味において、この問題も含めて、冒頭申しましたように、この交通関係の閣僚の懇談会で協議され、すでに決定し、また実施に移しているような施策、母体的事項はどんなことになっているかということの概要をここでひとつお伺いしたい、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/35
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036・川島正次郎
○国務大臣(川島正次郎君) 一応私からお答え申し上げます。
現在のように交通状態が悪化しまして混乱を起こし、事故が発生いたすようになりましたことは、長年にわたっていろいろな原因が積み重なったのでありますが、率直に私どもはその原因の一つとして、従来交通行政が各省庁に分かれまして、その間の連絡調整が不十分であったこともその原因の一つだと、こう認めざるを得ないのでありまして、そこで昨年十一月の末に、閣議で相談いたしまして、交通関係の閣僚懇談会を開きまして、その懇談会で各省間における連絡調整等の問題を取り上げまして、これを解決して一日もすみやかに交通混乱の緩和、危険防止をしよう、こういう趣旨でできたもので、これは臨時都市交通関係閣僚懇談会という名称でありまして、臨時的の性格であるし、都市に限って問題を取り上げておるのであります。ただいままで当面の応急策としていろいろ問題を取り上げて解決して参りました。これは後にまた申し上げますが、私どもは相当の成果があったことと、こう考えております。しかし、交通行政は永久にこれでやろうというわけではございませんで、やはり交通行政の一元化ということを考えておりますが、しかし、交通行政一元化ということが、ただ連絡調整機関の一元化か、また、実施機関まで入るのかということについても、まだ問題がありまするし、かりに実施機関まで入れるということになりますると、どこの役所からどういう程度持ってくるかということも研究を要する問題でありまして、これは研究をしている最中でございます。この問題は臨時行政調査会にかけようとは考えておりません。早急を要する問題でありまするからして、結論が出ますれば、政府の責任において解決するようにいたしたいと、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/36
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037・津島壽一
○津島壽一君 その他の事項で今決定して実施に移しておるものとか、また、解決したいというようなもの、おもなものをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/37
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038・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) それでは、ここで私からは、従来の関係閣僚懇談会におきまして討議をされ、さらに実施をされたといったような事項につきまして、ごくかいつまんで御報告を申し上げておきます。
御指摘のように、閣僚懇談会において検討されました事項はきわめて多岐にわたっておるわけでございますが、これを大別いたしまして、第一に、路面交通の混雑に対する緩和対策、こういう見地からいたしますというと、第一には、今国会に提案をいたすことになっております阪神地区の交通道路公団の設置、この問題につきましては、閣僚懇談会において方針を決定し、さらに閣議におきましてこれを決定して御提案を申し上げる、こういう段階に今なっておるわけであります。
さらにまた第二としましては、日比谷−三原橋間の地下道路の問題等につきましても、建設、運輸両大臣及び東京都知事の間で早急に話し合いの上決定をすべきである、こういうことに閣僚懇談会できめまして、それに基づいてこの問題もすでに方針の決定を見た、こういうわけでございます。
また第三といたしましては、駐車場の整備の促進の問題でございますが、現在駐車場法が施行されております地域は、御承知のとおり、きわめて特定の地域、いわゆる商業地区と申しますか、そういう点に限られておるのでありますが、今日の交通混雑の情勢から見て、この駐車場法の適用地域をさらに拡大をいたすべきである、こういうことが閣僚懇談会において決定をされ、それに基づきまして、具体的な方法施策を目下建設省を中心にいたしまして検討中でございます。
さらに第四といたしまして、道路占用工事に伴う復旧の方式の改善でございますが、これはよく御指摘がありますように、道路がしょっちゅう工事のために掘り返されておるじゃないか、こういう問題でございますが、これにつきましては、従来工事をやるべき者が、道路の管理者にこの委託をいたしまして、その間相当実際の復旧工事がおくれる、こういうようなことがあったのでありますが、今後は各工事義務者がこれを即時自費で復旧をはかる、こういう方式に改めるということにいたしたわけであります。
さらに第五としましては、車両制限令の施行に伴いますところの路線バス、あるいは路線トラック等の早期の改善の促進であります。これも実情に即しつつ、すでにそれが実施に着手をいたしておるわけであります。
第六としましては、交通規制の関係でございますが、御承知のとおり、右折の禁止等の交通規制が強化をされておりまするが、それに伴いまして迂回路の整備ということが非常にまた重要になって参っております。これらにつきましても、逐次これを整備をいたしていくということで、ただいまその準備にかかっておるところでございます。
さらに第七としましては、今後さらに交通の規制を行なうということになりますというと、勢い、いわゆる車種別あるいは時間別の交通規制、こういうことにいかざるを得ないと思うのでありまするが、これにつきましても、一体どういう順序で、どういう方法でやるべきであるかという点につきまして、これが一般経済、社会に及ぼす影響あるいは日常生活に及ぼす影響、これらを検討しながら、各般にわたって研究をいたしておるところでございまして、その詳細等につきましては、後ほど警察関係から御説明をいただいたらと存じます。
さらに第八としましては、道路、特に交差点の立体化あるいは現在の歩道というものは場所によりますと、比較的幅が広過ぎると申しますか、そういうきらいのある所もあるようであります。そういう個所におきましては、歩道をある程度切削をいたしまして、車道の容量を拡大すべきであろう、こういうことも決定をいたしまして、実際にこれをどこで行なうべきかという点を検討をいたしておるところでございます。
さらに第九といたしましては、御承知のとおり、東京都の交通に関しましては、警視庁に交通情報のセンターが設けられておりまして、時々刻々の交通事情を一般のタクシーその他に流して、情報を提供いたしておるのでありますが、現在の施設は、きわめて幼稚と申し上げると何ですが、不十分であります。そういう点も考えまして、この交通情報センターの近代化と申しますか、その施設を充実いたしまして、より正確に、また、よりスピーディに交通の情報がキャッチでき、また、これを通報できるようにいたすべきだ、こういう方針をきめました。それにつきましても、目下それの設計等につきまして検討をいたしておる段階でございます。この点につきましては、東京のみならず、とりあえず大阪にもこれを設けるべきである、こういうことを決定をいたしておるわけでございます。
さらに第十としましては、路面電車の整理統合と申しますか、こういう問題もかねがねこれは問題になっておるところでございますが、これにつきましては、何分にも関係する問題が多い上に、当面の施設者は東京都なり、その他の大体都市でございます。それらとも打ち合わせの上、整理統合するという方向においてひとつ御検討をいただいておる段階でございます。
さらに十一としましては、駐車禁止区域の拡大あるいは車の路上放置の取り締りの徹底、こういうことにつきましても、警察当局において、この方針でただいま善処を願っておるところでございます。
さらに十二には、御承知のとおり、現在自家用車の場合に、車庫の保有というものが義務づけられておりません。こういう関係から路上に自動車が放置されておるという場合が、これは非常に多いわけであります。こういう点でもこれをむしろ義務づけるべきである、こういう大体の方針に決定を見ております。これもその方向で、ただいまはたしてそうした場合に法律の改正が要るかどうか、そういうことも具体的にひとつ検討をしてもらっておるわけであります。
さらに、かりに義務づけましても、はたしてこの車庫を持っておるかどうかということをどういう方法でチェックすべきであるかというような点も検討をいたしておるわけであります。
以上が、大体この交通混雑の緩和、車をスムーズに流すという面を主とした対策として、従来懇談会で取り上げられた点であります。
さらに、交通事故を防止するその対策という点から考えますというと、まず第一には、踏切道の改良促進、これをぜひやらなければいかぬ、こういう点から考えまして、立体交差化、構造改良、あるいは踏切の保安設備のための関係省令の施行、これらもそれぞれの担当省庁におきましてすでに法的な準備を大体いたした、こういう段階にございます。
第二には、交通違反の対策でございますが、これと関連しましては、処分の簡易化あるいは迅速化ということをやはりはかるべきである。たとえば、いわゆるチケット制の採用というものを検討すべきである、こういうことになりまして、これも当局においてただいま検討をいたしておるところでございます。あるいはまた、罰則の強化というような点につきましても、これも関係法令の改正を検討をいたしておる段階でございます。
さらに、第三としましては、ガード・レールの整備、これらも特に交通のひんぱんなところにおきましてはぜひともこれを実施すべきである、こういう点で、ただいま具体的にこれも検討をいたしております。
さらに、第四としましては、運転免許資格の引き上げ、こういうことでございますが、これにつきましても、関係法令の改正につきまして目下検討をいたしておる段階でございます。
さらに、第五には、交通警察の増強、あるいは人員の増加、あるいは装備の強化、こういう点につきましても、具体的に検討をただいま当局においていたしておるところでございます。
さらに、これは自動車関係でございませんが、通勤、通学輸送の対策につきましては、御承知のとおりに、昨年暮以来、時差通勤、通学の徹底をはかりまして、この正月前後におきましては、——昨年は大体十二万程度の参加者を得たのでありますが、本年は約二万からの協力を得まして、電車によるこの通勤、通学の混雑というものも、ちょうどラッシュ・アワーの山がだんだん両側にくずれまして、昨年よりも相当よい成績をおさめることができたわけであります。
さらにまた、これとの関連におきまして、特に交通緩和の見地から、住宅政策というものもひとつこの際検討をすべきではなかろうか、こういうことで、特に、いわゆる既成市街地の再開発と申しますか、ややともすれば、従来比較的、いわゆる郊外と申しますか、遠方に公団その他の住宅もより多くまあ建築をされておるわけですが、これを、既成市街地を再開発することによって、通勤、通学等のこの混雑緩和に資するべきではなかろうか、こういう点で、閣僚懇談会におきましても、これを研究し、これは建設省のほうにおきまして、さらに根本的にただいま検討される、それに着手されるという段階と承知いたしております。この間、警視庁、警視総監等から、東京都内の特に交通緩和、あるいは事故防止という点から、十数項目の要望がございました。それにつきましても、それらはぜひ、でき得れば三十七年度中くらいには、これを全部とは申せないと思いまするが、比較的予算も少なくてできるような事項についてはこれを実施すべきである、こういうことで、具体的にどの程度の一体経費がかかるのかということを目下検討いたしておるところでございます。また、大阪、神戸等の関係につきましても、これも十項目程度の具体的な要望が出ましたが、これらにつきましても、具体的に検討をいたしまして、実施できますものは直ちに実施をなるべくいたしたい、こういう方針で具体的に検討を進めておるところでございます。
大体以上が、今までの経過並びに協議されました内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/38
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039・津島壽一
○津島壽一君 よくわかりました、
それで、先ほど川島長官の御答弁で、行政の一元化、交通行政のやり方については慎重検討中である、その点は、あるいは総合調整的なものにして、実施部面は各省にまかす——所管省というか——という考え方がある、そこに非常な重要な問題点がある、こうおっしゃった。これは私もそのとおり思います。それはなかなか容易ではないと思います。しかし、現状ですでに各省の権限となっている——幾多の法制で実施面のことを言っているのですが、それらのまず規定を改正し、法律を改正して、一方の省のものを他省に持っていく、他の機関へ持っていくということは、いかなる方法をとろうが、それはぜひやっていただきたいと思うのですね。たとえば、非常に卑近な例でありますが、自動車の登録、車体の検査というようなものは運輸省になっている。これの実行の機関としては陸運事務所とか何とかでやっておりますが、それを自動車として運転し得る状態に置くのは陸運事務所である。それが違反をするということになると、警察のほうが追っかけていく。これはいかにも統一を欠いて、何というか、悪い言葉で言えば、交通警察から言えば、こんなものを認可するのが悪いのだという態度になりがちだと思うのです。ここに統制がないのですが、実施部面のことですが、そういうことは、この際あわせて、やはりひとつ、法規の改正によって、一貫した作業は一ところへ集める。それを中央の交通省とか何とかでやるべきかどうかということは別としまして、そういう点をこの際ひとつ掘り下げて御検討願って、しかもこれは早いほうがいいのです、自動車の今の問題は。みんながこれはやるべきだということで、早く手のつけられるものは早くやる、具体的には申しませんが、そういうことをお願いしたいのです。それから、ただいまの総務長官の御答弁、十分精細で、いずれも重要な問題ばかりで、これが実現は、私は、大きな交通行政というか、交通安全といったような部面に大きく貢献すると思う。ただ、今お話しになったことをずっと聞いておりますと、現状の交通警察なり職員なりではたしてああいうことを言ってもできるかということを疑うのですね。たとえば、ガレージを持っていない自動車、検査してないものは違反だというが、今日までも、自動車の登録をする場合には、必ず自分の家にガレージを持っているかどうか書いておく、その書いてあるものを、抜き検査はするでしょうが、何万も一ぺんにきたものを、少数の人間で検査をして、ガレージを何番地の何というところに見てきて、よしと判こを押すことは、今日では不可能だと思うのです、事実上手続きが。それであるから、じかに見ないで、書面検査で判を押すから、道ばたに置いておくという情勢なんです。したがいまして、構想は全く同感であり、まただれも賛成ですが、ただ、これをやる手段というものをまず供さなければ、あとは警視庁が見て、これはやはりこんなところに置いておくのはどうだということになると、ガレージはない、探していっても、番地も、そういう家もないという事例があるということをしょっちゅう伺っているが、これはけっこうなことだけれども、それに対処して事務をやり得る人手をどうするかという問題を考えないと、——これは結局予算の問題なんです。それからまた、たとえば今度の新道交法では、不当に道ばたに駐車しているところの車には、立ち退きを命ずるとか、あるいは罰金とか、——これは、アメリカでやっているように、警察のほうでどこかへ持っていってしまうということをやっている。こちらでも法制のもとではやれるということを聞いているのです。それでは、今の装備を充実するといっても、一体そういう自動車のあれは警視庁に何台ありますか。これは、一万台も不当なところに駐車して道を狭くしている。それをやるにしても、罰金を払っているかどうか、そんなことは知らぬが、十二時間置けばニューヨークあたりでは持っていってしまう。一ぱいそういうものをためるところもある。そういう装備を持っている、そういう意味においては、やはり装備もなければいかぬ、人手もなければいかぬ、そうして熱意を持ってやれるように仕事の分野をはっきりしないと、一貫的に作業のできるものを二つに分けてはいかぬ、こういうふうに思われる。そのとおりです。
そこで問題は、今の問題はよくわかりましたから、次の問題に移りますが、今申し上げました交通事故防止その他のいわゆる秩序維持、そういったような意味においての現在の予算がどうなっているかということになると、これははなはだそういったようないろいろな仕事をやらすことは不可能であろうと思われるくらいの予算である。そこで、予算のことをちょっと聞きたい。ここは予算委員会でないのですから、交通部門だけのことについて、道の拡張とかなんとか、これは大きい予算ですから関係ない、交通警察の関係の予算、これを国家公安委員長である安井大臣に伺いたいのですが、直接に関連のある予算です。たとえば、三十六年度の警察庁の予算なるものは、当委員会で各委員に配付になった予算を見ますと、——これは警察庁が全部仕事をやるわけではございません、しかし、大体の傾向として、本年度三十七年度の予算を事項別に見ますと、全体の警察庁の予算は百六十六億何千万円で、十一億何千万円の増加ですから、これは別問題として、その中で直接関係のあるのは保安警察関係でございます。保安警察関係の予算は、三十六年度が一億九千一百万円で、三十七年度では三億二千五百万円、三千三百万円増したのです。しかし、保安警察の予算は、防犯警察と保安警察と交通警察等に分かれているわけです。その中での一番直接のものは交通警察、これが三十六年度では千九十三万円であったものが、三十七年度では千百七十万円になったわけです。その増加は、ここに書いてあるように、八十万円ですね。ほかの保安とか、防犯というものは、千五百万円とかなんとかと——これは必要であるので、これが悪いとか多過ぎるということは言いませんが、どうもこの予算を見まして、交通警察は八十万円で、全体の増加というものは十一億三千万円、——警察庁だけで、そういうほかのものより一番貧弱な予算をあてがって、そうして全体の日本の交通警察の元締めになってやっていこうというのには足りないから、人手も足りない。まあ、ほかの装備の経費まで入っているとか、いろいろあるから、交通警察の部分全部がこの予算であるということは申し上げるわけにいかないだろう、これは別の問題でございましょうから。しかし、この各項を見ましても、一般の人は、一生懸命でやる、重大問題だと言うけれども、交通警察というものの予算が八十万増して、ほかは何億増しておるということでは、どうも私は、金で仕事をするのじゃないというけれども、整備すべきものだと思う。そういう意味において、これはもうすでに提出された予算ですから、何とも申し上げられないのですが、ほかの交通警察の人間はどうか、全国的な問題、警察庁だけでなしに。これは・私も外国のほうでいろいろ聞いてみると、相当膨大なものを交通警察に先進国においてはやっているのですね。ところが現在、これも正式の政府の提出した資料ですが、全体の十三万二千人、これも増し方が少ないのです。というのは、もっと交通警察を増すべきものを増さないから、やはり普通のおざなりなことになっている。そこで、交通警察の定員の増加は、御承知のように、四千五百人、三十四年度からやるべきものが、やっと三十六年度で四千五百人、三年かかってやったんですね。それの結果が、まあ人数的に言えば約一万二千人になったのです。一割にも足りないんですね。交通警察の諸外国の例を見ましても、二割というのは最低でございましょう。あるいは三割、四割というところが、交通巡査というか、警官であるのです。これだけ世界の中で注視を浴びておる交通事故の大きいところで、これだけのパーセンテージの交通巡査では、今おっしゃったようなこの問題、だんだんとおっしゃることが、私は実行不可能だということは、もう現状でも手が一ぱい。地方へ私は参りまして、府県で交通問題をいろいろ調べてみると——所は現在言いません、差しさわりがあるといけませんから——何人いる。これが全体の一割に足らぬ警官の配置、それで今のように厳重に取り締まる。よほど重大ないろいろ違反もあり、いろいろな死者、負傷者、また普通の交通違反とか、この書類を内部の事務としてやはり全部やらなければいけない。一週間でも十日でも外はほっておく、外へは出られない。内部の書類がたまってしまう。これはどうなるかということは、もうお手上げですということを、私は直接責任ある地方の警察担当の方から聞いておる。このままじゃもうやっていけませんというのが、地方の実情です。そういったことを考えますと、私は、この三十七年度の予算は、これだけ大きく去年の秋からなったこの交通問題については、さぞかし交通警察は充実されるだろうという期待を持っていた。この予算を見ると、また過程においても、交通警察官は絶体に三十七年度では増さないんだ、警察庁には局を置く、八十万これの予算をとっているかもしれませんが、そういう状態で、世界一事故の多いところに世界一少ない交通巡査をやって、そうしていろいろな経済の伸長をはかる。事故の件数、死者の数からいっても、——私はニューヨークに長くおりましたが、八百人以上になります。台数からいえば倍になる。人口は大体同じでしょう。ロンドンでもどこでもずっと以下である。八百人なんというケースがないのに、東京、大阪、名古屋——名古屋に行ってみると、愛知県は九百何人、そういうふうになっておる。これは続々増す傾向にある。そういう意味において、私は、今の状態からいけば、いろいろ施策を立てても、それに裏づけする人手、またいろいろな機構も組み、それに適正な予算を配置しないと、企画倒れになるおそれがないかということを——地方はそう思っております。そういう意味において、何も警察庁のちょうちんを持つわけじゃありません、広い視野から、私は、ぜひとも、この予算について、三十七年度では、聞きますというと、あれは四千五百人三十六年度の達成方針なのだから、一人たりといえども増加しちゃいかぬのだ、こうおっしゃる。これはもう去年の春からの話で、私はこれはもう当然にやるべきであると思う。交通関係の閣僚懇談会でもあったら、これはすでに提出された問題じゃないかと思う。これはよく警察庁から地方の実情をお調べになって、お手上げという言葉をこういった責任者から聞くということは、私は非常に遺憾なことだと思います。もっと働いても両方はやれませんというような実情であるということを申し上げて、私はあとで申し上げたいんですが、一体このままで、そういう企画だけがずっと出て、実施面に流していって、やれるかということを考えると、全くこれは、政府の計画はいいが、実行面においては効果が上がらなかったということを来年見た場合には、大きな失望だということを私は心配しておるわけです。そういった意味において、願わくば、三十七年度の補正予算もだんだんいろいろ検討される時期でございまするが、これは私は、国会も超党派で、そして政府は一丸となって効率的にこれをやるということが必要だと思います。そこで交通問題、これはほかの問題もずいぶんあると思います。人員の問題だけじゃないと思いますが、そういうことを、この際、総理の言われる、政府は総力をあげて施策をやるとおっしゃった意味において、予算関係において何か補正のお考えでもあるかどうかということを、これは国家公安委員長の責任というか、仕事であろうと思うので、ひとつお考えおき願いたいんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/39
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040・安井謙
○国務大臣(安井謙君) ただいまお話しの、いろいろ今後の交通問題を処理します上から、警察交通取締関係の陣容の整備はどの程度できておるかという御懸念についての御質問でございますが、まことにごもっともなお話かと思っております。
御承知のとおりに、三十七年度から交通局を新設いたしまして、これに専心し、全国的な視野で企画に当たれるという陣容をまず最初に整備いたしております。
さらに、人間関係につきましては、これは御承知のとおり、三十四、正、六年で二万人の増員計画を達成をいたしました。三十六年度に——最後の年に、四千五百人をふやしたわけであります。これは、二万人のうちの四割、四千人は全部交通に当てるという計画で実は進んで参ったわけであります。三十七年度には、いわゆる警察定員としての予算増員はいたしておりません。三十六年度でふえました人員の有効な配置をやりますための装備の充実、たとえば原動機付の自転車を配置する、あるいは待機宿舎を設置する、あるいは四輪自動車その他計画的に現在予定しておりました装備の充実によって機動力を二倍、三倍に上げ得るという考え方で、今度の予算は編成したわけであります。しかし、人員の絶対数につきましては、御指摘のとおり、足りないことは事実でございまして、ことに、東京、大阪を中心にいたしまして、各県とも足りないという実情も十分わかっておりますので、今の四千人の増員を引き当てるほかにも、さらに機動的にでき得る限りの人間をそちらに回すということと、同時に地方警察限りで職員の増長可能な面がございます。これはまた、それぞれの面でそれの手当を進めておるようなわけでございます。その他にも、すでに増長のきまっておる場所もございます。たとえば神奈川のように、百数十名の増員が三十七年度からできておるというところもございます。今逐次そのほうは、地方の議会の予算編成と相待ちまして、それぞれの手を打っておるわけでございまして、さしあたり人員が三十七年度警察定員としてはふえませんのは、そういった装備の関係で十分補いをつけると同時に、もっと機動的に、それぞれの必要に応じまして、それぞれの部門から必要な場合には増員をする。しかし、足りません分は、地方及び今後の将来の計画としては、さらに充実していくということをやる予定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/40
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041・矢嶋三義
○矢嶋三義君 一番大事なところを忘れておる。こちらの質問は、補正予算を考慮するかしないか聞いている。今ワク内答弁で、一番大事なことを忘れておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/41
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042・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 三十七年度補正予算ということは、ただいまここにおいて、この段階において今直ちに考えておるわけでございませんが、今御指摘のように、人員の足りない点という不足の分につきましては、地方限りで増員のできる面がありますし、その点について十分な措置を今後もとっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/42
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043・津島壽一
○津島壽一君 それでは、交通警察というのは、交通警察官だけの仕事では今日ないのでございまして、いわゆる交通モニター制度——民間のほうでこれは非常に協力したい人が多いので、いわゆる都市交通安全宣言をやったところも六十くらいあるのです。そこで、モニター制というのは、制度をうまく作らないと弊害がありますが、今の交通警察というものの組織の、警官の足りないところを、民間の協力によるということは、私は非常に望ましいことだと思う。それにつきまして、警察当局というか、公安関係のこれは、もうすでに去年からもうずっと長い間言われている。それが、まだほんとうのすべり出しというか——十分にやっているところもあります。こういった点も、国民の協力を求めてやっていくということでこの事態を補っていくのか。これは、交通警察は、法律が非常にむずかしいし、いろいろな規定もむずかしいから、ただ普通の人がすぐできるものじゃないですから、やはり機構なり、訓練というか、勉強が要るわけですね。これは組織的にやらぬと、失敗も多いと思うのです。こういった部面もやはりあわせて考えるということが必要じゃないかというように思うのですが、どの程度に今行っていますか、ちょっとお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/43
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044・木村行蔵
○政府委員(木村行蔵君) お答え申し上げます。
モニター制につきましては、運用を非常に合理的にいたしますと、交通警察の面において非常な御協力をいただける面がたくさんありまして、これは実は、四、五年くらい前から各県でそれぞれ独自にやっておりましたのを、警察庁におきましても、昨年度の予算から、やはり国庫補助金を出すべきであるということで、各県でやっておりますのに対しまして、国庫補助金を出しまして、来年度におきましては、さらに五百万円補助金を要求しておりまして、これが認められますと、これはまあ補助金ですから、倍額になりまするが、実際は金額としては必ずしも大きな問題ではないのですけれども、何らかの形において、モニターとしていろいろ奉仕していただいている方に対して実費弁償をいたす、こういうふうな観点から、わずかな金でありますけれども、予算を出しておるわけであります。現在、全国で三万六千のモニターを各県で活用しております。これは、今津島先生お話しのように、何らかの形において、モニター制の各県それぞれ持ち味があって、いろいろやり方において長短があるのであります。その長短を、お互いに採長補短し合いまして、十分に伸ばしていくと同時に、何らかの形においてこれを組織化していくということは、非常に必要かと思いますので、いろいろ研究いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/44
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045・津島壽一
○津島壽一君 それじゃ最後に、だいぶまだほかの方もあるようですから……。
今補助の問題が出て、モニター来年度五百万円というお話です。これは、本格的にやるなら、一県十万円に足りない。東京なんかで十万円動かしてもあまり……、それだけの金でやるという趣旨じゃございませんが、政府への気合いをかけるという点については……。それに関連して総理府の総務長官にお聞きしたいのですが、これは予算を批判するわけじゃないのですが、新生活運動という予算が、これは三十七年度は二億五千万円になっている。三十六年度が一億三千万円、一億二千万円増しで二億五千万円、倍額くらいにした。これは非常にいいことだと思うので、これを批判するのじゃないのです。一億二千万円も一挙に増額するということは、補助金というか、これは助成金でございまするが、それで国民に、国土をきれいにするとか、いろいろそういった新生活運動に即したものをやる、これは非常にいいことなんですよ。しかし、この面に一億二千万円も増すということならば、正面切ってこの大きな問題に対して、政府がもっと、今のモニター五百万円、たとえば国民運動をやろうという全国の交通安全協会五百万円、それはほかからも金はとれますよ、とれますけれども、政府の予算の均衡というものをちゃんと考えて、これだけのものなら力を入れる必要はないと、——まあこれはよくないことですが、——そういう考え方になりやすいですね。でありますから、総理府のほうにも交通対策本部もあり、そして新生活運動にこのまるがかえの二億五千万円をお持ちになるならば、今のモニターに五百万円、それで五万人もやるのだということになると、一人幾らになりますか、非常にわずかなもので、そして一方警察官の補充ということを充実ができないで地方が手をあげているということでありますので、私はこれはちょっとお考え願いたいと思うのは、もっと計画的に全国の国民が協力し得るような体制を作ってあげて、そしてついて来いと——まあついて来いと言っても来ないかもわかりませんが、政府としては体制をきちっとおとりになるということが、この問題を解決する上においての大きな効果的なものが私はあるのではないかと思う。民間の方がやろうと思っても、政府が本腰を入れてくれぬというものが多いのですが、そこはどういうふうに、総理府交通対策本部長として、そういう新生活運動についてどう考えられるか。これはちょっと小さい問題だけれども、今補助金ということを言われたから、言いたくなかったけれども、ちょっとこれを一つお伺いしたいのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/45
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046・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) 新生活運動に対する助成予算と、交通安全——交通に関する予算と申しますか、それとバランスがとれぬじゃないかという御趣旨と思いますが、実は新生活運動につきましては、御承知のとおり、この三十七年度を期しまして、都市を中心として全国的にいわゆる国土美化運動を展開いたしたい、こういう希望が非常に強くございました。政府といたしましても、それらの関係を勘案いたしまして、御指摘のとおり、三十七年度におきましては、二億五千万円の予算を組んで、御審議をいただくことになっておるわけであります。実は、本年初頭に、新生活運動協会の理事会がございました。私もたまたまその席に列席をいたしましたので、三十七年度においては、予算案が通るならば、新生活運動に対するこの予算が非常に前年度に比べまして増額いたすことでもあるからして、協会がもくろんでおりますいわゆる国土の美化運動、それとの関連におきましても、ぜひ交通安全の関係についても、これは積極的な美化ということと直接関連がないと言えばありませんが、いわばその美化の前提としてでも、この交通事故防止ということはきわめて重要なことであるからして、交通安全協会とも十分連携をとって、この面にも大いに力を注いで、三十七年度はひとつやってほしい。それと同時に、国土の美化ということもまた、オリンピックを控えまして、特に都市の環境を整備する、美化する、こういう面。実は交通安全の関係と、オリンピックに備えての都市を中心とした国土の美化、これらをひとつ重点的にぜひ考えて、三十七年度においては運営をしてほしい、こういう、私は、注文と申しますか、それを新生活運動協会の当局に述べておいたのであります。それと関連いたしまして、実は予算編成の途中におきましても、これは津島先生会長さんですからお聞き及びと思いますが、安全協会の専務さん等にもお目にかかって、こういう際であるからぜひ安全協会のほうの補助も従来にまして大いに獲得できるように一つおやりなさい、われわれも及ばずながら努力しましょう、協力しましょう、こういうことも、直接の私の管轄じゃございませんが、予算の関係から申しますと、私はそういうお話も申し上げ、予算ができました後におきましても、専務さんにお目にかかって、何とか新生活運動協会のほうと連携をとって十分ひとつおやり願いたいというお話を、実は私も申し上げておったのであります。全体の額がどう、バランスがどうということになりますと、これはいろいろ見方があると思いますが、御趣旨は十分体しまして、新生活運動のほうもひとつやらしてもらいたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/46
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047・秋山長造
○秋山長造君 私、何点か具体的なことを政府にお尋ねしたいんですが、まず第一点として、交通の混雑の原因は、もちろん車の数が多過ぎるということでしょうけれども、多過ぎると同時に、車の型が全く大小、複雑、多種多様で、非常に交通の混雑の大きな原因になっていると思うんですが、一体日本では車の型について何か規制措置というものはないんですか、とられているんですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/47
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048・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 車の型につきましては、現在何にも規制をいたしておりません。通産省は生産のほうを預かっておるわけですが、この方面におきましても型の規制をいたしておらぬのでございます。各国とも、型の規制をいたしておりまするのは、ハイヤー、タクシーの型の規制をいたしておるところがございます。私も、少なくとも、ハイヤー、タクシーの連行の秩序の保持という面から考えましても、この点は考慮をしてみる必要があるんじゃないか、こう思いまして、ただいま検討をいたしておるわけであります。しいて申しまするならば、道路の幅員の関係におきまして、どういう道路にはどういう大きさの車を許容するとかしないとかというのが車両制限令で、御承知のように、この二月一日から施行に相なりましたが、これは道路管理の面から、建設省所管のものとして出ております。これは、型を制限するというよりは、ある大きさの車を規制する——その道路を通ることについて規制をするという行き方であります。その規制に合致する限りにおきましては、どんな型の車も通ってよろしいというのが、今日の現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/48
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049・秋山長造
○秋山長造君 道路の関係の規制は、今お尋ねしているのとは別のことですけれども、私のお尋ねしているのは、車そのものが全く御承知のように多種多様なんですね。これはやはり、こういうものをあまり政府の手で幾種類かに規制してしまうということは、またそれについての弊害はあるでしょうけれども、ここまで道路、都市交通がむつかしくなってきているときだから、なおさらやはり車の型について相当の規制をされるべきじゃないかと思うんですがね。そもそも製造当初において今運輸大臣は何か研究中だというお話なんですが、これはいつごろまでにおやりになるんですか、この規制は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/49
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050・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 自動車の型につきましては、ただいま運輸大臣が申し上げたとおりでありまして、生産いたします場合に別に型の規制はございません。ただ、生産いたしました車が道路上を運行する場合に、運行上安全であるかどうかという見地からは、それぞれの型について運輸省側として見ておるわけです。ただ、製作のときの型を見るとか、そういうことはいたしておりません。作られた車が道路上を走るのに安全上支障ないかどうかという意味においては、運輸省として見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/50
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051・秋山長造
○秋山長造君 特に大型乗用車ですね、まあ外車でしょうが、大型乗用車が非常に多いことがやはり都市交通を非常にむずかしくしているという面があるんじゃないかと思うんですが、政府のほうはどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/51
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052・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 外車につきましても、輸入の関係は通産省がやっているわけでありますが、この都市交通の混雑をしております現況から考えまして、先般も交通閣僚の懇談会でいろいろ話が出まして、乗用車についてはできるだけ都心部においては大型車を使わないように何らか考える道はないだろうかとただいま検討いたしておるのでありますが、少なくとも官公庁用におきましては今後大型車を使わないで小型車に変えていったらという、これは行政の方面からやっていったらどうかと考えております。しかし、直ちに大型車を小型車に変えるということは、財政の面も考えなきゃなりませんから、一挙にということはできますまいが、ひとつそういう方針で行ってみたらどうかということで、ただいま調査をし、検討をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/52
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053・秋山長造
○秋山長造君 政府としても、官庁用の大型車を抑制していくという方針を打ち出されたことは、新聞にも大きく出ていたことで、私も承知しているんです。確かに、都市交通の面から考えまして、大型車が非常に障害になっているということは、これはもう否定できぬと思うんです。だから政府もそういう措置をとられるんだろうと思う、そういうことを一方でおやりになりながら、別の面では、今度は税金の面では、大型の外車の物品税を今度安くされるんですね。そういうことも一方でおやりになり、しかも貿易が自由化されるということになれば、ますますこれは大型車というものはふえてくるんじゃないですか。政府自身のやっておられることと、それから実情とは、逆なことになるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/53
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054・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 私のほうの面から見ますると、今都市交通の面から考えると、さようなわけでございます。また、外貨をできるだけ使わないという面からいけば、これはまあ国民の自制に待たなければならぬ点だと思いますが、自動車の使用は都心部における使用だけではございませんので、したがいまして、全面的に日本国内で大型車を使うことを禁止するとかあるいは制限するとかいうことはいかがなものであろうと、都心部におきまする交通の緩和の問題は、都心部にそういう車を乗り入れないような措置、指導をするということが肝要ではないだろうか、こういう観点に立って考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/54
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055・秋山長造
○秋山長造君 運輸大臣のおっしゃるのは、一つの理屈であって、それは大型車乗り入れの禁止区域を作るということで、そうそんなものが徹底されるわけじゃない。それからまた、外車をいなか道や山の中でそうむやみに飛ばすものじゃないんで、やはりおもな区域といえば市街地にきまってるんで、だからそれを全面的に禁止せよとも何とも言ってない。ただ、これだけ交通難が深刻で、しかもその一つの要素として大型車というものが問題になっている以上は、一方では官庁あたりが率先して大型車を抑制していこうという旗を上げながら、別の面では今度は外車の税金を思い切って安くして、しかも貿易は自由化していくというような、そんなことは常識として通用せぬですよ。だから、そのことを言っているんです。——川島さん、どうですか、そういう点は。この間の閣議で外車の物品税を安くするということをきめられたようですがね、二月六日の閣議で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/55
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056・川島正次郎
○国務大臣(川島正次郎君) 今の秋山さんのお話、ごもっともな点があるんですが、実は外車の物品税引き下げでございますが、全部の物品税を引き下げる一つのワクの中としまして、引き下げ率が一番低い四〇%にとどめたわけであります。それとは別に、やはり都市における大型の自動車をどう規制するかということを考えるようにしたい、こういうことに私ども閣僚懇談会ではきめまして、その実施方法をただいま検討をいたしているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/56
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057・秋山長造
○秋山長造君 一番安い軽減率だとおっしゃったのですけれどもね。物品税で私の調べたところによると、小型車や普通車については税率は今までどおり据え置きで、そうして大型の外車に限って五〇%を四〇%に引き下げるということを閣議決定になって、近く法案が出されるということになっているんですがね。そういうことは、まあ理屈はいろいろつくでしょうけれどもね。やはりそれは、大型車を制限しようという声を一方では上げながら、別の面ではそういうことをやられるということは、政治としては、これは上手な政治ではないと思うんです。困るじゃないですか、そういうことは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/57
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058・川島正次郎
○国務大臣(川島正次郎君) 私も秋山さんのお話はよくわかるのですが、税制の面は別の立場から検討しまして提案したわけでありまして、大型車の物品税を一〇%引き下げたために交通に非常に支障を及ぼすという結果でないと、こういう判断に立ったわけでありますが、思想的にそれは不都合だということなら、これはよくわかります。その点は、いろいろ今後検討してみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/58
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059・秋山長造
○秋山長造君 さっき津島さんから交通行政の一元化という話があったのですが、こういうことだって、やはり私は交通行政の一元化ということにもなってくると思うんですね。税金は税金で勝手なことをどんどんやっていくということでは、これは交通行政の元化ということになりませんよ。やはりいろいろな手で、あの手この手で交通難を緩和しようとか、交通問題を解決しようと思えば、やはりいろいろな面からよく考慮をされていかぬと……。ですから、この点は、閣議決定になったんでしょうけれども、再考を私はしていただきたいと思うんですがね。
それからさらに、次にお伺いするのは、先ほどこれも津島さんのお話にあったのですが、政府がやっておられることは、それぞれ御苦労なさってやって下さっているんですから、別にそれについてとやかく批判がましいことを申し上げるつもりはないのですが、ただまあ、交通問題の解決といいますと、これはさっき総務長官がずっとおあげになっただけでも二十項目くらいあるので、だから、こういうものを全部やろうと思えば、これはたいへんな人手と費用がかかることです。それはそれでおやりになるんですから、けっこうだけれども、しかし、そういうことも大切だけれども、もっと根本なことで、しかもあまり金がかからずにやろうと思えばやれることがあると思うんです。それはもうさっきの交通行政の一元化ということになると思うんですが、たとえばちょっと津島さんのお話に出たが、免許事務ですね。免許事務なんかのことについても、運輸省、それから公安委員会というようなものの権限がこうこまかく入り組んでいるわけです。たとえば、運転免許は公安委員会でやる、それから車のほうの免許は運輸省あるいはその出先の陸運局でやるというようなこと。それから、登録事務にしてもそうです。こういうものは、一元化しようと思えば、金もかけずに、予算を組む必要がないのですから、すぐやれることです。それがなかなか、役所同士の長年のなわ張り根性といいますか、セクショナリズムといいますか、まあそれぞれ理屈にならぬ理屈をこじつけて、そうして放すまいとしている。そこに私はこの交通行政の一元化できぬ根本があると思うのです。こういうことは、何もわざわざ臨時行政調査会なんかというようなものにあらためてはからなくても、これはもう関係者はみな知り切っていることなんです。だから、そういうことこそ、私は、行政管理庁長官で、内閣の実力者と言われている川島さんが、在職中にぜひずばりやっていただきたいと思う。いかかがですか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/59
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060・川島正次郎
○国務大臣(川島正次郎君) 交通問題の解決策は、問題としては全部出尽くしておりまして、これをなるべく急速にどういう順序で実行するかということが問題なんでありまして、交通閣僚懇談会を開いたのも全くその意味でありまして、懇談会で取り上げてひとつ急進に実行しよう、こういうことなんであります。今お話しの行政の一元化も取り上げて研究をいたしておりまするし、なお今後続けるつもりでおりますが、これまで閣僚懇談会でやりましたことは、当面の応急対策は各省庁でできる範囲のことをひとつやろう。——右折の全面的禁止をやりますとか、あるいは時差出勤をやるとか、いろいろ先ほど総務長官が十数項述べられたような応急対策をやって参りまして、これからは恒久対策についても考えまするし、また各省庁間の権限の問題についても考えていこうと思っておるわけであります。関係閣僚みなそういう気持でもって懇談会に臨んでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/60
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061・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ちょっと関連してひとつ。
質疑応答がなされていますが、私は大臣並びに政府委員の答弁態度について要望申し上げたいのですが、きょうの委員会を地方行政委員長は非常な決意で開かれているわけです。今川島長官が申されたように、もう論じ尽くされた問題なんですね。で私は、きょうの委員会では、閣議ではこうきまっている——今秋山さんから大型車の問題が出たが、そういう問題が出れば、閣議ではこうきまっているが、自分としてはこういう方向で閣議で再検討してみようとか、あるいは、まだ閣議ではきまっていないが、ひとつこういう主張をし、閣議をリードしていってみようと思っているとか、何かそういう具体的な結果が出る角度から臨んでいただかなければ、東京部内で毎月二・五人ずつ死んでいます。今現にどこかで死んでいるかもしれない。全国では一日四十人死んでいるという、こういう時点において、どうもまだかくかくの問題をあげて検討中というのでは、国民の感覚と非常にずれていると思うのです。こういうことでは、国民の批判を受けても、のがれられないと思うのです。そういう点、もう少し答弁態度を改めてもらいたいと思う。
ちょうどさっき津島委員と秋山委員との交通行政の一元化について質疑があったので、私は関連して伺わせていただきますが、川島長官、さっき、この一元化なるものは連絡調整なのか、あるいは実施が一元化なのか、その点で検討云々と答弁されましたが、あなたの答弁を聞いて、私はおかしいと思うのですよ。あとで追及しようと思ったが、ちょうどいい機会だから追及しますがね。私は、この交通問題について川島国務大臣が非常に努力されているという点は、非常に高く評価して、この問題に関する限りは、池田内閣であなたは最高点だと思っておる、冗談じゃなくて。これは、都市の分散やら、ニュー・タウンの問題やら、閣僚懇談会をなにするやら、行政機構をなにするやら、非常に具体的に、非常に鋭い感覚でやられておると、私は敬意を表しておりますが、今の一元化の問題は、三十六年の十一月に、あなたの名前で勧告を出しているわけです、運輸大臣、建設大臣、国家公安委員長に。この行政管理庁の勧告は、ずばり明確に言っている。常に行政管理庁は適切な行政勧告をしておりますが、場合によると奥歯に物のはさまったような勧告をしますが、この勧告は、ずばり勧告しています。たとえば、今の問題、「交通行政を一元化するために」と書いてある。「国として強力な責任体制を早急に確立しなければならない、それぞれ割拠主義に陥っているのが最大原因だ」ということを、ずばり書いてある。同じ国家公務員としては書きづらいことまで書いている。あなたはこの勧告をした国務大臣でしょう。きょうの段階で、まだ連絡調整か、実施一元化か検討中云々ということでは、川島さん、僕はおかしいと思うのですよ。先ほど来両委員から質問があったのですが、交通行政を一元的に実施する、これが必要だから万難を排してやります、そういう方向で閣僚懇談会、閣議をリードしてやるという、こういうきょうの段階で答弁でなければ、私は委員として納得できない。関連質問だからこれで終りますけれども、今秋山委員言われたように、これに書いてあるわけです。必要なことは、緊急に行なうべきことを即時確実に行なうことである。さらに、この際特に指摘されるのは、「緊急に行なうべきことが十分にわかっていながら、これを実行に移すための根本的な対策がとられていないという点がガンだ」と書いてある。こんな行政管理庁の勧告というのは、今まで僕は見たことがない。それほど事は重大だというわけです。ところが、質疑応答で、今検討中だ——それはけっこうなんですが、そういうことでは国民感情と僕はずれていると思う。非常に失礼な言葉もあったかもしれませんが、秋山委員の御質問ですから、それに関連して、その点についてお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/61
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062・川島正次郎
○国務大臣(川島正次郎君) 昨年の十一月、関係各省に交通行政について勧告いたしました。この勧告は、書面で送っただけではなしに、私から閣議に報告しまして、各関係大臣に了解を得ているわけです。これがもとになりまして、この勧告を実施するために懇談会ができたわけであります。
そこで、私といたしまして、この勧告どおりのことを実施いたしたい。それについても、関係各省がお互いに理解し合いまして、一致点を見出だそうということで、努力いたしております。しかも、この懇談会に直接交通行政に関係ない私並びに三木大臣に入ってもらったことは、関係各省間の意見が対立して調整がつかなかった場合には、私ども調停役になってやろう、こういう意味も含めまして、異例でありますが、三木君なども入ってもらったわけであります。ただ、機構の改革はそう簡単にはできないのでありまして、努力はいたしておりますし、また努力していきますけれども、すぐここでやれといってもできないことは、これは御了承願いたいと思うのです。
それから、秋山さんのお話でありますが、減税の問題、もしくは大型車の規制をもっと厳重にして減らしたらどうかという問題につきましては、それぞれ関係の閣僚と相談した上で適当に措置いたします。ただ、ここで私が申し上げるのは、私の責任においてお答えできる範囲を申し上げるのでありまして、閣僚全部を代表して申し上げるのじゃございません。しかし、お話しはよくわかりましたから、御意見として聞きまして、適当な機会に関係大臣と相談をしたい、こういうことなんであります。聞きっぱなしということではございませんからして、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/62
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063・松澤兼人
○松澤兼人君 さっき運輸大臣が、型は規制してないと言われたが、製造するほうは通産省、輸入もまたそうだろうと思う。しかし、営業車に外車を割り当てること、これは運輸省の権限なんでしょう、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/63
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064・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 外車の輸入につきましては、使用する目的によりまして輸入のワクをきめて輸入しております。運輸省に関します限りは、常業車に外車を割り当てるということは、運輸省の仕事でありまして、これは国際観光事業振興のために、来訪外客のために役立つということで、営業車に対して外車の割り当てをやっております。したがいまして、その希望をとりまして、しかも非常にこまかい基準を作りまして、つまり国際観光の対象としての場所、あるいは観光資源のあるなしとか、いろんなこまかい、国際観光上外人が訪れて利用するであろうというような場所の選定につきまして厳密な審査をいたしまして、そしてその場所において、申請の出てきております事業所に対して、様子を勘案しながら割り当てる、こういうやり方をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/64
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065・松澤兼人
○松澤兼人君 それで、輸入外車に対する割当は運輸省でやっていらっしゃる。それは厳重な基準があって割り当てられるだろうと思うが、ホテルとか料亭から呼ぶ場合には、たいがい大型の営業車が来ているわけでしょう。日本人でもです。こういうことはおかしいじゃないですか。さっきあなたがおっしゃったことと目的が違ったように、いわゆるハイヤーという形で外車の大型車が使われている。そういうのはどうなんですか。そういう現状があった場合には、あなたのほうとしては、使用目的に違反しているからというような取り締まりをなさるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/65
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066・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 輸入され、割り当てられました営業用の外車がいろんな目的に使われていることは事実でございます。割当をした車は、外客の需要があった場合にこれを使うということになっておりますが、その余裕のある場合に、絶対使っちゃいかぬという仕組みになっておりませんで、したがいまして、今御指摘のような使用その他の使用もいたしておりますが、そのために、外人の需要に対してこれに応じないということがある場合には、こちらとしては取り締まっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/66
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067・松澤兼人
○松澤兼人君 そういうふうに外国の観光客のために外車が必要だということを言えば、これは運輸省としてはその立場があるでしょう。今問題になっている都市の交通困難という問題になってくると、これはやはり、官庁でも外車を制限しよう、中型車に移ろうというときに、外車だけが幅をきかしているというのはおかしいことでないですか。その辺おかしいかおかしくないかということは別として、今後もやはりそういう方針でやっておいきになるのですか。これは重大な問題です。一方では減らそう減らそうと、官庁のやつは国産中型車にしよう、こう言っているのに、観光のためとは言いながら、料亭やなんかに出入りしているハイヤーはみんな外国産の大型車だというのはおかしいことなんです。将来どうなさるおつもりなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/67
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068・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 交通の非常に混雑をしておりまする都市におきましては、ただいま自動車局長が答えました外車の観光用のための割当というのも考えて参らなければならぬと思っております。正確に申し上げまするならば、こういうところには今後外車の割当を少なくしていく、あるいはやらない、こういう方向で私は考えなければならぬと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/68
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069・秋山長造
○秋山長造君 それをやって下さい。だから、いきなり外車をとめるというようなことは要求しているんじゃないんで、外貨の割当を規制していくとか、あるいは税金の面で配慮していくとかいうような間接の手だてをやって、とにかく整理して減らしていかなければ、ただ現状をそのままやむを得ないといって認めていくようなことを一方でやるならば、片一方で幾ら交通難の緩和だ緩和だということを言っても、そういうことは矛盾していると私は言っているのです。
それから、さらにお尋ねしますが、さっきの免許事務のことですが、申すまでもないんですけれども、逆転免許は公安委員会が所管をしておる。それからハイヤー、タクシーその他は全部運輸省で免許事務をやっているわけであります。バスだとか、あるいは大きなトラック業者なんかの免許事務ということになれば、あるいはただ交通行政という面だけでなしに、また別な面から考慮しなければならぬということはわかるんです。ただしかし、ハイヤーとかタクシーとかいうようなものは、これはもう今日の段階では純然たる交通行政上の部門だと思うんです。こういうものの免許事務まで、公安委員会あるいは府県とは関係なしに、運輸省がいつまでも握っていなければならぬという理由が私にはわからぬのですが、その点はいかがですか。川島さん、せめてそのくらいなことは、ハイヤー、タクシーの免許ぐらいなことは、公安委員会と言って悪ければ、府県知事でもいい、そういう、府県にまかせるということのほうが、それぞれの地域の実情に沿うたやっぱり交通行政がやれるんじゃないかというように思うのです。多年論ぜられてきた問題ではあるが、この機会にあらためてやはり抜本的な解決をおつけになるべきじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/69
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070・川島正次郎
○国務大臣(川島正次郎君) その問題は、関係閣僚懇談会で取り上げまして、運輸大臣、国家公安委員長の意見等も聞いて調整をしておりまして、まだ結論は出ませんが、交通行政上支障のないように、どうしたらいいかということを検討いたしております。現に、私どもの懇談会で取り上げている問題でありまして、なるべく早く結論を出したい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/70
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071・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 関連して。秋山さんのお話し、いろいろあると思いますが、何分根本的な行政機構の改正という問題にも触れますので、早急にいかない。したがいまして、こういったものが分かれていることによる不便はできるだけ行政事務上の連絡によって補いたいということで、今後この登録車等につきましては、一応その車庫の有無等で、必要な場合には警察がこれをチェックするといったような取りきめももうできておりまして、これから実施に移るようにいたしております。今後また、交通上の問題で路線トラックとか、あるいはバス等の運営についても、そういったような問題については、両者で十分協議をしながら進めていくというふうに今度の懇談会を通じて実現をいたしておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/71
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072・秋山長造
○秋山長造君 大臣同士の連絡調整はしょっちゅう閣内でやっておられるので、それは話はできるでしょうけれども、なかなか大臣同士がいい工合にやろうぜというふうなぐらいの申し合わせをしたって、末端にはちっとも徹底しはせぬですよ。やっぱり地方のずっと各府県にある陸運事務所なんかの権限なり職務の内容なんかというものは思い切って再検討して、運輸省のほうも、ただなわ張りをずっと後生大事に守るという形でなしに、やっぱり思い切って府県のほうへ移管すべきものは移管するということをやられなければ、今のような状態——たとえば陸運事務所があって、陸運事務所は一応何か知事の管轄に形の上ではなったようなことになっておりながら、実際には、知事は陸連事務所が何をしておるのやら、どういう顔触れがおるんやら、何も知りはせぬ。汚職が起こったときだけは知事が責任を持たされるということすらいわれておる。陸地事務所長が赴任してきたときとか、それからやめてどこかに行くときに知事のところにあいさつに来て、あああんたが陸連事務所長だったんかというようなことぐらいで、これはもうそういう、実に今の行政系統の中で一番私は妙な存在だと思うのですね。陸運事務所を別に悪う言うのではないですよ。悪う言うのではないですけれども、行政系統の面からいって、非常に奇妙きてれつな存在ですよ。しかも、そんなら陸運事務所がタクシーやハイヤーの免許権を持っているからというて、今のこれだけ大問題になっている交通問題に対して何らかの責任か何か持っているんかといったら、何にも持っていない。全部矢おもてに立っているのは、府県なり、あるいは府県の公安委員長、直接には警察ですよ。交通問題の矢おもてに立っているのは。にもかかわらず、免許事務に関する限りは、府県も、あるいは府県の公安委員会も、警察も、一切一指も染められぬ、一言も言えぬというようなことでは、これはもう幾ら全国多数の都市が交通安全宣言をしてみたところで、行政の根本が大体乱れてしまって、なっていないのですから、これはやっぱりメスを入れなきゃだめですよ。それはもうあらためて大臣が額をあてて御相談にならぬでも、さっき矢嶋さんが読み上げたとおりで、もう背からわかり切ったことなんです。わかり切ったことが、やっぱりその場その場で、まあ事なかれ主義で、お互いに権限を侵さず侵されずというような役所の習慣でうやむやになって今日に、至っている。一体、あれは、陸連事務所というものを知事の管轄にしたのはどういう理由でしたのか。それからまた、知事の管轄にしておきながら、実際には有名無実で、知事に権限も何にもなく、全部運輸省が握っているというのはなぜか、そういうことについてひとつ政府からお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/72
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073・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 陸運事務所を知事の管轄にいたしましたのは、やはり交通運輸というものは地方行政と非常に関係が深いという意味から知事の所轄下に置いてあるわけです。実際上知事の陸運事務所に対する支配力といいますか、これをチェックしているわけではないのでありますが、まあ知事さんも非常に忙しいためにいろいろとそういうことになっておるのが今日の現状でございます。そこで、今日の現状から言えば、むしろ陸運事務所を知事の所轄から離して、そして運輸省の直轄すなわち各地方にありまする陸運局の直轄にしてしまう、そして職員の身分もはっきり国家公務員にしたほうがいいのじゃないかという意見が一方に相当強くございます。二、三年前の閣議の際にもそういう意見が相当強く出ておったのです。どちらがよろしいかという点をただいま私も検討をいたしているのでありますが、いろいろ陸運事務所でやっておりまする仕事の中で、ただいまおっしゃいまするハイヤー、タクシーをあげられましたが、そのほかに貨物その他の自動車営業の点を監督をいたしておりますので、したがって、今日の自動車営業は一府県の区域を相当超越したものが多いわけでございます。そういう意味から申しますると、府県の行政区域内に限った問題ではございませんので、したがって、知事に全部移管をしてしまうということは困難だと、かように考えております。
それから今おっしゃいましたハイヤー、タクシーの営業免許を警察に移すのがいいかどうかという問題でございますが、これはそう簡単には結論が出ないと私は考えております。まだ国家公安委員長の安井大臣の御意見も固まっておらぬと思いますが、警察がこういう営業の免許に関係することがいいか悪いかという根本問題もあろうと思います。これが新しい警察法の改正のときの一つの大きな観点でございました。また、このハイヤー、タクシーの問題は、免許してしっぱなしというわけではございません。その後のハイヤー、タクシーの運営につきましても、あるいはハイヤー、タクシーの労務節理の問題にいたしましても、いろいろ問題があるわけでありまして、そういう問題を警察で扱うのがいいかどうかという問題があろうと思います。私は、なわ張り争いの観点からこれを移管することを決して拒否しておるものではございません。その点は御了承をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/73
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074・秋山長造
○秋山長造君 ですから、陸運事務所そのものをどうこうというのではなしに、陸運事務所の扱っている事務の中にも、たとえばバスだとかトラック業者だとか、そういうものの事務もあるでしょう。だからそういうものは、それはただ府県の境界内のことでなしに境界をこえてどんどん他府県に出ていくという府県単位をこえた仕事だから、そういうものまで直ちに知事の管轄にせよと、そういうことは言わない。ただしかし、ハイヤーとかタクシーとかいうのは、これは小地域に限られているんですから、いわんや県境をこえてどんどん営業をしていくという性質のものではないんですから、これはその所在の都市に限られているくらいのものです。ですから、ハイヤーだとかタクシーというくらいのものは警察へすぐ移すということになると、あるいは今運輸大臣がおっしゃったように問題があるかとも思う。だから知事の所管に移したらどうです、知事の所管に。地方自治を尊重する建前からいって当然のことじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/74
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075・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) ハイヤー、タクシーを知事といいますか、府県の行政に移したらどうかという御意見、この問題は、私といたしましては、きょうお伺いするのが初めてでございます。よくこの点は研究いたさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/75
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076・秋山長造
○秋山長造君 自治大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/76
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077・安井謙
○国務大臣(安井謙君) この陸運事務所の業務のいろいろな御指摘のありました点につきましては、確かに問題があると思います。私は今運輸大臣も話されましたように、バス、トラックの免許とかその他との関連もございますので、ただ移していけというふうに直ちに踏み切るのにはもっと検討が要ると思っておりまして、そうして実際の必要面を行政的に相互に協議しながらやっていく、あるいは相互に連絡しながらやっていくという方向が当面の問題として一番いいのじゃないかと思っておる次第であります。ハイヤー、タクシー自体につきましては、今のお話ですが、私も直接まだ十分考えておりませんし、よくこれは検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/77
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078・矢嶋三義
○矢嶋三義君 関連して。私お説教じみたことを申し上げて申しわけないが、政治家は国民の最大多数の幸福をこいねがって、そうして研究し判断をして実践せなければならぬと思うのです。政治が貧困なるがゆえに、毎日多数の国民が死傷しているという現実があるわけなんですから、これはお互い政治家の責任ですよ。この大前提の上に私はっきり答えていただきたいと思うのです。
川島長官にまずお答えいただきますが、交通行政を一元的に実施するために、国として強力な責任体制を早急に確立せなければならぬ、これには川島国務大臣としては賛成で、その方向で国務大臣として努力していただけるものと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/78
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079・川島正次郎
○国務大臣(川島正次郎君) その勧告は私自身が書いた勧告です。その勧告文全部を私が書いたんです。事務局に書かしたんじゃないんです。したがって、従来の勧告と内容が少し違っております。そういうものを実施するについても閣内調整が必要でありますから、懇談会を作ってもらったのであります。今のハイヤー、タクシーの問題を私が提議しながら運輸大臣にも相談をしておるわけです。まだ結論を得ないからして、先ほど申し上げたように、何ともお答えできない、こう言ったわけでありまして、私としては、やはり統一が必要だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/79
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080・矢嶋三義
○矢嶋三義君 安井国務大臣は、国家公安委員長と自治大臣両職でありますが、この交通行政を一元的に実施するため、国として強力な責任体制を早急に確立する。これなきがゆえに、この交通問題は日本で重大問題になっているのだと報告されておるわけです。閣議に報告されたというわけですが、あなたとしては、国務大臣安井さんとしては、この方針に御賛成で、この方向に国民のために努力していただけるものと私は推察、確信するわけですがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/80
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081・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 運営上の問題として一元的な運営をやっていくというこの基本方針につきましては、私も全面的に賛成でございます。ただこの機構としてこれをどういう形で一本にまとめるかということになりますと、それは技術的というより根本的に相当いろいろ問題がある。そこで、そこまでいく前にもっと懇談会を通じまして、今秋山さんはなかなか大臣同士相談しても実施に移されないと言われますが、もうすでに移す段階にきておるものもございます。たとえば今の車両登録の際、車庫の有無を検討する必要のある車種につきましては、今後は警察が全部チェックして、それの証明書を持っていかなければ登録できないということに変えまして、今それの事務的な規定を作っておる段階でございまして、逐次そういうような形で私は目下当面は片づけていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/81
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082・矢嶋三義
○矢嶋三義君 斎藤運輸大臣はこの勧告を受けた大臣で、交通問題の所管大臣でもあられるのですが、さっきの秋山委員の質問に対して、あなたの陸運局に一本にしたらどうかという答弁を聞いて、俊敏なる斎藤運輸大臣の答弁らしくないと思って非常にびっくりしたのですが、この行政管理庁の監察結果に基づく勧告なるもの、この方針、運輸大臣としてでなくて、池田内閣の国務大臣としてこの指向する方向はあなたの御見解をもってするならば賛成かどうか。それからこの方向に努力をされるかどうか。これは国民の良識ですよ、この勧告なるものは。それは一部業者とか、一部関係のある人は違う考えを持つかもしれない。しかし、日本国民の大多数の良識はこれですよ。これは多年にわたり研究付議されたことで、明々白々たる結論ですよ。運輸大臣としてでなくて、国務大臣斎藤さんとしてどういう御見解か。
続いて総務長官に伺っておきます。総務長官は、閣議の正式のメンバーじゃないけれども、参列してお手伝いしている立場ですから、あなた方がどういう御見解を持っておるかということ。しかも内閣の交通対策本部長さんですから、私は重大だと思いますから、斎藤運輸大臣の次に小平総務長官にお答えいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/82
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083・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 私は国務大臣と、それから運輸大臣を使い分けておるわけではございません。国務大臣の見地から特に運輸行政を誤またないようにという考えでありまして、国民のためだということであれば運輸省の権限を小さくすることも、あるいは大きくすることも何ら私はこだわるものじゃございません。その勧告の第一項の一元的実施という意味は、これは機構を一つにしてしまわなければならぬという結論では私はないと、かように感じておりますが、実施の面において関係各庁はいろいろななわ張り争いをしたり、そのためにあるいはなわ張り争いでなくても、それぞれの見地からいろいろ検討を加えてそれがあまりにもおそ過ぎるということが今日の実情として相当あるわけです。勧告の内容の一々はそういう点に触れておるわけであります。こういうような点は交通閣僚懇談会を設けられました機会に、一々そういう点を持ち上げまして、そして即刻解決をしていこうということでやっておるわけです。実施が、すなわち一元的と申しましても、数名寄ってきてきめるわけでありますから、一元的と言えないかもしれませんが、これが一元的実施と、かように考えておるわけであります。たとえば実際の問題といたしまして地下鉄を通す路線、それから地下道を作る路線——なかなか下のほうで年月がかかっておる。こういうような場合には実際的の問題をあげまして、建設大臣と私と、東京都に関する限りは都知事も入れまして、そして検討を加えて、そこできめてしまうというようなことにいたしておるわけであります。そのほか立体交差、鉄道あるいは地方鉄道等との立体交差の点につきましても、事務的にほおっておいたのじゃなかなか両方いろいろ意見がそれぞれあって片づかないというような実情にもありますから、これを取り上げましてそうして早急実施をいたす、今日立休交差をするための御存じの踏切道改良促進法もできまして、その基準もそういう意味で早く基準はきまったのであります。個々にどこを立体交差にするかという点につきまして今建設省と運輸省といたしておりますけれども、それにつきましても早急に上へ上げて、そうして実際問題として問題になっているところを上に上げて検討しよう、その方針は建設大臣と打ち合わせてやるべきであるというふうに考えております。一元的と蓄えるかどうか知りませんが、一つの省になったと同じような考えで今やっているわけであります。
陸運事務所をどうするかという機構の問題は、先ほど申しましたような見地に立ちまして、何が国民のため、一般のため、特に交通問題という点から考えてよろしいかという点を検討いたしたいと考えておりますが、今日の都市における交通問題の解決という面からハイヤー、タクシー、これを都知事というのじゃなくて、ただいまのお話であれば、府県、あるいは他の行政に移したらどうかという御意見のようでございますが、この点は私は、そう簡単に、そうすれば交通が緩和するでありましょうという答は出しにくいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/83
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084・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) 私の現在の立場は、交通対策本部長といたしまして各省庁にまたがっている交通行政の連絡調整、これが私に命ぜられている任務であります。そこでまた一面、交通対策本部で事務的に検討しておったのじゃなかなか速急な解決が見出せない、そういう点について昨年末設けられました閣僚懇談会でやっている。こういうことでありますので、その閣僚懇談会ではさらに幹事役という役目で、極力積極的にこの交通行政がなるべく一元化に近い姿において実施できるようにそういう努力をいたしていく、したがいまして、先ほど来各大臣からお話がありましたとおり、そこにお示しの行管のほうの勧告につきましては、そういう方向において今後これが実現に逐次いくものと、またそれに私どもはお手伝いをいたしたいという考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/84
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085・秋山長造
○秋山長造君 警察庁から出された交通事故の統計資料によりますと、ひき逃げ事故の検挙率が非常に低いのでございますが、三十五年、三十六年の両年、一月から五月までの統計が出ておりますが、三十五年のひき逃げの検挙率は六七・一%、それから三十六年についても六八%で、まあ七〇%にいかないということなんですが、なぜひき逃げの事故をやってしかも検挙率がそのように低いかといろいろ調べて見ますと、いろいろな事情があると思いますが、一つの事情としては、車の登録事務というものが府県あるいは府県の公安委員会とは関係なしに運輸省のほうでやられているために、なかなか事故があったからといってすぐ車の所有者なんかはわからぬわけです。つまり捕捉が非常にむずかしいというような事情があるようでございます。何も車をすべてそういう犯罪検挙の面からばかり私は見るわけじゃない。また、別に警察の肩を持つわけでもなんでもないが、たとえばそういう統計数字にも端的に現われているところをもってしても、やっぱり車の登録事務にしても、あるいは車体検査ということが重要な仕事なんですが、車体検査なんかにしても、すべて府県の警察とは関係なしに、運輸省の出先でやられているわけです。しかもそのやられておる単体検査なんかについても、われわれはずいぶん巷間きわめてルーズな事例に多々出くわしているわけです。そういう面から考えましても、それはなかなか簡単に、そう口で言うようなわけにはいきませんとおっしゃるけれども、そういうことを言っておったらこれは何もできやしません。ただどろなわ式に、さっき総務長官が読み上げられたようなことを、その場その場でお茶を濁しているよりほか対策が立たないのです。やっぱり陸運事務所の権限を知事のもとに再配分するというようなこと、それをやったからすぐ交通が緩和されることにはならぬかもしれない。ならぬかもしれないけれども、交通行政の根本ですから、だから根本のところへ手を触れずに、ただ日々の街頭で起きた現象面だけを幾ら追いまくってみたところで、これは奔命に疲れるだけです。これは時間がないからあまりこまかくは申しませんけれども、車の免許事務だとか、登録事務あるいは車体検査、そういうようなことは、交通行政のいろいろな問題を煮詰めていきますと、そこらに話が落ちついてくるのですよ。だからそこらにまず手をつけなければ、抜本的な対策ということには私はならぬと思うのですがね。そういう点についてはまあ何べんも申しますが、川島国務大臣が行政管理庁長官としてちょうどその局に当たっておられるわけなんですね。しかも先ほど読み上げられたような勧告をすでに出されているわけなんですから、これは交通問題の解決の勘どころですよ。免許だとか、登録だとか、車体の検査だとかいうところが、これは交通行政一元化の一番勘どころだと思うのです。だから十分その点は前向きの姿勢で、積極的に取り組んで、少々摩擦があっても断行していただきたい。それ以外にきめ手はないと私は思う。長官の御所見を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/85
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086・川島正次郎
○国務大臣(川島正次郎君) 御意見よくわかりました、十分努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/86
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087・矢嶋三義
○矢嶋三義君 簡単に二問だけ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/87
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088・小林武治
○委員長(小林武治君) 時間だから、簡単に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/88
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089・矢嶋三義
○矢嶋三義君 二問だけ質問さしていただきます。
先ほど津島委員から予算の要求がありまして、内閣の取っ組み方は不十分だということは指摘してあります。官房長官はきょうお見えになっていないから、実力者で非常にタッチされている川島長官に伺いたいと思いますが、施政演説を見ても出ていないのですよ。最近の国内の交通状況からいって、総理大臣の施政方針演説に長く出なくちゃならぬ。ただ例のとおり、通り一ぺんに「国民諸君に交通秩序の尊重を求めつつ、道路、鉄道、駐車場の整備等、国民の期待にこたえる」ようにと、三行出ているだけです。最近の交通事情から、国会開会にあたっては、総理大臣の施政演説にともかくも何分間か演説するぐらいでなければ、まだ不十分ですよ。そこに予算面が出てきているわけです。これは新生活運動も大事でしょう、これは大事です。しかし、それとのバランスからいったら比較にならないですよ。そこに私は、やっぱり取り組み方が不十分だ、これは立法府も不十分でしょうが、それ以上に予算の編成権、提出権を持っている内閣の取り組み方が不十分だと指摘せざるを得ない。閣僚懇談会が努力いたしておる点は多といたしますが、この点を私は伺うのですがね。今、予算を審議しているときに補正予算を出しなさいというようなことは野党といえども言いません。そんな答弁ができるはずはない。しかし、立法府で与野党話し合って予算の修正がワク内でできれば最善だ。それくらいのことをやる気持は僕は立法府にあっていいと思うのです。しかし、行政府のあなた方に伺いたい点は、せめて予備費ですね、こういうものを早く閣僚懇談会でこれこれだけは早急にやりたいという方針をきめて、予備費の一部でも早急に支出して、予算の成立した後にやるくらいの熱意は僕は国民のために示していただきたいと思うのですがね。この点、川島長官に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/89
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090・川島正次郎
○国務大臣(川島正次郎君) 総理の施政方針演説につきまして閣議でこれを検討した際に、特に交通関係閣僚からの注意がありました。従来、——私は詳しく知りませんが、おそらく施政方針に交通問題を取り上げたことはなかろうと思います。今度初めて池田総理大臣がやったと思いますが、内容は短くても十分盛られておるわけでありますからして、非常に誠意のあることだけはお認め願いたいと思う。
それから予算の問題ですが、これはおそらく公共事業のことでなくて取り締まりのほうかと思うのですが、いずれにしましても、三十七年度に盛られておる予算で足りなくて、交通対策上緊急を要するものということになれば、これは予備費で出す以外に補正予算を組む必要があろうと思います。この点につきましては、先般、私と総理大臣と、建設大臣と、二、三の閣僚で相談しまして、交通対策につきましては案がひとつ立つならば金を惜しまず出そうじゃないか、こういう話がはっきりできておるわけであります。三十七年度の予算執行の上に足りないときにはそういう措置をとることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/90
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091・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一問。法務省の方は早くからお見えいただいて非常に恐縮しました。委員長の御要望でありますから、質問はきょうはあと一問にいたしますがね。おいでになっている文部大臣と法務省のほうでお答えいただいて終わりたいと思います。
それは、先ほどから質疑がありましたように、交通行政の一元化の問題やら、道路の問題やら、いろいろありますよね。しかし、他面、よく指摘されているが、交通道徳——交通モラル、ルールを守るというこの慣習が国民の身につく、そして適正なる取り締まりというものが行なわれるということになっただけで、ある程度道路が不十分で時間がかかっても私はこの事故を相当数減らすことが容易に可能だと思うのですね。そういう面の努力を私は怠ってはならないと思うのです。そこで伺っておきたい点は、一体、文部省としては、——あなたのほうだけの責任でもないが、学校教育、社会教育の面からどういうことをやられているのか。具体的には僕はこの義務制の学校でも時事問題なり、あるいは一つの社会科の単元としてこういうものを教えて、そして子供のときから実践を身につけさせるということが大事だと思う。と同時に、社会教育の面で、成人教育の場において交通法規を守るという点ですね、こういう点を十分教育をし、実践させるような努力はされてしかるべきだと思う。これを、文部省は教育担当省としてどういうふうに把握され、どういうふうにやられているか。
それと、法務省並びに警察庁に伺いたい点は、一般の一般犯罪でも少年層の犯罪が多いというのだが——きょうは時間がないので申しませんが、交通事故についても十八才から二十一、二才というのが一番多いのですね。しかも累犯が多いのですね。しかもこれを一たび保護観察所に送り込んでも、まことにルーズな取り扱いらしいのだね。ちょっとぐらいお説教してすぐ放免する。それでまた同じことを繰り返す。そういう人に対して何か講習なり、再教育をするということもなされていない。で、非常に危険千万なんですね。こういうところに配慮することは大して時間もかからないし、予算も食わないと思うのだ。しかもそれをやることによって事故というものは相当減少を期待することができると思うのですが、そういう点をどういうように把握し、どういう対策をされようとされているのか、要点だけお答えいただいて、きょうは質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/91
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092・荒木萬壽夫
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。
交通事故を防止する上に児童生徒に子供のときから特に交通道徳を守るという角度から十分に教え込む必要性があることはお説のとおりだと思います。そこで学校教育を通じましてどんなことをしておるかということでございますが、御案内のとおり、三十一年度から義務教育の課程におきましては道徳の時間が設けられておりますが、どういう指導をいたしておりますかと申し上げますと、一般的に生命安全の保持について十分注意を喚起する。また、社会生活ともろもろの規則という立場から教えることになっておりまして、相当以前から御指摘のようなことは教育されつつあるというわけであります。そのほかに、御案内のとおり、特別教育活動を近来活発にしていこうということで、児童会、あるいは生徒会の活動を通じまして交通係を置いて実地の訓練に従事させておるということもいたしております。さらにまた、学校行事といたしまして交通安全週間を現に実施いたしております。さらにまた、遠足や修学旅行で集団的な行動を通じましての訓練を契機といたしまして、一般的な常識涵養にしておる。交通安全週間の実施について調べてみますると、これは、まあ何と申しますか、抜き検査的な調査ではございますが、小学校の八〇%ぐらいが交通安全週間を設けまして訓練をいたしておるという実情にございます。さらにもう少し具体的なことを申し上げまするならば、小学校の学習指導要領に、社会科で、たとえば第一学年でもって、自分たちの周囲にはいろいろな道路があり、また、各種の乗り物が走っていて人や物を運ぶ大切な役割々果たしているが、その利用には危険を伴うから登下校などには常に注意が必要であるという趣旨で教科書毛編さんされておりまするし、先生方にも教えていただいておるというわけであります。また、体育科の指導要領を見てみましても、第六学年で、たとえば体育や保健に関する知識を涵養する。その中に交通事故、遊びや運動の事故その他日常生活における事故の原因と予防の仕方について知り、また、安全についての規則を理解し、必要に応じて安全についてのきまりを作るという角度から学校で指導をいたしておるわけでございます。児童生徒につきましては至れり尽くせりとは申し上げかねますけれども、一応のことが常時教え込まれつつある。さらにこれを現場で徹底していただくように指導する必要はむろん考えねばなりませんけれども、一応のことは措置いたしております。
なお、この機会に、長くなっておそれ入りますが、おとなになってからの交通道徳が子供の時分に涵養されるという御指摘は、まさに同感であることは申し上げましたが、それと同時に、児童生徒が交通事故でやられるということも相当近来は多いようであります。それはおとなのせいですから、おとなの訓練ないしは取り締まり等を一方においてやっていただく必要があろうと思います。昨年の上半期の交通事故統計をちょっと瞥見して参りましたが、全国で二十二万件何がしかあると思われます、人的事故が。その中で児童生徒が交通事故にかかったのが約二〇%、その内訳をさらに解きほぐして聞いてみますと、児童生徒自身の、たとえば自転車に乗っていてやられた、歩いていてやられたという、子供たちの不注意のために子供の責めに帰すべき事由によって事故が起きたというのが二〇%のうちの半分以下であります。全体の五%七ぐらいと承知いたします。それにプラス、たとえば親が手を引いて歩いておったところが、交差点で、つい親が先走っていったために、子供がもう無批判に飛び出したというような、第二種事故とかいいますけれども、合わせますと二〇%、子供自体の責めに帰すべき率は今申し上げましたように五・七%ぐらい、二十二万件中、二割を占める子供の被害の中で。子供たち自身はずいぶん注意をしておるということが立証されようかと思いますが、それすらもが、一件といえどもなくなるようにしなければならぬことは当然でございまして、そういう意味において学校教育を通じて児童生徒を守るという教育は徹底いたしたいと思います。同時に、残りの相当数の事故はおとなの責めに帰すべき事由ですから、おとなの教育と取り締まりもあわせて厳重にやられるべきものと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/92
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093・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 法務省としての立場から御質問にお答えをいたしたいと思います。
最近の、少年によって起こされる交通事件は非常に累増いたして参っております。これは道交法による違反と刑法の業務上過失致死と、この二つに分かれますが、両方をひっくるめまして概数を申し上げますと、年間に約四十万人をオーバーしておる現状でございます。その中で約一割の四万人は刑事処分を受けてそれぞれ罰を受けておるわけでございますが、さらに一%に当たる約四千人余りが保護観察処分ということになりまして、これが法務省の所管のほうにまた戻ってきておるのでございます。で、その他のものは家庭裁判所においてそれぞれ処分をしておるのでございますが、少年であるという特殊事情から、審判が不開始で終わる、あるいは処分をせずということで大半の事件は処理されておるようでございます。そこで、刑事罪を受けました者については、刑事罰としての意味を持つものでございますが、今御質問の中にありました保護観察というような処分を受けた場合に、この少年たちをどういうふうに処分するであろうかということが一つの御疑問の点になっておろうかと思うのでございます。この点につきましては、はたしてこの交通事件を起こしたような少年が保護観察の対象として適応性があるかどうかということが、学問上も実際上も疑問の存するところでございますけれども、現に保護観察の処分を受けましたものをほうっておくわけにいかないのでございまして、この点につきましては、鋭意いろいろな角度から研究をいたしてそれぞれ成果を上げてきておる次第でございます。特に裁判所によりまして保護観察を多くする家裁もございますし、もうほとんど保護観察の処分をしない家裁もあるわけでございます。そのきわめて少数の家裁から送られました事件をあずかっておる保護観察所におきましては、これらの少年についての違反の形体、原因等を調査いたしまして、これに応じて運転技術の再訓練あるいは順法精神の高揚などを行なう、そういったような特殊な保護観察の方法を研究いたしまして、それらの方法に基づいて金沢とかあるいは津等の保護観察所におきましては現に実施をしておるのでございますが、成績はきわめて良好でございまして、観察解除の率も非常に高いのでございます。保護局におきましても、これをさらに全国的に実施したらどうかというようなことを考えて、ただいま保護司の特別研修等も行なって、その方面の施策を拡充して参りたいという考えを持っております。が、さらにそれだけではなくして、昭和三十四年の九月から三十五年にかけまして静岡の少年鑑別所におきましては、交通違反の少年の精神状態、知能の状況等を科学的に調査を行ないまして、その結果をこれは部分的ではございますが、結論を得ておるのでございますが、これらの少年の精神状況におきましては精神病質または精神薄弱者と認められるものはきわめて少ない。まあ四%程度だということでございますが、また、知能は普通あるいは普通に近いものが多いのでありますけれども、複雑緻密な判断に適しないのではないかというような意見がここへ出ておるのであります。このことは非常に重要なことでございまして、私どももこの結論が一地区のできごとでございますので、さらに広い範囲でこの鑑別の結果を総合いたしまして、もしここに出ておるような結論がうなずける、また、一般的に承認される結論でございますならば、この少年に対する免許等の問題につきましても、行政部門に反映いたしまして、その処置を誤らないようにいたして参りたいと思いますし、また、少年院等における訓練等におきましても、まあ交通運転を教えるというような作業もずいぶんやっておるわけでございますが、こういうことがはたしていいかどうかということにもつながる問題でございますので、慎重にただいま検討しておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/93
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094・木村行蔵
○政府委員(木村行蔵君) 時間がありませんので、結論だけ二つばかり申し上げてお答えにいたしたいと思います。
少年の交通違反の関係は、非常に頭の痛い問題でありまして、いるいろ対策を練ってただいま実施しておるものもありますが、二つだけ申し上げたいのは、一つは、旧道交法におきまして、小型自動車は、運転免許年令が十六才でありましたが、十八才にしました。それから第二種の電動機付自転車が十四才でありましたのを十六才に引き上げたのであります。ところが、その後ただいま御案内のとおり、砂利トラック、ダンプカーというような大型の自動車を運転して非常に悪質な違反をいたし、非常に事故を起こしている実例もありますので、これらの面において何らかの形で運転免許年令を引き上げる必要があるのではないかと思いまして、鋭意検討いたしております。できるだけ早く結論を出したいと思いますが、それが一点であります。
それからもう一つは、交通違反をいたしました少年なり、あるいは交通事故を起こしました少年につきまして免許の取り消し、停止という問題につきましてここ両三年前くらいは、比較的若干——必ずしもおとな並みにやってないという面もありましたので、昨年あたりからこの免許の取り消しなり停止についておとな並みというか、あるいはおとなにまさるとも劣らぬぐらい厳重に、これを適正に励行する、こういう点を考えて実施いたしておるような状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/94
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095・小林武治
○委員長(小林武治君) 本件につきましては、本日はこの程度といたします。
次回は二月十三日午前十時から開会いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後一明五十五分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00519620208/95
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