1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月十三日(火曜日)
午前十一時三分開会
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委員の異動
二月八日委員西田隆男君辞任にっき、
その補欠として野上進君を議長におい
て指名した。
二月九日委員天坊裕彦君辞任にっき、
その補欠として小柳牧衞君を議長にお
いて指名した。
本日委員小幡治和君辞任につき、その
補欠として田中啓一君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 小林 武治君
理事
館 哲二君
秋山 長造君
委員
西郷吉之助君
田中 啓一君
鍋島 直紹君
湯澤三千男君
松澤 兼人君
松永 忠二君
杉山 昌作君
国務大臣
自 治 大 臣 安井 謙君
政府委員
自治省行政局長 佐久間 彊君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
説明員
自治省財政局財
政課長 松島 五郎君
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本日の会議に付した案件
○市の合併の特例に関する法律案(内
閣送付、予備審査)
○昭和三十六年度分として交付すべき
地方交付税の総額の特例に関する法
律案(内閣送付、予備審査)
○地方行政の改革に関する調査
(昭和三十七年度地方財政計画に関
する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00619620213/0
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001・小林武治
○委員長(小林武治君) ただいまから委員会を開会いたします。
初めに、委員の異動について御報告いたします。
二月八日付をもって委員西田隆男君が辞任され、その補欠として野上進君が委員に選任され、九日付をもって委員天坊裕彦君が辞任され、その補欠として小柳牧衞君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00619620213/1
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002・小林武治
○委員長(小林武治君) 市の合併の特例に関する法律案、昭和三十六年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案の両案を、便宜一括議題として、提案理由の説明を聴取いたします。安井自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00619620213/2
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003・安井謙
○国務大臣(安井謙君) ただいま議題となりました市の合併の特例に関する法律案につきまして、提案の理由並びにその内容の概要を御説明申し上げます。
社会、経済、文化の発展に伴い、相隣接する数個の市の地域が一つの都市地域を形成しつつある場合におきましては、関係地域の行政を総合的かつ計画的に行ない、地方自治の基盤を強化し、地域住民の福祉を増進するために、関係市の合併をすることが望ましい場合が少なくないのであります。たまたま、北九州五市におきまして合併問題が長い間の懸案でありましたが、今日関係地方公共団体の間において、合併の機運が盛り上がってきましたので、政府としては、その合併が円滑に実現するようにいたしますため、関係法律の特例を定めることが必要であると考えるのであります。なお、他にも同様に数個の市が合併によって都市の経営を合理化しようとする動きも予想されますので、それらの場合にも適用し得るように考慮して、本法律案を提出することにいたしたのであります。
以上が市の合併の特例に関する法律案を提案する理由でありますが、次にこの法律案の内容について、その概要を申し上げます。
第一は、本法律案における関係法律の特例は、三以上の市の区域の全部または二以上の市と一以上の町村の区域の全部をもって新たに市を置こうとする場合に適用になるものとしたのであります。いわゆる対等合併の場合のみを対象としたのでありまして、比較的大きな市に比較的小さな市町村を吸収するいわゆる編入合併の場合は除外することといたしております。
第二は、以上のような市の合併について、町村合併促進法または新市町村建設促進法において認めたとほぼ同様な関係法律の特例を認めるものとしたのであります。ただ、市の合併の特殊性にかんがみ、関係市町村の議会の議員は、合併後二カ年をこえない期間、新都市の議会の議員として引き続き在任することができることといたしておりますことと、衆議院議員の二以上の選挙区にわたって合併が行なわれることとなったときは、当分の間、なお従前の選挙区によるものといたしておりますことが、従前の例とは異なっております。
第三は、合併をしようとする市町村は、関係市町村の議会の議員、長等をもって構成される合併促進協議会を置くものとし、この協議会において都市建設計画を作成せしめることといたしたのであります。都市建設計画は、おおむね新都市の建設の基本方針その他新都市建設の基本的な事項について定めるものといたしたのであります。
第四は、国、都道府県等は、新都市の建設に資するため必要な措置を講ずるように努めなければならないものとしたのであります。
なお、本法律案の有効期間は、その特例法たる性格にかんがみ、十年間とすることといたしたのであります。
以上、提案の理由並びに内容の概要を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
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次に、ただいま議題となりました昭和三十六年度分として交付すべき地方公付税の総額の特例に関する法律案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
政府は、今国会に、第二次の補正予算として総額百二十八億円余の地方交付税の増額を提案いたしましたが、このうち先般の国会において、御議決をいただきました昭和三十六年度分の地方交付税の単位費用の特例に関する法律に基づく本年度分の普通交付税の再算定に伴う普通交付税の追加交付に充てられる額は、二十八億円程度となっております。
現行地方交付税法第六条第二項の規定によりますと、毎年度分として交付すべき交付税の総額は、当該年度における所得税、法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の二十八・五に相当する額の合算額に、当該年度の前年度以前の年度における交付税で、まだ交付していない額を加算し、または前年度以前の年度において交付すべきであった額をこえて交付した額を当該合算額から減額した額とされております。したがって、現行法のもとにおいては、今回の補正予算により増額計上された地方交付税は、本年度分の普通交付税の再算定に伴う追加交付所要額を差し引いた残余の部分も、地方交付税法第六条の三第一項の規定により特別交付税として本年度内に交付されることとなるわけであります。
地方財政の現況は、低位にある行政水準引き上げ等のため、さらに多くの財源を必要としているの、でありますが、本年度はすでに余すところ幾ばくもありませんので、年度内に交付いたします地方交付税額は、普通交付税の再算定に伴う追加交付額及びこれに対応する特別交付税相当額にとどめ、これをこえる額は、地方財政全般を考慮した計画的かつ合理的な財源配分を行なうため、繰り越し、明年度の地方交付税の総額に加算して配分することが、より適当と考えられるのであります。
なお、明年度へ繰り越して配分する額は、本年度分の地方交付税の総額四千七十五億円から、本年度分の各地方団体の普通交付税の合算額三千七百三十八億円及びこれに対応する特別交付税二百三十九億円との合算額三千九百七十七億円を差し引いた九十八億円となるのであります。
以上が昭和三十六年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00619620213/3
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004・小林武治
○委員長(小林武治君) 両案の質疑は後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00619620213/4
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005・小林武治
○委員長(小林武治君) 地方行政の改革に関する調査を議題にいたし、昭和三十七年度地方財政計画について説明を聴取いたします。安井自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00619620213/5
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006・安井謙
○国務大臣(安井謙君) ただいまお手もとに配付いたしました昭和三十七年度地方財政計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。
昭和三十七年度地方財政計画の策定にあたりましては、地方財政の自主性及び健全性を一そう強化することにより、地方財政基盤の充実をはかるとともに、国と同一の基調により財政の弾力的運用に配慮しつつ投資的経費の財源を充実して産業経済、交通の発展に比し立ちおくれた地方行政水準の向上をはかり、かつ、地域格差の是正をはかることを目標としたのであります。
すなわち、計画策定の具体的な方針といたしましては、
第一に、地方財政の一そうの健全化を促進するため、地方交付税の繰入率の引き上げを行なうとともに、国、地方公共団体間の税源再配分を行なって、地方独立財源の強化をはかる反面、国税、地方税を通ずる減税措置の一環として地方税においても負担の軽減合理化をはかることといたしました。
第二に、国民経済の発展に比し立ちおくれを示している産業関連施設、交通施設、文教施設、環境衛生施設等の地方行政施設の整備を促進するため、投資事業にかかる経費の財源を充実するとともに、地方公営企業の拡充を期し、地方債についてもその資金を増額することといたしました。
第三に、地域格差の是正をはかるため、財政力の貧弱な地方公共団体の財源を充実して、その行政水準の向上を期することができるように、地方交付税制度を改正するとともに、辺地にかかる公共的施設の総合的かつ計画的な整備を促進することといたしました。
第四に、地方財政の秩序を確立するため、地方公共団体間の負担関係の適正化及び税外負担の解消の促進を期し、所要の財源措置を講ずることといたしました。
以上のような方針のもとに昭和三十七年度地方財政計画を策定いたしますと、その歳出歳入規模は一兆二千八百五十億円となり、昭和三十七年度地方財政計画に比して、三千七百二十四億円の増加となる見込みであります。
次に、歳出及び歳入のおもな内容について簡単に御説明申し上げます。
第一に歳出について申し上げます。
その一は、給与関係経費であります。
給与費につきましては、(1)地方公務員の給与改定の平年度化に伴う経費、(2)高等学校の教職員の増加等、法律制度の改正等に伴う職員の増加に要する経費を確保するほか、(3)昇給に伴う給与費の増、(4)退職年金制度の改正に伴う共済組合負担金の増等を見込むとともに議員、委員等の給与費の算定方法についても、その適正化をはかることとしたのであります。その結果、前年度に比し千二百十三億円増加し、総額八千四百四十億円と見込まれるのであります。
その二は、給与関係経費を除きました一般の行政事務に要する経費、すなわち一般行政経費であります。この一般行政経費のうち、(一) 国庫補助負担金を伴う経費は、生活保護費、結核予防費、中小企業近代化促進費、農業構造改善事業費等、国庫予算の増加に伴い前年度に比し、四百二十八億円を増加し、総額二千三百十六億円と見込まれるのであります。(二) 国庫補助負担金を伴わない経費は、一般行政事務の増加等の事情を勘案して算定いたしました結果、総額二千二百四十五億円となりました。
また、PTA寄付金等税外負担については、かねてからその解消合理化を促進して参っているところでありますが、明年度はさらに百億円の解消のための財源を計上することによりこれが推進をはかり、もって地方財政の秩序を確立いたしたい所存であります。
その三は、公債費であります。公債費につきましては、昭和三十六年度において将来の財政健全化のために行ないました既発行地方債の一部についての繰り上げ償還は、昭和三十七年度においては、高等学校生徒急増対策事業費の増加等の事情にかんがみ、これを行なわないことといたしました。この結果、公債費の総額は、繰り上げ償還相当額百六十億円の減及びその他の公債費五十三億円の増を差し引きまして、九百五十三億円となりました。
その四は、道路、橋梁、河川その他公共、公用施設の維持補修費であります。これにつきましては、各種公共、公用施設の増加等の事情を考慮して六十億円の増額を行ないました結果、その総額は五百七十四億円となりました。
その五は、投資的経費であります。投資的経費につきましては、産業基盤の充実強化、生活環境施設の整備及び地域格差の是正が強く要請されていることにかんがみ、特にその充実に意を用いたところであります。(一) まず国の直轄事業に伴う地方公共団体の負担金は、前年度に比し六十三億円を増額し、三百五十三億円を計上いたしました。(二) 次に、国庫負担金を伴うものにつきましては、道路整備事業費治山治水事業費、港湾整備事業費、住宅対策費、災害復旧事業費等の増によって、前年度に比し九百五十一億円の増となり、総額は四千七百七十一億円と見込まれるのであります。また、国庫補助金を伴わない地方独自の事業費につきましては、産業経済の発展に比し立ちおくれた道路、港湾等の整備、所得水準の向上に即応した環境衛生施設の整備、地域格差を是正するための辺地にかかる公共的施設の整備等に要する経費を中心として前年度に比し四百六十二億円を増加いたしますとともに、昭和三十八年度から昭和四十年度までの高等学校生待の急増に対処するための経費百三十三億円及び補助を伴わない災害復旧事業にかかる経費の増加八十八億円を見込みました結果、昭和三十七年度の規模は二千八百二十億円となったのであります。
なお、以上のように投資的経費の増額を行ないますとともに、(1)辺地にかかる公共的施設の総合整備を促進するため、別途所要の措置を講ずることとし、(2)また、地方交付税制度を改正し投資的経費の算定方法に改善を加えるとともに、財政力の貧弱な地方団体に対し財源を傾斜的に増額する措置を講ずることといたしたいのであります。
第二は歳入であります。
その一は、地方税収入であります。
地方独立財源の一層の増強をはかるため、国税所得税の一部の道府県民税への移譲、たばこ消費税の税率の引き上げ等国、地方公共団体間の税源再配分を行なうこととするとともに、国税、地方税を通ずる減税の一環として地方税においても住民負担の軽減合理化をはかることとし、住民税においては、低額所得者、事業税においては中小企業者に適用される税率を緩和ないし引き下げ、料理飲食等消費税、電気ガス税等についても大衆負担の軽減を行なうこととしたのであります。
これらの地方税制の改正を考慮して、地方税全体の収入は、前年度に比し、千六百八十九億円の増加となり、総額は九千三百九億円と見込まれるのであります。
その二は、地力譲与税であります。さきに申し上げました国からの税源移譲の措置に対応して、入場税の地方譲与の制度は廃止することといたしておりますが、この減収を考慮して、地方譲与税全体で前年度に比し百十二億円の減少となり、総額は三百十二億円と見込まれるのであります。
その三は、地方交付税であります。臨時地方特別交付金を廃止して、地方交付税の繰入率を二八・九%に引き上げることといたしておりますが、この増収を考慮してその総額は四千五百八十一億円と見込みましたが、このうちには昭和三十六年度国の補正予算で追加となった地方交付税のうち、昭和三十七年度に繰り越すことを予定しております九十九億円を含んでおります。
その四は、国庫支出金であります。国庫支出金は、義務教育職員給与費国庫負担金二百五億円の増、その他の普通補助負担金二百九十六億円の増、公共事業費補助負担金六百七十四億円の増、その他失業対策事業費補助負担金の増を合わせて、全体で前年度に比し千二百十億円増加し、総額六千百八十四億円となっております。
なお、昭和三十六年度より施行されることになりました後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律に基づく昭和三十六年度施行にかかる公共事業の補助事業分にかかる国庫負担金のかさ上げ額は百二億円でありまして、昭和三十七年度施行にかかる直轄事業につきましても、地方負担額は相当の軽減をみることとなっております。
その五は、地方債であります。地方債につきましては、前年度に比し百九億円を増額し、その総額は八百七十九億円としたのであります。このうちには、高校生の急増に対処するための高等学校施設整備事業債五十億円及び辺地にかかる公共的施設の整備のための地方債十億円を含んでおります。
また、明年度における地方債といたしましては、地方財政計画に計上いたしましたもののほか、交通事業、電気事業、水道事業等にかかる公営企業債を前年度に比し百八十六億円増額して九百六十一億円、港湾整備事業、簡易水道、下水道事業等にかかる準公営企業債を前年度に比し百二十四億円増額して四百六十四億円、さらに厚生年金還元融資及び国民年金特別融資にかかる地方債百七十五億円を予定しております。したがって、地方債の総額は二千四百五十億円となり、前年度に比し四百五十億円の増加となっております。
その六は、雑収入であります。手数料、使用料、財産収入等の雑収入につき幸しては、総額を千五百八十五億円と見込みました。
以上が昭和三十七年度地方財政計画の概要であります。これを通観いたしますと、一般財源の順調な増加及び投資的経費の拡充により、歳入においては地方の独立財源である地方税の比重が、歳出においては投資的経費の比重がそれぞれ高まり、地方財政の構造の改善をみているのであります。
この結果、昭和三十七年度においても昭和三十六年度に引き続き、公共投資及び社会保障の拡充並びに文教の充実の要請にこたえるとともに、産業経済の発展及び国民生活の向上に比し著しく立ちおくれている地方行政施設水準の引き上げをはかっていくことができるものと考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00619620213/6
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007・小林武治
○委員長(小林武治君) 引き続き補足説明を聴取いたします。松島財政課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00619620213/7
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008・松島五郎
○説明員(松島五郎君) 補足して御説明を申し上げます。お手元にお配りいたしてございます資料の四ページで御説明いたします。ただいま大臣から御説明を申し上げました事項につきまして、簡単に補足をして御説明申し上げます。
まず、給与関係経費でございますが、増加額は、総額で千二百十三億円の増となっております。そのうち給与費関係では千七十一億円の増加でございます。給与費関係のうちの増額のおもなものは、まず、人事院勧告に基づきます給与改定の実施に要します経費の増加六百七十五億円でございます。昨年十月から実施いたして参りました給与改定の平年度化に要します経費でございまして、給与費全体の増加額千七十一億円のうちの五六%を占めております。
それから人員関係の増では、義務教育職員の標準法に基づきます増が、人員にいたしまして千五百二十人の増でございます。金額にいたしまして六億でございます。これは御承知のとおり、標準法によりまして定員を配置いたします関係の増でございまして、小学校につきましては、生徒の自然減がございますので、若干減っておりますけれども、中学校につきましては、生徒の自然増がございますのでふえております。なお、標準法に基づきます政令は、小学校五十六人を明年度から五十四人に、中学校五十四人を五十二人に改められる予定となっております。
それから法律制度の改正に伴います増員といたしましては、社会教育主事の増が八百十四人ございます。これは昭和三十五年から実施して参っておるわけでございまして、社会教育法の施行令によりまして、年次計画をもって充足をしていくことになっております。昭和三十八年三月三十一日までに、人口一万以上一万五千未満の市には社会教育主事を置かなければならないということになっております分を、この際財源措置をいたそうとするものでございます。それから高等学校関係では、産業教育課程の充実に伴います増員、人員にいたしまして千十六人、金額にいたしまして七億でございます。それから高等学校の標準法と書いてありますが、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律に基づきます定員の増でございまして、人員は三千八百三人を予定いたしております。金額にいたしまして十三億円の増でございます。それから固定資産の評価制度の改正並びに住民税の改正に伴います税務事務の増加に対応いたします増員といたしまして五千二百三十人を予定いたしまして、十八億円を計上いたしております。そのほか選挙関係の事務あるいは研修所関係の職員、それからまた精神薄弱者福祉法の実施に伴います精神薄弱者福祉主事の設置に伴う経費を見込んでございます。それから消防施設費に伴う人員増は、消防ポンプがふえて参りますので、それに対応する所要の人員を置こうとするものでございます。
以上が法令関係等の改正に伴う増員でございますが、その次は昇給に伴う給与費の増、これは従来の計算方法は同様でございまして、一般の昇給に要します経費でございまして、二百二十五億円でございます。
それから臨時職員の定数化に伴います増、国におきましては、今回従来まで定数化をして参りまました臨時職員で残っております者の約八割を定数に繰り入れるという措置がとられることとなりましたので、財政計画上残っております人員の八割、七千九百五人をこの際定数に繰り入れるための財源措置をいたしたいということでございます。
その他の分では議員、特別職の報酬、給与の改定の問題でございますが、最近におきますこれらの給与の実態並びに一般職員のベース・アップの状況等を勘案いたして、三十億円を計上してございます。それから義務教育職員数の指定統計による是正、その次の高等学校等の教員数の指定統計による是正、これはいずれも一応明年度の見込みを立てて、人員並びにその給与費を計上いたすわけでございますが、実際に置かれます数との間に食い違いが起きましたものを毎年修正をいたしております。その分でございます。義務教育関係では四千百八十三人、高等学校等の教職員では一千六百七十七人となっております。それから宿日直手当引き上げに伴う増が、昨年までの地方財政計画上の義務教育職員の宿日直手当の積算軍側は、宿直が二百六円、日直が二百六十五円でございましたが、これを明年度からは三百六十円に引き上げをいたしたいということで計上いたしましたものでございます。それから警察職員休日支給に伴う増は、警察職員は国民の祝日に関する法律によるいわゆる祝日にも正規の勤務時間として勤務することがきめられております関係上、こういうものに祝日給を別途に支給する建前になっております。従来は超過勤務手当や、そういったものから引き当てておったのでございますが、今回これを別ワクといたすことといたしたのでございます。それから義務教育職員の退職手当計上額の増は、実績を基礎といたしまして退職手当の増額をはかろうとするものでございます。それから補助職員の振りかえに伴う増は、北海道開拓関係の職員の補助職員を県費支弁職員に振りかえようとするものでございます。
以上申し上げましたものが給与関係のおもな事項でございます。
なお、あちらこちらとびとびになって御説明申し上げましたが、このうち高等学校の職員増は三カ所出て参っております。産業教育関係の充実に伴います増、それから指定統計によります是正、標準法の実施に伴います増、合わせまして六千六十三名の増となっております。
その次は恩給、退隠料及び退職年金でございまして、総額では百四十二億円の増となっております。この恩給制度を十月一日から共済組合方式によります退職年金制度に移行させるということを前提といたしまして計算をいたしたのでございまして、まず、従来の恩給関係の系統に属しますものとしましては、自然増が三十一億円ございます。しかし、十月一日から年金制度に移行いたしますと、一時恩給がそれ以後支払う必要がなくなりますので、その減が十三億円ございます。なお町村職員につきましては、御承知のとおり恩給組合がありまして、これに対しましては財源措置としましては、負担金方式をとっておりますので、その分を見ておりますが、これが共済のほうに移りますので、その不用額が二十二億円ということになります。差引いたしまして、現在の恩給制度の面においては五億円の減ということでございます。
新しい退職年金制度実施に伴います増は百四十七億円でございまして、そのうち年金制度そのものについて必要なる経費は、共済組合負担金の増、百二十二億円でございます。なお共済組合制度の発足に伴いまして退職手当率が引き上げられることになりますので、その増が二十五億円ございます。カッコして一二・五%と書いてございますのは誤まりでございまして、二五%の半年分でございます。
次には一般行政経費でございまして、一般行政経費のうち、国庫補助負担金を伴いますものの増は、四百二十八億円ということになっております。この増加のうちのおもなものは、ここに掲げてございますように、主として社会保障関係経費と申しますか、社会福祉関係経費の増加でございます。生活保護費で七十五億円、結核医療費で八十八億円、児童保護費で四十三億円、精神衛生費で五十三億円というような工合に、こういった経費が相当増加をいたしております。
国庫補助負担金を伴わない経費の増は、三百七十四億円ございまして、これは一般行政事務費の増加を勘案いたしまして計上いたしてございます。なお、税外負担の解消に要する経費として、今回さらに百億円の財源措置をいたすことといたしたのであります。昭和三十五年度に九十億円の措置をいたしましたが、その分はすでにそれぞれ物件費なり一般行政事務費の増加となって、今御説明申し上げました国庫補助負担金を伴わない経費の中に吸収されておりますので、今回さらに百億円の増加をはかるということで、結局百九十億円となるわけであります。
公債費の百七億円の減、これは先ほど大臣が説明申し上げましたように、繰り上げ償還相当額百六十億円、その他の償還費五十二億円の増の差引でございます。
維持補修費は、一般施設費の増加状況を勘案いたしまして、六十億円増を計上いたしてございます。
投資的経費である直轄事業の負担金が六十三億円の増でございまして、このうち道路整備関係の負担金増が三十一億でございますので、増加額の半分は、道路関係経費であるということになるわけであります。
それから国庫補助負担金を伴う増が九百五十一億円でございまして、そのうち、いわゆる普通の公共事業の増が六百二十四億円の増でございます。この普通公共事業のうちでも、道路整備関係の二百三十五億円、治山治水関係の百四十三億円の増加が大きな増加となっております。この両者を合わせますと、増加額の六割余になるだろうと思います。
それから後進地域の地方団体に対する国庫負担かさ上げ額百二億円を掲げまましたのは、この分だけ国庫補助金が増額に相なりますので、それだけ地方負担の分が軽減されるという趣旨で掲げたものでございます。これは先ほども申し上げました後進地域の開発に関する公共聖業の負担割合の特例に関する法律によりまして、後進地域の地方公共団体の行ないます公共事業に対する国庫負担のかさ上げが行なわれます分でございまして、ここに掲げました百二億円の額は、補助事業に対します分でございます。このほかに直轄事業に対します分があるわけでございますが、これは毎年度その年度の負担金から概算額で差引してございますので、それだけ地方負担が軽減された形でもって財政計画には載ってきておる、こういうことでございます。三十六年度の事業についての直轄事業の負担金は、まだはっきりした数字の計算ができておりませけれども、大体七十億円程度と見込まれております。したがいまして、この法律によります。地方負担の軽減額は、両者合わせまして三十六年度分としては、百七十億円程度に上るものと考えられるわけであります。
災害復旧事業費の増が二百七十九億でございますが、これは昭和三十六年災害が非常に巨額なものとなりました関係で、その第二年であります昭和三十七年度における復旧費が大きくなったのであります。
失業対策事業の増は四十八億円でございまして、そのうち一般失対の増加が大部分でございますが、これは労務費の単価引き上げ等に伴います増でございます。
それから国庫補助負担を伴わないいわゆる単独事業の増加は六百八十三億円でございます。そのうち普通の建設事業、一般単独事業が五百九十五億円の増となっております。そのうち「一般的増」と書いてありますのは、従来の系統に属します単独事業の増加でございまして、四百六十二億円の増は、公共事業の増加率三三・二%でございます。それを目安といたしまして、二三%の増を見込んでおります。
そのほかに高等学校急増対策費といたしまして百三十三億円の増加を見込んでおります。高等学校急増対策費として昭和三十七年度分と予定されております額は百五十四億円でございますが、そのうち三十一億円は産業教育施設設備にかかる分でございまして、それぞれこの計画では国庫補助負担金を伴うものの欄に計上してございますので、その三十一億円を控除いたしました百二十三億円と、私立学校に対します助成十億円を加えまして百三十三億円の増を見込んだものでございます。
それから災害復旧事業費の増は、公共災害復旧事業費の増加に対応する地方単独災害復旧事業費の増加を見込んだものでございます。
それから地方交付税の不交付団体における平均水準をこえる必要経費は、いわゆる財源超過団体における行政水準の向上に要します経費でございます。
以上、申し上げましたとおりの増加額で、合計三千七百二十四億円の増と相成っておりまして、その増加率は前年度計画に対しまして一九・五%でございます。
なお、国の予算規模は、前年度当初予算に比較いたしまして二四.三%の増となっておりますので、増加率では国の予算をかなり下回ったものとなっております。
次に、歳入について申し上げます。
まず、地方税につきましては、法による増収見込額が千七百十億円と予定をされております。これに対して税法の改正によって、減税を行ないます減税分の減収額が二百七十三億円でございます。
また、いわゆる税源配分によりまして、所得税の一部を道府県民税へ移譲する分及びたばこ消費税率の二%引き上げによります増収見込額が二百五十二億円ございます。これらを差し引きいたしまして、来年度の自然地方税の増収額は千六百八十九億円と見込まれます。
地方譲与税は、入場譲与税制度を廃止しますのに伴いまして、前年度計画に対しましては百六十二億円の減となります。一方地方道路譲与税が四十九億円、特別とん譲与税が一億円の増額となりますので、差し引きいたしまして百十二億円の減となります。
地方交付税は、交付税率を二八・五%から二八・九%に引き上げますとともに、臨時地方特別交付金を廃止することといたしまして、来年度国税収入見込額並びに前々年度の精算額等を差し引きいたしました増減が八百八億の増となっております。
なお、臨時地方特別交付金を廃止することといたしておりますけれども、「(その欄に臨時地方特別交付金を含む)」と書いてございますのは、前年度以前の分の精算分、昭和三十七年度で申しますと、昭和三十五年度の精算分が一億八千三百万円含まれておりますので、念のためにそういうふうに書いたわけでございます。
国庫支出金の増は千百十億円でございまして、そのおもなものは、義務教育職員給与費国庫負担金の増、一般行政経費に対します負担金の増、公共事業に対します負担金の増等でございます。
地方債の増は、一般会計分では百九億円でございます。地方債全体といたしましては、先ほども申し上げましたように四百五十億円の増でございますが、そのうち一般会計に属します分は、一般会計債と直轄事業債と特別地方債のうちの一部でございまして、この増減は差し引きまして百九億円の増となっております。
次に、雑収入は、一般的な自然増としては六十億円で、前年度とほぼ同額を見込んだわけでございますけれども、一方、退職年金制度の実施に伴いまして、恩給納付金が減となりますので、差し引きいたしまして二十億円の増ということになります。この結果、歳入増加額は三千七百二十四億円となるわけでございます。
以上のような増減内訳を持ちます明年度の地方財政計画の歳入歳出の構成がどういうふうになるかというのが、六ページに掲げてございますが、ごらんいただきますように、地方税の歳入におきましては、地方税の構成比率が四〇%から四一%に上がっております。今回の税制改正、予定しております税制改正によりまして、地方税の増加がはかられる結果、地方独立財源の増加が大きく掲げられてくるということであろうと思います。
なお、御参考のために、昭和三十年度地方財政が非常に困窮をいたしておりました昭和三十年ころの地方財政計画におきます構成比率と、今日の状態とがどうなっておるかということを申し上げたいと思います。
昭和三十年の地方財政計画におきます地方税の構成比率は三六%でございます。したがいまして、三十七年に比べますと五%も低かったということになろうと思います。また、同じ年度におきます地方交付税の構成比率は一六%でございます。今日に比べまして約四%比率が低かったということでございます。逆に、地方債の構成比率が八%でございまして、今日よりも四%高かったのでございます。これを見ましても、昭和三十年から今日に至るまでの間に、地方の一般財源の構成比率といいますかは、非常に高まってきているということと同時に、地方債——借金——に依存します部分の比率が非常に下がってきているということが言えるものと考えられるわけでございます。
次に、歳出の構成比率では、給与関係経費が前年度三八%に対して三七%に落ち、また、公債費の関係では五%から四%に下がる。投資的経費では三三%から三五%に上がっております。義務的な経費の比率がどちらかといえば下がって参りまして、投資的経費の比率が上がってきたということになるわけでございまして、ある意味においては、地方財政がそれだけ弾力性が歳出の面では増しておるということが言えようかと思います。
なお、三十年当時の構成比率を申しますと、給与関係経費が四〇%でございます。投資的経費は、維持補修費を含めまして二八%でございます。これによりましても、同じような傾向が今日まで現われてきているということは言えるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00619620213/8
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009・秋山長造
○秋山長造君 三十年度の公債費の比率は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00619620213/9
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010・松島五郎
○説明員(松島五郎君) 五%でございます。
はなはだ要領を得ない説明でございますが、これで補足説明を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00619620213/10
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011・小林武治
○委員長(小林武治君) 何か御質問ございますか。——それでは質疑は後日に譲ることとし、次回は二月十五日午前十時開会。
本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X00619620213/11
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