1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月二十日(火曜日)
午前十時二十七分開会
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委員の異動
三月十九日委員笹森順造君辞任につ
き、その補欠として小幡治和君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 小林 武治君
理事
野上 元君
増原 恵吉君
秋山 長造君
基 政七君
委員
小柳 牧衞君
西郷吉之助君
館 哲二君
津島 壽一君
鍋島 直紹君
矢嶋 三義君
杉山 昌作君
国務大臣
自 治 大 臣 安井 謙君
政府委員
自治省行政局長 佐久間 彊君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
説明員
郵政省郵務局次
長 曾山 克巳君
自治大臣官房調
査官 大塚 惟謙君
参考人
板橋郵便局第一
集配課長代理 森田 豊君
東京新聞記事審
査委員長 児島 宋吉君
町名地番制度審
議会委員 戸塚 文子君
東京都立大学教
授 磯村 英一君
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本日の会議に付した案件
○住居表示に関する法律案(内閣提
出)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/0
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001・小林武治
○委員長(小林武治君) ただいまから委員会を開会いたします。
初めに、委員の異動について御報告いたします。
三月十九日付をもって委員笹森順造君が辞任され、その補欠として小幡治和君が委員に選任されました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/1
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002・小林武治
○委員長(小林武治君) 住居表示に関する法律案を議題といたします。
本日は、お手元にお配りいたしてございますとおり、四人の方々に参考人として御出席いただいておりますので、これより本法律案について御意見を承りたいと存じます。
参考人の方々に一言御あいさつ申し上げます。本日は、御多用中のところわざわざ当委員会のため御出席下さいまして、まことにありがとうございます。当委員会におきましては、第三十三回国会当時、すでに、わが国における町名地番の混乱錯雑が、社会生活、行政あるいは公益事業の実施等に多大の不利不便をもたらしておる実情にかんがみ、昭和三十四年十二月十五日の委員会において、政府に対し、町名地番の整理改善についてすみやかに所要の措置を講ずべき旨の決議を全会一致をもって行なっているのであります。今回ようやく本法律案の提出を見るに至ったのでありまするが、この際、御出席の皆様から忌憚のない御意見を拝聴いたし、さらに当初の目的に万全を期して参りたいと存じますので、何とぞよろしく御協力のほどをお願いいたします。
これより御意見をお述べ願うわけでありますが、順序といたしまして、まず、お一人約十五分程度で御意見をお述べ願いまして、後刻さらに委員の質疑にお答えいただくこととして進めたいと存じます。
それではまず、森田参考人からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/2
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003・森田豊
○参考人(森田豊君) 議員の皆様、どうも毎日御苦労様であります。
私、きょう住居表示に関する法律案ということでここに参上いたすことになったのでありますが、日常皆様方におかれましては、日夜努力し、よりいい地番の改正ということについて勉強なさっておることと思います。したがって、私ども現場に携わる者といたしまして、本法律案につきましては、全面的に賛成するものであります。したがって、私から申し上げることは、今度の町名地番の改正におかれまして一番重要なことであり、かつ、徹底しなければならないところの地番の変更、これはすでに私ども板橋区内におきましては、昭和三十五年から四十三年に至って、全面的に地番の変更を行なっております。したがって、私どもの区内としては、大体九分九厘完成を見ております。にもかかわらず、今度の法律案によりまして、さらに戸番制度をもちまして改正される。しかも、街区方式によってこれをやっていくということについては、私たち日常念願しておるものであります。このことについては、よりいいことでございまするので、今後さらに進めていただきまして、よりいい町とよりいい地番、よりいい町名を改正していただきたい、このように考えております。
それからもう一点は、地番の改正に伴いまして一番問題になるのは、周知の内容でございます。この周知についてはなかなか思うようにいきません。当区内といたしましても、今度の地番改正によりまして、いろいろと区民の方に御協力を願っておるわけですが、区民の中には、これら地番の改正に伴って何か自分の町にそぐうような、また、よりいい簡明な町名というのですか、そういったものにこだわり過ぎているのじゃないか、このことが一点あるわけです。それについては、私ども郵政事業の一環として、なるべく区民の方にも協力を願う。さらに番地についても、わかりやすい、しかも簡単な、そして町名についても類似点を避けるように協力願っておるわけですが、この点についてもなかなか思うようにいきません。こういった町名と地番の改正に伴って、よりよき周知を徹底していただきたい、このことを申し上げたいと思います。
それから、現に私どもの土地では地番が改正されておりますが、その地番をさらに改正していくということになりますと、勢い二回にわたって区民に迷惑をかけるのですが、このことについて、やはり私たちの事業を推進していく上に立っては、もう少しわかりやすい、しかも、住居番号をつける際についても、国有地であるとか、あるいは私有地であるとかいうような形で飛び飛びの番地が入っております。番地のない番地、それからさらに大きい番地については、一番から七千番に至るような番地がございます。これらについて、なるべく少なく、しかも、より簡単にわかるような番地ということで、今度改正になった地域については、一番から百番程度でとめてあります。これにつきましても問題が入ってきます。ということは、一番から百番までであって、あとはほとんど板橋区内について、どの町名、区あるいは町ということについて、町名の中に同じ番地が出てくるということになります。したがって、これらについても若干改正していただきたいということは、町名をつける際に、やはり町名はあくまでも類似をしないように、類似を避けてやっていただきたい。これを私ども念願するのですが、そのことについてもひとつ御協力を願って、さらに区民の方にも周知をし、また、私どもといたしましても、さらに、このことが決定されると同時に、私たちも真剣にこの問題については取り組んでいきたい、このように考えております。
それからもう一点は、住宅街における看板の表示でございます。これについては、一般住宅は問題はございません。ところが、商店街においては、ほとんど商店街の看板と表札がまちまちでございます。そこで、どうしても私たちの事業に立って考えると、何とか看板に住居表示をしていただきたい。ということは、新規採用者のごときは、全然番地をたよりにしてやります。ほとんど個人々々の氏名、こういうことでは私ども郵便の使命はできかねますが、できるだけ番地に即応し、番地によってその家を覚えていく、こういうような形になっておりますので、どうしても番地だけが私たちの生命になるわけであります。したがって、その番地の表示についても、商店街の看板に、よく電話番号が皆さん書いてありますが、何々商店電話何番と、こういうふうに書いてあります。この下につけ加えて、新しくきまりました地番、それからさらに住居番号、こういうことについては、入れていただくよう、このことについても周知徹底をはかっていきたい、このように考えております。
以上、簡単でありますが、四点申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/3
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004・小林武治
○委員長(小林武治君) 次に、児島参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/4
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005・児島宋吉
○参考人(児島宋吉君) 私は別に専門的に研究をしたわけではございませんので、新聞人としての立場から一応この法案を読んで、また、皆さんの御審議の状況を漏れ聞いて考えますに、街面方式と、それから道路方式と両方を併用されているということ、これは確かに実際的で、わが国の国情に合っていると思いますので、この構想自体については賛成でございます。ただし、街区方式というのは、一定の土地の広がりを持った地点にそれをつけるということになりますと、本質的には地番とまあ観念が変わらないようなところもあると思うのであります。したがって、この点につきましては、理想と申しますか、あるひとつの徹底した理想からいきますと、多少疑問の余地があるかに思うのですけれども、現状に即した考え方、実際的な方法として考えれば、私は、これはこれでけっこうだと思います。
これから私ちょっと申し上げたいと思うことは、あまりさまつな末梢的な問題になると思いますが、あるいは法案自身の問題よりも、今後の運営ということに関連する問題になるかと思いますが、たとえば街画の呼称、たとえば街画をきめてその街画に名前をつける、符号をつけるというときに、数字でやるという考え方、あるいはアイウエオという五十音式ということもありますが、数字でやるときには、私は多少混乱が起きやしないかと思うのであります。この五十音ということのほうもいいと思うのです。それではアイウエオで全部いいかというと、「ア」という字と「オ」という字の書き方いかんによっては、まぎらわしいということになりますので、やはり一つ飛び越えてABCDE、こういうふうにするか、あるいは多少複雑になっても、これに東西南北を加えるとか、あるいは、ときによっては、実情に即した固有名詞を使うということも加味したらどうか、こういうふうに思うのであります。こういう呼称の問題につきましては、いろいろ道路名のほうにも関連してくるのでありますが、今、東京都で通称道路名を作っておりますが、こういったような通称道路名との関係がどうなっているかということもあるのであります。法律上あるいは行政上きわめていっても、その地元の所では、そういう通称名が普及いたしますというと、ちょっとそこが混同してくる、あるいは類似のものがあちこちできるということで、この点は行政指導上非常によく研究しなければならない問題じゃないか。
もう一つは、区面割りをする場合に、何を標準にして区画割りをするか。大体相当動かないような境界線というようなものを考えておやりになるでしょうが、この前の答申案なんかを見てみますと、何かへいみたいの所でもかまわないようなことを言っていますが、へいというのは、口で言って観念的に非常にわかりやすいようですけれども、実際になってみるというと、なかなか困難な場所があるのじゃないか。こういうふうに区画割りについての実際上の問題は、現地について考えていくというと、必ずしもそういったような簡単なものでない、こう思いますので、これもたいへん御苦労なさらなければいけないことではないか、こう思うのです。
それで、そのほか区域を合理化するという問題につきまして、町会なんかの非常な反対があったり、入り組んだややこしい区画線をすっきりさすという場合に、町会の抵抗があったり、いろんなことがあると思いますが、これは行政力の強化、指導ということを非常に行なわないというとできないのじゃないか。これと関連しまして、少し枝葉になりますけれども、学校の学区という問題も出てきますし、これはなかなか広範に国民生活に関連する問題もありますので、この点についても御留意を願いたい。先ほど申しました町会の抵抗ですが、いわば愛町心といいますか、そういう郷土愛的の感覚は、これは必ずしも悪いことではないのであって、たとえば氏神さんがどっちだとか、おみこしはどっちの町会がかつぐのかといった問題も出てきますし、これはよくある時間をかけてやっていくのですが、こういう、先ほど申されたような看板の問題とか、それから商店街からちらしを配るとか、そういうような問題についても、相当町会側の抵抗があるから、それをよほど事前によく相談するとか説明するとか、そういう啓蒙指導ということが相当必要でないかと思います。この啓蒙指導につきましては、おとなの人よりもむしろ小学校の子供なんかのほうから、十年くらいかかって習熟さすという考え方のほうがいいのじゃないかと思うので、できればそういう教育面から入っていって、今のおとなを問題にしないというとちょっと失敬ですけれども、多少次の世代の人を相手に教え込んでいくということがいいんじゃないか、こう思います。これは行政というよりもむしろ教育的指導という面にひとつお考えになったらどうか、こう思います。
それから日本の家屋は木造ですから、簡単に改築、増築、それから燃えてなくなってしまうというようなことで、もちろん欠番も出てくるわけですが、こういったような割合に短い期間に変化のしやすいということにつきましては、掲示板の整備をよくしないというと、ちょっと一年前、二年前のやつがそのままになっていると、すっかり当てがはずれてしまうということがありますから、これは掲示板の整備ということと関連しましてよく御研究願いたい、そういうふうに思うのです。
それで、これはよけいのことをたくさん申し上げるようですが、標識とか掲示板というものの中に広告を入れるというようなことは、あまりやっては困るではないか。そうかといって、これは費用の問題から、ある程度スポンサーを、歓迎でなくても容認するということになれば、それでいけると思いますけれども、この規格の統一ということが非常に必要であって、あまりいろんなスポンサーのほうが大きくて、肝心の図示されていることのほうが小さいようなことでは困る。しかし、広告媒体としてねらってくるスポンサーをある程度有効に使うという考え方のほうが、かえって周知徹底するチャンスが多いのじゃないか、こう思います。その点はいろいろ規則の上でむずかしい点があるでしょうけれども、ある程度のゆとりを与えていったほうがいいんじゃないか、そう思います。
それから、これはちょっと本論を逸脱するかもしれませんが、住居の番号を日本字で書くか、算用数字で書くかという問題があるわけです。たとえば、私の番地は百十二番ですが、一一二と書くと、配達の方が、書き方が下手だと十三番と読んでしまったり、二十二と読んでしまったり、これは非常に混同する実際があるのですが、この場合に、私は自分の癖として112と横に数字で書くのですね、このほうがかえって現在の生活に合っているのです。むしろ私は横数字、算用数字というものをもう少し考えてみたらどうか。算用数字といいますか、そういうアラビア数字とか、そういうものを考えていくというと、むしろアルファベットのABCDも使ってもいいのではないか、こういうふうに考えまして、将来外国から来る人、世界の日本としての立場からいえば、場合によったら少し飛躍してもいいのじゃないか、こう思うのです。これはどういう規定にひっかかるかわかりませんが、そういうやり方もかまわないというふうな考え方になったほうがいいのではないかと思います。ただし、そのことは、ほんとうは新聞では困るのです。というのは、新聞は縦でもって、大体御存じのような活字の組み方をしているわけですから、横に書くというとちょっと困るのですが、これは新聞としてはまた別の技術士の問題として研究、解決すべきであって、むしろそういうことよりも一般の人の便利のほうを私は優先して考えたほうがいい。新聞は多少困ってもやってもいいのじゃないか、こういうふうな考えを個人として持っているわけです。
それから全体の法案を見て結論的に申し上げますというと、何かどこかに、法案全体にみなぎっているといいますか、空気といいますか、それを直感した点を申し上げますと、義務規定と努力規定と申しますか、それがうまく配置されているのですが、確かにこれは言論表現の自由といったようなものの関係から、あまりしいないという点のところには、必ず努力するとは書いてあるのですが、これはある程度もうちょっと強化していいのではないか。これは一種の社会立法という立場から見まして、ある程度強制的なものがもうちょっとあってもいいのではないか。義務というものは、確かに表札の書きかえぐらいのところがある程度でありますが、これはアメリカなんかの例を、さっき資料をちょっと拝見しましたら、かなり強い強制的な面も出ておる州もあるわけですから、できればこの点あまり遠慮しなくてもいいのではないか。言論表現の自由にひっかかるという、そういうかたい問題ではないのではないか。むしろ社会生活としては、この程度のことはもうちょっと義務づけてもいいのではないかという印象を持ったわけです。
そのほかもう一点申し上げることは、不動産登記制度という面から見た地番という従来どおりのやり方、これは言いかえると、今度の妥協産物として生まれた二方式併用、それから住居番号、こういうことでいきますと、不動産登記制度という従来の制度というものを温存していくのですから、並行して二ついく、こういう形になるわけですが、かりに今の住居番号の何々方式による住居番号ということを押し通していくとするならば、また相当の経費もかけて永久的にこれを制度化していこうとするならば、かえってこの不動産登記制度というものも、いつかはそこへ吸収されていくという考え方に立って考えなければ、これは何か一貫していないと、こう感じられるわけです。その場合のことを考えまして、万一住居の表示の対象にのっかっている土地が、偶然にもそれが一致しているような場合ですね、もちろん家はきっちり建ててありませんですから、幾らか少ない場所に建っているわけですけれども、その物件の所在地がはっきりそのものずばっとぴたっと合っているような所が間々あるとするならば、これはすぐそのまま切りかえていくということにすれば、全面的に、観念的に、法務省あたりで言っているような問題と摩擦しないでその点は調節、解決していくのではないか。だから、そういう面がもしもあるとするならば、これはいいほうに早目にどんどん、別個にではなくても、適当に登記関係も変えていくといったようなことの便法が何かありはしないかと、こう考えます。
それからもう一つ、これは私、あまり法案そのものを勉強しないので愚問になるかもしれませんが、よくこの「本籍」という言葉がありますが、本籍と現住所というものは二通りになると困るじゃないか。困るというわけじゃないが、これは煩瑣になるのじゃないか。その点についても、よく履歴書やその他に書きます本籍というもの、これはどうなるか。戸籍簿というものについては、地方官庁のほうで強制的にそうするということがどこにも出ていませんので、この点疑問になっておるのですが、もしもその点があいまいであったら、もう少し明確にされたい、こう思います。
そてのほか附則の二号のところにあるのですが、これは八ページの附則の二項の終わりのととろですが、「従前のならわしによる住居表示が住民の日常生活に著しい不便を与えている地域から順次実施するものとする。」、こういうふうに非常に困っているところからやっていくんだというこの趣旨は、非常に大切であって私はいいと思うのですが、これは特別にこういうことを書かなければならぬものですか。こう思うのです。これは言いかえれば、不便であろうがなかろうがむしろ楽にいって、やりやすい面も出てくるのじゃないか、こう思うのです。これはあまりこういうことを親切に書き過ぎることは、かえって何かむずかしい、ごねているところということのほうがあと回しと、こういう印象を与えますので、できればすっきりさしたほうがいいんじゃないかという私の印象でございます。
まあそのほかいろいろございますけれども、立ったついでに申し上げるというと、これはこの地方行政委員会の問題でありませんかもしれませんが、はがきにむしろ何県何郡何町と、それから一つの空欄を置いて何番といったようなものを初めから印刷してしまって、空欄を設けてそこへみんなペンで書き込むというふうな癖をつければ、多少今までのアドレスを書く習慣がだんだん訓練されていくんじゃないか。あまりこれを文章で言ったり、口で言ったりすることよりも、実際にはめていくことのほうがいいんじゃないかと思うのです。これはあまり強制すると言論の自由、憲法の問題に触れるという考えがおありになり過ぎては、かえって社会立法といいますか、社会制度を向上させ、発展させることについて、あまりよけいな心配になりはせぬか、こう思うので、つけ加えて申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/5
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006・小林武治
○委員長(小林武治君) ありがとうございました。
次に、戸塚参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/6
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007・戸塚文子
○参考人(戸塚文子君) 私は、今までの自分の仕事の関係上、三十年近く日本国内、外国を旅行したり、また、番地だけで家をたずねなければならなかったことが非常に多いのでございますが、日本の中では、大都会で番地だけでもって家がすっきりわかるということはほとんどございませんで、大体において、まず交番で聞く、それからお店で聞くというように聞きまくらないと家がたずねられない。それが外国へ参りましたら、地図と番地があると、だれにも聞かないでさっと目的の建物にほとんど迷わず行かれる、それが大都分がアメリカとヨーロッパの文明国だったものでございますから。何とか日本の都市の場合も、それからいなかの場合もそうでございますが、番地とか、そういう住居の符号をすっきりさせたいということを念願しておりました。柄になく初めて政府の審議会の委員なんかをお引き受けしましたのも、実は何とかこれを解決したいという気持が非常に一生かけて強かったものでございますから、やったわけでございますが、それがこうして法律案になりましたことをまず第一に喜びたいし、ぜひこれを実現さしていただきたいと強く願っているものでございます。
これを拝見いたしまして、私がしろうと考えで非常に心配に思うのは、今御指摘のございましたような、従前のならわしによる住居表示が著しく、不便を与えているところから順番というのじゃなくて、ことに標識に関しましては、番地が、番地と申しますか、住居の符号あるいは数字、ナンバーといったほうがいいかもしれません。それが一二三四と順序よく並んでいる所でさえも、表示、標識のたぐいがないために、どうしても交番で聞いたり、どこかで聞かなければならない。現実問題を例にとりますと、私が住んでおります東京都の北区上中里という所は、昔は非常に飛び番地で、八十八番地の隣が二番地だったり、そのまた隣が六十何番地というような、非常に混乱した地帯でございましたけれども、それを整理しまして一丁目、二丁目という丁目もつき、番地も――番地と言っておりますが、家のあれを表わす数字もちゃんと一二三四五六と順番についたんですけれども、標識、表示のたぐいがないために、やっぱり私の家へよその方がおいでになるときには、まず、もよりの大きな目標である国電の駅の名前を言って、そこから右へ曲がり、ロータリーがあってどうこう、かどの酒屋さんから何軒目というような表現を長々と電話で、相手が勘の悪い人ですと七分ぐらいかかることがあります。非常に勘のいい人でも二分はかかります。そういうむだなことをして、しかも、それでいらっしゃった方が、いや、探しましたとか、迷いましたとかおっしゃって、何時何分に来るという時間にしばしばおくれてとられる。これはほんのささいな例でございますけれども、地番の整理が幾らうまくできても、つまり一二三四と順番に家なり建物なりが並んでも、標識、表示、ここは何町である、ここの家は戸番が何番であるといったようなナンバーがつきませんと、あるいは町の名前を書いたしるしがございませんと、そこが何町か、あるいは何番か全然見当がつかない。やっぱりおまわりさんの御厄介になり、あるいはその辺の商店の、なるべく古そうなお店の御厄介にならなければならない。おまわりさんも忙しい時代でございますから、あまり住所のガイドばかりやっていただくことは能率も悪くなるし、古いお店も滅っていくおりでございますので、やっぱりここで合理化していただきたい。それについてはなるべく早いほうがよろしいのでございまして、困っている所からと言うんではなくて、少なくも標識、表示については、もう地番だとか、そういうナンバーの整理の済んだ所も、あるいは戦前から一二三四五六がうまく並んでいる所も、標識、表示だけはできるだけ早く出すように義務づけて下さらないと、いろんな意味で、いろいろな人が時間のむだ、それから労力のむだ、これは聞く人だけではございませんで、聞かれるほうにもむだでございます。お店の人ならば、何かしかかっている、包装なら包装をしかかっている、電話を半分しかかっていても、人に道を聞かれるばかりに、ときどきは手をふきふき出てこなければならないというような状態が、日本じゅうの町で毎日繰り返されております。それでこの時期をなるべく早くできるように計らっていただきたい。
私、この法律案からはうかがい知ることができなかったのでございますけれども、表示をするものが、恒久的にできるように、これでわかるかどうかですね。雨風にさらされてすぐ番号が見えなくなる、あるいはちゃちなものであって、ちょっと何かがぶつかったらぶつ倒れてしまう、すぐはげ落ちる、取れてしまう、抜け落ちるというんでは工合が悪いと思う。その方法なんかはどういうふうにしてなさるのか。なさっていただくならできるだけ、鉄筋ビルでしたら、たとえばしんちゅうの板をはめ込んで、少なくも半世紀ぐらいは、その建物の耐用年数といいますか、建物がもっている間だけはその表示がこわれない、あるいは読み取りにくくならないというような方法をとってほしい。外国の例を見ますと、大体鉄筋コンクリートとか、石とか、ああいう耐火恒久建築ですと、しんちゅうの板だとか、プレートのようなものをはめ込んで、ほんとうに丈夫で長持ちするものになっておりますし、それから一つ一つの建物に付されましたナンバーの場合は、たとえば建物の入口の何といいますか、表面の所に、その数字を表わす大きなナンバーがやっぱり金属で埋め込んである。あるいはガラスのドアですと、金文字で非常に大きく書いてある。心配なのは表示類、道路標識なんかもふえますおりから、それと両方混乱して見にくくなったりしないかということでございまして、できるだけ町名を表わす文字、それから地番なら地番を表わすナンバーは、大きくありたい。そして様式を全国的に統一していただきたい。ある町はこういうスタイルの数字だけれども、よその町へ行くとまた数字が違うというのじゃなくて、全国的に統一してほしいし、もし表札とか、その他個人がそれを負担して買うのであれば、全国的な大きな規模でマスプロして、大量生産をして安く買えるようにしていただきたいし、もちろん市町村がある予算の中からそれを出すのでしたら、これもまた安くあってほしいから、様式を一定の形式にして大量生産して安く作れることも考えていただきたい。そういうこまかいことでございますけれども、そういう点について御配慮をいただいてあるのかどうか。そんなこまかいことは、この法律では関与しないのかどうか、そういうこともお伺いをしたいと思います。私などが申すまでもなく、国会議員さんの方はたくさん外国旅行をなさっておるようでございますから、外国の例などもたくさん見ていらっしゃると思うのでございますけれども、旅行者と限らず、町の番号とその表示がたいへんはっきりしておりますということは、これは集金の人だとか郵便関係、人を訪問する一般の人その他にとりまして非常に大切なことですから、ぜひこれを、この法案を通していただくように努力してほしい。これが私の願いです。
それからなお、たくさん町を見ておりますから、もしどこのはどうなっているのかというふうな御質問がございましたら、それについていつでもお答えする用意がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/7
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008・小林武治
○委員長(小林武治君) ありがとうございました。
磯村さんは少しおくれますので、その間に、ただいままでの御意見に対して、御質疑のある方は御発言願います。
なお、児島さん、戸塚さんから疑問の点をいただいておりますが、これらについて、政府委員の方がお答えになるなら御発言を願いたいと思います。何か、今の表示関係のこともちょっとおっしゃいましたが、それらの点について、所管官庁のほうでお考えになっていることがあったらお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/8
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009・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) ただいまお尋ねのございました表示板についてのいろいろな御注意でございますが、一々ごもっともなことだと伺っておりまして、これらの点につきましては、役人だけでものを考えますよりも、各方面の方々のお知恵を拝借したほうがいいかと存じますので、この法律案に作るようにいたしております住居表示審議会で御検討を願って、そのお答えをいただいた上で実施をするようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/9
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010・小林武治
○委員長(小林武治君) もう一つ、市中に出ている掲示板のことも今ちょっとお話がありましたが、あれはどこでやっているのか、その点おわかりですか。住所の掲示板がよく町かどなんかに出ているのがありますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/10
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011・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 今の扱いは、屋外広告物法に基づきまして、各市町村で条例を作っておりまして、その条例の中でほかの広告物等と一緒に掲示板の指定をいたしておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/11
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012・小林武治
○委員長(小林武治君) 今のようなのは、ある程度公に規制する、そうしてもっと出してもらうのか、あるいは出してもらっちゃいかぬのか、そういうようなお考えはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/12
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013・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) この広告物との関係で先ほどもお話のございましたように、肝心の住居表示がはっきりとわからないというようなことになっては困りまするので、先ほどの住居表示審議会で御検討を願いましたならば、地方の条例でその点御趣旨に沿うたような内容のものに改善するように行政指導をいたしたいと思っております。
なお、住居表示審議会の中には、都市計画なり、あるいは建設省の関係の人にもお入りをいただいて、そういう方面からの御意見も拝聴をいたしたい、それによって広告物等との関連も考えて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/13
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014・秋山長造
○秋山長造君 戸塚さんにちょっとお伺いしますが、住居表示は、つまり市街地の従来非常にややこしい所だけを当面の目標にしているのです。そのほかに、そういう所でなくても地名の非常にむずかしい、かながつけてなければこれは相当の人間でも読めぬような地名がずいぶん多いのですね。それと、それから非常に長たらしい町名がございますね。たとえば自治省からもらった資料の中にも例示してあるのですが、台東底浅草上平右衛門町、浅草新吉原揚屋町、港区赤坂青山権田原町、それから港区芝西久保明舟町というようなのは非常に長いですね。こういう非常にむずかしい長たらしい地名、ちょっと一挙に言おうとすれば舌がもつれるような地名が非常に多いのですが、こういうものについては、審議会のほうで論議にならなかったかどうかということですね。それからまた、あなたがどういうようにこれをお考えになっているかということ。
それからもう一つは、読みやすい、わかりやすい名前にしろということは答申に出ているし、法律にも青いてあるのですが、さらに読みやすいというのを、もう少し具体的に限定をする必要があるのじゃないかと思うのです。現在の町名には別に当用漢字の範囲に限るというようなことはないわけですから、ずいぶん好き好きな漢字を使っているわけですが、やはり将来の方向としては、あまりこれも、その地方々々の伝統があるわけですから機械的にはこれはやれぬでしょうけれども、しかし、それにしてもこういうものにあまりいつまでも伝統にかかずらうという必要もないのじゃないかと思います。できるだけやはり当用漢字の範囲内での漢字に整理をしていく必要があるのじゃないかというように私は考えるのですが、そういう点についても、審議会でどういうように論議されたのでしょうか。
また、戸塚さんとして、どういうようにお考えになっているのか。その二点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/14
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015・戸塚文子
○参考人(戸塚文子君) 審議会では、あまり詳しい――どこの町名が非常にむずかしくて長たらしいから、それを切れというような意見はございませんでしたけれども、町名のあまり複雑なものは、複雑といいますか、長たらしいものは、整理することが好ましいという意見はございました。
それから、私個人といたしましては、ちょうど新しく二つの区を合併したために、たとえば今の中央区日本橋茅場町式ですね、そういうふうに屋上尾になったものは、どっちかを、古いほうを一つ切ってわかるようなら短くすべきだと思いますし、それから非常に読みにくいような、駅名でもずいぶんございまして、「難解駅名一覧表」というものができているくらい、駅名さえそうですから、地名に至っては、ほんとうに振りがななしには読めないというのが全国一ぱいございます。ただ、それぞれの土地には、伝統とか土地の人の愛着というものが非常にむずかしい地名と強く結びついておりまして、愛着はそこに生まれ育った人ほど強うございますから、この点は一挙に行けないことと、それからあまりやさしく制限漢字の範囲に限ると、似たような地名が一ぱい出てきやしないかという心配があるわけです。制限漢字の数がたいへん少のうございます。少ないものですから、これを組み合わせていきますと、全国には字まで入れると、地名というものが非常に数が多い。それで新しく作っていくと、どこにもここにも似たような――今でさえ似たような地名は全国に多うございまして、一々上に国の名前をつけたりして、たとえば若松というと、九州の若松か東北の若松かわかりませんので、会津若松というように、また上につけて、一番というのはうんとあるから、尾張一宮とか何々一宮とか、たくさん上につけなければならない。かりに制限漢字の中でやれというふうなことにもしなりますと、また上に信濃何とかだの、そういう国名をつけて区別をしなければならなくなって、かえって繁雑。しかも、前の伝統のある名前でしたら、記憶している人が相当数いるのに、新しく変えますと、新しく記憶しなければならないという二重のことがありまして、急には行けないと思います。急には行けないと思いますけれども、非常に読みにくいものを取りかえるという行き方は、徐々にならば、やはり簡素でわかりやすくてだれにでも読めるということは好ましゅうございます。中にはひらがなに変えた地名の所がございます。非常に漢字が読みにくい、制限漢字の読み方ではないということで、ひらがなに変えた土地がございますけれども、その土地の方の気持としてそれでいいということになれば、これも一つの私は今後の行き方じゃないか。かといって、全部ひらがなになった場合に、さて、それを全部あて名として書いたときにどうなるかということについては、私もまだ不安なんでございますけれども、とにかくできるだけの努力を払ってやさしく簡素に変えて、しかも、他とよく識別できる――ほかに同姓同名みたいな、同じ所でまぎらわしい所がないということがやはり地名表示の理想ではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/15
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016・秋山長造
○秋山長造君 今の点は、森田さん、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/16
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017・森田豊
○参考人(森田豊君) 今の点については、なるほどそういうことなんで、私ども仕事をやっている場合については、これは全国的に全部類似を避けるということになりますと、相当むずかしい問題だろうと思います。したがって、少なくとも六大都市――東京都内で言うならば、私の所にある板橋区氷川町、中野区氷川町、こういう町名が出てくるわけです。このことを、これは書く人の意識によって、東京都だけで、あと区を入れずに氷川町という郵便物もずいぶん来ております。そのために、中野へ行き、板橋へ来る、こういう姿も出てきております。そういうために、なるべく私のほうは類似を避けていただきたい、このように先ほど申し上げたわけです。それと同時に、先ほど言った戸番等、これは門標といっておりますが、門番ということで、私どもも考えております。この地図にもあるとおり、一ブロックの五の三、五の四、五の五ということになりますと、この五を除くと、ほとんど各ブロックごとに全部番地が同じ、あるいは号数が同じになるという形で、これも今言ったような形ですが、これはあくまでも書く人によって、間違いなく書いていただければそれでいいと思うのです。このブロックごとの門番を、先ほど戸塚さんがおっしゃったように、しんちゅうで永久的に、しかも、見やすい場所にということでございますが、四つかどのかど、あるいはブロックごとのかどかどに、少なくとも四つ、そうして次のブロックとか町名がはっきりわかるように色分けをすることもいいと思いますけれども、そういうような形でやっていただければ、探すほうの人もすぐわかるのではないか。ところが、現在ではそういうふうになっておりません。門番標というのは若干小さくなっております。今度の戸番で振られる号数、あるいは番地が、二十センチとか、あるいは十五センチとかいうことをいっておりますが、これにかわって門番のほうが逆に三十センチ程度の青い空色でできたものを私のほうは張っておりますが、これですと、同じかどかどにあっても、次のかどが同じでございますから、ちょっと見るのに、どっちの町だろう、どっちの区域になっているのだろうという区域の境がちょっとわからない。そういうことでございますので、これについては、先ほどもおっしゃったように、何とか色分けをして、すぐ次の町がわかるようにしていただければ、なお幸いではないか、このように考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/17
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018・秋山長造
○秋山長造君 森田さんに重ねてお伺いしたいのですけれども、先ほどお述べになったことについてですが、板橋のほうで地番の変更がすでに九分九厘まで完成されているというのは、区のほうでやったのですか。あなたのほうが、あなたのほうの集配事務の便宜からおやりになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/18
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019・森田豊
○参考人(森田豊君) これは区のほうで全部やられております。区の地番整理部が町と協力して地番を改正している。ということは、私のほうは、昔から北豊島郡板橋ということから、ほとんど番地がかわっておりません。したがって、全部飛び番で、先ほどどなたかがおっしゃったのですが、一番の前が五千番であると、こういうようなことで、ほとんど飛び地になっております。欠番もございます。四という字はきらいだ、九はいやだというようなことから、この字が使われてないというようなことで、ほとんど番地が飛び番、したがって、集配事務についても波乱を予想していることから、一日も早くできれば地番を改正してもらい、さらに戸番を設けていただきたいということで、再三にわたって私のほうは願っていたわけですが、区のほうで取り上げまして、一応板橋区として、地番と町名の改正をして、現在九分九厘程度でき上がっておる、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/19
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020・秋山長造
○秋山長造君 そうすると、板橋の区の地域に番号を振り直したわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/20
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021・森田豊
○参考人(森田豊君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/21
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022・秋山長造
○秋山長造君 そうしますと、今度の法律によりますと、番号の振り直しでなしに、今度のは、一定の街画を限ってそこに番号を振る、あるいは一定の道路を中心にして番号を振るわけですから、今の板橋区でやられたような全区域の番号を振り直すというのと違いますね。やっぱり今度の法律が施行になれば、今お話しになった番号振り直しでやられたのを、さらに今度またこういう街画方式とか、道路方式とかいうものに変えられるわけですか。このほうがさらに便利になると、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/22
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023・森田豊
○参考人(森田豊君) そうです。今言ったようなことで、今度の戸番制でいきますと、むしろ今つけられました町名地番よりもさらにこまかくなるということから、私どもいいと思っております。したがって、板橋の場合については、二度ここで町名地番の改正をするということになりますので、この点について、先ほど私のほうで申し上げたことは、戸番制についても、それから門標についても、少なくともわかりやすい、しかも、だれが行ってもすぐそこはこうだということがわかるようにやっていただきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/23
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024・秋山長造
○秋山長造君 行政局長にお尋ねいたしますが、三人のお方のお話は、それぞれの立場でお述べになったわけですけれども、一致している点は、要するに表示板の規格をできればきちっと統一してもらいたい、それが一番わかりやすい、こういう点は一致しているのです。これは審議会であらためて相談されるということですが、相談されるにしても、自治省としては、やはり表示板の規格はきちっと統一したほうがいいというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/24
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025・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 私どもは統一したほうがいいと考えております。そこで、この法案によりますと、自治大臣が技術的な基準を定めるということにいたしておりますので、その技術的な基準の一つといたしまして、会にお諮りしたものを全国に流して、それで指導するというふうにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/25
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026・秋山長造
○秋山長造君 それから児島さんにちょっとお尋ねいたしますが、この街並方式なり道路方式なりを実施に移す場合に、従来の街区との問題とか、あるいは町会、町内会でございますね、町内会等の抵抗が予想されるというお話があったのですが、この点はそれほどの抵抗があるというお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/26
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027・児島宋吉
○参考人(児島宋吉君) それは予想、予測でございますけれども、まあ区会議員とか、こまかい議会の勢力地盤とか、大きくなれば区会、都会にも影響すると思いますけれども、入り組んだ境界線を新しくするという場合に、多少そういう抵抗が出てくるのではないか。それからさっき申しました愛町心と申しましたけれども、そういう郷土愛的の、おみこしをかつぐとか、氏神様の問題とかいうことでも、庶民生活としては大体密接な身辺のことですから、どうしても反対運動みたいなことが起こりやすいという可能性を私は推測するわけです。この点につきましては、事前に説明会をやるとか、いろいろ指導啓蒙の面においてよほどのことをやらないと、わかり切ったことでもなかなか実際のみ込みにくいのですね、のみ込みにくいからそこで抵抗のきっかけを作るということになるのですから、どうしても事前の説明ということが非常に大切じゃないか。私は法律案を作る趣旨、根本については賛成ですけれども、やっていく場合に、どうしても実際に即した指導、啓蒙をやることのほうをよく綿密に考えておかないというと、勘定合って銭足らずということになりはしないかという感じがするのです。そういう意味で申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/27
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028・秋山長造
○秋山長造君 結局、住民側の理解と協力を得るべくPRをしっかりやらなければならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/28
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029・児島宋吉
○参考人(児島宋吉君) そうです。そこでちょっと申しおくれましたが、二つの矛盾したことを申し上げたと思うのですが、ある程度住民に対して、もうちょっと強化した義務を持たせたほうがいいんじゃないかというのが、方針を非常に強く打ち出してこれを説明し納得させるということが肝心でないか。今の附則を見ましても、あまり遠慮がちの法律のように感じるんですよ。これをあまり表面に打ち出すというと、かえってごねているほうが得というわけではないけれども、何か効を奏するという感じを受けてはいけないので、できるだけ住民のほうにもある程度義務を強制し得るような余地を作っておかないと、根本は住民の協力であって、協力が得られなかった、できないという状態よりも、社会立法の立場から考えていけば、どうしても社会生活としてのある程度義務を感じさせるという方向へ持っていく、そういう指導の方向ですね、そういう意味で私は申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/29
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030・秋山長造
○秋山長造君 戸塚さんにお尋ねいたしますが、これは審議会のほうの内容についてなんですが、これだけの仕事を五年間で大体完了してしまおう、こういう計画なんですね。審議会の答申を見ますと、その中の「住所表示制度の整備促進を図るための特別措置」という項目の中に、「国は、市区町村長の行なう住所番号による住所表示の整備に要する経費について、国庫補助その他所要の財政上の措置を講ずること。」、これは当然の配慮だと思いますが、ただこの答申に基づいてこの法律案が作られて、そうして三十七年度はとりあえず各府県一カ所ということでモデル地区を設定して、そうして試験的にやってみよう、こういうことになっておる。その補助金について、このモデル地区一カ所平均四十万円という予算が組まれておる。どうも私どものほうの常識から言いますと、これだけの画期的な事業をやるのに、一カ所平均四十万円くらいで一体やれるんだろうか。いなかのほうのそれほど複難でない所ならともかく、東京、大阪というような大都会の密集した入り組んだ市街地なんかの住居表示を完成するのに、大体その程度ではこれは問題があるのではないかというように思うのですが、審議会では、抽象的に国庫補助その他財政上の措置をやれという結論にはなっているのですけれども、その内容としてはどのくらいな金額を想定されておったのですか。もしあればお教え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/30
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031・戸塚文子
○参考人(戸塚文子君) 金額関係は専門委員の方が徹底的に何か研究されておられました。私は存じませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/31
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032・秋山長造
○秋山長造君 外国をずいぶんお回りになって、外国の住居表示の実例を御承知だと思うのですが、外国では、たとえばこの住居表示についての表示板なんかを、あちこちしっかりしたものを作っているというお話なんですが、そういうものの経費の関係はどういうように。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/32
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033・戸塚文子
○参考人(戸塚文子君) これは、たとえば市なら市が負担しております。それで壊れたらそれを直す予算も組んでおります。非常に上手にできておりますのは、たとえば町の、東京で言いますと丸の内とか銀座とか、ああいうブロックがちゃんとした所でございますね、ああいうような所にゴー・ストップの信号の棒がございます。あの下にちゃんとこっちは何町、たとえばこっちに行けば銀座、こちらに行けば丸の内というような、まあストリートになっておりますからね、何々通り何丁目ですから、四十二丁目とか、そういうふうに書いてありまして、信号を見るともうついでにそれが見えるという、それから位置が非常に上手だ。外国の例で見ますと、自動車に乗っておる人にも、歩いておる人にも自然に目に入るような非常にいい位置に置いておる。これなんかも非常に計算をして、専門の人がよく研究をした結果、この位置が一番歩く人にも、またドライバーにも、目の高さからいって、あるいは自然に視線が注がれる位置であるということがたいへん研究されておったと思います。そういう点は非常にうまくできております。
今おっしゃったこの予算、四十万円というお金ですけれども、そういう十分な標識となると、私個人としての非常にばく然とした印象としては、足りないような気がするのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/33
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034・秋山長造
○秋山長造君 どうも私らも実際にやってみなければわからないことだけれども、ちょっと一けたくらい間違えておるんじゃないかというような……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/34
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035・戸塚文子
○参考人(戸塚文子君) あるいは非常に遠慮したのかと……。
モデル地区を作る件ですが、これは非常に便利だということが行った人にわかれば、それが大きな啓蒙運動になるから、まずそこからやっていこうという考え方なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/35
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036・基政七
○基政七君 戸塚先生にちょっとお伺いしたいのですが、私どもこの問題に取り組むにあたって、人口の集中が非常に都市に向かっておりますから、どうしても都市のほうが繁雑だし、混乱するだろう。いなかのほうはだれかに聞いてみると、どこの何々区のだれだれさんの家といえば、だれでも知っているのですね。そう不自由しないのです。ですから、やはり都市のほうにこの問題を集中的にやったほうが実際に合うのではないかという考え方を持っているのですが、外国の例で、いなかのほうはああいうふうな……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/36
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037・戸塚文子
○参考人(戸塚文子君) 外国は自動車道路が非常に発達しおりまして、日本のようにいなかに行くときに、電車をおりて、またバスをおりて歩く。そうしてあそこに見える二本松の下は何の何兵衛さんの家とか、火の見やぐらの下はだれだ、ああいう教え方をしている。歩いていて、たんぼにいる人に聞けば、火の見やぐらの下とか、二本榎の下でもよろしいのでございますけれども、みんな自動車でございますから、全部小さな村まで、ここから何村に入るという村境の所に大きな標識が立っております。それからその村が終わった所にまた大きな標識が両面から見えるように書いてあります。それをほんとうは日本でもやりたいのでございますけれども、これは理想論かもしれませんが、都市がりっぱな標識をつけるようになれば、村のほうも自然とつけるようになるんじゃないかと私は希望的に考えております。そういうものだということが、だんだん日本人にわかってくれば、村なら村というのは、地図の上だけにあるんじゃなくて、実際の生活の場にちゃんと標識が出ているものなんだ、それが村であり町であり、人間の住む所なんだという考え方がずっと私たちの間に広まってくれば、村なら村の予算で村の表札に当たるような、そういう表示を少なくも街道沿いには出す、ここから何だというように。今東海道線を走りますと、県境にときどき出ております、ここから岐阜県というような。ああいうものがもっとたくさん出てほしい。それは意識の高まりと同時になっていってくれれば理想的だけれども、それができないようなら、やはり法律でそういうものを、みんなを目ざませて義務づけるということも大事なことじゃないかと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/37
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038・基政七
○基政七君 もう一点。専門委員会の審議会の内容になるんじゃないかと思うのですが、日本人は、たとえばビルでも建物でも、何々の建物とか、何々ビルと書いてある。そのために、そのビルの名前がわからないと容易に内容が判断できない。それはいい面もあるでしょうけれども、やはり番号式にして、何町何番街のビルとかいうふうにすれば、非常に簡素になってわかりやすいんじゃないかと思うのですが、そういうことはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/38
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039・戸塚文子
○参考人(戸塚文子君) それはおっしゃるとおりでございます。外国の場合は、ホテルでさえも何々ホテルと書かないで、そこの番地を書いて、そこに泊まっている人の名前を書けば行くというくらいに、建物には全部番号があるわけでございます。日本では旅館と西洋ホテルを比較していただくと、日本人の感覚というものが非常に御理解いただけると思うのです。旅館は桐の間とか竹の間とか、すべてムードで書いてございます。これは日本的な考え方で、悪いとは言いませんが、近代化する上には非常に不便で、西洋ホテルは一番、三番、五番と右側が並んでいれば、左側は二番、四番、六番と偶数と奇数でちゃんと分けてどこへでも行ける。廊下の両側をきちっと分けて、しかも、矢じるしがたくさんついております。西洋式のホテルと日本旅館に泊まってみれば非常によくわかる。日本旅館では迷子になります。自分の部屋が桐の間か松の間か檜の間か忘れると行かれない。私は、番地のほうにもこういう考え方が及んで今日に至って生活に非常に不便になっていると思うのですけれども、そういう頭の切りかえということが、法律だけでいかない大事なことじゃないかと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/39
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040・基政七
○基政七君 それから森田さんにもう一つお伺いしたいのですが、店の看板に番号とか何かを書いたほうがいいのじゃないかという御意見だったようにお伺いするのですが、小さい商店に行くと、隣の看板とどっちがどっちかわからないのがたくさんありますね。かえって、お困りじゃないかと思って通るのですけれども、いかがですか、実際やっていらっしゃるのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/40
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041・森田豊
○参考人(森田豊君) 私ども実際仕事をやっていて、配達人が配達に行く際に一番困るのは、商店で、げた屋さんと雑貨屋さんが一番困るのです、全然表札が見えませんから。大体表札は、玄関、あるいは門がある場合には門に出ている。商店街は門はございませんので、ほとんど軒下に出ているわけです。その軒下に全部雑貨類を飾りますから、したがって、表札が全然見えません。そこで、看板がそこの象の表札かどうかということになると、一つは、渡辺商店と出ていれば、そこの家は渡辺かと思えばいいのですが、看板と違うわけです。決して渡辺商店ではないわけです。名字が違ってきているわけです。そういう点で間違えていく、こういう場合が往々にしてあるわけです。したがって、商店街にはほとんど表札というものは見られないという事情の中から、やはり看板にも――電話番号はよく下に書いてあるのですが、電話番号の下にでもやはり自分の家の表示は明確に出していただきたいと思います。こういうことをさっき言ったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/41
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042・基政七
○基政七君 名前でなくて番号にすれば、もっとよくわかりやすくなりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/42
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043・森田豊
○参考人(森田豊君) 番号と表札はやっぱり一緒にかけていただくほうがむしろいいのじゃないかと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/43
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044・小林武治
○委員長(小林武治君) 今の点は、何か行政指導か法律的に、看板にも書いていただいたほうがいいと思うのですが、それは指導することはできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/44
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045・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) その点はまだ私ども検討いたしたことございませんので、今後ひとつ研究してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/45
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046・秋山長造
○秋山長造君 先ほど板橋で角板を大体統一したものをずっと配ったようなお話があったのですが、これは郵便局のほうでおやりになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/46
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047・森田豊
○参考人(森田豊君) いいえ、これは区のほうでやりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/47
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048・秋山長造
○秋山長造君 そうすると、区が作ってそれを配って、掲示さしたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/48
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049・森田豊
○参考人(森田豊君) そういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/49
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050・秋山長造
○秋山長造君 費用は区でやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/50
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051・森田豊
○参考人(森田豊君) 全部区でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/51
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052・秋山長造
○秋山長造君 それからもう一つ。郵便の集配事務の点からいってどうなるのかという点、御質問したいのですが、この審議会の答申の中に、街区方式で住所表示を行なう場合の例として、何市何町十二号三十四番、こういう表わし方もある。それからまたそうでなくて、何市何町十二号三十四番でなしに、一二三四番、こういう表わし方をする場合もある。一二三四番と表わした場合に、最初の二けたの一二というのが、要するに新しい街区の番でございます。それからあとの三四番というのが住所番号、こういう説明がしてあるのですが、これは郵便の集配の都合からいうとどっちがいいのですか。十二号三十四番という表わし方がいいのですか、一二三四番、こういう表わし方がいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/52
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053・森田豊
○参考人(森田豊君) 私どもの今やっている現状からいって、やっぱり番地ですから、何町何番何号、こういう形のほうがむしろ覚えいいのじゃないかというふうに考えているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/53
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054・秋山長造
○秋山長造君 そうすると、何号何番でなしに、何番何号のほうがいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/54
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055・森田豊
○参考人(森田豊君) 別にたいして違わないのですがね。現実にやっている形からいくと、何かそういったようなつけ方のほうがむしろぴんとくるのじゃないか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/55
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056・秋山長造
○秋山長造君 それを何番何号というのじゃなしに、全部ならして呼んでおるのですね。たとえば今ここの例は十二号三十四番、こういう例示がしてある。それについては、あなたのほうでは十二号三十四番という表わし方よりも、十二番三十四号、こういう表わし方のほうがわかりいい、こういうお話なんですね。それから、それを全部数字でならして一二三四と、こういう呼び方はどうなんですか。たとえば団地なんかには、最初に二がつくと二階、三がつくと三階という最初の数字で大体階数がわかるようになっていますが、それに準じたものだろうと思うのです。一二三四番で、十二号三十四番、あるいはあなたの今おっしゃる方式だったら十二番三十四号で、十二号三十四番でなしに、最初の一二、十二というのが十二番で、あとの三四という三十四というのが三十四号、こう読めるわけですけれども、街区の番号と、それから住居番号とを一緒にしてすっと呼んでしまうというやり方よりも、やっぱり番と号とを分けてつけたほうが便利がいい……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/56
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057・森田豊
○参考人(森田豊君) むしろそのほうがいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/57
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058・小林武治
○委員長(小林武治君) さっき表示の義務づけのお話がありましたが、これはどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/58
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059・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 表示板は義務づけております。法案の第八条でございますが、「市町村は、見やすい場所に、当該区域内の町若しくは字の名称及び街区符号又は道路の名称を記載した表示板を設けなければならない。」、それから建物の所有者、管理者、占有者も、住居番号を表示しなければならない。これは義務づけてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/59
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060・小林武治
○委員長(小林武治君) 今の表示の数とか密度ですね、そういうようなことはどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/60
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061・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) それは、先ほども技術的基準の一つの問題といたしまして、新しい審議会にもお諮りをして基準をきめまして、それで指導をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/61
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062・小林武治
○委員長(小林武治君) それでは、磯村さんは時間におくれておられますので、ただいま御出席の皆様をこの上お引きとめするのは申しわけないと存じますので、一応皆様の御意見は、これで終了いたしたことにいたします。
参考人の皆様には、長い時間貴重な御意見及び質問に対するお答えをいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。本日の御意見は、われわれの委員会の今後の審査に非常に有意義であったばかりでなく、実施をする政府当局にも、きわめていい参考になることと存じます。
以上をもちまして参考人に対する意見聴取を終わることにいたします。まことにありがとうございました。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/62
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063・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を起こして。
磯村参考人には、お忙しいところをおいでいただきまして、まことにありがとうございます。
時間の関係上、他の参考人の意見の陳述は終わりましたので、さっそくでございますが、御意見のほどをお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/63
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064・磯村英一
○参考人(磯村英一君) 公務のためでございますけれども、たいへんおくれまして申しわけございませんでした。
私は、この法案を拝見いたしまして、主として自分の専門に近い立場から意見を申し上げたいと思いますが、私は、この法案に対しましての根本的な考え方と申しますのは、実は、こういったような制度というのは、太平洋戦争が終わりました直後にすでに考えられるべきものではなかったかということでございます。それはなぜかと申しますると、太平洋戦争によりまして、日本の地域社会の中での生活の形態というものが、すでにその前からも変わっておりましたのでございますけれども、かなり地域社会の中での生活の様式が変わっております。すでに日本の制度の中におきまして、かなり重要な役割を持っておりました戸籍の中の戸主といったような、そういう形というものが、戸籍の中で筆頭というような形になりまして、家を中心にいたしました地域社会の人間関係というものが、次第に今度は経済あるいは社会的な生活の人間関係を中心にしたものに変わって参りました。したがいまして、戸主というものの責任でありますとか、あるいはその世帯員との関係というようなことなんかも、すでにその方面ではかなり大きな変化をしておりましたのでございますが、今度は、住居ということになりますと、それはほとんど触れられていなかったと思います。日本の言葉で家庭ということは、実におもしろい言葉でございまして、親族を中心にいたしました人間関係というものを、家と庭ということで表わしているというようなことに、いかに住居の関係が重要であるかということは、これはその言葉が示しているとおりでございます。ところが、今申し上げましたように、家族を中心にいたしました人間関係というものは、ある程度まで調整されましたのでございますが、住居を中心にいたしました人間関係の調整というものはなかったわけでございます。ところが、これが現実の問題としまして出て参りましたのが、主として都会地におきます住居のいろいろな意味におきましての混乱的な状態である。この形というものは、戦争前におきましては、あるいは町会、隣組という形でもって一応地域社会の基盤となっておりましたのでございまするが、この町会、隣組というものが戦争後一応廃止され、その後あらためて民主的な形において再現されましたのでございまするけれども、そういったような自治生活の基盤というものが、なぜその後十分な発達をしないかということになりますると、この地番あるいは町名といったようなものを基礎にします地番というものが非常に混乱しておるということが、これが自治意識の発達の形態におきまして非常な阻害になっていた、こういうことが言えると思うのでございまして、したがいまして、すでにほかの方からお話がございましたと思いますけれども、土地の売買あるいは分割の便宜につけられましたそういう地番をもって人間関係の集団のある程度の区画を規制するというのは、これは全くさか立ちの人間生活の規制である、こういうことが考えられるのでございまするので、したがいまして、私はそういったような住民自治の基礎的な単位といたしまして、こういう区画的なものができまするということは、これは最も望ましい姿ではないか、こういうふうに考えられます。具体的に申しますれば、今すでに保健衛生に関しましては、保健福祉的なひとつの地区を作りますとか、あるいは国民保険につきましては、出張所的なひとつの区画を作るとか、いろいろなものが逐次そういう福祉国家の理念といたしまして地域社会の区画割りができるのでございまするが、そのできる場合におきましても、基礎になりまする地番というものが、御案内のように、ばらばらになっておりますものでございまするから、せっかくできまするそういう地域社会の育成的な仕事、まあ外国語で申しますと、コミュニティ・オーガナイゼーションといったものがこの地番の混乱のために全然できなかったということが言えると思うのでございまして、したがいまして、こういったような法案が実現されましたならば、あるいは郵便の配達が便利になるとか、あるいは番地を発見いたしまする上におきまして、非常にすみやかに参りますとか、そういったような面よりか、私はもっと根本的な意味におきまして、日本の地域社会の自治というものを発達いたしまする基盤といたしましては、非常に大きな意味を持っておると思いますので、私はそういう意味におきまして、むしろ積極的な意味におきまして、この法案ができますることは非常に望ましいととと思うのでございます。二年前に、半年の間ハーバード大学に行っておりまして、このボストンを地区にいたしまして、こういったような街路を中心にしましたひとつの呼び方あるいは街区を中心にしました呼び方というものにつきまして、少し調べて参ったのでございますが、そういったような面からいたしましても、必ずしも一方的な方針によらないということも、これもかなり日本の現状に合うのではないか。街路方式だけに徹底してしまう、あるいは街区方式だけに徹底してしまいますよりは、やはり地区の事情ということがございまするし、地域社会の形式と申しますのは伝統的なものがございまするので、それはやはり住民自治の立場から、いずれかを決定するという方式は、これも私は妥当ではないかというふうに思われます。
以上のような意味におきまして、まことに簡単でございますけれども私の意見を申し上げまして御参考に供したい、こういうふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/64
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065・小林武治
○委員長(小林武治君) どうなたか御質問があれば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/65
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066・秋山長造
○秋山長造君 この制度には、方式として街区方式と道路方式と二つ出ているわけですが、この街図方式、道路方式以外の方式というものは考えられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/66
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067・磯村英一
○参考人(磯村英一君) 方式といたしましては、これ以外に、これは大体今御質問のように二つに分けておりますけれども、街区方式がさらに二つになっておりますね、つまり街区方式の中にある程度まで道路方式のようなものを入れているという、そういうとり方もございますので、方式といたしましては、これ以外には、主としてアメリカなんかは大体道路方式が多うございますが、街区方式よりか私は道路方式が多いと思います。それは道路の形態が日本と違いますものでございますから、日本の道路というのは、実に細道路網と申しますか、こまかく分かれておりますので、したがって、分かれ過ぎておりますので、それでこの道路方式に徹底できないという事情にございますので、将来の一つの理想といたしましては、道路方式というものは、たとえば京都のような町の一つの形成でございますとか、ああいったような都市計画が実現できますれば、すべての都市に、これはまた別と思いまするけれども、現状におきましては、私はこの二つの方式以外には日本では考えられないのじゃないか、こういうふうに思いますし、同時に、町名と申しますか、町というものに対する一つの伝統的な親しみというものもございますので、したがいまして、こういう結果が出たのではないかと思うわけでございますが、方式としましては、私はこれ以外には、外国でも、私が経験しましたボストンなんかでも、大体こういったような二つの方式、主として道路方式でやっておりましたと、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/67
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068・秋山長造
○秋山長造君 ヨーロッパのほうはどうですか。ロンドンだとかパリのような古い町は非常に入り組んで、京都式になっていない、ああいうところはどっちを使っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/68
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069・磯村英一
○参考人(磯村英一君) 私はロンドンとかパリも見ましたのでございまするが、その場合におきましては、今御質問のように、むしろ若干これは街区の中を割っておりますものでございますから、少し日本的な混乱さをみたような方式のが、方式と申しますか、そういうのが残っておると思いますが、しかし、次々にこれは整理されていっておりますものでございますから、大体街区方式の中で、今度街路方式を一応取り入れようとするような、大体そういう段階にあったと、私はこういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/69
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070・秋山長造
○秋山長造君 さっき土地と人間関係と切り離していったほうが、自治意識を発達さすためにプラスになるというお話があったのですが、この制度を徹底してやっていくことによって、いわゆる部落根性ですね、地元意識、部落根性、そういうものを打ち消していくのに効果がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/70
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071・磯村英一
○参考人(磯村英一君) ただいま御質問の点でございまするが、この部落根性という言葉になりますと、若干語弊もございますが、つまり部落共同体意識というものが、率直に申しまして、地主でありまするとか、あるいは家主でございますとか、そういう形を中心にしました部落共同体意識というものは、これはだんだんやはり変わっていくものじゃないかと思います。すでに先ほど申しましたように、家族というものの関係が世帯という概念に変わりまして、世帯でございましても、親の世帯と、あるいは子の世帯という、一軒のうちでございましても、それが二つに分かれる、こういうようなことになって参りますると、人間関係の基盤というものが、そういったような外的の条件、たとえば土地を持っておりますとか、家を持っているとか、あるいは親と子であるとか、そういったような問題よりか、最も基本的な人間関係のつながりの上に重点が置かれて参りますということになりますと、この住んでいる家の番号でございますか、そういったようなことがやはりある程度まで、悪い意味におきましての部落根性と申しますか、そういったようなものも、よいものに持っていきまする役割には、これは非常に多く役に立つのじゃないか。それが先ほど申しました、いわゆる日本の地域社会のいろいろな団体と申しますか、あるいはそういったようなものが盛り上がらないという、たとえば青年団でございますとか、婦人会でありますとか、そういったようなものが、何と申しますか、中央のかけ声にもかかわらず、現実において地域社会から盛り上がらないというのは、今申し上げましたような地域社会の悪い意味での部落的なつながりというものが、そういう結成というものの基盤というものの中でもってゲリマンダー式の組織になっているということが、私はどうも工合が悪いのじゃないか。そういう意味からいきますと、御質疑のように、よい意味での部落共同体的なものを、近代的な意味におきます部落共同体を作ります意味においては、大きな役割を果たすと、私はそれに非常に期待をかけておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/71
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072・小林武治
○委員長(小林武治君) きょうは、この法律実施の担当の官庁、役所の者も来ておりますが、この法律につきまして、何か希望とか御注文等でもございますれば、承りたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/72
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073・磯村英一
○参考人(磯村英一君) 本案を拝見いたしまして私が非常に期待いたしたいのは、この表示の方式というものを、ある程度まで市町村にその表示方法を義務づけておるということは、これは私はぜひこのとおり美行していただきたいことでございます。ただ、その場合におきまして考えたいことは、こういった表示の方法なんかになりますと、ややもすれば、法律によりまする場合におきましてはそうじゃないということは当然と思いますけれども、こういう表示の予算があるとかないとかによりまして、何か新しい町並みとか、そういうものが広告と一緒になるということは、これはひとつぜひ避けてほしいと、たいへん勝手なことを申すようでございますけれども、これは実はベルリンの町の区画をやはり表示をいたしております。家の番号なんかを付しておりますけれども、ベルリンの場合におきましては、そういうものについて絶対広告を避けております。現在、東京なんかの周辺に番地表示がございますと、すぐにそこに薬屋の広告とかなんとかいうものがついております。それから区役所なんかで掲示板を作りますと、そこにすぐ広告をやります。広告でやります。こういったようなものは地域社会の最も基礎的な条件です。まるで自分の表札に広告をつけるようなことになるのですから、そういうことはひとつないように、そういう面の予算はぜひひとつ自治省におかれまして十分にお考えになって、義務づける以上は、相当の予算と、それから今申し上げましたような趣旨でやっていただきたい。たいへん勝手なお願いになるのですけれども、そういうことを希望いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/73
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074・小林武治
○委員長(小林武治君) それでは、磯村参考人に申し上げますが、お忙しいところをおいでいただきまして、われわれに非常に有益な御意見を御発表いただきまして、まことにありがとうございます。十分注意いたしたいと思います。
午前はこの程度といたします。午後一時三十分まで休憩いたします。
午後零時十五分休憩
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午後二時五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/74
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075・小林武治
○委員長(小林武治君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
住居表示に関する法律案を議題といたします。
御質疑のある方は、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/75
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076・秋山長造
○秋山長造君 郵政省へお尋ねしますが、この住居表示は、申すまでもなくこれは郵政省に非常に関係の深い、また、この法律ができることによって、非常に郵政省としては助かる内容のものなんですが、郵政省として、この法案の実施にあたって特に財政措置について、どういうようなお考えであるのかということと、それから自治省から配られた資料の中に、郵政省で作られた資料として、「主要都市における番地事情」という資料があるというのですが、こういうものをこの法案を審議する機会にぜひ出していただきたいと思うのです。これはもう当然われわれの手に早く配っておってしかるべきだと思うのですけれども、今までこういうものが全然出ておらぬのですけれども、やはりそのくらいの熱意をもって取り組んでもらわなければ困る。その両点についてひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/76
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077・曾山克巳
○説明員(曾山克巳君) 局長は他の委員会に参っておりますので、私、郵務局次長でございますが、代理で参りまして、今、秋山先生から御質問のございました第一点の、郵政省としまして本法の施行につきまして財政的な協力をどう考えておるかというお話がございましたので、それを最初に御答弁申し上げます。当省といたしましては、先生も御指摘のように、この法律の施行によりまして非常に受益するところ多い次第でございますので、いろいろな意味で全面的な御協力を申し上げたい、さよう考えまして、まず、民間におきまして――自治省からすでに話があったかと思いますけれども、この新しい住居表示の制度につきましての促進の協議会に参加いたしました際にも、かなり財政的、と申しますと語弊がございますけれども、資金を投入いたしまして、これのいわゆる周知宣伝の面で大いに肩入れするということで参った次第でございます。また今後もさように考えまして、今年度の経費にも相当額見てございます。
なお第二点といたしましては、この法律の第八条でございますが、表示板の設置等につきましては、本来国または市町村におきまして、この表示板の設置にも補助金を出す、あるいは各個人個人が自分の建物に住居番号の表示板を設置する必要があろうかと思いますが、当省といたしましては、先ほど申しましたとおり、非常に受益するところ多い次第でありますので、本年度の内部予算で相当額予算を準備いたしまして、私どものほうにおきまして、各戸々々につきまして戸番票を郵政省として差し上げたい、こういう工合に考えております。
それから第二の問題でありますが、主要都市におけるところの地番事情、番地事情でございますが、これは先ほど申しましたとおり、民間の促進協議会に郵政省がおもなメンバーとして参加しました際に、皆さんにお配りもし、また自治省にも差し上げた次第でございますが、先生御指摘のとおり、私ども当然そういう資料を差し上げまして参考にしていただく意味におきまして、今からでもおそくないと思いますので、ここに持って参っておりますが、相当部数作りまして皆さんのお手元に差し上げたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/77
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078・秋山長造
○秋山長造君 後段のこの資料を前に配ったとおっしゃるのですけれども、私配られた記憶がないのですがね。
それから第一点の財政的な面ですが、これは相当額相当額というお話なんですけれども、まあ実は相当額というようなことを聞いておるのじゃないので、その内容を聞いておるので、非常に遺憾に思うのですけれどもね。まあこの前は郵政省の方は御出席がなかったわけで、自治省だけの出席で審議をしたわけですけれども、自治省の担当局長にお尋ねしても、郵政省のほうで相当に何か考えておられるらしいという程度で、ちっとも具体的などの程度どうするということは自治省のほうも御承知になっていないというようなことでは、これだけの画期的なものをやろうというのに、それはあまりにも政府の部内は無連絡過ぎると思うのですね。だから、もう少し具体的な内容について、国の予算ですから、つかみで配られるんじゃないでしょうから、具体的な内容について説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/78
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079・曾山克巳
○説明員(曾山克巳君) 相当額と申し上げましたのでございますが、実は具体的な数字を申し上げればよろしかったのでございますけれども、その点おわびします。具体的な額といたしましては、実は大蔵省に要求いたしますところの外部予算におきましては、この要求額は通っておらないのでございます。しかしながら、郵政省全体の物件費が相当額ございますので、この内部の差し繰りによりまして、具体的な金額を申し上げますと、この戸番票の整備のために三百五十万円準備してございます。この三百五十万円でもちまして、私のほうでは、自治省のほうで御計画になっておるところの三十六年度の地番整備のモデル地区として考えておられる約二万三千戸と、それから三十七年度に実施を予定しておられますところの四十六都市、二十三万三千戸というものに対する戸番票としてはかなりりっぱなものが整備できるという工合に考えております。これは自治省とも相談いたしましてやっておりませんのでございますので、さよう御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/79
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080・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、郵政省として二十三万三千戸ですか、三十七年度に予定されておるその二十三万三千戸に対して、一軒々々戸番票を作って無料で配ると、そのための費用として三百五十万円、こういうように了解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/80
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081・曾山克巳
○説明員(曾山克巳君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/81
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082・秋山長造
○秋山長造君 自治省へお伺いしますが、先ほど午前中に参考人を呼んでその意見を聞いたときに、まあ異口同音に言われたことは、この住居標識の規格をできるだけ統一してもらいたいと、わかりよくしてもらいたい、こういう話があったのですね。で、自治省のほうではその具体的なやり方については、この法律によってできる審議会に十分諮って何らかの方法を講じたいと、こういう話だったのですが、今郵政省のお話によると、もうすでにきちっとした規格もきまって、そして統一された戸番票を全部へ無料で配ると、こういうところまで計画ができておるような話なんですが、どうも自治省のほうのおっしゃることと郵政省のおっしゃることと、話があとさきになっているといいますか、食い違ってしまっているのですが、一体そこらの意思統一というものはできてないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/82
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083・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 私ども、先ほど午前中にお答え申しましたとおりに、この戸番票その他の表示板の様式につきましては、審議会にお諮りをいたしまして統一したものを作りたいという考え方でございます。で、ただいま郵政省からお話のございましたものも、すでに三十六年度で実はこれは町名の整理がいいか、住居表示がいいかという実験を五都市でいたしておりますが、その五都市につきましては、郵政省からきまったものを御協力いただいたわけでありますが、三十七年度以降のものにつきましては、様式についてはまだお打ち合わせをいたしておりませんし、郵政省のほうでも予算として先ほどお話のようなものを考えておられるわけでありまして、様式については特に相談をしてやるということに御了解願っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/83
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084・秋山長造
○秋山長造君 午前中の参考人の御意見でも出ておりましたように、これはただ地域々々で統一しておるということではやっぱり不徹底なんで、日本国じゅうどこへ行っても一つの同じ標識がすぐ目に立つ、あああれはあそこだとならなければ効果が薄いと思うのです。で、すでに五都市でやっておられるというのはどこどこで、どういう標識を使っておられるのか。それからやっぱり五都市でやって、それがもし効果をおさめたとすれば、それをまた審議会であらためて別なものを作るということもどうかと思うのですがね、どういうものを使っていくのか説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/84
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085・大塚惟謙
○説明員(大塚惟謙君) 御説明申し上げます。三十六年度に大蔵省から予算をもらいまして、いわゆる実験といたしまして、五都市の実験をやっておるわけでございます。具体的に申し上げますと、群馬県の伊勢崎市、山梨県の甲府市、長野県では岡谷市、大阪府の吹田市、福岡県の福岡市、この五市につきまして一応実験をやっておるわけでございます。これにつきましては、審議会のいわゆる御審議のあれに資するために、一応町名でいくか、あるいは住居表示でいくか、いろいろの点につきまして、両方の方式を加味させつつ実験をやらしておる状況でございます。ところが、こういうような形におきまして、審議会におきましても住居番号でやれというような御答申をいただいておりまするし、この法律案につきましても御審議を願っておりますので、この法律案が御制定になりますれば、一応住居番号で施行したほうがいい、こういうふうに考えましてそのような準備をいたしておる段階でございます。この五都市につきましては、ただいま郵務局次長が申し上げましたように、そういうような街画表示、街区表示及び住居番号表示につきましての標識は、これは五月ごろにすでにもう張りつけるものでございますから、したがいまして、話し合いをいたしまして、今申し上げたようなおよその様式、企画というようなものを実験的に考えていきたい。それから結果をさらに今度の住居表示審議会の委員の先生方に見ていただきまして、四十六都市、それから再来年からやりまする大規模の実施に備えましての様式、規格というものの参考にしたい、こういうように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/85
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086・秋山長造
○秋山長造君 自治省は千八百万円、不十分ながらもね。四十六のモデル地区用として一地区平均四十万円ということで予算がついているわけですけれども、考えようによっては自治省は世話役なんで、郵政省のほうがほとんどの受益者側というくらい私ら考えるのですがね。にもかかわらず、大蔵省で予算が全然一文も認められなかった、で、やり繰りで三百五十万円というやり方についても、郵政省はそれほど金のゆとりがあるかと思うし、どうも国の一つの大きな政策ですから、政策の裏づけとしての経費がそういうあいまいなやりくりで調達されるということも、どうもはなはだ納得しがたいように思うのですがね。どれだけ大蔵省に要求されて、そして全額だめになったのかということも聞いておきたい。
それから同時に、今後五カ年計画でこれをやってしまうという計画で、自治省のほうは一応十五億円というめどをつけておられるわけですが、あなたのほうはそれに並行してどれだけの計画を持っておられるのか、その点お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/86
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087・曾山克巳
○説明員(曾山克巳君) 最初の点につきましては、先生のおっしゃるとおりでございまして、私どもも、こういった、郵政省にとりましても――もっとも郵政省だけでございませんで、一般公益事業、あるいは住民にとりましても非常に受益するところ、利益するところの多い制度の実施につきましては、国及び地方自治団体あるいはそれぞれの受益団体が分担すべき筋合いだとは実は思いますけれども、先ほども何回も申しますように、郵政省の受益の度合いが非常に高いものでございますから、郵政省自体が予算を持ちまして、こういった表示板なりあるいは戸番票なりの作成に協力いたしたいという工合に踏み切った次第でございます。ただ、当初三十七年度予算を組むにあたりましては、自治省のほうでは二十三万三千戸という具体的な計画をお出しになったわけでございますけれども、郵政省の予算要求の場合には、要するに法律がまだ通っておらないものにつきましては、一応予備費にもぐって出すというやり方を従来やっておる次第でございますので、大蔵省といたしましても、具体的な問題につきましては、三十八年度以降の予算でやろうということを実は相談いたした次第でございます。
それから、私先ほど三百五十万円と申し上げたのは、戸番票だけでございまして、そのほか街区々々につく標識板があるわけであります。これは、午前中も磯村参考人から話がございまして、広告をとるのはいかぬという話もございましたけれども、私どものほうの省といたしましては、省全体がこれを持ちますとやはり相当額になりますものですから、高額になりますものですから、一応品のよい広告をとりまして、それで表示板を作っていったらどうだろうかというふうに考えております。これは見本も持って参っておりますが、御要望があればお見せいたしますが、そういったものを掲げることによって、郵政省といたしましては広告費との相殺でただでできるわけであります。それが三百五十万円に倍加する大体金額になろうかと思います。さらに、郵政省といたしましては、これを住民に徹底することが必要でございまして、その徹底の手段としまして、幸い郵政省は郵便物を毎日々々配達いたしておりますので、無料はがきを作りまして、これを各戸に配る。その無料はがきの配付を受けたそれぞれの住民は、自分の親戚、知己に利用して出す。もっとも、この無料はがきは、本来郵便法でもちまして、利用する場合差出人がきまっております。したがって、こういう場合もほんとうは法律で規定しなければいかぬのでございますが、そのためには郵便局長が肩がわりして出すという一応形式的な形をとってやるわけでございますけれども、そういう金といたしましても、なお数百万円内部予算を差し繰りましてやりたいというふうに考えております。そうしまして、やはり、三百五十万円という額でない、それに数倍するような額に金額換算いたしますとなろうかと思います。
なお、大蔵省に対して幾ら要求したかということは、今お答えいたしましたとおりでございますけれども、今後の見通しでございますが、今後自治省が、五カ年間に約十五億をかけまして、主として事務経費を中心にして補助金なりをめんどうみていこうというお考えのようでございますが、郵政省といたしましても、今申しましたような一応分担割合に応じましては協力して参ろうと思います。しかし、御承知のように、郵政省におきましても、そう予算が潤沢であるわけでございませんので、この問題につきましては、単に郵政省だけでなく、ほかの受益団体とも相談をして参りまして、場合によっては寄付とかいろいろなことをも考えていっていただきたいという要望を持っている次第でございます。
なお、具体的な額について申し上げますと、自治省のほうで計画しておりますところの、戸数かけることの約十四、五円の単価――戸番票の単価でございますが、それをかけたものが総額になる次第でございまして、約三、四億になろうかと考えます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/87
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088・秋山長造
○秋山長造君 そうしますと、今度のこの住居表示を実施に移す場合、事務的な経費と、それから主たる経費は、標識板だとかあるいは戸番票を作る経費。ところが、主たる経費の戸番葉、標識板のほうは、全部スポンサー付でやればうんと経費は安く済むということであるにしても、戸番票と標識板の関係は、全部郵政省で世話をされる、こういうように了解していいのですか。そうすると、一般の住民はもう負担は全然なし、それから市町村にしても、事務的な経費についての若干の負担程度で済む、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/88
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089・曾山克巳
○説明員(曾山克巳君) その点につきましては、省の希望といたしましては、相当額の予算を支出するということになりますと、やはり今五カ年間にわたりまして全部お引き受けするということは、率直に申し上げまして、明言できない次第でございますが、しかし、標識板につきましては、広告をとっていくことによりましてただでできるわけでございますから、このほうのお世話は、郵政省の、たとえば郵便協力会というような、そういった外郭組織もございますので、そういうところを通じてやっていけば、これは五カ年間完全まるまるごめんどうみていけるだろうという工合に考えます。
なお、戸番につきましては、やはり数億になりますので、できるだけ省としましては大量の分担割合をもってやっていきたい。特に、初年度につきましては、今申しましたように、全部百パーセント分担するわけでございますが、将来は、たとえばその規格につきましても、安くていい品質のものができれば、それに切りかえていくということによりまして、できるだけ実効を上げていくような方策をとっていきたい。ただ、まるまる数億を全部郵政省が持つかといって今先生にだめを押されますと、私省の経理当局の責任者でもございませんものですから、できるだけそうして参りたいということは申し上げられますが、そうするということの明言はできかねる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/89
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090・秋山長造
○秋山長造君 郵政省の姿勢としては、私はなかなかいいと思う。郵政省は金を持っているのですから、自治省のほうはあまり金がないのですから、大いにひとつ責任をまるまる引き受けるくらいの意気込みでやってもらいたいと思う。
それから、PRの方法として、国その他各機関はこれの徹底に協力しなければならぬということが法律にも書いてありますが、特に、郵政省としては無料はがきを発行されるということですが、それはけっこうなんですけれども、その他何かPRの方法で考えておられることがあれば、発表していただきたいと思う。
それから第二点として、先ほどの参考人、あなたも聞いておられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/90
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091・曾山克巳
○説明員(曾山克巳君) 磯村先生のだけお聞きしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/91
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092・秋山長造
○秋山長造君 その前の三人の方の中で、東京新聞の方から、やはり同じように、標識板については広告をとってやれば簡単にやれるのじゃないかというような話があった。ところが、磯村さんからは、逆にそういうことはいかぬという御意見があったのですが、私の意見としては、あまりこういう標識板なんかに広告をやたらにくっつけるということをやりますと、そうでなくても、特に市街地は、もう千差万別、いろいろな広告がはんらんしているわけですから、その中でこの住層表示をやろうということになれば、よほどこれは、いろいろな雑多な広告の中にあっても、一目で目立つようなものでなければいかぬだろうと思うのですね。ところが、これにもまた広告をくっつけるということになりますと、これは非常に安くて済むかもしれませんけれども、わざわざ住層表示をやって一目でわかるようにしようという趣旨から考えますと、非常にまぎらわしくて、かえってわからぬようになってしまうおそれがあるんじゃないかと思う。
それからもう一つは、やはりこれはいわば公共の施設になりますから、だから公共の施設として、しかも木の立札みたいなものでなしに、相当恒久的なものを作るということになりますと、広告なんかをやたらに張りつげるということは、かえってこの趣旨に反するのじゃないか。少々費用がかかっても、この際やはり、先々のことを考えると、そういう広告なんとかいうものとは全然区別して、ぴしっとしたやり方をしなければいかぬのじゃないかと思うのですが、この点は自治省にもお尋ねしておきたいのですけれども、どういうように考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/92
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093・曾山克巳
○説明員(曾山克巳君) 郵政省として先にお答えいたします。
まず第一のPRの点でございますが、幸い郵政省の、国の機関でありますところの郵便局が全国に散在しておりまして、その主要な郵便局には、郵便局ニュースというものを発行しておる次第でございます。そのニュース等では、絶えず戸番制度の重要性につきまして、私どもPRをいたしております。なお、省の機関誌でございますところの雑誌等にも、ほとんど毎号のように、この戸番制度、住居表示制度の重要性につきまして強調いたし、従業員の口を通じて全国民に周知徹底するというようなこともやらしております。なお、いかにこの町名地番の混乱のために郵政省が困っておるかということにつきましても、パンフレットを相当部数作りまして、自治省の御意見等も入れまして、いろいろな方面にお配りしてPRに努めて参りました。さらに、今後の方針といたしましては、今申しましたようなことを拡充します一方、戸番制度の促進協議会というような民間の団体をさらに大きくいたしまして、資金的な裏づけも、先ほど申しますとおり、相当郵政省からもいたしまして、それを通じていろいろなパンフレットを配るとか、あるいは講演会をやるとかいうようなことを考えていきたいと思っております。
第二の広告の点でございますが、差しつかえなければと申しましてあらかじめ御了承いただくことにしまして持って参った見本をお見せいたしますと、こういったものを――たまたまこれは北区の浮間地区という非常に地番整理の進んだところでございますが、作った次第でございます。これは区当局で作ったものでございまして、郵政省が中に介在したわけではございませんが、こういったものをごらんいただきますと、これが品位がいいか悪いかという問題にもなって参りますが、私どもこの程度であれば――これは横にもなるかと思いますが、そう見苦しいものではない。つまり、広告部分が全体の標識板の五分の一以内におさまれば、そうみっともないものではなかろうという工合に実は考える次第でございまして、そういたしませんと、これ自体が実は百五十円かかるそうでございまして、百五十円かける――街区のこれは四すみになりますから、街区ブロック数の四倍ということになりますと、相当額の金額になりまして、やはり千万単位の金額になりますものですから、私どもといたしましては、ある程度こういう形の広告であれば、了承していただきたいという工合に考えておる次第でございます。なお、今後これにしても、やはり品位上困るという御意見がございますならば、これはやはり、国全体といたしましてお考えいただくという工合にならざるを得ないかという工合に私ども考えるわけでございますが、そういう次第でございますので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/93
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094・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 表示板と広告の関係の点でございますが、ただいま郵政省からのお話もございましたように、広告があまり見苦しくないものであり、肝心の表示がはっきりと識別できるものでありますれば、一がいに広告と一緒ではいかぬという必要もないんじゃなかろうかというようなふうにも考えておりますが、けさほど参考人の方からいろいろ御意見もございましたので、実施にあたりましては、さらに郵政省その他ともよく研究をした上で、実施に移ることにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/94
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095・西郷吉之助
○西郷吉之助君 今の広告板ですが、スポンサー付というのは、経費の点ではそれは助かるでしょうが、やっぱり広告を入れると、必ず仕事は競争相手がいるわけですね、ライバルが。そうすると、自分の競争相手の会社の広告板が入ったものを、その競争相手の会社がそれを張るでしょうか。非常にいやがるんじゃないですか、社員にしても。私は、こういう半強制的にやってもらわなくちゃならぬという――各個人のうちに張る、自分の意思に反した広告を入れたものを人のうちに張るなんということは、はなはだ感心したことじゃないと思いますが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/95
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096・曾山克巳
○説明員(曾山克巳君) ごもっともな御意見でございます。ただ、今先生からお話のございましたものに、標識板と戸番表と二つあるわけでございまして、戸番表のほうは――どれも例でございますが、たとえばこういった表があるわけでございます。これは小さくてごらんになりにくいと思いますが、こういったものを張るわけでございまして、これは当然広告を私どもはとらない。これにつきましては、郵政省が、少なくとも初年度におきましては、まるがかえで経費を持ちまして、各戸々々に配って差し上げる、それも取りつけて差し上げるという工合にいたしたいと思っておる次第でございます。
なお、標識板、つまり各ブロックの、街区の四すみに掲げますところの標識板につきましては、相当経費も食うことでございますし、一応、今行政局長からお話がありましたように、見苦しくないものでございましたならば、広告をとらざるを得ないんじゃないか。今の日本の財政状態では、そうならざるを得ないんじゃないかという工合に私ども考えまして、さよう相談したのでございます。
なお、広告をつける場所でございますが、これも、先生のおっしゃるように、たとえば今ここにございますところの薬品なら薬品の製造会社の広告を、薬品の広告のライバルの社員の宅にでもつけるということになりますと、相当問題であろうかと思います。そういうことでございますので、私どもの考えといたしましては、これは広店条例をもちまして広告を禁止しておりますところの主として郊外地区、これはつまり住宅地区でございますが、そういうところを、これは自治省のほうと相談して参らなければいけませんが、ある程度禁止を解除していただきまして、電柱――これは東電の電柱と電電公社の電柱と両方あるわけでございますが、そういう国の機関、あるいは非公共的な色彩の強い会社の営造物に、広告をかけることにしていただきたい、そういう工合に考えております。そうしますと、今先生のおっしゃる疑問も解消するのではないかという工合に考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/96
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097・西郷吉之助
○西郷吉之助君 今の答弁、大体わかりますが、今交通標識一つ――広告問題考えても、日本には広告が無秩序に、無制限にはんらんし過ぎている。これは都市の美観なんかを害することはなはだしいものがあると思う。そういう日本の現状にかんがみて、こういう公共的なはっきりした表示を必要とするというものに対して、また政府機関が便乗して、そういうものにも広告を載せるというようなことは、日本の現状からいって、私は非常に逆行しておると思います。一般の広告でも、無制限で、非常に都市の美観を害しておるんですね。あなた方は、ただ経費々々と言われるけれども、必ずしもそういう点だけに重点を置いて、営利会社と組んで公共的なものに広告をまじえるという観念は、やっぱり根本的に考え直したほうがいいんじゃないかと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/97
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098・曾山克巳
○説明員(曾山克巳君) 先生の御意見を十分体しまして、広告のとり方につきましても、品位をそこなわないような広告をとっていくというようなことにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/98
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099・津島壽一
○津島壽一君 大臣に、ちょっと簡単な質問ですが、この法律案は、前回伺ったところでは、時期が四十二年を終期としてやるということなんですが、これは実行の順序、段階というものを非常によく選択していただかなくちゃならぬと思う。特に例示すれば、東京でございます。東京都あるいは大阪ですね。これは現在どうなっているか。私も十分注意して見ませんが、町名ですね、家の表示のいわゆる番地というものは別として、町名すらも十分はっきりしていないというのが、これはもう諸外国から来た人が非常に不思議がっていることです。それで、こんなことを言っている。昨晩も有名な外人が四、五人来まして話したのですが、何の感想があるかと言ったら、こんな町の名前のわからぬ大都会はありません、こういうことは驚いたことですと言うのです。これは数回私は体験しているのです。そこで、これは本式の街路方式であるとか、あるいは道路方式によってきめる、その時期が四十二年まででいいんだということであれば、なかなかこれは金もかかることだから、また複雑なことだから、そう促進されがちじゃないと思いすまね。したがいまして、実行段階においては、これは主要なところ、そして大体その街区というようなものができ、そして道も、ちゃんと今度計画によって大通りはわかるのですから、ブロック式になっているところは、四すみに町名だけは早くつけてしまう。その中にあるいわゆる住居表示は、これは諸外国では、ごらんのとおり、ただこういうふうに一、二と書いてあるのです。そういう番地とか何とかは、重複して書かないで、このブロック内では一、二、三、四、五ですっといけばいい。奇数、偶数で両側に非常に簡単な標識で、個人が、これぐらいなものですが、うちのまん中にちょっとやっています。こんなものは、個人としても非常に便利なものですから、負担してもいいくらいなものですけれども、しかしこれは強制するものじゃないですから、財源が要るとしても、まずさしあたって町名ですね、二番町なら二番町というものを両横につければ――私は千代田区におりますが、そういうのがはっきりしないのです。それがいつ要るかということになってくるけれども、それは早いほどいい。ただ、どうしてもこれは、やや実行段階で、交通の非常に不便であるとか何とか、居住している日常の生活に困ると一その個人じゃなくて、これはもう天下全体の人が必要なのであって、個人が不便だからという問題じゃなくて、そういう観点から順序、段階をきめて、そうして大きな町、ブロックになる、いわゆる街区というか、また道も今度は正式にきまりますから、そのブロックのすみずみ四つだけつけていけば、あとはもう家は一、二、三という番号を中心に張りつける問題である。そういう今の表示は、何街区何町何々と、こういう大きなものは、これは四すみに要るかもしれぬけれども、番地というのは、あとはもう一、二、三で、このぐらいはナンバーだけつけちゃうんですね。そういうことを考えると、いわゆる技術的の面は別として、方針として、どうしてもこれは、東京とか、大阪とか、国際人のたくさん来るようなことを期待できるところでは、町の名前ぐらいは早く――四十二年なんというのはおそ過ぎるので、もし全体が戸数が多ければ、適当な地区だけは一年以内にやる。これは東京都あたりに言えば、喜んでやるべき仕事ではないかと私は思います。そこで私は、その実行の方針を――もしそれが長くかかるようだったら、暫定的に、そういう大きな町などは、何区何町とかいうぐらいのものは表示すれば、その範囲内に自分のたずねる家があるということははっきりするだろうと思うのですね。方針を私は大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/99
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100・安井謙
○国務大臣(安井謙君) まことにごもっともな仰せでございまして、ことしはモデル・ケースで、三十七年度は非常に限定された予算にもなっておりますが、この大都市中心につきましては、積極的に自分のほうの経費というものでもやっていこうという気がまえも相当できておりますので、これは今の予定の計画よりは相当促進はし得るものと思っておりますし、また促進をやらせたいと思います。
なお、オリンピックはともかくといたしましても、そういった今お話しのような、町名を明らかにするといったような方法は、これは別個に検討しまして、できるだけ今の御趣旨に沿えるように、ひとつ具体的に検討していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/100
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101・秋山長造
○秋山長造君 さっきそこへ持ってこられた小さいほうが十五円ですか。大きいほうはどのくらい実費がかかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/101
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102・曾山克巳
○説明員(曾山克巳君) これは、小さいほうとおっしゃるのは、この戸番のほうでございますが、これは私ども一応予算上の単価を十五円という工合に考えておる次第でございまして、正直に申しまして、もっとそれより安くできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/102
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103・秋山長造
○秋山長造君 ちょっと小さ過ぎるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/103
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104・曾山克巳
○説明員(曾山克巳君) それは、自治省の直うと規格をよく考えて参ります次第でございますので……。大きいほうは、先ほど百五十円と申しましたが、この調製費全般が百五十円かかるそうでございます。ただ、作るほうは、広告をとりますので、その広告と相殺で実はただでできると、こういう工合でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/104
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105・秋山長造
○秋山長造君 まあその広告をとったらいいかどうかということの私の意見は、さっき言ったとおりなんですけれどもね。これはやはり、十分ひとつ、審議会を設けられるのだったら、ほんとうにこれは審議会で検討してもらわなければ、今のその表示板を見ても、やはりこっちから見ておりますと、上より下のグロンサンのほうがちょっと目に立つのですね。だから、グロンサンははっきりしていいけれども、この法律はグロンサンのほうをはっきりさせるための法律じゃないのですから、やはりこれは慎重に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/105
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106・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 先ほどから御指摘の、広告のあり方、あるいはこの表示の方式等につきましては、今のいろいろなお話を十分参酌いたしまして、さらに具体的にそれぞれの関係機関とも協議して進めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/106
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107・小林武治
○委員長(小林武治君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/107
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108・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/108
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109・基政七
○基政七君 私は、民主社会党を代表して、本法案に賛成するものであります。
現在、町名、地番の混乱により、われわれ国民の日常生活に多大の不利不便を及ぼしておりますことは、お互い痛感するところでありますが、今回これが是正のため本法案の提出を見るに至ったことは、その時期いささかおそきに失したきらいがあるとはいえ、まず時宜を得た措置として、政府の努力を認めるにやぶさかではありません。ただ、その内容に至っては、いまだ完全とは申しがたく、不備の点も多少見られまするけれども、その完備はこれを将来に期待するという意味において、おおむね妥当なものと認める次第であります。ついては、この際、各派共同提案にかかわる附帯決議案を提出いたします。
附帯決議案を朗読いたします。
住居表示に関する法律案附帯決議案
住居表示制度の確立とその急速な実施は、さきに本委員会において決議し、政府に根本対策を講ずべきことを促したところである。
政府は、本法に基づいて画期的重要性ある本事業を実施するについては、特に左の諸点に留意し、関係各省の積極的協力のもとに、遺憾なきを期すべきである。
一、住居表示は、すべての国民の実生活に直接的に関係すること多大であるから、周知徹底についてはあらゆる方策をとり、住民の理解と協力を得るに遺憾なきを期すること。
一、大都市その他町名地番の混乱が著しい地域から重点的に実施し、でき得る限り短期間に完了し得るよう計画的に行なうこと。
一、市町村の必要とする経費については十分に財源措置をするほか、国及び関係機関は財政援助につき十全の配慮をすること。
一、本事業の処理については、専門的、技術的知識を要し、また、関連して町及び字の区域あるいは名称の合理化、平明化をはかるべきものであるから、臨時に所管の組織を設け、あるいは専門職員の養成配置をする等の方策を講ずること。
右決議する。
皆さんの御賛同お願いいたしまして、私の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/109
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110・小林武治
○委員長(小林武治君) 他に御発言もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/110
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111・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議なしと認めます。
これより採決に入ります。
住居表示に関する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/111
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112・小林武治
○委員長(小林武治君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/112
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113・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
次に、基君の討論中にありました各派共同提出にかかる附帯決議案を議題といたします。
本附帯決議案を当委員会の決議とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/113
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114・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
本決議に対し、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/114
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115・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 本法案につきまして、非常にごもっともな御意見を種々御指摘いただきましたことを、厚く御礼申し上げます。特に、この附帯決議につきまして、この四カ条は一々まことにごもっともなことだと存じまして、私ども十分この御趣旨を具現化するように今後もやっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/115
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116・小林武治
○委員長(小林武治君) それでは、本日はこの程度にいたします。次回は二十二日十時開会といたし、これにて散会いたします。
午後二時五十一分散会
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01619620320/116
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