1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月二十二日(木曜日)
午前十時三十三分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小林 武治君
理事
野上 進君
増原 恵吉君
秋山 長造君
基 政七君
委員
小柳 牧衞君
館 哲二君
鍋島 直紹君
占部 秀男君
松澤 兼人君
矢嶋 三義君
中尾 辰義君
衆議院議員
発 議 者 太田 一夫君
国務大臣
自 治 大 臣 安井 謙君
政府委員
自治政務次官 大上 司君
自治省税務局長 後藤田正晴君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
説明員
自治大臣官房参
事官 大村 襄治君
自治省税務局市
町村税課長 佐々木喜久治君
参考人
東京大学教授 遠藤 湘吉君
全国町村会会長 山本 力蔵君
関西主婦連合会
長 比嘉 正子君
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本日の会議に付した案件
○地方税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○地方交付税法の一部を改正する法律
案(衆議院送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/0
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001・小林武治
○委員長(小林武治君) ただいまから委員会を開会いたします。
地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、お手元にお配りした印刷物のとおり、お三人の参考人の方から本法律案について御意見を承ることになっております。
参考人の方々に申し上げますが、皆様には御多用中お出でをいただきまして、まことにありがとうございました。順序といたしまして、まず、お一人約二十分程度で御意見をお述べをいただきまして、後刻、委員からの質疑にお答えをいただくことにいたしたいと存じます。何とぞよろしく御協力のほどをお願いいたします。
まず、遠藤参考人からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/1
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002・遠藤湘吉
○参考人(遠藤湘吉君) 遠藤でございます。簡単に、今提出されております地方税法の一部を改正する法律案について意見を申し上げます。
まず第一に、今回の改正案の特徴と申すべきものを申し上げますと、今回は、御承知のように、税源配分についてかなりの考慮が払われたという点では、昭和二十五年に実施されました税制改正以後、最も注目すべき改正であるというふうに考えられます。そうしてこの税源配分の問題とからみ合って諸般の配慮が比較的こまかく行なわれておる。つまり、団体間の税収の調整でありますとか、そういった事柄、その他大衆負担の軽減でありますとか、それらの点がある程度こまかく織り込まれておるという点について、相当、最近の改正としては注目すべきものがあるというふうに認められるわけでありますが、しかし、なお税源配分という長い間の懸案が、この改正で十分に解決されておるかどうかといえば、それは今回の措置は、なおきわめて部分的であって、根本的な点にまで至っていないということは言える点であろうと思います。この根本的な税源配分というものをどのようにしていくかということは非常に大きな問題でありまして、後にまたあらためてその問題に立ち帰って意見を申し上げることにいたしたいと思います。
とにかく一応今年度の改正案全体についての感想を申し上げまして、次に個々の点に入りたいと思いますが、まず最初の問題は、税源配分として道府県民税が二段階の比例税率によって増収をはかられておる。そしてそれは所得税法の改正とにらみ合いで行なわれておるという点であります。この点は、先ほど申し上げましたように、二十五年以後の改革の中では非常に至要な点だと思いますが、全体としてこの道府県民税の増徴と所得税の軽減とを総合いたしますと、総合負担においてほぼ軽減が行なわれるということは認めてよろしいことだと思います。しかしながら、理論的に申しますならば、税率が比較的軽いという点で、正当化することも可能でありますけれども、なお累進税率から比例税率に移したということについては、理論的には多少の疑問があるという感じを持っております。
それから、その次は市町村民税でありますが、市町村民税の改正が行なわれまして、一般に税率の緩和、これは適用はもう少し先になるわけでありますけれども、税率の緩和が行なわれたということは、国税、地方税の軽減とにらみ合わせて歓迎さるべきことだと思われます。
それからさらに、それと並びまして、扶養親族の税額控除の標準額が決定されたということは、いわゆる産業構成があまり高度化されておらない町村等におきましては、かなりのマイナスが生じるおそれがあるということは認めますけれども、しかし、負担の均衡という点から考えるならば、これもある程度はやむを得ないのではないか、将来の所得の伸びというような点からいって、現在この点で若干のマイナスを感じる町村も、やがてはさしたるマイナスを感じない状態が来るであろうというふうに考えますので、この点も適当であるというふうに思います。
それから、あと住民税の控除や免税対象、非課税範囲の拡張等については、特別申し上げることはございませんが、次に市町村民税について、新たに、新たではないかもしれませんが、配当控除が別々にきめられておる点でありますけれども、一般に税制調査会の一昨年の第一次答申のときに、国税、所得税における税制改正の影響が住民税に及ぶことは遮断すべきであるという見解が出されまして、それが徐々に実施に移されつつあるという点は、御承知のとおりでありますが、そういう点からいって、配当控除は、すでに地方税において行なわれておる団体はともかくといたしまして、これは一般的にいうならば、これを地方税において実施することは好ましくないというふうに考えられます。特に配当控除につきましては、所得税の問題につきましても、なお当分現状のままで推移を見守るべきであるというふうな決定が第二次答申の中でも行なわれております点からいって、こういう規定はあまり好ましくないのではないかという感じを持っております。なお配当控除に限らず、国税、所得税における改正の影響を遮断するという点では、現在の住民税について、相当いろいろな問題があるように考えられます。これはしかしむしろ問題は、より多くは所得税法の問題であると思いますので、くどくは申しませんが、御参考までにお聞きいただけますならば、たとえば税制調査会ですでにたびたび答申しておりますような租税特別措置の整理ということがもっと国税において進められて、そのはね返りが住民税等に移らないようにするということが望ましいことであろうと思います。
次は事業税でありますが、事業税につきましても、これは実はいろいろ問題のある税であります。実は私自身、この事業税というものをどういうふうに考えていいかということについて、はっきりした結論を持っているわけではございませんが、一般に所得課税が行なわれる際、ことに地方税で所得課税が行なわれておる際に、事業税がやはりその点で所得課税に対する負担の非常に累進的な効果を強めておるという点から若干の疑問を感じております。それからもう一つは、事業税は部分的には収益税的な性格を持っておりますけれども、今も申しましたように、かなり所得課税的な性格を持っておるという点でもう少しすっきりするような方法が考えられないか。そういう点でも疑問を持っておる点であります。しかしながら、今回ともかくそういう問題のある税につきまして、若干税率の改正を行なわれたということは、やはり望ましい改正の方向であるという見方をしております。
なお事業税につきましても、今の所得税と住民税の関係とやや似たようなことが言えるのでありますけれども、これはむしろそういう所得税、つまりそれは事業税の課税対象にならない幾つかの業種があるわけであります。新聞、放送、広告、教科書販売等、幾多の業種がある。そういうものが何ゆえに事業税の対象にならぬかということについては、現行税制について考えてみても、必ずしも合理的な根拠というものは認められないのではないか。そういう点でそうした非課税の業種というものは、できるだけ早く整理さるべきであろう。それは金額から申しますと、税収入の額から申しますと、それほど大きな額ではないかもしれませんが、負担の均衡という点から申しますと、やはり整理されてしかるべきものである、このように考えております。
それからその次に分割基準に変更がありまして、事業税の対象となります法人の本社の従業員を二分の一として算定するように改めたという考え方は、最近のように地方にいわゆるコンビナートその他化学工業が非常に発展しつつあるという状況のもとでは、時勢に応じた案であるという印象を持っております。
それからそのあと種々ございますが、これについては、不動産取得税等につきましては、特別申し上げることはございません。
それからその次にたばこ消費税でありますが、たばこ消費税につきましては、課税標準が全国平均、小売価格と売り渡し数壁との相乗額に改めるという改正が考えられておるわけであります。これは、先ほどちょっと申しましたように、いろいろな経済力の異なる団体の間のたばこ消費税収入をある程度調整する効果を持つという点で、かなり苦心した改正案であるというふうに思いますが、なお、これは詳細は、いずれ具体的に定められるわけでありましょうけれども、年々現在のようにたばこの消費動向というものが、次第に高級化していくといいますか、そういう傾向にあるわけでありますので、そういう推移にできるだけおくれないようにその収入が上げられていく、つまり実際の消費の実態とたばこ消費税の徴収との間に、できるだけギャップがないように特別な行政上の考慮が払われることが望ましいというふうに考えております。
それから料理飲食等消費税でありますが、料理飲食等消費税につきましては、私はもともと多少の疑問を持っております。それはどういうことかと申しますと、この料理飲食等消費税というのは、徴税技術の点からいってかなり問題の多い税ではないかというふうに思うのでありますが、しかし、現状としては、これが府県税として相当の収入を上げておるということは否定できない。したがって、その現状を認める限りは、そういう根本的な問題点はしばらくおくといたしまして、これを合理化する、その現状を肯定した上で合理化するということにならざるを得ないわけでありますが、それにつきましては、税制調査会では、一人一回の消費金額二千円を金額の区分といたしまして、二段階の税率を考えられたわけであります。今回、法案では、それが三千円になっておりますが、二千円なり三千円という金額は、金額としてはそれほど大きな違いはないかもしれませんけれども、この税がそもそものねらいとするところは、奢侈的消費に対する担税力を捕捉するということであったわけでありますから、そういう点から申しますと、一人一回の消費金額二千円というのは、決して酷な金額ではない、あえて三千円にするという必要は必ずしも認められないというふうに思われます。
それから旅館における宿泊料の料金については、一律一〇%として、そうして課税標準の特例を設けたわけであります。これについては、私は、課税標準の特例を引き上げるということも一つの方法でありますが、むしろこれにつきましては、必ずしも課税標準だけで操作するのではなしに、もっと別な方法があったろうという感じを持っております。それからなお最近伝えられるところによりますと、外人のホテル等の宿泊につきまして、料理飲食等消費税の課税を免除するということが考えられておるそうでありますけれども、私は、それについては別に妥当な根拠が認められないというふうに考えております。すでに国内に入国した外国人に対しては、日本国民と同様の内国消費税を負担をさせることは一向差しつかえない。むしろ観光ということでありますならば、観光のための措置だということでありますならば、その論法を推し進めていきますと、通行税その他一切が外人については免除されなければならないということになってくるわけであります。もしそういうふうに一貫した措置をとられるならともかく、ホテル等の宿泊料金のみについて、特にそういうことを設けるということは、税法の点からいっても、また考え方としても妥当な根拠があるようには私には理解できません。
それから、もうだいぶ時間がたって参りましたので、自動車税、固定資産税等については、申し上げることを省略いたします。ただ、この固定資産税につきましては、いずれ近い将来に、この評価制度について改正が行なわれるわけでありますが、現状におきまして、この実際の時価とそれから評価額との間に、どこの地方に参りましても、非常に大きな開きがあるということは、これはやはり税法の適切な実施という点から見て、やや問題があるのではないか。もちろん一挙にその時価を引き上げるということになりますと、納税者の負担も多くなりますが、その場合には、税率等で調整する、特にその時価をできるだけ実勢に近づけるような措置を早くされることが望ましいというふうに考えております。
それから電気ガス税でありますが、電気ガス税につきましては、市町村財政という点からいうと、いろいろ問題もございましょうけれども、私は電気ガス税の税率というのは、もう少し下げてもいいのではないかという感じを持っております。
それから、さらにだいぶ飛ばしまして、国民健康保険税でありますが、国民健康保険税は、現在非常に重い負担になっておることは御承知のとおりであります。この国民健康保険というのは、これもやはり御承知のように、いわゆる中以下の所得層が非常にこれを利用すべき性質のものであるにもかかわらず、その負担額が非常に重くて、この住民税よりもはるかに、住民税に何倍するような負担を負っている町村も珍しくないわけでありますが、この点については、単に税法だけの問題ではなくて、これは国民健康保険制度全体の問題でありますけれども、つまり国庫負担等と関連をもってくる問題でありますが、総合的に考えて、もう少しこの保険加入者の負担を減らすような方向がさらに考えられてしかるべきではないか、このように感じております。
それから最後に、入場譲与税は、三十六年度限りで廃止になりました。この点については、いろいろやはり問題を持つ地方団体もあるかと思いますが、長い目で見ますと、いろいろな財源調整や税源配分等が行なわれた振りかわりとして、比較的将来性の乏しい入場税でありますので、これを国税に移管するということは、長い目で見ますと、地方財政にとって必ずしもマイナスではないのではないか、このように考えております。
非常に急ぎましたが、個々の税目に関する意見はこの程度にいたしまして、最後に結論として、初め申しました税源配分の問題に立ち帰らせていただきます。
税源配分の問題は、先ほどもちょっと申しましたように、非常に大きな問題でありますので、なかなか簡単にこの解決策が出てこないわけであります。特にそれは、いわゆる事務配分の問題にからんで参りまして、その事務配分の問題がさらに地方制度全般の体制というようなことにまで発展いたしますので、非常にむずかしい問題でありますが、その事務配分とからんで、私は税源配分は、単に新しい税目を地方に委譲する、あるいは新しい税目を起こすというようなことだけでは解決できないのではないか。それは言葉の厳密な意味の税源配分というのから少しはずれて参りますけれども、この地方の収入、広くいって地方団体の収入を確保するという見地から申しますと、それは税制の問題のみならず、もっと広く補助金制度というようなものについても、はたしてそれが妥当であるか、適正であるか、あるいは分担金も含めましてでありますが、そういうことまで考えて、総合的に行なわれるべき性質のものである、そうした意味で、この問題は、むしろ中央と地方との財政の関係をどうするか、単に税源の問題をこえました経費の問題にまで入っていった非常に大きな問題になると思います。この点につきましては、私は、今までのいわゆる税制調査会というものは、ほとんどこの点について突っ込んだ議論をする機会がなかった、それは一つには、時間的な制限あるいは年々起きてくる減税要求というものに応接するのにいとまがなかったということから来ると思いますけれども、税制調査会の構成、機構そのものが、こうした問題を重点的に取り上げるというのには不適当ではなかったかという印象を持っております。したがいまして、この問題は、別個にそういう問題のみを対象とするような審議会あるいは調査会等において、かなり長期間の時日をかけて勉強されるようなことが望ましいのではなかろうか、そのように国会でも御配慮を願うことが妥当ではないだろうかという印象を持っております。
たいへん簡単でありましたが、一応意見の陳述を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/2
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003・小林武治
○委員長(小林武治君) 次に、山本参考人にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/3
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004・山本力蔵
○参考人(山本力蔵君) 全国町村会長の山本でございます。平素地方自治体のために非常に御高配をいただきまして、この際御礼を申し上げる次第でございます。
ただいま御審議中の地方税法の一部改正に対する意見を申し上げさしていただきたいと存じます。
今回の改正は、地方税の大衆負担、中小企業の負担の軽減、合理化、さらに税の負担の均衡ということを考えられておりまするし、さらに国、地方を通ずる税源の配分という二つの要素からなっておりますが、この改正につきましては、国の税制調査会等の答申に大体沿っております問題でございまして、私どもといたしましては、反対の理由はないわけでございます。ただ、減税の内容でございまするが、住民税の税率の引き下げ、また、ただし書き方式を採用しておりますところの基礎控除の標準額の設定、電気ガス税の税率の引き下げ、非課税範囲の整理合理化、鉱産税につきましては、中小鉱業者の軽減税率の設定、こういう措置がとられているのでございます。そこで、私どもといたしましては、この改正には反対するものではございませんが、町村財政の現状から見まして、特にこの改正が弱小町村の財政に至大な影響を及ぼしておるのでございます。特に住民税におきましては、昨年度の改正におかれまして、当参議院におかれまして、白色専従者の税額控除の制度を取り入れられまして、三十七年度より実施になるのでございます。三十七年度は専従者控除と、それから扶養控除の六百円の標準税率の設定が二つ重なっておるのでございまして、地方税全体から見ますると、大きな問題ではないかと存じまするけれども、農村を基盤としております大部分の町村に非常な、予想以上の減収を来たしておることが、今度の予算編成ではっきりいたしましたのでございます。したがいまして、財政の運営に相当の障害を与えることも予想されますので、この上は、交付税制度の運用等を含めまして、これらの減収補てんの措置に遺憾ない御処置を願いたい、かように存ずるわけでございます。また今回の改正によりまして、三十八年度よりは住民税の税率の引き下げがございます。したがいまして、住民税といたしましては、さらに大幅な減収を来たすというような点があるのでございまして、今より明年度の貧弱自治体の財政面につきまして、補てんの措置をひとつお考えおき願いたい、かように考える次第でございます。
次に、国と地方団体の税源配分でございまするが、従来の税制改正は、減税をいたしまして、その後におきまして、減収補てんの問題を私どもは常にお願いして、この問題が非常な難航をするのでございまするが、今回の改正におきましては、地方財政の自主性、健全性を高めるという御趣旨によりまして、独立税の強化のために税源の付与が一部行なわれております。その規模、量につきましては、私どもといたしまして不満足な点がございますけれども、今回の改正が従来の改正と違いまして、一応前向きの措置として考えられましたことは、非常に意義の深いことでございまして、私どもといたしましては深く感謝するわけでございます。しかし、その内容といたしましては、税制調査会発足当初から、私ども地方団体が要望しておりましたところの、経費の負担区分の適正化の問題、それから事務再配分、こういう根本的な問題が解決しておりませんので、きわめて不徹底な点がございます。さらに、その税源配分の量におきましては、減税におきましては、所得税の一部を、百九十八億までの配分がございました。市町村税におきましては、たばこの消費税の一%の配分ということで、減収の総額等から見まして、きわめて微々たるものというような感を受けるのでございまして、この点につきましては不満を表したい、かように存ずるのでございます。しかし、このたばこの消費税の税率引き上げと同時に、今回の措置といたしまして、従来の従価方式から、従価と従量課税の折衷の方式が採用されました。これは貧弱自治体の代表でありますところの本町村会の既定の意見にも照応するものでございまして、これまた非常にけっこうなことと賛意を表する次第でございます。
その他各税目に通ずる問題といたしましては、都道府県の県民税の徴収の問題でございまして、これらにつきましても、当委員会におかれまして、非常に御高配をいただいておるのでございまするが、実際にただいま申告の時期でございまして、昨日で申告が終わりまして、町村の事務に入るわけでございますが、今回の税源配分の結果によりまして、都道府県の県民税は相当に大きくなります。半面、私ども市町村の住民税は安くなっております。しかし、これは一括市町村長の名において賦課徴収するのでございまして、住民の納税の感情から見ましても、また町村の事務の面から見ましても、非常に大きな問題になっておるわけでございます。この点は、私どもといたしましても、税制調査会におきまして、負担の分任の精神にのっとりまして、県民税は県独自で徴収していただきたいというような意見を申し述べてございまするが、しかしこの場合、三十七年度より直ちに県において独自で徴収するということは、実情きわめて困難な問題があろうかと存ずるのでございます。その際におきましては、町村が徴収いたします事務量に相当いたしますところの経費を、県におきまして十分負担していただくということを、特にこの際さらにお願いしたい、かように考えるのでございます。
なお、市町村税の事務量の増加に対する財源措置につきまして、希望を申し上げたいと存じます。本年度の課税方式が二方式に統一されたことによりまして、新たな課税方式による賦課徴収に入ることになります。昭和三十六年、三十七年度は、改正によりまして、従来より相当複雑な課税方式となっており、また固定資産税の改正評価制度によりますところの市町村の準備態勢に入りますところの年度でございますので、これらの事務の増加に対するところの財源措置を十分に講じていただきたい、かように考える次第でございます。
次に、課税標準の特例と非課税規定でございますが、固定資産税、電気ガス税について、課税標準の特例措置、非課税規定の整理合理化の措置がとられておりまするが、このうち、現下の社会情勢、公共安全のためにとられた非課税範囲の拡大等、その趣旨につきましては、やむを得ないと考えるものがございますが、その半面、電気ガス税の産業用電力による非課税範囲の拡大は、むしろ税負担の不均衡を拡大しておる傾向もあろうと存じます。今後課税標準の特例、非課税規定につきましては、さらに再検討を加え、整理圧縮をはかるべきであろうと存ずるのでございます。
次に、国民健康保険税は、ただいま地方税法そのものでは何とも参りませんが、先ほどの公述人の御意見にございましたとおり、住民税の減税がございましても、逆に、昭和三十七年度におきまして、国民健康保険税の国庫負担は五%ふやしていただきましたけれども、医療費の値上げその他によりまして、さらに三十七年度は国民健康保険税の大幅な値上げをせざるを得ない実情にございます。例を私の町にとりましても、やはり本年度一世帯当たり五千六、七百円の国民保険税になるわけでございます。保険の運営審議会等におきまして、これを諮りましたが、できるなら一般財源から繰り入れまして、保険税の税率を引き上げることは何とか考慮してもらいたいということでございましたが、一般財源のほうが、税収におきまして、税の、所得の伸びが——農村でございますが——一割五分くらいでございますけれども、これを差し引きましても、絶対額で三百万ぐらいの減収が実際にございますので、繰り入れ等はとうていできませんので、やむを得ず保険税の税率を引き上げるという実際の処置をせざるを得ない実情でございますので、これは国の大きな社会保障の一環の政策とされまして、これら保険税の引き下げ等について、さらに御高配を賜わりたい、かように考えるわけでございます。
以上をもちまして、今回の税制改正につきましての意見を申し上げさしていただいたわけでございますが、お許しをいただきますならば、税制改正の今後の問題につきまして、簡単に意見を申し述べさしていただきたいと存じます。
従来の税制改正は、国民負担の軽減という面につきましては、全く大賛成でございまするが、減税の結果は、地方財政の全般といたしましては、税収も交付税も伸びておりまするけれども、貧弱なる農村地帯の自治体におきましては、その減税のしわ寄せが、こういう貧弱な自治体に大きくしわ寄せになっておるという実情でございます。電気ガス税の免税点の設定の問題しかりでございます。専従者控除の問題もしかりでございます。あるいは扶養控除の引き上げもしかりでございます。富裕団体では大した影響ございませんが、貧弱団体に大きくしわ寄せが参るという実情でございます。さらに将来減税等も行なわれることと存じまするが、そういう場合につきましては、減税はけっこうでございまするが、これにかわりますところの税源を十分お考え願いまして、税源を、交付税方式もございまするが、私どもといたしましては、やはりできるならば実財源で御高配をいただきたい、かように存ずるわけでございます。電気ガス税につきましても、昨年度免税点が引き上げられ、さらに本年度税率の引き下げが行なわれるわけでございまするが、これらの税の問題につきましては、御意見もございます。免税、全廃にしろとか、さらに大幅な減免をするという御意見があるようでございますが、現在の地方の市町村の、ことに貧弱町村の財政の実情から見ますると、このかわり税源がございませんで、手放しに減税を大幅に行なわれますることは、財政の運営にきわめて困難を来たすわけでございますので、今後の税制改正につきましては、貧弱自治体の実情等をお考え願いまして、税源配分等を十分お考え願いたい、かように考える次第でございます。
はなはだ簡単でありまするが、以上で私の意見を終わらしていただきたいと存じます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/4
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005・小林武治
○委員長(小林武治君) 次に、比嘉参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/5
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006・比嘉正子
○参考人(比嘉正子君) 比嘉でございます。減税の呼び声は、国民にとって非常に魅力のある言葉でありまして、私たちの心をほのぼのとさせるのでございます。だからといって、何でもかんでも減税したら私たち、手放しで国民が喜ぶものでなく、また減税のみによって国民が幸福な生活を送れるとは思っておりません。減税することによって国民生活を堕落させることもあり得るし、また増税することによって国民生活がよりよく幸福になることもあるのでございます。私たちは筋の通った税金は、必要なだけどしどしお取り下さいと申し上げたい。そのかわり筋の通らない税金は廃止していただきたいということを思っております。
私は、今日の発言を仰せつかりまして、にわかに税制の勉強をいたして参りましたが、中山会長の税制調査会の答申案を拝見いたしまして、その中から感じられることは、社会福祉的理念の上に立脚して検討されているようにはどうしても思われないのです。とにかく八方美人的ないわゆるやり方で、何でもかでも一%か二%の税率を下げているように思って、私たちの生活に密着した重点的な税制改革ではないということを感じとったのでございます。たとえば酒税については、二ページを費やして懇切丁寧に解説をしておりますのに、われわれに必要な電気ガス税、砂糖税などは、さらりと三行で流してある。これは酒の好きな殿方ばかりで答申案をお作りになったからいたし方もないことですけれども、もちろん三巻女史も入っておりますが、五十一人の男子の中で一人の婦人では力が及ばなかったと思うわけでございます。とにかく複雑怪奇といわれる砂糖業界にもっとメスを入れて、税金を取ってもらいたいと思っておりますし、それから酒やたばこなどは嗜好品でありますから、遠慮会釈なく税金を取るべきであると私は思います。この世のうさを一合のしょうちゅうに晴らす人たちは、愛すべき人種でございますけれども、むしろ酒を安くすると頽廃文化を助成したり、暴力団を作り上げたりするようなことになるのではないかと心配するのでございます。
さて、私は地方税についての意見を申し述べさしていただきたいのですけれども、実は住民税は所得税と関連をして意見を申し上げたいと思いますが、私たち月給取りというものは、月給よりほかに収入の道はないのでございます。肉体を資本にして働いているサラリーマンだとか、労働者からは、いわゆる所得税というものをお取りになる。国は、こういう税金は労せずして的確に先取りをしていらっしゃる。それでこのことは、市町村の住民税についても、もっと控除額を引き上げるべきじゃないでしょうかと思うのです。今までの十万円以下の金額を、十五万円以下の金額に改正をしていただいたのですけれども、これは一カ月の月給に直せば一万三千円になるわけです。一万三千円の月給取りに、この税金をかけるということは、非常に生活も赤字であるのにさらに取られる。それからもっとひどいことは、月々足りない生活費をボーナスで埋めたい、あるいは毎日の生活を、せめてボーナスをもらったら楽しい生活をしようといって、夢に見たその待ち望んだボーナスからも税金を取る。もっとひどいことは、停年までせいぜい働いて、そうして退職金をもらう、その退職金からもいわゆる税金を取ってしまう。老後の生活のささえである退職金から税金を取るということは、非常に残酷だと思うのです。私はこの住民税の問題は、ここに市町村の代表がいらっしゃいますが、だいぶ不服だと思われますが、六十万円くらいまでは基礎控除していただきたい。六十万円というのは、月五万円の月給取りなんですけれども、このくらいの人たちはちょうど課長、いわゆる課長クラスで四十五才くらいの方で、子供を大学、高等学校に通わしているような家庭状態ですから、非常に生活が苦しいわけなんです。ですから、六十万円までは基礎控除をしていただきたいというのが、私たちのいわゆる願いでございます。
それからもう一つは、電気ガス税を撤廃していただきたい。電気ガス税というものは、国民生活の上で、衣食住に次ぐウエートを持っているものであります。そして廃止してほしいという私たちの理由は、この税金というものは、戦争中に、戦費調達の財源として創設されたものでありますから、現在、平和の世の中になっておりますから、これは国民に返すべきだと思うわけなんです。二十一年にこれは廃止になったのですけれども、また二十三年に、道府県税になり、それから二十五年には、現行の地方税法によって、地方、市町村がこれは横取りしている。これは、地方税法やらというものは、一、二行改正すれば、どんなことでもやれるということは、どうも納得がいかないわけなんです。これは、国がやるから筋が通るように思うのですけれども、もし個人がやった場合、これは、私、取っていたけれども、もうお金が要らなくなった、でも、返すのは惜しいから、肩がわりしてお前にやろうなんということは、もし個人がやった場合に、非常に悪徳行為として、私は非難される問題だと思うのです。
それからもう一つは、電気税の非課税品目を整理合理化するということなんですけれども、これは非常に賛成です。今度、基礎産業に使われる電気というものが非課税になっていますけれども、私は、これは、やはり基礎産業を動かせばもうかる事業ですから、税金は取るべきだと思います。それから、いわゆる公衆街路灯は、九州、東京は免税になっていますけれども、これは全国免税にすべきだと思うのです。町を明るくするという運動は、青少年を不良化から守る、あるいは暴漢から襲われるのを守ることにもなりますから、これは、私は、全国的に免税にすべきだと思います。それから農山漁村の電気導入促進のために、農林漁業者が組織する団体に対する電気の供給については免税になっております。これも賛成でございます。税率が百分の九%から百分の一〇%に税率を下げられたのですけれども、こういうふうに、小刻みにやられた場合には、電力会社が、事務員の負担が重くなるために、それを口実に、かえって料金を値上げされる口実を与えるように思うのです。ですから、もっと電気ガス税というものは、私は撤廃をしていただきたい。もちろん家庭に使われている電気ガス税を撤廃をしてもらいたいというのが願いでございますが、これを撤廃したら、市町村が非常に財源として困るということをおっしゃっていらっしゃいますが、現在、電気ガス税で四百三十八億二千万円の税金が入る。そのかわり財源をどこから持ってくればいいかということは、私は酒税から持ってきたらいいと思うのです。酒税は、二千九百二十三億八千七百万円の酒税が入りますから、これの一五%を市町村に配分すれば、撤廃が可能だと思うのです。ただいま酒税を国家がひとり占めしているということは非常に不合理でございますから、酒は町村の人たちも飲んでいるから、やはり町村にも配分すべきではなかろうかと思うのです。そして酒の減税だとか、たばこの減税は、私は必要でないと思います。
それから飲食税のことについても、先ほどの方が申し述べていらっしゃいましたでしょうけれども、私は、日本は、いわゆる食糧過剰で、サービス過剰なんです。だから、やはりうんと、私はこういう税金を取ると、三千あたりの料理を注文するのは、大臣かトップ・クラスの方々なんです。だから、サービス過剰と料理飲食過剰の待合あたりの税金をどしどし取ってやることによって、待合政治もなくなるし、また健全なる社交が家庭に返るということも考えられるのでございます。
それからもう一つ、これは地方税と関係があるかどうか知りませんけれども、申告制度の単純化をお順いしたい。税制の方向といたしましては、民主政治のあり方として、申告制度ということは非常にいい方向でありますけれども、複雑化してしまって、大きな会社あたりは、専門家を置いて、どんどんこういうふうな事務的処理をいたしますけれども、私たちや中小企業はなかなかややこしくてむずかしいわけなんです。そうして判を持って行って、何とぞよろしくお願いします。というような、あなたまかせのような状態の申告のやり方もあり得るのでございますから、三度を一度に申告するような単純化をしていってもらったらどうかと思います。
それから、これも別にこれと関係はないのですけれども、物品税についても、やはり物品税の表示をしてもらわぬことには、物品税がなくなったって、それだけ下げないで、同じ値段で売られているような現状でございますから、物品税にも表示をつけてもらえたらたいへん幸いだと思います。
以上、私は申し上げましたけれども、国民全体が喜んで税金を払えるような政策をとっていただきたい。幾ら税金を払っても、私たちにこれは返ってこない。倍になって返ってこない。働いている間はどんどん、もうけたらもうけただけ税金を追っかけて取ってしまう。働けなくなって、肉体労働ができなくなったときには、ほったらかされる。勝手に貧乏して勝手に老いぼれたのだからと言って、国家保障が一つもない。自分を守るのは自分のみの力だから、日本人はけちけちして、お金をためることにあくせくしているし、それから脱税をいかに上手にやるかということをいつも研究して、考えると、こういうふうな国民にするということは、税制制度が私は悪いと思う。ですから、こういう私たちの税金で、教育費は無料になりました。私たちの税金で、養老年金が二万円ぐらいもらえるようになりました。あなた方の税金で、出産手当とか保育手当をもらえるようになった。あるいはあなた方の税金で、未亡人が転落しないでも生活できるような制度ができたということになれば、私たちは楽しく、貯金なんかしないで、全部国家に税金納めるようになると思うのです。
私は参議院の方にお願いしたいと思うことは、この改正案が衆議院を通って参りましたけれども、もう一つここでメスを入れて、差し戻すだけの気概があってほしいと思います。参議院は六年間議員ですから、非常に安定して、たくさん参議院議員になりたい方がいるのですけれども、真実ほんとうに参議院の存在価値というものは、国民の信頼、関心が非常に薄くなっているから、この場合に、私たちはこれにほんとうにメスを入れて、差し戻すだけの決心をしていただいて、そうして取るべきものは取って、廃止すべきものは思い切って廃止するようなことをしていただきたい。八方美人的ないわゆる税金の配分は、われわれは賛成じゃございません。まず重点的に税金を取るなり、かけるなりしていただきたいということを希望いたします。
失礼申し上げました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/6
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007・小林武治
○委員長(小林武治君) ただいまの参考人の方々に質疑のおありの方は、御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/7
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008・秋山長造
○秋山長造君 遠藤さんに御意見を聞かしていただきたいのですが、われわれ地方税の問題と取り組む場合に、いつもこれは大きな矛盾に突き当たるのですがね。一方では非常に税金が重いということは、税制調査会の答申でも、再三強調されていることなんで、したがいまして、減税ということは、内容によっては多少の問題はありましても、一般論として、これはもう至上命令だと思うのですね。ところが、国税については、減税をしても、だれも困る者もないし、怒る者もないのですけれども、地方税については、もう減税を喜ぶ者と困る者と、二通りできるのですね。いつもそのために、特に県知事だとか市町村長だとかいうような、地方行政の責任者の立場の人は、その減税ということと、それから他面、今度は地方財政という問題との板ばさみになって、いつも非常に窮地に立たされる。そうしていつも悪役を一番買わされる立場になるのですね。この矛盾を何とか解決する道はないかということをいつも考えるわけなんです。税制調査会で、あれだけ専門家を集めておやりになっても、いまだにその結論が出ないのですから、これは、われわれが幾ら考えても、すぐ、ちょっとやそっとでいい方法はなかなか出ませんけれどもね。これは何とか、どこかでその矛盾を断ち切ることをやらなければ、これはもういつまでたっても、今の比嘉さんのお話じゃないけれども、ただちょびちょび減税で、その場のがれな八方美人的なことをやってみる程度で、お茶をにごされるということで終わってしまう。問題はちっとも前進しない。まあその点について、えらい抽象的な御質問で恐縮ですけれども、その方面の専門家として、こういうようにやったらその矛盾が解決されるんじゃないかということがあったら、ひとつお教え願いたい。まあこれが第一点。
それから第二点として、具体的に、先ほど今回の地方税改正で一番重要な点、注目さるべき点は、この税源配分の点だ、具体的には国税、所得税から府県民税に税源を譲与する、それから入場譲与税を国に取り上げるという、まあそういう点が最も注目すべき点だと、こうおっしゃったのですけれども、それがよろしいとかよろしくないとかという点についての御意見の発表はなかったように思うのですが、まあこの税源配分という名のもとにやられようとしているその具体的な方法について、これは遠藤さんはどのようにお考えになっておるかということをお尋ねしたい。
それから、さらに第三点として、まあ一応このやり方を肯定するとかりにいたしましても、今度、一体そういうやり方をさらに幅を広げていくべきなのかどうかという今後の問題があるわけですね。まあこれはそういうやり方で国税、地方税を総合して、やっぱり減税にはなるんだという政府側の説明なんですけれども、しかし、やっぱりそろばんをはじいてみれば、結論的にはそうなるにしても、しかし、減税が至上命令になっているときに、これは国税で若干減税されるにしても、地方税でうんと増税ということになってきますと、やっぱりこの税金の重圧感というものは非常に加わってくるのではないか。結局、国のほうは減税だ減税だと言っていい顔をして、そうして一番末端のこの一般国民に直結しておる地方団体というものは、いつも増税増税で悪役を買わなければならぬ。まあ国のほうは税金の重い、重税の責任を体よく地方団体のほうに押し寄せてしまって涼しい顔をしているというような、まことにおかしなことになってきて、それが、やっぱり直接間接、この地方行政というものを非常にむずかしくしていくんじゃないか。ですから、税源配分といっても、こういうやり方の税源配分じゃなしに、もう少し別な税源配分ということを考える余地はないものかどうかということなんです。
まず、その三点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/8
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009・遠藤湘吉
○参考人(遠藤湘吉君) たいへん大きな問題で、すぐに御満足のいくような返事を申し上げることができないのではないかと思いますが、一応考えていることをお耳に入れたいと思います。
私は、今の三つの問題は、それぞれ相関連しておりまして、事実上は大体二つぐらいの問題にしぼれるのではないかというふうに感じました。その一つは、地方団体として財政需要が増大する傾向にあるにもかかわらず、しかも、一方では減税の要求というものが非常に大である、その点をどういうふうに調和させるかということと、それからその税源配分をする場合に、どういうやり方が考えられるかということになるかと思うのでありますが、私は、先ほどの参考意見を陳述申し上げましたときに、最後に、簡単でありますが、ちょっと触れましたように、この税源配分というのは、単なる税目をどうするという問題の範囲を越えて、結局は交付税制度、それから補助負担金制度というようなことの問題にもなってくるんではないかという考え方をしておるわけです。それはまた後ほどその問題に戻るわけでありますけれども、とりあえずその負担という点で申しますと、私はやはり税負担というものは、納税者から見ますと、国税であろうと地方税であろうと、税金であるという点において変わりはない。その点から言いますと、やはり負担は総合的に考えられてしかるべきものであって、所得税の減税がある程度、地方税の増税によって消されたとしても、総合的な結果として減税になっておるということになれば、やはりそれは減税と見るのが至当ではないかというふうに考えるわけです。その場合、私はそこで負担が重くなる、住民の負担感を増すとおっしゃられました点につきましては、二つの問題があるかと思います。
一つは、これは地方団体の理事者あるいは首長の側の住民に対するPR活動であると思いますが、最近はその点はかなりまめにやられるようになりましたけれども、それにしても、いわゆる地方財政法等できめております都道府県の財政報告などというものは、相当おざなりであるという点が一つあるかと思うのです。それからさらに市町村の中でも、町村などに参りますと、その点はほとんど、特別な団体を除いてはあまり丁寧な住民に対する報告というのが行なわれておらないという印象を持っております。そういう点で、たとえば県民税が若干ふえたけれども、総合的にはそうではないのだということが、丁寧に根気よくPRされる、そういう活動が望ましいのではないか。それからまた、それに触れまして、地方団体の財政あるいは地方行政について、いろいろな意見が述べられるわけです。御承知のように、非常に消費的な経費が多いとか、人件費が多いとかというような批判が述べられておって、そうして、そういうものが新聞その他マスコミを通じて流されてきて、住民にひとつの地方行財政観というものを形成せしめていると思いますが、こういう意見のうち、かなりのものは、私は、地方行財政と直接関係を持たないような方面から出てくる批判である。具体的に申しますと、大企業でありまして、地方行財政を相手にしない、中央の行政と直結しているような大企業側から、そういう批判がしばしば行なわれている。そういうものが住民にいつの間にか一つの観念を作り上げていることが多いというふうに思うのであります。その大企業は、今も言いましたように、むしろ国の行政と直結しておる、それから大企業のそういう幹部である方々は、地方行財政のめんどうにならなくても自分でやる。たとえば子供は高級な私立学校に入れて、公立の学校の世話にならぬとか、一つの例はそういうことでありますが、そういう考えが非常に強いのですが、しかし、これは言うまでもなく、人件費が多いということはもちろん地方団体側にも多少の責任はありましょうけれども、むしろ国の法律によるものである、国の制度によるものであるというような、そういう点も、私はもっと地方の首長として、理事者として、住民にその十分な説明をなさるべきではないかという印象を、ふだんいろいろな市政だよりであるとか、市議会だより、市町村だよりというようなものをいろいろのところからちょうだいするたびに感じておるわけです。
それからもう一つの問題は、そのことと関連いたしますけれども、地方団体の、あるいは地方団体職員の行政能力というものは、はたしてどうであるかという点がやはり問題になってくるのではないか。その点では私はまだ地方団体の職員の執務態度、執務能力というものについては、もう少し向上せしめる、研修等を通じまして向上させる余地があるのではないか。そういうものがある程度向上することによって、負担感というものは若干は緩和される余地があるのではないか、こういう感じがしておるわけであります。
それからもう一つ税源配分の問題でありますけれども、私は個々の税目の問題だけではないということを申しますのは、市町村、まあ都道府県もそうでありましょうが、大体において自主財源強化ということを要求せられておる。そうして税収入を増大させる、増強させるということに非常な熱意を持っておられますけれども、私は、その点ではこういう考え方に多少の疑問を持っております。と申しますのは、御承知のように、新しい税目を設定いたしますと、それがまた団体間の財政力の格差を広げる原因になるというのが、日本の実情でありますから、若干の税率の引き上げあるいは多少の新税の設定ということは、もちろんまだその可能性は残されていると思いますが、しかし、それにあまり大きな期待を抱くことはできない。ということになりますと、やはり財源調整、つまり交付税制度というようなものに相当重点が移っていくのではないか。そうして事実の推移といたしましても、交付税制度というものが、年々重要な位置を持つようになってきておるわけであります。ただしかし、その交付税制度におきまして、もちろんこれが一つの基準によって行なわれる限りは、ある程度の画一性というものは免かれることはできませんけれども、それにしても、その範囲の中でできるだけ市町村のいろいろな特異な事情というものに即したような、いわゆる補正、きめのこまかい補正をやっていくという余地はまだ残されているのじゃないか、そういう意味で交付税制度の改正を考えるということも必要ではないか。
それからさらに、もう一つは、補助金制度でありますけれども、これも御承知のように、補助金制度については、非常に実態にそぐわない点がある。その結果、いわゆる地方団体の持ち出しが多くなっているというようなことも大きな問題でありますが、それと並んで、補助率がはたして適正であるかどうかという点も問題があると思います。そういう点を全部ひっくるめまして、その中でその一部分として税源、いわゆる税源配分というようなものを考えるということが今後の考え方ではないだろうか。したがいまして、所得税の減を何々税に振り向けるということも一つの方法ではありますけれども、それだけではないというふうに考えております。お答えになりましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/9
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010・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私すわって伺いますから、すわりてお答えいただきたいと思います。ちょうどいい機会でありますから若干お伺いしますから、できるだけ簡単にひとつお答えいただきたいと思います。
先ほど承りまして感じたのですが、こういう問題については、それぞれの立場々々で意見が若干狂って参りますね。きょう三人の方の間でもやはりズレがあるわけです。これはまあやむを得ないことですが、われわれとしては、大所帯所から最大公約数をつかまなければならないわけでありますから、そういう角度から質問をいたしますが、中には質問内容に御無礼な点が出るかもしれませんけれども、そういう点はあなた方のほうからも率直に反論をし、お答えいただきたいと思います。
まず第一に、国民の税負担という立場から、国税と地方税と合わして、これは遠藤先生に伺うのでありますが、私ちょっと数字を準備して来たんですけれども、たとえば三十五年で国税が約千七百六十八億、自然増ですが、地方税が千二百億ですね。これに対して三十五年度は国税、地方税とも、いずれも減税していない。三十六年度には、国税は約二千三百十七億、自然増ですね、地方税が二千二百九十七億。それに対して減税は、平年度として国税が千百三十八億、地方税が約五十七億、それから三十七年の、今予算に出ているのが、国税で自然増収は約四千七百四十億です。地方税は約二千三百八十五億。これに対して平年度として国税の減税が千二百四十四億です。地方税が四百二十二億、こうなっているわけですね。国税、地方税合わしての税負担率は、三十五年が二一・〇%、三十六年度が二〇・七%、三十七年度は二二・三%、戦前は約二二%程度。税政調査会が二〇%以下云々という意見を出された。こういう点を勘案した場合に、地方税の減税に入る前に、国税、地方税合わしての国民の税負担という立場から、私は大きな政策の方向として、国民への税納入に対する還元という、減税という考え方はもう少し積極的にされてしかるべきじゃないか、こういう私は感じを持つのですが、遠藤先生の御所見を簡単に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/10
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011・遠藤湘吉
○参考人(遠藤湘吉君) それじゃ、今度の地方税法の改正案とは別個に、今の税負担のあり方そのものについて率直に申しますと、私は、おっしゃるように考えております。で、今の税負担はもっと思い切って減らすべきことをやってもいいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/11
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012・矢嶋三義
○矢嶋三義君 次に、地方税の問題に入りますが、今度の改正を見ましても、電気ガス税等を考えても、あるいは料理飲食税あるいは法人事業税等の減税等から考えましても、今の日本のこの経済の状況、それから所得倍増計画に基づく地域格差の拡大、その産業活動の差ですね、これからいって、この減税の及ぼす影響のある範囲というのは、富有団体のほうに大きいと思うのですね。それで貧弱団体はかなり分の悪い立場に立たされるだろうと思う。特に住民税がこうなると困ると、こういう意見は私はごもっともだと思うのですよ。しかし、地方税の全般から見るならば、私は住民税というのはまだ下げるべきじゃないか。そうして住民税を下げることによって、産業格差がついている第一次産業を主体にするような地方団体に差がついてくるとなるというと、他の角度でそれはカバーすべきであって、住民税を下げるという、そういうところに大きなひずみが出てくるであろうというので、住民税を下げるのにちゅうちょするということは、私は間違いであって、大筋としては、住民税はまだ下げて、すべての国民の地方税が減額されるような角度で私は検討さるべきものだと思う。私はそういう見解を持っているわけです。ところが、今度やられているのは逆なんですね。先ほどの山本参考人の御意見は、住民税はあまり下げてもらっては、第一次産業を主とする地方団体は貧弱になって、影響が大きくて困る、こういう御意見があったのですが、遠藤先生の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/12
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013・遠藤湘吉
○参考人(遠藤湘吉君) 私は全体として総合負担は下げるべきだというふうに考えておりますけれども、国税と地方税ということになると、若干その考え方は先生のお考えとは違っております。と申しますのは、地方団体の行なっている行政事務というのは、比較的民生関係の事務が多いわけでありますので、その点からいって、どちらを、今の住民の生活ということを中心にして考えた場合には、総合的に減じた場合に、地方税のほうが若干増になっても、それはもしその民生行政というものが能率的に行なわれる限りはやむを得ない、そういうのが私の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/13
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014・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それからまた総括的に見まして、まあ所得倍増計画で非常な産業間、地域間、国民階層間の格差は拡大された、特に地方団体においてしかりですね。それで税法の改正等でもちろん配慮はされておりますけれども、この産業基盤の整備強化というところに、一般会計予算にしろ、あるいは財政投融資計画でも偏重して、先ほど山本参考人から述べられておりましたが、弱小地方団体に対する配慮というものは若干されたけれども、これでもなお現状に即して不十分だという見解は山本さんが述べられているわけですが、山本さんはその立場がありますが、公正に見て私はそういう批判が当たるんじゃないかと思うんですが、遠藤先生はどういうふうにごらんになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/14
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015・遠藤湘吉
○参考人(遠藤湘吉君) どうもよくわかりませんが、抽象的に見ますと、そういう後進地域に対する配慮というものはもう少しなされてもいいんじゃないかという気がいたします。しかし、その場合にやはり警戒すべきことは、すべての後進地域という言葉で、ときとしては非常に非効率的な投資が行なわれるという場合もある。そういうことはやはり注意されてしかるべきではないか、これは私の意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/15
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016・矢嶋三義
○矢嶋三義君 次に山本参考人にお伺いしますが、あなたの公述にもちょっと出ておりましたが、あなた方は要望されていると思うんですがね、それが実現しないのはどういうわけか。それは具体的に申さねばわかりませんが、たとえば学校を建築するのでも、基準坪数というのを非常に不適当なところに押えられているんですね。だから、ここで持ち出しをしなければならぬ。そして先ほどちょっと出ました基準単価ですね、これが実情に即していない。しかも各省庁で違って、国が国の予算で直轄で単独にやるのは単価は高くして、同じ内容の事業であっても、これが地方団体が主体になってやり、それに助成するという形をとっているのは単価は低いというのは、具体的に幾らもありますよ、私ちょっと調べてみましても。こういう点お役人さんはみな何とかつべこべ言って逃げるんですけれども、たとえば最もわかりやすい具体的なことを言えば、たとえば大学で体育館を作る、中学校で体育館を作るといっても、中へ入れる設備、品物は少しは違うかもしらぬけれども、体育館としての建築構造というものは、鉄筋なら鉄筋、木造なら木造、鉄管なら鉄骨で差があるはずはないわけですよ。それらに差がつけてあると、そこに私はこれは誘い水を出すぐらいであって、地方団体の持ち出しが非常に多くなってくる、これが法律、規則以外の支出をもたらすことになる。これは非常に圧迫していると思うんですが、あなた方としては、これは地方団体側としては政府に強く是正を要求されていると思うのですけれども、われわれも国会で論議しているのだけれども、これがなされないのはどういうことなんでしょうね。ちょっと簡単に聞かしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/16
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017・山本力蔵
○参考人(山本力蔵君) ただいま矢嶋先生の御質問がございましたが、それは、ことに三十六年度の私ども自治体の財政を非常に困らせましたのは学校が主でございます。これらの建築の単価が非常に補助単価と実際の建築単価の差が大きいわけでございます。自分の町で例をとりましても、三十六年度に中学を一つ建てましたが、最初は文部省の二万七、八千円でございました。結局実際は四万を突破しております。これでほとんど財源を三十六年度は食ってしまったような状況でございまして、その他そういう基準坪数、単価の問題につきましては、私ども町村会といたしましても、地方団体側といたしましても、強くそれぞれの面に陳情しておるわけでございまして、三十七年度におきましても、その点がやはり今度の予算の単価と実際の単価で大きな差がございますので、これは大きな地方財政計画とは違った持ち出しが要るわけでございます。先生の今おっしゃるとおりでございまして、強くさらに私どもは運動したいと思っております。よろしくお願いしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/17
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018・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もうちょっと具体的に伺いたいのですが、参議院の予算委員会ではこういうことを答弁しているのですが、高等学校の急増にあたって。町村には負担はさせない。これは都道府県の責任で高校新増設するのだから市町村には負担をかけない。PTAの負担は本年度で解消、ゼロにする、こういうことを大臣は胸を張って答弁しているのですが、実情はどうでしょうか、比嘉さん、山本さんに承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/18
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019・山本力蔵
○参考人(山本力蔵君) その問題も、御指摘のとおり、明年度の高校の急増対策の問題、これは私どもといたしましても自分の自治体の中学を卒業するかわいい子弟の問題でございまして、非常に心配しているわけでございますが、従来高校の都道府県の建築に対しまして、私の県では従来二分の一が地元負担でございます。本年は、三十七年度は急増対策につきましては、四分の一やはり地元負担ということになっております。われわれといたしましては、ぜひ地方財政法等でお考えになりまして、負担の区分を明確化していただくために、県立の学校でございましたならば地元の負担を避けるような財源措置をしたようでございます。これが十分か十分でないか私どもよくわかりませんが、これが市町村あるいは父兄、PTA等にしわ寄せがあるということは、やはりせっかく減税いたしましても、これは税外負担でございますので、こういう点は特にお考え願いたい。こういった点やはり強く要望したいと、こう思っているわけでございます。全国的にもこれが負担がなくなるということは望ましいことでございますが、はたしてそのとおりいくかどうかは今心配しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/19
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020・矢嶋三義
○矢嶋三義君 比嘉さん、PTAのほうはどうでしょうかな、ことしはゼロになる……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/20
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021・比嘉正子
○参考人(比嘉正子君) 大阪なんですけれども、大阪市の場合でも誘い水ぐらいが市から出るいわゆる予算で、あとはPTAやそこの住民から全部寄付を集めております。私のほうで小学校の講堂を建てるのに、私はPTAの会員じゃないけれども、一万二千円、一カ月に千円の割当で一年間出したのです。ですから、ゼロということはおそらく全国的にないと思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/21
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022・矢嶋三義
○矢嶋三義君 遠藤参考人に伺いますが、料理飲食税の問題ですね。これはさっきお話がありましたが、三千円を境に一五%、一〇%としていますが、こうなりますと、非常に具体的なことなんですがね、芸者が入っても入らなくても同じようになってくるわけですね。これは考え方によると思うのですけれども、奢侈的消費に対して担税力を捕捉調整するという立場からいえば、これだけ国民に税負担がかかっているというと、やはり芸者さんが入る料理飲食の場合とそうでない場合は、やはり税率に差を——これは芸者さんからしかられるかもしれませんがね、つけることが、僕は国民感情としては合うのじゃないかと思う。おそらくこういう案を作った人は芸者さんに弱い立場の人が作ったんじゃないかというような、こんな僕は皮肉な見方もしているのですが、学問的とそれから国民感情と合わして、どこらあたりが妥当なのか。これで妥当なら妥当でけっこうですが、まあ矢嶋のような意見も少しは入れてもいいのじゃないかということなら、それでもいいです。まあ参考に承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/22
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023・遠藤湘吉
○参考人(遠藤湘吉君) 私もそういう高級飲食の実態をよく存じませんけれども、最近の奢侈的な料理飲食の実況は、芸者が入るか入らないかというようなことでなかなか区別ができなくなっているのではないか。芸者が入らないで、芸者ではない婦人がサービスしておりましても、実態は芸者の入っているようなものとあまり変わらないというようなことも間々聞くわけでありまして、いわゆる奢侈的な料理飲食の内容というものも、非常にこのごろは豊富多彩をきわめておりますので、芸者ということだけで割り切るというのは徴税技術的にも非常に困難になっておるのじゃないか。そしてそれをもし非常に厳密にやろうとするならば、私はかなり消費者に対する相当突っ込んだ調査質問等も行なわなければ、正確に課税というものはできないのじゃないかというふうに思います。したがいまして、そういう技術上の難点というものを避ける意味で、むしろ金額で区分するということのほうが割り切っておっていいんじゃないか。芸者が入っても入らなくても、とにかく高級な消費というものには相当の課税をするということのほうがむしろ実質的じゃないかというふうに思うのでありますが、その点では、先ほども申しましたように、三千円まで持っていく必要はないので、二千円という税制調査会の案で十分ではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/23
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024・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これは遠藤先生、私は社会党所属だから経験が薄いのですけれども、しかし大体の判断がつくのですがね。これは税制調査会の意見にしても、失礼ですが、直接あなたの意見に同調できないわけです。それでちょっと実例の一端を申し上げて、あわせて比嘉さんの御意見を承りたいと思うのですけれども、額で云々というのなら、三千円だけに線を撒いて、上に一五%、下が一〇%はおかしいと思うのですよ。あと五千円が幾ら、一万円が幾らといって、一万円になったら税金を一万円ぐらいかけるようにしたらいいと思うのですよ。それから、芸者と芸者に似たようなものがあるからそれは区別がつかぬ、これはまた別の問題だと思うのですよ。料理飲食税については、都道府県でも、失礼だけれども、都道府県の役所の人だとか県会議員諸君なんかがやはり料理屋に行けば、顔がききますわね。これはやはり税と関係ありますよ。だから、料理飲食税はどれだけくらい捕捉できているかということは疑問があると思うのだな。それはやはりみんな税法上徴税されなければならぬと思うのです。まあほんとうに高級のところにいきますと、ここで何ですよ、芸者をたくさん上げて豪遊している人がポケット・マネーでやっているならいいですよ。自分の勤労によって得た所得でやっているのならいいですよ。しかしこれはみんな社用族と公用族ですよ、全部ね。その実態となったら、ほんとうに派手なところになると、芸者などはもう一人が長くおるわけじゃないですよ。もう三十分もたつともらいがかかってくるくる回っているのですよ。だから、場合によると一人のところに三人も四人も来るわけです。そうして三十分くらいでくるくる他からもらいがかかって回っていく。そうすると、芸者さんも収入もふえるでしょう。他からもらいがかかってくるから、宴会を主催されている人の単価も五千円、六千円では済みやしませんよ。場合によると一万円、三万円にもなる。それを三千円のラインを引いて上が一五%、下が一〇%、私たちが友だちと銀座あたりでささやかに、ちょっと派手に飲みますが、あなた方でもそうでしょうが、芸者でなくても三千円ぐらいすぐこえますよ。それを一五%ぐらいで、さっきのような社用、公用族と、自分のポケット・マネーだけで何万円の単価で宴会をしても、これはやはり同じだというのは、僕は実態と国民の感情国民の税金がこれだけ多いのに持ってきて、税の負担能力からいって、若干それを捕捉——調整するという立場からいくと、どうもこれは納得できないと思うのですね。これは赤坂、新橋の料理屋のおかみさんからいったら喜ぶでしょう。しかし、これは僕は日本の料理飲食税の制度があるとしては私はどうも納得できない、こう思っているのですが、これは意見が長くなりまして恐縮でしたけれども、三十分ぐらいで回るのですよ、くるくるね。遠藤さんと比嘉さんから参考人の御所見を、簡単でよろしゅうございますから、承っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/24
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025・遠藤湘吉
○参考人(遠藤湘吉君) 私どうも不勉強でして、実態を存じませんでして、どうもあまり御納得のいくような回答ができませんが、ただ、ある程度技術的になりますけれども、累進税のようなやり方をするということになりますと、私相当もう脱税が出てきてどうにもしようがなくなるのじゃないかということを一つ考えます。そうしてそれをやろうということになると、それこそもう社用族の人権侵害みたいなことにもなりかねないと思いますので、私が一番初めに料理飲食税には税として問題があると言ったのは、実はそういう捕捉の可能性というものがこういう直接消費課税というのは非常にむずかしいということから申し上げたのですが、そういう意味で問題のある税でありますから、どうもやり方もある程度なまぬるくなるのはやむを得ないのじゃないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/25
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026・比嘉正子
○参考人(比嘉正子君) 私はそういうふうな税金をうんと取ったらいいと思うのです。そうして市町村の交付金に回せばいいと思うのですよ。だから、そういうものまで減税する必要はないと思いますし、それから、私こちらに参ります前に、たばこを吸いなさる方、お酒を飲みなさる方、それから料理屋のことでいろいろ聞いてみたのですが、一体どう思いますかと言うたら、やはりそんなのは減税する必要はないと言うのですね。お酒を飲む方でもやはり筋だけはちゃんと心得ていらっしゃいますから、お酒なんかは減税する必要ない、たばこも必要ない、料理飲食税をうんと取ったらいい、それをやはり実質的なものに回したらいいのだということの考え方を若い方でも持っていらっしゃいますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/26
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027・秋山長造
○秋山長造君 ちょっと今の関連して。
今の料理飲食税の問題ですが、まあ高いほうは遠藤さんもあまり経験がないとおっしゃるのですけれども、低いほうは大いにお互いに経験があるのですがね。ところが、今の物価からいいまして、五百円をこしたらもう税金がかかるでしょう。これは私はちょっと今の実情に即せぬと思うのですね。これはもう今すし屋さんなんかに行ってすしをつまんでも、これは少し腰を落ちつけて食ったら、もう五百円はこえますからね。だから、これはやはり上のほうをそういうように配慮されるならば、下のほうは逆にもう少し配慮して、千円から下ぐらいはもう税金は取らぬということにしたほうがいいのじゃないですか。その点はどういうようなお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/27
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028・遠藤湘吉
○参考人(遠藤湘吉君) まあ上に上がれば上がるほどいいに違いませんけれども、私どもは、たとえば学校のそばのすし屋で一番いいすしが二百円ぐらいでございますので、あまり今のようなことを感じたことはないのでございます、率直に申しまして。で、そのこととちょっとはずれますけれども、さっき言いかけてやめたことを念のために申し上げておきますが、旅館の宿泊のことでありますけれども、私は旅館の宿泊については、免税点とそれから課税標準の特例と、両方あるのはやはりすっきりしない、旅館の場合は免税点をもう少し上げて、そのかわり課税標準の特例のようなものはやめてしまったほうがいいのじゃないかというような考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/28
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029・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう二、三点伺わせてもらいますが、比嘉参考人に伺いますが、さっき酒、たばこはもっと税金を取ったらどうかという言葉があったわけですが、たとえばたばこの場合、ピース四十円ですね。この中で、私が計算しておると、税金が二十六円五十五銭ですよ。だから、約六六・五%は税金ですよね。たばこはこれは奢侈品でなくて必需品だと思うのですね。これ以上僕は税金を取るということはとんでもないことであって、たばこあたりの税金は下げるべきだと思うのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/29
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030・比嘉正子
○参考人(比嘉正子君) たばこは嗜好品で、それは吸わなくても死ぬということはないのですから、のまぬでもいいものなんですよ。たばこというものはそれは必需品に今なっているのですけれども、だからといって、必需品の中でもそれは吸わなければ生きていけないというものではないわけなんです。だから、いわゆる嗜好品ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/30
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031・矢嶋三義
○矢嶋三義君 山本参考人に伺いますが、最近ちょくちょく報ぜられておりますこととも関連するわけですが、会計年度を市町村と国の場合とずらしてもらったほうが都合がいいというような意見をちょくちょく聞きますが、あなた方の団体なり、あなた個人としてはどういう御見解を持たれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/31
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032・山本力蔵
○参考人(山本力蔵君) この問題につきましては、私ども町村会といたしましては、国の会計年度は暦年にしていただきたい。まあ地方の会計年度は従来のとおりというのでございますが、中には、これを国と別々になったら困るじゃないかという議論もあるようでございますが、大体において、ずらしていただきたいというのが大体の意見でございます。この点技術的にまた相当御研究になればまた議論があるようでございますが、現在の会計年度でございますと、ことに北海道とかそういう寒冷地帯ではなかなか補助金の決定がおくれまして、年度内に建設ができないというようなことで、非常に従来からの強い希望でございまして、さような意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/32
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033・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ついでに承っておきたいのですが、今度交付税交付金の率が〇・四%ふえた。そのうちの〇・三%は臨時地方特別交付金で廃止になった。それで〇・一%上げたわけですね。これで例の地方公務員共済組合法案をやれということを言っておりますね。これについて地方団体側はどういう見解を持たれているか、ついでですので、承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/33
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034・山本力蔵
○参考人(山本力蔵君) この問題につきましては、御承知のとおり、最初地方制度調査会で社会保障制度の一環といたしまして国が事務費全額と掛金の一〇%という建前でおったわけであります。私どももそういう前提で進んでおったのでございますが、今回仰せのとおり国庫負担が廃止になりまして、実質的には〇・一%の交付税でもっていくということでございます。まあ財源的には〇・一ではなかなか困難な実情もございまするが、この地方公務員の退職年金制度が始まりまして過去もう四年でございますが、それで、公務員の退職がそういう問題でだいぶ渋滞している関係もありますし、また公務員自体も非常に関心の深い問題でございますので、本年度はこの辺でぜひ成立さしていただくほかにないだろう、そういうことに、私ども各団体で相談の結果、従来の国庫負担はあきらめまして、交付税の財源によりまして新年金制度に踏み切ることに覚悟したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/34
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035・矢嶋三義
○矢嶋三義君 最後にもう一つ山本さんに承りたいのですが、ちょっと失礼な内容の言葉が入るかと思うのですけれども、ありましたら、お許しをいただきたい。それは、国もいろいろ配慮しなければならぬことは当然であるとともに、地方団体側もやはり知能をしぼり創意工夫をこらして効率を上げるということを常に研究努力していただかなければならぬと思うのですね。三十五年度の地方財政の決算報告を見ましても、皆様方の御努力によって好転していることは数字の示すとおりです。ところが、その好転した中に、行政水準を非常に上げねばならない。それから団体に格差が大きい。それをやらねばならないと努力している半面もありますがね。ところが、また好転した一面においては、これは不用意に消費的経費を分不相応にふやすきらいがあるんじゃないか。少し派手になり過ぎるのではないか。それは決してぜいたくで派手じゃないけれども、実態からいって、もう少し漸進的にやったほうがいいんじゃないか、好転したというのに楽観して、ちょっとそういうムードに酔って、そうして少しそういう方面のなにが派手になり、ちょっとスピードがつき過ぎているんじゃないかというような、失礼かもしれませんが、私の目にはちょっとそういう面が感ぜられるんですがね。こういう点についてはどういうお感じを持っておられるんですかね。住民に対してもこれは公僕として大事なことだし、そういう点配慮してやられれば、日本の中央政府に対するあなた方地方団体の発言力も強くなり、それは影響力も大きくなってくるわけで、そういう私は感じを持っているんですがね。どういうようにお感じになっておられるかということと、それからもう一つは、直接あなたと関係がございませんが、町村会の会長さんですが、同じ自治体で関係があるし、いい機会だからお伺いしておきたいんですが、それは最近よく、あらゆる問題で承るときに、地方団体の議会の議員さんが常に国会議員と並列して考える傾向がありますね。国会議員はこうだから国会議員はこうだからと。私は今法律上からいっても、制度上からいっても、地方団体の議会の議員と国会議員というのは全く別人種のような、そんなものじゃないけれども、しかし若干次元が違って、並列さして一対一で同じ次元で比較対照して物事を見、考えることは僕は誤りではないかと、こういう感じを持っているんですが、あなた理事者側で議会議員ではないわけですけれども、地方団体の日本におけるエキスパートですから、参考にひとつ、ちょっと意見を聞かしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/35
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036・山本力蔵
○参考人(山本力蔵君) ただいま二つの矢嶋先生からの御質問は御意見のとおりでございます。私どもといたしましても、財政が苦しいとは申しながら、ただ国に依存するばかりでなく、大いに反省いたしまして合理化等に努めなければならない。また社会の指弾を受けるような点があることはございます。これは全般ではございませんで、私どもはこういう点はゆめ忘れずに、地方自治というものに対して、国はもちろん、住民からの信頼を増すということに大いに努力しなければならぬと、こう思っております。事実、及ばずながらそういう方面に努めたいと思っておるわけでございます。
第二の問題でございまするが、この点もそのとおりだと存じます。従来の市町村議員の処遇等につきましては、一部の例を除きましては、非常に職務の義務に対して待遇が悪い面等はこれは改善しなければなりませんが、直ちに国会議員と同等というようなことは、これはもう私どももいけないことだ。責任におきましても、職務におきましても違っておりますので、御意見のとおりだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/36
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037・秋山長造
○秋山長造君 ちょっと二点、山本さんにお尋ねしたいのですが、第一の点は、先ほどお述べになった中に、減税をやる場合に、そのかわり財源を与えてもらいたい、特に、かわり財源といっても、自主税源を与えてもらいたい、こういうお話があったのですが、これは実は自主税源で相当の内容のあるものというものがなかなかないわけなんですけれども、あなたのほうで何か独自のお考えがあったら、参考のため聞かしておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/37
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038・山本力蔵
○参考人(山本力蔵君) 私どもの立場といたしましては、この減税の場合の財源補てんでございますが、これは交付税とか、いろいろあるわけでございますが、やはり財政的な自主性をある程度堅持したいということで、自主税源、固有の税源がほしいというのが建前でございますが、なかなかこれが問題で、どの税源を持ってきても、やはり都市に集中するというのはそのとおりでございますが、今まででまあいろいろ私ども考えましたのは、たばこの消費税等もう少し大幅に市町村に、ことに基礎的公共団体でありますところの市町村の行財政力をもう少し強化していただきたい。まあこれは自治に対する私は見解の相違があろうと思いますが、私は現在の段階では、まだまだ地方自治ということは、特に基礎的公共団体の市町村というものはもう少し伸ばすべきだと、財政的にも行政的にも、そういう立場から財源もふやしていただきたい。たばこの消費税も、かつて地方制度調査会でも三〇%ぐらい国から地方に移したらよかろうという御答申もあるようでございますが、さらに先ほども御意見がございましたが、酒でございまするが、酒は交付税を一部いただくわけでございますが、これ消費税にして地方へ税源を委譲していただいたらどうか、また一部は消防施設税等を考えてみたらどうか。それにことに私ども市町村では最近交通の問題が社会の大問題でございますが、市町村等でも大型トラックやバス等どんどん通りましてこわされますが、ガソリンとか軽油に対する課税も一部国、県だけで、特定の市だけで独占せずに、一般の市町村にも分けてもらったらどうか、かようなことを現在考えておるわけでございます。それで税制調査会等でもそういう意見が出るのでございましょうが、私どもといたしましても、積極的にまあ市町村の固有税源というものに考えていただければ何とか工夫があるんじゃないかと、こう思っていつもお願いしておるわけでございますが、現在のところはそんなことに考えておるわけでございます。その点もまた政府に向かって陳情もしてあるわけでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/38
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039・秋山長造
○秋山長造君 それから第二点として、今度住民税が申告制になりますね。大体三月の二十日ごろを期限にして申告さしているわけですね。これは先ほども比嘉さんから話がありましたが、実際この住民税に限らず、税金の申告というのは実に複雑でむずかしいですね。どうですか、あなたの町あたりで三月の二十日までに申告がきちっと出そろったでしょうか。それからまた出そろったら出そろったとして、その申告の内容がよく理解されてきちっと間違いなしに書かれておったでしょうかどうか。その実情をちょっとわかれはお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/39
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040・山本力蔵
○参考人(山本力蔵君) 二十日に私ども状況を調べたのでございますが、確かに複雑でございまして、なかなか御自分で申告を完全にできる方は少のうございまして、役場吏員総動員で実際は書いてあげるという方のほうが多いのでございまして、大体私の町では二十日で案外申告は——従来申告しなかった方も多少PRの関係もあるかと存じますが、減税との関係もございますので、申告の状況は案外良好のように聞きましたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/40
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041・秋山長造
○秋山長造君 申告の状況は良好だというのは、期限までに紙が出たということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/41
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042・山本力蔵
○参考人(山本力蔵君) 現在その程度で、内容におきましては……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/42
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043・秋山長造
○秋山長造君 その内容を見たら問題にならぬのじゃないですか、今の段階で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/43
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044・山本力蔵
○参考人(山本力蔵君) まだ内容、私はなはだ恐縮でございますが、まだその検討はいたしませんでしたが、なかなか複雑でございまして、容易でないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/44
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045・小林武治
○委員長(小林武治君) さっき矢嶋委員から、大衆飲食の免税点が五百円、これをもう少し上げる必要はないか、こういうようなことについて遠藤さんからお答えがあったのでありますが、比嘉さんの御意見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/45
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046・比嘉正子
○参考人(比嘉正子君) そうですね、私たちが大体集団で会合をやるというときに食べられる程度は、まあ千円以上は食べられないのです。ですから、五百円くらいまでは大衆的に皆さん食べていらっしゃいますから、五百円くらいまでは免税にしてしまって、その上は取ったほうがいいんじゃないかと思うのです。大体あまりたくさん料理が出過ぎるし、サービス過剰なんですが、いわゆる日本の料理というのはサービス過剰で、むしろサービスをあまりせぬほうがいい事態じゃないかと思うのです。そういうものに税金がかかるんだったら話は別ですけれども、こういうようなサービス過剰の税金だとか、あるいは大体日本において男の情炎の対象になる職業は賃金が大きいですね。そうして健実に働らく人たちの賃金が少ない。そこにもだいぶ料理に女が流れて職業を求める原因があるわけです。そういうような社会状態の実態が私はいけないと思いますから、そういうような、いわゆるサービス的なものには私は税金は取って、もっといいほうに使ったほうがいいんじゃないかと思うのです。五百円までですね、免税は。それ以上は取ってもいいと思うのですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/46
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047・小林武治
○委員長(小林武治君) それでは、この程度にいたします。参考人の皆さんには、長時間にわたり御協力下さいまして、まことにありがとうございました。本日拝聴いたしました御意見は、今後の私どもの審査にたいへん貴重な参考になることと存じます。以上をもちまして参考人方の御意見の聴取は終わります。まことにありがとうございました。
午前はこの程度といたしまして、午後は一時三十分まで休憩いたします。
午後零時二十七分休憩
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午後二時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/47
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048・小林武治
○委員長(小林武治君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
まず地方交付税法の一部を改正する法律案(衆第二三号)を議題といたし、提案理由の説明を聴取いたします。太田衆議院議員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/48
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049・太田一夫
○衆議院議員(太田一夫君) ただいま議題となりました地方交付税法の一部を政正する法律案の提案の理由を御説明いたします。
現在交付税率は、国税三税の百分の二十八・五、臨時地方特別交付金百分の〇・三となっていますが、これのみにてはとうてい激増する地方財政の需要に応ずることはできないのでありまして、その総額を増すことは地方行政水準の維持、向上のためには最大の急務となっているのであります。政府はその要請にこたえるために、百分の〇・一、金額にしてわずか十五億円を増して当面する事態を切り抜ける意図であるやに承っているのでありますが、昭和三十七年度は地方公務員の退職年金制度も創設される見通しでありますし、拡大する道路、河川、港湾、水道、交通安全施設等、公共事業の整備や災害復旧事業の進捗をはかり、その財源の確保をはかる必要もありますので、とうてい〇・一%程度の実質増額では何とも手の出しようがないのであります。
特に問題となっている高等学校生徒の急増対策は、向こう三年間に千五百億円の財源を要すると見積られているのでありますが、昭和三十七年度にはわずか百五十四億円しか手当されていないのでありまして、つまるところ、不足分は地方自治団体、またはPTAその他住民負担に転嫁されざるを得ない状態になっているのであります。高校施設のみでなく、一般小中学校の教育費におきましても、この際思い切った単位費用の増額をしない限り、老朽校舎の改良も教育の内容向上も期することはできない現状に直面しているのでございます。もし、一般財源の強化対策も、当面の糊塗のみに終始するならば、地方住民の税外負担はいよいよ飛躍的に増加し、その重圧に耐えかねるときが来ることは必至でありましょう。特に意を用いなければならないのは、辺地等を含む要開発地域に対しては、交付税の特段の配分によって地域格差是正をはかるべきでありまして、そのためにも地方自治団体の単独事業をますます活発に行なわせる必要がありますが、それには交付税率を百分の三十に高めない限り、財源的に見て全く不可能なのであります。また、一世帯当たり三千円以上といわれる税外負担を今日のまま放置しておくことはとうてい許されぬことでありまして、地方財政法の趣旨を明らかに尊重しまして、国、県、市町村住民間の負担秩序を正す措置を講ずべきであり、そのためには二百二十億円以上の一般財源強化が必要となるのでございます。
以上がこの法律案の提案の理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決ありますことをお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/49
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050・小林武治
○委員長(小林武治君) 本案の質疑は、後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/50
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051・小林武治
○委員長(小林武治君) 次に、地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑の方は御発言願います。
速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/51
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052・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/52
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053・秋山長造
○秋山長造君 大臣がお見えになったので、大臣にちょっとお尋ねしますが、今度の地方税の改正について、どういうのですか、原則的な問題についてまだ質問をする機会がなかったので、そういう点について若干お尋ねしたいと思うのですが、年来地方財政の問題がいつも論議になって、そのたびに、やはり地方の税源を充実するとか、あるいは言葉をかえて言えば、独立税源を確立していくとかというような問題がいつも出ておったのですが、今度の税法改正を見ましても、やはりそういう根本問題はついに触れておらぬわけですね。あげて今後の問題として残しているわけですね。こういう根本問題に対して、一体税制調査会というものが今後ほんとうに真剣に取り組んでいく、あるいはいける見通しがあるのかどうかということなんです。午前中も東大の遠藤教授の陳述を聞いたわけですけれども、遠藤さんなんかも税制調査会の何かになっているはずなんですが、税制調査会の専門調査員の中に名前を連ねておられるのですが、この遠藤さんあたりも、その点に対しては不満というか、批判を持っておられるようです。要するに、結論として、今の税制調査会の陣容なりあるいは機構では、そういう根本問題に取り組むにはこれはふさわしくない、期待するほうが無理だというような御意見だったようですがね。自治大臣として、こういう根本問題を今後どういう方法で解決していこうとお考えになっておるのか。その点お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/53
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054・安井謙
○国務大臣(安井謙君) この地方の団体の間の税源配分、あるいは国と地方団体との間の税源配分、こういう問題につきましては、かねがね自治省としてもでき得る限りバランスをとり、安定化という方向へ進めて参っておるわけであります。今回の地方税法の改正につきましても、御承知のとおり、国の税源の一部移管をやりまして、金額にいたしまして二百億以上のものを一応移管する。なおそれに伴いまして、入場譲与税のほうは譲与税制度を廃止することになりまして、これは百七十億減るのじゃないかという計算上の問題は出ますが、これは、御承知のとおりに、入場譲与税自体がまあ当然減税を約束されておるような宿命にある税金でもございますし、百七十億という計算は、おそらくそのまま持っておりましても、それよりはるかに実際の収入額としては低いものになる。そういうような関係からも、私ども今度の税制改正で相当な税源帰属の問題については処置をいたしたつもりでございます。この住民税あるいはたばこの税率等におきましてやったわけでございます。しかしむろんこれで地方と国との間の税源調整というものが完全にできたかどうかということになるますと、まだまだ将来の問題は残ってはおると思います。おりますし、これはまた税の面だけで一面的にやり得るものでもございません。全体の国の負担金、あるいは補助のあり方、そういったような計算もいろいろな角度でやっていくわけでありますが、ことしはとりあえず税を中心にそういった税源配分の調整をやり、さらに同じ団体間におきましても、税源帰属の問題につきましても相当な調整を今度はやっておるというふうに思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/54
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055・秋山長造
○秋山長造君 そのおっしゃることはよくわかりますけれども、ただそれを思い切ってやろうとする場合ね、これは自治省が独自でやるといってもやはり国税に関係することだし、またおっしゃるとおり、行政事務の中央、地方間の配分の問題にも響いてくることだし、また補助金だとか負担金等のあり方という問題にも及んでくるわけなんで、そこで税金の問題についてはまず学識経験者の衆知を集めた上で、その答申に基づいてやっていこうということで税制調査会を設けられているわけなんですが、私のお尋ねしておるのは、今までどおりこういう問題を税制調査会でやっていくのか、それともさっきの遠藤教授の批判にもあったように、現在のような税制調査会のあり方では、そういう地方税の問題を国税と同じようなウエートを置いて取り組んでいくということには不向きだ、不適当だ、何らか現在の税制調査会とは別な一つの機関でやっていったほうがいいのじゃないかというような話もあったのです。ですから、今後そういう何か税制調査会とは別な機関で、しかも税制調査会を上回るくらいなやはり力を持ったそういう機関を設けて、そこらでじっくりとこの地方財政の問題を中心にして、今のままではどうしても国税のほうが主になってしまって、そうしてまあ国税の改正のはね返りでいろいろ地方税関係をいじくるというような形になっていますがね、そうでなしに、地方税のあり方、地方財政のあり方ということに重きを買いた強力なものを作って、そしてその結論に沿うてやっていくというやり方をおやりになるのか、それとも、もうそういうことでなしに、現在すでに地方制度については地方制度調査会もある、税についてはまた税制調査会があるわけなんで、今までどおりそういうところでやってもらっていかれるのか、それとも政府部内でこの問題を今度の臨時行政調査会ですか、ああいうものを通じて、行政系統の面から中央、地方の税制のあり方というようなものを考えていかれるのか、そういう根本問題について将来どういうふうにしていこうとされるのかということを聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/55
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056・安井謙
○国務大臣(安井謙君) その点、御指摘のことは私どももごもっともだと思います。この税制調査会というのは、国の税、地方の税を通じて、全般にわたって税そのものを検討することが直接の目的でもあろうと思う。そういう意味から、一種の政治問題にまで化そうとしているこの地方と国との間の税源調整というようなものを専門に全幅的にお預けするというのには、少しあの税制調査会というものでは不十分じゃないかという感じは私どもも持っております。それから同時に、御承知の地方制度調査会というものもございます。しかし、これは地方制度調査会という建前に立ってものを考える機関でもあるということで、私はこの二つのものをできればミックスしたような形で、しかもそれが非常な多人数にわたるということではなくて、少人数の相当の権威者を網羅した検討機関というものが、国の財政、地方の財政全般を通じて検討していただけるような機関があることも一つの方法じゃないかという考えも実はあるわけであります。どういう方法でやるかという点につきまして、今後私どもも至急、これは大蔵省とも関係があるといいますか、半分は大蔵省にも責任のある問題になりますので、この両者協議しまして、そういったようなものができ得ればひとつ機関を考えたいと思って、目下これは検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/56
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057・秋山長造
○秋山長造君 これはもう十年一日のごとく、地方財政、地方税法が論議に上るたびに、中央、地方を通ずるそういう根本問題について論議が展開されているわけですけれども、ただ堂々めぐりでちっとも前進は今日のところまだしていないと思うんですがね。早い話が、今度の一枚看板になっております税源配分ということで、所得税を若干地方へ譲与するのだ、こういう形、やり方ですね。このやり方は、一体今回限りのものであるのか、それとも今後もこれをさらにこのやり方を助長していくおつもりであるのか、どっちでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/57
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058・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 今の所得税とこの住民税との一本化による税源委譲という問題の解決の仕方については、これは今のところ、これを当分動かすという意思はないと申せると思うんですが、また市その他の面についても今後やはり逐次検討していく問題は残ってこようかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/58
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059・秋山長造
○秋山長造君 今度の道府県民税について、初年度百八十一億、平年度百九十八億、こういうものの税源配分が行なわれること、そのこと自体は別にとやかく言うつもりはありませんけれども、ただ、百八十億ばかりのものを地方へ与えたからといって、まるでそれが一枚看板になって、これで何か国税、地方税の間の税源配分の問題はもう一挙に片づいたような、そして地方の税源の充実に対して非常に効果的な手を打ったというようなことを、大蔵大臣の所得税の提案説明なんかでは、実に得々として書いてあるのですけれども、しかし、今も大臣がおっしゃったように、その半面、入場譲与税は百七十億今度減税になるのですから、もっと減るでしょうけれども、今までのところ、百七十億予定されたものが地方から召し上げられるわけですがね。これは結局相四つになってしまうわけですね。その数字からいうと相四つになってしまうわけで、結局、たばこの消費税を二%上げたというところが、まあまあそのみそじゃないかというように思われるのですが、特に入場譲与税については、これはいずれは廃止へ持っていかなければならぬものだから、どうせ先細りの税金だからあまり執着はしないようなお話ですが、しかし、少なくとも、将来のことはともかくとしても、現状においてはやはり入場譲与税というものが相当地方の団体間の財源調整的な役割をしておったことも私は事実だと思うのです。これは交付税や、たばこ消費税のようなことはないですけれども、人口比例で配分しておった関係もありましてね、だから、そういうただ地方の財源ということにとどまらないで、多少とも財源調整的な役割をしておった入場譲与税を、この際あっさり手放してしまうということについては、私は必ずしも賛成できないと思う。そういうことをしますと、よけい、地方の住民負担が重いか軽いかということも問題ですが、同時に、地方の団体相互間の格差が一そう開いてくるのじゃないかという気がするのですけれども、そういう点についての御配慮はなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/59
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060・安井謙
○国務大臣(安井謙君) この住民税と入場税とで相打ちじゃないかという御批判も一応ごもっともだと思いますが、実態的に考えますと、最も大衆的な税金である入場税というものは、これは減税のつど取り上げていくべき運命にあるものでしょうし、今度の減税、国のほうの減税によりましても、おそらく半分以下になる性質のものである。これは地方税の譲与税としてもこれをむやみにがんばるわけにいかないといったような性格の税であると思います。そうしますと、どうしてもそれ以上の税源配分の意味で住民税をやったということは、これはまだ不十分だという点につきましての御批判は、われわれも十分受けなければなるまいかと思いますが、これからもさらにいろいろの面で改善を要していく面があるのじゃないかという御批判は受けますが、しかし、今度の措置自体は相当前向きで、ここ二、三年来懸案になっておりましたそういった財源の調整についての手のつかなかった面を、ある程度取り上げたことだけはお認めをいただけるのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/60
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061・秋山長造
○秋山長造君 それは、おっしゃるとおりある程度は私も認めます。ある程度は認めるけれども、そのある程度が、大臣の想定されているある程度というのは相当という意味だろうと思うのですが、私らの感じでは、全くスズメの涙くらいの程度にすぎぬので、そういうことによって、これは今の地方財源充実とか、国税、地方税の税源配分という大きな筋は体して前進していないと私は思うのですが、今後の問題として、なるほど、道府県民税は、その点で税源配分という面からは一歩前進したとしても、市町村民税の関係はどうかということになってくるのですが、市町村民税の関係は、その国税、地方税の税源配分というようなことは、これはそういう方法での税源配分ということは考えられておらぬのか。また今後も考えるつもりもないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/61
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062・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 御指摘のとおりに、市町村民税につきましては、この税源配分の今度のこの措置が非常に僅少にとどまっておる、たばこの一%分であるとうい点もお話のとおりでございます。ただこれは財政問題をきめます際、国の財政の立て方なり地方の問題等あわせてやっていきますには、なかなかいろいろめんどうな問題が多いものでございまするから、ことしはとりあえずこの府県分を中心にした税源配分をやっていき、また将来、市町村に対しましても、さらに二段がまえでものを考えていきたい、こういうふうに考えて、ことしはとりあえずこういった措置をやったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/62
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063・秋山長造
○秋山長造君 午前中の参考人の方々にも聞いたのですけれども、どうも別に名案がないのですがね。いつも言うことですけれども、地方財源を充実しようとすれば、やっぱり地方税の増税と、内容はどうあろうとも結論的には増税ということになってくる。そうすると、やっぱり日本の税金全体が国際水準からいって高過ぎる、だから、低くしなくちゃならぬというこの大きな時代の要請に逆行する結果に、地方税に関する限りは、どうしてもなってくると思うのですね。これも困るわけなんで、結局、国税を安くして、そうして減税だ減税だという宣伝を一方でやられながら、他方では、地方税のほうは増税、こうなってくる。そこで増税の責任は、本来からいえば政府にあるべきなんですけれども、政府は地方の住民に直接つながっていないのですから、離れていますから、直接目の先にいるものは市役所であり役場であり県庁なんです。結局、地方団体が増税の責任をもう一手にひっかけらされるような形になるわけですね。ですから、外部から皮肉に見れば、この日本の税金の重いその重税の責任をもっぱら地方団体におっかぶせて、そうして国のほうは涼しい顔をして通っていく、こういう形にどうしてもなってくると思うのですね。もしそれがいやだということになれば、結局、税金をふやすのでなしに、別な方法で地方財政の充実ということも考えざるを得ない。それから現行の税金以外の何か新しい、しかも、かなりこう円滑に取れるような税金で相当地方財政にプラスするようなものが、何か新しいものが考えられればともかくですけれども、どうも全国町村会会長に聞いても、そういう名案はないようですから、結局いろいろやってみますけれども、これは結局は、それぞれこうちびちびいじってみる程度であって、根本解決にならぬ。どうしても根本解決といったら、たばこ消費税を思い切って上げるか、あるいはさらに地方交付税のほうの税率を思い切って引き上げるというようなことに常識的に落ちつかざるを得ぬと思う。そこで、そういう私のこの結論が大臣に受け入れていただけるものかどうか。それからもし受け入れていただけるとすれば、たばこ消費税なんかを調べてみますと、今度の二〇%引き上げで大体八百億ですね。道府県、市町村を通じて八百億、それから一方、専売益金が千六百億ですね、ざっと。ですから、大体専売益金の半額、それからこれはもう少し引き上げて、たばこ消費税、あまり専売益金をこちらへ取ってしまうということも、また国の財政に大きな障害を与えてもいかぬでしょうけれども、しかし、今日の国税の収入状況、特に膨大な自然増収等の実情から考えますと、国税のほうは相当伸びがあるわけですから、専売益金を少々減らしても、これはそれほどの問題はないと思うのです。ところが、地方に対しては、たばこ消費税の税率を何%か上げるということは、これは相当大きなプラスの影響を持つわけですから、専売益金とたばこ消費税とが、少なくとも肩を並べる程度くらいまでは、たばこ消費税を引き上げてもいいのじゃないかという気がするのですけれども、片一方が千六百億円で、たばこ消費税が八百億ですから、千六百億と八百億の中をとって、もう四百億くらいたばこ消費税を引き上げて、だから税率から言いますと、少なくとも、二一%程度でなしに三〇%くらいまで当面引き上げるということは、これはあながち暴論じゃないと思うのですが、その二点についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/63
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064・安井謙
○国務大臣(安井謙君) たいへんむずかしい問題でございまして、一つのたばこ消費税をもうちょっと上げたらいいじゃないかという御議論も確かに承れると思うのであります。それでは三〇%なら十分、地方財政全部ほかの条件を無視していけるかどうかということになりますと、これまた、なかなか問題がめんどうでございまして、やはりあれこれ総合的に税源配分を考え、逐次改正していくということになりますと、たばこの消費税だけを、急角度に比率を地方へ回すということにも、なかなか実際上の困難が伴うであろう、こう思いまして、そこで国、地方を通じて、一方は減税、一方は増税の形にならなければ財源の保有はできないのじゃないかという点もごもっともでございますが、やはり出るふところは一つであるということになりますれば、財源委譲というような形、あるいは国でうんと減税して、そうしてその一部が今度は地方では増税になるというような場合も、出る財布からいえば、差引減っておれば、これで、感じは別といたしまして、収支は立つのじゃないかというふうな気がしております。
それから地方の財源を安定をするのには、どうしても税にたよるということがある程度必要なものでありまするから、国と同じような意味の減税はなかなかやりにくい。しかし、減税を国と同じようにやりながらも、地方の財源をほんとうに確保していこうということになりますれば、税のほかで考えるなら、交付税なり、あるいは補助金、国庫負担金といったような問題になろうと思います。これをあまり強化するということでは、また地方自治体に対して、国の支配する部分が非常に強くなるという考え方も一方で出てこようかと思いまして、そこらのかね合いはなかなかむずかしい問題が多かろうと思うのですが、しかし、いずれにしましても、今のままで十分でないとは言えると思います。
また、今お説のように、たばこというようなものを取り上げていくというのは、比較的影響の少ない一つの配分方法じゃないかという御意見は、私ども今後も十分検討の材料としてそのお説を傾聴して取り上げていきたい、こういうふうに思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/64
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065・矢嶋三義
○矢嶋三義君 関連して。今の秋山委員の大臣に対する意見、僕は名論だと思うのですがね。それは一挙に解決できないけれども、一つの方法としては最も安定した合理的なあれだと思うのです。たばこの専売法の発足のときは、国の収入源を確保するというような趣旨でできたものですけれども、しかし、それのみで最近のように非常に税の収入構造が変わって、国の歳入構造が変わってきたこの時代にも、やはり専売法ができた当時の考えで過分に依存しているというのは、僕は是正しなければならぬと思うのです。私の計算でちょっと参考までに申し上げますと、バットの場合に消費税が六円三十銭です。それに対して益金は十二円五十六銭です。倍ですよ。それからピースの場合は、四十円のピースの消費税が、僕の計算したところでは、八円四十銭です、今度変わって。それに対して益金は十八円十五銭です。ですから二倍以上になっている。だから、秋山委員の言われるように、それを益金といっても、益金とたばことの中間くらいにせめてしたらどうかということで、僕はいい案だと思うのですがね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/65
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066・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 今のたばこ消費税を中心に検討していくということは、確かに地方住民に対する影響という面からいけば、一番いい方法であろうということは、お話のとおりであろうと思います。ただ、たばこは、いわば国がすべて直営をして、国自身ですべてをやっておって、それの配分をやっておるという建前から、これを相当額、当然の権利として国から地方へ引き継ぐというのは、実際上の困難もなかなかあろうと思います。しかし、今言われますような点を、今後は私十分検討の材料にしてやっていきたいと思います。ただ、今御指摘のありました税と益金の配分関係につきましては、私どもちょっと数字が納得できないような点もあるのですが、これまた、いずれあとでお打ち合わせもいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/66
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067・矢嶋三義
○矢嶋三義君 数字を申し上げておきますから、間違えていたら、この次までに間違えていた数字は訂正してもらいたいと思います。二十本入り三十円のバットの消費税は六円三十銭、それから益金が十二円五十六銭、それから十本入り四十円のピースは、消費税が八円四十銭、そうして益金が十八円十五銭、倍以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/67
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068・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 逆じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/68
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069・矢嶋三義
○矢嶋三義君 いやいや、これは僕は計算して間違っていません。だから、そこの配分をやったらどうかという秋山委員の説は、僕は非常に妥当な説だと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/69
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070・秋山長造
○秋山長造君 国からあまり金を地方へ出し過ぎるということも、地方自治の建前からいってどうだろうか、問題がこの面から起こるというような懸念もあったのですが、たばこ消費税の場合は、そういう懸念は私はないのじゃないかと思うのですね。たばこ消費税をどれだけふやしたから、それだけで地方の自主性が縮まるという性質のものじゃないと思うのです。たばこ消費税は、これはやはり国からもらうという考え方をする必要がないので、たばこの消費に対して税金をつけるということだから、地方の純然たる自主財源という扱いでいいんじゃないかと思うのですがね。これは都道府県の普通税になっており、市町村の普通税になっておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/70
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071・安井謙
○国務大臣(安井謙君) この問題は、とにかく検討に値する非常にいい御示唆だとも思います。ただ、やるのには、なかなかいろいろな要素が加味されてくると思いますが、十分御提案の趣旨は検討さしていただくことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/71
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072・秋山長造
○秋山長造君 結局、たばこは大蔵省の管轄しているものですから、だから、突き詰めていくと、自治省と大蔵省との力関係というようなことになるわけなんで、いろいろ問題があるというのは、結局、煮詰めればそういうことだと思うのですけれども、それ以外には、実に地方の財源を充実していき、しかも、格差を是正していくという、多少とも調整的な効果も期待できるし、やはりたばこ消費税というものはもっともっと引き上げていく努力を、ただ自治省の一個の立場ということでなしに、政府としてお考えになってしかるべきだと、これはもう税制調査会に諮る必要も何もないわけなんで、政府として地方財政をどの程度に評価するかという建前さえきまれば、すぐできる問題だと思うのです。それはまあ今度の二%引き上げについても、それは舞台裏の御苦労はよく承知しておりますけれども、さらにひとつこれは努力をしていただいて、そうして来年あたりは二%だ、三%だというようなけちなことでなしに、思い切って一〇%ぐらい引き上げるべきだと思う。その努力をひとつ自治大臣にお願いしておきたいと思うのです。
それからこの地方税の税額をずっと検討してみますと、やはり地方税の中心は道府県民税あるいは事業税、それからさらにたばこ消費税、それから市町村におきましても、市町村民税、それから固定資産税、たばこ消費税、そういうものがもうこれは圧倒的な比重を占めている、その中で道府県民税にしても、市町村民税にしても、あるいは事業税にしても、固定資産税にしても、これはいずれにしても負担が重過ぎる。だから傾向としては、今後さらに軽減をしていかなきゃならぬ税金だと思う。そこで、もう摩擦なしに、しかも、よけい取れるということになれば、たばこ消費税以外にはない、道府県民税についても市町民税についても、それ以外にはない、こう思うので、まあぜひこの面の努力をひとつ要請したいと思う。
それからちょっと話が飛びますけれども、大臣が急いでおられるのでおられるうちにというのは、今、自民党の内部で非常に問題になっておるようですが、この料理飲食等消費税について、四月一日から外人客の免税ということが廃止されることになった、ところが、それをまた業者の非常な働きかけによって観光事業の推進だとか、オリンピックの外客誘致だとかというような、もっともらしい名目をつけて、また復元しよう、免税措置を復元しようという根強い動きがある。これはまあ新聞なんかにも報道されておりますから、私は事実だろうと思う。それについて、いろいろやられた結果、自治大臣と大蔵大臣と官房長官とに何か一任されたというようなことを聞いておるのですが、それが事実なのか。それから、一体自治大臣はこれに対してどういう態度をもって臨んでおられるのか。今後一体そういうことについての見通しがどうなっていくものかというようなことについてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/72
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073・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 外人宿泊に対する課税の問題につきましては、私はいろいろな考え方があろうと思うのであります。ことに日本の外客誘致といったような面から、そういったものに対して特例を設けるべきじゃないかといったような御議論も相当強くあります。また諸外国の例を見ましても、そういった例も相当見られるのでありまして、これは確かに御議論だということは私どもわかりますが、まあ今地方税制の純粋の建前から申しますと、外人客なるがゆえに特別扱いをするということは妥当じゃなかろうという結論をとっておりまして、自治大臣といたしましては、そういう特別な扱いをいたすつもりはない、こういうことが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/73
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074・秋山長造
○秋山長造君 まあ外客に対する免税措置というのは、占領時代の遺物の最たるものだと思うのですよ。事実そうだったのだが、これを廃止して、そうして外国人と内国人たるとを問わず、同じように税金をかけていくということは、年来の強い世論の要請があって、そうして年々この地方税法の改正のときに、いつもひっかかってきた問題なんです。これがやっと昨年、法律改正が行なわれたわけなんですが、その当時も相当いろいろ抵抗があって、そうしてまあ万やむを得ず、一年間準備期間ということで延ばしてこの四月一日からいよいよ廃止すると、こういうことになっている経緯から見ましても、政府がこれをそこまで練りに練ってきめてきた方針をまた今になって蒸し返すということは、私は政治に対する不信感を植えつける、これはもう非常な大きな悪影響を持つ問題だと思うのですよ。で、けさの参考人の意見も、その点については全く遺憾だという話だったのですけれども、どうも今の大臣のお話を聞きますと、私は非常に不安を持つのですね。この問題についての自治大臣の御見解としては、あまりにも弱い感じを受けるのですが、いかがですか。この点をはっきりしておいてもらわぬと、この地方税法を年度内に上げてもらわなければ困る困るといって、毎日のようにせき立てられておるわけですが、われわれは四月一日からこれはもう既定方針どうり廃止されるものとして地方税法を上げて、そのあとでまた、どういう方法をとるのか知らぬけれども、また、それをくつがえすようなことを別個な方法でやられるというようなことが万一にもあると、そういうことが予想されるような状態では、これは年度内に上げいといっても、私は上げる意欲が起こらぬのです、その点、見通しがはっきりするまで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/74
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075・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 何か自治大臣ちっと弱いじゃないかというようなお話でありまするが、これはもう弱いも強いもないのでありまして、地方税法をごらんいただければお説のとおりに扱っておりますし、目下のところ、私のほうでこれをどうしようという意思はないわけであります。ただしかし、これは私は一般議論としては、議論として出てくるゆえんも必ずしも無視すべきものじゃない、なかなかとられる議論としては存在し得ると思います。思いますが、地方税を改正いたし、また今の地方税の立っておる建前上から、これは今特別の措置をするつもりは毛頭ないということをはっきり申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/75
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076・秋山長造
○秋山長造君 さっきもお尋ねしましたように、三大臣に一任されたということは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/76
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077・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 格別三大臣に一任されたとか、されないとかいう問題じゃなかろうと思うのでありまして、私は別に正式に、どこからも三大臣に一任するから、ひとつ三人の大臣が合議してよく計らえといったような正式な話を受けておるわけじゃございません。自治大臣はどうか、こういう要望が非常に強いがというお話は受けておりますが、自治省としては、これを直すつもりはございませんということで、別に何ら状況は変わっていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/77
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078・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ちょっと関連して。かなり国民の関心事ですよ。私は、当委員会の委員長はどういう見解を持たれているか、承っておきたいと思うのですが……。これも自民党の小林さんじゃなくて、参議院の地方行政委員会の委員長という立場から、こういう問題にどういう御見解を持っているかということを参考に私どもは承っておきたいと思うのですが、これはまた担当大臣の参考にもなると思います。国会役員としてのあなたの主宰のもとに僕ら審議しているので、参考に……。それによってこちらの態度も変わりますしね。委員長の私見というものはあるはずですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/78
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079・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記をやめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/79
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080・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/80
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081・矢嶋三義
○矢嶋三義君 委員長、私見はあるが、増原さんにお気がねしているんだか何だか知らぬけれども、私は委員長の私見なるものを風のたよりに承っているのですが、自治大臣、当参議院の所管委員長はどういう御見解を持たれているか、御承知になっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/81
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082・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 私まだ、推測はあり得るかもしれませんが、あまり国会役員の御境地を推測するのも、所管大臣としていかがかと思いますので、この点はひとつ御勘弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/82
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083・小林武治
○委員長(小林武治君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/83
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084・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/84
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085・矢嶋三義
○矢嶋三義君 参考に大臣に申し上げておきますが、私は風のたよりですがね、やはり筋からいって秋山委員と同じような意見を持たれているやに私は推測をしているわけですよ。これは国会運営の全般とも関係しますので、この法律がいつ上がるかということにも関係してきますので、所管大臣として参考に耳にはさんでおいていただきたいとお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/85
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086・秋山長造
○秋山長造君 重ねてお尋ねしたいのですが、われわれの聞いているところによりますと、あの関係の業者が四百人ぐらいあるようですね。それがいずれも国際観光ホテルの経営者ですから、これはもう財力も持っているし、また、その面からの政治力も持っておるのでしょう。何かそういう連中がずいぶん暗躍して、そしてそれぞれの筋に猛烈なやはり働きかけをやった結果、こういう不明朗な動きが表面化してきているのだというふうにわれわれは承知しておる。これは当たらずといえども遠からず、私は節があると思うのですが、そういうことでよけいやはり世論を私は刺激していると思うのです。ですから、そういう面からも、こういうことが結論的に実現するかどうかは別として、とにかく地方税法の審議の最終段階になって、にわかに頭をもたげてくるというようなことは、これはもう非常に政府自身に対しても大きな不信感を植えつけますし、それからまた、政治全体に対しても大きな不信感を植えつけるし、さらに、そうでなくても、減税だ減税だといっても、実際には相当まだまだ税金が重いということは、地方制度調査会ですら、これは再三答申の中で認めておることなんですからね。だから、なおさら一般国民に対する納税意欲というものを非常に私はそぐと思うのですよ。ですから、自治大臣としては、これは反対は反対でしょうけれども、これはもう断固たる反対をしていただきたいのですね。当事者としての自治大臣が断固として反対するということが、やっぱりこういう不明朗な動きを食いとめる一番のきめ手だと思いますので、ひとつその決意を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/86
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087・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 再三申し上げましたように、自治大臣といたしましては、この地方税を扱います上から、外人課税を特別扱いしょうという意思はないのでありまして、今出して、四月一日からこの税制が実施されれば、一般並みに課税する、こういう方針で参っておるわけであります。ただ言い得ることは、単に今一部でいろいろ議論されておりますが、これは一部の業者の陳情とか、そういうような意味を離れましても、これは一つの議論としては、これは存在し得るということは私どもも認めておるわけであります。しかし、それだからといって税制の建前、地方税の建前からこれを今採用しようというふうには毛頭考えておらぬ、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/87
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088・秋山長造
○秋山長造君 次の問題に移りますが、今度の税源配分ということで所得税の一部を道府県民税に移されたわけですがね、その余波として、今までの累進税率を今度は比例税率に変えられるわけですが、この政府側の説明を聞いておりますと、今までの累進税率が間違っておったのだ、本来道府県民税というものは比例税率であるべきだったのだというような感じを受けるのですけれども、これは一体、累進税率を比例税率に変えられた理由は、何に求めたらいいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/88
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089・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 私ども税の専門家ではございませんので、詳しい理論につきましては、また政府委員からも御答弁いたさせたいと思いますが、大体の考え方といたしまして、住民税というものは、応益課税といいますか、そういうような性格のもので、大体比例的な税率というもののほうが、ベターであるという考え方は、従来持っておったわけであります。で、それをたまたま今度税源移管によって、財政的にも相当変わってくるというような機会にこれを取り上げまして、同時に、この比例税率を取り上げることによりまして、いわゆる富裕団体というものと、地方の財政貧弱団体というものとのバランスをとるという意味からも、比例税率を取り上げましたほうがよりバランスする、言葉をかえていえば、この税率のほうが地方の貧弱団体に対しては安定的な財源になり得るというような点もございまして、今度税率を変えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/89
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090・秋山長造
○秋山長造君 反論するようですけれども、そうおっしゃるような理由だったら、これは貧弱団体の財源を充実するという結果になるほど、ある程度なるかもわからぬけれども、そのなるのは住民の負担においてそうするということになるので、結局、貧弱な団体の財源充実になるということは、貧弱団体の住民の税金がそれだけ重くなるということになるので、そういう貧弱団体の住民の負担において、貧弱団体のこの税源を充実するということであっては、私は意味はないと思う。むしろ私は改悪だと思うのです。
それからもう一つは、応益的なものだというお話ですけれども、まあそういう応益的な点があるから均等割というようなことがあるので、所得割についてまでそれを広げるということになれば、この比例税率のほうが地方税において正しいのだということになれば、それじゃ、県民税だけ比例税率にして、一そう応益的な要素の強い市町村民税について、なぜじゃあ同じようにやらぬのか、こういう反問をせざるを得ない。その点いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/90
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091・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 前段の、地方住民の負担においてこの税源がふえることになるんじゃないかと。その分だけから言いますれば、御説のとおりでありますが、御承知のとおり、これは所得税との組み合わせによって今度は税源処理をやったわけであります。したがいまして、そういった点でこの住民税が従来より加重負担になり得るというような可能性のある面につきましては、所得税でこれを調節しておりますから、決して住民自体の負担の加重という問題は起こってこないわけであります。それから、町村民税で累進課税をとっていながら、府県民税で比例税率をとっておるのは、矛盾するじゃないかと。これも御説のとおりでありまして、市町村民税につきましても、できれば比例税率にいたしたいということは考えております。これはしかし、市町村の現実に今与える非常な大きな影響が財源的にありますので、ことにまだ二本立の税制をやっととっていくというような段階にありますので、今一どきにこれを比例税率に直すということは困難だと、しかし将来適当な機会と適当な方法があればそういった方向に移行すべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/91
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092・秋山長造
○秋山長造君 私は、市町村民税も比例税率を適用しろと言うておるんじゃない。ただ、大臣のおっしゃるような論法でいけば、それは矛盾があるじゃないかということを言うとるんで、私は比例税率にすべきじゃないと、所得割についてはやっぱり累進税率でやるべきだという意見なんです。どうもそれは、税法改正ですから、おそらく前のよりもよくしたというお考えなんでしょうけれども、私はこの比例税率にしたということは改悪だと思うんです。応益ということをおっしゃるけれども、応益ということは国税についても地方税についても言えるんで、ただ程度の差だと思うんです。だけれども、基礎的に——今の地方自治体は住民に直接してますから、だからそれだけ応益と言えば応益と言える部面が広いということは、これは認めます。だから、そういうことがあるから、この住民税の中に、所得ということだけでなしに、均等割ということが私は設けられているんだと思う。だから、その応益という面は、均等割でそれはもう解決済みだと思うんで、やっぱり所得割について均等割と同じような考え方でやっていくということは、私は非常な矛盾があるし、それから負担の均衡ということから考えても、私は問題が大きいと思うんです。これは累進にしたんでは貧弱団体と富裕団体との差がつき過ぎるからというお話なんですけれども、それはもうさっき言うたとおり、そういう意味で比例税率にするんだったら、それは貧弱団体の住民の負担をふやすことによって充実していくというだけのことで、これは貧弱団体に住んでいる住民としてはたいへんですよ。これは所得税と総合的に考えればそう不公平にならぬというお話ですけれども、やっぱり総合的に考えましても——なるほど減税になることはなりますよ、なることはなるけれども、その減税になり方が、なる度合いというものはだいぶ違います。やっぱり低所得層がずっとこれは、税金の絶対額は減りますけれども、相対額というものはやっぱり低所得層のほうへしわがいくようなことに私はなるんじゃないかと思うんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/92
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093・安井謙
○国務大臣(安井謙君) これは、今の低所得者の減税額が全体として低いのじゃないか、高所得者のほうが有利になるのではないかといったような議論になりますと、これは今の比例税率、累進税率の住民税だけの問題でなくて、いろいろ所得税の税率そのもの、それからその他と総合的に考えて、いろいろな御批判が出ると思いますが、今特にとっております国民負担の軽減という意味からは、所得税と組み合わせてみまして、この程度の軽減率が適当であろうということで、これはとっているわけであります。そこで、応益的な性格等言い得るとしても、比例税率がいいのじゃないかというのも、これは御議論になるかもしれませんが、私どもは均等割をとっておりますが、これはほんとうに、申しわけといいますか、最低の線をきめているのでありまして、これは相当額住民税を納付している人にとっては、均等割というのはほんの一部にしかなっていない。したがって、所得に比例して相当額を納めているということで、所得税とはやはり性格上異にしているものだろうという意味から、まあ応益性に重点を置き、さらに地方団体の税源帰属の調整という意味にも重点を置いてこの比例税率をとったわけでありまして、所得税と違っているという点につきましても、所得税に比例した税率あるいは課税標準というものをとっていない。今度は、新しく三十七年度からは、いわゆる所得税と遮断をした新しい方式によって住民税は徴収をしていこうというような建前にしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/93
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094・秋山長造
○秋山長造君 議論になりますから、またもう少しこまかく別の機会にお尋ねしますが、大臣もうどのくらいおられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/94
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095・小林武治
○委員長(小林武治君) もう手持ちは五分です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/95
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096・矢嶋三義
○矢嶋三義君 一問だけして、明快に答弁できたら今してもらいたいし、できない場合、また僕が不満な場合には、研究してきていただきたいと思います。今の税法改正の問題ですけれども、これは結局は地方財政にも関連があるので、税財政という角度から質問するのですが、だからといって、これはけちをつけるのじゃなくて、今度の税法改正には、秋山委員も指摘のように、問題点もあるけれども、しかし前進した前向きの点が、大臣の面目躍如たるものがあると思うんです。その点で、決してけちをつけているわけじゃないが、お伺いしたいのは、自然増収を約二千三百八十五億円と見ているわけですね、今度の税法改正からいって。それから、地方財政計画を立てられてきているわけですがね。その鉱工業生産の前年度比の伸びを五・五%と設定して、そうして計画を進めていっているわけですね。それで、僕が確実に予言できることは、この五・五%という政府の経済計画を推し進めれば、そうしてこの数字を守っていくためには、徹底的に金融引き締め政策をやらなければ、この計画は守れないと思うんですよ。これは明確になってくると思います。そうなりますと、法人関係を中心として、それに関係のある地方税、影響を受ける地方税の減収というのは、相当なものになると思います。特に第一次産業−第二次産業もそうですが、第一次産業地帯も影響を受けてくると思います。そうなれば、これだけの自然増収というものを税法改正とあわせて考えて策定した地方税財政計画で、それで無事にいくのかどうかということです。それから、かりに、五・五という鉱工業生産指数ですね、これが八から九ぐらい伸びるということを許容する——それは僕は十分あり得ると思うんですよ、そうなった場合には、僕の見通しでは、外貨危機というものがやはり問題になってくると思うんですよ。そういう場合に、この第二次産業を主体にする団体と第一次産業を主体とする団体との及ぼす影響というのは、非常に差があるわけですね。だから、その結果というものは、今予想しているより大きく、地方団体間の格差というものは非常に大きくなってくると思います。そういう予防的な措置というものは、この税法改正の中にも、それから地方財政計画の中にも、それに対応できるだけの考慮というものは払われていないというのが僕の判断ですがね。そういう点について、最近の日本経済の動向と合わせ税法を国会に提案し、地方財政計画を策定して国会に報告をした所管大臣としては、どういう見解とどういう見通しを持っておられるかという点だけ、きょう承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/96
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097・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 財政問題と織りまぜられました、非常に卓越した御議論を承っておるわけでありますが、私財政方面からのいろいろな御議論もあろうと思いますが、大体来年度の財政規模、税収は今の千七百億の増収を三十六年度に比べて見ておるわけであります。これは、このいろいろな税改正をやったあとの自然増収としましては。そこで、ことしの——三十六年度の見込みにおきまして、千億前後の少なくとも自然増があるのじゃないか。そうすると、実際の差引からいいますと、三十六年と七年を比べますと、七百億程度の増額しか見込んでないとも言えるのでありまして、私はこの程度の増収額は十分見込めるのじゃないかという感じがいたしております。それから、五・五%をさらに上回った成長率を示した場合にはどうだということになりますが、これは金融や貿易の方面からいいますとまた好ましくないとか、あるいは物価の問題から好ましくないという方面から、どうしてもこれはそういう程度に押えていくという政策がとられるわけでありますが、税収だけの面からいうならば、おそらく、この成長率がふえれば、税収そのものの額は上がってくるということになるであろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/97
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098・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/98
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099・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/99
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100・秋山長造
○秋山長造君 局長にお尋ねしますがね。道府県税と市町村税とに分けて、税収見込みをそれぞれどれだけかということは、これは配られた資料でわかっているんですが、それの道府県税について、道府県の歳入総額の見込みに対する比率ですね。それから市町村税については、市町村の歳入総額の見込みに対する市町村税の比率というものはわかりますか。歳入総額は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/100
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101・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 指数だけ先に申し上げます。歳入構成で、道府県のほうの関係は、三十三年以降を申し上げますが、三十三年が税収が二八%、三十四年が二九%、三十五年が三一%、市町村の関係を申しますと、三十三年が四五%、三十四年が四四%、三十五年が四三%という割合でございます。したがいまして、数字は割りかけすれば出るわけでございますが、今調べましてお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/101
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102・秋山長造
○秋山長造君 三十七年度はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/102
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103・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 今回の税源配分で、歳入構成の割合は一%上昇になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/103
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104・矢嶋三義
○矢嶋三義君 三十六年度のを教えて下さい。今三十五年度まで言ったでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/104
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105・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 三十六年度は、決算がまだ出ておりませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/105
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106・矢嶋三義
○矢嶋三義君 三十七年は、何に対して何%ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/106
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107・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 三十六年の推定でございます。財政計画上の問題でございますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/107
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108・矢嶋三義
○矢嶋三義君 推定を教えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/108
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109・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 今調べております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/109
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110・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/110
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111・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/111
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112・秋山長造
○秋山長造君 これも資料になるのですがね。この市町村民税について、本文方式とただし書き方式ですね、これを採用する町村数というのはわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/112
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113・佐々木喜久治
○説明員(佐々木喜久治君) お手元に差し上げております「地方税に関する参考計数資料」という資料の五十六ページから五十九ページにかけてございます。三十六年度の実施の状況は、五十八ページにございます。数を申し上げますと、三十六年度における第一課税方式を採用しております市町村数が四百七十六で、全体の一三・七%、それから第二課税方式の本文は六十五団体で一・九%、それから第二課税方式のただし書き、これが二千七百九十五ございまして八〇・七%、第三課税方式の本文が十団体で〇・三%、第三課税方式のただし書き、これが百十七団体で三・四%、こういう割合になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/113
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114・秋山長造
○秋山長造君 それはこれでわかるのですがね。今度は二つに統一されるわけでしょう。その見込みは、この数字から大体出てこないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/114
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115・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 三十六年の改正によりまして、従来の方式でいいますと、第二課税本文及びただし書きのやり方に若干の改正は加えておりますけれども、整理をいたしておるわけでございますが、その際に、従来の第一課税、第二課税、第三課税、それぞれ本文方式は今回の改正後の本文方式に移るよう、それから第二課税ただし書き、第三課税ただし書きは今回の改正のただし書きに移る、こういう指導をいたしておるのでございます。
その後の実施の状況でございますが、大体今となれば、おそらく各市町村も済んでしまったと思いますが、つい最近までこの関係の改正を、各市町村で条例改正をやっておったのでございます。そこで、詳細な点はまだ実はわかりかねる点があるのでございますけれども、先般の予算委員会のときに、加瀬さんから、どうも従来の本文方式のところがただし書きのほうにいって増税をやっておる町村があるじゃないかというお話がありましたので、私どもとしては、こういう際にそういうことはおそらくないのじゃなかろうかという点を考えておるのでございますが、若干そういう御質問で心配もいたしまして、とりあえず調べた結果が判明いたしておるのでございますが、従来のただし書き採用市町村で本文方式に移った市町村が九十五市町村、それから本文からただし書きに移ったものが三十五市町村ございます。問題は、このただし書きから本文に移ったほうは、これは当然税負担が相当軽減せられますので、負担面から見れば問題はございませんが、従来の本文からただし書きに移ったという点については、税額控除額をどのようにきめるかということによって、このきめ方が悪いと税負担が重くなる——三十五市町村の場合でございますが、こういう心配がございますので、これらについては、現在県の地方課を通じまして、なぜその市町村において本文方式からただし書き方式に移る必要があるのかということを調査をいたしておる段階でございます。ただ、税額控除額は、一応その際あわせて調べたのですが、その三十五市町村について見ましても、やはり従来のいわゆるただし書き町村とは違って、相当高くきめておるようでございます。市町村によって違いますが、大体扶養控除で申しますと六百円から八百円見当、青色の場合には七百円から千六百円見当、白色の場合では六百円から千円見当、こういうきめ方をいたしております。なお、大多数のそういった三十五の市町村も税率のきめ方は準拠税率、こういうことになっておりますので、今までわれわれが観念いたしておりますただし書き町村のような増税ということは避けておるようでございます。しかし、いずれにいたしましても、この金額でも若干の増税になるのではないか——三十五市町村について、この点多少私どもも疑問に思っておりまするので、先ほど申したように、目下その採用の理由を県を通じて調査をいたしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/115
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116・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、先ほど課長から御説明のあった五十八ページのこの数字ですね、この五十八ページの数字に、今局長におっしゃった点を加味して考えれば、大体それで新年度の推定はほぼ間違いないということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/116
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117・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) そのとおりでございます。九十五市町村が、ただし書きが減って本文がふえる。そのかわりに、三十五が本文が減ってただし書きがふえておりますので、差引六十市町村が本文方式がふえておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/117
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118・秋山長造
○秋山長造君 それに伴って、今度の税額控除は六百円、この点税額控除をいよいよどの町村がどれだけにするかということは、たいてい集計としていつごろくらいになったらわかるのですか。もう今すでにわかっているのですか、税額控除をどれだけにするかということは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/118
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119・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) この点は、この税法が通りましてから、各市町村が条例制定をやることになりますので、まだ今の段階ではわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/119
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120・秋山長造
○秋山長造君 いつごろわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/120
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121・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 三月の議会の次が、おそらく定例が六月でございますから、全部そろうのは六月ということになりますが、その前に臨時の議会を開く市町村が多かろうと思います。いずれにいたしましても、六月になれば全部判明をいたすと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/121
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122・秋山長造
○秋山長造君 いずれにしましても、今御答弁にありましたように、ただし書き方式を採用するところが、これはもう圧倒的に多いわけですね。こういう現状——いい悪いは別に論議するとして、とにかくそういう現状は、本文でいろいろな手当を使って近づけていく努力はされるにしても、なかなか、何かこれにかわる抜本的な手が打たれない限り、私はこの現状はそう急速に改まらぬだろうと思う。そういう実情にもかかわらず、先ほど大臣は、市町村民税についても比例税率にもっていきたい、そのほうが正しいのだというようなお話があったのですけれども、大臣の御答弁についての批判を局長に求めるということは、これは無理ですけれども、そういう意味でなしに、税法の専門家としてああいう考え方でおられるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/122
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123・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 私もやはり、今各国の所得課税について国、地方団体間で税源を配分をするということの立法例等を見ますというと、地方団体は国と同じような超過累進課税はほとんどの国でやっていないように承知をいたしております。やはり地方団体は、小さな地域団体の税制として、それにふさわしいように、比例税率もしくは比例税率的なゆるやかな超過累進税率、これが各国の税制であろうと思います。したがいまして、わが国の住民税につきましては、私はやはり、将来の方向としては、先ほど大臣がお答えになったようにすべきというのが、所得課税を国と地方で分ける場合には正しいやり方だ、やはり超過累進課税による富の再分配という機能は国税においてやるというのが正しいのではないか、こういうふうに考えております。ただしかし、それの実施の時期その他の問題になりますが、私はこれは、現在の日本の市町村民税の実態から見ますというと、比例税率もしくは比例税率的なものにする前に、本文及びただし書き町村間の負担のアンバランス、これを是正するのが先であろうと思います。したがって、まず町村間の負担の不均衡を是正をする措置をとった後において、そういう措置は講ずべきであろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/123
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124・秋山長造
○秋山長造君 それはごもっともだと思う。そうしなければ、今のような本文とただし書きのあまりにもひどい格差をそのままにして、いきなり比例税率ということは、全くナンセンスだと思うのです。それはそのほうがいいとしても、不可能だと思うのです。今度本文とただし書きとの格差の不均衡を是正する措置として、税額控除の六百円という標準額をきめられたわけですが、これによってどの程度これは是正されるか、抽象的に聞いてもぴんとこないかもしれぬけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/124
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125・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 現在の本文方式とただし書き方式の負担のアンバランスの最大の原因は、実は扶養親族控除の額が所持控除の場合に比較して非常に低いということ、これが最大の原因でございます。そこで、この点について、従来の条例の金額の白紙委任ということを、今回六百円にするということに改めたわけでございますが、この額で大体所得控除の場合に比べまして三分の二程度になる、こういう私どもは計算をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/125
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126・秋山長造
○秋山長造君 現在の税額の三分の二程度になる、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/126
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127・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 本文方式が十引かれるという場合に、それの三分の二程度が引かれる、こういうことでございます。本文方式との比較で三分の二程度になる、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/127
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128・秋山長造
○秋山長造君 現在の実情はどうなっていますか。六百円以上とっているところ、それから六百円程度とっているところ、それからそれより下、大体の数字でいいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/128
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129・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 現在の税額控除のきめ方は、大体一番低いので百円、一番高いので大体千円という程度がおおむねのきめ方になっておりますが、平均的な額といたしましては、実績佳三百二十円というのが実績に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/129
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130・秋山長造
○秋山長造君 六百円から千円までの町村数は、比率からいうと何割ぐらい——相当裕福なところですか。大体でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/130
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131・大村襄治
○説明員(大村襄治君) 秋山委員からお尋ねの六百円から千円の団体の性格でございますが、これは市の一部でありますとか、あるいは町村の、言われるような財政の比較的豊かな団体で高い税額をきめておる。その数は、したがって今のところ少ない。局長の御説明のように、平均しますと三百二十円程度でございまして、その前後のものは多いんですが、上のほうのものはきわめて少ない、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/131
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132・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、さっきの五十八ページの資料に出ていた、ただし書き方式をとっておるところ——圧倒的に多いですね、八〇何%。だから、それで想定したら大体合いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/132
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133・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 私からお答えを申し上げます。扶養親族の数に応ずる税額控除額でございますが、団体数で申しますと、百円未満が二十五市町村、百円以上二百円未満が二百六十三、二百円以上三百円未満が八百四十二、三百円ないし四百円が六百一、四百円ないし五百円が三百六十二、五百円ないし六百円が五六十七、六百円ないし七百円が五十二、七百円ないし八百円が十七、八百円ないし九百円が五、九百円ないし千円が一、千円以上が三、こういう数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/133
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134・秋山長造
○秋山長造君 それを集計すると……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/134
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135・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) これは集計いたしますと、二千三百三十八団体、こういうことでございます。これは全市町村でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/135
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136・秋山長造
○秋山長造君 全市町村はもっと多いでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/136
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137・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 私が全市町村と申しますのは、ただし書き採用の全市町村ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/137
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138・秋山長造
○秋山長造君 そうすると、ただし書き採用のところでも、やっぱり今度の標準額をすでに上回っておるようなところがかなりあるんですね。もうちょっとそれを集計してみて下さい、どのくらいか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/138
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139・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 二千三百三十八団体中、六百円以上の団体というのは七十八団体でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/139
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140・秋山長造
○秋山長造君 それは、私らの常識として、ただし書きを採用しておるところは相当財政状態が苦しい市町村だと思うんですけれども、その中で、数は七十八にしても、この七十八団体が今度の標準額より上を控除しておったというのは、やっぱりほかに何か理由がありますか。その市町村のやっぱり財政状態が、ただし書きは採用しておるけれども、ある程度ゆとりを持った団体だということに結論してもよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/140
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141・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) やはりこの金額は、大体各市町村の財政の状況によって上下があると私どもは見ておるのでございますが、率直に私どもから言えば、八百円とか、九百円、千円といった程度まで、扶養親族の税額控除額がきめられるところであるならば、本文方式を採用してもいいじゃないか、こういうふうに私どもは見ておるのでございますが、まあ当該市町村にとっては、それぞれ負担の均衡の問題なり、いろいろな点があって、こういうやり方をやっておるのだろうと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/141
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142・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、先ほどお話のあった、新年度において現在のただし書きから本文に移行する団体が九十五出ておりますね。その九十五の数字と、それから今の七十八の数字というのは、大体符合するわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/142
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143・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) これは数は大体符合いたしておりますけれども、具体的な町村になると、これは調べてみないと私どもとして今何とも申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/143
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144・基政七
○基政七君 ちょっとお尋ねしたいんですが、局長、ばく然とですけれども、これは実際住民税は減税になるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/144
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145・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) これは予算委員会でもそういう御議論が私ときどき出ておるのを拝聴しておるのでございますが、私はこれは必ず減税になる、こう考えております。と申しますのは、今市町村民税がえらく増税になったじゃないかという御議論を聞くんですけれども、これはおそらく私の考えではそうじゃないので、三十六年の改正の際に所得税と住民税と切り離したわけです。そこで、所得税並みの減税が行なわれなかった、こういうことをさしておるのではないか。しかし、現実に三十六年の改正の際には、白色専従控除についての制度が設けられたこと、それから勤労所得者については所得控除の拡大——国税並みに引き上げたこと、それから退職所得の百万円の頭打ち制度を撤廃したということによって、六十一億の減税になっておるのでございます。したがって、税法改正によって増税になったということは、これは私は間違いであろうと、こういうように考えます。それから三十七年度の改正でございますが、これは本文方式採用市町村は、税率の関係が三十八年度でございますから、七年度はそのままということになりますが、ただし書き採用市町村は、これは税額控除額を三十七年度から実施いたしますので、この面はまた六十数億の減税、こういうことになるわけでございます。ただ、私どもが心配するのは、こういう際に、市町村議会で、やはり税法改正の趣旨を——私ともの責任でもございますが、よく徹底をしていただいて、条例改正の際にはやはり法律改正の趣旨を生かして改正をしていただきたい、この際のいわゆる便乗的なやり方、これだけはどうしても避けていただきたい、こういう私は気持を持っております。したがって、制度改正としては、これは確実な減税でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/145
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146・基政七
○基政七君 関連質問ですが、固定資産税ですね、評価基準ができて市町村に移されるわけですね。そういう関係がこの場合に考慮されているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/146
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147・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 固定資産税の関係は、今回の改正は税負担には無関係でございます。今回の改正は、評価の準備体制を整える。そうして、三十九年までに評価がえをいたします。そうしますと、税負担が変わって参りますので、これは三十八年の国会で、税率による引き下げ、あるいは課税標準の特例、こういうようなことでちゃんと調整をいたすつもりでございます。したがって、今回の改正で固定資産税が上がるということはございません。固定資産税は三年据え履きでございますから、三十六年に評価がえを行なっておりますので、三十九年までは据え置きでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/147
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148・矢嶋三義
○矢嶋三義君 一つだけ聞いておきたいんですが、局長さん、その三千余もある地方団体の中にある首長——市町村長、これは首長の中には保守系も革新系もあるだろうと思いますが、その保守系と革新系によって税収に相違が生ずるような場合がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/148
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149・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 首長が革新か保守かによって地方行政の実態は全く変わっていないと、これが私の実は観測でございます。税制改正等についての御意見その他も、全く同じであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/149
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150・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そうすると、もちろん、税率が同じだったら、保守党の首長、革新系の首長によって税収に相違が起こるということはないですね、実体的にも、理論的にも。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/150
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151・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 現実には、市町村行政の面ではそういう差別は私はないように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/151
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152・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そうすると、普通交付税とか特別交付税の配分に、保守の首長、革新の首長の場合に相違が出てくるということはあり得ないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/152
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153・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) さような事実は、私は全くないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/153
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154・矢嶋三義
○矢嶋三義君 いずれ大臣に伺いますが、政務次官にお伺いしますが、地方選挙に行ってみると、安井大臣みずから、あるいは与党の大幹部が、保守党の首長でなければ普通交付税、特別交付税はもらえないということを盛んにどこへ行っても演説をしておる。僕は不思議だなあと思って、革新系、保守系とは税収が違うのかなあと、それではじいた場合に普通交付税、特別交付税が変わるのかと思って、不思議に思いながら、きょう初めて聞いてみたら、事務当局は変わらぬと言うが、ああいう理論はどこから出てくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/154
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155・大上司
○政府委員(大上司君) ただいまの前の、先生の御質問に、税務局長から全くないという問題が出ましたが、事実私入ってみまして、そういうことは全然ございません。ただ特交等のきめ方は、本年初めて私手をかけたのですが、いわゆる一定の基準といいますか、方式というのがございまして、そのルールに合わしていくということで、首長のいわゆる革新、保守ということによって全然差はございません。
それからなお、いろいろな陳情をよく承りますが、現実に私も、社会党の諸君にも親友がおりまして、ずいぶん来られますが、これも事務的におろすものは当然おろしていく、おいで願いまして説明を伺うこともいたしますので、そういうことはない。ただ問題は、一番最後の、いろいろな面で大臣または党の幹部が行って云々というお話がありましたが、これは私自体もまだ確認しておりませんが、その人々の主観的の考えでございまして、われわれ行政上には毛頭そういうことは考えてやっておりませんので、御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/155
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156・矢嶋三義
○矢嶋三義君 最後に、日本の政治行政の科学化ということが戦後叫ばれて、確かに私は進んでおると思うのですよ。私はあなたの政務次官としての御答弁は非常にりっぱだと思うのですがね。結局、地方選挙のときにああいう演説をぶっているのを見ると、池田さんはうそは申しませんと言うが、池田さん初め、よく知らない選挙民にうそをついて、選挙をより有利に戦おうとしているということになりますな。そういうことですね。あまりフェアじゃないですな。ああいうことはどうですか、政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/156
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157・大上司
○政府委員(大上司君) これまた矢嶋先生の御質問でございますが、私もそう考えます、それは率直に言って。したがいまして、新しい問題として、私個人が政務次官会議において、当然ただいまの御質問は、いわゆる速記録によって公表するわけでありますから、何も秘密会じゃございませんから、たまたまこういう話があったが、われわれ政務次官会議において十分気をつけるべきであるということは、それは発言することにやぶさかでございませんので、発言いたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/157
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158・秋山長造
○秋山長造君 ちょっと資料についてお願いしたいのですがね。もしできれば——無理ならばいいですけれども、できればひとつ作っていただきたいと思うのは、固定資産税と電気ガス税、この二つについて、いろいろな法令によって減免措置がとられておりますね。それを整理して、何か一覧表のようなものをできれば作ってもらいたい。そして、どの法令によって幾ら減免されているか、金額。できますか。国税と地方税と両方にわたったものを作っていただきたい。
それからもう一つは、市町村がしきりに企業誘致をやる関係で、誘致条例によって減免をやっていますね。そういうものの数字がわかれば、それもあわせて作ってもらいたいと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/158
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159・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 前の段階の資料御要求のほうはできると思いますが、後者のほうのは、総額は現在おそらく十四億くらいだと思います、減免条令で。しかし、それぞれの税について各市町村ごとという資料は、ちょっと困難だろうと思いますので、御了承願いたいと思います。
それから、ついででございますので、先ほどの歳入構成比の割合でございますが、三十六年、七年は、実は財政計画のほうは、全地方団体の計算になって、府県と市町村の区分けが実はないのでございます。したがって、県市町村別の割合が出ていないというのが実情でございます。ただ、全体の割合としましては、三十六年が全地方団体で四〇%、それから三十七年は四一%になっている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/159
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160・小林武治
○委員長(小林武治君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/160
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161・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を始めて。
私一つ伺っておきたいのは、午前中、山本参考人が、市町村の府県民税の徴収はやめさしてくれと、ただし、今急にだめなら、非常に徴収費がかかるから、徴収費の増額をしてもらいたいと、こういうことを言っておられたが、これはもっともだと思うが、この点について自治省はどういうふうに考えておるか、はっきりひとつしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/161
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162・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 道府県民税の賦課徴収につきましては、まあこれだけの府県民税の税収になれば、理屈としては当然府県の直接賦課徴収がいいのだ、こういう議論は、私は当然だと思います。ただしかし、私どもがどうしてもこれに踏み切れないのは、実は納税者の立場を考えておるのでございます。納税者の立場から見ますというと、住民税というのは、創設以来住民税という一本の税として賦課徴収をせられております。そこで、これを分けることが、一つはまあ負担感の問題、これは感じの問題で、財布に直接影響する問題でありませんけれども、納税者の負担感というのは、これまた無視ができない。もう一つは、実際上の問題でございますが、所得の調査、あるいは各種の申告なり、報告なり、いろいろな手続が、これが別々になっておるということによって、納税者、特に特別徴収義務者、こういう者に対する事務上の負担が非常に過重になるのでございます。ことにいやがるのは、やはり所得調査が国、府県、市町村と三段階になってしまう、これを非常に納税者がいやがっておるのでございます。こういうような点を考えまして、私どもとしては、理屈はよくわかるのだけれども、やはり賦課徴収は、従来どおり、府県のものも市町村で合わせて一本でとっていただきたい、こういう考え方を持っておるのでございます。しかし、さればというて、その際に、市町村に事務上なりあるいは経費の面で迷惑をかけるということは、これは私どもの本意でございませんので、この点につきましては十分配慮を加えたい。で、本年度の改正の際のことを申しますと、三十六年度の徴収交付金の実績が、大体、推定でございますが、十一億でございます。これは県から市町村に渡すわけでございますが、十一億。ところが、現行制度のままでほっておいた場合に、三十七年度どれくらいになるかといいますと、十九億くらいになります。で、今回の道府県民税の改正で、私どもとしてはこれを四十億見当出したい、こういうことを考えて、具体的に政令改正の際にそういう措置を講ずる。同時に、財政計画及び地方交付税の基準財政需要の算定、これには、その線で現在はじいておるのでございます。
そこで、どういうやり方をとるかといいますと、令書一通当たりの金額は、本文方式の場合は三十五円、ただし書きの場合は若干事務が重なりますので五十円ということにいたしておりますが、これは均等割等との関係から据え置きということにいたしまして、いま一つの所得割額に対応するパーセントを、三十五年まで二%でございましたが、三十六年の改正で一%上げて三%にいたしておるのを、今回の改正で七%に引き上げる処置を講じております。そうすることによって、今言った四十億程度の金が現実にこれはふえるわけでございます。そういう措置をとる。
それからいま一点は、市町村に固定資産のまあ評価がえの措置を準備せにゃならぬという点もあわせ考えまして、労働過重ということにならないように、住民税とあわせて増員をしなければならぬということで、財政計画で、三十七年度七千名、うち二千名は賃金職員、五千名は定員外、三十八年度以降は、賃金職員を本定員化して七千名の増員、これに要する金が約三十三億五千四百が見当になろうかと思いますが、それの処置を講じております。したがって、それが、先ほど申しました徴収交付金のほかに、それだけの財政措置を講ずるわけでございます、およそ七十億見当になりますが。さらに市町村の事務の機械化——事務機械化は大体税の面で市町村は行なうのでございますが、事務機械化の経費といたしまして、これはことしの特別交付税で一億七千万、これを特別交付税で市町村に交付をし、あと五年間に毎年二億三千万ずつ、これは普通交付税で出すと、こういう実は、道府県民税の賦課徴収に伴う処置としては、私自身の考えでは十分過ぎると思われる程度の処置を講じておるのでございます。で、現在の市町村の徴税経費は大体六・九%でございますが、府県民税の関係は、ただいま申した処置でどの程度になるかといいますと、九・四五%ということに相なります。したがって、まあ私どもとしては、財政上のめんどうは十分みてあると、こういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/162
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163・小林武治
○委員長(小林武治君) 今のことは、市町村のほうにある程度了解を得るというか、周知さしてありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/163
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164・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) これは、従来この問題についていろいろな御意見を出すのは、市長会が町村会と話し合って、市長会として意見を出すということでございましたので、私どもとしては、市長会と打ち合わせまして、事前了解を取り付けております。したがって、町村会も納得をいたしておるはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01719620322/164
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165・小林武治
○委員長(小林武治君) 残余の質疑は次回に譲ります。
次回は二十七日午前十時開会とし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時十九分散会
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