1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月二十七日(火曜日)
午前十一時十七分開会
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委員の異動
本日委員小幡治和君辞任につき、その
補欠として石原幹市郎君を議長におい
て指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 小林 武治君
理事
野上 進君
増原 恵吉君
秋山 長造君
基 政七君
委員
石原幹市郎君
西郷吉之助君
館 哲二君
津島 壽一君
鍋島 直紹君
矢嶋 三義君
中尾 辰義君
国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
自 治 大 臣 安井 謙君
政府委員
自治政務次官 大上 司君
自治大臣官房長 柴田 護君
自治省税務局長 後藤田正晴君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
説明員
自治省財政局交
付税課長 山本 悟君
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本日の会議に付した案件
○地方税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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001・小林武治
○委員長(小林武治君) ただいまから委員会を開会いたします。
前回に引き続き、地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
御質疑の方は、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/1
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002・秋山長造
○秋山長造君 大蔵大臣、端的にお尋ねいたしますが、今度の税法改正——国税、地方税を通じてですが、税法改正は、税制調査会の第二次答申の線で行なわれたということを聞いておるわけですが、まず、素朴な質問になりますけれども、今の税負担が国際水準なり、あるいは戦前の状態と比べて重いとお考えになっているのですか、それとも軽いとお考えになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/2
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003・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) この税負担が重いか軽いかという問題は、結局は、国民の所得水準の問題と関係することでございまして、率では簡単にこれを比較して判断するわけにはいかぬのじゃないかと思います。たとえば、百万の所得に税の負担率が一割であったとしても、あと九十万というものが残るのですが、十万の所得に対して一割の負担がかかるということは、あと九万円しか残らぬということになりますから、これは実質的には非常に重いものになる。したがって、所得水準が低い場合には、税負担というものは相当低くしなければなりませんし、所得水準が高くなれば、税負担率が上がっても実費的には重税ではないということになりますので、問題は所得水準、消費水準、こういうものに関連させて判定するよりほか仕方ないのじゃないかと思っております。そういうことから見ますというと、日本の今の所得水準から見ましたら、日本の税負担は、比率でいったらことしの場合は二二・二%、外国の先進諸国を見ますれば、大体税負担が三〇%程度になっておる。日本より税負担率ははるかに先進国のほうが高いということになっておりますが、実質的なこの税負担ということから見ましたら、所得水準が諸外国に比べて日本はまだはるかに低いのですから、その点からの比率を見ましたら、今の現状で二二・二%というのは、私は非常に負担が重いということになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/3
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004・秋山長造
○秋山長造君 税制調査会の答申を見ましても、やはり今、大蔵大臣がおっしゃったと同じような意味でわが国の税負担は今なお非常に重い、したがって、これを軽減していく必要があるということを繰り返し述べられておるので、大蔵大臣もほぼそれと同じ認識を持っておられる。そこで具体的な数字になりますが、今日本の税金が非常に重いというお考えを持っておられて、しからば、具体的にどの程度の税金を取っていくのかということになるわけで、大蔵大臣のただいまの御答弁によりますと、二二・二%という比率は、やっぱり非常に重いというお考えなんですが、例年減税ということを言われながら、一体この程度なお税金を取らなければならぬという理由がどこにあるのかということを私は疑問を持ちます。税制調査会の答申でも、第一次答申でも、少なくとも、もっと下げなければいかぬけれども、急激にというわけにもいかないから、さしあたって二〇%程度に押えるべきだということを強調されておったにもかかわらず、三十六年度にしても二二・八%という結果になっておるし、それからまた第二次答申でも、その第一次答申の二〇%という線をさらに再確認されておるのに、この税制調査会の答申を十分尊重をして、というよりも、ほとんどこの各税目については、この答申をそっくりそのまま税法改正に取り入れられておるにもかかわらず、全体的には二〇%で押えるべきだという答申をはるかに上回って二二・二%というこの重い税金を取る。しかも、これは当初の見込みでございますから、去年にしても、当初は二〇・七%という数字を出されて、そして税制調査会の答申にできるだけまあ近づける努力をしたのだという趣旨の説明があったにもかかわらず、結果的には二二・八%、まだ決算をやっておりませんから、この二二・八%にとどまるかどうか、あるいはもっと二三%にも、その上にもならぬものでもないと思うのですがね。ですから、この二〇・七%というような数字を出されてなおかつ二二・八%という結果に終わる。今年度は二二・二%という数字を最初に出されても、これは結果的には、これがさらにどれだけ上がるか、あるいは二四%を突破するくらいな数字になってくるのじゃないかと思うので、そういうことを例年繰り返しておったのでは、ただいまのこの大蔵大臣のおっしゃった趣旨にも全く逆行する結果になるし、また税制調査会の二〇%という答申のいわばこれは基本方針ですがね。この基本方針をも踏みにじる結果になると思うのですがね、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/4
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005・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 税制調査会の答申にもございますように、国民所得が上がってくれば、それに応じて税の負担率が上昇していくという傾向は、これは当然である。しかし、当面この程度にとどめるのが至当だという意見を述べておるだけでございまして、何%でなければならぬと、パーセントにこだわるべきものではないという考え方は、税制調査会でもみんな持っておるところでございます。で、私どももなるだけ税の負担率を上げないようにしたいと思っておりますが、これは結局、国が財政のいろいろな使命を持っておりますので、そういう施策にどれだけ予算を支出すべきかという政策的な必要性からもこれはきめなければならぬ問題でございますので、そういたしますというと、高度成長というものが行なわれましたら、この前提は、結局、成長が進めば進むほど社会的にはいろいろな格差が生じてくる。この格差をある程度解消さして均衡させるという政策が伴わなければ、高度成長政策も安定成長という道をたどらないのでございます。したがって、経済が成長し、国民所得がふえるということに伴って、伴うというよりは、また、それを確保するための前提として、社会保障費を中心にするいろいろな国費というものは、これは強化していかなければならぬという宿命を持っておりますから、そういう点から申しますというと、どうしても成長して国民所得がふえるに従って、税負担率というものは国費の必要性からふえていくというのが、先進諸国の足取りを見てもわかるところでございまして、日本も今ここへきて、相当の成長を遂げている時でございますから、必要な国費の需要というものは、過去何年かに比べて特にその必要性が出てきておる。公共投資部門においても、経済が伸びれば伸びるほどこの格差はふえてきておるのですから、やはり公共投資の不足分をここで急速に埋めなければ安定成長への道は開けないということになりますので、こういう点からの経費需要というものが非常に多いということを考えますというと、その経費をどれくらいにして、しかも、減税の幅をどれくらいにすることがいいかという問題になってきますので、そういう点から見まして、私どもは来年度の自然増の予想をしてみますというと、四千八一億の増と見積もってはおりますが、これは当初予算に比べてのことでして、三十六年度の実績は、すでに当初予算よりも三千三百億円程度自然増がございますので、三十六年度の実績から見ましたら、三十七年度の歳入見込みは、三十六年度の実績に比べて千五百億円しか多く見られない、経済の動向から見ましてもそれぐらいしか見込めないということでございますので、その中で必要な施策を行ない、そうしてなおかつ、減税をしようとするのなら、ここに、おのずから減税の幅も出てくると思いますので、今度の私どものとった減税案は、そういうことから見ましても、シャウプ税制がしかれて以来の一番大幅な減税でもございますので、初年度千億という減税は、今年度の財政から見ると、減税としては相当思い切った減税であり、減税の幅も最高限のものじゃないかと私どもは考えています。もし減税しなかったら、ことしの国民負担率は大体二三・二%にいくと思います。三十六年度実績でも、今おっしゃられたように、二二・八%ぐらいいくということですから、この三十六年の実質負担よりは、三十七年度は非常に税負担は軽くなるということでございますので、まあここらあたりの減税が至当ではないかと思っております。税制調査会も、自分で何%ぐらいがいいと言いながら、ほとんど税制調査会の答申どおりの線に沿った減税をやっておりますので、その減税をやった結果が二二・二%になっているということでございますので、税制調査会の方面におきましても、大体この程度の負担率というものは、自分たちの考えておるのとそう衝突するあれじゃないという認識も持っておりますので、私どもも、まあここら辺が妥当じゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/5
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006・秋山長造
○秋山長造君 先ほど大蔵大臣は、まだまだ重いということをおっしゃられたのですが、今の御答弁によりますと、この程度が手ごろだというお話なんですけれども、しかし、税制調査会としては、二〇%ということを重ねて言っているわけですし、それから今日まで予算委員会でも、あるいはその他いろいろな機会に、これは岸内閣の時代からそうですけれども、当時の佐藤大蔵大臣にしても、やはり税は重い、したがって、二〇%ぐらいな線に何とか持っていきたいということは、しばしば私どもはいろいろな機会に聞いてきておるのですがね。やはり二〇%という線が、これが絶対なものではないでしょう、それは大体の見当という点もあるでしょうけれども、やはりこれだけの学識経験者を集めて、そうして審議会をやられておるのですから、その審議に基づいて答申が出て、しかも、第一次でも、第二次でも、二〇%程度に抑えることが当面としては必要だということを言っている以上は、やはりこれは大蔵大臣としても、二〇%という線に——これは、長期的に考えますれば、それは一方で国民所得の伸びということもありますから、必ずしもこれが永久不変の基準じゃないでしょうけれども、しかし、さしあたっては、やはり二〇%ぐらいに何とか持っていく努力をするということが、私は当然じゃないかと思うのです。
それから、いろいろな税目について、税制調査会がやっておられる点を全部取り入れてみたら結果的にこういう数字になったんだからというお話なんですけれども、ただ、税制調査会の答申は、あらゆる税金について徹底的にこれは審議されて、そして具体案を出されておるわけじゃないので、だいぶ漏れもあるし、特に地方税なんかについては、私どもは非常に不満を持っておるわけです。ですから、抽象的には国民所得の伸びということとにらみ合わせて考えていかなきゃならない。それからまた、政府自身のやられる社会保障なり何なり、そういういろいろな政策的な経費というものをも含め考えていかなければなりませんから、機械的に、ただ二〇%とか二〇何%とかいう数字にだけこだわるということは適当でないことは、私もよくわかるのです。よくわかるのですけれども、しかし、税制調査会にしても、そういうことを十分あわせ検討した上で、なおかつ、さしあたって二〇%という線を出しておる以上は、これはやはり二〇%程度へ当面近づけていく努力をされるのは、私は当然じゃないかと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/6
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007・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) たとえば昨年の当初予算に比べて四千八百億円自然増加が見込まれるといいましても、御承知のように、その中でガソリン税というものは、これはもうそのまま道路の整備費にいくものでございますので、それだけ支出増ということになりますし、それから酒税以下三税は二八・九%ですか、これはそっくりそのまま地方への交付金になる、そして、これは支出増というものになるものですから、そういうものを考えますというと、さっき話しましたように、実質的には、三十六年度よりは千五百億円しか見込んでいないというときに、この税収が多くても、自然増があっても、その中で千億というものはもう自然に支出増になるべきものでありますので、そういう点を見ますというと、この減税が、初年度ここで一千億円以上の減税ということは、私は相当思い切った減税であって、今後これは毎年減税はやっていくべきものでございますので、順を追ってやっていくにしましても、単年度の減税としては、この辺が私は限度じゃないかと思います。現に、昨年、今年の二カ年の減税によって、今まで税を納めておる者、今後当然納むべき者で税を納めなくて済むという者が、この二カ年で三百万人以上に及んでおるということでございますし、また、この二カ年の減税がどこを中心にして行なわれたかと申しますと、中小所得者中心の減税であるということでございますので、この辺がやはり単年度の減税としては、相当の限度だということになりますというと、この比率で云々するということは、なかなかこれはむずかしい問題だと思います。私は、たびたび申しますが、日本の国民所得を早く西欧並みの、三倍ぐらいに持っていきたい、三倍ぐらいまで持っていけるとするなら、日本の税負担も二七、八%までは持っていける。それでも、国民は非常に今よりは負担が楽になるわけでございますので、そうしたら、日本のいろいろな諸施策は進んで、生活水準が上がりますし、日本の社会保障制度も相当整備されるということになりますので、早く国民所得を上げて税負担率をやはり西欧並みぐらいに持っていくのでなかったら、私は日本の社会はよくならぬというふうに考えていますので、政府としては、所得増の政策に今、非常に力を入れておりますが、それに伴って税負担率というものは、国民所得の増に応じて若干ずつ上がっていくのは当然だと思っておりますので、これを二〇%にくぎづけするとかいうような考えを持っていったら、とても高度成長に対応する日本の国民生活水準を上げていくということはできませんので、この税の国民の負担の比率だけは、これはこだわるべきものではないというふうに思っております。で、税制調査会の考え方も大体そういう方向で、できるだけ一定の基準になるように努力をしていけということは申しますので、私どもも昨年の負担よりは今年の負担率を落とすというふうに努めてはおりますが、比率もたびたび国会でも御議論がございますが、これが二〇%と答申が出ているのになぜしないのかという議論には私は賛成しない、できるだけ早く国民所得の確保をしたいというのが私どもの気持でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/7
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008・秋山長造
○秋山長造君 大蔵大臣の気持はそうでしょうけれども、答申にはそう書いてないのですからね。二〇%にこだわれとは書いてない。やっぱり二〇%に押えるべきだと書いてあるのですから、その点だけは答申に賛成せぬというのも私はおかしいと思うので、やっぱりその点を、まず、答申を取り入れてやらなければ、本立って未定まる、本をすっぽらかして枝葉ばかりいじくり回すのは困ると思うのです、議論になりますけれども。それから大臣がおっしゃる、税金でもよけい取れるような国民所得にしなければならぬということは、それはそのとおりだと思いますけれども、ただ順序があるので、先に高い税金を取っておいて、そして、それで国民所得を合わしていくというのはあべこべだと思うのです。やっぱり国民所得を先にふやして、それからあと税金と、こういうことにならなければ、今のやっておられることは、これはその順序が本末転倒になっていると私は思う。
それから、次にお尋ねしますが、今度の税制改正、いつの税制改正でもそうなんですけれども、また、税制調査会の答申でも私はそうだと思うのですけれども、大体税制改正と言いながら、国税、地方税を通じてと言いながら、国税のほうが主になってしまって、それで地方税のほうはいつもつけ足しみたいな形にされていると思う。で、早い話が、この答申を読んでみましても、今度こそは国税、地方税を通ずる抜本的な改正をやるということをいつも言いながら、出発して、そうして結論的には、出されたものを見ますと、国税についてはある程度突っ込んだ審議検討がなされておるけれども、地方税については、極端にいえば、国税をいじくったいろいろな矛盾が出てくるのを地方税で弥縫するという程度に終わってしまう。そうして国税、地方税を通ずる抜本的な改正というものは、今回の第二次答申でもまた見送られている。したがいまして、地方税あるいは地方財政にからまるいろいろな矛盾点というものが一向に解消されないで、むしろ拡大されていっておる。特に私どもが地方税の問題を扱う場合、いつも大きな矛盾に突き当たるわけです。国税の場合なら、この一方的減税を若干でもやれば、それだけ喜ばれるにきまっておるので、国税の減税をやって、それに反対したという人はいないわけです。地方税の場合は、これは賛成の人と反対の人ができるわけですね。で、減税をやれば一般の住民は喜ぶ、ところが、地方行政をあずかっておる県知事だとか、市町村長だとかいう立場の人は非常に困るのですね。だから、その減税ということと、それから地方財源の充実とか、地方財政の強化というような、この相反する、相矛盾する要求の前にいつも立たされておるわけです。この点をいかなる方法で解決をして、そうして、減税という時代の要請、国民の要請にこたえながら、しかも、地方財政を充実していく、そうして地方自治を確立をしていくという、この非常なジレンマがあるわけなんですね。その点は、これは地方団体にまかせ切りにされても、地方団体はその矛盾を解決する方法はないので、税外負担で、ずいぶん政府のかけ声にもかかわらず、実際に税外負担が、自治省の統計によっても、三百五十億円の税外負担をかけているということになり、また、今度高等学校の急増対策だとか、あるいは国立の工業高等専門学校ですか、あれなんかについても、ずいぶん地方に地元負担をかけているわけですね。ですから、これはどうしても何とか政府の責任で、減税とそれから地方財政の確立という一見矛盾したかに見える二つの要請を同時に解決していくという手を、これは政府として打ってもらう以外に方法はないと思うのですがね。その方法というものを大蔵大臣はお考えになっておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/8
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009・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 地方財政を確立するためには、やはり地方の独立財源が確立すれば、一番これは理想的でございますが、税源が偏在している現状から見まして、この独立財源にたよるということは、地方格差を非常にはなはだしくすることでございますので、現実問題としてはこれはできない。したがって、一ぺん国が国税として政府で取って、これを地方に回すという方法以外に、ただいま方法がございませんので、交付税という制度をとっております。で、それともう一つは、この地方行政の推進をやる財源としましては、国の補助金、負担金というようなものをもってこれに充てるというふうに、財源としてはただいま大きい財源は三つだと思います。国の補助金、負担金、それから地方交付金、これと固有の地方税収入ということの三つだと思いますが、この三つをどういうふうに考えるかというところへ現在地方財政の問題はきていると思います。で、税制調査会でも三年間、この中央、地方の税源調整というものを考えましたが、最後はやはり壁にぶつかってしまいました。税制だけではこの問題は解決できない、国、地方の事務配分の問題、地方行政制度の問題、それとの関連において解決しなければならぬ問題が根本的にある、こういうことと、もう一つは、今言った交付税の配分の仕方の問題とかというような問題と、同時に、さっき申しました国の補助金、そのほかの合理化の問題、これらを全部総合して考えなければ、地方財政の確立というものは、根本的な解決にならないというところへぶつかってきておりますので、本年はとりあえず国から税源の一部を委譲するというような形で、この調整はやりましたが、従来地方財政が悪かったために、ゆとりがなかったために、この問題ができませんでしたが、ようやく地方財政も好転してきましたので、この機会に一部これはやれるところまできたということでございますが、しかし、これでは根本的なまだ解決にはなりませんので、税制調査会もさらに引き続きこの問題と取っ組んで検討すると同時に、事務配分とか、そういう問題にまでやはり触れてくれなければいかぬということになりましたので、今度の行政調査会というものができました機会に、こういう問題の検討も私どもはしてもらおうと思っています。同時に、地方交付金よりも今は国の補助金、負担金のほうがはるかに大きくて四千八百億円、一方は六千億円をこしておるものでございますので、この使い方をどうするかは重大な地方財政に関する問題でございますので、これについては、内閣に審議会を本年度設けるということになりましたので、この三者がそれぞれこの問題と取り組んで、最後に総合的な結論を出すのならある程度合理的なものができるのじゃないかというふうに考えておりますので、今年度引き続いて各機関でこの問題に取り組むという方向で、私どもは将来のこの問題の解決をしたいというふうに考えています。おっしゃられるとおり、これは地方自体だけでは解決できませんし、また、国も税制だけでは簡単に解決できない問題でございますので、そういう方向で根本的な解決を将来はかりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/9
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010・秋山長造
○秋山長造君 国税の場合は、歳入総ワクに対する税金の割合というのは八〇何%という非常に率が高いわけです。ところが地方になりますと、道府県、市町村を通じまして、本年度が四一%という程度なんですね。ところが、これをさらに内容を見ますと、道府県にしても、市町村にしても、その団体間の格差というものが非常にひどいのですね。たとえば道府県だけを比べてみても、東京だとか大阪だとかというようないわゆる不交付団体、そういうところの税収の歳入総ワクに対する比率というのは非常に高い。六〇%あるいはその上というような税収を持っておるところが、一番極端な例は奈良県ですが、奈良県なんかはわずかに七%なんですね。それから鳥取県だとか鹿児島県だとかというような貧弱な県が九%程度ですね。一体歳入総ワクの七%や九%という程度の税収しかないような自治体というものが、府県というものが、一体常識で考えられる府県としての機能、自治体としての機能というものを果たし得るのかどうかということを、私どもは非常に疑問を持つのです。だからといって、特別にそういう県だけに適用されるような税種というものがあるわけじゃない。今日とられておるような道府県普通税あるいは市町村普通税というようなものをあるいは上げるということになれば、一面においては減税という要求に逆行することにもなるし、また、二面においては一そう地域的な格差が激しくなる、こういう結果になるので、どうしても大臣がおっしゃるように、交付税その他で、財源調整の面でそういう貧弱な団体の税収というものをカバーしていかなければならない、こういういろいろに考えてみるけれども、結論はそういうところにどうしてもくるのですね。
そこで私が申し上げたいのは、まず第一点は、大蔵大臣がただいまおっしゃったように、地方交付税というものをもっと税率を引き上げて——今回実質的には〇・一%だけ引き上げられたわけです。〇・一%といったらわずかに十五億円ですからね。これはまるで国の膨大な予算から考えたら、これはもうほんとうにスズメの涙にも及ばぬ全くの目くされ金です。だから、その十五億円だけふやして、それで財政の調整というても、これは全然問題にならぬと思う。だから、これをもう少し思い切って、当面、〇・一%というようなことでなしに、もっと一%なり二%なり引き上げるくらいのことは、これは当然のことじゃないかと思うのです。国のほうにも相当な自然増収が予想されるわけです。
それから第二としては、やはりこれ以上地方住民の税負担をかけないで、しかも、地方の自主財源を充実していく方法としては、たばこ消費税ですね、たばこ消費税もここで二%、府県、市町村を通じて引き上げられるわけで、三十五億円ずつで七十億ばかりの増ということになるわけですけれども、一方、国のほうでの専売納付金は千六百億からある。地方のたばこ消費税は、府県、市町村を通じて八百億程度、ですから専売納付金の半分にすぎないわけですね。もちろん専売納付金を全面的に地方に回してしまうということは、割愛するということは、これは暴論ですけれども、しかし、今の国庫収入の現状から見ますと、やはり専売納付金というものと地方のたばこ消費税というものとは大体トントンくらいで、半々くらいな線までは私は持っていけるのじゃないかと思うのです。そうすることがまた地方財政の充実ということにも通ずるし、また、税負担をこれ以上ふやさないで、しかも、地方の財源を充実し、また地域的な格差を少しでも是正していくという調整的な効果をも期待し得るのじゃないかと思うので、思い切って交付税をもっと上げるということと、それからたばこの消費税の税率を、今度の改正で二一%になるわけですけれども、それをもう九%奮発して三〇%くらいにしたらどうですか。それでもまだ専売納付金のほうがたばこ消費税よりはだいぶ多くなるんですね。そういうこと以外私は方法がないのじゃないかと思うのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/10
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011・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) それはさっき申しましたように、交付税率をどこまで引き上げたらいいかとか、たばこの消費税をどうしたらいいかということは、やはり全体の地方財政計画と関係いたしますし、それはひいては今問題になっております中央、地方の事務配分とか、行政制度のあり方というものとみな関係するものでございますので、総合的にどうするかということをきめなければこれは不合理な制度になって参りますので、私どももそのあり方をどうするか。交付税を思い切って上げるという場合には、今度は今の国庫補助の形をどういうふうに変えていくことが合理化であるかというような問題ともからみますので、そういう一つの意図も持ってこの合理化をするために、補助金、負担金制度のあり方についての検討も今年度始めるつもりでございますので、そういうものとの相互関連においてこれはきめなければ、一つだけを取り上げてどうこうするということは、不合理性をさらに増すということになりますので、これは全部一緒の問題として私どもは総合的に考えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/11
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012・秋山長造
○秋山長造君 もちろん総合的に考えなければ抜本的なことはできませんけれども、しかし、抜本的な解決方法の一つとして交付税制度というものが作られているわけなんですし、また、二つ目としてたばこ消費税というものが設けられているわけなんです。ですから、この線をやはりさらに強めていくことが、また抜本的なこの改革に通ずる道でもあると思うのです。
それから、その点について、これは今年はもうだめですけれども、今後の問題として、たばこ消費税の今の地方八百億、専売益金が千六百億というこの関係は、もう少し専売益金をたばこ消費税のほうに委譲するといいますか、割愛するといいますか、そういうことはお考えになれませんでしょうか、今後の問題として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/12
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013・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 今年度のたばこ消費税の引き上げも、今言ったような総合的な計算からやった措置でございますが、これ以上これをふやすか、交付税の引き上げをやるかという問題は、さっき申し上げましたように、全体的な考え方からやらなければ、これは不均衡になりますので、どうしてもやはり総合的な観点からこれを検討しなければいかぬと思っております。国税委譲という問題も、今年度は一応やりましたが、この問題もまだ将来検討すべき問題でございますので、いずれを強化していくか、その強化の仕方によっては、他のものについての調整というものが加えられなければなりませんし、そういうことから、今一つだけを取り上げて、私どもはこの問題を強化しようというふうには、今言えないところではないかと思っています。今年度一年研究したら、大体の目鼻がつくのではないかと私どもは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/13
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014・秋山長造
○秋山長造君 今年度一年で、来年度は抜本的な改革をやりたいと、こういう御方針なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/14
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015・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 今までの経験から見ますと、税制調査会で三年取り組みましたが、今言った壁にぶつかったことでございますので、一方この制度のほうの問題の研究がどのくらい進むかが問題ですが、これはなかなか一年では私はいかぬのじゃないかと思います。そうすれば、それはそれとしての改善策を作るよりほかにありませんので、補助金のあり方、そのほかのものの研究を一年すれば、それに基づいた過渡的な改善策は得られるのではないかと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/15
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016・秋山長造
○秋山長造君 この税制調査会は、この本年度末で一応任期がくるわけなんですね。期限がくるわけなんですが、今後はどうなさるおつもりなんですか、税制調査会を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/16
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017・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) この調査会はこれで終了させないで、引き続いて税制についての審議をわずらわしていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/17
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018・秋山長造
○秋山長造君 ただ、この税制調査会を存続させるという御方針のようですが、この場合に、これは人の問題になるのですけれどもね、今の税制調査会の委員の顔ぶれを拝見しますと、率直に言って、この顔ぶれでは地方税の問題はこれではあまり解決できぬと思うのですがね。大体もう税制調査会のこの委員の顔ぶれを見ましても、これは国税中心ですよ、国の財政が中心。地方財政なり地方税関係のこの専門家といいますか、そういう地方財政なんかについて相当の素養と見識を持った委員の顔があまり見当たらぬのですよ。これは実はこの間、専門調査員に名前を連ねておられます遠藤湘吉教授、この人をこの委員会に参考人で出席を求めまして、今御質問しておるようなことについて意見を聞いたのですけれども、その遠藤教授のおっしゃるところによりますと、これは速記録にも出ておることですからここで私は申し上げても別にかまわぬと思うのですが、まあ自分の税制調査会でいろいろやってきた経験からいうと、今のままの税制調査会に、地方税あるいは地方財政の問題について、十分な検討審議を求めるということはどうも無理だ、だから、何らかこの税制調査会の陣容といいますか、組織を再検討するか、あるいはこれとは別個な機関を設けて、そしてこの徹底した審議検討をやるか何か別な方法をとらなければ、今のままの調査会にそこまで要求してもそれは無理だ、こういう感想を率直に述べられておったのですがね。大蔵大臣、その点どういうようにお考えになりますか。まあ地方財政、地方税といいましても、それは国税なり国の財政と切り離して別個な問題ではありません。それは一体不離な問題ではあるが、しかし、それにしても、この後も現在の組織陣容ではこれはだめだということを遠藤さん自身が、これはもう偽らざる感想として言っておられるのですがね。どうしても国税が主になってしまって地方税はつけ足しになってしまう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/18
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019・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 税制の問題は、これは非常に専門的な知識を要しますので、今の調査会の行き方で見ますというと、割合にそういう意味の専門家が多いということ、しかも、この調査会は、各政府機関の中の審議会、調査会の中で最も実質的な審議をしている調査会だと私は思っております。百七十回も会合しているというふうな審議会、調査会はございませんが、夏の暑いとき、特に夏休みというようなときも休まずにみなこの三年間やっているということでございますので、今の委員はもう相当そういう意味で専門家になっておりますので、私はやはりこういう税制の問題については、地方財政の問題を解決するためにも、国税その他についての税のある程度専門家でないというと、地方財政の問題もやはり片づかないと思っておりますので、今までこれだけの実績を積まれた方でございますから、引き続きお願いするつもりではおりますが、問題は今度のこの諮問の中心は、今申しましたような、やはり中央、地方の税源配分というような問題が重要でございますので、諮問の仕方、部会の作り方によって今までとは違った審議になると思いますので、そういう連帯のやり方とそれに応じた人選も、むろんおっしゃられるように、特に地方財政に詳しい方を委嘱するというようなこともいたしたいと思いますが、部会の持ち方、諮問の仕方、そういうものによってさらに審議を進めたらいいではないかと思っております。やはり従来の税制を体系的に変革するという一つの目的を持って三年間もやっている方でございますから、地方財政の問題も、今までの審議に加わっておる人が大部分入ってやってもらうことが、やはり一番審議を実質的にすることになるだろうと思っておりますが、人選その他については十分これは考えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/19
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020・秋山長造
○秋山長造君 自治大臣、その点について所感を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/20
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021・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 私も大蔵大臣のお考えと大体似たようなものでありますが、しかし、今秋山さんの御指摘のように、税制調査会が何といっても国税を主体に考えられる傾向が強いという点は、いささか認めざるを得ないという感じがいたしております。しかし、その間の調節は、相当今度の審議の過程等にも現われております。今大蔵大臣のお話のように、それぞれ必要な手段を講ずることによって、税の問題については今後も大いに御活躍を願うということになるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/21
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022・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、自治大臣としても、地方税制の、あるいは地方財政の抜本的な改革についても、従来どおり税制調査会を中心に考えていきたい、こういう方針ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/22
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023・安井謙
○国務大臣(安井謙君) この地方財政のいろんな根本的な改正といいますか、調節につきましては、これは税だけの面でも考えられません。一般の財政の問題あるいは事務移管等の問題、総合的に考えなければならぬと思いますから、そういう意味からはこの税制調査会だけにすべてをかけてお願いをするというわけにもいくまいと思います。しかし、とりあえず税の問題については、今のようなできるだけ今後も地方財政、地方税の状況も反映し得るような方法をもってこの調査会でお願いをしたい、こういうように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/23
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024・秋山長造
○秋山長造君 次にお尋ねしますが、やはり減税問題だとか、先ほど繰り返しお尋ねした国民所得に対する税負担の関係だとかというようなことと関連しまして、租税特別措置法、あるいは地方税法においても、租税特別措置法に類似したような見地から、大企業に対する減免税というものがずいぶん行なわれておるわけなんですが、租税特別措置法による減免額というものが、一体正確なところどの程度あるのかということをこの機会にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/24
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025・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 三十七年度の予算ベースで見ますと、千六百億ぐらいじゃないかと見ているわけです。従来、三十一年度以来ずっと整理しました額も、今年度の予算ベースで見ましたら、大体千五、六百億ということで、今日その半分くらい整理をしているという計算になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/25
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026・秋山長造
○秋山長造君 これは国のほうが、かたく見積もって千六百億円もの減免が行なわれて、そのはね返りで住民税だとか、あるいは事業税等において、自治省の数字によりますと、四百三十八億円の減免が自動的に行なわれておるわけです。それからさらに同じような趣旨で、地方独自で行なわれておる減免措置、固定資産税、電気ガス税等を初めとする減免措置が四百五十九億円あるのですね。合わせますと、地方税関係だけで実に八百九十七億円、約九百億円の減免が行なわれておるわけです。そうしますと、中央、地方を通じますというと、実に二千数百億円以上の減免がなされておる。特典が与えられておる。その上にさらに最近は高度成長政策のあおりで、各地方団体が財政が苦しいものですから、取らぬタヌキの皮算用で、やたらに企業誘致条例等を作りまして、そうして企業に対する減免措置をやらざるを得ないような立場に置かれて、その総額はおそらく府県、市町村を通じたら二十億を突破すると思うのですよ。これだけ大企業に対して大きな特典が与えられておるのですから、こういう面をもっと二割なら二割、三制なら三割というように、段階的に整理していくことによって、この面からも、国税についても地方税についても、財政の充実強化ということがはかり得るのじゃないか。それから同時にまた、その半面、低所得階層の負担の軽減ということが実質的に推し進め得るのじゃないかというように考えるのです。千六百億でももうすでに半分整理したのだというお話ですが、大蔵大臣がおっしゃるのですから、一応私それは事実として受け取りますけれども、しかし、その千六百億円にしても、まだまだこれは整理、再検討の余地があるのではないか。これは地方税についても同じことです。この点について両大臣の御見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/26
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027・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 特別措置は政策的な必要によってできたものでございますので、効果がなくなればすぐにこれは廃止すべきものでございますし、また、新たにそういう政策的な必要が出た場合には、新しい措置をすべきものでございますので、常に目的とにらみ合わせて改廃すべきものだと思っておりまして、特に昨年は相当この問題の整理をいたしましたが、今残っている特別措置は、一つ一つ見ますというと、これは政策に基づいた措置でございますから、たとえばこのうちの一番の大口なのは、資本蓄積を促進するという目的から出たいろいろ貯蓄の奨励策というようなものの減税が一番大きいことになっておりますし、大企業、大企業と言いますが、産業助成というような目的から作られた措置のうちで、一番の大口は輸出を奨励しなければならないということから出た輸出所得控除の措置、これが大部分である。そのほかの重要物産免税とかいうようなものは、輸出控除の半分くらいの金額しかないというようなことでございまして、一つ一つを見ますというと、これはほとんど国会でこういう措置をとるべきだと要望されて、それに沿った部分が大部分で、たとえば税制調査会では始終問題が起こりますが、医者の二八%、これも非常に税制としては不均衡なものだと言っても、これは御承知のとおり、そう簡単に廃止できるものではございませんし、予約米についての特別措置というようなものも、これは全農家の二%しか優遇されない一つの措置で、もう目的は達していやせぬかと思いましても、これはなかなか国会に出ましたら、それをやったら承知しないというほうが圧倒的多数でございますし、一つ一つを見ますというと、ことに最近は中小企業の集団化の問題、新産業都市の問題、何を見ても、現在残っているのはほとんど国会の要望によってできた措置みたいなもので、これは国会要望の総集積と申しますか、そのかたまりみたいなものでございまして、これはやはりそれがいい悪いではなくて、時の産業政策上いろいろ必要に応じて積み軍ねられたものでございまして、そう一挙になかなかやれないと——私どもはずいぶん整理を考えておりますが、大体国会の与野党で今とても通りそうにもないものが全部残っているのが現状でございますので、この点は私どもも考えますが、もう政策効果はいいじゃないかというものはあっさり各委員会で認めてもらえるということにしたら、私どもできるだけその線に沿った整理の仕方をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/27
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028・秋山長造
○秋山長造君 それは大蔵大臣のまあ漫談なんでしてね。それは、国会にも自民党もあれば社会党もあるのですから、これは一口に国会と言われても迷惑なんですよ。これは予約米とかなんとかいうことだけを取り上げられるのですけれども、これはそういうことばかりでなしに、もっともっと整理をする面は多々あると思うのです。これは一々その内容について、逐一大蔵大臣と論争をするつもりはありませんけれどもね。それから特に昨年の税法改正で、国税の減税が地方税にはね返ることは困るからということで、国税の減税の地方税に対する影響を遮断するという措置をとったわけですね。それはそれなりに政府側の理由があってやられたことですけれども、だから反面から言いますと、そのとばっちりで、せっかくこの国税で、所得税で減税されても地方税では減税されぬということになっているわけなんです。それくらいなら租税特別措置法なんかについても、国税による減免措置が地方税にはね返るという道を遮断したらいいと私は思うのですが、なぜこれをしないのですか。自治省の数字によれば四百三十八億円、租税特別措置法による減免のはね返りで地方税で減税されるもの、そこらもついでに影響のないように遮断したらどうですか。その上に、さらに地方独自の、この地方税による減免が四百五十九億ある。両方合わせて九百億からのものになる。その点はいかがですか。それは都合のいい例ばかり大蔵大臣がおっしゃるから皆さんが笑われるのですが、それは都合の悪い例も言って下さい。早い話が、今度の地方税改正なんかでも、この電気ガス税なんかの減免についても、レーヨンとかパルプとか、もう相当信用がついて、何もこれから今さら新しく大いに保護奨励しなければならぬような、この政策的な意味のなにもないようなものまでもこの電気ガス税の減免指導を受ける。これはそういう内容が一般の国民には一々わかりませんからね。ただ国策的な必要でやっているのだ、こう言われれば、国民のほうはそうかなあと思って、これは泣き寝入りするだけですから、これは決して腹の底から納得していないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/28
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029・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 今お話の地方税の関係の減免措置につきましては、地方独自のものは四百五十九億、その中の、御指摘の電気ガス税が相当なものでありますし、固定資産税も、この二つが大きなものである。しかし、電気ガス税につきましては、洗いがえをやりまして、厳重に、例の一定の基準の五%以上のコストを占める重要産業、こういうもので洗った結果、そういうものが出たわけでありまして、固定資産税につきましても、大衆住宅の確保、そのことのために必要な措置をとっておるといったようなことから、こういう必要が出ております。しかし、御指摘のように、これは行き過ぎになり、現在の状況で必要のないもの、こういうようなものにつきましては、毎年十分これは検討して、むだのないようにはかっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/29
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030・秋山長造
○秋山長造君 大蔵大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/30
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031・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) これは、税制のはね返りがある場合には、そういうものを見込んだやはり地方財政計画が立てられて、そのために、地方でも税制が、国と同じように減税しても年々税収はふえておるということと、国の交付金の配分の仕方とかいろいろ総合的に考えて、地方財政計画が立てられ、実施されておるものでございますから、一応この税制を、直ちに税制として地方に一切はね返らないというような措置は、税制本来のことから考えて、これはそう簡単にやれないことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/31
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032・秋山長造
○秋山長造君 議論になりますけれども、住民税やなんか、地方の住民にとっては一番重圧感の強い税金だと思うのです。そういう住民税なんかについては、この所得税の影響が一切及ばないようにこれを遮断したんだ、こういう説明をされながら、企業についてだけ租税特別措置法の影響が地方税に及ばぬようにしてはいかぬ、やはり国税でやれば地方でもそれだけ下げるのが当然だ、という議論は私はおかしいと思う。これではしろうとが納得しません。また、この租税特別措置法についても、また、地方税関係の減免措置についても、今のレーヨンだパルプだというようなものまでまた新しく追加するというような逆行したやり方でなしに、もっと真剣に検討して、そういう面からも負担の均衡化、平等化ということを徹底してやってもらわなければこっちは困ると思う。
それから、もう一、二点でやめますけれども、もう一つの点は、そういう動き、国会方面の要求が強いというようなことをおっしゃったんですが、今くすぶっております外人観光客に対する通行税あるいは料理飲食税の減免、減免というか免税です。免税というようなことがずいぶん自民党の内部でくすぶっておるようですが、これはもう申すまでもないことで、これはわれわれとして常識でもって考えられぬ動きだと思うのです。まあ、その問題に対して、自治大臣の御見解はこの間聞いたのですが、念には念を入れる意味で、きょうもう一度お伺いしますが、大蔵大臣と自治大臣とのひとつ所見をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/32
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033・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 私は前回御答弁申し上げたからいいようなものでありますが、まあ、念には念を入れろというお話ですから、もう一回繰り返しますが、私は日本の観光というような立場から、そういった議論が起こってくることについては十分理由があると思います。でありますが、現在のこの税制の建前で、地方税へしわ寄せするとかなんとかいう形だけでとられることには納得できませんので、この点は私どものほうでは採用いたしかねておる、こういう事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/33
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034・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) この問題は、自治大臣から私が初めてほめられたのですが、今までは大蔵省と自治省は始終いろいろなことで議論しておるのでありますが、自治大臣の考えを大蔵大臣が支持したのはこれが初めてだといってほめられたくらいの問題でございまして、私も自治大臣の考えと同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/34
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035・秋山長造
○秋山長造君 どうも両大臣とも声が少し小さいようです。語尾がはっきりしない。それはきっぱりやって下さいよ。今おっしゃったことを、きっぱりと。これがまた、党のほうの要望でとか、国会のほうのなんでとかいうことで腰くだけのしないように、やはり断固としてそういうことはやめてもらいたい。
それから、もう時間がありませんから、最後に、詳しい内容についてはまたこの委員会で後ほど質問するつもりですけれども、大蔵大臣に総体的な点だけでちょっと御見解を伺いたいと思いますのは、国民健康保険の問題なんですね。もう御承知過ぎるほど御承知のところなんですけれども、国民健康保険税というものが、市町村の住民にとっては非常な重圧になっておることはこれはもう御存じのとおりなんですね。たとえば住民税の、市町村民税の所得割なんかを負担してないような低所得階層でも、この保険税というものは相当重い負担がかかっておる。しかも、加入者の実態からいいますと、大体俸給生活者等は別な社会保険でやっておりますからね、結局、少なくとも中から下ですね。まあほとんど低所得階層、三十万円ぐらいから下の階層がもう国民健康保険加入者の九割ぐらいを占めておるわけなんですね。そこで、これは非常な低所得の加入者に対する重圧になっておる上に、さらにそれでもなかなか追っつかないで、非常に赤字を出しておる団体が多いわけなんですね。で、今度政府のほうでは、この国庫補助を五分方お上げになったわけですけれども、お上げになったものも、あの医療費の値上げその他に食われてしまって、なかなか、市町村の保険財政を強化するとか、赤字を補てんしていくとかいうところまでははるかに及ばないと思う。この点、大蔵大臣として、今後どういうようにしていかれようとしておるのか。
それから、もうそういうことで追っつかない根本の理由は、そもそもこういうものをそれぞれの団体の独立採算制に押しつけておるというところに私は一つの原因があるのじゃないかと思うのです。まあ社会保障制度、国民皆保険というようなことで強制的にやらしておるわけですから、これはもういっそのこと、各町村限りの独立採算というようなことで貧弱団体に対して無理な重圧をかけないで、これ全部一つにして、そうして国が相当腰を入れて国保の運営をやっていくという方針が一つ考えられる。それから、もしそれがどうしても今さしあたってできないということならば、一般会計から国保の財政へ、会計へ繰り入れたこの面だけでも基準財政需要として交付税で見るなり何なりするというようなことでもやる以外に、この切り抜けの方法はないと思うのですがね。そのこまかい内容については、これは自治省のほうへ後ほどお尋ねするつもりなんですけれどもね、財布を握っておられる大蔵大臣として、この国保というものを一体どういうようにしていかれるおつもりなんですか。お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/35
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036・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 社会保障の制度の運営の仕方にはいろいろございますが、もう全部国及び地方公共団体の一方的な支出によって行なわれることが妥当な策であるということもございますし、そうじゃなくてやはり社会保険制度によって運営されることが適当であるという策もございますが、この国民健康保険というようなもの、結局これは保険制度として運営さるべきものでございますので、そうしますというと、当然これは給付の内容をよくするとかというようなものも、これは保険者、被保険者の負担でいくと、合理的な保険料というものがきめられて内容の改善をやっていくというのが建前でございますが、これは国民皆保険といって国民生活の実態に即して立てられた制度じゃなくて、制度自身を大急ぎで整備するということをやったために、国民のこれに対する負担力の問題が出てきていることは事実でございます。さらに国民年金制度というものも発足しましたので、この掛金負担というものも加わってきておりますので、私どもは将来国民所得の増大に応じてこれは完全な社会保険制度として運営されていくことが好ましいと、そういうところまでやはり国民所得水準を持っていきたいと思いますが、現実はそこまでいっておりませんので、過渡的にはやはりこの財政についてある程度の国費負担というものを考えていかなければ完全な運用はできないというふうに考えまして、今年度も国費の負担を増加しましたが、過渡的にはそういう形でやっていくが、将来はやはりこれは完全な社会保険制度として運営されるということが好ましいので、その方向へ持っていくためには、やはり何といっても、今の日本の国民所得が問題でございまして、これを上げることが当面の急務であって、それまでの間は、今言った国費負担というものでこれを切り抜けていくということより仕方ないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/36
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037・秋山長造
○秋山長造君 今の行き詰まった実情についてどういう手を打つかということをお尋ねしておるのです。もう大蔵大臣の論法は、何でも全部国民所得をしっかり上げさえすれば解決していくというようなことに……。それではどうも質問のしがいがないのです、これはもう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/37
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038・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) いや、私の言っておりますのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/38
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039・秋山長造
○秋山長造君 実際赤字を出しておる団体が四割あるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/39
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040・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 今問題は、そういう方向をにらんで現実施策をすべきものだと思うのですが、それがそうじゃなくて、現実から押して国が負担するのが当然だというような方向でいろいろこの将来というものをにらんだ筋が現実に曲げられていることが多いと思います。そうしますというと、これは保険制度で運営するという、もう根本の問題との抵触があって、これは保険制度自身のもう本質的な問題に触れるような方向が最近たくさん出ておりますが、私どもは将来はこうだとにらんで、当面苦しい間はこうするのだと、過渡的措置であるというようなことをはっきり認識した施策をしないというと、将来いろいろの問題を起こすと考えますので、その点の建前とか区切りをつけるとか、私どもは予算を強化する場合でも非常に気を使っておりますが、そういう意味におきまして、私は当面国費の補助というようなことの強化はやむを得ないと考えていますが、これは当然将来にわたっては、保険制度で運営するという以上は、掛金はどんどんまけてやって、その不足分は全部国に負担させるのだと、そういう方向でいくべきじゃないということをまあ私は言っておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/40
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041・秋山長造
○秋山長造君 これはもうそういう論法でいけば、生活保護なんかというようなものは全然必要はない、それは全部国民所得を上げていって、自分が食っていくのは自分でかせぐのが当然じゃないかという議論になるのですが、やはり国民健康保険の加入者というものの生活実態というものは、あまりにも今の大臣のおっしゃるような、所持をどんどんふやしていけばそれでやっていけるのだというようなこととはほど遠いですよ。過渡的といいましても、過渡的というものは三年や五年で済むような過渡的じゃないですから。ですから今日ただいまの時点で考えれば、これは半永久的ぐらいなものだと思うので、過渡的ということは、それは今の地方財政の実態から見ますと貧弱な、税収もなければ産業もない、所得も低いという貧弱な団体ほど保険税というものは高いのですね。ですからもう貧弱団体と、それから富裕団体との格差というものは、そういう面から一そう深刻になりつつあるということを、私は何も誇大な言い方じゃないのです。現実にそうだと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/41
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042・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 現実にそうですから、この給付内容をよくするとか、いろいろな問題に対処する方法として、保険税を上げないでいって、その間は国が負担するというようなことをやっているわけでございますが、さっき生活保護費のお話が出ましたが、ああいうものこそ、さっき私が言いましたように、国が一方的に支出する社会保障制度でございまして、この健康保険は、やはり保険制度によって運営されるというのが本来の建前であると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/42
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043・小林武治
○委員長(小林武治君) 大蔵大臣はこの委員会にあまりおいでにならぬので、私からひとつ御要望申し上げておきますが、地方行政の立場から見まして、どうも大蔵省と地方財政とが対立するような傾きもある。これは申すまでもなく、大蔵省が国全体の財政をまかなっているのでありますから、大蔵大臣または大蔵省の役人の方は、地方に銭を取られるという考え方であることはあるまいと思いますが、地方財政と国家財政とをあんばいするのが大蔵省の役目であると、こういうように思いますので、ぜひひとつ全体を包括してやっていく、ことに国家財政の中でも六割も七割も実際の金は地方財政が使っている、こういうふうな建前でありますから、ぜひひとつそういう考え方で地方に金を取られるのだというようなけちな考え方じゃなくて、自分が全体の財政をあんばいしていくのだ、こういうふうな考え方でやってもらいたいと思う。よく予算を作るときには、何だか対立するような気持と申しますか、そういう傾向がある。そういう点については、ぜひ、そういうことじゃなくて、国全体の財政を大蔵省があんばいしていくのだ、こういうことでやってもらいたいと思いますが、要望をひとつ申し上げておきます。よろしゅうございますか、今の点はひとつ大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/43
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044・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 現在もそのとおりにやっておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/44
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045・小林武治
○委員長(小林武治君) ぜひひとつ誤解を与えないようにお願いをしておきます。
午前はこの程度にいたしまして、午後一時半まで休憩いたします。
午後零時四十四分休憩
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午後二時十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/45
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046・小林武治
○委員長(小林武治君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。
地方税法の一部を改正する法律案について、質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/46
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047・秋山長造
○秋山長造君 この前お願いした歳入総額に対する税の割合、道府県と市町村別、わかりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/47
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048・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 三十六年度において、推計で申し上げますと、地方税は、道府県が三千六百四十六億五千二百万円、市町村が三千九百七十三億一千七百万円でございます。したがって、歳入構成に占める割合は、道府県が三一・一%、市町村が五三・七%、平均が三九・八%でございます。
次に、三十七年度についての推計を申し上げますと、道府県が四千六百十五億五千七百万円、市町村が四千六百九十三億七百万円、割合は道府県が三二・六%、市町村が五四%、地方団体平均が四〇・七%でございます。
以上が地方財政計画上の推計の数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/48
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049・秋山長造
○秋山長造君 そこで、あなたのほうからいただいた「地方税に関する参考計数資料」、この六ページの都道府県歳入中に占める税収入等の割合、これは三十五年度ですが、これで見ますと、一番極端な例は山梨県ですが、山梨県は三十五年度において税収が七%ですね。前年の三十四年度も、調べてみると、やっぱり七%なんです。それから奈良県は、三十五年度が九%、前年の三十四年度は二%ですね。一一%から逆に三十五年度は九%に下がっているわけですね。それから高知県は、三十五年度は九%ですが、三十四年度は一〇%で、比率が一%下がっている。それから、一番しまいの鹿児島県は、この表では三十五年度九%ですが、前年の三十四年度は一〇%で、これも一%逆に三十五年度は下がっておりますね。
この数字を見ますと、年々税法改正が行なわれて、そのつど、地方財源の充実、あるいは独立財源の強化ということでうたわれて改革が行なわれてきているにもかかわらず、今申し上げるように、こういう貧弱な府県においては、逆に三十四年度から三十五年度に比率が下がっているということは、それだけ税収が少なくなっているということになると思うのですがね。こういう状態が、一体去年——三十六年度、また三十七年度の財政計画でどういうふうに変わっていく見込みなのかということをまずお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/49
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050・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) お説のように、税制改正で減税が行なわれますと、絶対額では当然いわゆる富裕団体のほうが減税額が大きいわけでございますが、相対的な割合では、どうしても地方税減税の場合には、いわゆる大衆負担の軽減という点に重点を置いて、減税を従来やる場合にはいたしておりますので、その影響は貧弱団体ほど割合は強く出てくるのであります。それがわれわれの一番悩みの種でございますが、これらについては交付税の調整機能で補っておる、これが実情でございます。ただ、昭和三十七年度につきましては、これは府県民税の改正とたばこ消費税についての税率の引き上げ等課税標準の改正並びに事業税についての分割基準の改正、こういうような点を改正をいたしておりますので、個々の点についてそれがどのようになるかということを全体の県について申し上げるだけの数字は持っておりませんけれども、少なくとも三十七年度の一般的な傾向は、これは私は、税収の割合は、やはり貧弱団体のほうの影響が従来のように強く現われることはないと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/50
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051・秋山長造
○秋山長造君 善意にただいまの局長の御答弁を解釈すれば、こういう数字が出てくるので、そのために去年の税法改正でも所得税の減税の影響を遮断したわけだ、こういうように受け取れるのです。ですから、所得税の住民税等に対する影響を遮断したのは、そういう理由があるので、だから、三十六年度、三十七年度はこの数字が多少改善されてくるのではなかろうかと、まあこういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/51
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052・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) お説のような考え方でございます。ただ、特にことしの改正は、ただいま申し上げましたように、たばこの課税標準の改正とか、あるいは法人事業税の分割基準の改正、こういうものをつけ加えておりまするので、三十七年度は、そういった貧弱団体に対する税収割合に関する配慮がより強く出てくるので、従来のような傾向はなかろうと、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/52
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053・秋山長造
○秋山長造君 たとえば、さっきの御答弁で、そういう逆に三十四年度から三十五年度へその比率が下がっているようなところは、それだけ地方交付税で穴埋めをしているんだというお話だったのですが、それはちょっと違うのです。そういう団体に限って、地方交付税もふえていないのです。私三十四年のやはり同じ資料を見ますと、たとえば山梨県は、さっきも言いましたように、三十四年度も七%、三十五年度も七%ですけれども、逆に交付税のほうは二四%から二二%に二%減っているのです。それから奈良県は、さっきも言いましたように、一一%から九%に税収が減っているが、交付税のほうは、ふえるどころでなしに、二六%から二二%に四%減っているのです。それから鳥取県は、一〇%から九%に税収が減っているが、交付税のほうは三三%から三一%に二%減っているのです。そういうような貧弱な団体があれば、税収が減れば、なおさらのこと交付税がふえなければならないのが常識だと思う。もちろん比率ですが、税収も減り、交付税も減っている。こういう数字が出てくると、これは一体、昨年の税法改正で若干改善されたかもしれぬけれども、それにしても、三十四年度、三十五年度といったら、ついきのう、おとといのことですが、こういう数字が出てくるということは、どういう事情があるのだろうかと思って、私はどうも解せないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/53
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054・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 御承知の歳入構成は、税収入とか譲与税の関係、交付税の関係及び国庫支出金と、こういった関係のそれぞれかみ合わせがございます。それらの点の数字につきましては、交付税課長のほうから御説明を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/54
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055・山本悟
○説明員(山本悟君) ただいま税務局長が申し上げましたように、これらの地方税あるいは交付税の財政収入全体に対します比率といたしましては、そのほかの譲与税でございますとか、あるいは国庫支出金等の影響を受けまして、構成比としては、ただいま御指摘になりましたような比率が該当府県については出ているかとも存ずるのでございますが、一般財源そのもので見て参りますと、たとえば人口一人当たりの額というような見方をいたしますれば、三十五年度におきましては、個々の団体別は数字を持っておりませんが、財政力に応じまして、各四十六都道府県をグループ別に分けまして、一番財政力の低いといわれております十三団体−十三府県の数字を見てみますと、人口一人当たりの一般財源は、三十五年度におきまして六千五百五十五円というような数字が出ております。比較的財政力のいいといわれておりますAグループが六千五百七十三円、Bグループが五千九百六十五円、こういうような数字になっているわけでございまして、税収入の低い団体につきましては、やはり交付税上の基準財政需要額の算定等におきましては、傾斜的に需要の増加というものをはかって参っているわけでございますので、財政規模全体に対しましての比率は、構成比は、御指摘のような点もございますが、一般財源の総額としては、傾斜的な算定をするように努力をいたしている、かような事情になっていると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/55
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056・秋山長造
○秋山長造君 傾斜的な配分は、それはけっこうなんですけれども、少なくとも、三十四、三十五両年度を比べると、傾斜的に貧弱な県は減っている。こういう数字がどうして出てきたのか。これは、三十四年度の数字はこれには出てないけれども、去年地方税のときにもらった同じ資料に出ているのです。地方税の税収も減り、交付税も減る、そういう傾向であったら、譲与税だけがぽかっとふえるということはあり得ない、やはり譲与税あたりも減っているのじゃなかろうかというふうに思うのですが、この数字はどういう事情でこういうことになっているのですか。三十四年から三十五年に逆に税収も減り、交付税も減っている。
今の答弁はあとでよろしいが、そこで税務局長から御答弁になった三十七年度の数字ですが、三十七年度の見込みですが、道府県税について三二・六%、市町村民税について五四%、全部の平均が四〇・七%、こういうことになるとおっしゃるのですが、この程度のことで、さっき言ったような奈良だとか鳥取とか鹿児島とか山梨とかいうような後進県の税源というものは、一体どの程度充実される見通しなんですか。といいますのは、この前もお尋ねしたように、入場譲与税あたりがこういう面の調整的な役割をある程度しておったと思うのです。ところが、そういうものはなくなってしまった。なるほど、交付税が〇・一%上がることと、たばこ消費税が一%上がることによって、若干の調整作用というものは予想されるわけですけれども、しかし、入場譲与税というものがそのまま存置されておった場合に比較すれば、だいぶやはり調整機能というものはそがれるのじゃないかと思うのです。それも、交付税あたりが、繰り返し言うように、三〇%ぐらい引き上げられる、それからたばこ消費税あたりがこれまた三〇%ぐらいに思い切って引き上げられるというなら、こういう点は、これは相当改善されるでしょうけれども、たいして、たばこ消費税を一%引き上げた程度、あるいは交付税率を〇・一%で十五億円程度——これは府県、市町村通じてですから、その程度で、この後進県と先進県との格差の是正というようなことは、これはもうおかしな話なんで、できっこない。こういう話は、あなたよりも、財政局長にぶつけたほうがいいと思うが、とにかく税金ですから、税金のこと以外は言わぬというわけですから、これはもう具体的にさっきの道府県、市町村という総額での比率はおっしゃったわけですが、こういうようにこまかなことはわからないのですが、三十六年度がどういう数字になっているか、三十七年度がどういう数字になるかということ、その点の見当を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/56
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057・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 私のほうは、財政局に資料をお願いして、全体の府県、市町村の区分けで、三十六年度、三十七年度どの程度になるか、こういう資料をお願いしたので、これがそれぞれの市町村、それぞれの府県別にどの程度になるかということは、これは実際問題として私は資料は出ないのではないか、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/57
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058・秋山長造
○秋山長造君 やはり決算をやってみなければわからぬ。じゃ見当でいいのですがね、あなたのまあ大体の感じでいいのです。ばく然とした感じでもいいんですが、感じとして、この数字が、今度の税制改正によって、たとえば山梨県の七%という数字が、九%なら九%になる、あるいは八%くらいにとどまるかもしれませんとか、その程度のことはわかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/58
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059・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 具体的な数字は、これは責任あるこういう席で申し上げかねるのですけれども、これは確実に今回の三十七年度の改正では税収入の割合は上がるというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/59
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060・秋山長造
○秋山長造君 全般としては、それは数字が出ているのですから、若干の増収ということはわかるのですがね。それを各道府県、市町村にずっと割っていった場合に、やっぱり税制改正で意図された方向とは逆に、ますますこれは格差が開いてくるんではないでしょうか、その点はどういうふうに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/60
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061・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) これは、所得の格差が次第に開いてくる傾向にございますので、そういう観点からは、やはりどうしてもその所得の格差以上に税収の割合には響いてきて、貧弱団体のほうの割合が悪くなる、こういうことは言えようかと思います。しかし、そういう点を考えまして、現在の国と地方の財政の割り振り、それらの点で、許される限度の税源の委譲を受け、その際、その委譲を受けた税収入が、いわゆる富裕団体にいかないように、貧弱団体のほうに回るようにということで、今回の地方団体間の税源配分をやっておりますので、従来とは相当達った私は結果が出てくるんじゃないか、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/61
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062・秋山長造
○秋山長造君 政務次官にお尋ねしますが、池田首相はもちろんですけれども、まああなた方のほうからは、常に所得倍増で、所得の格差は厳に締めていくんだ、また縮めていきつつあるんだという説明があるわけなんですが、ところが、税を担当しておる局長の話によれば、所得は次第に格差がひどくなっていきつつあるのでという話なんですが、これはどっちがほんとうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/62
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063・大上司
○政府委員(大上司君) ただいまの——これは私の主観的な考えかもしれませんが、税務局長の述べましたいわゆる所得の格差の開きが大きいということは、どこまでも、富裕県といいますか、不交付団体は、相当な事業、あるいは控除の余地等において、根本的に、所得の回転といいますか、いろいろな面で相当いいだろう。ところが、交付団体の貧弱県においては、いわゆるその所得の伸び方が非常に緩慢だから、富裕団体に比較して所得の格差が出てくるのだと、このように私はただいまの税務局長の答弁を受け取ったのですが、もっともこれは主観的な話ですが。そこで、先生のおっしゃるいわゆる政府全体としての所得の格差はどうかという問題ですが、これは全体としては一つの線を引いております。もちろん、貨幣価値という問題も出てくるのではないかと思いますが、これは漸次、私はどこまでも、ある程度、所得の格差が開かないような方向で、政治の組み立て方、あるいは国全体の歳入歳出の立て方というものが根本的に貫かれておるように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/63
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064・秋山長造
○秋山長造君 だけれども、数字が示しているのでして、これは、さっき申しましたように、もし岸内閣から池田内閣にかけての所得を倍増していくという政策がきちっとそのとおりのものであったならば、こういうふうに逆に比率が減ってくるということはあり得ぬことだと思うのですね。ただ、三十六年度、三十七年度の数字がこの表には出ていないのですがね。三十四年度、三十五年度というふうに、過去の数字を通して議論をするよりしようがないのですが、おそらく今度の税制改正でも、税務局長がおっしゃるような改善が数字になっては出てこぬのではないかと思うのです。たとえば、七%が八%に上がるというようなはっきりした現われ方をせぬと思う。おそらく、七・幾らというような、せいぜい。しかし、せっかくふえるといって意気込んでおられるのですから、一応それは承っておきます。しかし、このままにしておいて、少々税法の末端をいじくったくらいのことで、こういう府県間の格差——これは市町村に行けば一そうひどい格差ができると思う、数が多いだけに。午前中も、両大臣、ああいうことで、税制調査会でさらに検討するというようなお話がありましたが、なかなかこの数字は、よほど思い切ったことをやらなければ改善されぬと思いますが、それほど簡単に改善されると思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/64
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065・大上司
○政府委員(大上司君) お説のとおり、先生のおっしゃるとおりでございます。なかなか改善はむずかしいと思います。またさらに、私としておわび申し上げなければならない点は、ただいまの税務局長対秋山先生のお話の中に、計数上からくる税の歳入の伸び方と、それから富裕県と貧弱団体の格差というものが如実に現われましたので、そういう感はいたします。なお、さらに、これを全部、私自体が、こうすべきである、ああすべきであるということは、一応所管大臣にもよくお尋ねし、聞くべきところを聞きまして、お答えいたしたいと思いますが、そのお考えはごもっともだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/65
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066・秋山長造
○秋山長造君 それから、料理飲食税のことについて若干伺いたいのですが、今度の改正で、従来の場所による区分をやめて、そうして金額による区分に改めた、しかも、税制調査会で二千円という答申をされているのを、はるかに上回って三千円で線を引かれた点ですね、この理由は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/66
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067・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 二千円で切るのがいいか、三千円で切るのがいいか、これは議論の存するところだと思います。おっしゃるように、税制調査会では二千円ということになっておりましたが、その趣旨は、全国的な資料で見ました場合には、二千円がこの際、府県財政に与える影響、そこらの面から見て適当であろう、こういうようなことであったろうと記憶いたしているのでございますが、それを三千円にいたしましたのは、要するに、いなかの県を頭に置いて金額をきめるか、都市的な県を頭に置いて金額をきめるか、この考え方の開きによって、私どもが三千円にいたしましたのは、やはり都市の一般のサラリーマン階層が利用する料理店、飲食店、こういった点を頭に置きまして、現実の資料から見て、都市を中心にすればむしろ三千円のほうが適当であろう。そうすることによって、よく一般には、どうも高級料亭を軽減したのではないか、こういう御非難を受けるのでございますが、都市的な地域においていわゆる高級料亭が恩典を受けるということはない。高級な料亭で三千円であがるところはございません。むしろ、高級料亭は今回の改正は無関係である、こういうふうに私どもは考えております。で、三千円にすることによって、都市のいわゆる中産、中級の勤労者が時に慰安を求めるといったような場所における税が一〇%になる。また、いなかにおきましては、今回のこういう場所区分をやめて、金額できめることによって、いわゆる一般のサラリーマンなり労働者なりがささやかな慰安を求める意味において料理屋と名のつくところに行った場合に、従来のやり方であれば一五%かかる。それはいかにも酷ではないかということで、それらの点についても、今回のやり方で、たとえそれが料理屋であっても一〇%の軽減の恩典を受ける、こういう意味合いから三千円という金額を実はきめたのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/67
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068・秋山長造
○秋山長造君 料現飲食税の税収の中で、従来の場所による区分ということで、大衆飲食の関係の税収と、それから料理屋、キャバレー、バー、ああいういわゆる遊興的なものを伴う高級飲食店の税収、これはどういう比率ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/68
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069・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 大体、いわゆる飲食店というものの税収は、三分の一でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/69
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070・秋山長造
○秋山長造君 今局長のおっしゃるような趣旨ならば、上のほうを下げることもけっこうでしょうけれども、同時に、この間も参考人の意見を聞きましても、大学教授だって五百円もの飲食はあまりしないようなことだったんですがね。そういうことが、もし事実だとすれば、何も三千円に上げる必要はないので、二千円でも大衆的な飲食店でそれほどの影響がないのじゃないかと思うのですがね。やはり、この間おっしゃったことも少しどうかと思う点もあるけれども、むしろ税制調査会の答申どおり、二千円というところで——金額にするならば二千円くらいで線を引いて、むしろ大衆飲食の免税点をもう少し上げるということのほうが、実情に即するのじゃないかと思うのですがね。提案理由か何かに、物価とその他の面を勘案しているような点があると思うんですがね。大衆飲食をもう少し免税点を上げるということのほうが、むしろ、疲れをなおすのに、ちょっと飲み食いをするという程度の大衆の慰安ということをも趣旨の中に含めているならば、大衆飲食の免税点をもう少し上げたほうがいいのじゃないかと思われる。それもそうだと思うけれども、それをやると税収ががたっと減ってしまうのでというような話も聞いているのですけれども、もしそういうことが事実とすれば、これは結局体のいい大衆課税で、大衆に税金を転嫁してしまっているような感じを受けるのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/70
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071・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 今、三千円か、二千円か、先ほど申しましたように、いろいろな御意見あろうかと思いますが、従来からこの税でよく問題になっておりましたのは、要するに料理屋と名がつけばみな一五%だ、ところが、よく例に引かれる三笠会館であるとか、東京会館であるとか、 こういったところで三千円もの料理を食っても、それは一〇%じゃないか、これはいかにもおかしいという御批判があったのでございます。私どもとして、今回場所区分をやめて金額で切りました趣旨は、そういう御批判にこたえるという意味合いで、金額で上下を区分する、こういうやり方に改めたのでございます。その際に、二千円か三千円かということは、ただいま申しましたように、実は都市的な地域を頭に置いて考えますというと、二千円ということで切りました場合には、従来一〇%であったものが一五%になるという場合が相当多く出てくるのでございます。こういった点も頭に置きまして、私どもとしては、一応三千円の線がいいではないか、こういう結論に達したのでございます。
次の大衆飲食の免税点の問題でございますが、これも、私どもとしては、おっしゃるように、現在の免税点をいつまでも据え置いておくということは考えておりません。これはやはり、そのときどきの経済情勢等とにらみ合わせて、たえず慎重に検討をして、情勢に応じた免税点をきめるべきだ、こういうふうに考えているのでございまして、固定的に考えているわけではございません。したがって、税収に影響があるからどうこうといった点を考えて今回この免税点を引き上げないという措置を考えたのではなくて、免税点につきましては、御承知のとおりに、三十六年の四月から三百円を五百円に上げたわけでございまして、その適用状況というものを見てみますというと、利用の人員でおそらく九五・六%、利用の料金で八五・六%は、やはり免税点以下になっております。あるいはもう少しパーセントがそれぞれ上かもしれない。そういった適用状況等から見まして、まだ免税点問題を取り扱う時期に到達しておらぬ、こういう意味で今回は据え置いたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/71
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072・秋山長造
○秋山長造君 大衆飲食は、申すまでもないのですが、大体税金の捕捉が非常にやさしい。これは、税務署員が調べにいくにしても、のれんをくぐって入ればすぐわかるのですがね。ところが、高級料理店、キャバレーだとか、バーだとかいうようなところになると、なかなか捕捉がむずかしいのじゃないか。ことに料理屋なんかは、一々くつを脱いで上がらなければならない。くつを脱いで上がっても、これは奥が深くて捕捉がむずかしいんじゃないか。勢い非常に脱税が多いのじゃないかということは常識として言われておりますが、そういう点はどうですか。公給領収証なんというものは、きちっとやられているのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/72
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073・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 御承知のように、この税は捕捉がむずしいということは、これは事実でございます。そういう意味合いにおきまして、数年前に公給領収証制度が作られて、これによってよほど把握の問題なり徴収の問題が軌道に乗ってきつつあるのが実情だと思います。それにいたしましても、捕捉は相当にむずかしい。ただ、お説のように、高級な料理屋がむずかしくて、大衆飲食がやさしいといったようなことは、私はないんじゃないか。これはやはり、高級であろうと、大衆であろうと、この税の捕捉は相当むずかしいと、こう考えます。実際問題として一番むずかしいのは、キャバレーが一番むずかしい、こう私ども見ております。したがって、税の均衡、適正な執行というような立場に立って、最近では、各県とも、カフェなり、キャバレーなり、こういうところに相当ウエートを置いて税の賦課徴収に当たっておるというのが実態だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/73
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074・秋山長造
○秋山長造君 次は電気ガス税並びに固定資産税の質問ですが、自治省からもらった資料によりますと、電気ガス税、固定資産税の減免というのが相当大きいのですね。この大部分は大工場についてだろうと思うのですが、固定資産税について百八十六億、電気ガス税について百五十九億、非常に大きな数字を占めておるのですが、特に電気ガス税について、今度十四品目ですか、新たに免税措置がとられるわけですが、レーヨンだとかパルフだとかいうものを新たに免税品目に加えたのは、どういう理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/74
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075・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 電気ガス税の産業向けの課税につきましては、従来から重要基幹産業及び新規至要産業、これに使われるものにつきましては、百品目余りの非課税措置が講ぜられておるのでございます。その趣旨は、これらの産業で相当多くの電力を使う場合には、それが製品原価にはね返ってきて、勢い税負担というものが消費者に転嫁をせられる、こういうことではやはり工合が悪いのではないか、こういう意味合いから、重要基幹産業については非課税、新規重要産業は、これは当該産業が新技術の導入当初の関係もあって、税負担を軽くしたらいいだろう、こういう趣旨からやっておったのですが、これはどうも、率直に申しまして、安易に流れる、しかも既得権化して、勢い結果としては税負担の不均衡を招来するという傾向があったことは、いなめません。そういう意味合いから、税制調査会で御審議を願って、方針はいいけれども、やはりそれには一定の基準を置くのがよろしい、その基準に合致しなくなったものは削除をすべきものである、同時に、新規重要産業向けのものは、やはり一定の年限を置いて見直す時期を作るべきである、こういう御答申を得たわけでございますが、この答申の線に沿って、昨年実は改正をしようといたしましたけれども、政府部内の調整ができぬ、こういうことで、本年あらためて、その基本方針に基づいて、政府部内の関係省の間で話し合いをして、その基本原則は認める、こういうことになったのでございます。したがって、その基本原則に立って、従来の既定品目の洗いがえ、あるいは新規に追加を要望されておりますいろいろな品目等について、検討を行なったのでございます。その結果、十六品目を追加をする、二品目を削除をする、十品目を新たに年限を付する、こういう措置を講じたのでございます。その際に、実は当初の要求額は、非課税品目の非課税金額のトータルは四十二億の要求であったのでございます。それを、私どもとしては、基本的なルールで検討を加えた結果、ただいま申したような結論になってきたのでございます。その際に、お説のパルプと、それからレーヨン、これが非常に問題になってもめたのでございます。このほかに、紙が実はもめたのでございます。私どもは、パルプは、なるほど、これは紙なり織物なりの重要な基礎資材を生産する産業ということで、パルプについては、これを認める、同時に、レーヨンにつきましては、私どもは、これは重要基礎資材を生産する産業に属するかどうかというのは、いわばボーダー・ラインであろう、こういう考えを率直に持っておったのでございますが、やはりこれについても、織物の生産のための基礎資材であろう、こういう観点に立って、これも追加をする、こういうことにいたしたのでございます。紙については、これはなるほど国民生活の上から見れば重要なものではあるけれども、これはやはり消費財生産の産業である、したがって重要基礎資材というものの中には入らぬのではないかということで、私どもとしては納得いたしかねる、こういうことで、紙は除外をする、こういういきさつで、今回のようにレーヨンとパルプを加える、こういう措置をとったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/75
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076・秋山長造
○秋山長造君 これは重要基礎資材に違いないかもしれませんけれども、レーヨンにしても、パルプにしても、こういう会社は、これは株の相場を見ても、こんな今さら電気ガス税を減免しなければならぬというような一体理由が見つからぬと思うのですけれども、もし重要基礎資材だというような理由だけだったら、レーヨンにしても、パルプにしても、相当古い産業ですからね。これはもうとっくの昔からこういう免税措置があったはずだと思うのですよ。それが今までにそのままになっていて、そうして今急に思い出したように免税措置が行なわれるということは、どうも納得できぬのですが、あなた方税法の責任者として、これは良心的に考えて、やっぱりこうすべきものだとお考えになっているのですか、腹の底から。心ならずもこういうことになったのじゃないのですか、レーヨンなどの場合は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/76
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077・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) いや、私どもは、政府から提案を、私のほうで出しておるので、心ならずもということではございません。十分腹の底から納得いたして出したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/77
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078・秋山長造
○秋山長造君 納得できぬですよ、そんなものは。それはもう話にならぬ。
次に、先だってから問題になっておる公衆街路灯についての免税措置ですが、これは、御承知のとおり、一部の地域だけについてこういう措置が行なわれておるのですが、これは今日のこの交通事情、交通難の緩和というような大きな社会的な要請が一つある。それから、この間比嘉さんもおっしゃっていたように、町を明るくすることによって犯罪を減らしていく必要がある。そのためには、街路灯をしっかりつけることと同時に、街路灯奨励の意味を兼ねて免税にすべきだというお話あがったんですが、このいきさつですね、一部の地域だけに免税措置がとられておる事情。それから、今の社会的な要請からいえば、やはりそれはおかしいことで、全国的にやっぱり同じような措置をすべきじゃないかという声が非常に強い。その点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/78
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079・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) いわゆる終夜灯といいますか、防犯灯といいますか、こういう面につきましては、これは昭和三十六年度の改正で免税点の制度を設けたことによって九〇%程度目的を達成いたしております。ただ、その後、何といいますか、最近、螢光ランプあるいは水銀灯の普及、あるいは設置灯数の増加といったようなことで、免税点制度適用を受けないものも増加しつつある、これもまた事実であろうと思います。そういう点を考えまして、今回の改正では、公衆街路灯は一応電気ガス税を課さない、こういうことにしたのでございますが、その際に公衆街路灯の範囲を電気供給規程において料金割引の適用を受けるものに限定をいたしましたのは、もしかりに、料金割引と関係なしに、非課税の範囲をすべての公衆街路灯に及ぼすという場合には、課税、非課税の認定にあたって、税執行上明確を欠くおそれがある。また、認定が乱にわたることも、われわれ税務当局としては予想をしておらなければなりません。その結果、かえって税負担の均衡という観点からは好ましくない結果を生ずることも考えられる。こういうことで、今回の改正におきましては、制度的にその区分が明らかになっておる公衆街路灯についでだけ適用をする、こういうことにしたのでございます。もちろん、現在料金割引制度をとっております地域についてだけ非課税措置を適用するということについては、若干問題があると考えますけれども、公衆街路灯に対する負担の軽減は、電気ガス税と並んで、電気料金自体の軽減も私どもとしては当然必要だと、こういうふうに考えておりまするので、まず税制面においては、その料金割引をやってもらえれば、すべて非課税の適用があるというふうに、一般的な税制の面における受け入れ態勢を整えたつもりでございます。したがって、私どもといたしましては、今回の税制上の措置と相待って、すみやかに電気料金自体においても割引制度が一般的に措置をせられるように実は期待をいたしておるのでございます。主管省においても、今後そのような方針で指導をするということを明らかにいたしておりまするので、今回の税法改正案におきましては、電力会社で公衆街路灯に対して料金割引を実施すれば、電気ガス税としては自動的に非課税になる、こういう措置を講じたのでございます。戦前におきましても、公衆街路灯というものについては、実は料金割引は、三割の割引をやっておったのでございます。それを終戦後廃止をいたしております。ところが、公衆街路灯問題がやかましくなりまして、昨年あたりからですか、そういうものについては割引制度をとるべきだという政府の方針がございまして、それによって通産省が指導をいたしておるのでございます。そこで、まず税では、公衆街路灯として割引をすれば、それに自動的に乗っかる。そうすることによって、納税者は、料金割引で一割——普通一割でございます——税で一割、合計二割の軽減になる、こういう結論が出てくるわけでございまして、私どもとしては、税で措置をいたしましたので、他の地域についてもこれは料金割引をぜひやっていただきたい、こういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/79
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080・小林武治
○委員長(小林武治君) このまましばらく休憩します。
午後三時六分休憩
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午後四時十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/80
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081・小林武治
○委員長(小林武治君) 委員会を再開いたします。
まず、委員の異動がございましたので、御報告いたします。
本日付をもって委員小幡治和君が辞任され、その補欠として石原幹市郎君が選任されたました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/81
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082・小林武治
○委員長(小林武治君) 地方税法の問題につきまして、私から一、二御質問なり御要望を申し上げておきたいと思いまするが、地方鉄道軌道に対する固定資産税の問題でありますが、これは前々からこの席でも申し上げたことがありまするが、地方鉄道の軌道に対する固定資産税は、国鉄に比べて非常に均衡を失しておる、こういうふうに思いまするので、今度の改正案でも保安施設あるいは踏切等につきましては特例が認められたのでありますが、一般的の固定資産税に対して、国有鉄道に準じたような軽減措置をとってもらいたい、こういう強い希望がありますが、これについて自治大臣はどういうふうに考えておるかお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/82
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083・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 地方鉄道の固定資産税の減税につきまして御要望がある点はよく承知いたしております。国鉄と比べまして若干割高になっておることも事実でございますが、この点は国鉄の公共性と私鉄の公共性には若干が差異があろうと思います。いわゆる純粋の株式会社、利益を追求する株式会社と、国鉄のように独立採算制を建前にやる場合とでは、かなり状況も違うのじゃなかろうかというような点もありまして、今のところ差がついておるわけであります。しかし、特別の施設については、特に新規事業等については、でき得る限り減免の措置もやっております。将来においても、そういう問題はできるだけ検討を進めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/83
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084・小林武治
○委員長(小林武治君) 今のこの国鉄と比較問題のお話もありましたが、国鉄、交通機関では航空機にも船舶にも固定資産の特例を認めておると、こういうことで、私鉄の問題も同じ交通機関という性質からも相当な特別考慮をする必要があると、こういうふうに思いますので、ひとつ次の機会に、国鉄と同じということを申しておるわけではありませんが、何か国鉄に準ずると、すなわち運賃等におきましても、国鉄と私鉄とは競争関係にあるのが非常に多いし、国鉄の運賃を上げた場合には私鉄の運賃も上げると、こういうふうな慣例、また、そういう方法もとっておるのでありまして、国鉄との均衡をとるということについては、ぜひ格段の考慮を願いたいと思います。こういうふうに思いまするので、その向きのことについてもう一度お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/84
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085・安井謙
○国務大臣(安井謙君) この公共性のあるという点では、そういった船も鉄道も、私鉄、国鉄同じような性格のものであろうと思います。そういう意味からはでき得る限り今後も準じた扱いをやるべき面も相当あると思いますから、検討はいたします。何といっても、株式会社と公社とでは若干違おうと思いますし、私鉄の場合には、なかなか固定資産といいましても、土地を持っておりましたり、いろいろな点の状況がちょっと国鉄とは違いますので、一様にはいくまいと思いますが、しかし、今の委員長のお話等も十分考えまして、今後もできるだけ検討は進めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/85
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086・小林武治
○委員長(小林武治君) もう一つの問題は、料理飲食等消費税の問題でありますが、これも前々から料飲消費税は、非常にこの財源として偏在しておる財源で、しかも、この税を生み出すためには、地元の市町村の施設あるいはサービス、いろいろの支出を促す要素があって、それに基づいてこの税が増加しておる、こういう実績にもありまするし、また観光方面の問題からして、観光施設をもっと実質的に進めるべきである、こういうことが言われておりまするので、今のような偏在した税源をある程度地元に還元する、こういうことがひいてこの税を増す、こういうことにもなりまするので、この消費税を何らかの方法において、市町村に分与する、あるいは県等において、そのためにある程度特別な支出をするとか、こういうふうな方法をとるべきであると思っております。現在では府県の一般財源になっておるために、何らこの税を生ずる地元に対して恩典を、利益を与えておらぬ、こういうふうなことになっておりますので、税金として市町村にも分与するか、あるいはその他の方法において地元の施設の役に立つようにこれを使う方法がないか、こういうことを思うのでありまして、これについてひとつ自治大臣の考え方をお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/86
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087・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 飲食等消費税を地元のこの市町村に分けたらどうかという御意見、これも私も御意見としては傾聴に値するものであろうとは思います。特にこの温泉地等の地元からは非常に強い要望のあることも承知をいたしております、ただ現在までに、全体的な税の体系として、御承知のような府県税ということにいたしておりますし、また財源も、考え方によりますと、固定資産税が施設によって相当入ってきておる、あるいはまた観光地というようなものは、そこの市町村だけでなくて県自身が応分の支出も相当やっておるといったような点もあろうかと思いまして、ちょっと今にわかに、これを直ちにそう御要望のように変えるというお約束は現在のところいたしかねますが、しかし、そういった強い、要望のあることも存じております。また事情もいろいろあることもよくわかりますので、これは十分今後ひとつ検討さしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/87
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088・小林武治
○委員長(小林武治君) 今のこの府県税と市町村税の関係でありますが、これはまあ前に住民税を府県に分けてやった例もあるし、たばこ消費税が府県税、市町村税両方に分かれておる、こういうことで前例もありますし、また大規模償却資産が県にいっている、こういう例もあるから、こういう例にもならってぜひひとつ考えてもらいたい、こういうふうに思っておりますし、なお、私は府県税と市町村税との関係について、もう府県税は幾らやっても、とにかく今でも全体の歳入の七%とか九%とか、こういうわずかな税しか府県税が取れていない。これはもうどう税制を改正してもこれの割合をふやすということはなかなかできない。したがって、私はどうしても交付税等はなるべく、今でも現にやっておるが、市町村税を厚くする、将来の方針として。そして府県税というようなものはそう大して力を入れないほうがいいじゃないかというふうな考え方がありまするが、要するに市町村税にもっと力を入れろと、こういうふうな考え方があるが、これについては自治大臣はどういうふうに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/88
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089・安井謙
○国務大臣(安井謙君) これは一つのお考え方として私も卓見だと思います。これは確かに府県では今言われますように七・八%という税収しか平均してないというわけでもあるまい、県によって非常な差があると思いますが、県のほうをある程度まで交付税というような格好で見ていく、そして固有の財源を市町村に移すというのは一つの考え方じゃなかろうかという感じがいたします。しかし、何分にも従来の慣習もあることでありますし、また合理的に配分するということになれば、いろいろ問題も多かろうと思います。今の御意見と申しますか、御提案のようなことは、十分ひとつ考えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/89
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090・小林武治
○委員長(小林武治君) そのことは、また、たとえば今度は府県民税をふやした、しかし、市町村はこれの徴収はお断わりをすると、こういうふうな強い意見があったのでありまして、私の意見としては、府県民税をふやすということはあまり賛成でない、むしろやるなら市町村税のほうへ持っていって、そして、どうせ今のような格差というものの是正はほとんど絶対にできない、こう言えるから、府県のほうはできるだけ交付税によって、そして今後委譲するような税金があれば、むしろ市町村に持っていったらいい、こういうふうな考え方をしております。まあ府県民税の今度は徴収をお断わりしたいという意見が強かったが、自治省等の措置によって、一応この際、がまんしようということになったが、しかし心持ちとしては、この府県民税の徴収はお断わりするということが根本的の市町村の態度である、こういうふうに思うのでありまして、そういうことからしてでも、今の府県民税をふやしてそして現在の徴収方法をとるということは、そう私は長く続け得るかどうかわからないというふうに思いまするが、どうですか。ことに、もう終戦後は税の体系としてめいめいが取ると、こういうことになっておるのに、府県民税だけは今でもこういうふうになって、そして市町村からは断わられそうになっておるという事実もあるが、この徴収方法そのものはこのままやっていくつもりであるか、あるいは将来考えるか、このことはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/90
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091・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 今のいろいろな考え方もあろうし、これからまた改正を要する点も多々あろうと思います。そういった点にいては、十分私ども考えていきたいと思いますが、結局、都道府県民税を直接取るとか、あるいは逆になくしてしまうということは、事実上の問題として不可能であろう。そうしますと、まあ程度の問題であるけれども、ある程度徴収事務を市町村に委託することがいいか悪いかという問題になろうかと思いますが、これは税を取られるほうの側からも、二重三重で来られるよりは、なるべく一つから来てもらったほうがやりやすいであろうというような便宜上の問題もあろうと思います。それから、今のように住民税が都道府県だけでふえて、そして市町村は減る傾向にあったというようなことから、多少委託されて徴収義務を負うことに難色があったということも事実でございますが、しかし、これは今度の場合の一つの特殊のケースじゃなかろうかと思いまして、これは、これに対する措置をいたすということで解決をいたしておるわけでございます。しかし、できるだけ市町村を固有の自治体であると見て、固有の財源を持たせろというお考え方には、十分検討してみなければならぬ問題があろうと思いますが、ただ税種その他、また財源の偏在性をなくするというような点から、今のお話のとおりにいかない面もまたたくさんあろうと思いますし、両方取り上げまして十分今後の検討に資していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/91
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092・秋山長造
○秋山長造君 午前中大蔵大臣にもちょっと大筋の質問はしたのですが、国民健康保険税のことについて、若干お伺いしたいと思います。午前中も申し上げましたように、国民健康保険税は、貧弱町村において非常に重くなっているということがこれは言えるのじゃないかと思うのですが、自治省が去年の夏、三十五年度の決算について調査された資料によりますと、これは市町村民税について、ただし書き方式を採用している代表的な五十四団体について調査をされた資料なんですが、それによりますと、人口が八千から三万人の間の市町村ですが、所得割を負担していない階級が加入者の三五・八%、三六%ですね。それから所得割を負担しておる者の中でも十万円以下の所得の者が三一・七%、十万円をこえ二十万円以下の者というのが二〇・五%で、全部で八八%、こういう数字が出ている。ですから、ほとんど零細所得者といってもいいような人たちが国保の加入者の九割方を占めておる。ところが、そういう人たちは市町村民税についての負担は比較的軽いわけなんですけれども、保険税は非常に重いのですね。一々計数的のことは申し上げませんけれども、非常に重い。市町村民税に比べると相対的には非常な逆進を示している。つまり低所得層ほど割合からいくと負担が非常に重いということになってくる。したがって、市町村にとっては、国保の問題というのは非常な負担になっているということを結論として言えるのじゃないかと思うのですが、そういうところに限ってまた他の税収も少ない。したがって、徴税は非常に強化される、したがって負担は重い。ただし書き方式を全部とっている関係もあって重いということになりますから、これはもう全般論として、貧弱町村に住んでおる住民ほど他の市町村に住んでおる住民に比べて負担が非常に重くなっているということが端的に言えるのじゃないかと思うのですが、国民健康保険税について、今度の税法改正で若干軽減されておるようでありますが、今後自治大臣として、この国保の指導というのはどういうふうにされていくおつもりなのか。この五十四団体についても、そのうち二十二団体は赤字団体になっている。だから全国的に見ましても、国保をやっている市町村の中で、相当重い保険税を取りながら、しかも、保険財政というのは、四割あるいはそれ以上の市町村が赤字になっているのじゃないか、したがって、一般会計からの繰り入れをやっているのではないかというように思うのですがね。今度の国庫補助二割を二割五分に引き上げて八十億円ばかり出されたわけですけれども、そういうものによって医療費の値上がり、その他をまかなって、なおかつ、苦しい保険財政の埋め合わせがつくものかどうかということ、それから一般会計からの繰り入れという事態に対して、国がそういう団体に対して何らか財政的な手当をすべきじゃないか。つまり、基準財政需要額に繰り入れた額だけを算入するという道を開くべきじゃないかということが一つ考えられる。それからもう一つは、国のほうがもっと補助金を、二割五分というようなことでなしに、もっと思い切って引き上げることによって、この保険財政を立て直していくと同時に、保険税というものの軽減をはかっていくということが必要なんじゃないかという、それらの点について、大臣の御所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/92
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093・安井謙
○国務大臣(安井謙君) お話のように、国保の税金といいますか、財政というものは、非常にまだ問題をはらんでおることは、御指摘のとおりでございまして、いろいろ問題があろうと思いますが、二つの側から考えてみても、一つは、団体の赤字という問題、団体の赤字という問題は必ずしも貧弱団体に限りません。相当富裕団体でも、この国保の医療費の支給状況等からいきまして、相当な赤字を出しているというような面がたくさんございます。こういうものは今後ともさらに機会あるごとに、国の負担率をさらに引き上げていって、そういうものの負担をなくしていくようにしていかなければなるまいと思います。
もう一つ、個人の負担の率の問題でございます。いわゆる大企業の従業員を主体にしております今の健康保険組合というものと国保の団体の保険税額というものを比べますと、税額そのものでは健康保険のほうが若干まだ上回っているということは言えますが、療養給付及びその人の個人収入に至りましては、はなはだお話にならないような状況に相なっております。こういう点を今後根本的に考え直していく筋じゃないかと思います。私どもは、これはまあ、やや私見にわたりますが、減税というものをやります際に、これをあわせて当然取り上げていくべきものであろうと、そういうふうに現在考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/93
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094・秋山長造
○秋山長造君 けさほどの大蔵大臣のお話によりますと、健康保険というものは社会保険なんだ、受益者が負担していくのが当然で、暫定的な恩恵として国のほうが若干の補助を出しておるが、そのうちにこれはやめていくべきものだと、こういうような、端的に言うて、御答弁があったんですけれども、やはり国民皆保険ということで義務づけられておるという建前からいいましても、これはやはりそういう言い方で、もうほうっておくという性質のものじゃないと思うのですね。やはり、今大臣がおっしゃったとおり、他の税金と同じように、保険税についても、やはりできるだけ軽減していくということが本筋じゃないかというように思いますので、この保険税の問題については、軽減していけば、それだけ一般会計からの繰り入れということをやっていくか、あるいは国の国庫負担を思い切ってふやすということをやっていくか、どっちかだろうと思います。その両方の点についての御努力を願わなければならぬと思うのですが、一般会計から繰り入れておる市町村に対する財政措置というものは、何らかの形で今行なわれておるのですか、どうですか。つまり、交付税等で見ておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/94
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095・安井謙
○国務大臣(安井謙君) この一般会計からの繰り入れの分については、交付税等で計算上見るという建前にはいたしておらぬわけであります。今の御指摘のような実態上、非常に問題点がたくさんあるわけでして、私は、これはなるほど国民健康保険という、保険という名前がついておるので、完全な相互保険でいいというふうには必ずしも考えられないと思います。これは遠い将来、国民の生活度が非常に上がったという現実の上に立てば問題は別でありますが、現実は、これは一種の社会保障という考え方を十分取り入れた措置がなされなければなるまいというふうに私どもは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/95
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096・秋山長造
○秋山長造君 近い将来にこれを基準財政需要額に繰り入れて交付税で見るということは、お考えになっておらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/96
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097・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 基準財政需要額に入れるという考え方も一つの考え方でありましょうが、私ども、まあ第一義的には国の補助というものをもっと強めるべきものである、そして税率はさらに落とすべきものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/97
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098・秋山長造
○秋山長造君 私も大臣の方針には全面的に賛成です。ぜひやっていただきたいと思います。おっしゃるだけでなしに、ひとつやっていただきたいと思います。
税務局長にお尋ねしますが、全国の各市町村の国保の実態、あるいは保険税の実態というものについて資料があるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/98
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099・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 実は申しわけないのですが、国民健康保険の実態というものは、詳細な資料は私のほうも持っておりません。また、厚生省にも実は詳細な資料がまだそろってないというのが実情でございます。本年度の予算措置か何かで実態調査をする、詳しい実態を調べるという措置がとられたやに聞いておりますが、これは厚生省の関係でございますので、はっきりしたことは記憶いたしておりません。したがって、私どもとしてはサンプル調査をやりますなり、あるいは、まあラフな資料ではございますけれども、一応税負担がどうなっておるかという観点からある程度の資料を持っておるというにすぎないのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/99
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100・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、自治省が持っておられる資料としては、今私が申し上げました、三十五年度の課税実績について五十四団体について調査したという資料、これが一番新しいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/100
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101・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 詳しい実態調査としては、それが初めてのものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/101
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102・秋山長造
○秋山長造君 これだけ国保の問題が各自治体の重大問題になっておる。しかも、国保財政の内容が非常に苦しくて、しかも、保険税が非常に重いということでありながら、それについての実態をつかむ資料ができていないというのは、どういう——技術的に不可能なことなんですか、そういうことは。たとえば今度の税法改正案を見ましても、法律案なり、あるいは提案説明なりには、保険税のことはしゃべっておられるのですね。保険税のことを書いてある。ところが、もらった具体的な資料の中には、そのどこのページを調べてみても、保険税のことは全然ない、計数が。ほかの税金はみなありますけれども、はなはだ片手落ちじゃないかと思う。保険税というものは、税金であるが税金ではないというお考えですか。地方税の中にちゃんと税とある以上は、税金だろうと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/102
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103・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) おしかりごもっともでございます。私どもも、今申しましたように、税負担の面からのある程度の資料は持っておりますけれども、現実に詳細な資料を集めてそれを分析をしておるという段階に至っていない、こういう意味でございます。と申しますのは、実はこの制度がまま子になっております。これは所管は実は厚生省の所管でございまして、自治省は、給付総額がきまったその総額を税として取るということで、委託を受けておるといういわば形のものになっておるわけでございます。つまり、保険料そのものが、したがって全部税で取るという建前にもなっていない。一部の市町村は保険料として取る、一部の町村は税として取るということで、それらの点についても、実は全面的に税として扱うのだということにもなっていない。こういった、何といいますか、現在の制度がいわばはっきりしていない。私どものほうとしましても、給付総額がきまれば、それを割り当てていって税として徴収をするというだけの仕事でございますので、実際の一線の事務を見ましても、たとえば税であれば、これは地方課が所管として市町村との連絡と指導とを緊密にやるわけでございますが、これは地方課所管でなしに 民生関係のほうの課の所管になっておるといったような関係で、いわばちょっと変則な態勢になっておる。これらの点も、こういった関係の実態がはっきりしない原因になっておると思いますが、それらの点も私は将来のやはり検討問題であろう、こういうふうに考えております。私のほうとして、最近市町村の声が、どうも負担が重いんじゃないかといったような声が高くなって参りましたので、おそまきながら私どもとしても五十四市町村の実態を調べる、こういった作業にかかったのが実情でございまして、おっしゃるように、その点は政府全体としては手抜かりな点がある。この点は率直にあやまらなければならないと思いますが、私どもとしては、厚生省の御調査と合わせて、本年一ぱいこの問題は真剣に取り上げて実態を明らかにして、これはやはり税を軽減すべきであるという結論になりますれば、その線に沿った措置も検討をして参りたい、こういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/103
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104・秋山長造
○秋山長造君 いや、私は先般来いただいた資料を一生懸命探してみたけれども、法律案でも、提案説明でも、何でも、みんな保険税のことを書いてあって、おそらく保険税の総額といったら膨大なものになるだろうと思うが、したがいまして、市町村財政の上で国保の占める比重というものは非常に大きいと思うのです。そういうものであるにもかかわらず、全然これに関する資料とか統計数字が出ていない。そうして税法を読むと、やはり目的税として書いている。国民健康保険税というものが書いてある。これだけ国民皆保険なんかという社会保障制度の重要な一翼をになっておる制度について、しかも、これだけ地方財政に大きな比重を占めておるものについて、何らの統計数字も出ていないということは、はなはだ奇異な感じを持ったのですけれども、今の保険税として徴収しているのは何割くらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/104
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105・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 税でやっておるのが、市町村数で申しますと、大体九割前後。ところが、五大市が全部抜けておりますので、人数の割合になるとぐんと下がってくるというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/105
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106・秋山長造
○秋山長造君 これは厚生省とそれから自治省との所管関係がややこしく入り組んでいるというような事情からそういうことになっている節もあるのじゃないかと思いますが、やはりこれは地方税として税法の中にきちっと保険税というものを入れて、そうしてそれなりの財政計画なり何なりというものが行なわれているとすれば、これは保険税なら保険税に統一をして、そうして今大臣のおっしゃった、やはり保険税の負担が重過ぎるからこれを軽減していくなら軽減していくというようなやり方にならないと、あるところは税金で取っている、あるところはそうでないというようなことでは、ますますこれは国保制度というものが混乱してしまうのじゃなかろうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/106
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107・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 実は、国民健康保険財政は、やはり財政計画外になっております。私のほうが担当しておりますのは、先ほど申しましたように、きまった額を税という形で徴収をしてくれ、こういうことで制度ができているにすぎないのでございます。今回の税法改正でも、いろいろな点が出ているじゃないかというお説でございますが、これはなるほどそのとおりでございますが、これは御承知の、ことし五%国庫補助がふえましたので、機械計算で、従来の医療費の給付総額から本人負担分を除いた額の百分の九十となっておったのを、つまり四五、それを今回は五%上がることによりまして、これが四〇になるわけでございますので、百分の八十に改めるという、単なるこれは機械計算に実はすぎない。根っこのほうは別個のところでもうきまっているというのが実情なので、その点はひとつ御理解をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/107
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108・秋山長造
○秋山長造君 御理解せいと言われても、どうも御理解できぬのですが、政府としてはどっちへまとめていこうとなさるのですか。保険税でまとめていこうとされているのですか、保険料でまとめていこうとされるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/108
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109・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) これは私からお答えして、おしかりを受けるかもしれませんが、その点お許しを願いまして、私ども自治省の税務当局としては、これは税で取るのはかんべんをしていただきたいというのが率直な気持でございます。これは非常に市町村長がこれの徴収のために苦しでおります。したがって、国民年金の制度、ああいった制度でも、あの制度のやり方等もとっていただけないものかという気持が率直な気持でございます。しかし、現在こういう税の制度でも取ってよろしい、むしろパーセンテージはそのほうが高い、そのほうが国全体のためにベターなんだということであれば、これは私どもとしては従来どおりのやり方でやっていきたい。そのかわり、それならばもう少し私どもも真剣にこの問題に取り組んで、私どもの税徴収の立場からするいろいろな要求、これも主管省で十分ひとつお考えを願いたい、こういうのが私どもの気持でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/109
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110・秋山長造
○秋山長造君 大臣はその点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/110
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111・安井謙
○国務大臣(安井謙君) ただいま税務局長が申しましたのは、おそらく今まで御指摘があったように、かなり税率としても無理な税率を課している。市町村自体の会計上の問題から見ても非常に問題が多い。そういうような意味で、これはいわゆる保険というような立場で終始まとめるならば、終始そういうような方向でやってもらったほうが肩の荷がおりる、こういう意味だろうと思いますが、私は現在の国保、国民皆保険というあり方からいうと、やはりこれはどうも国保税という形で地方団体それぞれが徴収をしなければならぬ性格のものになってくると思います。現実にはどうしてもそうやっていくことによって、今度は地方団体との財政状況、あるいは地方住民の負担の状況というものを考えながら、主管省とも相談し、政府として最良の措置をとるようにこれは進めていくべきものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/111
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112・秋山長造
○秋山長造君 もうこれでやめますが、交付税法の一部改正の審議のときに、この問題をもう少しお尋ねしてみたいと思いますけれども、ただ、迷惑がらずに、やはり税法にある以上は、国保税についての資料ぐらいは今後出して下さい、もう少し調べて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/112
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113・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 御所望がものになるかどうか知りませんが、三十五年度の決算の実態、総体的な内訳、ああいう程度はあるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/113
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114・秋山長造
○秋山長造君 それはもらっているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/114
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115・安井謙
○国務大臣(安井謙君) できるだけひとつ、今のような事情で整ってない資料もありますが、御要望に沿うような資料があれば、さらに差し出すというふうにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/115
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116・小林武治
○委員長(小林武治君) これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/116
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117・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/117
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118・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/118
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119・鍋島直紹
○鍋島直紹君 本法案は、地方財政の現状を考慮しつつ、住民税、事業税、料理飲食等消費税、電気ガス税等において、大衆負担及び中小企業者等に対する課税の軽減を行なうものであり、また国と地方及び地方団体問における税源配分の適正化を推進するものでありまして、まことに当を得たものと考えて賛成いたす次第であります。しかしながら、税制の改革は一朝一夕に参らない面もありまして、たとえば私鉄の事業用資産に対する固定資産税は、他の交通機関との課税の均衡上、課税標準の特例を設けて軽減すべきであり、また料理飲食等消費税につきましては、その課税の実態に顧み、当該市町村に税を分与する等、根本的税源配分の問題と合わせて、政府におかれて今後検討すべきものであります。先ほど政府の答弁もありましたが、この点は政府において特に善処せられるよう要望いたす次第でございます。
さらに、公衆街路灯に対する非課税措置の問題でありますが、今回の政府案では、非課税は電気供給規程による割引料金の適用を受けるもの、現在では東京電力、九州電力管内に限られておりますが、町を明るくすることは防犯、交通等の諸事情を考えると、他の地域についてもこれをすみやかに実施することが喫緊の急務とも考えられますので、次のような修正案を提出し、御賛同を得たいと思うのであります。
修正案の案文を読みます。
地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案
地方税法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第四百八十九条第三項の次に一項を加える改正規定中同条第四項を次のように改める。
4 公衆のために道路、橋、公園その他これらに類する場所に照明用として設置された電灯で政令で定めるもの又は火災報知機灯、交通信号灯、航路標識灯、航空障害灯その他これらに類する電灯で政令で定めるものに使用する電気に対しては、電気ガス税は課することができない。
第四百九十条の第一項の改正規定を削る。
附則第三十九条中「、第四項」を削り、同条に次の一項を加える。
2 新法第四百八十九条第四項の規定は、昭和三十七年十月一日以後の分(特別徴収に係る電気ガス税にあつては、同日以後において収納すべき料金に係る分)から適用し、昭和三十七年九月三十日までの分(特別徴収に係る電気ガス税にあつては、同日以前において収納すべき料金に係る分)については、なお従前の例による。
以上修正案を提出いたしました。よろしく御賛同を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/119
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120・秋山長造
○秋山長造君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になっております地方税法の一部を改正する法律案並びにただいま提出されました修正案について反対をいたす者であります。
政府は今回の改正において、所得税の一部を道県民税に委譲し、入場譲与税の廃止、たばこ消費税の二%税率引き上げ等いわゆる税源配分により、差引八十一億円の新財源を地方に与える一方、道府県税、市町村税を通じて二百七十三億円の減税を行なったとしながら、しかも総額においては千五百七十八億円の増収を見込んでおり、これによって減税、地方独立財源の充実、税負担の均衡化、合理化の三大方針が貫かれたとされているのでありますが、その内容をつぶさに検討するとき、われわれは大きな矛盾と不合理、不徹底を強く指摘せざるを得ないのであります。
第一に指摘したいことは、国税、地方税を通じて国民の税負担が今なおきわめて重い点であります。税制調査会は、その第一次の答申においても、第二次の答申においても、わが国の税負担が戦前と比べても、また諸外国との比較においても、なお相当に過重であり、さしあたり少なくとも国民所得の二〇%程度に押えるべきことを繰り返し強調しているのであります。しかるに今回の税制改正はこの調査会の答申を尊重して行なわれたはすでありながら、国税、地方税を通ずる税負担率は実に二二・二%に達しており、前年度当初の二〇・七%をはるかに上回り、戦前平均の一二・九%の実に二倍近い比率を示しているのであります。しかも二二・二%という数字は当初予算の数字でありまして、莫大な自然増収をあげている例年の実績からすれば、年度末決算においてはおそらく二四%以上にもはね上がることが予想されるのであります。かくして税制調査会答申の基本目標たる税負担率二〇%の線は完全に破られ、枝葉末節のちびちび減税でお茶を濁された政府の態度は、税制調査会の答申を無視し、国民の期待を裏切るもはなはだしいものと言わなければなりません。
第二の問題点は、今回の改正はきわめて不徹底、不合理に終わっていることであります。減税と地方財政の充実強化という二つの要請を同時に満たすためには、国税、地方税を通ずる抜本的な改革が必要であり、少なくとも当面の措置として交付税率とたばこ消費税率をそれぞれ三〇%程度まで引き上げることが絶対の急務でありますのに、税制調査会答申もこれに触れず、政府案も技術的改正にとどまった結果、いずれも不十分、不徹底であり、結局、地方財政の矛盾が住民負担にしわ寄せされる結果に終わったことははなはだ遺憾である。特に昨年の税制改正によって所得税の減税の住民税への影響を断ち切ったため、本年度所得税についてせっかく専従者控除や基礎控除が引き上げられましても、住民税には恩恵が及ばす、地方税は住民税を中心として相当過酷な増徴にならざるを得ないのであります。
第三は、府県民税の問題であります。府県民税は、今回所得税の一部を委譲して府県民税を増税されることになっておるのでありますが、従来の累進税率を廃止しまして、百五十万円まで二%、百五十万円をこえるもの四%という二段階の比例税率にされたのであります。この結果、独身者十五万円の所得の場合実に一五〇・四%、三十万円の場合一二三・四%、五十万円の場合六七・九%の増税になるわけであります。また夫婦に子供三人という標準家族について見ますと、五十万円が八二・一%、七十万円五二・二%、百万円三〇・六%、二百万円五・九%、二千万円〇・七%というように、低所得階層に非常に重く、そうして大所得階層には相対的に軽い。こういう逆進的な課税になっておるのであります。これについては、国税との総合において見れば、低所得階層は相当の減税になるという説明がついてはおるのでありますけれども、しかし今日のこの減税という要請はこれは国税、地方税を通じての全般的な強い、要請でありまして、道府県民税についてこのような逆進的な増税が行なわれるということは、私どもは国税に対する重税の責任をいわば地方団体に転嫁し、さらに低所得層へ転嫁されておると言わざるを得ないのであります。で、比例税率につきましても、自治体の場合は応益原則というものが非常に強く強調をされておりますけれども、応益原則的な面があることは十分私どもは認めますが、それについては住民税に均等割というものが設けられているわけでありまして、均等割で応益原則を盛り込み、そうして所得割においてはあくまで所得税なりその他の税金の原則に従って累進税率をとることがやはり公平の原則に合致するのではないかというように考えるものであります。
それから第四は、入場譲与税の問題であります。政府は百八十一億の所得税の道府県民税に対する委譲と差しかえに、入場譲与税百七十億円の税収のあったものを国のほうに取り上げてしまうわけですが、入場譲与税は申すまでもなく人口比例で配分をされておりまして、後進県の財源の補充強化に相当役立っておったことは否定できないのであります。こういう財源調整的な機能を持った税金を、この際道府県民税と差しかえに一気に取り上げてしまったという点に、私どもははなはだ割り切れないものを感ぜざるを得ない。この税金は廃止さるべきではなかったと私は信ずるのであります。
第五の点は、市町村民税についてであります。市町村民税の所得割について、本文方式とただし書き方式とがあることは申すまでもございませんが、全国の市町村の八〇%以上を占めておるところのただし書き方式採用の団体と、本文方式採用の団体とでは、同じ所得にいたしましても税額というものがずいぶん違うのでありまして、たとえば四十万円の所得のある標準家庭で計算してみますと、本文方式で千四十円、ただし書き方式で四千二百円、実に四倍、四分の一という大きな隔たりが出てくるのであります。税金はあくまで公平の原則が貫かれなければなりませんし、今回の税制改正におきましても、その負担の均衡化、合理化ということが強調され、そしてその趣旨を受けまして、本文方式とただし書き方式とのこの不均衡を是正するために、税金控除として扶養親族について六百円の標準額を法定をされておるのであります。そしてその結果どういうことになるかと申しますと、先ほどの四十万円の標準家庭について三千八十円ということになります。確かに現行の四千二百円に比べますれば若干の是正がなされるわけでありますけれども、なおかつ本文方式に比べまして三倍の税金がかかるという結果になっておりまして、この市町村民税所得割についての本文方式とただし書き方式との矛盾は、一向に解決されておらないのでございます。
さらに、後ほど申し上げます国民健康保険税が貧弱町村の場合過重にこれに加わりますので、貧弱町村に住む地方住民の負担というものは、これは富裕団体に住む町村民の負担に比べて一そう過重になっておるという結果になるわけでございまして、租税の不均衡は一そう拡大されておることになっておるのであります。
第六は、料理飲食税についてであります。料理飲食税につきましては従来場所による区分がございまして、高級料理店あるいは待合、キャバレーというような高級飲食の場所については一五%、それから大衆飲食については一〇%という税率区分がなされておったのでありますが、今回は場所の区分を廃止いたしまして、三千円以上一五%、三千円以下一〇%という金額の区分に切りかえられたのであります。私どもは、従来とも高級料理店るあいは待合、キャバレー、バー、そういういわゆる高級飲食あるいは遊興的な飲食については、税の捕捉がむずかしいために相当の脱税が行なわれておったことはこれを認めざるを得ないのであります。で、そういうことであるならば、この際これを場所の区別を、区分を廃止して金額で区分するというやり方に切りかえる前に、まず高級飲食についての料理飲食税の徴収をもっと徹底して強化さるべきではないか。しかも五百円、大衆飲食については五百円の免税点はそのまま据え置かれておるわけでありまして、今日のこの物価の動き等を勘案いたしますと、この五百円の免税点はもっと引き上げられてしかるべきではなかろうか。この料理飲食税につきましても、こういう点を検討いたしますと、結果的にはやはり大衆飲食、つまり大衆に料理飲食税の負担が片寄っておる。ある意味では転嫁されておるきらいがなしとしないことを指摘せざるを得ないのであります。巷間伝えられております外人観光客に対する免税の措置を復元するというような説は、これは今日の料理飲食税の実態その他から考えて、これはもってのほかのことだと思うのでありまして、政府においても断じて既定方針を曲げてはならないと強く要求しておきたいと思うのであります。
第七は、固定資産税並びに電気ガス税の問題でありますが、特に電気ガス税については、かかる税金は思い切って撤廃に持っていくべき筋合いのものであります。特に大衆に対する電気ガス税についてしかりでございますが、今日電気ガス税はわずかに一割程度の引き下げに終わっておるにもかかわらず、大企業に対しましては大幅な減免がなされておるのであります。で、統計数字によりますと、国税たる租税特別措置法については、実に大企業に対して千七百億円に上る減免措置がとられておるのでありますが、このはね返りによって、地方税におきましても四百三十八億円、また固定資産税、電気ガス税その他について実に四百五十九億円、合わせて国税千七百億円、地方税について八百九十七億円、二千六百億円の膨大な減税が行なわれておるのであります。少なくともこれを一気に整理してしまうということは諸般の事情からできないにしても、少なくとも二割程度はこれは整理すべきではないか。そうすることによって、大衆の電気ガス税というものが今回の一割引き下げというような不徹底な措置でなしに、さらに三割程度引き下げることが計数的にでき得るのではないかと私どもは考えるわけでございます。さらに固定資産税につきましては、農家のこの生産実態にかんがみますときに、農家に対する固定資産税については、その課税標準について少なくとも評価価格の三分の二程度にすべきではないか。こういう措置をとりましても、先ほどの大企業に対する減免措置を二割程度復元いたしますれば、それでおつりが出るぐらいになると思うのであります。
それから第八の点は、国民健康保険税の問題であります。国民健康保険税が弱小町村において、また低所得階層に対して非常に過重であるということは、この委員会の審議を通じまして十分認められたところだと考えるのであります。であるならば、どうしてもこの社会保障制度の立場に立って、政府がもっと思い切った経費負担、補助金の増額を断行する以外にこの住民負担を軽減し、そうして富裕団体と貧弱団体との格差を是正し、地方財政の窮境を救っていく道はなかろうと思うのでございまして、今回の府県税の減免程度では、これは焼け石に水と言っても過言ではないと思うのでございます。
さらに先ほどの鍋島委員から提出されました修正案についてでございますが、この修正案の内容はその趣旨において私どもも必ずしも反対する者ではございません。今日街路灯については、交通上の問題あるいは防犯上の観点からして、街路灯の普及、さらに街路灯の整備ということは、これは時代の強い要請だと思うのであります。ただしかし、今日電気料金の割引制度をとっておる九州電力並びに東京電力の管内におきましては、すでに免税措置がとられておるのでありまして、その他の地域についても、今回のこの修正によりまして電気ガス税の免税が行なわれるわけでございますけれども、しかし、この修正案をもってしては依然としてこの割引料金制度をとっておらない大多数の地域のものは、そのままこの料金については割引をしないで全額徴収される実態をそのまま黙認する結果になると思うのであります。御承知のように、わが社会党は、昨年の三十九国会に、これらの点にかんがみまして街灯整備促進法案を立案をし、国会に提案をいたしたのであります。そうしてその内容は、ただ現に存在いたしておるところの街路灯その他について免税措置をとるということにとどまらないで、さらに街路灯については、これに対して国が財政的な援助を与える。さらにまた地方公共団体に対しましても、交通の安全の確保あるいは犯罪の防止等の観点から、街路灯の整備を義務づけていく。それから同時に、この税金については、電気ガス税についてはもちろん免税されますが、さらに電気料金につきましてもこれを割引していくべく電力会社に義務づけるという徹底した内容を盛った法案を提案をいたしたのであります。この特別立法によって思い切った措置をとらなければ、なかなか今日の交通問題なりあるいは防犯問題なりの根本的な解決はできないと考えます。そのような意味において、この修正案は趣旨はけっこうですけれども、はなはだ不十分、不徹底なるがゆえに私どもとしては賛成することができないのでございます。
以上申し上げましたように、今回の改正案は、国税の場合と同様、依然として大企業、大所得層には甘く、また低所得階層にはきわめて過重である。まともな減税をやりながら、しかも地方財政を充実し、団体間の格差を是正していく道は、前に述べましたとおり、大企業に対する特権的な減免措置を思い切って整理するとともに、たばこ消費税、地方交付税の税率を大幅に引き上げる以外にはないでしょうし、また究極的には国庫負担、補助金等の再検討をも含めた国税、地方税を通ずる抜本的な改革を待たなければならないのでありますが、今回の改正案はその趣旨に隔たることあまりにも遠いがゆえに、私どもはあえて本改正案並びに修正案に対して反対せざるを得ないのであります。
以上をもって私の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/120
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121・基政七
○基政七君 私は民主社会党を代表して、本案に賛成する者でございます。
ただいま提案されましたる地方税法改正案に対する修正案は、私どもが多年念願としていた地域住民に対する電気ガス税の課税を廃止する方向に一歩近づいたものとして双手をあげて賛成いたします。修正案に掲げられておる公衆街路灯については、九州、東京両電力会社管内におきましてはすでに非課税になっておるのでございまして、課税公平の大原則から見て、これから他地域にも一日も早く実施することは私ども立法府としてきわめて当然の任務であります。また電力会社はいずれも公益事業でありまして、その事業に対しては公益を優先にする建前でありますから、この修正案に即応して一日も早く処置をとるのが当然でありまして、本修正案はまことに円滑に実施されるものと確信いたします。地方税改正案全体については、ほかにも修正を要する点もあるとは存じますが、一応地方住民負担の公平化と軽減への第一歩として、わが党は本修正案に賛成をいたすものであります。
以上で討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/121
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122・小林武治
○委員長(小林武治君) これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/122
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123・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないものと認めます。
これより採決に入ります。まず、討論中にありました鍋島君提出の修正案を問題に供します。鍋島君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/123
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124・小林武治
○委員長(小林武治君) 多数でございます。よって鍋島君提出の修正案は可決されました。
次にただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/124
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125・小林武治
○委員長(小林武治君) 多数でございます。よって本案は多数をもって修正すべきものと議決せられました。
なお諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/125
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126・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
次回は三月二十九日午前十時開会とし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時三十九分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01819620327/126
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