1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月二十九日(木曜日)
午前十時三十七分開会
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委員の異動
三月二十八日委員石原幹市郎君辞任に
つき、その補欠として小幡治和君を議
長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 小林 武治君
理事
野上 進君
増原 恵吉君
秋山 長造君
基 政七君
委員
小柳 牧衞君
西郷吉之助君
館 哲二君
津島 壽一君
鍋島 直紹君
鈴木 壽君
矢嶋 三義君
国務大臣
文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
自 治 大 臣 安井 謙君
政府委員
文部省管理局長 杉江 清君
自治政務次官 大上 司君
自治省財政局長 奥野 誠亮君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
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本日の会議に付した案件
○地方公務員共済組合法案(内閣提
出)
○地方公務員共済組合法の長期給付に
関する施行法案(内閣提出)
○地方交付税法の一部を改正する等の
法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/0
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001・小林武治
○委員長(小林武治君) ただいまから委員会を開会いたします。
初めに委員の異動について御報告いたします。
三月二十八日付をもって委員石原幹市郎君が辞任され、その補欠として小幡治和君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/1
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002・小林武治
○委員長(小林武治君) まず、地方公務員共済組合法案及び地方公務員共済組合法の長期給付に関する施行法案の両案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。安井自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/2
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003・安井謙
○国務大臣(安井謙君) ただいま議題となりました地方公務員共済組合法案につきまして提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
御承知のとおり国家公務員の退職年金制度は、すでに三年前からいわゆる恩給制度を共済制度に切りかえ、その給付内容を改善し、官吏及び雇用人を通ずる統一された退職年金制度として実施されているのでありますが、地方公務員につきましては、依然として、恩給方式によるもの、共済方式によるもの等、地方公共団体により、また、公務員の職種、身分により、その適用される制度が複雑不統一であり、かつ、その給付内容も国の新制度に比して低く、改善を要する点が少なくないのであります。
政府としては、地方公務員の生活の安定と福祉の向上に寄与し、公務の能率的運営に資するために、地方公務員についても、すみやかに国家公務員に準じて合理的な退職年金制度を確立することが必要であると考え、かねて地方制度調査会に諮問し、その答申に基づき、検討を重ねて参ったのでありますが、ここに成案を得るに至ったのであります。すなわち、地方公務員についても、国家公務員の制度に準じて、統一的な共済組合制度を設け、これに長期給付のほか短期給付及び福祉事業を行なわせることとしたのであります。
以上がこの法律案を提出した理由であります。次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
第一に、地方公務員共済組合の組織につきましては、地方公共団体及び職種の別により、地方職員共済組合、公立学校共済組合、警察共済組合、都職員共済組合、指定都市職員共済組合、市町村職員共済組合及び都市職員共済組合に区分し、さらに市町村職員共済組合及び都市職員共済組合については、それぞれ全国組織の連合会を設けることとしております。
第二に、すべての地方公務員は、いずれかの組合の組合員となることとし、すべての地方公務員共済組合の組合員期間または国家公務員共済組合の組合員期間は、通算することとしております。
第三に、長期給付の制度につきましては、退職給付、廃疾給付及び遺族給付を行なうものとしておりますが、その内容は国家公務員共済組合の長期給付の制度に準ずることとしております。
第四に、短期給付及び福祉事業の制度につきましても、組合は、国家公務員共済組合の制度に準じて、保健給付、休業給付、災害給付等の短期給付を行なうものとし、また、同時に福祉事業を行なうものとしております。
第五に、組合の給付に要する費用につきましては、組合員の掛金及び地方公共団体の負担金をもって充てるものとし、短期給付については、掛金百分の五十、負担金百分の五十、長期給付については、掛金百分の四十五、負担金百分の五十五とし、また、組合の事務に要する費用は全額地方公共団体の負担とすることとしております。
その他のおもな事項は、組合の資金は、安全かつ効率的な方法により、かつ、組合員の福祉の増進または地方公共団体の行政目的の実現に資するように運用する建前とすること、組合の給付に関する決定等に不服がある者について審査の請求を処理するため審査会の制度を設けること、地方公務員共済組合制度に関する重要事項を調査審議するため、地方公務員共済組合審議会を設けることなどであります。
なお、地方議会議員互助年金法附則第四項の規定に基づき、同法を廃止して、地方議会議員の年金制度に関する規定をこの法案の中に統合することといたしました。
以上がこの法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
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次に、ただいま議題となりました地方公務員共済組合法の長期給付に関する施行法案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
政府は、地方公務員の生活の安定と福祉の向上に寄与し、公務の能率的運営に資するため、さきに地方公務員共済組合法案を提案して御審議を願うことにしたのでありますが、同法の施行に伴い、長期給付に関する経過措置等を定める必要がありますので、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。
第一に、組合員の施行日前の地方公務員としての在職期間につきましては、原則として、地方公務員共済組合の長期給付に関する規定の適用を受ける組合員期間に通算することといたしております。
第二に、施行日の前日に新法の最短年金年限より短い年金年限の退職年金条例または共済条例の適用を受けていた組合員につきましては、いわゆる期待権を尊重するよう、受給資格の特例を設けることといたしております。
第三に、施行日前の地方公務員としての在職期間を有する者の退職給付の額は、退職年金条例の規定の適用を受けた期間、共済組合の組合員期間、施行日以後の組合員期間等に応じ、それぞれの制度における退職給付の支給率等により算定した給付額の合算額とし、既得権を保障するよう配意することといたしております。
第四に、恩給公務員期間を有する者、国の共済組合の組合員期間を有する者等であったものの長期給付につきましても、第二及び第三の場合と同様に、経過措置を設けることといたしております。
第五に、施行日の前日に消防職員、警察職員及び船員組合員であった者に対する長期給付につきましては、旧制度の取り扱いの特例に見合う経過措置を設けることといたしております。
第六に、長期給付に関するその他の事項につきましても、必要な経過措置を規定することとしたほか、地方議会議員互助年金法の規定による互助会の会員であった地方議会議員共済会の会員についても、必要な経過措置を規定することといたしております。以上がこの法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/3
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004・小林武治
○委員長(小林武治君) 両案の質疑は後日に譲ります。
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005・小林武治
○委員長(小林武治君) 地方交付税法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/5
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006・秋山長造
○秋山長造君 大臣にちょっとお尋ねをしておきますが、今度の交付税の改正の中に、税外負担の解消に百億円交付税で見られております。この百億円は市町村の税外負担の解消にねらいが置かれておると思うのですが、国から府県に対してやはり同じような税外負担が非常にかかっている面が多々あると思う。で、一番端的な例は、今度国立の工業高等専門学校が全部で十二校新設されることになっているわけですが、この国立工業高等専門学校の設置に伴って実に膨大な地元負担がかけられておる事実を御承知でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/6
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007・安井謙
○国務大臣(安井謙君) そういうお話を実は漏れ聞かぬでもないのでありまして、そういうこともないようにということを心がけておりまして、私のほうでは正式に文部省へも通牒を出しまして、地元に対して負担をかけるようなことのないようにという通牒も出している次第であります。実際上、今おっしゃるような問題が若干まだあろうかと思っております。しかし、おもな土地といったようなものにつきましては、今後できるだけそういうことはなくして、もし年度内で不足すれば、さらに予算措置を請求するような態度でこれを出し、整備していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/7
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008・秋山長造
○秋山長造君 実は地方団体においては、新年度当初予算がもう交付の団体はすでに決定しておるわけです。そのすでに決定を見た地方団体の予算の中に、すでにもう組み込まれておる経費がほとんどだと思う。これは私が直接調べたのではありません。三月二十五日号の「朝日ジャーナル」の中に載っておった数字ですが、寸分違わぬというものかどうかということは別として、私、大筋においては正確な数字だと信じておるのですが、それによりますと、全国十二校のうち、たとえば旭川については、市費から八千七百八十六万円、それから平については、平市から七千万円、隣接市町村から一千万円、福島県から一億円、その他特殊寄付として二千万円。それから群馬県、これは前橋、高崎両方にまたがるわけですが、県から五千万円、関係市町村から四千七百七十万円。その内容は、前橋と高崎が折半、こういうことになっておるのです。それから沼津の高専については、静岡県が七千五百万円、沼津その他の市町村で七千五百万円ですね。それから鈴鹿については、市から四千九百六十万円、県のほうは、まだその当時は確定していなかったようですが、あるいはすでに確定しておるかもしれません。それから明石については、兵庫県から七千五百五十万円、明石市が一億三千万円ですね。それから香川県の高松は、県、市がそれぞれ五千万円、その他特殊寄付として三千万円。山口県の宇部では、県から五千万円、市から八千四百万円、その他山口県の各市総計で五百三十万円、それから町村で二百七十万円、それからその他特殊寄付三千万円。それから新居浜、佐世保については出ておりませんがね。今読み上げた数字だけでも計十一億円ですね。これだけの膨大な地元負担を関係団体に押しつけているという結論になろうかと思うですがね。こういう事態に対して、税外負担を廃止していくという政府の方針、自治省の方針というものと、これは全く大幅に逆行しているわけです。逆行どころじゃない、もう自治省のこの方針というものは頭から踏みにじられていることになると思うのですがね。これはどうお考えになりますか、こういう事実を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/8
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009・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 仰せのとおり、従来からの長い慣習で、国立の高等専門学校あるいは大学を作ります際、どうも、地元に相当の負担をさせるというのが、これは明治以来の長い習慣になって参っております。しかし、こういうことは決して好ましいことじゃございませんし、また、やらせちゃいかぬというようなことで、逐次これは——従来も厳重に警告をいたしており、今度も、先ほど申し上げましたように、正式に文部省にも通牒を出して、そういうことのないようにということを勧奨しておるわけであります。文部大臣も、今度の場合につきましても、これは地元のいわゆる有志の負担というような形のものはやむを得ぬが、強制的でないように気をつける、こういう言明もしております。よく調査いたしまして、当然国の予算で組んでいくべきものというふうになってくれば、整理の上、これは逐次予算要求をするべく、自治省としては文部省にも要請をいたしていきたいと思っておる次第でございまして、まあ従来の長い古い慣習がございますので、一挙に全部がきちんと本年度中に整理できるというふうにも参りかねるかと思いますが、逐次そういったものを整理していこうという強い態度を出していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/9
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010・秋山長造
○秋山長造君 これは、自治省の一片の申し入れが守られなかったとかどうとかという、ただその行政運営上の問題でなしに、私は地方財政法違反じゃないかと思うのですがね。で、第四条の五に、国家行政組織法に基づいて設置される機関に対しては割当的な寄付をさせてはならぬということをきちっときめてある。また地財法の十二条でも、地方団体が処理する権限を有しない事務に要する経費を地方団体に負担させてはならぬということで、その内容が例示的に掲げられておりますが、その中に、「国の教育施設及び研究施設に要する経費」、こういうように出ているわけですから、これはもう国立の学校に対して、地元負担をかけてはならぬということは、これはもうきわめて地方財政法によって明定されておるわけなんですがね。にもかかわらず、しかも、その上に自治省が——自治省だけじゃありません。政府として、税外負担をこれはもう徹底的になくしていくという強い方針を出されておる。で、それだけやっておって、なおかつ、こういうことが白昼公然と当然のことのように行なわれておる。ですから、これはもう国がまずそういうことをみずから模範を示すのですからね。だから少々、百億ぐらい、交付税の中に市町村の税外負担を解相するとかなんとかいうようなことで見込んでみても、これはもう全く効果は私はないと思うのですね。しかも、国立高専と同時に、地方においては例の高校急増対策で非常な問題が起こっておるときですからね。だから国から県へくれば、県から市町村へくるにきまっている。市町村はまたそれをさんざんやった結果、相当部分をPTAその他一般住民におっかぶせていくにきまっておるので、まずそれは税外負担をほんとうにやめようと思うならば、政府自身がまず模範を示さなきゃだめです。ですから、この点は、これは実態を調べて、そして足らぬ経費はもう補正予算ででもというような、おざなりなことでは私は済まぬと思うのですが、これはどうされるのですか、一体。また自治省のほうには、こういう——今申し上げているのは、これは国立の工業高等専門学校の新設についてだけのことを申し上げているわけですけれども、これはもう一事が万事だと思うのです。似たりよったりな税外負担というものを政府のほうがずいぶん地方団体にかけていると思うのですがね。そういう国が本来負担すべきものを、地方団体へ負担させておる税外負担というものが、一体どれだけあるのかということについて、何か統計数字がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/10
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011・安井謙
○国務大臣(安井謙君) まあ税外負担はいろいろ取り方もありますが、大体三十五年度で、市町村、県を通じて三百五十億ぐらいなものじゃなかろうか。これは毎年々々漸減されております。三十四年度から比べましても相当額減っておることは事実でございますが、しかし、まだ御指摘のような弊習が残っておりまして、これはもう何としても今後鋭意解消するように努力しなきゃならぬと思いますし、まあ具体的な手を、今後予算の整備といったようなほうからもやっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/11
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012・秋山長造
○秋山長造君 何か数字がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/12
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013・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 今、大臣がお話しになりました数字は、都道府県、市町村が公費で負担すべきものを住民に転嫁しているそのものが、三十五年度の実績で三百工十億円あるということでございます。御質問になっておりますのは、さらに国の機関の負担すべきものを住民に転嫁していく、それがどれくらいに上るであろうかということであろうかと思います。昭和二十三年に地方財政法が制定されまして、負担転嫁を排除するという精神が強く出て参ったわけでございますが、国会におきましても、裁判所でありますとか、あるいは警察署でありますとか、そういうような関係の経費が住民に転嫁されている、それを排除すべきだということで、かなりきつい御論議があったことを承知いたしておるわけでございます。そういうことが契機になりまして、私たちはほとんど解消してきたと、こう思っておったわけでざいます。自衛隊の誘致なんかにつきましてもそういうような問題があったわけでございますが、今日においては、そういう姿はなくなってしまいました。たまたま今度の工業高等専門学校の設置にからみまして誘致運動が非常に激しい。そういうようなところから、地元のほうでは進んで金を出すと言いましょうし、文部省のほうでも積極的にそれを期待するというような格好になって、今日混乱した事態を生じておるわけでございます。そういう関係でございますので、国の機関が住民に特に負担を転嫁しているというようなものは私たちはないと思っておるのであります。そういうような気持でございましたので、従来調査もいたしておりませんでした。たまたま今度の工業高等専門学校の問題をめぐりまして、私たちも非常に憂慮をいたしておるわけでございまして、いろいろ努力を続けておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/13
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014・秋山長造
○秋山長造君 割当的な寄付はしてはならぬとか、あるいは国で負担すべきものを地方に負担さしてはならぬということは、同時に、当然今の事態のもとでは、地方が、かりに形式的には地方の方が負担を申し出るという形に全部してあると思うのですよ。その点は言い抜けのためにしてあると思うのですけれども、事実上は、実質的にはそうじゃないんでね。これはもう文部省自身も、これは当然負担をすべきものという態度で事に当たっておると思うのです。ですからこれは形がどうあろうとも、これはもう財政法の規定にも、精神にも全く逆行していることはきわめて明々白々だと思うのですがね。で、こういうことについて、先ほど大臣は、文部大臣へ再々申し入れをしたけれども聞かれなかったとかいうような趣旨の御答弁があったんですがね。そういうことでただこれを自治省は自治省の立場、文部省は文部省で独走するというような形で一体よろしいのかどうか、これはどうですか、政務次官。あなたのところの明石についても、相当膨大な寄付がある。地元負担がかかっているのですがね。もしこういう税外負担の解消というような問題についてすら、ただこれは単なる自治省の事務的な方針にすぎない、希望的方針にすぎぬ、だからほかのお役所はまたそれに逆行したことをどんどんやられても、仕方がないで泣き寝入りをするよりしようがないんだ、こういう方針なんですか。それとも税外負担をなくしていくということは、政府全体、内閣全体の確固たる方針じゃないのかどうかですね。これはあまりにも露骨ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/14
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015・大上司
○政府委員(大上司君) お説のとおり、実はこの問題につきましては、昨年と思うのですが、参議院の文教委員会におきまして、いろいろ御質問がございました。そのときには私のほうから私が出て、荒木文部大臣も出ておりましたが、そのときに、いわゆる昭和三十六年の九月十二日、その通達は、大臣または財政局長から御説明があったと思いますが、高等専門学校については、特にわれわれのほうから、いわゆるこれに基づいて税外負担の起こらないようにどこまでも用地は国でやるようにということを通達を出したのですが、自来引き続いて衆議院等においても、諸先生から御質問がございましたが、ただいま先生のおっしゃるように、この点につきましては、どこまでもわれわれは税外負担——すなわち国が処理すべきであるということでございます。したがいまして、この方針は、ただいま先生の御質問の核心かと思いすまが、政府としてわれわれは当然これは自治省一本だけの申し入れ事項でもなければ政策でもない。全体的な確固たる方針のもとに、われわれはこの点を強力に打ち出しておるというのが建前でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/15
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016・秋山長造
○秋山長造君 これは、委員長にお願いしますが、文部大臣を呼んでいただきたいと思うのです。政府全体の方針だろうと思う。そうでなければ地方財政計画にしても、交付税法の改正にしても、私は、何らの権威がないし、われわれはそれほど真剣になって取り組む価値はないと思うんですよね。ただ自治省だけの事務的な行政指導の方針にすぎぬというようなことであればね。この各団体が、あるいは文部省に言わせれば、強制したんじゃない、それは自発的に寄付を申し出たのだというようにおっしゃるかもしれぬ、これは聞いてみなければわからぬけれどもね。しかし、だからといって、これらの団体がみな富裕団体で、不交付団体で、この交付税なんかの御厄介になんかなっていない、それぞれが自前で相当な富裕な財政をやっているというようなことじゃないんですからね。これはどの団体を見ましても、今私があげた団体で今度の工業高等専門学校の設置される団体で、富裕団体というものはないのですからね。不交付団体は一つもないのですから。そういうことは全くさたの限りだと思うのですよ。特に敷地については云々という、用地については地元負担をかけないように特に配慮しているというようなことを先ほど大臣もおっしゃっておったんですけれどもね。これは学校の場合は、もう少なくとも用地についてはこれは地元負担、地元寄付というのが、これはもう常識になっているのですね。これは明治以来の常識であると同時に、今日、ただいまにおいても常識なんです。これはもう何もこの国立の学校だけじゃありません。今度の高校急造対策として各府県でやっている高等学校の新設、あるいは増設その他につきましても、全部敷地はもう地元負担のこれが中心ですよ、地元寄付はね。だから、そういう事態に目をつぶって、そうしてただ税外負担解消というようなことを幾ら言ってみても、これは全くのから念仏でね。なるほど、この前も財政局長がおあげになったのですが、三十二年度と三十五年度とを比較されて、若干税外負担が減っているというようなお話もあったのですけれどもね。この前も申し上げたように、これは、この三十二年度と三十五年度とのどうも形式的な数字の比較にすぎぬのです。これは今度の高校急造対策なんかの問題をめぐっての税外負担というものは、これは新しい問題でね。これは集計されたかどうか知らぬけれども、おそらくこれを集計されたら、減ったという数字は私はまた逆転すると思うのですがね。だから、これは納得できませんよ。三百五十億円の税外負担に対して百億ということも納得できぬが、同時に、今申し上げますような事態がどんどん手放しで進行していくということを考え合わすと、一そう納得できぬと思う。とりあえず政府が、国立の学校の経費を地方団体に、すでに出てきただけでも十一億以上のものを地方団体に押しつけている。この事実に対して、これは明確な政府としての統一見解を聞かしていただきたいと思う。ですから、これはこの問題は、あなた方ばっかり責めてもこれはらちがあかぬ。文部大臣が午後見えてからあらためて御質問しますが、自治省としては、こういうことは財政法違反だと考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/16
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017・大上司
○政府委員(大上司君) これはわれわれのほうといたしましては、財政法違反と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/17
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018・秋山長造
○秋山長造君 さらに自治省は、この国会に地財法を改正して、そうして高校急増対策費が市町村に負担を転嫁されないように立法するという予定だったんですが、それがいまだに進んでおらぬようですね。のみならず、もう大体出さないということになるように私ども聞いておるのですが、事実はどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/18
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019・大上司
○政府委員(大上司君) 立法の作業の進め方、あるいは他省と申しますか、法制局あたりの関連性もあるかのように思いますので、間違ってはいけませんので、事務局から説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/19
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020・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) お話のように、自治省といたしましては、府県の経費を市町村に転嫁させる、あるいは住民に転嫁させる、こういうことを排除したいということで、数年来苦慮し、また、その方面の努力をしてきているわけであります。しかし、究極的には法律的な禁止にまで及ばなければ、とうてい完全な排除も早急に期待することは困難だ、こういう結論を持ったわけであります。したがいまして、今までも高等学校の経費について、府県が負担を転嫁することを排除するための立法をしたい、こういうことを申しても参りましたし、そういう方向の研究もいたして参ったわけであります。たまたま、さて法律を作るという段階になりまして、いろいろ検討して参りますと、すでに負担の転嫁、と言うと若干語弊があるかもしれませんけれども、この誘致などをめぐりまして、相当多くの市町村なり、あるいは住民なりが府県に対しまして現実に寄付をいたしております。また三十七年度以降にわたっての寄付の申し入れもいたしているようでございます。ここで新たに禁止をするということになりますと、もちろん申し入れをいたしましたものも、これは効力を失いまして、寄付をしないでよろしいことになるかと思うのであります。さらに、従来寄付してしまっているものが、またそれとの関連においてどうなるかということになりますと、いろいろ混乱を生じてくるのじゃないか、こういう心配も持ち出したのであります。何かそういう混乱を起こさせないで、すっきり負担の転嫁を排除できるような立法措置はないものだろうかといろいろ考えて参ったのでありますが、なかなかいい方法がないわけなんであります。そうしますと、特別な混乱を起こさせないで負担転嫁を排除していくということになると、強力な行政指導にその方途を求める以外にないんじゃないだろうかというようなことを考えたりいたしまして、そういうような考え方の過程におきまして、いまだに立法の踏み切りがついていないというのが現状でございます。一両年以前からこの問題が進行して参ってきているものでございますので、この進行途上にある問題について法律的に禁止規定を設けるということが、何かそこに混乱を起こすんじゃないだろうかという心配を持つわけでございまして、そういう心配もあるわけだから、むしろ強力な行政指導をもってしたほうが円滑に転嫁排除は行なえるのじゃないだろうかというような考え方も内部にあるわけでございまして、両方の考え方がいろいろ議論されながら今日に至ったというのが、全く偽りのない実情でございます。いい知恵がありましたならば、われわれは立法化をしたいと思います。また立法手段によらなければなかなか根絶をさせるということはむずかしいのじゃないかという心配も内部では持っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/20
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021・秋山長造
○秋山長造君 そうしますと、事実の動きとしては、高校急増対策がひときりつくまでは、もう今までどおりでやらせるということは、結局、高校急増対策というものはやっぱり地元負担、あるいはさらに税外負担でやってもらう、こういうことに事実上はなりますわね。これは法律でこれだけあなた方が勢い込んでおられたものを、もう立法はあきらめるということになれば、これはもうそれを裏返しにすれば、これは処置なしだ、お手あげだと、こういうことになるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/21
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022・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 私たちは負担転嫁を排除するという熱意は少しも衰えていないつもりでございます。ただ、どのような方法が一番ベターであるかということについて苦慮しておるということでございます。現在までとっております方向は、すでに御承知のように、地方財政計画にも計上しておりますし、地方債券を基準財政需要額に算入しておるわけでございます。高校急増対策をめぐってそういう傾向が増加しないかということをおそれますために、従来の高等学校の経費にかわります基準財政需要額はそのままにいたしておりまして、そうして急増対策のものを別個追加するというような基準財政需要額の加算方式をとっておるわけでございます。したがいまして、高校急増対策については、所要額の全額を府県の基準財政需要額に追加しておるということを法律上明確にすることによって、市町村なり住民なりへの転嫁の必要がない点を明らかにしたい、こういうようなことでございます。
さらにまた、負担転嫁の場合には、多くは土地の提供というようなことでございまして、したがまいして、従来土地の購入について地方債をつけていなかったわけでございますけれども、三十六年度、二十三億円の高等学校の土地購入費の地方債の許可をいたしましたし、さらに三十七年度におきましても、四十億円程度の地方債の許可を予定しておるわけでございます。府県が市町村に提供を求めないで自分で購入するなら、府県のその部分について地方債をつけます、こういうことを三十六年度来言明いたしてきておるわけでございまして、そういう方向が負担転嫁を思いとどまらせる方向に参ってきておると存ずるのでございます。現実に三十六年度におきましても、従来の負担転嫁の割合を引き下げるとか、あるいは土地については地方債に財源を求めることにして、市町村からの提供をやめるというような団体も出てきているわけでございまして、こういう方向を三十七年度におきましてさらに続けていきたい、こう思っておるわけでございます。考えておることは何も変更はないわけでございまして、ただ、どういう手段が最も現実の事態に即するかということにつきましていろいろ考えておるわけでございます。地方財政法の改正をしないことが、それをあきらめたということにとられることについて、われわれは非常に不満に感ずるわけでございまして、われわれは従来の考え方をそのまま将来も続けていくわけでございますから、地方財政法の改正のいい方法があって、それがベターであるということであれば、いつでもその方法をとりたいということで、今日でもなお各方面の意向は絶えず聞いておりますし、検討もいたしておるわけでございます。さしあたり今のところは、先ほど申し上げましたような態度をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/22
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023・秋山長造
○秋山長造君 それは議論になりますけれども、財政局長の熱意を疑うものじゃないのです。それは大いに敬意を表します。敬意は表するけれども、地方の実態が、財政局長の熱意にちっとも沿うておらぬということを言っているのです。これは各府県で、もう予算がほとんどきまっておると思うのですがね。それを十分に集計をして検討をしてもらいたいと思います。もうずいぶんこの税外負担をかけていますよ、それから市町村へ転嫁していますよ。それは何も府県知事がけしからぬのじゃないので、もとをたどるに、やっぱり国のほうで金を出して税外負担をやらなくても、何とかこなしていけるというだけの手当をしないから、結局地方のほうが追い詰められて、仕方なしにやっぱりそういう自治省の指導方針にはずれるようなことを、もうやむにやまれずやっておるというのが私は実態だと思う。これは税外負担すべてそうだと思いますよ。全部が全部政府の責任だとは言いませんが、大筋においてはそうだと思う。特にこの国立学校の問題なんかについては、これはきわめて明白です。これは政務次官が財政法違反だとおっしゃるのはあたりまえのことをおっしゃっただけのことだと思うのですがね。これはやはりよほど技術的にむずかしいという点があるかもしれぬが、またあるいは多少の混乱が起こるということもあり得るでしょうけれども、しかし財政法で相当明確にきまっておることでも、まず財政法を作った政府自身が破るのですから、いわんや地方団体においてをやということに私はなると思うのですがね。少々技術的にむずかしいことでも、やはり当初の方針どおり高校急増対策費の市町村負担ということは、これはきっぱり法律で禁止するような方法をとらなきゃだめだと思うのです。これは具体的な例を申し上げると長くなりますから言いませんが、これは私は全部の県を歩いたわけじゃございませんが、少なくとも私の知る限りの県においては全部やっておりますよ、市町村への転嫁を。これはやむを得ずやっているのだろうと思うのですがね。だから、この前私、資料の要求をしたのですけれども、さらにひとつ馬力をかけて、最新の資料を集計していただきたいと思うのです。やっておられるのですか、その作業を。高校急増対策について市町村へ転嫁している。転嫁ということで資料を集められると、転嫁した覚えはないというので資料を出してこないという結果になって、うその数字が出てくるおそれがありますけれどもね。形式的でなしに、実質的な負担の転嫁ということがどれだけ三十七年度の府県の当初予算においてされているかということをひとつ調べて下さい。どこの県でも、どんなに少なくても一校や二校は新しい高等学校を新年度から作るはずですよ。それからまた高校の収容人員等をふやすことによって、あるいは教室の増設だとか、あるいは体操場の増築だとか、あるいは敷地の拡張だとか、いろいろなことをやっておるはずです。そういうものの大半は何らかの形で負担の転嫁が行なわれている。地元負担あるいはPTAその他の特殊寄付とか、そういうものに持っていかれていますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/23
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024・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 三十五年度の実績で負担転嫁されているものが三百五十三億円ある、こう申し上げておるわけでございますが、その中身で都道府県の負担に属するものが市町村なり住民なりに転嫁されている。そのうち高等学校の経費が転嫁されている。それが八十七億八千六百万円あるわけでございます。まだ急増対策が始まっているとは言えない時代の数字でございます。この数字が将来どうなっていくかということについて私たち注目をいたしておるわけでございまして、また都道府県の経費のうちでこの部分が非常に大きな額に上るものですから、この部分について特にわれわれ問題をしぼって解決策を立てたい、こういうような考え方でおったわけでございます。そのことがまた、すでに府県負担の定められているものについてはそれを守らなければならないというような抽象的な規定を地方財政法に掲げている以上に、特にこの部分を取り上げて禁止規定を置かなければならないのではないかというようなことで検討を加えておった原因でございます。ただ、その場合に、先ほど来繰り返し申し上げましたように、即効的なやり方を選ぶか、そのかわり、その場合には相当な混乱が予想されるだろう、そうじゃなくてやはり多少時間はかかるかもしれないけれども、自覚を求めながら漸次解消をはかっていく、それを強力に進めていくという方法を選ぶかというようなところが、現在私どもが内部で論議をしている中心の点であるわけであります。三十六年度につきましても、こういうような調査をいずれはいたしたい、こう考えておるわけでございまして、資料ができました場合には、もちろん国会にも御報告申し上げたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/24
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025・秋山長造
○秋山長造君 ちょっと参考までに、三十五年度の三百五十三億円の税外負担の内容、あまりこまかくなくてもいいですから、おもな項目について説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/25
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026・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 府県、市町村を合わせまして申し上げますと、やはり教育関係が一番多いわけでございまして、二百五十億二千三百万円に上っております。それからその次に大きいのが土木関係でございまして、三十七億八千百万円でございます。その次に大きいのが産業経済関係で三十二億という数字が出ております。消防関係で十五億一千三百万円というようなものがあがっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/26
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027・秋山長造
○秋山長造君 これはもちろん府県、市町村ひっくるめて。そうしますと、府県が負担すべきものを市町村に転嫁した、あるいはさらに府県、市町村が負担すべきものを一般住民に転嫁した、それからまた府県が負担すべきものを一般府県民に転嫁したもの、そういうものを全部含めた数字なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/27
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028・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/28
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029・秋山長造
○秋山長造君 これの調査はどういう方法でおやりになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/29
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030・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 府県、市町村を通じまして一定の様式を示して、それに基づく報告をいただいたわけでございます。その報告を若干整理しながら集計をいたしたわけでございます。したがいまして、実地の調査をいたしておりません。すべての府県、市町村に対しましてこまかい調査要領を示しまして、それについての報告をいただいた、それを集計したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/30
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031・秋山長造
○秋山長造君 自治省が調査されるということになれば、そういう方法でなければなかなか早急にまとまらぬとは思うのですがね。そういう方法を三十六年度についてもおやりになるのでしょうが、それをおやりになると同時に、私は全部を当たるというわけにはいきますまいけれども、やはり幾つか抜き出して、現地に当たって実地に調査をされる必要があるんじゃないかと思いますがね。これはなかなかこういう政府の、これに限らぬですが、こういう種類の調査というのは、なかなか実態そのままが出てこない場合が多いのじゃないかと思うのですね。だから、私どもは結局三百五十三億の税外負担が行なわれているというこの御説明に対しては、これはよくよく内輪に、よく言えばかたく見積ったということになる。それからまた別な言い方をすれば、これはよほど内輪な数字で、実際はこれよりはるかに多いのじゃないか。四百億か四百五十億にもなっているんじゃないかという受け取り方をせざるを得ないのですね。で、たとえば警察署なんかの新築をずいぶん——今大体一段落ついたかと思いますがね、各地で警察署なんかの新築をずいぶんやったわけですね。ああいうものについても自治省に聞けば、地元負担はさせない方針である。警察庁に聞いても同じように、警察という特殊な任務を持つ役所を作るのに一般の住民から寄付等を取るのは弊害もあるからそれはやらぬつもりだというような説明が、そのつどいつも行なわれているわけです。ところが、実際にはもう派出所一つ作るについても、駐在所の畳がえでも、やはりこれは地元負担なんです、全部。ちっとも公費でやっておりゃせぬ。全部地元負担。これは町村負担になっておる。だから、そういうことをほんとうに漏らさず集計したら、私は莫大な数字になると思う。消防なんかについても同じことです。消防長官に聞けばいつも、消防についても住民負担はかけぬようにしておるというようなことをしきりにおっしゃるけれども、実際にはやはりとても十五億ぐらいな数字じゃないと思うのですよ。それはポンプ一つ購入するにしても、ポンプ小屋一つ建てるにしても、火の見やぐら一つ建てるにしても全部税外負担です。これは心理的強制の伴う税外負担。ですから、そういうものの実態について私は一度ごめんどうでも徹底した調査をしていただきたいと思うのですね。それを積み上げて、そして取り組まなければ、なかなか、三百五十三億の数字が出てきたから、まあ年次計画でまずことしは百億減らす、それから来年またもう百億減らす、三年目百億減らして、三カ年間で三百五十三億の税外負担全部解消と、こういうようなわけにはとてもいきませんよ、これは。ですから、財政局長の御熱意はよく了としますけれども、ただもう地方の実態は実際これはひどいと私は思うのですよね。しかも狭い地域社会に住んでおる関係で、税外負担というものに対してまっこうから理論だけ振りかざしてこれを断るということができぬでしょう。自治共同体ですから、できない。だから、やはり泣き寝入りでかぶらざるを得ぬということに実態はなっておるのですね。一度実地についてもひとつ徹底した実態調査をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/31
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032・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) お話によりまして、一応調査要領をきめます前に、実地に調査をいたしまして、その上に立って調査要領などをきめましてまとめていきたい、こういうふうに存じます。私たちは三百五十何億円の税外負担があるから、百億円ずつ三カ年計画なり、四カ年計画なり、その金額を計上して解消していくのだという考え方を持っているのではございません。私たちはやはりものの考え方というものを国民の間に浸透さしていきたい、その考え方が改まることによって財政の秩序を確立していきたい、こういうような考え方を持っているわけでございます。したがいまして、調査の結果によって、さらに次の方法を考えなければならないと思っているわけでございますけれども、年次計画の気持でおるわけではございませんので、そこは御了承願っておきたいと思います。私は文部省がどういうわけで土地の購入について大蔵省に予算要求をしなかったのか、まだ十分その後確かめてはおりませんので、よく聞きたいと思っておるのでございますが、また府県が市町村に高等学校の経費について負担転嫁をする、そういう場合にも大体同じような気持があるのではないかと思うのであります。いろいろな機関の人たちと話しておりましても、地元に利益があるのだから地元の人たちが相当の経費を負担するのは当然じゃないかと、こういうような気持を持っておられるようです。私たちは、国民が国や府県や市町村にいろいろな仕事を負託しておる。だから税金を出していると思うのでございます。その関連の仕事に税金を出しているのに、また費用を割り当てるということは、この筋道に反するという気持を持っているわけでございます。同時に、また国民が国や府県や市町村に事務を負託しているその経費を、どこがどう負担するかということも部分的に明確になっておると思うのでございます。国の機関については国がこれを負担する。たとえば、義務教育であれば国と府県が折半する、こういうようなことがきまっておるわけでございます。この負担区分に基づいて国民が出した財源というものを国と府県と市町村、三者間について分け合っていると、こう考えておるわけでございます。言いかえれば、国立の工業高等専門学校を国が責任を持って設置していく。その経費を国が全額負担をする。これは私たちは国民との間に約束していることだと考えておるわけでございまして、したがって、また国民との約束において国が全額負担するということになっておるわけでございますから、国の主要財源は全領国税でまかなうわけでございますので、国税が足りなければ交付税の分量をふやす問題であっても、地域住民に負担を転嫁すべき筋合いのものではない、こういうふうに思っておるわけでございます。それが民主的な財政運営の根本的な建前ではなかろうか。地方財政はそういった建前において立法されておると思います。ところが、この辺の考え方につきまして政府部内のいろいろな人たちと話しておる際に、なかなかそこまでの考え方に立っておられる方は全部とは言い切れないと思います。地元に恩恵があるのだから、地元がある程度寄付するのは当然じゃないか、こういう気持が抜け切れないと思うのであります。この辺の考え方を詰めていきたい。財政秩序を確立していきたい。われわれは地方財政計画なり交付税法の改正なりに税外負担の解消を取り上げていくということは、こういう考え方を徹底的に解消していきたいという気持を基本に持っているからでございまして、したがいまして、繰り返し、繰り返し、こういう考え方を政策の上に取り上げながら、その精神の徹底をはかっていきたい。それを通じて財政秩序を確立していきたい。こういう気持を強く持っているわけでございますから、この点御了承いただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/32
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033・秋山長造
○秋山長造君 局長のおっしゃることは一々ごもっともで、私は百パーセント了承しますが、ただ繰り返して申し上げますように、実態は局長の考えとはずいぶんはずれた方向に進んでおるということ、たとえば健康保険の税金の問題についても、非常に複雑でなかなか調査ができにくい事情の中で、自治省で五十四団体抽出調査をやられましたね。ああいう事実もあるわけですから、ああいう徹底した抽出調査をおやりになれば、保険税というものがいかに貧弱町村の重圧になっておるかということが今さらのごとくよくわかるわけです。だから、この税外負担についても、ぜひ早急にやっていただきということを重ねてお願いしておきます。
この問題については、午後文部大臣が見えてから、またあらためて御質問をいたします。
次の質問に移ります。今度の交付税法の改正で臨時交付金が廃止になりますね。監時交付金ができた事情は、提案説明等によりますと、三十五年度から住民税が急減したために、その穴埋めとして当分の間〇・三%の臨時交付金を作ったのだ。だから、今日の段階ではやめにしてもいいというような話を聞いておりますが、ただ私はあの当時この委員会にいなかったもので当時の詳しい事情をつまびらかにしておらんのですが、お手数で恐縮ですけれども、あのときのいきさつをこの際さかのぼって簡単でよろしいですから御説明願いたいと思います。数字等もあげて、どれだけ住民税がこういう事情でどれだけ減額になっためにこの〇・三%の交付金をふやしたという事情を御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/33
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034・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 臨時特別交付金の制度ができましたのは、所得税の減額に端を発したわけでございます。所得税が減税されますと、減税後の所得税額を課税標準として住民税を課する。その場合の税率を引き上げません限りは減収になっていくわけでございます。この住民税の減収を補てんする必要があるかないか、これが地方財政関係者と国庫財政関係者との間に対立を生じたのでありまして、その場合にいろいろ詰めて参りまして、かりにそれでは補てんするとしても交付団体の部分にとどめようじゃないかというようなことになり、さらにその場合にも地方交付税の税率を引き上げるということではなしに、臨時的な別途の財源を補てんしようというようなことになりまして、妥協の結果できましたのがあの主税の〇・三%に相当する額の臨時交付金ということでございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/34
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035・秋山長造
○秋山長造君 あのときの住民税の収入源というのは、当時の金額でどのくらいだったのですか。大体の数字でよろしい。府県民税、市町村民税……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/35
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036・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) ちょっと正確に覚えておりませんので、今五十四億という数字があったように記憶するのですけれども、交付団体で五十四億円という数字があったように思うのですけれども、それから三十億円が生まれたというような記憶でして、ちょっと正確でございませんので、お昼のときにでも調べさしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/36
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037・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、三十四年度に比べて三十五年度の府県民税、市町村民税は比率が下がっておるはずです。同時に、交付税の比率は、三十四年度に比べて三十五年度は若干上がっているということになるわけですか、もう一度。地方団体の歳入総額に対する税収の比率とか、交付税の歳入総額に占める比率とかいうものが出ておりますが、その数字を見比べた場合に、税収の比率は住民税ががた減りしたために下がって、そうして交付税は臨時交付金をプラスしたためにふえているわけですから、交付税の歳入総額に対して占める比率というものは上がっておるはずだと、こういうように了解していいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/37
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038・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) その後幸いにして経済情勢がよくなって参っておりますので、地方税にも相当自然増収が出てきておりますが、同時に地方交付税にも相当な増収が出ております。したがいまして、地方税、地方交付税とも総体的にはほかのものよりふえて参ってきておりますので、そういう意味で歳入構成は毎年若干ずつよくなってきております。たしか昨年も地方税、地方交付税の比率が全体的に上がっていると思いますが、三十七年度の財政計画におきましても、資料として提出しておりますように、地方税のウエートがまた若干引き上げになっておるという姿でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/38
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039・秋山長造
○秋山長造君 私せんだって地方税法の審議のときにも繰り返し税務局長にお尋ねしたのですけれども、やっぱり財政全体の問題になりますと、やはり財政局長にお尋ねしたほうがいい感じを持つ。それであらためてお伺いするのですが、自治省から出ております地方税に関する参考計数資料という税務局からもらった資料がありますが、この中に、三十五年度における都道府県歳入中に占める税収入寺の割合という資料がありますが、それを見ますと、三十四年度と比べてみた場合に、税収入の歳入総額に対する比率、それから地方交付税の歳入総額に対する比率がずっと出ておって、そうしてちょっと問題点があると思う。たとえば三十五年度は所得税が大幅に減税をされたために、それが住民税にはね返って、住民税が大幅に減る。そこでその穴埋めとして臨時交付金を出した。こういうことになっているのですから、常識的に考えれば、やはりそれぞれの比率が一方税収のほうは若干下がり、交付税のほうの比率は若干上がっておらなければならぬというように私は思うのですが、それを前提にして見た場合、たとえば山梨県は一番貧弱団体だと思うのですよ。三十五年度はこの税収の比率が七%ですね。歳入総額に対して七%。前年も七%で、先ほどおっしゃったように、住民税は相当減ったけれども、経済全体の好況のためにほかの税収が自然増収でふえたために三十四年度も七%、それから三十五年度も七%という数字が出たのだろうと思う。それにしても、地方交付税のほうは逆に三十四年度の二四%から三十五年度は二二%に二%減っておるのですね。それから奈良県は三十四年度が税収二%、これが住民税の影響もあったのでしょう、九%に三十五年度は減っておるのですね。だから、さっきの臨時交付金ができた趣旨から言えば、税収が一%から九%に減っておれば、当然交付税の面がただの一%でもふえておらなければならぬと思うのですが、交付税は三十四年度が二六%で、三十五年度は二二%、四%逆に減っておるのですね。それから鳥取県について見ますと、税収は三十四年度が一〇%で三十五年度が九%、これは一%減っておる、ところが、交付税のほうはふえておるかというと、交付税のほうもまた三十四年度が三三%、三十五年度が三一%で二%減っておる。こういう数字が出てきておるということは、これは何に原因があるのか。今私の質問はえらい機械的の質問ですけれども、税収と交付税だけ比べてみると、そういう臨時交付金ができたという趣旨を裏切るような数字が出ておるので御質問する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/39
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040・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 個々の団体につきまして三十五年度の国庫支出金、地方債の額が上がっておるのですけれども、三十四年度はその額が上がっていないわけで、それでしさいに検討しなければなりませんが、三十五年度は大災害があった年でございます。したがいまして、国庫支出金も災害関係に相当大きく出た。同時に地方債の分も増額したわけでございます。したがいまして、比率は団体によってかなり違ってくる。山梨県、奈良県も大災害を受けた年でございますので、そういう影響が作用しておるのじゃないかと思う。したがいまして、全体を見たほうがよろしいと思うのですが、全体を見ますと、税収比率が御指摘になった三十四年度府県全体が二九%で、三十五年度が三一%になっておるようであります。交付税は一七%が逆に二八%に下がっておるのもそういう点ではなかろうかと思うのです。御指摘になりました山梨、奈良、鳥取、私はずっと見たのでありますが、今は税収入も交付税も二割以上の増加になっておるようであります。したがいまして、伸び率としては相当の伸び率になっておるようであります。全体の中に占める比率がお考えどおりにいっておりませんのは、私はその関係であろうかと思います。もし違っておりますれば、さらに訂正さしていただきますが、今考えましたところでは、そういうことではなかろうか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/40
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041・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、地方交付税の額は相当ふえておるけれども、災害その他の関係で国庫支出金等がぐんとふえたために比率が総体的に減っておる、こういうふうに了解したらいいわけですね。まあこれは三十五年度の決算だろうと思いますが、この全般の数字はこの交付税の歳入総額に占める比率が二〇%ということはわかっておるのですがね。今申し上げた奈良だとか、山梨だとか、鳥取だとか、それから鹿児島だとか、高知だとかというような一番いわゆる貧弱団体ですね。そういうところの交付税の比率というものは、その後三十六年度においては大体正確な数字はわからぬと思いますが、大体どのくらいの数字になっておるかという見込みはわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/41
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042・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 地方交付税法の改正のつど、府県を財政力から見ましてグループに分けまして、そしてどういうふうな増加率になっておるかということをお示しいたしておるわけでございますけれども、税収入が伸びるに応じまして、基準財政需要額としては財政力下位の団体の増加割合を高めるというような改正の方向をとって参ってきておりますので、交付税としての伸び率は、御指摘になった税収入の伸び率の弱い団体についてはかえって大きく伸びておる、またそういうような改正を意識的にやっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/42
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043・秋山長造
○秋山長造君 私も考え方としては、財政局長のおっしゃったと同じ考え方をしているわけなんです。いろんな要素を総合して計算しなければなりませんから、税収と地方交付税だけを幾ら比べてみてもなかなか地方財政の実態は完全にはつかめぬとは思いますけれども、しかし、常識的に税収が少ないところは地方交付税が多い。ところが、税収の多いところは交付税が少ない、こういうふうに思うのですがね。先ほどの質問した点は、三十五年度の災害その他で国庫交付金がうんと出たために相対的に比率が減っておるということで了解はするのですけれどもね。しかし、たとえば山梨県なんかのように、逆に交付税の占める比率が減っているようなところは、一体今日何パーセントくらいにふえておるのかという、これは見込みでいいんですけれどもね、大体何パーセントくらいにはなっているだろうと思うという見込みでいいのですけれども、それはわかりませんですか。山梨だとか、あるいは奈良だとか、鳥取だとかいうような。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/43
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044・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) ちょっと私はお話しの点を聞き漏らしておるかもしれませんが、三十四年度の地方交付税の総額とそれから三十五年度の地方交付税の総額を府県別に見てみますと、千七百九十三億円が二千百十一億になっているようですから、大体二割程度の伸びだと思います。ところが、今御指摘になりました鹿児島が、六十二億から七十九億ですから、これは三割ぐらいふえておるわけです。それから鳥取を見ますと、二十七億が三十四億ですから、これがやはり二割五分くらいになりましょうか、三割ですが。それから奈良が二十六億から三十三億ですから、これも三割くらいになりましょうか。ですから、税収の伸びの少ない団体につきましては、むしろ交付税を傾斜的に増額する格好で、これは基本的な基準財政需要額の伸び方もそういうことを意識的にやっておるわけでございます。御参考までに基準財政需要額の伸び方を申し上げますと、三十五年と六年では、山梨が二割九分、それから奈良が三割一分でございます。それに対しまして福岡が二四%、兵庫が二五%という推移でございまして、かなりな傾斜がついておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/44
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045・小林武治
○委員長(小林武治君) それでは午後一時半まで休憩いたします。
午前十一時五十六分休憩
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午後一時五十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/45
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046・小林武治
○委員長(小林武治君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
地方交付税法の一部を改正する等の法律案について質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/46
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047・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 午前の秋山さんの御質問のうち、住民税の減収補てんのために特別交付金制度を設けた、その際の減収額のことでございますが、交付団体で五十四億円と申し上げたのが、調べてみますと六十七億円でございました。訂正さしていただきます。
なお、御参考に不交付団体の額を申し上げますと、五十五億円でございます。合計いたしまして百二十二億円と、こういう予想をいたしておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/47
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048・秋山長造
○秋山長造君 文部大臣が見えるまで、ちょっと次の質問をしたいと思いますが、高校生急増対策の問題ですけれども、この問題は、財政計画の審議のときから繰り返しお尋ねをしておるわけでして、文部省に対する質問のような点まで、自治省へ質問をすることにもなるわけですけれども、この前この問題について質問をしましたときに、財政局長の御答弁として、百五十四億円という本年度の計画は、必ずしもこれは固まった数字ではない、さらに地方の実態を十分把握した上で弾力的な態度をもって臨みたい、こういうお話があったんですが、その点は確認をしておいていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/48
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049・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 固まった数字でないという言い方をしたように思わないのですが、要するに、全体計画として五百五十四億円、そのうち三十七年度で百五十四億円という計画を立てておるわけでございます。問題は、高等学校急増に対処できる施設を整えることでございますので、この計画の中で、たとえば建築単価が低きに失する、そのために施設ができないということであってはいけませんので、そういう事態が起きた場合には、当然計画を修正する必要が出てくるであろう、こういうことでございます。施設が整いますように、財政の上においても善処していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/49
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050・秋山長造
○秋山長造君 文部大臣に若干。
文部大臣は、政府が地方の住民に対する税外負担を解消するためにずいぶん努力をされてきておることを御存じになっていますか。——もう一度申し上げますが、たとえば一番いい例は、教育費の税外負担ですね。自治省の三十五年度の統計によりますと、税外負担三百五十三億、その中で、教育関係の税外負担——いわば本来負担すべからざるものをいろいろな名目で地方住民に負担をさしている、つまり負担の転嫁をさしている教育費が、三百五十三億のうち二百五十億以上占めている。こういう税外負担は、できるだけすみやかにこれは解消すべきものである、こういう方針で努力をされてきていることを御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/50
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051・荒木萬壽夫
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 存じております。これはもう当然のことでございまして、以前から文部省としては、年々わずかではございますが、努力を積み重ねて参りまして、昭和三十五年度に実はその実態調査を文部省でいたしております。その調査によりますと、今御指摘の数字と幾らかそごすることがもしありとすれば、その意味でお許しをいただきたいと思いますが、その実態調査によりますと、小中学校における税外負担−本来負担さすべからざるものを事実上不本意ながら負担さしておる、そういう状態は解消すべしということで調査しました小中学校の分は、百六、七十億円見当だと記憶をいたします。高等学校で百億近いものがあったと記憶しますが、正確な数字でなくておそれ入りますけれども、概数はそういうことだと記憶いたします。それだけのものを実態調査の結果知り得まして、三十六年度において、約六十億円見当のものを、税外負担解消のために、地方交付税等の措置によって措置をいたしたのであります。三十七年度におきましては、七十億円余りを解消する予定のもとに、予算案としても、あるいは地方財政計画上におきましても、考慮いたしまして、解消する見込みでございます。でございますから、小中学校に関しまする限りは、ほとんど大部分が三十七年度で解消するという数字的な勘定になります。高等学校の分が幾らか残ることは遺憾でございますけれども、これはやむを得ませんので、三十八年度に残りを処置したいという考え方に立っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/51
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052・秋山長造
○秋山長造君 ただいま文部大臣がおっしゃったとおりのことがやれるとするならば、なるほど三十八年度までに三十五年度の実態調査で出た数字は数字上解消される、こういうことになるわけですが、ところが、地方の実態から申しますと、この数字はだんだんだんだんふえていきつつある数字なんでして、たとえば今度の高校急増対策にしても、まあ文部大臣は相当奮闘されましたけれども、結論的には、国からの補助金は一文も出ない。百五十四億という計画のうち、九十一億円は交付税でみる、五十億円は起債でみるというようなことに終わっておるわけですが、ところが地方の実態はなかなかそういうことでは片づかないわけで、現に、都道府県がこの三月の議会で組んだ新年度の予算の集計によりますと、高校急増対策費は実に四百二十七億円に上っておるのですね。そういたしますと、四百二十七億円と国の計画しておる百五十四億円との差額の二百七十三億円、まあ多少の変動はありましょうけれども、ちょっと三百億円近いものを一体どうするのかということを考えてみますと、これはもう結局は、直接にか、間接にか、やはり税外負担的なものに相当程度はかぶさっていくのではないかということを考えるわけです。そういう実態に対して、一体文部大臣はどう考えておられるのか。何とかこれに対して具体的な手をお打ちにならなきゃならないということが第一です。
それから、衆議院の本会議のベルが鳴りまして、そっちへ出られなきゃならぬということですから、第二の質問もついでにしますが、第二の質問は、この税外負担と関連して、なるほど、本来都道府県が負担すべきものを市町村に転嫁したり、あるいは府県なり市町村が負担すべきものをPTAその他を通じて一般住民に転嫁する、こういうことが今問題になっている。ところが、その前に、大体本来国が負担すべきものを地方団体に転嫁しているものが実に多い。その中でも一番いい例は、けさほども自治省に質問したのですが、今度の国立工業高等専門学校、十二校の新設に伴う地元負担ですね。この地元負担についても、これは敷地を含めての話ですが、各地とも膨大な地元負担をかけているわけです。この間、三月の二十五日の「朝日ジャーナル」に出ておった数字を集計しますと、これにはもちろん新居浜、佐世保の二枚は除かれているので、あとの十校だけについての数字ですが、十一億ですね、地元負担が。こういうことを国自身がまずおやりになって、そうして地方に対してだけ、負担の転嫁はいかぬ、税外負担は整理しろということは、私は矛盾しているのじゃないか、こう考えるのですが、文部大臣はそういう実態を御承知になっているのかどうか、また、文部省は、一体学校を新しく作る場合に、明治以来の慣習で、もう用地は地元負担あたりまえだ、当然だ、それから建築費も相当部分のものを地元負担するのがあたりまえだ、こういうふうな考え方でおやりになっているのかどうか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/52
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053・荒木萬壽夫
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 第一点の、地方交付税なりあるいは起債で財源措置をしている、そのやり方で父兄負担が実際上ふえるのじゃないか、うまくいけると思っているかという御趣旨の御質問であったと思いますが、計算上はいけると思っております。それは、従来のやり方と違いまして、今度の高校急増対策に関しましては、自治省とも密接な相談をいたしまして、三十八、九、四十の三年間の急増百二十何万人と押えまして、それに対する高校の新設ないしは既設のものにおける増設を合わせましての仕事量を約五百五十億と押えて、それをそれぞれ前向きに、年次計画を予定しまして、その年次計画に基づく三十七年度分として百五十四億円と推定され、それを起債及び地方交付税にそれぞれ割り振りまして、国の立場でこの問題に対処する財源措置は一応できていると存じます。したがって、都道府県知事が高校急増に対しての制度上の責任者でもあるわけですが、同時に、それだけの財源措置が一応できていることを前提として、誠実に実施してもらえば、やれるはずだ、そういうふうに理解しているわけでございます。
現実にしからば各都道府県でどうなっていくかということは、別問題とは申し上げかねますけれども、実情は、私が今申したとおりに必ずしもならない面はむろんあり得ると思います。それは、三十七年度の実施状況をにらみながら、富裕県はまず問題ないといたしましても、いわゆる貧弱県においては相当苦痛だろうと、推察にかたからずと思っております。そういう点は、自治省みずからも、実情の推移を見ながら特別の配態をする用意もあると承知いたしております。換言しますれば、本来の立場からいうと、教育目的上高校急増対策に支障なからしめるということを、それなりになまで受け取って、阻止する立場では私は自治省はないと思いますが、しかし、高校急増のこれは、全国的な国家的な立場から見て対策が立てらるべき筋合いのものでもあるわけですから、特に今度は、今申すとおりの全貌を把握して、そして年次計画を予定して、それに応ずる財源措置を講ずるという、従来にないやり方でもございますから、そこに十分の信頼性を持ち得ると考えまして、そういう立て方で臨もうとしておるわけでございます。繰り返し申し上げますが、現実の現われ方をにらみながら、それには自治省とも十分相談をして善処する考えでおるわけでございます。
第二点の国立高専につきましては、御指摘のとおり、国の予算上用地代はゼロでございます。私も、内部的なことを申し上げてどうかとは思いますが、予算を概算要求いたします場合に、その点にある程度の疑問を差しはさんでみたんでございますが、ただ従来、今御指摘にもありましたように、明治以来というと少しどうかと思いますが、以前からそういう慣行できておる。ほとんど国の学校施設について用地代を予算上措置した例はない、その慣行に従って概算要求をするということになったわけでございます。そのことの御批判はあり得るとむろん思いますけれども、その結果として地元負担が不当に多くなるという御懸念でございますが、少なくとも、私どもの立場では、地方自治体に現物の供給なりあるいは現金支出なりを要望したことはございません。あくまでも当該都道府県の地元における民間浄財によって獲得された用地を期待しておるわけで、ほとんど例外なしにそういう考え方で御協力いただいておると存じております。他面、なるべく国有地が利用できるならば国有地を活用したいということは、今までの折衝段階において、十分地元の関係者にもお話をしきたっておるところでございます。公共団体に直接現物なり現金なりの支出を要望しますことは、制度上もむろん妥当でないことも承知いたしておりまして、そういう考え方で今日まで参っておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/53
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054・秋山長造
○秋山長造君 文部大臣の今おっしゃったことの第一の、用地は云々ということですが、この用地にしても、あるいはお金にしても、いずれにしてもこれは経費なんです。その経費の中でも、特に今の地価の暴騰というようなことも考えた場合に、これは用地の問題というのは実に決定的な要素を占めておると思うんです。そういうものをただ当然のことのように地方に負担させるということは、地方財政の実情から考えても全く逆行したことだし、第一財政法違反だと思うんですがね。御承知のとおり、地方財政法の第四条の五には、国家行政組織法に基づき設置される機関について、割当寄付的なものは絶対してはならぬ。要するに、寄付をさしてはならぬ。それから十二条には、地方団体が処理する権限を有しない事務に要する経費を地方団体に負担さしてはならない。その中には、「国の教育施設」云々、こう例示してあげてあるんですね。こういうものに全く違反しているやり方だと思うのです。その点については、けさほども自治省当局の見解を求めたのですが、自治省当局は、これは財政法違反だということを言っておるんですが、文部大臣としてはその点はどうお考えになって処理されるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/54
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055・荒木萬壽夫
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 国立高専につきましての用地においては、先刻申し上げたことに尽きるわけでございますが、地元の協力と言っておりますけれども、それは地方公共団体の負担を予定してのことではむろんございませんで、特にまた、自治大臣からは、公文書で、今御指摘のような趣旨のことを私あてにちょうだいしております。むろんそのことは知っておりまして、そういうことをやるべきではない。だから、地元の民間浄財を——公共団体でなくて、たとえばその高専を誘致するについて関心を持っているところの会社なり企業体なり等を中心に、民間の浄財をもって土地を入手して提供していただく、こういうことで話し合いをしておるのでございまして、公共団体それ自体に働きかけたことはむろんございません。
ところで、高校急増対策の用地につきましては、これは当該都道府県が責任を持って用地も施設も設備もやるわけですけれども、財源措置としましては、五十億の起債ワク外に、起債財源でまかなう建前から、所要坪数が約百八十万坪くらいは要るであろう、それに対する財源は、できれば特別ワクか、すなわち財政投融資を引き当てとする起債財源が望ましいことではございましたが、その措置が実現しなかったのは遺憾には存じますけれども、用地百八十万坪に対する財源およそ四十億円見当と見込まれるであろう、それは一般起債のワクでもって十分考えてもらうという趣旨では、自治省とも実質上の打ち合わせは実はいたしておるのでございます。地価の値上がり、あるいは建築単価の値上がり等のために、推定しました金額でまかなえるかどうかということは別問題としてむろんでございますけれども、一応計画しました時点におきましては、それらのことも考えまして高校急増には対処いたしておりますことを、ついでながら申し添えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/55
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056・秋山長造
○秋山長造君 文部大臣の御答弁によりますと、府県立の学校についても、その用地については、地元寄付等をやらせるのはおもしろくないから、四十億円程度の特別起債というようなものを考慮しておるということなら、なおさら国立の学校について用地をまるまるその地元で寄付させるということは、一そう矛盾をしておると思うんですがね。なるほど、文部省自身が、文部大臣自身が、地方団体に対して寄付を強要するとか何とかということは、それはおっしゃっていないだろうと思うんです。おっしゃっていないだろうと思いますけれども、これは言うと言わざるとにかかわらず、事実上寄付を押しつけることになっているんです。この事実はお認めになると思う。地方団体が何を好きこのんで、金があり余っている団体ならともかく、今度の十二の高専の設置される市を取り上げて考えてごらんなさい。そんな富裕団体ではありませんよ。みな相当交付税等にたよっておる、いわゆる交付団体ですよ。そういうところに、しかも地方財政計画にも何も含められていないような、いわば予想せざるワク外の負担、そういうものを、膨大な負担をみずから好き好んでやれるはずはない。やろうと思っても、これは不可能なことなんです。にもかかわらず、そういう不可能のことを地方にやらしているというところに、ただ通り一ぺんの形式論で済まぬ、実質的な大きな負担の過重ということが出てくるだろうと思うのですね。旭川にしても市費から八千七百八十七万円、それから平にしても、市から七千万円、県から一億円、沼律なんかにしても、県から七千五百万円、沼律その他の市で七千五百万円、それから高松なんかでも県と市で五千万円ずつ、もちろんそれ以外に一般の民間の有志からの特殊寄付というものもあるわけです。山口県にしても、県が五千万円、市が八千四百万円というように、これは実に今の地方財政の実態から考えましたら、けたはずれに膨大な負担だと思うのです。そういうものをあからさまに文部省が地方団体に対して要求したかどうかは論外としましても、これはもう明らかに、今日の地方財政の実情というものを無視し、また地方財政を健全化していくために政府が努力をされてきた、その方針にも逆行するし、地方財政法にも違反するということになって、これはもう罪が非常に重いと思うのですがね。一体、非常な高度成長政策、経済成長政策という非常な宣伝のもとで、国立の高専を作るのだということから出発したにしては、私はあまりにもお粗末だと思うのです。なぜ文部省は、まず用地の問題を考えられなかったのか。また、それだけの予算をなぜおとりにならなかったのか。この地方財政の問題を審議してきた筋からいいますと、今回の国立工業高等専門学校に対するやり方、あり方というものは、もう全く頭からぶちこわしです。十二の高専の一校当たり一体どのくらいの予算を組んで取りかかっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/56
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057・荒木萬壽夫
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 数字を正確に申し上げかねますけれども、御案内のとおり、五年間一貫した教育をやるという建前で、さしあたり第一学年で授業回数に必要な経費でございまして、総額一校当たり六、七億円を要するかと思います。要求を別にいたしまして、その五分の一というのが算術的な三十七年度の一校当たりの経費でございますが、ただ共通経費等がございますから、五分の一よりもプラス・アルファという見当だということを申し上げたいと思います。もちろん、御指摘のように、公共団体に、現物であれ、現金であれ、出してもらうということは、当然法律上許されないということも、万々承知いたしておりますので、先刻来申し上げたように、少なくとも形式上はそういうことができておることには間違いございません。ただ現実問題として、今お話しのようなことがありとするならば、まことに罪は重いというお話でございますが、私もそう思います。元来、国立学校を建てますときに用地問題は別だということを当然なりとする従来の考え方、戦前は別としましても、新憲法下の十数年間、そういう慣例に従ってやってきたこと、そのことが考え直さるべき課題と思います。そういう意味においては、今後検討さしていただきたいと思いますけれども、ただ幾分この罪が軽くなるであろうかと思いますのは、公共団体に出捐を求めることはむろん適当でないことは言うまでもありませんが、その土地の民間の特殊寄付、民間浄財に期待しますということ、そのことは、これはむげに断じてまかりならぬという立場もとりにくい意味合いがございます。というのは、こういう学校の新設に具体的に対応します場合には、ちょっときわだちますけれども、一般論から申し上げますと、私学であれ、国公立の学校であれ、学問、研究等に対して民間の浄財を求めるということは、いわば奨励し期待する意味合いも一面においてございます。その限度——妥当な限度におきましては、必ずしも否定さるべきではないのではなかろうかという考えも一方においてあるわけであります。それからさらに、申し上げてどうかと思うことでございますけれども、ちょうど高校急増問題に取っ組む立場に都道府県があるわけですが、国立工業高等専門学校が設置されますこと、そのことは、一つの高等学校が国費をもって新設される、ことに年々必要とするところの一億になんなんとする高等学校の経常費も国の負担においてなされるような高等学校が一校増設されると受け取られないわけでもございませんので、そういうふうな含みもあって、非常な熱意を示されたところもないではなかろう。何もそのことを計算に入れているわけではございませんけれども、しいて申し上げれば、罪が深いとおっしゃいましたから、少しは情状酌量していただけそうな要素としてあえて申し上げれば、そういうところもあろうかと思います。いずれにしましても、国立学校の用地を全部都道府県、公共団体でないにいたしましても、全部地元の指定寄付に待つという考え方が、これでいいのかどうかということは、今後にわたって検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/57
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058・小林武治
○委員長(小林武治君) 文部大臣は、本会議に出るそうですから、一応この程度にしまして、私も一つ申し上げておきますが、午前中自治省の政務次官は、文部省のやっていることは地方財政法違反だ、こういうことをはっきり言われておりますので、今後のこともあるから、文部大臣としては十分ひとつ反省をしてもらいたい、こういうことを要望しておきます。それで、もし本会議の都合で出られたらまた来ていただきたい、そういうことで退席されてよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/58
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059・秋山長造
○秋山長造君 管理局長、今の私の質問を聞いておられたわけですが、大体用地の経費を全然計算外に置いてこの予算要求をしたり、またこういう計画を立てられるということは、一体どういうことなんですか。もってのほかだと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/59
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060・杉江清
○政府委員(杉江清君) 国立高等専門学校の問題、実は大学局の問題ではございますが、一応私からも申し上げれば、先ほどの大臣のお答えに尽きていると思うのであります。まあ従来とも、そういう例がきわめて多かったし、また地元の非常な御要望があり、しかも自発的に地元においてそのような措置をすると言われて、数多くあるというような事情から、従来の慣例などによってそのようなことに今回はなったということが実情だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/60
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061・鈴木壽
○鈴木壽君 関連して。今のお答え、地元で非常に要望が強かった、そしてそのために用地の提供というようなことがいわば自発的な立場からも出てきたというお話ですが、中にはあるいはそういうところもあったんじゃないかと思うんですよ。だが、用地を初めから国がみないんだ、こういうことが前提になっておったものですから、地元ではそれは来てもらいたいというところが確かにあちこちにたくさんありましたが、そのためには、用地を地方団体がやはりちゃんとそちらのほうの責任において用意してくれなければ、どんなことをしてもだめなんだということでやっているのが大部分——九割九分じゃないかと思うのですが、だれも出したくて初めから考えておったことでもなければ、出すほどのそんなに余裕のあるところもあまり多くなかったと思うのですし、そこらをあなた方少し甘く考えておられるんじゃないですか。問題は、先ほどの秋山さんの御質問は、初めからそういうふうに用地をみないというような予算計上はおかしいんじゃないか、こういうことですからね、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/61
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062・杉江清
○政府委員(杉江清君) その点は、先ほど大臣の申されたように、今後においては、ただいまのような御意見を十分尊重して再検討すべき課題だと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/62
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063・秋山長造
○秋山長造君 やってしまって、既成事実を作っておいて、今後においては——今までもすでに、終戦直後に新教育制度のもとで各地方大学を作るときにも、さんざんその問題であなた方も苦い経験をされて——苦かったのか、案外あなた方は甘い経験だと思っていい気になっておるかしれるが、経験があって、その後も、PTA負担とかなんとかということで、また相当の問題があったわけです。しかし、それは、今まで惰性的にやっておったことだから困る。だから、今度は新しく十二校作るんですから、この新しく作るという時期こそ、この今までの悪い習慣を断ち切る絶好のチャンスだと思う。それをまた今までどおりやってしまって、今度次からというようなことでは、これは永久にちっとも改善する誠意もない、熱意もないと言われても、私はこれは反論できないんじゃないかと思うのです。あなたばかり責めても酷ですけれども、政府自身が私はその点ははなはだ無責任だと思う。特に、私は文部大臣は無責任だと思う。それはだれが考えましても、今学校を作ろうというときに、まず一番難関は用地ですよ。一番ウエートを占めているわけです。その一番の問題の、いわば核心的な部分をゼロということで出発するというのは、これはあまりに虫がよ過ぎるというか、無責任というか、これはやり方がけしからぬと思うのですがね。それは、文部省の仕事は、ただ学校を作ることだけきめさえすればいいんじゃないですからね。財源をどうするかということまで、やはり裏づけをもって臨んでもらはなければね。それは、大臣の言うように、浄財の寄付があれば受け入れるということは、それはけっこうですよ。けれども、浄財の寄付という要素は、この中の全体からいえばほんの一部のことで、今目くじら立てて議論する材料にはならないが、やはりそれは核心的な要素というものは地元寄付ですよ。それはなるほど、強制したことはないといいましても、誘致期成会とか設立期成会というようなトンネルを作って、そしてやっておるので、そういうことなら別にかまわないのだという考え方だったら、私は道徳教育なんという指導は、文部省は返上してもらいたいと思う。文部省自身が、そういう大がかりな、詐欺とは言いませんけれども、不道徳なやり方をしておって、それで子供にばかり裏表があってはいかぬというような教育をやってみたところで、文部省のやり方自身が大裏表ですよ。これはあなたを責めても気の毒ですけれども、しかし、やはり用地費を全然大蔵省に要求しなかったということが、そもそもこれがけしからぬですよ。その点は、あなたの責任も大いにあると思う。やはり、前任者のしりぬぐいをしておることになるかもしれないけれども、それは責められてもやむを得ぬですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/63
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064・杉江清
○政府委員(杉江清君) はなはだ弁解になりますし、先ほど大臣が申しましたこと以上に出られないのでありまして、どうかこの辺でごかんべんをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/64
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065・鈴木壽
○鈴木壽君 先ほど大臣は、いわゆる地元で用地を用意する場合に、それはいわば公共団体が現物なり現金なりを出すということでなしに、民間の浄財に期待をしたのだ、事実そうなっている、私はそういうふうに聞きましたが、しかし、秋山さんが指摘したように、各地方団体で数千万円あるいはそれ以上の負担をしているということも事実のようであります。そこで今回、本年度から発足する十二校、これの用地の提供のために、各地方団体——府県の場合、あるいは市町村の場合、これはいろいろあると思いますが、もしそういうふうに分けられるのだったら、そういうふうに分けて、そのほかに民間からの、会社あるいは企業体等からの、いわゆる大臣の言う浄財、こういうものと、ひとつ経費の内訳をそういうふうに分けて、各校別に資料として出していただきたいと思います。これをひとつお願いしたいが、いかがでしょうか。
それからもう一つ、自治大臣にお伺いしたいのですが、この問題、政府として、単に文部大臣としてやったのじゃない、政府の一つの施策としても取り上げられてやったことなんでありますが、この高専問題の決定の際、用地のいわゆる地元負担ということに対して、地方団体にどういう影響を与えるのか、したがってそれに対してどうしなければならぬのかというような事柄について、私はやはり担当、大臣であるあなたが御発言もあっただろうし、御主張もなさったのじゃないかと思いますが、きまったいきさつは、先ほど荒木大臣がお話しになったような、従来の慣行とか何とかいうようなことであったろうと思うけれども、しかし、問題は、今指摘されておりますように、そういうことだけで片づけられる問題ではなしに、当然やはり国の責任において全部こういうものもやるべきであったと思いますが、そういう点について大臣どういうふうな御検討なり御主張なり態度を表明をなされたのか、そうしてまた、今後どういうふうな態度でこの問題に当たっていかれる御所存なのか、ここら辺ひとつ念のために聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/65
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066・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 実は、午前中にもちょっと秋山さんの御質問に対して御答弁したかと思いますが、こういうことがあってはいかぬというので、予算編成の前に正式通牒を文部省に出しまして、こういったことのないようにという厳重な要望をいたしておったわけであります。できるだけそういう御趣旨に沿いたいと、努力はするというふうな意味の御返事をいただいておったと思います。文部省側の立場からいえば、あるいは国有地といったようなものもあるかもしれぬし、土地というものは非常に変動の多いものだから、ひとつできるだけそういう御趣旨に沿ってやりたい、こういうお話であって、確約は得てなかったわけであります。それから、一方自治体に対する自治省側としましても、それは常に警告をしておるわけであります。しかし、事実そういった問題が起こったということになりますと、まあ私どものほうの行政指導、監督の不十分ということもございますし、今後ひとつこれら一つ一つ詰めていきまして、一体この団体自体がそれじゃ財政上どういう措置をとっているかというようなことも詰めまして、今後の交付税の配付等についても十分の参考にもしていきたいと思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/66
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067・杉江清
○政府委員(杉江清君) さっきの資料の問題でございますが、文部省としては現物寄付の建前をとっておりまして、実際にその寄付関係がどうなっているかということは触れておりませんので、今にわかに御要求のような資料を調製することが困難なのでございますが、そういうふうなことが判明いたしますれば、提供いたしたいと思いますが、ただいまの状況は、ちょっと詳細にそういうことをつかんでおらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/67
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068・鈴木壽
○鈴木壽君 今の局長の御答弁ですが、現物寄付ということで、だれが寄付を国のほうで受けるような仲立ちになっておるのですか。先ほど大臣は民間の浄財と言ったが、民間から国へ直接くるのか、地方団体でそういうものを調達の上で、まあ内容はいろいろあるでしょうが、県なら県、あるいは市なら市、地方団体がそういう形をとるのか。そこら辺をひとつお聞きしたいと思うし、もし地方団体が一応そういうものを提供すると、こういうふうにされるとすれば、これは電話一本でもすぐ連絡つきますわな、内訳はどうなんだと。地方団体の予算議決も当然あるんだし、またその中で、あるいは地方団体がさらに民間から一たん吸い上げた形において、寄付を受納した形においてやっているというところもあるかもしれない。そういうことは、これは電話一本かければすぐ出てくるんですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/68
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069・杉江清
○政府委員(杉江清君) 形式はあくまで、民間団体から現物寄付を受けると、こういう形になっておりますので、市町村から直接寄付を受けるという形はとっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/69
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070・鈴木壽
○鈴木壽君 それにしても、さっき秋山さんがあげられた二、三の都市の、あるいは都道府県の例からいっても、地方団体が相当の負担をしていることは事実だと思うのです。現に、今回の設置という選に漏れたところであっても、すでに用地費として予算に数千万円の計画を計上し、用地取得を県段階でもう終わっているところもあるんですよ。しかし、今回は、三十七年度には誘致できなかった、こういう事情もありますけれども、すでにそういうことを各地方団体ではやっているはずであります。だから、すぐ資料はとれると思うんですがね。やはりだめなんですか。しばらくかかるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/70
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071・杉江清
○政府委員(杉江清君) その問題には、やはり現物寄付ということで、むしろあまり立ち入らないことで参ったものですから、今にわかにそういった資料を調製することは困難でございますけれども、なお今後できるだけそういった資料も整えるようにいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/71
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072・鈴木壽
○鈴木壽君 自治省のほうでは、財政課か、あるいは調査課のほうで、何かそういうことでお調べになっているところございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/72
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073・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 自治省といたしましては、国立工業高等専門学校の設置に関する費用については、全額国費でまかなってもらうという建前をずっと主張し続けて参ってきておりますので、特別にこの関係の経費をどれだけ負担しているかというような調査はいたしておりません。一方におきましても、今申し上げますような考え方で、どう処理することがいいかということについては、私たちとしては検討協議を続けていきたいという気持を持ち続けておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/73
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074・鈴木壽
○鈴木壽君 お答えのそれについては、それで了解しますが、ただ、私午前中の質疑の状況をよく知りませんけれども、従来も、自治省が地方団体に対して指導の一つの大きな柱として持っておられました、たとえば団体間の区分の問題なり、今のこういうような問題について、これは非常に関心を持っておったことだと思います。たまたま、すでに文部省では国立工専の問題については用地費はみておらないと、こういうことも明らかであったと思うし、それに対しては、やはり地方団体がどういうふうなことで、いわゆる受け入れなり、誘致なりの態勢を整えておるかということについては、やはりもう少し関心を持っていただきたかったと思うのですがね。だから、そういう面で、私は何かもしお調べになったものがあればと思ったのですが、まあなければ、今度ひとつお調べいただいて——これは一日、二日で、先ほど文部省の方も言われますように、あるいはできないことかもしれぬけれども、やはり今後の検討する一つの材料としても、よくお調べ願わなければならぬことじゃないかと思うのですが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/74
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075・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 国立工業高等専門学校の設置につきましては、将来さらに増設の問題が予想されておるということを私は考えます。そういう意味において、今回の受け入れの負担のあり方というものは、将来に影響を及ぼす大きな問題だと、こういう判断をいたしております。それだけにまた、こういう機会に、さらにざっくばらんに経過を申し上げまして、今後お互いにどうやればいいか研究する資材にしていけばよろしいと思うのであります。自治省が文書で文部省に申し入れをして、自来この問題がいろいろ議題になって参ってきているわけでございます。その過程におきまして、文教委会でさらに御質疑があり、文部大臣は、なるほど法律に抵触するおそれのある問題だから、予算をきめるまでには十分検討したいというお答えをされたわけであります。大蔵省の政務次官も、そういう御返答をされました。その際に、私が大蔵省側から聞いた話では、文部省は予算要求をする場合に、前年度の五割をこえてはいけないというワクがあるわけだから、用地費についての予算要求は相当にまでしなかったのではないか、工業高等専門学校を設置するときまったら、その際に出してくるのではなかろうか、これが大蔵省の主計局の人が私に伝えた観測でございます。したがいまして、私は、そこまで文部大臣がお答えになったのですから、最終段階において用地費の予算要求はされるものだろうと確信しておりました。予算が済みましてから後に大蔵省側から聞いた範囲内においては、用地費は計上されてないし、要求もなかったということでございます。しかも、こういうことで文部省と自治省の間で話し合いがついたから、自分たちはこう心得ておったのだ、こういうことで話がありましたのは、四校については国有地が確保されて、あとの問題については寄付を期待しておると、こういうことのようでございましたが、事実私のほうはそういう話を受けておりませんので、そういう話はない。また、そういうことは法律に抵触する。それでは、地方団体が用地をいろいろ準備しておるだろうが、その用地と国有地の交換を考えてはどうだろうかという提案をしたことがございました。その後に大蔵省側では、自余の学校の敷地についても国有地を物色していくと、こういうように自分たちの考え方は統一したからという話かございました。その後今日に至っておるわけでございまして、さらにどういうような措置が、文部省や、大蔵省や、それぞれの関係機関において講ぜられて参りますか、私たちはなお、できる限り、財政の秩序を守る範囲において問題が解決されていくことを期待しておるわけでございまして、関係の府県におきましても、いずれこの問題について協議会を持ちたいと、こういうような意向を私のほうに漏らしておるわけでございます。国立工業高等専門学校は円滑に設置されなければなりません。それを妨害するような意図は毛頭持っておりません。しかしながら、将来にわたる問題でございますので、私たちとしては、できる限りすっきりした形において経費負担の方途が講ぜられるように持っていきたい。それには、すでに予算がきまっておることでございますので、今後においてどういう方法が最もよろしいかということについては、さらに工夫をしていく余地があるのじゃなかろうか。あきらめる必要はないのであって、私たちはどういうような方便が今後において残されているかどうかということにつきましては、なお研究をしたいという希望を持っておりますので、率直に経緯を御参考までに申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/75
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076・鈴木壽
○鈴木壽君 これは実は、文部大臣におっていただければ非常によかったと思うのですが、まあ先ほど言ったように、局長は最近来られまして、この問題について何だかんだ言われるのは少し御迷惑だと思うのですが、これは三十七年度だけで終わる問題でなしに、国の計画としては何カ年間にわたってやられることなんだし、学校の数からいっても今後相当ふえる。三十八年度では、また何校がふえることは確実だと思うのですがね。もう三十八年度の問題は目の前にきているわけですわな。これは私は、やはり、三十八年度までに——こういう問題の設置をきめるまでに、今の用地費の問題等もすっきりした形において話し合いをちゃんとつけて、それそれ必要な措置をしなければならんと、こう思うのですがね。それをおやりになるつもりなんですか、どうなんですか。ただやっちゃったんだからこれからまあひとつ検討しようということだけでは、私は済まない問題だと思うのです。その点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/76
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077・杉江清
○政府委員(杉江清君) ただいま奥野局長からもお話がありましたのですが、自治省とも十分お打ち合わせしながら、この問題に対処していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/77
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078・鈴木壽
○鈴木壽君 自治大臣ね、この問題、私はやはり、三十八年度を目の前にしての予算編成の時期でもあるし、いろいろ要求を出す時期も近づいてくるのでありますが、三十八年度の問題の際には、こういう問題が残らない形で処理されなければならぬと思うのです。その点について、これは私は今申したところですが、文部大臣もおれば、お二人からひとつ御決意のほどなり、それをお聞きできればよかったと思うのですが、そういう点どういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/78
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079・安井謙
○国務大臣(安井謙君) ごもっともなお話でございまして、私どもこれは、今のように、もともとそういうものを認めるという建前ではないのでありますから、実態をまだ十分調査するというところまでいっておらない。しかし、三十八年度の予算編成までには、それは整理をいたしまして、とにかくその年度の予算でやるか、あるいは補正予算というものを要求するか、それはいろいろありましょうが、とにかくひとつ予算措置をしてほしいという強い要望を出して、その方向で解決をはかっていくようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/79
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080・鈴木壽
○鈴木壽君 さっきもちょっと申し上げたのですが、ことし作ってもらいたいというので今回設置がきまった十二の地区以外のところも、すでに相当の数、用地費を予算に計上し、あるいは用地の取得をちゃんと終わっておるところがあるわけなんですね。こういう問題も、やはり私はあわせて考えていただかなければならぬと思うのですね。もうやっちゃったのだから仕方がないということでは、変な片手落ちな形になってしまうのですね。そういう問題も含めて、ひとつ文部省のほうと、それから自治大臣のほうにも、御希望を申し上げておきたいと思うのですがね。文部大臣はさっき、まことにほんとうかどうかちょっとあやしいと思うのだが、全部民間の浄財によってやるように指導したのだし、事実そのとおりになっているようだと、こういうようなことを答えているようでありますが、もし速記のほうでそうでないとすると、私の聞き違いであるかどうか。私はまあそういうふうに聞いたんですが、ほとんどそうじゃない。ただ、国の用地があるところ何カ所とか、それから民間の企業体とか、そういうところからの寄付があったことは、若干あることは、これは確かでありますけれども、大部分は地方団体の負担になっているわけなんですが、こういう点をそれこそ甘く考えないで、私はやはりちゃんとした措置をとるべきだというふうに思うんですが、それをひとつ特に念を入れて要望して、この話は一応終わりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/80
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081・小林武治
○委員長(小林武治君) これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/81
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082・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないものと認めます。
これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/82
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083・秋山長造
○秋山長造君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております地方交付税法の一部を改正する等の法律案に対して、反対をいたすものであります。
今回の改正は、〇・三%の臨時地方特別交付金を廃止して、これを地方交付税率に含め、さらに〇・一%引き上げて、国税三税を二八・九%とし、これに清算分百七十三億円と繰越分九十八億円を合計して四千五百八十億円の交付金を地方団体に交付しようとするものであり、そのために関係単位費用について若干の引き上げを行なおうとするものであります。
そこで第一に、今回の改正案は、道路費、農業行政費及び林野行政費等公共投資関係並びに社会保障費関係の単位費用を若干引き上げ、また高校急増対策に対して若干の配慮をいたしておるのでありますが、国の補助金の積算単価が依然として低く、たとえば学校建築の単価についても、木造の場合坪当たり三万二千五百円、公営住宅の土地購入費にしても坪当たり二千円、大工の日当九百円というように、高度経済成長政策にあふられた物価、労賃等の値上がり、地価の暴騰等の実態を全く無視した数字を基礎にしているのであります。これでは、地方団体はこれらの公共事業を消化するため膨大な一般財源の持ち出しを行なわなければならず、交付税のわずかばかりの増額や税の少々の増収ではとても追いつかないのであります。この際、公共事業の単価の実態に即した引き上げが絶対必要であると思うのであります。
第二に、高等学校急増対策につきましては、全国知事会千三百六十一億円、文部省八百八十億円の見積もりに対しまして、政府の最終決定案は五百五十三億円にとどまり、本年度百五十四億円の計画のうち、九十一億円を交付税、五十億円を起債、十三億円を産業教育振興法その他の関係の補助金ということで財政措置をいたしておるのでありますが、急増対策は、申すまでもなく、国と地方団体との共同責任において解決さるべき重大問題でありまして、このような不徹底かつ無責任なやり方では、地方の実態に即応できるはずはございません。現に、知事会の集計によりますと、都道府県の新年度当初予算に計上されました高校生急増対策費は、実に四百二十七億円に上っているのであります。一体この四百二十七億円と政府の計画による百五十四億円との差額の二百七十三億円は、だれがどうして負担するのかとお尋ねしたいのであります。結局は、税金の増徴なり、あるいは授業料の引き上げなり、市町村への負担の転嫁なり、あるいはPTAその他の負担の増加等を通じて、税金あるいは税外負担の一そうの重課を招くことになると思うのであります。
第三に、このような状態では、税外負担の解消のために百億円程度の財源措置をされましても、三十五年度決算における三百五十三億円はもちろん、さらに増大していく税外負担に対しましては、全く焼け石に水の効果しか期待できないと思うのであります。単なる行政指導ではとても効果を期待することはできないのでありまして、思い切った財源措置を国においてすると同時に、負担転嫁を禁止する何らかの立法措置をとるべきだと考えるのであります。
さらに、この問題と関連いたしまして、国立工業高等専門学校十二校の新設に対しまして、総額十数億円の地元寄付を押しつけておる事実を、私どもは見のがすわけに参りません。これは明らかに地方財政法違反でありまして、政府みずから、本来国が負担すべき経費を、法律に違反して地方団体に押しつけるようなことをやっておりましては、この地方財政の負担が一そう過重になるとともに、国と地方との財政秩序、また地方団体相互間の財政秩序を確立しようという政府の従来の方針に全く逆行するものでございまして、高校生急増対策費の行方というものが、またこういうやり方に右へならえするおそれのあることは明らかでございます。政府において十分な反省を求めたいと思うのであります。
第四に、今回の改正によりまして、地方公務員退職年金制度の創設のために交付税〇・一%の税率引き上げを行ない、十五億円程度の財源措置をしたというのでありますが、これは申すまでもなく、地方制度調査会の答申にもありますように、事務費の全額と給付費の一割程度の国庫負担は、これは当然にやるべき筋合いのものであるにもかかわらず、いずれもびた一文出されていないことは、この制度自体をまことに貧弱にいたしておるのであります。厚生年金についても、事務費は全額国庫負担であるし、給付費についても三分の一を国が負担しておるのであります。国民健康保険につきましても、事務費の全額を国庫が負担し、さらに給付費の二割五分を国庫が補助しておる事実から見ましても、今回の地方公務員退職年金制度に対する国の財政措置としては、あまりにも貧弱で、問題にならないと思うのであります。
結局、このように考えて参りますと、交付税そのものが今日の地方財政の実態に即しておらないという結論になるわけであります。
わが社会党は、別途、交付税率三〇%引き上げを内容とする法律案の提出をいたしておるのでありまして、それによりますれば、三〇%に引き上げることによって二百二十三億円の増収が予想されるのであります。この二百二十三億円の引き上げについても、十分だとはもちろん申せませんが、さしあたっての措置としては、これをもって、税外負担の解消なり、あるいは当面する高校生急増対策費等に引き当てることによって、地方行政水準の相当程度の向上を期待することができると思うのでございまして、以上の理由をもって、私どもは今回の地方交付税の一部改正法律案に対して、反対の意思を表明するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/83
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084・小林武治
○委員長(小林武治君) これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/84
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085・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認めます。
これより採決に入ります。
地方交付税法の一部を改正する等の法律案を問題に供します。本案を衆議院送付案どおり可決することに賛成の方の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/85
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086・小林武治
○委員長(小林武治君) 多数でございます。よって、本案は多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/86
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087・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
次回は四月三日午前十時開会とし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X01919620329/87
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