1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月十二日(木曜日)
午前十時三十分開会
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委員の異動
本日委員山本伊三郎君辞任につき、そ
の補欠として占部秀男君を議長におい
て指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 小林 武治君
理事
野上 進君
増原 恵吉君
秋山 長造君
基 政七君
委員
小柳 牧衞君
西郷吉之助君
津島 壽一君
鍋島 直紹君
湯澤三千男君
加瀬 完君
松津 兼人君
矢嶋 三義君
山本伊三郎君
中尾 辰義君
委員以外の議員
山本伊三郎君
国務大臣
自 治 大 臣 安井 謙君
政府委員
人事院事務総局
給与局長 瀧本 忠男君
総理府総務長官 小平 久雄君
総理府恩給局長 八巻淳之輔君
大蔵省主計局給
与課長 平井 迪郎君
自治政務次官 大上 司君
自治大臣官房長 柴田 護君
自治省行政局長 佐久間 彊君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
参考人
中央社会保険医
療協議会会長 児玉 政介君
全日本自治団体
労働組合委員長 栗山 益夫君
千葉県習志野市
長 白鳥義三郎君
全日本水道労働
組合委員長 真辺 芳郎君
日本母親大会実
行委員会副委員
長 奥山えみ子君
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本日の会議に付した案件
○地方公務員共済組合法案(内閣提
出)
○地方公務員共済組合法の長期給付に
関する施行法案(内閣提出)
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001・小林武治
○委員長(小林武治君) ただいまから委員会を開会いたします。
地方公務員共済組合法案及び地方公務員共済組合法の長期給付に関する施行法案を議題といたします。
本日は、お手元にお配りいたしてございまするとおり、五人の方々に参考人として御出席いただくことになっておりますが、参考人の皆様に一言ごあいさつ申し上げます。
本日は御多用のところ、わざわざ当委員会のため御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。これより順次御意見をお述べいただくわけでありまするが、午前中は、御出席のお三人の方から、お一人約二十分程度で御意見を承り、後刻さらに委員からの質疑にお答えいただくことにいたしたいと存じます。よろしく御協力のほどをお願い申し上げます。
それでは児玉参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/1
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002・児玉政介
○参考人(児玉政介君) ただいま御指名にあずかりました児玉でございます。本日は、地方公務員共済組合法案並びにその長期給付に関する施行法案御審議の参考人といたしましてお呼び出しにあずかったわけでありまするが、元来、まことに不勉強でありまして、御満足のいくような意見を持ち合わせないことを、まことに恐縮に存じておる次第であります。
さて、今から三年前に、国家公務員につきましては、医療保障並びに所得保障全面にわたる総合的な共済組合法が制定せられましたが、特に退職年金制度におきましては、それ以前の恩給方式を、いわゆる社会保険方式に改めまして、近代的公務員制度の理念に沿うた新退職年金制度が設けられましたので、その当時から、地方公務員につきましても、国家公務員に準じた社会保障制度、特に退職年金制度を確立すべきであるという必要性が叫ばれまして、地方自治関係の六団体その他からも要望がございまして、また地方制度調査会からは、昭和三十五年度から実施できるという地方公務員の退職年金制度に関する統一的な法律の制定、その他諸般の措置を講ずべきであるということで、改正案の要項を答申せられたのでありますが、それらの中にも指定せられておりますとおり、地方公務員に関する社会保障制度の現状は、都道府県と市町村の間におきまして、また、その同じ地方公共団体の職員でありましても、その身分や職種によりまして著しく異なっておりますために、統一的包括的な制度に移行するということはいろいろと困難もあり、その立案にあたりましては、関係団体及び関係主務官庁の間の意見調整が容易でなかったろうと思われます。今回ようやくその間の調整もついたのでありましょう、両法案が提案せられましたことは、これを要望し来たりました地方関係団体においては、たいへんな喜びとしていることと思われるのであります。私もまた同じような感じを持つ一人としたしまして、この法案に対する若干の意見を申し述べようと思いまするが、何分こういう席にはふなれでありますし、また、時間の制約もありまするので、どういう点を主題にしてどの程度に申し述べればよいのかということもよくわかりませんが、ちょうど皮切りでもありまするので、まず総論的に五、六の点につきまして大まかな所感を申し上げたいと存ずるのであります。
第一の問題は、地方公務員に関する社会保障制度の体系整備ということでありますが、わが国の社会保障制度は、全般的に戦後急速な進展を見たのでありますから、公務員制度におきましてもその例に漏れるものでなく、戦後急速に進展をいたしたと思うのでありまして、その関係上、内容におきましては各種区々になっておりますために、近年に至りましてようやくこれらの各種制度の統合整備の必要が台頭して参りまして、本年の初頭にも、私は、ある専門雑誌から、統一社会保障法ということについて意見を求められたことがございます。その際にも、私は、まず内容の調整を行なって、次いで統合すべきであるという実は回答を出したのであります。これは少し古くなりますが、十年、もっと前に、ILOの出した報告の中にも、まず調整、次いで統合という報告書が出ておるのでありますが、今回の法案そのものにつきましても、実は同じことが言えると思うのでありまして、国家公務員と地方公務員との間における調整と同時に、特に同じ各種地方団体の間において、公務員の社会保障制度は、今回のお呼び出しに際しましてちょうだいをいたしました自治省の参考資料にも書かれてありますとおりに、まことに区々ばらばらでありますが、他の例にないような極端なばらばらであると思うのであります。かような例こそ、まっ先に調整をはかって統合せらるべきものであると同時に、社会保障制度のこういう不統一が原因をして、人事の交流にも支障を来たしておるということであります。また、従来のような恩給的な制度をもって進んで参りますれば、将来の地方財政負担に非常な重圧を加えることとなるおそれがあると存じます。かような見地から、私は地方公務員の社会保障制度は、すみやかに調整統合することを希望するものであります。しかも、地方公務員に対する諸制度は、地方公務員法におきましても、国家公務員に準ずるという建前になっておりますので、国家公務員共済制度と歩調をそろえるという法案の趣旨は全面的に賛意を表するところでありまして、それだけでも 従来の制度に比べて一歩前進したものと見てよいと考えるのであります。ただ、前に述べましたように、複雑した諸制度を一気に統一するということは、既得権あるいは期待権の問題もございましょう。多年の沿革もありましょうし、これを円滑に施行するためには、若干の激変緩和の取り扱いもやむを得ないかもしれぬと思います。この際、内答について一そうの改善を要する点もありましょう。また半面には、財源に関する制約もありましょう。したがって、この際全くすっきりとした進展、あるいは移行ということは困難であることも察しがつきますので、かくのごとき検討すべき諸問題は、国家公務員共済制度あるいは他の社会保障制度とあわせて検討を加えまして、将来よりよき制度に発展せしむることを希望する次第であります。
第二点は、新しい統合共済制度を運営する組織、規模の問題であります。今回の法案の基本的な特徴の一つは、特に長期年金制度におきまして従来とられてきた恩給式的な考え方を改めて、社会保険の性格を持つものに切りかえたということであります。この点は、かつて公務員制度調査会が何年か前に答申をいたしたことがありますが、その答申におきましては、国家公務員の退職年金制度をもって一般社会保障制度とは区別して考えらるべきものである、しかし、国家財政の現状にかんがみ、かつ民間の被用者との均衡を考え、国家公務員にもその所要経費の一部を分担拠出させるものとするというようなことを述べておるのでありますが、またその後、と思いますが、地方制度調査会が地方公務員の問題について答申を出しておりますが、その中には、民間の使用者に適用される厚生年金保険制度と同棟に、社会保険の性格を持つものと考えることが妥当であるというふうにいっておるのでありますが、今回の法案は、このあとのような理念に立っておるものと考えるのでありまして、これは大きな変革である、こう言うて差しつかえないと思うのであります。さて、そういう建前から出発をいたしまして、新しい共済組合の組織を定める場合には、規模なり組織単位につきまして、相互扶助の理念と保険運営の技術的な見地から、なるべく大きな規模をもって組織する必要があろうと思います。法案によりますと、大小ありますけれども、これを想像しますと百ぐらいな組織単位になるのではないかと思うのでありまして、特に都市職員共済組合及び市町村職員共済組合などは、数多くの小さい規模の組合を設けることになっておるようであります。これは一面におきまして、組合員たるものの職種あるいは従前からあった制度の沿革などを考慮した結果でもありまして、組合の円満かつ円滑な運営をしたいという考えから、やむを得なかったものでありましょう。そこで、これら小規模な組合の運営上の欠陥をカバーするために、これらの組合につきましては、それぞれ連合会を設けて保険財政の安定性と弾力性を確保し得るように配慮しておるようでございまして、この点は適切であると考えるのであります。
第三点は、保険給付の問題であります。法案によりますと、大体において国家公務員制度にならったもので、その長期給付は従来の制度を相当上回わるものとされておりますが、しかし半面に、資格期間の延長であるとか、掛金の増徴であるとか、従来の制度とは異なった点もあるのであります。これらの点は、当然移行前の組合員の既得権なり川特権に深い関係のあることでありますが、こうした既得権及び期待権につきましては、よく考慮が払われているように考えられます。もちろん、よりよい希望から申しますれば、内容の改善について、いろいろの意見もあることと存じます。できればそれはもとよりけっこうなことでありますが、しかし、法案の根本的な当面の目的が国家公務員制度と歩調を合わせようという建前であり、また半面に、財源の負担の関係もあり、あるいは地方団体の財政上の関係もあるということでありますから、これらの問題は、将来国家公務員共済制度や、さらに他の諸制度、その中には退職手当制度など包含しまして、十分検討を加えまして改善されることを希望いたすのであります。
第四点は、長期給付における積立金の運用であります。長期給付の財源は、申すまでもなく組合員の掛金と地方公共団体の負担金でありますので、法案におきましては、これらの積立金は、職員の福祉の増進または公共団体の行政目的の実現に資するように運用しなければならないといっておりますが、これは当然のことでありまして、その資金なり加入組合員の数から考えましても、相当巨額に達しますので、運用のいかんということは、地方経済のみならず、国の財政あるいは金融の上にも大きな影響を与えるものと考えられますので、その運営管理につきましては万遺漏ないように慎重に配慮を加えられることを期待したいと思います。これはもう法文の問題以上に実行上の問題でありますが、自治省の腹案として仄聞いたしておるところでは、適当なる考慮が払われているように感ぜられるのであります。
第五点は、地方団体の負担に対する財源措置でありますが、この長期給付に要する負担財源につきましては、すべて地方交付税で措置をされるということでありまして、国庫が直接負担することとしていないようであります。この点は三年越しぐらいになりましょうか、政府部内におきましてもいろいろと折衝が重ねられましたが、満足な結論に達せず、そのうちにこの制度をすみやかに発足させるということになりまして、やむを得ずかような措置となったように承知をいたすのでありますが、本案のような地方公務員に関する大きな制度を国家がほとんど顧みるところがないということは、他の社会保障制度との均衡上も、あるいはまた、この社会保障に関する国家の責任という筋道から見ましても、一貫していないように考えるのでありまして、他の社会保障制度と同様に国庫においても一定割合の負担をするということが望ましいと思われるのであります。また制度の切りかえに伴う追加費用は驚くべき巨額に上ると聞いておりますが、これに対する措置も法案においては明確にされていないのであります。国家公務員共済制度の方式を決定した上で、これにならって措置をするということのように聞いておりますけれども、その取り扱いのいかんということは、直ちに組合財政また地方財政の将来を左右するたいへんな問題であると考えられますので、すみやかに検討を加えて、組合財政のみならず地方財政の上からも慎重な対策を講ぜられたいと思うのであります。
もう一点、第六点は、組合の運営に対する政府の監督の問題であります。これを国家公務員共済組合法に対する大蔵大臣の権限と比較してみますと、政府の本制度に関する共済組合に対する発言権を極力押えまして、共済組合の自主的運営にゆだねているように見受けられます。これはそもそも国家公務員共済組合にありましては、国庫が長期給付の財源について相当の負担をいたしておるのに対して、地方公務員共済組合にあっては、前に述べましたように、すべて地方公共団体が負担する、直接的に国庫負担がないということと、また地方自治体でありますから、その自主的運営にまかせて監督権は適正な運営を保証するに必要な限度にとどめて、なるべく干渉がましいことを避けようという趣旨によったものと考えられますが、これは関係者も従来要望いたしておったことでもありますし、この措置は当を得ているといえましょう。しかし、そのために、いたずらに運営が放縦に流れるようなことがあってはこれはならないのでありまして、政府は、これらの組合が公共的な特殊法人であるという観点から適切な行政指導と、また与えられた権限の善用により、制度の運営に関係をする当事者もまたよくこの制度の本質にかんがみまして、組合の運営が適正かつ円滑になされるように努力すべきであると考えるのであります。
要するに、地方公務員の生活安定の制度が社会保険方式として確立されたこと、従来の職種によるばらばらな制度が大体統一をされたということ、国家公務員共済組合制度と歩調を整えたということ、これらの点は本法案の大きな収穫であると存じます。その意味において本法案の成立を要望する一人として、はなはだばく然といたしておりましたが、若干の意見と要望を申し述べたのであります。
ふなれなことで的をはずれていることもあろうと存じますので、それらの点は、お示しによりまして幸い私のお答えし得る事柄でありましたなら補足して申し上げることにして、私の意見の開陳を終わることにいたします。御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/2
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003・小林武治
○委員長(小林武治君) ありがとうございました。
次に、栗山参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/3
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004・栗山益夫
○参考人(栗山益夫君) まず冒頭に、地方自治体に働く多くの職員及び家族の福祉増進のために真剣なる審議を続けられる地方行政委員の方々に深甚なる敬意を表したいと思います。
今回政府提出の地方公務員共済組合法案及び同法施行法案については、私たちとしては残念ながら賛成できないという観点に立って幾つかの参考意見を申し述べたいと思っております。
第一番目に、共済組合の組織運営及び役員の選任の方法が各種組合間に統一を欠いておる、民主主義の原則にそむき、組合員の利益を守るに適当でないということであります。地方共済及び公立学校共済、警察共済の三共済は、大臣任命による運営審議会委員によって運営され、都職員共済及び指定都市職員、市町村及び都市共済の四共済は、任命及び選挙による議員により組合会方式によって重要事項が議決されることになっております。また、役員である理事長、理事、監事の選任についても、前者のほうは主務大臣の専権に属しております。後者はおおむね選挙例をとっておるのであります。また、委員、議員の権限についても非常に差等がありますし、議員についても、三共済のほうは組合人員も多数であるにもかかわらず十名以内というような数に局限をいたしております。四共済は逆に倍数以上の議員によって審議されることになっているのです。一体、同じ法律で定められる共済組合の運営について、このように異なった方式をとらなければならないという理由を私はどうしても理解ができないのであります。
また、何がゆえに地方共済等の三共済では組合会方式をとろうとしないのでありましょうか。運営審議会委員の選任は、組合員で組合の業務その他組合員の福祉に関する事項について広い知識を有する者のうちから主務大臣が任命するということになっておりますが、現在の地共済の実情を申し上げますと、これはこの法案と同じように中央運営審議会の制度をとっておりますが、自治大臣が数多い組合員の中から適任者を発見するということはおよそ困難であります。そのために知事の代表あるいは事務担当者の代表、甲種乙種の組合員代表というふうに区分けをしたり、あるいは地域的に組み合わせて選出をし、形式的に大臣が任命をする形をとっておるのでありますが、そのために委員はいつの間にか持ち回り制になっております。名誉職化してしまっているのであります。また、地域別、種類別に選出された委員は、何ら組合員に審議状況を報告するという機会もないし、組合員の意思を聞こうともしておりません。また、実際そのすべもないであろうと思うのです。こういう姿の制度というものは、事務当局者の原案を単に見るだけの程度で、ほとんど内容の事実上の審議なしに、当局者まかせの運営になるという危険性があるのではないかと思うのであります。
こうした状態では、私は共済組合という社会保険的あるいは相互扶助の組織でもある組合員に対して、多額の組合費を負担する組合員が不信感を持ち、不満を持つのは当然であろうかと思います。私は類似の組合組織や法人で健康保険組合や各種の協同組合等の例をあげるまでもなく、組合員に議決機関選任の権限を一切与えないという非民主的な運営をとっている組合を聞いたことがありません。国家公務員、公社等の組合にはそういう例があるかと思いますが、そのほかではそういう例を聞いたことがありません。また、組合員でない者が理事長になる、理事になる、こうした重要な役員に選ばれておるという、こういう組織も聞いたことがございません。多くの法律、政令で規制されておるこのような組合では、この審議会や組合会が組合員の負担に関する掛金を審議する以外は、第五条に掲げておる福祉事業だけだといっても私は過言ではないと思うのです。このような福利厚生に関する事業についてまで過半に近い負担をする組合員の意思を受け入れる方法を欠くに至っては、共済組合の精神を全く失ったものと言わなければならないと思います。また市町村共済、都市共済の連合会の場合も同じような形になっておりますが、重要事項を審議をする総会における議員の選任について、理事長となる市町村長四十六名、一般組合員より選挙するもの九名という比立を法定化しようとしているのでありますけれども、これは三共済から見れば一歩の前進はあるとしても、このような姿の非民主的な選任方法も私としては賛成ができないのであります。したがって、組合の運営については、主務大臣はかなり大幅な認可権あるいは監督権があるのでありますから、掛金を負担する組合員選出半数、首長側半数の原則を執行機関あるいは議決機関を通じて採用して、組合員が心から自分の組合であるという自覚を待ち得るよう修正をしていただきたいと思うのであります。
第二番目に申し上げたいことは、共済組合の長期給付及び費用負担の点であります。政府は既得権を保障したと言っておりますが、現実には既得権、期待権を大幅に失う数多くの組合員ができるということであります。この点については、国家公務員共済あるいは公社職員共済の移行の際のごとく、恩給制度や共済制度がほとんど一様である、あるいは雇用人と官吏というふうに一定の差別があった場合と事情が著しく違っていると思うのであります。第一番目に掛金に例をとってみても、現任長期給付に相当する掛金は、吏員は千分の二十、雇用人は千分の三十八が最高であります。国家公務員や公社の場合には大体この率でほとんど同じだったわけですが、地方公務員の場合にはこれが最高であります。自治体の特殊事情によって最低無拠出という千差万別の実情にあります。新制度によれば、その計数的根拠も明らかにされないままに、一挙に千分の四十四と大幅に引き上げられることは、現実にわれわれにとっては賃下げを意味します。地方公務員の生活を脅かすことになるのではないかと思うのであります。そうした極度の不快感というものは、一方国家公務員の場合にもそうした例がありましたが、不払い同盟などという問題が起きて、職場の混乱があったわけであります。
第二は、受給資格年限の問題であります。これは吏員十七年、雇用人二十年が最高であります。もっとも条件のよいところでは、雇用人通算十年で年金がつくところがあります。直接住民に接する現業部門の多い市町村では、中年採用者が多いという実情にかんがみて、非現業部門の多い国家公務員、府県職員より短い期間で年金をつける必要であったからであります。さらに減額年金や加算率等幾多の不満がないわけではありません。地方制度調査会もこれらの点をおもんぱかって、しかしながら、地方公共団体の自主性、自立性はこれを尊重しなければならないので、法律による退職年金制度のほか、地方公共団体が条例をもって、たとえば法律による退職年金制度と条例による退職年金制度の二重適用の方法を採用することや、付加的な制度を定めることによって、職員にとって不利にならないよう措置すべきであるといっております。私はこれらの点を明確に本法案の中で保障されるよう修正されることを希望したいのであります。
第三番目に指摘したいのは、積立金、余裕金の運用についてであります。公立学校共済及び地方職員共済の一部の余裕金は、資金運用部資金として預託することになっております。その他の組合の場合は、地方債に充当することになっておりますが、現在多くの組合員は、住宅の問題や結婚、教育等の生活資金を非常に必要としているのであります。できるだけ単位組合の自主的な運営にゆだね、最小限、組合員の積立金は、組合員の福祉事業に充当して、いやしくもこれらの資金を他の方面に使うためにこの組合制度ができるのだというような印象を組合員に与えないように決定をしていただきたいと思うのであります。
第四番目は、物価の価上げに即応するごとき年金制度とするよう法定化していただきたいのであります。私たちは今度の戦争を通じて郵便年金や生命保険、養老年金等、もちろんこれは恩給の受給者の場合も同様でありましたが、しかし、郵便年金や生命保険等は少なくとも任意加入でありましたから、これは個人の責任ということに帰することもできます。今度の組合のごとき強制加入を建前とする恩給制度においては、はたして年金額が将来の生活を保障できるかという不安があるのであります。ちょうど公務員の給与の場合について、一定の物価の上昇、生計費の高騰に際しては、人事院が給与引き上げの勧告をするごとく、一定の物価の上昇、生計費の高騰と見合って年金額を引き上げ、生活に対する期待権と希望を与えるごとく法定化するようにお願いしたいと思うのであります。それらは資金運用の方式いかんでは可能であると考えられるからであります。
最後に申し述べたいことは、本法案の制定にあたって、私たち地方公務員をもって組織する労働組合は何回となく自治省当局と交渉をして参ったのでありますが、特に石原大臣以来の歴代の大臣は、国家補助一割がない場合には、これを強行しないと約束しておりました。これらのことは地方自治の本旨をわきまえて、手ぶらで法定化することは、当局の良心が許さなかったからであろうと、私は解釈いたしております。政府部内におけるいろいろの折衝の過程を経て、地方公付税の充当の名において、不交付団体に一銭の見返りもなく、法定化し、統制をしようとしているのであります。また、その内容においても、われわれの意見を入れることなく、逆に一歩ずつ後退していくという経過を経ているのであります。
特に委員の方々に申し上げたいと思うことは、政府の提案理由の説明の中に、地方公務員の福祉を増進するためという表現が使われておりますが、われわれとしては掛金負担者であります。また同時に受益者であります。こういう立場に立って、数多くの集会を持ち、あらゆる角度から真剣な検討を続けてきたつもりでおりますが、一部雇用人の通算措置、退職手当の引き上げの指導等を除いては、掛金の大幅引き上げに見合い、運営の非民主化の不快指数を計算すると、自治体職員に利益するところはきわめて少ないのであります。既得権、期待権を剥奪される部門が非常に大きいのであります、また雇用人からの通算退職手当増額等は、すでにかなりの自治体が実施しているごとく、本法律の制定がなくとも、自治体自体の条例で解決できる問題でもあります。社会保障制度審議会が答申したごとく、多くの検討を要する部門もありますし、現に地方自治体職員の給与が国家公務員や公社の職員のごとく一律でない現状に照らして、給与の一部であり、延長でもある年金制度の一元化は、私たちの主張する点が考慮されない限り、なお若干の年月をかすることが妥当であると考えて、委員の方々の御協力をお願いして、私の参考意見を終りたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/4
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005・小林武治
○委員長(小林武治君) ありがとうございました。
次に、白鳥参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/5
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006・白鳥義三郎
○参考人(白鳥義三郎君) 習志野市の市長の白鳥でございます。当委員会がいつも自治行政の進展について格段の御配慮をいただいておりますことをつつしんでお礼を申し上げたいと存じます。本日、参考意見を求められましたこの法案も、実はここ数年来、皆様方の御支援を待ちながら、各方面に陳情を続けて参ったものでございまして、それがどうやら日の目を見て、ここに政府の提案と相なった経過にかんがみまして、私たちは皆様方の今までの御配慮を今さらながらありがたくお礼を申し上げたいと存ずる次第でございます。
今まで私たちがなぜ何年も何年もかかってこの法案の成立を期待して参ったかと申しますと、それは先ほど児玉参考人からお述べになりましたような、地方公務員の福祉の増進のために今までとかく欠くるところがあった制度を、ここに統一して、国家公務員に準じて御制定に相なったという点もございますが、なお、私たちが自治行政を担当して参りますうちに非常に困っておったことが数々あったのでございますが、そのうちの一つが、人事の交流が非常に不円滑であったわけでございます。何せ退職手当につきましての制度が各自治体あるいは自治団体によってそれぞれ異なっておりましたために、人事の交流に際して大きな支障を来たしておったわけでございまして、それが最近自治行政がだんだん複雑化し、多方面にわたって参りますと、どうしても国の職員あるいは府県の職員を市町村のほうにお借りしなければならぬ部分もたくさん出て参ります。事務員ばかりでなしに、技術職員のごときにつきましては、今私たちは、地方の市町村といたしまして必要な技術員を獲得することがなかなか困難でございますが、これが府県のほうの御援助をいただいて、適当な指導者を御派遣いただき、それのもとに職員を養成していくというふうな手段でも講じない限り、なかなか技術職員の獲得は困難を来しているわけでございます。なおまた教育委員会の職員等におきましては、教育長をはじめ県の職員をどうしてもお借りしなければならぬ部分がたくさんあるのでございますが、それが人事の交流がなかなか円滑に参らない。そのために、市町村の教育長としてお迎えいたします方も、大部分の方々が現職を退いた方だけでございまして、これでは教育の進展に大きな支障を来たすのではなかろうかと、実は遺憾に存じておったわけでございます。むしろ現役のばりばりした校長先生を教育長としてお迎えし、何年かの間ごめんどうを見た上で、さらにまた県のほうにお返しをするというようなことにもなりますと、地方の教育行政も一段と進展するのじゃなかろうかと考えておるわけでございます。どうも、府県の職員と市町村の職員と、いつも交流が、年金の問題を通じまして支障を来たしておるという現状でございます。これらの点について、今回、通算制度が実施されますならば、人事交流においても明るい見通しが立ち、ますます複雑化して参ります、専門化して参ります地方行政を振興していく上において、大きな寄与をなすものと確信いたしておる次第でございます。
なお、通算の問題について、特に最近考えられますことは国民年金測度が施行されましてから、各種の公的年金との通算の問題が起こっておることは、諸先生方の御案内のとおりでございます。これを現在のように、たくさんの自治体がそれぞれの制度を持って施行しております間には、なかなか国民年金と公的年金との通算の問題が、解決がきわめて困難でございまして、したがって、先ほど児玉参考人から御供述になりましたとおりに、千差万別の制度を、ある程度地ならしをいたしまして、しかる上において、俗に伝えられておりますじゅずつなぎ方式とか、そういうふうな方式をもって年金の通算をはからなければならない、そういうふうにも考えているわけでございます。御案内のとおりに、社会保障制度の重要な一環として国民年金制度が実施されました以上は、それをよりよくするためにも、そしてまた福祉国家の名にふさわしい制度をとっていきますためにも、ぜひとも地方公務員の共済制度を確立いたしたい、そう従来考えておったわけでございます。これがこのたび諸先生方のお計らいによりまして、日の目を見る段取りに相なりましたことは、まことに御同慶にたえないと思うのでございます。
なお、この法案が準備されます剛には、何と申しましても、千差万別の制度があったわけでございます。それの調整をはかるために相当困難性があったと考えられるわけでございます。そのうちの一つといたしますと、各団体の意見の調整をはかって参ったのでございます。その各団体の今までの自主性を尊重する、あるいはまた既得権、期待権をできるだけ尊重する、そういうふうなことが十分に準備をされたように聞き及んでおります。なおまた、各省間でもいろいろ意見が異なっておったようでございますが、たとえば積立金の運用問題につきましても、当初、各省の間で意見の不一致を見たようでございます。それらが意見の一致を見まして、自主的に運営することになりましたことは、まことに御同慶にたえないところでございます。ただ、そういうふうに、いろいろの御苦心がおありになったと思うのでございますが、なお幾つかの点について今後ぜひ改めていただたいと思う点もございます。
その幾つかの点については、すでにお二方の参考人がそれぞれ意見をお述べになりましたが、たとえば国庫負担金制度の問題、ことに不交付団体における財源措置の問題、あるいはまた追加費用が莫大に上るおそれがありますので、それについての措置等については十分御配慮をいただきたいと考えている次第でございます。また組合員の負担が非常に増す団体もなきにしもあらずでございまして、これらにつきましては、従来市町村職員の共済制度が確立されましたときに、一部緩和措置を講じていただいたような実例もございますので、ぜひ今回もそういったような移行期にあたっての取り扱いについて格段の御配慮をいただきたくお願いを申し上げる次第でございます。
なお、余裕金の運用の問題でございます。この運用につきましては、地方自治体の財政に寄与するように取り計らうことができるように相なったようでございますが、これが起債のワクの中に入りませんように格段の御配慮をいただきたいと思う次第でございます。
なお、吏員と雇用員との間の従来の差別的な待遇が、この地方公務員共済制度が確立されますと、一応取り除かれてしまいますので、この際に吏員と雇用員との身分をひとつ統一をはかっていただきたい、そういうふうにも思う次第でございます。
なお、地方関係団体の職員がこの制度の適用を除外されておりますが、何らかの方法によりまして系統団体の職員あるいは健康保険のほうの関係の職員等もこの法律の中に包含できますようにお計らいをいただきたいと思うわけでございます。
以上、まことに雑駁でございましたが、今後の希望意見を申し述べ、いっときも早く本案が成立いたしまして、多年の私たちの希望がかなえられますように、諸先生方の格段のお計らいをお願い申し上げて、私の公述を終わりたいと存じます。長い間御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/6
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007・小林武治
○委員長(小林武治君) ありがとうございました。
それでは、ただいまお述べをいただきました各参考人の御意見に対し、御質疑のある方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/7
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008・加瀬完
○加瀬完君 すわったままでお許しをいただきます。児玉先生外お三人の参考人の方に伺いますが、いずれの方もお触れになった問題でございますが、国家公務員に準ずるということでですね、団体によりましては、今までありました既得権あるいは期待権というものが、今度の本案の成立によりますと非常に減退させられる問題が起こって参ります、経過的に見て。地方団体が国家公務員よりもいい待遇を与えるということは、それはそれで理由があると思うのです。地方団体として国家公務員よりもいい人材を求め、効率を上げるためには、その団体の権限で給与その他の条件をよくするということは、過去においてもあったし、また、今においても許されるべきことではないか。それが近ごろになりますと、みんな国家公務員に右へならえという形をとっておりますが、これは必ずしも地方団体にとりましてプラスになることばかりではないではないか。特に今度の、今いろいろと御意見をお述べになられました内容等については、地方団体の人材を集めようとする計画が、国家公務員関係に右へならえという形をとられると、それぞれの団体の意欲というものがそがれるということにもなるのではないか。ですから、一応最低の線が国家公務員でけっこうですけれども、それより上に出ている線というものまで下に引きおろすような方法を本法の内応とするということには若干疑問が持たれるわけでございますが、この点お三人の先生方はどのように考えになられましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/8
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009・児玉政介
○参考人(児玉政介君) いろいろ各団体ごとに工夫をして、国家公務員以上に処遇を厚くするほうが人事の刷新等に有利ではないかという意味での御意見で私どもの意見をお聞きになったわけでありますが、そういう部面もあると思います。したがって、何らかの工夫をして一つの魅力を持たせるという事柄もあり得ると思いますが、私の見解は、先ほど申し上げましたように、社会保障制度として進んでいくときに、かけぬけをやって区々ばらばらな状態を続けていくということは、国家的の制度としてどうも望ましいことではないように考えまして、それは各種の保障制度がスタート・ラインに頭をそろえた上で今度は各給付の内容を改善するとか、あるいは掛金についての工夫をするとかいうことで福利を考えていくということにいたせばよかろう、また、それを希望するのである、こういう意味で私はさっきの意見を申し上げたのでありますが、たとえば現在の地方職員の給与などを見ましても、東京都と貧弱府県との間には相当の開きがあるということをよく指摘されております。また府県や市、あるいはごく僻陬の村等に至りますと、そういう点にはたいへんな相違があると思いますが、これはこれなりにやむを得ない面もありましょうし、また工夫をすべき点もあると思いますが、保険制度として望むときには、高いところは高いなりに掛金も高いが給付も多い。低いところは掛金が安いが給付も低いというように、これはどうもやむを得ないことであろうと思いますが、ただ、そのもとになる給付の率であるとか掛金の率であるとかいうことについては、一つの国家的制度として考えるときには、統一をとっておいたほうがいいのではないか、こういう意味で私は申し上げたわけであります。私のお答えを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/9
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010・栗山益夫
○参考人(栗山益夫君) 私は今質問された先生の意見と全く同感でありまして、地方自治体の職員が、たとえば国家公務員より給与が高いからどうであるとか、自治体ごとに多少の違いがあるということは当然であろうと思っておるのであります。特に習志野市の市長さんのほうからは、年金制度が一本でないために人事の交流ができないのだというような言い方で、今度の制度があることが即人事の交流ができるのだと、こういうようなお話がありましたが、一面そうした面もありましょうけれども、主として今、国家公務員になろうとする気持と、地方自治体の職員になろうとする気持、まあ人間の共通した感情といいますか、大きなところの舞台のほうがいい、小さいところはいやなんだと、こういうようなことがあろうと思います。まあ国会議員のほうがよくって、都道府県会議員のほうがお粗末なんだというようなことではないと思いますが、そういう似たような人間の心理状態があろうと思うのです。で、今そのために、習志野の市長さんがおっしゃるような状態、いわゆる小さな市では、かなり給与を高くしないと、優秀な人材が集まらない、ことに非常に、現業関係でも事務関係でも、民間がかなり給与が高くなっておりますし、同じ賃金ならばやはり国家公務員のほうがいいんだ、こういうような感覚が出て参りますので、どうしても地方自治体の職員のほうが、私は本質的には住民に近づいて仕事をしているところによい給与を与えたほうが、自治体の仕事もうまくいきますし、ほんとうの民主的な行政ができる、こういうふうに考えております。給与問題が基本の問題で、年金そのものでどうだということではないと思います。また年金問題も、先ほど申し上げましたが、それぞれの歴史的な過程をもって、たとえば横浜市のように、十年間で雇用人通算年金がつくというのには、それぞれのその市の事情あるいは地域における民間産業との関連などがあって、先輩が営々と努力をして作りあげてきた成果だろうと私は思っておるのです。そういうものを一ぺんにくつがえしてしまう、こういうことに私は賛成ができない。ことに地方制度調査会等の意見を参照しつつ、国家的なものを条例でできるようにこの過程で残してもらいたいということを参考に申し上げたわけであります。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/10
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011・白鳥義三郎
○参考人(白鳥義三郎君) ただいま加瀬先生のほうからの御質問を受けました問題でございますが、先ほどお二方の御意見で大体尽きるのじゃないかと思います。この共済制度は社会保障制度の一翼でございますので、全体の社会保障制度を推進するのに便利なように、よりやすいように統一的な制度を作っておくほうがいいんではなかろうか、そう思いますが、なおまた、栗山参考人のほうから申し述べられましたとおりに、給与の点につきましては、これはまあ給与体系できめるべきことでございまして、年金の掛金をどうこうするということで待遇改善にはならないのじゃないか、むしろそれは給与体系のほうの問題だろうと、そう思うのでございます。給与のほうにつきましては、地方公務員の給与は国家公務員に準ずるという一般原則があるようでございますが、その間についての適当な御配慮をいただいて、この問題は解決いたすべきだろうと、そう考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/11
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012・基政七
○基政七君 ちょっと市長さんの白鳥参考人にお伺いするのですけれども、実際こういうようにばらばらなものを統一するのはいいと思うのですけれども、地方のほうの雇用の関係、これはほんとうにばらばらじゃないかと思うのです。といいますのは、国家公務員のほうは大体、新卒の者がずっと入ってきますけれども、地方になると、専卒その他の場合は非常に年令が高くなったりして、実際の扱いは非常に困られるのじゃないかと思うのですが、そういう点は、自治体の関係ではどうお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/12
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013・白鳥義三郎
○参考人(白鳥義三郎君) お説のとおりでございまして、職員を募集するのに今なかなか困難を感じているような実情でございます。したがって、ただ募集いたしますと、申し込みを受ける人たちはかなり多いのでございまして、私たちのようなごく貧弱なところでも、吏員の募集を公報に掲載いたしますと、たいがい十倍以上の申し込みがあることだけは事実のようでございます。しかし、それを試験をしてみますと、なかなか私たちの思うような人材が得られないというのが、一つの悩みに相なっております。そこで、実情を申し上げますと、私のほうなどは、女子職員が非常にふえておりまして、男子のほうは、近郊都市の関係もあるかもしれませんが、東京に出たがります。なかなか市役所のほうへは希望者が比較的少ないのでございます。女子職員にはかなり優秀な者が就職を希望しておりまして、したがって、試験採用の結果は、大体女子職員を採用するという結果になっておるのでございます。先ほど御指摘の清掃夫のようなことになりますと、これはもう年配者でないとなかなか集まって参りません。これは都会でも、大都市等でもほぼ同じ状況ではなかろうかと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/13
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014・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ちょっと議事進行について。ただいま加瀬委員が、参考人の方々に御意見を伺っておるわけで、後ほど僕らも伺いたいと思うのですが、それで、参考人に失礼でございますけれども、できるだけお答えを簡単に数多く聞かせていただくように御配慮方をお願いしたいと思うのです。お互い大体二つ聞けば五つくらいは……、皆さん方もそうだし、ふつつかながらわれわれもそうですから、それでできるだけたくさんの項目についてお聞きいたしたいと思います。かようにお取り計らいいただくと非常にありがたい、こういう希望でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/14
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015・小林武治
○委員長(小林武治君) ただいま矢嶋委員御発言のようにお順いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/15
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016・加瀬完
○加瀬完君 社会保障制度ということが前提でございますから、本法案が施行されれば、すべての職域で今までよりも社会保障の実があがらなければならないわけですけれども、必ずしもそう参らないところが出てくる。ですから、それは先ほど参考人の方がお述べになったように、経過措置でそれらが救済されておらなければなりませんが、本法案に示された内容の経過措置では、それは解決されておらないではないか。この点が一つ。
それから、白鳥参考人がお述べになっておりますように、これだけには限りませんが、あらゆる面で人事交流というものが行なわれなければならないということは、そのとおりだと思います。その人事交流という点から見ても、こういうように既得権なり期待権なりというものを抹消されるということでは、この法律の提案説明の中にもありましたように、行政能率は下がってくるのではないか、行政能率を確保するという意味合いにおいて、既得権なり期待権なりというものはどのように確保されておるかといいますと、それも非常に私は本法案の内容では欠けておると思いますが、この点を児玉さんと栗山さん、ひとつお答えいただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/16
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017・児玉政介
○参考人(児玉政介君) 簡単にということでありますから結論的に申し上げるわけでありますが、私はさっき申し述べましたように、こまかい点は私も実はそこまで掘り下げておりませんので、この点は恐縮なんですが、ごく大まかに、私どもずっと読んでもみましたが、大まかにみますと、大体既得権といいますか、は尊重されておるというように、私は大体から見て——個々の小さい例をとって具体的に申せば、あるいはそういうところがあるかどうかわかりませんが、想像してみれば、今さっきもお話しになったように、十年でつくところがこれが二十年になるというようなこと、その面で見れば不利だということだと思いますが、既得権というのは、前に十年であった、十年働いた部分については認められておる、こういう意味なんですが、今度これを直して二十年にする、そのかわり給付の率もたいへんに高くなってくる。そういう面で見ると、大体私は既得権も期待権も尊重されておる、それにプラス新しい制度が加わってきたのである、こういうふうに考えてさっきのようなお答えを申し上げたわけであります。こまかいことは皆さんのように研究をいたしておりませんので、御期待に沿えないかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/17
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018・栗山益夫
○参考人(栗山益夫君) 私は、既得権、期待権がかなりそこなわれるのじゃないかということを申し上げたのですが、第一番目に、掛金が倍以上に上るわけですが、ただ年限と今までの給付準、そういうものと掛金とは相関関係を持っておると思いますので、それらを計算してみると——私もこまかい具体的にどういうふうになるということにはなりませんが、私自身持っている東京市の年金なんですけれども、専門家に計算してもらうと、やはり加算率の問題なんかで不利になるようなんです。そういう意味で、掛金がまず上がる。それから年限が延びる。吏雇用員の通算の点は、さっきも言ったのですが、非常に魅力的に自治省あたりは言っているのですが、現に自治体でできるわけです。そのできるものを、今度の法律でこれを通すために自治省はやらせないようなやり方をやっているので、私たちは非常に心外に思っておるのですが、この法律が通らないと通算できませんぞというようないい方をしておりますが、現に東京都でもやっておる。あるいは多くの市町村ではかなりそういうことが行なわれておるわけです。そういうところでは既得権、期待権というものは、特に期待権は非常にそこなわれるというふうに私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/18
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019・矢嶋三義
○矢嶋三義君 参考人の方々の御意見を承り、お教えいただきたと思います。まず、児玉参考人と栗山参考人から承りたいと思うのですが、わが国の社会保障政策の中の所得保障の一つの形としてここに地方公務員を対象にこの法案が出て参った。民間労働者に対するそれに対してはつとに厚生年金制度が発足し施行されて参った。この厚生年金の発足から現在に至るまでのその発足に対する趣旨、それからその後の運用についてどういう見方をされておられるかというのを、参考に簡単に御意見を承りたい。児玉参考人から先にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/19
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020・児玉政介
○参考人(児玉政介君) ちょっとお尋ねの趣旨を具体的に受け取ることができなかったのですが、厚生年金は厚生年金なりに相当の所得保障の成果を上げてきつつあると、こう考えておるのであります。ただ、あの標準報酬の割り方が相当低いところで頭打ちをしておりますから、それらの点から来るいろいろな時勢に合わない点が今日ではあると思います。これは当然改めていかなければならぬことである、こう考えておりますが、ちょっとお尋ねの趣旨がのみ込めなかったので、あるいは的はずれであるかもしれませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/20
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021・栗山益夫
○参考人(栗山益夫君) 私も要点がちょっとつかめない部面もあるのですが、おそらく社会保障制度として一体厚生年金をどう考えるかという意味合いの質問のように私は受け取ったのですが、先ほども参考意見の中で申し上げましたけれども、厚生年金が出発してからかなりの年月を経ております。当時掛金をかけておった労働者にとっては、その当時の金でこれだけかけていけば、まあどうやらわずかであっても生きていけるのじゃないか、こういうような期待を持ってかけておったのではないかと思うのですが、今のように、ことに戦後のインフレなり、あるいは現在のようにどんどん物価が上がっていくという中では、全く社会保障としての意義というものは失っているのじゃないかというふうに私は思うのです。特に、先ほどもそういうことに関連して、社会保障的に今度の年金を考えるならば、物価の値上がり、生活費の高騰に見合ってスライドできるような法案でなければ恩義がないのだということを申し上げたのであります。厚生年金については特にそういう感を私は深く持っておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/21
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022・矢嶋三義
○矢嶋三義君 お二方の厚生年金観、お答えいただいたのですが、私にとってはそれで十分であります。
次に、栗山参考人に伺いますが、先ほどから既得権、期待権について公述があり、質疑が行なわれたわけでありますけれども、私はやや具体的に伺いますが、たとえば京都市は掛金が千分の二十だと、で、十年で最短年令年限として年金がつく、こういう団体に、今七年なり八年なり勤めている人は、志望してそういう機関に勤めたときに持った期待権、それから現在七、八年間勤めている時点に立っての既得権、期待権、それは守られるでしょう、この法案でね。しかし、まあ「少なくとも」をつけておきましょう、少なくとも守られるでしょう。しかし、これから、具体的に言ってみます。たとえば京都市という自治体にあこがれを持ち、これからそういうところの職員になろうという職員については、その期待権というものは多くを剥奪される。ついては、そういう自治体はこれから今まで以上に優秀な人材を確保することはできないというような、そういう現象も起こってくるのではないか。そういう意味における期待権というのは、私はほとんどの自治体の勤労者に対して剥奪されている、こういうふうにいえるのではないかと思うのですが、栗山参考人、さらに児玉参考人の順序でお答えいただきたいのですが、期待権、既得権、どういうふうに見ておられるか、結果だけでよろしゅうございますから、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/22
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023・栗山益夫
○参考人(栗山益夫君) まあ矢鳩先生の言うとおりの考えを私としては持っておるのですが、先ほども習志野市長さんが言ったように、私も申し上げましたように、現業関係なんかは非常に中年層でないと採用できない、こういう実態にあるわけですから、今後の自治体を運営する上にもあまり長期の年金制度では人材が集まってこない、人が集まってこないというようなことになるのじゃないかと思いますし、非常に行政をやる上に不都合が生じてくる、こういうふうに思って、まあ付加的な条例でも作っていただきたいということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/23
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024・児玉政介
○参考人(児玉政介君) 既得権と期待権とをどう区別するかということもありますが、私はさっき申し上げましたように、この制度が新しく出発する前の部門においては、これはほんとうの既得権であって、それはまず完全に守られておる。期待権となると、それぞれどういう期待を持ったかにもよりますが、ある場合には期待はずれの感じを持つものもあるのじゃないかと思いますが、これは新しい制度がある時から出発をすれば古いまんまのことを永久に期待をするということは多少の無理があるのじゃなかろうか。しかも、新しい制度が、つまり積み上げられてきた新しい制度というものが前よりも非常に悪くなっておるというふうに私は考えておりませんので、その意味において、そう期待にはずれるところはないのじゃないかと、こんなように私は感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/24
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025・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう二、三点伺いますが、これまた、栗山参考人と児玉参考人のほうが適当と思いますので伺いますが、この法案で地方公務員共済組合法と銘打ちながら公務員の身分でない者を含んでいますね。白鳥参考人の公述によると、さらにその一部を拡大してほしいという公述もあったわけですね。この点についてどういう見解を持っておられるか。もし公務員の身分でない者を含むならば、その限度はどの程度にすべきか、たとえば自治労とか教組とかという団体がありますが、身分、給与等の経済闘争運動を展開されるわけでありますけれども、振り返ってみるというと、自治体の進展とか、あるいは地方教育の進展と非常に関係があり、私はそういうところに勤めている職員と地方公務員でない身分の者を包含するその線の引き方というものは非常に微妙ではないか、かような感じがするわけです。それで、地方公務員の身分でない者を含むとすると、それに対してどういう見解を待たれておるかということ。それから、この法案の中には、地方議会議員の年金制度が入れられてありますね。こういう立法技術ですね、そういう点には法律専門家でないかもしれませんが、どういう見方を持っておられるか。さらに、公選であるところの地方団体の首長に対して、特別に配慮をはかった形でこの法案の中にその内容を盛られておるわけですね。こういう点についても、地方公務員の身分でない者をこの法律案の中に包含しているという角度から、見識ある公務員の一人として栗山、児玉参考人はどういう御意見を持っておられるかということを簡単に参考に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/25
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026・栗山益夫
○参考人(栗山益夫君) まず、包含されるべき範囲ということなんですけれども、われわれとしては、共済組合団体ができれば、その中におる職員の程度は当然包含してもらいたいという、現在の実情に立ってそういう考えを持っておるわけであります。というのは、地方共済にしても、あるいは健康保険組合、都市共済等でも、一般職員が、これに従事しているあるいは定数等がないために、団体自体が雇っておる者が錯綜しておりますから、できるだけ一本に年金制度等ができればその議会に入れていただく。矢鳩先生から特に労働組合というような、かなり広範な広い解釈がありましたが、今私たち、できるだけ組合の自主性ということも考えて、そこまで範囲を広げたいという考えは私としては持っておりません。
それから次に、地方議会の議員の年金が一緒になっておるということは、非常に私は不可解に実は思っておるのです。まあ、いろいろなことでこういういきさつがあって、悪く推測しますと、首長なり地方議会の議員の年金を入れることによって、非常に今まで市長会あるいは地方議会等の反対を抑えて、早く通すような方法でこんなものを入れたのじゃないかというような悪推理をもするような気持に私はなっておるのですが、特にまあ、人のよくなることをそうけなす気もありませんから、先ほどの参考意見では申し上げなかったわけであります。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/26
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027・児玉政介
○参考人(児玉政介君) どの程度の地方公務員外の者を加えるかという点は、今当面この法案外のことであったので、私はまだそれを、こういうものは入れたらよかろうというようなところまで検討をいたしておりませんので、ちょっとお答えを申し上げかねますが、この法案に入っておるもので申せば、最後にお示しの首長の問題がありますが、これはまあ確かに地方の公務員でもあり、そして従来はっきりと、たとえば十二年で年金がつくというようなことがきまっておったものでありますから、これを織り込んで既得権を尊重するということは、これはもうやむを得ないというよりも、むしろ当然なことであると、こう考えます。
ただ一つ、お示しの地方議員の年金がこの法案に入っているのはどうかということでありますが、これは今、栗山参考人の御意見もありましたが、いろいろな批判はあり得ると思います。しかし、すでに現在の地方議員の互助会法に、将来地方職員の制度が確立するときにはこの中に入れろということが、国会の御審議になった法律できまっておる。それをそのまま実行したということでありまして、既定の事実であるから入れたのであるという、それこそさっき申し上げました沿革に基づくものであると、こういうことであると私はかように解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/27
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028・矢嶋三義
○矢嶋三義君 御意見を承る時間でありますから、ディスカッションでございませんから、そのまま入れたわけではないという私今意見を持っておりますけれども、討論になりますから質問を続けます。
白鳥参考人に伺いますが、お宅の職員に対しては、現行どういう年金条例を適用していくかということ、あらましですね。それから、この法案に対して、お宅の職員はどういう見解を持っておられるかという点と、この法施行後におけるお宅の財政負担はどの程度になるとお見通しを持っておられるか、お教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/28
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029・白鳥義三郎
○参考人(白鳥義三郎君) 私のほうで、現行では、市町村共済組合と恩給組合に加入しておりますので、市町村を通じての待遇をはかっているわけでございます。この法案に対する職員の意見あるいは希望でございますが、実は昨日組合のほうの方が参られまして、あした参議院のほうで参考人として呼ばれているそうだが、ぜひそのときに申し述べてもらいたいということは二件ございました。そのうちの一件は、財政負担が、国庫の負担金制度が採用されていないからそれをぜひ適当な機会に織り込んでもらうように公述をしてもらいたい。それから積立金の運用について、組合員の福祉厚生が十分はかられるように格段の御配慮をお願いしてもらいたい、こういうふうな二点についての希望意見があったわけでありまして、これは全く私と同じ見解でございますので、本日公述することをお約束して参った次第であります。
それから第三点が財源の負担の経費の問題でございますが、これにつきましては、実はまだ私のほうで負担をするものと、それから交付税のほうでごめんどう見ていただくものとがございますので、それらのバランスがどうなっているか試算をいたしておりませんので、まことにお恥ずかしいことでございますが、御返答できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/29
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030・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あと二問だけ伺わしていただきます。栗山参考人にお教えいただきたいんですが、あなたの知っている範囲内で、具体的に、たとえばこういう団体に勤めているこういう人はこの法律の公布施行によってこの程度不利になるので非常に不満があるのだというような具体的なものがお耳に入って御記憶があられましたら御公述いただきたいと思うのですが、もしそういう的確なものを御記憶なかったら、もうちょっと大まかでもよろしいですから、どういうところの団体がこの程度で非常に不満が強いんだという点がおぼろげにでもこちらにわかる程度に御公述いただくとありがたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/30
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031・栗山益夫
○参考人(栗山益夫君) 先ほども申し上げましたが、特に横浜市のこれは共通した問題ですから、全部の職員、雇用員も吏員も通算して十年という年金制度を持っておるわけでございます。十年目の給付が四分の一というふうに私記憶いたしておりますが、加算率等も大体この制度と同じ程度でありますので、まあ掛金が高くなることと、年限が延びること、これは明らかに非常に不満である、そういう都市が北九州の五都市にしても、あるいは大阪周辺の都市、私自身実は東京市の十二年の年金を持っておるのですが、これはきのう計算をちょっとしてもらったんですけれども、加算率が四十分の一ですか、加算率が一番よい年金なんですが、どう計算してみても、既得権というのか、既得権に近い期待権なんですけれども、不利になるのではないかというふうに考えています。したがって、都市の部面で非常に不満がある。それから府県の段階では大体一律の制度を現在持っておりますが、大阪府が十四年の年金制度を持っております。こういう短い年金制度を持っておるところ、掛金の少ないところ、こういうところではやはり不満が多い、こういうふうに私は見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/31
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032・矢嶋三義
○矢嶋三義君 他に質疑のある方もありますから、この一問で質問終わりますが、地方制度調査会の答申に、関係団体の意見を十分聞いて行政府は対処せよ、という答申があったことは御承知のとおりですね。栗山参考人に伺うのでありますが、あなた方がずっと検討されて、いろいろと意見を行政府に訴えられたことと思うのですね、その結果であろうと私は推測するわけですが、警察、地方職員、公立学校各共済組合の運営方式が運営審議会にとどまり、あとは組合会という形になったわけですね。それで先ほどあなた様が公述されたように、一つは運審であり、一つは組合会方式であり、理解に苦しむ。一つは議せなければならないと規定し、一方は議決の形式をとっている。公述されたように構成メンバーも数においても、選出の仕方でも違う。一つの法律の中にこういう形があるのは納得できないという公述があったのですが、私もそれを聞いてごもっともだと思ったのですが、その点、まあ、あなた方の御要望によってこういう形になったのかなと推測するわけですが、あなたとしては、参考人としてはどういうわけで公立学校と警察と地方職員が組合会方式にならないで運営審議会に残ったと、かような判断をされるかということですね。で、まあ、あなたの相手側を推測しての判断になるわけですが、あなた方の要望された程度と、どういうわけで政府のほうではこういう形をとったと、参考人としては、交渉された経過から推測されるかということと、あわせてあなたの調査なさっておられることに関係の深い地方職員共済組合の運営審議会の運用状況というものがどういうものであり、また今後どういうふうな運営になるように予想されるかという点、もし公述可能でありましたならば、可能な範囲内でお教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/32
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033・栗山益夫
○参考人(栗山益夫君) これは推測というよりは、ここで相手の名前をあげることは差し控えますが、かなり責任ある人の意見でもあったわけですけれども、警察共済のほうはどうも選挙でやるのはまずいのだ、警察で選挙されるというのはまずい——私たちとしては、警察職員というのは今ほとんど高等学校は出ているのですから、今小学校、中学校、高等学校とクラス委員の選挙をずっとやって、そういうことになれているので、何も警察が選挙でやったからといって、日本の警察制度がひっくり返るということはないのじゃないか。要するに警察制度を基点にしてどうも都道府県、まあ公立学校のほうは右へならえしたのだという言い方が一つと、もう一つは、これは私の推測がかなり入るのですが、当初第一番目に出された第一次案の中では、自治省の職員も地共済の中にぶち込んだ案を作っております。これを見たときに、私は非常に奇怪に感じたのですが、先ほど参考人のほうからも意見が出ましたが、人事の交流といいますか、何か自治省あたりでは都道府県というやつは自治体ではなくて出先機関だというような感覚を持っているのじゃないか、これは非常に私は今後の自治体の——とにかく知事を選挙し、議会制度を持っている自治体に対して、自治省の見方というものに非常に危険思想があると私ども思っている。こういうことが、どうも市町村のほうは自治体として認めるけれども、まあ地方共済という名前も私は気に食わないのですけれども、道府県共済と名前を変えたらいいと思うのですが、何か出先機関であるので、あまり権限を与えないほうがいいんだというような感覚があるやに聞いております。もう一つは、ほんとうの憶測ですが、文部共済ですか、公立学校共済のほうがどうしても運営審議会でなければならぬ、これがまあ日教組との関係などということが暗にあるのではないかと思うのですが、その道連れを食ったんではないかというふうに、現在はこれは推測の域を脱しませんが、私は聞いておるのであります。そういうことで、非常に地方共済だけが、どうも三共済だけが運営審議会、この運営審議会というものは、先ほども参考意見を申し上まげしたが、ほとんど形式的にしか私は開いていないと思うのです。それで現在も知事なんかがたくさん代表になっておりますが、ほとんど出ていないようです。これは正確な資料を私持っておりませんが、先生方から機会あるときに自治省のほうにお聞きになればわかると思いますけれども、正規な委員は出ておらない、代理が出ている。こういう運営の仕方に今後もなるんではないかという危険が、地方共済のほうも通じて私は考えられると思うのです。激職を持っている知事だとか市長が、そうまた事実上出られないのじゃないかと思う。そういう形だけ整えて、中身のないような制度というものはやはり好ましくないということを先ほど申し上げたとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/33
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034・矢嶋三義
○矢嶋三義君 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/34
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035・山本伊三郎
○山本伊三郎君 本日は非常にお忙しいのに三参考人の方は御苦労でございます。私も時間がありませんので、簡単にひとつ参考人の方々に御質問したいと思います。
参考人の方々の経歴を拝見いたしますと、児玉さんは大正十五年に内務省の社会局におられたという御経験があるので、当時、健康保険法の制定の当時だと思います。さすが社会保障、社会保険については御造詣が深いと思います。先ほどの公述の中にも、社会保障制度とすれば、国庫補助、国庫負担というものは必須の条件である、こういう公述があったのですが、私もそのとおりだと思います。したがって、ほかのことは聞きません、あなたの御経験から、今回国庫負担、補助のかわりに、御存じのとおり交付税でこれをまかなおう、こういうことで政府は踏み切ったようなんです。自治省はこれに対して、相当政府部内で反抗といいますか、主張したようです。しかし、とうとう交付税でやられたのですが、交付税になると、御存じのように、いわゆるもろもろの社会保険から見ると、国庫負担、国庫補助になると、これはいかなる場合でもそのまま共済組合の費用としていくのですが、交付税となると交付団体もあるし、ことに公企体関係、こういうところにはどういう方法でいっても行くルートがないんですね。そうすると、交付税で見た場合には、国庫負担にかわるべきいささかの国の恵みというものがない運用になるのです。そういうことになっておるので、ちょっと時間がないので私の意見を言っておきますが、現在の制度もあるんですから、別にあわててやらなくても、政府部内で調節をして、やはり原則的な社会保険というならば、そういう国庫負担を均霑するような方法を政府部内で調節すべきでなかったかと私は思うのです。それをやらずに、交付税が〇・一ふえたからというので、それで強行しようというのですが、これは私一昨日大蔵大臣にも若干この点を追及をいたしましたが、この点についての御所感をひとつお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/35
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036・児玉政介
○参考人(児玉政介君) 私はさっき他の保障制度との均衡からいっても、国家がある程度は負担をしていいのではないかと、こういうことを申し上げたのでありますが、それはそれで私の考えていることはそのとおりなんですが、まあ、しいて、いろいろな大成省の代弁をするんでも何でもありませんが、実際を見ると、公共企業体には特別な国庫負担はないとかいろんなそういう例もあるようですし、公共団体も、また地方団体も一つの公的な団体であるから、そこで一割持てばそれでもいいではないか、そしてその財源は、いわゆる交付税の範囲において国が持ってやるんだ、こういうことでまあどっかへひっかかりをつけて、それで国も一つの責任を果たしたという格好をしているのが実情であると私も考えるのですが、さて、お尋ねの国庫負担でなく交付税でやるということになれば、公共企業等では、そんなものでよくめんどう見てもらったということにならぬじゃないかということが、理屈としてはそういうことも言えると思いますが、交付税で見る、あるいは国庫負担にしても気持は同じだと思いますが、ひっきょう地方の負担になる部分を、国が財源措置をしてやるということになりますと、これは地方団体に対する交付税で、そこの団体のもろもろの負担が一応カバーされたと、こう考えれば、一応これも理屈のつくことであると思うのでありますが、そういう意味でこんなところに落ちついていると、こう私は考えておりますが、経過をお互いに知っていてあからさまに申せば、相当やはり国庫の負担を要望、政府部内においても主務官庁は要望をしておったということのようで、それがいれられなかったということは、ちょっと期持はずれであると言うほかはないのではないかと思います。私はやはり一般的には持つほうが適当ではないかということをさっき申し上げたわけですが、先を急いでおるので曲がりなりの解決をしたと、一応どっかに理屈はつけたと、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/36
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037・山本伊三郎
○山本伊三郎君 私、当局じゃないですから、参考人の方々ですから、私は別にどうこう言うわけではないですが、実際問題で、国鉄の場合問題があったのですが、公企体には、一切国鉄には持っておらない。この前、一昨年ですか、国鉄の運賃を上げるときに運輸大臣に言ったのです。今度の予算で、当然政府が見るべき恩給的性格であるやつが、三十六年度で四十二億ですか、程度の——ちょっと今資料はありませんが、負担をしておる。当然運輸省の官吏であって、政府が見るべき金を国鉄の経済で持っているのです。そして運賃を値上げするから、国民は納得しないのではないかと言ったのです。そういう例もあるのです。今度の場合でも、実は御存じのように、地方公共団体でも交通なり水道なりあるのです。それがそこに交付税はいかないですから、全然財源の補助はない。しかも、法律でしようと国がきめてしまう。その財源はどこに求めるとというと、交通料金の引き上げをするかなんかしないと財源が出てこないという一つの矛盾がある。これはあなたの御意見を聞こうと言いませんが、参考までに言っておきますが、そういう一つの点も出てくるのではないかと思います。国鉄の例は私もずいぶん前にやりましたが、そういう現状でございます。やはりこういう法律できめた以上は、国は何がしの、ある程度の国庫負担というものは持つべきのが至当ではなかろうか。それが通らないときには、この法律提出そのものもやはり政府部内で調節して持つべきだというのがわれわれの主張なんです。それは一応そういうことで付言しておきます。
次に、白鳥さんにちょっとお聞きいたしますが、先ほど矢嶋委員から、今後この法律が通ると、あなたの市で負担はどれくらいになるか、残念ながら計算していない、おそらく今の市町村なり都道府県の主張はみなそうだと思うのです。そんなことまでやっていないのですね、実際のところ。それで、これができたから、はたしてどうなるか。政府がどうなるか見てくれるだろうというような安易な考え方です。実は電報が毎日私のうちに五十通くらい来る。早くこれを通してもらいたいと、夜の夜中まで電報が来るのですね。私は、そういうことを全部御存じの上であなたが成立の努力をしてもらいたいと言われるのはわかるけれども、今後地方財政の上に、私は非常に——自治省はめんどうを見てくれると思います。われわれも質問をしております。してくれると思いますが、私は非常に地方財政の上にしわ寄せが来るのじゃないかという心配を実はしておるわけであります。したがって、追加費用の問題もありましょうし、このほかいろいろ派生的な問題が起こりますので、現在市長をしておられる白鳥さんですから、今後いろいろ努力をされると思いますから、そういう不安をやはり除去するように、ただ先ほど言われましたように、人事交流が非常にこれによってなめらかになると言われますが、私らの経験では、人事交流、各地方団体、都道府県、市町村、また国家公務員ですか、これらの人事交流の阻害になっておるものは、むしろこういう年金制度も一つの要素だが、給与体系といいますか、給与制度の上にも大きい隘路があると思うのです。したがって、年金だけこうできたから、人事交流がスムーズにいくということをもし考えておるならば、若干私は異議があるのですが、私はここであなたに反駁するわけじゃないのですが、そういう意味において、地方財政の今後の見通しとして、これで私の地方は地方交付税で大丈夫やってもらえるのだ、こういう御自信を持って、これは大いに促進してもらいたいという御意見であるかどうか、これだけちょっと承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/37
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038・白鳥義三郎
○参考人(白鳥義三郎君) ただいまの御査問でございますが、財源の問題につきましては、先ほど申し上げましたとおりに、交付税のほうの増額でどのくらいをこの費用として見ているか、それからまた、現在の私たちが負担しておりますもののほかにどのくらい経費がかかってくるのか、その差引がどの程度になるかが、実は試算をしてないので、まことにお恥ずかしい次第だと申し上げた次第でございます。ただ一応私の部下の財政課長のほうからは、そう財政の破綻を来たすような、そういう過重なものにはならないと言って、当初予算で見なくとも、これは十分間に合います、こういうふうなことでございましたので、当初予算を組むときに、すでにこういったようなことがうわさに上っておったものでございますから、財源措置をあらためてしないでおいたわけでございます。ただ御指摘の追加費用についての負担、これはなかなか容易ならぬ問題だと、こう思うのでございまして、この点については、自治省当局のほうもできるだけのめんどうは見る、こう言っておりますので、その当局の言をそのまま私たちは安心して信用しているわけでございます。なお、その点につきましては、諸先生方に今後とも何分の御配慮をいただきたくお願いを申し上げる次第でございます。
それから人事交流の点でございますが、先ほど私が申し上げましたのは、今までの方式でございますと、府県から私のほうに職員を譲ってもらいますときにも、それで打ち切ってしまいませんと、私のほうに府県との間の協定ができておらないところでは、その間がブランクになってしまうわけでございます。したがって、そのためにこれはもう相当の年配になられました方々については、恩給が途中で打ち切られるというふうなことだったら、給与は多少上げましても、とてもそれだけでは補いがつかないことでございまして、それが大きな人事交流に支障になっていることだけはこれは事実だと、かように考えているわけでございます。その点格段の御配慮をいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/38
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039・小林武治
○委員長(小林武治君) 参考人の各位に一言お礼を申し上げます。
三人の方々には公私御多用のところ、長時間にわたり当委員会の審査に御協力下さいまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
本日拝聴いたしました御意見は、われわれ委員会の今後の審査に非常に有意義であったばかりでなく、実施に当たる政府当局にも、きわめて参考になることが多かったと存ずるのであります。
以上をもちまして午前中の意見聴取を終わることといたします。ありがとうございました。
午前はこれにて休憩し、午後一時三十分より再開いたします。
午後零時二十六分休憩
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午後一時四十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/39
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040・小林武治
○委員長(小林武治君) 休憩前に引き続いて委員会を再開いたします。
午後は、ただいま御出席いだいておりますお二人の方から両法案について御意見を伺うことになっております。お二人の方には御多用のところわざわざ当委員会のためおいで下さいましてありがとうございます。
これから両法案について御意見をお述べいただくわけでございますが、順序といたしまして、まず、お一人に約二十分程度ずつ御意見をお述べ願いまして、後刻さらに委員からの質疑にお答えいただくことにして進めたいと思いますので、よろしく御協力のほどお願いいたします。
それでは真辺参考人からまずお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/40
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041・真辺芳郎
○参考人(真辺芳郎君) 私は全日本水道労働組合中央執行委員長真辺芳郎でございます。
最初に、地行委の先生方が地方自治のために日夜努力されておりますことについて心から敬意を表するものでございます。
ただいまから地方公務員共済組合法案及び地方公務員共済組合法の長期給付に関する施行法案についての参考人としての意見を申し上げます。
最初に、私たちはこの法案について反対であることを明らかにいたします。本来退職年金は、老後の生活を確保するために私たちは従来努力を続けてきたものであります。また、社会保障の一環として考えられてきたのは至当なことであろうというふうに考えるわけです。老齢になりましてからの生活を保障する、このことを目的として最近国民皆年金あるいはまた国民皆保険の段階に努力されてきたというふうに考えるわけです。こういうふうな情勢の中で本法案についての意見として、特に老後の生活を保障する年金としての考え方を私たちは持っておりますし、また、そのように考えなくてはならないというふうに思っておる次第でございます。その基礎といいますか、思想的基礎として人間の生存権を社会的に保障することが最も正しい姿としてこの年金制度を考えなくてはいけないのではないだろうか、かように思っておる次第であります。このような見地からして、この年金制度に労使からなる保険システムを採用したことが、はたして正しい姿なのかどうか、こういう点について疑問に思っておるのであります。といいますのは、掛金に基づく再分配が人間としての生存権に対する公平な配分とは考えないからであります。むしろ改正するとするならば、長期に勤続し、人生を経験し、そうして一定の年令に達した者には国が老後の生活を保障する、こういう建前から全国民的な立法をすることが最も望ましいのではないだろうか、かように考えておるわけでございます。しかしながら、本法案の具体的な事項についての意見を申し上げたいと思います。
まず、私たちは全額国庫負担によるべきだと、そうして無拠出の制度、これこそが真の社会保障としての退職年金制度だというふうに考えておるわけであります。まして、今回出されておりますこの法案につきましては、掛金が倍増する、倍額になる、こういう内容につきましては、われわれの絶対に納得できないところであります。昭和二十八年に人事院が国家公務員の退職年金制度についての勧告を衆参両院及び内閣総理大臣に提出しておりますことは、先生方のよく承知されているところであるわけです。その中で給付に要する費用の百分の二十五は公務員が負担をし、百分の七十五は国庫が負担をすると、こういうふうに書かれておるわけです。少なくとも政府は、この人事院勧告を尊重して、組合員の負担は百分の二十五にとどめるべきだと、こういう考え方をわれわれは持っておるわけであります。そうして、私たちはこれら負担割合につきましても、それぞれ使用者である公共団体の長と、今、実施をしております年金制度では従来そのように決定をして参ったわけであります。そのことは地方の沿革とともに多種多様の年金制度を現在形づくったものと思うわけです。
若干わき道にそれますけれども、私たちは現行の恩給制度なり、あるいはまた年金制度は労働組合の今までの交渉の成果として、これが形づくられたものというふうに考えておるわけです。したがいまして、恩恵的だとか、あるいは報奨的給与だとか、こういうふうに考えておりません。したがって、全国的に統一するとするならば、政府は十分話し合いを行ないまして組合員の納得の上に実施をされるように取り計らっていただきたかったと、こういうふうに考えるわけです。しかも、掛金が私たちの働いた賃金の中から出される。しかも、それが一挙に培以上になる。しかも、この中には今まで百分の二以下のもの、あるいは無拠出のところがあるわけです。この法によりますれば非常な負担を負うことになりますし、生活上の脅威というふうに考えて、職場ではいろいろ心配をし、また、何とかならないかというふうに考えておるのが現状であります。三年以前にこの法案が構想されましたときに、政府は一割国庫負担を考えていたというふうに記憶をしております。当時掛金百分の四十四につきましては、長期給付費用の一割は国が負担し、残りを使用者である自治体と私たちが折半をして、四五%ずつの負担をする構想を前提としていたというふうに思うわけです。ところが、この構想が予算編成において実現せずに、わずかに昭和三十七年度予算で、臨時地方特別交付税の〇・三、すなわち四十五億を廃止して、そのかわりに、ふえた地方交付税の〇・四、すなわち六十億の差引実質増加分の〇・一、すなわち十五億の中でまかなうことになったと聞いております。この点、年金に対する考え方としては、私たちは受け取れないわけであります。不合理であるというふうに考えております。しかも、公営企業には地方公付税は独立採算の関係から来ないということがあります。地方公営企業であります水道あるいは交通、これは先生方も御承知のとおりに、何とかやりくりをして黒字か、あるいはそうでなければ赤字会計になっておる、こういう四苦八苦の状態にあるのが現状であるわけです。特に交通企業における経済は、今申し上げました六、三の関係から、事業主負担が、これはもちろん水道も同じでありますけれども、百分の五・五の負担になるわけです。このことが現在の赤字財政のさらに累積という形になりますし、また間接的には、地方財政への圧迫は火を見るよりも明らかであるというふうに考えておるわけです要するに、かかる点だけ見ましても、社会保障制度という点には非常に縁遠いものであるというふうに私たちは考えざるを得ないのであります。
次に、財源関係の基本であります保険数理計算についても、今まで私の聞きました範囲では、非常に不明確になっております。国家公務員共済組合法の数字を今回の法案の中にも押しつけておるのだ、こういうふうにしか私たちは考えることができないわけです。また、退職年金の基準は最終三年間の給与ということになっておりますけれども、これも同じく国家公務員共済組合の場合と同様に機械的に扱われたものというふうにしか考えられないわけであります。そういうことは、地方公共団体におきます現在の給与の実態なり、こういうことを全く無視したものであるというふうに私たちは考えております。で、給与制度を異にしております——各都市なりいろいろ給与制度を異にしておる実情からいたしましても、私たちは最終俸給を基礎にしてもらいたい、こういうことで過般運動を進めて参りましたけれども、この条件がいれられておらないわけであります。したがって、今申し上げました点についても、とうてい私たちの納得できるものではないわけであります。
また、この法案の中に懲戒処分に対する給付制限がうたわれております。法案中私が最も納得のいかない部分であります。少なくとも保険システムに対する損害、こういうふうな特別な場合は別にいたしましても、保険システムを採用している以上、掛金をかけておるわけであります。こういう点からいいまして、地方公務員法上における、すなわち行政法上における問題に対して、この法案にあります懲戒的といいますか、懲戒処分的給付制限というものは、やはり納得のできないものであります。また、この内容を通して、邪推になりますけれども、考えますことは、人事管理の手段に利用されることがあるのではないだろうか、こういうことを私たちは懸念をしているわけです。民主的な立法精神、こういう点から見ますならば、非常にゆがめられているというふうに考えざるを得ません。
次に、減額退職年金のことでございますけれども、この点については、今までからいたしますならば非常な不利益となっております。特に老後の保障が行なわれない。今までの恩給法なり等から比較いたしましても、非常に条件が悪い。こういう点については、われわれのやはり承服しかねる点であります。
ただ一点、われわれの意図いたしておりました点、吏雇用員の通算の問題でございますけれども、この点について、本法案の中では統一をされております。この点については、私たちは従来一本化の正しい姿を求めて参りましたし、また私たちの基本要求という形で従来も考え、かつ、また要請をし、要求をしてきた次第であります。この点については、非常に私たちもこの法案の意図に賛成するものであります。しかし半面、政府がこのような考え方を従来持っておったといたしますならば、たとえば横浜の例でございますけれども、吏雇用員——吏員、雇員、用員を通算をして十年の年金がついている、こういう実例もあるわけであります。こういう点からして、政府としての行政指導がもし過去において行なわれたとするならば、相当程度の条件というものが今よりもよかったのではないだろうか。過去においてこういう行政指導がなされなかったという点について、むしろ逆に非常に遺憾に思う点であるわけです。そうして臨時職員の問題につきましても、私たちは職員と同様に、同じ職場で働いている労働者として、同一条件に考えていただきたいというふうに従来運動を進めて参りました。しかし、この点についても、さらに先生方にお願いをしたいというふうに考えておるわけであります。
最後に、最も私が懸念をし、心配をしております点は、資金の問題であります。全般的に地方公共団体に非常に大きな負担がかかるようになっております。このことが各自治団体を圧迫する。さらには各企業体を圧迫する。さらにはその中においての職場において合理化が出てくるでありましょうし、また労働強化という姿となって現われないというふうには私たちは考えられないわけであります。また公営企業体におきましては、当然料金値上げという姿も考えられて、こういうような状態になりました場合には、住民の福祉を阻害をするということにまで影響を及ぼすように考えておるわけであります。もしこのような実態が職場に現われ、あるいはまた地方自治の中に現われるといたしますならば、私たちは徹底的にこの点については反対をせざるを得ないのであります。さらに年金の積立金が地方財政の立場本意で流用されるおそれがあるというふうに考えます。「地方公共団体の行政目的の実現に資する」、こういうふうにいわれますけれども、こういう形の中で、実際には先ほど申し上げましたような点、こういう点から多分に疑問を持っておるわけであります。地方交付税に対しましては、従来一応起案されました一〇%、こういう形におきましても、私たちは社会保障としての形を考えていただきたい、こういうふうに組合員は願っておるわけであります。そして積立金、こういうものが流用されることなく、組合員の福祉増進のために使用されることが最も望ましいというふうに考えております。
雑駁な意見ではございましたが、以上申し述べました事項につきまして、これらが本法案の中に取り入れられますように私たちは期待をし、希望をしてやまないものであります。本法案について、さらに慎重に御審議をいただきまして、国会の権威と諸先生方の良識とによりまして、本法案が適用される地方公共団体の職員も納得をして、しかも、安心をして将来の職責に邁進できますように、先生方の重々なる御配慮をお願いをいたしまして私の意見を終わる次第であります。どうも御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/41
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042・小林武治
○委員長(小林武治君) ありがとうございました。
次に、奥山参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/42
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043・奥山えみ子
○参考人(奥山えみ子君) 失礼いたします。奥山でございます。初めに地方行政委員の皆様の日ごろの御尽力に対しまして厚く御礼を申し上げます。
このたび制定されようとしております地方公務員退職年金法の問題につきまして、女性の立場から私は一言意見を申し述べさせていただきたいと存じます。
まず、私は政府のお考えになっていらっしゃいます制度の一本化ということにつきましては、その趣旨に賛成でございます。つまり、国民皆年金の方向へ向かいましてすべて一本化した制度にしようというのでございますから、憲法の二十五条を引用するまでもなく、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を国が社会保障としてこれを保障していこうということでの一本化として考えますならば、趣旨はけっこうだと存ずるわけでございます。しかし、幾らすばらしい入れものに入っておりますお菓子でありましても、中身が中毒や下痢を起こすようなものであってはたいへんでございます。この点でいろいろと示されております法案の内容や、その施行法等について伺いますと、必ずしもその趣旨が完全に生かされていないのではないかということを心配するものでございます。すなわち、その最も大きな理由の一つは、長期給付の国庫負担がほとんど考えられていないということでございます。つまり、そのほとんどの財源が組合員の掛金と地方自治体の負担になっているという、この点でございます。自治省の三十七年度三十六億円という予算要求につきましも、わずかかに十五億円、また文部関係でも五%以下の二十七億五千万円しか計上されておらず、しかも、これが完全な国庫負担の形でなく、交付税の形で予算化されているとお聞きしております。これでは国家公務員の場合の一〇%をはるかに下回る額でしかありませんし、社会保障審議会でも、これでは本来の目的に沿った配分は困難であり、不合理な結果を生ずる、年金に対する国庫負担はすべて社会保障の見地から各制度を通じて一定の原則によって考えられるべきだといっておりますし、また地方制度調査会の答申を見ましても、社会保障制度に対する国の責任を明確にするため、給付に要する費用の一〇%を国が負担すべきであると述べております。国庫負担なしでは地方自治体の負担は当然大きくなって参りますし、将来の運営につきましての不安が残ることになりはしないでしょうか。国が法律できめるこの制度の実施にあたりまして、地方自治体に大きな負担をかけることは問題ではないかと存じます。
さらに、財源の大半を占める四五%を組合員の掛金でまかなうこととし、そのために、組合員は今までの二・二倍という多額の掛金を負担しなくてはならないということも、重大な問題ではないかと存じます。私の存じ上げております方のむすこさんに、大学卒業後今年で七年間小学校に勤務しているという方がおられますけれども、もはや三十近いにかかわらず、これでは僕たちみたいな安月給取りではますます結婚なんてできそうもありませんよと嘆いておられました。夫婦共かせぎをしなければ生活できない日本の低賃金が大きな問題となっておりますときに、さらに追い打ちをかけるように、掛金の二・二倍増ということは、何としても問題ではないかと考えます。ほんとうに国が社会人保障の見地に立ちまして、国民皆年金ということをお考えになっておるのでしたら、このようなむちゃなことはあり得ない。国庫負担を何とかふやしてということになるのが当然ではないかと思うのでございます。
次に、本案を拝見いたしまして、まことに重大だと思われますことは、恩給法で実施されていたときの権利が侵されているという事実でございます。その中でも、私は女でございますから一番ぴんと参りますことは、恩給年限が十七年から二十年に引き上げられたこと、従来の若年停止方式が減額年金制度になるということでございます。そのほかにも、給付額計算の基礎が最終俸給であったのを三カ年の平均としているという点も、大きな既得権の侵害だと考えますが、特に初め申し上げました二点につきましては、女子公務員にとって最も重要な問題だと考えます。ただいままでの若年停止方式では、恩給法第五十八条の三によりまして、四十五才未満は恩給の金額、四十五才以上五十才未満はその二分の一、五十才以上五十五才未満は十分の三を支給停止し、五十五才になれば金額支給が認められ、早くやめた方たちも、まあこれで何とか自分の働いた額に見合って、不十分ながら老後は保障してもらえるということになっていたわけでございますが今度の場合は、四十五才以上五十五才未満の者は、五十五才からさかのぼり、一年につき四%減額で固定される、五十五才になっても復元しないことになっておりまして、たいへんな既得権の剥奪になるのではないかと思われます。特にこれは制度上における男女差の問題ではございませんけれども、普通の場合、女子労働者が大部分これに該当いたしますし、特に公立学校における二十五万の女教師の大部分が深刻な被害を受けることになって参ると思う次第でございます。御承知のように、婦人教師は、仕事の内容も、その責任の所在もすべてにおいて男教師と全く同じでございますし、単なるお茶くみや、使い走りといった体の仕事とは違っておりまして、学級を担任し、学校業務を担当し、子供たちの教育上責任ある仕事をしているわけでございますから、そこには男の方と何らの差も認められないはずでございます。特に母親となって子女の養育の経験を持ちながら教壇に立っている人々は数多くを占めておりますし、そういう人々の教育の実践のすばらしさは多くの人々の認めるところでございます。また、このような婦人教師の中には、子供をかかえて夫に死に別れ、家計をささえている未亡人の方たちがたくさんいらっしゃいます。それでなくても先ほど申し上げましたように、日本の低賃金構造の中で夫の収入だけでは子女の養育も思うようにできない方たちが、家計の半分をしょって夫婦共かせぎをしなければならないのが実態でございます。私が関係しております日本母親大会では毎年夏全国大会が開かれるのでございますが、これには日本の津々浦々から、日本の平和とすべての人々のしあわせを願うたくさんのお母さんたちが集まって参ります。昨年はついに一万五千人を突破しておりますが、この集会の中でさまざまなお母さんたちの願いとして、また婦人としての悩み、そういうものが話し合われるのでございますが、このお母さんたちの心からの願いの一つに、働けるときはまともな賃金を、働けないときは社会保障をというのがございます。別にむずかしい経済理論の勉強をしたわけでもございませんし、最低賃金制度や賃金論の勉強をしたわけでもございませんが、共かせぎをしながら、あるいは家計をささえるために働いているお母さんたちが、とにかく自分の生活を通じて、自分のほんとうの生活の中からにじみ出た実感として、元気で働いているときには、まともに生活のできる賃金がほしいのだ、子供をせめて人並みに高等学校や大学に入れてやるだけの賃金がほしいのだと叫んでいるのでございます。これが物価高の中で何とかやりくり算段をして、辛うじて生活をささえている人たちのなまの声なんでございます。このようにお母さんである労働者は、婦人教師を初めとして母親大会参加者の約六〇%を占めておりますし、全国では数千万に及んでおります。これらのお母さんたちは、また私たち婦人の働く権利を保障してほしいと訴えております。働きたくても働けない、働きたくてもやめさせられる、こうした社会の矛盾は多く婦人層にしわ寄せられていることをはっきりと知ることができるのであります。これを地方公務員である婦人教師に例をとってみますと、大部分の人がそろそろ子供たちが大学に入る年ごろだという四十四、五才でやめさせられているというのが実態でございます。伺いますと、文部大臣は、男女の別なくだれでも優秀でさえあれば五十五才まで働くことができるのだから、特別に婦人教師の問題だとして考える必要はないと言って突っぱねられていらっしゃるとのことでございますが、これは一国の文部大臣という教育行政の責任者のおっしゃる言葉としてはあまりにも無責任な、そして実情を御存じない、しかも、思いやりのない残酷なお言葉ではないかと思うのでございます。婦人教師は、私も経験を持っておりますが、ほんとうに教育者としての経験を積み、あぶらの乗ってくる時期は三十才を過ぎて、自分の子供も一応手がかからなくなり始めたころからだと思います。事実日本の婦人教師の最も大多数を占めております年令は三十五才を頂点としております。それから四十五才に向けてだんだんに減少しております。大体四十才前後になりますと、おきまりのように校長先生から、もうそろそろやめられてはいかがですかというお話がかけられるようになって参ります。せっかくこれから教育者として自分の全力を集中しようと張り切っている本人たちにとりましては、全く大問題なわけでございます。ことしの人事異動でも栃木や福井、長野、愛媛などではっきりと女子は四十五才、男子は五十五才で退職勧奨の年令差をつけていわれるということを伺いましたし、そうでなく、表面男女差はつけておりませんとおっしゃる県でも、結果的には差がついているのがこれまた実態なんでございます。昨年の資料によりますと、日本の婦人教師の四十五才以上の数は、全婦人教師のわずか八・六%にすぎません。しかも、その中で五十五才まで残る婦人教師は〇・〇九%という微々たる数字を示しているのでございます。このようなことから考えますと、このたびの減額年金の制度は大部分が女子に該当してくることは当然過ぎるほど当然のことでございます。そこで、実際にこのことを計算してみますと、たとえば二十二年勤めて四十五才でやめた人は、概算いたしますと約九千円で年金が固定することになります。もしこの人があと十年勤めて五十五才でやめたとしますと、年金は約二万七千円となり、四十五才でやめた場合の約三倍ということになるわけです。このように大きな開きができるわけでございます。婦人教師の場合、賃金の男女差はとれておりますけれども、ほかの地方公務員の方たちは、女子の場合特に雇用期間が長く、実質上の賃金差がかなりあるわけでございまして、労働条件の上でこのように男女差がつけられている上に、さらにやめさせられたあと死ぬまでその差がつきっぱなしというのでは、ちょっと死んでも死に切れない。これはまあ冗談でございますけれども、実際に不合理なことではないかと存ずる次第でございます。
さらに、受給年限につきましても、早くやめさせられる女子が最も不利であることは申すまでもございません。特に一般職員の女子の場合は、雇用期間が長く、吏員になるにもなかなか困難だと伺っております。このたび雇用期間と吏員期間とが通算されることにしてありますことはたいへんけっこうだと思いますが、今までも十年か十二年で恩給がついていた市でも、それに該当する女子職員はごく少数で、保健婦さんとか、保母さんとか、看護婦さんなど限られた層の方々になっていたということでございますし、今回二十年に引き上げられることになりますと、さらにこの条件は悪くなると思われるのでございます。このことにつきまして、厚生年金のほうは、女子は十五年というふうに保護されていると伺いましたが、このようなあたたかみのある制度にしてこそほんとうの社会保障といえるのではないかと存じます。昔から教員の上がりはつぶしがきかないなどと申すそうでございますが、男の方はさておきまして、女は、四十五才になったおばあさんを雇ってくれるという格好な勤め口は絶対にないと言っていいほどございません。また教師であったという社会的な立場、教え子に及ぼす影響などを考えますと、そうめったなこともできないということで、やはりたよりにするのは年金なんだということを十分御認識いただきたいと思うのでございます。
次に、法案の二十五条の二項にございます資金運用の面について触れたいと思います。
国庫負担額を出さずにいて、資金運用面では、これを特に学校共済の場合は、大蔵省の資金運用部へという点がどうしても納得が参らない気がいたします。当然これは組合員のために使われるべきものであって、組合員の住宅の資金にするとか、保育所や乳児施設の一端に使うとか、いろいろ組合員の福利厚生に役立ててこそ、その趣旨も生かされるのではございませんでしょうか。ぜひ、この点についても御一考をお願いしたいと思うのでございます。
最後に、運営につきまして若干申し上げます。
なぜ地方職員共済と公立学校共済、警察共済の三つだけを運営審議会で運営し、他の四つは組合会方式になさるのか、その理由がよく私には納得がいかないのでございますが、特に問題だと思いますことは、運営審議会方式として、しかも、委員や理事長、監事などの選出が、主務大臣の任命制になっているという点でございます。財源的には一切を地方自治体並びに組合員にゆだねておきながら、運営面の実権だけは国が押えているというようなやり方は、やはり問題ではないのでしょうか。恩給のように国の予算によるものならいざ知らず、共済制度は大多数の組合員が半分の財源を出しているのですから、その組合員が自分たちのものという自覚に立って運営に参加していくことが必要ではなかろうかと考えます。人間はお互いが信頼感を持ち合い、責任を持ち合ってこそいろいろなことが穏やかに、スムーズに運ばれ、発展していくものだと考えます。このような見地から、私は、運営はやはり三共済の場合も組合会によるほうがより民主的であり、組合員も自分たちのものという責任感に立って、より効果的な運用が行なわれることになると確信いたします。
以上、たいへん大ざっぱな見方でおそれ入りますが、私の見解を申し上げました。
日本の地方公務員のために、どのような社人会保障制度が設けられるかという大問題に対しまして、私が最もこれは重大だと感じました点について申し上げたつもりでございますが、特に声を大にして申し上げたいことは、現実の生活の中ではまだまだぬぐい切れないでいる日本の婦人の地位の低さを形式的な平等でごまかさないでいただきたいということでございますし形式の上では平等でありながら、結果的には婦人を大きく差別することになるような減額年金制度などというような法律を議員の皆様の責任において作っていただきたくないのでございます。このことは、女子公務員の方たちだけの問題ではございませんで、日本の国民の大半を占める婦人たちすべての声としてお聞き願いたいことを最後につけ加えたいと存じます。参議院の皆様の良識を信じ、超党派的に御尽力いただきますようお願いいたしまして終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/43
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044・小林武治
○委員長(小林武治君) ありがとうございました。
ただいまの御発言につきまして、御質疑のある方は御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/44
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045・矢嶋三義
○矢嶋三義君 まず、委員長に伺いますが、この質疑は何時ごろまでやられる御予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/45
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046・小林武治
○委員長(小林武治君) 約一時間。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/46
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047・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは質疑者が二、三人あるでしょうから、それを計算に入れて、時間の範囲内で伺いたいと思います。
まず、真辺参考人にお聞きいたしますが、失礼かもしれませんが、あなたの組合は、構成人員はどれくらいでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/47
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048・真辺芳郎
○参考人(真辺芳郎君) 私の組合は、今二万一千であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/48
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049・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ただいまの御公述は、お宅の組合の機関決定の線に沿ったものだと了承してよろしゅうございましょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/49
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050・真辺芳郎
○参考人(真辺芳郎君) そのように承知していただいてけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/50
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051・矢嶋三義
○矢嶋三義君 伺いますと、予想以上にこの法案に対して手きびしい御所見を持たれているということはわかったわけですがね。まあ、あなたのお言葉を承り、お顔を拝見しているというと、次のような感じがするわけですよ。それは、社会保障政策の一環として統一年金をやると体よく言うて、国は何ら負担をしないで、われわれ今まで地方団体と自主的に話し合ってやってきたのに、国の負担は何もやらないで、そうして中央で規制をして、交付税交付金を二八・五から二八・九に引き上げたとはいえ、われわれ公共企業体には関係ない、また自分らの傘下の団体の中にはこれよりもいい条件で、現在自主的に地方団体側、理事者側と話し合ってやっている、あまり大きな顔を国はしてくれるなと、ちゃんちゃらおかしいぞ、といったような、きわめてこの法案に対してきびしい態度をとられているように拝聴、拝見するのですが、そういうふうにあらためて確認してよろしいかという点が一点と、それからまあ、うしろにこの法案の作成作業をやられた国家公務員の方がすわっていらっしゃいますがね。ああいう人々には、ずいぶん苦労した、団体の意見もずいぶん取り入れて、こういう法案になったのですということを、この委員会で答弁しているのですよ。あなたの先ほどからの公述を承ると、吏員と用員の通算ができた点はけっこうだということを表示されておりました。それ以外に、この点はよう努力したな、まあこの点は買ってやってもいいわというような点が、もしありましたらね、公述していただきたい。それだけ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/51
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052・真辺芳郎
○参考人(真辺芳郎君) 今、先生のほうから言われました点について、私のほうの機関では、廃案もやむを得ない。私たちの意見が通らなければ、廃案もやむを得ない、こういう考え方に機関決定しておりますことを最初に明らかにしておきたいと思います。私たちの機関の中で、受けとめております条件といいますのは、なるほど経過措置の中では、ある程度認められてきている条件があるわけです。しかし、根本的に職場にあります意見といいますのは、掛金が倍以上になるということですね。掛金が倍以上になるけれども、しからば、われわれの条件が一体どういうふうによくなったのか、こういう点についてはよくなったという、それほどの印象を職場の中で受けておらないわけです。したがって、そういう点から、われわれは吏雇用員の通算の問題については、各団体の中でもこれは努力をしてきた経過はありますし、また、この法案の中でも、自治省のほうにもそういう意見を申し述べてきているわけであります。したがって、それ以外の点については、少なくとも私たちの中で納得できる、これは非常によくやってくれたというふうな印象は、今のところありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/52
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053・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あなたの御心境はそれでよくわかりました。そこで、先ほどの公述の中に、この積立金の運用が、地方財政本位に運用されるおそれがあるのではないか、自分らの組合員の福祉としての還元がおろそかにされる懸念があるということが公述されておりました。そのことは、組合の、半分の株主である自分ら組合の発言権をもう少し強化して、運用を共済組合らしくせよということが底流にあると思うのですね。そうすれば、そういう懸念をなくするための運用方式としては、どういうようにすればいいか、どうしてほしいという御意見なり、希望なり持たれているか、その点について御意見をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/53
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054・真辺芳郎
○参考人(真辺芳郎君) 今の御質問でございますが、地方財政を圧迫するという問題については、私たちは今まで厚生年金の問題とか、今までいろんな年金法の資金運用の問題について、若干ではございますけれども、知っている範囲があるわけです。そういう点からいたしまして、これが国鉄なりあるいは船舶なり、そういう点に財政の投融資がなされている、こういうような話も聞いているわけですけれども、今度積立金が相当額にたまってくるという実態は考えられるわけでありますし、そうなってくれば、当然、たとえば東京都の場合で見ますと、今非常に交通難で苦しんでいるわけですが、地下鉄をふやすとか、こういう点では地方住民の公共の福祉じゃないか、こういうようなことで、そういう点の投融資が行なわれるのではないだろうか、こういう点を組合員は心配をしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/54
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055・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それで私伺っている点は、その心配を解消するためにはどうすればいいか、立法府にどういうふうにしてほしいというような、何かお考えがありましたら、希望がありましたら参考に承っておきたいというわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/55
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056・真辺芳郎
○参考人(真辺芳郎君) 今のような立場から、今の組合会を、これは全体的に全部組合会にすべきだ、こういう見解です。それからもう一つは、組合会の人員も実際はまだ少ないと、こういうことが出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/56
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057・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その点非常に明快でよくわかりました。
次に、奥山参考人に少し聞かしていただきたいのですが、先ほどの公述によりますと、あなたは女子教職員だということでありますが、失礼かもしれませんが、参考にお聞かせいただきたいのですけれども、あなたは五十五才まで教師を勤める意思があり、また五十五才まで勤め得る自信を持たれているか、持たれていないか、その前提にしたがってもし五十五才まで勤める自信がないとあらば、その理由はどういうところにあるか、参考にお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/57
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058・奥山えみ子
○参考人(奥山えみ子君) 実は私にはことし高校二年になる娘がおります。やはり娘にも完全な教育をさせてやりたいと思いますし、そういう観点で私はやはり五十五才までは勤めたいと思っているわけなんでございますが、文部大臣のおっしゃるような、優秀な教員であるかどうかは別といたしまして、私は一生懸命に教育のために尽力したいという気持だけは、だれにも負けないつもりでがんばりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/58
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059・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでその前段はわかりましたが、後段の点ですね、そういうようなあなたは意思と念願を持ってこれから働いて五十五才まで勤め得る、勤めさせていただけると申しますか、そういう自信があるかどうか、不安があられるかないか、もし不安があり自信がないとすれば、それはどういうところからあなたをしてそういう不安があり、あるいは自信がないような心境に追いやるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/59
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060・奥山えみ子
○参考人(奥山えみ子君) 私自身は勤めたいという信念を変えませんでも、やはりこのことは、ただいまの教育行政をつぶさに見ますときに、必ずしも私どもの意思がそのとおり受け入れられない事態があるのではないかという不安は持ちます。このことは、やはり今後の婦人教師のあり方というものにももちろんいろいろ研究していかなければならない点もございますけれども、実際に一昨日のこの地方行政委員会を傍聴いたしました際に出ておりましたけれども、ただいまのところ、女子で先生を希望する数が非常にふえているという実態がございますが、これらに対しまして、もっと行政当局の方たち、つまり教育行政に携わっておられる方たちが、ほんとうに女子が進んで教育に心おきなく邁進できるような行政措置というものをもっととっていただくべきだ。特に、御承知のように、女子労働者の場合には、母体保護の保護規定というものがございますが、これは断然女子の権利であるにもかかわらず、このことがかえって災いして、女子はこういうようなことで学校を休んだりして困るのだというようなことで、男女差が実際の待遇の中で持たれてくるということがあるわけでございますが、こういうような行政出局の方々の方針というものをもっと文部省当局で御指導いただきまして、婦人がほんとうに婦人の持ち味を生かして教育に専念できるような行政をやっていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/60
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061・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あなたの公述によりますと、文部大臣のこの発言を、現状の実態からそれを基礎に全面的に否定するということになるのですがね。その点私は念のために確認しておきたいと思う。私のここに持っている速記録は、衆議院会議録第二十七号、五百五十八ページですが、その最下段ですが、文部大臣はこういう速記録を残しておるのですが、「特別に女子に限って退職勧告をするなどという考えはございません。りっぱな先年は五十五才まで十分勤められるはずでございます。」と、そうして拍手を送って、だれが拍手したか、これもわからぬ。こういうまあ速記録が残っているのですが、この大臣の御発言を、あなたは一つの教育界における実態から全面的に否定する御発言ですが、それは確認しておいてよろしゅうございますか、いかがでございますか、伺っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/61
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062・奥山えみ子
○参考人(奥山えみ子君) 私のほうで昨年母親大会のときに出ました資料の中ででございますね、四十五才から五十才までの婦人教師の数は一体どのくらいかと、先ほども申し上げましたけれども、パーセンテージにとったのがあるわけでございます。それによりますと、大体四十五才から四十九才までが全婦人教師の六・四%だと、それから五十才から五十四才までが二二%だ、五十五才以上というのは〇・〇九%というパーセンテージが出ているわけです。で、これを合わせて見ますと、四十五才以上というのは、わずかに八・九九%ということになるわけでございまして、まあ一番年令の高いところは三十五才でございますが、それからだんだん減少していくということが、実態なわけでございます。で、幾ら文部大臣が五十五才までやれるのだとおっしゃいましても、婦人教師たちは大体四十才くらいで勧告を受けて当然やめるのがあたりまえだというような方向へ追いやられていく、このことを文部大臣は御存じないのじゃないかしらと思うくらい、私はあの答弁は不思議でならないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/62
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063・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでまああなたの公述の焦点は、全般的にも触れましたが、一番ウエートをかけているところは、女性の立場から減額、年令制度に無点を合わせて御公述になられたように私拝聴したわけですが、それで参考に承っておきますが、女子公務員としては、この法案の中の減額年令制度に一番関心を持ち、一番不満である、これが非常に不利であると、それでこれを改めてほしいということは公述されたわけですが、何でしょうか、女子だけ別の規定をしてほしいというお考えに立たれるのでしょうか。それとも男女合わせてこの法案の減額年金制度は現行法よりは不当であるから、男女合わして減額年金制度を改めてほしい、これでは困るという御主張なんでございましょうか。前者でしょうか、後者でしょうか。その点お聞かせおきいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/63
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064・奥山えみ子
○参考人(奥山えみ子君) 私は後者の場合でございます。つまり女子だけということでございませんで、やはりこのことは制度としてお考えいただかなくてはならない、特に既得権が侵された、こういう結果になるということが重大だと申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/64
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065・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あなたの公述を承って、私は非常に印象に残ったのは、多くの都道府県で男は五十五才、女子は四十五才が標準になっておるということですね。これ、何でしょうか、四十五才以後の女子公務員、あなたのお言葉によると、まあその中でも女子教職員に限定した場合に、非常にその率が下がっているということは、国なり都道府県の人事行政の方針として、こういうものがそれのみで出てきているのか、それとも、そういう公務員の方々の家庭事情とか、個人的意思というものが非常に影響して、こういう数字になるのか。それはそれほど影響はなくて、こういう数字が出てくるのか。参考人としてはどういうふうに御認識されているか、承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/65
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066・奥山えみ子
○参考人(奥山えみ子君) ほとんどの県がこういうふうに差をつけます際の条件といたしましては、共かせぎをしておられるから、御主人のほうをやめさせるわけにはいかない、また、かなり生活も安定されたでしょうからというようなことで、奥さんのほうをやめさせる。あるいはもう息子さんがかなり成長されてやがて就職でしょうから、ということでやめさせる。つまり本人の条件と申しますよりも、家庭的な問題を理由にあげてくるというのが多いようでございます。このことにつきまして、特に女だから、男女差をつけて女だからやめさせるのだということは、どこの県でも申さないわけであります。とにかく生活条件がよくなってきたのじゃないかというような言い方で、ほんとうは、先ほども公述の中で申し上げましたように、生活の中身としては、生活の苦しさを半分しょって共かせぎをしている妻である女子職員に対しまして、やはりそういう一方的な見方で切られていくということが実態なんだと確認いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/66
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067・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう二点ほど伺います。それでは四十才過ぎた女性の人が、勤めたいけれどもその意に反して退任を求められる。生活その他から労働能力もあるし、また家庭の生活力という点から言って働かなければならないという場合、転職する場合に、先ほどは、なかなか転職の方法がないのだということでしたが、転職する、できる場合とできない場合がどの程度なのか。転職した場合に非常にうまくいっているのかどうか。そういう事情もお聞かせいただきたいと思います。さっき参考人の御公述の中で非常に印象に残った点は、かつて女教師であったがゆえに勤め先を制約される。私は日本の女子労働者で収入の多いところというのは、不健全なところだけだと思いますが、キャバレーとか、料理屋にいけば収入は非常に多い。しかし、寮母になれば、収入は少ない。だから生活条件と収入とをかね合わせると、日本の女性は、収入を得て働こうと思うと不健全なところばかりしか職場がないという点に、全般的に不健全な面があると思います。これは国の大きな政治問題だと思いますが、そういうことはともかくとして、確かに女教師であったがゆえに非常に職場が制約されるということは、御公述にありましたが、なるほどなと思って拝聴したわけですけれども、その意に反しての退職勧奨、その後における状態、事例等について、もし知っておられましたならば、その範囲内でお聞かせをいただくとありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/67
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068・奥山えみ子
○参考人(奥山えみ子君) 多くの場合は、内職をいたしましたりということが大部分ではないかと思うのでございますけれども、今矢嶋委員のおっしゃいましたように、実は私の存じ上げている方のこれは例でございますけれども、地方で私が教職におりましたときに、人事異動の際にやめさせられたわけです。しかしながら、生活をささえるためには何かしなければならないということで、ある飲食店に住み込んでしまったわけです。私は実はその方から直接伺う前に、たまたま人事に当たられたある当局の方にお会いしたわけです。その方が、実はこういう人がいるのだけれども、適当な女の人の勤め口はないだろうかとおっしゃいますので、どういう方でしょうかと伺いますと、実はこの間ある飲食店で宴会があったのでそこへ行ったところが、そこへお酌に出てきた女の人が、私はあなたにやめさせられたもと女教師ですと言われた。私はやはり学校に勤めていたほうがずっと健全であったと思います。今のような不健全な、人権が侵害されるようなこういう職場を一日も早くのがれたいのです。で、何とか先生、もう一ぺん臨時でもいいですからどこか働かせていただけませんかと、僕言われたのですけれども、しかし、一たん異動でこういうことになったのだから、何とかほかに働き場所をあなた知りませんかと、逆に私聞かれたわけです、それは先年、当局者としてあなた方の責任じゃありませんか。めちゃくちゃに、もうこの辺でいいだろうなんといって、目見当で女の人をやめさせたりしたからこういう結果が出たじゃないのですかと、私強くその方に申し上げたわけですが、そのようなやはり元女教師であったという人が身分を隠してやはりあとまで働かなければならない実態があるということ。それからいつでしたか、もう数年前になりますが、やみをやっているある女の人が違法でもってあげられた。そのときにただしてみたら、これは元女教師であったということが新聞に出たことがございます。私はこれでもうほんとうに大きなショックを受けたのでございますけれども、一体このようなことが、女教師であったということであっていいのだろうかということを、ほんとうに強く感じたことでございましたけれども、このようなふうに女の先生の待遇という問題につきまして、特に人事異動で結果的な差別が出てくるという今の日本の実情というものを、もっともっと教育行政担当の方たちは、これは中央、地方を問わずでございますけれども、あたたかみのある見方をして当たっていただきたいものだというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/68
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069・矢嶋三義
○矢嶋三義君 参考にあなたの御意見を伺っておくわけですが、それは今までのあなたの主張は、女教師は勤めたくても——女教師に限らず女子公務員にも通ずることだと思うのですけれども、やめさせられる実態がある、そういうことを改めてもらわなければならない。そういう実態がある。しかるに、この年金法では、あなたが公述されたような減額年金制がしかれて非常に不利である、だから絶対了承できない、こういう立場で一貫した主張をされているわけですね。そこで、この五十五才前にやめた場合でも、一定の基準によって年金が支給をされるようにしようというのは、審議会、調査会等の答申があるわけですよ。だから五十五才前にやめた場合において、男性でも女性でも、ある一定の制約で二十年の期間が条件がそろえば年金が受けられるように法案を組み立てようというのが、審議会、調査会の答申で大きな方針になっているわけですね。そのやり方がいけないというわけですね。それでもしお考えがあったら参考に伺っておきたいのですがね、五十五才前にやめた場合に、年金を支給していただく場合には、どの程度ならまあ了承できると、それから五十五才後にどういうふうにしてくれればよろしいと、現行のままではひどいからどうにもならぬのだという、まあこの程度のことを考えてくれればまあまあだというようなもしあなたがお考えがあったら——なければそれでよろしいですが、ありましたら、ひとつ参考に聞かしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/69
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070・奥山えみ子
○参考人(奥山えみ子君) ちょっと先ほどの公述の中でも、数字的に申し上げたわけでございますが、新しい制度ということになりますと、二十二年間勤続して、もし四十五才でやめたという場合は、大体俸給が二万六千円ぐらいになります。それが年金の計算でいきますと、一万五千七円——これは概算でございますから、専門家の方たちの計算をまたあとでお願いしたらいいんじゃないかと思いますけれども、一万五千円程度になるようでございます。そうすると、これが十年前だということで、結局五十五才のところから十年間分一年について百分の四ずつ減額ということで固定されて参りますから、十年分を計算しますと、六千二円あまり減額されるということになるわけです。ですから、四十五才のときには、一万五千円の年金からその十年分の減額分の六千二円分が引かれてしまう、つまり手取りは九千五円ということで、これがもうずっと一生限定されていく。これは先ほども申し上げましたけれども、もしこの人が、さらにあと十年勤めて五十五才まで働いたといたしますと、本俸が四万八千一百円というふうに、これは大体の見当でございますけれども、なって参ります。その場合、年金額は二万六千七百六十円という計算になるようでございます。これでいきますと、大体二万六千七百六十円という額は、九千五円の約三倍、二・九七倍です。これは私の概算ですけれども、大体三倍、つまり十年前にやめさせられたために九千円で固定される人が、五十五才まで勤めることができると、約三倍の年金になってくる。このような開きはあまりにもひどいじゃないか。このことは、今まで施行されておりました恩給法で参りましても、先ほど公述いたしましたように、段階が設けられて、そうして五十五才からは元に復元するというシステムのわけでございますから、せめて私はこのような既得権を出ないような、段階をつけるにいたしましても、五十五才からは元に戻れるような考え方でこの案を作って、方法を作っていただきたい。既得権を下回らない制度にしていただきたいということがお願いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/70
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071・矢嶋三義
○矢嶋三義君 で、ぎりぎり一ぱいのところなんですね。その既得権を守れ、守ってほしいという基本線があるわけですが、ぎりぎり一ぱいのところ、五十五才になったならば、減額年金のままでなくて、今の恩給法のとおりに、満額を支給されなければ不合理であるし、絶対に納得できない、そういうふうに了承しておいてよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/71
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072・奥山えみ子
○参考人(奥山えみ子君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/72
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073・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは最後にもう一問伺っておいて私の質疑を終わりますが、公述の中にもありましたが、千分の二十の掛金率が千分の四十四と、一躍二・二倍になるという不満が非常に強いわけです。どの参考人の公述の中にも出てくるわけです。これは国会でずっと論議されてきたことですが、初任給なり、若い人々の給与ですね、給与の実態と非常に関係があり、特に若い人に不満が多いと思うのですが、そこで、若干失礼になるかと思いますけれども、あなたが女性の代表としておいでになられているのですから、参考に、答えられればお答えをいただきたいと思います。われわれのまあ掛金率なり、それから日本の公務員に対する給与体系の審議諸調査をするのに参考になるから、あえて伺うわけですが、あなたの知られる範囲なり、あるいは推測の及ぶ範囲において、女子公務員、あるいはそれを女子教育職員に限定してもよろしいですが、大体何才ぐらいで結婚したいという希望を持たれているのでしょうか。それと、給与の実態から、念願はこうでも、実際何才ごろでなければ結婚はできないという実態だという、もしあなたの推測の範囲内で、数字がお答えいただければお教えいただきたいと思うのですが、あえてぜひにとは申しません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/73
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074・奥山えみ子
○参考人(奥山えみ子君) 私、若いというところからちょっと隔たっておりますので、今の年令層の方たちのほんとうの声として、実感として申し上げられるかどうかわからないのでございますけれども、やはり大学を出て数年たたれたら、生活を安定させて、そうして教壇にお立ちになるということが一番望ましい形態ではないか、これはやはり基本的な人権の問題だと私は思うのです。ですから、二十五、六才になりましたら、男の方たちだってやはり世帯をかまえて、そうして安心してすべてに没頭できる、教育の業務に没頭できるということが、望ましい人間のあり方ではないのかというふうに考えるのですけれども、二十五、六才なんていうときは、まだ俸給は、やや親のすねかじりをしないと間に合わないくらいの程度ではないかと思うのです。お洋服を作るにしても、お父さんに作ってもらったというような二十五、六才程度の男の先生方の——女の先生方もそうでございますけれども、そういうような方が大部分じゃないか。そうしますと、やはりどうしても結婚して安定できる収入が得られるようになるのは、三十才をはるかに過ぎてしまうということに現実なってくるのではないかと思うのです。ですから、三十才前後で結婚していらっしゃる方たちは、非常にたばこ代に困るとかなんとかしょっちゅうおっしゃっていらっしゃる。このことをやはりもっと考える必要がないのかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/74
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075・小林武治
○委員長(小林武治君) ありがとうございました。
参考人の皆さんに申し上げますが、長時間にわたりまして貴重な御意見及び質問に対する御答弁がございまして、ありがとうございました。委員会を代表しまして厚くお礼を申し上げます。
本日の御意見は、委員会の今後の審査にきわめて有意義な参考となることと存じます。これをもちまして参考人の意見聴取を終わることといたします。ありがとうございました。(拍手)
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/75
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076・小林武治
○委員長(小林武治君) それでは速記を始めて。
前回に引き続き政府側に対し質疑を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/76
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077・矢嶋三義
○矢嶋三義君 総裁にかわって瀧本給与局長に答弁を求めます。人事院は、国家公務員を対象に給与人事関係を所管している行政機構の一つですが、地方公務員関係は国家公務員に準ずるという形をとっていることは御承知のとおりです。したがって、地方公務員共済組合法案を現在当委員会で審議中ですが、これらの法案についても、人事院は相当の関心を僕は持たれているものと推測をするのですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/77
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078・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) ただいま地方公務員の共済組合制度が御審議中であるということは十分存じておりまするし、また、国家公務員の共済組合制度との関係もございまするので、注意は払っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/78
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079・矢嶋三義
○矢嶋三義君 国家公務員共済組合法に準じて地方公務員の同一年余制度である地方公務員共済組合法案の立案を所管省において国家公務員法に準じてという形で本日まで努力されて参ったことは御承知と思いますが、その大方針というものは、人事院でも行政府の一部局として妥当だという見解に立ってきているものかと推測するのですが、その点はいかがですか、念のために承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/79
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080・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) 昭和二十八年に、人事院は公務員法に従いまして、国家公務員の退職年金制度について、国会と内閣に勧告をいたしたのでございます。これは御存じのように、現在のいわゆる相互扶助による共済制度ということではなしに、公務員法に基づきまする恩給制度、国の一方的な制度ということで人事院は勧告をいたしたのでございます。ただ給付内容を増加するというようなこと、あるいはこの制度に長期的計画を持たすというような意味で公務員もまた負担をする、従来、国庫納金という制度がございましたけれども、これは計算の基礎になっておりません。したがいまして、制度の改称といたしまして、この公務員の拠出を確立するということで、全体としての長期計画を立てるというようなことでやったのでございまするが、あくまでそれは恩給制度であったわけでございます。で、人事院は、当時におきまして国家公務員法の命じておりますように、恩給制度を確立することが公務員についてはよろしい、こういう意見を持っておったのであります。で、そのことを終始申し上げたのでありますけれども、国会におきましてやはり別途の御意見もございまして、やはり国家公務員についても、こういう制度は社会保障制度の一環として考えていく。何も公務員であるという特別の事態を特に強調しないで、これは一般に民間におきまする社会保障制度と同様のワクの中で考えたほうがよろしいということで御決定になりまして、現在国家公務員につきまして共済制度である退職年金制度が作られておるわけでございます。御存じのとおりでございます。そこで、今回地方公務員につきまして、この制度が国家公務員と同様の制度として出て参っておることはよく存じておりまするが、その経緯を考えてみまするならば、やはり地方公務員の制度、この種の制度が国家公務員の制度に準じた形ででき上がるということは、むしろ国会の御意思に沿った制度である、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/80
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081・矢嶋三義
○矢嶋三義君 人事、給与等の専門行政機関である人事院当局としても、国家公務員に準じた形で検討、立案されることは方向として妥当だと、こういう見解に立っていると了承してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/81
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082・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) ただいま申し上げましたように、人事院が勧告をいたしますときには、この国家公務員に対しましては恩給制度というものが適当である。これはまた国家公務員法にも恩給制度について立案して勧告するように書いてあったわけでございます。ところが、人事院はそう考えておったのでありまするけれども、最終的国の御判断といたしまして、やはり民間の社会保障制度の一環として公務員のこの種の制度を考えたほうがよろしい、こういうふうに国の御意思が決定した次第でございます。そういう現在の状態に基づきまして判断をいたしまするならば、これはやはり地方公務員の制度と国の制度というものがバランスをとることのほうが好ましいであろう、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/82
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083・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あと数問いたしますが、この給与は、地方公務員は国家公務員に準ずるという形で処遇されて参っておりますがね。したがって、この共済組合法を立案するにあたっては、国家公務員共済組合に準じてやはり扱っていくというような大きな方向が出されておるわけですね。そういう大前提に立つと、二十八年の人事院が内閣と国会に勧告をしたこの退職年金制度に関する勧告の中の費用の点ですね、負担率、それから掛金率のこういう費用の点についてのみでよろしゅうございますが、どういう趣旨の勧告をされたか、御記憶があられましたならばお答えいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/83
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084・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) 人事院が勧告いたしました恩給制度におきましては、これはこの制度の建前上国が主としてやるのである、しかし、その給付内容をさらによくするため、また多少この公務員の相互扶助ということも考えていいではないかということと、それから制度自体が長期計画というものを持ちますために、保険数理を計算の基礎とするというようなことでやったのでございまするが、その当時におきましては、この国が拠出いたします費用が、人事院勧告では百分の七十五、それから公務員の支出いたしまする負担分が存分の二十五、こういう割合で勧告をいたしたのでございます。この公務員の百分の二十五というものは、これは従前、国家公務員の中では恩給法の適用を受けておった人々が国庫納金として負担しておりました部分、また雇用人あるいは用人等で当時の共済組合制度で負担しておりましたこの拠出分、このものを平均いたして考えますると、大体百分の二十五、こういうことになるのでございます。で、従前の負担率を国家公務員につきましては、平均的には変えないという線で百分の二十五、こういうことで勧告をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/84
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085・矢嶋三義
○矢嶋三義君 掛金率はどの程度が妥当だと勧告されましたか、お答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/85
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086・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) ただいま申しましたように、人事院が勧告いたしましたものは、恩給制度における公務員の拠出分ということでございまするが、公務員の負担割合百分の二十五、百分の百の中における二五%を公務員が拠出するということで申し上げたのでございまするが、それを一人の負担分で考えてみますると、俸給の約三・〇%こういうことになるわけでございまして、その当時におきましては俸給の三・〇%でございます。三・〇%、こういうものが一応妥当である、こういう計算をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/86
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087・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そこで年金制度は、行政府の中では主管省はあなたのほうではありませんから、それは触れて参りませんが、しかし、年金制度は公務員の給与条件の一つですからね。だから、あなたのところの所管している給与制度の内容とも関連してくるわけです、生活条件を整えるという立場から申しますとね。そこで伺いますが、あなた方が勧告をし、それに基づいてわが国で実施されている給与体系なり給与の実態からいって、国家公務員あるいは地方公務員を対象とするこういう制度においても四・四%、千分の四十四という掛金率というものは妥当でないという見解が私は人事院として出てくるのではないか。もし、その千分の四十四という数字を認めれば、あなたのところのベース・アップ等の給与体系の勧告に、千分の四十四の負担能力と合わせてそれを調整したものが勧告をされ、そういう給与体系、給与実態に合わないというと、これは私はつじつまが合わないと思う。もう一言敷衍して説明いたしますけれども、先ほど参考人から意見を承ったところが、結婚したくても三十才をこえなければ経済的に結婚する能力は整わないということです、もちろんあなた方が初任給の引き上げ等について今まで研究して善処されてきた点は認めたといたしましても。しかし、先般本委員会でも質疑応答で政府側から答弁があったのですが、大学を卒業して五年経過しても、五年後——これは結婚適齢期でしょう。これはむしろおそいほうになってくるでしょう。それでも東京都において上級職公について二万千六百円、東京ですよ。小中学校の場合は、東京で二万千六百六十円、大ざっぱに言って二万一千円ですね。大学を出て五年ですよ。これで一体結婚して食えるかということですね。それにもってきて、このたび一挙に掛金率が千分の二十から千分の四十四、二・二倍ふえるわけですね。こういう一連の施策に対して、公務員が、特に若い層がたまらないと言うて不満を表明するのは私は当然だと思うのです。考えなくちゃならぬところですね、私たちは。だから私は、人事院としては、かつてこの制度を考える場合に、負担を七五と二五を考え、掛金率を三%が適当である、そういう形でこの所得保障の年金制度というものを国は考えるべきだという見解に立って、それがあなた方の日本の公務員に対する給与体系なり給与の実態とマッチした形だということできておるわけですからね。そういう角度から考えた場合に、こういう四・四%というものが出た場合に、これはやはり少し、どういう保険数理で出ておるか知らぬが、少し高過ぎるなら、少し国の負担をふやすべきじゃないか、それができぬとすれば、この負担能力ができるように、つじつまが合うように、給与体系面でこの初任給を引き上げるなりベ・アをするなりしなければ、公務員の生活は苦しくなる。それを研究し、解決するのが人事院の使命である。こういう角度からこの問題を把握し、関心を持たれているのではないかと推察しますよ。僕の立場からいえば、それが役務だと思うのですが、その点の人事院の見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/87
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088・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) 御指摘のように、現在国家公務員の共済組合制度におきまして公務員の負担率は四・四%ということになっております。これは明らかに人事院が勧告いたしました恩給制度における拠出率の三%より多いということは、御指摘のとおりでございます。しかし当時立案当局からいろいろ説明があったのを私も記憶いたしておりますが、その説明によりますると、恩給制度時代に国が負担しておった部分というものは、少なくもこの共済組合制度だけを見ますると、多少減っておるのであります、国の負担分が。けれども、あのときにはあわせて退職年金制度の改善が行なわれるということに相なったのでございまして、その退職年金制度とあわせて考えますると、国の負担分というものはこれは減っていない。従前に比べて減っていない。公務員の掛金率が上がった分、これは従来の恩給制度に比較して申してもよろしゅうございますが、その分だけはこれは給付内容の改善に充てられておる、こういう結果になっておるのでございます。四・四が多いか少ないかという議論があろうかと思いまするけれども、人事院が勧告いたしました恩給制度というものをこれを承認していただけるという立場でありまするならば、これはまた別個の議論があろうかと思うのでありまするけれども、そうではなくして、こういう制度はやはり社会保障制度の一環として相互扶助という建前から考えていくのがよろしいのだという建前で、この考え方の違った制度ができ上がったわけでございます。そういう制度のもとにおきましては、やはり掛金率というものもそういうことになるというのは、これはまたやむを得ないのではなかろうか、このように考えております。先ほど私が、退職手当と申し上げるところを退職年金とちょっと間違って申したのでありますが、ちょっと訂正いたします。なお、掛金率が高くなることによりましてこの退職給付の内容が改善されるという結果になっておるのでありまするから、これは単に公務員に対して負担のみしいておるというふうには考えられないのではないか、このようにわれわれ思っております。それは目先では直ちに返ってくるものではないかもしれませんが、将来にわたってやはり退職後の給付ということで内容が改善されていくということであるならば、これはやはり公務員の負担率が多少ふえてもやむを得ないのではないかというように思っております。なお、このことと公務員の現在の給与水準をからまして考えるということは、われわれといたしましては理屈が合っていないのではないか。御存じのように、人事院が勧告いたしまするものは国家公務員を対象といたすものでございまするので、その範囲でだけものを申さしていただきまするが、その場合におきましては、民間給与、生計費、その他人事院が考える適当な要件というものがございまして、そういうことを柱として公務員の給与水準が妥当であるかどうかということを判断し、必要があれば人事院は勧告いたす、こういうことに相なっておるのでありまするから、その限りにおきましては、人事院はやはり十分なる責務を遂行いたさなければならない、このように考えておるのでありまするが、しかし、現在の掛金率の問題と関連いたしまして、公務員の給与水準を動かすということは現在のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/88
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089・矢嶋三義
○矢嶋三義君 まああなたの前段、それから全般的に言って終わり程度はあなたの所論を僕は認めますが、しかし、一言やはり僕はどうしても納得ができないのは、今の薄給な若い公務員に、ここで一挙に二・二倍の掛金の支出が義務づけられる、この実態はあるわけですからね、だから、二十年後にその給付内容がよくなる悪くなるは別として、二・二倍の義務的な支出が生ずるわけです。しかも、それは一部は資金運用部資金に投入されて、国家資金の運用の便にも、本人の意志に反して回っていくわけですからね。そういう支出面が新たに生ずるということは、これは民間給与云々ということは別問題ですけれども、それだけ公務員の手取りに影響のある事実を持っているということは、人事院勧告をするために給与の実態を調査する場合には、心のすみに僕はとどめておくべきことだと思うのですがね。そのぎりぎりのところを私はさっきから伺っているわけですが、それをも、そんなものは一顧だに——一切心のすみに置く必要はないのだというような主張は、僕はいただきかねると思うのですが、その点はあなたどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/89
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090・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) ただいまのお話は、地方公務員につきまして共済組合制度が今度御審議願っているわけでございます。それとの関連でお話があったのでございますが、われわれ国家公務員のことに限定して責務もあり去年もある立場にあるわけでございますが、すでに国家公務員につきましては、この制度はもうでき上がっているわけでございます。それでむしろ国家公路員につきまして、もしそういうことをかりに考える必要があるとするならば、これは国家公務員につきましてこの制度ができましたときにそういう問題があったのではなかろうかというように思うのであります。そのときに、やはりこの種の問題がなかったわけではございません。けれども、その当時におきまして、ただいま私が申し上げましたような見解に立ちまして、特にその点に着目して人事院が勧告いたすということはいたさなかったと、こういう次第に相なっておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/90
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091・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あと一問ですが、あなたはまあ折り目の立ったことを一応言っている。筋を通して合理的にうまく逃げておられるわけですがね。私はもうこの点の質問も終わりますけれども、私の考えていることは、今地方公務員共済組合法案を審議しているけれども、この内容にやはりここにそういう問題点がある。それを是正すれば必然的に国家公務員共済組合法を、あとで、よりよくできた法律に準じて直すべきだという大前提に立って物事を考えて伺っているわけで、政府は国家公務員共済組合法に準じてやったのだ、これでずっと押し通している。あなたは、もう国家公務員共済組合法は成立していたのだ、自分のところは国家公務員を対象にしてやっているのだから、これはちょっとアウトだと言えば、それは一応折り目立っているので、何をか言わんやですけれども、私の気持では、相互の相関関係からいって、この点はこの法案に問題があるようだ、そういう問題がある、それを新たに考えられた地方公務員共済組合法に準じて国家公務員共済組合法をそろえなけばならぬ、こういう立場から伺っているのですが、これはこの点にとどめておきます。
最後の一問は、この法案審議の主流からちょっとはずれるのですけれども、こういう法案が将来成立した後の該当者の勤続年数算出と関係があるから、ささいな問題だけれども、この際に所見を聞いておきたいというので、先般の委員会で取り上げ、また個別的にもあなたのところに伺って御研究をいただいた具体的な問題ですけれども、それは内容を申しませんが、結論だけ申し上げてあなたの答弁を求めておきますが、それは旧制の師範学校の専攻科を卒業された人が、専攻科在学中の期間が休職になっておったから、勤続年数云々という問題ですね。この点については、この委員会の前回の委員会で、内閣の国務大臣として荒木さんお見えになって、私の主張による質疑に対して、矢嶋の主張のとおりだ、その点に従って行政府は善処、解決の努力をしなければならぬという答弁をしたわけです。そこに出席しておった大蔵省の政府委員も、文部省の政府委員も、それを了承して会を終わっているわけです。したがって、人事院当局においても御研究されたことであり、関係のあることですから、荒木国務大臣の方針に基づいて、大蔵省それから文部省、さらに人事院も、そういう関係当局で緊密な連絡をとり、早急に研究して善処をしていただかなければならぬことだと思うのです。それを、了承しました、早急に研究して善処しますという確認をしていただいて、私は本日の人事院当局に対する質疑を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/91
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092・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) ただいまお話しがございました、師範学校の専攻科の卒業生が、その専攻科に行っておりました期間休職になっておりまするために、その期間が退職後の退職手当及び恩給の計算において期間が半減されて不利である、もともと、この期間というものは研修のために行っておったのであるから、だから、当然これは休職というようなことでなしに、普通の勤務期間というふうに取り扱うのが至当ではなかろうかという御意見であると思います。私どものほうでも、この問題を事務的に研究はいたしてみました。ただ問題は、この問題が地方公務員の問題であり、かつ一方におきましては、恩給、退職手当、すなわち、総理府恩給局あるいは大蔵省の所管になっておりまするので、直接自分のところの所管でございませんので、ただ、まあ、一緒に研究もいたしまして、いろいろできるだけ努力はいたしたいと思いますが、おのずから問題の限界があろうかと考えております。ちなみに、この問題につきまして、一体、国家公務員の場合に現在どうやっておるかということを詳細に調べてみたのでございまするが、現職のままで研修に行くという場合がございます。また、休職にして行くという場合がございます。それからまた、場合によっては、一たん退職して行くという場合といろいろあるわけでございます。現に国家公務員で休職事由に該当しておりまするために、休職にして研修に行かすというのが相当件数あるのでございます。この問題は現在人事院規則の一一−四というのでやっておりますが、これは現在の職務との関連の度合、あるいは当該研究の内容、あるいは研修に参りまする相手方の施設の公共性というよな観点からこれは任命権者がそれぞれ判断をいたしまして、現職のままで行かすか、あるいは休職にいたす、あるいは場合によったら、一たん退職せしめて行かすというようなことが定めてあるわけでございます。いろいろこの師範学校専攻科というものがどういう性格であるといようなことを詳細に研究してみまして、それぞれの所管庁におかれまして結論を出されるということに相なろうかと思いまするが、われわれのほうといたしましては、十分協力いたしまして、でき得るだけの協力をいたしたい、このように考えております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/92
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093・小林武治
○委員長(小林武治君) 委員の異動について報告いたします。委員山本伊三郎君が本日付で辞任され、その補欠として占部秀男君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/93
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094・矢嶋三義
○矢嶋三義君 議事進行について。
先般から本日の午前中まで、この法案について本委員会が、審議するにあたって、内野的な審議をやっておる。私は、この法案を審議するにあたって、この法の適用という角度から、多年にわたってペンディングになっている問題、この法案審議あたっては外野的な審議ですね、取り扱いになるかと思うのですが、この際にやはり論議して最終的に解決するのが適当だと思って、総理府総務長官においで願ったわけです。その審議対象は、当院でもずっと論じて参り、先般、当院の内閣委員会で関係法案審議の場合に附帯決議がなされました満州国在勤職員の取り扱いの問題ですね。恩給法時代における取り扱い、その恩給法の考え方が大きく変わって、ここに社会保障政策の一環として、社会保険方式による共済年金が発足するという段階に、いかにこれを取り扱うべきかということを、そうした過去を振り返り、現時点に立って十分調査して、あやまちなきを期さなければならぬのじゃないかという、きょうは最終的なチャンスだ、機会だ、こう思いまして、先般、適当な機会に総理府総務長官、恩給局長においで願って質疑さしていただき、御所見も承り、調査いたしたい、こういうことでおいで願ったわけです。先ほどの専攻科の卒業生云々というのも、そういう外野的審議の一つとして取り上げたわけですが、委員長、本日はもう、参考人の公述聴取、それから質疑もあり、時間も相当延びておりますし、また、私がそれを質問することを通告したのでありますけれども、時間も相当延びておりますから、次の機会にやることが私は適当だと思いまして、さように取り計らっていただくとよろしいのじゃないかと思って、みずからのことですが、みずから議事進行の発言をしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/94
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095・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/95
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096・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/96
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097・秋山長造
○秋山長造君 瀧木さん見えておる機会だからちょっとお尋ねしますが、この二十八年に出されました国家公務員退職年金制度に関する人事院勧告、これ以後、この退職年令の問題について、人事院は何か勧告されるとか、あるいは見解を発表されるとかいうようなことは、今日までありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/97
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098・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) これは退職年金制度が、いわゆる共済組合法案におきまする退職年金制度が国会で御審議になりましたときに、その経過におきまして、政府側に対しても人事院の主張をしばしばこれは非常に強く申し上げ、かつ、国会で御審議に相なりますときにも、人事院の意見を申し上げた次第であります。そのほかには特に、ある時期に人事院の見解を発表したということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/98
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099・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、国家公務員共済組合法ができるときに、強く政府に申し入れ等をされたというのですが、その内容は、三十八年の勧告に沿うた内容ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/99
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100・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) 御存じのように、人事院が勧告をいたしまして、しばらくこれが、まあ俗な言葉で申しますと、恩給制度に関する人事院勧告というものがたな上げになっておったわけでございます。で、われわれの見解といたしましては、もちろんその勧告は生きておる、このように考えておるわけなんです。そのときに、給付内君等は大体におきまして人事院勧告の内容と同じでございまするが、ただ、制度の立て方が人事院の勧告と迷いまする共済制度として出て参ったわけでありまするので、そのときに人事院は、やはり人事院が従前勧告いたしておるあの制度がいいんだということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/100
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101・秋山長造
○秋山長造君 それでよくわかりましたが、そういたしますと、人事院としてのこの問題についての見解というものは、まあ長い将来のことはいざ知らず、今までのところは、やっぱりこの二十八年の勧告というものが、正しいといいますか、そうあるべきものだという御見解は、今日も依然として生きているというように解釈したらいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/101
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102・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) これは、人事院は主張いたしたのでありまするけれども、人事院の勧告というものが一方に出ており、そして政府から共済組合制度という制度をお出しになって、そしてこれを国会でいろいろ御議論の末、公務員のこの種の制度は、これは社会保障制度の一環として、民間の同種の制度と均衡をはかってやるのが適当であるという最終的な国会の御判断があったわけでございまするから、われわれとしてはいつまでもぐちっぽくは言っていないんで、やはり国会で最終的な御判断になったものでございまするから、やはりそれを、現在はよろしいと、こういうふうに言わざるを得ない立場にある、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/102
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103・秋山長造
○秋山長造君 人事院のお立場としては、一応これとは相当違った建前の制度ができた今日ですから、あくまで二十八年の勧告が依然として生きているという——これもまあ考えようで、生きていると言えば生きていると私は思うんですけれども、まあ生きておると言い切ることもあなたのお立場としてはできにくいんだろうと、まあその点はお察ししますが、先ほど矢鳩さんの御質問にあったように、この勧告の中の費用の負担区分の点、それから掛金率等の点について、人事院勧告の内容と、それからでき上がった国家公務員共済組合法の内容とは相当食い違いができておることは事実ですね。同時に、たとえば、この勧告の中に、人事院でお考えになった退職年金制度においては、いわゆる恩給法の若年停止制をそのまま残すということが適当だということになっておるんですね。ところが国家公務員共済組合法についてもそうですが、今度の地方公務員共済組合法においても、この若年停止制は否定されているんですね。この点はどうお考えになりますか。私はやっぱり若年停止制というものは、これはそれ相当の根拠があって作られたものだし、それから、もう長年これは実施されてきて、いわばこの種の制度については、これはもう若年停止制というものは、一つの歴史的に確立した制度だと思うんです。だから、人事院勧告で、これがそのまま新しい退職年金制度に取り入れられるべきものだという見解を発表されたことは、私はきわめて現実的であり、筋も立っていると思う。で、それが減額年金制度というものにすりかえられたわけですね。まあすりかえるという言葉はちょっと語弊がありますけれども、変わってきておる。その点についての、一体どちらがいいのかという御見解を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/103
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104・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) 先ほどから申し上げておりまするように、人事院が勧告をいたしました制度は、これは国が主体となってやる——まあ公務員も一部分拠出をいたしまするけれども、国が主体となってやる制度であったわけでございます。で、現在ありまする共済組合制度、またただいま御審議中の地方公勝負の共済組合制度におきましても、これは相互扶助という立場から、社会保障制度の一環として、公務員が全体的に相互扶助をする、こういう立場に変わってきておるわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘になりました若年停止の問題、あるいは減額年金の問題も、私はこれはやはり制度の違いによって起きてくるものではないであろうか。従前の恩給制度におきましても、若年停止という制度があったわけでございます。また恩給制度というものは、国がやる制度でございまするので、これはやはり人事管理上の便宜というような観点からも、そういう制度が許されるという余地があった、このように考えておるのであります。
ちなみに、現在の共済組合制度におきまする年金と、人事院勧告におきまする恩給制度とどういう点に違いがあるかということを二、三申し上げてみまするならば、人事院勧告では、遺族年金は、二十年以上在職した人の遺族につきまして遺族年金を支給し得るというような建前になっておったのであります。それが現在の共済制度におきましては、勤続十年以上たっておるならば遺族年金が出る、この辺の違いもございます。また、懲戒免の場合におきましても、人事院勧告では、これはもう失権をしてしまう。復権ということはないのでありまするが、現在の共済組合法におきましては、懲戒免の場合におきましても二〇%の支給制限があるだけで、やはり八〇%は出る、このような違いがございます。これはやはり恩給制度ということと、それから相互扶助による共済制度の違いという問題がその辺にあるのではなかろうかというように考えておる次第でありまして、共済組合制度ということになって参りますると、退職後に受けます年金というものは、個人によって、やはりある人には厚く、ある人には薄いというわけには参らぬだろう、これはやはり数理計算の建前上申せることではなかろうかと思うのであります。したがいまして、早く恩給を、年金を受けたいという方には、やはりその支給開始時期が早いのでありまして、その後における平均余命等も違うのでありまするから、その時点におきます年金原価と申しまするか、こういうものが大体同じくなるということが公平を期するゆえんではなかろうかというように、保険数理上は考えられるわけであります。したがいまして、このような共済制度におきましては、やはり減額年金制度ということをとるということが建前上一応考えられることではなかろうか、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/104
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105・秋山長造
○秋山長造君 一応考えられるということであって、これは必然性は私はないと思うのですがね。共済制度だったらこの減額年金でなければいかぬ、あるいは恩給制度だったら若年停止でもよろしいということは、これは私は本質的な問題じゃないと思うのですがね。共済制度においても、五十五才になったら復元するというのは、これは共済制度そのものが、相互扶助であろうと何であろうと、とにかく老後の生活の保障という大きな建前を持っておる以上はね。ですから、あなたの立場としては、これはこの政府案のようなことも一応は考えられるだろうというだけのことであって、これはもう共済制度の本質に触れる問題ということは私はないと、こう思のですがね、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/105
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106・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) これは、とことん詰めて白か黒かというような議論ではないであろうというふうに思います。ただ、恩給制度の場合におきましては、若年停止という制度が従前からあったわけでございまして、これはやはり人事管理上の必要がある。恩給制度というものを官の制度としてやるという建前が出て参ります場合には、若年停止というようなことも考える余地があるし、また従前の恩給制度におきましてはそういう制度があったわけでございまするから、これを人事院勧告に取り入れるということは私は一応理屈があると思うのでございますけれども、やはり保険数理を基礎といたしまする現在の共済組合制度の建前から申しまするならば、やはり減額年金というほうが自然である。一応と申しましたのはちょっと言葉が必ずしも適当でなかったと思います。むしろ自然である、このように考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/106
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107・小林武治
○委員長(小林武治君) 委員外議員山本伊三郎君から発言を求められておりますが、これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/107
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108・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/108
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109・山本伊三郎
○委員以外の議員(山本伊三郎君) 実はきょうは審議がないということで、午後から内閣委員会でちょっと要請があって行っていたのですが、皆さんの許可を得て二問だけひとつ質問しておきたいと思います。
ただいま人事院の給与局長から勧告についての経緯の説明があったのですが、人事院は昭和二十四、五年ごろから相当年金の問題について検討されたことは私もよく承知しております。また、マイヤーズ勧告が出て、相当これによって人事院も拍車をかけられて十分検討をされた。したがってこれは私も十分知っておりますから、そんな内容は聞きません。せっかくそういういろいろと長い期間かけて検討して出された勧告が、もちろん国会でそうきめたのだからこれは人事院の責任とは思いません。そういう長い検討で、長い期間をかけてやったやつが、今度国家公務員共済組合法ということで昭和三十四年いわゆるこれが国会を通ったのですが、それについて人事院としてはその後この問題については一切ノー・タッチ、勧告を出しただけで、政府の出方なり国会の審議はもうそのまま見送ってその後一切その問題に関係しておらないと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/109
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110・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) これは三十四年に成立したわけでございます。まだあまり日にちがたっておるわけでもございませんし、そのときから比べまして社会情勢が格段に変っておるというような状況でもございません。したがいまして、人事院は恩給制度がしかるべきであるという勧告をいたしたのでございますけれども、また、それを法案が出る過程等におきまして、ずいぶん強く主張したのでありますけれども、当時の政府並びに国会におきまして人事院の考えをお用いにならないで、こういう制度をお作りになった、そういう経緯がございます。したがいまして、やはり最終的に国会でそういうふうにおきめになったのでございますから、一々その翌日からそれをひっくり返すというようなことは、これは言うべきではない。人事院の責務というのはそこまでで終っておるのではなかろうかというように考えておるわけでございます。ただ、公務員法百八条というのがございまして、将来に向かってやはりこの制度が適当でないというような時期が参りましたならば、そのときにおきましては、人事院はやはり制度の改善なりにつきまして意見の申し出をするという権限が留保されておりますし、そのことは絶えず意識しておりますから、十分この制度の運営とまた実態と合っておるかどうかということにつきましては、十分な関心を払っておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/110
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111・山本伊三郎
○委員以外の議員(山本伊三郎君) 瀧本局長はなかなか検討しておるのですね、ことに国家公務員法の百八条を先に言われたのですが、人事院勧告をする場合に、国家公務員法には百八条、地方公務員にも同じような規定が四十何条かにあるのです。したがって、各国の例を見ても、やはり純然たる相互扶助的なものでやるには問題があるということは、その当時検討されておったと思うのですね。したがって、この点については私はもうその答弁でこれ以上触れません。ただ、そういういろいろな経緯を経てきて、なおかつ——これは小平総務長官、あなた責任はないのだが、たまたまこられたからあなたに聞くのだが、そういう経緯から考えて、政府は人事院の勧告をいつも尊重する尊重すると言っておるが、なぜそれを別個のものを出したか。あなたはそのときおらなかったのですが、そういう考え方についてあなたどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/111
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112・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) せっかくのお尋ねでございますが、私も正直申しましてあまりその当時の事情をよく存じません。なおよく関係者にその話を聞いてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/112
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113・山本伊三郎
○委員以外の議員(山本伊三郎君) 総務長官は無理だと思うのです。そこで大蔵省の給与課長に伺いますが、大体これは主管省が大蔵省なんです。それは、あなたは給与課長にかわって間もないから、あなたは無理でないかと思うのですが、大蔵省が強引にこれを出してきたのですが、その当時は佐藤大蔵大臣だったと思うのですが、そういう人事院の勧告の精神というものに対してこれを出したという大蔵省のその当時の考え方をちょっと聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/113
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114・平井迪郎
○政府委員(平井迪郎君) 御指摘のとおり、私も当時おりませんでして、また聞きの形になりますが、聞いております範囲で御答弁申し上げますならば、御承知のとおりの国家公務員共済組合法は、戦後一般雇用人に対して適用される法律ということで作られておったわけでございます。ところが、昭和三十一年と記憶しておりますが、公共企業体の職員について、国会を中心として、共済組合制度によって雇用人並びに一般職員についても退職年金を支給するのが妥当であるという観点で、まず公共企業体職員等共済組合法というのが制定されたわけでございます。その内容並びに思想は、私どもが国家公務員共済組合法でとっております考え方と基本的には同じでございまして、いわば公共企業体に属する職員について、まず現在のような全般的な長期給付並びに退職年金制度というものができ上がったわけでございます。その後これを全国家公務員に適用するかどうかという観点から、大蔵省におきましていろいろと検討したわけでございます。その場合に、先ほど人事院給与局長から御答弁のございましたように、国が所管する形で、かつ恩給制度の変形という形で退職年令制度を作るべきだ、あるいは公共企業体等にならって保険数理を基本として、かつまた社会保障の一環としての共済組合制度によって国家公務員の退職後の生活の保障を行なうべきだと、こういう議論で、非常に長く、かつまた各方面で論議されたわけでございます。その結果といたしまして、現在のような社会保障制度の建前からいたしまして、国家公務員だけのいわば恩給制度にかわるべき特殊な制度としての退職年金制度ではなくて、一般的な社会保障の体系の中で国家公務員の特殊性を加味した退職年金制度を作るというような観点で問題が審議された。その結果、御承知のとおり、たとえば、職員と国の負担率が四十五対五十五というようなものにもなりましたし、また若年停止制度につきましても、公共企業体職員等共済組合と同じような考え方で減額年金制度を採用された。こういったようなことに私ども伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/114
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115・山本伊三郎
○委員以外の議員(山本伊三郎君) あなたを責めたところで、事務当局は何だから問題ないが、あなたがそういう説明をされたついでに言っておきますが、その公企体の職員については公企体等労働関係法というものによって一応身分は規定されておる。国家公務員、地方公務員は、国家公務員法、地方公務員法という、ああいうもので一応規定されておる。したがって、そういう関係から見ると、やはり国家公務員なり地方公務員については、特殊な関係にあるということは一応言えるのですね。それで、そういう意味において、私はあれにならってそのままやるということについてはまあ問題があると思う。しかし、もうすでに国会で成立したものをここで言ったって仕方がない。今後もこれは問題が起こってくると思うんだから、そういう点は、われわれとしては問題点があるということを提起しておきます。
それから、あなたはえらいことを言ったのですが、国のほうは五十五を持って組合員が四十五だと言いますが、他の社会保障制度による社会保険にしても、国のいわゆる補助負担金というものは、少なくとも一〇%程度持っているのですよ。それを差っ引くと、これは半々なんですよ。何も、国がよけい持っているというわけじゃないのですね。だから、いかにも国が五十五持っているから、別な——要するに、恩恵を与えておるというような言い方は、もう慎んでもらいたいと思う。まあこれ以上言いいませんけれどもね。これは、取り消してもらいたいとは思わないが、まあ反省してもらいたい。
それでお聞きしますが、先ほど瀧本局長が、今度の地方公務員の共済組合法では遺族年金が無条件で十年たてばつくと言われたが、あれは廃疾の場合が遺族年金に移行するのであって、それ以外はやはり二十年というものでありますので、まあその意味だと思いますが、何ともえらい、非常によくなったという印象を与えるといけませんので、これだけちょっと訂正しておいてもらいたい。
私は、これできょうは終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/115
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116・矢嶋三義
○矢嶋三義君 総務長官いつもずっと来てお待ち願っているから、十五分間程度で片づけますから。総務長官この前もお待ちになってお帰りになりましたので、十五分間程度で片づけたいと思います。
それでペンディングのところは、いずれこの法案が上がるまでには総理大臣御出席になるでしょうから——内閣は総理大臣が代表ですから、あなたのほうから御相談なさって、ペンディングの分は最終的に総理出席のときにお答えいただくようにしてもらいたいと思う。問題点だけピック・アップしてお伺いいたしたいと思います。
大前提として、国家公務員共済組合法もそうでありますが、地方公務員を対象として今度立案されたこの法案が、恩給法とは大きく転換した。社会保障政策の一環として社会保険方式をとった大きな転換をしたという前提があるということをお忘れにならないことと、それから公平の原理を貫きたいということが前提にあるということをお含みの上、お答えいただきたいと思う。
まず伺いたい点は、満鉄は当時国営で設立をしたいということであったが、国際情勢その他を当時勘案して会社方式を採用した。いかがですか、ただ、そうだ、違うということだけでよろしいですから、お答えいただきたい。念のために、ファクターだけきょうそろえておこうということです。お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/116
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117・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) その点まことに不勉強で申しわけありませんが、今先生の御指摘のように、本来国がやるべきことを、国際情勢等を勘案して株式会社の形態をとったと、そう言い切れるかどうか、実は私も今ここではっきり申し上げるだけの確信がございません。ただ、御承知のとおり、国策に沿うた仕事をしておったということは、これはまあ事実だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/117
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118・矢嶋三義
○矢嶋三義君 次に、この満鉄は勅令で設立されて、全額政府出資でやったという点の御確認を願いたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/118
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119・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) その点もはなはだ不勉強で申しわけありませんが、私の記憶では、政府が全額を持っておったとは存じておりません。民間でも株式を持っておったように記憶しますが、その割合等、今資料もございませんので、申し上げられませんが、民間でも株式を持っていたというふうに、私はまあそういうふうに実はのみ込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/119
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120・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は発足当時のことを申し上げているわけで、この点次の委員会までペンディングしておきます。
次に、この費用は一般会計から支出されたものである。御確認願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/120
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121・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) それじゃ大蔵省やってくれ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/121
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122・平井迪郎
○政府委員(平井迪郎君) よろしゅうございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/122
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123・矢嶋三義
○矢嶋三義君 はい、けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/123
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124・平井迪郎
○政府委員(平井迪郎君) 私どもの伺っている範囲では、一般人会計から支出されたものだというふうに伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/124
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125・矢嶋三義
○矢嶋三義君 次に、この会計検査は日本国の会計検査院で検査しておったという点、御確認を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/125
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126・平井迪郎
○政府委員(平井迪郎君) さように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/126
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127・矢嶋三義
○矢嶋三義君 満州国が発足した場合に、満鉄から地方部、地方行政部が満州国へ移った。この点御確認願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/127
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128・平井迪郎
○政府委員(平井迪郎君) 詳細についてはつまびらかにいたしませんが、大体そういうことであったように記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/128
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129・矢嶋三義
○矢嶋三義君 次に、生まれた満州国の国防、交通は日本政府が秘密協定でこれを押え、そうしてその交通部門は百パーセント満鉄が担当したということの御確認を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/129
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130・平井迪郎
○政府委員(平井迪郎君) 私どもも詳細に公文書等について確認したわけではございませんので、確かかどうかは存じませんが、われわれのほうへ満鉄関係の方々がお見えになってのお話では、そういうふうであったというふうに伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/130
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131・矢嶋三義
○矢嶋三義君 続いて、退職手当の取り扱いについては、満州国に在勤した人と満鉄に在勤した人とは現在同一扱いになっているということの確認を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/131
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132・平井迪郎
○政府委員(平井迪郎君) 当初日本国政府に勤務いたしまして、その後勧奨により、あるいは上司の承認を得て満州国、または満州国の、日本国有鉄道、あるいは電電公社、あるいは専売公社に匹敵する機関に在勤した者、こういう者が再び日本国の公務員に復帰いたしました場合、この場合におきましては通算措置をとるということが、満州国在勤の国家公務員と満州国の官吏と同様に扱われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/132
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133・矢嶋三義
○矢嶋三義君 満鉄の最終段階——中途から最終段階にあたっては、その株式の半数は常に政府がこれを保有した、監督権を持っておったということの確認を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/133
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134・平井迪郎
○政府委員(平井迪郎君) その点についても付随的資料等私ども持っておりませんので、先ほどの満鉄関係の方々のお話によりますれば、大体そういうふうであったというふうにも伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/134
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135・矢嶋三義
○矢嶋三義君 総理府総務長官にお答えいただきますが、当院内閣委員会で所管法案を審議可決する際に、満鉄に在職した職員の在職期間は通算するように措置すべきであるという附帯決議がなされ、それに善処することを政府側として答弁された事実があるかないか、お答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/135
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136・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) 本院におきまして、公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案を御審議の際に、二月の十五日でありましたか、附帯決議をなされましたことを承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/136
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137・矢嶋三義
○矢嶋三義君 以上列挙した若干のファクターから考えた場合、満鉄というものは日本の国との関係ではきわめて特殊な関係にあり、実体的には、政府の外地における代行機関で、国家官庁と同一性質を持っておった、それに近いもので、非常に、特殊なうちの特殊なものだと認定することは妥当だと思いますが、この見解に対して総理府総務長官の御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/137
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138・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) 満鉄の性格というものが非常に特殊な、いわば、株式会社の形態をとっておりますが、特殊な会社であったということは認めてよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/138
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139・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あと二問ですが、したがって、主権在君の時代に、天皇陛下から恵みとして賜わった恩給を、国と雇用関係が百パーセント明確であった者に支給する根拠法である恩給法、これと、時代が変わって、業務の実態からいって、これを考える立場から社会保険方式になったこの公務員共済組合法との関係においては、かりに施行されることになれば——国家公務員共済組合法は今施行されているわけですが、この満鉄に勤務しておった期間というものは、そういう共済年金法の適用にあたって、在職年数として通算するのが、私は理の当然だと思うのですね。もう時間がないから、きょうはピック・アップして、伺いませんでしたけれども、こういう政策がよかったか悪かったかということは別にして、実際あの戦争のさなかに、一体軍人軍属とどういう関係で働き、どういう犠牲が出て、どうであったかという、その実体論からいって、満鉄に十数年勤めて、そして敗戦によってすべてを犠牲にして内地に引き揚げて公務員となった。しかし、その年数が通算されないために非常に不利になり、年金がつかないということを、気の毒だと言うだけで済ましておることは、私は問題だと思うのだ。私はその観点から、退職手当については、行政府の配慮によって、適正なる配慮によって、先ほど御答弁がありましたように、満州国と同じ扱で扱われることになっておるから、私は、こういう法案を審議する場合に、こういう点を堀り下げて、お互いに調査もし、討議もして解決すべきだ、そういう、僕は最終的な段階だと思う。これが、冒頭に申し上げました公平の原理からいっても、またその職務内容その他の実体論からいっても、僕は何ぴとも反論のできない根拠を持っていると思うのですがね。しかも、この該当者というものは、私はそう多くはなっていないと思う。国の財政にそう影響することはないと思うのです。まあ地方公務員が一番多いでしょう。国家公務員も若干おりますが、公共企業体関係にもおられましょうが……。したがって、私は、本日総理府総務長官からひとつ明確な行政府としての検討の方向の御答弁をいただきたい。最終的に、担当長官として、百パーセントの御答弁がいただければ、それでけっこうです。しからざる場合には、内閣構成上担当大臣になっている池田内閣総理大臣と御協議いただいて、この法案の審議の過程においてはっきりしていただきたい。この件につきましては、先般の参議院予算委員会の審議の段階に若干質疑が出ましたけれども、速記録を見ますと、総理大臣の答弁はやや乱暴ですよね、乱暴ですよ。その当時の実態を十分究明しないでお答えになっているから非常に形式的で、失礼だけれども、やや乱暴ですよ。僕は当事者が読むならば憤慨するのじゃないかと思いますね。当時の国策に沿って汗水を流しただけに、生命をかけて働いただけに、あの速記録を読んだ人は、率直に言って、あの程度しか認識してくれないのかということになると思うのです。この点は若干ファクターをあげて伺ったわけですが、総理にもお話しいただいて善処していただきたいと思いますが、お約束の時間も参りましたから、これに対する総理府総務長官の答弁をいただいて、私の質疑を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/139
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140・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) ただいまの矢嶋先生の御質疑でございますが、今先生もお話しがありましたとおり、同趣旨の御質疑が本院の予算委員会でもございまして、当時総理から、また私どもも御答弁申し上げたのでございますが、したがって、それを繰り返す必要もないと思います。が、結論的に申しますならば、恩給の関係におきましては、満鉄の在職期間というものと国家公務員としての在職期間を通算するということは困難な事情にあるということを御答弁申し上げたわけでございます。ただ、お話のうちにもございますとおり、この問題は関連するところが非常に多いわけでございます。特に、御承知と存じますが、満鉄時代の満鉄の職員、まあおよそ五万人からおられたということでございますが、そのうち内地に帰られまして国鉄に職を得られました者が五千数百人からに及んでおるようであります。また、国家公務員として就職をされました方が五百数十人のようであります。しかも、この国家公務員として就職いたしました五百数十人のうち、国家公務員共済制度が施行される前に退職をなされました方は五十名前後ではないか、こう言われておるわけであります。こういう実態から見ますというと、少なくとも恩給との関係で考えますというと、かりに通算するということになりましても、恩給という立場から、恩給法の立場からしますと、きわめて少数の方が問題になるということでございまして、まあ一番問題になりますのは国鉄の関係、したがって、公共企業体の共済制度の問題ではないかと思います。公務員のうち現に職を奉じておられる皆さんにつきましては、これは言うまでもなく国家公務員の共済制度で考えるべきもの、こういうことで、先ほど申し上げました本院の御決議のありました際にも、齋藤国務大臣から御答弁申し上げておるようでありまするが、各種の共済組合、それらとも十分これは連絡をとって協議をやはりする必要があるであろう、こう考えられますので、齋藤大臣の申しておりますように、今後におきましても、それぞれの共済組合の運営に当たっておられる方々に、その他役所の、政府の関係各省、それらで十分検討いたしてみたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/140
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141・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一問。あのね、総務長官の答弁をおおむね了としますけれどもね、少しものがはさまっておるところがあると思うのですよ。参議院の予算委員会ではね、相当荒っぽい答弁しましたけれども、ああいう審議方式をとるからそのままに終わったわけなんですね。本日を私は期しておったわけです。実は、私は前からこれ関心持っておったのですが、第二十八国会で、満州国の問題が解決したときに、一緒に解決したような錯覚を起こしておったのです。そうしてそれは錯覚であって解決していないということで、僕はびっくりしたくらいですがね。それであらためてまた勉位し直したわけですけれどもね。それはさっき九点について確認願ったのですが、これ調べてごらんなさい。全部そのままですよ。そういう確認事項を要素に考えたら、あの池田さんの予算委員会の答弁というものは、実態を知らない、乱暴だということになりますよ。それで、これ特定の大臣が考えておったって、この問題解決できないと思うのです。あなたは恩給法研管だが、国家公務員、地方公務員共済はそれぞれ所管大臣があるわけです。社会人保障の一環としての所得保障方式の、所得保障の中の一つの恩給であり、年金である。そういう角度から、やっぱり関係者で、閣僚懇談会等で、これをいかにこの時点で処理すべきかということを協議していただかなければならぬと思うのですよ。これをやれば関連が非常に多くなって広がる云々と言いますけれども、この前はそういうこと言われておりましたけれども、私はそういうことはないと思うのです。いろいろ聞いてみると、それに類似したものというのはないのですね。かりに百歩譲って、あっても切れるところは、退職手当における大蔵省で作っているこの指定期間等を参照すればラインの引き方は十分あります、百歩譲っても。だから、さっきの総理府総務長官の答弁は了としますが、あえてきょう二十分ほどいただいて質疑させていただいたわけですけれども、あなたを中心に閣内でこういう法律案を審議する機会に、再び検討されて御善処いただきたいと思うのです。これは当事者にとったら非常に大きな問題でね。それは単に人情論だけでなくて、外地で働いたという人情論だけでなくて、私は筋が通っていると思うのですよ。筋がこれは通っていると思うのですよ。そういうことはやっぱり折り目を正した解決をしないというと、われわれの疑問も正されないのじゃないかというので、まあ総理府総務長官の御理解ある御善処をお願いしたいということでおでましを願って伺ったわけですが、いかがですか、御協議いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/141
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142・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) 先ほども申しましたとおり、各共済の関係、それから政府の関係各省、これらで今後も引き続いて検討いたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/142
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143・小林武治
○委員長(小林武治君) 本日は、この程度といたします。
次回は、四月十七日午前十時開会とし、本日は散会いたします。
午後四時二十四分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02319620412/143
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