1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月二十六日(木曜日)
午前十時三十五分開会
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委員の異動
四月二十五日委員白木義一郎君辞任に
つき、その補欠として中尾辰義君を議
長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 小林 武治君
理事
野上 進君
増原 恵吉君
秋山 長造君
基 政七君
委員
小柳 牧衞君
西郷吉之助君
津島 壽一君
湯澤三千男君
加瀬 完君
松澤 兼人君
矢嶋 三義君
中尾 辰義君
衆議院議員
修正案提出者 渡海元三郎君
国務大臣
自 治 大 臣 安井 謙君
政府委員
自治政務次官 大上 司君
自治大臣官房長 柴田 護君
自治省行政局長 佐久間 彊君
消防庁次長 川合 武君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
説明員
自治省府政局振
興課長 山本 明君
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本日の会議に付した案件
○市の合併の特例に関する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○地方自治法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○災害対策基本法等の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/0
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001・小林武治
○委員長(小林武治君) ただいまから委員会を開会いたします。
初めに委員の異動について報告いたします。
四月二十五日付をもって委員白木義一郎君が辞任され、その補欠として中尾辰義君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/1
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002・小林武治
○委員長(小林武治君) 市の合併の特例に関する法律案を議題といたします。
まず、衆議院における修正点について説明を聴取いたします。衆議院議員渡海元三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/2
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003・渡海元三郎
○衆議院議員(渡海元三郎君) ただいま議題に供せられております市の合併の特例に関する法律案に対しまして、衆議院における修正の内容及び趣旨の概要を御説明申し上げます。
修正の第一点は、原案では本法の適用対象となる合併は「三以上の市又は二以上の市及び一以上の町村」となっておりますのを改めて、「二以上の市又は二以上の市及び一以上の町村」としたことであります。すなわち市同士の対等合併はすべて本法の適用を受けられることとしたのであります。本来「三以上の市」に限定した根拠として考えられますことは、関係する市の数が三以上になりますと、合併の困難さは飛躍的に増大するという点にあると思うのでありますが、かりに事実といたしましても、そのために二市合併の場合について各種の特例措置を排除する理由は見当たりませんし、また、かりに三以上の市が時期を異にして順次合併を実現するというような場合、その合併が本法の適用対象とならないということも公平を欠くと思われますので、これを市の合併にはすべて適用できるよう改めたのであります。
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修正の第二点は、国、都道府県等の協力関係を規定した第六条の「新都市の建設に資するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。」という条文中、「必要な措置」とあるのを「必要な財政上その他の措置」と改めたことであります。これは「必要な措置」というだけではあまりにも抽象的に過ぎ、具体的な措置が明確でないので、必要な措置の中には財政上の措置を含むものであること、むしろそれが眼目であるという趣旨を明確化しようとしたものであります。
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修正の第三点は、産炭地域振興臨時措置法によって産炭地域として指定された地域内の市町村の廃置分合で市町村の数の減少を伴うものについて、本法を準用することとしたことであります。この場合は、関係する団体に必ずしも市を含むに及ばないこととしています。御承知のように、石炭産業の斜陽化に伴い、産炭地域市町村は行財政上、極度の困難に当面しており、この難局に対処するため、隣接市町村間に合併の機運の生じて参りますことは、予想にがたくないのでありますが、もはや町村合併促進法や新市町村建設促進法の適用を受けられない現在におきましては、本法の準用によって、財政上その他の特別な授助措置を配慮することが適当であると認めましたので、この改正を行なうこととしたのであります。
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修正の第四点は新都市の人口が、五十万以上になる市の合併で、この法律の施行の日から起算して一カ年以内に行なわれるもの、具体的に申しますと、予定される北九州五市の合併がこれに該当するものでありますが、この場合について、本則における議会の議員の任期及び定数の特例の、さらに特例を設けたことであります。
本則における特例は、対等合併の場合には、合併関係市町村の協議によって議員の任期を、合併後二カ年をこえない期間に限り延長できることとし、もしこの任期の延長を行なわない場合には、最初の選挙で選出される議員はその任期中新都市の議員定数の二倍をこえない範囲内で定数を増加できるものと定めております。すなわち任期の延長か、定数の増加か、いずれか一方を選択できることとしているのであります。
この本則に定められた特例にかかわらず、さきに述べましたような合併の場合に限っては、任期の延長と定数の増加との双方をあわせ行なえるようにいたしたのであります。ただこの場合、任期の延長期間は、「二カ年」から「一年六カ月」に、定数増加を「二倍に相当する数」から「定数にその定数の五分の一に相当する数を加えた数」に、それぞれ変更することとしています。
本修正は、北九州五市合併の具体的な実情に即して勘案されたものでありまして、五市の合併が他に類例を見ない困難な事業であるとともに、新都市の建設計画はきわめて大規模であり、かつ、その実施には長年月を要すること、さらに合併関係各市域の間の相錯綜する利害関係の調整をはかり、の急激な変化を回避する等のため、それぞれ旧市域住民の民意が公平に反映される必要があることなどの理由から、本修正を行なうこととしたのであります。
以上が修正の趣旨の大要であります。何とぞ御賛成を賜わりますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/3
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004・小林武治
○委員長(小林武治君) ただいまの説明及び修正点以外の原案について御質疑のある方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/4
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005・矢嶋三義
○矢嶋三義君 修正者に質疑いたす前に、本日の審議の都合上、資料をまずもって要求しておきたいと思います。政府委員におかれては、自治省の事務当局に指示を与えて、午後の委員会に間に合うように、そして本法律案の本日における審議に支障を来たさないように資料の御提出をお願いしたいと思います。それは、この法律案は一口にいって北九州五市の合併をマークした法律案だと思うのです、実質的にはね。したがって、おそらく衆議院段階における審議においてもそれが焦点になったと思うのです。速記録を若干拝見しましたが、全部出ていませんので、つぶさに承知することはできません。そういう角度から見ますと、自治省の法律案審議の場合に出される資料の整備は間接的にはよくできているのだけれども、この法律案については資料の提出は不十分だと思うのですね。対象が明確になっているのですから、われわれ若干知らぬわけではないけれども、この法律案のマークしている北九州五市に関する資料をもう少し提出すべきだと思うのです。私が出していただきたいのは、たとえば、この五市の人口とか予算規模とかあるいは合併に関する決議をいかように、いつされたのか、あるいはこの対象になるであろう北九州五市一帯における道路の整備計画あるいは工業用水の現状なり、将来にわたる計画、一口にいえば、それぞれの市は再開発計画についてどういうものを持ち、どういう構想を持っているのかという、そういう点がある程度われわれにわかる資料が提示される必要があると思うのですよ。時間的に制約があるから、そう詳しいものは作れないかもしれませんが、午後の委員会に支障がないように御提示下さるようにお願いします。今、私が申し上げただけでなくて、私が今申し上げたことをお聞き下されば、あなた方の可能の範囲内において、どういう資料を提示すれば委員会の期待に沿うということはおわかりになると思いますから、お願いしておきます。よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/5
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006・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 先生のおっしゃいました資料は、全部はすぐにはそろいかねるかと思いますが、可能な限度においてできるだけ御提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/6
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007・矢嶋三義
○矢嶋三義君 修正者に若干質疑さしていただきます。
第一院が本法律案を先議されて、たいへん御若労のあったことだろうと推察いたします。また御熱心な審議に対しまして、しかも、修正されて、本院へ送付された御努力に対して敬意を表します。
お伺いしますが、二月六日に第一院に本法律案が付託されて、私ども第二院に送付されて参りましたのがつい先日、二十三日になっているわけですが、トップ・レベルの重要法律案の審議日数に類する時間を要していますね。これはどういう事情であったのか、修正案との関連もあろうかと思いますので、簡単にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/7
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008・渡海元三郎
○衆議院議員(渡海元三郎君) 参議院に送付されまして、できるだけ早く審議を終了いたしまして本法律案を発足さすということが、新しく出発します、具体的に今矢嶋委員も申されました北九州にとりましても非常に必要なことであるというので、政府のほうにおきましても、本国会が始まりました早期において提出されたと、このように考えますのでございます。ところが、審議の過程におきまして、ただいま修正をさしていただきましたような点につきまして、地元におきまして種々の要望がございまして、この点につきまして、私たちにおきましても、新発足する市が円滑にいくためには、皆さん方すべてが御了解願えるような線にまとめるということが新しい市のためにも最も好ましいことであるというので、いろいろ手を尽くしましてその間の調整その他をいたしておったような次第でございます。そのためにたいへんおくれまして、本院における審議日数を非常に少なくしましたのですが、その点はまことに遺憾に存じております。しかしながら、新発足するためにできるだけ地元の調整というものをしていただきまして、新しく発足する市に禍根のない、すべての人から祝福された新市にしたいという念願から時間を要したような次第でございますので、御了承賜わりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/8
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009・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その点よくわかりました。
次に伺いたいことは、市の合併の特例に関する法律案、市の合併と相なっておるわけですが、政府原案と修正送付されたこの案とを比較した場合、総括的に直観的に感ずることは、市の対象がかなり変わって参りますので、かなり市の合併に対する考え方、方針と申しますか、その点について政府のそれと衆議院のそれとは若干——若干と言っても相当と言ってもいいと思うのですが、それぐらいの私はズレができて参っていると思うのですがね。もう一言簡明に申して御所見を承れば、政府が考えられた市の合併に対する推進方針よりは衆議院としてはもう少し積極的に市の合併を多く広く推進したいというお考えが、この修正ににじみ出ているような感じを受けます。その辺のところを修正された衆議院の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/9
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010・渡海元三郎
○衆議院議員(渡海元三郎君) 都市合併は、御承知のとおり、たしか本院の議員立法でできたものじゃないかと思いますが、昨年終息を遂げました町村合併促進法によりまして、過去数カ年にわたりまして画期的な制度として行なわれました。昨年これが終わりました直後におきまして、こういった合併をやるものを特例を作って、自治法の原則以外に特例によって促進するということを今日の段階においてやるべきかどうかという点につきましては、相当議論もあり、考えるべき点じゃないかと思うのでございます。しかしながら、従来長年月にわたって議論されて参りました北九州五市の合併が円滑に話が進んで参りましたので、この機会にこれをぜひとも特例を設けてでも合併の事業を完成させたいというところが一般法にはございますが、主として北九州五市の合併を目的として作られたこの一般法が政府の提出された法案じゃないかと思います。そのために、非常に困難なる市の合併という意味から三市以上にされたのじゃないか、かように考えます。ところが、率直に申しまして、具体的にこの法律案によって合併を予定されておりました他の地域における市が三以上にならず、二以上で、二つで合併するというふうな事態も現実に起こって参りました。この法律の趣旨から申しましたら、三以上が当然であろうと思いましたのでございますが、私たちも二以上にこれを広げるということによって、町村合併をこのような姿において推進さすべきであるかどうかということに対しましては、昨年、町村合併が打ち切られたばかりの時期でございますので、相当慎重に考慮すべき問題でないか、かようにも考えたのでございますが、ただいま具体的に申さしていただきましたような、この法律によって合併を予想されておった市が一部脱落いたしまして、二以上で合併するというふうな都市も具体的に出て参りましたものでございますから、とりあえず本法によってそういった二市も救おうという意味で修正さしていただいたのでございます。しかしながら、あくまでも市の合併ということは、総括的に自治法の本則によって抜本的に考えなければいけないことじゃないかと思います。現在衆議院に提案されております新産業都市建設促進法案におきましても合併の特例が規定されております。また、この法律によりまして合併の特例が規定されております。こういったような種々の法律によって市の合併あるいは町村の合併ができるということはどうかと思いますし、現在の地方行財政のあり方から総合的にものを判断しなければならないということは、これは必要性があります。そのためには町村合併、特に市の合併は望ましいことではございますが、合併のみがこれを解決するものかどうかという意味におきまして、諸外国で行なわれておりますような広域行政に関する制度その他もあわせて考える必要がある、これは非常にむずかしい問題でないかと思います。しかしながら、会期末も迫りました今日におきまして、これを救うこともできません、根本的に洗うこともできませんので、衆議院におきましては、これらの問題においては特に抜本的な考慮を政府は加えるべきであるということを附帯決議に強く要望いたしまして、政府からもその旨を体して善処する旨の答弁を得まして、現実の部面を本法におきまして救うためにこのような修正をさしていただいたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/10
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011・矢嶋三義
○矢嶋三義君 律案の第一回の審議のときに、大臣が出席しないということはいけないことですよ。こういう質問の時点に所管大臣がいないと、質問のタイミングを非常にはずしてしまうのですね。大臣が来たら、今僕が聞いたことと修正者が答弁したことを話さないと、また答弁がマッチしない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/11
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012・小林武治
○委員長(小林武治君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/12
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013・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/13
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014・矢嶋三義
○矢嶋三義君 今の修正者の答弁と関連して、本法律案提案責任者である自治大臣に聞きたかったわけですが、非常にいい時期だったわけなんですが、大臣がおられないから事務当局にちょっと伺っておきますが、あなた方が立案当時に考えたことと、この修正された時点においては、ちょっと気持が変わってきていると思うのですね。事務当局としては、三市以上というのが二市になる、かように修正されたことについて法律案を立案した当時と今とでどういう考えでおられるのか。法律が公布施行された後には、運用段階になると相当僕は変わってくると思うのですけれども、事務当局としてはどういう感じを持っておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/14
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015・小林武治
○委員長(小林武治君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/15
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016・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/16
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017・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 政府が提案をいたしました案におきまして、三以上の市と限定をいたしましたのは、この法律案は市の合併に関する特例を定めたものでございますので、特例でございまするから、なるべく対象をしぼって参りたいということをまず第一に考えたわけでございます。この法律案が、先ほど御指摘もございましたように、さしあたっては北九州五市の合併を念頭に置いて立案をいたしたものでございますので、北九州五市と、それに準ずるような同じ市の合併でも、ある程度規模の大きなものに限定をして特例を認めて参りたい、このような考え方で立案をいたしたわけでございます。しかしながら、それでは一体三以上というところで線を引くのが最も合理的であり、この線というもの、基準というものを動かすことができない絶対的なものかどうか、こういうことになりますというと、これも比較的、相対的なものでございまして、二以上——二つの場合でございますより三以上の場合のほうが関係市が多くなくなりますだけ、いろいろと合併に関する困難性も一般的には増すであろう、このような考え方であったわけでございます。そこで、衆議院で二市だけの合併も適用の対象になるように御修正になられたわけでございますが、もともとこの絶対的な基準ということで考えておったわけでもございませんので、二つだけの市についても特例を認めたほうがいいという御判断でございますならば、私どももその趣旨に従って今後この法律の適用に当たって参りたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/17
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018・矢嶋三義
○矢嶋三義君 修正者並びに政府委員の答弁の趣旨はわかりました。ただ私は批判しておきたいと思うのですが、こういう地方団体の合併に対する最近の政府の態度というものが、どうも便宜主義的で、そのつど的というそしりを免れないと思うのですよ。そういう意味において、衆議院の附帯決議は僕は適切であったと、かように思います。そういう意味の批判をいたしておきます。
それから次に修正者に伺いますが、第六条の財政上の措置を含むように、「財政上その他の」という活字を挿入されたことはきわめて適切であったと思いますが、その「財政上その他の」という活字を挿入するにあたって、第一院としてお考えになっておられるのはどういうことか、簡単に骨子だけお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/18
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019・渡海元三郎
○衆議院議員(渡海元三郎君) 過去の町村合併の実績に即しまして、合併します前に作られますところの新町村の建設案というものが、なかなか進捗状況がおくれていくということは事実でございます。新しい町村ができますということは、総合的な観点に立って施策を行なうというところに初めて合併のほんとうの目的があるのじゃなかろうか、こういう点からながめて最も必要なることは、この新しい町村に向かいまして、特に財政上の援助をするということが最も重要なことでございますので、必要な行政措置で援助することももちろんでございますが、特に財政上の面につきましては、国におきましても相当見るべきであるという点から、私たちは特にその点を明確にする意味におきまして、「財政上」という言葉を入れたのでございます。
特にこの法案によって予定されております北九州五市につきましては、さきの自治法改正によりまして、政令都市といいますか、になりましたら、財政上におきまして相当の変化を生じ、しかも、その措置を年度にさかのぼって行なうというふうなことを行ないましたので、その面からも行なわれると思いますが、その他に、新しく作られますところの都市の建設計画に基づきますところの事業が円滑に行なわれるように、起債その他におきましても格段の配慮をすべきものであることを明確にいたすために、特に「財政上」という文字をつけ加えさしていただいたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/19
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020・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この点について、重ねて、修正した第一院の答弁を念のために伺っておきたいと思うのですが、この修正を私はきわめて適切だと、かように評したわけですが、政府原案をかように全会一致で修正された以上、内閣の不信任案権を持ち、予算の先議権を持っておる第一院としては、この修正の趣旨が生かされるには、相当の見通しなり、責任を持ちながら修正されているものと私は判断するわけですが、念のために伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/20
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021・渡海元三郎
○衆議院議員(渡海元三郎君) 予算権その他につきましてのことは、今矢嶋委員が指摘されたとおりでございますが、私たちは第一院、第二院を通じます国会として、法の意思を明確にしていただくことによりまして、ぜひとも政府に対しましても、市の合併をこういった特例を設けて推進していく眼目というべきものは、新しくできる市の住民が合併によって利便を受けることが目的なのでございます。そのためにもぜひとも引き続き援助の措置を講ずべきである。特に建設計画推進のために財政上やるべきであることを明確にするとともに、衆議院におきましても、この修正点につきましては、準々質疑応答におきまして、自治省当局の責任者である安井自治大臣からも強い御信念の御披瀝をいただきまして、きめさしていただいたような次第でございますので、私たちは、この法律が施行されましたならば、 この修正点に沿った強力な援助が実施されるものと、かように期待いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/21
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022・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一問伺わさしていただきますが、それは、先ほども質問申し上げましたように、三市ということが二市と数字が変わり、さらに産炭地域振興臨時措置法の指定地域が含まれることになったわけですね。そうして、その場合には市は必要はないと、町村だけでもよろしいということに相なったわけですね。だから、当初政府原案を考えた当時の立案者が予想した対象とはずいぶん違ってきているわけですよ。僕は、若干でなくて相当だと思うんですね。だから、違う角度から見れば、法案の性格というものもある程度変わったと見ていいと私は思うんです。そのことと第四の修正点ですね、これは若干つじつまが合わぬのじゃないかという批判を持っているわけです。これは内面的なことも若干私は聞いておりますから、修正者として、御苦労なさったであろうということは万々推察できますが、現行法では、議員の定数増あるいは任期延長のいずれか二者択一的なものになっているのを、足して二で割ったような新たな案を生み出して、そうして「一年六カ月」とか、あるいは「五分の一」とかいうような数字を出されるということは、あまりにも現実に引きずられたといいますか、立法府が立法する場合の基本的態度としては、あまりにも安直に流れ過ぎているのじゃないかと、私は学者が批判したら批判されるかもしれないと思うんですね。お互い政治家で、こういうことを政治的に考えてやられるんでしょうが、そういう点から見ると、僕は、ここにはややわがままな点が出ておると、虫のよ過ぎる面が出ているという批判がされるおそれがあるのではないか。御苦労されたことは万々お察しできるんですが、そういうことは修正段階にお考えになられなかったか。もうちょっと批判されるおそれのないような、立法府としてすっきりした形の修正はできなかったものか、そういう努力はされたのかされないのか、これは微妙なところです宏ら、その程度の経緯を伺って、後刻本委員会で修正された送付案について審議したい、かように考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/22
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023・渡海元三郎
○衆議院議員(渡海元三郎君) お説、御趣旨のとおりでございます。政府提案の三市以上ということは、むしろ臨時立法とは言いながら、特定法のような形で政府も予想しておられたと思います。これを二市以上に修正し、または産炭地の市町村をつけ加えたいということで、むしろ一般法化したという点はお説のとおりでございます。私たちも、先ほど矢嶋委員のお尋ねにお答えさしていただきましたとおり、今日この段階において、そういった一般法化することにつきましては、非常に危惧の念を感じたのでございますが、しかしながら、現実の姿は、また根本的に法を作る点につきましては、これ以外にもあります。その他の法令等にある町村合併等の特例等につきましても、あわせ考えまして、根本的に検討すべきであるということは十分感じたのでございますが、しかしながら、会期もわずかでございますので、先ほども答弁しましたとおり、やむなく現実の面を解決する方策としてこのような修正案にさしていただいた次第であります。そのように、この政府提案を一般法化した修正と、いわゆる修正の第四点として、議員定数その他のことにつきましての規定は、むしろ提案の趣旨の説明にもはっきりと予定されております、「北九州五市」というふうに載せていただいたとおり、これこそ特定されたものを対象としてここに入れるということにつきましては、私どもも従来深く考え、ただいま矢鳩委員が述べられたような御趣旨の点についても議論を重ねて参ったのでありますが、いずれにいたしましても、北九州の五市合併ということは、過去数十年来論議された問題である、これが今日出発を見ようとしておるところにありまして、できるだけこの事業を私たちも一日も早く完成するように援助したい、こういう気持と、もう一つは、しかしながら、発足にあたって北九州五市の間でできるだけの調整をとって、すべての人から承認されるような姿、少なくとも新市発足において禍根を残さないような姿にしていただきたいということから、ただいま御指摘のあったような御批判は当然であろうと思いますが、さような現実に即した修正をさしていただいた次第でございます。この修正案のとおりの規定にさしていただきましたのですが、しかしながら、実際の新市発足にあたりましては、一日も早く本来の市となった新市の一体性を確保することが必要である。そのような方針に強力に政府も指導すべきである。また、そうしていただきたいということは、附帯決議におきまして、これはこの修正と合わせて、特にその一体性の確保のために政府の強力な行政指導を要望して、ただいま御指摘のような御批判もございますが、このような修正をさしていただいたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/23
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024・矢嶋三義
○矢嶋三義君 今の答弁に関してもう一問さしていただきますが、修正者の答弁のあとで自治大臣の答弁をお願いいたしたいと思います。
それは、まあ修正者の立場に立った場合に、この法律案がマークしている北九州を対象に考えた場合に、いろいろな点を総合勘案して一年半と、それから五分の一というような数字を用いてこういう修正をしたということは、北九州をマークした場合には、それでいいという立場をとられるのも私よくわかりますよ。しかしながら依然としてこの法律に二年という二という数字が残っている。二年という二という数字はどうして出てきたかというと、まあ北九州の膨大であり複雑であった五市の合併という大前提があるがゆえに、二年という二という数字が出てきたと思う。そうでなければ二なんという数字は出るはずはないと思う。僕は出すべきものでもないと思う。ところが、対象をぽこっと広げて、そうして一・五と、五分の一という数字が出たのは、北九州に対した場合は理解できますよ。しかし、依然として一方に二年という数字が残っているということは、これは僕は北九州はそれをとるかとらぬかは別として、法律として、実は原案立案者としては若干疑問を持っておられるのじゃないかと思う。持たなければ僕は不思議だと思うのですが、この点は修正者並びに政府原案を立案した自治大臣はどういう見解を持っておられるのか、承って、一応質問を中止します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/24
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025・渡海元三郎
○衆議院議員(渡海元三郎君) ただいまの点につきましても私たち修正をいたしまする際十分考慮したのでございまするが、もう本法の二年というものを、そのものを変更すべきであるかどうかという点にまで考慮をしたのでございますが、新産業都市の関係におきましても、これと似たような……、それらの問題はすべて将来の恒久法の際に御勘案賜わりたいというところから、強力なる附帯決議に残しまして、ただいまの矢嶋委員の指摘されましたような点につきましても、十分問題点として論及をしたのでございますが、ただいま修正しましたように、二者択一の姿をとって修正させていただくようにきめた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/25
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026・安井謙
○国務大臣(安井謙君) この法案は、御承知のとおり、北九州五市というものの合併が直接の動機になって、立案の動機になったことは御承知のとおりだと思います。しかし、その後適用する範囲というようなものにつきましても、もっと広く考えるべきであるというような、また、衆議院におかれましても、より高度な観点から種々の御修正をいただきましたので、その修正の精神に沿って私どもは十分、もしこれがきまれば運営をいたしていきたいと思っております。今御指摘のような点は、修正案提出者のお話のとおりであろうと思っております。
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027・小林武治
○委員長(小林武治君) それでは、本案審議の中途でございますが、委員各位の了承を得まして、この際都合により、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本法案の質疑は、前回の委員会において終局いたしておりますので、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/27
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028・秋山長造
○秋山長造君 私は、社会党を代表いたしまして、この改正案に賛成するものであります。
この改正案は、選挙管理委員会の組織、地方公共団体が出資、債務保証、損失保償等をしている法人、いわゆる公社、公団等に対する地方公共団体の関与の方法、それから地方公共団体の職員の退職手当の通算、指定都市の指定に伴う経過措置等について規定を整備する必要から行なわれるものでありまして、いずれも妥当な改正と認め賛成をするものであります。
ただしかし、これらの点についても、いまだ不十分のそしりを免れない点が幾つかあるのでありまして、まず第一に、選挙管理委員の兼職禁止の点についてでありますが、今回の改正で、地方公共団体の議会の議員及び長との兼職は禁止されることになるわけでありますが、選挙管理委員の性格からいたしますと、それだけでなしに、さらに副知事、助役その他の地方公共団体の常勤の職員と選挙管理委員の兼職もやはり同じように禁止することが妥当ではないか。というのは、この委員会でも従来しばしば論議をされてきたことでありますし、またさらに、公社、公団等につきましても、今日のように地域経済開発が進んで参りますにつれまして、いわゆる公社、公団等の性格なり、そのあり方が不明確のままで次々に乱立をされる傾向があるわけであります。したがいまして、今回の改正のように、地方公共団体のこれらの公社、公団に対するその監督面の改正だけでなしに、さらにその公社、公団等の事業の範囲、方法等実施面の規制、それから公社、公団と当該地方公共団体とのいろいろな行政上の関係、それから公社、公団等に対する地方公共団体の責任範囲等々の、公社、公団の地方制度上に占める位置づけをもっと明確にする必要があると思うのであります。
さらに指定都市の問題につきましても、この改正は当面今問題になっております北九州五市合併を予想をしての改正と思いますが、今後地域経済開発が進んで参りますと、同じような問題が次々に起こることも予想されるわけであります。現在の現行法におきましては、指定都市の指定の要件として、五十万以上という人口要件のみであって、その他の要件、基準等については、はなはだ不明確であり、不整備な現状でありますので、この点も早急に明確な基準、要件を設けておく必要があると思いますので、この際、各派の共同提案によりまして附帯決議をつけたいと思うのであります。
附帯決議を朗読いたします。
地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
一、いわゆる公社等に対する指導方針をすみやかに確立すること。
一、副知事、助役その他常勤の職員は、選挙管理委員を兼ねることができないよう法定すること。
一、指定都市については、適正厳密な基準を設けること。
右決議する。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/28
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029・小林武治
○委員長(小林武治君) 他に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/29
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030・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないものと認めます。
これより採決に入ります。
地方自治法の一部を改正する法律案を問題に供します。
本案を衆議院送付案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/30
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031・小林武治
○委員長(小林武治君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、ただいま秋山君の討論中にありました各派共同提出にかかる附帯決議案を議題といたします。
本附帯決議案を当委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/31
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032・小林武治
○委員長(小林武治君) 全会一致でございます。よって本附帯決議案は全会一致をもって当委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、所管大臣から発言を求められましたので、これを許します。安井自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/32
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033・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議が今当委員会で御決定になりましたが、この三つの条項につきましては、非常にごもっともと存じまして、政府もこの決議の趣旨を体しまして善処いたしたいと存じております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/33
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034・小林武治
○委員長(小林武治君) 引き続き、災害対策基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本法案も前回の委員会において質疑を終わっておりますので、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明かにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/34
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035・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認めます。
これより採決に入ります。
災害対策基本法等の一部を改正する法律案を問題に供します。
本案を衆議院送付案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/35
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036・小林武治
○委員長(小林武治君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、ただいま決定いたしました両案について、諸般の手続等は、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/36
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037・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/37
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038・小林武治
○委員長(小林武治君) 引き続き、市の合併の特例に関する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/38
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039・加瀬完
○加瀬完君 私は、この法律案の提案の御説明があったとき、当委員会に所属しておりませんでしたので、あるいは十二分に御説明があったかもしれませんが、もしそうでありましたらお許しをいただきまして、こういう特例法を出さなければ、現行法では行政指導のワク内で合併促進はできないという何か特別な理由があるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/39
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040・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 合併を促進いたしますす場合に、中小の町村合併あるいは大きな市に周辺の町村を吸収するような普通に行なわれております合併の場合におきましては、地方自治法の一般の原則によりまして、関係団体の話し合いによりまして合併が進んでおる状況でございます。町村合併促進法が施行されました後におきましても、そうした形で必要度の高いところにおきましては合併が推進されておる状況でございます。ただ、この法案の対象といたしております市同士の合併につきましては、町村合併促進法も適用されておりませんでしたのでございますが、その後の状況を見ましても、市同士の合併ということになりますというと、客観的には合併の必要性が関係者の間で痛感されておりましても、ここに規定をいたしておりますような特例の措置を講じてやりませんと、なかなか円滑に進みにくいという状況があると私どもは判断をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/40
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041・加瀬完
○加瀬完君 私は、合併の必要性とか、あるいは合併することに対して反対だという意見を前提にして質問をしているわけではないのです。どんなに促進法を作っても、行政指導のワクが結局その促進法のとおりに動いて参らなければ、町村合併の例でも見られるとおり、促進法の内容としての恩典は、ちょっと絵にかいたもちにすぎなくなってくる。そうではなくて、議員の任期とかなんとかということは別の問題として、ここにも修正されて出ておりますが、財政上その他の措置というものは、行政指導のワク内でできるんじゃないか。たとえば北九州流布のような場合は、特別な行政指導のワクで財政措置ができるんじゃないか、そういうものをやらないで、やらないでといって言葉が過ぎれば、やることを前提としないで、いろいろ合併促進法を作ったり、特例を作ったりしていくと、先ほど矢嶋委員の指摘したように、三市が二市になったりあるいは……、それはあとで詳しく質問しますが、基幹都市とか産業都市とかそういう法律ができたときは、それとどうバランスをとるかといったような新しい問題が起こってくるんじゃないかと思う。ちょっと便宜主義だという話が出ましたけれども、便宜主義的な、一地域の取り扱いについて、特にこういう法律を作らなければならないという理由というものは、私はまだのみ込みにくい。行政指導で十二分にできるんじゃないかと思いますけれども、この点は、この法律を作ったほうがこういう点が有利だという点を具体的にあげて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/41
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042・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 御指摘のように、行政指導でもいける面はなお私どももあろうかと思っております。ただ、御指摘のございましたような議員の任期、定数の問題、あるいは選挙区に関する特例の問題、あるいは同じ財政措置にいたしましても、地方債の制限につきまして、地方財政法の特例を設けるというようなことでございますとか、地方税の非課税の問題でございますとか、交付税の算定等の問題でございますとか、やはりこれは行政指導だけではいかない面もあるわけでございます。しかし、行政指導の努力はもっとなされていいのではないかという点につきましては、私どもも十分反省いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/42
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043・加瀬完
○加瀬完君 これは大臣に伺いますが、町村合併のときもそうでしたけれども、議員の任期を延長したり、特別な工作をしなければ合併が進まないというところを無理に合併させる必要があるか、こういう議論が町村合併促進法案の審議のときにもだいぶ出て参りました。今度も、議員の任期とか定数とかいったようなことがひっかかって、こういう特例法を作ったということであれば、私は、意見になりますが、賛成しかねるのです。さらに交付税の算定でも、行政のワク内で私は十二分にできると思う。そのほか他の省との関係等で、こういう特例法を作ったほうがいいという根拠がありますか。それからもう一つ、矢嶋委員の指摘したように、特例法を作るならば、北九州五市というものを対象にしないで、北九州五市にならって同様のケースで促進合併が行なわれそうな地域をも想定してやっぱり法案というものは作られなければならないじゃないか。こういう配慮というものはあったのかどうなのか。配慮があったとすれば、この衆議院で修正されたこと自体が、ちょっと自治省としては手抜かりなように感じられますが、この点はどうですか。大臣に答えていただけるところは大臣に答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/43
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044・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 技術的な問題につきまして政府委員からも御答弁するかと思いますが、私ども、この合併は、面接には、一つは、先ほど申し上げましたように、北九州五市合併というものが動機になったことは事実でございます。しかし同町に、これはそれだけに限りませんで、できるだけ広く適用されることを期待をいたしておったわけであります。したがって、そういう制度に沿って、衆議院がさらに高度の御修正を加えられるということになりまして、もしこれが当院でも決定ということになりますれば、私ども、それの遡行が決して根本的に違っておるものじゃなかろうと思いますので、この御趣旨に沿うようにしたいと思っておるわけであります。
それからなお、御指摘の議員の定数とか任期といったような一部の者の便宜だけのためにこれをやろうというつもりは毛頭ないわけでございます。今までの法律の範囲内でもでき得るものも相当あろうと思いますが、より自主的に合併を促進しようとする意向の強い今の市に対して、でき得る限りの便宜を全体として総合的に与えていくことがより好ましいのじゃないかという見地から、この法律案を出しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/44
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045・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 先ほど御指摘のございました衆議院の修正点でございますが、この議員の任期及び議員定数の増加の点につきましては、これは北九州五市だけに限るべきであって、そのほかの市の合併については拡張すべきではないという衆議院のお考えでございまして、この法律施行後一年以内に行なわれる合併で、しかも、合併の結果、人口が五十万以上になるものということで、書き方は抽象的な一般的な書き力をいたしておりますが、実際には北九州五市だけに当てはまるような条文上の工夫をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/45
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046・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ちょっと関連。行政局長、あんたそんな答弁していいの。僕は、こういうように改正されたならばね、一年以内にこの法律に適用される新都市ができるのを現実に知っていますよ。その議員の任期並びに定数についての「一年六カ月」と「五分の一」云々という数字によって規制されるのは北九州五市に限定されていると、そういう意味で衆議院で修正されたんだ——それは、修正者かどういう気持であろうがね、条文上には出ていないわけですからね。それを政府委員が勝手にそういうふうな確定解釈的なものをして答弁したら、僕は不謹慎だと思うのだね。はっきりと、一年以内に、新たに二市で合併して、五十万をこえてこの法が適用されて、そうしてもしその合併協議会で採用すれば、「一年六カ月」という数字と「五分の一」という数字を堂々と法に基づいて採用できるケースが必ず出ますよ。だから、今の答弁はちょっと私は出過ぎた答弁だと思うので訂正しておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/46
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047・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) ただいま御指摘をいただきましたように、私の申し上げました言葉が不謹慎の点があったことはおわびを申し上げますが、この法律が衆議院の御修正で施行されて、御修正の字句が一年以内で、しかも、合併の結果、五十万以上、しかも、この法律は市の対等合併だけを対象にいたしておりまするので、もちろん理論上は幾つか出てくるわけでございますが、実際問題としては北九州五市ぐらいしか予想されないのではなかろうかと、かようなまあ推測はいたしておりますけれども、もちろんこれは条文上当然そう解釈するというわけではございませんので、その点は補足をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/47
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048・加瀬完
○加瀬完君 結局、北九州の問題が出ると、北九州五市にまあ合うような特例法とか、また、どこかで、同じケース——同じケースというのは、この北九州五市の合併とは違うけれども、合併という必要のケースが出てくると、必要があればそれの特例が出てくる……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/48
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049・小林武治
○委員長(小林武治君) ちょっと速記やめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/49
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050・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/50
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051・加瀬完
○加瀬完君 そうすると、それに適用する特例法を作ると、こうなってくると、今は北九州一つですがね。幾つもそういう違ったケースができてくると、一体自治体の、何というかな、その規模としての、あるいは自治体としての中心をなす、現在ならば県なり市町村なりありますけれども、どういう姿に変わっていくのだと、どういう姿を一体その中心の行政形態とするのだということにちょっと解釈のつかない問題が出てくるのじゃないかと心配されるわけです。で、市町村の市なら市というものはどれくらいの規模を持ったものを中心にして育成していくのか。あるいは町村はどういう規模と、あるいは規格というものをはめていくのかということがばらばらになってしまう。こういうことを許すなら、むしろ基幹都市なら基幹都市のはっきりとした性格を持った内容というものを法律案として出していかなけりゃ、そのときそのときに都合のいい地方自治体というものを生まれさせてしまって、指定都市みたいな、あるいは指定都市にもいかないような、といって一般の中都市とは違う、何だかわけのわからないものが出てくるおそれがある。そうすると、その都市の自主運営というものと都道府県——それを監督する、それの相関関係にある都道府県の自に運営というものとの関係はどうなるのか。非常に混乱すると思うのですよ。これは自治省としても、町村合併で成功もあるけれども失敗もある。失敗といって悪ければ反省があるわけですから、その反省の一つに、結局町村合併としても、財政的にも行政的にもあまり変化のない市町村が生まれてしまうという点については、これは反省してもらわなければ困る。あるいは十二分に運営できるような財政措置が十二分に講じられておらないという点も、これは考えてもらわなければ困る。それに一地域の合併というものだけをねらってこういう法律案を作ると、くどいようですけれども、ケースの違ったたくさんの特例法を必要とするということになりましたら、雑然たる自治体が生まれてしまうのじゃないか。雑然と言って悪ければ、その人口からいっても、あるいは事務内容からいってもまちまちなことをしなければならない自治体というものが、断層ができてくる、自治体に。そういうおそれはないのかどうか。それに対するチェックというのはどこでするのか、こういう心配がありますけれども、これは念を押しますけれども、北九州五市に、合併に反対とか賛成とかということじゃないのです。そうではなくて、法律案そのものがこういう形で便宜的に出てくるということは、どうも自治体そのものに混乱を生ずると思うのですが、この点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/51
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052・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 御指摘のように、合併につきまして便宜的な立法にすぎはせぬかというようなことにつきましては、私どももそうなってはいかぬという反省はいたしておるわけでございます。合併についての基本的な態度といたしましては、一般の町村合併につきましては、すでに町村合併促進法で、一通り完了しているのだ、さらにそれについて第二次合併というようなことはやらないのだ、こういう方針を自治省としても立てておるわけでございます。ただ町村合併促進法で対象といたしておりませんでしたもの、市同士の合併というようなものはその一つでございますが、そういうものについて合併の必要があるものに対する措置、それからその後に新しい産業、経済、社会、文化等の発展に伴いまして新たに合併の必要の生じて参りましたもの、たとえば新産業都市建設促進法で考えておりますような合併、こういうようなものにつきましては、新しい別個の問題としてそれぞれそれに必要な合併の措置を講じて参ろう、このような考え方できておるわけでございます。しかしながら、この法案で考えております都市の合併につきましても、ただ合併をするということで、一体どういう性格の、どういう規模の都市ができるのか、雑然と合併さえすればいいということでは困るのではないか、こういう御趣旨の御指摘でございますが、その点も、私どももごもっともだと考えておるわけでございます。ただ、この市の合併特例の法案を立案いたしましたときの私どもの考え方といたしましては、もちろんこれは北九州五市を念頭には置いておりましたが、それに準ずるある程度の規模の市の合併にも適用になるようにということで立案をいたしたわけでございます。そこで一つ考えておりましたのは、その新産業都市との関係でございますが、おそらく幾つかの市の市同士の合併というものが今後予想されますのは、一つは、既成四大工業地帯の都市群がたくさんあります地域、いま一つは、新産業都市建設促進法によりまして今後新たに都市が建設されて参りますことが予想される地域、この二つではないであろうか。新産業都市のほうは、その都市の性格なり規模等につきまして、法案の中にある程度考え方が現われておるわけでございますので、新産業都市の指定を受けます区域における合併につきましては、むしろ新産業都市建設促進法を優先適用させるべきである、かように考えておるわけでございまして、この法案の中にも、第七条でその趣旨の規定を設けたわけでございます。ところで、新産業都市の指定になりません区域において市同士の合併の生ずる場合と申しますと、先ほど申しましたように、既成四大工業地帯における都市であろうと思うのでございまして、これらの都市につきましては、すでにそれぞれ相当発達した都市地域になっておるわけでございますが、ただ現存行政上は別個の都市がそれぞれ独立をして併存をしておる。そのために、今後の都市の再開発と申しますか、そういう点で非常に支障があるというような事情のところであろうかと思いますので、そこで、法案の上にはっきりそういう性格が表現されておりませんでも、おのずから実際の適用においてそういうことになっていくのではなかろうかと、かように予想をいたしまして、そういうことを念頭に置きながら立案をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/52
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053・加瀬完
○加瀬完君 町村合併の第二次合併はやらないと、こうおっしゃる。しかし、産炭地域の、衆議院の修正の第三点で指摘した内容は、これは第二次の合併ですよ。ここでこういう合併を幾らやらしたって、町村の財政が立ち直ることになりますか。貧弱団体を幾つ集めたって貧弱団体ですよ。マイナスとマイナスとかけ合わせてプラスというようなわけにはいかない。この前の町村合併で一番の問題点は、貧弱団体をたくさん集めて、赤字団体を集めて、赤字団体の集まったものが立っていけるような財源というものを何も与えておらない、経済基盤というものを与えておらないというところに問題があると思う。それは交付税の算定とか、行政費の節約とか、いろいろの問題は、プラス、マイナス、財政的にはあげてはありますよ。しかし根本的に、貧弱団体が集まってそうして富裕団体にまでいかなくても、健全団体として財政的に運営でき得る財政的基盤というものは、何も与えておらない。経済的条件というものは与えておらない。それが、町村合併をやっても、さっぱりその住民に合併の効果が及んでこない最大の原因だと思う。問題は、第二次合併は、好むと好まざるとにかかわらず、産炭地域のように起こってきます。だから、合併という方法だけを幾ら繰り返しても、この問題は解決しません。これはあなた方の修正したことではないのに質問するのは酷かもしれませんけれども、問題は、こういう修正第三点のような地域の財政の立ち直り、あるいは財政の援護といいましょうか、こういうものを自治省は考えてやらなくていいのかどうか。産業が衰微して町村が疲弊する。疲弊したものは疲弊した同士で集まって何とかやり繰りつけたらどうかということでは、町村の財政は立ち直りません。こういう問題は、このひずみが産業都市やいろいろの計画が進んでくるとできてくると思う。このひずみをどこで直すかといえば、そういうものを直すために交付税の制度とかなんとかあるわけですから、こういう合併という形式ではなくて、基本的には、現状の形で救う方法は何かお考えになっていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/53
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054・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 合併はしても、合併後の町村の経済的あるいは財政的な基盤を強化するという点についての配慮が足らないじゃないかという御指摘でございますが、私どもとしては、相当努力はいたしているわけでございますが、なお御指摘のように十分でない点は、十分反省をして参りたいと思っているわけでございます。産炭地域につきましては、衆議院の御修正で加えられたわけでございますが、これは確かにその地域につきましては、第二次合併ということになるわけでございますが、これはさきの町村合併が終了いたしましたあとにおきましての、新しい産業、経済、社会上の必要に基づいて、事情に基づいて起こった合併であろうかと、かように存じますので、御修正の趣旨は十分考えて指導はして参りたいと考えているわけでございます。
それから町村の合併によらないで財政的な経済的な基盤を強化をしていくという方策を何か考えておるかということでございますが、これにつきましては、自治省といたしましては、地方財政計画を立てます場合におきましても、その後の交付税あるいは起債等におきましても、ここ数年来新市町村の建設ということを一つの焦点項目にいたしまして配慮をいたしておるわけでございます。なお、しかし、合併後のその後の詳細な実態をこの時期においてもう一度よく検討をいたして今後の措置を考えるべきではないか、かように存じまして、実は本年度の国会が終了いたしましたならば、そのような実態の調査もいたす現在準備をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/54
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055・加瀬完
○加瀬完君 これは、行政局長の管轄ではないかもしれませんけれども、産炭地域の市町村は、たとえば失業対策費なんかというのは、これは他の町村とは比較にならないような多額な出費をいたしておりますね。これは国のほうの補助金に、一定の補助金と同じような率で地方が負担をいたしますけれども、その負担だけではとても足りませんで、自己財源の持ち出し分というのが非常に多いわけですね。しかし、これに対して特別交付金なり、あるいは普通交付税の積算でその分をまかなっているというはっきりとした援助の方法というのは、実際は立っておらないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/55
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056・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) まあ私の所管ではございませんので正確なお答えは申し上げかねますが、ただいまお話のありました失業対策費につきましては、特別交付税で、該当町村につきましては、従来ともある程度の配慮はいたしておったようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/56
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057・加瀬完
○加瀬完君 全くあなたのおっしゃるように、ある程度なんです。ある程度か、はるかに持ち出し財源よりも低い。そこで、年々結局持ち出し財源が多いので、赤字の積み重ねをしていかなきゃならないというのが現状なんですね。ですから、現在の市町村にもっと財源措置を講じてやることを考えませんで、こういう便法を幾ら講じても問題の解決にならないと思うんです。しかし、これは特例法の中心の問題ではありませんから、これは財政当局にもひとつ行政当局のほうから十二分に御進言をいただきたいと思うわけです。
質問を前に返しますが、修正の第六条で「財政上その他の措置」とありますね。これは、具体的にどういうことをおやりになろうと考えていらっしゃるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/57
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058・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 財政上の措置といたしましては、自治省でできます問題といたしましては、起債の配分にあたりまして優先的な配分を考えていくということは、省内においても相談をいたしておるわけでございます。そのほか、それぞれの各省の所管の事業費に対する補助金等の問題でございますが、これは、この法律が成立いたしましたならば、早急に関係省との間の打ち合わせ会をいたしまして、その際、私どものほうからできるだけ関係省に協力を要請を、するようにいたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/58
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059・加瀬完
○加瀬完君 北九州五市で希望をしている財政措置というのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/59
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060・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 一つは、固定資産税の大規模の償却資産の移譲の問題でございますが、これは先ほど御審議いただきました地方自治法の一部を改正する法律で所要の法律措置を講じたのでございます。で、その次は、新市の建設関係のいろいろな事業に対する財政措置でございます。これにつきましては、先ほど申しましたように、自治省でできますことは自治省で配慮するし、ほかの省にも協力をいただかなければならぬことにつきましては協力を要請をする、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/60
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061・加瀬完
○加瀬完君 それは何も「財政上その他の措置を講ずる」という一条を入れなくても行政措置で当然できることなんですね。固定資産税の問題は法律が改正されてそれは解決済みですね。それから事業に対するいろいろの補助、援助というものは、これは「財政上その他の措置を講ずる」ということを書かなくたって当然行ない得ることですね。行政指導としてやろうとすれば、普通財政上その他の措置といったって残るものは起債の優先ということでしょう。起債の優先といったって、一応大ワクがきまって、こまかい細目がきまって、そのワクの中でもし両北九州五市がやりたいという希望があれば北九州に先に流れていくというだけで、全体のワクのきめ方というのは先にきめてしまうんですから、そう無制限に地方が希望したって地方に起債が流れていくことにはならないわけですね。それではお粗末じゃないか。必要な措置というのは、当然一番必要なことは財政措置ですよ。財政措置が起債の優先だけであとは何もないというのはお粗末じゃないか。これはおそらく交付税の交付団体じゃないと思うので、不交付団体と思うんです、九州五市は。それならば特別交付金とか何かの方法で、起債ではない別の財政措置というものを考えてやるということでなければ、これはっけたってつけなくたって同じことですよ。また特例法を作ったって、実際新市の建設ができてくるような財源措置というのは、結局あなたまかせということでしょう。名君がいろいろ計画したそれをまあいろいろ話をつけて先に持ってくるというだけでしょう。そんなものは特例法を作らなくったってやろうとすればできる。どうもそういう点が特例法は作りましても、特例法の内容に地域が希望しているようなことがほんとうにあるかということになると、私どもはどうも疑問を持つ。もっとこの点はっきり御説明をして下さいな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/61
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062・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 御指摘のように、少し条文の表現の上から感じられますものが弱いということは、私どももそうであろうかと思っておりますが、この法案を立案いたしました立法の態度と申しますか、それが、市の合併についての法律上のいろいろの障害を排除していこうということに重点を置きましたので、新産業都市に見られるような積極的な市の財政援助といったような趣旨の規定が実は少なくなってしまったことは事実でございます。第六条を御修正いただいたわけでございますが、それで趣旨をさらにはっきりとさしていただいたわけでございますが、これだけの規定によりましても、先ほど御指摘のように、やろうと思えば自治省なり各省がそれぞれ行政措置でできることじゃないかと言われればそのとおりでございますがこの規定が、その法律の設けられましたことによりまして、各省におきましても、また自治省におきましても、御指摘のような優先的な配慮というものがやりやすくなるという実際上の効果はあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/62
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063・加瀬完
○加瀬完君 設けたとおりやっておれば、私はこんな質問をしない。町村合併でも、たとえば国有林野の払い下げをするというようなことを何回もここで約束を関係当局はしているわけです。ところが、国有林野がどれだけ払い下げられたかというと、払い下げを申請しても、手続がめんどうで払い下げを申請したほうでやめたいというほど事情が困難です。確かに法律がありますから、希望に胸をおどらせて関係町村はいたします、申請を。しかし、その実り方ははなはだ少ない。だから、そういう他者まかせではなくて、自治省自体でこういう財源を与えてやるんだ、財政措置を講じてやるんだというものをもう少しはっきり打ち出してくれなくては安心ができないと思うのですよ。で、まあ修正案の提案者がおりませんが、修正案の提案者は、財政上措置というものはどういうことをしてくれと言っておるのですか。それからまた、念を押しますが、あなた方として今までの合併以上に何か特別の財政措置というものは全然考えられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/63
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064・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 衆議院におきまして修正の際には、特に具体的にどういう方法ということは伺っておりませんでしたわけでございまして、ただ、まあ財政上の措置が一番大事なのに、それがぼんやりしておるから明確にするのだ、こういう御趣旨のように伺っておりまして、あと私どもといたしましては、先ほど申し上げましたような内容でこれの実行に当たりたいと、かように考えておるわけでございます。なお、具体的には都市建設計画が、この法律が成立いたしますというと、立てられるわけでございます。この建設計画は、それぞれの都市によりましていろいろ内容が違ってくるだろうと思うのでございます。しかも、この法律の適用の対象が広げられました関係で、同じ市の合併と申しましても、どの程度の財政上の援助を国といたしましてなしたらよいかということにつきましても、これも必ずしも一律に参らないのじゃなかろうか。ただ北九州五市におきましては、都市の建設計画ができましたならば、私どもといたしましては、できるだけの御協力はいたしたいと、まあかような心がまえでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/64
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065・加瀬完
○加瀬完君 各市に協議が整って建設計画というのができ上がって、その建設計画によれば、これは単独市でいるよりも合併したほうがはるかに住民のためにもなると、こういう御認定のもとに特例法が提出されたわけじゃないですか。でないとすればおかしいと思う。町村合併に一応準ずるものとすれば、関係市町村でそれぞれ委員が出て十二分に将来の建設計画、都市計画というものが相談されて一つの案がまとまって、それが審議会に来て、これは適切であるという認定のもとに町村合併というものが進められるというケースをとったのですね。これはやっぱり方法はこれに準じなければうそだと思う。希望があるからといって特例法で大きな市を作って、さあお前たちで建設計画を進めろ、その計画を見てもし自治省で関係各省に渡りをつけるところがあれば渡りをつける、自治省で財源を与えるものがあれば与えてやるということでは、それじゃ希望に胸をおどらせた住民たちは、自治省が建設計画にOKを出さなければそれきりということになってしまう。建設計画を見て合併したほうが住民のためになる、あるいは自治の進展にもなる、こういう御認定でこの特例法によってそれじゃお前たちのほうの合併を進めようということにならなければうそでしょう。それなら建設計画はすでに対案はなくてもアウト・ラインはある。そうすれば何をしたいか、財政措置として何を求めているかということも出ているはずです。それに明確に、これとこれはこうしてかなえてくれというものが腹案としてなければ、特例法だけ出したって、それはただばらばらなものを集めたにすぎませんよ。内容的に合併は、建設計画は進みませんよ。われわれ、町村合併でさんざんそういうやりっぱなしの町村合併というものを見て、合併してプラスにならないような合併なら意味がないわけです。特例法はわれわれが審議したって、特例法を通してそれがなるほどプラスになったという効きをしなければ、これは特例法に賛成するというわけにいかたくなる。この辺もう少し明確にお答え下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/65
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066・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 多少言葉が足らなかったかと思いますが、合併促進協議会ができまして、そこで都市建設計画を作成されるわけでございます。その都市建設計画につきましては、関係団体、関係市町村が中心になって作成をするわけでございますが、そこに関係都道府県あるいは常識経験者も加わることにいたしておるわけでございまして、なお、その計画の作成につきましては、関係都道府県知事の意見も聞かなければならぬ、このようなことにいたしまして、建設計画が実際に即した合理的な都市の発展に資するような計画になるように考えておるわけでございます。なお、その都市の建設計画は、御指摘のように、もちろんそれによってその関係市町村住民の福祉の増進に寄与するような内容のものでなければならないことは言うまでもないわけでございますが、自治省といたしましては、地方自治法の規定によりまして、市の建設の場合には、事前に協議を受けることになっておりますので、その協議を受けました際、なお建設計画につきましても必要な助言をいたし、そうして、もちろんその上で合併が適当だということになって協議に応じたものにつきましては、建設計画の事業の実施について、もちろんできるだけの協力はして参るつもりでおります。自治省としてできますことは、起債あるいは交付税でございますが、その他の問題については、やはり関係省に協力を要請すると、こういう形になろうかと思います。具体的な事業々々につきましては、実は先ほど申しましたように、それぞれの都市の性格等によりまして、これは必ずしも一律ではないのじゃなかろうか、それぞれに応じた協力の措置を講じて参りたいと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/66
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067・加瀬完
○加瀬完君 これは少し話が飛びますが、一般の小都市と合併したまあ中都市というか大都市というか、こういう都市ではそれぞれの行政内容が違ってきますね。したがって、厳格に厳密にいえば、私は単位費用も厳密な単位費用というのは違ってくると思うのです。これはまあ財政当局の問題ですけれども、こういう脈は何か話に出ておりますか。単位費用を階段的に考えるという考え方はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/67
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068・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) まあ単位費用につきましては、部内で寄り寄り話し合っておりましたのは、政令指定市に指定をされました場合には、これははっきり違った検討をしていかなければならぬのじゃないかというふうに話が出ておったわけでございます。
それからなお新産業都市の建設法の中にも合併の規定があるわけでございますが、その新産業都市の建設が進んで参りました場合に、新産業都市建設促進法によって合併をいたしました都市に対するいろいろな財政上の措置、これも検討すべき問題があるように存じておるわけでございますが、これにつきましては、現在地方制度調査会の中で地方開発都市小委員会という小委員会を設けまして、そこで開発都市に関連をした財政金融措置もあわせて検討をしていただいておるわけでございます。この法律によってできました都市は新産業都市ではございませんものでありまして、まあ内容につきましては、相当同様に考えてしかるべきものもあろうかと思いますので、それらの財政措置のいろいろ新しい考え方なり、建設的な方策なりというものは、その地方制度調査会の御審議の結果を待って検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/68
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069・矢嶋三義
○矢嶋三義君 午後、この法律案について質疑いたしますが、資料に関係することでありますから一問伺いたい。資料に関して一言申し述べて、午前中の質疑を一応終わりたいと思います。午後はぜひ委員長におかれて、自治大臣の御出席を要請しておいていただくということを委員長にお願い申し上げておきます。
私は、衆議院で修正されて今審議の対象となっているこの原案は、やや一般法化されて、その角度から見る限り、やや私はずさんなものになったと、こういう批判をいたします。そもそも政府から提出された原案は、先ほど来の答弁にも出てきているように、北九州五市を一応対象として立法化されたものでありますがゆえに、私は後刻の質問はそこにピントを合わせて伺って参りたいと思います。
それで、一同というのは、私、かつて北九州に住んでおったこともあります。それから九州人ですからおりおり旅行もします。したがって、出校的に北九州五市については知っているつもりでありますが、その私の乏しい経験なり、知識からながめた場合に、あの地域というものは、地域的に見ましても、あるいは経済的あるいは文化的、社会的に見ましても、さらには歴史的に見ても、合併の必然性を僕は打っていると思います。最近の地方行政の複雑になった点等から考えても、五市の都市機能の実態というものは、非常に複雑になり、しかも、相似性を持ってきた。しかも、世界的に見ても、国内的に見ても、あの地域は、新興都市、新開発というよりは、世界の情勢、国内の情勢にマッチできるように積極的に、意欲的に再開発をやらねばならぬ段階に来ていると思うのですね。これは西日本、九州産業経済に大きな影響をもたらすのみならず、日本的な観点から見ても重要な問題だと思うのです。そこで、私はこの皆さま方の指向している方向はけっこうだと思いますが、問題は、そのことによって、私は先ほど申し上げたような前提が目的を達し得るかどうかということと、その地域に住んでいる方々、市民の福祉が推し進められるかどうか、ぜひとも団体としても、あるいは市民としても、そういう目的が達成され、約束され、確たるその見通しと方向づけのもとにこの法律が審議され、成立しなければならないと思う。私は、この法律案をそのことにピントを合わせてながめ、そのピントを合わせた角度で審議いたしたい、こういう基本的態度を持っているのですが、このことについてのあなたの所見を承りたい。
次に、資料について一言申し述べて午前の質問を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/69
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070・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 私どもも、先生のおっしゃいましたように、北九州五市は、いろいろな観点から見て、当然合併すべき必然性を持っておったところであろうと考えているわけでございまして、合併によりまして、御指摘のございましたようなあの地域の、都市のいわゆる再開発と申しますか、そうしたことが非常に能率的にやりやすくなるのじゃないか、現在道路にいたしましても、水道にいたしましても、本来総合的な一体的な計画を立てて実施すべきものが、なかなか五市間で円滑に話し合いが進んでいないといったような問題がいろいろあるように向っているわけでございまして、合併をいたしますことによって、そうした市民の福祉のためのいろいろな事業が非常にやりやすくなるという点があることは、これはもう間違いないのではなかろうか、このような考え方をいたしているわけでございまして、この北九州五市の合併は、これは非常にけっこうなことであり、政府としてもぜひ促進すべきものだ、かような考え方をいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/70
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071・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あなたは大臣にかわってそういう答弁をされたわけですが、この法律案を提案した現内閣は申すに及ばず、かりにこの法律が公布施行された暁においては、いかなる内閣であろうとも、今の方向づけについては、答弁内容については、義務づけられるわけですから、確とこれは念を押しておきます。
それで資料について一間とは、午後の審議の関係上、午前中の冒頭に参考資料を可能な範囲内で午後の委員会までに提示してほしいと要請したわけですが、おそらくその中に入れてきて下さるとは思いますけれども、もし入れてこられない場合には困るからと気がついたので、若干具体的にひとつ申し上げておきますが、先ほど私は人口ということを申し上げましたが、人口とか面積とか当然入れてくると思いますが、それとの関係もあるわけですが、この五市の公務員の数、それからこの五市の公務員諸君の現在待遇条件はどういうふうになっているか、そういうこともぜひ必要です。それから五市の首長、それから市会議員の歳費その他処遇、これは小さなものは要らない、旅費云々とかそういうものは要らないわけです。大勢をつかめばいいわけです。それがどういう状況にあるのか知りたいと思いますから、時間のかかることではないのですから、あなた方は法案提出する以上は、それくらいの資料は打っているはずですから、提示していただきたいと思います。どうかすると、団体の合併というのが市町村民の合併でなくて、その地域の政治家、適当でないかもしれないが、地方権力家、市長さんとか市町村会議員さんのための合併になる場合があるのです。私は、北九州の場合、その点はそういうことのないように十分注意されていると思うが、よくあるのです。そういう問題を考える場合のピントの合わせ方が間違う場合がある。あくまでもその団体、それを構成しているところの主権者である市民、それにウエートを置いてピントを合わしたものでなければならぬ。そこでそれは原則だと思います。そういう角度から法案審議の過程においても、また、法が成立した後の見通し等を立てる意味においても、そういう資料を一応私は目を通す必要がありますので、要望申し上げるわけです。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/71
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072・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) この御指摘の資料、手先にありますもので可能な限りにおきまして、御提出いたしたいと思いますが、必ず全部整っておりますかどうか、ちょっと私、今正確には記憶いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/72
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073・小林武治
○委員長(小林武治君) 午前はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩もいたします。
午後零時二十一分休憩
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午後一時四十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/73
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074・小林武治
○委員長(小林武治君) 委員会を再会いたします。
休憩前に引き続き、市の合併の特例に関する法律案について質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/74
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075・矢嶋三義
○矢嶋三義君 午前に引き続いて若干伺います。
午前中に資料を要求したのでありますが、ただいま、市の合併の特例法案関係資料その一として行政局振興課作成の資料が提出されました。で、これは一瞥いたしますというと、まあ私が午前中にほしいとお願いしましたもののうち、現在進行中あるいは計画中の北九州五市を土台とする道路、鉄道、港湾あるいは工業用水、住宅、こういう部類に属するもの、それから公務員の数とか給与、それから特別職議員の処遇、それらの点がないようですから、できるだけ早くそろえていただきたいと思います。
ただ、こういう一部の資料でも自治省に準備が事前にできておってすぐ出されたということは、これは大臣、部下をほめていいと思うのですよ。また反面、こういうものがあるのに——何も秘密でも何でもないですよ、私がさっきから要求してきたものは。——一切そろえて、北九州五市はかようでございます、ついてはこのまま即時審言 可決願いたいというような心がまえでないといけないと思いますので、ちょっと駄弁を弄しておきます。
大臣に伺いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/75
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076・小林武治
○委員長(小林武治君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/76
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077・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/77
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078・矢嶋三義
○矢嶋三義君 かつて自治省が基幹都市建設法案という構想をもって検討されたことがありますね。それとこの法案とはどういうように関係づけておられるのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/78
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079・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 基幹都市という構想で考えましたものは、これはいわゆる合併という問題とは直接必ずしも結びつかなくて、地方の中心都市を指定いたしまして、それと関連した市町村を連合的に総合的に工業、産業の開発をやろう、こういう方針でございます。
こちらに出ておりますほうは、地方の実情で、もし市がとりあえず合併をしたい、こういう機運が醸じたものに対して、この行政上の措置を便宜したい、こういうふうな趣旨のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/79
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080・矢嶋三義
○矢嶋三義君 午前中にちょっと触れたことですが、まあこの法律案は、大臣のおられないときに私は申し上げたわけですけれども、地理的に考えても、歴史的に考えても、合併の必然性がある、心開発を国際的、国内的視野から見ても必要性を認める段階に北九州五市が来ているという、こういう諸情勢から北九州五市の合併をスムーズに促進して、その新しい団体の躍進をはかりたいという、それに非常にウエートを置いた法律案で、かりに成立した後においても、そこにピントを合わせた法の運用をしようと、こういう気持でおられると了承してよろしいでしょうか。念のために伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/80
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081・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 午前中にも申し上げましたように、直接の動機の大きなやはり一つには、北九州五市の合併というものがこの法案の提出の動機になっておることは御指摘のとおりであります。しかし、それは事実上の問題でございまして、必ずしもそれに限るものじゃなくて、そういうような意味の合併の必要というものが生じておるところでは、これが適用できるようにいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/81
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082・矢嶋三義
○矢嶋三義君 本法律案を国会に提出するまでに政府部内において、あるいはあなたのところの与党との連絡調整で最も苦心し配慮した点はどういう点でありますか、お答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/82
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083・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 第一点は、この法律の適用の対象となります市の合併の範囲でございます。それが三以上の市か、あるいは御修正になりました二つ以上の市かということも一つの問題点になったのでございます。それから第二点のどの程度特例を認めるかという問題でございますが、特にその中で議員の任期、定数の点について、従来の町村合併促進法に規定されております点と同様に考えるか、あるいはそれと若干違った取り扱いを認めるかという点でございます。第三点は、新店業都市建設促進法との関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/83
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084・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この合併の対象に下関市はどうして入れなかったのでありますか。こういう方向づけをする中央官庁としては、一応助言と指導程度はしてしかるべきであったのではないかと思うのです。あくまでもそれは地元の住民の意思に問わなければならぬのですが、私も若干の地域を知っているのですけれども、下関市を加えないということは、底流にはセクト的のものがあるのじゃないかと思うのですが、これは僕の邪推かもしれぬけれども。しかし、洞海湾を中心にした地域、産業あるいは住民の生業、それら諸情勢から見て特別立法までしてその合併を促進しようという施策を選ばれる場合には、当然下関市を含む合併というものが大所高所から考えられなければならぬと僕は思う。地元にはいろいろの歴史とか感情とかありましょうから、それはなかなかむずかしい面があるかもしれない。しかし、高所から助言し、指導する立場に立つ中央政府自汚名としては、しかるべき指導なり助言なりが一応あって、僕はしかるべきものだと思うのですが、大臣の御見解を承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/84
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085・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 広域行政運営という建前からは、確かに矢嶋委員のお話も私どもよく理解できると思うのでありますが、合併そのものにつきましては、これは地元の五市の強い熱望という形で実現をいたしております。地元の意思をできるだけ尊重をいたしておるというのが事実であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/85
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086・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣の申されるとおりだと思います。もちろん地元の意向はやはり尊重しなければならぬということは、そのとおりです。ただ、自治大臣としては、あるべき姿としては北九州五市と下関市とは一緒に合併するのは自然であり、好ましい方向だという見解を持っているということは確認してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/86
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087・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 私はその点は、必ずしも合併という形式をとらなくちゃならぬかどうかということになると、若干議論の余地があろうと思います。しかし、広域行政というような意味で、関連都市としてのできるだけ総合的な運営なり開発方式を今後もとらなければなるまい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/87
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088・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は社会党所属ですけれども、私ども、必ずしも見解は固まっていませんが、しかし、与党としては、何じゃないですか、府県界というものに必ずしも固執しない、諸種の立地条件等から勘案した広域行政というものを方向としては採択をされているものと僕は了承しているのですが、そうじゃないですか。そういう前提から考えると、自治大臣としては、さっき僕が伺ったような、自治大臣としては、あの見解であられるのが僕は自然じゃないかと思うのですが、その点重ねて伺います。
〔委員長退席、理事増原恵吉君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/88
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089・安井謙
○国務大臣(安井謙君) お話のとおり府県の区域をまたがりまして、そういったものの広域の総合的な行政あるいは産業の総合的開発ということが必要であると思いまして、私ども、その方途につきましても、あるいは法律案の作成等につきましても、目下鋭意検討中でございます。ただ、その考え方は必ずしも合併というきまり切った形をとらなくても、事情麦々に応じてこの総合的の効果を発揮できるようにしてはどうかというふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/89
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090・矢嶋三義
○矢嶋三義君 次に伺う点は、関係市の間ではそれぞれ市議会において決議をされたようですが、最終的には、それぞれの市において、一応将来円滑に事が運ぶ意味からも、市民の一人々々が持っている力が十分発動できる意味においても、住民投票という形をとられるのが民主的であり、将来の発展のためにも私はよろしいのではないかと思うのですが、一部にはそういう市民の要請も組織的にあるやに新聞紙上で拝見しておりますが、自治大臣の御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/90
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091・安井謙
○国務大臣(安井謙君) やはり市民の意向を代表する市議会が議決をしたわけでありますし、法律的な要件としても、それは必要もないことでありますので、私ども、これは絶対的に住民投票がいかぬとまで固執するつもりもありませんが、目下のところ大勢として、これはわざわざそういうことをやる必要はなかろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/91
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092・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私の伺っている点は、法律上の必要条件ではないですね。絶対条件ではない。しかし、先ほど申し上げましたように、十分市民一人々々に認識していただき、さらには次の段階において一人丸々の力が十分発揮されてよりよい結果を生むためには、一部でも組織的にそういう要望があれば、大した手続、費用を要するわけでもないし、長い将来のことを考えた場合には、長い目で見た場合は、そういう一部の要望にこたえて住民投票で市民の意向を探ってみるということは私は望ましいことだと思うのですが、法律上云えというのではなくて、自治大臣、そういう点について、どういう見解を持っておられるのかというのを伺っているわけですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/92
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093・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 一つのお考えかと思います。私ども、それはそういう場合もあっていいという御議論についても十分今後も検討していきたいと思いますが、目下の建前は、そういった市民の代表世論機関である市議会というものがこれの大勢を占めておるのでありますから、これの意思を尊重するという形、それに並行してこの住民投票自体という問題はいろいろ議論はありましようが、法的な規制や何かもすべて特別の場合を指定しているわけでありまして、あまりこの方法を現有の場合に、乱用といっては語弊がありますが、いつでも使っていくということもどうかと思う点もありますので、まあこの際はそういう方法でなくて、市議会の意思を尊重するということになりまして、また、できる限り世論の喚起なり世論調査といったようなものは、これはまたやってみるのもけっこうだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/93
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094・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これは、若干失礼な内容を含むかもしれませんが、ややともすれば、国会において国会議員本位というと語弊があるが、それに傾く場合もなきにしもあらずですよ。地方団体の合併その他の場合においても、常にあるとは申しませんが、場合によると、市長さんとか市会議員さん本位とまでは言わなくても、それに相当ウエートを置いた形でそのことが考えられ進められる場合がなきにしもあらずですよ。もし市民の一部でそんな批判めいた気持でも持ったり、ひっかかりがあるというと、長い将来の目から見ると、僕はただ形式論だけではプラスにならない、マイナスの面をもたらす場合もあると思うのですよ。だから、組織的に一部でもそういう切なる要望がある場合には、別にそうめんどうなことでもないし、これだけの大規模な合併をして新たに生まれ変わろうというときには、僕は、市民の一人々々の意向を伺ってみるということは好ましいことだと思う。むしろ自治大臣としては、そういう要望があれば、やってみたらいかがですかと言うくらいに助言されるのは適当じゃないかとさえ僕は思っているのですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/94
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095・安井謙
○国務大臣(安井謙君) これは、今申し上げましたように、一つの問題として考えていきますならば、確かに今後検討もしてみる問題であろうと思いますが、現在の建前から住民投票というものをやりますについては、一定の法的な条件のもとにやるような特別の規定もあるわけであります。そういう意味から、こういった、ただいまの五市合併というような問題は、市会の意思を尊重するということで十分足りるのじゃないかと考えております。しかし、まあこれが特殊のケースで、いろいろな何か予想し得ざるような事情があって、そういうことをぜひやりたいといったような地元の市会の意思というものがあれば、現在の場合でも、あながちこれをむろん否定するものではございません。今のところは、住民投票というものには、特定のケースについてのみやるような規定にもなっておりますし、まあ、この市会の意思でそういうふうに動いておるという点を尊重すれば、まあ足りるものだと考えておる。ちょっと、住民投票をいきなり政府がこれを実施させようというところまでは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/95
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096・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣が退席するまであと二問だけ、それで一応退席してけっこうですから。その第一問はこの合併新都市が誕生すれば、指定都市とするという、まあ言質を国会に与えられているわけですが、間違いないことだと思うのですが、そうなると、まあ何ですな、率直に言って、今五大都市といわれているわけですが、五大都市に準ずるでなくて、五大都市とすべて対等のものになると、かように位置づけを考えているのですが、念のために伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/96
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097・安井謙
○国務大臣(安井謙君) そのとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/97
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098・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一問は、後ほど事務当局に伺おうと思うのですが、合併した場合は、できるだけ方途も考えますが、早くマスターを、首長を選び、それから新たに生まれた団体の決議機関である、住民の意思を決定する機関である議会の、新しい時点に立っての構成を少しでも早くやるというのが僕は原則でなくちゃならぬと思うのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/98
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099・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 御趣旨のとおり、原則は御趣旨のとおり考えるべきものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/99
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100・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それで続いて一問ですが、つまり町村合併促進法で、御承知のごとく一年以内としている。だから一年以内ならばそれは早いほうがよろしいと思う。そうやってロスはないと思う。新しい角度についての新しい進展があるわけですから、それをいろいろ事情があるにしても、二年もおくれ
ているのは僕は驚いた。二年。そうして今度は、先ほど修正点で伺ったように、これをやや一般法化してきたのですが、三つのケースを選んでいるわけですが、政治は妥協、だから、妥協の産物として一年半というのが出てきている。この点について僕はあまり多くここで言うことは控えますけれども、率直に言って、大臣、一年でいいのじゃないですか、どうでしょう。あなたはどういう見解を持ちますか。こういうことをやるための、やはり指導性を僕は持たなければならぬと思う。それは、まあ戦争か何かあって、一つの昔のような勅令か何かで下から盛り上がらないのを合併させるという条件があれば、これは一年半とか二年とか三年、四年という期限も要るでしょう。しかし、この北九州の五市の合併というのは、きょう、きのうの問題ではない。これは何年も前から論じられ、ずっと盛り上がってきたのがここにきている。だから、あの地域の指導者層については、これは考慮も研究も尽くされているのですよ。あとは、これからまあ具体的にどういう計画を立てて、どういうふうに推進さしていくかということで、そういう状況下に二年しか一年半という期間を一置く必要はない。その間やっぱりロスになるわけですから、能率が上がらぬわけですから、一年あれば僕は十分じゃないかと思うのですね。そうして新しい議会を構成する、百パーセント責任を持つ新しい議会を構成する。そうして新しい首長もできる。そうして一日も早くオーソドックスなスタートを切るということが、新しく生まれる都市の前途を洋々たるものにすると思う。これは一つのキー・ポイントになると僕は思うのですが、市民もそれで非常にフレッシュな気分になる。議員が変わらない、従来のままの閥はこれはフレッシュな気分が出てこないですよ。そういう点で、ここの六カ月とか一年というものは非常に重要だと思うのですよ。だから私は大臣に伺いたい点は、一年が妥当ではないかという点で、かりに衆議院でこういうふうに修正されても、一年六カ月が必須条件じゃないわけだから、ワクなんだから、できるだけ努力をして、その一年なりあるいは一年以内でも、新議会を構成されるようにあなた方も助言をすべきであり、関係者はみずからも努力すべきものだと、かように思うのですが、その二点についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/100
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101・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 原則的には私どもも矢嶋委員と全く同じ考えを持っております。ただ五市という相当大規模な従来の歴史を持った市が、それぞれ合併になるというようないきさつもありまして、若干そこに今のようなゆとりを持った措置も考えておるということになろうと思いますが、それにつきましても、趣旨は、おっしゃるとおりに、できる限り早くやりたい、こういうふうに考えております。また、なるべく早く合併をやって、それが一年半なり二年以内というふうにでも早くできるようにやって、合併自身がずれると、これが三カ月、半年とずれればずれるほど実現がおそくなるということもありますので、なるべく早くやって、そうして今の御趣旨はできるだけ生かすようにして指導もして参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/101
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102・矢嶋三義
○矢嶋三義君 政府委員に伺いますが、これは五市が合併すると行政費はふえるでしょうか、減るでしょうか、どういうふうに思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/102
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103・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 従来、五つの市で分かれてやっておりました従来の事務の処理そのものについて申しますと、五市が合併いたしましたことによりまして、相当いわゆる行政費というものは節減できるのじゃなかろうかと考えております。ただ、指定都市に指定になりますというと、県でやっておりました事務が相当程度市に移譲になりますので、その関係につきましては行政費もふえてくると、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/103
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104・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それははっきりした数字は言えませんよ。それらを含んで僕は大まかな見通しをどう思っておられますかと伺っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/104
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105・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) それらの点につきましては、今のところ、先生にお答え申し上げるほどまだ数字的に検討も進んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/105
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106・矢嶋三義
○矢嶋三義君 行政費が非常にふえるとか、それの所要経費のために税金が上がるというようなことでは、この地域の産業が、主として第二次産業が重点になると思うのですけれども、それが興ったからといって、そんなことでは必ずしも住民は喜ばないと思うのですが、そういう点は研究し配慮していただかなければならぬと思うのですが、そういう行政費と関係してくるのですけれども、この法文の条章を読むと、職員の身分は保障されるわけですね。合併することによって五市の職長の身分が脅かされることはない。これは保障されることに相なるわけですね。念のために御確認願います。
〔理事増原恵吉君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/106
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107・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/107
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108・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その一部なんですが、町村合併促進法を準用していくとなると、一年以内にもし退職する人が出れば、退職手出に特別の優遇をするという規定がありますね。それは準用されるわけですね。そうなりますと、まだ成立はしておりませんが、今衆議院で審議中の地方公務員共済組合法案ですね、あれが成立しますというと、国家公務員共済組合法に準じて退職手当が相当増額される条例が設けられることになっているわけですね。そこで、退職手当が増額になりますね。だから、一年以内に退職手当の優遇する、あれでいいのだということではなく、あれはあれで、あれとは別個にまた一年以内に合併した市の職員に退職する人があれば、それとは別個の退職手当の優遇措置がとられる義務づけができておられると思うのですが、この点いかがですか、確認願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/108
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109・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 地方公務員共済組合法案で書いておりました問題は、退職手当のベースの引き上げの、これの問題になろうかと思います。国家公務員並みのベースに引き上げて、もちろんその支給の条件等もそれに達しておりませんものは、それにならって改善されることになります。したがって、ここで申しておりますのは、そのベースは別といたしまして、一般の退職の場合よりも優遇をする、こういう趣旨でございますので、いわゆる整理退職に準じたような扱いでおそらく扱われることになろうかと思いますので、今度はその率が普通の退職の場合よりはずっとよくなる、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/109
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110・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それで僕は確めておきたい点は、新しい公務員共済組合法ができることによって退職手当の実質が、手取りが多くなる、これは年金との関係ですね、だからこのこととこの町村合併促進法なり、この特例法によって、一年以内に退職する人の退職手当の優遇とは並立するもので、別個の問題だ、こういうことを確認願えばいいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/110
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111・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) これはお説のとおりに別個の問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/111
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112・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それから、それで資料の提出を願っておるのですが、五市の公務員の給与、一般職、特別職の給与、それから議会議員の歳費、処遇、それらの点について自治体の規模、財政規模は違いますから、幾ら近接の五市とはいえ、これは資料を見なければわからないが、やっぱりある程度差があると思いますが、こういう場合は、いずれも合併後に、あるいは事前に協議会等で検討されて参るでしょうが、特別職とか議員のことはさておいて、一般職の公務員に対する既得権というものですね、それを下回るようなことは合併によって起こらないように配慮すべきものであり、そうなることと私は期待しておるわけですがね、自治省の原則的にあるべき姿という立場からの見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/112
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113・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 御指摘のように、五市の間で若干給与の不均衡はございます。そこで、合併いたします場合に、そのでこぼこを是正するということは、当然関係団体の間で考慮されることになるわけでございますし、そういう点も検討の一つの課題にされておることを私どもも承っておるわけでございます。そのでこぼこを是正いたします場合に、今まで高いところを低いところに合わせるようにやるのだと、先生のお話の既得権を侵害するというようなやり方で行なわれますことは、これは私どもも適当でないというふうに考えておりまして、そのような形でなく、でこぼこの是正が行なわれることを期待をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/113
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114・矢嶋三義
○矢嶋三義君 今出された資料に、アンケートをとられた結果がこれに出ていますね。大勢としては賛成が多いようですが、一部反対があるということも事実のようですね。それでかりにこの法律が成立をして合併した暁においては、できるだけ市民の方々の理解を得た上で新市はやはりスタートしていかなければならぬと思うのです。だから反対論の分析、それから、それに対する対処は適正でなきやならぬと思うのですがね。それで自治省としては、反対意見というものはどういうものがあり、どういうところから、どういうところを根拠に反対という声があると判断されておられるか、あなた方が認識し、あるいは推測している点を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/114
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115・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 従来の世論調査においての反対等がどういう理由であったかということにつきましては、私詳細には存じておりませんが、おそらく一番大きいのは合併の趣旨、合併しなければならない理由、それから合併してからどういうことになるのかということについての理解がまだ十分できておりませんために、合併というものについて、合併したならばまた税金が多くなるのじゃないかとか、あるいは学校の関係がどうなるのだろうかということについて若干不安を持っておる、そういう人たちが反対ということにしている場合がかなり多いのではなかろうかと推測をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/115
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116・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは、平たくくだけて承りますが、この合併によって、市民にはどういう恩恵と申しますか、市民の福祉が推進されるということが予想されますが、それが若干なければ、今戦争中じゃないから、そういうことはないと思うのだが、ただ大きな立場からの国策遂行上、国家の要請でやるのだということでは、一人々々の市民もなかなか理解もしないし、この推進に協力態勢がとれないと思うのですね。だから、あなたが立案者として、将来の青写真をまぶたに描いて、はっきり的確でないが、こういう点明るい希望の持てるものが出てきそうだ、出てこさせなくちゃならぬという点において、この作業をしたという点を可能な限りでお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/116
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117・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) これは市民に直接日常生活に関係の深い問題といたしましては、あるいはこの学校の通学区域等がすぐそばにあるのに、市の区域が違っておりますために、わざわざ泣くの学校に通学をしなければならないというたような問題でありますとか、あるいは水道、近路などの施設が、あるところによりますと非常によかったり、ちょっと先へ行くと、たまたま市の区域が違いますために、悪くなったり、その間の工事、事業等が一貫性がない、ばらばらに行なわれておるというような目に見えた問題といたしましては、そういうような点が改善されることになるであろうと思います。それから、やや長期的に考えてみますと、北九州五市も従来は石炭あるいは鉄を背景にいたしまして非常に工業が発達をして参りましたが、石炭業が疲弊をいたして参りました事情もございまするし、さらに新しい工場用地を持つために水等の問題につきましても、いろいろ現在隘路にぶつかっているようでありますが、そうしたあすこの地域の再開発と申しますか、そういうような今後事業を進めていかなければならないわけでございますが、それらの卒業を進めますについて、どうしてもあの区域一帯としての総合的な一体的な計画に基づいて事業の遂行がなされなければならないわけでございますが、そうしたことが今後大いに可能になる、ひいては行政的な消費的な経費というものが従来よりもずっと切り詰められて、そうした住民のための事業のほうに振り向ける余地が多くなって参るというようなことが、これは直接住民にお託しして理解をしていただける問題ではなかろうかと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/117
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118・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そういう点、まああなたの責任というよりも、合併推進協議会等構成して努力されている方々で十分煮詰まらなくても、大まかな青写真を示し十分PRして一人々々に認識していただくという事前準備というものが私は十分必要だと思うのですよ。台所のエプロンの奥さんにも浸透する程度の内容のもので、そういうものを僕は精力的にやる必要があると思うのですがね。これに対する御所見いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/118
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119・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) これは全く先生のおっしゃいますとおりでございまして、これだけの大きな合併をいたしますのでありますから、できるだけ住民の一人月々によく合併の趣旨を理解をさせ、そうして住民全体がこぞって合併のために協力をしていくという、住民の支持を得て合併がなされる、こういう形に持っていかなければならないということは、私ども、全くそのとおりでございまして、地元の関係団体におきましても、十分その点は御配慮になっておるように伺っておりますが、なお自治省といたしましても、それらの点について指導をして参るようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/119
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120・矢嶋三義
○矢嶋三義君 伺いますがね、ちょっと角度は違うのですが、合併する場合に、合併前の、すなわち現在の議員の任期を長くすることよりは、その合併する各団体間、この場合になれば市になりますがね、市の相互間の世論の反映する、具体的には議員の数のバランスを適当にするという方面に僕は重点を置くべきだと思うのです。現在の議員が長く勤めるという必要は僕はそうないと思うのですよ。何となれば、もう民主主義の理念も実践もわが国では相当進んでいるし、ことに北九州地帯というものは、西日本でも最右翼、最たるところですよ。政治的訓練を受けた方々もたくさんいらっしゃるのですからね。そういう条件の、未開発地域なら別ですよ、そういう地域において合併が行なわれる、新しい団体ができるときに、そう僕は、現在の議員さんの任期を長く続けるという点に考慮を払う必要がないのじゃないかと。それは従的で、主になるべきものは、その五つなら五つの市が合併するなら、これらの市民の世論というものがいかに適正に反映してくるようにするか。具体的に言うならば、その市民の代弁者である議員の配分をいかように適正妥当にするかという、そこに僕は重点を置くべきだと思うのですがね。重さは違わなくちゃならぬと思うのです。その原則に対しての御所見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/120
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121・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 従来の町村合併促進法でも、一年間議員の任期をそのまま延長できるという方法を認めておったわけでございます。それから議員の任期を延長いたしません場合には、議員定数を、二倍の範囲内で定数の増加を一任期間だけ認めることができるという方法が認められておりまして、そうして公職選挙法の施行令によりますというと、町村合併のありました場合におきましては、一任期間は人口比例によらないで、旧市町村単位で定数をきめることができるようになっておるわけでございます。そこで、先生のおっしゃいましたように、むしろそのまま、任期延長するよりもアンバランスを是正をすることに重点を置いたほうがいいという状況のもとに行なわれました合併におきましては、今申したような町村合併促進法の規定なり、あるいは公職選挙法施行令の規定なりによって、人口に比例しない定数を一任期間だけ定めておったわけでございます。で、今回の法案におきましても、そういう方法がとり得るように法律の中には規定をいたしましたわけでございまして、これはまあそれぞれの関係団体の協議でどの方法をとるかは、御判断を願うほうがよかろうということで、特にどっちの方法がいいとか悪いとかということは、私どもとしては考えてはおらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/121
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122・矢嶋三義
○矢嶋三義君 さっき僕は大臣に伺ったんですがね。大臣は原則的には僕と同感だという答弁でしたが、あなたのところで原案に二年という数字を持ってきたわけですね。これは妥当でないのじゃないですか。現議員が二年も引き続いて在職して、その間に新しいものは生まれてきませんよ。何でこんな二年なんかという原案を作ったのか、良識を疑わざるを得ない。お答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/122
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123・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) まあこの点につきましては、先ほどお話もございましたように、私どもといたしましても、合併が果たされましたならば、なるべく早い機会に地方自治法が定めております原則的な状態に戻って新しい市町村の運営がなされるということが望ましいと思っております。ただ従来の合併の実情を見て参りますというと、普通の町村合併の場合におきましても、一カ年議員の任期を延長いたしましたほうが合併がスムーズに行なわれる。合併後の建設を早く起動に乗せますために、実際問題として必要であった場合が少なくなかったわけでございます。そこで、今回の場合におきましては、市同士の合併でございますので、従来の町村合併促進法に認めておりました一年以内と申しますものよりも若干延長した期間を置いておくことが実情に合うのではなかろうか、このような配慮から二カ年ということにいたしたわけでございますが、繰り返し申しますように、なるべく早くその二カ年以内というのが終息されますことが望ましいという考え方は私ども持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/123
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124・矢嶋三義
○矢嶋三義君 僕はあなたの答弁了解しませんよ。あの地域の市長は政治的意識も高いですよ。訓練もされているですよ。また市会議員の皆さんもそうですよ。簡単にいえば角度は高いです。西日本で一番い、九州の五市は申すに及ばず、そういう地域に新しい市を作るという場合においては、二年なんかという数字を出すのは、僕は議員本位だと思う。僕はこう思いますね。それに自治省は引っぱられたのだと思うのですね。そういう指導性の欠如はいけませんよ。これは僕の私見です。僕は百パーセント自信を持って、あなたの考えに反論します。で、まあ、衆議院で一年半ということに修正をし、自治大臣も一年半はマキシマムで、可能ならば早いほどよろしいという答弁をさっきされたわけですね。これは自治体に助言と指導権を持つ、お世話役の自治省の見解を表明されたわけです。その点については僕は同意見ですがね。そういう線に沿ってあなた方のほうの許される範囲内で助言指導すべきもので、原案ののとおり、二年程度が適当だ、それがなければ合併はうまくいかぬのだというような考え方は、この際僕は改めるべきだ、そのように僕は強く要請しますが、お答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/124
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125・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 御指摘のように、なるべく早く、かりに二年以内といたしてありましても、なるべく早く通常の状態に戻って、新しい都市の建設にかかるようにすべきであるという点につきましては、私どももそのとおりに考えておりまするので、五市の場合におきましても、今後合併計画が立ち、また合併が行なわれまして、その後の建設の状況を見まして、おそらく地元のほうにおかれましても、マキシマムはマキシマムといたしまして、なるべく早く終息するように努力はいたされると思いますし、私どももそういう気持で指導はして参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/125
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126・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それに関連してですが、現在五市の議員で継続してやるというのは百九十六人になるようですね。この数字が間違っているか、間違っていないかということと、それから自治法の九十一条によると、人口によって議員の定数を規制しているわけですが、「百人を以て定限とする。」とうたってありますね。自治法の九十一条では百人をもって定限とすると書いてある。これは合併の過渡期だから、それでいくと百九十六人になるわけですが、これほど多い例が今までありましたか。どうですか。それで百九十六人で、あなた方の考えでは議会をやるというわけですがね。あの北九州五市のどこでやるのでしょうね、百九十六人。まあ、小学校の講堂ででもやるのですか、公民館ででもやるのですかな。それで一体ほんとうに議会というものができるでしょうかね。そういう点について、僕はあまりにも安きに流れ過ぎて、妥協し過ぎていると思う。もう少し自治省はしっかりした指導性を持ち見識を持つべきだ、これは僕の私見です。僕は確信を持ちますよ。そういう点では百九十六の数字が正しいのかどうか。
それから自治法の九十一条「百人を以て定限とする。」とあるが、今までこういう大きな数字があるか。実際ある場合には、どういうところで議会をやって、実態というのはどういうものか、参考に僕は聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/126
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127・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 百九十六名という数字は間違いでございません。ほかに例があるとかということでございますが、正確にはちょっとお答えいたしかねますが、おそらくこれほど多いところは、かりにあるといたしましても、非常に稀有な例ではなかろうかと思っております。
それから百人が定限という規定との関係は、これは特例でもってこの規定を排除いたしておりますので、法律上は差しつかえないというわけでございます。実際、これほどの多くの議員でどういうふうに運営をしていくかという点につきましては、現地の施設等も私はよく承知をいたしておりませんので、お答えいたしかねますが、おそらく適当な施設を利用いたしまして、運営については十分気をつけてやっていただけるものと期待をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/127
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128・矢嶋三義
○矢嶋三義君 かりに、この衆議院修正送付の案が当院で成立、公布施行された暁においては、おそらくは北九州の場合は、「一年六箇月」「定数の五分の一に相当する数を加えた数」というこのケースを適用されるのではないかと思う。その確率が一番大きいのではないかと推察するのですが、それを前提とすれば、議員数は何名になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/128
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129・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) これが地方自治法の規定いたしておりますとおりの定数で申しますと六十四名になりますが、それに五分の一を加えるということになりますと、十二名加えることになりますから、七十六名になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/129
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130・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そこで、そういう五分の一という、まことに見方によったら妙、見方によったら奇異、そういう数字がここに入ってきているわけですが、そうだとすると、この十二人という数が入ってきたことを思えば、次の配慮が新しく止まれた新市によってとられてしかるべきだと思うのですがね。あなたのほうの御見解を承りたいと思う。それは、ただいま出された資料によりますと、門司市が約十六万八千、小倉市が約三十万、若松市が約十万六千、八幡市が約三十五万、戸畑市が約十万三千、合わせて約百三万という数字が出ている、三十六年現在で。これを見ますと、人口の面で見ると、戸畑と若松というところは飛び離れて劣勢ですね。したがって、この法によって、人口正比例で議員数を配分しますと、こういうところは非常に少なくなるわけですね。ところが、今まではやはり戸畑なり若松なりというのれんを下げて、伝統も歴史もあり、市民としてはプライドを持ってきたわけですね。ここで時代に即応して一緒になろうというわけですね。その場合には、僕はこの十二人というのが特例の特例としてこういうふうに認められるということになれば、議員の定数というものは人口比例でいくのだという公式論にのみとらわれることなく、やはり五つの市が店を開いておったのだから、ここの五市には、それぞれある一定の基本数、ベースというものを与える配慮をして、この人口が非常に少なくて、発言力が比較的に少なくなるであろう若松とか戸畑地域の議員の配分については、過渡的には若干僕は考慮していいのではないか。新しく発足した団体が全市制をとるかあるいは地区制をとるかによって違ってきますからね。普通、団体が合併する場合には、よくそういう地区制をとる場合がありますわね。そのどちらがいいかということは言えません。勝手でありましょうが、かりに、そういうことがとられた場合は、人口の工合から若松、戸畑というのには、若干の考慮をするだけの気持はあってしかるべきじゃないか。それが今後円満にいくのではないかという感じを私は持つのですが、あなた方はどういう立場で助言なり指導なりされるおつもりか、参考に聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/130
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131・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 御指摘のように、戸畑と若松につきましては、激減をすることになります、地方自治法の九十一条の規定をそのまま適用いたしますことになりますと。私ども調べたところで申し上げますと、若松、戸畑が従来三十六人でございましたものが七名に減少することになります。そこで、おそらく衆議院で新しい増員できるということに御修正になりました御意図をそんたくいたしますというと、この十二名の配分につきましては、人口に比例をしませんで、戸畑、若松にある程度多く配分ができるようにしたいと、こういう御意図があったのではないかと、かように考えておるわけでございまして、自治省といたしましても、指導をいたします場合には、そのような配慮をもっていたすことが適当であろうと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/131
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132・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣に対する二問を残して、あと二問ばかり政府に聞いておきたいと思います。まあ資料をお願いしたのがまだ出てこないからわからないのですけれども、あなた方が今持っている資料なり、今あなたが御記憶しているところでは、この五市の行政水準の状況というものはどういう状況にあるのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/132
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133・山本明
○説明員(山本明君) 行政水準という意味が実はあまりわからないのでございますけれども、先生のお手元に、第二の資料といたしまして財政関係の資料をお配りしてございます。その第一ページは、総括といたしまして最近の三十三年、三十四年、三十五年の状況を書いたものでございます。一番下の欄を見ていただきましておわかりになると思いますが、三十三年を一〇〇といたしまして、大体歳入におきましても、歳出におきましても、見合いまして伸びておるわけでございます。
それからその次の表は、これは五市の歳入の状況でございまして、一番上の欄を見ていただきますと、地方税がございます。これは門司、小倉、若松、八幡、戸畑、それぞれございますが、門司、若松に続きまして戸畑が割と人口が小さい割に収入があるというような資料になって参っております。
それからその次は、歳出の状況を性質別に見てみますと、大体この一般的ないわゆる人件費、物件費を除きました建設事業関係におきましても、かなり各市間に、構成比におきまして違いがございます。たとえば5のところの普通建設事業を見ましても、パーセンテージがそれぞれの市の構成の中で差がございます。こういう問題は、今後合併をいたしました際に、建設計画の中でかなり検討しなくちゃならない問題が出てくるんじゃなかろうかと、このように考えております。
それからその次の表は、これは目的別にとりましたものでございまして、これを見ましても、庁費関係におきましては大体同じような構成比でございますけれども、その他の費目におきましては、それぞれの市が重点的に考えております事業におきまして、かなりのアンバランスが出ておるようでございます。具体的に施設々々の面につきましてどのような差があるかということにつきましては、目下調査中でございますが、一応財政的な資料から見ますと、こういうものが出て参っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/133
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134・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この資料御苦労でありました。ただ今いただいただけで内容を検討する余裕もなし、また批判をするだけ検討する時間がありませんが、ただ伺っておきたい点は、ここにアンバランスがありますね。それは相当の期間を通じて、アンバランス、格差というものを是正される方向にいくのだと思いますがね、少なくとも今低い水準にあるところは、合併によって飛躍的によくなるということだけははっきりしているのじゃないかと、それは約束できるのじゃないかと、かように思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/134
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135・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) これは飛躍的にという言葉どおりいくかどうか別といたしまして、低いところも、ほかのところ、高いところ並みになりますし、さらにまた、全体としてもう一段向上いたしますように期待をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/135
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136・矢嶋三義
○矢嶋三義君 何かわかったようなわからぬような答弁したけれどもね、それはあなた、差があって合併するのだったら、低いところは飛躍的によくなるような希望が持てればこそ合併するのであって、低いのがいつまでも低いのだったら、何で合併するのですか、あなた。そうして北九州五市の総力が活用されるように、発展するようにというので合併をやるのでしょう。だから、比較的に、社会施設であろうが教育施設であろうがおくれているところは国は特例、起債等を認めるというのだったら、そういうようなことが是正されるような建設計画を新しい市がみずからも作るし、あなた方も助言と指導をして、そうしてこの法律に基づいて旧からも指導なり助成措置をしていくと、そうするのだから、レベルの低いところは急によくなるのですよと、少なくともその中のいいところまでは早急にいくのだ、飛躍的によくなるのだということは、あなた約束されなければ意味ないですよ。それはそのとおりですよと答弁しなければ、この法律は上げられぬですよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/136
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137・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) そのとおりになりますように、十分私どもといたしまして配意をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/137
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138・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あと時間が詰まっているようですから、大臣の質問二点だけ残して、もう一問だけ承りたいのですがね、反対の陳情書を見ると、盛んに「独占に奉仕する合併反対」という文字があるのですがね。こういう立場から反対があるということも、それぞれの市の当事者はもちろんのこと、あなた方もやっぱり目にとめ、耳にはさまなくちゃならぬと思うのですね。これに対するあなたの立場から、あなたなりのお答えはどういうものですか、試みに承りましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/138
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139・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 「独占に奉仕する」という言葉の意味も十分あるいは理解が足らない点もあろうかと思いますが、おそらく反対しております方々がおっしゃっております趣旨は、一部の特定の企業の利益のための合併じゃなくて、市民全体の福祉のための合併になるようにしなければいかぬ、こういう御趣旨であろうかと思うのでござまいまして、そういう御趣旨どおりに合併というものは進められなければならないと、私どもも考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/139
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140・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その点は非常に重要な点ですからね。先ほど申し上げたように、地方政治家のためであったり、具体的には名地方団体の首長あるいは議会、議員のためであったり、あるいはその地域に根を張っている企業の、特に大企業の便利、幸いをもたらす好都合な合併であったりしてはならぬわけで、それが主ではなくて、今政府委員みずからも発言されたように、その地域の住民の福祉の向上ということが一番大きなねらいでなければならぬことは申すまでもないことですから、そういう点をおもんぱかるがゆえに、こういう点を懸念をし、そして反対をされ、反対陳情書を僕らに送ってくるのだと思います。だから政府という、自治省という立場においても、あるいは合併するであろう五市、それから合併した後に生まれるであろう新市の当事者は、特にこういう点は配慮して、住民の期待に十分沿うように努力しなければならないと思うのですよ。この点、政務次官に大臣にかわってお答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/140
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141・大上司
○政府委員(大上司君) ただいまの御質問なり、あるいはその審議の過程におきましての矢嶋先生の御意見ごもっともと存じます。なお、行政府におるわれわれといたしましては、十分に御審議過程における御意見等を行政の運営面で実行に移したい、このような考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/141
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142・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私あと自治大臣が来たとき、二点だけ質問することを保留しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/142
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143・小林武治
○委員長(小林武治君) 今本会議の関係で……、じき来られるそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/143
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144・加瀬完
○加瀬完君 今の資料についてちょっと伺いますが、「歳入状況調」、この戸畑は、国庫支出金がほかの市に比べてパーセントからいうと低いですね。これはどういう理由ですか。一緒にもう一つ聞きましょう。それから雑収入では、若松が一三・八と他の市に比べて雑収入が非常に多いですね。これは内容は何ですか。——財政当局でなければわからないかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/144
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145・山本明
○説明員(山本明君) ちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/145
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146・加瀬完
○加瀬完君 その次の「(性質別)状況調」。普通の建設費が、門司は一四・三ですね、構成比で。八幡は二二・五、戸畑は三一・五ですね。問題は、合併いたしまして、必要欠くべからざるものとして、戸畑なら戸畑で三一・五かけておったとすれば、これをかりに若松の一一・二に合わせるという形になりますと、戸畑はやはり市が独立しておったときほど仕事ができないという不平が起こって参りますね。それらの点は、何かこれは三一・五というのは、特別な事情で普通建設事業費がかさんでいるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/146
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147・山本明
○説明員(山本明君) この五市間の先ほどの国庫支出金の問題と関連することだと思うのでございますが、この五市では、最近工場がかなり進出して参りまして、特に八幡製鉄があの地域を埋め立てをいたしまして伸びて参りました関係もございまして、戸畑市が非常に財政が現在のところ豊かなわけでございます。したがって、その財源をもちましてかなり建設事業を進めておるわけでございます。そういう関係から、ここにございますような資料のように、戸畑が単独で事業をするなり、あるいはこの普通建設事業を見ていただきましてもわかりますように、率の多い中で単独事業が二三・二というふうに伸びております。この辺あたりからいいましても、戸畑が非常に財政力がいいものですから、単独事業を進めておるという状況だろうと思うのでありますが、それで、これらの五つの市が寄りました場合に、一体になりましたものでございますから、従来の市という考え方をできるだけ離れまして、全体として必要な事業というものを進めなければならないと、われわれは考えておりますけれども、現在若戸大橋を戸畑と若松の間にかけておりますように、その特定の地域で特に必要な事業ということになりますれば、当然その従来の市域に重点的な投下がなされるというようなことにもなってくるのではないでしょうか。われわれとしましては、こういう現実もながめながら、都市建設計画というものを十分に伺って検討してみたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/147
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148・加瀬完
○加瀬完君 たとえば単独事業費では、門司は二・九、戸畑は今おっしゃるように三三・三とずいぶんな違いですね。そうすると、合併しますと、どうしても戸畑側には不平が起こり、あるいは門司側には合併していいという、この面だけとれば、推察すれば、一方は喜び、一方は不平を持つという現象が起こる可能性もございますね。そういう点で、どういう調節をするか、調節をするとすれば、低いほうに合わせるわけにいきませんから、若干下がっても戸畑の線に合わせたければいけませんね。しかし、収入は、戸畑と同じ収入が各市合わせて、今御説明のように、ふえるわけじゃありませんから——収入といいますのは自己財源としての収入が。どうしてもその点は起債なり、あるいは国の補助なんという形をとらなければこのバランスはとれませんね。必要な措置は、特に財政的な必要な措置ということは、この戸畑のように、ある程度単独事業も合併しても進み得る、その財源も与えているのだと了解していいですか、これは大事なことだから、地元としては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/148
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149・山本明
○説明員(山本明君) 一つは、従来大規模資産で県に行っておりましたのが、政令指定都市となりますと、地元の市に参ります。それが大体現在のところの推計が十二億五千万ほどある予定をわれわれとしては考えております。その資料にはございません。十二億五千万ほどが一つ大きな財源として入ってくるだろう。もちろん、これは政令指定都市になりますから、いろいろな事業もしなければ相ならない。これが普通の事業でございますと、交付税の計算の中でも考えられてくるであろう。もう一つ、国はやはり、先ほどから局長が申しておりますように、起債の面で建設事業につきましては、かなり重点的な配慮をしなければならないのではないだろうか。もう一つは、過去の合併におきましても、合併当初におきます諸事情の変更に伴いまして財政負担が多くなってくる、そういうものも特別交付税で見ております。そういうものもこの市につきましては考えて参らなければならぬと思います。自治省として現在考えております財政上の問題は、その三つくらいになるのじゃないだろうかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/149
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150・加瀬完
○加瀬完君 午前中の御回答よりだいぶはっきりして参りました。そうすると、単独事業費は大体十二億ですね、五市合わせると。今やっておる単独事業費の分程度が固定資産税の割り戻しで返ってくる。そのほか特別交付税等、金額とすると、結局合計どのぐらい伸びると考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/150
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151・山本明
○説明員(山本明君) 現在われわれのところは幾らという数字的なものは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/151
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152・加瀬完
○加瀬完君 その数字的な目算を立てませんと、たとえば「(目的別)状況調」で歳出の面を見ますと、教育費は、門司は構成比一三・六ですね、しかし小倉は二一・六、戸畑が二六・七、若松も低くて二二・〇ですか、こういうふうな断層がありますね。これを埋めるには、相当な経費が要るということが考えられますね。それから土木費でも若松は一四・七、戸畑が一四・〇、それに対して八幡が低くて五・三ですよ。それから財産費等についても戸畑は五・二と非常に高い。ほかはもう一以下というところもございます。公債費についても門司は八・四ですけれども、ほかはみな五・五を最高にして、それ以下です。歳出の目的別状況を見ますと非常に各市ばらばらですね。これらをある水準にならして自己財源のほかにどれくらいの金が要るだろうか、そういう点が試算をされませんと、そして、これは合併する市だけにまかせておいても、なかなか自分のほうの現在の状況を落とすような計算というものは立てられませんから、というものは。それから要求はやはりいずれの市でも多くなります。それから負担はいずれの市でも軽くしようと考えますので、その調節がとりにくいと思うのです。ですから、ある一つの行政的な指導の基準というものを示さないと、この問題は解決つかないのじゃないかと思われるんですが、その点はちょっと計算がこまかくされておらないようですけれども、それで法律のとおり合併が進んで問題が起こりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/152
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153・山本明
○説明員(山本明君) 御指摘になりましたのは、一応三十五年度の目的別状況でございます。したがって、三十五年度に五つの市が何を重点にとっておるかということによって、やはり目的別の構成比も違っておるのじゃないかと思います。したがって、たとえば市営住宅を見ましても、私のところで調べてみますと、二十年から三十五年までの間におきましては、八幡市が非常にやっておられる。あるいは門司がそれに続いておる。戸畑、若松というのが土地も狭い関係もあるかもしれませんが、あまり進んでおらない。そうしますと、この問題を三十五年度で取り上げれば、あるいは——これは仮定でございますけれども、そういうものの金額が伸びてくる、こういうような状況になってくるのではないだろうか、したがって、われわれとしては、これは一応三十五年度のものをとりましたのでございまして、今後の建設計画を作る場合におきましては、五市間の、先ほど矢嶋先生がおっしゃいましたように、行政水準といいますか、たとえば住宅なら住宅というものが私のところで見ますと、戸数を見ますと、百人当たりで門司が二戸である。一番低いのは若松で〇・五戸である。こういう問題が出て参りますと、これはやはりできるだけ水準を同じくするような方法で建設計画を考えていかなければいけないのじゃないか、そうしますと、若松のほうでは、あるいはそういうことで住宅のほうの仕事がふえてくるというようなことにもなるのではないだろうか、こういうふうな気もするのでございます。そして建設計画を作ります場合に、そういう行政水準のアンバランスをできるだけとって、そしてさらに前進をするというような考え方で作らなければならないんじゃないだろうか、こういう気がいたしております。先生のおっしゃいますよう、にこれを具体的にさらに新しい計画としてどのように進めるかということは、目下のところは作業いたしておりません。いずれ五市におきまして、協議会においてこういうものを検討して私のところに持って参ります。そういうものにつきまして十分な検討してみたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/153
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154・加瀬完
○加瀬完君 ですから、私どもは、自治省の行政局が御答弁なさっておるとは思わない。自治省として御答弁なさっておるとこう受け取りたい。ですから、あなた方のほうの担当からすれば、それで済むかもしれぬ。しかし、行政局が指導して合併はするだろうけれども、実際合併して新市として動いていくときには、いろいろな財源その他の点は、これは自治省全体に責任を持ってもらわないと動きのとれない面が生じてくるわけです。あなたのようにおっしゃるなら、なぜ四、五年の動態としての目的別状況の平均として出さないのか、そういうこれから各市の要求している目的別な必要というものを、一応予想数字というものを並べないのか。それを二つ出してくれれば見比べてこれは自己財源でやれるとか、これは自己財源で幾ら足りないという見当がつく。この出されたものは三十五年ですから、われわれは三十五年の問題で議論せざるを得ない。三十五年でこういういろいろの、今私が質問したような点が出てくるけれども、それ以前の問題の目的別状況調べを年度別にやってみますと、このでこぼこというのは、もっと凹凸が少なくなってくるかもしれません。しかし、だからといって、これから新市として発展させるために、新しい事業量というのは必ずふえるわけです。これだけの財源では足りないわけです。どれくらいの財源が新しく必要かということも、これは行政当局が財政当局にでも連絡して、ある程度試算をして、そう多くを要求しても、国としての財源的にまかなえる点はこれくらいの金額だと思うから、何カ年計画も、やはりこれくらいのふえ方をするけれども、あまり多くを望んでは困るから、こういった数字を基準にして立ててもらわなければ困るというように指導しないと、これは実際新市になっても意味がないという不平が、当然新市を誕生させた方々から出てこないとは限らない。町村合併でもそういった面が非常に問題になって、町村合併はしましたけれども、その町村に不似合いな五カ年計画を立てる、しかし、五ケ年計画について内容の検討というものはあまり詳しくないし、また指導もしないというのは、言い過ぎですけれども、十二分な指導が届いておらない。そのために、今度は出発をさせても、旧各関係の町村からそれぞれの要求のとおりに参りませんから、新市が運転不能になるという例がございますので伺っているわけです。たとえば、その社会及び労働施設費なんかでも、これは門司なんか非常に高い。ところが、戸畑なんかになるとそれが非常に低くなってくる。いろいろの平均をとれない点がありますので、これらをある程度協議会で十二分に練り合って、お互いに一つの満足する譲り合った線というのを出しませんと、新市の誕生というのは、市町村でも問題ですけれども、小さい。こういう人口百万にもなろうとする大都市ができるということになりますと、それぞれの地元の力というものは強いわけです。戸畑のように人口とか、市の規模は小さくても、財政力は他を凌駕しているところもありますから、おれのほうが一番税金を取って、おれのほうが単独でやっておったときよりも、新市になってだめじゃないかということになると、また新しい問題が起こりかねませんので、もう少しその点は細密に案を自治省で作成して、指導助言に努めてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/154
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155・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣にお伺いする前に、資料がただいま参りましたので、この点について二、三伺います。
何としてもこれは突然の資料ですからね、やや僕はずさんな点があると思うんですよ。職員数及び、給与状況等の資料出ておりますが、どういう基準でこの数字を並べたのか、同一条件で並べてあるのか、それぞれの市が条件が違う形でこれが出ておるのか。さらには退職年金、退職手当、それに伴う掛金がいかようかということもあわせて出ないと、なかなか五市相互間の批判はできないと思います。しかし、この時点でそれを出してほしいということは要請しませんが、そういうラフな資料だ、という前提に立っても、これは興味しんしんたるものがあるですね。この資料は、この法律案を審議した者としては、これは記念品になると思うのですよ。将来、合併した後に、振り返ってみると、なかなかおもしろいものが出てくるのですね。
で、一、二指摘し、伺いたいのですが、なぜ私がそういうことを申すかというと、五市が合併した後には、円満に合併ができ、スムーズに行政ができ、そして合併の真の目的が達成されるようにならなければならぬと、そのために、当事者が努力することはもちろんでありますが、自治省としても、技術的な面においても、また財政的な面においても、目的達成のために助成をしていただかなければならぬという立場から、こういう問題がありそうだという点を指摘して、御所見を承っておきたいと思うのです。たとえば市長、助役等の、市長の特別職の給与は似たようなものですね。ところが、議員の歳費を並べてあるのだと思うのですが、これになると、若松は極端に悪いのですね。他の四布に比べると比較にならぬですね。合併決議を見ると、若松は全会一致でいっているのだが、他のところに反対というのがあるが、これは共産党さんですか。そうすると、若松は共産党はいないということですか、これは歳費に関連があると思うのですけれども、これ以上言うと失礼になるから言いませんが、とにかくたいへんな数ですね。
それから、次の職員数及び給与状況を見ると、これは、やはり市町村やら、あるいは市会の方針というものが出てくるのかと思うのだけれども、この数だけで批判はできないのでありますが、若松市は、人口等から考えてみると、非常に公務員が多いですね、他の市に比べると。そのかわり一番右の欄のベースが最下ですね。だから、見方によると、公務員の数をふやしてベースを下げていると、こういう行き方をしているのじゃないかということが、不十分だけれども、この表から推察できるわけですが、また一方、小倉のほうは、人口からいっても、歳出規模からいっても給与のベースというのは割に低いのですね。そういう点、それぞれの五市のカラーというか、ある程度露骨に出ているのですね。別の資料で見ますと、若松と戸畑というのは、人口の点は似通ったものですが、歳出規模になると、相当の開きがあるのですね。それでは、給与ベースのほうはどうかというと、戸畑が若松のちょっと多いくらいで、ただ職員数において非常な井が出ておる。こういうことは、普通の地方団体でもあるのですね。それは相当に地域が隔たっていればあり得ることかと思うのだが、あの五市というのは、全く一衣帯水というか一帯ですね。あの一帯なる地域でこういう差のあるのは、僕は非常に意外に思っているのですけれどもね。この点は、合併後には、先ほど申しましたように、既得権を守りながら調整をし、いい方向へと持っていかれるのだと思いますが、自治省はそういう点は、この数字をどういうふうに認識されているのか、参考に承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/155
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156・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) この給与の状況の数字は、実は早急に、とりあえず、手元にありますものから作成をいたしたものでございますので、御指摘のように、本俸だけでございまして、それ以外の諸手当あるいは退職手当等のことは、調査をいたしておらないのでございます。そこで、実質的な給与がどういう状況になるかということは、私どもも実態をなおよく検討をいたさなければならないかと思っているわけでございますが、御指摘のように、この一衣帯水の五市ではございますが、それぞれ独立の自治団体になっております関係で、ある程度の開きはあるのが事実であろうかと思っているわけでございます。それで、現在五市の関係者の間でも合併後はこうした給与の不均衡につきましても、調整をいたそうということを検討を始められているそうでございますので、その検討の結果を私ども注視をして参りたいと、かように思っております。
なお、若松の職員の数がたいへん多いという御指摘がございましたが、若松はバスを経常をいたしております関係で、若干職員の数が多いのではなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/156
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157・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あなたの答弁でだいぶわかりました。確かに若松はバスをやっておりますから、そういう点があると思います。
大臣にお伺いします。お答えいただきたいのですが、この特例法が施行された後に、合併するであろう北九州五市、その市民には希望を持たせることができると、また、その市民の公僕である、現在勤めていらっしゃる公務員には、身分上も給与上も不安を与えることはない。先ほど既得権を確保するということを事務当局が答弁されたのですけれども、原則的なことですが、そういう自信がこの法案の提案者としてはあると、そういうふうな自信と責任を持って団体に助言と指導をやっていくと、御確認願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/157
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158・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 五市合併によりまして、将来に明るい大きな希望を持ってもらうような指導は極力やります。また合併することによって、職員数等を非常に減ずるとかなんとかで不安を抱かせる、あるいは財政上のバランスを非常に低下させるということは、ないように気をつけていきたい。むろんこの機能が合理化され、長い将来において、だんだんと自主的に変わっていくというようなことはこれはあろうかと思います。当面そういったことで職員を不安にさせるといったことのないように配慮していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/158
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159・矢嶋三義
○矢嶋三義君 第二問ですが、それは、先般本委員会で、指定都市は乱造しないという大臣の見解を表明された。しかし、この北九州五市が合併した暁においては、この都市は指定都市とするということも言明されたわけですね。したがって、数少ない日本の堂々たる都市になるわけですね。前途洋々たるものが約束されなくちゃならぬと思う。そうなりますと、幾つかの問題がありますが、一つの問題を提起して伺いたいのですが、国立の大学は、指定都市となったような地域には、私は人口やあらゆる角度からいっても、九州の扇のかなめといいますかね、鉄道で言うならば鹿児島本線、日豊線の交通の要衝の地になるわけですから、こういうところには国立の総合大学福岡には九州大学がありますが、これと同じ規模と言わなくともそれに準ずる国家的教育機関の施設が将来約束されてしかるべきだと思うのですがね。現在あの地域には戸畑市に九州工業大学という、準科の工業の専門大学、堂々たるものがあります。他は市立あるいは私立の大学という角度からは、その国立があり、私があり、公立がある関係もありますが、あまり合理的に総合融合された形でなくて、教育の機関が今散在しておるという表現をしたらどうかと思う。これでは地域の、国家的に考えても私は適切ではないと思うのですよ。のみならず、国立大学がなくなって全部私大学になれば、それは別だけれども、今国費で国立大学という国の恒久的教育機関が法律に基づいて設けられておる以上は、この指定都市となった暁においては、その国立の総合大学は将来設けられるように方向づけていかるべきものだと、こういう私は見解を自信を打って申し述べるのですが、大臣の御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/159
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160・安井謙
○国務大臣(安井謙君) ごもっともなお話だろうと思います。御指摘のとおり、現在も戸畑市には国立大学が、ほかにまた私立、県立といったようなものが、それぞれの必要に応じたものがあるようでございます。また国立大学の分校もあったり何かしておる。これは自治省の所管ではございませんが、広い意味の行政制度、権限のあり方として、今後十分関係当局ともよく相談して将来の姿を考えていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/160
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161・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一度今のについてお伺いしておきますが、これの問題を考えるのは、この法案を所管する自治大臣としては、非常に飛躍した部類に属するというような御遠慮をすることは当たらないと私は思うのです。国の一つの地方団体に対する方針として、こういう構想を持ち、法律を出されるとなれば、今教育文化面にしぼって一つの僕の見解を申し述べ伺っているのですが、当然僕は考えなくちゃならいないと思うのですよ。それは公立の大学を国立に移管するという点もあるわけでありますから、今戸畑市には九州工業大学だけですから……。それはあの付近は働く人々の需要というものは技術者といい、事務家といい、非常なものですよ、あの地域は。だから市民の教育費の負担とかいう、そういう角度からでなくとも、住宅の政策とか、企業家のさらに社宅の角度から考えても、あらゆる角度から考えても今の工学部だけでなくて、さらに必要な理学部とか、あるいは法学部とか、東京大学のようなそういうシステムまでとは私は主張いたしませんけれども、いわゆるわが国の国立の総合大学に準じた程度の大学の設置というものを将来青写真に入れて、それで僕は、国の施政の態度をあの北九州の発展にとるべきである、こういう立場で伺っているのです。もう一ぺんお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/161
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162・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 御趣旨はごもっともだと思っております。そういう線でもって将来の方向として慎重に考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/162
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163・加瀬完
○加瀬完君 ちょっと関連。市の認可の場合は、高等学校年間戸数が七割とか、人口が五万とか、それから高等学校あるいは警察、その他の市に必要な一応の心置条件の幾つかがございますね。今までの指定都市というものは、大体新しくそういうものを設けなくても、あらゆるものを持っておったわけですね。今の矢嶋委員の指摘するような大学の設置にいたしても、あるいはその他のいろいろの条件もそろっておったのです、自然発生的に。今度は合併して、大都市を作って、それに指定都市としての名称を与えるということになりますと、やはり市の認可の条件と同じように、ある程度その指定都市としての内容というものをきめておく必要があるのではないですかね。そうでありませんと、北九州五市のような指定都市と、今までのような指定都市との間には、人口は、むしろ前者が多いかもしれぬけれども、古いものと、文化その他のいろいろの条件、都市的形態の他の条件から見ると、これはやはり見劣りがするし、格差がひとりでに生まれますね、そういう点、何か御研究は自治省としてはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/163
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164・安井謙
○国務大臣(安井謙君) つまりおっしゃるようなきちんとした規格のものは持っておらぬわけでありますが、今のお話のようなことは確かに将来のあり方として考えていく必要があろうと思います。むろんこの都市の歴史なり形成経過によって、それぞれ画一的には、言えないものだろうと思います。しかし、やはり指定都市というような、きわめて少ない都市を指定するときには、そういった基礎条件を今後検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/164
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165・矢嶋三義
○矢嶋三義君 最後の質問ですが、大臣のさっきの答弁ですね、これは確認をしたわけですから、あと忘れないようにしていただきたいと思います。あなたがいつまでも自治大臣にとどまっているわけじゃなくて、日本の政界の重鎮として、末長く活躍されるでありましょうし、あるいは冗談でなくて総理大臣という栄位につかれる場合だって可能性はあるわけなんだから、今の御答弁はぜひひとつお忘れにならないで、方向づけをしていただくように要望しておきます。
それから最後の質問と申しますのは、少しふざけた質問になりますが、私は日本がアジアの一員として生きていくということ、それから世界、特にアジアの流れと日本との関係を結びつけて考えた場合に、日本の重点というものは、やはり西にずっと動いていっていると思うんですよ、僕は。それでエネルギー革命やら技術革新やら、日本的視野においても、国際的視野においても、いろいろ激しい変化が行なわれている、こういう段階において北九州五市のやはり合併というものは、必然性として生まれてきた。これがうまくいくかいかぬかということは、日本の西日本の産業経済、九州は申すに及ばず、日本のそれにも僕は大きな影響があると思うんですね。何人も異論はないと思う。そういう意味ではまさに東の東京に匹敵する位置づけがされるという大きな期待を持たれると思うのですね。それで大臣はこの法律を提案した当時の責任者ですね。ここに地域的にも国家的にも大きな期待と使命を持った新しい市が生まれようとするとき、その市にどういう名前をつけたほうがよさそうだということを考えたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/165
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166・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 名前の問題は新しい市のシンボルという意味で、大事なものだろうと思います。しかし、これは合併する住民の急患を極度に尊重するのがよかろう。いろいろこれは仄聞いたしますと、いろいろの案が考えられているようでありますが、まあ自治大臣が名づけの親になるというようなところは少し行き過ぎじゃなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/166
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167・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それはあなたの答弁のとおりですよ。あなたがこうなんて言うことははなはだ非民主的でよろしくない。しかし、こういう法律を作って仕事をやるときは、やはりそういう意欲的なものを政治家は持つことは僕は悪いことじゃないと思うんですよ。だから私は答弁を求めてないわけだ。あなたが法律を作り、提案し、答弁するときに、外には出さないでも、ああ、これはうまくこの市ができていったらいいな、そしたらどういう名前が適当だというような、そういう意欲的なものを持つことは、僕は政治家は必要で、そうなるとあとうまくいくと思うんですよ。国家の助成もうまくいくと思う。まあ、あなたは持っておられるだろうが、今のように答えて外に出さない点は非常にみごとなものだと僕は思う。ただ、私は平議員だから参考に申し上げておくが、これは確かにこの北九州が合併されたなら、期待も大きいし、責任も大きいし、日本のホープだと思いますよ。だから、東が東京というのなら、やはり北九州は僕は西京という名前がおそらくつくんじゃないだろうか、こういうふうに推測をしている。そのくらいならウエートをもって北九州には対処すべきである。それほどこれは重要性を持っているということを、少し茶目っ気になりますけど申し上げ、今後、この法律がかりに公布施行された暁においては、本委員会で答弁されたことを常に体して善処されることを強く要望して質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/167
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168・秋山長造
○秋山長造君 二、三点質問します。大体要点はもう今の矢嶋さんや加瀬さんの質問で尽きておると思いますが、私はやはり一部とはいえこの問題に対する反対論が依然としてあるということは、これはやはり政府としても頂門の一針として慎重に耳は傾けるだけの態度が必要じゃないかと思うんです。まあ、これがいきなり独占資本に奉仕するなんかというような議論の適不適はともかくとして、いずれにしても今の制度ではある程度やむを得ぬ点でもあるんですが、やはり議会関係者なりあるいは市の当局者なりを中心にして事が運ばれてきておることは否定できぬと思うんですね。それで、一般の住民、市民の発言する機会というものが、これはまあ今の制度の建前としてもなかなか与えられにくいんですが、実際上でもそういう機会が与えられてないと思う。そこで、これができた後に合併促進協議会というものが作られるわけですが、法案の内容によりますと、その委員としては、関係議会の議員、それから長、その他の職員、それからまあ非常勤の委員として学識経験者というようなことになってるんですが、せめてこの段階で、学識経験者というところで、ひとつ一般市民の代表——市民の代表といってもなかなか具体的に、じゃ、だれが市民の代表かということになるとこれはむずかしい点もありますが、しかし、まあ常識として考えて市民の代表というような立場の人、それから、たとえば北九州の場合は非常に労働者の多い地区でもあるんですから、やはり労働者代表というようなものをずっと、せめてこういうところにでもできるだけ入れて、そうして上っすべりにならぬようにややもすれば一部の人だけでどんどん独走しているんではないかというような批判が出るわけなんだから、その批判も率直に耳を傾けて、そういう立場の人もやはり入れるべきじゃないか。従来こういう場合に、大体学識経験者ということで入るのは商工会議所の会頭だとか、せいぜいその土地の大学の先生くらいでお茶を濁されている例が多いと思うのですがね。そういう点についての配慮を自治省としておられるのかどうか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/168
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169・安井謙
○国務大臣(安井謙君) そういった協議会ができます際に、でき得る限り広い各層から網羅された代表が入るということは非常に好ましいことであろうと思っております。ただこれは自治省が任命するというのじゃなくて、地元で自主的に作るものではありますが、でき得る限り自治省としてもそういう方向へ実現したい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/169
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170・秋山長造
○秋山長造君 ぜひ事を円滑に持っていきますために、そういう配慮をするように、やはり自治省としても行政指導をしていただきたい。これはまあ大臣の御答弁でも満足しますが、重ねて要望しておきます。
それから北九州の五市合併については、われわれもいろいろお尋ねしたいこともたくさんあるのですが、衆議院のほうでせっかく皆さん努力されて各党共同で修正をされて、満場一致通してこられておるわけですから、私どもももちろんそれに賛成をいたしますが、ただ、この北九州の五市の問題とは別に、今後この法律の適用を受けるであろう問題について一、二疑問をただしておきたいのですが、提案説明によりますと、他にも同様の動きがあるということがいわれておるのですが、今予想されているのはどういうところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/170
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171・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) ただいた私どもがそういう働きを伺っておりますのは、大阪市の周辺の小さな都市でございます。これが二つとか三つとか合併の動きがあるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/171
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172・秋山長造
○秋山長造君 それだけですか。他にはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/172
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173・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) そのほか、たとえばどの程度の機運が熟しておるかは別といたしまして、常磐五市でございますとか、あるいは岡山を中心とした市の合併でございますとか、阪神の間の都市でございますとか、聞いておりますが、まだ具体的に相当話が固まるというところまではいっておらないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/173
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174・秋山長造
○秋山長造君 町村合併促進法をやったときに非常に私どもは痛感したことですがね。あの法律ができる前に町村合併をやろうといった場合、簡単な町村合併でもこれはなかなかむずかしかったわけですね。それがあの町村合併促進法ができて、何となく町村合併をしなければ間違いなんだというようなムードができまして、そうしてもうまるで結果的に見れば燎原の火のごとくに町村合併をやったわけですね。私ども最初、町村合併促進法を作ったときに予想したことよりは、はるかに結果は上回ったわけです。上回っただけにこれは相当無理な町村合併を機械的に、強行というのは語弊があるけれども、行なったというケースがずいぶんあったと思うのですね。それほどこの法律一本の影響力というものは大きいと思う。そこで、この市の合併のなるほど特例法ではあるが、今後十カ年間という相当長い期限があるわけで、この法律ができますと、ややもすればやっぱり安易な無責任な、と言ってはどうも当事者に相済まぬけれども、露骨にいえばきわめて安易、無責任な合併の機運をこの法案ができたために誘発して、あっちでもこっちでも乗りおくれぬようにというような空気が出てくることを私は非常におそれるんですよ。私は、この前も自治法の改正について大臣にもお尋ねし、意見も申し上げたのですが、私は、今の段階はあの町村合併促進法によって行き過ぎるくらいやった町村合併というものの跡始末をじっくり真剣にやるべき段階だと思うのですね。ところが、政府のかけ声に応じて町村合併さえやれば、何かあとはいい工合に手当してくれるのだというくらいな気持もあったと思う。それでどんどんどんどんやったわけですね、乗りおくれんようにという気持で。ところが、町村合併をやったわ、やったあとはなかなか当てにしたほどの財政上その他の援助が与えられない。そうして町村合併がひとしきり形式的に済んだら、今度はどうも政治の目のつけどころも、また他の、たとえば市の合併だとかあるいは百万都市だとか、新産業都市だとか派手なほうへ中央も地方も目が移ってしまって、町村合併の跡始末というじみな、しかも骨の折れる問題はややもすればおろそかにされる。あるいはそのむずかしさを避けて通ろうとするような安易な空気、無責任な空気というものが、やはり私はないとは言えぬと思うのですね、全国的に。ですから、私はこの際、この法律ができることによって、安易、無責任なといいますか、不必要なといいますか、それほどの必要性のない市の合併というようなものを誘発しないように、ひとつ慎重なやはり配慮を自治省としてやるべきじゃないかということと、同町に、あの一わたり行なわれた町村合併の実績といいますか、町村合併の結果あるいはその後の現状というものを一ぺん自治省で十分集計をされて、そして、さてこれをどうするかということを、なるほど新市町村建設促進法というような法律もありますけれども、それだけでなしに、町村合併という歴史的な大きな事業をやったわけですから、その跡始末というものを十分やはり実績を調べ、資料を集め、集約し、検討し、そしてその跡始末に、もっともっと中央地方ともに馬力をかけてやはり努力をするということを十分私は考えてもらいたいと思うのです。その両点について大臣なり事務当局の御見解を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/174
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175・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 前回でしたか、やはり同様の御趣旨の御質問があった際にもお答えしたかと思いますが、今度の市の合併の法案は、全体にわたって、合併を促進させる目的を主眼に置いたものでないことは御了解いただいているところであろうと思います。しかし同時に、こういうものや新産業都市建設促進法等が出るので、在来の大事な自治体の基礎単位である町村あるいは市というようなものが置き忘れられやせぬか、あるいはかつて促進した町村合併というものの跡始末が不十分になりはすまいか、こういう御懸念はごもっともと思います。この点につきましては、同じように並行して、新しい時代に沿うような、新しい現象に沿うような、新しい法律が出ると同町に、従来の問題に対するアフター・ケアというものも今後十分にやっていかなければなるまい。できるだけ早い機会にひとつそういった総合的な調査もやるように考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/175
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176・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) ただいま大臣が御答弁になりましたように、この法律案は町村合併促進法と逢いまして、合併を大いに積極的に促進しようという意図は持っておりません。自主的に相当合併の機運が熟しましたものにつきまして、合併の障害を除去して合併がスムーズにいくようにしてやろうという配慮からの法律でございます。なお、御指摘のように、同じ市と市の合併でございましても、必ずしも合併が適当かどうかということについて、疑問のあるものもあろうかと思いますが、それらにつきましては、市の設置でございますから、当然あらかじめ自治大臣に協議がございますので、その際あるいはそのもう一つ以前に指導をして参りたい、かように思っておるわけでございます。
それからもう一つの町村合併の締めくくりの問題でございますが、これもただいま大臣が御答弁なさったようなことを、事務当局といたしましても、この国会が終わりましたならば、全国的に町村合併のその後の状況を実態調査をいたしまして検討すべき問題はさらに検討するようにいたしたい、こういうような計画を立てておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/176
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177・秋山長造
○秋山長造君 その点はぜひお言葉のとおり実行していただきたいということを重ねて要望しておきます。
それからもう一つはですね、やはり市の合併にしても町村合併にしても、やはり一番根本は出発点であり、また結論になるのはこの住民福祉の向上増進という一点に私は尽きると思うのですね。そういう立場からこの法案を見ますと、その第一条の趣旨、この法律の趣旨をうたっておるところにも、それからその他、たとえば新都市の建設計画について掲げるべき事項等についても、どこを見ても住民福祉の向上ということが全然うたってないわけですね。もちろんこういう基本法が別にあって、特例的な法律ですから、ごく事務的に必要な最小限度のことがうたってあるにすぎぬわけではあるのですが、しかし、それにしても一しきり町村合併をやって、あとで新たに行なわれる市の合併というのは、ただ常識的な今までの市の合併とはもっと意味が大きいと思うのですね。そういう場合に都市の経営を総合的にするとか、一体的にするとか、能率を上げるとかというようなことだけに尽きて、住民福祉の向上とか増進とかというようなことが欠けておるということが私は非常に不満なんですよ。衆議院で一応各派一致で修正がすでにされておるわけですから、ここでまたどうこうするつもりはありませんけれども、私はほんとうを言うと、この第一条の中で、これはもう都市の経営を総合的かつ一体的にやると同時に、住民福祉の向上をはかるためにとかというように、何か住民福祉というようなことを一本修正でもして入れたいくらいな気持を持っておりますが、そんなことはわかり切っておることじゃないかといえばそれまでだけれども、やはり法律の中にもその第一条にはっきり市の合併の目的というところに、そういう一項をかちんと入れておかぬと、町村合併促進法にもきちんとそういうものが入っておるし、これも入れておかぬと、ややもすると、さっきも申し上げたように、これは北九州のことを言うんじゃないですよ、北九州の問題は抜きにして一般論として考えた場合に、ややもすれば、市長さんだとか、あるいはその市議会の議員だとか、そういうような人だけでもちゃちゃっと話をきめて、そうして理屈はどんなでもつきますから、ひとつこっちに持っていこうと思えば、それはもっともらしく幾らでも大義名文はつくのですから、それでもう既成事実を作ってしまって、どんどんどんどんいってしまう。そうして一般の住民は、あれよあれよというておるうちにもう事がきまってしまうというようなことになりがちだと思うのですね。ですから、やはり住民福祉の向上ということをがちんと入れて、そうしていかなる場合にもそれを中心に事が運んでいくということになってもらわぬと非常に困ると思うのです。そんなばかなことはないだろうとは思うけれども、実際問題としては、それは町村合併の場合にもせんじ詰めると、住民福祉だ何だといって法律に書いてあっても、第一条に必ずこれがうたってあっても、せんじ詰めると議員の任期をどうするとか、議員の定員をどうとかいうようなことに煮詰まってしまって、それだけでもみ合うようなことになりがちなんです。ですから、私は第一条にも、その住民の福祉の向上ということをぜひ一本入れてもらいたいことと、それから第五条の都市の建設計画なんかについても、やっぱりその中へ含まれておるといえば含まっておるようなものだけれども、特にこの住民福祉の向上というような一項目を念には念を入れる意味でも入れてほしかったと思うのですが、しかし、今これ以上は申しませんけれども、今後運営の上で、あるいは行政指導の上で、十分その点を配慮していただいて、いやしくも市の当局者や議会だけでどんどん独走してしまう、一般の市民なんかがあっと言うまに事が運んでしまうというようなことの万々ないように、あくまで何らかの方法で一般住民の声も十分聞き、そして、いかなる場合にも住民福祉の向上という点だけは、ただうたい文句でなしに、具体的にそういうものを中心にして事が運ばれるようにひとつ厳に留意していただくということを私は繰り返し特に申し上げておきます。その御見解をお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/177
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178・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 全く同感でございまして、自治体を存続し、発展させる目的がそもそも住民の福祉増進にあることは申すまでもありません。この法律は非常に事務的な扱いをいたしておりますが、精神は十分くんで運営をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/178
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179・小林武治
○委員長(小林武治君) 本案の質疑はこれにて終局することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/179
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180・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X02819620426/180
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181・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を起こして。
次回は明二十七日午前十時開会とし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十五分散会
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