1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年五月五日(土曜日)
午前十一時二十七分開会
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委員の異動
本日委員野本品吉君及び谷村貞治君辞
任につき、その補欠として井川伊平君
及び村山道雄君を議長において指名し
た。
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出席者は左の通り。
委員長 小林 武治君
理事
野上 進君
増原 恵吉君
委員
井川 伊平君
北畠 教真君
西郷吉之助君
津島 壽一君
館 哲二君
鍋島 直紹君
村山 道雄君
湯澤三千男君
国務大臣
内閣総理大臣 池田 勇人君
自 治 大 臣 安井 謙君
政府委員
法制局長官 林 修三君
法制局第一部長 山内 一夫君
警察庁長官 柏村 信雄君
警察庁刑事局長 新井 裕君
法務省刑事局長 竹内 壽平君
自治政務次官 大上 司君
自治省選挙局長 松村 清之君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
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本日の会議に付した案件
○公職選挙法等の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○国会議員の選挙等の執行経費の基準
に関する法律の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/0
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001・小林武治
○委員長(小林武治君) ただいまから委員会を開会いたします。
初めに、委員の異動を報告いたします。
五月四日付をもって委員米田正文君が辞任され、その補欠として鍋島直紹君が選任され、本日付をもって委員野本品吉君、谷村康治君が辞任され、その補欠として井川伊平君、村山道雄君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/1
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002・小林武治
○委員長(小林武治君) 公職選挙法等の一部を改正する法律案、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/2
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003・湯澤三千男
○湯澤三千男君 きのう総理にお尋ねをしておりました大体予定した時間を経過いたしたものですから、多少まだ残ってお尋ねをしたいという点がございますので、引き続いてお尋ねをしてみたいと思うのであります。
終戦後今日まで、非常にこの選挙事犯が年を追うて多くなるというような傾向になってきておるのでありますが、私は、その敗戦後の占領中のできごと、いわば多くの者がパージになりまして、そして急に選挙界に出てくるというような状態になってきて、今まで全然名もない人が選挙を争う、また、その結果、いろいろ当選してから後に政界に進出するという機会が非常に多くなってきたというようなことから、いわば無理やりにでも選挙に出れば、今まで何ら世間に名も知られなかった人でも進出ができるというような事柄が、一つの選挙を腐敗させる端緒になったんじゃないかというふうな私は考えを持っておるのですが、戦前にはこれほどのことはなかった。むしろ戦前に多くあった問題は、選挙干渉というようなことが主として論議せられたように思うのでありますが、戦後の状況になって参りますというと、選挙干渉というようなことは比較的非難される事態が少なくなって参りました。むしろ、やはりその各被選挙人がいろいろの工夫をして選挙の勝ちを占めたいというようなことから、こういうふうな風潮が出てきたのではなかろうか。これにはやはり相当の長い年月をかけまして、選挙民も自然に訓練をされ、また政界もある程度整理されていくというような状態が続きませんというと、なかなか選挙の粛正ということができないようなふうに考えるのですが、総理はどういうふうなお考えを持っておりまするか。戦後、総理は選挙界にお出になりまして、もう多年のすでに経験をお積みになっているのでありますが、私はむしろ戦前の選挙に地方の知事というような立場で関係しておったので、戦後の経験からして、どうしてこういうふうな状況になったかということについての総理のお考えをひとつ聞いてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/3
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004・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 私は、選挙のほうは非常にしろうとでございまして、ことにお話の戦前の選挙には全然関係しておりません。ただ新聞その他、あるいは先輩から聞きますと、買収ということより、やはり問題は干渉というほうが大きい問題であったようでございます。また昔話として、買収の事例も相当あったというような事例も聞いておりますが、面接私はそれに当たっていないので、ここでお答えするほどの材料はございませんが、しかし、戦後に至りましては、お話のとおり、選挙干渉ということは、よほど、ほとんどないというぐらいになったのじゃないか、これはひとつの私は民主主義の発達の……進歩だと思います。それから、買収その他につきましては、私はどちらかというと、昭和三十七年のパージから復活せられた選挙、前に一回ございますが、そのときには、その後ほどのいろいろな問題はなかったのじゃないかと、私の体験上から申し上げます。二十七年の総選挙から、相当いろいろな弊害が出て、買収その他の事犯が出るようになったのじゃないかというようにも、自分も経験いたしております。どうしてもこういうことは直さなければいかぬと考えまして、実は今まで選挙制度調査会というのをやっていろいろ意見を聞いておりましたが、実行するに至っておりませんので、今回は——今回と申しますか、さきの選挙の結果にかんがみまして、ぜひ選挙法を改正したいというので出したわけなんでございます。選挙の粛正ということは、これはなかなか言うはやすく実効は上がりにくいことは、イギリスが百年の経験を持ちましても、なおかつ、例の連座制を置くとかいろいろなことをやっております。わが国におきましても、先進国の例から見まして、よほどの努力を官民ともに、候補者はもちろんやっていかなければ、なかなか効果が上がりにくいのじゃないか。それで今度御審議願いますのも、これは私は、前の選挙法よりもよほど進歩しておるという考えを持っておりますので、もちろん万全ではございませんけれども、とにかく、逐次よくするように法を改めると同時に、私は法ばかりでなしに、選挙の公明化運動ということをうんと徹底させてきたい。それで昭和二十六年の予算を作りますときに、この公明運動の経費がいかにも少ないというので、私はこれをふやしまして、一億のところを三億ばかり、今年はそれを国だけで四億五千万に、地方公共団体のほうも二億五千万出しております。合計七億にいたしました。金額ではかなりふえたことになります。そして、選挙管理委員会の制度を改めて強化するという方法を私はとっておるのであります。衆議院におきましても、まだこれでは足らぬ、もっとやれ、選挙制度審議会の第三委員会では、大幅に増額したらどうだという御意見もあるやに聞いております。また決議におきましても、うんと公明化運動にも力を入れろという決議がございました。私は年来そういう気持を持っておりますので、今度の選挙におきましても、公明運動をできるだけ徹底し、また、その結果にかんがみまして、将来、これは国会議員の選挙のみならず、私はずっと経験から申しまして、国会議員のときには非常に取り締まりが厳重でございますけれども、地方選挙につきましてはかなりルーズで、地方選挙のルーズなところがやはり国会議員の選挙のときに出てくる。国会議員の選挙のみならず、地方の選挙につきましても、公明運動をやはり徹底化しまして、今までいわゆる地方で抜けているところをもっときつくいたしまして、そして選挙全体をもっとりっぱなものにしたいという気持で進んでおるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/4
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005・湯澤三千男
○湯澤三千男君 今の総理のお考えは、私どもも非常に同感でございますが、この選挙の多年の弊風を抜本的に粛正するというようなお考えから、昨年の審議会をおこしらえになったのでありますが、あの審議会の中には、一番重要な問題として、区制の問題、また政党その他の団体に関する問題というようなものが設置法の中にあげられて、その審議をするのが途中でとまってしまっておったようなことになっておるのでありますが、総理としてのお考えで、この抜本的な選挙の改善をしておくというようなことにつきまして、今の区制とか、あるいは政党に関する制度、こういうようなものが私どもは非常に必要なことのように思うのですが、すでに総理自身は、この法案をおこしらえになったのでありますから、もちろん非常に大事なことと思われておるのであろうと思うのであります。このことを促進するについて、どういうふうに今後お考えになっておりますか。すでに六月までこの設置法が期限が切ってあるようなわけでありますから、これについてのお考えを承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/5
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006・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) この審議会の答申が出まして、政府案ができ上がった際に、いろいろ審議会の委員の方々のうちでも御議論があったようでございます。私は、直接ではございませんが、しかるべき方につきまして、委員会の意向を聞いていただいたりなんかいだしておるところによりますると、大体の御意見は、とにかく今回の政府案を通して、そしてその後にまた審議会を開こうという御意向のように私は拝察しておるのであります。で、残る重要な問題がございますが、私はこの法案が通りましたなら、やはり審議会の委員の各位にお願いいたしまして、引き続いて御審議願えるように努力してみたいと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/6
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007・湯澤三千男
○湯澤三千男君 そういたしますと、この法律の技術上の問題のようなことになりますが、この審議会の年限について、どういうふうに、法案の提出とか、ともかく、さしあたり六月になるとこれは切れるのだろうと思うのですが、どういうふうにせられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/7
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008・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) そこで、お話のように、任期は六月末で切れるということになっております。片一方で区制その他アンバランスの問題、非常に重要な問題を控えております。しかもまた、衆議院の決議にありますように、この区制の問題は重要な問題であるから、慎重に検討してもらいたいという附帯決議がついております。この点につきましては、やはり私の想像いたしております、本法案が国会を通ってから委員の方々がどういうふうにお出になりますか、私は委員の方々の御意向によって動かなければならぬと思います。御承知のとおり、委員の任期は六月末まででございますが、選挙制度審議会というものは、これはその後も続くわけでございます。その点につきまして、委員の任期は終わるが、審議会はあるというふうな問題がございますので、そうして片一方を慎重に審議をしろという附帯決議がございます。そういうかね合い等を考えまして、法案の通過後において、私はいろいろな事情、あるいはいろいろ御相談の上善処いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/8
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009・湯澤三千男
○湯澤三千男君 ちょっと私も誤解しておりましたが、設置法そのものが期限が切れるのじゃないかというふうに心配したのですけれども、期限がそれは切ってないとすると、つまり、今総理のお話のように、今度の法律案の通過後に審議会の空気を見て、さらにどういうふうにするかということで私もけっこうだと思うのですが、ともかくこの大きな問題、ことにこの間も阿部眞之助氏が委員の一人として、今度の答申案はいわば暫定的なものである、当面必要な点を答申したのであって、根本はやはり区制というような問題が一番重要な関係だから、それがまた一応解決すれば、あらためてそれに基づいた改正をする必要が起こってくるだろう、いずれにしても、区制というものは非常に重大な問題で根本的な問題だ、こういうふうなことをこの間の公聴会で述べておられたのですが、なるほど審議会の答申を見ますると、前文に今言ったような意味のことがあるわけでありますが、そうしますると、私どもとしては、やはり審議会は極力今の重要問題について審議を継続して、六月に任期が切れるなら、あるいは同委員をさらに継続して進めるか、あるいはさらにいろいろ人を変えておやりになるか、それは政府のお考えによるわけでありますが、ともかくもこの大きな問題を促進していただきたい。これは選挙の根本問題として、やはり池田総理がお当たりになる非常に重要な事項じゃないかと思うのですが、その御所信を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/9
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010・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) お話のとおり、重要な問題でございますから、私は今回の改正にいたしましても、とりあえずと言ってはあれでございますが、参議院の選挙を控えておりますから、今までの分よりよほどよくなった、これでやってみまして、それでまた選挙のいろいろな運動に関する問題、あるいは連座の問題、あるいは費用の問題等々も、やはり区制等の関係も非常にございますから、常にやはり全体として再検討をすべき問題じゃないかと考えております。全体がはっきりきまるまでは、これは暫定的と申してはもちろん語弊がございますが、ともかく今としてはこれでいい、今後それを実際に沿い、自由にして公明な選挙が行なわれるよう常に私は検討を加えるべき問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/10
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011・湯澤三千男
○湯澤三千男君 私は、今度の選挙制度に関する改正案がすでに御提出になり、また衆議院の段階において修正せられてきておるのでありますが、きのうも私所見を述べましたように、どうしてもこの段階においては、衆議院の修正案を通すよりほかにいたし方がない、極力それに努力すべきだ、われわれ参議院といたしましても、非常に時間が逼迫したときに提案されておりますけれども、最善の努力をして、参議院通過をはかることが現在においては一番大事なことだ、こう思っておるのでありますが、しかし、これは現在の問題でありますが、将来の問題としては、先ほど総理もお述べになり、私も希望を述べたようなわけで、どうしても抜本的な選挙粛正をするということが非常に大事な問題であり、総理としても、政治家としての一つの理想を持たれて、この民主政治のほんとうの根本を確立する、こういうような点においての今後の一段の御努力をお願いを申し上げまして、私、質問を終えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/11
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012・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) お話まことにごもっともで極力善処いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/12
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013・鍋島直紹
○鍋島直紹君 二、三点総理に大きな問題につきまして御質問を申し上げたいと思います。
第一点でございますが、御承知のとおり、あるいはもう質問が出たかもしれませんが、私一時ちょっと欠席しましたので、重複するかもしれませんことをお許し願います。
第一番目は、御承知のとおり、この改正法案が出まして衆議院において自民党で数点の修正が行なわれております。その詳しいことはもう申し上げる必要はないと思いますが、要するに、自民党で修正して参議院に送られてきまして、参議院でこれの審議を現在やっておるわけでございます。この修正におきまして問題がいろいろいわれるその一つは、選挙制度審議会の答申案そのものについて修正するということについて、何か改悪をしたというような、修正すべからざるものである、それをあえて修正が行なわれておることは非常によくないといったような印象が伝えられておる。答申案を尊重するということでございますから、そのままでやるべきであるか、あるいは多少その審議の過程において妥当なる修正ということは、あるいは許されるのじゃないか、こういう意味合いにおける衆議院修正についての総理の御見解とさらに修正点につきまして、たとえば選挙事務所に従事する人の報酬の問題とか、事前運動の問題とかいろいろございますが、こういう問題の内容について、この修正点におきまする政府としての御見解、この二点につきましてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/13
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014・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 修正案が出まして、政府がこの修正案につきまして、法体系上、立法技術的にいろいろ手を加えましたこのことにつきまして議論がございますが、私は、審議会の答申を尊重いたすという意味は、その基本的精神をくんである程度の立法技術上の点につきましての手心、字句その他について書くことは尊重を害するものではないと、尊重するということは答申をそのまま国会に出すんだという意味ではないと初めから心得ております。そうしてまた、衆議院の修正はやっぱり国会が最高のあれでございますから、その修正につきまして、これを政府がとやこう言うべきではございませんが、議院内閣制から申しまして、やはり与党の修正につきまして、政府が、党員として政府の閣僚がいろいろ意見を交換し、そうして相談の上これが妥当であるということで修正案を出すことも、これは私は当然のあり方だと考えておるのであります。で、政府の原案も答申どおりではございませんが、私は趣旨は十分生かしておると考えておりますし、また国会の修正案につきましても、答申の根本を動かすというふうなあれではなくて、私はしいて言うならば、政府の原案が最良と思っておりましたが、これに対しまして、実際面からこれをはっきりさした点がありますので、かえってよくなったくらいに自分は考えておるのであります。
四つの改正点の問題におきまして昨日もお答えしたと思いますが、事前運動の件、これは私は理論的に申しますると、政府の原案がいいと思っておるのでございますが、実際問題となりますと、なかなかこれはかえって弊害を伴う場合が非常に多うございますので、私は、理詰めで理想を通すか、あるいは現実を見て弊害の少ないようにしていくかという問題で、いろいろ衆議院の質疑応答のところから、各党の意見を聞いてみますと、やはり現実に沿うたほうがいい、こういうのが私は、与党のみならず野党のほうもそういう意見のように受け取られましたので、私は理想ばかりでいかずに現実に即していこう、こういうふうにあれいたしましたので、この点は審議会の答申とかなり離れておりますが、しかし、これは私は現実に即した修正でけっこうであると思っております。
それから四項のうち他の三項につきましては、これはいろいろ問題がございまして、政府で考えておったことをはっきりさしたことであって、趣旨が変わったものとは思っておりません。この修正案のほうが一般によくわかる点において、私はベターだと考えておるのであります。選挙に関する労務者——事務を含むと申しましても私はやはり選挙の労務者、それから選挙運動事務員ということははっきり分けましてやったほうが、今までの私の経験からいっても、これはすっきりするんじゃないか、こういう気持でおりますし、また選挙に関してと、こう申しまするが、この選挙に関してというのを、いつからにするか、なかなかこれは厄介な問題でございます。やはりこれは法というものはわかりやすいことが第一でございますから、私は、衆議院の修正は適当ではないか、われわれの考えた政府の考えと何ら異なっていない、こういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/14
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015・鍋島直紹
○鍋島直紹君 自治大臣に伺いたいと思いますが、この四点の衆議院の修正点でございますが、これを担当大臣とせられて、事務的に、あるいは政令の段階とか、そのほか処理していく場合、こういった点について、原案と、今、総理が言われたように、相当異なった点も出てきております。この点について、まだ通過しておりませんけれども、実際これを担当として事務的に処理していく場合において、支障がないかどうか、あるいはそれについての御所見をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/15
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016・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 大体衆議院の修正点につきましては、今、総理がお答えになったとおりに私どもも考えておりまして、一点を除きまして、あとの三点は、法案の精神をより明確化するということであろうと思います。これにつきましては、私ども格別にもう異議はありませんし、また、これを執行する上から、むしろ明確になった点はやりやすいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/16
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017・鍋島直紹
○鍋島直紹君 次に、もう一つ総理に伺いたいと思いますが、この選挙法の問題につきまして必ず出てきますのは、いわゆる政治資金の問題であろうと思います。これは法律にはそれぞれ書いてあっても、現実の動きとして、政治資金のあり方というもの、それに関連してこの次に伺いたいと思っておるのでありますが、いわゆる選挙というものが、政党政治である限り、政党本位においてこれが行なわれていく、また、そういうふうに行なわれることが当然であり、また自然の姿であるというふうに総理も御答弁になったことがあると思います。したがって、この政治資金というもののあり方、そして公明に使われ、みんながわかるように政治資金の流れというものがはっきりしなければならない。一面において、その政治資金というものは、できるだけ少なく、選挙に金がかかるというふうなことがないようにいかなくちゃならぬというわけでございましょうが、いわゆるこの政治資金のあり方ということについて、大局的に総理としてのお考えを一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/17
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018・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 非常に重要な問題でございまして、私も総裁就任以前からこの政治資金の問題につきましては、いろいろ考慮しておったのでございます。お話のように、政治資金はやっぱりその流れがはっきりしなければならぬ、そうしてできるだけ少なくしなければいけない、しかも、特定のものから多額のものをもらうということは、政党本来の使命でないというふうな気持をもちまして、実は昨年来わが党におきましては、国民協会を設立いたしまして、会費制度と申しますか、一般大衆から広く政治資金を集めよう、こういう努力を重ねてきておるのであります。まだ十分とはいきませんが、私の予期どおりの成績を上げつつございます。やはり政治資金というものは、その政党に関係のある人、あるいは政党支持者から直接に、しかも、できるだけ少ない額を多数の人から出していただくという方向で進んでいきたいと考えております。何と申しましても、政党政治、また政治活動には非常に金のかかるものであります。私は選挙費用を云々する前に、やっぱり政党が政治資金で政策その他の収支をはかるということが先であろう、これをやるならば、いわゆる各人の選挙資金というものも反比例で減ってくるのだ、これが理想と考えて政党資金の調達を明朗かつ広範囲にやっていこうと努力を続けておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/18
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019・鍋島直紹
○鍋島直紹君 この政治資金の問題につきまして、これは自治大臣か、あるいは局長でもいいのでありますが、要するに法定選挙費用というものがあって、現実に届け出るわけでございます。われわれも選挙をして実際において届け出る。往々にしてその届出というものが、いわゆるきめられた額というものが、現実の実際に使われた額との差があるように思われて、そうしてどうも現実に即さない、したがって、いろいろ苦心をして届け出るということにもなる、現実の問題としてざっくばらんに申し上げてなる。こういう点につきまして、審議会においての論議がどうであったか、あるいは今後そういう問題について、まずこれは事務的に処理していく場合、あるいはそれを検討していく場合において、何と申しますか、改正せられるか、そういう点についての御検討をしておるかどうか、こういう点についてひとつお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/19
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020・安井謙
○国務大臣(安井謙君) 法定選挙費につきましては、お話のとおり、現実に即さない面が相当あるのじゃないかということが、審議会におきましても始終御検討になりまして、その結果として、もっと合理的に当然要るべきものは計上すべきものじゃないかというような御意見から、大体現行法の二倍半程度のものにすべしという御意向も出ております。それに従いまして、今政府のほうでも検討いたしておりまして、法定費用の計算はより合理化したものにしたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/20
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021・鍋島直紹
○鍋島直紹君 次に、もう一つ総理に伺いたいと思います。この選挙そのものが、日本の現状においては、政党本位とばかりとは言えないかと思いますが、要するに政党政治というものの本質から考えると、あくまでその政党が政綱、政策を掲げて、そうしてその政党によって大半の選挙というものの費用がまかなわれ、それに所属する候補者によって国民の信を問うて出てくるべき問題だと思います。こういう際に、これは大きな問題かと思いますが、衆議院においては、それが現実に行なわれて、参議院の場合においては、多少そこに政党本位でない場合も出てきておるのじゃなかろうかと思われるのでございます。日本の政治のあり方として、率直に申し上げまして、二院制度、衆議院と参議というもののあり方、あるいは政治というものの政党政治というものをどういうふうに今後持っていくか、しかも、選挙というものを政党政治として政党本位で考えていくという点と、これはやはり日本の政治の今後における根本の問題だというふうに思いますし、特に参議院においては、そういう点に大きな関心を払わなくちゃならぬのがわれわれの立場であろうかと思います。まあ、選挙に関連をしまして政党本位の選挙であるということと、衆議院、参議院の二院制度、特に参議院のあり方、そういう点についての大きなひとつ総理の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/21
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022・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) この問題は非常に重要な問題でございまして、私は自分として今検討はいたしておりますが、結論をまだ出しておりませんので、まことに恐縮でございますが、ここで総理として御答弁申し上げることは遠慮さしていただきたいと思います。
ただ総理としてでなしに、個人的に申しますと、やはり選挙は政党本位であるべきだと、政党本位であるべきだということになると、衆議院の選挙も、参議院の選挙も同じかということになりますと、これはいろいろ説があるようでございます。二院制度の実態からいって、衆議院は政党政治を徹底すべし、参議院はやはり良識の府と申しますか、二院制度のあれからいって衆議院と同じようにあってはならないという議論があるようでございます。それから最近の状況では、やはり二院制度よりも一院制度が多いように私は聞いております。これは正確ではございませんが、私の聞きましたところ、これは間違っておったら取り消しますが、初めの日本の憲法草案につきましては、一院制度の案のようであったと聞いております。それを日本の国情に合わないというので二院制度にしたやに聞いております。いろいろな議論のあるところでございましょう。しかし、私は、日本の国民性から申しましてやはり今のところは二院制度が国民性に合うのじゃないか。そこで、二院制度とした場合に、政党政治との関係はどうかということで問題があると思いますが、これはやはり両方とも一利一害があるのでございます。ただ、やはり各議員の方々の常識によってやっていくのがいいので、一院制度にすべしという議論は、私は今はとらない、こういう気持を持っております。しかし、これはなかなかむずかしい問題でございまして、これは個人的のあれとして、あと責任を負わぬということにさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/22
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023・鍋島直紹
○鍋島直紹君 最後に一つ、総理に政府の今後の方針について伺いたいと思いますが、今度の選挙制度審議会の答申に基づく選挙法の改正案は、現在、まあ、過去において選挙制度において広くいろいろ問題になっておった点をあるいは総合され、あるいはそれを個々に検討されて改正案が出てきておりますが、これは先ほど湯澤委員の覆われましたように、また区制の問題、そのほか根本的な問題が残されておると思います。特に政治資金の問題もしかりでありましょうし、先ほど問題になりました政党本位の選挙をする場合のいわゆる確認団体と申しますか、そういったいろいろな点もございましょう、選挙違反の問題等もいろいろ出てくると思います。で、選挙制度審議会というものが中断されておるというお話もありましたが、一応改正法案をここに出されましたが、まだまだ現在問題になっておる選挙のあり方からこれを改正されたという点は了としますけれども、根本の問題、実際において定数、区制あるいは政治資金あるいは政党本位の選挙、あるいはそのほかにいろいろな根本問題が山積をしておりますし、現実に即してこれを一番公明選挙のあり方とマッチして選挙法の改正というものが行なわれていかなければならぬと私は思います。また、そういった根本的な問題を意図せられて審議会を発足せられ、しかも、それを尊重することによって一大決心をして、政府として、池田内閣の大きな施策として、あるいは重要政策としてお考えになっておる、こういうふうに私は考えるのでございますが、今後の方針ということについてのひとつ政府の御見解を、あるいは御方針を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/23
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024・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) ただいま湯澤委員に対しましてお答え申し上げたとおり、民主政治を育成していく根本でございますので、今後とも選挙制度審議会に御審議願いまして、私はりっぱな選挙制度にしていくと同時に、片一方では、候補君はもちろんのこと、官民一体となって選挙制度の公明、明朗化に努力する、両方から進んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/24
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025・鍋島直紹
○鍋島直紹君 今のに関連しまして、特に私見を申し上げますと、一般的な風潮として、どうも選挙には何か出ると、一般の批判といいますかは、金をうんと使っておるのじゃないかとか、あるいは選挙制度にどこか欠陥があって、その裏ばかり縫って、いわば、よろしくない選挙運動といいますか、常識的には、どうも裏のほうの選挙運動をやっておるといったようなことがあって、結局それがひいては、当選してきて国会で審議する国会議員そのものの品位を傷つけるといったような空気が全然ないとは言えないと思います。そういう意味から、どうしても日本の政治をりっぱにするためには、選挙のあり方を厳重にするとともに、あるいは公明にするとともに、それに伴う一般的な国民の関心——選挙に何か悪いことをして、あるいは法律にすれすれか、あるいは足を違反のほうに突っ込んだような形において当選したのだというような、何か品位を傷つけるとかいったような気持といいましょうか、観念があって、選挙が汚されておる、この選挙をほんとうに国民の関心で、りっぱな選挙をして当選した人が国会議員となって、ほんとうに真剣に国政を審議する形にまで、これは理想かもしれませんが、持っていくことが、これがやはり選挙制度改正の基本だろうと思います。これは個々の国会議員の人格、あるいは識見にもよると思いますけれども、やはり一方からは、選挙制度そのものの改正を思い切ってやっていただきますとともに、それに伴う国民の関心あるいは選挙に対する気持を信頼あるものにしていかなければならぬ。これは一片の法律のみでなくして、やはりそれに伴う公明選挙のPRと申しますか、趣旨を徹底しなければならぬというふうに思うのでございます。したがって、そういう点について、いろいろ総理あるいは担当の自治大臣等において、御苦心になっておるかと思いますが、非常にむずかしいといいましょうか、私の申し上げたのは、ちょっと気持がはっきり言葉に出ませんけれども、そういったことについて、もしございましたら御所見を最後に承って質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/25
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026・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) お話のとおりでございまして、選挙は腐敗したものだという前提のもとに、当選された国会議員の人がいかにも、うしろ髪を引かれるように見られるということは非常に遺憾なことだと思います。これはやはり私は、選挙制度はもちろんでございますが、先ほど申し上げましたように、やはり国民全部がひとつ違反の起こらないように心がけることが必要だと考えております。したがって、選挙の公明化運動につきましては、今後ともひとつ極力この方面に力を入れていきたい、こういう考えでおるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/26
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027・小林武治
○委員長(小林武治君) 暫時休憩します。
午後零時十分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014720X03319620505/27
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