1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月十五日(木曜日)
午後一時三十一分開会
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委員の異動
本日委員森中守義君辞任につき、その
補欠として永岡光治君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 安部 清美君
理事
寺尾 豊君
松平 勇雄君
野上 元君
委員
白井 勇君
新谷寅三郎君
鈴木 恭一君
谷村 貞治君
永岡 光治君
山田 節男君
奥 むめお君
国務大臣
郵 政 大 臣 迫水 久常君
政府委員
郵政政務次官 大高 康君
郵政大臣官房長 金沢 平蔵君
郵政省貯金局長 荒巻伊勢雄君
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本日の会議に付した案件
○郵便貯金法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
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001・安部清美
○委員長(安部清美君) ただいまより開会いたします。
本日、森中守義君が委員を辞任され、補欠として永岡光治君が選任さました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/1
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002・安部清美
○委員長(安部清美君) 郵便貯金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/2
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003・永岡光治
○永岡光治君 これはすでに質問があったと思うのですけれども、貯金の最近における増加状況と、予定の達成といいましょうか、予定の目標額をそれぞれ順調に達成しつつあるのかどうか、その事情をまず、私は重複するかもしれませんけれども、お尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/3
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004・荒巻伊勢雄
○政府委員(荒巻伊勢雄君) 郵便貯金は、最近順調に増加をいたしておりまして昨日現在におきまして予定目標千四百五十億に対しましては、二千四億というふうな数字になっております。通常貯金も六〇%ないし七〇%くらいの割合で予定よりはふえております。定額貯金も大体前年度よりも数パーセントふえておりますし、目標に対しましておおむねこれを達成するという状況になっております。積立貯金も大体同様、全体といたしまして非常に好調でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/4
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005・永岡光治
○永岡光治君 お話によれば、比較的順調に伸びているように伺っておりますが、しかしこの目標額を達成するについては、地方に参りましてそれぞれこの事業に携わっている方々の御意見を伺いますと、ずいぶん御苦労して達成に努力しているそうでございますが、その際に訴えられる問題の一つに、しかもほとんどの各回の国会の委員会でも問題にされておるわけでありますが、この積み立ての額に対する運用といいましょうか、その問題について、郵政省はもう少し発言権の強いような運用ができないものか、つまり預金部一任という形でなくて、端的に言えば、郵政省でこれを運用できないものかどうか、たとえば簡易保険のごとくですね。そういう声が強いのでありますが、一向にこれが解決されておりませんが、これまでの郵政当局の努力の経過、どういう折衝を具体的にされたのか、そしてどこまで今進んでおるのか、そういう問題を、もし努力されているとするならば、御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/5
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006・荒巻伊勢雄
○政府委員(荒巻伊勢雄君) 貯金の運用の問題につきましては、事務当局といたしましては、いろいろと検討は続けて参っておりますけれども、対大蔵省との折衝に入ったというようなところまでに至っておりません。長い間のたいへん懸案でございますけれども、何分にも問題が非常に大きいのでございまして、検討はして参りましたのでございまするけれども、具体的折衝という段階には、まだ入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/6
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007・永岡光治
○永岡光治君 どうもきわめて残念でございますが、長年問題になっているのですけれども、大蔵省との一回の折衝もないというに至っては、当委員会のわれわれの誠意をどれほど尊重していただいているのか、きわめて遺憾に思うのであります。ほんとうにやってないのですか。これは郵政大臣がおいでになりますから、ひとつ大蔵関係になじみの深い大臣でありますから、御意見を承っておきたいのですけれども、運用権が全部返るか返らないかは別として、そういう方向に努力しておるのか、そこまでいかないとしても、その過渡的段階としてこういう方法があるではないかというようなことについて何かのお考えがあるのかお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/7
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008・迫水久常
○国務大臣(迫水久常君) 政府の預金部の資金の大宗が郵便貯金であるといことは、預金部制度が始まりましてから以後の長い伝統でありまして、結局具体的に言えば、大蔵省預金部というものの所管を郵政省に移してくるかどうかという問題になってくるわけでありまして、私は、それを簡単に交渉に入っても、とうていそれは成功の見込みはないように思いますので何かきっかけといいますか、どうしてもこちらでやらなければならぬのだという、そういう理由を発見するように、頭の中の一部ではそう考えておるのですけれども、今具体的にこれをいつどういうようにして大蔵省と交渉しようかという構想がまとまっておるわけではないことは申しわけありません。しかし、郵政省に来まして、郵便貯金を集めるのに非常に苦労しておる郵政省が、運用についてはほとんど発言権がないという現状について、初めて私は認識を新たにしたような次第でありまして、この問題については今後ずっと長く私は研究をしてみたい、かりに郵政大臣でなくなった後も、この問題については研究をしてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/8
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009・永岡光治
○永岡光治君 おそらく大臣もそういうふうに御答弁になるのじゃないかと思ったのです。歴代の大臣が皆そういう答弁をされておるわけです。大臣になってみて初めてその重要さといいましょうか、必要性を感ずるのだが、今後研究してできるだけそれに沿うように努力いたしますというのは、これはいつも、どの大臣も繰り返されております。しかし、もうこれは私が国会に議席を持ちました昭和二十八年、私自身の例につきましても、すでに九年間これを叫び続けたわけでありますけれども、肝心の郵政当局はまだ一回も折衝もしていないし、検討はしておるというのですが、まあ意地悪い質問をすれば、どこまで検討してどういう案ができましたかと聞きますればお困りになることはわかりますから、そういう意地悪い質問はいたしませんけれども、少なくともある程度はできるのじゃないかと思われることがあるわけです。つまり預金者に対して貸付の方法ができないものかどうか、その程度のある一定の——すべての額でなくても、預金部の額の一部を郵政のほうにまかしていただいて、そういうことはできないものかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/9
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010・荒巻伊勢雄
○政府委員(荒巻伊勢雄君) 今のお話のような預金者の担保による貸付、あるいは振替貯金の加入者の当座貸し起し制度といったような、資金運用全体から見まして、たいして財政投融資のワクを動かさなくて済むような、あるワクのもとに預金者への貸付制度というものが、いろいろ考えられるのでありまして、そういうような形で私どもも実は検討をして参ってきておるわけでございますが、実は三十二年当時におきまして預金者貸付の当座貸し越しという形で、ごく事務的な連絡を大蔵省とやった経緯はございまするけれども、話がつかずに今日に及んでいるというようないきさつもあるわけです。預金者を中心とした何らかの貸付上の有利な体制を考えていくというようなことも、今後も十分に検討を続けさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/10
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011・永岡光治
○永岡光治君 やはり個々人に対しての貸付が非常に危険というような状態があるとするならば、少なくとも私はそういう個人の集まりの団体等が設立されたとするならば、そういうような法人といいましょうか、団体といいましょうか、そういうものに対して、ある相当額を貸し出せるような道を開いてやらないと、ただいただくだけで、借りられる便法がないということは、金融制度ではおかしいと私は思いますので、いかに国家が経営するといえども、やはりこれはおかしいと思いますので、そういう御検討を早急に具体的ににひとつ検討していただきたいと思います。次の臨時国会あるいは通常国会までに、私はぜひこの点が実現できて国会に報告できる段階までにしていただきたいと思います。どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/11
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012・荒巻伊勢雄
○政府委員(荒巻伊勢雄君) 事務的にはさようなことで作業をするつもりでございますが、何分にも対大蔵省の関係のあることでございますから、臨時国会というような今のお示しのような点に、はたして参りますかどうか、いささか自信がございませんが事務的には作業を続けて参るつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/12
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013・迫水久常
○国務大臣(迫水久常君) 私さっそくそれを事務当局と一緒に共同して研究して、個人預金者に対する貸付は、簡易保険における加入者に対する貸付と同じような限界において預金者に貸し付ける具体案というものを、ひとつ作ってみたいと思います。それで大蔵省とやり合う勇気もありますけれども、臨時国会、次の通常国会、私が大臣であれば、やるくらいの決意を持っていますけれども、郵政省の婿養子、間もなく離縁になるのじゃないかと心配しておりますが、できるだけひとつがんばってやってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/13
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014・永岡光治
○永岡光治君 今、大臣から非常に力強い御答弁をいただきまして、こいねがわくば引き続き大臣をやっていただきたいと思いますが、不幸にしてかりに郵政大臣の職を離れましても、有能である大臣でありますので、その実現に向かって省外協力と申しましょうか、おそらく大臣の当選は間違いないわけでありますから、国会におきましてもひとつ大いに御尽力をいただきたいことを要望しておきたいと思います。
それからもう一つお尋ねしておくというよりも、私はむしろこれこそ大臣の政治力に期待しなければならぬと思うのでありますが、貯金、保険という大蔵省の預金部の原資の大半を占める資金は、郵政当局がこれを尽力してそこへ集めているわけでありますが、その恩恵が郵政当局に返ることきわめて薄いわけであります。局舎の建設にいたしましても、大臣もすでに御承知のとおり新築をいたしますと、すでにもう局舎の狭隘を訴えるというのが問題の実情でありまして、その原因とするところは、建設資金の少ないところに由来しているわけでありますが、こういう、成長産業と違いまして、非常に苦しい財政の郵政事業であればあるだけに、私は国家としても思い切った財政措置、援助措置を必要とすると、そういう意味からいたしましても、自己資金をあまり使わずに、やはり借り入れ資金でそれぞれの固定資産に相当するものは拡充するのが妥当であるように思うのであります。この問題も教団の国会におきましても絶えず要望して参ったのでありますが、本年は大臣の御尽力によりまして、比較的取れたようでありますが、しかしこれといえども、全国の狭隘な局舎の実情から見ますと、まだまだはるかに及ばざること遠いのでありまして、そういう意味から、ぜひそういう方面についての預金部の郵政省に対する貸付といいましょうか、そういう問題について一段の努力をいただきたいということが第一点。それからもう一つは、実は財政金融の面に影響いたしますけれども、預金部の資金をもとにしたいろいろ公団その他の事業団体がたくさんございます。しかし、これらの団体の職員あるいは役員というものは、大半が大蔵省でございます。これがわが郵政——わがといいますとたいへん失礼でありますが、当委員会に席を置いております私どもとしては、郵政省はどうしてそういうところへ行かないのか。今管理者層で退職をされる人、また管理者層でない人で退職される人も、ずいぶんやめた後の生活は苦しいのでありまして、しばしば例に言うわけでありますが、本省の局長さんクラスは比較的これはめんどう見やすい立場にありますが、そうでない現業の局長さん、しかも婚礼の適令期や学校に行っている子供をかかえている人で、やめなければならない人がたくさんあるわけであります。その退職後における生活がめんどう見られておりません。郵便局にインキを売ったりあるいはペン先を持って来て生活を補っているというような気の毒な方々もいるわけでありますが、そういうめんどうの見方だって、郵政当局は足りないわけであります。そういう面からいたしましても、この預金部の資金を活用して、それぞれの事業をやられる団体等については、思い切って郵政当局も管理者なり職員を送るべきじゃないか、こういうことを私は主張して参ったのでありますが、これまた歴代大臣もそのように努力しますと言っておりますが、この前も私は官房長、今貯金局長になっておいででありますが、官房長のときに、名簿を出してくれ、どれだけ郵政当局から行っているかということで、名簿を出してもらったのでありますが、りょうりょうたるものであります、これも。したがって、この金額を引き上げるのを契機にいたしまして、かなりこれまた相当多額を預金部の資金に送られるのでありましょうから、思い切ったそれらの措置も実力のある郵政大臣に期待をいたしたいと思うのでありますが、ひとつその御決意といいましょうか、誠意のほどを私は承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/14
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015・迫水久常
○国務大臣(迫水久常君) ただいま永岡さんのおっしゃいましたことは、私も郵政大臣になりまして非常に感じました。大蔵大臣にそのことを、正式にということではありませんが、雑談的に申しましたことは何べんかありますが、まじめにひとつ大蔵省とも折衝して、御要求に沿いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/15
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016・永岡光治
○永岡光治君 集める職員がやはり関心を持っておることは、どのように有効に使われるかということに非常に関心を持っているわけです。勧誘する場合にもそういう観点から説得されるわけでありますから、その資金が活用されることを、監視というとたいへん失礼にあたるかもしれませんですが、十分その効果を生かすように使われているのだという安心感を与えることも一つの私は職員の激励にもなるし、一つの希望にもなると思いまして、理屈は申し上げませんが、要するに、実情はそうだということを十分お考えいただきまして、一段と大臣の御尽力を期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/16
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017・安部清美
○委員長(安部清美君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/17
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018・安部清美
○委員長(安部清美君) 異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のある方はどうぞ順次賛否を明らかにしてお述べをお願います。——別に御発言もなければ、討論は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/18
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019・安部清美
○委員長(安部清美君) 御異議ないと認めます。
これより採決に入ります。
郵便貯金法の一部を改正する法律案を、原案どおり可決することに賛成の方の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/19
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020・安部清美
○委員長(安部清美君) 挙手総員と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/20
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021・安部清美
○委員長(安部清美君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
本日はこの程度にとどめておきます。これにて散会いたします。
午後一時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014816X00519620215/21
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