1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月十三日(火曜日)
午前十時三十七分開会
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委員の異動
二月八日委員山本利壽君辞任につき、その補欠
として中野文門君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 河野 謙三君
理 事
石原幹市郎君
鶴園 哲夫君
山本伊三郎君
委 員
上原 正吉君
下村 定君
一松 定吉君
吉江 勝保君
伊藤 顕道君
松本治一郎君
国務大臣
運 輸 大 臣 斎藤 昇君
国 務 大 臣 藤枝 泉介君
政府委員
内閣官房長官 大平 正芳君
総理府総務長官 小平 久雄君
総理府恩給局長 八巻淳之輔君
防衛政務次官 笹本 一雄君
防衛庁長官官房
長 加藤 陽三君
調達庁長官 林 一夫君
調達庁総務部長 大石 孝章君
調達庁不動産部
長 沼尻 元一君
大蔵省日本専売
公社監理官 谷川 宏君
運輸大臣官房長 広瀬 真一君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 高橋 末吉君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
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本日の会議に付した案件
○運輸省設置法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
○恩給法等の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○総理府設置法等の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○防衛庁設置法等の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○公共企業体職員等共済組合法の一部
を改正する法律案(内閣提出)
○国の防衛に関する調査(太田大泉飛
行場返還に関する件)
○国家行政組織及び国家公務員制度等
に関する調査(恩給に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/0
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001・河野謙三
○委員長(河野謙三君) これより内閣委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。二月八日山本利壽君が辞任され、中野文門君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/1
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002・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 次に、昨日、予備審査のため、本委員会に付託されました運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。政府から提案理由の説明を聴取いたします。斎藤運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/2
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003・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
今回の改正の第一点は、本省の付属機関として、港湾技術研究所を新設することであります。
最近、技術的にきわめて高度化している港湾工事の能率的な遂行をはかるためには、港湾技術に関する研究、調査、試験、設計の業務を一貫して総合的に行なう必要がありますので、運輸技術研究所の港湾関係部門を母体とし、これに港湾局調査設計室を統合して港湾技術研究所を設けることといたしたのであります。
次に、改正の第二点は、本省の付属機関として、館山海員学校を設けることであります。
海員学校は、現在、全国に九校が設けられ、年間千数百名の海員の養成を行なっておりますが、船腹量の増加とともに、海員学校卒業者の需要が増大しつつありますので、館山市に海員学校を設けることといたしたのであります。
改正の第三点は、本省の付属機関として、海運企業整備計画審議会を設けることであります。
これは、海運業の企業基盤の強化をはかる目的で、個々の海運会社の整備計画を審議するための諮問機関として設けるものであります。
改正の第四点は、自動車審議会の廃止に伴う規定の整理を行なうことであります。
自動車審議会は、自動車に関する施策に関する重要事項を調査審議するため昭和三十五年七月に設けられたもので、その存続期限は本年三月三十一日までとされております。同審議会は、発足以来三十数回にわたる審議を重ね、近くその審議を終える運びとなりましたので、このたび同審議会の廃止に伴う所要の規定の整理をいたすこととしたのであります。
改正の第五点は、航空交通管制本部の所在地の変更であります。同本部は、都下久留米町に庁舎を新設中でありましたが、近くその建設を終え、移転を開始することとなりましたので、所在地を改めることとしたのであります。
改正の第六点は、気象庁研修所の名称を気象大学校に改めることであります。
気象庁研修所は、気象庁の職員に対して、気象業務に従事するため必要な教育及び訓練を行なう機関でありますが、その教育内容は、短期大学と同程度のものでありますので、実態に即するよう名称を改めることといたしたのであります。
このほか、事務の円滑な処理をはかるため、運輸省の常勤の職員の定員を、昭和三十七年度において、千三百三十八人増加し、三万二千百五十九人に改めることといたしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/3
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004・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 以上で提案理由の説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/4
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005・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 次に、二月八日、予備審査のため、本委員会に付託されました恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。政府から提案理由の説明を聴取いたします。小平総理府総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/5
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006・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
この法律案による措置の第一点は、恩給年額の改定であります。
現在、旧軍人及び昭和二十八年以前退職の文官並びにこれらの遺族の年金たる恩給は、原則として公務員のいわゆる一万五千円ベース給与の俸給を基準として算定されているのでありますが、その後における公務員給与の引き上げ、生活水準の上昇等を考慮し、公務傷病者、公務死没者の遺族に重点を置きつつ、恩給の年額につきまして、次のような改善の措置を講じようとするものであります。
まず、一般退職者及びその遺族の恩給の年額につきましては、公務員のいわゆる二万円べース給与の俸給を基準として算定した額、すなわち、二〇%前後増額した額に引き上げることとし、また、公務傷病者及び公務死没者の遺族の恩給の年額につきましては、原則として公務員のいわゆる二万四千円べースの俸給を基準として算定した額、すなわち、三六%前後増額した額に引き上げよちとするものでありすす。
右の措置は、昭和三十七年十月から実施いたしますが、急激な財政負担を避けるため、三カ年にまたがる年次計画によってこれを処理することとし、その実施につきましては、公務傷病者なかんずく重症者、遺家族、老齢者を先にするよう配慮いたしました。
次に、右の増額措置に伴いまして、昭和二十九年以後の退職者及びその遺族につきましても、これに準ずる措置を講じ、また、普通恩給についての多額所得者に対する恩給停止基準につきまして、所要の改正を行なおうとするものであります。
この法律案による措置の第二点は、刑に処せられたことまたは懲戒等の処分によって、年金たる恩給に関する権利を失った者に関するものであります。
これら刑に処せられ、または、懲戒処分等により年金たる恩給を受ける権利を失った人々のうちには、その後の一般的復権、恩赦等を考慮いたしますと、将来に向かっては、年金たる恩給を受けることができるようにするのが適当と考えられる人々がありますので、この際、その通を開くこととしようとするものであります。
以上が、この法律案の提案の理由及び概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/6
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007・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 以上で提案理由の説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/7
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008・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 次に、二月十日、予備審査のため、本委員会に付託されました総理府設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から提案理由の説明を聴取いたします。小平総理府総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/8
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009・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) ただいま議題となりました総理府設置法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明いたします。
この法律案は、第一は、総理府の付属機関のうちその任務を終了した訴願制度調査会を初め五つの調査会、審議会を廃止し、新たに港湾労働等対策審議会、交通基本問題調査会、補助金等合理化審議会及び輸出会議を設置するため所要の改正を行なうものであります。第二は、総理府本府、宮内庁及び内閣官房の定員改正であります。第三は、国が指定都市に対してその青少年問題協議会の運営に要する経費を補助することができることとするためのものであります。第四は、法制局の名称を内閣法制局と改めるとともに一部増設を行なおうとするものでありまして、これら関係法律の改正を一括して総理府設置法等の一部を改正する法律案といたしたものであります。
次に、本案の内容でありますが、第一条は、総理府設置法の一部改正であります。
総理府の付属機関である訴願制度調査会、固定資産評価制度調査会、農林漁業基本問題調査会、公営競技調査会及び町名地番制度審議会は、それぞれ最終答申がなされ、その任務を終了いたしておりますので、削除しようとするものであります。
税制調査会は、昨年十二月に最終答申をいたしましたが、その答申の中で「今後とも租税制度の諸問題について、しかるべき機関により引き続いて審議が行なわれることを希望する。」と述べております。政府は、これを受けて、租税制度に関する基本的事項に恒常的に調査審議するため、名称は同じでありますが、新たな機関としてこれを設置しようとするものであります。
新たに設置される審議会等について順を追って御説明いたします。
まず、港湾労働等対策審議会について申し上げます。港湾に関しましては、運輸省の港湾審議会で所掌しております港湾施設の整備のほか、港湾労働の雇用の安定あるいは船込み緩和等取り急ぎ解決すべき問題があります。この際総合的な立場から民間学識者の意見を伺い、従来とってきた諸施策の強化改善をはかるため、二年の期限を付して新たにこの審議会を設ける
ことといたしました。
第二は、交通基本問題調査会であります。現下の交通情勢は、路面交通混雑の激化、交通事故の激増等日に日に悪化の一途をたどり、しかも、これに対処すべき交通行政が現在きわめて輻湊した状態にあって、総合的な対策の推進がおくれている実情にかんがみ、二年の期限を付して、総合的な陸上交通施策に関する基本的事項を調査審議するため、この調査会を設けることといたしました。
第三は、補助金等合理化審議会であります。今日、補助金、負担金、交付金等国の地方公共団体に対する財源の交付額は、六千億円の多額に達し、国及び地方の財政上、重要な地位を占めております。今後これらの補助金、負担金、交付金等の諸制度をいかに合理化していくべきかは重要な問題でありますので、国及び地方財政全般の見地から、これら諸制度の合理化問題を調査審議するため、二年の期限を付して、この審議会を設けることといたしました。
第四は、輸出会議であります。政府は、輸出振興の重要性にかんがみ、昭和二十九年閣議決定により輸出会議及び産業別輸出会議を置き、今日までかなりの成果を上げて参りました。このたび、これを法律上の機関とし、政府及び民間の意思を統一して輸出振興を期するため、名実ともに恒久的な機関とするものであります。
また、総理府の定員三千四百八十人を四千二十九人に改めておりますが、この増員は、総理府の新庁舎の完工及び沖縄に対する技術援助等による事務量増加のための新規増十五人と、常勤及び賃金労務者五百三十四人の定員化に伴うものであります。なお、新定員のうち百二十五人は、昭和三十八年度における昭和三十五年国勢調査に伴う事務量の減少を推定して、昭和三十八年三月三十一日までのものである旨を規定いたしたした。
第二条は、青少年問題協議会設置法の一部改正であります。
政府は、地方における青少年問題協議会の活動の促進をはかるため、都道府県に対しては昭和二十八年度以来補助金を交付して参ったのでありますが、いわゆる五大市は、その人口規模及びその処理する事務の内容からいたしましても都道府県と対比さるべき実体を備えている上に、最近の傾向である青少年の都市集中化は特にこの五大市において著しく、かつまた、数多くの青少年問題を包蔵している地域でありますので、これら五大市の青少年問題協議会の活動を一段と強化し、総合的な青少年対策をさらに推進するため、その運営費の一部について補助を行なおうとするものであります。
第三条は、同和問題の実態調査を実施するため、同和対策審議会の存続期限を二年間延長しようとするものであります。
第四条においては、宮内庁の定員千百五人を千二百三人に改めておりますが、これは、三人の新規増と、常勤労務者等九十五人の定員化であります。なお、第五条は、内閣官房における賃金労務者一人の定員化を行なうため、定員七十人を七十一人に改めるものであります。
第六条は、法制局設置法の一部改正でありますが、おもな改正点は、本年七月一日から、現行の三部制を四部制に改める点であります。これは、きわめて大量に上る法律案、政令案及び条約案の審議、立案の事務を適切に処理していくために、一部を増設して各部の規模の適正をはかり、その機能を向上させようとするものでありまして、このための増員は、部長以下三人という最小限度にとどめております。また、現在内閣の法制局が単に「法制局」と呼ばれているため衆、参両院の法制局とまぎらわしいので、実際上の不便を除くため、部の増設と同時に、「内閣法制局」と改称することとし、これに伴って、法律の題名及び法制局長官、法制局次長等の官名を改めることといたしております。なお、法制局の定員につき、長官、次長のほか、六十五人を六十九人に改めておりますが、これは、さきに御説明しました部の増設に伴う三人の増員と、賃金労務者一人の定員化のためであります。
最後に、法制局の職員の官名等の改正に伴い国家公務員法等関係法律に所要の改正を加えました。
以上が、この法律案の提案の理由及びその概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/9
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010・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 以上で提案理由の説明は終了しました。自後の審査は、これを後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/10
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011・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 次に、昨日、予備審査のため、本委員会に付託されました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から提案理由の説明を聴取いたします。藤枝防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/11
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012・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) ただいま議題となりました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容の概要について御説明申し上げます。
まず、防衛庁設置法の改正について御説明いたします。
第一に、現下の情勢にかんがみ、引き続き国力国情に応じて防衛力を整備するため、さきに決定した第二次防衛力整備計画にのっとり防衛力の内容充実に努めることとし、昭和三十七年度において定員としては防衛庁の職員を二千七百六十八人増加しようとするものであります。その増員二千七百六十八人のうち千九百十四人が自衛官で、残りの八百五十四人が自衛官以外の職員であります。自衛官の増加は、海上自衛隊及び航空自衛隊におけるものでありまして、海上自衛隊における増員は、千百九十四人で、艦艇及び航空機の増加に伴い必要とされる人員の配置に伴うもの及び既設部隊の内容充実等のために充てるものであります。また、航空自衛隊における増員は、七百二十人で、飛行隊の新編、補給部門の拡充及び既設部隊の内容充実等のために充てるものであります。
第二に、最近における自衛隊及び駐留軍の施設に関する問題の重要性及び相互関連性にかんがみ、自衛隊及び駐留軍の施設の取得、管理及びこれに関連する事務を一元的に処理する機構を整備するため、防衛庁に参事官一人を増員するとともに、防衛庁本庁の建設本部と調達庁とを統合し、新たに防衛施設庁を設置することといたしました。新設される防衛施設庁は、従来の防衛庁本庁の建設本部及び調達庁の業務のほか、従来各自衛隊で行なってきた漁業補償等の実施の業務を行なうことをその任務とすることといたしておりまして、防衛施設庁の定員は、その発足に際しては建設本部の定員と調達庁の定員の合計でありますが、昭和三十九年度末までに二百人を計画的に減員し、昭和四十年四月一日以降三千三百八十七人にしようとするものであります。
防衛施設庁には、長官のほか次長及び技術審議官を置くこととし、内部部局としましては、総務部、施設部、建設部及び労務部の四部を置くことといたしました。また、地方支分部局としましては、札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、呉及び福岡に防衛施設局を置くこととし、さらにこれらの所掌事務の一部を分掌させるため、支局その他の機関を置くことといたしております。防衛施設庁の職員は、労務部に勤務する職員等直接自衛隊の任務の遂行に関連を持たない者を除きまして、すべて隊員として特別職に属するものとし、その身分取り扱いについては自衛隊法の定めるところによることといたしました。
次に、自衛隊法の改正について御説明いたします。
第一に、前に述べましたような理由により、防衛施設庁を設置することといたしましたので、防衛施設庁のうち自衛隊の任務遂行と直接関連を持ちますものは、これを自衛隊の中に含ませることとし、これに勤務する職員はすべて隊員とし、これらの隊員の任免等につきましては、防衛施設庁長官またはその委任を受けた者が行なうこととするとともに、自衛隊内における人事管理の統一性を確保するため隊員の人事管理の基準は防衛庁長官が定める旨を明定いたしました。なお、防衛施設庁の隊員の懲戒処分等に対する審査請求につきましては、他の隊員と同様、直接防衛庁長官に対して、審査請求し、公正審査会の審理を受け得るようにいたしております。
第二に、航空自衛隊においては、整備、補給、通信等の術科教育を四つの術科学校で実施しておりますが、今回、従来航空管制業務についての教育訓練を行なって参りました管制教育団を学校に改組するとともに、これらの各術科学校を管理するため術科教育本部を新設し、術科教育の体系を整備することといたしました。
第三に、予備自衛官の員数を二千人増加し、一万九千人に改めるとともに、訓練招集命令を受けた予備自衛官についての訓練招集命令の取り消しまたは変更の条件を緩和することとしました。
第四に、自衛隊が訓練のため水面を使用する必要がある場合には一定の区域及び期間を定めて漁船の操業の制限または禁止を行なうことができることとなっておりますが、試験研究のためにもこれらの措置をとり得るよう規定の整備をはかっております。
第五に、第七航空団司令部の所在地の変更等に関する規定を設けております。
なお、防衛施設庁の設置の日は、この法律の公布の日から起算して十月をこえない範囲内において政令で定めることとするとともに、その際建設本部及び調達庁の職員である者は、別段の辞令を発せられない限り、防衛施設庁の職員となることとする等所要の経過措置に関する規定を設けております。
以上法律案の内容を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/12
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013・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 以上で提案理由の説明は終了いたしました。自後の質疑は、これを後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/13
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014・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 次に、公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から補足説明を聴取いたします。高橋国有鉄道部長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/14
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015・高橋末吉
○政府委員(高橋末吉君) ただいま議題となりました公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案につきましては、さきに提案理由でその概要を御説明申し上げたところでありますが、なお、若干補足して御説明申し上げます。改正の要点は、四つでございます。
まず、第一点は、第三十八回国会における健康保険法の改正がありましたことに伴う改正であります。
同法では、分べん費として標準報酬月額の半額を支給することとしておりますが、この改正により、報酬月額の少ない者にも最低保障として六千円を支給することとし、配偶者分べん費については、従来一千円であったものが三千円に改められました。また、育児手当金については、従来千二百円であったものが二千円に改められました。その結果、本法の給付において実例としては、ごくわずかであると思われるのでありますが、健康保険法の給付を下回る場合が予想されることとなりました。このような不均衡は、健康保険法第十二条第二項におきまして、「共済組合ノ給付ノ種類及程度ハ本法ノ給付ノ種類及程度以上ナルコトヲ要ス」と規定されております趣旨からいいましてもぜひとも是正されるべき事柄でありますので、本法におきましても今回出産費について、六千円、配偶者出産費については三千円の最低保障額を設け、育児手当金を二千四百円の定額と改めることとした次第でありまして、これは、第三十七条及び第三十八条の改正によって措置することといたしております。なお、この額は、さきに第三十八回国会で改正されました国家公務員共済組合法と同じであります。
第二点は、同じく第三十八回国会における恩給法等の改正が行なわれまして、これに伴う改正であります。
同法では、この改正によりまして、旧日本医療団及び外国政府の職員期間を一定の要件のもとに恩給の在職年に算入することといたしましたので、恩給法を受け継いでおります本法におきましても、それと同趣旨の改正を行なうこととしました。すなわち、旧日本医療団及び外国政府の職員期間の組合員期間への算入につきましては、附則第五条第一項第一号に(へ)を追加し、さらに、恩給法の適用のない雇用人であって、旧日本医療団職員や外国政府職員となった者などにつきましては、任官者とのバランス上その期間を資格期間として、附則第十一条に追加することといたしました。この措置によりまして、専売十人、国鉄八十五人、電信電話公社七十人程度が改正規定の適用を受けることとなります。また、恩給法の改正におきまして、軍人恩給について、一定の範囲内の戦地加算年を資格期間として認めることとなりましたので、これに伴い、本法におきましても軍人普通恩給等を選択受給し得る等の措置をとることとし、そのために附則第五条第一項ただし書及び附則第九条を改正し、改正法附則第七条及び第八条を設けることといたしました。
第三点及び第四点は、第三十八回国会における本委員会の附帯決議の立法化でございます。
すなわち、第三点は、再就職者の前後の組合員期間の合算でありまして、第十五条第二項及び第三項、第五十条の二、第五十三条の二、第五十三条第六項及び第七項、附則第十七条の二、改正法附則第四条等の規定が、これに関するものでございます。この措置によりまして、現在の組合員中、専売五人、国鉄百八十人、電信電話公社九十人程度が前後期間を合算されることとなりますが、将来における効果は、なお大きいものがあると期待しております。
第四点は、更新組合員等の旧令共済組合の組合員であった期間の実期間化でありまして、附則第五条第一項第三号の改正、改正法附則第五条等によって措置いたしております。旧令共済組合員期間を有する組合員は、専売二千七百五十人、国鉄六千人、電信電話公社二千九百人、計一万一千六百五十人程度おります。
以上四点がおもな改正点でありますが、その他更新組合員で国家公務員に転出した者、あるいは国家公務員から公社職員となった者で更新組合員の取り扱いを受けた者、すなわち転出入組合員につきまして国家公務員共済組合法で新たに認められることとなりました特殊法人であった時代の旧特別調達庁の職員であった期間や、さらには公庫公団等の職員であった期間を組合員期間に算入するために附則第五条第三項第三号、附則第二十四条第一項等を改正することといたしておりますほか、本法施行後五年半の実績にかんがみまして、若干の条文の整理などを行なっております。
以上が、本法律案の補足説明でございますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御可決下さいますよう、重ねて、お願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/15
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016・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 以上で補足説明は終了いたしました。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/16
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017・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 速記をつけて。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/17
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018・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 次に、国の防衛に関する調査を議題とし、群馬県太田大泉飛行場の返還に関する件の調査を進めます。
政府側出席の方は大平官房長官でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/18
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019・伊藤顕道
○伊藤顕道君 群馬県の太田大泉飛行場返還の問題については、赤城長官時代からの問題で、もうすでに足かけ三カ年になっており、知事初め百六十万県民の強い要望であるわけですが、歴代の防衛長官と前丸山調達庁長官も、期日を付して確約しているにもかかわらず、いまだにこれが行なわれておらない。そこで詳しくその経過等についても申し上げたいのですが、官房長官たいへん御多忙で約十分ほどとおっしゃるので、特に官房長官でなければならぬ問題だけにしぼって一、二お伺いしたいと思いますが、官房長官については、昨年八月十五日だったと思いますが、群馬県の代表が毎回陳情しておるわけですが、この日はちょうど八月十五日で、この返還問題について官房長官にいろいろと陳情申し上げたわけです。その際あなたは、どのようにその陳情団に対して御回答になったの 、か、まずこのことからお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/19
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020・大平正芳
○政府委員(大平正芳君) 現地の実情は、伊藤先生も御承知のように、一部の地区が解除になりまして、残存地区の利用の度合いもひんぱんでないということで、返還を求められる側の御要望はきわめて常識的だと思います。で、そういった御趣旨を体して、政府としてもできるだけ努力をして参りますという趣旨のことを申し上げたように記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/20
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021・伊藤顕道
○伊藤顕道君 陳情団にも会って私は伺ったのですが、あなたはその際こういうふうなことを、「てにをは」は違うかもしれませんが、大体、以下申し上げるようなことを御回答になっておるわけです。「全国各地の基地問題について総合的な調査を進めておりますので、個々の陳情という形ではどうしても弱いから、今後は閣僚基地問題懇談会で太田大泉飛行場返還問題を検討議題として、この先解決には政府折衝によって早急に解決をはかりたい」、こういう意味のことをおっしゃっておると思いますが、まず、このことを確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/21
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022・大平正芳
○政府委員(大平正芳君) そのことに間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/22
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023・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、これは八月十五日ですから、すでにその陳情団に対しての約束、から半年、約六カ月を経過しておるわけですね。この六カ月の間に閣僚基地問題懇談会で検討議題に何回なったか。そして政府折衝の面はどのように具体的に進められておるのか、これをひとつ具体的にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/23
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024・大平正芳
○政府委員(大平正芳君) 基地問題等閣僚懇談会は去年設けまして、数回の会合を開いておりますが、この閣僚会議に提案いたしまする案件は、事務当局間の折衝で処理できない性質のものを、より高度の立場で御解決いただくという趣旨でやっておるわけでございます。太田の問題につきましては、閣僚懇談会に持ち上げるまでの段階に立ち至っておりません。という意味は、閣僚懇談会まで持ち上げなくてもこの問題の処理はできるのではないかと思っております。現在の政府がこれまでやっておりますことは、米軍が代替地があれば返還に応じましょうと、しかもその代替地についての米軍の要求等について、たびたび事務当局で打ち台わせを行なっておりますが、米軍側の要望もほぼ明らかになっております。そして代替地候補地につきましても米軍側と日本政府側で共同調査を行なっておりまするし、その過程を通じまして日米双方の専門家による認識もたんだん帰一をするようになっておりまするので、この状態を早急に進めて参ることによりまして、この問題については善処できるのではないかと思っておるわけでございます。そういった道程で、どうしても砕けないという問題点がございますれば、閣僚会議に提条することにやぶさかではないのございますけれども、本件につきましては私どもそういうような感じを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/24
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025・伊藤顕道
○伊藤顕道君 陳情団に対しては、あなたは、閣僚基地問題懇談会でひとつ検討議題として、そうして調達庁あるいは防衛庁だけの問題でなく、政府折衝によって——政府折衝というのはそういう意味だと思う。政府折衝によって早急に解決をはかりたい、こういう意味についてあなたは陳情団に対してお答えになっているでしょう。ところが、その後六カ月も経過して、実際には何ら閣僚基地問題懇談会にも取り上げられていないということ、そうしますと、ただそのとき、口出まかせに陳情団にただそのときの気持を言うだけで、何ら忘れてしまった、そういうことになると思うのです。これはきわめて無責任じゃないですか。一国の官房長官ともあろう方が、いやしくも県の代表団に対して閣僚基地問題懇談会で検討議題として政府折衝によって解決をはかりたい——それがもうすでに半年もたっておって、まだ閣僚基地問題懇談会に取り上げるところまでいっていない。これは前の赤城長官から江崎、西村、藤枝と、四代の長官にわたって今日にきているわけです。しかも、赤城長官と江崎長官については、何年何月までに解決するようにいたしたい。期日まで付して確約されているわけです。そうしてまた、今あなたが御指摘になった、共同調査ということを言われますけれども、この代替地についての共同調査については、最近の藤枝長官になって初めてその段階になったわけではないわけで、もうすでに江崎長官時代から、代替地について共同調査を進めているので早急に解決をはかりたい、いつ幾日までには解決できるであろう、またしたい、こういうふうに答えておられるわけです。あまりにも誠意がなさ過ぎるじゃないですか。陳情団に対してそういうふうに、内容についてはもう繰り返しませんが、そういう確約をされて、しかも六カ月もたっておって、現在なおこの問題について閣僚基地問題懇談会において取り上げられていないということは無責任だと思う。
この前、十二月八日の当内閣委員会で、あなたお見えにならなかったので、藤枝防衛庁長官を通して、あなたにそのことをひとつお伝えいただきたい、近くこの問題についてあなたに直接お伺いしたい。そういうことであったので、たいへん御多忙ではあろうと思いましたけれども、あなたでないとわからない問題であるので、特にきょう時間を付してお伺いしたわけです。今までやらなかったことについては無責任であるということは免れぬと思う。今後どうなさろうとする決意があるのか、ひとつ責任ある御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/25
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026・大平正芳
○政府委員(大平正芳君) 私は、基地問題をかかえている地元の方々と全国的にたびたびお目にかかりますが、その場合に私が申し上げておきますことは、従来、防衛庁とかあるいは調達庁とかだけにお願いしておいては、その人たちは最善の努力をしておられるのではございますけれども、このように基地問題が厄介になって参りますと、その円滑な解決に十分でないと思いますので、閣僚懇談会を設けて、未消化の問題はここで解決の方途を見出すのだといもほど政府は熱意を持って当たっておりますということを各陳情団の方には申して、御理解を得るようにしているわけでございます。現に東富士、北富士の問題にいたしましても、あるいは神奈川県の上瀬谷地区につきましても、どうしても調達庁レベルで解決いかぬような問題・特に各省との関連が濃厚に出ているような問題につきましては、そこで解決していただいているわけでございます。で、本問題につきましては、私どもがこれに対して熱意がないわけじゃありませんで、関連する行政各部局との関連がそちない地区でございまするし、従来の解決のルートで鋭意やって参りますれば善処ができるということで言っておるわけでございます。私が前段で基地問題でかけるということを申し上げた趣旨は、そういった閣僚会議を設けるほど私どもは本気で基地問題の解決に当たっておりますということを御了解いただこうと思って申し上げたわけでございます。で、そういう高度のレベルまで持ってこなくても解決ができるものは解決していくべきでございますし、私どもそういった趣旨でこの問題に当たっておるわけでございます。で、先ほど申しましたように、米軍側の要望もほぼ明らかになってきております。共同調査の結果、代替地につきましても見当をつけてきておりまするので、これは遠からず私は解決のめどに到達し得るのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/26
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027・伊藤顕道
○伊藤顕道君 官房長官においでいただいたのについては、時間の制約を付してお願いいたしましたので、約束を守らぬといけませんので、最後に残念ながら一点だけお伺いし、さらに要望を申し上げたいと思うんですが、先ほども申し上げたように、これは群馬県、特に現地では非常に重大問題なんです。これは首都圏整備法に基づく工場団地誘致で非常に計画を進めて、予算化して、その日を待っておるわけですけれども、その予算も使えないで宙に浮いておるという実情で、知事初め県議会でも決議をなしておるという状態で、これは百六十万県民あげての問題であるわけです。しかも一昨年赤城長官が、おそくも明春三月までには解決したい——明春三月というのはそのときの言葉ですから、もう昨年の三月に解決していなければならぬはずです。次の長官、江崎長官については、十月までには何とかしたい、で、また言を翻して、本年中には解決したい——それは昨年の言葉です——というふうに、歴代の長官がこの神聖な国会の場で確約してきておる。それが依然として今日まで行なわれていない。これは行政府が立法府を軽視するということにもなろうと思うんです。したがって、強くお願いしたいのは、もう代替地にしぼられておるということはわかっておるわけです。ただ問題は、この代替地々々々とおっしゃいますけれども、これは江崎長官のころからの問題であって、いまだにこれが解決しない。物資投下訓練の飛行場としてこれが適当であるかどうかということは、日米合同委員会の専門家がそろってこれを検討するんだから、二年も三年もかからなければこの飛行場が物資投下訓練に適するかどうかということの判定がつかないはずないと思うんです。そう長いことかからなければ——これが飛行場として適当かどちかという判定だけですから、それがつかないということはないと思う。やはりこれは日本の基地であり、日本の土地である、この基地はあくまでも。したがって、また、地元では非常に迷惑しておるということ、しかもしばしば私は現地を視察しておりますけれども、ほとんど使用していない。ほとんど使用されていないわけです。陳情団が来た翌日とか、あるいは当委員会で質問などすると、翌日また思い起こしたように、言いわけ的に練習をするにすぎない。ということは、あまり米軍にも必要ないということにもなる。しかし、現地には非常に重要な土地である。こういう問題でありますので、ひとつ官房長官としても極力早急に具体的に解決をはかって地元民に首都圏整備法に基づく工場団地の計画をどんどん進めさしていただきたいということを強く要望して、時間の関係もございまするので、残念ながらまた自余の問題は次回として、本日のお伺いはとの程度にとどめておきたいと思います。ひとつ最後に、官房長官としての決意のほどを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/27
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028・大平正芳
○政府委員(大平正芳君) 基地問題全体といたしましては、今伊藤議員からおしかりを受けたように、遅々としておるようでございますけれども、毎年毎年解除していただきまして、全体として相当なスピードで日本に返還されておりますことは御案内のとおりでございます。私ども近年この問題が非常に大きな政治問題であると心得まして、先ほど申し上げましたような仕組みを作りまして真剣に対処いたしておるわけでございまして、ただ相手があることでございますので、こちらの願望のとおり的確な期日において解決がせられないというようなことにつきましておしかりを受けましたが、その点につきましては、日本側といたしましては、その時限までに何とかやりたいという熱意で委員会でも申し上げたいと思うのでございます。その点は御了解いただきたいと思うのでございます。で、今御要望がありましたとおり、私どもといたしましても鋭意これにかかりまして、すみやかに解決が見えるように私といたしましても努力をする決意でおります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/28
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029・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 本件に対する質疑は後刻行なうこととし、再び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。政府側から出席しておられる方は、運輸省高橋国有鉄道部長、大蔵省谷川日本専売公社監理官、郵政省松田電気通信監理管、なお、そのほかに斎藤運輸大臣と広瀬官房長は、衆議院の委員会で説明が終了次第本委員会に戻ることになっておりますから、さよう御了承いただきます。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/29
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030・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 速記とって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/30
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031・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それじゃ公共企業体職員等共済組合の基本的の問題については相当あるのですが、大臣もおられませんので、事務的な質問になりまするが、若干国鉄部長に質問したいと思います。
提案の趣旨説明にもありますように、これは去る三十八国会の附帯決議を尊重してやったということであります。その点においては敬意を表したいと思うのでありますが、問題の焦点は、期間の通算の問題ですが、今補足説明をされましたが、なかなかこの年金制度の通算というのは、恩給と同じように非常に複雑な問題で、理解しがたいと思う。で一番最後の資料にありますが、参議院内閣委員会調査室の資料ですが、これの最後のほうで、われわれが主張した点を摘記しておるのですが、これで、旧陸海軍工廠から日本国有鉄道に引き継がれた場合の減額規定が、全部この前われわれが主張したとおりに解決しておるのかどうか、この点どうもずっと調べましてもはっきり理解できないのですが、この点ひとつまず御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/31
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032・高橋末吉
○政府委員(高橋末吉君) 旧令共済組合員の実期間に伴いましての減額の措置は、ほかの場合もそうでございますが、退職一時金をもらっておるわけでございますので、〇・九の減額ということにいたしております。附則の六条でそういうようにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/32
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033・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは現在の減額の程度よりも前進しておるのですか、その点だけをひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/33
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034・高橋末吉
○政府委員(高橋末吉君) 現在の制度におきまして退職一時金をもらった者に対する年金の計算の場合の減額と同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/34
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035・河野謙三
○委員長(河野謙三君) その後、政府から、八本日本国有鉄道厚生局長が出席されましたから申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/35
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036・山本伊三郎
○山本伊三郎君 われわれの主張は、期間通算を相当われわれは主張しておったのですが、この減額規定が従前どおりだとすると、期間通算によって得る利得といいますか、得るところは非常に減殺されておると思うのです。したがって、この点がわれわれとしてはこの改正案に対する一番問題点であろうかと思いますが、私も実は法律案をずっと調べておったのですが、この点があいまいで、ほかのほうの通算については、大体われわれとしては附帯決議そのものを織り込まれておると思うのですが、これが従前どおりでいかざるを得ないということに方程式にも載っておりますが、これではちょっと理解できないんだけれども、何か討議をされたのか、討議をされた後に、依然としてこれはできないという結論をされたのか、その経緯をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/36
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037・高橋末吉
○政府委員(高橋末吉君) 御承知のように、年金の支給の率と申しますか、百分の二ずつ支給することになっておるわけでありますが、その内訳を見ました場合に、本人の掛金、それから国あるいは公社のほうの負担分というものが、本人の掛金が、〇・九、それから国とか、公社とか、そのほうが一・一というので百分の二、それが二十年で百分の四十と、こういうふうになっておるのですが、退職一時金で年金にならない場合に、その方に支給する場合に本人の掛金分の〇・九というものをお返しすると申しますか、退職一時金はこの〇・九ということになっておるわけでございます。でございますので、これは今回旧令の方を引き継ぐので、特別にどうこうというのでなしに、ほかの場合にも、こういうふうに措置いたしておりますので、今回もそれと全く同じに取り扱うということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/37
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038・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは実情を十分……主として国鉄に多いと思うのですが、旧令の場合、一時金を支給したという、ああいう戦後のどさくさの場合ですから、この点は本人を一々調べてみますると、問題点が相当あるのです。この問題については、この前のこの法律案の審議のときも相当私から、前の、あれは郵政大臣でしたか、が担当しておったわけですか、その際相当意を尽くして言ったのですが、相当理解されておったと思うのですが、これが依然として解決されておらない。この点は実際問題で、これら方程式から見ると一般通算といわれておる、この期間がこういうことで減額されると、実効が私はほとんどないのじゃないかと思うのですが、この点が一つ、この法律案の審議にあたってもう一度考え直す必要があるのじゃないかと思うのですが、その点ひとつ、部長からは責任あることが言えなければ、また大臣にお伺いしてもいいと思いますが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/38
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039・高橋末吉
○政府委員(高橋末吉君) ただいまの御質問でございますが、附則第六条で一時金をもらった者については引くわけでございますけれども、正当な証明の方法がありまして、自分は一時金は受けなかったということが立証できますれば、その方については減額はないわけでございます。一時金の支給を受けた者のことについては〇・九ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/39
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040・山本伊三郎
○山本伊三郎君 この問題については、まだもう少し資料を整えて、私はひとつこの法律案審議過程において当局側の意見を聞きたいと思います。したがって、これはこの段階では納得できないということだけ申し添えて、次の点についてひとつ聞いていきたいと思います。
今、補足説明をされました旧日本医療団及び外国政府の職員期間を組合期間に通算するという、これに一定の要件ということを言われておるのですが、それはどういうことであるか、ちょっと詳しく説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/40
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041・高橋末吉
○政府委員(高橋末吉君) ちょっと……調べて後ほどお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/41
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042・山本伊三郎
○山本伊三郎君 こういうのは事務的な質問ですから、十分またあとで打ち合わせて答弁を願うとして、時間の関係があるので……まあ、大体私は今指摘した程度が問題だと思いますので、十分検討してもらって、きょうはまだ初日の審議だからあわてる必要はないと思います。きょうはこの程度でひとつ私の質問は打ち切りますから、次にしてもらいたい、そういうことにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/42
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043・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 政府におきましては、次回までに十分調査の上、はっきりした御答弁を願いたいと思います。
他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/43
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044・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 次に、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題とし、恩給に関する件の調査を進めます。
政府側出席の方は八巻恩給局長、なお、小平総務長官は後刻出席の予定になっております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/44
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045・伊藤顕道
○伊藤顕道君 恩給の問題のうちで、特に通算問題について小平総務長官と恩給局長にお伺いしたいわけですが、まだ小平総務長官がお見えになっておりませんので、主として恩給局長に以下二、三の問題についてお伺いしたいと思いますが、昨年の六月六日の当内閣委員会で、恩給法等の一部を改正する法律案の審議があったわけですが、その際にこういう附帯決議が満場一致で可決決定されたわけです。恩給局長もよく御承知ですが、その最後の一節に「恩給制度の運用に関しては、戦前の外地に於ける国家との特殊関係機関職員の前歴ある者については其の機関の形式に捉われず克く其の実質を洞察し戦前戦後の社会事情の一大変革を考慮して処遇の公平を期する様措置せられたい。」、こういうふうな附帯決議が決定されたわけですが、恩給局長としては、この決議をどのように受けとられておられるのか、そして、これが実現のためにどのように努力されてこられたか、ひとつ具体的に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/45
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046・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 昨年恩給法の改正案を提案いたしまして、その審議の際に、外国政府職員の期間通算問題に関連いたしまして、戦前の外地における特殊機関職員の前歴ある者につきましても、同様の措置を講ずることができるかどうかという問題でいろいろ質疑がかわされまして、ただいまお話のようた附帯決議があったことを承知しております。この附帯決議に表われているところから考えますると、非常に内容は広範であり、また、他に及ぼす影響も大きい問題が種々ございます。そこで私どもといたしましては、絶えず念頭に置きまして、頭を離ないわけなんでありまするけれども、これに対するアプローチの仕方というものはなかなかむずかしいわけなんで、もちろん昨年の予算編成時期からずっとこの法律の作成段階に至りますまで、与党である自民党の中の内閣部会等におきましても、この問題につきまして、検討も加えられ、私どももいろいろ御意見を申し上げたわけですが、なかなかその結論に至らないわけなんであります。と申しますことは、まず、この御要望の内容につきましての問題点が幾つかあるわけです。つまり、このねらいというものが、満鉄なら満鉄を例にとりますというと、満鉄に十年お勤めになってその方が国家公務員になった、そうして十年たってやめたけねども恩給がつかない、あるいは今で申しますならば、共済の退職年金がつかない、こういう方を救済するということがねらいなのか。はたまた、満鉄に二十年お勤めになった、そうして内地に引き揚げて帰ってきたけれども、満鉄はあのとおり解体してしまって、そして満鉄としての退職金制度あるいは年金制度というものが健在なりせばあったかもしれない、そういう方々につきましては、そういうものがなくなって解体したために、そうした退職給付を十分受け得ない、それを救済しろという問題であるのか。また、あるいはそうした二十年お勤めになってやめて帰ってきた方々という以外に、ソ連参戦時期に、あるいはそれ以前に事故で、あるいは公務災害、業務災害でおむくなりになった、あるいは傷ついた方、こういう方々に対する処遇というものを、もちろん満鉄時代としてそうした人々に対する、遺族あるいはその傷病者御本人に対する救済制度というものがあの時代、満鉄にもおそらく整備されておったと思いますが、そういうふうな満鉄時代としてのそうした債務と申しますか、それを恩給というレールで日本国政府が処理すべき問題であるのか、そういうふうな問題がいろいろあるわけでございます。一部には現在生きておる方、こういう方が内地に就職して、六十なら六十になって退職した、こういう場合の退職年金が中途半端になって受けられないという人たちを救済するというのが第一義的なねらいなんだ。死んだ人はもうしようがないというのか、いやそういう人よりもむしろ死んだ人が気の毒なんだ、これを何とかすべきなんだ、こういうふうな、どちらにウエートを置くかということが、まだ煮え切らないわけなんです。で、今までの段階では少なくとも遺族が一番気の毒じゃないか。満鉄の職員がソ連参戦の時期において関東軍の命令でいろいろ働いてなくなった。こういう方々につきましては、現在遺家族援護法によって援護措置が講ぜられておるわけなんです。それをさらに幅を広げるという方法はないのかということも議論になっておるわけです。その問題につきましては、やはり援護法という幅で考える、援護法を拡大して考えるかどうか、こういうふうなことが問題になるわけであります。恩給法をレールに乗せて考えるということはなかなか問題がある。恩給法というのは、御承知のとおり、日本国政府の職員、すなわち日本国政府と日本国政府の職員との間、すなわち雇用関係に立脚するところの人事行政上の措置でありますから、これに乗っけて考えるということは、そこに飛躍がある。そこでまず、そういうふうな問題点が一体どこにウエートがあるのかということがまず問題になるわけで、十分に煮えておらない。で、まあ前国会における伊藤先生の端的な御質問から推察いたしまするというと、満鉄あるいはその他の特殊機関において一定年限を勧めたけれども、また、内地へ再就職した、再就職したけれどもそれが短期間であったために、そうしてまたその方は定年に達してやめたときに短期間であるために年金がつかない。日本の恩給制度あるいは共済年金制度で恩給なり年金がつかない、こういう人たちに対するところの恩給期間の通算ということをお考えになっているようにも見受けられます。この問題として考えますならば、なかなか、満鉄ならばよろしい、そのほかの国策機関ではいけないというふうな線はなかなか引きにくいわけであります。前国会におきまして、先生の御発言では、非常に満州国というものと満鉄というものは全く実質的な内容は同じであるということを強調された、この点は全く私も同感でございますけれども、しからば満鉄というものを考えに入れますならば、同じような特殊機関であるところのその他の国策機関というものと区別するという考え方はなかなかむずかしいということになってくるわけであります。そこで私どもといたしましては、もし満鉄を、そういう通算の対象として入れるならば、その他の特殊機関はどうするか、こういうことになるわけでありまして、なかなか問題の処理の仕方というものは複雑なむずかしい問題でございます。そういうふうなわけで、今国会における提案の法律案の中では、この問題がまだ入っておらない、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/46
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047・伊藤顕道
○伊藤顕道君 昨年の六月の通常国会における恩給法等の一部改正案の成立によって、外国である満州国職員そして政府機関でない医療団の職員、これの通算が認められておる、それならばいわゆる政府の特殊機関である満鉄をどうして入れないのか、そういう観点から附帯決議がなされたと思うわけなんです。したがって、満州国はどこまでも形式から言えば外国なんです。医療団も形式から言えば政府機関じゃない。で、私どもの申し上げておるのは、形式上外国である満州国の職員の通算を認めてはいかぬとは一言も言っておらない。それはむしろ逆に一つの政府の考え方の前進であろうと思う。戦前戦後の複雑な社会情勢を達観されて、そういう考えを出されたということは、一前進であろうとさえ考えておるわけです。したがって、満州国並びに医療団の足を引くわけじゃ毛頭ないが、そうだとするならば、政府との特殊関係にあった満鉄も、当然これは、なるほど形式からいえばそうでありましょう。実質は何ら満州国と変わるところはないと、あなたもその点は認めておられる。認めておられるが、しかし、がしかしがつくわけで、そこのところがわれわれにはどうも了解できない。そういう点で、これは当然、満州国と同一に扱うべきものではないか、そうあってしかるべきだと、そういうふうに考えるわけです。この点について、昨年の六月ですから、もう八カ月経過しておるわけです。ずいぶん検討されたと思うのですが、何ら予算化もないし、何らの具体化も見たいということは、きわめて遺憾の意を表さざるを得ない。しかも当内閣委員会の附帯決議が満場一致でなされておる。従来、附帯決議については、政府はこれを実行しなければならない義務と責任があろうと思うのです。そういうような意味合いで、即刻具体化してもらいたいということを言っているわけです。ただ、決議がなされてもう八カ月たっているわけです。一月、二月後にまだかということじゃなくして、もうすでに八カ月たっておるから、相当具体的に検討がなされたはずで、もし誠意をもって検討なさったならば、八カ月という月は、相当な検討期間であったはずです。いまだに具体化されてないということはきわめて遺憾です。何とかひとつ具体化すべきじゃなかろうか。また、具体化してしかるべきだと、そういうふうに申し上げておるわけです。もう一度ひとつ伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/47
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048・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 昨年の法律改正で、満州国の政府職員の期間は通算いたしました。医療団の職員の期間を通算いたしましたこと、このことにつきましては、御承知のとおり、満州国の職員期間につきましては、日満の人事交流というものの人事政策の上からいって、日本から満州に人を送り出す、満州に行ってくれ、そのかわり、お前が帰ってきたらば、その期間はふいにならないようにしてやると、こういうような日満人事交流の基礎の上で、満州国の期間を通算するというふうな措置が、戦前から行なわれておったわけです。それが、満州国が解体いたしまして、戦後引き揚げて参りましたけれども、なかなか、老齢になって就職ができなかったと、そういうふうな特殊事情のある方、これらにつきましての措置をいたしたわけでございますから、ただ単に、その実質的な仕事の内容という面から申しますというと、満州国政府と満鉄というものの違いはあまりないという御意見もあるわけでございますけれども、その日本国政府としての人事政策の面からいって、満州国職員というものについての、そういうふうな措置をしておったという事実に立脚いたしましての措置でございます。それからもう一つは、医療団というふうな公法人の職員期間を日本国政府が通算したということは、これは医療団が解体いたしまして、その業務、組織、人、全部をあげて厚生省の国立病院に移管になったわけです。そこで、自分からの考えが及ばなかったような、政府の改革によって身分が切りかわってしまったわけですから、それらの人々の退職給付に関する期待権というふうなものも尊重する意味で、その時代の期間を通算して、そして国立病院の職員としての退職の場合にも年金が受けられるようにしようと、こういう例外的な措置でございます。したがいまして、そうした措置を、一般的な国策機関におられた職員期間を、その方がたまたま公務員であったという場合に、公務員期間につなげて、そうして公務員としての恩給が出る、こういうふうにするかどうかということにつきましては、一段飛躍があるのじゃなかろうか。そこで御要望の点は、端的にわかるのでございますけれども、われわれが処理いたします場合に、それに対するアプローチの仕方は、どこからやっていくかということが問題なんでございまして、満鉄である、あるいは外地における一つの国策機関、国の代行機関であるという看板と申しますか、その実質的内容だけを掲げることによって、はたして、その通算の根拠をかちとることができるだろうかという問題は、なかなかむずかしいことだと思うのです。また、国策機関と申しましても、いろいろなニュアンスがあって、たくさんの系列があるわけでございます。そういたしまするというと、恩給制度というものが、ますます何と申しますか、日本国政府の職員に対する退職給付制度であるということから離れて参ります。また、一方におきまして、たまたま公務員になった人につきましては、恩給制度でその退職後の給付が救われる。ところが、民間に入られた方、満鉄に十年勤めて民間の会社にお入りになった方は、これは厚生年金で退職給付が受けられるわけです。そこでその掛金期間が、そうしますというと十年掛け捨てになってしまう。こういう人についてであっても、やはり厚生年金として、前の期間を算入して、年金が受けられるようにすべきだというのが、最近の考え方だと思うのです。そういう意味におきまして、公的年金制度の全面的な相互通算制度というものが、昨年の国会に提案されたわけでございますけれども、まあそういうふうに幅広い、とにかく六十なり六十五になって、年とってやめたら、厚生年金であろうと、国民年金であろうと、恩給であろうと、共済年金であろうと、何らかの形で、そうした老後の保障がなされるというふうな制度にだんだんいきつつあるわけです。そこで恩給だけでもって、たまたま公務員であった人についてだけ、そうした措置をするということがいいかどうかということも、一つの問題があるわけです。いずれにいたしましても、いろいろ私、実は申し上げて恐縮でございますけれども、御要望の趣旨はよくわかっておりますので、今後ともこれに対するその問題の解きほぐし方あるいはアプローチの仕方というものについて、十分研究して参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/48
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049・伊藤顕道
○伊藤顕道君 今恩給局長、人事交流とか医療団の問題、あとの問題については後ほど申し上げますが、まず人事の問題ですね。先ほどの説明のような要旨の点があげられたわけですが、そうおっしゃるならば、満州国の職員の中には、本人の意思によって満州国に就職された方も相当いるわけです。こういうような事実をわれわれは確認しているわけです。今度はその逆に見て、満鉄職員の中にも、特に戦時中、所属庁の勧奨等によって、運輸省等から転入された者も相当いるわけです。さらにまた、昭和八年の北鮮鉄道の満鉄経営委託に際して、朝鮮総督府官吏が、本人の意思によらないで、国策として満鉄のほうへ身分がえになった者が約二千名、こういうものが具体的にあげられているわけです。これは厳然たる事実として残っているわけです。とするならば、今局長の言われたことは、当たらないと思うのですがね。その人事交流の面からの理由は、当たらないと思うのです。それから医療団についても、その点はわかるわけです。だからそういう考えを、なぜ満鉄にも同じような観点で考えられないかということですね。満鉄も同じ運命になったのです。それと先ほど局長の言われた問題は、満鉄会社の本質なり満鉄職員の本質をよく理解されたならば、これは大体わかるのだが、要望はわかるけれども——けれどもはいかんですね。わかると言い切れない。わかるけれどもと、あとが濁ってしまっている。この点はまことに不可解千万だと思う。そこで幾つか具体的に申し上げますが、満鉄が創立になった、その当時御承知でしょうが、非常に複雑な国際情勢を勘案して、満鉄については株式会社という形態をとったわけです。形式は株式会社という形態をとったわけです。そして明治三十九年に勅令第百四十二号をもって設立されたことは御承知のとおりです。そして日本国特殊法人として発足したのもおわかりだと思います。それとなお具体的に申し上げるならば、実質的にはほんとうに国家機関たることを考えさせるような具体的な問題が幾つか明瞭になっております。その具体的な幾つかをあげますと、たとえば株式の半分は政府が担当しておる。役員は政府の任命による。こういう会社はほかにない。会社の役員を政府が任命している。ちょっと考えられない。それと経営の基本方針の決定については、政府の監督下になされておる。こういう厳然たる事実。それと戦時、事変に際しては、政府は必要に応じて命令を出しておる。それから業務の内容について検討してみると、鉄道、港湾、自動車、水路、炭鉱、製鉄、製油、それから付属地の土木、教育、衛生、殖産等の各般の行政面を担当しておったわけです。現実にこれを実施してきたわけです。それとさらに申し上げるならば、満州国の成立に際して、付属地の行政権についてはこれを満州国に委譲されました。それは確かです。しかし一方、満州国におけるあるいは鉄道とか水路、港湾、自動車、こういう経営等は満鉄が受託経営しておった、こういう厳然たる事実があるわけです。それから朝鮮総督府の国有鉄道、港湾の一部、これも受託経営しておった、こういう事実もある。そこで、具体的なこれらの問題を要約すれば、政府は名を株式会社にかりて、そして実は国家機関として政府にかわって満蒙経営に当たらしめた。これははっきり申し上げ得ると思う。そうだとするならば、外国である満州国を、この満鉄より優先的に現実には考えられておるわけです。一体その根拠は那辺にあるのか、われわれには了解しがたい、こういうことを申し上げておる。幾つか具体的に申し上げたわけです。こう申し上げても、なお、「だがしかし」こういうことになりますか。言い切れませんか。この点をはっきりお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/49
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050・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 恩給法のレールの上に乗せるといいますか、通算の問題でございますから、過去の期間を、現在公務員である方の過去の期間をどういうふうに見るのかということでございますが、それにつきましては、できるだけ限定的に考えているわけで、満州国につきましては、満州国の期間を通算するという制度が昭和十八年にできまして、もちろんそれはさかのぼって適用されたのでございますけれども、そういう制度もできておる。その制度ができましたけれども、大東亜戦の終結の結果、特殊事態ができて、日本国政府に帰れなかった、こういうふうな方、あるいは向こうから帰ってきてそのまま日本国政府が引き取った、いろいろな問題がございまして、そういうふうな日満通算の制度を若干拡大して適用した、こういうことにすぎないのであります。これから新しくすべての職員、公務員以外の職員について通算制度を全面的に検討するという結果において満州国だけを取り上げた、こういうことではないのであります。今お話のございましたように、満鉄の職員の方々でも、朝鮮の鉄道あるいは日本の国有鉄道から向こうへそのままの身分であるいは転職いたしまして向こうへ引き続いて行かれた方、そういう方もございましょう、実際問題としては。相当人事交流と申しますか、人事が行なわれたと思うのでありまするけれども、そういうふうなことを基礎にしての恩給制度と申しますか、退職給付制度というもののつながりというものは一応切断されておる、その当時においても退職給付制度はつながっておらぬ、こういうことがあるわけでございますから、過去においてもそういうことで割り切っておったのを、今さらそれにつなげて考えるということもどうかと、こう思うのであります。
そこでやはり問題は、満鉄の特殊事情というものは、るるお話のございましたようにわかるのでございまするけれども、満鉄の特殊事情をもって、ほかのいろいろな開発会社あるいは拓殖会社等の公法人というものとお前は違うのだ、満鉄だけは違うのだ、こういうことが言えるのかどうかという問題もあろうかと思うのでございます。でございまするから、問題点というのは確かにわかっております。そうした機関においてお勤めになった方々、その方々が内地にお帰りになっていろいろなところにお勤めになった、その方々がもう退職年令に達してやめなければならない、このときに年金がつかないということはお気の毒だ、これを何とか救済しろという御議論につきましてはわかりましたが、その問題の処理の仕方というものにつきましては、ただ単に満鉄だけだというふうに、特殊事情があるということでなかなか割り切れる問題ではなかろうと、こう思っておりますので、その処理の仕方につきまして、今後とも研究さしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/50
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051・伊藤顕道
○伊藤顕道君 特殊会社については満鉄のほかにもまだ考えられると、それはそうでしょう、私どもも考えておるわけです。具体的にいいますと、満州電信電話とかあるいは華北交通等、旧機関が一応この問題については考えられると思うのです。
そこで先ほども申し上げたように、満鉄会社の本質については概要を申し上げたわけですが、今度は満鉄社員の本質についても、十分なる理解がまだ持たれていないのではないかというふうに考えられるわけです。満鉄の本質についてよく御検討をいただくならば、それと同時に満鉄職員の本質についても、当然十分な検討がなされなければならぬと思うのです。その満鉄の本質については先ほど申し上げましたが、特に職員の本質についても、これは創立以来ほとんどあらゆる困難に耐えて、創設から終戦まで四十年間、国家公務員と同様な立場に立って真摯に国策の遂行に協力してきたということは、歴然たる事実があるのです。そういうことと今まで申し上げたことの観点から、満州国と満鉄を形式上そうして実質上、要約して比較いたしますと、こういうふうになると思うのです。形式的には、満州国は何といっても外国政府である、これは間違いない。形式的には、満州国は外国政府である。満鉄は日本勅令による特殊法人である、これも間違いないです。こういう違いが出てくるわけです。実質的には、両者ほとんど変わりがないと思うのです。日本政府の代行機関として、両者間に差別をつける根拠は何ものもない、そういうふうに断定できると思うのです。そうだとするならば、形式的には片や外国、片や特殊法人、こういう点のみが違いであって、実質的には、ほとんど政府の代行機関であるという点については区別がつけられないと思う。この点は御理解いただけると思うし、この点の御理解がないと、よくわかるのだけれどもということに終わってしまうということになろうと思うのです。この点について、いま一度お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/51
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052・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 御指摘のとおり、満州国政府は明らかに外国政府であり、満鉄株式会社は、日本政府の法令によるところの特殊法人であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/52
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053・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは時間の制約がございますから、この問題については当国会でまだ法案が出ておりませんので、その際具体的にさらにお尋ねしたいと思いますが、しかし、きょうは小平総務長官お見えになっていないので、局長からもよくお伝えいただいて、早急に具体的な解決をはかるよう、ひとつ最大限の努力を願いたいと思います。
そこで、時間がございませんから、最後に一点だけお伺いいたしますが、これはこういうことです。退職手当法と恩給法との取り扱いの不均衡についてはどういうふうに考えておるか、一貫性がないではないかという観点からお伺いしたいと思うのです。と申しますのは、国家公務員等退職手当暫定措置法の施行令ですね、施行令を見ますると、かつて公務員であった者が満鉄あるいは満州国等の職員となって、帰国後再び公務員となった場合、その在外期間の三分の二を公務員在職年に通算する措置が講ぜられているわけです。これは間違いないわけです。これが、その機関が公共的、国家的業務の実施機関である。それのみならず、満州国の外国政府とそれから満鉄の特殊法人との均衡をはかるために入れたと、当然考えられるわけです。そうお首をお振りにならぬでも、当然そういうふうに考えられるわけです。そこで、恩給法上の取り扱いにおいては、満鉄及び満鉄職員の本質をまだまだ理解されないで、満州国職員とははなはだしき不均衡が現実に出ておるわけです。先ほどお伺いしたように、不均衡が出ておる。ところが、退職手当暫定措置法の施行令を見ると、この扱いは完全に公平の原則に基づいて措置せられておる。同じ内閣の措置としては一貫性がないではないか。これも法律であるわけです。退職手当法も、恩給法も、法律です。確かに。一方の法律においては公平の原則に基づいて公平な措置が講ぜられておるにもかかわらず、恩給についてはきわめて不公平な措置が講ぜられておる。ということは、同じ内閣から出た法律とは考えられない、きわめて一貫性がないではないか、こういうふうにお伺いするわけです。これはいろいろ、恩給局長は該博な知識を持っておられるので、あれやこれやといろいろとうまいように逃げられるやもしれませんけれども、この厳然たる事実は、これはゆがめられないと思うのです。たとえば、こういうふうに退職手当法については明らかに公平の原則に基づいておるのだから、恩給においても当然公平の原則に基づいて公平に措置すべきではなかろうか。これがお伺いしている要旨であるわけです。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/53
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054・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 退職手当法のほうは私の所管じゃないものでございますから、よく詳しくは知りませんが、必ずしも退職手当法の幅と恩給法の幅とは一致しておりませんで、基本的には、御承知のとおり、恩給法は文官、軍人と申しますか、いわゆる官吏という方に対する使用関係を基礎にして、その退職後の給付の問題を扱っているわけでございます。雇用人につきましては、別途、共済制度というものがその当時あったわけです。今は一本になって、共済年金制度になったわけでございますけれども、恩給法における限りにおきましては、雇用人というものははずして、官吏というものに限定をしておるわけでございます。退職手当法というものは、もう一般的に国民全体と、そういう身分的差別を考えない一本の形で来ておるわけです。必ずしも一致しておりません。しかしながら、今のお話の退職手当法にそうした民間関係のといいますか、株式会社等の期間までも加算して、そしてその人間が四十年になれば四十年の退職手当を出すということになっておるのかどうか、どの程度にしぼってあるのかどうか、その点ももちろん十分研究して参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/54
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055・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 他に御発言がなければ、本件はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/55
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056・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 次に、国の防衛に関する調査を議題とし、群馬県太田大泉飛行場の返還に関する件の調査を進めます。政府側から藤枝防衛庁長官、林調達庁長官、沼尻不動産部長がお見えになっておりますので、御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/56
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057・伊藤顕道
○伊藤顕道君 太田大泉米軍飛行場返還問題について、前回に引き続いて藤枝長官、林調達庁長官、それと笹本防衛政務次官にもお願いをしておった、まだお見えにならぬが、ごく簡単に済みますからお伺いしたいと思います。
そこでさっそく、まず藤枝長官にお伺いしたいと思いますが、この前の内閣委員会、十二月八日でございましたが、その際いろいろお伺いしたわけですが、目下日米共同調査の段階でこれを極力進めておる、こういうお言葉であったわけです。それからちょうど計算してもうすでに六十日以上たっておるわけです。もう相当進展したと考えられるおけです。どのように進展なさったか、具体的にまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/57
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058・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) 今までの経過は申し上げません。で、十二月の当委員会におきまして、二、三の候補地について共同調査をいたしておるということを申し上げました。その後そのうちの一カ所につきましては、米軍側もその演習場としての適格性を認めて参っております。したがいまして、今後は政府といたしましては、その場所、これはまあひとつ具体的な場所を申し上げることはいろいろ関係がございますので、御容赦をいただきたいと思いますが、その場所につきまして地元の御了解をいただかなければなりません。それにこれから努力をいたすという段階に相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/58
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059・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この代替地の問題は、藤枝長官よく御存じのように、前々の江崎長官のころからの問題であったわけです。そして、そのときのお言葉でも、目下代替地の問題と取り組んでおる、極力推捗をはかっておると、まあだいぶただいまのお言葉では明るい見通しのように受け取られるわけですが、何といってももう、私も経過を申し上げません、よく長官御存じですから、三カ年の問題でもありますし、地元でも御承知のように、非常に熱望しておる、そういうことでこれは県民あげての熱望でもあるし、また、この国会の場での責任大臣の確約でもありますし、もうこの段階で最終的にこの問題を取り上げて、もう私はこの内閣委員会でまたかまたかと言われないで済むように早急に解決をはかるべきだと思うのです。そういうような観点から、代替地の候補地の中で、一つは大体米軍が適格性を認めてきたということになると、今御指摘のように、地元との折衝であろうと思うのですが、そこで重ねてお伺いしますが、米軍側では大体よろしい。そこで米軍についてはもう心配ないが、地元との問題で若干手間取っておる、こういうふうに受け取ってよろしいかどうか、この点をまず。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/59
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060・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) ただいま申しましたように、米軍がそのある一カ所につきましては、適格性を認めて参っておりますので、日本政府としては、これからその地元の御了解を得るために全力をあげなければならぬという段階でございます。申し上げるまでもなく、なかなか地元の御了解をいただくのにもいろいろ骨を折らなければならぬと思います。しかし、何とかそれを御納得いただくように今後努力をして参りたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/60
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061・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、大事な問題ですから重ねてお伺いしますが、米軍についてはもう大体心配ない、もう了解した、適格性を認めるということは了承した、というのは、これは江崎長官のころから、代替地があれば、まあ詳しくいえば、適当な代替地があればいつでも返還するということは米軍側は言い続けてきたという、前丸山調達庁長官、そして現林調達庁長官がいつもおっしゃっておるわけです。だからそういうことから推せば、適当な代替地があれば米軍はいつでも返還する、しかし、基地問題ですから、やはり地元との円満な解決をはかったその上でないとまずい。これは私もよくわかる。当然地元との円満な解決をはかるべきだと思う。したがって、私は同じことを繰り返しお伺いするのは、米軍についてはもう心配ない、了承したと、ただ地元の問題で若干時間が、今努力しておるけれども、なお若干かかるであろうと、こういうふうに受けとめてよろしいかどうかということをいま一度お伺いする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/61
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062・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) そのとおりでございまして、大体今候補に乗っておりまする一カ所につきましては、地元の十分な御了解をいただくならば、代替地として米軍も納得するという見込みのもとにやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/62
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063・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは、そこまで話が進展しておれば、これ以上余分なことをお伺いする必要はなかろうと思うのです。そこで米軍についてはもう了承した、地元の円満な解決あるのみだ、そういうことであるならば、強く要望申し上げて、長官に対する質問を終わりたいと思うのですが、米軍が適格性を認めたということでありますので、米軍の問題はもうなかろうと思うのですが、ひとつ地元との問題については早期に円満な解決をはかるよう最大限の努力をされて、そしてこれひとつ、あなたが前から一応めどとして、目途とされておった本年度末、いわゆる本年三月中には具体的に返還の方針が打ち出されるよう強く要望申し上げて、長官に対してお伺いを切りたいと思います。
それで引き続いて林調達庁長官にお伺いしたいと思います。この日米合同委員会、施設委員会は隔週の火曜に持たれておると思うのです。そこで、その施設委員会に、あなたは日本側の最高責任者としていつも御出席になると思う。隔週の火曜ですから相当回は重なっておるわけです。そこで、前にさかのぼる必要ございませんから、ごく最近の、あなたはどのように発言されておるのか、それに対してどのように米軍側はお答えになっておるのか、こういうことを具体的にひとつ要点だけをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/63
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064・林一夫
○政府委員(林一夫君) 施設委員会、あるいは合同委員会の発言内容につきましては詳しく申し上げられませんのですが、御承知のように、隔週施設委員会が開かれておりますので、そのたびに、この太田小泉の返還問題について強くこちらから要望して参ったわけです。その内容は主として向こうから要求するいろいろの条件につきまして、双方において意見を申し合って、その結果だんだんと向こうの要求条件もはっきりして参った。そういうような条件に基づきまして二、三候補地をあげまして検討して、日米共同の調査をして参ったのであります。その結果、ただいま大臣から説明がありましたように、一カ所にしぼられて参った、そういうようないろいろの立場から、条件その他についていろいろの意見を交換して参ったような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/64
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065・伊藤顕道
○伊藤顕道君 調達庁の総務部総務課が十二月二十五日に出された「調達弘報」、これを拝見いたしますと、東京調達局の見解として、このようなことが載っているわけです。「太田大泉飛行場については、二つないし三つの候補地を米軍に提案し、共同調査を実施し検討を進めているが、問題の解決までにはいまだ相当の時間を必要とするものと思われる。」一方、あなたは、一月十七日記者会見を行なわれて、次のような意味のことをおっしゃっている。その中で関係のあるのは、本年の重要懸案事項を説明した中ですが、太田大泉飛行場返還問題については、「問題を一ないし二の候補地にしぼって米側と積極的に交渉を続けているが、そう遠くない将来において候補地について妥結点が見出されるものと考えている。」昨年十二月の東京調達局の見解と、今年一月にあなたがなされた見解では、明らかに大きな食い違いがあるわけです。まだまだ日数がかかるという見解と、もうそう遠くない将来、これは、しかしながら、十二月以後一月に入って相当事態が進展したということであるならば、ここで一ヵ月ほどありますから、これは了解できるわけです。一体どちらなのか、あくまでも食い違いなのか、事態が相当進展したという意味なのか、そうして遠くない将来というのは一体具体的にはどういう時期をさしておられるのか、この点をあわせてお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/65
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066・林一夫
○政府委員(林一夫君) 私が一月に新聞記者会見で申し上げたのは、一、二カ所について候補地がしぼられてくるのが近いうちに、そう遠くないうちにはっきりするであろう、こういうふうに申し上げたのであります。先ほど大臣も申し上げましたように、その候補地が一カ所にしぼられて参ったというわけであります。昨年中はまだ候補地が一カ所にしぼられるところまでは進んでいなかったのでございます。一月になりましてそれがだんだんとしぼられまして、一、二カ所にしぼられる時期が遠くないということを申し上げるような事態になったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/66
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067・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは時間も相当超過しておりますので、最後に強く要望申し上げまして私の質問を終わりたいと思いますが、先ほど藤枝長官もおっしゃったように、問題の一部は解決したと思う。米軍が、最も困難視されておった一つの候補地についてその適格性を認めてきた。認めさせるための交渉を今までやってきたと思う。したがって、先ほど長官にも申し上げたように、一つの問題は解決したわけですから、ひとつ調達庁長官としても、特にこれは調達庁長官の責任だろうと思うのですが、地元との話し合いについてはあくまでも民主的に事を進めて、ひとつ問題のないように円満な解決をはかってもらって、そうしてそこへ米軍を移すことによって、太田大泉の飛行場返還はりっぱに終止符が打てるよう、しかも防衛庁長官も大体三月を目途としておられますので、あくまでもそれまでにはひとつ実現できるようさらに最大限の努力をしてもらいたい。太田大泉は言うまでもなく、日本の土地であるし、あなたは日本の調達庁長官なんですから、そういうお考えのもとに、そういう立場に立って、きぜんたる態度でひとつ早急に三月を目途に懸命なる努力を続けてもらいたいということを強く要望申し上げて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X00519620213/67
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068・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。
本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十分散会
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