1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月二十二日(木曜日)
午前十一時開会
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委員の異動
本日委員大谷藤之助君及び松村秀逸君
辞任につき、その補欠として山本杉君
及び勝俣稔君を議長において指名し
た。
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出席者は左の通り。
委員長 河野 謙三君
理事
石原幹市郎君
鶴園 哲夫君
山本伊三郎君
委員
上原 正吉君
勝俣 稔君
木村篤太郎君
下村 定君
山本 杉君
中野 文門君
高瀬荘太郎君
国務大臣
法 務 大 臣 植木庚子郎君
建 設 大 臣 中村 梅吉君
政府委員
法務大臣官房司
法法制調査部長 津田 実君
公安調査庁次長 関 之君
建設大臣官房長 鬼丸 勝之君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
説明員
法務大臣官房人
事課付検事 西尾善吉郎君
法務省民事局第
一課長 池川 良正君
法務省矯正局参
事官 福井 徹君
大蔵省主計局主
計官 赤羽 桂君
建設省道路局次
長 高田 賢造君
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本日の会議に付した案件
○建設省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○法務省設置法の一部を改正する法律
案へ内閣提出、衆議院送付)
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001・河野謙三
○委員長(河野謙三君) これより内閣委員会を開会いたします。
建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に続いて質疑を行ないます。
政府側からは中村建設大臣、鬼丸官房長、説明員として川島文書課長、高田道路局次長がお見えになっております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/1
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002・山本伊三郎
○山本伊三郎君 この間も道路の問題を聞いて、大臣から大体概括的なお話を聞いたのですが、きょうは道路関係の方がお見えになっておりますので、私は非常にこれに関心を持っておる一人です。予算委員会で時間もなかったので十分聞いてないのですが、道路整備五カ年計画で相当いろいろと勉強しておりますが、特に三十七年度道路整備計画で一級、二級の国道についての計画を聞いておるのですが、地方道について何か具体的にどういうことがあるか、大臣は大体検討中だということを聞いておるのです。その点ちょっと聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/2
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003・高田賢造
○説明員(高田賢造君) 地方道の三十七年度におきます予算の概括的なことを申し上げますと、前年度に比べまして、前年度を一〇〇といたしますと、一一三、一割三分の増になっております。地方道の事業の内容につきましては、御承知のように、主として改良、改築あるいは局部改良、そういうふうに分けまして、あるいは橋梁と事業の内容を従来いろいろ区分をいたしております。それに分けまして、もっぱら主として助成、地方公共団体に対する補助工事という格好で仕事をいたしております。特に三十七年度におきましては、前の年からの継続事業といたましてオリンピック関係の道路の建設それから首都圏の関係の道路の建設、それからまた、特定地域の総合開発、国土総合開発に関係いたしますその法に基づきまして指定されております特定地域でございます。それらにも重点的に助成をして、それからまた、そのほか未開発地域につきましてもそれぞれ要望がございますので、それらの中で重要なものにつきましては急速に仕事を進めて参りたい、こういう考えを持っております。また、最近道路交通の混雑の緩和の見地から、踏切道の改良促進というような見地からかなり重点的に事故の多い所につきましてはこれを実施することといたしております。また、事業の内容によりましては、局部的に、先ほど一言申し上げましたが、局部的にわずかの金を投じて効果の上がるような個所につきましても、そういう所を選びまして、もっぱら交通の確保という見地からこれを実施する、こういうことをいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/3
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004・山本伊三郎
○山本伊三郎君 大体その補助関係のやつはわかったのですが、現在府県で管理している地方道ですか、単独事業でやっておるのが現実に非常に格差があるのですね。もちろん今のところでは直轄道路でないのだから、建設省の責任でないと言えば責任でないのですが、この点建設省はいわゆる道路管理という立場からどういうお考えですか。これはおのおのの県の財政状態によって違うのですが、それはよく承知しているのですが、一つの県から県へ渡ると全く道路の実情が違うというような実情で、交通上からいっても非常に支障があると思います。この点は建設省としてどういう考えですか。これはそこまであなたに権限がないのだから、別にそういう意味の立場でなくして、道路行政の上から見てどう思っておられるか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/4
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005・高田賢造
○説明員(高田賢造君) ただいまお話のごとく、地方道につきましては国の助成以外に単独事業というものがございますので、単独事業は直接には建設省が一々タッチをいたしておりませんが、ただ昨年の十月二十六日にきまりました道路整備五カ年計画というものがございまして、それにおきましては五カ年間で三千五百億程度を予定いたしております。総額ほぼそういうものを見込んでおりまして、これにつきましては財源的措置がございますわけでございますが、自治省のほうでその種の単独事業につきましては財源措置を講じているわけでございます。その講じます際に、道路の側といたしまして、私どもの持っております資料をも出しまして、その総額の決定あるいは地方の各都道府県に配分します財源の作定にあたりまして参考にしてもらうようにいたしております。また、私どもの統計上も各府県がどの程度単独事業をやっておりますかについても十分私どもとしては注意を払っておるつもりでございます。
なお、お話のごとく、国道等につきましては、私ども相当直接タッチできますわけでございますが、地方道につきましては各県の間にそれぞれ多少の違いがあるわけでございます。また、ことに地方道の長さというものが非常に距離の延長が多うございまして、それに対しましてことごとく十全の措置を講ずるということはなかなか困難でございますので、勢い重点的にやる。直接の補助工事等もそういう見地からいたしておりますが、建設省といたしましても、これらのお話しの点につきましては十分心がけて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/5
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006・山本伊三郎
○山本伊三郎君 もう一問だけ、これは大臣にちょっと聞いておきたいのですが、これは大臣は交通関係の閣僚の一員であられますが、地方へ行きますと、バス路線ですね、これが今言っているように、いい道路だけが路線になっておらない。ずいぶん無理なところを通っているのですね。こういうところに非常に事故が起こりやすいと思うのですが、あのバス路線の認可は運輸省がやっておる。道路の管理は建設省並びに地方の長がやっているという関係で、非常に地方へ行って市長なんかに会うと、実際無理だ、無理だけれども、住民の希望で通しているのだ、こういうことで非常にわれわれ地方を回りましてもこういう所にバスを通すのは非常に無理じゃないかと思っても、そういうことで所管庁が違うのでこういうものを通す、こういう実情があるのですが、道路管理の責任者としてその点どうですかね。あまり無理な所には少々迂回してでもバス路線というものは交通安全の意味からいって考えなくちゃならぬと思うのです。この点どういうお考えですか。ちょっとそれだけ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/6
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007・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 路線バスの認可は運輸省でいたしておりますが、これを認可いたしまするときには、一応道路管理者のほうへ、国道なら国のほうへ、あるいは地方道でありまする場合にはその都道府県、市町村等に照会がございまして、その意見を徴してやっておるわけでございます。確かに御指摘のように、無理な所に路線バスの許可が行なわれておるということは現実の事実でございますが、これらはその地方の地域的な状況にかんがみまして、地方住民がぜひバスを通してほしいという強い要望等から運輸省のほうでも許可をしておる面があると思いますが、これにつきましては、私どもこの道路整備の立場からいいますと、できるだけ必要欠くべからざるところで、局部的な改修あるいは道路を整備することによってバス路線として適当になるような所は重点的に道路の整備にも力を入れていくという方針はとっておるわけでございます。ただ、しかしながら、先般車両制限令を施行いたしまして、たとえば往復の場合はどう、それから片道、一方通行の場合にはどういう範囲という工合に、車両の大きさに従いまして通行すべき路線を幅員できめまして、車両制限令を施行いたしましたような次第で、今後運輸省と協調いたしましてだんだんと調整をしていきたい、こう思っておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/7
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008・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これもまあ建設関係ではないのですが、交通関係になりますが、実は岐阜を視察したときですが、岐阜は御存じのように、市営バスとそれから私のバスがあるのですが、名鉄が大体やっておる。どうも聞きますと、住民の要望ということもこれはまああると思うのですが、会社側のバス路線であれば認可が非常にやりやすい。市営バスのほうはだめだということで、自分のところの管理しておる道路を自分のところのバスは行かないで、それで会社のバスが行くという、そういう認可の仕方をしている。これは当事者は非常に不満を持っておりました。どうも私考えると、何というか、すっきりとした理解のできない点もあるのです。これは別に確たる答弁はいただきたくないのですが、交通関係の閣僚でいろいろ話が出ると思いますが、そういう点もひとつ頭に置いていただきたいと思うのです。非常にそういう会社の圧力と申しますか、どうも公営企業でやっておるよりも私営でやっておるほうが優先的に認可しておるという例があるのです。そういう点も、交通の問題と別かもしれませんが、そういうところで無理に、市のほうではどうもこういうところはと思ってもそこが認可されておることが事実あるのです。この点もひとつ、建設大臣はそういう点は御存じないと思いますが、今後交通問題が出た場合にはそういう点もあわせて考えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/8
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009・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 前回建設省の定員に繰り入れる問題につきまして伺ったのですが、その際、行政管理庁で調査をしまして四千七百九十一名を定員に繰り入れる。残った問題につきましては、各省共済方式で善処すべきじゃなかろうかという考え方があるけれども、建設省としてはもっとそういう問題はあとで根本的に検討したい、こういうことでありました。したがって、今ここでどういうぶうに検討してどういうふうに処置をされるかという点について問題にしてもいいように思うのですけれども、しかし、いずれこの問題は定員全般にわたりまして行政管理庁長官、内閣委員会においでいただいて、建設省の問題、それから文部省の定員繰り入れの問題、あるいは農林省の問題等々、問題が残っておりますので、その際にひとつ建設省からもおいでいただいて論議をいたしたいと思いますが、なお、今どういうふうに検討されるのか、そういう方向がありましたら、今の機会にもひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/9
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010・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 実は常勤的非常勤職員等の定員化につきましては、私どもも今日まで努力をして参りまして、ようやく行政管理庁、大蔵省方面の理解を得て実態調査を昨年いたしました結果、本年も大量定員化が実現することになったのであります。そこで困りますのは、この役所の直接の業務に関係のない厚生福利施設等に働いておる人たちはどうしてもその定員化は認めないという行政管理庁等の方針でございまして、これらの若干定員化が今回の際に残されておるわけでございます。これをどう処理するかということにつきましては、他の省との関係もございますし、共済の制度もありますから、大体厚生福利施設関係というのは共済関係の業務といえば業務でございますので、これらとの結びつきをどうするか、さらにそれ以外にもっと適当な解決方法があるか、こういうことにつきましては、われわれといたしましては、急速に研究検討をして参りたい、こう思っておるわけでございます。私としましては、さしあたりこの方法で解決できるという実はまだめどを持っておらないのでありますが、所管の官房長はいろいろ他の省の動きも見ておりますでしょうし、事情を知っておると思いますから、なおそれ以上の点につきましては官房長からお答えすることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/10
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011・鬼丸勝之
○政府委員(鬼丸勝之君) 前回の委員会でお答え申し上げましたように、今回の定員化から残されました厚生福利関係の職員の取り扱いにつきましては、根本的には制度の面から検討を要することでございまするが、さしあたりは新年度予算におきましては、常勤職員給与という費目によりまして存置するということになっておりますので、新年度は従来どおりの経済的な処遇をするということが確保されておる次第でございます。ただ、私どもといたしましては、これにつきまして今後直轄事業の現場の宿舎等で働くこれら職員の身分的また経済的な安定を確保する措置を講じていかなければならぬと思いまして、ただいま大臣からお答えがありましたようにいろいろ検討いたしておりまするが、経済的な処遇は恒久的に安定させるという方法、たとえば予算上の定数、事業に見合った予算上の定数というようなものを確保する方法がないかどうか、それから定員化職員と同等の他の処遇の面におきましては、たとえば年次有給休暇、ああいう有給休暇の制度、これは定員化職員と違いまする顕著な一つの例でございますから、こういうものを人事院当局等と十分検討いたしまして有給休暇の制度をこれらの職員にも適用するというようなことが問題点だろうと思います。以上のようなことを建設省限りでは決定するわけに参りませんけれども、関係各省と寄り寄り相談を進めておるところでございまして、できるだけすみやかに適切な措置が講ぜられるように、結論が出るようにもっていきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/11
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012・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 これは先ほど私申しましたように、あとの機会になりまずけれども、行政管理庁と建設省の方々においでいただいて定員の残っておる大きい問題を問題にしなければなりませんので、その機会にひとつ譲りまして、次に、前回問題にいたしました大都市再開発問題懇談会、これは本委員会におきまする、こういうような調査会なり審議会なり懇談会というものについてやはり法律で設けるという建前から、私どもとしましては、これを法律で設けないでああいうふうに運営されるということにつきましては理解ができにくいというふうに思っておるわけです。したがって、この問題について前回大臣が検討するということでございましたから、きょうその検討の結果がはっきりいたしますると非常にいいわけでございますけれども、その点を再度お伺いするということと、それから委員の名簿をいただいたのですが、それから今度法律で設置されますところの宅地制度審議会、この委員の選任を寄り寄り御相談のことだろうと思いますが、委員の選任の中で私思いますに、宅地制度はわかっていないのですが、大都市再開発問題懇談会の委員の名簿はわかっておりますが、私はもっと医学関係とかあるいは美的な関係とか、そういうふうな方面をやはりもう少しお考えいただかなければならぬのではないかというふうに思うのですが、委員のメンバーを見ますと、土木、道路、建設関係と、地所を扱かっておる不動産関係者、それと新聞社その他の論説委員という形になっておりますが、もっとやはり宅地なりあるいは都心の再開発をやります場合は何といっても美的な面とか衛生上の問題とか、そういう問題をもっとやはり考えていかなければならぬのではなかろうかというふうに思っておりますが、そういう意味の御配慮が少し欠けているように思うのです、その点について大臣の御見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/12
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013・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 実は先日も申し上げましたように、私どもとしましては、いろいろ大都市の現状をこのまま放置するわけに参りませんので、何とか抜本的な改善策を立てて参りたい、それには建設省自体がその責任において研究をし、成案を得べきものでございますが、ただ役所だけの視野の狭い考え方だけでなしに、広くいろいろの人の御意見を拝聴いたしまして適切な意見を、見解を立てて参りたい、こういう意味で、いわば御意見拝聴の機関としてこういう方法を実は考えたわけでございます。だんだんとこれが進行いたしましてある種の意思決定をしていただく機関に直っていただく必要の生ずるような場合に、私どもとしましては、立法化の必要が生ずれば立法化をいたしまして制度化していきたいと思うのでありますが、さしあたりは都市問題につきましては、都市計画審議会等がございますから、こういう結論が出れば、成規のこれらの機関にかけて処理を進めたい。もしその処理した場合に、新しい機関を必要とする状態であれば別途考慮をいたしたいと思っておるような次第でございます。
なお、意見を拝聴しまする参加者の名簿を作りまして、それぞれ参考に御配布いたしましたこの方々に御協力方を懇請いたしまして了解を得ておるわけでございますが、これはきまった機関でございませんし、人数にも制限ございませんから、今御指摘いただきましたような方面の方にも必要に応じてひとつ御参加をいただいて、できるだけ広く意見を拝聴して、われわれの参考にして参りたい、勉強の協力をしていただきたい、こう思っております。したがいまして、御指摘のありましたような美的な都市構造あるいは衛生的な方面、こういうことにつきましては、今後も検討をいたしまして適当な人を得られましたならば御参加を願っていくように考えたいと、こう思っております。
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014・河野謙三
○委員長(河野謙三君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日大谷藤之助君が辞任され、山本杉君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/14
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015・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 この大都市再開発問題ですけれども、けさ新聞にまたでかく出ているのです、報道されているのです。きょう発足するのですか。でかく出ておって、その内容を見ますと、やはり一つ一つ審議してきめるような報道がされておるわけですよ。これはきょうだけの報道じゃなくて、前後これで三回報道されるわけですが、先ほどの大臣の御説明と少しばかり事情が違うように判断いたしますし、かりに大臣のようなお話でありましたとしましても、これはやはりどうも過去の本委員会の審議の経過から言いましても、これを法律で設けないでお進めになるということについては、やはり納得できないわけです。ですからすみやかな機会に法律で設けるというふうにひとつ処置していただきたいと思います、ですがね。再度ひとつその点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/15
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016・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 実はこの懇談会を開きますにあたりまして、大体の考え方としまして五、六項目懇談を願う中心の題目をわれわれ実は抽出をいたしたわけでございます。これはいずれもこのお集まり願う方々に意見を求めるのに、全然目標なしで意見を求めるというのもどうかと思いまして数項目の抽出をいたしたわけでございますが、これに限ったことじゃなしに、思いつかれたこと、平素その関係者のお集まりになる方々、考えておられる方々にひとつ忌憚なく述べていただき、われわれの参考にさしていただきたいと、こう思っておるわけでございます。私実は、けさつい全部の新聞を見ませんでしたので、その記事を読みませんでしたが、新聞がそういうふうに報道しておるとすれば、それは誤りでございまして、決して、われわれが数項目抽出してきました問題について、御決定をいただくとか、御決議をいただくとかいう趣旨のものではないのであります。とにかく、さしあたりは広く、こういう方面に関心を持ち、知識を持っておられる方々と思われる人たちにお集まりをいただいて、貴重な意見を述べていただき、われわれの参考にさしていただきたい、こう思っておるのが現在の段階でございます。だんだんこれをしぼって参りまして、具体的な意見がだんだん懇談会の中で固まってきまして、これを行政的に処置する段階におきましては、御指摘のように、法制化しなければならない場合も出てくると思いますから、その際には、ぜひ、われわれもそういった方向のことを立案いたしましたら、ぜひ国会にもお諮りをいたしまして御審議をいただくようにいたしたい、こう思っておるわけでございます。さしあたり懇談会として意見を拝聴する段階におきましては、予算編成段階においても立法化を他の関係当局にも折衝いたしておりませんので、ここでどうもすぐにそういう方法をとりますということを申し上げかねるわけでございますが、非常に大事な点の貴重な御指摘といたしまして、われわれ研究をして参りたいと、ただいまこう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/16
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017・山本伊三郎
○山本伊三郎君 今、都市建設懇談会ですか、これについて実はいろいろと党でも問題があるのです。これは党の問題というよりも、内閣委員会でもずいぶんこの問題を取り上げておりまして、若干でも予算の伴うものについては法制化するということは、これは建前であろうかと思います。各省でやはりこういう問題がいろいろ出てくるので、この問題は鶴園君からこの前から指摘をしておりますが、大臣は、今後その情勢の推移によっては法制化する、こういうことをはっきり言われておりますが、大体そうしたほうがまた運用もしやすいと思うのです。したがって、そういう点をもう一ぺん御説明願って、この問題は大臣の答弁を信じてわれわれは了解したいと思うのです。もう一回その点はひとつ、執拗でございますが、繰り返して決意を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/17
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018・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) さしあたりこういったような方法によりまして、知識のある方々の御意見を拝聴してわれわれの参考にして参りたいと思いますが御指摘の点もございまするし、われわれとしましては三十八年度の予算編成前には、ひとつ、御指摘の点を十分研究しまして、制度化することがあるいはいいということになるかもしれません、それまでにひとつ結論をしぼるようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/18
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019・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 今の問題につきましては、ひとつ重ねて、すみやかな機会に善処されますように御要望申し上げておきたいと思います。かりに意見を拝聴する、知恵を拝借するというようなものでありましても、何せ非常にたくさんの方が集まってやっておられますし、過去、労働問題懇談会にいたしましても、あるいは外交問題懇談会にいたしましても、本委員会で問題になった経緯がありますので、ひとつすみやかなる善処を要望いたしておきます。
次にもう一つ、これも前の委員会のときに問題といたしましたのが、砂防法の問題につきまして、過去長い間の、五、六十年にわたります経過からいって、問題がある、建設省と農林省との関係として問題があるという点についてここで論議をいたしまして、建設大臣からの答弁もあったのでありますが、私全然知らなかったのでありますけれども、その当日の閣議において河野農林大臣が、農林省の治山関係につきまして建設省のほうに一元化したほうがいいのじゃないかというような発言をなさったかのごとき報道が行なわれておるわけですね、これは閣議でそういうふうに御発言になったのか、あるいは閣議が終わったあとの記者会見においてそういう御発言をなさったのかよくわからないわけなのですが、いずれにしましても、この問題は河野農林大臣の問題ですから、農林大臣とやらなければならないと思いますが、経過からいいまして、たまたま私質問をいたしまして、建設大臣のああいう答弁があったのだけれども、大臣が答弁なさるときにはすでに閣議でそういう話があったように拝見するのですね。そこで、一体閣議ではどういうことになっているのかということ、どういうようにされるのかということを伺いたいと思うのです。それいかんによりましては、私は砂防と治山の関係については一家言を持っておりますからやらなければならない。まあしかし、これは河野さんの問題ですから……。私はここで伺いたいのは、閣議においてどういうようなことになっておるのかということですね。それと、建設大臣の御見解、これを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/19
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020・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 私は、知っておる範囲のことを率直に申し上げますが、閣議の席上におきましては、御承知のとおり、最近行政管理庁の所管で行政調査会が発足いたしております。そこで、いろいろ所管問題等が出ますときには、この行政調査会でひとつ川島長官から努力してもらうようにしてもらいたいという意見がぼつぼつ出ておるのでありますが、そのとき閣議の席上では、農林大臣から、農林省に関係したことで国会に出ていろいろ議論の対象になる問題が二、三ある、それは、一つは牛乳関係の農林省と厚生省の関係である、もう一つは港湾関係で、漁港と運輸省の所管する港湾との関係、それともう一つは、建設省の砂防と農林省の山腹砂防の砂防の問題、こういうことが国会で議論をされておる、自分としてもこれはどういうふうにさばいていくのがいいのかは、考えがきまっているわけでもないが、行政調査会でいろいろ行政機構を審議されるようだからぜひこういう問題は行政調査会で、国会に出るといろいろ議論されるので自分たちも困るから、十分検討をしてやってもらってほしいという趣旨の御発言があったように私記憶いたしております。別段その席でどうしようという話はだれからも発言がこざいませんし、決定的な話はございませんが、問題として研究をするようにということでございました。私どもとしましては、先般も申し上げましたように、確かに治山は治山としての使命でございますし、河川及び渓流としての砂防のほうは災害防止その他の面から一つの建設省のになっておる使命がございます。ただ、その分かれ目が確かにむずかしいことは、決して切り離れたものはなくて、つながった水流なり渓流なり山腹なりに関係したことでございますから、区分が非常にむずかしいことは事実ございますが、幸いこの点は両省間におきまして近時だんだんなれてもきておりますし、閣議決定、申し合せがありましてからかなりもう年月がたっております。その間に調整がはかられまして、それぞれ分担がきまっておりますから、現在ではそれほど両省間に権限上なりあるいは場所なり、事業の施行上なりについて争いもないのでありますが、よそから見れば建設省のやったところはこんなふうである、農林省がやったのはこうである、そこがちぐはぐではないかとか、若干批判の余地はあるかと思いますが、両省間では大体なだらかに行っております。今後も遺憾のないようにやっていきたい、こう思っておるのが私どもの現在の考え方でございます。行政調査会等で研究をされました結果、こういう問題についてどういう意見が出るかは、それは別でございますが、私どもとしましては今申し上げたような考え方に立っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/20
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021・石原幹市郎
○石原幹市郎君 ただいま鶴園君から、農林省、建設省にわたる砂防関係の一言化の問題について発言があったのでありますが、私もちょうどあの閣議後の新聞を拝見しまして、新聞によりますと、もう少し積極的に、農林大臣は、この砂防関係とそれから港湾関係はそれぞれの主管省——砂防は建設省、港湾は、漁港、港湾を通じて運輸省、それから乳肉衛生関係のような仕事はむしろ農林省、こういうふうにはっきり出ておったのでありますが、今建設大臣のお話からはそういう点もなかったようですけれども、あれは一方的の記者会見の発言ですかどうですか、もう一度ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/21
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022・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 私の承知いたしておりましたのはその範囲でございます。ただ牛乳につきましては、農林大臣は相当強くうちのほうの所管にこれを移してもらいたい、厚生大臣、どうかね、研究してくれ、こういう程度の、まあ突っ込んだといいますか、この程度の話まではありましたが、別段それに対して、よかろうとも、それは悪かろうとも、だれからも発言がありませんし、農林大臣からもそれ以上の御発言はなかったように記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/22
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023・石原幹市郎
○石原幹市郎君 鶴園委員はどういう立場から発言があったかわかりませんが、私は、昔から砂防関係は農林、建設両省にわたって非常に権限争いがあり、一応現在のところは先ほど来建設大臣が言われておるような線で両省が表面的には円滑にいっているようでありますけれども、掘り下げますると、まあ植林とかその他の山の保全の問題は別として、渓流砂防の点についてまだ若干農林省と建設省のなにがあるのじゃないかと私は思います。でたまたま農林大臣からそういう発言があったとすれば、絶好の機会ではないかと思うのでありますが、農林大臣と建設大臣の関係からいって、絶好の機会じゃないかと思うのでありますが、こういう際にやはり建設大臣として思い切って検討を進めていただきたいと私は希望するわけであります。
そからさらに進んでは、海岸保全、これは論じ尽くされておる議論でありますが、干拓堤防、先年、伊勢湾台風のあとのときの体験等から見ましても、こういう問題も行政調査会あたりでさらに掘り下げて検討してもらうべきじゃないかと思っておりますけれども、この点について建設大臣としての信念、信念というか、考え方をもう一回聞いておきたい。特に私は先ほど申し上げましたような希望を強く申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/23
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024・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 確かに今建設、農林両省間に、砂防関係について円満に進行はいたしておりますが、研究すべき課題であることは間違いないと私どもは思います。ただこれも御承知のとおり、かりに農林大臣なり建設を担当しております私なりがどう考えましても、それぞれなかなか歴史ある事務当局がおりますので、割り切ることは非常にむずかしいと思いますが、非常に重要な研究課題であることは間違いないと思いますので、検討をいたして参りたいと思います。
さらに海岸堤防につきましては、確かに三省にわたっておりまして、港湾に関係したところは運輸省、それから辰地に関係するところは農林省、建設官というような工合に三省で分担をして海岸堤防をやっておりますので、災害量が起こってみますると、何とか統一の道はないものかということを私ども現地を見ましても考えるわけでございます。これもしたがいまして、行政調査会等で行政の担当分野等を再検討いたしまする場合にはぜひ検討をしていただき、われわれも真剣にひとつ研究をして参りたい、こう思っておる題目の一つでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/24
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025・河野謙三
○委員長(河野謙三君) この際、委員の異動について御報告申し上げます。
ただいま松村秀逸君が辞任され、勝俣稔君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/25
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026・石原幹市郎
○石原幹市郎君 大体わかりました。私は、この間の新聞のようなことが事実とすれば、あの考え力は非常におもしろいと思うのです。権限はそのままにしておいて、工事の施行だけについて、プールというか、何か一元化してしまう。こういうようなやり方も、これは一つの方法ではないかと思いますので、そのことを申し添えてこの問題終わりますが、もう一点、最近非常に私は地すべりが全国的にいろいろ多いように思う。ことに大きな被害を今生じているのは、香川県と高知県の問の土讃線、これは主として国鉄でありますが、承りますと、だいぶ長い間輸送か杜絶して、海上連絡に重点を置いでいる。あるいはバス連絡をやっている。高知県のいろいろ産物が大阪、関西方面に出るのに、促成野菜とかいるいろのものがたいへんな大きな被害を受けている。聞くところによれば、国道も相当やられているように聞いているのでありまするが、これらの対策、簡単でけっこうでございます。それからこのごろ非常に地すべりが多いように思いまするが、いつも大体この程度の地すべりというものは日本の国土にあるのかどうか。このごろ特にひどくなっているとすれば、どういう原因からであるのか。それから予算も年々ふえてきているようでありますけれども、あれだけの入災害を起こす地すべりに対して、また予算が非常に、数億というようなことで、貧弱きわまるように思うのでありまするが、国土保全の立場、民生安定の立場から、いま少しく地すべり問題に対しても積極的になられたらどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/26
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027・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 先ほど御指摘のございました土讃線のところの地すべりにつきましては、国鉄と協議いたしまして、国鉄のほうで処置をしていただくことになりましたが、なお、この周辺については、地すべりの関係が非常に多いようでございますので、建設省としましては、三十七年度に、この付近一体につきまして地すべり関係の調査の実施をいたしまして、今後に備えたい、こう思っているわけでございます。
そのほか、全国的に確かに地すべりが最近目だってきております。四国にいたしましても、本州の中央部にいたしましても、御承知のような中央構造線の関係で従来からあったことではございますが、どうも地すべり関係が目立ってきておりますので、われわれとしましては、三十七年度も予算の増強をいたしましたが、今お話しありましんように、とうていこれでは十分ではございませんので、地すべり対策につきましては、今回御決定をいただきますれば砂防部ができますので、部の昇格に伴いまして一そう力を注いで参りたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/27
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028・石原幹市郎
○石原幹市郎君 ただいまの、このごろ特にこういう傾向が多いのかどうか。この程度の、これはすっと昔から今まであったのかどうかという点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/28
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029・鬼丸勝之
○政府委員(鬼丸勝之君) 地すべりが最近非常に多くなったとは考えられませんのでございまして、これは昔からありましたが、近年、山間僻地の開発が相当進んできたために、その被害が顕著になってきた。こういうふうに私どもは判断いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/29
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030・石原幹市郎
○石原幹市郎君 それから時間がないから、この程度にいたしたいと思いますが、もう一問。宅地制度審議会に関連して、物価問題が非常にやかましいことはこれはもう言うまでもないのですが、物価問題の中もで一番むずかしい問題の一つとされているのは、地価の問題、ことに宅地の地価の問題。これはどうも経済企画庁というより、建設省が地価に関する問題を統括されているのではないかと思うのでありまするが、非常にむずかしい問題、物価に与える影響も非常に大きいので、宅師制度審議会等ではそういう問題も中心にいろいろ論議されることと思うのでありまするが、こういう問題も取り上げる重点事項としてやる決意なのか、委員の人選なんかについてもそういう問題に適応するような委員を選びかつ選ぼうとされておるのかどうか。また、地価抑制について何か建設大臣が持っておられるのか、構想のようなものがあれば、この際承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/30
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031・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 宅地のこの地価問題は、住宅政策の一環として、また、先般の閣議決定をいたしました十三項目かにわたりまする物価対策の一環としましても非常に重要なわけでございます。したがいまして、あの中にも地価の問題を一項目別途挿入されております。これも実は私どもとしましては非常に深い関心を持っております問題でございまして、建設省としましては、今回の設置法改正によりまして宅地制度審議会を設けていただいて、ここに今われわれの手元でしぼっております問題点を付議いたしまして適切な成案を得たいと、こう思っておる段階でございます。一番この地価に影響のありますのは、土地が投資対象になっておるということが一番大きな値段のつり上がる原因だと思います。これらにつきましては、税制上の措置もあります。その他の立法上の措置もあろうかと思いますが、ただ現在の憲法なり、制度上の問題とも非常に深い関係がございますので、問題点はしぼってございますが、軽々に結論を出しがたい事情にありますので、審議会ができましたら審議会に付議いたしまして、十分討議もしていただいた上で適当な成案を得て、すみやかに地価の対策についてわれわれとしましては善処して参りたいとこう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/31
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032・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/32
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033・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/33
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034・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。建設省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案のとおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/34
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035・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/35
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036・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/36
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037・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
政府側からの出席者は、津田法務省司法法制調査部長、関公安調査庁次長、説明員として、池川法務省民事局第一課長、辻刑事局総務課長、矢野入国管理局総務課長の方々であります。なお、植木法務大臣は間もなく御出席の予定になっておりますので、順次御質疑のおありの方は御発言を願います。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/37
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038・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/38
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039・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 公安調査庁定員が新規に百三名ふえるわけでありますが、この問題につきまして、法務省として、当初からこの人間百三名あるいはそれに該当するような数字を、人員を増加するということで行政管理庁なり大蔵省と折衝なさったのかどうか。私の聞いておるところでは、法務省としては当初はこういう定員増を出して交渉をしておられなかったように承知をいたしておりますが、事務当局のほうで人員増という形で折衝なさったのかどうか、その点をまず伺いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/39
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040・関之
○政府委員(関之君) お答えいたします。その点につきましては、当初から人員の増加を予算の初めからお願いしていたのでございます。たしか最初はそれより多い四百名前後の数字でございましたが、お願いいたしまして、事務当局としましては終始一貫その実現を期した末、そういう数字に落ちついた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/40
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041・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 私の聞いておったところではそうではないように承っておったものですから、当初はそういうものはなくて、途中から政治的に人員増がきまったというふうに理解しておったものですから承ったのですが、当初から四百何名の人員増をもって行政管理庁なりあるいは大蔵省等との折衝をお進めになっておったわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/41
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042・関之
○政府委員(関之君) お尋ねのとおりでございまして、当初からそういう数字、四百何名かはっきりしておりませんが、その前後の数字でございますが、新規の増として大蔵省にも行政管理庁にもお願いし、終始一貫参ったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/42
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043・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 それではその問題は次回にしまして、次に定員を改正するというので、これは法務局百名ほど新規定員増が出ておるわけでありますが、法務局及び地方法務局におきます登記事務の増加に対処しますために、百名ほど人員をふやすという問題であります。非常に登記事務が近年たいへんな増加量になっておるというふうに承知をいたしております。これは高速道路の問題とかあるいは道路を拡大するとか、鉄道新幹線の問題とかあるいは宅地新開発の問題、宅地の造成が進むとか、あるいは工場の新設とか、そういうような近年の非常な動きの活発化に伴いまして、当然これは登記事務、法務局の関係、地方法務局の関係の事務量が非常にふえておるというふうに見るわけでありますが、近年どういう工合にこの事務量がふえておるのかというデータがございましたら承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/43
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044・池川良正
○説明員(池川良正君) 登記事件は逐年増加いたしておりまして、登記事件と申しましても、内容は登記の事件と台帳の事件二つに分かれます。また、登記事件の内容も権利関係の変動等を簿冊に記載する事件でございます。登記簿の謄抄本の交付の請求あるいは閲覧の請求というような、こういうような事件になっておるのでございますが、その増加の状況を申し上げますと、昭和二十六年、約十年前でございますがこれが登記公簿事件と申しまして簿冊に記入を要する権利関係の変動の事件でございますが、これが五百余万件でございましたものが、十年後の昭和三十六年には九百六十万件というふうになっております。なお、登記の簿冊に記入を要する事件並びに謄抄本の交付の請求あるいは閲覧等の事件、こういう点に至りますると、昭和二十六年は千五百万件でございましたものが、昭和三十六年には六千五百万件というような増加率になっております。この増加率のおもなるものはやはりこの数字でわかりますように、謄抄本の請求、それから閲覧の請求等が非常にふえておるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/44
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045・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/45
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046・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 速記つけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/46
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047・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 まあこういう事件数なりが非常に増加しているわけですが、私も実際登記の関係のところへ伺ったりすることが最近間々ありまして、そういう点を非常に感ずるわけですね。聞いてみますと、非常に不足しておると言う。しかし、人間はふえないというわけですね。今回百名ふえるわけですが、一体二十六年から三十六年の間にこの登記関係——法務局、地方法務局関係ですね、人員はどの程度ふえているものか聞いてみたくなるわけですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/47
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048・池川良正
○説明員(池川良正君) 二十六年を一といたしますると、三十六年は法務局の全体の職員の数からいきますと一・〇五でございまして、五分の増員でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/48
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049・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 つまり事件数は非常に、所得倍増というのではないのですが、倍加というか、三倍、四倍というふうにふえるわけですけれども、人員は五%ふえた、こういうことになっておるのですね。それでそういうことが、実際の業務の面に非常に無理を来たしておるように見るわけですけれども、そういう問題について逐次伺いたいのですが、ただ、今ここで百名増加になっておりますけれども、今の御説明のような事業量の非常な増加、それに対しまして人員が十年間にわずかに五%しかふえてないという中で、一体、どの程度の人員増加の要求をなされたのかどうか、その結果この百名になっているのだと思うのですが、どの程度の要求なりお考えをお持ちであったのか、その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/49
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050・池川良正
○説明員(池川良正君) 当初の要求につきましては、たしか千二百三十六名の増員を要求いたしております。もちろん、これは法務局全体の事務量の増加のためのものでございまして、うち登記事件についての所要人員といたしましては、たしか九百七十名の増員の要求をいたしておったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/50
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051・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 これからも御承知のとおり、ますますこういう件数というのはふえていくのだろうと思いますが、近年、非常に問題になっておりまして、近く、おそらく実施の運びに至ると思いますが、戸番の整理の問題、町名地番の整理の問題、都市あるいは大都市等におきまして相当大がかりにこういう問題が取り上げられて参りますと、これまた事務量なり件数というのは飛躍的に膨大になってくるのじゃないかというふうにも推定しますし、さらに御承知のように、登記簿と家屋台帳あるいは土地台帳を一元化するというようなことも進めていかれておられるようですし、さらに坪数で記載してあるものをメートルに換算していかなければならないという仕事だってたいへんな事務量だと私は思うのです。ですからことし、千二百三十六名御要求なさって百名という増加でありますが、きわめてこれは残念な状態じゃなかろうかとこう思いますけれども、法務省当局としてできるだけふやそうという御努力をなすっていると思いますけれども、あまりにどうもこれからのことをも考え、過去十年くらいの経過を考えてみて、人員が不足しておるのじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/51
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052・池川良正
○説明員(池川良正君) 確かに登記事件が逐年増加いたしまして、職員の増加が必ずしもこれに見合っていないということで、職場にありましては苦しんでいるところが多いと存じております。したがいまして、私どもといたしましては、これに対処するために増員の要求とあわせて事務の簡素化、あるいは能率化等も考えまして、当面の問題を乗り切っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/52
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053・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 高速道路にいたしましても、あるいは道路拡張にいたしましても、鉄道の新幹線の増設にしても、あるいは宅地、工場新設、さらには先ほど申し上げたような地番変更、戸番変更整理というような問題等いずれも着々と進められている。それに対する事業量というもの、あるいは予算というものも続々組まれて実施されてくる。しかし、最後のとどのつまりは登記関係のところにしわ寄せされ、そこには一向思うような予算がつかない。さらには思うような人員がつかぬ。その結果はこれは御承知のとおりのような形になるわけですが、もっと私、大臣にこの点の見解を承りたいと思うのですが、そういう状態に置いておくということははなはだ不健全な状態ではなかろうかというふうに思っておるのです。したがってこの問題は別に大臣がお見えになったときに、次の機会でもよろしゅうございますが、根本的にこれらははっきりしないとまずいのじゃなかろうかと思いますので、伺いたいと思いますが、きょうここでは一応おきまして、欠員の状況はどういうふうになっておりますか、どうも非常にじみな仕事ですし、それから職員の配置の状況は、御承知のとおり、全国にばらまかれておるわけですし、一人おる庁もありますし、二人おる庁もあるというふうに、非常に仕事がじみであるし、職員の配置もそういうふうに個々に非常に分散しておりますから、なかなかおいそれと、そういう事務に入ろうという気持の人は少ないんじゃないかという気もしますし、また、せっかく入りましても、やめていかれるんじゃないかという気もしまして、どういう欠員の状況になっているのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/53
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054・池川良正
○説明員(池川良正君) 欠員の状況は、時期によりまして違うのでございますけれども、案外と、都会地等では欠員の状況が相当多い時期がございます。いろいろ動いておりますので、はっきりしたところはつかみにくいのでございますが、大体全国を通じまして、年間平均いたしますると、三、四十名の欠員状況ではなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/54
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055・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 今の欠員の状況につきましては三、四十名というお話でありますが、承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/55
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056・池川良正
○説明員(池川良正君) これは時期によりまして、三、四十名というのは、平均いたしますると三、四十名——多いときで三、四十名というふうにひとつ御了解願いたいと思っております。とにかく三、四十名の欠員をかかえてやっていける状況ではないものですから、ですから、極力無理をしてでも来てもらうというようなことで、多いときに三、四十名でございますけれども、極力それを少なくするというので、十数名内外の欠員をかかえておるというような時期もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/56
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057・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 今の、多いときにはどうだとか、少ないときにはどうだとかいうお話ですけれども、これは法律できまった定員ですから、ですから、定数は法律ではっきりしておるわけですから、多いときは、少ないときはという、そういう年間を通じて非常にでこぼこがあるというのは、建前上おかしいわけですね。臨時に雇っておる人たちのでこぼこはありましょうが、法律で規定しておる定員というものは、そうでこぼこが、多いときは、少ないときはというのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/57
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058・池川良正
○説明員(池川良正君) これは定員の問題じゃございません。定員の問題でございますると、これは、定員は現在法務局では九千三百九十八名と、こういう定員になっております。その中で、今のお話のように、病気でやめるとかいうような者もございまして、定員の中の欠員というのが時期的にはたくさん生ずる場合もありますけれども、即座にこれを補充するという方向でいっておりますので、定員の中の欠員というものが、時期によりまして、幅の広いときもあれば、少ないときもある、こういうことを申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/58
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059・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 私、その点、定員法上どうも理解がつかないんですけれども、定員内職員というのは、御承知のとおり、恒常的に一年以上引き続いて勤務しておる者なんですから、それが時によって少ないとか、時によって多く欠員があるというのは、どうも理解がつかないんですけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/59
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060・池川良正
○説明員(池川良正君) 定員内の職員でございますると、定員が、ただいま申しましたように、九千三百九十八名おります。定員——定員というのは、これだけの人数を満たしてもよろしいという定員ということで、現実に定員がございますが、実情は、その者が病気等でやめるということになりますと、そこに現在配置されておる職員というものは、やめてから補充する期間、欠員の状態というものになっておる。それがただいま申し上げました、かなり多数出るときもあれば、補充して少なくなるときもある、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/60
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061・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 それじゃ伺いますけれども、その一番多いときはどの程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/61
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062・池川良正
○説明員(池川良正君) ただいま申しましたように、たしか四十名ぐらい、多いときにはあったのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/62
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063・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 大臣お見えになりましたので、大臣に今の問題を伺っておきたいと思いますが、蒸し返しになりまして恐縮ですけれども、事務量が非常に——これは地方法務局並びにその地方支局、それから出張所、こういうところの事務量が非常に膨大になってきている。これはもうだれしも想像がつくわけですし、推定がつくわけです。さらに、今後一そうその事業量がふえるということは推定される。戸番の整理、町名地番の整理というようなものが今圧倒的にかかってきますから、非常に事務量は今後といえども膨大なものになっていくだろうというふうに推定されるわけですが、それに対しまして、定員の人員がなかなか法務省で御期待のようにふえていかない。過去の事業量は、十年間に四倍なり、三倍なりにふえていくのだけれども、人員はわずかに五%しかふえていない。で、今回も千二百三十六名ほど要求なさったようでありますけれども、百名しかふえない、こういう実情であります。で、こういうことでは、これはどうにもひとつはなはだ遺憾な実情にあるのじゃなかろうかというふうに思って、伺いまして、政府委員のほうからも答弁がありました。大臣、もっとこの点ははっきりして処理していただかなきやならぬ問題じゃなかろうかと思っておりますが、大臣のひとつ御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/63
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064・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) 主として法務局系統の職員の定員不足の問題についての御質問でございますが、御指摘のとおり、現在の各法務局及びその所管の法務局系統の支局、出張所における職員数は、非常に不足のために悩んでおります。事務量に対しまして、仰せのとおりでありまして、非常にわれわれ当局といたしましては、もっと定員の増加をいたしまして、そうして事務の完全を期し、また、職員に対しても休養の機会も与える必要があるというふうに考えておるのでありますけれども、何分にもことしは政府の予算編成の基本的の方針の一つといたしまして、公務員の増加は極力これを避けよう、極力どころじゃない、むしろ原則としては認めぬのだ、ほとんど例外を認めぬくらいに強く話題になった問題でございます。しかしながら、われわれの法務系統の状況といたしましては、どうしてもそれをそのままに放置することはできませんので、特に原則に対して例外を設けてもらいまして、そして相当数の人員の御要求を予算としてお願いすることになったわけであります。それも、きわめてわれわれの希望から言いますと、何分の一か、九牛の一毛にしかすぎませんので、非常に残念でありますけれども、その足らぬところはさらにまた将来の時期を期し、あるいは実際の執務上の事務管掌の方法あるいは執務用具すなわち備品等の整備をはかりまして、これによって間に合わして参りたい、かように考えておる次第であります。世上のいろいろな批評を聞いておりましても、あるいは行政管理庁当局の監査というのですか、実地調査の結果から考えましても、どうもことしの予算で要求しておるところのあの程度では、とてもまだ足りないというのが私の感触でございますけれども、しかし、まあ予算編成方針の原則というものも尊重しなきやなりませんし、やむを得ず、向こう一年間はこの程度でがまんをしょうということで了承した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/64
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065・河野謙三
○委員長(河野謙三君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/65
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066・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 速記始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/66
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067・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それじゃまず総括的に聞いておきたいのですが、大体今度は人員が相当、鶴園君に答弁された点においては問題がありますが、全般として増員されておるのですが、公安調査庁の百三人、合計百四名ですが、これに対して増員の説明は大体聞いておるのですが、この百四名の増員された必要性についてちょっと大臣に聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/67
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068・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) 公安調査庁関係の百四名の定員増加につきましては、そのうちのすでに御説明申し上げたと思いますが、一名は行政管理庁のいわゆる常勤的職員の定員化と申しますか、実際上雇用しておる職員であるけれども、公務員の定員に入っておらないというようなものを定員に計上するという分でございます。それからその次の三十六名、三十六名はややこれに準ずる性質を持っておりますけれども、いわゆる行政管理庁が言っておる定員化とはぴったりは該当いたしません。実質的にはこれが実際上使っておる人たちでありまして、どういう方法でそんなのを使っておるかということになりますと、そのうちの、三十六名の中の十六名は守衛でございます。公安調査庁の地方における各役所が御承知のとおり、初めは他の官庁に同居をしましたりしておった関係で守衛の定員がございません。それがだんだんと役所ができたりあるいは独立の部分をこちらで占有することができるようになりまして、そういう部分について職員がかわるがわるもちろん交代で宿直や当直で警衛に当たりますけれども、それでもどうしても人の差し繰りがつかぬという場合には、やむを得ず常勤的に補助員を使いまして、そして警備の任に当たらしておるというものがございます。これが十六名。さらに三十六名の中の残りの二十名、この二十名につきましては公安調査庁が調査活動をいたします場合に、あるいは翻訳でありますとか、あるいは通訳でありますとかいうようなものを必要とする場合が相当あるのであります。これらの人たちの中でおおむねほとんど常勤的と言ってもいいくらいに常時仕事を頼んでおる、依頼をしておる先がございますが、こうしたものについてはむしろこれは正式の公務員にして、そうしてちょうど他の官庁における翻訳官あるいは通訳官とほとんど同じような仕事をしておることになりますから、こういうものは定員化することがよかろうというので、二十名を計上していただいておるのでございます。そうしますと、残りが六十七名ですか、になりますが、この六十七名の者につきましてはおおむね予算的にも実質的にも新規増という格好であります。なぜこの新規増を必要としたかという問題につきましては御承知のように、調査範囲が、調査対象が最近、この公安調査庁の発足当時並びに昨年までの状況よりは非常にふえて参った、非常に手不足で困っておるということが一点。さらに将来のことを考えましてもなお、ますますその手不足が増加するだろうというふうに予想される点、こういう点等にかんがみまして、理想的な姿からいえばもっともっとほしいという当局の要望もありましたけれども、先ほども申し上げましたとおり、公務員の定員増加を極力押えていこうという年柄でございましたから六十七名で満足していこうじゃないかというので、六十七名の純新規増をお願いしているのでございます。なぜそんなに仕事の増加があるのかということに対しましては、御承知のとおり、調査団体——破壊活動の防止をする意味の上におきまして指定をして調査をしておる対象団体がございますが、これが最近におきましては、左の系統で五団体、右の系統でも五団体、合わせて十団体の多きに達しております。しかも、そのうちの特殊の団体等につきましては、その団体の数、員数の増加も非常な顕著な勢いで伸びておりますけれども、しかも、近い将来も伸びることがどうも予想されるという姿であります。そういたしますと、従来の人手でもっては十分な調査ができない、ただどうしても最小限度、この程度ぐらいはぜひともふやす必要があるということで六十七名の純新規増加をお願いしておるわけでございます。以上申し上げましたようなことで、全体として百四名の増加を今度の予算に——予算の形式の上では純新規増の格好になっておりますが、内容は今申し上げましたような状態に相なっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/68
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069・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それで今度公安調査庁で百四名増員になって総数千八百十四名、このうちで純粋に調査官ですか、それに当たる人は何名ですか。それと今大臣が言われましたように、左右に分けて五団体ずつ、そういう対象団体がふえたと言われますが、これはどういう団体であるか、ちょっとお教え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/69
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070・関之
○政府委員(関之君) 現在のところ、全職員は千七百十名でありますが、そのうち千三百五十人ぐらいでございますか、それが公安調査官に相なっておるわけでございます。それに今度加わりました八十七名ですか、これが加わって公安調査官になる。で調査庁におきましては、公安調査官でなければ調査ができないのでありまして、あとのものは警備をするとかいうような事務的、あるいは雇とか給仕とか、そういうことで、そういうものは調査はできない、こういうことに相なっております。
それから調査の対象団体でございますが、いわゆる左のほうから申しますと、まず日本共産党、そして在日朝鮮人総連合、全日本学生自治会総連合、これは全学連と略称しておるのであります。次に日本社会主義学生同盟、これは社学同と略称しておるものであります。その次は共産主義者同盟、これは共同と呼んでおるものであります。これがいわゆる左でありまして、次にいわゆる右のほうといたしましては護国団、大日本愛国党、治安確立同志会、日本青年連盟、全アジア反共青年連盟、こういう五つを今日まで一応調査の対象というふうにこの席で申し上げまして、調査を正式にいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/70
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071・山本伊三郎
○山本伊三郎君 今の次長の言われたのと、大臣の言われたのと食い違っているのですが、大臣は調査官は百四名増員のうち六十七名が純粋な調査官だ、今、次長は八十何名と言われましたが、ちょっと食い違いがあるのですが、この点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/71
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072・関之
○政府委員(関之君) 大臣のお話のように、三十六名という数字がございまして、そのうちの十六名は守衛でありまするが、あとの二十名は職務の形態が調査官ということに相なるのであります。それで二十名と六十七名、八十七名ということに相なるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/72
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073・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それじゃ、もう一度確認しておきますが、今度の増員によって純粋調査官は現在は千三百五十名ですか、それに八十七名追加になるから千四百三十七名、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/73
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074・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/74
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075・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/75
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076・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それじゃ、大臣のおられる間にちょっと具体的な問題でひとつ先にお聞きしておきたいのですが、いろいろ順を追うて伺ったほうがわかりやすかったと思いますが、今調査団体について、左と右と言われました。これは破防法に根拠しておると思うのですが、実は私、一昨日ですか、地元のほうから若干聞いたのですが、具体的に申しますと、高知県の職員組合の幹部の人に、名前はあとで必要があれば言いますが、ある調査官から組合の実情をひとつ知らしてもらいたい、こういう話しかけがあったようであります。これについては職務の内容はあとで聞きますけれども、非常に組合を威嚇しているような行動に受けるほうから受け取れるのですけれども、そういう事実があったかどうか、これをまず聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/76
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077・関之
○政府委員(関之君) 高知の地方公安調査局からその報告を聞いております。お尋ねのことは外形的事実はあったものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/77
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078・山本伊三郎
○山本伊三郎君 調査官の職務として、破防法もいろいろ調べましたが、調査するのが役目であるかもしれませんが、あの事件については、われわれとしては行き過ぎであり、しかも言葉をかえて言えば、組合弾圧だということで地元では相当憤慨しておるのですが、調査庁としてはどういう考えです発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/78
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079・関之
○政府委員(関之君) ただいままでに受けました報告を見てみますと、事情は次のとおりなのであります。高知局の関係の近藤調査官が、つい先日でございますが、高知県の、県の職組の田中という副委員長に面会いたしまして協力方を依頼したのであります。それで近藤調査官は、実はこの県の職組の中に相当共産党の委員がおり、活動が行われておる疑いがあるわけでありまして、この田中氏にお願いすればその事情が最もよくわかるであろう、こう思って、その点もそういうふうに申し上げましてこれをお願いしたものであります。したがって、たとえば職組の動きを知るとかというようなことのお願いでなくて、中における共産党員、共産党関係はどうなっておるか、それをお知らせいただきたい、こういうお願いをした、こういうふうに報告は参っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/79
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080・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そこが問題なんです。調査官は自分の職務をやろうという考えであるかわからないけれども、受けるほうから見ると、共産党が今おる、この共産党というのは、公党であるからどこにもおられるし、これはそういうことは弁明にならぬと思う。やはり聞くほうからみると、組合の事情を聞かしてもらいたいということであれば、これは当然組合に対する干渉であり、また、受けるほうから見ればひとつの威嚇でもあり、弾圧ともとれる。こういうことは調査庁は指導しておるのですか、その点ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/80
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081・関之
○政府委員(関之君) 実はお尋ねのような点が私ども調査の非常にむずかしい問題だと考えておるのでありますが、と申しますのは、共産党員は各大衆団体に存在してそこで活動をする。そこで、共産党勢力の拡大をはかる。そうすると、その場はいわば大衆団体、これはこの問題におきましては県の職組ということになるのでありますが、職組の中に共産党員が相当おって活動していることはごうも疑いをいれない。その中を調べたいと考え、また、調べなければならないことになるのであります。
そこで調査官としてその田中氏にお会いすればその点がわかるであろうと思って、田中氏にお会いしたものと報告は来ておりまして、私もそうであろうとこう考えているわけであります。従来、たとえば破防法の第二条、第三条におきましても、労働組合とかその他の問題については、調査庁としていろいろな差し出がましいことをしてはならないと、こう書いてあるのでありまして、調査の態度として、十分研修をいたし、訓示もいたしてあるのでありまして、調査官の個々人が破防法による調査を今日におきましては、今の例におきましては、共産党ならば調査できるが、その他のものは調査できないということは十分私は承知していることかと思うのであります。そういうふうに従来やっておりましたが、本件の現実の問題としましても、今日までの報告によりますれば、私は共産党のことを伺いたいのだということをはっきり言うて、協力をお願いしているという報告が来ておりまして、近藤調査官が県の職組全体の動きというようなことはちょっと私も考えられないことで、報告のとおりのことであったろうと、こう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/81
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082・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そこに問題があるのですよ。そういう、おそらく共産党を調べるからひとつお願いするというような諸所にそういう事実があるのですが、今度は具体的にそれがわかったから、私は本委員会で質問をしている。そういううわさとか、かりに、そういう調査官の調べを受けても、後難をおそれて言わない人が実際に多い。たまたまこの問題についてははっきりと指摘したから、私が質問をしているのですが、そういう大衆団体というものが、これはもう法律に許された範囲内において自由にやっておるのですね。それに少なくとも幹部に対して、そういう調査官がかりにそういう一つの調査団体、対象団体のことを調べるとしても、それが大衆運動に大きく影響することはあなた自身もよくおわかりだと思う。調査官がいわゆる高知県職員なら高知県職組に対して、いろいろな調査をしているということになれば、すべてのそれが運動の大きなマイナスになる、そういうことがいなかのほうにいけばいくほどそれが大きく響いてくる。この近藤調査官の一応やった行為についてはどこまでも究明したいと思う。本人はそういう自分の職務で善意にやっておるといっても、客観的に見ればそれが一つの県職組に対しての威圧であり、弾圧であるということは、職場ではもうそういう空気になっておる。これに対して公安調査庁なり、法務省はどういう考えであるか、近藤がやったことはそれが正当であるというような次長の説明でありますけれども、それはあなたの立場で言われるだけであって、客観的に見てこれが正当であるとわれわれ認められない。法務大臣、次長のひとつはっきりした答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/82
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083・関之
○政府委員(関之君) 高知県の県職組内における共産党の活動というのは、私たちの立場からいたしますれば、ぜひ明らかにしておかなければならない。そしてそれは結局職組という場においてそれを基礎にしてその活動が行なわれておるわけでありまして、手段といたしましては、その中における党員とか、最もそこに近いとか、いろいろ立場の方によくお話を聞く、こういうことにおのずからならざるを得ない。もちろんその手段方法は、いやしくも職組の動きをどうこうするというようなことに対しては慎重な考慮のもとにその措置をいたさなければならないわけであります。ところで、近藤調査官は、報告によりますれば、やはり田中さんに聞くのが一番よろしい、田中さんがそのことは一番よくおわかりになっておる。このように判断いたし、また、そういった立場にいるようであります。私どもとしましても、これはやむを得なかったことじゃないか、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/83
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084・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) ただいま御指摘の高知県の当該具体的な問題については事務当局が報告を入手しておる程度のことであるとするならば、まあやむを得ないかとも考えますが、政府委員の答弁でも申し上げておりますとおり、こうした事案の調査というものはなかなかむずかしい非常に骨の折れる仕事でございます。それだけによほど担当者も用心をしてかかりませんと、他の善良な人たちに迷惑を及ぼすということもあり得るのでございますから、今後ともこうした調査のときの態度についてはよく訓練を重ねて参りたい、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/84
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085・山本伊三郎
○山本伊三郎君 なかなか短時間でこれをはっきりするには少し時間が……午後に回しますが、大臣の答弁は比較的慎重な答弁であったと思うのです。次長の答弁はこれはやむを得ないのだと、調査官としてはそういう方法以外にないのだ、こういう印象を与える答弁なんです。それではわれわれは承知できない。それは御承知のように、破防法によってやっているようでありますが、調べる方法が問題である。破防法に対してはわが党は反対した。反対したが、通ったのだからその法律があるということは認めざるを得ないが、その調査する方法を問題にしている。法自体の問題ならばこれは別問題ですから、きょうは聞きません。方法自体に問題があるということを追及している。次長はその点は、あれはやむを得ない調査官の手段であった、これはあとからわかるようにしていきますが、こういうことではおさまらない。要するに、近藤調査官のやられた措置について妥当というふうに意識されているのかどうか。これだけここで用いておいて、午後再び掘り下げていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/85
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086・関之
○政府委員(関之君) 調査の仕方はたいへん苦心を要する問題でありまして、御指摘のような調査対象でない組合に対していろいろな差し出がましいことにならないように注意しなければならない、これが一番重要な調査においての私どもの苦心しているところなんでございます。そこで本件の場合におきましても、どうも田中副委員長が最もよくその事情がおわかりだというふうに考えられる立場にあるようでございます。そこでその方にお目にかかってという次第でありまして、副委員長というお立場が、あるいは全般的な問題に影響があったかと思いますが、調査官の立場から見ればこういう方にお願いしたらよくわかるだろう、こう考えたこともまあまあやむを得ないと、こういうふうに考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/86
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087・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 質疑の途中でございますけれども、午後は二時より再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時四十五分休憩
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午後二時二十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/87
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088・河野謙三
○委員長(河野謙三君) これより内閣委員会を再開いたします。
午前に引き続き、法務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
政府側から出席の方は、植木法務大臣、津田司法法制調査部長、関公安調査庁次長、説明員として池川、辻、矢野の三君がお見えになっております。
御質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/88
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089・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それでは午前に引き続いて、公安調査庁関係に聞いておきたいと思います。
ちょっと話をもとに戻して、調査官の任務と申しますか、あるいはまた、公安調査庁で何か服務に対する方針というものがあると思うのです。法律というものは、あれは概括的に規定しておるから、調査官もなかなかむずかしいと思うのです。公安調査庁で、調査官に対して調査する際に当たる注意事項といいますか、そういう服務指導というものはどうされておるのか、それをちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/89
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090・関之
○政府委員(関之君) 調査官の調査上の注意事項といたしましては、法律上は第一条、第二条、第三条が基本になると私は思うのであります。その趣旨とするところは、要するに、調査権の実施運用において、日本国憲法に保障する基本的人権を侵害してはならない、特に労働組合その他の問題に介入してはならない、そういうような事項が柱になっておるわけでございます。また、法律の権限の拡張乱用をしてはならない、こういうことになっておるわけでございます。この三つの趣旨精神に従いまして、各調査官に対しまして、権限は公安調査庁が破防法に基づいて、たとえばこれこれは調査するときめますれば、要するにそれは調査いたしますが、それとの関連において他の団体に対して迷惑にならぬように、これこれの場合は注意するというようなふうに個々的に注意を与えてやっているわけであります。また、研修所がございまして研修におきましても、この点につきまして調査の権限の範囲というような問題について注意をいたしまして、そうしてその権限の乱用、今の二条、三条の趣旨、精神に反しないように注意を与えておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/90
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091・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そういう一応の方針と申しますか、あると思うが、実際問題でなかなか調査官が現実に調査するということになると、いろいろ手を使わなくちゃならぬと私は思うのです。そう簡単に調査官の言うとおりにならぬ場合も多いのですよ。本件のような場合はきわめて問題のある点に触れておるようです。公安調査庁でも十分そういう資料はとっておられるかどうか知りませんが、やる調査官の調べる立場と、それを受ける立場とは非常に変わってくると思うのです。それがために相当この団体では、具体的に言うと、高知県職ではそれが非常に衝撃を受けておる。こういうことが言われておるのです。なお、これについて、もしはっきりできなければ、私両者を呼んでもらってもいいと思うのです。将来公安調査官の活動について、これはいい悪いは別として、非常に参考になると思うのですが、どうも次長の言われるようになると、そういう調べをするために頼んだり、これは正当な行為であると言われるけれども、調べられておるほうは、そうは受け取っておらない。何か職権で威圧を加えておるような感じの受り取り方をしておるのです。われわれとしては、それは絶対に許せない。調べるならば、今言われたような方法で、方法といいますか、非常に抽象的ですが、別の方法があるべきだ。何らそれに関係のない、しかもその団体の幹部に対してそういう方法をとられることは、いかに弁明されても、やはり組合に対する活動の弾圧と申しますか、干渉というか、そういうことに受け取らざるを得ないのですから、この点について次長はどうしてもそれでいいんだと言われるならば、われわれとしては、また別のほうで考えなければいかぬと思いますが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/91
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092・関之
○政府委員(関之君) これは御承知かと存じますが、破防法に基づく調査権限には強制権が全然ないのでありまして、一に相手方の御承諾を得て、話し合いで、しからば私の知っていることを話しましょうと、こう言っていただいて話を伺う、あるいは見せていただくということが原則であります。しかし、相手方がそれは困る、話せません、あるいは入ってもらっては困る、こういう場合は全然入りもできないし、話を伺うこともできない、こういうことが建前になっていて、たとえば警察における刑事訴訟法上の権限というものは全然ないわけであります。そこでいつも相手方によくお話し合いをして、そうして納得の上で話を聞けと、こういうふうに実際の御協力を得る場合にも指示をしているわけであります。
本件の場合でございますが、今まで得た報告によりますと、これは前に申し上げた点でありまするが、調査官としていろいろの資料その他によって検討した結果、田中さんが最もよく知っているお立場にある、こういうような判断をしたようであります。その組織との関係において田中さんが最もよく御存じである。そうして今日までの報告によりますると、やはりお会いをしたときに、実は共産党のことを伺いたいと、こういうふうに明確に言っているというふうに報告が参っておるわけであります。そんな次第でありまして、どうも一応調査官はそう判断をして、そうしてお会いして自分の名を名乗り、また、自分の身分を告げるというような次第でありまして、やり方としてはそういう判断も、諸般の事情、資料その他、高知の局において入手した情報に基づいて、どうもそういう判断をしたと申しておりまして、そこらから見まして、田中氏に協力を得るためにその自宅に聞きに上がったということは、どうも事柄の進展としてやむを得なかったところかと、こう思うのでありますが、現地の各方面に御迷惑をおかけして、何か伺いますとだいぶ相当強い抗議が来ておるように報告にも書いてありまして、そこに報告以外に何かあったかと私も心配しておる点でありまて、今後におきましてもできるだけそういうことがないように、御迷惑をかけないようによく注意いたしたいと、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/92
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093・山本伊三郎
○山本伊三郎君 大体、次長もそこまで慎重に考えるということであればいいのですが、先ほど言われたようなことであれば、そういうものをわれわれのほうには言ってこないと思うのです。本人が承諾して、そうして協力するというようなことを考えておるならば、こういう問題にしてこないと思うのですが、ただ救済されるには国会で言ってもらう以外にないというほど切実に言って参ったのです。それで、きょう本案に直接関係はないけれども、特にこれは法務大臣にただしておきたいと思って質問しておるのですが、これはほうぼうでそういうことも聞いておったのです。公安調査官だけでなくして、警察関係でも、いろいろそういう問題があって、警察は特に今注意をしておるようです。特にこれは法務大臣あるいは公安調査庁当局に言っておきたいのですが、あなた方はそういうことは普通だ、こう考えておると思うのですよ。ところが、受けるほうからみると、まあ僕らみたいにすれている男であれば、警察であろうが、皆さんが来られても問題ないのですが、純朴なそういう人々は、公安調査庁というと、何か問題があるのじゃないかという、一つの印象を受ける。本人だけならいいが、それが周囲に伝播すると、非常に団体活動に対して問題を起こす。特に私もそういうことに関係もしておりますし、その組合の実情もよく知っておりますが、決して行き過ぎておるような組合でもなし、また、共産党の諸君が特に問題を起こしておるようなところでもない。高知はいろいろ問題のあるところでございますけれども、本県の所属団体においてはそういうことはないと、そういう見方をしておるのです。そういうところにそういうものが手を入れるといいますか、そういうことになることは、これまた逆に一つの結果が出てくる場合もある、そういう点を私は言っておきたいのです。したがって、この問題については、私もきょう法務大臣なり次長が、そういう調査も十分されていないということですが、もう一ぺん突っ込んで事情を調べてもらって、そういうことがあればあるようにひとつ処置してもらいたいし、なければまたいい機会に、できればもう一回本案についての委員会がありますから、そのときに十分ひとつ聞かしていただきたい。きょうは、ともかくそういうことのないように将来はやっていくということを法務大臣が言われましたし、もしこれが発展すると、これはもうわれわれは基本的人権の問題として取り上げたいと思いますが、そういう点で十分注意をしてもらいたい。わが党が大体本案に反対するというのも、やはりそういう点が相当大きく出ておるのです。なるほど破防法ができた以上は、その法律によっていろいろ活動するということは、それは任務としては当然かもしれませんが、それが団体に与える影響というものは、私は相当大きいと思うのです。
そこで、最後に聞いておきますが、一体調べました高知県職の団体に、そういう皆さんが調べる共産党員ですか、そういうのは一体幾らあるということになっておるのですか、それをちょっと聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/93
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094・関之
○政府委員(関之君) これは共産党で出しいる前衛という機関誌がございます。昨年の十月の臨時増刊の中に「労働戦線の統一について」として、高知、開徳孝という名で報告がされておるわけでありまして、その中を見ますると、「民社党が組織の右傾化と理事者側が御用組合をねらって一体となって攻撃を加えてきた県職では、党は、社会党員、ならびに無党派の活動家に敵の圧迫とたたかう方向を示し、とくに、社会党員を説得して、役員選挙に社会党、統一派、党が政策を協定し、協同で民社系とたたかい、二対一の比率で一三のポスト全部をわれわれの側に握りました。党は、組合長を含め四名が当選しました」。こういうふうにここに書いてあるのでございます。当選者四名のほかに、相当の者がいるというふうに現地からの報告が参っておりまして、どうも私どものほうといたしましては、破防法に基づいて共産党は調べざるを得ないのでありまして、これらの中におります共産党の行なう活動、その組織の増加の実情というものを握らざるを得ないわけであります。そこでこういう調査をいたしたわけであります。ここでひとつ御承知おきをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/94
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095・河野謙三
○委員長(河野謙三君) ただいま説明員として大蔵省主計局の赤羽主計官がお見えになりましたから御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/95
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096・山本伊三郎
○山本伊三郎君 この問題は次に譲りますが、これは法務大臣に聞きたいのですが、破防法はすでにもうできてだいぶ年もたってきておるし、対象団体として、共産党とか、全学連とか、その他団体があるのですけれども、実際そういうものを調べて、職務だから、法律にあるから調べるというか、そういう効果といいますか、必要性というものはいまだあるのですか。その点ちょっと法務大臣から政治的な問題だから聞いておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/96
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097・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) ただいまの御質問に対しましては、われわれとしては理想を言うならば、むしろこんな調査をして、たくさんの国費を費やし、また、大ぜいの人を使っていくということはないほうがいいにきまっておるのであります。しかしながら、破防法の立法された当時以来の国際共産主義の動き、勢力の問題、あるいは日本の共産党の動きというものが、一時は確かに非常に心配な点がありました。今日がそれじゃその心配が全然なくなっておるのかといいますと、どうもそれが全然なくなったとは思えない。やはり世界共産化の方針にのっとって、日本に対しても国際共産主義勢力は働きかけている。日本の共産党の諸君はどういうふうに考えておられるか。表に現われた、われわれの知り得た範囲においては、どうもかつての破壊活動的な行動に全然将来は出ない、そういうことはやらないというような保証があるか、そうした決心があるかといいますと、どうもそこまでは見られない。そうしますと、万々一の備えということがやはり国の公安を維持し、国民の生活を守っていく政府の側の立場といたしましては、現行の法律によって十分調査をしておいて、そして万一に備え、事なからぬことを祈りますけれども、万々一事が起こった場合には、直ちに適切なる処置を講ずることができるようにしておきたい、こういうふうに考えておるのであります。
ですから私の思いますのは、全然この心配がなければいいんですが、なくなっていない、なくなっていないとすれば、現行法の命ずるところによって、忠実にやはり行き過ぎにならぬような程度で調べ尽くしておくことが当然の職務であり、権限と、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/97
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098・山本伊三郎
○山本伊三郎君 大臣の立場からの答弁としては、そういうことになると思うんですが、僕らから見ると、共産主義というのは思想から出発してくると思うし、政治的な活動よりも、むしろ若い人から見ると、思想的なものが一つの基本になっておると思うのです。今日国際的に見ても、共産党の活動というものは、非常に現実的になってきておると思うんです。ソビエトを見ても、また、共産圏の諸国を見ても私はそう思っておるんです。あまりそういうところに刺激を与えることは水を攪拌するようなもので、うまくいこうとしているものに対して、逆に刺激しているようなことに私はなると思うのです。また、そういう例がたくさんあるんです。したがって、そこはやはり政府の考え方というのは、われわれとだいぶ違いますからやむを得ないかもしれませんが、われわれとしては、あまりそういう方面に刺激を与えることは、私はかえってマイナスであるという、これは私個人の考えを持っておるんです。そういう例がたくさんあります。したがって、むしろ私はそういう調査するということよりも、いわゆる何と申しますか、一般の政治そのものがよくなれば、私はそういうものが自然になくなっていく、これは何も共産党だけじゃなしに、あらゆるそういう破壊活動というものは、やはり政治の貧困から起こってきていると思う。したがって、私は欧州先進国を見ても、もうほとんどそういう勢力というものは、今日見られないような状態になっておるんですね。それがあまり政府なり、自民党がそれに対して神経を使い過ぎて、しかも調査官がそういう調査することによって、若い者は反抗心がありますから、やるならひとつおれもやってやろうということになる。そういう点が私は非常にマイナスになっておるんじゃないかと思う。したがって、この点については十分ひとつ注意してもらいたい。
それじゃその問題は次の委員会に譲って、次を続けたいと思います。若干ほかのやつをただしておきたいと思います。本省関係の三百二十五名の増員ですが、このうち先ほど鶴園君が法務関係伺いましたが、私は検察庁関係の問題についてちょっと聞いておきたい。六十九名というのはこれはすべて検事ですか、その点ちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/98
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099・津田実
○政府委員(津田実君) この六十九名につきましては、副検事が二十名、それから一般の職員つまり検察事務官が五十名、それから行政職(二)の俸給表に当たる者が二人、七十二名なんでございますが、そのうち三名は、そのうちと申しますか、検察庁の定員のうち三冬は、これを法務総合研究所の研究員に振りかえましたので、差し引きいたしまして六十九人ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/99
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100・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そうすると今度の増員は検事は入っていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/100
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101・津田実
○政府委員(津田実君) さようでございます。検察官といたしましては副検事が二十人入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/101
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102・山本伊三郎
○山本伊三郎君 われわれ聞いておるのを確かめるために伺いますが、副検事はこれは直接取り調べといいますか、検察事務に当たるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/102
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103・津田実
○政府委員(津田実君) 副検事はやはり検察官でございまして、これは一定の事件、区検察庁に配置されまして、区検察庁の事件を取り扱うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/103
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104・山本伊三郎
○山本伊三郎君 今検事は全国で何名になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/104
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105・津田実
○政府委員(津田実君) ただいま検事は九百十二人でございますが、検事総長以下を全部含めますと、今度の新しい定員といたしましては、千五十九人になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/105
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106・山本伊三郎
○山本伊三郎君 検事の数が多いのは必ずしもいいとは言えないのですが、非常に検察事務がおくれがちだと思うのです。これは、僕の例だから間違えないのですが、私は、三十五年の六月の二十何日か、あの安保の問題のときに、若干危害を加えられて、そして公訴したのですが、それも、ちょうど取り調べにがかったのは、一年二カ月かかってから、ようやく来てもらいたいと、十四カ月目に初めて調べた、こういうことがあるのです。私は、何も検事を責めたいと思って発言するのじゃないのですが、一年もたってしまってから、証拠物件もなし、本人もどこへ行ったかわからないという状態です。こういう一つの例がある。私のは、特に、あんなものはほおっておけといってやられたのかもしれませんが全国的に、そういう事件が起こってから一年ぐらいかかるのが普通ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/106
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107・津田実
○政府委員(津田実君) 全般的に、どの程度の事件がどれだけかかっておるかということは、なかなかつかみにくいわけでございますが、試みに、昭和三十五年の年末、つまり十二月三十一日現在に未済になっておる事件について調査をいたしてみますと、その未済の期間、つまり事件を受理いたしましてから、まだ処理をしていない期間の区分によりまして御説明いたしますと、十五日以内のものが〇・四九%、一カ月以内のものが〇・五四%、二カ月以内のものが〇・三九%、三カ月以内のものか〇・二一%、六カ月以内のものが〇・三%、一年以内のものが〇・二%、二年以内のものが〇・〇八%、二年をこえるものが〇・〇二%というふうでございまして、これは年末の一日をとったわけでございますけれども、こういう例を見ますと、全体といたしまして、未済期間の長い、つまり処理期間が長く断続しておるものは非常に少ない。一%にも満たないような状況でございます。大かたの事件は、相当の期間において処理されておる。起訴あるいは不起訴という処分になっておるわけでございますが、特別の事件につきましては、やや、この二年をこえるというものが出てくる場合もございますような次第でございます。また、この長いものにつきましては、被疑者が行方不明であるというようなものもありますので、そういうようなものを除きますと、真に、進行しております事件も、長いものというのは非常に僅少と考えてよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/107
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108・山本伊三郎
○山本伊三郎君 私のは相当な特例になっておるようですが、それは触れたくありませんが、検察事務、これは、もちろん人の罪の判定をするということで、起訴するかどうかという重要な事務ですから、普通の商売のように、あとで、間違えば直そうということがないから、慎重にかかるということは、これは私はやむを得ないと思いますが、しかし、そういう事件、告訴されたら、一応、まず、事後の問題でいろいろ問題があると思うが、まず、最初に手をつけておかなければ、証拠も隠滅される。隠滅しなくても、そういう意思でやらなくても、自然に遠ざかっていきますから、そういう点はひとつ考えなくちゃいかぬと思うのですが、ただ私は、ここで一応の結論を結びたいのは、やはり人員が足らぬというところからそういうもの、かくるのか、事件の性質上そうなっているのか、これを一ぺん聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/108
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109・津田実
○政府委員(津田実君) ちょっと先ほど申し上げました数字に誤りがございましたので、御訂正申し上げるとともに、今の御質問にお答え申し上げたいと思います。
先ほど九百十二名と申し上げましたのは、第一審事件において働いている検事のことでございまして、千五十九人というのは、検事総長以下の全部を含めました、しかも副検事を除いた検察官の数字ということでございます。そこでまず検事が少ないかどうかという問題でございますが、現在検事にっきましては五十六人の欠員を持っております。もっとも現在は一番欠員の多い時期になるわけでございまして、この四月早々に司法修習生の修習を終わりまして、検事あるいは判事補になる者がありまして、そのうちから約四十四名ぐらい採用される予定になっておりますが、依然として十二人ぐらいの欠員は残ることになるわけであります。この点につきましては、その補充に司法修習生のみに限らず、一般の弁護士その他からの採用も考えているわけでございますけれども、やはりこれは給与の問題その他勤務体制の問題——つまり転任をしなければならぬとか、いろいろな事情からなかなか、弁護士になり手は多くても、検事になり手は少ないというような状況で、補充が非常に困難でございます。したがいまして、本来なればもっと検事の定員をふやして、事件の処理をできるだけ早くするということが理想なんでありますけれども、今申し上げましたような事情で、今日現在の定員をもって、できる限りの処理をいたしているというのが実情でございます。
検察官一人当たりの受理人員でございますが、これを年度区分によって申し上げますと、受理人員と申しますのはこのような事件を受理いたしました人員でごいますが、それによりますと、昭和三十一年は千九百十八人、昭和三十二年は二千百七十二人、昭和三十三年は二千二百四十人、昭和三十四年は二千二百八十七人、昭和三十五年が二千二百五十二人、昭和三十六年は三千八十六人、昭和三十七年を推定いたしますと、三千四百八十六人ということになりますので、やはり事件数が、検察官の定員の増加を上回ってふえていくという状況、それは一応看取されるわけでございます。もっともこの中には道路交通関係事件もございますので、それらの画期的と申しますか、異常な激増ということが、特別な事情になるわけでございます。とにかく増加の趨勢は、必ずしも検察官の増員数では、それに追いつかないということが言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/109
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110・山本伊三郎
○山本伊三郎君 このまま推移すれば、若干の人員をふやすということも、これは可能だと思うのですが、法務省として、こういう工合に件数が累増してきて、これは検事だけじゃなしに、一般検察事務に携わる人の、そういう事務の限界をこえてくると思うのですがね、こういうことについて、法務省としては、どういう考えなんですか。自然にふえていけばそのうちふやしていこうという、無計画な状態であるか、この点、どういう考えでおられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/110
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111・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) 検察官、ことにそのうちの検事の問題につきましては、現状をもってはその員数の不足を痛感いたしております。したがいまして、その増員については、いろいろ工夫も重ねているのでありますが、何分にも、この志望者と申しますか、検察陣に入ってきてくれるその人的資上源の面で思わしくない点があるのが一番大きな障害になっております。したがいまして、われわれといたしましては、この国会において、別途国会に御審議を願っております臨時司法制度調査会の法案をお願いしておりますが、この調査会においてこうした問題も含めて、主たる目標は裁判官、検察官の給与の問題等、あるいは任用の問題等が一番主たる問題でありますが、そのよって来たるところはやはり裁判官、検察官の人的資源をいかにして確保できるか、法曹一元化ということが多年叫ばれておりますが、これも思うようになかなか実際は動かない。これはどういうふうにすれば動いていくだろうかというようなこと等を調査をしていただくことに考えております。こうした問題によって裁判官あるいは検察官の給与の問題、任用の問題、人的資源の問題等一連の問題を抜本的に考えていただいて、一挙に理想の点まではいけなくても、その間一段心々と計画を漸進的に進めていくという工夫がありはしないかということを今考えているのであります。もし幸いにしてこの法案が国会を通過しますならば、これによってこうした問題の解決に当たり得るかというふうにも考えます。われわれといたしましては、現状をもってはどうしても満足できない。事件も非常に増加して参っておりますし、また、複雑性も一般社会制度あるいは経済生活の進展とともに困難になって参りますから、こうした問題についても従来よりはなお一そう人員も増加して、そしてほんとうに慎重な、また、人権を尊重して懇切丁寧な調査をしていくことがわれわれに与えられた当然の任務とも考えますので、この点ぜひこの法案をこの国会で通していただきたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/111
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112・山本伊三郎
○山本伊三郎君 人員ももちろん足らないということもわかるのですが、もう少し検察事務の合理化、というと語弊があるかもしれませんけれども、あまり形式主義をとっておられるのではないかと思うのですがね。もう少しそういう方面を改善する余地はないでしょうかね。検察庁へ私も二回か三回行きましたが、全く形式主義で、尋ねることも何回も何回も同じことを問いて、まあ調べる立場から言えばそういうことも必要かしれないけれども、どうもわれわれとしてはほんの三十分ぐらいで済むやつがもう二時間ぐらいも費しているということがありますが、そういうものを避けられないかどうか。そのために向こうで非常にたくさん待っておる人が一日中時間をつぶして待っている。そして調べられるとあれやこれやと長く引っぱられて、そうしまして事件の解決までなかなかいかない。こういう点の不満が相当あると思いますから、事務の改善といいますか、そういうものは考えられないかどうか。この点はどういうものなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/112
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113・津田実
○政府委員(津田実君) お尋ねはまことにごもっともな点でございまして、まあ参考人にいたしましても、被疑者にいたしましても、警察で調べられ、それから検察庁で調べられ、さらに起訴された場合においては、法廷においてまあ被告人としてはやむを得ないとしても、参考人が証人として調べられるというようなことはしばしば起こることであります。これは訴訟手続を慎重にする上においてはやむを得ないという点も多々あるのでありますけれども、一面取り調べを受ける側のほうから申せば、非常に繁雑であるということは否定できないわけです。しかしながら、これはまあ手続上非常に問題になるわけでございまするが、要するに、警察において聴取いたしましたものと、それから検察官が行ないましたものにつきましてやはり証拠法上の取り扱いが違うとかいろいろ手続法上の問題がございまして、どうしても同じことを再び警察と検察庁とで重ねて聞かなければならぬという事態がどうしても起こるわけです。しからばそういうような点は簡略にできないかということなんですけれども、やはりこれは刑事手続の重要性と申しますか、司法の慎重を期する上からやむを得ないというような要請があるわけです。そこでそういう被告人その他関係者の人権をそこなわない限度においてできるだけ能率的に簡便に行なうということは最も望ましいことなんでありまして、検察庁におきましても、これはまあ裁判所におきましても同じでありますけれども、随時研究等は重ねておるわけでございますけれども、なかなか一般的に国民の方が考えられるように簡便にはいかないというのが現在の実情なんです。そういう点もございますが、訴訟法の面の改善等につきましてもやはり法務省におきましても研究を重ねておりますので、できる限り能率的しかも簡便に、しかも人権をそこなうことなく手続が運ぶように努力をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/113
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114・山本伊三郎
○山本伊三郎君 大体事情はわかりましたが、検察官、まあ検事が主となるんですが、なかなか人材が来ない、希望者がそう来ない、それはどういう原因でしょうかね。で私も経験あるんだが、検事の経験じゃなしに、調べられた経験はあるんですが、やはり私は日本の検事は調べ力が下手だと思っておるんですよ。何か権威主義で、背後に法律があるんだという権威主義でやっているということが直感的にわかるんですね。それではかえって真実を調べることにはならないと私は見ておるんです。私はアメリカ人じゃないからアメリカで調べられたんじゃないんですが、映画なんかで見ると、やはり民主主義というものが基盤で身についておるから、非常に当たりが、そういう権威主義がないから、お互い友だちだというような感じのするような調べ方が見られるんですが、日本の場合は何か初めから、こいつは罪を犯しておるんだというような形で調べておるように受け取れるんです。態度なり言葉の用語なり、そういうことを言うとかえって反感を買って言うことも言わぬ、証人になればむしろ証人の反感を買うというような場合があるんですね、この点当局なり——法務大臣は司法出身かどうか知りませんが、どう思いますかね、ちょっと一ぺんこれは聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/114
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115・津田実
○政府委員(津田実君) 御承知のように、検察官、まあ検事あるいは判事補は司法試験を受けまして二カ年間の司法修習をいたしまして、それから判事補あるいは検事に任官されるというのが通常でございまして、在野法曹であります弁護士から任官される数はきわめて少ないわけであります。そういう意味におきまして年令的にも非常に若い者が相当多くいるわけでございまして、人間として完成しているということはまあ言い切れない。したがいまして、いろいろな方に接しました場合に必ずしも妥当でないというようなことが起こり得るかもしれぬということは当然推測されるところでございます。でこれをやはり制度といたしまして一旦在野法曹によって修練した者から裁判官あるいは検察官を任用するという制度も考えられるわけでありまして、ただいまお話のアメリカなんかにおきましては主としてそういう制度によっておるわけでございます。これは日本の現在の制度はやはり大陸法系のいわばキャリア・システムの、裁判官なり検察官という制度になっておりますので、その両者いずれがいいかということにつきましては、これはいろいろ議論のあるところでありまして、先ほど法務大臣が申しましたように、臨時司法制度調査会においてこの問題をいかに考えるか。また、わが国としては恒久的にどういう制度を採用するかということを調査、審議していただくということをこの際考えたわけでございます。そういう意味におきまして、現在のは終戦前に行なわれておりましたいわゆるキャリア・システムの大体そのままの形で今日にきているわけで、そこでいろいろそういう問題点も出て参るかと思うのでありまするけれども、かりに検察官をそれでは弁護士のみから採用するという制度をとった場合に、はたしてそれでうまくいくかどうかという点につきましてもいろいろ議論があるわけでございます。
いずれにいたしましても、そういうことでございますけれども、法務省といたしましては、検察官につきましては随時法務総合研究所等において研修をいたしておりまして、できるだけ取り調べその他事件の処理について遺漏のないように努めておるわけでございますので、そういうようなことを全然無考えに行なっておるということではないわけでございまして、検察官、その本人たちもいろいろ工夫をいたしておるわけでございますが、力が及ばないという面も出ておるかと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/115
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116・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これはまあ数年前ですが、これも私の経験ですが、何か選挙違反だというて、葉書のところに候補者の名前を書いておったというので、神戸地検へ呼ばれたことがあるのです。そのこと自体、調べることは私何も反対しておらないわけです。そういう疑いがある場合には、これは法律の権限に基づいてやるんだからいいんですが、こちらへ何時に来いということですから、大阪から神戸に行くんですから時間をかけて行ったら、こっちの用事があるからしばらく待て。そこで、僕もこういう男ですから、何だ、時間をきめて呼び出しているじゃないか、こちらは一生懸命に交通費を払ってきておるのに、待ってもらいたいというようなことであれば別として、しばらくあちらに待っておれというような、そういうことが言えるか。こっちはまだ違反だと思っていない、正当なことをやっているということで、やったことがあるんですよ。これは若い検事ですから、私、年いっているからむしろ、なだめるように、最後、話はしましたけれども、そういうことがあるんですよ、実際問題で。ところが、やはり人手がないから忙しいので、ついそういうことは何も検事だけじゃなくて、ほかのそういう役所にもあると思う。特に検事というのは権限を持っているということで、そういう態度が顕著に出ることはこれは司法官であろうと何であろうと。罪の確定するまでは善良な国民ですから、したがって、やはりそういうつもりで扱うべきであると私はそう思うのです。おそらくこの国会を除いて、立法府を除いてそれほどのことを言い得る場所というのは検事に対してだれがあるか。国会であるからこういうことも言ってやはりいろいろとたしなめてもらいたいと思うのですが、地方に出てしまえば絶対権力者です、検察官というのは。したがって、そういう人はやはり自覚をして一般国民に対してある程度やはり公僕とは言わないまでも、親切な職務の遂行が必要だと思うのです。それがかえって問題点の真相を調べる一つの私は素地になると思う。そういうことを言ったからといって、向こうはおどしをかけて、それでこわがって言うということはこれはないですよ。今日むしろ逆にそういうことになると憶病なものは固くなって何も言わないようになる。少し腹のあるやつはそれに反感を持つということに結果はなると思う。こういう点について、検事の会同あたりでそういうことについて何か話は出ないですか。私はまあこういう国会であるからそういうことまで聞いておくんですが、そういうことは相当あると思う。そういう点はどうですか、考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/116
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117・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) お話のように、取り調べのときは、あるいは自然のときにおける態度の問題は、やはり検察官の訓練と、そうして修養がいかに大事かということを今さらのごとく御指摘によって痛感するのでございまして、こうした点についてはわれわれ部内におきましてもいろいろな目的を持った会同等をやっておりますが、そうした機会に、機会あるごとにそうしたことについても十分に注意をするようにお互に話し合いもしたり、あるいは大臣なり次官なり局長なりから、特にと申しますか、訓示を与えたりというようなことで努めてはおるのであります。しかし、何分にも大ぜいのことでありますのと、私はこうしたこともやはり定員があまりに少なくて、そうして非常に仕事に追われているというとやはり修養においても欠くるところがありますし、あるいは訓練の上からも十分な目的を達することができないということがあるんじゃあるまいかということを感ずるのでございます。やはり問題は仰せにもありましたように、どこの役所でも類したことがないことはない。たとえば、国会内におきましても、国会内の職員にしても、守衛さんにしても、そういう人たちが、われわれ議員に対する態度と外部からの参観人に対する態度とは、どうしても言葉の上からさえ違う点がある。態度についても同様であります。これは大ぜいのそれぞれポスト、ポストにおる者の修養が大事なので、今日のごとく民主主義の時代においては、十分みんながそれを体得して、そうして世の中が円滑に動いていくようにすべきとかように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/117
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118・山本伊三郎
○山本伊三郎君 法務大臣、なかなか苦労人ですが、そのとおりです。僕ら自身も国会議員だっていばっているということを言われているかもしれませんから、これはやはり自分自身おのおの反省しなければいけないと思いますか、ただ、検察官となると、呼び出される者は、自分では正しいと思っていても、一応疑いがかけられているという一つの弱味がある。したがって、国会の参観者に対する国会の守衛さん、衛視さんの態度とかいうのとはだいぶやはり問題がちょっと違ってくると思うのです。私が言っているのは、法務大臣、こうなんですよ。いばっていること自体がいい悪いは別としても、それが取り調べにいい影響を与えない。昔は御承知のように、警察において拷問によって自白させたことがあるのですが、今日はそういうことはできませんが、ただ威嚇をしてやるという態度は、私は今日逆だと、むしろ取り締まりは峻厳に、調べることは厳粛にやらなければなりません。法を扱うことですが、しかし、態度なり、用語というものは、やはり善良な友人のような態度でやることのほうがもっと調査、取り調べる場合に非常に有効な結果が出るのではないか。私はこう思っている。もう時間がきましたから、これでおきますが、とにかく今の状態は、また私の言葉では、権威主義、とにかく背後には法律があるのだ、職権でやっておるというのではなくして、やはりそういうことはあるのかどうか知りませんが、同じ国民として友人である、調べなければならないのは、法によって調べるのだから、目的はそこにあるということで当たってもらいたい。今後変わってくると思いますが、最近の、一昨年の三十五年の担当者の平井検事はこれはいい人です。国会議員だと思って特別に扱ったかどうか知りません。向こうからも出てきてなかなか態度もある程度いいのですが、しかし、今まで過去三、四回くらい、これは選挙関係ですが、私は検察庁に行ったことはありませんが、そういう点を非常に私は何といいますか感じを悪くしているのです。感じを悪くしているというよりは、これでいいのかということを思っておりますので、この点は十分考えてもらいたいと思います。おそらく有力者だから手かげんをするということは避けていいと思う。相手が大臣であろうとあるいは国会議員であろうと、そういう人だからといって手心を加える必要は毛頭ない。そうかといって賎民ということは言わないが、普通の人で力のないそういう人については、むしろ親切にやるということがやはり法の建前じゃないかと思うです。罪ということについては、これは別ですよ。犯罪ということは別でございますが、やはり取り扱いについては、そういう態度でやってもらいたいということを特に言っておきます。まあ時間がきましたので、あとは鶴園委員とかわりますが、これだけ特に法務大臣にお願いしておきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/118
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119・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/119
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120・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/120
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121・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 監獄のことについて伺いたいんですが、行政管理庁の昭和三十五年度行政地方図によりますと、監獄に約一万六千七百名の人たちが勤務しておられるわけですが、この監獄に勤務しておられる人たちの二交代制と三交代制とあるように思いますけれども、これは今どういう工合になっておるでしょうか。二交代制のところが多いのか、三交代制のところが多いのか、二交代と三交代ではやはり勤務条件に相当な違いがあるように思いますし、したがって、法務省として今後二交代制のほうに持っていかれようと努力しておられるのかどうなのか、その点をひとつ伺いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/121
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122・津田実
○政府委員(津田実君) 刑務所の関係につきましては、実はただいま矯正局の職員が参っておりませんので、ただいま至急呼びましてございますから、てれからお答えすることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/122
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123・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 それじゃあ次に、これは法務省全体に通ずる問題だというふうに思うんですけれども、これもひとつ大臣に聞いておいていただく必要がありますので、先に申し上げますが、法務省には雇員というのが相当多いんですね。雇員——雇ですね。で、各省を通じて見まして、どうも法務省が雇員というのが圧倒的に多い。各省と比較しましてですね。ですからまあ古いしきたりなり、あるいはそういうような伝統というものがあって、今日雇員というような形のものが目立って顕著に多いということになるのか、あるいはその人事の取り扱い上、法務省として何かそういうような基準があるのかどうか、人事院に私電話で聞いて、若干の省にも電話でいろいろ聞いてみますと、どうも法務省と違うように思うんです。法務省としましても近年非常に努力されておられるように見受けられるのでありますが、それにいたしましても雇員というのが多いですね。どういうような取り扱いになっておるのか、たとえば上級職の公務員試験を通った者、あるいは中級職の公務員試験を通った者、初級職の公務員試験を通って入ってくる者、そういう者の処置をどういうふうに内部の基準としてやっておられるのか、伺いたいんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/123
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124・西尾善吉郎
○説明員(西尾善吉郎君) 御質問の趣旨は、ほかの官庁に比べて法務省は雇が多いじゃないか、まあはっきりいえば、早いところ任官さしたらどうかと、こういう御趣旨だと承っておるのでございます。御承知のとおり、法務省におきましては、種々の所管に分かれておりまして、たとえば少年の教官とか、あるいは検察庁の検察事務官とか、こういった職種におきましては、任官したということによって非常に重要な職務内容を持つわけでございます。したがいまして、この点については昭和二十五年の法務総裁の訓令で、一応任官の基準を定めてございます。それによりますと、正確に私記憶しておりませんけれども、大体雇を三年以上、これも旧制の中学卒業あたりを基準にしてございます。ところが、その点は法務省独特かと思いますけれども、なかなか昔からの事情で任官をするのに手間取っておったのが実情でございます。しかし、仰せられました御趣旨、われわれとしても当然考えておったわけでございますし、それから御承知の共済組合法の改正によりまして実質的な区別の基準がないじゃないかというようなこともからんで参りまして、任官の基準を最近非常に下げてきまして、特に法務局の職員につきましては、五年から昨年はたしか三年に下げまして、それだけの事務官のほうへ雇のほうから組みかえを御承認いただいて実施しておるような状況でございますが、今後ともこの点についてはさらに基準を下げると申しますか、年数を少なくして早く任官させるような努力を続けて参るつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/124
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125・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 今のお話のように、法務省の中の局によりましては、官といり名前をつけることによって種々権限のあるものもあると思います。がしかし、行(一)の俸給表を適用されている者、あるいは行(二)の俸給表を適用されている者、その他そういう職種に該当されている人はやはり各省と差があってはまずいわけじゃないかというように思いますね。ただいま五年から三年に切り下げたというお話ですけれども、これは各省の例で申しますと、大体言いまして、初級の公務員試験、つまり新制高校を出まして採用になりますと、大体半年というふうにいわれていますね。それから中級、それから上級、これはもう採用と同時に任官するわけなんですよ。ですからこれが五年から三年になっても非常な前進でありますけれども、ぜひ各省の任官の実情というものを御検討いただいて、すみやかに均衡のとれるような運営が望ましいのではなかろうかと思います。これは予算上区別があるわけじゃありませんし、それから先ほどもお話しありましたように、退職金なら退職金なり、あるいは退職年金等に関係があるわけじゃないわけでありまして、長い間のしきたりなりそういうものが残っておるわけですからして、ぜひ早い機会に各省と同じような措置がとれるように一段の努力を要望いたしたいと思いますが、法務大臣、もう少しぴしゃりとこういう点はひとつやっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/125
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126・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) ただいまの雇員の点につきましては、実は私も法務大臣のポストにつきまして、そうした人たちが相当数おることを聞きまして、むしろ私も意外としておるような一員なんでございます。したがって、こうした問題についてはそれぞれ従来の沿革等もありますから、一挙にこれを直すことがはたして適当かどうかには問題があるようでありますけれども、なお、この点今申し上げましたように、なるべく早く各省並みになるように推進して参りたい、かように思っておる次第でございます。ただそうしますと、先立つのは公務員の定員の問題であります。と申しますのは、それじゃ定員が十分にあるにかかわらず、そうした雇員のポストにいつまでも置くかというと、必ずしもそうでない場合もあるのであります。欠員がありながらそうしない場合もございます。内規に押えられて、そうしたポストに置くこともありますが、しかし、一つには定員の数にも関係がある。比較的経験の浅い者をそれぞれの公務員の定員に入れますというと、どうしても全体として事務能率が落ちるわけです。ところが、それに対しての定員数というものは実はもらっておらない、従来訓練された者を公務員にしておった関係上、そういう実情があるが、そこで一挙にはできないが、だんだんと早くして各省並みに追っつくようにして参りたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/126
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127・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 私が今申し上げておりまするのは、定員の中に入っておる人たちについて言っておるわけです。前の定員法、今日の法務省設置法の中で、法律で規定してある定数の中で、任官しない者が非常に多い、各省に比べまして顕著に多いという点を私は申し上げておるわけです。こまかい点でありますので、大臣恐縮なんですが、ぜひこの点についての今後の努力を要望いたしておきたいと思っております。
なお、この任官にあたって、試験をしておられるというふうに聞いておるのです。私、人事院に問い合わせをし、各省に問い合わせてみますと、これは試験をしていない。それでこれはおそらく非常に数字が多いので、その中からことしは何百名入れる、任官させるということがあって、前後関係をつけるという配慮からというふうにも推察できるわけですけれども、少なくとも各省の場合において、試験をして任官するというようなことは今日存在しないわけですけれども、これは今から十何年前でありますと、そういうこともあったと思いますが、今日そういうようなものはないのでありますけれども、何か任官試験というものがあるように聞くのですけれども、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/127
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128・西尾善吉郎
○説明員(西尾善吉郎君) 御質問のとおり、法務省のうちで、法務局とそれから検察庁におきましては、簡単な筆記試験それから面接、この試験をやっております。本省関係においては、任官試験というものは別にやっておりませんが、これも言われてみますと、確かに任官の基準をしぼっております関係上、任官して恥かしくないという人物を選ばざるを得ないような状況で、仰せのとおり、順位をつける、こういうことをやっております。まあしかし根本にさかのぼりまして、おっしゃるとおり、どんどん任官させるということになれば、こういったむずかしい幕を締める必要がなかろう、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/128
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129・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 これは全体として見まして、雇員の問題について、雇員から本官といいますか、事務官といいますか、技官といいますか、そういうものになる場合に試験があるという事態も、各省とやはり違っておりまして、したがって、たとえば法務局あたりに人が来ない、来ても居つかないというような実情等も、やはりいろいろ事情がありましようけれども、こういうようなものも、本人にとってみればやはり問題になると思いますし、そういうことを考えなくても、これは各省の人事取り扱いとやはり均衡のとれたものにしておく必要があると思いますし、法務省としてもそうだろうと思います。したがって、任官の試験というようなものも、すみやかに、ひとつ各省と均衡をとるように処置を願いたい、こういうように要望しておきます。大臣よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/129
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130・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) 試験の問題もよく検討いたしましてなるべく善処するようにしようと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/130
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131・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 次に、この法務局の実際国民に接触をしておりますところの支局、出張所。出張所が全国で約千五百、支局が二百くらいあるようでありますが、この出張所の問題につきまして、種々伺いたいわけでありますが、一人の出張所もありますし、二人の出張所もありますし、三人のところもありますし、また、七、八人のところもありましょう。この出張所が実際国民の財産、そういうものとの関係で直接接触しておるわけですけれども、この出張所がどうも勤務条件が非常におかしいように思うのです。ですから、この際ここでそれらの点についての意見を伺って、是正するものは是正していただくというふうに願いたいと思っておりますが、この六人以下の出張所ですね、ここは日直手当というのが過去長いこと十日しか出ていなかったようですね、この三十七年度から六十四日分になった、こういうのですが、私はこういう意味で、日直の日数が十日から六十四日にふえてきたということはけっこうなことだと思っております。そこで、聞きたくなりますのは、どういうわけで十日から六十四日にされたのかということを聞きたくなるわけですよ。しかし、それはおきまして、一体六十四日という日直料を払っておられるのはどういう理由かということをお聞きしたいわけですよ。どういうわけで六十四日日直料を払っておるのかという点を聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/131
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132・池川良正
○説明員(池川良正君) 六十四日と申しますのは、年間を通じての日曜、祭日、全休日でございます。この休日には、やはり人事院の定める日直の内容の仕事を出張所長あるいは職員がやっておりますので、それらに対しまして日直手当を支給される、こういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/132
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133・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 そうしますと、前は十日だった、ことしは六十四日になった、十日の前はゼロだった、こういう実情ですね、それはどういう考え方なのかという私は疑いを持つわけなんですよ。前にはゼロだった、三年くらい前から十日になって、ことしは六十四日になった、どういう基準をもってそういうふうにゼロであったり、十日になったり、六十四日になったり、ふらふらされるのか、これを聞きたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/133
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134・池川良正
○説明員(池川良正君) たしか昭和三十二年までは十日の日直手当もなかったのであります。昭和三十二年から昭和三十六年まで十日という日直手当がついておりました。三十七年から六十四日の日直手当が支給されるというふうに予算上計上されておるようであります。私どもといたしましては、日曜、祭日は当該の職員はぜひ解放してやりたい、こういうふうに考えておりまして、解放するについても、重要な帳簿をかかえておりますから、だれかが在庁をしなければ、不時の事態があった場合に帳簿の保管等についても安全を期するわけにはいかぬ、かように考えまして、しかし一面、御承知のように、出張所長が実は寝泊まりをしておるところが圧倒的に多いのでございまして、さような点で、おそらく大蔵省といたしましても、所長が不在であっても家族が在庁する関係から、従来十日の日直手当で、当面の問題といいますか、不時の事態につきましては対処し得るのじゃないかという考え方ではなかったかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/134
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135・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 大蔵省にお伺いしたいのですけれども、六十四日という数字を出されました根拠をひとつ聞きたい。それから法務省のほうに伺いたいのですが、どういうわけで土曜日が入らないのか、日曜と祭日しか入っていない。一年のうち六十四日というと日曜、祭日だけです。土曜日の半日はどうしたかという点を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/135
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136・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) 今回日直につきましては、この六十四日につきましては、これは宿直ではなくて日直という考え方でございます。したがって、これは休日、祭日について積算しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/136
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137・池川良正
○説明員(池川良正君) 土曜の半日直の問題でございますが、御承知のように、人事院細則九−一五−一という規定がございまして、その内容、第一条によりますと、「土曜日又はこれに相当する日に退庁時から引き続き宿直勤務を命ぜられた場合には、その勤務は、一回の勤務とする。」、つまり土曜半日と引き続いてその夜の宿直をいたしました場合には、その勤務を一回の勤務とする——一回の勤務と申しますと、御承知のように、一日三百六十円支払う、こういうような規定がございまして、この規定で引続き宿直勤務を命ぜられた場合、こういうようになっておりますが、法務局の予算の現状といたしましては、やはり土曜半日直と土曜日の晩の宿直も引き続いて勤務させるような命令を出さざるを得ないような状態でございましてさような取り計らいをやっておるのであります。しかし、これはただいま申し上げましたように、人事院規則にもさような規定がございまして、この問題は、単に法務局のみの問題ではなく、おそらく全官庁通じての共通問題だろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/137
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138・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 その土曜日の半日直の問題ですが、大蔵省は正規に土曜日の半日直を出している、それから人事院も正規に土曜日の半日直を出しておりますから、この九−一五−一という人事院細則もありますけれども、一回の宿日直として命令しなければいいわけですから、二回に分けてすればいいわけですから、大蔵省は正規に出している、人事院も出している。各省においてもそういうことが相当出ているわけです。特にこの法務省の場合におきましては宿直はできないわけですね、日直だけなんです。それを日曜、祭日だけ、土曜日はオミットというやり方では、一線におる千四百か千五百かの出張所の人たちがたいへんな苦労をしていると思うのです。今回人事院はこの委員会におきまして、すみやかにこの九−一五−一という人事院細則、これを撤廃したいということを言っております。撤廃したいということを言っておりますが、した場合に、一体法務省としてはこの金が出るのかどうなのか。各省を聞いてみますと、大体出るようなことになっておるようですが、これは大蔵省はどういうふうに処置されるのか、その点をお聞きしたいのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/138
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139・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) ただいまおあげになった点でございますが、土曜日の半日直手当、この問題につきまして人事院のほうで昨年の暮れでございましたか、判定があったと聞いておりますが、それに基づきまして人事院細則の改正があるのではないかということ、これは御承知であろうと思いますが、まだそれがないようでございます。それがなりまして、正式に連絡なり通牒なりが参りましたときには、それに従って処理することになると思いますが、まだ一般事務屋のほうにはそういった連絡が参っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/139
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140・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 そういうような撤廃になった場合には、大蔵省としては処置する、こういうことですね。大蔵省が処置をすれば法務省としてはできる、こういうふうになるのでしょうね、そういうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/140
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141・池川良正
○説明員(池川良正君) これはやはり予算に関係する問題でございまして、この規定が撤廃されますると、土曜の半日直というのは当然やらなければならないことでございますから、撤廃になった場合にどう対処していくかということは、大蔵省とも十分申し合わせをしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/141
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142・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 この一人おる出張所ですね、一人庁というもの、約四百近くありますね。そうすると、その一人の出張所というところは、これは六十四日の日直料が、出ていましても解放されないですね。一年じゅうずっと家にいなければならない。だれか三人庁か四人庁か六人庁のところから来てくれればいいでしょうが、しかし、旅費を使って来れば金がかかるでしょうし、非常に財政窮屈のおりから、よそから来て解放するというわけにもいきません。そこら辺の処理について何か工夫をしておられるでしょうか。これは何.といいますか、国民の大切な権利簿を扱っておるので、これをあけるわけにもいきませんでしょうし、書類の受付もあるでしょうし、いつまでたっても一年じゅう自分の働いておるところから解放されないということになるわけ.ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/142
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143・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) 三百数十ヵ所にわたる一人庁の法務局出張所の問題でございますが、これは全く私も頭を悩ましておる問題でありまして、実際そこに勤務している者にとっては、私は人道上の問題とまで考えておるのであります。できますならば、私の頭に描いておる理想は、一庁に三人くらいは少なくとも勤務できるような役所に持っていくのが正当ではあるまいかというふうに考えております。そういたしませんと、今の一人庁のあり方では、御指摘のとおり、たとえば本人が病気で入院でもしなければならぬ、それが長期にわたるような場合ならば、隣接の多数おるところと連絡をして、かわりの者に来てもらって事務をとることができますが、一両日か三日間とかいうことになりますと、なかなか簡単にそれが参らない。そういたしますと、せっかく役所がありながら開店休業のようなありさまで、国民の皆様にも非常な御迷惑をかけるようにもなります。したがって、私はどうしても構想としては三人庁くらいにしていきたい。さればといってこうした際に公務員の数をどんどんふやすことが適当かと考えますと、これまたなかなか考えなければならぬ問題もございます。そこで、一つの方法として考えられるのは、現在のところ、三百数十からにわたる一人一庁をできるだけ統合することができないだろうかということがまず頭に浮かぶのであります。この点につきましては、御承知のように、近年町村合併等が行なわれまして、相当町村の数は減ったのにかかわらず、出張所の数はその割合には減っておりません。したがって、新しい町村に対応するようなふうに出張所の統合をやることができないかというので、でき得る限り地元の方々の御了解を得て、円満にこれを統合していこうという努力をおさおさ怠りなくやっておるのであります。これによって相当数毎年減ってはおります。しかし、なお、今申し上げるように、三百数十あるということでありますから、だからこの点については民間の方々の了解も得なければなりませんし、あるいは関係国会議員の方々の御了解も得て、なお一そうこの方針を伸ばしていきたいと思っております。
二段目の問題としては、御承知のように、今申す基本に返って、定員をできる限り大蔵省とも相談の上で、また、各閣僚の了解も得て、特殊な事情であるということを理解願って、そうして定員の増加をはかって参りたい、こう思うのであります。いかに私が、一人一庁が、場合によっては当該職員の人道上の問題であると考えると申しましたが、そればかりじゃございません。一人であるがために、相互監視といいますか、お互いに事務をとる上において、間違いが複数であれば矯正できる場合でも、単数であるがためについ間違いが深みへ入るまでわからずにしまうということもあり得るのであります。こういう点からもよほど考えなければならぬ問題だと、かように私は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/143
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144・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 鶴園君に申し上げます。ただいま福井矯正局参事官、須田矯正局保安課長が説明員としてお見えになりましたから、御質問願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/144
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145・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 今の問題に少し関連した問題がありますから、それをまず終わってからというふうに思いますが、現実問題といたしまして、長い伝統のある役所でありますし、直接まあ国民と接触をしているこういう一人庁、二人庁というところ、これを統合するというふうにいたしましても、なかなかこれはむずかしい問題だというふうにも思うわけです。ここがなくなりますと遠いところまで行かなければならぬということですからして、それだけに統合というのは非常にむずかしいというふうに思いますが、まあ人員をふやしていくということも努力していかなければならぬと思いますけれども、いずれにしましても、現実問題として、一人庁なり、二人庁なり、三人庁なりに勤めておる人が、宿日直なり、昼夜を分かたず仕事に携わっていなきゃならないという実情ですね。これはどうも否定できないわけですね。ですから、その現実をどういうふうに幾らかでも労に報いていくという努力がなければならないのじゃなかろうか、その努力が前はゼロであった日直というのが十日になり、さらにその十日が六十四日になったという努力として現われていると思いますけれども、何といいましても、まだまだ現実問題として、大切な権利簿を後生大事に一年じゅう背負っておらなければならないという仕事に携わっておるわけですね。その実情から見て、何らかのやはり厚い手当をしなければならぬのじゃなかろうかと思うのですけれども、その点はどういうふうに考えていらっしゃるか伺いたいと思います。将来の問題は別として、現実問題としまして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/145
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146・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) 現実問題といたしましては、ただいまも御承知のとおり、ここ近年ゼロであったものが十日間の予算計上が認められた、今回はそれが六十数日間の予算が認められるというふうになってきておりますのは、われわれ職におる者といたしましても、この実情を見るに忍びないものですから、それで財政当局とも打ち合わせまして、予算のやりくりをして、そうして今回予算に計上を見たようなわけであります。半日直手当の問題もございましたが、これはまだ各省を通じての問題でありまして、直ちにわれわれの役所だけで先に出発するというわけにもいかなかったのでそのままになっておりますが、しかし、これとても、それは考えようによりますれば、こういう特殊の役所であるだけに、なおさら、かりによそのほうではまだ一斉に始まらなくても、なるべく早く始めるように努力をするのが筋だったかとも思いますが、各省を通じての問題であるということを言われてみると、これまた財政当局の主張もわからぬことはございませんから、かすにしばらく時日をもってしようというので、来々年度以降の問題にこの際据え置いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/146
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147・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 まあ今回六十四日という日直が出たということによって、私どもとして見てみますと、もっとやはり現実問題として手当をすべきじゃないかというふうに思うわけなんですよ。まあ少しばかり意地悪く言うならば、前はゼロじゃなかった、十日だったのに六十四日になったと、その差額を払わないのかということを言いたくなるのですね。そうもいきませんが、しかし、いずれにいたしましても、もっとやはりすみやかな前進をはかってもらいたいということをひとつ要望申し上げておきたいと思いますが、そこで六十四日ふえたということで、実は六十四日ふえたのだけれども、そのふえ方に少し問題があるというふうに思うわけです。というのは、六十四日ふえたけれども、その半分は従来あった超勤を、超過勤務手当を振りかえてやっておられる。非常に多忙で、まあそれは多忙でないところもありますけれども、非常に多忙になっておるということは、先ほどから政府委員のほうでも資料をあげて説明になっておるわけですから、非常に多忙になっておる。超過勤務手当も足りないという実情の中で、超過勤務手当の時間を向こうに持っていってしまって、六十四日分に補充したというのでは、これはどうも情ない話だと思うのですね。八時間あった超過勤務手当というものを二時間分を削って、そうしてこの六十四日分の日直料に回してしまったと、六十四日分の三十二日というのは、実は従来出しておった超過勤務手当から持っていったと、そういう話ではいささかさびしい話なんですね。その点について大蔵省の考え方と、それから法務省の見解を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/147
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148・河野謙三
○委員長(河野謙三君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/148
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149・河野謙三
○委員長(河野謙三君) それでは速記をとって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/149
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150・池川良正
○説明員(池川良正君) ただいまの点、お話のように、十日の出張所の日直を六十四日に引き上げたということによりまして、約三千万円の所要経費が見込まれておるわけでございますが、その三千万円を充てるために千五百万円を超勤手当からこれを充てることにいたしました。残り千五百万円がいわゆる増加額ということになっております。私どもといたしましては、まあできればさような措置を講ぜずに、純粋に三千万円の日直手当の増額を認められれば幸いだったのでございますけれども、やはり大蔵省といたしましても、諸般の関係から千五百万円上げるから同じ手当の類に属しておる超過勤務手当を宿日直手当に振りかえたらどうか、こういうようなお話がございまして、かりにさようなことをいたしましても、出張所の職員の待遇改善というものにつきましては、ただいまのように宿日直の分が六十四日になっておりまして、待遇改善ということについては非常に役立つ措置でございますので、さような方法で今後この宿日直手当のことをまかなっていただくことにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/150
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151・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) 今回の三十七年度予算編成によりまして、登記関係の事務処理の適正化と申しますか、迅速化というものは、まあ非常に私たちはいろいろ検討をいたしたわけでございますが、先生からも御指摘のございましたとおり、この登記所の出張所の一人庁、二人庁、三人庁と申しますのは、非常にその勤務形態と申しますか、特殊でございまして、あまりほかの官庁にも例がないような場合があるわけでございます。生活の本拠の場所と、勤務を行ないますところの場所が一体となっておると申しますか、まあとにかく結びついている。そういったようなところで、どの程度の範囲まで正規の勤務時間であり、それ以上は時間外の超過勤務もしくは宿日直期間かというようなことも、理屈では一応割り切られるわけでございますが、実際問題としては、ほかとの権衡を考えます場合に、なかなか問題が出て参るわけでございます。先生もおっしゃいましたとおり、一人の場合にたとえ給料をやり、宿日直の手当をやり、超勤をやっても、なおかつ、どうも少し憲法の健康にして文化的生活を有するという条文からいたしますと、これは少しおかしいのじゃないかというような点も出て参るわけでございます。二人になるとやや楽になるわけでございますが、理論的にものを考えますと、どうもはっきりと割り切れておらない点がございます。今回日直手当等にいたしましても、まあ六十四日分に増額しておるわけでございますが、われわれといたしましては、これで全部登記所関係の待遇改善というものは割り切っつたもりではないわけでありまして、今後さらにこの問題につきましては、機構的にと申しますか、現実の問題として、出張所、ただいまお話が出ましたように、一人庁というようなものはだんだんなくして統合していったほうがいいんじゃないかということを考えるわけでございます。現実の問題として、ここ二、三年、そういった小さな出張所の数は統合されてきておるような統計になっております。しかしながら、出張所の統合ということは、法務省におかれましてもだいぶ苦労されておるようでありまして、理屈どおり簡単に合わせるということはなかなかむずかしいと思っておるわけでございます。大蔵省といたしましては、そういった点を進めていただくということを希望いたしますと同時に、こういった特殊な勤務形態の職員に対しましては、ほかの一般通常の官庁で適用されておりますような手当類の考え方をそのまま持ってくることは必ずしも適当でない部分が多うございます。こういった点につきましては、ほかにも若干例がございます。燈台の職員なんかも若干例がございます。そういったような点との均衡をとりながら、今後さらに検討を続けて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/151
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152・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 せっかく六十四日にふやされたが、その中の三十二日分は足りない足りないと言われておる超過勤務手当を削って持っていった。一人庁の例を言われましたが、私は一人庁が一番困っていると思います。しかし、六人庁以下出張所は全部こういう処置を受けております。そうすると、千五百近くある出張所の中の圧倒的なものはこういう処置を受けております。忙しくてどうにもならないというところが一ぱい出てきておるのに、超過勤務手当を削って持っていくという行き方は、私はどうにも筋が通らないと思う。超過勤務手当をふやしていくという努力をなさり、その宿直料の問題についても増加していくという努力はあってしかるべきだと思います。どうもはなはだ筋の通らないやり方をされる。ですから私は、こういうやり方については、これは予算の大きな見地から見、あるいは国の大きな政治の見地から見れば小さな問題でありますが、個々の職員にとってみますと非常に重要な問題でありまして、しかも当委員会においては、こういう公務員の諸手当について論議しなければならない委員会でもありますので、ぜひこういうことにならないように、すみやかにひとつ善処を願いたいと思いますがね。私は宿直料も払うべきだという見解を持っているわけですよ。それは一人庁のところもありますし、二人庁、三人庁のところもありますけれども、少なくとも宿直料も何らかの宿直料というものを見るべきじゃないか。実際考えてみまして、事務所と部屋とが隣り合っている、あるいは住宅とぶっついている、したがって、年がら年じゅう事務所におるような感覚で一生を過ごさなければならない、あるいは一年を過ごさなければならないというようなことは、これはつらいことだと思うのですね。そういうものに対する手当というものは、やはり考えなければならぬのじゃないかと私は思うわけなんですよ。しかし、どうも取り扱いがそうじゃないのですよ。そういう一人庁、二人庁というのはどうも軽視されるというような傾向が、明らかに超過勤務手当を削って持っていってしまうというような形になって現われてくる。もう一ぺんはっきり大蔵省の見解を聞き、法務省の見解も聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/152
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153・池川良正
○説明員(池川良正君) 私どもといたしましても、出張所に勤務している職員の待遇改善ということにつきましては、強い関心を持っております。したがいまして、逐次その方向に予算の執行等も切りかえていくように心がけておりますが、今後とも出張所に勤務する職員の待遇の向上につきましては、種々大蔵当局にもいろいろ申し入れまして、努力いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/153
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154・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) この超過勤務手当から、せっかく日直手当をふやしたのに超過勤務手当に半分持っていったというおしかりでございますが、ただいま申し上げましたとおり、こういった特殊の勤務形態でございます職員につきまして、われわれは非常に真剣に議論をいたしましてやったわけでございます。これをもって必ずしも結論をつけておるつもりでは決してございません。さらにこういった特殊形態にある職員の待遇改善をどういう工合に考えたらいいかということは、いろいろ検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/154
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155・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 この問題について、ぜひひとつ大蔵省のほうにおいても、法務省のほうにおいても、さらに一段の努力をしていただいて、こういう人たちに対する手厚いやはり処置が必要だというふうに思いますので、強くひとつ要望申し上げておきたいと思っております。
次に、四人以下の出張所の渡し切り費というやつですね。四人以下の出張所といいますと、おそらく千カ所くらいあるだろうと思います。この渡し切り費というのは、これは私どもが常識で考えてみて考えられることは、光熱、暖房、水道、そういうようなものだろうと思うのです。それにつきまして今回若干ふえて、年間を通じて一万三千円ということになっておるようでありますが、これは昨年よりも大幅にふえておるわけですけれども、これは渡し切り費というのは一体どういう内容になっているのか、それを伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/155
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156・池川良正
○説明員(池川良正君) お答え申し上げます。渡し切り費でもって支弁する経費の内容でございますか——それは庁内の清掃に要する経費、それからただいまお話の暖房に要する経費、それから電灯等でございますが、これに要する経費でございまして、水道は除かれております。それらの経費が渡し切り費でもって支給されるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/156
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157・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 これは八時半から五時までの間における庁舎におけるそういうようなもの、それから土曜日の半日あるいは日曜日に日直をするという場合のものは入っておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/157
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158・池川良正
○説明員(池川良正君) 土曜日半日、日曜日日直の時間もこれは入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/158
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159・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 かって、この点について人事院が、行政的に国家公務員法の八十七条に基づいて人事院が判定を下したことがありますですね。その判定は、平均して一万七千三百一円、それにプラス日直の期間におけるそれに該当するものという判定が出ておる。これは五、六年前になりますかしら。そういうものと比べてみまして、今回のこの一万三千円というのは、やはり相当下回っているというふうに見なければならぬと思いますが、それについて法務省の見解と、それから大蔵省の見解を伺いたいと思いますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/159
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160・池川良正
○説明員(池川良正君) 人事院の判定は、たしか昭和三十四年における調査結果に基づきまして、ただいまお話の一庁につき平均一万七千三百一円の経費が必要である、こういう判定結果が出て参っております。私どもといたしましても、昨年渡し切り費の支給庁につきまして、その必要経費の実態を調べましたところ、一万七千八百八十二円という平均単価が出て参っております。したがいまして、この一万七千八百八十二円の平均単価によりまして、大蔵省に予算手当のお願いをいたしたのでございますが、まあ従来平均一斤九千円でまかなってきておりました関係で、これは少ない少ないと以前から声があったのでございますけれども、まあこれを九千円では少な過ぎるとかというようなことから、一万三千円に調整して、是正していただいたわけでございます。改善していただいたわけでございます。この渡し切り費の実態等も、いろいろ燃料等によりましても、石炭をどんどんストーブでくべるところがあるかと思いますと、山間部に参りますと、おがくず等をストーブがわりに使っておったりするところもございまして、これらの今の一万七千円という人事院の判定があり、私どもの調査結果も全部の庁について実は調査をした結果のものではないのでございまして、九千円では少ないということははっきりいたしておりますが、私どもといたしましては、でき得ればことし要求いたしました一万七千八百円台に引き上げていただきたいと思ったのでございますけれども、まあ大蔵省のほうでは、いろいろの点から査定なさいまして、おそらく役所の人頭庁費の問題などがあろうと思いますが、人頭庁費について、一体燃料費をどれだけ見込んでいるかというような問題もこれにからんでいるのではないかと思いますけれども、これは私はっきりわかりませんが、いずれにいたしましても、一万三千円平均ということに明年度はなろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/160
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161・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) 渡し切り費につきましては、現行の九千円を、今回の予算におきまして一万三千円——約五割上がったわけでございます。現在の九千円につきましては、これは昭和三十二年度に設定いたされました単価でございますが、その後非常に諸物価の値上がりでございますとか、それから、さらに今回は全般的な庁費、人頭庁費の改定を行なっております。中央官庁は幾らでありますとか、地方ブロック官庁は幾らでありますとか、一つ一つ、大蔵省といたしましては実地に調査をいたしまして、改定をいたしたわけでございます。そういったものとの権衡を見て参りながら、九千円から一万三千円という単価をはじき出したわけでございます。人事院の判定とだいぶ低いんではないかという御指摘でございますが、人事院の判定は、私らもちろん勉強いたしたわけでございますが、人院事の調査は、具体的な場所につきまして、十五庁くらいの調査であったかと存じます。一方、この九千円——昔の九千円、現在の一万三千円と申しますのは、実際に配分いたしますときには、これは平均単価でございますから、五級地から無級地くらいの、全体が六段階に分かれるわけでございますが、九千円の時代におきましての最高は二万三千円くらいでございました。そういった工合に分かれるわけでございます。今回の一万三千円も、九千円と同じ意味におきまして、平均単価でございます。見方が若干違うところもございましょうし、それからまた、何と申しますか、宿日直手当のときにも若干問題になったわけでございますけれども、どの程度の範囲をいわゆる私的なものと見るかどうか、そこら辺の区別が、若干見方が違うという点もあるかと存じます。私らといたしましては、ただいま申し上げましたようないろいろな観点から、一万三千円を積算いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/161
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162・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 こういう千五百近い出張所に対する処理の仕方が、どうも宿直料も過去長い間払われていなかった。四年ほど前に十日分払った。それでことし六十四日分ふやしたというような進み方、しかし、それにしましても、その六十四日分ふえたけれども、そのうちの三十日分は、従来の超過勤務手当を削って持っていったのだ。そうしてそういうところにいる人たちは、一年じゅう仕事を背負っておらなければならぬ。庁舎と一緒で、仕事を背負っていかなければならぬということは、なみなみならぬつらいことだと思う。そこに持ってきて、渡し切り費というものも、四年ほど前に人事院が出した数にもはるかに及ばないというような処遇をされるということは、どう見ましても適当ではないというふうに思うわけです。そこで、今法務省のほうで一万七千八百八十二円程度というものを出しておられますが、大蔵省としては、いろいろな諸点を御勘案をして、一万三千円というのがよろしいという判断を立てられたようでありますけれども、総体的に考えてみまして、こういう、そもそも三年前、四年前に人事院が判定した程度のことは処置してしかるべきじゃないかというふうに思いますけれども、そこら辺について、今後大蔵省としての善処を望みたいと思います。見解を一応承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/162
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163・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) 登記所の出張所の分は、きわめて勤務人員が少ない特殊なものにつきましては、先ほど申し上げたかと存じますが、渡し切り費でございますとか、それから宿日直、超勤等の問題、総合して今後も検討いたして参りたいと存じます。ことしは実は私ら事務局の考えを申しますと、非常に登記関係の経費につきましては勉強いたしたつもりでございますが、まあなかなか非常にむずかしい割り切れない点がございます。先生も御指摘になるとおり、御不満な点もあるかと存じます。われわれといたしましても、もちろん不十分なことと思いますけれども、今後さらにこういった点につきまして、今後理論的にも実際的にも割り切ることにいたして参りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/163
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164・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 次に、登記簿と土地台帳家屋台帳、これを一元化するという仕事、さらに従来あった坪数で計算しておった土地建物こういうものをメートル法に変えていくという大きな仕事、それらについて臨時職の職員を雇ってやっておられるようでありますが、どの程度雇ってやっておられるのか、臨時職ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/164
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165・池川良正
○説明員(池川良正君) 現在採用しております臨時職の職員は、四百六十名ぐらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/165
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166・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 それで、この仕事は三年計画というようなことでお進めになるようでありますが、逐次経験を積み、あるいは熟練を積み、知識をふやしていく、そういう中で、一年、二年というふうに勤務する人たち、そういう人たちは、これはやはり定員化していくべきじゃなかろうかと思うのでございますけれども、さらにまた、先ほど来問題になっておりますように、法務局に勤務する人たちというのがどうも仕事をいやがるし、いやがるといいますか逃げていく、また、非常にじみな仕事でありますし、処遇等との面においてもなかなか長いこと、言うならば冷遇されているような形になっている。その意味で今こういうような仕事を非常に大量の仕事になるわけですが、そういう場合に、こういう人たちを雇っていかれる場合に、一年、二年というふうに勤務していく中で定員化していく気持はないか。これは行政管理庁の方針からいいましても、政府の方針からいっても、これは一年以上引き続いて勤務する者については、そういう措置をとるべきだと私は思うのです。また、そういう中から熟練した者、経験を積んだ者、知識を積んだ者を採用されるということが非常に適当な方法ではなかろうかと思うのですけれども、その点についての意見を承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/166
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167・池川良正
○説明員(池川良正君) 現在登記簿台帳一元化に従事しております臨時職員四百六十人ばかりございますが、これらにつきましては、御承知のように、正規に国家公務員として採用するためには、公務員の試験に合格しておらなければならないという建前になっております。ところが、これらの臨時職員は、一部におきましては、国家公務員試験に合格している者もございますが、大多数は国家公務員試験に合格をしておりません。しかしながら、これらの人たちに対しまして将来の希望を与える、かような意味から定員に欠員が生じました場合には、国家公務員試験に合格しておらない者でございましても適当と認める者については、また、本人の意思も尊重しながら、人事院の特別の承認を得まして、そして定員の中に組み入れていっている、これが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/167
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168・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 どうも時間が少し過ぎまして恐縮なんですけれども、今の問題は、こういう人たちこそ定員内に繰り入れるという方針に合うのじゃないですか。一年以上引き続きですから、欠員があったからというような処理ではなくて、定員化するというようなあの方針に沿って、おやりになってしかるべきじゃなかったかと思うのですが、どうもそのようになっていないように思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/168
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169・池川良正
○説明員(池川良正君) 従来、私どもの登記簿台帳一元化の構想といたしましては、十年間にこれを完成する、こういう考え方でおります。三十五年から始めましたから四十四年一ぱいには大体終わる、こういう構想を持っておりますが、これは特定の出張所が十年間にわたってそれをやるという形ではございません。一つの出張所が大体二年で終わる、こういう構想でやっております。したがいまして、同じく新潟県といいましても、北のほうの新発田で一元化をやって、二年で終わりますと、今度は糸魚川のほうでやらなければならぬというふうに、一元化の実施の場所が同じ管内でありましても、相当大幅に動いております。さような関係から、同時に現在一元化に従来している職員の中には、相当ただいまお話のように、一年、二年の長きにわたって勤務する者もございます。ところが、ほかにいい職があるというので他に転職する者もございます。いろいろ種類がございまして、長期にわたって従事している者は、ただいまのようなやり方でやりましても、本人は十分救済し得る道はあると思います。したがいまして、一般的な定員化というのは、二年にわたってやっておりますけれども、十年間におきましては、いろいろ勤務場所が違うということもございまして、現に一元化に従事している職員が、一年に満たずして他の方面に転出するという者も相当ございますので、ただいまのところ当初申し上げましたような方法でもって、従事している方の将来というものは救っていけることができると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/169
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170・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 確かに一年あるいは二年くらいでほかに転出されるという人もおられるわけで、しかし、この出張所から隣りの出張所に移しかえてやっていくという手段もあるわけでして、ぜひ今のような処置を要望いたします。
次に、監獄の問題ですが、監獄につきましては二交代制と三交代制とあるようですが、二交代制を方針としてとっていかれるのか。二交代と三交代の割合はどういうふうになっておるか簡単にちょっと伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/170
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171・福井徹
○説明員(福井徹君) 形務所の職員の勤務体制と申しますか、勤務時間の状況は、いろいろな種類がございますが、まず大まかに分けますと、日勤職員と昼夜勤職員というふうな種別になっております。いわゆる二部制とか三部制とか言われます勤務体制は、いわゆる昼夜勤務者に対して行なう制度でございます。現在刑務所ではその昼夜勤の勤務者はどんな体制でやっておるかと申し上げますと、それは二部制でございます。したがいまして、実例を申し上げますと、朝八時半に出まして翌日の八時半まで二十四時間勤務いたしまして、そうして一日の非番をするということで、そういう体制で甲番、乙番という昼夜勤務者が交番にやっておるいわゆる二部制でございます。日勤職員は大体日勤だけをやる勤務でございますが、これには二つの種類がありまして、早出の勤務者とおそ出の勤務者とに分かれておりますが、これは朝早く出るかおそく出るかの相違でございます。それを総合して申し上げますと、それが三部制でございますが、そうでなくていわゆる問題点は昼夜勤の勤務のことだと思うのでございます。現在やっておりますのは二部制でございますが、二部制をやっておりましてもなおかつ刑務所は独特の生活場面でございまして、収容者が二十四時間おりますために、週休と申しますか、日曜に当然休むべきでありますけれども、収容者の行事は相当教化その他の手段を行ないますので、出勤しなければならないということのために、二部制をやっていながらなお休日勤務というようなものまでやらなければならない実情でございます。そのために事実問題といたしましては、相当苛酷な状況になっておる場面がございます。たとえば今のごとく非番を当然もらわなければならないのに、場合によっては非番の居残りをやらせるというような実情もございます。それらの実情ではあまりに苛酷であるということで、ここ数年前から幸いに収容人員が現在減っておる現状にもかんがみまして、何とか三部制はとれないものだろうかということで、行政指導の面で各施設に呼びかけまして、三部制の実施、それから週休制の履行、それから非番居残りの解消、それから居残り料の一〇〇%支給というところを目標に勤務体制の合理化をはかるようにやって参ってきておるのであります。
最近の実情を申し上げますと、数年前まではいわゆる週休といいますか、休日に休む率は一カ月のうちにせいぜい一日かよくて二日というくらいの週休しか取れなかった。休日が取れなかったものが最近では大体三日程度にまで、一月のうちに三日くらいは休みの日がもらえるような状況になって参りました。それから今の三部制の点でございますが、実際に今三部制をとっておる施設はほんの数えるくらいしかまだございません。せいぜい二、三カ庁を数えておるにすぎないと思います。そういう実情でございますが、私たちといたしましては、現在二部制の要員、いわゆる甲番、乙番と申します人員の三分の一を増員いたしますれば、簡単に三部制は実現できる理屈でございます。しかしながら、一面については収容者が相当減っておるという実情、国家のいろんな財政上の問題もございまして、刑務所において現在そういう無条件の増員をはかるということは諸般の事情から困難であるというふうに考えられまするので、極力勤務配置の合理化あるいは勤務方法の合理化というような点に主点を置きまして、そして可能ならば現在の人員の中で三部制ができやしないかということで、極力研究を重ねているわけでございます。施設によっては、今申し上げましたように、一、二の施設で辛うじて三部制を実施しておるという程度でございますが、なお、私たちの研究が足りませんせいもございますけれども、強力な行政指導と今後の勤務配置の合理化等の研究によりまして、ぜひとも夜勤勤務者の三部制だけは実施したい。そして可能ならば週休制の完全実現まで参りたいということで、ここ数年間努力しているつもりでございます。現在のところでは、まだその実情には達しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/171
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172・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 これだけにきょうはしておきます。
それは、保護観察所四十九カ所ありますね。各県に一つあるのだということになりましょうが、この保護観察所、各県に大体二十名前後おられる人たちの労働条件が非常に悪いようですね。これは仮出所あるいは出所した者あるいは少年保護院に入るような人たちの家庭訪問なり指導なり、いろいろなことをやっておられるのでありますが、一県に大体二十名前後、この人たちがどうも勤務条件が悪いようですね。一体この超過勤務手当なり、あるいはそういうようなものの手当が実情に見合っているのかどうか。どうも日曜日、土曜日の出勤も多いようですし、というのは、司法大臣が任命しております保護司との連絡会議やそういうものは土曜、日曜日に持たれるという関係で、非常にこれは勤務条件として悪いようですね。そういう点についての実情に諸手当が合ってるかどうかという点をひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/172
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173・津田実
○政府委員(津田実君) ただいまの点につきましては、保護局の職員が参っておりませんので、参りましてからお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/173
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174・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後四時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X01319620322/174
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