1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月二十六日(木曜日)
午前十一時四十七分開会
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委員の異動
四月二十五日委員小沢久太郎君及び井
川伊平君辞任につき、その補欠として
塩見俊二君及び大谷藤之助君を議長に
おいて指名した。
本日委員山口重彦君辞任につき、その
補欠として千葉信君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 河野 謙三君
理事
石原幹市郎君
下村 定君
鶴園 哲夫君
山本伊三郎君
委員
木村篤太郎君
一松 定吉君
松村 秀逸君
千葉 信君
高瀬荘太郎君
衆議院議員
発 議 者 板川 正吾君
国務大臣
外 務 大 臣 小坂善太郎君
政府委員
総理府総務長官 小平 久雄君
総理府総務副長
官 佐藤 朝生君
総理府恩給局長 八巻淳之輔君
外務政務次官 川村善八郎君
外務大臣官房長 湯川 盛夫君
外務省経済局経
済協力部長 甲斐文比古君
外務省移住局長 高木 広一君
大蔵省主計局次
長 谷村 裕君
大蔵省主計局給
与課長 平井 迪郎君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
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本日の会議に付した案件
○外務省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○恩給法等の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○昭和三十七年度における旧令による
共済組合等からの年金受給者のため
の特別措置法等の規定による年金の
額の改定に関する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○中小企業省設置法案(衆議院送付、
予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/0
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001・河野謙三
○委員長(河野謙三君) これより内閣委員会を開会いたします。
まず委員の異動について御報告いたします。昨日小沢久太郎君、井川伊平君が辞任され、塩見俊二君、大谷藤之助君が選任され、本日山口重彦君が辞任され、千葉信君が選任されました。
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002・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 次に、恩給法等の一部を改正する法律案及び昭和三十七年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律案を一括して議題といたします。両案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。政府側から御出席の方は、小平総理府総務長官、八巻恩給局長でございます。御質疑の方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/2
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003・下村定
○下村定君 私は間もなくほかの会議のために席をはずす必要がありますので、法案そのものについては午後にひとつ恩給局長にお聞きしたいと思います。その前に総括的なことで総務長官の御意見を伺い、御要望を申し上げたいと思います。その内容には厚生省関係のこともございますが、一応総理府所管事項として御質問したいと思います。
第一は、現在の恩給法というのは、戦後数回修正がありまして逐次合理化されてきましたが、元来が太平洋戦争以前に作られた法律でありまして、その支給の対象となるのは退職公務員及び旧軍人軍属及びその遺族というようなものを対象としていると思います。ところが、太平洋戦争は従来の戦役とその規模それから様相が非常に違っております。公務員それから軍人、軍属以外の民間人で、あるいは政府の命令により、あるいは従来からの関係で、軍人軍属と同じような職務に服した者が相当ある。たとえて申しますと、満鉄そのほか国策会社の職員、赤十字社救護員、こういうものがあります。また、これも太平洋戦争の一つの特徴でありますが、敵国側の一方的処置によって長い間拘留された者、こういうものが相当あります。しかるに、これらの人たちというものは、現在の恩給法または援護法のワクの外にありますために、政府からいまだ何らの補償措置を受けておらないのであります。これを放置するということは、国家的及び社会的見地から適当でないと思います。これは予算委員会でお伺いしたことでもありますが、なお一応、総務長官の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/3
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004・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) ただいま先生からお話のように、太平洋戦争の犠牲者に対します取り扱いというものが、ある者は恩給法でいき、ある者は援護法で参る、こういう工合になっておりまするし、また、現実の問題として、同じような性格の犠牲を払われながら、両者の対象にもなっておらぬという向きも若干あるかと思いますが、いずれにいたしましても、恩給法自体は、国家公務員であったという立場の方にだけただいま適用されておりますことは申し上げるまでもないのでございます。戦後数次の関係法の改正によりまして、対象等も逐次広げられて参っておることは御承知のとおりでございますが、その間におきまして、恩給と援護法との間等におきましても、そのつり合いを考慮しながら今日に至っておる、かように存ずるわけでございます。具体的にお話の出ました満鉄の旧職員等につきましても、再三お話に出まして、まあ検討を要する問題であることは承知をいたしておりますが、恩給法の立場から申しますと、かりに恩給法を適用するといたしましても、対象人員もきわめて少なくなるようであります。むしろ公共企業体の共済組合あるいは国家公務員の共済組合、そういう方面の従来の法制下では、かりに同種の取り扱いをいたすといたしましても、そういう法の対象になるという方のほうが大部分を占めておる、こういう実情にございますので、それらの方面とも十分連絡をとりながら、政府としても検討をいたして参りたい、さように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/4
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005・下村定
○下村定君 どういう方法でやるかということにつきましては、私も専門の知識がありませんので、何とも申し上げられませんが、とにかくこういう政府の命令で軍人軍属と同じように働いたというような人は、これは国家としてはどうしても何らかの手を差し伸べる必要があると思います。そういう点につきまして、重ねてお願いを申し上げておきます。なお、これは厚生省の関係にも私は申したいと思います。
それから次は、最近における恩給法、援護法等の改正の状態を見ますと、主として関係団体の陳情、請願に刺激されまして、政府がこれを取り上げて、いわば小刻みにやられることが多いように思う。これは私は理論的に申して主客転倒であると思うのであります。のみならず、先ほど申しましたごく少数の軍人軍属以外の人たち、また、連合国側の一方的処置によって抑留されたというような人たちは、人数も少ないでしょうし、また、自分で団体を作って政府に働きかける実力がないのです。泣き寝入りになっておる人が多いと思います。また、次に、すでに恩給法または援護法の適用を受けておる人たちに対しましても、政府は今後、公務員の給与改善、あるいは一般所得の向上等に順応して処遇の改善を行なうべきだと思います。昨年の本委員会におきまして、これに関して附帯決議がつけられております。当局はこれらの問題に関して常続的に調査をやって適時適切の処置をとるように要望され、当時の当局からは、これは研究の上善処するという御言葉をいただいておるのであります。これがその後どういうふうになっておりますか、また、今後どういうふうにされますか、これについて長官の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/5
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006・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) まず、前段のことでございますが、戦争犠牲者と申しましても、きわめて各方面にわたっておると存じます。特に援護法なりあるいは恩給法なりの関係から申しまして、実質的にこれら両法の対象となってしかるべきような立場の方で対象になっておらぬという方もあるいは若干おありかと思いますが、そういう点につきましては、先ほど申しましたが、従来から逐次対象を広げて参っておるわけでございますが、今後におきましても、そういう点は厚生省とも十分打ち合わせいたしまして検討をいたして参りたいと思っております。なお、恩給につきまして、公務員の給与の改定等々と均衡をとると申しますか、それとの見合いにおいて常続的にこれを検討いたしていくべきだと、こういうお話でございます。その点は、私どもも同様に今考えておるわけでございます。今回の恩給ベースの改定も、昨年公務員の給与ベースが改定になりまして、それらとの関係も十分考慮した上で、今回の改定をいたすことにいたしたわけでございます。ただ、公務員の給与ベースが変わりました場合に、必ずそれに従ってと申しますか、それと軌を一にしてやるべきかどうかという段になりますと、公務員給与ベースの改定ということが一つの大きな参考であることは間違いないと思いますが、また一方、恩給の決定につきましては、一般の生活水準の問題なり、あるいは物価の関係なり、国民の感情の問題なり、いろいろ考えなければならぬ点もございますので、あるいは大筋としては、傾向としては、公務員給与の改定と相伴いながら恩給のほうも変えていく、こういうことになろうかと思いますが、その間必ずということにも言い切れないのじゃないかと、かように考えておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/6
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007・下村定
○下村定君 私どもも、公務員の給与改定に伴ってそれと同じ水準にというふうなことは申しませんが、今のような趣旨でぜひとも政府の責任においてひとつ調査をされ、推進せられることをお願いいたします。
次は、恩給局長にお尋ねしたい。現在の恩給法、これは今回の修正を含めまして、退職公務員及び軍人関係を通じまして、また、この二つのものの相互の間におきましても、なお、幾多の不合理、不十分の点が残っておると思います。たとえて申しますと、給与の基礎になるベースが酷になっておる。それから元来若年停止という制度があるにかかわらず、さらにこのごろ六十才というふうな制限が加わっておる。それからほかの戦地と同じように、非常な苛烈ないくさをした沖縄の戦争で、これに従事した軍人軍属等が戦地加算の待遇を受けておらない。あるいは戦争未亡人に対する特別加給が認められていないというような点が、例をあげればいろいろありますが、こういう不均衡、不十分の点が残っておると思います。したがって、こういう問題を是正してくれという声は、今後も必然的に起こると予想されます。また、こういう問題は前に申しましたとおり、政府としてはみずからの責任においてこれをお調べになって、公平、適切な緩急順序をつけて、実行を準備せられる必要があろうと思うのであります。そこで今申しました趣旨によって、恩給局としては、今後すみやかに是正を要すると認めておられる点はどういう件でありますか、それを例をお示し願いたいと思います。これは少し御答弁が長くなると思いますから、よろしければ午後にでもひとつお願いいたしたいと思います。
それからもう一つ、加算制が復活されましたが、この業務は昨年のこの委員会でも私申し上げたんですが、非常に広範で、ことに戦後十七年もたっておりますから、調査、それから裁定ということに非常な手数がかかると思う。また、一面におきまして、これに対して親心に扱ってやるということはごく必要なことだと思う。そこでこの加算制復活に伴う業務がどういう進度にありますか、それを具体的にお伺いしたいと思うのであります。私の質問はこれで一時打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/7
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008・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 恩給問題において今後いろいろまだ問題が残っておるのじゃないか、それに対してどうするかというお尋ねでございまするが、恩給問題——軍人恩給が出発いたしましてから、あとの恩給問題というものは、必ずしも全体の均衡が取れた姿で完全なものであるというわけにいかなかったわけなんですが、そういうような意味合いもございまして、その後昭和三十二年に臨時恩給制度調査会というものを開きまして、その中でのいろいろ不均衡、不合理というようなものを手直ししようじゃないかということを検討したわけです。その答申によりまして、昭和三十三年に法律百二十四号でもってあらましの解決をしたわけであります。その後百二十四号でなお手直しのできなかったような技術的な諸問題もございまして、中でも軍人恩給の加算の問題というふうなものは、その際にも見送られてきたのでございまして、これは去年の法律改正で解決をいたしたわけです。そういうような関係で、恩給内部における不均衡といいますか、そうした問題は一応解消してきているというふうに見ておるのでございます。今回の改正におきましては、そうした恩給内部のお互い同士の間の均衡問題ということではなくて、全体のレベルをどう上げるかということに重点を置いたわけでございます。今後それでは、全然恩給問題について何もないのか、これでおしまいなのか、こういうふうに聞かれますというと、これはいろいろと各団体、各人におきまして御要望があるということは承知いたしております。そうしてまた、その中で、もっともな点のある研究に値するという問題もあろうかと思っております。しかしながら、これはその部分だけではなくて、恩給制度全体の中で総合的に見て、公平と申しますか、取り扱い得るものであるかどうかということから考えなければなりませんので、その一部のグループ、一部の人、その人たちだけの要望というものだけで判断するわけには参らないわけでございます。具体的にしからばどういうふうな問題があるか、今おあげになりましたようなものの中でベースが違う——遺家族の場合と、傷病軍人の場合と、普通の恩給受給者の場合とベースが違うじゃないかというふうな、その問題は現在提案になっておりますこの法律制度の中で、そういうふうな措置をとった、特に遺家族、傷病者に優先的に考慮する、こういう措置をとったということが、現在の提案いたしております法律の中身でございまして、これが今後どうなるかという問題につきましては、今後の経済事情等によって当然検討されてくる、こういうことになると思うのです。
それから若年停止をさらに強化しているじゃないか、六十才以上の人でなければ増額を均霑させないというのは、むしろ若年停止制度というものを強化したことになっているんじゃないかというお尋ねでございまするけれども、これもまた結果的にはそういうふうな見方もできるわけでございますけれども、若年停止制度は厳として若年停止制度としてあって、そうして今回の増額措置というものについての特定の制約といたしまして、六十才以上の老齢者を先にするという考慮が払われたわけでございまして、若年停止制度そのものを強化したというふうには私どもは考えておらないわけです。
また、沖縄の加算問題あるいは戦争未亡人の問題等々ございまするけれども、これは全然現在の法律なり、あるいは今までの制度の中での不均衡の問題ではなくして、新しい要望として提起されている問題だろうと思うのでありまして、その当否につきましては今後十分検討しなければならぬと思っております。
また、そのほかいろいろお前のほうで知っている限りの問題点をあげてみろというお話でございまするけれども、これはむしろ各団体において要望書が出ておりますもので、こういうものはこういう御要望はありますということは承知いたしておりますし、申し上げることができまするけれども、それがはたして全体の幅の中でどれだけの妥当性があって、そうして将来は、これをやらなければならないものであるとかなんとかいうことについての結論的なことは、私は今この段階で申し上げることはなかなかむずかしいと思います。
それから最後に、加算関係によって普通恩給権を取得する方々についでの裁定が、その遺族の関係では去年の十月から、また、生きている方々についてはことしの十月から裁定が始まるわけでございます。その準備といたしまして、履歴の整備は第一線の各府県の世話係、厚生省の援護局でやっております。なかなか膨大な仕事でございまして、時間と手数が相当かかることは御指摘のとおりでございます。さしあたりの問題といたしましても、約三十万人くらいの者が四十五才以上ということで一応権利を得る、権利を得てそうして事務が開始されるという段取りになるわけでございまするけれども、直ちにこれを三十万耳をそろえて裁定するという段取りにはなかなかならない。まあ厚生省の今の事務の進捗度合いから申しますると、大体一年間十万件くらいずつのさばきが精一ぱいではなかろうかということでございます。もちろんやる順序といたしましては老齢者、五十五才以上の方、あるいは五十才以上の方というふうに、上のほうから順次やっていく、優先的にやっていくというふうな方式をとっているようでございまして、関係当局一同といたしましては、できるだけ早く昨年の制度改正に伴います権利の取得者に対して恩給証書が渡るようにということで努力はいたしております。そういうような状況でございますので、御了承を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/8
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009・下村定
○下村定君 今の加算制復活に対する事務の促進ということは、この上ともひとつ御努力をお願いいたします。それから、その前に申しましたことでございますが、先刻も申しましたが、当局に緩急順序というふうなこと、それから不合理、不均衡のはなはだしいものはどこだということがはっきり御腹案がありませんというと、結局圧力をかけたものが得をするということになって、そして、これは非常に急を要すべき性質のものであるけれども、圧力が少ないためにあと回しになるという傾向が私はいなめないと思う。これまでそういうふうになっております。ある団体が、総務会とか、政務調査会とか、そういうところの部屋の外まで押しかけてきてやる。まあついそれに引かれるということも、私はなきにしもあらずだと思う。これでは政府として私は適当でないと思う。そういう点で、従来のことは私はよく承知しておりますが、今後前向きに、政府として、政府みずから、ひとつ重要度、緩急度ということで腹案を持たれる。まあ財政上の点はこれはむろんあるのでございますけれども、これは、恩給局としてはまずそれを加味してお考えになる前に、今のような、ほんとうの重要性とそれから緩急順序ということについて確たる腹案をお持ちになることを私は希望するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/9
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010・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) 恩給制度につきまして、関係される向きも非常に多いわけでございますし、ここで特に、いわゆる活発な運動をなされる団体もあるようでありますが、政府としましては、そういう運動なり圧力なりにかかわることなく、あくまでも公平の立場で今後とも進みたいと思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/10
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011・河野謙三
○委員長(河野謙三君) この際御報告いたします。政府側から、佐藤総理府総務副長官、大蔵省から谷村主計局次長、平井主計局給与課長が出席されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/11
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012・松村秀逸
○松村秀逸君 さっき総務長官から、なるべく公務員の給与と均衡をとっていきたいということでございましたが、私もその点は非常に同感でございます。今度公務員の給与は二万七千円になった。遺族、傷痍軍人等の扶助料が二万四千円、それから普通恩給が二万円と昇格されましたが、その根本の理由はどこにありますか。それを明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/12
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013・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) 御承知のように、公務員の給与につきましては、人事院におきまして民間給与と公務員の給与というものがどういう状態にあるかということを調査されまして、その結果に基づいて政府に勧告をされ、政府がそれを受けて改定をいたしておる、こういう順序でやっておるわけでございます。そこで、先ほども申しましたが、公務員給与が改定をされました場合において、これを参考とし、あるいは重要な一つの資料として恩給のベースも考えるということは、これは間違いございませんが、ただ、公務員の給与というものが変わったから必ずそれと間を合わせて恩給のベースを変えるという、単純なそういう考え方だけではいかぬのじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、公務員の給与につきましては、もう少し広い立場において一般の生活水準なり、あるいは国民の感情なりといったようなことを広く考えなければならぬのじゃなかろうか、かように考えております。で、今回の改定につきましても、公務員の給与も上がったということも一つの大きなポイントには違いございませんが、単にそれだけで今回の改定をしようということじゃございませんで、やはり一般の生活水準等の変化ということも考え、あるいは特に遺族なり、あるいは傷病軍人等の給与、特に恩給の水準を優先させて考えた、この点につきましても、国民感情等も考慮に入れて、こういう程度でいくことが全体を総合的に判断して妥当ではなかろうか、こういうつもりで今回の改定を御提案申し上げたようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/13
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014・松村秀逸
○松村秀逸君 御説明の趣旨はよくわかりました。御存じのように、公務員給与は今お話もあったように、逐年漸増しつつあります。恩給のほうは、ともすればいろいろな理由もございましょうが、引き離されがちになりますから、なるべく均衡がとれますように、重ねて御努力をお願いいたしたいと思います。
それからもう一つ、さっき下村先生の関連質問としていたすのでありますが、普通恩給が二万円ベースということに上がりましたが、六十才以上という年令制限が設けられておる。その六十才というのは、どこから出ているか。その根拠をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/14
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015・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 今回の措置におきましても、増額は、未亡人あるいは傷病者を除きましては六十才以上という制限をしたのでございます。これは、前の昭和三十三年の法律第百二十四号の一万二千円ベースから一万五千円ベースに上げます際にも、六十才以上ということでやったわけでございます。六十才という根拠をどういうところで求めたかということにつきましては、まあ一般の社会保障における立法例等も、六十才以上というものを老齢退職年金あるいは援護遺族年金等の目安にいたしておりまするので、大体六十才というものは社会一般の通念上老齢者というふうな考え方になっているようでございますが、それに合わせた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/15
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016・松村秀逸
○松村秀逸君 岸裁定に右へならえをしたというお話でございますが、岸裁定の場合は五十九才が一万二千円据え置き、六十才は一万五千円、ベースにおいて、三千円の差でございましたが、そのときすら五十九才以下の間には不満がないじゃなかったのでありますが、今度は六十才以上が二万円、それから五十九才以下は一万二千円ベースということになりまして、ベースにおいて八千円の大きな差がついて参りました。そういう関係で、さっきの若年停止の二重化という問題もございますが、今のような八千円ベースの大きな問題がついて参りましたので、五十九才以下には非常に不満の声が高いのでございます。そういう意味におきまして、私は今後の問題といたしまして、この四十九才以下の一万二千円ベース据え置き是正ということを特に総務長官にお願いしておきたいと思います。どうぞ御検討の上善処をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/16
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017・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) 御説のような事態もあるかと思いますが、今後よく研究してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/17
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018・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 午前の審議はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし暫時休憩いたします。
午後零時二十一分休憩
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午後一時三十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/18
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019・河野謙三
○委員長(河野謙三君) これより内閣委員会を開会いたします。
昨日、予備審査のため本委員会に付討されました中小企業省設置法案を議題とし、発議者から提案理由の説明を聴取いたします。
衆議院議員板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/19
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020・板川正吾
○衆議院議員(板川正吾君) ただいま議題となりました中小企業省設置法案の提案理由を御説明いたします。
本法律案もまた、中小企業基本法案と密接不可分の関連法として、本院に提出いたしておるのであります。
中小企業省を設置し、中小企業大臣のもとに、抜本的、強力な政策の実施されることは、全国中小企業者が、長年にわたり切実に待望して参ったところであります。
現在の中小企業庁は、その機構がきわめて貧弱であるだけでなく、大企業の代弁機関と化した通商産業省に完全に隷属しておるのであります。このため、従来、中小企業庁が、中小企業者の与望をになって、せっかくりっぱな施策を立案し、あるいは適切妥当な予算を要求いたしましても、大企業の立場から、あるいは通産省全体のワク内において、事前に葬られてきたのであります。
これでは、中小企業者の意見、要望を真に反映し、その利益を擁護する機関は、現在の政府にはないといっても過言ではないのであります。今日農民に農林省あり、労働者に労働省あり、大企業者のためには通産省あり、ひとり中小企業者のみが、日の当たらないところにおかれており、これに相応する政府機関が欠けているのであります。中小企業者に中小企業省を、そして通産省と対等の立場で、中小企業政策なり、中小企業予算について、国政の最高の執行機関である閣議の場において、討議されるべきは当然のことであります。
ここに中小企業省を早急に設置し、機構を整備して、中小企業基本法にうたうところの諸政策を最も効果的に実施し、もって中小企業経営の安定と発展に寄与して参りたいと存ずる次第であります。
これが本法律案を提出する理由であります。
次に、その内容の概要を御説明いたします。
まず第一に、本法律案は、中小企業省の所掌事務の範囲、権限を明確にし、あわせてその組織を定めるものであります。
次に、中小企業者の任務といたしましては、中小企業者の組織、経営近代化、振興及び助成に関する行政事務や、基本政策の樹立に関する事務等を一体的に遂行する責任を負うものであります。
第三に、中小企業省の具体的な権限といたしましては、収入、支出に関する事務、職員の人事管理等、通常の所掌事務の遂行に必要な権限のほか、中小企業基本法の施行に必要な権限、たとえば事業分野の確保、設備近代化の助成、組織化の指導助成等があります。さらにまた、中小企業関係機関に関し必要な権限を有することといたしておるのであります。このため、たとえば、従来中小企業庁の所管の外にありました中小企業退職金共済事業や国民金融公庫に関することも、中小企業省の権限事項と相なるわけであります。
第四は、中小企業省の機構についてであります。
まず本省には、中小企業大臣のもとに、大臣官房及び振興、組合、経営指導、商業の四局を設置し、大臣官房には調査統計部を設けることといたしておるのであります。
次に、地方にも、支分部局として、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の八カ所に中小企業局を設置し、それぞれのブロックを担当して、本省の所掌事務の一部を分掌せしめることにいたしております。
さらに、外局としては、中小企業基本法に規定する中小企業者と大規模事業者等との間における紛争を整備せしめる機関として、中小企業調整委員会を設置しているのであります。
以上が本法律案の提案理由並びに内容の概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを切望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/20
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021・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 以上で提案理由の説明は終了いたしました。
自後の審査は、これを後日に譲ります。
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022・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 次に、午前に引き続いて、恩給法等の一部を改正する法律案及び昭和三十七年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行ないます。
政府側から出席の方は、八巻恩給局長であります。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/22
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023・山本伊三郎
○山本伊三郎君 まず予備的な質問として、現在軍人恩給について、わかれば階級別に軍人恩給の受給者の数をひとつお教え願いたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/23
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024・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 階級別のこまかいことの統計、今手元に持っておりませんが、まあ全体のアウト・ラインで申し上げますというと、軍人恩給を受ける方々の中で八〇%を占めるものが旧軍人の遺族、戦没者遺族でありますが、遺族の中でそのまた八、九〇%は兵、下士官の遺族である、こういうふうに申し上げられると思います。詳細のことは後ほど資料を取り寄せまして申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/24
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025・山本伊三郎
○山本伊三郎君 八〇%、これは件数だと思いますが、それに要する費用も大体これに準じた程度ですか。その点概括的におわかりであれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/25
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026・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 軍人の遺族の公務扶助料の場合でありますと、階級の上の方々の公務扶助料の単価は高うございますから、数の割合のパーセンテージと金額の割合のパーセンテージでは若干ズレがありまして、数での、件数でのパーセンテージのほうが高いということはこれは当然のことでありますが、その点はそうたいした開きはない、こういうふうに申し上げられるかと思います。これもまた後ほど……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/26
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027・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それじゃひとつ、前から言っておいたらよかったのですが、ちょっとほかのことで取りまぎれてそういう資料要求をしておかなかったのですが、さっそくまたあしたもこれ続けられると思うのです。それまでにひとつ今の資料を御提出願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/27
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028・河野謙三
○委員長(河野謙三君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/28
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029・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 速記をとって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/29
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030・山本伊三郎
○山本伊三郎君 その資料で、実はいろいろと聞きたかったのですが、というのは、大体われわれも一応数の多い戦没者、下士官そういうところに戦後は重点をおいて考えられておるのですが、われわれも一応想定しておったのですが、どういう支出の按分になっておるか、それを知りたかったのですが、現在、大将、中将、少将、将官で存命中で恩給を受けておられる方、これくらいは数が少ないからわかると思いますが、下村さんもおられますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/30
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031・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) ただいま、統計を取り寄せましてから、後刻お答え申し上げますが、千人台ということはなく、百人台の数であると私は記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/31
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032・山本伊三郎
○山本伊三郎君 いわゆる将官三階級合わせて百人台、こういう程度 すね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/32
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033・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) それは大将、中将クラスで、少将はたしか一千人以上ではないかと私は記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/33
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034・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それで、今度仮定俸給が年額が二万四千円ベース、これは支給については別ですが、表によると、そういう改正のものが出ているのですが、これは今度の改正はいわゆる国家公務員の二万四千円ベースということにいわれておるが、現実問題として、これは普通恩給者とも関連するのですが、現実の給与からいうと少し低いんじゃないですか。二万四千円ベースというのはどういう……、ちょっと計算をしましても、正確な計算はまだしていないのですが、現在、軍人はないですから、これは比較できないのですが、一般の公務員の比較してみると、二万四千円ベースとなると、もう少し高いと思うのですが、軍人の場合の一番最初の仮定俸級の場合には、あれはどういう算定で出されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/34
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035・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 御承知のとおり、昭和三十五年十月一日に実施になりました一般職の給与に関する法律の別表の各号俸というものは、ここでいわゆる二万四千円ベース、こういっておりまする号俸よりも高うございます。これは上級者について高うございます。これは三十五年十月一日に実施になりました給与法令までずっと下のほうの階級で見て参りますると、三十四年の十月一日に、いわゆる恩給で二万円ベースといっておりますこの俸給から、兵の階級のところの十八号というのは一三・一%現実に上がっている。それから伍長の階級の二十一号というところでは一二・五%上がっている。軍曹のところでは一二・四%上がっているというように、現実にはその辺までは実際に行なわれております公務員の給与と同じように扱ってございます。それ以上になりますと、だんだんと兵、下士官その辺のクラスの上がり方よりも、もっと急激に二割とか三割とかいうふうに上がっております。そこで、これをそのままとりまするというと、全体のバランスからいいまして、下級者よりもさらに公務扶助料において優遇されてしまうというような、バランスがくずれる面がございますので、遺族、傷病者につきまして、特に二万四千円ベースというものを考えます場合に、恩給的には兵、下士官の上がる率というものを考え、また、二万円ベースから二万四千円ベースに上がりました全体の給与の上がり方というものは、一二・四%でございましたから、その一二・四%というところでアップ率を考えまして、上級者についてはそういうところでずっと踏襲して参る。二万円ベース、いわゆる三十四年十月一日の俸給というものを土台にして、それに対して一二・四%ずつ上げたというものを、いわゆる二万四千円ベースの仮定俸給とした、こういうことになっております。そして現実に二万四千円ベース、三十五年十月一日の仮定俸給で退職、仮定俸給ではない、現実の公務員の給与で退職した恩給受給者がいるかどうかということになりますと、これは御承知のとおり、昭和三十四年十月一日に恩給から共済にかわりまして、それ以後は恩給の公務員というものはいないわけであります。恩給で退職したという人はいないわけなんで、恩給受給者という一つの範囲におきましては、現実には二万四千円ベースで退職したという方はないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/35
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036・山本伊三郎
○山本伊三郎君 昭和二十八年に最初軍人恩給を復活した場合に、仮定俸給をきめられて、最高は大将四十九万四千四百円、最低兵は六万六百円というものが一応戦後ここで仮定俸給はきめられたのですが、このきめられた基礎というものは、どこからとってこられたのですか。戦前と貨幣価値もたいへん変わっております。どういう倍数と申しますか、基礎で仮定俸給がまず最初きめられたのですか、これをちょっと一点伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/36
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037・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 軍人恩給が出発いたしますときに、その仮定俸給をきめた基礎は、ベースで申しますと一万円ベース、つまり公務員の給与ベースでは二十六年の十月に実施せられました一万円ベースというものを基礎にして軍人の恩給をはじいていったわけで、その当時の八十二号という通し号俸の中で、兵なり大将なりをどこへ格づけするかということの問題でございますが、これは兵の仮定俸給、兵は二等兵から兵長まで一本にくくってしまって、兵長にみんなしわ寄せて、みんな兵長のランキングとして考えておったのでありますが、その兵長のランキング、つまり兵長が昔恩給的にどれだけの処遇を受けておったかと申しますと、年六百円という俸給であると、こう押えて恩給を計算されておったのであります。そこで文官の場合につきまして、年六百円という人が通し号俸の八十二号俸の中でどういうところにランキングするかということを考えてみますと、十八号というところのランキング、そこでその昔の文官と同じように十八号というところで押えまして、ずっと上のほうに序列を作ったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/37
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038・山本伊三郎
○山本伊三郎君 昔の軍人の俸給というものは、今から見れば相当いろいろ問題があると思う。そのときはそれでよかったと思うんですが、兵といえば、兵長の場合は若干長期な——職業とはいえないと思いますが、相当長期な方がおられたんですが、兵の場合はこれは給与という考えよりも、これは兵役の義務ということで徴兵されておったんだから、したがって、二十八年に、私はまだ国会に席がなかったんですが、恩給という考え方、また、それを越えて今の年金という考え方からいうと、どうも合理性がないように思うんです。今説明された戦前におけるそういう年六百円ということを考えたというあれはそこに一つの合理性を持たされておると思いますが、今の観念からいくと、公務員一般の実情から見ると全く問題にならぬような気がするんですね。それを徐々にある程度是正していこうというので、ベース・アップだけにそういう思想を一応とられたと思うんですね。今回そういう精神を入れてやられたにかかわらず、まだまだそういう点が納得できない。で、これはわが党も党内でいろいろ論じられるんですが、もちろん、日本の軍隊というものが存在しておるときについてはあるいはそれは認められるかもしれないけれども、もうすでに軍人というものが新憲法によってないんだ。これは日本国民の一人としての生活の補助といいますか、生活を補助するための年金に変わっておる、考え方がですね。そうすれば、軍人という先入観、そういう考え方でなくして、大将個人だれそれ、兵だれそれという、国民一人という考え方からいくともう少しこの点は考える必要があるんじゃないか。軍人恩給そのものについてはわれわれも反対はしておらないんですが、そういう点についてなおかつ軍人そのものが存在しないのに、昔の階級そのものが何かそこに想定されておるんじゃないかという私は気持がするんです。そういう意味においてこの仮定俸給のきめ方については若干われわれ納得ができがたいんですが、これに対して総務長官はどういう考え方でおるか。今来られたところで、ちょっと相談して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/38
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039・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) 途中から話を伺いましたので、あるいは間違っているかと思いますが、その際はまたお答え申し上げます。
まあ旧軍人に対する恩給に、階級的な差を認めるのは妥当ではないのではないか、こういう御趣旨かと思いますが、それは恩給はあくまでも国家の公務員として勤めておられて、それらの方々がおやめになったというところを本来基準にして払うべきものであろうと思います。そういう基本的な見地からいきまして、以前の軍人としての階級をこれを全然無視するということもいかがなものであろう。やはり原則でございますから、それを相当程度やはり認めていくのが少なくも恩給の建前としてはやはり妥当なのではなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/39
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040・山本伊三郎
○山本伊三郎君 まあそこにわれわれと根本的に考えの違うところがあるのです。私の言っておるのは、軍隊というものが現存しておるという中においてのきめ方であれば、そういう階級に重点を置いた仮定俸給というものも考えられるのだが、もうすでにそういうものは日本の国にないのだ、これの復活した第一の要素としては、非常に生活に困っておられる、これに対してどうするかということ、これが一般の国民世論として軍人恩給ということについてとられたと思うのです。ところが、この年々ベース・アップをする過程を見ましても、今度の二万四千円に上がった度合いを見ましても、兵においては、まあこれは先ほど恩給局長言われましたが、絶対額からいくと、兵の場合は十万八千二百円から十二万二千四百円ですから約二万円余りの増加なんです。最高の大将になると、八十一万四千八百円から九十一万五千八百円になっていますね。そうすると、約十万円から上がっておるということになるのですね。実際われわれの見方からすると、一体困っておるのはどの階層が困っておるかということです。先ほど言われましたが、戦没遺族者に対するものが数が多い、なるほど数が多いのは当然ですが、そういう人々が一番困っておるのじゃないかと思うのですね。そういう意味において、今度のこの仮定俸給を割り出された場合でも、やはりそういう実態というものをよく把握してやられなくちゃ、どうもわれわれとして納得できない点があると思うのですよ。これはもう今の考え方は、恩給というのはやはり生活をささえる年金としての考え方で一般国民が了解してこの恩給を解釈しておると思うのですが、どうもその点がやり方がなおかつ階級に重点を置いておるのじゃないかと、こう思うのですが、今総務長官が、これは妥当だと思うがと言うが、どうも妥当である根拠が薄弱であると思う。逆に見ると、恩給費が上がってくるという批判が、上級の階級の人は数が少ないから、予算面における金額は低いけれども、こういう一つのデータ、表で見ると、何か一まつ割り切れないものが残るのじゃないかと思います。そういう点でわれわれとしては、今総務長官、妥当だと言われたが、私は決して妥当な本来の仮定俸給の決定ではないと思うのです。もっと下級、というよりも、人間を主体に置いた一つの年金というものをやはり考えてもらわなくては、一千億になんなんとする恩給費をかりに国費として出すということになれば、やはりそこに重点を置いた国費の使い方ということを考えなければ私は納得しないと思うのです。今恩給については非常に陳情が各地からきておることをわれわれも聞いて知っております。その人方の要求されるということは今私の考えておる方々が非常に多いのであって、そんなによけいもらっておる方々がどうこうしてくれという陳情は私はあまり受けたことがない。そういう点で政府はどういうところに目を向けておられるのか、どうもわれわれわからないのです。これはこの点についてもう一度ひとつ総務長官から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/40
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041・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) 山本先生のお考えのように、社会保障と申しますか、そういう立場を重く見まして実行するということになりますならば、昔の階級等には全然とらわれずに、平等に支給するということになろうかと思いますが、これらの受給者はもともと法律によりまして恩給というものをやはり当然国から保証されておられた方々なのであります。その建前というものは、やはり、まずもって最初に重んじられなければならぬのではなかろうか。したがって、一般の社会保障のように、まあ一律平等にというわけには参らない性格——もともとそういう性格があるんではなかろうか、さように考えておるのでございます。
ただし、戦前にありました当時の国家保障と申しますか、その立場だけで貫くということも、この時代の変化あるいは国民の感情、そういうものも考慮いたしますときに、本来の恩給の立場だけに徹するということもいたしかねますので、その辺を全般的にあるいは総合的に見渡しまして、ただいま実行いたしておるあるいは今度お諮り申し上げております程度のところに落ちつかせるのが全体から総合的に判断してまず妥当なところではなかろうか、政府としてはそういう考えを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/41
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042・山本伊三郎
○山本伊三郎君 政府としては、提案された責任として、まあそういう答弁以外に私は出ないとは思うけれども、やはり公平に判断した場合には、これは国民一般に聞いてもらってもわかりますが、私の主張が間違いだという人はあまり聞かないのです。で、私は何も、全然これを平等にせよというようなそういうことを言っておるのではないのです。そういう極端な意見を私は言っておりません。しかし、あまりにも、パーセンテージはなるほど下に厚い考えをしておるけれども、全体から見ると、はなはだしく開いておるのですね。御存じのように公務員も今日の新憲法のもとにおいては、恩給というものについては問題があるというので、御存じのように、共済制度に全部切りかえられるような状態です。まあ軍人というものは、一応これは消えてしまったものですから、消えてしまったその上に立って、やはり軍人といえども日本の国民である、また、それがよかったか悪かったかは別といたしまして、国民に殉死されたことについては、これは私はある程度認められると思うのですね。しかし、そういうあらゆる要素を考えた上でこの仮定俸給を決定される場合にも、やはりそういう点をもっと濃厚にこれに表わすということが今の私は政府の責任ではなかろうかと思うのです。今日、恩給の問題については、若干下火になっておるけれども、これがすでに一千億円ということになってくると、やはりわれわれ国政に参与する一員としても、国全体の予算という立場から考えても、やはり深く考えなければいかぬと思うのです。そのときに合理性の盛った——今の新憲法下においてこの時点において、合理性の盛ったものであれば、あるいは国民もそれは納得するけれども、やはり依然として前の軍人の存在していたときのような階級を重点に置いたものの仮定俸給ということになれば、それはやはり納得できない面が相当あると思う。今日、自衛隊といえども——わが党は反対しているけれども、自衛隊も、御存じのように、共済制度に切りかえられておる。そういう上に立ってわれわれ考えるときには、政府もやはりもう少し考えなくちゃいかないと思うのです。また、この席上で言うのは、私は非常に心づらいことでありますけれども、かりにそれを受けるほうの面から言っても、私はそれが本筋ではなかろうかと思うのですよ。やはり生活に困っておる、しかも戦没遺族者と言えば、これは自分の主人なりあるいは子供を犠牲にした家族なんですから、私は極言したら、もうその人たちだけに限ってしまったらいいと思うのです。たとえば、これは何も階級を言っておるのではないのですよ。たとえば将官であっても、なくなられた遺族に対しては、これはある程度厚くすべきである。また現在、戦傷を受けて労働能力もないという方々、そういう人々に私は厚くするというのが、もう時代の趨勢でなかろうかと思うのですが、今度の私は案をもらったときに、ずらっと一覧して私はどうもその点において、政府の考え方がわからない。ただ実施面において、段階をつけて、そこを調節しようという若干の配慮のあったことは、私はこの法案で認めます。しかし、結論的に言えば、やはりこの仮定俸給というのは最後にこれが決定され、一体また次はどうなる。これが積み重ねていけばどうなるか。最初昭和二十八年に復活したときから見ると、最初は大将の場合は四十九万であったのが、もうすでに倍額になろうとしている。そういうことで将来進むとなれば、これはわれわれとしても、納得しろ、妥当性があるのだと言われても、どうもその点については釈然としない点があるのです。これはここで責めたところで、総務長官の答弁は変わらないと思いますから、私はこれ以上この問題に触れませんが、政府としては、やはりこの軍人恩給の建前を新たな観点から、私は将来考えていかなければいけないと思う。その点について将来の問題も展望して、総務長官が将来もやはりこれはこれとして妥当であるのだ。今の政府を代表して、そう言われるならば、私はそれはもう一ぺん聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/42
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043・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) 将来にわたって今日のような状況を続けるかどうかと、こういうことでございますが、これは先ほど来申しておりますように、恩給のことにつきましては、国民の生活水準等ももちろん考えなければなりませんし、あるいは一般公務員の給与水準等も考慮に入れなければなりませんでしょうが、同時に、国民の一般の感情と申しますか、そういうものもきわめてこれまた重視しなければならぬところでございますので、今後あの改正にあたりましてはそういったものを、まあそれぞれのときにおいて、どういう比重を持たすべきか、こういうことによって、時代とともに多少そこの重点の置き方というものは、やはり違うことがあり得るのじゃないかと考えます。そこで将来にわたって今日のような姿のままで行くかどうかということは、今一がいに申し上げるわけにも参らぬと思いますが、要するに、そのときにおける各般の事情というものをやはり総合的に判断をして、決定するべきだと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/43
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044・山本伊三郎
○山本伊三郎君 まあ私の言わんとする問題点については、これが了解できるかは別として、私の言うところはわかったと思う。私はこれは、現在この軍隊というものが存在している場合においてであれば、私はこの階級的に見て、今の一般公務員から見れば、決して高いと言っておらない。実際問題について高いと言っておらない。しかし、すでにそういうものがなくなって、しかもこの精神が、戦没遺族者に対するいろいろの生活上の事情から、政府も踏み切ってこれが復活した要素の大きい点であろうと思うのですね。そういう点から考えると、どうもそれに便乗したようなところが多くあるのじゃないか、こう思ったので私は再々あなたに責めているのですが、この点は一応結論的なところでまた申すとして、一応この問題はこれでおいて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/44
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045・下村定
○下村定君 ちょっと関連して質問……。
今山本委員の御主張は、私ごもっともだと思います。私も実はいわゆる高級将校の一人でして、恩給をちょうだいしておる立場であります。ひとつ気持を申し上げて、総務長官にお伺いしたいと思います。
それは、私どももむろん山本さんの言われたとおり、自分たちの恩給は少なくなっても、遺族だとか、それから必任義務制度によって出てこられた方など、そういう方に潤うようにということは絶えず考えている。したがって、先ほど山本さんが言われましたように、この高級の将校からは自分たちの恩給を増してくれという請求は出ておらぬ。それはかねがねわれわれの心がまえからきておるのでして、国としてはまたちょっと別の考えが要るのじゃないか。と申しますのは、そもそもこの軍人恩給の復活をやられたときに、遺族、傷痍軍人、それから高令者——高令者ということはもう働きのない人間、つぶしのきかない人間——こういう順序が出たわけです。余談になりますけれども、これはマッカーサーから初めて恩給停止の指令が出ましたときに、当時の外務大臣の吉田さんと私とが相談してきめた一つのワクなんです。それが今までずっときておる。これは私はどこまでも尊重したい。ただ国として考えられましたときに、今申したように、上級将校というものはもうこれは例外なく高令者である、働きがない。それからもう一つは、恩給というものがその現職にあったときの功労、責任に対する報償であるという点から考えますと、これはどうしてもある程度の階級差、階級差というと、語弊がありますけれども、差があってしかるべきものじゃないかと思う。そういう点から、山本さんの御意見は私はごもっともだと思いますけれども、今私の述べましたようなことも一応考慮していただきたい。くれぐれも申しますが、私どもは高級将校の立場において自分たちの恩給がこのままでいいか、あるいは将来もまたこれでふえていくのだというようなことを望んでおるものではありません。ただ、ほかにだれも言う人ありませんから、われわれの気持を申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/45
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046・山本伊三郎
○山本伊三郎君 下村さんがまことに峻厳な態度でそう言われると、私もたって言わざるを得ないのですが、もうおそらくそういう気持であることを知りながら、非常に言いづらいことを質問しておるのですが、その点了解願いたいと思います。おそらくやはりそういう気持の方々が多いと私思うのです。ただ、私が論じておるのは個人的な問題でなくして、こういう問題がかりに国民に一応言われる場合には、やはりそういう点が一つの疑惑といいますか、納得のできない面が国民の中に起こる。起こること自体が将来の恩給制を云々する一つの基礎となって、かえってほんとうに必要な方々にまでそういう批判が私は及ぶという懸念がありますので、まあ言っておるのであります。で、下村さんおっしゃったように、もうすでに将官とか、また、将官以下でも大佐級になると相当高年令の方ですから、個人的に見れば、私は生活に困っておられると思うのです。しかし、生活に困るとなれば、これは階級の下の人でもお年寄りの人がたくさんある。したがって、そういう尺度ではかると同じようなことが言えると思うので、こういう表を見ますると、そういう点が十分配慮されなければ、将来だんだんとこれが仮定俸給が進むに従って問題がますます私は出てくると思います。この点は十分御配慮願いたいと思います。これは質問じゃないのですが、ちょっとせっかく下村さんが非常に自分の立場を宣明されましたので、私はそれに対して敬意を表してそれだけ述べておきたいと思います。
それでは次にひとつ、今度の実施について三年ぐらいに段階的に実施を考えられているのですが、これは年次別に費用の点はどうなっておりますか。三十七年度において、三十八年度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/46
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047・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 今回の措置は、三十七年度、本年度から予算的には四十年度、実施といたしましては三十九年度、完全実施は予算的には四カ年にまたがるというふうな計画になっております。この進み方は今回の措置によりまして三十七年度の人員を基礎にしてはじきますと、純所要額というものが三百三十二億かかりますが、これを年次別になしくずしにやって参りますという関係上、本年度に要する予算は四十四億、それから来年度、三十八年度に要する予算が百八十八億、したがいまして、ことし四十四億でございますから、来年百八十八億といたしますと、差額ネットの増というものが百四十四億の増、それから三十九年度では二百七十六億、前年との対比におきましては八十八億ふえます。百八十八億に対しましては八十八億ふえます。四十年度に至りまして三百五億、前年に対しましては二十九億ふえる。こういうふうなカーブで四十年度をピークにしてだんだんとふえて参る。こういう計画でございます。この措置による所要額が四十年度三百五億と申し上げましたことと、三十七年度をベースにして三百三十二億平年度かかりますということのズレがございますけれども、これは四十年度になりますと、基礎人員等が変わりますので、それによって当初三十七年度予算人員では三百三十二億かかるということが、ピークの時期におきましては三百五億ということに相なっております。かたがた今回の増額措置に関係のない部分の既定経費と申しますものは逐年減額して参ります。したがいまして、それと相殺をいたしまするというと、今年度恩給費予算が千二百十一億というのが、四十年のピーク時におきまして千四百四十二億ということに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/47
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048・河野謙三
○委員長(河野謙三君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/48
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049・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 速記とって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/49
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050・山本伊三郎
○山本伊三郎君 恩給局長にお尋ねしますが、最高ピークが千四百四十二億、これは何年度になるのですか。ちょっと今聞き漏らしましたが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/50
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051・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 昭和四十年度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/51
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052・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そうすると、これがピークになって、将来仮定俸給がまたベース・アップをされないとなればこれがピークで減っていく。しかし、今の現状から見ると、私はそうはいかないと思うのです。先ほど言いました恩給は、その考え方がまあ政府も若干違うようですが、やはりこれは恩給をもらっている人は、特に戦没遺族者については、これは生活費になっておると思うのですね。そうすれば物価が上がっていくことは、これは当然ですし、また、生活の状態も変わっていくのだから、これをこのまま永久にストップというわけにいかないと思うのですね。これは単に軍人ばかりじゃない。一般の恩給を受ける公務員の場合も一緒ですが、したがって、そういうことを考えると、一体どこまで伸びていくのかというような点を恩給局でそういうカーブを、推定線ですね、そういうものをやられたことありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/52
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053・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 現在の与えられたデータに基づいてこういうカーブを持つ、今申し上げましたように、四十年度におきましては千四百四十二億になって、その後は、翌年度は十八億ぐらい、その後ずっと恒常的には二十億前後減っていく、こういうふうな見通しは立てておるわけです。しかし、今後物価や生活水準の上昇というものがどういうふうになって、それを織り込んだら一体どういうことになるかということの推定は諸データを前提といたしませんと出ませんが、なかなかそういう前提を立てること自体がむずかしゅうございますので、現在のところまだやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/53
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054・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それはなかなかむずかしいことです。将来の給与の上昇というものをある程度予見しなければそのカーブは出ないことはわかるのです。しかし、実際の今までの過去のずっと傾向を見ると、二万四千円ベースは、これは、御存じのように、今の国家公務員の恩給の根本ベースなんですね。おそらく三十八、三十九、四十年度、この二年間にはこのままとどまるということは、われわれ内閣委員会でいろいろ専門的に当たっている場合見ると、いかないと思うのです。おそらくピークになった四十年度には、国家公務員の平均給与というものは二万六千円から二万七千円、あるいはもっとそれ以上に上がるという想定が出てくると思うのですね。そうすると、私は、まだこれについてはきわめて概算的ですが、そういう方向へ進むとなって、そういうものに準じて仮定俸給を変えていくとなれば、この年々、今恩給局長が十八億あるいは二十億というものはだんだん失権者によってなくなっていくことだと思うのですが、それを上回るものが相当長く続くのじゃないかと思うのです。これははっきりした線は出ませんけれども、そういうことについて、そういう考えは、数は出なくてもいいですが、そういうことのあるという可能性についてどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/54
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055・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 経済がほとんどそういう物価や生活水準、その他の状況が動かないでずっとコンスタントに移向するということでなしに、将来の波動を考えるということになりますと、もちろん四十一年度以降二十億前後落ちていくのだということは無理かと思います。したがいまして、そういう新しい事態に応じて恩給費も現在推定されているものよりはふくれ上がるということも考えられるわけです。ただ、そのときにおけるやはり全体の財政規模なりとのバランスの問題ということが頭に入るわけなんでして、そういう全体の財政規模とのバランスからいいますと、三十六年度予算では恩給費というのは六・三%、それから三十七年度予算で参りますと五%になっておるわけです。今年度の二兆四千億に対して一千二百六十一億という予算は約五%くらいになっております。ことしはこうした端境のときでありますので五%台に落ちておりますけれども、本来からいいますれば六・三%、六%台というものが全体の恩給費があとから水が入らないのですから、結局三十年間に全部なくなると仮定しましても〇・二%くらい一年について落ちていく、こういうふうな見方もできるわけです。ですから国家財政の中の比重というものが六%がいいのか、七%がいいのか、そういうことは別問題といたしましても、その六%台のものがだんだん自然失権で減って参りましても、ある程度のウエートというものを国家財政の中で持っているとすれば、絶対額が多少はふえても、相対的に比重というものはかなり低まったものに先行きはなっていく、こういうふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/55
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056・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それは当然の理屈で、これからこれに対して加わるものが一つもないんですから、やがては、これは消えるということは、これははっきり出てくると思うんですが、私の言っているのは、そういう遠い将来よりも相当、今言われたような四十年がピークだと言われたから、私はそうでないのだ、まだまだピークはあとにもあるのだ、そういう私は考え方で質問をしているわけです。したがって、国家財政がふえるから、そのパーセンテージから見れば、それでいいと言われますが、大体だんだんとそういうカーブが減っていくのだから、これはもう消えていくのだという想定で考えている人が多いんです。しかし、私らの考えというのは、そういうはっきり言うことは言っておかぬと、そのときそのときに弁明するというようなことの態度じゃ政府はいかないと思うんです。これはどうせどんな制度でも反対している人もあれば賛成もあるんです。それは国が一措置をとった以上は、こうなるんだということぐらい一応やっておかなければ、いつも政府が弁明して、いや、これが最後で、これがピークだという印象を与えるといかぬので、私は言っているんです。今の状態からいくと、まだまだピークは先に延びて、もっと上がっていくと思う。それで、今言われた国家財政のパーセンテージから税金の比率のようになると言われますが、私はそういう考え方でおらないんです。やはり非生産な費用というものは、それはどういう名目であろうとも、やはりそういうものは、国家財政の比重を少なくするということが私ば建前であろうと、こう思っている。そこで、私の考えはまた後に残しますが、現在軍人恩給の受給者、それから統計は持っておられるかどうか知りませんが、これは全部普通一般公務員のやつもひっくるめて入っているんですから、それをひとつ区別をして出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/56
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057・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 現在恩給の受給対象になっております人員というものは、昭和三十年度予算基礎で申しますというと、軍人で二百二十万六千人、文官で二十三万六千人、両方合わせまして、端数を切り上げますから、二百四十四万三千人でございます。軍人の二百二十万六千人の中で圧倒的に多いのは公務扶助料の受給者でございまして、百四十万八千人というのが三十七年度予算の基礎になっております。それから普通扶助料、いわゆる普通恩給を受ける資格ある人あるいは受けておった人がなくなった場合に普通扶助料の転給になるわけですが、普通恩給を受けていた人の遺族あるいは普通恩給を受ける資格のある人の遺族で普通扶助料をもらっている人が十五万八千、それから普通恩給の受給者が五十万二千人、この五十万二千人の中では、いわゆる加算がついて、恩給年限に到達したという方が大部分でございます。ネットの実在職年だけで恩給がついているという方が十万人くらい、それから、その次は傷病恩給の受給者でございまして、これが十三万六千人くらい。これは重度傷病者で増加恩給受給者が約六万八千人。傷病年金受給者が約六万八千人、合わせまして十三万六千人、これがその内訳でございます。
それから文官のほうは、二十三万六千人の内訳を申しますというと、普通恩給を受けておる——これが一番多うございまして十三万九千人、それから普通恩給を受ける方の遺族、その普通扶助料をもらっておる方が七万八千人で、それでもって二十三万の大部分を占めております。あと公務扶助料は巡査の殉職であるとか、いろいろその他文官でも公務扶助料の受給者がございますが、それが約一万五千人。傷病恩給の受給者が約千人。内訳はその程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/57
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058・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それで公務扶助料、これが一番多いのですが、それらを含めてあとでデータをいただきたいと思うのですが、公務扶助料、普通恩給の受給者、また、それの遺族扶助料、これらを全部ひっくるめて年々どれだけの数の失権者があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/58
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059・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 全体の平均を言うのはなかなかむずかしいのでございますけれども、たとえば公務扶助料の受給者でありますれば、その方々の年令構成等全体を見まして、そうしてその人たちの平均の余命を見て失権率を総合的に考えていくわけでございますから、この場合には年々失権率は高くなるわけです。先年、人口問題研究所で、公務扶助料を受ける人たちの年令構成のデータをあげまして、そして人口問題研究所で失権率をはじいてもらったものを基礎にして現在やっておりまするが、三十七年では千分の四十一という率が出ております。これは実は統計からくる平均余命をかけての推定でございまして、また、かたがた現実の郵便局、貯金局における台帳面から、毎年々々死亡失権等で落ちていく数という実績がございます。これはまあこのときは若干おくれて参りますので、そういうものとかみ合わせまして、そして予算編成の基礎にしております。大体千分の四十というところをとっております。
それから、傷病恩給などでございますと、また別な、年令構成も若いというような面、あるいは重度傷病者の場合は若いというような面を総合して、また別な率が出て参ります。しかし、大体において千分の三〇ぐらいのところがスタンダードだというふうに申せるかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/59
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060・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そうすると、公務扶助料については千分の四十というと、百分の四ということになるのですね。それから傷病年金については千分の三十、いわゆる三%ということですね。そうすると、この速度はだんだんとカーブがきつくなっていくと思うのです。大体これはひとつの数字的な判断ですけれども、これは算術計算的に行なうと約全部消えるまでには百分の四だから二十五年で、大体公務扶助料のほうが、これは算術平均していくと、そういうことになります。それから傷病年金は三十年というめどで考えておられるのですね。それはそういう想定ということも考えられると思いますが、そういうことから私も今ちょっとカーブを見てみたのですが、やはりあと五年、四十年を起点として五年ぐらいは相当まだピークがおくれて上がるような、私ちょっと計算したのですがね。上がっていくと、しかし、その上がっていく額は仮定俸給のかわる額にも影響してくると思う。二万四千円が二万八千円になるというようなことでまた何か違うと思いますが、まあ、そういうこまかい数字についてはまたデータをいただいてまた一ぺんいろいろ質問したいと思いますが、そこで私のちょっと考えを述べて恩給局長の意見を聞きたいのですが、いろいろ党内でも問題が出てくるのは、公務扶助料とか、あるいは傷病年金とか、そういうものについてはわれわれとしてはもっと暗点的にやはり考える必要があるんじゃないか。これはもう二百二十万というたくさんの人ですから、だれか親戚なり友人にはそういう関係の人は一人や二人みなあるのですよ。私の関係にもございまして、最近八十八でなくなってまあ失権になりましたが、しかし、考えてみると、私はこれでいいのかという気持が実はしておるのです。したがって、そうかといって今言われた数を見ますと、百四十万という大多数の人、これに対してわれわれが主張しているようなかりに仮定俸給をきめるとすれば相当な金額になってくると思う。そういう点でいろいろわれわれもそろばんをはじいて見ておるのですが、そうかといって今のままでいいとは思わない。そこで問題になるのは軍人恩給、まあ軍人という名前はついていないのですが、恩給ということの言葉から与えるその感じですね、そこに今まではひとつの名誉という感じは確かにあったのですが、今日はそういうことよりも何とか生活の足しにしたいという気持のほうが強いと思うのです。だから何かそういうところで恩給というような、こういう世間に与える何か恩恵的に政府から受けているというような感じじゃなくして、ある程度、私が冒頭に申し上げましたように、年金のような感じのするような名前にこの際変えてしまってやったほうが、予算の審議の中でも、いつも恩給恩給という言葉が出てくる。しかもピーク、ピークと言われておって、それがまた上がっていく。この前のあれは内閣委員会で恩給の問題で審議したときに、まあ一千億を上回るということはおそらくないのだ、これから減っていくのだということでやったやつが、昭和四十年には一千四百億かになる。これは当然なんですね。そのときにおそらく一千億上がらないと言って答弁した人の感じからいくと、絶対額でなくして、一応絶対額はどうでも、比率はそう上がらぬだろう、減っていくという頭から言われたと思うのですが、しかし、われわれが受ける感じからいうと、やはり上がっていることは事実なんです。そういう点でいつもこれはおそらく仮定俸給の改定はこれから二、三回、もっと続くと思うのですね。そういうたびに私はそういう感じを与えるよりも、この際根本的にひとつ考え直す必要があるのじゃないかと思うのですが、総務長官おられぬが、副長官がおられるから……、そういう考え方に立てないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/60
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061・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) ただいま恩給という字の問題につきましていろいろお話をいただきました。私前に人事院におりましたときに国家公務員法の審議に関係しておりました、そのときもやはり恩給という、現在の国家公務員法の中にも恩給という字が入っております。そのときにもいろいろそういう問題がございましたことを覚えております。また、人事院におきまして恩給の勧告をいたしましたときにも、恩給という字を使うかどうかというようなことでいろいろ検討したことを覚えています。当時恩給という字を使わずに、退職給付、退職年金という字を使ったのでございますが、現在のこの軍人恩給と申しますか、明治時代からございますこの恩給法によります恩給につきまして恩給という字を使っておりますのでございますが、ただいまお話のような御意見もあり得ると思いますが、現在の制度におきまして、前の制度を受け継いでおるという関係からもございまして、恩給という字を使っておるということもまたやむを得ないのじゃないかと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/61
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062・山本伊三郎
○山本伊三郎君 私はまあ別に何もその恩給という言葉にこだわっておる必要はないと思うのですが、やはり問題になるのは、そういうところで世間一般で問題になるのじゃないかと思うのですね。非常に恩給費が高くなっておるんじゃないかということを論議される場合が多いと思う。しかし、実際受けておる人から見ると、それほど、言われるほど受けてないのですね、実際問題として。受けてないですよ、あとで聞きますけれども。兵の場合の遺族扶助料、私の知る範囲では大体今度の改定でどうなるかまだ感じておりませんが、年額普通下士官で五万円程度でしたか、と思うのですね、そういう五万円程度にすれば月に割ってわずかまあ四千円余りしかないというような程度のものですね。何かこう恩給をもらっているのだ、恩給をもらっているのだというようなことを言われるのは心外だという人も実はあるのです。しかも国会ではいつも問題になって、特にわか党は反対しておるのだ、反対しておるのだという宣伝もあるのですが、われわれはそういうことでなくして、恩給といえばとにかく軍人のもうどちらかといえば今の敗戦をいわゆる導いた責任者に対してのみやっているのだという感じを一般に与える、そういうことは私は多くの人については非常に迷惑だと思っておるのですね。まあそういう点で私は執拗にそういう点を主張するのですが、現在これが法律が改定になって、恩給局長、下士官の要するに身分を持っていた人と、年限によっても違いますが、一般的に言ってどれくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/62
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063・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 今回の改正によりまして兵の公務扶助料の場合、兵、下士官を通じまして大体二万円くらい上がる、アップ率から申しますと三割六分くらい上がる、こういうことになっております。もちちんこれは完全に二万円が上がりますのは三十九年の七月からでございまして、さしあたり本年の十月からはそのうち一万円だけが増額になる、こういうことでございます。その二万円上がることによりまして兵の公務扶助料は七万二千四百二十円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/63
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064・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは三十九年度完全に上がったときの数字ですね。僕の調べた数字と大体合うのですね。
それからちょっと常識的な質問になりますが、戦傷者ですね、だいぶ少なくなったが、よく今でも国電なんかに乗ると、楽器を持ってずっと来られるのですがね。あれは現在、どこか収容所があってやるという制度があるのかと思うのですが、ああいう人たちに対してはどうなっておるのですか、戦傷者に対して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/64
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065・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 戦傷者につきましては、まだ、その傷が十分になおらないという場合は、旧軍隊の病院の後身であります国立病院あるいは療養所で、厚生省が留守家族援護法の規定によりまして、療養給付をしております。もうすでに固定してなおった方、なおったと申しますか、障害を残してなおった方につきましては、これは療養給付を打ち切られるわけでございまして、そういう方々に対する手当といたしましては、恩給のほうで、年金の問題は別といたしまして、労働省の関係で職業補導をするとか、あるいは雇用の安定のためにいろいろ就職の世話をするとか、こういうようなことをやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/65
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066・山本伊三郎
○山本伊三郎君 ああいう人を見ると気の毒という感じと、何か気持の悪い感じとがあわせて出てくるのですね。大体両足ないとか、あるいは片足だとか、手がないとかいうこと、これは増加恩給の一項症、二項症、三項症くらいに該当すると思うのですね。今度の場合に一項症として改正で二十三万三千円、第二項症で十八万九千円、三項症で十五万一千円。これだけでは、三項症の十五万一千円になったとすると月に一万二千円にならぬですか、その程度ですが、ああいう人については何か特別の年金だけ上げて勝手に生活せいということになっておると思うのですが、何かの措置がないものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/66
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067・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 今度のたとえば片手ない、こういうような方は、ひじ関節以上でございますれば、これは三項症でございますから十一万一千円から十五万一千円ということに上がりまして、基本年金は十五万一千円でございますが、その方が一年なら一年いってそういうけがをされても、普通恩給が併給されることになっておりますから、たとえば兵といたしますと、兵の固定俸給が一万四千円ベースでありますと、十二万四千円になりますから、普通恩給といたしましては約四万円くらい。したがいまして、十五万一千円と四万円合わせて十九万一千円になります。それに家族手当というものがつきますから、二十万円くらいになるだろうと思います。年額二十万円というくらいの年金額に今回なるわけであります。それだけではとても世帯を養って食っていくというわけにはいかないということになりますと、どうしても片足、片手なくても、やはりそれに適した職業について、それによって収入を得ていくという道を開かなければならぬ。そういうような方面につきましては、これは労働省の所管といたしまして身体障害者雇用促進法というふうな法律ができましたので、その運用によってできるだけこういった人たちを優先的に官公庁なりあるいは民間にあっせんするということを労働省では努めておるようでございます。また、そういう人たちに向く仕事に職業転換をするというふうな意味での職業再訓練ということにも労働者はいろいろ努力をいたしておるようであります。そういう方面がだんだんと充実して参りまして、そうしてああいう街頭に出なくて済むというような場所を作るという条件を作るということもこれ.からやらなきやならぬことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/67
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068・山本伊三郎
○山本伊三郎君 まあやっておられると思うのですが、だんだんと減ってきますが、ああいうものは何とかやはりああいう姿をまあ大衆の前に現わすことはまあ変な感じがすると思うのです。もちろん同情というものはわきますし、また、一説ではあれはにせものだと、何もそんな傷病軍人じゃないのに、あれはああいうことでこじきまがいでやっているのだということで、また冷やかな目で見る人もあるが、それがほんとうの傷病の人であれば、またほんとうに気の毒だとも思うのですよ。しかし、今言われたように、二十万円を第三項症で与えておるということになれば、まあ聞きとれないこともないのですが、この点は十分今後も、まあこれは恩給法の所掌じゃないと思うのですが、各省連繋をとって十分な手当を、そういう人であればやって、そういう人に全部やっておるのだということになると、ああいうところに現われる者は、それこそにせものだからというので、国民ははっきり割り切れるけれども、十円玉出したり引っ込めたりして、隣のおばあさんが上げるとこっちも出さぬとどうも気が悪いような気もするし、やったらにせものだというので、向こうはあとで酒飲んで遊んでおるというようなことをいうし、この点はひとつ十分佐藤総務副長官、もう敗戦後すでに、戦争済んでからすでにもう十六、七年もなるのですから、外国人が見たら私はどういう気持するかと思う、したがって、もう三年後のオリンピックが開かれるときに、あんな姿が全然街頭から見られないように、政府もその意味からもひとつ十分、恩給法の改正にあまり関係ないかもしれませんが、この点はひとつ要望しておきたい。
それから次に、この傷病恩給について非常に問題点があったのですが、今度復活するときに年金から一時金に変えられたという条項ですか、あったと思うのですが、第七項症ですか、第七項症は三十三年からなくなっておるというのですが、これはどういういきさつになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/68
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069・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 昭和二十八年の法律第百五十五号ということで、軽度傷病者につきましては、それまで年金であったのを全般的に一時金に切りかえると、こういう制度を立てたわけです。これはまあ軍人につきましては、全然やはり軽度傷病者につきましても傷病年金を給する、年金でいうとこういう建前をとっておったものですから、一般文官につきましては一項症、いわゆる一項症から六項症までは年金でございますけれども、一款症から四款症までという幅は、文官につきましては一時金に切りかえるということで、二十八年以後、けがをして退職した文官についてはそういう軽度傷病者の場合には一時金にするということになったわけであります。軍人の場合はそうした軽度傷病者であっても、戦前におきましてはやはり年金制度をとっておりましたから、そこで昭和二十八年文官について一時金の制度をとった場合にも、やはり軍人については年金の制度で進めてやっていくということにいたしたわけです。ただ、しかし、その場合に私は、自分は一時金のほうがいいのだ、一時金で一度にまあ五年分か六年度固めてもらったほうがいいのだと、こうおっしゃる方はその一時金の請求で打ち切る、こういう選択の制度を設けたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/69
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070・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それじゃ現在でも選択制度にしておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/70
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071・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 現在でもというと何か普遍的に一時金と年金がいつでもというふうな誤解がありますので、申し上げますが、昭和二十八年当時、この二十九年のあれは四月の一日から実施になったわけですけれども、そのときにおいて年金程度の症状つまり第七項症の第一款症ないし第四款症の幅の傷病であった人については、あなたは年金を請求しますか、一時金を請求しますかと、こうやって聞いて本人が年金を請求しますといえば年金でずっと継続する、一生涯あるいはなおるまでということになるわけです。そのときに一時金を請求してしまえば、あとは年金に切りかわらないという、その選択のときはその二十九年の四月一日における意思決定によってきまってくるわけなんです。そういう意味で選択でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/71
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072・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そこでまたいやなことを言わなくちゃいかぬですが、この公務扶助料もこれもまあ一応階級によって相当上げておるのですね。これは何ですか、やはりこのデータをもらってちょっと調べておらなかったのですが、同じような率でこう上がっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/72
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073・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 公務扶助料の場合は兵のところ、あるいは下士官のところでは三六%上がっております。で、上のほうになりますと、現在の額よりもその割合では上がっておりません。大将のところあたりになりますと二六%ぐらいになっておると思いますが、上がっておらぬのでございます。なお、差し上げてある表にあると思いますが、兵の公務扶助料が七万二千四百二十円になる、片一方大将の公務扶助料は、在職年は十三年という最短年限で押えた場合に幾らになるかというのがここにございますが、二十五万九千円ということになっておりますが、実は二十五万九千円の中身というものは、大将の場合ですと、大体まあ十三年、もちろんそういう年限職業軍人でございますから勤めているのは当然なんでございまして、そういたしますと、普通扶助料と……、そういうことがなくなれば、そうでなくても公務でけがをしなくても、普通扶助料というものが普通恩給の半額が遺族にいくわけであります。そこでこの二十五万九千円の中身は、普通扶助料部分というのは十五万円ぐらいでございますから、ネットの公務扶助料、公務災害部分の補償というものは十万円ぐらい、したがいまして、兵の場合は普通扶助料というものが、公務でなかったならば普通扶助料がいくはずがございませんので、大体において公務扶助料が災害保障そのものであると考えてもよろしいわけです。したがって、兵の場合が七万二千円、大将の場合がネットのワクで十万円ぐらいと、こういう幅でまあ相当幅は狭まっておる、その他の部分というものは、開きというものは結局在職年に応じて長年勤めたという年功、恩給としての扶助料部分であるということからいたしまして、その額におきましては片や七万円が二十数万円ということになりまして開いておりまするけれども、公務の扶助料としての扱いというものにおきましてはあまり開きがない。で、技術的に申し上げますというと、公務扶助料というものは退職時の俸給、死亡時の俸給の二分の一が普通恩給でございます。そのまた二分の一が普通扶助料でございます。この普通扶助料に対する割合、いわゆる公務扶助料の倍率というものをかけて公務扶助料の算出をいたしておりますが、その倍率が兵の場合は十分の二十五・五という倍率をとっておりまするけれども、大将の場合は十分の十七という倍率をとっておりまして、相当な傾斜をしておるわけです。そういうような意味で一応上薄下厚というカーブを描きまして現実の処遇といたしましては相当接近した形をとっておるということが言えるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/73
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074・山本伊三郎
○山本伊三郎君 あの少し変なことを聞くようですが、終戦のときに、あのいわゆる戦犯として処刑された方々がおられますね。ああいう方々に対しては恩給関係はどういう措置をとっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/74
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075・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) 戦犯に関する法律の問題は、あれは昭和三十年の改正で、戦犯者につきましては、これは公務で死亡した者と同じように扱うということが、これはたしか議員提出の法律案だと思いますが、修正になりまして、そうして公務扶助料と同じようにその遺族に対しては扶助料を支給するということになったわけでございます。そのもとは戦傷病者戦没者遺族等援護法の附則二十項の改正でそういう措置がとられまして、この援護法によって弔慰金あるいは遺族年金を受けた方々、こういうふうな方々につきましては、恩給法で公務扶助料と同じものを支給するということが恩給法の昭和二十八年法律第百五十五号の三十五条の二という規定でもってうたってございますので、これが戦犯者の場合にも遺族年金がいく、そうしてまた、それに対して公務扶助料が支給される、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/75
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076・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/76
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077・河野謙三
○委員長(河野謙三君) それじゃ速記をとって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/77
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078・山本伊三郎
○山本伊三郎君 総務長官に聞きますが、軍人恩給のやつはまたあとに回しまして、普通恩給の関係で文官のやつですがね、まあ昭和三十四年から、現在おる人は全部共済制度に切りかわってこの新制度になる、今まで残った人も、今恩給局長に聞くと十三万九千人ほど資格、権利を持っておる方がおられるらしい、遺族も入れてですね。そこで数は軍人恩給の対象から見るとほんの一割程度なんですが、これに対してベース・アップを今度されるのですが、非常にベース・アップは年々おくれておったのでございますし、困っておる人も相当おるらしいのですね。それでどうしてもこのベース・アップはおくれがちなんですね。こういう点について将来恩給法の改正、これは軍人恩給と先ほど言ったのと関連性があるのですが、ベース・アップというと問題がいろいろ出てくるのですね。これに対して政府としてはそれはやむを得ないのだ、そのときそのときにやはりベース・アップをやっていかざるを得ないという、こういう考え方でおられると思うのですが、その点の考え方をちょっと聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/78
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079・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) 恩給の仮定俸給を直す問題につきましては、一般の現職公務員の給与ベースが変わった場合には、それにスライドをして自然に恩給のほうの仮定俸給も変わるようにすべきではないかと、そうすることによって今お話のような、いわゆるそのつどそのつど恩給ベースを変えるといったような煩を避くべきではないか、こういった御主張のあることも承知をいたしております。ただ、先ほど来申し上げておりますように、恩給のベースというものが簡単に現職公務員の給与ベースの変更にスライドするだけできめてよろしいかどうか。こういうことになりますと必ずしもそうも言い切れない。まあ従来もそういう考えでやって参ったわけでありますので、将来においても、今申し上げるように、たとえば現職公務員の給与にスライドするとか何らかの、自然に恩給のベースも変わっていく、こういうことにいたしてしまうこともどうであろうかと、まあ再三申し上げているように、もちろん財政の関係もありますし、国民の感情等の問題もございますし、いろいろ考えなけりゃならぬ問題があると思いますので、ただいま申し上げ得ることは、やはり今までやって参ったような方式で今後もやるほかないのじゃないか。実際問題としても、そのほうがむしろ妥当な案ではなかろうか、目下のところさように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/79
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080・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それはむずかしい問題です。それは、僕らがそういうことをわかりながら質問しているような形にも見えると思うのです。なかなかこの制度というものは問題だと思うのです。しかし、やはりこの将来の動向というものはやっぱし一応見てやっておかぬと、また、この恩給の引き上げか、また恩給の引き上げかといってですね、新聞に載る、新聞に載るのはわれわれとしては別にかまわぬとしても、本人たちからして見ると、何かこういやな気持がすると思うのですね。それで、文官の場合には、その比率はわずかでも、やはり拠出して積み立てておるのですから、そういう、その当時は貨幣価値から見るとそれ相当のものを納めておるのですが、給与が上がるに従って、物価が変わってくるというと貨幣価値が変わってくるから、私らからいえば、その比率からいえば当然の権利だと、その当時かりに年額まあ千円の負担をしておる者が、そのとき自分の給与から千円を年額納めておる、今となればその千円は当然三千円、四千円の価値のあるものである。そうすれば、その当時に千円納めておるのであれば、当然今もらう場合には、それだけの価値を返してもらわなければいかぬのだという、まあ恩給制度ですから、共済制度でないからそういう割り切り方はできないけれども、一応そういう考え方もできると思うのですね。だから、その点は、当然ベースが変われば、物価の指数が変われば、上げてやるべきであるという、上げるべきであるという一つの観念というものを基本的に持っておるのと、一々そのときそのときにその政府の考え方によってこれが法律案として出されてくると、形式上、法律案出されてもいいのですけれども、やっぱり一応そういう考え方に立てないものかどうかということですね。政府のほうからやってくれなければ上がらないものですから、いろいろ陳情が来る。そうして、陳情その他をこう見て政府が法律案を出す、そういうことでなくして、一応物価の指数が変われば、ある程度変われば、法律案の提出という形式的なことはこれはもう別として、上げるべきであるという考え方に立てないものかどうか。これは政治的な問題ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/80
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081・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) 貨幣価値の変動に従って恩給の額もふやしていくべきじゃないかとこういうことかと存じますが、この点は、言うまでもなく、恩給の権利というものが、受給するほうの権利というものが、退職されたときであるとか、あるいは死亡したとき、傷害を受けたとき、まあそういうことで発生をいたし、そのときに一応確定をいたすわけであります。その後の経済情勢の変化等を十分しんしゃくしながら従来も恩給のベースというものを変えて参ったわけでございます。ただ、その間、貨幣価値の変動に必ず応じてと、それに正比例してというようなことになりますと、これはひとり恩給の問題ばかりでなく、全般的なまあ債権債務の関係と申しますか、そういう点までやはり考慮をいたさなきやならぬ問題に発展するのじゃないかと思います。そういう関係からいたしましても、自動的に物価にスライドしてというところまではどうも割り切り得ないのじゃないかと、先ほど来申しますとおり、態勢としてはそういう方向で今日までもやって参りますし、今後もやらなきゃならぬ問題だと思いますが、そうかといって貨幣価値に応じて、あるいはそれに正比例して自然に変更していくというわけにも参らぬのじゃないかと、まあさように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/81
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082・山本伊三郎
○山本伊三郎君 いやそれは、その点はよくわかっておるのです。しかし、その自然にスライドするということでなくして、そういうまあ貨幣価値といいますか、物価指数の上昇に従って私はまあ変えるべきであるという一つの考えでいくのかどうか。無条件で上げるという意味じゃないですが、今までから見るとそういうことになっておるのですが、まあそこまでいうと上げることももらうほうの権利だということまでになってくるから、その点はまあ問題がありますが、実際問題として上がるか上がらぬかわからぬ。ただ、その陳情なり政府にいろいろと圧力かけると上がってくるのだ。そうでなければ上げないのだ、こういうことでは政治上困ると思うのです。やはり年金の性格からいえば、どうしても物価指数が変われば上げざるを得ないという性格のものであるというこういう見方に立つのかどうかということを私は言っておるのであって、スライドをせいということについては、私はまだ今の段階では無理だ、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/82
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083・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) 先生の今おっしゃったような意味におきましては、やはり将来とも上げていくべきであろうと考えます。ただ、それがもちろんいわゆる圧力に応じてとかそういう意味ではなくして、一般の国民の生活水準の変化に応じて政府として考慮をいたしていくべきものだと、したがってまた、それが受給者の立場からいって当然のまあ権利であるというまでには私どもも考えてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/83
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084・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それじゃ総務長官が来られたから軍人恩給のほうにまたちょっと返りますが、いろいろと検討されておると思うのです。また、恩給局のほうでも検討されておると思うのですが、軍人普通恩給、増加恩給、公務扶助料その他をこう通算いたしまして、われわれとしては、まあ一番重点置くのは公務扶助料、それと並立して傷病年金というものに重点を置くべきだと思っておるのですが、その点についてどういう考えでおられますか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/84
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085・小平久雄
○政府委員(小平久雄君) その重点の置き方という点では先生の御指摘のとおりだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/85
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086・山本伊三郎
○山本伊三郎君 まあそういう配慮が今度の改正案にも盛られてきておると思うのですが、やはり先ほど恩給局長に、まあ若干質問だけしておったんですが、まだまだこの公務扶助料なり傷病恩給についてはまだ私足らないと思うのです。もちろん費用のかかることですから、私ここでどうこうせいということもまあ言えないと思うのですが、やはりこの労働能力が奪われたということでなくして、戦争により、また、公務によって要するに、不具廃疾ということは、これはもう人生における全くの一つの享楽ということは当たらぬかもしらぬが、金銭によってまかなわれないようなやはり苦痛があると思うのですね。そういう点からいうと、先ほどから私、生活でき得る程度の金額であるかどうかということを重点にいろいろ恩給当局と質疑応答しておったのですが、そういうものを考えると、私はまだまだこの点は国家として考えなくちゃならぬ点があると思うのです。これは私は軍人恩給であるとは考えておらない、この点については、たとえこれが普通の民間の業務で不具廃疾となってもある程度会社自身も相当優遇しておりますね。そういうところから、戦争によって不具廃疾になろうとも、どういう仕事で廃疾になろうとも、やはり今の社会の一員として働いてなった以上は、これはもう区別することなく、やはりそういう人を見なくちゃならぬという立場からいって、傷病恩給について私はまだ考えが足らない。かりにこの軍人恩給のまた恩給法の改正そのものを是認するという立場に立っても、その点は言えると思うのですが、これは恩給局長として、専門家としてもどう考えるか、あわせて聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/86
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087・八巻淳之輔
○政府委員(八巻淳之輔君) おっしゃるとおり、今回の改正によりましても公務扶助料の額というものは七万二千四百円でございますから、月額にして六千円くらい、こういうことでございます。したがいまして、六千円で食えるかというと、それはまだ食えるわけじゃないので、恩給というものは本来これだけで全部生活を満たすという趣旨では必ずしもないので、補いとするという程度のものでございますので、これは十分なものになるということが理想でございまするけれども、現在のところ、こういう状態にとどまっておる。で、全体の考え方から申しましても、公務災害の補償というものが本法の大体まあ年金といたしまして、新しい退職年金法でも本俸の四割、昔の恩給法の時代ですと本俸の三分の一、普通退職の場合と同じくらいの額を出す、生きているとした場合と同じような額を出すというのが基準でございます。これに対しまして、兵の場合でございますというと、仮定俸給に対して約六割くらいのところになっておるわけでございます。したがいまして、処遇といたしましては一般のほかの文官なり最近の公務員の場合より処遇は上等であるということが言える。ただ、絶対額といたしましては、月六千円ぐらい、せいぜい六千円ぐらいということでございます。それだけでりっぱに食っていけるということはなかなか申し上げることはできないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/87
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088・河野謙三
○委員長(河野謙三君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/88
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089・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 速記をとって。
両案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/89
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090・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 次に、外務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、すでにその提案理由の説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。なお、本案はお手元に配付いたしましたように、衆議院において修正されておりますので御了承願います。政府側から出席の方は、小坂外務大臣、川村外務政務次官、湯川官房長、高木移住局長、甲斐経済局経済協力部長の方々でございます。御質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/90
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091・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 今度の設置法の一部改正で、経済協力部を局に昇格する、その理由がいろいろ述べられておるわけでありますが、今回こういうふうに経済協力部を局に昇格するにあたって、経済協力の基本的な考え方をひとつ伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/91
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092・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 今日の世界の大きな問題は、一国の貧困あるいは疾病というものの状態が他国に必ず影響するものであるというように、世界が大きく連関しているという考え方を強く各国において持っておるわけでございます。また、そういう貧困をなくすということが一九六〇年代の大きな課題であるとも言われております。その意味で、各国におきまして、海外に対する経済技術の協力というものに対してあるいは独立の省を設けるあるいは独立の行政庁を設けるというようなことをやっている国もあることは御承知のとおりであります。
わが国といたしましても、幸いにして、戦後の混乱から立ち直りまして、経済復興の緒に順調についているわけでございますけれども、これはやはり近隣の国を見ますと、いまだに発展せんとして十分な経済発展の事態になっていないいわゆる低開発国が多々あるわけでございます。この国々に対する協力というものをわれわれ真剣に行なわなければならない。これは何も直ちにはね返りを期待して、いわゆる商業的な見地から行なうものではなくて、広くやはり国家的な見地に立って、お互いにアジアの構成員の一国としまして、アジアの繁栄を企図とする、こういう意味から大いに経済協力に力を入れなければならない、こう思っているわけでございます。
特にわが国は、まだ資本の充実という部面から見ますと、まだ、いまだしの感がありますが、幸いにしまして、日本人の優秀な頭脳並びに技術の高さというものについては、非常に世界的にも認められるに至っておりますので、大いにこの技術面の協力をしたい。
ことに農業あるいは中小企業というものにつきましては、アジア全体が農業国でありあるいはまた、工業国においても、まず大企業にいきなりいくよりは、まず中小規模の企業にいくのが順序でありますので、農業、中小企業の協力、それに対して大いに力を入れたい、かように思っておる次第でございます。
そういう意味から、従来経済協力部というのを経済局の中に入れておりましたが、これはやはり独立した一局にして、大いに新しい時代の要請にこたえるということが必要である、こう思いまして、かようなお願いをいたしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/92
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093・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 今のお話を承っておりますと、これは東南アジアに重点があるわけでございますか。たとえば南アメリカに関心はないのかどうか。この点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/93
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094・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 私の言葉が足りませんで、たいへん失礼をいたしましたが、中南米の諸国ももとよりでございます。それからアフリカ諸国、中近東の諸国、いわば広く低開発国と言われている地域に対して、全般的に大いに協力を進めたいと考えております。
ただ、私が特に東南アジアを強調いたしましたのは、ただ全部一律にと言いましても、かかる広範な地域に対しまして、限られた国力をもってしては、やはり十分とはいきませんので、やはりおのずから重点的に、そういうような趣旨で東南アジアを申し上げたのであります。もとより中南米、中近東あるいはアフリカ——アジア、アメリカ全体を考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/94
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095・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 そこで、私は、この経済協力部が局になりました際に、移住局の問題と関連があるように思いますので、移民の問題につきまして少しお伺いをして、それからもう一ぺん本題に帰って参りたいと思いますが、移民は少しこまかくなりまして恐縮ですが、一言で言えば移民、これは自由移民であるとか計画移民であるとかいうような言葉も使われておりますし、移民、移住というものについてはっきりした何か分類があるわけですか。よく自由移民だ、計画移民だというような話を聞くわけでありますけれども、移民の内部はどういうような分類をしていらっしゃるのか、これをひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/95
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096・高木広一
○政府委員(高木広一君) わがほうといたしましては、一応海外移住者の中で政府資金を貸して、渡航費を貸し付ける移住者とそれから全くの自費で行かれる移住者、こう二つございます。それから政府資金を貸し付けます移住者の中にも、これは先方との話し合いで、先方の計画移住——先方の移住計画しておりますものに乗った計画移住とそれからそうでないものとの区別があります。これはブラジルの場合には特にそれがはっきりとうたわれておりまして、ブラジルの移住計画に乗る計画移住というのは特別の便宜供与があります。それからそうでない一般の、これを呼び寄せるような移住者、これは本来はブラジルの自由移民という名前をいわれまして、人数は本来法律によりますと制限されておるのです。年三千名ということになっておりますが、実際はそれをこえております。パラグァイ、ボリビアの場合は移住協定自身が計画移住者を計画しております、計画移住ということができます。アルゼンチンの場合は従来は自由移住だけを認めておりましたが、最近になりまして計画移住も一部認めております。こういうようなものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/96
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097・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 自由に自費で行く者と、それから国が渡航費なりそういうものを援助しまして積極的に奨励をして送り出す者と、こういうふうに大まかに言って分けているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/97
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098・高木広一
○政府委員(高木広一君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/98
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099・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 そこで、三十五年に八千三百八十六名送り出したということになっておるわけですし、それから三十六年はこれは計画としまして一万一千送り出した、移住送出者の数ですね、人員数ですね。そうしますと、昨年の三十六年の計画一万一千というものをとりました場合に、この中に積極的に、今お話のように、政府が渡航費なりその他の資金の援助をやって募集をし送り出しているものがどの程度あるのか。それから自費でということになりますと、国際結婚とかあるいは養子縁組とかあるいは呼び寄せるとかいうような問題があると思いますが、どの程度の割合になっているのか、大まかに伺いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/99
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100・高木広一
○政府委員(高木広一君) 一万一千名と申しますのは政府の渡航費を貸し付ける移住者の計画でございます。三十五年度八千三百名余りというのは政府が渡航費を貸し付けた移住者でございます。したがって、自費で行っておられる移住者の数はその数字に載ってないのでありますが、大体毎年五、六千名はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/100
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101・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 現在移住局が取り扱っておられるのはここに出ています一万一千、あるいは昨年の八千三百なにがしというものと自由に自然の形で日本から離れて移住する者と両者を取り扱っているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/101
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102・高木広一
○政府委員(高木広一君) 自費で行かれる場合は移住局で旅券その他の面ではお世話しておりますが、それ以外はあまり直接的には関係しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/102
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103・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 との移住局の中にあります旅券課というのは、前に渡航課といった課がありますか、これは従来から移住局にあったわけでございますか。この旅券課というものは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/103
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104・高木広一
○政府委員(高木広一君) 移住局ができました最初から旅券課はございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/104
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105・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 この計画、三十六年の一万一千という計画のこの数字というのは、これは今お話のように、政府が予算を組んで積極的に資金を貸し付ける、そういう形で募集をし、送り出すという人々のようでありますが、移住政策という場合には、端的にはこういう人たちを移住政策の対象というふうに考えるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/105
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106・高木広一
○政府委員(高木広一君) 移住政策全般と申します場合は、自費で行かれる方も含めて差しつかえないと思うのですが、実際政策の対象となります場合には、渡航費貸付が主として対象になっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/106
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107・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 確かに移住政策という場合には、やはり政府が政策をやって、そうして進めていく、そういうものが端的に言って移住政策の対象、こういうことになるのだと思いますね。
次に、お伺いをいたしたいのは、最近、最近ということでもないのですが、まあ最近ああいうふうに新聞等に出まして、従来からもそういう傾向が強かったのだろうと思うのですけれども、移住政策はどうも曲がりかどにきているというような話、あるいは移住政策はカーブを切りつつあるというような話が新聞等に報道されておる。従来の移民という考え方が、人口政策といいますか、人口問題解決の一助というような考え方もあったようですが、今変わってきたのだというような印象を非常に強く与えておるわけですね。そういうような移民政策というものが変わってきている、どういうような形に変わっているのかという点を伺いたいわけです。いろいろ今私が申し上げたように、人口政策というようなものから、そうじゃないものに変わっているというようなことを盛んにいわれるわけですね。どういう方向に変わっているかという点につきましてですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/107
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108・高木広一
○政府委員(高木広一君) これは内と外と両方の面から見る必要があると思います。国内的には御承知のとおり、戦後早々は非常に人口過剰で窒息するような空気でございましたので、どこへでも出したいということが移住推進の最初の動機でございました。それに向かって努力をしたわけでありますが、最近になりまして、御承知のとおり、国内の労働力が不足を告げてきた、都市だけではなくて、農村におきましても、急激な労働力の不足、一時、二三男対策ということをもって移住の対象にしておりましたが、最近では二三男だけではなくて、長男までがどんどん都市に流れていくというような状況になっておりまして、海外の移住受け入れ余裕は相当——一万一千以上上回っておりまして、これを募集いたしましてもなかなかこれに応じられない。特に昨年あたりは農村あたりでは、移住はあまり進められちゃ困るというような空気が強うございました。県は熱心でも市村町段階でむしろこれを抑圧するというほどの実情でございました。それから海外では、これは受け入れ国の状況を申しますと、やはり過剰人口を受け入れるというような考えは近年急激に減りつつあります。そして自国の経済開発に実際貢献するような移住者を、なるべくそういう具体的な計画に乗るような移住者を受け入れたいということが強く表明されつつあります。そしてそれがブラジルとの移住協定、アルゼンチンとの移住協定、あるいはパラグアイ、ボリビアの移住協定もそういう趣旨でございます。それからヨーロッパの移住者送出国でも同じような状況が出ております。最近ヨーロッパも労働力不足でございまして、たとえばオランダのごときは、移住政策を続けるべきか続けるべからざるかということを、先方の移住審議会でずいぶん検討いたしまして、その結果、一時的には自国の労働不足ということが経済に悪影響であるけれども、長い目で見て今発展しつつある中南米あるいはその他の地域の発展に参加するということが、オランダの地位を高め、強化するために必要であるから、やるべきであるというような議論で、やはり経済協力という面で推進すべきであるというようなことを言っておりまして、国際的にも、移住というものが、過剰人口対策から経済協力推進というラインに変わりつつあるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/108
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109・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 移民政策が、日本のみならず、ある意味で世界的な意味からも、従来の過剰人口政策、過剰人口も緩和するというような見方から、逐次相手側の国の経済協力あるいは相手側の国の経済発展に寄与する、あるいは援助し合うというような立場に移民政策が変わってきつつあるというお話でありますが、そういう中で、技術者移民とかいうようなものも出るんだろうと思うのですけれども、そういう傾向は、日本のこの昨年の一万一千という計画の中にも、そういうような傾向が明らかに出ておるのでしょうか。さらに、三十七年度あるいはこれからの見通しとしましても、そういうような傾向が相当顕著に出てくるものか、あるいは国の移住政策としましても、そういう方向に顕著に動いていくものなのかどうか、そこら辺を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/109
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110・高木広一
○政府委員(高木広一君) 今の傾向は、最近数年間だんだん顕著に現われつつあります。農業移住者におきましても、従来はブラジルの呼び寄せ移住者、ばらばらの、先方では自由移住者と言っている移住者のパーセントが圧倒的に多かったのであります。それが、ブラジルにおきましても、ブラジル政府の植民地に入っていく人、それからパラグアイ、ボリビアは計画移住のワクに入るわけでありますが、これがむしろ計画移住でないものよりもパーセンテージが多くなりつつある。だんだん昨年も、そういう意味におきましては、計画移住の実質的な数はふえていく。減ったのは自由な、自由移住というのですか、ブラジル側でも自由移住と言い、われわれ側でも計画移住にならないのが減っているという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/110
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111・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 今の自由移民といいますか、あるいは技術者移民といいますか、そういう問題につきまして、もう少し伺いたい点もありますが、問題の関連性からもう一つ伺いたいのでありますが、新聞等の報道によりますと、移住基本法というようなものを考えていらっしゃる。これは、衆議院でも、ドミニカ問題の決算委員会で論議の際にそういうようなものが出ておるようでありますが、そういう問題を論議されます場合に、これは従来ありました明治二十七年でありますか、できておりました移民保護法、こういうようなものの焼き直しではないだろうというように思いますが、もう少し今おっしゃったような内容を広範に含んだ移住基本法というようなものをお考えになっておられるのじゃなかろうかというように思うのですけれども、そこら辺はどういうふうに進んでおるのか、どういうふうになっておるのか伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/111
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112・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 大体ただいまお尋ねのような方向で移住基本法を考えております。移住に関しましては、移住審議会がございますが、最近改選を行ないまして、新たなる委員が、非常に精力的にこの問題をまとめてみようということに先般会合でなりまして、東畑精一さんが会長になりまして、この問題を考えていくということになっております。政府といたしましては、明治二十七年の移民保護法というのはあまりに古く、今日の時代に適合しないと考えますので、基本法を作るという考え方で諮問を行なっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/112
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113・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 今までありました保護法の問題がほとんど死文化しておったということ、それに対しまして移住を取り扱ういろいろな諸団体がたくさんあるということ、そういうような関連については、また別の機会にいたしまして、衆議院の決算委員会におきます要望事項、四項目ございましたか、移住の機構の問題について考えるようなものが出ておるのでありますが、それからこの移住審議会のほうでも論議が漸次出てくるだろうと思いますが、機構の問題がごちゃごちゃしまして、百年戦争であれ、何であれというような話まで出まして、そういう問題もこの際お考えになるというお気持はあるのだろうと思うのですけれども、その点はどういうふうな状況でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/113
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114・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 移住に関しましては、新たなる機構を設けたほうがいいかどうかということは、確かに一つの問題でございますが、われわれとしましては、非常に新しい機構を作って、この際機構いじりをするよりも、現在ある態勢の中で、責任の所在を明確にして、能率的にこれを運営するほうが、より妥当な近道ではないかという気持でおるわけでございます。この点に関しましては、従来移住の問題というのは、農林省と外務省の間でも、いろいろな意見のそごがあるというようなことを言われておりましたけれども、現内閣になりましてから、非常にこの点円滑にいっておりまして、河野農林大臣も予算委員会でもお答えになっておりましたが、やはり移住というのは受け入れ地の問題が大切である、そこで、受け入れ地の問題について、調査能力もあり、交渉能力もある外務省にこの点はまかせる、かような考えでおられまして、私ども、もとより、十分この農林関係の問題は、移住と関連して非常に重要でございますから、農林省ともよく御相談申し上げて、円滑にこの問題を進めたいと考えておりますが、ただいまのところでは、非常に今までになく順調な経過をたどっておるようなものと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/114
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115・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 今三つぐらいの角度から移民の問題について伺って参ったわけでありますが、この経済協力部というのが、今回こういうように局に昇格するという、非常な意味をもちまして局になるわけでありますが、そうしてその局は、当然大臣おっしゃいましたように、単に東南アジアに限るものではなくて、南アフリカとかその他南アメリカでございますね、そういうところも含めまして経済協力の局として活動していくということでありますし、さらに従来から進めて参りました移民政策というものも、単なる人口問題の解決というところから、世界的に言って、また、日本の国内におきましても、顕著に相手側の国との経済協力、あるいはその国の経済を開発するための援助、あるいはその一環として移民というものが考えられるというようなことになって参っておるようでありますが、この場合に移住の問題を経済協力局でおやりになるというお気持はないかということであります。今経済協力局ができましたけれども、人員はごく少数ふえるだけでありますし、二名ほどふえるだけでありますし、そして二名ふえて四十一名、課はここに経済協力課、技術協力第一課、第二課というふうになっておりますが、私はこの移民の問題も、今種々お伺いをした中で、やはり経済協力の一環として取り扱うという傾向が顕著に出なければならないし、政策的にもそういう方向へもっていかねばならないということになりますれば、これは移住政策というものを、移民政策というものを経済協力局でおやりになるほうがいいのではないか。移民の場合は御承知のように、東南アジアというものはほとんどゼロにひとしいわけでありますし、この大部分は南アメリカでありますが、日本が経済協力局を作りまして経済協力を進めていくという場合に、南アメリカに対する協力というのは、なかなかそうすぐにこれが前進をしていくというものでもなかろうかと思うのです。その圧倒的中心は、移民ということによって、あるいは技術者移民というような形によって、南米諸国の経済発展に対して日本が協力をしていく、向こうの経済発展に寄与していく、同時に、わが国も進歩していく、進展していく、こういうようなことになろうかと思います。したがって、私はこの経済協力局の中に、移住の問題を取り扱うという方向があってもいいのではなかろうか、現在移住局では旅券課というのがございまして、ちょっと視察に行くという場合もここを通るようでありますが、そのほかに、先ほど以来お話のありました国際結婚とかというような、あるいは養子縁組というような形の渡航の問題も取り扱っておられるようでありますが、これは本来移住政策の対象ではないわけでありまして、そういたしますと、割合スムーズな形で移住局の問題が処理できるんじゃなかろうかというような感じがするわけです。重ねまして種々私伺って、その結論としてお伺いするんですが、移住政策というものを経済協力局でおやりになるという、そういうお考えはないかどうか。これからそういう方向でお考えになるというお気持はないかどうかという点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/115
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116・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 移住という問題は、非常に今日むずかしいものの一つでございますが、私どもとしては、非常にこれをやはり大きな政策と考えておるわけでございます。
移住者の中には技術移住の面がふえつつあることは、これは事実でございますけれども、それはなかなか口で言うべくして、それだけ多くの技術移住を期待することは、今日の段階においては困難な面が多いわけでございます。したがいまして、移住という問題を経済協力局の中へ包含してしまうということになりますと、やはり移住というものに対する大きな旗をおろすような感じもいたしまするし、現在の移住の本質が、やはり計画移住の中に、農業移住というものが非常にウエートを占めておりますし、経済協力の中へ包含するのはいかがかと考えておるのでございます。もとより経済協力の部面におきまして、最近ブラジルにおきまして中小企業のセンターを作るというようなことも決定し、進みつつあるようなわけで、ただいまもとより中南米の国に対する経済協力もあるわけでございます。大きな面ではウジミナスの問題とか、いろいろ問題はあるわけでございますけれども、どうも双方ともに、やはり経済協力あるいは移住ということが、今日のやはり大きな政策の一つでありまする以上は、この両局が、その他にも経済局、アメリカ局ございますけれども、それぞれ有機的にできるだけよく連関を密にいたしまして、政策の推進に誤りなきを期する、こういう方向がよろしいのではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/116
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117・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 今の大臣のお話を承っておりますと、特に私はそう理由はないように承ったんですが、ただまあ旗をおろす、移住という旗をおろすのがそういうことのようでありますが、しかし、経済協力という形で旗を新しくあげるわけですし、なおまた、必要がありますれば、総理府にしかるべき機関を設けても私はいいように思います。その意味で新しい旗をあげるということも、格好なときにきておるのじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけなんですよ。ですから、今後の移民が先ほども申しましたように、逐次大きく変わってくるし、これからも変えなければならないという時期でありますし、また、農業移民にいたしましても、これはやはりその国の農業発展なり、そういうものとの提携の中で行なわれていかなければならないしというような点を考えますと、これはやはりどうも植民局あるいは拓殖というような感じではなくて、経済協力という立場から、経済協力局でお進めになるほうが非常にいいのではないかというふうに思っておるわけなんですよ。したがって、この点ひとつ御検討をいただきたいと思いますが、いかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/117
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118・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 私どもといたしましては、今申し上げましたように考えておりまして、なお、経済協力を考えまする場合に、それじゃ経済局、一般の経済の問題も一緒であるかといえば、一緒の面もあるわけでございますが、やはり経済協力局と経済局というものは別に考えております。
それからアメリカ局と移住局、移住はただいまも御指摘のように、ほとんど中南米がその対象でございまするので、場合によっては移住局というものを、中南米局にすることもどうかというような意見もないわけではないのでありまするが、やはり移住という問題について非常にむずかしい問題が多くありますだけに、やはり移住問題を徹底的にこの局において検討し、国策としての移住を推進していく、こういう立場からいたしまして、やはり経済局の中へ入れるというようなことは考えずに、この間に十分有機的な連絡をとって進むほうがよかろう、かように私どもは存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/118
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119・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/119
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120・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 速記とって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/120
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121・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) なお、欧州諸国におきましても、やはり経済協力と移住というのは別個の機関で扱っておる、こういうふうに私ども承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/121
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122・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、本日は、これにて散会いたします。
午後四時十分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014889X02619620426/122
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